(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】電子デバイスで使用するためのポリマー
(51)【国際特許分類】
C08L 79/08 20060101AFI20240524BHJP
C08K 5/49 20060101ALI20240524BHJP
C08G 73/10 20060101ALI20240524BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
C08L79/08 A
C08K5/49
C08G73/10
C08J5/18 CFG
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518947
(86)(22)【出願日】2021-06-07
(85)【翻訳文提出日】2024-01-23
(86)【国際出願番号】 CN2021098525
(87)【国際公開番号】W WO2022256951
(87)【国際公開日】2022-12-15
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519372065
【氏名又は名称】デュポン エレクトロニクス インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】523459642
【氏名又は名称】デュポン テクノロジー(シャンハイ)カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DUPONT TECHNOLOGY (SHANGHAI) CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】リュー、ユーチェン
(72)【発明者】
【氏名】イェ、グレース
(72)【発明者】
【氏名】ラドゥ、ノラ
(72)【発明者】
【氏名】シーゲルマン、レベッカ
(72)【発明者】
【氏名】オールダー、クリスティーナ
(72)【発明者】
【氏名】ホステトラー、グレッグ
(72)【発明者】
【氏名】フェニモア、アダム
【テーマコード(参考)】
4F071
4J002
4J043
【Fターム(参考)】
4F071AA60X
4F071AF15
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4F071AF21
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4J043ZB23
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4J043ZB50
(57)【要約】
(a)式I
【化1】
(式中、R
aは、各存在において同じであるか又は異なり、1つ以上のテトラカルボン酸成分残基を表し、R
bは、各存在において同じであるか又は異なり、1つ以上のジアミン成分残基を表す)の繰り返し単位構造を有するポリアミド酸と、(b)1つ以上のリン含有添加剤と、(c)高沸点非プロトン性溶媒と、を含む液体組成物を含む液体組成物から製造されるポリイミドフィルムが開示される。フィルムの製造方法及び電子デバイスにおけるフィルムの使用も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体組成物であって、
(a)式I
【化1】
(式中、
R
aは、各存在において同じであるか又は異なり、1つ以上のテトラカルボン酸成分残基を表し、
R
bは、各存在において同じであるか又は異なり、1つ以上のジアミン成分残基を表す)
の繰り返し単位構造を有するポリアミド酸と、
(b)1つ以上のリン含有添加剤と、
(c)高沸点非プロトン性溶媒と、
を含有する液体組成物。
【請求項2】
前記1つ以上のリン含有添加剤が、ホスフェート、ホスフィネート、ホスフィン、ホスフィンオキシド、ホスファイト、ホスホネート、ホスホナイトなど、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の液体組成物。
【請求項3】
前記1つ以上のリン含有添加剤が、リン酸ジ(2-エチルヘキシル)、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド、ビス(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィン酸、トリオクチルホスフィン、ビス[(2-ジフェニル)ホスフィノ)フェニル]エーテル、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル、トリフェニルホスフィン、rac-2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル、2-(ジフェニルホスフィノ)ビフェニル、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)ビフェニル、1,2-ビス(ジ-2-ピリジルホスフィノ)エタン、4,6-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェノキサジン、9,9-ジメチル-4,5-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)キサンテン、(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ビフェニル、トリ-ヘキシルホスフィン、トリ-1-ナフタレニルホスフィン、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル、tert-ブチルジフェニルホスフィン、トリオクチルホスフィンオキシド、トリフェニルホスフィンオキシド、トリエチルホスフィンオキシド、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン10-オキシド、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、ジフェニルフェニルホスホネート、オクチルフェニルホスホネート、ジエチル1-オクチルホスホネート、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジイルビス(ホスホナイト)など、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項2に記載の液体組成物。
【請求項4】
式II
【化2】
(式中、
R
aは、各存在において同じであるか又は異なり、1つ以上のテトラカルボン酸成分残基を表し、
R
bは、各存在において同じであるか又は異なり、1つ以上のジアミン残基を表す)
の繰り返し単位構造を含むポリイミドフィルムであって、
更に、
前記ポリイミドフィルムが、以下の工程:
高沸点非プロトン性溶媒中に1つ以上のテトラカルボン酸成分と、1つ以上のジアミン成分と、1つ以上のリン含有添加剤とを含むポリアミド酸溶液を母材上にコーティングする工程;
前記コーティングされた母材をソフトベークする工程、
前記ソフトベークされたコーティングされた母材を複数の事前選択された温度で複数の事前選択された時間間隔で処理する工程;
を順番に、繰り返すことなしに含む方法に従って製造される、ポリイミドフィルム。
【請求項5】
高沸点非プロトン性溶媒中に、1つ以上のテトラカルボン酸成分と、1つ以上のジアミン成分と、1つ以上のリン含有添加剤とを含む前記ポリアミド酸溶液が、最初にリン含有添加剤を前記高沸点非プロトン性溶媒に添加し、前記得られた溶液を事前に選択された時間撹拌してから、前記1つ以上のテトラカルボン酸成分及び前記1つ以上のジアミン成分を添加する方法に従って調製される、請求項4に記載のポリイミドフィルム。
【請求項6】
高沸点非プロトン性溶媒に、1つ以上のテトラカルボン酸成分と、1つ以上のジアミン成分と、1つ以上のリン含有添加剤とを含む前記ポリアミド酸溶液が、最初に前記1つ以上のテトラカルボン酸成分及び前記1つ以上のジアミン成分を前記高沸点非プロトン性溶媒に添加して前記ポリアミド酸溶液の形成を可能し、その後前記1つ以上のリン含有添加剤を前記ポリアミド酸溶液に導入する方法に従って調製される、請求項4に記載のポリイミドフィルム。
【請求項7】
前記事前に選択された温度の最高値が400℃以上である、請求項4に記載のポリイミドフィルム。
【請求項8】
前記方法が不活性雰囲気で行われる、請求項7に記載のポリイミドフィルム。
【請求項9】
前記フィルムが、10ppm/℃未満のCTE、5未満のb*、8未満の黄色度指数、及び380nm~780nmで85%超の平均透過率を有する、請求項8に記載のポリイミドフィルム。
【請求項10】
請求項4に記載の式IIの繰り返し単位を有するポリイミドフィルムが、デバイス基板、カラーフィルターシート用基板、カバーフィルム、及びタッチスクリーンパネルからなる群から選択されるデバイス構成要素に使用される、電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、新規な液体組成物に関する。本開示は、更に、そのような組成物から製造されるポリイミドフィルム、そのようなポリイミドフィルムを製造する方法、及びこれらのポリイミドフィルムを含む少なくとも1つの層を有する電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロニクス用途において使用するための材料は、これらの構造的、光学的、熱的、電子的及び他の特性に関して厳密な要件を有することが多い。商業的エレクトロニクス用途の数が増え続けるにつれて、要件特性の幅及び特異性は、新規の且つ/又は改善された特性を備える材料の革新を強く求めている。ポリイミドは、多様なエレクトロニクス用途において広範に使用されてきたポリマー化合物の一部類を指す。それらは、適切な特性を有していれば、電子ディスプレイデバイスのガラスに代わる柔軟な代替品として機能し得る。これらの材料は、これらの電力消費量が穏当であること、軽量であること及び層が平坦であることが効果的な実用性にとって極めて重要な特性である液晶ディスプレイ(「LCD」)の構成要素として機能することができる。このようなパラメータを重視する電子ディスプレイデバイスの他の使用には、デバイス基板、カラーフィルターシート用基板、カバーフィルム、タッチスクリーンパネル及び他のものが含まれる。
【0003】
いくつかのこれらの構成要素は、有機発光ダイオード(「OLED」)を有する有機電子デバイスの構築及び作動でも重要である。OLEDは、これらの高い電力変換効率及び広範囲のエンドユーザーへの適用可能性のために、多数のディスプレイ用途にとって前途有望である。それらは、携帯電話、タブレット型端末、ハンドヘルド型/ラップトップ型コンピューター及び他の市販製品において一層多く使用されている。これらの用途は、低い電力消費量に加えて、大量の情報量、フルカラー及び高速のビデオ速度反応時間を備えるディスプレイを求めている。
【0004】
ポリイミドフィルムは、一般的に、十分な熱安定性、高いガラス転移温度及びこのような使用に値する機械的靭性を備えている。また、一般的に、ポリイミドは、繰り返し曲げても曇りが発生しないため、柔軟なディスプレイの用途では、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリエチレンナフタレート(PEN)のような他の透明基板よりも多くの場合に好まれる。
【0005】
しかしながら、ポリイミドの従来の褐色は、光透過性に重点が置かれているため、カラーフィルター及びタッチスクリーンパネルなどの一部のディスプレイ用途で使用できない。更に、一般的には、ポリイミドは、剛性であり、芳香族性の高い材料であり、そのポリマー鎖は、フィルム/コーティングが形成される際にフィルム/コーティングの面内で配向する傾向がある。これにより、フィルムの平行方向及び垂直方向の屈折率の差(複屈折)が生じ、ディスプレイの性能に悪影響を与える可能性のある光遅延(optical retardation)が生じる。
【0006】
更に、ポリイミドを電子デバイスへと加工する際、多くの場合、温度、環境、ひずみなどの点でこれらは追加のストレスにさらされる。そのような暴露により、特定のフィルムが所定のデバイスで使用不可能になる不具合や欠陥が形成される可能性がある。ポリイミドフィルム自体が損なわれるだけでなく、デバイス全体が使用不能になり、その結果再加工や交換などが必要になる可能性がある。
【0007】
ポリイミドがディスプレイ市場で更なる用途を見出す場合、加工全体を通じて望ましい特性を維持しながら、それと同時に光透過性を改善し、褐色及び光遅延をもたらす複屈折を低減する解決手段が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そのため、電子デバイスにおける使用に適したポリイミドフィルムなどの改良されたポリマー材料が引き続き必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
液体組成物であって、
(a)式I
【化1】
(式中、R
aは、各存在において同じであるか又は異なり、1つ以上のテトラカルボン酸成分残基を表し、R
bは、各存在において同じであるか又は異なり、1つ以上のジアミン残基を表す)
の繰り返し単位構造を有するポリアミド酸と、
(b)1つ以上のリン含有添加剤と、
(c)高沸点非プロトン性溶媒と、
を含有する液体組成物が提供される。
【0010】
更に、式II
【化2】
(式中、R
aは、各存在において同じであるか又は異なり、1つ以上のテトラカルボン酸成分残基を表し、R
bは、各存在において同じであるか又は異なり、1つ以上のジアミン残基を表す)
の繰り返し単位構造を含むポリイミドフィルムであって、更に、以下の工程:
高沸点非プロトン性溶媒中に1つ以上のテトラカルボン酸成分及び1つ以上のジアミン成分を含むポリアミド酸溶液を母材上にコーティングする工程;コーティングされた母材をソフトベークする工程;ソフトベークされたコーティングされた母材を複数の事前選択された温度で複数の事前選択された時間間隔で処理する工程;を順番に、繰り返すことなしに含む方法に従って製造される、ポリイミドフィルムを提供する。
【0011】
ガラスに代わる柔軟な代替品が上述したポリイミドフィルムである、電子デバイスにおけるガラスに代わる柔軟な代替品が更に提供される。
更に、上述したポリイミドフィルムを含む少なくとも1つの層を有する電子デバイスが提供される。
【0012】
本明細書に開示されるガラスに代わる柔軟な代替品を含む、例えばOLEDなどの有機電子デバイスが更に提供される。
【0013】
上記の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、例示的且つ説明的なものに過ぎず、添付の特許請求の範囲において規定されるように、本発明を限定するものではない。
【0014】
実施形態は、本明細書に示される概念の理解を助けるために添付の図において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】ガラスのための柔軟な代替品として機能し得るポリイミドフィルムの1つの実施例の例示を含む。
【
図2】ガラスのための柔軟な代替品を含む電子デバイスの1つの実施例の例示を含む。
【発明を実施するための形態】
【0016】
当業者は、図中の対象物が、簡潔且つ明確にするために例示されており、一定の縮尺で必ずしも描かれていないことを十分理解する。例えば、図中の対象物の一部の寸法は、実施形態の理解の向上を助けるために、他の対象物に対して誇張されている場合がある。
【0017】
以下に詳細に記載されるように、式Iを有するポリアミド酸が提供される。
【0018】
(a)式Iを有するポリアミド酸と、(b)1つ以上のリン含有添加剤と、(c)高沸点非プロトン性溶媒とを含む液体組成物が更に提供される。
【0019】
繰り返し単位が以下で詳細に記載される式IIの構造を有するポリイミドが更に提供される。
【0020】
ポリイミドフィルムを製造するための1つ以上の方法が更に提供され、この場合、ポリイミドフィルムは、式IIの繰り返し単位を有する。
【0021】
ガラスに代わる柔軟な代替品が式IIの繰り返し単位を有するポリイミドフィルムである、電子デバイスにおけるガラスに代わる柔軟な代替品が更に提供される。
式IIの繰り返し単位を有するポリイミドフィルムを含む少なくとも1つの層を有する電子デバイスが更に提供される。
【0022】
本明細書に開示されるガラスに代わる柔軟な代替品を含む、例えばOLEDなどの有機電子デバイスが更に提供される。
【0023】
多くの態様及び実施形態が上に記載されてきたが、例示的であるに過ぎず、限定的ではない。本明細書を読んだ後、当業者は、他の態様及び実施形態が本発明の範囲から逸脱することなく可能であることを理解する。
【0024】
任意の1つ以上の実施形態の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかである。詳細な説明は、先ず、用語の定義及び明確化に取り組み、これに、液体組成物、ポリイミド、ポリイミドフィルムの製造方法、電子デバイス、及び最後に実施例が続く。
【0025】
1.用語の定義及び説明
後述の実施形態の詳細を扱う前に、いくつかの用語が定義又は明らかにされる。
【0026】
「用語の定義及び明確化」において用いるところでは、R、Ra、Rb、R’、R’’及び任意の他の変量は、総称であり、式中で定義される変量と同じものであっても、又は異なるものであってもよい。
【0027】
「添加剤」という用語は、成分の集合全体の一般的な品質を変更又は改善するために、或いは望ましくない特性を打ち消すために、ある物質として別の物質に添加されるものを意味することが意図されている。いくつかの非限定的な実施形態では、添加剤は、組成物又は混合物の主成分の濃度よりもはるかに低い濃度で使用される。
【0028】
用語「整列層」は、液晶デバイス(LCD)製造プロセス中に1つの優先方向においてLCDガラスに対して摩擦される結果として分子を各プレートの最も近くに整列させる、液晶デバイス内の有機ポリマーの層を意味することが意図されている。
【0029】
本明細書で使用される場合、用語「アルキル」には、分岐状及び直鎖状の飽和脂肪族炭化水素基が含まれる。特に明記しない限り、この用語は、環状基を含むことも意図されている。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、secブチル、tertブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、イソヘキシル等が挙げられる。用語「アルキル」は、置換及び無置換の両方の炭化水素基を更に含む。いくつかの実施形態では、アルキル基は、一置換、二置換及び三置換され得る。置換アルキル基の一例は、トリフルオロメチルである。他の置換アルキル基は、本明細書に記載された置換基の1つ以上から形成される。特定の実施形態では、アルキル基は、1~20個の炭素原子を有する。他の実施形態では、この基は、1~6個の炭素原子を有する。この用語は、ヘテロアルキル基を含むことを意図する。ヘテロアルキル基は、1~20個の炭素原子を有することができる。
【0030】
用語「非プロトン性」は、酸性水素原子を欠如し、そのため水素供与体として作用することができない溶媒の一分類を指す。一般的な非プロトン性溶媒には、アルカン、四塩化炭素(CCl4)、ベンゼン、ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)及び多数のその他の溶媒が含まれる。
【0031】
用語「芳香族化合物」は、4n+2の非局在化π電子を有する少なくとも1つの不飽和環状基を含む有機化合物を意味するものとする。この用語は、炭素及び水素原子のみを有する芳香族化合物、並びに環状基内の炭素原子の1つ又は複数が、窒素、酸素、硫黄等などの別の原子によって置換されているヘテロ芳香族化合物の両方を包含することが意図されている。
【0032】
用語「アリール」又は「アリール基」は、芳香族化合物から1つ又は複数の水素(「H」)又は重水素(「D」)を除去することによって形成される部位である。アリール基は、単環(単環式)であり得る、又は一緒に縮合又は共有結合によって結合した複数環(二環式以上)を有し得る。「炭化水素アリール」は、芳香環中に炭素原子のみを有する。「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの芳香環中に1つ以上のヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態では、炭化水素アリール基は、6~60個の環炭素原子を有し、いくつかの実施形態では6~30個の環炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基は、4~50個の環炭素原子を有し、いくつかの実施形態では4~30個の環炭素原子を有する。
【0033】
用語「アルコキシ」は、基-OR(式中、Rは、アルキルである)を意味することを意図する。
【0034】
用語「アリールオキシ」は、基-OR(式中、Rは、アリールである)を意味することを意図する。
【0035】
特に明記しない限り、全ての基は、置換又は無置換であり得る。アルキル又はアリール等の、しかしそれらに限定されない、任意選択的に置換された基は、同じ又は異なるものであり得る1つ以上の置換基で置換され得る。好適な置換基としては、アルキル、アリール、ニトロ、シアノ、-N(R’)(R”)、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルコキシカルボニル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、アリールアルキル、シリル、シロキシ、シロキサン、チオアルコキシ、-S(O)2-、-C(=O)-N(R’)(R”)、(R’)(R”)N-アルキル、(R’)(R’’)N-アルコキシアルキル、(R’)(R’’)N-アルキルアリールオキシアルキル、-S(O)s-アリール(式中、s=0~2である)又は-S(O)s-ヘテロアリール(式中、s=0~2である)が挙げられる。各R’及びR’’は、独立して、任意選択的に置換されたアルキル、シクロアルキル、又はアリール基である。R’及びR’’は、それらが結合している窒素原子と一緒に、特定の実施形態では環系を形成することができる。置換基はまた、架橋基であってもよい。
【0036】
用語「アミン」は、塩基性窒素原子を孤立電子対と共に含有する化合物を意味するものとする。用語「アミノ」は、官能基-NH
2、-NHR又は-NR
2を指し、式中、Rは、各存在において同じか又は異なり、アルキル基又はアリール基であってよい。用語「ジアミン」は、関連孤立電子対を持った2個の塩基性窒素原子を含む化合物を意味することを意図する。用語「芳香族ジアミン」は、2つのアミノ基を有する芳香族化合物を意味するものとする。用語「屈曲ジアミン」は、2個の塩基性窒素原子及び関連する孤立電子対が、対応する化合物又は官能基、例えばm-フェニレンジアミン:
【化3】
を意味することを意図する。
【0037】
用語「芳香族ジアミン残基」は、芳香族ジアミン内の2つのアミノ基に結合した部分を意味することを意図する。用語「芳香族ジイソシアネート残基」は、芳香族ジイソシアネート化合物内の2つのイソシアネート基に結合した部分を意味するものとする。これを下記で更に例示する。
【化4】
【0038】
用語「ジアミン残基」及び「ジイソシアネート残基」は、それぞれ2つのアミノ基又は2つのイソシアネート基に結合した部位を意味することが意図されており、その部位は、脂肪族又は芳香族であってよい。
【0039】
用語「b*」は、黄色/青色反対色を表すCIELab色空間におけるb*軸を意味することが意図されている。黄色は、プラスのb*値によって表され、青色は、マイナスのb*値によって表される。測定されるb*値は、特に溶媒の選択が高温処理条件に曝露された材料に関して測定される色に影響を及ぼし得るので、溶媒によって影響を受ける可能性がある。これは、溶媒の固有の特性及び/又は様々な溶媒に含まれる低レベルの不純物に関連する特性の結果として発生し得る。特定の溶媒は、特定の用途のために所望のb*値を達成するために事前選択されることが多い。
【0040】
用語「複屈折」は、ポリマーフィルム又はコーティング内の異なる方向における屈折指数の差を意味することを意図する。この用語は、通常、x軸又はy軸(面内)及びz軸(面外)屈折指数間の差を指す。
【0041】
用語「電荷輸送」は、層、材料、部材又は構造に言及している場合、このような層、材料、部材又は構造が、比較的効率良く且つ小さい電荷損失で、このような層、材料、部材又は構造の厚みを通したこのような電荷の移動を容易にすることを意味することを意図する。正孔輸送材料は、正電荷を促進し;電子輸送材料は、負電荷を促進する。発光材料は、いくつかの電荷輸送特性も有し得るが、用語「電荷輸送層、材料、部材又は構造」は、その一次機能が発光である層、材料、部材又は構造を含むことを意図していない。
【0042】
用語「化合物」は、化学結合を切断せずに物理的手段によって原子をこれらの相当する分子から分離することができない、原子を更に含む分子から構成される非帯電物質を意味することを意図する。この用語は、オリゴマー及びポリマーを含むことを意図する。
【0043】
用語「線熱膨張係数(CTE又はα)」は、温度の関数として材料が膨張又は収縮する量を規定するパラメータを意味することを意図する。線熱膨張係数は、1℃当たりの長さの変化として表示され、一般的にはμm/m/℃又はppm/℃の単位で表示される。
α=(ΔL/L0)/ΔT
本明細書に開示される測定されたCTE値は、第1又は第2加熱走査中に公知の方法により作成される。材料の相対膨張/収縮特性の理解は、電子デバイスの製作及び/又は信頼性における重要な検討事項であり得る。
【0044】
用語「ドーパント」は、そのような材料が存在しない層の電子的特性又は放射線の放出、受容、若しくはフィルタリングの波長と比較して、その層の電子的特性又は放射線の放出、受容、若しくはフィルタリングの目標波長を変化させる、ホスト材料を含む層内の、材料を意味することを意図する。
【0045】
用語「電気活性」は、それが層又は材料に言及する場合、デバイスの動作を電子的に容易にする層又は材料を示すことを意図する。電気活性材料の例としては、電荷(電荷は、電子か正孔かのどちらかであり得る)を導くか、注入するか、輸送するか、若しくはブロックする材料、又は放射線を発する若しくは放射線を受けるときに電子-正孔対の濃度の変化を示す材料が挙げられるが、それらに限定されない。不活性材料の例としては、平坦化材料、絶縁材料、及び環境バリア材料が挙げられるが、それらに限定されない。
【0046】
用語「引張伸び」又は「引張歪み」は、それが、印加引張応力下で破断する前に材料中で発生する長さの百分率増加を意味することを意図する。それは、例えば、ASTM法D882によって測定することができる。
【0047】
接頭辞「フルオロ」は、基中の1個以上の水素原子がフッ素で置換されていることを示すことを意図する。
【0048】
用語「ガラス転移温度(又はTg)」は、材料が硬質状態、ガラス状状態、又は脆性状態から柔軟性又はゴム弾性である状態に突然に変化する非晶質ポリマーに又は半結晶ポリマーの非晶質領域に可逆変化が発生する温度を意味することを意図する。微視的には、ガラス転移は、普通はコイル状の、動きのないポリマー鎖が自由に回転するようになる及び相互に通過できる場合に発生する。Tgは、示差走査熱量測定法(DSC)、熱機械分析法(TMA)、若しくは動的機械分析法(DMA)、又は他の方法を用いて測定され得る。
【0049】
接頭辞「ヘテロ」は、1個以上の炭素原子が異なる原子で置換されていることを示す。いくつかの実施形態では、ヘテロ原子は、O、N、S、又はそれらの組み合わせである。
【0050】
用語「高沸点」は、130℃超の沸点を示すことを意図する。
【0051】
用語「ホスト材料」は、ドーパントが添加される材料を意味することを意図する。ホスト材料は、電子的特性、或いは放射線を発する、受容する又はフィルタリングする能力を有しても又は有していなくてもよい。いくつかの実施形態では、ホスト材料は、より高い濃度で存在する。
【0052】
用語「等温重量損失」は、その等温安定性に直接的に関連する材料の特性を意味することを意図する。等温重量損失は、一般的に熱重量分析(TGA)によって関心対象の定温で測定される。高い熱安定性を有する材料は、一般的に所望の期間に渡って必要とされる使用温度又は加工温度で極めて低いパーセントの等温重量損失を示すため、従って強度の大きい消失、脱ガス及び/又は構造の変化を伴わずにこれらの温度での用途に使用され得る。
【0053】
用語「液体組成物」は、材料が溶解して溶液を形成する液体媒体、材料が分散されて分散体を形成する液体媒体、或いは材料が懸濁されて懸濁液又は乳化液を形成する液体媒体を意味することが意図されている。
【0054】
用語「母材」は、その上に1つ以上の層が、例えば、電子デバイスを形成する際に配置される基礎を意味することが意図されている。非限定的な例としては、ガラス、シリコン及び他のものが挙げられる。
【0055】
用語「1%のTGA重量損失」は、分解(吸収水を排除すること)に起因して元のポリマー重量の1%が失われる温度を意味することが意図されている。
【0056】
用語「光遅延(又はRTH)」は、平均面内屈折指数と面外屈折指数との間の差(即ち複屈折)を意味することを意図しており、次いでこの差にフィルム又はコーティングの厚さが掛けられる。典型的には、光遅延は、特定の周波数の光に対して測定され、単位は、ナノメートルで報告される。
【0057】
用語「有機電子デバイス」又は場合により「電子デバイス」は、本明細書では1つ以上の有機半導体層又は材料を含むデバイスを意味することを意図する。
【0058】
用語「粒子含量」は、溶液中に存在する不溶性粒子の数又は計数を意味することを意図する。粒子含量の測定は、溶液自体において又はこれらのフィルムから調製された製品原材料(部品、フィルム等)において実施できる。この特性は、様々な光学方法を使用して評価することができる。
【0059】
用語「光活性」は、(発光ダイオード又は化学セルでのような)印加電圧によって活性化されたときに発光する、(ダウンコンバート燐光体デバイスでのような)光子の吸収後に発光する、又は(光検出器又は光起電力セルでのような)輻射エネルギーに応答し、印加バイアス電圧を使用して又は使用せずに信号を生成する材料又は層を指す。
【0060】
用語「プラズマ強化化学蒸着」又は「PECVD」は、標準的な化学蒸着(CVD)プロセスで使用される温度よりも低い温度で様々な材料の薄膜を基板上に堆積することができるプロセスを指す。
【0061】
用語「ポリアミド酸溶液」は、イミド基を形成するための分子内環化の能力を有するアミド酸単位を含むポリマーの溶液を指す。
【0062】
用語「ポリイミド」は、1つ以上の二官能性カルボン酸構成要素と1つ以上の一級ジアミン又はジイソシアネートとの反応から得られる縮合ポリマーを指す。これらは、ポリマー骨格の主鎖に沿った直鎖状又は複素環式単位としてイミド構造-CO-NR-CO-を含む。
【0063】
用語「満足できる」は、材料の特性又は特徴に関する場合、特性又は特徴が、使用中の材料に対する全ての要件/要求を満たすことを意味することを意図する。例えば、窒素中350℃で3時間の1%未満の等温重量損失は、本明細書に開示されるポリイミドフィルムに関連して、「満足できる」特性の非限定的な例と見なすことができる。
【0064】
用語「ソフトベーキング」は、エレクトロニクス製造において一般に用いられるプロセスであって、コーティングされた材料が、溶媒を駆逐し、フィルムを固化させるために加熱されるプロセスを意味することを意図する。ソフトベーキングは、コーティングされた層又はフィルムのその後の熱処理のための準備工程として、90℃~110℃の温度でホットプレート上又は排気付きオーブン中で一般的に行われる。
【0065】
用語「基板」は、硬質とフレキシブルのいずれであってもよく、ガラス、ポリマー、金属若しくはセラミック材料又はそれらの組み合わせを含み得るが、それらに限定されない、1つ以上の材料の1つ以上の層を含み得る基礎材料を指す。基板は、電子構成部品、回路又は導電性部材を含んでいても又は含んでいなくてもよい。
【0066】
用語「シロキサン」は、基R3SiOR2Si-(式中、Rは、出現毎に同じ又は異なるものであり、H、C1~20アルキル、フルオロアルキル、又はアリールである)を指す。いくつかの実施形態では、Rアルキル基中の1個以上の炭素は、Siで置換されている。
【0067】
用語「シロキシ」は、基R3SiO-(式中、Rは、出現毎に同じ又は異なるものであり、H、C1~20アルキル、フルオロアルキル、又はアリールである)を指す。
【0068】
用語「シリル」は、基R3Si-(式中、Rは、出現毎に同じ又は異なるものであり、H、C1~20アルキル、フルオロアルキル、又はアリールである)を指す。いくつかの実施形態では、Rアルキル基中の1個以上の炭素は、Siで置換されている。
【0069】
用語「スピンコーティング」は、平坦な基板に一様な薄いフィルムを堆積させるために用いられるプロセスを意味することを意図する。一般に、少量のコーティング材料が、低速で回転しているか又はまったく回転していないかのどちらかである、基板の中央に塗布される。基板は、次いで、遠心力によって一様にコーティング材料を広げるために特定の速度で回転させられる。
【0070】
用語「レーザー粒子計数器試験」は、ポリアミド酸及び他のポリマー溶液の粒子含量を評価し、これによって試験溶液の代表的試料が5インチのシリコンウェハー上にスピンコーティングされ、ソフトベーク/乾燥させるために使用される方法を指す。このように製造されたフィルムは、任意の数の標準的測定技術によって粒子含量について評価される。このような技術には、当技術分野において公知であるレーザー粒子検出などが含まれる。
【0071】
用語「引張り弾性率」は、フィルムのような材料における応力(単位面積当たりの力)と歪み(比例変形)との間の初期の関係を規定する固体材料の剛性の尺度を意味することが意図されている。一般的に使用される単位は、ギガパスカル(GPa)である。
【0072】
用語「テトラカルボン酸成分」は、以下のいずれか1つ以上を意味することが意図されている:テトラカルボン酸、テトラカルボン酸一無水物、テトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸モノエステル、及びテトラカルボン酸ジエステル。
【0073】
用語「テトラカルボン酸成分残基」は、テトラカルボン酸成分の4つのカルボキシ基に結合した部位を意味することが意図されている。下記ではこれについて更に例示する。
【化5】
【0074】
用語「透過率」は、反対側で検出可能であるようにフィルムを通過するフィルムに衝突する所与の波長の光のパーセントを指す。可視領域(380nm~800nm)における光透過率測定値は、本明細書に開示されるポリイミドフィルムの使用中の特性を理解するために最も重要であるフィルム色特性を特徴付けるために特に有用である。
【0075】
用語「黄色度指数(又はYI)」は、標準と比べて黄色度の大きさを指す。YIのプラスの値は、黄色の存在及び大きさを示す。マイナスのYIを持った材料は、青色がかって見える。特に高温で行われた重合プロセス及び/又は硬化プロセスについて、YIが溶媒依存性であり得ることにまた留意されるべきである。溶媒としてDMACを使用して導入される色の大きさは、例えば、溶媒としてNMPを使用して導入される色の大きさと異なる場合がある。これは、溶媒の固有の特性及び/又は様々な溶媒中に含有される低レベルの不純物に関連する特性の結果として発生し得る。特定の溶媒が、多くの場合、特定の用途向けに所望のYI値を達成するために事前選択される。
【0076】
置換基結合が以下に示されるように1つ以上の環を通過する構造において、
【化6】
においては、置換基Rは、1つ以上の環上の任意の利用可能な位置で結合し得ることが意味される。
【0077】
語句「~に隣接した」は、デバイス中の層に言及するために用いられるとき、1つの層が別の層の直接隣りにあることを必ずしも意味しない。他方で、語句「隣接するR基」は、化学式中で互いに隣りにあるR基(すなわち結合によって連結された原子上にあるR基)に言及するために用いられる。典型的な隣接するR基を以下に示す:
【化7】
【0078】
本明細書では、特に明示的に述べられる、又は使用に関連して反対のことが示されない限り、本明細書の主題の実施形態が、特定の特徴又は要素を含む、包含する、含有する、有する、それらからなる、又はそれらによって若しくはそれらから構成されると述べられる又は記載される場合、明示的に述べられた又は記載されたものに加えて1つ以上の特徴又は要素が実施形態で存在し得る。本明細書の開示された主題の代わりの実施形態は、特定の特徴又は要素から本質的になると記載されるが、その実施形態では、操作の原理又は実施形態の際立った特性を実質的に変更する特徴又は要素は、その中に存在しない。本明細書の記載された主題の更なる代わりの実施形態は、特定の特徴又は要素からなると記載されるが、その実施形態又はその実態のない変形形態では、具体的に述べられた又は記載された特徴又は要素のみが存在する。
【0079】
更に、明確にそれとは反対のことが述べられない限り、「又は」は、包括的な「又は」を意味し、排他的な「又は」を意味しない。例えば、条件A「又は」Bは、以下のいずれか1つによって満たされる:Aが真であり(又は存在する)且つBが偽である(又は存在しない)、Aが偽であり(又は存在しない)且つBが真である(又は存在する)並びにA及びBが両方とも真である(又は存在する)。
【0080】
同様に、「1つの(a)」又は「1つの(an)」の使用は、本明細書に記載された要素及び成分を記載するために使用される。これは、便宜上及び本発明の範囲の一般的な意味を与えるために行われるにすぎない。この記載は、1つ又は少なくとも1つを包含すると解釈されるべきであり、単数はまた、それが別の意味を有することが明らかでない限り複数も含む。
【0081】
元素の周期表の縦列に対応する族番号は、CRC Handbook of Chemistry and Physics,81stEdition(2000-2001)に見られるような、「新表記法」規約(“New Notation”convention)を使用する。
【0082】
特に定義しない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載するものと同様の又は同等の方法及び材料を本発明の実施形態の実施又は試験において使用することができるが、好適な方法及び材料が、以下に記載される。本明細書に記載された全ての刊行物、特許出願、特許及び他の参照文献は、特定の節が引用されるのでなければ、これらの全体を参照により本明細書に援用するものとする。不一致がある場合、定義を含む本明細書が優先される。更に、材料、方法及び実施例は、例示に過ぎず、限定的であることは意図されていない。
【0083】
本明細に記載されていない範囲について、特定の材料、処理動作及び回路に関する多くの詳細は、従来通りであり、有機発光ダイオードディスプレイ、光検出器、光起電力及び半導体部材技術の教科書及び他の情報源に見出すことができる。
【0084】
2.液体組成物
(a)式I
【化8】
(式中、R
aは、各存在において同じであるか又は異なり、1つ以上のテトラカルボン酸成分残基を表し、R
bは、各存在において同じであるか又は異なり、1つ以上のジアミン成分残基を表す)
の繰り返し単位構造を有するポリアミド酸と、(b)1つ以上のリン含有添加剤と、(c)高沸点非プロトン性溶媒とを含む液体組成物が提供される。また、液体組成物は、本明細書で「ポリアミド酸溶液」と呼ばれる。
【0085】
適切なリン含有添加剤の例は特に限定されず、P(III)、P(V)の有機リン化合物、及びそれらの誘導体からなる群から通常選択される。P(III)の有機リン化合物の非限定的な例としては、ホスフィン(PR3、アルキルジアリールホスフィン、二座アルキルジアリールホスフィン、二座トリアリールホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィンを含む)、アミノホスフィン(PR2(NR2))、ホスフィナイト(PR2(OR))、ジアミノホスフィン(PR(NR2)2)、ホスホンアミダイト(PR(OR)(NR2))、ホスホナイト(PR(OR)2、ジアルキルアリールホスホナイト及び二座アリールホスホナイトを含む)、トリアミノ-ホスフィン(P(NR2)3)、ホスホロ-ジアミダイト(P(OR)(NR2)2)、ホスホロアミダイト(P(OR)2(NR2))、及びホスファイト(P(OR)3、トリアリールホスファイト及び二座アリールホスファイトを含む)が挙げられる。通常、これらのP(III)化合物において、Rは、各存在において同じであるか又は異なり、水素、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C2~C30)アルケニル、置換若しくは無置換(C5~C30)アリール、置換若しくは無置換5~30員ヘテロアリール、又はCNからなる群から選択され;或いは隣接する置換基に連結して、置換又は無置換の単環式又は多環式の、(C5~C30)の脂肪族環又は芳香族環を形成していてもよく、その炭素原子は、窒素、酸素、硫黄、Si、PO、SO、SO2、及びSeO2から選択される少なくとも1つのヘテロ原子で置き換えられていてもよい。
【0086】
P(III)の有機リン化合物のいくつかの非限定的な実施形態では、Rの少なくとも1つがC1~C30アルキルであり、いくつかの実施形態では、全てのRがC1~C30アルキルである。
【0087】
P(V)の有機リン化合物の非限定的な例としては、ホスフィンオキシド(PR3(O)、トリアルキルホスフィンオキシド及びトリアリールホスフィンオキシドを含む)、ホスフィネート(PR2(O)(OR)、アリールホスフィン酸及びジアルキルホスフィン酸を含む)、ホスフィンアミド(PR2(O)(NR2))、ホスホネート(PR(O)(OR)2、トリアルキルホスホネート、トリアリールホスホネート、及びジアルキルアリールホスホネートを含む)、ホスホンアミデート(PR(O)(OR)(NR2))、ホスホンアミド(PR(O)(NR2)2)、ホスフェート(P(O)(OR)3、アルキルリン酸を含む)、ホスホロ-アミデート(P(O)(OR)2(NR2))、ホスホロジアミデート(P(O)(OR)(NR2)2)、及びホスホロアミド(P(O)(NR2)3)が挙げられる。通常、これらのP(V)の化合物において、Rは、各存在において同じであるか又は異なり、水素、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C2~C30)アルケニル、置換若しくは無置換(C5~C30)アリール、置換若しくは無置換5~30員ヘテロアリール、又はCNからなる群から選択され;或いは隣接する置換基に連結して、置換又は無置換の単環式又は多環式の、(C5~C30)の脂肪族環又は芳香族環を形成していてもよく、その炭素原子は、窒素、酸素、硫黄、Si、PO、SO、SO2、及びSeO2から選択される少なくとも1つのヘテロ原子で置き換えられていてもよい。
【0088】
P(V)の有機リン化合物のいくつかの非限定的な実施形態では、Rの少なくとも1つがC1~C30アルキルであり、いくつかの実施形態では、全てのRがC1~C30アルキルである。
【0089】
リン含有添加剤の非限定的な例としては、トリブチルホスフィン、トリヘキシルホスフィン、ビス(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィン酸、ビス(2,4,4-トリメチルペンチル)ジチオホスフィン酸、トリヘキシルホスフィンオキシド、ジ-n-ヘキシルホスフィン酸、ジヘキシルホスフィン酸ヘキシル、リン酸ジ(2-エチルヘキシル)、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド、ビス(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィン酸、トリオクチルホスフィン、ビス[(2-ジフェニル)ホスフィノ)フェニル]エーテル、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル、トリフェニルホスフィン、rac-2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル、2-(ジフェニルホスフィノ)ビフェニル、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)ビフェニル、1,2-ビス(ジ-2-ピリジルホスフィノ)エタン、4,6-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェノキサジン、9,9-ジメチル-4,5-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)キサンテン、(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ビフェニル、トリ-ヘキシルホスフィン、トリ-1-ナフタレニルホスフィン、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル、tert-ブチルジフェニルホスフィン、トリオクチルホスフィンオキシド、トリフェニルホスフィンオキシド、トリエチルホスフィンオキシド、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン10-オキシド、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、ジフェニルフェニルホスホネート、(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ビフェニル、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジイルビス(ホスホナイト)、トリオクチルホスフィンオキシド、(2R,2’R,5R,5’R)-1,1’-(1,2-エタンジイル)ビス[2,5-ジフェニルホスホラン]、ビス[(2-ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテル、4,6-ビス(ジフェニルホスフィノ)ジベンゾフラン、ジフェニル-4-ピレニルホスフィン、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゾフェノン、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、ジオクチルフェニルホスホネート、ジエチル1-オクチルホスホネート、及びテトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジイルビス(ホスホナイト)が挙げられる。
【0090】
本明細書に開示の液体組成物のいくつかの実施形態では、1つ以上のリン含有添加剤は、0.01重量%~10重量%、いくつかの非限定的な実施形態では0.01重量%~5重量%、0.01重量%~2重量%、いくつかの非限定的な実施形態では0.025重量%~1.5重量%、いくつかの非限定的な実施形態では0.05重量%~1.0重量%、いくつかの非限定的な実施形態では0.1重量%~0.75重量%、いくつかの非限定的な実施形態では0.15重量%~0.4重量%、いくつかの非限定的な実施形態では0.2重量%~0.3重量%の濃度で液体組成物中に存在する。
【0091】
式Iのいくつかの実施形態では、Raは、単一のテトラカルボン酸成分残基を表し、いくつかの実施形態では2つのテトラカルボン酸成分残基、いくつかの実施形態では3つのテトラカルボン酸残基、いくつかの実施形態では4つのテトラカルボン酸残基、いくつかの実施形態では5つ以上のテトラカルボン酸二無水物残基を表す。
【0092】
適切なテトラカルボン酸二無水物の例としては、限定するものではないが、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、4,4’-オキシジフタル酸無水物(ODPA)、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、4,4’-ビスフェノールA二無水物(BPADA)、ヒドロキノンジフタル酸無水物(HQDEA)、エチレングリコールビス(無水トリメリット酸)(TMEG-100)、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物(DTDA);4,4’-ビスフェノールA二無水物(BPADA)、シクロブタン二無水物(CBDA);9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレンジ二無水物;3-(カルボキシメチル)-1,2,4-シクロペンタントリカルボン酸1,4:2,3-二無水物;ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物;1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物;1,2,4,5-シクロヘキサン-テトラカルボン酸二無水物;1,2,3,4-テトラメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物;1,3-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタン-テトラカルボン酸二無水物;トリシクロ[6.4.0.02,7]ドデカン-1,8:2,7-テトラカルボン酸二無水物;メソ-ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物;4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物;5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物など、及びそれらの組み合わせが挙げられる。これらの二無水物は、アルキル、アリール、ニトロ、シアノ、-N(R’)(R”)、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルコキシカルボニル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、アリールアルキル、シリル、シロキシ、シロキサン、チオアルコキシ、-S(O)2-、-C(=O)-N(R’)(R’’)、(R’)(R’’)N-アルキル、(R’)(R’’)N-アルコキシアルキル、(R’)(R’’)N-アルキルアリールオキシアルキル、-S(O)s-アリール(式中、s=0~2である)又はS(O)s-ヘテロアリール(式中、s=0~2である)を含む当技術分野で知られている基で任意選択的に置換されることができる。各R’及びR’’は、独立して、任意選択的に置換されたアルキル、シクロアルキル、又はアリール基である。R’及びR’’は、それらが結合している窒素原子と一緒に、特定の実施形態では環系を形成することができる。置換基はまた、架橋基であってもよい。1つのテトラカルボン酸二無水物当たり1つ以上のF原子によるハロ置換により、これらの種のフッ素化された実施形態が得られる。
【0093】
いくつかの実施形態では、ポリイミドへのフッ素原子の導入により、本明細書に開示の最終用途により適した特性を有する材料及びフィルムが生成される。フッ素原子の電気陰性度の高さのため、炭素原子とフッ素原子の間に強い結合が生じ、関連するフルオロカーボン材料に比較的高い熱的及び化学的安定性を与えることができる。フッ素原子は、いくつかの実施形態では、溶解性、加工性、及び透明性も高めることができ、また得られるポリイミドの吸水性及び誘電率を低下させることにおいても役立ち得る。
【0094】
本明細書に開示の液体組成物及びフィルムにフッ素を組み込むための1つの戦略は、フッ素をテトラカルボン酸成分残基に組み込むことである。1つ以上のRaが1つの残基当たり1つ以上のF原子を含む適切なテトラカルボン酸二無水物の非限定的な例としては、限定するものではないが、4,4’-ヘキサフルオロイソ-プロピリデンビスフタル酸二無水物(6FDA)、1H-ジフロ[3,4-b:3’,4’-i]キサンテン1,3,7,9(11H)-テトロン,11,11ビス(トリフルオロメチル);1H-ジフロ[3,4-b:3’,4’-i]キサンテン1,3,7,9(11H)-テトロン,11-フェニル-11(トリフルオロメチル);1H,3H-ベンゾ[1,2-c:4,5-c’]ジフラン-1,3,5,7テトロン,4,8-ビス(トリフルオロメチル);1H,3H-ベンゾ[1,2-c:4,5-c’]ジフラン-1,3,5,7テトロン,4,8-ジフルオロ;1H-ジフロ[3,4-b:3’,4’-i]キサンテン-1,3,7,9(11H)-テトロン,11-メチル-11(トリフルオロメチル)が挙げられる。これらの二無水物は、アルキル、アリール、ニトロ、シアノ、-N(R’)(R”)、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルコキシカルボニル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、アリールアルキル、シリル、シロキシ、シロキサン、チオアルコキシ、-S(O)2-、-C(=O)-N(R’)(R’’)、(R’)(R’’)N-アルキル、(R’)(R’’)N-アルコキシアルキル、(R’)(R’’)N-アルキルアリールオキシアルキル、-S(O)s-アリール(式中、s=0~2である)又はS(O)s-ヘテロアリール(式中、s=0~2である)を含む当技術分野で知られている基で任意選択的に置換されることができる。各R’及びR’’は、独立して、任意選択的に置換されたアルキル、シクロアルキル、又はアリール基である。R’及びR’’は、それらが結合している窒素原子と一緒に、特定の実施形態では環系を形成することができる。置換基はまた、架橋基であってもよい。
【0095】
式Iのいくつかの実施形態では、Raは、PMDA、BPDA、6FDA、及びBTDAからなる群から選択されるテトラカルボン酸二無水物からの1つ以上の残基を表す。いくつかの実施形態では、PMDA残基;いくつかの実施形態では、BPDA残基;いくつかの実施形態では、6FDA残基;いくつかの実施形態では、BTDA残基;いくつかの実施形態では、PMDA残基、BPDA残基、及び6FDA残基;いくつかの実施形態では、PMDA残基及び6FDA残基;いくつかの実施形態では、BPDA残基及び6FDA残基;いくつかの実施形態では、BTDA残基及び6FDA残基である。
【0096】
式Iのいくつかの実施形態では、Rbは、単一のジアミン成分残基、いくつかの実施形態では2つのジアミン成分残基、いくつかの実施形態では3つのジアミン成分残基、いくつかの実施形態では4つのジアミン成分残基、いくつかの実施形態では5つ以上のジアミン成分残基を表す。
【0097】
適切なジアミンの例としては、限定するものではないが、p-フェニレンジアミン(PPD)、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル(m-トリジン)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル(o-トリジン)、3,3’-ジヒドロキシ-4,4’-ジアミノビフェニル(HAB)、9,9’-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(FDA)、o-トリジンスルホン(TSN)、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-フェニレンジアミン(TMPD)、2,4-ジアミノ-1,3,5-トリメチルベンゼン(DAM)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、4,4’-メチレンジアニリン(MDA)、4,4’-[1,3-フェニレンビス(1-メチル-エチリデン)]ビスアニリン(Bis-M)、4,4’-[1,4-フェニレンビス(1-メチル-エチリデン)]ビスアニリン(Bis-P)、4,4’-オキシジアニリン(4,4’-ODA)、m-フェニレンジアミン(MPD)、3,4’-オキシジアニリン(3,4’-ODA)、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(3,3’-DDS)、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(4,4’-DDS)、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド(ASD)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(BAPS)、2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(m-BAPS)、1,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-Q)、1,3’-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-R)、1,3’-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(APB-133)、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)、4,4’-ジアミノベンズアニリド(DABA)、メチレンビス(アントラニル酸)(MBAA)、1,3’-ビス(4-アミノフェノキシ)-2,2-ジメチルプロパン(DANPG)、1,5-ビス(4-アミノフェノキシ)ペンタン(DA5MG)、3,3’5,5’-テトラメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(TMMDA)など、及びそれら組み合わせが挙げられる。
【0098】
これらのジアミンは、アルキル、アリル、ニトロ、シアノ、-N(R’)(R”)、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルコキシカルボニル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、アリールアルキル、シリル、シロキシ、シロキサン、チオアルコキシ、-S(O)2-、-C(=O)-N(R’)(R’’)、(R’)(R’’)N-アルキル、(R’)(R’’)N-アルコキシアルキル、(R’)(R’’)N-アルキルアリールオキシアルキル、-S(O)s-アリール(式中、s=0~2である)又はS(O)s-ヘテロアリール(式中、s=0~2である)を含む当技術分野で知られている基で任意選択的に置換されることができる。各R’及びR’’は、独立して、任意選択的に置換されたアルキル、シクロアルキル、又はアリール基である。R’及びR’’は、それらが結合している窒素原子と一緒に、特定の実施形態では環系を形成することができる。置換基はまた、架橋基であってもよい。上で説明したように、本明細書に開示の液体組成物へのフッ素の組み込みは、いくつかの実施形態では、開示される用途について優れた熱的、光学的、及び他の特性を備えたポリイミドフィルムの製造をもたらし得る。1つのジアミン当たり1つ以上のF原子によるハロ置換は、これらの種のフッ素化された実施形態を与え、したがって、これはフッ素を組み込むための1つの一般的な合成戦略を示す。
【0099】
1つ以上のRbが1つの残基当たり1つ以上のF原子を含む適切なジアミンの追加の例としては、限定するものではないが、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(22TFMB又はTFMB)、3,3’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(33TFMB)、2,2’-ビス[4-(4-アミノフェノキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン(HFBAPP)、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン(Bis-A)-AF)、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(Bis-AP-AF)、2,2-ビス(3-アミノ-4-メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン(Bis-AT-AF)、1,4-ビス(2-トリフルオロメチル-4アミノフェノキシ)ベンゼン(p-6FAPB)、4,4’-ビス(4-アミノ-2-トリフルオロメチルフェノキシ)ビフェニル(6BFBAPB)、N,N’-(2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジイル)ビス(4-アミノベンズアミド)(AB-TFMB)、9,9-ビス(4-アミノ-3-フルオロフェニル)フルオレンなど、及びそれらの組み合わせが挙げられる。これらのジアミンは、アルキル、アリル、ニトロ、シアノ、-N(R’)(R”))、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルコキシカルボニル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、アリールアルキル、シリル、シロキシ、シロキサン、チオアルコキシ、-S(O)2-、-C(=O)-N(R’)(R’’)、(R’)(R’’)N-アルキル、(R’)(R’’)N-アルコキシアルキル、(R’)(R’’)N-アルキルアリールオキシアルキル、-S(O)s-アリール(式中、s=0~2である)又はS(O)s-ヘテロアリール(式中、s=0~2である)を含む当技術分野で知られている基で任意選択的に置換されることができる。各R’及びR’’は、独立して、任意選択的に置換されたアルキル、シクロアルキル、又はアリール基である。R’及びR’’は、それらが結合している窒素原子と一緒に、特定の実施形態では環系を形成することができる。置換基はまた、架橋基であってもよい。
【0100】
式Iのいくつかの実施形態では、Rbは、PPD、MPD、TFMB、及びBis-A-AFからなる群から選択されるジアミンからの1つ以上の残基を表す。いくつかの実施形態ではPPD残基;いくつかの実施形態ではMPD残基;いくつかの実施形態ではTFMB残基;いくつかの実施形態ではBis-A-AF残基;いくつかの実施形態ではPPD残基、MPD残基、及びTFMB残基;いくつかの実施形態ではPPD残基及びTFMB残基;いくつかの実施形態ではMPD残基及びTFMB残基;いくつかの実施形態ではBis-A-AF残基及びTFMB残基である。
【0101】
適切なテトラカルボン酸二無水物及びジアミンの追加の非限定的な実施形態は、例えば米国特許出願公開第2020-0140615号明細書、国際公開第2020/033471号パンフレット、国際公開第2020/219411パンフレット、米国特許出願公開第2020-0216614号明細書、米国特許出願公開第2020-0172675号明細書、国際公開第2019/246233号パンフレット、米国特許出願公開第2021-0017335号明細書、国際公開第2019/222304号パンフレット、国際公開第2019/246235号パンフレット、国際公開第2020/018621号パンフレット、国際公開第2020/033475号パンフレット、国際公開第2020/018617号パンフレット、及び国際公開第2020/033480号パンフレットに記載されているものである。当業者であれば、これらの開示が二無水物、ジアミン、又はその両方について説明しており、いくつかの場合ではフッ素置換が存在することを認識するであろう。
【0102】
透明な又は色が薄いポリイミドフィルムを製造するために本明細書に開示の液体組成物を使用することから実現される利点は、いくつかの実施形態では、褐色のポリイミドを製造するために使用されるより従来の配合物により実現され得る利点よりもかなり優れる場合がある。すなわち、リン含有添加剤も含む液体組成物の成分としてフッ素含有テトラカルボン酸成分残基及び/又はジアミン成分残基を使用すると、関連するポリイミドフィルムの熱的、光学的、機械的、及び他の特性において驚くべき予期しなかった改善が得られる可能性がある。
【0103】
本明細書に開示の液体組成物のいくつかの非限定的な実施形態では、Raは、1つのテトラカルボン酸成分残基当たり1つ以上のF原子を含む。本明細書に開示の液体組成物のいくつかの非限定的な実施形態では、Rbは、1つのテトラカルボン酸成分残基当たり1つ以上のF原子を含む。本明細書に開示の液体組成物のいくつかの非限定的な実施形態では、RaとRbのうちの1つ以上は、1つの残基当たり1つ以上のF原子を含む。
【0104】
これに関してフッ素含有成分の使用は限定されない可能性はあるが、薄い、又はより薄い色のポリイミドを製造するために当該技術分野で知られているいずれの戦略も、本明細書に開示のリン含有添加剤を含めることによって同様に利益を得ることができる。そのような戦略の非限定的な例としては、脂肪族部位、フレキシブルな基、及び当業者に公知の他のものを組み込むことが挙げられる。本明細書に開示のリン含有添加剤を含む、透明な又は薄い色のポリイミドフィルムのためのこれらの液体組成物は、同様に、関連するポリイミドフィルムの熱的、光学的、機械的、及び他の特性において、褐色の対応するものに対して驚くべき予期しなかった改善が得られる可能性がある。
【0105】
式Iのいくつかの非限定的な実施形態では、一無水物モノマーから生じる部位は、エンドキャッピング基として存在する。
【0106】
いくつかの非限定的な実施形態では、一無水物モノマーは、無水フタル酸など及びそれらの誘導体からなる群から選択される。
【0107】
いくつかの非限定的な実施形態では、一無水物は、テトラカルボン酸組成物全体の5モル%までの量で存在する。
【0108】
式Iのいくつかの非限定的な実施形態では、モノアミンモノマーから生じる部位は、エンドキャッピング基として存在する。
【0109】
いくつかの非限定的な実施形態では、モノアミンモノマーは、アニリンなど及びそれらの誘導体からなる群から選択される。
【0110】
いくつかの非限定的な実施形態では、モノアミンは、アミン組成物全体の5モル%までの量で存在する。
【0111】
いくつかの実施形態では、ポリアミド酸は、ポリスチレン標準を用いたゲル浸透クロマトグラフィーに基づいて100,000を超える、いくつかの非限定的な実施形態では150,000を超える、いくつかの非限定的な実施形態では200,000を超える、いくつかの非限定的な実施形態では250,000を超える、いくつかの非限定的な実施形態では300,000を超える、いくつかの非限定的な実施形態では100,000~400,000の、いくつかの非限定的な実施形態では200,000~400,000の、いくつかの非限定的な実施形態では250,000~350,000の、いくつかの非限定的な実施形態では200,000~300,000の、重量平均分子量(MW)を有する。
【0112】
ポリアミド酸についての上記の実施形態のいずれも、それらが互いに矛盾しない限り、他の実施形態の1つ以上と組み合わせることができる。例えば、RaがPMDA残基を表す実施形態は、Rbが式TFMB残基を表す実施形態と組み合わせることができる。
【0113】
本明細書に開示の液体組成物のいくつかの非限定的な実施形態では、高沸点非プロトン性溶媒は、150℃以上、いくつかの非限定的な実施形態では175℃以上、いくつかの非限定的な実施形態では200℃以上の沸点を有する。
【0114】
本明細書に開示の液体組成物のいくつかの非限定的な実施形態では、高沸点非プロトン性溶媒は極性溶媒である。いくつかの非限定的な実施形態では、溶媒は、20を超える誘電率を有する。
【0115】
高沸点非プロトン性溶媒のいくつかの例としては、限定するものではないが、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、γ-ブチロラクトン、ジブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなど、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0116】
本明細書に開示の液体組成物のいくつかの非限定的な実施形態では、溶媒は、NMP、DMAc、及びDMFからなる群から選択される。本明細書に開示の液体組成物のいくつかの非限定的な実施形態では、溶媒はNMPであり、いくつかの非限定的な実施形態ではDMAcであり、いくつかの非限定的な実施形態ではDMFである。
【0117】
本明細書に開示の液体組成物のいくつかの非限定的な実施形態では、溶媒はγブチロラクトンであり、いくつかの非限定的な実施形態ではジブチルカルビトールであり、いくつかの非限定的な実施形態ではブチルカルビトールアセテートであり、いくつかの非限定的な実施形態ではジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートであり、いくつかの非限定的な実施形態ではプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートである。
【0118】
いくつかの実施形態では、上記で指定された高沸点非プロトン性溶媒の2つ以上が液体組成物で使用される。
【0119】
いくつかの実施形態では、更なる共溶媒が液体組成物で使用される。
【0120】
ポリアミド酸溶液は、任意選択的にいくつかの添加剤のいずれか1つを更に含み得る。そのような添加剤は、それらが所望のポリイミド特性に悪影響を及ぼさない限り、酸化防止剤、熱安定剤、接着促進剤、カップリング剤(例えば、シラン)、無機充填材又は様々な強化剤であり得る。
【0121】
本明細書に開示の液体組成物のいくつかの非限定的な実施形態では、固形分含有量は、少なくとも10重量%、いくつかの非限定的な実施形態では少なくとも12重量%、いくつかの非限定的な実施形態では少なくとも15重量%である。いくつかの非限定的な実施形態では、固形分含有量は10~20重量%である。
【0122】
本明細書に開示の液体組成物のいくつかの非限定的な実施形態では、粘度は、少なくとも約3000cps、いくつかの非限定的な実施形態では少なくとも約5,000cps、いくつかの非限定的な実施形態では少なくとも約10,000cpsである。
【0123】
本明細書に開示のポリアミド酸溶液を含む液体組成物は、成分(すなわちモノマー、添加剤、及び溶媒)の導入に関して様々な利用可能な方法を使用して調製することができる。ポリアミド酸溶液を含む液体組成物を製造するいくつかの方法としては、以下のものが挙げられる:
(a)ジアミン成分及び二無水物成分が事前に一緒に混合され、次いで混合物が撹拌されている間に溶媒に少しずつ添加される方法。
(b)溶媒がジアミン成分及び二無水物成分の撹拌混合物に添加される方法。(上記の(a)とは反対に)
(c)ジアミンが溶媒に排他的に溶解され、次いで反応速度を制御することを可能にするような比で二無水物がそれに添加される方法。
(d)二無水物成分が溶媒に排他的に溶解され、次いで反応速度を制御することを可能にするような比でアミン成分がそれに添加される方法。
(e)ジアミン成分及び二無水物成分が溶媒に別個に溶解され、次いでこれらの溶液が反応器内で混合される方法。
(f)過剰なアミン成分を含むポリアミド酸及び過剰な二無水物成分を含む別のポリアミド酸が事前に形成され、次いで特にノンランダムコポリマー又はブロックコポリマーを作成できるような方法にて反応器内で相互に反応される方法。
(g)アミン成分及び二無水物成分の特定部分が最初に反応され、次いで残留ジアミン成分が反応される又はその逆である方法。
(h)成分が部分的に又は全体として任意の順序で溶媒の一部又は全部のいずれかに添加され、更に任意の成分の一部又は全部が溶媒の一部又は全部の溶液として添加され得る方法。
(i)二無水物成分の1つをジアミン成分の1つと最初に反応させて第1のポリアミド酸を生じさせる方法。次いで、他方の二無水物成分を他方のアミン成分と反応させると、第2のポリアミド酸が生じる。次いで、フィルム形成の前に、いくつかの方法のいずれか1つでポリアミド酸を組み合わせる。
【0124】
上で開始した重合工程の前又は後のいずれかで、1つ以上のリン含有添加剤をポリアミド酸溶液に添加することができる。いくつかの非限定的な実施形態では、1つ以上のリン含有添加剤を含むポリアミド酸溶液組成物は、最初にリン含有添加剤を溶媒に導入し、それを事前に選択される時間撹拌することによって得ることができ、この事前に選択される時間は、2時間超、いくつかの非限定的な実施形態では4時間超、いくつかの非限定的な実施形態では8時間超、いくつかの非限定的な実施形態では10時間超、いくつかの非限定的な実施形態では15時間超、いくつかの非限定的な実施形態では20時間超、いくつかの非限定的な実施形態では25時間超、いくつかの非限定的な実施形態では30時間超である。次いで、本明細書に開示の1つ以上のテトラカルボン酸成分及び1つ以上のジアミン成分が、この「前処理」プロトコルにおいて溶媒/添加剤混合物に導入される。
【0125】
別の非限定的な実施形態では、1つ以上のリン含有添加剤を含むポリアミド酸溶液組成物は、最初に1つ以上のテトラカルボン酸成分及び1つ以上のジアミン成分を選択された溶媒に添加してポリアミド酸溶液の形成を可能し、最後に1つ以上のリン含有添加剤を導入することによって得ることができる。これは、「後処理」と呼ばれる場合もある。
【0126】
一般的に言えば、ポリアミド酸を含む液体組成物は、上に開示されたポリアミド酸溶液の調製方法のいずれか1つから得ることができる。
【0127】
次いで、粒子含量を減らすために、液体組成物を任意選択的に1回以上濾過することができる。そのような濾過溶液から生み出されたポリイミドフィルムは、減少した数の欠陥を示し、それによって、本明細書に開示されるエレクトロニクス用途において優れた性能をもたらすことができる。濾過効率の評価は、ポリアミド酸溶液の代表的試料が5インチのシリコンウェハー上にキャストされるレーザー粒子計数器試験によって行うことができる。ソフトベーキング/乾燥後に、フィルムは、商業的に利用可能である及び当技術分野において公知である機器での任意の数のレーザー粒子計数技術によって粒子含量について評価される。
【0128】
いくつかの非限定的な実施形態では、液体組成物は、レーザー粒子計数器試験によって測定される粒子含有量が40個未満の粒子、いくつかの非限定的な実施形態では30個未満の粒子、いくつかの非限定的な実施形態では20個未満の粒子、いくつかの非限定的な実施形態では10個未満の粒子、いくつかの非限定的な実施形態では2個~8個の粒子、いくつかの非限定的な実施形態では4個~6個の粒子になるように調製及び濾過される。
【0129】
ポリアミド酸溶液を含む液体組成物の例示的な調製は実施例に示されている。
【0130】
全体的なポリアミド酸組成物は、当技術分野で一般的に使用される表記法により表すことができる。例えば、100%のODPAであるテトラカルボン酸成分と90モル%のBis-P及び10モル%のTFMBであるジアミン成分を有するポリアミド酸は次のように表される:
ODPA//Bis-P/TFMB 100///90/10。
【0131】
3.ポリイミドフィルム
上述した液体組成物から製造されるポリイミドフィルムが提供される。
【0132】
ポリイミドは、式II
【化9】
(式中、R
aは、各存在において同じであるか又は異なり、1つ以上のテトラカルボン酸成分残基を表し、R
bは、各存在において同じであるか又は異なり、1つ以上のジアミン残基を表す)
の繰り返し単位構造を有し、更に、ポリイミドフィルムは、以下の工程:
高沸点非プロトン性溶媒中に1つ以上のテトラカルボン酸成分及び1つ以上のジアミン成分を含むポリアミド酸溶液を母材上にコーティングする工程;コーティングされた母材をソフトベークする工程;ソフトベークされたコーティングされた母材を複数の事前選択された温度で複数の事前選択された時間間隔で処理する工程;を順番に、繰り返すことなしに含む方法に従って製造される。
【0133】
式IのRa及びRbについて上述した実施形態は全て、式IIのRa及びRbに等しく適用される。
【0134】
ポリイミドフィルムは、上記液体組成物を基板上にコーティングし、その後イミド化することによって製造される。これは、熱変換プロセス又は化学変換プロセスによって成し遂げることができる。任意の公知のコーティング方法を使用することができる。
【0135】
一部のフッ素化ジアミンは反応性が低いことが知られている。これらの低反応性ジアミンを用いて十分な分子量を有するポリイミドフィルムを形成するためには、複数の重合工程が使用される。典型的には、ポリアミド酸溶液は低反応性ジアミンを用いて調製され、溶液はコーティングされてからイミド化され、イミド化生成物は溶解され、再コーティングされ、そして再イミド化される。追加の溶解、再コーティング、及び再イミド化の工程は数回繰り返される。
【0136】
ポリイミドフィルムのいくつかの非限定的な実施形態では、ポリイミドポリマーは、ポリスチレン標準を用いたゲル浸透クロマトグラフィーに基づいて、100,000超、いくつかの非限定的な実施形態では150,000超、いくつかの非限定的な実施形態では200,000超、いくつかの非限定的な実施形態では250,000超、いくつかの非限定的な実施形態では300,000超、いくつかの非限定では100,000~400,000、いくつかの非限定では200,000~400,000、いくつかの非限定的な実施形態では250,000~350,000、いくつかの非限定的な実施形態では実施形態は200,000~300,000の重量平均分子量(MW)を有する。
【0137】
ポリイミドフィルムのいくつかの非限定的な実施形態では、面内熱膨張係数(CTE)は、50℃~250℃で、45ppm/℃未満であり、いくつかの非限定的な実施形態では30ppm/℃未満であり、いくつかの非限定的な実施形態では20ppm/℃未満であり、いくつかの非限定的な実施形態では15ppm/℃未満であり、いくつかの非限定的な実施形態では0ppm/℃~15ppm/℃であり、いくつかの非限定的な実施形態では0ppm/℃~10ppm/℃であり、いくつかの非限定的な実施形態では4ppm/℃~7ppm/℃である。
【0138】
ポリイミドフィルムのいくつかの実施形態では、面内熱膨張係数(CTE)は、50℃~300℃で、45ppm/℃未満であり、いくつかの非限定的な実施形態では30ppm/℃未満であり、いくつかの非限定的な実施形態では20ppm/℃未満であり、いくつかの非限定的な実施形態では15ppm/℃未満であり、いくつかの非限定的な実施形態では0ppm/℃~15ppm/℃であり、いくつかの非限定的な実施形態では0ppm/℃~10ppm/℃であり、いくつかの非限定的な実施形態では4ppm/℃~8ppm/℃である。
【0139】
ポリイミドフィルムのいくつかの実施形態では、面内熱膨張係数(CTE)は、50℃~350℃で、45ppm/℃未満であり、いくつかの非限定的な実施形態では30ppm/℃未満であり、いくつかの非限定的な実施形態では20ppm/℃未満であり、いくつかの非限定的な実施形態では15ppm/℃未満であり、いくつかの非限定的な実施形態では0ppm/℃~15ppm/℃であり、いくつかの非限定的な実施形態では0ppm/℃~10ppm/℃であり、いくつかの非限定的な実施形態では3ppm/℃~9ppm/℃である。
【0140】
ポリイミドフィルムのいくつかの実施形態では、面内熱膨張係数(CTE)は、50℃~400℃で、45ppm/℃未満であり、いくつかの非限定的な実施形態では30ppm/℃未満であり、いくつかの非限定的な実施形態では20ppm/℃未満であり、いくつかの非限定的な実施形態では15ppm/℃未満であり、いくつかの非限定的な実施形態では0ppm/℃~15ppm/℃であり、いくつかの非限定的な実施形態では、いくつかの非限定的な実施形態では6ppm/℃~12ppm/℃である。
【0141】
ポリイミドフィルムのいくつかの実施形態では、面内熱膨張係数(CTE)は、50℃~450℃で、45ppm/℃未満であり、いくつかの非限定的な実施形態では30ppm/℃未満であり、いくつかの非限定的な実施形態では20ppm/℃未満であり、いくつかの非限定的な実施形態では15ppm/℃未満であり、いくつかの非限定的な実施形態では0ppm/℃~15ppm/℃であり、いくつかの非限定的な実施形態では、いくつかの非限定的な実施形態では8ppm/℃~14ppm/℃である。
【0142】
ポリイミドフィルムのいくつかの非限定的な実施形態では、ガラス転移温度(Tg)は、300℃超の温度で硬化されたポリイミドフィルムの場合、250℃超、いくつかの実施形態では300℃超、いくつかの実施形態では350℃超である。
【0143】
ポリイミドフィルムのいくつかの非限定的な実施形態では、ガラス転移温度(Tg)は、375℃超の温度で硬化されたポリイミドフィルムの場合、400℃超、いくつかの実施形態では410℃超、いくつかの実施形態では450℃超である。
【0144】
ポリイミドフィルムのいくつかの非限定的な実施形態では、ガラス転移温度(Tg)は、400℃超の温度で硬化されたポリイミドフィルムの場合、430℃超、いくつかの実施形態では450℃超、いくつかの実施形態では480℃超である。
【0145】
ポリイミドフィルムのいくつかの非限定的な実施形態では、0.5%TGA重量損失温度は、350℃超であり、いくつかの非限定的な実施形態では400℃超であり、いくつかの非限定的な実施形態では450℃超であり、いくつかの非限定的な実施形態では500℃超であり、いくつかの非限定的な実施形態では550℃超である。
【0146】
ポリイミドフィルムのいくつかの非限定的な実施形態では1%TGA重量損失温度は、350℃超であり、いくつかの非限定的な実施形態では400℃超であり、いくつかの非限定的な実施形態では450℃超であり、いくつかの非限定的な実施形態では500℃超であり、いくつかの非限定的な実施形態では550℃超である。
【0147】
ポリイミドフィルムのいくつかの非限定的な実施形態では、引張弾性率は、1.5GPa~15.0GPaであり、いくつかの非限定的な実施形態では1.5GPa~12.0GPaであり、いくつかの非限定的な実施形態では3GPa~8GPaである。
【0148】
ポリイミドフィルムのいくつかの非限定的な実施形態では、引張強さは、100MPa~250MPaであり、いくつかの非限定的な実施形態では150MPa~225MPaであり、いくつかの非限定的な実施形態では175MPa~200MPaである。
【0149】
ポリイミドフィルムのいくつかの非限定的な実施形態では、破断伸びは、10%超であり、いくつかの非限定的な実施形態では15%超であり、いくつかの非限定的な実施形態では20%超であり、いくつかの非限定的な実施形態では25%超である。
【0150】
ポリイミドフィルムのいくつかの非限定的な実施形態では、光遅延は、550nmで500未満であり、いくつかの非限定的な実施形態では200未満であり、いくつかの非限定的な実施形態では150未満である。
【0151】
ポリイミドフィルムのいくつかの非限定的な実施形態では、633nmにおける複屈折は0.15未満であり、いくつかの実施形態では0.10未満であり、いくつかの非限定的な実施形態では0.05未満である。
【0152】
ポリイミドフィルムのいくつかの非限定的な実施形態では、ヘイズは1.0%未満であり、いくつかの非限定的な実施形態では0.5%未満であり、いくつかの非限定的な実施形態では0.25%未満である。
【0153】
ポリイミドフィルムのいくつかの非限定的な実施形態では、b*は10未満であり、いくつかの非限定的な実施形態では7.5未満であり、いくつかの非限定的な実施形態では5未満であり、いくつかの非限定的な実施形態では3未満である。ポリイミドフィルムのいくつかの非限定的な実施形態では、YIは20未満であり、いくつかの非限定的な実施形態では15未満であり、いくつかの非限定的な実施形態では10未満であり、いくつかの非限定的な実施形態では5未満である。
【0154】
ポリイミドフィルムのいくつかの非限定的な実施形態では、400nmにおける透過率は40%超であり、いくつかの非限定的な実施形態では50%超であり、いくつかの非限定的な実施形態では60%超である。
【0155】
ポリイミドフィルムのいくつかの非限定的な実施形態では、430nmにおける透過率は60%超であり、いくつかの非限定的な実施形態では70%超である。
【0156】
ポリイミドフィルムのいくつかの非限定的な実施形態では、450nmにおける透過率は70%超であり、いくつかの非限定的な実施形態では80%超である。
【0157】
ポリイミドフィルムのいくつかの非限定的な実施形態では、550nmにおける透過率は70%超であり、いくつかの非限定的な実施形態では80%超である。
【0158】
ポリイミドフィルムのいくつかの非限定的な実施形態では、750nmにおける透過率は70%超であり、いくつかの非限定的な実施形態では80%超であり、いくつかの非限定的な実施形態では90%超である。
【0159】
ポリイミドフィルムのいくつかの非限定的な実施形態では、380nm~780nmの平均透過率は70%超であり、いくつかの非限定的な実施形態では80%超であり、いくつかの非限定的な実施形態では90%超である。
【0160】
ポリイミドフィルムについての上述の実施形態のいずれも、それらが相互に排他的ではない限り、1つ以上の他の実施形態と組み合わせることができる。
【0161】
ポリイミドフィルムは、化学又は熱変換プロセスによってポリアミド酸溶液から調製される。本明細書に開示されるポリイミドフィルムは、特に電子デバイスにおけるガラスに代わる柔軟な代替品として使用される場合、化学変換プロセスに対して、熱変換又は修飾熱変換プロセスによって調製される。
【0162】
化学変換プロセスは、米国特許第5,166,308号明細書及び同第5,298,331号明細書に記載されており、それらは、それらの全体を参照により援用される。そのようなプロセスでは、変換用化学薬品がポリアミド酸溶液に添加される。本発明において有用であることが見出された変換用化学薬品には、(i)1つ以上の脱水剤、例えば脂肪酸無水物(酢酸無水物等)及び酸無水物;並びに(ii)1つ以上の触媒、例えば脂肪族第三級アミン(トリエチルアミン等)、第三級アミン(ジメチルアニリン等)及び複素環式第三級アミン(ピリジン、ピコリン、イソキノリン等)が含まれるがそれらに限定されない。材料を脱水する酸無水物は、典型的には、ポリアミド酸溶液中に存在するアミド酸基の量のわずかにモル過剰で使用される。使用される酢酸無水物の量は、典型的には、ポリアミド酸の1当量当たり約2.0~3.0モルである。一般に、同等の量の三級アミン触媒が使用される。
【0163】
熱変換プロセスは、ポリアミド酸キャスト溶液をポリイミドに変換させるために変換用化学薬品(すなわち触媒)を使用しても又は使用しなくてもよい。変換用化学薬品が使用される場合、プロセスは、修飾熱変換プロセスであると考えられ得る。両方のタイプの熱変換プロセスにおいて、溶媒のフィルムを乾燥させること及びイミド化反応を実施することの両方のため、フィルムを加熱するために熱エネルギーのみが使用される。一般的に本明細書に開示されたポリイミドフィルムを製造するために、変換用触媒を用いる又は用いない熱変換プロセスが使用される。
【0164】
特定の方法パラメータは、関心対象の特性を産生するのがフィルム組成だけではないことを考えて事前に選択される。むしろ、硬化温度及び温度傾斜プロファイルもまた、本明細書に開示された意図される使用のために最も所望の特性の達成において重要な役割を果たす。ポリアミド酸は、任意のその後の加工工程(例えば、機能的ディスプレイを製造するために必要とされる無機層又は他の層の堆積)の温度又はそれより高い、最も高い温度であるが、ポリイミドの著しい熱分解/変色が発生する温度より低い温度でイミド化されなければならない。イミド化のために特に高い加工温度が使用される場合は、不活性雰囲気が一般的に好ましいことも言及しておかなければならない。
【0165】
本明細書に開示されたポリアミド酸/ポリイミドのためには、300℃を超えるその後の加工温度が必要とされる場合は、典型的には、300℃~320℃の温度が使用される。その後の加工温度がより高くなるいくつかの非限定的な実施形態では、320℃を超える温度が使用され、いくつかの非限定的な実施形態では350℃を超える温度が使用され、いくつかの非限定的な実施形態では400℃を超える温度が使用され、いくつかの非限定的な実施形態では450℃を超える温度が使用される。適切な硬化温度の選択は、熱特性と機械的特性との最良のバランスを達成する十分に硬化したポリイミドを可能にする。この非常に高い温度のために、不活性雰囲気が必要とされる。典型的には、100ppm未満のオーブン中の酸素レベルが用いられるべきである。非常に低い酸素レベルは、ポリマーの有意な分解/変色なしに最高の硬化温度が使用されることを可能にする。イミド化プロセスを加速する触媒は、約200℃~300℃の硬化温度でより高レベルのイミド化を達成するのに効果的である。この手法は、ポリイミドのTgよりも下である上方硬化温度で柔軟なデバイスが作製される場合に、任意選択的に用いられ得る。
【0166】
各潜在的硬化工程における時間の量もまた、重要なプロセス検討事項である。一般に、最高温度硬化のために用いられる時間は、最小限に保たれるべきである。320℃硬化のためには、例えば、硬化時間は、不活性雰囲気下では1時間位までであり得るが、より高い硬化温度では、この時間は、熱分解を回避するために短縮されるべきである。一般的に言えば、高い温度ほど、より短い時間を決定付けることになる。当業者は、特定の最終使用向けのポリイミドの特性を最適化するために温度と時間とのバランスを認識するであろう。
【0167】
いくつかの非限定的な実施形態では、液体組成物は、熱変換プロセスを介してポリイミドフィルムに変換される。
【0168】
熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、ポリアミド酸溶液は、得られるフィルムのソフトベークされた厚さが50μm未満、いくつかの非限定的な実施形態では40μm未満、いくつかの非限定的な実施形態では30μm未満、いくつかの非限定的な実施形態では20μm未満、いくつかの非限定的な実施形態では10μm~20μm、いくつかの非限定的な実施形態では15μm~20μm、いくつかの非限定的な実施形態では18μmになるように、母材上にコーティングされる。熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、ポリアミド酸溶液は、得られるフィルムのソフトベークされた厚さが10μm未満になるように母材上にコーティングされる。
【0169】
熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、コーティングされた母材は、近接モードでホットプレート上でソフトベークされるが、この場合、ホットプレートのすぐ上にコーティングされた母材を保持するために窒素ガスが使用される。熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、コーティングされた母材は、フルコンタクトモードでホットプレート上でソフトベークされるが、この場合、コーティングされた母材は、ホットプレート表面と直接接触する。熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、コーティングされた母材は、近接モードとフルコンタクトモードとの組み合わせを用いてホットプレート上でソフトベークされる。
【0170】
熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、コーティングされた母材は、80℃、いくつかの非限定的な実施形態では90℃、いくつかの非限定的な実施形態では100℃、いくつかの非限定的な実施形態では110℃、いくつかの非限定的な実施形態では120℃、いくつかの非限定的な実施形態では130℃、いくつかの非限定的な実施形態では140℃に設定されたホットプレートを使用してソフトベークされる。
【0171】
熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、コーティングされた母材は、10分超、いくつかの非限定的な実施形態では10分未満、いくつかの非限定的な実施形態では8分未満、いくつかの非限定的な実施形態では6分未満、いくつかの非限定的な実施形態では4分、いくつかの非限定的な実施形態では4分未満、いくつかの非限定的な実施形態では2分未満の合計時間ソフトベークされる。
【0172】
熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、ソフトベークされたコーティングされた母材は、その後、2つの事前選択された温度で2つの事前選択された時間間隔の間硬化させられ、それらの後者は、同じ又は異なるものであり得る。熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、ソフトベークされたコーティングされた母材は、その後、3つの事前選択された温度で3つの事前選択された時間間隔の間硬化させられ、後者のそれぞれは、同じ又は異なるものであり得る。熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、ソフトベークされたコーティングされた母材は、その後、4の事前選択された温度で4の事前選択された時間間隔の間硬化させられ、後者のそれぞれは、同じ又は異なるものであり得る。熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、ソフトベークされたコーティングされた母材は、その後、5の事前選択された温度で5の事前選択された時間間隔の間硬化させられ、後者のそれぞれは、同じ又は異なるものであり得る。熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、ソフトベークされたコーティングされた母材は、その後、6の事前選択された温度で6の事前選択された時間間隔の間硬化させられ、後者のそれぞれは、同じ又は異なるものであり得る。熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、ソフトベークされたコーティングされた母材は、その後、7の事前選択された温度で7の事前選択された時間間隔の間硬化させられ、後者のそれぞれは、同じ又は異なるものであり得る。熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、ソフトベークされたコーティングされた母材は、その後、8つの事前選択された温度で8つの事前選択された時間間隔の間硬化させられ、後者のそれぞれは、同じ又は異なるものであり得る。熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、ソフトベークされたコーティングされた母材は、その後、9の事前選択された温度で9の事前選択された時間間隔の間硬化させられ、後者のそれぞれは、同じ又は異なるものであり得る。熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、ソフトベークされたコーティングされた母材は、その後、10の事前選択された温度で10の事前選択された時間間隔の間硬化させられ、後者のそれぞれは、同じ又は異なるものであり得る。
【0173】
熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、事前に選択された温度は80℃超であり、いくつかの非限定的な実施形態では100℃であり、いくつかの非限定的な実施形態では100℃超であり、いくつかの非限定的な実施形態では150℃であり、いくつかの非限定的な実施形態では150℃超であり、いくつかの非限定的な実施形態では200℃であり、いくつかの非限定的な実施形態では200℃超であり、いくつかの非限定的な実施形態では250℃であり、いくつかの非限定的な実施形態では250℃超であり、いくつかの非限定的な実施形態では300℃であり、いくつかの非限定的な実施形態では300℃超であり、いくつかの非限定的な実施形態では350℃であり、いくつかの非限定的な実施形態では350℃超であり、いくつかの非限定的な実施形態では400℃であり、いくつかの非限定的な実施形態では400℃超であり、いくつかの非限定的な実施形態では450℃であり、いくつかの非限定的な実施形態では450℃超である。
【0174】
熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、事前に選択された時間間隔のうちの1つ以上は2分であり、いくつかの非限定的な実施形態では5分であり、いくつかの非限定的な実施形態では10分であり、いくつかの非限定的な実施形態では15分であり、いくつかの非限定的な実施形態では20分であり、いくつかの非限定的な実施形態では25分であり、いくつかの非限定的な実施形態では30分であり、いくつかの非限定的な実施形態では35分であり、いくつかの非限定的な実施形態では40分であり、いくつかの非限定的な実施形態では45分であり、いくつかの非限定的な実施形態では50分であり、いくつかの非限定的な実施形態では55分であり、いくつかの非限定的な実施形態では60分であり、いくつかの非限定的な実施形態では60分超であり、いくつかの非限定的な実施形態では2分~60分であり、いくつかの限定的な実施形態では2分~90分であり、いくつかの非限定的な実施形態では2分~120分である。
【0175】
熱変換プロセスのいくつかの実施形態では、ポリイミドフィルムを製造するための方法は、順に以下の工程:ポリアミド酸を含む液体組成物を母材にコーティングする工程と、コーティングされた母材をソフトベークする工程と、ソフトベークされたコーティングされた母材を複数の事前選択された温度で複数の事前選択された時間間隔で処理する工程とを含み、これにより、ポリイミドフィルムは、本明細書に開示されるものなどのエレクトロニクス用途での使用に満足できる特性を示す。
【0176】
熱変換プロセスのいくつかの実施形態では、ポリイミドフィルムを製造するための方法は、順に以下の工程:ポリアミド酸を含む液体組成物を母材にコーティングする工程と、コーティングされた母材をソフトベークする工程と、ソフトベークされたコーティングされた母材を複数の事前選択された温度で複数の事前選択された時間間隔で処理する工程とを含み、これにより、ポリイミドフィルムは、本明細書に開示されるものなどのエレクトロニクス用途での使用に満足できる特性を示す。
【0177】
熱変換プロセスのいくつかの実施形態では、ポリイミドフィルムを製造するための方法は、順に以下の工程:ポリアミド酸溶液を含む液体組成物を母材にコーティングする工程と、コーティングされた母材をソフトベークする工程と、ソフトベークされたコーティングされた母材を複数の事前選択された温度で複数の事前選択された時間間隔で処理する工程とを含み、これにより、ポリイミドフィルムは、本明細書に開示されるものなどのエレクトロニクス用途での使用に満足できる特性を示す。
【0178】
典型的には、本明細書に開示した液体組成物/ポリイミドは、ディスプレイ製造プロセスの残りを通して加工を促進するために支持ガラス基板上でコーティング/硬化される。ディスプレイ製造業者によって決定されるようなプロセス中のある時点で、ポリイミドコーティングは、機械的プロセス又はレーザー剥離プロセスによって支持ガラス基板から取り除かれる。これらのプロセスは、堆積ディスプレイ層を伴うフィルムとしてポリイミドをガラスから分離し、柔軟なフォーマットを可能にする。多くの場合、堆積層を伴うこのポリイミドフィルムは、次いで、ディスプレイのその後の製作のための支持体を提供するために、より厚い、しかし依然として柔軟な、プラスチックフィルムに接合される。
【0179】
変換触媒がそのような変換触媒が存在しない場合に可能であるよりも低い温度でイミド化反応を一般に進ませる、修飾熱変換プロセスがまた提供される。
【0180】
いくつかの非限定的な実施形態では、液体組成物は、修飾熱変換プロセスによってポリイミドフィルムに変換される。修飾熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、液体組成物は、変換触媒を更に含む。修飾熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、液体組成物は、三級アミンからなる群から選択される変換触媒を更に含む。修飾熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、液体組成物は、トリブチルアミン、ジメチルエタノールアミン、イソキノリン、1,2-ジメチルイミダゾール、N-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-イミダゾール、3,5-ジメチルピリジン、3,4-ジメチルピリジン、2,5-ジメチルピリジン、5-メチルベンズイミダゾール等からなる群から選択される変換触媒を更に含む。
【0181】
修飾熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、変換触媒は、ポリアミド酸溶液の5重量パーセント以下、いくつかの非限定的な実施形態では3重量パーセント以下、いくつかの非限定的な実施形態では1重量パーセント以下、いくつかの非限定的な実施形態では1重量パーセントで存在する。
【0182】
修飾熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、液体組成物は、変換触媒としてトリブチルアミンを更に含有する。修飾熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、液体組成物は、変換触媒としてジメチルエタノールアミンを更に含有する。修飾熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、液体組成物は、変換触媒としてイソキノリンを更に含有する。修飾熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、液体組成物は、変換触媒として1,2-ジメチルイミダゾールを更に含有する。修飾熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、液体組成物は、変換触媒として3,5-ジメチルピリジンを更に含有する。修飾熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、液体組成物は、変換触媒として5-メチルベンズイミダゾールを更に含有する。修飾熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、液体組成物は、変換触媒としてN-メチルイミダゾールを更に含有する。修飾熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、液体組成物は、変換触媒として2-メチルイミダゾールを更に含有する。修飾熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、液体組成物は、変換触媒として2-エチル-4-イミダゾールを更に含有する。修飾熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、液体組成物は、変換触媒として3,4-ジメチルピリジンを更に含有する。修飾熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、液体組成物は、変換触媒として2,5-ジメチルピリジンを更に含有する。
【0183】
修飾熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、液体組成物は、得られるフィルムのソフトベークされた厚さが50μm未満、いくつかの非限定的な実施形態では40μm未満、いくつかの非限定的な実施形態では30μm未満、いくつかの非限定的な実施形態では20μm未満、いくつかの非限定的な実施形態では10μm~20μm、いくつかの非限定的な実施形態では15μm~20μm、いくつかの非限定的な実施形態では10μm未満になるように母材上にコーティングされる。
【0184】
修飾熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、コーティングされた母材は、近接モードでホットプレート上でソフトベークされるが、この場合、ホットプレートのすぐ上にコーティングされた母材を保持するために窒素ガスが使用される。修飾熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、コーティングされた母材は、フルコンタクトモードでホットプレート上でソフトベークされるが、この場合、コーティングされた母材は、ホットプレート表面と直接接触する。修飾熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、コーティングされた母材は、近接モードとフルコンタクトモードとの組み合わせを用いてホットプレート上でソフトベークされる。
【0185】
修飾熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、コーティングされた母材は、80℃、いくつかの非限定的な実施形態では90℃、いくつかの非限定的な実施形態では100℃、いくつかの非限定的な実施形態では110℃、いくつかの非限定的な実施形態では120℃、いくつかの非限定的な実施形態では130℃、いくつかの非限定的な実施形態では140℃に設定されたホットプレートを使用してソフトベークされる。
【0186】
修飾熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、コーティングされた母材は、10分超の合計時間、いくつかの非限定的な実施形態では10分未満の合計時間、いくつかの非限定的な実施形態では8分未満の合計時間、いくつかの非限定的な実施形態では6分未満の合計時間、いくつかの非限定的な実施形態では4分の合計時間、いくつかの非限定的な実施形態では4分未満の合計時間、いくつかの非限定的な実施形態では2分未満の合計時間ソフトベークされる。
【0187】
修飾熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、ソフトベークされたコーティングされた母材は、その後、2つの事前選択された温度で2つの事前選択された時間間隔の間硬化させられ、それらの後者は、同じ又は異なるものであり得る。修飾熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、ソフトベークされたコーティングされた母材は、その後、3つの事前選択された温度で3つの事前選択された時間間隔の間硬化させられ、後者のそれぞれは、同じ又は異なるものであり得る。修飾熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、ソフトベークされたコーティングされた母材は、その後、4の事前選択された温度で4の事前選択された時間間隔の間硬化させられ、後者のそれぞれは、同じ又は異なるものであり得る。修飾熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、ソフトベークされたコーティングされた母材は、その後、5の事前選択された温度で5の事前選択された時間間隔の間硬化させられ、後者のそれぞれは、同じ又は異なるものであり得る。修飾熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、ソフトベークされたコーティングされた母材は、その後、6の事前選択された温度で6の事前選択された時間間隔の間硬化させられ、後者のそれぞれは、同じ又は異なるものであり得る。修飾熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、ソフトベークされたコーティングされた母材は、その後、7の事前選択された温度で7の事前選択された時間間隔の間硬化させられ、後者のそれぞれは、同じ又は異なるものであり得る。修飾熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、ソフトベークされたコーティングされた母材は、その後、8つの事前選択された温度で8つの事前選択された時間間隔の間硬化させられ、後者のそれぞれは、同じ又は異なるものであり得る。修飾熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、ソフトベークされたコーティングされた母材は、その後、9の事前選択された温度で9の事前選択された時間間隔の間硬化させられ、後者のそれぞれは、同じ又は異なるものであり得る。修飾熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、ソフトベークされたコーティングされた母材は、その後、10の事前選択された温度で10の事前選択された時間間隔の間硬化させられ、後者のそれぞれは、同じ又は異なるものであり得る。
【0188】
修飾熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、事前に選択された温度は80℃超であり、いくつかの非限定的な実施形態では100℃であり、いくつかの非限定的な実施形態では100℃超であり、いくつかの非限定的な実施形態では150℃であり、いくつかの非限定的な実施形態では150℃超であり、いくつかの非限定的な実施形態では200℃であり、いくつかの非限定的な実施形態では200℃超であり、いくつかの非限定的な実施形態では220℃であり、いくつかの非限定的な実施形態では220℃超であり、いくつかの非限定的な実施形態では230℃であり、いくつかの非限定的な実施形態では230℃超であり、いくつかの非限定的な実施形態では240℃であり、いくつかの非限定的な実施形態では240℃超であり、いくつかの非限定的な実施形態では250℃であり、いくつかの非限定的な実施形態では250℃超であり、いくつかの非限定的な実施形態では260℃であり、いくつかの非限定的な実施形態では260℃超であり、いくつかの非限定的な実施形態では270℃であり、いくつかの非限定的な実施形態では270℃超であり、いくつかの非限定的な実施形態では280℃であり、いくつかの非限定的な実施形態では280℃超であり、いくつかの非限定的な実施形態では290℃であり、いくつかの非限定的な実施形態では290℃超であり、いくつかの非限定的な実施形態では300℃であり、いくつかの非限定的な実施形態では300℃未満であり、いくつかの非限定的な実施形態では290℃未満であり、いくつかの非限定的な実施形態では280℃未満であり、いくつかの非限定的な実施形態では270℃未満であり、いくつかの非限定的な実施形態では260℃未満であり、いくつかの非限定的な実施形態では250℃未満である。
【0189】
修飾熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、事前に選択された時間間隔のうちの1つ以上は2分であり、いくつかの非限定的な実施形態では5分であり、いくつかの非限定的な実施形態では10分であり、いくつかの非限定的な実施形態では15分であり、いくつかの非限定的な実施形態では20分であり、いくつかの非限定的な実施形態では25分であり、いくつかの非限定的な実施形態では30分であり、いくつかの非限定的な実施形態では35分であり、いくつかの非限定的な実施形態では40分であり、いくつかの非限定的な実施形態では45分であり、いくつかの非限定的な実施形態では50分であり、いくつかの非限定的な実施形態では55分であり、いくつかの非限定的な実施形態では60分であり、いくつかの非限定的な実施形態では60分超であり、いくつかの非限定的な実施形態では2分~60分であり、いくつかの非限定的な実施形態では2分~90分であり、いくつかの非限定的な実施形態では2分~120分である。
【0190】
修飾熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、ポリイミドフィルムを製造するための方法は、順に以下の工程:変換化学物質を含む液体組成物を母材にコーティングする工程、コーティングされた母材をソフトベークする工程、ソフトベークされたコーティングされた母材を複数の事前選択された温度で複数の事前選択された時間間隔で処理する工程を含み、これにより、ポリイミドフィルムは、本明細書に開示されるものなどのエレクトロニクス用途での使用に満足できる特性を示す。
【0191】
修飾熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、ポリイミドフィルムを製造するための方法は、順に以下の工程:変換化学物質を含む液体組成物を母材にコーティングする工程、コーティングされた母材をソフトベークする工程、ソフトベークされたコーティングされた母材を複数の事前選択された温度で複数の事前選択された時間間隔で処理する工程からなり、これにより、ポリイミドフィルムは、本明細書に開示されるものなどのエレクトロニクス用途での使用に満足できる特性を示す。
【0192】
修飾熱変換プロセスのいくつかの非限定的な実施形態では、ポリイミドフィルムを製造するための方法は、順に以下の工程:変換化学物質を含む液体組成物を母材にコーティングする工程、コーティングされた母材をソフトベークする工程、ソフトベークされたコーティングされた母材を複数の事前選択された温度で複数の事前選択された時間間隔で処理する工程から本質的になり、これにより、ポリイミドフィルムは、本明細書に開示されるものなどのエレクトロニクス用途での使用に満足できる特性を示す。
【0193】
5.電子デバイス
本明細書に開示されるポリイミドフィルムは、OLED及びLCDディスプレイなどの電子ディスプレイデバイスにおける多数の層で使用するのに好適であり得る。そのような層の非限定的な例としては、デバイス基板、タッチパネル、カラーフィルターシート用基板、カバーフィルム等が挙げられる。各用途向けの特定の材料の特性要件は、ユニークであり、本明細書に開示されるポリイミドフィルムに対して適切な組成及び加工条件によって対処され得る。
【0194】
いくつかの実施形態では、電子デバイスにおけるガラスに代わる柔軟な代替品は、上で詳述した式IIの繰り返し単位を有するポリイミドフィルムである。
【0195】
本明細書に記載された少なくとも1つの化合物を含む1つ以上の層を有することから恩恵を受け得る有機電子デバイスは、(1)電気エネルギーを放射線に変換するデバイス(例えば、発光ダイオード、発光ダイオードディスプレイ、照明デバイス、照明器具又はダイオードレーザー)、(2)エレクトロニクスプロセスによって信号を検出するデバイス(例えば、光検出器、光導電セル、フォトレジスター、フォトスイッチ、フォトトランジスター、光電管、赤外検出器、バイオセンサー)、(3)放射線を電気エネルギーに変換するデバイス(例えば、光起電力デバイス又は太陽電池)、(4)1つの波長の光をより長い波長の光に変換するデバイス(例えば、ダウンコンバート燐光体デバイス)、及び(5)1つ以上の有機半導体層を含む1つ以上の電子部品を含むデバイス(例えば、トランジスター又はダイオード)を含むが、これらに限定されない。本発明による組成物の他の使用には、メモリ記憶デバイスのためのコーティング材料、帯電防止フィルム、バイオセンサー、電気化学デバイス、固体電解質コンデンサー、再充電可能電池等のエネルギー貯蔵デバイス及び電磁遮蔽用途が含まれる。
【0196】
本明細書に記載されるようなガラスの柔軟な代替物としての役割を果たすことができるポリイミドフィルムの1つの例示が
図1に示される。柔軟なフィルム100は、本開示の実施形態において記載されたような特性を有することができる。いくつかの実施形態では、ガラスに代わる柔軟な代替品としての役割を果たすことができるポリイミドフィルムが、電子デバイスに含まれる。
図2は、電子デバイス200が有機電子デバイスである場合を例示する。デバイス200は、基板100、アノード層110及び第2電気コンタクト層、カソード層130、並びにそれらの間の光活性層120を有する。任意選択的に、更なる層が存在してよい。アノード層に隣接する層は、緩衝層と呼ばれることもある正孔注入層(図示していない)であり得る。正孔注入層に隣接する層は、正孔輸送材料を含む正孔輸送層(図示していない)であり得る。カソード層に隣接する層は、電子輸送材料を含む電子輸送層(図示していない)であり得る。選択肢として、デバイスは、アノード110の隣に1つ以上の更なる正孔注入層又は正孔輸送層(図示していない)及び/又はカソード130の隣に1つ以上の更なる電子注入層又は電子輸送層(図示していない)を使用し得る。110~130の層は、個別に及びまとめて有機活性層と言われる。存在していても、又は存在していなくてもよい更なる層には、カラーフィルター、タッチパネル及び/又はカバーシートが含まれる。基板100に追加して、これらの層の1つ以上を本明細書に開示されるポリイミドフィルムから作製することもできる。
【0197】
図2を参照して、異なる層が本明細書で更に考察される。しかしながら、この考察は、他の構成にも同様に当てはまる。
【0198】
いくつかの実施形態では、異なる層は、以下の範囲の厚さ:基板100、5~100ミクロン、アノード110、500~5,000Å、いくつかの実施形態では1,000~2,000Å;正孔注入層(図示していない)、50~2,000Å、いくつかの実施形態では200~1,000Å;正孔輸送層(図示していない)、50~3,000Å、いくつかの実施形態では200~2,000Å;光活性層120、10~2,000Å、いくつかの実施形態では100~1,000Å;電子輸送層(図示していない)、50~2,000Å、いくつかの実施形態では100~1,000Å;カソード130、200~10,000Å、いくつかの実施形態では300~5,000Åを有する。層厚さの所望の比は、使用される材料の正確な性質に左右される。
【0199】
いくつかの実施形態では、有機電子デバイス(OLED)は、本明細書に開示されるようなガラスの柔軟な代替物を含有する。
【0200】
いくつかの実施形態では、有機電子デバイスは、基板、アノード、カソード及びそれらの間の光活性層を含み、1つ又は複数の更なる有機活性層を更に含む。いくつかの実施形態では、更なる有機活性層は、正孔輸送層である。いくつかの実施形態では、更なる有機活性層は、電子輸送層である。いくつかの実施形態では、更なる有機層は、正孔輸送層と電子輸送層の両方である。
【0201】
アノード110は、正電荷キャリアを注入するために特に効率的である電極である。アノードは、例えば、金属、混合金属、合金、金属酸化物、又は混合金属酸化物を含有する材料から製造することもでき、又はこれは、導電性ポリマー及びその混合物であり得る。適切な金属には、11族金属、4族、5族、及び6族の金属並びに8~10族の遷移金属が含まれる。アノードが光透過性である場合、インジウム錫酸化物などの12族、13族及び14族金属の混合金属酸化物が一般的に使用される。アノードはまた、“Flexible light-emitting diodes made from soluble conducting polymer”,Nature vol.357,pp477 479(11 June 1992)に記載されるようにポリアニリンなどの有機材料を含み得る。アノード及びカソードの少なくとも1つは、生成された光を観察することができるように少なくとも部分的に透明でなければならない。
【0202】
任意の正孔注入層は、正孔注入材料を含み得る。用語「正孔注入層」又は「正孔注入材料」は、電気的導体又は半導体材料を意味することが意図され、限定されないが、有機電子デバイスにおいて、下位層の平坦化、電荷輸送及び/又は電荷注入特性、酸素又は金属イオン等の不純物の捕捉及び有機電子デバイスの性能を促進又は改善するための他の態様を含めた1つ以上の機能を有し得る。正孔注入材料は、ポリマー、オリゴマー又は小分子であり得、溶液、分散体、懸濁液、乳化液、コロイド状混合物又は他の組成物の形態であり得る。
【0203】
正孔注入層は、多くの場合、プロトン酸がドープされる、ポリアニリン(PANI)又はポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等のポリマー材料で形成され得る。プロトン酸は、例えば、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)などであり得る。正孔注入層120は、銅フタロアシアニン及びテトラチアフルバレン-テトラシアノキノジメタン系(TTF-TCNQ)などの電荷移動化合物等を含み得る。いくつかの実施形態では、正孔注入層120は、導電性ポリマー及びコロイド形成ポリマー酸の分散物から作製される。このような材料は、例えば、公開された米国特許出願公開第2004-0102577号明細書、米国特許出願公開第2004-0127637号明細書、及び米国特許出願公開第2005-0205860号明細書に記載されている。
【0204】
他の層は、正孔輸送材料を含み得る。正孔輸送層のための正孔輸送材料の例は、例えば、Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Fourth Edition,Vol.18,p.837-860,1996,Y.Wang著にまとめられている。正孔輸送小分子及び正孔輸送ポリマーの両方を使用することができる。一般的に使用される正孔輸送分子には、これらに限定されないが、4,4’,4’’-トリス(N,N-ジフェニル-アミノ)-トリフェニルアミン(TDATA);4,4’,4’’-トリス(N-3-メチルフェニル-N-フェニル-アミノ)-トリフェニルアミン(MTDATA);N,N’ジフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミン(TPD);4,4’-ビス(カルバゾール-9-イル)ビフェニル(CBP);1,3-ビス(カルバゾール-9-イル)ベンゼン(mCP);1,1ビス[(ジ-4-トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TAPC);N,N’-ビス(4-メチルフェニル)-N,N’-ビス(4-エチルフェニル)-[1,1’-(3,3’-ジメチル)ビフェニル]-4,4’-ジアミン(ETPD);テトラキス(3-メチルフェニル)-N,N,N’,N’-2,5-フェニレンジアミン(PDA);α-フェニル4-N,N-ジフェニルアミノスチレン(TPS);p(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン(DEH);トリフェニルアミン(TPA);ビス[4(N,N-ジエチルアミノ)-2-メチルフェニル](4-メチルフェニル)メタン(MPMP);1フェニル-3-[p-(ジエチルアミノ)スチリル]-5-[p-(ジエチルアミノ)フェニル]ピラゾリン(PPR又はDEASP);1,2トランス-ビス(9H-カルバゾル-9-イル)シクロブタン(DCZB);N,N,N’,N’-テトラキス(4-メチルフェニル)-(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン(TTB);N,N’-ビス(ナフタレン-1-イル)-N,N’-ビス-(フェニル)ベンジジン(α-NPB);及びポルフィリン化合物、例えば銅フタロアシアニンが含まれる。一般的に使用される正孔輸送ポリマーには、ポリビニルカルバゾール、(フェニルメチル)ポリシラン、ポリ(ジオキシチオフェン)、ポリアニリン、及びポリピロールが含まれるが、それらに限定されない。上述されたものなどの正孔輸送分子を、ポリスチレン及びポリカーボネートなどのポリマー中にドープすることによって正孔輸送ポリマーを得ることがまた可能である。いくつかの場合、トリアリールアミンポリマー、特にトリアリールアミン-フルオレンコポリマーが使用される。いくつかの場合、ポリマー及びコポリマーは、架橋性である。架橋性正孔輸送ポリマーの例は、例えば、公開された米国特許出願公開第2005-0184287号明細書及び公開されたPCT出願国際公開第2005/052027号パンフレットに見出すことができる。いくつかの実施形態では、正孔輸送層は、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン及びペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸-3,4,9,10-二無水物などの、p型ドーパントでドープされる。
【0205】
デバイスの用途に応じて、光活性層120は、(発光ダイオード又は発光電気化学セルにおけるなどの)印加電圧によって活性化される発光層、(ダウンコンバート燐光体デバイスにおけるなどの)光を吸収し、より長い波長を有する光を放射する材料の層、又は(光検出器又は光起電力デバイスにおけるなどの)輻射エネルギーに応答し、印加バイアス電圧あり又はなしで信号を発生させる材料の層であり得る。
【0206】
いくつかの非限定的な実施形態では、光活性層は、光活性材料として発光性化合物を含む。いくつかの非限定的な実施形態では、光活性層は、ホスト材料を更に含む。ホスト材料の例としては、クリセン、フェナントレン、トリフェニレン、フェナントロリン、ナフタレン、アントラセン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、フェニルピリジン、カルバゾール、インドロカルバゾール、フラン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、ベンゾジフラン及び金属キノリネート錯体が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの非限定的な実施形態では、ホスト材料は、重水素化されている。
【0207】
いくつかの非限定的な実施形態では、光活性層は、(a)380~750nmに発光極大を有するエレクトロルミネセンスの能力があるドーパント、(b)第1ホスト化合物、及び(c)第2ホスト化合物を含む。好適な第2ホスト化合物は、上で記載されている。
【0208】
いくつかの非限定的な実施形態では、光活性層は、(a)380~750nmに発光極大を有するエレクトロルミネセンスの能力があるドーパント、(b)第1ホスト化合物、及び(c)第2ホスト化合物だけを含むが、この場合、操作の原理又は層の際立った特性を実質的に変化させるであろう更なる材料は存在しない。
【0209】
いくつかの非限定的な実施形態では、光活性層中の重量に基づいて、第1ホストは、第2ホストよりも高い濃度で存在する。
【0210】
いくつかの非限定的な実施形態では、光活性層中の第1ホスト対第2ホストの重量比は、10:1~1:10の範囲内にある。いくつかの非限定的な実施形態では、この重量比は、6:1~1:6の範囲内にあり、いくつかの実施形態では5:1~1:2の範囲内にあり、いくつかの実施形態では3:1~1:1の範囲内にある。
【0211】
いくつかの非限定的な実施形態では、ドーパント対全ホストの重量比は、1:99~20:80の範囲内にあり、いくつかの実施形態では5:95~15:85の範囲内にある。
【0212】
いくつかの非限定的な実施形態では、光活性層は、(a)赤色発光ドーパント、(b)第1ホスト化合物、及び(c)第2ホスト化合物を含む。
【0213】
いくつかの非限定的な実施形態では、光活性層は、(a)緑色発光ドーパント、(b)第1ホスト化合物、及び(c)第2ホスト化合物を含む。
【0214】
いくつかの非限定的な実施形態では、光活性層は、(a)黄色発光ドーパント、(b)第1ホスト化合物、及び(c)第2ホスト化合物を含む。
【0215】
任意の層は、電子輸送を促進すると共にまた、層界面での励起子の消滅を防ぐための閉じ込め層としても役立つように機能することができる。いくつかの非限定的な実施形態では、この層は、電子移動度を促進し、励起子の消光を低減する。
【0216】
いくつかの非限定的な実施形態では、このような層は、他の電子輸送材料を含む。任意選択の電子輸送層で使用することができる電子輸送材料の例としては、トリス(8-ヒドロキシキノラト)アルミニウム(AlQ)、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(p-フェニルフェノラト)アルミニウム(BAlq)、テトラキス-(8-ヒドロキシキノラト)ハフニウム(HfQ)及びテトラキス-(8-ヒドロキシキノラト)ジルコニウム(ZrQ)などの金属キノレート誘導体を含む、金属キレート化オキシノイド化合物;並びに2-(4-ビフェニリル)-5-(4-t-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(PBD)、3-(4-ビフェニリル)-4-フェニル-5-(4-t-ブチルフェニル)-1,2,4-トリアゾール(TAZ)、及び1,3,5-トリ(フェニル-2-ベンゾイミダゾール)ベンゼン(TPBI)などのアゾール化合物;2,3-ビス(4-フルオロフェニル)キノキサリンなどのキノキサリン誘導体;4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(DPA)及び2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(DDPA)などのフェナントロリン類;トリアジン;フラーレン;並びにそれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、電子輸送材料は、金属キノレート及びフェナントロリン誘導体からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、電子輸送層は、n型ドーパントを更に含む。N-ドーパント材料は、周知である。n-ドーパントには、限定されないが、1族及び2族金属;1族及び2族金属塩、例えばLiF、CsF、及びCs2CO3;1族及び2族金属有機化合物、例えばLiキノレート;及び分子n-ドーパント、例えばロイコ染料、金属錯体、例えばW2(hpp)4(式中、hpp=1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロ-2H-ピリミド-[1,2-a]-ピリミジンである)及びコバルトセン、テトラチアナフタセン、ビス(エチレンジチオ)テトラチアフルバレン、複素環ラジカル又はジラジカル、及び複素環式ラジカル又はジラジカルのダイマー、オリゴマー、ポリマー、ジスピロ化合物及び多環が含まれる。
【0217】
任意選択の電子注入層が、電子輸送層一面に堆積され得る。電子注入材料の例としては、Li含有有機金属化合物、LiF、Li2O、Liキノレート、Cs含有有機金属化合物、CsF、Cs2O、及びCs2CO3が挙げられるが、それらに限定されない。この層は、下にある電子輸送層、上にあるカソード、又は両方と反応し得る。電子注入層が存在する場合、堆積された材料の量は、一般的に1~100Å、いくつかの実施形態では1~10Åの範囲内にある。
【0218】
カソード130は、電子又は負電荷キャリアを注入するために特に効率的である電極である。カソードは、アノードよりも低い仕事関数を有する任意の金属又は非金属であり得る。カソード用の材料は、1族のアルカリ金属(例えば、Li、Cs)、2族(アルカリ土類)金属、稀土類元素及びランタニド、並びにアクチニドを含む12族金属から選択され得る。アルミニウム、インジウム、カルシウム、バリウム、サマリウム及びマグネシウム等の材料並びに組み合わせを使用することができる。
【0219】
有機電子デバイスにおいて他の層を有することが知られている。例えば、注入される正電荷の量を制御するため及び/又は層のバンドギャップ整合を提供するための、或いは保護層として機能するための層(図示していない)は、アノード110と正孔注入層(図示していない)との間に存在し得る。銅フタロアシアニン、オキシ窒化ケイ素、フルオロカーボン、シランなどの当技術分野で公知の層、又は例えばPtなどの金属の極薄層を使用することができる。代わりに、アノード層110、活性層120又はカソード層130の一部又は全てを表面処理して、電荷キャリア輸送効率を増加させることができる。構成層のそれぞれの材料の選択は、好ましくは、高いエレクトロルミネセンス効率を有するデバイスを提供するために発光体層中の正電荷及び負電荷のバランスを取ることによって決定される。
【0220】
それぞれの機能性層が2つ以上の層から構成され得ることは理解される。
【0221】
デバイス層は、一般的に、気相堆積/PECVD、液相堆積、及び熱転写を含む任意の堆積技術又は技術の組み合わせによって形成され得る。ガラス、プラスチック、及び金属などの基板を使用することができる。熱蒸発、化学蒸着等などの、従来の蒸着技術を用いることができる。
【0222】
蒸着法の代わりとして、有機層は、コーティング、浸漬コーティング、ロールツーロール技術、インクジェット印刷、連続ノズル印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等を含むが、これらに限定されない従来のコーティング又は印刷技術を用いて、適切な溶媒における溶液又は分散物から塗布することができる。
【0223】
液相堆積方法について、特定の化合物又は関連する部類の化合物のための適切な溶媒は、当業者であれば容易に決定することができる。一部の用途のために、化合物は、非水溶媒に溶解されることが望ましい。このような非水溶媒は、C1~C20アルコール、エーテル及び酸エステルのように比較的極性であり得る、或いはC1~C12アルカン又はトルエン、キシレン、トリフルオロトルエン等などの芳香族化合物のように比較的非極性であり得る。新規化合物を含む液体組成物を、本明細書に記載される溶液又は分散物のいずれかとして生成するのに使用するための他の適切な液体には、塩素化炭化水素(塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン等)、芳香族炭化水素(置換及び無置換トルエン及びキシレン等)、トリフルロトルエン等、極性溶媒(テトラヒドロフラン(THP)、N-メチルピロリドン等)、エステル(酢酸エチル等)、アルコール(イソプロパノール)、ケトン(シクロペンタトン)並びにこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。エレクトロルミネセンス材料のための適切な溶媒は、例えば、公開されたPCT出願国際公開第2007/145979号パンフレットに記載されている。
【0224】
いくつかの非限定的な実施形態では、デバイスは、フレキシブル基板への正孔注入層、正孔輸送層、及び光活性層の液相堆積により、並びにアノード、電子輸送層、電子注入層及びカソードの気相堆積により作製される。
【0225】
デバイスの効率は、デバイス内の他の層を最適化することによって改良され得ることが理解される。例えば、Ca、Ba又はLiF等のより効率的なカソードを使用することができる。動作電圧の低下をもたらす又は量子効率を増加させる成形基板及び新規な正孔輸送材料も適用できる。様々な層のエネルギーレベルを調整し、エレクトロルミネセンスを促進するために更なる層を加えることもできる。
【0226】
いくつかの非限定的な実施形態では、デバイスは、順に、以下の構造:基板、アノード、正孔注入層、正孔輸送層、光活性層、電子輸送層、電子注入層、カソードを有する。
【0227】
本明細書に記載されるものと同様の又は同等の方法及び材料が本発明の実施又は試験において使用できるが、好適な方法及び材料が以下に記載される。更に、材料、方法及び実施例は、例示のためのものに過ぎず、限定することを意図されていない。本明細書に記載される全ての刊行物、特許出願、特許及び他の参照文献は、参照によりそれらの全体として本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0228】
本明細書に記載の概念を、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定するものではない以下の実施例において更に説明する。
【0229】
実施例
本明細書に記載の概念を、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定するものではない以下の実施例において更に説明する。
【0230】
親ポリアミド酸の典型的な合成
NMP中のPMDA/6FDA//TFMB80/20//100に基づく液体組成物の調製。窒素流入口及び流出口と、メカニカルスターラーと、熱電対とを備えた1Lの反応フラスコ内に、40.0gのTFMB(0.125モル)及び220mLの1-メチル-2-ピロリドン(NMP)を入れた。混合物を窒素雰囲気下、室温で約30分間撹拌した。その後、11.098g(0.025モル)の6FDAをジアミンの撹拌溶液に少しずつゆっくりと加え、続いて21.251g(0.0974モル)のPMDA及び60mLのNMPを少しずつ加えた。最大反応温度を30℃未満に保つために、二無水物の添加速度を制御した。二無水物の添加が終了した後、更なる90mLのNMPを使用して、容器及び反応フラスコの壁から残留している二無水物粉末を洗い流した。得られた混合物を7日間撹拌した。ブルックフィールドコーンプレート型粘度計(Brookfield cone and plate viscometry)を使用して、試験のため反応フラスコから少量の試料を除去することによって溶液粘度を監視した。NMP及びPMDA(0.001~0.0026モル)を添加することによって粘度を調整した。ポリマー溶液の最終粘度は、25℃で4577cpsであった。
【0231】
実施例1
3重量%のトリヘキシルホスフィン(THP)を含むPMDA/6FDA//TFMB80/20//100。上で調製した液体組成物PMDA/6FDA//TFMB80/20//100を、3重量%のトリヘキシルホスフィンと、Thinkyミキサー(500rpm/30秒、101.3kPa、2000rpm/90秒、30kPa)の中で混合した。ポリイミドフィルム(フィルム1)をスピンコーティングによって作製し、次いでホットプレート上でソフトベーク(100℃で4分間)し、O2レベル≦50ppmのオーブン内でN2中で硬化することによって作製した。最高硬化温度は410℃であった。
【0232】
実施例2
3重量%のトリヘキシルホスフィン(THP)を含むPMDA/6FDA//TFMB80/20//100。上で調製した液体組成物PMDA/6FDA//TFMB80/20//100を、3重量%のトリヘキシルホスフィンと、Thinkyミキサー(500rpm/30秒、101.3kPa、2000rpm/90秒、30kPa)の中で混合した。ポリイミドフィルム(フィルム2)をスピンコーティングによって作製し、次いでホットプレート上でソフトベーク(100℃で4分間)し、O2レベル≦50ppmのオーブン内でN2中で硬化することによって作製した。最高硬化温度は430℃であった。
【0233】
比較例1及び2
比較ポリイミドフィルム1及び2は、トリヘキシルホスフィン(THP)を添加せずに、上記の通り調製し、それぞれ実施例1及び2で硬化したPMDA/6FDA//TFMB80/20//100の液体組成物から調製した。
【0234】
ポリイミドフィルムの特性評価
Hunter Lab分光測光計を使用して、360nm~780nmの波長範囲に渡ってb*、黄色度指数、及び%透過率(%T)を測定した。フィルムの熱測定は、本明細書で報告される特定のパラメータに適切な熱重量分析及び熱機械分析の組み合わせを使用して行った。機械特性は、インストロンの機器を使用して測定した。
【0235】
ポリイミドフィルムの特性は表1に報告されている。
【0236】
【0237】
全ての場合において、フィルムのTgは450℃超であり、それはTgを測定するために使用される計測器の上限であった。
【0238】
表1は、3重量%のトリヘキシルホスフィン(THP)を含む液体組成物から作製されたポリイミドフィルムが、添加剤を含まない試料と比較して改善された透明性(より低いb*/YI及びより高い平均透過率)を示すことを示している。添加剤の存在は、測定される他のフィルム特性に悪影響を及ぼさない。
【0239】
実施例3
2重量%のビス(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィン酸(BPA)を含むPMDA/BPDA/6FDA//FSTD(フルオロアルキル置換ターフェニルジアミン)50/45/5//100。FSTD及びそれに基づく液体組成物は、例えば公開特許出願である国際公開第2020/219411号パンフレットに記載されている。液体組成物は、上記実施例1及び2に関連する親ポリアミド酸の調製に使用した方法と同様の方法で調製した。ポリイミドフィルム(フィルム3)は、スピンコーティングによって作製し、次いでホットプレート上でソフトベーク(100℃で4分間)し、O2レベル≦50ppmのN2オーブン内で硬化することによって作製した。最高硬化温度は450℃であった。
【0240】
実施例4
2重量%のビス(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィン酸(BPA)を含むPMDA/BPDA/6FDA//FSTD/TFMB(フルオロアルキル置換ターフェニルジアミン)50/45/5//50/50。FSTD及びそれに基づく液体組成物は、例えば公開特許出願である国際公開第2020/219411号パンフレットに記載されている。液体組成物は、上記実施例1及び2に関連する親ポリアミド酸の調製に使用した方法と同様の方法で調製した。ポリイミドフィルム(フィルム4)は、スピンコーティングによって作製し、次いでホットプレート上でソフトベーク(100℃で4分間)し、O2レベル≦50ppmのN2オーブン内で硬化することによって作製した。最高硬化温度は450℃であった。
【0241】
比較例3及び比較例4
比較ポリイミドフィルム3及び4は、ビス(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィン(BPA)を添加せずに、上記の通り調製し、それぞれ実施例3及び4で硬化した液体組成物から調製した。
【0242】
ポリイミドフィルムの特性は上記の通り測定され、表2に報告されている。
【0243】
【0244】
表2は、ビス(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィン酸添加剤を含む試料が、添加剤を含まない試料と比較して改善された透明性(低いb*/YI及び高い透過率)を示すことを示している。ビス(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィン酸の添加によりCTEの低下も観察される。
【0245】
実施例5~10
表3に示されている通りの様々な量のトリヘキシルホスフィンオキシド(THPO)、ジ-n-ヘキシルホスフィン酸(DHPA)、及びヘキシルジヘキシルホスフィネート(HDHP)を含むBPDA/6FDA//FSTD(フルオロアルキル置換ターフェニルジアミン)98/2//100。FSTD及びそれに基づく液体組成物は、例えば公開特許出願である国際公開第2020/219411号パンフレットに記載されている。液体組成物は、上記実施例1及び2に関連する親ポリアミド酸の調製に使用した方法と同様の方法で調製した。ポリイミドフィルム(フィルム5~10)は、スピンコーティングによって作製し、次いでホットプレート上でソフトベーク(100℃で4分間)し、O2レベル≦50ppmのN2オーブン内で硬化することによって作製した。最高硬化温度は450℃であった。比較のフィルム5は、リン非含有添加剤を含む液体組成物から作製した。
【0246】
ポリイミドフィルムの特性は上記の通り測定され、表3に報告されている。
【0247】
【0248】
表3は、リン含有添加剤及び添加剤混合物を含む試料が、添加剤を含まない試料と比較して改善された透明性(低いb*/YI及び高い透過率)を示すことを示している。
【0249】
実施例11
2重量%のビス(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィン酸(BPA)を含むPMDA/BPDA/6FDA//TFMB40/40/20//100。窒素流入口及び流出口と、メカニカルスターラーと、熱電対とを備えた1リットルの反応フラスコに、30.0gのTFMB(0.0937モル)及び142mLの1-メチル-2-ピロリジノン(NMP)を入れた。混合物を、室温(25℃)で窒素中で約20分間撹拌して無色の溶液を得た。その後、8.323g(0.0187モル)の6FDAを50mLのNMPと共にジアミンの撹拌されている溶液に少しずつゆっくりと添加し、続いて11.025g(0.0375モル)のsBPDA及び50mLのNMPを少しずつ添加した。最後に、7.765g(0.0356モル)のPMDAを、撹拌溶液に少しずつゆっくりと添加した。最高反応温度を28℃未満に保つために、二無水物の添加速度を制御した。二無水物の添加が終了した後、追加の50mLのNMPを使用して、容器及び反応フラスコの壁から残っている二無水物粉末を洗い流し、得られた混合物を7日間撹拌した。ブルックフィールドコーンプレート型粘度計(Brookfield cone and plate viscometry)を使用して、試験のため反応フラスコから少量の試料を除去することによって溶液粘度を監視した。NMP及びPMDA(0.001~0.0017モル)を添加することによって粘度を調整した。ポリマー溶液の最終粘度は、25℃で4874cpsであった。
【0250】
実施例11は、上記組成物中に2重量%のビス(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィン酸を含み、これを添加し、Thinkyミキサー(500rpm/30秒101.3kPa、2000rpm/90秒、30kPa)によって混合した。ポリイミドフィルム(フィルム11)は、スピンコーティングによって作製し、次いでホットプレート上でソフトベーク(100℃で4分間)し、O2レベル≦50ppmのN2オーブン内で硬化することによって作製した。最高硬化温度は450℃である。
【0251】
比較例11は、ビス(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィン酸を添加せずに同様に調製して、比較フィルム11を生成した。
【0252】
フィルムは上記の通り特性評価され、結果は表4に示されている。
【0253】
【0254】
表4は、ビス(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィン酸添加剤を含む試料が、添加剤を含まない試料と比較して改善された透明性(低いb*/YI及び高い透過率)を示すことを示している。ビス(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィン酸の添加によりCTEの低下も観察される。
【0255】
実施例12~13
褐色のポリアミド酸組成物BPDA//PPD(100//100)(実施例12)及びPMDA/BPDA//PPD(60/40//100)(実施例13)を、例えば米国特許出願第2008-0044639号明細書に開示されている通りに調製した。実施例12は、BPDA//PPD(100//100)中に3重量%のトリフェニルホスフィン(TPP)を含み、実施例13は、PMDA/BPDA//PPD(60/40//100)中に3重量%のトリフェニルホスフィン(TPP)を含む。これらの組成物中のTPPを添加し、Thinkyミキサー(500rpm/30秒101.3kPa、2000rpm/90秒、30kPa)によって混合した。ポリイミドフィルムは、スピンコーティングによって作製し、次いでホットプレート上でソフトベーク(100℃で4分間)し、O2レベル≦50ppmのN2オーブン内で硬化することによって作製した。それぞれの場合の最高硬化温度は475℃であった。対応する比較例は、TPPを添加せずに調製した。
【0256】
フィルムは上記の通り特性評価され、結果は表5に示されている。
【0257】
【0258】
表5は、褐色ポリイミドフィルム用の組成物へのTPP添加剤の添加により実現される熱的及び光学的特性の改善が、改善が実現されたとしても、透明ポリイミドフィルムが得られる組成物で実現されるものよりもわずかである可能性があることを示している。
【0259】
実施例14~51
実施例3のポリアミド酸液体組成物は、ビス(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィン酸を表6に示すリン含有添加剤に置き換えることによって上述した通りに調製した。全てのリン含有添加剤は3重量%で使用した。ポリイミドフィルムは、スピンコーティングによって作製し、次いでホットプレート上でソフトベーク(100℃で4分間)し、O2レベル≦50ppmのN2オーブン内で硬化することによって作製した。最高硬化温度は430℃であった。
【0260】
表6に、各実施例で使用した添加剤、親ポリイミドに対する熱膨張係数(CTE)の変化率(%)、及び親ポリイミドに対する黄色度指数(YI)の変化率(%)が報告されている。
【0261】
【0262】
【0263】
表6は、その中に列挙されているリン含有添加剤を3重量%使用することで、優れた熱特性(より低いCTE)、優れた光学特性(より低いYI)、又はその両方を有するポリイミドフィルムを生成できることを示している。
【0264】
実施例52~58
表7に報告されるポリアミド酸液体組成物を、上記実施例の通りに調製し、全ての場合において、3重量%の(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ビフェニル添加剤を添加した。ポリイミドフィルムは、スピンコーティングによって作製し、次いでホットプレート上でソフトベーク(100℃で4分間)し、O2レベル≦50ppmのN2オーブン内で表6で報告されている条件を使用して硬化することによって作製した。
【0265】
表7に、各実施例で使用した組成物、硬化温度及び硬化時間、親ポリイミドに対する熱膨張係数(CTE)の変化率(%)、並びに親ポリイミドに対する黄色度指数(YI)の変化率(%)が報告されている。
【0266】
【0267】
表7は、3重量%の(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ビフェニル添加剤を使用することで、優れた熱特性(より低いCTE)、優れた光学特性(より低いYI)、又はその両方を有する様々なポリイミドフィルムを生成できることを示している。
【0268】
実施例59
3重量%のトリヘキシルホスフィンを含むBPDA/PMDA/ODPA/6FDA//FSTD/CHDA45/50/10/5//95/5を、本明細書の上に記載したものと同様の方法で調製した。ポリイミドフィルムは、スピンコーティングによって作製し、次いでホットプレート上でソフトベーク(100℃で4分間)し、O2レベル≦50ppmのN2オーブン内で430℃の温度で5分間硬化することによって作製した。リン含有添加剤を含む液体組成物から作製されたフィルムは、トリヘキシルホスフィンなしで作製された類似のフィルムと比較して、24%のCTEの減少と、15%の黄色度指数の減少を示すことが観察される。
【0269】
実施例60
3重量%のトリヘキシルホスフィンを含むBPDA/PMDA/6FDA//FSTD/CHDA40/55/5//95/5を、本明細書の上に記載したものと同様の方法で調製した。ポリイミドフィルムは、スピンコーティングによって作製し、次いでホットプレート上でソフトベーク(100℃で4分間)し、O2レベル≦50ppmのN2オーブン内で430℃の温度で5分間硬化することによって作製した。リン含有添加剤を含む液体組成物から作製されたフィルムは、トリヘキシルホスフィンなしで作製された類似のフィルムと比較して、27%のCTEの減少と、9%の黄色度指数の減少を示すことが観察される。
【0270】
実施例61及び実施例62
上の実施例では、二無水物及びジアミンを反応容器に導入して反応させた後、リン含有添加剤を液体組成物に導入した。この実施例は、二無水物及びジアミンを添加する前にリン含有添加剤を反応溶媒に添加しても、ポリイミドフィルム特性の利点(熱、光、その他)を実現できることを示す。
【0271】
ポリイミドは、NMP中でPMDA/BPDA/6FDA//FSTD50/45/5//100の組成を有するポリアミド酸溶液に基づいている。添加剤は0.2%のトリヘキシルホスフィンであり、組成物は以下の通りに調製した。グローブボックス内で、500mLの瓶に400gの1-メチル-2-ピロリジノン(NMP)及び0.80gのトリヘキシルホスフィン(THP)を入れ、得られた0.2%溶液を室温で72時間撹拌した。この溶液を次の重合に使用した。
【0272】
窒素流入口及び流出口と、メカニカルスターラーと、熱電対とを備えた500mLの反応器に、窒素雰囲気で160gの0.2%THP/NMP溶液を入れ、続いて33.62gのFSTDを入れ、混合物を室温で約15分間撹拌した。その後、8.36gの3,3’4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を反応にゆっくりと添加し、続いて1.40gの4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)を添加した。10分間撹拌した後、反応温度を30℃未満に保ちながら、6.61gのピロメリット酸二無水物(PMDA)を少しずつ添加した。次いで、追加の40.0gのTHP溶液を使用して、容器及び反応フラスコの壁からモノマー粉末残留物を洗い落した。室温で24時間撹拌した後、追加のPMDA(0.206g)を添加して、ポリマーの分子量を増加させた。ブルックフィールドコーンプレート型粘度計(Brookfield cone and plate viscometry)を使用して、試験のため一定間隔で反応フラスコから少量の試料を取り出すことによって溶液粘度を監視した。ポリマーを平衡化するために混合物を室温で更に80時間撹拌した。この間、ポリマー溶液を0.2%THP/NMP溶液で2回希釈し(合計80.5g添加)、ポリマー粘度を低下させた。ポリマー溶液の最終粘度は、25℃で11,730cpであった。
【0273】
表8は、重合開始時(前処理)及び重合終了時(後処理)にトリヘキシルホスフィンで処理した試料のPIフィルム(430℃で硬化)の比較を示している。
【0274】
【0275】
表8は、添加剤がポリアミド酸の重合前に導入されるか後に導入されるかに関わらず、リン含有添加剤の添加によって熱的及び光学的特性が改善できることを示している。
【0276】
実施例63~72
実施例3及び実施例14~51のポリアミド酸液体組成物は、リン含有添加剤として(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ビフェニルを使用したことを除いて、上述した通りに調製した。それぞれの実施例での添加剤配合量は表9に報告されている。ポリイミドフィルムは、スピンコーティングによって作製し、次いでホットプレート上でソフトベーク(100℃で4分間)し、O2レベル≦50ppmのN2オーブン内で表9に報告されている時間及び温度で硬化することによって作製した。
【0277】
表9に、100℃~350℃での親ポリイミドに対する熱膨張係数(CTE)の変化率(%)、及び親ポリイミドに対する黄色度指数(YI)の変化率(%)が更に報告されている。
【0278】
【0279】
実施例73~75
実施例63~72のポリアミド酸液体組成物は、トリヘキシルホスフィンをリン含有添加剤として使用したことを除いて、上述した通りに調製した。それぞれの実施例での添加剤配合量は表10に報告されている。ポリイミドフィルムは、スピンコーティングによって作製し、次いでホットプレート上でソフトベーク(100℃で4分間)し、O2レベル≦50ppmのN2オーブン内で表10に報告されている時間及び温度で硬化することによって作製した。
【0280】
表10に、100℃~350℃での親ポリイミドに対する熱膨張係数(CTE)の変化率(%)、及び親ポリイミドに対する黄色度指数(YI)の変化率(%)が更に報告されている。
【0281】
【0282】
実施例76~78
実施例4のポリアミド酸液体組成物は、リン含有添加剤としてトリヘキシルホスフィンを使用したことを除いて、上述した通りに調製した。それぞれの実施例での添加剤配合量は表11に報告されている。ポリイミドフィルムは、スピンコーティングによって作製し、次いでホットプレート上でソフトベーク(100℃で4分間)し、O2レベル≦50ppmのN2オーブン内で表11に報告されている時間及び温度で硬化することによって作製した。
【0283】
表11に、100℃~350℃での親ポリイミドに対する熱膨張係数(CTE)の変化率(%)、及び親ポリイミドに対する黄色度指数(YI)の変化率(%)が更に報告されている。
【0284】
【0285】
表6~11は、本明細書に開示のポリイミドフィルムの熱特性及び光学特性が、ポリアミド酸溶液の組成、リン含有添加剤の選択及び配合量、並びに硬化条件を考慮することによって調整できることを示している。
【0286】
概要又は実施例において上に記載された行為の全てが必要であるわけではないこと、特定の行為の一部が必要とされない場合があること及び1つ以上の更なる行為が、記載されているものに加えて行われ得ることに留意されたい。更にまた、行為が列挙される順番は、必ずしも行為が行われる順番ではない。
【0287】
上述の本明細書では、概念を特定の実施形態に関連して記載してきた。しかしながら、当業者であれば、様々な修正形態及び変更形態が、以下の特許請求の範囲に示した本発明の範囲から逸脱することなくなされ得ることを理解するであろう。したがって、本明細書及び図は、限定的な意味ではなく、例示に関連し、全てのこのような修飾形態は、本発明の範囲内に含まれることが意図されている。
【0288】
利益、他の利点及び問題の解決策が特定の実施形態に関して前述された。しかしながら、利益、利点、問題の解決策及び任意の利益、利点又は解決策を生じさせ得るか又はより顕著にし得る任意の特徴は、任意の又は全ての請求項の、決定的に重要であるか、必要とされるか又は不可欠な特徴であると解釈するべきではない。
【0289】
明確にするために、特定の特徴は、別個の実施形態との関連で本明細書に記載され、単一の実施形態で組み合わせて提供され得ることも十分に理解されるべきである。反対に、簡潔にするために、単一の実施形態との関連で記載した様々な特徴は、個別に又は任意の部分的な組み合わせでも提供され得る。本明細書で明記した様々な範囲の数値の使用は、記述される範囲内の最小値及び最大値が両方とも「約」という言葉によって先行されるかのように近似値として記述されている。この形式では、記述範囲の上下のわずかな変動は、範囲内の値と実質的に同じ結果を実質的に達成するために用いることができる。また、これらの範囲の開示は、1つの値の構成要素のいくつかが、異なる値の構成要素と混合されるときに生じ得る小数値を含む、最小平均値と最大平均値との間のあらゆる値を含む連続した範囲であることが意図されている。更に、より広い及びより狭い範囲が開示されるとき、1つの範囲からの最小値を別の範囲からの最大値と合わせることは、本発明の想定内にあり、その逆も同様である。
【国際調査報告】