(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-03
(54)【発明の名称】水素製造のためのアンモニア分解
(51)【国際特許分類】
C01B 3/04 20060101AFI20240527BHJP
【FI】
C01B3/04 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023570289
(86)(22)【出願日】2022-05-19
(85)【翻訳文提出日】2024-01-15
(86)【国際出願番号】 EP2022063527
(87)【国際公開番号】W WO2022243410
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518320199
【氏名又は名称】カサーレ エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パンツァ、セルジオ
(72)【発明者】
【氏名】ディ アッデツィオ、ダリオ
(57)【要約】
アンモニアの接触分解を介して水素を合成するためのプロセスであって、前記プロセスは、アンモニア含有流(10)を、熱の存在下で接触分解工程(11)に供して、燃焼済ガスと、窒素、水素、並びに場合によっては残留アンモニア、及び任意選択で水を含有する熱分解流(14)とを得る工程を含み、前記プロセスはさらに、前記熱分解流を水素回収工程に供して、高純度水素流(22)を得る工程を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素の接触合成プロセスであって、
a)(任意に(optionally)水(8)が添加された)アンモニア流(7)を、予備加熱工程(9)に供して、アンモニア含有流(10)を得る工程;
b)前記アンモニア含有流(10)を、熱の存在下での接触アンモニア分解工程(11)に供して、窒素及び水素を含有し、また残留アンモニアを含有し得、及び任意に(optionally)水を含有する熱分解流(14)を得る工程;
c)前記熱分解流(14)を、
c1)水素回収工程(19)に供して、高純度水素流(22)及びテールガス(23)を得る工程、
又は
c2)水(17)の存在下でのスクラビング工程(20)に供して、精製ガス流(51)を得て、さらに前記精製ガス流(51)を水素回収工程(19)に供して、高純度水素流(22)及びテールガス(23)を得る工程;
d)前記テールガス(23)の少なくとも一部分を、前記接触アンモニア分解工程(11)のための熱を提供するための燃料として再循環する工程;
e)前記高純度水素流(22)を引き抜く工程、
を含む、プロセス。
【請求項2】
燃料ガス(12)を、予備加熱空気(28)の存在下での燃焼に供して、前記接触アンモニア分解工程(11)に改質熱を提供し、燃焼済ガス(60)を得る工程をさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記燃料ガス(12)が、アンモニア、又は窒素と水素との混合物、又はアンモニアと窒素と水素との混合物を含む、請求項1又は請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
アンモニアを保持する燃料ガス(12)を、電気加熱の存在下での分解工程(100)に供して、水素及び窒素を保持しまた未変換のアンモニアを保持しうるガス混合物(101)を得る工程、並びに前記ガス混合物(101)をさらに、予備加熱空気(28)の存在下での燃焼に供して、前記接触分解工程(11)における前記改質熱を提供する工程、をさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記分解工程(100)及び前記燃焼が、単一のユニットで行われる、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記分解工程(100)に供される前又は燃焼に供される前の前記燃料ガス(12)が、さらに、前記燃焼済ガス(60)から前記燃料ガス(12)へと間接的に熱が移動される熱回収工程に供される、前記いずれかの請求項に記載のプロセス。
【請求項7】
水素の接触合成プロセスであって、
a)アンモニア流(7)を、加熱ステージ(6、51、9)に通して、アンモニア含有流(10)を得る工程;
b)前記アンモニア含有流(10)を、熱の存在下での接触アンモニア分解工程(11)に供して、燃焼済ガス(60)と、窒素、水素、及び残留アンモニアを含有する熱分解流(14)とを得る工程;
c)任意に(optionally)、前記熱分解流を水(74)と混合して、水が添加された熱分解流(75)を得る工程;
d)前記熱分解流(14)又は前記水が添加された熱分解流(75)を、冷却ステージ(51、6、70)に供給して、冷却流(79)を得る工程;
e)前記冷却流(79)を、フラッシュ分離工程(80)に供して、アンモニア枯渇流(81)と、アンモニア流又はアンモニア水溶液(82)とを得て、さらに、前記アンモニア枯渇流(81)を、
e1)水素回収工程(19)に供して、高純度水素流(22)及びテールガス(23)を得る工程、
又は
e2)水(17)の存在下でのスクラビング工程(20)に供して、精製ガス流(51)を得て、さらに前記精製ガス流(51)を水素回収工程(19)に供して、高純度水素流(22)及びテールガス(23)を得る工程;
f)前記テールガス(23)の少なくとも一部分を、前記接触分解工程(11)の熱を提供するための燃料として再循環する工程;
g)前記高純度水素流(22)を引き抜く工程、
を含む、プロセス。
【請求項8】
前記アンモニア接触分解工程のための改質熱が、予備加熱空気(28)の存在下での燃料ガス(12)の燃焼を介して提供される、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
アンモニアを保持する燃料ガス(12)を、電気加熱の存在下での分解工程(100)に供して、水素及び窒素及び任意に(optionally)未変換のアンモニアを保持するガス混合物(101)を得る工程、並びに前記ガス混合物(101)をさらに、予備加熱空気(28)の存在下での燃焼に供して、前記接触分解工程(11)における前記改質熱を提供する工程、をさらに含む、請求項7に記載のプロセス。
【請求項10】
前記いずれかの請求項に記載のプロセスであって、
さらに、
h)前記アンモニア水溶液(82)を、蒸留工程(83)に供して、水溶液(84)からアンモニア流(86)を分離する工程;
i)前記アンモニア流(86)の少なくとも一部分を、前記接触分解工程(11)のための熱を提供するための燃料として再循環する工程;
j)任意に(optionally)、前記アンモニア流(86)の一部分を、工程(a)に再循環して、前記アンモニア流(7)の存在下での前記加熱ステージ(6、51、9)に供する工程;
k)前記水溶液(84)の一部分(87)を前記燃焼済ガス(60)と間接的に接触させることによって、前記燃焼済ガス(60)から熱を回収し、及び熱の回収後の前記水溶液の一部分を、前記蒸留工程(83)に供給して、蒸留熱を提供する工程、
を含む、プロセス。
【請求項11】
前記蒸留工程(83)から得られた前記水溶液(84)の第二の部分(88)を、(任意に(optionally)水補充流(17)を添加して、)前記熱分解流(14)と混合する工程をさらに含む、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記水素精製工程(19)が、圧力変動吸着ユニット又は深冷分離ユニット又は膜精製ユニットによって行われる、前記いずれかの請求項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記高純度水素流(22)が、95重量%超、好ましくは99重量%超、より好ましくは99.9重量%超の濃度を有する、前記いずれかの請求項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記接触分解工程(11)から排出される前記熱分解流(14)の温度が、400~950℃、好ましくは550~650℃である、前記いずれかの請求項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記接触分解工程(11)が、約5~65バール、好ましくは15バールと30バールとの間の圧力で行われる、前記いずれかの請求項に記載のプロセス。
【請求項16】
前記燃焼済ガス(60)が、窒素酸化物(NOx)除害工程に供される、前記いずれかの請求項に記載のプロセス。
【請求項17】
請求項1に記載のプロセスに従う水素の製造のためのプラントであって、少なくとも、
・複数の外部から加熱された触媒管、アンモニア含有流(10)を前記管に供給するように配置された投入ライン、及び前記管から熱分解流(14)を回収するように配置された排出ラインを含む、アンモニアの分解に適する炉(11);
・高純度水素流(22)及びテールガス(23)を回収するように構成された水素回収ユニット(19);
・前記水素回収ユニット(19)から分離された前記テールガス(23)の少なくとも一部分を、追加の燃料として用いるために前記炉(11)に再循環するように配置されたライン;
・前記水素回収ユニット(19)から高純度水素流(22)を引き抜くように配置されたライン、
を備えた、プラント。
【請求項18】
請求項17に記載のプラントであって、
さらに、
・前記熱分解流(14)からアンモニアを回収して、精製ガス流(51)及び再利用ガス(21)を得るように構成された精製ユニット(20);
・前記再利用ガス(21)の少なくとも一部分を前記炉(11)に供給するように配置されたライン、
を備えた、プラント。
【請求項19】
アンモニアを保持する燃料ガスを分解するように構成された電気分解ユニット(100)をさらに備え、
前記電気分解ユニットは、前記炉の上に配置され、ガスフローラインによって前記炉と流体連通している、
又は
前記電気分解ユニットは、前記炉の内部に配置され、前記燃料ガスを燃焼前に分解するように構成されている、
請求項17又は請求項18に記載のプラント。
【請求項20】
請求項7に記載のプロセスに従う水素の製造のためのプラントであって、少なくとも、
複数の外部から加熱された触媒管、アンモニア含有流(10)を前記管に供給するように配置された投入ライン、及び前記管から熱分解流(14)を回収するように配置された排出ラインを含む、アンモニアの分解に適する炉(11);
任意に(optionally)、前記熱分解流(14)を回収するように配置された前記排出ラインに水を供給するように構成されたライン;
前記排出ラインと連通し、アンモニア枯渇ガス流(81)からアンモニア流又はアンモニア水溶液(82)を分離するように構成されたフラッシュセパレータユニット(80);
前記フラッシュセパレータと流体連通し、高純度水素流(22)及びテールガス(23)を回収するように構成された水素回収ユニット(19);
前記水素回収ユニット(19)から分離された前記テールガス(23)の少なくとも一部分を、追加の燃料として用いるために前記炉(11)に再循環するように配置されたライン;
前記水素回収ユニット(19)から高純度水素流(22)を引き抜くように配置されたライン、
を備えた、プラント。
【請求項21】
請求項20に記載のプラントであって、
さらに、
前記アンモニア水溶液中の水からアンモニアを分離するように構成された蒸留ユニット(83);
前記フラッシュセパレータユニット(80)を前記蒸留ユニット(83)へ接続し、前記アンモニア水溶液(82)を前記蒸留ユニット(83)へ運ぶように構成されたライン;
前記蒸留ユニット(83)を前記炉(11)へ接続するガスフローライン;
水流によって前記炉中の前記燃焼済ガスから熱を回収するように構成された熱交換セクション;
前記蒸留ユニットを前記熱交換セクションへ接続し、前記炉と前記蒸留ユニットとの間での熱統合の目的で利用するために前記水流を運ぶように構成されたライン、
を備えた、プラント。
【請求項22】
前記炉が、窒素酸化物NOxを除去するためのユニットを、好ましくはSCRユニットをさらに含む、前記いずれかの請求項に記載のプラント。
【請求項23】
前記水素回収ユニットが、圧力変動吸着ユニット、深冷分離ユニット、膜分離ユニットのうちの1つである、前記いずれかの請求項に記載のプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素製造の分野に関するものであり、詳細には、アンモニア分解ユニットからの水素製造のためのプロセス及びプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
電力セクター及び輸送の両方における化石燃料の過剰な使用は、人の健康及び快適な生活に、さらには環境に対して有害な影響をもたらしてきた。現在、化石燃料に対する何らかの環境に優しく持続可能な代替品を見出すことが強く求められている。
【0003】
水素及びアンモニアは、カーボンフリーキャリアであり、化石燃料に対する理想的な代用品と見なされる。
【0004】
小スケールでは、水素は、太陽光、風力、及び電気分解などの様々な自国内の資源から製造することができる。反対に、工業的スケールでは、水素は、ほとんどの場合、天然ガスの改質(水蒸気改質)又は石炭由来合成ガスの水性ガスシフトによる化石燃料の改質を介して得られる。
【0005】
水蒸気改質によって製造される水素は、天然ガスの生成から開始して、高温改質、高温及び低温での水性ガスシフト変換(water-gas shift conversions:WGS)、並びに精製という多段階プロセスを必要とする。
【0006】
残念なことに、前記改質プロセスの結果として、排出物であるCO2が大量に大気中に排出される。
【0007】
本技術分野において、大気中に二酸化炭素をまったく排出することなくクリーンな水素を製造することができる工業的スケールの水素合成プロセスを見出すことが求められている。そのようなプロセスはまた、従来の方法に対して経済的に競争力を有するべきでもある。
【0008】
再生可能エネルギーから合成されたグリーンアンモニアは、グリーン水素の製造を含む数多くの潜在的なエネルギー用途を備えた水素のカーボンフリーの貯蔵ベクトル(storage vector)である。水素は、アンモニアから、接触分解として知られる熱分解プロセスを介して得ることができる。
【0009】
前記接触分解プロセスにおいて、アンモニアは、熱及び触媒(Ni又はRu又はPt)の存在下、以下の吸熱平衡に従って解離(decomposed)又は分解(cracked)されて、H2及びN2に戻される。
2NH3←→3H2+N2
【0010】
アンモニアから水素への熱力学的変換は、425℃という低い温度で可能である。しかし、実際には、変換率は用いられる触媒の種類に応じて異なる。典型的には、Niは、Ru(400℃)よりも高い温度(500~750℃)で活性であるが、後者の触媒はより高価である。
【0011】
アンモニアの熱接触変換に要する熱は、典型的には、電気加熱式炉では電気加熱を介して、又は改質器の場合は燃料の燃焼を介して提供される。
【0012】
残念なことに、上述したアンモニア分解技術は、いくつかの欠点を抱えている。第一に、前記アンモニア分解技術は、主として小スケール用途において、成熟しかつ商業的に利用可能ということである(すなわち、100kg H2/時間未満の水素製造速度)。
【0013】
この技術をスケールアップすることの主たる問題点は、十分にコンパクトな分解ユニットを、消費量に応じた速度でのアンモニアの分解が可能であるように設計することである。
【0014】
加えて、断熱分解ユニットを利用する計画で見られる典型的な課題は、アンモニアの変換率が比較的低い(すなわち、アンモニアスリップが高い)ことである。反対に、酸素吹き自己熱改質器を利用する分解プラントでは、高価な空気分離ユニット(Air Separation Unit)ASUを設置することが必要となる。
【0015】
さらに、高い水素製造速度(>1000m3/時間)のためには、天然ガスの改質が、依然として最も費用対効果の高いオプションである。
【0016】
したがって、上記考慮事項の観点から、大スケールの水素製造に適する費用対効果の高い水素合成プロセス及びプラントを提供することが非常に望ましい。加えて、前記改善された水素合成プロセスは、環境に優しいものであるべきであり、したがって、大気中への二酸化炭素排出に寄与するべきではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、先行技術における上記欠点を克服することである。特に、本発明が対処する問題は、二酸化炭素の排出量及び前記プラントのコストをいかにして低減するか、並びに大スケールの製造に適するプロセス及びプラントをいかに提供するか、ということである。
【0018】
本発明は、アンモニアの分解を通して高純度の水素流が得られるプロセスに関する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の第一の態様は、請求項1に記載の水素の接触合成のためのカーボンフリーの水素製造プロセスである。
【0020】
請求項1に記載のプロセスは、水が任意に(optionally)添加されたアンモニア流を予備加熱工程に供して、アンモニア含有流を得る工程、前記アンモニア含有流を、熱の存在下で接触アンモニア分解工程に供して、窒素、水素、並びに場合によっては残留アンモニア及び水を含有する熱分解流を得る工程、を含む。
【0021】
請求項1に記載のプロセスは、さらに、前記熱分解流を水素回収工程に供して、高純度水素流及びテールガスを得る工程を、あるいは、前記熱分解流を、水の存在下でスクラビング工程に供して、精製ガス流を得て、さらに前記精製ガス流を水素回収工程に供して、高純度水素流及びテールガスを得る工程を含む。
【0022】
加えて、請求項1に記載のプロセスは、前記テールガスの少なくとも一部分を、前記接触分解工程に熱を提供するための燃料ガスとして再循環させる工程、及び前記高純度水素流を引き抜く工程を含む。
【0023】
本発明のさらなる態様は、請求項7に記載の水素の製造プロセスである。
【0024】
請求項7に記載のプロセスは、アンモニア流を加熱ステージに供して、アンモニア含有流を得る工程、前記アンモニア含有流を、熱の存在下で接触アンモニア分解工程に供して、燃焼済ガスと、窒素、水素、及び残留アンモニアを含有する熱分解流とを得る工程、を含む。
【0025】
請求項7に記載のプロセスは、さらに、所望に応じて前記熱分解流を水と混合して水が添加された熱分解流を得て、前記熱分解流又は前記水が添加された熱分解流を、冷却ステージに供給して、冷却流を得る工程、前記冷却流をフラッシュ分離工程に供して、アンモニア枯渇流及びアンモニア流又はアンモニア水溶液のいずれかを得る工程、並びにさらに前記アンモニア枯渇流を水素回収工程に供して、高純度水素流及びテールガスを得る工程、を含む。
【0026】
別の選択肢として、前記アンモニア枯渇ガス流は、水の存在下でスクラビング工程に供され、精製ガスが得られる。前記精製ガスは、さらに、水素回収工程に供されて、高純度水素流及びテールガスが得られる。
【0027】
加えて、請求項7に記載のプロセスは、前記テールガスの少なくとも一部分を、前記接触分解工程に熱を提供するための燃料として再循環させる工程、及び前記高純度水素流を引き抜く工程を含む。
【0028】
本発明のさらなる態様は、請求項に記載の水素の製造のためのプラントである。
【0029】
請求項1に記載のプロセスを実施するように構成された前記水素製造プラントは、少なくとも、複数の外部加熱触媒管、アンモニア含有流を前記管に供給するように配置された投入ライン、及び前記管から熱分解流を回収するように配置された排出ラインを含む、アンモニアの分解に適する炉を備える。
【0030】
請求項1に記載のプロセスを実施するように構成された前記プラントは、さらに、高純度水素流及びテールガスを回収するように構成された水素回収ユニット、前記水素回収ユニットから分離された前記テールガスの少なくとも一部分を、追加の燃料として用いるために前記炉へ再循環するように配置されたライン、及び前記水素回収ユニットから高純度水素流を引き抜くように配置されたライン、を備える。
【0031】
請求項7に記載のプロセスを実施するように構成された前記プラントは、複数の外部加熱触媒管、アンモニア含有流を前記管に供給するように配置された投入ライン、及び前記管から熱分解流を回収するように配置された排出ライン、及び所望に応じて、前記熱分解流に水を供給するように構成されたラインを含む、アンモニアの分解に適する炉を備える。
【0032】
請求項7に記載のプロセスを実施するように構成された前記プラントは、さらに、アンモニア枯渇ガス流からアンモニア流又はアンモニア水溶液を分離するように構成された、前記排出ラインと連通しているフラッシュセパレータユニット、前記フラッシュセパレータと流体連通し、高純度水素流及びテールガスを回収するように構成された水素回収ユニット、前記水素回収ユニットから分離された前記テールガスの少なくとも一部分を、追加の燃料として用いるために前記炉へ再循環するように配置されたライン、及び前記水素回収ユニットから高純度水素流を引き抜くように配置されたライン、を備える。
【0033】
有利なことに、酸素の代わりに前記炉へ空気を供給することにより、空気分離ユニットが必要ではなくなる。さらにより有利なことに、燃料-空気比を調節することにより(すなわち、過剰の空気中での操作により)、前記炉から排出される燃焼済ガスのNOx含有量を最小限に抑えることができる。加えて、系に存在するNOxは、SCR選択触媒還元(Selective Catalytic Reduction)SCR又は非選択触媒還元除害装置(Non-Selective Catalytic Reduction abatement system)NSCRを設置することによって、完全に除去することができるか又は数ppmまで減少させることができる。
【0034】
さらにより有利なことに、燃料源として天然ガスを用いて行われる改質プロセスとは対照的に、本発明のプロセスでは、カーボンフリー源(例:アンモニア)が燃焼性ガスとして用いられるため、二酸化炭素排出物が大気中に放出されない。
【0035】
有利なことに、電気分解ユニットが前記炉の前に配置される又は前記炉と一体化されるプロセス及びプラント構成では、水素合成における高い柔軟性が想定され得る。
【0036】
好ましい実施形態
本発明の特に好ましい実施形態によると、アンモニアの吸熱分解を維持するのに必要とされる熱は、燃焼済ガスが得られる予備加熱空気の存在下での燃料ガスの燃焼反応を介して提供される。
【0037】
好ましくは、接触分解工程において燃焼性ガスとして用いられる前記燃料ガスは、アンモニア、又は窒素と水素との混合物、又はアンモニアと窒素と水素との混合物を含有する。有利なことに、大気中への二酸化炭素排出は起こらない。
【0038】
本発明の別の選択肢としての実施形態によると、残余分の天然ガスなどの化石燃料を前記燃料ガスに添加して燃焼を維持してもよい。用いられる天然ガスの量が少ないことにより、この別の選択肢としての実施形態では、前記プロセスの二酸化炭素排出量は、従来の水素合成プロセスで予想される排出量よりも依然として少ない。
【0039】
本発明の別の選択肢としての実施形態によると、前記プロセスは、さらに、アンモニアを保持する燃料ガスを、電気加熱の存在下で分解工程に供して、水素及び窒素及び場合によっては未変換のアンモニアを保持するガス混合物を得る工程、並びに前記ガス混合物を、予備加熱空気の存在下でさらに燃焼に供して、前記接触分解工程における改質熱を提供する工程、を含む。
【0040】
別の選択肢として、前記アンモニアを保持する燃料ガスは、接触分解工程に供されてもよく、その場合、前記分解反応を維持するために必要である熱は、前記燃焼済ガスから回収される。前記熱分解工程及び前記電気分解工程は、単一の炉で行われ得る。この特定の実施形態では、前記炉は、バーナー及び電気分解ユニットを備え得る。
【0041】
好ましくは、前記バーナーは、アンモニア、又はアンモニアと水素リッチ流との混合物、又はアンモニアと水素リッチ流とテールガスとの混合物、又は水素リッチ流とテールガスとの混合物のいずれかを燃焼するように設計される。加えて、前記バーナーは、上述の流れの混合物に天然ガス又は化石燃料を添加したものと共に運転され得る。
【0042】
特に好ましい実施形態によると、前記分解工程に供される前又は前記炉での燃焼に供される前の前記燃料ガスは、さらに、熱が前記燃焼済ガスから前記燃料ガスへ間接的に移動される熱回収工程に供される。
【0043】
前記アンモニア接触分解工程に必要とされる前記改質熱は、予備加熱空気の存在下での燃料ガスの燃焼を介して提供され得る。
【0044】
別の選択肢としての実施形態によると、前記アンモニア水溶液は、水溶液からアンモニア流を分離するための蒸留工程に供されてもよく、前記アンモニア流の少なくとも一部分は、前記接触分解工程に熱を提供するための燃料として再循環され得る。
【0045】
加えて、前記アンモニア流の一部分は、前記加熱ステージへ再循環されて、前記主アンモニア流と共に、前記アンモニア接触分解工程に供され得る。
【0046】
前記プロセスはさらに、前記水溶液の一部分を前記燃焼済ガスと間接的に接触させることによって、前記燃焼済ガスから熱を回収する工程、及び熱の回収後の前記水溶液の一部分を、前記蒸留工程に供給して、蒸留熱を提供する工程を含み得る。有利なことに、前記蒸留工程と前記アンモニア接触分解工程との間の熱的一体化を実現することができ、前記プロセスのエネルギー消費を低減することができる。
【0047】
前記プロセスはさらに、任意に(optionally)水補充流(water make-up stream)を添加した前記熱分解流に、蒸留から得られた前記水溶液の一部分を供給する工程を含み得る。
【0048】
本発明の特に好ましい実施形態によると、前記水素精製工程は、圧力変動吸着ユニット又は深冷分離ユニット又は膜精製ユニットによって行われる。当業者であれば、前記熱分解流によって保持される水素の濃度に応じて、どのような場合に他ではなく1つのユニットを選択するかについて十分に理解している。
【0049】
好ましくは、前記水素精製工程後に得られる前記高純度水素は、95重量%超、好ましくは99重量%超、より好ましくは99.9重量%超の濃度を有する。
【0050】
好ましくは、前記接触分解工程から排出される前記熱分解流の温度は、400~950℃、より好ましくは550~650℃である。
【0051】
好ましくは、前記接触分解工程は、約5~65バール、より好ましくは15~30バールのゲージ圧で行われる。
【0052】
本発明の特に好ましい実施形態によると、前記接触分解工程から排出される前記燃焼済ガスは、大気中に排気される前にNOx除害工程に供される。別の選択肢として、前記NOx除害工程は、前記炉のセクションで実施されてもよい。
【0053】
本発明の実施形態によると、前記プラントは、さらに、前記熱分解流からアンモニアを回収して、精製ガス流及び再利用ガスを得るように構成された精製ユニット、並びに前記再利用ガスの少なくとも一部分を前記炉へ供給するように配置されたライン、を備え得る。
【0054】
加えて、前記プラントは、アンモニアを保持する燃料ガスを分解するように構成された電気分解ユニットを備え得る。別の選択肢として、前記プラントは、触媒で満たされ、前記炉の対流セクション(convective section)に配置されたコイルを備え得る。前記触媒で満たされた前記コイルは、前記対流セクションを横切る前記燃焼済ガスによって保持される熱を利用して前記燃料ガスを接触分解するように構成される。
【0055】
本発明の実施形態によると、前記燃料の前記接触分解は、組み合わされたプロセスで行われてよく、その場合、前記燃料は、前記炉の前記対流セクションに配置された前記コイル中で部分的に分解され、続いて前記コイルから排出される前記部分的に分解された燃料は、電気分解ユニットでさらに分解される。
【0056】
前記電気分解ユニットは、前記炉の前に配置されてよく、ガスフローラインによって前記炉と連通していてよい。別の選択肢として、前記電気分解ユニットは、前記炉と一体化されていてよく、前記燃料ガスを燃焼前に分解するように利用されてよい。
【0057】
本発明の特に好ましい実施形態によると、前記プラントは、前記アンモニア水溶液中の水からアンモニアを分離するように構成された蒸留ユニット、前記フラッシュセパレータユニットを前記蒸留ユニットへ接続し、前記アンモニア水溶液を前記蒸留ユニットへ運ぶように構成されたライン、を備える。
【0058】
加えて、前記プラントは、さらに、前記蒸留ユニットを前記炉へ接続するガスフローライン、水流によって前記炉中の前記燃焼済ガスから熱を回収するように構成された熱交換セクション、前記蒸留ユニットを前記熱交換セクションへ接続し、前記炉と前記蒸留ユニットとの間での熱統合(thermal integration)の目的で利用するための前記水流を運ぶように構成されたライン、を備え得る。
【0059】
本発明の実施形態によると、前記炉は、NOxを除去するのに適するユニット(脱NOxユニットとも称される)を、好ましくはSCRユニット又はSNCRユニット又は両方の組み合わせを含み得る。SCRを介して行われるNOx除去は、150~600℃の温度範囲で、又は好ましくは、350~600℃を含む温度範囲で実施され得る。対照的に、SNCRを介して行われるNOx除去は、850~1200℃の温度範囲で、又は好ましくは、900~1050℃を含む温度範囲で実施され得る。NOxという用語は、窒素酸化物を、ほとんどの場合NO及びNO2を意味する。
【0060】
好ましくは、前記水素回収ユニットは、圧力変動吸着ユニット又は深冷分離ユニット又は膜分離ユニットである。
【0061】
本発明の実施形態によると、前記アンモニア接触分解工程は、放熱セクション及び対流セクションを備えた炉中で行われる。前記放熱セクションは、好ましくはニッケル系触媒又はルテニウム系触媒又はモリブデン系触媒又はモリブデン、コバルト、及びリチウムが場合によっては添加される白金系触媒を含有する管の束を保持する。
【0062】
本発明の特に興味深い実施形態では、前記炉の前記対流セクションは、前記炉の前記対流セクション中に配置された複数の熱交換器(コイルの列(coil banks))を備える。好ましくは、前記熱交換の少なくとも1つは、蒸気過熱器であり、加えて、廃熱ボイラーコイル及び水沸騰コイルも、炉に一体化され得る。前記炉の前記対流セクションで回収された熱は、前記プロセスにおける熱統合の目的で用いられてよく、又はエネルギー生成のために利用されてもよい。別の選択肢として、熱回収は、前記炉の下流側で達成されてもよい。
【0063】
炉出口部は、水、アンモニア、又は気体の冷流が好ましい冷却媒体で直接急冷され得る。
【0064】
前記冷却プロセスの下流では、好ましくはフラッシュエバポレータで、気相からアンモニア水溶液が分離されてよく、この液体は、前記炉の前記対流セクションで入手可能な熱を用いて専用のカラムで蒸留されてよく、同じ蒸留カラムでアンモニアが回収され得る。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態による水素合成プロセスの模式図である。
【
図2】
図2は、本発明の別の実施形態による水素合成プロセスの模式図である。
【
図3】
図3は、本発明の別の選択肢としての実施形態による水素合成プロセスの模式図である。
【
図4】
図4は、別の実施形態による水素合成プロセスの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
図1は、本発明の第一の実施形態による水素合成プロセスの模式図を示す。
【0067】
液体アンモニア流2は、貯蔵フィードタンク1から引き抜かれ、ポンプ3を介して、第一の予備加熱ユニット6に供給され、それによって、気化された若しくは部分的に気化されたアンモニア流7、又は熱液体アンモニア7が得られる。
【0068】
アンモニア流7は、水8と混合され、第二の予備加熱ユニット9で予備加熱されて水性アンモニア流の気化を完了させ、それによって、アンモニア含有流10が得られる。アンモニア含有流10は、続いて、熱の存在下で接触分解されるために接触分解ユニット11に供給されて、分解流14が得られる。
【0069】
接触分解ユニット11は、典型的には、放熱セクション及び対流セクションを備えた炉を備える。前記放熱セクションは、典型的にはNi系触媒である分解触媒を保持する管の束を備える。
【0070】
吸熱アンモニア分解反応を維持するために必要とされる熱は、予備加熱空気28の存在下での燃料ガス12の燃焼を介して提供される。
【0071】
燃焼補助剤(comburent)として前記接触分解炉に供給される予備加熱空気28は、前記炉の前記対流セクションにあるエアブロワ26から排出されるエアフロー27を予備加熱することによって得られる。前記対流セクションでは、加圧蒸気29も、燃焼済ガス60からの回収熱によって生成される。前記燃焼済ガスは、続いて、脱NOxステージ(図中に示さず)で処理されて、大気中に排気される前にNOxが除去される。
【0072】
典型的には残留アンモニアを保持する熱分解流14は、水17の存在下でスクラビング工程20に供されて、精製ガス流51及び再利用ガス21が得られる。水17は、前記スクラビング工程において、アンモニアの水への高い溶解度を利用することで前記流れからアンモニアを除去するための吸収剤として用いられる。
【0073】
精製ガス流51は、続いて、水素回収工程19に供給されて、高純度水素流22及びテールガス23が得られる。水素流22は、前記水素回収工程から引き抜かれ、水素の需要に応じて貯蔵及び/又は利用される。
【0074】
テールガス23及び再利用ガス21は、続いて、一緒に混合されて、混合流25が得られ、アンモニア分解工程/ユニット11へ戻されて再利用される。
【0075】
図2では、本発明の別の実施形態による水素合成プロセスが表される。
【0076】
図2に表されるプロセスは、熱分解流14によって保持されるアンモニアの含有量が、数ppmのオーダー、好ましくはppbのオーダーである場合に、水素を合成するために利用され得る。
【0077】
この特定の実施形態では、分解流14は、スクラビングステージを通すことなく、水素回収工程19に直接供給される。前記水素回収工程は、圧力変動吸着ユニットで行われる。
【0078】
別の選択肢として、水素は、一連の圧縮及び冷却ステージが実施されることで前記精製ガス流から窒素が除去される深冷ユニットで回収されてもよく、又は、特定の膜を通る水素の選択的透過性が利用される水素膜分離ユニットで回収されてもよい。
【0079】
図3では、前記水素合成プロセスの別の選択肢としての実施形態が示される。
【0080】
アンモニア流7は、加熱ステージ6、51に供され、そこでは、炉11から排出される熱分解流14との熱交換が行われる。加えて、前記アンモニア流は、さらに、前記炉の対流セクションで加熱されて(9)、アンモニア含有流10が得られ、その後、前記炉のアンモニア接触分解工程に供給される。
【0081】
前記炉から排出された後の窒素、水素、及び残留アンモニアを含有する熱分解流14は、水74と混合されて、水が添加された熱分解流75が得られ、それは、熱交換器51及び6でアンモニア流7と熱交換した後、タワー70でさらに空冷されて、冷却流79が得られる。
【0082】
冷却流79は、続いて、フラッシュセパレータ80に送られ、そこでは、アンモニア枯渇ガス流81がアンモニア水溶液82から分離される。
【0083】
アンモニア枯渇流81は、続いて、水素回収工程19に供されて、高純度水素流22及びテールガス23が得られる。
【0084】
水溶液74と熱交換した後(120)、テールガス23は、続いて、接触分解工程11に熱を提供するための燃料として供給される。
【0085】
水素22は、水素回収工程19から引き抜かれ、必要に応じて貯蔵又は利用される。アンモニア水溶液82は、続いて、蒸留ユニット83に送られて、水溶液84からアンモニア流86が分離される。
【0086】
アンモニア流86の第一の部分91は、接触分解工程11に熱を提供するために、前記炉に燃料として再循環され、一方前記アンモニア流の第二の部分92は、アンモニア流7と混合され、続いて、予備加熱後に、前記炉におけるアンモニア接触分解工程11に供給される。
【0087】
水溶液84の一部分87は、前記炉の前記対流セクション中の燃焼済ガス60との間接的な熱移動によって、燃焼済ガス60から熱を回収するために利用される。前記燃焼済ガスは、前記炉から引き抜かれる前に、NOx除去工程131に供される。
【0088】
蒸留ユニット83から得られる水溶液84の第二の部分88は、補充水流17と混合され、熱分解流14に供給される。
【0089】
図4では、本発明の別の選択肢としての実施形態による水素合成プロセスが示される。
【0090】
図中、アンモニアを保持している燃料ガス12が、電気加熱の存在下で分解工程100に供されて、水素及び窒素及び任意に(optionally)未変換アンモニアを保持するガス混合物101が得られることは理解することができる。
【0091】
ガス混合物101は、続いて、テールガス23と混合され、続いて、予備加熱空気28の存在下で燃焼に供されて、接触分解工程11における改質熱が提供される。
【0092】
前記図に表されていない別の選択肢としての実施形態として、電気加熱の存在下で実施される前記分解工程は、前記炉の内部で行うこともできる。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素の接触合成プロセスであって、
a)(任意に(optionally)水(8)が添加された)アンモニア流(7)を、予備加熱工程(9)に供して、アンモニア含有流(10)を得る工程;
b)前記アンモニア含有流(10)を、熱の存在下での接触アンモニア分解工程(11)に供して、窒素及び水素を含有し、また残留アンモニアを含有し得、及び任意に(optionally)水を含有する熱分解流(14)を得る工程;
c)前記熱分解流(14)を、
c1)水素回収工程(19)に供して、高純度水素流(22)及びテールガス(23)を得る工程、
又は
c2)水(17)の存在下でのスクラビング工程(20)に供して、精製ガス流(51)を得て、さらに前記精製ガス流(51)を水素回収工程(19)に供して、高純度水素流(22)及びテールガス(23)を得る工程;
d)前記テールガス(23)の少なくとも一部分を、前記接触アンモニア分解工程(11)のための熱を提供するための燃料として再循環する工程;
e)前記高純度水素流(22)を引き抜く工程、
ここで前記高純度水素流(22)の濃度は95重量%超である;
f)燃料ガス(12)を予備加熱空気(28)の存在下での燃焼に供して、前記接触アンモニア分解工程(11)に改質熱を提供し、燃焼済ガス(60)を得る工程、ここで前記燃料ガス(12)が、アンモニア、又は窒素と水素との混合物、又はアンモニアと窒素と水素との混合物を含む、
を含む、プロセス。
【請求項2】
アンモニアを保持する
前記燃料ガス(12)を、電気加熱の存在下での分解工程(100)に供して、水素及び窒素を保持しまた未変換のアンモニアを保持しうるガス混合物(101)を得る工程、並びに前記ガス混合物(101)をさらに、予備加熱空気(28)の存在下での燃焼に供して、前記接触分解工程(11)における前記改質熱を提供する工程、をさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記分解工程(100)及び前記燃焼が、単一のユニットで行われる、請求項
2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記分解工程(100)に供される前又は燃焼に供される前の前記燃料ガス(12)が、さらに、前記燃焼済ガス(60)から前記燃料ガス(12)へと間接的に熱が移動される熱回収工程に供される、前記いずれかの請求項に記載のプロセス。
【請求項5】
水素の接触合成プロセスであって、
a)アンモニア流(7)を、加熱ステージ(6、51、9)に通して、アンモニア含有流(10)を得る工程;
b)前記アンモニア含有流(10)を、熱の存在下での接触アンモニア分解工程(11)に供して、燃焼済ガス(60)と、窒素、水素、及び残留アンモニアを含有する熱分解流(14)とを得る工程;
c)任意に(optionally)、前記熱分解流を水(74)と混合して、水が添加された熱分解流(75)を得る工程;
d)前記熱分解流(14)又は前記水が添加された熱分解流(75)を、冷却ステージ(51、6、70)に供給して、冷却流(79)を得る工程;
e)前記冷却流(79)を、フラッシュ分離工程(80)に供して、アンモニア枯渇流(81)と、アンモニア流又はアンモニア水溶液(82)とを得て、さらに、前記アンモニア枯渇流(81)を、
e1)水素回収工程(19)に供して、高純度水素流(22)及びテールガス(23)を得る工程、
又は
e2)水(17)の存在下でのスクラビング工程(20)に供して、精製ガス流(51)を得て、さらに前記精製ガス流(51)を水素回収工程(19)に供して、高純度水素流(22)及びテールガス(23)を得る工程;
f)前記テールガス(23)の少なくとも一部分を、前記接触分解工程(11)の熱を提供するための燃料として再循環する工程;
g)前記高純度水素流(22)を引き抜く工程、
を含む、プロセス。
【請求項6】
前記アンモニア接触分解工程のための改質熱が、予備加熱空気(28)の存在下での燃料ガス(12)の燃焼を介して提供される、請求項
5に記載のプロセス。
【請求項7】
アンモニアを保持する燃料ガス(12)を、電気加熱の存在下での分解工程(100)に供して、水素及び窒素及び任意に(optionally)未変換のアンモニアを保持するガス混合物(101)を得る工程、並びに前記ガス混合物(101)をさらに、予備加熱空気(28)の存在下での燃焼に供して、前記接触分解工程(11)における前記改質熱を提供する工程、をさらに含む、請求項
5に記載のプロセス。
【請求項8】
前記いずれかの請求項に記載のプロセスであって、
さらに、
h)前記アンモニア水溶液(82)を、蒸留工程(83)に供して、水溶液(84)からアンモニア流(86)を分離する工程;
i)前記アンモニア流(86)の少なくとも一部分を、前記接触分解工程(11)のための熱を提供するための燃料として再循環する工程;
j)任意に(optionally)、前記アンモニア流(86)の一部分を、工程(a)に再循環して、前記アンモニア流(7)の存在下での前記加熱ステージ(6、51、9)に供する工程;
k)前記水溶液(84)の一部分(87)を前記燃焼済ガス(60)と間接的に接触させることによって、前記燃焼済ガス(60)から熱を回収し、及び熱の回収後の前記水溶液の一部分を、前記蒸留工程(83)に供給して、蒸留熱を提供する工程、
を含む、プロセス。
【請求項9】
前記蒸留工程(83)から得られた前記水溶液(84)の第二の部分(88)を、(任意に(optionally)水補充流(17)を添加して、)前記熱分解流(14)と混合する工程をさらに含む、請求項10に記載のプロセス。
【請求項10】
前記水素精製工程(19)が、圧力変動吸着ユニット又は深冷分離ユニット又は膜精製ユニットによって行われる、前記いずれかの請求項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記高純度水素流(22)
が99重量%超
、好ましくは99.9重量%超の濃度を有する、前記いずれかの請求項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記接触分解工程(11)から排出される前記熱分解流(14)の温度が、400~950℃、好ましくは550~650℃である、前記いずれかの請求項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記接触分解工程(11)が、約5~65バール、好ましくは15バールと30バールとの間の圧力で行われる、前記いずれかの請求項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記燃焼済ガス(60)が、窒素酸化物(NOx)除害工程に供される、前記いずれかの請求項に記載のプロセス。
【請求項15】
請求項1に記載のプロセスに従う水素の製造のためのプラントであって、少なくとも、
・複数の外部から加熱された触媒管、アンモニア含有流(10)を前記管に供給するように配置された投入ライン、及び前記管から熱分解流(14)を回収するように配置された排出ラインを含む、アンモニアの分解に適する炉(11);
・高純度水素流(22)及びテールガス(23)を回収するように構成された水素回収ユニット(19);
・前記水素回収ユニット(19)から分離された前記テールガス(23)の少なくとも一部分を、追加の燃料として用いるために前記炉(11)に再循環するように配置されたライン;
・前記水素回収ユニット(19)から高純度水素流(22)を引き抜くように配置されたライン
、ここで、前記高純度水素流(22)の濃度は95重量%超である
、
を備え、
燃料ガス(12)が予備加熱空気(28)の存在下で燃焼に供されて、炉(11)における改質熱を提供し、また燃焼済ガス(60)が得られ、ここで前記燃料ガス(12)は、アンモニア、又は窒素と水素との混合物、又はアンモニアと窒素と水素との混合物を含む、
プラント。
【請求項16】
請求項
15に記載のプラントであって、
さらに、
・前記熱分解流(14)からアンモニアを回収して、精製ガス流(51)及び再利用ガス(21)を得るように構成された精製ユニット(20);
・前記再利用ガス(21)の少なくとも一部分を前記炉(11)に供給するように配置されたライン、
を備えた、プラント。
【請求項17】
アンモニアを保持する燃料ガスを分解するように構成された電気分解ユニット(100)をさらに備え、
前記電気分解ユニットは、前記炉の上に配置され、ガスフローラインによって前記炉と流体連通している、
又は
前記電気分解ユニットは、前記炉の内部に配置され、前記燃料ガスを燃焼前に分解するように構成されている、
請求項
15又は請求項
16に記載のプラント。
【請求項18】
請求項
5に記載のプロセスに従う水素の製造のためのプラントであって、少なくとも、
複数の外部から加熱された触媒管、アンモニア含有流(10)を前記管に供給するように配置された投入ライン、及び前記管から熱分解流(14)を回収するように配置された排出ラインを含む、アンモニアの分解に適する炉(11);
任意に(optionally)、前記熱分解流(14)を回収するように配置された前記排出ラインに水を供給するように構成されたライン;
前記排出ラインと連通し、アンモニア枯渇ガス流(81)からアンモニア流又はアンモニア水溶液(82)を分離するように構成されたフラッシュセパレータユニット(80);
前記フラッシュセパレータと流体連通し、高純度水素流(22)及びテールガス(23)を回収するように構成された水素回収ユニット(19);
前記水素回収ユニット(19)から分離された前記テールガス(23)の少なくとも一部分を、追加の燃料として用いるために前記炉(11)に再循環するように配置されたライン;
前記水素回収ユニット(19)から高純度水素流(22)を引き抜くように配置されたライン、
を備えた、プラント。
【請求項19】
請求項
18に記載のプラントであって、
さらに、
前記アンモニア水溶液中の水からアンモニアを分離するように構成された蒸留ユニット(83);
前記フラッシュセパレータユニット(80)を前記蒸留ユニット(83)へ接続し、前記アンモニア水溶液(82)を前記蒸留ユニット(83)へ運ぶように構成されたライン;
前記蒸留ユニット(83)を前記炉(11)へ接続するガスフローライン;
水流によって前記炉中の前記燃焼済ガスから熱を回収するように構成された熱交換セクション;
前記蒸留ユニットを前記熱交換セクションへ接続し、前記炉と前記蒸留ユニットとの間での熱統合の目的で利用するために前記水流を運ぶように構成されたライン、
を備えた、プラント。
【請求項20】
前記炉が、窒素酸化物NOxを除去するためのユニットを、好ましくはSCRユニットをさらに含む、前記いずれかの請求項に記載のプラント。
【請求項21】
前記水素回収ユニットが、圧力変動吸着ユニット、深冷分離ユニット、膜分離ユニットのうちの1つである、前記いずれかの請求項に記載のプラント。
【国際調査報告】