(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-03
(54)【発明の名称】極超音速飛翔体の軌跡追跡方法
(51)【国際特許分類】
G01S 13/72 20060101AFI20240527BHJP
【FI】
G01S13/72
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571442
(86)(22)【出願日】2021-09-24
(85)【翻訳文提出日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 CN2021120052
(87)【国際公開番号】W WO2022241991
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】202110536797.7
(32)【優先日】2021-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514112868
【氏名又は名称】北京理工大学
(74)【代理人】
【識別番号】100178434
【氏名又は名称】李 じゅん
(72)【発明者】
【氏名】王 偉
(72)【発明者】
【氏名】朱 澤軍
(72)【発明者】
【氏名】楊 ▲せい▼
(72)【発明者】
【氏名】潘 政雨
(72)【発明者】
【氏名】令狐 美▲き▼
(72)【発明者】
【氏名】林 徳福
(72)【発明者】
【氏名】王 江
(72)【発明者】
【氏名】王 輝
(72)【発明者】
【氏名】紀 毅
(72)【発明者】
【氏名】王 雨辰
(72)【発明者】
【氏名】劉 佳▲き▼
(72)【発明者】
【氏名】陳 柏霖
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AC02
5J070AC06
5J070AC12
5J070AC13
5J070AE04
5J070AF01
5J070BB04
5J070BB06
(57)【要約】
本発明は極超音速飛翔体の軌跡追跡方法を提供し、該方法において、レーダ付きの検出ステーションによって極超音速飛翔体を検出し、検出によって極超音速飛翔体を発見した後、一定期間内に一定数のサンプリング点を連続的に選択し、各サンプリング点の時刻に対応して目標状態情報を取得することで、一定期間内の極超音速飛翔体の運動規則を形成し、後続の根拠のある研究又は軌跡予測にデータ基礎を提供し、その中、各サンプリング点においていずれも複数の可能な目標状態を推定演算し、仮想目標状態と称し、レーダの実際の検出により得られた方位角と仮想目標状態に対応する方位角との間の比較関係により、偏差が大きすぎる仮想目標状態を除去し、偏差が小さい仮想目標状態を増加することで、新たな仮想目標状態群を形成し、新たな仮想目標状態群の加重平均により該サンプリング点に対応する検出結果、すなわち検出された目標状態を得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出ステーションを配置し、検出ステーションによって領域内に極超音速飛翔体である目標が存在するか否かを検出し続けるステップ1と、
目標を発見した後、初期の目標状態を与え、かつサンプリング点を選択し、サンプリングを開始し、検出ステーションによって検出して得られた、目標がENU座標系において検出ステーションに対する2つの方位角を含む観測値を得るステップ2と、
各サンプリング点においていずれも初期の目標状態に基づいて複数の仮想目標状態を推定するステップ3と、
各サンプリング点の観測値に基づいて該サンプリング点の仮想目標状態をリサンプリングするステップ4と、
リサンプリングにより得られた仮想目標状態に基づいて該サンプリング点に対応する目標状態を確定するステップ5と、
を含む
ことを特徴とする極超音速飛翔体の軌跡追跡方法。
【請求項2】
ステップ3において、各仮想目標状態はいずれも下記の数式(一)で推定される
【数1】
・・・(一)
式中、X(k)は仮想目標状態を表し、
X(0)は初期の目標状態を表し、
B(k-1)は目標の機動加速度を表し、
W(k)はプロセスノイズを表し、
ΦとГはともに行列係数を表す
ことを特徴とする請求項1に記載の極超音速飛翔体の軌跡追跡方法。
【請求項3】
仮想目標状態を推定する時、前記目標の機動加速度B(k-1)の値は、
【数2】
式中、x
bは20m/s
2から40m/s
2の任意の数をランダムに選択し、
y
bは7m/s
2から13m/s
2の任意の数をランダムに選択し、
z
bは20m/s
2から40m/s
2の任意の数をランダムに選択する
ことを特徴とする請求項2に記載の極超音速飛翔体の軌跡追跡方法。
【請求項4】
仮想目標状態を推定する時、前記プロセスノイズW(k)の値は、
【数3】
式中、S
1、S
2、S
3、S
4、S
5及びS
6はいずれも平均値が0、分散が1、標準偏差が1である正規分布に従う乱数である
ことを特徴とする請求項2に記載の極超音速飛翔体の軌跡追跡方法。
【請求項5】
行列係数ΦとГは下記の数式(二)と数式(三)で得られる
【数4】
…(二)
…(三)
式中、Tはサンプリング周期を表す
ことを特徴とする請求項2に記載の極超音速飛翔体の軌跡追跡方法。
【請求項6】
前記ステップ4は、
各仮想目標状態がENU座標系において検出ステーションに対する2つの方位角をそれぞれ推定演算するサブステップ1と、
仮想目標状態の2つの方位角と観測値のうちの2つの方位角との差を求め、かつ2つの差値の平方根を求めるサブステップ2と、
各仮想目標状態の平方根をガウス分布関数に代入し、各仮想目標状態の重みを得るサブステップ3と、
重みの小さい仮想目標状態を削除し、重みの大きい仮想目標状態をコピーし、総仮想目標状態数を一致に保持させることで、仮想目標状態のリサンプリングを完了するサブステップ4と、
を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の極超音速飛翔体の軌跡追跡方法。
【請求項7】
ステップ5において、サンプリング点においてリサンプリングして得られた全ての仮想目標状態を加重平均することにより、該サンプリング点に対応する目標状態を得る
ことを特徴とする請求項1に記載の極超音速飛翔体の軌跡追跡方法。
【請求項8】
前記検出ステーションが1つだけ設置されている場合、ステップ5で得られた各サンプリング点に対応する目標状態が目標に対する追跡結果であり、
前記検出ステーションが複数設置されている場合、複数の検出ステーション間で同一のサンプリング点で得られた目標状態の平均値が目標に対する検出結果である
ことを特徴とする請求項1に記載の極超音速飛翔体の軌跡追跡方法。
【請求項9】
前記サンプリング点は、50個以上設置されており、好ましくは100個設置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の極超音速飛翔体の軌跡追跡方法。
【請求項10】
各サンプリング点に設置された仮想目標状態数はいずれも一致し、好ましくは、各サンプリング点に設置された仮想目標状態数は100個以上であり、より好ましくは、各サンプリング点に10000個の仮想目標状態が設置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の極超音速飛翔体の軌跡追跡方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、協力タイプでない極超音速飛翔体の防衛迎撃技術分野に関し、具体的には極超音速飛翔体の軌跡追跡方法に関する。
【背景技術】
【0002】
極超音速飛翔体軌跡の予測を実現するために、どのような方法であっても目標の運動状態又は空気圧パラメータを利用する必要があるが、これらのデータは目標に対する追跡に由来し、すなわち該極超音速飛翔体の一定時間内における状態変化状況に由来し、これはまず極超音速飛翔体の状態情報を取得することが求められる。
【0003】
前記極超音速飛翔体は一般的に飛行速度が5倍の音速以上の飛翔体を指し、その飛行速度が高すぎるため、従来のレーダ検出等の方式は、具体的な距離を推定演算して取得する時に、大きな誤差が生じ、検出結果が理想的ではなく、より正確な極超音速飛翔体の運動軌跡を取得できる追跡・推定演算方法が急務となっている。同時に、該方法もリアルタイム性に高い要求を有し、即時に推定演算結果を取得する必要がある。
【0004】
上記課題に対し、本発明者は従来の極超音速飛翔体の追跡方法を鋭意に研究し、上記課題を解決することができる新規な追跡方法の設計を望んでいる。
【発明の概要】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明者は鋭意に研究し、極超音速飛翔体の追跡方法を設計し、該方法において、レーダ付きの検出ステーションによって極超音速飛翔体を検出し、検出によって極超音速飛翔体を発見した後、一定期間内に一定数のサンプリング点を連続的に選択し、各サンプリング点の時刻に対応して目標状態情報を取得することで、一定期間内の極超音速飛翔体の運動規則を形成し、後続の根拠のある研究又は軌跡予測にデータ基礎を提供し、その中、各サンプリング点においていずれも複数の可能な目標状態を推定演算し、仮想目標状態と称し、レーダの実際の検出により得られた方位角と仮想目標状態に対応する方位角との間の比較関係により、偏差が大きすぎる仮想目標状態を除去し、偏差が小さい仮想目標状態を増加することで、新たな仮想目標状態群を形成し、新たな仮想目標状態群の加重平均により該サンプリング点に対応する検出結果、すなわち追従された目標状態を得て、本発明を成し遂げた。
【0006】
本発明の目的は、仮想目標状態フィルタに基づく極超音速飛翔体の軌跡追跡方法をを提供することにあり、該方法は、
検出ステーションを配置し、検出ステーションによって領域内に極超音速飛翔体である目標が存在するか否かを検出し続けるステップ1と、
目標を発見した後、初期の目標状態を与え、かつサンプリング点を選択し、サンプリングを開始し、検出ステーションによって検出して得られた、目標がENU座標系において検出ステーションに対する2つの方位角を含む観測値を得るステップ2と、
各サンプリング点においていずれも初期の目標状態に基づいて複数の仮想目標状態を推定するステップ3と、
各サンプリング点の観測値に基づいて該サンプリング点の仮想目標状態をリサンプリングするステップ4と、
リサンプリングにより得られた仮想目標状態に基づいて該サンプリング点に対応する目標状態を確定するステップ5と、を含む。
その中、ステップ3において、各仮想目標状態はいずれも下記の数式(一)で推定される
【数1】
…(一)
式中、X(k)は仮想目標状態を表し、
X(0)は初期の目標状態を表し、
B(k-1)は目標の機動加速度を表し、
W(k)はプロセスノイズを表し、
ΦとГはともに行列係数を表す。
その中、仮想目標状態を推定する時、前記目標の機動加速度B(k-1)の値は、
【数2】
式中、x
bは20m/s
2から40m/s
2の任意の数をランダムに選択し、
y
bは7m/s
2から13m/s
2の任意の数をランダムに選択し、
z
bは20m/s
2から40m/s
2の任意の数をランダムに選択する。
【0007】
その中、仮想目標状態を推定する時、前記プロセスノイズW(k)の値は、
【数3】
式中、S
1、S
2、S
3、S
4、S
5及びS
6はいずれも平均値が0、分散が1、標準偏差が1である正規分布に従う乱数である。
その中、行列係数ΦとГは下記の数式(二)と数式(三)で得られる
【数4】
・・・(二)
・・・(三)
式中、Tはサンプリング周期を表す。
【0008】
その中、前記ステップ4は、
各仮想目標状態がENU座標系において検出ステーションに対する2つの方位角をそれぞれ推定演算するサブステップ1と、
仮想目標状態の2つの方位角と観測値のうちの2つの方位角との差を求め、かつ2つの差値の平方根を求めるサブステップ2と、
各仮想目標状態の平方根をガウス分布関数に代入し、各仮想目標状態の重みを得るサブステップ3と、
重みの小さい仮想目標状態を削除し、重みの大きい仮想目標状態をコピーし、総仮想目標状態数を一致に保持させることで、仮想目標状態のリサンプリングを完了するサブステップ4と、を含む。
【0009】
その中、ステップ5において、サンプリング点においてリサンプリングして得られた全ての仮想目標状態を加重平均することにより、該サンプリング点に対応する目標状態を得る。
【0010】
その中、前記検出ステーションが1つだけ設置されている場合、ステップ5で得られた各サンプリング点に対応する目標状態が目標に対する追跡結果であり、
前記検出ステーションが複数設置されている場合、複数の検出ステーション間で同一のサンプリング点で得られた目標状態の平均値が目標に対する検出結果である。
【0011】
その中、前記サンプリング点は、50個以上設置されており、好ましくは100個設置されている。
【0012】
その中、各サンプリング点に設置された仮想目標状態数はいずれも一致し、好ましくは、各サンプリング点に設置された仮想目標状態数は100個以上であり、より好ましくは、各サンプリング点に10000個の仮想目標状態が設置されている。
【0013】
(1)本発明の提供する極超音速飛翔体の軌跡追跡方法は、極超音速飛翔体に対するリアルタイム監視・追跡を実現し、その運動状態情報をリアルタイムで取得することができ、そのデータ取得速度が速く、リアルタイム性を達成することができ、その取得したデータの正確性が高く、信頼性が高い。
【0014】
(2)本発明の提供する極超音速飛翔体の軌跡追跡方法は、その中、同一の検出ステーションにおいて、異なるサンプリング点で得られた仮想目標状態はいずれも同じ初期目標状態に基づくものであり、演算量を低減させ、演算過程を簡略化させることができる。同時に、仮想目標状態の演算過程においてプロセスノイズを10倍拡大するため、仮想目標状態のカバー範囲が十分に広く、初期目標状態による初期誤差を相殺し、追跡結果を正確かつ即時にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の好適な実施形態における、極超音速飛翔体の軌跡追跡方法の全体構成を示す論理図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施例1における実軌跡と測定軌跡を示す模式図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施例1における追従誤差の変化状況を示す模式図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施例1における演算時間の変化状況を示す模式図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施例2における実軌跡と測定軌跡を示す模式図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施例2における追従誤差の変化状況を示す模式図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施例2における演算時間の変化状況を示す模式図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施例3における実軌跡と測定軌跡を示す模式図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施例3における追従誤差の変化状況を示す模式図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施例3における演算時間の変化状況を示す模式図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施例4における実軌跡と測定軌跡を示す模式図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施例4における追従誤差の変化状況を示す模式図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施例4における演算時間の変化状況を示す模式図である。
【
図14】
図14は、本発明の実施例5における実軌跡と測定軌跡を示す模式図である。
【
図15】本発明の実施例5における追従誤差の変化状況を示す模式図である。
【
図16】
図16は、本発明の実施例5における演算時間の変化状況を示す模式図である。
【
図17】
図17は、本発明の実施例6における実軌跡と測定軌跡を示す模式図である。
【
図18】
図18は、本発明の実施例6における追従誤差の変化状況を示す模式図である。
【
図19】
図19は、本発明の実施例6における演算時間の変化状況を示す模式図である。
【
図20】
図20は、本発明の実施例7における実軌跡と測定軌跡を示す模式図である。
【
図21】
図21は、本発明の実施例7における追従誤差の変化状況を示す模式図である。
【
図22】
図22は、本発明の実施例7における東座標方向の変位と速度の変化状況図を示す模式図である。
【
図23】
図23は、本発明の実施例7における北座標方向の変位と速度の変化状況図を示す模式図である。
【
図24】
図24は、本発明の実施例7における上座標方向の変位と速度の変化状況を示す模式図である。
【
図25】
図25は、本発明の実施例7における演算時間の変化状況を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面及び好適な実施形態によって本発明をさらに詳しく説明する。これらの説明により、本発明の特徴及び利点がより明瞭かつ明確になる。
【0017】
本発明は仮想目標状態フィルタに基づく極超音速飛翔体の軌跡追跡方法を提供し、
図1に示すように、該方法は以下のステップを含む:
検出ステーションを配置し、検出ステーションによって領域内に極超音速飛翔体である目標が存在するか否かを検出し続けるステップ1
本願に記載の極超音速飛翔体とは、飛行速度が5マッハ以上の飛翔体を指す。本願において各検出ステーションの座標位置はいずれも既知であり、前記検出ステーションはレーダ検出器を含み、すなわちレーダによって目標をリアルタイムで検出し、目標を発見し且つ方位角を取得し、レーダによらず目標状態を直接読み取ることで、従来のレーダが高速物体距離を読み取る時に誤差が大きすぎるという欠陥を回避する。
【0018】
目標を発見した後、初期の目標状態を与え、かつサンプリング点を選択し、サンプリングを開始し、観測値を得るステップ2
本願に記載の状態は位置及び速度を含み、目標状態はすなわち目標の位置及び速度であり、位置及び速度はいずれもENU座標系において3つの成分を有するため、該目標状態は下記の行列として表すことができる:
【数5】
式中、x
p(k)はENU座標系における東方の位置成分を示し、
x
v(k)はENU座標系における東方の速度成分を示し、
y
p(k)はENU座標系における北方の位置成分を示し、
y
v(k)はENU座標系における北方の速度成分を示し、
z
p(k)はENU座標系における上方の位置成分を示し、
z
v(k)はENU座標系における上方の速度成分を示す。
【0019】
本願に記載のサンプリング点は時間概念であり、目標を発見した後、一つのサンプリング周期Tおきに一回のサンプリングを行い、さらに一つのサンプリング周期Tを経過した後に再びサンプリングを行い、サンプリングの総回数がMであれば、総サンプリング時間はT合計=M×Tであり、前記サンプリングは検出ステーションによって観測して観測値を得ることを含み、さらに仮想目標位置を推定することを含む。
【0020】
前記観測値は、検出ステーションによって検出して目標がENU座標系において検出ステーションに対する2つの方位角を得ることを含み、具体的に、一方の方位角がピッチ角θ(k)であり、他方の方位角が針路角Ф(k)である。
【0021】
前記初期目標状態は極超音速飛翔体の速度特徴に基づいて与えられた一組のランダム目標状態である。
【0022】
各サンプリング点においていずれも初期の目標状態に基づいて複数の仮想目標状態を推定するステップ3
本願において、各仮想目標状態は一つの仮想の実際に存在しない推定値であり、それは具体的に一つの可能な目標状態であり、速度情報及び位置情報を含む行列データであり、その位置情報が基本的に真の目標位置の周囲に分布する。
【0023】
ステップ3において、各仮想目標状態はいずれも下記の数式(一)で推定される
【数6】
・・・(一)
式中、X(k)は仮想目標状態を表し、
X(0)は初期の目標状態を表し、
B(k-1)は目標の機動加速度を表し、
W(k)はプロセスノイズを表し、
ΦとГはともに行列係数を表す。
【0024】
仮想目標状態を推定する時、前記目標の機動加速度B(k-1)の値は、
【数7】
式中、x
bは20m/s
2から40m/s
2の任意の数をランダムに選択し、
y
bは7m/s
2から13m/s
2の任意の数をランダムに選択し、
z
bは20m/s
2から40m/s
2の任意の数をランダムに選択する。
仮想目標状態を推定する時、前記プロセスノイズW(k)の値は、
【数8】
式中、S
1、S
2、S
3、S
4、S
5及びS
6はいずれも平均値が0、分散が1、標準偏差が1である正規分布に従う乱数である。
【0025】
行列係数ΦとГは下記の数式(二)と式(三)で得られる
【数9】
・・・(二)
・・・(三)
式中、Tはサンプリング周期を表す。
【0026】
各サンプリング点の観測値に基づいて該サンプリング点の仮想目標状態をリサンプリングするステップ4
前記ステップ4は、下記のサブステップを含む:
サブステップ1、各仮想目標状態がENU座標系において検出ステーションに対する2つの方位角すなわち仮想目標状態方位角をそれぞれ推定演算する。該方位角の推定演算は、主に仮想目標状態における目標座標と検出ステーションの座標を呼び出すことによって行われる。
【0027】
サブステップ2、仮想目標状態の2つの方位角と観測値のうちの2つの方位角との差を求め、かつ2つの差値の平方根を求める。すなわち仮想目標状態のピッチ角と観測値のピッチ角との差を求めて一つの差値を得、仮想目標状態の針路角と観測値の針路角との差を求めてもう一つの差値を得、さらに2つの差値の平方根を求める。
【0028】
サブステップ3、各仮想目標状態の平方根をガウス分布関数に代入し、各仮想目標状態の重みを得る。前記ガウス分布関数において、
【数10】
ここでRは観測距離の平均分散を表し、R=0.01×π/180、
はRの行列式を表し、z
3(k)kはk番目の仮想目標状態の角度平方根を表し、10
-99は調整係数である。
【0029】
サブステップ4、重みの小さい仮想目標状態を削除し、重みの大きい仮想目標状態をコピーし、総仮想目標状態数を一致に保持させることで、仮想目標状態のリサンプリングを完了する。
【0030】
ここで、サブステップ4において、具体的な臨界値を設定することにより重みの大きさを判断し、且つ削除される必要のある仮想目標状態数に基づいて具体的なコピー条件を設定することができる。
【0031】
好ましくは、さらにサブステップ4において下記の操作を実行することができる:
サブステップ1、各仮想目標状態の重みをサンプリング点における全ての仮想目標状態の重みの総和で割ることにより各仮想目標状態の正規化重みを得る。
【0032】
サブステップ2、cumsum()関数によって各仮想目標状態の正規化重みを積算し、同時にrand関数によって一組のN個の乱数からなる乱数列を生成し、各数はいずれも0~1の間にあり、かつsort関数を利用して昇順配列を完了する。前記Nは該サンプリング点の仮想目標状態数である。よって二重ラウンド関数を構築する。
【0033】
サブステップ3、二重ラウンド関数において、重み積算数列cdfの列数は外ラウンドである。その内ラウンドは、乱数列の列数であるポインタ数が仮想目標状態数以下であり且つ乱数列の対応する列数の要素が重み累積数列cdfの対応する列数の要素より小さい場合、cdfに対応する重み累積数列の列数を出力インデックス関数outIndexにコピーし、且つそのポインタ数に1だけ加算するものであり、具体的に、乱数列の対応する列数の要素が重み累積数列cdfの対応する列数の要素より小さい場合、即ち重み累積数列cdfの対応する列数の要素の重みの大きさが1つの乱数を収容することができることを表し、該重みの大きい仮想目標状態の位置する列位置を記録し、後続の呼び出しに供する。
【0034】
サブステップ4、二重ラウンド関数の推定演算を完了した後、出力インデックス関数outIndexに対して列操作を行うことにより、新たな仮想目標状態の組み合わせを得ることができ、よって仮想目標状態のリサンプリング操作を完了する。
【0035】
その中、二重ラウンド関数において、重みの大きい仮想目標状態は重み累積数列cdfにおいて前の列の数値との差が大きいと、乱数列の要素との比較において繰り返し行われることができ、これにより該仮想目標状態が存在する列数がoutIndex関数に複数回コピーされることとなる。同時に、重みの小さい仮想目標状態は出力インデックス関数outIndexにコピーされないか、又はコピーが極めて少なく、リサンプリング過程においてポインタ数がないため、リサンプリングして得られた仮想目標状態に該重みの小さいポインタ数のない仮想目標状態が含まれなくなる。最終的な仮想目標状態の総数は変わらず、Nのままである。
【0036】
本願において、重みを正規化することでN個の仮想目標状態の重みを得、我々は重み数列と呼ばれ、それらの配列は行列において乱雑である。cumsum()関数の意味として、Aがベクトルであれば、cumsum(A)はAの1行目からm行目までの全ての要素の積算和をm行目の要素とするベクトルを返す。重み数列はcumsum(A)関数の演算により重み累積数列cdfとなる。
【0037】
本願において前記二重ラウンド関数はラウンド形式であり、プログラムにおいて二重ループのループ文を指す。
【0038】
ステップ5、リサンプリングにより得られた仮想目標状態に基づいて該サンプリング点に対応する目標状態を確定する。
ステップ5において、サンプリング点においてリサンプリングして得られた全ての仮想目標状態を加重平均することにより、該サンプリング点に対応する目標状態を得る。
【0039】
前記検出ステーションが1つだけ設置されている場合、ステップ5で得られた各サンプリング点に対応する目標状態が目標に対する追跡結果であり、
前記検出ステーションが複数設置されている場合、複数の検出ステーション間で同一のサンプリング点で得られた目標状態の平均値が目標に対する検出結果である。
【0040】
実際の動作過程において、各検出ステーション間の情報伝達、すなわち同期問題のため、複数の検出ステーションにおける絶対時間が互いに最も近い2つのサンプリング点を同一のサンプリング点と認定することができる。
【0041】
前記サンプリング点は、50個以上設置されており、好ましくは100個設置されている。
【0042】
各サンプリング点に設置された仮想目標状態数はいずれも一致し、好ましくは、各サンプリング点に設置された仮想目標状態数は100個以上であり、より好ましくは、各サンプリング点に10000個の仮想目標状態が設置されている。
【実施例1】
【0043】
機動加速度の目標に対する影響を考慮しない場合、目標の極超音速飛行時の状態のみを観察し、すなわち目標の機動加速度を0にデフォルトし、且つ初期速度を5倍の音速程度とする。
【0044】
目標の東北上の3つの方向における所定の初期速度がそれぞれ、Vx=1000m/s、Vy=900m/s、Vz=1040m/sとされ、合速度が1700.47とされ、所定の初期位置がx0=1m、y0=20m、z0=10mとされる。
【0045】
検出ステーションに346型のアクティブフェーズドアレイレーダが設けられ、サンプリング点数がM=100とされ、サンプリング周期がT=1sとされる。
【0046】
検出ステーションが1つだけ設けられ、且つその各サンプリング点における仮想目標状態数がN=100とされ、具体的な処理手順は以下のとおりである:
ステップ1、検出ステーションが目標を発見した後、初期目標状態を与え、すなわち、東北上の3つの方向の初期速度がそれぞれ、Vx=1000m/s、 Vy=900m/s、Vz=1000m/sとされ、所定の初期位置がx0=0m、y0=0m、z0=0mとされる。
【0047】
ステップ2、周期がT=1sとされ、100個のサンプリング点を設置し、検出ステーションによって検出して各サンプリング点において目標がENU座標系において検出ステーションに対する2つの方位角を得る。
【0048】
ステップ3、各サンプリング点においていずれも下記の数式(一)で100個の仮想目標状態を推定する。
【数11】
・・・(一)
式中、X(k)は仮想目標状態を表し、X(0)は初期の目標状態を表し、W(k)はプロセスノイズを表し、ΦとГはともに行列係数を表す。
【0049】
ステップ4、各サンプリング点の観測値に基づいて該サンプリング点の仮想目標状態をリサンプリングする。
【0050】
具体的に、まず、各仮想目標状態がENU座標系において検出ステーションに対する2つの方位角をそれぞれ推定演算する。
【0051】
その次、仮想目標状態の2つの方位角と観測値のうちの2つの方位角との差を求め、かつ2つの差値の平方根を求める。
【0052】
さらに、各仮想目標状態の平方根をガウス分布関数に代入し、各仮想目標状態の重みを得る。
【0053】
最後に、重みの大きい仮想目標状態が複数回インデックスされ、重みの小さい仮想目標状態が少量インデックスされるか、又はインデックス量が0となり、総仮想目標状態数を一致に保持させることで、仮想目標状態のリサンプリングを完了する。
【0054】
ステップ5、リサンプリングして得られた仮想目標状態の加重平均値を該サンプリング点を決定することに対応する測定目標状態とする。
【0055】
得られた目標の総サンプリングT
総=M×T時間内、即ち100秒内の実軌跡及び測定軌跡は
図2に示すように、その中、赤色の実線が目標実軌跡を表し、青色の破線が測定軌跡を表す。
【0056】
また、
図3は、100秒内の追従誤差の変化状況を示しており、
図4は、サンプリング周期毎における測定目標状態の演算に要する時間の変化状況を示している。
【0057】
以上の結果から、目標の最終飛行位置はx末=98500m、y末=88450m、z末=102500mであり、初期位置からの距離は167410.0mであり、誤差最大値は11200mであり、最大追従誤差率は6.69%であり、単位サンプリング周期内で測定目標状態を得るのに要する時間は0.0049s程度に変動していることが分かる。
【0058】
追跡誤差は最初の60個のサンプリング点でほぼ一定に保たれ、全体として2000mを超えないか、又は2000mに保たれるが、その後の誤差は急増し、且つ全体として上昇傾向を示し、これは目標飛行が直前の時刻の状態及びランダム誤差の影響を受けるためであるが、本願における検出方法は初期状態のみに基づいてランダム誤差の数倍の範囲内で追跡を行うものであり、模擬飛行前期の目標の累積誤差が大きくなく且つ仮想目標状態のフィルタリング誤差の範囲内にあるため、追跡結果は良好であるが、時間の経過とともに、累積誤差は仮想目標状態のフィルタリング誤差の範囲よりも大きくなり、仮想目標状態は範囲内の最大偏差値を取るにもかかわらず、実際の状態との誤差が大きいため、誤差は時間の経過とともに上昇傾向を示す。サンプリング点50~60での周期誤差もスナップバック現象を示し、目標のランダム誤差が反転し、仮想目標状態のフィルタリング範囲に目標飛行状態範囲が含まれることとなり、それにゆえに低下傾向になる。また、仮想目標状態数は100をとり、あるサンプリング点の時刻における目標状態の近傍を完全にカバーできないため、パーティクル数が100の場合、誤差が小さくなる確率があるが、誤差が大きくなる場合が多い。
【実施例2】
【0059】
各サンプリング点に1000個の仮想目標状態を設置する以外は、実施例1と実質的に同一の実験手順を使用して、実施例1と実質的に同一の実験条件を設定する。
【0060】
得られた目標の総サンプリングT
総=M×T時間内、即ち100秒内の実軌跡及び測定軌跡は
図5に示すように、その中、赤色の実線が目標実軌跡を表し、青色の破線が測定軌跡を表す。
【0061】
また、
図6は、100秒内の追従誤差の変化状況を示しており、
図7は、サンプリング周期毎における測定目標状態の演算に要する時間の変化状況を示している。
【0062】
以上の結果から、目標の最終飛行位置はx末=98250m、y末=88630m、z末=102500mであり、初期位置からの距離は167358.3mであり、誤差最大値は4134mであり、最大追従誤差率は2.47%であり、単位サンプリング周期内で測定目標状態を得るのに要する時間は0.042s程度に変動していることが分かる。
【0063】
追従誤差は全体的に上昇傾向となり、1000個のパーティクルによる同時刻状態に対するシミュレーション効果は依然として望ましくない。
【実施例3】
【0064】
各サンプリング点に10000個の仮想目標状態を設置する以外は、実施例1と実質的に同一の実験手順を使用して、実施例1と実質的に同一の実験条件を設定する。
【0065】
得られた目標の総サンプリングT
総=M×T時間内、即ち100秒内の実軌跡及び測定軌跡は
図8に示すように、その中、赤色の実線が目標実軌跡を表し、青色の破線が測定軌跡を表す。
【0066】
また、
図9は、100秒内の追従誤差の変化状況を示しており、
図10は、サンプリング周期毎における測定目標状態の演算に要する時間の変化状況を示している。
【0067】
以上の結果から、目標の最終飛行位置はx末=99840m、y末=89590m、z末=103600mであり、初期位置からの距離は169474.2mであり、誤差最大値は2277mであり、最大追従誤差率は1.34%であり、単位サンプリング周期内で測定目標状態を得るのに要する時間は0.42s程度に変動していることが分かる。
【0068】
パーティクル数が10000の場合は全体誤差も上昇する傾向にあるが、ほとんどのサンプリング点での誤差は1000m以内に収まっており、N=100及びN=1000と比較すると、パーティクル数が多いほど、追跡距離の差が小さくなり、追跡精度が高いという結論に達することができる。しかし、誤差の累積の現れは依然としてあり、理論上は、パーティクル擬似ランダム誤差と目標状態ランダム誤差との比が高いほど、仮想目標状態数を十分に多く取る場合、追従誤差を大幅に低減することができる。しかし、N=100、1000及び10000の場合は、1ステップの演算時間がそれぞれ、0.0049s、0.042s、0.40sとなり、すなわち次第に演算時間が増大していくので、実際の追跡中では、ハードウェアの演算能力、誤差倍率及び追跡効果等を総合的に考慮して、仮想目標状態数を10000とする総合的なコスト比が最も高い。
【実施例4】
【0069】
2つの検出ステーション間で同一のサンプリング点で得られた目標状態の平均値が目標に対する検出結果、すなわち測定目標状態である2つの検出ステーションを設置する以外は、実施例2と実質的に同一の実験手順を使用して、実施例2と実質的に同一の実験条件を設定する。
【0070】
得られた目標の総サンプリングT
総=M×T時間内、即ち100秒内の実軌跡及び測定軌跡は
図11に示すように、その中、赤色の実線が目標実軌跡を表し、青色の破線が測定軌跡を表す。
【0071】
また、
図12は、100秒内の追従誤差の変化状況を示しており、
図13は、サンプリング周期毎における測定目標状態の演算に要する時間の変化状況を示している。
【0072】
以上の結果から、目標の最終飛行位置はx末=99310m、y末=90240m、z末=103200mであり、初期位置からの距離は169263.4mであり、誤差最大値は2998mであり、最大追従誤差率は1.77%であり、単位サンプリング周期内で測定目標状態を得るのに要する時間は0.1s程度に変動していることが分かる。
【実施例5】
【0073】
4つの検出ステーション間で同一のサンプリング点で得られた目標状態の平均値が目標に対する検出結果、すなわち測定目標状態である4つの検出ステーションを設置する以外は、実施例4と実質的に同一の実験手順を使用して、実施例4と実質的に同一の実験条件を設定する。
【0074】
得られた目標の総サンプリングT
総=M×T時間内、即ち100秒内の実軌跡及び測定軌跡は
図14に示すように、その中、赤色の実線が目標実軌跡を表し、青色の破線が測定軌跡を表す。
【0075】
また、
図15は、100秒内の追従誤差の変化状況を示しており、
図16は、サンプリング周期毎における測定目標状態の演算に要する時間の変化状況を示している。
【0076】
以上の結果から、目標の最終飛行位置はx末=98800m、y末=89570m、z末=103400mであり、初期位置からの距離は168730.4mであり、誤差最大値は1215mであり、最大追従誤差率は0.72%であり、単位サンプリング周期内で測定目標状態を得るのに要する時間は0.2s程度に変動していることが分かる。
【実施例6】
【0077】
6つの検出ステーション間で同一のサンプリング点で得られた目標状態の平均値が目標に対する検出結果、すなわち測定目標状態である6つの検出ステーションを設置する以外は、実施例4と実質的に同一の実験手順を使用して、実施例4と実質的に同一の実験条件を設定する。
【0078】
得られた目標の総サンプリングT
総=M×T時間内、即ち100秒内の実軌跡及び測定軌跡は
図17に示すように、その中、赤色の実線が目標実軌跡を表し、青色の破線が測定軌跡を表す。
【0079】
また、
図18は、100秒内の追従誤差の変化状況を示しており、
図19は、サンプリング周期毎における測定目標状態の演算に要する時間の変化状況を示している。
【0080】
以上の結果から、目標の最終飛行位置はx末=98790m、y末=89400m、z末=103200mであり、初期位置からの距離は168511.8mであり、誤差最大値は663.7mであり、最大追従誤差率は0.39%であり、単位サンプリング周期内で測定目標状態を得るのに要する時間は0.28s程度に変動していることが分かる。
【0081】
検出ステーションの数がそれぞれ2、4、6の場合、追従最大誤差率はそれぞれ、1.77%、0.72%、0.39%となり、かつ平均誤差は順次小さくなるため、検出ステーションの数が増加するにしたがって追従誤差値は徐々に小さくできるという結論に達し、その原因として、検出ステーションの数を増加することで各検出ステーションはパーティクルフィルタを経て得られた値を追従して平均値を得ることができ、観測誤差の影響が小さくなるからである。実施例2の仮想目標状態数が1000を取り、検出ステーションの数を1とした場合に比べて、順次誤差が大幅に小さくなるが、同時に1ステップの演算時間が増加し、ハードウェアに対する要求が高まっている。以上により、検出ステーションの数を増加させることは極超音速目標の追従誤差を効果的に低減する有効な方法である。
【実施例7】
【0082】
機動加速度の目標に対する影響を考慮する場合、目標軌跡は略直線運動ではなく放物線形状となり、仮想目標状態数をN=10000とする以外は、実施例1と類似する基礎データを選択する。
【0083】
実施例1と類似する実験プロセスを選択し、その違いは以下のとおりであり、
ステップ1で与えられる初期目標状態は、北東上の3つの方向の初期速度がそれぞれVx=100m/s、Vy=90m/s、Vz=104m/sとされ、初期位置がx0=0m、 y0=0m、z0=0mとされる。
【0084】
ステップ3において、各サンプリング点においていずれも100個の仮想目標状態を下記の数式(一’)で推定する
【数13】
・・・(一’)
式中、目標の機動加速度B(k-1)の値は、
【数14】
式中、x
bは20m/s
2から40m/s
2の任意の数をランダムに選択し、
y
bは7m/s
2から13m/s
2の任意の数をランダムに選択し、
z
bは20m/s
2から40m/s
2の任意の数をランダムに選択する。
【0085】
得られた目標の総サンプリング時間T
総=M×T内に、即ち100秒内の実軌跡及び測定軌跡は
図20に示すように、その中、赤色の実線が目標実軌跡を示し、青色の破線が測定軌跡を示す。
【0086】
また、
図21は100秒内の追従誤差の変化状況を示し、
図22は100秒内のX方向である東方の変位と速度の変化状況を示す模式図であり、
図23は100秒内のY方向である北方の変位と速度の変化状況を示す模式図であり、
図24は100秒内のZ方向である高さ方向の変位と速度の変化状況を示す模式図である。これら3つの図から、導入された機動加速度が目標の軌跡に、前の6つの実施例における一定速度直線運動とは異なり、3つの方向にそれぞれ加速する直線運動をするという明らかな影響を与えることを証明することができ、
図25は各サンプリング周期内に測定目標状態の演算に要する時間の変化状況を示す。
【0087】
以上の結果から、目標の最終飛行位置はx末=155200m、y末=54190m、z末=144700mであり、初期位置からの距離は218989.3mであり、最大追従誤差率は0.83%であり、単位サンプリング周期内で測定目標状態を得るのに要する時間は0.4s程度に変動していることが分かる。このことから、本願の提供する極超音速飛翔体の軌跡追跡方法は、機動加速度が導入されても、目標に対して依然として良好な追従効果を有するという結論に達することができる。
【0088】
以上、好適な実施形態及び例示的な実施例と組み合わせて本発明を詳しく説明した。なお、これらの実施形態は本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明の保護範囲を何ら制限するものではない。本発明の精神及び保護範囲から逸脱しない場合、本発明の技術内容及びその実施形態に対して様々な改良、等価置換又は修飾を行うことができ、これらはいずれも本発明の保護範囲内に入っている。本発明の保護範囲は添付の請求項を基準とする。
【国際調査報告】