(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-03
(54)【発明の名称】動物用トイレ砂のための発色吸収材料
(51)【国際特許分類】
G01N 33/72 20060101AFI20240527BHJP
G01N 33/66 20060101ALI20240527BHJP
G01N 33/52 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
G01N33/72 A
G01N33/66 D
G01N33/52 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571488
(86)(22)【出願日】2022-05-18
(85)【翻訳文提出日】2024-01-10
(86)【国際出願番号】 CA2022050782
(87)【国際公開番号】W WO2022241552
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523432955
【氏名又は名称】7905122 カナダ インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】ジョン マニョウダキス
(72)【発明者】
【氏名】キム ボーレガード
(72)【発明者】
【氏名】ポール ジョレズ
【テーマコード(参考)】
2G045
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045CB17
2G045DA31
2G045DA51
2G045FB17
(57)【要約】
動物排泄物中のヘモグロビン及びグルコース検出のための発色吸収材料が提供される。発色吸収材料は、ベンジジン系化合物、有機ヒドロペルオキシド、オキシドレダクターゼ、ペルオキシダーゼ、プソイドペルオキシダーゼ、又はこれらの組み合わせ、及び多糖マトリックスを含み、多糖マトリックスは、約10重量%~約32.5重量%の化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース、約25重量%~約70重量%のアルファ化デンプン(PreGelatinized Starch、PGS)、0重量%~約20重量%のグアーガム、0重量%~約25重量%のメチルヒドロキシエチルセルロース(Methyl HydroxyEthyl Cellulose、MHEC)、0重量%~約15重量%のヒドロキシエチルセルロース(HydroxyEthyl Cellulose、HEC)、及び0重量%~約10重量%のカルボキシメチルセルロース(CMC)を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物排出物中のヘモグロビン及びグルコース検出のための発色吸収材料であって、
ベンジジン系化合物と、
ヘモグロビンの存在下で前記ベンジジン系化合物の酸化を触媒するための有機ヒドロペルオキシドと、
グルコースの存在下で過酸化水素をその場で生成するための、オキシドレダクターゼである第1の酵素と、
前記過酸化水素のその場での生成時に前記ベンジジン系化合物の酸化を触媒するための、ペルオキシダーゼ、プソイドペルオキシダーゼ、又はこれらの組み合わせである第2の酵素と、
多糖マトリックスであって、
約10重量%~約32.5重量%の化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース、
約25重量%~約70重量%のアルファ化デンプン(PreGelatinized Starch、PGS)、
0重量%~約20重量%のグアーガム、
0重量%~約25重量%のメチルヒドロキシエチルセルロース(Methyl HydroxyEthyl Cellulose、MHEC)、
0重量%~約15重量%のヒドロキシエチルセルロース(HydroxyEthyl Cellulose、HEC)、及び
0重量%~約10重量%のカルボキシメチルセルロース(CarboxyMethyl Cellulose、CMC)を含む、多糖マトリックスと、を含む、発色吸収材料。
【請求項2】
前記多糖マトリックスは、
約10重量%~約32.5重量%の化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース、
約25重量%~約70重量%のPGS、
約10重量%~約20重量%のMHEC、及び
約2.5重量%~約7.5重量%のCMCを含む、請求項1に記載の発色吸収材料。
【請求項3】
前記多糖マトリックスは、
約25重量%~約32.5重量%の化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース、
約40重量%~約60重量%のPGS、
約10重量%~約20重量%のMHEC、及び
約2.5重量%~約7.5重量%のCMCを含む、請求項2に記載の発色吸収材料。
【請求項4】
前記多糖マトリックスは、本質的に、
約25重量%~約32.5重量%の化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース、
約40重量%~約60重量%のPGS、
約10重量%~約20重量%のMHEC、及び
約2.5重量%~約7.5重量%のCMCからなる、請求項3に記載の発色吸収材料。
【請求項5】
前記多糖マトリックスは、本質的に、
約25重量%~約32.5重量%の化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース、
約45重量%~約55重量%のPGS、
約12.5重量%~約17.5重量%のMHEC、及び
約2.5重量%~約7.5重量%のCMCからなる、請求項3に記載の発色吸収材料。
【請求項6】
前記化学的又は機械的に処理された非官能化セルロースは、微結晶性セルロース(MicroCrystalline Cellulose、MCC)、繊維状セルロース、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の発色吸収材料。
【請求項7】
前記微結晶性セルロースは、約25μm~約200μmのレーザー回折による平均粒径を有し、前記繊維状セルロースは、最大約220μmの平均繊維長を有する、請求項6に記載の発色吸収材料。
【請求項8】
前記化学的又は機械的に処理された非官能化セルロースは、約50μm~約80μmのレーザー回折による平均粒径、及び約0.20g/mL~約0.35g/mLのかさ密度を有する機械的に処理された非官能化セルロースである、請求項1~5のいずれか一項に記載の発色吸収材料。
【請求項9】
アニオン性界面活性剤を更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の発色吸収材料。
【請求項10】
前記アニオン性界面活性剤は、アルキルアリールスルホン酸塩界面活性剤である、請求項9に記載の発色吸収材料。
【請求項11】
前記アルキルアリールスルホン酸塩界面活性剤は、アルキルベンゼンスルホン酸塩である、請求項10に記載の発色吸収材料。
【請求項12】
前記アルキルベンゼンスルホン酸塩は、ドデシルベンゼンスルホン酸塩である、請求項11に記載の発色吸収材料。
【請求項13】
前記ドデシルベンゼンスルホン酸塩は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエチルアミン、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、又はこれらの組み合わせである、請求項12に記載の発色吸収材料。
【請求項14】
動物排出物中のヘモグロビン及び/又はグルコース検出のための発色吸収材料であって、
ベンジジン系化合物と、
ヘモグロビンの存在下で前記ベンジジン系化合物の酸化を触媒するための有機ヒドロペルオキシド、及び
触媒系、のうちの少なくとも1つであって、前記触媒系は、
グルコースの存在下で過酸化水素をその場で生成するための、オキシドレダクターゼである第1の酵素、及び
前記過酸化水素のその場での生成時に前記ベンジジン系化合物の酸化を触媒するための、ペルオキシダーゼ、プソイドペルオキシダーゼ、又はこれらの組み合わせである第2の酵素を含む、少なくとも1つと、
ドデシルベンゼンスルホン酸塩と、
化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース及びアルファ化デンプン(PreGelatinized Starch、PGS)を含む多糖マトリックスと、を含む、発色吸収材料。
【請求項15】
前記多糖マトリックスは、
約10重量%~約32.5重量%の化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース、
約25重量%~約70重量%のPGS、
0重量%~約20重量%のグアーガム、
0重量%~約25重量%のメチルヒドロキシエチルセルロース(Methyl HydroxyEthyl Cellulose、MHEC)、
0重量%~約15重量%のヒドロキシエチルセルロース(HydroxyEthyl Cellulose、HEC)、及び
0重量%~約10重量%のカルボキシメチルセルロース(CarboxyMethyl Cellulose、CMC)を含む、請求項14に記載の発色吸収材料。
【請求項16】
前記多糖マトリックスは、
約10重量%~約32.5重量%の化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース、
約25重量%~約70重量%のPGS、
約10重量%~約20重量%のMHEC、及び
約2.5重量%~約7.5重量%のCMCを含む、請求項15に記載の発色吸収材料。
【請求項17】
前記多糖マトリックスは、
約25重量%~約32.5重量%の化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース、
約40重量%~約60重量%のPGS、
約10重量%~約20重量%のMHEC、及び
約2.5重量%~約7.5重量%のCMCを含む、請求項15に記載の発色吸収材料。
【請求項18】
前記多糖マトリックスは、本質的に、
約25重量%~約32.5重量%の化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース、
約40重量%~約60重量%のPGS、
約10重量%~約20重量%のMHEC、及び
約2.5重量%~約7.5重量%のCMCからなる、請求項17に記載の発色吸収材料。
【請求項19】
前記多糖マトリックスは、本質的に、
約25重量%~約32.5重量%の化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース、
約45重量%~約55重量%のPGS、
約12.5重量%~約17.5重量%のMHEC、及び
約2.5重量%~約7.5重量%のCMCからなる、請求項17に記載の発色吸収材料。
【請求項20】
前記化学的又は機械的に処理された非官能化セルロースは、微結晶性セルロース(MicroCrystalline Cellulose、MCC)、繊維状セルロース、又はこれらの組み合わせである、請求項15~19のいずれか一項に記載の発色吸収材料。
【請求項21】
前記微結晶性セルロースは、約25μm~約200μmのレーザー回折による平均粒径を有し、前記繊維状セルロースは、最大約220μmの平均繊維長を有する、請求項20に記載の発色吸収材料。
【請求項22】
前記化学的又は機械的に処理された非官能化セルロースは、約50μm~約80μmのレーザー回折による平均粒径、及び約0.20g/mL~約0.35g/mLのかさ密度を有する機械的に処理された非官能化セルロースである、請求項15~19のいずれか一項に記載の発色吸収材料。
【請求項23】
前記ドデシルベンゼンスルホン酸塩は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエチルアミン、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、又はこれらの組み合わせである、請求項15~22のいずれか一項に記載の発色吸収材料。
【請求項24】
前記第1の酵素は、グルコースオキシダーゼ(Glucose Oxidase、GOx)であり、前記第2の酵素は、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HorseRadish Peroxidase、HRP)である、請求項1~23のいずれか一項に記載の発色吸収材料。
【請求項25】
前記ベンジジン系化合物は、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジンを含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の発色吸収材料。
【請求項26】
前記有機ヒドロペルオキシドは、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンジヒドロペルオキシド、又はこれらの組み合わせである、請求項1~25のいずれか一項に記載の発色吸収材料。
【請求項27】
緩衝剤、安定剤、金属捕捉剤、色増強剤、又はこれらの組み合わせを更に含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の発色吸収材料。
【請求項28】
前記色増強剤は、6-メトキシキノリン、レピジン、フェノール誘導体、ニトロベンゼン、N-メチルピロリドン、若しくはエチレンカーボネート、又はこれらの組み合わせを含む、請求項27に記載の発色吸収材料。
【請求項29】
前記緩衝剤は、クエン酸塩、クエン酸ナトリウム、リン酸塩、若しくは酢酸塩、又はこれらの組み合わせを含む、請求項27又は28に記載の発色吸収材料。
【請求項30】
前記安定剤は、ジブチルヒドロキシトルエン(dibutylhydroxytoluene、BHT)、尿酸、アスコルビン酸、モリブデン酸アンモニウム、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、若しくはこれらの誘導体、又はこれらの組み合わせを含む、請求項27~29のいずれか一項に記載の発色吸収材料。
【請求項31】
前記金属捕捉剤は、エチレンジアミン四酢酸(EthyleneDiamineTetraacetic Acid、EDTA)、若しくはEDTAナトリウム塩、又はこれらの組み合わせを含む、請求項27~30のいずれか一項に記載の発色吸収材料。
【請求項32】
約0.20g/cm
3~約0.39g/cm
3の密度を有する、請求項1~31のいずれか一項に記載の発色吸収材料。
【請求項33】
約0.5mL/g~約2.0mL/gの有効気孔率を有する材料である、請求項1~31のいずれか一項に記載の発色吸収材料。
【請求項34】
約20μm超の等価直径を有する細孔を有する、請求項1~33のいずれか一項に記載の発色吸収材料。
【請求項35】
約900%より大きい自由膨潤能力を有する、請求項1~34のいずれか一項に記載の発色吸収材料。
【請求項36】
約20%超の細孔密度を有する、請求項1~35のいずれか一項に記載の発色吸収材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野は、概して、発色吸収材料に関し、より詳細には、動物排泄物中の血液及び/又はグルコースの検出のための発色吸収材料に関する。
【背景技術】
【0002】
ネコの尿路疾患は、ネコにとって重篤な状態であり得る。ネコの尿路疾患では、リン酸マグネシウムアンモニウムの結晶がネコの尿路で沈殿し、閉塞を引き起こす可能性がある。治療しなければ、閉塞は激痛を引き起こす可能性があり、しばしば数日以内に死に至る可能性がある。いくつかの場合において、ネコの尿路疾患の症状(例えば、血尿及び排尿の不快感ならびに緊張)を観察すると、ネコの飼い主は、しばしば、高価であり得る処置を提供し得る獣医に相談する。しかしながら、ネコの尿路疾患を有する多くのネコは、いかなる明白な症状も示さず、これが、この疾患が「サイレントキラー」と呼ばれてきた理由である。
【0003】
ネコの別の重篤な状態は糖尿病である。糖尿病は400匹のネコに約1匹で発症し、ますます一般的になってきている。ネコにおける糖尿病の症状はヒトにおけるものと類似しており、糖尿病ネコの約80%~95%が、ヒトにおける2型糖尿病と類似したものを経験している。糖尿病に罹患しているネコは、通常、症状が診断される時までに重度のインスリン依存性になる。2型糖尿病に罹患しているネコでは、早期治療が糖尿病の寛解をもたらす場合があり、この場合、ネコはもはやインスリン注射を必要としない。治療せずに放置すると、この状態は、ネコをますます弱らせ、栄養失調、ケトアシドーシス及び/又は脱水をもたらし、最終的に死に至る。
【0004】
したがって、動物又はヒトにおける疾患又は状態の早期検出は、処置を容易にし、重篤な合併症又は悪化の可能性を減少させ、処置の費用を低減するのに最も重要である。
【0005】
動物排泄物中の血液及び/又はグルコースを検出するために動物用トイレ砂に使用されるいくつかの発色吸収材料が知られている。しかしながら、この分野には依然として課題が存在する。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、動物排出物中のヘモグロビン及びグルコース検出のための発色吸収材料であって、この発色吸収材料は、
ベンジジン系化合物と、
ヘモグロビンの存在下でベンジジン系化合物の酸化を触媒するための有機ヒドロペルオキシドと、
グルコースの存在下で過酸化水素をその場で生成するための、オキシドレダクターゼである第1の酵素と、
過酸化水素のその場での生成時にベンジジン系化合物の酸化を触媒するための、ペルオキシダーゼ、プソイドペルオキシダーゼ、又はこれらの組み合わせである第2の酵素と、
多糖マトリックスであって、
約10重量%~約32.5重量%の化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース、
約25重量%~約70重量%のアルファ化デンプン(PreGelatinized Starch、PGS)、
0重量%~約20重量%のグアーガム、
0重量%~約25重量%のメチルヒドロキシエチルセルロース(Methyl HydroxyEthyl Cellulose、MHEC)、
0重量%~約15重量%のヒドロキシエチルセルロース(HydroxyEthyl Cellulose、HEC)、及び
0重量%~約10重量%のカルボキシメチルセルロース(CarboxyMethyl Cellulose、CMC)を含む、多糖マトリックスと、を含む。
【0007】
別の態様では、動物排出物中のヘモグロビン及びグルコース検出のための発色吸収材料であって、この発色吸収材料は、
ベンジジン系化合物と、
ヘモグロビンの存在下でベンジジン系化合物の酸化を触媒するための有機ヒドロペルオキシド、及び
触媒系、のうちの少なくとも1つであって、触媒系は、
グルコースの存在下で過酸化水素をその場で生成するための、オキシドレダクターゼである第1の酵素、及び
過酸化水素のその場での生成時にベンジジン系化合物の酸化を触媒するための、ペルオキシダーゼ、プソイドペルオキシダーゼ、又はこれらの組み合わせである第2の酵素を含む、少なくとも1つと、
ドデシルベンゼンスルホン酸塩と、
化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース及びアルファ化デンプン(PreGelatinized Starch、PGS)を含む多糖マトリックスと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態による、グルコース(左)及び血液(右)の検出のための発色吸収材料において起こる反応経路のスキームである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に記載される材料、方法及び技術は、発色吸収材料、ならびに動物排泄物中の血液(ヘモグロビン)及び/又はグルコースを検出するための使用に関する。
【0010】
動物排泄物中の血液又はグルコースのいずれかを検出するための発色吸収材料は、以前に開発されており、例えば、特許出願公開公報国際公開第2015/127528号、同第2016/049765号、及び同第2017/165953号に記載され、これらはその全体が本明細書に組み込まれている。しかしながら、上記特許出願に記載されている発色吸収材料は、多糖マトリックス内に組み込まれた発色検出系に依存して血液又はグルコースのいずれかを検出することを可能にしただけである。
【0011】
血液(ヘモグロビン)検出のために、多糖マトリックスを、クメンヒドロペルオキシド(Cumene HydroPeroxide、CHP)及び3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TetraMethylBenzidine、TMB)を含む発色溶液に含浸させて、含浸多糖粒子を形成した。次に、含浸多糖粒子を乾燥させて、CHP及びTMBを含有する顆粒を形成する。TMBは、ヘモグロビン及びCHPの存在下で青色に変化した。グルコース検出のために、多糖マトリックスに、グルコースオキシダーゼ(Glucose Oxidase、GOx)及び西洋ワサビペルオキシダーゼ(HorseRadish Peroxidase、HRP)から作製された触媒系、ならびにTMBを含む発色溶液を含浸させて、含浸多糖粒子を形成した。次に、含浸多糖粒子を乾燥させて、GOx、HRP、及びTMBを含有する顆粒を形成する。グルコースの存在は、過酸化水素のその場での形成を引き起こし、これが次にTMBを青色に変化させた。
【0012】
クメンヒドロペルオキシドと触媒系GOx/HRPとの間の潜在的な反応性のために、単一の発色溶液を使用して血液及びグルコースを検出することができる発色吸収材料を製造することは、当初は不可能であると考えられていた。実際、このような発色吸収材料を製造する初期の試みは、グルコース又はヘモグロビンが存在しない場合であっても、発色溶液自体又は発色吸収材料が不可逆的に青色に変わる(偽陽性)ため、成功しなかった。
【0013】
しかしながら、驚くべきことに、適切な多糖マトリックスを選択することによって、偽陽性の青色着色を回避し、代わりに、単一の発色溶液を使用して血液及びグルコースを検出することができる発色吸収材料を得ることが可能であることが見出された。いくつかのシナリオでは、HRP及びCHP含有量は、成分が一緒に反応して偽陽性を生成しないように調整することができる。得られた発色物質及び種々の成分を
図1に模式的に示す。
【0014】
本明細書の第1の態様では、そのような発色吸収材料の様々な実施形態が提示される。本明細書の他の態様は、発色吸収材料に対して行われる追加の修正を更に概説する。
【0015】
「動物排泄物」という用語は、本明細書で使用する場合、動物によって排泄される尿又は糞便物質を指す。動物は、ネコ、イヌ、げっ歯類、ウマ、ウシ又は任意の他の家畜であり得る。あるいは、動物は、ヒトであってもよい。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「発色吸収材料」は、発色溶液が含浸される水、尿、水溶液、又は水を含む有機溶液(例えば、いくらかの水を含むアセトン溶液)を吸収することができる吸収多糖マトリックスを指す。
【0017】
発色吸収材料の粒子は、例えば、顆粒として得ることができ、独立した発色吸収材料として、又は動物用トイレ砂と併せて使用することができる(例えば、発色吸収材料を動物用トイレ砂の表面上に分散させることができる)。動物用トイレ砂は、任意の好適な種類の動物用トイレ砂、例えば、粘土系トイレ砂、セルロース系トイレ砂、パーライト系トイレ砂、シリカ系トイレ砂、トウモロコシ系トイレ砂、紙系トイレ砂、小麦系トイレ砂、若しくは任意の他の有機系トイレ砂、又はこれらの組み合わせ等を含んでもよい。例えば、粘土系トイレ砂は、ベントナイトトイレ砂及び/又はモンモリロナイトトイレ砂であり得る。
【0018】
本明細書の一態様では、動物排泄物中のヘモグロビン及びグルコースの検出のための発色吸収材料は、
発色指示薬と、
動物排泄物中のペルオキシダーゼ/プソイドペルオキシダーゼ活性に反応する第1の酸化剤と、
触媒系と、を含み、触媒系は、
動物排泄物中のペルオキシダーゼ/プソイドペルオキシダーゼ活性に反応する第2の酸化剤のその場での生成のための第1の触媒化合物と、
第2の酸化剤のその場での生成時に発色指示薬の酸化を触媒するための第2の触媒化合物であって、発色指示薬は、第1の酸化剤及び第2の酸化剤に反応する、第2の触媒化合物と、
多糖マトリックスと、を含む。
【0019】
本明細書の別の態様では、動物排泄物中のヘモグロビン及びグルコースの検出のための発色吸収材料は、
発色指示薬と、
動物排泄物中のペルオキシダーゼ/プソイドペルオキシダーゼ活性に反応する第1の酸化剤、及び
触媒系、のうちの少なくとも1つであって、触媒系は、
動物排泄物中の過酸化/擬過酸化活性に反応する第2の酸化剤のその場での生成のための第1の触媒化合物、及び
第2の酸化剤のその場での生成時に発色指示薬の酸化を触媒するための第2の触媒化合物を含む、少なくとも1つと、
多糖マトリックスと、を含み、
発色指示薬は、第1の酸化剤及び第2の酸化剤に反応する。
【0020】
第1の酸化剤は、動物排泄物中のペルオキシダーゼ/プソイドペルオキシダーゼ活性に反応し、第1の触媒化合物は、第2の酸化剤をその場で生成する。第2の酸化剤もまた、動物排泄物中のペルオキシダーゼ/プソイドペルオキシダーゼ活性に反応する。
【0021】
「ペルオキシダーゼ活性」という表現は、ヒドロペルオキシドと無色の発色電子供与体との間の反応を駆動する触媒化合物の能力であって、酸化後に蛍光性になるか又は可視的に着色される能力を指すことを理解されたい。
【0022】
「プソイドペルオキシダーゼ活性」という表現は、ペルオキシダーゼ又は非ペルオキシダーゼ触媒化合物が、ヒドロペルオキシダーゼと、酸化後に蛍光性になるか又は可視的に着色される無色の発色電子供与体との間の反応を駆動する能力を指すことを理解されたい。ある種の遷移金属及びそれらのイオンならびにヘモタンパク質は、プソイドペルオキシダーゼ活性を有することが知られている。好塩基球、好中球、好酸球及び肥満細胞は、未成熟細胞の分泌装置において超微細構造レベルで可視化され得る内因性ペルオキシダーゼを合成する。赤血球及びヘマチン含有化合物は、それらのヘム基の一部として鉄を有し、これは発色電子供与体の酸化を触媒することができる。このプソイドペルオキシダーゼ活性は、強いH2O2溶液、アジ化ナトリウム及びメタノール-H2O2溶液で阻害することができる。
【0023】
いくつかの実施形態において、第1の酸化剤は、一般式ROOHの有機ヒドロペルオキシドであり、式中、R基は、アリール、アルキル又はアシル基である。例えば、限定するものではないが、有機ヒドロペルオキシドは、クメンヒドロペルオキシド(Cumene HydroPeroxide、CHP)、ジイソプロピルベンゼンジヒドロペルオキシド、又はこれらの組み合わせであってよい。いくつかの実施形態において、第1の酸化剤は、過炭酸ナトリウムなどのヒドロペルオキシド前駆体であり得る。過炭酸ナトリウムは、式2Na2CO3・3H2O2の炭酸ナトリウムと過酸化水素の化学付加物である。過炭酸ナトリウムは、例えば水溶液と接触すると、炭酸ナトリウム及び過酸化水素に分解する。
【0024】
第2の酸化剤は、最初に発色吸収材料に添加されるのではなく、第1の触媒化合物によってその場で生成される。「その場で生成され」という表現は、第2の酸化剤が前駆体から発色吸収材料中で直接合成されることを意味することを理解されたい。例えば、第1の触媒化合物は、オキシドレダクターゼなどの酵素であり得る。オキシドレダクターゼの非限定的な例は、グルコースオキシダーゼ(GOx)である。第2の酸化剤は、この場合、過酸化水素であり得る。グルコースの存在下で発色指示薬の酸化を可能にするために、第2の触媒化合物も存在する。適切な第2の触媒化合物の非限定的な例は、西洋ワサビペルオキシダーゼである。
【0025】
いくつかの実施形態において、第1及び/又は第2の酸化剤の酸化活性は、動物排泄物中のペルオキシダーゼ活性/プソイドペルオキシダーゼ活性の存在によって引き起こされる。したがって、第1及び/又は第2の酸化剤は、発色指示薬を酸化し、次いで発色指示薬が変色する。より具体的には、発色指示薬は、電子供与体、すなわち電子を失うと色を変える還元剤であり得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、発色指示薬は、ベンジジン系化合物であり、これは式Iで示される化合物である。
【0027】
【0028】
式Iにおいて、R1、R2、R3、及びR4は、同一であっても異なっていてもよく、水素、ハロゲン、1~4個の炭素原子を含有する低級アルキル若しくはアルコキシ基、(C1~C4)-ジアルキルアミノ基、アセチルアミノ基、ニトロ基、又は置換されていてもよい芳香族基であってもよい。
【0029】
任意に、発色指示薬は、式IIで示される化合物であってもよい。
【0030】
【0031】
式IIにおいて、基R1、R2、R3、及びR4は、同じであっても異なっていてもよく、水素、ハロゲン、及び1~4個の炭素原子を含む低級アルキル若しくはアルコキシ基、(C1~C4)-ジアルキルアミノ基、アセチルアミノ基、ニトロ基、又は置換されていてもよい芳香族基を表す。R5及びR6は、同じ又は異なっており、水酸基、アミノ基、酸性基、ジスルホニル基、エーテル基、ハロゲン、1~4個の炭素原子を含む低級アルキル又はアルコキシ基、(C1~C4)-ジアルキルアミノ基、アセチルアミノ基、又はニトロ基等の水溶性基を表す。
【0032】
したがって、式IIの水溶性ベンジジン系発色指示薬は、ヒドロペルオキシド及びペルオキシダーゼの存在下で、その光吸収能力を変化させることによって反応し、これは式IIIに示される化合物への化学変換によるものである。
【0033】
【0034】
異なるタイプのベンジジン系発色指示薬が使用され得ることが理解される。
【0035】
任意で、ベンジジン系化合物は、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TetraMethylBenzidine、TMB)であってもよい。TMBは、無色の薬剤であり、酸化により青色に変化する。ペルオキシダーゼ及び/又はプソイドペルオキシダーゼ触媒は、以下の酸化反応に従って、第1及び/又は第2の酸化剤によるTMBの酸化を触媒することができる。
【0036】
【0037】
多糖マトリックスは、第1の酸化剤及び触媒系が互いに反応せず、偽陽性を生じないように選択することができる。国際公開第2015/127528号、同第2016/049765号、及び同第2017/165953号の実施例に記載され、グルコース又はヘモグロビン検出のために使用される多糖マトリックスのほとんどは、少なくとも35重量%の微結晶性セルロース(MicroCrystalline Cellulose、MCC)を含み、クメンヒドロペルオキシドと、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)及びグルコースオキシダーゼ(GOx)を含む触媒系との両方を含む色素遺伝子溶液と接触させた場合、常に偽陽性結果を生じた。
【0038】
驚くべきことに、多糖マトリックスが約35重量%未満(好ましくは32.5重量%未満)の化学的又は機械的に処理された非官能化セルロースを含む場合、偽陽性結果は得られず、有機ヒドロペルオキシドと、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)及びグルコースの存在下でその場で過酸化水素を生成することができるグルコースオキシダーゼ(GOx)を含む触媒系との両方を含む単一顆粒を使用して、グルコース及びヘモグロビンの両方の検出が可能であることが見出された。
【0039】
また、驚くべきことに、多糖マトリックスが少なくとも約10重量%のメチルヒドロキシエチルセルロース(Methyl HydroxyEthyl Cellulose、MHEC)を含む場合、顆粒の表面は、発色指示薬が活性化されたときにより均一な着色を特徴とすることが見出された。この驚くべき効果は、ヘモグロビンのみ、グルコースのみ、又はヘモグロビンとグルコースの両方を検出することができる発色吸収材料で観察された。
【0040】
また、驚くべきことに、多糖マトリックスがアニオン性ポリマーを含まない(例えば、アニオン性多糖を含まず、アニオン性超吸収性ポリマーを含まない)場合、発色吸収体顆粒に隣接する凝集したトイレ砂粒子上に着色ハローが観察されなかったことが見出された。この驚くべき効果は、ヘモグロビンのみ、グルコースのみ、又はヘモグロビンとグルコースの両方を検出することができる発色吸収材料で観察された。
【0041】
本明細書において、「動物排泄物中のヘモグロビン及びグルコース検出のための発色吸収材料」という表現は、発色吸収材料が、動物排泄物中のヘモグロビンのみ、動物排泄物中のグルコースのみ、及び動物排泄物中のヘモグロビンとグルコースを同時に検出することができることを意味すると理解される。ヘモグロビン及びグルコース検出のための発色吸収材料は、2つの発色検出システムを含む。2つの発色検出システムは、同じ発色指示薬(例えば、ベンジジン系化合物)を利用することができる。
【0042】
本明細書において、また、「動物排泄物中のヘモグロビン及び/又はグルコース検出のための発色吸収材料」という表現は、発色吸収材料が、動物排泄物中のヘモグロビンのみ、動物排泄物中のグルコースのみ、及び動物排泄物中のヘモグロビンとグルコースを同時に検出することができることを意味すると理解される。ヘモグロビン及び/又はグルコース検出のための発色吸収材料は、グルコース検出のための単一発色システム、ヘモグロビン検出のための単一発色システム、又はヘモグロビン及びグルコース検出のための2つの発色システムを含むことができる。2つの発色検出システムが使用される場合、2つの発色検出システムは、同じ発色指示薬(例えば、ベンジジン系化合物)を利用することができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、多糖マトリックスは、約10重量%~約32.5重量%の化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース、又は約15重量%~約32.5重量%の化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース、又は約20重量%~約32.5重量%の化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース、又は約25重量%~約32.5重量%の化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース、又は約10重量%~約30重量%の化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース、又は約10重量%~約25重量%の化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース、又は約10重量%~約20重量%の化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース、又は約10重量%~約15重量%の化学的又は機械的に処理された非官能化セルロースを含む。いくつかの実施形態では、化学的又は機械的に処理された非官能化セルロースは、微結晶セルロース(MCC)、繊維状セルロース、又はこれらの組み合わせを含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、多糖マトリックスは、約10重量%~約32.5重量%のMCC、又は約15重量%~約32.5重量%のMCC、又は約20重量%~約32.5重量%のMCC、又は約25重量%~約32.5重量%のMCC、又は約10重量%~約30重量%のMCC、又は約10重量%~約25重量%のMCC、又は約10重量%~約20重量%のMCC、又は約10重量%~約15重量%のMCCを含む。
【0045】
いくつかの実施形態において、多糖マトリックスは、約10重量%~約32.5重量%の繊維状セルロース、又は約15重量%~約32.5重量%の繊維状セルロース、又は約20重量%~約32.5重量%の繊維状セルロース、又は約25重量%~約32.5重量%の繊維状セルロース、又は約10重量%~約30重量%の繊維状セルロース、又は約10重量%~約25重量%の繊維状セルロース、又は約10重量%~約20重量%の繊維状セルロース、又は約10重量%~約15重量%の繊維状セルロースを含む。
【0046】
いくつかの実施形態において、多糖マトリックスは、約0重量%~約70重量%のアルファ化デンプン(PreGelatinized Starch、PGS)、又は約10重量%~約70重量%のPGS、又は約20重量%~約70重量%のPGS、又は約25重量%~約70重量%のPGS、又は約30重量%~約70重量%のPGS、又は約40重量%~約70重量%のPGS、又は約50重量%~約70重量%のPGS、又は約60重量%~約70重量%のPGS、又は約65重量%~約70重量%のPGS、又は約10重量%~約60重量%のPGS、又は約10重量%~約50重量%のPGS、又は約10重量%~約40重量%のPGS、又は約10重量%~約30重量%のPGS、又は約25重量%~約35重量%のPGS、又は約55重量%~約60重量%のPGS、又は約40重量%~約60重量%のPGS、又は約45重量%~約55重量%のPGSを含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、多糖マトリックスは、0重量%~約20重量%のグアーガム、又は0重量%~約15重量%のグアーガム、又は0重量%~約10重量%のグアーガム、又は0重量%~約5重量%のグアーガム、又は約5重量%~約20重量%のグアーガム、又は約10重量%~約20重量%のグアーガム、又は約15重量%~約20重量%のグアーガムを含む。いくつかの実施形態では、多糖マトリックスはグアーガムを含まない。
【0048】
いくつかの実施形態では、多糖マトリックスは、0重量%~約25重量%のメチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)、又は0重量%~約20重量%のMHEC、又は0重量%~約15重量%のMHEC、又は0重量%~約10重量%のMHEC、又は0重量%~約5重量%のMHEC、又は約5重量%~約25重量%のMHEC、又は約10重量%~約25重量%のMHEC、又は約15重量%~約25重量%のMHEC、又は約20重量%~約25重量%のMHEC、又は約10重量%~約20重量%のMHEC、又は約10重量%~約15重量%のMHEC、又は約12.5重量%~約17.5重量%のMHEC、又は約15重量%~約20重量%のMHECを含む。好ましくは、多糖マトリックスは、少なくとも約10重量%のMHEC、又は約10重量%~約20重量%のMHEC、又は約12.5重量%~約17.5重量%のMHECを含む。いくつかの実施形態において、MHECは、Tylose(商標)、例えば、Tylose MH 60000 P6である。
【0049】
いくつかの実施形態では、多糖マトリックスは、0重量%~約15重量%のヒドロキシエチルセルロース(HEC)、又は0重量%~約10重量%のHEC、又は0重量%~約5重量%のHEC、又は約5重量%~約15重量%のHEC、又は約10重量%~約15重量%のHEC、又は約5重量%~約10重量%のHECを含む。
【0050】
いくつかの実施形態において、多糖マトリックスは、0重量%~約10重量%のカルボキシメチルセルロース(CMC)、又は0重量%~約5重量%のCMC、又は約2.5重量%~約7.5重量%のCMCを含む。いくつかの実施形態では、多糖マトリックスは、CMCを含まない。
【0051】
いくつかの実施形態では、多糖マトリックスは、
約10重量%~約32.5重量%の微結晶セルロース(MCC)、
約25重量%~約70重量%のアルファ化デンプン(PreGelatinized Starch、PGS)、
0重量%~約20重量%のグアーガム、
0重量%~約25重量%のメチルヒドロキシエチルセルロース(Methyl HydroxyEthyl Cellulose、MHEC)、
0重量%~約15重量%のヒドロキシエチルセルロース(HydroxyEthyl Cellulose、HEC)、及び
0重量%~約5重量%のカルボキシメチルセルロース(CarboxyMethyl Cellulose、CMC)を含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、多糖マトリックスは、
約10重量%~約32.5重量%のMCC、
約25重量%~約70重量%のPGS、
0重量%~約20重量%のグアーガム、
10重量%~約25重量%のMHEC、及び
0重量%~約10重量%のHECを含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、多糖マトリックスは、本質的に、
約10重量%~約32.5重量%のMCC、
約25重量%~約70重量%のPGS、
0重量%~約20重量%のグアーガム、
10重量%~約25重量%のMHEC、及び
0重量%~約10重量%のHECを含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、多糖マトリックスは、本質的に、
約25重量%~約32.5重量%のMCC、
約25重量%~約35重量%のPGS、
約15重量%~約20重量%のグアーガム、及び
約15重量%~約25重量%のMHECからなる。
【0055】
いくつかの実施形態では、多糖マトリックスは、本質的に、
約25重量%~約32.5重量%のMCC、
約55重量%~約60重量%のPGS、及び
約10重量%~約15重量%のMHECからなる。
【0056】
いくつかの実施形態では、多糖マトリックスは、本質的に、
約10重量%~約15重量%のMCC、
約65重量%~約70重量%のPGS、
約10重量%~約15重量%のMHEC、及び
約5重量%~約10重量%のHECからなる。
【0057】
いくつかの実施形態では、多糖マトリックスは、本質的に、
約25重量%~約32.5重量%のMCC、
約50重量%~約60重量%のPGS、
約10重量%~約15重量%のMHEC、及び
約0重量%~約10重量%のHECからなる。
【0058】
いくつかの実施形態では、多糖マトリックスは、
化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース、
アルファ化デンプン(PGS)、及び
少なくとも10重量%のメチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)、好ましくは10重量%~約20重量%のMHECを含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、化学的又は機械的に処理された非官能化セルロースは、微結晶性セルロースであるか、又は繊維状セルロースなどの機械的に処理された非官能化セルロースである。いくつかの実施形態では、微結晶性セルロースは、約25μm~約200μmのレーザー回折による平均粒径を有する。いくつかの実施形態では、機械的に処理された非官能化セルロースは、約50μm~約80μmのレーザー回折による平均粒径、及び約0.10g/mL~約0.35g/mLのかさ密度を有することができる。いくつかの実施形態では、機械的に処理された非官能化セルロースは、約150μm~約250μm、又は約180μm~約220μm、又は最大220μmの平均繊維長を有することができる。いくつかの実施形態では、機械的に処理された非官能化セルロースは、約0.10g/mL~約0.35g/mL、又は約0.10g/mL~約0.30g/mL、又は約0.10g/mL~約0.25g/mL、又は約0.10g/mL~約0.20g/mL、又は約0.10g/mL~約0.15g/mL、又は約0.11g/mL~約0.145g/mLのかさ密度を有することができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、発色吸収材料は、アルキルアリールスルホン酸塩界面活性剤、アルキルサルフェート界面活性剤、アルキルスルホン酸塩界面活性剤、アリールスルホン酸塩界面活性剤、又はこれらの組み合わせなどのアニオン性界面活性剤を含む。
【0061】
驚くべきことに、発色吸収材料がドデシルベンゼンスルホン酸塩(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)などのアルキルアリールスルホン酸塩界面活性剤を含む場合、発色吸収材料の着色はより安定であり、数時間後にシフトしなかったことが見出された。この驚くべき効果は、ヘモグロビンのみ、グルコースのみ、又はヘモグロビンとグルコースの両方を検出することができる発色吸収材料で観察された。
【0062】
いくつかの実施形態では、アルキルアリールスルホン酸塩界面活性剤は、ドデシルベンゼンスルホン酸塩などのアルキルベンゼンスルホン酸塩である。ドデシルベンゼンスルホン酸塩の非限定的な例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエチルアミン、及びドデシルベンゼンスルホン酸カリウムが挙げられる。
【0063】
いくつかの実施形態では、発色吸収材料は、少なくとも微量の血液(したがってペルオキシダーゼ/プソイドペルシダーゼ活性を有する)及び/又はグルコースを含有する排泄物と接触すると青色に変化し得る。「青色」は、任意の色調の青色を指すことを理解されたい。発色吸収材料は、着色を可能にするのに十分な排泄物との接触時間を必要とし得る。任意の態様では、粒子は、多糖マトリックスの性質に応じて、約10秒~約30分、又は約10秒~約1分の範囲の接触時間後に青色に変化し得る。いくつかの実施形態では、発色吸収材料は、排泄物中の血液及び/又はグルコース濃度に応じて、異なる色調の青色に変化し得る。青色の色調の強度は、動物排泄物中の血液濃度又はグルコース濃度に比例し得る。
【0064】
いくつかの実施形態において、発色組成物は、色増強剤を更に含んでもよい。任意に、それはまた、緩衝剤、安定剤、金属捕捉剤、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。色増強剤は、任意で、6-メトキシキノリンなどのメトキシキノリン、レピジン(4-メチルキノリン)、フェノール誘導体、ニトロベンゼン、N-メチルピロリドン、炭酸エチレン、又はこれらの任意の組み合わせであってもよい。緩衝剤は、任意で、クエン酸塩、クエン酸ナトリウム、リン酸塩、酢酸塩、又はこれらの任意の組み合わせを含み得る。安定剤は、任意で、ジブチルヒドロキシトルエン(dibutylhydroxytoluene、BHT)、尿酸、アスコルビン酸、モリブデン酸アンモニウム、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、若しくはこれらの誘導体、又はこれらの組み合わせであってもよい。金属捕捉剤は、任意で、EDTA、NTA、DTPA、STPP、若しくはそれらの塩、又はこれらの任意の組み合わせであってもよい。
【0065】
いくつかの実施形態では、多糖マトリックスに応じて、発色吸収材料は、約0.20g/cm3~約0.39g/cm3、約0.20g/cm3~約0.35g/cm3、約0.25g/cm3~約0.35g/cm3、又は約0.30g/cm3~約0.35g/cm3の密度を有し得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、多糖マトリックスに応じて、発色吸収材料は、約65%~約85%、又は約70%~約80%の全気孔率を有し得る。全気孔率は、固形物によって占められていないかさ材料体積(V)の割合を指すことが理解される。固体の体積をVsとし、細孔容積をVpore=V-Vsとすると、全気孔率は下記式1のように表すことができる。
【0067】
【0068】
全気孔率は、例えば、既知の体積の発色吸収体粒子を容器に入れて、粒子を液体で被覆して、粒子を被覆するのに必要な液体の体積(Vc)を測定することによって測定することができる。次いで、全気孔率は、粒子の体積(V)に対する添加された液体の体積(Vc)の比として表される。
【0069】
いくつかの実施において、吸収材料に応じて、発色吸収材料の粒子は、約0.5mL/g~約2.0mL/g、約0.6mL/g~約1.5mL/g、約0.8mL/g~約1.2mL/g、又は約0.9mL/g~約1.1mL/gの有効気孔率を有する。有効気孔率(連結気孔率又は真気孔率とも呼ばれる)は、総かさ体積に対する連結細孔体積の比として定義されることが理解される。有効気孔率は、例えば、既知の質量(m)の発色吸収体粒子を容器に入れて、粒子を液体で覆い、粒子を覆うのに必要な液体の体積(Vc)を測定し、浸漬された粒子を容器から取り出し、容器内に残っている液体(Vr)を測定し、発色吸収体粒子に吸収された液体の体積(Va=Vc-Vr)を計算することによって測定することができる。次に、以下の式2に示すように、有効気孔率を得ることができる。
【0070】
【数2】
有効気孔率は、比Va/V(mL/mL)として表すこともできることに留意されたい。
【0071】
いくつかの実装形態では、発色吸収材料は、約900%超、又は約1000%超の自由膨潤能(Free Swelling Capacity、FSC)を有する。FSCは、材料の吸収特性を測定するために使用される1種の測定値である。FSC測定は、試験される材料を吸収される液体(この場合、水)中に所与の時間浸漬し、液体が吸収された後に材料を秤量することによって行われる。いくつかの実施形態において、発色吸収材料は、トイレ砂材料と比較してより高いFSCを有する。例えば、発色吸収材料は、トイレ砂材料のFSCよりも約1.5~2倍高いFSCを有し得る。
【0072】
吸収材料に応じて、発色吸収材料の粒子は、例えば、約20%超、又は約25%超、又は約27%~約33%の細孔密度を有してもよい。発色吸収材料の粒子の細孔は、約20μm超、又は約20μm~約40μm、又は約20μm~約30μmの等価直径を有する。
【0073】
発色吸収材料の粒子は、以下のプロセス、すなわち、
吸水性である多糖マトリックスを提供することと、
発色指示薬と、第1の酸化剤及び触媒系のうちの少なくとも1つと、を含む発色溶液であって、触媒系は、動物排泄物中のペルオキシダーゼ/プソイドペルオキシダーゼ活性に反応する第2の酸化剤のその場での生成のための第1の触媒化合物と、第2の酸化剤のその場での生成時に発色指示薬の酸化を触媒するための第2の触媒化合物と、を含む、発色溶液を提供することと、
多糖マトリックスに発色溶液を含浸させて、溶液含浸湿潤粒子を得ることと、
溶液含浸湿潤粒子を乾燥させて、発色吸収材料を得ることと、を用いて製造することができる。
【0074】
発色溶液は、本明細書に記載されるような追加の成分を含んでもよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、発色溶液を多糖マトリックス上に注いで(例えば、離散液滴の形態で滴下して)、多糖マトリックスを含浸させ、対応する離散溶液含浸湿潤粒子を形成する。任意で、溶液含浸湿潤粒子は、溶液含浸湿潤粒子と残りの多糖マトリックスとの混合物を篩にかけることによって回収されてもよい。乾燥工程は、真空下及び/又は約15℃~約80℃の範囲の様々な温度で行われてもよい。本明細書に記載されるような低せん断方法を使用することにより、発色吸収材料の粒子を、押出又はプレスなどの方法によって得られる他のタイプの粒子と比較して、より低い密度、より高い多孔性を有する顆粒として得ることが可能になる。顆粒は典型的には準球状であり、顆粒の表面の一部は凹形状を有することができる。
【0076】
本明細書はまた、以下の実施形態を提供する。
1.動物排出物中のヘモグロビン及びグルコース検出のための発色吸収材料であって、
動物排泄物中のペルオキシダーゼ/プソイドペルオキシダーゼ活性に反応する第1の酸化剤であって、好ましくは、ヘモグロビンの存在下でベンジジン系化合物の酸化を触媒するための有機ヒドロペルオキシドである第1の酸化剤と、
触媒系と、を含み、触媒系は、
動物排泄物中のペルオキシダーゼ/プソイドペルオキシダーゼ活性に反応する第2の酸化剤のその場での生成のための第1の触媒化合物であって、好ましくは、グルコースの存在下で過酸化水素をその場で生成するためのオキシドレダクターゼである第1の触媒化合物、
第2の酸化剤のその場での生成時に発色指示薬の酸化を触媒するための第2の触媒化合物であって、好ましくは、過酸化水素のその場での生成時にベンジジン系化合物の酸化を触媒するためのペルオキシダーゼ、プソイドペルオキシダーゼ、又はこれらの混合物である第2の触媒化合物、
第1の酸化剤及び第2の酸化剤に反応する発色指示薬であって、好ましくはベンジジン系化合物である発色指示薬、及び
多糖マトリックスを含み、多糖マトリックスは、
約10重量%~約32.5重量%の化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース、例えば微結晶性セルロース(MCC)、繊維状セルロース、又はこれらの組み合わせ、
約25重量%~約70重量%のアルファ化デンプン(PreGelatinized Starch、PGS)、
0重量%~約20重量%のグアーガム、
0重量%~約25重量%のメチルヒドロキシエチルセルロース(Methyl HydroxyEthyl Cellulose、MHEC)、
0重量%~約15重量%のヒドロキシエチルセルロース(HydroxyEthyl Cellulose、HEC)、及び
0重量%~約10重量%、又は2.5重量%~約7.5重量%、又は0重量%~約5重量%のカルボキシメチルセルロース(CMC)を含む。
【0077】
2.多糖マトリックスは、
約10重量%~約32.5重量%のMCC、
約25重量%~約70重量%のPGS、
0重量%~約20重量%のグアーガム、
10重量%~約25重量%のMHEC、及び
0重量%~約10重量%のHECを含む、実施形態1の発色吸収材料。
【0078】
3.多糖マトリックスは、本質的に、
約10重量%~約32.5重量%のMCC、
約25重量%~約70重量%のPGS、
0重量%~約20重量%のグアーガム、
10重量%~約25重量%のMHEC、及び
0重量%~約10重量%のHECからなる、実施形態2の発色吸収材料。
【0079】
4.多糖マトリックスは、本質的に、
約25重量%~約32.5重量%のMCC、
約25重量%~約35重量%のPGS、
約15重量%~約20重量%のグアーガム、及び
約15重量%~約25重量%のMHECからなる、実施形態3の発色吸収材料。
【0080】
5.多糖マトリックスは、本質的に、
約25重量%~約32.5重量%のMCC、
約55重量%~約60重量%のPGS、及び
約10重量%~約15重量%のMHECからなる、実施形態3の発色吸収材料。
【0081】
6.多糖マトリックスは、本質的に、
約10重量%~約15重量%のMCC、
約65重量%~約70重量%のPGS、
約10重量%~約15重量%のMHEC、及び
約5重量%~約10重量%のHECからなる、実施形態3の発色吸収材料。
【0082】
7.多糖マトリックスは、本質的に、
約25重量%~約32.5重量%のMCC、
約50重量%~約60重量%のPGS、
約10重量%~約15重量%のMHEC、及び
約0重量%~約10重量%のHECからなる、実施形態3の発色吸収材料。
【0083】
8.多糖マトリックスは、
約10重量%~約32.5重量%の化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース、
約25重量%~約70重量%のPGS、
約10重量%~約20重量%のMHEC、及び
約2.5重量%~約7.5重量%のCMCを含む、実施形態1の発色吸収材料。
【0084】
9.多糖マトリックスは、
約25重量%~約32.5重量%の化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース、
約40重量%~約60重量%のPGS、
約10重量%~約20重量%のMHEC、及び
約2.5重量%~約7.5重量%のCMCを含む、実施形態8の発色吸収材料。
【0085】
10.多糖マトリックスは、本質的に、
約25重量%~約32.5重量%の化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース、
約40重量%~約60重量%のPGS、
約10重量%~約20重量%のMHEC、及び
約2.5重量%~約7.5重量%のCMCを含む、実施形態9の発色吸収材料。
【0086】
11.多糖マトリックスは、本質的に、
約25重量%~約32.5重量%の化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース、
約45重量%~約55重量%のPGS、
約12.5重量%~約17.5重量%のMHEC、及び
約2.5重量%~約7.5重量%のCMCからなる、実施形態9の発色吸収材料。
【0087】
12.化学的又は機械的に処理された非官能化セルロースは、微結晶性セルロース(MicroCrystalline Cellulose、MCC)、繊維状セルロース、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態1~11のいずれか一項の発色吸収材料。
【0088】
13.微結晶性セルロースは、約25μm~約200μmのレーザー回折による平均粒径を有し、繊維状セルロースは、最大約220μmの平均繊維長を有する、実施形態12の発色吸収材料。
【0089】
14.化学的又は機械的に処理された非官能化セルロースは、約50μm~約80μmのレーザー回折による平均粒径、及び約0.20g/mL~約0.35g/mLのかさ密度を有する機械的に処理された非官能化セルロースである、実施形態12の発色吸収材料。
【0090】
15.アニオン性界面活性剤を更に含む、実施形態1~14のいずれか一項の発色吸収材料。
【0091】
16.アニオン性界面活性剤は、アルキルアリールスルホン酸塩界面活性剤である、実施形態15の発色吸収材料。
【0092】
17.アルキルアリールスルホン酸塩界面活性剤は、アルキルベンゼンスルホン酸塩である、実施形態16の発色吸収材料。
【0093】
18.アルキルベンゼンスルホン酸塩は、ドデシルベンゼンスルホン酸塩である、実施形態17の発色吸収材料。
【0094】
19.ドデシルベンゼンスルホン酸塩は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエチルアミン、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、又はこれらの組み合わせである、実施形態18の発色吸収材料。
【0095】
20.動物排出物中のヘモグロビン及び/又はグルコース検出のための発色吸収材料であって、
動物排泄物中のペルオキシダーゼ/プソイドペルオキシダーゼ活性に反応する第1の酸化剤であって、好ましくは、ヘモグロビンの存在下でベンジジン系化合物の酸化を触媒するための有機ヒドロペルオキシドである第1の酸化剤、及び
触媒系、のうちの少なくとも1つであって、触媒系は、
動物排泄物中のペルオキシダーゼ/プソイドペルオキシダーゼ活性に反応する第2の酸化剤のその場での生成のための第1の触媒化合物であって、好ましくは、グルコースの存在下で過酸化水素をその場で生成するためのオキシドレダクターゼである、第1の触媒化合物、及び
第2の酸化剤のその場での生成時に発色指示薬の酸化を触媒するための第2の触媒化合物であって、好ましくは、過酸化水素のその場での生成時にベンジジン系化合物の酸化を触媒するためのペルオキシダーゼ、プソイドペルオキシダーゼ、又はこれらの混合物である第2の触媒化合物を含む、少なくとも1つと、
第1の酸化剤及び第2の酸化剤に反応する発色指示薬であって、好ましくはベンジジン系化合物である発色指示薬と、
ドデシルベンゼンスルホン酸塩と、
化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース及びアルファ化デンプン(PGS)を含む多糖マトリックスと、を含む、発色吸収材料。
【0096】
21.多糖マトリックスは、
約10重量%~約32.5重量%の化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース、
約25重量%~約70重量%のPGS、
0重量%~約20重量%のグアーガム、
0重量%~約25重量%のメチルヒドロキシエチルセルロース(Methyl HydroxyEthyl Cellulose、MHEC)、
0重量%~約15重量%のヒドロキシエチルセルロース(HydroxyEthyl Cellulose、HEC)、及び
0重量%~約10重量%のカルボキシメチルセルロース(CarboxyMethyl Cellulose、CMC)を含む、実施形態20の発色吸収材料。
【0097】
22.多糖マトリックスは、
約10重量%~約32.5重量%の化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース、
約25重量%~約70重量%のPGS、
約10重量%~約20重量%のMHEC、及び
約2.5重量%~約7.5重量%のCMCを含む、実施形態21の発色吸収材料。
【0098】
23.多糖マトリックスは、
約25重量%~約32.5重量%の化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース、
約40重量%~約60重量%のPGS、
約10重量%~約20重量%のMHEC、及び
約2.5重量%~約7.5重量%のCMCを含む、実施形態21の発色吸収材料。
【0099】
24.多糖マトリックスは、本質的に、
約25重量%~約32.5重量%の化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース、
約40重量%~約60重量%のPGS、
約10重量%~約20重量%のMHEC、及び
約2.5重量%~約7.5重量%のCMCからなる、実施形態23の発色吸収材料。
【0100】
25.多糖マトリックスは、本質的に、
約25重量%~約32.5重量%の化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース、
約45重量%~約55重量%のPGS、
約12.5重量%~約17.5重量%のMHEC、及び
約2.5重量%~約7.5重量%のCMCからなる、実施形態23の発色吸収材料。
【0101】
26.化学的又は機械的に処理された非官能化セルロースは、微結晶性セルロース(MicroCrystalline Cellulose、MCC)、繊維状セルロース、又はこれらの混合物である、実施形態21~25のいずれか一項の発色吸収材料。
【0102】
27.微結晶性セルロースは、約25μm~約200μmのレーザー回折による平均粒径を有し、繊維状セルロースは、最大約220μmの平均繊維長を有する、実施形態26の発色吸収材料。
【0103】
28.化学的又は機械的に処理された非官能化セルロースは、約50μm~約80μmのレーザー回折による平均粒径、及び約0.20g/mL~約0.35g/mLのかさ密度を有する機械的に処理された非官能化セルロースである、実施形態21~25のいずれか一項の発色吸収材料。
【0104】
29.ドデシルベンゼンスルホン酸塩は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエチルアミン、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、又はこれらの混合物である、実施形態21~28のいずれか一項の発色吸収材料。
【0105】
30.第1の触媒化合物は、グルコースオキシダーゼ(Glucose Oxidase、GOx)であり、第2の触媒化合物は、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HorseRadish Peroxidase、HRP)である、実施形態1~29のいずれか一項の発色吸収材料。
【0106】
31.ベンジジン系化合物は、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジンを含む、実施形態1~30のいずれか一項の発色吸収材料。
【0107】
32.有機ヒドロペルオキシドは、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンジヒドロペルオキシド、又はこれらの組み合わせである、実施形態1~31のいずれか一項の発色吸収材料。
【0108】
33.緩衝剤、安定剤、金属捕捉剤、色増強剤、又はこれらの組み合わせを更に含む、実施形態1~32のいずれか一項の発色吸収材料。
【0109】
34.色増強剤は、6-メトキシキノリン、レピジン、フェノール誘導体、ニトロベンゼン、N-メチルピロリドン、若しくはエチレンカーボネート、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態33の発色吸収材料。
【0110】
35.緩衝剤は、クエン酸塩、クエン酸ナトリウム、リン酸塩、若しくは酢酸塩、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態33又は34の発色吸収材料。
【0111】
36.安定剤は、ジブチルヒドロキシトルエン(dibutylhydroxytoluene、BHT)、尿酸、アスコルビン酸、モリブデン酸アンモニウム、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、若しくはこれらの誘導体、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態33~35のいずれか一項の発色吸収材料。
【0112】
37.金属捕捉剤は、エチレンジアミン四酢酸(EthyleneDiamineTetraacetic Acid、EDTA)、若しくはEDTAナトリウム塩、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態33~36のいずれか一項の発色吸収材料。
【0113】
38.約0.20g/cm3~約0.39g/cm3の密度を有する、実施形態1~37のいずれか一項の発色吸収材料。
【0114】
39.約0.5mL/g~約2.0mL/gの有効気孔率を有する材料である、実施形態1~38のいずれか一項の発色吸収材料。
【0115】
40.約20μm超の等価直径を有する細孔を有する、実施形態1~39のいずれか一項の発色吸収材料。
【0116】
41.約900%より大きい自由膨潤能力を有する、実施形態1~40のいずれか一項の発色吸収材料。
【0117】
42.約20%超の細孔密度を有する、実施形態1~41のいずれか一項の発色吸収材料。
【0118】
43.動物排出物中のヘモグロビン及び/又はグルコース検出のための発色吸収材料であって、
動物排泄物中のペルオキシダーゼ/プソイドペルオキシダーゼ活性に反応する第1の酸化剤、及び
触媒系、のうちの少なくとも1つであって、触媒系は、
動物排泄物中のペルオキシダーゼ/プソイドペルオキシダーゼ活性に反応する第2の酸化剤のその場での生成のための第1の触媒化合物、及び
第2の酸化剤のその場での生成時に発色指示薬の酸化を触媒するための第2の触媒化合物を含む、少なくとも1つと、
第1の酸化剤及び第2の酸化剤に反応する発色指示薬と、
多糖マトリックスと、を含み、多糖マトリックスは、
化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース、
アルファ化デンプン(PGS)、及び
少なくとも10重量%のメチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)を含む、発色吸収材料。
【0119】
44.多糖マトリックスは、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)を更に含む、実施形態43の発色吸収材料。
【0120】
45.化学的又は機械的に処理された非官能化セルロースは、微結晶性セルロースである、実施形態43又は44の発色吸収材料。
【0121】
46.化学的又は機械的に処理された非官能化セルロースは、約50μm~約80μmのレーザー回折による平均粒径、及び約0.20g/mL~約0.35g/mLのかさ密度を有する機械的に処理された非官能化セルロースである、実施形態43又は44の発色吸収材料。
【0122】
47.多糖マトリックスは、10重量%~約20重量%のMHECを含む、実施形態43~46のいずれか一項の発色吸収材料。
【0123】
48.アルキルアリールスルホン酸塩界面活性剤を更に含む、実施形態43~47のいずれか一項の発色吸収材料。
【0124】
49.アルキルアリールスルホン酸塩界面活性剤は、アルキルベンゼンスルホン酸塩である、実施形態48の発色吸収材料。
【0125】
50.アルキルベンゼンスルホン酸塩は、ドデシルベンゼンスルホン酸塩である、実施形態48の発色吸収材料。
【0126】
51.ドデシルベンゼンスルホン酸塩は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエチルアミン、又はドデシルベンゼンスルホン酸カリウムである、実施形態50の発色吸収材料。
【0127】
52.動物排出物中のヘモグロビン及び/又はグルコース検出のための発色吸収材料であって、
動物排泄物中のペルオキシダーゼ/プソイドペルオキシダーゼ活性に反応する第1の酸化剤、及び
触媒系、のうちの少なくとも1つであって、触媒系は、
動物排泄物中のペルオキシダーゼ/プソイドペルオキシダーゼ活性に反応する第2の酸化剤のその場での生成のための第1の触媒化合物、及び
第2の酸化剤のその場での生成時に発色指示薬の酸化を触媒するための第2の触媒化合物を含む、少なくとも1つと、
第1の酸化剤及び第2の酸化剤に反応する発色指示薬と、
アルキルアリールスルホン酸塩界面活性剤と、
多糖マトリックスと、を含む、発色吸収材料。
【0128】
53.多糖マトリックスは、
約10重量%~約32.5重量%の微結晶セルロース(MCC)、
約25重量%~約70重量%のアルファ化デンプン(PreGelatinized Starch、PGS)、
0重量%~約20重量%のグアーガム、
0重量%~約25重量%のメチルヒドロキシエチルセルロース(Methyl HydroxyEthyl Cellulose、MHEC)、
0重量%~約15重量%のヒドロキシエチルセルロース(HydroxyEthyl Cellulose、HEC)、及び
0重量%~約5重量%のカルボキシメチルセルロース(CarboxyMethyl Cellulose、CMC)を含む、実施形態52の発色吸収材料。
【0129】
54.多糖マトリックスは、
約10重量%~約32.5重量%のMCC、
約25重量%~約70重量%のPGS、
0重量%~約20重量%のグアーガム、
10重量%~約25重量%のMHEC、及び
0重量%~約10重量%のHECを含む、実施形態53の発色吸収材料。
【0130】
55.多糖マトリックスは、本質的に、
約10重量%~約32.5重量%のMCC、
約25重量%~約70重量%のPGS、
0重量%~約20重量%のグアーガム、
10重量%~約25重量%のMHEC、及び
0重量%~約10重量%のHECからなる、実施形態54の発色吸収材料。
【0131】
56.多糖マトリックスは、本質的に、
約25重量%~約32.5重量%のMCC、
約25重量%~約35重量%のPGS、
約15重量%~約20重量%のグアーガム、及び
約15重量%~約25重量%のMHECからなる、実施形態55の発色吸収材料。
【0132】
57.多糖マトリックスは、本質的に、
約25重量%~約32.5重量%のMCC、
約55重量%~約60重量%のPGS、及び
約10重量%~約15重量%のMHECからなる、実施形態55の発色吸収材料。
【0133】
58.多糖マトリックスは、本質的に、
約10重量%~約15重量%のMCC、
約65重量%~約70重量%のPGS、
約10重量%~約15重量%のMHEC、及び
約5重量%~約10重量%のHECからなる、実施形態55の発色吸収材料。
【0134】
59.多糖マトリックスは、本質的に、
約25重量%~約32.5重量%のMCC、
約50重量%~約60重量%のPGS、
約10重量%~約15重量%のMHEC、及び
約0重量%~約10重量%のHECからなる、実施形態55の発色吸収材料。
【0135】
60.多糖マトリックスは、
化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース、
アルファ化デンプン(PGS)、及び
少なくとも10重量%のメチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)を含む、実施形態52の発色吸収材料。
【0136】
61.多糖マトリックスは、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)を更に含む、実施形態60の発色吸収材料。
【0137】
62.化学的又は機械的に処理された非官能化セルロースは、微結晶性セルロースである、実施形態60又は61の発色吸収材料。
【0138】
63.化学的又は機械的に処理された非官能化セルロースは、約50μm~約80μmのレーザー回折による平均粒径、及び約0.20g/mL~約0.35g/mLのかさ密度を有する機械的に処理された非官能化セルロースである、実施形態60又は61の発色吸収材料。
【0139】
64.多糖マトリックスは、10重量%~約20重量%のMHECを含む、実施形態60~63のいずれか一項の発色吸収材料。
【0140】
65.アルキルアリールスルホン酸塩界面活性剤は、アルキルベンゼンスルホン酸塩である、実施形態52~64のいずれか一項の発色吸収材料。
【0141】
66.アルキルベンゼンスルホン酸塩は、ドデシルベンゼンスルホン酸塩である、実施形態65の発色吸収材料。
【0142】
67.ドデシルベンゼンスルホン酸塩は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエチルアミン、又はドデシルベンゼンスルホン酸カリウムである、実施形態66の発色吸収材料。
【0143】
68.動物排出物中のヘモグロビン及び/又はグルコース検出のための発色吸収材料であって、
動物排泄物中のペルオキシダーゼ/プソイドペルオキシダーゼ活性に反応する第1の酸化剤、及び
触媒系、のうちの少なくとも1つであって、触媒系は、
動物排泄物中のペルオキシダーゼ/プソイドペルオキシダーゼ活性に反応する第2の酸化剤のその場での生成のための第1の触媒化合物、及び
第2の酸化剤のその場での生成時に発色指示薬の酸化を触媒するための第2の触媒化合物を含む、少なくとも1つと、
第1の酸化剤及び第2の酸化剤に反応する発色指示薬と、
アニオン性ポリマーを含まない多糖マトリックスと、を含む、発色吸収材料である。
【0144】
69.アルキルアリールスルホン酸塩界面活性剤は、アルキルベンゼンスルホン酸塩である、実施形態68の発色吸収材料。
【0145】
70.アルキルベンゼンスルホン酸塩は、ドデシルベンゼンスルホン酸塩である、実施形態69の発色吸収材料。
【0146】
71.ドデシルベンゼンスルホン酸塩は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエチルアミン、又はドデシルベンゼンスルホン酸カリウムである、実施形態70の発色吸収材料。
【0147】
72.第1の酸化剤は、有機ヒドロペルオキシドを含む、実施形態43~72のいずれか一項の発色吸収材料。
【0148】
73.有機ヒドロペルオキシドは、クメンヒドロペルオキシド、又はジイソプロピルベンゼンジヒドロペルオキシド、又はこれらの組み合わせである、実施形態72の発色吸収材料。
【0149】
74.第1の触媒化合物は、オキシドレダクターゼ酵素を含み、
第2の触媒化合物は、ペルオキシダーゼ、プソイドペルオキシダーゼ、又はこれらの組み合わせを含み、
第2の酸化剤は、過酸化水素である、実施形態43~73のいずれか一項の発色吸収材料。
【0150】
75.第1の触媒化合物は、グルコースオキシダーゼ(Glucose Oxidase、GOx)であり、第2の触媒化合物は、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HorseRadish Peroxidase、HRP)である、実施形態74の発色吸収材料。
【0151】
76.発色指示薬は、ベンジジン系化合物を含む、実施形態43~75のいずれか一項の発色吸収材料。
【0152】
77.ベンジジン系化合物は、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジンを含む、実施形態76の発色吸収材料。
【0153】
78.緩衝剤、安定剤、金属捕捉剤、色増強剤、又はこれらの組み合わせを更に含む、実施形態43~77のいずれか一項の発色吸収材料。
【0154】
79.色増強剤は、6-メトキシキノリン、レピジン、フェノール誘導体、ニトロベンゼン、N-メチルピロリドン、若しくはエチレンカーボネート、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態78の発色吸収材料。
【0155】
80.緩衝剤は、クエン酸塩、クエン酸ナトリウム、リン酸塩、若しくは酢酸塩、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態78又は79の発色吸収材料。
【0156】
81.安定剤は、ジブチルヒドロキシトルエン(dibutylhydroxytoluene、BHT)、尿酸、アスコルビン酸、モリブデン酸アンモニウム、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、若しくはこれらの誘導体、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態78~80のいずれか一項の発色吸収材料。
【0157】
82.金属捕捉剤は、エチレンジアミン四酢酸(EthyleneDiamineTetraacetic Acid、EDTA)、若しくはEDTAナトリウム塩、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態78~81のいずれか一項の発色吸収材料。
【0158】
83.約0.20g/cm3~約0.39g/cm3の密度を有する、実施形態43~82のいずれか一項の発色吸収材料。
【0159】
84.約0.5mL/g~約2.0mL/gの有効気孔率を有する材料である、実施形態43~82のいずれか一項の発色吸収材料。
【0160】
85.約20μm超の等価直径を有する細孔を有する、実施形態43~84のいずれか一項の発色吸収材料。
【0161】
86.約900%より大きい自由膨潤能力を有する、実施形態43~85のいずれか一項の発色吸収材料。
【0162】
87.約20%超の細孔密度を有する、実施形態43~86のいずれか一項の発色吸収材料。
【実施例】
【0163】
尿サンプル
この評価で利用したネコの尿は、Proanima(Boucherville)から寛大に供与された。尿の特徴、特に白血球、亜硝酸塩、タンパク質、ケトン、ウロビリ及びビリルビンを、Roche Chemstrips(登録商標)9を用いて評価した。pH及びUSGは、それぞれpHメーター及び屈折計を用いて正確に測定した。
【0164】
この評価には、グルコース及び血液を含まず、pHが6.3及びUSGが1.030g/mLを有する典型的な健康なネコの尿を使用した。
【0165】
グルコース溶液
D-グルコースストック溶液を健康なネコの尿中に1000mg/dLで調製した。健康なネコの尿に最終濃度0、25、50、100、150及び300mg/dLのグルコースストックを添加することによって、その後のグルコース溶液を調製した。
【0166】
ヘモグロビン溶液
濃縮水性ウシヘモグロビン(Hb)ストックを最初に脱塩水中で調製した。この水性ストックを健康なネコの尿で希釈することによって、二次ストックを調製した。その後のヘモグロビン溶液を、健康なネコの尿に尿中のHbストックを0、30、60、90、150及び300RBC/mL(RBC=赤血球)の最終濃度で添加することによって調製した。ヘモグロビン溶液へのHb水溶液の添加は、生物学的マトリックスの固有の組成を変化させないように、全体積の2%を超えないようにした。
【0167】
顆粒性能評価
ヘモグロビン検出評価:各ヘモグロビン濃度について、三連の顆粒セットをミネラル系トイレ砂上に置いた。3滴(約150μL)のヘモグロビン溶液を、各それぞれのRBC濃度レベルについて各顆粒上に適用した。乾燥対照顆粒も同一条件下で試験して、評価期間を通して自発的な色の変化(偽陽性)が起こらないことを確認した。
【0168】
グルコース検出評価:各グルコース濃度について、三連の顆粒セットをミネラル系トイレ砂上に置いた。3滴(約150μL)の試料を、各それぞれのグルコース濃度レベルについて各顆粒上に適用した。乾燥対照顆粒も同一条件下で試験して、評価期間を通して自発的な色の変化(偽陽性)が起こらないことを確認した。
【0169】
デジタル画像を、特定の時点、特に1、3、5、10、20、30分ならびに1、2、及び24時間で取り込んだ。本研究における全ての画像は、Sonyデジタルカメラ(Mod ILCE-6000L)を使用して、LEDライトボックス(Photo Studio、モデル2×15-200-16-05、出力:2×0.3A)内でされた。取得パラメータ及び設定は、全ての写真について同一であり、37mmズーム、100のISO、1/13秒のシャッター速度及び20mmの焦点開口で構成された。
【0170】
実施例1(比較例)
国際公開第2017/165953号、同第2016/049765号、及び同第2015/127528号に記載されているように、ヘモグロビン及びグルコース検出のために前世代の発色溶液を組み合わせることによって、前世代の多糖マトリックスから作製された顆粒を製造及び評価するために実験を行った。
【0171】
試験発色溶液の組成を表1Aに示す。
【0172】
【0173】
試験した多糖マトリックスの組成を表1Bに示す。
【0174】
【0175】
多糖マトリックス1a及び1bの両方について、均一に調製された多糖マトリックス1a又は1bの粉末床に発色溶液1Aを直接滴下することによって発色顆粒を製造した。これにより、湿った準球状顆粒が得られた。湿った顆粒を直ちにストレーナーに移して、過剰の粉末マトリックスを篩い分け、続いてオーブンに入れて70℃で乾燥させた。次いで、それによって得られた顆粒を、グルコース溶液を用いてグルコース検出について、及びヘモグロビン溶液を用いてヘモグロビン検出について試験した。
【0176】
多糖マトリックス1aから形成された顆粒では、30~300RBC/μLの間でヘモグロビン濃度が増加するにつれて、強度が増加する青色着色が観察され、25~300mg/dLの間でグルコース濃度が増加するにつれて、強度が増加する青色着色が観察された。しかしながら、脱塩水を顆粒に注いだときに偽陽性の結果が観察された(ヘモグロビン濃度=0RBC/μL、グルコース濃度=0mg/dL)、及び
【0177】
多糖マトリックス1bから形成された顆粒では、30~300RBC/μLの間でヘモグロビン濃度が増加するにつれて、強度が増加する青色着色が観察され、25~300mg/dLの間でグルコース濃度が増加するにつれて、強度が増加する青色着色が観察された。しかしながら、脱塩水を顆粒に注いだときに偽陽性の結果が観察された(ヘモグロビン濃度=0RBC/μL、グルコース濃度=0mg/dL)。
【0178】
多糖マトリックス1a及び1bのいずれも、発色溶液1Aと組み合わせた場合、ネコの尿中のヘモグロビン及びグルコースの両方を検出するために使用することができる顆粒を得ることができなかった。
【0179】
実施例2
表2Aに示す発色溶液を用いて、35重量%未満の微結晶セルロースを含む顆粒を製造及び評価するための実験を行った。
【0180】
【0181】
試験した多糖マトリックスの組成を表2Bに示す。
【0182】
【0183】
多糖マトリックス2a及び2bの両方について、均一に調製された多糖マトリックス2a又は2bの粉末床に発色溶液2Aを直接滴下することによって発色顆粒を製造した。これにより、湿った準球状顆粒2a及び2bが得られた。湿った顆粒を直ちにストレーナーに移して、過剰の粉末マトリックスを篩い分け、続いてオーブンに入れて70℃で乾燥させた。次いで、それによって得られた顆粒を、グルコース溶液を用いてグルコース検出について、及びヘモグロビン溶液を用いてヘモグロビン検出について試験した。
【0184】
顆粒2aによるヘモグロビン検出
顆粒2aは、60~300RBC/μLの濃度のヘモグロビン溶液の適用から数秒後に、青色着色を急速に示した。表2Aに示すように、発色溶液中にSDBSが存在しない場合、着色は約1時間持続し、発色溶液中にSDBSが存在する場合、少なくとも24時間持続した。実施例1で得られた顆粒とは対照的に、脱イオン水を顆粒2aに注いだ場合、偽陽性の着色は観察されなかった。
【0185】
顆粒2bによるヘモグロビン検出
顆粒2bは、顆粒2aと同様に機能し、90~300RBC/μLの濃度のヘモグロビン溶液の適用から数秒後に、青色着色を急速に示した。表2Aに示すように、発色溶液中にSDBSが存在しない場合、着色は約1時間持続し、発色溶液中にSDBSが存在する場合、少なくとも24時間持続した。実施例1で得られた顆粒とは対照的に、脱イオン水を顆粒2bに注いだ場合、偽陽性の着色は観察されなかった。
【0186】
顆粒2aによるグルコース検出
顆粒2aは、25mg/dLという低濃度のグルコース溶液の適用から数秒後に、青色着色を急速に示し、半定量的な特徴も示した。表2Aに示すように、発色溶液中にSDBSが存在しない場合、着色は約1~2時間持続し、発色溶液中にSDBSが存在する場合、少なくとも24時間持続した。実施例1で得られた顆粒とは対照的に、脱イオン水を顆粒2aに注いだ場合、偽陽性の着色は観察されなかった。しかしながら、顆粒2aの片側(すなわち、顆粒の形成中に発色溶液と最初に接触した側)のみが青色を示した。この現象は、本明細書ではキャンディー効果と呼ばれる。理論に束縛されるものではないが、キャンディー効果は、グルコースオキシダーゼ及び西洋ワサビペルオキシダーゼが顆粒全体に浸透しなかったことを示唆した。キャンディー効果を示す顆粒は、青色着色が依然として目に見えるという点で機能的であるが、キャンディー効果を最小限に抑えるか、又は排除することが好ましい。
【0187】
顆粒2bによるグルコース検出
顆粒2bは、顆粒2aと同様に機能し、50mg/dLという低濃度のグルコース溶液の適用から数秒後に、青色着色を急速に示した。表2Aに示すように、発色溶液中にSDBSが存在しない場合、着色は約1~2時間持続し、発色溶液中にSDBSが存在する場合、少なくとも24時間持続した。実施例1で得られた顆粒とは対照的に、脱イオン水を顆粒2bに注いだ場合、偽陽性の着色は観察されなかった。顆粒2bもキャンディー効果を示した。
【0188】
実施例3
表3Aに示される発色溶液を使用して、メチルヒドロキシエチルセルロースを含む更なる顆粒製剤を製造及び評価するために実験を行った。
【0189】
【0190】
試験した多糖マトリックスの組成を表3Bに示す。
【0191】
【0192】
全ての多糖マトリックス3a、3b、3c、3d、及び3eについて、表3Aの発色溶液を、均質に調製した多糖マトリックス3a、3b、3c、3d又は3eの粉末床に直接滴下することによって、発色顆粒3a~3eを製造した。これにより、湿った準球状顆粒3a、3b、3c、3d、又は3eが得られた。湿った顆粒を直ちにストレーナーに移して、過剰の粉末マトリックスを篩い分け、続いてオーブンに入れて70℃で乾燥させた。次いで、それによって得られた顆粒を、ヘモグロビン及びグルコース溶液を使用して、グルコース及びヘモグロビン検出について試験した。
【0193】
顆粒3aの評価:
- 顆粒3aは、その製造中に青色着色を示し、これは乾燥プロセス中に消失した。
- 顆粒3aは、脱塩水の添加時に青色着色を誘発しなかった(陰性対照)。
- 顆粒3aは急速に反応して、グルコース濃度が増加するにつれて、ほぼ瞬時に目に見える、次第により暗い青色着色を生じた。
- 顆粒3aもヘモグロビン溶液を効果的に検出し、グルコース検出と同様に機能した。
- 顆粒3aは、次第に濃縮されるグルコース溶液と接触してもキャンディー効果を示さなかった。
- メチルヒドロキシエチルセルロースを含まない同様の多糖マトリックスで作製された顆粒が依然としてキャンディー効果を示したため、キャンディー効果の消失はメチルヒドロキシエチルセルロースの使用に起因した。
【0194】
顆粒3bの評価:
- 顆粒3bは、上に挙げた全ての点について顆粒3aと同様に機能したが、顆粒3aよりも低い濃度でヘモグロビンを検出することができた。これは、多糖マトリックスからグアーガムが除去されたことに起因した。
【0195】
顆粒3cの評価:
- 顆粒3cは、顆粒3bと同様に機能したが、青色着色は、顆粒3bよりも著しく強かった。
【0196】
顆粒3dの評価:
- 顆粒3dは、顆粒3bと同様に機能したが、不均一な顆粒着色の非常に軽微な徴候を示し始めた。メチルヒドロキシエチルセルロース含量を多糖マトリックスの10重量%未満に低下させると、キャンディー効果が再導入されることが評価された。
【0197】
顆粒3eの評価:
- 顆粒3eは、顆粒3aと同様に機能したが、青色着色はそれほど強くなかった。顆粒3eは、MCCを使用せずに、それを繊維状の機械的に処理されたセルロース(例えば、200μmの平均繊維長、20μmの平均繊維厚、及び0.11~0.145g/mLのかさ密度を有するArbocel(登録商標)、グレードBWW 40)で置き換えることによって、ヘモグロビン及びグルコースの複合検出のための顆粒を得ることが可能であることを示した。しかしながら、顆粒3eは、脱イオン水と接触させた場合に青色着色を示したが、グルコース及びヘモグロビンを含まないネコの尿と接触させた場合には示さなかった。
【0198】
実施例4
実施例2及び3と同じ多糖マトリックスを有する顆粒を、以下を使用して製造した。
1)表3Aに概説したものと同様の発色溶液であるが、SDBS又は任意の他のアニオン性界面活性剤を含まない発色溶液。
2)表3Aに概説した発色溶液。
3)SDBSをSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)で置き換えた以外は表3Aに概説したものと同様の発色溶液。
【0199】
アニオン性界面活性剤を含まない発色溶液を使用した場合、顆粒は、ヘモグロビン溶液と接触すると、及びグルコース溶液と接触すると、青色着色を示した。しかしながら、青色着色は、典型的には、ヘモグロビン又はグルコース溶液の適用後約3時間でアーミーグリーンにシフトした。
【0200】
SDBS含有発色溶液を使用した場合、顆粒は、ヘモグロビン溶液との接触時及びグルコース溶液との接触時に青色着色を示した。青色着色は長時間安定であり、ヘモグロビン又はグルコース溶液の適用後少なくとも24時間までアーミーグリーンにシフトしなかった。
【0201】
SDS含有発色溶液を使用した場合、顆粒は、SDBSを使用した場合よりも強度が低い淡青色着色を示した。したがって、感度は、SDBSよりもSDSを使用した場合に低かった。
【0202】
この実施例は、アリールアルキルスルホン酸界面活性剤(例えば、SDBS)の使用が、ヘモグロビン溶液又はグルコース溶液との接触後の顆粒の青色着色を安定化し、感度の増加を可能にすることを示した。
【0203】
実施例5
顆粒1a、1b、2a、及び2bでは、顆粒が金属カチオンを含有するトイレ砂材料に添加された場合(例えば、ベントナイトは、主にFe3+の形態で2~6%の鉄を含有する)、健康なネコの尿の適用時に形成された凝集塊の周囲に淡青色のハローが発生したことが観察された。この効果は、それぞれの多糖マトリックス中のアニオン性ポリマーの存在に起因し得ると仮定された。例えば、顆粒1aは、ポリアクリル酸ナトリウムを含有し、顆粒1b、2a、及び2bは、カルボキシメチルセルロースを含有する。理論に束縛されるものではないが、1つの可能な説明は、ベントナイト粒子と接触しているときに顆粒を湿らせると、湿った媒体がベントナイトから顆粒へのFe3+の静電移動を可能にし、TMBの望ましくない酸化及び望ましくない淡青色着色をもたらし得るというものであり得る。したがって、多糖マトリックスから全てのアニオン性多糖を除去することにより、凝集塊の縁におけるこの淡青色のハローを改善するか、更には除去することができると仮定された。
【0204】
顆粒3a、3b、3c、3d、及び3eは、アニオン性ポリマーを含まず(例えば、アニオン性多糖類を含まず、アニオン性超吸収性ポリマーを含まない)、実際に、健康なネコの尿の適用時に、この淡青色のハローを特徴としない。
【0205】
実施例6
表6Aに示す発色溶液の1つを用いて、顆粒を製造及び評価するための実験を行った。
【0206】
【0207】
試験した多糖マトリックスの組成を表6B、6C、及び6Dに示す。
【0208】
【0209】
【0210】
【0211】
全ての顆粒6.1~6.42について、均一に調製された多糖マトリックスの粉末床上に、表6B、6C、及び6Dに列挙された発色溶液を直接滴下することによって、発色顆粒を製造した。2つ以上の発色溶液が単一の表セルに記載されている場合(例えば、表6DのE、F、G)、それぞれが単一の発色溶液を有する3つの別個のタイプの顆粒が製造されたことを意味する。これによって、各多糖マトリックス6.1~6.42について湿った準球状顆粒が得られた。湿った顆粒を直ちにストレーナーに移して、過剰の粉末マトリックスを篩い分け、続いてオーブンに入れて70℃で乾燥させた。次いで、それによって得られた顆粒を、グルコース溶液を用いてグルコース検出について、及びヘモグロビン溶液を用いてヘモグロビン検出について試験した。
【0212】
顆粒6.1~6.3:
- 顆粒6.1、6.2、及び6.3は、製造プロセス中にいかなる青色着色も示さなかった。
- 顆粒6.1、6.2、及び6.3は、ヘモグロビン及びグルコースに対して反応性であった(すなわち、ヘモグロビン又はグルコースを含むネコの尿で濡れたときに青色に変化した)。
- 顆粒6.1、6.2、及び6.3は、ヘモグロビンもグルコースも含まないネコの尿で湿らせた場合、偽陽性結果を示さなかった。
- 顆粒6.3は、脱塩水で湿らせたときにわずかな青色を呈したが、ヘモグロビン又はグルコースを含むネコの尿で更に湿らせたときに依然として機能的であった(すなわち、より顕著な青色に変化した)。
- 顆粒6.1及び6.2は、脱塩水で湿らせたときに青色着色を示さなかった。
【0213】
顆粒6.4~6.6:
- 顆粒6.4~6.6は、製造プロセス中にわずかに青色着色を示し、これは乾燥後に消失しなかった。
- 顆粒6.4~6.6は、ヘモグロビン及びグルコースに対して反応性であった。
- 顆粒6.4~6.6は、脱塩水又はヘモグロビン若しくはグルコースを含むネコの尿で湿らせた場合に偽陽性の結果を生じた。
【0214】
顆粒6.7~6.9:
- 顆粒6.6~6.9は、製造プロセス中にわずかに青色着色を示し、これは乾燥後に消失した。
- 顆粒6.6~6.9は、ヘモグロビン及びグルコースに対して反応性であった。
- 多糖マトリックス中のHECの増加は、ヘモグロビン検出のためのより強い青色着色をもたらした。
- 顆粒6.6~6.9は、ヘモグロビンもグルコースも含まないネコの尿で湿らせた場合、偽陽性結果を生じなかった。
【0215】
顆粒6.10~6.14:
- 顆粒6.10~6.14は、製造プロセス中にわずかに青色着色を示し、これは乾燥後に消失した。
- 顆粒6.10~6.14は、ヘモグロビン及びグルコースに対して反応性であった。
- 顆粒6.10~6.14は、ヘモグロビンもグルコースも含まないネコの尿で湿らせた場合、偽陽性の結果を生じなかった。
- 機械的に処理されたセルロース(Arbocel、Vitacel 601、Vitacel 611)を含有する顆粒6.12、6.13、及び6.14は、ヘモグロビン及びグルコースの検出のためにより強い青色着色をもたらした。
- 顆粒6.10~6.14を用いて、様々なグレードの微結晶性セルロース(例えば、50μm平均粒径又は100μm平均粒径)及び様々なグレードの機械的に処理されたセルロース(Arbocel、Vitacel 601、Vitacel 611)を使用して、ヘモグロビン及びグルコースの両方に反応性である顆粒を生成することができることが示された。
【0216】
顆粒6.15~6.19:
- 顆粒6.15~6.19は、製造プロセス中にわずかに青色着色を示し、これは乾燥後に消失した。
- 顆粒6.15~6.19は、ヘモグロビン及びグルコースに対して反応性であった。
- 顆粒6.15~6.19は、ヘモグロビンもグルコースも含まないネコの尿で湿らせた場合、偽陽性の結果を生じなかった。
- 顆粒6.15~6.19を用いて、様々なグレードのMHECを使用して、ヘモグロビン及びグルコースの両方に反応性である顆粒を生成することができることが示された。
【0217】
顆粒6.20~6.23:
- 顆粒6.20~6.23は、製造プロセス中にわずかに青色着色を示し、これは乾燥後に消失した。
- 顆粒6.20~6.23は、ヘモグロビン及びグルコースに対して反応性であった。
- 顆粒6.20~6.23は、ヘモグロビンもグルコースも含まないネコの尿で湿らせた場合、偽陽性の結果を生じなかった。
- 顆粒6.20~6.23を用いて、HEC含量を増加させても、ヘモグロビン及びグルコースの両方に反応性である顆粒を生成することができることが示された。
【0218】
顆粒6.24~6.31:
- 顆粒6.24~6.31は、ヘモグロビン及びグルコースに対して反応性であった。
- 顆粒6.24~6.31は、脱塩水又はヘモグロビン若しくはグルコースを含むネコの尿で湿らせた場合に偽陽性の結果を生じた。
【0219】
顆粒6.32:
- 顆粒6.32は、ヘモグロビン及びグルコースに対して反応性であり、均質な青色着色を生じ、脱イオン水又はヘモグロビン若しくはグルコースを含むネコの尿で湿潤した際に偽陽性結果を生じなかった。青色着色は、少なくとも24時間、退色又は緑色への変化を開始しなかった。
【0220】
顆粒6.33~6.42:
- 顆粒6.33~6.42は、グルコース検出のみのために発色溶液を用いて製造した。
- 顆粒6.33~6.42は、グルコースに対して反応性であった。
- グルコースに対する反応性は、水性グルコース及びグルコース補充尿の両方で湿らせた場合、酵素濃度の増加とともに増加した。
- CMCを含む顆粒は、一般に、グルコース溶液と接触すると、より顕著な着色を生じた。
- 顆粒6.33~6.42は、グルコースを含まないネコの尿で湿らせた場合、又は脱塩水で湿らせた場合に、偽陽性の結果を生じなかった。
【0221】
実施例7
表7Aに示す発色溶液の1つを用いて、顆粒を製造及び評価するための実験を行った。
【0222】
【0223】
表7A中の界面活性剤を10%w/w水溶液として添加する。したがって、界面活性剤は、発色溶液7A、7B、7C、7D、7E、7F、7G、及び7I中に、それぞれの発色溶液の総重量に基づいて、それぞれ、0重量%、0.10重量%、0.05重量%、0.10重量%、0.15重量%、0.20重量%、0.30重量%、0.40重量%、及び0.50重量%の濃度で存在する。
【0224】
試験した多糖マトリックスの組成を表7Bに示す。
【0225】
【0226】
最近、文献(Li,Meng;Huang,Xiang-Rong;Guo,Yi;Shang,Ya-Zhuo;Liu,Hong-Lai(2017),Chinese Chemical Letters、その全体が本明細書に参照により組み込まれる)に、アニオン性界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウム(SDS)が、溶液中の正に荷電したTMB複合体の青色着色を安定化させるのに役立ち得ることを報告された。驚くべきことに、アルキルスルホネートSDSの代わりにアリールアルキルスルホネート(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS))を使用すると、より強い青色が得られ、それによってヘモグロビン及びグルコース検出の感度が増加することが見出された。
【0227】
種々のSDBS濃度を試験した。発色溶液の総重量に基づいて0.05重量%~0.50重量%の範囲の界面活性剤濃度で製造された顆粒は、着色強度の著しい増加を示し、少なくとも24時間前に退色せず、緑色にシフトしないことが見出された。この範囲のSDBS濃度を使用することにより、グルコースについては約10mg/dl、ヘモグロビンについては約30RBC/μLの検出レベルに達することが可能になった。SDSを使用すると、同様の検出レベルに達することができたが、青色に変わってから数時間後に色が緑色にシフトした。
【0228】
実施例8
表8Aに示す発色溶液の1つを用いて、顆粒を製造及び評価するための実験を行った。
【0229】
【0230】
表8A中の界面活性剤を10%水溶液として添加する。したがって、界面活性剤は、発色溶液8A、8B、8C、8D、8E、8F、及び7G中に、それぞれの発色溶液の総重量に基づいて、それぞれ、0重量%、0.10重量%、0.10重量%、0.19重量%、0.10重量%、0.10重量%、及び0.034重量%の濃度で存在する。
【0231】
試験した多糖マトリックスの組成を表8Bに示す。
【0232】
【0233】
追加の界面活性剤(CTAB)を試験した。CTABの溶解度が低いため、界面活性剤を含まない発色溶液を用いて顆粒を製造し、0.27重量%又は0.69重量%のCTAB(w/w)を補充した多糖マトリックスに界面活性剤を添加した。
【0234】
試験した界面活性剤は以下のとおりであった。
- SDS:ドデシル硫酸ナトリウム
- SDBS:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
- SHS:ヘキサンスルホン酸ナトリウム
- SBS:ベンゼンスルホン酸ナトリウム
- TS:トルエン-4-スルホン酸ナトリウム
- CTAB:ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド
- エピゲンBB:N-(アルキルC10~C16)-N,N-ジメチルグリシンベタイン
【0235】
ヘモグロビン検出:
アニオン性界面活性剤のいずれかを用いて製造された顆粒は、ヘモグロビンに対して反応性のままであり、ヘモグロビン溶液と接触すると明白な青色着色を生じた。しかしながら、SDBSを用いて生成された顆粒は、最も反応性及び感受性が高く、30RBC/μLという低い濃度でヘモグロビンを検出し、より強い着色を示し、より緑色へのシフトが最も少なく、LODレベル(ヘモグロビンについて約30RBC/μL)での退色に抵抗した。SDSは、低ヘモグロビン濃度での顆粒着色の安定化において、SDBSとほぼ同様に有効であったが、より緑色への色シフトに抵抗することができなかった。最後に、SHS、SBS、及びTSは、低ヘモグロビン濃度で安定な顆粒着色を可能にせず、数時間後に青色が緑色にシフトした。
【0236】
カチオン性界面活性剤CTABを用いて製造された顆粒は、顆粒性能に悪影響を及ぼした。反応性ではあるが、CTABを含有する顆粒は感受性を欠いており、数時間後に緑色へのシフトを示し、色は数時間後に有意に退色した(界面活性剤を含まない顆粒よりも退色した)。
【0237】
両性界面活性剤Empigen BBを用いて製造された顆粒は、30RBC/μLという低い濃度で明白な青色着色を生じた。しかしながら、LOD濃度での着色は、バイオマーカー溶液で湿らせた1時間後に退色し始めた。数時間後に緑色へのシフトも観察された。
【0238】
グルコース検出:
陰イオン界面活性剤のいずれかを用いて製造された顆粒は反応性であり、グルコース溶液と接触すると明白な青色を生じた。アニオン性分子/界面活性剤を用いて生成された全ての顆粒が、反応性であり、感受性であり、経時的な退色に抵抗するにもかかわらず、SDBSを含有するもののみが、グルコースのLODレベル(グルコースについては10mg/dl)で最も強い着色を示し、経時的に緑色に向かうシフトが最も少なかった。
【0239】
CTABを用いて製造された顆粒は反応性であり、グルコース溶液と接触すると明白な青色を生じた。CTABを含有する顆粒は、SDBSを除いてアニオン性分子のいずれかを用いて製造されたものと同様に機能した。CTABを含有する顆粒は、SDBSを含有する顆粒と同程度に反応性及び感受性であり、グルコースのLODレベルであっても顆粒上に明白な青色着色を生じ、これは、時間とともに退色に抵抗したが、数時間後により緑色の色相への色シフトに耐えることができなかった。
【0240】
Empigen BBを用いて生成された顆粒は、SDBSを含有するものと同様に機能し、グルコースのLODレベルで明白な青色を迅速に生成した。しかしながら、Empigen BBを用いて製造された顆粒は、数時間後に緑色へのシフトを示した。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物排出物中のヘモグロビン及びグルコース検出のための発色吸収材料であって、
ベンジジン系化合物と、
ヘモグロビンの存在下で前記ベンジジン系化合物の酸化を触媒するための有機ヒドロペルオキシドと、
グルコースの存在下で過酸化水素をその場で生成するための、オキシドレダクターゼである第1の酵素と、
前記過酸化水素のその場での生成時に前記ベンジジン系化合物の酸化を触媒するための、ペルオキシダーゼ、プソイドペルオキシダーゼ、又はこれらの組み合わせである第2の酵素と、
多糖マトリックスであって、
約10重量%~約32.5重量%の化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース、
約25重量%~約70重量%のアルファ化デンプン(PreGelatinized Starch、PGS)、
0重量%~約20重量%のグアーガム、
0重量%~約25重量%のメチルヒドロキシエチルセルロース(Methyl HydroxyEthyl Cellulose、MHEC)、
0重量%~約15重量%のヒドロキシエチルセルロース(HydroxyEthyl Cellulose、HEC)、及び
0重量%~約10重量%のカルボキシメチルセルロース(CarboxyMethyl Cellulose、CMC)を含む、多糖マトリックスと、を含む、発色吸収材料。
【請求項2】
前記多糖マトリックスは、
約10重量%~約32.5重量%の化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース、
約25重量%~約70重量%のPGS、
約10重量%~約20重量%のMHEC、及び
約2.5重量%~約7.5重量%のCMCを含む、請求項1に記載の発色吸収材料。
【請求項3】
前記多糖マトリックスは、
約25重量%~約32.5重量%の化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース、
約40重量%~約60重量%のPGS、
約10重量%~約20重量%のMHEC、及び
約2.5重量%~約7.5重量%のCMCを含む、請求項2に記載の発色吸収材料。
【請求項4】
前記化学的又は機械的に処理された非官能化セルロースは、微結晶性セルロース(MicroCrystalline Cellulose、MCC)、繊維状セルロース、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1~
3のいずれか一項に記載の発色吸収材料。
【請求項5】
前記微結晶性セルロースは、約25μm~約200μmのレーザー回折による平均粒径を有し、前記繊維状セルロースは、最大約220μmの平均繊維長を有する、請求項
4に記載の発色吸収材料。
【請求項6】
前記化学的又は機械的に処理された非官能化セルロースは、約50μm~約80μmのレーザー回折による平均粒径、及び約0.20g/mL~約0.35g/mLのかさ密度を有する機械的に処理された非官能化セルロースである、請求項1~
3のいずれか一項に記載の発色吸収材料。
【請求項7】
アニオン性界面活性剤を更に含む、請求項1~
3のいずれか一項に記載の発色吸収材料。
【請求項8】
前記アニオン性界面活性剤は、アルキルアリールスルホン酸塩界面活性剤である、請求項
7に記載の発色吸収材料。
【請求項9】
前記アルキルアリールスルホン酸塩界面活性剤は、アルキルベンゼンスルホン酸塩である、請求項
8に記載の発色吸収材料。
【請求項10】
前記アルキルベンゼンスルホン酸塩は、ドデシルベンゼンスルホン酸塩である、請求項
9に記載の発色吸収材料。
【請求項11】
動物排出物中のヘモグロビン及び/又はグルコース検出のための発色吸収材料であって、
ベンジジン系化合物と、
ヘモグロビンの存在下で前記ベンジジン系化合物の酸化を触媒するための有機ヒドロペルオキシド、及び
触媒系、のうちの少なくとも1つであって、前記触媒系は、
グルコースの存在下で過酸化水素をその場で生成するための、オキシドレダクターゼである第1の酵素、及び
前記過酸化水素のその場での生成時に前記ベンジジン系化合物の酸化を触媒するための、ペルオキシダーゼ、プソイドペルオキシダーゼ、又はこれらの組み合わせである第2の酵素を含む、少なくとも1つと、
ドデシルベンゼンスルホン酸塩と、
化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース及びアルファ化デンプン(PreGelatinized Starch、PGS)を含む多糖マトリックスと、を含む、発色吸収材料。
【請求項12】
前記多糖マトリックスは、
約10重量%~約32.5重量%の化学的又は機械的に処理された非官能化セルロース、
約25重量%~約70重量%のPGS、
0重量%~約20重量%のグアーガム、
0重量%~約25重量%のメチルヒドロキシエチルセルロース(Methyl HydroxyEthyl Cellulose、MHEC)、
0重量%~約15重量%のヒドロキシエチルセルロース(HydroxyEthyl Cellulose、HEC)、及び
0重量%~約10重量%のカルボキシメチルセルロース(CarboxyMethyl Cellulose、CMC)
を含む多糖マトリックスと、を含む、請求項
11に記載の発色吸収材料。
【請求項13】
前記化学的又は機械的に処理された非官能化セルロースは、微結晶性セルロース(MicroCrystalline Cellulose、MCC)、繊維状セルロース、又はこれらの組み合わせである、請求項
12に記載の発色吸収材料。
【請求項14】
前記微結晶性セルロースは、約25μm~約200μmのレーザー回折による平均粒径を有し、前記繊維状セルロースは、最大約220μmの平均繊維長を有する、請求項
13に記載の発色吸収材料。
【請求項15】
前記化学的又は機械的に処理された非官能化セルロースは、約50μm~約80μmのレーザー回折による平均粒径、及び約0.20g/mL~約0.35g/mLのかさ密度を有する機械的に処理された非官能化セルロースである、請求項
12に記載の発色吸収材料。
【請求項16】
前記ドデシルベンゼンスルホン酸塩は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエチルアミン、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、又はこれらの組み合わせである、請求項
12~1
5のいずれか一項に記載の発色吸収材料。
【請求項17】
前記第1の酵素は、グルコースオキシダーゼ(Glucose Oxidase、GOx)であり、前記第2の酵素は、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HorseRadish Peroxidase、HRP)である、請求項1
又は11に記載の発色吸収材料。
【請求項18】
前記ベンジジン系化合物は、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジンを含む、請求項1
又は11に記載の発色吸収材料。
【請求項19】
前記有機ヒドロペルオキシドは、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンジヒドロペルオキシド、又はこれらの組み合わせである、請求項1
又は11に記載の発色吸収材料。
【請求項20】
緩衝剤、安定剤、金属捕捉剤、色増強剤、又はこれらの組み合わせを更に含む、請求項1
又は11に記載の発色吸収材料。
【国際調査報告】