(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-03
(54)【発明の名称】ACTRIIタンパク質およびその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 38/16 20060101AFI20240527BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20240527BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240527BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20240527BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240527BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240527BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20240527BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20240527BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20240527BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240527BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20240527BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240527BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240527BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20240527BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240527BHJP
A61K 31/5585 20060101ALI20240527BHJP
A61K 31/4985 20060101ALI20240527BHJP
A61K 31/4965 20060101ALI20240527BHJP
A61K 31/505 20060101ALI20240527BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20240527BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20240527BHJP
A61K 31/19 20060101ALI20240527BHJP
A61K 31/4412 20060101ALI20240527BHJP
A61K 31/4418 20060101ALI20240527BHJP
C07K 14/705 20060101ALI20240527BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
A61K38/16
A61P9/12
A61P11/00
A61P11/06
A61P35/00
A61P3/04
A61P21/04
A61P25/22
A61P25/24
A61P37/02
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P9/00
A61K47/68
A61K45/00
A61K31/5585
A61K31/4985
A61K31/4965
A61K31/505
A61K31/506
A61K31/519
A61K31/19
A61K31/4412
A61K31/4418
C07K14/705 ZNA
C07K19/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575554
(86)(22)【出願日】2022-06-10
(85)【翻訳文提出日】2024-02-06
(86)【国際出願番号】 US2022033007
(87)【国際公開番号】W WO2022261436
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509125475
【氏名又は名称】アクセルロン ファーマ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】リ,ガン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】クマール,ラヴィンドラ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4C206
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
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4H045GA22
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4H045GA26
(57)【要約】
いくつかの態様では、本開示は、肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(ILD)または気腫合併肺線維症(CPFE)に関連する肺高血圧症)を治療、予防、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減する、特に合併症に関連する1つ以上の肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(ILD)または気腫合併肺線維症(CPFE)に関連する肺高血圧症)を治療、予防またはその進行速度および/もしくは重症度を低減する、ActRIIポリペプチドを含む組成物および方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肺疾患に関連する肺高血圧症を治療する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含み、右室収縮期圧(RVSP)を少なくとも10%低下させる方法。
【請求項2】
肺疾患に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症の治療、予防、または進行速度および/もしくは重症度の低減の方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法。
【請求項3】
前記肺疾患に関連する1つ以上の肺高血圧症の合併症が、持続性咳、湿性咳、喘鳴、運動不耐性、呼吸器感染症、気管支拡張症、慢性感染症、鼻ポリープ、喀血、気胸、呼吸不全、呼吸困難、胸痛、喀血、気胸、肺血管リモデリング、肺線維症、肺血管内皮機能不全、慢性肺傷害による低酸素症、低酸素性肺血管収縮、炎症、平滑筋肥大、および右室肥大からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
閉塞性肺疾患に関連する肺高血圧症を治療する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法。
【請求項5】
閉塞性肺疾患に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症の治療、予防、または進行速度および/もしくは重症度の低減の方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法。
【請求項6】
前記閉塞性肺疾患が、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、喘息、気腫、リンパ脈管筋腫症、および慢性気管支炎からなる群から選択される、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記閉塞性肺疾患に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症が、酸素補給の必要性の増加、可動性の低下、および生存率の低下からなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
拘束性肺疾患に関連する肺高血圧症を治療する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法。
【請求項9】
拘束性肺疾患に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症の治療、予防、または進行速度および/もしくは重症度の低減の方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法。
【請求項10】
前記拘束性肺疾患が、肺線維症、間質性肺疾患、サルコイドーシス、特発性肺線維症、塵肺症、肥満症、脊柱側弯症、重症筋無力症、および胸水からなる群から選択される、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記拘束性肺疾患に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症が、運動時の息切れ、安静時の息切れ、最小限の活動での息切れ、咳、乾性咳、湿性咳、慢性咳、疲労、体重減少、不安、うつ病および線維症からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
閉塞性および拘束性の混合性肺疾患に関連する肺高血圧症を治療する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法。
【請求項13】
前記閉塞性および拘束性の混合性肺疾患が、肺実質障害である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記肺実質障害が、
a.サルコイドーシス
b.慢性閉塞性肺疾患(COPD)および間質性肺疾患(ILD)
c.COPDおよび特発性肺線維症
d.塵肺症
e.ILD
f.ランゲルハンス細胞組織球症
g.特発性肺線維症(IPF)
h.肺胞蛋白症
i.リンパ脈管筋腫症
j.閉塞性細気管支炎症候群
からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記塵肺症が、珪肺症、石炭労働者の肺およびベリリウム症からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ILDが、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、結合組織疾患、間質性肺炎、狭窄性細気管支炎、または特発性器質化肺炎に関連する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記閉塞性および拘束性の混合性肺疾患が、肺実質障害と非肺疾患との組み合わせである、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記肺実質障害と非肺疾患との組み合わせが、
a.慢性閉塞性肺疾患(COPD)と他の非実質疾患;
b.うっ血性心不全(CHF)と他の非肺疾患;
c.喘息と他の障害;
d.間質性肺疾患(ILD)と肥満症;
e.ILDとCHF;および
f.肺形成不全と脊柱側弯症
からなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記COPDと他の非実質疾患が、
a.COPDとうっ血性心不全(CHF);
b.COPDと肥満症;
c.COPDと胸部手術;
d.COPDと横隔膜麻痺;
e.COPDと脊柱側弯症;および
f.COPDと胸膜癒着
からなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記CHFと他の非肺疾患が、
a.CHFと脊柱側弯症;
b.CHFと肺切除;および
c.CHFと肥満症
からなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記喘息と他の障害が、
a.喘息と肥満症;
b.喘息と肺切除;
c.喘息と放射線線維症;
d.喘息とトラップ肺(trapped lung);および
e.喘息とCHF
からなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
間質性肺疾患(ILD)に関連する肺高血圧症を治療する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含み、右室収縮期圧(RVSP)を少なくとも10%低下させる方法。
【請求項23】
間質性肺疾患(ILD)に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症の治療、予防、または進行速度および/もしくは重症度の低減の方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法。
【請求項24】
前記ILDが、結合組織疾患、サルコイドーシス、進行性実質線維症による血管破壊、血管炎症、血管周囲線維症、血栓性血管障害、および内皮機能障害からなる群から選択される状態に関連する、請求項16または23に記載の方法。
【請求項25】
前記結合組織疾患が、全身性硬化症、関節リウマチ、多発性筋炎(polymositis)、皮膚筋炎およびシェーグレン症候群からなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)に関連する肺高血圧症を治療する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法。
【請求項27】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症の治療、予防、または進行速度および/もしくは重症度の低減の方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法。
【請求項28】
前記COPDに関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症が、喘鳴、湿性咳、頻繁な咳、胸部圧迫感、身体活動によらない息切れ、身体活動による息切れ、呼吸器感染症、体重減少、下肢の筋力低下、下肢の腫脹、および心疾患からなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記患者が、慢性閉塞性肺疾患のためのグローバルイニシアチブ(Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease)によって認定される、Goldグレード1、Goldグレード2、Goldグレード3またはGoldグレード4のCOPDを有する、請求項26~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記患者が、グループAのCOPD、グループBのCOPD、グループCのCOPD、またはグループDのCOPDを有する、請求項26~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記患者が、ステージ1、ステージ2、ステージ3、およびステージ4からなる群から選択されるCOPDを有する、請求項26~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記患者がアルファ-1-アンチトリプシン欠損症を有する、請求項26~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
気腫合併肺線維症(CPFE)に関連する肺高血圧症を治療する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法。
【請求項34】
気腫合併肺線維症(CPFE)に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症の治療、予防、または進行速度および/もしくは重症度の低減の方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法。
【請求項35】
線維性特発性間質性肺炎(IIP)に関連する肺高血圧症を治療する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法。
【請求項36】
線維性特発性間質性肺炎(IIP)に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症の治療、予防、または進行速度および/もしくは重症度の低減の方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法。
【請求項37】
前記患者が、治療前に高い線維性スコアおよび低い一酸化炭素拡散能(DL
CO)からなる群から選択される1つ以上の診断パラメータを有する、請求項35または36に記載の方法。
【請求項38】
特発性肺線維症(IPF)に関連する肺高血圧症を治療する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法。
【請求項39】
特発性肺線維症(IPF)に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症の治療、予防、または進行速度および/もしくは重症度の低減の方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法。
【請求項40】
前記IPFに関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症が、酸素補給の必要性の増加、可動性の低下、および生残性の低下からなる群から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
非特発性肺線維症間質性肺疾患(non-IPF ILD)に関連する肺高血圧症を治療する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法。
【請求項42】
非特発性肺線維症間質性肺疾患(non-IPF ILD)に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症の治療、予防、または進行速度および/もしくは重症度の低減の方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法。
【請求項43】
前記non-IPF ILDが、喫煙関連ILD、過敏性肺臓炎関連ILD、結合組織関連ILD、職業関連ILD、および医薬品誘発ILDからなる群から選択される、請求項41または42に記載の方法。
【請求項44】
非特発性肺線維症間質性肺疾患(non-IPF ILD)に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症が、酸素補給の必要性の増加、可動性の低下、および生残性の低下からなる群から選択される、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
非特異性間質性肺炎(NSIP)に関連する肺高血圧症を治療する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法。
【請求項46】
非特異性間質性肺炎(NSIP)に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症の治療、予防、または進行速度および/もしくは重症度の低減の方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法を提供。
【請求項47】
前記患者が、治療前に35mmHgを超える右室収縮期圧(RVSP)を有する、請求項1~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記患者の前記RVSPを低下させる、請求項1~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記患者の前記RVSPを少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、または少なくとも50%低下させる、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記患者の前記RVSPを25mmHg未満に低下させる、請求項1~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記患者が、治療前に25mmHgを超える肺動脈収縮期圧(PASP)を有する、請求項1~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記患者が、治療前に少なくとも35mmHg、40mmHg、45mmHg、50mmHg、55mmHg、または60mmHgのPASPを有する、請求項1~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記患者の前記PASPを低下させる、請求項1~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記患者の前記PASPを少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、または少なくとも50%低下させる、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記患者の前記PASPを少なくとも5mmHg、少なくとも10mmHg、少なくとも15mmHg、少なくとも20mmHg、または少なくとも25mmHg低下させる、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記患者の前記PASPを25mmHg未満に低下させる、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記患者の前記PASPを20mmHg未満に低下させる、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記患者が、治療前に3Wood単位以上の肺血管抵抗(PVR)を有する、請求項1~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記患者の前記PVRを低下させる、請求項1~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記患者の前記PVRを少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%低下させる、請求項1~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記PVRを3Wood単位未満に低下させる、請求項1~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記患者の治療前の平均肺動脈圧(mPAP)が、
a.少なくとも17mmHgのmPAP;
b.少なくとも20mmHgのmPAP;
c.少なくとも25mmHgのmPAP;
d.少なくとも30mmHgのmPAP;
e.少なくとも35mmHgのmPAP;
f.少なくとも40mmHgのmPAP;
g.少なくとも45mmHgのmPAP;および
h.少なくとも50mmHgのmPAP、
からなる群から選択される、請求項1~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記患者が、治療前に21~24mmHgのmPAP、および少なくとも3Wood単位のPVRを有する、請求項1~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記患者が、治療前に25mmHg超のmPAP、および2.0L/分/m
2未満の心係数(CI)を有する、請求項1~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記患者が、治療前に25mmHg超のmPAP、および2.5L/分/m
2未満のCIを有する、請求項1~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記患者の前記mPAPを少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、または少なくとも50%低下させる、請求項1~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記患者の前記mPAPを少なくとも3mmHg、5、7、10、12、15、20または25mmHg低下させる、請求項1~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記mPAPを、
a.17mmHg未満;
b.20mmHg未満;
c.25mmHg未満;および
d.30mmHg未満、
からなる群から選択される値に低下させる、請求項1~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記患者の治療前の平均右心房圧(mRAP)が、
a.少なくとも5mmHgのmRAP;
b.少なくとも6mmHgのmRAP;
c.少なくとも8mmHgのmRAP;
d.少なくとも10mmHgのmRAP;
e.少なくとも12mmHgのmRAP;
f.少なくとも14mmHgのmRAP;および
g.少なくとも16mmHgのmRAP、
からなる群から選択される、請求項1~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記患者の平均右心房圧(mRAP)を改善する、請求項1~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記mRAPの改善が、前記mRAPの低下である、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記患者の前記mRAPを少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%低下させる、請求項1~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記患者の前記mRAPを少なくとも1mm Hg、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15mm Hg低下させる、請求項1~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記患者が、治療前に4L/分未満の心拍出量を有する、請求項1~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記患者の前記心拍出量を少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、または少なくとも50%増加させる、請求項1~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記患者の前記心拍出量を、前記患者において少なくとも0.5L/分、1、1.5、2、2.5、3、3.5、または4L/分増加させる、請求項1~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記患者の前記心拍出量を少なくとも4L/分に増加させる、請求項1~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記患者が、治療前に2.5L/分/m
2、2.0、1.5、または1L/分/m
2未満の心係数(CI)を有する、請求項1~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記患者の前記CIを少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、または少なくとも50%増加させる、請求項1~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記患者の前記CIを少なくとも0.2L/分/m
2、0.4、0.6、0.8、1、1.2、1.4、1.6、1.8、または2L/分/m
2増加させる、請求項1~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記患者の前記CIを少なくとも2.5L/分/m
2に増加させる、請求項1~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記患者の運動耐容能を増加させる、請求項1~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記患者が、治療前にボルグ呼吸困難指数(BDI)で少なくとも0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10指数ポイントを有する、請求項1~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記患者のボルグ呼吸困難指数(BDI)を低下させる、請求項1~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記患者のBDIを少なくとも0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10指数ポイント低下させる、請求項1~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記患者が、治療前に550メートル、500、450、440、400、380、350、300、250、200、または150メートル未満の6分間歩行距離(6MWD)を有する、請求項1~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記患者の6MWDを少なくとも10メートル、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、250、300、または400メートル増加させる、請求項1~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
世界保健機関(WHO)によって認定される、肺高血圧症機能分類の進行を予防または軽減する、請求項1~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
WHOによって認定される肺高血圧症機能分類の、機能分類Iから分類II肺高血圧症への進行を予防または軽減する、請求項1~88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
WHOによって認定される肺高血圧症機能分類の、機能分類IIから分類III肺高血圧症への進行を予防または軽減する、請求項1~88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
WHOによって認定される肺高血圧症機能分類の、機能分類IIIから分類IV肺高血圧症への進行を予防または軽減する、請求項1~88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
WHOによって認定される、肺高血圧症機能分類の退行を促進または増進する、請求項1~91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
WHOによって認定される肺高血圧症機能分類の、分類IVから分類III肺高血圧症への退行を促進または増進する、請求項1~91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
WHOによって認定される肺高血圧症機能分類の、分類IIIから分類II肺高血圧症への退行を促進または増進する、請求項1~91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
WHOによって認定される肺高血圧症機能分類の、分類IIから分類I肺高血圧症への退行を促進または増進する、請求項1~91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
前記患者が、治療前に健康な患者よりも高いNT-proBNPレベルを有する、請求項1~95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記患者が、治療前に正常NT-proBNPレベルを有する、請求項1~95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
前記患者が、治療前に少なくとも100pg/mL、150、200、300、400、500、1000、3000、5000、10,000、15,000、または20,000pg/mLのNT-proBNPレベルを有する、請求項1~95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
前記患者のNT-proBNPレベルを低下させる、請求項1~98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記患者のNT-proBNPレベルを少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、または少なくとも80%低下させる、請求項1~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
前記患者のNT-proBNPレベルを少なくとも30%低下させる、請求項1~100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
NT-proBNPレベルを正常レベルまで低下させる、請求項1~101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
NT-proBNPの正常レベルが100pg/ml未満である、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記患者が、治療前に健康な患者よりも高い脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)レベルを有する、請求項1~103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
前記患者が、治療前に正常BNPレベルを有する、請求項1~103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
前記患者が、治療前に少なくとも100pg/mL、150、200、300、400、500、1000、3000、5000、10,000、15,000、または20,000pg/mLのBNPレベルを有する、請求項1~105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
前記患者のBNPレベルを少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、または80%低下させる、請求項1~106のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
BNPレベルを正常レベル(100pg/ml未満)まで低下させる、請求項1~107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
前記患者が、治療前に7mmHgを超える拡張期圧較差(DPG)を有する、請求項1~108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
前記患者が、治療前に少なくとも710、15、20、25、30、35、40、45、または50mmHgのDPGを有する、請求項1~108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項111】
前記患者の前記DPGを低下させる、請求項1~108および110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項112】
前記患者の前記DPGを少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%低下させる、請求項1~108、110および111のいずれか一項に記載の方法。
【請求項113】
前記患者の前記DPGを7mmHg未満に低下させる、請求項1~108、110および111のいずれか一項に記載の方法。
【請求項114】
前記患者の生活の質を、ケンブリッジ肺高血圧転帰レビュー(Cambridge Pulmonary Hypertension Outcome Review:CAMPHOR)を使用して測定して、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%向上させる、請求項1~113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項115】
前記患者の生活の質(QoL)スコアを、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%低下させる、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記患者が肺線維症を有する、請求項1~115のいずれか一項に記載の方法。
【請求項117】
前記患者の前記肺線維症を減少させる、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
前記患者の前記肺線維症を少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%減少させる、請求項116または117に記載の方法。
【請求項119】
前記患者が、治療前に60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、または20%未満の一酸化炭素拡散能(DL
CO)を有する、請求項1~118のいずれか一項に記載の方法。
【請求項120】
前記患者の前記DL
COを増加させる、請求項1~119のいずれか一項に記載の方法。
【請求項121】
前記患者の前記DL
COを少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%増加させる、請求項1~120のいずれか一項に記載の方法。
【請求項122】
前記DL
COを少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、または65%まで増加させる、請求項1~121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項123】
前記患者の一酸化炭素移動係数(K
CO)が、予測値の60%未満、予測値の55%未満、予測値の50%未満、予測値の45%未満、予測値の40%未満、予測値の35%未満、予測値の30%未満、予測値の25%未満、または予測値の20%未満である、請求項1~122のいずれか一項に記載の方法。
【請求項124】
前記患者の前記K
COを増加させる、請求項1~123のいずれか一項に記載の方法。
【請求項125】
前記患者の前記K
COを少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%増加させる、請求項1~124のいずれか一項に記載の方法。
【請求項126】
前記K
COを少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、または65%まで増加させる、請求項1~125のいずれか一項に記載の方法。
【請求項127】
前記患者の複合生理学的指標(CPI)が、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75または80より大きい、請求項1~126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項128】
前記患者の前記CPIを低下させる、請求項1~127のいずれか一項に記載の方法。
【請求項129】
前記患者の前記CPIを少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%低下させる、請求項1~128のいずれか一項に記載の方法。
【請求項130】
前記CPIを70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、または5未満まで低下させる、請求項1~129のいずれか一項に記載の方法。
【請求項131】
前記患者の治療前の動脈酸素飽和度が95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、または30%未満である、請求項1~130のいずれか一項に記載の方法。
【請求項132】
前記患者の前記動脈酸素飽和度を増加させる、請求項1~131のいずれか一項に記載の方法。
【請求項133】
前記患者の前記動脈酸素飽和度を少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%増加させる、請求項1~132のいずれか一項に記載の方法。
【請求項134】
前記動脈酸素飽和度を少なくとも85%、90%、または95%まで増加させる、請求項1~133のいずれか一項に記載の方法。
【請求項135】
前記動脈酸素飽和度が安静時に測定される、請求項131~134のいずれか一項に記載の方法。
【請求項136】
前記患者が、治療前に20mm、18、16、14、または12mm未満の三尖弁輪収縮期移動距離(TAPSE)を有する、請求項1~130のいずれか一項に記載の方法。
【請求項137】
前記TAPSEを少なくとも20mm、22、24、26、28、または30mmまで増加させる、請求項1~133のいずれか一項に記載の方法。
【請求項138】
前記患者の治療前の努力肺活量一秒量(FEV
1)が、
a.70%超;
b.60%~69%;
c.50%~59%;
d.35%~49%;および
e.35%未満
からなる群から選択される、請求項1~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項139】
前記患者の前記FEV
1を増加させる、請求項1~138のいずれか一項に記載の方法。
【請求項140】
前記患者の前記FEV
1を少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%増加させる、請求項1~139のいずれか一項に記載の方法。
【請求項141】
前記FEV
1を少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%まで増加させる、請求項1~140のいずれか一項に記載の方法。
【請求項142】
前記患者の治療前の努力肺活量(FVC)が、
a.80%超;
b.70%超;
c.60%~69%;
d.50%~59%;
e.35%~49%;および
f.35%未満
からなる群から選択される、請求項1~141のいずれか一項に記載の方法。
【請求項143】
前記患者の前記FVCを増加させる、請求項1~142のいずれか一項に記載の方法。
【請求項144】
前記患者の前記FVCを少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%増加させる、請求項1~143のいずれか一項に記載の方法。
【請求項145】
前記FVCを少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%まで増加させる、請求項1~144のいずれか一項に記載の方法。
【請求項146】
前記患者の右室機能を改善する、請求項1~145のいずれか一項に記載の方法。
【請求項147】
前記右室機能の改善が、右室面積変化率の増加によるものである、請求項146に記載の方法。
【請求項148】
前記右室機能の改善が、右室肥大の減少によるものである、請求項146に記載の方法。
【請求項149】
前記右室機能の改善が、駆出率の増加によるものである、請求項146に記載の方法。
【請求項150】
前記右室機能の改善が、右室面積変化率および駆出率の増加によるものである、請求項146に記載の方法。
【請求項151】
前記患者の右室肥大を減少させる、請求項1~150のいずれか一項に記載の方法。
【請求項152】
前記患者の右室肥大を少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%減少させる、請求項1~151のいずれか一項に記載の方法。
【請求項153】
前記患者の平滑筋肥大を減少させる、請求項1~152のいずれか一項に記載の方法。
【請求項154】
前記患者の平滑筋肥大を少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%減少させる、請求項1~153のいずれか一項に記載の方法。
【請求項155】
死亡のリスクを低下させる、請求項1~154のいずれか一項に記載の方法。
【請求項156】
肺動脈高血圧症に関連する死亡のリスクを少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%低下させる、請求項1~155のいずれか一項に記載の方法。
【請求項157】
前記患者の無移植生存率を増加させる、請求項1~156のいずれか一項に記載の方法。
【請求項158】
前記患者の無移植生存率を少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%増加させる、請求項1~157のいずれか一項に記載の方法。
【請求項159】
肺疾患に関連する肺高血圧症の1つ以上の併存症を治療する、請求項1~158のいずれか一項に記載の方法。
【請求項160】
前記肺疾患に関連する肺高血圧症の1つまたは複数の併存症が、全身性高血圧症、腎機能低下、真性糖尿病、高脂血症、肥満症、冠動脈疾患(CAD)、閉塞性睡眠時無呼吸、肺塞栓症、心不全、心房細動および貧血からなる群から選択される、請求項159に記載の方法。
【請求項161】
前記ActRIIポリペプチドが、配列番号1の残基30~110に対応するアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1~160のいずれか一項に記載の方法。
【請求項162】
前記ActRIIポリペプチドが、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1~160のいずれか一項に記載の方法。
【請求項163】
前記ActRIIポリペプチドが、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1~160のいずれか一項に記載の方法。
【請求項163】
前記ActRIIポリペプチドが、免疫グロブリンのFcドメインをさらに含む融合タンパク質である、請求項161~163のいずれか一項に記載の方法。
【請求項164】
前記免疫グロブリンのFcドメインが、IgG1免疫グロブリンのFcドメインである、請求項163に記載の方法。
【請求項165】
前記Fc融合タンパク質が、ActRIIポリペプチドドメインと免疫グロブリンのFcドメインとの間に配置されたリンカードメインをさらに含む、請求項163または164に記載の方法。
【請求項166】
前記リンカードメインが、TGGG(配列番号20)、TGGGG(配列番号18)、SGGGG(配列番号19)、GGGGS(配列番号22)、GGG(配列番号16)、GGGG(配列番号17)、およびSGGG(配列番号21)からなる群から選択される、請求項165に記載の方法。
【請求項167】
前記ActRIIポリペプチドが、配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1~166のいずれか一項に記載の方法。
【請求項168】
前記ActRIIポリペプチドが、配列番号41のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1~167のいずれか一項に記載の方法。
【請求項169】
前記ポリペプチドが、配列番号1の残基30~110に対応するアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、前記ポリペプチドがアクチビンおよび/またはGDF11に結合する、請求項1~161のいずれか一項に記載の方法。
【請求項170】
前記ポリペプチドが、配列番号1の残基21~135に対応するアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、前記ポリペプチドがアクチビンおよび/またはGDF11に結合する、請求項1~161のいずれか一項に記載の方法。
【請求項171】
前記ポリペプチドが凍結乾燥されている、請求項1~163のいずれか一項に記載の方法。
【請求項172】
前記ポリペプチドが可溶性である、請求項1~171のいずれか一項に記載の方法。
【請求項173】
前記ポリペプチドを皮下注射を用いて投与する、請求項1~172のいずれか一項に記載の方法。
【請求項174】
前記ポリペプチドを約3週間毎に投与する、請求項1~173のいずれか一項に記載の方法。
【請求項175】
前記ポリペプチドを約4週間毎に投与する、請求項1~173のいずれか一項に記載の方法。
【請求項176】
前記ポリペプチドがホモ二量体タンパク質複合体の一部である、請求項1~175のいずれか一項に記載の方法。
【請求項177】
前記ポリペプチドがグリコシル化されている、請求項1~176のいずれか一項に記載の方法。
【請求項178】
前記ポリペプチドが、チャイニーズハムスター卵巣細胞における発現によって得ることができるグリコシル化パターンを有する、請求項1~177のいずれか一項に記載の方法。
【請求項179】
前記ActRIIポリペプチドが、アクチビンA、アクチビンB、およびGDF11からなる群から選択される1つまたは複数のリガンドに結合する、請求項1~178のいずれか一項に記載の方法。
【請求項180】
前記ActRIIポリペプチドが、BMP10、GDF8、およびBMP6からなる群から選択される1つまたは複数のリガンドにさらに結合する、請求項179に記載の方法。
【請求項181】
前記ActRIIポリペプチドを0.1mg/kg~2.0mg/kgの用量で投与する、請求項1~180のいずれか一項に記載の方法。
【請求項182】
前記ActRIIポリペプチドを0.3mg/kgの用量で投与する、請求項1~181のいずれか一項に記載の方法。
【請求項183】
前記ActRIIポリペプチドを0.7mg/kgの用量で投与する、請求項1~182のいずれか一項に記載の方法。
【請求項184】
追加の活性剤および/または支持療法を前記患者にさらに投与することを含む、請求項1~183のいずれか一項に記載の方法。
【請求項185】
前記追加の活性剤および/または支持療法が、β遮断薬、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACE阻害剤)、アンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)、利尿剤、脂質低下薬、エンドセリン遮断薬、PDE5阻害剤、およびプロスタサイクリンからなる群から選択される、請求項184に記載の方法。
【請求項186】
前記追加の活性剤および/または支持療法が、プロスタサイクリンおよびその誘導体(例えば、エポプロステノール、トレプロスチニルおよびイロプロスト);プロスタサイクリン受容体アゴニスト(例えば、セレキシパグ);エンドセリン受容体拮抗薬(例えば、テリン、アンブリセンタン、マシテンタンおよびボセンタン);カルシウムチャネル遮断薬(例えば、アムロジピン、ジルチアゼムおよびニフェジピン;抗凝固剤(例えば、ワルファリン);ジゴキシン、利尿薬;酸素療法;心房中隔切開術;肺血栓内膜摘出術;ホスホジエステラーゼ5型阻害剤(例えば、シルデナフィルおよびタダラフィル);可溶性グアニル酸シクラーゼのアクチベーター(例えば、シナシグアトおよびリオシグアト);ASK-1阻害剤(例えば、CIIA;SCH79797;GS-4997;MSC2032964A;3H-ナフト[1,2,3-de]キニリン-2,7-ジオン、NQDI-1;2-チオキソ-チアゾリジン、5-ブロモ-3-(4-オキソ-2-チオキソ-チアゾリジン-5-イリデン)-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン);NF-κB拮抗薬(例えば、dh404、CDDO-エポキシド;2.2-ジフルオロプロピオンアミド;C28イミダゾール(CDDO-Im);2-シアノ-3,12-ジオキソオレアン-1,9-ジエン-28-オイック酸(CDDO);3-アセチルオレアノール酸;3-トリフルオロアセチルオレアノール酸;28-メチル-3-アセチルオレアナン;28-メチル-3-トリフルオロアセチルオレアナン;28-メチルオキシオレアノール酸;SZC014;SCZ015;SZC017;オレアノール酸のPEG化誘導体;3-O-(β-D-グルコピラノシル)オレアノール酸;3-O-[β-D-グルコピラノシル-(1-->3)-β-D-グルコピラノシル]オレアノール酸;3-O-[β-D-グルコピラノシル-(1-->2)-β-D-グルコピラノシル]オレアノール酸;3-O-[β-D-グルコピラノシル-(1-->3)-β-D-グルコピラノシル]オレアノール酸28-O-β-D-グルコピラノシルエステル;3-O-[β-D-グルコピラノシル-(1-->2)-β-D-グルコピラノシル]オレアノール酸28-O-β-D-グルコピラノシルエステル;3-O-[a-L-ラムノピラノシル-(1-->3)-β-D-グルクロノピラノシル]オレアノール酸;3-O-[α-L-ラムノピラノシル-(1-->3)-β-D-グルクロノピラノシル]オレアノール酸28-O-β-D-グルコピラノシルエステル;28-O-β-D-グルコピラノシル-オレアノール酸;3-O-β-D-グルコピラノシル(1→3)-β-D-グルコピラノシドウロン酸(CS1);オレアノール酸3-O-β-D-グルコピラノシル(1→3)-β-D-グルコピラノシドウロン酸(CS2);メチル3,11ジオキソオレアン-12-エン-28-オレート(DIOXOL);ZCVI
4-2;ベンジル3-デヒドロ-オキシ-1,2,5-オキサジアゾロ[3’,4’:2,3]オレノレート);左室補助装置(LVAD)、酸素療法、ならびに肺および/または心臓移植からなる群から選択される、請求項185に記載の方法。
【請求項187】
前記患者が、ホスホジエステラーゼ5型阻害剤、可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬、プロスタサイクリン受容体アゴニストおよびエンドセリン受容体拮抗薬からなる群から選択される1つ以上の薬剤で治療されている、請求項1~183のいずれか一項に記載の方法。
【請求項188】
前記1つ以上の薬剤が、ボセンタン、シルデナフィル、ベラプロスト、マシテンタン、セレキシパグ、エポプロステノール、トレプロスチニル、イロプロスト、アンブリセンタン、およびタダラフィルからなる群から選択される、請求項187に記載の方法。
【請求項189】
ホスホジエステラーゼ5型阻害剤、可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬、プロスタサイクリン受容体アゴニストおよびエンドセリン受容体拮抗薬からなる群から選択される1つ以上の薬剤の投与をさらに含む、請求項1~188のいずれか一項に記載の方法。
【請求項190】
前記1つ以上の薬剤が、ボセンタン、シルデナフィル、ベラプロスト、マシテンタン、セレキシパグ、エポプロステノール、トレプロスチニル、イロプロスト、アンブリセンタン、およびタダラフィルからなる群から選択される、請求項189に記載の方法。
【請求項191】
前記患者が、前記ポリペプチドの投与前に1つ以上の血管拡張剤で治療されている、請求項1~190のいずれか一項に記載の方法。
【請求項192】
1つ以上の血管拡張剤の投与をさらに含む、請求項1~191のいずれか一項に記載の方法。
【請求項193】
前記1つ以上の血管拡張剤が、プロスタサイクリン、エポプロステノールおよびシルデナフィルからなる群から選択される、請求項191または192に記載の方法。
【請求項194】
前記血管拡張剤がプロスタサイクリンである、請求項193に記載の方法。
【請求項195】
前記患者が、肺疾患に関連する肺高血圧症のための1つ以上の療法を受けている、請求項1~194のいずれか一項に記載の方法。
【請求項196】
前記肺疾患に関連する肺高血圧症の1つ以上の療法が、トレプロスチニル、ピルフェニドン、ニンテダニブ、プロスタサイクリンおよびその誘導体(例えば、エポプロステノール、トレプロスチニルおよびイロプロスト);プロスタサイクリン受容体アゴニスト(例えば、セレキシパグ);エンドセリン受容体拮抗薬(例えば、テリン、アンブリセンタン、マシテンタンおよびボセンタン);カルシウムチャネル遮断薬(例えば、アムロジピン、ジルチアゼムおよびニフェジピン;抗凝固剤(例えば、ワルファリン);利尿薬;酸素療法;心房中隔切開術;肺血栓内膜摘出術;ホスホジエステラーゼ5型阻害剤(例えば、シルデナフィルおよびタダラフィル);可溶性グアニル酸シクラーゼの活性化剤(例えば、シナシグアトおよびリオシグアト);ASK-1阻害剤(例えば、CIIA;SCH79797;GS-4997;MSC2032964A;3H-ナフト[1,2,3-de]キニリン-2,7-ジオン、NQDI-1;2-チオキソ-チアゾリジン、5-ブロモ-3-(4-オキソ-2-チオキソ-チアゾリジン-5-イリデン)-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン);NF-κB拮抗薬(例えば、dh404、CDDO-エポキシド;2.2-ジフルオロプロピオンアミド;C28イミダゾール(CDDO-Im);2-シアノ-3,12-ジオキソオレアン-1,9-ジエン-28-オイック酸(CDDO);3-アセチルオレアノール酸;3-トリフルオロアセチルオレアノール酸;28-メチル-3-アセチルオレアナン;28-メチル-3-トリフルオロアセチルオレアナン;28-メチルオキシオレアノール酸;SZC014;SCZ015;SZC017;オレアノール酸のPEG化誘導体;3-O-(β-D-グルコピラノシル)オレアノール酸;3-O-[β-D-グルコピラノシル-(1-->3)-β-D-グルコピラノシル]オレアノール酸;3-O-[β-D-グルコピラノシル-(1-->2)-β-D-グルコピラノシル]オレアノール酸;3-O-[β-D-グルコピラノシル-(1-->3)-β-D-グルコピラノシル]オレアノール酸28-O-β-D-グルコピラノシルエステル;3-O-[β-D-グルコピラノシル-(1-->2)-β-D-グルコピラノシル]オレアノール酸28-O-β-D-グルコピラノシルエステル;3-O-[a-L-ラムノピラノシル-(1-->3)-β-D-グルクロノピラノシル]オレアノール酸;3-O-[α-L-ラムノピラノシル-(1-->3)-β-D-グルクロノピラノシル]オレアノール酸28-O-β-D-グルコピラノシルエステル;28-O-β-D-グルコピラノシル-オレアノール酸;3-O-β-D-グルコピラノシル(1→3)-β-D-グルコピラノシドウロン酸(CS1);オレアノール酸3-O-β-D-グルコピラノシル(1→3)-β-D-グルコピラノシドウロン酸(CS2);メチル3,11ジオキソオレアン-12-エン-28-オレート(DIOXOL);ZCVI
4-2;ベンジル3-デヒドロ-オキシ-1,2,5-オキサジアゾロ[3’,4’:2,3]オレノレート);左室補助装置(LVAD)、酸素療法、ならびに肺および/または心臓移植からなる群から選択される、請求項195に記載の方法。
【請求項197】
前記ActRIIポリペプチドを約1週間毎、約2週間毎、約3週間毎、または約4週間毎に前記患者に投与する、請求項1~196のいずれか一項に記載の方法。
【請求項198】
前記ActRIIポリペプチドを約3週間毎に前記患者に投与する、請求項197に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月11日に出願された米国仮出願第63/209,871号の利益および優先権を主張する。前述の出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(ILD)または気腫合併肺線維症(CPFE)に関連する肺高血圧症)を治療、予防、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減する、特に合併症に関連する1つ以上の肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(ILD)または気腫合併肺線維症(CPFE)に関連する肺高血圧症)を治療、予防またはその進行速度および/もしくは重症度を低減するActRIIポリペプチド、ActRIIポリペプチドを含む組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
肺高血圧症(PH)は、肺動脈、肺静脈および肺毛細血管を含む肺血管系における高血圧を特徴とする疾患である。一般に、PHは、安静時に20mm Hgを超える、または運動時に30mm Hgを超える平均肺動脈圧(mPAP)として定義される[Hill et al.,Respiratory Care 54(7):958-68(2009)]。PHの主な症状の1つは、呼吸困難または息切れであり、他の症状には、疲労、めまい、失神、末梢浮腫(足、脚または足首の腫脹)、青みがかった唇および皮膚、胸痛、狭心症、運動中の意識朦朧、非湿性咳、頻脈および動悸が含まれる。PHは、肺高血圧症を有する人々の最も一般的な死因の1つである、心不全を引き起こす重度の疾患であり得る。術後肺高血圧症は、多くの種類の手術または処置を複雑にし、高い死亡率に関連する課題を与える可能性がある。
【0004】
PHは、病態生理学的機序、臨床症状、および治療アプローチにおける類似性を共有する疾患の種々の症状に基づいて分類され得る[Simonneau et al.,JACC 54(1):S44-54(2009)]。PHの臨床分類は1973年に最初に提案され、最近の更新された臨床分類は、2018年に世界保健機関(WHO)によって承認された。更新されたPH臨床分類によれば、PHには主に以下の5つのグループ:肺動脈楔入圧(PAWP)<15mm Hgを特徴とする肺動脈高血圧症(PAH);PAWP>15mm Hgを特徴とする、左心疾患によるPH(肺静脈高血圧症またはうっ血性心不全としても知られる);肺疾患および/または低酸素症によるPH;肺動脈閉塞によるPH;ならびに不明な病因および/または多因子性の病因によるPH、がある[Simonneau et al.,JACC 54(1):S44-54(2009);Hill et al.,Respiratory Care 54(7):958-68(2009)]。PAHはさらに、特発性PAH(IPAH)、すなわちPAHの家族歴も、特定された危険因子もない散発性疾患;遺伝性PAH;薬物および毒素によって誘導されるPAH;結合組織疾患、HIV感染症、門脈圧亢進症、先天性心疾患、住血吸虫症、および慢性溶血性貧血に関連するPAH;および新生児の持続性PHに分類される[Simonneau et al.,(2019)Eur Respir J:53:1801913]。多種多様なPHの診断には一連の検査が必要である。
【0005】
一般に、PH治療は、PHの原因または分類に依存する。PHが既知の医薬または医学的状態によって引き起こされる場合、それは二次PHとして知られており、その治療は通常、基礎疾患を対象とする。グループ3肺高血圧症の治療は、従来、根底にある肺疾患の治療を最適化し、低酸素状態の人に長期酸素療法を施すことであった。この患者群における肺血管拡張剤の有効性は不明である。さらに、血管拡張剤の運動耐性および生活の質への効果を評価するメタアナリシスからの結果は様々である。血管拡張剤治療から最も利益を得ることができる患者群を確立するためには、さらなる研究が必要であるが、現在のアドバイスは、血圧ではなく肺を治療することである。例えば、McGettrick M.et al.,Glob Cardiol Sci Pract.2020 Apr 30;2020(1)を参照されたい。
【0006】
肺高血圧症を治療するための有効な治療法への、高い満たされていないニーズが存在する。したがって、本開示の目的は、PHの治療、予防、または進行速度および/もしくは重症度の低減、特に、1つ以上のPH関連合併症の治療、予防、または進行速度および/もしくは重症度の低減のための方法を提供することである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Hill et al.,Respiratory Care 54(7):958-68(2009)
【非特許文献2】Simonneau et al.,JACC 54(1):S44-54(2009)
【非特許文献3】Simonneau et al.,(2019)Eur Respir J:53:1801913
【非特許文献4】McGettrick M.et al.,Glob Cardiol Sci Pract.2020 Apr 30;2020(1)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
特定の態様では、本開示は、肺疾患に関連する肺高血圧症を治療する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含み、右室収縮期圧(RVSP)を少なくとも10%低下させる方法を提供する。
【0009】
特定の態様では、本開示は、肺疾患に関連する1つ以上の肺高血圧症関連合併症の治療、予防、または進行速度および/もしくは重症度の低減の方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、肺疾患に関連する1つ以上の肺高血圧症の合併症は、持続性咳、湿性咳、喘鳴、運動不耐性、呼吸器感染症、気管支拡張症、慢性感染症、鼻ポリープ、喀血、気胸、呼吸不全、呼吸困難、胸痛、喀血、気胸、肺血管リモデリング、肺線維症、肺血管内皮機能不全、慢性肺傷害による低酸素症、低酸素性肺血管収縮、炎症、平滑筋肥大、および右室肥大からなる群から選択される。
【0010】
特定の態様では、本開示は、閉塞性肺疾患に関連する肺高血圧症を治療する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法を提供する。
【0011】
特定の態様では、本開示は、閉塞性肺疾患に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症の治療、予防、または進行速度および/もしくは重症度の低減の方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法を提供する。
【0012】
いくつかの実施形態では、閉塞性肺疾患は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、喘息、気腫、リンパ脈管筋腫症、および慢性気管支炎からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、閉塞性肺疾患に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症は、酸素補給の必要性の増加、可動性の低下、および生存率の低下からなる群から選択される。
【0013】
特定の態様では、本開示は、拘束性肺疾患に関連する肺高血圧症を治療する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法を提供する。
【0014】
特定の態様では、本開示は、拘束性肺疾患に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症の治療、予防、または進行速度および/もしくは重症度の低減の方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法を提供する。
【0015】
いくつかの実施形態では、拘束性肺疾患は、肺線維症、間質性肺疾患、サルコイドーシス、特発性肺線維症、塵肺症、肥満症、脊柱側弯症、重症筋無力症、および胸水からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、拘束性肺疾患に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症は、運動時の息切れ、安静時の息切れ、最小限の活動での息切れ、咳、乾性咳、湿性咳、慢性咳、疲労、体重減少、不安、うつ病および線維症からなる群から選択される。
【0016】
特定の態様では、本開示は、閉塞性および拘束性の混合性肺疾患に関連する肺高血圧症を治療する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法を提供する。
【0017】
いくつかの実施形態では、閉塞性および拘束性の混合性肺疾患は、肺実質障害である。いくつかの実施形態では、肺実質障害は、サルコイドーシス、COPDおよびILD、COPDおよび特発性肺線維症、塵肺症、ILD、ランゲルハンス細胞組織球症、IPF、肺胞蛋白症、リンパ脈管筋腫症、および閉塞性細気管支炎症候群からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、塵肺症は、珪肺症、石炭労働者の肺およびベリリウム症からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ILDは、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、結合組織疾患、間質性肺炎、狭窄性細気管支炎、または特発性器質化肺炎に関連する。
【0018】
いくつかの実施形態では、閉塞性および拘束性の混合性肺疾患は、肺実質障害および非肺疾患の組み合わせである。いくつかの実施形態では、肺実質障害と非肺疾患との組み合わせは、COPDと他の非実質疾患、CHFと他の非肺疾患、喘息と他の障害、ILDと肥満症、ILDとCHF、および肺形成不全と脊柱側弯症からなる群から選択される。
【0019】
いくつかの実施形態では、COPDと他の非実質疾患は、COPDとうっ血性心不全(CHF)、COPDと肥満症、COPDと胸部手術、COPDと横隔膜麻痺、COPDと脊柱側弯症、およびCOPDと胸膜癒着からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、CHFと他の非肺疾患は、CHFと脊柱側弯症、CHFと肺切除、およびCHFと肥満症からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、喘息と他の障害は、喘息と肥満症、喘息と肺切除、喘息と放射線線維症、喘息とトラップ肺(trapped lung)、および喘息とCHFからなる群から選択される。
【0020】
特定の態様では、本開示は、間質性肺疾患(ILD)に関連する肺高血圧症を治療する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含み、右室収縮期圧(RVSP)を少なくとも10%低下させる方法を提供する。
【0021】
特定の態様では、本開示は、間質性肺疾患(ILD)に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症の治療、予防、または進行速度および/もしくは重症度の低減の方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法を提供する。
【0022】
いくつかの実施形態では、ILDは、結合組織疾患、サルコイドーシス、進行性実質線維症による血管破壊、血管炎症、血管周囲線維症、血栓性血管障害、および内皮機能障害からなる群から選択される状態に関連する。いくつかの実施形態において、結合組織疾患は、全身性硬化症、関節リウマチ、多発性筋炎(polymositis)、皮膚筋炎およびシェーグレン症候群からなる群から選択される。
【0023】
特定の態様では、本開示は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)に関連する肺高血圧症を治療する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法を提供する。
【0024】
特定の態様では、本開示は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症の治療、予防、または進行速度および/もしくは重症度の低減の方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法を提供する。
【0025】
いくつかの実施形態では、慢性閉塞性肺疾患(COPD)に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症は、喘鳴、湿性咳、頻繁な咳、胸部圧迫感、身体活動によらない息切れ、身体活動による息切れ、呼吸器感染症、体重減少、下肢の筋力低下、下肢の腫脹、および心疾患からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、患者は、慢性閉塞性肺疾患のためのグローバルイニシアチブ(Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease)によって認定される、Goldグレード1、Goldグレード2、Goldグレード3またはGoldグレード4のCOPDを有する。いくつかの実施形態では、患者は、グループAのCOPD、グループBのCOPD、グループCのCOPD、またはグループDのCOPDを有する。いくつかの実施形態では、患者は、ステージ1、ステージ2、ステージ3、およびステージ4からなる群から選択されるCOPDを有する。いくつかの実施形態では、患者はアルファ-1-アンチトリプシン欠損症を有する。
【0026】
特定の態様では、本開示は、気腫合併肺線維症(CPFE)に関連する肺高血圧症を治療する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法を提供する。
【0027】
特定の態様では、本開示は、気腫合併肺線維症(CPFE)に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症の治療、予防、または進行速度および/もしくは重症度の低減の方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法を提供する。
【0028】
特定の態様では、本開示は、線維性特発性間質性肺炎(IIP)に関連する肺高血圧症を治療する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法を提供する。
【0029】
特定の態様では、本開示は、線維性特発性間質性肺炎(IIP)に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症の治療、予防、または進行速度および/もしくは重症度の低減の方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、患者は、高い線維性スコアおよび低い一酸化炭素拡散能(DLCO)からなる群から選択される1つ以上の診断パラメータを有する。
【0030】
特定の態様では、本開示は、特発性肺線維症(IPF)に関連する肺高血圧症を治療する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法を提供する。
【0031】
特定の態様では、本開示は、特発性肺線維症(IPF)に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症の治療、予防、または進行速度および/もしくは重症度の低減の方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、特発性肺線維症(IPF)に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症は、酸素補給の必要性の増加、可動性の低下、および生存率の低下からなる群から選択される。
【0032】
特定の態様では、本開示は、非特発性肺線維症間質性肺疾患(non-IPF ILD)に関連する肺高血圧症を治療する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法を提供する。
【0033】
特定の態様では、本開示は、非特発性肺線維症間質性肺疾患(non-IPF ILD)に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症の治療、予防、または進行速度および/もしくは重症度の低減の方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、non-IPF ILDは、喫煙関連ILD、過敏性肺臓炎関連ILD、結合組織関連ILD、職業関連ILD、および医薬品誘発ILDからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、non-IPF ILDに関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症は、酸素補給の必要性の増加、可動性の低下、および生存率の低下からなる群から選択される。
【0034】
特定の態様では、本開示は、非特異性間質性肺炎(NSIP)に関連する肺高血圧症を治療する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法を提供する。
【0035】
特定の態様では、本開示は、非特異性間質性肺炎(NSIP)に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症の治療、予防、または進行速度および/もしくは重症度の低減の方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法を提供する。
【0036】
いくつかの実施形態では、患者は、治療前に35mmHgを超える右室収縮期圧(RVSP)を有する。いくつかの実施形態では、方法は、患者のRVSPを減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のRVSPを少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または少なくとも50%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のRVSPを25mmHg未満に低下させる。
【0037】
いくつかの実施形態では、患者は、治療前に25mmHgを超える肺動脈収縮期圧(PASP)を有する。いくつかの実施形態では、患者は、治療前に少なくとも35mmHg、40mmHg、45mmHg、50mmHg、55mmHg、または60mmHgのPASPを有する。いくつかの実施形態では、方法は、患者のPASPを減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のPASPを少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、または少なくとも50%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のPASPを少なくとも5mmHg(例えば、少なくとも5mmHg、10mmHg、15mmHg、20mmHg、または25mmHg)低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のPASPを25mmHg未満に低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のPASPを20mmHg未満に低下させる。
【0038】
いくつかの実施形態では、患者は、治療前に3Wood単位以上の肺血管抵抗(PVR)を有する。いくつかの実施形態では、方法は、患者のPVRを減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のPVRを少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%低下させる。いくつかの実施形態において、方法は、PVRを3Wood単位未満に低下させる。
【0039】
いくつかの実施形態では、患者は、治療前に、少なくとも17mmHgのmPAP、少なくとも20mmHgのmPAP、少なくとも25mmHgのmPAP、少なくとも30mmHgのmPAP、少なくとも35mmHgのmPAP、少なくとも40mmHgのmPAP、少なくとも45mmHgのmPAP、および少なくとも50mmHgのmPAPからなる群から選択される平均肺動脈圧(mPAP)を有する。いくつかの実施形態では、患者は、21~24mmHgの治療前のmPAP、および少なくとも3Wood単位の治療前のPVRとを有する。
【0040】
いくつかの実施形態では、患者は、治療前に25mmHg超のmPAPを有し、心係数(CI)は2.0L/分/m2未満である。いくつかの実施形態では、患者は、治療前に25mmHg超のmPAPを有し、CIは2.5L/分/m2未満である。
【0041】
いくつかの実施形態では、方法は、患者のmPAPを少なくとも10%、15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、または少なくとも50%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のmPAPを少なくとも3mmHg、5、7、10、12、15、20または25mmHg低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、mPAPを、17mmHg未満、20mmHg未満、25mmHg未満および30mmHg未満からなる群から選択される値に低下させる。
【0042】
いくつかの実施形態では、患者の治療前の平均右心房圧(mRAP)は、少なくとも5mmHgのmRAP、少なくとも6mmHgのmRAP、少なくとも8mmHgのmRAP、少なくとも10mmHgのmRAP、少なくとも12mmHgのmRAP、少なくとも14mmHgのmRAP、および少なくとも16mmHgのmRAPからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、方法は、患者のmRAPを改善する。いくつかの実施形態では、mRAPの改善は、mRAPの低下である。いくつかの実施形態では、方法は、患者のmRAPを少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のmRAPを少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15mmHg低下させる。
【0043】
いくつかの実施形態では、患者は、治療前に4L/分未満の心拍出量を有する。いくつかの実施形態では、方法は、患者の心拍出量を少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の心拍出量を、患者において少なくとも0.5L/分、1、1.5、2、2.5、3、3.5、または4L/分増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の心拍出量を少なくとも4L/分に増加させる。
【0044】
いくつかの実施形態では、患者は、治療前に2.5L/分/m2、2.0、1.5、または1L/分/m2未満の心係数(CI)を有する。いくつかの実施形態では、方法は、患者のCIを少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のCIを患者の少なくとも0.2L/分/m2、0.4、0.6、0.8、1、1.2、1.4、1.6、1.8、または2L/分/m2増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のCIを少なくとも2.5L/分/m2に増加させる。
【0045】
いくつかの実施形態では、方法は、患者の運動耐容能を増加させる。いくつかの実施形態では、患者は、治療前にボルグ呼吸困難指数(BDI)で少なくとも0.5の指数ポイント、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10の指数ポイントを有する。いくつかの実施形態では、方法は、患者のBDIを低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のBDIを少なくとも0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10指数ポイント減少させる。
【0046】
いくつかの実施形態では、患者は、治療前に550メートル、500、450、440、400、380、350、300、250、200、または150メートル未満の6分間歩行距離(6MWD)を有する。いくつかの実施形態では、方法は、患者の6MWDを少なくとも10メートル、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、250、300、または400メートル増加させる。
【0047】
いくつかの実施形態では、方法は、世界保健機関(WHO)によって認定される、肺高血圧症機能分類の進行を予防または軽減する。いくつかの実施形態では、方法は、WHOによって認定される肺高血圧症機能分類の機能分類Iから分類II肺高血圧症への進行を予防または軽減する。いくつかの実施形態では、方法は、WHOによって認定される肺高血圧症機能分類の機能分類IIから分類III肺高血圧症への進行を予防または軽減する。いくつかの実施形態では、方法は、WHOによって認定される肺高血圧症機能分類の機能分類IIIから分類IV肺高血圧症への進行を予防または軽減する。いくつかの実施形態では、方法は、WHOによって認定される、肺高血圧症機能分類の退行を促進または増進する。いくつかの実施形態では、方法は、WHOによって認定される肺高血圧症機能分類の分類IVから分類III肺高血圧症への退行を促進または増進する。いくつかの実施形態では、方法は、WHOによって認定される肺高血圧症機能分類の分類IIIから分類II肺高血圧症への退行を促進または増進する。いくつかの実施形態では、方法は、WHOによって認定される肺高血圧症機能分類の分類IIから分類I肺高血圧症への退行を促進または増進する。
【0048】
いくつかの実施形態において、患者は、治療前、健康な患者よりも高いNT-proBNPレベルを有する。いくつかの実施形態において、患者は、正常なNT-proBNPレベルを有する。いくつかの実施形態では、患者は、治療前に少なくとも100pg/mL、150、200、300、400、500、1000、3000、5000、10,000、15,000、または20,000pg/mLのNT-proBNPレベルを有する。いくつかの実施形態では、方法は、患者のNT-proBNPレベルを低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のNT-proBNPレベルを少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%または80%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のNT-proBNPレベルを少なくとも30%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、NT-proBNPレベルを正常レベルまで低下させる。いくつかの実施形態では、NT-proBNPの正常レベルは100pg/ml未満である。
【0049】
いくつかの実施形態において、患者は、治療前、健康な患者よりも高い脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)レベルを有する。いくつかの実施形態において、患者は、治療前に正常なBNPレベルを有する。いくつかの実施形態では、患者は、治療前に少なくとも100pg/mL、150、200、300、400、500、1000、3000、5000、10,000、15,000、または20,000pg/mLのBNPレベルを有する。いくつかの実施形態では、方法は、患者のBNPレベルを少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%または少なくとも80%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、BNPレベルを正常レベル(すなわち、100pg/ml未満)まで低下させる。
【0050】
いくつかの実施形態では、患者は、治療前に7mmHgを超える拡張期圧較差(DPG)を有する。いくつかの実施形態では、患者は、治療前に少なくとも7mmHg(例えば、少なくとも7、10、15、20、25、30、35、40、45、または50mmHg)のDPGを有する。いくつかの実施形態では、方法は、患者のDPGを減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のDPGを少なくとも10%(例えば、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または少なくとも50%)低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のDPGを7mmHg未満に低下させる。
【0051】
いくつかの実施形態では、方法は、患者の生活の質を少なくとも1%(例えば、1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%)向上させる。いくつかの実施形態では、患者の生活の質は、ケンブリッジ肺高血圧転帰レビュー(Cambridge Pulmonary Hypertension Outcome Review:CAMPHOR)を使用して測定される。
【0052】
いくつかの実施形態では、患者は肺線維症を有する。いくつかの実施形態では、方法は、患者の肺線維症を減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の肺線維症を少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%減少させる。
【0053】
いくつかの実施形態では、患者は、治療前に60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、または20%未満の一酸化炭素拡散能(DLCO)を有する。いくつかの実施形態では、方法は、患者のDLCOを増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のDLCOを少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、DLCOを少なくとも40%、45%、50%、55%、60%または65%まで増加させる。
【0054】
いくつかの実施形態では、患者の一酸化炭素移動係数(KCO)は、予測値の60%未満、予測値の55%未満、予測値の50%未満、予測値の45%未満、予測値の40%未満、予測値の35%未満、予測値の30%未満、予測値の25%未満、または予測値の20%未満である。いくつかの実施形態では、方法は、患者のKCOを増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のKCOを少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、KCOを少なくとも40%、45%、50%、55%、60%または65%まで増加させる。
【0055】
いくつかの実施形態では、患者の治療前の複合生理学的指標(CPI)は、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75および80より大きい。いくつかの実施形態では、方法は、患者のCPIを低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のCPIを少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、CPIを70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、または5未満に低下させる。
【0056】
いくつかの実施形態では、患者の治療前の動脈酸素飽和度は95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、または30%未満である。いくつかの実施形態では、方法は、患者の動脈酸素飽和度を増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の動脈酸素飽和度を少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または少なくとも50%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、動脈酸素飽和度を少なくとも85%、90%、または95%に増加させる。いくつかの実施形態では、動脈酸素飽和度は、安静時に測定される。
【0057】
いくつかの実施形態において、患者のTAPSEは、20mm、18、16、14または12mm未満である。いくつかの実施形態では、方法は、TAPSEを少なくとも20mm、22、24、26、28または30mmまで増加させる。
【0058】
いくつかの実施形態では、患者の治療前の努力肺活量一秒量(FEV1)は、70%超、60%~69%、50%~59%、35%~49%、および35%未満からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、方法は、患者のFEV1を増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のFEV1を少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、FEV1を少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%まで増加させる。
【0059】
いくつかの実施形態では、患者の治療前の努力肺活量(FVC)は、80%超、70%超、60%~69%、50%~59%、35%~49%、および35%未満からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、方法は、患者のFVCを増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のFVCを少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、FVCを少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%まで増加させる。
【0060】
いくつかの実施形態では、方法は、患者の右室機能を改善する。いくつかの実施形態では、右室機能の改善は、右室面積変化率の増加によるものである。いくつかの実施形態では、右室機能の改善は、右室肥大の減少によるものである。いくつかの実施形態では、右室機能の改善は、駆出率の増加によるものである。いくつかの実施形態では、右室機能の改善は、右室面積変化率および駆出率の増加によるものである。いくつかの実施形態では、方法は、患者の右室肥大を減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の右室肥大を少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%減少させる。
【0061】
いくつかの実施形態では、方法は、患者の平滑筋肥大を減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の平滑筋肥大を少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%減少させる。
【0062】
いくつかの実施形態では、方法は、死亡のリスクを低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、肺動脈高血圧症に関連する死亡のリスクを少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%低下させる。
【0063】
いくつかの実施形態では、方法は、患者の無移植生存率を増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の無移植生存率を少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%増加させる。
【0064】
いくつかの実施形態では、方法は、肺疾患に関連する肺高血圧症の1つ以上の併存症を治療する。いくつかの実施形態では、肺疾患に関連する肺高血圧症の1つまたは複数の併存症は、全身性高血圧症、腎機能低下、真性糖尿病、高脂血症、肥満症、冠動脈疾患(CAD)、閉塞性睡眠時無呼吸、肺塞栓症、心不全、心房細動および貧血からなる群から選択される。
【0065】
いくつかの実施形態では、ActRIIポリペプチドは、配列番号1の残基30~110に対応するアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ActRIIポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ActRIIポリペプチドは、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、ActRIIポリペプチドは、免疫グロブリンのFcドメインをさらに含む融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、免疫グロブリンのFcドメインは、IgG1免疫グロブリンのFcドメインである。いくつかの実施形態では、Fc融合タンパク質は、ActRIIポリペプチドドメインと免疫グロブリンのFcドメインとの間に配置されたリンカードメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、リンカードメインは、TGGG(配列番号20)、TGGGG(配列番号18)、SGGGG(配列番号19)、GGGGS(配列番号22)、GGG(配列番号16)、GGGG(配列番号17)、およびSGGG(配列番号21)からなる群から選択される。
【0067】
いくつかの実施形態では、ActRIIポリペプチドは、配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ActRIIポリペプチドは、配列番号41のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1の残基30~110に対応するアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、ポリペプチドはアクチビンおよび/またはGDF11に結合する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1の残基21~135に対応するアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、ポリペプチドはアクチビンおよび/またはGDF11に結合する。
【0069】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは凍結乾燥される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは可能性である。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、皮下注射を使用して投与される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、約3週間毎に投与される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、約4週間毎に投与される。
【0070】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、ホモ二量体タンパク質複合体の一部である。いくつかの実施形態では、ポリペプチドはグリコシル化されている。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、チャイニーズハムスター卵巣細胞における発現によって得ることができるグリコシル化パターンを有する。
【0071】
いくつかの実施形態では、ActRIIポリペプチドは、アクチビンA、アクチビンB、およびGDF11からなる群から選択される1つまたは複数のリガンドに結合する。いくつかの実施形態では、ActRIIポリペプチドは、BMP10、GDF8、およびBMP6からなる群から選択される1つまたは複数のリガンドにさらに結合する。
【0072】
いくつかの実施形態では、ActRIIポリペプチドを、0.1mg/kg~2.0mg/kgの用量で投与する。いくつかの実施形態では、ActRIIポリペプチドを0.3mg/kgの用量で投与する。いくつかの実施形態では、ActRIIポリペプチドを0.7mg/kgの用量で投与する。
【0073】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、追加の活性剤および/または支持療法を患者にさらに投与することを含む。いくつかの実施形態では、追加の活性剤および/または支持療法は、β遮断薬、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACE阻害剤)、アンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)、利尿剤、脂質低下薬、エンドセリン遮断薬、PDE5阻害剤、およびプロスタサイクリンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、追加の活性剤および/または支持療法は、プロスタサイクリンおよびその誘導体(例えば、エポプロステノール、トレプロスチニルおよびイロプロスト);プロスタサイクリン受容体アゴニスト(例えば、セレキシパグ);エンドセリン受容体拮抗薬(例えば、テリン、アンブリセンタン、マシテンタンおよびボセンタン);カルシウムチャネル遮断薬(例えば、アムロジピン、ジルチアゼムおよびニフェジピン;抗凝固剤(例えば、ワルファリン);ジゴキシン、利尿薬;酸素療法;心房中隔切開術;肺血栓内膜摘出術;ホスホジエステラーゼ5型阻害剤(例えば、シルデナフィルおよびタダラフィル);可溶性グアニル酸シクラーゼのアクチベーター(例えば、シナシグアトおよびリオシグアト);ASK-1阻害剤(例えば、CIIA;SCH79797;GS-4997;MSC2032964A;3H-ナフト[1,2,3-de]キニリン-2,7-ジオン、NQDI-1;2-チオキソ-チアゾリジン、5-ブロモ-3-(4-オキソ-2-チオキソ-チアゾリジン-5-イリデン)-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン);NF-κB拮抗薬(例えば、dh404、CDDO-エポキシド;2.2-ジフルオロプロピオンアミド;C28イミダゾール(CDDO-Im);2-シアノ-3,12-ジオキソオレアン-1,9-ジエン-28-オイック酸(CDDO);3-アセチルオレアノール酸;3-トリフルオロアセチルオレアノール酸;28-メチル-3-アセチルオレアナン;28-メチル-3-トリフルオロアセチルオレアナン;28-メチルオキシオレアノール酸;SZC014;SCZ015;SZC017;オレアノール酸のPEG化誘導体;3-O-(β-D-グルコピラノシル)オレアノール酸;3-O-[β-D-グルコピラノシル-(1-->3)-β-D-グルコピラノシル]オレアノール酸;3-O-[β-D-グルコピラノシル-(1-->2)-β-D-グルコピラノシル]オレアノール酸;3-O-[β-D-グルコピラノシル-(1-->3)-β-D-グルコピラノシル]オレアノール酸28-O-β-D-グルコピラノシルエステル;3-O-[β-D-グルコピラノシル-(1-->2)-β-D-グルコピラノシル]オレアノール酸28-O-β-D-グルコピラノシルエステル;3-O-[a-L-ラムノピラノシル-(1-->3)-β-D-グルクロノピラノシル]オレアノール酸;3-O-[α-L-ラムノピラノシル-(1-->3)-β-D-グルクロノピラノシル]オレアノール酸28-O-β-D-グルコピラノシルエステル;28-O-β-D-グルコピラノシル-オレアノール酸;3-O-β-D-グルコピラノシル(1→3)-β-D-グルコピラノシドウロン酸(CS1);オレアノール酸3-O-β-D-グルコピラノシル(1→3)-β-D-グルコピラノシドウロン酸(CS2);メチル3,11ジオキソオレアン-12-エン-28-オレート(DIOXOL);ZCVI4-2;ベンジル3-デヒドロ-オキシ-1,2,5-オキサジアゾロ[3’,4’:2,3]オレノレート);左室補助装置(LVAD)、酸素療法、ならびに肺および/または心臓移植からなる群から選択される。
【0074】
いくつかの実施形態では、患者は、ホスホジエステラーゼ5型阻害剤、可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬、プロスタサイクリン受容体アゴニストおよびエンドセリン受容体拮抗薬からなる群から選択される1つまたは複数の薬剤で治療されている。いくつかの実施形態では、1つ以上の薬剤は、ボセンタン、シルデナフィル、ベラプロスト、マシテンタン、セレキシパグ、エポプロステノール、トレプロスチニル、イロプロスト、アンブリセンタン、およびタダラフィルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、方法は、ホスホジエステラーゼ5型阻害剤、可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬、プロスタサイクリン受容体アゴニストおよびエンドセリン受容体拮抗薬からなる群から選択される1つまたは複数の薬剤の投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の薬剤は、ボセンタン、シルデナフィル、ベラプロスト、マシテンタン、セレキシパグ、エポプロステノール、トレプロスチニル、イロプロスト、アンブリセンタン、およびタダラフィルからなる群から選択される。
【0075】
いくつかの実施形態では、患者は、ポリペプチドの投与前に1つ以上の血管拡張剤で治療されている。いくつかの実施形態では、方法は、1つ以上の血管拡張剤の投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の血管拡張剤は、プロスタサイクリン、エポプロステノールおよびシルデナフィルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、血管拡張剤はプロスタサイクリンである。
【0076】
いくつかの実施形態では、患者は、肺疾患に関連する肺高血圧症のための1つ以上の治療を受けている。いくつかの実施形態では、肺疾患に関連する肺高血圧症の1つ以上の療法は、トレプロスチニル、ピルフェニドン、ニンテダニブ、プロスタサイクリンおよびその誘導体(例えば、エポプロステノール、トレプロスチニルおよびイロプロスト);プロスタサイクリン受容体アゴニスト(例えば、セレキシパグ);エンドセリン受容体拮抗薬(例えば、テリン、アンブリセンタン、マシテンタンおよびボセンタン);カルシウムチャネル遮断薬(例えば、アムロジピン、ジルチアゼムおよびニフェジピン;抗凝固剤(例えば、ワルファリン);利尿薬;酸素療法;心房中隔切開術;肺血栓内膜摘出術;ホスホジエステラーゼ5型阻害剤(例えば、シルデナフィルおよびタダラフィル);可溶性グアニル酸シクラーゼの活性化剤(例えば、シナシグアトおよびリオシグアト);ASK-1阻害剤(例えば、CIIA;SCH79797;GS-4997;MSC2032964A;3H-ナフト[1,2,3-de]キニリン-2,7-ジオン、NQDI-1;2-チオキソ-チアゾリジン、5-ブロモ-3-(4-オキソ-2-チオキソ-チアゾリジン-5-イリデン)-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン);NF-κB拮抗薬(例えば、dh404、CDDO-エポキシド;2.2-ジフルオロプロピオンアミド;C28イミダゾール(CDDO-Im);2-シアノ-3,12-ジオキソオレアン-1,9-ジエン-28-オイック酸(CDDO);3-アセチルオレアノール酸;3-トリフルオロアセチルオレアノール酸;28-メチル-3-アセチルオレアナン;28-メチル-3-トリフルオロアセチルオレアナン;28-メチルオキシオレアノール酸;SZC014;SCZ015;SZC017;オレアノール酸のPEG化誘導体;3-O-(β-D-グルコピラノシル)オレアノール酸;3-O-[β-D-グルコピラノシル-(1-->3)-β-D-グルコピラノシル]オレアノール酸;3-O-[β-D-グルコピラノシル-(1-->2)-β-D-グルコピラノシル]オレアノール酸;3-O-[β-D-グルコピラノシル-(1-->3)-β-D-グルコピラノシル]オレアノール酸28-O-β-D-グルコピラノシルエステル;3-O-[β-D-グルコピラノシル-(1-->2)-β-D-グルコピラノシル]オレアノール酸28-O-β-D-グルコピラノシルエステル;3-O-[a-L-ラムノピラノシル-(1-->3)-β-D-グルクロノピラノシル]オレアノール酸;3-O-[α-L-ラムノピラノシル-(1-->3)-β-D-グルクロノピラノシル]オレアノール酸28-O-β-D-グルコピラノシルエステル;28-O-β-D-グルコピラノシル-オレアノール酸;3-O-β-D-グルコピラノシル(1→3)-β-D-グルコピラノシドウロン酸(CS1);オレアノール酸3-O-β-D-グルコピラノシル(1→3)-β-D-グルコピラノシドウロン酸(CS2);メチル3,11ジオキソオレアン-12-エン-28-オレート(DIOXOL);ZCVI4-2;ベンジル3-デヒドロ-オキシ-1,2,5-オキサジアゾロ[3’,4’:2,3]オレノレート);左室補助装置(LVAD)、酸素療法、ならびに肺および/または心臓移植からなる群から選択される。
【0077】
いくつかの実施形態では、ActRIIポリペプチドを約毎週、約2週間毎、約3週間毎、または約4週間毎に患者に投与する。いくつかの実施形態では、ActRIIポリペプチドを3週間毎に患者に投与する。
【0078】
この特許のファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面/写真を含む。(1または複数の)カラー図面/(1または複数の)写真を有する本特許の写しは、請求および必要な料金の支払いに応じて特許庁によって提供される。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【
図1】複数のActRIIBおよびActRIIA結晶構造の複合分析に基づいて、囲み線で示されるリガンドに直接接触すると本明細書で推論される残基を含む、ヒトActRIIB(配列番号31)およびヒトActRIIA(配列番号2)の細胞外ドメインのアライメントを示す。
【
図2】様々な脊椎動物ActRIIAタンパク質およびヒトActRIIA(配列番号6~10および36~38)の多重配列アライメントを示す。
【
図3】Clustal 2.1を使用した、ヒトIgGアイソタイプ由来のFcドメインの多重配列アライメントを示す。ヒンジ領域は点線の下線で示されている。二重下線は、非対称鎖ペアリングを促進するためにIgG1 Fc(配列番号32)において操作された位置、ならびに他のアイソタイプIgG2(配列番号33)、IgG3(配列番号34)およびIgG4(配列番号35)に関して対応する位置の例を示す。
【
図4A】CHO細胞において発現されるActRIIA-hFcの精製を示す。タンパク質は、サイジングカラムによって可視化されるように、単一の明確に定義されたピークとして精製される。
【
図4B】CHO細胞において発現されるActRIIA-hFcの精製を示す。タンパク質は、クーマシー染色SDS-PAGEによって可視化されるように、単一の明確に定義されたピークとして精製される(左レーン:分子量標準;右レーン:ActRIIA-hFc)。
【
図5A】Biacore(商標)アッセイによって測定された、ActRIIA-hFcのアクチビンへの結合を示す。
【
図5B】Biacore(商標)アッセイによって測定された、ActRIIA-hFcのGDF-11への結合を示す。
【
図6A】Bleo-MCT PH-ILDラットモデルにおける肺高血圧症およびRV肥大のActRIIA-mFc処置の効果を示す。Rx:ActRIIA-mFc s.c.5mpk、BIW;Bleo:ブレオマイシン;MCT:モノクロタリン
【
図6B】Bleo-MCT PH-ILDラットモデルにおける肺高血圧症およびRV肥大のActRIIA-mFc処置の効果を示す。Rx:ActRIIA-mFc s.c.5mpk、BIW;Bleo:ブレオマイシン;MCT:モノクロタリン
【
図6C】Bleo-MCT PH-ILDラットモデルにおける肺高血圧症およびRV肥大のActRIIA-mFc処置の効果を示す。Rx:ActRIIA-mFc s.c.5mpk、BIW;Bleo:ブレオマイシン;MCT:モノクロタリン
【
図6D】Bleo-MCT PH-ILDラットモデルにおける肺高血圧症およびRV肥大のActRIIA-mFc処置の効果を示す。Rx:ActRIIA-mFc s.c.5mpk、BIW;Bleo:ブレオマイシン;MCT:モノクロタリン
【
図7A】Bleo/Su/Hx PH-ILDラットモデルにおける肺高血圧症およびRV肥大のActRIIA-mFc処置の効果を示す。Rx:ActRIIA-mFc s.c.5mpk、BIW;Bleo:ブレオマイシン;MCT:モノクロタリン
【
図7B】Bleo/Su/Hx PH-ILDラットモデルにおける肺高血圧症およびRV肥大のActRIIA-mFc処置の効果を示す。Rx:ActRIIA-mFc s.c.5mpk、BIW;Bleo:ブレオマイシン;MCT:モノクロタリン
【
図7C】Bleo/Su/Hx PH-ILDラットモデルにおける肺高血圧症およびRV肥大のActRIIA-mFc処置の効果を示す。Rx:ActRIIA-mFc s.c.5mpk、BIW;Bleo:ブレオマイシン;MCT:モノクロタリン
【
図8A】LPS誘発COPDラットモデルにおけるグループ3肺高血圧症に対するActRIIA-mFc処置の効果を示す。
【
図8B】LPS誘発COPDラットモデルにおけるグループ3肺高血圧症に対するActRIIA-mFc処置の効果を示す。
【
図8C】LPS誘発COPDラットモデルにおけるグループ3肺高血圧症に対するActRIIA-mFc処置の効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0080】
1.概要
本開示は、肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(ILD)または気腫合併肺線維症(CPFE)に関連する肺高血圧症)を治療する組成物および方法に関し、本明細書に記載のActRIIポリペプチドの有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む。特定の実施形態では、本開示は、治療有効量の本明細書に記載のActRIIポリペプチドを個体に投与することによって、それを必要とする個体における肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、COPD、ILDまたはCPFEに関連する肺高血圧症)を治療または予防する方法を提供する。
【0081】
ほとんどの肺疾患は、閉塞性または拘束性のいずれかに分類することができる。閉塞性および拘束性の両方を特徴とする肺疾患はまれに発生し、一般に肺実質障害および非肺障害の組み合わせによって引き起こされる。閉塞性肺疾患(例えば、COPD、慢性気管支炎、喘息、気管支拡張症、細気管支炎、および嚢胞性線維症)は、気道の閉塞を特徴とし、健康な個体よりも遅く浅い呼息によって定義される。拘束性肺疾患(例えば、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、塵肺症、肺炎、好酸球性肺炎、結核、サルコイドーシス、肺線維症および特発性肺線維症、胸水、および胸膜炎)は、総肺容量の減少を特徴とし、健康な個体で予想されるものよりもはるかに少ない吸息で肺が満たされることで定義される。肺疾患の顕著な合併症の1つは肺高血圧症である。肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、COPD、ILDまたはCPFEに関連する肺高血圧症)[世界保健機関グループ3 PH]は、肺組織の炎症および不可逆的な瘢痕化を特徴とする進行性疾患である。慢性肺疾患は、肺高血圧症の第2の主因である。肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、COPD、ILDまたはCPFEに関連する肺高血圧症)を有する患者の死亡率は、肺高血圧症の5つの診断群のいずれにおいても最も高いことが報告されている。現在、肺疾患に関連する肺高血圧症のために米国食品医薬品局が承認した唯一の治療薬は、肺動脈高血圧症(PAH;WHOグループ1肺高血圧症)の治療にも承認されているトレプロスチニルである。肺疾患に関連する肺高血圧症の臨床診療における他のすべての治療は、根底にある肺疾患の管理、ならびに肺動脈高血圧症(PAH)[世界保健機関(WHO)グループ1 PH]について承認された特定の治療の適用外使用に基づく。
【0082】
肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、COPD、ILDまたはCPFEに関連する肺高血圧症)は、右心カテーテル処置を用いて確定診断することができるが、心エコー検査は、リスクがあると考えられる患者のための良好なスクリーニングおよびモニタリングツールとして存続する。心エコー検査は、肺動脈収縮期圧(ePASP)の上昇ならび右室構造の変化、または機能不全および左心疾患の証拠を検出するために使用される。他の評価および/またはツール(例えば、6分間歩行試験(6MWT)、コンピュータ断層撮影(CT)スキャン、および肺機能検査)。肺疾患に関連する肺高血圧症の唯一の確定検査であるにもかかわらず、右心カテーテル処置は、この疾患を有すると疑われるすべての患者に必要とされるわけではない。しかしながら、中等度または重度の肺高血圧症が疑われる場合、ならびに肺高血圧症の別の病因が疑われる場合、右心カテーテル処置が推奨される。
【0083】
特定の態様では、本開示は、肺疾患(例えば、閉塞性肺疾患、拘束性肺疾患、または閉塞性および拘束性の混合性肺疾患)に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症の治療、予防、または進行速度および/もしくは重症度の低減の方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法に関する。肺疾患に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症は、持続性咳、湿性咳、喘鳴、運動不耐性、呼吸器感染症、気管支拡張症、慢性感染症、鼻ポリープ、喀血、気胸、呼吸不全、呼吸困難、胸痛、喀血、気胸、肺血管リモデリング、肺線維症、肺血管内皮機能不全、慢性肺傷害による低酸素症、低酸素性肺血管収縮、炎症、平滑筋肥大、および右室肥大からなる群から選択される。
【0084】
本明細書で使用される用語は、一般に、本開示の文脈内および各用語が使用される特定の文脈内で、当技術分野における通常の意味を有する。特定の用語は、本開示の組成物および方法ならびにそれらを作製および使用する方法を説明する際に実施者に追加のガイダンスを提供するために、以下または本明細書の他の箇所で論じられる。用語の任意の使用の範囲または意味は、それが使用される特定の文脈から明らかになるであろう。
【0085】
「配列類似性」という用語は、そのすべての文法的形態において、共通の進化的起源を共有してもしなくてもよい核酸またはアミノ酸配列間の同一性または対応の程度を指す。
【0086】
基準ポリペプチド(またはヌクレオチド)配列に関する「パーセント(%)配列同一性」は、必要に応じて、配列をアライメントし、ギャップを導入して最大パーセント配列同一性を達成した後の、基準ポリペプチド(ヌクレオチド)配列中のアミノ酸残基(または核酸)と同一である候補配列中のアミノ酸残基(または核酸)のパーセンテージとして定義され、いかなる保存的置換も配列同一性の一部として考慮しない。パーセントアミノ酸配列同一性を決定するためのアライメントは、例えば、公的に入手可能なコンピュータソフトウェア、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアを使用して、当技術分野の技能の範囲内である様々な方法で達成することができる。当業者は、配列をアライメントするための適切なパラメータ(比較される配列の全長にわたる最大アライメントを達成するために必要なあらゆるアルゴリズムを含む)を決定することができる。しかしながら、本明細書の目的のために、%アミノ酸(核酸)配列同一性値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を使用して生成される。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.によって作られ、ソースコードは、米国著作権局、ワシントンD.C.,20559にユーザ文書と共に提出され、米国著作権登録番号TXU510087で登録されている。ALIGN-2プログラムは、カリフォルニア州サウスサンフランシスコのGenentech,Inc.から公的に入手可能であるか、またはソースコードからコンパイルされてもよい。ALIGN-2プログラムは、Digital UNIX V4.0Dを含む、UNIXオペレーティングシステムで使用するためにコンパイルする必要がある。すべての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムによって設定され、変更しない。
【0087】
「苦悩させる(agonize)」は、そのすべての文法的形態において、タンパク質および/または遺伝子を(例えば、そのタンパク質の遺伝子発現を活性化もしくは増幅することによって、または不活性タンパク質を活性状態に入るように誘導することによって)活性化する、またはタンパク質および/または遺伝子の活性を増加させるプロセスを指す。
【0088】
「拮抗する」は、そのすべての文法的形態において、タンパク質および/または遺伝子を(例えば、そのタンパク質の遺伝子発現を阻害もしくは減らすことによって、または活性タンパク質を不活性状態に入るように誘導することによって)阻害する、またはタンパク質および/または遺伝子の活性を減少させるプロセスを指す。
【0089】
「約(about)」および「およそ(approximately)」という用語は、本明細書および特許請求の範囲を通して数値に関連して使用される場合、当業者によく知られている許容可能な精度の間隔を示す。一般に、このような精度の間隔は±10%である。あるいは、特に生物学系において、「約(about)」および「およそ(approximately)」という用語は、所与の値の1桁以内、好ましくは5倍以下、より好ましくは2倍以下の値を意味し得る。
【0090】
本明細書に開示される数値範囲は、範囲を定義する数を含む。本出願で使用される「間」という用語は、範囲を定義する数を含む。さらに、本明細書に開示されるすべての範囲は、その中に包含されるありとあらゆる部分範囲を包含すると理解されるべきである。例えば、「1から10」または「1から10の間」と記載された範囲は、1以上、例えば1から6.1の最小値を含み、10以下、例えば5.5から10の最大値で終わる、ありとあらゆる部分範囲を含むと見なされるべきである。
【0091】
「1つの(a)」および「1つの(an)」という用語は、その用語が使用される文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。「1つの(a)」(または「1つの(an)」)という用語、ならびに「1つ以上」および「少なくとも1つ」という用語は、本明細書では互換的に使用することができる。さらに、本明細書で使用される場合、「および/または」は、他のものの有無にかかわらず、2つ以上の指定された特徴または構成要素のそれぞれの具体的な開示として解釈されるべきである。したがって、本明細書で「Aおよび/またはB」などの句で使用される「および/または」という用語は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(単独)、および「B」(単独)を含むことを意図している。同様に、「A、B、および/またはC」などの語句で使用される「および/または」という用語は、以下の態様:A、BおよびC;A、BまたはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);ならびにC(単独)のそれぞれを包含することが意図されている。
【0092】
本明細書を通して、単語「含む(comprise)」または変形、例えば「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」は、記載された整数または整数群を含むが、任意の他の整数または整数群を除外しないことを意味すると理解される。
【0093】
2.ActRIIポリペプチド
特定の態様では、本開示は、肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、COPD、ILD、もしくは(CPFE)に関連する肺高血圧症、または肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、COPD、ILDまたはCPFEに関連する肺高血圧症)の1つ以上の合併症を、例えば治療、予防、または進行速度および/もしくは重症度を低減するActRIIポリペプチドおよびその使用に関する。本明細書で使用される場合、「ActRII」という用語は、II型アクチビン受容体のファミリーを指す。このファミリーには、アクチビン受容体IIA型(ActRIIA)およびアクチビン受容体IIB型(ActRIIB)が含まれる。
【0094】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号1、2、3、23、27、30、および41のいずれかに示されるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を有するActRIIポリペプチドに関する。本明細書で使用される場合、「ActRII」という用語は、アクチビン受容体IIA型(ActRIIA)タンパク質のファミリー、アクチビン受容体IIB型(ActRIIB)タンパク質のファミリー、またはそれらの組み合わせおよび/またはバリアントを指す。ActRIIポリペプチドは、任意の種から誘導することができ、そのようなActRIIタンパク質から突然変異誘発または他の修飾によって誘導されたバリアントを含む。本明細書におけるActRIIへの言及は、現在特定されている形態のいずれか1つへの言及であると理解される。ActRIIファミリーのメンバーは、一般に、システインリッチ領域を含むリガンド結合細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および予測されるセリン/トレオニンキナーゼ活性を有する細胞質ドメインで構成される膜貫通タンパク質である。
【0095】
ActRIIポリペプチドという用語は、ActRIIファミリーメンバーの任意の自然発生ポリペプチド、ならびに有用な活性を保持するその任意のバリアント(変異体、断片、融合物、およびペプチド模倣形態を含む)を含むポリペプチドを含む。本明細書に記載のすべてのActRII関連ポリペプチドのアミノ酸のナンバリングは、特に明記しない限り、以下に提供されるヒトActRII前駆体タンパク質配列(配列番号1)のナンバリングに基づく。
【0096】
標準的なヒトActRII前駆体タンパク質配列は以下の通りである。
【0097】
シグナルペプチドを一重下線で示し、細胞外ドメインを太字で示し、潜在的な内因性N結合型グリコシル化部位を二重下線で示す。
【0098】
プロセシングされた(成熟)細胞外ヒトActRIIポリペプチド配列は以下の通りである。
【0099】
細胞外ドメインのC末端「尾部」を一重下線で示す。「尾部」が欠失した配列(Δ15配列)は以下の通りである。
【0100】
ヒトActRII前駆体タンパク質をコードする核酸配列を、Genbank Reference Sequence NM_001616.4のヌクレオチド159~1700に従って以下に示す(配列番号4)。シグナル配列に下線を付す。
【0101】
プロセシングされた可溶性(細胞外)ヒトActRIIポリペプチドをコードする核酸配列は以下の通りである。
【0102】
ヒトActRIIA細胞外ドメインおよびヒトActRIIB細胞外ドメインのアミノ酸配列のアライメントを
図1に示す。このアライメントは、ActRIIリガンドと直接接触すると考えられる両方の受容体内のアミノ酸残基を示す。例えば、複合ActRII構造は、ActRIIAリガンド結合ポケットが部分的に、残基F31、N33、N35、K38~T41、E47、Y50、K53~K55、R57、H58、F60、T62、K74、W78~N83、Y85、R87、E92、およびK94~F101によって定義されることを示した。これらの位置では、保存的変異が許容されることが予想される。
【0103】
ActRIIは脊椎動物において良好に保存されており、細胞外ドメインの大きなストレッチは完全に保存されている。例えば、
図2は、様々なActRIIAオーソログと比較したヒトActRIIA細胞外ドメインの多重配列アライメントを示す。ActRIIAに結合するリガンドの多くも高度に保存されている。したがって、これらのアライメントから、正常なActRII-リガンド結合活性に重要なリガンド結合ドメイン内で鍵になるアミノ酸位置を予測すること、ならびに正常なActRII-リガンド結合活性を有意に変化させることなく、置換に耐性でありそうなアミノ酸位置を予測することが可能である。したがって、本開示の方法に従って有用な活性ヒトActRIIバリアントポリペプチドは、別の脊椎動物ActRIIの配列からの1つ以上のアミノ酸を対応する位置に含み得るか、またはヒトもしくは他の脊椎動物の配列のものと類似の残基を含み得る。
【0104】
限定することを意味するものではないが、以下の実施例は、この、活性ActRIIバリアントを定義することへのアプローチを説明する。
図2に示すように、ヒト細胞外ドメインのF13は、ヒツジ(配列番号7)、ニワトリ(配列番号10)、ウシ(配列番号36)、メンフクロウ(配列番号37)、およびコウモリ種(Myotis davidii)(配列番号38)ActRIIAにおけるYであり、F、W、およびYを含む芳香族残基がこの位置で許容されることを示している。ヒト細胞外ドメインのQ24は、ウシActRIIAにおけるRであり、D、R、K、H、およびEを含む荷電残基がこの位置で許容されることを示している。ヒト細胞外ドメインのS95は、ニワトリおよびメンフクロウActRIIAにおけるFであり、この部位が、極性残基、例えばE、D、K、R、H、S、T、P、G、Y、およびおそらくは疎水性残基、例えばL、IまたはFを含む、多様な変化に許容性があり得ることを示している。ヒト細胞外ドメインのE52は、ヒツジActRIIAにおけるDであり、DおよびEを含む酸性残基がこの位置で許容されることを示している。ヒト細胞外ドメインのP29は、比較的低度に保存され、ヒツジActRIIAにおけるSおよびコウモリ種(Myotis davidii)ActRIIAにおけるLとして出現し、したがって、本質的にあらゆるアミノ酸がこの位置で許容されるはずである。
【0105】
さらに、上記のように、ActRIIタンパク質は、構造的/機能的特性の観点から、特にリガンド結合に関して当技術分野で特徴付けられている[Attisano et al.(1992)Cell 68(1):97-108;Greenwald et al.(1999)Nature Structural Biology 6(1):18-22;Allendorph et al.(2006)PNAS 103(20:7643-7648;Thompson et al.(2003)The EMBO Journal 22(7):1555-1566;ならびに米国特許第7,709,605号、7,612,041号、および7,842,663号]。例えば、定義する構造モチーフは3フィンガー毒素フォールド(three-finger toxin fold)として知られおり、I型およびII型受容体によるリガンド結合に重要であり、各モノマー受容体の細胞外ドメイン内の様々な位置に配置された保存システイン残基によって形成される[Greenwald et al.(1999)Nat Struct Biol 6:18-22;およびHinck(2012)FEBS Lett 586:1860~1870]。本明細書における教示に加えて、これらの参考文献は、1つ以上の所望の活性(例えば、リガンド結合活性)を保持するActRIIバリアントの生成方法についての十分なガイダンスを提供する。
【0106】
例えば、定義する構造モチーフは3フィンガー毒素フォールド(three-finger toxin fold)として知られおり、I型およびII型受容体によるリガンド結合に重要であり、各モノマー受容体の細胞外ドメイン内の様々な位置に配置された保存システイン残基によって形成される[Greenwald et al.(1999)Nat Struct Biol 6:18-22;およびHinck(2012)FEBS Lett 586:1860~1870]。したがって、これらの保存されたシステインの最外部によって画定されるヒトActRIIのコアリガンド結合ドメインは、配列番号1(ActRII前駆体)の位置30~110に対応する。したがって、これらのシステイン画定コア配列に隣接する、構造的にあまり整っていないアミノ酸は、リガンド結合を必ずしも変更することなく、N末端で約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、または29残基、およびC末端で約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25残基によって切断され得る。例示的なActRII細胞外ドメイン切断には、配列番号2および3が含まれる。
【0107】
したがって、ActRIIの活性部分(例えば、リガンド結合)の一般式は、配列番号1のアミノ酸30~110を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなるポリペプチドである。したがって、ActRIIポリペプチドは、例えば、配列番号1のアミノ酸21~30のいずれか1つに対応する残基で始まり(例えば、アミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか一つで始まり)、配列番号1のアミノ酸110~135のいずれか1つに対応する位置で終わる(例えば、アミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134または135のいずれか一つで終わる)ActRIIの一部と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなることができる。他の例としては、配列番号1の21~30(例えば、アミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか一つから始まる)、22~30(例えば、アミノ酸22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか一つから始まる)、23~30(例えば、アミノ酸23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか一つから始まる)、24~30(例えば、アミノ酸24、25、26、27、28、29、または30のいずれか一つから始まる)から選択される位置で始まり、配列番号1の111~135(例えば、アミノ酸111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134または135のいずれか一つで終わる)、112~135(例えば、アミノ酸112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134または135のいずれか一つで終わる)、113~135(例えば、アミノ酸113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134または135のいずれか一つで終わる)、120~135(例えば、アミノ酸120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134または135のいずれか一つで終わる)、130~135(例えば、アミノ酸130、131、132、133、134または135のいずれか一つで終わる)、111~134(例えば、アミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133または134のいずれか一つで終わる)、111~133(例えば、アミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132または133のいずれか一つで終わる)、111~132(例えば、アミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131または132のいずれか一つで終わる)または111~131(例えば、アミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130または131のいずれか一つで終わる)から選択される位置で終わる構築物が挙げられる。これらの範囲内のバリアントはまた、特に、配列番号1の対応する部分と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなるものが企図される。したがって、いくつかの実施形態では、ActRIIポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸30~110と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるポリペプチドを含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなり得る。場合により、ActRIIポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸30~110と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり、リガンド結合ポケットに1、2、5、10または15以下の保存的アミノ酸変化を含むポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、ActRIIポリペプチドは、ホモ二量体タンパク質複合体の一部である。
【0108】
特定の実施形態では、本開示は、その断片、機能的バリアント、および修飾形態を含むActRIIポリペプチド(例えば、ActRIIAポリペプチド、ActRIIBポリペプチド、またはそれらの組み合わせ)、ならびにその使用(例えば、肺疾患に関連する肺高血圧症、例えばCOPD、ILDまたはCPFEに関連する肺高血圧症を治療、予防または軽減する)に関する。好ましくは、ActRIIポリペプチドは可溶性である(例えば、ActRIIの細胞外ドメイン)。いくつかの実施形態では、ActRIIポリペプチドは、1つ以上のGDF/BMPリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビンA、アクチビンB、GDF3、BMP4、BMP6、BMP10、および/またはBMP15]の、(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害する。いくつかの実施形態では、ActRIIポリペプチドは、1つ以上のGDF/BMPリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビンA、アクチビンB、GDF3、BMP4、BMP6、BMP10、および/またはBMP15]に結合する。いくつかの実施形態では、本開示のActRIIポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸21~30に対応する残基で始まり(例えば、アミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか一つで始まり)、配列番号1のアミノ酸110~135のいずれか1つに対応する位置で終わる(例えば、アミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134または135のいずれか一つで終わる)ActRIIの一部と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、ActRIIポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸30~110と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、それからなるか、または本質的にそれからなる。特定の実施形態では、ActRIIポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸21~135と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、それからなるか、または本質的にそれからなる。いくつかの実施形態では、ActRIIポリペプチドは、配列番号1、2、3、23、27、30および41のいずれか一つのアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、それからなるか、または本質的にそれからなる。
【0109】
いくつかの実施形態では、ActRIIポリペプチドは、配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、それからなるか、または本質的にそれからなる。いくつかの代替実施形態では、ActRIIポリペプチド(例えば、配列番号23)は、C末端リジンを欠いていてもよい。いくつかの実施形態では、C末端リジンを欠くActRIIポリペプチドは、配列番号41である。いくつかの実施形態では、ActRIIポリペプチドは、配列番号41のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、それからなるか、または本質的にそれからなる。いくつかの実施形態では、患者は、配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、それからなるか、または本質的にそれからなるActRIIポリペプチドを投与される。いくつかの実施形態では、患者は、配列番号41のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、それからなるか、または本質的にそれからなるActRIIポリペプチドを投与される。いくつかの実施形態において、患者には、配列番号23と配列番号41との組み合わせが投与される。
【0110】
一定の態様では、本開示は、ActRIIポリペプチド(例えば、ActRIIAポリペプチド、ActRIIBポリペプチド、またはそれらの組み合わせ)に関する。いくつかの実施形態では、本開示のActRIIトラップは、バリアントActRIIポリペプチド(例えば、ActRIIAポリペプチド、ActRIIBポリペプチド、またはそれらの組み合わせ)であり、それは、ActRIIポリペプチド(例えば、「野生型」または未修飾ActRIIポリペプチド)の細胞外ドメイン(リガンド結合ドメインとも呼ばれる)に1つ以上の変異(例えば、アミノ酸の付加、欠失、置換、およびそれらの組み合わせ)を含み、その結果バリアントActRIIポリペプチドは、対応する野生型ActRIIポリペプチドと比べて1つまたは複数の変更されたリガンド結合活性を有する。いくつかの実施形態では、本開示のバリアントActRIIポリペプチドは、対応する野生型ActRIIポリペプチドと類似する活性を少なくとも1つ保持する。例えば、好ましいActRIIポリペプチドは、アクチビン、GDF11および/またはGDF8に結合し、その機能を阻害する(例えば、拮抗する)。いくつかの実施形態では、本開示のActRIIポリペプチドは、GDF/BMPのリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビンA、アクチビンB、GDF3、BMP4、BMP6、BMP10、および/またはBMP15]の1つまたは複数にさらに結合して阻害する。したがって、本開示は、1つまたは複数のActRIIリガンドに対して変化した結合特異性を有するActRIIポリペプチドを提供する。
【0111】
例示すると、変更されたリガンド結合ドメインの、1つ以上のActRII結合リガンド、例えばアクチビン(アクチビンAまたはアクチビンB)、特にアクチビンAを超えるGDF11および/またはGDF8への選択性を高める1つ以上の変異を選択することができる。場合により、変更されたリガンド結合ドメインでの、アクチビン結合のKdのGDF11および/またはGDF8結合のKdに対する比は、野生型リガンド結合ドメインでの比よりも少なくとも2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍またはさらには1000倍大きい。場合により、変更されたリガンド結合ドメインの、アクチビンを阻害するためのIC50のGDF11および/またはGDF8を阻害するためのIC50に対する比は、野生型リガンド結合ドメインと比較して少なくとも2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍またはさらには1000倍大きい。場合により、変更されたリガンド結合ドメインは、GDF11および/またはGDF8を、アクチビンを阻害するためのIC50よりも少なくとも2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍またはさらには1000倍低いIC50で阻害する。
【0112】
特定の実施形態では、本開示は、ポリペプチドのグリコシル化を変化させるように、ActRIIポリペプチド(例えば、ActRIIAポリペプチド、ActRIIBポリペプチド、またはそれらの組み合わせ)の特定の変異を企図する。そのような変異は、O結合型またはN結合型グリコシル化部位など、1つ以上のグリコシル化部位を導入または排除するように選択され得る。アスパラギン結合型グリコシル化認識部位は、一般に、適切な細胞グリコシル化酵素によって特異的に認識されるトリペプチド配列、アスパラギン-X-トレオニンまたはアスパラギン-X-セリン(「X」は任意のアミノ酸である)を含む。変化はまた、(O結合型グリコシル化部位について)ポリペプチドの配列への1つ以上のセリンまたはトレオニン残基の付加、またはそれによる置換によって行われ得る。グリコシル化認識部位の第1または第3のアミノ酸位置の一方または両方における様々なアミノ酸置換または欠失(および/または第2の位置におけるアミノ酸欠失)は、修飾トリペプチド配列において非グリコシル化をもたらす。ポリペプチド上の炭水化物部分の数を増加させる別の手段は、グリコシドのポリペプチドへの化学的または酵素的カップリングによるものである。使用されるカップリングモードに応じて、(1または複数の)糖は、(a)アルギニンおよびヒスチジン;(b)遊離カルボキシル基;(c)遊離スルフヒドリル基、例えばシステインのもの;(d)遊離ヒドロキシル基、例えばセリン、トレオニンまたはヒドロキシプロリンのもの;(e)芳香族残基、例えばフェニルアラニン、チロシンまたはトリプトファンのもの;または(f)グルタミンのアミド基に結合していてもよい。ポリペプチド上に存在する1つ以上の炭水化物部分の除去は、化学的かつ/または酵素的に達成され得る。化学的脱グリコシル化は、例えば、化合物トリフルオロメタンスルホン酸または等価化合物へのポリペプチドの曝露を含み得る。この処理は、アミノ酸配列を無傷で残しながら、連結糖(N-アセチルグルコサミンまたはN-アセチルガラクトサミン)を除くほとんどまたはすべての糖の切断をもたらす。ポリペプチド上の炭水化物部分の酵素的切断は、Thotakura et al.[Meth.Enzymol.(1987)138:350]によって記載されているように、様々なエンドグリコシダーゼおよびエキソグリコシダーゼの使用によって達成することができる。ポリペプチドの配列は、哺乳動物、酵母、昆虫、および植物細胞はすべて、ペプチドのアミノ酸配列によって影響され得る異なるグリコシル化パターンを導入する可能性があるので、使用される発現系の種類に応じて適宜調整されてもよい。一般に、ヒトで使用するための本開示のポリペプチドは、適切なグリコシル化を提供する哺乳動物細胞株、例えばHEK293またはCHO細胞株で発現され得るが、他の哺乳動物発現細胞株も同様に有用であると予想される。
【0113】
本開示はさらに、変異体、特にActRIIポリペプチド(例えば、ActRIIAポリペプチド、ActRIIBポリペプチド、またはそれらの組み合わせ)のコンビナトリアル変異体のセット、ならびに切断変異体を生成する方法を企図する。コンビナトリアル変異体のプールは、機能的に活性な(例えば、GDF/BMPリガンド結合)ActRII配列を同定するのに特に有用である。そのようなコンビナトリアルライブラリをスクリーニングする目的は、例えば、薬物動態の変化またはリガンド結合の変化など、変化した特性を有するポリペプチドバリアントを生成することであり得る。様々なスクリーニングアッセイを以下に提供し、そのようなアッセイを使用してバリアントを評価することができる。例えば、ActRIIバリアントは、1つ以上のGDF/BMPリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビンA、アクチビンB、GDF3、BMP4、BMP6、BMP10、および/またはBMP15]に結合する能力、ActRIIポリペプチドならびにそのヘテロ多量体へのGDF/BMPリガンドの結合を防ぐ能力、および/またはGDF/BMPリガンドによって引き起こされるシグナル伝達を妨害する能力についてスクリーニングされ得る。
【0114】
ActRIIポリペプチド(例えば、ActRIIAポリペプチド、ActRIIBポリペプチド、またはそれらの組み合わせ)またはそのバリアントの活性も、細胞ベースまたはインビボアッセイで試験することができる。例えば、肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(ILD)または気腫合併肺線維症(CPFE)に関連する肺高血圧症)の病因に関与する遺伝子の発現へのActRIIポリペプチドの効果を評価することができる。これは、必要に応じて、1つまたは複数の組換えリガンドタンパク質[例えば、GDF11、GDF8、アクチビンA、アクチビンB、GDF3、BMP4、BMP6、BMP10、および/またはBMP15]の存在下で行われてもよく、ActRIIポリペプチド、および場合によりGDF/BMPリガンドを生成するように細胞をトランスフェクトしてもよい。同様に、ActRIIポリペプチドをマウスまたは他の動物に投与してもよく、肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、COPD、ILDまたはCPFEに関連する肺高血圧症)の病因に対する効果を、当技術分野で認識されている方法を使用して評価してもよい。同様に、ActRIIポリペプチドまたはそのバリアントの活性は、例えば、本明細書に記載のアッセイおよび当技術分野の常識のアッセイによって、血球前駆細胞においてこれらの細胞の増殖に対する任意の効果について試験することができる。SMAD応答性レポーター遺伝子をそのような細胞株で使用して、下流のシグナル伝達に対する効果をモニターすることができる。
【0115】
基準ActRIIポリペプチド(例えば、ActRIIAポリペプチド、ActRIIBポリペプチド、またはそれらの組み合わせ)と比較して選択性が向上した、または一般に効力が増大したコンビナトリアル誘導性バリアントを生成することができる。そのようなバリアントは、組換えDNA構築物から発現される場合、遺伝子治療プロトコルに使用することができる。同様に、変異誘発によって、対応する未修飾ActRIIポリペプチドとは劇的に異なる細胞内半減期を有するバリアントが生じ得る。例えば、変化したタンパク質は、未修飾ポリペプチドの破壊、さもなければ不活性化をもたらすタンパク質分解性の分解または他の細胞プロセスを、より安定またはより不安定にすることができる。そのようなバリアント、およびそれらをコードする遺伝子は、ポリペプチドの半減期を調節することによってポリペプチド複合体レベルを変化させるために利用することができる。例えば、短い半減期は、より多くの一過性生物学的効果を起こすことができ、誘導性発現系の一部である場合、細胞内の組換えポリペプチド複合体レベルのより厳密な制御を可能にし得る。Fc融合タンパク質では、リンカー(存在すれば)および/またはFc部分に変異を作製して、ActRIIポリペプチドの半減期を変化させることができる。
【0116】
コンビナトリアルライブラリは、それぞれが潜在的ActRIIポリペプチド配列の少なくとも一部を含むポリペプチドのライブラリをコードする、遺伝子の縮重ライブラリによって作製され得る。例えば、合成オリゴヌクレオチドの混合物を、潜在的なActRIIをコードするヌクレオチド配列の縮重セットが個々のポリペプチドとして、あるいはより大きな融合タンパク質(例えば、ファージディスプレイの場合)のセットとして発現できるように、遺伝子配列に酵素的にライゲートすることができる。
【0117】
多くの方法によって、潜在的なホモログのライブラリを縮重オリゴヌクレオチド配列から生成することができる。縮重遺伝子配列の化学合成は、自動DNA合成装置で行うことができ、次いで、合成遺伝子を発現のための適切なベクターにライゲートすることができる。縮重オリゴヌクレオチドの合成は、当技術分野で周知である[Narang,SA(1983)Tetrahedron 39:3;Itakura et al.(1981)Recombinant DNA,Proc.3rd Cleveland Sympos.Macromolecules,ed.AG Walton,Amsterdam:Elsevier pp273-289;Itakura et al.(1984)Annu.Rev.Biochem.53:323;Itakura et al.(1984)Science 198:1056;およびIke et al.(1983)Nucleic Acid Res.11:477]。そのような技術は、他のタンパク質の指向性進化において使用されてきた[Scott et al.,(1990)Science 249:386-390;Roberts et al.(1992)PNAS USA 89:2429-2433;Devlin et al.(1990)Science 249:404-406;Cwirla et al.,(1990)PNAS USA 87:6378-6382;ならびに米国特許第5,223,409号、第5,198,346号、および第5,096,815号]。
【0118】
あるいは、変異誘発の他の形態を利用して、コンビナトリアルライブラリを生成することができる。例えば、本開示のActRIIポリペプチド(例えば、ActRIIAポリペプチド、ActRIIBポリペプチド、またはそれらの組み合わせ)は、例えば、アラニンスキャニング変異誘発[Ruf et al.(1994)Biochemistry 33:1565-1572;Wang et al.(1994)J.Biol.Chem.269:3095-3099;Balint et al.(1993)Gene 137:109-118;Grodberg et al.(1993)Eur.J.Biochem.218:597-601;Nagashima et al.(1993)J.Biol.Chem.268:2888-2892;Lowman et al.(1991)Biochemistry 30:10832-10838;およびCunningham et al.(1989)Science 244:1081-1085]を使用するスクリーニングによって、リンカースキャニング変異誘発[Gustin et al.(1993)Virology 193:653-660;およびBrown et al.(1992)Mol.Cell Biol.12:2644-2652;McKnight et al.(1982)Science 232:316]によって、飽和変異誘発[Meyers et al.,(1986)Science 232:613]によって、PCR変異誘発[Leung et al.(1989)Method Cell Mol Biol 1:11-19]によって、または化学的変異誘発を含むランダム変異誘発[Miller et al.(1992)A Short Course in Bacterial Genetics,CSHL Press,Cold Spring Harbor,NY;およびGreener et al.(1994)Strategies in Mol Biol 7:32-34]によって、ライブラリから生成および単離することができる。リンカースキャニング変異誘発は、特にコンビナトリアル設定において、ActRIIポリペプチドの切断型(生物活性)形態を同定するための魅力的な方法である。
【0119】
点変異および切断によって作製されたコンビナトリアルライブラリの遺伝子産物をスクリーニングするための、さらに言えば、cDNAライブラリをある特性を有する遺伝子産物についてスクリーニングするための広範囲の技術が当技術分野で公知である。そのような技術は、一般に、ActRIIポリペプチド(例えば、ActRIIAポリペプチド、ActRIIBポリペプチド、またはそれらの組み合わせ)のコンビナトリアル変異誘発によって生成された遺伝子ライブラリの迅速なスクリーニングに適合可能である。大きな遺伝子ライブラリをスクリーニングするための最も広く使用されている技術は、典型的には、遺伝子ライブラリを複製可能な発現ベクターにクローニングすること、得られたベクターのライブラリで適切な細胞を形質転換すること、および所望の活性の検出が、その産物が検出された遺伝子をコードするベクターの比較的容易な単離を助長する条件下で、コンビナトリアル遺伝子を発現させることを含む。例示的なアッセイとしては、リガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビンA、アクチビンB、GDF3、BMP4、BMP6、BMP10、および/またはBMP15]結合アッセイ、および/またはリガンド媒介性細胞シグナル伝達アッセイが挙げられる。
【0120】
当業者によって認識されるように、本明細書中に記載されたほとんどの記載された変異、バリアントまたは修飾は、核酸レベルで、またはいくつかのケースでは翻訳後修飾または化学合成によって行われ得る。そのような技術は当技術分野で周知であり、そのいくつかは本明細書に記載されている。部分的には、本開示は、本明細書で提供される開示の範囲内で他のバリアントActRIIポリペプチドを生成および使用するための指針として使用することができる、ActRIIポリペプチド(例えば、ActRIIAポリペプチド、ActRIIBポリペプチド、またはそれらの組み合わせ)の機能的に活性な部分(断片)およびバリアントを同定する。
【0121】
特定の実施形態では、本開示のActRIIポリペプチドの機能的に活性な断片は、ActRIIポリペプチドをコードする核酸の対応する断片から組換えによって作製されたポリペプチドをスクリーニングすることによって得ることができる。さらに、断片は、当技術分野で公知の技術、例えば従来のメリフィールド固相f-Mocまたはt-Boc化学を使用して化学的に合成することができる。断片を(組換えまたは化学合成によって)作製し、試験して、ActRII受容体および/または1つ以上のリガンド[例えば、GDF11、GDF8、アクチビンA、アクチビンB、GDF3、BMP4、BMP6、BMP10、および/またはBMP15]の拮抗薬(阻害剤)として機能することができる、ペプチジル断片を同定することができる。
【0122】
特定の実施形態では、本開示のActRIIポリペプチド(例えば、ActRIIAポリペプチド、ActRIIBポリペプチド、またはそれらの組み合わせ)は、ActRIIポリペプチド中に天然に存在する任意のものに加えて、翻訳後修飾をさらに含み得る。そのような修飾には、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化、およびアシル化が含まれるが、これらに限定されない。結果として、ActRIIポリペプチドは、ポリエチレングリコール、脂質、多糖または単糖、およびリン酸塩などの非アミノ酸要素を含み得る。リガンドトラップポリペプチドの機能性に対するそのような非アミノ酸要素の影響は、他のActRIIバリアントについて本明細書に記載されるように試験することができる。本開示のポリペプチドが、ポリペプチドの新生形態を切断することによって細胞内で作製される場合、翻訳後プロセシングもまた、タンパク質の正しいフォールディングおよび/または機能にとって重要であり得る。異なる細胞(例えば、CHO、HeLa、MDCK、293、WI38、NIH-3T3またはHEK293)は、そのような翻訳後活性のための固有の細胞機構および特徴的な機序を有し、ActRIIポリペプチドの正しい修飾およびプロセシングを確実にするように選択され得る。
【0123】
特定の態様では、本開示のActRIIポリペプチド(例えば、ActRIIAポリペプチド、ActRIIBポリペプチド、またはそれらの組み合わせ)は、ActRIIポリペプチドの少なくとも一部(ドメイン)および1つ以上の異種部分(ドメイン)を有する融合タンパク質を含む。そのような融合ドメインの周知の例には、ポリヒスチジン、Glu-Glu、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン、プロテインA、プロテインG、免疫グロブリン重鎖定常領域(Fc)、マルトース結合タンパク質(MBP)またはヒト血清アルブミンが含まれるが、これらに限定されない。融合ドメインは、所望の特性を付与するように選択され得る。例えば、いくつかの融合ドメインは、アフィニティークロマトグラフィーによる融合タンパク質の単離に特に有用である。アフィニティー精製の目的のために、グルタチオン、アミラーゼ、およびニッケルまたはコバルトにコンジュゲートした樹脂など、アフィニティークロマトグラフィーに適切なマトリックスが使用される。そのようなマトリックスの多くは、「キット」形態、例えば(HIS6)融合パートナーと共に有用なPharmacia GST精製システムおよびQIAexpress(商標)システム(Qiagen)で入手可能である。別の例として、ActRIIポリペプチドの検出を容易にするように融合ドメインを選択してもよい。そのような検出ドメインの例には、様々な蛍光タンパク質(例えば、GFP)、ならびに通常は特異的抗体が利用可能な短いペプチド配列である「エピトープタグ」が含まれる。特異的モノクローナル抗体が容易に入手可能な周知のエピトープタグとしては、FLAG、インフルエンザウイルスヘマグルチニン(HA)およびc-mycタグが挙げられる。いくつかのケースでは、融合ドメインはプロテアーゼ切断部位、例えばXa因子またはトロンビンを有し、それにより、関連するプロテアーゼが融合タンパク質を部分的に消化し、それによって組換えタンパク質をそこから遊離させることができる。次いで、遊離したタンパク質を、その後のクロマトグラフィー分離によって融合ドメインから単離することができる。選択され得る他のタイプの融合ドメインとしては、多量体化(例えば、二量化、四量化)ドメイン、および、例えば免疫グロブリン由来の定常ドメイン(例えば、Fcドメイン)を含む、(さらなる生物学的機能を与える)機能的ドメインが挙げられる。
【0124】
特定の態様では、本開示のActRIIポリペプチド(例えば、ActRIIAポリペプチド、ActRIIBポリペプチド、またはそれらの組み合わせ)は、ポリペプチドを「安定化」することができる1つ以上の修飾を含む。「安定化する」とは、インビトロ半減期、血清半減期を延長する何らかのものを意味し、これが分解の減少、腎臓によるクリアランスの減少、または薬剤の他の薬物動態学的効果に起因するかどうかは関係ない。例えば、そのような修飾は、ポリペプチドの貯蔵寿命を改良し、ポリペプチドの循環半減期を改良し、かつ/またはポリペプチドのタンパク質分解を減少させる。そのような安定化修飾には、融合タンパク質(例えば、ActRIIポリペプチドドメインおよび安定剤ドメインを含む融合タンパク質を含む)、グリコシル化部位の修飾(例えば、本開示のポリペプチドへのグリコシル化部位の付加を含む)、および炭水化物部分の修飾(例えば、本開示のポリペプチドからの炭水化物部分の除去を含む)が含まれるが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、「安定化剤ドメイン」という用語は、融合タンパク質の場合のように融合ドメイン(例えば、免疫グロブリンFcドメイン)を指すだけでなく、炭水化物部分などの非タンパク質性修飾、またはポリエチレングリコールなどの非タンパク質性部分も含む。特定の実施形態では、ActRIIポリペプチドは、ポリペプチドを安定化する異種ドメイン(「安定化剤」ドメイン)、好ましくはインビボでのポリペプチドの安定性を増加させる異種ドメインと融合される。免疫グロブリンの定常ドメインとの融合(例えば、Fcドメイン)は、広範囲のタンパク質に望ましい薬物動態特性を付与することが知られている。同様に、ヒト血清アルブミンへの融合は、望ましい特性を付与することができる。
【0125】
ヒトIgG1のFc部分(G1Fc)に使用され得る天然アミノ酸配列の例を以下に示す(配列番号11)。点線の下線はヒンジ領域を示し、実線の下線は自然発生バリアントを含む位置を示す。一部において、本開示は、配列番号11と70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなるポリペプチドを提供する。G1Fc中の天然発生バリアントは、配列番号11で使用されるナンバリングシステムによるE134DおよびM136Lを含むであろう(Uniprot P01857を参照)。
【0126】
場合により、IgG1 Fcドメインは、Asp-265、リジン322およびAsn-434などの残基に1つ以上の変異を有する。特定の場合において、これらの変異の1つ以上(例えば、Asp-265変異)を有する変異IgG1 Fcドメインは、野生型Fcドメインと比較して、Fcγ受容体への結合能が低下している。他の場合では、これらの変異の1つ以上(例えば、Asn-434変異)を有する変異Fcドメインは、野生型IgG1 Fcドメインと比較して、MHCクラスI関連Fc受容体(FcRN)への結合能が増加している。
【0127】
ヒトIgG2のFc部分(G2Fc)に使用され得る天然アミノ酸配列の例を以下に示す(配列番号12)。点線の下線はヒンジ領域を示し、二重下線は配列内にデータベース不一致がある位置を示す(UniProt P01859による)。一部において、本開示は、配列番号12と70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなるポリペプチドを提供する。
【0128】
ヒトIgG3のFc部分(G3Fc)に使用され得るアミノ酸配列の2つの例を以下に示す。G3Fcのヒンジ領域は、最大で他のFc鎖の4倍の長さであり得、同様の17残基セグメントが先行する3つの同一の15残基セグメントを含む。以下に示す第1のG3Fc配列(配列番号13)は、単一の15残基セグメントからなる短いヒンジ領域を含有し、第2のG3Fc配列(配列番号14)は全長ヒンジ領域を含有する。いずれの場合も、点線の下線はヒンジ領域を示し、実線の下線はUniProt P01859による自然発生バリアントを含む位置を示す。一部において、本開示は、配列番号13および14と70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなるポリペプチドを提供する。
【0129】
G3Fcの自然発生バリアントには(例えば、Uniprot P01860を参照のこと)、配列番号13で使用されるナンバリングシステムに変換した場合のE68Q、P76L、E79Q、Y81F、D97N、N100D、T124A、S169N、S169del、F221Yが含まれ、本開示は、これらのバリアントのうちの1つ以上を含有するG3Fcドメインを含む融合タンパク質を提供する。また、ヒト免疫グロブリンIgG3遺伝子(IGHG3)は、異なるヒンジ長を特徴とする構造多型を示す(Uniprot P01860参照)。具体的には、バリアントWISは、V領域の大部分およびCH1領域のすべてを欠いている。それは、ヒンジ領域に通常存在する11に加えて、位置7に余分な鎖間ジスルフィド結合を有する。バリアントZUCは、V領域の大部分、CH1領域のすべて、およびヒンジの一部を欠く。バリアントOMMは、対立遺伝子型または別のガンマ鎖サブクラスを表し得る。本開示は、これらのバリアントの1つ以上を含有するG3Fcドメインを含む追加の融合タンパク質を提供する。
【0130】
ヒトIgG4のFc部分(G4Fc)に使用され得る天然アミノ酸配列の例を以下に示す(配列番号15)。点線の下線はヒンジ領域を示す。一部において、本開示は、配列番号15と70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなるポリペプチドを提供する。
【0131】
Fcドメイン中の操作された多様な変異は、G1Fc配列に関して本明細書に提示されており(配列番号11)、G2Fc、G3Fc、およびG4Fc中の類似の変異は、
図3のG1Fcとのそれらのアライメントから誘導することができる。ヒンジ長が異なるため、アイソタイプアライメントに基づく類似のFc位置(
図3)は、配列番号11、12、13、14および15において異なるアミノ酸番号を有する。ヒンジ領域、C
H2領域およびC
H3領域からなる免疫グロブリン配列における所与のアミノ酸位置は(例えば、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14および配列番号15)、Uniprotデータベースのようにナンバリングが(C
H1、ヒンジ、C
H2およびC
H3領域からなる)IgG1重鎖定常ドメイン全体を包含する場合、同じ位置とは異なる番号によって特定されることも理解され得る。例えば、ヒトG1Fc配列(配列番号11)、ヒトIgG1重鎖定常ドメイン(Uniprot P01857)およびヒトIgG1重鎖における選択されたC
H3位置間の対応は以下の通りである。
【表1】
【0132】
単一細胞株においてFc含有融合ポリペプチド鎖の所望のペアリングを増加させて、許容可能な収率で非対称融合タンパク質を産生する様々な方法が当技術分野で公知である[Klein et al(2012)mAbs 4:653-663;and Spiess et al(2015)Molecular Immunology 67(2A):95-106]。Fc含有鎖の所望のペアリングを得るための方法としては、これらに限定されないが、電荷ベースのペアリング(静電的ステアリング(electrostatic steering))、「ノブス・イントゥ・ホール(knobs-into-holes)」立体ペアリング、SEEDbodyペアリング、およびロイシンジッパーベースのペアリングが挙げられる[Ridgway et al(1996)Protein Eng 9:617-621;Merchant et al(1998)Nat Biotech 16:677-681;Davis et al(2010)Protein Eng Des Sel 23:195-202;Gunasekaran et al(2010);285:19637-19646;Wranik et al(2012)J Biol Chem 287:43331-43339;米国特許第5932448号;国際公開第1993/011162号;国際公開第2009/089004号、および国際公開第2011/034605号]。
【0133】
融合タンパク質(例えば、免疫グロブリンFc融合タンパク質)の種々の要素は、所望の機能性と一致する任意の様式で配置され得ることが理解される。例えば、ActRIIポリペプチドドメインが、異種ドメインに向かうC末端に配置されてもよく、あるいは異種ドメインが、ActRIIポリペプチドドメインに向かうC末端に配置されてもよい。ActRIIポリペプチドドメインおよび異種ドメインは、融合タンパク質中で隣接している必要はなく、追加のドメインまたはアミノ酸配列が、いずれかのドメインに向かうC末端またはN末端、またはドメイン間に含まれていてもよい。
【0134】
例えば、ActRII受容体融合タンパク質は、式A-B-Cに示されるアミノ酸配列を含み得る。B部分は、ActRIIポリペプチドドメイン(例えば、ActRIIAポリペプチド、ActRIIBポリペプチド、またはそれらの組み合わせ)に対応する。A部分およびC部分は、独立して、0個、1個または複数のアミノ酸であり得、A部分およびC部分の両方は、存在する場合、Bに対して異種である。A部分および/またはC部分は、リンカー配列を介してB部分に結合され得る。リンカーは、グリシンリッチ(例えば、2~10、2~5、2~4、2~3個のグリシン残基)またはグリシンおよびプロリン残基リッチであり得、例えば、トレオニン/セリンおよびグリシンの単一配列またはトレオニン/セリンおよび/またはグリシンの反復配列、例えばGGG(配列番号16)、GGGG(配列番号17)、TGGGG(配列番号18)、SGGGG(配列番号19)、TGGG(配列番号20)、SGGG(配列番号21)またはGGGGS(配列番号22)シングレット、または反復を含み得る。特定の実施形態では、ActRII融合タンパク質は、式A-B-Cに示されるアミノ酸配列を含み、式中、Aはリーダー(シグナル)配列であり、BはActRIIポリペプチドドメインからなり、Cはインビボ安定性、インビボ半減期、取り込み/投与、組織の局在化もしくは分布、タンパク質複合体の形成、および/または浄化の1つ以上を改良するポリペプチド部分である。特定の実施形態では、ActRII融合タンパク質は、式A-B-Cに示されるアミノ酸配列を含み、式中、AはTPAリーダー配列であり、BはActRII受容体ポリペプチドドメインからなり、Cは免疫グロブリンFcドメインである。例示的な融合タンパク質は、配列番号23、27、30および41のいずれか一つに示されるアミノ酸配列を含む。
【0135】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法に従って使用されるActRIIポリペプチドは、単離されたポリペプチドである。本明細書で使用される場合、単離されたタンパク質またはポリペプチドは、その天然環境の成分から分離されたものである。いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、例えば電気泳動(例えば、SDS-PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)またはクロマトグラフィー(例えば、イオン交換または逆相HPLC)によって測定すると、純度95%、96%、97%、98%または99%超まで精製される。純度を評価するための方法は、当技術分野で周知である[例えば、Flatman et al.,(2007)J.Chromatogr.B 848:79-87を参照]。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法に従って使用されるActRIIポリペプチドは、組換えポリペプチドである。
【0136】
本開示のActRIIポリペプチドは、当技術分野で公知の様々な技術によって生成することができる。例えば、本開示のポリペプチドは、標準的なタンパク質化学技術、例えばBodansky,M.Principles of Peptide Synthesis,Springer Verlag,Berlin(1993)、およびGrant G.A.(ed.),Synthetic Peptides:A User’s Guide,W.H.Freeman and Company,New York(1992)に記載されているものを使用して合成することができる。さらに、自動ペプチド合成装置が市販されている(例えば、Advanced ChemTech Model 396;Milligen/Biosearch 9600)。あるいは、本開示のポリペプチドは、その断片またはバリアントを含めて、当該分野で周知の種々の発現系[例えば、大腸菌、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、COS細胞、バキュロウイルス]を用いて組換えで生成され得る。さらなる実施形態では、本開示の修飾または非修飾ポリペプチドは、例えばプロテアーゼ、例えばトリプシン、サーモリシン、キモトリプシン、ペプシン、または対の塩基性アミノ酸変換酵素(PACE)を使用することにより、組換え生成された全長ActRIIポリペプチドの消化によって生成され得る。コンピュータ分析(市販のソフトウェア、例えばMacVector、Omega、PCGene、Molecular Simulation,Inc.を使用して)を使用して、タンパク質分解切断部位を同定することができる。あるいは、そのようなポリペプチドは、化学的切断(例えば、臭化シアン、ヒドロキシルアミンなど)を使用して、組換え生成された完全長ActRIIポリペプチドから生成され得る。
【0137】
3.ActRIIポリペプチドをコードする核酸
特定の実施形態では、本開示は、その断片、機能的バリアント、および融合タンパク質を含むActRIIポリペプチド(例えば、ActRIIAポリペプチド、ActRIIBポリペプチド、またはそれらの組み合わせ)をコードする単離された核酸および/または組換え核酸を提供する。
【0138】
本明細書で使用される場合、(1または複数の)単離された核酸は、その自然環境の成分から分離された核酸分子を指す。単離された核酸は、普通は核酸分子を含む細胞に含有される核酸分子を含むが、その核酸分子は染色体外に、またはその天然の染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。
【0139】
特定の実施形態では、本開示のActRIIポリペプチドをコードする核酸は、配列番号4、5、または28のいずれか1つのバリアントである核酸を含むと理解される。バリアントヌクレオチド配列は、対立遺伝子バリアントを含む、1つ以上のヌクレオチド置換、付加、または欠失によって異なる配列を含み、したがって、配列番号4、5、または28のいずれか1つで示されたヌクレオチド配列とは異なるコード配列を含む。
【0140】
特定の実施形態では、本開示のActRIIポリペプチドは、配列番号4、5、または28のいずれか1つと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である単離核酸配列および/または組換え核酸配列によってコードされる。当業者は、配列番号4、5または28に相補的な配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である核酸配列、およびそのバリアントも本開示の範囲内であることを理解するであろう。さらなる実施形態では、本開示の核酸配列は、単離され、組換型であり、かつ/または異種ヌクレオチド配列と融合され、またはDNAライブラリ中にあり得る。
【0141】
他の実施形態では、本開示の核酸は、配列番号4、5、もしくは28で示されたヌクレオチド配列、配列番号4、5、もしくは28の相補配列、またはそれらの断片に高度に厳密な条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列も含む。上述のように、当業者は、DNAハイブリダイゼーションを促進する適切な厳密性条件が変更され得ることを、容易に理解するであろう。当業者は、DNAハイブリダイゼーションを促進する適切な厳密性条件が変更され得ることを、容易に理解するであろう。例えば、約45℃で6.0×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)でハイブリダイゼーションを行った後、50℃で2.0×SSCの洗浄を行うことができる。例えば、洗浄工程における塩濃度は、50℃で約2.0×SSCの低度の厳密性から50℃で約0.2×SSCの高度の厳密性まで選択することができる。さらに、洗浄工程の温度は、室温、約22℃の低度の厳密性条件から約65℃の高度の厳密性条件に上げることができる。温度および塩の両方を変化させてもよく、または他の変数を変化させながら温度または塩濃度を一定に保持してもよい。一実施形態では、本開示で提供する核酸は、室温で6×SSCの低度の厳密性条件下でハイブリダイズし、その後室温で2×SSCで洗浄する。
【0142】
遺伝暗号の縮重に応じて配列番号4、5または28に示される核酸とは異なる単離された核酸も、本開示の範囲内である。例えば、いくつかのアミノ酸は、2つ以上のトリプレットによって指定される。同じアミノ酸またはシノニム(例えば、CAUおよびCACはヒスチジンのシノニムである)を指定するコドンは、タンパク質のアミノ酸配列に影響を及ぼさない「サイレント」変異をもたらし得る。しかしながら、主題タンパク質のアミノ酸配列の変化をもたらすDNA配列多型が哺乳動物細胞の間に存在することが予想される。当業者は、特定のタンパク質をコードする核酸の1つまたは複数のヌクレオチド(ヌクレオチドの最大約3~5%)におけるこれらの変異が、天然の対立遺伝子変異に起因して所与の種の個体において存在し得ることを理解するであろう。そのようなヌクレオチド変異および結果として生じるアミノ酸多型のすべては、本開示の範囲内である。
【0143】
特定の実施形態において、本開示の組換え核酸は、発現構築物中の1つ以上の調節ヌクレオチド配列に作動可能に連結され得る。調節ヌクレオチド配列は、一般に、発現に使用される宿主細胞に適している。多数のタイプの適切な発現ベクターおよび適切な調節配列が当技術分野で公知であり、様々な宿主細胞で使用することができる。典型的には、1つ以上の調節ヌクレオチド配列は、プロモーター配列、リーダーまたはシグナル配列、リボソーム結合部位、転写開始および終結配列、翻訳開始および終結配列、ならびにエンハンサーまたは活性化因子配列を含み得るが、これらに限定されない。当技術分野で公知の構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターが本開示によって企図される。プロモーターは、自然発生のプロモーター、または2つ以上のプロモーターの要素を組み合わせるハイブリッドプロモーターのいずれかであり得る。発現構築物は、プラスミドなどのエピソーム上の細胞に存在してもよく、または発現構築物は染色体に挿入されてもよい。いくつかの実施形態では、発現ベクターは選択マーカー遺伝子を含有して、形質転換された宿主細胞の選択を可能にする。選択マーカー遺伝子は当技術分野で周知であり、使用される宿主細胞によって変化してもよい。
【0144】
特定の態様では、本明細書に開示される主題の核酸は、少なくとも1つの調節配列に作動可能に連結されたActRIIポリペプチド(例えば、ActRIIAポリペプチド、ActRIIBポリペプチド、またはそれらの組み合わせ)をコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターで提供される。調節配列は当技術分野で認識されており、ActRIIポリペプチドの発現を指示するように選択される。したがって、調節配列という用語は、プロモーター、エンハンサー、および他の発現制御要素を含む。例示的な調節配列は、Goeddel;Gene Expression Technology:Methods in Enzymology,Academic Press,San Diego,CA(1990)に記載されている。例えば、DNA配列の発現を制御する多種多様な発現制御配列のいずれかは、作動可能に連結された場合、これらのベクターにおいて使用して、ActRIIポリペプチドをコードするDNA配列を発現させることができる。そのような有用な発現制御配列には、例えば、SV40の初期および後期プロモーター、tetプロモーター、アデノウイルスまたはサイトメガロウイルス前初期プロモーター、RSVプロモーター、lac系、trp系、TACまたはTRC系、発現がT7 RNAポリメラーゼによって指示されるT7プロモーター、ファージラムダの主要なオペレーターおよびプロモーター領域、fdコートタンパク質の制御領域、3-ホスホグリセリン酸キナーゼまたは他の解糖酵素のプロモーター、酸性ホスファターゼのプロモーター、例えば、Pho5、酵母α接合因子のプロモーター、バキュロウイルス系のポリヘドロンプロモーター、ならびに原核細胞または真核細胞またはそれらのウイルスの遺伝子の発現を制御することが知られている他の配列、ならびにそれらの様々な組み合わせが含まれる。発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択および/または発現されることが望まれるタンパク質のタイプなどの要因に依存し得ることを理解されたい。さらに、ベクターのコピー数、そのコピー数を制御する能力、および抗生物質マーカーなど、ベクターによってコードされる任意の他のタンパク質の発現も考慮されるべきである。
【0145】
本開示の組換え核酸は、クローン化遺伝子またはその一部を、原核細胞、真核細胞(酵母、鳥類、昆虫または哺乳動物)またはその両方での発現に適したベクターにライゲートすることによって作製することができる。組換えActRIIポリペプチドを作製するための発現ビヒクルには、プラスミドおよび他のベクターが含まれる。例えば、適切なベクターには、以下のタイプのプラスミド:pBR322由来プラスミド、pEMBL由来プラスミド、pEX由来プラスミド、pBTac由来プラスミド、および原核細胞、例えば大腸菌における発現のためのpUC由来プラスミドが含まれる。
【0146】
いくつかの哺乳動物発現ベクターは、細菌におけるベクターの増殖を促進するための原核生物配列と、真核細胞において発現される1つ以上の真核生物転写単位の両方を含有する。pcDNAI/amp、pcDNAI/neo、pRc/CMV、pSV2gpt、pSV2neo、pSV2-dhfr、pTk2、pRSVneo、pMSG、pSVT7、pko-neoおよびpHyg由来ベクターは、真核細胞のトランスフェクションに適した哺乳動物発現ベクターの例である。これらのベクターのいくつかは、pBR322などの細菌プラスミド由来の配列で修飾されて、原核細胞および真核細胞の両方における複製および薬物耐性選択を促進する。あるいは、ウシパピローマウイルス(BPV-1)またはエプスタイン・バーウイルス(pHEBo、pREP由来およびp205)などのウイルスの誘導体を、真核細胞におけるタンパク質の一過性発現のために使用することができる。他のウイルス(レトロウイルスを含む)発現系の例は、遺伝子治療送達系の説明において以下に見出すことができる。プラスミドの調製および宿主生物の形質転換に使用される様々な方法は、当技術分野で周知である。原核細胞および真核細胞の両方のための他の適切な発現系、ならびに一般的な組換え手順は、例えば、Molecular Cloning A Laboratory Manual,3 rd Ed.,ed.by Sambrook,Fritsch and Maniatis(Cold Spring Harbor Laboratory Press、2001)。いくつかの例では、バキュロウイルス発現系の使用によって組換えポリペプチドを発現させることが望ましい場合がある。そのようなバキュロウイルス発現系の例としては、pVL由来ベクター(例えば、pVL1392、pVL1393およびpVL941)、pAcUW由来ベクター(pAcUW1など)、およびpBlueBac由来ベクター(pBlueBac IIIを含有するβ-galなど)が挙げられる。
【0147】
一実施形態において、ベクターは、CHO細胞での主題のActRIIポリペプチドの作製用に設計された、例えば、Pcmv-Scriptベクター(Stratagene,La Jolla,Calif.)、pcDNA4ベクター(Invitrogen,Carlsbad,Calif.)およびpCI-neoベクター(Promega,Madison,Wisc.)であるだろう。明らかなように、主題の遺伝子構築物を使用して、培養で増殖させた細胞において主題のActRIIポリペプチドを発現させる、例えば、精製のために、融合タンパク質またはバリアントタンパク質を含むタンパク質を生成することができる。
【0148】
本開示はまた、主題のActRIIポリペプチドの1つ以上のコード配列を含む組換え遺伝子でトランスフェクトされた宿主細胞に関する。宿主細胞は、任意の原核細胞または真核細胞であり得る。例えば、本開示のActRIIポリペプチドは、大腸菌などの細菌細胞、昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス発現系を使用する)、酵母、または哺乳動物細胞[例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株]で発現され得る。他の適切な宿主細胞は、当業者に公知である。
【0149】
したがって、本開示はさらに、主題のActRIIポリペプチドを製造する方法に関する。例えば、ActRIIポリペプチドをコードする発現ベクターでトランスフェクトした宿主細胞を適切な条件下で培養して、ActRIIポリペプチドの発現を発生させることができる。ポリペプチドは分泌され、細胞、およびポリペプチドを含有する培地との混合物から単離され得る。あるいは、ActRIIポリペプチドは細胞質によって、または膜画分中に保持され、細胞が回収され、溶解され、タンパク質が単離され得る。細胞培養物は、宿主細胞、培地および他の副産物を含む。細胞培養に適した培地は、当技術分野で周知である。主題のポリペプチドは、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、限外濾過、電気泳動、ActRIIポリペプチドの特定のエピトープに特異的な抗体による免疫親和性精製、およびActRIIポリペプチドに融合したドメインに結合する薬剤による親和性精製(例えば、プロテインAカラムを使用してActRII-Fc融合タンパク質を精製することができる)を含む、タンパク質を精製するための当技術分野で公知の技術を使用して、細胞培養培地、宿主細胞、またはその両方から単離することができる。いくつかの実施形態では、ActRIIポリペプチドは、その精製を容易にするドメインを含む融合タンパク質である。
【0150】
いくつかの実施形態では、精製は、例えば、任意の順序で以下の3つ以上を含む一連のカラムクロマトグラフィー工程によって達成される:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、および陽イオン交換クロマトグラフィー。ウイルス濾過および緩衝液交換によって精製を完了することができた。ActRIIタンパク質は、サイズ排除クロマトグラフィーによって決定される場合、90%超、95%超、96%超、98%超または99%超の純度、SDS PAGEによって決定される場合、90%超、95%超、96%超、98%超または99%超の純度に精製され得る。純度の目標レベルは、哺乳動物系、特に非ヒト霊長類、げっ歯類(マウス)およびヒトにおいて望ましい結果を達成するのに十分なレベルでなければならない。
【0151】
別の実施形態では、精製リーダー配列、例えば組換えActRIIポリペプチドの所望の部分のN末端におけるポリ-(His)/エンテロキナーゼ切断部位配列をコードする融合遺伝子は、Ni2+金属樹脂を使用したアフィニティークロマトグラフィーによる発現した融合タンパク質の精製を可能にすることができる。次いで、精製リーダー配列を、続いてエンテロキナーゼによる処理によって取り出して、精製ActRIIポリペプチドを得ることができる。例えば、Hochuli et al.(1987)J.Chromatography 411:177;およびJanknecht et al.(1991)PNAS USA 88:8972を参照されたい。
【0152】
融合遺伝子を作製するための技術は周知である。本質的に、異なるポリペプチド配列をコードする様々なDNA断片の連結は、従来の技術に従って、ライゲーションのための平滑末端または付着末端、適切な終端をもたらすための制限酵素消化、必要に応じた凝集性末端の充填、望ましくない連結を回避するためのアルカリホスファターゼ処理、および酵素的ライゲーションを使用して行われる。別の実施形態では、融合遺伝子は、自動DNA合成装置を含む従来の技術によって合成することができる。あるいは、2つの連続する遺伝子断片間に相補的なオーバーハングを生じさせ、その後アニーリングされてキメラ遺伝子配列を生成することができるアンカープライマーを使用して、遺伝子断片のPCR増幅を行うことができる。例えば、Current Protocols in Molecular Biology,eds.Ausubel et al.,John Wiley&Sons:1992を参照されたい。
【0153】
4.使用方法
部分的には、本開示は、肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(ILD)または気腫合併肺線維症(CPFE)に関連する肺高血圧症)を治療する方法に関し、方法は、本明細書に記載のActRIIポリペプチドの有効量をそれを必要とする患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、本開示は、肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(ILD)または気腫合併肺線維症(CPFE)に関連する肺高血圧症)の1つ以上の合併症を治療、予防またはその進行速度および/もしくは重症度を低減する方法に関し、方法は、本明細書に記載のActRIIポリペプチドの有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、ActRIIポリペプチドを、0.1mg/kg~2.0mg/kg(例えば、0.3mg/kgまたは0.7mg/kg)の用量範囲で投与する。いくつかの実施形態では、ActRIIポリペプチドの投与は、1つまたは複数の血行動態または機能パラメータの変化(例えば、肺血管抵抗(PVR)の減少;6分間歩行距離(6MWD)の増加;N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)レベルの低下;世界保健機関(WHO)によって認定される肺高血圧症機能分類進行の予防または遅延;WHOによって認定される肺高血圧症機能分類の退行の促進または増進;右室機能の改善;および肺動脈圧の改善)をもたらす。
【0154】
特定の態様では、本開示は、肺疾患に関連する肺高血圧症を治療する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含み、右室収縮期圧(RVSP)を少なくとも10%低下させる方法に関する。
【0155】
特定の態様では、本開示は、肺疾患に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症の治療、予防、または進行速度および/もしくは重症度の低減の方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法を提供に関する。いくつかの実施形態では、肺疾患に関連する1つ以上の肺高血圧症の合併症は、持続性咳、湿性咳、喘鳴、運動不耐性、呼吸器感染症、気管支拡張症、慢性感染症、鼻ポリープ、喀血、気胸、呼吸不全、呼吸困難、胸痛、喀血、気胸、肺血管リモデリング、肺線維症、肺血管内皮機能不全、慢性肺傷害による低酸素症、低酸素性肺血管収縮、炎症、平滑筋肥大、および右室肥大からなる群から選択される。
【0156】
これらの方法は、動物、より具体的にはヒトの治療的および予防的処置を特に目的とする。「対象」、「個体」または「患者」という用語は、本明細書全体を通して交換可能であり、ヒトまたは非ヒト動物のいずれかを指す。これらの用語には、哺乳動物、例えばヒト、非ヒト霊長類、実験動物、家畜動物(ウシ、ブタ、ラクダなどを含む)、コンパニオンアニマル(例えば、イヌ、ネコ、その他の飼育動物など)およびげっ歯類(例えば、マウスおよびラット)が含まれる。特定の実施形態では、患者、対象または個体はヒトである。
【0157】
「治療」、「治療すること」、「緩和すること」、「進行速度を低下させること」、「重症度を低下させること」などの用語は、所望の薬理学的および/または生理学的効果を得ることを一般に意味するために本明細書で使用され、治療されている状態(例えば、肺疾患に関連する肺高血圧症)の1つまたは複数の臨床的合併症を改善、緩和、および/またはその重症度を低下させることを指すためにも使用され得る。効果は、疾患、状態もしくはその合併症の発症または再発を完全もしくは部分的に遅延させるという点で予防的であり得、かつ/または疾患もしくは状態および/もしくは疾患もしくは状態に起因する有害作用の部分的もしくは完全な治癒という点で治療的であり得る。本明細書で使用される「治療」は、哺乳動物、特にヒトの疾患または状態の任意の治療を包含する。本明細書で使用される場合、障害または状態を「予防する」治療薬とは、統計的サンプルにおいて、未治療対照サンプルと比較して治療サンプルにおける障害または状態の発生を減少させるか、または未治療対照サンプルと比較して疾患または状態の発症を遅延させる化合物を指す。
【0158】
一般に、本開示に記載される疾患または状態(例えば、肺疾患に関連する肺高血圧症)の治療または予防は、本開示の1つまたは複数のActRIIポリペプチドを「有効量」で投与することによって達成される。薬剤の有効量は、所望の治療的または予防的結果を達成するために、必要な投与量および期間で有効な量を指す。本開示の薬剤の「治療有効量」は、個体の疾患状態、年齢、性別および体重などの因子、ならびに薬剤の個体において所望の応答を誘発する能力に従って変動し得る。「予防有効量」は、所望の予防的結果を達成するために、必要な投与量および期間で有効な量を指す。
【0159】
特定の態様では、本開示は、疾患または状態(例えば、肺疾患に関連する肺高血圧症)を治療または予防するための1つ以上の追加の活性剤または他の支持療法と組み合わせた、ActRIIポリペプチドの使用を企図する。本明細書で使用される場合、「投与との組み合わせ」、「投与の組み合わせ」、「投与と組み合わせた」、または「合同投与」は、追加の活性剤または支持療法(例えば、2つ目、3つ目、4つ目、他)が依然として体内で有効であるような(例えば、複数の化合物が、ある期間中、患者において同時に有効であり、それらの化合物の相乗効果を含んでもよい)、任意の投与形態を指す。有効性は、血液、血清または血漿中の薬剤の測定可能な濃度と相関しない場合がある。例えば、異なる治療化合物は、同じ製剤または別個の製剤のいずれかで、同時にまたは連続的に、および別々のスケジュールで投与することができる。したがって、このような治療を受ける対象は、異なる活性剤または療法の併用効果から利益を得ることができる。本開示の1つまたは複数のActRIIポリペプチドは、1つ以上の他の追加の薬剤または支持療法、例えば本明細書に開示されるものと同時、その前または後に投与することができる。一般に、各活性剤または療法は、その特定の薬剤について決定された用量および/または時間スケジュールで投与される。レジメンで使用する特定の組み合わせは、本開示のActRIIポリペプチドと追加の活性薬剤または療法との適合性、および/または所望の効果を考慮に入れる。
【0160】
WHO分類概要
本明細書に記載の方法によって治療される肺高血圧症状態は、世界保健機関(WHO)に従って認定される状態のいずれか1つまたは複数を含むことができる。例えば、Simonneau(2019)Eur Respir J:53:1801913を参照されたい。
【表2】
【0161】
本明細書で使用される場合、「肺血行動態パラメータ」という用語は、心臓および肺血管系を通る血流を説明または評価するために使用される任意のパラメータを指す。肺血行動態パラメータの例には、平均肺動脈圧(mPAP)、拡張期肺動脈圧(dPAP)[肺動脈拡張期圧(PADP)としても知られる]、収縮期肺動脈圧(sPAP)[肺動脈収縮期圧(PASP)としても知られる]、平均右心房圧(mRAP)、肺毛細血管楔入圧(PCWP)[肺動脈楔入圧(PAWP)としても知られる]、肺血管抵抗(PVR)および心拍出量(CO)が含まれるが、これらに限定されない。
【0162】
上記の肺血行動態パラメータの多くは相互に関連している。例えば、PVRは、以下の式:PVR=(mPAP-PCWP)/CO[Wood単位]に従って、mPAP、PCWPおよびCOに関連する。
【0163】
PVRは、左側充満圧の影響を受けずに肺血管系によって課される流れに対する抵抗を測定する。PVRは、以下の式に従って測定することもできる。
【0164】
PVR=TPG×80/CO[単位:ダイン秒-cm-5]またはPVR=(mPAP-PCWP)×80/CO[単位:ダイン秒-cm-5]
いくつかの実施形態では、総PVRは、以下の式を使用して測定することができる。
【0165】
TPR=mPAP/CO
いくつかの実施形態では、正常なPVRは、20~180ダイン秒-cm-5、または典型的には0.5~2Wood単位未満である。いくつかの実施形態によれば、上昇したPVRとは、2Wood単位を越える、2.5Wood単位を越える、3Wood単位を越える、または3.5Wood単位を越えるPVRを指し得る。
【0166】
さらに別の例として、mPAPは、以下の式:mPAP=(2/3)dPAP+(1/3)sPAPに従ってdPAPおよびsPAPに関連する。
【0167】
いくつかの実施形態では、肺血行動態パラメータは直接、例えば右心カテーテル処置中に測定される。他の実施形態では、肺血行動態パラメータは、磁気共鳴画像法(MRI)または心エコー検査などの他の技術によって推定および/または評価される。
【0168】
例示的な肺血行動態パラメータには、mPAP、PAWPおよびPVRが含まれる。1つまたは複数の肺血行動態パラメータは、任意の適切な手順によって、例えば右心カテーテル処置または心エコー検査を利用することによって測定することができる。PH、および肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(ILD)または気腫合併肺線維症(CPFE)に関連する肺高血圧症)の様々な血行動態特性を表2に示す。
【表3】
【0169】
本明細書に記載のPAHの臨床分類または血行動態特性および関連する診断パラメータは、新規または既存のデータソースの利用可能性に基づいて、または追加の臨床実体が考慮される場合、更新または変更することができる。
【0170】
肺疾患に関連する肺高血圧症の特徴
肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(ILD)または気腫合併肺線維症(CPFE)に関連する肺高血圧症)(WHO グループ3 PH)は、肺高血圧症の2番目に一般的な形態であり、罹患率および死亡率の増加と関連付けられている。グループ3の肺高血圧症を有する患者は、グループ1の肺高血圧症を有する患者よりも転帰が不良である。同様に、グループ1の肺動脈高血圧症および関連する肺疾患を有する患者は、グループ1の肺動脈高血圧症のみを有する患者と比較してさらに悪い転帰を被る。
【0171】
様々な因子が、肺疾患に関連する肺高血圧症の病因に寄与する。これらの因子は、根底にある肺疾患に基づいて変化する。例えば、COPDによって引き起こされる肺高血圧症では、肺高血圧症の最も顕著な病因は、肺血管床のリモデリングを伴う低酸素性肺血管収縮(HPVC)である。血管リモデリング中の初期変化には、細動脈の遠位性の新たな筋性動脈化(neomuscularization)、内膜肥厚、および中膜肥大が含まれる。このリモデリングは、最終的に血管の減少、およびその結果として、肺高血圧症で見られる末梢血管抵抗の増加をもたらす。ILD関連肺高血圧症の根底にあるさらなる機序としては、進行性実質線維症による血管破壊、血管炎症、血管周囲線維症、血栓性血管障害および内皮機能障害が挙げられる。より具体的には、特発性肺線維症(IPF)に関連する肺高血圧症を有する患者は、血管リモデリングを促進する異常な遺伝子発現プロファイルを特徴とする異常な血管表現型を有し得る。
【0172】
肺疾患に関連する肺高血圧症は、25mmHgを超える平均肺動脈圧(mPAP)で診断することができる。肺疾患に関連する肺高血圧症は、持続性咳、湿性咳、喘鳴、運動不耐性、呼吸器感染症、気管支拡張症、慢性感染症、鼻ポリープ、喀血、気胸、呼吸不全、呼吸困難、胸痛、喀血、気胸、肺血管リモデリング、肺線維症、肺血管内皮機能不全、慢性肺傷害による低酸素症、低酸素性肺血管収縮、炎症、平滑筋肥大、および右室肥大をもたらし得る。肺高血圧症に関連する肺疾患は、閉塞性肺疾患または拘束性肺疾患のいずれかに分類され得る。閉塞性肺疾患(例えば、COPD、嚢胞性線維症、喘息、気腫、および慢性気管支炎)は、呼気困難によって特徴付けられる。あるいは、拘束性肺疾患は、内因性(例えば、肺線維症、間質性肺疾患、サルコイドーシス、特発性肺線維症)および外因性(肥満症、脊柱側弯症、重症筋無力症、および胸水)障害にさらに分けることができ、完全な肺拡張の制限を特徴とする。
【0173】
肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、肺疾患に関連する肺高血圧症)は、根底にある肺の状態の異質性のために診断が困難であり得る。肺疾患の多くの症状は、肺高血圧症の症状に類似する。しかしながら、肺疾患に関連する肺高血圧症の診断を促すいくつかの臨床的特徴がある(例えば、実質性肺疾患または睡眠障害によって十分に説明されない労作性呼吸困難または低酸素血症、運動時の動脈酸素化の急速な低下、右心不全を示唆する何らかの臨床的特徴、肺動脈拡大、末梢肺血管系の減弱、または高分解能コンピュータ断層撮影法(HRCT)によって示される右室拡大、肺機能試験によって示される拡散能の重度の低下、および肺生検)。Klings,E.S.(2021).Pulmonary hypertension due to lung disease and/or hypoxemia(group 3 pulmonary hypertension):Epidemiology,pathogenesis,and diagnostic evaluation in adults.UpToDate.2021年4月6日に検索した、https://www.uptodate.com/contents/pulmonary-hypertension-due-to-lung-disease-and-or-hypoxemia-group-3-pulmonary-hypertension-epidemiology-pathogenesis-and-diagnostic-evaluation-in-adultsより。
【0174】
心エコー検査は、根底にある肺疾患および/または睡眠時呼吸障害の病因が不明の肺高血圧症が疑われる患者を調査する場合の標準的な検査であるが、心エコー検査は、重度の肺疾患を有する患者の肺高血圧症を正確に診断するには信頼性が低い可能性がある。そのような場合、右心カテーテル処置(RHC)は、より正確な評価を与えることができる。
【0175】
慢性閉塞性肺疾患
いくつかの実施形態では、本開示は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)に関連する肺高血圧症を治療する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法に関する。慢性閉塞性肺疾患(慢性閉塞性肺疾患(COPD)とも言う)は、肺からの気流の閉塞を引き起こす炎症性肺疾患である。この疾患群の中には、気腫および慢性気管支炎がある。米国疾病予防管理センターによると、数百万人がCOPDに罹患しており、そのうち1600万人が米国にいる。
【0176】
COPDの重症度は、肺活量測定結果によって判定される、慢性閉塞性肺疾患のためのグローバルイニシアチブ(Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease:GOLD)ステージングまたはグレーディングシステムを使用して決定される(GOLD 1:軽度、GOLD 2:中等度、GOLD 3:重度、GOLD 4:非常に重度)。このシステムは、いくつかの要因(例えば、全体的な症状、COPDが悪化した回数、COPDの悪化による入院、および肺活量測定の結果)に基づいてCOPDのステージを決定する。COPDによって引き起こされる肺高血圧症の患者の大部分は、重度または非常に重度の気流閉塞(GOLD肺活量測定ステージ3または4、FEV-1<予測値の50%)または重度の気腫、および軽度から中等度の前毛細血管性肺高血圧症を呈する。COPDの現在の治療には、短時間作用型気管支拡張薬、長時間作用型気管支拡張薬、吸入ステロイド、気管支拡張薬および吸入ステロイドの両方または複数種の気管支拡張薬を含む組み合わせ吸入器、経口ステロイド、ホスホジエステラーゼ-4阻害剤、テオフィリン、抗生物質、様々な種類の肺療法、および在宅非侵襲性換気療法が含まれる。
【0177】
間質性肺疾患
いくつかの実施形態では、本開示は、間質性肺疾患(ILD)に関連する肺高血圧症を治療する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法に関する。間質性肺疾患またはILDは、肺の瘢痕化、炎症、および呼吸の問題を引き起こす、肺の気嚢間の損傷の結果として生じる慢性肺疾患である。ILDは、感染、医薬品、および空気中の有害粒子の吸入によって引き起こされ得る。ILDの根本原因は治療の過程を決定する。ILDは、全体として、疾患を有しながら生きる者の生活の質を低下させ、全体的にその者の寿命を短縮する可能性がある。
【0178】
ILDには、その根本的な原因に基づいておよそ5つのカテゴリー:曝露または職業に関連して引き起こされるILD(例えば、石綿肺症、珪肺症、過敏性肺炎)、薬物治療および/または医学的治療(例えば、化学療法、放射線療法)に関連するILD、自己免疫障害および/または結合組織疾患(例えば、狼瘡、強皮症、多発性筋炎または皮膚筋炎、関節リウマチ)に関連するILD、サルコイドーシス、および特発性ILDがある 5つの一般的なカテゴリー外に、特発性肺線維症(IPF)、閉塞性細気管支炎、組織球増加症X、慢性好酸球性肺炎、コラーゲン血管疾患、肉芽腫性血管炎、グッドパスチャー症候群および肺胞蛋白症などのILDが残されている。
【0179】
ILDの症状は個人によって、同様に特定のILDに基づいて変化し得るが、ILDの様々な形態間の共通の接点は、すべてのILDが細気管支の炎症(例えば、細気管支炎)、肺胞の炎症(例えば、肺胞炎)、または毛細血管の炎症(血管炎)から始まることである。ILDの最も一般的な症状、例えば、息切れ(特に運動による)、疲労および脱力感、食欲不振、体重減少、痰を出さない乾性咳、胸部の不快感、努力呼吸、および肺の出血は、他の肺状態または医学的問題に類似する場合がある。
【0180】
線維症は、気嚢、気嚢間および気嚢周辺の肺組織、ならびに肺毛細血管の持続的な破壊をもたらす。疾患の進行は、漸進的または急速であり得、非常に軽度、中等度、または非常に重度の症状を呈し得る。ILDの経過は予測不可能であるが、医学的介入によって改善し得る。
【0181】
間質性肺疾患は、肺機能検査(PFT)、胸部X線、血液検査(例えば、血液中の二酸化炭素および酸素の量を決定するための動脈血液ガスの分析)、高分解能CT(HRCT、CT、またはCATスキャン)、気管支鏡検査、気管支肺胞洗浄、および肺生検を用いて診断される。
【0182】
ILDの治療計画は、典型的には、個人の年齢、全体的な健康状態、および病歴、疾患の程度、特定の医薬品、処置、および/または療法に対する個人の耐性、疾患の経過に対する予想、ならびに個人の意見または希望に基づいて決定される。これらの治療計画は、経口薬(例えば、コルチコステロイド)、酸素補給、および肺移植を含み得る。
【0183】
特発性肺線維症および他の特発性間質性肺炎
いくつかの実施形態では、本開示は、特発性肺線維症(IPF)に関連する肺高血圧症を治療する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法に関する。特発性肺線維症(IPF)は(特発性線維化肺胞炎、慢性特発性線維化肺胞炎、間質性肺炎も)、最も頻繁に診断される間質性肺疾患(ILD)の1つであり、世界中で100,000人当たり約13~20人が罹患しており、毎年30,000~40,000の新規の症例が診断されている。IPFのための医学的治療が利用可能であるが、この疾患は依然として重篤であり、臨床的な悪化が予想される。
【0184】
IPFの進行に影響を及ぼすいくつかの根本的な因子があり、そのうちの1つは、肺胞上皮の慢性および/または反復性の微小損傷であると考えられている(例えば、環境汚染物質への曝露、胃食道逆流による酸の誤嚥、およびウイルス感染症)。上皮への損傷の後、肺の血管および間質コンパートメントに沿って並ぶ細胞、遠位気道の上皮、常在マクロファージの傷害および/または活性化が続く。遺伝的要因がIPFに寄与する可能性があり、これは、まれな遺伝性障害を有する患者におけるIPF様疾患の発生、および家族性特発性間質性肺炎の症例によって示唆される。
【0185】
現在、疾患の進行を止めるのに有効であることが証明されている治療法はないが、より新しい医薬品(例えば、ピルフェニドンおよびニンテダニブ)が食品医薬品局によって承認されて、疾患の進行の遅延に役立っている。
【0186】
非特発性肺線維症間質性肺疾患
いくつかの実施形態では、本開示は、非特発性肺線維症間質性肺疾患(non-IPF ILD)に関連する肺高血圧症を治療する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法に関する。非特発性肺線維症間質性肺疾患(non-IPF)は、ガス交換障害をもたらす、肺間質の炎症および線維症を引き起こす。non-IPFの推定有病率は、100,000人当たり25~74人に及ぶと推定される。200を超えるnon-IPFの原因が知られており、それらは典型的に、職業曝露および環境曝露、過敏性肺臓炎を引き起こす有機物質、薬物誘発性肺毒性、結合組織疾患、および全身性疾患として分類することができる。
【0187】
non-IPFの病因は、損傷の段階(例えば、遠位の気腔への再発性および直接的上皮/内皮傷害、ならびに肺胞-毛細血管基底膜の破壊)、マクロファージによる炎症促進性サイトカインおよびケモカイン(例えば、トランスフォーミング増殖因子β)の放出によって引き起こされる炎症、および修復(例えば、筋線維芽細胞の形成ならびに線維性タンパク質、および細胞外マトリックスを形成する基質の分泌)を含む、200を超える公知の原因のいずれか1つから生じるnon-IPF間で同様である。しかしながら、このプロセスを経時的に繰り返すと、肺実質の肥厚および不可逆的な線維化の継続につながる。
【0188】
疾患の治療および管理は、支持療法、酸素補給、および特定の状態において、コルチコステロイドを含む。肺移植は、重篤または進行性の症例における選択肢として考えられ得る。死亡率は、non-IPFの急性増悪中に100%もの高さになり得る。
【0189】
気腫合併肺線維症
いくつかの実施形態では、本開示は、気腫合併肺線維症(CPFE)に関連する肺高血圧症を治療する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法に関する。気腫合併肺線維症(CPFE)は、呼吸困難、上葉肺気腫、下葉肺線維症、およびガス交換の異常を特徴とする。CPFEは、肺高血圧症、急性肺傷害、および肺癌によってさらに複雑化する可能性がある。線維症または気腫のみを診断するために使用される肺機能検査(PFT)とは異なるPFTを使用して、CPFEを診断する。さらに、HRCTスキャンを使用して、気腫および肺線維症の同時発生を検出することができる。
【0190】
CPFEは、喫煙、アスベストおよび鉱物ダストへの曝露、過敏性肺臓炎(または農夫肺)、ならびに男性であることに関連付けられており、著しい死亡率を有する。生存率期間中央値は2.1~8.5年の範囲であり、肺高血圧症が存在する場合、1年生存率はわずか60%である。この相違にもかかわらず、支持療法(例えば、禁煙)以外のCPFEの具体的な治療法はない。
【0191】
肺疾患に関連する肺高血圧症の診断
肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(ILD)または気腫合併肺線維症(CPFE)に関連する肺高血圧症)の診断は、機能グループを含み、血行動態および他の基準が満たされているかどうかを判定するための包括的なパラメータセットのレビューを使用して、症状および身体的検査に基づいて決定することができる。考慮され得る基準のいくつかには、患者の臨床症状(例えば、息切れ、疲労、脱力感、狭心症、失神、乾性咳、運動誘発性悪心および嘔吐)、心電図(ECG)の結果、胸部X線写真の結果、肺機能検査、動脈血ガス、心エコー検査の結果、換気/灌流肺スキャンの結果、高分解能CTの結果、造影CTの結果、肺血管造影の結果、心臓磁気共鳴画像法、血液検査(例えば、BNPまたはNT-proBNPなどのバイオマーカー)、免疫学、腹部超音波スキャン、右心カテーテル処置(RHC)、血管反応性、および遺伝子検査が含まれる。Galie N.,et al Euro Heart J.(2016)37,67-119.
肺疾患に関連する肺高血圧症(グループ3肺高血圧症)の診断は、肺高血圧症を有する人に慢性肺疾患および/または低酸素血症が存在する場合に決定され、代替的な肺高血圧症の原因を特定することはできない。臨床評価および心エコー結果に基づいてグループ3肺高血圧症とすることができ、右心カテーテル処置によって確定的に確認することができる。肺疾患に関連する肺高血圧症は、他の種類の肺高血圧症と症候的および病因的に重複するが、いくつかの特徴がこのグループを他のグループと区別する(例えば、中等度~重度の障害(COPD患者ではFEV1<60%、肺線維症患者ではFVC<70%)、肺障害の特徴的なイメージングまたは睡眠障害の睡眠ポリグラフ検査所見、呼気予備量の減少、正常な酸素パルス、正常値の下限を超えた混合静脈酸素飽和度、および(特にCOPDにおける)運動中の二酸化炭素の動脈分圧の上昇、ならびに心エコー検査または右心カテーテル処置における軽度~中等度の肺高血圧症の存在)。
【0192】
グループ3 PHの測定値
様々な肺血行動態パラメータは、疾患の進行および治療プロトコルに対する患者の応答性を評価するのに役立つ。典型的には、これらのパラメータは、心臓および肺血管系を通る血流を説明または評価する。肺血行動態パラメータの例には、平均肺動脈圧(mPAP)、拡張期肺動脈圧(dPAP)[肺動脈拡張期圧(PADP)としても知られる]、収縮期肺動脈圧(sPAP)[肺動脈収縮期圧(PASP)としても知られる]、平均右心房圧(mRAP)、肺毛細血管楔入圧(PCWP)[肺動脈楔入圧(PAWP)としても知られる]、肺血管抵抗(PVR)および心拍出量(CO)が含まれるが、これらに限定されない。特定の態様では、本開示は、肺疾患に関連する肺高血圧症を治療する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含み、以下のパラメータの1つ以上を変更または改変する方法に関する:
a)右室収縮期圧(RVSP)を低下させる;
b)mPAPを低下させる
c)mRAPを低下させる;
d)PVRの低下させる;
e)拡張期圧較差(DPG)を減少させる;
f)BNPレベルを低下させる;
g)NT-proBNPレベルを低下させる;
h)平滑筋肥大を減少させる;
i)患者のCAMPHORスコアを減少させる;
j)心室機能を改善する;
k)右室肥大を減少させる;
l)心係数を増加させる;
m)心拍出量を増加させる;
n)複合生理学的指標を減少させる;
o)動脈酸素飽和度を増加させる;
p)運動耐容能を増加させる;
q)努力呼気量を増加させる;
r)努力肺活量(FVC)を増加させる;
s)DLCOを増加させる;
t)肺線維症を軽減する;および/または
u)患者の無移植での生存率を増加させる。
【0193】
mPAP
肺血圧は通常、全身血圧よりもはるかに低い。正常な肺動脈圧は、典型的には安静時に8~20mmHgである。肺動脈内の圧力が安静時に25mmHg超または身体活動中に30mmHg超である場合、それは異常に高く、肺高血圧症として特徴付けられる。
【0194】
特定の態様では、本開示は、肺疾患に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症の治療、予防、または進行速度および/もしくは重症度の低減の方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含み、患者のmPAPを少なくとも10%下げる方法に関する。いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも17mmHgのmPAPを有する患者に関する。いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも20mmHgのmPAPを有する患者に関する。いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも25mmHgのmPAPを有する患者に関する。いくつかの実施形態では、方法は、25~34mmHgのmPAPを有する患者に関する。いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも30mmHgのmPAPを有する患者に関する。いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも35mmHgのmPAPを有する患者に関する。いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも40mmHgのmPAPを有する患者に関する。いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも45mmHgのmPAPを有する患者に関する。いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも50mmHgのmPAPを有する患者に関する。
【0195】
いくつかの実施形態では、方法は、21~24mmHgのmPAPおよび少なくとも3Wood単位のPVRを有する患者に関する。いくつかの実施形態では、方法は、25mmHg超のmPAPを有し、心係数(CI)が2.0L/分/m2未満である患者に関する。いくつかの実施形態では、方法は、25mmHg超のmPAPを有し、CIが2.5L/分/m2未満である患者に関する。
【0196】
いくつかの実施形態では、方法は、患者のmPAPを少なくとも10%(例えば、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または少なくとも50%)低下させることに関する。いくつかの実施形態では、方法は、患者のmPAPを少なくとも15%低下させることに関する。いくつかの実施形態では、方法は、患者のmPAPを少なくとも20%低下させることに関する。いくつかの実施形態では、方法は、患者のmPAPを少なくとも25%低下させることに関する。いくつかの実施形態では、方法は、患者のmPAPを少なくとも30%低下させることに関する。いくつかの実施形態では、方法は、患者のmPAPを少なくとも35%低下させることに関する。いくつかの実施形態では、方法は、患者のmPAPを少なくとも40%低下させることに関する。いくつかの実施形態では、方法は、患者のmPAPを少なくとも45%低下させることに関する。いくつかの実施形態では、方法は、患者のmPAPを少なくとも50%低下させることに関する。
【0197】
いくつかの実施形態では、方法は、患者においてmPAPを少なくとも3mmHg低下させることに関する。いくつかの実施形態では、方法は、mPAPを少なくとも5mmHg低下させることに関する。いくつかの実施形態では、方法は、mPAPを少なくとも7mmHg低下させることに関する。いくつかの実施形態では、方法は、mPAPを少なくとも10mmHg低下させることに関する。いくつかの実施形態では、方法は、mPAPを少なくとも12mmHg低下させることに関する。いくつかの実施形態では、方法は、mPAPを少なくとも15mmHg低下させることに関する。いくつかの実施形態では、方法は、mPAPを少なくとも20mmHg低下させることに関する。いくつかの実施形態では、方法は、mPAPを少なくとも25mmHg低下させることに関する。いくつかの実施形態では、方法は、mPAPを17mmHg未満まで低下させることに関する。いくつかの実施形態では、方法は、mPAPを20mmHg未満まで低下させることに関する。いくつかの実施形態では、方法は、mPAPを25mmHg未満まで低下させることに関する。いくつかの実施形態では、方法は、mPAPを30mmHg未満まで低下させることに関する。
【0198】
mRAP
右心房圧(RAP)は、心臓の右心房内の血圧である。RAPは、心臓に戻る血液の量および血液を動脈系に圧送する心臓の能力を反映する。正常な右心房圧は、典型的には2 mmHg~6 mmHgである。右心房圧の上昇は右室(RV)負荷を反映し、確立された危険因子である。
【0199】
特定の態様では、本開示は、肺疾患に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症の治療、予防、または進行速度および/もしくは重症度の低減の方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含み、患者のmRAPを少なくとも10%下げる方法に関する。
【0200】
いくつかの実施形態では、患者は、少なくとも5mmHgの平均右心房圧(mRAP)を有する。いくつかの実施形態では、患者は、少なくとも6mmHgの平均右心房圧(mRAP)を有する。いくつかの実施形態では、患者は、少なくとも8mmHgの平均右心房圧(mRAP)を有する。いくつかの実施形態では、患者は、少なくとも10mmHgの平均右心房圧(mRAP)を有する。いくつかの実施形態では、患者は、少なくとも12mmHgの平均右心房圧(mRAP)を有する。いくつかの実施形態では、患者は、少なくとも14mmHgの平均右心房圧(mRAP)を有する。いくつかの実施形態では、患者は、少なくとも16mmHgの平均右心房圧(mRAP)を有する。いくつかの実施形態では、方法は、患者の平均右心房圧(mRAP)を改善する。いくつかの実施形態では、mRAPの改善は、mRAPの低下である。
【0201】
いくつかの実施形態では、方法は、患者のmRAPを少なくとも10%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のmRAPを少なくとも15%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のmRAPを少なくとも20%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のmRAPを少なくとも25%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のmRAPを少なくとも30%低下させることに関する。いくつかの実施形態では、方法は、患者のmRAPを少なくとも35%低下させることに関する。いくつかの実施形態では、方法は、患者のmRAPを少なくとも40%低下させることに関する。いくつかの実施形態では、方法は、患者のmRAPを少なくとも45%低下させることに関する。いくつかの実施形態では、方法は、患者のmRAPを少なくとも50%低下させることに関する。
【0202】
いくつかの実施形態では、方法は、mRAPを少なくとも1mmHg低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者においてmRAPを少なくとも1mmHg低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者においてmRAPを少なくとも2mmHg低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者においてmRAPを少なくとも3mmHg低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者においてmRAPを少なくとも4mmHg低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者においてmRAPを少なくとも5mmHg低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者においてmRAPを少なくとも6mmHg低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者においてmRAPを少なくとも7mmHg低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者においてmRAPを少なくとも8mmHg低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者においてmRAPを少なくとも9mmHg低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者においてmRAPを少なくとも10mmHg低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者においてmRAPを少なくとも11mmHg低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者においてmRAPを少なくとも12mmHg低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者においてmRAPを少なくとも13mmHg低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者においてmRAPを少なくとも14mmHg低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者においてmRAPを少なくとも15mmHg低下させる。
【0203】
PVR
血管抵抗は、血液を循環系に押し通し、流れを作り出すために克服しなければならない抵抗である。肺血管抵抗は、肺動脈から左心房への血流に対する抵抗である。総血流は心拍出量(5~6L/分)を意味する。従来の単位を使用した肺血管抵抗の正常値は、0.25~1.6mmHg 分/lである。肺血管抵抗は、ダイン/秒/cm5の単位で表すこともできる(正常=37~250ダイン/秒/cm5)。PVRの増加に寄与する因子の1つは低酸素血症である。特定の態様では、本開示は、肺疾患に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症の治療、予防、または進行速度および/もしくは重症度の低減の方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含み、患者のPVRを少なくとも10%下げる方法に関する。
【0204】
いくつかの実施形態では、患者は、3Wood単位以上の肺血管抵抗(PVR)を有する。いくつかの実施形態では、方法は、患者のPVRを減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のPVRを少なくとも10%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のPVRを少なくとも15%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のPVRを少なくとも20%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のPVRを少なくとも25%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のPVRを少なくとも30%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のPVRを少なくとも35%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のPVRを少なくとも40%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のPVRを少なくとも45%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のPVRを少なくとも50%低下させる。いくつかの実施形態において、方法は、PVRを3Wood単位未満に低下させる。
【0205】
DPG
肺動脈の拡張期圧較差、DPGは、歴史的に、拡張期肺動脈圧と楔入圧との間の差を決定するために使用されてきた。特定の態様では、本開示は、肺疾患に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症の治療、予防、または進行速度および/もしくは重症度の低減の方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含み、患者のDPGを少なくとも10%下げる方法に関する。
【0206】
いくつかの実施形態では、患者は、7mmHgを超える拡張期圧較差(DPG)を有する。いくつかの実施形態では、患者は少なくとも7mmHgのDPGを有する。いくつかの実施形態では、患者は少なくとも10mmHgのDPGを有する。いくつかの実施形態では、患者は少なくとも15mmHgのDPGを有する。いくつかの実施形態では、患者は少なくとも20mmHgのDPGを有する。いくつかの実施形態では、患者は少なくとも25mmHgのDPGを有する。いくつかの実施形態では、患者は少なくとも30mmHgのDPGを有する。いくつかの実施形態では、患者は少なくとも35mmHgのDPGを有する。いくつかの実施形態では、患者は少なくとも40mmHgのDPGを有する。いくつかの実施形態では、患者は少なくとも45mmHgのDPGを有する。いくつかの実施形態では、患者は少なくとも50mmHgのDPGを有する。
【0207】
いくつかの実施形態では、方法は、患者のDPGを減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のDPGを少なくとも10%減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のDPGを少なくとも15%減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のDPGを少なくとも20%減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のDPGを少なくとも25%減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のDPGを少なくとも30%減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のDPGを少なくとも35%減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のDPGを少なくとも40%減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のDPGを少なくとも45%減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のDPGを少なくとも50%減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のDPGを7mmHg未満に低下させる。
【0208】
BNP
脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)およびNT-proBNPは、心内圧上昇による心房および心室の膨張のマーカーである。ニューヨーク心臓協会(NYHA)は、症状の重症度に基づいて、うっ血性心不全(CHF)の4段階機能分類システムを開発した。研究により、循環BNPおよびNT-proBNPの測定濃度は、NYHA分類に基づくCHFの重症度とともに増加することが実証された。特定の態様では、本開示は、肺疾患に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症の治療、予防、または進行速度および/もしくは重症度の低減の方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含み、患者のBNPレベルを下げる方法に関する。
【0209】
いくつかの実施形態では、患者は、健康な患者(例えば、同様の年齢および性別の健常者)と比較して上昇したBNPレベルを有する。いくつかの実施形態では、患者は正常なBNPレベルを有する。いくつかの実施形態では、患者は少なくとも100pg/mLのBNPのレベルを有する。いくつかの実施形態では、患者は少なくとも150pg/mLのBNPのレベルを有する。いくつかの実施形態では、患者は少なくとも200pg/mLのBNPのレベルを有する。いくつかの実施形態では、患者は少なくとも300pg/mLのBNPのレベルを有する。いくつかの実施形態では、患者は少なくとも400pg/mLのBNPのレベルを有する。いくつかの実施形態では、患者は少なくとも500pg/mLのBNPのレベルを有する。いくつかの実施形態では、患者は少なくとも1000pg/mLのBNPのレベルを有する。いくつかの実施形態では、患者は少なくとも3000pg/mLのBNPのレベルを有する。いくつかの実施形態では、患者は少なくとも5000pg/mLのBNPのレベルを有する。いくつかの実施形態では、患者は少なくとも10,000pg/mLのBNPのレベルを有する。いくつかの実施形態では、患者は少なくとも15,000pg/mLのBNPのレベルを有する。いくつかの実施形態では、患者は少なくとも20,000pg/mLのBNPのレベルを有する。
【0210】
いくつかの実施形態では、方法は、患者のBNPレベルを少なくとも10%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のBNPレベルを少なくとも20%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のBNPレベルを少なくとも25%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のBNPレベルを少なくとも30%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のBNPレベルを少なくとも35%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のBNPレベルを少なくとも40%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のBNPレベルを少なくとも45%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のBNPレベルを少なくとも50%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のBNPレベルを少なくとも55%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のBNPレベルを少なくとも60%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のBNPレベルを少なくとも65%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のBNPレベルを少なくとも70%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のBNPレベルを少なくとも75%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のBNPレベルを少なくとも80%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のBNPレベルを正常レベル(すなわち、100pg/ml未満)まで低下させる。
【0211】
NT-proBNP
特定の態様では、本開示は、肺疾患に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症の治療、予防、または進行速度および/もしくは重症度の低減の方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含み、患者のNT-proBNPレベルを下げる方法に関する。
【0212】
いくつかの実施形態では、患者は、健康な患者(例えば、同様の年齢および性別の健常者)と比較して上昇したNT-proBNPレベルを有する。いくつかの実施形態において、患者は、正常なNT-proBNPレベルを有する。いくつかの実施形態では、患者は少なくとも100pg/mLのNT-proBNPレベルを有する。いくつかの実施形態では、患者は少なくとも150pg/mLのNT-proBNPレベルを有する。いくつかの実施形態では、患者は少なくとも200pg/mLのNT-proBNPレベルを有する。いくつかの実施形態では、患者は少なくとも300pg/mLのNT-proBNPレベルを有する。いくつかの実施形態では、患者は少なくとも400pg/mLのNT-proBNPレベルを有する。いくつかの実施形態では、患者は少なくとも500pg/mLのNT-proBNPレベルを有する。いくつかの実施形態では、患者は少なくとも1000pg/mLのNT-proBNPレベルを有する。いくつかの実施形態では、患者は少なくとも3000pg/mLのNT-proBNPレベルを有する。いくつかの実施形態では、患者は少なくとも5000pg/mLのNT-proBNPレベルを有する。いくつかの実施形態では、患者は少なくとも10,000pg/mLのNT-proBNPレベルを有する。いくつかの実施形態では、患者は少なくとも15,000pg/mLのNT-proBNPレベルを有する。いくつかの実施形態では、患者は少なくとも20,000pg/mLのNT-proBNPレベルを有する。
【0213】
いくつかの実施形態では、方法は、患者のNT-proBNPレベルを低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のNT-proBNPレベルを少なくとも10%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のNT-proBNPレベルを少なくとも20%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のNT-proBNPレベルを少なくとも25%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のNT-proBNPレベルを少なくとも30%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のNT-proBNPレベルを少なくとも35%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のNT-proBNPレベルを少なくとも40%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のNT-proBNPレベルを少なくとも45%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のNT-proBNPレベルを少なくとも50%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のNT-proBNPレベルを少なくとも55%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のNT-proBNPレベルを少なくとも60%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のNT-proBNPレベルを少なくとも65%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のNT-proBNPレベルを少なくとも70%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のNT-proBNPレベルを少なくとも75%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のNT-proBNPレベルを少なくとも80%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のNT-proBNPレベルを少なくとも30%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、NT-proBNPレベルを正常レベルまで低下させる。いくつかの実施形態では、NT-proBNPの正常レベルは100pg/ml未満である。
【0214】
平滑筋肥大
COPDを有する患者は、気道壁の肥厚および気流閉塞をもたらす、主に小気道での気道壁リモデリングを頻繁に経験する。同様に、平滑筋細胞の増加および気道周囲の平滑筋層の肥厚を特徴とする気管支平滑筋肥大は、慢性喘息に似た疾患状態における気道壁リモデリングの特徴である。特定の態様では、本開示は、肺疾患に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症を治療、予防、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含み、平滑筋肥大を減少させる方法に関する。
【0215】
いくつかの実施形態では、方法は、患者の平滑筋肥大を減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の平滑筋肥大を少なくとも10%減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の平滑筋肥大を少なくとも15%減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の平滑筋肥大を少なくとも20%減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の平滑筋肥大を少なくとも25%減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の平滑筋肥大を少なくとも30%減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の平滑筋肥大を少なくとも35%減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の平滑筋肥大を少なくとも40%減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の平滑筋肥大を少なくとも45%減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の平滑筋肥大を少なくとも50%減少させる。
【0216】
生活の質
特定の態様では、本開示は、肺疾患に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症を治療、予防、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含み、患者の生活の質を向上させる方法に関する。
【0217】
いくつかの実施形態では、患者の生活の質は、ケンブリッジ肺高血圧転帰レビュー(Cambridge Pulmonary Hypertension Outcome Review:CAMPHOR)を使用して測定される。CAMPHORは、肺高血圧症患者の生活の質を評価する、疾患特有の患者報告転帰尺度である。CAMPHORの3つの局面が、症状、機能、および生活の質を評価する。生活の質(QoL)スケールは、社会化、役割、承認、自尊心、自立性、および安全性に焦点を合わせた25の項目を有する。同様に、症状局面は、活力、息切れ、および気分の3つのサブスケールに分類された25の症状からなる。活動スケールは15項目である。QoLおよび症状のスコアは0~25にの範囲であり、スコアが高いほど生活の質が悪いことを示す。活動スコアは0~30の範囲であり、高いスコアが高いほど身体的制約が多いことを示す。いくつかの実施形態では、方法は、患者の生活の質(QoL)スコアを少なくとも1%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の生活の質(QoL)スコアを少なくとも2%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の生活の質(QoL)スコアを少なくとも3%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の生活の質(QoL)スコアを少なくとも4%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の生活の質(QoL)スコアを少なくとも5%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の生活の質(QoL)スコアを少なくとも10%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の生活の質(QoL)スコアを少なくとも15%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の生活の質(QoL)スコアを少なくとも20%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の生活の質(QoL)スコアを少なくとも25%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の生活の質(QoL)スコアを少なくとも30%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の生活の質(QoL)スコアを少なくとも35%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の生活の質(QoL)スコアを少なくとも40%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の生活の質(QoL)スコアを少なくとも45%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の生活の質(QoL)スコアを少なくとも50%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の生活の質(QoL)スコアを少なくとも55%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の生活の質(QoL)スコアを少なくとも60%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の生活の質(QoL)スコアを少なくとも65%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の生活の質(QoL)スコアを少なくとも70%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の生活の質(QoL)スコアを少なくとも75%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の生活の質(QoL)スコアを少なくとも80%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の生活の質(QoL)スコアを少なくとも85%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の生活の質(QoL)スコアを少なくとも90%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の生活の質(QoL)スコアを少なくとも95%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の生活の質(QoL)スコアを少なくとも100%低下させる。いくつかの実施形態では、患者の生活の質は、ケンブリッジ肺高血圧転帰レビュー(Cambridge Pulmonary Hypertension Outcome Review:CAMPHOR)を使用して測定されるように向上する。
【0218】
心室機能
特定の態様では、本開示は、心室機能(例えば、左室機能または右室機能)を改善または維持する方法に関する。いくつかの実施形態では、方法は、患者の右室機能を改善する。いくつかの実施形態では、右室機能の改善は、右室面積変化率の増加によるものである。いくつかの実施形態では、右室機能の改善は、右室肥大の減少によるものである。いくつかの実施形態では、駆出率が改善される。いくつかの実施形態では、方法は、患者の右室肥大を改善する。
【0219】
特定の態様では、本開示は、肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(ILD)または気腫合併肺線維症(CPFE)に関連する肺高血圧症)の診断試験および方法に関する。心エコー検査は、患者の肺高血圧症の重症度を判定するための有用な非侵襲的スクリーニングツールである。心室機能(例えば、左室機能または右室機能)の改善または維持は、多くの心エコー測定値によって評価することができる。心室機能を評価するためのそのような定量的アプローチの1つは、三尖弁輪収縮期移動距離(TAPSE)の測定である。TAPSEは、尖端部に向かう外側三尖弁輪の収縮期可動域のレベルを測定することによってRV収縮期の機能を推定する。心室機能の維持および/または改善を評価するために使用され得る他の心エコー測定値には、右室面積変化率(RVFAC)、右室拡張末期面積(RVEDA)、右室収縮末期面積(RVESA)、右室自由壁厚(RVFWT)、右室駆出率(RVEF)、右室-肺動脈(RV-PA)カップリング、肺動脈収縮期圧(PASP)、右室収縮期圧(RVSP)、肺動脈加速時間(PAAT)、三尖弁逆流速度(TRV)、左室肥大および右室肥大が含まれるが、これらに限定されない。
【0220】
TAPSE
三尖弁輪収縮期移動距離(TAPSE)は、心エコー検査を使用して得ることができ、RV長軸方向機能の尺度を表す。TAPSEは、RV全体的収縮機能を推定するパラメータと良好な相関を有することが以前に示されている。17mm未満のTAPSEは、RV収縮機能不全を強く示唆する。本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、患者は20mm未満のTAPSEを有する。いくつかの実施形態では、患者は18mm未満のTAPSEを有する。いくつかの実施形態では、患者は16mm未満のTAPSEを有する。いくつかの実施形態では、患者は14mm未満のTAPSEを有する。いくつかの実施形態では、患者は12mm未満のTAPSEを有する。
【0221】
いくつかの実施形態では、方法は、TAPSEを少なくとも20mmまで増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、TAPSEを少なくとも22mmまで増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、TAPSEを少なくとも24mmまで増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、TAPSEを少なくとも26mmまで増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、TAPSEを少なくとも28mmまで増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、TAPSEを少なくとも30mmまで増加させる。
【0222】
PASPおよびRVSP
特定の態様では、本開示は、肺疾患に関連する肺高血圧症を治療する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含み、右室収縮期圧(RVSP)を少なくとも10%低下させる方法に関する。
【0223】
いくつかの実施形態では、PASPは安静時PASPである。いくつかの態様では、PASPは、三尖弁逆流速度(TRV)および右動脈(RA)圧を使用して決定される。いくつかの実施形態では、PASPは、以下の式を使用して決定される。
【0224】
PASP=TRV2×4+RA圧
TRVは、安静時および運動時のPASPと相関することが示されている。右室と右房との間の圧較差は、修正ベルヌーイ方程式(Δp=4V2)を使用して計算することができる。
【0225】
いくつかの実施形態では、右室収縮期圧(RVSP)はPASPに等しい。いくつかの実施形態では、RVSPは、右室流出路閉塞の非存在下で測定される。いくつかの実施形態では、RVSPは、以下の式を使用して決定される。
【0226】
RVSP=4V2+RAP
上式において、Vは三尖逆流ジェット速度のピークを表し、RAPは平均右心房圧である。RVSPは、PASPを推定するために頻繁に使用される。
【0227】
いくつかの実施形態では、患者は、35mmHgを超える右室収縮期圧(RVSP)を有する。いくつかの実施形態では、方法は、患者のRVSPを減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のRVSPを少なくとも10%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のRVSPを少なくとも15%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のRVSPを少なくとも20%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のRVSPを少なくとも25%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のRVSPを少なくとも30%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のRVSPを少なくとも35%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のRVSPを少なくとも40%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のRVSPを少なくとも45%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のRVSPを少なくとも50%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のRVSPを25mmHg未満まで低下させる。
【0228】
いくつかの実施形態では、患者は、20mmHgを超える肺動脈収縮期圧(PASP)を有する。いくつかの実施形態では、患者は、25mmHgを超えるPASPを有する。いくつかの実施形態では、患者は、少なくとも35mmHgのPASPを有する。いくつかの実施形態では、患者は、少なくとも40mmHgのPASPを有する。いくつかの実施形態では、患者は、少なくとも50mmHgのPASPを有する。いくつかの実施形態では、患者は、少なくとも55mmHgのPASPを有する。いくつかの実施形態では、患者は、少なくとも60mmHgのPASPを有する。
【0229】
いくつかの実施形態では、方法は、患者のPASPを減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のPASPを少なくとも10%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のPASPを少なくとも15%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のPASPを少なくとも20%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のPASPを少なくとも25%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のPASPを少なくとも30%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のPASPを少なくとも35%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のPASPを少なくとも40%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のPASPを少なくとも45%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のPASPを少なくとも50%低下させる。
【0230】
いくつかの実施形態では、方法は、患者のPASPを少なくとも5mmHg低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のPASPを少なくとも10mmHg低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のPASPを少なくとも15mmHg低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のPASPを少なくとも20mmHg低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のPASPを少なくとも25mmHg低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のPASPを25mmHg未満に低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のPASPを20mmHg未満に低下させる。
【0231】
右室肥大
右室肥大(RVH)は、最も一般的には重度の肺疾患に起因する、圧負荷に応答した右室の筋肉量の病的な増加である。肺高血圧症によるRVHの症状には、労作性胸痛、末梢浮腫、労作性失神、および右上腹部痛が含まれる。特定の態様では、本開示は、肺疾患に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症の治療、予防、または進行速度および/もしくは重症度の低減の方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法を提供に関する。
【0232】
いくつかの実施形態では、方法は、患者の右室肥大を減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の右室肥大を少なくとも10%減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の右室肥大を少なくとも15%減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の右室肥大を少なくとも20%減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の右室肥大を少なくとも25%減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の右室肥大を少なくとも30%減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の右室肥大を少なくとも35%減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の右室肥大を少なくとも40%減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の右室肥大を少なくとも45%減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の右室肥大を少なくとも50%減少させる。
【0233】
心係数
心係数(CI)は、患者の体格に基づく心拍出量の評価である。心拍出量および心係数の両方は、心臓が十分な血液を送り出しているか、および細胞に十分な酸素を送達しているかどうかを判定するのに重要である。心係数は、異なる体格の個体間での心機能の比較を可能にする。特定の態様では、本開示は、肺疾患に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症を治療、予防、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含み、心係数を増加させる方法に関する。
【0234】
いくつかの実施形態では、患者は、2.5L/分/m2未満の心係数を有する。いくつかの実施形態では、患者は、2.0L/分/m2未満の心係数を有する。いくつかの実施形態では、患者は、1.5L/分/m2未満の心係数を有する。いくつかの実施形態では、患者は、1.0L/分/m2未満の心係数を有する。いくつかの実施形態では、方法は、患者のCIを少なくとも10%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のCIを少なくとも10%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のCIを少なくとも10%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のCIを少なくとも15%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のCIを少なくとも20%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のCIを少なくとも25%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のCIを少なくとも30%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のCIを少なくとも35%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のCIを少なくとも40%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のCIを少なくとも45%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のCIを少なくとも50%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のCIを少なくとも0.2L/分/m2増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のCIを少なくとも0.4L/分/m2増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のCIを少なくとも0.6L/分/m2増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のCIを少なくとも0.8L/分/m2増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のCIを少なくとも1L/分/m2増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のCIを少なくとも1.2L/分/m2増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のCIを少なくとも1.4L/分/m2増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のCIを少なくとも1.6L/分/m2増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のCIを少なくとも1.8L/分/m2増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のCIを少なくとも2L/分/m2増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のCIを少なくとも2.5L/分/m2に増加させる。
【0235】
心拍出量
一般に、安静時の正常な心拍出量は約2.5~4.2L/分/m2であり、心拍出量は正常の範囲を逸脱することなく、およそ40%減少してもよい。約2.5L/分/m2未満の低い心係数は、一般に心血管機能の障害を示す。心拍出量を利用して、心係数を計算することができる(例えば、心係数=心拍出量/体表面積)。心拍出量を利用して、1回拍出量を計算することもできる(例えば、1回拍出量=CO/心拍数)。特定の態様では、本開示は、肺疾患に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症を治療、予防、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含み、心拍出量を増加させる方法に関する。
【0236】
いくつかの実施形態では、患者の心拍出量は4L/分未満である。いくつかの実施形態では、方法は、患者の心拍出量を少なくとも10%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の心拍出量を少なくとも15%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の心拍出量を少なくとも20%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の心拍出量を少なくとも25%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の心拍出量を少なくとも30%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の心拍出量を少なくとも35%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の心拍出量を少なくとも40%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の心拍出量を少なくとも45%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の心拍出量を少なくとも50%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の心拍出量を少なくとも0.5L/分増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の心拍出量を少なくとも1L/分増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の心拍出量を少なくとも1.5L/分増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の心拍出量を少なくとも2L/分増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の心拍出量を少なくとも2.5L/分増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の心拍出量を少なくとも3L/分増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の心拍出量を少なくとも3.5L/分増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の心拍出量を少なくとも4L/分増加させる。
【0237】
複合生理学的指標(CPI)
複合生理学的指標(CPI)を使用して、肺線維症の程度を決定することができる。線維性肺疾患(例えば、特発性肺線維症)の臨床経過を予測することは困難である。CPIモデルは、線維性疾患の進行の予測因子として使用することができる。特定の態様では、本開示は、肺疾患に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症を治療、予防、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含み、複合生理学的指標を低下させる方法に関する。
【0238】
いくつかの実施形態では、患者は、15を超えるCPIを有する。本明細書の方法のいくつかの実施形態では、患者は20を超えるCPIを有する。本明細書の方法のいくつかの実施形態では、患者は25を超えるCPIを有する。本明細書の方法のいくつかの実施形態では、患者は30を超えるCPIを有する。本明細書の方法のいくつかの実施形態では、患者は35を超えるCPIを有する。本明細書の方法のいくつかの実施形態では、患者は40を超えるCPIを有する。本明細書の方法のいくつかの実施形態では、患者は45を超えるCPIを有する。本明細書の方法のいくつかの実施形態では、患者は50を超えるCPIを有する。本明細書の方法のいくつかの実施形態では、患者は55を超えるCPIを有する。本明細書の方法のいくつかの実施形態では、患者は60を超えるCPIを有する。本明細書の方法のいくつかの実施形態では、患者は65を超えるCPIを有する。本明細書の方法のいくつかの実施形態では、患者は70を超えるCPIを有する。本明細書の方法のいくつかの実施形態では、患者は75を超えるCPIを有する。本明細書の方法のいくつかの実施形態では、患者は80を超えるCPIを有する。いくつかの実施形態では、方法は、患者のCPIを低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のCPIを10%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のCPIを15%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のCPIを20%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のCPIを25%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のCPIを30%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のCPIを35%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のCPIを40%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のCPIを45%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のCPIを50%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、CPIを70未満に低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、CPIを65未満に低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、CPIを60未満に低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、CPIを55未満に低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、CPIを50未満に低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、CPIを45未満に低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、CPIを40未満に低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、CPIを35未満に低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、CPIを30未満に低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、CPIを25未満に低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、CPIを20未満に低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、CPIを15未満に低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、CPIを10未満に低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、CPIを5未満に低下させる。
【0239】
安静時の酸素飽和度
特定の態様では、本開示は、肺疾患に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症を治療、予防、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含み、動脈酸素飽和度を増加させる方法に関する。
【0240】
いくつかの実施形態では、患者の動脈酸素飽和度は95%未満である。本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、患者の動脈酸素飽和度は90%未満である。本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、患者の動脈酸素飽和度は85%未満である。本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、患者の動脈酸素飽和度は80%未満である。本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、患者の動脈酸素飽和度は75%未満である。本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、患者の動脈酸素飽和度は70%未満である。本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、患者の動脈酸素飽和度は65%未満である。本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、患者の動脈酸素飽和度は60%未満である。本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、患者の動脈酸素飽和度は55%未満である。本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、患者の動脈酸素飽和度は50%未満である。本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、患者の動脈酸素飽和度は45%未満である。本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、患者の動脈酸素飽和度は40%未満である。本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、患者の動脈酸素飽和度は35%未満である。本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、患者の動脈酸素飽和度は30%未満である。いくつかの実施形態では、方法は、患者の動脈酸素飽和度を増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の動脈酸素飽和度を少なくとも5%増加させる。
【0241】
いくつかの実施形態では、方法は、患者の動脈酸素飽和度を少なくとも10%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の動脈酸素飽和度を少なくとも15%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の動脈酸素飽和度を少なくとも20%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の動脈酸素飽和度を少なくとも25%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の動脈酸素飽和度を少なくとも30%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の動脈酸素飽和度を少なくとも35%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の動脈酸素飽和度を少なくとも40%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の動脈酸素飽和度を少なくとも45%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の動脈酸素飽和度を少なくとも50%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の動脈酸素飽和度を少なくとも85%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の動脈酸素飽和度を少なくとも90%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の動脈酸素飽和度を少なくとも95%増加させる。いくつかの実施形態では、動脈酸素飽和度は、安静時に測定される。
【0242】
運動耐容能(6MWDおよびBDI)
特定の態様では、本開示は、肺疾患に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症を治療、予防、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含み、患者の運動耐容能を増加させる方法に関する。
【0243】
運動耐容能の任意の適切な尺度を使用することができる。例えば、対象が6分間で歩くことができる距離、すなわち6分間歩行距離(6MWD)を測定する6分間歩行試験(6MWT)での運動耐容能は、肺高血圧症の重症度および疾患の進行を評価するために頻繁に使用される。BDIは、知覚された呼吸困難(呼吸の不快感)を評価するための数値スケールであり、運動耐容能を測定するために使用され得る。これは、例えば、6MWTの完了後に、息切れの程度を測定し、BDIの0は息切れ無しを示し、10は最大の息切れを示す。いくつかの実施形態では、患者は、治療前に550メートル未満の6分間歩行距離(6MWD)を有する。いくつかの実施形態では、患者は、治療前に550メートル未満の6分間歩行距離(6MWD)を有する。いくつかの実施形態では、患者は、治療前に500メートル未満の6分間歩行距離(6MWD)を有する。いくつかの実施形態では、患者は、治療前に450メートル未満の6分間歩行距離(6MWD)を有する。いくつかの実施形態では、患者は、治療前に400メートル未満の6分間歩行距離(6MWD)を有する。いくつかの実施形態では、患者は、治療前に350メートル未満の6分間歩行距離(6MWD)を有する。いくつかの実施形態では、患者は、治療前に300メートル未満の6分間歩行距離(6MWD)を有する。いくつかの実施形態では、患者は、治療前に250メートル未満の6分間歩行距離(6MWD)を有する。いくつかの実施形態では、患者は、治療前に200メートル未満の6分間歩行距離(6MWD)を有する。いくつかの実施形態では、患者は、治療前に150メートル未満の6分間歩行距離(6MWD)を有する。いくつかの実施形態では、方法は、患者の6MWDを少なくとも10メートル増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の6MWDを少なくとも15メートル増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の6MWDを少なくとも20メートル増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の6MWDを少なくとも25メートル増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の6MWDを少なくとも30メートル増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の6MWDを少なくとも35メートル増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の6MWDを少なくとも40メートル増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の6MWDを少なくとも45メートル増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の6MWDを少なくとも50メートル増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の6MWDを少なくとも55メートル増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の6MWDを少なくとも60メートル増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の6MWDを少なくとも65メートル増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の6MWDを少なくとも70メートル増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の6MWDを少なくとも75メートル増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の6MWDを少なくとも80メートル増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の6MWDを少なくとも85メートル増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の6MWDを少なくとも90メートル増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の6MWDを少なくとも95メートル増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の6MWDを少なくとも100メートル増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の6MWDを少なくとも125メートル増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の6MWDを少なくとも150メートル増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の6MWDを少なくとも175メートル増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の6MWDを少なくとも200メートル増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の6MWDを少なくとも250メートル増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の6MWDを少なくとも300メートル増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の6MWDを少なくとも400メートル増加させる。
【0244】
いくつかの実施形態では、方法は、患者の運動耐容能を増加させる。いくつかの実施形態では、患者は、ボルグ呼吸困難指数(BDI)を少なくとも0.5の指数ポイントで有する。いくつかの実施形態では、患者は、ボルグ呼吸困難指数(BDI)を少なくとも1指数ポイントで有する。いくつかの実施形態では、患者は、ボルグ呼吸困難指数(BDI)を少なくとも1.5指数ポイントで有する。いくつかの実施形態では、患者は、ボルグ呼吸困難指数(BDI)を少なくとも2指数ポイントで有する。いくつかの実施形態では、患者は、ボルグ呼吸困難指数(BDI)を少なくとも2.5指数ポイントで有する。いくつかの実施形態では、患者は、ボルグ呼吸困難指数(BDI)を少なくとも3指数ポイントで有する。いくつかの実施形態では、患者は、ボルグ呼吸困難指数(BDI)を少なくとも3.5指数ポイントで有する。いくつかの実施形態では、患者は、ボルグ呼吸困難指数(BDI)を少なくとも4指数ポイントで有する。いくつかの実施形態では、患者は、ボルグ呼吸困難指数(BDI)を少なくとも4.5指数ポイントで有する。いくつかの実施形態では、患者は、ボルグ呼吸困難指数(BDI)を少なくとも5指数ポイントで有する。いくつかの実施形態では、患者は、ボルグ呼吸困難指数(BDI)を少なくとも5.5指数ポイントで有する。いくつかの実施形態では、患者は、ボルグ呼吸困難指数(BDI)を少なくとも6指数ポイントで有する。いくつかの実施形態では、患者は、ボルグ呼吸困難指数(BDI)を少なくとも6.5指数ポイントで有する。いくつかの実施形態では、患者は、ボルグ呼吸困難指数(BDI)を少なくとも7指数ポイントで有する。いくつかの実施形態では、患者は、ボルグ呼吸困難指数(BDI)を少なくとも7.5指数ポイントで有する。いくつかの実施形態では、患者は、ボルグ呼吸困難指数(BDI)を少なくとも8指数ポイントで有する。いくつかの実施形態では、患者は、ボルグ呼吸困難指数(BDI)を少なくとも8.5指数ポイントで有する。いくつかの実施形態では、患者は、ボルグ呼吸困難指数(BDI)を少なくとも9指数ポイントで有する。いくつかの実施形態では、患者は、ボルグ呼吸困難指数(BDI)を少なくとも9.5指数ポイントで有する。いくつかの実施形態では、患者は、ボルグ呼吸困難指数(BDI)を少なくとも10指数ポイントで有する。いくつかの実施形態では、方法は、患者のボルグ呼吸困難指数(BDI)を低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のBDIを少なくとも0.5指数ポイント減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のBDIを少なくとも1指数ポイント減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のBDIを少なくとも1.5指数ポイント減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のBDIを少なくとも2指数ポイント減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のBDIを少なくとも2.5指数ポイント減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のBDIを少なくとも3指数ポイント減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のBDIを少なくとも3.5指数ポイント減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のBDIを少なくとも4指数ポイント減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のBDIを少なくとも4.5指数ポイント減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のBDIを少なくとも5指数ポイント減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のBDIを少なくとも5.5指数ポイント減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のBDIを少なくとも6指数ポイント減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のBDIを少なくとも6.5指数ポイント減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のBDIを少なくとも7指数ポイント減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のBDIを少なくとも7.5指数ポイント減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のBDIを少なくとも8指数ポイント減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のBDIを少なくとも8.5指数ポイント減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のBDIを少なくとも9指数ポイント減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のBDIを少なくとも9.5指数ポイント減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のBDIを少なくとも10指数ポイント減少させる。
【0245】
肺機能試験
特定の態様では、本開示は、肺疾患に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症を治療、予防、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含み、患者の肺機能を改善する方法に関する。
【0246】
肺活量測定または呼吸の測定は、対象が吸入し、吐き出す空気の量および/または速度(流量)を判定することができる主要な肺機能試験である。肺活量計は、他の特性の中でもとりわけ、努力呼気量(FEV)試験において(予測されるリットルおよび/またはパーセンテージ単位で測定される)努力肺活量(FVC)を測定するために使用される。FEV試験では、対象は深く吸息し、できるだけ長く(例えば、少なくとも6秒)センサ内に吐き出す。肺活量測定を使用して吸息を試験することもできる。FEV試験は、通常、精度を確保するために少なくとも3回繰り返される。FVCの「正常」範囲は、典型的には、予測の80%~100%であると考えられる。「予測の」とは、対象の結果を、同様の特徴(例えば、身長、性別、年齢、人種、体重)を有する健康な対象の既知の予測値のパーセンテージとして報告することを指す。得ることができる他の測定値には、FVCが努力呼気の最初の1秒以内に測定されるFEV1、および/または努力呼気の途中部分の間に肺から出る空気の流量を測定する努力呼気流量(FEF)が含まれるが、これらに限定されない。FEV1/FVC比も典型的に計算される。
【0247】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、患者は、70%を超える努力肺活量一秒量(FEV1)を有する。本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、患者は、60%~69%の努力肺活量一秒量(FEV1)を有する。本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、患者は、50%~59%の努力肺活量一秒量(FEV1)を有する。本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、患者は、35%~49%の努力肺活量一秒量(FEV1)を有する。本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、患者は、35%未満の努力肺活量一秒量(FEV1)を有する。いくつかの実施形態では、方法は、患者のFEV1を増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のFEV1を少なくとも5%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のFEV1を少なくとも10%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のFEV1を少なくとも15%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のFEV1を少なくとも20%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のFEV1を少なくとも25%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のFEV1を少なくとも30%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のFEV1を少なくとも35%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のFEV1を少なくとも40%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のFEV1を少なくとも45%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のFEV1を少なくとも50%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、FEV1を少なくとも60%まで増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、FEV1を少なくとも65%まで増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、FEV1を少なくとも70%まで増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、FEV1を少なくとも75%まで増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、FEV1を少なくとも80%まで増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、FEV1を少なくとも85%まで増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、FEV1を少なくとも90%まで増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、FEV1を少なくとも95%まで増加させる。
【0248】
いくつかの実施形態では、患者は、80%を超える努力肺活量(FVC)を有する。いくつかの実施形態では、患者は、70%を超える努力肺活量(FVC)を有する。
【0249】
いくつかの実施形態では、患者は、60%~69%の努力肺活量(FVC)を有する。いくつかの実施形態では、患者は、50%~59%の努力肺活量(FVC)を有する。いくつかの実施形態では、患者は、35%~49%の努力肺活量(FVC)を有する。いくつかの実施形態では、患者は、35%未満の努力肺活量(FVC)を有する。
【0250】
いくつかの実施形態では、方法は、患者のFVCを増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のFVCを少なくとも5%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のFVCを少なくとも10%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のFVCを少なくとも15%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のFVCを少なくとも20%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のFVCを少なくとも25%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のFVCを少なくとも30%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のFVCを少なくとも35%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のFVCを少なくとも40%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のFVCを少なくとも45%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のFVCを少なくとも50%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、FVCを少なくとも60%まで増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、FVCを少なくとも65%まで増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、FVCを少なくとも70%まで増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、FVCを少なくとも75%まで増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、FVCを少なくとも80%まで増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、FVCを少なくとも85%まで増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、FVCを少なくとも90%まで増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、FVCを少なくとも95%まで増加させる。
【0251】
一酸化炭素移動係数Kco
特定の態様では、本開示は、肺疾患に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症を治療、予防、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含み、患者の一酸化炭素拡散能を増加させる方法に関する。
【0252】
一酸化炭素拡散能またはDLCOは、肺活量測定および肺容量評価と併せて使用して、根底にある肺疾患を診断することができる(例えば、DLCOの減少に関連する正常な肺活量測定および肺容量は、貧血、肺血管障害、早期ILDまたは早期気腫を示唆する場合がある)。いくつかの実施形態では、患者は、60%未満の一酸化炭素拡散能(DLCO)を有する。いくつかの実施形態では、患者は、55%未満の一酸化炭素拡散能(DLCO)を有する。いくつかの実施形態では、患者は、50%未満の一酸化炭素拡散能(DLCO)を有する。いくつかの実施形態では、患者は、45%未満の一酸化炭素拡散能(DLCO)を有する。いくつかの実施形態では、患者は、40%未満の一酸化炭素拡散能(DLCO)を有する。いくつかの実施形態では、患者は、35%未満の一酸化炭素拡散能(DLCO)を有する。いくつかの実施形態では、患者は、30%未満の一酸化炭素拡散能(DLCO)を有する。いくつかの実施形態では、患者は、25%未満の一酸化炭素拡散能(DLCO)を有する。いくつかの実施形態では、患者は、20%未満の一酸化炭素拡散能(DLCO)を有する。
【0253】
いくつかの実施形態では、方法は、患者のDLCOを増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のDLCOを少なくとも5%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のDLCOを少なくとも10%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のDLCOを少なくとも15%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のDLCOを少なくとも20%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のDLCOを少なくとも25%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のDLCOを少なくとも30%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のDLCOを少なくとも35%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のDLCOを少なくとも40%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のDLCOを少なくとも45%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者のDLCOを少なくとも50%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、DLCOを少なくとも40%まで増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、DLCOを少なくとも45%まで増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、DLCOを少なくとも50%まで増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、DLCOを少なくとも55%まで増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、DLCOを少なくとも60%まで増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、DLCOを少なくとも65%まで増加させる。
【0254】
肺線維症
特定の態様では、本開示は、肺疾患に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症を治療、予防、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含み、患者の肺線維症を減少させる方法に関する。
【0255】
いくつかの実施形態では、方法は、患者の肺線維症を少なくとも10%減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の肺線維症を少なくとも15%減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の肺線維症を少なくとも20%減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の肺線維症を少なくとも25%減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の肺線維症を少なくとも30%減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の肺線維症を少なくとも35%減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の肺線維症を少なくとも40%減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の肺線維症を少なくとも45%減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の肺線維症を少なくとも50%減少させる。
【0256】
無移植生存率
特定の態様では、本開示は、肺疾患に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症を治療、予防、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含み、患者の無移植生存率を増加させる方法に関する。
【0257】
いくつかの実施形態では、方法は、患者の無移植生存率を少なくとも10%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の無移植生存率を少なくとも15%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の無移植生存率を少なくとも20%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の無移植生存率を少なくとも25%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の無移植生存率を少なくとも30%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の無移植生存率を少なくとも35%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の無移植生存率を少なくとも40%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の無移植生存率を少なくとも45%増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、患者の無移植生存率を少なくとも50%増加させる。
【0258】
死亡
特定の態様では、本開示は、肺疾患に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症を治療、予防、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含み、死亡のリスクを下げる方法に関する。
【0259】
いくつかの実施形態では、方法は、肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(ILD)または気腫合併肺線維症(CPFE)に関連する肺高血圧症)に関連する死亡のリスクを少なくとも10%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(ILD)または気腫合併肺線維症(CPFE)に関連する肺高血圧症)に関連する死亡のリスクを少なくとも15%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(ILD)または気腫合併肺線維症(CPFE)に関連する肺高血圧症)に関連する死亡のリスクを少なくとも20%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(ILD)または気腫合併肺線維症(CPFE)に関連する肺高血圧症)に関連する死亡のリスクを少なくとも25%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(ILD)または気腫合併肺線維症(CPFE)に関連する肺高血圧症)に関連する死亡のリスクを少なくとも30%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(ILD)または気腫合併肺線維症(CPFE)に関連する肺高血圧症)に関連する死亡のリスクを少なくとも35%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(ILD)または気腫合併肺線維症(CPFE)に関連する肺高血圧症)に関連する死亡のリスクを少なくとも40%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(ILD)または気腫合併肺線維症(CPFE)に関連する肺高血圧症)に関連する死亡のリスクを少なくとも45%低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(ILD)または気腫合併肺線維症(CPFE)に関連する肺高血圧症)に関連する死亡のリスクを少なくとも50%低下させる。
【0260】
併用療法
場合により、肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(ILD)または気腫合併肺線維症(CPFE)に関連する肺高血圧症)を治療、予防、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減するための、特に肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(ILD)または気腫合併肺線維症(CPFE)に関連する肺高血圧症)の1つ以上の合併症の治療、予防またはその進行速度および/もしくは重症度を低減するための開示された方法は、肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(ILD)または気腫合併肺線維症(CPFE)に関連する肺高血圧症)を治療するための1つ以上の支持療法または追加の活性剤を患者に投与することをさらに含み得る。例えば、患者はまた、ナイトレート、ヒドララジン、ピリドン(例えば、ピルフェニドン)、小分子チロシン-キナーゼ阻害剤(例えば、ニンテダニブ)、プロスタサイクリンおよびその誘導体(例えば、エポプロステノール、トレプロスチニル、およびイロプロスト);プロスタサイクリン受容体アゴニスト(例えば、セレキシパグ);エンドセリン受容体拮抗薬(例えば、テリン、アンブリセンタン、マシテンタン、ダルセンタンおよびボセンタン);カルシウムチャネル遮断薬(例えば、アムロジピン、ジルチアゼムおよびニフェジピン;抗凝固剤(例えば、ワルファリン);利尿薬;酸素療法;心房中隔切開術;肺血栓内膜摘出術;ホスホジエステラーゼ5型阻害剤(例えば、シルデナフィルおよびタダラフィル);可溶性グアニル酸シクラーゼのアクチベーター(例えば、シナシグアト、ベルイシグアトおよびリオシグアト);ASK-1阻害剤(例えば、CIIA;SCH79797;GS-4997;MSC2032964A;3H-ナフト[1,2,3-de]キニリン-2,7-ジオン、NQDI-1;2-チオキソ-チアゾリジン、5-ブロモ-3-(4-オキソ-2-チオキソ-チアゾリジン-5-イリデン)-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン);NF-κB拮抗薬(例えば、dh404、CDDO-エポキシド;2.2-ジフルオロプロピオンアミド;C28イミダゾール(CDDO-Im);2-シアノ-3,12-ジオキソオレアン-1,9-ジエン-28-オイック酸(CDDO);3-アセチルオレアノール酸;3-トリフルオロアセチルオレアノール酸;28-メチル-3-アセチルオレアナン;28-メチル-3-トリフルオロアセチルオレアナン;28-メチルオキシオレアノール酸;SZC014;SCZ015;SZC017;オレアノール酸のPEG化誘導体;3-O-(β-D-グルコピラノシル)オレアノール酸;3-O-[β-D-グルコピラノシル-(1-->3)-β-D-グルコピラノシル]オレアノール酸;3-O-[β-D-グルコピラノシル-(1-->2)-β-D-グルコピラノシル]オレアノール酸;3-O-[β-D-グルコピラノシル-(1-->3)-β-D-グルコピラノシル]オレアノール酸28-O-β-D-グルコピラノシルエステル;3-O-[β-D-グルコピラノシル-(1-->2)-β-D-グルコピラノシル]オレアノール酸28-O-β-D-グルコピラノシルエステル;3-O-[a-L-ラムノピラノシル-(1-->3)-β-D-グルクロノピラノシル]オレアノール酸;3-O-[α-L-ラムノピラノシル-(1-->3)-β-D-グルクロノピラノシル]オレアノール酸28-O-β-D-グルコピラノシルエステル;28-O-β-D-グルコピラノシル-オレアノール酸;3-O-β-D-グルコピラノシル(1→3)-β-D-グルコピラノシドウロン酸(CS1);オレアノール酸3-O-β-D-グルコピラノシル(1→3)-β-D-グルコピラノシドウロン酸(CS2);メチル3,11ジオキソオレアン-12-エン-28-オレート(DIOXOL);ZCVI4-2;ベンジル3-デヒドロ-オキシ-1,2,5-オキサジアゾロ[3’,4’:2,3]オレノレート);、酸素療法、肺および/または心臓移植からなる群から選択される1つ以上の支持療法または活性剤を投与されてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、患者にピルフェニドンを投与することをさらに含み得る。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される方法は、ニンテダニブを患者に投与することをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、患者に経口プロスタサイクリンを投与することをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(ILD)または気腫合併肺線維症(CPFE)に関連する肺高血圧症)を治療するための1つの追加の支持療法または追加の活性剤(すなわち、二重療法)を患者に投与することをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(ILD)または気腫合併肺線維症(CPFE)に関連する肺高血圧症)を治療するための2つの追加の支持療法または追加の活性剤(すなわち、三重療法)を患者に投与することをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(ILD)または気腫合併肺線維症(CPFE)に関連する肺高血圧症)を治療するための3つの追加の支持療法または追加の活性剤(すなわち、四重療法)を患者に投与することをさらに含み得る。
【0261】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、アンジオテンシン拮抗薬(例えば、アンジオテンシン受容体遮断薬、ARB)を患者に投与することをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、患者は、ロサルタン、イルベサルタン、オルメサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、フィマサルタン、アジルサルタン、サルプリサルタンおよびテルミサルタンからなる群から選択される1つまたは複数のARBをさらに投与される。いくつかの実施形態では、患者にロサルタンを投与する。いくつかの実施形態では、患者にイルベサルタンを投与する。いくつかの実施形態では、患者にオルメサルタンを投与する。いくつかの実施形態では、患者にカンデサルタンを投与する。いくつかの実施形態では、患者にバルサルタンを投与する。いくつかの実施形態では、患者にフィマサルタンを投与する。いくつかの実施形態では、患者にアジルサルタンを投与する。いくつかの実施形態では、患者にサルプリサルタンを投与する。いくつかの実施形態では、患者にテルミサルタンを投与する。
【0262】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、患者に1つ以上のACE阻害剤を投与することをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のACE阻害剤は、ベナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、リシノプリル、ペリンドプリル、ラミプリル(例えば、ラミペン)、トランドラプリルおよびゾフェノプリルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、患者にベナゼプリルを投与する。いくつかの実施形態では、患者にカプトプリルを投与する。いくつかの実施形態では、患者にエナラプリルを投与する。いくつかの実施形態では、患者にリシノプリルを投与する。いくつかの実施形態では、患者にぺリンドプリルを投与する。いくつかの実施形態では、患者にラミプリルを投与する。いくつかの実施形態では、患者にトランドラプリルを投与する。いくつかの実施形態では、患者にゾフェノプリルを投与する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、患者にARBおよびACE阻害剤を投与することをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、アンジオテンシン拮抗作用への代替アプローチは、ACE阻害剤および/またはARBをアルドステロン拮抗薬と組み合わせることである。
【0263】
いくつかの実施形態では、肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(ILD)または気腫合併肺線維症(CPFE)に関連する肺高血圧症)を治療するための1つ以上の支持療法または追加の活性剤は、ActRIIポリペプチドの投与の前に投与される。いくつかの実施形態では、肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(ILD)または気腫合併肺線維症(CPFE)に関連する肺高血圧症)を治療するための1つ以上の支持療法または追加の活性剤は、ActRIIポリペプチドと組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(ILD)または気腫合併肺線維症(CPFE)に関連する肺高血圧症)を治療するための1つ以上の支持療法または追加の活性剤は、ActRIIポリペプチドの投与の後に投与される。
【0264】
機能分類
ベースライン時の肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(ILD)または気腫合併肺線維症(CPFE)に関連する肺高血圧症)は、例えば、肺高血圧症を有する患者における疾患重症度の尺度である世界保健機関(WHO)の機能分類によって測定される場合、軽度、中等度または重度であり得る。WHO機能分類は、ニューヨーク心臓協会(NYHA)システムの適応であり、活動耐性を性質的に評価するために、例えば、疾患の進行および治療に対する応答の監視において慣例的に使用されている(Rubin(2004)Chest 126:7-10)。WHOシステムでは、以下の4つの機能分類が認定されている:機能分類I:身体活動の制限をもたらさない肺高血圧症;通常の身体活動では、過度の呼吸困難または疲労、胸痛または前失神に至らない;機能分類II:身体活動のわずかな制限をもたらす肺高血圧症;患者は安静時には快適であり;通常の身体活動で、過度の呼吸困難もしくは疲労、胸痛または前失神が生じる;機能分類III:身体活動の著しい制限をもたらす肺高血圧症;患者は安静時には快適であり;通常よりも低度の活動で過度の呼吸困難もしくは疲労、胸痛または前失神が生じる;機能分類IV:いかなる身体活動の実施も症状をもたらす肺高血圧症;患者は右心不全の徴候を示し;安静時であっても呼吸困難および/または疲労が存在する場合があり;いかなる身体活動によっても不快感が増大する。本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、方法は、世界保健機関(WHO)によって認定される、肺高血圧症機能分類の進行を予防または軽減する。いくつかの実施形態では、方法は、WHOによって認定される肺高血圧症機能分類の機能分類Iから分類II肺高血圧症への進行を予防または軽減する。いくつかの実施形態では、方法は、WHOによって認定される肺高血圧症機能分類の機能分類IIから分類III肺高血圧症への進行を予防または軽減する。いくつかの実施形態では、方法は、WHOによって認定される肺高血圧症機能分類の機能分類IIIから分類IV肺高血圧症への進行を予防または軽減する。いくつかの実施形態では、方法は、WHOによって認定される、肺高血圧症機能分類の退行を促進または増進する。いくつかの実施形態では、方法は、WHOによって認定される肺高血圧症機能分類の分類IVから分類III肺高血圧症への退行を促進または増進する。いくつかの実施形態では、方法は、WHOによって認定される肺高血圧症機能分類の分類IIIから分類II肺高血圧症への退行を促進または増進する。いくつかの実施形態では、方法は、WHOによって認定される肺高血圧症機能分類の分類IIから分類I肺高血圧症への退行を促進または増進する。
【0265】
いくつかの実施形態では、本開示は、肺高血圧症機能分類の進行を予防または軽減する方法であって、それを必要とする患者に有効量のActRIIポリペプチド(例えば、配列番号1の残基30~110に対応するアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列)を投与することを含む方法に関する。いくつかの実施形態では、機能分類進行の軽減は、機能分類進行の遅延である。いくつかの実施形態では、方法は、WHOによって認定される、肺高血圧症機能分類の進行を予防または軽減することに関する。いくつかの実施形態では、方法は、WHOによって認定される、機能分類I肺高血圧症を有する患者に関する。いくつかの実施形態では、方法は、WHOによって認定される機能分類I肺高血圧症から機能分類II肺高血圧症への患者の進行を予防または軽減することに関する。いくつかの実施形態では、方法は、WHOによって認定される、機能分類II肺高血圧症を有する患者に関する。いくつかの実施形態では、方法は、WHOによって認定される機能分類II肺高血圧症から機能分類III肺高血圧症への患者の進行を予防または軽減することに関する。いくつかの実施形態では、方法は、WHOによって認定される、機能分類III肺高血圧症を有する患者に関する。いくつかの実施形態では、方法は、WHOによって認定される機能分類III肺高血圧症から機能分類IV肺高血圧症への患者の進行を予防または軽減することに関する。
【0266】
特定の態様では、本開示は、肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(ILD)、または気腫合併肺線維症(CPFE)に関連する肺高血圧症)における肺高血圧症機能分類の退行を促進または増進する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法に関する。いくつかの態様において、患者は、WHOによって認定される、機能分類I、機能分類II、機能分類IIIまたは機能分類IVの肺高血圧症を有する。いくつかの実施形態では、方法は、WHOによって認定される、機能分類II肺高血圧症を有する患者に関する。いくつかの実施形態では、方法は、WHOによって認定される、機能分類II肺高血圧症から機能分類I肺高血圧症への患者の退行を促進することに関する。いくつかの実施形態では、方法は、WHOによって認定される、機能分類III肺高血圧症を有する患者に関する。いくつかの実施形態では、方法は、WHOによって認定される、機能分類III肺高血圧症から機能分類II肺高血圧症への患者の退行を促進することに関する。いくつかの実施形態では、方法は、WHOによって認定される、機能分類III肺高血圧症から機能分類I肺高血圧症への患者の退行を促進することに関する。いくつかの実施形態では、方法は、WHOによって認定される、機能分類IV肺高血圧症を有する患者に関する。いくつかの実施形態では、方法は、WHOによって認定される、機能分類IV肺高血圧症から機能分類III肺高血圧症への患者の退行を促進することに関する。いくつかの実施形態では、方法は、WHOによって認定される、機能分類IV肺高血圧症から機能分類II肺高血圧症への患者の退行を促進することに関する。いくつかの実施形態では、方法は、WHOによって認定される、機能分類IV肺高血圧症から機能分類I肺高血圧症への患者の退行を促進することに関する。
【0267】
いくつかの実施形態では、患者が本明細書に開示されるActRIIポリペプチドを利用する治療を4週間受けた後に機能分類の退行を試験する。いくつかの実施形態では、患者が本明細書に開示されるActRIIポリペプチドを利用する治療を8週間受けた後に機能分類の退行を試験する。いくつかの実施形態では、患者が本明細書に開示されるActRIIポリペプチドを利用する治療を12週間受けた後に機能分類の退行を試験する。いくつかの実施形態では、患者が本明細書に開示されるActRIIポリペプチドを利用する治療を16週間受けた後に機能分類の退行を試験する。いくつかの実施形態では、患者が本明細書に開示されるActRIIポリペプチドを利用する治療を20週間受けた後に機能分類の退行を試験する。いくつかの実施形態では、患者が本明細書に開示されるActRIIポリペプチドを利用する治療を22週間受けた後に機能分類の退行を試験する。いくつかの実施形態では、患者が本明細書に開示されるActRIIポリペプチドを利用する治療を24週間受けた後に機能分類の退行を試験する。いくつかの実施形態では、患者が本明細書に開示されるActRIIポリペプチドを利用する治療を26週間受けた後に機能分類の退行を試験する。いくつかの実施形態では、患者が本明細書に開示されるActRIIポリペプチドを利用する治療を28週間受けた後に機能分類の退行を試験する。いくつかの実施形態では、患者が本明細書に開示されるActRIIポリペプチドを利用する治療を48週間受けた後に機能分類の退行を試験する。
【0268】
持続的な治療効果
特定の態様では、本開示は、肺疾患に関連する肺高血圧症の1つ以上の合併症を持続的な様式で治療、予防、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減する方法であって、それを必要とする患者に、配列番号1のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、または135のいずれか1つで終わるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む有効量のポリペプチドを投与することを含む方法を提供に関する。いくつかの実施形態では、持続的な様式は、本明細書に記載のActRIIポリペプチドの投与を減らした後の持続的な治療効果を含む。いくつかの実施形態では、持続的な様式は、本明細書に記載のActRIIポリペプチドの投与を中止した後の持続的な治療効果を含む。いくつかの実施形態では、持続的な治療効果は、機能的または血液学的測定値を経時的に維持することに関する。いくつかの実施形態では、持続的な治療効果は、PVRの持続的な減少として測定される。いくつかの実施形態では、患者のPVRレベルは、本明細書に記載のActRIIポリペプチド治療の中止後少なくとも1週間~少なくとも12週間増加しない。いくつかの実施形態では、患者のPVRレベルは、本明細書に記載のActRIIポリペプチド治療の中止後少なくとも1週間増加しない。いくつかの実施形態では、患者のPVRレベルは、本明細書に記載のActRIIポリペプチド治療の中止後少なくとも2週間増加しない。いくつかの実施形態では、患者のPVRレベルは、本明細書に記載のActRIIポリペプチド治療の中止後少なくとも3週間増加しない。いくつかの実施形態では、患者のPVRレベルは、本明細書に記載のActRIIポリペプチド治療の中止後少なくとも4週間増加しない。いくつかの実施形態では、患者のPVRレベルは、本明細書に記載のActRIIポリペプチド治療の中止後少なくとも5週間増加しない。いくつかの実施形態では、患者のPVRレベルは、本明細書に記載のActRIIポリペプチド治療の中止後少なくとも6週間増加しない。いくつかの実施形態では、患者のPVRレベルは、本明細書に記載のActRIIポリペプチド治療の中止後少なくとも1ヶ月~少なくとも6ヶ月間増加しない。
【0269】
特定の態様では、本開示は、患者における肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(ILD)または気腫合併肺線維症(CPFE)に関連する肺高血圧症)に関連する心肺リモデリングを治療または予防する方法であって、有効量のActRIIAポリペプチドをそれを必要とする患者に投与することを含む方法に関し、前記方法は、心臓リモデリングを減速させ、かつ/または心臓リモデリングを逆行させる。いくつかの実施形態では、逆行は持続的な逆行である。いくつかの実施形態では、心臓リモデリングは心室リモデリングである。いくつかの実施形態では、心室リモデリングは左室リモデリングである。いくつかの実施形態では、心室リモデリングは右室リモデリングである。いくつかの実施形態では、心臓リモデリングは心室拡張である。いくつかの実施形態では、方法は、心室中隔の拡張末期を減少させる。いくつかの実施形態では、方法は、心室後隔の拡張末期を減少させる。
【0270】
いくつかの実施形態では、心エコー測定値を使用して、持続的な治療効果を評価することができる。いくつかの実施形態では、心エコー測定値は、RV面積変化率(RVFAC)、sPAP、三尖弁輪収縮期速度(TASV)、およびTei指数を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるActRIIAポリペプチドで治療された患者は、持続的な治療効果を示す。いくつかの実施形態では、持続的な治療効果は、左室への腹壁の侵入の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、持続的な治療効果は、右室面積変化率(RVFAC)の増加をもたらす。
【0271】
様々なパラメータの経時的な測定
特定の実施形態では、本明細書に記載される肺高血圧症(例えば、肺疾患に関連する肺高血圧症(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(ILD)または気腫合併肺線維症(CPFE)に関連する肺高血圧症))の1つ以上の測定値は、様々な治療期間にわたって測定することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の肺高血圧症の測定値の1つまたは複数は、患者が本明細書に開示のActRIIポリペプチドを利用して4週間の治療を受けた後に測定される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の肺高血圧症の測定値の1つまたは複数は、患者が本明細書に開示のActRIIポリペプチドを利用して8週間の治療を受けた後に測定される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の肺高血圧症の測定値の1つまたは複数は、患者が本明細書に開示のActRIIポリペプチドを利用して12週間の治療を受けた後に測定される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の肺高血圧症の測定値の1つまたは複数は、患者が本明細書に開示のActRIIポリペプチドを利用して16週間の治療を受けた後に測定される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の肺高血圧症の測定値の1つまたは複数は、患者が本明細書に開示のActRIIポリペプチドを利用して20週間の治療を受けた後に測定される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の肺高血圧症の測定値の1つまたは複数は、患者が本明細書に開示のActRIIポリペプチドを利用して22週間の治療を受けた後に測定される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の肺高血圧症の測定値の1つまたは複数は、患者が本明細書に開示のActRIIポリペプチドを利用して24週間の治療を受けた後に測定される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の肺高血圧症の測定値の1つまたは複数は、患者が本明細書に開示のActRIIポリペプチドを利用して26週間の治療を受けた後に測定される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の肺高血圧症の測定値の1つまたは複数は、患者が本明細書に開示のActRIIポリペプチドを利用して28週間の治療を受けた後に測定される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の肺高血圧症の測定値の1つまたは複数は、患者が本明細書に開示のActRIIポリペプチドを利用して48週間の治療を受けた後に測定される。
【0272】
5.医薬組成物および投与様式
特定の実施形態では、本開示の治療方法は、組成物を全身、またはインプラントもしくは装置として局所に投与することを含む。投与される場合、本開示で使用するための治療用組成物は、実質的にパイロジェンフリー、またはパイロジェンフリーの生理学的に許容される形態である。任意で上記の組成物に含まれていてもよい、ActRIIポリペプチド以外の治療的に有用な薬剤は、本明細書に開示される方法において主題の化合物と同時にまたは連続的に投与され得る。
【0273】
典型的には、本明細書に開示されるタンパク質治療剤は、非経口的に、特に静脈内または皮下に投与される。非経口投与に適した医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容される滅菌等張水溶液もしくは非水溶液、分散液、懸濁液もしくはエマルジョン、または使用直前に滅菌注射液もしくは分散液に再構成され得る滅菌粉末と組み合わせて1つ以上のActRIIポリペプチドを含み得、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、意図されるレシピエントの血液との等張性を製剤に与える溶質、または懸濁化剤または増粘剤を含み得る。本開示の医薬組成物に使用され得る適切な水性および非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)およびそれらの適切な混合物、オリーブ油などの植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用、分散液の場合には必要な粒径の維持、および界面活性剤の使用によって維持することができる。製剤は、アンプルおよびバイアルなど、単位用量または複数用量の密封容器で提供することができ、使用直前に、注射用の滅菌液体賦形剤、例えば水の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存することができる。即時注射溶液および懸濁液は、本明細書に記載の種類の滅菌粉末、顆粒、および錠剤から調製することができる。
【0274】
組成物および製剤は、所望であれば、活性成分を含有する1つ以上の単位剤形を含有し得るパックまたはディスペンサー装置で提供され得る。パックは、例えば、ブリスターパックなどの金属またはプラスチック箔を含むことができる。パックまたはディスペンサー装置は、投与のための説明書を伴うことができる。
【0275】
さらに、組成物は、標的組織部位への送達のための形態にカプセル化または注入され得る。特定の実施形態では、本発明の組成物は、1つ以上の治療化合物(例えばActRIIポリペプチド)を標的組織部位に送達することができ、発達する組織のための構造を提供し、最適には体内に再吸収されることが可能なマトリックスを含み得る。例えば、マトリックスはActRIIポリペプチドの徐放を提供し得る。そのようなマトリックスは、他の移植医療用途に現在使用されている材料で形成されてもよい。
【0276】
マトリックス材料の選択は、生体適合性、生分解性、機械的特性、美容的な外観および界面特性に基づく。主題組成物の特定の用途は、適切な製剤を定義する。組成物用の可能性あるマトリックスは、生分解性であり、化学的に定義された硫酸カルシウム、リン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、ポリ乳酸およびポリ無水物であり得る。他の可能性のある材料は、生分解性であり、生物学的に十分に定義されている、例えば骨または皮膚コラーゲンである。さらなるマトリックスは、純粋なタンパク質または細胞外マトリックス成分から構成される。他の可能性のあるマトリックスは、非生分解性であり、化学的に定義されている、例えば、焼結ヒドロキシアパタイト、バイオガラス、アルミン酸塩または他のセラミックである。マトリックスは、ポリ乳酸とヒドロキシアパタイトまたはコラーゲンとリン酸三カルシウムなど、上記の種類の材料のいずれかの組み合わせから構成されてもよい。バイオセラミックは、リン酸カルシウム-アルミン酸塩などの組成を変更してもよく、プロセシングを変更して細孔径、粒径、粒子形状、および生分解性を変更してもよい。
【0277】
特定の実施形態では、本発明の方法は、それぞれが活性成分として所定量の薬剤を含有する、例えばカプセル、カシェ剤、丸剤、錠剤、ロゼンジ(香味基剤、通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガカントを使用する)、粉末、顆粒の形態で、または水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として、または水中油型もしくは油中水型液体エマルジョンとして、またはエリキシル剤もしくはシロップとして、または香錠(ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアなどの不活性基剤を使用する)として、および/または洗口剤等として経口的に投与することができる。薬剤はまた、ボーラス、舐剤またはペーストとして投与されてもよい。
【0278】
経口投与用の固体剤形(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖衣錠、粉末、顆粒等)では、1つ以上の本発明の治療化合物を、1つ以上の薬学的に許容される担体、例えばクエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム、および/または以下のいずれかと混合することができる:(1)充填剤または増量剤、例えばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/またはケイ酸;(2)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよび/またはアカシア;(3)保湿剤、例えばグリセロール;(4)崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウム;(5)溶解抑制剤(solution retarding agent)、例えばパラフィン;(6)吸収促進剤、例えば4級アンモニウム化合物;(7)湿潤剤、例えばセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール;(8)吸収剤、例えばカオリンおよびベントナイトクレイ;(9)潤滑剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよびそれらの混合物;ならびに(10)着色剤。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、医薬組成物は緩衝剤も含み得る。同様のタイプの固体組成物はまた、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用して、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル中の充填剤として使用され得る。
【0279】
経口投与のための液体剤形としては、薬学的に許容され得るエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤が挙げられる。活性成分に加えて、液体剤形は、当技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤、例えば水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、およびそれらの混合物を含有し得る。不活性希釈剤に加えて、経口組成物は、アジュバント、例えば湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味剤、香味剤、着色剤、芳香剤および保存剤も含むことができる。
【0280】
懸濁液は、活性化合物に加えて、懸濁化剤、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、およびソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカント、およびそれらの混合物を含有し得る。
【0281】
本発明の組成物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤などのアジュバントを含有し得る。微生物の活動の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などを含めることによって確実にすることができる。等張剤、例えば糖、塩化ナトリウムなどを組成物に含めることも望ましい場合がある。さらに、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅延させる薬剤を含めることによって、注射用医薬形態の遅延吸収をもたらすことができる。
【0282】
投与レジメンは、本開示の主題化合物(例えばActRIIポリペプチド)の作用を変更する様々な因子を考慮して、主治医によって決定されることが理解される。様々な因子には、患者の年齢、性別および食事、重症度疾患、投与回数、ならびに他の臨床的因子が含まれるが、これらに限定されない。場合により、投与量は、再構成に使用されるマトリックスの種類および組成物中の化合物の種類によって異なり得る。いくつかの実施形態では、患者の血液学的パラメータは、正常な赤血球レベルおよび/またはヘモグロビンレベル(例えば、ヘモグロビンレベル>16.0g/dLまたはヘモグロビンレベル>18.0g/dL)よりも高いかどうかを判定するために、定期的な評価によって監視することができる。いくつかの実施形態では、正常な赤血球レベルおよび/またはヘモグロビンレベルよりも高い患者は、レベルが正常または許容可能なレベルに戻るまで、遅延または低減された用量を受けることができる。
【0283】
患者が18g/dLを超えるヘモグロビンレベルまたは2g/dLを超えるヘモグロビンの増加を有する可能性は、ActRIIポリペプチドでの初期治療中に上昇する場合がある。特定の実施形態では、投薬レジメンを使用して、ヘモグロビンレベルの有害な変化を予防、改善、または減少させることができる。いくつかの実施形態では、本開示のActRIIポリペプチドは、投薬レジメンを使用して投与される。いくつかの実施形態では、方法は、本明細書に開示されるActRIIポリペプチドの、第1の期間のための0.1mg/kg~1.0mg/kgの前記ポリペプチドの第1の用量、および続いて第2の期間に投与される0.1mg/kg~1.0mg/kgの前記ポリペプチドの第2の用量を含む、治療有効量の投薬レジメンを患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、本明細書に開示されるActRIIポリペプチドの、第1の期間のための0.1mg/kg~1.0mg/kgの前記ポリペプチドの第1の用量、第2の期間に投与される0.1mg/kg~1.0mg/kgの前記ポリペプチドの第2の用量、および続いて第3の期間に投与される0.1mg/kg~1.0mg/kgの前記ポリペプチドの第3の用量を含む、治療有効量の投薬レジメンを患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、ActRIIポリペプチドの第1の用量は、約0.2mg/kg~約0.4mg/kgの量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、ActRIIポリペプチドの第1の用量は、0.3mg/kgの用量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、ActRIIポリペプチドの第2の用量は、約0.5mg/kg~約0.8mg/kgの量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、ActRIIポリペプチドの第2の用量は、0.7mg/kgの用量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、ActRIIポリペプチドの第3の用量は、約0.2mg/kg~約0.4mg/kgの量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、ActRIIポリペプチドの第3の用量は、0.3mg/kgの用量で患者に投与される。
【0284】
いくつかの実施形態では、投薬レジメンは、第1の用量のActRIIポリペプチドを0.3mg/kgの量で患者に投与し、引き続いて第2の用量のActRIIポリペプチドを0.7mg/kgの量で患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、投薬レジメンは、第1の用量のActRIIポリペプチドを0.3mg/kgの量で患者に投与すること、第2の用量のActRIIポリペプチドを0.7mg/kgの量で患者に投与すること、および第3の用量のActRIIポリペプチドを0.3mg/kgの量で患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、第2の用量は第1の用量を超える。いくつかの実施形態では、第1の用量は第2の用量を超える。いくつかの実施形態では、第3の用量は第2の用量を超える。いくつかの実施形態では、第2の用量は第3の用量を超える。いくつかの実施形態では、第1の期間は少なくとも3週間である。いくつかの実施形態では、第2の期間は少なくとも3週間である。いくつかの実施形態では、第3の期間は少なくとも3週間である。いくつかの実施形態では、第2の期間は少なくとも21週間である。いくつかの実施形態では、第2の期間は少なくとも45週間である。いくつかの実施形態では、第2の期間は第1の期間を超える。いくつかの実施形態では、第3の期間は第1の期間を超える。いくつかの実施形態では、第3の期間は第2の期間を超える。
【0285】
いくつかの実施形態では、第1の用量と第2の用量との間の投与量の変化は、様々な因子(例えば、ヘモグロビンレベル)を考慮して主治医によって決定される。いくつかの実施形態では、第2の用量と第3の用量との間の投与量の変化は、様々な因子(例えば、ヘモグロビンレベル)を考慮して主治医によって決定される。いくつかの実施形態では、様々な因子には、一定期間にわたる患者の血液学的パラメータの変化が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、患者の血液学的パラメータは、正常な赤血球レベルおよび/またはヘモグロビンレベル(例えば、ヘモグロビンレベル>16.0g/dLまたはヘモグロビンレベル>18.0g/dL)よりも高いかどうかを判定するために監視される。いくつかの実施形態では、患者の血液学的パラメータは、一定期間にわたるヘモグロビンレベルの上昇が正常よりも高い(例えば、3週間未満で2g/dLを超えるヘモグロビンレベルの上昇)かどうかを判定するために監視される。いくつかの実施形態では、治療前または治療中の患者の血液学的パラメータの1つまたは複数が異常である場合、患者の本明細書に開示されるActRIIポリペプチドの用量は減少される(例えば、用量を0.7mg/kgから0.3mg/kgへ減らす)。いくつかの実施形態では、治療前または治療中の患者の血液学的パラメータの1つまたは複数が異常である場合、患者の本明細書に開示されるActRIIポリペプチドの用量は維持される(例えば、0.3mg/kgから0.7mg/kgで維持される)。
【0286】
いくつかの実施形態では、投薬レジメンは、ActRIIポリペプチドの有害作用を予防、改善、または減少させる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される投薬レジメンによるActRIIポリペプチドの投与は、有害な副作用の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される投薬レジメンによるActRIIポリペプチドの投与は、第1の期間中にヘモグロビンレベルが18g/dLを超える可能性を低下させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される投薬レジメンによるActRIIポリペプチドの投与は、治療の最初の3週間にヘモグロビンレベルが18g/dLを超える可能性を低下させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される投薬レジメンによるActRIIポリペプチドの投与は、第1の期間中にヘモグロビンレベルの上昇が2g/dLを超える可能性を低下させる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される投薬レジメンによるActRIIポリペプチドの投与は、治療の最初の3週間にヘモグロビンレベルの上昇が2g/dLを超える可能性を低下させる。
【0287】
いくつかの実施形態では、本開示のActRIIポリペプチドを、0.1mg/kg~2.0mg/kgの用量範囲で投与する。いくつかの実施形態では、本開示のActRIIポリペプチドを0.1mg/kgで投与する。いくつかの実施形態では、本開示のActRIIポリペプチドを0.2mg/kgで投与する。いくつかの実施形態では、本開示のActRIIポリペプチドを0.3mg/kgで投与する。いくつかの実施形態では、本開示のActRIIポリペプチドを0.4mg/kgで投与する。いくつかの実施形態では、本開示のActRIIポリペプチドを0.5mg/kgで投与する。いくつかの実施形態では、本開示のActRIIポリペプチドを0.6mg/kgで投与する。いくつかの実施形態では、本開示のActRIIポリペプチドを0.7mg/kgで投与する。いくつかの実施形態では、本開示のActRIIポリペプチドを0.8mg/kgで投与する。いくつかの実施形態では、本開示のActRIIポリペプチドを0.9mg/kgで投与する。いくつかの実施形態では、本開示のActRIIポリペプチドを1.0mg/kgで投与する。いくつかの実施形態では、本開示のActRIIポリペプチドを1.1mg/kgで投与する。いくつかの実施形態では、本開示のActRIIポリペプチドを1.2mg/kgで投与する。いくつかの実施形態では、本開示のActRIIポリペプチドを1.3mg/kgで投与する。いくつかの実施形態では、本開示のActRIIポリペプチドを1.4mg/kgで投与する。いくつかの実施形態では、本開示のActRIIポリペプチドを1.5mg/kgで投与する。いくつかの実施形態では、本開示のActRIIポリペプチドを1.6mg/kgで投与する。いくつかの実施形態では、本開示のActRIIポリペプチドを1.7mg/kgで投与する。いくつかの実施形態では、本開示のActRIIポリペプチドを1.8mg/kgで投与する。いくつかの実施形態では、本開示のActRIIポリペプチドを1.9mg/kgで投与する。いくつかの実施形態では、本開示のActRIIポリペプチドを2.0mg/kgで投与する。
【0288】
特定の実施形態では、本開示のActRIIポリペプチドを1日1回投与する。特定の実施形態では、本開示のActRIIポリペプチドを1日2回投与する。特定の実施形態では、本開示のActRIIポリペプチドを週に1回投与する。特定の実施形態では、本開示のActRIIポリペプチドを週に2回投与する。特定の実施形態では、本開示のActRIIポリペプチドを週に3回投与する。特定の実施形態では、本開示のActRIIポリペプチドを2週間毎に投与する。特定の実施形態では、本開示のActRIIポリペプチドを3週間毎に投与する。特定の実施形態では、本開示のActRIIポリペプチドを4週間毎に投与する。特定の実施形態では、本開示のActRIIポリペプチドを毎月投与する。
【0289】
特定の実施形態では、本発明は、ActRIIポリペプチドのインビボ産生のための遺伝子療法も提供する。そのような療法は、上記の障害を有する細胞または組織へのActRIIポリペプチドポリヌクレオチド配列の導入によって、その治療効果を達成するであろう。ActRIIポリペプチドポリヌクレオチド配列の送達は、組換え発現ベクター、例えばキメラウイルスまたはコロイド分散系を使用して達成することができる。標的化リポソームは、ActRIIポリペプチドポリヌクレオチド配列の治療的送達のために使用することができる。
【0290】
本明細書で教示される遺伝子療法に利用することができる様々なウイルスベクターには、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニア、または好ましくはレトロウイルスなどのRNAウイルスが含まれる。好ましくは、レトロウイルスベクターは、マウスまたは鳥類レトロウイルスの誘導体である。単一の外来遺伝子を挿入することができるレトロウイルスベクターの例には、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMuLV)、ハーベイマウス肉腫ウイルス(HaMuSV)、マウス乳癌ウイルス(MuMTV)およびラウス肉腫ウイルス(RSV)が含まれるが、これらに限定されない。いくつかのさらなるレトロウイルスベクターは、複数の遺伝子を組み込むことができる。これらのベクターはすべて、形質導入された細胞が同定および生成され得るように、選択マーカーのための遺伝子を移入または組み込むことができる。レトロウイルスベクターは、例えば、糖、糖脂質、またはタンパク質を結合させることによって標的特異的にすることができる。標的化は、抗体を使用することによって達成され得る。当業者は、特定のポリヌクレオチド配列をレトロウイルスゲノムに挿入するか、またはウイルスエンベロープに付着させて、ActRIIポリペプチドを含むレトロウイルスベクターの標的特異的送達を可能にすることができることを認識するであろう。一実施形態では、ベクターは骨または軟骨を標的とする。
【0291】
あるいは、組織培養細胞を、従来のリン酸カルシウムトランスフェクションによって、レトロウイルス構造遺伝子gag、polおよびenvをコードするプラスミドで直接トランスフェクトすることができる。次いで、これらの細胞に、目的の遺伝子を含むベクタープラスミドをトランスフェクトする。得られた細胞は、培養培地中にレトロウイルスベクターを放出する。
【0292】
ActRIIポリペプチドポリヌクレオチド用の別の標的化送達系は、コロイド分散系である。コロイド分散系には、高分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズ、ならびに水中油型エマルジョン、ミセル、混合ミセル、およびリポソームを含む脂質ベース系が含まれる。本発明の1つのコロイド系はリポソームである。リポソームは、インビトロおよびインビボでの送達ビヒクルとして有用な人工膜ベシクルである。RNA、DNAおよび無傷のビリオンを水性内部に封入し、生物学的に活性な形態で細胞に送達することができる(例えば、Fraley,et al.,Trends Biochem.Sci.,6:77,1981を参照されたい)。リポソームビヒクルを使用する効率的な遺伝子導入のための方法は、当技術分野で公知であり、例えば、Mannino,et al.、Biotechniques,6:682,1988を参照されたい。リポソームの組成は、通常、リン脂質の組み合わせであり、通常、ステロイド、特にコレステロールと組み合わせられる。他のリン脂質または他の脂質も使用され得る。リポソームの物理的特性は、pH、イオン強度、および二価カチオンの存在に依存する。
【0293】
リポソーム製造に有用な脂質の例としては、ホスファチジル化合物、例えばホスファチジルグリセロール、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴ脂質、セレブロシド、およびガングリオシドが挙げられる。例示的なリン脂質としては、卵ホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリンおよびジステアロイルホスファチジルコリンが挙げられる。リポソームの標的化はまた、例えば、器官特異性、細胞特異性およびオルガネラ特異性に基づいて可能であり、当該分野で公知である。
【0294】
本開示は、pHを調整するための酸および塩基;ならびにpHを狭い範囲内に維持するための緩衝剤を含むように変更され得る製剤を提供する
6.キット
本開示は、凍結乾燥ポリペプチドおよび注射装置を含むキットを提供する。特定の実施形態では、凍結乾燥ポリペプチドは、ActRIIポリペプチド(例えば、配列番号1のアミノ酸30~110と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるポリペプチド)、またはその断片、機能的バリアント、もしくは修飾形態を含む。特定の実施形態では、凍結乾燥ポリペプチドは、アクチビンA、アクチビンB、およびGDF11からなる群から選択される1つまたは複数のリガンドに結合する。特定の実施形態では、凍結乾燥ポリペプチドは、BMP10、GDF8、およびBMP6からなる群から選択される1つまたは複数のリガンドにさらに結合する。特定の実施形態では、凍結乾燥ポリペプチドは、アクチビンおよび/またはGDF11に結合する。
【0295】
いくつかの実施形態では、凍結乾燥ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸21~30のいずれか1つに対応する残基で始まり(例えば、アミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか一つで始まり)、配列番号1のアミノ酸110~135のいずれか1つに対応する位置で終わる(例えば、アミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134または135のいずれか一つで終わる)ポリペプチドの一部と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなるポリペプチドを含む。特定の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1の残基30~110に対応するアミノ酸配列と少なくとも90%、95%または99%同一のアミノ酸配列を含み、ポリペプチドはアクチビンおよび/またはGDF11に結合する。特定の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1の残基30~110に対応するアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1の残基30~110に対応するアミノ酸配列からなる。特定の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1の残基21~135に対応するアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、または99%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。特定の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1の残基21~135に対応するアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1の残基21~135に対応するアミノ酸配列からなる。
【0296】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列から本質的になる。他の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列からなる。
【0297】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号3のアミノ酸配列からなる。他の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号3のアミノ酸配列からなる。
【0298】
前述の特定の実施形態では、凍結乾燥ポリペプチドは、免疫グロブリンのFcドメインをさらに含む融合タンパク質を含む。特定のこのような実施形態では、免疫グロブリンのFcドメインは、IgG1免疫グロブリンのFcドメインである。他の実施形態では、融合タンパク質は、ポリペプチドドメインと免疫グロブリンのFcドメインとの間に配置されたリンカードメインをさらに含む。特定の実施形態では、リンカードメインは、TGGG(配列番号20)、TGGGG(配列番号18)、SGGGG(配列番号19)、GGGGS(配列番号22)、GGG(配列番号16)、GGGG(配列番号17)、およびSGGG(配列番号21)からなる群から選択される。特定の実施形態では、リンカードメインは、TGGG(配列番号20)を含む。
【0299】
特定の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号23のアミノ酸配列からなる。他の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号23のアミノ酸配列からなる。
【0300】
特定の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号30のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号30のアミノ酸配列からなる。他の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号30のアミノ酸配列からなる。
【0301】
特定の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号41のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号41のアミノ酸配列からなる。他の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号41のアミノ酸配列からなる。
【0302】
特定の実施形態では、凍結乾燥ポリペプチドは、ホモ二量体タンパク質複合体の一部である。特定の実施形態では、ポリペプチドはグリコシル化されている。
【0303】
本開示は、本明細書に開示される凍結乾燥ポリペプチドを含む滅菌粉末および注射装置を含むキットを提供する。本明細書に開示されるキットのいくつかの実施形態では、凍結乾燥ポリペプチドを含む滅菌粉末は、1つ以上の容器、例えば1つ以上のバイアルに予め充填される。
【0304】
特定の実施形態では、凍結乾燥ポリペプチドを含む滅菌粉末のpH範囲は、7~8である。いくつかの実施形態では、凍結乾燥ポリペプチドを含む滅菌粉末は、緩衝剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、緩衝剤は、少なくとも10mMの量で添加され得る。いくつかの実施形態では、緩衝剤は、約10mM~約200mMの範囲の量で添加されてもよい。いくつかの実施形態では、緩衝剤は、クエン酸一水和物および/またはクエン酸三ナトリウム二水和物を含む。
【0305】
いくつかの実施形態では、凍結乾燥ポリペプチドを含む滅菌粉末は、界面活性剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤はポリソルベートを含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤はポリソルベート80を含む。
【0306】
いくつかの実施形態では、凍結乾燥ポリペプチドを含む滅菌粉末は、ライオプロテクタントをさらに含む。いくつかの実施形態では、ライオプロテクタントは、二糖(例えば、スクロース)などの糖を含む。いくつかの実施形態では、ライオプロテクタントは、スクロース、トレハロース、マンニトール、ポリビニルピロリドン(PVP)、デキストロースおよび/またはグリシンを含む。いくつかの実施形態では、ライオプロテクタントはスクロースを含む。いくつかの実施形態では、滅菌粉末は、ライオプロテクタントおよび凍結乾燥ポリペプチドを、少なくとも1:1の凍結乾燥ポリペプチド対ライオプロテクタントの重量比で含む。いくつかの実施形態では、滅菌粉末は、ライオプロテクタントおよび凍結乾燥ポリペプチドを、1:1~1:10の凍結乾燥ポリペプチド対ライオプロテクタントの重量比で含む。いくつかの実施形態では、滅菌粉末は、ライオプロテクタントおよび凍結乾燥ポリペプチドを、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、または1:10の凍結乾燥ポリペプチド対ライオプロテクタントの重量比で含む。いくつかの実施形態では、滅菌粉末は、ライオプロテクタントおよび凍結乾燥ポリペプチドを、1:6の凍結乾燥ポリペプチド対ライオプロテクタントの重量比で含む。前述の特定の実施形態では、滅菌粉末は、凍結乾燥ポリペプチドを安定化するのに十分な量のライオプロテクタントを含む。
【0307】
本明細書に開示されるキットの特定の実施形態では、注射装置はシリンジを含む。特定のそのような実施形態では、シリンジは再構成溶液で予め充填されている。いくつかの実施形態では、再構成溶液は、薬学的に許容される担体および/または賦形剤を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、水溶液、例えば、水、生理学的に緩衝化された生理食塩水、または他の溶媒もしくはビヒクル、例えば、グリコール、グリセロール、油もしくは注射可能な有機エステルを含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ハライト、金属酸化物、糖、糖アルコール、デンプン、グリコール、ポビドン、鉱物炭化水素、アクリルポリマー、脂肪アルコール、ステアリン酸鉱物、グリセリンおよび/または脂質から選択される薬学的に許容される賦形剤を含む。特定の実施形態では、再構成溶液は、薬学的に許容される滅菌等張水溶液または非水溶液、分散液、懸濁液またはエマルジョンを含む。特定のこのような実施形態では、再構成溶液は、製剤を意図するレシピエントの血液と等張にする抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および/または溶質を含む。他の実施形態では、再構成溶液は、懸濁化剤または増粘剤を含む。
【0308】
本明細書に開示されるキットの特定の実施形態では、キットはバイアルアダプタをさらに含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥ポリペプチドを含む滅菌粉末で予め充填されたバイアルは、バイアルアダプタの一端に結合される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される再構成溶液で予め充填されたシリンジは、バイアルアダプタの端部に結合される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される再構成溶液で予め充填されたシリンジおよび凍結乾燥ポリペプチドを含む滅菌粉末で予め充填されたバイアルは、バイアルアダプタの両端に結合される。いくつかの実施形態では、再構成溶液は、予め充填されたシリンジからバイアルに移される。いくつかの実施形態では、凍結乾燥ポリペプチドを含む滅菌粉末で予め充填されたバイアルへの再構成溶液の移送によって、凍結乾燥ポリペプチドが滅菌注射液に再構成される。いくつかの実施形態では、凍結乾燥ポリペプチドを滅菌注射液に再構成する。いくつかの実施形態では、使用前に凍結乾燥ポリペプチドを滅菌注射液に再構成する。
【0309】
本明細書に開示されるキットの他の実施形態では、キットはポンプ装置をさらに含む。特定の実施形態では、ポンプ装置は、電気機械式ポンプアセンブリを含む。特定の実施形態では、ポンプ装置は、滅菌注射液を保持するためのリザーバを備える。特定の実施形態では、リザーバは、1mLの滅菌注射液を保持する。特定の実施形態では、ポンプ装置は、滅菌注射液を含む1つ以上のバイアルまたはカートリッジを含む。特定の実施形態では、バイアルまたはカートリッジは、滅菌注射液で予め充填される。特定の実施形態では、バイアルまたはカートリッジは、凍結乾燥ポリペプチドから再構成された滅菌注射液を含む。特定の実施形態では、リザーバはバイアルまたはカートリッジに連結される。特定の実施形態では、バイアルまたはカートリッジは、1~20mLの滅菌注射液を保持する。特定の実施形態では、電気機械式ポンプアセンブリは、ポンプチャンバを含む。特定の実施形態では、電気機械式ポンプアセンブリは、リザーバに連結される。特定の実施形態では、滅菌注射液は、リザーバからポンプチャンバ内に受容される。いくつかの実施形態では、電気機械式ポンプアセンブリはプランジャを含み、それは、ポンプチャンバ内の滅菌注射液がプランジャと直接接触するように配置される。特定の実施形態では、滅菌注射液は、第1のポンピング段階中にリザーバからポンプチャンバに受容され、第2のポンピング段階中にポンプチャンバから対象に送達される。特定の実施形態では、電気機械式ポンプアセンブリは、制御回路を含む。特定の実施形態では、制御回路は、プランジャを駆動して、(a)第1のポンピング段階中にポンプチャンバ内に滅菌注射液を吸い込み、(b)第2のポンピング段階中にプランジャの複数の分散した動作でポンプチャンバから滅菌注射液を送達し、それにより、第2のポンピング段階全体を通して制御された別々の複数の投与量で治療物質を対象に送達する。特定の実施形態では、所望の用量が投与されるまで、第1および第2のポンピング段階が交互に起こるサイクルを繰り返してもよい。特定の実施形態では、ポンプ装置はウェアラブルパッチに連結される。特定の実施形態では、ポンプ装置はウェアラブルポンプ装置である。いくつかの実施形態では、ポンプ装置は3週間毎に用量を投与する。いくつかの実施形態では、ポンプ装置は、皮下注射を介して用量を投与する。
【0310】
本開示は、凍結乾燥ポリペプチドを滅菌注射液に再構成するために使用されるキットを提供する。特定の実施形態において、得られた滅菌注射液は、本明細書中に開示される方法において有用である。
【0311】
本明細書に開示されるキットの特定の実施形態では、キットは、滅菌注射液の非経口投与において使用するための注射用装置をさらに含む。いくつかの実施形態では、滅菌注射液は皮下注射によって投与される。いくつかの実施形態では、滅菌注射液は皮内注射によって投与される。いくつかの実施形態では、滅菌注射液は筋肉内注射によって投与される。いくつかの実施形態では、滅菌注射液は静脈内注射によって投与される。いくつかの実施形態では、滅菌注射液は自己投与される。いくつかの態様では、滅菌注射液は治療有効用量を含む。いくつかの実施形態では、治療有効用量は、重量ベースの用量を含む。いくつかの実施形態では、重量ベース用量は0.3mg/kgである。いくつかの実施形態では、重量ベース用量は0.7mg/kgである。
【0312】
本明細書に開示されるキットのいくつかの実施形態では、キットは、凍結乾燥ポリペプチドを含有する1つ以上のバイアルまたはカートリッジをさらに含む。いくつかの実施形態では、キットは、凍結乾燥ポリペプチドを含有する少なくとも2つのバイアルまたはカートリッジを含む。いくつかの実施形態では、キットは、凍結乾燥ポリペプチドを含有する少なくとも3つのバイアルまたはカートリッジを含む。いくつかの実施形態では、2つのバイアルは、同じまたは異なる量の凍結乾燥ポリペプチドを含有することができる。いくつかの実施形態では、バイアルまたはカートリッジは、25mg~60mgの凍結乾燥ポリペプチドを含有するバイアルまたはカートリッジを含む。いくつかの実施形態では、バイアルまたはカートリッジの少なくとも1つは、60mgの凍結乾燥ポリペプチドを含有するバイアルまたはカートリッジを含む。いくつかの実施形態では、バイアルまたはカートリッジの少なくとも1つは、45mgの凍結乾燥ポリペプチドを含有するバイアルまたはカートリッジを含む。いくつかの実施形態では、バイアルまたはカートリッジの少なくとも1つは、30mgの凍結乾燥ポリペプチドを含有するバイアルまたはカートリッジを含む。いくつかの実施形態では、バイアルまたはカートリッジの少なくとも1つは、25mgの凍結乾燥ポリペプチドを含有するバイアルまたはカートリッジを含む。いくつかの実施形態では、第1のバイアルまたはカートリッジは45mgの凍結乾燥ポリペプチドを含有し、第2のバイアルまたはカートリッジは60mgの凍結乾燥ポリペプチドを含有する。いくつかの実施形態では、第1のバイアルまたはカートリッジは30mgの凍結乾燥ポリペプチドを含有し、第2のバイアルまたはカートリッジは60mgの凍結乾燥ポリペプチドを含有する。いくつかの実施形態では、第1のバイアルまたはカートリッジは30mgの凍結乾燥ポリペプチドを含有し、第2のバイアルまたはカートリッジは45mgの凍結乾燥ポリペプチドを含有し、第3のバイアルまたはカートリッジは60mgの凍結乾燥ポリペプチドを含有する。いくつかの実施形態では、第1のバイアルまたはカートリッジは25mgの凍結乾燥ポリペプチドを含有し、第2のバイアルまたはカートリッジは45mgの凍結乾燥ポリペプチドを含有し、第3のバイアルまたはカートリッジは60mgの凍結乾燥ポリペプチドを含有する。いくつかの実施形態において、1つ以上のバイアルまたはカートリッジは、2~8℃で冷蔵される。
【0313】
7.実施例
上記の開示は、以下の実施例を参照することによってより容易に理解され、それらは本発明の特定の実施形態の例示の目的のためだけに含まれ、限定を意図するものではない。
【0314】
[実施例1]
ActRIIA-Fc融合タンパク質
最小リンカーを間に挟んでヒトまたはマウスFcドメインに融合されたヒトActRIIAの細胞外ドメインを有する、可溶性ActRIIA融合タンパク質を構築した。構築物は、それぞれActRIIA-hFcおよびActRIIA-mFcと呼ばれる。
【0315】
CHO細胞株から精製した場合のActRIIA-hFcを以下に示す(配列番号23)。
【0316】
【0317】
CHO細胞株から精製した場合の、C末端リジンを欠くさらなるActRIIA-hFcを以下に示す(配列番号41):
【0318】
ActRIIA-hFcおよびActRIIA-mFcタンパク質をCHO細胞株で発現させた。3つの異なるリーダー配列を検討した:
(i)ミツバチメリチン(HBML):MKFLVNVALVFMVVYISYIYA(配列番号24)
(ii)組織プラスミノーゲンアクチベーター(TPA):MDAMKRGLCCVLLLCGAVFVSP(配列番号25)
(iii)天然:MGAAAKLAFAVFLISCSSGA(配列番号26)。
【0319】
選択された形態は、TPAリーダーを使用し、以下の未処理アミノ酸配列を有する。
【0320】
【0321】
このポリペプチドは、以下の核酸配列によってコードされる。
【0322】
【0323】
ActRIIA-hFcおよびActRIIA-mFcの両方が、組換え発現に著しく適していた。
図4Aおよび
図4Bに示すように、タンパク質を、単一の、明確に定義されたピークとして精製した。N末端配列決定により、-ILGRSETQEの単一配列が明らかになった(配列番号29)。精製は、例えば、任意の順序で以下の3つ以上を含む一連のカラムクロマトグラフィー工程によって達成することができた:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、および陽イオン交換クロマトグラフィー。ウイルス濾過および緩衝液交換によって精製を完了することができた。ActRIIA-hFcタンパク質を、サイズ排除クロマトグラフィーによって測定して98%超、SDS PAGEによって測定して95%超の純度に精製した。
【0324】
ActRIIA-hFcおよびActRIIA-mFcは、リガンドに対して高い親和性を示した。GDF11またはアクチビンAを、標準的なアミンカップリング手順を用いてBiacore(商標)CM5チップに固定化した。ActRIIA-hFcおよびActRIIA-mFcタンパク質をシステムにロードし、結合を測定した。ActRIIA-hFcは、5×10
-12の解離定数(K
D)でアクチビンに結合し、9.96×10
-9のK
DでGDF11に結合した。
図5Aおよび
図5Bを参照されたい。同様の結合アッセイを使用して、ActRIIA-hFcは、例えばアクチビンB、GDF8、BMP6、およびBMP10を含む他のTGF-βスーパーファミリーリガンドに対して高~中程度の親和性を有すると決定された。ActRIIA-mFcも同様に挙動した。
【0325】
ActRIIA-hFcは、薬物動態試験において非常に安定していた。ラットに1mg/kg、3mg/kg、または10mg/kgのActRIIA-hFcタンパク質を投与し、タンパク質の血漿レベルを24、48、72、144、および168時間で測定した。別の試験では、ラットに1mg/kg、10mg/kg、または30mg/kgを投与した。ラットでは、ActRIIA-hFcは11~14日の血清半減期を有し、薬物の循環レベルは2週間後に非常に高かった(1mg/kg、10mg/kg、または30mg/kgの初期投与に対して、それぞれ11μg/ml、110μg/ml、または304μg/ml。)。カニクイザルでは、血漿半減期は実質的に14日を超え、薬物の循環レベルは、1mg/kg、10mg/kg、または30mg/kgの初期投与でそれぞれ25μg/ml、304μg/ml、または1440μg/mlであった。
【0326】
[実施例2]
ActRIIA-hFcタンパク質の特性評価
ActRIIA-hFc融合タンパク質を、配列番号25の組織プラスミノゲンリーダー配列を使用して、pAID4ベクター(SV40 ori/エンハンサー、CMVプロモーター)から安定にトランスフェクトされたCHO-DUKX B11細胞で発現させた。実施例1で上述されるように精製したタンパク質は、配列番号23の配列を有していた。Fc部分は、配列番号23に示されるように、ヒトIgG1 Fc配列である。タンパク質分析は、ActRIIA-hFc融合タンパク質がジスルフィド結合を有するホモ二量体として形成されることを明らかにする。
【0327】
CHO細胞発現材料は、ヒト293細胞で発現されるActRIIA-hFc融合タンパク質について報告されたものよりも高いアクチビンBリガンドに対する親和性を有する[del Re et al.(2004)J Biol Chem.279(51):53126-53135]。さらに、他のリーダー配列と比較して、TPAリーダー配列の使用はより多くの産物をもたらし、天然のリーダーで発現されるActRIIA-Fcとは異なり、高純度のN末端配列をもたらした。天然のリーダー配列を使用すると、ActRIIA-Fcの2つの主要な種が得られ、それぞれ異なるN末端配列を有する。
【0328】
[実施例3]
代替ActRIIA-Fcタンパク質
本明細書に記載の方法に従って使用され得る様々なActRIIAバリアントは、国際公開第2006/012627号として公開された国際特許出願に記載されており(例えば、55~58頁を参照のこと)、その全体は、参照により本明細書に組み込まれる。代替構築物は、C末端尾部(ActRIIAの細胞外ドメインの最後の15アミノ酸)の欠失を有し得る。そのような構築物の配列を以下に示す(Fc部分に下線を引く)(配列番号30):
【0329】
[実施例4]
2つのブレオマイシン誘発肺高血圧症および線維症ラットモデルにおけるActRIIA-mFcのグループ3肺高血圧症への効果
ActRIIA-mFc融合タンパク質(実施例1に記載のActRIIA-mFcホモ二量体)の効果を、グループ3肺高血圧症(Grp3-PH)の2つのラットモデルで調べた[Xiong et al.,Hypertension 71(1):34-55(2018);Schroll et al.,Respir Physiol Neurobiol 170(1):32-36(2010)]。
【0330】
1つのモデルでは、12匹のWistar雄ラットに、0日目に単回用量のブレオマイシン(Bleo、0.6U/ラット)を気管内投与し、以下の2つの処置群に無作為化した(ラット6匹/群):1)モノクロタリン(MCT、試験7日目に単回用量として60mg/kgをs.c.投与)およびトリス緩衝生理食塩水(3日毎に1ml/kg、s.c.)による処置(ビヒクル処置群)、2)MCT(試験の7日目に単回用量として60mg/kgをs.c.投与)およびActRIIA-mFc(3日毎に5mg/kgをs.c.投与)による処置。ラットを35日間処置した。試験の初めから終わりまで体重を毎週記録した。
【0331】
42日目に、ラットを約3~4%イソフルランで麻酔し、制御された加熱パッド上に置いた。右室収縮期圧(RVSP)は、約1.5~2%イソフルオラン麻酔下で、右頸静脈を介して右心室(RV)に2F曲線先端圧力変換カテーテル(SPR-513、Millar Instruments)を前進させることによって測定した。RV自由壁とLV+隔壁との重量比(RV/LV+S、Fulton’s Index)を得ることによってRV肥大を評価した。肺を回収し、10%ホルマリンで固定し、パラフィンに包埋し、マッソントリクローム染色用に切片化して線維症を評価した。
【0332】
Bleo-MCT PH-ILDラットモデルにおける肺高血圧症およびRV肥大のActRIIA-mFc処置の効果を
図6A~
図6Dに示す。
図6Bおよび
図6Cに示すように、Bleo-MCT処置ラット(Bleo/MCT-PBS群)は、対照動物と比較してRVSPの上昇および右心肥大を有することが観察され、肺高血圧症およびRVリモデリングの確立を示している。さらに、肺線維症の増加がBleo-MCTラットで観察された(
図6D)。ActRIIA-mFc処置は、RVSPの増加(73%)および心肥大(87%)を有意に減少させた。ActRIIA-mFc処置は、肺線維症の減少傾向も示した。
【0333】
別のモデルでは、6匹のSprague-Dawley雄ラットに、0日目に単回用量のブレオマイシン(Bleo、0.6U/ラット)を気管内投与し、以下の2つの処置群に無作為化した:1)セマキサニブ(試験7日目に単回用量として20mg/kgをs.c.投与)/低酸素およびトリス緩衝生理食塩水(3日毎に1ml/kg、s.c.投与)による処置(Bleo/Su/Hx-PBS群)、2)セマキサニブ(試験の7日目に単回用量として20mg/kgをs.c.投与)およびActRIIA-mFc(3日毎に5mg/kgをs.c.投与)による処置。ラットを35日間処置した。試験の初めから終わりまで体重を毎週記録した。
【0334】
42日目に、ラットを約3~4%イソフルランで麻酔し、制御された加熱パッド上に置いた。右室収縮期圧(RVSP)は、約1.5~2%イソフルオラン麻酔下で、右頸静脈を介して右心室(RV)に2F曲線先端圧力変換カテーテル(SPR-513、Millar Instruments)を前進させることによって測定した。RV自由壁とLV+隔壁との重量比(RV/LV+S、Fulton’s Index)を得ることによってRV肥大を評価した。
【0335】
図7Aから
図7Cに示すように、Bleo-MCT処置ラット(Bleo/Su/Hx-PBS群)は、対照動物と比較して増加したRVSPおよび右心肥大を有することが観察され、肺高血圧症およびRVリモデリングの確立を示している。ActRIIA-mFc処置は、RVSPの増加(87%)および心肥大(84%)を有意に減少させた。
【0336】
まとめると、これらのデータは、ActRIIA-mFcが2つのブレオマイシン誘発グループ3肺高血圧症モデルにおいて肺高血圧症の改善に有効であることを実証している。特に、ActRIIA-mFcは、RVSPおよび右心肥大の減少に有意な効果を有していた。さらに、データは、ActRIIAポリペプチドが、グループ3 PHの治療、特にグループ3 PHの様々な合併症の予防または重症度の軽減に有用であり得ることを示している。
【0337】
[実施例5]
PHのLPS誘発COPDモデルにおけるActRIIA-mFcのグループ3肺高血圧症に対する効果
PH-COPDを、12匹のWistar雄ラットにおいて、リポ多糖(LPS)(0.9%のNaClで希釈した0.6mg/mL、1mL/kg体重で7週間にわたる隔週の気管内投与、および2週間のLPSの気管内滴下後の5週間にわたる慢性低酸素(10% O
2)への曝露によって誘導した。PH-COPDラットを以下の3つの処置群に無作為化した:1)リン酸緩衝生理食塩水(2~7週目に1ml/kgをbiw s.c.)(ビヒクル処置群)、2)ActRIIA-mFc(2~7週目に10mg/kgをs.c biw投与)、および3)ActRIIA-mFc(3~7週目に10mg/kgをs.c biw投与)。試験の初めから終わりまで体重を毎週記録した。治療プロトコルを
図8Aに示す。
【0338】
7週目に、ラットを約3~4%イソフルランで麻酔し、制御された加熱パッド上に置いた。右室収縮期圧(RVSP)は、約1.5~2%イソフルオラン麻酔下で、右頸静脈を介して右心室(RV)に2F曲線先端圧力変換カテーテル(SPR-513、Millar Instruments)を前進させることによって測定した。RV自由壁とLV+隔壁との重量比(RV/LV+S、Fulton’s Index)を得ることによってRV肥大を評価した。
【0339】
図8Bおよび
図8Cに示すように、ビヒクル処置ラット(処置群1)は、対照動物と比較して増加したRVSPおよび右心肥大を有することが観察され、肺高血圧症およびRVリモデリングの確立を示している。ActRIIA-mFc処置は、RVSPの増加を処置群2で80%、処置群3で90%有意に減少させた。ActRIIA-mFc処置は、RV肥大の増加を処置群2で84%、処置群3で83%有意に減少させた。
【0340】
これらのデータは、ActRIIA-mFcが、LPS/低酸素誘発PH-COPD(グループ3のPH)ラット肺高血圧症モデルにおける肺高血圧症の改善に有効であることを実証している。特に、ActRIIA-mFcは、RVSPおよび右心肥大の減少に有意な効果を有していた。さらに、データは、ActRIIAポリペプチドが、グループ3 PHの治療、特にグループ3 PHの様々な合併症の予防または重症度の軽減に有用であり得ることを示している。
【配列表】
【国際調査報告】