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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】撮像装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/60 20230101AFI20240528BHJP
   H04N 25/46 20230101ALI20240528BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20240528BHJP
【FI】
H04N25/60
H04N25/46
H04N23/60 500
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529399
(86)(22)【出願日】2022-04-25
(85)【翻訳文提出日】2022-05-19
(86)【国際出願番号】 CN2022089097
(87)【国際公開番号】W WO2023206030
(87)【国際公開日】2023-11-02
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516180667
【氏名又は名称】北京小米移動軟件有限公司
【氏名又は名称原語表記】Beijing Xiaomi Mobile Software Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.018, Floor 8, Building 6, Yard 33, Middle Xierqi Road, Haidian District, Beijing 100085, China
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】山下 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】小黒 裕介
(72)【発明者】
【氏名】小林 篤
【テーマコード(参考)】
5C024
5C122
【Fターム(参考)】
5C024CX11
5C024GX03
5C024GX14
5C024GX18
5C024GY39
5C024GY41
5C024GZ24
5C024HX05
5C024HX17
5C122DA03
5C122DA04
5C122EA27
5C122FC10
5C122FD01
5C122FD07
5C122FH23
5C122HA35
5C122HB01
(57)【要約】
撮像装置100は、グループ化された複数の画素で構成される単位画素群において、ビニングにより少なくとも1つの画素で構成される第1画素群に基づく第1部分ビニングデータp1を取得するデータ取得部20と、第1部分ビニングデータp2と、単位画素群のうち第1画素群以外の画素で構成される第2画素群に基づく第2部分ビニングデータp2との相互相関に基づいて、単位画素群で構成される領域の映像信号の周波数特性を解析する解析部30と、解析結果に基づいて、単位画素群で構成される領域に発生するモアレを除去するモアレ除去部40と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グループ化された複数の画素で構成される単位画素群において、ビニングにより少なくとも1つの画素で構成される第1画素群に基づく第1部分ビニングデータを取得するデータ取得部と、
前記第1部分ビニングデータと、前記単位画素群のうち前記第1画素群以外の画素で構成される第2画素群に基づく第2部分ビニングデータとの相互相関に基づいて、前記単位画素群で構成される領域の映像信号の周波数特性を解析する解析部と、
前記解析結果に基づいて、前記単位画素群により構成される領域の映像信号に基づいて生成される画像に発生するモアレを除去するモアレ除去部と、を備える、
撮像装置。
【請求項2】
前記モアレ除去部は、ローパスフィルタにより前記映像信号の高周波成分を除去することにより前記モアレを除去する、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記モアレ除去部は、前記単位画素群の近傍の単位画素群で構成される領域の映像信号に基づいて前記モアレを除去する、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記データ取得部は、前記単位画素群を構成する全画素に基づく全ビニングデータを取得し、
前記第2部分ビニングデータは、前記全ビニングデータから前記第1部分ビニングデータを減算することにより取得される、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記複数の画素に対応して構成される各フォトダイオードは、共通のフローティングディフュージョンに接続されている、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記フローティングディフュージョンは、複数の電荷電圧変換ゲインを切り替え可能であり、
前記データ取得部は、前記複数の電荷電圧変換ゲインのうち低変換ゲインでの前記第1部分ビニングデータを取得し、
前記解析部は、前記低変換ゲインでの前記第1部分ビニングデータと前記第2部分ビニングデータとの相互相関に基づいて、前記単位画素群で構成される領域の映像信号の周波数特性を解析し、
前記モアレ除去部は、前記低変換ゲインでの前記解析結果に基づいて、前記単位画素群で構成される領域に発生するモアレを除去する、
請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記複数の画素のそれぞれは、さらに、2つ以上のサブ画素から構成され、
前記データ取得部は、前記2つ以上のサブ画素において、ビニングにより少なくとも1つ以上のサブ画素で構成される第1サブ画素群に基づく第1サブ部分ビニングデータ、および前記第1サブ画素群以外のサブ画素で構成される第2サブ画素群に基づく第2サブ部分ビニングデータを取得し、
前記第1サブ部分ビニングデータおよび前記第2サブ部分ビニングデータは、位相差オートフォーカスに用いられる、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記複数の画素のそれぞれは、さらに、2つ以上のサブ画素から構成され、
前記複数の画素のうちのいずれかの画素は、2つ以上のサブ画素のうち少なくとも1つ以上のサブ画素をマスクするマスク画素を含み、
前記データ取得部は、前記マスク画素を含む画素において、前記マスク画素以外のサブ画素に基づくサブ部分ビニングデータを取得し、
前記サブ部分ビニングデータは、位相差オートフォーカスに用いられる、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項9】
グループ化された複数の画素で構成される単位画素群において、ビニングにより少なくとも1つの画素で構成される第1画素群に基づく第1部分ビニングデータを取得するデータ取得部と、
前記第1部分ビニングデータと、前記単位画素群のうち前記第1画素群以外の画素で構成される第2画素群に基づく第2部分ビニングデータとの相互相関に基づいて、前記単位画素群で構成される領域の映像信号の周波数特性を解析する解析部と、
前記解析結果に基づいて、前記単位画素群で構成される領域における高周波成分を復旧しつつ画像を生成する画像生成部と、を備える、
撮像装置。
【請求項10】
撮像装置に含まれるプロセッサが実行する制御方法であって、
グループ化された複数の画素で構成される単位画素群において、ビニングにより少なくとも1つの画素で構成される第1画素群に基づく第1部分ビニングデータを取得するデータ取得ステップと、
前記第1部分ビニングデータと、前記単位画素群のうち前記第1画素群以外の画素で構成される第2画素群に基づく第2部分ビニングデータとの相互相関に基づいて、前記単位画素群で構成される領域の映像信号の周波数特性を解析する解析ステップと、
前記解析結果に基づいて、前記単位画素群で構成される領域に発生するモアレを除去するモアレ除去ステップと、を含む、
制御方法。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか一項に記載の撮像装置を搭載する、
端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、カメラなどの撮像装置において、高画質化や高機能化などの性能向上が求められており、当該撮像装置に搭載される、例えば、CMOSなどのイメージセンサでは、様々な工夫がなされている。
【0003】
例えば、イメージセンサの複数の画素をグループ単位で処理することにより、高ダイナミックレンジ(HDR)画像を実現する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2021/0385389号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のイメージセンサでは、撮像画像に発生するモアレに関して考慮されておらず、結果的に、撮像画像にモアレが発生してしまう可能性がある。
【0006】
そこで、本開示は、適切にモアレを除去する撮像装置およびその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る撮像装置は、グループ化された複数の画素で構成される単位画素群において、ビニングにより少なくとも1つの画素で構成される第1画素群に基づく第1部分ビニングデータを取得するデータ取得部と、第1部分ビニングデータと、単位画素群のうち第1画素群以外の画素で構成される第2画素群に基づく第2部分ビニングデータとの相互相関に基づいて、単位画素群で構成される領域の映像信号の周波数特性を解析する解析部と、解析結果に基づいて、単位画素群で構成される領域に発生するモアレを除去するモアレ除去部と、を備える。
【0008】
上記態様において、モアレ除去部は、ローパスフィルタにより映像信号の高周波成分を除去することによりモアレを除去してもよい。
【0009】
上記態様において、モアレ除去部は、単位画素群の近傍の単位画素群で構成される領域の映像信号に基づいてモアレを除去してもよい。
【0010】
上記態様において、データ取得部は、単位画素群を構成する全画素に基づく全ビニングデータを取得し、第2部分ビニングデータは、全ビニングデータから第1部分ビニングデータを減算することにより取得されてもよい。
【0011】
上記態様において、複数の画素に対応して構成される各フォトダイオードは、共通のフローティングディフュージョンに接続されてもよい。
【0012】
上記態様において、フローティングディフュージョンは、複数の電荷電圧変換ゲインを切り替え可能であり、データ取得部は、複数の電荷電圧変換ゲインのうち低変換ゲインでの第1部分ビニングデータを取得し、解析部は、低変換ゲインでの第1部分ビニングデータと第2部分ビニングデータとの相互相関に基づいて、単位画素群で構成される領域の映像信号の周波数特性を解析し、モアレ除去部は、低変換ゲインでの解析結果に基づいて、単位画素群で構成される領域に発生するモアレを除去してもよい。
【0013】
上記態様において、複数の画素のそれぞれは、さらに、2つ以上のサブ画素から構成され、データ取得部は、2つ以上のサブ画素において、ビニングにより少なくとも1つ以上のサブ画素で構成される第1サブ画素群に基づく第1サブ部分ビニングデータ、および第1サブ画素群以外のサブ画素で構成される第2サブ画素群に基づく第2サブ部分ビニングデータを取得し、第1サブ部分ビニングデータおよび第2サブ部分ビニングデータは、位相差オートフォーカスに用いられてもよい。
【0014】
上記態様において、複数の画素のそれぞれは、さらに、2つ以上のサブ画素から構成され、複数の画素のうちのいずれかの画素は、2つ以上のサブ画素のうち少なくとも1つ以上のサブ画素をマスクするマスク画素を含み、データ取得部は、マスク画素を含む画素において、マスク画素以外のサブ画素に基づくサブ部分ビニングデータを取得し、サブ部分ビニングデータは、位相差オートフォーカスに用いられてもよい。
【0015】
本開示の他の一態様に係る撮像装置は、グループ化された複数の画素で構成される単位画素群において、ビニングにより少なくとも1つの画素で構成される第1画素群に基づく第1部分ビニングデータを取得するデータ取得部と、第1部分ビニングデータと、単位画素群のうち第1画素群以外の画素で構成される第2画素群に基づく第2部分ビニングデータとの相互相関に基づいて、単位画素群で構成される領域の映像信号の周波数特性を解析する解析部と、解析結果に基づいて、単位画素群で構成される領域における高周波成分を復旧しつつ画像を生成する画像生成部と、を備える。
【0016】
本開示の一態様に係る制御方法は、撮像装置に含まれるプロセッサが実行する制御方法であって、グループ化された複数の画素で構成される単位画素群において、ビニングにより少なくとも1つの画素で構成される第1画素群に基づく第1部分ビニングデータを取得するデータ取得ステップと、第1部分ビニングデータと、単位画素群のうち第1画素群以外の画素で構成される第2画素群に基づく第2部分ビニングデータとの相互相関に基づいて、単位画素群で構成される領域の映像信号の周波数特性を解析する解析ステップと、解析結果に基づいて、単位画素群で構成される領域に発生するモアレを除去するモアレ除去ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、適切にモアレを除去する撮像装置およびその制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示の第1実施形態に係るイメージセンサ10の構成を説明するための模式図である。
図2】本開示の第1実施形態に係るイメージセンサ10で用いられるビニングを説明するための図である。
図3】本開示の第1実施形態に係るイメージセンサ10で用いられる部分ビニングを説明するための図である。
図4】本開示の第1実施形態に係る撮像装置100の各機能とデータフローを説明するためのブロック図である。
図5】4(2×2)画素におけるビニングの例を説明するための信号フローに関する回路構成を模式的に示す図である。
図6図5に示された4(2×2)画素の回路構成について、各要素の動作を説明するための図である。
図7】本開示の第1実施形態に係る撮像装置100が実行する制御方法M100の処理の流れを示すフローチャートである。
図8】本開示の第1実施形態に係るイメージセンサ10で用いられる他の部分ビニング(他の具体例1)を示す図である。
図9】本開示の第1実施形態に係るイメージセンサ10で用いられる他の部分ビニング(他の具体例2)を示す図である。
図10】本開示の第1実施形態に係るイメージセンサ10で用いられる他の部分ビニング(他の具体例3)を示す図である。
図11】4(2×2)画素においてデュアルコンバージョンゲイン、かつ全画素撮像面位相差AFを組み合わせて動作させる例を説明するための信号フローに関する回路構成を模式的に示す図である。
図12図11に示された4(2×2)画素の回路構成について、各要素の動作を説明するための図である。
図13】位相差AF用の信号を取得するために専用の画素が設定されたイメージセンサを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の好適な実施形態について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する各実施形態は、あくまで、本開示を実施するための具体的な一例を挙げるものであって、本開示を限定的に解釈させるものではない。また、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する場合がある。
【0020】
<第1実施形態>
[イメージセンサについて]
図1は、本開示の第1実施形態に係るイメージセンサ10の構成を説明するための模式図である。図1に示されるように、イメージセンサ10は、典型的には、CMOSイメージセンサなどであって、制御回路1と、2次元配列された複数の画素群2と、信号線3と、読み出し回路4と、デジタル信号処理部(DSP)5とを備える。
【0021】
なお、ここでは、画素群2は、4(2×2)画素をグループ化することにより、1つの画素群(単位画素群)としているが、これに限定されるものではなく、例えば、3(3×1)画素、8(4×2)画素、9(3×3)画素、および16(4×4)画素などを単位画素群としてもよい。
【0022】
制御回路1は、イメージセンサ10の複数の画素群2を駆動し、当該複数の画素群2に蓄積された光信号に基づくデータを読み出して、イメージセンサ10の外部に出力するように制御している。
【0023】
複数の画素群2は、2次元配列されており、制御回路1からの制御信号および当該画素2群自身が生成する制御信号に基づいて、イメージセンサ10にもたらされる光信号を蓄積し、当該光信号に基づくデータ(電気信号)として読み出される。
【0024】
読み出し回路4には、信号線3(典型的には、列方向と平行な列信号線)を介して、複数の画素群2から読み出された電気信号が伝送され、当該電気信号は、アナログデジタル変換される。
【0025】
デジタル信号処理部(DSP)5は、読み出し回路4によってアナログデジタル変換されたデジタル信号を処理する。そして、処理されたデジタル信号は、データバスを介して撮像装置が有するプロセッサやメモリなどに伝送される。
【0026】
なお、DSP5は、このような配置構成に限定されるものではなく、例えば、イメージセンサ10がDSP5を含まず、後段のプロセッサがDSPを有する構成であってもよい。さらには、画像処理におけるデジタル信号処理の一部を、それぞれイメージセンサ10のDSP5および後段のプロセッサなどに含まれるDSPにて処理するような構成であってもよい。換言すれば、本開示におけるDSPの位置は、特定の位置に限定されるものではない。
【0027】
[ビニングについて]
図2は、本開示の第1実施形態に係るイメージセンサ10で用いられるビニングを説明するための図である。図2では、一例として、単板式のベイヤー配列の色画素配置において、各色を4(2×2)画素で構成している。
【0028】
各画素をそれぞれ個別に独立したものとして各画素からのデータを読み込めば、高いサンプリング周波数に基づく解像度の高い映像を取得することができる。一方で、図2に示されたように、ビニングにより4画素を1つの画素群(単位画素群)として当該4画素からのデータを読み込めば、高い信号電子数に基づく高いSNR、広い画素サイズに基づく高感度、少ない画素数に基づく高いフレームレート、低い読み出しに基づく低消費電力を実現することができる。
【0029】
すなわち、ビニングに応じて、解像度とそれ以外の性質とがトレードオフの関係にある。具体的には、各画素をそれぞれ個別に独立したものとして全画素からのデータを読み出す場合、当該読み出し時のサンプリング周波数をfsとする(全画素読み出しモード:”full readout mode”)。これに対して、ビニングにより4画素を1つ画素群(単位画素群)として当該4画素からのデータを読み出す場合、当該読み出し時のサンプリング周波数はfs/2に低下する(ビニングモード:”binning mode”)。
【0030】
図3は、本開示の第1実施形態に係るイメージセンサ10で用いられる部分ビニングを説明するための図である。図3では、一例として、緑色(G)、赤色(R)、青色(B)、緑色(G)で構成されるベイヤー配列を1つのベイヤーユニット(”one bayer unit”)として、当該ベイヤーユニットが行列に配置されている。
【0031】
なお、ここでは、1つのベイヤーユニット(”one bayer unit”)、G、R、B、Gの4つ(2×2)の単位画素群で構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、9つ(3×3)の単位画素群、および16個(4×4)の単位画素群などで構成されてもよい。
【0032】
偶数行グループでは、数字の“1”で示されるように、例えば、Gで構成される4(2×2)画素の単位画素群うち、左半分の2画素(第1画素群)を部分ビニングしてデータを読み出す(第1部分ビニングデータ)。次に、そのGで構成される4(2×2)画素を全ビニングしてデータを読み出す(全ビニングデータ)。
【0033】
奇数行グループでは、数字の“1”で示されるように、例えば、Gで構成される4(2×2)画素の単位画素群うち、上半分の2画素(第1画素群)を部分ビニングしてデータを読み出す(第1部分ビニングデータ)。次に、そのGで構成される4(2×2)画素を全ビニングしてデータを読み出す(全ビニングデータ)。
【0034】
また、Gで構成される4(2×2)画素の単位画素群のうち、右半分および下半分のデータは、全ビニングにて読み出された全ビニングデータから部分ビニングにて読み出された部分ビニングデータの差分に基づいて、生成することができる(第2画素群、第2部分ビニングデータ)。
【0035】
なお、ここでは、Gで構成される4(2×2)画素の単位画素群のうちの一部を例に挙げて具体的に説明したが、その他のGで構成される4(2×2)画素の単位画素群、Rで構成される4(2×2)画素の単位画素群、およびBで構成される4(2×2)画素の単位画素群についても同様の処理である。
【0036】
[モアレ除去について]
以下に、イメージセンサ10から出力される部分ビニングデータおよび全ビニングデータを用いてモアレ(エイリアシング)を除去する処理を説明する。なお、モアレは、画像に発生するノイズの一種であるが、本明細書におけるモアレの除去とは、同類のエイリアシングの除去も含まれ、当然に処理することが可能である。
【0037】
図4は、本開示の第1実施形態に係る撮像装置100の各機能とデータフローを説明するためのブロック図である。図4に示されるように、撮像装置100は、イメージセンサ10と、データ取得部20と、解析部30と、モアレ除去部40とを備える。なお、ここでは、光学系やメモリなどを図示せず、詳しい説明も省略するが、一般的に撮像装置に備えられている機能や部材は、撮像装置100にも備えられている。なお、本開示の撮像装置は、デジタルカメラ、およびカメラ機能が搭載されたスマートフォン、タブレット、パソコン等の端末に適用される。
【0038】
イメージセンサ10は、上述の図1図3を用いて説明したイメージセンサであって、図4に示されるように、イメージセンサ10から、第1部分ビニングデータp1および全ビニングデータa1が読み出されている。
【0039】
ここで、全ビニングデータa1、第1部分ビニングデータp1および第2部分ビニングデータp2は、例えば、上記図3を用いて説明した手順によって読み出され、および生成されるとよい。
【0040】
具体的には、第1部分ビニングデータp1は、グループ化された複数の画素で構成される単位画素群において、ビニングにより少なくとも1つの画素で構成される第1画素群に基づくデータである。第1部分ビニングデータp1は、図3では、単位画素群のうち、数字の“1”で示される2画素から読み出されるデータに相当する。
【0041】
全ビニングデータa1は、グループ化された複数の画素で構成される単位画素群において、その全画素に基づくデータである。全ビニングデータa1は、図3では、単位画素群における4(2×2)画素から読み出されるデータに相当する。
【0042】
そして、全ビニングデータa1から第1部分ビニングデータp1を減算することにより、その差分に基づいて第2部分ビニングデータp2が生成されている。
【0043】
解析部30は、第1部分ビニングデータp1と第2部分ビニングデータp2との相互相関に基づいて、当該単位画素群で構成される領域の映像信号の周波数特性を解析する。
【0044】
例えば、解析部30は、第1部分ビニングデータp1と第2部分ビニングデータp2との相互相関を計算し、相互相関が小さい(所定の閾値以下の)場合には、当該単位画素群で構成される領域では高周波成分が多く含まれていると判定する。
【0045】
さらに、モアレは、周期的に発生する可能性が高く、その特性を考慮して、解析部30は、イメージセンサ10において、どの単位画素群で構成される領域にモアレが発生しているかを推定してもよい。
【0046】
例えば、図3で示した例では、解析部30は、偶数行グループでは、単位画素群のうち左半分の2画素に基づく第1部分ビニングデータと、右半分の2画素に基づく第2ビニングデータとの相互相関を計算することになる。また、解析部30は、奇数行グループでは、単位画素群のうち上半分の2画素に基づく第1部分ビニングデータと、下半分の2画素に基づく第2部分ビニングデータとの相互相関を計算することになる。すなわち、解析部30は、単位画素群において縦方向と横方向とで映像信号の周波数特性を解析しているものの、ビニングのグループ化を縦方向と横方向とで一行毎に交互に設定されている。このため、モアレの発生状況によっては、モアレが発生している全ての領域(単位画素群)を判定できない場合も考えられるが、上述したように、モアレは、周期的(所定の長さおよび周期)に縞模様に発生すると仮定することにより、どの領域(単位画素群)でモアレが発生しているかを推定することができる。
【0047】
なお、第1部分ビニングデータp1と第2部分ビニングデータp2との相互相関を計算し、高周波成分が多く含まれていると判定するための閾値は、例えば、レンズやイメージセンサなどを含む撮像装置の種類および性能、被写体や周辺環境、およびその他撮像状況に応じて、予め設定されてもよいし、変更可能であってもよい。また、AI(Artificial Intelligence)を用いて学習させることにより、適切な閾値を設定するようにしてもよい。さらに、モアレが発生しているかについても、例えば、第1部分ビニングデータp1、第2ビニングデータp2および全ビニングデータa1などを教師データとして、AIを用いて判定するようにしてもよい。
【0048】
このように、解析部30は、解析方法を特に限定するものではなく、様々な解析方法を用いて、単位画素群で構成される領域の映像信号の周波数特性を解析し、高周波成分が多く含まれる領域およびモアレが発生している領域などを検知すればよい。
【0049】
モアレ除去部40は、解析部30による解析結果に基づいて、単位画素群で構成される領域に発生するモアレを除去する。
【0050】
例えば、モアレ除去部40は、高周波成分が多く含まれる領域における映像信号(例えば、当該単位画素群の全ビニングデータa1)をローパスフィルタにより当該高周波成分を除去してもよい。
【0051】
また、モアレ除去部40は、モアレが発生している領域の近傍で、モアレが発生していない領域における映像信号(例えば、他の単位画素群の全ビニングデータa1)に基づいて、モアレを除去してもよい。ここで、モアレが発生している領域の近傍で、モアレが発生していない領域とは、例えば、モアレが発生している領域の隣接(上下左右、対角線の延長線上の斜め位置)に位置して当該モアレが発生している領域を囲む領域のうち、モアレが発生していない領域である。すなわち、モアレ除去部40は、モアレが発生している領域については、他の領域の映像信号から補間することにより、モアレのない画像を生成する。
【0052】
その他、モアレの発生に限らず、解析部30によって、高周波成分を含み当該高周波成分において処理が必要であると判定された領域(単位画素群)については、高周波成分を適切に復旧させる画像生成部(図示せず)を、モアレ除去部40に替えて、または加えて備えてもよい。画像生成部は、典型的には、画像処理が必要であると判定された領域(単位画素群)において、その近傍の領域の映像信号から補間することにより、高周波成分を適切に復旧させてもよいし、さらには、AIを用いて高周波成分を適切に復旧させてもよい。
【0053】
なお、図4に示される例では、データ取得部20は、全ビニングデータa1から第1部分ビニングデータp1を減算することにより第2部分ビニングデータp2を取得し、解析部30は、第1部分ビニングデータと第2部分ビニングデータp2との相互相関とを算出しているが、これに限定されるものではない。例えば、解析部30は、第1部分ビニングデータp1と全ビニングデータa1とに基づいて、第1部分ビニングデータp1と第2部分ビニングデータp2との相互相関に基づいて、単位画素群で構成される領域の映像信号の周波数特性を解析してもよい。
【0054】
データ取得部20は、イメージセンサ10から第1部分ビニングデータp1と全ビニングデータa1とを読み出しているが、これに限定されるものではない。例えば、第1部分ビニングデータp1と第2部分ビニングデータp2とを読み出してもよい。この場合、解析部30は、イメージセンサ10から読み出した第1部分ビニングデータp1と第2部分ビニングデータp2との相互相関に基づいて、当該単位画素群で構成される領域の映像信号の周波数特性を解析すればよい。
【0055】
また、モアレ除去部40および/または画像生成部は、解析部30による解析結果に基づいて、モアレを除去することなどを含めて、高周波成分を多く含む領域について、典型的には、全ビニングデータa1に基づいて適切な画像を生成するが、第1部分ビニングデータp1および第2部分ビニングデータp2に基づいて、画像を生成するようにしてもよい。
【0056】
さらに、モアレ除去部40および/または画像生成部は、全ビニングデータa1、または第1部分ビニングデータp1および第2部分ビニングデータp2をデモザイク処理した後に、適切な画像を生成するようにしてもよい。
【0057】
[イメージセンサにおける各画素の回路構成について]
イメージセンサとして、単位画素群のビニングの具体的方法について説明する。ここでは、イメージセンサにおける単位画素群に関して、より具体的な構成および動作について詳しく説明する。
【0058】
図5は、4(2×2)画素におけるビニングの例を説明するための信号フローに関する回路構成を模式的に示す図である。図5に示されるように、4(2×2)画素は、4つのフォトダイオード(PD1~PD4)に対応し、それらに繋がるフローティングディフュージョン(FD)、ソースフォロアアンプ(SF)、リセットトランジスタ(RES)、転送トランジスタ(TX1~TX4)、および選択トランジスタ(SEL)から構成されている。
【0059】
4つのフォトダイオード(PD1~PD4)は、共通のフローティングディフュージョン(FD)に接続されている。ソースフォロアアンプ(SF)の出力は、選択トランジスタ(SEL)を介して複数の画素群が2次元配置された列で共通の出力線(図1の信号線3に相当)に接続され、さらに、ソースフォロアアンプ(SF)の負荷となる定電流源(I)、電圧ゲイン変換手段(図示せず)、およびアナログデジタル変換器(ADC)が接続される。
【0060】
そして、アナログデジタル変換器(ADC)によって変換されたデジタル信号(データ)は、ラインメモリ1またはラインメモリ2に保持される。
【0061】
図6は、図5に示された4(2×2)画素の回路構成について、各要素の動作を説明するための図である。
【0062】
時刻t1において、リセットトランジスタ(RES)および転送トランジスタ(TX1~TX4)をONし、フォトダイオード(PD1~PD4)をリセットする。
【0063】
その後、データを蓄積するための所定の蓄積期間経過後に、単位画素群を構成する画素からデータの読み出し処理を開始するが、先ずは、時刻t2において、リセットトランジスタ(RES)をOFFし、選択トランジスタ(SEL)をONする。そして、その値を所定の電圧ゲインでアナログデジタル変換し、ラインメモリ1に保持する(FDリセット雑音)。
【0064】
時刻t3において、部分ビニングのために、転送トランジスタ(TX1~TX4)のうち、例えば、転送トランジスタ(TX1~TX2)をONすることにより、フォトダイオード(PD1~PD2)からの信号をフローティングディフュージョン(FD)に伝送する。そして、その値を所定の電圧ゲインでアナログデジタル変換し、ラインメモリ2に保持する(部分ビニングデータ)。
【0065】
時刻t4において、ラインメモリ2に保持されている値からラインメモリ1に保持されている値を減算し、その結果を出力し、後段のイメージシグナルプロセッサ(ISP)やフレームメモリに伝送する。これにより、相関二重サンプリングと呼ばれる、フローティングディフュージョン(FD)のリセット雑音が除去されたデータを取得することができる(雑音除去・部分ビニングデータ)。これは、図4の第1部分ビニングデータp1に相当する。
【0066】
時刻t5において、全ビニングのために、転送トランジスタ(TX1~TX4)をONすることにより、フォトダイオード(PD1~PD4)からの信号をフローティングディフュージョン(FD)に伝送する。そして、その値を所定の電圧ゲインでアナログデジタル変換し、ラインメモリ2に保持する(全ビニングデータ)。
【0067】
なお、ここでは、全ビニングデータのアナログデジタル変換が終了する前に、ラインメモリ2に保持されていた部分ビニングデータの出力が完了しているものとするが、仮に、部分ビニングデータの出力が完了していない場合には、全ビニングデータを保持するための別のラインメモリなどを備えるとよい。
【0068】
また、全ビニングのフローティングディフュージョン(FD)のリセット雑音は、ラインメモリ1に保持されているデータを用いることができるため、時刻t6において、ラインメモリ2に保持されている値からラインメモリ1に保持されている値を減算し、その結果を出力する。これにより、フローティングディフュージョン(FD)のリセット雑音が除去された全ビニングデータを取得することができる(雑音除去・全ビニングデータ)。これは、図4の全ビニングデータa1に相当する。
【0069】
このように、イメージセンサ10の各単位画素群から第1部分ビニングデータp1および全ビニングデータa1が取り出されている。
【0070】
[制御方法について]
次に、ビニングデータを用いてモアレを除去しつつ画像が生成される制御方法について、詳しく説明する。
【0071】
図7は、本開示の第1実施形態に係る撮像装置100が実行する制御方法M100の処理の流れを示すフローチャートである。図7に示されるように、制御方法M100は、ステップS10~S50を含み、各ステップは、撮像装置100に含まれるプロセッサによって実行される。
【0072】
ステップS10では、データ取得部20は、単位画素群のうち第1画素群に基づく第1部分ビニングデータを取得する(データ取得ステップ)。具体例としては、図3および図4に示されたように、データ取得部20は、イメージセンサ10から、4(2×2)画素の単位画素群うち、数字の“1”で示される2画素を部分ビニングしてデータを読み出す(第1部分ビニングデータp1)。
【0073】
ステップS20では、解析部30は、ステップS10で取得された第1部分ビニングデータと、単位画素群のうち第1画素群以外の画素で構成される第2画素群に基づく第2部分ビニングデータとの相互相関に基づいて、当該単位画素群で構成される領域の映像信号の周波数特性を解析する(解析ステップ)。具体例としては、図3および図4に示されたように、データ取得部20は、イメージセンサ10から、4(2×2)画素の単位画素群の全画素を全ビニングしてデータを読み出して(全ビニングデータa1)、第1部分ビニングデータp1を減算して第2部分ビニングデータp2を取得する。そして、解析部30は、第1部分ビニングデータp1と第2部分ビニングデータp2との相互相関を計算し、当該単位画素群で構成される領域の映像信号の周波数特性を解析する。
【0074】
ステップS30では、解析部30は、単位画素群で構成される領域について、高周波成分が多く含まれ、高周波成分において処理が必要な処理対象領域か否かを判定する。具体例としては、解析部30は、ステップS20で計算された第1部分ビニングデータp1と第2部分ビニングデータp2との相互相関に基づいて、当該単位画素群で構成される領域が高周波成分の処理対象領域か否かを判定する。相互相関が小さい場合には、当該領域は、高周波成分が多く含まれるため、高周波成分の処理対象領域であると判定し(ステップS30のYes)、相互相関が大きい場合には、当該領域は、高周波成分の処理対象領域でないと判定する(ステップS30のNo)。
【0075】
ステップS40(ステップS30のYes)では、モアレ除去部40は、単位画素群で構成される領域に発生するモアレを除去しつつ画像を生成する(モアレ除去ステップ)。具体例としては、モアレ除去部40は、当該単位画素群で構成される領域について、ローパスフィルタを用いて高周波成分を除去することにより、または他の領域の映像信号から補間することにより、モアレを除去しつつ画像を生成する。
【0076】
ステップS50(ステップS30のNo)では、画像生成部は、当該単位画素群で構成される領域について、全ビニングデータa1に基づいて適切な画像を生成する。
【0077】
以上のように、本開示の第1実施形態に係る撮像装置100および制御方法M100によれば、データ取得部20は、単位画素群のうち第1画素群に基づく第1部分ビニングデータp1を取得し、解析部30は、第1部分ビニングデータp1と第2部分ビニングデータp2との相互相関に基づいて、単位画素群で構成される領域の映像信号の周波数特性を解析し、モアレ除去部40は、解析結果に基づいて、単位画素群で構成される領域に発生するモアレを除去する。その結果、適切にモアレを除去しつつ画像を生成することができる。
【0078】
[単位画素群のグループ化(部分ビニング)の他の具体例]
本実施形態では、図3に示されたように、4(2×2)画素をグループ化して単位画素群とし、左半分の2画素または上半分の2画素を部分ビニングしてデータを読み出して、第1部分ビニングデータとしていたが、部分ビニングは、これに限定されるものではない。以下に、部分ビニングの他の具体例について説明する。
【0079】
(他の具体例1)
図8は、本開示の第1実施形態に係るイメージセンサ10で用いられる他の部分ビニング(他の具体例1)を示す図である。図8に示されるように、図3と同様に、緑色(G)、赤色(R)、青色(B)、緑色(G)で構成されるベイヤーユニットが行列に配置されている。
【0080】
偶数行グループでは、数字の“1”で示されるように、単位画素群うち、左上および右下の2画素(第1画素群)を部分ビニングしてデータを読み出す(第1部分ビニングデータ)。
【0081】
奇数行グループでは、数字の“1”で示されるように、単位画素群うち、右上および左下の2画素(第1画素群)を部分ビニングしてデータを読み出す(第1部分ビニングデータ)。
【0082】
このように、単位画素群うち、対角線上に配置される画素を部分ビニングする。その他は、図3を用いて説明したのと同様の処理である。
【0083】
(他の具体例2)
図9は、本開示の第1実施形態に係るイメージセンサ10で用いられる他の部分ビニング(他の具体例2)を示す図である。図9に示されるように、図3と同様に、緑色(G)、赤色(R)、青色(B)、緑色(G)で構成されるベイヤーユニットが行列に配置されている。
【0084】
偶数行グループおよび奇数行グループでは、数字の“1”で示されるように、単位画素群うち、右上、右下および左下の3画素(第1画素群)を部分ビニングしてデータを読み出す(第1部分ビニングデータ)。
【0085】
このように、単位画素群(4画素)うち、3画素を部分ビニングする。その他は、図3を用いて説明したのと同様の処理である。
【0086】
図9の例では、単位画素群うち、非対称となるように複数の画素をグループ化して部分ビニングしている。これにより、解析部30は、第1部分ビニングデータ(数字の“1”で示される第1画素群)と第2部分ビニングデータ(単位画素群うち第1画素群以外の第2画素群)との相互相関に基づいて、当該単位画素群において、より適切に縦方向と横方向とで映像信号の周波数を解析することができる。すなわち、解析部30は、当該単位画素群で構成される領域において、高周波成分が多く含まれている、およびモアレが発生していることに関して、より適切に解析することができる。
【0087】
(他の具体例3)
図10は、本開示の第1実施形態に係るイメージセンサ10で用いられる他の部分ビニング(他の具体例3)を示す図である。図10に示されるように、図3と同様に、緑色(G)、赤色(R)、青色(B)、緑色(G)で構成されるベイヤーユニットが行列に配置されている。
【0088】
偶数行グループでは、数字の“1”で示されるように、単位画素群うち、左半分の2画素(第1画素群)を部分ビニングしてデータを読み出し(第1部分ビニングデータ)、さらに、右上の画素を第1画素群に加えて、または単独で、部分ビニングしてデータを読み出す(追加部分ビニングデータ)。
【0089】
奇数行グループでは、数字の“1”で示されるように、単位画素群うち、上半分の2画素(第1画素群)を部分ビニングしてデータを読み出し(第1部分ビニングデータ)、さらに、左下の画素を第1画素群に加えて、または単独で、部分ビニングしてデータを読み出す(追加部分ビニングデータ)。
【0090】
このように、単位画素群うち、第1画素群を部分ビニングし、さらに、異なる画素群(第1画素群+別画素または別画素単独)を部分ビニングする。そして、単位画素群を全ビニングして全ビニングデータを読み出す。
【0091】
図10の例では、重心の異なる画素群で構成される領域における部分ビニングデータを複数取得するため、全ビニングデータから、これらの部分ビニングデータを減算すれば、複数の第2部分ビニングデータを取得することもできる。解析部30は、このように取得された種々の組み合わせによる第1部分ビニングデータと第2部分ビニングデータとに基づいて、当該単位画素群で構成される領域において、高周波成分が多く含まれている、およびモアレが発生していることに関して、より適切に解析することができる。
【0092】
ここで例示したように、部分ビニングには様々な態様があるが、これらに限定されるものではない。単位画素群のうち部分ビニングされる画素は、規則的に設定されてもよく、ランダムに設定されてもよい。解析部30が、高周波成分が多く含まれている、およびモアレが発生している単位画素群(領域)を適切に解析することができるように、例えば、レンズやイメージセンサなどを含む撮像装置の種類および性能、被写体や周辺環境、およびその他撮像状況に応じて、単位画素群のうち部分ビニングされる画素を設定すればよい。
【0093】
また、上述したように、1つの単位画素群は、4(2×2)画素で構成されることに限定されず、例えば、3(3×1)画素、8(4×2)画素、9(3×3)画素、および16(4×4)画素などで構成されてもよいし、1つのベイヤーユニット(”one bayer unit”)も、4つ(2×2)の単位画素群で構成されることに限定されず、例えば、9つ(3×3)の単位画素群、および16個(4×4)の単位画素群などで構成されてもよい。そのうち、部分ビニングされる画素をどのように設定するかについて、適宜、決定すればよく、AIを用いて決定してもよい。
【0094】
<第2実施形態>
次に、本開示の第2実施形態に係るイメージセンサとして、デュアルコンバージョンゲイン(DCG)、かつ全画素撮像面位相差AF(オートフォーカス)を組み合わせて動作させる具体的方法について説明する。本実施形態に係るイメージセンサの基本的な構成は、第1実施形態に係るイメージセンサ10の構成と同様であり、画素におけるビニングについても第1実施形態と同様の考え方を利用するものである。ここでは、イメージセンサにおける画素に関して、デュアルコンバージョンゲイン、かつ全画素撮像面位相差AFを組み合わせて動作させる具体的な構成および動作について詳しく説明する。
【0095】
図11は、4(2×2)画素においてデュアルコンバージョンゲイン、かつ全画素撮像面位相差AFを組み合わせて動作させる例を説明するための信号フローに関する回路構成を模式的に示す図である。図11に示されるように、ここでは、図5で示された4つの各フォトダイオード(PD1~PD4)は、全画素撮像面位相差AFのために、2つに分割されて、それぞれサブフォトダイオード(PD1L・PD1R~PD4L・PD4R)となっており、転送トランジスタ(TX1~TX4)は、当該サブフォトダイオードに対応して、転送トランジスタ(TX1L・TX1R~TX4L・TX4R)となっている(L:左、R:右)。
【0096】
そして、当該回路には、フローティングディフュージョン(FD)、ソースフォロアアンプ(SF)、リセットトランジスタ(RES)、切り替えトランジスタ(X)、および選択トランジスタ(SEL)が配置されている。
【0097】
さらに、デュアルコンバージョンゲインのために、画素には切り替えトランジスタ(X)を介して電気的に切り替え可能な追加負荷容量が付加されている。フローティングディフュージョン(FD)の負荷容量を大きくすることで電荷電圧変換ゲインを小さく設定でき、負荷容量を小さくすることで電荷電圧変換ゲインを大きく設定できる。
【0098】
図12は、図11に示された4(2×2)画素の回路構成について、各要素の動作を説明するための図である。なお、4(2×2)画素の各画素は、それぞれ2つに分割されたサブ画素(L:左、R:右)により構成されている。なお、ここでは、各画素は、2つのサブ画素により構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、3つ以上のサブ画素により構成されてもよい。
【0099】
時刻t1において、リセットトランジスタ(RES)、切り替えトランジスタ(X)、および転送トランジスタ(TX1L・TX1R~TX4L・TX4R)をONし、サブフォトダイオード(PD1L・PD1R~PD4L・PD4R)をリセットする。
【0100】
その後、データを蓄積するための所定の蓄積期間経過後に、単位画素群を構成する画素からデータの読み出し処理を開始するが、先ずは、時刻t2において、リセットトランジスタ(RES)をOFFし、切り替えトランジスタ(X)および選択トランジスタ(SEL)をONする。そして、フローティングディフュージョン(FD)の電荷電圧変換ゲインを小さくした状態(LCG)で、FDリセット雑音をアナログデジタル変換し、ラインメモリ1に保持する(LCG・FDリセット雑音)。
【0101】
時刻t3において、切り替えトランジスタ(X)をOFFし、フローティングディフュージョン(FD)の電荷電圧変換ゲインを大きくした状態(HCG)で、FDリセット雑音をAD変換し、ラインメモリ2に保持する(HCG・FDリセット雑音)。
【0102】
時刻t4において、転送トランジスタ(TX1L)および転送トランジスタ(TX2L)をONし、HCG状態での撮像面位相差AF用の左部分ビニングデータを取得してAD変換し、ラインメモリ3に保持する(HCG・位相差AF用L部分ビニングデータ)。
【0103】
そして、ラインメモリ3に保持されたHCG・位相差AF用L部分ビニングデータからラインメモリ2に保持されたHCG・FDリセット雑音を減算することにより、リセット雑音が除去されたHCG状態での位相差AF用L部分ビニングデータを取得することができる(雑音除去・HCG・位相差AF用L部分ビニングデータ)。
【0104】
時刻t5において、転送トランジスタ(TX1L・TX1R)、転送トランジスタ(TX2L・TX2R)をONし、HCG状態での部分ビニングデータを取得してAD変換し、ラインメモリ3に保持する(HCG・部分ビニングデータ)。
【0105】
ラインメモリ3に保持されたHCG・部分ビニングデータからラインメモリ2に保持されたHCG・FDリセット雑音を減算することにより、リセット雑音が除去されたHCG状態での部分ビニングデータを取得することができる(雑音除去・HCG・部分ビニングデータ)。
【0106】
また、雑音除去・HCG・部分ビニングデータから雑音除去・HCG・位相差AF用L部分ビニングデータを減算することにより、雑音除去・HCG・位相差AF用R部分ビニングデータを取得することができる。
【0107】
時刻t6において、切り替えトランジスタ(X)をONし、フローティングディフュージョン(FD)の電荷電圧変換ゲインを小さくした状態(LCG)で、転送トランジスタ(TX1L・TX1R)および転送トランジスタ(TX2L・TX2R)をONし、LCG状態での部分ビニングデータを取得してAD変換し、ラインメモリ3に保持する(LCG・部分ビニングデータ)。
【0108】
そして、ラインメモリ3に保持されたLCG・部分ビニングデータからラインメモリ1に保持されたLCG・FDリセット雑音を減算することにより、リセット雑音が除去されたLCG状態での部分ビニングデータを取得することができる(雑音除去・LCG・部分ビニングデータ)。
【0109】
時刻t7において、転送トランジスタ(TX1L・TX1R~TX4L・TX4R)をONし、LCG状態での全ビニングデータを取得してAD変換し、ラインメモリ3に保持する(LCG・全ビニングデータ)。
【0110】
時刻t8において、ラインメモリ3に保持されたLCG・全ビニングデータからラインメモリ1に保持されたLCG・FDリセット雑音を減算することにより、リセット雑音が除去されたLCG状態での全ビニングデータを取得することができる(雑音除去・LCG・全ビニングデータ)。
【0111】
このように、イメージセンサ10から、HCG状態では、位相差AF用L部分ビニングデータおよび部分ビニングデータ(第1部分ビニングデータp1に相当)が取り出され、LCG状態では、部分ビニングデータ(第1部分ビニングデータp1に相当)および全ビニングデータ(全ビニングデータa1に相当)が取り出されている。なお、上述したように、HCG状態では、位相差AF用R部分ビニングデータは、計算することにより取得することができる。
【0112】
以上のように、本開示の第2実施形態に係るイメージセンサを搭載する撮像装置および制御方法によれば、LCG状態において、部分ビニングデータ(第1部分ビニングデータp1に相当)および全ビニングデータ(全ビニングデータa1に相当)が取り出されるため、本開示の第1実施形態と同様に、適切にモアレを除去しつつ画像を生成することができる。LCG状態での高SNRのデータに対して適切にモアレを除去することにより、精細な画像についてモアレが発生することを抑止することができる。
【0113】
また、本実施形態では、HCG状態では、全ビニングデータが読み出されていないが、HCG状態で転送トランジスタ(TX1L・TX1R~TX4L・TX4R)をONして、HCG状態での全ビニングデータを取得してAD変換すれば、HCG・全ビニングデータを取得することも可能である。トランジスタの切り替えやAD変換処理は、撮像装置100に搭載されるプロセッサに負荷が掛かるため、ここでは、トランジスタの切り替えやAD変換の回数を低減することによって、撮像装置100に搭載されるプロセッサに掛かる負荷および消費電力の増加を抑制することができている。
【0114】
また、本実施形態では、HCG状態での位相差AF用部分ビニングデータを取得することができている。位相差AF用データには高いSNRが求められ、ノイズに強いHCG状態でのデータを取得できているため非常に効果的である。
【0115】
なお、本実施形態では、LCG状態では、位相差AF用ビニングデータを取得できていないが、イメージセンサに専用の画素を設定し、当該画素の一部をマスクしたり、(2×1)オンチップマイクロレンズ構造を用いたりすることによって、位相差AF用の信号を取得するようにしてもよい。
【0116】
図13は、位相差AF用の信号を取得するために専用の画素が設定されたイメージセンサを示す模式図である。図13に示されるように、イメージセンサにおいて配列されている複数の画素のうち専用の画素を設定し、当該専用の画素は、例えば、左半分(L領域)または右半分(R領域)がマスクされている。なお、ここでは、専用の画素を左右に2分割しているが、これに限定されるものではなく、例えば、上下に2分割または3分割以上して、位相差AFに用いられる位相信号を適切に取得できるようにマスクすればよい。
【0117】
専用の画素では、LCG状態において、マスクされていない領域で光学的に位相差信号を取得すれば、LCG・位相差AF用データを取得することができる。
【0118】
以上説明した各実施形態は、本開示の理解を容易にするためのものであり、本開示を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0119】
1…制御回路、2…画素群、3…信号線、4…読み出し回路、5…デジタル信号処理部(DSP)、10…イメージセンサ、20…データ取得部、30…解析部、40…モアレ除去部、100…撮像装置、M100…制御方法、S10~S50…制御方法M100の各ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】