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特表2024-521622高純度水素及び酸素を生成するための水からのアルゴン脱離
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  • 特表-高純度水素及び酸素を生成するための水からのアルゴン脱離 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】高純度水素及び酸素を生成するための水からのアルゴン脱離
(51)【国際特許分類】
   C25B 1/04 20210101AFI20240528BHJP
   C01B 13/02 20060101ALI20240528BHJP
   C25B 15/08 20060101ALI20240528BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20240528BHJP
   B01D 19/00 20060101ALI20240528BHJP
   C02F 1/20 20230101ALI20240528BHJP
   C01B 3/02 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
C25B1/04
C01B13/02 B
C25B15/08
C25B9/00 A
B01D19/00 D
C02F1/20 Z
C01B3/02 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566414
(86)(22)【出願日】2021-12-13
(85)【翻訳文提出日】2023-11-30
(86)【国際出願番号】 US2021063007
(87)【国際公開番号】W WO2022231658
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】17/543,776
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/180,707
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523404930
【氏名又は名称】メッサー インダストリーズ ユーエスエー,インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】511282715
【氏名又は名称】メッサー エスアー ウント コー.カーゲーアーアー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ゴルバッハ,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】グリーン,リーアン
(72)【発明者】
【氏名】シュロットマン,アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
4D011
4D037
4G042
4K021
【Fターム(参考)】
4D011AA12
4D011AA15
4D011AB03
4D011AB04
4D037AA02
4D037AB18
4D037BA23
4D037BB05
4D037BB06
4G042BA10
4G042BB04
4K021AA01
4K021BA02
4K021BC01
4K021BC09
4K021DC01
4K021DC03
(57)【要約】
超高純度水素を生成するための方法であって、水を加熱して、水からアルゴンを脱離すること、及びアルゴン脱離された水を酸素流と水素流とに分離することを含み、水素流が超高純度水素流を含む、方法が提供される。また、超高純度水素流を生成するための関連のシステムであって、蒸気によって水からアルゴンが脱離される容器と、アルゴン脱離された水によって接触される少なくとも1つの電解槽セルとを含み、少なくとも1つの電解槽セルが、0.25ppm未満のアルゴン含有量を含む酸素流及び水素流を提供する、システムも提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超高純度水素を生成するための方法であって、
水を加熱して、前記水からアルゴンを脱離すること、及び
前記アルゴン脱離された水を酸素流と水素流とに分離することを含み、前記水素流が超高純度水素流を含む、
方法。
【請求項2】
前記酸素流が超高純度酸素流を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記加熱が、蒸気及び電気ヒータからなる群から選択される熱源によるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記アルゴン脱離された水が、0.25ppmを超えないアルゴン含有量を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アルゴン脱離された水が、100ppbを超えないアルゴン含有量を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記アルゴン脱離された水が、10ppbを超えないアルゴン含有量を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
アルゴンの前記脱離が、電解槽セルの上流で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記分離が、前記アルゴン脱離された水を電解槽セルに送達することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記超高純度水素流を精製することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記精製された超高純度水素流を極低温精製システムに送達することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
0.25ppm未満のアルゴン含有量を含む超高純度酸素流と超高純度水素流とを提供するために電気分解されるアルゴン枯渇水。
【請求項12】
超高純度水素流を生成するためのシステムであって、
蒸気によって水からアルゴンが脱離される容器と、
前記アルゴン脱離された水によって接触される少なくとも1つの電解槽セルと
を備え、
前記少なくとも1つの電解槽セルが、0.25ppm未満のアルゴン含有量を含む酸素流及び水素流を提供する、
システム。
【請求項13】
酸素からアルゴンを脱離するための方法であって、
水を加熱して、前記水からアルゴンを脱離すること、
アルゴン脱離された水を少なくとも1つの電解槽セルに提供すること、及び
前記アルゴン脱離された水を酸素流と水素流とに分離又は分割することを含み、前記酸素流が、0.25ppm未満の量、任意選択で100ppb未満の量、又は任意選択で10ppb未満の量のアルゴンを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明の実施形態は、エレクトロニクス用途で使用するための水の浄化に関し、特に、水素(H)及び酸素(O)を生成するために使用される水からアルゴン(Ar)を除去するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の概要
エレクトロニクス、半導体、及びコンピュータ産業などでは、様々な構成要素製造及びプロセスに高純度又は「超高純度」水素(H)が使用される。残念ながら、水(HO)が電解ユニットで水素と酸素とに分離されるとき、供給水中に存在するアルゴン(Ar)が、水素生成物中に残ることになる。水素中のアルゴンの存在は、水素の有効性及び純度レベルを損なわせ、したがって、水素を特定の用途に使用するには、水素からアルゴンを分離又は除去しなければならない。水素からの十分な量のアルゴンの除去により、超高純度水素を得ることができる。超高純度水素は、100ppb以下のアルゴン含有量を含む水素として認識される。
【0003】
アルゴンを除去するための既知の方法は、電解ユニットの下流で行われ、主に極低温吸着システム及びプロセスを含む。そのような既知の装置及び方法は、まず水を電解槽セルに導入して水中の酸素(O)分子と水素分子とを分離し、次いで、分離された水素流をさらに処理してアルゴンを除去することによって、水素からアルゴンを除去して超高純度水素を生成する。アルゴンを含む水素を電解槽セルよりも下流で除去するには、コストと時間がかかる。アルゴンを除去するためのこれらの既知のシステム及びプロセスは、水素を精製するために大型の下流の極低温精製システムを含み、そのようなシステムは複雑であり、構築及び運転にコストがかかる。
【0004】
したがって、電解槽セルよりも下流でのアルゴン除去をなくすことが望ましく、有利である。
【0005】
図面の簡単な説明
本発明をより完全に理解するために、添付図面に関連して考察される例示的実施形態の以下の説明を参照することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明による水からアルゴンを脱離又は除去するための装置、システム及び方法実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
発明の詳細な説明
本発明の実施形態を詳細に説明する前に、本発明が、添付図面に示される部品の構成及び配置の詳細に限定されず、本発明は他の実施形態が可能であり、様々な方法で実践又は実施することができることを理解されたい。また、本明細書で使用される語句又は用語は説明を目的としたものであり、限定を目的とするものではないことを理解されたい。
【0008】
以下の説明において、水平、直立、垂直、上、下、下方などの用語は、本発明を明確に例示する目的のみで使用されるものであり、限定する語と解釈されるべきではない。図面は、本発明を例示することを目的としており、一律の縮尺であることは意図されていない。
【0009】
本発明の実施形態は、電解槽セルの上流で供給水からアルゴンを脱離することによって、供給水からアルゴンを除去する。その結果、水素の流れと酸素の流れとの両方が生成され、流れはそれぞれアルゴンを含まない。
【0010】
一般に、本発明の実施形態は、水素中のアルゴン含有を、なくすわけではないにせよ減少させ、それにより、水素を、後の使用のために超高純度水素として特徴付けることができるようにする。アルゴン脱離は物理的な分離プロセスであり、アルゴンが水蒸気流によって液体水流から除去される。液体水流と蒸気流とは、並流又は向流の流れを有することができる。アルゴン脱離は、棚段塔又は充填塔で行われる。これは、供給水を加熱して水が沸騰し、それに従って、加熱された水からアルゴンが脱離されることによって達成される。次いで、アルゴン脱離された水は電解槽セルに送達され、電解槽セルは、水を酸素流と水素流とに分割し、酸素流と水素流との両方が、低減されたアルゴン含有量を含み、したがって水素及び酸素を、超高純度水素流及び超高純度酸素流として適格となるようにする。
【0011】
本実施形態によって提供される超高純度水素流及び超高純度酸素流中のアルゴン含有量は、100ppb~10ppbのアルゴンの範囲内である。
【0012】
より具体的には、図を参照すると、本発明の方法実施形態を実施するためのシステム及び装置実施形態が、全体として参照番号10で示されており、アルゴン脱離塔12が設けられている。塔12の上流に配置され、塔12と流体連通する浄水ユニット14が、水道水などの水16を受け取る。浄水ユニット14は、水道水16からミネラル、汚染物質、及び他の粒子状物質を除去して、脱塩水を生成する。
【0013】
その後、アルゴン脱離された水は、脱離塔12からパイプ20又は他の導管を通ってPEM水電解ユニット22に送達され、水素(H)流24と酸素(O)流26とに分割される。電源28は、PEM水電解ユニット22に電力を供給する。アルゴン脱離塔12から出る水は、アルゴン含有量が減少されている。アルゴン脱離操作に応じて、脱離塔12から出る水は、0.25ppm未満のArを含み、又は特定の操作及び後続の用途では10ppb未満のArを含むことができる。図のシステム及び方法は、蒸気熱を使用してアルゴン脱離ユニット12内の水を沸騰させて、水からアルゴンを脱離するための本発明の実施形態を示す。
【0014】
図に示されているように、本発明の実施形態によれば、超高純度水素流24にさらなる処理を施すことができる。
【0015】
特定の実施形態では、超高純度水素を生成するための方法であって、水を加熱して、水からアルゴンを脱離すること、及びアルゴン脱離された水を酸素流と水素流とに分離することを含み、水素流が超高純度水素流を含む、方法が提供される。
【0016】
特定の実施形態では、酸素流が超高純度酸素流を含む。
【0017】
特定の実施形態では、加熱が、蒸気及び電気ヒータからなる群から選択される熱源によるものである。
【0018】
特定の実施形態では、アルゴン脱離された水が、0.25ppmを超えないアルゴン含有量を含む。
【0019】
特定の実施形態では、アルゴン脱離された水が、100ppbを超えないアルゴン含有量を含む。
【0020】
特定の実施形態では、アルゴン脱離された水が、10ppbを超えないアルゴン含有量を含む。
【0021】
特定の実施形態では、アルゴンの脱離が、電解槽セルの上流で行われる。
【0022】
特定の実施形態では、分離が、アルゴン脱離された水を電解槽セルに送達することを含む。
【0023】
特定の実施形態では、この方法は、超高純度水素流を精製することをさらに含む。
【0024】
特定の実施形態では、この方法は、精製された超高純度水素流を極低温精製システムに送達することをさらに含む。
【0025】
特定の実施形態では、水素からアルゴンを脱離するための方法であって、水を加熱して、水からアルゴンを脱離すること、アルゴン脱離された水を少なくとも1つの電解槽セルに提供すること、及びアルゴン脱離された水を酸素流と水素流とに分離又は分割することを含み、水素流が、0.25ppm未満のアルゴンを含む、方法が提供される。
【0026】
特定の実施形態では、水素からアルゴンを脱離するための方法であって、水を加熱して、水からアルゴンを脱離すること、アルゴン脱離された水を少なくとも1つの電解槽セルに提供すること、及びアルゴン脱離された水を酸素流と水素流とに分離又は分割することを含み、水素流が、100ppb未満のアルゴンを含む、方法が提供される。
【0027】
特定の実施形態では、水素からアルゴンを脱離するための方法であって、水を加熱して、水からアルゴンを脱離すること、アルゴン脱離された水を少なくとも1つの電解槽セルに提供すること、アルゴン脱離された水を酸素流と水素流とに分離又は分割することを含み、水素流が、10ppb未満のアルゴンを含む、方法が提供される。
【0028】
特定の実施形態では、アルゴン枯渇水素流を生成する方法であって、水を加熱又は沸騰して、水からアルゴンを除去すること、及び水を電気分解して、0.25ppm未満のアルゴンを含む水素流を生成することを含む方法が提供される。
【0029】
特定の実施形態では、アルゴン枯渇水素流を生成する方法であって、水を加熱又は沸騰して、水からアルゴンを除去すること、及び水を電気分解して、100ppb未満のアルゴンを含む水素流を生成することを含む方法が提供される。
【0030】
特定の実施形態では、アルゴン枯渇水素流を生成する方法であって、水を加熱又は沸騰して、水からアルゴンを除去すること、及び水を電気分解して、10ppb未満のアルゴンを含む水素流を生成することを含む方法が提供される。
【0031】
特定の実施形態では、0.25ppm未満のアルゴン含有量を含む超高純度酸素流と超高純度水素流とを提供するために電気分解されるアルゴン枯渇水が提供される。
【0032】
特定の実施形態では、超高純度水素流を生成するためのシステムであって、蒸気によって水からアルゴンが脱離される容器と、アルゴン脱離された水によって接触される少なくとも1つの電解槽セルとを含み、少なくとも1つの電解槽セルが、0.25ppm未満のアルゴン含有量を含む酸素流及び水素流を提供する、システムが提供される。
【0033】
特定の実施形態では、酸素からアルゴンを脱離するための方法であって、水を加熱して、水からアルゴンを脱離すること、アルゴン脱離された水を少なくとも1つの電解槽セルに提供すること、及びアルゴン脱離された水を酸素流と水素流とに分離又は分割することを含み、水素流が、0.25ppm未満のアルゴンを含む、方法が提供される。
【0034】
特定の実施形態では、酸素からアルゴンを脱離するための方法であって、水を加熱して、水からアルゴンを脱離すること、アルゴン脱離された水を少なくとも1つの電解槽セルに提供すること、及びアルゴン脱離された水を酸素流と水素流とに分離又は分割することを含み、水素流が、100ppb未満のアルゴンを含む、方法が提供される。
【0035】
特定の実施形態では、酸素からアルゴンを脱離するための方法であって、水を加熱して、水からアルゴンを脱離すること、アルゴン脱離された水を少なくとも1つの電解槽セルに提供すること、及びアルゴン脱離された水を酸素流と水素流とに分離又は分割することを含み、水素流が、10ppb未満のアルゴンを含む、方法が提供される。
【0036】
本明細書で述べる実施形態は例示にすぎず、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく変更及び修正を当業者が加えることができることを理解されたい。そのような変更及び修正はすべて、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲内に含まれるものと意図される。上述した実施形態は、代替としてだけでなく組み合わせることもできることを理解されたい。
図1
【国際調査報告】