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特表2024-521627自律自動車両の運転モードを選択するためのデバイス
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  • 特表-自律自動車両の運転モードを選択するためのデバイス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】自律自動車両の運転モードを選択するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20240528BHJP
   B60W 50/02 20120101ALI20240528BHJP
   H01H 9/54 20060101ALI20240528BHJP
   H01H 47/00 20060101ALI20240528BHJP
   B60W 50/10 20120101ALI20240528BHJP
   B60W 30/182 20200101ALI20240528BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20240528BHJP
   G05D 1/81 20240101ALI20240528BHJP
   G05D 1/43 20240101ALN20240528BHJP
【FI】
B60R16/02 630Z
B60W50/02
H01H9/54 C
H01H47/00 C
B60W50/10
B60W30/182
B60W60/00
B60R16/02 650J
G05D1/81
G05D1/43
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566815
(86)(22)【出願日】2022-04-28
(85)【翻訳文提出日】2023-12-21
(86)【国際出願番号】 EP2022061413
(87)【国際公開番号】W WO2022229352
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】2104499
(32)【優先日】2021-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】レイス, ベルトラン
【テーマコード(参考)】
3D241
5G034
5H301
【Fターム(参考)】
3D241BA49
3D241BA64
3D241BB72
3D241DA67Z
3D241DD12Z
5G034AB14
5G034AC20
5H301CC03
5H301CC06
5H301MM04
(57)【要約】
電気的アセンブリ(100)を有する、自律自動車両の運転モードを選択するためのデバイス(1)であって、電気的アセンブリ(100)中で、スイッチ(10、20)が第1の抵抗器(11、21)と直列に関連付けられ、安全抵抗器(30)が前記スイッチ(10、20)および前記関連付けられた第1の抵抗器(11)と並列に接続され、前記電気的アセンブリが、第1に、コンピュータ(40)のDC電圧源(41)に接続され、第2に、コンピュータ(40)の接地(42)に接続され、したがって、電気的アセンブリ(100)の等価抵抗は、第1に、スイッチ(10)が閉であるのか開であるのかを決定し、第2に、前記電気的アセンブリ(100)の潜在的故障を決定することを可能にする、デバイス(1)。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律自動車両の運転モードを選択するためのデバイス(1)であって、少なくとも1つの制御スイッチ(10、50)を備え、さらに前記スイッチ(10、50)の押下を検出することができるコンピュータ(40)を備え、
前記デバイス(1)が電気回路(100)を含み、前記電気回路(100)中で、前記スイッチ(10、50)が第1の抵抗器(11、51)に直列に接続され、安全抵抗器(30)が前記スイッチ(10、50)および前記第1の抵抗器(11)と並列に接続され、前記電気回路が、一方では前記コンピュータ(40)のDC電圧源(41)に接続され、他方では前記コンピュータ(40)の接地(42)に接続され、これにより、前記電気回路(100)の等価抵抗が、一方では前記スイッチ(10、50)が閉であるのか開であるのかを決定し、他方では前記電気回路(100)の潜在的故障を決定することを可能にする、ことを特徴とする、デバイス(1)。
【請求項2】
前記電気回路(100)が、第2の抵抗器(21)と直列に接続された第2のスイッチ(20)を備え、前記第2のスイッチ(20)および前記第2の抵抗器(21)が、一方では第1のスイッチ(10)および前記第1の抵抗器と並列に接続され、他方では前記安全抵抗器(30)と並列に接続され、これにより、前記電気回路(100)の前記等価抵抗が、前記第1のスイッチ(10)と同時にまたは前記第1のスイッチ(10)なしに、前記第2のスイッチ(20)が閉であるのか開であるのかを決定することをさらに可能にする、ことを特徴とする、請求項1に記載の選択デバイス(1)。
【請求項3】
前記等価抵抗が前記安全抵抗器(30)の値に等しいとき、前記2つのスイッチ(10、20)が開であることを検出することを可能にする手段を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の選択デバイス(1)。
【請求項4】
前記等価抵抗が無限値に等しいとき、開回路に関連する故障を検出することを可能にする手段を備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の選択デバイス(1)。
【請求項5】
前記等価抵抗が0であるとき、前記接地(42)または前記DC電圧源(41)にある短絡回路を検出することを可能にする手段を備えることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の選択デバイス(1)。
【請求項6】
自律自動車両に搭載されたコンピュータ(40)であって、測定された抵抗値(Re)に応じて、接続された選択デバイスが、単一のスイッチ(50)を備える請求項1に記載の選択デバイス(1)であるかどうか、または、前記接続された選択デバイスが、2つのスイッチ(10、20)を備える請求項2に記載の選択デバイスであるかどうかを検出することに適している、コンピュータ(40)。
【請求項7】
請求項6に記載の搭載コンピュータ(40)と請求項1から5のいずれか一項に記載の選択デバイスとを備える、自動車両のためのステアリングホイール。
【請求項8】
請求項7に記載のステアリングホイールを備える、自動車両。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、自律車両の制御を獲得するためのデバイスに関し、詳細には、自律自動車両の運転モードを選択するためのデバイスに関する。
【0002】
自動車両の分野では、自律車両は、運転者の支援なしに自動的に移動し、ステアリングを行うことができる車両である。言い換えれば、自律車両は、搭載コンピュータによって運転され、レーダーおよびライダーなどの外部センサーに応じて、加速度計およびジャイロスコープなどのセンサーによって得られた自律車両のダイナミクスに応じて、搭載マッピング手段によって得られた道路の知識に応じて、ならびに、たとえば、GPSによって得られた自律車両の地理的位置に応じて、制御判断を行う。
【0003】
しかしながら、自律車両は、人間の運転者によって運転される能力を有しなければならない。したがって、運転者は、自動ステアリングをトリガするまたは制御を取り戻す、オプションを有しなければならない。
【0004】
この目的で、制御インターフェースは、運転者が、いかなるときでも、運転者が自律モードに入ることを望むのか自律モードを出ることを望むのかを手動で判断することを可能にすることができることが必要である。
【0005】
このコマンドが大きい安全重要性を有するとすれば、自律モードをアクティブ化または非アクティブ化するためのコマンドの送信を最適にセキュアにすることが必要である。
【0006】
文献EP3240712B1が特に知られており、これは、第1のボタンと第2のボタンとが、所定の第1の時間超の間、一度に選択されるとき、自律運転モードをアクティブ化し、したがって、自律運転モードが不随意にアクティブ化または非アクティブ化されることを回避する、電子コントローラを備える、自律モードをアクティブ化または非アクティブ化するための制御システムの回路図について説明する。
【0007】
しかしながら、この文献によって提案されたソリューションは、2つのスイッチでは、この制御システムの考えられる故障(failure)を検出することを可能にしない。
【0008】
したがって、自律運転モードに入るまたは自律運転モードを出るための電子制御回路の考えられる故障を自動的に検出することができる、改善された制御システムが必要である。
【0009】
この目的で、自律自動車両の運転モードを選択するためのデバイスであって、少なくとも1つの制御スイッチを備え、本デバイスが、前記スイッチの押下を検出することができるコンピュータを備える、デバイスが提案される。
【0010】
本デバイスは電気回路を含み、電気回路中で、前記スイッチが第1の抵抗器に直列に接続され、安全抵抗器が前記スイッチおよび前記第1の抵抗器と並列に接続され、前記電気回路が、一方ではコンピュータのDC電圧源に接続され、他方ではコンピュータの接地に接続され、したがって、電気回路の等価抵抗は、一方ではスイッチが閉であるのか開であるのかを決定し、他方では前記電気回路の潜在的故障を決定することを可能にする。
【0011】
したがって、安全抵抗器の存在は、コンピュータが、運転モードを選択するためのデバイスの故障を検出することができることを保証するために、最適化された安全を提供する。
【0012】
有利にはおよび非限定的に、前記電気回路は、第2の抵抗器と直列に接続された第2のスイッチを備え、前記第2のスイッチおよび前記第2の抵抗器は、一方では第1のスイッチおよび第1の抵抗器と並列に接続され、他方では前記安全抵抗器と並列に接続され、したがって、電気回路の等価抵抗は、さらに、第1のスイッチと同時にまたは第1のスイッチなしに、第2のスイッチが閉であるのか開であるのかを決定することを可能にする。したがって、本デバイスは、2つのスイッチで動作することに適しており、これは、運転モードの変更における安全の増加を得ることを可能にする。
【0013】
さらに、2つのスイッチをもつそのような回路は、コンピュータへの2つの接続のみ、すなわち、接地への接続とDC電圧接続とを有し、コンピュータが等価抵抗を測定することを可能にする。したがって、電気的故障のリスク、特に、切断されるケーブルのリスクは、コンピュータへの接続のために2倍の数のケーブルがあった、従来技術に対して低減される。
【0014】
有利には、本デバイスは、等価抵抗が前記安全抵抗器の値に等しいとき、2つのスイッチが開であることを検出することを可能にする手段を備える。したがって、コンピュータから見た等価抵抗を測定することによって、それらのスイッチが両方とも開であるかどうかを単純な様式で決定することが可能である。
【0015】
有利には、本デバイスは、前記等価抵抗が無限値に等しいとき、開回路に関連する故障を検出することを可能にする手段を備える。したがって、コンピュータから見た等価抵抗を測定することによって、電気回路中に開回路故障があるかどうかを単純な様式で決定することが可能である。
【0016】
有利には、本デバイスは、等価抵抗が0であるとき、接地またはDC電圧源にある短絡回路を検出することを可能にする手段を備える。したがって、コンピュータから見た等価抵抗を測定することによって、本デバイスが短絡しているかどうかを単純な様式で決定することが可能である。
【0017】
本発明は、自律自動車両に搭載されたコンピュータであって、測定された抵抗値に応じて、接続された選択デバイスが、単一のスイッチを備える選択デバイスであるかどうか、または、接続された選択デバイスが、2つのスイッチを備える選択デバイスであるかどうかを検出することに適している、コンピュータにも関する。
【0018】
本発明は、上記で説明された搭載コンピュータと選択デバイスとを備える、自動車両のためのステアリングホイールにも関する。
【0019】
本発明は、上記で説明されたステアリングホイールを備える、自動車両にも関する。
【0020】
本発明の他の委細および利点は、添付の図面を参照しながら、例示的に(indicatively)ただし非限定的に与えられる、本発明の具体的な実施形態の下記の説明を読むと明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1の実施形態による、構成の概略図である。
図2】本発明の第2の実施形態による、デバイスの2つの択一的電気回路の表現の図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1を参照すると、本発明の第1の実施形態によれば、自律自動車両は、自律運転をトリガすることを可能にする、または自律運転を非アクティブ化する、運転モードを選択するための手段を有するステアリングホイールを備える。
【0023】
これらの選択手段は2つのスイッチ10、20を備え、各々は、それらのうちの一方が運転者の右手によってアクティブ化され、他方が運転者の左手によってアクティブ化されることができるように、ステアリングホイール上に設置される。
【0024】
2つのスイッチが所定の時間、たとえば、1~3秒の間、同時に押下されたとき、ステアリングホイールに組み込まれた搭載コンピュータが、運転モードの状態を変更するためのコマンドを検出する。
【0025】
したがって、2つのスイッチ10、20が、所定の時間の間、閉に保たれたとき、現在の運転モードが自律モードであった場合、車両は手動運転モードに切り替わり、その逆も同様である。
【0026】
2つのスイッチ10、20が解放されたとき、またはそれらのスイッチのうちの1つのみが解放されたとき、セレクタは、休止位置にあり、運転モードを変更するためのアクションが運転者によって要求されないことを示す。
【0027】
選択デバイス1は、電気回路100を有し、電気回路100中で、第1のスイッチ10が、Rsw1とも標示される第1の抵抗器11と直列に接続され、回路の第1の分岐を形成する。
【0028】
第2のスイッチ20は、Rsw2とも標示される第2の抵抗器21と直列に接続され、回路100の第2の分岐を形成する。
【0029】
第1の分岐および第2の分岐は、互いに並列である。
【0030】
最後に、RADとも標示される安全抵抗器30が、第1および第2の分岐と並列に取り付けられる。
【0031】
この回路は、一方では、搭載コンピュータ40の接地42に接続され、他方では、VBATとも標示される、コンピュータ40のDC電圧41に接続される。
【0032】
この実施形態では、DC電圧は5Vの値を有する。
【0033】
したがって、コンピュータから見ると、この回路の等価抵抗Reは、以下の形式で計算され得る。
【0034】
[Math1]
【0035】
したがって、この等価抵抗値Reは、コンピュータが、一方では、2つのスイッチの状態が何であるかについてを決定することを可能にし、さらに、回路100の考えられる故障を検出することを可能にする。
【0036】
この例では、以下の抵抗値がとられる。
【0037】
SW1=560Ω
【0038】
SW2=560Ω
【0039】
AD=6.8kΩ
【0040】
これらの所定の抵抗値で、コンピュータから見た、等価抵抗Reを計算することによって、コンピュータ40は、以下の表に従って回路の状態を決定することができる。
[表1]
【0041】
この表から、本発明による回路および選定された抵抗値であって、特に、安全抵抗器RADが第1および第2の抵抗器よりも少なくとも10倍大きい値を有する、本発明による回路および選定された抵抗値は、コンピュータが、等価抵抗Reに応じて、電気回路100の状態、および特に、回路100中の考えられる短絡回路または開回路故障を決定することを可能にすることが理解される。
【0042】
この実施形態の特定の一実装形態によれば、1つのスイッチのみが閉として検出されたとき、コンピュータが、どれが閉スイッチであるかを決定することができるように、第1の抵抗器および第2の抵抗器はまた、別個の値を有し得る。
【0043】
本発明の第2の実施形態によれば、図2を参照すると、単一のコンピュータ41が自動車両の様々なモデル上に取り付けられることが起こる。
【0044】
したがって、たとえば、同じコンピュータが、自動車両の都市モデルのために、および自動車両のスポーツモデルのために実装され得る。
【0045】
この場合、運転モードの手動変更を含む、差異があり得る。ここでは、スポーツモデルの場合、自律運転モードからの変更は、単一のスイッチ50によって手動で制御され、都市モデルの場合、自律運転モードからの変更は、第1の実施形態において開示されるように、2つのスイッチ10、20を同時に押下することによって制御される。
【0046】
図2の図は、同じ車両中に同時に存在しない、2つの異なる回路100’を重ね合わせたビューであり、上側回路500または下側回路501のみが車両中に存在する。
【0047】
したがって、例として、スポーツモデルは、単一のスイッチ50をもつ上側回路500を備え、都市モデルは、本発明の第1の実施形態と同様である、下側回路501を備える。
【0048】
目的は、コンピュータが、一方では、どの回路が存在するかを検出し、他方では、運転モードを変更するためのコマンドと電気回路中の考えられる故障とを検出することを可能にすることである。
【0049】
この目的で、上側回路500は、単一のスイッチ50と、スイッチ50と直列の、Rsw3とも標示される抵抗器51とを有する。上側回路500はまた、スイッチ50および抵抗器51と並列の、安全抵抗器31を備える。
【0050】
この上側回路500は、コンピュータ50に接続され、一方ではコンピュータ42の接地に接続され、他方では、コンピュータ41の、たとえば、5VにおけるDC電圧源VBATに接続される。
【0051】
この上側回路500では、抵抗器は、以下の値を有する。
【0052】
安全抵抗器RRS=2.7kΩ
【0053】
抵抗器51 Rsw3=1.5kΩ。
【0054】
下側回路501は、その部分については、第1の実施形態と同様であり、抵抗値は、この第1の実施形態の場合と同じである。
【0055】
したがって、コンピュータ40から見ると、等価抵抗Reを測定することは、様々な状態を検出することを可能にする。
[表2]
【0056】
したがって、コンピュータ40は、どの回路が車両に組み込まれたかを前もって知らないときでも、一方では、どの回路が自動車両に設置されたか、どのスイッチが閉であるか、および回路中の考えられる短絡回路または開回路故障を決定し得ることを理解されたい。
【0057】
したがって、本発明から、抵抗値の特定の選択肢が理解され、ここで、
【0058】
- 安全抵抗器は、スイッチに関連する抵抗器よりも大きく、たとえば、5倍から20倍大きい、
【0059】
- 第1の回路モードの安全抵抗器と第2の回路の安全抵抗器とは互いに異なり、たとえば、2~4の範囲の比を有する抵抗値を有する、
【0060】
コンピュータが、どの電気回路がステアリングホイール中に存在するかを自動的に検出することと、電気回路中の主要な故障を自動的に検出することによって運転モードの選択の最適な安全を保証することとを可能にする。
図1
図2
【国際調査報告】