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特表2024-521635ロボットによるマイクロ手術処置のための運動学的構造及び滅菌ドレープ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】ロボットによるマイクロ手術処置のための運動学的構造及び滅菌ドレープ
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/35 20160101AFI20240528BHJP
【FI】
A61B34/35
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567156
(86)(22)【出願日】2022-05-31
(85)【翻訳文提出日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 IB2022055086
(87)【国際公開番号】W WO2022254335
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】63/195,429
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/229,593
(32)【優先日】2021-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
(71)【出願人】
【識別番号】522497490
【氏名又は名称】フォーサイト ロボティクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ギル,アリエル
(72)【発明者】
【氏名】アーノルド,オファー
(72)【発明者】
【氏名】グロズマン,ダニエル
【テーマコード(参考)】
4C130
【Fターム(参考)】
4C130AA02
4C130AA04
4C130AA13
4C130AA33
4C130AA34
4C130AA42
4C130AB02
4C130AD02
4C130AD05
(57)【要約】
【課題】 ロボットによるマイクロ手術処置を行うことである。
【解決手段】 ツール(21)を使用して患者の体の一部に処置を行うための装置及び方法が記載される。ロボットユニット(20)が、ベース(27)、エンドエフェクタ(30)及びツールがエンドエフェクタと同軸になるようにツールを保持するように構成されたツールマウント(92)を備える。エンドエフェクタは、複数の多関節アーム(32)を介してベースに結合される。多関節アーム(32)のそれぞれは、ツールの長手軸と同軸でない軸を中心とするエンドエフェクタのローリングに対応するように構成される回転可能なアーチ型リンク(64)をエンドエフェクタの近傍に備える。その他の適用例も記載される。
【選択図】 図4B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ツールを使用して患者の体の一部に処置を行うための装置であって、
ベースと、
エンドエフェクタと、
前記ツールを保持するように構成されたツールマウントと、
前記エンドエフェクタを前記ベースに結合するのに用いられる複数の多関節アームであって、それぞれが前記ツールの長手軸と同軸でない軸を中心とする前記エンドエフェクタのローリングに対応するように構成される回転可能なアーチ型リンクを前記エンドエフェクタの近傍に備える多関節アームと
を備えたロボットユニットを備える装置。
【請求項2】
前記多関節アームを動かすように構成された1つ以上のアームモータと、
前記多関節アームの動きの結果として、前記ツールの前記長手軸と同軸でない前記軸を中心とする前記エンドエフェクタの前記ベースに対するローリングを計算し、
前記エンドエフェクタ及び前記ツールの長手軸と同軸でない前記軸を中心とする前記エンドエフェクタのローリングを補償するように、前記1つ以上のアームモータを駆動して前記多関節アームを動かすことによって、前記ツールがその自身の長手軸を中心にロールする
ように構成されるコンピュータプロセッサと、
を更に備えた、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記回転可能なアーチ型リンクのそれぞれが凹曲面を画定し、前記回転可能なアーチ型リンクが、前記エンドエフェクタが前記回転可能なアーチ型リンクの前記凹曲面で受け入れられるように回転することによって、前記エンドエフェクタのローリングに対応するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記エンドエフェクタを前記ベースに対して直接ロールさせるように構成されたエンドエフェクタモータを更に備え、前記回転可能なアーチ型リンクが、前記エンドエフェクタが前記エンドエフェクタモータによって能動的にロールされるのに対応するように受動的に回転するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
滅菌ドレープ及びドレーププレートを更に備え、前記ドレーププレートが、前記多関節アーム及び前記エンドエフェクタが前記滅菌ドレープの第1の側の非滅菌ゾーンに配設され、前記ツールマウントが、前記滅菌ドレープの第2の側の滅菌ゾーン内に配設されるように前記エンドエフェクタに結合されるように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記ドレーププレートが、前記エンドエフェクタを動作させるように構成される前記ロボットユニットの全ての運動駆動部が、前記滅菌ドレープの前記第1の側の前記非滅菌ゾーンに配設されるように前記エンドエフェクタに結合されるように構成される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記回転可能なアーチ型リンクが、前記エンドエフェクタが180度を超える角度でロールするのに対応するように回転するように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記回転可能なアーチ型リンクが、前記エンドエフェクタが300度を超える角度でロールするのに対応するように回転するように構成される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記複数の多関節アームのそれぞれが、前記エンドエフェクタを前記回転可能なアーチ型リンクに結合するのに用いる、前記回転可能なアーチ型リンクの第1の端部に隣接する第1の直線リンク及び前記回転可能なアーチ型リンクの第2の端部に隣接する第2の直線リンクを更に備え、前記第2の直線リンクが、前記第1の直線リンクに対してある角度をなして配設される、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記回転可能なアーチ型リンクを前記第1の直線リンクに対してロールさせるように構成されるモータを前記アームの少なくとも1つの内部に更に備え、前記第1の直線リンクと前記第2の直線リンクとがなす前記角度が、前記直線リンクに対する前記回転可能なアーチ型リンクのローリングが前記エンドエフェクタのローリングをもたらすように構成される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
エンドエフェクタ及びベースと、ツールを保持するように構成されるツールマウントと、前記ツールを前記エンドエフェクタに対してロールさせるように構成されたツールモータと、前記エンドエフェクタを前記ベースに対して動かすように構成される1つ以上のロボットアームとを備えるロボットユニットを使用して、患者の体の一部に処置を行うための装置であって、
前記ツールマウントと前記エンドエフェクタとの間に配置されるように構成されたドレーププレートと、
前記ドレーププレートの周囲に配設され、前記ドレーププレートに対して封止された滅菌ドレープであって、前記滅菌ドレープの第1の側の非滅菌ゾーンと前記滅菌ドレープの第2の側の滅菌ゾーンとの間に界面を形成することによって、前記ツールマウントが前記滅菌ゾーン内に配設され、前記1つ以上のロボットアーム及び前記ツールモータが前記非滅菌ゾーン内に配設されるように構成された滅菌ドレープと、
前記滅菌ゾーン内に配設されるように構成され、前記ツールを前記エンドエフェクタに対してロールさせるように構成された少なくとも1つの歯車機構と、
前記滅菌ゾーンと前記非滅菌ゾーンとの間にシールを維持しながら、前記ツールモータから前記少なくとも1つの歯車機構に運動を伝達するように構成された運動伝達部と、
を備える装置。
【請求項12】
前記1つ以上のアームを動かすことによって前記エンドエフェクタを前記ベースに対して動作させ、
結果として生じる前記エンドエフェクタの前記ベースに対するローリングを計算し、
結果として生じる前記エンドエフェクタの前記ベースに対するローリングを補償するように、前記ツールモータを駆動して前記ツールを前記エンドエフェクタに対してロールさせる
ように構成された少なくとも1つのコンピュータプロセッサを更に備える、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記運動伝達部がシャフトを備え、前記ツールモータが、前記シャフトを回転させるように構成され、前記少なくとも1つの歯車機構が、前記シャフトにより回転するように駆動される第1の歯車と、前記第1の歯車により回転するように駆動される第2の歯車とを含む、請求項11又は請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記シャフトと前記第1の歯車との界面が、前記滅菌ゾーンと前記非滅菌ゾーンとの間にシールを維持するように封止される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記第1の歯車が前記ドレーププレート内に配設される、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記第2の歯車が前記ツールに組み込まれている、請求項13に記載の装置。
【請求項17】
前記ツールの周囲に配設されるように構成されたツールスリーブを更に備え、前記第2の歯車が前記ツールスリーブに組み込まれている、請求項13に記載の装置。
【請求項18】
前記運動伝達部がシャフトを備え、前記ツールモータが、前記シャフトを回転させるように構成され、前記少なくとも1つの歯車機構が、前記シャフトにより直線的に動くように駆動されるウォーム歯車と、前記第1の歯車の直線的な動きにより回転するように駆動される歯車とを含む、請求項11又は請求項12に記載の装置。
【請求項19】
前記シャフトと前記ウォーム歯車との界面が、前記滅菌ゾーンと前記非滅菌ゾーンとの間にシールを維持するように封止される、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記ウォーム歯車が前記ドレーププレート内に配設される、請求項18に記載の装置。
【請求項21】
前記歯車が前記ツールに組み込まれている、請求項18に記載の装置。
【請求項22】
前記ツールの周囲に配設されるように構成されたツールスリーブを更に備え、前記歯車が前記ツールスリーブに組み込まれている、請求項18に記載の装置。
【請求項23】
前記ツールの少なくとも一部を前記エンドエフェクタに対して直線的に動作させるように構成されたリニアツールモータと、
前記リニアツールモータによって直線的に動かされることによって、前記ツールの前記少なくとも一部を前記エンドエフェクタに対して直線的に動作させるように構成されたツール作動アームと
を更に備え、
前記滅菌ドレープが、前記リニアツールモータが前記非滅菌ゾーン内に配設され、前記ツール作動アームが前記非滅菌ゾーン内に配設されるように前記界面を形成するように構成される、請求項11又は請求項12に記載の装置。
【請求項24】
前記ツール作動アームと押される前記ツールの前記一部との界面に配設されるように構成される前記滅菌ドレープの一部分が、前記ドレープの他の部分よりも高い剛性及び/又は耐久性を有するように構成される、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
エンドエフェクタと、ツールが前記エンドエフェクタと同軸となるように前記ツールを保持するように構成されるツールマウントと、前記ツールの少なくとも一部を前記エンドエフェクタに対して直線的に動作させるように構成されたリニアツールモータと、前記エンドエフェクタを動かすように構成される1つ以上のロボットアームとを備えるロボットユニットを使用して患者の体の一部に処置を行うための装置であって、
前記ツールマウントと前記エンドエフェクタとの間に配置されるように構成されたドレーププレートと、
前記ドレーププレートの周囲に配設され、前記ドレーププレートに対して封止された滅菌ドレープであって、前記滅菌ドレープの第1の側の非滅菌ゾーンと前記滅菌ドレープの第2の側の滅菌ゾーンとの間に界面を形成することによって、前記ツールマウントが前記滅菌ゾーン内に配設され、前記1つ以上のロボットアーム及び前記リニアツールモータが前記非滅菌ゾーン内に配設されるように構成された滅菌ドレープと、
前記非滅菌ゾーン内に配設されるように構成され、且つ前記リニアツールモータによって直線的に動かされることによって前記ツールの前記少なくとも一部を前記エンドエフェクタに対して直線的に動かすように構成されたツール作動アームと
を備え、
前記ツール作動アームと押される前記ツールの前記一部との間の界面に配設されるように構成される前記滅菌ドレープの一部分が、前記ドレープの他の部分よりも高い剛性及び/又は耐久性を有するように構成される装置。
【請求項26】
前記装置が、前記滅菌ドレープの前記一部分に貼付されたステッカーを備え、前記ステッカーが、前記滅菌ドレープの前記他の部分に対する前記一部分の剛性及び/又は耐久性を高めるように構成される、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記滅菌ドレープの前記一部分が、前記滅菌ドレープの前記他の部分に対して前記一部分の剛性及び/又は耐久性を高めるために熱処理される、請求項25に記載の装置。
【請求項28】
前記滅菌ドレープの前記一部分が、前記滅菌ドレープの前記他の部分に対して前記一部分の剛性及び/又は耐久性を高めるために化学的に処理される、請求項25に記載の装置。
【請求項29】
前記滅菌ドレープの前記一部分が、前記滅菌ドレープの前記他の部分に対して前記一部分の剛性及び/又は耐久性を高めるために、前記滅菌ドレープの前記他の部分からの代替又は追加の材料を含む、請求項25に記載の装置。
【請求項30】
前記ツールマウントから所与の距離まで後退することに応答して、前記ツール作動アームを自動的に折り畳ませるように構成される自動ツール作動アーム折り畳み機構を更に備える、請求項25に記載の装置。
【請求項31】
エンドエフェクタと、ツールが前記エンドエフェクタと同軸となるように前記ツールを保持するように構成されたツールマウントと、前記ツールの少なくとも一部を前記エンドエフェクタに対して直線的に動作させるように構成されたリニアツールモータとを備えるロボットユニットを使用して患者の体の一部に処置を行うための装置であって、
前記リニアツールモータによって直線的に動作させることによって、前記ツールの前記少なくとも一部を前記エンドエフェクタに対して直線的に動作させるように構成されたツール作動アームと、
前記ツールマウントから所与の距離まで後退することに応答して、前記ツール作動アームを自動的に折り畳ませるように構成される自動ツール作動アーム折り畳み機構と
を備える装置。
【請求項32】
前記自動ツール作動アーム折り畳み機構がばね機構を含む、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記ツールがプランジャを備えるシリンジを備え、前記ツール作動アームが、前記シリンジの前記プランジャを直線的に押すように構成される、請求項31に記載の装置。
【請求項34】
前記ツール作動アームが、前記ツールマウントが前記ツール作動アームの取り外し及び/又は手動の折り畳みを必要とせずに大きなツールを収容できるように折り畳めるように構成される、請求項31に記載の装置。
【請求項35】
前記ロボットユニットが、水晶体超音波乳化吸引術プローブを含む複数のツールを用いて白内障手術を行うように構成され、前記ツール作動アームが、前記ツールマウントが前記ツール作動アームの取り外し及び/又は手動の折り畳みを必要とせずに、前記水晶体超音波乳化吸引術プローブを収容できるように折り畳めるように構成される、請求項31に記載の装置。
【請求項36】
前記ツール作動アームが前記ツールマウントに接近することに応答して、前記ツール作動アームを自動的に展開させるように構成された自動ツール作動アーム展開機構を更に備えた、請求項31から35のいずれか一項に記載の装置。
【請求項37】
前記自動ツール作動アーム展開機構がばね機構を含む、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
ツールを使用して患者の眼に処置を行うための装置であって、
ベース、
エンドエフェクタ、
前記ツールを保持するように構成されたツールマウント、
前記エンドエフェクタを前記ベースに結合するのに用いる複数の多関節アームであって、前記エンドエフェクタが前記ベースに対してロールするなどの前記エンドエフェクタの前記ベースに対する動きを許可するように構成される多関節アーム、
前記多関節アームを動かすように構成された少なくとも1つのアームモータ、及び
前記ツールを前記エンドエフェクタに対して、前記ツールの長手軸を中心に回転させるように構成された少なくとも1つのツールモータ
を備えたロボットユニットと、
前記アームモータを駆動して前記多関節アームを動かすことによって、前記エンドエフェクタを前記ベースに対して動作させ、
結果として生じる前記エンドエフェクタの前記ベースに対するローリングを計算し、
結果として生じる前記エンドエフェクタの前記ベースに対するローリングを補償するように、前記ツールモータを駆動して前記ツールをそれ自身の長手軸を中心にロールさせる
ように構成された少なくとも1つのコンピュータプロセッサと
を備えた装置。
【請求項39】
前記ロボットユニットが、前記患者の眼に対して白内障手術の少なくとも一部を実行するように構成される、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記ロボットユニットが、回転対称でないツールと共に使用されるように構成される、請求項38に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、
2021年6月1日に出願された「Kinematic structures for robotic microsurgical procedures」と題するGilらによる米国仮特許出願第63/195,429号、及び
2021年8月5日に出願された「Sterile drapes for robotic microsurgical procedures」と題するGilらによる米国仮特許出願第63/229,593号の優先権を主張する。
【0002】
上記の両方の米国仮出願は、共に参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本発明の一部の適用例は概ね医用装置及び方法に関する。具体的には、本発明の一部の適用例は、ロボットによりマイクロ手術処置を行うための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
白内障手術は、混濁(白内障として知られている)を発症した眼の自然のレンズを除去すること、及びこれを眼内レンズと交換することからなる。かかる手術は通常、順次行われる複数の標準的なステップを伴う。
【0005】
最初のステップにおいて、患者の顔の眼の周りが(通常、ヨード溶液で)消毒され、顔が滅菌ドレープで覆われて眼だけが露出される。消毒及びドレーピングが完了すると、通常は点眼液の形態で投与される局部麻酔薬を使用して眼に麻酔がかけられる。次いで眼球が上下の眼瞼を開いたままに保つ開瞼器を使用して露出される。眼の角膜に1回以上の切開(通常、2又は3回の切開)が行われる。切開は通常、ケラトーム刃と呼ばれる専用刃を使用して行われる。この段階において、眼に更に麻酔をかけるために、通常、眼の前眼房にリドカインが注入される。このステップに続いて、角膜切開によって粘弾性物質注入が施される。粘弾性物質注入を行うのは、前眼房を安定させるため、及び処置の残り時間の間眼圧を維持するのを助けるため、更に水晶体嚢を拡張するためである。
【0006】
嚢切開として知られている後段階において、前水晶体嚢の一部が除去される。レーザを利用した嚢切開、(精密ナノパルス技術を利用する)zeptoを使用した切開、及びマーカーを利用した嚢切開(嚢開放に望ましいサイズを示すために、角膜に規定のマーカーを使用して印が付けられる)などの様々な強化技術が、嚢切開を行うために開発されている。
【0007】
その後、ハイドロダイセクションとして知られているステップにおいて、白内障の外皮層を切り裂くために、角膜切開によって流体波を注入することが一般的である。ハイドロデリニエーションとして知られている後続のステップにおいて、水晶体の外側のより柔らかいエピ核は、流体波の注入によって内側のより硬いエンド核から分離される。次のステップでは、水晶体乳化吸引として知られているプロセスにおいて水晶体の超音波乳化が行われる。水晶体の核は初めにチョッパーを使用して破砕され、その後に通常は超音波水晶体乳化吸引プローブを使用して、水晶体の外側断片が破壊及び除去される。更に通常は、水晶体乳化吸引中に吸引を行うために別個のツールが使用される。水晶体乳化吸引が完了すると、残っている水晶体皮質(すなわち水晶体の外層)物質が水晶体嚢から吸引される。水晶体乳化吸引及び吸引の間、吸引された流体が通常、前眼房内の流体圧力を維持するために、平衡塩類溶液の灌流によって補われる。一部の例では、必要と見なされれば水晶体嚢は研磨される。その後、眼内レンズ(IOL)が水晶体嚢に挿入される。IOLは通常、折り畳み可能であり、折り畳まれた状態で挿入された後、水晶体嚢内部で展開される。この段階において、粘弾性物質は通常、以前に流体を水晶体嚢から吸引するのに使用された吸引デバイスを使用して除去される。必要であれば、眼球内の圧力を高めることによって切開部を塞ぎ、切開部の内部組織を外部組織に押し当てることによって強制的に切開部を閉じる。
【発明の概要】
【0008】
本発明の一部の適用例によれば、ロボットシステムは、眼内手術などのマイクロ手術処置での使用のために構成される。典型的には、眼内手術に使用される場合、ロボットシステムは、第1及び第2のロボットユニットを含む。一部の適用例では、ロボットユニットのそれぞれは、典型的には複数の様々なツールのうちのいずれか1つをその上に確実に保持するように構成されるエンドエフェクタを備える。一部の適用例では、エンドエフェクタは、ツールを(直接的又は間接的に)保持するように構成されるツールマウントに結合される。典型的には、エンドエフェクタは、患者の眼へのツールの進入が切開点を介して行われ、ツールの先端が患者の眼内に配設されるように、ツールを患者の眼に挿入するように構成される。
【0009】
一部の適用例では、2つの多関節アーム(すなわち、関節を介して互いに連結される複数のリンクを含むアーム)が、エンドエフェクタの片側に配設され、エンドエフェクタを移動可能に支持するように構成される。典型的には、複数のアームモータが2つの多関節アームに関連付けられる。一部の適用例では、ロボットユニットは、ロボットユニットのベースに対するエンドエフェクタのローリングを補償するように、それ自身の軸を中心にツールを回転させるように構成される。典型的には、ツール(特に回転対称でないツール)が患者の眼に対してロールするのを防ぐことが望ましい。一部の適用例では、エンドエフェクタがロボットユニットのベースに対して回転するのを防ぐのではなく、エンドエフェクタはベースに対してロールすることが許可されるが、そのようなエンドエフェクタのローリングは、エンドエフェクタに対してそれ自身の軸を中心にツールをロールさせることによって補償される。一部の適用例では、ロボットユニットは、例えば、外科的手技を実行するために、別の又は追加の理由で、それ自身の軸を中心にツールを回転させるように構成される。
【0010】
典型的には、ロボットユニットは、エンドエフェクタをx軸、y軸、z軸に沿って、またピッチ及びヨー角運動によって動かすように能動的に駆動されるが、エンドエフェクタのローリングはそのような動きの望ましくない副産物である。一部の適用例では、コンピュータプロセッサが、ツールが受けるべきエンドエフェクタに対するロール量を計算する。例えば、コンピュータプロセッサは、多関節アームの動き(例えば、x軸、y軸、及び/もしくはz軸に沿った並進運動、並びに/又はピッチ及び/もしくはヨー角運動)のために、エンドエフェクタがベースに対して+20度のロールを受けることになると計算することがある。これに応答して、コンピュータプロセッサは、エンドエフェクタに対して-20度だけそれ自身の軸を中心にツールを回転させることがある。
【0011】
一部の適用例では、エンドエフェクタに対してツールをロールさせることに代えて又は加えて、エンドエフェクタ自体をロールさせる。典型的には、そのような場合、エンドエフェクタは、ツールの長手軸と同軸でない軸を中心にロールする。したがって、エンドエフェクタは、その長手軸に対して偏心した軸を中心とするローリングを受ける。一部の適用例では、ロボットユニットは、エンドエフェクタを偏心軸を中心にロールさせるように構成されるエンドエフェクタモータを備える。典型的には、ロボットユニットは少なくとも5つのアームモータを備える。一部の適用例では、コンピュータプロセッサは、エンドエフェクタのロールの中心であり、ツール軸と同軸でない軸を補償するようにアームを動作させる。このように、エンドエフェクタは偏心軸を中心に回転するが、ツール自体はそれ自身の軸を中心にロールする。
【0012】
一部のそのような適用例では、多関節アームのそれぞれは、エンドエフェクタの近傍に回転可能なアーチ型リンクを備える。回転可能なアーチ型リンクは、エンドエフェクタの軸を中心とするローリングに対応するように回転するように構成される。典型的には、エンドエフェクタが回転すると、エンドエフェクタはアーチ型リンクを押して回転させ、エンドエフェクタがアーチ型リンクの凹曲面で受け入れられる。エンドエフェクタのローリングのそのような受け入れは、典型的には、特にエンドエフェクタのローリングがそれ自身の軸に対して偏心するように構成されるロボットユニットの観点から望ましい。例えば、回転可能なアーチ型リンクの代わりに、エンドエフェクタの軸に対して垂直に配設された直線リンクがある場合、エンドエフェクタは、リンクによってブロックされる前に、比較的狭い角度範囲でしか回転することができない。対照的に、本明細書に記載される構成を用いて、エンドエフェクタは、典型的には偏心軸を中心に180度を超えて、例えば、250度を超えて、又は300度を超えてロールすることができる。
【0013】
一部の適用例では、滅菌ドレープが、(a)滅菌ドレープの第1の側の非滅菌ゾーン内に配設されるロボットアーム及びエンドエフェクタと、(b)滅菌ドレープの第2の側の滅菌ゾーン内に配設されるツールマウント及びツールとの間に設けられる。典型的には、滅菌ドレープは、ドレーププレートの周囲に配設され、ドレーププレートに対して封止される。一部の適用例では、ドレーププレートはエンドエフェクタに結合可能であり、ツールマウントに結合される(又は結合可能である)。ドレーププレートは、典型的には(a)滅菌ドレープの第1の側の非滅菌ゾーン内に配設されるロボットアーム及びエンドエフェクタと、(b)滅菌ドレープの第2の側の滅菌ゾーン内に配設されるツールマウント及びツールとの間の界面として機能する。
【0014】
一部の適用例では、ツールモータがエンドエフェクタの非滅菌ゾーン内に配設される。ツールモータは、典型的には直接、運動伝達部(ピンやシャフトなど)を動作させる(例えば、回転させる)。運動伝達部は、モータの運動を第1の歯車(例えば、平歯車(すなわち、歯車)又はウォーム歯車)に伝達するように構成され、第1の歯車は、第2の歯車(典型的には平歯車(すなわち、歯車)である)を回転させることによって、ツールをエンドエフェクタに対して回転させる。(各適用例によれば、第2のギアは、ツール自体に組み込まれるか又はツールスリーブに組み込まれるかもしくはツールスリーブに結合される可能性がある。)典型的には、運動伝達部は、運動伝達部と第1歯車との間の界面が(例えば、Oリングを介して)封止されるように第1の歯車に機械的に結合される。したがって、エンドエフェクタに対するツールの回転運動は、非滅菌ゾーン内に配設されるモータによって生成される。モータにより生成される回転運動は、非滅菌ゾーンと滅菌ゾーンの間にシールを維持する界面を介してツールに伝達される。
【0015】
一部の適用例では、リニアツールモータが非滅菌ゾーン内に配設される。リニアツールモータは、典型的にはツール作動アームを直線的に動作させる。ツール作動アームは、典型的には非滅菌ゾーン内に配設され、ツールの一部(シリンジのプランジャなど)を滅菌ドレープから押し出すことによって、ツールの一部を直線的に押すように構成される。一部の適用例では、ツール作動アームとツールの押される部分との界面に配設される滅菌ドレープの一部分は、ドレープの他の部分よりも高い剛性及び/又は耐久性を有するように構成される。例えば、滅菌ドレープの他の部分に対して上記部分の剛性及び/又は耐久性を高めるために、上記部分にステッカーが貼付されることがある。あるいは、ドレープは、滅菌ドレープの他の部分に対して上記部分の剛性及び/又は耐久性を高めるために、上記部分で(例えば、熱処理、又は化学処理を用いて)処理されることがある。したがって、ツールの一部の直線運動は、非滅菌ゾーン内に配設されるリニアツールモータによって生成される。モータにより生成される直線運動は、非滅菌ゾーンと滅菌ゾーンの間にシールを維持するように、ドレープを介してツールの上記部分に伝達される。
【0016】
したがって、本発明の一部の適用例によれば、ツールを使用して患者の体の一部に処置を行うための装置であって、
ベースと、
エンドエフェクタと、
ツールを保持するように構成されたツールマウントと、
エンドエフェクタをベースに結合するのに用いられる複数の多関節アームであって、それぞれがツールの長手軸と同軸でない軸を中心とするエンドエフェクタのローリングに対応するように構成される回転可能なアーチ型リンクをエンドエフェクタの近傍に備える多関節アームと
を備えたロボットユニットを備える装置が提供される。
【0017】
一部の適用例では、装置は更に、多関節アームを動かすように構成された1つ以上のアームモータと、
多関節アームの動きの結果として、ツールの長手軸と同軸でない軸を中心とするエンドエフェクタのベースに対するローリングを計算し、
エンドエフェクタ及びツールの長手軸と同軸でない軸を中心とするエンドエフェクタのローリングを補償するように1つ以上のアームモータを駆動して多関節アームを動かすことによって、ツールがその自身の長手軸を中心にロールする
ように構成されるコンピュータプロセッサと、
を更に備える。
【0018】
一部の適用例では、回転可能なアーチ型リンクのそれぞれは凹曲面を画定し、回転可能なアーチ型リンクは、エンドエフェクタが回転可能なアーチ型リンクの凹曲面で受け入れられるように回転することによって、エンドエフェクタのローリングに対応するように構成される。
【0019】
一部の適用例では、装置は更に、エンドエフェクタをベースに対して直接ロールさせるように構成されたエンドエフェクタモータを備え、回転可能なアーチ型リンクは、エンドエフェクタがエンドエフェクタモータによって能動的にロールされるのに対応するように受動的に回転するように構成される。
【0020】
一部の適用例では、装置は更に、滅菌ドレープ及びドレーププレートを備え、ドレーププレートは、多関節アーム及びエンドエフェクタが滅菌ドレープの第1の側の非滅菌ゾーンに配設され、ツールマウントが、滅菌ドレープの第2の側の滅菌ゾーン内に配設されるようにエンドエフェクタに結合されるように構成される。
【0021】
一部の適用例では、ドレーププレートは、エンドエフェクタを動作させるように構成されるロボットユニットの全ての運動駆動部が、滅菌ドレープの第1の側の非滅菌ゾーンに配設されるようにエンドエフェクタに結合されるように構成される。
【0022】
一部の適用例では、回転可能なアーチ型リンクは、エンドエフェクタが180度を超える角度でロールするのに対応するように回転するように構成される。
【0023】
一部の適用例では、回転可能なアーチ型リンクは、エンドエフェクタが300度を超える角度でロールするのに対応するように回転するように構成される。
【0024】
一部の適用例では、複数の多関節アームのそれぞれは更に、エンドエフェクタを回転可能なアーチ型リンクに結合するのに用いる、回転可能なアーチ型リンクの第1の端部に隣接する第1の直線リンク及び回転可能なアーチ型リンクの第2の端部に隣接する第2の直線リンクを備え、第2の直線リンクは、第1の直線リンクに対してある角度をなして配設される。
【0025】
一部の適用例では、装置は更に、回転可能なアーチ型リンクを第1の直線リンクに対してロールさせるように構成されるモータをアームの少なくとも1つの内部に備え、第1の直線リンクと第2の直線リンクとがなす角度は、直線リンクに対する回転可能なアーチ型リンクのローリングがエンドエフェクタのローリングをもたらすように構成される。
【0026】
本発明の一部の適用例によれば、エンドエフェクタ及びベースと、ツールを保持するように構成されるツールマウントと、ツールをエンドエフェクタに対してロールさせるように構成されたツールモータと、エンドエフェクタをベースに対して動かすように構成される1つ以上のロボットアームとを備えるロボットユニットを使用して、患者の体の一部に処置を行うための装置であって、
ツールマウントとエンドエフェクタとの間に配置されるように構成されたドレーププレートと、
ドレーププレートの周囲に配設され、ドレーププレートに対して封止された滅菌ドレープであって、滅菌ドレープの第1の側の非滅菌ゾーンと滅菌ドレープの第2の側の滅菌ゾーンとの間に界面を形成することによって、ツールマウントが滅菌ゾーン内に配設され、1つ以上のロボットアーム及びツールモータが非滅菌ゾーン内に配設されるように構成された滅菌ドレープと、
滅菌ゾーン内に配設されるように構成され、ツールをエンドエフェクタに対してロールさせるように構成された少なくとも1つの歯車機構と、
滅菌ゾーンと非滅菌ゾーンとの間にシールを維持しながら、ツールモータから少なくとも1つの歯車機構に運動を伝達するように構成された運動伝達部と、
を備える装置が更に提供される。
【0027】
一部の適用例では、装置は更に、
1つ以上のアームを動かすことによってベースに対してエンドエフェクタを動作させ、
結果として生じるエンドエフェクタのベースに対するローリングを計算し、
結果として生じるエンドエフェクタのベースに対するローリングを補償するように、ツールモータを駆動してツールをエンドエフェクタに対してロールさせる
ように構成された少なくとも1つのコンピュータプロセッサを備える。
【0028】
一部の適用例では、運動伝達部はシャフトを備え、ツールモータは、シャフトを回転させるように構成され、少なくとも1つの歯車機構は、シャフトにより回転するように駆動される第1の歯車と、第1の歯車により回転するように駆動される第2の歯車とを含む。
【0029】
一部の適用例では、シャフトと第1の歯車との界面は、滅菌ゾーンと非滅菌ゾーンとの間にシールを維持するように封止される。
【0030】
一部の適用例では、第1の歯車はドレーププレート内に配設される。
【0031】
一部の適用例では、第2の歯車はツールに組み込まれている。
【0032】
一部の適用例では、装置は更に、ツールの周囲に配設されるように構成されたツールスリーブを更に備え、第2の歯車はツールスリーブに組み込まれている。
【0033】
一部の適用例では、運動伝達部はシャフトを備え、ツールモータは、シャフトを回転させるように構成され、少なくとも1つの歯車機構は、シャフトにより直線的に動くように駆動されるウォーム歯車と、第1の歯車の直線的な動きにより回転するように駆動される歯車とを含む。
【0034】
一部の適用例では、シャフトとウォーム歯車との界面が、滅菌ゾーンと非滅菌ゾーンとの間にシールを維持するように封止される。一部の適用例では、ウォーム歯車はドレーププレート内に配設される。一部の適用例では、歯車はツールに組み込まれている。一部の適用例では、装置は更に、ツールの周囲に配設されるように構成されたツールスリーブを備え、歯車はツールスリーブに組み込まれている。
【0035】
一部の適用例では、装置は更に、
ツールの少なくとも一部をエンドエフェクタに対して直線的に動作させるように構成されたリニアツールモータと、
リニアツールモータによって直線的に動かされることによって、ツールの少なくとも一部をエンドエフェクタに対して直線的に動かすように構成されたツール作動アームと
を備え、
滅菌ドレープは、リニアツールモータが非滅菌ゾーン内に配設され、ツール作動アームが非滅菌ゾーン内に配設されるように界面を形成するように構成される。
【0036】
一部の適用例では、ツール作動アームと押されるツールの一部との界面に配設されるように構成される滅菌ドレープの一部分は、ドレープの他の部分よりも高い剛性及び/又は耐久性を有するように構成される。
【0037】
本発明の一部の適用例によれば、エンドエフェクタと、ツールがエンドエフェクタと同軸となるようにツールを保持するように構成されるツールマウントと、ツールの少なくとも一部をエンドエフェクタに対して直線的に動作させるように構成されたリニアツールモータと、エンドエフェクタを動かすように構成される1つ以上のロボットアームとを備えるロボットユニットを使用して患者の体の一部に処置を行うための装置であって、
ツールマウントとエンドエフェクタとの間に配置されるように構成されたドレーププレートと、
ドレーププレートの周囲に配設され、ドレーププレートに対して封止された滅菌ドレープであって、滅菌ドレープの第1の側の非滅菌ゾーンと滅菌ドレープの第2の側の滅菌ゾーンとの間に界面を形成することによって、ツールマウントが滅菌ゾーン内に配設され、1つ以上のロボットアーム及びリニアツールモータが非滅菌ゾーン内に配設されるように構成された滅菌ドレープと、
非滅菌ゾーン内に配設されるように構成され、且つリニアツールモータによって直線的に動かされることによってツールの少なくとも一部をエンドエフェクタに対して直線的に動かすように構成されたツール作動アームと
を備え、
ツール作動アームと押されるツールの一部との間の界面に配設されるように構成される滅菌ドレープの一部分が、ドレープの他の部分よりも高い剛性及び/又は耐久性を有するように構成される装置が更に提供される。
【0038】
一部の適用例では、装置は、滅菌ドレープの一部分に貼付されたステッカーを備え、ステッカーは、滅菌ドレープの他の部分に対する一部分の剛性及び/又は耐久性を高めるように構成される。
【0039】
一部の適用例では、滅菌ドレープの一部分は、滅菌ドレープの他の部分に対して一部分の剛性及び/又は耐久性を高めるために熱処理される。
【0040】
一部の適用例では、滅菌ドレープの一部分は、滅菌ドレープの他の部分に対して一部分の剛性及び/又は耐久性を高めるために化学的に処理される。
【0041】
一部の適用例では、滅菌ドレープの一部分は、滅菌ドレープの他の部分に対して一部分の剛性及び/又は耐久性を高めるために、滅菌ドレープの他の部分からの代替又は追加の材料を含む。
【0042】
一部の適用例では、装置は更に、ツールマウントから所与の距離まで後退することに応答して、ツール作動アームを自動的に折り畳ませるように構成される自動ツール作動アーム折り畳み機構を更に備える。
【0043】
本発明の一部の適用例によれば、エンドエフェクタと、ツールがエンドエフェクタと同軸となるようにツールを保持するように構成されたツールマウントと、ツールの少なくとも一部をエンドエフェクタに対して直線的に動作させるように構成されたリニアツールモータとを備えるロボットユニットを使用して患者の体の一部に処置を行うための装置であって、
リニアツールモータによって直線的に動かされることによって、ツールの少なくとも一部をエンドエフェクタに対して直線的に動かすように構成されたツール作動アームと、
ツールマウントから所与の距離まで後退することに応答して、ツール作動アームを自動的に折り畳ませるように構成される自動ツール作動アーム折り畳み機構と
を備える装置が更に提供される。
【0044】
一部の適用例では、自動ツール作動アーム折り畳み機構はばね機構を含む。
【0045】
一部の適用例では、ツールはプランジャを備えるシリンジを備え、ツール作動アームは、シリンジのプランジャを直線的に押すように構成される。
【0046】
一部の適用例では、ツール作動アームは、ツールマウントがツール作動アームの取り外し及び/又は手動の折り畳みを必要とせずに大きなツールを収容できるように折り畳めるように構成される。
【0047】
一部の適用例では、ロボットユニットは、水晶体超音波乳化吸引術プローブを含む複数のツールを用いて白内障手術を行うように構成され、ツール作動アームは、ツールマウントがツール作動アームの取り外し及び/又は手動の折り畳みを必要とせずに、水晶体超音波乳化吸引術プローブを収容できるように折り畳めるように構成される。
【0048】
一部の適用例では、装置は更に、ツール作動アームがツールマウントに接近することに応答して、ツール作動アームを自動的に展開させるように構成された自動ツール作動アーム展開機構を備える。
【0049】
一部の適用例では、自動ツール作動アーム展開機構はばね機構を含む。
【0050】
本発明の一部の適用例によれば、ツールを使用して患者の眼に処置を行うための装置であって、
ベース、
エンドエフェクタ、
ツールを保持するように構成されたツールマウント、
エンドエフェクタをベースに結合するのに用いる複数の多関節アームであって、エンドエフェクタがベースに対してロールするなどのエンドエフェクタのベースに対する動きを許可するように構成される多関節アーム、
多関節アームを動かすように構成された少なくとも1つのアームモータ、及び
ツールをエンドエフェクタに対して、ツールの長手軸を中心に回転させるように構成された少なくとも1つのツールモータ
を備えたロボットユニットと、
アームモータを駆動して多関節アームを動かすことによってエンドエフェクタをベースに対して動かし、
結果として生じるエンドエフェクタのベースに対するローリングを計算し、
結果として生じるエンドエフェクタのベースに対するローリングを補償するように、ツールモータを駆動してツールをそれ自身の長手軸を中心にロールさせる
ように構成された少なくとも1つのコンピュータプロセッサと
を備えた装置が更に提供される。
【0051】
一部の適用例では、ロボットユニットは、患者の眼に対して白内障手術の少なくとも一部を実行するように構成される。
【0052】
本発明は、図面と共に、その適用例の以下の詳細な説明からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】本発明の一部の適用例に係る、眼内手術などのマイクロ手術処置での使用のために構成されるロボットシステムの概略図である。
図2A】本発明の一部の適用例に係る、ロボットシステムで使用するロボットユニットの概略図である。
図2B】本発明の一部の適用例に係る、ロボットシステムで使用するロボットユニットの概略図である。
図3A】本発明の一部の適用例に係る、ロボットユニットのエンドエフェクタのロボットユニットのベースに対するローリングを補償するように、ツールをそれ自身の軸を中心にロールさせるように構成されるロボットユニットの概略図である。
図3B】本発明の一部の適用例に係る、ロボットユニットのエンドエフェクタのロボットユニットのベースに対するローリングを補償するように、ツールをそれ自身の軸を中心にロールさせるように構成されるロボットユニットの概略図である。
図4A】本発明の一部の代替的な適用例に係る、軸を中心にロールするように構成されるエンドエフェクタを有するロボットユニットの概略図である。
図4B】本発明の一部の代替的な適用例に係る、軸を中心にロールするように構成されるエンドエフェクタを有するロボットユニットの概略図である。
図4C】本発明の一部の代替的な適用例に係る、軸を中心にロールするように構成されるエンドエフェクタを有するロボットユニットの概略図である。
図5A】本発明の一部の代替的な適用例に係る、ロボットユニットのエンドエフェクタのローリング運動の各段階における図4A及び図4Bのロボットユニットの概略図である。
図5B】本発明の一部の代替的な適用例に係る、ロボットユニットのエンドエフェクタのローリング運動の各段階における図4A及び図4Bのロボットユニットの概略図である。
図5C】本発明の一部の代替的な適用例に係る、ロボットユニットのエンドエフェクタのローリング運動の各段階における図4A及び図4Bのロボットユニットの概略図である。
図6A】本発明の一部の代替的な適用例に係る、それ自身の長手軸と同軸でない軸を中心にロールするように構成されるエンドエフェクタを有するロボットユニットの概略図である。
図6B】本発明の一部の代替的な適用例に係る、それ自身の長手軸と同軸でない軸を中心にロールするように構成されるエンドエフェクタを有するロボットユニットの概略図である。
図7A】本発明の一部の代替的な適用例に係る、ロボットユニットのエンドエフェクタのローリング運動の各段階における図6A及び図6Bのロボットユニットの概略図である。
図7B】本発明の一部の代替的な適用例に係る、ロボットユニットのエンドエフェクタのローリング運動の各段階における図6A及び図6Bのロボットユニットの概略図である。
図7C】本発明の一部の代替的な適用例に係る、ロボットユニットのエンドエフェクタのローリング運動の各段階における図6A及び図6Bのロボットユニットの概略図である。
図8】本発明の一部の適用例に係る、エンドエフェクタ内でツールを回転させるように構成されていないロボットユニットと共に使用する滅菌ドレープ及びドレーププレートの概略図である。
図9】本発明の一部の適用例に係る、エンドエフェクタ内でツールを回転させるように構成されているロボットユニットと共に使用する滅菌ドレープ及びドレーププレートの概略図である。
図10A】本発明の一部の代替的な適用例に係る、エンドエフェクタ内でツールを回転させるように構成されているロボットユニットと共に使用する滅菌ドレープ及びドレーププレートの概略図である。
図10B】本発明の一部の代替的な適用例に係る、エンドエフェクタ内でツールを回転させるように構成されているロボットユニットと共に使用する滅菌ドレープ及びドレーププレートの概略図である。
図10C】本発明の一部の代替的な適用例に係る、エンドエフェクタ内でツールを回転させるように構成されているロボットユニットと共に使用する滅菌ドレープ及びドレーププレートの概略図である。
図11A】本発明の一部の適用例に係る、図10A図10B、及び図10Cに概略的に図示されているものと概ね類似している滅菌ドレープ及びドレーププレートの写真である。
図11B】本発明の一部の適用例に係る、図10A図10B、及び図10Cに概略的に図示されているものと概ね類似している滅菌ドレープ及びドレーププレートの写真である。
図12A】本発明の一部の更なる代替的な適用例に係る、エンドエフェクタ内でツールを回転させるように構成されているロボットユニットと共に使用する滅菌ドレープ及びドレーププレートの概略図である。
図12B】本発明の一部の更なる代替的な適用例に係る、エンドエフェクタ内でツールを回転させるように構成されているロボットユニットと共に使用する滅菌ドレープ及びドレーププレートの概略図である。
図13】本発明の一部の適用例に係る、ツール又はその一部を直線的に押すための、自動折り畳み可能ツール作動アームを備えるエンドエフェクタの概略図である。
図14A】本発明の一部の適用例に係る、ツールマウントに対するその運動の各段階における自動折り畳み可能ツール作動アームの概略図である。
図14B】本発明の一部の適用例に係る、ツールマウントに対するその運動の各段階における自動折り畳み可能ツール作動アームの概略図である。
図14C】本発明の一部の適用例に係る、ツールマウントに対するその運動の各段階における自動折り畳み可能ツール作動アームの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
これより、本発明の一部の適用例に係る、眼内手術などのマイクロ手術処置での使用のために構成されているロボットシステム10の概略図である図1を参照する。典型的には、眼内手術に使用される場合に、ロボットシステム10は、第1及び第2のロボットユニット20(ツール21を保持するように構成されている)、更にユーザ(例えば、医療専門家)がロボットユニット20を制御することができる撮像システム22、ディスプレイ24及び制御コンポーネント26(例えば、図に示すジョイスティックなどの一対の制御デバイス)を備える。典型的には、ロボットシステム10は1つ以上のコンピュータプロセッサ28を備え、それを介してシステムのコンポーネント及びユーザ(例えば、医療専門家)は動作可能に互いに相互作用する。一部の適用例では、第1及び第2のロボットユニットのそれぞれは、図に示すようにベース27で支持される。本願の範囲は、第1及び第2のロボットユニットを、互いに対して異なる様々な位置のいずれかに取り付けることを含む。
【0055】
典型的には、ロボットユニットの動き(及び/又はロボットシステムの他の側面の制御)は、ユーザ(例えば、医療専門家)によって少なくとも部分的に制御される。例えば、ユーザは、ディスプレイ24を介して、患者の眼及びロボットユニット、並びに/又はそこに配設されたツールの画像を受信することがある。典型的には、そのような画像は撮像システム22によって取得される。一部の適用例では、撮像システム22は立体撮像素子であり、ディスプレイ24は立体ディスプレイである。受信した画像に基づいて、ユーザは典型的には処置のステップを実行する。一部の適用例では、ユーザは、制御コンポーネント26を介してロボットユニットにコマンドを提供する。典型的には、そのようなコマンドには、ロボットユニット内に配設されるツールの位置及び/又は向きを制御するコマンド、及び/又はツールにより実行される動作を制御するコマンドが含まれる。例えば、コマンドは、水晶体超音波乳化吸引術ツール(例えば、水晶体超音波乳化吸引術ツールの動作モード及び/又は吸引力)、及び/又はインジェクタツール(例えば、どの流体(例えば、粘弾性流体、生理食塩水など)を注入すべきか、及び/又はどの流量で注入すべきか)を制御することがある。代替的又は付加的に、ユーザは、撮像システムを制御するコマンド(例えば、撮像システムのズーム、フォーカス、及び/又はx-y位置決め)を入力することがある。一部の適用例では、コマンドは、例えばツールが眼内のIOLの正確な位置決めのために眼内のIOLを操作するようにIOLマニピュレータツールを制御することを含む。
【0056】
これより、本発明の一部の適用例に係る、ロボットシステム10で使用するロボットユニット20の概略図である図2A及び図2Bを参照する。一部の適用例では、ロボットユニットのそれぞれはエンドエフェクタ30を備える。エンドエフェクタは、典型的には複数の様々なツール21(図1に示す)のいずれか1つをその上に確実に保持するように構成される。一部の適用例では、エンドエフェクタは、例えば、以下で更に詳細に説明するように、ツールを(直接的又は間接的に)保持するように構成されているツールマウントに結合される。典型的には、エンドエフェクタは、患者の眼へのツールの進入が切開点を通って行われ、ツールの先端が患者の眼内に配設されるように、ツールを患者の眼に挿入するように構成される。
【0057】
一部の適用例では、2つの多関節アーム32(すなわち、関節36を介して互いに接続される複数のリンク34を含むアーム)が、エンドエフェクタ30の片側に配設され、エンドエフェクタを移動可能に支持するように構成される。典型的には、コンピュータプロセッサは、撮像システム22(以上で説明したように、典型的には立体撮像システムである)により取得した画像を解析することによって、患者の眼の3次元の動きを検出する。一部の適用例では、患者の眼の動きが検出されたことに応答して、コンピュータプロセッサは、ロボットユニットを駆動して、患者の眼が3次元の動きを経るときも、患者の眼へのツールの進入が依然として切開点を通って行われるようにツールを動かす。典型的には、患者の眼が3次元の動きを経るときでさえ、コンピュータプロセッサは、ロボットユニットを駆動して、患者の眼に対して処置の少なくとも一部を、処置の一部を実行するように眼に対してツールの先端を所望の方法で移動させることによって実行する一方、患者の眼へのツールの侵入が切開点に固定維持される。このように、ロボットユニットは、切開点に位置し、ツールの運動の中心である動的な遠隔運動中心を提供するように作用する。典型的には、遠隔運動中心は眼の動きと連携して動く。代替的又は付加的に、コンピュータプロセッサは、眼が所与の位置にあるときに検出し、眼が所与の位置にあるときにいくつかの機能が実行されるように、ロボットユニットによるそれらの機能の実行のタイミングをとるように構成される。
【0058】
典型的には、複数のアームモータが、2つの多関節アーム32と関連付けられている。図2A及び図2Bには示していないが、アームモータの位置を図3B図4C、及び図6Bに示す。一部の適用例では、複数のアームモータは、エンドエフェクタを5自由度(例えば、x軸、y軸、及びz軸に沿った並進運動、並びにピッチ及びヨー角運動)で動かす。図2Aから図2Bに示す例では、ロボットシステムの多関節アーム32のうちの少なくとも1つの各リンク34は、垂直関節42間に延在する2本の平行棒40を含み、隣接するリンクの各ペアの間に垂直関節が配設されていることが観察されることがある。一部の適用例では、平行棒と垂直関節の配置によって、アームが動いても、所与の多関節アームの各関節の端部が互いに平行に保たれる(図2Aから図2Bへの移行に示すように)。次に、これによって、エンドエフェクタがベース27に対してロールするのを防ぐ。言い換えれば、平行棒と垂直関節の配置によって、エンドエフェクタのロールがエンドエフェクタの並進運動及びピッチヨー角運動から機械的に切り離される。一部の適用例では、エンドエフェクタがベース27に対してロールするのを防ぐことが、ツール21が患者の眼に対してロールするのを防ぐために望ましい。特に、回転対称でないツールについては、ツールが患者の眼に対してロールするのを防ぐことが望ましいことがある。一部の適用例では、多関節アームのそれぞれは、上記の方法で構成されている。代替的に、多関節アームのうちの1つだけが、上記の方法で構成される。
【0059】
これより、本発明の一部の適用例に係る、ロボットユニットのエンドエフェクタ30のロボットユニットのベース27に対するローリングを補償するように、ツール21をそれ自身の軸を中心に回転させるように構成されるロボットユニット20の概略図である図3A及び図3Bを参照する。(図3Bでは、ロボットユニット内のアームモータの典型的な位置に特に焦点を当てるために、参照符号の多くを含んでいない。)上述したように、典型的には、ツール(具体的には回転対称でないツール)が患者の眼に対してロールするのを防ぐことが望ましい。眼に対して行われる処置(白内障手術など)の場合、ツールの多くは回転対称ではなく、手術空間の寸法は比較的小さい。一部の適用例では、エンドエフェクタがベース27に対して回転するのを阻止するのではなく(例えば、図2A及び図2Bを参照して説明したように)、エンドエフェクタは、ベースに対してロールすることが許されるが、エンドエフェクタのそのようなローリングは、ツールをエンドエフェクタに対してそれ自身の軸50を中心にロールさせることによって補償される。一部の適用例では、ロボットユニットは、例えば、外科的手技を実行するために、別の又は追加の理由で、それ自身の軸を中心にツールを回転させるように構成されている。
【0060】
例えば、図3A及び図3Bに示すように、多関節アーム32のいずれも、図2Aから図2Bを参照して以上で説明したような平行棒の構成を含まない。したがって、ロボットユニットは、エンドエフェクタを6自由度(例えば、x軸、y軸、及びz軸に沿った並進運動、並びにピッチ、ヨー、及びロール角運動)で動かすように構成されている。典型的には、ロボットユニットは、エンドエフェクタをx軸、y軸、及びz軸に沿って、並びにピッチ角運動及びヨー角運動によって動かすように能動的に駆動されるが、エンドエフェクタのローリングは、そのような動きの望ましくない副産物である。更に典型的には、ロボットユニットは、図3Bに示すように、少なくとも5つのアームモータM1~M5を備える。
【0061】
一部の適用例では、コンピュータプロセッサ28(図1に示す)は、ツールがエンドエフェクタに対して受けるべきロール量を計算する。例えば、コンピュータプロセッサ28は、多関節アームの動き(例えば、x軸、y軸、及び/もしくはz軸に沿った並進運動、並びに/又はピッチ及び/もしくはヨー角運動)に起因して、エンドエフェクタがベースに対して+20度のロールを受けることになると計算することがある。これに応答して、コンピュータプロセッサは、エンドエフェクタに対してそれ自身の軸50を中心に-20度回転するようにツールを駆動することがある。ツールは通常、ツールがエンドエフェクタと同軸になる(又はツールマウントと同軸になる)ようにエンドエフェクタによって(又はツールマウントによって)保持される。したがって、ツールの長手軸50は、典型的にはエンドエフェクタの(又はツールマウントの)長手軸でもある。したがって、図3A及び図3Bに示す例では、ツールの回転軸である長手軸50は、エンドエフェクタ長手軸と同軸である。
【0062】
図3A及び図3Bに示すように、一部のそのような適用例では、ツールモータ52は、エンドエフェクタに対してツールをロールさせるように構成されている。一部の適用例では、ツールモータは、図に示すように歯車54の構成によって、ツールをエンドエフェクタに対してロールさせる。
【0063】
これより、本発明の一部の適用例に係る、エンドエフェクタ30がそれ自身の長手軸50と同軸でない軸60を中心にロールするように構成されるロボットユニット20の概略図である図4A図4B、及び図4Cを参照する。一部の適用例では、エンドエフェクタは、図4Bに示すように、ツールを保持するように構成されるツールマウント92と結合される(又は、それと一体化した構造を形成する)。図4Cは、図4Bに類似しているが、ロボットユニット内のアームモータの典型的な位置に特に焦点を当てるために、参照符号の多くは図4Cに含まれていない。また、本発明の一部の代替的な適用例に係る、エンドエフェクタ30のローリング運動の各段階における図4A図4B及び図4Cのロボットユニットの概略図である図5A図5B、及び図5Cを参照する。図の一部(例えば、図5aから図5C)において、ロボットアーム32に記号(例えば、記号A1及びB1)があることに留意されたい。これらの記号は、各図においてロボットアームの向きを示すために含まれている。
【0064】
一部の適用例では、エンドエフェクタに対してツールをロールさせる代わりに又はそれに加えて、エンドエフェクタ自体をロールさせる。典型的には、そのような場合、エンドエフェクタは、ツール21及びエンドエフェクタ30の軸50と同軸でない軸60を中心にロールする。(したがって、エンドエフェクタは、その長手軸に対して偏心ローリングを受ける。)一部の適用例では、ロボットユニットは、エンドエフェクタを軸60(図4Aに示す)を中心にロールさせるように構成されるエンドエフェクタモータ62を備える。典型的には、ロボットユニットは、少なくとも5つのアームモータを備え、アームモータの位置は、図4Cにおいて、M1~M5と表記された破線の円によって概略的に示されている。一部の適用例では、コンピュータプロセッサは、軸60がツール軸と同軸でないことを補償するように動くようにアームを駆動する。このように、エンドエフェクタはエンドエフェクタモータ62を介して軸60を中心に回転するが、ツール自体はそれ自身の軸を中心にロールする。
【0065】
一部のそのような適用例では、多関節アーム32のそれぞれはエンドエフェクタ30の近傍に回転可能なアーチ型リンク64を備える。回転可能なアーチ型リンクは、エンドエフェクタの軸60を中心とするローリングに対応するように回転するように構成されている。これは、図5Aから図5Bへの移行、そして図5Bから図5Cへの移行を観察することによって観察されることがある。図に示すように、エンドエフェクタが回転すると、エンドエフェクタはアーチ型リンクを押し、それを回転させる結果、エンドエフェクタはアーチ型リンクの凹曲面66で受け入れられる。そのようなエンドエフェクタのローリングの受け入れは、典型的には、特にエンドエフェクタのローリングがそれ自身の軸に対して偏心するように構成されるロボットユニットの観点から望ましい。例えば、回転可能なアーチ型リンクの代わりに、エンドエフェクタの軸に対して垂直に配設された直線リンクがある場合、エンドエフェクタは、リンクによってブロックされる前に、軸60を中心に比較的狭い範囲の角度でしか回転できない可能性がある。対照的に、図4Aから図5Cに示す構成を用いて、エンドエフェクタは、典型的には軸60を中心に180度を超えて、例えば250度を超えて、又は300度を超えてロールすることができる。
【0066】
これより、本発明の一部の適用例に係る、エンドエフェクタ30が、それ自身の長手軸50と同軸でない軸70を中心にロールするように構成されるロボットユニット20の概略図である図6A及び図6Bを参照する。図6B図6Aと類似しているが、ロボットユニット内のアームモータの典型的な位置に特に焦点を当てるために、図6Bには参照符号の多くは含まれていない。また、本発明の一部の代替的な適用例に係る、エンドエフェクタ30のローリング運動の各段階における図6のロボットユニットの概略図である図7A図7B、及び図7Cを参照する。
【0067】
図4Aから図5Cを参照して説明したように、一部の適用例では、多関節アームのそれぞれは、エンドエフェクタ30の近傍に回転可能なアーチ型リンク64を備える。回転可能なアーチ型リンクは、概ね以上で説明したものと同様に、軸70を中心とするエンドエフェクタのローリングに対応するように回転するように構成されている。一部のそのような適用例では、第1の直線リンク80は、回転可能なアーチ型リンクの第1の端部82に隣接して配設され、第2の直線リンク84は、回転可能なアーチ型リンクの第2の端部86に隣接して配設される(エンドエフェクタは、第2の直線リンク84を介して回転可能なアーチ型リンクに結合される)。図6Aに示すように、一部の適用例では、第2の直線リンクは、第1の直線リンク80に対して角度αをなして配設される。
【0068】
典型的には、ロボットユニットは、少なくとも5つのアームモータを備え、アームモータの位置は、図6BにおいてM1~M5と表記された破線の円によって概略的に示されている。一部の適用例では、ロボットユニットは、1つのアームの直線リンク80又は直線リンク84の近傍に取り付けられた更なるモータを備える。例えば、ロボットユニットは、M6Aと表記される破線の円により示される位置又は図6BのM6Bと表記される破線の円により示される場所のいずれかに取り付けられた更なるモータを備えることがある。更なるモータは、直線リンク80及び84に対して回転可能なアーチ型リンク64をロールさせるように構成されている。典型的には、第2の直線リンクが第1の直線リンクに対して角度αをなして配設されていることによって、回転可能なアーチ型リンク64の直線リンク80に対するローリングは、第2の直線リンクを第1の直線リンクに対して旋回させる。これによって、エンドエフェクタは軸70を中心にロールする。これは、図7Aから図7Bへの移行、そして図7Bから図7Cへの移行で観察されることがある。典型的には、そのような適用例では、コンピュータプロセッサ28は、エンドエフェクタを所望の方法で軸70を中心にロールさせるようにアームのリンクをどのように動かすかを計算する。図4Aから図5Cを参照して説明したように、エンドエフェクタが回転すると、エンドエフェクタはアーチ型リンクの凹曲面66で受け入れられる。典型的には、図6Aから図7Cに示す構成を用いて、エンドエフェクタは、軸70を中心に180度を超えて、例えば250度を超えて、又は300度を超えて(それ自身の軸に対して偏心して)ロールすることができる。
【0069】
これより、本発明の一部の適用例に係る、エンドエフェクタ30内でツール21を回転させるように構成されていないロボットユニット20と共に使用する滅菌ドレープ88及びドレーププレート90の概略図である図8を参照する。例えば、図8に示す滅菌ドレープ及びドレーププレートは、図4Aから図4Cを参照して及び/又は図6Aから図6Bを参照して説明されるようなロボットユニットと共に使用されることがあり、これによってツールの回転は、典型的にはエンドエフェクタに対してツールを回転させるのではなく、エンドエフェクタを回転させることによって行われる。典型的には、そのような場合、エンドエフェクタを駆動して動くように構成されるロボットユニットの運動駆動部(モータ、歯車など)の全て、及びエンドエフェクタ30自体は、滅菌ドレープの第1の側の(すなわち、ロボットユニットのアームが配設される滅菌ドレープの側の)非滅菌ゾーン内に配設される。ツールマウント92(直接的又は間接的にツールを保持するように構成される)は、滅菌ドレープの第2の側の滅菌ゾーン内に配設され、ドレーププレートに結合可能である。典型的には、滅菌ドレープは、ドレーププレートの周囲に配設され、ドレーププレートに対して封止される。ドレーププレートは、エンドエフェクタとツールマウントの両方に結合可能である(又は結合される)。例えば、エンドエフェクタ30は、アームの端部における非滅菌ゾーン内に配設され、ドレーププレートの一方の側に結合されるように構成されることがあり、ツールマウントが、ドレーププレートの第2の側に結合されるように構成される部分94をその裏面に画定することがある。典型的には、ドレーププレート90は、(a)滅菌ドレープの第1の側にある非滅菌ゾーン内に配設されるアーム32及びエンドエフェクタ30と、(b)滅菌ドレープの第2の側にある滅菌ゾーン内に配設されるツールマウント92及びツール21との間の界面としての役割を果たす。ドレーププレートがエンドエフェクタとツールマウントの両方に結合される場合、(非滅菌ゾーン内で生成される)アームとエンドエフェクタの動きは、ドレーププレートを介してツールマウント92とツール21(いずれも滅菌ゾーン内に配設される)に伝達される。(場合によっては、ツール自体がツールマウント内に配設されていることに留意されたい。代替的には、図に示すように、ツールは、ツールマウント92内に配設されるツールスリーブ23の内部に配設される。)
【0070】
これより、本発明の一部の適用例に係る、エンドエフェクタ内でツールを回転させるロボットユニットと共に使用する滅菌ドレープ96及びドレーププレート98の概略図である図9を参照する。例えば、図9に示す滅菌ドレープ及びドレーププレートは、ツール21をそれ自身の軸を中心に回転させるように構成されるロボットユニット20の例を示す図3Aから図3Bを参照して説明したようなロボットユニットと共に使用されることがある。一部のそのような例では、エンドエフェクタ及び/又はツールを駆動して動くように構成されるロボットユニットの運動駆動部(例えばモータ、歯車など)の少なくとも一部は、滅菌ゾーン(すなわち、ドレープの図9に示す面)内に配設される。一部の適用例では、ツールモータ52及び/又は歯車54A及び54B(エンドエフェクタに対してツールをロールさせるように構成される)は、滅菌ゾーン内に配設される。(なお、一部の例では、ツール自体が内蔵の歯車を備えており、モータによって駆動されて回転する歯車54Aによって直接回転する。代替的には図に示すように、ツールは、歯車54Aにより回転する歯車54Bを備えるか又は歯車54Bに結合されるツールスリーブ23の内部に配設される。)一部の適用例では、ツールの一部を駆動して直線的に動くように構成されるリニアツールモータ100が滅菌ゾーン内に配設される。リニアツールモータは、典型的にはツール作動アーム110を介してツールの一部(シリンジのプランジャ120など)を直線的に動かすように構成されている。リニアツールモータ及びツール作動アームの一部の例を以下で更に詳細に説明する。
【0071】
典型的には、滅菌ゾーン内に配設されるように構成される装置の全ての部分は、使い捨て及び/又は滅菌可能(例えば、オートクレーブを介して)に構成されている。図9に示す適用例では、典型的にはツールモータ52、歯車54A、ツールスリーブ23(及び歯車54B)、リニアツールモータ100、及びツール作動アーム110は、全て使い捨て及び/又は滅菌可能(典型的には、オートクレーブを介して)に構成されている。典型的には、ツールモータ52及びリニアツールモータ100は、滅菌ドレープを通過する密閉された電気コネクタを介して、及び/又は外部ケーブルによって給電される。
【0072】
典型的には、滅菌ドレープ96は、ドレーププレート98の周囲に配設され、ドレーププレート98に対して封止される。一部の適用例では、アーム32及びエンドエフェクタ30(図9に示されていないアーム及びエンドエフェクタ)は、非滅菌ゾーン内に配設され、ドレーププレート98はエンドエフェクタに結合可能である。典型的には、ドレーププレート98は、(a)滅菌ドレープの第1の側の非滅菌ゾーン内に配設されるエンドエフェクタ30及びアーム32(図9には示されていない)と、(b)滅菌ドレープの第2の側の滅菌ゾーン内に配設されるツールマウント92及びツール21との間の界面としての役割を果たす。ドレーププレートがエンドエフェクタとツールマウントの両方に結合される場合、(非滅菌ゾーン内で生成される)アームとエンドエフェクタの動きは、ドレーププレート98を介してツールマウント92とツール21(いずれも滅菌ゾーン内に配設される)に伝達される。しかしながら、以上で説明したように、図9に示すような適用例では、エンドエフェクタに対するツール(又はその一部)の動きは、ツールモータ52及び/又はリニアツールモータ100を介して、滅菌ゾーン内からもたらされる。
【0073】
これより、本発明の一部の代替的な適用例に係る、エンドエフェクタ30内でツール21を回転させるように構成されるロボットユニット20と共に使用する滅菌ドレープ102及びドレーププレート104の概略図である図10A図10B、及び図10Cを参照する。典型的には、ドレーププレート104は、(a)滅菌ドレープの第1の側の非滅菌ゾーン内に配設されるアーム32(図10Aから図10Cには示されていない)及びエンドエフェクタ30と、(b)滅菌ドレープの第2の側の滅菌ゾーン内に配設されるツールマウント92及びツール21との間の界面としての役割を果たす。
【0074】
一部の適用例では、ツールモータ52(図10Bから図10Cに示す)は、非滅菌ゾーン内でエンドエフェクタ30に配設される。ツールモータ52は、典型的には運動伝達部106(ピンやシャフトなど)を直接駆動して回転させる。運動伝達部は、モータの回転運動を第1の歯車(すなわち、平歯車)54Aに伝達するように構成されており、第1の歯車は、第2の歯車(すなわち、平歯車)54Bを回転させることによって、ツールを駆動してエンドエフェクタに対して回転させる。一部の適用例では、第1の歯車は、ドレーププレート内に配設される(例えば、ドレーププレートに組み込まれる)。以上で説明したように、第2の歯車54Bは、ツール自体に組み込むことができるか又はツールスリーブ23に組み込むかもしくは結合することができる。典型的には、運動伝達部106は、運動伝達部と第1の歯車54Aとの間の界面が、滅菌ゾーンと非滅菌ゾーンとの間のシールを維持するように(例えば、図10Cに示すように、Oリング108を介して)封止されるように、第1の歯車54Aに機械的に結合される。したがって、図10Aから図10Cに示す例では、ツールのエンドエフェクタに対する回転運動は、非滅菌ゾーン内に配設されるモータ52によって生成される。モータにより生成される回転運動は、非滅菌ゾーンと滅菌ゾーンとの間のシールを維持する界面を介してツールに伝達される。
【0075】
図10Aを参照すると、一部の適用例では、リニアツールモータ100は、非滅菌ゾーン内に配設される。リニアツールモータ100は、典型的にはツール作動アーム110を直線的に動くように駆動する。そのような適用例では、ツール作動アーム110は、典型的には非滅菌ゾーン内に配設され、ツールの一部(シリンジのプランジャ120など)を滅菌ドレープ102から押し出すことによって、ツールの一部分を直線的に押すように構成されている。一部の適用例では、ツール作動アームとツールの押される部分との間の界面に配設される滅菌ドレープの部分114が、ドレープの他の部分よりも高い剛性及び/又は耐久性を有するように構成されている。例えば、滅菌ドレープの他の部分に対する上記部分の剛性及び/又は耐久性を高めるために、上記部分114にステッカー116が貼付されることがある。あるいは、ドレープは、滅菌ドレープの他の部分に対する上記部分の剛性及び/又は耐久性を高めるために、上記部分114で(例えば、熱処理、又は化学処理を用いて)処理されることがある。あるいは、ドレープは、滅菌ドレープの他の部分に対する上記部分の剛性及び/又は耐久性を高めるために、ドレープの他の部分と比べて部分114に代替的又は付加的な材料を含むことがある。したがって、図10Aから図10Cに示す例では、ツールの一部分の直線運動は、非滅菌ゾーン内に配設されるリニアツールモータ100によって生成される。モータにより生成される直線運動は、非滅菌ゾーンと滅菌ゾーンの間のシールを維持するように、ドレープを介してツールの上記部分に伝達される。
【0076】
典型的には、滅菌ドレープ102は、ドレーププレート104の周囲に配設され、ドレーププレート104に対して封止される。典型的には、ドレーププレート104は、エンドエフェクタに結合可能であり、ツールマウント92に結合される(又は結合可能である)。ドレーププレートがエンドエフェクタとツールマウントの両方に結合されると、(非滅菌ゾーン内で生成される)アームとエンドエフェクタの動きが、ドレーププレートを介してツールマウントとツール(どちらも滅菌ゾーン内に配設される)に伝達される。
【0077】
これより、本発明の一部の適用例に係る、図10A図10B、及び図10Cに概略的に示すものと類似している滅菌ドレープ102及びドレーププレート104の写真である図11A及び図11Bを参照する。図11Aは、滅菌ドレープ及びドレーププレートを滅菌ゾーンから見た図を示す写真である。観察され得るように、ツールマウント92が示されており、ツールマウント92は、示されている例ではドレーププレート104に組み込まれている。また、ステッカー116が示されている。以上で説明したように、ステッカーは、ツール作動アームとツールの押される部分との間の界面に配設される滅菌ドレープの一部分に貼付されるように構成され、ドレープの他の部分よりも高い剛性及び/又は耐久性を有するように構成されている。また、ドレープ102がロボットユニットのアームの上方に置かれるような形状であることも観察されることがある。図11Bは、滅菌ドレープ及びドレーププレートを非滅菌ゾーンから見た図を示す写真である。観察され得るように、ドレーププレートの裏面は、典型的にはハウジング122を画定するように成形されている。ハウジングは、典型的には歯車54Aを収容する。ハウジング部は、典型的にはアームの端部に配設され、ツールモータ52を支持するエンドエフェクタ30(図10Aに示す)に結合されるように構成されている。例えば、ハウジング部は、スナップロック機構を介してエンドエフェクタに結合されることがある。
【0078】
これより、本発明の一部の更なる代替的な適用例に係る、エンドエフェクタ内でツールが回転するロボットユニットと共に使用する滅菌ドレープ124及びドレーププレート126の概略図である図12A及び図12Bを参照する。図12Aから図12Bに示す装置は、以下の相違点を除いて、図10Aから図10Cに関して示され説明されているものと概ね類似している。図12Aから図12Bに示す装置では、ツールモータ52は、歯車54B(典型的には、ツール21又はツールスリーブ23に内蔵又は結合されている)を駆動して回転させるために、ウォーム歯車128を駆動して直線的に(例えば、上下方向に)動かすように構成されている。図10Aから図10Cを参照して説明したように、典型的には、ツールモータ52は、非滅菌ゾーン内に配設されるエンドエフェクタ30上に配設される。ツールモータ52は、典型的には、直線運動伝達部130(ピン又はシャフトなど)を直接駆動して、直線的に(例えば、上下方向に)動かす。運動伝達部は、モータの直線運動をウォーム歯車128に伝達するように構成されており、ウォーム歯車は、歯車(すなわち、平歯車)54Bを回転させることによって、ツールを駆動してエンドエフェクタに対して回転させる。一部の適用例では、ウォーム歯車は、ドレーププレート内に配設される(例えば、内蔵される)。典型的には、直線運動伝達部130は、滅菌ゾーンと非滅菌ゾーンとの間のシールを維持するように(例えば、図12Bに示すように、Oリング132を介して)、直線運動伝達部とウォーム歯車128との間の界面が封止されるように、ウォーム歯車128に機械的に結合される。したがって、図12Aから図12Bに示す例では、エンドエフェクタに対するツールの動きは、非滅菌ゾーン内に配設されるモータ52によって生成される。モータにより生成される直線運動は、非滅菌ゾーンと滅菌ゾーンとの間のシールを維持する界面を介して滅菌ゾーンに伝達される。その後、直線運動は、ツールのエンドエフェクタに対する回転運動に変換される。
【0079】
これより、本発明の一部の適用例に係る、ツール又はその一部を直線的に押すためのツール作動アーム110を備えるエンドエフェクタ30の概略図である図13を参照する。一部の適用例では、ツール作動アームは、ツールマウント92から所与の距離まで後退することに応答して自動的に折り畳まれるように構成されている。また、本発明の一部の適用例に係る、エンドエフェクタのツール保持部に対するその運動の各段階における自動折り畳み可能ツール作動アームの概略図である図14A図14B、及び図14Cも参照する。以上で説明したように、典型的には、ツール作動アーム110はツールの一部(シリンジのプランジャ120など)を直線的に押すように構成されている。典型的には、リニアツールモータ100は、伝動シャフト134(図13に示す)を介して直線的に動くようにアームを駆動する。一部の適用例では、ツール作動アームは、図14Aから図14Bへの移行、そして図14Bから図14Cへの移行に示すように、ツールマウント92から所与の距離まで後退することに応答して自動的に折り畳まれるように構成されている。このように、ツール作動アームは、ツール作動アームの取り外し及び/又は手動の折り畳みを必要とせずに、水晶体超音波乳化吸引術プローブなどのより大きなツールのツールマウントへの挿入に対応するように自動的に折り畳まれることがある。典型的には、ツール作動アームは、ばね機構などの自動ツール作動アーム展開機構が作動することによって自動的に折り畳まれるように構成されている。更に典型的には、ツール作動アームがツールマウントに近づくことに応答して、ツール作動アームは、(例えば、ばね機構などの自動ツール作動アーム展開機構が作動することによって)自動的に展開するように構成される。一部の適用例では、自動的に折り畳まれるように構成されるのではなく、アームは、ツール作動アームの取り外し及び/又は手動での移動を必要とせずに、水晶体超音波乳化吸引術プローブなどのより大きなツールのツールマウントへの挿入に対応するように異なる方法で動くように構成される。例えば、アームは、例えば電気機械式アクチュエータ、ばね機構などを用いて、自動的に後退するように構成されることがある。
【0080】
本出願の範囲は、各図に示す滅菌ドレープ、ドレーププレート、及びツール作動アームの要素を互いに組み合わせることを含むことに留意されたい。純粋に例として、図13から図14Cに示すツール作動アームは、図9から図12Bを参照して説明した滅菌ドレープ及びドレーププレートの例のいずれか1つと組み合わせることができる。
【0081】
本発明の一部の適用例が白内障手術について記載されているが、本出願の範囲には、本明細書に記載の装置及び方法を他の医療処置に準用することが含まれる。具体的には、他の医療処置に対する本明細書に記載の装置及び方法は、マイクロ手術技術を用いて行われる一般外科、整形外科、婦人科、耳鼻咽喉科、神経外科、口腔顎顔面外科、形成外科、足病外科、血管外科、及び/又は小児外科などの他のマイクロ手術処置に適用されることがある。そのような一部の適用例では、撮像システムは1つ以上の顕微鏡撮像ユニットを含む。
【0082】
本出願の範囲には、本明細書に記載の装置及び方法を白内障手術以外の眼内処置に準用することが含まれることに留意されたい。かかる処置には、コラーゲン架橋結合、内皮角膜移植(例えばDSEK、DMEK、及び/又はPDEK)、DSO(移植のないであるメ膜剥離)、レーザを利用した角膜移植、角膜移植、LASIK/PRK、SMILE、翼状片、眼表面癌治療、二次的IOL配置(縫合、経結膜など)、虹彩修復、IOL再配置、IOL交換、角膜表層切除、低侵襲緑内障手術(MIGS)、角膜輪部幹細胞移植、乱視角膜切除、角膜輪部減張切開(LRI)、羊膜移植(AMT)、緑内障手術(例えば、trABs、tuBes、低侵襲緑内障手術)、自動化層状角膜移植(ALK)、前部硝子体切除、及び/又は経扁平部前部硝子体切除が含まれることがある。
【0083】
本明細書に記載される本発明の適用例は、コンピュータプロセッサ28などの、コンピュータ又は任意の命令実行システムによる又は関連する使用のためのプログラムコードを提供するコンピュータ使用可能又はコンピュータ可読媒体(例えば、非一時的コンピュータ可読媒体)からアクセス可能なコンピュータプログラム製品の形態をとることができる。この説明の目的のために、コンピュータ使用可能又はコンピュータ可読媒体は、命令実行システム、装置、もしくはデバイスによる又は関連する使用のためのプログラムを含む、記憶する、伝達する、伝搬する、又は搬送することができる任意の装置である可能性がある。この媒体は、電子、磁気、光、電磁、赤外線、又は半導体システム(又は装置もしくはデバイス)又は伝搬媒体である可能性がある。通常、コンピュータ使用可能又はコンピュータ可読媒体は非一時的コンピュータ使用可能又はコンピュータ可読媒体である。
【0084】
コンピュータ可読媒体の例としては、半導体又はソリッドステートメモリ、磁気テープ、取り外し可能コンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、硬質磁気ディスク及び光学ディスクが挙げられる。現在の光学ディスクの例としては、コンパクトディスク-読み取り専用メモリ(CD-ROM)、コンパクトディスク-リード/ライト(CD-R/W)、DVD、及びUSBドライブなどが挙げられる。
【0085】
プログラムコードを記憶及び/又は実行するのに適したデータ処理システムが、システムバスを介してメモリ要素に直接的又は間接的に結合された少なくとも1つのプロセッサ(例えば、コンピュータプロセッサ28)を含むことになる。メモリ要素は、プログラムコードの実際の実行中に使用されるローカルメモリ、バルクストレージ、及び、実行中にバルクストレージからコードを取り出さなければならない回数を減らすために、少なくとも一部のプログラムコードの一時的記憶を行うキャッシュメモリを含む可能性がある。システムは、プログラムストレージデバイス上の本発明に係る命令を読み出し、これらの命令に従って本発明の実施形態の方法を実行することができる。
【0086】
ネットワークアダプタをプロセッサに結合して、プロセッサを介在プライベートネットワーク又はパブリックネットワークを介して他のプロセッサ、リモートプリンタ、又はストレージデバイスに結合可能にすることがある。モデム、ケーブルモデム及びイーサネットカードは、現在利用可能なネットワークアダプタの種類のほんの一部である。
【0087】
本発明の動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、JAvA、SMAlltAlk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、及びCプログラミング言語又は同様のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含む、1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれることがある。
【0088】
本明細書に記載されているアルゴリズムがコンピュータプログラム命令によって実施され得ることが理解されるであろう。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供されてマシンを生成し、これによってコンピュータのプロセッサ(例えばコンピュータプロセッサ28)又は他のプログラマブルデータ処理装置によって実行される命令が、本出願に記載のアルゴリズムに規定された機能/作用を実施するための手段を生成することがある。また、これらのコンピュータプログラム命令はコンピュータ可読媒体(例えば非一時的コンピュータ可読媒体)に記憶されることがあり、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置に特定の方法で機能するように指示できることによって、コンピュータ可読媒体に記憶されている命令は、アルゴリズムに規定された機能/作用を実施する命令手段を含む製造品を生成する。また、コンピュータプログラム命令を、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置にロードして、そのコンピュータ又は他のプログラマブル装置上で一連の動作ステップを実行させてコンピュータ実施プロセスを生成することができ、これによってコンピュータ又は他のプログラマブル装置上で実行する命令は、本出願に記載のアルゴリズムに規定された機能/作用を実施するためのプロセスを提供する。
【0089】
コンピュータプロセッサ28は通常、専用コンピュータを生成するようにコンピュータプログラム命令を用いてプログラムされたハードウェアデバイスである。例えば、図を参照して説明したアルゴリズムを実行するようにプログラムされた場合、コンピュータプロセッサ28は通常、専用のロボットシステムコンピュータプロセッサとして機能する。通常、コンピュータプロセッサ28により実行される本明細書に記載された動作は、実際の物理的物品であるメモリの物理的状態を変化させて、使用されるメモリの技術に応じて異なる磁気極性や電荷などをもたらす。一部の適用例では、コンピュータプロセッサにより実行されると記載されている動作が、互いに組み合わせられる複数のコンピュータプロセッサによって実行される。
【0090】
以上に具体的に示され説明されたものに本発明が限定されないことは当業者によって理解されるであろう。むしろ本発明の範囲は、上記の明細書で説明された様々な特徴の組み合わせ及びその部分的組み合わせの両方、並びに上述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、従来技術にはないそれらの変形例及び修正例を含む。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
図14C
【国際調査報告】