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特表2024-521639少なくとも1つのカラーコーティング層でコーティングされたオブジェクトの外観をデザインするための方法及びシステム
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  • 特表-少なくとも1つのカラーコーティング層でコーティングされたオブジェクトの外観をデザインするための方法及びシステム 図1
  • 特表-少なくとも1つのカラーコーティング層でコーティングされたオブジェクトの外観をデザインするための方法及びシステム 図2
  • 特表-少なくとも1つのカラーコーティング層でコーティングされたオブジェクトの外観をデザインするための方法及びシステム 図3a
  • 特表-少なくとも1つのカラーコーティング層でコーティングされたオブジェクトの外観をデザインするための方法及びシステム 図3b
  • 特表-少なくとも1つのカラーコーティング層でコーティングされたオブジェクトの外観をデザインするための方法及びシステム 図4
  • 特表-少なくとも1つのカラーコーティング層でコーティングされたオブジェクトの外観をデザインするための方法及びシステム 図5
  • 特表-少なくとも1つのカラーコーティング層でコーティングされたオブジェクトの外観をデザインするための方法及びシステム 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】少なくとも1つのカラーコーティング層でコーティングされたオブジェクトの外観をデザインするための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/00 20110101AFI20240528BHJP
   G01J 3/46 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
G06T19/00 A
G01J3/46 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568235
(86)(22)【出願日】2022-04-21
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 EP2022060509
(87)【国際公開番号】W WO2022233580
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】21171789.7
(32)【優先日】2021-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】390008981
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings GmbH
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D-48165 Muenster,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ランファー,ベンヤミン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェグナー,イェンス
(72)【発明者】
【氏名】グートヤール,マルク
(72)【発明者】
【氏名】トロシュト,フロリナ
(72)【発明者】
【氏名】フィンケンツェラー,ミヒャエラ
(72)【発明者】
【氏名】プフルク,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】シュタインハウザー,ユリウス
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンケルマン,マッティアス
(72)【発明者】
【氏名】マウレル,ヘンリク
(72)【発明者】
【氏名】キール,ヘルゲ
【テーマコード(参考)】
2G020
5B050
【Fターム(参考)】
2G020AA08
2G020DA05
2G020DA24
2G020DA34
2G020DA45
5B050AA03
5B050BA09
5B050BA13
5B050CA01
5B050DA04
5B050EA09
5B050EA26
5B050FA02
5B050FA05
5B050GA04
(57)【要約】
本明細書に記載される態様は、一般に、少なくとも1つのカラーコーティング層でコーティングされるオブジェクトの外観をデザインするための方法及びシステムに関する。より具体的には、本明細書に記載される態様は、インタラクション要素を介してカラーコーティング層を調製するために使用されるコーティング材料の表示される配合を修正し、コーティング層の対応する修正された色を生成及び表示するために前記修正された配合を使用することによって、ディスプレイ装置を使用してコーティングされたオブジェクトの外観をデザインするための方法及びシステムに関する。
【選択図】図3a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのカラーコーティング層でコーティングされるオブジェクトの外観をデザインするための方法であって、前記方法は以下のステップ:
(i)ディスプレイ装置のスクリーン上に表示するためにカラーコーティング層のデジタル表現を、通信インターフェースを介してコンピュータプロセッサに提供するステップと;
(ii)インタラクション要素を介してコンピュータプロセッサによってユーザ入力を検出するステップと;
(iii)コンピュータプロセッサにより、検出されたユーザ入力を、カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に変換するステップと;
(iv)任意でステップ(i)から(iii)を繰り返すステップと;
(v)コンピュータプロセッサにより、カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に基づいて、コーティング層のカラーデータを生成するステップと;
(vi)プロセッサから受け取った生成されたカラーデータをディスプレイ装置のスクリーンに表示するステップと;
(vii)任意に、ステップ(i)から(vi)、又はステップ(ii)から(vi)、又はステップ(v)と(vi)を繰り返すステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記カラーコーティング層のデジタル表現が、前記カラーコーティング層を調製するために使用されるコーティング材料の配合に関するデータ、及び任意で前記カラーコーティング層のカラーデータを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カラーコーティング層のデジタル表現を提供することが、コーティング層識別データを提供することと、提供されたコーティング層識別データに基づいて前記コーティング層のデジタル表現を取得することと、前記取得されたデジタル表現を提供することとを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記カラーコーティング層のデジタル表現を提供することが、前記ディスプレイ装置の前記スクリーン上に既存のカラーライブラリを表示することと、前記表示された既存のライブラリから色を選択することと、前記選択された色に基づいて前記カラーコーティング層のデジタル表現を取得することと、前記取得されたカラーコーティング層のデジタル表現を提供することとを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記インタラクション要素を介してユーザ入力を検出するステップが、前記カラーコーティング層を調製するために使用されるコーティング材料中に存在する成分の少なくとも一部を前記ディスプレイ装置のスクリーン上に表示することと、前記インタラクション要素を介して表示された少なくとも1つの成分を操作することと、前記操作を検出することとを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ディスプレイ装置のスクリーン上に前記カラーコーティング層を調製するために使用されるコーティング配合中に存在する成分の少なくとも一部を表示するステップが、複数のレギュレータを含む少なくとも1つの調整ツールを表示することを含み、各レギュレータは、前記コーティング材料中に存在する成分の種類及び/又は量に対応する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記インタラクション要素を介して少なくとも1つの表示された成分を操作するステップが、前記インタラクション要素を介して少なくとも1つの表示された成分の種類及び/又は量を調整することを含む、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記検出されたユーザ入力を前記カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に変換することが、前記検出されたユーザ入力を、前記カラーコーティング層を調製するために使用される前記カラーコーティング材料の修正された配合データに変換することを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に基づいてカラーデータを生成するステップが、前記修正されたデジタル表現に基づいて、特に前記カラーコーティング材料の修正された配合データに基づいて、カラーデータを得ることを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に基づいてカラーデータを生成するステップが、過去のコーティング層のカラーデータ、及び過去のコーティング層を調製するために使用されたカラーコーティング材料の過去の配合でパラメータ化されたデータ駆動モデルを使用して、前記カラーコーティング層の修正されたデジタル表現から、特に前記カラーコーティング材料の修正された配合データから、カラーデータを計算することとを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記プロセッサから受信した生成されたカラーデータを前記ディスプレイ装置のスクリーン上に表示するステップが、仮想オブジェクトのオブジェクトデータを提供することと、任意で少なくとも1つのさらなるコーティング層のさらなるカラーデータを提供することと、予め定義された照射条件を使用して、受信されたカラーデータ、提供されたオブジェクトデータ、及び任意で提供されたさらなるカラーデータをレンダリングすることとを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
以下のステップ
(viii)コンピュータプロセッサにより、前記カラーコーティング層の修正されたデジタル表現が、少なくとも1つの事前定義された許容値内にあるかどうかを決定するステップと;
(ix)任意で、前記修正されたデジタル表現が少なくとも1つの事前定義された許容値内であるとの決定に従って、前記通信インターフェースを介して前記修正されたデジタル表現をコーティング材料製造サイトに提供し、任意で、提供された前記修正されたデジタル表現に基づいてコーティング材料を製造するステップと;
(x)任意で、前記修正されたデジタル表現が少なくとも1つの事前定義された許容値外であるという決定に従って、前記ディスプレイ装置のスクリーン上に少なくとも1つの勧告を表示するステップと;
(xi)任意で、前記修正されたデジタル表現が少なくとも1つの事前定義された許容値外であるという決定に従って、ステップ(i)から(vi)、又はステップ(ii)から(vi)、又はステップ(i)から(xi)、又はステップ(ii)から(xi)を繰り返すステップと、
をさらに含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
カラーコーティング材料から製造されるカラーコーティング層の色をデザインするためのシステムであって、前記システムは:
- スクリーン上に表示するためにカラーコーティング層のデジタル表現を提供するための通信インターフェースと;
- スクリーンを備えるディスプレイ装置と;
- ユーザ入力を検出するためのインタラクション要素と;
- 前記通信インターフェース及び前記ディスプレイ装置と通信するプロセッサであって;
〇前記通信インターフェースを介して、カラーコーティング層のデジタル表現を受信し;
〇前記インタラクション要素を介してユーザ入力を検出し;
〇検出された前記ユーザ入力を、カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に変換し;
〇前記カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に基づいて、前記コーティング層のカラーデータを生成する、
ようにプログラムされた、プロセッサと、を備え、
前記ディスプレイ装置が、提供されたデジタル表現と、前記カラーコーティング層の生成されたカラーデータを前記プロセッサから受け取り、前記デジタル表現とコーティング層の色とを表示する、システム。
【請求項14】
非一過性のコンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータによって実行されるときに、前記コンピュータに請求項1~12のいずれか1項の方法よるステップを実行させる指示を含む、非一過性のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
オブジェクトの表面の少なくとも一部に存在する少なくとも1つのカラーコーティング層の色をデザインするための請求項1から12のいずれか1項に記載の方法又は請求項13に記載のシステムの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載される態様は、一般に、少なくとも1つのカラーコーティング層でコーティングされるオブジェクトの外観をデザインするための方法及びシステムに関する。より具体的には、本明細書に記載される態様は、インタラクション要素を介してカラーコーティング層を調製するために使用されるコーティング材料の表示される配合(formulation)を修正し、前記修正された配合を使用してコーティング層の対応する修正された色を生成及び表示することによって、ディスプレイ装置を使用してコーティングされたオブジェクトの外観をデザインするための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両、特に自動車、オートバイ、トラックのボディなどの陸上車両は、通常、車両の外観を向上させるとともに、腐食、傷、欠け、紫外線、酸性雨、その他の環境条件から保護する、複数の層のコーティングで処理される。
【0003】
前記コーティングは、典型的には、前述の効果を得るために、複数のコーティング層の塗布を必要とする複合コーティングシステム(composite coating systems)である。金属基材の場合、通常、電着コート(electrocoat)が基材上に塗布され、硬化される。この電着塗料は、さらなる着色されたベースコートとクリアコート又は着色されたクリアコートが、未硬化又は「ウェット」な第1ベースコート及び/又はさらなる着色されたベースコートの上に塗布される前に、硬化したプライマーコーティング又は未硬化の着色された第1ベースコートでコーティングされる。プラスチック基材の場合、少なくとも1つのさらなる着色ベースコートコーティング及びクリアコート又は無着色クリアコートが未硬化又は「ウェット」な着色ベースコートコーティングの上に塗布される前に、プライマーコーティングが基材上に塗布され、硬化される。塗布されたベースコート及びクリアコートコーティングは次いで一緒に硬化される。したがって、このようなシステムはしばしば「ウェット・オン・ウェット」、「2コート/1ベーク」、又は「3コート/1ベーク」と表現される。コーティングの塗布の間に、完全硬化には至らない乾燥プロセスが使用されてよい。色に関する視覚的外観は、通常、着色顔料及び/又は効果顔料を含む着色ベースコートコーティングによって達成される。
【0004】
このようなベースコート層のカラーデザインプロセスは、通常、多数の人が関与する多段階プロセスで行われる。最初のステップでは、自動車カラーデザイナーは自動車塗料製造者(paint manufacturer)に特定の自動車について希望する色を説明し、それに応じて色を開発するよう自動車塗料製造者に依頼する。この目的のために、デザイナーは、カラーチップ又はカラーデータベースなどの既存のカラーライブラリをベースとして使用することができ、既存のカラーライブラリに呈される色に関する変更を自動車塗料製造者に指示することができる。自動車塗料製造者は、次に、デザイナーによって提供された説明を考慮して色をデザインし、例えば、硬化したカラーコーティング層を含むカラーチップを調製することによって、又は、通常、硬化したカラーコーティング層の色を比色測定し、得られたカラーデータをそれぞれの色の画像に変換することによって調製される、デザイン色の高品質な画像を提供することによって、デザイナーに色を提供する。その後、デザイナーは自動車塗料製造者によってデザインされた色を評価する。デザイン色がデザイナーによって所望される色と一致しないことがよくあり、これは、デザイナーが使用する輝きの強さ、深さ、明るさなどの用語(以下、これらの用語を「印象用語」と呼ぶ)が、色の視覚的な印象は個人によって差があるため、自動車塗料製造者によって異なって解釈され得るためである。そのため、デザインと評価のプロセスは、希望する色が得られるまで、数週間、場合によっては数ヶ月にわたって何度も繰り返される必要があることが多い。その結果、1つの新色のデザインプロセスに膨大な時間とコストが費やされることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、デザイナーが自ら所望の色をデザインでき、その結果、そのようなプロセスに関連する時間とコストを削減することができるように、カラーデザインプロセス中に複数の人が関与することを避けることができる、コンピュータベースの方法とシステムを提供することが望まれる。
【0006】
定義
「外観」とは、観察者の目に対するコーティングされたオブジェクトの視覚的な印象を指し、表面のスペクトル的及び幾何学的な面がその照射環境及び視環境と統合された知覚を含む。一般に、外観は、色、効果顔料によって引き起こされる粗さなどの視覚的テクスチャ、輝き、又は表面の他の視覚効果、特に変化する視野角及び/又は変化する照射角度で見た場合の表面の他の視覚効果を含む。
【0007】
「デジタル表現」とは、コンピュータ可読形式でのカラーコーティング層の表現を指し得る。特に、カラーコーティング層のデジタル表現は、例えば、それぞれのカラーコーティング層を調製するために使用されるコーティング材料の配合に関するデータであってよい。このようなデータは、コーティング材料中に存在する成分の少なくとも一部、例えば成分の種類及び量に関するデータを含むことができる。
【0008】
「ディスプレイ装置」とは、視覚形式又は触覚形式(後者は視覚障害者用の触覚電子ディスプレイに使用され得る)で情報を提示するための出力装置を指す。「ディスプレイ装置のスクリーン」とは、ディスプレイ装置の物理的スクリーンと投影ディスプレイ装置の投影領域を同様に指す。
【0009】
「インタラクション要素」とは、ユーザ入力を受け取るように構成された要素を指し得る。
【0010】
「通信インターフェース」は、信号又はデータの転送又は交換などの通信を確立するためのソフトウェア及び/又はハードウェアインターフェースを指し得る。ソフトウェアインターフェースは、例えば、関数呼び出し、APIであり得る。通信インターフェースは、トランシーバ及び/又はレシーバを備えることができる。通信は有線でも無線でもよい。通信インターフェースは、1つ以上の通信プロトコルに基づくか、又はそれをサポートしていてよい。通信プロトコルは、無線プロトコル、例えば、Bluetooth(登録商標)もしくはWIFIなどの近距離通信プロトコル、又は、例えば、第2世代セルラーネットワーク(「2G」)、3G、4G、Long-Term Evolution(「LTE」)、もしくは5Gなどのセルラー又はモバイルネットワークなどの長距離通信プロトコルであってよい。代替的に、又は追加的に、通信インターフェースは、専用の短距離又は長距離プロトコルに基づいてよい。通信インターフェースは、任意の1つ以上の標準プロトコル及び/又は専用プロトコルをサポートすることができる。
【0011】
「コンピュータロセッサ」とは、コンピュータ又はシステムの基本動作を実行するように構成された任意の論理回路、及び/又は、一般に、計算又は論理演算を実行するように構成された装置を指す。特に、処理手段又はコンピュータプロセッサは、コンピュータ又はシステムを駆動する基本命令を処理するように構成されることができる。一例として、処理手段又はコンピュータプロセッサは、少なくとも1つの算術論理コンピューティング装置(「ALU」)、数学コプロセッサ又は数値コプロセッサなどの少なくとも1つの浮動小数点ユニット(「FPU」)、複数のレジスタ、特に、オペランドをALUに供給し、演算結果を保存するように構成されたレジスタ、及びL1キャッシュメモリ及びL2キャッシュメモリなどのメモリを備えることができる。特に、処理手段、又はコンピュータプロセッサは、マルチコアプロセッサであってよい。具体的には、処理手段、又はコンピュータプロセッサは、中央処理装置(「CPU」)であってよく、又は中央処理装置を備えていてよい。処理手段又はコンピュータプロセッサは、(「CISC」)複雑命令セットコンピュータマイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピュータ(「RISC」)マイクロプロセッサ、超長命令語(「VLIW」)マイクロプロセッサ、又は他の命令セットを実装するプロセッサ、又は命令セットの組み合わせを実装するプロセッサであってよい。処理手段はまた、特定用途向け集積回路(「ASIC」)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)、複合プログラマブルロジックデバイス(「CPLD」)、デジタル信号プロセッサ(「DSP」)、ネットワークプロセッサ又はその類似物などの1つ以上の特殊用途処理装置であってよい。本明細書で説明される方法、システム、及び装置は、DSP、マイクロコントローラ、又はその他のサイドプロセッサ内のソフトウェアとして、あるいはASIC、CPLD、又はFPGA内のハードウェア回路として実装されることができる。処理手段又はプロセッサという用語は、複数のコンピュータシステム(例えばクラウドコンピューティング)にまたがって配置された処理装置の分散システムなど、1つ以上の処理装置を指し得、特に指定がない限り、単一の装置に限定されないことを理解されたい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の問題を解決するために、1つの側面では、次の提案がされる:
少なくとも1つのカラーコーティング層でコーティングされるオブジェクトの外観をデザインするための方法であって、前記方法は以下のステップ:
(i)ディスプレイ装置のスクリーン上に表示するためにカラーコーティング層のデジタル表現を、通信インターフェースを介してコンピュータプロセッサに提供するステップと;
(ii)インタラクション要素を介してコンピュータプロセッサによってユーザ入力を検出するステップと;
(iii)コンピュータプロセッサにより、検出されたユーザ入力を、カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に変換するステップと;
(iv)任意でステップ(i)から(iii)を繰り返すステップと;
(v)カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に基づいて、コンピュータプロセッサにより、コーティング層のカラーデータを生成するステップと;
(vi)プロセッサから受け取った生成されたカラーデータをディスプレイ装置のスクリーンに表示するステップと;
(vii)任意に、ステップ(i)から(vi)、又はステップ(ii)から(vi)、又はステップ(v)と(vi)を繰り返すステップと、
を含む。
【0013】
本発明による方法の本質的な利点は、デザイナーが適切な開始色を選択し、開始色に関連するコーティング材料の配合を操作することによって、所望の色を開発できることである。修正された配合は、次いで修正カラーに変換される修正カラーデータを計算するために使用される。修正カラーは、配合の操作中に表示され、自動的に更新され、これにより、操作の効果が視覚化される。これにより、デザイナーはコーティング材料の配合を操作するだけで、所望の色を得ることができる。修正された配合は、修正された配合が特定の事前定義された許容値を満たすかどうかを決定することにより、生産への適合性及び安定性に関してチェックされることができる。これにより、デザインされた色が自動車塗料製造者によって生産されることが保証され、所望の色が不安定又は生産不可能な場合にデザイナーにガイダンスを提供することができる。
【0014】
さらに開示されているのは、
カラーコーティング材料から製造されるカラーコーティング層の色をデザインするためのシステムである。第一の代替案によれば、前記システムは:
- カラーコーティング層のデジタル表現をプロセッサに提供するための通信インターフェースと;
- スクリーンを備えるディスプレイ装置と;
- ユーザ入力を検出するためのインタラクション要素と;
- 前記通信インターフェース、前記インタラクション要素、及び前記ディスプレイ装置と通信するプロセッサであって;
〇前記通信インターフェースを介して、カラーコーティング層のデジタル表現を受信し;
〇前記インタラクション要素を介してユーザ入力を検出し;
〇検出されたユーザ入力を、カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に変換し;
〇カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に基づいて、コーティング層のカラーデータを生成する、プロセッサと、
を備え、
ディスプレイ装置は、プロセッサから、提供されたデジタル表現と、生成されたカラーコーティング層のカラーデータを受け取り、デジタル表現とコーティング層の色とを表示する。
【0015】
第二の代替案によれば、前記システムは:
- カラーコーティング層のデジタル表現をスクリーンに表示するための通信インターフェースと;
- スクリーンを備えるディスプレイ装置と;
- ユーザ入力を検出するためのインタラクション要素と;
- 前記通信インターフェース、前記インタラクション要素、及び前記ディスプレイ装置と通信する第1プロセッサであって、前記プロセッサが、
〇前記通信インターフェースを介して、カラーコーティング層のデジタル表現を受け取り;
〇前記インタラクション要素を介してユーザ入力を検出し;
〇任意で、検出されたユーザ入力を、カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に変換する、
ようにプログラムされている、第1プロセッサと;
- 前記第1プロセッサと通信する第2プロセッサであって、前記第2プロセッサは、
〇任意で、検出されたユーザ入力を、カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に変換し;
〇カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に基づいて、コーティング層のカラーデータを生成する、
ようにプログラムされている、第2プロセッサとを備え、
前記ディスプレイ装置が、前記第1プロセッサから提供されたデジタル表現と、前記第2プロセッサからカラーコーティング層の生成されたカラーデータを受け取り、デジタル表現とコーティング層の色とを表示する。
【0016】
さらに開示されているのは:
非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ可読記憶媒体はコンピュータによって実行されると、本明細書に記載のコンピュータ実装方法によるステップをコンピュータに実行させる指示を含む。
【0017】
本開示は、同様に、本明細書に開示される、システム、方法、コンピュータプログラム、コンピュータ可読非一時的メディア、コンピュータプログラム製品に適用される。したがって、システム、方法、コンピュータプログラム、コンピュータ可読不揮発性記憶メディア、又はコンピュータプログラム製品を区別するものではない。すべての特徴は、本明細書に開示されるシステム、方法、コンピュータプログラム、コンピュータ可読非一時的記憶メディア、及びコンピュータプログラム製品に関連して開示される。
【0018】
さらに開示されるのは、少なくとも1つの表面を有するオブジェクトと、オブジェクトの表面の少なくとも一部上に存在する少なくとも1つのカラーコーティング層とを含むシステムであって、少なくとも1つのカラーコーティング層の色が、本明細書に開示される方法に従ってデザインされたシステムである。オブジェクトは任意の実際のオブジェクトであり、特に自動車又はその一部である。
【0019】
さらに開示されるのは、オブジェクトの表面の少なくとも一部上に存在する少なくとも1つのカラーコーティング層の色をデザインするための、本明細書に開示される方法の使用である。
【0020】
さらに開示されるのは、少なくとも1つのコーティング層でコーティングされたオブジェクトであって、少なくとも1つのコーティング層の色は、本明細書に開示される方法に従ってデザインされる、オブジェクトである。
【0021】
本発明の方法の実施形態:
本発明の方法により、少なくとも1つのカラーコーティング層でコーティングされたオブジェクトの外観をデザインすることができる。少なくとも1つのカラーコーティング層は、オブジェクトの表面の少なくとも一部上に存在することができる。オブジェクトの表面の少なくとも一部上にカラーコーティング層が存在することは、次のように理解される:カラーコーティング層がオブジェクトの表面の少なくとも一部上に配置される。しかし、オブジェクトの表面の少なくとも一部と直接接触する必要はない。したがって、他のコーティング層、例えば先に説明したような硬化電着コート層又はプライマー層がカラーコーティング層とオブジェクトとの間に存在することができる。
【0022】
少なくとも1つのカラーコーティング層は、ベースコート層又は着色クリアコート層であってよい。「ベースコート層」は、自動車塗装及び一般工業塗装において一般的に使用される、硬化した色付与中間コーティング層を指し得る。ベースコート層を調製するために使用されるベースコート材料は、ソリッドカラー(ストレートシェード)又は効果カラーコーティングとして配合され得る。「効果カラーコーティング」は一般に、少なくとも1つの効果顔料と、所望の色と効果を与える任意での他の着色顔料又は粒子(sphere)を含む。「ストレートシェード」又は「ソリッドカラーコーティング」は主に着色顔料を含み、目に見えるフロップ又はツートーンメタリック効果を示さない。ベースコート層は、任意で少なくとも1つの硬化コーティング層を含む金属基材又はプラスチック基材にベースコート材料を塗布し、塗布されたベースコート材料を乾燥させ、形成されたベースコート膜を硬化させることによって形成される。「着色クリアコート層」は、クリアコーティングのように完全な無色透明でもなく、典型的な顔料ベースコートのように完全な不透明でもない、硬化したコーティング層を指し得る。したがって、着色クリアコート層は、透明で着色されているか、半透明で着色されている。着色は、ベースコートコーティング材料に一般的に使用される顔料を少量添加することによって実現できる。着色クリアコート層は、カラーベースコート層など少なくとも1つのコーティング層を一般に含む基材上に着色ベースコート層を塗布し、塗布された着色クリアコート材料を乾燥させ、形成された着色クリアコート膜を硬化させることによって形成される。
【0023】
オブジェクトは、自動車又はその一部であってもよい。「自動車」という用語は、車、バン、ミニバン、バス、SUV(スポーツ用多目的車);トラック;セミトラック;トラクター;オートバイ;トレーラー;ATV(全地形対応車);ピックアップトラック;ブルドーザー、移動式クレーン、土木機械などの大型運搬機械;飛行機;ボート;船舶;及び少なくとも1つのコーティング層で一般的にコーティングされる他の輸送モードなどのオートモービルを指す。
【0024】
一態様では、ディスプレイ装置は、コンピュータプロセッサとスクリーンとを収容するハウジングを備える。したがって、ディスプレイ装置は、コンピュータプロセッサとスクリーンを備える。ハウジングは、プラスチック製、金属製、ガラス製、又はそれらの組み合わせであってよい。
【0025】
別の態様では、ディスプレイ装置と、ステップ(i)、(ii)、(iii)及び(v)、又はステップ(iii)及び(v)、又はステップ(v)を実行するコンピュータプロセッサとは、別個のコンポーネントとして構成される。この態様によれば、ディスプレイ装置は、スクリーンを収容するが、本発明の方法のステップ(i)、(ii)、(iii)及び(v)又はステップ(iii)及び(v)又はステップ(v)を実行するコンピュータプロセッサは収容しないハウジングを備える。したがって、本発明の方法のステップ(i)、(ii)、(iii)及び(v)又はステップ(iii)及び(v)又はステップ(v)を実行するコンピュータプロセッサは、ディスプレイ装置とは別個に、例えばさらなるコンピューティング装置内に存在する。ディスプレイ装置のコンピュータプロセッサとさらなるコンピュータプロセッサとは、データ交換を可能にするために通信インターフェースを介して接続される。ディスプレイ装置の外部に存在するさらなるコンピュータプロセッサの使用は、ディスプレイ装置のプロセッサによって提供されるよりも高い計算能力を使用することを可能にし、したがって、これらのステップを実行するのに必要な計算時間を短縮し、したがって、生成されたカラーデータがディスプレイ装置のスクリーン上に表示されるまでの全体的な時間を短縮する。これにより、提供されたカラーコーティング層のデジタル表現をリアルタイムで修正することができ、その結果、ユーザは、カラーコーティング層の色に対するコーティング材料の配合の修正の効果を即座に見ることができる。これにより、ユーザは、コーティング層の色に関するコーティング材料の修正の効果を容易に理解することができる。したがって、デザインプロセスを短時間で行うことができ、所望の色を正確に得ることができる。さらなるコンピュータプロセッサは、本発明の方法のステップ(i)、(ii)、(iii)及び(v)又はステップ(iii)及び(v)又はステップ(v)がクラウドコンピューティング環境で実行されるように、サーバ上に配置されることができる。この場合、ディスプレイ装置はクライアント装置として機能し、インターネットなどのネットワークを介してサーバに接続される。「クライアント装置」とは、その動作の一部として、別のプログラムへリクエストを送信することに依存するコンピュータ又はプログラム、あるいはサーバによって提供されるサービスにアクセスするコンピュータのハードウェア又はソフトウェアを指し得る。好ましくは、サーバはHTTPサーバであってよく、従来のインターネットウェブベース技術を用いてアクセスされる。インターネットベースのシステムは、カラーコーティング材料から製造されるカラーコーティング層の色をデザインするサービスが、顧客に提供されるか又はより大きな会社の構成の場合に、特に有用である。
【0026】
さらに別の態様では、ディスプレイ装置は、デジタル表現及び/又は生成されたカラーデータを投影領域上に投影、例えば表示するように構成された投影ディスプレイ装置である。この場合、投影領域は、前述したようにディスプレイ装置のスクリーンに対応する。デジタル表現及び/又は生成されたカラーデータの投影に使用される投影面は、平坦な壁又は机、自動車又はその一部、又は定義された3D空間などの2D又は3D面であってよい。一例では、生成されたカラーデータは、自動車又はその一部の形態の3D表面に投影され得る。3D表面は着色されていても、半透明であっても、透明であってもよい。別の例では、生成されたカラーデータは、3Dホログラム技術を用いて投影装置によって表示され、3Dホログラム技術では後述するレンダリング処理によって得られる自動車又はその一部などの着色された3Dオブジェクトが、事前定義された空間内に自由に投影され、3Dメガネなどを使用せずに見ることができる。新色をデザインするオブジェクトの形状に対応した投影面の使用、又は着色されたホログラムの使用は、ユーザが着色されたオブジェクトの外観と望ましいオブジェクトの視覚的外観を直接比較することができるため、生成される色の視覚性を高めることができる。投影面上のユーザ入力は、画像検出システムを介して投影ディスプレイ装置で検出されることができる。画像を投影するため、及び/又は、画像を投影し、これらの画像に対するユーザのインタラクションを検出するために使用される適切な投影ディスプレイ装置は、当該技術分野においてよく知られている。
【0027】
さらに別の態様では、スクリーンを収容するハウジングを備えるディスプレイ装置と前述した投影ディスプレイ装置を組み合わせて使用することができる。一例では、スクリーンを収容するハウジングを備えるディスプレイ装置はステップ(i)及び(ii)に使用され、一方、投影ディスプレイ装置をステップ(vi)において生成されたカラーデータを表示するために使用してよい。別の例では、投影ディスプレイ装置をステップ(i)及び(ii)に使用する一方、スクリーンを収容するハウジングを備えるディスプレイ装置はステップ(vi)で生成されたカラーデータを表示するために使用され得る。
【0028】
一態様では、ステップ(ii)から(vi)は同時に実行される。「同時」とは、コンピュータプロセッサがステップ(ii)から(v)のそれぞれを実行し、ディスプレイ装置が生成されたカラーデータを表示するのに要する時間を指す。好ましくは、この時間は、ユーザが、例えば数秒まで、特に1秒までのような妥当な時間内に色修正の効果を即座に見ることができるように、十分に小さく、したがって、インタラクティブに色修正を実行することができ、高速かつ正確なデザインプロセスをもたらす。
【0029】
本発明の方法のステップ(i)では、ディスプレイ装置のスクリーン上に表示するためにカラーコーティング層のデジタル表現が、通信インターフェースを介してコンピュータプロセッサに提供される。通信インターフェースは、有線又は無線であってよく、特に無線である。無線通信インターフェースの例としては、WLAN、WiFi又はBluetoothが挙げられる。
【0030】
コンピュータプロセッサは、任意の適切な種類のプロセッサであってよい。様々な実施形態によれば、コンピュータプロセッサ、特にディスプレイ装置のプロセッサは、グラフィックス処理を処理するように特別にデザインされたグラフィックス処理ユニット(GPU)を備えることができる。例えば、適切なGPUは、NVIDIA及びAMD(Advanced Micro Devices,Inc.)から入手できる。プロセッサはまた、メモリ及び入出力デバイスなどのインタラクション要素と通信することができる。入力/出力デバイスは、ユーザがデバイスを構成すること、及び/又はデータを入力することを可能にすることができる。様々な実施形態において、ディスプレイ装置は、メニュー駆動型ユーザインターフェースをスクリーン上又は二次ディスプレイ上に提供することができ、これによって、ユーザが情報を入力すること、及びデザインプロセスを通じてガイドされることを可能にする。他の周辺機器に加えて、プロセッサは、例えばRS232又はユニバーサルシリアルバス(USB)リンクなどの有線又は無線のデータリンクを介してコンピュータと通信することができる。
【0031】
ある態様では、カラーコーティング層のデジタル表現は、カラーコーティング層を調製するために使用されるコーティング材料の配合に関するデータ、及び任意にカラーコーティング層のカラーデータを含む。カラーコーティング層を調製するために使用されるコーティング材料の配合に関するデータは、コーティング材料中に存在する成分の少なくとも一部の種類及び量に関するデータを含むことができる。カラーコーティング材料は、通常、少なくとも1つの顔料、少なくとも1つのバインダー及び少なくとも1つの溶媒を含む。さらなる成分は、例えば、充填剤、マット剤、架橋剤及び添加剤である。「カラーデータ」は、色空間データ、光沢データ、外観データ、双方向反射率分布関数(BRDF)、双方向テクスチャ関数(BTF)、又はそれらの組み合わせを指し得る。色空間データの一例は、Lによって定義され、ここで、Lは光度を表し、aは赤色/緑色の外観を表し、bは黄色/青色の外観を表す。色空間データの別の例は、L、C、hによって定義され、ここで、Lは明度を表し、Cは彩度を表し、hは色相を表す。双方向テクスチャ関数(BTF)は、平面テクスチャ座標(x,y)だけでなく、視野及び照射球面角度に依存する6次元関数であり、したがって、BTFは、視野及び照射方向、すなわち視野及び照射角度の関数としてのテクスチャの外観の表現である。考慮されるオブジェクトの表面の幾何学的形状は未知であり、測定されていないため、これは画像ベースの表現である。BTFは、典型的には、BTF測定が典型的には画像の集合であるように、可能な視野方向及び照射方向の半球のサンプリングで表面を画像化することによって、キャプチャされる(Dana,Kristin J.ら,「Real-5 世界の表面の反射率とテクスチャ(Reflectance and Texture of Real-5 World Surfaces)」,ACM Transactions on Graphics,vol 18,1999,1~34頁参照)。カラーデータは、好ましくは、BTF、特に、以下に概説する方法によって生成された最適化されたBTFを含む。提供されたデジタル表現に含まれるカラーデータは、後述するように、コーティング材料の配合に関連する色を表示するために使用されることができ、ユーザが、ステップ(i)において、カラーコーティング層の正しいデジタル表現がコンピュータプロセッサに提供されたかどうかを確認することを可能にする。
【0032】
一態様では、カラーコーティング層のデジタル表現を提供することが、コーティング層識別データを提供することと、提供されたコーティング層識別データに基づいてコーティング層のデジタル表現を取得することと、取得されたデジタル表現を提供することとを含む。一例では、コーティング層識別データを提供することは、コーティング層のカラーデータを提供することを含む。別の例では、コーティング層識別データを提供することは、カラーコーティング層を示すデータを提供することを含む。カラーコーティング層を示すデータは、色番号、色名、QRコード、バーコードなどを指し得る。コーティング層の識別データは、ディスプレイ装置のスクリーンを介してユーザによって提供されてよい。スクリーンは、ユーザのデータ入力を容易にするために、GUIを備えていてよい。コーティング層のデジタル表現は、次いで、提供されたコーティング層識別データに基づいて、前記デジタル表現のデータベースを検索することによって得られることができる。
【0033】
代替的な態様では、カラーコーティング層のデジタル表現を提供することは、ディスプレイ装置のスクリーン上に既存のカラーライブラリを表示することと、表示された既存のライブラリから色を選択することと、選択された色に基づいてカラーコーティング層のデジタル表現を取得することと、取得されたカラーコーティング層のデジタル表現を提供することとを含む。「既存のカラーライブラリ」という用語は、予め選択された色の設定量を有するデータベースを指す。既存のカラーライブラリは、少なくとも2つの異なる色を含むことができ、各色は、コーティング材料から調製されるカラーコーティング層の色に対応し、各色は、比色測定されたカラーデータによって、又は計算されたカラーデータによって、特に計算されたカラーデータによって定義される。比色測定されたカラーデータは、カラーコーティング層の色を測定する際に測定装置から得られたカラーデータを記録することによって得られることができる。「計算されたカラーデータ」は計算によって、例えば、測定されたカラーデータを最適化することによって得られるカラーデータを指し得る。一例において、計算されたカラーデータは、以下のステップによって得られる最適化されたBTF(双方向テクスチャ関数)から構成され得る:
- カメラベースの測定装置を使用して、オブジェクトの初期BTFを決定するステップ、
- 分光光度計を用いて、予め与えられた数、すなわち限られた数の異なる測定ジオメトリについて、オブジェクトのスペクトル反射率データを取得するステップ、
- 式(1)の初期BTFを、
【0034】
【数1】
【0035】

【数2】
にセグメント化し、さらに項(F1)を照射及び観察方向
【数3】
に依存するカラーテーブルに対応する第1サブ項と、強度関数
【数4】
に対応する第2サブ項に分割し、第2サブ項のパラメータを一定に保ちながら第1の最適化ステップで前記第1サブ項のパラメータを最適化することによって、及び、第2の最適化ステップで前記第1サブ項のパラメータを一定に保ちながら前記第2サブ項のパラメータを最適化することによって、前記キャプチャされたスペクトル反射率データと初期BTFの色差を最小化することによって、最適化されたBTFを得るために、初期BTFをキャプチャされたスペクトル反射率データに適合させるステップ。
【0036】
第1ステップでは、カメラベースの測定装置は、異なる視野角で、異なる照射角で、異なる照射色で、及び/又は異なる露出時間で、サンプルの複数の画像(写真)を作成し、これにより、照射角、視野角、照射色及び/又は露出時間の複数の組み合わせを考慮した複数の測定データを提供する。適切なカメラベースの測定装置は、例えば、X-Rite TAC7(登録商標)のような市販の測定装置とすることができる。サンプルとしては、硬化したカラーコーティング層、又はクリアコート層でコーティングされたカラーコーティング層を含む硬化した多層コーティングで、コーティングされた小型の平面パネルが使用される。測定装置から得られた画像は、初期BTFを得るために後処理される。後処理には、一定の照射と視野角の下であるが、照射色と露光時間をそれぞれ変えて撮影された画像から、高ダイナミックレンジの画像を作成することが含まれ得る。後処理には、サンプルに対する写真の遠近感を補正すること、及び写真から色とテクスチャのデータを抽出することも含まれ得る。後処理によって得られたデータに基づいて、初期BTFのパラメータが決定される。
【0037】
第2ステップでは、限られた数の測定ジオメトリに対してのみ、スペクトル反射率曲線が取得される。測定ジオメトリのそれぞれは、特定の照射角/方向及び特定の視野角/方向によって定義される。スペクトル反射率測定は、例えば、ハンドヘルド分光光度計、例えば、6つの測定ジオメトリ(-15°、15°、25°、45°、75°、110°の固定照射角及び視野角/測定角)を有するByk-Mac I(登録商標)、12個の測定ジオメトリ(2つの照射角と6つの測定角)を有するX-Rite MA-T12(登録商標)、又はX-Rite MA 98(登録商標)(2つの照射角と最大11個の測定角)によって行われる。これらの測定装置から得られるスペクトル反射率データは、最初のステップで使用したカメラベースの測定装置から得られる色情報よりも正確である。
【0038】
第3ステップでは、初期BTFを2つの主要項(F1)と(F2)にセグメント化(分割)する。第1項(F1)は、測定幾何学形状のみに依存するサンプルの反射率特性を記述する均質な双方向反射率分布関数
【数5】
である。このBRDFは、不透明な表面で光がどのように反射するかを定義する4つの実変数の関数である。この関数は、
【数6】
を入力し、方向
【数7】
から表面に入射する放射照度に対する
【数8】
に沿って出る反射放射照度の比率を返す。一般的に、BRDFは散乱ジオメトリの関数として3つのカラー座標で構成されており、したがって、特定の照度及びカラーシステム(CIELABなど)は、指定され、BRDFを扱う場合の任意のデータを含ませられなければならない。BRDFは、材料(ここではサンプルを意味する)の測光データの集合であり、材料(サンプル)の測光反射光散乱特性を照射角度と反射散乱角度の関数として記述する。BRDFは、材料(サンプル)、特にサンプルに含まれるゴニオ外観性材料のスペクトル及び空間反射散乱特性を記述し、材料の外観の記述を提供する。したがって、光沢、ヘイズ、及び色などの他の多くの外観属性は、BRDFから容易に導き出され得る。
【0039】
第2項(F2)は、サンプル
【数9】
の空間的に変化する外観を説明する、すなわち、ビューと照射に依存するテクスチャ画像を追加するテクスチャ関数である。遠くから見た場合、サンプルの全体的な色の印象は、一点での色ではなく、より広い範囲の平均的な色によって決定される。視野と照射に依存するテクスチャ画像は、すべてのピクセルにわたって平均化すると、RGB各チャンネルの強度の合計がゼロになるという特性を有する。この特性により、テクスチャ画像の広い領域の平均的な色はゼロ又はゼロに近いと考えられ、これにより、全体の色を変えることなく、テクスチャ画像を重ねることができ、初期BTFを最適化する際に、テクスチャ画像及びしたがって項(F2)を無視できることも意味する。したがって、初期BTFを最適化する際には、項(F1)のみが最適化される。
【0040】
そして、第1項(F1)、すなわちBRDFは、さらに、照射及び観察方向
【数10】
に依存するカラーテーブルに対応する第1サブ項及び強度関数
【数11】
に対応する第2サブ項をさらに分割する。その後、第1の最適化ステップで、第2サブ項のパラメータを一定に保ちながら、前記第1サブ項のパラメータを最適化することによって、及び、第2の最適化ステップで、前記第1サブ項のパラメータを一定に保ちながら前記第2サブ項のパラメータを最適化することによって、前記キャプチャされたスペクトル反射率データと初期BTFの色差を最小化する。
【0041】
各スペクトル測定ジオメトリに対する第1最適化ステップにおけるカラーテーブルの最適化は、次のように行われることができる:第1CIEL値が第2のステップで得られたスペクトル反射率データ(曲線)から計算され、第2CIEL値が初期BTFから計算され、a座標とb座標の補正ベクトルが第1CIEa値から第2CIEa値を減算することによって計算される。これらの補正ベクトルはカラーテーブルに保存されている視野角と照射角の全範囲についてコンポーネントごとに補間及び外挿され、補間された補正ベクトルは、カラーテーブルに保存された各スペクトル測定ジオメトリの初期BTF CIEL値に適用される。得られた補正されたBTF CIEL値は次いで線形sRGB座標(それらの合計が例えば3に等しくなるように正規化されている)に変換され、最終的にカラーテーブルに保存される。マルチレベルB-スプライン補間アルゴリズム(Lee,Seungyong等「Scattered data interpolation with multilevel B-splines」、IEEE transactions on visualization and computer graphics 3,Nr.3(1997):228-244.)は、補正ベクトルのコンポーネントごとに補間及び外挿に使用されることができる。
【0042】
第2最適化ステップにおける強度関数のパラメータの最適化は、すべてのスペクトル反射率測定ジオメトリにわたる色差の合計に基づいてコスト関数が定義される。このコスト関数
【数12】
は、以下の式(2)に従って、すべての反射率測定ジオメトリにわたって定義される:
【数13】
【0043】
式(2)に示されるように、コスト関数は、特定の拘束を考慮するようにデザインされたペナルティ関数によって補完されることができる。そのような拘束は、好ましくは、パラメータ値を有効範囲内に保つために使用されることができる。色差を計算するために、初期BTFは異なるスペクトル反射率測定ジオメトリで評価され、得られたCIEL値は、例えばDIN6157/2に定義されている式などの重み付き色差式を用いてスペクトル反射率測定からのCIEL値と比較され、強度関数のパラメータは、コスト関数が最小化するように、例えばネルダーミーアダウンヒルシンプレックス法などの非線形最適化法を使用して最適化される。
【0044】
第1及び第2の最適化ステップは、最適化されたBTFの精度をさらに向上させるために繰り返し/反復して実行され得る。反復の回数は、指定され、事前定義され得る。3回の反復で既に信頼できる良い結果が得られることが分かった。最適化されたBTFは、カメラベースの装置から直接得られる初期BTFよりも正確であるため、最適化されたBTFを使用して色を表示する場合、測定された色と比較してより高い色精度が得られる。
【0045】
事前定義されたカラーライブラリを表示することは、仮想オブジェクトのオブジェクトデータを提供すること、及び事前定義された照射条件を使用して、事前定義されたカラーライブラリに存在するカラーデータ及び提供されたオブジェクトデータをレンダリングすることを含み得る。事前定義された照射条件は、点光源、指向性光源、又はスポットライトなどの直接光源(分析光源とも呼ばれる)、又はハイダイナミックレンジ(HDR)環境マップ、特にハイダイナミックレンジ(HDR)環境マップを含み得る。直接光源を使用するレンダリング処理は、当該技術分野において知られており、リアルタイムで実行されることができる(例えば、OpenGLシェーディング言語(OpenGL shading language)、Rost,R.J.,等AddisonWesley Professional、2009年を参照)。ハイダイナミックレンジ(HDR)環境マップを使用するレンダリングプロセスは、画像ベースのライトニングとして当該技術分野で知られている(例えば、Debevec,Paul「Image-Based Lighting」,IEEE Computer Graphics and Applications,2002年3月/4月,37~34頁を参照)。これらのプロセスでは、現実世界からの光の画像で実オブジェクト又は仮想オブジェクトは、実世界の照射を無指向性の高ダイナミックレンジ画像としてキャプチャし、その照射を環境の表現にマッピングし、コンピュータグラフィックスオブジェクトを環境内に配置し、環境からの光がコンピュータグラフィックスオブジェクトを照射するようにシミュレートすることによって、照射される。したがって、画像ベースのライトニングを使用したレンダリング結果は、実世界の照射を使用するため、より現実的であると認識される。したがって、カラーオブジェクトのより現実的な画像を得るために、画像ベースのライトニングを使用してレンダリング処理を実行することが好ましい場合がある。仮想オブジェクトは、カラーエリアなどの仮想2Dオブジェクト、又はカラーチップ、ドーム形状、自動車ボディ、又はそのような自動車ボディの一部などの仮想3Dオブジェクトから選択されることができる。自動車ボディ又はその一部は、一般的な自動車ボディ又はその一部であってよく、又は特定の自動車ボディ又はその一部であってよい。「一般的な自動車ボディ又はその一部」という用語は、自動車ボディ又はその部品が、自動車、オートバイなどの車両クラスの一般的な表現であることを指す。このような汎用ボディは、それぞれの車両クラスの一般的な形状を表現するために使用されるだけで、通常は製造されない。これに対して、「特定の自動車ボディ又はその一部」という用語は、製造される実際の自動車ボディと同じ形状を有する自動車ボディ又はその一部を指す。仮想オブジェクトのデータは、ディスプレイ装置のメモリ又は、ディスプレイ装置と通信インターフェースを介して接続されたデータベースなどのコンピュータ可読媒体に保存されることができる。一例では、ユーザは、レンダリング前に仮想オブジェクトを選択することができる。この目的のために、利用可能な仮想オブジェクトがディスプレイ装置のスクリーン上でユーザに表示され、ユーザはインタラクション要素を介して所望のオブジェクトを選択することができる。選択された仮想オブジェクトに関連するオブジェクトデータは、次いで、レンダリング前にプロセッサによってコンピュータ可読媒体から取得される。別の例では、事前定義された仮想オブジェクトがレンダリングに使用される。レンダリングに使用される仮想オブジェクトは、カラー仮想オブジェクトであってよい。一例では、利用可能な仮想オブジェクト又は事前定義された仮想オブジェクトに関連するカラーデータが、選択された仮想オブジェクト又は事前定義された仮想オブジェクトに基づいてプロセッサによって取得される。別の例では、ユーザは、先に開示したように、ディスプレイ装置のスクリーン上に表示された既存のカラーライブラリから色を選択することができる。次に、選択された色に関連するカラーデータは、レンダリング前に、ディスプレイ装置のメモリ又はデータベースなどのコンピュータ可読媒体から取得される。カラー仮想オブジェクトを使用することにより、選択された色がさらにカラーコーティング層と組み合わされている場合、ユーザはオブジェクトの全体的な視覚的印象を表示することができる。カラーコーティング層が着色クリアコートの場合、下層のカラーベースコート層と組み合わせる必要があり、ベースコート層の色は、その少なくとも部分的な透明性により、着色されたクリアコート層を通して少なくとも部分的に見えるので、これは好ましいかもしれない。表示された既存のカラーライブラリは、表示されたライブラリをブラウズする際のユーザの快適性を高めるために、インタラクション要素を介して、例えばズーム、移動、回転、及び/又はスクロールによって操作されることができる。
【0046】
既存のカラーライブラリは、コンピュータ可読媒体に保存されてよく、先に開示したレンダリングステップを実行するコンピュータプロセッサに通信インターフェースを介して提供されてよい。コンピュータ可読媒体は、ディスプレイ装置のメモリであってよく、又はディスプレイ装置と通信インターフェース、特に無線通信インターフェースを介して接続されたデータベースなどの外部記憶装置であってよい。ユーザは、ディスプレイ装置内に存在するか、又は通信インターフェースを介してディスプレイ装置に接続されたインタラクション要素を介して、表示された既存のカラーライブラリから色を選択することができる。表示された既存のカラーライブラリから所望の色を選択した後、コーティング層のデジタル表現は、選択された色に基づいて前記デジタル表現をデータベース検索することにより得られることができる。事前定義されたカラーライブラリを表示することにより、ユーザは、所望の色に近い色を有するカラーコーティング層を選択することができ、したがって、所望の色を得るためにカラーコーティング材料に大幅な変更をする必要性が減少し、したがって、わずかな修正のみ加えることによって、選択された色から所望の色を迅速に得ることができる可能性が高まる。
【0047】
ある態様では、ディスプレイ装置は、モバイルディスプレイ装置又は固定ディスプレイ装置であり、好ましくはモバイルディスプレイ装置である。固定ディスプレイ装置には、コンピュータモニタ、テレビスクリーン、プロジェクターなどが含まれる。モバイルディスプレイ装置には、ラップトップ、スマートフォン及びタブレットなどのハンドヘルドデバイスが含まれる。
【0048】
ディスプレイ装置のスクリーンは、適切な解像度と色域を有するように任意の放射型又は反射型ディスプレイ技術に従って構築されることができる。適切な解像度とは、例えば、72ドット/インチ(dpi)以上の解像度、例えば、300dpi、600dpi、1200dpi、2400dpi以上の解像度である。これにより、生成されたカラーデータを高品質で表示できることが保証される。適切な広い色域は、標準赤緑青(sRGB)以上の色域である。さまざまな実施形態では、スクリーンは、人間の視覚によって知覚可能な色域に近い色域を選択することができる。一態様では、ディスプレイ装置のスクリーンは、液晶ディスプレイ(LCD)技術に従って、特にタッチスクリーンパネルをさらに含む液晶ディスプレイ(LCD)技術に従って構築される。LCDは、任意の適切な照射源によってバックライトを当てられてよい。しかしながら、LCDスクリーンの色域は、発光ダイオード(LED)バックライト又は複数のバックライトを選択することによって、広くするか、又は他の方法で改善されることができる。別の態様では、ディスプレイ装置のスクリーンは、発光ポリマー又は有機発光ダイオード(OLED)技術に従って構築される。さらに別の態様では、ディスプレイ装置のスクリーンは、電子ペーパー又はインクなどの反射型ディスプレイ技術に従って構築されることができる。電子インク/ペーパーディスプレイのメーカーとしては、E INK及びXEROXなどが知られている。好ましくは、ディスプレイ装置のスクリーンは、ユーザが異なる角度からスクリーンを見たときに、不鮮明になり、又は大きく変化しない画像を生成することができる、適度に広い視野も有する。LCDスクリーンは偏光によって動作するため、いくつかのモデルは高い視野角依存性を示す。しかし、さまざまなLCDの構造は、比較的広い視野を有し、そのために好ましい場合がある。例えば、薄膜トランジスタ(TFT)技術に従って構築されたLCDスクリーンは、適切に広い視野を有することができる。また、電子ペーパー/インク技術及びOLED技術に従って構築されたスクリーンは、多くのLCDスクリーンよりも広い視野を有することができ、このような理由のため選択されてよい。
【0049】
一態様では、ステップ(i)は、カラーコーティング層の提供されたデジタル表現に関連する色をディスプレイ装置のスクリーン上に表示することをさらに含む。「提供されたデジタル表現に関連する色」とは、コーティング材料から調製されたコーティング層の色を指し、提供されたデジタル表現は、コーティング材料の配合など、前記コーティング材料に関するデータを含む。一例では、カラーコーティング層の提供されたデジタル表現に関連付けられた色をディスプレイ装置のスクリーン上に表示するステップは、カラーコーティング層の提供されたデジタル表現に関連付けられたカラーデータを取得することと、取得されたカラーデータを表示することとをさらに含み得る。提供されたデジタル表現に関連するカラーデータを取得することは、提供されたデジタル表現に基づいてデータベースなどのコンピュータ可読媒体から前記カラーデータを取得することと、取得されたカラーデータを提供することとを含み得る。カラーデータは、先に説明したように、比色測定されたカラーデータ又は計算されたカラーデータであってよい。別の例では、提供されたデジタル表現は、カラーコーティング材料の配合に関連するカラーデータを既に含んでいる。この場合、前記カラーデータは、カラーデータを表示する前に取得される必要はない。取得されたカラーデータを表示することは、仮想オブジェクトのオブジェクトデータを提供することと、事前定義された照射条件を使用して、提供されたカラーデータ及び提供されたオブジェクトデータをレンダリングすることとを含み得る。事前定義された照射条件、レンダリング処理、及び仮想オブジェクトは、前述したものと同様であってよい。この態様により、ユーザは、色をデザインすべき実際のオブジェクトに対応する仮想オブジェクトを、カラー仮想オブジェクトの視覚的印象が可能な限りリアルに表示されるように選択することができる。さらに、これにより、ユーザは、選択された色が、デザイン処理に使用されるべき所望の開始色に対応しているかどうかを確認することができ、したがって、例えば、誤った色の識別データを入力することによって、又は、先に説明した既存のライブラリから誤った色を選択することによって、誤った開始色が選択された場合に、ユーザが開始色を修正することができる。
【0050】
本発明の方法のステップ(ii)では、ユーザ入力はインタラクション要素を介してコンピュータプロセッサで検出される。一例では、インタラクション要素は、入力装置又は入力/出力装置、特にマウス、キーボード、トラックボール、タッチスクリーン又はそれらの組み合わせなどの物理的インタラクション要素であってよい。別の例では、インタラクション要素は、指のジェスチャ又は手の動きなどのジェスチャの形のユーザ入力が受信される投影領域であってよい。
【0051】
一態様では、インタラクション要素を介してユーザ入力を検出することは、カラーコーティング層を調製するために使用されるコーティング材料に存在する成分の少なくとも一部をディスプレイ装置のスクリーン上に表示することと、インタラクション要素を介して少なくとも1つの表示された成分を操作することと、及び前記操作を検出することを含む。好ましくは、顔料、バインダー、充填剤、マット剤、コーティング層の色に影響を及ぼす他の成分、又はそれらの組み合わせなど、コーティング層の色に影響を及ぼすことが知られている成分の少なくとも一部が、ディスプレイ装置のスクリーン上に表示される。このように、ユーザ入力は、コーティング材料の配合の操作に対応し、ディスプレイ装置のコンピュータプロセッサで検出される。色の修正の基礎としてコーティング剤の配合を使用することで、色素沈着が色に与える影響を調べることができ、その結果、非常に直感的な方法で所望の外観をデザインすることができる。
【0052】
一例では、カラーコーティング層を調製するために使用されるコーティング配合中に存在する成分の少なくとも一部をディスプレイ装置のスクリーン上に表示するステップは、複数のレギュレータを含む少なくとも1つの調整ツールを表示することを含み得、各レギュレータは、コーティング材料中に存在する成分の種類及び量に対応する。「調整ツール」は、表示されたコーティング材料の成分の少なくとも一部を修正することを可能にするグラフィカルユーザインターフェースの一部を指し得る。調整ツールを使用することで、成分の種類/量の操作に関するユーザガイダンスが提供され、所望の色を簡単にデザインすることができる。
【0053】
インタラクション要素を介して少なくとも1つの表示された成分を操作するステップは、インタラクション要素を介して少なくとも1つの表示された成分の種類及び/又は量を調整することを含んでよい。一例において、これは、インタラクション要素を介して、少なくとも1つの表示された調整ツールの少なくとも1つのレギュレータを動かすことを含み得る。
【0054】
少なくとも1つの調整ツールは、提供されたコーティング層のデジタル表現から生成されてよい。これには、提供されたカラーコーティング層のデジタル表現に含まれる、カラーコーティング層を調製するために使用されるコーティング材料の配合に関するデータをコンピュータプロセッサで決定することと、決定されたデータに基づいて少なくとも1つの調整ツールを生成することとが含まれ得る。「生成されたデータに基づいて少なくとも1つの調整ツールを生成する」という用語は、好ましくは、決定されたデータに適合された調整ツールを生成すること、すなわち、調整ツールのレギュレータが決定されたデータに一致し、調整ツールが、コーティング材料のそれぞれの配合中に存在しない配合物の成分に対するレギュレータを含まないことを指す。したがって、この用語は、決定されたデータに適合した調整ツールを生成することを指し、単に決定されたデータで満たされた事前定義された調整ツールを使用することを包含しない。例えば、決定されたソリッドカラーコーティング配合、すなわち、効果顔料を含まないコーティング配合に基づいて生成された調整ツールは、効果顔料用のレギュレータを含まないが、効果顔料を含む効果カラーコーティング配合に対して生成された調整ツールは、効果顔料用の少なくとも1つのレギュレータを含む。決定されたデータに適合した調整ツールを生成することにより、コーティング配合中に存在する成分の概要をより明確にすることができ、ユーザがコーティング材料の配合中に存在しないコーティング成分用のレギュレータを使用することを避けることができる。これにより、適合されたコーティング材料の配合が生産可能であり、必要な品質を有する塗布されたコーティング層をもたらすことが保証され、したがって、生産、塗布できない、又は必要な光学的及び機械的品質を満たさないコーティング層をもたらす修正されたコーティング配合を作成することが回避される。一例では、調整ツールは、複数の視覚的に区別される区画を有する箱であってよく、各区画は、コーティング材料中に存在する成分の種類を示し、各区画のサイズは、それぞれの成分の量を示し、複数のレギュレータは、区画を分離する視覚的要素、特に線に対応する。成分の種類は、成分の種類を示すグラフィック表現を用いて区画内に表示されることができる。グラフィック表現は、提供されたカラーコーティング層のデジタル表現から取得されてよく、着色顔料のカラーチップ、メタリック効果顔料の金属片、ガラスフレークのガラス片、バインダーの固体ブロックなどの画像から選択され得る。異なるサイズの区画区画を有し、特定の成分のグラフィカルな表現を含むボックスを使用することにより、関連する成分の概要が容易になり、区画区画のサイズ及び/又は区画区画内に存在する成分を変更することにより、各成分の種類/量がコーティング層の得られる色に及ぼす影響を容易に評価することができる。
【0055】
ステップ(ii)は、検出されたユーザ入力を、通信インターフェースを介してコンピュータプロセッサに提供することをさらに含み得る。一例では、ユーザ入力は、通信インターフェースを介してインタラクション要素と接続されたプロセッサによって検出され、2つのプロセッサを接続するさらなる通信インターフェースを介してコンピュータプロセッサに提供され得る。これは、タッチスクリーンのジェスチャを検出するパネルプロセッサを備えるタッチパネルが使用される場合に好ましい。検出されたタッチスクリーンのジェスチャは、次に通信インターフェースを介して、ディスプレイ装置の内部又は外部に存在し得るコンピュータプロセッサに提供される。別の例では、ユーザ入力は、ディスプレイ装置の内部に存在するコンピュータプロセッサで検出されることができる。これは、外部入力装置がインタラクション要素として使用される場合に好ましい。
【0056】
本発明の方法のステップ(iii)では、検出されたユーザ入力は、コンピュータプロセッサを用いて、カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に変換される。これは、検出されたユーザ入力を、カラーコーティング層を調製するために使用されるカラーコーティング材料の修正された配合データに変換することを含み得る。カラーコーティング材料の修正された配合データは、好ましくは、数値を含み、前述のようにユーザによって実行されたコーティング材料の成分の修正に反映される。したがって、検出されたユーザ入力を変換することは、非修正カラーコーティング材料の配合データの数値を修正することを含み得、ここで、修正は検出されたユーザ入力を反映する。一例では、変換は、ディスプレイ装置内に存在するコンピュータプロセッサによって実行される。別の実例では、変換は、ディスプレイ装置の外部に存在する、特に別のコンピューティング装置の内部に存在するさらなるコンピュータプロセッサによって実行され、通信インターフェースを介して前記さらなるプロセッサにユーザ入力を提供し、提供されたユーザ入力に基づいて変換を実行する。
【0057】
任意のステップ(iv)では、ステップ(i)から(iii)を少なくとも1回繰り返す。これは、少なくとも1つのさらなるカラーコーティング層がオブジェクト上に存在し、少なくとも1つのさらなるコーティング層の色も修正されるべき場合に好ましい。この場合、ユーザは、ステップ(v)において、後述するように修正されたすべてのデジタル表現についてカラーデータを生成するか、又は修正されたデジタル表現の一部についてのみカラーデータを生成するかを選択することができる。ステップ(v)ですべての修正されたデジタル表現についてカラーデータを生成する場合、表示される生成カラーデータは、ステップ(i)から(iii)が実行されたすべてのコーティング層の色から得られる視覚的印象に対応する。これは、カラーベースコートが着色クリアコートと組み合わされ、カラーベースコートの色と着色クリアコートの色の両方を修正する場合に好ましい。
【0058】
本発明の方法のステップ(v)では、コーティング層のカラーデータがカラーコーティング層の修正されたデジタル表現に基づいて、コンピュータプロセッサで生成される。ステップ(i)から(iii)を繰り返す場合、ユーザは、ステップ(i)から(iii)を少なくとも2回行うことによって取得されたすべての修正されたデジタル表現に基づくコーティング層のカラーデータをステップ(v)で生成するか、又は選択された修正されたデジタル表現のカラーデータをステップ(v)で生成するかを選択することができる。前者の場合、後述するステップ(vi)で表示される生成されたカラーデータは、カラーコーティング層の組み合わせの視覚的印象に対応する。後者の場合、ステップ(vi)で表示される生成されたカラーデータは、選択されたカラーコーティング層の視覚的印象に対応し、ステップ(v)で選択されなかった修正されたデジタル表現のカラーデータは、後述する(v)から(vi)の繰り返しで生成され得る。後者の場合は、少なくとも2つのカラーコーティング層の組み合わせで得られる視覚的印象を評価する前に、少なくとも2つのカラーコーティング層のデジタル表現を修正することによって生成された各カラーコーティング層の視覚的印象を個別に評価する場合に好ましい。一例では、カラーデータは、ディスプレイ装置内に存在するコンピュータプロセッサで生成される。別の例では、カラーデータは、ディスプレイ装置の外部に存在する、特に別のコンピューティング デバイスの内部に存在する、さらなるプロセッサによって、修正されたデジタル表現を前記さらなるコンピュータプロセッサに提供することによって生成される。これは、ディスプレイ装置のプロセッサの計算能力が、許容可能な時間内に修正されたデジタル表現に関連するカラーデータを生成するのに十分高くない場合に好ましい。
【0059】
一態様では、カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に基づいてカラーデータを生成するステップは、修正されたデジタル表現に基づいて、特にカラーコーティング材料の修正された配合データに基づいてカラーデータを取得することを含む。カラーデータを取得するステップは、提供されたカラーコーティング材料の修正された配合データに基づいて、データベース又はルックアップテーブルからカラーデータを取得することを含むことができる。一例では、データベース又はルックアップテーブルからカラーデータを取得するステップは、取得されたカラーデータを事前定義された許容値と比較することを含み得る。事前定義された許容値は、色距離、外観距離、又はそれらの組み合わせを含むことができる。これにより、最適なカラーデータを提供することができる。データベース又はルックアップテーブルからカラーデータを取得することは、所望のカラーデータを迅速に提供し、したがって、デジタル表現の修正、特にコーティング材料の配合がコーティング層のカラーに及ぼす影響をリアルタイムで表示することができ、その結果、効率的なデザインプロセスを実現することができる。一例では、事前定義された許容値の取得と任意の比較には大量の計算能力を必要としないため、この態様のカラーデータは、ディスプレイ装置のプロセッサによって取得されることができる。この態様の別の例では、ディスプレイ装置は、データベース又はルックアップテーブルからカラーデータを取得するように、ディスプレイ装置内部に存在しないさらなるプロセッサに要求し得る。取得されたカラーデータは、その後、通信インターフェースを介してディスプレイ装置とディスプレイ装置に転送される。この場合、事前定義された許容値との任意の比較は、カラーデータをディスプレイ装置に転送する前に、ディスプレイ装置によって実行されるか、又はさらなるプロセッサによって実行されるかのいずれかであってよい。これは、データベース又はルックアップテーブルがディスプレイ装置内のデータ記憶媒体上に存在しない場合に好ましい。
【0060】
代替的な態様では、カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に基づいてカラーデータを生成するステップは、カラーコーティング層の修正されたデジタル表現から、特にカラーコーティング材料の修正された配合データからカラーデータを計算するために、過去のコーティング層のカラーデータ及び過去のコーティング層を調製するために使用されたカラーコーティング材料の過去の配合のカラーデータに基づいてパラメータ化されたデータ駆動モデルを使用することを含む。「データ駆動モデル」とは、少なくとも部分的にデータから導出されるモデルを指す。データ駆動モデルの使用は、物理化学法則ではモデル化できない関係を記述することを可能にする。データ駆動モデルの使用は、物理化学法則からの方程式を解くことなく関係を記述することを可能にする。このことは、計算能力を削減し、速度を向上させることができる。データ駆動モデルは、統計学(統計第4版、デービッド フリードマンら、W.W.ノートン&カンパニー株式会社、2004年(Statistics 4th edition, David Freedman et al., W. W. Norton & Company Inc.,2004))から導出され得る。データ駆動モデルは、機械学習(大規模データマイニングのための機械学習と深層学習フレームワークとライブラリ: 調査、人工知能レビュー52、77~124 (2019)、シュスプリンガー(Machine Learning and Deep Learning frameworks and libraries for large-scale data mining: a survey, Artificial Intelligence Review 52, 77-124(2019),Springer))から導出され得る。データ駆動モデルは、経験的モデル又はいわゆる「ブラックボックスモデル」を含み得る。経験的モデル又は「ブラックボックス」モデルは、機械学習、ディープラーニング、ニューラルネットワーク、又は他の形態の人工知能のうちの1つ以上を使用することによって構築されるモデルを指し得る。経験的モデル又は「ブラックボックス」モデルは、トレーニングデータとテストデータとの間の良好な適合をもたらす任意のモデルであってよい。あるいは、データ駆動モデルは、厳密モデル又は「ホワイトボックス」モデルを含んでよい。厳密モデル又は「ホワイトボックス」モデルとは、物理化学法則に基づくモデルを指す。物理化学法則は、第一原理から導出され得る。物理化学的法則は、化学反応速度論、質量保存則、運動量及びエネルギー保存則、任意の次元の粒子集団、物理的関係及び/又は化学的関係の1つ以上を含む。厳密モデル又は「ホワイトボックス」モデルは、それぞれの問題を支配する物理化学法則に従って選択されることができる。データ駆動モデルは、ハイブリッドモデルを含むこともできる。「ハイブリッドモデル」とは、ホワイトボックスモデルとブラックボックスモデルを含むモデルを指し、例えば、Von Stochらのレビュー論文、2014、コンピュータと化学工学、60、86~101頁(review paper of Von Stoch et al.,2014,Computers & Chemical Engineering,60,Pages 86 to 101)を参照されたい。過去のコーティング層のカラーデータ及び過去のコーティング層を調製するために使用されるカラーコーティング材料の過去の配合をパラメータ化したデータ駆動モデルは、当該技術分野においてよく知られており、例えば、US20020184167A1及びUS20090078936A1に開示されている。このようなデータ駆動モデルは、過去のデータから定数を導出し、当該導出された定数を使用して、コーティング材料の未知の配合のカラーデータを予測する。予測されたカラーデータは、データベースなどのコンピュータ可読媒体に保存され、後の時点でカラーデータを生成するために取得され得る。これにより、カラーデータを生成するのに必要な計算時間を短縮することができ、したがって、方法の効率を高めることができる。ディスプレイ装置のプロセッサの計算能力は、許容可能な時間枠内でカラーデータ計算を実行するのに十分でない可能性があるため、この態様は、計算時間を短縮するために、ディスプレイ装置の外部の計算装置に存在するコンピュータプロセッサ上で実行されてよい。コンピューティング装置内のコンピュータプロセッサによって計算されたカラーデータは、後述するステップ(vi)において、生成されたカラーデータを表示するために、通信インターフェースを介してディスプレイ装置のプロセッサに転送される。
【0061】
本発明の方法のステップ(vi)では、プロセッサから受信された生成されたカラーデータは、ディスプレイ装置のスクリーン上に表示される。一態様では、プロセッサから受信した生成されたカラーデータをディスプレイ装置のスクリーン上に表示するステップは、仮想オブジェクトのオブジェクトデータを提供すること、任意で少なくとも1つのさらなるコーティング層のさらなるカラーデータを提供すること、及び予め定義された照射条件を使用して、生成されたカラーデータ、提供されたオブジェクトデータ、及び任意で提供されたさらなるカラーデータをレンダリングすることを含む。一例では、レンダリングはディスプレイ装置のプロセッサによって実行される。カラーデータがこのプロセッサで生成される場合、プロセッサは生成されたカラーデータを直接使用することができる。カラーデータがさらなるプロセッサで生成される場合、生成されたカラーデータは、レンダリング前に、通信インターフェースを介してディスプレイ装置のプロセッサに提供される。別の例では、レンダリングは、ディスプレイ装置の外部に存在するさらなるプロセッサによって実行され、レンダリング結果は、スクリーン上に表示するために、通信インターフェースを介してディスプレイ装置のプロセッサに提供される。これは、ディスプレイ装置のプロセッサの計算能力が、許容可能な時間内にレンダリングを実行するには不十分である場合、すなわち、ディスプレイ装置のプロセッサが1秒以内に少なくとも25枚の画像をレンダリングできない場合に好ましい。さらなるカラーデータを提供するステップは、カラーコーティング層の少なくとも1つのさらなる色を、特に、先に説明したような既存のカラーライブラリから選択することと、選択された色に関連するカラーデータをレンダリング前にプロセッサに提供することとを含み得る。仮想オブジェクト及び予め定義された照射条件は、先に説明したものと同じであってよい。レンダリングは、先に説明したように実行され得る。レンダリングされたオブジェクトは、予め定義された背景又はディスプレイ装置のスクリーン上に表示されたGUIを介してユーザによって選択された背景の前に配置されてよい。背景は、異なる色を含む均一な色であってよく、又は環境の写真であってよい。ユーザによる背景の選択は、インタラクション要素を介して、表示された複数の事前定義された背景から背景を選択すること、又はユーザによって背景を提供されることのいずれかを含むことができる。選択された背景は、その後、ユーザの選択に基づいてデータ記憶媒体から取得され、コンピュータプロセッサに提供され得る。ユーザによる背景の提供は、データ記憶媒体から保存された画像などの背景を取得すること、又はディスプレイ装置の照射センサを用いて環境の写真を取得すること、及び取得された背景又は取得された写真をコンピュータプロセッサに提供することを含み得る。ユーザによる背景の選択により、ユーザは、レンダリングされたオブジェクトを所望の環境に表示することができ、その結果、現実世界条件下でのオブジェクトの外観のより良い印象を得ることができる。
【0062】
代替的な態様では、プロセッサから受信したカラーデータをディスプレイ装置のスクリーン上に表示するステップは、ステップ(ii)から(vi)を実行することに応答して、ステップ(i)においてディスプレイ装置のスクリーン上に表示される色を自動的に更新することを含む。ディスプレイ装置のスクリーン上に表示された色を自動的に更新するステップは、仮想オブジェクトのオブジェクトデータを提供することと、任意で、少なくとも1つのさらなるコーティング層のさらなるカラーデータを提供することと、生成されたカラーデータ、提供された仮想オブジェクトデータ、及び任意で提供されたさらなるカラーデータを、予め定義された照射条件を使用してレンダリングすることと、レンダリング結果で以前に表示された色を更新することとを含み得る。仮想オブジェクト、さらなるカラーデータ、予め定義された照射条件、及びレンダリングプロセスは、先に開示したものと同じであってよい。ステップ(i)で表示された色を自動的に更新することで、ユーザによって行われた配合の修正を可視化することができ、デザインプロセスのインタラクティブなガイダンスを提供することができる。
【0063】
任意のステップ(vii)では、前述のステップ(i)から(vi)、又はステップ(ii)から(vi)、又はステップ(v)から(vi)を繰り返す。これにより、所望の色が得られるまで(ステップ(ii)から(vi)を繰り返すことによって)コーティング材料の配合を修正すること、デザインプロセスの基礎として(ステップ(i)から(vi)を繰り返すことによって)新しい開始色を選択すること、又はステップ(v)でカラーデータが決定されなかった修正されたデジタル表現のためのカラーデータを(ステップ(v)及び(vi)を繰り返すことによって)生成することが可能になる。ステップ(i)から(vi)、(ii)から(vi)、又は(v)及び(vi)が繰り返される場合、生成されたカラーデータをディスプレイ装置のスクリーンに表示するステップは、ステップ(i)から(vi)の繰り返しに応答して、又はステップ(ii)から(vi)の繰り返しに応答して、又はステップ(v)及び(vi)の繰り返しに応答して、ステップ(vi)でディスプレイ装置のスクリーンに表示される色を自動的に更新することを含んでよい。ステップ(i)又は(v)で表示される色を自動的に更新することで、ユーザによって行われた配合の修正を可視化することができ、デザインプロセスのインタラクティブなガイダンスを提供することができる。
【0064】
一態様では、ステップ(vi)は、生成されたカラーデータ及び/又は表示された色をコンピュータ可読媒体に保存することをさらに含む。「表示された色」は、先に説明したようなレンダリングプロセスの結果を指し得、レンダリングプロセスの結果のデータを保存することを含み得る。生成されたカラーデータ及び/又は表示された色を保存することは、保存されたデータが再び必要とされる場合にすぐに取得することができ、計算によって再び生成する必要がないため、デザインプロセスの速度を向上させることができる。データは、修正されたデジタル表現に関連付けられ、本明細書で特許請求されるデザイン方法を実行するユーザがアクセス可能なデータベースに保存され得る。これにより、本発明の方法の使用中に、生成されたカラーデータを含むデータベースを構築することができ、カラーデータを生成する必要がなく、データベースから取得できるため、ステップ(v)の速度を向上させることができる。
【0065】
一態様では、ステップ(vi)は、表示された色を既存のカラーライブラリ又は新たに生成されたカラーライブラリに追加して、修正されたカラーライブラリを生成することをさらに含む。新しく生成されたカラーライブラリは、前記ライブラリに第1の色が追加される前にユーザによって生成されてよく、したがって、前記ライブラリに表示色を追加する前の色を含まない。修正されたカラーライブラリは、カラーコーティング層の色をデザインする際に修正されたカラーライブラリを将来使用するために、保存されたユーザプロファイルと関連付けられることができる。これにより、ユーザは、デザインされた色を保存及び取得し、後の時点でデザインされた色を修正することができる。ユーザは、修正されたカラーライブラリから少なくとも1つの追加された色を削除することもできる。一例では、ユーザは、グループ化基準に従って、既存のカラーライブラリ又は修正されたカラーライブラリに存在する色をソートして、ソートされたカラーライブラリを作成することもできる。ソートされたカラーライブラリは、ソートされたカラーライブラリを将来提供するために、保存されたユーザプロファイルと関連付けることができる。ソートされたカラーライブラリは、お気に入りリストを表すことができる。グループ化基準は、ユーザによって任意に選択されることができ、又はユーザ選択のためにスクリーンに表示される事前定義された基準であってよく、例えば、新しくデザインされた色、最近選択された色などであってよい。
【0066】
ある態様では、本方法はさらに以下のステップ、
(viii)コンピュータプロセッサにより、カラーコーティング層の修正されたデジタル表現が、少なくとも1つの事前定義された許容値内にあるかどうかを決定するステップと;
(ix)任意で、修正されたデジタル表現が少なくとも1つの事前定義された許容値内であるとの決定に従って、通信インターフェースを介して修正されたデジタル表現をコーティング材料製造サイトに提供し、任意で、提供された修正されたデジタル表現に基づいてコーティング材料を製造するステップと;
(x)任意で、修正されたデジタル表現が少なくとも1つの事前定義された許容値外であるという決定に従って、ディスプレイ装置のスクリーン上に少なくとも1つの勧告を表示するステップと;
(xi)任意で、修正されたデジタル表現が少なくとも1つの事前定義された許容値外であるという決定に従って、ステップ(i)から(vi)、又はステップ(ii)から(vi)、又はステップ(i)から(xi)又はステップ(ii)から(xi)を繰り返すステップと、
を含む。
【0067】
さらなるステップ(viii)により、ユーザによってデザインされた色が、ある事前定義された許容値を満たすことを保証することができる。このような許容値は、成分の最大量又は最小量、成分の少なくとも一部の許容可能な組み合わせ、及びそれらの組み合わせから選択することができる。成分は、顔料、バインダー、溶媒、又はカラーコーティング層を調製するために使用されるコーティング材料中に存在するさらなる成分であってよい。特に、特定の顔料タイプ及び/又はバインダー及び/又は顔料タイプ及び/又はバインダーの許容される組み合わせの最大量又は最小量は、事前定義された許容値として選択されることができる。事前定義された許容値は、データベースなどの記憶装置に保存されてよく、通信インターフェースを介してステップ(viii)を実行するコンピュータプロセッサに提供されてよい。コーティング層の修正されたデジタル表現が少なくとも1つの事前定義された許容値内にあるかどうかを決定するステップは、コンピュータプロセッサ、特にディスプレイ装置のコンピュータプロセッサを用いて、修正されたデジタル表現に含まれるコーティング材料の修正された配合のデータを少なくとも1つの事前定義された許容値と比較することを含んでよい。比較は、厳密なモデルを用いて行うことができる。厳密なモデルは、それぞれの問題を支配する物理化学法則に従って選択することができる。
【0068】
任意のステップ(ix)では、修正されたデジタル表現は、修正されたデジタル表現が少なくとも1つの、特にすべての、予め事前定義された許容値内にある場合に、コーティング材料製造サイトに提供される。修正されたデジタル表現は、好ましくは、インタラクション要素を介して受信されたユーザ入力を変換することによって得られた修正された配合を含む。一実施例では、コーティング層の修正されたデジタル表現をコーティング材料製造サイトに提供するステップは、通信インターフェースを介して、修正されたデジタル表現に関連する配合データをコーティング材料製造サイトに配置された処理ユニットに提供することを含む。別の例では、コーティング層の修正されたデジタル表現をコーティング製造サイトに提供するステップは、修正されたデジタル表現に関連する配合データを、通信インターフェースを介して、データベース又はクラウドなどのコンピュータ可読媒体に提供することを含む。このコンピュータ可読媒体は、次いで、提供された修正表現に基づいてコーティング材料を製造する前に、コーティング製造サイトに配置された処理ユニットによってアクセスされ得る。一実施例では、少なくとも1つの予め事前定義された許容値、特にすべての事前定義された許容値が、コーティング材料の修正された表現によって満たされる場合、修正されたデジタル表現は、ユーザの介入なしで、コーティング製造者に自動的に提供される。ディスプレイ装置のスクリーンにメッセージが表示されるか、又は電子メールがユーザに送信され、コーティング材料製造サイトへのデータ転送の状況がユーザに知らされる。別の例では、ユーザは、ディスプレイ装置のスクリーン上のそれぞれのボタンをクリックすることによって、修正されたデジタル表現をコーティング材料製造サイトに積極的に提供しなければならない場合がある。
【0069】
ステップ(ix)は、提供された修正されたデジタル表現に基づいてコーティング材料を製造することをさらに含むことができる。この目的のために、提供された修正されたデジタル表現は、特に、コーティング材料製造サイトに配置された処理装置によって、製造プロセスに必要な予め定義された製造要件又はデータ形式を満たすように、適合又は変換され得る。製造されたコーティング材料は、一般的に知られている塗布技術を用いて、金属板又はドーム形状のレリーフなどの基材に塗布され、熱硬化される。得られた硬化したカラーコーティング層は、任意で硬化したクリアコート層でコーティングされてよく、その後、ユーザに提供され、ユーザによってステップ(i)から(vi)でデザインされた色と比較され得る。このステップにより、ステップ(i)から(vi)でユーザがデザインした色が、提供された修正されたデジタル表現に基づいてコーティング製造者によって製造され得ることが保証される。カラーコーティング層がユーザの期待と一致しない場合、ユーザはステップ(i)から(ix)を繰り返すか、又はコーティング製造者がコーティング材料の配合を適合させて、よりよく一致するカラーコーティング層を提供することができる。
【0070】
ステップ(viii)で実行された決定により、修正されたデジタル表現が少なくとも1つの事前定義された許容値を満たさないことが判明した場合、任意のステップ(x)で、少なくとも1つの勧告がディスプレイのスクリーン上にユーザに表示される。勧告は、データベースなどのコンピュータ可読媒体に保存されてよい。一例として、コンピュータプロセッサは、勧告を含むデータベースにアクセスし、決定結果に基づいてそれぞれの勧告を取得することができる。前記取得された勧告は、次いでディスプレイ装置のスクリーン上にユーザに表示される。勧告の例としては、「配合要件が満たされていません。顔料の種類/量を修正してください。」であり得る。
【0071】
ステップ(viii)で実行された決定により、修正されたデジタル表現が少なくとも1つの事前定義された許容値を満たさないことが決定した場合、ステップ(i)から(vi)又はステップ(ii)から(vi)を繰り返すことができる。事前定義された許容値を満たすために必要な修正に関するユーザガイダンスを提供するために、勧告を表示した後にこのステップを実行することが好ましい場合がある。
【0072】
本発明のシステムの実施形態:
前述のシステムは、少なくとも1つのデータベースをさらに備えることができる。このようなデータベースは、カラーコーティング層のデジタル表現又はコーティング材料の配合に関連するカラーデータ、又はカラーコーティング層の修正されたデジタル表現又は仮想オブジェクトのオブジェクトデータ、特に前述の少なくとも1つの仮想2D又は3Dオブジェクトからカラーデータを計算するために、過去のコーティング層を調製するために使用された過去のコーティング層のカラーデータ及びカラーコーティング材料の過去の配合でパラメータ化されたデータ駆動モデルを含んでいてよい。前述のデータベースは、任意の組み合わせで使用されることができる。
【0073】
一態様では、システムは、カラーコーティング層のカラーデータを測定するための装置をさらに含む。カラーデータを測定するための適切な装置は、当該技術分野においてよく知られている。
【0074】
さらなる実施形態又は態様は、以下の番号付きの項に記載されている:
【0075】
1. 少なくとも1つのカラーコーティング層でコーティングされるオブジェクトの外観をデザインするための方法であって、前記方法は以下のステップ:
(i)ディスプレイ装置のスクリーン上に表示するためにカラーコーティング層のデジタル表現を、通信インターフェースを介してコンピュータプロセッサに提供するステップと;
(ii)インタラクション要素を介してコンピュータプロセッサによってユーザ入力を検出するステップと;
(iii)コンピュータプロセッサにより、検出されたユーザ入力を、カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に変換するステップと;
(iv)任意でステップ(i)から(iii)を繰り返すステップと;
(v)コンピュータプロセッサにより、カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に基づいて、コーティング層のカラーデータを生成するステップと;
(vi)プロセッサから受け取った生成されたカラーデータをディスプレイ装置のスクリーンに表示するステップと;
(vii)任意に、ステップ(i)から(vi)、又はステップ(ii)から(vi)、又はステップ(v)と(vi)を繰り返すステップと、
を含む、方法。
【0076】
2. 前記少なくとも1つのカラーコーティング層が、前記オブジェクトの表面の少なくとも一部に存在する、条項1に記載の方法。
【0077】
3. 前記少なくとも1つのカラーコーティング層が、ベースコート層又は着色クリアコート層である、条項1又は2に記載の方法。
【0078】
4. 前記オブジェクトが自動車又はその部品である、先行する条項のいずれか1項に記載の方法。
【0079】
5. 前記ディスプレイ装置は、コンピュータプロセッサとスクリーンとを収容するハウジングを備える、先行する条項のいずれか1項に記載の方法。
【0080】
6. ステップ(i)、(ii)、(iii)及び(v)又はステップ(iii)及び(v)又はステップ(v)を実行するディスプレイ装置及びコンピュータプロセッサが、別個のコンポーネントとして構成される、条項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【0081】
7. ステップ(ii)から(vi)が同時に実行される、先行する条項のいずれか1項に記載の方法。
【0082】
8. 前記カラーコーティング層のデジタル表現が、前記カラーコーティング層を調製するために使用されるコーティング材料の配合に関するデータ、及び任意で前記カラーコーティング層のカラーデータを含む、先行する条項のいずれか1項に記載の方法。
【0083】
9. 前記カラーコーティング層を調製するために使用されるコーティング材料の配合に関するデータが、前記コーティング材料中に存在する成分の少なくとも一部の種類及び量に関するデータを含む、条項8に記載の方法。
【0084】
10. 前記カラーコーティング層のデジタル表現を提供することは、コーティング層識別データを提供することと、提供されたコーティング層識別データに基づいて前記コーティング層のデジタル表現を取得することと、前記取得されたデジタル表現を提供することとを含む、先行する条項のいずれか1項に記載の方法。
【0085】
11. コーティング層識別データを提供することが、前記コーティング層のカラーデータを提供すること、及び/又は前記カラーコーティング層を示すデータを提供することを含む、条項10に記載の方法。
【0086】
12. 前記カラーコーティング層のデジタル表現を提供することは、前記ディスプレイ装置の前記スクリーン上に既存のカラーライブラリを表示することと、前記表示された既存のライブラリから色を選択することと、前記選択された色に基づいてカラーコーティング層のデジタル表現を取得することと、前記取得されたカラーコーティング層のデジタル表現を提供することとを含む、条項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【0087】
13. 前記既存のカラーライブラリは、少なくとも2つの異なる色を含み、各色は、コーティング材料から調製されるカラーコーティング層の色に対応し、各色は、比色測定されたカラーデータによって、又は計算されたカラーデータによって、特に計算されたカラーデータによって定義される、条項12に記載の方法。
【0088】
14. 計算されたカラーデータは、以下のステップ:
- カメラベースの測定装置を使用して、オブジェクトの初期BTFを決定するステップと、
- 分光光度計を用いて、予め与えられた数、すなわち限られた数の異なる測定ジオメトリについて、オブジェクトのスペクトル反射率データを取得するステップと、
- 式(1)の初期BTFを、
【数14】
【0089】

【数15】
にセグメント化し、さらに項(F1)を照射及び観察方向









【数16】
に依存するカラーテーブルに対応する第1サブ項と、強度関数
【数17】
に対応する第2サブ項に分割し、第1の最適化ステップで、第2サブ項のパラメータを一定に保ちながら、前記第1サブ項のパラメータを最適化することによって、及び3、第2の最適化ステップで、前記第1サブ項のパラメータを一定に保ちながら前記第2サブ項のパラメータを最適化することによって、前記キャプチャされたスペクトル反射率データと初期BTFの色差を最小化することによって、最適化されたBTFを得るために、初期BTFをキャプチャされたスペクトル反射率データに適合させるステップと、
によって得られる最適化されたBTF(双方向テクスチャ関数)を含む、条項13に記載の方法。
【0090】
15. 前記既存のカラーライブラリを表示することは、仮想オブジェクトのオブジェクトデータを提供することと、予め定義された照射条件を使用して前記既存のカラーライブラリに存在するカラーデータ及び提供されたオブジェクトデータをレンダリングすることとを含む、条項12から14のいずれか1項に記載の方法。
【0091】
16. 予め定義された照射条件が、直接光源又はハイダイナミックレンジ(HDR)環境マップ、特にハイダイナミックレンジ(HDR)環境マップから選択される、条項15に記載の方法。
【0092】
17. 前記コーティング層のデジタル表現を取得するステップが、提供されたデータ又は選択された色に基づいて、前記デジタル表現のデータベースを検索することとしてさらに定義される、条項10から16のいずれか1項に記載の方法。
【0093】
18. 前記ディスプレイ装置は、モバイルディスプレイ装置又は固定ディスプレイ装置であり、好ましくはモバイルディスプレイ装置である、先行する条項のいずれか1項に記載の方法。
【0094】
19. 前記ディスプレイ装置のスクリーンが液晶ディスプレイ(LCD)、特にタッチスクリーンパネルを有する液晶ディスプレイである、先行する条項のいずれか1項に記載の方法。
【0095】
20. ステップ(i)が、提供されたカラーコーティング層のデジタル表現に関連する色を前記ディスプレイ装置のスクリーン上に表示することをさらに含む、先行する条項のいずれか1項に記載の方法。
【0096】
21. 提供されたカラーコーティング層のデジタル表現に関連する色を前記ディスプレイ装置のスクリーン上に表示するステップが、前記提供されたカラーコーティング層のデジタル表現に関連するカラーデータを取得することと、取得されたカラーデータを表示することとをさらに含む、条項20に記載の方法。
【0097】
22. 前記取得されたカラーデータを表示するステップは、仮想オブジェクトのオブジェクトデータを提供するステップと、予め定義された照射条件を用いて前記取得されたカラーデータ及び前記提供されたオブジェクトデータをレンダリングするステップとをさらに含む、条項21に記載の方法。
【0098】
23. 仮想オブジェクトは、着色された領域などの仮想2Dオブジェクト、又はカラーチップ、ドーム形状、自動車ボディもしくはその一部などの仮想3Dオブジェクトから選択される条項22に記載の方法。
【0099】
24. 前記仮想オブジェクトが着色された仮想オブジェクトである、第23項に記載の方法。
【0100】
25. 予め定義された照射条件が、直接光源又はハイダイナミックレンジ(HDR)環境マップ、特にハイダイナミックレンジ(HDR)環境マップから選択される、条項22から24のいずれか1項に記載の方法。
【0101】
26. インタラクション要素を介してユーザ入力を検出するステップが、前記カラーコーティング層を調製するために使用されるコーティング材料中に存在する成分の少なくとも一部を前記ディスプレイ装置のスクリーン上に表示することと、前記インタラクション要素を介して表示された少なくとも1つの成分を操作することと、前記操作を検出することとを含む、先行する条項のいずれか1項に記載の方法。
【0102】
27. 前記ディスプレイ装置のスクリーン上に前記カラーコーティング層を調製するために使用されるコーティング配合中に存在する成分の少なくとも一部を表示するステップが、複数のレギュレータを含む少なくとも1つの調整ツールを表示することを含み、各レギュレータが、前記コーティング材料中に存在する成分の種類及び/又は量に対応する、第26項に記載の方法。
【0103】
28. 前記インタラクション要素を介して少なくとも1つの表示された成分を操作するステップが、前記インタラクション要素を介して少なくとも1つの表示された成分の種類及び/又は量を調整することを含む、条項26又は27に記載の方法。
【0104】
29. 前記インタラクション要素を介して少なくとも1つの表示された成分の種類及び/又は量を調整することは、前記インタラクション要素を介して少なくとも1つの表示された調整ツールの少なくとも1つのレギュレータを動かすことを含む、条項28に記載の方法。
【0105】
30. 前記少なくとも1つの調整ツールが、前記提供されたコーティング層のデジタル表現から生成される、条項27から29のいずれか1項に記載の方法。
【0106】
31. 前記調整ツールが、複数の視覚的に区別される区画を有するボックスであり、各区画が、コーティング材料中に存在する成分の種類を示し、各区画のサイズが、それぞれの成分の量を示し、前記複数のレギュレータ子が、区画を分離する視覚的要素に対応する、条項27から30のいずれか1項に記載の方法。
【0107】
32. 前記成分の種類は、前記成分の種類を示すグラフィック表現を用いて区画内に表示され、前記グラフィック表現は、前記提供されたカラーコーティング層のデジタル表現から得られる、条項31に記載の方法。
【0108】
33. 前記インタラクション要素が物理的インタラクション要素である、先行する条項のいずれか1項に記載の方法。
【0109】
34. 物理的インタラクション要素が入力装置又は入力/出力装置、特にマウス、キーボード、トラックボール、タッチスクリーン又はそれらの組み合わせである、条項33に記載の方法。
【0110】
35. ステップ(ii)が、検出されたユーザ入力を通信インターフェースを介して少なくとも1つのコンピュータプロセッサに提供することをさらに含む、先行する条項のいずれか1項に記載の方法。
【0111】
36. 前記検出されたユーザ入力をカラーコーティング層の修正されたデジタル表現に変換することは、検出されたユーザ入力を、前記カラーコーティング層を調製するために使用される前記カラーコーティング材料の修正された配合データに変換することを含む、先行する条項のいずれか1項に記載の方法。
【0112】
37. 前記カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に基づいてカラーデータを生成するステップが、前記修正されたデジタル表現に基づいて、特に前記カラーコーティング材料の前記修正された配合データに基づいて、カラーデータを得ることを含む、先行する条項のいずれか1項に記載の方法。
【0113】
38. カラーデータを取得するステップが、提供されたカラーコーティング材料の修正された配合のデータに基づいて、データベース又はルックアップテーブルからカラーデータを取得することを含む、条項37に記載の方法。
【0114】
39. データベース又はルックアップテーブルからカラーデータを取得するステップが、取得されたカラーデータを予め定義された許容値と比較することを含む、条項37又は38に記載の方法。
【0115】
40. 前記カラーコーティング層の前記修正されたデジタル表現に基づいてカラーデータを生成するステップが、過去のコーティング層のカラーデータ及び過去のコーティング層を調製するために使用されたカラーコーティング材料の過去の配合に基づいてパラメータ化されたデータ駆動モデルを提供することと、提供されたデータ駆動モデル及び前記カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に基づいて、特に前記カラーコーティング材料の修正された配合データからカラーデータを計算することとを含む、条項1から36のいずれか1項に記載の方法。
【0116】
41. 前記プロセッサから受信したカラーデータを前記ディスプレイ装置の前記スクリーン上に表示するステップが、仮想オブジェクトのオブジェクトデータを提供すること、任意で少なくとも1つのさらなるコーティング層のさらなるカラーデータを提供すること、及び予め定義された照射条件を使用して、生成されたカラーデータ、提供されたオブジェクトデータ、及び任意で提供されたさらなるカラーデータをレンダリングすることを含む、先行する条項のいずれか1項に記載の方法。
【0117】
42. 前記仮想オブジェクトは、着色された領域などの仮想2Dオブジェクト、又はカラーチップ、ドーム形状、自動車ボディもしくはその一部などの仮想3Dオブジェクトである、条項41に記載の方法。
【0118】
43. 予め定義された照射条件が、直接光源又はハイダイナミックレンジ(HDR)環境マップ、特にハイダイナミックレンジ(HDR)環境マップから選択される、条項41又は42に記載の方法。
【0119】
44. 前記生成されたカラーデータを前記ディスプレイ装置の前記スクリーンに表示するステップは、ステップ(i)から(v)を繰り返すことに応答して、又はステップ(ii)から(vi)を繰り返すことに応答して、ステップ(vi)で前記ディスプレイ装置のスクリーンに表示される色を自動的に更新することを含む、先行する条項のいずれか1項に記載の方法。
【0120】
45. 前記プロセッサから受信したカラーデータを前記ディスプレイ装置のスクリーンに表示するステップは、ステップ(ii)から(vi)を実行することに応答して、ステップ(i)において前記ディスプレイ装置のスクリーンに表示される色を自動的に更新することを含む、条項20から43のいずれか1項に記載の方法。
【0121】
46. 前記ディスプレイ装置のスクリーン上に表示された色を自動的に更新するステップは、仮想オブジェクトのオブジェクトデータを提供することと、任意で、少なくとも1つのさらなるコーティング層のさらなるカラーデータを提供することと、生成されたカラーデータ、提供された仮想オブジェクトデータ、及び任意で提供されたさらなるカラーデータを、予め定義された照射条件を使用してレンダリングすることと、ステップ(i)において表示される色をレンダリング結果で更新することとを含む、第44項又は第45項に記載の方法。
【0122】
47. ステップ(vi)が、前記生成されたカラーデータ及び/又は前記表示された色をコンピュータ可読媒体に保存することをさらに含む、先行する条項のいずれか1項に記載の方法。
【0123】
48. ステップ(vi)が、前記表示された色を既存のカラーライブラリに追加して、修正されたカラーライブラリを生成することをさらに含む、先行する条項のいずれか1項に記載の方法。
【0124】
49. 前記修正されたカラーライブラリは、カラーコーティング層の色をデザインする際に修正されたカラーライブラリを将来使用するために、保存されたユーザプロファイルと関連付けられる、条項48に記載の方法。
【0125】
50. 修正されたカラーライブラリから少なくとも1つの追加された色を削除することをさらに含む、条項48又は49に記載の方法。
【0126】
51. ソートされたカラーライブラリを作成するために、グループ化基準に従って、既存のカラーライブラリ又は修正されたカラーライブラリに存在する色をソートすることと、ソートされたカラーライブラリの将来の提供のために、ソートされたカラーライブラリを保存されたユーザプロファイルと任意で関連付けることとをさらに含む、条項48から50のいずれか1項に記載の方法。
【0127】
52. 以下のステップ
(viii)コンピュータプロセッサにより、カラーコーティング層の修正されたデジタル表現が、少なくとも1つの事前定義された許容値内にあるかどうかを決定するステップと;
(ix)任意で、修正されたデジタル表現が少なくとも1つの事前定義された許容値内であるとの決定に従って、通信インターフェースを介して修正されたデジタル表現をコーティング材料製造サイトに提供し、任意で、提供された修正されたデジタル表現に基づいてコーティング材料を製造するステップと;
(x)任意で、修正されたデジタル表現が少なくとも1つの事前定義された許容値外であるという決定に従って、ディスプレイ装置のスクリーン上に少なくとも1つの勧告を表示するステップと;
(xi)任意で、修正されたデジタル表現が少なくとも1つの事前定義された許容値外であるという決定に従って、ステップ(i)から(vi)、又はステップ(ii)から(vi)、又はステップ(i)から(xi)又はステップ(ii)から(xi)を繰り返すステップと、
をさらに含む、先行する条項のいずれか1項に記載の方法。
【0128】
53. 前記事前定義された許容値が、成分の最大量又は最小量、成分の少なくとも一部の許容可能な組み合わせ、及びそれらの組み合わせから選択される、条項52に記載の方法。
【0129】
54. 前記事前定義された許容値が記憶装置に保存され、通信インターフェースを介してコンピュータプロセッサに提供される、条項52又は53に記載の方法。
【0130】
55. 前記コーティング層の修正されたデジタル表現が少なくとも1つの事前定義された許容値内にあるかどうかを決定するステップが、前記コーティング材料の修正された配合のデータを少なくとも1つの事前定義された許容値と比較することを含む、条項52から54のいずれか1項に記載の方法。
【0131】
56. 前記コーティング層の修正されたデジタル表現をコーティング製造サイトに提供するステップが、前記通信インターフェースを介して、前記修正されたデジタル表現に関連する配合データを前記コーティング製造サイトに配置された処理ユニットに提供することを含む、条項52から55のいずれか1項に記載の方法。
【0132】
57. カラーコーティング材料から製造されるカラーコーティング層の色をデザインするためのシステムであって、前記システムは:
- スクリーン上に表示するためにカラーコーティング層のデジタル表現をプロセッサに提供するための通信インターフェースと;
- スクリーンを備えるディスプレイ装置と;
- ユーザ入力を検出するためのインタラクション要素と;
- 前記通信インターフェース、前記インタラクション要素、及び前記ディスプレイ装置と通信するプロセッサであって;
〇前記通信インターフェースを介して、カラーコーティング層のデジタル表現を受信し;
〇インタラクション要素を介してユーザ入力を検出し;
〇検出されたユーザ入力を、カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に変換し;
〇カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に基づいて、コーティング層のカラーデータを生成する、
ようにプログラムされた、プロセッサと、
を備え、
ディスプレイ装置が、提供されたデジタル表現と、カラーコーティング層の生成されたカラーデータをプロセッサから受け取り、デジタル表現とコーティング層の色とを表示する、システム。
【0133】
58. カラーコーティング材料から製造されるカラーコーティング層の色をデザインするためのシステムであって、前記システムは:
- カラーコーティング層のデジタル表現をスクリーンに表示するための通信インターフェースと;
- スクリーンを備えるディスプレイ装置と;
- ユーザ入力を検出するためのインタラクション要素と;
- 前記通信インターフェース、前記インタラクション要素、及び前記ディスプレイ装置と通信する第1プロセッサであって、前記プロセッサは、
〇前記通信インターフェースを介して、カラーコーティング層のデジタル表現を受け取り;
〇前記インタラクション要素を介してユーザ入力を検出し;
〇任意で、検出されたユーザ入力を、カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に変換する、
ようにプログラムされている、第1プロセッサと;
- 第1プロセッサと通信する第2プロセッサであって、前記第2プロセッサは、
〇任意で、検出されたユーザ入力を、カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に変換し;
〇カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に基づいて、コーティング層のカラーデータを生成する、
ようにプログラムされている、第2プロセッサとを備え、
前記ディスプレイ装置は、前記第1プロセッサから提供されたデジタル表現と、第2プロセッサからカラーコーティング層の生成されたカラーデータを受け取り、デジタル表現とコーティング層の色とを表示する、システム。
【0134】
59. 非一過性のコンピュータ可読記憶媒体であって、コンピュータによって実行されたときに、コンピュータに条項1から56のいずれか1項に記載の方法のステップを実行させる指示を含む、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【0135】
60.
- 少なくとも1つの表面を有するオブジェクトと;
- 前記オブジェクトの表面の少なくとも一部に少なくとも1つのカラーコーティング層が存在し、前記少なくとも1つのカラーコーティング層の色が、条項1から56のいずれか1項に記載の方法に従ってデザインされた、システム。
【0136】
61. オブジェクトの表面の少なくとも一部に存在する少なくとも1つのカラーコーティング層の色をデザインするための条項1から56のいずれか1項に記載の方法又は第57項もしくは第58項に記載のシステムの使用。
【0137】
62 .少なくとも1つのカラーコーティング層でコーティングされるオブジェクトであって、前記少なくとも1つのコーティング層の色が、条項1から56のいずれか1項に記載の方法に従ってデザインされた、オブジェクト。
【図面の簡単な説明】
【0138】
本発明のこれらの特徴及び他の特徴は、本発明の例示的な実施形態に関する以下の説明においてより十分に明らかにされる。任意の特定の要素又は動作の議論を容易に識別するために、参照番号の最上位桁は、その要素が最初に導入される図番号を指す。説明は、添付図面を参照しながら提示される:
図1】少なくとも1つのカラーコーティング層でコーティングされる物体オブジェクトの外観をデザインするための方法のブロック図である。
図2】本発明の方法の好ましい実施形態のブロック図である。
図3図3aは、本発明の第1の実施形態によるシステムを示す図である。図3bは本発明の第2の実施形態によるシステムを示す図である。
図4】色がドームレリーフの形をした仮想3Dオブジェクト上に表示される、既存のカラーライブラリを示すグラフィカルユーザインターフェースを有するディスプレイ装置の平面図である。
図5】調整ツールと、既存のカラーライブラリから選択された色で着色された自動車ボディの一部の形態の仮想3Dオブジェクトを示すグラフィカルユーザインターフェースを有するディスプレイ装置の平面図である。
図6】表示された調整ツールのレギュレータの調整と、レギュレータの調整によって得られた色で着色された自動車ボディの一部の形態の仮想3Dオブジェクトを示すグラフィカルユーザインターフェースを有するディスプレイ装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0139】
図面の詳細な説明
以下に記載する詳細な説明は、本主題の様々な態様の説明を意図したものであり、本主題が実施され得る唯一の構成を表すことを意図したものではない。添付の図面は、本明細書に組み込まれ、詳細な説明の一部を構成する。詳細な説明は、本主題の完全な理解を提供するための具体的な詳細を含む。しかしながら、当業者にはこれらの具体的な詳細がなくても本主題を実施できることは明らかであろう。
【0140】
図1は、本発明による少なくとも1つのカラーコーティング層でコーティングされるオブジェクトの外観をデザインするための方法の非限定的な実施形態を示す。この例では、カラーコーティング層はベースコート層であり、オブジェクトは自動車又はその一部、例えばトリム部品、バンパーなどである。この例では、ディスプレイ装置は、タブレット又はスマートフォンなどの、タッチスクリーンを備えるLCDスクリーンを有する携帯型ディスプレイ装置である。別の例では、ディスプレイ装置は、通信インターフェースを介してコンピュータと接続された固定型コンピュータ又はテレビスクリーンなどの固定型装置である。この例では、ディスプレイ装置は、プロセッサと同様にスクリーンを収容するハウジングを有する。別の例では、プロセッサはディスプレイ装置とは別に、例えば有線又は無線の通信インターフェースを介してディスプレイ装置に接続された外部装置上に存在する。
【0141】
ブロック102では、ルーチン100は、ディスプレイ装置のスクリーン上に表示するためにカラーコーティング層のデジタル表現を、通信インターフェースを介してコンピュータプロセッサに提供する。カラーコーティング層のデジタル表現は、カラーコーティング層を調製するために使用されるコーティング材料中に存在する成分の少なくとも一部の種類及び量に関するデータを含む。この例では、カラーコーティング層のデジタル表現は、ディスプレイ装置のスクリーン上に既存のカラーライブラリをユーザに表示し、表示された既存のライブラリからユーザが色を選択し、選択された色に基づいてカラーコーティング層のデジタル表現を取得し、取得されたカラーコーティング層のデジタル表現をコンピュータプロセッサに提供することによって、プロセッサに提供される。この例の既存のライブラリは195の異なる色を含み、各色はカラーコーティング材料から調製されるカラーコーティング層の色に対応し、各色はカラーデータによって定義される。この例では、カラーデータは前述のように最適化されたBTFを含む計算カラーデータである。別の例では、カラーデータは、分光光度計などの適切な測定装置を用いてカラーコーティング層の色を測定することによって得られる比色測定カラーデータである。この例では、仮想オブジェクトの予め定義されたオブジェクトデータを提供し、予め定義された照射条件(画像ベースのライトニング)を使用して、既存のカラーライブラリに存在するカラーデータと提供されたオブジェクトデータをレンダリングすることによって、既存のカラーライブラリがディスプレイ装置のスクリーン上に表示される。仮想オブジェクトの事前定義されたオブジェクトデータは、通信インターフェースを介してデータベースからプロセッサに提供される。この例では、仮想オブジェクトはドーム形状を有する3D仮想オブジェクトである。別の例では、仮想オブジェクトは、着色された領域などの2D仮想オブジェクトである。この例では、ユーザは、タッチスクリーンのジェスチャによって、表示されている既存のカラーライブラリをスクロールして、表示されているすべての色を見ることができる。次に、ユーザは、タッチスクリーンのジェスチャによって、例えば、所望の色のドーム形状をクリックすることによって、表示された事前定義されたカラーライブラリから所望の色を選択する。タッチスクリーンのジェスチャはディスプレイ装置によって検出され、次いで、デジタル表現は検出されたタッチスクリーンのジェスチャに基づいてデータベースから取得され、通信インターフェースを介してプロセッサに提供される。
【0142】
ブロック104では、ルーチン100は、インタラクション要素を介したユーザ入力をコンピュータプロセッサで検出する。この例では、インタラクション要素はタッチスクリーンパネルであり、ユーザ入力はタッチスクリーンのジェスチャである。別の例では、インタラクション要素はマウスであり得、ユーザ入力はマウスクリック又はマウスの動きであり得る。この例では、ユーザ入力は、ブロック102で選択された色とカラーコーティング層を調製するために使用されるコーティング材料に存在する成分の少なくとも一部を有する仮想オブジェクトをディスプレイ装置のスクリーン上に表示し、表示された成分の少なくとも1つをタッチスクリーンのジェスチャを介してユーザが操作し、前記操作を検出することによって検出される。ブロック104において選択された色で着色されている表示された仮想オブジェクトは、仮想オブジェクトデータ、選択された色に関連付けられたカラーデータを、前述のように事前定義された照射条件を用いてレンダリングすることによって得られる。この例では、自動車の一部の事前定義された仮想オブジェクトデータが使用され、表示された仮想オブジェクトを回転又はズームすることができる。別の例では、ユーザが仮想オブジェクトを選択し、選択されたオブジェクトに関連するオブジェクトデータがデータベースから取得され、レンダリング処理に使用される。ユーザは、表示されたカラーを調製するために使用されるコーティング材料の配合を修正した際に、表示されたカラーの変化を即座に見ることができるため、選択されたカラーを表示すると、カラーデザイン中のユーザガイダンスが提供される。この例では、カラーコーティング層を調製するために使用されるコーティング配合中に存在する成分は、複数のレギュレータを含む少なくとも1つの調整ツールを使用して表示され、各レギュレータはコーティング材料中に存在する成分の種類と量に対応する。好ましくは、レギュレータは、コーティング層の色に影響を及ぼすことが知られている成分、例えば、顔料、バインダー、充填剤、マット剤、コーティング層の色に影響を及ぼす他の成分、又はそれらの組み合わせに対応し、不必要なレギュレータ、すなわちコーティング層の色に影響を及ぼさない成分のレギュレータの表示を避ける。調整ツールは、ブロック102で提供されたカラーコーティング層のデジタル表現から、前記デジタル表現に含まれるコーティング材料の配合に関するデータを調整ツールに変換することによって、プロセッサによって生成される。したがって、調整ツールは、それぞれのコーティング材料の配合内に存在する成分のレギュレータのみに含まれ、あらゆる種類の可能な成分のレギュレータを含む事前定義された調整ツールがコーティング配合のデータで満たされる場合に起こり得る、ユーザによる不適合な成分の選択を回避する。さらに、不必要なレギュレータ又はフィールドがユーザに表示されないため、より明確な調整ツールを表示することができる。この例では、調整ツールは、視覚的に区別される複数の区画を有するボックスであり、各区画は、コーティング材料に存在する成分の種類を示し、各区画のサイズは、それぞれの成分の量を示し、複数のレギュレータは、区画を分離する線に対応する。成分の種類は、それぞれの成分の種類を示すグラフィカル表現を用いて各区画に表示される。グラフィカル表現は、提供されたデジタル表現に含まれる配合データを、着色顔料のカラーチップ、メタリック効果顔料の金属片、ガラスフレークのガラス片、バインダーの固体ブロックなど、成分の種類ごとに事前定義された画像と関連付け、前記画像をそれぞれの区画に表示することによって、提供されたカラーコーティング層のデジタル表現から得られる。異なるサイズの区画を有し、特定の成分のグラフィック表現を含むボックスを使用することにより、化学構造及び硬化化学を深く理解することなく、コーティング材料の関連成分の簡単な概要を提供し、各成分の種類/量がコーティング層の得られる色に及ぼす影響を容易に決定することができる。別の例では、調整ツールは、各成分の種類と量を含むリストの形式を有し、ユーザは、別の成分を選択することによって、又はリストされた量を変更することによって、成分の種類/量を変更することができる。リストは、提供されたデジタル表現に含まれる配合データから生成される。
【0143】
タッチスクリーンのジェスチャは、タッチスクリーンパネルのパネルプロセッサで検出され、通信インターフェースを介してパネルプロセッサからコンピュータプロセッサに提供される。
【0144】
ブロック106では、ルーチン100は、コンピュータプロセッサを用いて、検出されたタッチスクリーンのジェスチャをカラーコーティング層の修正されたデジタル表現に変換する。この例では、検出されたタッチスクリーンのジェスチャは、カラーコーティング層を調製するために使用されるカラーコーティング材料の修正された配合データに変換される。したがって、修正されたデジタル表現は、修正されたコーティング材料の配合データを含む。修正の程度はブロック104で検出されたタッチスクリーンのジェスチャに対応する。
【0145】
ブロック108では、ルーチン100は、ブロック106で得られた修正されたデジタル表現に基づいて、コーティング層のカラーデータをコンピュータプロセッサで生成する。この例では、カラーデータを生成することは、過去のコーティング層を調製するために使用された過去のコーティング層のカラーデータ及びカラーコーティング材料の過去の配合でパラメータ化されたデータ駆動モデルを提供すること、及び提供されたデータ駆動モデル及びカラーコーティング材料の修正された配合データに基づいてカラーデータを計算することを含む。データ駆動モデルは、データベースなどのコンピュータ可読媒体に保存され、通信インターフェースを介してプロセッサに提供される。適切なデータ駆動モデルの例は、US20020184167A1に開示されている。別の例では、カラーデータは、カラーコーティング材料の修正された配合データに基づいてデータベース又はルックアップテーブルからカラーデータを取得することによって生成される。この例では、最も一致するカラーデータを提供するために、取得されたカラーデータを事前定義された許容値と比較することが含まれ得る。
【0146】
ブロック110では、ルーチン100は、生成されたカラーデータをディスプレイ装置のスクリーン上に表示する。この例では、生成されたカラーデータをディスプレイ装置のスクリーン上に表示することは、ブロック104から110を実行することに応答して、ブロック102で前述したように事前定義された照射条件を使用して生成されたカラーデータと仮想オブジェクトデータをレンダリングすること、及びブロック102において表示された色をブロック110のレンダリング結果で更新することを実行することによって、ブロック102において表示された仮想オブジェクトの色を自動的に更新することを含む。
【0147】
図2は、本発明による少なくとも1つのカラーコーティング層でコーティングされるオブジェクトの外観をデザインするための方法の好ましい非限定的な実施形態を示す。この例では、カラーコーティング層はベースコート層であり、オブジェクトは自動車又はその一部、例えばトリム部品、バンパーなどである。この例では、ディスプレイ装置は、タブレット又はスマートフォンなどのタッチスクリーンパネルを含むLCDスクリーンを有する携帯型ディスプレイ装置である。別の例では、ディスプレイ装置は、コンピュータと通信インターフェースを介して接続された固定型コンピュータ又はテレビスクリーンなどの固定型装置である。この例では、ディスプレイ装置は、プロセッサと同様にスクリーンを収容するハウジングを有する。別の例では、プロセッサはディスプレイ装置とは別に、例えば有線又は無線の通信インターフェースを介してディスプレイ装置に接続された外部装置上に存在する。
【0148】
ブロック202では、ルーチン200は、図1のブロック102に関連して説明したように、ディスプレイ装置のスクリーン上に表示するためにカラーコーティング層のデジタル表現を、通信インターフェースを介してコンピュータプロセッサに提供する。
【0149】
ブロック204では、ルーチン200は、図1のブロック104に関連して説明したように、インタラクション要素を介したユーザ入力をコンピュータプロセッサで検出する。
【0150】
ブロック206では、ルーチン200は、図1のブロック106に関連して説明したように、コンピュータプロセッサを用いて、検出されたタッチスクリーンのジェスチャを、カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に変換する。
【0151】
ブロック208では、ルーチン200は、図1のブロック108に関連して説明したように、ブロック206で得られた修正されたデジタル表現に基づいて、コーティング層のカラーデータをコンピュータプロセッサで生成する。
【0152】
ブロック210では、ルーチン200は、図1のブロック110に関連して説明したように、生成されたカラーデータをディスプレイ装置のスクリーン上に表示する。
【0153】
ブロック212では、ルーチン200は、コーティング層の生成された修正されたデジタル表現が、少なくとも1つの事前定義された許容値内、特にすべての事前定義された許容値内であるかをコンピュータプロセッサで決定する。この例では、事前定義された許容値は、顔料及びバインダーの最大量又は最小量、許容される顔料及びバインダーの組み合わせ、ならびにそれらの組み合わせから選択される。事前定義された許容値は、安定性基準、製造プロセス基準などに基づいてコーティング製造者が決定されることができる。事前定義された許容値は、データベースなどの記憶装置に保存され、決定前に通信インターフェースを介してコンピュータプロセッサに提供される。決定は、コンピュータプロセッサを使用して、修正されたデジタル表現に含まれるコーティング材料の修正された配合のデータを、少なくとも1つの事前定義された許容値と比較することによって実行される。決定の結果は、ディスプレイ装置のスクリーン上にユーザに表示されることができる。この例では、比較はディスプレイ装置のコンピュータプロセッサによって実行される。別の例では、比較は、ディスプレイ装置の外部に存在するさらなるコンピュータプロセッサによって実行される。この目的のために、修正されたデジタル表現は、決定前に通信インターフェースを介してさらなるプロセッサに提供され、決定の結果は、決定の完了後に前記通信インターフェースを介してディスプレイ装置のプロセッサに提供されてよい。
【0154】
ブロック214では、ルーチン200は、ブロック212において実行された決定の結果、修正されたデジタル表現が少なくとも1つの事前定義された許容値を満たす場合、特にすべての事前定義された許容値を満たす場合、通信インターフェースを介して修正されたデジタル表現をコーティング材料製造サイトに提供する。この例では、修正されたデジタル表現に関連する配合データが、通信インターフェースを介して、コーティング製造サイトに配置された処理ユニットに提供される。この目的のために、配合データは、通信インターフェースを介して、クラウドなどのコンピュータ可読媒体に提供され、さらなる通信インターフェースを介して、コーティング材料製造サイトに配置された処理ユニットによってアクセスされ得る。この例では、コーティング材料は、提供された修正されたデジタル表現に基づいて製造されるが、このステップは一般に任意である。この例では、コーティングされた基材は、製造されたコーティング材料と、任意でクリアコート材料から調製され、品質管理のためにブロック202から210を実行したユーザに提供されるが、このステップは一般に任意である。
【0155】
ブロック216では、ルーチン200は、ブロック212で実行された決定の結果、修正されたデジタル表現が少なくとも1つの事前定義された許容値を満たさない場合、少なくとも1つの勧告をディスプレイ装置のスクリーン上に表示する。勧告は、データベースに保存され、決定結果に基づいて、すなわち、どの許容値が満たされるか/満たされないかに基づいて、データベースと通信インターフェースを介して接続されたプロセッサによって取得される。一例では、表示される勧告は:「[化合物X]の量が多すぎます。量を減らすか、別の[化合物]を選択してください」である。括弧内の用語は、具体例では、事前定義された許容値から外れている化合物の名前に置き換えられている。その後、ユーザはブロック202又は204に戻り、少なくとも1つの事前定義された許容値を満たすコーティング材料に関連する所望の色を生成するために、ブロック210に表示された色を修正するデザインプロセスを開始することができる。
【0156】
図3aは、カラーコーティング材料から製造されるカラーコーティング層の色をデザインするためのシステム300の第1の実施形態を示す。この例では、システム300は、通信インターフェース328、330、332を介してデータベース316、318、320に接続されたディスプレイ装置302である。示されているように、コンピュータシステム300は、例えばメモリ314から取得された指示を実行し、コンピュータシステム300に関連する動作、すなわち、
〇通信インターフェースを介して、カラーコーティング層のデジタル表現を受信すること;
〇インタラクション要素を介してユーザ入力を検出すること;
〇検出されたユーザ入力を、カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に変換すること;
〇カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に基づいて、コーティング層のカラーデータを生成すること、
を実行するように構成されたプロセッサ312を含む。
【0157】
プロセッサ312は、シングルチッププロセッサであってよく、又は複数のコンポーネントで実装されてもよい。ほとんどの場合、プロセッサ312は、オペレーティングシステムとともに動作し、コンピュータコードを実行し、データを生成し使用する。この例では、コンピュータコードとデータは、プロセッサ312に動作可能に接続されたメモリ314内に存在する。メモリ314は一般に、コンピュータシステム300によって使用されるデータを保持する場所を提供する。一例として、メモリ314は、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ及び/又は同様のものを含むことができる。別の例では、コンピュータコード及びデータは、リムーバブル記憶媒体上に存在し、必要なときにコンピュータシステムにロード又はインストールされることができる。リムーバブル記憶媒体には、例えば、CD-ROM、PC-CARD、フロッピーディスク、磁気テープ、及びネットワークコンポーネントが含まれる。
【0158】
この例では、カラーコーティング層のデジタル表現は、通信インターフェース330を介してデータベース316からプロセッサ312によって受信される。別の例では、カラーコーティング層のデジタル表現は、メモリ314又は先に説明した取り外し可能な記憶媒体に保存される。
【0159】
ディスプレイ装置302は、提供されたコーティング層のデジタル表現と、プロセッサ312から受信されたカラーコーティング層の生成されたカラーデータを、特にグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を介してユーザに表示するためのスクリーン304を有する。この目的のために、ディスプレイ装置302は、通信インターフェースを介してプロセッサ312に動作可能に接続される。この例では、ディスプレイ装置302は、通信インターフェース322、324、感知回路308及び入力/出力(I/O)コントローラ310を介してプロセッサ312に接続される。別の例では、ディスプレイ装置302は、通信インターフェースを介してプロセッサ312に直接接続される。この例では、ディスプレイ装置302は、プロセッサ312及びメモリ314と一体化されて、デスクトップコンピュータ(オールインワンマシン)、ラップトップ、ハンドヘルド又はタブレットなどを形成する。別の例では、ディスプレイ装置302は、別個のコンポーネント(周辺装置、図示せず)であってよい。一例として、ディスプレイ装置302は、モノクロディスプレイ、カラーグラフィックスアダプタ(CGA)ディスプレイ、拡張グラフィックスアダプタ(EGA)ディスプレイ、可変グラフィックスアレイ(VGA)ディスプレイ、スーパーVGAディスプレイ、液晶ディスプレイ(例えば、アクティブマトリックス、パッシブマトリックスなど)、陰極線管(CRT)、プラズマディスプレイなどであってよい。
【0160】
システムは、通信インターフェースを介してプロセッサ312に動作可能に接続された、ユーザ入力を検出するためのインタラクション要素306をさらに含む。この例では、インタラクション要素306は、プロセッサがインタラクション要素306を介してユーザ入力を検出できるように、感知装置308及び入力/出力(I/O)コントローラ310を介してプロセッサ312に動作可能に接続されるタッチスクリーンである。タッチスクリーン306は、ディスプレイ装置302のスクリーン304の前に配置される透明パネルである。この例では、タッチスクリーン306はディスプレイ装置302と一体化されている。別の例では、タッチスクリーン306は別個のコンポーネントである。タッチスクリーン306は、ユーザのタッチから入力を受信し、この情報をプロセッサ312に送信するように構成されている。この目的のために、タッチスクリーン306は、その表面上のタッチ、及びタッチの位置と大きさを認識する。一例では、タッチスクリーン306は、同時に、タッチスクリーンのタッチ感知面上に静止し、タップし、又は横切って移動する複数のオブジェクトを追跡することができる。複数のオブジェクトは、例えば指や手のひらに対応し得る。タッチスクリーンは複数のオブジェクトを追跡できるため、ユーザは複数のタッチ起動タスクを同時に実行することができる。例えば、ユーザは1本の指でスクロールバーを動かしながら、別の指でメニューから項目を選択することができる。さらに、第1のオブジェクトを1本の指でドラッグしながら、第2のオブジェクトを別の指でドラッグすることもできる。さらに、ジェスチャは複数の指で実行されてよい。タッチスクリーン306は、一般に、例えば、タッチスクリーン306全体に配置された感知点を使用することによって、それに近接するオブジェクト及び/又はそこに及ぼされる圧力を検出するように構成された感知装置を含む。最も単純なケースでは、例えば静電容量を使用することにより、オブジェクトが感知点の上に配置されるたびに信号が生成される。オブジェクトが複数の感知点の上に配置される場合、又はオブジェクトが複数の感知点の間もしくは複数の感知点の上を移動する場合、複数の信号が生成される。この例では、タッチスクリーン306は、通信インターフェース322を介してタッチスクリーン306に接続され、感知装置からデータを取得する感知回路308を含む。感知回路308は、通信インターフェース324を介して、プロセッサ312に動作可能に接続された入力/出力(I/O)コントローラ310に接続されている。この例では、(I/O)コントローラ310は別個のコンポーネントである。別の例では、(I/O)コントローラ310は、プロセッサ312と一体化されている。I/Oコントローラ310は、一般に、タッチスクリーン306などの1つ以上のI/Oデバイスとのインタラクションを制御するように構成される。I/Oコントローラ310は、一般に、プロセッサ312と、プロセッサとの通信を望むI/Oデバイスとの間でデータを交換することによって動作する。したがって、感知回路308から取得されたデータは、(I/O)コントローラ310を介してプロセッサ312に供給される。別の例では、プロセッサはこの機能を含んでよい。一例では、感知回路308は、プロセッサ312が生データを処理するように、プロセッサ312に生データを送信するように構成される。例えば、プロセッサ312は、感知回路308からデータを受信し、次に、データをコンピュータシステム300内でどのように使用するかを決定する。データは、各感知点の座標、及び各感知点に加えられた圧力を含むことができる。別の例では、感知回路308は、感知点からパルスを読み取り、プロセッサ312が理解できるデータに変換することによって、生データ自体を処理するように構成される。感知回路308は、フィルタリング処理及び/又は変換処理を実行することができる。フィルタリング処理は、典型的には、プロセッサ312が冗長データ又は非必須データで過負荷にならないように、ビジーデータストリームを低減するために実施される。変換処理は、生データをプロセッサ312に送信又は報告する前に生データを調整するために実施され得る。変換は、各タッチ領域の中心点(例えば、重心)を決定することを含んでよい。感知回路308は、タッチスクリーン306の異なる態様を制御可能なタッチスクリーンプログラムを保存するための記憶素子を含むことができる。例えば、タッチスクリーンプログラムは、選択された感知点(例えば、座標)に基づいてどのようなタイプの値を出力するかを含むことができる。実際、タッチスクリーンプログラムと連携した感知回路308は、所定の通信プロトコルに従うことができる。一般によく知られているように、通信プロトコルは、2つの装置間でデータを交換するための規則及び手順のセットである。通信プロトコルは、通常、送信すべきデータ、パケットをその宛先に送るために必要なデータ、及び途中で発生したエラーを修正するデータを含むデータブロック又はパケットで情報を送信する。一例として、感知回路は、データをHIDフォーマット(Human Interface Device)に配置することができる。感知回路308は一般に1つ以上のマイクロコントローラを含み、各マイクロコントローラは1つ以上の感知点を監視する。マイクロコントローラは例えば特定用途向け集積回路(ASIC)に対応し、これはファームウェアと連携して感知装置からの信号を監視し、監視された信号を処理し、この情報をプロセッサ312に報告する。適切なタッチスクリーンは市販されており、スマートフォン又はタブレットなどのモバイル機器に一般的に組み込まれている。
【0161】
タッチスクリーン306はタッチをプロセッサ312に報告し、プロセッサ312はプログラミングに従ってタッチをカラーコーティング層の修正されたデジタル表現に変換する。
【0162】
別の例では、インタラクション要素306は、通信インターフェースを介してプロセッサ312に動作可能に接続されたマウスである。マウスは、タッチスクリーンに関連して前述したように、入力/出力(I/O)コントローラ310を介してプロセッサに接続されてよい。(I/O)コントローラ310は、クリックをプロセッサ312に報告し、プロセッサ312は、そのプログラミングに従って、クリックをカラーコーティング層の修正されたデジタル表現に変換する。
【0163】
その後、プロセッサ312は、カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に基づいて、カラーコーティング層のカラーデータを生成する。この例では、プロセッサ312は、修正されたデジタル表現に基づいて、通信インターフェース328を介してデータベース320に保存された前記カラーデータを取得することによってカラーデータを生成する。別の例では、プロセッサ312は、前記モデル及び生成された修正されたデジタル表現に基づいてカラーデータを計算するために、データベース320に保存され、過去のコーティング層を調製するために使用された過去のコーティング層のカラーデータ及びカラーコーティング材料の過去の配合でパラメータ化されたデータ駆動モデルを使用することによって、カラーデータを生成する。
【0164】
生成されたカラーデータに基づく色は、プロセッサ312が、前述した画像ベースのライトニングなどのレンダリング処理を実行した後に、生成されたカラーデータと、データベース318に保存され、レンダリング前に通信インターフェース332を介してプロセッサ312によって取得された仮想オブジェクトデータを使用してディスプレイ装置によって表示される。
【0165】
図3bは、カラーコーティング材料から製造されるカラーコーティング層の色をデザインするためのシステム300’の代替実施形態を示す。この例では、システム300’は、通信インターフェース326’、328’を介してデータベース316’、318’に接続されるディスプレイ装置302’と、通信インターフェース336’を介してディスプレイ装置302’に接続され、通信インターフェース338’を介してデータベース340’に接続されるコンピューティング装置332’とを備える。別の例では、コンピューティング装置332’は、さらなる通信インターフェース(図示せず)を介してデータベース318’にアクセスすることができる。
【0166】
コンピューティング装置330’は、単一のコンピューティング装置であってよく、又はサーバ環境に配置されていてよい。後者の場合、ディスプレイ装置302’は、クライアントデバイスとして機能し、インターネットなどのネットワーク(すなわち、通信インターフェース336’)を介してサーバ(すなわち、コンピューティング装置330’)にアクセスすることができる。好ましくは、サーバはHTTPサーバであってよく、従来のインターネットウェブベース技術を用いてアクセスされる。インターネットベースのシステムは、カラーコーティング材料から製造されるカラーコーティング層の色をデザインするサービスが、顧客に提供され又はより大きな会社のセットアップの場合に、特に有用である。
【0167】
図3bに示すように、コンピュータシステム300’は、例えばメモリ314’から取得された指示を実行し、コンピュータシステム300’に関連する動作、すなわち、
〇通信インターフェースを介して、カラーコーティング層のデジタル表現を受け取ることと;
〇インタラクション要素を介してユーザ入力を検出することと;
〇任意で、検出されたユーザ入力を、カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に変換することと、
を実行するように構成されたプロセッサ312’を備える。
【0168】
この例では、カラーコーティング層のデジタル表現は、データベース316’から通信インターフェース326’を介して受信される。別の例では、プロセッサ312’によってメモリ314’から取得される。
【0169】
ディスプレイ装置302’は、提供されたコーティング層のデジタル表現と、プロセッサ312’から受信したカラーコーティング層の生成されたカラーデータとを、特にグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を介して、ユーザに表示するためのスクリーン304’を有する。この目的のために、ディスプレイ装置302’は、通信インターフェースを介してプロセッサ312’に動作可能に接続される。この例では、ディスプレイ装置302’は、通信インターフェース322’、324’、感知回路308’及び入力/出力(I/O)コントローラ310’を介してプロセッサ312’に接続されている。別の例では、ディスプレイ装置302’は、通信インターフェースを介してプロセッサ312’に直接接続される。この例では、ディスプレイ装置302’は、プロセッサ312’及びメモリ314’と統合され、デスクトップコンピュータ(オールインワンマシン)、ラップトップ、ハンドヘルド又はタブレットなどを形成する。別の例では、ディスプレイ装置302’は、別個のコンポーネント(周辺装置、図示せず)であってよい。ディスプレイ装置302’は、図3aで説明したように、カラーコーティング層のデジタル表現と、生成されたカラーデータとに関連する色を表示するために使用される。この例では、ディスプレイ装置302’は、図3aで説明したようなインタラクション要素306’をさらに含み、ディスプレイ装置302’のプロセッサ312’は、図3aで説明したようなインタラクション要素306’を介したユーザ入力を検出するために使用される。
【0170】
一例では、ディスプレイ装置302’のプロセッサ312’は、検出されたユーザ入力をカラーコーティング層の修正されたデジタル表現に変換する。別の例では、プロセッサ332’は、以下に概説するように、この目的のために使用される。コンピュータシステム300’は、例えばメモリ334’から取得された指示を実行し、コンピュータシステム300’に関連する動作、すなわち、
〇任意で、検出されたユーザ入力を、カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に変換することと;
〇カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に基づいて、コーティング層のカラーデータを生成することと、
を実行するように構成された、コンピューティング装置330’内に常駐するプロセッサ332’をさらに含む。
【0171】
本発明の方法の異なるステップを実行する2つの異なるコンピュータプロセッサを使用することにより、高い計算能力を必要とするステップを別のコンピューティング装置にシフトさせることができ、したがって、許容可能な時間枠内で計算を実行するために高い計算能力を使用することを含み得る、カラーデータの生成に必要な計算時間に悪影響を及ぼすことなく、限られた計算能力を有するディスプレイ装置を使用することができる。したがって、システムのこの実施形態は、カラーデータの生成が、修正されたデジタル表現及び前述のようなデータ駆動モデルを使用してカラーデータを計算することによって実行される場合に、特に好ましい。適切なコンピュータプロセッサ314’及び334’に関して、図3aを参照されたい。コンピューティング装置330’のプロセッサ332’は、データベース340’に保存され、過去のコーティング層のカラーデータ及び過去のコーティング層を調製するために使用されたカラーコーティング材料の過去の配合に基づいてパラメトリック化されたデータ駆動モデルを取得し、取得されたデータ駆動モデル及び修正されたデジタル表現(プロセッサ332’によって生成されるか、又はプロセッサ312’から通信インターフェース336’を介してプロセッサ332’に提供される)を使用してカラーデータを計算する。
【0172】
一例では、生成されたカラーデータに基づく色は、プロセッサ312’が、データベース318’に保存され、レンダリング前に通信インターフェース328’を介してプロセッサ312’によって取得された生成されたカラーデータ及び仮想オブジェクトデータを使用して、前述した画像ベースのライトニングなどのレンダリングプロセスを実行した後に、ディスプレイ装置302’によって表示される。別の例では、生成されたカラーデータに基づく色は、プロセッサ332’が、データベース318’に保存され、プロセッサ336’によって通信インターフェース(図示せず)を介して取得された生成されたカラーデータ及び仮想オブジェクトデータを使用して、前述した画像ベースのライトニングなどのレンダリングプロセスを実行し、通信インターフェース336’を介してレンダリング結果をプロセッサ312’に提供した後に、ディスプレイ装置302’によって表示される。これは、ディスプレイ装置302’のプロセッサ312’の計算能力が、許容可能な時間枠内でレンダリングを実行するのに十分でない場合に好ましい場合がある。
【0173】
図4は、既存のカラーライブラリを示すグラフィカルユーザインターフェース404がユーザに表示されるスクリーン402を有するディスプレイ装置を含む/からなるシステム400を示す。適切なシステムは、図3a及び図3bに関連して説明されている。グラフィカルユーザインターフェース404は、例えば、図1のブロック102又は図2のブロック202に表示されることができる。この例では、グラフィカルユーザインターフェース404は、タブレットなどの携帯型ディスプレイ装置400に表示される。別の例では、グラフィカルユーザインターフェース404は、固定型コンピュータモニタなどの固定型ディスプレイ装置上に表示される。グラフィカルユーザインターフェース404は、カラーコーティング層の色がドーム形状406を有する3D仮想オブジェクト上に示されている既存のカラーライブラリを示している。この例では、既存のカラーライブラリには195の色が含まれており、そのうち48の色がディスプレイ装置のスクリーン上に表示されている。タッチスクリーンのジェスチャを介して既存のカラーライブラリをスクロールすることによって、さらに色を見ることができる。既存のカラーライブラリは、ディスプレイ装置400の内に存在するプロセッサを備えた、事前定義された照射条件(画像ベースのライトニング)を使用して、仮想ドーム形状オブジェクトのオブジェクトデータと、事前定義されたライブラリに関連付けられたカラーデータとをレンダリングし、レンダリング結果をスクリーン402に表示することによって表示される。この例では、事前定義されたライブラリに関連付けられたカラーデータは、データベースに保存され、レンダリングの前に、通信インターフェース、好ましくは無線通信インターフェースを介してディスプレイ装置のプロセッサに提供される。別の例では、事前定義されたカラーライブラリと関連付けられたカラーデータは、ディスプレイ装置400の内部に存在するメモリ上に保存される。この例では、カラーデータは、前述のように初期BTFから最適化BTFを生成することによって得られる。簡単に説明すると、この方法は:
- カメラベースの測定装置を使用して、オブジェクトの初期BTFを決定することと、
- 分光光度計を用いて、予め与えられた数、すなわち限られた数の異なる測定ジオメトリについて、オブジェクトのスペクトル反射率データを取得することと、
- 式(1)の初期BTFを、
【数18】
【0174】
【数19】
にセグメント化し、さらに項(F1)を照射及び観察方向
【数20】
に依存するカラーテーブルに対応する第1サブ項と、強度関数
【数21】
に対応する第2サブ項に分割し、第1の最適化ステップで、第2サブ項のパラメータを一定に保ちながら、前記第1サブ項のパラメータを最適化することによって、及び、第2の最適化ステップで、前記第1サブ項のパラメータを一定に保ちながら前記第2サブ項のパラメータを最適化することによって、前記キャプチャされたスペクトル反射率データと初期BTFの色差を最小化することによって、最適化されたBTFを得るために、初期BTFをキャプチャされたスペクトル反射率データに適合させることと、
を含む。
【0175】
別の例では、カラーデータは、分光光度計でカラーコーティング層の色を測定することによって得られる。
【0176】
図5は、カラーコーティング層のデジタル表現を修正するためのグラフィカルユーザインターフェース504がユーザに表示されるスクリーン502を有するディスプレイ装置を含む/からなるシステム500を示す。このユーザインターフェース504は、ユーザが図4に表示された既存のカラーライブラリから色を選択した後に表示することができる。この例では、ユーザインターフェース504は、2つの調整ツール506、514を含む。調整ツール506は、提供されたデジタル表現から生成され、線512.1、512.nによって分離された視覚的に区別できる区画508.1、508.nを有するボックスである。これらの線512.1、512.nは、ボックス内に存在する他の区画に対する各区画のサイズを調整することを可能にするレギュレータに対応する。各区画508.1、508.nは、顔料(着色顔料、効果顔料)、バインダーなど、カラーコーティング層に関連するコーティング材料に存在する成分510.1、510.nの種類を示している。成分の種類は、金属片、ボックスなどのグラフィック表現を用いて区画に表示され、成分の種類(顔料、バインダーなど)を示し、ユーザによって選択されプロセッサに提供されたカラーコーティング層のデジタル表現から取得される。各区画508.1、508.nのサイズは、それぞれの成分の量を示し、タッチスクリーンに、例えば指で触れ、少なくとも1本の線を動かすことによって、ユーザによって調整されることができる。調整ツール514は、レギュレータ516を動かすことによって調整ツール506の区画510によって表されている効果顔料の色を変更するために使用されることができる。カラーコーティング層の提供されたデジタル表現に関連する色は、自動車ボディ518の一部に表示される。着色された自動車ボディは、カラーコーティング層の提供されたデジタル表現に関連付けられたカラーデータ、仮想自動車ボディのオブジェクトデータ、及び事前定義された照射条件、特にハイダイナミックレンジ(HDR)環境マップをレンダリングし(すなわち、レンダリングは画像ベースのライトニングを用いて実行される)、レンダリング結果を表示することによって得られる。
【0177】
図6は、スクリーン602と、修正されたコーティング材料ならびに修正されたコーティング材料に関連する色を表示するグラフィカルユーザインターフェース604とを有するディスプレイ装置を備える/からなるシステム600を示す。このユーザインターフェース604は、ユーザが図5に表示された調整ツール506及び/又は514を介してコーティング材料の配合を修正した後に表示することができる。この例では、ユーザインターフェース604は、2つの調整ツール606、614を含む。この例では、図5の518に表示されたカラーコーティング層の色は、所望の色が得られるように、カラーコーティング層を調製するために使用されるコーティング材料の成分の量を調整するために調整ツール606の線612.1、612.nを動かすことによって、ユーザにより修正される。別の例では、カラーコーティング層を調製するために使用されるコーティング材料中に存在する効果顔料610の色は、調整ツール614のレギュレータ616を動かすことによって所望の色に修正される。さらに別の例では、調整ツール606、614の両方を使用することによって、成分の量だけでなく、成分の色/種類が修正される。この例では、ディスプレイ装置のスクリーン602はタッチスクリーンで構成され、修正はタッチスクリーンのジェスチャを介してユーザによって実行される。別の例では、修正は、マウスを使用して、マウスの移動及び/又はマウスのクリックを介してユーザによって実行される。タッチスクリーンのジェスチャ又はコンピュータのマウスを介して調整ツール606、614のレギュレータ610.1、610.n、614を動かすことによってユーザによって行われたコーティング材料の修正は、図3に関連して説明したように、コンピュータプロセッサで検出される。次に、検出された修正は、プロセッサによって、これらの検出された修正をカラーコーティング材料の修正されたデジタル表現に変換するために使用される。この例では、修正されたデジタル表現は、前述したように、調整ツール606、614を介してユーザによって行われた修正を反映したカラーコーティング材の修正された配合を含む。この例では、ユーザ入力はディスプレイ装置のプロセッサによって修正されたデジタル表現に変換される。別の例では、ディスプレイ装置のプロセッサは、検出されたユーザ入力を、通信インターフェースを介して、さらなるコンピューティングユニット内のディスプレイ装置の外部に位置するプロセッサに転送し、さらなるコンピューティングユニットの第2のプロセッサは、検出されたユーザ入力を修正されたデジタル表現に変換する。ユーザ入力が修正されたデジタル表現に変換された後、修正されたデジタル表現に関連するカラーデータが生成される。この例では、カラーデータは、過去のコーティング層を調製するために使用された過去のコーティング層のカラーデータ及びカラーコーティング材料の過去の配合でパラメータ化されたデータ駆動モデルとディスプレイ装置内に存在しない第2のプロセッサで生成されたカラーコーティング層の修正デジタル表現とを使用して計算される。この目的のために、ディスプレイ装置のプロセッサは、生成された修正されたデジタル表現を通信インターフェースを介して第2のプロセッサに提供し、第2のプロセッサは、データ駆動モデルと提供された修正されたデジタル表現を使用してカラーデータを計算し、計算されたカラーデータを通信インターフェースを介してディスプレイ装置のプロセッサに提供し、カラーデータを表示する。データ駆動モデルは、US20020184167A1及びUS20090078936A1に開示されているようなブラックボックスモデルであり、データベースなどのコンピュータ可読メモリを介して第2のコンピュータプロセッサに提供される。第2のプロセッサを使用することにより、ディスプレイ装置のプロセッサを介して利用可能な計算能力と比較して計算能力を増加させることができ、その結果、計算時間が短縮され、したがって、色の修正をインタラクティブに実行することが可能になる。別の例では、カラーデータは、ディスプレイ装置のプロセッサ、プロセッサに提供されるデータ駆動モデル、及び生成された修正されたデジタル表現を使用して計算される。これは、ディスプレイ装置のプロセッサの計算能力が十分に高く、短時間、すなわち最大数秒以内、好ましくは1秒以内にカラーデータを計算し、色のインタラクティブな修正を可能にする場合に好ましい。さらに別の例では、カラーデータは、通信インターフェースを介してディスプレイ装置600のプロセッサに接続されたデータベース又はルックアップテーブルから、修正されたデジタル表現に関連付けられたカラーデータを取得することによって生成される。これにより、カラーデータを生成するのに必要な時間を大幅に短縮することができるが、ユーザがGUI604上に表示される調整ツール606、614を使用することによって生成することができるコーティング材料の任意の配合に対して、予め計算されたカラーデータを提供する必要がある。生成されたカラーデータは、ディスプレイ装置のスクリーン602に表示される。この例では、生成されたカラーデータは、自動車ボディ618の一部のGUI604上に表示される。この目的のために、生成されたカラーデータ、仮想自動車ボディのオブジェクトデータ、及び事前定義された照射条件が、ディスプレイ装置のプロセッサによってレンダリングされ、レンダリング結果、すなわち調整ツール606及び614を介して表示された修正されたコーティング材料に関連する色を有する着色された自動車ボディ618が、ディスプレイ装置のスクリーン602のGUI604上に表示される。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-01-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのカラーコーティング層でコーティングされるオブジェクトの外観をデザインするために、以下のステップ:
(i)ディスプレイ装置のスクリーン上に表示するためにカラーコーティング層のデジタル表現を、通信インターフェースを介してコンピュータプロセッサに提供するステップと;
(ii)インタラクション要素を介してコンピュータプロセッサによってユーザ入力を検出するステップと;
(iii)コンピュータプロセッサにより、検出されたユーザ入力を、カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に変換するステップと;
(iv)任意でステップ(i)から(iii)を繰り返すステップと;
(v)コンピュータプロセッサにより、カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に基づいて、コーティング層のカラーデータを生成するステップと;
(vi)プロセッサから受信した生成されたカラーデータをディスプレイ装置のスクリーンに表示するステップと;
(vii)任意に、ステップ(i)から(vi)、又はステップ(ii)から(vi)、又はステップ(v)と(vi)を繰り返すステップと、
を含む、デザイン方法。
【請求項2】
前記カラーコーティング層のデジタル表現が、前記カラーコーティング層を調製するために使用されるコーティング材料の配合に関するデータ、及び任意で前記カラーコーティング層のカラーデータを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カラーコーティング層のデジタル表現を提供することが、コーティング層識別データを提供することと、提供されたコーティング層識別データに基づいて前記コーティング層のデジタル表現を取得することと、前記取得されたデジタル表現を提供することとを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記カラーコーティング層のデジタル表現を提供することが、前記ディスプレイ装置の前記スクリーン上に既存のカラーライブラリを表示することと、前記表示された既存のライブラリから色を選択することと、前記選択された色に基づいて前記カラーコーティング層のデジタル表現を取得することと、前記取得されたカラーコーティング層のデジタル表現を提供することとを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記インタラクション要素を介してユーザ入力を検出するステップが、前記カラーコーティング層を調製するために使用されるコーティング材料中に存在する成分の少なくとも一部を前記ディスプレイ装置のスクリーン上に表示することと、前記インタラクション要素を介して表示された少なくとも1つの成分を操作することと、前記操作を検出することとを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記ディスプレイ装置のスクリーン上に前記カラーコーティング層を調製するために使用されるコーティング配合中に存在する成分の少なくとも一部を表示するステップが、複数のレギュレータを含む少なくとも1つの調整ツールを表示することを含み、各レギュレータは、前記コーティング材料中に存在する成分の種類及び/又は量に対応する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記インタラクション要素を介して少なくとも1つの表示された成分を操作するステップが、前記インタラクション要素を介して少なくとも1つの表示された成分の種類及び/又は量を調整することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記検出されたユーザ入力を前記カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に変換することが、前記検出されたユーザ入力を、前記カラーコーティング層を調製するために使用される前記カラーコーティング材料の修正された配合データに変換することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項9】
前記カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に基づいてカラーデータを生成するステップが、前記修正されたデジタル表現に基づいて、特に前記カラーコーティング材料の修正された配合データに基づいて、カラーデータを得ることを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項10】
前記カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に基づいてカラーデータを生成するステップが、過去のコーティング層のカラーデータ、及び過去のコーティング層を調製するために使用されたカラーコーティング材料の過去の配合でパラメータ化されたデータ駆動モデルを使用して、前記カラーコーティング層の修正されたデジタル表現から、特に前記カラーコーティング材料の修正された配合データから、カラーデータを計算することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項11】
前記プロセッサから受信した生成されたカラーデータを前記ディスプレイ装置のスクリーン上に表示するステップが、仮想オブジェクトのオブジェクトデータを提供することと、任意で少なくとも1つのさらなるコーティング層のさらなるカラーデータを提供することと、予め定義された照射条件を使用して、受信したカラーデータ、提供されたオブジェクトデータ、及び任意で提供されたさらなるカラーデータをレンダリングすることとを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項12】
以下のステップ
(viii)コンピュータプロセッサにより、前記カラーコーティング層の修正されたデジタル表現が、少なくとも1つの事前定義された許容値内にあるかどうかを決定するステップと;
(ix)任意で、前記修正されたデジタル表現が少なくとも1つの事前定義された許容値内であるとの決定に従って、前記通信インターフェースを介して前記修正されたデジタル表現をコーティング材料製造サイトに提供し、任意で、提供された前記修正されたデジタル表現に基づいてコーティング材料を製造するステップと;
(x)任意で、前記修正されたデジタル表現が少なくとも1つの事前定義された許容値外であるという決定に従って、前記ディスプレイ装置のスクリーン上に少なくとも1つの勧告を表示するステップと;
(xi)任意で、前記修正されたデジタル表現が少なくとも1つの事前定義された許容値外であるという決定に従って、ステップ(i)から(vi)、又はステップ(ii)から(vi)、又はステップ(i)から(xi)、又はステップ(ii)から(xi)を繰り返すステップと、
をさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項13】
カラーコーティング材料から製造されるカラーコーティング層の色をデザインするためのシステムであって、前記システムは:
- スクリーン上に表示するためにカラーコーティング層のデジタル表現を提供するための通信インターフェースと;
- スクリーンを備えるディスプレイ装置と;
- ユーザ入力を検出するためのインタラクション要素と;
- 前記通信インターフェース及び前記ディスプレイ装置と通信するプロセッサであって;
〇前記通信インターフェースを介して、カラーコーティング層のデジタル表現を受信し;
〇前記インタラクション要素を介してユーザ入力を検出し;
〇検出された前記ユーザ入力を、カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に変換し;
〇前記カラーコーティング層の修正されたデジタル表現に基づいて、前記コーティング層のカラーデータを生成する、
ようにプログラムされた、プロセッサと、を備え、
前記ディスプレイ装置が、提供されたデジタル表現と、前記カラーコーティング層の生成されたカラーデータを前記プロセッサから受け取り、前記デジタル表現とコーティング層の色とを表示する、システム。
【請求項14】
非一過性のコンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータによって実行されるときに、前記コンピュータに請求項1又は2に記載の方法よるステップを実行させる指示を含む、非一過性のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
オブジェクトの表面の少なくとも一部に存在する少なくとも1つのカラーコーティング層の色をデザインするために請求項1記載の方法又は請求項13に記載のシステム使用する方法
【国際調査報告】