(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】デュアルキュアイソシアネートインクジェット組成物
(51)【国際特許分類】
C09D 11/30 20140101AFI20240528BHJP
B29C 64/112 20170101ALI20240528BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20240528BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20240528BHJP
B29C 64/314 20170101ALI20240528BHJP
【FI】
C09D11/30
B29C64/112
B33Y70/00
B33Y80/00
B29C64/314
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023568511
(86)(22)【出願日】2022-05-10
(85)【翻訳文提出日】2023-11-07
(86)【国際出願番号】 EP2022062680
(87)【国際公開番号】W WO2022258286
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523093402
【氏名又は名称】アルタナ ニュー テクノロジーズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【氏名又は名称】村上 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100210697
【氏名又は名称】日浅 里美
(72)【発明者】
【氏名】アンネ アスマッハー
(72)【発明者】
【氏名】レーネ ライザー
(72)【発明者】
【氏名】ザシャ ラングホルスト
(72)【発明者】
【氏名】マックス レトガー
【テーマコード(参考)】
4F213
4J039
【Fターム(参考)】
4F213AA21
4F213AA42
4F213AA44
4F213AB04
4F213AR06
4F213AR08
4F213AR15
4F213AR17
4F213WA25
4F213WA87
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL12
4F213WL23
4F213WL62
4F213WL96
4J039AD21
4J039BE27
4J039EA46
4J039GA24
(57)【要約】
【課題】インクジェット組成物の提供。
【解決手段】1.8~3.3mol/kgのアクリロイル基を有するインクジェット組成物であって、このインクジェット組成物は、(i)正確に1つのアクリロイル基を含有する光重合反応性化合物(M)、(ii)少なくとも2つのアクリロイル基を含有する光重合反応性化合物(N)、(iii)ラジカル光開始剤(R)、(iv)少なくとも2つのイソシアネート基を含有するイソシアネート化合物(D)、及び(v)少なくとも1つのヒドロキシル基を含有する化合物(H)を含み、(M)は(D)とは異なり;(N)は(D)とは異なり;(H)は(D)、(M)、及び(N)とは異なり;含有されるアクリロイル基の10~28mol%は、反応性化合物(N)によって提供されたものであり、含有されるアクリロイル基と化合物(D)の含有されるイソシアネート基とのモル比は、0.9~3.3である、インクジェット組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1.8~3.3mol/kgのアクリロイル基を有するインクジェット組成物であって、このインクジェット組成物は、
(i)正確に1つのアクリロイル基を含有する光重合反応性化合物(M)、
(ii)少なくとも2つのアクリロイル基を含有する光重合反応性化合物(N)、
(iii)ラジカル光開始剤(R)、
(iv)少なくとも2つのイソシアネート基を含有するイソシアネート化合物(D)、及び
(v)少なくとも1つのヒドロキシル基を含有する化合物(H)
を含み、
前記(M)は前記(D)とは異なり、ただし、正確に1つのアクリロイル基を含有しかつ少なくとも2つのイソシアネート基をさらに含有するイソシアネート化合物は、前記(D)に含められるべきであり;
前記(N)は前記(D)とは異なり、ただし、少なくとも2つのアクリロイル基を含有しかつ少なくとも2つのイソシアネート基をさらに含有するイソシアネート化合物は、前記(D)に含められるべきであり;
前記(H)は前記(D)、前記(M)、及び前記(N)とは異なり;
含有されるアクリロイル基の10~28mol%は、前記反応性化合物(N)によって提供されたものであり、含有されるアクリロイル基と前記化合物(D)の含有されるイソシアネート基とのモル比は、0.9~3.3である、インクジェット組成物。
【請求項2】
2.0~3.0mol/kgのアクリロイル基を有する、請求項1に記載のインクジェット組成物。
【請求項3】
含有されるアクリロイル基の10~25mol%が、前記反応性化合物(N)によって提供されたものである、請求項1又は2に記載のインクジェット組成物。
【請求項4】
前記反応性化合物(N)の90~100mol%、好ましくは95~100mol%は、3つ以下のアクリロイル基を含有する種によって提供されたものである、請求項1~3のいずれか一項に記載のインクジェット組成物。
【請求項5】
含有されるアクリロイル基と前記化合物(D)の含有されるイソシアネート基とのモル比が、1.0~3.0である、請求項1~4のいずれか一項に記載のインクジェット組成物。
【請求項6】
前記ラジカル光開始剤(R)の種は、ホスフィンオキシド系光開始剤によって、好ましくは、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、及び/又はフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドによって、提供されたものである、請求項1~5のいずれか一項に記載のインクジェット組成物。
【請求項7】
前記(D)の種の少なくとも90mol%、好ましくは、前記(D)の種の少なくとも99mol%は、完全にブロック化された(すべてのイソシアネート基がブロック化されている)形態で提供されたものであり、好ましくは、ε-カプロラクタムがブロック基として用いられたものである、請求項1~6のいずれか一項に記載のインクジェット組成物。
【請求項8】
前記化合物(H)の含有されるヒドロキシル基と前記化合物(D)の含有されるイソシアネート基とのモル比が、0.8~2.0、好ましくは1.0~1.5である、請求項1~7のいずれか一項に記載のインクジェット組成物。
【請求項9】
前記含有されるヒドロキシル基の少なくとも60mol%、好ましくは少なくとも90mol%は、正確に2つのヒドロキシル基を有する前記(H)の種(ジオールである)によって提供されたものである、請求項1~8のいずれか一項に記載のインクジェット組成物。
【請求項10】
含有される成分の、90~100質量%、好ましくは97~100質量%は、前記(M)、前記(N)、前記(R)、前記(D)、及び前記(H)の種によって提供されたものである、請求項1~9のいずれか一項に記載のインクジェット組成物。
【請求項11】
45℃において10~150mPa.sの粘度を有し、ここで粘度は、コーンプレート幾何構造の熱制御回転レオメーター(コーン直径:60mm、ゼロ-ギャップ距離:0.061mm、コーン角:0.5°、剪断速度600s
-1)で、DIN EN ISO 3219に従って、2K/分の加熱速度で40~60℃の温度で測定されるものである、請求項1~10のいずれか一項に記載のインクジェット組成物。
【請求項12】
カチオン(光)重合開始剤、又はアニオン(光)重合開始剤を含有しない、請求項1~11のいずれか一項に記載のインクジェット組成物。
【請求項13】
6質量%未満、より好ましくは2質量%未満の、アクリロイル基を含有しないラジカル重合性モノマーを含有する、請求項1~12のいずれか一項に記載のインクジェット組成物。
【請求項14】
安定化剤、湿潤剤、ラジカル重合禁止剤、消泡剤、及び/又は顔料をさらに含有する、請求項1~13のいずれか一項に記載のインクジェット組成物。
【請求項15】
次のステップ:
(a)請求項1~14のいずれか一項に記載のインクジェット組成物を印刷機によって噴射して、物体の形状に対応する構成パターンの層を形成すること、
(b)形成された層を照射して、光硬化した層を形成すること、
(c)前記ステップ(a)及び(b)を順次繰り返して複数の光硬化した層を形成し、三次元物体のグリーン体を調製すること、並びに
(d)前記グリーン体を加熱して、三次元物体を後硬化すること
を含む、三次元物体を印刷する方法。
【請求項16】
前記グリーン体を安定化するために、さらに、支持インクが印刷され、硬化され、この硬化された支持インクは、水溶性であり、水性洗浄液体で処理することによって、前記ステップc)の後かつ前記ステップ(d)の実施の前に除去される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ステップ(d)が、140~190℃の温度が少なくとも1時間にわたって維持されるように実施される、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記ステップ(b)において、照射は、UVランプによって実施され、各インク層の露光時間は0.1~2秒である、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
請求項15~18のいずれか一項に記載の方法によって製造された、三次元物体。
【請求項20】
三次元物体を製造するための、請求項1~14のいずれか一項に記載のインクジェット組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
説明
本発明は、インクジェット組成物、その使用、三次元物体の印刷方法、及び三次元物体に関する。
【背景技術】
【0002】
三次元(3D)印刷(3Dプリント)又はアディティブマニュファクチャリング(付加製造)は、3Dデジタルモデルが構築材料の付加成長によって製造されるプロセスである。3D印刷された物体は、物体のコンピュータ支援設計(CAD)データを、3D物体の断面に対応する二次元(2D)層の連続的な構築に利用することによって生成される。これらの層は、各層が(例えばUV硬化によって)急速に硬化された後、それに応じて次の層が印刷されるという条件で、互いに重ねて印刷された。
【0003】
前記3D印刷を実施する1つの方法は、インクジェット印刷である:インクジェット印刷において、(限定された粘度を有する)インクの小さい液滴は、印刷デバイスとインク受け側との間の物理的接触なしに、受け側の表面上に直接投射される。印刷デバイスは、印刷データを電子的に記憶し、液滴をイメージどおりに放出するための機構を制御する。印刷は、印刷ヘッドをインク受け側を横切って移動させること、若しくはその逆、又は両方を移動させることによって達成される。
【0004】
三次元インクジェット印刷は、プロトタイプ部品の製造のための比較的迅速で柔軟な印刷方法であり、CADファイルから直接、三次元の複雑な構造を作り、素早く製造する。複雑な構造の三次元印刷方法で使用される放射線硬化可能な組成物は、例えば、WO2004/096514に記載されている。しかし、一般的に、WO2020/109769、US2015/064417、US10005911、及びUS2009/105363などにおいて、インクジェット印刷の分野において使用することができる当分野で記載された多くの放射線硬化可能な組成物がある。
【発明を実施するための形態】
【0005】
前記3D印刷で直面する課題は、低い機械的特性、たとえば、低い熱変形温度、脆性、及び経年劣化であり、経年劣化とは、経時的な、並びに/又は温度変化及び/若しくは湿度の下での脆化を意味する。前記3D印刷が直面する別の課題は、(初期の)印刷された3D物体(いわゆる「グリーン体(生造形体)」)の不完全な硬化、さらには最終製品に関する幾つかの品質の問題(例えば、機械的側面及び/又は製品の経年劣化)である。3D物体が3D印刷プロセス中に完全に硬化される場合、層間接着が弱すぎて、印刷が失敗することがある。
【0006】
しかし、最終製品内部の未硬化樹脂も望ましくない:
第一に、印刷された3D物体からの未硬化の液状樹脂の漏れ(「ブリード」)は、エンドユーザーに健康上の問題を引き起こす可能性がある。なぜならば、液状樹脂が、反応性化学物質を含有する場合があるからである。第二に、印刷された3D物体が、最適な機械的性能に達しない。なぜならば、未硬化の液状樹脂が、物体を柔らかくする場合があるからである。第三に、未硬化樹脂は、高い化学的不活性が要される、物体の幾つかの産業用途において、問題を引き起こす場合がある。(前記の欠点を回避するために)印刷された「グリーン体」物体を完全に硬化させるために、3D「グリーン体」の対応する後硬化が必要である。
【0007】
したがって、適切なインクジェット印刷インクは、下記条件を同時に組み合わせる(満たす)必要がある:(インクジェットノズルを通した小さい液滴の印刷を可能にする)十分に低い粘度を有すること、高い粘度安定性(例えば、印刷の前に印刷装置において重合するべきでない)を提供すること、十分に前硬化可能であること(印刷された各インク層は、次の層が印刷される前に、前硬化される必要がある)、及び効率的に後硬化可能である(3D物体に要される品質特性を提供するために、後のステップにおいて完全に硬化可能である)こと。
【0008】
したがって、本発明の目的は、1.8~3.3mol/kgのアクリロイル基を有するインクジェット組成物であって、
(i)正確に1つのアクリロイル基を含有する光重合反応性化合物(M)、
(ii)少なくとも2つのアクリロイル基を含有する光重合反応性化合物(N)、
(iii)ラジカル光開始剤(R)、
(iv)少なくとも2つのイソシアネート基を含有するイソシアネート化合物(D)、及び
(v)少なくとも1つのヒドロキシル基を含有する化合物(H)
を含み、
(M)は(D)とは異なり、ただし、正確に1つのアクリロイル基を含有しかつ少なくとも2つのイソシアネート基をさらに含有するイソシアネート化合物は、(D)に含められるべきであり;
(N)は(D)とは異なり、ただし、少なくとも2つのアクリロイル基を含有しかつ少なくとも2つのイソシアネート基をさらに含有するイソシアネート化合物は、(D)に含められるべきであり;
(H)は(D)、(M)、及び(N)とは異なり;
含有されるアクリロイル基の10~28mol%は、反応性化合物(N)によって提供されたものであり、含有されるアクリロイル基と化合物(D)の含有されるイソシアネート基とのモル比は、0.9~3.3である、インクジェット組成物を提供することである。
【0009】
少なくとも2つのイソシアネート基を含有するイソシアネート化合物(D)は、ブロック化形態でこれらのイソシアネート基を含有してよい(これは好ましい)。
【0010】
本発明に係るアクリロイル基は、H2C=CH-C(=O)-(それは、H2C=CH-C(=O)-O-のタイプの「アクリルエステル基」の一部であってよい)であると定義される。これらの基は、非常に反応性で効率的なフリーラジカル重合基(例えばメタクリル基のようにはるかに反応性が高い)である。
【0011】
「正確に1つのアクリロイル基を含有する」光重合反応性化合物(M)は、1つを超えずかつ1つを下回らないアクリロイル基が含有されることを意味する。
【0012】
(M)が(D)とは異なるとは、正確に1つのアクリロイル基を含有しかつ少なくとも2つのシアネート基をさらに含有する光重合反応性化合物(関連する種)は、((M)ではなく)(D)に含まれるべきであることを意味する。しかし、そのような「ハイブリッド」成分の使用は、好ましくない(回避されることがある)。
【0013】
これに応じて、(N)が(D)とは異なるとは、少なくとも2つのアクリロイル基を含有しかつ少なくとも2つのシアネート基をさらに含有するその光重合反応性化合物(関連する種)は、((N)ではなく)(D)に含まれるべきであることを意味する。しかし、そのような「ハイブリッド」成分の使用は、好ましくない(回避されることがある)。
【0014】
(H)が(D)、(M)、及び(N)とは異なるとは、関連する「ハイブリッド」成分(これは、少なくとも1つのヒドロキシル基と(D)、(M)又は(N)の関連する特定の基とを含有する)は、(H)ではなく(M)、(N)、又は(D)に含まれるべきであることを意味する。言いかえれば:(H)は(D)、(M)、及び(N)とは異なり、ただし、(一方で)少なくとも1つのヒドロキシル基を含有し、(他方で)(D)、(M)又は(N)であるための条件を満たす化合物は、(H)に含められるべきではない。
【0015】
本発明によれば、インクジェット組成物は、(M)及び(N)(「光開始」に基づく)光硬化性化合物、及びさらに(D)熱硬化性化合物を含む。
【0016】
光硬化性化合物は、フリーラジカル(光)重合によって、最初のステップにおいて重合及び/又は架橋することができ、熱硬化性化合物は、(重付加を介して)後の熱後硬化ステップにおいて反応する。
【0017】
本発明に係るインクジェット組成物は、関連する品質要求を満たす:
組成物は、小さい(インクジェット可能な)インク滴の生成を可能にする十分に低い粘度の基礎を提供する。加えて、組成物は、十分な粘度安定性に関する基礎を提供し、これは、作動中の印刷プロセスを維持する基本的な要件である(例えば、インクのゲル化は、プリンターをふさぎ、さらには破壊する)。
【0018】
さらに、本発明に係るインクジェット組成物は、十分な機械的特性を有する前製品の生成、特に、十分な「グリーン体の強度」を有する前製品の生成を可能にする:グリーン体の強度は、光硬化の後かつ熱硬化の前の物体の安定性を表す。グリーン体の強度は、光硬化した物体の、安定性及び架橋の尺度である。しかし、高すぎるグリーン体の強度を提供することは望ましくない:後処理(熱硬化)中に、UVシステム(UV系)は、形状の一貫性を保証し、すなわち、熱システム(熱系)が、その硬化/固定化の前とその最中に、適所に保持されることを意味する。しかし、ひとたび熱システムが硬化を開始すると、その特性に応じて(特に、最初の光重合ステップにおける架橋が強すぎた場合に)内部歪みが発生する可能性があり、これにより、UV硬化された構造が破壊される(クラック)可能性がある。関連する表面の、固有の技術的に典型的な粗さは、内部歪みの発生に起因する、より容易なクラック形成をもたらす。本発明に係るインクジェット組成物の使用は、これらの関連する異なる問題のすべてを考慮に入れる一種の「妥協」を提供する-特に:架橋は、一方では、グリーン体の強度を提供しかつ適所に熱硬化システム(熱硬化系)を維持するように、十分に剛直である必要があるが、他方では、熱硬化に耐えるために、脆すぎてはならない。
【0019】
本発明に係る利点を正当化する、特別の「架橋戦略」は、インクジェット組成物の根底にある「法則」に反映されており、それは、以下の(キー)パラメータ(I)、(II)及び(III)との適合によって決定的に正当化される:
(I)1.8~3.3mol/kgのアクリロイル基を有するインクジェット組成物;
(II)含有されるアクリロイル基の10~28mol%は、反応性化合物(N)によって提供される;
(III)含有されるアクリロイル基と化合物(D)の含有されるイソシアネート基とのモル比は、0.9~3.3である。
【0020】
(キー)パラメータ(I):
値が高すぎる場合、比較的強い張力がグリーン体に生じ-後のクラック形成が促進され-値が低すぎる場合、グリーン体の強度が悪化する:突き詰めていくと、とりわけ、提供する強度及び弾性の間の適切な妥協。
【0021】
(キー)パラメータ(II):
このパラメータは、(グリーン体の)強度と弾性との間の実際的な妥協解も提供する。特に、ポリアクリレートは、ネットワークの形成、ひいては十分なグリーン体の強度に決定的である。
【0022】
モノアクリレートは、特に、熱後硬化中の張力補正に関するIPNのマトリクスネットワークの靭性-適合性バランスと、硬質相及び軟質相、並びに相ドメインの制御とに、寄与する。
【0023】
グリーン体の強度と後硬化の効率との適切なバランスは、パラメータ(II)に従うことにより保証される:低すぎる値は、不十分なグリーン強度を引き起こし、それによって、高すぎる値は、通常、熱後硬化を妨げる:アクリレートシステム(アクリレート系)の(過度に)高いネットワーク密度は、モビリティーを低減し(低減した熱後硬化システムの反応性)、それは、典型的にはクラックを促進することがある。
【0024】
さらに、パラメータIIとの適合は、印刷適用中の望ましくない(偏析による)相分離を妨げる。
【0025】
(キー)パラメータ(III):
最も広い意味において、このパラメータは、前硬化及び後硬化による安定化のバランスの取れた比を保証し、とりわけ、グリーン体の強度と最終体の強度との間の妥協に関する。
【0026】
第一のネットワークの硬化(前硬化)の程度が増加するにつれて、より強い応力が、第二の熱ネットワークの形成(後硬化)中にグリーン体において生じる(これは、(不利なことに、高すぎる値と関連する)クラックの形成を促進する)が、相互侵入ネットワーク形成の適合性も保証する。しかし、十分なグリーン体の強度は不可欠である(低すぎる値は、突き詰めていくと、この点で不利である)。
【0027】
相対的な比としてのパラメータ(III)は、常に、パラメータ(I)と組み合わせて理解されるものであり、それは、突き詰めていくと、両方のネットワークのネットワーク密度を決定する。
【0028】
本発明に係るインクジェット組成物の使用に関してさらに提供される効果は、熱硬化の前及び熱硬化中の、印刷された物体の「ブリード」が回避されること(特に、水性液体による支持構造の除去中、及び熱硬化中)である:印刷された3D物体からの液状原料の漏れは、エンドユーザーの健康上の問題を引き起こす可能性がある。なぜならば、液状樹脂が反応性化学物質を含有する場合があるからである。
【0029】
本発明の特別な実施態様によれば、インクジェット組成物は、キットとして提供することができる:対応するキットインパーツインクジェット組成物は、少なくとも1種の光硬化性化合物及び少なくとも1種の熱硬化性化合物の組み合わせと、別個の光開始剤とを含むことができる。キットインパーツインクジェット組成物は、少なくとも1種の光硬化性化合物、少なくとも1種の熱硬化性化合物、及び光開始剤の組み合わせと、別個の硬化触媒とを含むことができる。しかし、ほとんどの場合、そのようなキットを提供する必要はなく、有利でもない(キットは回避されることがある)。
【0030】
好ましい実施態様によれば、本発明に係るインクジェット組成物は、2.0~3.0mol/kgのアクリロイル基を有する。典型的には、インクジェット組成物において、含有されるアクリロイル基の10~25mol%は、反応性化合物(N)によって提供される。前記2つの特徴「含有されるアクリロイル基のmol/kg」及び「反応性化合物(N)によって提供される含有されるアクリロイル基のmol%」の適切な(定量的)組み合わせも、前製品の(及びさらに最終製品の)提供に関して重要であり、それは、一方では、脆すぎ(クラックの傾向)ず、他方では、柔らかすぎない。
【0031】
好ましい実施態様によれば、インクジェット組成物において、反応性化合物(N)の90~100mol%、好ましくは95~100mol%は、3つ以下のアクリロイル基を含有する種によって提供される。しかし、この規則性を、前記他の特徴「含有されるアクリロイル基のmol/kg」、及び「反応性化合物(N)によって提供される含有されるアクリロイル基のmol%」と組み合わせて注視することは重要である。なぜならば、これらの特徴の(適切な定量的)組み合わせは、一方では加工プロセスの提供、及び他方では高品質の製品の生成に関する基本的な要件であることが確認されているからである。
【0032】
モノアクリレート(特に化合物(M))は、多くの場合、インクジェット組成物の中程度の粘度に関して寄与する(特に中程度の分子量を有する種)。モノアクリレートの量が多いほど、架橋度は減少する。
【0033】
以下のモノアクリレートを用いることができる:
エチルアクリレート、ステアリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ラウリルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、トリデシルアクリレート、カプロラクトンアクリレート、エトキシル化ノニルフェノールアクリレート、イソボルニルアクリレート、ヘキサデシルアクリレート、モノメトキシトリプロピレングリコールモノアクリレート、モノメトキシネオペンチルグリコールプロポキシレートモノアクリレート、B-カルボキシエチルアクリレート、及び/又はオキシエチル化フェノールアクリレート。
【0034】
好ましい実施態様によれば、モノアクリレートは、ジヒドロジペンタジエニルアクリレート(CAS:12542-30-2)、環式トリメチロールプロパンホルマールアクリレート(CAS:66492-51-1)、トリシクロデカンメタノールアクリレート(CAS:93962-84-6)、2-フェニルエチルアクリレート(CAS:3530-36-7)、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート(CAS:16969-10-1)、2-[(ブチルカルバモイル)オキシ]エチルアクリレート(63225-53-6)、及び/又は4-ヒドロキシブチルアクリレート(2478-10-6)から選択されてよい。
【0035】
しかし、最も好ましいモノアクリレート種は、イソボルニルアクリレート、アクリロイルモルホリン、2-[(ブチルカルバモイル)オキシ]エチルアクリレート又はこれらの混合物である。
【0036】
以下のジアクリレートを用いることができる:1,3ブチレングリコールジアクリレート、1,4ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジアクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、エトキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、エトキシル化トリプロピレングリコールジアクリレート、及び/又はモノメトキシトリメチロールプロパンエトキシレートジアクリレート。
【0037】
以下のトリアクリレートを用いることができる:トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシル化グリセロールトリアクリレートジトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、及び/又はプロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート。
【0038】
しかし、(特に、少なくとも2つのアクリロイル基を含有する光重合反応性化合物(N)としての)好ましいポリアクリレートは、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(CAS:42594-17-2)、ポリエチレングリコールジアクリレート(CAS:25322-68-3)、ポリプロピレングリコールジアクリレート(CAS:52496-08-9)、ポリ(プロピレングリコール)ジメタクリレート(CAS:25852-47-5)、ジプロピレングリコールジアクリレート(CAS:57472-68-1)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(3290-92-4)、ビスフェノールAグリセロレートジアクリレート(CAS:4687-94-9)、トリスイソシアヌレートトリアクリレート(CAS:40220-08-4)、ビスフェノールAエポキシジアクリレート(CAS:55818-57-0)、及び/又はトリメチロールプロパンテトラアクリレート(CAS:94108-97-1)である。
【0039】
1種又は複数種の光硬化性化合物は、上で特定したmol量でインクジェット組成物に含まれ-それは、例えば、インクジェット組成物の全質量に基づいて、20~50質量%の量であってよい。
【0040】
光重合反応性化合物((M)及び(N)の種)、及びラジカル光開始剤(R)は、95:5~99.5:0.5、好ましくは97:3~99:1の質量比でインクジェット組成物に含まれてよい。光開始剤(R)は、放射線(例えばUV光又は可視光)に曝露された際に、反応種(フリーラジカル)を生成する。
【0041】
光開始剤は、インクジェット組成物の全質量に基づいて、0.2~4質量%の量でインクジェット組成物に含まれてよい。
【0042】
1つの実施態様によれば、ラジカル光開始剤(R)の種は、ホスフィンオキシド系光開始剤によって、好ましくは、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、及び/又はフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドによって、提供される。
【0043】
含有される熱硬化性化合物は、熱に曝露された際に、付加重合(重付加)し、かつ/または架橋することができる化合物である。好ましくは、熱硬化性化合物は、100℃未満の温度では、重合及び/又は架橋しないのがよい。。本発明によれば、少なくとも2つのイソシアネート基を含有するイソシアネート化合物(D)は、熱硬化性化合物として提供される。
【0044】
達成される品質(特に機械的特性)に関して、一方では光反応性基(最初のステップに係る前硬化)、及び他方では熱反応性基(後硬化活性)に関するインジェクト組成物の適切な比があることは重要である。これに関して、好ましくは、インクジェット組成物において、含有されるアクリロイル基と化合物(D)の含有されるイソシアネート基とのモル比は、1.0~3.0である。
【0045】
少なくとも2つのイソシアネート基を含有するイソシアネート化合物(D)は、上で規定された(含有されるアクリロイル基と化合物(D)の含有されるイソシアネート基とのモル比によって間接的に規定された)量でインクジェット組成物に含まれ、その量は、例えば、インクジェット組成物の全質量に基づいて25~50質量%であってよい。
【0046】
そのような少なくとも2つのイソシアネート基を含有するイソシアネート化合物(D)は、当業者によく知られている。関連する種は、ポリイソシアネートとして知られており、脂肪族ポリイソシアネート若しくは芳香族ポリイソシアネート(好ましくはジイソシアネート)、及び/又はそのようなブロック化脂肪族ポリイソシアネート若しくはブロック化芳香族ポリイソシアネートであってよい。
【0047】
明瞭さのために、脂肪族ポリイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネートは、遊離又はブロック化形態で用いることができる。しかし、好ましい実施態様によれば、(D)の種の少なくとも90mol%、好ましくは少なくとも99mol%は、完全にブロック化された(すべてのイソシアネート基がブロック化されている)形態で提供され、ここで、好ましくはε-カプロラクタムがブロック基として用いられる。特に好ましい実施態様によれば、(D)の種の少なくとも90mol%、好ましくは(D)の種の少なくとも99mol%は、完全にブロック化された(両方のイソシアネート基がブロック化されている)ジイソシアネートによって提供され、ここで、好ましくはε-カプロラクタムがブロック基として用いられる。
【0048】
脂肪族ポリイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネートは、好ましくは、2,4-トリレンジイソシアネート又は4,4-トリレンジイソシアネートなどのトリレンジイソシアネート;4,4-ジフェニルメタンジイソシアネートなどのジフェニルメタンジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン-4,4-ジイソシアネートなどのジシクロヘキシルメタンジイソシアネート;ヘキサメチレン-1,6-ジイソシアネートなどのヘキサメチレンジイソシアネート;又は1,4-シクロヘキシルジイソシアネートなどのシクロヘキシルジイソシアネートを含むことができる。好ましくは、2,4-トリレンジイソシアネート又は4,4-トリレンジイソシアネートなどのトリレンジイソシアネート;4,4-ジフェニルメタンジイソシアネートなどのジフェニルメタンジイソシアネート;又はこれらの混合物などの芳香族ポリイソシアネートである。
【0049】
好ましい熱反応(後硬化)メカニズムによれば、(熱により脱ブロックされた(ブロック基が外れた))イソシアネート基は、ウレタン基を生成することによりヒドロキシル基と反応する。関連するヒドロキシル基は、ヒドロキシアクリレート(例えば、アクリロイル基及びヒドロキシル基を含有する(N)及び/又は(M)のハイブリッド化合物)によって部分的に提供することができるが、そのようなハイブリッド化合物を用いて前記ヒドロキシル基を提供することは、通常好ましくない。通常、(ブロック化)イソシアネート基及びヒドロキシル基を含有するハイブリッド化合物も(部分的に)用いることができる。しかし、そのような化合物は、通常好ましくない。
【0050】
好ましい実施態様によれば、化合物(H)の含有されるヒドロキシル基と、化合物(D)の含有されるイソシアネート基とのモル比は、0.8~2.0、好ましくは1.0~1.5である(前記比について、少なくとも2つのイソシアネート基を含有しかつ少なくとも1つのヒドロキシル基をさらに含有する可能な種は、(D)に含められる)。多くの場合、対応する等モルの比(約1:1)を用いるか、少量だけ過剰の化合物(H)のヒドロキシル基を用いることが好ましい。
【0051】
典型的には、含有されるヒドロキシル基の少なくとも60mol%、好ましくは少なくとも90mol%は、正確に2つの(2つを超えずかつ2つを下回らない)ヒドロキシル基を有する(H)の種(ジオールである)によって提供される。しかし、2つを超えるヒドロキシル基を有するポリオールも用いることができる。用いることができる種は、例えば、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ヒドロキノン、トリメチロールプロパン、グリセリン、2-フェニルアルコール、及び/又はポリプロピレングリコールである。しかし、(ヒドロキシル基を正確に1つだけ含有する)モノオールも、(通常、部分的にだけ)用いることができ、それは、例えば、ポリエチレングリコールタイプのものであってよい。
【0052】
ブロック化イソシアネート種が用いられる場合(典型的な場合)、関連する種は、ジオールとの反応の前に(熱により)脱ブロックされる必要がある。光重合(第一ステップ)中に、これらのブロック化種は不活性であり、後硬化工程において(好ましくはより高温度で)反応するように脱ブロックされる必要がある。
【0053】
熱硬化性化合物(好ましくは脂肪族ポリイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネート)のブロック化は、潜在的な反応性官能基をもたらし、この反応性官能基は、ブロック化剤の脱ブロック後に開放され、追加の反応性官能基とさらに反応することができる。それによって、ブロック化剤を熱硬化性化合物(好ましくは脂肪族ポリイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネート)と反応させて、ブロック化剤を熱硬化性化合物の反応性基(脂肪族ポリイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネートのイソシアネート基)に共有結合させる。熱硬化性化合物の脱ブロックは、好ましくは加熱により達成することができる。
【0054】
好ましくは、ブロック化剤は、カプロラクタム、好ましくは、ε-カプロラクタム、メチルケトンオキシム、イミダゾール、3,5-ジメチルピラゾール又はジイソプロピルアミンからなる群から選択されてよい。ブロック化剤は、好ましくは、ε-カプロラクタム、メチルケトンオキシム、イミダゾール又は3,5-ジメチルピラゾール、より好ましくはε-カプロラクタムから選択されてよい。ε-カプロラクタムは揮発性ではないため、熱硬化工程中でも物体中に保持されるという利点がある。揮発性の保護基は、通常、この関連の(例えば、望ましくない気泡発生によって引き起こされる)問題を引き起こすことがある。
【0055】
ブロック化剤は、通常、熱硬化性化合物の反応性基が、イソシアネートの少なくとも約90%、好ましくは少なくとも約99%、最も好ましくは100%程度までブロック化される量で存在する。
【0056】
実際には、ブロック化イソシアネートに関して、UVシステムにおける溶解性及び全体的な適合性が課題となり得る。そのため、関連するポリウレタン材料のUVシステムも、相分離が生じないように(上記のように)設計されている。
【0057】
ブロック基が提供される場合、硬化触媒を用いることは必要ではない。なぜならば、関連する高い「脱ブロック温度」において、熱硬化反応(ウレタン生成)は、触媒なしでもうまくいくからである。しかし、UVシステムが長時間220℃より高い温度に耐えられない場合があるため、硬化温度は高すぎないのがよい。
【0058】
好ましい実施態様によれば、(インクジェット組成物中に)含有される成分の、90~100質量%、好ましくは97~100質量%は、(M)、(N)、(R)、(D)、及び(H)の種によって提供される。
【0059】
他の成分の添加は可能であるが、多くの場合(例えば、硬化効果に関して寄与がない場合、又は望ましくない100℃未満の熱反応性が生じる場合)有利でない:通常、(比較的高い量の)(第一のステップで光重合できないか、第二のステップで後硬化できない)不活性溶媒を用いることは好ましくない。好ましくは、インクジェット組成物は、8質量%未満、より好ましくは2質量%未満の不活性溶媒を含有する。さらに、アクリロイル基を含有しない(比較的高い量の)ラジカル重合性モノマー(メアクリレートなど)を用いることは好ましくない。好ましくは、インクジェット組成物は、6質量%未満、より好ましくは2質量%未満のアクリロイル基を含有しないラジカル重合性モノマーを含有する。例えば、メタクリレートは、例えば、(短い)ラジカル光重合に関して十分に反応性ではない。好ましくは、インクジェット組成物は、6質量%未満、より好ましくは2質量%未満の、(アクリロイル基を含有しない)メタクリレートを含有する。
【0060】
(典型的には粘度を増加させる)望ましくない副反応を回避するために、インクジェット組成物は、カチオン(光)重合開始剤及び/又はアニオン(光)重合開始剤を含有しないことが好ましい。いずれにせよ、100℃未満の温度で、逐次反応タイプ(重付加、重縮合)のうちの1つを介して組成物中で反応する化合物(特に、高い量の化合物)を回避することが好ましい。そのような化合物(特に、比較的高い量のそのような化合物)は、所望の粘度安定性に関する問題を引き起こす場合がある。細いノズルを通した噴射を可能にするために、インクジェット組成物の粘度を制限することが必要である。
【0061】
しかし、本発明に係るインクジェット組成物は、安定化剤、湿潤剤、ラジカル重合禁止剤、消泡剤、及び/又は顔料をさらに含有することができる。通常、溶存酸素がラジカル重合禁止剤として働くが、加えて合成禁止剤を用いることができる。
【0062】
典型的に、インクジェット組成物は、45℃において10~150mPa.sの粘度を有し、ここで粘度は、コーンプレート幾何構造の熱制御回転レオメーターで測定されるものである(Anton Paar Physica MCR 300、コーン直径:60mm、ゼロ-ギャップ距離:0.061mm、コーン角:0.5°、剪断速度600s-1)。
【0063】
本発明はさらに、次のステップを含む、三次元物体を印刷する方法に関する:
(a)上記のインクジェット組成物を印刷機によって噴射して、物体の形状に対応する構成パターンの層を形成すること、
(b)形成された層を照射して、光硬化した層を形成すること、
(c)ステップ(a)及び(b)を順次繰り返して複数の光硬化した層を形成し、三次元物体のグリーン体を調製すること、並びに
(d)前記グリーン体を加熱して、三次元物体を後硬化すること。
【0064】
通常、グリーン体を安定化するために、さらに、支持インクが印刷され、硬化され、この硬化された支持インクは、水溶性であり、水性洗浄液体で処理することによって、ステップc)の後かつステップ(d)の実施の前に除去される。
【0065】
典型的には、ステップ(d)は、140~190℃の温度が少なくとも1時間にわたって維持されるように実施される。
【0066】
通常、加熱ステップ(d)において、関連する温度の増加は、2K/分に制限される。
【0067】
好ましくは、ステップ(b)において、照射は、UVランプによって実施され、各インク層の露光時間は0.1~2秒である。
【0068】
典型的な手順は、以下のとおりであってよい:
インクジェット組成物は、それをインクジェット組成物として用いる前にろ過することができる。好ましくは、インクジェット組成物は、1μmを超える粒子サイズの粒子を含まないようにろ過される。次いで、インクをプリンターに入れる。システムを、少なくとも2時間、より良好にはそれより多く再循環させて、均一性及び一定温度を保証する。印刷中、支持インク(例えば、アクリルアミド系)は、インクジェットされ、UV硬化されて物体インクのための型を生成し、物体インクは、後に、インクジェットされ、UV硬化される(ウェットオンドライ印刷)。層厚さを制御するために、すべてのインクは、造形トレー上でその液体状態で一旦水平にされ、これは、基材上での動的湿潤プロセス中のインク噴射の後かつUV硬化の前に起こる。このように、3D物体が生成される。支持インクは、(グリーン体の層と一緒に)層ごとに印刷される層であるため、印刷プロセスの後に、物体(グリーン体)は、支持材料(例えば、ポリアクリルアミド)に囲まれるようになる。支持材料を除去するために、構造全体を水浴に入れ、超音波の存在下で35~40℃に加熱する。支持材料と、物体の幾何構造とに応じて、洗浄プロセスは、0.5時間~24時間(時には、それより長く)かかる。すべての支持構造が除去されたら、物体を水浴から取り出し、室温で空気乾燥させる。約5時間の乾燥の後、物体を加熱チャンバー(ある種のオーブン)に入れ、化学、幾何構造及び用途に応じてよく適合する温度プログラムを選択し、印刷され、ここで洗浄された物体中に存在する熱硬化システムを熱硬化する。
【0069】
本発明はさらに、上記の方法に従って製造された三次元物体に関する。
【0070】
三次元物体は、0.5~25MPaの、好ましくは2~20MPaの引張強度、及び15~100%の、好ましくは100%より大きい破断伸び、及び1~1000MPaの、好ましくは10~200MPaのE-弾性率を有することができる。
【0071】
加えて、本発明は、三次元物体を製造するための上記のインクジェット組成物の使用に関する。
【0072】
全般的な測定方法
粘度は、コーンプレート幾何構造の熱制御回転レオメーター(Anton Paar Physica MCR 300、コーン直径:60mm、ゼロ-ギャップ距離:0.061mm、コーン角:0.5°、剪断速度600s-1)で、DIN EN ISO 3219に従って、2K/分の加熱速度で40~60℃の温度で測定される。。比較のために、50℃における粘度が、以下の例において示される。インクの保存安定性は、密閉したサンプルジャーを7日間にわたって60℃又は80℃で保存した後、上記と同じ実験で決定された。
【0073】
ショア硬度A及びDは、DIN EN ISO標準7619に従って、OS-2測定デバイス(Hildebrand Pruf- und Messtechnik GmbH)によって、40mmの直径及び7mmの厚さの円筒状試験片を用いて測定された。結果は、試験片にニードルを入れてから3秒後にスケールから取得された。測定は、5回繰り返された。
【0074】
引張試験は、Zwick-Roell引張り試験機1445で、DIN EN ISO標準527-1に従って、5A試験片を用いて実施された。E-弾性率は、1mm/分での0.05~0.25%の変形における応力-ひずみ曲線の傾きから決定された。引張強度及び破断伸びは、弾性サンプルのための25mm/分で試験片を引っ張ることによって決定された。
【0075】
本発明は、例を用いることによって、さらに以下に説明される。
【0076】
全般的な用語及び定義
例で用いられる反応物
- イソボルニルアクリレート(IBOA):CAS No 5888-33-5、SARTOMER
- アクリロイルモルホリン(ACMO):CAS No 5117-12-4、RAHN
- トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA):CAS No 15625-89-5、SARTOMER
- ポリエチレングリコール600ジアクリレート(PEG600DA、Miramer M286):CAS No 26570-48-9、MIWON
- 2-[[(ブチルアミノ)カルボニル]オキシ]エチルアクリレート(Genomer 1122tf)-CAS No 63225-53-6、RAHN
- ジプロピレングリコールジアクリレート(DPGDA、Miramer M222):CAS No 57472-68-1、MIWON
- Omnirad 819:CAS No 162881-26-7の光開始剤、IGM Resins
- Genorad 16:グリセロールプロポキシレート(1PO/OH)と4-メトキシフェノールとの組み合わせである重合禁止剤、RAHN
- BYK 333:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン添加剤、BYK
- K-KAT(商標)XK-651:ビスマスカルボキシレート触媒、King Industries
- DESMSODUR N3400:ヘキサメチレンジイソシアネート、CAS No.28182-81-2、COVESTRO
- ε-カプロラクタム、CAS No.105-60-2、SIGMA ALDRICH
- イソホロンジイソシアネート(IPDI)、CAS No.4098-71-9、SIGMA ALDRICH
- DESMODUR BL3272:HDIに基づくε-カプロラクタムブロック化脂肪族ポリイソシアネート(CAS No 26776-30-7)(1-メトキシプロピルアセテート-2(MPA CAS No 108-65-6)中、28%)、COVESTRO
- DESMODUR BL3175:HDIに基づくブタノンオキシムブロック化脂肪族ポリイソシアネート(CAS No 85940-94-9)(ソルベントナフサ100(SN CAS No 64742-95-6)中、25%)、COVESTRO
- DESMODUR BL3575-1:HDIに基づく3,5-ジメチルピラゾールブロック化脂肪族ポリイソシアネート(CAS No 163206-31-3)(1-メトキシプロピルアセテート-2/ソルベントナフサ100 8:17中、25%)、COVESTRO
- DESMODUR BL3475:HDI/IPDIに基づくマロン酸ジエチルブロック化脂肪族ポリイソシアネート(DEM CAS No 105-53-3)(n-酢酸ブチル/ソルベントナフサ100 1:1(CAS No 123-86-4)中、25%)、COVESTRO
- 1、3-プロパンジオール:CAS No 504-63-2、SIGMA ALDRICH
- 1,6-ヘキサンジオール:CAS No 629-11-8、SIGMA ALDRICH
- ポリテトラヒドロフラン 250(pTHF250):CAS No 25190-06-1、SIGMA ALDRICH
- ポリプロピレングリコール400(PPG400):CAS No 25322-69-4、SIGMA ALDRICH
- ポリエチレングリコール600(PEG600):CAS No 25322-68-3、SIGMA ALDRICH
【0077】
例1:
ブロック化イソシアネートBI 1の合成
ヘキサメチレンジイソシアネート(DESMODUR N3400;304.99g;2.92mol;1eq.)を、K-KAT(商標)(XK-651(KING INDUSTRIES、ビスマス-カルボキシレートベース;4.4g;0.94質量%)と四つ口反応器(2500mL)中で混合し、50℃で30分間撹拌した。次いで、ε-カプロラクタム(165.18g;1.46mol;2eq.)を50℃で加え、60℃で3.5時間さらに撹拌した。
【0078】
インクジェット組成物の合成
イソボルニルアクリレート(34.5質量%)、ポリエチレングリコール 600ジアクリレート(PEG 600 DA)(12.0質量%)、2-[[(ブチルアミノ)カルボニル]オキシ]エチルアクリレート(Genomer 1122tf)(12.0質量%)、Omnirad 819(1.2質量%)、Genorad 16(0.15質量%)、BYK 333(0.18質量%)、1,6-ヘキサンジオール(10.9質量%)、前記の合成されたブロック化イソシアネート化合物BI 1(29.0質量%)を混合し、1μmでろ過した。インクは、インクジェットUV印刷され、130℃で10時間後硬化された。
【0079】
最終的な物体の最終性質は次のとおりであった:
最大引張強度:7MPa
破断伸び:100%
E-弾性率:20MPa
【0080】
例1の粘度安定性は、以下のとおり測定される:
【表1】
【表2】
【0081】
前記インクジェット組成物は、次のものを含む:
(I)(M)及び(N)のアクリロイル基のmol/kg:2.61
(II)反応性化合物(N)によって提供されるアクリロイル基のmol%:15.3
(III)含有されるアクリロイル基(M)及び(N)と、化合物(D)の含有されるイソシアネート基とのモル比:1.27
【0082】
例2~14:
潜在的なインクジェット配合物のインク及び材料特性をスクリーニングするために、成型された試験片は、半透明のシリコン型内で、底部から15cmの距離で、UV光(LED395nm、16W/cm2)によって、各側から30秒にわたって硬化される。次いで、熱の後硬化が実施される。したがって、この光重合され、オーブン硬化されたバルク試験片の試験結果は、相互侵入システムの最初の硬化ステップでの調製プロセスは異なるものの、噴射された材料及び後硬化された配合物の最終的な材料性能をよく近接して強調する。例2~14は、印刷用途と材料特性との相関を強調するために、異なるアクリレート、ブロック化イソシアネート、及びポリオール化合物の様々な配合比を示す。
【0083】
例2:
イソボルニルアクリレート(18.0質量%)、アクリロイルモルホリン(18.5質量%)、(12.0質量%)、トリメチルプロパントリアクリレート(5.3質量%)、Omnirad 819(0.13質量%)、Genorad 16(0.09質量%)、1,6-ヘキサンジオール(15.9質量%)、前記の合成されたブロック化イソシアネート化合物BI 1(42.1質量%)が混合された。インクは、上記のとおり成型され、180℃で1時間後硬化された。
【0084】
最終的な物体の最終性質は次のとおりであった:
最大引張強度:17MPa
破断伸び:15%
E-弾性率:600MPa
硬度(熱後硬化後):A86
【0085】
例2の粘度安定性は、以下のとおり測定される:
【表3】
【表4】
【0086】
前記インクジェット組成物は、次のものを含む:
(I)(M)及び(N)のアクリロイル基のmol/kg:2.71
(II)反応性化合物(N)によって提供されるアクリロイル基のmol%:19.8
(III)含有されるアクリロイル基(M)及び(N)と、化合物(D)の含有されるイソシアネート基とのモル比:0.91
【0087】
例3:
イソボルニルアクリレート(36.5質量%)、アクリロイルモルホリン(6.3質量%)、グリコール 600ジアクリレート(6.3質量%)、ジプロピレングリコールジアクリレート(0.5質量%)、Omnirad 819(0.15質量%)、Genorad 16(0.13質量%)、1,6-ヘキサンジオール(13.8質量%)、前記の合成されたブロック化イソシアネート化合物BI 1(36.3質量%)が混合された。インクは、上記のとおり成型され、180℃で1時間後硬化された。
【0088】
最終的な物体の最終性質は次のとおりであった:
最大引張強度:14MPa
破断伸び:61%
E-弾性率:300MPa
硬度(熱後硬化後):A90
【0089】
例3の粘度安定性は、以下のとおり測定される:
【表5】
【表6】
【0090】
前記インクジェット組成物は、次のものを含む:
(I)(M)及び(N)のアクリロイル基のmol/kg:2.44
(II)反応性化合物(N)によって提供されるアクリロイル基のmol%:10.2
(III)含有されるアクリロイル基(M)及び(N)と、化合物(D)の含有されるイソシアネート基とのモル比:0.95
【0091】
例4:
イソボルニルアクリレート(38.5質量%)、グリコール 600ジアクリレート(12.7質量%)、ジプロピレングリコールジアクリレート(0.5質量%)、Omnirad 819(0.16質量%)、Genorad 16(0.1質量%)、1,6-ヘキサンジオール(13.2質量%)、前記の合成されたブロック化イソシアネート化合物BI 1(34.9質量%)が混合された。インクは、上記のとおり成型され、180℃で1時間後硬化された。
【0092】
最終的な物体の最終性質は次のとおりであった:
最大引張強度:12MPa
破断伸び:87%
E-弾性率:50MPa
硬度(熱後硬化後):A86
【0093】
例4の粘度安定性は、以下のとおり測定される:
【表7】
【表8】
【0094】
前記インクジェット組成物は、次のものを含む:
(I)(M)及び(N)のアクリロイル基のmol/kg:2.31
(II)反応性化合物(N)によって提供されるアクリロイル基のmol%:20.2
(III)含有されるアクリロイル基(M)及び(N)と、化合物(D)の含有されるイソシアネート基とのモル比:0.93
【0095】
例5:
イソボルニルアクリレート(30.2質量%)、グリコール 600ジアクリレート(10.4質量%)、2-[[(ブチルアミノ)カルボニル]オキシ]エチルアクリレート(Genomer 1122tf)(10.4質量%)、Omnirad 819(0.16質量%)、Genorad 16(0.1質量%)、1,6-ヘキサンジオール(13.2質量%)、前記の合成されたブロック化イソシアネート化合物BI 1(34.9質量%)が混合された。インクは、上記のとおり成型され、180℃で1時間後硬化された。
【0096】
最終的な物体の最終性質は次のとおりであった:
最大引張強度:5MPa
破断伸び:110%
E-弾性率:1MPa
硬度(熱後硬化後):A80
【表9】
【0097】
前記インクジェット組成物は、次のものを含む:
(I)(M)及び(N)のアクリロイル基のmol/kg:2.28
(II)反応性化合物(N)によって提供されるアクリロイル基のmol%:15.2
(III)含有されるアクリロイル基(M)及び(N)と、化合物(D)の含有されるイソシアネート基とのモル比:0.92
【0098】
例6:
イソボルニルアクリレート(34.5質量%)、グリコール 600ジアクリレート(12.0質量%)、2-[[(ブチルアミノ)カルボニル]オキシ]エチルアクリレート(Genomer 1122tf)(12.0質量%)、Omnirad 819(0.18質量%)、Genorad 16(0.12質量%)、1、3-プロパンジオール(7.8質量%)、前記の合成されたブロック化イソシアネート化合物BI 1(32.2質量%)が混合された。インクは、上記のとおり成型され、180℃で1時間後硬化された。
【0099】
最終的な物体の最終性質は次のとおりであった:
最大引張強度:4MPa
破断伸び:96%
E-弾性率:1MPa
硬度(UV硬化後):A41
硬度(熱後硬化後):A67
【0100】
例6の粘度安定性は、以下のとおり測定される:
【表10】
【表11】
【0101】
前記インクジェット組成物は、次のものを含む:
(I)(M)及び(N)のアクリロイル基のmol/kg:2.61
(II)反応性化合物(N)によって提供されるアクリロイル基のmol%:15.3
(III)含有されるアクリロイル基(M)及び(N)と、化合物(D)の含有されるイソシアネート基とのモル比:1.14
【0102】
例7:
イソボルニルアクリレート(34.5質量%)、グリコール 600ジアクリレート(12.0質量%)、2-[[(ブチルアミノ)カルボニル]オキシ]エチルアクリレート(Genomer 1122tf)(12.0質量%)、Omnirad 819(0.18質量%)、Genorad 16(0.12質量%)、ポリテトラヒドロフラン 250(17.8質量%)、前記の合成されたブロック化イソシアネート化合物BI 1(22.2質量%)が混合された。インクは、上記のとおり成型され、180℃で1時間後硬化された。
【0103】
最終的な物体の最終性質は次のとおりであった:
最大引張強度:2MPa
破断伸び:78%
E-弾性率:1MPa
硬度(UV硬化後):A31
硬度(熱後硬化後):A50
【0104】
例7の粘度安定性は、以下のとおり測定される:
【表12】
【表13】
【0105】
前記インクジェット組成物は、次のものを含む:
(I)(M)及び(N)のアクリロイル基のmol/kg:2.61
(II)反応性化合物(N)によって提供されるアクリロイル基のmol%:15.3
(III)含有されるアクリロイル基(M)及び(N)と、化合物(D)の含有されるイソシアネート基とのモル比:1.65
【0106】
例8:
イソボルニルアクリレート(34.5質量%)、グリコール 600ジアクリレート(12.0質量%)、2-[[(ブチルアミノ)カルボニル]オキシ]エチルアクリレート(Genomer 1122tf)(12.0質量%)、Omnirad 819(0.18質量%)、Genorad 16(0.12質量%)、ポリプロピレングリコール400(22.5質量%)、前記の合成されたブロック化イソシアネート化合物BI 1(17.5質量%)が混合された。インクは、上記のとおり成型され、180℃で1時間後硬化された。
【0107】
最終的な物体の最終性質は次のとおりであった:
最大引張強度:1MPa
破断伸び:71%
E-弾性率:2MPa
硬度(UV硬化後):A17
硬度(熱後硬化後):A40
【0108】
例8の粘度安定性は、以下のとおり測定される:
【表14】
【表15】
【0109】
前記インクジェット組成物は、次のものを含む:
(I)(M)及び(N)のアクリロイル基のmol/kg:2.61
(II)反応性化合物(N)によって提供されるアクリロイル基のmol%:15.3
(III)含有されるアクリロイル基(M)及び(N)と、化合物(D)の含有されるイソシアネート基とのモル比:2.09
【0110】
例9:
イソボルニルアクリレート(34.5質量%)、グリコール 600ジアクリレート(12.0質量%)、2-[[(ブチルアミノ)カルボニル]オキシ]エチルアクリレート(Genomer 1122tf)(12.0質量%)、Omnirad 819(0.18質量%)、Genorad 16(0.12質量%)、ポリエチレングリコール600(26.3質量%)、前記の合成されたブロック化イソシアネート化合物BI 1(13.7質量%)が混合された。インクは、上記のとおり成型され、180℃で1時間後硬化された。
【0111】
最終的な物体の最終性質は次のとおりであった:
最大引張強度:2MPa
破断伸び:92%
E-弾性率:1MPa
硬度(UV硬化後):A53
硬度(熱後硬化後):A61
【0112】
例9の粘度安定性は、以下のとおり測定される:
【表16】
【表17】
【0113】
前記インクジェット組成物は、次のものを含む:
(I)(M)及び(N)のアクリロイル基のmol/kg:2.61
(II)反応性化合物(N)によって提供されるアクリロイル基のmol%:15.3
(III)含有されるアクリロイル基(M)及び(N)と、化合物(D)の含有されるイソシアネート基とのモル比:2.68
【0114】
例10:
ブロック化イソシアネートBl 2の合成
イソホロンジイソシアネート(56.34g;253.3mmol;2eq.)を、KKAT(商標)XK-651(KING INDUSTRIES、ビスマス-カルボキシレートベース;1.0g;1.0質量%)と四つ口反応器(2500mL)中で混合し、50℃で5分間撹拌した。1,6-ヘキサンジオール(14.99g、126.8mmol、1eq.)を慎重に溶融させ、次いで、5分の時間枠で、反応温度が75℃を超えないように滴下した。反応混合物を50℃で3.5時間さらに撹拌した。次いでε-カプロラクタム(27.73g;425.1mmol;2eq.)を70℃で加え、70℃で3時間さらに撹拌した。
【0115】
インクジェット組成物の合成
イソボルニルアクリレート(36.9質量%)、グリコール 600ジアクリレート(12.3質量%)、ジプロピレングリコールジアクリレート(0.5質量%)、Omnirad 819(0.15質量%)、Genorad 16(0.1質量%)、BYK333(0.13質量%)、ポリエチレングリコール600(22.8質量%)、前記の合成されたブロック化イソシアネート化合物BI 2(27.2質量%)が混合された。インクは、上記のとおり成型され、180℃で1時間後硬化された。
【0116】
最終的な物体の最終性質は次のとおりであった:
最大引張強度:2MPa
破断伸び:31%
E-弾性率:13MPa
【0117】
例10の粘度安定性は、以下のとおり測定される:
【表18】
【表19】
【0118】
前記インクジェット組成物は、次のものを含む:
(I)(M)及び(N)のアクリロイル基のmol/kg:2.22
(II)反応性化合物(N)によって提供されるアクリロイル基のmol%:20.3
(III)含有されるアクリロイル基(M)及び(N)と、化合物(D)の含有されるイソシアネート基とのモル比:3.21
【0119】
例11:
イソボルニルアクリレート(36.9質量%)、グリコール 600ジアクリレート(12.3質量%)、ジプロピレングリコールジアクリレート(0.5質量%)、Omnirad 819(0.15質量%)、Genorad 16(0.1質量%)、ポリテトラヒドロフラン(10.7質量%)、及びDesmodur BL3272(39.3質量%)が混合された。インクは、上記のとおり成型され、180℃で1時間後硬化された。
【0120】
最終的な物体の最終性質は次のとおりであった:
最大引張強度:7MPa
破断伸び:79%
E-弾性率:60MPa
硬度(UV硬化後):A24
硬度(熱後硬化後):A64
【0121】
例11の粘度安定性は、以下のとおり測定される:
【表20】
【表21】
【0122】
前記インクジェット組成物は、次のものを含む:
(I)(M)及び(N)のアクリロイル基のmol/kg:2.22
(II)反応性化合物(N)によって提供されるアクリロイル基のmol%:20.3
(III)含有されるアクリロイル基(M)及び(N)と、化合物(D)の含有されるイソシアネート基とのモル比:2.20
【0123】
例12:
イソボルニルアクリレート(36.9質量%)、グリコール 600ジアクリレート(12.3質量%)、ジプロピレングリコールジアクリレート(0.5質量%)、Omnirad 819(0.15質量%)、Genorad 16(0.1質量%)、ポリテトラヒドロフラン(11.5質量%)、及びDesmodur BL3175(38.5質量%)が混合された。インクは、上記のとおり成型され、170℃で1時間後硬化された。
【0124】
最終的な物体の最終性質は次のとおりであった:
最大引張強度:2MPa
破断伸び:110%
E-弾性率:1MPa
硬度(熱後硬化後):A22
【0125】
例12の粘度安定性は、以下のとおり測定される:
【表22】
【表23】
【0126】
前記インクジェット組成物は、次のものを含む:
(I)(M)及び(N)のアクリロイル基のmol/kg:2.22
(II)反応性化合物(N)によって提供されるアクリロイル基のmol%:20.3
(III)含有されるアクリロイル基(M)及び(N)と、化合物(D)の含有されるイソシアネート基とのモル比:1.96
【0127】
例13:
イソボルニルアクリレート(36.9質量%)、グリコール 600ジアクリレート(12.3質量%)、ジプロピレングリコールジアクリレート(0.5質量%)、Omnirad 819(0.15質量%)、Genorad 16(0.1質量%)、ポリテトラヒドロフラン(11.0質量%)、及びDesmodur BL3575-1(39.0質量%)が混合された。インクは、上記のとおり成型され、150℃で1時間後硬化された。
【0128】
最終的な物体の最終性質は次のとおりであった:
最大引張強度:4MPa
破断伸び:140%
E-弾性率:1MPa
硬度(熱後硬化後):A28
【0129】
例13の粘度安定性は、以下のとおり測定される:
【表24】
【表25】
【0130】
前記インクジェット組成物は、次のものを含む:
(I)(M)及び(N)のアクリロイル基のmol/kg:2.22
(II)反応性化合物(N)によって提供されるアクリロイル基のmol%:20.3
(III)含有されるアクリロイル基(M)及び(N)と、化合物(D)の含有されるイソシアネート基とのモル比:2.00
【0131】
例14:
イソボルニルアクリレート(36.9質量%)、グリコール 600ジアクリレート(12.3質量%)、ジプロピレングリコールジアクリレート(0.5質量%)、Omnirad 819(0.15質量%)、Genorad 16(0.1質量%)、ポリテトラヒドロフラン(9.0質量%)、及びDesmodur BL3475(41.0質量%)が混合された。インクは、上記のとおり成型され、140℃で1時間後硬化された。
【0132】
最終的な物体の最終性質は次のとおりであった:
最大引張強度:2MPa
破断伸び:110%
E-弾性率:1MPa
硬度(熱後硬化後):A25
【0133】
例14の粘度安定性は、以下のとおり測定される:
【表26】
【0134】
ブロック化剤マロン酸ジエチルを含むこのインクジェットインクの60℃における安定性は、低すぎてインクをさらに処理できないものであると測定される。
【表27】
【0135】
前記インクジェット組成物は、次のものを含む:
(I)(M)及び(N)のアクリロイル基のmol/kg:2.22
(II)反応性化合物(N)によって提供されるアクリロイル基のmol%:20.3
(III)含有されるアクリロイル基(M)及び(N)と、化合物(D)の含有されるイソシアネート基とのモル比:1.18
【手続補正書】
【提出日】2023-11-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0135
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0135】
前記インクジェット組成物は、次のものを含む:
(I)(M)及び(N)のアクリロイル基のmol/kg:2.22
(II)反応性化合物(N)によって提供されるアクリロイル基のmol%:20.3
(III)含有されるアクリロイル基(M)及び(N)と、化合物(D)の含有されるイソシアネート基とのモル比:1.18
本開示は以下も包含する。
<態様1>
1.8~3.3mol/kgのアクリロイル基を有するインクジェット組成物であって、このインクジェット組成物は、
(i)正確に1つのアクリロイル基を含有する光重合反応性化合物(M)、
(ii)少なくとも2つのアクリロイル基を含有する光重合反応性化合物(N)、
(iii)ラジカル光開始剤(R)、
(iv)少なくとも2つのイソシアネート基を含有するイソシアネート化合物(D)、及び
(v)少なくとも1つのヒドロキシル基を含有する化合物(H)
を含み、
前記(M)は前記(D)とは異なり、ただし、正確に1つのアクリロイル基を含有しかつ少なくとも2つのイソシアネート基をさらに含有するイソシアネート化合物は、前記(D)に含められるべきであり;
前記(N)は前記(D)とは異なり、ただし、少なくとも2つのアクリロイル基を含有しかつ少なくとも2つのイソシアネート基をさらに含有するイソシアネート化合物は、前記(D)に含められるべきであり;
前記(H)は前記(D)、前記(M)、及び前記(N)とは異なり;
含有されるアクリロイル基の10~28mol%は、前記反応性化合物(N)によって提供されたものであり、含有されるアクリロイル基と前記化合物(D)の含有されるイソシアネート基とのモル比は、0.9~3.3である、インクジェット組成物。
<態様2>
2.0~3.0mol/kgのアクリロイル基を有する、上記態様1に記載のインクジェット組成物。
<態様3>
含有されるアクリロイル基の10~25mol%が、前記反応性化合物(N)によって提供されたものである、上記態様1又は2に記載のインクジェット組成物。
<態様4>
前記反応性化合物(N)の90~100mol%、好ましくは95~100mol%は、3つ以下のアクリロイル基を含有する種によって提供されたものである、上記態様1~3のいずれかに記載のインクジェット組成物。
<態様5>
含有されるアクリロイル基と前記化合物(D)の含有されるイソシアネート基とのモル比が、1.0~3.0である、上記態様1~4のいずれかに記載のインクジェット組成物。
<態様6>
前記ラジカル光開始剤(R)の種は、ホスフィンオキシド系光開始剤によって、好ましくは、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、及び/又はフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドによって、提供されたものである、上記態様1~5のいずれかに記載のインクジェット組成物。
<態様7>
前記(D)の種の少なくとも90mol%、好ましくは、前記(D)の種の少なくとも99mol%は、完全にブロック化された(すべてのイソシアネート基がブロック化されている)形態で提供されたものであり、好ましくは、ε-カプロラクタムがブロック基として用いられたものである、上記態様1~6のいずれかに記載のインクジェット組成物。
<態様8>
前記化合物(H)の含有されるヒドロキシル基と前記化合物(D)の含有されるイソシアネート基とのモル比が、0.8~2.0、好ましくは1.0~1.5である、上記態様1~7のいずれかに記載のインクジェット組成物。
<態様9>
前記含有されるヒドロキシル基の少なくとも60mol%、好ましくは少なくとも90mol%は、正確に2つのヒドロキシル基を有する前記(H)の種(ジオールである)によって提供されたものである、上記態様1~8のいずれかに記載のインクジェット組成物。
<態様10>
含有される成分の、90~100質量%、好ましくは97~100質量%は、前記(M)、前記(N)、前記(R)、前記(D)、及び前記(H)の種によって提供されたものである、上記態様1~9のいずれかに記載のインクジェット組成物。
<態様11>
45℃において10~150mPa.sの粘度を有し、ここで粘度は、コーンプレート幾何構造の熱制御回転レオメーター(コーン直径:60mm、ゼロ-ギャップ距離:0.061mm、コーン角:0.5°、剪断速度600s
-1
)で、DIN EN ISO 3219に従って、2K/分の加熱速度で40~60℃の温度で測定されるものである、上記態様1~10のいずれかに記載のインクジェット組成物。
<態様12>
カチオン(光)重合開始剤、又はアニオン(光)重合開始剤を含有しない、上記態様1~11のいずれかに記載のインクジェット組成物。
<態様13>
6質量%未満、より好ましくは2質量%未満の、アクリロイル基を含有しないラジカル重合性モノマーを含有する、上記態様1~12のいずれかに記載のインクジェット組成物。
<態様14>
安定化剤、湿潤剤、ラジカル重合禁止剤、消泡剤、及び/又は顔料をさらに含有する、上記態様1~13のいずれかに記載のインクジェット組成物。
<態様15>
次のステップ:
(a)上記態様1~14のいずれかに記載のインクジェット組成物を印刷機によって噴射して、物体の形状に対応する構成パターンの層を形成すること、
(b)形成された層を照射して、光硬化した層を形成すること、
(c)前記ステップ(a)及び(b)を順次繰り返して複数の光硬化した層を形成し、三次元物体のグリーン体を調製すること、並びに
(d)前記グリーン体を加熱して、三次元物体を後硬化すること
を含む、三次元物体を印刷する方法。
<態様16>
前記グリーン体を安定化するために、さらに、支持インクが印刷され、硬化され、この硬化された支持インクは、水溶性であり、水性洗浄液体で処理することによって、前記ステップc)の後かつ前記ステップ(d)の実施の前に除去される、上記態様15に記載の方法。
<態様17>
前記ステップ(d)が、140~190℃の温度が少なくとも1時間にわたって維持されるように実施される、上記態様15又は16に記載の方法。
<態様18>
前記ステップ(b)において、照射は、UVランプによって実施され、各インク層の露光時間は0.1~2秒である、上記態様15~17のいずれかに記載の方法。
<態様19>
上記態様15~18のいずれかに記載の方法によって製造された、三次元物体。
<態様20>
三次元物体を製造するための、上記態様1~14のいずれかに記載のインクジェット組成物の使用。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1.8~3.3mol/kgのアクリロイル基を有するインクジェット組成物であって、このインクジェット組成物は、
(i)正確に1つのアクリロイル基を含有する光重合反応性化合物(M)、
(ii)少なくとも2つのアクリロイル基を含有する光重合反応性化合物(N)、
(iii)ラジカル光開始剤(R)、
(iv)少なくとも2つのイソシアネート基を含有するイソシアネート化合物(D)、及び
(v)少なくとも1つのヒドロキシル基を含有する化合物(H)
を含み、
前記(M)は前記(D)とは異なり、ただし、正確に1つのアクリロイル基を含有しかつ少なくとも2つのイソシアネート基をさらに含有するイソシアネート化合物は、前記(D)に含められるべきであり;
前記(N)は前記(D)とは異なり、ただし、少なくとも2つのアクリロイル基を含有しかつ少なくとも2つのイソシアネート基をさらに含有するイソシアネート化合物は、前記(D)に含められるべきであり;
前記(H)は前記(D)、前記(M)、及び前記(N)とは異なり;
含有されるアクリロイル基の10~28mol%は、前記反応性化合物(N)によって提供されたものであり、含有されるアクリロイル基と前記化合物(D)の含有されるイソシアネート基とのモル比は、0.9~3.3である、インクジェット組成物。
【請求項2】
2.0~3.0mol/kgのアクリロイル基を有する、請求項1に記載のインクジェット組成物。
【請求項3】
含有されるアクリロイル基の10~25mol%が、前記反応性化合物(N)によって提供されたものである、請求項1又は2に記載のインクジェット組成物。
【請求項4】
前記反応性化合物(N)の90~100mol%、好ましくは95~100mol%は、3つ以下のアクリロイル基を含有する種によって提供されたものである、請求項1
又は2に記載のインクジェット組成物。
【請求項5】
含有されるアクリロイル基と前記化合物(D)の含有されるイソシアネート基とのモル比が、1.0~3.0である、請求項1
又は2に記載のインクジェット組成物。
【請求項6】
前記ラジカル光開始剤(R)の種は、ホスフィンオキシド系光開始剤によって、好ましくは、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、及び/又はフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドによって、提供されたものである、請求項1
又は2に記載のインクジェット組成物。
【請求項7】
前記(D)の種の少なくとも90mol%、好ましくは、前記(D)の種の少なくとも99mol%は、完全にブロック化された(すべてのイソシアネート基がブロック化されている)形態で提供されたものであり、好ましくは、ε-カプロラクタムがブロック基として用いられたものである、請求項1
又は2に記載のインクジェット組成物。
【請求項8】
前記化合物(H)の含有されるヒドロキシル基と前記化合物(D)の含有されるイソシアネート基とのモル比が、0.8~2.0、好ましくは1.0~1.5である、請求項1
又は2に記載のインクジェット組成物。
【請求項9】
前記含有されるヒドロキシル基の少なくとも60mol%、好ましくは少なくとも90mol%は、正確に2つのヒドロキシル基を有する前記(H)の種(ジオールである)によって提供されたものである、請求項1
又は2に記載のインクジェット組成物。
【請求項10】
含有される成分の、90~100質量%、好ましくは97~100質量%は、前記(M)、前記(N)、前記(R)、前記(D)、及び前記(H)の種によって提供されたものである、請求項1
又は2に記載のインクジェット組成物。
【請求項11】
45℃において10~150mPa.sの粘度を有し、ここで粘度は、コーンプレート幾何構造の熱制御回転レオメーター(コーン直径:60mm、ゼロ-ギャップ距離:0.061mm、コーン角:0.5°、剪断速度600s
-1)で、DIN EN ISO 3219に従って、2K/分の加熱速度で40~60℃の温度で測定されるものである、請求項1
又は2に記載のインクジェット組成物。
【請求項12】
カチオン(光)重合開始剤
及び/又はアニオン(光)重合開始剤を含有しない、請求項1
又は2に記載のインクジェット組成物。
【請求項13】
6質量%未満、より好ましくは2質量%未満の、アクリロイル基を含有しないラジカル重合性モノマーを含有する、請求項1
又は2に記載のインクジェット組成物。
【請求項14】
安定化剤、湿潤剤、ラジカル重合禁止剤、消泡剤、及び/又は顔料をさらに含有する、請求項1
又は2に記載のインクジェット組成物。
【請求項15】
次のステップ:
(a)請求項1
又は2に記載のインクジェット組成物を印刷機によって噴射して、物体の形状に対応する構成パターンの層を形成すること、
(b)形成された層を照射して、光硬化した層を形成すること、
(c)前記ステップ(a)及び(b)を順次繰り返して複数の光硬化した層を形成し、三次元物体のグリーン体を調製すること、並びに
(d)前記グリーン体を加熱して、三次元物体を後硬化すること
を含む、三次元物体を印刷する方法。
【請求項16】
前記グリーン体を安定化するために、さらに、支持インクが印刷され、硬化され、この硬化された支持インクは、水溶性であり、水性洗浄液体で処理することによって、前記ステップc)の後かつ前記ステップ(d)の実施の前に除去される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ステップ(d)が、140~190℃の温度が少なくとも1時間にわたって維持されるように実施される、請求項1
5に記載の方法。
【請求項18】
前記ステップ(b)において、照射は、UVランプによって実施され、各インク層の露光時間は0.1~2秒である、請求項1
5に記載の方法。
【請求項19】
請求項1
5に記載の方法によって製造された、三次元物体。
【請求項20】
三次元物体を製造するための、請求項1
又は2に記載のインクジェット組成物の使用。
【国際調査報告】