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特表2024-521667抗-CD205抗体及び免疫チェックポイント・インヒビターを含む組み合わせ医薬
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】抗-CD205抗体及び免疫チェックポイント・インヒビターを含む組み合わせ医薬
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20240528BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20240528BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240528BHJP
   A61K 31/537 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240528BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20240528BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61K47/68
A61P35/00
A61P35/02
A61K31/537
A61P43/00 121
C07K16/28 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571224
(86)(22)【出願日】2022-05-19
(85)【翻訳文提出日】2023-12-18
(86)【国際出願番号】 GB2022051256
(87)【国際公開番号】W WO2022248835
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】2107518.9
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2108387.8
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109271.3
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515114740
【氏名又は名称】オックスフォード バイオセラピューティックス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】OXFORD BIOTHERAPEUTICS LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100167623
【弁理士】
【氏名又は名称】塚中 哲雄
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン ロールフ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076BB11
4C076CC27
4C076EE59
4C085AA14
4C085BB01
4C085BB11
4C085CC23
4C085EE03
4C085GG01
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB22
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA65
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZC75
4H045AA10
4H045AA11
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
(57)【要約】
本発明は、がんに罹患している患者において、抗-腫瘍免疫反応を増加させるための方法、がんを治療するための又は予防するための方法、及びPD1/PD-L1相互作用のインヒビターの効果を増強させるための方法、に関する。併せて、(a)CD205をターゲットとした、抗体、又はその抗原-結合部分、及び(b)PD1/PD-L1チェックポイント・インヒビター、を含む組み合わせ医薬、も提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
がんを治療するための又は予防するための方法、ここで、前記方法は、それを必要とする患者に、CD205+免疫調節性細胞の集団を調節する抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、及びチェックポイント・モジュレータ―を含む組成物の治療的有効量を、投与するステップを含む。
【請求項2】
請求項1に記載の方法、ここで、前記チェックポイント・モジュレータ―は、PD1, PD-L1, PD-L2, CTLA-4, ICOS, TIGIT, CD28, TMIGD2, CD137, CD137L, CD27, OX40, OX40L, LAG3, VISTA, GITR, DNAM-1, CD96, 2B4, TIM-3, CEACAM, CRTAM, SLAMF6, ガレクチン-9, CD48, CD155, GITRL, CD40, CD40L, CD70, HVEM, B7-H7, B7-H3, B7-H4, ICOSL, CD80, CD86, BTLA, CD160, LIGHT, アデノシンA2aレセプター, SIRPアルファ, DC-SIGN, CD200R, DR3, TL1A, CD200, BTN2A1, CD47, IDO, TDO、を含む群より選択されるチェックポイント・タンパク質をターゲットとする。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法、ここで、前記チェックポイント・モジュレータ―は、PD1又はPD-L1インヒビター、好ましくはPD1、である。
【請求項4】
患者においてPD-1/PD-L1のインヒビターの効果を増強するための方法、ここで、前記患者は、それを必要とするとして同定されている、ここで、前記方法は、前記患者に、(a) CD205+免疫調節性細胞の集団を調節する抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、及び(b) PD-1/PD-L1相互作用のインヒビターを含む組成物を、投与するステップを含む。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の方法、ここで、CD205+免疫調節性細胞の集団を調節する抗体又はその抗原結合フラグメントを、及びPD-1/PD-L1のインヒビターを含む組成物を、同時に、別々に、又は連続的に、好ましくは連続的に、投与する。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一項に記載の方法、ここで、前記チェックポイント・モジュレータ―は、抗体である。
【請求項7】
請求項6に記載の方法、ここで、前記抗体は、抗PD1又はPD-L1抗体である。
【請求項8】
請求項7に記載の方法、ここで、前記抗-PD-1抗体は、ニボルマブ(MDX-1 106、オプジーボ; Bristol-Myers Squibb)、ペムブロリズマブ(MK-3475、キイトルーダ(Keytruda)、ラムブロリズマブ、BMS-936558; Merck)、セミプリマブ(REGN-2810、リブタヨ(Libtayo); Regeneron)、ドスタルリマブ(TSR-042、Tesaro、Inc.)、EH12.2H7(ENUM-388D4、BioLegend、カタログ番号329902)、バルスチリマブ(Balstilimab) (Agenus Inc.)、である。
【請求項9】
請求項7に記載の方法、ここで、前記抗-PD-L1抗体は、アベルマブ(バベンチオ; EMDセローノ、ファイザー)、デュルバルマブ(イミフィンジ、アストラゼネカ)、BMS-936559、アテゾリズマブ(テセントリク、ジェネンテック)、である。
【請求項10】
請求項1から9の何れか一項に記載の方法、ここで、前記患者は、前記チェックポイント・モジュレータ―の投与前に、CD205+免疫調節性細胞の集団を調節する抗体又はその抗原結合フラグメントの投与を、少なくとも1サイクル、少なくとも2サイクル、少なくとも3サイクル、少なくとも4サイクル、又は少なくとも5サイクル、受ける。
【請求項11】
請求項10に記載の方法、ここで、前記患者は、前記チェックポイント・モジュレータ―の投与前に、CD205+免疫調節性細胞の集団を調節する抗体又はその抗原結合フラグメントの投与を、1から5サイクル、2から4サイクル、又は2から3サイクル、受ける。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の方法、ここで、前記患者は、その後に、チェックポイント・モジュレータ―の投与を、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4又は少なくとも5サイクル以上、受ける。
【請求項13】
請求項1から12の何れか一項に記載の方法、ここで、前記チェックポイント・モジュレータ―を、CD205+免疫調節性細胞の集団を調節する抗体又はその抗原結合フラグメントの投与後7日と12週の間に、好ましくは7日と10週、若しくは7日と8週、若しくは7日と6週、若しくは7日と4週、又は7日と21日、若しくは10日と19日、若しくは12日と16日、若しくは14日と16日、若しくは19日と28日、より好ましくは20日と25日、最も好ましくは21日と24日、の間に、投与する。
【請求項14】
がんに罹患している患者において抗-腫瘍免疫反応を増加させるための方法、ここで、前記方法は、前記患者に、CD205+免疫調節性細胞の集団を調節する抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、投与するステップを含む。
【請求項15】
請求項14に記載の方法、ここで、前記抗-腫瘍免疫反応は、免疫細胞媒介性腫瘍特異的反応である。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の方法、ここで、前記抗-腫瘍免疫反応は、NK細胞媒介性腫瘍特異的反応である。
【請求項17】
請求項14又は15に記載の方法、ここで、前記抗-腫瘍免疫反応は、T-細胞媒介性腫瘍特異的反応である。
【請求項18】
がんに罹患している患者においてT-細胞の数を増加させるための方法、ここで、前記方法は、前記患者に、CD205+免疫調節性細胞の集団を調節する抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、投与するステップを含む。
【請求項19】
がんに罹患している患者において腫瘍のサイズを減少させるための方法、ここで、前記方法は、前記患者に、CD205+免疫調節性細胞の集団を調節する抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、投与するステップを含む。
【請求項20】
請求項19に記載の方法、ここで、前記腫瘍は、転移性腫瘍である。
【請求項21】
請求項20に記載の方法、ここで、前記転移性腫瘍は、肺又は肝臓である。
【請求項22】
請求項1から21の何れか一項に記載の方法、ここで、CD205+免疫調節性細胞の集団は、CD8+である。
【請求項23】
請求項22に記載の方法、ここで、CD205+ CD8+免疫調節性細胞の集団は、減少する。
【請求項24】
請求項1から21の何れか一項に記載の方法、ここで、前記免疫調節性細胞は、pDC及び/又はmDCである。
【請求項25】
請求項24に記載の方法、ここで、pDC及び/又はmDCの集団は、増加する。
【請求項26】
請求項1から21の何れか一項に記載の方法、ここで、CD205+免疫調節性細胞の集団は、CD4+である。
【請求項27】
請求項26に記載の方法、ここで、CD205+ CD4+免疫調節性細胞の集団は、減少する。
【請求項28】
請求項22から23又は26から27の何れか一項に記載の方法、ここで、前記免疫調節性細胞は、T-Reg細胞である。
【請求項29】
請求項1から28の何れか一項に記載の方法、ここで、前記免疫調節性細胞は、免疫抑制性細胞である。
【請求項30】
請求項17から29の何れか一項に記載の方法、ここで、前記T-細胞は、CD8+ T-細胞である。
【請求項31】
請求項17から29の何れか一項に記載の方法、ここで、前記T-細胞は、CD4+ T-細胞である。
【請求項32】
請求項18から31の何れか一項に記載の方法、ここで、前記患者は、同時に、別々に、連続的に、又はその後に、がんワクチンの投与を受ける。
【請求項33】
請求項18から31の何れか一項に記載の方法、ここで、前記患者は、同時に、別々に、連続的に、又はその後に、バイスペシフィック抗体(bispecific antibody) の投与を受ける。
【請求項34】
請求項33に記載の方法、ここで、前記バイスペシフィック抗体(bispecific antibody)は、T-細胞エンゲージャー(BiTE)である。
【請求項35】
請求項33又は請求項34に記載の方法、ここで、前記バイスペシフィック抗体(bispecific antibody)は、CD3に結合する第1の結合ドメインを含む。
【請求項36】
請求項33から35の何れか一項に記載の方法、ここで、前記バイスペシフィック抗体(bispecific antibody)は、腫瘍特異的抗原に結合する第2の結合ドメインを含む。
【請求項37】
請求項1から36の何れか一項に記載の方法、ここで、前記患者は、少なくとも1種の化学療法に、不応性である、又は少なくとも1種の化学療法中に、その患者のがんは進行している。
【請求項38】
請求項1から37の何れか一項に記載の方法、ここで、前記患者は、チェックポイント・モジュレータ―療法に、不応性である。
【請求項39】
請求項1から38の何れか一項に記載の方法、ここで、前記患者は、チェックポイント・モジュレータ―療法に、不適格である。
【請求項40】
請求項39に記載の方法、ここで、前記チェックポイント・モジュレータ―療法は、PD1療法である。
【請求項41】
請求項1から40の何れか一項に記載の方法、ここで、前記がんは、PDL1陰性又は低値である。
【請求項42】
請求項41に記載の方法、ここで、前記患者は、PD-L1発現が、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満又は1%未満、であるがんを有する。
【請求項43】
請求項1から42の何れか一項に記載の方法、ここで、前記がんは、MSI安定である。
【請求項44】
前記請求項の何れか一項に記載の方法、ここで、前記患者から以前に単離した血液サンプル中のCD8+細胞の、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又はそれ以上、はCD205+である。
【請求項45】
前記請求項の何れか一項に記載の方法、ここで、前記患者から以前に単離した血液サンプル中のCD4+細胞の、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又はそれ以上、はCD205+である。
【請求項46】
前記請求項の何れか一項に記載の方法、ここで、前記患者から以前に単離した血液サンプル中のpDC及び/又はmDCの、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又はそれ以上、はCD205+である。
【請求項47】
前記請求項の何れか一項に記載の方法、ここで、前記抗体又はその抗原結合部分は、CD205に結合する。
【請求項48】
前記請求項の何れか一項に記載の方法、ここで、前記抗体又はその抗原結合部分は、CD205に結合する、及び以下を含む:
以下を含む重鎖可変領域:
iii) 配列番号(SEQ ID NO): 5を含む第1のvhCDR;
ii) 配列番号(SEQ ID NO): 6を含む第2のvhCDR;
iii) 配列番号(SEQ ID NO): 7を含む第3のvhCDR;及び、
以下を含む軽鎖可変領域:
iii) 配列番号(SEQ ID NO): 8を含む第1のvlCDR;
ii) 配列番号(SEQ ID NO): 9を含む第2のvlCDR;
iii) 配列番号(SEQ ID NO): 10を含む第3のvlCDR;
ここで、任意選択的に、上記の配列番号(SEQ ID NO)の何れか1つ以上は、1つの又は2つのアミノ酸置換、好ましくは保存的置換、を独立して含む。
【請求項49】
前記請求項の何れか一項に記載の方法、ここで、前記抗体又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 1と少なくとも80%、85%、90%、95%又は99%のアミノ酸配列同一性を有する重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 2と少なくとも80%、85%、90%、95%又は99%のアミノ酸配列同一性を有する軽鎖可変領域、を含む。
【請求項50】
前記請求項の何れか一項に記載の方法、ここで、CD205に結合する抗体は、以下を含む、
(iii) 配列番号(SEQ ID NO): 100と少なくとも80%、85%、90%、95%、99%又は100%のアミノ酸配列同一性を有する重鎖;及び、
(ii) 配列番号(SEQ ID NO): 101と少なくとも80%、85%、90%、95%、99%又は100%のアミノ酸配列同一性を有する軽鎖。
【請求項51】
前記請求項の何れか一項に記載の方法、ここで、前記抗体又はその抗原-結合部分は、共有-結合した部分構造を更に含む。
【請求項52】
請求項51に記載の方法、ここで、前記部分構造は、薬物である。
【請求項53】
請求項52に記載の方法、ここで、前記薬物は、メイタンシノイド、ドラスタチン、ヘミアステルリン、アウリスタチン、トリコテセン、カリケアマイシン、デュオカルマイシン、バクテリア免疫毒素、ピラノインドイジノキノリン、カンプトテシン、アントラサイクリン、アンテアマイシン、チエノインドール、アマトキシン、CC1065又はタキソール、及びそれらの誘導体、からなる群より選択される。
【請求項54】
請求項53に記載の方法、ここで、前記薬物は、DM4及びDM1、好ましくはDM4、からなる群より選択されるメイタンシノイドである。
【請求項55】
前記請求項の何れかに記載の方法、ここで、前記がんは、CD205陽性がんである。
【請求項56】
前記請求項の何れか一項に記載の方法、ここで、前記がんは、胃がん(gastric cancer)、子宮内膜がん、食道がん(esophageal cancer)、肺がん、卵巣がん、胃食道接合部(gastroesophageal junction)がん、膵臓がん、乳がん、結腸直腸がん、皮膚がん、甲状腺がん、腎臓がん(kidney cancer)、肝臓がん、頭頸部がん、膀胱がん、白血病、好ましくは急性骨髄性白血病又は慢性リンパ性白血病、骨髄腫、好ましくは多発性骨髄腫及びリンパ腫、好ましくはびまん性大細胞型B-細胞リンパ腫(DLBCL)、B-細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、粘膜関連リンパ組織(モルト(MALT))のリンパ腫、T-細胞/組織球豊富型B-細胞リンパ腫、バーキット・リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、T細胞リンパ腫、末梢T-細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫及び血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、からなる群より選択される。
【請求項57】
請求項56に記載の方法、ここで、前記がんは、胃がん(gastric cancer)、子宮内膜がん、食道がん(esophageal cancer)、肺がん、卵巣がん、胃食道接合部(gastroesophageal junction)がん、がん乳がん、膀胱がん、及び腎臓がん(renal cancer)、を含む群より選択される。
【請求項58】
前記請求項の何れかに記載の方法、ここで、前記患者は、ヒトである。
【請求項59】
以下含む組み合わせ医薬:
iii) 抗CD205抗体又はその抗原結合部分、ここで、前記抗体は、以下を含む:
以下を含む重鎖可変領域:
iii) 配列番号(SEQ ID NO): 5を含む第1のvhCDR;
ii) 配列番号(SEQ ID NO): 6を含む第2のvhCDR;
iii) 配列番号(SEQ ID NO): 7を含む第3のvhCDR;及び、
以下を含む軽鎖可変領域:
iii) 配列番号(SEQ ID NO): 8を含む第1のvlCDR;
ii) 配列番号(SEQ ID NO): 9を含む第2のvlCDR;
iii) 配列番号(SEQ ID NO): 10を含む第3のvlCDR;並びに、
b) チェックポイント・モジュレータ―。
【請求項60】
請求項59に記載の組み合わせ医薬、ここで、前記組み合わせ医薬は、同時に、別々に、又は連続的に、好ましくは連続的に、使用をするために組み合わせた製剤の形体である。
【請求項61】
請求項59又は請求項60に記載の組み合わせ医薬、ここで、前記チェックポイント・モジュレータ―は、PD1/PD-L1インヒビターである、好ましくは、前記PD1/PD-L1インヒビターは、抗体である。
【請求項62】
請求項61に記載の組み合わせ医薬、ここで、前記PD1/PD-L1インヒビターは、ニボルマブ(MDX-1 106、オプジーボ; Bristol-Myers Squibb)、ペムブロリズマブ(MK-3475、キイトルーダ(Keytruda)、ラムブロリズマブ、BMS-936558; Merck)、ドスタルリマブ(TSR-042、Tesaro、Inc.)、セミプリマブ(REGN-2810、リブタヨ(Libtayo); Regeneron)、EH12.2H7(BioLegend、カタログ番号329902)、、バルスチリマブ(Balstilimab) (Agenus Inc.)、アベルマブ(バベンチオ; EMDセローノ、ファイザー)、デュルバルマブ(イミフィンジ、アストラゼネカ)、BMS-936559、アテゾリズマブ(テセントリク、ジェネンテック)、又はそれらの均等物、である。
【請求項63】
請求項59から62の何れか一項に記載の組み合わせ医薬、ここで、前記抗CD205抗体又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 1と少なくとも80%、85%、90%、95%又は99%のアミノ酸配列同一性を有する重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 2と少なくとも80%、85%、90%、95%又は99%のアミノ酸配列同一性を有する軽鎖可変領域、を含む。
【請求項64】
請求項59から62の何れか一項に記載の組み合わせ医薬、ここで、CD205に結合する抗体は、以下を含む;
(i) 配列番号(SEQ ID NO): 100と少なくとも80%、85%、90%、95%、99%又は100%のアミノ酸配列同一性を有する重鎖;及び
(ii) 配列番号(SEQ ID NO): 101と少なくとも80%、85%、90%、95%、99%又は100%のアミノ酸配列同一性を有する軽鎖。
【請求項65】
請求項59から64の何れか一項に記載の組み合わせ医薬、ここで、前記抗体又はその抗原-結合部分は、共有-結合した部分構造を更に含む。
【請求項66】
請求項65に記載の組み合わせ医薬、ここで、前記部分構造は、薬物である。
【請求項67】
請求項66に記載の組み合わせ医薬、ここで、前記薬物は、メイタンシノイド、ドラスタチン、ヘミアステルリン、アウリスタチン、トリコテセン、カリケアマイシン、デュオカルマイシン、バクテリア免疫毒素、ピラノインドイジノキノリン、カンプトテシン、アントラサイクリン、アンテアマイシン、チエノインドール、アマトキシン、CC1065又はタキソール、及びそれらの誘導体、からなる群より選択される。
【請求項68】
請求項67に記載の組み合わせ医薬、ここで、前記薬物は、DM4及びDM1、好ましくはDM4、からなる群より選択されるメイタンシノイドである。
【請求項69】
請求項59から68の何れか一項に記載の組み合わせ医薬、ここで、前記組み合わせ医薬は、少なくとも1種の薬学的に許容可能な、希釈剤、賦形剤、又は担体、を含む。
【請求項70】
がんに罹患している患者において抗-腫瘍免疫反応を増加させる際に使用をするための、CD205+免疫調節性細胞の集団を調節する抗体又はその抗原結合部分。
【請求項71】
請求項70に記載の使用をするための、抗体又はその抗原結合部分、ここで、前記抗-腫瘍免疫反応は、免疫細胞媒介性腫瘍特異的反応である。
【請求項72】
請求項70又は請求項71に記載の使用をするための、抗体又はその抗原結合部分、ここで、前記抗-腫瘍免疫反応は、NK細胞媒介性腫瘍特異的反応である。
【請求項73】
請求項70から72の何れか一項に記載の使用をするための、抗体又はその抗原結合部分、ここで、前記抗-腫瘍免疫反応は、T-細胞媒介性腫瘍特異的反応である。
【請求項74】
がんに罹患している患者においてT-細胞の数を増加させる際に使用をするための、CD205+免疫調節性細胞の集団を調節する抗体又はその抗原結合部分。
【請求項75】
請求項70から74の何れか一項に記載の使用をするための、抗体又はその抗原結合部分、ここで、CD205+免疫調節性細胞の集団は、CD8+である。
【請求項76】
請求項75に記載の使用をするための、抗体又はその抗原結合部分、ここで、CD205+ CD8+免疫調節性細胞の集団は、減少する。
【請求項77】
請求項70から74の何れか一項に記載の使用をするための、抗体又はその抗原結合部分、ここで、前記免疫調節性細胞は、pDC及び/又はmDCである。
【請求項78】
請求項77に記載の使用をするための、抗体又はその抗原結合部分、ここで、pDC及び/又はmDCの集団は、増加する。
【請求項79】
請求項70から74の何れか一項に記載の使用をするための、抗体又はその抗原結合部分、ここで、CD205+免疫調節性細胞の集団は、CD4+である。
【請求項80】
請求項79に記載の使用をするための、抗体又はその抗原結合部分、ここで、CD205+ CD4+免疫調節性細胞の集団は、減少する。
【請求項81】
請求項75から76又は79から80の何れか一項に記載の使用をするための、抗体又はその抗原結合部分、ここで、前記免疫調節性細胞は、T-Reg細胞である。
【請求項82】
請求項70から81の何れか一項に記載の使用をするための、抗体又はその抗原結合部分、ここで、前記免疫調節性細胞は、免疫抑制性細胞である。
【請求項83】
請求項73から82の何れか一項に記載の使用をするための、抗体又はその抗原結合部分、ここで、前記T-細胞は、CD8+ T-細胞である。
【請求項84】
請求項73から82の何れか一項に記載の使用をするための、抗体又はその抗原結合部分、ここで、前記T-細胞は、CD4+ T-細胞である。
【請求項85】
請求項70から84の何れか一項に記載の使用をするための、抗体又はその抗原結合部分、ここで、前記患者は、同時に、別々に、連続的に、又はその後に、がんワクチンの投与を受ける。
【請求項86】
請求項70から84の何れか一項に記載の使用をするための、抗体又はその抗原結合部分、ここで、前記患者は、同時に、別々に、連続的に、又はその後に、バイスペシフィック抗体(bispecific antibody) の投与を受ける。
【請求項87】
請求項86に記載の使用をするための、抗体又はその抗原結合部分、ここで、前記バイスペシフィック抗体(bispecific antibody)は、T-細胞エンゲージャー(BiTE)である。
【請求項88】
請求項86又は請求項82に記載の使用をするための、抗体又はその抗原結合部分、ここで、前記バイスペシフィック抗体(bispecific antibody)は、CD3に結合する第1の結合ドメインを含む。
【請求項89】
請求項86から88の何れか一項に記載の使用をするための、抗体又はその抗原結合部分、ここで、前記バイスペシフィック抗体(bispecific antibody)が、腫瘍特異的抗原に結合する第二の結合ドメインを含む。
【請求項90】
請求項70から89の何れか一項に記載の使用をするための、抗体又はその抗原結合部分、ここで、前記患者は、少なくとも1種の化学療法に、不応性である、又は少なくとも1種の化学療法中に、その患者のがんは進行している。
【請求項91】
請求項70から90の何れか一項に記載の使用をするための、抗体又はその抗原結合部分、ここで、前記患者は、チェックポイント・モジュレータ―療法に、不応性である。
【請求項92】
請求項91に記載の使用をするための、抗体又はその抗原結合部分、ここで、前記チェックポイント・モジュレータ―療法は、PD1インヒビター療法である。
【請求項93】
請求項70から92の何れか一項に記載の使用をするための、抗体又はその抗原結合部分、ここで、前記がんは、PDL1陰性又は低値である。
【請求項94】
請求項93に記載の使用をするための、抗体又はその抗原結合部分、ここで、前記がんは、PD-L1発現が、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満又は1%未満、である。
【請求項95】
請求項70から94の何れか一項に記載の使用をするための、抗体又はその抗原結合部分、ここで、前記がんは、MSI安定である。
【請求項96】
請求項70から95の何れか一項に記載の使用をするための、抗体又はその抗原結合部分、ここで、前記患者から以前に単離した血液サンプル中のCD8+細胞の、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又はそれ以上、はCD205+である。
【請求項97】
請求項70から95の何れか一項に記載の使用をするための、抗体又はその抗原結合部分、ここで、前記患者から以前に単離した血液サンプル中のCD4+細胞の、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又はそれ以上、はCD205+である。
【請求項98】
請求項70から95の何れか一項に記載の使用をするための、抗体又はその抗原結合部分、ここで、前記患者から以前に単離した血液サンプル中のpDC及び/又はmDCの、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又はそれ以上、はCD205+である。
【請求項99】
がんを治療する際に又は予防する際に使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記組み合わせ剤は、以下を含む;CD205+免疫調節性細胞の集団を調節する抗体又はその抗原結合部分;及びチェックポイント・モジュレータ―を含む組成物。
【請求項100】
請求項99に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記チェックポイント・モジュレータ―は、PD1, PD-L1, PD-L2, CTLA-4, ICOS, TIGIT, CD28, TMIGD2, CD137, CD137L, CD27, OX40, OX40L, LAG3, VISTA, GITR, DNAM-1, CD96, 2B4, TIM-3, CEACAM, CRTAM, SLAMF6, ガレクチン-9, CD48, CD155, GITRL, CD40, CD40L, CD70, HVEM, B7-H7, B7-H3, B7-H4, ICOSL, CD80, CD86, BTLA, CD160, LIGHT, アデノシンA2aレセプター, SIRPアルファ, DC-SIGN, CD200R, DR3, TL1A, CD200, BTN2A1, CD47, IDO, TDO、を含む群より選択されるチェックポイント・タンパク質をターゲットとする。
【請求項101】
請求項99又は100に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記チェックポイント・モジュレータ―は、PD1又はPD-L1インヒビター、好ましくはPD1、である。
【請求項102】
患者においてPD-1/PD-L1相互作用のインヒビターの効果を増強する際に使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記組み合わせ剤は、以下を含む;CD205+免疫調節性細胞の集団を調節する抗体又はその抗原結合部分;及び、PD-1/PD-L1相互作用のインヒビターを含む組成物。
【請求項103】
請求項99から102の何れか一項に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記組み合わせ医薬は、同時に、別々に、又は連続的に、好ましくは連続的に、使用をするために組み合わせた製剤の形体である。
【請求項104】
請求項99から103の何れか一項に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、CD205+免疫調節性細胞の集団は、CD8+である。
【請求項105】
請求項104に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、CD205+ CD8+免疫調節性細胞の集団は、減少する。
【請求項106】
請求項99から103の何れか一項に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、免疫調節性細胞は、pDC及び/又はmDCである。
【請求項107】
請求項106に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、pDC及び/又はmDCの集団は、増加する。
【請求項108】
請求項99から103の何れか一項に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、CD205+免疫調節性細胞の集団は、CD4+である。
【請求項109】
請求項108に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、CD205+ CD4+免疫調節性細胞の集団は、減少する。
【請求項110】
請求項104から105又は108から109の何れか一項に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記免疫調節性細胞は、T-Reg細胞である。
【請求項111】
請求項99から110の何れか一項に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記免疫調節性細胞は、免疫抑制性細胞である。
【請求項112】
請求項99から111の何れか一項に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記患者は、同時に、別々に、連続的に、又はその後に、がんワクチンの投与を受ける。
【請求項113】
請求項99から111の何れか一項に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記患者は、同時に、別々に、連続的に、又はその後に、バイスペシフィック抗体(bispecific antibody)の投与を受ける。
【請求項114】
請求項113に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記バイスペシフィック抗体(bispecific antibody)は、T-細胞エンゲージャー(BiTE)である。
【請求項115】
請求項113又は請求項114に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記バイスペシフィック抗体(bispecific antibody)は、CD3に結合する第1の結合ドメインを含む。
【請求項116】
請求項113から114の何れか一項に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記バイスペシフィック抗体(bispecific antibody)は、腫瘍特異的抗原に結合する第2の結合ドメインを含む。
【請求項117】
請求項99から116の何れか一項に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記患者は、前記チェックポイント・モジュレータ―の投与前に、CD205+免疫調節性細胞の集団を調節する抗体又はその抗原結合フラグメントの投与を、少なくとも1サイクル、少なくとも2サイクル、少なくとも3サイクル、少なくとも4サイクル、又は少なくとも5サイクル、受ける。
【請求項118】
請求項117に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記患者は、前記チェックポイント・モジュレータ―の投与前に、CD205+免疫調節性細胞の集団を調節する抗体又はその抗原結合フラグメントの投与を、1から5サイクル、2から4サイクル、又は2から3サイクル、受ける。
【請求項119】
請求項117又は118に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記患者は、その後に、チェックポイント・モジュレータ―の投与を、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4又は少なくとも5サイクル以上、受ける。
【請求項120】
請求項99から119の何れか一項に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記チェックポイント・モジュレータ―を、CD205に結合する抗体又はその抗原結合部分の投与後7日と12週の間に、好ましくは7日と10週、若しくは7日と8週、若しくは7日と6週、若しくは7日と4週、又は7日と21日、若しくは10日と19日、若しくは12日と16日、若しくは14日と16日、若しくは19日と28日、より好ましくは20日と25日、最も好ましくは21日と24日、の間に、投与する。
【請求項121】
請求項99から120の何れか一項に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記患者は、少なくとも1種の化学療法に、不応性である、又は少なくとも1種の化学療法中に、その患者のがんは進行している。
【請求項122】
請求項99から121の何れか一項に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記患者は、チェックポイント・モジュレータ―療法に、不応性である。
【請求項123】
請求項122に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記チェックポイント・モジュレータ―療法は、PD1インヒビター療法である。
【請求項124】
請求項99から123の何れか一項に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記がんは、PDL1陰性又は低値である。
【請求項125】
請求項99から124の何れか一項に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記がんは、MSI安定である。
【請求項126】
請求項99から125の何れか一項に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記患者から以前に単離した血液サンプル中のCD8+細胞の、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又はそれ以上、はCD205+である。
【請求項127】
請求項99から125の何れか一項に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記患者から以前に単離した血液サンプル中のCD4+細胞の、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又はそれ以上、はCD205+である。
【請求項128】
請求項99から125の何れか一項に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記患者から以前に単離した血液サンプル中のpDC及び/又はmDCの、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又はそれ以上、はCD205+である。
【請求項129】
請求項70から128の何れか一項に記載の使用をするための、抗体若しくはその抗原結合部分、又は組み合わせ医薬、ここで、前記抗体若しくはその抗原結合部分は、CD205に結合する。
【請求項130】
請求項70から129の何れか一項に記載の使用をするための、抗体若しくはその抗原結合部分、又は組み合わせ医薬、ここで、CD205に結合する前記抗体若しくはその抗原結合部分は、以下を含む:
以下を含む重鎖可変領域:
i) 配列番号(SEQ ID NO): 5を含む第1のvhCDR;
ii) 配列番号(SEQ ID NO): 6を含む第2のvhCDR;及び、
iii) 配列番号(SEQ ID NO): 7を含む第3のvhCDR;並びに、
以下を含む軽鎖可変領域:
i) 配列番号(SEQ ID NO): 8を含む第1のvlCDR;
ii) 配列番号(SEQ ID NO): 9を含む第2のvlCDR;及び、
iii) 配列番号(SEQ ID NO):10を含む第3のvlCDR
ここで、任意選択的に、上記の配列番号(SEQ ID NO)の何れか1つ以上は、1つの又は2つのアミノ酸置換、好ましくは保存的置換、を独立して含む。
【請求項131】
請求項70から請求項130の何れか一項に記載の使用をするための、抗体若しくはその抗原-結合部分、又は組み合わせ医薬、ここで、前記抗体若しくはその抗原-結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 1と少なくとも80%、85%、90%、95%又は99%のアミノ酸配列同一性を有する重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 2と少なくとも80%、85%、90%、95%又は99%のアミノ酸配列同一性を有する軽鎖可変領域、を含む。
【請求項132】
請求項70から131の何れか一項に記載の使用をするための、抗体若しくはその抗原-結合部分、又は組み合わせ医薬、ここで、CD205に結合する抗体は、以下を含む;
(i) 配列番号(SEQ ID NO): 100と少なくとも80%、85%、90%、95%、99%又は100%のアミノ酸配列同一性を有する重鎖;及び、
(ii) 配列番号(SEQ ID NO): 101と少なくとも80%、85%、90%、95%、99%又は100%のアミノ酸配列同一性を有する軽鎖。
【請求項133】
請求項70から132の何れか一項に記載の使用をするための、抗体若しくはその抗原結合部分、又は組み合わせ医薬、ここで、前記抗体若しくはその抗原結合部分は、共有-結合した部分構造を更に含む。
【請求項134】
請求項133に記載の使用をするための、抗体若しくはその抗原結合部分、又は組み合わせ医薬、ここで、前記部分構造は、薬物である。
【請求項135】
請求項134に記載の使用をするための、抗体若しくはその抗原結合部分、又は組み合わせ医薬、ここで、前記薬物は、メイタンシノイド、ドラスタチン、ヘミアステルリン、アウリスタチン、トリコテセン、カリケアマイシン、デュオカルマイシン、バクテリア免疫毒素、ピラノインドイジノキノリン、カンプトテシン、アントラサイクリン、アンテアマイシン、チエノインドール、アマトキシン、CC1065又はタキソール、及びそれらの誘導体、からなる群より選択される。
【請求項136】
請求項135に記載の使用をするための、抗体若しくはその抗原結合部分、又は組み合わせ医薬、ここで、前記薬物は、DM4及びDM1、好ましくはDM4、からなる群より選択されるメイタンシノイドである。
【請求項137】
請求項99から136の何れか一項に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記チェックポイント・モジュレータ―は、抗体である。
【請求項138】
請求項137に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記抗体は、抗PD1又はPD-L1抗体である。
【請求項139】
請求項138に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記抗PD-1抗体は、ニボルマブ(MDX-1 106、オプジーボ; Bristol-Myers Squibb)、ペムブロリズマブ(MK-3475、キイトルーダ(Keytruda)、ラムブロリズマブ、BMS-936558; Merck)、ドスタルリマブ(TSR-042、Tesaro、Inc.)、セミプリマブ(REGN2810、Regeneron)、EH12.2H7(BioLegend、カタログ番号329902)、バルスチリマブ(Balstilimab) (Agenus Inc.)、である。
【請求項140】
請求項138に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記抗-PD-L1抗体は、アベルマブ(バベンチオ; EMDセローノ、ファイザー)、デュルバルマブ(イミフィンジ、アストラゼネカ)、BMS-936559、アテゾリズマブ(テセントリク、ジェネンテック)、である。
【請求項141】
請求項70から140の何れか一項に記載の使用をするための、抗体若しくはその抗原結合部分、又は組み合わせ医薬、ここで、前記がんは、CD205陽性がんである。
【請求項142】
請求項70から141の何れか一項に記載の使用をするための、抗体若しくはその抗原結合部分、又は組み合わせ医薬、ここで、前記がんは、胃がん(gastric cancer)、子宮内膜がん、食道がん(esophageal cancer)、肺がん、卵巣がん、胃食道接合部(gastroesophageal junction)がん、膵臓がん、乳がん、結腸直腸がん、、皮膚がん、甲状腺がん、腎臓がん(kidney cancer)、肝臓がん、頭頸部がん、膀胱がん、白血病、好ましくは急性骨髄性白血病又は慢性リンパ性白血病、骨髄腫、好ましくは多発性骨髄腫及びリンパ腫、好ましくはびまん性大細胞型B-細胞リンパ腫(DLBCL)、B-細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、粘膜関連リンパ組織(モルト(MALT))のリンパ腫、T-細胞/組織球豊富型B-細胞リンパ腫、バーキット・リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、T細胞リンパ腫、末梢T-細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫及び血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、からなる群より選択される。
【請求項143】
請求項142に記載の使用をするための、抗体若しくはその抗原結合部分、又は組み合わせ医薬、ここで、前記がんは、胃がん(gastric cancer)、子宮内膜がん、食道がん(esophageal cancer)、肺がん、卵巣がん、胃食道接合部(gastroesophageal junction)がん、乳がん、膀胱がん、及び腎臓がん(renal cancer)、を含む群より選択される。
【請求項144】
請求項70から143の何れか一項に記載の使用をするための、抗体若しくはその抗原結合部分、又は組み合わせ医薬、ここで、前記患者は、ヒトである。
【請求項145】
CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントを使った治療に適した患者を選択するための方法、ここで、前記患者は、がんに罹患している、ここで、前記方法は、以下のステップを含む:
患者を同定するステップ、ここで、前記患者から以前に単離した血液サンプル中のCD8+細胞の少なくとも20%は、CD205+である、及び、
前記患者に、抗CD205抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、投与するステップ。
【請求項146】
CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントを使った治療に適した患者を選択するためのin vitroの方法、ここで、前記方法は、以下のステップを含む:
a. CD205+細胞である、前記患者から以前に単離した血液サンプル中のCD8+細胞、の割合を決定するステップ;及び、
b. 前記血液サンプル中のCD8+細胞の少なくとも20%がCD205+であれば、CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントを使った治療のために、前記患者を選択するステップ。
【請求項147】
請求項146に記載のin vitroの方法、ここで、前記方法は、前記患者に、CD205に結合する前記抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、投与するステップを更に含む。
【請求項148】
患者におけるがんを治療する際に、CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの有効性を、決定するための方法、ここで、前記方法は、以下のステップを含む、
a. 前記患者から血液サンプルを取得するステップ、
b. 前記血液サンプル中のCD8+細胞の少なくとも20%がCD205+であるかどうかを同定するステップ。
【請求項149】
請求項148に記載の方法、ここで、前記方法は、前記血液サンプル中のCD8+細胞の少なくとも20%がCD205+であれば、前記患者に、CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、投与するステップを更に含む。
【請求項150】
請求項145から149の何れか一項に記載の方法、ここで、前記患者のCD8+細胞の、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、はCD205+である。
【請求項151】
CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントを使った治療に適した患者を選択するための方法、ここで、前記患者は、がんに罹患している、ここで、前記方法は、以下のステップを含む:
患者を同定するステップ、ここで、前記患者から以前に単離した血液サンプル中のCD4+細胞の少なくとも20%は、CD205+である、及び、
前記患者に、抗CD205抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、投与するステップ。
【請求項152】
CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントを使った治療に適した患者を選択するためのin vitroの方法、ここで、前記方法は、以下のステップを含む:
a. CD205+細胞である、前記患者から以前に単離した血液サンプル中のCD4+細胞、の割合を決定するステップ;及び、
b. 前記血液サンプル中のCD4+細胞の少なくとも20%がCD205+であれば、CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントを使った治療のために、前記患者を選択するステップ。
【請求項153】
請求項152に記載のin vitroの方法、ここで、前記方法は、前記患者に、CD205に結合する前記抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、投与するステップを更に含む。
【請求項154】
患者におけるがんを治療する際に、CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの有効性を、決定するための方法、ここで、前記方法は、以下のステップを含む、
a. 前記患者から血液サンプルを取得するステップ、
b. 前記血液サンプル中のCD4+細胞の少なくとも20%がCD205+であるかどうかを同定するステップ。
【請求項155】
請求項154に記載の方法、ここで、前記方法は、前記血液サンプル中のCD4+細胞の少なくとも20%がCD205+であれば、前記患者に、CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、投与するステップを更に含む。
【請求項156】
前請求項151から155の何れか一項に記載の方法、ここで、前記患者のCD4+細胞の、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、はCD205+である。
【請求項157】
CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントを使った治療に適した患者を選択するための方法、ここで、前記患者は、がんに罹患している、ここで、前記方法は、以下のステップを含む:
患者を同定するステップ、ここで、前記患者から以前に単離した血液サンプル中のCD8+及びCD4+細胞の少なくとも20%は、CD205+である、並びに、
前記患者に、抗CD205抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、投与するステップ。
【請求項158】
CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントを使った治療に適した患者を選択するためのin vitroの方法、ここで、前記方法は、以下のステップを含む:
a. CD205+細胞である、前記患者から以前に単離した血液サンプル中のCD8+及びCD4+細胞、の割合を決定するステップ;並びに、
b. 前記血液サンプル中のCD8+及びCD4+細胞の少なくとも20%がCD205+であれば、CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントを使った治療のために、前記患者を選択するステップ。
【請求項159】
請求項158に記載のin vitroの方法、ここで、前記方法は、前記患者に、CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、投与するステップを更に含む。
【請求項160】
患者におけるがんを治療する際に、CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの有効性を、決定するための方法、ここで、前記方法は、以下のステップを含む、
a. 前記患者から血液サンプルを取得するステップ、
b. 前記血液サンプル中のCD8+及びCD4+細胞の少なくとも20%がCD205+であるかどうかを同定するステップ。
【請求項161】
請求項160に記載の方法、ここで、前記方法は、前記血液サンプル中のCD8+及びCD4+細胞の少なくとも20%がCD205+であれば、前記患者に、CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、投与するステップを更に含む。
【請求項162】
請求項157から161の何れか一項に記載の方法、ここで、前記患者のCD8+及びCD4+細胞の、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、はCD205+である。
【請求項163】
がんを治療するための又は予防するための方法、ここで、前記方法は、以下のステップを含む:
患者を同定するステップ、ここで、前記患者から以前に単離した血液サンプル中のCD8+細胞の少なくとも20%は、CD205+である、及び、
前記患者に、CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、投与するステップ。
【請求項164】
請求項163に記載の方法、ここで、前記患者のCD8+細胞の、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、はCD205+である。
【請求項165】
がんを治療するための又は予防するための方法、ここで、前記方法は、以下のステップを含む:
患者を同定するステップ、ここで、前記患者から以前に単離した血液サンプル中のCD4+細胞の少なくとも20%は、CD205+である、及び、
前記患者に、CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、投与するステップ。
【請求項166】
請求項165に記載の方法、ここで、前記患者のCD4+細胞の、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、はCD205+である。
【請求項167】
がんを治療するための又は予防するための方法、ここで、前記方法は、以下のステップを含む、
患者を同定するステップ、ここで、前記患者から以前に単離した血液サンプル中のCD8+細胞及びCD4+細胞の少なくとも20%は、CD205+である、並びに、
前記患者に、CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、投与するステップ。
【請求項168】
請求項167に記載の方法、ここで、前記患者のCD8+及びCD4+細胞の、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、はCD205+である。
【請求項169】
以下のステップを含む治療方法:
(a)がんを有するとの診断を受けた患者から以前に単離した血液サンプル中の、CD205+細胞である、CD4+及び/又はCD8+細胞の割合を、レスポンダー表現型を有するとして前記患者を同定するために、計算するステップ;並びに、
(b) レスポンダー表現型を有する前記患者に、CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、投与するステップ。
【請求項170】
請求項169に記載の治療方法、ここで、がんを有するとの診断を受けた患者から以前に単離した血液サンプル中の、CD4+及び/又はCD8+細胞の、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、がCD205+陽性である。
【請求項171】
請求項145から170の何れか一項に記載の方法、ここで、前記方法は、その後に、前記患者にチェックポイント・モジュレータ―を投与する更なるステップを含む。
【請求項172】
請求項171に記載の方法、ここで、前記チェックポイント・モジュレータ―は、PD1, PD-L1, PD-L2, CTLA-4, ICOS, TIGIT, CD28, TMIGD2, CD137, CD137L, CD27, OX40, OX40L, LAG3, VISTA, GITR, DNAM-1, CD96, 2B4, TIM-3, CEACAM, CRTAM, SLAMF6, ガレクチン-9, CD48, CD155, GITRL, CD40, CD40L, CD70, HVEM, B7-H7, B7-H3, B7-H4, ICOSL, CD80, CD86, BTLA, CD160, LIGHT, アデノシンA2aレセプター, SIRPアルファ, DC-SIGN, CD200R, DR3, TL1A, CD200, BTN2A1, CD47, IDO, TDO、を含む群より選択されるチェックポイント・タンパク質をターゲットとする。
【請求項173】
請求項172に記載の方法、ここで、前記チェックポイント・モジュレータ―は、抗体である。
【請求項174】
請求項173に記載の方法、ここで、前記抗体は、PD1又はPD-L1インヒビター、好ましくはPD1、である。
【請求項175】
請求項174に記載の方法、ここで、前記抗-PD-1抗体は、ニボルマブ(MDX-1 106、オプジーボ; Bristol-Myers Squibb)、ペムブロリズマブ(MK-3475、キイトルーダ(Keytruda)、ラムブロリズマブ、BMS-936558; Merck)、セミプリマブ(REGN-2810、リブタヨ(Libtayo); Regeneron)、ドスタルリマブ(TSR-042、Tesaro、Inc.)、EH12.2H7(ENUM-388D4、BioLegend、カタログ番号329902)、バルスチリマブ(Balstilimab) (Agenus Inc.)、である。
【請求項176】
請求項174に記載の方法、ここで、前記抗-PD-L1抗体は、アベルマブ(バベンチオ; EMDセローノ、ファイザー)、デュルバルマブ(イミフィンジ、アストラゼネカ)、BMS-936559、アテゾリズマブ(テセントリク、ジェネンテック)、である。
【請求項177】
請求項145から176の何れか一項に記載の方法、ここで、前記患者は、同時に、別々に、連続的に、又はその後に、がんワクチンの投与を受ける。
【請求項178】
請求項145から176の何れか一項に記載の方法、ここで、前記患者は、同時に、別々に、連続的に、又はその後に、バイスペシフィック抗体(bispecific antibody) の投与を受ける。
【請求項179】
請求項178に記載の方法、ここで、前記バイスペシフィック抗体(bispecific antibody)は、T-細胞エンゲージャー(BiTE)である。
【請求項180】
請求項178又は請求項179に記載の方法、ここで、前記バイスペシフィック抗体(bispecific antibody)は、CD3に結合する第1の結合ドメインを含む。
【請求項181】
請求項178から180の何れか一項に記載の方法、ここで、前記バイスペシフィック抗体(bispecific antibody)は、腫瘍特異的抗原に結合する第2の結合ドメインを含む。
【請求項182】
請求項145から181の何れか一項に記載の方法、ここで、前記患者は、少なくとも1種の、前の治療ラインの化学療法に、不応性である、又は少なくとも1種の、前の治療ラインの化学療法中に、その患者のがんは進行している。
【請求項183】
請求項145から182の何れか一項に記載の方法、ここで、前記患者は、チェックポイント・モジュレータ―療法に、不応性である。
【請求項184】
請求項183に記載の方法、ここで、前記チェックポイント・モジュレータ―療法は、PD1療法である。
【請求項185】
請求項145から184の何れか一項に記載の方法、ここで、前記がんは、PDL1陰性又は低値である。
【請求項186】
請求項145から185の何れか一項に記載の方法、ここで、前記がんは、MSI安定である。
【請求項187】
請求項145から186の何れか一項に記載の方法、ここで、前記患者は、前記チェックポイント・モジュレータ―の投与前に、CD205+免疫調節性細胞の集団を調節する抗体又はその抗原結合フラグメントの投与を、少なくとも1サイクル、少なくとも2サイクル、少なくとも3サイクル、少なくとも4サイクル、又は少なくとも5サイクル、受ける。
【請求項188】
請求項187に記載の方法、ここで、前記患者は、前記チェックポイント・モジュレータ―の投与前に、CD205+免疫調節性細胞の集団を調節する抗体又はその抗原結合フラグメントの投与を、1から5サイクル、2から4サイクル、又は2から3サイクル、受ける。
【請求項189】
請求項171又は188に記載の方法、ここで、前記患者は、チェックポイント・モジュレータ―の投与を、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4又は少なくとも5サイクル以上、受ける。
【請求項190】
請求項171から189の何れか一項に記載の方法、ここで、前記チェックポイント・モジュレータ―を、CD205に結合する抗体又はその抗原結合部分の投与後7日と12週の間に、好ましくは7日と10週、若しくは7日と8週、若しくは7日と6週、若しくは7日と4週、又は7日と21日、若しくは10日と19日、若しくは12日と16日、若しくは14日と16日、若しくは19日と28日、より好ましくは20日と25日、最も好ましくは21日と24日、の間に、投与する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
序文
本開示は、広く、免疫学及び分子生物学の分野に関する。より具体的には、がんに罹患している患者における、抗-腫瘍免疫、及びより具体的には、T-細胞媒介性腫瘍特異的反応、又はT-細胞の数、を増加させるための方法、がんを治療するための又は予防するための方法、並びにPD1/PD-L1相互作用のインヒビターの効果を増強するための方法、を本出願において提供する。併せて、(a)CD205をターゲットとした、抗体、又はその抗原-結合部分、及び(b)PD1/PD-L1チェックポイント・インヒビター、を含む組み合わせ医薬、も提供する。
【背景技術】
【0002】
樹状細胞(Dendritic cell (DC))は、外来性の及び内因性の抗原の両方に対する免疫反応を開始する際に重要な役割を果たす。異なる起源及び機能を有するDCには、骨髄性樹状細胞(myeloid dendritic cell (mDC))及び形質細胞様樹状細胞(plasmacytoid dendritic cell (pDC))、という2つのタイプがある。mDC及びpDCは両方とも、病原体に対するCD4+及びCD8+ T細胞反応を効率的に誘導することができる、並びに両方ともナチュラルキラー(NK)細胞と相互作用することもできる。CD4+、CD8+及びNK細胞は、免疫媒介性抗がん反応において重要な役割を果たす。しかしながら、pDC並びにmDCはまた、調節性T細胞(Regulatory T cell (Treg))を誘導することによって、がんに対するトレランスを誘導することもある(Ito et al. JEM, [2007])、これは、次に、T細胞増殖及びT細胞活性化を遮断する。
【0003】
Liu, X et al (Journal of Cancer, [2019], Vol. 10, p 6711-6715)は、Treg及びpDCは、胃がん(gastric cancer)における腫瘍微小環境において、主な免疫抑制性細胞であることを開示している。Liu, X et alは、胃がん(gastric cancer)組織及び末梢血の両方において、より高いpDC数を有する患者は、それぞれの区画において、より低いpDC数を有する患者よりも、全生存期間が短いことを示している。がん組織中にDCが存在することにより、がん患者の生存に対して同様の悪影響があることは、乳がん、卵巣がん及び腎臓がん(renal cancer)で報告されてきている。
【0004】
DCは、CD205(DEC205及びリンパ球抗原75としても知られる)を、免疫反応又は免疫トレランスの何れかを誘導するための、自己抗原提示及び外来抗原提示のためのエンドサイトーシス・レセプターとして、使用する。CD205は、CD8+ mDC及びCD8+ pDCの両方で、発現する(Shrimpton et al、2009)。CD205によって、2つの主要なタイプのDCが区別される。CD8+/ CD205+ DCは、リンパ器官のT細胞ゾーンに存在し、CD8-/33D1+ DCは、赤脾髄(red pulp)及び辺縁ゾーンに存在する(Dudziak et a. Science Vol. 315 p107-111 [2007])。CD8+ CD205+ DCは、免疫抑制性Tregを選択的に誘導することが報告されている(Yamazaki et al., 2008; Okeke and Uzonna, 2019; Simon and Bromberg, 2016; Kushwah and Hu, 2011)、及び血液中のTreg細胞の生成は、全てのCD11c+ DC内でのCD8+ CD205+ DCの比率に関連づけられている(Simon and Bromberg、2016)。Tregは、腫瘍CD8+又は特定の細胞傷害性T細胞を抑制することが知られている(Chen et al. 2005; Li et al. 2020)。
【0005】
WO2009/061996は、ヒトCD205に結合する単離されたモノクローナル抗体及び関連抗体をベースとした、組成物及び分子、を開示している。前記抗体を含む医薬組成物、並びに前記抗体を使用するための、治療方法及び診断方法、も開示されている。
【0006】
WO2008/104806は、がんを治療する際に又は予防する際に使用をするための、CD205に結合することができる親和性試薬を開示している。
【0007】
WO2015/052537は、CD205に結合することができる特異的な単離抗体、及びそれらを、各種がんを治療する際に、使用すること、を開示している。
【0008】
プログラム細胞死1(programmed cell death 1 (PD1))及びプログラム細胞死リガンド1(programmed cell death ligand 1 (PD-L1))は、免疫チェックポイント・タンパク質であり、その相互作用は、T細胞の活性を制限する際に主要な役割を果たし、これらによって、腫瘍細胞が免疫監視を逃れる主要な免疫耐性メカニズム、
が提供される。
【0009】
PD-1/PD-L1経路に対する多数の薬剤が開発されてきており、多くのがんタイプを治療する際に効果的であることが示されてきている。
【0010】
近年、PD1/PD-L1チェックポイント・インヒビターと広い範囲の追加的な薬剤を併用する、多数の臨床試験が実施されている。これらの大部分は、PD1と、CTLA4、血管新生阻害剤又は化学療法剤との併用であった。これらの試験の結果は、様々な結果を示している(Schmidt, E. V., Semin Immunopathol; 41(1), 21-30 [2019])。
【0011】
胃がん(Gastric cancer)は、消化系の最も一般的な悪性腫瘍のうちの1種であり、発生率及び死亡率に関して、上位5種の悪性腫瘍のうちの1種である。進行した胃がん(gastric cancer)は、現在、化学療法であるファースト・ライン治療(first line treatment)を伴う治療選択肢に限定されている。トラスツズマブ及びラムシルマブはまた、それぞれ、ファースト・ライン治療(first line treatment)が奏功しなかった、HER-2及びVEGF陽性腫瘍について承認されている。世界規模での胃がん(gastric cancer)についての全生存率は、僅か~20%である。免疫チェックポイント・インヒビター単剤は、胃がん(gastric cancer)に対して、いくらかの有効性(efficacy)が示されてきているが、効率(efficiency)に乏しいことが示されてきている (Song, X., et al. Oncology letters, 20(4), [2020])。
【0012】
子宮内膜がんは、毎年約5万人の女性が診断される、米国で最もありふれた婦人科がんである。進行性子宮内膜がんは、現在、放射線療法、化学療法又はホルモン療法を用いて治療されている。しかしながら、不応性又は再発性の疾患を治療するための、新しいターゲット療法の開発が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
発明の概要
本発明は、特定の集団CD205+免疫調節性細胞が減少しているがん患者において、その末梢血中で、CD4+及びCD8+ T-細胞の両方の数の有意な増加が見られるという、本発明者らによる驚くべき発見に基づいている。本発明者らはまた、このようにT-細胞の数が増加すると共に、PD1を発現するCD4+及びCD8+ T-細胞の両方の数が有意に増加することも見られることを同定した。
【0014】
本発明者らはまた、患者の血液サンプル中に存在するpDCの絶対数が、CD205-DM4抗体薬物コンジュゲート(antibody drug conjugate (ADC))での処置後に、最初に急速に減少し、次いで処置後21日目までに再び増加して、2倍になることも観察した。同じパターンがCD205+ pDC細胞でも見られる。同様に同じパターンがCD205+ mDC細胞でも見られ、これは、CD205-DM4 ADCでの処置後、8日目まで減少するが、その後21日目までに4倍になる。
【0015】
本発明者らは、CD205+免疫調節性細胞が減少し、そしてその後にCD4+及びCD8+ T-細胞が増加することによって、腫瘍に対する前記患者の免疫反応が増強される、と考えている。本発明者らは、更に、CD4+及びCD8+ T-細胞の数が増加するとともに、CD205+免疫調節性細胞が減少した後に、前記T-細胞が活性化される、という仮説を立てる。本発明者らはまた、CD205+ pDC集団の減少が観察されると、CD205-DM4 ADCで処置した患者において、免疫抑制が反転する、という仮説も立てる。このことは、上述のように、pDCが胃がん(gastric cancer)の腫瘍微小環境における主要な免疫抑制性細胞であり、より短い全生存率と関連することを示唆する、Liuらの開示によって裏付けられる。PD1/PD-L1発現の有意な増加により、免疫反応の増強は、免疫チェックポイント・インヒビターを投与することによって延長することがあり、その結果、免疫抑制が避けられる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の態様によれば、がんを治療するための又は予防するための方法、ここで、前記方法は、それを必要とする患者に、CD205+免疫調節性細胞の集団を調節する抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、及びチェックポイント・インヒビターを含む組成物の治療的有効量を、投与するステップを含む、
が提供される。
【0017】
CD205+免疫調節性細胞の集団を調節する抗体又はその抗原結合フラグメントを、及び前記チェックポイント・インヒビターを含む組成物を、同時に、別々に、又は連続的に、好ましくは連続的に、投与することができることは、当業者にとって、明らかである。
【0018】
1つの実施形態では、前記チェックポイント・インヒビターは、PD1, PD-L1, PD-L2, CTLA-4, ICOS, TIGIT, CD28, TMIGD2, CD137, CD137L, CD27, OX40, OX40L, LAG3, VISTA, GITR, DNAM-1, CD96, 2B4, TIM-3, CEACAM, CRTAM, SLAMF6, ガレクチン-9, CD48, CD155, GITRL, CD40, CD40L, CD70, HVEM, B7-H7, B7-H3, B7-H4, ICOSL, CD80, CD86, BTLA, CD160, LIGHT, アデノシンA2aレセプター, SIRPアルファ, DC-SIGN, CD200R, DR3, TL1A, CD200, BTN2A1, CD47, IDO, TDO、を含む群より選択されるチェックポイント・タンパク質をターゲットとする。
【0019】
1つの実施形態では、前記チェックポイント・インヒビターは、PD1又はPD-L1、好ましくはPD1、である。
【0020】
本発明の第2の態様によれば、患者においてPD1/PD-L1のインヒビターの効果を増強するための方法、ここで、前記患者は、それを必要とするとして同定されている、ここで、前記方法は、前記患者に、(a) CD205+免疫調節性細胞の集団を調節する抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、及び(b) PD1/PD-L1相互作用のインヒビターを含む組成物を、投与するステップを含む、
が提供される。
【0021】
CD205+免疫調節性細胞の集団を調節する抗体又はその抗原結合フラグメントを、及びPD1/PD-L1相互作用のインヒビターを含む組成物を、同時に、別々に、又は連続的に、好ましくは連続的に、投与することができることは、当業者にとって、明らかである。
【0022】
本文脈において使用される、用語増強する、とは、前記免疫チェックポイント・インヒビターの効果のレベルを増加させること、を意味し、その結果、CD205+免疫調節性細胞の集団を調節した後に、減少する前よりも、より高いレベルの細胞傷害性が、見られるようになる、又は、前記免疫チェックポイント・インヒビターが効果的である時間期間が増加する、ということは、当業者にとって、容易に明らかであろう。CD205+免疫調節性細胞の集団を調節する抗体又はその抗原結合フラグメントを投与することは、免疫チェックポイント・タンパク質を発現する免疫システムを刺激するように、作用すると考えることができる。従って、免疫チェックポイント・インヒビターを投与すると、細胞傷害性は、より高くなる、及び/又は長期化する。
【0023】
本発明の第3の態様によれば、がんに罹患している患者において抗-腫瘍免疫反応を増加させるための方法、ここで、前記方法は、前記患者に、CD205+免疫調節性細胞の集団を調節する抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、投与するステップを含む、
が提供される。
【0024】
第3の態様の文脈において使用する場合、用語「抗-腫瘍免疫反応を増加させる」とは,
前記患者中に存在する免疫細胞の数の増加を測定した場合、CD205+免疫調節性細胞が減少した後に、減少する前よりも、前記がんに対する免疫反応がより大きく見られること、を意味する。
【0025】
1つの実施形態では、抗-腫瘍免疫反応は、免疫細胞媒介性腫瘍特異的反応である。好ましい実施形態では、前記免疫反応は、T-細胞媒介性腫瘍特異的反応である。
【0026】
更なる実施形態では、抗-腫瘍免疫反応は、NK細胞媒介性腫瘍特異的反応である。
【0027】
本発明の第4の態様によれば、がんに罹患している患者においてT-細胞の数を増加させるための方法、ここで、前記方法は、前記患者に、CD205+免疫調節性細胞の集団を調節する抗体又はその抗原結合フラグメントを、投与するステップを含む、
が提供される。
【0028】
1つの実施形態では、前記T-細胞は、CD8+ T-細胞である。
【0029】
別の実施形態では、前記T-細胞は、CD4+ T-細胞である。
【0030】
更なる実施形態では、前記T-細胞は、腫瘍特異的T-細胞である。
【0031】
更なる態様によれば、がんに罹患している患者において腫瘍のサイズを減少させるための方法、ここで、前記方法は、前記患者に、CD205+免疫調節性細胞の集団を調節する抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、投与するステップを含む、
が提供される。
【0032】
1つの実施形態では、前記腫瘍は、転移性腫瘍である。更なる実施形態では、前記転移性腫瘍は、肺臓又は肝臓にある。
【0033】
誤解を避けるために、以下に記載される本発明の実施形態の何れも、必要に応じて、本発明の全てのより前の態様を参照する。
【0034】
本発明の1つの実施形態では、前記CD205+免疫調節性細胞は、CD8+である。好ましくは、CD205+ CD8+免疫調節性細胞は、減少する。
【0035】
1つの実施形態では、前記免疫調節性細胞は、T-Reg細胞である。
【0036】
本発明の1つの実施形態では、前記CD205+免疫調節性細胞は、pDC及び/又はmDCである。好ましくは、pDC及び/又はmDCの数は、増加する。
【0037】
本発明の1つの実施形態では、前記CD205+免疫調節性細胞は、CD4+である。好ましくは、前記CD205+ CD4+免疫調節性細胞は、減少する。
【0038】
1つの実施形態では、前記免疫調節性細胞は、T-Reg細胞である。
【0039】
本発明の1つの実施形態では、前記免疫調節性細胞は、免疫抑制性細胞である。
【0040】
いくつかの実施形態では、前記免疫調節性細胞は、樹状細胞である。
【0041】
本発明の1つの実施形態では、前記患者は、同時に、別々に、連続的に、又はその後に、がんワクチンの投与を受ける。
【0042】
本発明の更なる実施形態では、前記患者は、同時に、別々に、連続的に、又はその後に、バイスペシフィック抗体(bispecific antibody)の投与を受ける。好ましくは、前記バイスペシフィック抗体(bispecific antibody)は、T-細胞エンゲージャー(BiTE)である。より好ましくは、前記バイスペシフィック抗体(bispecific antibody)は、CD3に結合する第1の結合ドメインを含む。
【0043】
好ましくは、前記バイスペシフィック抗体(bispecific antibody)は、腫瘍特異的抗原に結合する第2の結合ドメインを含む。
【0044】
1つの実施形態では、前記患者は、少なくとも1種の化学療法に、不応性である、又は少なくとも1種の化学療法中に、その患者のがんは進行している、患者である。
【0045】
別の実施形態では、前記患者は、チェックポイント・モジュレータ療法に、不応性である。
【0046】
更なる実施形態では、前記患者は、チェックポイント・モジュレータ療法に、不適格である。
【0047】
当業者は、チェックポイント・モジュレータ療法に不適格な患者は、特定の適応症の治療のために特定された基準を満たす患者であること、を理解するのであろう。
【0048】
1つの実施形態では、前記チェックポイント・モジュレータ療法は、PD1療法である。
【0049】
更なる実施形態では、前記患者は、PDL1陰性であるがん又は低値であるがん、を有する。
【0050】
当業者は、低いPDL1発現という用語は、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満のPD-L1発現を有するがんを意味することを理解するのであろう。
【0051】
本出願で使用する場合、PDL1陰性という用語は、IHCを使用して検出可能なPDL1発現を有さないがん、を意味する。
【0052】
更なる実施形態では、前記がんは、MSI安定である。
【0053】
1つの実施形態では、前記患者から以前に単離した血液サンプル中のCD8+細胞の、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又はそれ以上、はCD205+である。
【0054】
別の実施形態では、前記患者から以前に単離した血液サンプル中のCD4+細胞の、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又はそれ以上、はCD205+である。
【0055】
更なる実施形態では、前記患者から以前に単離した血液サンプル中のpDC及び/又はmDCの、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又はそれ以上、はCD205+である。
【0056】
1つの実施形態では、前記抗体又はその抗原結合部分は、CD205に結合する。
【0057】
1つの好ましい実施形態では、本発明の方法に際して使用をするための、CD205に結合する抗体又はその抗原結合部分は、以下を含む:
以下を含む重鎖可変領域:
i) 配列番号(SEQ ID NO): 5を含む第1のvhCDR;
ii) 配列番号(SEQ ID NO): 6を含む第2のvhCDR;及び、
iii) 配列番号(SEQ ID NO): 7を含む第3のvhCDR;並びに、
以下を含む軽鎖可変領域:
i) 配列番号(SEQ ID NO): 8を含む第1のvlCDR;
ii) 配列番号(SEQ ID NO): 9を含む第2のvlCDR;及び、
iii) 配列番号(SEQ ID NO): 10を含む第3のvlCDR;
任意選択的に、ここで、上記の配列番号(SEQ ID NO)の何れか1つ以上は、1つの、2つの、3つの、4つの、又は5つのアミノ酸置換、付加、又は欠損、を独立して含む。
【0058】
1つの実施形態では、前記抗体は、内部に取り込まれる。
【0059】
更なる実施形態では、本発明の方法に際して使用をするための、抗体又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 1と少なくとも80%、85%、90%、95%又は99%のアミノ酸配列同一性を有する重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 2と少なくとも80%、85%、90%、95%又は99%のアミノ酸配列同一性を有する軽鎖可変領域、を含む。
【0060】
上記の数値の中間の範囲、例えば、上記配列の何れかに対して、少なくとも80-85%、85-90%、90-95%又は95-100%の配列同一性を有する、重鎖及び軽鎖可変領域もまた、本発明に包含されるものとする。
【0061】
1つの実施形態では、本発明の方法に際して使用をするための、抗-CD205抗体又はその抗原-結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):1に示される配列を有する抗-CD205抗体の重鎖可変(VH)領域のCDR1、CDR2、及びCDR3ドメイン、並びに/又は配列番号(SEQ ID NO):2に示される配列を有する抗-CD205抗体の軽鎖可変(VL)領域のCDR1、CDR2、及びCDR3ドメイン、を含む。
【0062】
好ましい実施形態では、前記CDRは、カバット又はコチア・システム(Kabat or Chothia system)によって、定義される。
【0063】
別の実施形態では、本発明の方法に際して使用をするための、抗体又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):5を含む第1のvhCDR;配列番号(SEQ ID NO):6を含む第2のvhCDR;及び配列番号(SEQ ID NO):7を含む第3のvhCDR、を含む重鎖可変領域;並びに配列番号(SEQ ID NO):8を含む第1のvlCDR;配列番号(SEQ ID NO):9を含む第2のvlCDR;及び配列番号(SEQ ID NO):10を含む第3のvlCDR、を含む軽鎖可変領域、を含む。
【0064】
別の実施形態では、本発明の方法に際して使用をするための、抗-CD205抗体又はその抗原結合部分は、ヒトCD205に結合する、並びに配列番号(SEQ ID NO):1及び/又はその保存的な配列改変を含む重鎖可変領域を含む。前記抗体は、配列番号(SEQ ID NO):2及び/又はその保存的な配列改変を含む軽鎖可変領域を更に含むことがある。
【0065】
別の実施形態では、本発明の方法に際して使用をするための、抗-CD205抗体又はその抗原-結合部分は、配列番号(SEQ ID NOS): 12、13、14及び15に示されるように、配列番号(SEQ ID NO): 1の重鎖可変領域の骨格と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、同一であるアミノ酸配列を含む重鎖骨格領域を含む。別の実施形態では、本発明の方法に際して使用をするための、抗-CD205抗体又はその抗原-結合部分は、配列番号(SEQ ID NOS): 16、17、18及び19に示されるように、配列番号(SEQ ID NO):2の軽鎖可変領域の骨格と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖骨格領域を含む。
【0066】
1つの実施形態では、本発明の方法に際して使用をするための、抗-CD205抗体又はその抗原-結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 3及び4を含む核酸配列によって、それぞれコードされる重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、又は上記核酸配列と、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有する核酸配列、若しくは遺伝子コードが縮重しているために配列番号(SEQ ID NO): 3及び4と異なる配列、によってコードされる重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、を含む。
【0067】
1つの実施形態では、本発明の方法に際して使用をするための、抗体又はその抗原結合部分は、共有-結合した部分構造を更に含む。好ましくは、前記部分構造は、薬物である。より好ましくは、前記薬物は、メイタンシノイド、ドラスタチン、ヘミアステルリン、アウリスタチン、トリコテセン、カリケアマイシン、デュオカルマイシン、バクテリア免疫毒素、ピラノインドイジノキノリン、カンプトテシン、アントラサイクリン、アンテアマイシン、チエノインドール、アマトキシン、CC1065又はタキソール、及びそれらの誘導体、からなる群より選択される。
【0068】
好ましい実施形態では、前記薬物は、DM4及びDM1、好ましくはDM4、からなる群より選択されるメイタンシノイドである。
【0069】
1つの実施形態では、前記がんは、CD205陽性がんである。
【0070】
好ましい実施形態では、本発明の方法に際して使用をするための、CD205+免疫調節性細胞の集団を調節する組成物は、以下を含む、CD205に結合する抗体を含む:
以下を含む重鎖可変領域:
i) 配列番号(SEQ ID NO): 5を含む第1のvhCDR;
ii) 配列番号(SEQ ID NO): 6を含む第2のvhCDR;及び、
iii) 配列番号(SEQ ID NO): 7を含む第3のvhCDR;並びに、
以下を含む軽鎖可変領域:
i) 配列番号(SEQ ID NO): 8を含む第1のvlCDR;
ii) 配列番号(SEQ ID NO): 9を含む第2のvlCDR;及び、
iii) 配列番号(SEQ ID NO): 10を含む第3のvlCDR;
ここで、前記抗体は、メイタンシノイドDM4を含む細胞傷害性部分構造にコンジュゲートする。
【0071】
1つの実施形態では、前記PD1/PD-L1インヒビターは、抗体である。
【0072】
当業者は、前記PD1/PD-L1抗体は、任意の好適な抗体であっても良いことを、理解するであろう。
【0073】
好ましい実施形態では、本発明の方法に際して使用をするための抗-PD-1抗体は、以下を含む群より選択される:ニボルマブ(MDX-1 106、オプジーボ; Bristol-Myers Squibb)、ペムブロリズマブ(MK-3475、キイトルーダ(Keytruda)、ラムブロリズマブ、BMS-936558; Merck)、ドスタルリマブ(TSR-042、Tesaro、Inc.)、セミプリマブ(REGN2810、リブタヨ(Libtayo); Regeneron Pharmaceuticals)、EH12.2H7(BioLegend、カタログ番号329902)、バルスチリマブ(Balstilimab) (Agenus Inc.)。
【0074】
他の好ましい実施形態では、本発明の方法に際して使用をするための抗-PD-1抗体は、以下を含む群より選択される:アベルマブ(バベンチオ; EMDセローノ、ファイザー)、デュルバルマブ(イミフィンジ、アストラゼネカ)、BMS-936559、アテゾリズマブ(テセントリク、ジェネンテック)。
【0075】
本発明の1つの実施形態では、前記チェックポイント・インヒビターを、CD205に結合する抗体又はその抗原結合部分の投与後7日と12週の間に、好ましくは7日と10週、若しくは7日と8週、若しくは7日と6週、若しくは7日と4週、又は7日と21日、若しくは10日と19日、12日と16日、14日と16日、若しくは19日と28日、より好ましくは20日と25日、最も好ましくは21日と24日、の間に、投与する。
【0076】
本発明の1つの実施形態では、前記チェックポイント・インヒビターを、前記抗体の投与後1週、2週、3週、4週、5週、又は6週、に投与する。
【0077】
当業者は、PD1を発現するT-細胞の数又は割合が増加するにつれて、免疫反応が抑制されること、を理解するであろう。これは、PD1/PD-L1免疫チェックポイントの相互作用を介することがある。これらの相互作用が、例えば、チェックポイント・インヒビターを投与することによって、妨げられることがあれば、腫瘍に対する前記患者の免疫反応は持続することがあり、前記腫瘍に対するT-細胞の細胞傷害性がより大きくなる。
【0078】
1つの実施形態では、前記患者は、前記チェックポイント・モジュレータの投与前に、CD205+免疫調節性細胞の集団を調節する抗体又はその抗原結合フラグメントの投与を、少なくとも1サイクル、少なくとも2サイクル、少なくとも3サイクル、少なくとも4サイクル、又は少なくとも5サイクル、受ける。
【0079】
別の実施形態では、前記患者は、前記チェックポイント・モジュレータの投与前に、CD205+免疫調節性細胞の集団を調節する抗体又はその抗原結合フラグメントの投与を、1から5サイクル、2から4サイクル、又は2から3サイクル、受ける。
【0080】
いくつかの実施形態では、前記がんは、膵臓がん、卵巣がん、乳がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、食道がん(esophageal cancer)、胃食道接合部(gastroesophageal junction)がん、皮膚がん、甲状腺がん、肺がん、腎臓がん(kidney cancer)、肝臓がん、頭頸部がん、膀胱がん、胃がん(gastric cancer)、白血病、好ましくは急性骨髄性白血病又は慢性リンパ性白血病、骨髄腫、好ましくは多発性骨髄腫及びリンパ腫、好ましくはびまん性大細胞型B-細胞リンパ腫(DLBCL)、B-細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、粘膜関連リンパ組織(モルト(MALT))のリンパ腫、T-細胞/組織球豊富型B-細胞リンパ腫、バーキット・リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、T細胞リンパ腫、末梢T-細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫及び血管免疫芽球性T-細胞リンパ腫、からなる群より選択される。
【0081】
好ましくは、前記がんは、以下を含む群より選択される:胃がん(gastric cancer)、子宮内膜がん、胃食道接合部(gastroesophageal junction)がん、食道がん(esophageal cancer)、卵巣がん、肺がん、乳がん、腎臓がん(renal cancer)、及び膀胱がん。最も好ましくは、胃がん(gastric cancer)。
【0082】
1つの実施形態では、前記乳がんは、トリプル・ネガティブ乳がん(triple negative breast cancer (TNBC))である。別の実施形態では、前記乳がんは、Her2-ve乳がんである。
【0083】
1つの実施形態では、前記抗CD205抗体又はその抗原結合部分を投与すると、前記患者において、CD8+ T-細胞の数が増加し、前記腫瘍に対するT-細胞の細胞傷害性の増加がもたらされる。
【0084】
好ましい実施形態では、先の任意の態様による患者は、ヒトである。
【0085】
本発明のいくつかの実施形態では、CD205+免疫調節性細胞の集団を調節する抗体又はその抗原結合フラグメントは、抗-CD205-DM4 ADCである。
【0086】
1つの実施形態では、前記抗-CD205-DM4 ADCを、前記患者に、約0.8から10mg/kg、例えば、宿主の体重当たり、1.0mg/kgから8.0mg/kg、1.2mg/kgから7.5mg/kg、1.4mg/kgから7.0mg/kg、1.6から6.0mg/kg、1.6から5mg/kg、2.0から4mg/kg、2.5から3.6mg/kgの投薬量範囲で、投与する。例えば、投薬量は、0.8mg/kg、1.0mg/kg、1.2mg/kg、1.4mg/kg、1.6mg/kg体重、2.0mg/kg体重、2.5mg/kg体重、3.5mg/kg体重、4mg/kg体重又は5mg/kg体重、であることがある。最も好ましくは、3.5mg/kgである。例示的な治療レジメンは、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、1ヶ月に1回、6週間に1回、3ヶ月に1回、又は3から6ヶ月に1回、の投与を必要とする。
【0087】
本発明の方法の中で使用をするための抗-CD205-DM4 ADCの好ましい投薬レジメンとしては、静脈内投与を介した、2.0mg/kg体重、2.5mg/kg体重、3.0mg/kg体重、3.5mg/kg体重、又は5mg/kg体重、が挙げられ、前記抗体薬物コンジュゲートを、以下の投与スケジュールのうちの1つを使用して、投与する:(i)6回の投薬について、3週間に1回;(ii)3週間に1回;(iii)2.5mg/kg体重を1回、続いて2mg/kg体重を3週間毎。
【0088】
本発明の方法の中で使用をするための抗-CD205抗体薬物コンジュゲートの更なる好ましい投薬レジメンとしては、静脈内投与を介した、0.8mg/kg体重、1.0mg/kg体重、1.2mg/kg体重、又は1.4mg/kg体重、が挙げられ、前記抗体薬物コンジュゲートを、以下の投与スケジュールのうちの1つを使用して、投与する:(i)1週間に1回;(ii)4回の投薬について、1週間に1回;(iii)3回の投薬について、1週間に1回;(iv)1週間に3回を3週間に1回。
【0089】
1つの実施形態では、前記PD1抗体を、200mgから480mgまでの投薬量範囲、例えば、200mg、240mg、400mg又は480mg、で、前記患者に、投与する。例示的な治療レジメンは、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、又は6週間に1回、の投与を必要とする。
【0090】
別の実施形態では、前記PD-L1抗体の投与について、前記投薬量は、800mgから1500mgまでの範囲、例えば、800mg、1200mg又は1500mg、である。例示的な治療レジメンは、2週間に1回、3週間に1回、又は4週間に1回、の投与を必要とする。
【0091】
本発明の更なる態様によれば、以下を含む組み合わせ医薬:
a) 抗CD205抗体又はその抗原結合部分、ここで、前記抗体は、以下を含む:
以下を含む重鎖可変領域:
i) 配列番号(SEQ ID NO): 5を含む第1のvhCDR;
ii) 配列番号(SEQ ID NO): 6を含む第2のvhCDR;及び、
iii) 配列番号(SEQ ID NO): 7を含む第3のvhCDR;並びに、
以下を含む軽鎖可変領域:
i) 配列番号(SEQ ID NO): 8を含む第1のvlCDR;
ii) 配列番号(SEQ ID NO): 9を含む第2のvlCDR;及び、
iii) 配列番号(SEQ ID NO): 10を含む第3のvlCDR;並びに、
b) チェックポイント・インヒビター、
が提供される。
【0092】
1つの実施形態では、前記組み合わせ医薬は、同時に、別々に、又は連続的に、使用をするために組み合わせた製剤の形体である。
【0093】
更なる実施形態では、前記チェックポイント・インヒビターは、PD1/PD-L1チェックポイント・インヒビターである、好ましくは、前記PD1/PD-L1チェックポイント・インヒビターは、抗体である。
【0094】
好ましくは、前記組み合わせ医薬は、がんの治療用である。
【0095】
1つの実施形態では、前記PD1/PD-L1チェックポイント・インヒビターは、抗体である。
【0096】
当業者は、そのPD1/PD-L1抗体は、任意の好適な抗体であることがあることを理解するであろう。
【0097】
好ましい実施形態では、前記抗-PD-1抗体は、以下を含む群より選択される:ニボルマブ(MDX-1 106、オプジーボ; Bristol-Myers Squibb)、ペムブロリズマブ(MK-3475、キイトルーダ(Keytruda)、ラムブロリズマブ、BMS-936558; Merck)、ドスタルリマブ(TSR-042、Tesaro、Inc.)、セミプリマブ(REGN-2810、リブタヨ(Libtayo); Regeneron)、EH12.2H7(BioLegend、カタログ番号329902)。
【0098】
他の好ましい実施形態では、前記抗-PD-L1抗体は、以下を含む群より選択される:アベルマブ(バベンチオ; EMDセローノ、ファイザー)、デュルバルマブ(イミフィンジ、アストラゼネカ)、BMS-936559、アテゾリズマブ(テセントリク、ジェネンテック)。
【0099】
更なる実施形態では、前記抗体又はその抗原-結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 1と少なくとも80%、85%、90%、95%又は99%のアミノ酸配列同一性を有する重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 2と少なくとも80%、85%、90%、95%又は99%のアミノ酸配列同一性を有する軽鎖可変領域、を含む。好ましい実施形態では、前記抗体又はその抗原-結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 1の配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 2の配列を有する軽鎖可変領域、を含む。
【0100】
更なる実施形態では、前記抗体は、配列番号(SEQ ID NO): 100と少なくとも80%、85%、90%、95%又は99%のアミノ酸配列同一性を有する重鎖、及び配列番号(SEQ ID NO): 101と少なくとも80%、85%、90%、95%又は99%のアミノ酸配列同一性を有する軽鎖、を含む。好ましい実施形態では、前記抗体は、配列番号(SEQ ID NO): 100の配列を有する重鎖、及び配列番号(SEQ ID NO): 101の配列を有する軽鎖、を含む。
【0101】
本出願で開示される抗体の全ては、完全長、例えば、以下のアイソタイプのうちの何れか、であることがある:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgAsec、IgD、及びIgE。或いは、前記抗体は、フラグメント、例えば、抗原-結合部分又は単鎖抗体(例えば、Fab、F(ab')2、Fv、単鎖Fvフラグメント、単離された相補性決定部位(complementarity determining region (CDR))又は2つ以上の単離されたCDRの組み合わせ)、であることがある。前記抗体は、任意の種類の抗体、例えば、限定されるものではないが、ヒト、ヒト化、及びキメラ抗体等、であることがある。
【0102】
1つの実施形態では、前記抗-CD205抗体又はその抗原-結合部分は、共有-結合した部分構造を更に含む。好ましくは、前記部分構造は、薬物である。より好ましくは、前記薬物は、メイタンシノイド、ドラスタチン、ヘミアステルリン、アウリスタチン、トリコテセン、カリケアマイシン、デュオカルマイシン、バクテリア免疫毒素、ピラノインドイジノキノリン、カンプトテシン、アントラサイクリン、アンテアマイシン、チエノインドール、アマトキシン、CC1065又はタキソール、及びそれらの誘導体、からなる群より選択される。
【0103】
好ましい実施形態では、前記薬物は、DM4及びDM1、好ましくはDM4、からなる群より選択されるメイタンシノイドである。
【0104】
更なる実施形態では、前記組み合わせ医薬は、少なくとも1種の薬学的に許容可能な、希釈剤、賦形剤、又は担体、を含む。
【0105】
本発明の更なる態様では、がんを治療する際に使用をするための、本発明の、組成物又は組み合わせ医薬、
が提供される。
【0106】
がんを治療するための、別々に、連続的に、使用をするための、組み合わせ医薬の製造の際に、上記で定義された構成要素(a)及び(b)の使用、も提供される。
【0107】
本発明の更なる態様によれば、CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントを使った治療に適した患者を選択するための方法、ここで、前記患者は、がんに罹患している、ここで、前記方法は、以下のステップを含む:
患者を同定するステップ、ここで、前記患者から以前に単離した血液サンプル中のCD8+細胞の少なくとも20%は、CD205+である、及び、
前記患者に、抗CD205抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、投与するステップ。
【0108】
本発明の更なる態様によれば、CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントを使った治療のために、患者を選択するためのin vitroの方法、ここで、前記方法は、以下のステップを含む:
a. CD205+細胞である、前記患者から以前に単離した血液サンプル中のCD8+細胞、の割合を決定するステップ;及び、
b. 前記血液サンプル中のCD8+細胞の少なくとも20%がCD205+であれば、CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントを使った治療のために、前記患者を選択するステップ、
が提供される。
【0109】
1つの実施形態では、患者を選択するための方法は、前記患者に、CD205に結合する前記抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、投与するステップを更に含む。
【0110】
本発明の別の態様によれば、患者におけるがんを治療する際に、CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの有効性を、決定するための方法、ここで、前記方法は、以下のステップを含む、
前記患者から血液サンプルを取得するステップ、
前記血液サンプル中のCD8+細胞の少なくとも20%がCD205+であるかどうかを同定するステップ、
が提供される。
【0111】
1つの実施形態では、前記有効性を、決定するための方法は、前記血液サンプル中のCD8+細胞の少なくとも20%がCD205+であれば、前記対象に、CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、投与するステップを更に含む。
【0112】
更なる実施形態では、前記患者のCD8+細胞の、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、はCD205+である。
【0113】
本発明の更なる態様によれば、CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントを使った治療のために、患者を選択するための方法、ここで、前記患者は、がんに罹患している、ここで、前記方法は、以下のステップを含む:
患者を同定するステップ、ここで、前記患者から以前に単離した血液サンプル中のCD4+細胞の少なくとも20%は、CD205+である、及び、
前記患者に、抗CD205抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、投与するステップ、
が提供される。
【0114】
本発明の更なる態様によれば、CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントを使った治療のために、患者を選択するためのin vitroの方法、ここで、前記方法は、以下のステップを含む:
a. CD205+細胞である、前記患者から以前に単離した血液サンプル中のCD4+細胞、の割合を決定するステップ;及び、
b. 前記血液サンプル中のCD4+細胞の少なくとも20%がCD205+であれば、CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントを使った治療のために、前記患者を選択するステップ、
が提供される。
【0115】
1つの実施形態では、患者を選択するための方法は、CD205に結合する前記抗体又はその抗原結合フラグメントを使って、前記患者を治療するステップを更に含む。
【0116】
本発明の別の態様によれば、患者におけるがんを治療する際に、CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの有効性を、決定するための方法、ここで、前記方法は、以下のステップを含む、
a. 前記対象から血液サンプルを取得するステップ、
b. 前記血液サンプル中のCD4+細胞の少なくとも20%がCD205+であるかどうかを同定するステップ、
が提供される。
【0117】
1つの実施形態では、前記有効性を、決定するための方法は、前記血液サンプル中のCD4+細胞の少なくとも20%がCD205+であれば、前記対象に、CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、投与するステップを更に含む。
【0118】
更なる実施形態では、前記患者のCD4+細胞の、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、はCD205+である。
【0119】
本発明の更なる態様によれば、CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントを使った治療に適した患者を選択するための方法、ここで、前記患者は、がんに罹患している、ここで、前記方法は、以下のステップを含む:
患者を同定するステップ、ここで、前記患者から以前に単離した血液サンプル中のCD8+及びCD4+細胞の少なくとも20%は、CD205+である、並びに、
前記患者に、抗CD205抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、投与するステップ、
が提供される。
【0120】
本発明のまた更なる態様によれば、CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントを使った治療のために、患者を選択するためのin vitroの方法、ここで、前記方法は、以下のステップを含む:
a. CD205+細胞である、前記患者から以前に単離した血液サンプル中のCD8+及びCD4+細胞、の割合を決定するステップ;並びに、
b. 前記血液サンプル中のCD8+及びCD4+細胞の少なくとも20%がCD205+であれば、CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントを使った治療のために、前記患者を選択するステップ、
が提供される。
【0121】
1つの実施形態では、患者を選択するための方法は、CD205に結合する前記抗体又はその抗原結合フラグメントを使って、前記患者を治療するステップを更に含む。
【0122】
本発明の別の態様によれば、患者におけるがんを治療する際に、CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの有効性を、決定するための方法、ここで、前記方法は、以下のステップを含む、
前記患者から血液サンプルを取得するステップ、
前記血液サンプル中のCD8+及びCD4+細胞の少なくとも20%がCD205+であるかどうかを同定するステップ、
が提供される。
【0123】
1つの実施形態では、前記有効性を、決定するための方法は、前記血液サンプル中のCD8+及びCD4+細胞の少なくとも20%がCD205+であれば、前記対象に、CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、投与するステップを更に含む。
【0124】
更なる実施形態では、前記患者のCD8+及びCD4+細胞の、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、はCD205+である。
【0125】
本発明の更なる態様によれば、がんを治療するための又は予防するための方法、ここで、前記方法は、以下のステップを含む:
患者を同定するステップ、ここで、前記患者から以前に単離した血液サンプル中のCD8+細胞の少なくとも20%は、CD205+である、及び、
前記患者に、CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、投与するステップ、
が提供される。
【0126】
好ましくは、ここで、前記患者のCD8+細胞の、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、はCD205+である。
【0127】
本発明の更なる態様によれば、がんを治療するための又は予防するための方法、ここで、前記方法は、以下のステップを含む:
患者を同定するステップ、ここで、前記患者から以前に単離した血液サンプル中のCD4+細胞の少なくとも20%は、CD205+である、及び、
前記患者に、CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、投与するステップ、
が提供される。
【0128】
好ましくは、ここで、前記患者のCD4+細胞の、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、はCD205+である。
【0129】
本発明の更なる態様によれば、がんを治療するための又は予防するための方法、ここで、前記方法は、以下のステップを含む、
患者を同定するステップ、ここで、前記患者から以前に単離した血液サンプル中のCD8+細胞及びCD4+細胞の少なくとも20%は、CD205+である、並びに、
前記患者に、CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、投与するステップ、
が提供される。
【0130】
好ましくは、ここで、前記患者のCD8+及びCD4+細胞の、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、はCD205+である。
【0131】
更なる態様によれば、以下のステップを含む治療方法:
(a)がんを有するとの診断を受けた患者から以前に単離した血液サンプル中の、CD205+細胞である、CD4+及び/又はCD8+細胞の割合を、レスポンダー表現型を有するとして前記患者を同定するために、計算するステップ;並びに、
(b) レスポンダー表現型を有する前記患者に、CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、投与するステップ、
が提供される。
【0132】
本出願で使用される場合、レスポンダー表現型という用語を、前記患者から以前に単離した血液サンプル中の、CD4+及び/又はCD8+細胞の、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%は、CD205+陽性である患者、として定義する。
【0133】
1つの実施形態では、CD205に結合する前記抗体又はその抗原-結合部分は、共有-結合した部分構造を更に含む。好ましくは、前記部分構造は、薬物である。より好ましくは、前記薬物は、メイタンシノイド、ドラスタチン、ヘミアステルリン、アウリスタチン、トリコテセン、カリケアマイシン、デュオカルマイシン、バクテリア免疫毒素、ピラノインドイジノキノリン、カンプトテシン、アントラサイクリン、アンテアマイシン、チエノインドール、アマトキシン、CC1065又はタキソール、及びそれらの誘導体、からなる群より選択される。
【0134】
好ましい実施形態では、前記薬物は、DM4及びDM1、好ましくはDM4、からなる群より選択されるメイタンシノイドである。
【0135】
いくつかの実施形態では、前記方法は、その後に、前記患者にチェックポイント・インヒビターを投与する更なるステップを含む。
【0136】
ある特定の実施形態では、前記チェックポイント・インヒビターは、PD1, PD-L1, PD-L2, CTLA-4, ICOS, TIGIT, CD28, TMIGD2, CD137, CD137L, CD27, OX40, OX40L, LAG3, VISTA, GITR, DNAM-1, CD96, 2B4, TIM-3, CEACAM, CRTAM, SLAMF6, ガレクチン-9, CD48, CD155, GITRL, CD40, CD40L, CD70, HVEM, B7-H7, B7-H3, B7-H4, ICOSL, CD80, CD86, BTLA, CD160, LIGHT, アデノシンA2aレセプター, SIRPアルファ, DC-SIGN, CD200R, DR3, TL1A, CD200, BTN2A1, CD47, IDO, TDO、を含む群より選択されるチェックポイント・タンパク質をターゲットとする。
【0137】
好ましくは、前記チェックポイント・インヒビターは、PD1又はPD-L1、より好ましくはPD1、である。
【0138】
1つの実施形態では、前記PD1/PD-L1インヒビターは、抗体である。
【0139】
いくつかの実施形態では、前記抗-PD-1抗体は、ニボルマブ(MDX-1 106、オプジーボ; Bristol-Myers Squibb)、ペムブロリズマブ(MK-3475、キイトルーダ(Keytruda)、ラムブロリズマブ、BMS-936558; Merck)、セミプリマブ(REGN-2810、リブタヨ(Libtayo); Regeneron)、ドスタルリマブ(TSR-042、Tesaro、Inc.)、EH12.2H7(ENUM-388D4、BioLegend、カタログ番号329902)、バルスチリマブ(Balstilimab) (Agenus Inc.)、である。
【0140】
更なる実施形態では、前記抗PD-L1抗体は、アベルマブ(バベンチオ; EMDセローノ、ファイザー)、デュルバルマブ(イミフィンジ、アストラゼネカ)、BMS-936559、アテゾリズマブ(テセントリク、ジェネンテック)、である。
【0141】
様々な実施形態では、前記チェックポイント・インヒビターを、CD205に結合する抗体又はその抗原結合部分の投与後7日と12週の間に、好ましくは7日と10週、若しくは7日と8週、若しくは7日と6週、若しくは7日と4週、又は7日と21日、若しくは10日と19日、若しくは12日と16日、若しくは14日と16日、若しくは19日と28日、より好ましくは20日と25日、最も好ましくは21日と24日、の間に、投与する。
【0142】
好ましくは、前記患者は、過去に、チェックポイント・インヒビターで治療できなかった。
【0143】
本発明の更なる態様では、患者に、CD205+免疫調節性細胞の集団を調節する抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、及びがんワクチンを含む組成物の治療的有効量を、投与するステップを含む、がんを治療するための又は予防するための方法(前記患者はそれを必要とする)、
が提供される。
【0144】
本発明の更なる態様では、患者において、がんワクチンの効果を増強するための方法、ここで、前記方法は、前記患者に、(a) CD205+免疫調節性細胞の集団を調節する抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、及び(b) がんワクチンを含む組成物を、投与するステップを含む。
【0145】
CD205+免疫調節性細胞の集団を調節する抗体又はその抗原結合フラグメントを、及びがんワクチンを含む組成物を、同時に、別々に、又は連続的に、投与することがあることは、当業者にとって、明らかであろう。
【0146】
当業者は、本出願に記載されるように、CD205+免疫調節性細胞の集団を調節する抗体又はその抗原結合フラグメントを投与すると、患者の血液中に存在する、pDC及びmDCの両方の数が増加することがあること、並びにまた、T-細胞の数が増加することがあること、を理解するであろう。当業者は更に、この増加によって、前記がんワクチンがコードする抗原を提示する樹状細胞の数が増加するので、及びその提示された抗原によって活性化されうるT-細胞の数が増加するので、がんワクチンに対する応答性の改善につながり得ることを理解するであろう。
【0147】
本発明の更なる態様では、患者に、CD205+免疫調節性細胞の集団を調節する抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、及びバイスペシフィック抗体(bispecific antibody)を含む組成物の治療的有効量を、投与するステップを含む、がんを治療するための又は予防するための方法(前記患者はそれを必要とする)、
が提供される。
【0148】
1つの実施形態では、前記バイスペシフィック抗体(bispecific antibody)は、バイスペシフィックT-細胞エンゲージャー(BiTE)である。好ましくは、前記バイスペシフィック抗体(bispecific antibody)は、CD3に結合する第1の結合ドメインを含む。より好ましくは、前記バイスペシフィック抗体(bispecific antibody)は、腫瘍特異的抗原に結合する第2の結合ドメインを含む。
【0149】
CD205+免疫調節性細胞の集団を調節する前記抗体又はその抗原結合フラグメントを、及び前記バイスペシフィック抗体(bispecific antibody)を含む組成物を、同時に、別々に、又は連続的に、投与することがあることは、当業者にとって、明らかであろう。
【0150】
更なる態様では、患者において、バイスペシフィック(好ましくは、BiTE)抗体の効果を増強するための方法、ここで、前記患者はそれを必要とするものとして同定されている、ここで、前記方法は、前記患者に、(a) CD205+免疫調節性細胞の集団を調節する抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、及び(b) バイスペシフィック抗体(bispecific antibody)を含む組成物を、投与するステップを含む。
【0151】
当業者は、CD205+免疫調節性細胞の集団を調節する抗体又はその抗原結合フラグメントの投与後に、T-細胞の数が増加するため、前記バイスペシフィック抗体(bispecific antibody)(好ましくはBiTE)によって、活性化する、及び前記ターゲット細胞に近接するようになることがある、細胞の数が増加し、それ故に、がんを治療する際の効果が増加することを、理解するであろう。
【0152】
当業者は、前記バイスペシフィック抗体(bispecific antibody)は、任意の好適なバイスペシフィック抗体(bispecific antibody)、好ましくはBiTE、であることがある、ということを理解するであろう。例えば、限定されるものではないが、CD19及びCD3、Epcam及びCD3、DLL3及びCD3、又はB7H6及びCD3、に結合するバイスペシフィック抗体(bispecific antibody)が挙げられる。
【0153】
本発明は、また、対象において、がんを治療するための方法、ここで、前記方法は以下を含む:
a. 前記対象から腫瘍サンプルを取得するステップ、
b. 前記腫瘍サンプル中の前記腫瘍細胞の少なくとも50%が、少なくとも2+というレベルで、DCE205を発現するかどうかを同定するために、前記腫瘍サンプルを、免疫組織化学的に染色するステップ、
c. 前記腫瘍サンプル中の前記腫瘍細胞の少なくとも50%が、少なくとも2+というレベルで、DCE205を発現していれば、前記対象に、CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、投与するステップ、
も提供する。
【0154】
更なる態様では、本発明は、ヒト患者において、がんを治療するための方法、ここで、前記方法は、以下を含む:免疫組織化学(IHC)によって測定する場合、前記腫瘍細胞の少なくとも50%が、2+というレベルで、CD205を発現する、腫瘍を有する患者を同定するステップ;及び、前記患者に、CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、投与するステップ、
を提供する。
【0155】
更なる態様によれば、抗CD205抗体療法に適した患者を選択する方法、ここで、前記方法は、以下を含む:免疫組織化学(IHC)によって測定する場合、少なくとも50%のCD205発現が、2+というレベルである、腫瘍を有する患者を同定するステップ;及び、抗CD205抗体又はその抗原結合フラグメントを、前記患者に投与するように、医療提供者に、指示するステップ、
が提供される。
【0156】
本発明の更なる態様によれば、CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントを使った治療のために、がん患者を選択するためのin vitro方法、ここで、前記方法は、以下のステップを含む:
前記患者から単離した腫瘍サンプルにおいて、CD205の発現レベルを決定するステップ;及び、
前記腫瘍サンプルが、免疫組織化学(IHC)によって測定する場合、前記腫瘍細胞の少なくとも50%が、2+という発現レベルを示せば、CD205に結合する前記抗体又はその抗原結合フラグメントを使った治療のために、前記患者を選択するステップ、
が提供される。
【0157】
1つの実施形態では、前記in vitro方法は、CD205に結合する前記抗体又はその抗原結合フラグメントを使って、前記患者を治療するステップを更に含む。
【0158】
本発明の更なる態様では、対象でのがんを治療する際における、CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの有効性を、決定するための方法、ここで、前記方法は、以下を含む、
前記対象から腫瘍サンプルを取得するステップ、
前記腫瘍サンプル中の前記腫瘍細胞の少なくとも50%が、少なくとも2+というレベルで、DCE205を発現するかどうかを同定するために、前記腫瘍サンプルを、免疫組織化学的に染色するステップ、
が提供される。
【0159】
1つの実施形態では、前記方法は、前記腫瘍サンプル中の前記腫瘍細胞の少なくとも50%、が少なくとも2+というレベルで、CD205を発現すれば、前記対象に、CD205に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの治療的有効量を、投与するステップ、を更に含む。
【0160】
更なる実施形態では、前記腫瘍サンプル中の前記腫瘍細胞の、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%、が、IHCによって測定した場合に、少なくとも2+というレベルで、DEC 205を発現する。
【0161】
任意の好適なプロトコル、及び腫瘍サンプル上のCD205に特異的に結合する任意の好適な抗体、を用いて、IHCを実施することがあることは、容易に明らかであろう。1つの実施形態では、前記抗体は、ライカ(Leica)からの抗-CD205抗体(カタログ番号: NCL-L-CD205)である。
【0162】
1つの実施形態では、前記腫瘍サンプルは、ホルマリン固定パラフィン包埋(formalin fixed paraffin embedded (FFPE))サンプルの形態である。別の実施形態では、前記サンプルは、新鮮凍結腫瘍サンプルである。また、本発明の組み合わせ医薬、及び、任意選択的に、使用するための指示、を含むキットは、本発明の範囲内である。前記キットは、少なくとも1種の追加的な試薬、又は1種以上の追加的な抗体、を更に含むことがある。
【0163】
本発明の他の特徴及び長所は、以下の詳細な明細書及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0164】
図1図1は、CD205_A1抗体重鎖可変領域の配列を示す(配列番号(SEQ ID NO):1)。CD205_A1抗体重鎖のCDR領域には、下線を引いた。
図2図2は、CD205_A1抗体軽鎖可変領域の配列を示す(配列番号(SEQ ID NO):2)。CD205_A1抗体軽鎖のCDR領域には、下線を引いた。
図3図3は、左側のパネルで、2.5mg/kgの抗-CD205-DM4 ADCでの処置後1、8、15及び21日目に、胃がん(gastric cancer)患者から採取した血液サンプル中のCD8+T-細胞の数の変化を示す。右側のパネルは、CD4+ T-細胞の数の変化を、時系列で示す。
図4図4は、左側のパネルで、2.5mg/kgの抗-CD205-DM4 ADCでの処置後の21日間の時系列の間、CD4+(上パネル)及びCD8+(下パネル)T-細胞から構成される総T-細胞集団の割合の変化を示す。右側のパネルは、PD1+であるCD4+及びCD8+ T細胞の割合の変化を、21日間の時系列で、示す。
図5図5は、左側のパネルで、PD1+でもある、前記患者の血液中に存在するCD8+ T-細胞の数の変化を、時系列で、示す。右側のパネルは、PD1+でもある、前記患者の血液中に存在するCD4+ T-細胞の数の変化を、時系列で、示す。
図6図6は、2.5mg/kgの抗-CD205-DM4 ADCでの処置後の21日間の時系列での、CD8+ CD205+細胞の数の変化を示す。
図7図7は、2.5mg/kgの抗-CD205-DM4 ADCでの処置後の21日間の時系列での、CD4+ CD205+細胞の数の変化を示す。
図8図8は、左側のパネルで、2.5mg/kgの抗-CD205-DM4 ADCでの処置後1、8、15及び21日目に、胃がん(gastric cancer)患者から採取した血液サンプル中のmDC及びpDCの数を示す。右側のパネルは、前記患者の血液中のCD205+ mDC及びpDCの数の変化を、21日間の時系列で、示す。
【発明を実施するための形態】
【0165】
本発明の詳細な説明
本開示は、がんに罹患している患者における免疫反応を増加させるための、及び免疫チェックポイント・インヒビターの有効性を増加させるための、方法に関する。抗-CD205抗体及び免疫チェックポイント・インヒビター、を含む組み合わせ医薬も開示する、ここで、前記組み合わせ医薬は、別々に、又は連続的に、使用をするために組み合わせた製剤の形体である。
【0166】
CD205タンパク質
CD205は、捕捉された抗原をターゲットとする、細胞外空間から特殊化された抗原-区画への、エンドサイトーシス・レセプターとして機能し、B-リンパ球の増殖の減少を引き起こすと考えられる。
【0167】
UNIPROTによれば、CD205は、脾臓、胸腺、結腸及び末梢血リンパ球において、発現している。それは、骨髄性及びBリンパ系細胞株において検出されている。アイソフォームOGTA076b及びOGTA076cは、ホジキン及びリード-スタンバーグ(Reed-Sternberg (HRS))細胞と呼ばれる悪性ホジキン・リンパ腫細胞において、発現している。CD205は、捕捉された抗原をターゲットとする、細胞外空間から特殊化された抗原-区画への、エンドサイトーシス・レセプターとして機能する。それは、B-リンパ球の増殖を減少させる。
【0168】
CD205の発現は、胃、膵臓、膀胱、卵巣、乳房(例えば、Her2-ve及びトリプル・ネガティブ等)、結腸直腸、腎臓、子宮内膜、胃食道接合部(gastroesophageal junction)、食道、皮膚、甲状腺及び肺(非-小-細胞)がん、並びに多発性骨髄腫、並びにリンパ腫(DLBCLを含む)及び白血病の多くの様々なサブタイプ、において観察されている。
【0169】
本発明の方法又は組み合わせにおいて、使用をするための抗-CD205抗体又はその抗原-結合部分は、ある特定の場合では、ヒト以外の種由来のCD205と交差反応することがある。例えば、臨床試験を容易にするために、前記抗-CD205抗体は、マウス又は霊長類CD205と交差反応することがある。或いは、ある特定の実施形態では、前記抗体は、ヒトCD205に対して完全に特異的であることがあり、種の又は他のタイプの、非-ヒト交差反応性を示さないことがある。
【0170】
PD-L1タンパク質
UNIPROTによれば、PD-L1は、タイプIの膜タンパク質である。前記タンパク質は、1つのIg-様V-タイプ(免疫グロブリン-様)ドメイン、1つのIg-様C2-タイプ(免疫グロブリン-様)ドメインからなる、アミノ酸19-238の間の、細胞外ドメインからなる;それは、更に1つの膜貫通領域及び1つの細胞質領域、からなる。
【0171】
いくつかの実施形態では、本発明の方法又は組み合わせにおいて使用するための抗体は、ヒトPD-L1に結合する。
【0172】
本発明の実施形態に従って使用するための抗体は、ある場合には、ヒト以外の種由来のPD-L1タンパク質と交差反応をすることがある。例えば、前臨床試験及び毒性試験を容易にするために、本発明の抗体は、マウス又は霊長類PD-L1タンパク質と交差反応することがある。或いは、ある特定の実施形態では、本発明の方法において、使用をするための抗体は、ヒトPD-L1タンパク質に特異的であることがある、及び非-ヒトの種又は他のタイプの交差反応性を示さないことがある。
【0173】
PD1タンパク質
UNIPROTによれば、PD1は、自己に対する免疫トレランスの誘導及び維持において重要な役割を果たす、抗原活性化T-細胞にある阻害レセプター、である。PD1は、リガンドCD274/PDL1及びCD273/PDLG2への結合時に、阻害シグナルを伝達する。
【0174】
PD1-媒介性阻害経路は、腫瘍によって利用され、抗-腫瘍免疫を減弱させ、その免疫システムによる破壊を回避し、それによって、腫瘍の生存が促進される。CD274/PDL1との相互作用は、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)エフェクター機能を阻害する。PD1-媒介経路を遮断すると、消耗したT-細胞の表現型は反転する、及び抗-腫瘍反応が正常になる。これは、がん免疫療法の理論的根拠を提供する。
【0175】
いくつかの実施形態では、本発明の方法又は組み合わせにおいて、使用をするための抗体は、ヒトPD1に結合する。
【0176】
本発明の実施形態に従って使用をするための抗体は、ある特定の場合には、ヒト以外の種由来のPD1タンパク質と交差反応をすることがある。例えば、前-臨床試験及び毒性試験を容易にするために、本発明の抗体は、マウスの又は霊長類のPD1タンパク質と交差反応することがある。或いは、ある特定の実施形態では、本発明の方法において、使用をするための抗体は、ヒトPD1タンパク質に特異的であることがある、及び非-ヒトの種又は他のタイプの交差反応性を示さないことがある。
【0177】
抗体
本発明の方法における用途がある抗体は、本出願に記載されるように、例えば、従来の抗体、並びに抗体誘導体、フラグメント、及び模倣体等、多くのフォーマットを取ることがある。1つの実施形態では、(以下に記載されるような少数のアミノ酸変化を含む)本出願で規定される6種のCDRセットを含む抗体構造を提供する。
【0178】
本出願で使用される「抗体」は、当業者によって理解されるように、いくつかの実施形態では、本出願で規定される6種のCDRセットを少なくとも含む、多種多様な構造を含む;例えば、限定されるものではないが、従来の抗体(モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体の両方を含む)、ヒト化抗体及び/又はキメラ抗体、抗体フラグメント、改変した抗体(例えば、以下に概説されるようなアミノ酸改変を有する)、多重特異性抗体(例えば、バイスペシフィック抗体等)、並びに当技術分野で公知の他のアナログ。
【0179】
従来の抗体構造単位には、典型的には、四量体が含まれる。各四量体は、2種の同一ペアのポリペプチド鎖、各々のペアは、1つの「軽」鎖(典型的には、約25kDaの分子量を有する)及び1つの「重」鎖(典型的には、約50-70kDaの分子量を有する)を有する。各鎖のアミノ-末端部分は、抗原認識に主に関与する、約100から110以上のアミノ酸の可変領域を含む。その可変領域では、重鎖及び軽鎖のVドメインのそれぞれについて、3つのループが集まって、抗原-結合部位が形成される。前記ループの各々は、相補性決定領域(complementarity-determining region )(以下、「CDR」という)と呼ばれ、その中では、アミノ酸配列の変異が最も著しい。「可変(variable)」とは、可変領域のある特定のセグメントにおいて、抗体間で、配列が大きく異なる、という事実を意味する。可変領域内での変化は、均等に分布していない。代わりに、V領域は、それぞれ9-15アミノ酸長又はそれより長い、「超可変領域」と呼ばれる、極めて可変性があるより短い領域によって隔てられた、15-30アミノ酸の骨格領域(framework region (FR))と呼ばれる比較的不変な範囲、からなる。
【0180】
VH及びVLの各々は、3つの超可変領域(「相補性決定領域」、「CDR」)及び4つのFR、から構成され、アミノ末端からカルボキシ末端にかけて、以下の順序で配列する:FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4。
【0181】
前記超可変領域は、一般に、軽鎖可変領域中の凡そのアミノ酸残基24-34(LCDR1;「L」は軽鎖を示す)、50-56(LCDR2)及び89-97(LCDR3)、並びに重鎖可変領域中の凡その31-35B(HCDR1;「H」は重鎖を示す)、50-65(HCDR2)及び95-102(HCDR3)、由来のアミノ酸残基を包含する;Kabat et al., SEQUENCES OF PROTEINS OF IMMUNOLOGICAL INTEREST, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991)及び/又は、それらの残基は、超可変ループを形成する(例えば、軽鎖可変領域中の、残基26-32(LCDR1)、50-52(LCDR2)及び91-96(LCDR3)、並びに重鎖可変領域中の、26-32(HCDR1)、53-55(HCDR2)及び96-101(HCDR3));Chothia and Lesk (1987) J. Mol. Biol. 196:901-917。本発明の特定のCDRを、以下に記載する。
【0182】
本明細書を通して、前記可変ドメイン中の残基(凡そ、前記軽鎖可変領域の残基1-107及び前記重鎖可変領域の残基1-113)(例えば、Kabatら、前出(1991))を指す場合、Kabatの番号付けシステムを、一般的に使用する。
【0183】
前記CDRは、抗原-結合部位、より具体的には抗体のエピトープ結合部位、の形成に寄与する。用語「エピトープ」又は「抗原決定基」は、免疫グロブリン又は抗体が特異的に結合する抗原上の部位を指す。エピトープは、連続したアミノ酸、又はタンパク質の三次フォールディングによって並置された非連続のアミノ酸、の両方から形成され得る。
【0184】
いくつかの実施形態では、本発明の方法において、使用をするための抗体は、完全長である。「完全長抗体」とは、本出願で概説されるような、1つ以上の改変を含む、可変領域及び定常領域を含む、抗体の天然の生物学的形体、を構成する構造を意味する。
【0185】
或いは、本発明の方法において、使用をするための抗体は、例えば、限定されるものではないが、抗体フラグメント、モノクローナル抗体、バイスペシフィック抗体(bispecific antibody)、ミニボディ、ドメイン抗体、合成抗体(本出願では、時には、「抗体模倣体」と称されることもある)、キメラ抗体、ヒト化抗体、抗体融合体(時には、「抗体コンジュゲート」と称されることもある)、キメラ抗原レセプター(chimeric antigen receptor (CAR))及び各々のフラグメント等、様々な構造体であることがある。1セットのCDRを使用することによる構造体は、「抗体」の定義内に含まれる。
【0186】
1つの実施形態では、本発明の方法において、使用をするための抗体は、抗体フラグメントである。特定の抗体フラグメントとしては、限定されるものではないが、(i)VL、VH、CL及びCH1ドメインからなるFabフラグメント、(ii)VH及びCH1ドメインからなるFdフラグメント、(iii)単一抗体のVL及びVHドメインからなるFvフラグメント、(iv)単一の可変領域からなるdAbフラグメント(Ward et al., 1989, Nature 341:544-546、その全体が参照により取り込まれる)、(v)単離されたCDR領域、(vi)F(ab')2フラグメント、2つの連結されたFabフラグメントを含む2価フラグメント、(vii)単鎖Fv分子(scFv)、ここで、VHドメイン及びVLドメインは、ペプチド・リンカーによって連結していて、これにより、その2つのドメインが会合して抗原結合部位が形成される(Bird et al., 1988, Science 242:423-426, Huston et al., 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:5879-5883、その全体が参照により取り込まれる)、(viii)バイスペシフィック単鎖Fv(WO 03/11161、本出願に参照により取り込まれる)、及び(ix)「ダイアボディ」又は「トリアボディ」、遺伝子融合により構築された多価又はマルチスペシフィック・フラグメント(Tomlinson et. al., 2000, Methods Enzymol. 326:461-479; WO94/13804; Holliger et al., 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90:6444-6448、全て、その全体が参照により取り込まれる)、が挙げられる。
【0187】
キメラ及びヒト化抗体
いくつかの実施形態では、前記抗体は、種々の種に由来する混合、例えば、キメラ抗体及び/又はヒト化抗体、であることがある。即ち、本発明では、CDRセットを、本出願において配列によって具体的に記載した骨格及び定常領域以外の、骨格及び定常領域と一緒に、使用することがある。
【0188】
1つの実施形態では、本発明の方法において、使用をするための抗体は、マルチスペシフィック抗体(multispecific antibody)、特にバイスペシフィック抗体(bispecific antibody)、であることがある、また、時には、「ダイアボディ」と呼ばれることもある。これらは、2つ(以上)の種々の抗原、又は同じ抗原上の異なるエピトープ、に結合する抗体である。ダイアボディは、当技術分野で既知の様々な方法で製造することができる(Holliger and Winter, 1993, Current Opinion Biotechnol. 4:446-449, その全体が参照により取り込まれる)、例えば、化学的に又はハイブリッド・ハイブリドーマから、調製される。
【0189】
1つの実施形態では、本発明の方法において、使用をするための抗体は、ミニボディである。ミニボディは、CH3ドメインに結合したscFvを含む、最小化された抗体-様タンパク質である。Hu et al., 1996, Cancer Res. 56:3055-3061, その全体が参照により取り込まれる。場合によっては、前記scFvは、前記Fc領域に結合することがある、及びヒンジ領域の一部又は全体を含むことがある。ミニボディは、完全なセットのCDRを有さないという事実にも関わらず、「抗体」の定義の中に含まれることに留意されたい。
【0190】
本出願に記載される方法において、使用をするために開示される抗体は、単離されていることがある、又は組換えであることがある。「単離された」とは、本明細書に開示される様々なポリペプチドを記載するために使用する場合、そのポリペプチドを発現する細胞から又は細胞培養物から、同定した、及び分離した、並びに/又は回収した、ポリペプチドを意味する。従って、単離された抗体は、様々な抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指すことが意図される(例えば、CD205に特異的に結合する単離された抗体は、CD205以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。従って、「単離された」抗体は、天然において、通常見出されない(例えば、非-天然に存在する)形体で見出される抗体である。本出願で定義される単離された抗体は、1つの実施形態では、「天然」に存在する抗体中に存在しない、少なくとも1つのアミノ酸、を含むことがある。このアミノ酸を、付加又は置換によって、導入することがある。導入したアミノ酸は、天然に存在する、又は非-天然に存在する、アミノ酸であることがあることが、理解されるであろう。いくつかの実施形態では、本発明の抗体は、組換えタンパク質、単離されたタンパク質、又は実質的に純粋なタンパク質、である。「単離された」タンパク質は、それが通常その天然の状態で会合している物質の少なくともいくつかが付随しておらず、例えば、所与のサンプル中で、総タンパク質の、少なくとも約5重量%、又は少なくとも約50重量%、で構成される。前記単離されたタンパク質は、状況に応じて、総タンパク質含有量の、5から99.9重量%までを構成することがある、ということが理解される。例えば、前記タンパク質を、誘導性プロモーター又は高発現プロモータを使用することにより、有意により高い濃度で作製することがある、その結果、前記タンパク質は、増加した濃度のレベルで、作製される。組換えタンパク質の場合では、前記定義には、それを天然に産生しない、当技術分野で既知の多種多様な、生命体及び/又は宿主細胞、における、抗体の産生が含まれる。通常、単離されたポリペプチドを、少なくとも1つの精製ステップによって、調製する。「単離された抗体」とは、様々な抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない、抗体を指す。例えば、CD205に特異的に結合する単離された抗体は、CD205以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない。
【0191】
種々の特異性を有する、単離されたモノクローナル抗体を、明確に規定された組成物として、組み合わせることがある。従って、例えば、以下で更に議論されるように、本発明の抗体を、任意選択的に、及び個々に、製剤中に、含まれることがある、又は除外されることがある。
【0192】
本発明において、使用をするための抗-CD205抗体は、CD205に特異的に結合する(例えば、配列番号(SEQ ID NO): 11)。「特異的結合」、若しくは「特異的に結合する」、又は特定の抗原若しくはエピトープに「特異的」は、非-特異的な相互作用とは異なるとして測定可能な結合を意味する。特異的結合を、例えば、一般に結合活性を有さない同様の構造の分子であるコントロール分子の結合と比較して、分子の結合を決定することによって、測定することができる。例えば、特異的結合を、ターゲットに類似するコントロール分子との競合によって、決定することがある。
【0193】
例えば、少なくとも約10-4 M、少なくとも約10-5 M、少なくとも約10-6 M、少なくとも約10-7 M、少なくとも約10-8 M、少なくとも約10-9 M、或いは少なくとも約10-10 M、少なくとも約10-11 M、少なくとも約10-12 M、又はより強い、抗原又はエピトープに対するKDを有する抗体は、特定の抗原又はエピトープに対する特異的結合を示す、ここで、KDは、特定の抗体-抗原相互作用の解離速度を指す。典型的には、抗原に特異的に結合する抗体は、抗原又はエピトープと比較して、コントロール分子に対して、20倍、50倍、100倍、500倍、1,000倍、5,000倍、10,000倍、又はそれ以上大きいKDを有する。しかしながら、本発明では、本発明に係るCD205抗体のADCを投与する場合、重要なことは、前記KDは、内部へ取り込まれるのに、そして、重大な副作用無しに細胞死を可能にするのに充分である、ということである。
【0194】
また、コントロールと比較して、エピトープに対して、少なくとも20倍、50倍、100倍、500倍、1000倍、5,000倍、10,000倍、又はそれ以上大きい、抗原又はエピトープの、KA又はKaを有する抗体は、特定の抗原又はエピトープに対する特異的結合を示す、ここで、KA又はKaは、特定の抗体-抗原相互作用の解離速度を指す。
【0195】
CD205に対する抗体の結合能を評価するための標準的なアッセイは、タンパク質の又は細胞のレベルで行うことがある、及び、例えば、ELISA、ウェスタン・ブロット、RIA、BIAcore(登録商標)アッセイ及びフロー・サイトメトリー解析等、当技術分野で既知である。好適なアッセイを、本実施例の中で、詳細に記載する。前記抗体の結合動態(例えば、結合親和性)はまた、Biacore(登録商標)システム解析等の当技術分野で既知の標準的なアッセイによって、評価することがある。Raji又はDaudi B細胞腫瘍細胞への結合を評価するために、Raji(ATCC寄託番号CCL-86)又はDaudi(ATCC寄託番号CCL-213)細胞を、American Type Culture Collection等の、公的に入手可能な供給源から、入手することができ、フロー・サイトメトリー解析等の標準的なアッセイの中で、使用することができる。
【0196】
CD205抗体
CD205(配列番号(SEQ ID NO): 11)に結合する、本発明の方法において、使用をするためのCD205抗体は、細胞表面上でCD205を発現する細胞と接触させた場合に、内部へ取り込まれる。これらの抗体を、本出願において、「抗-CD205」抗体、又は記載を簡単にするために、「CD205抗体」、の何れかによって、呼ぶ。両方の用語は、本出願では、互換的に使用する。
【0197】
本発明の方法において、使用をするためのCD205抗体は、表面上にCD205を発現する細胞、特に腫瘍細胞、と接触すると、内部に取り込まれる。即ち、薬物コンジュゲートも含む本出願で規定されるCD205抗体は、腫瘍細胞によって、内部に取り込まれ、薬物の放出及びその後の細胞死がもたらされ、CD205発現を示すがんの治療が可能になる。この文脈における内部への取り込みを、いくつかの方法で、測定することができる。1つの実施形態では、前記CD205抗体を、MAbZap等の標準的なアッセイを用いて、本出願に概説される細胞株等の細胞と、接触させる。MAbZapアッセイが、抗体薬物コンジュゲート(ADC)で見られると予想される作用を表すことは、当業者にとって、明らかであろう。後者の場合では、前記ADCであれば、内部に取り込まれ、それ故に、その薬物は、その細胞の内部に取り込まれる。毒性薬物であれば、その細胞を傷害する、即ち、ターゲットとするがん細胞を傷害する、能力を有するであろう。MabZapアッセイによるデータは、ADCアッセイの代表であるとして、当業者によって、直ちに認めらる(Kohls, M and Lappi, D., [2000] Biotechniques, vol. 28, no. 1, 162-165)。
【0198】
1つの実施形態では、本発明の方法において、使用をするための抗-CD205抗体は、本出願に記載される特定の抗体(例えば、本出願で「CD205_A1」と呼ばれる)の、重鎖の及び軽鎖の、相補性決定領域(CDR)又は可変領域(VR)、を含む。従って、1つの実施形態では、本発明の方法において、使用をするための抗体は、配列番号(SEQ ID NO):1に示される配列を有する、抗体CD205_A1の重鎖可変(VH)領域の、CDR1、CDR2、及びCDR3ドメイン、及び配列番号(SEQ ID NO):2に示される配列を有する、抗体CD205_A1の軽鎖可変(VL)領域の、CDR1、CDR2、及びCDR3ドメイン、を含む。
【0199】
別の実施形態では、本発明の方法において、使用をするための抗-CD205抗体は、配列番号(SEQ ID NO): 5を含む第1のvhCDR;配列番号(SEQ ID NO):6を含む第2のvhCDR;及び配列番号(SEQ ID NO):7を含む第3のvhCDR、を含む重鎖可変領域;並びに配列番号(SEQ ID NO):8を含む第1のvlCDR;配列番号(SEQ ID NO):9を含む第2のvlCDR;及び配列番号(SEQ ID NO):10を含む第3のvlCDR、を含む軽鎖可変領域、を含む。
【0200】
別の実施形態では、本発明の方法において、使用をするための抗-CD205抗体は、ヒトCD205に結合し、配列番号(SEQ ID NO):1を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及びその保存的な配列改変、を含む。本発明の方法において、使用をするための抗体は、配列番号(SEQ ID NO):2を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、及びその保存的な配列改変、を更に含むことがある。
【0201】
更なる実施形態では、本発明の方法において、使用をするための抗-CD205抗体は、ヒトCD205に結合する、並びに、下表1に記載の配列の組み合わせのうちの1つを含む、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、を含む:
【表1】
【0202】
更なる実施形態では、本発明の方法において、使用をするための抗-CD205抗体は、ヒトCD205に結合する、並びにそれぞれ、配列番号(SEQ ID NO):1及び/又は2に記載のアミノ酸配列を含む、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、並びにその保存的な配列改変、を含む。本出願で使用する場合、保存的な配列改変という用語は、例えば、類似の特徴を有するアミノ酸によるアミノ酸の置換、を指す。どのような置換が保存的とみなされるかは、当業者にとって一般的な知識である。保存的な配列改変であると考えられる他の改変としては、例えば、グリコシル化が挙げられる。
【0203】
任意選択的に、配列番号(SEQ ID NO):5-10のうちの1つ以上は、独立して、1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つの保存的なアミノ酸置換を含む;任意選択的に、1つ以上の配列番号(SEQ ID NO):5-10は、独立して、1つ又は2つの保存的なアミノ酸置換を含む。
【0204】
好ましくは、「保存的な配列改変」という用語は、前記アミノ酸配列を含む抗体の結合特徴に大きな影響を及ぼさない、又は変化を及ぼさない、アミノ酸改変を含むことが意図される。そのような保存的な改変としては、アミノ酸置換、付加及び欠失、が挙げられる。改変は、部位-を狙った変異誘発(site-directed mutagenesis)及びPCR-媒介性変異誘発、等の、当該技術分野で既知の標準的な技術によって、本発明の抗体の中に導入することがある。保存的なアミノ酸置換は、そのアミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換された、アミノ酸置換である。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野において定義されている。これらのファミリーとしては、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、ベータ-分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)、を有するアミノ酸、が挙げられる。従って、本発明の抗体のCDR領域内の1つ以上のアミノ酸残基を、同じ側鎖ファミリー由来の他のアミノ酸残基で置き換えることがある、そして、その改変した抗体を、本出願に記載した他の機能的なアッセイを使用して、保持された機能について、試験することがある。
【0205】
1つの実施形態では、本発明の方法において、使用をするための抗-CD205抗体は、配列番号(SEQ ID NO):1、又は配列番号(SEQ ID NO):1と、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、同一である配列、を含む重鎖可変領域を含む。別の実施形態では、本発明の方法において、使用をするための抗-CD205抗体は、配列番号(SEQ ID NO):2、又は配列番号(SEQ ID NO):2と、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、同一である配列、を含む軽鎖可変領域を含む。別の実施形態では、本発明の方法において、使用をするための抗-CD205抗体は、配列番号(SEQ ID NO): 12、13、14及び15を含む配列番号(SEQ ID NO): 1の重鎖可変領域の骨格と、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、同一であるアミノ酸配列を含む重鎖骨格領域を含む。別の実施形態では、本発明の方法において、使用をするための抗-CD205抗体は、配列番号(SEQ ID NO):16、17、18及び19を含む配列番号(SEQ ID NO):2の軽鎖可変領域の骨格と、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖骨格領域を含む。
【0206】
1つの実施形態では、本発明の方法において、使用をするための抗-CD205抗体は、以下のCDRを含む「CD205_A1抗体」として、並びに限られた数のアミノ酸バリアントを含むバリアントとして、本出願では指す。
【表2】
【0207】
本出願ではまた、本発明のCDRセットを含む可変重鎖及び軽鎖、並びに全長重鎖及び軽鎖(例えば、定常領域も含む)も、開示される。当業者によって理解されるように、前記抗-CD205抗体のCDRセットを、マウスの、ヒト化の又はヒトの定常領域(骨格領域を含む)の中に、取り込ませることがある。従って、本開示は、本出願に開示される配列番号(SEQ ID)と、少なくとも約90%-99%同一である、可変重鎖及び可変軽鎖、を提供し、90、91、92、93、94、95、96、97、98、及び99%は、全てが本発明において使用されることがわかる。
【0208】
1つの実施形態では、本発明の方法において、使用をするための抗体は、配列番号(SEQ ID NO):11を含むヒトCD205に、特異的に結合する。好ましくは、本発明の方法において、使用をするための抗-CD205抗体は、ヒトCD205に、高い親和性で、結合する。
【0209】
抗体の改変
本発明は更に、「抗体誘導体」又は「抗体アナログ」と呼ばれることもある、本発明の方法において、使用をするための、バリアント抗体を提供する。即ち、例えば、限定されるものではないが、前記CDRにおけるアミノ酸改変(親和性成熟)、前記骨格領域におけるアミノ酸改変、前記Fc領域におけるアミノ酸改変、グリコシル化バリアント、(例えば、薬物コンジュゲートのアタッチメント(attachment)のため等の)他のタイプの共有結合的な改変等、本発明の抗体に対してなされ得る多くの改変が存在する。
【0210】
本出願における「バリアント」とは、少なくとも1つのアミノ酸改変によって、親ポリペプチドの配列とは異なるポリペプチド配列、を意味する。この場合では、親ポリペプチドは、それぞれ配列番号(SEQ ID NO): 1又は2に列挙される、全長可変重鎖若しくは軽鎖、又は配列番号(SEQ ID NO)5-10及び12-19に列挙される、重鎖及び軽鎖の、CDR領域若しくは骨格領域、の何れかである。アミノ酸改変は、置換、挿入及び欠失、を含むことがある、そして、多くの場合で、前者が好ましい。アミノ酸置換は、保存的な置換又は非-保存的な置換、であることがある、そして、保存的な置換が好ましい、ということが理解される。更に、前記置換は、天然に存在する又は非-天然に存在するアミノ酸の何れかによる置換、であることがある。
【0211】
本出願における「アミノ酸置換」又は「置換」とは、親ポリペプチド配列中の特定の位置のアミノ酸を、天然に存在する又は非-天然に存在するアミノ酸であることがある、別のアミノ酸で置き換えること、を意味する。例えば、置換S100Aは、位置100のセリンがアラニンで置換されている、バリアント・ポリペプチドを指す。本出願で使用される「アミノ酸挿入」又は「挿入」は、親ポリペプチド配列中の特定の位置でのアミノ酸の付加、を意味する。本出願で使用される「アミノ酸欠失」又は「欠失」は、親ポリペプチド配列中の特定の位置でのアミノ酸の除去、を意味する。
【0212】
「親ポリペプチド」、「親タンパク質」、「前駆体ポリペプチド」、又は「前駆体タンパク質」は、本出願で使用される場合、改変を受けていないポリペプチド(このポリペプチドは、その後改変を受けてバリアントを生成する)。一般に、本出願における親ポリペプチドは、LY75_A1である。従って、本出願で使用される「親抗体」は、バリアント抗体を生成するように改変を受けた抗体、を意味する。
【0213】
本出願における「野生型」若しくは「WT」又は「天然の(native)」とは、対立遺伝子変異を含む、自然界に見られる、アミノ酸配列又はヌクレオチド配列、を意味する。WTタンパク質、ポリペプチド、抗体、免疫グロブリン、IgG等は、意図的に改変されていない、アミノ酸配列又はヌクレオチド配列、を有する。
【0214】
本出願における「バリアントFc領域」とは、少なくとも1つのアミノ酸改変によって、野生型Fc配列とは異なるFc配列、を意味する。Fcバリアントは、Fcポリペプチド自体、Fcバリアント・ポリペプチド、又はアミノ酸配列、を含む組成物、を指すことがある。
【0215】
いくつかの場合では、前記CDRにおけるアミノ酸改変を、「親和性成熟」と呼ぶ。「親和性成熟」した抗体は、1つ以上のCDR内に、1つ以上の改変を有する抗体であり、これによって、それらの改変を有さない親抗体と比較して、抗原に対する抗体の親和性の向上がもたらされる。いくつかの場合では、稀ではあるが、抗体のその抗原に対する親和性を減少させることが望ましいことがあるが、これは、一般的には、好ましくない。
【0216】
或いは、本発明の抗体のCDRの1つ以上において、「サイレント」である、例えば、前記抗原に対する前記抗体の親和性を有意に変化させない、アミノ酸改変を行うことがある。これらを、多くの理由[例えば、(本発明の抗体をコードする核酸について行うことができるように)発現を最適化すること等]によって、行うことがある。
【0217】
従って、バリアントCDR及び抗体は、本発明のCDR及び抗体の定義の中に含まれる;即ち、本発明の抗体は、LY75_A1の1つ以上のCDRにおけるアミノ酸改変、を含むことがある。加えて、以下に概説されるように、アミノ酸改変をまた、独立して、及び任意選択的に、本出願に記載されるような骨格及び定常領域を含む、CDRの外側の任意の領域において、行うことがある。
【0218】
いくつかの実施形態では、前記抗-LY75抗体は、バリアントFcドメインから構成される。当技術分野で知られているように、抗体のFc領域は、多くのFcレセプター及びリガンドと相互作用し、エフェクター機能と呼ばれる一連の重要な機能的能力を付与する。更に、システインでの改変は、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)の用途において特に有益であり、以下に更に記載する。いくつかの実施形態では、前記抗体の定常領域を、特に「チオール反応性」である1つ以上のシステインを含有するように、操作することがあり、それにより、薬物部分構造の、より特異的な且つ制御を受けた配置が可能になる。例えば、米国特許第7,521,541号を参照されたい、その全体が本出願に参照により取り込まれる。
【0219】
抗体-薬物コンジュゲート
いくつかの実施形態では、本出願で開示される、本発明の方法において、使用をするための抗-CD205抗体又はその抗原結合部分は、薬物とコンジュゲートして、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を形成する。概して、ADCは、腫瘍学の用途において使用され、ここで、細胞傷害性薬剤を又は細胞増殖抑制性(cytostatic)薬剤を局所的に送達するために、抗体-薬物コンジュゲートを使用することによって、腫瘍に、前記薬物部分構造のターゲット化した送達が可能になる、そしてそれによって、より高い有効性、より低い毒性等が可能になる。この技術の概要は、Ducry et al., Bioconjugate Chem., 21:5-13 (2010), Carter et al., Cancer J. 14(3):154 (2008) 及び Senter, Current Opin. Chem. Biol. 13:235-244 (2009)、に記載されている、これらは全ては、その全体が本出願に参照により取り込まれる。
【0220】
従って、本発明は、とりわけ、薬物にコンジュゲートした抗-CD205抗体を含む組み合わせ医薬、を提供する。一般に、コンジュゲーションを、以下に更に記載するように、前記抗体への共有結合アタッチメント(attachment)によって行う、及び一般に、リンカー、多くの場合、ペプチド結合(これを、以下に記載するように、ターゲット部位でのプロテアーゼによる切断に対して感受性であるように設計してもよい、又はそうでなくてもよい)によって行う。更に、上記のように、リンカー-薬物ユニット(LU-D)の連結を、前記抗体内のシステインへのアタッチメント(attachment)によって行うことがある。当業者によって理解されるように、抗体あたりの薬物部分構造の数は、反応の条件に応じて、変化することがある、及び1:1から10:1の薬物:抗体で、変化することがある。
当業者によって理解されるように、実際の数は、平均である。
【0221】
従って、前記抗-CD205抗体は、薬物にコンジュゲートすることがある。以下に記載するように、前記ADCの薬物は、任意の数の薬剤であることがある、例えば、限定されるものではないが、化学療法剤、増殖阻害剤、毒素(例えば、バクテリア、真菌、植物、若しくは動物起源の酵素活性がある毒素、若しくはそれらのフラグメント)、又は放射性同位体(即ち、放射性コンジュゲート)等の細胞傷害性薬剤、が挙げられる。他の実施形態では、本発明は、前記ADCを使用する方法を、更に提供する。
【0222】
本発明において、使用をするための薬物としては、細胞傷害性薬物、特に、がん療法に使用される薬物、が挙げられる。このような薬物としては、概して、DNA損傷薬剤、代謝拮抗物質、天然物及びそれらのアナログ、が挙げられる。細胞傷害性薬剤の例示的なクラスとしては、ジヒドロ葉酸レダクターゼ・インヒビター、及びチミジル酸合成酵素インヒビター等の酵素インヒビター、DNAインターカレーター、DNA切断剤、トポイソメラーゼ・インヒビター、薬物のアントラサイクリン・ファミリー、ビンカ薬物、マイトマイシン、ブレオマイシン、細胞傷害性ヌクレオシド、薬物のプテリジン・ファミリー、ジイネン、ポドフィロトキシン、ドラスタチン、メイタンシノイド、分化誘導剤、及びタキソール、が挙げられる。
【0223】
これらのクラスのメンバーとしては、例えば、タキソール、メトトレキサート、メトプテリン、ジクロロメトトレキサート、5-フルオロウラシル、6-メルカプトプリン、シトシン・アラビノシド、メルファラン、ロイロシン(leurosine)、ロイロシデイン(leurosideine)、アクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、マイトマイシンC、マイトマイシンA、カミノマイシン、アミノプテリン、タリソマイシン、ポドフィロトキシン及びポドフィロトキシン誘導体(例えば、エトポシド又はリン酸エトポシドなど)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、タキサン類(例えば、タキソール、タキソテール)、レチノイン酸、酪酸、N8-アセチル・スペルミジン、カンプトテシン、カリケアマイシン、エスペラマイシン、エネ-ジイン、デュオカルマイシンA、デュオカルマイシンSA、カリケアマイシン、カンプトテシン、ヘミアステルリン、メイタンシノイド(例えば、DM1等)、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)、メイタンシノイド(DM4)及びそれらのアナログ、が挙げられる。
【0224】
毒素を、抗体-毒素コンジュゲートとして使用することがある、及び毒素としては、ジフテリア毒素等のバクテリア毒素、リシン等の植物毒素、ゲルダナマイシン等の低分子毒素(Mandler et al (2000) J. Nat. Cancer Inst. 92(19):1573-1581; Mandler et al (2000) Bioorganic & Med. Chem. Letters 10:1025-1028; Mandler et al (2002) Bioconjugate Chem. 13:786-791)、メイタンシノイド(EP 1391213; Liu et al., (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:8618-8623)、及びカリケアマイシン(Lode et al (1998) Cancer Res. 58:2928; Hinman et al (1993) Cancer Res. 53:3336-3342)、ヘミアステルリン(WO2004/026293; Zask et al., (2004) J. Med. Chem, 47: 4774-4786)、が挙げられる。毒素は、例えば、チューブリン結合、DNA結合、又はトポイソメラーゼ阻害等のメカニズムによって、それらの細胞毒性の及び細胞増殖抑制の効果を、発揮することがある。
【0225】
抗-CD205抗体と、毒素活性を有する、例えば、メイタンシノイド、ドラスタチン、アウリスタチン、トリコテセン、カリケアマイシン、及びCC1065等の低分子毒素、及びこれらの毒素の誘導体との、コンジュゲートを使用することもある。
【0226】
好ましくは、抗-CD205抗体を、DM1又はDM4、最も好ましくはDM4、にコンジュゲートする。
【0227】
リンカー・ユニット
典型的には、前記抗体-薬物コンジュゲート化合物は、薬物ユニットと抗体ユニットとの間に、リンカー・ユニットを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、細胞内の又は細胞外の条件下で、切断可能であり、その結果、前記リンカーの切断によって、適切な環境において、前記抗体から前記薬物ユニットが放出される。例えば、ある特定のプロテアーゼを分泌する固形腫瘍は、切断可能なリンカーのターゲットとして働くことがある;他の実施形態では、利用されるのは細胞内プロテアーゼである。更に他の実施形態では、前記リンカー・ユニットは、切断可能ではない、及び前記薬物は例えば、リソソームにおける抗体分解によって、放出される。
【0228】
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、細胞内環境において(例えば、リソソーム内、若しくはエンドソーム内、又はカベオラ内に)存在する切断因子によって、切断可能である。前記リンカーは、細胞内ペプチダーゼ又はプロテアーゼ酵素(例えば、限定されるものではないが、リソソーム・プロテアーゼ又はエンドソーム・プロテアーゼ等)によって、切断されるペプチジル・リンカーであることがある。いくつかの実施形態では、前記ペプチジル・リンカーは、少なくとも2アミノ酸長、若しくは少なくとも3アミノ酸長、又はそれ以上、である。
【0229】
切断薬剤としては、限定されるものではないが、カテプシンB、及びD、並びにプラスミン、が挙げられ、これらの全ては、ジペプチド薬物誘導体を加水分解することによって、ターゲット細胞内部で、活性薬物が放出されることが知られている(例えば、Dubowchik and Walker, 1999, Pharm. Therapeutics 83:67-123を参照)。CD205-発現細胞中に存在する酵素によって切断可能なペプチジル・リンカー。例えば、がん性組織において高度に発現する、チオール-依存性プロテアーゼのカテプシン-Bによって、切断可能なペプチジル・リンカーを使用することがある(例えば、Phe-Leu又はGly-Phe-Leu-Glyリンカー)。このようなリンカーの他の実施例は、例えば、米国特許第6,214,345号(その全体が、全ての目的のために、参照により本出願に取り込まれる)に記載されている。
【0230】
いくつかの実施形態では、細胞内プロテアーゼによって切断可能なペプチジル・リンカーは、Val-Citリンカー又はPhe-Lysリンカー、である(例えば、米国特許第6,214,345号を参照されたい、これは、val-citリンカーを伴うドキソルビシンの合成を記載する)。
【0231】
他の実施形態では、前記切断可能なリンカーは、pH-感受性である、即ち、ある一定のpH値での加水分解に感受性である。典型的には、前記pH-感受性リンカーは、酸性条件下で加水分解可能である。
【0232】
更に他の実施形態では、前記リンカーは、還元条件下で切断可能である(例えば、ジスルフィド・リンカー)。
【0233】
他の実施形態では、前記リンカーは、マロン酸リンカー(Johnson et al., 1995, Anticancer Res. 15:1387-93)、マレイミドベンゾイル・リンカー(Lau et al., 1995, Bioorg-Med-Chem. 3(10):1299-1304)、又は3'-N-アミドのアナログ(Lau et al., 1995, Bioorg-Med-Chem. 3(10):1305-12)である。
【0234】
更に他の実施形態では、前記リンカー・ユニットは、切断可能ではない、及び前記薬物は、抗体分解によって放出される。(米国公開第2005/0238649号を参照、これは、その全体が、全ての目的のために、参照により本出願に取り込まれる)。
【0235】
多くの実施態様では、前記リンカーは、自壊性である。本出願で使用する場合、用語「自壊性スペーサー」は、間隔をおいた2つの化学的な部分構造を互いに共有結合させて、安定な3つの部位からなる分子にすることが可能である、2機能性の化学的な部分構造を意味する。それは、第1の部分へのその結合が切断されれば、第2の化学的な部分構造から自発的に分離する。例えば、WO 2007/059404A2、WO06/110476A2、WO05/112919A2、WO2010/062171、WO09/017394、WO07/089149、WO07/018431、WO04/043493及びWO02/083180を参照されたい。
【0236】
しばしば、前記リンカーは、細胞外環境に対して実質的に感受性を有さない。本出願で使用する場合、リンカーの文脈において、「細胞外環境に対して実質的に感受性を有さない」とは、抗体-薬物コンジュゲート化合物が細胞外環境(例えば、血漿中)に存在する場合に、前記抗体-薬物コンジュゲート化合物のサンプル中の、前記リンカーの僅か約20%、15%、10%、5%、3%、又は約1%が、切断されることを意味する。
【0237】
他の非-相互排他的な実施形態では、前記リンカーは、細胞の内部への取り込みを促進する。ある特定の実施形態では、前記リンカーは、治療薬剤にコンジュゲートした場合(即ち、本出願に記載される抗体-薬物コンジュゲート化合物の、リンカー-治療薬剤部分構造の環境下で)、細胞の内部への取り込みを促進する。更に他の実施形態では、前記リンカーは、本発明の、アウリスタチン化合物及び抗-CD205抗体の両方に、コンジュゲートした場合、細胞の内部への取り込みを促進する。
【0238】
本発明の組成物及び方法と共に使用することがある、様々な例示的なリンカーは、WO 2004/010957, 米国出願公開第2006/0074008号, 米国出願公開第20050238649号, 及び米国出願公開第2006/0024317号、に記載されている(これらの各々は、その全体が、全ての目的のために、参照により本出願に取り込まれる)。
【0239】
好ましくは、前記リンカーは、SPDB(N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)酪酸)である。
【0240】
医薬組成物
組み合わせ
本発明の組み合わせ医薬は、別々に、又は連続的に、使用をするために組み合わせた製剤の形体である。同様に、本発明の方法では、前記組み合わせ医薬の構成要素(a)及び(b)を、別々に、又は連続的に、投与することがある。
【0241】
本出願で使用する用語「組み合わせ医薬」は、単一の製剤又は個々の構成要素のいずれかとして、少なくとも2つの活性成分を含む医薬品を指す。
【0242】
本出願で使用する用語「組み合わせた製剤」は、構成要素a)及びb)の両方を、個々の構成要素として、又は単一の製剤中に、含む製剤を意味する。
【0243】
前記投与が連続的である場合、第2の構成要素を投与する際における遅延は、その組み合わせを使用することから生じる効果の利益が最大化されるようなものであるべきである。従って、1つの実施形態では、連続的な治療は、84日間内の前記組み合わせのそれぞれの構成要素の投与、が挙げられる。別の実施形態では、この期間は77日である。別の実施形態では、この期間は70日である。別の実施形態では、この期間は63日である。別の実施形態では、この期間は56日である。別の実施形態では、この期間は49日である。別の実施形態では、この期間は42日である。別の実施形態では、この期間は35日である。別の実施形態では、この期間は28日である。別の実施形態では、この期間は24日間である。別の実施形態では、この期間は21日である。別の実施形態では、この期間は18日間である。別の実施形態では、この期間は15日である。別の実施形態では、この期間は13日間である。別の実施形態では、この期間は11日である。別の実施形態では、この期間は9日以内である。別の実施形態では、この期間は7日以内である。別の実施形態では、この期間は5日以内である。別の実施形態では、この期間は3日以内である。別の実施形態では、この期間は1日以内である。好ましい実施形態では、前記連続的な治療としては、14-16日間内の前記組み合わせのそれぞれの構成要素の投与、が挙げられる。
【0244】
構成要素(a)を最初に投与し、次に構成要素(b)を投与する。
【0245】
前記組み合わせた製剤として投与される、構成要素(a)と構成要素(b)の総量の比率は、[例えば、治療対象の患者サブ-集団のニーズ、又は単一の患者のニーズ(これらの様々なニーズは、前記患者の年令、性別、体重などに起因することがある)、に対処するために]変わることがある。
【0246】
構成要素(a)及び(b)を、単一の組成物中に存在するか、又は別々の組成物中に存在するかに関わらず、独立して、1種以上の薬学的に許容される担体と共に製剤化することがある。本発明の組み合わせ医薬もまた、少なくとも1つの他の抗-腫瘍薬剤、又は抗-炎症性若しくは免疫抑制性の薬剤、を含むことがある。本出願で使用する場合、「薬学的に許容可能な担体」としては、生理学的に両立し得る、任意の及び全ての、溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌薬(antibacterials)及び抗真菌剤、等張及び吸収遅延剤等、が挙げられる。好ましくは、前記担体は、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、非経口投与、脊髄投与又は表皮投与(例えば、注射投与又は点滴投与による)に適している。投与経路に応じて、前記活性化合物、即ち、抗体、免疫コンジュゲート、又はバイスペシフィック分子を、前記化合物を不活性化することがある、酸性の作用及び他の自然状態の作用から、前記化合物を保護するための物質で、コーティングすることがある。
【0247】
本発明の組み合わせ医薬において使用することがある、好適な、水性担体及び非-水性担体、の例としては、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレン・グリコール、ポリエチレン・グリコール等)、及びそれらの好適な混合物、植物油(例えば、オリーブオイル)、及び注射可能な有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)、が挙げられる。適切な流動性を、例えば、レシチン等のコーティング物質を使用することによって、分散液の場合には必要な粒子サイズを維持することによって、及び界面活性剤を使用することによって、維持することがある。
【0248】
これらの組み合わせ又はその一部は、防腐剤、湿潤剤、乳化剤及び分散薬剤等のアジュバントを含むこともある。上記の滅菌法によって、及び各種抗菌薬(antibacterials)及び抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸等)を含めることによって、の両方で、微生物の存在を確実に防ぐことができる。また、糖、塩化ナトリウム等の等張剤を、前記組成物中に含めることが望ましい場合もある。更に、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチン等の、吸収を遅延させる薬剤を含めると、注射可能な医薬形体は、持続的吸収されるようになることがある。
【0249】
薬学的に許容可能な担体としては、滅菌した水溶液又は分散液、及び滅菌した注射可能な溶液又は分散液を即時調製するための滅菌した粉末、が挙げられる。薬学的に活性な物質のためにそのような媒体及び薬剤を使用することは、当技術分野において既知である。本発明の医薬組成物におけるその使用は、任意の従来の媒体又は薬剤が前記活性化合物と不適合である場合を除いて、企図される。補助的な活性化合物もまた、前記組成物に組み込むことができる。
【0250】
必要な量の活性化合物を、上記に列挙した成分のうちの、1種と共に又は組み合わせと共に、適切な溶媒の中に組み込み、必要に応じて、続けて滅菌精密濾過することによって、滅菌した注射可能な溶液を、調製することがある。一般に、分散液は、活性化合物を、塩基性分散媒体、及び上に列挙したものからの必要な他の成分、を含有する滅菌した媒体に組み込むことによって、調製する。滅菌した注射可能な溶液を調製するための滅菌した粉末の場合では、調製の好ましい方法は、以前に滅菌濾過したその溶液から、活性成分+任意の追加の所望の成分、の粉末を産する、減圧乾燥及び凍結乾燥(凍結乾燥)である。
【0251】
担体物質と組み合わせて単一の投薬形体を生成することができる活性成分の量は、治療するべき対象、及び特定の投与様式に応じて、変動する。単一の投薬形体を生成するために、担体物質と組み合わせることができる活性成分の量は、一般に、治療効果を生じる、前記組成物の量である。一般に、この量は、薬学的に許容可能な担体と組み合わせて、100%のうち、約0.01%から約99%までの活性成分、好ましくは約0.1%から約70%まで、最も好ましくは、約1%から約30%までの活性成分、の範囲であろう。
【0252】
投薬レジメンを調整して、最適な所望の応答(例えば、治療応答)を提供する。例えば、単回ボーラスで投与することがある、数回に分割した用量を経時的に投与することがある、又は治療状況の緊急性が示す場合、その用量を比例的に減少させる又は増加させることがある。投与を容易にし、且つ投薬を均一化する上では、親組成物を投薬単位にして製剤化することは、特に有用である。本出願で使用する投薬単位形体は、治療するべき対象の単位投薬量として適した、物理的に別個の単位を指す;各単位は、必要とされる薬学的な担体と関連して、所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性化合物を含有する。
本発明の投薬単位形体の具体詳細は、(a)前記活性化合物のユニークな特徴、及び達成されるべき特定の治療効果、並びに(b)個体における感受性を治療するためのこのような活性化合物を配合する技術分野に固有の制限、によって決まる、及び直接的に依存する。
【0253】
抗-CD205-DM4 ADCの投与について、その投薬量は、宿主体重に関して、約0.8から10mg/kg、例えば、1.0mg/kgから8.0mg/kg、1.2mg/kgから7.5mg/kg、1.4mg/kgから7.0mg/kg、1.6から6.0mg/kg、1.6から5mg/kg、2.0から4mg/kg、2.5から3.6 mg/kg、の範囲である。例えば、投薬量は、0.8mg/kg、1.0mg/kg、1.2mg/kg、1.4mg/kg、1.6mg/kg体重、2.0mg/kg体重、2.5mg/kg体重、3.5mg/kg体重、4mg/kg体重又は5mg/kg体重、であることがある。例示的な治療レジメンは、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、1ヶ月に1回、6週間に1回、3ヶ月に1回、又は3から6ヶ月に1回、の投与を必要とする。
【0254】
本発明の方法において、使用をするための抗-CD205-DM4 ADCの好ましい投薬レジメンは、静脈内投与による、2.0mg/kg体重、2.5mg/kg体重、3.0mg/kg体重又は3.5mg/kg体重を含み、抗体薬物コンジュゲートを、以下の投与スケジュールのうちの1つを使用して、投与する:(i)3週間毎に6回の投薬;(ii)3週間毎に;(iii)2.5mg/kg体重を1回、続いて3週間毎に2mg/kg体重。
【0255】
本発明の方法において、使用をするための抗-CD205抗体薬物コンジュゲートに関する更に好ましい投薬レジメンは、静脈内投与による、0.8mg/kg体重、1.0mg/kg体重、1.2mg/kg体重又は1.4mg/kg体重を含み、抗体薬物コンジュゲートを、以下の投与スケジュールのうちの1つを使用して、投与する:(i)1週間に1回;(ii)1週間に1回、4回の投薬;(iii)1週間に1回、3回の投薬;(iv)1週間に3回、3週間に1回。
【0256】
PD1抗体の投与について、投薬量は、200mgから480mg、例えば、200mg、240mg、400mg、又は480mg、である。例示的な治療レジメンは、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、又は6週間に1回の投与を必要とする。
【0257】
PD-L1抗体の投与について、投薬量は、800mgから1500mg、例えば、800mg、1200mg又は1500mgである。例示的な治療レジメンは、2週間に1回、3週間に1回、又は4週間に1回の投与を必要とする。
【0258】
いくつかの方法では、異なった結合特異性を有する2種以上のモノクローナル抗体を、同時に投与し、その場合、投与されるそれぞれの抗体の投薬量は示された範囲内にある。
【0259】
本発明の組み合わせ医薬中の活性成分の実際の投薬量レベルを、具体的な患者、組成物、及び投与様式に対して、前記患者に対して毒性を示すことなく、所望の治療応答を達成するのに効果的な活性成分の量を得るように変えることができる。選択した投薬量レベルは、例えば、使用する本発明の特定の組成物、又はそのエステル、塩若しくはアミド、の活性、投与経路、投与の時期、使用する特定の化合物の排泄速度、治療の期間、使用する特定の組成物と併用して使用する他の薬物、化合物及び/又は物質、治療する患者の年齢、性別、体重、症状、全身の健康及び以前の病歴、並びに医学分野で周知の因子、等の、様々な薬物動態学的因子に依存する。
【0260】
本発明の抗-CD205抗体又は組み合わせに関する「治療的に有効な投薬量(therapeutically effective dosage)」によって、好ましくは、疾患症状(symptom)の重症度の減少、疾患症状(symptom)が無い時期の頻度及び持続期間の増加、又は疾患の苦痛による機能障害又は身体障害の予防、がもたらされる。例えば、CD205又はPD1/PD-L1媒介性の腫瘍を治療するために、「治療的に有効な投薬量(therapeutically effective dosage)」は、好ましくは、未治療の対象と比較して、少なくとも約20%、少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも約40%、少なくとも約50%、なおより好ましくは少なくとも約60%、少なくとも約70%、更により好ましくは少なくとも約80%、又は少なくとも約90%、細胞増殖又は腫瘍増殖を阻害する。化合物が腫瘍増殖を阻害する作用能は、ヒト腫瘍における有効性を予測する動物モデル・システムで評価することがある。或いは前記化合物が細胞増殖を阻害する作用能を試験することによって、組成物に関するこの特性を評価することができ、そのような阻害を、当業者に既知のアッセイによって、in vitroで測定することがある。治療用化合物の治療的有効量は、腫瘍サイズを減少させることがある、又はそれ以外、対象において、症状(symptom)を緩和させることがある。当業者であれば、前記対象のサイズ、前記対象の症状(symptom)の重症度、及び選択した特定の組成物又は投与経路、等の因子に基づいて、そのような量を決定することができるであろう。
【0261】
本発明の組み合わせ医薬を、当該技術分野で既知の様々な方法のうちの1つ以上を使用して、1つ以上の投与経路を介して、投与することがある。構成要素(a)及び(b)を、同じ経路によって、又は異なる経路によって、投与することがある。当業者によって理解されるように、投与の経路及び/又は様式は、所望の結果に応じて、変化する。本発明に係る抗体の好ましい投与経路としては、例えば、注射投与によって又は点滴投与によって、静脈内投与経路、筋肉内投与経路、皮内投与経路、腹腔内投与経路、皮下投与経路、脊髄投与経路又は他の非経口投与経路、が挙げられる。本出願で使用する語句「非経口投与」は、経腸投与及び局所投与以外の、投与様式を意味し、通常、注射投与によるものであり、限定されるものではないが、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔(intrathecal)、関節包内(intracapsular)、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管(transtracheal)、皮下、表皮下(subcuticular)、関節内(intraarticular)、被膜下(subcapsular)、くも膜下(subarachnoid)、髄腔内(intraspinal)、硬膜外及び胸骨内の注射投与及び点滴投与、が挙げられる。
【0262】
或いは、抗体を、非-経口経路、例えば、局所の、表皮の又は粘膜の投与経路、例えば、鼻腔内、経口、膣、直腸、舌下又は局所により、投与することがある。
【0263】
前記活性化合物を、急激な放出から前記化合物を保護する担体、例えばコントロールされた放出製剤、例えば、移植片、経皮貼付剤、及びマイクロカプセル化デリバリー・システム等、と一緒に調製することがある。生分解性の生体適合性ポリマー、例えば、エチレン・ビニル酢酸塩、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸等、を使用することがある。そのような製剤を調製するための多くの方法は、特許を受けているか、又は当業者に一般的に知られている[例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems (1978) J.R. Robinson, ed., Marcel Dekker, Inc., N.Yを参照されたい]。
【0264】
治療組成物を、当該技術分野で既知の医療デバイスを用いて、投与することがある。例えば、好ましい実施形態では、前記抗体(単数形)又は抗体(複数形)を、無針皮下注射デバイス、例えば、米国特許第5,399,163; 5,383,851; 5,312,335; 5,064,413; 4,941,880; 4,790,824; 又は4,596,556で開示されるデバイス等を使って、投与することがある。本発明において有用な周知の移植片及びモジュールの例としては、以下が含まれる:米国特許第4,487,603号、これは、コントロールされた速度で薬物を分配するための移植可能な微小注入ポンプを開示する;米国特許第4,486,194号、これは、皮膚を通して薬剤を投与するための治療デバイスを開示する;米国特許第4,447,233号、これは、正確な注入速度で薬物を送達するための薬物注入ポンプを開示する;米国特許第4,447,224号、これは、連続的に薬物を送達するための可変流の移植可能な注入装置を開示する;米国特許第4,439,196号、これは、マルチ-チャンバ区画を有する浸透圧薬物送達システムを開示する;及び米国特許第4,475,196号、これは、浸透圧薬物送達システムを開示する。これらの特許は、本出願に参照により取り込まれる。多くの他のそのような移植片、送達システム、及びモジュールは、当業者に既知である。
【0265】
ある特定の実施形態では、前記抗-CD205及び/又は抗-PD1/PD-L1抗体を、in vivoでの適切な分布が確実になされるように、製剤化することがある。例えば、血液脳関門(BBB)は、多くの高度に親水性の化合物を排除する。治療化合物がBBBを通過することを確実にするために(所望であれば)、それらを、例えば、リポソーム中に製剤化することがある。リポソームを製造する方法については、例えば、米国特許第4,522,811号;第5,374,548号;及び同第5,399,331号を参照されたい。前記リポソームは、特定の細胞又は臓器に選択的に輸送される1種以上の部分構造を含むことがある、従って、ターゲット化した薬物送達を増強する[例えば、V.V. Ranade (1989) J. Clin. Pharmacol. 29:685、を参照]。例示的なターゲティング部分構造としては、葉酸又はビオチン(例えば、米国特許第5,416,016号参照);マンノシド[Umezawa et al. (1988) Biochem. Biophys. Res. Commun. 153:1038];抗体[P.G. Bloeman et al. (1995) FEBS Lett. 357:140; M. Owais et al. (1995) Antimicrob. Agents Chemother. 39:180];界面活性化タンパク質A受容体 [Briscoe et al. (1995) Am. J. Physiol. 1233:134]:p120[Schreier et al. (1994) J. Biol. Chem. 269:9090];K. Keinanen; M.L. Laukkanen (1994) FEBS Lett. 346:123; J.J. Killion; I.J. Fidler (1994) Immunomethods 4:273、もまた参照、が挙げられる。
【0266】
用途と方法
本出願で使用する場合、用語「対象(subject)」は、ヒト及び非-ヒト動物、を含むことが意図される。非-ヒト動物としては、全ての脊椎動物、例えば、哺乳動物及び非-哺乳動物、例えば、非-ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ニワトリ、両生類及び爬虫類、が挙げられる。好ましい対象としては、CD205活性及び/又はPD1/PD-L1活性によって媒介される障害を有するヒト患者、が挙げられる。in vivo及びin vitroで、前記抗体組成物(例えば、モノクローナル抗体、及び免疫コンジュゲート)を投与するステップに関する好適な経路は、当該技術分野において周知である、及び当業者によって選択されることがある。例えば、前記抗体組成物を、注射投与(例えば、静脈内又は皮下)によって投与することがある。使用される前記分子に関する適切な投薬量は、前記対象の年齢及び体重、並びに前記抗体組成物の、濃度及び/又は製剤、に依存する。
【0267】
前述のように、前記抗-CD205及び/又は抗-PD1/PD-L1抗体を、1種以上の他の治療薬剤、例えば、細胞傷害性薬剤、放射性毒性薬剤又は免疫抑制性薬剤、と共-投与することがある。前記抗体を、前記薬剤に(免疫複合体として)連結することがある、又は前記薬剤とは別々に投与することがある。後者のケース(別々に投与)では、前記抗体を、前記薬剤の前に、後に、若しくは同時に、投与することがある、又は他の既知の療法、例えば、抗-がん療法、例えば、放射線、と一緒に、共-投与することがある。そのような治療薬剤としては、とりわけ、抗-新生物薬剤、が挙げられる。本発明の抗体との共-投与に適した他の薬剤としては、がん(例えば、胃がん(gastric cancer)、子宮内膜がん、結腸直腸がん、前立腺がん、乳がん、卵巣がん又は肺がん)を治療するために使用される他の薬剤、が挙げられる。本発明の抗-CD205抗体又はその抗原結合フラグメントを、化学療法剤と一緒に共-投与すると、ヒト腫瘍細胞に対する細胞傷害効果をもたらす異なるメカニズムを介して作用する2つの抗-がん剤が提供される。そのような共-投与によって、薬物に対する耐性の発生又は腫瘍細胞の抗原性の変化(これは、前記腫瘍細胞を、前記抗体に対して非反応性にする)に起因する課題を解決することができる。
【0268】
本発明の組み合わせ医薬はまた、血清及び/又は補体と共に投与することもある。これらの組成物は、前記補体が前記抗体のすぐ近くに位置する場合に有利であることがある。或いは、前記抗体、及び前記補体又は血清を、別々に投与することがある。
【0269】
使用をするための指示と共に、構成要素(a)及び(b)を含むキットもまた、本発明の範囲内である。前記キットは、1種以上の追加的な試薬[例えば、免疫抑制剤、細胞傷害性薬剤、若しくは放射性毒性薬剤、又は1種以上の追加的な抗体(例えば、第1の抗体とは異なる、CD205抗原中のエピトープに結合する相補的な活性を有する抗体)等]を更に含有することがある。
【0270】
従って、本発明の組み合わせ医薬で治療する患者に、前記抗体の治療効果を増強する又は高める、別の治療薬剤(例えば、細胞傷害性薬剤又は放射性毒性薬剤)を、(本出願に開示される抗体を投与する前に、同時に、又は後に)追加的に投与することがある。
【0271】
本明細書において引用される全ての参考文献、例えば、限定されるものではないが、全ての論文、刊行物、特許、特許出願、プレゼンテーション、テキスト、報告書、原稿、パンフレット、書籍、インターネットのポスティング、雑誌記事、定期刊行物、製品ファクト・シート(fact sheets)等、それらの全体が本明細書に参照により取り込まれる。本出願における参考文献の考察は、それらの著者による主張を単に要約することを意図したものであり、いかなる参考文献も先行技術であることを認めるものではなく、出願人らは、引用文献の正確性及び妥当性に異議を唱える権利を留保する。
【0272】
上記の発明は、理解を明確にするために、説明及び実施例によってある程度詳しく記載されているが、従属する請求項の趣旨又は範囲から逸脱することなく、特定の変更及び修正を行うことができることは、本発明の教示に照らして当業者には容易に明らかであろう。
【0273】
本発明を、以下の実施例によって更に説明するが、これらの実施例は更なる限定として解釈されるべきではない。
【実施例
【0274】
実施例
実施例1:CD205-抗原に対するヒト・モノクローナル抗体の生成
標準的な方法に従い、マウス(異種マウスIgG1)を、全長CD205でトランスフェクションしたCHO細胞で、免疫した。
【0275】
CD205に対して生じた抗体の特異性を、CD205でトランスフェクションしたHEK293細胞で、続いてCD205-発現HT29細胞で、フロー・サイトメトリーによって試験した。細胞表面CD205タンパク質に結合するという前記抗体の作用能を試験するために、前記抗体を、CD205-発現細胞と共にインキュベートした。細胞をFACSバッファー(DPBS、2% FBS)で洗浄し、遠心分離し、100μlの希釈した一次CD205抗体(FACSバッファーで希釈した)中に再懸濁した。その抗体-細胞株複合体を、氷上で、60分間インキュベートし、次いで上記のようにFACSバッファーで2回洗浄した。その細胞-抗体ペレットを、100μlの希釈した二次抗体(FACSバッファーで希釈した)中に再懸濁し、氷上で、60分間、氷上で、インキュベートした。前記ペレットを、前述のように洗浄し、200μlのFACSバッファー中に再懸濁した。そのサンプルをBD FACScanto IIフロー・サイトメーターにロードし、そのデータをBD FACSdivaソフトウェアを用いて解析した(結果は示さず)。
【0276】
実施例2:CD205に対するモノクローナル抗体の構造特性評価
CD205_A1モノクローナル抗体の重鎖及び軽鎖可変領域をコードするcDNA配列を、標準的なPCR技術を用いて取得した、そして標準的なDNAシークエンシング技術を用いてシークエンシングをした。
【0277】
抗体配列に、変異誘発を行って、1つ以上の残基で、生殖系列残基に戻すことがある。
【0278】
CD205_A1の重鎖可変領域のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列を、それぞれ、配列番号(SEQ ID NO): 3及び1に示す。
【0279】
CD205_A1の軽鎖可変領域のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列を、それぞれ、配列番号(SEQ ID NO): 4及び2に示す。
【0280】
CDR領域決定に関するカバット(Kabat)システムを用いて、CD205_A1 VH配列を更に解析すると、重鎖CDR1、CDR2及びCDR3領域は、それぞれ、配列番号(SEQ ID NO): 5、6及び7として示されるように、描かれる。CD205_A1 CDR1、CDR2及びCDR3 VH配列を、図1に示す。
【0281】
CDR領域決定に関するカバット(Kabat)システムを用いて、CD205_A1 VK配列を更に解析すると、軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3領域は、それぞれ、配列番号(SEQ ID NO): 8、9及び10として示されるように、描かれる。CD205_A1 CDR1、CDR2及びCDR3 VK配列を、図2に示す。
【0282】
実施例3:Raji及びTHP1細胞における、種々のDM4-コンジュゲートした抗-LY75モノクローナル抗体の有効性
THP-1及びRaji細胞を、3,000細胞/ウェル(1.5×105細胞/mL)の播種密度に調製し、アッセイプレートに添加した(20 μL/ウェル)。
【0283】
THP-1細胞をRPMI GLUTAMAX Growth(2ME)中で調製し、Raji細胞をRPMI 1640 ATCC Growth AB-Free(10%)中で調製した。
【0284】
各々のコンジュゲートした抗体を、最終濃度の2倍である出発濃度に、トリプリケート(triplicate)で調製し、RPMI 1640 ATCC Growth AB-Free(10%)中で、最終濃度まで希釈した。抗体を、必要なアッセイプレートに移し、96時間インキュベートした。
【0285】
アッセイ・インキュベーション後、Cell-Titer Gloを各々のプレートに添加し、0.2秒積分のルミネッセンスに設定したプレート・リーダーを用いて読み取った。
【0286】
生データを、ネガティブ・コントロール(ターゲット細胞のみ)を用いて、%特異的死(データは示さず)に変換し、EC50を計算した。2種の細胞株に対する抗体のEC50を、表3に示す。表3から分かるように、抗体コンジュゲートCD205_A1は、試験した他の2種の抗体よりも低いEC50 を示した。しかしながら、3つのコンジュゲートは全て、Raji及びTHP1細胞の両方に対して、細胞傷害性を示した。
【表3】
【0287】
実施例4:カニクイザルにおける、DM1-コンジュゲートした及びDM4-コンジュゲートした抗-CD205モノクローナル抗体の傷害性
6匹の雄サルを、2匹のサル/群で、本試験に割り当てた。媒体(PBS)、CD205_DM4(切断可能)又はCD205_DM1(非-切断可能)の何れかを、0mg/kg/用量(PBS、媒体)、5mg/kg/用量(CD205_DM4、切断可能)又は10mg/kg/用量(CD205_DM1、非-切断可能)で、15分間の静脈内注入により、2回(1日目及び29日目)投与した。投与開始(1日目)前、並びに各々の投与の1、2、3、7、14、21及び28日後に、トキシコキネティクス評価のために血液サンプルを採取した。投与開始前(1日目)、並びに各々の投与の1、3、7、14、21、及び28日後に(1回目の投与後の28日目はまた、2回目の投与の投与前時点ともした)に、臨床病理学的な解析のための血液サンプルを採取した。57日目の最終血液採取後に、全ての試験動物を安楽死させ、剖検した。各々の採血から分離した血漿を単離し、凍結し、Oxford BioTherapeutics, Inc.に輸送し、ELISAによりADC濃度を解析した。
【0288】
治療に関連した臨床病理学的な所見としては、軽度の再生性貧血と血液中の白血球プロファイルの一過性の減少、特に好中球数の減少、が見られた。5mg/kgのCD205_DM4で処置した両方の動物、及び10mg/kgのCD205_DM1で処置した2匹の動物のうちの1匹において、貧血が観察された。カウントが、投与後1週間で最低値になり、急激に回復を示す、重度の好中球減少症が全ての動物で観察された;絶対的な好中球カウントの最低値は、CD205_DM4で処置した動物で、より低かった。APTT及びPT凝固パラメータに対する被験物質-関連の影響は認められなかった。血清化学的変化としては、5mg/kgのCD205_DM4及び10mg/kgのCD205_DM1の投与後の、AST、CK、LDH(それぞれの処置群の2匹の内に1匹において)及びグロブリンの、一過性の増加、が挙げられた。更に、肝臓特異的な酵素ALTの一過性の増加が、CD205_DM4処置した動物においてのみ観察された。血清化学パラメータに関して、短期間の増加及び/又は増加の大きさは、それらが有害ではないことを示唆する。被験物質-関連の尿試験の所見はなかった。4週間の回復期後の剖検時の検査では、治療に関連する肉眼的病理所見、又は絶対的な及び相対的な臓器重量の変化、は認められなかった。甲状腺(濾胞のコロイド形態の変化)及び腎臓(外側皮質における拡張した尿細管)の病理組織学的所見のみが、最小の重症度;他の試験パラメーターの変化と関連せず;並びに有害ではない、及び毒性学的意義も小さい、として評価された。結論:5mg/kgのCD205_DM4又は10mg/kgのCD205_DM1という2つの用量での反復投与処置は、カニクイザルにおいて良好な耐容性を示した。治療-関連の毒性所見は全て、4週間の回復期間後に、可逆的であった。
【0289】
実施例5:CD205の免疫組織化学プロトコル。
CD205ターゲット発現レベルを、ホルマリン-固定パラフィン-包埋(FFPE)したヒト腫瘍において、免疫組織化学(IHC)染色アッセイを用いて評価する。FFPE組織を、ロータリー・ミクロトームで、4-6ミクロンの厚さで、切片化し、正に荷電したスライド・ガラス上に載せた。その載せた切片を、前記スライド上で室温で一晩、又は37℃で30分間、風乾させ、続いて60℃で30分間焼成した。前記スライドを、キシレンを各5分間ずつ3回変えて脱パラフィンし、段階的なエタノール(最初に100%エタノールに変えて3回、続いて95%エタノールに変えて1回、80%エタノールに変えて1回)、及びイオン交換水での2回すすぎ、各3分間ずつ、によって再水和した。脱パラフィン化及び再水和の過程の後、前記スライドを、Diva Decloaker液(DDV2004)中、Biocare Decloaker NxGen圧力調理器(pressure cooker)において、加熱-誘発エピトープ回復(heat-induced epitope retrieval (HIER))を行った。前記スライドを、110℃の温度に、15分間、曝露し、そのユニット内で更に10分間冷却した後、取り出した。圧力調理器から取り出した後、熱いDiva回復溶液を、脱イオン水又は蒸留水で、徐々に置き換えることによって、前記スライドを室温に平衡化した。前記スライドを、トリス-緩衝化-生理食塩水(Tris-Buffered Saline(TBS))(TWB945)ですすぎ、インテリパス(intelliPATH)自動染色装置(IPS0001US)の染色ラックの中に装填した。前記スライドを300ulのPeroxidazed 1(PX968)中で5分間インキュベートして、内因性ペルオキシダーゼをブロッキングした。次いで、前記Peroxidazed 1を除去し、前記スライドを300ulのBackground Punisher (IP974G20)中で10分間インキュベートして、非-特異的なタンパク質-タンパク質相互作用を遮断した。次いで、前記スライドをTBSで洗浄し、一次抗体を適用した。前記一次抗体は、ライカ・バイオシステムズ(カタログ番号NCL-L-CD205)によって供給される、CD205に対するマウス・モノクローナル抗体であり、Da Vinci Green Diluent(PD900)中で、1:80(0.5 ug/mL)に希釈して使用した。希釈した一次抗体300ulを、前記スライドに適用し、室温で30分間インキュベートした。一次抗体でのインキュベーションをした後、前記スライドをTBS中で洗浄し、300ulの二次検出抗体ポリマーMACH 2マウスHRP(MHRP520)を適用して、室温で30分間、インキュベートした。前記スライドを、TBS中で洗浄し、300ulのintelliPATH FLX DAB色原体中で、5分間、発色させた。前記色原体が発色した後、前記スライドを、イオン交換水又は蒸留水で洗浄し、ヘマトキシリンで、20秒間、軽く対比染色し、再びイオン交換水ですすいだ。次いで、その染色したスライドを、70%、90%、95%、3回の100%、という段階的な組織学的グレードのエタノールでの交換(3-5分間)、及びキシレンでの3回交換、を通して、脱水し、その後、Permountでマウントした。
【0290】
染色を、0(陰性)から3+(高い陽性)のスケールでスコア化し、1+は低い陽性であり、2+は中程度の陽性である。病理学の採点者は、それぞれの強さレベルにある膜染色を示す腫瘍細胞の割合を評価し、記録した(例:0=5%、1+=50%、2+=35%、3+=10%)。
【0291】
少なくとも2+である50%を超えるCD205腫瘍発現を示す患者を、CD205-DM4 ADCを使った治療に適したものとして選択した。誤解を避けるために、CD205-DM4-ADCの抗体部分は、抗体CD205_A1を含む。
【0292】
実施例6:胃がん(Gastric Cancer)患者の血液中のT-細胞集団に対する抗-CD205 DM4 ADCの効果
転移性胃がん(gastric cancer)に罹患している患者に、CD205-DM4 ADCを、2.5mg/kgの投薬量で投与した(0日目)。治療後1、8、15、及び21日目に、胃がん(gastric cancer)患者から血液を採取した。
【0293】
方法
全てのステップを室温で行った。100μlの患者血液をそれぞれの微量遠心チューブに分注し、抗体を適切な濃度で添加した(表参照)。その血液サンプルを、室温で20分間、染色し、1mlの1×RBC溶解バッファーを加えた。その細胞を、更に15分間、インキュベートし、300gで5分間、遠心分離した。バッファーを除去し、そのペレットを1mlのFACS染色バッファー(2%FCS+PBS+0.05%アジ化ナトリウム)で洗浄した。
【0294】
前記ペレットを、500-700μlのFACSバッファー中で再懸濁し、そのサンプルをFACS解析によって解析した。
【表4】
【0295】
FACSゲート戦略
リンパ球を、最初に、CD45-PE抗体を使用して血液から単離した。次いで、前記T-細胞を、CD3-PerCp-Cy5.5抗体を使用して分離した。CD4+及びCD8+細胞の別々の集団を、それぞれ、CD4-PECY7及びCD8-FITCを使用して、分離した。続いて、CD4+及びCD8+細胞を、CD205-Alexa Fluor 647及びPD1-BV421を使用して、CD205発現及びPD1発現について、スクリーニングした。
【0296】
結果
図3中、左側のパネルは、CD205-DM4 ADC薬物の投与後、21日間の時系列のうち、8日目と21日目との間に、患者の血液中に存在するCD8+ T-細胞の数が3倍増加したことを示す。右側のパネルは、CD205-DM4 ADC薬物の投与後、21 日間の時系列のうち、8 日目と21 日目との間に、患者の血液中に存在するCD4+ T-細胞の数が3.4 倍増加したことを示す。図から分かるように、CD8+及びCD4+ T-細胞の数は、15日目まで比較的一定のままである。その後、T-細胞レベルは、15日目と21日目との間で、約3倍に急激に上昇する。
【0297】
図4は、左側のパネルにおいて、総T-細胞集団に対するCD4+及びCD8+ T-細胞の割合は、経時的に比較的一定のままであることを示す。
【0298】
右側のパネルは、PD1+でもあるCD4+及びCD8+ T細胞の割合を示す。CD4+及びCD8+の両方について見られ得るように、PD1陽性T-細胞の割合は、8日目から急速に上昇し、15日目にピークに達した。
【0299】
図5は、左側のパネルにおいて、PD1+でもある、患者の血液中に存在するCD8+ T-細胞の数の変化を、時系列的に示す。右側のパネルは、PD1+でもある、患者の血液中に存在するCD4+ T-細胞の数の変化を、時系列的に示す。図から分かるように、CD8+ PD1+ T細胞の数は最初は僅かに減少するが、その後、8日目から21日目まで、約4倍に増加する。CD4+ PD1+ T-細胞についても、同様のパターンが見られる。
【0300】
対照的に、図6及び7は、CD8+ CD205+及びCD4+205+免疫細胞の集団が、8日目までに、非常に低いレベルまで、劇的に減少し、21日目でも回復しなかったことを示す。
【0301】
CD8+CD205+免疫細胞は、免疫学的自己寛容を媒介し、免疫反応を抑制することが知られている、Foxp3+調節性T細胞を誘導し得ることが、以前に報告されている(Yamazaki, S; et al, J. Immunol., 181(10), 6923, [2008])。
【0302】
結論
CD205-DM4 ADCによってCD4+ CD205+及びCD8+ CD205+免疫調節性細胞の低下が誘導された1週間後にT-細胞の数が増大したことは、腫瘍に対する免疫反応を誘導するために、患者の抑制された免疫システムを再活性化するための治療モダリティとして、CD205-DM4 ADCを使用することを、支持する。更に、CD205-DM4 ADCを使った治療後にPD1+ T-細胞の数が増大することは、CD205-DM4 ADC誘導性免疫反応が、その後、腫瘍によって遮断されることを、免疫チェックポイント・インヒビターPD1/PD-L1を使用することによって、防止することを、支持する。
【0303】
実施例7:胃がん(Gastric Cancer)患者の血液中の樹状細胞集団に対する抗CD205 DM4 ADCの効果
方法
全てのステップを室温で行った。100μlの患者血液をそれぞれの微量遠心チューブに分注し、適切な抗体を添加した(表参照)。その血液サンプルを、室温で20分間、染色し、1mlの1×RBC溶解バッファーを加えた。その細胞を、更に15分間、インキュベートし、300gで5分間、遠心分離した。バッファーを除去し、そのペレットを1mlのFACS染色バッファー(2%FCS+PBS+0.05%アジ化ナトリウム)で洗浄した。
【0304】
前記ペレットを、500-700μlのFACSバッファー中で再懸濁し、そのサンプルをFACS解析によって解析した。
【表5】
【0305】
FACSゲート戦略
樹状細胞を、最初に、HLA-DR FITC及びLineage-BV510抗体を使用して、血液から単離した。次いで、前記樹状細胞を、CD11c(mDC)及びCD123(pDC)抗体を使用して、pDC及びmDCに分離した。続いて、mDC及びpDCの別々の集団を、CD205-Alexa Fluor 647及びPD-L1-PEを使用して、CD205発現及びPD-L1発現について、スクリーニングした。
【0306】
結果
図8中、左上のパネルは、末梢血中のmDCの総数は、前記薬物の投与後の21日間の時系列で、4.5倍上昇したことを示す。左下のパネルは、最初の降下した後、末梢のpDCの総数は、前記薬物の投与後の21日間の時系列で、2倍になったことを示す。右側のパネルは、CD205+ mDC及びpDCについて同様のパターンを示し、最初の降下CD205後の8日目と21日目との間に、急激な上昇が見られる。
【0307】
実施例8:2.0-2.5mg/kg CD205-DM4 ADCを使った治療に対する胃がん(gastric cancer)患者の臨床応答
腫瘍がMSI安定、PD-L1陰性である、且つ以前に2ラインの化学療法治療(1stラインはドセタキセル/シスプラチン/5FU;2ndラインはラムシルマブ/パクリタキセル)を受けたことがあり、そして進行した、且つリンパ節転移及び悪性腹水を有する、化学療法不応性進行胃がん患者を、CD205腫瘍発現についてのIHCによりスクリーニングした。IHCは、原発腫瘍が、治療の基準を満たす60%の2+ CD205発現を示したことを、示した(データは示さず)。前記患者を、21-日周期、2.5mg/kgで投与したCD205-DM4 ADCを使用して治療した。第1サイクルの後、その用量を2.0mg/kgに減量した。3サイクルの治療後、前記患者を評価した。原発性胃腫瘍は約40%まで縮小し、腹水と同様に、リンパ節転移が消失した、ことが示された(表5参照)。更に2サイクルのCD205-DM4 ADCを投与し、その後1サイクルのペムブロリズマブ(200mg)(CD205-DM4 ADCの最終サイクルの約4週間後)を投与した。ペムブロリズマブによる治療後、検診したところ、原発性胃腫瘍に対する完全な応答があることが判明した。
【表6】
【0308】
実施例9:患者の血液サンプル解析
サイクル1の1日目に、胃がん患者(患者1)から採取した血液サンプルを、CD205+発現について解析した。前記患者では、CD4+及びCD8+ T-細胞の両方が、高いレベルでCD205を発現することが,分かった(図6参照)。
【0309】
更に、CD205 DM4 ADCの投与を受け、安定病変を示した食道がん患者(患者2)(データは示していない)でもまた、治療のサイクル1の1日目に採取した血液サンプルから単離したCD4+及びCD8+ T-細胞の両方において、高いレベルのCD205発現があることが示された。
【0310】
患者3-5は、CD4+及びCD8+ T-細胞上で、CD205に関して、低いレベルの発現を示した。前記患者は、患者1及び2と同じ応答を示さなかった。
【0311】
更に、CD205 DM4 ADCによる2サイクルの治療、及びペムブロリズマブによる1サイクルの治療、の後に、完全な応答を示した子宮内膜がん患者(患者6)は、CD4+及びCD8+ T-細胞の両方で、高いレベルのCD205発現があることが示された。
【表7】
【0312】
がん患者の血液中のCD205+ T-細胞の高いレベルとCD205-DM4 ADCによる治療の抗-腫瘍効果との関連を考慮すると、この測定を、前記療法を使った治療に適した患者を選択するために使用することができる。
【0313】
実施例10:3.0mg/kg CD205-DM4 ADCを使った治療に対する子宮内膜がん患者の臨床応答
腫瘍がMSI安定であり、低いPD-L1発現を有する(TPS10%;CPI治療に適格ではない)、且つ以前に2ラインの化学療法治療(1stラインはカルボプラチン/タキソール/ハーセプチン; 2ndラインはレトロゾール/エベロリムス)受けたことがあり、そして進行した、肺及び肝臓転移を有する、進行した子宮内膜がん患者(上記患者6)を、CD205腫瘍発現についてのIHCによりスクリーニングした。IHCは、原発腫瘍が、治療の基準を満たす100%の3+ CD205発現を示すことを、示した(データは示さず)。前記患者を、21-日サイクル、3mg/kgで投与したCD205-DM4 ADCを使用して治療した。2サイクルの治療後、前記患者に、1サイクルのペムブロリズマブ(200mg)を投与した(CD205-DM4 ADCの最終サイクル後~3週間)。ペムブロリズマブを使用した治療に続いて、前記患者を調べてみたところ、原発性子宮内膜腫瘍、並びに肝転移、及び肺転移、に対して完全な応答を認めた。
【0314】
【表8-1】
【表8-2】
【表8-3】
【表8-4】
【表8-5】
【表8-6】
【表8-7】
【表8-8】
【表8-9】
【表8-10】
【表8-11】
【表8-12】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【配列表】
2024521667000001.app
【手続補正書】
【提出日】2024-01-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下含む組み合わせ医薬:
iii) 抗CD205抗体又はその抗原結合部分、ここで、前記抗体は、以下を含む:
以下を含む重鎖可変領域:
iii) 配列番号(SEQ ID NO): 5を含む第1のvhCDR;
ii) 配列番号(SEQ ID NO): 6を含む第2のvhCDR;
iii) 配列番号(SEQ ID NO): 7を含む第3のvhCDR;及び、
以下を含む軽鎖可変領域:
iii) 配列番号(SEQ ID NO): 8を含む第1のvlCDR;
ii) 配列番号(SEQ ID NO): 9を含む第2のvlCDR;
iii) 配列番号(SEQ ID NO): 10を含む第3のvlCDR;並びに、
b) チェックポイント・モジュレータ―。
【請求項2】
請求項1に記載の組み合わせ医薬、ここで、前記組み合わせ医薬は、同時に、別々に、又は連続的に、好ましくは連続的に、使用をするために組み合わせた製剤の形体である。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の組み合わせ医薬、ここで、前記チェックポイント・モジュレータ―は、PD1/PD-L1インヒビターである、好ましくは、前記PD1/PD-L1インヒビターは、抗体である。
【請求項4】
請求項3に記載の組み合わせ医薬、ここで、前記PD1/PD-L1インヒビターは、ニボルマブ(MDX-1 106、オプジーボ; Bristol-Myers Squibb)、ペムブロリズマブ(MK-3475、キイトルーダ(Keytruda)、ラムブロリズマブ、BMS-936558; Merck)、ドスタルリマブ(TSR-042、Tesaro、Inc.)、セミプリマブ(REGN-2810、リブタヨ(Libtayo); Regeneron)、EH12.2H7(BioLegend、カタログ番号329902)、バルスチリマブ(Balstilimab) (Agenus Inc.)、アベルマブ(バベンチオ; EMDセローノ、ファイザー)、デュルバルマブ(イミフィンジ、アストラゼネカ)、BMS-936559、アテゾリズマブ(テセントリク、ジェネンテック)、又はそれらの均等物、である。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一項に記載の組み合わせ医薬、ここで、前記抗CD205抗体又はその抗原-結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 1と少なくとも80%、85%、90%、95%又は99%のアミノ酸配列同一性を有する重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 2と少なくとも80%、85%、90%、95%又は99%のアミノ酸配列同一性を有する軽鎖可変領域、を含む。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一項に記載の組み合わせ医薬、ここで、CD205に結合する抗体は、以下を含む;
(i) 配列番号(SEQ ID NO): 100と少なくとも80%、85%、90%、95%、99%又は100%のアミノ酸配列同一性を有する重鎖;及び、
(ii) 配列番号(SEQ ID NO): 101と少なくとも80%、85%、90%、95%、99%又は100%のアミノ酸配列同一性を有する軽鎖。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一項に記載の組み合わせ医薬、ここで、前記抗体又はその抗原-結合部分は、共有-結合した部分構造を更に含む。
【請求項8】
請求項7に記載の組み合わせ医薬、ここで、前記部分構造は、薬物である。
【請求項9】
請求項8に記載の組み合わせ医薬、ここで、前記薬物は、メイタンシノイド、ドラスタチン、ヘミアステルリン、アウリスタチン、トリコテセン、カリケアマイシン、デュオカルマイシン、バクテリア免疫毒素、ピラノインドイジノキノリン、カンプトテシン、アントラサイクリン、アンテアマイシン、チエノインドール、アマトキシン、CC1065又はタキソール、及びそれらの誘導体、からなる群より選択される。
【請求項10】
請求項9に記載の組み合わせ医薬、ここで、前記薬物は、DM4及びDM1、好ましくはDM4、からなる群より選択されるメイタンシノイドである。
【請求項11】
請求項1から10の何れか一項に記載の組み合わせ医薬、ここで、前記組み合わせ医薬は、少なくとも1種の薬学的に許容可能な、希釈剤、賦形剤、又は担体、を含む。
【請求項12】
がんを治療する際に又は予防する際に使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記組み合わせ医薬は、以下を含む;CD205+免疫調節性細胞の集団を調節する抗体又はその抗原結合部分;及びチェックポイント・モジュレータ―を含む組成物。
【請求項13】
請求項12に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記チェックポイント・モジュレータ―は、PD1又はPD-L1インヒビター、好ましくはPD1、である。
【請求項14】
患者においてPD-1/PD-L1相互作用のインヒビターの効果を増強する際に使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記組み合わせ医薬は、以下を含む;CD205+免疫調節性細胞の集団を調節する抗体又はその抗原結合部分;及び、PD1/PD-L1相互作用のインヒビターを含む組成物。
【請求項15】
請求項12から14の何れか一項に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記組み合わせ医薬は、同時に、別々に、又は連続的に、好ましくは連続的に、使用をするために組み合わせた製剤の形体である。
【請求項16】
請求項12から15の何れか一項に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記患者は、少なくとも1種の化学療法に、不応性である、又は少なくとも1種の化学療法中に、その患者のがんは進行している。
【請求項17】
請求項12から16の何れか一項に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記患者は、チェックポイント・モジュレータ―療法に、不応性である。
【請求項18】
請求項17に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記チェックポイント・モジュレータ―療法は、PD1インヒビター療法である。
【請求項19】
請求項12から18の何れか一項に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記がんは、PDL1陰性又は低値である。
【請求項20】
請求項12から19の何れか一項に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記がんは、MSI安定である。
【請求項21】
請求項12から20の何れか一項に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記抗体又はその抗原結合部分は、CD205に結合する。
【請求項22】
請求項12から21の何れか一項に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、CD205に結合する前記抗体又はその抗原結合部分は、以下を含む:
以下を含む重鎖可変領域:
i) 配列番号(SEQ ID NO): 5を含む第1のvhCDR;
ii) 配列番号(SEQ ID NO): 6を含む第2のvhCDR;及び、
iii) 配列番号(SEQ ID NO): 7を含む第3のvhCDR;並びに、
以下を含む軽鎖可変領域:
i) 配列番号(SEQ ID NO): 8を含む第1のvlCDR;
ii) 配列番号(SEQ ID NO): 9を含む第2のvlCDR;及び、
iii) 配列番号(SEQ ID NO):10を含む第3のvlCDR
ここで、任意選択的に、上記の配列番号(SEQ ID NO)の何れか1つ以上は、1つの又は2つのアミノ酸置換、好ましくは保存的置換、を独立して含む。
【請求項23】
請求項12から請求項22の何れか一項に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記抗体又はその抗原-結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 1と少なくとも80%、85%、90%、95%又は99%のアミノ酸配列同一性を有する重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 2と少なくとも80%、85%、90%、95%又は99%のアミノ酸配列同一性を有する軽鎖可変領域、を含む。
【請求項24】
請求項12から23の何れか一項に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、CD205に結合する抗体は、以下を含む;
(i) 配列番号(SEQ ID NO): 100と少なくとも80%、85%、90%、95%、99%又は100%のアミノ酸配列同一性を有する重鎖;及び、
(ii) 配列番号(SEQ ID NO): 101と少なくとも80%、85%、90%、95%、99%又は100%のアミノ酸配列同一性を有する軽鎖。
【請求項25】
請求項12から24の何れか一項に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記抗体又はその抗原-結合部分は、共有-結合した部分構造を更に含む。
【請求項26】
請求項25に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記部分構造は、薬物である。
【請求項27】
請求項26に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記薬物は、メイタンシノイド、ドラスタチン、ヘミアステルリン、アウリスタチン、トリコテセン、カリケアマイシン、デュオカルマイシン、バクテリア免疫毒素、ピラノインドイジノキノリン、カンプトテシン、アントラサイクリン、アンテアマイシン、チエノインドール、アマトキシン、CC1065又はタキソール、及びそれらの誘導体、からなる群より選択される。
【請求項28】
請求項27に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記薬物は、DM4及びDM1、好ましくはDM4、からなる群より選択されるメイタンシノイドである。
【請求項29】
請求項12から28の何れか一項に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記チェックポイント・モジュレータ―は、抗体である。
【請求項30】
請求項29に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記抗体は、抗PD1又はPD-L1抗体である。
【請求項31】
請求項30に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記抗-PD-1抗体は、ニボルマブ(MDX-1 106、オプジーボ; Bristol-Myers Squibb)、ペムブロリズマブ(MK-3475、キイトルーダ(Keytruda)、ラムブロリズマブ、BMS-936558; Merck)、ドスタルリマブ(TSR-042、Tesaro、Inc.)、セミプリマブ(REGN2810、Regeneron Pharmaceuticals)、EH12.2H7(BioLegend、カタログ番号329902)、バルスチリマブ(Balstilimab) (Agenus Inc.)、である。
【請求項32】
請求項30に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記抗-PD-L1抗体は、アベルマブ(バベンチオ; EMDセローノ、ファイザー)、デュルバルマブ(イミフィンジ、アストラゼネカ)、BMS-936559、アテゾリズマブ(テセントリク、ジェネンテック)、である。
【請求項33】
請求項30から32の何れか一項に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで:
前記抗体又はその抗原結合部分を、1週間に1回、又は3週間に1回、投与する;及び、
前記抗PD1又はPD-L1抗体を、3週間に1回、投与する。
【請求項34】
請求項12から33の何れか一項に記載の使用をするための、抗体若しくはその抗原結合部分、又は組み合わせ医薬、ここで、前記がんは、CD205陽性がんである。
【請求項35】
請求項12から34の何れか一項に記載の使用をするための組み合わせ医薬、ここで、前記がんは、胃がん(gastric cancer)、子宮内膜がん、食道がん(esophageal cancer)、肺がん、卵巣がん、胃食道接合部(gastroesophageal junction)がん、膵臓がん、乳がん、結腸直腸がん、皮膚がん、甲状腺がん、腎臓がん(kidney cancer)、肝臓がん、頭頸部がん、膀胱がん、白血病、好ましくは急性骨髄性白血病又は慢性リンパ性白血病、骨髄腫、好ましくは多発性骨髄腫及びリンパ腫、好ましくはびまん性大細胞型B-細胞リンパ腫(DLBCL)、B-細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、粘膜関連リンパ組織(モルト(MALT))のリンパ腫、T-細胞/組織球豊富型B-細胞リンパ腫、バーキット・リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、T細胞リンパ腫、末梢T-細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫及び血管免疫芽球性T-細胞リンパ腫、からなる群より選択される。
【請求項36】
請求項35に記載の使用をするための、抗体若しくはその抗原結合部分、又は組み合わせ医薬、ここで、前記がんは、胃がん(gastric cancer)、子宮内膜がん、食道がん(esophageal cancer)、肺がん、卵巣がん、胃食道接合部(gastroesophageal junction)がん、乳がん、膀胱がん、及び腎臓がん(renal cancer)、を含む群より選択される。
【請求項37】
請求項12から36の何れか一項に記載の使用をするための、抗体若しくはその抗原結合部分、又は組み合わせ医薬、ここで、前記患者は、ヒトである。
【国際調査報告】