(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】流体圧機械用の改良されたフラッシング回路
(51)【国際特許分類】
F04B 53/08 20060101AFI20240528BHJP
F04B 53/18 20060101ALI20240528BHJP
F04B 53/16 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
F04B53/08 E
F04B53/18
F04B53/16 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571742
(86)(22)【出願日】2022-05-09
(85)【翻訳文提出日】2024-01-15
(86)【国際出願番号】 FR2022050885
(87)【国際公開番号】W WO2022214772
(87)【国際公開日】2022-10-13
(32)【優先日】2021-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502036262
【氏名又は名称】ポクラン イドロリク アンドゥストリ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス,セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】アンランド,ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ボナール,ロイック
【テーマコード(参考)】
3H071
【Fターム(参考)】
3H071AA03
3H071BB01
3H071CC04
3H071CC27
3H071DD32
3H071DD35
(57)【要約】
入口オリフィス(210)から連続的に流体圧機械(100)の基端部(110)内、中間部(120)内、および先端部(130)内を循環し、次いで前記中間部(120)内および前記基端部(110)内を循環して出口オリフィス(220)に至る一次スイープ流(F1)を形成するように適合された、改良されたスイープ回路を含む流体圧機械(100)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アセンブリであって、
主軸(X‐X)に沿って互いに対して回転運動可能な第1アセンブリおよび第2アセンブリを含む流体圧機械(100)を含み、前記第1アセンブリがシャフト(102)を含み、前記第2アセンブリがケーシングを含み、
前記流体圧機械(100)が、前記主軸(X‐X)に沿って基端から先端に連続的に延在する三つの部分、すなわち
分配器(112)ならびに流体供給ダクトおよび流体排出ダクトを含む基端部(110)と、
シリンダブロック(122)およびカム(126)を含む中間部(120)と、
ベアリング(132)を含む先端部(130)と
を有し、
前記流体圧機械(100)が内部体積を有し、該内部体積をスイープするための回路(200)を含み、該スイープ回路(200)が、前記基端部(110)に流体入口オリフィス(210)と、前記基端部(110)に流体出口オリフィス(220)とを有し、
前記スイープ回路(200)が、前記入口オリフィス(210)から連続的に前記流体圧機械(100)の前記基端部(110)内、前記中間部(120)内、および前記先端部(130)内を循環し、次いで前記中間部(120)内および前記基端部(110)内を循環して前記出口オリフィス(220)に至る一次スイープ流(F1)を形成するように構成される、アセンブリ。
【請求項2】
前記スイープ回路(200)が、前記流体圧機械(100)の前記内部体積内に二つの流れ、すなわち
前記一次流(F1)と、
二次流(F2)と
を画定し、
前記一次流(F1)および前記二次流(F2)が、前記流体入口オリフィス(210)を通って前記流体圧機械(100)に注入され、前記流体出口オリフィス(220)を通って前記流体圧機械から出る、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記二次流(F2)が、前記流体入口オリフィス(210)と前記流体出口オリフィス(220)との間で前記基端部(110)内の流体の循環を画定する、請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記一次流(F1)および前記二次流(F2)が、該流れ(F1、F2)のそれぞれについて最大流量を定める絞りを用いて調整される、請求項2または3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記流体圧機械(100)の前記先端部(130)が制動デバイス(134)を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記流体圧機械の前記供給ダクトおよび前記排出ダクトのうち最も低圧のダクトから作動流体を取得するように、かつ該作動流体を前記スイープ回路(200)の前記流体入口オリフィス(210)に注入するように適合された交換弁(240)を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記交換弁(240)が、前記流体圧機械(100)の分配カバー(113)に組み込まれている、請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記スイープ回路が、前記流体圧機械(100)に関連付けられたブースタ回路からまたは前記流体圧機械(100)に関連付けられた制御回路から供給される、請求項1から5のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記スイープ回路(200)が、前記入口オリフィス(210)から前記流体圧機械(100)の前記先端部(130)に前記スイープ流体を運搬するように、かつ該スイープ流体を前記流体圧機械(100)の前記先端部(130)の内部体積に注入するように、前記流体圧機械(100)の前記分配器(112)および/または前記シャフト(102)および/または前記シリンダブロック(122)に形成されたダクトを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記先端部(130)が、前記シャフト(102)の周りに配置された、前記シリンダブロック(122)に圧接するスリーブ(136)を含み、前記シリンダブロック(122)に対する前記スリーブ(136)の前記圧接は封止要素を用いて行われ、前記スリーブ(136)が、前記流体圧機械(100)の前記先端部(130)の前記内部体積の先端まで前記シャフト(102)に沿って流体通路を画定するように構成される、請求項9に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、改良されたスイープシステムを含む流体圧機械に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、流体圧機械構造、例えば流体圧ポンプまたは流体圧モータの一例を模式的に描写している。
【0003】
模式化された流体圧機械100は、主軸X‐Xに沿って延在するシャフト102を有する。模式的に、前記流体圧機械100にはいくつかの部分を画定することができる。すなわち、基端部110、中間部120、および先端部130があり、該基端および先端という呼称は前記主軸X‐Xに関して任意に定められ、本文では相異なる要素の位置を特定するために用いている。
【0004】
前記基端部110は分配供給機能を有する。前記基端部110は、分配器112、より一般には流体の供給および排出を確保する手段、典型的には高圧(HP)ダクトとみなされるダクトおよび低圧(LP)ダクトとみなされるダクトを画定する二つのダクトを含む。
【0005】
前記中間部120は、前記流体圧機械100の流体トルクを定める。前記中間部120は、ピストン124がスライド可能に取り付けられた複数のハウジングを含むシリンダブロック122を含み、前記ピストン124はマルチローブカム126に接触する。
【0006】
前記先端部130は、典型的には、前記流体圧機械100のベアリングを含む。描写の前記例では、前記先端部は、前記流体圧機械の相対回転運動を確保するローリングベアリングを形成する二つのテーパローラベアリング132を含む。前記先端部130は、他の要素、例えば制動デバイスも含むことができる。
【0007】
図1は、回転駆動を確保する一次モータMに結合された流体圧ポンプ10を含む、前記流体圧機械100の閉ループ回路の一例を模式的に描写している。前記流体圧ポンプ10は、取入口および排出口を画定する二つのオリフィスを有し、該取入口と該排出口は、前記流体圧機械100の前記基端部110に形成された排出口と取入口とにそれぞれ接続され、任意で高圧HP分岐および低圧LP分岐と呼ぶ二つの分岐を有する閉じた流体圧回路を形成するようにしてある。
【0008】
したがって、前記流体圧機械100では、前記閉ループ回路は、前記流体圧機械100の前記回転運動に関連する前記流体圧機械100の作動流体、典型的には油が循環する回路に対応する。前記閉ループ回路はブースタポンプ12も含み、該ブースタポンプ12は、この同じ一次モータMに結合することができ、または別の要素によって駆動することができる。前記ブースタポンプ12は、前記流体圧回路の昇圧を確保するために逆止弁14を介して前記流体圧回路の前記ダクトに接続される。
【0009】
このような流体圧機械100では、前記流体圧機械100の前記閉ループ回路は、その内部体積に対して区別される。
図1は、点線により前記閉ループ回路を、ハッチングにより前記内部体積を模式化している。
【0010】
前記流体圧機械100の前記内部体積は、ここでは、前記閉ループの一部ではなく、典型的には前記流体圧機械の前記作動流体の圧力よりもはるかに低い内圧である、例えば大気圧または雰囲気圧に近い圧力である、前記流体圧機械内の空間と定義する。前記閉ループ回路は、典型的には、好適な封止要素を用いて前記内部体積から封止され隔絶されている。
【0011】
前記閉ループ回路内を循環し、ポンプ、モータ、ダクト、および様々な規制部品などの流体圧回路の相異なる構成要素を通って移動する前記作動流体は、特に前記流体圧機械100の相異なる内部要素間の摩擦、および圧力降下により、熱くなりやすい。
【0012】
前記閉ループ回路内を循環する前記流体を冷却するために、交換機能を設けることが知られており、「高温」とみなされる油は、交換弁16により最も低圧のライン上で前記閉ループから取り出されて、前記ブースタポンプ12および前記昇圧に関連付けられた回路要素によりタンクRから得られる同量の油と交換されるが、この油はより低い温度にあり、典型的にはろ過済みである。したがって、このような機能により、前記閉ループ内を循環する前記油の温度を下げることができる。
【0013】
しかしながら、上記のように、前記流体圧機械100の前記内部体積は、前記閉ループから封止的に分離されており、その結果、前記交換では、前記流体圧機械100の前記内部体積に含まれる前記油は冷却されない。
【0014】
したがって、前記内部体積を冷却するために、前記内部体積に導入される(例えば、前記交換弁により前記流体圧回路の低圧分岐から取り込まれる、または前記ブースタポンプから直接得られる)流体を用いて前記流体圧機械100の前記内部体積のスイープを行い、次いでこの同量の流体をドレインを通って排出させることが知られている。
【0015】
しかしながら、現在提案されている解決法では、前記内部体積全体のスイープを行うことはできず、または前記流体圧機械100の前記相異なる部分、例えば前記基端部110と前記先端部130に供給ダクトと排出ダクトが分配された専用のスイープ流を画定する必要があり、埋め込みおよびメンテナンスの点で制約される。さらなるダクトの付加により実際にアクセスの点でさらなる問題が生じ、前記ダクトの断裂のおそれが高くなる。
【0016】
別の既知の解決法は、前記流体圧機械100のケーシングに付加されたドレインに関連して前記閉ループから前記流体圧機械100の前記内部体積への漏出を利用して前記内部体積のスイープを行うことである。この場合でも、このような解決法は、前記内部体積全体を、特に前記漏出が生じるエリアからおよび前記ドレインから最も遠い部分を冷却することができない不十分なスイープになることが分かっている。
【0017】
提案された前記構造のいずれにせよ、前記モータの前記内部体積が十分にスイープされないとき、前記内部体積に存在する前記油は、特に相異なる可動部品同士の摩擦または圧力降下により熱くなる可能性があり、特に前記スイープ流体の入口または出口から遠い前記内部体積のエリアでは、前記交換された油よりも高温になる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本開示は、これらの問題に少なくとも部分的に対処することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
発明の開示
これらの問題に少なくとも部分的に対処するために、本発明は、アセンブリであって、主軸に沿って互いに対して回転運動可能な第1アセンブリおよび第2アセンブリを含む流体圧機械を含み、前記第1アセンブリがシャフト(102)を含み、前記第2アセンブリがケーシングを含み、
前記流体圧機械が、前記主軸に沿って基端から先端に連続的に延在する三つの部分、すなわち
‐分配器ならびに流体供給ダクトおよび流体排出ダクトを含む基端部と、
‐シリンダブロックおよびカムを含む中間部と、
‐ベアリングを含む先端部と
を有し、
前記流体圧機械が内部体積を有し、該内部体積をスイープするための回路を含み、該スイープ回路が、前記基端部に流体入口オリフィスと、前記基端部に流体出口オリフィス(220)とを有し、
前記スイープ回路が、前記入口オリフィスから連続的に前記流体圧機械の前記基端部内、前記中間部内、および前記先端部内を循環し、次いで前記流体圧機械の前記中間部内および前記基端部内を循環して前記出口オリフィスに至る一次スイープ流を形成するように構成される、アセンブリに関する。
【0020】
一例によれば、前記スイープ回路は、前記流体圧機械の前記内部体積内に二つの流れ、すなわち
‐前記一次流と、
‐二次流と
を画定し、
前記一次流および前記二次流は、前記流体入口オリフィスを通って前記流体圧機械に注入され、前記流体出口オリフィスを通って前記流体圧機械から出る。
【0021】
一例によれば、前記二次流は、前記流体入口オリフィスと前記流体出口オリフィスとの間で前記基端部内の流体の循環を画定する。
【0022】
一例によれば、前記一次流および前記二次流は、該流れのそれぞれについて最大流量を定める絞りを用いて調整される。
【0023】
一例によれば、前記流体圧機械の前記先端部は制動デバイスを含む。
【0024】
一例によれば、前記アセンブリは、前記流体圧機械の前記供給ダクトおよび前記排出ダクトのうち最も低圧のダクトから作動流体を取得するように、かつ該作動流体を前記スイープ回路の前記流体入口オリフィスに注入するように適合された交換弁を含む。
【0025】
一例によれば、前記交換弁は、前記流体圧機械の分配カバーに組み込まれている。
【0026】
一例によれば、前記アセンブリは、前記流体圧機械に関連付けられたブースタ回路からまたは前記流体圧機械に関連付けられた制御回路から作動流体を取得するように適合されたスイープ弁を含む。
【0027】
一例によれば、前記スイープ回路は、前記入口オリフィスから前記流体圧機械の前記先端部に前記スイープ流体を運搬するように、かつ該スイープ流体を前記流体圧機械の前記先端部の内部体積に注入するように、前記流体圧機械の前記分配器および/または前記シャフトおよび/または前記シリンダブロックに形成されたダクトを含む。
【0028】
この場合、典型的には、前記先端部は、前記シャフトの周りに配置された、前記シリンダブロックに圧接するスリーブを含み、前記シリンダブロックに対する前記スリーブの前記圧接は封止要素を用いて行われ、前記スリーブは、前記流体圧機械の前記先端部の前記内部体積の先端まで前記シャフトに沿って流体通路を画定するように構成される。
【0029】
本発明およびその利点は、非制限的な例として付与する本発明の相異なる実施形態の下記の詳細な説明を読めばより深く理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】先に説明したものであり、流体圧機械の一例を模式的に示す図である。
【
図2】本発明の一態様に係る流体圧機械の一例を示す図である。
【
図3】本発明の一態様に係る流体圧機械の一例を示す図である。
【
図4】本発明の一態様に係る流体圧機械の一例を示す図である。
【
図5】本発明の一態様に係る流体圧機械の一例を示す図である。
【0031】
上記図面の全てにおいて、共通の要素は同一の参照番号によって識別される。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図2は、本発明の一態様に係る流体圧機械の一例を示す。この図には、
図1を参照して既に説明した相異なる要素がある。したがって、模式化された前記流体圧機械100は、主軸X‐Xに沿って延在するシャフト102を有する。模式的に、前記流体圧機械100にはいくつかの部分を画定することができる。すなわち、基端部110、中間部120、および先端部130があり、該基端および先端という呼称は前記主軸X‐Xに関して任意に定められる。
【0033】
前記基端部110は分配供給機能を有する。前記基端部110は、分配カバー113により包囲された分配器112、より一般には流体の供給および排出を確保する手段、典型的には高圧ダクトとみなされるダクトおよび低圧ダクトとみなされるダクトを画定する二つのダクト114を含み、該二つのダクト114は、ここでは前記分配カバー113に形成されている。
【0034】
前記中間部120は、概して前記流体圧機械100の流体トルクとみなされる部分を定める。前記中間部120は、ピストン124がスライド可能に取り付けられた複数のハウジングを含むシリンダブロック122を含み、前記ピストン124はマルチローブカム126に接触する。
【0035】
前記先端部130は、典型的には前記流体圧機械100のベアリングを含む。描写の前記例では、前記先端部は、前記流体圧機械100の相対回転運動を確保するローリングベアリングを形成する二つのテーパローラベアリング132、および前記流体圧機械100の前記回転運動に対抗する摩擦力を選択的に加えるように適合された制動デバイス134、ならびにダイナミックシールを含む。描写の前記制動デバイス134は、ディスクのスタック135と、該ディスクのスタック135に選択的に係合または係合解除し、したがって前記流体圧機械100の前記回転運動に対抗する抵抗力を加えるまたは加えないように適合されたアクチュエータ137とを含む。
【0036】
前文に記載のように、流体圧コネクタが前記基端部110に位置することを考慮すると、問題は、前記中間部120の内部体積および前記先端部130の内部体積の流体スイープに関係する。前記流体圧機械100の内部体積とは、前記流体圧機械100のケーシング内部の体積であるが、前記流体圧機械100の流体圧作動流体が循環する前記ダクトとは区別可能な体積を意味する。
【0037】
前記流体圧機械100には第1アセンブリおよび第2アセンブリが画定され、該第1および第2アセンブリは、前記ベアリング132を介した前記主軸X‐Xを中心に互いに対して回転運動可能に取り付けられている。前記第1アセンブリおよび前記第2アセンブリのうちの一方は典型的には固定され、前記流体圧機械100のステータを形成し、前記第1アセンブリおよび前記第2アセンブリのうちの他方は可動で、前記流体圧機械100のロータを形成する。
【0038】
図示の前記例では、前記シャフト102および前記シリンダブロック122が第1アセンブリを形成し、前記カム126、前記分配カバー113、より一般には前記流体圧機械100の前記ケーシングが第2アセンブリを形成し、該第1アセンブリは、前記主軸X‐Xに沿って該第2アセンブリに対して回転運動可能である。
【0039】
有利には、任意選択ではあるが、本発明に係る前記流体圧機械100は、次の特徴のうちの一つを単独でまたはいかなる組み合わせでも含むことができる。すなわち、前記流体圧機械100は流体圧モータであること、前記流体圧機械100はラジアルピストン付き流体圧機械であること、前記流体圧機械100は、いくつかのローブが設けられたカムを含むこと、前記流体圧機械100は、中心の環状ケーシング要素を構成する二つの側方ケーシング要素により形成されるケーシングと、前記中心ケーシング要素の径方向内表面上に形成されたローブカムを含むカムと、軸X‐Xを中心に前記ケーシング内で相対回転するように取り付けられ、前記カムに対向するシリンダブロックと、前記シリンダブロックとともに回転するように接続されたシャフトと、前記シリンダブロックの各シリンダ内で径方向にスライドするように案内され、ローラを介して前記カムのローブに圧接するピストンと、前記シリンダブロックの前記シリンダとの流体接続を確保するように適合された平面状の分配器とを含み、前記カムの前記ローブに前記ピストンが連続的に圧接することにより、前記ケーシングに対して前記シリンダブロックおよび該シリンダブロックに連結された要素の相対回転が生じるようにしてあること。
【0040】
ここで提案する前記流体圧機械100は、概して参照番号200で指示されるスイープ回路であって、前記基端部110、前記中間部120、および前記先端部130の前記内部体積のスイープを確保するように適合され、前記基端部110にのみ流体の入口および出口オリフィスを有するスイープ回路を画定する手段を含む。
【0041】
より具体的には、前記流体圧機械100は入口オリフィス210および出口オリフィス220を含み、該オリフィス間にスイープ回路200が形成される。図示の前記例では、前記入口オリフィス210および前記出口オリフィス220は、前記分配カバー113に形成されている。
【0042】
一例によれば、前記入口オリフィス210は、前記流体圧機械に関連付けられた流体圧回路から流体流量を取得するように、かつこのようにして取得したこの流量を前記入口オリフィス210へ運搬するように適合された交換弁240に接続される。前記交換弁240は前記流体圧機械100に組み込まれていてもいなくてもよい。前記交換弁240は前記流体圧機械100に付加してもよく、例えば、前記流体圧機械100に固定されたフランジに配置してもよい。前記図面は、前記流体圧機械100の流体圧作動流体の循環を確保する流体圧ダクトに接続された前記交換弁240を模式的に描写している。
【0043】
したがって、前記交換弁240は、典型的には、前記流体圧機械100に接続された前記低圧ダクトから、典型的には、流体圧モータの場合は排出口から、または流体圧ポンプの場合は取入口から流体を取得するように構成される。
【0044】
一変形として、前記スイープは、交換回路と並行して行うことができる。
【0045】
一変形として、前記入口オリフィス210に到達する前記スイープ流体は、前記ブースタポンプ12から得ることができる。一変形として、前記スイープ流体は、前記流体圧機械100に関連付けられた制御回路から得られてもよい。一変形として、前記スイープ流体は、前記流体圧機械100に接続された高圧ダクトから得られてもよく、この場合、該スイープ流体は、減圧器を介して前記スイープ回路に取り込むことができる。一変形として、前記スイープ流体は、前記流体圧機械100の内部の高圧ダクトから得ることができる。これらの実施形態は限定的なものではなく、前記スイープ流体は、いかなる好適な流体源からも取得することができると理解されたい。前記流体は典型的には油である。
【0046】
前記出口オリフィス220は、典型的には、前記流体圧機械100に関連付けられた前記流体圧回路の典型的には雰囲気圧であるタンクRに、典型的にはフィルタおよび/または熱交換器を介して、接続されている。
【0047】
したがって、前記流体圧機械100の前記内部体積内で前記スイープを行うために使用される前記流体は、典型的には、前記流体圧機械100の作動に使用されるものと同じ流体である。ただし、前記流体圧機械の前記内部体積内で前記スイープを行う前記流体は、前記流体圧機械100の前記供給ダクトおよび排出ダクト内の前記流体の圧力よりも著しく低い圧力であり、前記スイープを行う前記流体は、前記ピストンの運動に関連して前記流体圧機械の前記流体圧ダクト内を循環する、作動流体とみなされる前記流体とは反対に、前記流体圧機械100の前記ケーシングの前記内部体積内の内圧であると理解されたい。
【0048】
提示された前記スイープ回路200は、前記流体圧機械100の前記内部体積内を循環する一次流F1および二次流F2を画定する。
【0049】
前記一次流F1と前記二次流F2との間での前記流体の分配は、例えば、典型的には前記入口オリフィス210の下流の区間の調整によって、または流体流を二つの流れに分けることを可能にするいかなる他の好適な手段によっても行われる。したがって、例えば、前記二次流F2に運搬することができる最大流量が定められ、この場合、残りの流量は前記一次流F1に運搬され、またはその逆に、前記一次流F1に運搬することができる最大流量が定められ、この場合、残りの流量は前記二次流F2に運搬される。前記一次流F1に運搬することができる最大流量および前記二次流F2に運搬することができる最大流量を定めることもできる。
【0050】
図示の前記例は、矢印F1とF2によってそれぞれ模式化された一次スイープ流F1と二次スイープ流F2を画定している。前記一次流F1および前記二次流F2は、ここでは前記入口オリフィス210から分離されるものとして模式化されている。ただし、本実施形態は限定的なものではなく、二つの流れに分離することは、前記入口オリフィス210の下流のいかなる地点でも行うことができると理解されたい。
【0051】
図2に示す前記例では、前記一次流F1は、前記入口オリフィス210から前記出口オリフィス220まで次の経路を取る。すなわち、
‐前記流体は、前記分配カバー113に形成された前記入口オリフィス210を通って前記流体圧機械100に入る。
‐前記流体は、前記分配カバー113に形成されたダクトを通り、前記分配器112との境界面に至る。
‐前記流体は、前記分配器112に形成されたダクトを通って前記分配器112を通過し、前記シリンダブロック122との境界面に至る。この境界面は、典型的には、前記分配器112または前記シリンダブロック122に形成された円形の溝である。
‐前記流体は、前記シリンダブロック122内に配置されたダクトを通って前記シリンダブロック122を通過し、次いで前記シャフト102とスリーブ136との間の前記先端部130の体積の中へ広がり、前記内部体積の先端に至る。前記スリーブ136は、典型的には前記シリンダブロック122に圧接するように取り付けられ、これらの要素間の境界面には封止要素が設けられて、前記流体が前記シャフト102と前記スリーブ130との間の通路内を案内されるようにしてある。
‐前記流体は、次いで前記流体圧機械100の前記先端部130の相異なる要素、ここでは前記制動デバイス134および前記ベアリング132を通過する。
‐前記流体は、次いで、ここでは前記スリーブ136に形成されたボアを通って、前記中間部120の前記内部体積に合流する。
‐前記流体は、例えば前記主軸X‐Xから径方向外方の通路を通って前記シリンダブロック122を迂回することにより前記中間部120を通過し、前記基端部110に合流し、前記基端部110から前記出口オリフィス220を通って流出する。
【0052】
前記二次流F2は次の経路を取る。すなわち、
‐前記流体は、前記分配カバー113に形成された前記入口オリフィス210を通って前記流体圧機械100に入り、
‐前記流体は、前記分配カバー113に形成されたダクトを通り、前記シリンダブロック122と前記分配カバー113との間の前記流体圧機械の内部体積の中へ広がり、
‐前記流体は、前記出口オリフィス220を通って流出する。
【0053】
したがって、前記一次流F1と前記二次流F2の関連により、前記流体圧機械100の前記相異なる部分の前記内部体積内の流体スイープを確保することが可能になり、したがって、前記流体圧機械100の前記基端部110に集められた流体供給ダクトを保持しつつ、前記流体圧機械100の前記相異なる部分の冷却および潤滑を確保することが可能になる。
【0054】
ただし、
図2に示す前記実施形態は限定的なものではないと理解されたい。
【0055】
次の図面は相異なる他の実施形態を示す。以下では、
図2を参照して既に説明した実施形態に対する差異のみを説明する。
【0056】
図3に描写の例では、前記先端部130は制動デバイス134を含まず、前記流体圧機械100用の前記ローリングベアリングを画定する前記ベアリング132のみを含む。
【0057】
この実施形態では、前記一次流F1は、前記入口オリフィス210から前記出口オリフィス220まで次の経路を取る。すなわち、
‐前記流体は、前記分配カバー113に形成された前記入口オリフィス210を通って前記流体圧機械100に入り、
‐前記流体は、前記分配器112と前記シャフト102との間の径方向クリアランスによって形成されたダクトを通り、
‐前記流体は、前記シャフト102のボアによって形成されたダクトを通り、前記流体圧機械100の前記先端部130の先端から出て、
‐前記流体は、次いで前記流体圧機械100の前記先端部130の前記相異なる要素、ここでは前記ベアリング132を通過し、
‐前記流体は、次いで前記中間部120の前記内部体積に合流し、
‐前記流体は、例えば前記主軸X‐Xから径方向外方の通路を通って前記シリンダブロック122を迂回することにより中間部120を通過し、前記基端部110に合流し、前記基端部110から前記出口オリフィス220を通って流出する。
【0058】
したがって、この実施形態には、前記流体圧機械100の前記相異なる部分の前記内部体積内の流体スイープを確保することを可能にし、したがって、前記流体圧機械100の前記基端部110に集められた流体供給ダクトを保持しつつ、前記流体圧機械100の前記相異なる部分の冷却および潤滑を確保することを可能にするスイープ回路がある。
【0059】
【0060】
この例では、前記一次流F1は、前記入口オリフィス210から、前記分配器カバー113、前記マルチローブカム126、および先端カバー138に、すなわち、前記流体圧機械100の前記ケーシングに配置されたダクトを通って前記先端部130に運搬される。
【0061】
したがって、前記一次流F1は、前記先端部130の前記内部体積の先端で再注入される。前記一次流F1は、次いで前記先端部130の前記内部体積を通過し、次いで、例えば前記主軸X‐Xから径方向外方の通路を通って前記シリンダブロック122を迂回することにより前記中間部120を通過し、前記基端部110に合流して前記出口オリフィス220に達する。
【0062】
【0063】
この実施形態は上記の
図3の変形であり、前記シャフト102のボアによって形成された前記ダクトが、前記シリンダブロック122に形成されたボアおよび前記ベアリング132のうちの一方のベアリングの内輪に形成されたボアに置き換えられている。
【0064】
したがって、前記一次流F1は、前記二つのベアリング132間の前記先端部130の中へ広がり、次いで前記ベアリング132のうちの一方を通過することにより前記中間部に合流し、前記中間部120を通過し、前記基端部110に合流して前記出口オリフィス220に達する。
【0065】
したがって、前記相異なる実施形態に鑑みて、一般に、本発明は、前記流体圧機械100の前記内部体積内に一次スイープ流F1を画定することを提案するものであり、該一次スイープ流F1は、前記流体圧機械100の前記基端部を通って前記流体圧機械に出入りし、前記流体圧機械100の前記相異なる部分における流体の循環、すなわち、前記基端部110、前記中間部120、および前記先端部130を連続的に通過し、次いで前記流体圧機械100から出る前に前記中間部120および前記基端部110を再度通過する前記スイープ流体の循環を確保すると理解されたい。
【0066】
したがって、このスイープ流体の一次流F1により、前記流体圧機械100の前記相異なる部分の潤滑および冷却が確保される。スイープ流体の二次流F2により、典型的には、前記流体圧機械100の前記基端部110および前記中間部120内のスイープ流体流が並行して確保されて、前記流体圧機械100の分配部品と前記シリンダブロック122に関連付けられた要素との潤滑および冷却が確保される。
【0067】
したがって、前記一次流F1および前記二次流F2は、例えばこれらの流れのうちの一方または両方について最大流量を定める区間を通して調整される。前記一次流F1および前記二次流F2は、典型的には、前記出口オリフィス220に達する前に前記流体圧機械100の前記中間部120または前記基端部110に合流する。
【0068】
したがって、前記スイープ流体の少なくとも一部が前記流体圧機械100の前記内部体積の全体にわたって循環し、前記入口オリフィス210および前記出口オリフィス220から最も遠い前記流体圧機械100の部分に配置された構成要素に達し、これらのオリフィスのうちの一方が中間部または先端部にある必要がなく、かつ/または前記スイープ流体の他の入口オリフィスまたは出口オリフィスの付加を必要としない。
【0069】
したがって、提案の本発明により、前記流体圧機械100の基端部にのみ流体の取入および排出ダクトを有する流体圧機械100を提案することが可能になり、したがって、前記流体圧機械100内にさらなるスイープ流を画定するためにさらなる流体圧ダクトが付加される流体圧機械構造に関して前記流体圧機械100のために最小限の空間要求および簡単な組み込みを維持することが可能になる。
【0070】
流体スイープを確保することにより、前記流体圧機械100の前記相異なる部分における温度上昇および/または早期摩耗を回避することが可能になる。
【0071】
本発明に係る前記アセンブリは、閉ループ型の流体圧回路または開ループ型の流体圧回路に関連付けられた流体圧機械100に適用することができる。
【0072】
本発明は、具体的な例示的実施形態を参照して説明したが、これらの例に対しては、請求項によって定められる本発明の一般的範囲から逸脱することなく修正および変更を行うことができることは明らかである。特に、前記相異なる図示/言及した実施形態の個々の特徴は、さらなる実施形態において組み合わせることができる。したがって、上記説明および図面は、制限的な意味ではなく例示的な意味で捉えるべきである。
【0073】
また、一つの方法を参照して説明した特徴は全て、単独でまたは組み合わせて一つのデバイスに移し替えることができ、また逆に、一つのデバイスを参照して説明した特徴は全て、単独でまたは組み合わせて一つの方法に移し替えることができることも明らかである。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アセンブリであって、
主軸(X‐X)に沿って互いに対して回転運動可能な第1アセンブリおよび第2アセンブリを含む流体圧機械(100)を含み、前記第1アセンブリがシャフト(102)を含み、前記第2アセンブリがケーシングを含み、
前記流体圧機械(100)が、前記主軸(X‐X)に沿って基端から先端に連続的に延在する三つの部分、すなわち
分配器(112)ならびに流体供給ダクトおよび流体排出ダクトを含む基端部(110)と、
シリンダブロック(122)およびカム(126)を含む中間部(120)と、
ベアリング(132)を含む先端部(130)と
を有し、
前記流体圧機械(100)が内部体積を有し、該内部体積をスイープするための回路(200)を含み、該スイープ回路(200)が、前記基端部(110)に流体入口オリフィス(210)と、前記基端部(110)に流体出口オリフィス(220)とを有し、
前記スイープ回路(200)が、前記入口オリフィス(210)から連続的に前記流体圧機械(100)の前記基端部(110)内、前記中間部(120)内、および前記先端部(130)内を循環し、次いで前記中間部(120)内および前記基端部(110)内を循環して前記出口オリフィス(220)に至る一次スイープ流(F1)を形成するように構成される、アセンブリ。
【請求項2】
前記スイープ回路(200)が、前記流体圧機械(100)の前記内部体積内に二つの流れ、すなわち
前記一次流(F1)と、
二次流(F2)と
を画定し、
前記一次流(F1)および前記二次流(F2)が、前記流体入口オリフィス(210)を通って前記流体圧機械(100)に注入され、前記流体出口オリフィス(220)を通って前記流体圧機械から出る、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記二次流(F2)が、前記流体入口オリフィス(210)と前記流体出口オリフィス(220)との間で前記基端部(110)内の流体の循環を画定する、請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記一次流(F1)および前記二次流(F2)が、該流れ(F1、F2)のそれぞれについて最大流量を定める絞りを用いて調整される、請求項2または3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記流体圧機械(100)の前記先端部(130)が制動デバイス(134)を含む、請求項
1に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記流体圧機械の前記供給ダクトおよび前記排出ダクトのうち最も低圧のダクトから作動流体を取得するように、かつ該作動流体を前記スイープ回路(200)の前記流体入口オリフィス(210)に注入するように適合された交換弁(240)を含む、請求項
1に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記交換弁(240)が、前記流体圧機械(100)の分配カバー(113)に組み込まれている、請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記スイープ回路が、前記流体圧機械(100)に関連付けられたブースタ回路からまたは前記流体圧機械(100)に関連付けられた制御回路から供給される、請求項
1に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記スイープ回路(200)が、前記入口オリフィス(210)から前記流体圧機械(100)の前記先端部(130)に前記スイープ流体を運搬するように、かつ該スイープ流体を前記流体圧機械(100)の前記先端部(130)の内部体積に注入するように、前記流体圧機械(100)の前記分配器(112)および/または前記シャフト(102)および/または前記シリンダブロック(122)に形成されたダクトを含む、請求項
1に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記先端部(130)が、前記シャフト(102)の周りに配置された、前記シリンダブロック(122)に圧接するスリーブ(136)を含み、前記シリンダブロック(122)に対する前記スリーブ(136)の前記圧接は封止要素を用いて行われ、前記スリーブ(136)が、前記流体圧機械(100)の前記先端部(130)の前記内部体積の先端まで前記シャフト(102)に沿って流体通路を画定するように構成される、請求項9に記載のアセンブリ。
【国際調査報告】