(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】ディスクカッタ及び砕石ツールを使用して岩石層を採掘する方法
(51)【国際特許分類】
E21C 25/16 20060101AFI20240528BHJP
B28D 1/20 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
E21C25/16
B28D1/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571750
(86)(22)【出願日】2022-05-19
(85)【翻訳文提出日】2024-01-12
(86)【国際出願番号】 EP2022063520
(87)【国際公開番号】W WO2022243408
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517056608
【氏名又は名称】エレメント、シックス、(ユーケー)、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ELEMENT SIX (UK) LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】シュオ、ルー
(72)【発明者】
【氏名】ハビブ、サリディクメン
【テーマコード(参考)】
2D065
3C069
【Fターム(参考)】
2D065DA01
2D065DA07
2D065DA17
3C069AA01
3C069BA04
3C069BB01
3C069BB02
3C069BB03
3C069BB04
3C069BC01
3C069BC04
3C069CA01
3C069EA01
(57)【要約】
本開示は、ディスクカッタ及び砕石ツールを使用して岩石層を採掘する方法に関する。ミニディスクカッタ及び油圧ストライカの形態を含む、砕石ツールのいくつかの例が提供される。ツールは、ディスクカッタによって岩石内に切削されたスリットに挿入されて作動され、岩石に亀裂の開始及び伝播を引き起こす。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削アセンブリと砕石ツールとを備える切削システムを使用して岩石層を採掘する方法であって、
スピンドル上に間隔を置いて配置された複数のディスクカッタを備える切削アセンブリを提供することと、
砕石ツールを有するツールヘッドを提供することと、
前記切削アセンブリを動作位置に前進させることと、
前記ディスクカッタを使用して前記岩石層を切削して、岩石柱によって間隔を置かれた一連の直線状の切込みを作成することと、
前記切削アセンブリを前記動作位置から後退させることと、
前記ツールヘッドが前記切込み内に完全に位置付けられるように、前記ディスクカッタによって作成された前記切込みの1つに前記砕石ツールを挿入することと、
前記砕石ツールを作動させ、それによって前記ツールヘッドをトリガして少なくとも1つの隣接する岩石柱と接触させることと、を含む方法。
【請求項2】
前記砕石ツールを作動させることが、前記砕石ツールをその長手方向軸を中心に挿入方向から砕石方向に回転させることを含み、それにより前記ツールヘッドが少なくとも1つの隣接する岩石柱に衝突する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ツールヘッドを2つの隣接する岩石柱に衝突させることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記砕石ツールを作動させることが、前記ツールヘッド上の1つ又は複数のミニディスクカッタを使用して前記岩石柱を切削することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
複数の位置で前記岩石柱を切削するために複数のミニディスクカッタを使用する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記砕石ツールを作動させることが、前記ツールヘッドから前記隣接する岩石柱に向かって1つ又は複数の打撃要素を打ち込むことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記切込みの両側の隣接する岩石柱に向かって2つの対向する打撃要素を打ち込むことを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記砕石ツールが、細長いツール本体と、その一端にツールヘッドとを備え、前記砕石ツールが、長手方向軸を有する、請求項1に記載の方法で使用するための砕石ツール。
【請求項9】
前記ツールヘッドが、その表面から延在する1つ以上の突起を備える、請求項8に記載の砕石ツール。
【請求項10】
前記ツールヘッドの対向する端部にハンドルをさらに備える、請求項9に記載の砕石ツール。
【請求項11】
切削アセンブリの取り付けのために前記ツールヘッドの対向する端部に取り付けユニットをさらに備える、請求項9に記載の砕石ツール。
【請求項12】
前記ツールヘッドが、外側に延在し、内側に後退するように作動可能な1つ又は複数の打撃要素を備える、請求項8に記載の砕石ツール。
【請求項13】
前記打撃要素が、超硬打撃先端を備える、請求項12に記載の砕石ツール。
【請求項14】
前記砕石ツールが、ツールヘッドであって、前記ツールヘッドが、細長いディスクキャリアと、ベースマウントと、前記ディスクキャリアであって、前記ベースマウントに対して移動可能である、前記ディスクキャリアによって支持された1つ又は複数のミニディスクカッタとを備える、ツールヘッドを備える、請求項1に記載の方法で使用するための砕石ツール。
【請求項15】
前記ディスクマウントに沿って外に間隔を置かれた3つ以上のミニディスクカッタを備える、請求項14に記載の砕石ツール。
【請求項16】
前記ミニディスクカッタが、カーバイド材料を含む、請求項14又は15に記載の砕石ツール。
【請求項17】
前記ミニディスクカッタ又は各ミニディスクカッタが、前記ディスクマウントの前記長手方向平面に直交する平面内に延在する、請求項14、15又は16に記載の砕石ツール。
【請求項18】
前記ミニディスクカッタ又は各ミニディスクカッタが、前記ディスクマウントの前記長手方向平面に対して角度を形成する平面内に延在し、前記砕石ツールが、前記角度が調整可能であるように構成されている、請求項14、15又は16に記載の砕石ツール。
【請求項19】
請求項8から18のいずれか一項に記載のディスクカッタ及び砕石ツールを備える切削システム。
【請求項20】
前記ディスクカッタが、回転軸を有するカッタ本体と、複数のツールホルダ及び複数の切削要素を備え、前記ツールホルダ及び切削要素が、前記カッタ本体の周りに少なくとも1セットで配置され、各セットが、第1、第2、第3、第4、第5及び第6の位置に配置された6個のツールホルダを備え、前記位置が、回転方向に前後して順次配置され、各ツールホルダが、前記複数の切削要素のうちの1つ又は複数を支持し、前記切削要素が、第1の位置から第6の位置までの所定の構成配列で設けられ、前記所定の構成配列において、切削要素の数及び/又は前記切削要素の横方向間隔が変化する、請求項19に記載の切削システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、採掘、建設、トレンチ掘削、及びトンネル掘削用途における有用性を見出す掘削機械で使用するための回転可能なディスクカッタに関する。特に、本発明は、ディスクカッタの周縁の周りのツールホルダに取り付けられた超硬切削要素を備えるディスクカッタに関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2019/180164号パンフレット、国際公開第2019/180169号パンフレット及び国際公開第2019/180170号パンフレットはそれぞれ、地上及び地下の採石場及び鉱山で使用するための切削アセンブリを開示する。切削アセンブリは、典型的には、研磨などのさらなる処理のためにスラブが取られる前に、地面から岩石のスラブを抽出するために使用される。
【0003】
各切削アセンブリは、水平切削方向と垂直切削方向との間で移動可能な円形ディスクカッタを備える。最初に
図1及び
図2を参照すると、地下の天然層2内をスライスするための切削アセンブリが全体的に10で示されている。切削アセンブリは、地下鉱山に一般的に見られる長壁採掘システム1の一部を形成する。切削アセンブリは、一連の調節可能な屋根支持体6の中で鉱山床4上で動作する既知のせん断機技術の代替物である。せん断機が採掘方向に前進すると、屋根支持体6は、せん断機の真後ろの鉱山屋根8を持ち上げるように位置付けられる。屋根支持体6の背後では、鉱山屋根6が比較的制御された様式で崩壊する。通常、ギャザリングアームは、切削面で採掘された岩石を収集し、その後の鉱山からの除去のために搬送システムで移送する。
【0004】
図1及び
図2に示すように、切削アセンブリ10は、ベースユニット12と、ベースユニット12から延在する一対の間隔を置かれた支持アーム14と、一対の可動支持アームの間に延在し、一対の可動支持アーム14に回転可能に取り付けられた駆動スピンドル16と、駆動スピンドル16の周りに固定された複数のディスクカッタ18とを備える。
【0005】
図3及び
図4に示す第2の例では、単一の支持アーム14がベースユニット12から延在する。駆動スピンドル16は、単一の支持アーム14によって中央に支持され、複数のディスクカッタ18は、単一の支持アーム14の両側に分散されて駆動スピンドル16に取り付けられる。
【0006】
ベースユニット12は、ディスクカッタ18用の搬送システムとして機能する。ベースユニット12は、切削される岩石層2に近接して、ディスクカッタ18を動作位置に前進させ動作位置から後退させるように移動可能である。ベースユニット12が岩石層2に近づく速度は、岩石層2への切削アセンブリ10の送り速度を決定するいくつかの変数のうちの1つである。ベースユニット12(屋根支持体6と協働して)はまた、採掘される岩石層2の長壁に沿って、左から右へ、及びその逆に、横方向に移動可能である。
【0007】
各支持アーム14は、第1及び第2の切削方向に移動可能であるように構成される。
図1及び
図2に最もよく見られる第1の切削方向では、駆動スピンドル16は水平である。結果として、ディスクカッタ18によって作られた岩石層2の切込みは、対応して垂直である。
図3及び
図4に最もよく見られる第2の切削方向では、駆動スピンドル16は垂直である。したがって、ディスクカッタ18によって作られた岩石層2の切込みは、対応して水平である。
【0008】
各支持アーム14は、必要とされる切削の深さにしたがって、任意選択的に第1及び第2の切削方向のそれぞれにおいて、第1の動作位置と第2の動作位置との間で移動可能である。これは、
図2の両端矢印Aによって示される。例えば、第1の動作位置では、駆動スピンドル16が鉱山床4に近接するように下降され、第2の動作位置では、駆動スピンドル16が鉱山屋根8に近接するように上昇される。
【0009】
使用において、ディスクカッタ18は岩石層2と接触し、駆動スピンドル16、したがってそのディスクカッタ(複数可)18の回転は岩石層2にスライスを生じる。切削アセンブリ10は、例えば、選択された切削要素22のサイズに依存するサイズのきれいな直交する切込みを作成するために岩石層2をスライスする。切削された岩石は、それ自体の重量で、又は例えばくさび形の工具を使用して二次的なくさび力で破壊する。
【0010】
上述したアセンブリの問題は、それ自体の重量で破壊する切削された岩石を制御することが困難であり、予測不可能であることが多い。これは、例えばくさび形ツールを使用するなど、二次的なくさび力を使用する場合においてさえも当てはまる。
【0011】
本発明の目的は、より線がきれいで、より迅速に取得される、切削された岩石の遊離をより予測可能にする、切削システムを提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2019/180164号
【特許文献2】国際公開第2019/180169号
【特許文献3】国際公開第2019/180170号
【発明の概要】
【0013】
本発明の第1の態様では、切削アセンブリと砕石ツールとを備える切削システムを使用して岩石層を採掘する方法であって、
スピンドル上に間隔を置いて配置された複数のディスクカッタを備える切削アセンブリを提供することと、
砕石ツールを有するツールヘッドを提供することと、
切削アセンブリを動作位置に前進させることと、
ディスクカッタを使用して岩石層を切削して、岩石柱によって間隔を置かれた一連の直線状の切込みを作成することと、
切削アセンブリを動作位置から後退させることと、
ツールヘッドが切込み内に完全に位置付けられるように、ディスクカッタによって作成された切込みの1つに砕石ツールを挿入することと、
砕石ツールを作動させ、それによってツールヘッドをトリガして少なくとも1つの隣接する岩石柱と接触させることと、を含む方法が提供される。
【0014】
本発明の第1の態様の任意選択の及び/又は好ましい特徴は、請求項2から7に提供される。
【0015】
本発明の第2の態様では、本発明の第1の態様の方法で使用するための砕石ツールが提供され、砕石ツールは、細長いツール本体と、その一端にツールヘッドとを備え、砕石ツールは、長手方向軸を有する。
【0016】
本発明の第2の態様の任意選択の及び/又は好ましい特徴は、請求項9から13に提供される。
【0017】
本発明の第3の態様では、本発明の第1の態様の方法で使用するための砕石ツールが提供され、砕石ツールは、ツールヘッドを備え、ツールヘッドは、細長いディスクキャリアと、ベースマウントと、ディスクキャリアによって支持された1つ又は複数のミニディスクカッタとを備え、ディスクキャリアは、ベースマウントに対して移動可能である。
【0018】
本発明の第3の態様の任意選択の及び/又は好ましい特徴は、請求項15から18に提供される。
【0019】
本発明の第4の態様では、第2及び第3の態様によるディスクカッタと砕石ツールとを備える切削システムが提供される。
【0020】
本発明の第4の態様の任意選択の及び/又は好ましい特徴は、請求項19に提供される。
【0021】
ここで、添付図面を参照して、単なる例として、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】従来技術の切削アセンブリの一例を長壁採掘システムの一部として組み込む地下鉱山の概略平面図であり、特に、水平方向の切削アセンブリを示す。
【
図2】
図1の長壁採掘システムの概略端面図である。
【
図3】長壁採掘システムの一部として従来技術の切削アセンブリのさらなる例を組み込む地下鉱山の概略平面図であり、特に垂直方向の切削アセンブリを示す。
【
図4】
図3の長壁採掘システムの概略端面図である。
【
図6】
図5のディスクカッタの一部を形成するカッタ本体の側面図である。
【
図7】
図5のディスクカッタの一部を形成するツールホルダ及び切削要素のセットの正面図である。
【
図10】
図5のディスクカッタの別の上面図である。
【
図11】
図5の切削要素によって提供される有効な複合切削面を示す概略正面図である。
【
図12】本発明によるディスクカッタの一実施形態の部分図である。
【
図13】本発明によるディスクカッタの別の実施形態の部分斜視図である。
【
図14】
図13の切削要素によって提供される同等の複合切削面を示す概略斜視図である。
【
図15】
図13の切削要素によって提供される有効な複合切削面を示す概略正面図である。
【
図16】
図12又は
図13のディスクカッタで使用するためのツールホルダの一実施形態の平面図である。
【
図17】本発明による切削アセンブリを使用する一方法を示す概略流れ図である。
【
図19】鉱山環境で使用する
図18の砕石ツールの斜視図である。
【
図20】砕石ツールの別の実施形態の斜視図である。
【
図21】鉱山環境で使用する
図20の砕石ツールの斜視図である。
【
図22】鉱山環境で使用する砕石ツールの別の実施形態の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面において、同様の部分には同様の符号を付している。
【0024】
図5は、略円形本体20と、円形本体20の周囲に配置された複数の切削要素22とを備えるディスクカッタ18の一例を示す。駆動スピンドル16の回転は、ディスクカッタ18の対応する回転を引き起こす。
【0025】
ディスクカッタ18は、各々が少なくとも1つの切削要素22を受け入れるための複数のツールホルダ24を備える。この例では、4つのツールホルダ24及び7つの切削要素22の繰り返しセットが存在する。切削要素22は合計42個ある。各セットは、円形本体20の周りに等しく繰り返される。各セットには、以下でより詳細に説明するように、ツールホルダ24及び切削要素22の4つの異なる空間的構成がある。ディスクカッタ18の回転方向に前後に並べて配置すると、ディスクカッタ18の必要な切削力が大幅に低減される。
【0026】
各ツールホルダ24は、本体部分26と、本体部分26から延在する一対の間隔を置かれた脚部28とを備える。本体部分26は、略直方体である。本体部分26は、切削要素22又は各切削要素を収容する。一対の脚部の各脚部28は、板状である。脚部28は、円形本体20の両側のツールホルダ24の結合を可能にする間隙30によって間隔を置かれる。複数のスロット32は、
図6に示すように、略円形本体20の周面34に沿って周期的に位置付けられる。各スロット32は、ツールホルダ24が円形本体20に取り付けられたときに前述の間隙30でふさがれる。スロット32は、使用中にボルトにかかるせん断力を低減する。円形本体20の周面34が隣接するスロット32の間に延在することにより、ツールホルダ24は、円形本体20の周りに規則的に間隔を置かれる。この例では、24個のツールホルダ24に対して24個のスロットが設けられている。
【0027】
ここで
図7を参照すると、ツールホルダ24は、各脚部28の自由端に近接する第2の端部38に向かって、切削要素22又は各切削要素22に近接する第1の端部36から内向きに先細になる。
【0028】
ツールホルダ24の第1の変形形態が
図7aに示されており、これは単一の(軸方向に)中央に取り付けられた切削要素22を着座させるように構成される。
【0029】
ツールホルダの第2の変形形態が
図7bに示されており、これは、2つの隣接する切削要素22を着座させるように構成される。
【0030】
ツールホルダ24の第3の変形形態が
図7cに示されており、これは、2つの間隔を置かれた切削要素22を着座させるように構成される。
【0031】
ツールホルダ24の第4の変形形態が
図7dに示されており、これは、2つの切削要素22の間に中央凹状チャネル40を有する2つの間隔を置かれた切削要素22を着座させるように構成される。細長いチャネル36は、ディスクカッタ18の意図された回転の方向に延在する。
図10を参照されたい。
【0032】
好ましくは、ツールホルダは、
図8に示すように、以下の順序、d)、c)、b)、a)で配置される。しかしながら、4つすべてのツールホルダ構成が使用されるという条件で、この配列内の任意の順序が想定される。例えば、表1を参照されたい。
【表1】
【0033】
ツールホルダ(複数可)及び切削要素(複数可)の2つ、3つ、又はそれ以上の構成を含むセットを使用することも実現可能である。複数の切削要素が特定のツールホルダ24上で使用される場合、各切削要素22のサイズ及び切削要素間の間隔は、それに応じて調整される必要がある。
【0034】
各セットの切削要素22は、
図11に示すように、岩石に全体として42で示される重複する切削を生成する。これにより、切削スロットに切削力が均等に分配される。主な実施形態における重複する切削は60mmであり、これは各セット内の4つのツールホルダ及び切削要素の組み合わせに基づく。より大きな重複する切削が必要とされる場合、より多くのツールホルダ及び切削要素の組み合わせ、例えば、6個、8個、10個、12個などが使用される。より小さな重複する切削が必要とされる場合、より少ないツールホルダ及び切削要素の組み合わせ、例えば、2個又は3個が必要とされる。
【0035】
図12は、本発明で使用するための100におけるディスクカッタの第1の例を示す。ディスクカッタ100は、6個のツールホルダ102のセットを備える。ツールホルダ102に取り付けられた切削要素104は、所定の順序で配置される。各セットの切削要素104の総数は11である。複数のセットがディスク本体の周りに取り付けられる。切削要素の数及び間隔は、セット内のツールホルダ102の位置に依存する。102aで示された第1の位置にあるツールホルダは、セットの先頭である。第2の位置にあるツールホルダは、102bを示す。第3の位置にあるツールホルダは、102cを示す。第4の位置にあるツールホルダは、102dを示す。第5の位置にあるツールホルダは、102eを示す。102fで示された第6の位置にあるツールホルダは、セットの最後である。
【0036】
ツールホルダ102は、
図7に関して前述したものと同様である。前述のように、第1の位置にあるツールホルダ102aには単一の切削要素が存在する。第2の位置にあるツールホルダ102bには、2個の隣接する切削要素がある。第3の位置にあるツールホルダ102cには、間隔を置かれた2個の切削要素がある。配列102fの最後の位置では、ツールホルダ上に間隔を置かれた2個の切削要素があり、凹状チャネルが2つの切削要素の間に延在する。しかしながら、セットは、ツールホルダcの2つの修正バージョンをさらに含む。ツールホルダc’では、切削要素間の間隔は、ツールホルダcにおけるよりも大きい。ツールホルダc”では、切削要素間の間隔は、ツールホルダc’におけるよりも大きい。
【0037】
【0038】
図13は、本発明で使用するためのディスクカッタ200の第2の例を示す。ディスクカッタ200は、6個のツールホルダ202のセットを備える。ツールホルダ202に取り付けられた切削要素204は、やはり所定の順序で配置される。各セットの切削要素204の総数は11である。複数のセットがディスク本体の周りに取り付けられる。各ツールホルダ202上の切削要素204の数及び間隔は、セット内のツールホルダ202の位置に依存する。202aで示された第1の位置にあるツールホルダは、セットの先頭である。第2の位置にあるツールホルダは、202bを示す。第3の位置にあるツールホルダは、202cを示す。第4の位置にあるツールホルダは、202dを示す。第5の位置にあるツールホルダは、202eを示す。202fで示された第6の位置にあるツールホルダは、セットの最後である。
【0039】
この実施形態では、第1の位置にあるツールホルダ202aは、間隔を置かれた2つの切削要素を備える。凹状チャネルがそれらの間に延在する。チャネルは、ツールホルダ202aの前縁と後縁との間で上方に傾斜する。試験は、2つの切削要素間の材料が使用の際に徐々に摩耗することを証明した。したがって、対応するトルク及び出力はより高くなる。最初の使用前に除去された切削要素間の材料を除去することにより、不要な初期負荷が低減され、切削がより円滑に行われる。第2の位置にあるツールホルダ202bは、間隔を置かれた2つの切削要素を備える。それらの間に延在する凹状チャネルはない。第3の位置にあるツールホルダ202cは、間隔を置かれた2つの切削要素を備える。これらの切削要素は、第2の位置にあるツールホルダ上の切削要素よりもわずかに近接している。第4の位置にあるツールホルダ202dは、間隔を置かれた2つの切削要素を備える。これらの切削要素は、第3の位置にあるツールホルダ上の切削要素よりもわずかに近接している。第5の位置にあるツールホルダ202eは、2つの隣接する切削要素を備える。第6の位置にあるツールホルダ202fは、単一の切削要素を備える。
【0040】
配列は表3に要約され、好ましい配列である。
【表3】
【0041】
手短に言えば、配列は、表2に示す配列の逆である。
【0042】
【0043】
しかしながら、6つのすべてのツールホルダの構成が使用されるという条件で、配列内の任意の順序が想定される。
【0044】
切削要素は、好ましくは、石油及びガス産業におけるドリルビットで一般的に見られる多結晶ダイヤモンドコンパクト(PDC)である。各切削要素204は、多結晶ダイヤモンドを含む平坦な作業面を有する円筒形である。各切削要素204の作業面はすべて同じ方向に整列する。切削要素204はすべて、回転方向に接線方向に面する(
図13参照)。さらに、切削要素204はすべて、
図16に示すように、ディスク本体と平行で、ディスク本体と一直線上にある平面に面しており、ディスク本体の平面と作業面の方向との間の角度は0度である。
【0045】
ディスクカッタ200が回転すると、第1のツールホルダ202aは岩石層に提示され、次いで第2のツールホルダ202b、次いで第3のツールホルダ202cなどが提示される。ツールホルダ202によって支持された切削要素204は、岩石層を順次切削する。切削要素204の予め構成された配列の効果は、
図14に示す効果的な切削パターンをもたらす。この効果は、
図15と同様に、単一の同等のツールホルダ及び多数の切削要素を横並びに配置して使用することによって実現可能な方法で達成することができる。しかしながら、同じ有効切削(すなわち、スロット)幅を達成するために切削中に必要とされる力は、非常に高い。代わりに、切削力を6つの連続するツールホルダ202に分散させることによって、切削中の各ツールホルダにかかる力が大幅に低減され、切削要素204の破損が最小限に抑えられる。
【0046】
ディスクカッタの第1の例を用いて同様の効果を得ることができる。しかしながら、第2の例では、ディスクカッタを使用して、切削がより滑らかで、振動を受けにくいことが試験で示されている。
【0047】
図17は、切削アセンブリを実際に使用することができる一方法を示す。
図17は、方法ステップを示すフロー図であり、以下の番号付けは
図17の番号付けに対応する。
【0048】
S1.切削アセンブリが提供され、切削アセンブリは、スピンドル上に間隔を置かれて配置された複数のディスクカッタを備える。前述のように、各ディスクカッタは、好ましくは、回転軸を有するカッタ本体と、複数のツールホルダと、複数の切削要素とを備える。ツールホルダ及び切削要素は、カッタ本体の周りに少なくとも1つのセットで配置され、各セットは、第1、第2、第3、第4、第5及び第6の位置に配置された6個のツールホルダを備える。位置は、回転方向に前後に連続した順序である。各ツールホルダは、複数の切削要素のうちの1つ又は複数を支持し、切削要素は、第1の位置から第6の位置までの所定の連続した構成で設けられる。所定の連続した構成において、切削要素の数及び/又は切削要素の横方向の間隔は変化する。
【0049】
S2.ツールヘッドを有する砕石ツールが提供される。以下、砕石ツールに関するさらなる情報を提供する。
【0050】
S3.切削アセンブリは、動作位置に進められる。動作位置は、例えば切削される岩石層の前で、切削が行われる場所であると予想される。前進とは、切削アセンブリ全体が所定の位置に移動すること、又は単にディスクカッタなどの切削に必要な構成要素が移動することを意味し得る。
【0051】
S4.切削アセンブリのディスクカッタは、ディスクカッタを使用して岩石層を切削し、岩石柱252a、252b、252c(など)によって間隔を置かれた一連の直線状の切込み250a、250b、250c(など)を作成する。直線状の切込み及び岩石柱の例示的な概略図は、
図19及び
図21に見ることができる。
【0052】
S5.切削アセンブリは、動作位置から後退する。
【0053】
S6.砕石ツールは、ツールヘッドが切込み内に完全に位置付けられるようなディスクカッタによって作成された切込みの1つに挿入される。
【0054】
S7.砕石ツールが起動され、それにより、ツールヘッドをトリガして少なくとも1つの隣接する岩石柱と接触させる。
【0055】
図18及び
図19に示す実施形態では、砕石ツール300は、長手方向軸を有する細長いツール本体302と、ツール本体302の一端にツールヘッド304とを備える。ツールヘッド304は、その表面から延在する1つ又は複数の突起306を備える。砕石ツール300を作動させることは、挿入方向から砕石方向に、長手方向軸を中心に砕石ツールをゆっくりと回転させることを含む。このようにして、ツールヘッド304、より具体的には突起(複数可)306は、それにより、少なくとも1つの隣接する岩石柱に衝突する。好ましくは、これは、切削スロット内の直線状切削の根元で行われる。この衝突は、岩石層に亀裂を発生させるのに十分であり得、それは破壊された岩石層のその後の回収を容易にする。この低速回転岩石破壊は、有利には、切削スロットの根元から岩石を破壊するために最小のエネルギーを使用する。任意選択的に、ツールヘッド304は、隣接する2つの岩石柱に衝突するように構成される。
【0056】
例えば、砕石ツールを回転させることができる30kWのモータでは、回転速度が60rpmである場合、トルクは4774Nmとすることができる。押出半径が34mmの場合、切削力は14kNとすることができる。
【0057】
任意選択的に、砕石ツール300は、ツールヘッド304の反対側の端部にハンドル(図示せず)をさらに備える。代替で、砕石ツール300は、切削アセンブリの取り付けのために反対側の端部に取り付けユニット308をさらに備える。
【0058】
図20及び
図21に示す実施形態では、砕石ツール400はツールヘッド402を備え、ツールヘッド402は、細長いディスクキャリア404と、ベースマウント406と、ディスクキャリア404によって支持された1つ又は複数のミニディスクカッタ408とを備える。ディスクキャリア404、したがってミニディスクカッタ408も、ベースマウント406に対して移動可能である。好ましくは、ツールヘッド400は、ディスクマウント406に沿って間隔を置かれた3つ以上のミニディスクカッタ408を備える。ミニディスクカッタ408は、好ましくは、カーバイド材料を含む。主切削アセンブリのディスクカッタとは異なり、この実施形態のミニディスクカッタは、円形の基部及び低い高さを有する圧縮ピラミッド形状を有する。
【0059】
各ミニディスクカッタ408は、ディスクマウント406の長手方向平面に直交する平面内に延在してもよい。代替で、各ミニディスクカッタ408は、ディスクマウント406の長手方向平面に対して角度を形成する平面内に延在してもよく、砕石ツール400は、該角度が調整可能であるように構成される。砕石ツール400を作動させることは、ツールヘッド402上のミニディスクカッタ408を使用して岩石柱を切削することを含む。このようにして、岩石柱の亀裂が複数の位置で開始され得、これにより、破壊された岩石層のその後の回収が容易になる。この砕石方法は、有利には、所定の方向に沿って岩石を破壊するために最も少ないエネルギーを使用する。
【0060】
図22に示す実施形態では、ツールヘッド500は、外側に延在し、内側に後退するように作動可能な1つ又は複数の打撃要素502を備える。アクチュエータは、油圧膨張器であってもよい。打撃要素502は、超硬打撃先端504を備えることができる。砕石ツール500を作動させることは、ツールヘッド500から隣接する岩石柱に向かって打撃要素502を打ち込むこと(firing)を含む。打撃先端からの衝撃は、亀裂及びその後の亀裂伝播を発生させるのに十分であり得る。この場合もやはり、これは破壊された岩石層のその後の回収を容易にする。任意選択的に、2つの対向する打撃要素502は、直線状の切込みの両側の隣接する岩石柱に向かって打ち込まれる。
【0061】
任意選択的に、
図22に見られるように、複数のツールヘッドを展開して、切込み内の複数の深さの位置で作動させて、岩石柱の割れ目を強制的に破壊することができる。
【0062】
本発明を実施形態を参照して特に示し説明したが、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、形態及び詳細の様々な変更を行うことができることが当業者には理解されよう。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削アセンブリと砕石ツールとを備える切削システムを使用して岩石層を採掘する方法であって、
スピンドル上に間隔を置いて配置された複数のディスクカッタを備える切削アセンブリを提供することと、
砕石ツールを有するツールヘッドを提供することと、
前記切削アセンブリを動作位置に前進させることと、
前記ディスクカッタを使用して前記岩石層を切削して、岩石柱によって間隔を置かれた一連の直線状の切込みを作成することと、
前記切削アセンブリを前記動作位置から後退させることと、
前記ツールヘッドが前記切込み内に完全に位置付けられるように、前記ディスクカッタによって作成された前記切込みの1つに前記砕石ツールを挿入することと、
前記砕石ツールを作動させ、それによって前記ツールヘッドをトリガして少なくとも1つの隣接する岩石柱と接触させることと、を含む方法。
【請求項2】
前記砕石ツールを作動させることが、前記砕石ツールをその長手方向軸を中心に挿入方向から砕石方向に回転させることを含み、それにより前記ツールヘッドが少なくとも1つの隣接する岩石柱に衝突する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ツールヘッドを2つの隣接する岩石柱に衝突させることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記砕石ツールを作動させることが、前記ツールヘッド上の1つ又は複数のミニディスクカッタを使用して前記岩石柱を切削することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
複数の位置で前記岩石柱を切削するために複数のミニディスクカッタを使用する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記砕石ツールを作動させることが、前記ツールヘッドから前記隣接する岩石柱に向かって1つ又は複数の打撃要素を打ち込むことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記切込みの両側の隣接する岩石柱に向かって2つの対向する打撃要素を打ち込むことを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記砕石ツールが、細長いツール本体と、その一端にツールヘッドとを備え、前記砕石ツールが、長手方向軸を有する、請求項1に記載の方法で使用するための砕石ツール。
【請求項9】
前記ツールヘッドが、その表面から延在する1つ以上の突起を備える、請求項8に記載の砕石ツール。
【請求項10】
前記ツールヘッドの対向する端部にハンドルをさらに備える、請求項9に記載の砕石ツール。
【請求項11】
切削アセンブリの取り付けのために前記ツールヘッドの対向する端部に取り付けユニットをさらに備える、請求項9に記載の砕石ツール。
【請求項12】
前記ツールヘッドが、外側に延在し、内側に後退するように作動可能な1つ又は複数の打撃要素を備える、請求項8に記載の砕石ツール。
【請求項13】
前記打撃要素が、超硬打撃先端を備える、請求項12に記載の砕石ツール。
【請求項14】
前記砕石ツールが、ツールヘッドであって、前記ツールヘッドが、細長いディスクキャリアと、ベースマウントと、前記ディスクキャリアであって、前記ベースマウントに対して移動可能である、前記ディスクキャリアによって支持された1つ又は複数のミニディスクカッタとを備える、ツールヘッドを備える、請求項1に記載の方法で使用するための砕石ツール。
【請求項15】
前記ディスクマウントに沿って外に間隔を置かれた3つ以上のミニディスクカッタを備える、請求項14に記載の砕石ツール。
【請求項16】
前記ミニディスクカッタが、カーバイド材料を含む、請求項
14に記載の砕石ツール。
【請求項17】
前記ミニディスクカッタ又は各ミニディスクカッタが、前記ディスクマウントの前記長手方向平面に直交する平面内に延在する、請求項
14に記載の砕石ツール。
【請求項18】
前記ミニディスクカッタ又は各ミニディスクカッタが、前記ディスクマウントの前記長手方向平面に対して角度を形成する平面内に延在し、前記砕石ツールが、前記角度が調整可能であるように構成されている、請求項
14に記載の砕石ツール。
【請求項19】
請求項
8に記載のディスクカッタ及び砕石ツールを備える切削システム。
【請求項20】
前記ディスクカッタが、回転軸を有するカッタ本体と、複数のツールホルダ及び複数の切削要素を備え、前記ツールホルダ及び切削要素が、前記カッタ本体の周りに少なくとも1セットで配置され、各セットが、第1、第2、第3、第4、第5及び第6の位置に配置された6個のツールホルダを備え、前記位置が、回転方向に前後して順次配置され、各ツールホルダが、前記複数の切削要素のうちの1つ又は複数を支持し、前記切削要素が、第1の位置から第6の位置までの所定の構成配列で設けられ、前記所定の構成配列において、切削要素の数及び/又は前記切削要素の横方向間隔が変化する、請求項19に記載の切削システム。
【国際調査報告】