(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】グリッドプレート適格化ツールを含む原子間力顕微鏡を実行する為のシステム
(51)【国際特許分類】
G01Q 40/02 20100101AFI20240528BHJP
G01Q 60/24 20100101ALI20240528BHJP
G01Q 10/06 20100101ALI20240528BHJP
【FI】
G01Q40/02
G01Q60/24
G01Q10/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571751
(86)(22)【出願日】2022-05-18
(85)【翻訳文提出日】2024-01-16
(86)【国際出願番号】 NL2022050265
(87)【国際公開番号】W WO2022245208
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523299750
【氏名又は名称】ニアフィールド インスツルメンツ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【氏名又は名称】村上 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100160738
【氏名又は名称】加藤 由加里
(72)【発明者】
【氏名】サデギアン マルナニ,ハメド
(72)【発明者】
【氏名】トークセン,ヨアン-アンドレイ
(57)【要約】
【課題】原子間力顕微鏡を実行する為のシステムであって、該システムが、位置基準を原子間力顕微鏡ツールのシステム要素に提供する為の、プレート上に座標基準パターンを含む該プレートを受け取るように構成された原子間力顕微鏡ツール;及び、前記原子間力顕微鏡(AFM)ツールにおいて座標基準パターンを適格化する為のデバイスを備えている。該デバイスは、固定された基準フレーム、記座標基準パターンを読み取る為のパターンエンコーダ、前記プレートと前記パターンエンコーダとを、前記プレートに平行相対的に移動させる為の作動ステージ、前記固定された基準フレームに相対的に前記プレート又は前記パターンエンコーダの変位を測定する為の変位測定システム、並びに、前記作動ステージ、前記パターンエンコーダ及び前記変位測定システムを制御する為のコントローラを備えている。前記作動ステージを制御する間に、前記コントローラは、前記パターンエンコーダを制御して、前記座標基準パターンにおける欠陥を識別するように構成されている。各欠陥について、前記コントローラは、前記変位測定システムを制御することによって前記欠陥の位置を識別して、前記固定された基準フレームに相対的に前記プレート又は前記パターンエンコーダの前記変位を測定することを可能にする。前記コントローラは、各欠陥を、決定された前記位置に関連付けて記憶するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子間力顕微鏡を実行する為のシステムであって、該システムが、
位置基準を原子間力顕微鏡ツールのシステム要素に提供する為の、プレート上に座標基準パターンを含む該プレートを受け取るように構成された原子間力顕微鏡ツール;及び、
前記プレート上の前記座標基準パターンを適格化する為のデバイス
を備えており、
ここで、該デバイスは、適格化検査を実行する為に前記プレートを受け取るように構成されており、並びに、
固定された基準フレーム;
前記プレート上の前記座標基準パターンを読み取るように構成されたパターンエンコーダ;
前記プレートと前記パターンエンコーダとを、前記プレートの面に平行な方向に互いに相対的に移動させるように構成された作動ステージ;
前記固定された基準フレームに相対的に前記プレート又は前記パターンエンコーダの変位を測定するように構成された変位測定システム;並びに、
前記作動ステージ、前記パターンエンコーダ及び前記変位測定システムを制御するように構成されたコントローラ
を備えており、
ここで、前記作動ステージを制御する間に、前記コントローラは、前記パターンエンコーダを制御して、前記座標基準パターンにおける欠陥を識別するように構成されており;
ここで、各欠陥について、前記コントローラは、前記固定された基準フレームに相対的に前記プレート又は前記パターンエンコーダの前記変位を測定するように前記変位測定システムを制御することによって、前記各欠陥の位置を識別するように構成されており;並びに、
ここで、前記コントローラは、各欠陥を該各欠陥の前記位置に関連付けて記憶するように構成されている、
前記システム。
【請求項2】
前記コントローラは、パターン補正マップを作成する為に、前記座標基準パターンの少なくとも1つのサブセットの欠陥を識別するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
欠陥を識別する為に前記パターンエンコーダを制御する前に、前記コントローラは、前記パターンエンコーダを制御して、前記座標基準パターンにおける少なくとも1つの基準位置を識別するように、及び各基準位置について、前記変位測定システムを制御することによって前記基準位置の前記位置を識別して、前記固定された基準フレームに相対的に前記プレートの前記変位を測定するように、及び各基準位置を前記各基準位置の前記位置に関連付けて記憶するように構成されている、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
各欠陥について、前記コントローラは、少なくとも1つの基準位置に相対的に前記各欠陥の相対位置を計算し、そして、前記各欠陥を前記各欠陥の前記相対位置に関連付けて記憶するように構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
各欠陥について、前記コントローラは、前記パターンエンコーダを制御して、前記各欠陥の種類を識別するように、及び/又は前記各欠陥の影響を定量化するように、並びに、前記各欠陥を、前記各欠陥の前記位置と、前記各欠陥の種類及び/又は定量化された影響とに関連付けて記憶するように、構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記コントローラは、前記変位測定システムを制御して、前記固定された基準フレームによって定義されるX軸に沿って及び該X軸に垂直なY軸に沿って、前記プレートの前記変位を測定するように構成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記コントローラは、前記変位測定システムを制御して、前記X軸と前記Y軸とに垂直なZ軸周りの前記プレートの回転を測定するように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記作動ステージが、前記Z軸に沿った前記プレートの位置を調整するように、及び前記X軸の周り且つ前記Y軸の周りの前記プレートの向きを調整するように構成され、ここで、前記変位測定システムが、前記Z軸に沿った前記プレートの変位を測定するように追加的に構成されている、請求項1~7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記作動ステージを制御して、前記プレートと前記パターンエンコーダとを前記プレートの面に平行な方向に相対的に移動させる間に、前記コントローラは、前記作動ステージを制御して、前記Z軸に沿って、且つ前記X軸及び前記Y軸夫々の周りの前記プレートの前記位置及び向きを維持するように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記変位測定システムがレーザ干渉計システムを備えている、請求項1~9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記作動ステージが、前記プレートを移動させる為の平面エアベアリングを備えている、請求項1~10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記作動ステージと前記固定された基準フレームとが、機械的且つ熱的に互いに分離されている、請求項1~11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
調整された環境を、少なくとも前記固定された基準フレームと前記作動ステージに提供する為の筐体を備えている、請求項1~12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
原子間力顕微鏡(AFM)ツールにおいて使用する為のプレート上の座標基準パターンを適格化する為の、請求項1~13のいずれか1項に記載のシステムにおいて使用する為のデバイス。
【請求項15】
請求項14に記載のデバイスによって生成された原子間力顕微鏡(AFM)ツールにおいて使用する為のデータファイルであって、該データファイルが、プレート上の座標基準パターンの少なくとも1つのサブセットにおける識別された欠陥のアレイを備えており、ここで、各識別された欠陥は、前記座標基準パターン上の少なくとも1つの基準位置に相対的に前記識別された欠陥の位置に関連付けられている、前記データファイル。
【請求項16】
原子間力顕微鏡(AFM)ツールにおいて使用する為のプレート上の座標基準パターンを、デバイスによって適格化する方法であって、
作動ステージにより、前記プレートとパターンエンコーダとを、前記プレートの面に平行な方向に互いに相対的に移動させること;
前記プレート上の前記座標基準パターンを読み取るように構成されたパターンエンコーダによって、座標基準パターンにおける欠陥を識別すること;
固定された基準フレームに相対的に前記プレートの変位を測定するように構成された変位測定システムによって、各欠陥について、該各欠陥の位置を識別すること;及び、
各欠陥を該各欠陥の前記位置に関連付けて記憶して、パターン補正マップを生成すること
を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子間力顕微鏡を実行する為のシステムに関し、該システムは、位置基準を原子間力顕微鏡ツールのシステム要素に提供する為の、プレート上に座標基準パターンを含む該プレートを受け取るように構成された原子間力顕微鏡ツールを備えている。該システムは、該プレート上の座標基準パターンを適格化する為のデバイスをさらに備えており、ここで、該デバイスは、適格化検査(qualification inspection)を実行する為にプレートを受け取るように構成されている。
【背景技術】
【0002】
様々な生産システム及び品質検査システムが、生産システム要素又は検査システム要素を、処理されるべき製品に相対的に高精度に位置決めする必要がある。それらの例が、ナノスケールでの電子製品、光学製品、又は光電気製品を製造する為のシステムである。
【0003】
走査型プローブ顕微鏡(SPM:scanning probe microscopy)のように、このスケールで動作する位置決めシステムは一般的に、製品の処理の間にシステム要素についての位置基準を決定する為に、グリッドプレート(grid plate)としても知られている平らな2Dエンコーダプレートと組み合わせてエンコーダを使用する。それ故、該グリッドプレートの解像度及び品質は、位置決めシステムの解像度及び精度に大きく寄与する。
【0004】
パターニングの方法に依存して、該グリッドプレートのパターンには、製造上の欠陥を有するであろう。該製造上の欠陥は信号の欠陥をもたらし、該エンコーダから得られる位置信号の精度を制限する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、改善された精度を可能にする手段が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
要約すると、本発明の実施態様は、原子間力顕微鏡法を実施する為のシステムに関し、該システムは、位置基準を原子間力顕微鏡法のシステム要素に提供する為の、プレート上の座標基準パターンを含む該プレートを受け取るように構成された原子間力顕微鏡法ツールを備えている。該システムは更に、該プレート上の該座標基準パターンを適格化する為のデバイスをさらに備えており、ここで、該デバイスは、適格化検査を実行する為に該プレートを受け取るように構成されている。
【0007】
原子間力顕微鏡(AFM)ツールにおいて使用する為の該プレート上の該座標基準パターンを適格にする為のデバイスは、固定された基準フレーム、パターンエンコーダ、作動ステージ、変位測定システム、及びコントローラを備えている。該パターンエンコーダは、該プレート上の該座標基準パターンを読み取るように構成されている。該作動ステージは、該プレートと該パターンエンコーダとを、該プレートの面に平行な方向に互いに相対的に移動させるように構成されている。該変位測定システムは、該固定された基準フレームに相対的に該プレート又は該パターンエンコーダの変位を測定するように構成されており、並びに、該コントローラは、該作動ステージ、該パターンエンコーダ及び該変位測定システムを制御するように構成されている。
【0008】
該作動ステージを制御する間に、該コントローラは、該パターンエンコーダを制御して該座標基準パターンにおける欠陥を識別するように構成されている。各欠陥について、該コントローラは、該固定された基準フレームに相対的に該プレート又は該パターンエンコーダの該変位を測定するように該変位測定システムを制御することによって、該欠陥の置を識別するように構成されている。該コントローラは、各欠陥を該各欠陥の位置に関連付けて記憶するように構成されている。
【0009】
該デバイスの利点は、該パターンエンコーダによって識別された各欠陥の位置が、独立した測定システムによって、例えばパターンエンコーダよりも高い測定分解能で、好ましくはサブミクロンスケールで、測定されて、座標基準パターンを適格化することである。
【0010】
本発明はまた、上記されたシステムにおいて使用する為のデバイスに関する。
【0011】
本発明の他の観点は、上記されたデバイスによって生成される、原子間力顕微鏡(AFM)ツールにおいて使用する為のデータファイルに関する。該データファイルは、プレート上の座標基準パターンの少なくとも1つのサブセットにおける識別された欠陥のアレイを備えている。各識別された欠陥は、該座標基準パターン上の少なくとも1つの基準位置に相対的に該識別された欠陥の位置に関連付けられている。
【0012】
結果として、該データファイルは、AFMツールにおいて実装されるときに、該座標基準パターンの精度を向上させる為に使用されることできる、該座標基準パターンの補正マップ(correction map)を含みうる。
【0013】
本発明の更に他の態様は、原子間力顕微鏡(AFM)ツールにおいて使用する為のプレート上の座標基準パターンを、デバイスによって適格化する方法に関する。第1の工程において、該方法は、作動ステージにより、該プレートとパターンエンコーダとを、該プレートの面に平行な方向に互いに相対的に移動させることを含む。更なる工程において、該プレート上の座標基準パターンを読み取るように構成されたパターンエンコーダが、座標基準パターンにおける欠陥を識別する。次に、固定された基準フレームに相対的に該プレートの変位を測定するように構成された変位測定システムが、各欠陥の位置を特定する。最後に、本方法は、各欠陥を該各欠陥の位置に関連付けて記憶して、パターン補正マップを作成することを含む。
【0014】
本発明は、添付の図において更に詳しく説明されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、原子間力顕微鏡(AFM)ツールにおいて使用する為のプレート上の座標基準パターンを適格化する為のデバイス10の第1の実施態様を図示する。
【
図2】
図2は、デバイス10の別の実施態様又は更なる実施態様の上面図を提供する。
【
図3】
図3は、更に別の実施態様又は更なる実施態様に従うデバイス10を図示する。
【
図4】
図4は、デバイス10の例示的な実施態様を図示する。
【
図5】
図5は、デバイス10によって生成された原子間力顕微鏡(AFM)ツールにおいて使用する為のデータファイル20を図示する。
【
図6】
図6は、原子間力顕微鏡(AFM)ツールにおいて使用する為のプレート上の座標基準パターンを、デバイスによって適格化する方法30の概略を図示する。
【
図7】
図7は、本発明の1つの実施態様に従う走査型プローブ顕微鏡検査(scanning probe microscopy)を行う為のシステムを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の観点は、原子間力顕微鏡(AFM)ツールにおいて使用する為のプレート上の座標基準パターンを適格化する為のデバイス及び方法に、並びに該デバイスによって生成される、原子間力顕微鏡(AFM)ツールにおいて使用する為のデータファイルに関する。該デバイス及び該方法は、固定された基準フレームと、該プレート上の該座標基準パターンを読み取るように構成されたパターンエンコーダと;該プレートと該パターンエンコーダとを、該プレートの面に平行な方向に互いに相対的に移動させるように構成された作動ステージと;該固定された基準フレームに相対的に該プレート又は該パターンエンコーダの変位を測定するように構成された変位測定システムと;該作動ステージ、該パターンエンコーダ及び該変位測定システムを制御するように構成されたコントローラとを備えている。
【0017】
前記作動ステージを制御する間に、前記コントローラは、前記パターンエンコーダを制御して、前記座標基準パターンにおける欠陥を識別するように構成されている。前記コントローラは、前記固定された基準フレームに相対的に前記プレート又は前記パターンエンコーダの前記変位を測定するように前記変位測定システムを制御することによって、前記各欠陥の位置を、各欠陥について識別するように構成されている。前記コントローラは、各欠陥を該各欠陥の前記位置に関連付けて記憶するように構成されている。該デバイスの利点は、該パターンエンコーダによって識別された各欠陥の位置が、独立した測定システムによって、例えばパターンエンコーダよりも高い測定分解能で、測定されて、該座標基準パターンを適格化することである。
【0018】
該デバイスの好ましい実施態様において、前記コントローラは、パターン補正マップを作成する為に、前記座標基準パターンの少なくとも1つのサブセットの欠陥を識別するように構成されており、該パターン補正マップは例えば、AFMの位置決め精度を向上させる為に使用されることができる。
【0019】
該デバイスの他の実施態様又は更なる実施態様において、欠陥を識別する為に前記パターンエンコーダを制御する前に、前記コントローラは、前記パターンエンコーダを制御して、前記座標基準パターンにおける少なくとも1つの基準位置を識別するように、及び各基準位置について、前記変位測定システムを制御することによって前記基準位置の前記位置を識別して、前記固定された基準フレームに相対的に前記プレートの前記変位を測定するように、及び各基準位置を前記各基準位置の前記位置に関連付けて記憶するように構成されて、該識別された欠陥に関連付けられた前記座標基準パターン上で、識別された基準位置のマップを提供し、それにより、例えば、AFMツールによって使用されて、どの座標基準パターン又はプレートが使用されているかを迅速にスキャンすることができる。
【0020】
加えて、各欠陥について、前記コントローラは、少なくとも1つの基準位置に相対的に前記各欠陥の相対位置を計算し、そして、前記各欠陥を前記各欠陥の前記相対位置に関連付けて記憶するように構成されて、該補正マップの精度を向上させることができる。
【0021】
幾つかの実施態様において、各欠陥について、前記コントローラは、前記パターンエンコーダを制御して、前記各欠陥の種類を識別するように、及び/又は前記各欠陥の影響を定量化するように、並びに、前記各欠陥を、前記各欠陥の前記位置と、前記各欠陥の種類及び/又は定量化された影響とに関連付けて記憶するように、構成されて、識別された各欠陥の種類及び影響に関する情報がまた提供されるところのパターン補正マップを生成し、それにより、前記座標基準パターンのロバスト性(robustness)を向上させうる。
【0022】
他の好ましい実施態様又は更なる好ましい実施態様において、前記コントローラは、前記変位測定システムを制御して、前記固定された基準フレームによって定義されるX軸に沿って及び該X軸に垂直なY軸に沿って、前記プレートの前記変位を測定するように構成されている。該コントローラは、前記変位測定システムを制御して、前記X軸と前記Y軸とに垂直なZ軸周りの前記プレートの回転を測定するように追加的に構成されていることができ、従って、該補正マップによって提供される座標がAFMツールによって測定される座標と整列させて、実装の容易性を向上させることができる。
【0023】
幾つかの実施態様において、前記作動ステージは、前記Z軸に沿った前記プレートの位置を調整するように、及び前記X軸の周り且つ前記Y軸の周りの前記プレートの向きを調整するように構成され、ここで、前記変位測定システムが、前記Z軸に沿った前記プレートの変位を測定するように追加的に構成されている。追加的に、前記作動ステージを制御して、前記プレートと前記パターンエンコーダとを前記プレートの面に平行な方向に相対的に移動させる間に、前記コントローラは、前記作動ステージを制御して、前記Z軸に沿って、且つ前記X軸及び前記Y軸夫々の周りの前記プレートの前記位置及び向きを維持するように構成されて、該プレートの移動の間の測定誤差を最小化することができる。
【0024】
該デバイスの好ましい実施態様において、該変位測定システムは、サブミクロンの分解能で該作動ステージの変位を測定する為にレーザ干渉計システムを備えている。
【0025】
別の好ましい実施態様又は更に好ましい実施態様において、前記作動ステージは、該プレートを移動させる間の摩擦を最小化限に抑える為に、該プレートを移動させる為の平面エアベアリングを備えている。
【0026】
好ましくは、前記作動ステージと前記固定された基準フレームとが、測定に影響を及ぼす力及び/又は熱の影響を避ける為に、機械的且つ熱的に互いに分離されている。
【0027】
幾つかの実施態様において、該デバイスは、調整された環境を、少なくとも前記固定された基準フレームと前記作動ステージに提供する為の筐体を備えている。
【0028】
本発明は、本明細書の以下において、本発明の実施態様が示されている添付図面を参照してより詳細に記載されている。図面において、システム、構成要素、層及び領域の絶対サイズ及び相対サイズは、明確にする為に誇張されている場合がある。実施態様は、本発明のありうる理想化された実施態様及び中間構造の概略図及び/又は断面図を参照して説明される場合がある。本明細書及び図面において、同様の番号は全体を通して同様の要素を云う。相対的な語並びにそれらの派生語は、その時点で説明されている又は議論中の図面において示されている向きを云うものと解釈されるべきである。これらの相対的な語は、説明の便宜のためであり、特に断らない限り、該システムが特定の向きで構築又は操作されることを要求するものでない。
【0029】
ここで、
図7に目を向けると、本発明に従って走査プローブ顕微鏡法(例えば、原子間力顕微鏡)を実施する為のシステム1が図示されている。システム1は、走査プローブ顕微鏡ツール2(例えば、原子間力顕微鏡ツール、本明細書の以下において、参照数字2でまた指定されている)を備えている。該システムはまた、座標基準パターンを適格化する為のグリッド適格化ツール3又はさもなければデバイスとして云われるものを包含する。グリッド適格化ツール3は例えば、以下に更に記載されているデバイス10によって形成されてもよく又はデバイス10を備えていてもよい。その上、原子間力顕微鏡ツール2とグリッド適格化ツール3を形成するデバイス10との間で、座標基準パターン210を含むプレート5を搬送することを可能にする為の、自動又は半自動搬送構成4がシステム1内に任意的に備えられてもよい。この構成4は、プレート5がまたツール2とツール3との間で手動により搬送されてもよい為に、任意のものである。例えば、システム1は、プレート5を複数のツール間で(構成4の有無に関わらず)容易に搬送されることを可能にするように、ツール2及び3が互いに近接して構成されていてもよく、又は場合によっては、グリッド適格化ツール3が原子間力顕微鏡ツール2から離れて構成されていてもよく、更には同じ建物内になくてもよい。この後者の実施態様において、プレート5をツール2とツール3との間で手動により搬送することが好ましい。グリッド適格化ツール3は例えば、本明細書において記載されているデバイス10のいずれかの形態で、原子間力顕微鏡ツール2の存在を伴わない独立したツールであってもよく、従って、システム1を形成しない。
【0030】
図1において、原子間力顕微鏡(AFM)ツールにおいて使用する為に、プレート5、例えばグリッドプレート、上の座標基準パターン210を適格化する為のデバイス10が示されている。デバイス10は、固定された基準フレーム110、例えば計測フレーム、を備えている。パターンエンコーダ200は、該プレート上の座標基準パターン210を読み取るように構成されている。デバイス10は、プレート5とパターンエンコーダ200とを、プレート5の面に平行な方向に互いに相対的に移動させるように構成された作動ステージ300を更に備えている。デバイス10は、以下に更に説明されているように、例えば作動ステージ300又は固定された基準フレーム110にプレート5を(手動、自動又は半自動で)取り付けることを可能にすることによって、適格化検査を実行するようにプレート5を受け取るように構成されている。パターンエンコーダ200は例えば、プレート5から離れた位置で固定された基準フレーム110に取り付けられているか若しくは吊り下げられているか、又は代替的には、或る実施態様において、該プレートが、固定された基準フレーム110に取り付けられている場合には、作動ステージ300に取り付けられているか若しくは吊り下げられている。
【0031】
例えば、作動ステージ300は、直交座標フレーム(cartesian coordinate frame)、例えばx-yステージ、又は極座標フレーム(cartesian coordinate frame)、例えばr-θステージ、における、1次元又は2次元の並進ステージ(translation stage)であることができる。作動ステージ300は例えば、固定された基準フレーム110にパターンエンコーダ200が取り付けられている間、プレート5を移動させるように構成されることができる。代替的には、作動ステージ300は、固定された基準フレーム110にプレート5が取り付けられている間、パターンエンコーダ200を移動させるように構成されることができる。
【0032】
デバイス10において、固定された基準フレーム110に相対的にプレート5又はパターンエンコーダ200の変位を測定するように変位測定システム400が構成されており、サブミクロンの分解能で該作動ステージの変位を測定する。例えば、変位測定システム400の分解能は、500nmよりも小さく、又は10~300nm、又は50~200nm、である。
図1において、示されている変位測定システム400は、固定された基準フレーム110に相対的にプレート5の変位を測定するように構成されている。変位測定システム400は例えば、光学的な、磁気的な、誘導的な、又は容量的な測定原理、又はそれらの任意の組み合わせに基づくことができる。例えば、変位測定システム400は、例えば1以上のレーザヘッド、干渉計及び反射器を備えているレーザ干渉計システムであることができ、又は変位測定システム400は、目盛りに沿って移動する光学式又は磁気式の走査ヘッドを備えているリニアエンコーダーのシステムであることができる。
【0033】
デバイス10は、作動ステージ300、パターンエンコーダ200及び変位測定システム400を制御するように構成されたコントローラ800を更に備えている。コントローラ800は、デバイス10と一体的な部分であることができ、又はデバイス10に動作可能に接続されたコンピュータシステムの一部であることができる。
【0034】
作動ステージ300を制御する間に、コントローラ800は、パターンエンコーダ200を制御して、座標基準パターン210における欠陥を識別するように構成されている。各欠陥について、コントローラ800は、固定された基準フレーム110に変位測定システム400を制御することによって、該欠陥の位置を識別して、相対的にプレート5又はパターンエンコーダ200の変位を測定するように構成されている。コントローラ800は、各欠陥を該各欠陥の位置に関連付けて記憶するように、例えば、デバイス10の一体部分であることができ又はデバイス10に動作可能に接続されたコンピュータシステムの一部であることができるところのコンピュータ可読メモリ内に記憶するように、構成されている。
【0035】
幾つかの実施態様において、コントローラ800は、パターン補正マップを作成する為に、座標基準パターン210の少なくとも1つのサブセット、例えば座標基準パターン210全体、又は座標基準パターン210における特定の領域、又は座標基準パターン210における多数の分散された領域、における欠陥を識別するように構成されている。
【0036】
代替的に又は追加的に、マップを作成すること無しに、欠陥に関する情報がデータファイル又はメモリ内に格納されてもよい。欠陥から見た位置の補正を可能にする為に、少なくとも欠陥の位置が保存されうる。任意の追加情報は精度を向上させるが、データファイル又はメモリ内に含めることは任意である。
【0037】
他の実施態様又は更なる実施態様において、コントローラ800は、パターンエンコーダ200を制御して、各欠陥について、欠陥の種類、例えば、測定された座標基準パターン210の期待されるパターンに相対的な幾何学的偏差、又は欠落片、又は座標基準パターン210における傷若しくは他の種類の損傷、を識別するように構成されている。
【0038】
これらの実施態様において追加的に又は代替的に、コントローラ800は、パターンエンコーダ200を制御して、各欠陥について、該各欠陥の影響を定量化するように構成されており、例えば、欠陥の、定量化されたサイズ、長さ若しくは深さを提供するか、又は全体としての欠陥、例えば形状を包含する欠陥、の定量化を含むか、又は座標基準パターン210のその領域の有用性の表示を提供する。
【0039】
これらの実施態様又は他の実施態様において追加的に、コントローラ800は、各欠陥を、該各欠陥の位置と、該各欠陥の種類及び/又は定量化された影響とに関連付けて記憶するように構成される。このように、位置の他に、マップ上で、識別された各欠陥の種類及び影響に関する情報をまた提供するところのパターン補正マップが作成されることができ、それにより、例えばAFMツールが最も適切な方法で各欠陥に対応することができるように、座標基準パターンのロバスト性を向上させうる。
【0040】
図2において示されているように、コントローラ800は、パターンエンコーダ200を制御して欠陥を識別する前に、パターンエンコーダ200を制御して、座標基準パターン210内の少なくとも1つの基準位置250、例えば、座標基準パターン210における所定の位置又は専用の原点マーク(homing mark)若しくはフィデューシャル(fiducial)、を識別するように構成されることができる。各基準位置250について、コントローラ800は、固定された基準フレーム110に相対的にプレート5の変位を測定するように変位測定システム400を制御することによって、該基準位置の位置を識別し、そして、各基準位置250を該各基準位置250の位置に関連付けて記憶するように構成されている。識別された基準位置250と欠陥とのこの組み合わせは例えば、AFMツールにおいて、どの座標基準パターン210又はプレート5が使用されているかを迅速にスキャンする為に、AFMツールによって使用されることができる。
【0041】
デバイス10の幾つかの更なる実施態様において、各欠陥について、コントローラ800は、少なくとも1つの基準位置250に相対的に前記各欠陥の相対位置を計算し、そして、各欠陥を該各欠陥の前記相対位置に関連付けて記憶するように構成されている。例えば、コントローラ800は、3つの基準位置250に対する欠陥Aの相対位置を計算し、そして、欠陥Aを3つの基準位置250に相対的に欠陥Aの相対位置に関連付けて記憶するように構成されている。単一の基準位置250は、プレート5上のその位置とその向きが既知であることを条件に十分である。複数の基準位置250は精度を向上させる。
【0042】
好ましくは、該相対位置は、少なくとも2つの基準位置250に相対的に、例えば2~4つの基準位置250に対して相対的に、計算される。幾つかの実施態様において、コントローラ800は、少なくとも2つの基準位置250に相対的に計算された相対位置から各欠陥の相対位置を導出するように構成されている。例えば、コントローラ800は、4つの基準位置250に対して算出された相対位置から、例えば4つの相対位置を平均化することによって、欠陥Aの相対位置を導出するように構成されている。このようにして、より正確なパターン補正マップが、コントローラ800によって得られることができる。
【0043】
好ましくは、
図2において示されているように、コントローラ800は、変位測定システム400を制御して、固定された基準フレーム110によって定義されるX軸に沿って及び該X軸に垂直なY軸に沿って、プレート5の変位を測定するように変位測定システム400を制御するように構成されている。このようにして、識別された各欠陥の測定され且つ記憶された位置、及び補正マップによって提供されるそのような座標は、AFMツールによって測定された座標と整列されることができ、例えば、サーボの遅延及び/又は位置決め誤差をもたらす可能性のある幾何学的変換についての必要性を最小限にすることによって、AFMツールにおける補正マップの実装を容易にする。好ましくは、変位測定システム400は、測定誤差、例えばアッベ誤差、を最小化する為に、Y軸に対するX軸の向きを、それらが垂直であり且つ交差するように調整する為の調整手段を備えている。
【0044】
幾つかの更なる実施態様において、コントローラ800は、変位測定システム400を制御して、X軸及びY軸に垂直なZ軸の周りのプレート5の回転を測定するように追加的に構成される。好ましくは、変位測定システム400は、測定誤差、例えばアッベ誤差、を最小化する為に、X軸、Y軸及びZ軸の間の相対的な向きを、それらが全て垂直であり、且つ1点(該1点は好ましくは、座標基準パターン210の面上にある)で交差するように調整する為の調整手段を備えている。
【0045】
他の実施態様又は更なる実施態様において、
図3において示されているように、作動ステージ300は、Z軸に沿った該プレートの位置を調整するように、及びX軸の周り且つY軸の周りの該プレートの向きを調整するように構成されており、ここで、変位測定システムは、Z軸に沿った該プレートの変位を測定するように追加的に構成される。例えば、作動ステージ300は、調整手段310、例えば、調整ねじ又はアクチュエータを備えている調整機構、を備えていてもよい。プレート5の位置及び向きをZ軸に沿って並びにX軸及びY軸の周りに調整する為に構成された作動ステージを有することにより、設置誤差(installation errors)、例えば、エンコーダのミスアライメント(encoder misalignment)、コサイン誤差及びアッベ誤差、を最小限に抑えることができる。
【0046】
追加的に、幾つかの実施態様において、作動ステージ300を制御して、プレート5とパターンエンコーダ200とをプレート5の面に平行な方向に相対的に移動させる間に、コントローラ800は、作動ステージ300を制御して、プレート5及び/又は作動ステージ300における幾何学的変動、又は動的若しくは熱的影響によって引き起こされる変動にかかわらず、プレート5の移動の間に、測定誤差、例えばコサイン誤差及びアッベ誤差、を最小化する為に、Z軸に沿って、且つX軸及びY軸夫々の周りのプレート5の位置及び向きを維持するように構成されている。
【0047】
図4は、デバイス10の例示的な実施態様を図示し、ここで、変位測定システム400は、レーザ干渉計システムを備えており、例えば、1以上の反射鏡、干渉計及び/又はレーザヘッドを備えており、好ましくは、測定誤差、例えば、レーザ光路のデッドパス(dead path)又はコサイン誤差若しくはアッベ誤差に関連する測定誤差、を最小化するように調整可能な方法で構成される。好ましくは、該システムの1以上の反射鏡は、移動質量(moving mass)を最小化する為に、アクチュエータステージ300に取り付けられている。1以上の干渉計は例えば、固定された基準フレーム110に取り付けられることができる。好ましくは、1以上のレーザヘッドは、該レーザヘッドの熱が測定に影響することを避ける為に、例えばミラー又はプリズムシステムを使用することによって、固定された基準フレームから距離を置いて取り付けられている。
【0048】
正確な補正マップを作成する為に、良好な波長安定性、例えば0.02ppmよりも良好な波長安定性、小さいミラー平面度、例えばλ/10よりも小さいミラー平面度、良好なミラー表面粗さ、例えば2ナノメートルRMSより良好なミラー表面粗さ、を備えているレーザ干渉計システムにより、良好な結果が達成されることができる。これらの観点の品質以外にも、補正マップの精度はまた、他の観点、例えば変位測定システムの分解能、システム構成部品の互いに相対的なアライメントの品質、温度安定性、動的誤差等に依存しうる。再現性のある測定誤差、例えば、ミラー形状の欠陥又はコンポーネントの位置ずれ(misalignment)によって引き起こされる再現性のある測定誤差、は、補正マップを定義する為に使用される変位測定システムの静的又は動的な較正ルーチンの結果を考慮すること等によって補正されて、補正マップの精度を更に向上させる、例えば1ナノメートルよりも優れている、ことができる。
【0049】
該レーザ干渉計システムは、プレート5の面に平行な方向に互いに相対的にプレート5とパターンエンコーダ200の、作動ステージ300による移動を測定する為に、作動ステージ300の2次元変位、例えばx-変位及びy-変位、又はr-変位及びθ-変位、を測定するように構成されることができる。代替的に、該レーザ干渉計システムは、固定された基準フレームに相対的な測定を夫々簡略化し又は検証する為に、作動ステージ300の一次元又は三次元の変位を測定するように構成されることができる。
【0050】
幾つかの実施態様において、作動ステージ300は、プレート5を移動させる為の平面エアベアリング330を備えており、該平面エアベアリング330は、移動の間の作動ステージ300とプレート5との間の摩擦を最小化し、その結果、ヒステリシス(hysteresis)又は仮想プレイ(virtual play)の量を減少させる。(準)静止摩擦を最小化することにより、スティック-スリップ挙動(stick-slip behavior)が低減されることができ、それにより作動ステージ300の全体的な位置決め精度が向上される。代替的には、作動ステージ300は、低摩擦でプレートを移動させる為の他のタイプのベアリング、例えば、ボールベアリング、ローラーベアリング又は磁気ベアリング、を備えていることができる。代替的には又は追加的に、作動ステージ300は、プレート5を摩擦及びヒステリシス無しに少なくとも部分的に移動させる為の弾性ヒンジ機構を備えていてもよい。例えば、作動ステージ300は、ころ軸受(roller bearings)を備えている大ストロークと弾性ヒンジ機構(elastic hinge mechanism)を備えている小ストロークとを有する2ストローク作動機構によってプレート5の移動を提供することができる。
【0051】
他の実施態様又は更なる実施態様において、作動ステージ300及び固定された基準フレーム110は、作動ステージ300に由来する力又は温度の変化が、固定された基準フレーム110に影響を及ぼし及び測定に影響を及ぼすことを防止する為に、互いに機械的及び熱的に分離されている。好ましくは、固定された基準フレーム110は、他のデバイス構成要素から及び環境からの影響から分離されるように、計測フレームとして設計される。例えば、固定された基準フレーム110は、外力を減衰させる為に、重い質量の支持構造体600、例えば花崗岩の土台、を有することができる。支持構造体600は、振動分離装置(vibration isolators)660によって地面から分離されることができる。
図4において示されているように、作動ステージ300は、支持構造体600に独立して取り付けられ、それ故に、固定された基準フレーム110から機械的に且つ熱的に分離された力フレーム(force frame)390に取り付けられることができる。任意的に、力フレーム390と固定された基準フレーム110とが支持構造体600に取り付けられているところの部分に振動分離装置660が追加されることができる。その上、固定された基準フレーム110は好ましくは、熱膨張を制限する為に、低熱膨張材料、例えばゼロデュール(Zerodur)、で作られ、好ましくは、反り(warping)を回避する為に熱膨張係数が一致する部品を備えている。
【0052】
幾つかの好ましい実施態様において、デバイス10は、少なくとも、固定された基準フレーム110及び作動ステージ300に、調整された環境を提供する為の筐体900を備えている。例えば、筐体900は、例えば、固定された基準フレーム110及び/又はプレート5の熱膨張を低減する為に、筐体900内部に一定の温度を提供しうる。筐体900は更に、例えば作動ステージ300によって使用される平面エアベアリング330の性能の変動を回避する為に、筐体900内部に一定の圧力を提供しうる。筐体900はまた、光学的収差(optical aberrations)又は変動による測定誤差を回避する為に、パターンエンコーダ200及び/又は変位測定システム400に対して一定の照明及び湿度条件を提供しうる。好ましくは、筐体900はまた、埃又は他の粒子が筐体900に入り込み、例えば座標基準パターン210及び/又はパターンエンコーダ200及び/又は変位測定システム400を汚染するのを防止するように構成されている。
【0053】
図5は、例えば原子間力顕微鏡(AFM)又はミニ原子間力顕微鏡(MAFM)のリアルタイム位置決め戦略の一部として、本発明の実施態様のいずれかに従ってデバイス10によって生成される原子間力顕微鏡(AFM)ツールにおいて使用する為のデータファイル20を図示する。
図5は、MAFMが最初に、工程91において、所望の設定値を受信し、その後、工程92において、データファイル20を使用することによって、所望の設定値に基づいて実際の設定値が計算されることを示す。
【0054】
データファイル20は、プレート、例えばグリッドプレート、上の座標基準パターン210の少なくとも1つのサブセットにおける識別された欠陥のアレイを備えている。識別された欠陥のアレイは例えば、座標基準パターン210全体を代表することができるか、又は座標基準パターン210内の特定の領域を代表することができるか、又は座標基準パターン210内の多数の分散された領域若しくはノードを代表することができる。データファイル20において、各識別された欠陥は、座標基準パターン、例えば原点マーク(homing mark)又はフィデューシャル(fiducial)、上の少なくとも1つの基準位置に相対的な該識別された欠陥の位置に関連付けられ、それにより、座標基準パターン210の補正マップが作成される。
【0055】
例えば、該データファイルは、座標基準パターン210における特定の領域をカバーする、パターンエンコーダ200によって識別された欠陥のアレイを備えていてもよく、ここで、各欠陥は、座標基準パターン210上の原点マークに相対的に変位測定システム400によって測定されたx位置及びy位置に関連付けられている。代替的には、データファイル20は、座標基準パターン全体をカバーする、パターンエンコーダによって識別された欠陥のアレイを備えていてもよく、ここで、各欠陥は、座標基準パターン上の2つの基準位置に相対的に変位基準システムによって測定されたr-座標及びθ-座標に関連付けられている。
【0056】
図5において示されているように、MAFMツールは、データファイル20によって補正された設定値を、座標基準パターン210を読み取るパターンエンコーダ200からの入力と組み合わせて使用することができ、ここで、パターンエンコーダ200の信号は、工程94において、測定された位置に変換され、工程93における制御ループの下で実際の設定値に移動し、工程95におけるサーボ位置誤差を生じる。実際の設定値を計算する為にデータファイル20を使用する利点は、そのようなデータファイル20を有しないシステムに対してサーボ位置誤差を減少させることである。これにより、データファイル20が座標基準パターン210の補正マップを提供し、それにより、制御ループについての較正されたフィードフォワード信号として機能することによって説明されることができる。
【0057】
図6において、あるデバイスによって原子間力顕微鏡(AFM)ツールにおいて使用する為のプレート5、例えばグリッドプレート(grid plate)又はグレーテッドディスク(grated disc)上の座標基準パターン210を適格化する方法30が示されている。該方法は、第1の工程31において、プレート5とパターンエンコーダ200とを、プレート5の面に平行な方向に互いに相対的に、作動ステージ300によって移動させることを含む。第2の工程32において、プレート5上の座標基準パターン210を読み取るように構成されたパターンエンコーダ200によって、座標基準パターン210における欠陥が識別される。第3の工程33において、前記欠陥の位置が、各欠陥について、変位測定システム400によって識別される。変位測定システム400は、固定された基準フレーム110に相対的にプレート5の変位を測定するように構成されている。第4の工程34において、パターン補正マップを作成する為に、各欠陥を、前記各欠陥の位置に関連付けて記憶される。
【0058】
本明細書の以下において、本発明の様々な実施態様の様々な特性が、一連の番号付けされた記載又は段落において強調されるであろう。これらの特徴は、本発明又は発明概念を限定するものとして解釈されるものでなく、単に、本明細書において記載された本発明の幾つかの特徴を強調するものとして提供されるものであり、そのような特徴の重要性又は関連性の特定の順序を示唆するものでない。本発明は、対応する名称の項に示されている添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。番号のステートメントには以下のものが含まれる。
【0059】
ステートメント1:原子間力顕微鏡(AFM)ツールにおいて使用する為のプレート上の座標基準パターンを適格化する為のデバイスであって、
固定された基準フレーム;
前記プレート上の前記座標基準パターンを読み取るように構成されたパターンエンコーダ;
前記プレートと前記パターンエンコーダとを、前記プレートの面に平行な方向に互いに相対的に移動させるように構成された作動ステージ;
前記固定された基準フレームに相対的に前記プレート又は前記パターンエンコーダの変位を測定するように構成された変位測定システム;並びに、
前記作動ステージ、前記パターンエンコーダ及び前記変位測定システムを制御するように構成されたコントローラ
を備えており、
ここで、前記作動ステージを制御する間に、前記コントローラは、前記パターンエンコーダを制御して、前記座標基準パターンにおける欠陥を識別するように構成されており;
ここで、各欠陥について、前記コントローラは、前記固定された基準フレームに相対的に前記プレート又は前記パターンエンコーダの前記変位を測定するように前記変位測定システムを制御することによって、前記各欠陥の位置を識別するように構成されており;並びに、
ここで、前記コントローラは、各欠陥を該各欠陥の前記位置に関連付けて記憶するように構成されている、
前記デバイス。
【0060】
ステートメント2:パターン補正マップを作成する為に、前記座標基準パターンの少なくとも1つのサブセットの欠陥を識別するように構成されている、ステートメント1に従うデバイス。
【0061】
ステートメント3:欠陥を識別する為に前記パターンエンコーダを制御する前に、前記コントローラは、前記パターンエンコーダを制御して、前記座標基準パターンにおける少なくとも1つの基準位置を識別するように、及び各基準位置について、前記固定された基準フレームに相対的に前記プレートの前記変位を測定する為に前記変位測定システムを制御することによって前記基準位置の前記位置を識別するように、及び各基準位置を前記各基準位置の前記位置に関連付けて記憶するように、構成されている、ステートメント1又は2に記載のデバイス。
【0062】
ステートメント4:各欠陥について、前記コントローラは、少なくとも1つの基準位置に相対的に前記各欠陥の相対位置を計算し、そして、前記各欠陥を前記各欠陥の前記相対位置に関連付けられて記憶するように構成されている、ステートメント3に記載のデバイス。
【0063】
ステートメント5:各欠陥について、前記コントローラは、前記パターンエンコーダを制御して、前記各欠陥の種類を識別するように、及び/又は前記各欠陥の影響を定量化するように、並びに、前記各欠陥を、前記各欠陥の前記位置と、前記各欠陥の種類及び/又は定量化された影響とに関連付けて記憶するように、構成されている、ステートメント1~4のいずれか1つに記載のデバイス。
【0064】
ステートメント6:前記コントローラは、前記変位測定システムを制御して、前記固定された基準フレームによって定義されるX軸に沿って及び該X軸に垂直なY軸に沿って、前記プレートの前記変位を測定するように構成されている、ステートメント1~5のいずれか1つに記載のデバイス。
【0065】
ステートメント7:前記コントローラは、前記変位測定システムを制御して、前記X軸と前記Y軸とに垂直なZ軸周りの前記プレートの回転を測定するように構成されている、ステートメント6に記載のデバイス。
【0066】
ステートメント8:前記作動ステージが、前記Z軸に沿った前記プレートの位置を調整するように、及び前記X軸の周り且つ前記Y軸の周りの前記プレートの向きを調整するように構成され、ここで、前記変位測定システムが、前記Z軸に沿った前記プレートの変位を測定するように追加的に構成されている、ステートメント1~7のいずれか1つに記載のデバイス。
【0067】
ステートメント9:前記作動ステージを制御して、前記プレートと前記パターンエンコーダとを前記プレートの面に平行な方向に相対的に移動させる間に、前記コントローラは、前記作動ステージを制御して、前記Z軸に沿って、且つ前記X軸及び前記Y軸夫々の周りの前記プレートの前記位置及び向きを維持するように構成されている、ステートメント8に記載のデバイス。
【0068】
ステートメント10:前記変位測定システムがレーザ干渉計システムを備えている、ステートメント1~9のいずれか1つに記載のデバイス。
【0069】
ステートメント11:前記作動ステージが、前記プレートを移動させる為の平面エアベアリングを備えている、ステートメント1~10のいずれか1つに記載のデバイス。
【0070】
ステートメント12:前記作動ステージと前記固定された基準フレームとが、機械的且つ熱的に互いに分離されている、ステートメント1~11のいずれか1つに記載のデバイス。
【0071】
ステートメント13:調整された環境を、少なくとも前記固定された基準フレームと前記作動ステージに提供する為の筐体を備えている、ステートメント1~12のいずれか1つに記載のデバイス。
【0072】
ステートメント14:ステートメント1~13のいずれか1つに記載のデバイスによって生成される原子間力顕微鏡(AFM)ツールにおいて使用する為のデータファイルであって、該データファイルが、プレート上の座標基準パターンの少なくとも1つのサブセットにおける識別された欠陥のアレイを備えており、ここで、各識別された欠陥は、前記座標基準パターン上の少なくとも1つの基準位置に相対的に前記識別された欠陥の位置に関連付けられている、前記データファイル。
【0073】
ステートメント15:原子間力顕微鏡(AFM)ツールにおいて使用する為のプレート上の座標基準パターンを、デバイスによって適格化する方法であって、
作動ステージにより、前記プレートとパターンエンコーダとを、前記プレートの面に平行な方向に互いに相対的に移動させること;
前記プレート上の前記座標基準パターンを読み取るように構成されたパターンエンコーダによって、座標基準パターンにおける欠陥を識別すること;
固定された基準フレームに相対的に前記プレートの変位を測定するように構成された変位測定システムによって、各欠陥について、該各欠陥の位置を識別すること;及び、
各欠陥を該各欠陥の前記位置に関連付けて記憶して、パターン補正マップを生成すること
を含む、前記方法。
【国際調査報告】