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特表2024-521696併用治療のためのがん患者を同定するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】併用治療のためのがん患者を同定するための方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6869 20180101AFI20240528BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240528BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240528BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240528BHJP
   A61K 33/243 20190101ALI20240528BHJP
   A61K 31/282 20060101ALI20240528BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20240528BHJP
   A61K 31/517 20060101ALI20240528BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20240528BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20240528BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20240528BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20240528BHJP
   G01N 33/574 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
C12Q1/6869 Z ZNA
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K39/395 T
A61K33/243
A61K31/282
A61K31/506
A61K31/517
A61K31/519
C12Q1/02
C07K16/46
G01N33/53 M
G01N33/574 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571764
(86)(22)【出願日】2022-05-18
(85)【翻訳文提出日】2023-12-28
(86)【国際出願番号】 IB2022054628
(87)【国際公開番号】W WO2022243900
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】63/190,004
(32)【優先日】2021-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509087759
【氏名又は名称】ヤンセン バイオテツク,インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100209037
【弁理士】
【氏名又は名称】猪狩 俊博
(72)【発明者】
【氏名】カーティン,ジョシュア
【テーマコード(参考)】
4B063
4C084
4C085
4C086
4C206
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA13
4B063QA19
4B063QQ03
4B063QQ08
4B063QQ42
4B063QR55
4B063QS32
4B063QS39
4B063QX02
4B063QX10
4C084AA19
4C084MA52
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC202
4C084ZC751
4C085BB01
4C085BB11
4C085EE03
4C085GG02
4C085GG04
4C085GG05
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC42
4C086BC46
4C086CB27
4C086GA07
4C086HA12
4C086HA28
4C086MA03
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZC20
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206JB14
4C206MA03
4C206MA04
4C206NA05
4C206ZB26
4C206ZC75
4H045AA11
4H045AA30
4H045AA50
4H045BA09
4H045DA76
4H045EA20
(57)【要約】
本開示は、対象におけるがんが、二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)抗体及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む併用療法による治療に対して感受性であるか否かを決定するための方法及びキットを提供する。本開示はまた、二重特異性EGFR/c-Met抗体及びEGFR TKIを含む併用療法による治療に対するがんの感受性に基づいて、対象におけるがんを治療するための方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象におけるがんが、二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)二重特異性抗体及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む併用療法による治療に対して感受性であるか否かを決定するための方法であって、
a)前記対象から得られた腫瘍DNAにおける1つ以上の変異の存在を決定することであって、前記1つ以上の変異が、RAS/RAF/MEK経路からの1つ以上の遺伝子における変異及びPIK3CAにおける変異から選択される、ことと、
b)(i)前記対象由来の腫瘍DNAが前記変異を有しない場合、前記対象における前記がんを前記併用療法による前記治療に対して感受性であると同定すること、又は(ii)前記対象由来の腫瘍DNAが1つ以上の前記変異を有する場合、前記対象における前記がんを前記併用療法による前記治療に対して感受性でないと同定することと、
を含む、方法。
【請求項2】
がんの治療を必要とする対象においてがんを治療するための方法であって、
a)前記対象から得られた腫瘍DNAにおける1つ以上の変異の存在を決定することであって、前記1つ以上の変異が、RAS/RAF/MEK経路からの1つ以上の遺伝子及びPIK3CAにおける変異から選択される、ことと、
b)(i)前記対象由来の腫瘍DNAが前記変異を有しない場合、二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)二重特異性抗体及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む治療有効量の併用療法を前記対象に投与すること、又は(ii)前記対象由来の腫瘍DNAが1つ以上の前記変異を有する場合、(i)で使用される前記併用療法を含まないがん療法を前記対象に投与することと、
を含む、方法。
【請求項3】
RAS/RAF/MEK経路からの前記1つ以上の遺伝子が、FGFR3、KRAS、BRAF、ERBB2、ALK、NRAS、PDGFRA及び/又はRETである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
RAS/RAF/MEK経路からの1つ以上の遺伝子における前記変異が、FGFR3融合、BRAF G469A、BRAF V600E、ERBB2コピー数変化、ALK融合、ERBB2 I767M、ERBB2 V777L、KRAS A18V、KRASコピー数変化、KRAS G12X(Xは任意のアミノ酸である)、NRAS Q61R、PDGFRAコピー数変化、及びRET融合を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記KRAS G12X変異が、KRAS G12D、KRAS G12A、KRAS G12C及びKRAS G12Vである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
PIK3CAにおける前記変異が、PIK3CA E545Kを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記1つ以上の変異が、WNT/b-カテニン経路からの1つ以上の遺伝子における変異から更に選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
WNT/b-カテニン経路からの前記1つ以上の遺伝子が、APC及びCTNNB1である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
WNT/b-カテニン経路からの1つ以上の遺伝子における前記変異が、APC Q1469、APC R405、APC S713、CTNNB1 S33P、CTNNB1 S37C、CTNNB1 S37F、及びCTNNB1 S45Pを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記がんが、肺がんである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記肺がんが、非小細胞肺がん(NSCLC)である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記対象における前記がんが、前記併用療法において使用される前記EGFR TKIと同じではないEGFR TKIによる治療に対して耐性がある、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記がんが耐性がある前記EGFR TKIが、オシメルチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、ロシレチニブ、オルムチニブ、及びそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記がんが耐性がある前記EGFR TKIが、オシメルチニブである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記対象が、化学療法未経験である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記対象由来の前記腫瘍DNAが、少なくとも1つのEGFR活性化変異を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記EGFR活性化変異が、エクソン19欠失及びL858Rから選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記腫瘍DNAが、循環腫瘍DNA(ctDNA)である、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記ctDNAが、前記対象から単離された生物学的試料中に存在する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記生物学的試料が、血液試料又は血漿試料である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ctDNAが、変異同定の前に前記生物学的試料から単離される、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
前記腫瘍DNAが、前記対象から単離された腫瘍試料中に存在する、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記腫瘍DNAが、変異同定の前に前記腫瘍試料から単離される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記1つ以上の変異が、配列決定によって決定される、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記1つ以上の変異が、次世代配列決定(NGS)を使用して決定される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、EGFRに特異的に結合する第1のドメインと、c-Metに特異的に結合する第2のドメインと、を含み、前記第1のドメインが、配列番号1の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含み、前記c-Metに結合する第2のドメインが、配列番号7のHCDR1、配列番号8のHCDR2、配列番号9のHCDR3、配列番号10のLCDR1、配列番号11のLCDR2、及び配列番号12のLCDR3を含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記EGFRに特異的に結合する第1のドメインが、配列番号13の重鎖可変領域(VH)及び配列番号14の軽鎖可変領域(VL)を含み、前記c-Metに特異的に結合する第2のドメインが、配列番号15のVH及び配列番号16のVLを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、IgG1アイソタイプである、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、配列番号17の第1の重鎖(HC1)、配列番号18の第1の軽鎖(LC1)、配列番号19の第2の重鎖(HC2)、及び配列番号20の第2の軽鎖(LC2)を含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、約1%~約15%のフコース含量を有する二分岐グリカン構造を含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、前記対象に静脈内投与される、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、約140mg~約2240mgの用量で投与される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、900mg、950mg、1000mg、1050mg、1100mg、1150mg、1200mg、1250mg、1300mg、1350mg、1400mg、1575mg、1600mg、2100mg、又は2240mgの用量で投与される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記対象が80kg未満の体重を有する場合、前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、1050mgの用量で投与される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記対象が80kg以上の体重を有する場合、前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、1400mgの用量で投与される、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、前記対象に皮下又は皮内投与される、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、前記対象において治療効果を達成するのに十分な用量で皮下又は皮内投与される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、週2回、週1回、2週間に1回、3週間に1回、又は4週間に1回投与される、請求項1~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と組み合わせて投与される前記EGFR TKIが、ラゼルチニブである、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と組み合わせて投与される前記EGFR TKIが、約20~約320mgの用量で投与される、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と組み合わせて投与される前記EGFR TKIが、約240mgの用量で投与される、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と組み合わせて投与される前記EGFR TKIが、毎日、隔日、週2回、又は週1回投与される、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と組み合わせて投与される前記EGFR TKIが、毎日投与される、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と組み合わせて投与される前記EGFR TKIが、経口投与される、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
(i)で使用される前記併用療法を含まない前記がん療法が、白金ベースの化学療法である、請求項2~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記白金ベースの化学療法が、カルボプラチン及び/又はシスプラチンを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
ステップ(a)の前に前記対象から生物学的試料を得ることを含み、この際、前記生物学的試料が腫瘍DNAを含み、任意選択的に前記生物学的試料から前記腫瘍DNAを精製することを含む、請求項1~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
対象におけるがんが、二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)二重特異性抗体及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む併用療法による治療に対して感受性であるか否かを決定するための方法であって、
a)免疫組織化学(IHC)を使用して、前記対象から得られた腫瘍試料におけるEGFR又はMETの発現レベルを決定することと、
b)ステップ(a)で決定されたEGFR又はMETの前記発現レベルに基づいて、0~3+のスケールで染色強度スコアを決定することと、
c)(i)前記染色強度スコアが3+である場合、前記対象における前記がんを、前記併用療法による前記治療に対して感受性であると同定すること、又は(ii)前記染色強度スコアが3+未満である場合、前記対象における前記がんを、前記併用療法による前記治療に対して感受性でないと同定することと、
を含む、方法。
【請求項49】
ステップ(c)が、前記腫瘍試料の細胞の25%以上において前記染色強度スコアが3+である場合、前記対象における前記がんを前記併用療法による前記治療に感受性であると同定すること、又は(ii)前記腫瘍試料の25%未満の細胞において前記染色強度スコアが3+である場合、前記対象における前記がんを前記併用療法による前記治療に感受性でないと同定することを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
がんの治療を必要とする対象においてがんを治療するための方法であって、
a)免疫組織化学(IHC)を使用して、前記対象から得られた腫瘍試料におけるEGFR又はMETの発現レベルを決定することと、
b)ステップ(a)で決定されたEGFR又はMETの前記発現レベルに基づいて、0~3+のスケールで染色強度スコアを決定することと、
c)(i)前記染色強度スコアが3+である場合、二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)二重特異性抗体及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む治療有効量の併用療法を前記対象に投与することと、(ii)前記染色強度スコアが3+未満である場合、(i)において使用される前記併用療法を前記対象に投与しないこと、又は(i)において使用される前記併用療法を含まないがん療法を前記対象に投与することと、
を含む、方法。
【請求項51】
ステップ(c)が、(i)前記腫瘍試料の細胞の25%以上において前記染色強度スコアが3+である場合、治療有効量の前記併用療法を前記対象に投与すること、又は(ii)前記腫瘍試料の25%未満の細胞において前記染色強度スコアが3+である場合、(i)において使用される前記併用療法を前記対象に投与しないこと、若しくは(i)において使用される前記併用療法を含まないがん療法を前記対象に投与することを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記がんが、肺がんである、請求項48~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記肺がんが、非小細胞肺がん(NSCLC)である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記対象における前記がんが、前記併用療法において使用される前記EGFR TKIと同じではないEGFR TKIによる治療に対して耐性がある、請求項48~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記がんが耐性がある前記EGFR TKIが、オシメルチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、ロシレチニブ、オルムチニブ、及びそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記がんが耐性がある前記EGFR TKIが、オシメルチニブである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記対象が、化学療法未経験である、請求項48~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記対象の前記腫瘍が、少なくとも1つのEGFR活性化変異を有する、請求項48~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記EGFR活性化変異が、エクソン19欠失及びL858Rから選択される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、EGFRに特異的に結合する第1のドメインと、c-Metに特異的に結合する第2のドメインと、を含み、前記第1のドメインが、配列番号1の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含み、前記c-Metに結合する第2のドメインが、配列番号7のHCDR1、配列番号8のHCDR2、配列番号9のHCDR3、配列番号10のLCDR1、配列番号11のLCDR2、及び配列番号12のLCDR3を含む、請求項48~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記EGFRに特異的に結合する第1のドメインが、配列番号13の重鎖可変領域(VH)及び配列番号14の軽鎖可変領域(VL)を含み、前記c-Metに特異的に結合する第2のドメインが、配列番号15のVH及び配列番号16のVLを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、IgG1アイソタイプである、請求項60又は61に記載の方法。
【請求項63】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、配列番号17の第1の重鎖(HC1)、配列番号18の第1の軽鎖(LC1)、配列番号19の第2の重鎖(HC2)、及び配列番号20の第2の軽鎖(LC2)を含む、請求項61又は62に記載の方法。
【請求項64】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、約1%~約15%のフコース含量を有する二分岐グリカン構造を含む、請求項60~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、前記対象に静脈内投与される、請求項60~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、約140mg~約2240mgの用量で投与される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、900mg、950mg、1000mg、1050mg、1100mg、1150mg、1200mg、1250mg、1300mg、1350mg、1400mg、1575mg、1600mg、2100mg、又は2240mgの用量で投与される、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記対象が80kg未満の体重を有する場合、前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、1050mgの用量で投与される、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記対象が80kg以上の体重を有する場合、前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、1400mgの用量で投与される、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、前記対象に皮下又は皮内投与される、請求項60~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、前記対象において治療効果を達成するのに十分な用量で皮下又は皮内投与される、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、週2回、週1回、2週間に1回、3週間に1回、又は4週間に1回投与される、請求項60~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と組み合わせて投与される前記EGFR TKIが、ラゼルチニブである、請求項60~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と組み合わせて投与される前記EGFR TKIが、約20~約320mgの用量で投与される、請求項60~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と組み合わせて投与される前記EGFR TKIが、約240mgの用量で投与される、請求項60~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と組み合わせて投与される前記EGFR TKIが、毎日、隔日、週2回、又は週1回投与される、請求項60~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と組み合わせて投与される前記EGFR TKIが、毎日投与される、請求項60~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と組み合わせて投与される前記EGFR TKIが、経口投与される、請求項60~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
(i)で使用される前記併用療法を含まない前記がん療法が、白金ベースの化学療法である、請求項60~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記白金ベースの化学療法が、カルボプラチン及び/又はシスプラチンを含む、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
ステップ(a)の前に前記対象から腫瘍試料を得ることを含む、請求項60~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
(i)がんを有する対象由来の腫瘍DNAにおける1つ以上の変異の存在を決定するための1つ以上の試薬と、(ii)任意選択的に、パッケージ及び/又は使用説明書と、を含む、診断キットであって、前記1つ以上の変異が、RAS/RAF/MEK経路由来の1つ以上の遺伝子における変異及びPIK3CAにおける変異から選択される、診断キット。
【請求項83】
RAS/RAF/MEK経路からの前記1つ以上の遺伝子が、FGFR3、KRAS、BRAF、ERBB2、ALK、NRAS、PDGFRA及び/又はRETである、請求項82に記載の診断キット。
【請求項84】
RAS/RAF/MEK経路からの1つ以上の遺伝子における前記変異が、FGFR3融合、BRAF G469A、BRAF V600E、ERBB2コピー数変化、ALK融合、ERBB2 I767M、ERBB2 V777L、KRAS A18V、KRASコピー数変化、KRAS G12X(Xは任意のアミノ酸である)、NRAS Q61R、PDGFRAコピー数変化、及びRET融合を含む、請求項83に記載の診断キット。
【請求項85】
前記KRAS G12X変異が、KRAS G12D、KRAS G12A、KRAS G12C及びKRAS G12Vである、請求項84に記載の診断キット。
【請求項86】
PIK3CAにおける前記変異が、PIK3CA E545Kを含む、請求項82~85のいずれか一項に記載の診断キット。
【請求項87】
前記1つ以上の変異が、WNT/b-カテニン経路からの1つ以上の遺伝子における変異から更に選択される、請求項82~86のいずれか一項に記載の診断キット。
【請求項88】
WNT/b-カテニン経路からの前記1つ以上の遺伝子が、APC及びCTNNB1である、請求項87に記載の診断キット。
【請求項89】
WNT/b-カテニン経路からの1つ以上の遺伝子における前記変異が、APC Q1469、APC R405、APC S713、CTNNB1 S33P、CTNNB1 S37C、CTNNB1 S37F、及びCTNNB1 S45Pを含む、請求項88に記載の診断キット。
【請求項90】
前記腫瘍DNAが、循環腫瘍DNA(ctDNA)である、請求項82~89のいずれか一項に記載の診断キット。
【請求項91】
前記ctDNAが、前記対象から単離された生物学的試料中に存在する、請求項90に記載の診断キット。
【請求項92】
前記生物学的試料が、血液試料又は血漿試料である、請求項91に記載の診断キット。
【請求項93】
前記腫瘍DNAが、前記対象から単離された腫瘍試料中に存在する、請求項82~89のいずれか一項に記載の診断キット。
【請求項94】
前記対象由来の前記生物学的試料から前記腫瘍DNAを精製するための1つ以上の試薬を更に含む、請求項91~93のいずれか一項に記載の診断キット。
【請求項95】
前記1つ以上の試薬を配列決定技術と共に使用して、前記1つ以上の変異を決定することができる、請求項82~94のいずれか一項に記載の診断キット。
【請求項96】
前記1つ以上の試薬を次世代配列決定(NGS)と共に使用して、前記1つ以上の変異を決定することができる、請求項82~95のいずれか一項に記載の診断キット。
【請求項97】
(i)がんを有する対象由来の腫瘍試料中のEGFR及び/又はMETの発現レベルを決定するための1つ以上の試薬と、(ii)任意選択的に、パッケージ及び/又は使用説明書と、を含む、診断キット。
【請求項98】
前記1つ以上の試薬を免疫組織化学(IHC)と共に使用して、EGFR及び/又はMETの前記発現レベルを決定することができる、請求項97に記載の診断キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は2021年5月18日出願の米国特許仮出願第63/190,004号の利益を主張するものであり、その開示の全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(配列表)
本出願の配列表は、ファイル名が「JBI6555WOPCT1SEQLIST.TXT」(作成日:2022年5月16日及びサイズ:19キロバイト(KB))であるASCII形式の配列表として電子的に提出される。提出されたこの配列表は、本明細書の一部であり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
(発明の分野)
本開示は、二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)抗体及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む併用療法による治療から利益を得るがん患者を同定及び治療するための方法及びキットに関する。
【背景技術】
【0004】
がんにおける上皮成長因子受容体(EGFR)及び受容体チロシンキナーゼ間葉上皮移行因子(c-Met)の両方の個々の役割は十分に確立されており、これらの標的を併用療法にとって魅力的なものにしている。いずれの受容体も、同じ生存及び抗アポトーシス経路(ERK及びAKT)を通してシグナルを伝達し、このため、この対を合わせて阻害すると、代償経路が活性化される可能性を制限して、それによって全有効性を改善させ得る。
【0005】
がんドライバー変異に基づく進行した非小細胞肺がん(NSCLC)の分子セグメンテーションは、処置可能なドライバー変異を有する患者の全生存期間及び生活の質、並びに地固め固形腫瘍標的療法を改善した。NSCLCでは、EGFR遺伝子における特定の変異は、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(EGFR TKI)に対する高い応答率に関連する。EGFR変異を有するNSCLC患者の大部分は、初期にはEGFR TKI療法に応答するが、事実上全てが、持続的応答を防止する耐性を獲得する。EGFRチロシンキナーゼ阻害剤に対して耐性となった全ての腫瘍のほぼ60%で、c-Met発現が増加する、c-Met遺伝子が増幅する、又はその唯一の公知のリガンドである肝細胞成長因子が増加する(Turke et al.,Cancer Cell,17:77-88,2010)。
【0006】
上皮成長因子受容体変異体(EGFRm)NSCLCにおけるオシメルチニブなどのEGFR-TKIに対する獲得耐性の進行は、複数の耐性機構の同時発生と共に、耐性の複雑かつ不均一なパターンから生じる可能性が高く、したがって、そのような機構の詳細は不明なままである。
【0007】
アミバンタマブは、EGFR及び受容体チロシンキナーゼ間葉-上皮移行因子(c-Met)の両方を標的とする完全ヒト二重特異性抗体であり、免疫細胞性指向活性を示すことが示されている断片結晶化可能(Fc)領域を含む(Vijayaraghavan et al.,Mol Cancer Ther 19:2044,2020)。アミバンタマブは、多様なEGFRm NSCLCにわたる臨床活性を実証しており、合衆国及び中国において、化学療法後のEGFRmエクソン20挿入NSCLCに対する画期的な治療指定を付与された(Haura et al.,JCO 37:9009,2019、Park et al.,JCO 38:9512,2020、Sabari et al.,JTO 16:S108,2021)。
【0008】
ラゼルチニブは、EGFR変異T790Mの活性化及び中枢神経系(CNS)疾患において効力を有する潜在的な第3世代チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)である(Ahn et al.,Lancet Oncol 20: P1681,2019、Kim et al.,JCO 38:9571,2020)。ラゼルチニブは、低い割合のEGFR関連毒性、例えば発疹及び下痢(diarrehhea)、並びに低い心臓血管リスクと関連しており、したがって、他の抗EGFR分子とのその組み合わせを支持する安全プロファイルを有する(Ahn et al.,Lancet Oncol 20:P1681,2019、Haddish-Berhane et al.,JTO 16:S677,2022)。
【発明の概要】
【0009】
上記の背景技術のセクションで特定したように、当技術分野では、二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)抗体及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む併用療法による治療から利益を得るがん患者を同定及び治療する必要がある。
【0010】
一態様において、本明細書に提供されるのは、対象におけるがんが、二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)二重特異性抗体及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む併用療法による治療に対して感受性であるか否かを決定するための方法であって、
a)対象から得られた腫瘍DNAにおける1つ以上の変異の存在を決定することであって、1つ以上の変異が、RAS/RAF/MEK経路からの1つ以上の遺伝子における変異及びPIK3CAにおける変異から選択される、ことと、
b)(i)当該対象由来の腫瘍DNAが当該変異を有しない場合、対象におけるがんを併用療法による治療に対して感受性であると同定すること、又は(ii)当該対象由来の腫瘍DNAが1つ以上の当該変異を有する場合、対象におけるがんを併用療法による治療に対して感受性でないと同定することと、を含む、方法である。
【0011】
一態様において、本明細書に提供されるのは、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療するための方法であって、
a)対象から得られた腫瘍DNAにおける1つ以上の変異の存在を決定することであって、1つ以上の変異が、RAS/RAF/MEK経路からの1つ以上の遺伝子における変異及びPIK3CAにおける変異から選択される、ことと、
b)(i)当該対象由来の腫瘍DNAが当該変異を有しない場合、二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)二重特異性抗体及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む治療有効量の併用療法を対象に投与すること、又は(ii)当該対象由来の腫瘍DNAが1つ以上の当該変異を有する場合、(i)で使用される併用療法を含まないがん療法を対象に投与することと、を含む、方法である。
【0012】
上記の診断又は治療方法のいくつかの実施形態では、RAS/RAF/MEK経路からの1つ以上の遺伝子は、FGFR3、KRAS、BRAF、ERBB2、ALK、NRAS、PDGFRA及び/又はRETである。いくつかの実施形態では、RAS/RAF/MEK経路からの1つ以上の遺伝子における変異は、FGFR3融合、BRAF G469A、BRAF V600E、ERBB2コピー数変化、ALK融合、ERBB2 I767M、ERBB2 V777L、KRAS A18V、KRASコピー数変化、KRAS G12X(Xは任意のアミノ酸である)、NRAS Q61R、PDGFRAコピー数変化、及びRET融合を含む。いくつかの実施形態では、KRAS G12X変異は、KRAS G12D、KRAS G12A、KRAS G12C及びKRAS G12Vである。
【0013】
上記の診断又は治療方法のいくつかの実施形態では、PIK3CAにおける変異は、PIK3CA E545Kを含む。
【0014】
上記の診断又は治療方法のいくつかの実施形態では、1つ以上の変異は、WNT/b-カテニン経路からの1つ以上の遺伝子における変異から更に選択される。いくつかの実施形態では、WNT/b-カテニン経路からの1つ以上の遺伝子は、APC及びCTNNB1である。いくつかの実施形態では、WNT/b-カテニン経路からの1つ以上の遺伝子における変異は、APC Q1469、APC R405、APC S713、CTNNB1 S33P、CTNNB1 S37C、CTNNB1 S37F、及びCTNNB1 S45Pを含む。
【0015】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、対象におけるがんが、二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)二重特異性抗体及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む併用療法による治療に対して感受性であるか否かを決定するための方法であって、
a)対象から得られた腫瘍DNAにおける1つ以上の変異の存在を決定することであって、1つ以上の変異が、以下の2つの群:
(1)PIK3CA E545K、PIK3CA E542K/V、PIK3CA H1047R、PIK3CA増幅、KRAS G12V/C/D/X(XはG、V、C及びD以外の任意のアミノ酸である)、KRAS増幅、BRAF V600E、BRAF増幅、CCND1増幅、CCND2増幅、CCNE1増幅、CDK4増幅、CDK6増幅、HER2増幅、HER2発がん性変化、PTEN欠失、PTEN N48K、CDKN2A G101W、CDKN2B変異、ALK融合、FGFR3-TACC3融合、TPM3-NTRK1融合、RET融合、BRAF融合及び他の発がん性融合イベント;
(2)EGFR C797S、EGFR L792H、EGFR増幅、EGFR G796S、EGFR L718X(Xは任意のアミノ酸である)、EGFR E709K、EGFR G724S、MET増幅、及びMETエクソン14スキッピング(METex14)変異、から選択される、ことと、
b)(i)当該対象由来の腫瘍DNAが群(1)からの変異を有しないか、又は群(1)からの1つ以上の変異及び群(2)からの1つ以上の変異を有するかのいずれかである場合、対象におけるがんを、併用療法による治療に対して感受性であると同定すること、又は(ii)当該対象由来の腫瘍DNAが群(1)からの1つ以上の変異を有し、群(2)からの変異を有しない場合、対象におけるがんを、併用療法による治療に対して感受性でないと同定することと、を含む、方法である。
【0016】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療するための方法であって、
a)対象から得られた腫瘍DNAにおける1つ以上の変異の存在を決定することであって、1つ以上の変異が、以下の2つの群:
(1)PIK3CA E545K、PIK3CA E542K/V、PIK3CA H1047R、PIK3CA増幅、KRAS G12V/C/D/X、KRAS増幅、BRAF V600E、BRAF増幅、CCND1増幅、CCND2増幅、CCNE1増幅、CDK4増幅、CDK6増幅、HER2増幅、HER2発がん性変化、PTEN欠失、PTEN N48K、CDKN2A G101W、CDKN2B、ALK融合、FGFR3-TACC3及び他の融合、RET融合、BRAF融合、並びに他の発がん性融合イベント;
(2)EGFR C797S、EGFR L792H、EGFR増幅、EGFR G796S、EGFR L718X(Xは任意のアミノ酸である)、EGFR E709K、EGFR G724S、MET増幅、及びMETエクソン14スキッピング(METex14)変異、から選択される、ことと、
b)(i)当該対象由来の腫瘍DNAが群(1)からの変異を有しないか、又は群(1)からの1つ以上の変異及び群(2)からの1つ以上の変異を有するかのいずれかである場合、二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)二重特異性抗体及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む治療有効量の併用療法を対象に投与すること、又は(ii)当該対象由来の腫瘍DNAが群(1)からの1つ以上の変異を有し、群(2)からの変異を有しない場合、(i)で使用される併用療法を含まないがん療法を対象に投与することと、を含む、方法である。
【0017】
上記の診断又は治療方法のいくつかの実施形態では、HER2発がん性変化は、HER2 Y772_A775重複、HER2 L755M/S/W及びHER2 S310F/Yを含む。いくつかの実施形態では、PTEN欠失は、PTEN I33del及びPTEN I14delを含む。いくつかの実施形態では、ALK融合は、SQSTM1-ALK融合及びEML4-ALK融合を含む。いくつかの実施形態では、RET融合は、CCDC6-RET融合、KIF5B-RET融合及びNCOA4-RET融合を含む。
【0018】
上記の診断又は治療方法のいくつかの実施形態では、がんは、非小細胞肺がん(NSCLC)などの肺がんである。
【0019】
上記の診断又は治療方法のいくつかの実施形態では、対象におけるがんは、併用療法において使用されるEGFR TKIと同じではないEGFR TKIによる治療に対して耐性がある。いくつかの実施形態では、がんが耐性があるEGFR TKIは、オシメルチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、ロシレチニブ、オルムチニブ、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。一実施形態では、がんが耐性があるEGFR TKIは、オシメルチニブである。
【0020】
上記の診断又は治療方法のいくつかの実施形態では、対象は化学療法未経験である。
【0021】
上記の診断又は治療方法のいくつかの実施形態では、対象由来の腫瘍DNAは、少なくとも1つのEGFR活性化変異を有する。いくつかの実施形態では、EGFR活性化変異は、エクソン19欠失、L858R、及びT790Mから選択される。
【0022】
上記の診断又は治療方法のいくつかの実施形態では、腫瘍DNAは循環腫瘍DNA(ctDNA)である。いくつかの実施形態では、ctDNAは、対象から単離された生物学的試料中に存在する。いくつかの実施形態では、生物学的試料は、血液試料又は血漿試料である。いくつかの実施形態では、ctDNAは、変異同定の前に生物学的試料から単離される。
【0023】
上記の診断又は治療方法のいくつかの実施形態では、腫瘍DNAは、対象から単離された腫瘍試料中に存在する。いくつかの実施形態では、腫瘍DNAは、変異同定の前に腫瘍試料から単離される。
【0024】
上記の診断又は治療方法のいくつかの実施形態では、1つ以上の変異は、配列決定によって決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上の変異は、次世代配列決定(NGS)を使用して決定される。
【0025】
上記の診断又は治療方法のいくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、EGFRに特異的に結合する第1のドメインと、c-Metに特異的に結合する第2のドメインと、を含み、第1のドメインは、配列番号1の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含み、c-Metに結合する第2のドメインは、配列番号7のHCDR1、配列番号8のHCDR2、配列番号9のHCDR3、配列番号10のLCDR1、配列番号11のLCDR2、及び配列番号12のLCDR3を含む。いくつかの実施形態では、EGFRに特異的に結合する第1のドメインは、配列番号13の重鎖可変領域(VH)及び配列番号14の軽鎖可変領域(VL)を含み、c-Metに特異的に結合する第2のドメインは、配列番号15のVH及び配列番号16のVLを含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、IgG1アイソタイプである。
【0026】
上記の診断又は治療方法のいくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、配列番号17の第1の重鎖(HC1)、配列番号18の第1の軽鎖(LC1)、配列番号19の第2の重鎖(HC2)、及び配列番号20の第2の軽鎖(LC2)を含む。
【0027】
上記の診断又は治療方法のいくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1%~約15%のフコース含量を有する二分岐グリカン構造を含む。
【0028】
上記の診断又は治療方法のいくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は対象に静脈内投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約140mg~約2240mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、900mg、950mg、1000mg、1050mg、1100mg、1150mg、1200mg、1250mg、1300mg、1350mg、1400mg、1575mg、1600mg、2100mg、又は2240mgの用量で投与される。一実施形態では、対象が80kg未満の体重を有する場合、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は1050mgの用量で投与される。一実施形態では、対象が80kg以上の体重を有する場合、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は1400mgの用量で投与される。
【0029】
上記の診断又は治療方法のいくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、対象に皮下又は皮内投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、対象において治療効果を達成するのに十分な用量で皮下又は皮内投与される。
【0030】
上記の診断又は治療方法のいくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、週2回、週1回、2週間に1回、3週間に1回、又は4週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、週1回投与される。別の実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、2週間に1回投与される。
【0031】
上記の診断又は治療方法のいくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と組み合わせて投与されるEGFR TKIはラゼルチニブである。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と組み合わせて投与されるEGFR TKIは、約20~約320mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と組み合わせて投与されるEGFR TKIは、約240mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と組み合わせて投与されるEGFR TKIは、毎日、隔日、週2回、又は週1回投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と組み合わせて投与されるEGFR TKIは、毎日投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と組み合わせて投与されるEGFR TKIは、経口投与される。
【0032】
上記の治療方法のいくつかの実施形態では、(i)で使用される併用療法を含まないがん療法は、白金ベースの化学療法である。いくつかの実施形態では、白金ベースの化学療法は、カルボプラチン及び/又はシスプラチンを含む。
【0033】
上記の診断又は治療方法のいくつかの実施形態では、方法は更に、ステップ(a)の前に対象から生物学的試料を得ることを含み、この際、当該生物学的試料が腫瘍DNA(例えば、ctDNA)を含み、任意選択的に当該生物学的試料から当該腫瘍DNA(例えば、ctDNA)を精製することを含む。
【0034】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、対象におけるがんが、二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)二重特異性抗体及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む併用療法による治療に対して感受性であるか否かを決定するための方法であって、
a)免疫組織化学(IHC)を使用して、対象から得られた腫瘍試料におけるEGFR又はMETの発現レベルを決定することと、
b)ステップ(a)で決定されたEGFR又はMETの発現レベルに基づいて、0~3+のスケールで染色強度スコアを決定することと、
c)(i)染色強度スコアが3+である場合、対象におけるがんを、併用療法による治療に対して感受性であると同定すること、又は(ii)染色強度スコアが3+未満である場合、対象におけるがんを、併用療法による治療に対して感受性でないと同定することと、を含む、方法である。
【0035】
上記方法のいくつかの実施形態では、ステップ(c)は、腫瘍試料の細胞の25%以上において染色強度スコアが3+である場合、対象におけるがんを併用療法による治療に感受性であると同定すること、又は(ii)腫瘍試料の25%未満の細胞において染色強度スコアが3+である場合、対象におけるがんを併用療法による治療に感受性でないと同定することを含む。
【0036】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療するための方法であって、
a)免疫組織化学(IHC)を使用して、対象から得られた腫瘍試料におけるEGFR又はMETの発現レベルを決定することと、
b)ステップ(a)で決定されたEGFR又はMETの発現レベルに基づいて、0~3+のスケールで染色強度スコアを決定することと、
c)(i)染色強度スコアが3+である場合、二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)二重特異性抗体及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む治療有効量の併用療法を対象に投与すること、又は(ii)染色強度スコアが3+未満である場合、(i)において使用される併用療法を対象に投与しないこと、又は(i)において使用される併用療法を含まないがん療法を対象に投与することと、を含む、方法である。
【0037】
上記方法のいくつかの実施形態では、ステップ(c)は、(i)腫瘍試料の細胞の25%以上において染色強度スコアが3+である場合、治療有効量の併用療法を対象に投与すること、又は(ii)腫瘍試料の25%未満の細胞において染色強度スコアが3+である場合、(i)において使用される併用療法を対象に投与しないこと、若しくは(i)において使用される併用療法を含まないがん療法を対象に投与することを含む。
【0038】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、対象におけるがんが、二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)二重特異性抗体及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む併用療法による治療に対して感受性であるか否かを決定するための方法であって、
a)免疫組織化学(IHC)を使用して、対象から得られた腫瘍試料におけるEGFR及びMETの発現レベルを決定することと、
b)ステップ(a)で決定されたEGFR及びMETの発現レベルに基づいて複合Hスコアを計算することと、
c)(i)複合Hスコアが400以上である場合、対象におけるがんを、併用療法による治療に対して感受性であると同定すること、又は(ii)複合Hスコアが400未満である場合、対象におけるがんを、併用療法による治療に対して感受性でないと同定することと、を含む、方法である。
【0039】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療するための方法であって、
a)免疫組織化学(IHC)を使用して、対象から得られた腫瘍試料におけるEGFR及びMETの発現レベルを決定することと、
b)ステップ(a)で決定されたEGFR及びMETの発現レベルに基づいて複合Hスコアを計算することと、
c)(i)複合Hスコアが400以上である場合、二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)二重特異性抗体及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む治療有効量の併用療法を対象に投与することと、(ii)複合Hスコアが400未満である場合、(i)において使用される併用療法を対象に投与しないこと、又は(i)において使用される併用療法を含まないがん療法を対象に投与することと、を含む、方法である。
【0040】
上記の診断又は治療方法のいくつかの実施形態では、がんは、非小細胞肺がん(NSCLC)などの肺がんである。
【0041】
上記の診断又は治療方法のいくつかの実施形態では、対象におけるがんは、併用療法において使用されるEGFR TKIと同じではないEGFR TKIによる治療に対して耐性がある。いくつかの実施形態では、がんが耐性があるEGFR TKIは、オシメルチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、ロシレチニブ、オルムチニブ、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。一実施形態では、がんが耐性があるEGFR TKIは、オシメルチニブである。
【0042】
上記の診断又は治療方法のいくつかの実施形態では、対象は化学療法未経験である。
【0043】
上記の診断又は治療方法のいくつかの実施形態では、対象の腫瘍は、少なくとも1つのEGFR活性化変異を有する。いくつかの実施形態では、EGFR活性化変異は、エクソン19欠失、L858R、及びT790Mから選択される。
【0044】
上記の診断又は治療方法のいくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、EGFRに特異的に結合する第1のドメインと、c-Metに特異的に結合する第2のドメインと、を含み、第1のドメインは、配列番号1の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含み、c-Metに結合する第2のドメインは、配列番号7のHCDR1、配列番号8のHCDR2、配列番号9のHCDR3、配列番号10のLCDR1、配列番号11のLCDR2、及び配列番号12のLCDR3を含む。いくつかの実施形態では、EGFRに特異的に結合する第1のドメインは、配列番号13の重鎖可変領域(VH)及び配列番号14の軽鎖可変領域(VL)を含み、c-Metに特異的に結合する第2のドメインは、配列番号15のVH及び配列番号16のVLを含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、IgG1アイソタイプである。
【0045】
上記の診断又は治療方法のいくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、配列番号17の第1の重鎖(HC1)、配列番号18の第1の軽鎖(LC1)、配列番号19の第2の重鎖(HC2)、及び配列番号20の第2の軽鎖(LC2)を含む。
【0046】
上記の診断又は治療方法のいくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1%~約15%のフコース含量を有する二分岐グリカン構造を含む。
【0047】
上記の診断又は治療方法のいくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は対象に静脈内投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約140mg~約2240mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、900mg、950mg、1000mg、1050mg、1100mg、1150mg、1200mg、1250mg、1300mg、1350mg、1400mg、1575mg、1600mg、2100mg、又は2240mgの用量で投与される。一実施形態では、対象が80kg未満の体重を有する場合、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は1050mgの用量で投与される。一実施形態では、対象が80kg以上の体重を有する場合、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は1400mgの用量で投与される。
【0048】
上記の診断又は治療方法のいくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、対象に皮下又は皮内投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、対象において治療効果を達成するのに十分な用量で皮下又は皮内投与される。
【0049】
上記の診断又は治療方法のいくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、週2回、週1回、2週間に1回、3週間に1回、又は4週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、週1回投与される。別の実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、2週間に1回投与される。
【0050】
上記の診断又は治療方法のいくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と組み合わせて投与されるEGFR TKIはラゼルチニブである。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と組み合わせて投与されるEGFR TKIは、約20~約320mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と組み合わせて投与されるEGFR TKIは、約240mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と組み合わせて投与されるEGFR TKIは、毎日、隔日、週2回、又は週1回投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と組み合わせて投与されるEGFR TKIは、毎日投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と組み合わせて投与されるEGFR TKIは、経口投与される。
【0051】
上記の治療方法のいくつかの実施形態では、(i)で使用される併用療法を含まないがん療法は、白金ベースの化学療法である。いくつかの実施形態では、白金ベースの化学療法は、カルボプラチン及び/又はシスプラチンを含む。
【0052】
上記の診断又は治療方法のいくつかの実施形態では、方法は、ステップ(a)の前に対象由来の腫瘍試料を更に含む。
【0053】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、(i)がんを有する対象由来の腫瘍DNAにおける1つ以上の変異の存在を決定するための1つ以上の試薬と、(ii)任意選択的に、パッケージ及び/又は使用説明書と、を含む、診断キットであって、1つ以上の変異が、RAS/RAF/MEK経路由来の1つ以上の遺伝子における変異及びPIK3CAにおける変異から選択される、診断キットである。
【0054】
上記のキットのいくつかの実施形態では、RAS/RAF/MEK経路からの1つ以上の遺伝子は、FGFR3、KRAS、BRAF、ERBB2、ALK、NRAS、PDGFRA及び/又はRETである。いくつかの実施形態では、RAS/RAF/MEK経路からの1つ以上の遺伝子における変異は、FGFR3融合、BRAF G469A、BRAF V600E、ERBB2コピー数変化、ALK融合、ERBB2 I767M、ERBB2 V777L、KRAS A18V、KRASコピー数変化、KRAS G12X(Xは任意のアミノ酸である)、NRAS Q61R、PDGFRAコピー数変化、及びRET融合を含む。いくつかの実施形態では、KRAS G12X変異は、KRAS G12D、KRAS G12A、KRAS G12C及びKRAS G12Vである。
【0055】
上記のキットのいくつかの実施形態では、PIK3CAにおける変異は、PIK3CA E545Kを含む。
【0056】
上記のキットのいくつかの実施形態では、1つ以上の変異は、WNT/b-カテニン経路からの1つ以上の遺伝子における変異から更に選択される。いくつかの実施形態では、WNT/b-カテニン経路からの1つ以上の遺伝子は、APC及びCTNNB1である。いくつかの実施形態では、WNT/b-カテニン経路からの1つ以上の遺伝子における変異は、APC Q1469、APC R405、APC S713、CTNNB1 S33P、CTNNB1 S37C、CTNNB1 S37F、及びCTNNB1 S45Pを含む。
【0057】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、(i)がんを有する対象由来の腫瘍DNAにおける1つ以上の変異の存在を決定するための1つ以上の試薬と、(ii)任意選択的に、パッケージ及び/又は使用説明書と、を含む、診断キットであって、1つ以上の変異が、以下の2つの群:
(1)PIK3CA E545K、PIK3CA E542K/V、PIK3CA H1047R、PIK3CA増幅、KRAS G12V/C/D/X(XはG、V、C及びD以外の任意のアミノ酸である)、KRAS増幅、BRAF V600E、BRAF増幅、CCND1増幅、CCND2増幅、CCNE1増幅、CDK4増幅、CDK6増幅、HER2増幅、HER2発がん性変化、PTEN欠失、PTEN N48K、CDKN2A G101W、CDKN2B変異、ALK融合、FGFR3-TACC3融合、TPM3-NTRK1融合、RET融合、BRAF融合及び他の発がん性融合イベント;
(2)EGFR C797S、EGFR L792H、EGFR増幅、EGFR G796S、EGFR L718X(Xは任意のアミノ酸である)、EGFR E709K、EGFR G724S、MET増幅、及びMETエクソン14スキッピング(METex14)変異、から選択される、診断キットである。
【0058】
上記のキットのいくつかの実施形態では、HER2発がん性変化は、HER2 Y772_A775重複、HER2 L755M/S/W及びHER2 S310F/Yを含む。いくつかの実施形態では、PTEN欠失は、PTEN I33del及びPTEN I14delを含む。いくつかの実施形態では、ALK融合は、SQSTM1-ALK融合及びEML4-ALK融合を含む。いくつかの実施形態では、RET融合は、CCDC6-RET融合、KIF5B-RET融合及びNCOA4-RET融合を含む。
【0059】
上記のキットのいくつかの実施形態では、腫瘍DNAは循環腫瘍DNA(ctDNA)である。いくつかの実施形態では、ctDNAは、対象から単離された生物学的試料中に存在する。いくつかの実施形態では、生物学的試料は、血液試料又は血漿試料である。いくつかの実施形態では、腫瘍DNAは、対象から単離された腫瘍試料中に存在する。
【0060】
上記のキットのいくつかの実施形態では、キットは、対象由来の当該生物学的試料から当該腫瘍DNAを精製するための1つ以上の試薬を更に含む。
【0061】
上記のキットのいくつかの実施形態では、1つ以上の試薬は、1つ以上の変異を決定するために、次世代配列決定(NGS)などの配列決定技術と共に使用され得る。
【0062】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、(i)がんを有する対象由来の腫瘍試料中のEGFR及び/又はMETの発現レベルを決定するための1つ以上の試薬と、(ii)任意選択的に、パッケージ及び/又は使用説明書と、を含む、診断キットである。いくつかの実施形態では、1つ以上の試薬を免疫組織化学(IHC)と共に使用して、EGFR及び/又はMETの発現レベルを決定することができる。
【0063】
本明細書に記載されるこれらの態様及び他の態様は、以下の説明、特許請求の範囲、及び図面において当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1】アミバンタマブ及びラゼルチニブの構造の概略図(左)、並びにアミバンタマブの作用機序(MOA)の詳細な説明(右)を示す。
図2】上皮成長因子受容体変異体(EGFRm)非小細胞肺がん(NSCLC)におけるオシメルチニブに対する獲得耐性の進行の模式図を示す。単一腫瘍部の配列決定は、耐性における異種パターン又は同時発生する変異を明らかにしない可能性がある。この意味で、血漿試料からの循環腫瘍DNA(ctDNA)の次世代配列決定(NGS)は、より有用であり得る(Papadimitrakopoulou et al.,Annals of Oncol 29:VIII741,2018、Ramalingam et al.,Annals of Oncol 29:VIII740,2018)。ctDNA、循環腫瘍DNA;エクソン19del、エクソン19欠失。
図3】組み合わせコホートに対応するCHRYSALIS第1相試験のための試験設計を示す(Cho et al.,Ann Oncol 31:S813,2020)。1つ以上の変化が、42/44 ctDNA及び29/45腫瘍NGS分析において検出された。C、サイクル;IHC、免疫組織化学;QW、毎週:Q2W、2週毎;RP2CD、推奨第2相併用用量。
図4】患者の人口統計及びベースライン疾患特徴の概要チャートを示す。局所試験に基づいて、中央試験はエクソン19欠失を同定した。
図5A】アミバンタマブ+ラゼルチニブの併用(アミバンタマブ/ラゼルチニブの併用治療)で観察された、管理可能な安全を伴う持続的な応答を示す。図5Aは、研究の数ヶ月にわたる標的病変の総径和(SoD)におけるベースラインからの変化パーセンテージのプロットを示す。4人の患者は、ベースライン後の疾患評価を有さず、プロットに含まれていない。図5Bは、治験責任医師が評価した応答の概要チャートを示す(N=45人の患者)。これらのデータによって実証される安全プロファイルは、本発明者らによるアミバンタマブ+ラゼルチニブを用いた以前の経験と一致する(Cho et al.,Ann Oncol 31:S813,2020)。最も一般的な有害イベント(AE)は、注入に伴う反応(infusion-related reaction、IRR;78%)、発疹(座瘡様皮膚炎51%+発疹27%)、及び爪囲炎(49%)であり、これらの大部分はグレード1~2であった。治療関連事例のうち、16%がグレード≧3のAEであり、4%が中止であり、18%が用量低減であった。CBR、臨床的有用率(CR、PR、又はSD≧11週間);CR、完全奏効;IRR、注入に伴う反応;mDOR、奏効期間中央値;mDOT、治療期間中央値;mF/U、追跡期間中央値;mPFS、無増悪生存期間中央値;NE、評価不可能、NR達せず;ORR、全奏効率;PD、進行性疾患;PR、部分奏効;SD、安定した疾患;UNK、不明。
図5B】アミバンタマブ+ラゼルチニブの併用(アミバンタマブ/ラゼルチニブの併用治療)で観察された、管理可能な安全を伴う持続的な応答を示す。図5Aは、研究の数ヶ月にわたる標的病変の総径和(SoD)におけるベースラインからの変化パーセンテージのプロットを示す。4人の患者は、ベースライン後の疾患評価を有さず、プロットに含まれていない。図5Bは、治験責任医師が評価した応答の概要チャートを示す(N=45人の患者)。これらのデータによって実証される安全プロファイルは、本発明者らによるアミバンタマブ+ラゼルチニブを用いた以前の経験と一致する(Cho et al.,Ann Oncol 31:S813,2020)。最も一般的な有害イベント(AE)は、注入に伴う反応(infusion-related reaction、IRR;78%)、発疹(座瘡様皮膚炎51%+発疹27%)、及び爪囲炎(49%)であり、これらの大部分はグレード1~2であった。治療関連事例のうち、16%がグレード≧3のAEであり、4%が中止であり、18%が用量低減であった。CBR、臨床的有用率(CR、PR、又はSD≧11週間);CR、完全奏効;IRR、注入に伴う反応;mDOR、奏効期間中央値;mDOT、治療期間中央値;mF/U、追跡期間中央値;mPFS、無増悪生存期間中央値;NE、評価不可能、NR達せず;ORR、全奏効率;PD、進行性疾患;PR、部分奏効;SD、安定した疾患;UNK、不明。
図6A】同定されたEGFR/MET系耐性を有する患者間の応答を示す。EGFR系耐性群、MET系耐性群、及びEGFR+MET(EGFR+MET)系耐性群に関する腫瘍体積における最良の変化パーセンテージのプロットを示す。RAS/RAF経路(†)、mTOR経路(Δ)、細胞周期(¥)、及び融合イベント(
【0065】
【数1】
)関連遺伝子に対する更なる変化、並びに腫瘍NGSがない事例()も示されている。
図6B】同定されたEGFR/MET系耐性を有する患者間の応答を示す。EGFRベース、METベース、及び追加の耐性群について決定された遺伝子変化の概要チャートを示す。合計45人の患者のうち17人が、NGS(ctDNA/組織)によっていずれかのEGFR/MET系耐性を有すると同定された。このサブグループにおける全奏効率(ORR)は47%(患者17人中8人)であった。奏効期間中央値(mDOR)は10.4ヶ月であり、臨床的有用率(CBR)は82%であり、無増悪生存期間中央値(mPFS)は6.7ヶ月であった。ゲノム解析では、ctDNA NGSにGuardant360を使用し、組織NGSにThermoFisherを使用した。EGFR増幅(コピー数変動、CNV≧7)及びMET増幅(CNV≧3)は腫瘍NGSに基づき、他の増幅は、腫瘍NGS(CNV≧7)又はctDNA NGS(CNV≧3)に基づいた。単一ヌクレオチドバリアント、挿入/欠失、及び挿入コール閾値は、>250リードで5%以上の対立遺伝子頻度であった。8人の患者が≧1の変化を有した。Amp、増幅、CNV、コピー数変動。
図7A】同定されたEGFR/MET系耐性を有しない患者間の応答を示す。不明な耐性機構及びEGFR/MET非依存性耐性群についての腫瘍体積における最良の変化パーセンテージのプロットを示す。RAS/RAF経路(†)、mTOR経路(Δ)、細胞周期(¥)、及び融合イベント(
【0066】
【数2】
)関連遺伝子に対する更なる変化、並びに腫瘍NGSがない事例()も示されている。
図7B】同定されたEGFR/MET系耐性を有しない患者間の応答を示す。EGFR/MET非依存性群について決定された例示的な遺伝子変化の概要チャートを示す。本発明の層別化方法によれば、そのような変異が存在しない場合、患者は、本明細書に開示されるアミバンタマブとラゼルチニブの併用治療の候補であり得る。更に、本明細書に開示される方法に基づいて、本図に例示されるように、非EGFR非MET(すなわち、EGFR/MET非依存性)耐性機構を有する患者は、ラゼルチニブ治療と組み合わせたアミバンタマブによる治療から除外される。これらのデータは、そのような患者がこの組み合わせに応答する可能性が低いことを示しており、現在の標準治療を考慮すると、例えば白金ベースの化学療法で治療することができる。具体的には、NGSによって同定されたEGFR/MET系耐性を有しなかった28人の患者の中で、全奏効率(ORR)は29%であり(8人/28人の患者)、奏効期間中央値(mDOR)は8.3ヶ月であり、臨床的有用率(CBR)は54%であり、無増悪生存期間中央値(mPFS)は4.1ヶ月であった。同定されたEGFR/MET系耐性を有しない応答者の8人全員が、NGSによる不明な耐性であった。ゲノム分析では、ctDNA NGSにはGuardant360を使用し、組織NGSにはThermoFisherを使用した。2人の患者が≧1の変化を有した。NE、評価不可能(4人の患者についてベースライン後評価なし)。
図8】免疫組織化学的(IHC)染色アプローチによって同定されたEGFR/MET発現を有する患者間の応答を示す。IHCは、遺伝的耐性機構にかかわらず患者を同定した。45人の患者のうち、20人の患者は、次世代配列決定(NGS)後のIHC染色に十分な腫瘍生検を有していた。10人の患者生検試料は、EGFR/METについて免疫陽性(IHC+)であり、EGFR+METの複合(EGFR+MET)Hスコア≧400を示した。残りの10個の患者生検試料をIHC-と定義した。IHC+患者は、90%(9/10患者)の全奏効率(ORR)、9.7ヶ月の奏効期間中央値(mDOR)、100%の臨床的有用率(CBR)、及び12.5ヶ月の無増悪生存期間中央値(mPFS)を有した。プロット(上)は、IHC+及びIHC-群についての腫瘍容積の最良の変化パーセンテージを示し、チャート(下)は、EGFR系耐性、MET系耐性、EGFR/MET非依存性耐性、及び不明な耐性機構群についての対応する患者の層別化を示す。IHC+群における5人の応答者は、不明な遺伝的機構を有した。陽性応答者(PR)の高い提示がIHC+群において観察され、腫瘍体積のより大きなパーセンテージの減少と関連していた。これらのデータは、高発現を示すMET及び/又はEGFRのIHCが、アミバンタマブ/ラゼルチニブ併用治療に対する治療応答の正の予測因子であることを示唆する。NE、評価不可能(2人の患者についてベースライン後評価なし)。
図9】CHRYSALIS-2研究設計の例示的な概略図を示す。この第1/1b相拡大コホート研究は、オシメルチニブ後のEGFRm NSCLCのうち、登録時に腫瘍生検を必要とする新たなコホートにおいて本明細書に開示されるバイオマーカーを検証しようとするものである(NCT04077463;Poster TPS9132、「CHRYSALIS-2:EGFR変異体NSCLC患者を対象における、ラゼルチニブの単剤療法及びアミバンタマブとの併用療法の第1/1b相試験」)。
図10A】RAS-RAF-MEK経路又は病原性PIK3CA-E545K(「NGS1」)における病原性変化を有する患者集団及び有しない患者集団における、カプラン・マイヤー無憎悪生存曲線(図10A)及び標的病変腫瘍サイズについてのウォーターフォールプロット(図10B)を示す。
図10B】RAS-RAF-MEK経路又は病原性PIK3CA-E545K(「NGS1」)における病原性変化を有する患者集団及び有しない患者集団における、カプラン・マイヤー無憎悪生存曲線(図10A)及び標的病変腫瘍サイズについてのウォーターフォールプロット(図10B)を示す。
図11A】RAS-RAF-MEK経路若しくは病原性PIK3CA-E545Kにおける病原性変化、又はWNT/ベータ-カテニン経路(「NGS2」)における病原性変化を有する患者集団及び有しない患者集団における、カプラン・マイヤー無増悪生存曲線(図11A)及び標的病変腫瘍サイズについてのウォーターフォールプロット(図11B)を示す。
図11B】RAS-RAF-MEK経路若しくは病原性PIK3CA-E545Kにおける病原性変化、又はWNT/ベータ-カテニン経路(「NGS2」)における病原性変化を有する患者集団及び有しない患者集団における、カプラン・マイヤー無増悪生存曲線(図11A)及び標的病変腫瘍サイズについてのウォーターフォールプロット(図11B)を示す。
図12A】RAS-RAF-MEK経路若しくは病原性PIK3CA-E545Kにおける病原性変化、又はWNT/ベータ-カテニン経路若しくは野生型EGFRドライバー(「NGS3」)における病原性変化を有する患者集団及び有しない患者集団における、カプラン・マイヤー無増悪生存曲線(図12A)及び標的病変腫瘍サイズについてのウォーターフォールプロット(図12B)を示す。「除外」=NGS3陽性群;「含む」=NGS3陰性群。
図12B】RAS-RAF-MEK経路若しくは病原性PIK3CA-E545Kにおける病原性変化、又はWNT/ベータ-カテニン経路若しくは野生型EGFRドライバー(「NGS3」)における病原性変化を有する患者集団及び有しない患者集団における、カプラン・マイヤー無増悪生存曲線(図12A)及び標的病変腫瘍サイズについてのウォーターフォールプロット(図12B)を示す。「除外」=NGS3陽性群;「含む」=NGS3陰性群。
図13A】IHC1(EGFR)分類によって二分された集団についての標的病変の総径和(SoD)におけるベースラインからの最良の変化のスイムレーンプロットを示す(図13A-IHC1陽性、図13B-IHC1陰性)。
図13B】IHC1(EGFR)分類によって二分された集団についての標的病変の総径和(SoD)におけるベースラインからの最良の変化のスイムレーンプロットを示す(図13A-IHC1陽性、図13B-IHC1陰性)。
図14A】IHC2(MET)分類によって二分された集団についての標的病変のSoDにおけるベースラインからの最良の変化のスイムレーンプロットを示す(図14A-IHC2陽性、図14B-IHC2陰性)。
図14B】IHC2(MET)分類によって二分された集団についての標的病変のSoDにおけるベースラインからの最良の変化のスイムレーンプロットを示す(図14A-IHC2陽性、図14B-IHC2陰性)。
図15A】併用療法におけるRP2CD分析セットで評価可能な応答におけるIHC1(EGFR)分類(図15A)又はIHC2(MET)分類(図15B)による無増悪生存曲線を示す。
図15B】併用療法におけるRP2CD分析セットで評価可能な応答におけるIHC1(EGFR)分類(図15A)又はIHC2(MET)分類(図15B)による無増悪生存曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0067】
定義
本明細書に引用される、特許及び特許出願を含むがそれらに限定されない全ての刊行物は、完全に記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0068】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのみに使用され、限定することを意図するものではないと理解すべきである。別途定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。
【0069】
本明細書に記載されているものと同様又は同等の任意の方法及び材料を、本発明の試験を実施するために使用することができるが、例示となる材料及び方法を本明細書に記載する。本発明を説明及び特許請求する上で以下の用語が使用される。
【0070】
リストが提示される場合、別途記載されない限り、そのリストの各個々の要素及びそのリストの全ての組み合わせは別個の実施形態であることを、理解されたい。例えば、「A、B、又はC」として提示される実施形態のリストは、実施形態「A」、「B」、「C」、「A又はB」、「A又はC」、「B又はC」、又は「A、B、又はC」を含むと解釈されるべきである。
【0071】
本明細書及び添付の「特許請求の範囲」において使用されるとき、「a」、「an」、及び「the」という単数形は、その内容について別途明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「細胞(a cell)」という言及には、2つ又は3つ以上の細胞の組み合わせなどが含まれる。
【0072】
複数の列挙された要素間の「及び/又は」という接続句は、個々の及び組み合わされた選択肢の両方を包含するものとして理解される。例えば、2つの要素が「及び/又は」によって接続される場合、第1の選択肢は、第2の要素なしに第1の要素が適用可能であることを指す。第2の選択肢は、第1の要素なしに第2の要素が適用可能であることを指す。第3の選択肢は、第1及び第2の要素が一緒に適用可能であることを指す。これらの選択肢のうちのいずれか1つは、意味に含まれ、したがって、本明細書に使用される場合、「及び/又は」という用語の要件を満たすことが理解される。選択肢のうちの2つ以上の同時適用性もまた、意味に含まれ、したがって、「及び/又は」という用語の要件を満たすことが理解される。
【0073】
「備える/含む(comprising)」、「から本質的になる(consisting essentially of)」、及び「からなる(consisting)」という移行句は、特許用語において概ね受け入れられている意味を含意することを意図しており、すなわち、(i)「備える/含む(comprising)」は、「含む」、「含有する」、又は「特徴とする」と同義であり、包括的又は非制限的なものであり、その他の列挙されていない要素又は方法工程を除外するものではなく、(ii)「からなる(consisting of)」は、特許請求の範囲において特定されていない、あらゆる要素、工程、又は成分を除外し、並びに(iii)「から本質的になる」は、特定される材料又は工程、並びに、特許請求される発明の「基本的かつ新しい特徴に実質的に影響しないもの」に、特許請求の範囲を制限する。「備える/含む」という語句(又はその同義語)を伴って記載される実施形態はまた、「からなる」及び「から本質的になる」を伴って独立して記載される実施形態として提供する。
【0074】
「共投与」、「と共に投与」、「と組み合わせて投与」、「と組み合わせて」などは、選択された治療薬又は薬物の単一の患者への投与を包含し、治療薬又は薬物が同じ若しくは異なる投与経路によって又は同じ若しくは異なる時間に投与される治療レジメンを含むことを意図する。
【0075】
「単離された」は、組換え細胞などの分子が生成される系の他の成分から離して実質的に分離及び/又は精製された分子の均質な集団(例えば、合成ポリヌクレオチド、ポリペプチド、ベクター、又はウイルス)に加えて、少なくとも1つの精製又は単離工程に供されたタンパク質を指す。「単離された」は、他の細胞材料及び/又は化学物質を実質的に含まない分子を指し、より高い純度、例えば80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の純度まで単離された分子を包含する。
【0076】
がんなどの疾患又は障害を「治療する」、「治療している」、又は「治療」は、障害の重症度及び/若しくは期間を低減する、治療される障害に特徴的な症状の悪化を阻害する、以前障害を有していた対象における障害の再発を制限若しくは予防する、又は以前障害について症候性であった対象における症状の再発を制限若しくは予防する、のうちの1つ以上を達成することを指す。
【0077】
疾患又は障害を「予防する」、「予防している」、「予防(prevention)」、又は「予防(prophylaxis)」は、対象において障害が発生するのを防ぐことを意味する。
【0078】
「診断する」又は「診断」は、対象が所与の疾患若しくは病態に罹患しているかどうか、又は将来的に所与の疾患若しくは病態を発症し得るかどうか、又は以前に診断された疾患若しくは病態に対する治療に応答する可能性が高いかどうかを判定する、すなわち、治療に対して応答する可能性について患者集団を層別化する方法を指す。診断は、典型的には、診断される疾患についての全般的な指針、又は対象が特定の治療に応答する可能性が高いことを示す他の基準に基づいて医師によって行われる。
【0079】
「応答性である」、「応答性」、又は「応答する可能性が高い」は、検出可能か若しくは検出不可能であるかにかかわらず、任意の種類の改善又は陽性応答、例えば、1つ以上の症状の軽減又は回復、疾患の程度の減少、安定化した(すなわち悪化しない)疾患状態、疾患の蔓延の防止、疾患の進行の遅延又は減速、疾患状態の回復又は緩和、及び寛解(部分的であっても全体的であっても)を指す。
【0080】
「新たに診断された」は、がん(例えば、EGFR又はc-Met発現がん)と診断されてはいるが、治療(例えば、肺がんの治療)をまだ受けたことがない対象を指す。
【0081】
「治療有効量」は、必要な用量及び期間で所望の治療結果を達成するのに有効な量を指す。治療有効量は、個体の病態、年齢、性別、及び体重などの要因、並びに個体において所望の応答を誘発する治療薬又は治療薬の組み合わせの能力によって変動し得る。有効な治療薬又は治療薬の組み合わせの例示的な指標としては、例えば、患者の改善された健康が挙げられる。
【0082】
「難治性」とは、治療に応答しない疾患を指す。難治性疾患は、治療前若しくは治療開始時に治療に対して耐性であり得るか、又は難治性疾患は、治療中に耐性疾患となり得る。
【0083】
「再発性」とは、治療薬による以前の治療後の改善期間後に疾患又は疾患の徴候及び症状が再開することを指す。
【0084】
「対象」は、任意のヒト又は非ヒト動物を含む。「ヒト動物」としては、全ての脊椎動物、例えば哺乳類及び非哺乳類、例えば非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類などが挙げられる。用語「対象」及び「患者」は、本明細書では互換的に使用される。
【0085】
「約」は、当業者によって求められた特定の値について許容される誤差範囲内であることを意味し、これは、その値が測定又は決定される方法、すなわち、測定システムの制限事項にある程度依存する。特定のアッセイ、結果、又は実施形態の文脈において、実施例又は本明細書の他の箇所に別途明示的に記載されない限り、「約」は、当該技術分野の慣行による1標準偏差、又は5%までの範囲のうちのいずれか大きい方の範囲内であることを意味する。
【0086】
「がん」は、無制御に増殖し、場合によっては、患者の身体の他の領域に転移(拡散)する傾向がある細胞の異常な成長を指す。
【0087】
「EGFR又はc-Met発現がん」は、EGFR若しくはc-Metの検出可能な発現を有するか、又はEGFR若しくはc-Metの変異若しくは増幅を有するがんを指す。EGFR又はc-Metの発現、増幅、及び変異状態は、配列決定、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション、免疫組織化学的検査、フローサイトメトリー、又はウェスタンブロッティングなどの既知の方法を使用して検出することができる。
【0088】
「上皮成長因子受容体」又は「EGFR」は、GenBankアクセッション番号NP_005219に示されているアミノ酸配列を有するヒトEGFR(HER1又はErbB1としても知られている(Ullrich et al.,Nature 309:418-425,1984)に加えて、その天然に存在するバリアントを指す。
【0089】
本明細書で使用される場合、「肝細胞成長因子受容体」又は「c-Met」は、GenBankアクセッション番号NP_001120972に示されているアミノ酸配列を有するヒトc-Met及びその天然のバリアントを指す。
【0090】
「二重特異性抗EGFR/c-Met抗体」又は「二重特異性EGFR/c-Met抗体」は、EGFRに特異的に結合する第1のドメインと、c-Metに特異的に結合する第2のドメインと、を有する、二重特異性抗体を指す。EGFR及びc-Metに特異的に結合するドメインは、典型的には、VH/VL対であり、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、EGFR及びc-Metに対する結合に関して一価である。
【0091】
「特異的結合」、又は「特異的に結合する」、又は「特異的な結合」、又は「結合する」は、抗体が、抗原又は抗原内のエピトープに、他の抗原よりも高い親和性で結合することを指す。典型的には、抗体は、典型的には平衡解離定数(K)が、非特異的抗原(例えば、BSA、カゼイン)に対する結合についてのKよりも少なくとも100倍小さい、約5×10-8M以下、例えば、約1×10-9M以下、約1×10-10M以下、約1×10-11M以下、約1×10-12M以下のKで抗原又は抗原内のエピトープに結合する。解離定数は、既知のプロトコルを使用して測定することができる。しかしながら、抗原又は抗原内のエピトープに結合する抗体は、他の関連抗原、例えば、ヒト又はサル、例えば、Macaca fascicularis(カニクイザル、cyno)又はPan troglodytes(チンパンジー、chimp)などの他の種由来の同じ抗原(ホモログ)に対して交差反応性を有する場合がある。単一特異性抗体は、1つの抗原又は1つのエピトープに結合するが、二重特異性抗体は、2つの異なる抗原又は2つの異なるエピトープに結合する。
【0092】
「抗体」は、広義の意味を有し、マウス、ヒト、ヒト化、及びキメラモノクローナル抗体を含むモノクローナル抗体、抗原結合断片、二重特異性、三重特異性、四重特異性などの多特異性抗体、二量体、四量体、又は多量体抗体、一本鎖抗体、ドメイン抗体、及び必要とされる特異性の抗原結合部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の修飾された形態を含む免疫グロブリン分子を含む。「完全長抗体」は、ジスルフィド結合により相互接続された、2本の重鎖(heavy chain、HC)及び2本の軽鎖(light chain、LC)、並びにこれらの多量体(例えばIgM)で構成される。各重鎖は、重鎖可変領域(VH)、及び重鎖定常領域(ドメインCH1、ヒンジ、CH2、及びCH3からなる)で構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(VL)及び軽鎖定常領域(light chain constant region、CL)で構成される。VH領域及びVL領域は、フレームワーク領域(framework region、FR)が散在しており相補性決定領域(complementarity determining region、CDR)と呼称される超可変領域に更に細分化され得る。各VH及びVLは、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4で配置された、3つのCDR及び4つのFRセグメントで構成される。
【0093】
「相補性決定領域(CDR)」は、抗原に結合する抗体の領域である。CDRは、Kabat(Wu et al.(1970)J Exp Med 132:211-50)(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.,1991)、Chothia(Chothia et al.(1987)J Mol Biol 196:901-17)、IMGT(Lefranc et al.(2003)Dev Comp Immunol 27:55-77)、及びAbM(Martin and Thornton(1996)J Bmol Biol 263:800-15)などの、様々な記述を使用して定義することができる。様々な記述と、可変領域の付番との間の対応が記載されている(例えば、Lefranc et al.(2003)Dev Comp Immunol 27:55-77、Honegger and Pluckthun,(2001)J Mol Biol 309:657-70;International ImMunoGeneTics(IMGT)データベース、ウェブリソース、http://imgt_org)。UCL Business PLCによるabYsisなどの利用可能なプログラムを使用して、CDRを記述することができる。本明細書で使用される場合、用語「CDR」、「HCDR1」、「HCDR2」、「HCDR3」、「LCDR1」、「LCDR2」、及び「LCDR3」は、本明細書に別途明示的に記載のない限り、上述したKabat、Chothia、IMGT、又はAbMの方法のいずれかにより定義されるCDRを含む。
【0094】
免疫グロブリンは、重鎖定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、5つの主要なクラス、すなわちIgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMに割り当てられ得る。IgA及びIgGは、アイソタイプのIgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4として更に細分類される。どのような脊椎動物種の抗体軽鎖も、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、2つの明確に異なるタイプ、すなわち、カッパ(κ)及びラムダ(λ)のうちの一方に割り当てることができる。
【0095】
「抗原結合断片」とは、抗原に結合する免疫グロブリン分子の一部分を指す。抗原結合断片は合成ポリペプチド、酵素により入手可能なポリペプチド、又は遺伝子組換えされたポリペプチドであってもよく、VH、VL、VH及びVL、Fab、F(ab’)2、Fd及びFv断片、1つのVHドメイン又は1つのVLドメインからなるドメイン抗体(domain antibody、dAb)、サメ可変性IgNARドメイン、ラクダ化VHドメイン、FR3-CDR3-FR4部分などの、抗体のCDRを再現したアミノ酸残基からなる最小の認識単位、HCDR1、HCDR2、及び/又はHCDR3、並びにLCDR1、LCDR2、及び/又はLCDR3が挙げられる。VH及びVLドメインは互いに、合成リンカーを介して結合し、様々なタイプの一本鎖抗体設計を形成することができ、VH及びVLドメインが、別個の一本鎖抗体構築物により発現される場合では、VH/VLドメインが分子内、又は分子間で対形成し、一価の抗原結合部位、例えば一本鎖Fv(single chain Fv、scFv)又はダイアボディを形成することができ、これらは、例えば国際公開第1998/44001号、同第1988/01649号、同第1994/13804号、及び同第1992/01047号に記載されている。
【0096】
「モノクローナル抗体」とは、抗体重鎖からC末端リジンを除去する、又はアミノ酸の異性化若しくは脱アミド、メチオニンの酸化、又はアスパラギン若しくはグルタミンの脱アミドなどの翻訳後修飾といった、可能な周知の変更を除いて同一である、抗体分子の実質的に均質な母集団から得られた抗体、すなわち、集団を構成する個別の抗体を意味する。モノクローナル抗体は、典型的には、1つの抗原性エピトープに結合する。二重特異性モノクローナル抗体は、2つの異なる抗原性エピトープに結合する。モノクローナル抗体は、抗体集団内で不均一なグリコシル化を有し得る。モノクローナル抗体は、単一特異性であってもよく、又は、二重特異性などの多重特異性であってもよく、一価、二価、又は多価であってもよい。
【0097】
「組換え体」は、異なる供給源由来のセグメントが接合して組換えDNA、抗体、又はタンパク質を生成するときに、組換え手段によって調製、発現、作製、又は単離されるDNA、抗体、及び他のタンパク質を指す。
【0098】
「二重特異性」は、2つの異なる抗原、又は同じ抗原内の2つの異なるエピトープと特異的に結合する抗体を指す。二重特異性抗体は、他の関連抗原、例えば、ヒト又はサル、例えば、Macaca cynomolgus(例えば、カニクイザル(cynomolgus、cyno))若しくはPan troglodytesなどの他の種由来の同じ抗原(ホモログ)に対して交差反応性を有し得るか、あるいは2つ又は3つ以上の異なる抗原間で共有されているエピトープに結合し得る。
【0099】
「アンタゴニスト」又は「阻害剤」は、細胞タンパク質に結合したとき、そのタンパク質の天然のリガンドによって誘導される少なくとも1つの反応又は活性を抑制する分子を指す。少なくとも1つの反応又は活性が、アンタゴニストの非存在下(例えば、陰性対照)で抑制される少なくとも1つの反応又は活性よりも少なくとも約20%、30%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、若しくは100%多く抑制されたとき、あるいはアンタゴニストの非存在下における抑制と比較して抑制が統計的に有意であるとき、分子はアンタゴニストである。
【0100】
「PD-(L)1軸阻害剤」は、PD-1下流シグナル伝達を阻害する分子を指す。PD-(L)1軸阻害剤は、PD-1、PD-L1、又はPD-L2に結合する分子であってもよい。
【0101】
「生物学的試料」は、対象から単離された類似の流体、細胞、又は組織に加えて、対象内に存在する流体、細胞、又は組織の収集物を指す。例示的な試料は、生物学的流体、例えば、血液、血清及び漿膜液、血漿、リンパ液、尿、唾液、嚢胞液、涙液、糞便、喀痰、分泌組織及び器官の粘膜分泌液、膣分泌液、腹水、胸膜腔、心膜腔、腹膜腔、腹腔、及び他の体腔の流体、気管支洗浄によって回収された流体、滑液、対象又は生物学的起源、例えば、細胞又は器官の馴化培地を含む細胞及び器官の培養培地、洗浄液などと接触した液体溶液、組織生検、腫瘍組織生検、腫瘍組織試料、穿刺吸引、外科的に切除された組織、器官培養物又は細胞培養物である。非限定的な例として、生物学的試料は血液試料である。別の非限定的な例として、生物学的試料は血漿試料である。更に別の非限定的な例として、生物学的試料は腫瘍試料である。いくつかの実施形態では、生物学的試料は、血液又は血漿試料などであるがこれらに限定されない、本明細書に開示される様々な他の生物学的試料から単離され得る循環腫瘍DNA(ctDNA)である。いくつかの実施形態では、生物学的試料は、例えば、腫瘍試料から単離され得る腫瘍DNAである。
【0102】
本出願で使用される場合、「低フコース」又は「低フコース含量」は、抗体が約1%~15%の間のフコース含量を有することを指す。
【0103】
本明細書で使用される場合、「正常なフコース」又は「正常なフコース含量」とは、抗体が約50%を超える、典型的には、約80%を超える又は85%を超えるフコース含量を有することを指す。
【0104】
本開示の方法
診断方法
一態様において、本開示は対象におけるがんが、二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)二重特異性抗体及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む併用療法による治療に対して感受性であるか否かを決定するための方法を提供する。
【0105】
いくつかの実施形態では、本方法は、a)対象から得られた腫瘍DNAにおける1つ以上の変異の存在を決定することであって、1つ以上の変異が、RAS/RAF/MEK経路からの1つ以上の遺伝子における変異及びホスファチジルイノシトール-4,5-ビスホスフェート3-キナーゼ触媒サブユニットアルファ(PIK3CA)における変異から選択される、ことと、b)(i)当該対象由来の腫瘍DNAが当該変異を有しない場合、対象におけるがんを併用療法による治療に対して感受性であると同定すること、又は(ii)当該対象由来の腫瘍DNAが1つ以上の当該変異を有する場合、対象におけるがんを併用療法による治療に対して感受性でないと同定することと、を含む。
【0106】
いくつかの実施形態では、1つ以上の変異は、WNT/b-カテニン経路からの1つ以上の遺伝子における変異から更に選択される。
【0107】
RAS/RAF/MEK経路若しくはWNT/b-カテニン経路に関連する変異、又はPIK3CAにおける変異は、当技術分野で公知の病原性変異を含み得る。
【0108】
いくつかの実施形態では、変異は、線維芽細胞成長因子受容体3(FGFR3)、カーステンラット肉腫ウイルスがん遺伝子(KRAS)、v-rafマウス肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログB1(BRAF)、Erb-B2受容体チロシンキナーゼ2(ERBB2)、未分化リンパ腫受容体チロシンキナーゼ(ALK)、神経芽細胞腫-RAS(NRAS)、血小板由来成長因子受容体A(PDGFRA)及び/又はRetがん原遺伝子(RET)などであるが、これらに限定されない、RAS/RAF/MEK経路からの1つ以上の遺伝子において見出され得る。
【0109】
いくつかの実施形態では、RAS/RAF/MEK経路からの1つ以上の遺伝子における変異は、FGFR3融合、BRAF G469A、BRAF V600E、ERBB2コピー数変化、ALK融合、ERBB2 I767M、ERBB2 V777L、KRAS A18V、KRASコピー数変化、KRAS G12X(Xは任意のアミノ酸である)、NRAS Q61R、PDGFRAコピー数変化、及びRET融合を含み得るが、これらに限定されない。
【0110】
いくつかの実施形態では、KRAS G12X変異は、KRAS G12D、KRAS G12A、KRAS G12C及びKRAS G12Vである。
【0111】
いくつかの実施形態では、BRAFにおける変異は、R.Yaeger et al.,Targeting Alterations in the RAF-MEK Pathway.Cancer Discov(2019)9(3):329-341(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるもの、例えば、限定されないが、V600E/K/D/R/M、P367L/S、G464V/E、L485W、N486_A489delinsK、N486_P490del、E586K、L597Q/R/S/V、T599TT/TS、T599I/K、K601E/N/T、K601_S602delinsNT、BRAFキナーゼ複製、BRAFキナーゼドメインの融合、D287H、V459L、G466A/E/V、S467L、G469E、N581I/S/T、D594A/G/H/N、F595L、G596D/Rを含み得る。
【0112】
いくつかの実施形態では、BRAFにおける変異は、H.Yang et al.,New Horizons in KRAS-Mutant Lung Cancer:Dawn After Darkness.Front.Oncol.,25 September 2019(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるもの、例えば、E3K、G12C/V/D/A/S/R/F、G13C/D/E/V/R、V14I、Q61L/E/H/R、F61L、L19F、D33E、T58I、A59T、A146P/V/T、C118S、A59_G60delinsGVを含み得るが、これらに限定されない。
【0113】
上記の診断又は治療方法のいくつかの実施形態では、PIK3CAにおける変異は、PIK3CA E545Kを含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、変異は、APC及びCTNNB1などであるがこれらに限定されない、WNT/b-カテニン経路からの1つ以上の遺伝子において見出され得る。
【0115】
いくつかの実施形態では、WNT/b-カテニン経路からの1つ以上の遺伝子における変異は、APC Q1469、APC R405、APC S713、CTNNB1 S33P、CTNNB1 S37C、CTNNB1 S37F、及びCTNNB1 S45Pを含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、本開示はまた、対象におけるがんが、二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)二重特異性抗体及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む併用療法による治療に対して感受性であるか否かを決定する方法であって、a)対象から得られた腫瘍DNA(例えば、循環腫瘍DNA(ctDNA))における1つ以上の変異の存在を決定することであって、1つ以上の変異が、以下の2つの群:(1)ホスファチジルイノシトール-4,5-ビスホスフェート3-キナーゼ触媒サブユニットアルファ(PIK3CA)E545K、PIK3CA E542K/V、PIK3CA H1047R、PIK3CA増幅、カーステンラット肉腫ウイルスがん遺伝子(KRAS)G12V/C/D/X(Xは、G、V、C及びD以外の任意のアミノ酸である)、KRAS増幅、v-rafマウス肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログB1(BRAF)V600E、BRAF増幅、サイクリンD1(CCND1)増幅、サイクリンD2(CCND2)増幅、サイクリンE1(CCNE1)増幅、サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)増幅、サイクリン依存性キナーゼ6(CDK6)増幅、Erb-B2受容体チロシンキナーゼ2(HER2)増幅、HER2発がん変化、ホスファターゼ及びテンシンホモログ(PTEN)欠失、PTEN N48K、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤2A(CDKN2A)G101W、CDKN2B変異、未分化リンパ腫受容体チロシンキナーゼ(ALK)融合、線維芽細胞成長因子受容体3-形質転換酸性コイルドコイル含有タンパク質3(FGFR3-TACC3)融合及び他の融合(例えば、TPM3-NTRK1融合)、Retがん原遺伝子(RET)融合、v-rafマウス肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログB1(BRAF)融合、並びに他の発がん融合イベント; (2)EGFR C797S、EGFR L792H、EGFR増幅、EGFR G796S、EGFR L718X(Xは任意のアミノ酸である)、EGFR E709K、EGFR G724S、MET増幅、及びMETエクソン14スキッピング(METex14)変異から選択される、ことと、b)(i)当該対象由来の腫瘍DNA(例えば、ctDNA)が群(1)からの変異を有しないか、又は群(1)からの1つ以上の変異及び群(2)からの1つ以上の変異を有する場合、対象におけるがんを併用療法による治療に感受性であると同定するか、又は(ii)当該対象由来の腫瘍DNA(例えば、ctDNA)が群(1)からの1つ以上の変異を有し、群(2)からの変異を有しない場合、対象におけるがんを併用療法による治療に感受性でないと同定することと、を含む、方法を提供する。
【0117】
HER2発がん性変化の非限定的な例としては、HER2 Y772_A775重複、HER2 L755M/S/W及びHER2 S310F/Yが挙げられる。PTEN欠失の非限定的な例としては、PTEN I33del及びPTEN I14delが挙げられる。ALK融合の非限定的な例としては、SQSTM1-ALK融合及びEML4-ALK融合が挙げられる。RET融合の非限定的な例としては、CCDC6-RET融合、KIF5B-RET融合、及びNCOA4-RET融合が挙げられる。BRAF融合の非限定的な例としては、Ross et al.,Int.J.Cancer:138,881-890(2016)(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるもの、例えば、KIAA1549-BRAF、MKRN1-BRAF、TRIM24-BRAF、AGAP3-BRAF、ZC3HAV1-BRAF、AKAP9-BRAF、CCDC6-BRAF、AGK-BRAF、EPS15-BRAF、NUP214-BRAF、ARMC10-BRAF、BTF3L4-BRAF、GHR-BRAF、ZNF767-BRAF、CCDC91-BRAF、DYNC1I2-BRAF、ZKSCAN1-BRAF、GTF2I-BRAF、MZT1-BRAF、RAD18-BRAF、CUX1-BRAF、SLC12A7-BRAF、MYRIP-BRAF、SND1-BRAF、NUB1-BRAF、KLHL7-BRAF、TANK-BRAF、RBMS3-BRAF、STRN3-BRAF、STK35-BRAF、ETFA-BRAF、SVOPL-BRAF、及びJHDM1D-BRAFが挙げられる。他の発がん性融合イベントとしては、Gao et al.,Cell Rep.2018 April 03;23(1):227-238.e3.(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)の図1に記載されるものを含むが、これらに限定されない。
【0118】
具体的に記載された変異に加えて、変異は以下のように選択することもできる。
-COSMIC cancer gene census(Sondk et al.,Nature Reviews Cancer volume 18,696-705(2018)(その全体が参照により本明細書に組み込まれる))に基づいて、がん遺伝子又は腫瘍抑制遺伝子として遺伝子に注釈を付ける。
-がん遺伝子については、活性化短バリアントは、以下の場合に同定される:
○OncoKbにおいて発がん性又は発がん性の可能性があるとして列挙されている(Chakravarty et al.,JCO Precision Oncology.2017:1,1-16(その全体が参照により本明細書に組み込まれる))場合;
○がんホットスポットで見出される、すなわち、がんホットスポットに列挙されるように、偶然によって予想されるよりも統計的に有意に頻繁に変異される(Chang et al.,Cancer Discov.2018 Feb;8(2):174-183(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)場合;
○明示的に知られている活性化変異(すなわち、KRAS G12C)である場合。
-がん遺伝子の限定されたセットを、Guardant 360パネル上でコピー数及び融合について評価する。これらはまた、コピー数が3より大きい場合、又は任意の融合が検出される場合、活性化として分類される。
-腫瘍抑制因子については、不活性化短バリアントは、以下の場合に同定される:
○OncoKbにおいて発がん性又は発がん性の可能性があるとして列挙されている場合;
○がんホットスポット中のがんホットスポットで見出される場合;
○切断変異、すなわち、ナンセンス、フレームシフト又はスプライス部位変異をもたらす場合;
○明示的に知られている不活性化変異である場合。
【0119】
別の態様において、本開示は、対象におけるがんが、二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)二重特異性抗体及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む併用療法による治療に対して感受性であるかどうかを決定するための方法であって、a)対象から得られた腫瘍試料におけるEGFR及びMETの発現レベルを免疫組織化学(IHC)を用いて決定することと、b)ステップ(a)において決定されたEGFR及びMETの発現レベルに基づいて複合Hスコアを計算することと、c)(i)複合Hスコアが400以上である場合、対象におけるがんを併用療法による治療に対して感受性であると同定すること、又は(ii)複合Hスコアが400未満である場合、対象におけるがんを併用療法による治療に対して感受性でないと同定することと、を含む、方法を提供する。
【0120】
染色強度値は、免疫組織化学的結果の分析に有用な半定量的アプローチとして腫瘍試料に割り当てることができる。このようなアプローチは当該技術分野において周知である。染色強度は、0~3+(0、1+、2+、又は3+)のスケールで割り当てられ、0は、染色が可視又は検出可能でない場合に割り当てられ、3+は、最高強度染色に割り当てられ、固定フィールド内の各細胞について決定され得る。腫瘍試料は、ホルマリンパラフィン包埋組織(FFPE)中に固定することができる。
【0121】
免疫組織化学的結果の分析に有用な半定量的アプローチとして、Hスコア(又は組織スコア)を腫瘍試料に割り当てることができる(Hirsch FR et al.,J Clin Oncol 21:3798-3807,2003;John T et al.,Oncogene 28:S14-S23,2009)。非限定的な例として、膜染色強度(0、1+、2+、又は3+)は、固定フィールド内の各細胞について決定され得る。腫瘍試料は、ホルマリンパラフィン包埋組織(FFPE)中に固定することができる。いくつかの実施形態では、Hスコアは、優勢な染色強度に基づいてもよい。いくつかの実施形態では、Hスコアは、見られる各強度レベルに対する個々のHスコアの合計を含んでもよい。非限定的な例として、各染色強度レベルにおける細胞のパーセンテージを計算することができ、最後に、以下の例示的な式:[1×(%細胞1+)+2×(%細胞2+)+3×(%細胞3+)]を使用してHスコアを割り当てることができる。0~300の範囲の最終的な計算されたHスコアは、所与の腫瘍試料におけるより高い強度の膜染色に対してより多くの相対的重みを与え得る。いくつかの実施形態では、腫瘍試料は、特定の識別閾値に基づいて陽性又は陰性のいずれかであるとみなされ得る。
【0122】
本明細書で言及される「複合Hスコア」は、1つのバイオマーカー(例えば、EGFR発現)の分析から計算されたHスコアを、第2のバイオマーカー(例えば、MET発現)の分析から計算されたHスコアに加算することによって生成することができる。したがって、複合Hスコアは、0~600の範囲を有することができる。
【0123】
別の態様において、本開示は、対象におけるがんが、二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)二重特異性抗体及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む併用療法による治療に対して感受性であるかどうかを決定するための方法であって、a)対象から得られた腫瘍試料におけるEGFR又はMETの発現レベルを免疫組織化学(IHC)を用いて決定することと、b)ステップ(a)で決定されたEGFR又はMETの発現レベルに基づいて、0~3+のスケールで染色強度スコアを決定することと、c)(i)染色強度スコアが3+である場合、対象におけるがんを、併用療法による治療に対して感受性であると同定すること、又は(ii)染色強度スコアが3+未満である場合、対象におけるがんを、併用療法による治療に対して感受性でないと同定することと、を含む、方法を提供する。
【0124】
いくつかの実施形態では、本方法は、ステップc)において、腫瘍試料の細胞の5%、7.5%、10%、12.5%、15%、17.5%、20%、22.5%、25%、27.5%、30%、32.5%、35%、37.5%、40%、42.5%、45%、47.5%又は50%以上において強度スコアが3+である場合、対象におけるがんを併用療法による治療に感受性であると同定することを含む。したがって、ステップc)は、(ii)腫瘍試料の5%、7.5%、10%、12.5%、15%、17.5%、20%、22.5%、25%、27.5%、30%、32.5%、35%、37.5%、40%、42.5%、45%、47.5%又は50%未満の細胞において強度スコアが3+である場合、対象におけるがんを併用療法による治療に感受性でないと同定することを含み得る。
【0125】
一実施形態では、本方法は、ステップc)において、腫瘍試料の細胞の25%以上において強度スコアが3+である場合、対象におけるがんを併用療法による治療に対して感受性であると同定すること、又は(ii)腫瘍試料の25%未満の細胞において強度スコアが3+である場合、対象におけるがんを、併用療法による治療に対して感受性ではないと同定することを含む。
【0126】
様々な実施形態では、本開示の方法によって評価されるがんは、肺がんである。いくつかの実施形態では、肺がんは非小細胞肺がん(NSCLC)である。いくつかの実施形態では、対象におけるがんは、併用療法において使用されるEGFR TKIと同じではないEGFR TKIによる治療に対して耐性がある。がんが耐性であり得るEGFR TKIの非限定的な例は、オシメルチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、ロシレチニブ、オルムチニブ、及びそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、がんが耐性であり得るEGFR TKIは、オシメルチニブである。
【0127】
いくつかの実施形態では、対象は、EGFR阻害剤に対して耐性であるか又は耐性を獲得している。がんが耐性を獲得し得る例示的なEGFR阻害剤は、抗EGFR抗体であるセツキシマブ(ERBITUX(登録商標))、パンチヌムマブ(VECTIBIX(登録商標))、マツズマブ、ニモツズマブ、低分子EGFR阻害剤であるエルロチニブ(TARCEVA(登録商標))、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標))、EKB-569(ペリチニブ、不可逆性EGFR TKI)、汎ErbB及び他の受容体チロシンキナーゼ阻害剤であるラパチニブ(EGFR及びHER2阻害剤)、ペリチニブ(EGFR及びHER2阻害剤)、バンデタニブ(ZD6474、ZACTIMA(商標)、EGFR、VEGFR2、及びRET TKI)、PF00299804(ダコミチニブ、不可逆性汎ErbB TKI)、CI-1033(不可逆性汎erbB TKI)、アファチニブ(BIBW2992、不可逆性汎ErbB TKI)、AV-412(二重EGFR及びErbB2阻害剤)、EXEL-7647(EGFR、ErbB2、GEVGR、及びEphB4阻害剤)、CO-1686(不可逆性変異体選択的EGFR TKI)、AZD9291(不可逆性変異体選択的EGFR TKI)、モボセルチニブ(TAK788、不可逆性EGFR TKI)、ポジオチニブ(不可逆性汎EGFR又はHER TKI)、並びにHKI-272(ネラチニブ、不可逆性EGFR/ErbB2阻害剤)である。
【0128】
様々な定性的及び/又は定量的な方法を使用して、対象が抗がん療法による治療に対して耐性であるかどうか、耐性を発現しているかどうか、又は耐性を発現しやすいかどうかを判定することができる。抗がん療法に対する耐性に関連し得る症状としては、患者の健康の低下若しくは定常状態、腫瘍サイズの増大、腫瘍の成長の低減の停止若しくは減速、及び/又は1つの位置から他の器官、組織、若しくは細胞への体内におけるがん性細胞の拡散が挙げられる。食欲低下、認知障害、うつ病、呼吸困難、倦怠感、ホルモン撹乱、好中球減少、疼痛、末梢神経障害、及び性機能不全などのがんに関連する様々な症状の再確立又は悪化も、対象が抗がん療法に対する耐性を発現しているか又は発現しやすいことの指標となり得る。がんに関連する症状は、がんの種類に応じて異なり得る。例えば、子宮頸部がんに関連する症状としては、異常出血、異常な激しい膣分泌物、通常の月経周期に関連しない骨盤痛、膀胱痛又は排尿中の疼痛、及び定期的な月経期間の間、性交、膣洗浄、又は内診後の出血を挙げることができる。肺がんに関連する症状としては、しつこい咳、喀血、息切れ、ぜーぜーする胸痛、食欲減退、意図しない体重減少、及び倦怠感を挙げることができる。肝臓がんの症状としては、食欲及び体重の減少、特に背部及び肩部に及び得る腹部の右上部分における腹痛、悪心及び嘔吐、全身の衰弱及び倦怠感、肝肥大、腹部膨潤(腹水)、並びに皮膚及び白眼の黄変(黄疸)を挙げることができる。腫瘍学の当業者であれば、特定の種類のがんに関連する症状を容易に特定することができる。
【0129】
いくつかの実施形態では、対象は、化学療法未経験である。
【0130】
いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも1つのEGFR活性化変異を有する。
【0131】
がんに関連し得るEGFR活性化変異としては、EGFRの少なくとも1つの生物活性の増加(例えばチロシンキナーゼ活性の上昇など)、リガンド結合の増強、リガンド非依存性シグナル伝達、細胞増殖の増加、MAPK/ERK経路へのシグナル伝達、遺伝子転写、受容体ホモ二量体及びヘテロ二量体の形成、二量体化(EGFR:EGFR)、ヘテロ二量体化(EGFR:HER2又はEGFR:HER3)をもたらす点変異、欠失変異、挿入変異、逆位又は遺伝子増幅が挙げられる。変異は、EGFR遺伝子、又はEGFR遺伝子に関連する調節領域の任意の部分に位置してもよく、エクソン18、19、20、若しくは21における変異、又はキナーゼドメインにおける変異を含む。EGFR活性化変異の他の例は、当該技術分野では周知のものである(例えば、米国特許出願公開第2005/0272083号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。受容体ホモ及びヘテロ二量体、受容体リガンド、自己リン酸化部位、並びにErbBの媒介によるシグナル伝達に関与するシグナル伝達分子を含むEGFR及び他のErbB受容体に関する情報は、当該技術分野において既知である(例えば、Hynes and Lane,Nature Reviews Cancer 5:341-354,2005(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。
【0132】
いくつかの実施形態では、EGFR活性化変異は、G719A、G719X(Xは任意のアミノ酸である)、L861X(Xは任意のアミノ酸である)、L858R、E746K、L747S、E749Q、A750P、A755V、V765M、L858P、若しくはT790Mの置換、E746~A750の欠失、R748~P753の欠失、M766とA767との間へのAla(A)の挿入、S768とV769との間へのSer、Val、及びAla(SVA)の挿入、P772とH773との間へのAsn及びSer(NS)の挿入、D761とE762、A763とY764、Y764とY765、M766とA767、A767とV768、S768とV769、V769とD770、D770とN771、N771とP772、P772とH773、H773とV774、V774とC775との間への1つ以上のアミノ酸の挿入、EGFRエクソン19における1つ以上の欠失、EGFRエクソン20における1つ以上の欠失、又はEGFRエクソン20における1つ以上の挿入、あるいはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、EGFR活性化変異は、S768I、L861Q及びG719X(Xは任意のアミノ酸である)などの1つ以上の珍しいEGFR活性化変異を含む。
【0134】
いくつかの実施形態では、EGFR活性化変異は、エクソン19、L858R、及びT790Mにおける1つ以上の欠失から選択され得る。いくつかの実施形態では、EGFR活性化変異は、エクソン19における1つ以上の欠失である。いくつかの実施形態では、EGFR活性化変異は、L858Rである。いくつかの実施形態では、EGFR活性化変異は、エクソン19及びL858Rにおける1つ以上の欠失から選択される。エクソン19内の5つのアミノ酸欠失又はEGFRにおける点変異L858Rは、EGFR TKIの感受性に関連し得る(Nakata and Gotoh,Expert Opin Ther Targets 16:771-781,2012(その全体が参照により本明細書に組み込まれる))。L858R又はエクソン19欠失などのTKIに敏感なEGFR変異によって駆動される腫瘍モデルにおいて、アミバンタマブは、リガンド結合の遮断、受容体発現低下、下流シグナル伝達阻害、及び免疫指向性抗がん活性の誘発を含む、いくつかの提案された作用機序(MOA)を有する(Commins et al.,J Allergy Clin Immun 2010;125(2):S53-S72(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0135】
いくつかの実施形態では、エクソン19欠失は、E746_A750del、L747_P753delinsS、E746_S752delinsV、L747_A750delinsP、L747_T751欠失、E746_P753delinsVS、E746_T751delinsA、E746_T751delinsL、L747_E749欠失、L747_K754delinsATSPE、L747_K754delinsSN、L747_S752del、L747-T751delinsP、及びT751-I759delinsNを含む。
【0136】
群(1)及び(2)に列挙されるものなどであるがこれらに限定されない、本明細書に開示される変異のいずれかの存在又は非存在は、例えば、サンガー配列決定、次世代配列決定(NGS)、全エクソーム配列決定(WES)、RNA-Seq、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション、又は免疫組織化学などの当技術分野で公知の方法を使用して検出され得る。
【0137】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される生物学的試料における1つ以上の変異の存在又は非存在は、次世代配列決定(NGS)を使用して検出され得る。生物学的試料の非限定的な例は、血液試料、血漿試料、及び腫瘍試料である。生物学的試料の別の非限定的な例は、血液又は血漿試料から単離された循環腫瘍DNA(ctDNA)である。そのような実施形態では、1つ以上の変異は、PIK3CA E545K、PIK3CA E542K/V、PIK3CA H1047R、PIK3CA増幅、本明細書に記載のRAS/RAF/MEK経路からの1つ以上の遺伝子における変異、本明細書に記載のWNT/b-カテニン経路からの1つ以上の遺伝子における変異、KRAS G12V/C/D/X(XはG、V、C及びD以外の任意のアミノ酸である)、KRAS増幅、BRAF V600E、BRAF増幅、CCND1増幅、CCND2増幅、CCNE1増幅、CDK4増幅、CDK6増幅、HER2増幅、HER2発がん性変化、PTEN欠失、PTEN N48K、CDKN2A G101W、CDKN2B変異、ALK融合、FGFR3-TACC3融合、TPM3-NTRK1融合、RET融合、BRAF融合及び他の発がん性融合イベント、EGFR C797S、EGFR L792H、EGFR増幅、EGFR G796S、EGFR L718X(Xは任意のアミノ酸である)、EGFR E709K、EGFR G724S、MET増幅、METエクソン14スキッピング(METex14)変異、並びに本明細書に記載のEGFR活性化変異から選択される。
【0138】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、対象から得られた腫瘍DNA(例えば、ctDNA)における1つ以上の変異の有無を決定することを含み得る。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、ctDNAにおける1つ以上の変異の存在又は非存在を決定することを含み得る。いくつかの実施形態では、腫瘍DNA(例えば、ctDNA)は、対象から単離された生物学的試料中に存在する。非限定的な例として、生物学的試料は、血液試料、血漿試料又は腫瘍試料である。いくつかの実施形態では、腫瘍DNA(例えば、ctDNA)は、変異同定の前に生物学的試料から単離され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される様々な生物学的試料のいずれかから得られる腫瘍DNA(例えば、ctDNA)のいずれかは、任意選択的に、当該生物学的試料から精製され得る。
【0139】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、EGFRに特異的に結合する第1のドメインと、c-Metに特異的に結合する第2のドメインと、を含み、第1のドメインは、配列番号1の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含み、c-Metに結合する第2のドメインは、配列番号7のHCDR1、配列番号8のHCDR2、配列番号9のHCDR3、配列番号10のLCDR1、配列番号11のLCDR2、及び配列番号12のLCDR3を含む。いくつかの実施形態では、EGFRに特異的に結合する第1のドメインは、配列番号13の重鎖可変領域(VH)及び配列番号14の軽鎖可変領域(VL)を含み、c-Metに特異的に結合する第2のドメインは、配列番号15のVH及び配列番号16のVLを含む。
【0140】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、IgG1アイソタイプである。
【0141】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、配列番号17の第1の重鎖(HC1)、配列番号18の第1の軽鎖(LC1)、配列番号19の第2の重鎖(HC2)、及び配列番号20の第2の軽鎖(LC2)を含む。
【0142】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1%~約15%のフコース含量を有する二分岐グリカン構造を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約2%~約14%のフコース含量を有する二分岐グリカン構造を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約3%~約13%のフコース含量を有する二分岐グリカン構造を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約4%~約12%のフコース含量を有する二分岐グリカン構造を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約5%~約11%のフコース含量を有する二分岐グリカン構造を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1%のフコース含量を有する二分岐グリカン構造を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約2%のフコース含量を有する二分岐グリカン構造を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約3%のフコース含量を有する二分岐グリカン構造を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約4%のフコース含量を有する二分岐グリカン構造を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約5%のフコース含量を有する二分岐グリカン構造を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約6%のフコース含量を有する二分岐グリカン構造を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約7%のフコース含量を有する二分岐グリカン構造を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約8%のフコース含量を有する二分岐グリカン構造を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約9%のフコース含量を有する二分岐グリカン構造を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約10%のフコース含量を有する二分岐グリカン構造を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約11%のフコース含量を有する二分岐グリカン構造を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約12%のフコース含量を有する二分岐グリカン構造を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約13%のフコース含量を有する二分岐グリカン構造を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約14%のフコース含量を有する二分岐グリカン構造を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約15%のフコース含量を有する二分岐グリカン構造を含む。
【0143】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)、例えば、限定されないが、上皮成長因子受容体(EGFR TKI)と組み合わせて投与されてもよい。TKIの非限定的な例は、キナーゼ阻害剤は、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、バンデタニブ、アファチニブ、オシメルチニブ、ラゼルチニブ、ポジオチニブ、クリオチニブ、カボザンチニブ、カプマチニブ、アキシチニブ、レンバチニブ、ニンテダニブ、レゴラフェニブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、又はスニチニブである。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、ラゼルチニブと組み合わせて投与されてもよい。
【0144】
治療的方法
一態様において、本開示は、本明細書に記載されるバイオマーカー戦略に基づいて、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療するための方法を提供する。
【0145】
いくつかの実施形態では、治療方法は、a)対象から得られた腫瘍DNAにおける1つ以上の変異の存在を決定することであって、1つ以上の変異が、RAS/RAF/MEK経路からの1つ以上の遺伝子及びPIK3CAにおける変異から選択される、ことと、b)(i)対象由来の腫瘍DNAが変異を有しない場合、二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)二重特異性抗体及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む治療有効量の併用療法を対象に投与すること、又は(ii)対象由来の腫瘍DNAが1つ以上の変異を有する場合、(i)で使用される併用療法を含まないがん療法を対象に投与することと、を含む、方法を含む。
【0146】
いくつかの実施形態では、1つ以上の変異は、WNT/b-カテニン経路からの1つ以上の遺伝子における変異から更に選択される。
【0147】
RAS/RAF/MEK経路若しくはWNT/b-カテニン経路に関連する変異、又はPIK3CAにおける変異は、当技術分野で公知の病原性変異を含む。
【0148】
いくつかの実施形態では、変異は、FGFR3、KRAS、BRAF、ERBB2、ALK、NRAS、PDGFRA及び/又はRETなどであるがこれらに限定されない、RAS/RAF/MEK経路からの1つ以上の遺伝子において見出され得る。
【0149】
いくつかの実施形態では、RAS/RAF/MEK経路からの1つ以上の遺伝子における変異は、FGFR3融合、BRAF G469A、BRAF V600E、ERBB2コピー数変化、ALK融合、ERBB2 I767M、ERBB2 V777L、KRAS A18V、KRASコピー数変化、KRAS G12X(Xは任意のアミノ酸である)、NRAS Q61R、PDGFRAコピー数変化、及びRET融合を含み得るが、これらに限定されない。
【0150】
いくつかの実施形態では、KRAS G12X変異は、KRAS G12D、KRAS G12A、KRAS G12C及びKRAS G12Vである。
【0151】
いくつかの実施形態では、BRAFにおける変異は、R. Yaeger et al.,Targeting Alterations in the RAF-MEK Pathway.Cancer Discov(2019)9(3):329-341(その全体が参照により本明細書に組み込まれる(incoprated))に記載されるもの、例えば、V600E/K/D/R/M、P367L/S、G464V/E、L485W、N486_A489delinsK、N486_P490del、E586K、L597Q/R/S/V、T599TT/TS、T599I/K、K601E/N/T、K601_S602delinsNT、BRAFキナーゼ複製、BRAFキナーゼドメインの融合、D287H、V459L、G466A/E/V、S467L、G469E、N581I/S/T、D594A/G/H/N、F595L、G596D/Rを含み得る。
【0152】
いくつかの実施形態では、BRAFにおける変異は、H.Yang et al.,New Horizons in KRAS-Mutant Lung Cancer:Dawn After Darkness.Front.Oncol.,25 September 2019(その全体が参照により本明細書に組み込まれる(incoprated))に記載されるもの、例えば、E3K、G12C/V/D/A/S/R/F、G13C/D/E/V/R、V14I、Q61L/E/H/R、F61L、L19F、D33E、T58I、A59T、A146P/V/T、C118S、A59_G60delinsGVを含み得る。
【0153】
上記の診断又は治療方法のいくつかの実施形態では、PIK3CAにおける変異は、PIK3CA E545Kを含む。
【0154】
いくつかの実施形態では、変異は、APC及びCTNNB1などであるがこれらに限定されない、WNT/b-カテニン経路からの1つ以上の遺伝子において見出され得る。
【0155】
いくつかの実施形態では、WNT/b-カテニン経路からの1つ以上の遺伝子における変異は、APC Q1469、APC R405、APC S713、CTNNB1 S33P、CTNNB1 S37C、CTNNB1 S37F、及びCTNNB1 S45Pを含む。
【0156】
いくつかの実施形態では、治療方法は、a)対象から得られた腫瘍DNA(例えば、循環腫瘍DNA(ctDNA))における1つ以上の変異の存在を決定することであって、1つ以上の変異が、以下の2つの群:(1)PIK3CA E545K、PIK3CA E542K/V、PIK3CA H1047R、PIK3CA増幅、KRAS G12V/C/D/X、KRAS増幅、BRAF V600E、BRAF増幅、CCND1増幅、CCND2増幅、CCNE1増幅、CDK4増幅、CDK6増幅、HER2増幅、HER2発がん性変化、PTEN欠失、PTEN N48K、CDKN2A G101W、CDKN2B、ALK融合、FGFR3-TACC3及び他の融合、RET融合、BRAF融合、並びに他の発がん性融合イベント;(2)EGFR C797S、EGFR L792H、EGFR増幅、EGFR G796S、EGFR L718X(Xは任意のアミノ酸である)、EGFR E709K、EGFR G724S、MET増幅、及びMETエクソン14スキッピング(METex14)変異から選択される、ことと、b)(i)当該対象由来の腫瘍DNAが群(1)からの変異を有しないか、又は群(1)からの1つ以上の変異及び群(2)からの1つ以上の変異を有するかのいずれかである場合、二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)二重特異性抗体及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む有効量の併用療法を対象に投与すること、又は(ii)当該対象由来の腫瘍DNA(例えば、ctDNA)が群(1)からの1つ以上の変異を有し、群(2)からの変異を有しない場合、(i)で使用される併用療法を含まないがん療法を対象に投与することと、を含む。
【0157】
HER2発がん性変化の非限定的な例としては、HER2 Y772_A775重複、HER2 L755M/S/W及びHER2 S310F/Yが挙げられる。PTEN欠失の非限定的な例としては、PTEN I33del及びPTEN I14delが挙げられる。ALK融合の非限定的な例としては、SQSTM1-ALK融合及びEML4-ALK融合が挙げられる。RET融合の非限定的な例としては、CCDC6-RET融合、KIF5B-RET融合、及びNCOA4-RET融合が挙げられる。BRAF融合の非限定的な例としては、Ross et al.,Int.J.Cancer:138,881-890(2016)(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるもの、例えば、KIAA1549-BRAF、MKRN1-BRAF、TRIM24-BRAF、AGAP3-BRAF、ZC3HAV1-BRAF、AKAP9-BRAF、CCDC6-BRAF、AGK-BRAF、EPS15-BRAF、NUP214-BRAF、ARMC10-BRAF、BTF3L4-BRAF、GHR-BRAF、ZNF767-BRAF、CCDC91-BRAF、DYNC1I2-BRAF、ZKSCAN1-BRAF、GTF2I-BRAF、MZT1-BRAF、RAD18-BRAF、CUX1-BRAF、SLC12A7-BRAF、MYRIP-BRAF、SND1-BRAF、NUB1-BRAF、KLHL7-BRAF、TANK-BRAF、RBMS3-BRAF、STRN3-BRAF、STK35-BRAF、ETFA-BRAF、SVOPL-BRAF、及びJHDM1D-BRAFが挙げられる。他の発がん性融合イベントとしては、Gao et al.,Cell Rep.2018 April 03;23(1):227-238.e3.(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)の図1に記載されるものを含むが、これらに限定されない。
【0158】
別の態様では、本開示は、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療するための方法であって、a)対象から得られた腫瘍試料中のEGFR及びMETの発現レベルを免疫組織化学(IHC)を用いて決定することと、b)ステップ(a)で決定されたEGFR及びMETの発現レベルに基づいて複合Hスコアを計算することと、c)(i)複合Hスコアが400以上である場合、二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)二重特異性抗体及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む有効量の併用療法を対象に投与すること、(ii)複合Hスコアが400未満である場合、(i)において使用される併用療法を対象に投与しないこと、又は(i)において使用される併用療法を含まないがん療法を対象に投与することと、を含む、方法である。
【0159】
別の態様では、本開示は、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療するための方法であって、a)対象から得られた腫瘍試料中のEGFR及びMETの発現レベルを免疫組織化学(IHC)を用いて決定することと、b)ステップ(a)で決定されたEGFR又はMETの発現レベルに基づいて、0~3+のスケールで染色強度スコアを決定することと、c)(i)染色強度スコアが3+である場合、二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)二重特異性抗体及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む治療有効量の併用療法を対象に投与すること、又は(ii)染色強度スコアが3+未満である場合、(i)において使用される併用療法を対象に投与しないこと、又は(i)において使用される併用療法を含まないがん療法を対象に投与することと、を含む、方法を提供する。
【0160】
いくつかの実施形態では、本方法は、ステップ(c)において、(i)腫瘍試料の細胞の5%、7.5%、10%、12.5%、15%、17.5%、20%、22.5%、25%、27.5%、30%、32.5%、35%、37.5%、40%、42.5%、45%、47.5%又は50%以上において染色強度スコアが3+である場合、治療有効量の併用療法を対象に投与すること、又は(ii)腫瘍試料の5%、7.5%、10%、12.5%、15%、17.5%、20%、22.5%、25%、27.5%、30%、32.5%、35%、37.5%、40%、42.5%、45%、47.5%又は50%未満の細胞において染色強度スコアが3+である場合、(i)において使用される併用療法を対象に投与しないこと、若しくは(i)において使用される併用療法を含まないがん療法を対象に投与することを含む。
【0161】
一実施形態では、本方法は、ステップ(c)において、(i)腫瘍試料の細胞の25%以上において染色強度スコアが3+である場合、治療有効量の併用療法を対象に投与すること、又は(ii)腫瘍試料の25%未満(less)の細胞において染色強度スコアが3+である場合、(i)において使用される併用療法を対象に投与しないこと、若しくは(i)において使用される併用療法を含まないがん療法を対象に投与することを含む。
【0162】
多様な実施形態では、がんは、固形腫瘍、脳腫瘍、又は血液悪性腫瘍である。ある特定の実施形態では、血液悪性腫瘍は、AML、ALL、B-ALL、T-ALL、又はリンパ腫である。腫瘍の例は、軟組織腫瘍(例えば、リンパ腫)、並びに血液及び血液形成器官の腫瘍(例えば、白血病)、並びに血流の外側の解剖学的部位で成長するものである固形腫瘍(例えば、がん腫)であるが、これらに限定されない。がんの例としては、がん腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫(例えば、ユーイング肉腫及び他のユーイング肉腫ファミリーの腫瘍、骨肉腫、又は横紋筋肉腫)、並びに白血病又はリンパ性悪性腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。このようながんのより具体的な例としては、扁平上皮がん(例えば、上皮扁平上皮がん)、腺扁平上皮がん、肺がん(例えば、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺腺がん、肺がんの扁平上皮がんを含む)、腹膜がん、肝細胞がん、胃がん(gastric or stomach cancer)(例えば、胃腸がん、膵臓がんを含む)、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん、膀胱がん、尿路がん、肝がん、乳がん、結腸がん、直腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん又は子宮がん、唾液腺がん、腎臓がん(kidney or renal cancer)、前立腺がん、外陰がん、甲状腺がん、肝がん、肛門がん、陰茎がん、原発性又は転移性黒色腫、多発性骨髄腫及びB細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、脳(例えば、高悪性度神経膠腫、びまん性橋神経膠腫、上衣腫、神経芽腫、又は神経膠芽腫)、並びに頭頸部がん及び関連転移が含まれる。腫瘍の更なる例は、The Merck Manual of Diagnosis and Therapy,19 th Edition,§ on Hematology and Oncology,published by Merck Sharp & Dohme Corp.,2011(ISBN 978-0-911910-19-3)、The Merck Manual of Diagnosis and Therapy,20th Edition,§ on Hematology and Oncology,published by Merck Sharp & Dohme Corp.,2018(ISBN 978-0-911-91042-1)(Merck Manualsのインターネットウェブサイトにおける2018デジタルオンライン版)、及びSEER Program Coding and Staging Manual 2016(あらゆる目的のために、それぞれ、その全体が参照により組み込まれる)に見出すことができる。
【0163】
様々な実施形態では、腫瘍は、骨肉種、横紋筋肉腫、ユーイング肉腫及び他のユーイング肉腫ファミリーの腫瘍、神経芽細胞種、神経節芽細胞腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、悪性末梢神経鞘腫瘍、滑膜肉腫、未分化肉腫、副腎皮質がん、肝芽腫、ウイルムス腫瘍、ラブドイド腫瘍、高悪性度神経膠腫(多形性膠芽腫)、髄芽細胞腫、星状細胞腫、神経膠腫、上衣腫、非定型奇形腫瘍ラブドイド腫瘍、髄膜腫、頭蓋咽頭腫、原始神経外胚葉性腫瘍、びまん性内在性橋膠腫及び他の脳腫瘍、急性骨髄白血病、多発性骨髄腫、肺がん、中皮腫、乳がん、膀胱がん、胃がん、前立腺がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、子宮がん、腎臓がん、食道がん、卵巣がん、膵臓がん、肝細胞がん及び他の肝臓がん、頭頸部がん、平滑筋肉腫、並びに黒色腫から選択される。いくつかの実施形態では、腫瘍は、固形腫瘍である。様々な実施形態では、固形腫瘍は、ユーイング肉腫、肺腺がん、骨肉腫、乳がん、又は前立腺がんである。ある特定の実施形態では、腫瘍は、脳腫瘍である。いくつかの実施形態では、脳腫瘍は、神経膠芽腫又は神経芽細胞腫である。
【0164】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、扁平上皮がん、腺扁平上皮がん、肺がん、腹膜がん、肝細胞がん、胃がん、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん、膀胱がん、尿路がん、ヘパトーマ、乳がん、結腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、唾液腺がん、腎臓がん、前立腺がん、外陰がん、甲状腺がん、肝臓がん、肛門がん、陰茎がん、皮膚がん、多発性骨髄腫及び急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)及び慢性リンパ性白血病(CLL)、ホジキンリンパ腫(HL)及び非ホジキンリンパ腫(NHL)などのリンパ腫、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯B細胞リンパ腫、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(primary mediastinal B-cell lymphoma)、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、免疫芽球性大細胞リンパ腫、有毛細胞白血病(HCL)、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫及び原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、T細胞NHL(例えば、前駆Tリンパ芽球性リンパ腫/白血病、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、節外ナチュラルキラーT細胞リンパ腫、腸疾患型T細胞リンパ腫、皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫など)、上記の1つ以上の白血病/リンパ腫の混合物、脳及び頭頸部がん、胆管がん、気管支がん、脊索腫、絨毛がん、上皮がん、内皮肉腫、食道がん、ユーイング肉腫、重鎖疾患、造血がん、免疫球性アミロイドーシス、意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性障害、特発性骨髄化生(agnogenic myeloid metaplasia、AMM)又は骨髄線維症(MF)、慢性突発性骨髄線維症、骨髄増殖性腫瘍、真性赤血球増加症、直腸腺がん、本態性血小板増加症、慢性好中球性白血病、好酸球増多症候群、又は軟部組織肉腫、並びにそれらの転移から選択されるがんを治療するのに有用であり得る。
【0165】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、肺がんを治療するのに有用であり得る。いくつかの実施形態では、肺がんは非小細胞肺がん(NSCLC)である。
【0166】
いくつかの実施形態は、本開示の方法は、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療するのに有用であり得、対象は、再発しているか、又は1つ以上の以前の抗がん療法による治療に対して耐性がある。いくつかの実施形態では、1つ以上の以前の抗がん療法は、1つ以上のEGFR TKIを含み、EGFR TKIは、本開示の併用療法において使用されるEGFR TKIと同じではない。いくつかの実施形態では、1つ以上のEGFR TKIは、オシメルチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、ロシレチニブ、オルムチニブ、又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0167】
いくつかの実施形態では、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療するのに有用な本開示の方法は、二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)二重特異性抗体及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む有効量の併用療法を対象に投与することを含み得る。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、EGFRに特異的に結合する第1のドメインと、c-Metに特異的に結合する第2のドメインと、を含み、第1のドメインは、配列番号1の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含み、c-Metに結合する第2のドメインは、配列番号7のHCDR1、配列番号8のHCDR2、配列番号9のHCDR3、配列番号10のLCDR1、配列番号11のLCDR2、及び配列番号12のLCDR3を含む。いくつかの実施形態では、EGFRに特異的に結合する第1のドメインは、配列番号13の重鎖可変領域(VH)及び配列番号14の軽鎖可変領域(VL)を含み、c-Metに特異的に結合する第2のドメインは、配列番号15のVH及び配列番号16のVLを含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、IgG1アイソタイプである。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、配列番号17の第1の重鎖(HC1)、配列番号18の第1の軽鎖(LC1)、配列番号19の第2の重鎖(HC2)、及び配列番号20の第2の軽鎖(LC2)を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1%~約15%のフコース含量を有する二分岐グリカン構造を含む。
【0168】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)、例えば、限定されないが、上皮成長因子受容体(EGFR TKI)と組み合わせて投与されてもよい。TKIの非限定的な例は、キナーゼ阻害剤は、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、バンデタニブ、アファチニブ、オシメルチニブ、ラゼルチニブ、ポジオチニブ、クリオチニブ、カボザンチニブ、カプマチニブ、アキシチニブ、レンバチニブ、ニンテダニブ、レゴラフェニブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、又はスニチニブである。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、ラゼルチニブと組み合わせて投与されてもよい。
【0169】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療するのに有用であり得、当該方法は、本明細書に開示される二重特異性抗EGFR/c-Met二重特異性抗体及びEGFR TKIを含む併用療法を含まないがん療法を対象に投与することを含む。
【0170】
いくつかの実施形態では、1つ以上の抗がん療法は、1つ以上の、化学療法剤、チェックポイント阻害剤、標的がん療法若しくはキナーゼ阻害剤、又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0171】
いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、EGFRの阻害剤、METの阻害剤、HER2の阻害剤、HER3の阻害剤、HER4の阻害剤、VEGFRの阻害剤、又はAXLの阻害剤である。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、EGFRの阻害剤である。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、METの阻害剤である。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、HER2の阻害剤である。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、HER3の阻害剤である。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、HER4の阻害剤である。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、VEGFRの阻害剤である。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、AXLの阻害剤である。
【0172】
いくつかの実施形態では、1つ以上の抗がん療法は、カルボプラチン、パクリタキセル、ゲムシタビン、シスプラチン、ビノレルビン、ドセタキセル、パルボシクリブ、クリゾチニブ、PD-(L)1軸阻害剤、EGFRの阻害剤、METの阻害剤、HER2の阻害剤、HER3の阻害剤、HER4の阻害剤、VEGFRの阻害剤、AXLの阻害剤、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、バンデタニブ、アファチニブ、オシメルチニブ、ラゼルチニブ、ポジオチニブ、クリオチニブ、カボザンチニブ、カプマチニブ、アキシチニブ、レンバチニブ、ニンテダニブ、レゴラフェニブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、若しくはスニチニブ、又はそれらの任意の組み合わせを含む。例示的なPD-(L)1軸阻害剤は、ニボルマブ(OPDIVO(登録商標))、ペンブロリムマブ(KEYTRUDA(登録商標))、シンチリマブ、セミプリマブ(LIBTAYO(登録商標))、トリポリバマブ、チスレリズマブ、スパルタリズマブ、カムレリズマブ、ドストラリマブ、ゲノリムズマブ、若しくはセトレリマブなどのPD-1に結合する抗体、又はPD-L1に結合する抗体であり、例えば、PD-L1抗体は、エンバホリマブ、アテゾリズマブ(TECENTRIQ(登録商標))、デュルバルマブ(IMFINZI(登録商標))、及びアベルマブ(BAVENCIO(登録商標))である。市販の抗体は、認可された販売業者又は薬局を介して購入することができる。低分子のアミノ酸配列構造は、CAS registryからの企業によるUSAN及び/又はINN寄託から見出すことができる。
【0173】
いくつかの実施形態では、本開示の併用療法を含まないがん療法は、カルボプラチン、シスプラチン、又はこれらの組み合わせなどであるがこれらに限定されない白金ベースの化学療法であり得る。
【0174】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療するのに有用であり得、対象は化学療法未経験である。
【0175】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療するのに有用であり得、対象は、少なくとも1つのEGFR活性化変異を有する。EGFR活性化変異の非限定的な例は、エクソン19欠失、L858R、及びT790Mである。
【0176】
投与
二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、医薬的に許容される担体中で投与され得る。「担体」は、本発明の抗体が共に投与される希釈剤、補助剤、賦形剤、又はビヒクルを指す。このようなビヒクルは、水、及び石油、動物、植物、又は合成物由来のものを含む油、例えば、落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などの液体であってもよい。例えば、0.4%生理食塩水及び0.3%グリシンを使用して、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体を製剤化してもよい。これらの溶液は滅菌され、概して粒子状物質を含まない。これらは、従来周知の滅菌技術(例えば、濾過)によって滅菌することができる。非経口投与の場合、担体は、滅菌水を含み得、溶解度の上昇又は保存のために他の賦形剤を添加してもよい。注射用の懸濁液又は溶液はまた、水性担体を適切な添加剤と共に利用して調製してもよい。好適なビヒクル及び製剤(他のヒトタンパク質、例えばヒト血清アルブミンを含む)は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition,Troy,D.B.ed.,Lipincott Williams and Wilkins,Philadelphia,PA 2006,Part 5,Pharmaceutical Manufacturing pp 691-1092に記載されており、特にpp.958-989を参照されたい。
【0177】
投与モードは、錠剤、カプセル剤、液剤、散剤、ゲル剤、粒子の製剤を使用して、宿主に二重特異性抗EGFR-c-Met抗体を送達する任意の好適な経路、例えば、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、又は皮下などの非経口投与、肺、経粘膜(経口、鼻腔内、膣内、直腸内)であってもよく、製剤はシリンジ、埋込デバイス、浸透圧ポンプ、カートリッジ、マイクロポンプ、又は当該技術分野において周知の、当業者によって認識される他の手段に収容されていてもよい。部位特異的投与は、例えば、腫瘍内、関節内、気管支内、腹内、関節包内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頸管内、胃内、肝内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹腔内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎臓内、網膜内、脊髄内、滑液嚢内、胸郭内、子宮内、血管内、膀胱内、病巣内、膣内、直腸内、口腔内、舌下、鼻腔内、又は経皮送達によって達成され得る。
【0178】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、静脈内投与される。
【0179】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、対象に皮下又は皮内投与される。二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、対象において治療効果を達成するのに十分な用量で皮下又は皮内投与され得る。
【0180】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約140mg~約2240mgの間の用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約140mg~約1750mgの間の用量で投与される。
【0181】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約290mg、約300mg、約310mg、約320mg、約330mg、約340mg、約350mg、約360mg、約370mg、約380mg、約390mg、約400mg、約410mg、約420mg、約430mg、約440mg、約450mg、約460mg、約470mg、約480mg、約490mg、約500mg、約510mg、約520mg、約530mg、約540mg、約550mg、約560mg、約570mg、約580mg、約590mg、約600mg、約610mg、約620mg、約630mg、約640mg、約650mg、約660mg、約670mg、約680mg、約690mg、約700mg、約710mg、約720mg、約730mg、約740mg、約750mg、約760mg、約770mg、約780mg、約790mg、約800mg、約810mg、約820mg、約830mg、約840mg、約850mg、約860mg、約870mg、約880mg、約890mg、約900mg、約910mg、約920mg、約930mg、約940mg、約950mg、約960mg、約970mg、約980mg、約990mg、約1000mg、約1010mg、約1020mg、約1030mg、約1040mg、約1050mg、約1060mg、約1070mg、約1080mg、約1090mg、約1100mg、約1110mg、約1120mg、約1130mg、約1140mg、約1150mg、約1160mg、約1170mg、約1180mg、約1190mg、約1200mg、約1210mg、約1220mg、約1230mg、約1240mg、約1250mg、約1260mg、約1270mg、約1280mg、約1290mg、約1300mg、約1310mg、約1320mg、約1330mg、約1340mg、約1350mg、約1360mg、約1370mg、約1380mg、約1390mg、約1400mg、約1410mg、約1420mg、約1430mg、約1440mg、約1450mg、約1460mg、約1470mg、約1480mg、約1490mg、約1500mg、約1510mg、約1520mg、約1530mg、約1540mg、約1550mg、約1560mg、約1570mg、1575mg、約1580mg、約1590mg、約1600mg、約1610mg、1620mg、約1630mg、約1640mg、約1650mg、約1660mg、約1670mg、約1680mg、約1690mg、約1700mg、約1710mg、約1720mg、約1730mg、約1740mg、約1750mg、約1760mg、約1770mg、約1780mg、約1790mg、約1800mg、約1810mg、約1820mg、約1830mg、約1840mg、約1850mg、約1860mg、約1870mg、約1880mg、1890mg、約1900mg、約1910mg、約1920mg、約1930mg、約1940mg、約1950mg、約1960mg、約1970mg、約1980mg、約1990mg、約2000mg、2100mg、2110mg、2120mg、2130mg、2140mg、2150mg、2160mg、2170mg、2180mg、2190mg、2200mg、2210mg、2220mg、2230mg、2240mg、2250mg、又は2260mgの用量で投与される。
【0182】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約350mg、約700mg、約1050mg、又は約1400mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約350mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約700mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約750mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約800mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約850mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約900mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約950mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1000mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1050mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1100mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1150mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1200mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1250mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1300mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1350mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1400mgの用量で投与される。
【0183】
いくつかの実施形態では、対象が80kg未満の体重を有する場合、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は1050mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、対象が80kg以上の体重を有する場合、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は1400mgの用量で投与される。
【0184】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、週1回投与される。いくつかの実施形態では、約1050mgの二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、週1回投与される。いくつかの実施形態では、約1400mgの二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、週1回投与される。
【0185】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、2週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、約1050mgの二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、2週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、約1400mgの二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、2週間に1回投与される。
【0186】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、週2回投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、週1回投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、2週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、3週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、4週間に1回投与される。
【0187】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、週2回、週1回、2週間に1回、3週間に1回、又は4週間に1回投与される。
【0188】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、チロシンキナーゼ阻害剤TKI、例えば、限定されないが、上皮成長因子受容体(EGFR TKI)と組み合わせて投与されてもよい。TKIの非限定的な例は、キナーゼ阻害剤は、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、バンデタニブ、アファチニブ、オシメルチニブ、ラゼルチニブ、ポジオチニブ、クリオチニブ、カボザンチニブ、カプマチニブ、アキシチニブ、レンバチニブ、ニンテダニブ、レゴラフェニブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、又はスニチニブである。特定の実施形態では、EGFR TKIは、ラゼルチニブである。
【0189】
併用療法のために、EGFR TKIは、EGFR TKIの推奨用量及び投薬量を使用して投与され得る。
【0190】
投与モードは、錠剤、カプセル剤、液剤、散剤、ゲル剤、粒子の製剤を用いた、宿主にEGFR TKIを送達する任意の好適な経路、例えば、非経口投与、例えば、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、又は皮下、肺、経粘膜(経口、鼻腔内、膣内、直腸)であってもよく、製剤はシリンジ、埋込デバイス、浸透圧ポンプ、カートリッジ、マイクロポンプに収容されていてもよく、又は当該技術分野において周知の、当業者によって認識される他の手段に収容されていてもよい。部位特異的投与は、例えば、腫瘍内、関節内、気管支内、腹内、関節包内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頸管内、胃内、肝内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹腔内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎臓内、網膜内、脊髄内、滑液嚢内、胸郭内、子宮内、血管内、膀胱内、病巣内、膣内、直腸内、口腔内、舌下、鼻腔内、又は経皮送達によって達成され得る。
【0191】
いくつかの実施形態では、対象にラゼルチニブを送達する好適な経路であり得る投与様式は、経口投与であり得る。
【0192】
いくつかの実施形態では、EGFR TKIは、約10mg~約400mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、EGFR TKIは、約20mg~約320mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、EGFR TKIは、約50mg~約300mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、EGFR TKIは、約100mg~約300mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、EGFR TKIは、約150mg~約280mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、EGFR TKIは、約200mg~約250mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、EGFR TKIは、約220mg~約250mgの用量で投与される。
【0193】
いくつかの実施形態では、EGFR TKIは、約20mg、約50mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約290mg、約300mg、約310mg、約320mg、約330mg、約340mg、約350mg、約360mg、約370mg、約380mg、約390mg、又は約400mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、EGFR TKIは、約240mgの用量で投与される。
【0194】
いくつかの実施形態では、EGFR TKIは、毎日投与される。いくつかの実施形態では、EGFR TKIは、週2回投与される。いくつかの実施形態では、EGFR TKIは、週1回投与される。いくつかの実施形態では、ラゼルチニブは、2週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、ラゼルチニブは、3週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、EGFR TKIは、4週間に1回投与される。
【0195】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、本明細書に開示される用量及び投与量のいずれかを用いて投与され得るラゼルチニブと組み合わせて投与され得る。いくつかの実施形態では、ラゼルチニブは、約10mg~約400mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、ラゼルチニブは、約20mg~約320mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、ラゼルチニブは、約20mg、約50mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約290mg、約300mg、約310mg、約320mg、約330mg、約340mg、約350mg、約360mg、約370mg、約380mg、約390mg、又は約400mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、ラゼルチニブは、約240mgの用量で投与される。
【0196】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、本明細書に開示されるこれらの用量及び投与量のいずれかで投与され得るラゼルチニブと組み合わせて、本明細書に開示されるこれらの用量及び投与量のいずれかで投与され得る。非限定的な例として、700mgのアミバンタマブを240mgのラゼルチニブと組み合わせて投与することができる。非限定的な例として、1050mgのアミバンタマブを240mgのラゼルチニブと組み合わせて投与することができる。非限定的な例として、1050mgのアミバンタマブを240mgのラゼルチニブと組み合わせて投与することができる。非限定的な例として、1400mgのアミバンタマブを240mgのラゼルチニブと組み合わせて投与することができる。
【0197】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、ラゼルチニブと組み合わせて投与されてもよく、ラゼルチニブは、毎日、隔日、週2回、又は週1回投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、ラゼルチニブと組み合わせて投与されてもよく、ラゼルチニブは毎日投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、ラゼルチニブと組み合わせて投与されてもよく、ラゼルチニブは経口投与される。
【0198】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met二重特異性抗体及びEGFR TKIを含む併用療法は、1つ以上の追加の抗がん療法を更に含み得る。
【0199】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、本明細書に開示される二重特異性抗EGFR/c-Met二重特異性抗体及びEGFR TKIを含む併用療法を含まないがん療法を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、がん療法は、本明細書に記載されるもののいずれか1つを含み得る。非限定的な例として、本開示の方法において投与され得るがん療法は、任意の数の様々な白金ベースの化学療法又はそれらの組み合わせを含み得る。非限定的な例として、白金ベースの化学療法は、カルボプラチン、シスプラチン、又はそれらの組み合わせを含む。
【0200】
本開示の方法において投与され得る抗がん療法としては、化学療法薬又は当業者に既知の他の抗がん治療薬のうちの任意の1つ以上が挙げられる。化学療法剤は、がんの治療に有用な化学化合物であり、増殖阻害剤又は他の細胞毒性剤を含み、アルキル化剤、抗代謝剤、抗微小管阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、受容体チロシンキナーゼ阻害剤、血管新生阻害剤などが挙げられる。化学療法剤の例としては、アルキル化剤、例えばチオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標));アルキルスルホネート、例えばブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファン;アジリジン、例えばベンゾドパ、カルボコン、メツレドパ、及びウレドパ;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド及びトリメチロールメラミンを含むエチレンイミン及びメチラメラミン(methylamelamine);ナイトロジェンマスタード、例えばクロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベムビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソウレア、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、例えばアクラシノマイシン(aclacinomysin)、アクチノマイシン、アウトラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗物質、例えばメトトレキサート及び5-FU;葉酸類似体、例えばデノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサート;プリン類似体、例えばフルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えばアンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンなど;アンドロゲン、例えばカルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;副腎皮質ホルモン合成阻害薬、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充剤(folic acid replenisher)、例えばフォリン酸(frolinic acid);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン;ジアジクオン;エルフォルニチン(elfornithine);エリプチニウムアセテート(elliptinium acetate);エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標);ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン(triaziquone);2,2’,2”-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド又はタキサンファミリーのメンバー、例えばパクリタキセル(TAXOL(登録商標)ドセタキセル(TAXOTERE(登録商標))及びその類似体;クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金類似体、例えばシスプラチン及びカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラミシン;カペシタビン;ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標))、スニチニブ(SUTENT(登録商標))、パゾパニブ(VOTRIENT(商標))、トセラニブ(PALLADIA(商標))、バンデタニブ(ZACTIMA(商標))、セジラニブ(RECENTIN(登録商標))、レゴラフェニブ(BAY73-4506)、アキシチニブ(AG013736)、レスタウルチニブ(CEP-701)、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標))、ゲフィチニブ(IRESSA(商標))、アファチニブ(BIBW 2992)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標))、ネラチニブ(HKI-272)などを含む受容体チロシンキナーゼ及び/若しくは血管新生の阻害剤、並びに上述のいずれかの医薬的に許容される塩、酸、又は誘導体が挙げられる。腫瘍に対するホルモン作用を制御又は阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えばタモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン、LY 117018、オナプリストン、及びトレミフェン(FARESTON(登録商標))を含む抗エストロゲン薬;並びに抗アンドロゲン薬、例えばフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド及びゴセレリン;並びに上述のいずれかの医薬的に許容される塩、酸又は誘導体もまた、この定義に含まれる。Wiemann et al.,1985,Medical Oncology(Calabresi et aL,eds.),Chapter 10,McMillan Publishingに開示されている他の従来の細胞毒性化合物も、本発明の方法に適用可能である。
【0201】
本開示の方法で使用される二重特異性抗EGFR/c-Met抗体の生成
本開示の方法において使用することができる例示的な二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、アミバンタマブである。アミバンタマブ又はJNJ-61186372(JNJ-372)は、米国特許第9,593,164号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているIgG1抗EGFR/c-Met二重特異性抗体である。アミバンタマブは、以下のアミノ酸配列を特徴とする:
EGFR結合アーム
【0202】
>配列番号1(HCDR1、EGFR結合アーム)
TYGMH
【0203】
>配列番号2(HCDR2、EGFR結合アーム)
VIWDDGSYKYYGDSVKG
【0204】
>配列番号3(HCDR3、EGFR結合アーム)
DGITMVRGVMKDYFDY
【0205】
>配列番号4(LCDR1、EGFR結合アーム)
RASQDISSALV
【0206】
>配列番号5(LCDR2、EGFR結合アーム)
DASSLES
【0207】
>配列番号6(LCDR3、EGFR結合アーム)
QQFNSYPLT
【0208】
>配列番号7(HCDR1、c-Met結合アーム)
SYGIS
【0209】
>配列番号8(HCDR2、c-Met結合アーム)
WISAYNGYTNYAQKLQG
【0210】
>配列番号9(HCDR3、c-Met結合アーム)
DLRGTNYFDY
【0211】
>配列番号10(LCDR1、c-Met結合アーム)
RASQGISNWLA
【0212】
>配列番号11(LCDR2、c-Met結合アーム)
AASSLLS
【0213】
>配列番号12(LCDR3、c-Met結合アーム)
QQANSFPIT
【0214】
>配列番号13(VH、EGFR結合アーム)
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSTYGMHWVRQAPGKGLEWVAVIWDDGSYKYYGDSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDGITMVRGVMKDYFDYWGQGTLVTVSS
【0215】
>配列番号14(VL、EGFR結合アーム)
AIQLTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDISSALVWYQQKPGKAPKLLIYDASSLESGVPSRFSGSESGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQFNSYPLTFGGGTKVEIK
【0216】
>配列番号15(VH、c-Met結合アーム)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCETSGYTFTSYGISWVRQAPGHGLEWMGWISAYNGYTNYAQKLQGRVTMTTDTSTSTAYMELRSLRSDDTAVYYCARDLRGTNYFDYWGQGTLVTVSS
【0217】
>配列番号16(VL、c-Met結合アーム)
DIQMTQSPSSVSASVGDRVTITCRASQGISNWLAWFQHKPGKAPKLLIYAASSLLSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQANSFPITFGQGTRLEIK
【0218】
>配列番号17 HC1
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSTYGMHWVRQAPGKGLEWVAVIWDDGSYKYYGDSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDGITMVRGVMKDYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFLLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0219】
>配列番号18 LC1
AIQLTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDISSALVWYQQKPGKAPKLLIYDASSLESGVPSRFSGSESGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQFNSYPLTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0220】
>配列番号19 HC2
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCETSGYTFTSYGISWVRQAPGHGLEWMGWISAYNGYTNYAQKLQGRVTMTTDTSTSTAYMELRSLRSDDTAVYYCARDLRGTNYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0221】
>配列番号20 LC2
DIQMTQSPSSVSASVGDRVTITCRASQGISNWLAWFQHKPGKAPKLLIYAASSLLSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQANSFPITFGQGTRLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0222】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、EGFRに特異的に結合する第1のドメインと、c-Metに特異的に結合する第2のドメインと、を含み、第1のドメインは、配列番号1の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含み、第2のドメインは、配列番号7のHCDR1、配列番号8のHCDR2、配列番号9のHCDR3、配列番号10のLCDR1、配列番号11のLCDR2、及び配列番号12のLCDR3を含む。
【0223】
いくつかの実施形態では、EGFRに特異的に結合する第1のドメインは、配列番号13の重鎖可変領域(VH)及び配列番号14の軽鎖可変領域(VL)を含み、c-Metに特異的に結合する第2のドメインは、配列番号15のVH及び配列番号16のVLを含む。
【0224】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、IgG1アイソタイプである。
【0225】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、配列番号17の第1の重鎖(HC1)、配列番号18の第1の軽鎖(LC1)、配列番号19の第2の重鎖(HC2)、及び配列番号20の第2の軽鎖(LC2)を含む。
【0226】
一実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、1つ以上のFcサイレンシング変異を含む。
【0227】
一実施形態では、1つ以上のFcサイレンシング変異は、Fcγ受容体に対する親和性を減少させる。
【0228】
一実施形態では、1つ以上のFcサイレンシング変異は、V234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331Sを含む。
【0229】
一実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1%~約15%の間のフコース含量を有する二分岐グリカン構造を含む。低フコース含量を有する抗体は、以下などの二分岐複合体型のFcオリゴ糖を有する比較的高度に脱フコシル化された抗体の発現を成功させることが報告されている様々な方法を使用して作製することができる:培養物の浸透圧の制御(Konno et al.,Cytotechnology 64(:249-65,2012)、宿主細胞株としてのバリアントCHO株Lec13の適用(Shields et al.,J Biol Chem 277:26733-26740,2002)、宿主細胞株としてのバリアントCHO株EB66の適用(Olivier et al.,MAbs;2(4),2010;印刷前に電子出版;PMID:20562582)、宿主細胞株としてのラットハイブリドーマ細胞株YB2/0の適用(Shinkawa et al.,J Biol Chem 278:3466-3473,2003)、1,6-フコシルトランスフェラーゼ(FUT8)遺伝子に対して特異的な低分子干渉RNAの導入(Mori et al.,Biotechnol Bioeng88:901-908,2004)、又はβ-1,4-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII及びゴルジα-マンノシダーゼII又は強力なアルファ-マンノシダーゼI阻害剤であるキフネンシンの共発現(Ferrara et al.,J Biol Chem281:5032-5036,2006、Ferrara et al.,Biotechnol Bioeng 93:851-861,2006、Xhou et al.,Biotechnol Bioeng 99:652-65,2008)。概して、抗体のグリカン中のフコース含量を低下させることにより、抗体媒介性細胞毒性(ADCC)が増強される。
【0230】
米国特許第9,593,164号に記載されているように、アミバンタマブと比較したときに同様の特徴を示す限り、公に利用可能な他の二重特異性抗EGFR/c-Met抗体を本開示の方法で使用してもよい。本開示の方法で使用され得る二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、公に入手可能であるEGFR結合VH/VLドメインとc-Met結合VH/VLドメインとを組み合わせ、得られた二重特異性抗体を米国特許第9,593,164号に記載のとおりその特徴について試験することによっても生成され得る。
【0231】
本開示の方法で使用される二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、例えば、無細胞環境においてインビトロで又は共発現を使用して、異なる特異性を有する2つの抗体半分子のヘテロ二量体を形成しやすくなるように各半分子における重鎖CH3界面に置換を導入することによって、2つの単一特異性二価抗体間でのFabアーム交換(又は半分子交換)を使用して生成することができる。Fabアーム交換反応は、ジスルフィド結合異性化反応及びCH3ドメインの解離-会合の結果である。親単一特異性抗体のヒンジ領域における重鎖ジスルフィド結合は減少する。親単一特異性抗体のうちの1つの得られた遊離システインは、第2の親単一特異性抗体分子のシステイン残基と重鎖内ジスルフィド結合を形成し、同時に、親抗体のCH3ドメインは、解離-会合により放出され及び再形成する。FabアームのCH3ドメインは、ホモ二量体化よりもヘテロ二量体化に有利となるように操作され得る。得られる生成物は、各々異なるエピトープ、すなわち、EGFRにおけるエピトープ及びc-Metにおけるエピトープに結合する2つのFabアーム又は半分子を有する二重特異性抗体である。例えば、本発明の二重特異性抗体は、国際公開第2011/131746号に記載の技術を使用して生成することができる。IgG1抗体の場合、一方の重鎖における変異F405L及び他方の重鎖におけるK409Rを使用することができる。IgG2抗体では、F405L及びR409K置換を有する野生型IgG2及びIgG2抗体を使用してもよい。IgG4抗体では、F405L及びR409K置換を有する野生型IgG4及びIgG4抗体を使用してもよい。二重特異性抗体を生成するために、第1の単一特異性二価抗体及び第2の単一特異性二価抗体を、Fc領域に前述の変異を有するように操作し、ヒンジ領域でシステインがジスルフィド結合異性化を受けることができる十分な還元条件下で、抗体を一緒にインキュベートし、それにより、Fabアーム交換により二重特異性抗体が生成される。インキュベート条件は、最適には、非還元条件に戻され得る。使用され得る例示的な還元剤は、2-メルカプトエチルアミン(2-mercaptoethylamine、2-MEA)、ジチオスレイトール(dithiothreitol、DTT)、ジチオエリスリトール(dithioerythritol、DTE)、グルタチオン、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(tris(2-carboxyethyl)phosphine、TCEP)、L-システイン、及びβ-メルカプトエタノールである。例えば、少なくとも20℃の温度で、少なくとも25mMの2-MEAの存在下又は少なくとも0.5mMのジチオスレイトールの存在下で、pH5~8、例えばpH7.0又はpH7.4で、少なくとも90分間のインキュベートを使用することができる。
【0232】
本開示の方法で使用される二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、ノブ-イン-ホール(Genentech)、CrossMAb(Roche)及び静電的適合(electrostatically-matched)(Chugai,Amgen,NovoNordisk,Oncomed)、LUZ-Y(Genentech)、Strand Exchange Engineered Domain body(SEEDbody)(EMD Serono)、及びBiclonic(Merus)などの設計を使用して生成することもできる。
【0233】
「ノブ-イン-ホール」手法(例えば、国際公開第2006/028936号を参照されたい)において、ヒトIgGのCH3ドメインの界面を形成する選択アミノ酸は、ヘテロ二量体形成を促進するために、CH3ドメイン相互作用に影響を及ぼす位置に変異を導入され得る。小さな側鎖を有するアミノ酸(ホール)が、第1の抗原に特異的に結合する抗体の重鎖内に導入され、大きな側鎖を有するアミノ酸(ノブ)が、第2の抗原に特異的に結合する抗体の重鎖内に導入される。2つの抗体の共発現後に、ヘテロ二量体が、「ホール」を有する重鎖と「ノブ」を有する重鎖との優先的な相互作用の結果として形成される。ノブ及びホールを形成する例示的なCH3置換ペアは、T366Y/F405A、T366W/F405W、F405W/Y407A、T394W/Y407T、T394S/Y407A、T366W/T394S、F405W/T394S、及びT366W/T366S_L368A_Y407Vである(第1の重鎖の第1のCH3ドメインにおける修飾位置/第2の重鎖の第2のCH3ドメインにおける修飾位置として表現される)。
【0234】
Fabアーム交換のプロモータへの「ノブ-イン-ホール」手法の利用に加えて、CrossMAb技術は、半アームのうちの1つにCH1/CLドメイン交換を利用して、得られる二重特異性抗体の正しい軽鎖の対合を保証する(例えば、米国特許第8,242,247号を参照されたい)。
【0235】
他の交差手法を使用して、二重特異性抗体の重鎖と軽鎖の間又は重鎖内で、一方又は両方のアームにおいて、可変又は定常、又は両ドメインを交換することによって、本発明の完全長二重特異性抗体を生成してもよい。これらの交換としては、例えば、国際公開第2009/080254号、同第2009/080251号、同第2009/018386号、及び同第2009/080252号に記載されるVH-CH1とVL-CL、VHとVL、CH3とCL、及びCH3とCH1が挙げられる。
【0236】
他の手法、例えば、あるCH3表面における正に荷電した残基及び第2のCH3表面における負に荷電した残基を置換することによる静電的相互作用を使用する重鎖ヘテロ二量体化の促進が、米国特許出願公開第2010/0015133号、米国特許出願公開第2009/0182127号、米国特許出願公開第2010/028637号、又は米国特許出願公開第2011/0123532号に記載されるように使用されてもよい。他の手法では、ヘテロ二量体化は、米国特許出願公開第2012/0149876号又は米国特許出願公開第2013/0195849号に記載されているように、以下の置換:L351Y_F405A_Y407V/T394W、T366I_K392M_T394W/F405A_Y407V、T366L_K392M_T394W/F405A_Y407V、L351Y_Y407A/T366A_K409F、L351Y_Y407A/T366V_K409F、Y407A/T366A_K409F、又はT350V_L351Y_F405A_Y407V/T350V_T366L_K392L_T394W(第1の重鎖の第1のCH3ドメインにおける修飾位置/第2の重鎖の第2のCH3ドメインにおける修飾位置として表す)により促進することができる。
【0237】
SEEDbody技術を利用して、本発明の二重特異性抗体を生成してもよい。SEEDbodyは、それらの定常ドメインにおいて、米国特許出願公開第20070287170号に記載されるように、ヘテロ二量体化を促進するためにIgA残基で置換された選択IgG残基を有する。
【0238】
変異は、典型的には、標準的な方法を使用して、抗体の定常ドメインなどの分子に対してDNAレベルで行われる。
【0239】
キット
本発明はまた、本明細書に記載される1つ以上のバイオマーカーの存在又はレベルを決定するための1つ以上の試薬のいずれかを含む、キットを提供する。キットは、治療用途のために、及び診断キットとして使用することができる。
【0240】
キットは、パッケージ;使用説明書;他の試薬、例えば、標識、治療剤、又はキレート化若しくは別様のカップリングに有用な薬剤、標識若しくは治療剤に対する抗体、又は放射線防護組成物;投与するために抗体を調製するためのデバイス又は他の材料;医薬的に許容される担体、及び対象に投与するためのデバイス又は他の材料を含む、1つ以上の他の要素を含み得る。
【0241】
いくつかの実施形態では、本開示のキットは、がん、例えば、肺がんを有する対象由来の腫瘍DNAにおける変異などであるが、これらに限定されない、本明細書に記載の任意の1つ以上の変異の存在を決定するための1つ以上の試薬を含む。いくつかの実施形態では、腫瘍DNAは循環腫瘍DNA(ctDNA)である。
【0242】
キットを使用して、変異の存在を検出することができる。変異の非限定的な例は、PIK3CA E545K、PIK3CA E542K/V、PIK3CA H1047R、PIK3CA増幅、本明細書に記載のRAS/RAF/MEK経路からの1つ以上の遺伝子における変異、本明細書に記載のWNT/b-カテニン経路からの1つ以上の遺伝子における変異、KRAS G12V/C/D/X(XはG、V、C及びD以外の任意のアミノ酸である)、KRAS増幅、BRAF V600E、BRAF増幅、CCND1増幅、CCND2増幅、CCNE1増幅、CDK4増幅、CDK6増幅、HER2増幅、HER2発がん性変化、PTEN欠失、PTEN N48K、CDKN2A G101W、CDKN2B変異、ALK融合、FGFR3-TACC3及び他の融合(例えば、TPM3-NTRK1融合)、RET融合、BRAF融合及び他の発がん性融合イベント、EGFR C797S、EGFR L792H、EGFR増幅、EGFR G796S、EGFR L718X(Xは任意のアミノ酸である)、EGFR E709K、EGFR G724S、MET増幅、及びMETエクソン14スキッピング(METex14)変異である。
【0243】
いくつかの実施形態では、RAS/RAF/MEK経路からの1つ以上の遺伝子における変異は、FGFR3融合、BRAF G469A、BRAF V600E、ERBB2コピー数変化、ALK融合、ERBB2 I767M、ERBB2 V777L、KRAS A18V、KRASコピー数変化、KRAS G12X(Xは任意のアミノ酸である)、NRAS Q61R、PDGFRAコピー数変化、及びRET融合を含む。いくつかの実施形態では、KRAS G12X変異は、KRAS G12D、KRAS G12A、KRAS G12C及びKRAS G12Vである。
【0244】
いくつかの実施形態では、WNT/b-カテニン経路からの1つ以上の遺伝子における変異は、APC Q1469、APC R405、APC S713、CTNNB1 S33P、CTNNB1 S37C、CTNNB1 S37F、及びCTNNB1 S45Pを含む。
【0245】
HER2発がん性変化の非限定的な例としては、HER2 Y772_A775重複、HER2 L755M/S/W及びHER2 S310F/Yが挙げられる。PTEN欠失の非限定的な例としては、PTEN I33del及びPTEN I14delが挙げられる。ALK融合の非限定的な例としては、SQSTM1-ALK融合及びEML4-ALK融合が挙げられる。RET融合の非限定的な例としては、CCDC6-RET融合、KIF5B-RET融合、及びNCOA4-RET融合が挙げられる。BRAF融合の非限定的な例としては、Ross et al.,Int.J.Cancer:138,881-890(2016)(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるもの、例えば、KIAA1549-BRAF、MKRN1-BRAF、TRIM24-BRAF、AGAP3-BRAF、ZC3HAV1-BRAF、AKAP9-BRAF、CCDC6-BRAF、AGK-BRAF、EPS15-BRAF、NUP214-BRAF、ARMC10-BRAF、BTF3L4-BRAF、GHR-BRAF、ZNF767-BRAF、CCDC91-BRAF、DYNC1I2-BRAF、ZKSCAN1-BRAF、GTF2I-BRAF、MZT1-BRAF、RAD18-BRAF、CUX1-BRAF、SLC12A7-BRAF、MYRIP-BRAF、SND1-BRAF、NUB1-BRAF、KLHL7-BRAF、TANK-BRAF、RBMS3-BRAF、STRN3-BRAF、STK35-BRAF、ETFA-BRAF、SVOPL-BRAF、及びJHDM1D-BRAFが挙げられる。他の発がん性融合イベントとしては、Gao et al.,Cell Rep.2018 April 03;23(1):227-238.e3.(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)の図1に記載されるものを含むが、これらに限定されない。
【0246】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、(i)がんを有する対象由来の腫瘍DNAにおける1つ以上の変異の存在を決定するための1つ以上の試薬と、(ii)任意選択的に、パッケージ及び/又は使用説明書と、を含む、診断キットであって、1つ以上の変異が、RAS/RAF/MEK経路由来の1つ以上の遺伝子における変異及びPIK3CAにおける変異から選択される、診断キットである。いくつかの実施形態では、RAS/RAF/MEK経路からの1つ以上の遺伝子は、FGFR3、KRAS、BRAF、ERBB2、ALK、NRAS、PDGFRA及び/又はRETである。いくつかの実施形態では、RAS/RAF/MEK経路からの1つ以上の遺伝子における変異は、FGFR3融合、BRAF G469A、BRAF V600E、ERBB2コピー数変化、ALK融合、ERBB2 I767M、ERBB2 V777L、KRAS A18V、KRASコピー数変化、KRAS G12X(Xは任意のアミノ酸である)、NRAS Q61R、PDGFRAコピー数変化、及びRET融合を含む。いくつかの実施形態では、KRAS G12X変異は、KRAS G12D、KRAS G12A、KRAS G12C及びKRAS G12Vである。いくつかの実施形態では、PIK3CAにおける変異は、PIK3CA E545Kを含む。
【0247】
上記のキットのいくつかの実施形態では、1つ以上の変異は、WNT/b-カテニン経路からの1つ以上の遺伝子における変異から更に選択される。いくつかの実施形態では、WNT/b-カテニン経路からの1つ以上の遺伝子は、APC及びCTNNB1である。いくつかの実施形態では、WNT/b-カテニン経路からの1つ以上の遺伝子における変異は、APC Q1469、APC R405、APC S713、CTNNB1 S33P、CTNNB1 S37C、CTNNB1 S37F、及びCTNNB1 S45Pを含む。
【0248】
いくつかの態様では、キットは、診断キットであってもよく、診断キットは、(i)がんを有する対象由来の腫瘍DNA(例えば、循環腫瘍DNA(ctDNA))における1つ以上の変異の存在を決定するための1つ以上の試薬と、(ii)任意選択的に、パッケージ及び/又は使用説明書とを含み、1つ以上の変異は、以下の2つの群:(1)PIK3CA E545K、PIK3CA E542K/V、PIK3CA H1047R、PIK3CA増幅、KRAS G12V/C/D/X(XはG、V、C及びD以外の任意のアミノ酸である)、KRAS増幅、BRAF V600E、BRAF増幅、CCND1増幅、CCND2増幅、CCNE1増幅、CDK4増幅、CDK6増幅、HER2増幅、HER2発がん性変化、PTEN欠失、PTEN N48K、CDKN2A G101W、CDKN2B変異、ALK融合、FGFR3-TACC3及び他の融合(例えば、TPM3-NTRK1融合)、RET融合、BRAF融合及び他の発がん性融合イベント;及び(2)EGFR C797S、EGFR L792H、EGFR増幅、EGFR G796S、EGFR L718X(Xは任意のアミノ酸である)、EGFR E709K、EGFR G724S、MET増幅、及びMETエクソン14スキッピング(METex14)変異から選択される。いくつかの実施形態では、ctDNAは、対象から単離された生物学的試料中に存在してもよい。生物学的試料は、血液試料又は血漿試料などであるがこれらに限定されない、本開示の生物学的試料のいずれかであってもよい。いくつかの実施形態は、腫瘍DNAは、対象単離された腫瘍試料中に存在し得る。
【0249】
いくつかの実施形態では、診断キットは、対象由来の生物学的試料から腫瘍DNA(例えば、ctDNA)を精製するための1つ以上の試薬を更に含み得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の試薬を配列決定技術(例えば、次世代配列決定(NGS))と共に使用して、本明細書に開示される1つ以上の変異を決定することができる。
【0250】
ある特定の態様では、診断キットが提供され、当該診断キットは、(i)がんを有する対象由来の腫瘍試料中のEGFR及び/又はMETの発現レベルを決定するための1つ以上の試薬と、(ii)任意選択的に、パッケージ及び/又は使用説明書と、を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の試薬を免疫組織化学(IHC)と共に使用して、EGFR及び/又はMETの発現レベルを決定してもよい。
【0251】
例示的実施形態
1.対象におけるがんが、二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)二重特異性抗体及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む併用療法による治療に対して感受性であるか否かを決定するための方法であって、
a)対象から得られた腫瘍DNAにおける1つ以上の変異の存在を決定することであって、1つ以上の変異が、RAS/RAF/MEK経路からの1つ以上の遺伝子における変異及びPIK3CAにおける変異から選択される、ことと、
b)(i)当該対象由来の腫瘍DNAが当該変異を有しない場合、対象におけるがんを併用療法による治療に対して感受性であると同定すること、又は(ii)当該対象由来の腫瘍DNAが1つ以上の当該変異を有する場合、対象におけるがんを併用療法による治療に対して感受性でないと同定することと、を含む、方法である。
2.がんの治療を必要とする対象においてがんを治療するための方法であって、
a)対象から得られた腫瘍DNAにおける1つ以上の変異の存在を決定することであって、1つ以上の変異が、RAS/RAF/MEK経路からの1つ以上の遺伝子における変異及びPIK3CAにおける変異から選択される、ことと、
b)(i)当該対象由来の腫瘍DNAが当該変異を有しない場合、二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)二重特異性抗体及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む治療有効量の併用療法を対象に投与すること、又は(ii)当該対象由来の腫瘍DNAが1つ以上の当該変異を有する場合、(i)で使用される併用療法を含まないがん療法を対象に投与することと、を含む、方法である。
3.RAS/RAF/MEK経路からの1つ以上の遺伝子が、FGFR3、KRAS、BRAF、ERBB2、ALK、NRAS、PDGFRA及び/又はRETである、請求項1又は2に記載の方法。
4.RAS/RAF/MEK経路からの1つ以上の遺伝子における変異が、FGFR3融合、BRAF G469A、BRAF V600E、ERBB2コピー数変化、ALK融合、ERBB2 I767M、ERBB2 V777L、KRAS A18V、KRASコピー数変化、KRAS G12X(Xは任意のアミノ酸である)、NRAS Q61R、PDGFRAコピー数変化、及びRET融合を含む、請求項3に記載の方法。
5.KRAS G12X変異が、KRAS G12D、KRAS G12A、KRAS G12C及びKRAS G12Vである、請求項4に記載の方法。
6.PIK3CAにおける変異が、PIK3CA E545Kを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
7.1つ以上の変異が、WNT/b-カテニン経路からの1つ以上の遺伝子における変異から更に選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
8.WNT/b-カテニン経路からの1つ以上の遺伝子が、APC及びCTNNB1である、請求項6に記載の方法。
9.WNT/b-カテニン経路からの1つ以上の遺伝子における変異が、APC Q1469、APC R405、APC S713、CTNNB1 S33P、CTNNB1 S37C、CTNNB1 S37F、及びCTNNB1 S45Pを含む、請求項7に記載の方法。
10.対象におけるがんが、二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)二重特異性抗体及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む併用療法による治療に対して感受性であるか否かを決定するための方法であって、
a)対象から得られた腫瘍DNAにおける1つ以上の変異の存在を決定することであって、1つ以上の変異が、以下の2つの群:
(1)PIK3CA E545K、PIK3CA E542K/V、PIK3CA H1047R、PIK3CA増幅、KRAS G12V/C/D/X(XはG、V、C及びD以外の任意のアミノ酸である)、KRAS増幅、BRAF V600E、BRAF増幅、CCND1増幅、CCND2増幅、CCNE1増幅、CDK4増幅、CDK6増幅、HER2増幅、HER2発がん性変化、PTEN欠失、PTEN N48K、CDKN2A G101W、CDKN2B変異、ALK融合、FGFR3-TACC3融合、TPM3-NTRK1融合、RET融合、BRAF融合及び他の発がん性融合イベント;
(2)EGFR C797S、EGFR L792H、EGFR増幅、EGFR G796S、EGFR L718X(Xは任意のアミノ酸である)、EGFR E709K、EGFR G724S、MET増幅、及びMETエクソン14スキッピング(METex14)変異、から選択される、ことと、
b)(i)当該対象由来の腫瘍DNAが群(1)からの変異を有しないか、又は群(1)からの1つ以上の変異及び群(2)からの1つ以上の変異を有するかのいずれかである場合、対象におけるがんを、併用療法による治療に対して感受性であると同定すること、又は(ii)当該対象由来の腫瘍DNAが群(1)からの1つ以上の変異を有し、群(2)からの変異を有しない場合、対象におけるがんを、併用療法による治療に対して感受性でないと同定することと、を含む、方法。
11.がんの治療を必要とする対象においてがんを治療するための方法であって、
a)対象から得られた腫瘍DNAにおける1つ以上の変異の存在を決定することであって、1つ以上の変異が、以下の2つの群:
(1)PIK3CA E545K、PIK3CA E542K/V、PIK3CA H1047R、PIK3CA増幅、KRAS G12V/C/D/X、KRAS増幅、BRAF V600E、BRAF増幅、CCND1増幅、CCND2増幅、CCNE1増幅、CDK4増幅、CDK6増幅、HER2増幅、HER2発がん性変化、PTEN欠失、PTEN N48K、CDKN2A G101W、CDKN2B、ALK融合、FGFR3-TACC3及び他の融合、RET融合、BRAF融合、並びに他の発がん性融合イベント;
(2)EGFR C797S、EGFR L792H、EGFR増幅、EGFR G796S、EGFR L718X(Xは任意のアミノ酸である)、EGFR E709K、EGFR G724S、MET増幅、及びMETエクソン14スキッピング(METex14)変異、から選択される、ことと、
b)(i)当該対象由来の腫瘍DNAが群(1)からの変異を有しないか、又は群(1)からの1つ以上の変異及び群(2)からの1つ以上の変異を有するかのいずれかである場合、二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)二重特異性抗体及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む治療有効量の併用療法を対象に投与すること、又は(ii)当該対象由来の腫瘍DNAが群(1)からの1つ以上の変異を有し、群(2)からの変異を有しない場合、(i)で使用される併用療法を含まないがん療法を対象に投与することと、を含む、方法。
12.HER2発がん性変化が、HER2 Y772_A775重複、HER2 L755M/S/W及びHER2 S310F/Yを含む、実施形態10又は11に記載の方法。
13.PTEN欠失が、PTEN I33del及びPTEN I14delを含む、実施形態10~12のいずれか1つに記載の方法。
14.ALK融合が、SQSTM1-ALK融合及びEML4-ALK融合を含む、実施形態10~13のいずれか1つに記載の方法。
15.RET融合が、CCDC6-RET融合、KIF5B-RET融合及びNCOA4-RET融合を含む、実施形態10~14のいずれか1つに記載の方法。
16.がんが、肺がんである、実施形態1~15のいずれか1つに記載の方法。
17.肺がんが、非小細胞肺がん(NSCLC)である、実施形態16に記載の方法。
18.対象におけるがんが、併用療法において使用されるEGFR TKIと同じではないEGFR TKIによる治療に対して耐性がある、実施形態1~17のいずれか1つに記載の方法。
19.がんが耐性があるEGFR TKIが、オシメルチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、ロシレチニブ、オルムチニブ、及びそれらの任意の組み合わせから選択される、実施形態18に記載の方法。
20.がんが耐性があるEGFR TKIが、オシメルチニブである、実施形態19に記載の方法。
21.対象が、化学療法未経験である、実施形態1~20のいずれか1つに記載の方法。
22.対象由来の腫瘍DNAが、少なくとも1つのEGFR活性化変異を有する、実施形態1~21のいずれか1つに記載の方法。
23.EGFR活性化変異が、エクソン19欠失、L858R、及びT790Mから選択される、実施形態22に記載の方法。
24.腫瘍DNAが、循環腫瘍DNA(ctDNA)である、実施形態1~23のいずれか1つに記載の方法。
25.ctDNAが、対象から単離された生物学的試料中に存在する、実施形態24に記載の方法。
26.生物学的試料が、血液試料又は血漿試料である、実施形態25に記載の方法。
27.ctDNAが、変異同定の前に生物学的試料から単離される、実施形態25又は26に記載の方法。
28.腫瘍DNAが、対象から単離された腫瘍試料中に存在する、実施形態1~27のいずれか1つに記載の方法。
29.腫瘍DNAが、変異同定の前に腫瘍試料から単離される、実施形態28に記載の方法。
30.1つ以上の変異が、配列決定によって決定される、実施形態1~29のいずれか1つに記載の方法。
31.1つ以上の変異が、次世代配列決定(NGS)を使用して決定される、実施形態30に記載の方法。
32.二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、EGFRに特異的に結合する第1のドメインと、c-Metに特異的に結合する第2のドメインとを含み、第1のドメインが、配列番号1の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含み、c-Metに結合する第2のドメインが、配列番号7のHCDR1、配列番号8のHCDR2、配列番号9のHCDR3、配列番号10のLCDR1、配列番号11のLCDR2、及び配列番号12のLCDR3を含む、実施形態1~31のいずれか1つに記載の方法。
33.EGFRに特異的に結合する第1のドメインが、配列番号13の重鎖可変領域(VH)及び配列番号14の軽鎖可変領域(VL)を含み、c-Metに特異的に結合する第2のドメインが、配列番号15のVH及び配列番号16のVLを含む、実施形態32に記載の方法。
34.二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、IgG1アイソタイプである、実施形態32又は33に記載の方法。
35.二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、配列番号17の第1の重鎖(HC1)、配列番号18の第1の軽鎖(LC1)、配列番号19の第2の重鎖(HC2)、及び配列番号20の第2の軽鎖(LC2)を含む、実施形態1~34のいずれか1つに記載の方法。
36.二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、約1%~約15%のフコース含量を有する二分岐グリカン構造を含む、実施形態1~35のいずれか1つに記載の方法。
37.二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、対象に静脈内投与される、実施形態1~36のいずれか1つに記載の方法。
38.二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、約140mg~約2240mgの用量で投与される、実施形態37に記載の方法。
39.二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、900mg、950mg、1000mg、1050mg、1100mg、1150mg、1200mg、1250mg、1300mg、1350mg、1400mg、1575mg、1600mg、2100mg、又は2240mgの用量で投与される、実施形態38に記載の方法。
40.対象が80kg未満の体重を有する場合、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、1050mgの用量で投与される、実施形態39に記載の方法。
41.対象が80kg以上の体重を有する場合、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、1400mgの用量で投与される、実施形態39に記載の方法。
42.二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、対象に皮下又は皮内投与される、実施形態1~36のいずれか1つに記載の方法。
43.二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、対象において治療効果を達成するのに十分な用量で皮下又は皮内投与される、実施形態42に記載の方法。
44.二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、週2回、週1回、2週間に1回、3週間に1回、又は4週間に1回投与される、実施形態1~43のいずれか1つに記載の方法。
45.二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と組み合わせて投与されるEGFR TKIが、ラゼルチニブである、実施形態1~44のいずれか1つに記載の方法。
46.二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と組み合わせて投与されるEGFR TKIが、約20~約320mgの用量で投与される、実施形態1~45のいずれか1つに記載の方法。
47.二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と組み合わせて投与されるEGFR TKIが、約240mgの用量で投与される、実施形態1~46のいずれか1つに記載の方法。
48.二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と組み合わせて投与されるEGFR TKIが、毎日、隔日、週2回、又は週1回投与される、実施形態1~47のいずれか1つに記載の方法。
49.二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と組み合わせて投与されるEGFR TKIが、毎日投与される、実施形態1~48のいずれか1つに記載の方法。
50.二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と組み合わせて投与されるEGFR TKIが、経口投与される、実施形態1~49のいずれか1つに記載の方法。
51.(i)で使用される併用療法を含まないがん療法が、白金ベースの化学療法である、実施形態2~9及び11~50のいずれか1つに記載の方法。
52.白金ベースの化学療法が、カルボプラチン及び/又はシスプラチンを含む、実施形態51に記載の方法。
53.ステップ(a)の前に対象から生物学的試料を得ることを含み、この際、生物学的試料が腫瘍DNAを含み、任意選択的に生物学的試料から腫瘍DNAを精製することを含む、実施形態1~52のいずれか1つに記載の方法。
54.対象におけるがんが、二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)二重特異性抗体及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む併用療法による治療に対して感受性であるか否かを決定するための方法であって、
a)免疫組織化学(IHC)を使用して、対象から得られた腫瘍試料におけるEGFR又はMETの発現レベルを決定することと、
b)ステップ(a)で決定されたEGFR又はMETの発現レベルに基づいて、0~3+のスケールで染色強度スコアを決定することと、
c)(i)染色強度スコアが3+である場合、対象におけるがんを、併用療法による治療に対して感受性であると同定すること、又は(ii)染色強度スコアが3+未満である場合、対象におけるがんを、併用療法による治療に対して感受性でないと同定することと、を含む、方法。
55.ステップ(c)が、腫瘍試料の細胞の25%以上において染色強度スコアが3+である場合、対象におけるがんを併用療法による治療に感受性であると同定すること、又は(ii)腫瘍試料の25%未満の細胞において染色強度スコアが3+である場合、対象におけるがんを併用療法による治療に感受性でないと同定することを含む、請求項54に記載の方法。
56.がんの治療を必要とする対象においてがんを治療するための方法であって、
a)免疫組織化学(IHC)を使用して、対象から得られた腫瘍試料におけるEGFR又はMETの発現レベルを決定することと、
b)ステップ(a)で決定されたEGFR又はMETの発現レベルに基づいて、0~3+のスケールで染色強度スコアを決定することと、
c)(i)染色強度スコアが3+である場合、二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)二重特異性抗体及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む治療有効量の併用療法を対象に投与すること、又は(ii)染色強度スコアが3+未満である場合、(i)において使用される併用療法を対象に投与しないこと、又は(i)において使用される併用療法を含まないがん療法を対象に投与することと、を含む、方法を提供する。
57.ステップ(c)において、(i)腫瘍試料の細胞の25%以上において染色強度スコアが3+である場合、治療有効量の併用療法を対象に投与する、又は(ii)腫瘍試料の25%未満の細胞において染色強度スコアが3+である場合、(i)において使用される併用療法を対象に投与しない、若しくは(i)において使用される併用療法を含まないがん療法を対象に投与する、請求項56に記載の方法。
58.対象におけるがんが、二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)二重特異性抗体及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む併用療法による治療に対して感受性であるか否かを決定するための方法であって、
a)免疫組織化学(IHC)を使用して、対象から得られた腫瘍試料におけるEGFR及びMETの発現レベルを決定することと、
b)ステップ(a)で決定されたEGFR及びMETの発現レベルに基づいて複合Hスコアを計算することと、
c)(i)複合Hスコアが400以上である場合、対象におけるがんを、併用療法による治療に対して感受性であると同定すること、又は(ii)複合Hスコアが400未満である場合、対象におけるがんを、併用療法による治療に対して感受性でないと同定することと、を含む、方法。
59.がんの治療を必要とする対象においてがんを治療するための方法であって、
a)免疫組織化学(IHC)を使用して、対象から得られた腫瘍試料におけるEGFR及びMETの発現レベルを決定することと、
b)ステップ(a)で決定されたEGFR及びMETの発現レベルに基づいて複合Hスコアを計算することと、
c)(i)複合Hスコアが400以上である場合、二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)二重特異性抗体及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む治療有効量の併用療法を対象に投与することと、(ii)複合Hスコアが400未満である場合、(i)において使用される併用療法を対象に投与しないこと、又は(i)において使用される併用療法を含まないがん療法を対象に投与することと、を含む、方法である。
60.がんが、肺がんである、実施形態54~59のいずれか1つに記載の方法。
61.肺がんが、非小細胞肺がん(NSCLC)である、実施形態60に記載の方法。
62.対象におけるがんが、併用療法において使用されるEGFR TKIと同じではないEGFR TKIによる治療に対して耐性がある、実施形態54~61のいずれか1つに記載の方法。
63.がんが耐性があるEGFR TKIが、オシメルチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、ロシレチニブ、オルムチニブ、及びそれらの任意の組み合わせから選択される、実施形態62に記載の方法。
64.がんが耐性があるEGFR TKIが、オシメルチニブである、実施形態63に記載の方法。
65.対象が、化学療法未経験である、実施形態54~64のいずれか1つに記載の方法。
66.対象の腫瘍が、少なくとも1つのEGFR活性化変異を有する、実施形態54~65のいずれか1つに記載の方法。
67.EGFR活性化変異が、エクソン19欠失、L858R、及びT790Mから選択される、実施形態66に記載の方法。
68.二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、EGFRに特異的に結合する第1のドメインと、c-Metに特異的に結合する第2のドメインとを含み、第1のドメインが、配列番号1の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含み、c-Metに結合する第2のドメインが、配列番号7のHCDR1、配列番号8のHCDR2、配列番号9のHCDR3、配列番号10のLCDR1、配列番号11のLCDR2、及び配列番号12のLCDR3を含む、実施形態64~67のいずれか1つに記載の方法。
69.EGFRに特異的に結合する第1のドメインが、配列番号13の重鎖可変領域(VH)及び配列番号14の軽鎖可変領域(VL)を含み、c-Metに特異的に結合する第2のドメインが、配列番号15のVH及び配列番号16のVLを含む、実施形態68に記載の方法。
70.二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、IgG1アイソタイプである、実施形態68又は69に記載の方法。
71.二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、配列番号17の第1の重鎖(HC1)、配列番号18の第1の軽鎖(LC1)、配列番号19の第2の重鎖(HC2)、及び配列番号20の第2の軽鎖(LC2)を含む、実施形態68~70のいずれか1つに記載の方法。
72.二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、約1%~約15%のフコース含量を有する二分岐グリカン構造を含む、実施形態54~71のいずれか1つに記載の方法。
73.二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、対象に静脈内投与される、実施形態54~72のいずれか1つに記載の方法。
74.二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、約140mg~約2240mgの用量で投与される、実施形態73に記載の方法。
75.二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、900mg、950mg、1000mg、1050mg、1100mg、1150mg、1200mg、1250mg、1300mg、1350mg、1400mg、1575mg、1600mg、2100mg、又は2240mgの用量で投与される、実施形態74に記載の方法。
76.対象が80kg未満の体重を有する場合、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、1050mgの用量で投与される、実施形態75に記載の方法。
77.対象が80kg以上の体重を有する場合、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、1400mgの用量で投与される、実施形態75に記載の方法。
78.二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、対象に皮下又は皮内投与される、実施形態54~72のいずれか1つに記載の方法。
79.二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、対象において治療効果を達成するのに十分な用量で皮下又は皮内投与される、実施形態78に記載の方法。
80.二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、週2回、週1回、2週間に1回、3週間に1回、又は4週間に1回投与される、実施形態54~79のいずれか1つに記載の方法。
81.二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と組み合わせて投与されるEGFR TKIが、ラゼルチニブである、実施形態54~80のいずれか1つに記載の方法。
82.二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と組み合わせて投与されるEGFR TKIが、約20~約320mgの用量で投与される、実施形態54~81のいずれか1つに記載の方法。
83.二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と組み合わせて投与されるEGFR TKIが、約240mgの用量で投与される、実施形態54~82のいずれか1つに記載の方法。
84.二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と組み合わせて投与されるEGFR TKIが、毎日、隔日、週2回、又は週1回投与される、実施形態54~83のいずれか1つに記載の方法。
85.二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と組み合わせて投与されるEGFR TKIが、毎日投与される、実施形態54~84のいずれか1つに記載の方法。
86.二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と組み合わせて投与されるEGFR TKIが、経口投与される、実施形態54~85のいずれか1つに記載の方法。
87.(i)で使用される併用療法を含まないがん療法が、白金ベースの化学療法である、実施形態56~57及び59~86のいずれか1つに記載の方法。
88.白金ベースの化学療法が、カルボプラチン及び/又はシスプラチンを含む、実施形態87に記載の方法。
89.ステップ(a)の前に対象から腫瘍試料を得ることを含む、実施形態54~88のいずれか1つに記載の方法。
90.(i)がんを有する対象由来の腫瘍DNAにおける1つ以上の変異の存在を決定するための1つ以上の試薬と、(ii)任意選択的に、パッケージ及び/又は使用説明書と、を含む、診断キットであって、1つ以上の変異が、RAS/RAF/MEK経路由来の1つ以上の遺伝子における変異及びPIK3CAにおける変異から選択される、診断キット。
91.RAS/RAF/MEK経路からの1つ以上の遺伝子が、FGFR3、KRAS、BRAF、ERBB2、ALK、NRAS、PDGFRA及び/又はRETである、請求項90に記載の診断キット。
92.RAS/RAF/MEK経路からの1つ以上の遺伝子における変異が、FGFR3融合、BRAF G469A、BRAF V600E、ERBB2コピー数変化、ALK融合、ERBB2 I767M、ERBB2 V777L、KRAS A18V、KRASコピー数変化、KRAS G12X(Xは任意のアミノ酸である)、NRAS Q61R、PDGFRAコピー数変化、及びRET融合を含む、請求項91に記載の診断キット。
93.KRAS G12X変異が、KRAS G12D、KRAS G12A、KRAS G12C及びKRAS G12Vである、請求項92に記載の診断キット。
94.PIK3CAにおける変異が、PIK3CA E545Kを含む、請求項90~93のいずれか一項に記載の診断キット。
95.1つ以上の変異が、WNT/b-カテニン経路からの1つ以上の遺伝子における変異から更に選択される、請求項90~94のいずれか一項に記載の診断キット。
96.WNT/b-カテニン経路からの1つ以上の遺伝子が、APC及びCTNNB1である、請求項95に記載の診断キット。
97.WNT/b-カテニン経路からの1つ以上の遺伝子における変異が、APC Q1469、APC R405、APC S713、CTNNB1 S33P、CTNNB1 S37C、CTNNB1 S37F、及びCTNNB1 S45Pを含む、請求項96に記載の診断キット。
98.(i)がんを有する対象由来の腫瘍DNAにおける1つ以上の変異の存在を決定するための1つ以上の試薬と、(ii)任意選択的に、パッケージ及び/又は使用説明書と、を含む、診断キットであって、1つ以上の変異が、以下の2つの群:
(1)PIK3CA E545K、PIK3CA E542K/V、PIK3CA H1047R、PIK3CA増幅、KRAS G12V/C/D/X(XはG、V、C及びD以外の任意のアミノ酸である)、KRAS増幅、BRAF V600E、BRAF増幅、CCND1増幅、CCND2増幅、CCNE1増幅、CDK4増幅、CDK6増幅、HER2増幅、HER2発がん性変化、PTEN欠失、PTEN N48K、CDKN2A G101W、CDKN2B変異、ALK融合、FGFR3-TACC3融合、TPM3-NTRK1融合、RET融合、BRAF融合及び他の発がん性融合イベント;
(2)EGFR C797S、EGFR L792H、EGFR増幅、EGFR G796S、EGFR L718X(Xは任意のアミノ酸である)、EGFR E709K、EGFR G724S、MET増幅、及びMETエクソン14スキッピング(METex14)変異、から選択される、診断キット。
99.HER2発がん性変化が、HER2 Y772_A775重複、HER2 L755M/S/W及びHER2 S310F/Yを含む、実施形態98に記載の方法。
100.PTEN欠失が、PTEN I33del及びPTEN I14delを含む、実施形態98又は99に記載の方法。
101.ALK融合が、SQSTM1-ALK融合及びEML4-ALK融合を含む、実施形態98又は99に記載の方法。
102.RET融合が、CCDC6-RET融合、KIF5B-RET融合及びNCOA4-RET融合を含む、実施形態98~101のいずれか1つに記載の方法。
103.腫瘍DNAが、循環腫瘍DNA(ctDNA)である、実施形態90~102のいずれか1つに記載の診断キット。
104.ctDNAが、対象から単離された生物学的試料中に存在する、実施形態103に記載の診断キット。
105.生物学的試料が、血液試料又は血漿試料である、実施形態104に記載の診断キット。
106.腫瘍DNAが、対象から単離された腫瘍試料中に存在する、実施形態90~102のいずれか1つに記載の診断キット。
107.対象由来の生物学的試料から腫瘍DNAを精製するための1つ以上の試薬を更に含む、実施形態103~106のいずれか1つに記載の診断キット。
108.1つ以上の試薬を配列決定技術と共に使用して、1つ以上の変異を決定することができる、実施形態90~107のいずれか1つに記載の診断キット。
109.1つ以上の試薬を次世代配列決定(NGS)と共に使用して、1つ以上の変異を決定することができる、実施形態90~108のいずれか1つに記載の診断キット。
110.(i)がんを有する対象由来の腫瘍試料中のEGFR及び/又はMETの発現レベルを決定するための1つ以上の試薬と、(ii)任意選択的に、パッケージ及び/又は使用説明書と、を含む、診断キット。
111.1つ以上の試薬を免疫組織化学(IHC)と共に使用して、EGFR及び/又はMETの発現レベルを決定することができる、実施形態110に記載の診断キット。
【実施例
【0252】
本明細書において開示した実施形態のいくつかを更に説明するために、以下の実施例を提供する。これらの実施例は、例示を目的とするものであって、本開示の実施形態を制限するものではない。
【0253】
実施例1.オシメルチニブ再発性、化学療法未経験EGFR変異体(EGFRm)非小細胞肺がん(NSCLC)の治療のためのラゼルチニブと組み合わせたアミバンタマブ、及び応答のための潜在的バイオマーカー
本実施例は、EGFR変異体(EGFRm)非小細胞肺がん(NSCLC)の治療未経験患者及びオシメルチニブ(osi)再発患者における、アミバンタマブ(上皮成長因子受容体(EGFR)及び間葉上皮移行因子(MET)二重特異性抗体)及びラゼルチニブ(第3世代チロシンキナーゼ阻害剤(TKI))の組み合わせの予備的効力を調査した。簡単に説明すると、治療前腫瘍生検及び循環腫瘍DNA(ctDNA)を、組み合わせラゼルチニブ中のアミバンタマブの投与前に収集した。ctDNA又は腫瘍生検(バイオマーカー陽性[pos])のいずれかにおいて次世代配列決定(NGS)によって同定されたEGFR/METにおけるオシメルチニブ耐性変異又は増幅を、濃縮応答について評価した。EGFR及びMET発現についての免疫組織化学(IHC)染色もまた、応答についての潜在的バイオマーカーとして調査した。
【0254】
アミバンタマブ及びラゼルチニブの構造の概略図、並びにアミバンタマブの作用機序(MOA)の詳細な説明を図1に示す。上皮成長因子受容体変異体(EGFRm)非小細胞肺がん(NSCLC)におけるオシメルチニブに対する獲得耐性の進行を図2に例示する。具体的には、一次変異、例えば、EGFRドライバー変異(エクソン19欠失+L858R)は、EGFR依存性(C797S)又はMET依存性(MET増幅)であるものなどの耐性変異と共に同時発生し得るか、他の経路(例えば、PIK3CA、RAS/RAF/MEK、融合、サイクル)に関与し得るか、変換に起因し得るか、又はまだ不明(約40~50%)であり、それぞれオシメルチニブ耐性に寄与する。最終的に、オシメルチニブ耐性の複雑さは、複数の耐性機構の同時発生と共に不均一な耐性パターンから生じる可能性が高い。単一腫瘍病変の配列決定は、耐性における不均一なパターン又は同時発生する変異を明らかにしない場合があり、この意味で、血漿次世代配列決定(NGS)がより有用であり得る。循環腫瘍DNA(ctDNA)のNGSは、組織を得ることが困難であるため、オシメルチニブ耐性機構を特徴付けるために最も頻繁に使用されている方法である(Papadimitrakopoulou et al.,Annals of Oncol 29: VIII741,2018、Ramalingam et al.,Annals of Oncol 29:VIII740,2018)。
【0255】
本開示の方法によれば、化学療法の介入なしにオシメルチニブ中に進行したEGFRエクソン19欠失又はL858R変異NSCLCを有する患者(N=45)を、図3に示すように、進行中のCHRYSALIS研究の組み合わせコホートに登録した(NCT02609776、コホートE)。患者の人口統計及びベースライン疾患特徴の説明を図4に示す。治療前腫瘍生検及びctDNAを前向きに収集し、患者は、1050/1400mgアミバンタマブ+240mgラゼルチニブの組み合わせ用量を受けて、オシメルチニブ再発集団における安全及び効力を評価した。応答は、RECIST v1.1に従って治験責任医師によって評価された。ctDNA又は腫瘍生検(バイオマーカー陽性[pos])のいずれかにおいて次世代配列決定(NGS)によって同定されたEGFR/METにおけるオシメルチニブ耐性変異又は増幅を、濃縮応答について評価した。持続的な応答が、管理可能な安全を伴ってアミバンタマブ+ラゼルチニブの組み合わせで観察された(図5A~5B)。図5Aに示される標的病変の総径和(SoD)を、E.A.Eisenhauer et al.,New response evaluation criteria in solid tumours:Revised RECIST guideline(version 1.1)、European J of Cancer 45(2009)228-247に記載されるように測定した。安全プロファイルは、本発明者らによるアミバンタマブ+ラゼルチニブを用いた以前の経験と一致した(Cho et al.,Ann Oncol 31:S813,2020)。最も一般的な有害イベント(AE)は、注入に伴う反応(infusion-related reaction、IRR;78%)、発疹(座瘡様皮膚炎51%+発疹27%)、及び爪囲炎(49%)であり、これらの大部分はグレード1~2であった。治療関連事例のうち、16%がグレード≧3のAEであり、4%が中止であり、18%が用量低減であった。
【0256】
本実施例の重要な知見の中で、45人のオシメルチニブ再発患者のうち、36%(95%信頼区間[CI]、22~51)が、確認された応答(1人の完全奏効及び15人の部分奏効[PR])を有した。8.2ヶ月(1.0~11.8)の追跡中央値で、患者45人中20人(44%)が治療を継続した。患者16人中11人(69%)が応答を継続しており(2.6~9.6+か月)、奏効期間中央値には達していない(NR)。無増悪生存期間中央値(mPFS)は4.9ヶ月(95%CI、3.7~8.3)であった。
【0257】
合計で、45人中44人の患者がctDNAによって評価可能であり、45人中29人が腫瘍NGSによって評価可能であった。遺伝子検査により17人のバイオマーカー陽性患者が同定され、そのうちの8人(47%)が応答した(図6A~6B)。8.2ヶ月(1.0~11.8)の追跡中央値で、患者45人中20人(44%)が治療を継続する。患者16人中11人(69%)が応答を継続しており(2.6~9.6+か月)、奏効期間中央値には達していない(NR)。無増悪生存期間中央値(mPFS)は4.9ヶ月(95%CI、3.7~8.3)であった。図6Aは、EGFR系耐性群、MET系耐性群、及びEGFR+MET(EGFR+MET)系耐性群に関する腫瘍体積における最良の変化パーセンテージのプロットを示す。図6Bは、EGFRベース、METベース、及び追加の耐性群について決定された遺伝子変化の概要チャートを示す。
【0258】
残りの28人の患者のうち、8人(29%)が応答した(図7A~7B)。これら28人の患者のうち、18人は、オシメルチニブ耐性の不明な機構を有し(8 PR)、10人は、同定された非EGFR/MET耐性機構を有した(応答しなかった)。バイオマーカー陽性患者及び残りの患者のmPFS(95%CI)は、それぞれ、6.7ヶ月(3.4~NR)及び4.1ヶ月(4-9~1.5)であった。図7Aは、不明な耐性機構及びEGFR/MET非依存性耐性群についての腫瘍体積における最良の変化パーセンテージのプロットを示す。図7Bは、EGFR/MET非依存性群について決定された遺伝子変化、例えば、変異のサブセットの概要チャートを示す。非限定的な例として、例示的なEGFR/MET非依存性遺伝子変化としては、PIK3CA E545K、PIK3CA E542K/V、PIK3CA H1047R、PIK3CA増幅、KRAS G12V/C/D/X、KRAS増幅、BRAF V600E、BRAF増幅、CCND1増幅、CCND2増幅、CCNE1増幅、CDK4増幅、CDK6増幅、HER2増幅、HER2発がん性変化、PTEN欠失、PTEN N48K、CDKN2A G101W、CDKN2B、ALK融合、FGFR3-TACC3及び他の融合、RET融合、BRAF融合、並びに他の発がん性融合イベントが含まれ得る。本発明の層別化方法によれば、そのようなEGFR/MET非依存性変異が存在しない場合、患者は、本明細書に開示されるアミバンタマブとラゼルチニブの併用治療の候補であり得る。図7A~7Bに例示されるように、非EGFR非MET(すなわち、EGFR/MET非依存性)耐性機構を有し、更にEGFR系耐性変異、例えば、EGFR C797S、EGFR L792H、EGFR増幅、EGFR G796S、EGFR L718X(Xは任意のアミノ酸である)、EGFR E709K、及びEGFR G724S、並びに/又はMET系耐性変異、例えば、MET増幅、及びMETエクソン14スキッピング(METex14)変異(例えば、図6Bを参照されたい)を欠くと決定された患者は、ラゼルチニブ治療と組み合わせたアミバンタマブによる治療から除外される。これらのデータは、そのような患者がこの組み合わせに応答する確率が低いことを示しており、現在の標準治療を考慮すると、代わりに、例えば、白金ベースの化学療法で治療される。
【0259】
EGFR及びMETについてIHC試験を行うために、20人の患者の適切な組織が利用可能であった(図8)。10人の患者生検試料は、EGFR/METについて免疫陽性(IHC+)であり、EGFR+METの複合(EGFR+MET)Hスコア≧400を示した。残りの10個の患者生検試料をIHC-と定義した。IHC+患者は、90%(9/10患者)の全奏効率(ORR)、9.7ヶ月の奏効期間中央値(mDOR)、100%の臨床的有用率(CBR)、及び12.5ヶ月の無増悪生存期間中央値(mPFS)を有した。IHC+群における5人の応答者は、不明な遺伝的機構を有した。陽性応答者(PR)の高い提示がIHC+群において観察され、腫瘍体積のより大きなパーセンテージの減少と関連していた。これらのデータは、高発現を示すMET及び/又はEGFRのIHCが、アミバンタマブ/ラゼルチニブ併用治療に対する治療応答の正の予測因子であることを示唆する。
【0260】
本実施例は、アミバンタマブとラゼルチニブとの組み合わせによる治療が、オシメルチニブ中に進行した化学療法未経験患者の36%において応答を生じたことを実証した。これらの患者の中で、耐性の遺伝的EGFR及びMETベースのバイオマーカーは、アミバンタマブ及びラゼルチニブに応答する可能性がより高い患者のサブグループを同定したが、同定された耐性マーカーを欠く更なる患者も応答した。IHCベースのアプローチは、併用レジメンから利益を得る可能性が最も高い患者を同定し得る。
【0261】
実施例2.拡大コホート研究における応答についてのバイオマーカーの検証
CHRYSALIS-2第1/1b相拡大コホートは、一般に、図9に示すように、例示的な研究設計に従って実施される。第1b相拡大コホートA~Dの重要な患者組み入れ基準を以下のように適用する。拡大コホートAの組み入れ基準は、EGFRエクソン19欠失又はL858R、オシメルチニブ後(一次/二次治療)、及び最終治療としての白金ベースの化学療法での進行である。拡大コホートBのための組み入れ基準は、EGFRエクソン20挿入、以前の標準治療(SOC)である白金ベースの化学療法、又は代替的に、エクソン20挿入を標的とする治験用EGFR-TKI(例えば、モボセルチニブ及びポジオチニブ)若しくは免疫腫瘍療法(IO)を含み得るEGFR TKI、及び最終治療としての治療経験数3以下の化学療法である。拡大コホートCについての組み入れ基準は、珍しい非エクソン20挿入変異(例えば、S768I、L861Q、G719X)、治療未経験又は最終治療として1つの第1/第2世代EGFR TKIを既に受けている、及び治療経験数が≦2である。拡大コホートDについての組み入れ基準は、EGFRエクソン19欠失又はL858R、最終治療としてのオシメルチニブ後(一次/二次治療)、及びバイオマーカー検証のための、最も最近のシステム治療での進行後の、又は転移状況における最初の生検からの腫瘍生検に適していることである。第1b相拡大コホートに、ラゼルチニブ(240mg)をアミバンタマブ(1050/1400mg(1050mg、体重<80kg;1400mg、体重≧80kg)と組み合わせて投与した。拡大コホートDについては、実施例1に例示されるようなEGFR/METにおけるオシメルチニブ耐性変異又は増幅を、ctDNA又は腫瘍生検(バイオマーカー陽性[pos])のいずれかにおける次世代配列決定(NGS)によって検証し、濃縮応答について評価する。EGFR及びMET発現についての免疫組織化学(IHC)染色を、応答についてのバイオマーカーとして更に検証する。
【0262】
実施例3.ベースライン血漿ctDNAのNGS分析に基づくバイオマーカー戦略
材料及び方法
以前にEGFRエクソン19del又はL858R変異NSCLCに対して陽性であると試験された参加者であって、オシメルチニブ中又はその後に進行した参加者(第1b相拡大コホートD)において、アミバンタマブ及びラゼルチニブ併用による治療に対する腫瘍応答の確率が増加又は減少した患者を同定するバイオマーカー戦略を評価するために、RECIST v1.1によるORRを、ベースライン血漿中循環腫瘍DNA((ctDNA)の次世代配列決定(NGS)分析によって二分された集団において評価した。RECIST v1.1ガイドラインは、E.A.Eisenhauer et al.,New response evaluation criteria in solid tumours:Revised RECIST guideline(version 1.1)、European J of Cancer 45(2009)228-247(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。これらの参加者は、以前に、EGFRエクソン19del又はL858R変異NSCLCのいずれかについて陽性と試験された。参加者は、オシメルチニブ中又はその後に進行し、バイオマーカー選択なしで登録され、ctDNA NGS分析のために血漿を提出することが要求された。各患者は、ctDNA NGS分析によって決定されたオシメルチニブ耐性の機構に基づく分類を受けた。ctDNA NGS分析が、RAS/RAF/MEK経路における病原性PIK3CA E545K変異又は病原性変化を同定した場合、患者をNGS1として分類した。ctDNA NGS分析が、病原性PIK3CA E545K変異又はRAS/RAF/MEK経路における病原性変化又はWNT/b-カテニン経路における病原性変化を同定した場合、患者をNGS2として分類した。ctDNA NGS分析が、病原性PIK3CA E545K変異若しくはRAS/RAF/MEK経路における病原性変化若しくはWNT/b-カテニン経路における病原性変化を同定した場合、又はctDNA NGSがEGFR L858R変異若しくはEGFRエクソン19欠失変異を検出できなかった場合(おそらくはctDNAアッセイの感度限界に起因する)、患者をNGS3として分類した。無増悪生存期間(PFS)も各NGS群間で比較した。
【0263】
アミバンタマブ及びラゼルチニブで治療した患者において観察された変異の完全なリストを以下に提供する。
【0264】
【表1】
「DELINSX」で終わる変異は、記載された位置(両端を含む)のアミノ酸が欠失し、残基「X」の挿入で置き換えられたことを意味する。例えば、「EGFR_L747_P753DELINSS」は、747位~753位(両端を含む)のアミノ酸が欠失し、「S」の挿入で置き換えられたことを意味する。
【0265】
結果
【0266】
【表2】
【0267】
非選択集団と比較してPR及びuPRが濃縮されたNGS1、NGS2又はNGS3陽性患者の除外。PRとしてuPRを処理する場合、NGS1、NGS2及びNGS3陰性集団についてのORRについてのORRは、それぞれ、39.5%(95%C.I.:28.4%~51.4%)、42%(95%C.I.:28.4%~51.4%)及び45.8%(95%C.I.:32.7%~59.3%)である(表2を参照されたい)。一方、NGS1、NGS2及びNGS3陽性集団についてのORRは、それぞれ4.3%(95%C.I.:0.1%~22.0%)、6.7%(95%C.I.:0.8%~22.1%)及び10%(95%C.I.:2.8%~23.7%)である(表2)。評価可能なctDNA NGS結果を有する対象の非選択集団についてのORRは、31.3%(95%C.I.:22.4%~41.4%)である(表3)。
【0268】
【表3】
コホートEは実施例1に記載した。
依存性=EGFR/MET依存性、すなわち、EGFR C797S変異又はMET増幅。
依存性=EGFR/MET依存性、例えば、KRAS又はPIK3CAなど。
Δ不明=依存性又は非依存性のカテゴリに適合しない。
【0269】
ORRを支持して、ウォーターフォールプロットは、全てのNGS陰性群における少なくとも30%の減少による標的病変サイズのベースラインからの最良の変化の濃縮を実証する(図10B、11B、及び12B)。3ヶ月で、全てのNGS陰性群は、それらのそれぞれの陽性群と比較して、より良好なPFS生存を示す(図10A、11A、及び12A)。
【0270】
実施例4.ベースライン腫瘍生検のIHC分析に基づくバイオマーカー戦略
材料及び方法
以前にEGFRエクソン19del又はL858R変異NSCLCに対して陽性であると試験された参加者であって、オシメルチニブ中又はその後に進行した参加者(第1b相拡大コホートD)において、アミバンタマブ及びラゼルチニブ併用による治療時の腫瘍応答の確率が増加又は減少した患者を同定するバイオマーカー戦略を評価するために、RECIST v1.1によるORRを、ベースライン腫瘍生検のEGFR及びMET発現の免疫組織化学(IHC)分析によって二分された集団において評価した。これらの参加者は、以前にEGFRエクソン19del又はL858R変異NSCLCについて陽性であると試験され、オシメルチニブ中又は治療後に進行した。これらの患者は、バイオマーカー選択なしで登録され、IHC分析(EGFR及びMET発現)のために腫瘍組織を提出することを要求された。各患者は、各IHCアッセイの分類を受けた。患者が、細胞当たり25%以上のEGFR 3+IHC強度スコアを有する場合、EGFR陽性(IHC1)として分類し、同様に、その生検試料が25%以上のMET 3+IHC強度スコアを有する場合、患者をMET陽性(IHC2)として分類した。無増悪生存期間も各IHC群間で比較した。
【0271】
結果
【0272】
【表4】
【0273】
分析のために、部分奏効者(PR)及び未確認部分奏効者(uPR)を「応答者」とみなし、進行性疾患、安定した疾患、及び評価不可能/不明を「非応答者」とみなした。IHC1陽性群及びIHC2陽性群の両方を、非選択集団と比較して、部分奏効者(PR)及び未確認部分奏効者(uPR)について濃縮した。uPRをPRとして処理する場合、IHC1及びIHC2陽性集団についてのORRは、それぞれ45.7%(95%正確CI:28.8~63.4%)及び55.6%(95%正確CI:30.8~78.5%)である。一方、IHC1及びIHC2陰性集団についてのORRは、それぞれ0%(95%正確CI:0~21.8%)及び18.8%(95%正確CI:7.21~36.4%)である。評価可能なIHC結果を有する対象の非選択集団についてのORRは、32%である(95%正確CI:19.5~46.7%)。ORRを支持して、スイムレーンプロットは、両方のIHC陽性群における少なくとも30%の減少による標的病変サイズのベースライン(RECIST v1.1によって定義される)からの最良の変化の濃縮を実証する(図13A~14B)。標的病変の総径和(SoD)を、E.A.Eisenhauer et al.,New response evaluation criteria in solid tumours:Revised RECIST guideline(version 1.1)、European J of Cancer 45(2009)228-247に記載されるように測定した。3ヶ月の時点で、両方のIHC陽性群は、それらのそれぞれの陰性群と比較して、より良好なPFS生存を示す(表5、図15A~15B)。
【0274】
【表5】
【0275】
本発明は、本明細書に記載される特定の実施形態及び実施例による範囲内に限定されるものではない。実際、本明細書に記載されるものに加えて、本発明の様々な修正が、前述の説明から当業者には明らかになるであろう。そのような修正は、添付の特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。
【0276】
本明細書に引用される全ての特許、出願、刊行物、試験方法、文献、及び他の資料は、本明細書に物理的に存在するかのように、参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
【配列表】
2024521696000001.app
【国際調査報告】