(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】固体前駆体の気相を分配するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
C23C 16/448 20060101AFI20240528BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
C23C16/448
H01L21/31 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571774
(86)(22)【出願日】2022-04-15
(85)【翻訳文提出日】2023-11-18
(86)【国際出願番号】 EP2022060165
(87)【国際公開番号】W WO2022258247
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】599115310
【氏名又は名称】エアー・リキッド・エレクトロニクス・システムズ
【氏名又は名称原語表記】AIR LIQUIDE ELECTRONICS SYSTEMS
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】プラザ,ソニア
(72)【発明者】
【氏名】トドロヴァ,ヴァニナ
(72)【発明者】
【氏名】デュルフィー,エルヴェ
(72)【発明者】
【氏名】ローラン,ヴァレール
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030AA03
4K030AA12
4K030AA18
4K030EA01
4K030HA15
5F045AC15
5F045AC16
5F045AC17
5F045AE25
5F045BB08
5F045EE01
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5F045EE04
5F045EE05
5F045EE07
5F045EK06
5F045GB05
5F045GB06
(57)【要約】
【解決手段】 本発明は、少なくとも1つの固体前駆体の気相を分配するための装置であって、前記前駆体の固相(11)を収容するように意図された容器(1)と、容器(1)内に前記前駆体の気相(12)を形成するために、容器(1)及び/又は固相(11)の少なくとも一部を加熱するように構成された第1の加熱手段(10)と、容器(1)に流体接続され、且つ気相(12)を容器(1)から使用地点(60)に分配するように構成された分配手段(13、14)とを含む装置に関する。本発明によれば、装置は、容器(1)及び前記分配手段(13、14)が存在する内部容積を有する筐体(2)を含み、前記装置は、筐体(2)の内部容積の少なくとも一部を加熱するように構成された第2の加熱手段(20)も含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの固体前駆体の気相を分配するための装置であって、
- 前記前駆体の固相(11)を収容するように意図された容器(1)であって、底部及び頂部を有する容器(1)、
- 前記容器(1)内に前記前駆体の気相(12)を形成するために、前記容器(1)及び/又は前記固相(11)の少なくとも一部を加熱するように構成された第1の加熱手段(10)、
- 前記容器(1)に流体接続され、且つ前記気相(12)を前記容器(1)から使用地点(60)に分配するように構成された分配手段(13、14)
を含む装置において、前記容器(1)、前記第1の加熱手段(10)及び前記分配手段(13、14)が配置される内部容積を有する筐体(2)を含み、前記筐体(2)は、上向き方向に向けられた実質的に垂直な軸方向(z)を有し、前記筐体(2)の前記内部容積は、下部ゾーン(22)及び上部ゾーン(21)を含み、前記装置は、前記筐体(2)の前記内部容積の少なくとも一部を加熱するように構成された第2の加熱手段(20)をさらに含み、前記第2の加熱手段(20)は、前記第2の加熱手段(20)から前記筐体(2)の前記内部容積の方向に空気を循環させるように構成された空気循環手段(24)を含むことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記上部ゾーン(21)は、前記軸方向(z)において前記下部ゾーン(22)のレベルよりも高いレベルに配置され、前記第1の容器(1)及び前記第1の加熱手段(10)は、前記下部ゾーン(22)に配置され、且つ前記第2の加熱手段(20)及び前記分配手段(13、14)は、前記上部ゾーン(21)に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記筐体(2)の前記下部ゾーン(22)において、好ましくは前記容器(1)の前記底部(1a)の少なくとも一部の周囲又は前記容器(1)の前記底部(1a)の下方に配置された第3の加熱手段をさらに含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記第2の加熱手段(20)は、特に前記筐体(2)の壁又は前記壁の近くに取り付けられた少なくとも1つの電気抵抗器を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記容器(1)の内部の圧力を測定するように構成された少なくとも1つの圧力センサ(PC)と、前記圧力センサ(PC)及び前記第1の加熱手段(10)に接続された制御ユニット(40)とを含み、前記制御ユニット(40)は、特に、前記圧力センサ(PC)によって測定された前記圧力に応じて、前記第1の加熱手段(10)によって送達される加熱出力を調節及び/又は調整するように構成されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
キャリアガス(4)の供給源と、前記キャリアガス(4)の供給源を前記容器(1)の入口(16)に流体接続する供給ダクト(15)と、前記容器(1)内で前記キャリアガス(4)を循環させるための手段(41、42)とをさらに含み、前記キャリアガスを循環させるための前記手段(41、42)は、前記分配手段(13、14)が、前記気相(12)と前記キャリアガス(4)とを含むガス混合物を前記容器(1)から分配するように、前記容器(1)の前記入口(16)と出口(17)との間で前記キャリアガス(4)を循環させるように構成され、前記キャリアガスを循環させるための前記手段(41、42)は、特に、前記容器(1)内で循環するキャリアガス(4)の流量を制御し、且つ/又は前記容器(1)内の前記圧力を制御するように構成されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記容器(1)の外面の温度を測定し、且つ/又は前記筐体の内部の温度を測定するように構成された少なくとも1つの温度センサ(TC)と、前記温度センサ(TC)及び前記第1の加熱手段(11)に接続された制御ユニット(40)とを含み、前記制御ユニット(40)は、特に、前記温度センサ(TC)によって測定された前記温度に応じて、前記第1の加熱手段(10)によって送達される前記加熱出力を変化させるように構成されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記分配手段(13、14)は、前記筐体(2)の第1の壁(52)を貫通する少なくとも1つの分配ダクト(13)を含み、加熱要素(50)は、前記分配ダクト(13)の少なくとも一部の周囲にスリーブを形成し、且つ前記第1の壁(52)の両側で延びることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の少なくとも2つの分配装置を含む分配アセンブリであって、各装置は、筐体(2)と、容器(1)と、共通のパイプ(19)に流体接続されたそれぞれの分配手段(13、14)とを含み、前記アセンブリは、切換手段を含み、前記切換手段は、前記気相(12)が前記2つの容器の一方から前記共通のパイプ(19)内に分配される第1の位置を占め、且つ前記容器(1)内の前駆体の量が所定の低い閾値以下である場合、前記気相(12)が前記2つの容器(1)の他方から前記共通のパイプ(19)内に分配される第2の位置を占めるか、又は前記気相(12)が両方の容器から同時に分配される中間位置を占めるように構成され、前記切換手段は、前記容器(1)の質量、前記容器(1)内の圧力、前記容器(1)の外面の温度のうちから選択される、前記容器(1)内の前記前駆体の量を表す物理量を測定するための部材に接続され、前記第1の位置から前記第2の位置への前記切換手段の移動は、前記物理量の測定値に応じて決定される、分配アセンブリ。
【請求項10】
処理される1つ又は複数の基板が設置される処理チャンバを含む処理設備、特に化学蒸着設備であって、前記処理チャンバは、固体前駆体の少なくとも1つの気相(12)を前記処理チャンバに導入するための手段を含む、処理設備、特に化学蒸着設備において、前記導入手段は、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置又は請求項9に記載のアセンブリの前記分配手段(13、14)に流体接続されることを特徴とする処理設備、特に化学蒸着設備。
【請求項11】
少なくとも1つの固体前駆体の気相を分配する方法であって、
a)前記前駆体の固相(11)を容器(1)内に配置するステップ、
b)前記容器(1)内に前記前駆体の気相(12)を形成するために、前記容器(1)及び/又は前記固相(11)の少なくとも一部を第1の加熱手段(10)で加熱するステップ、
c)前記容器(1)に流体接続される分配手段(13、14)により、前記容器(1)から前記気相(12)を分配するステップ
を含み、
d)前記容器(1)、前記第1の加熱手段(10)及び前記分配手段(13、14)を筐体(2)の内部容積内に配置するステップであって、前記筐体(2)は、上向き方向に向けられた実質的に垂直な軸方向(z)を有し、前記筐体(2)の前記内部容積は、下部ゾーン(22)及び上部ゾーン(21)を含む、ステップ、
e)前記筐体(2)の前記内部容積の少なくとも一部を第2の加熱手段(20)で加熱するステップであって、前記第2の加熱手段(20)は、前記第2の加熱手段(20)から前記筐体(2)の前記内部容積の方向に空気を循環させるように構成された空気循環手段(24)を含む、ステップ
をさらに含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理設備で使用されることを意図される固体前駆体の気相を分配するための装置に関する。本発明は、このような装置を使用して固体前駆体の気相を分配する方法及び前記装置を含む処理設備にも関する。
【0002】
本発明は、基板のエッチング又は洗浄、コーティング又は薄層の堆積などの様々な処理方法における前駆体の分配に適用され得る。本発明は、特に、半導体産業において適用を見出し、前駆体は、場合により、例えば電子部品又は集積回路の製造中に薄層の製造又は基板のドーピングに関与する。
【0003】
特に、本発明による装置は、前駆体の気相を化学蒸着設備に提供するように意図される。前駆体は、純粋な形態で分配され得るか、又はキャリアガス中で希釈され得る。
【背景技術】
【0004】
化学蒸着プロセス中、基板は、1種又は複数の気相前駆体に曝され、この前駆体は、所望の堆積物を生成するように基板の表面で反応及び/又は分解する。
【0005】
化学蒸着タイプの処理設備では、多くの材料が前駆体として使用される傾向がある。これらの前駆体は、気体、液体又は固体の状態であり得る。これらの3つの基本的な状態は、一般に、標準的な圧力及び温度の条件下で考慮される。
【0006】
気体前駆体は、使用地点まで輸送するのが最も容易である。具体的には、それらは、一般に、容器内に加圧下で貯蔵されるため、より低い圧力の使用地点まで自然に流れる。
【0007】
液体状態の前駆体の分配は、より多くの制約を課す。1つの分配方法は、浸漬した管を通して液体を押す非混和性の不活性ガスを容器に注入することにより、前駆体の液相を容器から回収するものである。別の方法は、液相を加熱して気化させることに基づき、この際、気相の圧力及び温度を使用地点まで維持しなければならない。
【0008】
特に半導体産業にとって有利な特性を示す多くの前駆体は、標準的な圧力及び温度の条件下では固体状態でのみ利用可能である。これらの前駆体は、粒状又は粉末状の形態であり得る。しかしながら、これらは、一般に、昇華温度が非常に高く、周囲温度での飽和蒸気圧が非常に低いため、供給されるガスが少量であることから、処理設備に直接分配させることができない。
【0009】
これらの固体前駆体を工業規模で使用できるようにするために、様々な解決策が提案されてきた。固体前駆体の昇華、すなわち固体状態から気体状態への移行に基づく分配装置が、欧州特許出願公開第A-2247769号明細書から特に知られている。前駆体は、固体前駆体の昇華と前記前駆体からの蒸気の発生を可能にする温度に加熱される容器に入れられる。キャリアガスが、容器内の加熱された前駆体を通して流れ、固体前駆体の蒸気で飽和された状態でそこから再び出て、使用地点に分配される。
【0010】
処理設備の要件によっては、現行の解決策では不十分な場合がある。
【0011】
具体的には、固体前駆体を用いて実行される処理方法の信頼性及び再現性を使用者に保証するためには、前駆体を所望の温度で昇華させ、前駆体の蒸気相を飽和状態で所望の圧力で使用地点に供給し、汚染を伴わずにこれを行うことが必要である。使用地点で分配される流量は、設備の必要性及び実行される処理方法に応じて変化し得、利用可能な多くの固体前駆体は、それぞれ異なる昇華温度及び圧力を有するため、オペレーション上の柔軟性も必要である。
【0012】
さらに、前駆体蒸気を使用地点まで輸送するためにキャリアガスを使用する場合、キャリアガス中の前駆体濃度を経時的に制御することは困難であり得る。具体的には、固体前駆体が昇華されると、固体前駆体の形状、形態、キャリアガスとの接触面積及び体積が変化し、それによって蒸気流量が変更され、したがってキャリアガス中の前駆体濃度が変更される。定量を可能にする計量法の開発が難しい場合キャリアガス中の前駆体濃度を一定に保つことはいっそう困難である。前駆体濃度を一定に保つためには、容器の使用中、キャリアガスを前駆体で飽和する必要がある。特定の容器は、キャリアガスの飽和を達成できるような特別な設計になっている。使用する容器が、容器の全使用期間を通したキャリアガスの前駆体での飽和を達成できないような設計になっている場合、容器を使用するにつれて、キャリアガス中の前駆体の割合が徐々に減少する。
【0013】
さらに、昇華した前駆体の温度を制御することは困難であり得る。具体的には、前駆体の気相は、容器から使用地点までの経路全体を通して、昇華温度以上の温度に維持されなければならない。容器の下流側の流体経路に低温の箇所が存在すると、これらの箇所で気相の結晶化、すなわち凝結が起こる可能性がある。この結果、分配される前駆体の流量が変動し、バルブ、流量制御器、その他などのガス分配回路の構成要素が目詰まりを起こし、パイプ内の通路が制限されるため、さらなる流量の変動及び設備の不具合が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、上述した欠点の全て又は一部を克服することであり、特に前駆体を収容する容器の設計とは無関係に、前駆体の使用地点で必要とされる流量及び/又は前駆体の性質に応じて、安定且つ柔軟な分配を可能にする固体前駆体の気相を分配するための装置を提案することによって克服することであり、この装置では、使用地点への搬送中に気相が凝結する危険性が大幅に低減されるか又はさらに排除されるが、装置を過度に複雑にすることはない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的のために、本発明の解決策は、少なくとも1つの固体前駆体の気相を分配するための装置であって、
- 前記前駆体の固相を収容するように意図された容器であって、底部及び頂部を有する容器、
- 容器内に前記前駆体の気相を形成するために、容器及び/又は固相の少なくとも一部を加熱するように構成された第1の加熱手段、
- 容器に流体接続され、且つ気相を容器から使用地点に分配するように構成された分配手段
を含み、容器、第1の加熱手段及び分配手段が配置される内部容積を有する筐体をさらに含み、筐体は、上向き方向に向けられた実質的に垂直な軸方向を有し、筐体の内部容積は、下部ゾーン及び上部ゾーンを含み、装置は、筐体の内部容積の少なくとも一部を加熱するように構成された第2の加熱手段をさらに含み、第2の加熱手段は、第2の加熱手段から筐体の内部容積の方向に空気を循環させるように構成された空気循環手段を含む、装置である。
【0016】
第2の加熱手段のこのような配置は、この筐体内の温度勾配を維持することにより、筐体内の均質な温度を保証することを可能にする。これにより、気相を使用地点まで輸送する間に気相が凝結することを回避することが可能になる。
【0017】
事例に依存して、本発明は、以下に概説される特徴の1つ又は複数を含み得る。
【0018】
第2の加熱手段は、強制対流によって筐体の内部容積の少なくとも一部を加熱するように構成される。
【0019】
第2の加熱手段は、第1の加熱手段から分離している。
【0020】
第2の加熱手段は、筐体の内部容積の少なくとも半分、特に実質的に筐体の内部容積全体を加熱するように構成される。
【0021】
第2の加熱手段は、容器及び分配手段内に温度プロファイルを生成するように構成され、前記温度プロファイルは、軸方向に沿って上昇する温度を有する。
【0022】
上部ゾーンは、軸方向において下部ゾーンのレベルよりも高いレベルに配置され、第1の容器及び第1の加熱手段は、下部ゾーンに配置され、且つ第2の加熱手段及び分配手段は、上部ゾーンに配置される。
【0023】
空気循環手段は、上部ゾーンに配置される。
【0024】
空気循環手段は、少なくとも1つのファン、ブロワ、ノズル又はタービンを含む。
【0025】
頂部は、軸方向において底部のレベルよりも高いレベルに配置される。
【0026】
温度プロファイルは、分配手段における第1の温度と、容器の頂部における第2の温度とを含み、第1の温度は、第2の温度よりも高い。
【0027】
第2の加熱手段は、温度プロファイルが容器の頂部における第2の温度と容器の底部における第3の温度とを有するように構成され、第2の温度は、第3の温度よりも高い。
【0028】
装置は、筐体の下部ゾーンにおいて、好ましくは容器の底部の少なくとも一部の周囲又は容器の底部の下方に配置された第3の加熱手段を含む。
【0029】
第3の加熱手段は、温度プロファイルを修正及び/又は調整するように、特に少なくとも第3の温度を上昇させるように構成される。
【0030】
第2の加熱手段及び/又は第3の加熱手段は、第1の温度と第2の温度との間の差が1~35℃、特に1~10℃であり、及び/又は第2の温度と第3の温度との間の差が2~70℃、特に2~20℃であるように構成される。
【0031】
第2の加熱手段は、特に筐体の壁又は前記壁の近くに取り付けられた少なくとも1つの電気抵抗器を含む。
【0032】
第3の加熱手段は、容器が載置される加熱プレートを含む。
【0033】
装置は、容器の内部の圧力を測定するように構成された少なくとも1つの圧力センサと、圧力センサ及び第1の加熱手段に接続された制御ユニットとを含み、制御ユニットは、特に、圧力センサによって測定された圧力に応じて、第1の加熱手段によって送達される加熱出力を調節及び/又は調整するように構成される。
【0034】
制御ユニットは、容器内の圧力を所定の設定圧力と比較するための手段を含み、制御ユニットは、容器内で測定された圧力が設定圧力以上である場合、特に第1の加熱手段によって送達される加熱出力を減少させ、容器内の圧力が所定の設定圧力未満である場合、特に第1の加熱手段によって送達される加熱出力を増加させるように構成される。
【0035】
制御ユニットは、第1の所定の温度設定点に従って第2の加熱手段によって送達される加熱出力を調節及び/又は調整するように構成され、及び/又は制御ユニットは、第2の所定の温度設定点に従って第3の加熱手段によって送達される加熱出力を調節及び/又は調整するように構成される。
【0036】
装置は、キャリアガスの供給源と、キャリアガスの供給源を容器の入口に流体接続する供給ダクトと、容器内でキャリアガスを循環させるための手段とを含み、前記キャリアガスを循環させるための手段は、分配手段が、気相とキャリアガスとを含むガス混合物を容器から分配するように、容器の入口と出口との間でキャリアガスを循環させるように構成され、前記キャリアガスを循環させるための手段は、特に、容器内で循環するキャリアガスの流量を制御し、且つ/又は容器内の圧力を制御するように構成される。
【0037】
第1の加熱手段は、可変加熱出力を提供するように構成される。
【0038】
装置は、容器の外面の温度を測定し、且つ/又は筐体の内部の温度を測定するように構成された少なくとも1つの温度センサと、温度センサ及び第1の加熱手段に接続された制御ユニットとを含み、制御ユニットは、特に、温度センサによって測定された温度に応じて、第1の加熱手段によって送達される加熱出力を変化させるように構成される。
【0039】
温度センサは、容器の外壁上又は容器内に配置される。
【0040】
制御ユニットは、温度センサによって測定された温度を第3の温度設定点と比較するための手段を含み、制御ユニットは、測定された温度が第3の温度設定点よりも高い場合に加熱出力を減少させ、測定された温度が第3の温度設定点よりも低い場合に加熱出力を増加させるように構成される。
【0041】
分配手段は、筐体の第1の壁を貫通する少なくとも1つの分配ダクトを含み、加熱要素は、分配ダクトの少なくとも一部の周囲にスリーブを形成し、且つ前記第1の壁の両側で延びる。
【0042】
スリーブは、少なくとも2つのシェル又はシリンダを含む。
【0043】
スリーブは、アルミニウムなどの導電性材料を含む。
【0044】
スリーブは、第1の壁で分配ダクトに適合するように構成される。
【0045】
スリーブは、少なくとも1つの加熱抵抗器と少なくとも1つの温度プローブとを含み、アセンブリは、特にスリーブの加熱抵抗器の加熱出力がスリーブの温度プローブに基づいて制御されるように配置される。
【0046】
このような配置により、低温地点を回避するように分配ダクトを第1の壁の近くで加熱することが可能になる。
【0047】
スリーブは、第1の加熱手段及び第2の加熱手段から分離している。
【0048】
さらに、本発明は、上記で定義されるような少なくとも2つの分配装置を含む分配アセンブリであって、各装置は、筐体と、容器と、共通のパイプに流体接続されたそれぞれの分配手段とを含み、前記アセンブリは、切換手段を含み、切換手段は、気相が2つの容器の一方から共通のパイプ内に分配される第1の位置を占め、且つ容器内の前駆体の量が所定の低い閾値以下である場合、気相が2つの容器の他方から共通のパイプ内に分配される第2の位置を占めるか、又は気相が両方の容器から同時に分配される中間位置を占めるように構成され、切換手段は、容器の質量、容器内の圧力、容器の外面の温度のうちから選択される、容器内の前駆体の量を表す物理量を測定するための部材に接続され、第1の位置から第2の位置への切換手段の移動は、前記物理量の測定値に応じて決定される、分配アセンブリに関する。
【0049】
上記の特徴は、本発明のこの態様に単独で又は組み合わせて適用可能である。
【0050】
別の態様によれば、本発明は、処理される1つ又は複数の基板が設置される処理チャンバを含む処理設備、特に化学蒸着設備であって、処理チャンバは、固体前駆体の少なくとも1つの気相を処理チャンバに導入するための手段を含む、処理設備、特に化学蒸着設備において、導入手段は、上記で定義される装置又はアセンブリの分配手段に流体接続されることを特徴とする処理設備、特に化学蒸着設備に関する。
【0051】
上記の特徴は、本発明のこの態様に単独で又は組み合わせて適用可能である。
【0052】
さらに、本発明は、少なくとも1つの固体前駆体の気相を分配する方法であって、
a)前記前駆体の固相を容器内に配置するステップ、
b)容器内に前記前駆体の気相を形成するために、容器及び/又は固相の少なくとも一部を第1の加熱手段で加熱するステップ、
c)容器に流体接続される分配手段により、容器から気相を分配するステップ
を含む方法において、
d)容器、第1の加熱手段及び分配手段を筐体の内部容積内に配置するステップであって、筐体は、上向き方向に向けられた実質的に垂直な軸方向を有し、筐体の内部容積は、下部ゾーン及び上部ゾーンを含む、ステップ、
e)筐体の内部容積の少なくとも一部を第2の加熱手段で加熱するステップであって、第2の加熱手段は、第2の加熱手段から筐体の内部容積の方向に空気を循環させるように構成された空気循環手段を含む、ステップ
をさらに含むことを特徴とする方法に関する。
【0053】
上記の特徴は、本発明のこの態様に単独で又は組み合わせて適用可能である。
【0054】
事例に応じて、本発明のこの態様は、以下に概説される特徴の1つ又は複数を含み得る。
【0055】
第2の加熱手段は、容器及び分配手段内に温度プロファイルを生成するように構成され、前記温度プロファイルは、軸方向に沿って上昇する温度を有する。
【0056】
温度プロファイルは、分配手段における第1の温度と、容器の頂部における第2の温度とを含み、第1の温度は、第2の温度よりも高い。
【0057】
第2の加熱手段は、温度プロファイルが容器の頂部における第2の温度と容器の底部における第3の温度とを有するように構成され、第2の温度は、第3の温度よりも高い。
【0058】
本方法は、筐体の下部ゾーンにおいて、好ましくは容器の底部の少なくとも一部の周囲又は容器の底部の下方に配置された第3の加熱手段を用いて、特に少なくとも第3の温度を上昇させるように温度プロファイルを修正及び/又は調整するステップを含む。
【0059】
第2の加熱手段及び/又は第3の加熱手段は、第1の温度と第2の温度との間の差が1~35℃、特に1~10℃であり、及び/又は第2の温度と第3の温度との間の差が2~70℃、特に2~20℃であるように構成される。
【0060】
本方法は、容器内で測定された圧力が設定圧力以上である場合、特に第1の加熱手段によって送達される加熱出力を減少させ、容器内の圧力が所定の設定圧力未満である場合、特に第1の加熱手段によって送達される加熱出力を増加させるステップを含み、制御ユニットは、特に圧力センサによって測定された容器内の圧力を所定の設定圧力と比較するための手段を含む。
【0061】
本方法は、所定の第2の温度設定点に従って第3の加熱手段によって送達される加熱出力を調節及び/又は調整するステップを含み、調節及び/又は調整は、特に制御ユニットによって実行される。
【0062】
本方法は、所定の第1の温度設定点に従って第2の加熱手段によって送達される加熱出力を調節及び/又は調整するステップを含み、調節及び/又は調整は、特に制御ユニットによって実行される。
【0063】
制御ユニットは、温度センサによって測定された温度を第3の温度設定点と比較するための手段を含み、制御ユニットは、測定された温度が第3の温度設定点よりも高い場合に加熱出力を減少させ、測定された温度が第3の温度設定点未満である場合に加熱出力を増加させるように構成される。
【0064】
ここで、本発明は、以下に記載される添付図を参照して、非限定的な説明により与えられる以下の詳細な記載によってよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による分配装置を概略的に示す。
【
図2】
図2は、本発明の別の実施形態による分配装置を概略的に示す。
【
図3】
図3は、本発明の別の実施形態による分配装置を概略的に示す。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態による分配装置における温度分布の例を示す。
【
図5】
図5は、本発明の別の実施形態による分配装置を概略的に示す。
【
図6】
図6は、本発明の別の実施形態による分配装置を概略的に示す。
【
図7】
図7は、本発明の一実施形態による分配アセンブリを概略的に示す。
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態による装置によって純粋な形態で分配された前駆体の流量及び圧力の経時変化の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0066】
図1は、前駆体の気相が純粋な形態で分配される本発明の一実施形態による装置を示す。
【0067】
図2に示される別の可能性によれば、本発明による装置は、キャリアガス中に希釈された形態で前駆体の気相を分配するように構成することもできる。
【0068】
「前駆体」という用語は、変換されるために化学反応を開始することができ、且つ開始するのに適した化学元素又は化合物を意味する。特に、化学蒸着を実行するように意図された前駆体の場合、前記前駆体は、基板の表面で反応及び/又は分解して、その上に所望の堆積物を生じさせるように構成される。
【0069】
固体前駆体は、アルミニウム、バリウム、ビスマス、クロム、コバルト、銅、金、ハフニウム、インジウム、イリジウム、鉄、ランタン、鉛、マグネシウム、モリブデン、ニッケル、ニオブ、白金、ルテニウム、銀、ストロンチウム、タンタル、チタン、タングステン、イットリウム、ジルコニウムの少なくとも1つを主成分とする任意の無機又は有機化学化合物を含み得る。例えば、MoCl5、MoO2Cl2、Mo(CO)6、W(CO)6、WCl6、WCl5、HfCl4などの前駆体を分配することができる。
【0070】
「キャリアガス」という用語は、固体前駆体の気相をその使用地点まで輸送することができ、且つ輸送するのに適したガス、好ましくは水素(H2)、窒素(N2)、アルゴン(Ar)又はヘリウム(He)などの1種又は複数の不活性な純粋物質で形成されたガスを意味するように理解される。
【0071】
本発明による装置は、前駆体の蒸気を、前記前駆体を使用する処理設備に接続され得、且つ接続されるように意図される使用地点60に分配することを目的とする。「処理設備」という用語は、単一の処理エンティティ及び固体前駆体の気相を並列に供給される複数のエンティティ、特に分岐箱の下流に配置された複数のエンティティの両方を指し得ることに留意されたい。
【0072】
図1に見られるように、分配装置は、前駆体の固相11を収容する容器1を含む。容器1は、底部1aと、頂部1bと、底部から頂部まで延びる周壁とを有する。周壁は円筒形の全体形状であり得る。固体状態の前駆体は、粒状又は粉末状の形態であり得る。周囲温度における固体前駆体の飽和蒸気圧は、一般に、低いため、容器1内に収容され、そこから引き出すことができる固体前駆体の気相12の量は、少ない。
【0073】
容器1から分配される蒸気相の流量を増加させるために、容器1及び/又は固相11の少なくとも一部を加熱するように、容器1の領域に第1の加熱手段10が配置される。これにより、容器1内の固体前駆体の少なくとも一部を加熱し、前駆体の飽和蒸気圧を上昇させることが可能になる。これにより、容器1内で昇華可能な前駆体の量が増加し、容器1から分配可能な気相12の量が増加する。
【0074】
気相12が容器1から引き出されると、固相11の一部は、容器1内の平衡を維持するために、気相12が使用されるにつれて気相12を生成するように昇華されなければならない。容器1を加熱することは、容器1からの気相12の取り出しによって生じる圧力損失を補償することを可能にし、また固体前駆体を昇華するために固体前駆体の温度の低下を補償するのに必要なエネルギーを提供することを可能にする。
【0075】
好ましくは、第1の加熱手段10は容器の外部にある。第1の加熱手段10が容器の内部であることも考えられる。
【0076】
一実施形態によれば、第1の加熱手段10は、容器1の全て又は一部の周囲に配置され、容器1の高さの全て又は一部にわたって好ましくは少なくとも容器の下部で延びる。これにより、好ましくは同じく下部に位置する固相を最初に加熱することができる。下部は、好ましくは、底部1aから容器1の全高の最大50%、特に最大30%、より特に最大20%の高さにわたって延びる部分を意味するように理解されることに留意されたい。
【0077】
第1の加熱手段は、容器1の外面の少なくとも一部及び/又は容器1の任意の内部構成要素、特に固相11の支持体として機能し得る内部構成要素の少なくとも一部を加熱するように構成され得ることに留意されたい。固相11への熱伝達は、好ましくは、加熱された表面と固相11との間の熱伝導によって起こる。
【0078】
第1の加熱手段10は、少なくとも1つの加熱コード若しくは少なくとも1つの加熱ベルトの形態であり得るか、又は場合により熱伝達流体の循環のためのシェルの形態であり得る。場合により、第1の加熱手段10は誘導型又は抵抗型であり得る。例えば、容器1の本体は、電流の通過によって熱が発生する少なくとも1つの抵抗性伝導要素を用いて加熱され得る。別の有利な可能性によれば、第1の加熱手段10は、容器1の包囲体の少なくとも一部に磁場を形成し、誘導電流によって容器1の材料を加熱することができる磁気誘導手段を含む。
【0079】
分配手段13、14は、容器1から使用地点60に向けて気相12を分配するように容器1に流体接続される。分配手段は、分配ダクト13の少なくとも一部を構成し得、その一端は容器1の出口17に接続され、他端は使用地点60に接続される。分配手段は、出口17の下流側の気相12の経路に配置された少なくとも1つのバルブ14を含み得る。好ましくは、前記バルブ14は、ダクト13に取り付けられる。
【0080】
本発明によれば、装置は、容器1及び分配手段13、14が配置される内部容積を有する筐体2をさらに含む。
図3に見られるように、前記装置は、筐体2の内部容積の少なくとも一部を加熱するように構成された第2の加熱手段20をさらに含む。特に、筐体2及び第2の加熱手段20は、オーブン又は炉タイプの機器の一部を形成する。有利には、熱の伝達は、内部容積の加熱された雰囲気から容器1及び分配手段13、14への熱対流によって起こる。特に、熱の伝達は強制対流によって起こる。
【0081】
このようにして、第2の加熱手段20は、同じ内部容積内に位置する容器1と分配手段13、14との両方を加熱する。加熱された筐体2の使用により、容器1及び容器1の下流側で同時に、昇華した前駆体の温度をより効果的に制御することが可能になる。前駆体の気相は、容器1からの経路全体において、昇華温度以上の温度に維持され得る。したがって、容器の下流側の流体経路に、より低温の地点が存在することを回避し得るため、前駆体の結晶化のリスクが回避される。第1の加熱手段10では十分に加熱されない可能性のある容器1の頂部でさえ、筐体2内で加熱することができる。分配装置の主な構成要素を同一の容積内に配置することで、構成要素を独立した加熱システムで加熱する場合よりも、より効果的で簡単な温度制御が可能になる。
【0082】
さらに、第2の加熱手段20は容器1を加熱し、固体前駆体の蒸気圧の上昇に寄与する。したがって、第1の加熱手段10と第2の加熱手段20は相乗的に作用して、所望の圧力に達し、所望の前駆体流量を確保するために必要な熱を供給する。
【0083】
図1は、下壁2aと上壁2bとを有し、軸方向zが実質的に垂直であり、下壁2aから上壁2bに向かう上方向に向いている筐体2を示す。有利には、第2の加熱手段20は、容器1及び筐体2の内部容積に位置する分配手段13、14の温度が軸方向zに沿って上昇するように構成される。換言すれば、第2の加熱手段20は、容器1及び分配手段13、14内において、軸方向zに沿って上昇する温度を有する温度プロファイルを生成するように構成される。
【0084】
分配手段13、14は、軸方向zに沿って容器1の上方に配置される。したがって、分配手段13、14は、温度が容器1における温度よりも高い筐体の領域に配置される。したがって、分配手段13、14を循環する気相は、容器1内で前駆体が加熱される温度よりも高い温度に加熱される。これにより、昇華位置の下流の温度を高くすることが可能になり、その結果、使用地点への輸送中の気相の凝結を回避することができる。加熱された筐体、特に炉又はオーブンタイプの機器において、温度が自然に上向き方向において上昇する傾向があり、前記筐体に収容される空気は、温度が上昇するにつれて密度が低くなるという事実の利点も得られる。
【0085】
温度プロファイルは、軸方向zにおける所与のレベルの関数としての温度の空間分布を意味するように理解される。プロファイルの温度は、好ましくは、容器又は分配手段を構成する材料、特にこれらの要素の外面に関して決定される。容器内又は分配手段内に収容される流体に関して温度を決定することも考えられる。プロファイルの温度は、必ずしも軸方向zに平行な同じ軸に沿って決定されるわけではなく、内部容積内の異なる位置で決定され得、考慮すべき変数は、軸方向zに対する内部容積内の測定地点のレベルであることに留意すべきである。
【0086】
好ましくは、温度プロファイルは、直線的な温度上昇を示す。段階的な上昇と、異なる温度レベルの複数のゾーンを有する温度プロファイルも考えられることに留意されたい。
【0087】
特に、第2の加熱手段20は、容器1及び分配手段13、14内において、軸方向zに沿った熱勾配、特に少なくとも0.05℃/cmの熱勾配、好ましくは0.05~10℃/cmの熱勾配を発生させるように構成することができる。
【0088】
より一般的には、第2の加熱手段は、筐体2の内部容積内で軸方向zに沿った温度の上昇を生じさせるように構成することができることに留意されたい。
【0089】
一実施形態によれば、筐体2は、分配手段13、14が配置される少なくとも上部ゾーン21と、容器1が配置される下部ゾーン22とを有する。上部ゾーン21は、軸方向zにおいて下部ゾーン22の上方に配置される。第2の加熱手段20は、上部ゾーン21が下部ゾーン22の1つ又は複数の温度よりも高い1つ又は複数の温度を有するように構成される。
【0090】
好ましくは、容器1は、底部1a及び頂部1bを含み、頂部1bは軸方向zにおいて底部1aのレベルよりも高いレベルに配置される。第2の加熱手段20は、分配手段13、14において決定される第1の温度が、頂部1bにおいて決定される第2の温度よりも高くなるように構成される。
【0091】
好ましくは、下部ゾーン22と上部ゾーン21との間の境界は、容器1の頂部1bにあるか又はその近傍にある。
【0092】
有利には、第2の加熱手段20は、温度プロファイルが、頂部1bで第2の温度を有し、底部1aで第3の温度を有するように構成される。第2の温度は、第3の温度よりも高い。容器1内の温度の分布をこのように制御することで、前駆体蒸気が容器の上部で再結晶化するのを防ぐことができ、容器の上部で前駆体蒸気は再昇華が困難であり、また目詰まりを引き起こし得る。この分布は、容器の下部での蒸気の再結晶化を促進する。
【0093】
特に、第2の加熱手段20は、容器1及び分配手段13、14が、軸方向zに沿って、以下のうちから選択されるいくつかの温度レベルを有するように構成することができる:
- 分配手段13、14で測定される、好ましくは容器1の頂部より25~100cm高い高さで測定される第1の温度、
- 容器1の頂部で測定される第2の温度、
- 容器1の底部で測定される第3の温度、
- 容器1の底部と頂部との間の中間レベル、好ましくは容器1の底部から20~40cmの距離で測定される第4の温度。
【0094】
好ましくは、第1の温度と第2の温度との間の差は、1~35℃、好ましくは1~10℃である。好ましくは、第1の温度と第3の温度との間の差は、3~30℃である。好ましくは、第1の温度と第4の温度との間の差は、2~70℃、好ましくは2~20℃である。好ましくは、第1の温度と第4の温度との間の偏差は、2~70℃、好ましくは2~20℃である。
【0095】
容器の出口におけるパイプの通路断面積は容器の断面積よりも小さいため、分配手段13及び14を容器1の頂部の温度よりも高い温度に維持することが有利であり、これは、容器1の下流のパイプ13又はバルブ14における前駆体の結晶化を回避するためである。
【0096】
可能な実施形態によれば、容器1は、20~100cmの第1の高さを有し、及び/又は筐体2は、30~150cmの第2の高さを有する。第1の高さは、容器1の内部において、頂部と底部との間で軸方向zに平行に測定される。第2の高さは、筐体の内部において、下部壁と上部壁との間で軸方向zに平行に測定される。
【0097】
好ましくは、固体前駆体は、容器1の下部に配置される。一実施形態によれば、固体前駆体は、0~90cmの高さで容器1内に配置され、前記高さは、容器1の底部から測定される。
【0098】
図3に見られるように、第2の加熱手段20は、筐体の高いレベルに、好ましくは分配手段13、14が配置される領域に配置された、少なくとも1つの電気抵抗器を含み得る。好ましくは、第2の手段20は、筐体2の側壁内又は側壁上に配置される。
【0099】
好ましくは、第2の加熱手段20は、第2の加熱手段20から筐体2の内部容積の方向に空気を循環させるように構成された空気循環手段24と関連付けられる。特に、循環手段24は、少なくとも1つのファンを含み得る。好ましくは、空気循環手段24は、第2の加熱手段20によって加熱されるように、筐体内から、好ましくは筐体の中央領域から冷気を回収し、加熱された空気を内部容積に、好ましくは側面を経由して排出するように構成される。空気は、閉回路においてオーブン内で循環し得、特に、循環された空気は、加熱され、筐体内で循環し、その後、第2の加熱手段20に再び導かれるように循環手段によって引き込まれる。
【0100】
任意選択的に、筐体はまた、循環手段24の近くに配置された少なくとも1つの開口部など、外気を筐体に供給するための手段と、筐体の外側に接続された空気排出手段とを含み得る。筐体から高温の空気を排出するためのこれらの手段は、必要に応じて筐体をより迅速に冷却するか、又は漏れなどの問題が発生した場合に筐体から空気を抽出するために使用することができる。
【0101】
有利には、第2の加熱手段20は、容器1の加熱温度を調整するように加熱出力を調整することを可能にする制御部材に接続される。このようにして、容器1及び分配手段13、14の温度プロファイルを調整及び/又は修正することが可能である。好ましくは、制御部材は、所定値の第1の温度設定点に従って第2の加熱手段20によって送達される加熱出力を調節及び/又は調整するように構成される。所定値が選択されると、調節は一定の温度設定点に対して実行される。温度の維持は、第2の手段20で測定された温度を第1の設定点と比較することにより、閉ループの調節によって行われ得る。
【0102】
有利には、本発明による装置は、筐体2内に配置された第3の加熱手段30をさらに含む。好ましくは、第3の加熱手段30は、z方向に沿って、筐体2内の第2の加熱手段のレベルよりも低いレベルに配置される。
【0103】
好ましくは、第3の加熱手段30は、筐体2の下部ゾーン22、好ましくは容器1の下部、有利には容器1の底部又は容器1の下に配置される。
【0104】
1つの可能性によれば、第3の加熱手段30は、容器1の下に配置された加熱プレートを含み、特にプレートを加熱する少なくとも1つの電気抵抗器を備えたアルミニウムなどの熱伝導性材料から形成されたプレートを含む。第3の加熱手段30は、容器1の少なくとも一部を、好ましくは熱伝導によって加熱するように構成される。熱の供給は、好ましくは容器1の底部で行われる。熱は、容器1の壁を底部から頂部へと伝わることによって拡散する。
【0105】
有利には、第3の加熱手段30は、容器1の加熱温度を調整するように加熱出力を調整することを可能にする制御部材に接続される。このようにして、軸方向zにおいて容器1が示す温度差が調整される。好ましくは、制御部材は、所定値の第2の温度設定値に従って第3の加熱手段30によって送達される加熱出力を調節及び/又は調整するように構成される。所定値が選択されると、調節は一定の温度設定点に対して実行される。温度の維持は、第3の手段30で測定された温度を設定値と比較することにより、閉ループの調節によって行われ得る。
【0106】
第3の加熱手段30は、固体前駆体をより容易に昇華させるために、第2の加熱手段20に加えて追加の熱を供給することを可能にする。これにより、容器の頂部と底部との間の温度差及び容器1の底部と分配手段13、14との間の温度差を調整するための追加の自由度が提供される。このようにして、温度プロファイルを、装置内の昇華条件、特に前駆体の性質、圧力及び/又は分配流量等に適合させることが可能になる。
【0107】
特に、制御ユニットは、容器1の底部が加熱される温度を調整することを可能にする。したがって、第2の設定値を増加させることにより、第3の加熱手段の出力を増加させ、容器1の底部の温度を増加することができ、容器の頂部と底部との間及び容器1の底部と分配手段13、14との間の温度差を減少させることができる。逆に、第2の温度設定値の減少は、第3の加熱手段の出力の減少を引き起こし、温度差を増加させることが可能になり得る。装置は、第3の加熱手段及び第2の加熱手段によって供給される出力の相対的な調整を可能にするように構成され得ることに留意されたい。
【0108】
特定の実施形態によれば、第2の加熱手段は、第2の加熱手段と第1の加熱手段のみが動作しているとき、第1の温度と第2の温度との間の差が1~35℃であるように構成される。第2の加熱手段及び第3の加熱手段は、第2の加熱手段、第1の加熱手段及び第3の加熱手段が動作しているとき、第1の温度と第2の温度との間の差が1~10℃であるように構成され得る。
【0109】
代替的又は追加的に、第2の加熱手段は、第2の加熱手段及び第1の加熱手段のみが動作しているとき、第1の温度と第3の温度との間の差が2~70℃であるように構成され得る。第2の加熱手段及び第3の加熱手段は、第2の加熱手段、第1の加熱手段及び第3の加熱手段が作動しているとき、第1の温度と第3の温度との間の差が2~20℃であるように構成され得る。
【0110】
図4は、本発明の実施形態による装置の筐体内の温度分布の例を示す。容器1は、49cmの第1の高さを有する。筐体2は135cmの第2の高さを有する。第2の加熱手段20は、筐体の上部ゾーン21を加熱し、筐体の下部ゾーン22をより少ない程度加熱する。第3の加熱手段30は、容器1の底部を加熱する。熱の一部は、熱伝導によって容器の頂部に向かって広がる。曲線は、軸方向zに沿った容器1上及び分配手段13、14上の異なるレベルにおける温度の経時変化を示す。
【0111】
曲線Aは、容器1の頂部から上に60cmのオーダーの距離に配置された分配手段13における温度測定に対応する。曲線Bは、容器1の頂部から上に13cmのオーダーの距離に配置されたバルブ14の温度測定に対応する。曲線Cは、容器1の頂部における温度測定に対応する。曲線Dは、容器1の中間の高さにおける温度測定に対応する。曲線Eは、容器1の底部から上に5cmの距離における温度測定に対応する。曲線Fは、容器1の底部で測定された温度測定に対応する。
【0112】
有利には、第2の加熱手段20が使用される場合、筐体2及び容器1に収容される高温の空気と分配手段13及び14との間の対流によって熱の伝達が行われる。しかしながら、自然対流のみでは、工業的規模において、特に所望の堆積速度が一層高くなる化学蒸着用途に関して、所望の気相流量を確保するのに必要なエネルギーを供給するのに十分でない場合がある。
【0113】
第1、第2及び/又は第3の加熱手段は、前駆体の蒸気圧が上昇するように容器1を加熱し得る。第2の手段は、特に温度プロファイルを生成するために使用される。第3の手段は、このプロファイルを調整するために使用することができる。第1、第2及び/又は第3の加熱手段は、温度プロファイルを可能な限り効果的に使用状況に適合させるための追加手段として機能する。
【0114】
所望の圧力が達成され、所望の前駆体流量が確保されるために必要な熱の供給において優勢となる加熱手段は、装置の使用状況に依存し得る。特に、これは容器1の満杯レベル及び前駆体と周囲容積との間の接触面に依存し得る。容器1が満杯の場合、第1の加熱手段と第2の加熱手段が最も大きい影響を及ぼす。容器1が比較的わずかにのみ満たされているか又はさらにほとんど空である場合、第3の加熱手段が前駆体の加熱に最も影響を及ぼす。
【0115】
加熱された固体前駆体11は、様々な加熱手段によって容器1に供給される利用可能なエネルギーを使用することによって昇華される。純粋な前駆体の分配流量は、その昇華速度によって条件付けられる。要求される引き出し流量が高ければ高いほど、必要なエネルギーは大きくなり、容器をより加熱する必要がある。使用地点でより高い圧力が必要となるため、容器によって分配される流体の圧力を上げる場合も同様である。いずれの場合も、第1の加熱手段によって伝達される熱を増加させる必要がある。さらに、前駆体蒸気の消費流量が使用地点で減少する場合、昇華する気相12の量を減少させるために、容器1の加熱を減少させることも必要である。
【0116】
図1に描かれているものなど、有利な実施形態によれば、第1の加熱手段10は、可変加熱出力を供給するように構成される。典型的には、加熱手段10は出力供給部材に接続され、加熱出力は、第1の加熱手段10に加えられる供給電流の強度の関数として変化する。装置は、容器1の内部の圧力を測定するように構成された少なくとも1つの圧力センサPCをさらに含む。圧力センサPCは、容器1の内部容積に流体接続される。圧力センサPCは、分配手段13、14に、好ましくは気相12の分配を制御するバルブ14の出口の下流側に取り付けることができ、前記バルブは、出口17の下流若しくは容器1の出口17とバルブ14との間又は容器1に直接配置される。圧力センサは、筐体の外側に配置され得、容器1に流体接続され得る。制御ユニット40は、圧力センサPC及び第1の加熱手段10に接続される。制御ユニット40は、圧力センサPCによって測定された圧力の関数として、第1の加熱手段10によって送達される加熱出力を変化させるように構成される。
【0117】
同時に、第2の加熱手段は筐体2及び容器1の内部容積を有利に加熱し続けることに留意されたい。
【0118】
このように、加熱出力は、容器1内の圧力を安定させるために、前駆体が容器1内で加熱される温度に適合するように適合される。変動が生じた場合、制御ユニットは、容器内の圧力を調整するように、第1の手段10によって加熱状況を適合させる。これにより、安定した気相流量での連続的な分配が保証される。この調節モードは、圧力の変動が容器1内の物理的システムの状態に直接且つ即座に影響を及ぼすため、第1の加熱手段から独立した調節よりも効率的で安全である。
【0119】
この実施形態は、容器1内の圧力が気相12の圧力に対応し、昇華させることができる前駆体の量を直接反映するため、前駆体が純粋な形態で分配される場合に好適である。
【0120】
好ましくは、制御ユニット40は、容器1内で測定された圧力を設定圧力と比較するように構成される。容器1内で測定された圧力が設定圧力より低い場合、加熱出力は増加される。容器1内で測定された圧力が設定圧力以上である場合、加熱出力は減少される。加熱出力の減少は、圧力設定値と測定されたシステム圧力との間の制御ユニット40によって計算された圧力差に応じて、より低い出力で加熱すること又は加熱を停止することを意味するように理解されることに留意されたい。
【0121】
設定圧力は、特に、設備の運転条件、設備の構成要素、使用地点で必要とされる圧力及び流量及び/又は前駆体の性質に応じて予め定めることができ、各前駆体分子は、温度の関数としてその飽和蒸気圧の特定の変動曲線を有する。好ましくは、設定圧力が定められ、第1の加熱手段10は、それらが公称出力と称される出力で動作するとき、前駆体が、その飽和蒸気圧が設定圧力に等しくなる温度まで加熱されるように構成される。設定圧力と容器1内で測定された圧力との間の差が大きいほど、第1の加熱手段の出力は公称出力に対して増加する。
【0122】
任意選択的に、制御ユニット40は、容器1内で測定された圧力を高圧閾値と比較するように構成することもできる。装置は、容器1に流体接続されたバルブ又は真空ネットワーク61に関連付けられた通気口を有する通気ラインと、真空ネットワークへの流体の通過を制御する少なくとも1つのバルブとを含み得ることに留意されたい。圧力センサPCによって測定された圧力が高圧閾値よりも高い場合、制御ユニット40はこのバルブの開放を命令し、したがって容器1内の圧力をより迅速に低下させ、さらなる安全性を提供することを可能にする。
図4は、真空ライン61に接続された三方弁によって圧力が解放される例示的な実施形態を示す。
【0123】
潜在的に、装置は、容器1及び分配手段13、14に流体接続され、且つそこにパージガスを搬送するパージダクト63を含み得る。これにより、始動段階又はメンテナンス段階中に装置及び容器1のパイプをパージすることが可能になる。
【0124】
圧力に応じて容器1の加熱を調節することにより、容器1が加熱される温度を、使用地点60で要求される気相の流量に応じて適合させることも可能になる。典型的に、消費地点で要求される流量が増加すると、昇華された前駆体が不足するため、センサPCによって測定される圧力が低下する。これに応答して、制御ユニット40は、飽和蒸気圧を増加させ、より多くの前駆体を昇華させるために、加熱出力の増加を命令する。消費地点で必要とされる流量及び/又は圧力が低下すると、昇華された前駆体が過剰になるため、センサPCによって測定される圧力が上昇する。これに応答して、制御ユニット40は、より少ない前駆体を昇華させるために加熱出力の減少を命令し、且つ/又は高圧閾値を超えた場合に真空ネットワーク61に通したバルブの開放を命令する。
【0125】
有利には、本発明による装置は、センサPCによって測定された圧力に基づいて第1の加熱手段10の出力を制御するための第1のフィードバック制御ループを実施する。「フィードバック制御ループ」という用語は、一般に、調節する量が調節される量、すなわちフィードバック制御されるべき量に作用して、その量をできるだけ早く設定値に到達させ、そこに維持するプロセスを制御するためのシステムを意味するように理解される。フィードバック制御の基本原理は、フィードバック制御されるべき量の実際の値と、達成することが所望される設定値との間の差を連続的に測定し、この差をできるだけ早く減少させるために、1つ又は複数のアクチュエータに適用すべき適切な指令を計算することである。これは閉ループ制御システムとも呼ばれる。
【0126】
フィードバック制御ループにおいて、調節する量は、センサPCによって測定される圧力であり、調節される量は、容器1の加熱出力である、したがって、第1の加熱手段10の出力の設定を経由した、間接的に固相11の加熱温度である。
【0127】
センサPCに加えて、フィードバック制御ループは、制御ユニット40内に配置され、測定された圧力と設定圧力の比較から少なくとも1つのエラー信号を生成するように構成された比較器を含む。ループは、エラー信号から制御信号を生成するように構成された補正器を含む。補正器は、加熱出力の調整を命令する制御信号をユニット40に送る。好ましくは、補正器は、比例・積分・微分(PID)方式のものであり、したがって、比例動作、積分動作、微分動作の3つの複合動作によってフィードバックの性能を向上させることができる。比例項、積分項及び微分項は、計算及び/又は実験によって決定することができる。Dの微分項はゼロである可能性もある。
【0128】
有利には、制御ユニット40は、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)システムとも呼ばれるプログラマブルコントローラ、すなわち監視用のマンマシンインターフェースとデジタル通信ネットワークとを含む工業プロセス用の制御システムを含む。PLCシステムは、サブシステム又は装置を制御するための機器を制御する複数のモジュール式コントローラを含み得る。これらの機器アイテムは、それぞれ少なくとも1つの測定センサからのデータ取得、少なくとも1つの流量又は圧力制御部材に接続された少なくとも1つのアクチュエータの制御、パラメータの調節及びフィードバック、システム内の様々な機器アイテム間のデータ伝送の少なくとも1つのオペレーションを確実に行うように構成される。
【0129】
したがって、制御ユニット40は、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、コンピュータの少なくとも1つを含み得る。制御ユニット40は、装置を制御するための様々な機器アイテム、特に流量及び圧力を調節するための部材、センサ、加熱手段を制御するための部材に接続することができ、電気、イーサネット、Modbus等の接続によって前記機器アイテムと通信することができる。例えば、無線周波数、WIFI、ブルートゥース等の接続により、装置内の機器の全て又は一部に対して接続及び/又は情報伝送の他のモードを想定することができる。
【0130】
「制御ユニット」という用語は、様々な加熱手段を制御する同一のユニット又は加熱手段の全て若しくは一部を独立して制御できる複数の制御部材を網羅することに留意されたい。
【0131】
1つの可能な実装形態によれば、制御ユニット40は、制御ユニット40に対する指示及び/又は特に前駆体の性質、流量及び/又は所望の分配圧力に関するデータをユーザが処理設備等に入力することを可能にする入力インターフェース、例えばタッチスクリーンを含むマンマシンインターフェースを含む。
【0132】
図2は、装置がキャリアガス4で希釈された気相12を分配するように意図された実施形態を示す。上に記載した特徴の全て又は一部、特に制御ユニット、調節ループ、筐体、第2の加熱手段等に関連する特徴は、希釈された気相の分配の事例に適用可能であることに留意すべきである。
【0133】
キャリアガス4の供給源は、供給ダクト15によって容器1の入口16に接続される。キャリアガス4の供給源は、キャリアガスが気体状態、液体状態、すなわち液化ガス状態又は液体/ガスの二相状態で貯蔵され得る容器、例えばガスシリンダ、シリンダの束を形成するように互いに接続されたシリンダのセット又は極低温貯蔵タンクなどのより大きい容量のタンクであり得る。
【0134】
装置は、容器1の入口16と出口17との間でキャリアガス4を循環させるように構成されたキャリアガス循環手段41、42を含み、その結果、キャリアガス4は容器1内で循環する際に気相12にチャージされる。このようにして、前駆体とキャリアガスの混合物が使用地点に分配される。
【0135】
本発明による装置は、特に、1ppmm~10%、好ましくは50ppmm~5%(ppm及び質量%)の前駆体含有量を有し、残部がキャリアガスである前駆体蒸気とキャリアガスの混合物を生成するために使用することができる。例えば、以下の組成を有する混合物を分配することができる:N2中の1700ppmのWCl5、N2中の3.5%のWCl6。
【0136】
使用地点60で必要とされる圧力及び/又は流量に適合するために、キャリアガス循環手段41、42は、容器1内に送られるキャリアガス4の流量を調節し、且つ/又は容器1内の圧力を調節するように構成される。事例に応じて、キャリアガス循環手段41、42は、以下の少なくとも1つを含む:容器1に向かって流れるキャリアガス4の流量を調節するように容器1の上流側に配置された上流側流量調節器41、容器1内の圧力を調節するように容器1の上流側に配置された上流側圧力調節器41、容器1から流れるガス混合物の流量を調節するように容器1の下流側に配置された下流側流量調節器42、容器1内の圧力を調節することを可能にする容器1の下流側に配置された下流側圧力調節器42。圧力調節器42は、(圧力を制御するために使用される)流量コントローラ、背圧調節器、バタフライバルブ等であり得る。
【0137】
特に、容器1内の圧力を調節するために、供給ダクト15に膨張装置41を、且つ/又は分配ダクト13に背圧調節器42を設けることができる。背圧調節器42は、上流側圧力調節器として機能し、すなわち背圧調節器42の上流側の気体回路内の流体の圧力を調節するように構成される。背圧調節器42を使用することで上流側の圧力を一定に保つことができる一方、下流側の圧力は変動する可能性がある。一実施形態によれば、背圧調節器は、バイパスに取り付けられたチャンバ、制御メンブレンによって作動されるバルブを含み得る。このメンブレンは、一方では、気体回路に接続されたダクトを開閉するように設けられた重み付きばねにより、他方では、上流側で安定させるべき圧力により釣り合わされる。容器内の圧力は、例えば、一定に、特に67mbara~2bara(絶対bar)の値に保つことができる。
【0138】
特に、装置は、下流側の圧力低減器として機能する少なくとも1つの膨張装置41を含み得る。膨張装置41は、分配された混合物の圧力を調節するように構成され、混合物のパラメータの精度及び安定性の点で処理設備の要求を満たすために、混合物の使用地点における圧力の安定性を保証する。特に、膨張装置41は、ダクト15に直列に取り付けられ得る。
【0139】
特に、供給ダクト15は、流量調節器41を含むことができ、及び/又は分配ダクト13は、容器1を通過するキャリアガス4の流量を調節するために流量調節器42を含むことができる。各流量調節部材41、42は、流体の流量を設定、調節、調整して、所望の値に最も近い流量値にするように構成された任意の手段であり得る。典型的には、流量調節部材41、42は、それぞれバルブ、例えば比例制御弁などの膨張部材と関連付けられた流量計を含む。このバルブは、可動部、典型的には少なくとも1つの閉鎖部材を含み、この閉鎖部材は、流体の流れ中に配置され、その移動によって通路の断面を変化させることが可能であり、したがって流量を変化させて設定値に近づけることが可能である。
【0140】
前駆体12は、キャリアガス4中で希釈されるため、キャリアガス中の前駆体の気相の濃度は、昇華した前駆体の流量とキャリアガスの流量との間の関係性によって決定される。キャリアガス中の前駆体の気相の濃度の安定性は、容器1内のキャリアガスの飽和と容器1の温度の安定性とによって保証される。したがって、使用地点で分配される混合物の流量の安定性は、容器1内で循環するキャリアガスの流量の安定性によって保証される。
【0141】
したがって、制御ユニット40は、前述の調節部材に接続され、それらの動作を制御することができ、特に設備の運転状況に応じて決定される値になるように、前記部材に適用される設定値を調節することができる。
【0142】
図2に見られるように、装置は、容器1の外面の温度を測定するように構成された少なくとも1つの温度センサTCを有利に含む。センサTCは、接触による温度測定を行うように構成された任意のセンサであり得、特に抵抗温度センサ、例えばPT100白金抵抗センサ又は熱電対若しくはサーミスタ温度プローブであり得る。
【0143】
好ましくは、温度センサTCは、容器1の壁、好ましくは底部と頂部との間に位置する周壁の外面の少なくとも一部の温度を測定するように構成される。好ましくは、センサTCは、第1の加熱手段10が延びる容器の高さに配置される。これにより、より高い調節精度と速度が得られる。
【0144】
制御ユニット40は、温度センサTC及び第1の加熱手段10に接続され、制御ユニット40は、温度センサTCによって測定された温度に応じて、第1の加熱手段10によって送達される加熱出力を変化させるように構成される。
【0145】
有利には、制御ユニット40は、センサTCによって測定された温度を所定の値の第3の温度設定点と比較するための手段を含む。制御ユニット40は、測定された温度が第3の温度設定点よりも高い場合には加熱出力を減少させ、測定された温度が第3の温度設定点よりも低い場合には加熱出力を増加させるように構成される。加熱出力の減少は、第3の温度設定点と測定された温度との間の制御ユニット40によって計算された温度差に応じて、より低い出力で加熱すること又は加熱を停止することを意味するように理解されることに留意されたい。
【0146】
容器1が加熱される温度は、その設定値で安定化される。これにより、安定した気相流量での連続的な分配が保証される。この実施形態は前駆体が希薄な形態で分配される事例に好適であるが、その理由は、この事例では容器1内の圧力は、キャリアガス4の圧力と前駆体の温度に依存するからである。
【0147】
第3の温度設定点は、特に、運転状況及び設備の構成要素、圧力、使用地点で要求される流量及び/又は前駆体の性質に応じて定めることができる。好ましくは、第1の加熱手段10は、それらが公称出力と称される出力で動作しているとき、センサTCによって測定される容器の表面温度が第3の温度設定点に等しくなるように構成される。第3の設定点は、キャリアガス中の前駆体蒸気の濃度が処理設備の仕様を満たすように決定される。処理設備がより高濃度の前駆体を必要とする場合、前駆体の飽和蒸気圧を高めるために、第3の温度設定点が上げられる。処理設備がより低濃度の前駆体を必要とする場合、前駆体の飽和蒸気圧を下げるために設定点が下げられる。
【0148】
本発明による装置は、上述したように、圧力センサPCと温度センサTCとの両方を含み得ることに留意されたい。これにより、同一の装置を使用して、純粋な形態の前駆体を分配するためのモード又は希釈された形態の前駆体を分配するためのモードにおいて加熱出力を調節することができる。動作モードに応じて、制御ユニット40は、センサの一方又は他方からの測定値に基づいて加熱出力を制御するための信号を生成するように構成される。
【0149】
図5に見られるように、分配手段13、14は、筐体2の第1の壁52を通過する少なくとも1つの分配ダクト13を含む。装置は、分配ダクト13の少なくとも一部の周囲にスリーブを形成し、且つ前記第1の壁52の両側で延びる少なくとも1つの加熱要素50をさらに含み得る。
【0150】
具体的には、筐体の壁は、一般に、熱シール性を保証するために断熱されるため、壁通路は、気相12の経路で低温地点を形成する可能性があり、したがって壁通路において気相の再結晶化のリスクをもたらす。これを排除するために、1つ又は複数の加熱要素が筐体の壁に挿入され、昇華した前駆体の再結晶化を回避し、軸方向zに沿って上昇する温度を維持するように、分配ダクトは壁内の通路で加熱される。
【0151】
特定の実施形態によれば、加熱要素50は、熱伝導性材料で形成された2つの加熱ハーフシェルを含み得る。ハーフシェルは、1つ又は複数の加熱カートリッジと、少なくとも1つの温度プローブとを含み得る。シェルは筐体の壁に挿入され、好ましくは一定温度で加熱される。
【0152】
図5の例のように、真空ライン61の周囲及び/又は圧力測定のための測定ライン62の周囲に加熱要素50を配置することも可能である。
【0153】
図6は、分配装置が、筐体2の第1の壁52に面して配置された第2の壁53を有する少なくとも1つの追加の筐体3をさらに含む実施形態を描いている。容器1から前駆体蒸気を搬送する分配ダクト13は、追加の筐体3の第2の壁53を通過し、使用地点60に向けて蒸気を分配する。追加の筐体3は、必ずしも筐体2の上方に位置決めされる必要はなく、使用地点の位置及び利用可能な設置面積に応じて他の配置も可能であることに留意されたい。
【0154】
追加の筐体3は、追加の筐体3の内部容積の少なくとも一部を筐体2の温度よりも高い温度に加熱するように構成された第3の加熱手段を含む。したがって、軸方向zの温度上昇は順守され、筐体3のラインにおける生成物の再結晶化を回避する。好ましくは、上述したような加熱要素50は、第2の壁53を貫くその通路で分配ダクト13の周囲に配置される。
【0155】
図7に示される一実施形態において、本発明による少なくとも2つの分配装置が並列に配置された分配アセンブリが実践される。より正確には、各装置は、容器1と、それ自体が消費地点60に接続された共通のパイプ19に流体接続されたそれぞれの分配手段13、14とを含む。追加の筐体3の配置は任意であることに留意されたい。
【0156】
有利には、アセンブリは、気相12が2つの容器の一方から共通パイプ19内に分配される第1の位置を占めるように構成された切換手段を含む。切換手段は、
図7で見ることができるように、それぞれの分配手段13、14のバルブ14及び/又は分配手段に接続された追加のバルブ、例えばアングルバルブを含み得る。
【0157】
好ましくは、一方の供給源から他方の供給源への切換えは、自動的に、すなわちオペレータの介入なしに行われる。容器1内の前駆体の量が所定の低い閾値以下であるとき、切換手段は、気相12が2つの容器1の他方から共通パイプ19内に分配される第2の位置に移動される。好ましくは、第1の位置から第2の位置への切換手段の移動は、容器1内の前駆体の量を表す物理量の測定に基づいてトリガーされ、前記物理量は、容器1の質量、容器1内の圧力、容器1の外面の温度のうちから選択することができる。
【0158】
1つの可能性によれば、容器1の質量が測定され、これは、容器内に残存する前駆体の質量の測定に相当する。好ましくは、前駆体を収容する容器の総質量が測定される。容器1内の前駆体の正味質量は、空の容器の質量の事前知識から推論され、これは、例えば、オペレータが容器の使用開始時に制御ユニットに入力することができる。好ましくは、装置は、容器1の質量の変化を監視するために、少なくとも1つの容器1を計量する手段を含む。前駆体の質量が所与の閾値を下回ると、切換手段の移動がトリガーされる。
【0159】
別の可能性によれば、容器1内の圧力が測定される。圧力が所与の閾値を下回る場合、これは、容器内に圧力設定点を維持するのに十分な固相がもはや存在しないことを意味する。これにより、切換手段の移動がトリガーされる。
【0160】
別の可能性によれば、容器1の外面の温度、すなわち容器1の外皮温度が測定される。温度が所与の閾値を超えた場合、これは、容器内にもはや十分な前駆体が存在しないことを意味し、圧力設定点を維持するために第1の加熱手段10の温度が上げられる。これにより、切換手段の移動がトリガーされる。
【0161】
複数の分配装置を有するアセンブリの利点は、容器の枯渇にもかかわらず、前駆体を使用する処理設備の連続運転を可能にすることである。具体的には、使用中の容器が低い閾値に達すると、空の容器が新しい満杯の容器と交換される間、他の容器を使用することができる。
【0162】
潜在的に、切換手段は、他方の容器に切り換わる前に、気相12が両方の容器から同時に分配される中間位置を占める場合がある。これにより、第2の容器1のバルブが開放される間の圧力低下を回避すること及び使用効率を高めるために第1の容器を完全に空にすることが可能になる。
【0163】
好ましくは、分配アセンブリを構成する主筐体2が並んで配置され、主筐体2の上方に追加の筐体3が配置される。追加の筐体3の内部容積は、頂部に向かう上昇温度の変化の方向に常に準拠するように、主筐体2の容積が加熱される温度よりも高い温度に加熱される。加熱要素50は、各筐体2から追加の筐体3へ至る壁の通路に配置される。
【0164】
好ましくは、装置は、1つ又は複数の筐体2、3を設置できる少なくとも1つのガスキャビネットを含む。キャリアガスの供給源は、利用可能なスペースに応じて、キャビネットの内部又は外部に配置することができる。好ましくは、制御ユニット40は、キャビネットの壁の1つに固定されるか、キャビネットから離れて位置決めされることにより、キャビネットの内側又は外側に配置することができる。ガスダクトのシステムはキャビネット内に配置される。キャビネットは、バルブ、膨張装置、圧力測定部材等など、ガスダクトのシステムを制御及び/又は維持するための手段を含む場合があり、ガスの分配、特定のダクト又はダクトの一部の開閉、ガス圧力の管理、パージサイクルの実施、漏れテスト等などの操作を行うことを可能にする。キャビネットは、キャリアガスを供給するためのガス入口開口部と、気相を分配するためのガス出口開口部とを含み得る。分配ダクト13は出口開口部に接続される。動作中、ガスキャビネットは消費地点60を介して処理設備に接続される。他のガス入口、特にフラッシングガス、校正用ガス等のためのガス入口を設けることもできる。
【実施例】
【0165】
本発明による装置の有効性を実証するために、MoO
2Cl
2を900cm
3/分標準(すなわち「標準立方センチメートル/分」を表すsccm)の質量流量及び650Torrの圧力で純粋な前駆体として分配した。設定圧力は、650Torrであった。第1、第2及び第3の加熱手段10、20、30は、そのように実装された。容器1及び分配手段13、14は、
図4に示すような温度プロファイルを有した。
【0166】
図8は、MoO
2Cl
2の0sccmから900sccmまでの11分における流量の変化を示す。前駆体は、71分間流れ、その後、流れは、停止された。
図8は、システム圧力と第1の加熱手段10の出力も示す。0から900sccmに移行する間、システム圧力が650Torr(圧力設定点)から580Torrに減少していることがわかる。システム圧力の減少の結果として、第1の加熱手段10の出力は、2%から100%に増加する。第1の加熱手段10の加熱により、システム圧力は、700Torrまで上昇する。圧力の上昇を考慮して、第1の加熱手段の加熱は、圧力が再び上昇して設定圧力の650Torrに近づくと減少され、圧力が圧力設定点を超えると停止される。その後、システム圧力は、圧力設定点付近で安定する。圧力振動の振幅が減少することがわかる。前駆体の流れは、システム圧力が安定する前に停止されたが、71分で1.5%の圧力変動が達成された。
【0167】
本発明による装置は、半導体、光起電力、LED及びフラットスクリーン産業又は鉱業、製薬、宇宙産業若しくは航空産業などの任意の他の産業など、様々な産業で使用される前駆体を分配するために使用することができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの固体前駆体の気相を分配するための装置であって、
- 前記前駆体の固相(11)を収容するように意図された容器(1)であって、底部及び頂部を有する容器(1)、
- 前記容器(1)内に前記前駆体の気相(12)を形成するために、前記容器(1)及び/又は前記固相(11)の少なくとも一部を加熱するように構成された第1の加熱手段(10)、
- 前記容器(1)に流体接続され、且つ前記気相(12)を前記容器(1)から使用地点(60)に分配するように構成された分配手段(13、14)
を含む装置において、前記容器(1)、前記第1の加熱手段(10)及び前記分配手段(13、14)が配置される内部容積を有する筐体(2)を含み、前記筐体(2)は、上向き方向に向けられた実質的に垂直な軸方向(z)を有し、前記筐体(2)の前記内部容積は、下部ゾーン(22)及び上部ゾーン(21)を含み、前記装置は、前記筐体(2)の前記内部容積の少なくとも一部を加熱するように構成された第2の加熱手段(20)をさらに含み、前記第2の加熱手段(20)は、前記第2の加熱手段(20)から前記筐体(2)の前記内部容積の方向に空気を循環させるように構成された空気循環手段(24)を含むことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記上部ゾーン(21)は、前記軸方向(z)において前記下部ゾーン(22)のレベルよりも高いレベルに配置され、前記第1の容器(1)及び前記第1の加熱手段(10)は、前記下部ゾーン(22)に配置され、且つ前記第2の加熱手段(20)及び前記分配手段(13、14)は、前記上部ゾーン(21)に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記筐体(2)の前記下部ゾーン(22)において、好ましくは前記容器(1)の前記底部(1a)の少なくとも一部の周囲又は前記容器(1)の前記底部(1a)の下方に配置された第3の加熱手段をさらに含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記第2の加熱手段(20)は、特に前記筐体(2)の壁又は前記壁の近くに取り付けられた少なくとも1つの電気抵抗器を含むことを特徴とする、請求項1
又は2に記載の装置。
【請求項5】
前記容器(1)の内部の圧力を測定するように構成された少なくとも1つの圧力センサ(PC)と、前記圧力センサ(PC)及び前記第1の加熱手段(10)に接続された制御ユニット(40)とを含み、前記制御ユニット(40)は、特に、前記圧力センサ(PC)によって測定された前記圧力に応じて、前記第1の加熱手段(10)によって送達される加熱出力を調節及び/又は調整するように構成されることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の装置。
【請求項6】
キャリアガス(4)の供給源と、前記キャリアガス(4)の供給源を前記容器(1)の入口(16)に流体接続する供給ダクト(15)と、前記容器(1)内で前記キャリアガス(4)を循環させるための手段(41、42)とをさらに含み、前記キャリアガスを循環させるための前記手段(41、42)は、前記分配手段(13、14)が、前記気相(12)と前記キャリアガス(4)とを含むガス混合物を前記容器(1)から分配するように、前記容器(1)の前記入口(16)と出口(17)との間で前記キャリアガス(4)を循環させるように構成され、前記キャリアガスを循環させるための前記手段(41、42)は、特に、前記容器(1)内で循環するキャリアガス(4)の流量を制御し、且つ/又は前記容器(1)内の前記圧力を制御するように構成されることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の装置。
【請求項7】
前記容器(1)の外面の温度を測定し、且つ/又は前記筐体の内部の温度を測定するように構成された少なくとも1つの温度センサ(TC)と、前記温度センサ(TC)及び前記第1の加熱手段(11)に接続された制御ユニット(40)とを含み、前記制御ユニット(40)は、特に、前記温度センサ(TC)によって測定された前記温度に応じて、前記第1の加熱手段(10)によって送達される前記加熱出力を変化させるように構成されることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の装置。
【請求項8】
前記分配手段(13、14)は、前記筐体(2)の第1の壁(52)を貫通する少なくとも1つの分配ダクト(13)を含み、加熱要素(50)は、前記分配ダクト(13)の少なくとも一部の周囲にスリーブを形成し、且つ前記第1の壁(52)の両側で延びることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の装置。
【請求項9】
請求項1
又は2に記載の少なくとも2つの分配装置を含む分配アセンブリであって、各装置は、筐体(2)と、容器(1)と、共通のパイプ(19)に流体接続されたそれぞれの分配手段(13、14)とを含み、前記アセンブリは、切換手段を含み、前記切換手段は、前記気相(12)が前記2つの容器の一方から前記共通のパイプ(19)内に分配される第1の位置を占め、且つ前記容器(1)内の前駆体の量が所定の低い閾値以下である場合、前記気相(12)が前記2つの容器(1)の他方から前記共通のパイプ(19)内に分配される第2の位置を占めるか、又は前記気相(12)が両方の容器から同時に分配される中間位置を占めるように構成され、前記切換手段は、前記容器(1)の質量、前記容器(1)内の圧力、前記容器(1)の外面の温度のうちから選択される、前記容器(1)内の前記前駆体の量を表す物理量を測定するための部材に接続され、前記第1の位置から前記第2の位置への前記切換手段の移動は、前記物理量の測定値に応じて決定される、分配アセンブリ。
【請求項10】
処理される1つ又は複数の基板が設置される処理チャンバを含む処理設備、特に化学蒸着設備であって、前記処理チャンバは、固体前駆体の少なくとも1つの気相(12)を前記処理チャンバに導入するための手段を含む、処理設備、特に化学蒸着設備において、前記導入手段は、請求項1
又は2に記載の装
置の前記分配手段(13、14)に流体接続されることを特徴とする処理設備、特に化学蒸着設備。
【請求項11】
処理される1つ又は複数の基板が設置される処理チャンバを含む処理設備、特に化学蒸着設備であって、前記処理チャンバは、固体前駆体の少なくとも1つの気相(12)を前記処理チャンバに導入するための手段を含む、処理設備、特に化学蒸着設備において、前記導入手段は、請求項9に記載の分配アセンブリの前記分配手段(13、14)に流体接続されることを特徴とする処理設備、特に化学蒸着設備。
【請求項12】
少なくとも1つの固体前駆体の気相を分配する方法であって、
a)前記前駆体の固相(11)を容器(1)内に配置するステップ、
b)前記容器(1)内に前記前駆体の気相(12)を形成するために、前記容器(1)及び/又は前記固相(11)の少なくとも一部を第1の加熱手段(10)で加熱するステップ、
c)前記容器(1)に流体接続される分配手段(13、14)により、前記容器(1)から前記気相(12)を分配するステップ
を含み、
d)前記容器(1)、前記第1の加熱手段(10)及び前記分配手段(13、14)を筐体(2)の内部容積内に配置するステップであって、前記筐体(2)は、上向き方向に向けられた実質的に垂直な軸方向(z)を有し、前記筐体(2)の前記内部容積は、下部ゾーン(22)及び上部ゾーン(21)を含む、ステップ、
e)前記筐体(2)の前記内部容積の少なくとも一部を第2の加熱手段(20)で加熱するステップであって、前記第2の加熱手段(20)は、前記第2の加熱手段(20)から前記筐体(2)の前記内部容積の方向に空気を循環させるように構成された空気循環手段(24)を含む、ステップ
をさらに含む方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0167
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0167】
本発明による装置は、半導体、光起電力、LED及びフラットスクリーン産業又は鉱業、製薬、宇宙産業若しくは航空産業などの任意の他の産業など、様々な産業で使用される前駆体を分配するために使用することができる。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 少なくとも1つの固体前駆体の気相を分配するための装置であって、
- 前記前駆体の固相(11)を収容するように意図された容器(1)であって、底部及び頂部を有する容器(1)、
- 前記容器(1)内に前記前駆体の気相(12)を形成するために、前記容器(1)及び/又は前記固相(11)の少なくとも一部を加熱するように構成された第1の加熱手段(10)、
- 前記容器(1)に流体接続され、且つ前記気相(12)を前記容器(1)から使用地点(60)に分配するように構成された分配手段(13、14)
を含む装置において、前記容器(1)、前記第1の加熱手段(10)及び前記分配手段(13、14)が配置される内部容積を有する筐体(2)を含み、前記筐体(2)は、上向き方向に向けられた実質的に垂直な軸方向(z)を有し、前記筐体(2)の前記内部容積は、下部ゾーン(22)及び上部ゾーン(21)を含み、前記装置は、前記筐体(2)の前記内部容積の少なくとも一部を加熱するように構成された第2の加熱手段(20)をさらに含み、前記第2の加熱手段(20)は、前記第2の加熱手段(20)から前記筐体(2)の前記内部容積の方向に空気を循環させるように構成された空気循環手段(24)を含むことを特徴とする装置。
[2] 前記上部ゾーン(21)は、前記軸方向(z)において前記下部ゾーン(22)のレベルよりも高いレベルに配置され、前記第1の容器(1)及び前記第1の加熱手段(10)は、前記下部ゾーン(22)に配置され、且つ前記第2の加熱手段(20)及び前記分配手段(13、14)は、前記上部ゾーン(21)に配置されることを特徴とする、[1]に記載の装置。
[3] 前記筐体(2)の前記下部ゾーン(22)において、好ましくは前記容器(1)の前記底部(1a)の少なくとも一部の周囲又は前記容器(1)の前記底部(1a)の下方に配置された第3の加熱手段をさらに含むことを特徴とする、[1]又は[2]に記載の装置。
[4] 前記第2の加熱手段(20)は、特に前記筐体(2)の壁又は前記壁の近くに取り付けられた少なくとも1つの電気抵抗器を含むことを特徴とする、[1]~[3]のいずれか一項に記載の装置。
[5] 前記容器(1)の内部の圧力を測定するように構成された少なくとも1つの圧力センサ(PC)と、前記圧力センサ(PC)及び前記第1の加熱手段(10)に接続された制御ユニット(40)とを含み、前記制御ユニット(40)は、特に、前記圧力センサ(PC)によって測定された前記圧力に応じて、前記第1の加熱手段(10)によって送達される加熱出力を調節及び/又は調整するように構成されることを特徴とする、[1]~[4]のいずれか一項に記載の装置。
[6] キャリアガス(4)の供給源と、前記キャリアガス(4)の供給源を前記容器(1)の入口(16)に流体接続する供給ダクト(15)と、前記容器(1)内で前記キャリアガス(4)を循環させるための手段(41、42)とをさらに含み、前記キャリアガスを循環させるための前記手段(41、42)は、前記分配手段(13、14)が、前記気相(12)と前記キャリアガス(4)とを含むガス混合物を前記容器(1)から分配するように、前記容器(1)の前記入口(16)と出口(17)との間で前記キャリアガス(4)を循環させるように構成され、前記キャリアガスを循環させるための前記手段(41、42)は、特に、前記容器(1)内で循環するキャリアガス(4)の流量を制御し、且つ/又は前記容器(1)内の前記圧力を制御するように構成されることを特徴とする、[1]~[5]のいずれか一項に記載の装置。
[7] 前記容器(1)の外面の温度を測定し、且つ/又は前記筐体の内部の温度を測定するように構成された少なくとも1つの温度センサ(TC)と、前記温度センサ(TC)及び前記第1の加熱手段(11)に接続された制御ユニット(40)とを含み、前記制御ユニット(40)は、特に、前記温度センサ(TC)によって測定された前記温度に応じて、前記第1の加熱手段(10)によって送達される前記加熱出力を変化させるように構成されることを特徴とする、[1]~[6]のいずれか一項に記載の装置。
[8] 前記分配手段(13、14)は、前記筐体(2)の第1の壁(52)を貫通する少なくとも1つの分配ダクト(13)を含み、加熱要素(50)は、前記分配ダクト(13)の少なくとも一部の周囲にスリーブを形成し、且つ前記第1の壁(52)の両側で延びることを特徴とする、[1]~[7]のいずれか一項に記載の装置。
[9] [1]~[8]のいずれか一項に記載の少なくとも2つの分配装置を含む分配アセンブリであって、各装置は、筐体(2)と、容器(1)と、共通のパイプ(19)に流体接続されたそれぞれの分配手段(13、14)とを含み、前記アセンブリは、切換手段を含み、前記切換手段は、前記気相(12)が前記2つの容器の一方から前記共通のパイプ(19)内に分配される第1の位置を占め、且つ前記容器(1)内の前駆体の量が所定の低い閾値以下である場合、前記気相(12)が前記2つの容器(1)の他方から前記共通のパイプ(19)内に分配される第2の位置を占めるか、又は前記気相(12)が両方の容器から同時に分配される中間位置を占めるように構成され、前記切換手段は、前記容器(1)の質量、前記容器(1)内の圧力、前記容器(1)の外面の温度のうちから選択される、前記容器(1)内の前記前駆体の量を表す物理量を測定するための部材に接続され、前記第1の位置から前記第2の位置への前記切換手段の移動は、前記物理量の測定値に応じて決定される、分配アセンブリ。
[10] 処理される1つ又は複数の基板が設置される処理チャンバを含む処理設備、特に化学蒸着設備であって、前記処理チャンバは、固体前駆体の少なくとも1つの気相(12)を前記処理チャンバに導入するための手段を含む、処理設備、特に化学蒸着設備において、前記導入手段は、[1]~[8]のいずれか一項に記載の装置又は[9]に記載のアセンブリの前記分配手段(13、14)に流体接続されることを特徴とする処理設備、特に化学蒸着設備。
[11] 少なくとも1つの固体前駆体の気相を分配する方法であって、
a)前記前駆体の固相(11)を容器(1)内に配置するステップ、
b)前記容器(1)内に前記前駆体の気相(12)を形成するために、前記容器(1)及び/又は前記固相(11)の少なくとも一部を第1の加熱手段(10)で加熱するステップ、
c)前記容器(1)に流体接続される分配手段(13、14)により、前記容器(1)から前記気相(12)を分配するステップ
を含み、
d)前記容器(1)、前記第1の加熱手段(10)及び前記分配手段(13、14)を筐体(2)の内部容積内に配置するステップであって、前記筐体(2)は、上向き方向に向けられた実質的に垂直な軸方向(z)を有し、前記筐体(2)の前記内部容積は、下部ゾーン(22)及び上部ゾーン(21)を含む、ステップ、
e)前記筐体(2)の前記内部容積の少なくとも一部を第2の加熱手段(20)で加熱するステップであって、前記第2の加熱手段(20)は、前記第2の加熱手段(20)から前記筐体(2)の前記内部容積の方向に空気を循環させるように構成された空気循環手段(24)を含む、ステップ
をさらに含む方法。
【国際調査報告】