(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】一体マルチパスおよびフロー分散技術を備える冷媒熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28F 9/02 20060101AFI20240528BHJP
F28D 7/16 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
F28F9/02 E
F28D7/16 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571844
(86)(22)【出願日】2022-05-19
(85)【翻訳文提出日】2024-01-16
(86)【国際出願番号】 US2022029990
(87)【国際公開番号】W WO2022246038
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523436539
【氏名又は名称】エアボーン・イーシーエス・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】AIRBORNE ECS, LLC
【住所又は居所原語表記】3172 EAST DESERET DRIVE SOUTH, ST. GEORGE, UT 84770, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ソレンセン,コール
(72)【発明者】
【氏名】カーリン,アンドリュー
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA17
3L103DD03
3L103DD43
(57)【要約】
複数のマイクロチューブを有するチューブスタックと、熱交換器の冷媒流体インレットと結合し、第一の方向に進む冷媒流体を前記チューブスタックに導入するように構成された第一のヘッダと、熱交換器の冷媒流体アウトレットに結合し、前記マイクロチューブのうちのいくつかを介して前記第一の方向に進む冷媒流体を受け入れ、かつ受け入れた冷媒流体を、前記マイクロチューブのうちのいくつかに向かって第二の方向に放出するように構成された第二のヘッダ通路を有する第二のヘッダとを含む熱交換器。第一のヘッダは、第二の方向に進む冷媒流体を受け入れて、受け入れた冷媒流体を、前記マイクロチューブのうちのいくつかに向かって第一の方向に放出するように構成された第一のヘッダ通路を有する。第二のヘッダは、前記第一の方向に進む冷媒流体を受け入れて、受け入れた冷媒を、熱交換器の冷媒流体アウトレットへ放出するようにさらに構成された。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器システムの冷媒流体を冷却または加熱するためのマイクロチューブ熱交換器であって、
チューブスタックを構成するように互いに実質的に平行に位置合わせされた複数のマイクロチューブを備える前記チューブスタックであって、前記冷媒流体と、前記複数のマイクロチューブの外側を通って流れる外部流体との間で熱を伝達できるように、冷媒流体が、前記複数のマイクロチューブを通過するように構成される、前記チューブスタックと、
前記チューブスタックの第一の端部に配置され、前記熱交換器の冷媒流体インレットに結合されかつ第一の方向に進む冷媒流体がそこを通って前記チューブスタックに導入されるインレットポートを備える、第一のヘッダと、
前記チューブスタックの第二の端部に配置され、前記複数のマイクロチューブのうちのいくつかを通って前記第一の方向に進む冷媒流体を受け入れかつ受け入れた冷媒流体を前記複数のマイクロチューブのうちのいくつかに向かって第二の方向に放出するように構成された第二のヘッダ通路を備える、第二のヘッダと、
を備え、前記第一のヘッダは、前記複数のマイクロチューブのうちのいくつかを通って前記第二の方向に進む冷媒流体を受け入れかつ受け入れた冷媒流体を前記複数のマイクロチューブのうちのいくつかに向かって前記第一の方向に放出するように構成された第一のヘッダ通路、をさらに備え、および
前記第二のヘッダは、前記複数のマイクロチューブのうちのいくつかを通って前記第一の方向に進む冷媒流体を受け入れかつ受け入れた冷媒流体を前記熱交換器の冷媒流体アウトレットへ放出するように構成されたアウトレットポート、をさらに備える、マイクロチューブ熱交換器。
【請求項2】
前記第一のヘッダ通路および前記第二のヘッダ通路の各々は、それぞれ、
前記チューブスタックから前記冷媒流体を受け入れるように構成されたインレットポートを含むインレット面と、
前記受け入れた冷媒流体を前記チューブスタックに向かって放出するように構成されたアウトレットポートを含むアウトレット面と、
前記インレットポートと前記アウトレットポートとを流体的に結合する経路と、
を備える、請求項1に記載のマイクロチューブ熱交換器。
【請求項3】
前記経路は、前記インレットポートと前記アウトレットポートとを流体的に結合する実質的に180度のU字状経路である、請求項2に記載のマイクロチューブ熱交換器。
【請求項4】
前記第一のヘッダ通路および前記第二のヘッダ通路の各々に対して、前記インレット面および前記アウトレット面は、互いに実質的に同一平面上にある、請求項2に記載のマイクロチューブ熱交換器。
【請求項5】
前記第一のヘッダ通路および前記第二のヘッダ通路の各々に対して、
前記インレット面は、複数の前記インレットポートを有し、かつ
前記アウトレット面は、複数の前記アウトレットポートを有し、
前記第一のヘッダ通路および前記第二のヘッダ通路の各々は、複数の前記経路をさらに備え、複数の前記経路の各々は、複数の前記インレットポートのうちの一つを、複数の前記アウトレットポートのうちの一つに流体的に結合する、請求項2に記載のマイクロチューブ熱交換器。
【請求項6】
前記第一のヘッダ通路および前記第二のヘッダ通路の各々は、前記チューブスタックのエンドプレートを密封しかつ前記インレット面と前記アウトレット面とを流体的に隔離するように構成されたガスケットをさらに備える、請求項2に記載のマイクロチューブ熱交換器。
【請求項7】
前記第一のヘッダは、複数の前記第一のヘッダ通路を備え、および前記熱交換器のインレット側のハウジング内に配置され、かつ
前記第二のヘッダは、複数の前記第二のヘッダ通路を備え、および前記熱交換器のアウトレット側のハウジング内に配置される、請求項1に記載のマイクロチューブ熱交換器。
【請求項8】
前記第一のヘッダ通路および前記第二のヘッダ通路の各々は、
前記チューブスタックに対向するように配置されたUターン面と、
前記Uターン面から前記チューブスタックに向かって突出し、および前記チューブスタックのエンドプレートを密封して、前記Uターン面と前記チューブスタックとの間に密封された容積を形成するように構成されたガスケットを備える隆起した外周と、
を備え、前記ガスケットは、前記Uターン面と、密封された容積とが、前記複数のマイクロチューブのマイクロチューブから成る第一の群から移動する冷媒流体を受け入れて、冷媒流体を、前記複数のマイクロチューブのチューブから成る第二の群へ放出するように構成されるように、前記エンドプレートを密封する、請求項1に記載のマイクロチューブ熱交換器。
【請求項9】
冷媒流体を、マイクロチューブ熱交換器を通して循環させる方法であって、
チューブスタックを構成するように互いに実質的に平行に位置合わせされた複数のマイクロチューブを備える前記チューブスタックであって、前記冷媒流体と、前記複数のマイクロチューブの外側を通って流れる外部流体との間で熱を伝達できるように、冷媒流体が、前記複数のマイクロチューブを通過するように構成される、チューブスタックと、
前記チューブスタックの第一の端部に配置されたインレットヘッダであって、第一のインレットヘッダ通路と、第二のインレットヘッダ通路と、第三のインレットヘッダ通路とを備える、インレットヘッダと、
前記チューブスタックの第二の端部に配置されたアウトレットヘッダであって、第一のアウトレットヘッダ通路と、第二のアウトレットヘッダ通路と、第三のアウトレットヘッダ通路とを備えるアウトレットヘッダと、
を備えるマイクロチューブ熱交換器を設けることと、
前記第一のインレットヘッダ通路を用いて、前記インレットヘッダのインレットポートにおいて、前記熱交換器の冷媒流体インレットから冷媒流体を受け入れて、受け入れた冷媒流体を、前記複数のマイクロチューブのマイクロチューブから成る第一の群へ放出することと、
前記第一のアウトレットヘッダ通路を用いて、前記マイクロチューブから成る第一の群から冷媒流体を受け入れて、受け入れた冷媒流体を、前記複数のマイクロチューブのマイクロチューブから成る第二の群へ放出することと、
前記第二のインレットヘッダ通路を用いて、前記マイクロチューブから成る第二の群から冷媒流体を受け入れて、受け入れた冷媒流体を、前記複数のマイクロチューブのマイクロチューブから成る第三の群へ放出することと、
前記第二のアウトレットヘッダ通路を用いて、前記マイクロチューブから成る第三の群から冷媒流体を受け入れて、受け入れた冷媒流体を、前記複数のマイクロチューブのマイクロチューブから成る第四の群へ放出することと、
前記第三のインレットヘッダ通路を用いて、前記マイクロチューブから成る第四の群から冷媒流体を受け入れて、受け入れた冷媒流体を、前記複数のマイクロチューブのマイクロチューブから成る第五の群へ放出することと、
前記第三のアウトレットヘッダ通路を用いて、前記マイクロチューブから成る第五の群から冷媒流体を受け入れて、受け入れた冷媒流体を、前記アウトレットヘッダのアウトレットポートから、前記熱交換器の冷媒流体アウトレットへ放出することと、
を含む方法。
【請求項10】
前記第二のインレットヘッダ通路、前記第三のインレットヘッダ通路、前記第一のアウトレットヘッダ通路および前記第二のアウトレットヘッダ通路の各々は、
前記冷媒流体の受け入れ用のインレットポートを含むインレット面と、
前記受け入れた流体の放出用のアウトレットポートを含むアウトレット面と、
前記インレットポートと前記アウトレットポートを流体的に結合する経路と、
を備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第二のインレットヘッダ通路、前記第三のインレットヘッダ通路、前記第一のアウトレットヘッダ通路および前記第二のアウトレットヘッダ通路の各々に対して、前記経路は、前記インレットポートと前記アウトレットポートとの間の実質的に180度のU字状経路である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第二のインレットヘッダ通路、前記第三のインレットヘッダ通路、前記第一のアウトレットヘッダ通路および前記第二のアウトレットヘッダ通路の各々に対して、前記インレット面および前記アウトレット面は、互いに実質的に同一平面上にある、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第二のインレットヘッダ通路、前記第三のインレットヘッダ通路、前記第一のアウトレットヘッダ通路および前記第二のアウトレットヘッダ通路の各々に対して、
前記インレット面は、複数の前記インレットポートを有し、
前記アウトレット面は、複数の前記アウトレットポートを有し、および
各ヘッダ通路は複数の前記経路を備え、複数の前記経路の各々は、複数の前記インレットポートのうちの一つを、複数の前記アウトレットポートのうちの一つに流体的に結合している、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記第二のインレットヘッダ通路、前記第三のインレットヘッダ通路、前記第一のアウトレットヘッダ通路および前記第二のアウトレットヘッダ通路の各々は、前記チューブスタックのエンドプレートを密封し、および前記インレット面と前記アウトレット面とを流体的に隔離するように構成されたガスケットをさらに備える、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記第二のインレットヘッダ通路、前記第三のインレットヘッダ通路、前記第一のアウトレットヘッダ通路および前記第二のアウトレットヘッダ通路の各々は、
前記チューブスタックに対向するように配置されたUターン面と、
前記Uターン面から突出し、および前記Uターン面と前記チューブスタックとの間に密封された容積を形成するように、前記チューブスタックのエンドプレートを密封するように構成されたガスケットを備える隆起した外周と、
を備え、前記ガスケットは、前記密封された容積が、前記冷媒流体の前記マイクロチューブから成るそれぞれの群からの受け入れと、前記マイクロチューブから成るそれぞれの群への冷媒流体の放出とを実行するように前記エンドプレートを密封する、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、“REFRIGERANT HEAT EXCHANGER WITH INTEGRAL MULTIPASS AND FLOW DISTRIBUTION TECHNOLOGY”というタイトルの、2021年5月20日に出願された米国仮特許出願第63/190,843号の出願日の利益を主張するものであり、特許の開示全体は、参照によって本開示に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示は、マイクロチューブ熱交換器に関する。より具体的には、本開示は、効率的な多経路の冷媒流体の流路を可能にするヘッダを有するマイクロチューブ熱交換器に最も直接的に関連する。
【背景技術】
【0003】
従来の熱交換器において、熱交換器ヘッダへの入口の箇所につながるホースまたは配管等の冷媒流体の入口通路は、熱交換器内の経路の全断面積を合計したものよりも小さい全断面積を有する。例えば、航空宇宙の冷媒マイクロチューブの熱交換器への一つの入口チューブは、すべてのマイクロチューブを合計した面積の十分の一の面積である断面積を有することがある。
【0004】
冷媒蒸気は、自由膨張中に作動流体が二つの相(液体と蒸気)に分かれる際に、膨張弁の直後に利用可能な容積の不釣り合いな割合を占める。この蒸気は、作動液体が均一な配分ですべての熱交換器経路に自由に入るのを妨げる。冷媒蒸気は、蒸発器熱交換器の能力に少しだけ付加価値を与える。熱交換のほとんどが、液体から蒸気への(蒸発器)または蒸気から液体への(凝縮器)冷媒の相変化中に行われるため、冷媒蒸気は、蒸発器内のごくわずかな熱を吸収する。
【0005】
従来の冷媒流体の配分技術は、多くの場合、混合装置またはオリフィスを用いて、分かれた二相の蒸気―液体を合わせ、いくつかの通路を介して熱交換器へ輸送する。いくつかの技術は、分かれた二相の流体を開放型熱交換器のヘッダに導入し、その結果として、追加的な膨張や分離に伴う問題をさらに悪化させる。この不均一で不均質な配分は、熱交換器の全体効率を低下させる。さらに、現時点での従来技術は、可能なインレット通路の数によって制限される。このような従来技術は、熱交換器が数千のマイクロチューブを含む場合には利用できない。
【0006】
従来、急激な膨張および急激なフロー分散の収縮に敏感である冷媒がヘッダに入って広がりが悪くなり、効率の局所的な損失を生じる問題を解決するための形態または技術は熱交換器ヘッダ内にない冷媒が、熱交換器ヘッダのより大きな容積に入る際、ヘッダ内での二相冷媒のさらなる分離がしばしば起きる。この分離は、熱交換器の全体効率を低下させる。
【0007】
そのため、熱交換器ヘッダの周知の特徴にもかかわらず、熱交換器の全体効率を向上させるために、マイクロチューブ熱交換器を介した流体フローを改善して、作動流体の二相分離を少なくするかまたはなくすための相当かつ永続的な未解決の必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0008】
開示した実施形態の技術革新は、高効率のフロー管理のための形態を組み込むことによって、熱交換器アセンブリにおけるヘッダを改良する。この技術は、マイクロチューブ熱交換器の機能的な断面積が、ヘッダにつながるシステムの入口ポートの断面積にほぼ同一である複数の部分に分割されることを確保する。マイクロチューブ熱交換器のヘッダに組み込まれる同様の断面積の技術は、ヘッダ内での不必要な大規模の二相分離を改善し、すなわち、作動流体が、依然として同質のままであるように層の分離を少なくするかまたはなくし、それによって、マイクロチューブ熱交換器のより高い全体効率を駆動するのに役に立つ。
【0009】
熱交換器を典型的に組み込んでいるシステム、例えば、航空宇宙産業におけるシステムは、実質的な追加冷却を要するより多くのコンピュータ技術および高度な電子機器も組み込むように進化している。その結果として、重量を最小限にしながら、より良好な効率評価を実現するための冷却システムの熱交換器技術の開発に対する要望がある。本開示の観点から、高効率は、マイクロチューブ自体内の相変化を最大限にしながら、熱交換器ヘッダにおける冷媒の相変化を最小限にすることによって実現可能であり、その結果として、より良好な熱伝達がもたらされる。このことは、より多くのマイクロチューブが、蒸気だけではなく液体フローを有すること、すなわち、ヘッダからマイクロチューブへの液体冷媒のより均一な配分によるものである。さらに、本願明細書に記載されている方法およびシステムは、混合装置の必要性を効果的になくし、その結果として、重量の増加、あるいは、混合オリフィスからの圧力の損失を伴うことなく、熱効率の要求が実現される。
【0010】
一つの実施形態において、形状は、アウトレットへのいくつかの前後の通路の流路全体を通して同じ断面積のインレットを保持するために、マイクロチューブ熱交換器ヘッダ内に内部チューブ、経路または通路を組み込んでいる。内部チューブは、有害な圧力損失を最小限にするために、マルチパスのマイクロチューブ熱交換器を通る連続通路間に緩やかなUターンをさらに提供する。膨張または蛇行流路による大きな圧力損失は、作動流体の相分離の一因となり、最終的には、熱交換器の非効率性を増大させる。Uターンの緩やかな移行は、各通路の場合の二相冷媒の何らかの急激な膨張または急縮を最小限にするのにも役に立つ。
【0011】
他の実施形態は、緩やかなUターンを得るための形態変形例を含む。例えば、一つの実施形態は、ヘッダ内へのインサートとして適合するように適応させることができ、および緩やかなUターンを得るための内部通路を用いる。別の同様の実施形態は、熱交換器へのヘッダとして適合するように適応させることができるが、それは、インサートをヘッダ形態に一体化する。
【0012】
別の実施形態においては、インレット側とアウトレット側の両方において、ヘッダエンドキャップのインサート(header endcap insert)が熱交換器ヘッダの内部に適合するように適応されている。この実施形態は、緩やかなUターンを実現するための固有の凹状形態を含む。凹面は、内部通路ほど効率的ではない可能性があるが、緩やかなUターン形態の機能性は維持される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】作動流体流路も図示されている、本開示の実施形態によるマイクロチューブ熱交換器を示す図。
【
図2A】
図1のマイクロチューブ熱交換器のインレットヘッダのインサート(inlet header insert)の正面斜視図。
【
図3】
図1のマイクロチューブ熱交換器のアウトレットヘッダのインサート(outlet header insert)の正面斜視図。
【
図4】
図1のマイクロチューブ熱交換器のチューブスタックのエンドキャップ(tube stack end cap)の図。
【
図5】ガスケットが取り外された状態の、
図2のインレットヘッダの斜視図。
【
図6】インレットヘッダの内部流路を図示するために、ヘッダ本体が透けている、
図2のインレットヘッダの斜視図。
【
図7】ガスケットが取り外された状態の、
図2のインレットヘッダの正面図。
【
図10】本開示の別の実施形態による熱交換器を示す図。
【
図11】
図10の熱交換器のインレットヘッダのインサート(inlet header insert)の斜視図。
【
図12】
図10の熱交換器のアウトレットヘッダのインサート(outlet header insert)の斜視図。
【
図13】
図10の熱交換器の冷媒のインレット側およびアウトレット側の詳細図。
【
図14】ガスケットが取り外された状態の、およびインレットヘッダのさまざまな表面積を説明するための対応する図とともに、
図11のインレットヘッダの正面図。
【
図15】ガスケットが取り外された状態の、およびアウトレットヘッダのさまざまな表面積を説明するための対応する図とともに、
図12のアウトレットヘッダの正面図。
【
図16】
図10の熱交換器のチューブスタックのエンドプレートを示す図。
【
図17】本開示の実施形態によるチューブスタックを示す図。
【
図18】本開示の実施形態による、熱交換器を介して冷媒流体を循環させる方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の記載は、現時点で好適な実施形態に関し、本発明に対する限定を述べていると解釈すべきではなく、一方で、本発明の広範な範囲は、現時点で添付され得る、または、本出願または関連する出願において後に追加されるか、または補正される可能性のある特許請求の範囲を参照して考えるべきである。特に指示のない限り、それらの説明で用いられている用語は、一般的に、当業者によって理解されるであろうものと同じ意味を有することを理解すべきである。また、使用されている用語は、一般的に、関連技術の脈絡の中で理解されるであろう通常の意味を有することが意図されていること、また、用語は、一般に、特定の文脈が別様に明確に要求しない限り、または要求する範囲内のみで、等価物を概念的に包含する公式の定義または理想的な定義に限定すべきではないことも理解すべきである。
【0015】
これらの説明の目的のために、いくつかの言い回しの単純化も、本明細書内または特定の請求項における具体的な文脈において別様に明確にされている場合を除いて、普遍的に理解すべきである。「または」という用語の使用は、代替を指すものと理解すべきであるが、それは、一般的には、代替のみを指すように明示的に指示がない限り、または、代替が本質的に相互に排他的でない限り、「および/または」を意味するのに用いられている。値について言及する場合、「約」という用語は、近似値、一般的に、値の半分を加算または減算した値であると解釈できる値を示すのに用いることができる。「一つの」等は、明確に別段の指示のない限り、一つ以上を意味することができる。このような「一つ以上の」という意味は、「有する」、「備える」または「含む」等の非制限語句に関連して言及される場合に特に意図される。同様に、「別の」対照物は、少なくとも第二のまたはそれ以上の対照物を意味する可能性がある。
【0016】
以下の説明は、主に好適な実施形態に関し、時折、いくつかの代替的な実施形態も言及されることがあるが、他の多くの代替的な実施形態も、本発明の範囲内にあることを理解すべきである。当業者は、これらの実施例で開示されている技術は、さまざまな実施形態の実施に際して良好に機能する技術を示すと考えられ、従って、実施のための好適な態様を構成すると考えることができることを正しく認識すべきである。しかし、本開示を考慮して、当業者は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、同等の機能または結果を依然として得ながら、開示されている実施形態に対して多くの変更を行えることも正しく認識すべきである。
【0017】
図1は、本開示の熱交換器100を示す。熱交換器によって冷却または加熱された作動流体の意図する流路は、矢印10a、10bによって熱交換器100に出入りして進むように図示されている。本願明細書においては冷媒流体ともいう作動流体は、冷媒、水またはガス等の熱交換目的に用いられる任意の適当な流体とすることができる。本開示の好適な実施形態において、作動流体はR134a冷媒であるが、当業者は、同様の特性を有する他の冷媒類も使用できることを正しく認識するであろう。熱交換器100は、冷媒流体フローの矢印1p、2p、3p、4p、5pが、熱交換器のチューブスタックアセンブリ150を通る冷媒流体の多数の通路を示す状態で示されている。したがって、以下で詳細に議論するように、ヘッダ200、250は、熱交換器100をマルチパス熱交換器として分類できるようになっている。
【0018】
熱交換器のチューブスタックアセンブリ150は、複数のマイクロチューブ152を収容している。いくつかの実施形態において、チューブスタックアセンブリ150は、数十、数百あるいは数千ものマイクロチューブ152を組み込んでいてもよい。外部の流体は、複数のマイクロチューブ152の外側面(「シェル側」)を通って流れて、複数のマイクロチューブ152を介して内部(「チューブ側」)を流れる冷媒流体を冷却または加熱する。液体冷却の熱交換器において、外部の流体は、いくつかの実施形態において、例えば、水または冷却剤等の液体である。ガス冷却の熱交換器においては、外部の流体は、いくつかの実施形態において、例えば、空気等の気体である。マイクロチューブ152は、各々、ミクロンスケールで測定可能である内径(inner diameter:ID)を有している。例えば、いくつかの好適な実施形態において、各マイクロチューブ152は、実質的に0.018インチのIDと、0.02~0.1インチの外径(outer diameter:OD)と、0.0017~0.01インチの壁厚とを有する。当業者は、マイクロチューブ152が、本開示の範囲から逸脱することなく、既に記載されているものよりも小さいかまたは大きいID、ODおよび壁厚を有することができることを理解するであろう。前述したように、本開示のいくつかの実施形態においては、チューブスタック150内に数千のマイクロチューブ152がある。例えば、一つの実施形態において、チューブスタック150は、6,700のマイクロチューブ152を有している。いくつかの実施形態においては、エンドプレート160、170の平方インチ当たり700~1,100のマイクロチューブ152がある。各マイクロチューブ152は、多くの通常用いられている方法のうちのいずれかから、例えば、圧延およびシーム溶接または押出成形されることによって形成することができる。いくつかの実施形態において、マイクロチューブ152は、ステンレス鋼合金、例えば、304ステンレス鋼または316ステンレス鋼等から形成される。しかし、マイクロチューブは、多数の材料、例えば、超合金(例えば、インコネル)、チタンまたはアルミニウム等のいずれかから形成することができる。
【0019】
複数のマイクロチューブ152の各々の各端部は、チューブスタックのエンドプレート160、170と結合されている。各マイクロチューブ152の端部は、多数の結合方法、例えば、ろう付け、溶接またはボンディング等のいずれかによって、それぞれのエンドプレート160、170に結合することができる。
【0020】
エンドプレート160、170の外側面に隣接して、
図2A、
図2Bおよび
図3に示すヘッダインサート200および250が配置されている。ヘッダ200は、インレット側のヘッダであり、ヘッダ250は、アウトレット側のヘッダである。ヘッダインサート200は、熱交換器インレットのハウジング130内に配置され、ヘッダインサート250は、熱交換器アウトレットのハウジング140内に配置されている。ハウジング130、140は、ヘッダ200、250を、それらそれぞれのチューブスタックエンドプレート160、170に対して密封するねじなどの締結具11によって、熱交換器の本体120に取付けられている。いくつかの実施形態において、ヘッダインサート200、250は、それらそれぞれのハウジング130、140内に嵌るパネルである。ヘッダ200、250は、それらそれぞれのハウジング130、140とは別個のものであり、ハウジング130、140に取外し可能に結合されるため、インサートと呼ばれている。液体熱交換器の場合、ヘッダは、熱交換器を収容するハウジングユニットに取付けられる。空気熱交換器の場合は、ヘッダは、熱交換器に直接取付けられる。他の同様の取付け方法を用いることができるが、熱交換器または圧力容器に関連する任意の取付け方法が、本開示の適用の候補であることに留意すべきである。
【0021】
インレットヘッダ200は、ヘッダ本体202と、隣接するエンドプレート160およびチューブスタック150に対向するように構成された内側対向の面201とを有する。面201は、ガスケット214によって、複数の独立した面201a~201eに分けられている。ガスケット214は、以下において、流路が詳細に議論される際に明らかになるように、さまざまな冷媒流体の通路1p~5pの混合または二次汚染を防ぐために、面の外周に配置されている。ガスケット214は、面を十分に分けるために、隆起縁部211上の面201a~201eからエンドプレート160に向かって外側に突出している、ヘッダ本体202のガスケット溝212に配置されている。ガスケット214は、エンドプレート160を密封し、それによって前述した通路1p~5pを画定し、および複数のマイクロチューブ152のうちのいくつかのどれかが、各通路1p~5pに組み込まれる。ガスケット214は、ゴムまたはエラストマー材料から形成される。ガスケット214は、好ましくは、エラストマー材料、ゴム、または、作動流体に適合する他の材料で構成される。適合すると記載されている材料は、材料の特性が、作動流体との接触時に損なわれないことを意味する。非適合材料は、作動流体に継続的に曝されている間に膨張するかまたは劣化する可能性がある。本開示を説明する目的のために、ヘッダインサート200とガスケット214の材料の両方は、R134a等の一般的な冷媒に適合する。本開示のさまざまな実施形態において、ガスケット214は、ニトリルゴム、例えば、エチレンプロピレンジエンモノマー(ethylene propylene diene monomer:EPDM)ゴム等のブナN(Buna-N)またはMクラスのゴムから形成される。当業者は、本開示の適用によって、本願明細書に記載されているさまざまな種類の適合性材料または作動流体を用いることができることを正しく認識すべきである。
【0022】
各面201a~201eは、少なくとも一つの結合ポート204a~204eも含む。図示されているように、各面201b、201c、201d、201eは、四つのポート204b、204c、204d、204eを含み、面201aは、一つのポート204aを含む。以下で詳細に議論するように、さまざまなポート204a~204eは、冷媒流体をポート204a~204e間で移送できるように、ヘッダ本体202の内部で巧妙に相互接続されている。図示されているように、湾曲面は、面201a~201eと結合ポート204a~204eとの間の円滑な移行をもたらす。円滑な移行は、以下で詳細に議論するように、ポート204a~204eとチューブスタック150との間でのより緩やかで乱流を抑えた流体フローを可能にし、このこともまた流体フローの圧力低下を少なくし、およびヘッダ200内で発生する相変化の機会を低減する。
【0023】
ヘッダ250は、ヘッダ200のものと似ている形状構成を有している。具体的には、ヘッダ250は、180度回転させたヘッダ200である。アウトレットヘッダ250は、ヘッダ本体252と、隣接するエンドプレート170およびチューブスタック150に対向するように構成された内側対向の面251とを有する。面251は、ガスケット264によって、複数の独立した面251a~251eに分けられている。ガスケット264は、面を十分に分けるために、隆起縁部261上の面251a~251eからエンドプレート170に向かって外側に突出している、ヘッダ本体252のガスケット溝262に配置されている。ガスケット264は、エンドプレート170を密封し、それによって前述した通路1p~5pを画定し、その結果、複数のマイクロチューブ152のうちのどれかが各通路1p~5pに組み込まれるかを画定する。ガスケット264は、前述したガスケット214と実質的に同じであり、ガスケット214と同じ材料から形成することができる。各面201a~201eは、少なくとも一つの結合ポート254a~254eも含む。以下で詳細に議論するように、さまざまなポート254a~254eは、冷媒流体をポート204a~204e間で移送できるように、ヘッダ本体252の内部で巧妙に相互接続されている。アウトレットポート256は、アウトレットハウジング140のアウトレットポート142と結合されるように構成され、前述したインレットヘッダ200と実質的に同じである。
【0024】
図1~
図3を参照すると、熱交換器100を通って移動する冷媒流体の流路を理解することができ、以下、流路について説明する。冷媒流体は、ハウジング130のインレットポート132と結合されている、インレットヘッダ200のインレットポート206において熱交換器100に入る。インレットポート206は、以下で詳細に示すように、ポート204aと流体的に結合されており、冷媒流体はポート204aに移送される。次いで冷媒流体は、ポート204aからチューブスタック150に向かって吐出される。ポート204aから出る流体は、マイクロチューブ152のマイクロチューブ152aから成る第一の群に入る。マイクロチューブ152aから成る第一の群は、ガスケット214および264がエンドプレート160、170を密封することにより、面201aおよび251aに流体的に結合された端部を有するマイクロチューブである。次に流体は、(経路1pに沿って)マイクロチューブ152aを通って進み、および面251aに当たって放出され、そこで流体はポート254aによって受け入れられる。以下で詳細に説明するように、ポート254aは、ポート254bと相互接続されており、流体は、ポート254aからポート254bへ移送される。次いで冷媒流体は、ポート254bからチューブスタック150に向かって吐出される。ポート254bから出る流体は、マイクロチューブ152のマイクロチューブ152bから成る第二の群に入る。マイクロチューブ152bから成る第二の群は、エンドプレート160、170を密封するガスケット214および264により面201bおよび251bと流体的に結合された端部を有するマイクロチューブである。次に流体は、(経路2pに沿って)マイクロチューブ152bを通って進み、面201bに当たって放出され、そこで流体は、ポート204bによって受け入れられる。以下で詳細に説明するように、ポート204bはポート204cと相互接続されており、流体は、ポート204bからポート204cへ移送される。次いで冷媒流体は、ポート204cからチューブスタック150に向かって吐出される。ポート204cから出る流体は、マイクロチューブ152のマイクロチューブ152cから成る第三の群に入る。マイクロチューブ152cから成る第三の群は、エンドプレート160、170を密封するガスケット214および264により面201cおよび251cと流体的に結合された端部を有するマイクロチューブである。次に流体は、(経路3pに沿って)マイクロチューブ152cを通って進み、面251cに当たって放出され、そこで流体は、ポート254cによって受け入れられる。以下で詳細に説明するように、ポート254cはポート254dと相互接続されており、流体は、ポート254cからポート254dへ移送される。次いで冷媒流体は、ポート254dからチューブスタック150に向かって吐出される。ポート254dから出る流体は、マイクロチューブ152のマイクロチューブ152dから成る第四の群に入る。マイクロチューブ152dから成る第四の群は、エンドプレート160、170を密封するガスケット214および264により面201dおよび251dに流体的に結合された端部を有するマイクロチューブである。次に流体は、(経路4pに沿って)マイクロチューブ152dを通って進み、面201dに当たって放出され、そこで流体は、ポート204dによって受け入れられる。以下で詳細に説明するように、ポート204dはポート204eと相互接続されており、流体は、ポート204dからポート204eへ移送される。次いで冷媒流体は、ポート204eからチューブスタック150に向かって吐出される。ポート204eから出る流体は、マイクロチューブ152のマイクロチューブ152eから成る第五の群に入る。マイクロチューブ152eから成る第五の群は、エンドプレート160、170を密封するガスケット214および264により面201eおよび251eに流体的に結合された端部を有するマイクロチューブである。次に流体は、(経路5pに沿って)マイクロチューブ152eを通って進み、面251eに当たって放出され、そこで流体は、ポート254eによって受け入れられる。ポート254eは、ヘッダ250のアウトレットポート256に流体的に結合されており、流体は、熱交換器100からアウトレットポート256を介してアウトレットハウジング140のアウトレットポート142へ吐出される。
【0025】
図4は、ガスケット214が密封するエンドプレート160の面を示す。エンドプレートは、複数のホール162を有し、各ホールは、冷媒流体がホール162を介してヘッダ200とマイクロチューブ152との間を通過できるように、複数のマイクロチューブ152のうちの一つと位置合わせされている。点線は、ガスケット214が、エンドプレート160の外縁を密封するのに加えて、エンドプレート160を密封する箇所を示している。この視点から、ガスケット214がどのようにしてマイクロチューブ152を、マイクロチューブ152a~152eから成る別々の群に分けるかを理解できる。各ホール162aは、マイクロチューブから成る第一の群のマイクロチューブ152aと結合されている。各ホール162bは、マイクロチューブから成る第二の群のマイクロチューブ152bと結合されている。各ホール162cは、マイクロチューブから成る第三の群のマイクロチューブ152cと結合されている。各ホール162dは、マイクロチューブから成る第四の群のマイクロチューブ152dと結合されている。各ホール162eは、マイクロチューブから成る第五の群のマイクロチューブ152eと結合されている。前述したように、マイクロチューブ152は、多くの結合方法、例えば、ろう付け、溶接またはボンディング等のいずれかによってエンドプレート160のホール162に結合することができる。
【0026】
当業者は、エンドプレート160が、本開示の一つまたは種々の実施形態にすぎないことを理解するであろう。他の実施形態において、エンドプレート160は、より小さな径のマイクロチューブ152を有するチューブスタック150を収容するために、より小さくおよびより多く密集して集まったホール162を有することができる。前述したように、本開示のいくつかの実施形態において、チューブスタック150は、数百または数千ものマイクロチューブ152を有し、当業者は、エンドプレート160とエンドプレートのホール162が、関連するチューブスタック150に適応するように製造されるであろうことを理解するであろう。当業者は、エンドプレート170が、前述したエンドプレート160と実質的に同じであることを理解するであろう。図示されているように、ガスケット214は、ホール162のうちのいくつかを部分的にカバーする。しかし、熱交換器100のマルチパス構成の能力の方が、カバーされているホール162のうちのいくつかによる何らかの効率損失よりもはるかに上回っている。
【0027】
図5は、ガスケット溝212を見えるようにするためにガスケット214が取り外された状態のヘッダ200の斜視図を示す。当業者は、ヘッダ250およびガスケット溝262が、図示されているヘッダ200およびガスケット溝212と実質的に同じであることを理解するであろう。
【0028】
図6はヘッダ200の斜視図を示し、ヘッダ200の内部流路または経路を見ることができる。通路230は、インレットポート206とポート204aを流体的に結合している。四つの通路232があり、各通路232は、ポート204bのうちの一つと、ポート204cのうちの一つを流体的に結合している。四つの通路234があり、各通路234は、ポート204bのうちの一つと、ポート204eのうちの一つを流体的に結合している。選択された通路導管内にある間の作動流体のフロー方向は、点線の矢印で示されている。本開示においては、選択された少数の流路導管内のフローを表すために点線の矢印が用いられているが、当業者には、各点線の矢印が、前述した流路によるすべての流路導管のフロー方向も示すことは明らかなはずである。流路導管230、232、234は、本願明細書においてはフロー経路ともいう。
【0029】
個々の流路230、232、234の形態のわずかな違いにもかかわらず、各流路230、232、234の断面積は、実質的に一定のままである。一定の断面積は、流路230、232、234の単位長さ当たりで一定の容積を維持する。当業者は、断面積が、単位長さ当たりの容積全体にどのように影響を及ぼすかを分かっているであろう。流路232、234の一定の断面積は、圧力損失を最小限にすることにさらに寄与する。さらに、いくつかの実施形態において、四つの経路232の各々の長さは、互いに実質的に等しく、また、経路234の各々の長さは、実質的に互いに等しく、このことは、一定の容積を維持することにより、これらのUターンに沿った圧力低下を低減し、およびヘッダ200によって発生する相変化の機会を低減する。図示されている流路232、234の形態は、本願明細書において以後、「緩やかなUターン」曲線と呼んでもいいが、代替的な実施形態は、同様の結果を実現するために、他の形状の形態を用いてもよい。しかし、図示されている緩やかなUターンは、緩やかな形態として好適であり、険しい形態とは対照的に、緩やかな形態はターンに沿った圧力低下を低減する。
【0030】
図7は、ヘッダ200の正面図を示す。いくつかの実施形態において、ポート204b、204c、204dおよび204eの各々の断面積は互いに等しい。いくつかの実施形態において、四つのポート204bの断面積の合計は、ポート204aの断面積に等しい。いくつかの実施形態において、四つのポート204cの断面積の合計は、ポート204aの断面積に等しい。いくつかの実施形態において、四つのポート204dの断面積の合計は、ポート204aの断面積に等しい。いくつかの実施形態において、四つのポート204eの断面積の合計は、ポート204aの断面積に等しい。換言すると、いくつかの実施形態において、ポート204aの断面積は、ポート204b~204eの各々の断面積の四倍である。したがって、インレットポート204aによって画定されるフロー断面積は、熱交換器の流路にわたって保持される。熱交換器を通して同じ流路断面積を保持することにより、冷媒流体の圧力低下が低減される。代替的な実施形態は、熱交換器100にわたって流路の断面積を最も良く保持するために、本開示に記載されているものより多いかまたはより少ないポートを有していてもよい。
【0031】
当業者は、ヘッダ200は、チューブスタック150から第一の方向に進む流体を受け入れて、チューブスタック150に向かって、第一の方向の反対の第二の方向に戻して、受け入れられた流体を放出するように構成されたヘッダ流体通路を有していると言えることを理解するであろう。例えば、ヘッダ200は、面201bおよび201cと、ポート204bおよび204cと、経路232とを備えるヘッダ流体通路を有していると考えることができる。ヘッダ流体通路は、面201bおよびポート204bにおいてチューブスタック150から流体を受け入れて、面201cおよびポート204cにおいて経路232を介して流体を放出するように構成されている。同様に、面201dおよび201eと、ポート204dおよび204eと、経路234は、ヘッダ200の別のヘッダ流体通路を構成している。当業者は、ヘッダ250が、ヘッダ200の場合に記載されているものと同様のヘッダ流体通路を有していることを理解するであろう。さらに、インレットヘッダ200は、ポート206、204aと面201aとを備えるインレット通路を有し、アウトレットヘッダ250は、ポート245、254eと面251eとを備えるアウトレット通路を有する。また、記載されている各ヘッダ通路は、ガスケット214、264も含む。
【0032】
従来、熱交換器は、リザーバまたはアキュムレータと同様の大きな開放容積を備えたヘッダを有する。大きな開放容積は、作動流体が急激に膨張する機会を可能にし、その結果として、圧力低下および効率の低下に寄与する。記載されている流路232、234の形態で、緩やかなUターン形状は、一定の断面積の保持、および円滑な方向変化をもたらすことによって、圧力低下を最小限にするかまたはなくす。さらに、Uターン形状は、多数の通路の間で緩やかな移行を実行することにより、チューブスタック150の有効な長さを延ばすように機能する。作動流体が急に方向を変えた場合、圧力低下が発生する可能性があり、このことはフロー方向の急激な変化中に起きる。そのため、流路形態の構造においては、鋭角または90度の方向転換が避けられる。
【0033】
図8のヘッダインサート200の図は、
図7に示す面A-Aにおける部分断面図であり、作動流体の流路234の形態を示す。当業者は、
図8に描かれている形態以外のいくつかの形状の形態を、本開示の用途において同様の結果を実現するのに用いてもよいことを正しく認識するであろう。
【0034】
ヘッダインサート200、250は、適用される作動流体に適合する材料によって構成されている。いくつかの実施形態において、ヘッダインサート200、250は耐圧部ではないため、およびハウジング130、140が、業界固有の要件を満たすように製造されるため、インサートは、さまざまな業界固有の耐圧構造要件を満たす必要はない。さらに、ヘッダインサート200、250は、圧力に耐える必要のある、側部ハウジングユニット130、140を含む構造の完全性に損なうことなく、経験的な材料によって構成することができるであろう。ヘッダインサート200、250を作るのに、鋳造または3Dプリンティング等の製造方法を用いることができる。当業者は、ヘッダインサート200、250を作るのに、他の形態の追加的な製造法も用いることができることを正しく認識するであろう。いくつかの実施形態において、ヘッダインサート200、250は、3dプリントされ、ナイロンで形成される。いくつかの実施形態において、ヘッダインサートは金属で形成される。
【0035】
いくつかの実施形態において、ヘッダインサート200、250は、維持コストを下げるための改造用途にも用いることができ、または、独立したパネルまたはインターロッキングのモジュール式パネルが必要である可能性のある他の用途に利用することができるであろう。例えば、いくつかの実施形態において、熱交換器100は、シングルパスマイクロチューブの熱交換器になるように製造される。いくつかの実施形態によれば、ヘッダインサート200、250は、熱交換器100をシングルパスマイクロチューブ熱交換器からマルチパス熱交換器に変更するために、ハウジング130、140に挿入される。
【0036】
図9は、マイクロチューブ熱交換器の代替的な実施形態に用いられるヘッダ300の切取図を示す。ヘッダ300は、前述したヘッダ200と実質的に同じであるが、ヘッダ300が、ヘッダ200等のハウジング130に挿入されるインサートではないことを除く。それよりもむしろ、ヘッダ300は、熱交換器100のハウジング130に直接結合されるように構成されているという点で一体ヘッダと考えられる。ヘッダ300は、ヘッダを熱交換器本体に直接取付けることができるように、ボルト穴等の取付け穴303を有している。ヘッダ300は、対応する面201a~201eと実質的に同じである面301a~301eを有している。ヘッダ300は、対応するポート204a~204eと実質的に同じであるポート304a~304eを有している。ヘッダ300は、ガスケット溝212と実質的に同じであるガスケット溝312を有し、およびガスケット214を受け入れるように構成されている。ヘッダ300は、対応する通路230~234と実質的に同じである通路330~334を有している。ヘッダ300は、流体供給ラインに結合されるように構成されたインレットポートを有している。ヘッダインサート300は、ハウジングユニットから独立しているように設計され、従って、耐圧部に関連する仕様を忠実に守る必要はない。一体ヘッダ300は、側部ハウジングユニット130、140の仕様に合致するヘッダインサート200等価部分を要する。その結果として、材料および製造方法は、機能性を犠牲にすることなく、異なっていてもよい。
【0037】
当業者は、本開示の他の実施形態が、ヘッダ300と実質的に同じであるが、前述したヘッダ250に対応する内側面と、ポートと、通路構成とを備えた一体アウトレットヘッダを含む。
【0038】
図10は、本開示の別の実施形態による熱交換器400を示す。当業者は、熱交換器400が、前述した熱交換器100と実質的に同じであることを理解するであろう。熱交換器400は、前述したインレットハウジング130、アウトレットハウジング140および本体120と実質的に同じである、インレットハウジング430と、アウトレットハウジング440と、本体420とを備えている。熱交換器400は、前述したチューブスタック150およびマイクロチューブ152と実質的に同じである複数のマイクロチューブ452を備えるチューブスタック450を有する。熱交換器400は、前述したエンドプレート160および170と実質的に同じである、マイクロチューブ452と結合されたチューブスタックのエンドプレート460および470を有する。熱交換器400は、インレットヘッダ500およびアウトレットヘッダ550を有する。前述したヘッダインサート200、250と同様に、ヘッダ500、550は、それらそれぞれのハウジング130、140に収容されるヘッダインサートである。
【0039】
図11は、インレットヘッダ500を示す。インレットヘッダ500は、ヘッダ本体502と、ガスケット溝506に配置されたガスケット504とを有する。ガスケット504は、前述したガスケット214と同じ材料から形成される。ヘッダ500は、熱交換器400に取付けられたときに、チューブスタック450に対向する内側対向面501を有する。隆起した密封縁部508は、熱交換器400に取付けられたときに、内側面501からチューブスタック450に向かって延在し、その中に、ガスケット溝506が形成されている。隆起した縁部508は、面501を三つの独立した面501a、501bおよび501cに分けている。面501aは、冷媒流体のリターンポート432からの冷媒流体を受け入れて、流体をチューブスタック450に向けて放出するように構成されたインレット通路510を備えている。インレット通路510は、前述したインレットポート206と実質的に同じであり、ポート432に流体的に結合されている。
【0040】
図12は、アウトレットヘッダ550を示す。アウトレットヘッダ550は、ヘッダ本体552と、ガスケット溝556に配置されたガスケット554とを有する。ガスケット554は、前述したガスケット214と同じ材料から形成されている。ヘッダ550は、熱交換器400に取付けられたときに、チューブスタック450に対向する内側対向面551を有する。隆起した密封縁部558は、熱交換器に取付けられたときに、内側面550からチューブスタック450に向かって延在し、その中に、ガスケット溝556が形成されている。隆起した縁部558は、面551を三つの独立した面551a、551bおよび551cに分けている。面551aは、チューブスタック450から冷媒流体を受け入れて、流体をチューブスタック450から離して冷媒流体放出ポート442へ放出するように構成されたアウトレットポート560を備えている。アウトレット通路560は、前述したアウトレットポート256と実質的に同じであり、ポート442に流体的に結合されている。
【0041】
図13は、熱交換器400のインレット側およびアウトレット側の詳細を具体的に示す熱交換器400の切取図を示す。
図13を見て分かるように、ヘッダ500、550が定位置に取付けられて、エンドプレート460、470を密封したときに、隆起した縁部508、558が、面501a~501c、551a~551cから突出し、およびエンドプレート460、470がガスケット504、554によって密封されることにより、それぞれの面501a~501c、551a~551cおよびエンドプレート460、470によって間に容積が形成される。容積511aは、面501aとエンドプレート460との間に形成され、容積511bは、面501bとエンドプレート460との間に形成され、および容積511cは、面501cとエンドプレート460との間に形成される。同様に、容積561aは、面561aとエンドプレート470との間に形成され、容積561bは、面551bとエンドプレート470との間に形成され、および容積561cは、面551cとエンドプレート470との間に形成される。
【0042】
図10~
図13を参照すると、熱交換器400を通って進む冷媒流体の流路をさらに理解することができる。冷媒流体は、熱交換器400およびインレット432に入って、ヘッダ500のインレット通路510まで流れる。通路510は、通路のヘッダ本体202の裏側から面501aまで延び、面501aにおいて、入って来る流体を放出する。容積511aは流体で満たされ、および複数のマイクロチューブ452のマイクロチューブ452aから成る第一の群において第一の流体の通路1pに沿って進み、そこで流体は容積561aへ放出される。容積561aは流体で満たされ、続いて、流体は、マイクロチューブ452bから成る第二の群へ放出される。したがって、容積561aは、チューブ452aから第一の方向に進む流体を受け入れて、流体をチューブ452bから成る第二の群に向けて(第一の方向とは反対の)第二の方向に向け直すため、「Uターン」セグメントとして作用すると考えることができる。第二の流体の通路2pに沿ってチューブ452b内を進む流体は容積511b内に放出され、容積511bは流体で満たされ、流体を、マイクロチューブ452cから成る第三の群へ放出する。容積511bは、容積561aに関して議論したのと同じ理由で、Uターンセグメントとして作用すると考えることができる。流体は、第三の流体の通路3pに沿ってチューブ452c内を進み、容積561b内に放出され、容積561bは流体で満たされ、流体を、マイクロチューブ452bから成る第四の群へ放出する。容積516bは、容積561aに関して議論したのと同じ理由で、Uターンセグメントとして作用すると考えることができる。流体は、第四の流体の通路4pに沿ってチューブ452d内を進み、容積511c内に放出され、容積は流体で満たされ、流体を、マイクロチューブ452eから成る第五の群へ放出する。容積511cは、容積561aに関して議論したのと同じ理由で、Uターンセグメントとして作用すると考えることができる。流体は、第五の流体の通路5pに沿ってチューブ452e内を進み、容積551c内に放出される。そして、流体は、ヘッダ550からアウトレット通路560を介して放出され、アウトレット通路は、熱交換器のアウトレットポート442と流体的に結合されており、そのため冷媒流体を熱交換器400から放出できるようになっている。
【0043】
当業者は、ヘッダ500は、チューブスタック450から第一の方向に進む流体を受け入れて、チューブスタック450に向かって、第一の方向の反対の第二の方向に戻る受け入れられた流体を放出するように構成されたヘッダ流体通路を有していると考えることができることを理解するであろう。例えば、ヘッダ500は、チューブ452bから流体を受け入れて、受け入れた流体をチューブ452cへ放出するように構成された、面501bと、縁部508と、エンドプレート460を密封するガスケット504とで形成された容積511bを備えるヘッダ通路を有していると考えることができる。同様に、面501cと、縁部508と、エンドプレート460を密封するガスケット504とで形成された容積511cは、ヘッダ500の別のヘッダ流体通路であると考えることができる。同様に、ヘッダ550の場合、面551aと、縁部558と、エンドプレート470を密封するガスケット554とで形成された容積561aは、ヘッダ流体通路であると考えることができ、また、面561bと、縁部558と、エンドプレート470を密封するガスケット554とで形成された容積561bは、ヘッダ流体通路であると考えることができる。さらに、インレットヘッダ500は、ポート510と、面501a、縁部508およびエンドプレート460を密封するガスケット504によって形成された容積511aとを有する。さらに、アウトレットヘッダ550は、ポート560によって形成されたアウトレット通路と、面551a、縁部558およびエンドプレート470を密封するガスケット554で形成された容積561cとを有する。
【0044】
図14は、ヘッダ500の正面図と、面501a~501cの表面積を説明するための対応する図を示す。
図14を見て分かるように、チューブ452bと位置合わせされ、チューブ452bから冷媒流体を受け入れる面501b1の表面積は、面501aの表面積よりも25%大きい。チューブ452cと位置合わせされ、チューブ452cに冷媒流体を放出する面501b2の表面積は、符号501b1の表面積よりも20%大きい。チューブ452dと位置合わせされ、チューブ452dに冷媒流体を受け入れる面501c1の表面積は、符号501b2の表面積よりも15%大きい。チューブ452eと位置合わせされ、チューブ452eに冷媒流体を放出する面501c2の表面積は、符号501c1の表面積よりも12%大きい。ガスケット504は
図14のヘッダ500から取り外されて、ガスケット溝506が露出されている。隆起した縁部508と、各面501a~501cとの間には、容積511a~511cが生成されるように構成されている、フローの緩やかなUターン形状を維持するのに役に立つ凹状面507がある。面507の緩やかな曲線は、冷媒流体の圧力低下を低減し、その結果として、容積511a~511c内で起きる相変化の機会を低減する。既に説明したように、冷媒流体の方向を変化させるように構成されていることにより、面501bおよび501cは、本願明細書において、Uターン面とも呼ばれる。面501a~501cは、実質的に平坦であり、同様のUターン経路によって作動流体の方向を効果的に向け直す。
【0045】
図15は、ヘッダ500の正面図と、面551a~551cの表面積を説明するための対応する図を示す。表面積551a1は、チューブ452aと位置合わせされ、チューブ452aから流体を受け入れる。チューブ452bと位置合わせされ、チューブ452bに流体を放出する面551a2の表面積は、面551a1の表面積よりも25%大きい。チューブ452cと位置合わせされ、チューブ452cから流体を受け入れる面551b1の表面積は、面551a2の表面積よりも20%大きい。チューブ452dと位置合わせされ、チューブ452dに流体を放出する面551b2の表面積は、面551b1の表面積よりも15%大きい。チューブ452eと位置合わせされ、チューブ452eに流体を受け入れる面551cの表面積は、面551b2の表面積よりも12%大きい。ガスケット504は
図14のヘッダ550から取り外されており、ガスケット溝556が露出されている。隆起した縁部508と、各面501a~501cとの間には、容積511a~511cが生成されるように構成されている、フローの緩やかなUターン形状を維持するのに役に立つ凹状面507がある。隆起した縁部558と、各面551a~551cとの間には、容積561a~561cが生成されるように構成されている、フローの緩やかなUターン形状を維持するのに役に立つ凹状面557がある。面557の緩やかな曲線は、冷媒流体の圧力低下を低減し、その結果として、容積511a~511c内で起きる相変化の機会を低減する。既に説明したように、冷媒流体の方向を変化させるように構成されていることにより、面551aおよび551bは、本願明細書において、Uターン面とも呼ばれる。面551a~551cは、実質的に平坦であり、同様のUターン経路によって作動流体の方向を効果的に向け直す。
【0046】
ヘッダエンドキャップインサート500、550は可変断面積を含む。第一の通路の後で、流路の断面積は、前の通路の断面積に比較して広がっている。いくつかの実施形態において、第一の通路の場合、符号501aの表面積は、符号551a1の表面積に等しく、第二の通路の場合、表面積551a2は、表面積501b1に等しく、第三、第四および第五の通路等の場合も同様である。断面積が変更される量は、各通路レベルで推定される相分離の量に依存する。当業者は、断面積の各変更は、各通路レベルにおける容積の増加または減少を実現するように行われ、このことは、蒸気の増加する容積が、蒸気が通る経路により良好に一致するように、作動流体蒸気の量の変化を補正するように行われることを正しく認識するであろう。熱交換器の機能により、熱交換器の作動流体が加熱されている場合には、容積膨張が必要である可能性がある。逆に、前記作動流体が冷却されている場合には、容積収縮が必要である可能性がある。いくつかの実施形態においては、第五の通路において、作動流体は、大部分は蒸気であると予測され、アウトレットにおいて、一定の圧力を維持するために、より大きな断面積を必要とするであろう。
【0047】
各通路レベルにおける可変断面積は、インレットの断面積に密接に一致する。さらに、断面積の各変化は、作動流体の膨張比に一致するように適合させることができ、それにより、圧力低下が低減され、および熱交換器の効率が向上する。本発明者等は、各通路における断面積の違いを微調整するための方法を熟考している。
図14および
図15は、各連続する断面積の増加を描いているが、当業者は、代替的な実施形態が、断面積の減少も含んでもよいことを正しく認識するであろう。
【0048】
ヘッダエンドキャップインサート500、550は、面21に、凹状であり、およびこの実施形態の流路の緩やかなUターン形状を維持するのに役に立つ形態を含むことに留意することが重要である。
【0049】
図16は、それぞれが、複数のマイクロチューブ452のうちの一つの端部に結合されている複数のチューブホール462を有するエンドプレート460の図を示す。マイクロチューブ452は、マイクロチューブ152に関して前述したように、エンドプレート460に結合されている。点線は、流路1p~5pを形成するために、前述したガスケット504、554によって実行されるマイクロチューブの隔離を示す。ホール462eはチューブ452eに結合され、ホール462dはチューブ452dに結合され、ホール462cはチューブ452cに結合され、ホール462bはチューブ452bに結合され、およびホール462aはチューブ452aに結合されている。当業者は、プレート470がプレート460と実質的に同じであることを理解するであろう。
【0050】
図17は、本開示の実施形態によるチューブスタック600を示す。チューブスタック600は、前述したチューブスタック150、450と実質的に同じである。チューブスタック600は、前述したマイクロチューブ152、452と実質的に同じである複数のマイクロチューブ602を備えている。本開示の実施形態は、多数の形状のうちのいずれかに適合する断面が設けられたチューブスタックを含むことができる。既に説明したように、チューブスタック150は、概して矩形状の断面を有し、チューブスタック450は、概して円形の断面を有し、チューブスタック600は、概して六角形の断面を有している。当業者は、本開示の範囲が、多数の可能な形状のうちのいずれかに従って形作られた断面を有し、任意の適当な材料から形成され、およびさまざまな方法で製造された断面を有するチューブスタックを含むことを理解するであろう。
【0051】
図18は、本開示の実施形態による熱交換器を通して冷媒流体を循環させる方法700を説明するフローチャートである。方法は、ブロック702において、例えば、ヘッダ200、250およびチューブスタック150を備えた熱交換器100、または、ヘッダ500、550およびチューブスタック450を備えた熱交換器400等のヘッダおよびチューブスタックを備える熱交換器を設けることによって開始できる。方法700は、ブロック704において、インレットヘッダ200、500の第一の通路により、熱交換器100、400のインレット132、432からの冷媒流体を受け入れ、かつ、受け入れた流体を、マイクロチューブ152a、452aから成る第一の群へ放出することによって続行することができる。ヘッダ200の場合、第一の通路は、前述したように、インレットポート206と、ポート204aと、経路230と、面201aとを備えている。ヘッダ500の場合、第一の通路は、前述したように、インレットポート510と、容積511aとを備えている。方法700は、ブロック706において、アウトレットヘッダ250、550の第一の通路により、マイクロチューブ152a、452aから成る第一の群からの冷媒流体を受け入れ、かつ、受け入れた流体を、マイクロチューブ152b、452bから成る第二の群へ放出することによって続行することができる。方法700は、ブロック708において、インレットヘッダ200、500の第二の通路により、マイクロチューブ152b、452bから成る第二の群からの冷媒流体を受け入れ、かつ、受け入れた冷媒流体を、マイクロチューブ152c、452bから成る第三の群へ放出することによって続行することができる。方法700は、ブロック710において、アウトレットヘッダ250、550の第二の通路により、マイクロチューブ152c、452cから成る第三の群からの冷媒流体を受け入れ、かつ、受け入れた流体を、マイクロチューブ152d、452dから成る第四の群へ放出することによって続行することができる。方法700は、ブロック712において、インレットヘッダ200、500の第三の通路により、マイクロチューブ152d、452dから成る第四の群からの冷媒流体を受け入れ、かつ、受け入れた流体を、マイクロチューブ152e、452eから成る第五の群へ放出することによって続行することができる。方法700は、ブロック714において、アウトレットヘッダ250、550の第三の通路により、マイクロチューブ152e、452eから成る第五の群からの冷媒流体を受け入れ、かつ、受け入れた冷媒流体を、熱交換器のアウトレットポート142、442へ放出することによって続行することができる。当業者は、方法700は、5パスシステムについて記載していること、および五つよりも多いかまたは少ない通路を含む、本開示の他の実施形態においては、複数のステップが追加されるか、または削除されることを理解するであろう。
【0052】
本願明細書に記載されているマルチパスの熱交換器システムの区別に留意することが重要である。マルチパスシステムは、対向のフロー方向を有するいくつかの平行導管を含み、マルチパスシステムにおけるフローを説明するのに用いられる別の用語は、対向流である。当業者は、シングルパスシステムが、作動流体のフロー方向が変化しない熱交換器システムを指すことを分かっている。シングルパスシステムにおけるフローを説明するのに用いられる別の用語は、並行流である。本開示に関連する熱交換器は、作動流体のフロー方向の一つ以上の変化を示すマルチパスシステムである。また、通路の数は熱交換器ユニット全体としての機能にも関連している。例えば、いくつかの実施形態において、熱交換器ユニットが凝縮器として使用される場合、3パスシステムが所望される可能性がある。いくつかの実施形態において、熱交換器ユニットが蒸発器として使用される場合には、5パスシステムが所望される可能性がある。本開示の教示によって、熱交換器の機能を適応させる能力が著しく単純化される。さらに、3パスシステムのために構成されたヘッダインサートは、同じ熱交換器本体およびチューブスタックを含みながら、5パスシステムのために構成されたヘッダインサートと置換えることができ、逆もまた同様である。熱交換器システム100、400は、矢印1p、2p、3p、4p、5pで示す五つの通路のために構成されている。しかし、図示されているものと同様のシステム、またはシステム100、400は、五つよりも多いかまたは少ない通路のために構成することができる。例えば、本開示のいくつかの代替的な実施形態においては、システム100、400を、二つから七つの通路を実行するように適合させている。さらに他の実施形態は、七つよりも多い通路を含む。
【0053】
ヘッダインサート200、250、500、550を導入するする別の利益は、熱交換器100、400の腐食が生じる可能性のある状況である。クローズドシステムの場合、典型的には予想されないが、デブリが作動流体を汚染し、熱交換器を通るフローを集めておよび妨げる可能性があるいくつかの事例がある。本開示の教示によって、腐食状況に関連する維持コストは、クリーニングのための分解およびアクセスの容易さによって低減される。いくつかの実施形態においては、交換可能なフィルタはヘッダインサート200、250、500、550と組合せられており、ヘッダを不必要なデブリを濾過するのに用いることができる。
【0054】
当業者は、本開示の実施形態として、さまざまな他のヘッダの構成が可能であることを正しく認識するであろう。本願明細書において既に説明してきたように、ヘッダが、チューブスタックを通って流れる流体の流路断面積を保持することが望ましい。したがって、いくつかの実施形態において、ヘッダ内の流路は、フレキシブルなポリマーマイクロチューブの束によって形成される。この実施形態において、ヘッダは、チューブスタックのさまざまなチューブを接続する、および冷媒流体のUターンフローを容易にするためのフレキシブルなマイクロチューブを有することができるであろう。
【0055】
本発明を上記の開示した実施形態に関して説明しましたが、本説明は、単に説明として記載されており、本発明の限定として解釈されることを意図していない。実際には、上記の説明が、多数の構成要素、および現時点で意図されている他の実施形態に言及している場合であっても、当業者は、ここで明確に言及されていない、または示唆もされていない多くの可能性のある代替例が存在することを正しく認識するであろう。書かれている上記の説明は、当業者が、現在、本発明の最良の態様であると考えられることを実行しおよび利用することを可能にするはずであり、同時に、当業者は、本願明細書において言及されている特定の実施形態、方法および実施例のさまざまな態様の多数の変形例、組合せおよび等価物の存在を理解しおよび正しく認識もするであろう。
【0056】
したがって、本願明細書における図面および詳細な説明は、網羅的ではなく例示的と考えるべきである。図面および詳細な説明は、本発明を、開示されている特定の形態および実施例に限定しない。逆に、本発明は、この発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者には明らかな多くのさらなる変更、変形、再構成、置換え、代替、設計上の選択および実施形態を含む。
【0057】
したがって、すべての点において、本願明細書における図面および詳細な説明は、限定的というよりもむしろ例示的に考えるべきであり、本発明を、開示されている特定の形態および実施例に限定することは意図されていないことを理解すべきである。どのような場合であっても、すべての実質的に等価なシステム、物品および方法は、本発明の範囲内にあると見なすべきであり、また、別段の明確な指示のない限り、すべての構造的または機能的な等価物は、依然として現時点で開示されているシステムおよび方法の趣旨および範囲内にあることが見込まれる。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器システムの冷媒流体を冷却または加熱するためのマイクロチューブ熱交換器であって、
チューブスタックを構成するように互いに実質的に平行に位置合わせされた複数のマイクロチューブを備える前記チューブスタックであって、前記冷媒流体と、前記複数のマイクロチューブの外側を通って流れる外部流体との間で熱を伝達できるように、冷媒流体が、前記複数のマイクロチューブを通過するように構成される、前記チューブスタックと、
前記チューブスタックの第一の端部に配置され、前記熱交換器の冷媒流体インレットに結合されかつ第一の方向に進む冷媒流体がそこを通って前記チューブスタックに導入されるインレットポートを備える、第一のヘッダと、
前記チューブスタックの第二の端部に配置され、前記複数のマイクロチューブのうちのいくつかを通って前記第一の方向に進む冷媒流体を受け入れかつ受け入れた冷媒流体を前記複数のマイクロチューブのうちのいくつかに向かって第二の方向に放出するように構成された第二のヘッダ通路を備える、第二のヘッダと、を備え、前記第一のヘッダは、前記複数のマイクロチューブのうちのいくつかを通って前記第二の方向に進む冷媒流体を受け入れかつ受け入れた冷媒流体を前記複数のマイクロチューブのうちのいくつかに向かって前記第一の方向に放出するように構成された第一のヘッダ通路、をさらに備え、および
前記第二のヘッダは、前記複数のマイクロチューブのうちのいくつかを通って前記第一の方向に進む冷媒流体を受け入れかつ受け入れた冷媒流体を前記熱交換器の冷媒流体アウトレットへ放出するように構成されたアウトレットポート、をさらに備える、マイクロチューブ熱交換器。
【請求項2】
前記第一のヘッダ通路および前記第二のヘッダ通路の各々は、それぞれ、
前記チューブスタックから前記冷媒流体を受け入れるように構成されたインレットポートを含むインレット面と、
前記受け入れた冷媒流体を前記チューブスタックに向かって放出するように構成されたアウトレットポートを含むアウトレット面と、
前記インレットポートと前記アウトレットポートとを流体的に結合する経路と、を備える、請求項1に記載のマイクロチューブ熱交換器。
【請求項3】
前記経路は、前記インレットポートと前記アウトレットポートとを流体的に結合する実質的に180度のU字状経路である、請求項2に記載のマイクロチューブ熱交換器。
【請求項4】
前記第一のヘッダ通路および前記第二のヘッダ通路の各々に対して、前記インレット面および前記アウトレット面は、互いに実質的に同一平面上にある、請求項2に記載のマイクロチューブ熱交換器。
【請求項5】
前記第一のヘッダ通路および前記第二のヘッダ通路の各々に対して、
前記インレット面は、複数の前記インレットポートを有し、かつ
前記アウトレット面は、複数の前記アウトレットポートを有し、
前記第一のヘッダ通路および前記第二のヘッダ通路の各々は、複数の前記経路をさらに備え、複数の前記経路の各々は、複数の前記インレットポートのうちの一つを、複数の前記アウトレットポートのうちの一つに流体的に結合する、請求項2に記載のマイクロチューブ熱交換器。
【請求項6】
前記第一のヘッダ通路および前記第二のヘッダ通路の各々は、前記チューブスタックのエンドプレートを密封しかつ前記インレット面と前記アウトレット面とを流体的に隔離するように構成されたガスケットをさらに備える、請求項2に記載のマイクロチューブ熱交換器。
【請求項7】
前記第一のヘッダは、複数の前記第一のヘッダ通路を備え、および前記熱交換器のインレット側のハウジング内に配置され、かつ
前記第二のヘッダは、複数の前記第二のヘッダ通路を備え、および前記熱交換器のアウトレット側のハウジング内に配置される、請求項1に記載のマイクロチューブ熱交換器。
【請求項8】
前記第一のヘッダ通路および前記第二のヘッダ通路の各々は、
前記チューブスタックに対向するように配置されたUターン面と、
前記Uターン面から前記チューブスタックに向かって突出し、および前記チューブスタックのエンドプレートを密封して、前記Uターン面と前記チューブスタックとの間に密封された容積を形成するように構成されたガスケットを備える隆起した外周と、を備え、前記ガスケットは、前記Uターン面と、密封された容積とが、前記複数のマイクロチューブのマイクロチューブから成る第一の群から移動する冷媒流体を受け入れて、冷媒流体を、前記複数のマイクロチューブのチューブから成る第二の群へ放出するように構成されるように、前記エンドプレートを密封する、請求項1に記載のマイクロチューブ熱交換器。
【請求項9】
冷媒流体を、マイクロチューブ熱交換器を通して循環させる方法であって、
チューブスタックを構成するように互いに実質的に平行に位置合わせされた複数のマイクロチューブを備える前記チューブスタックであって、前記冷媒流体と、前記複数のマイクロチューブの外側を通って流れる外部流体との間で熱を伝達できるように、冷媒流体が、前記複数のマイクロチューブを通過するように構成される、チューブスタックと、
前記チューブスタックの第一の端部に配置されたインレットヘッダであって、
前記チューブスタックの複数のマイクロチューブから、第一の方向に進む前記冷媒流体を受け入れ、前記冷媒流体を第二の方向で前記チューブスタックの複数のマイクロチューブへ放出するように構成された、複数のインレットヘッダ通路を備える、インレットヘッダと、
前記チューブスタックの第二の端部に配置されたアウトレットヘッダであって、
前記チューブスタックの複数のマイクロチューブから、第二の方向に進む前記冷媒流体を受け入れ、前記冷媒流体を第一の方向で前記チューブスタックの複数のマイクロチューブへ放出するように構成された、複数のアウトレット通路を備える、アウトレットヘッダと、を備えるマイクロチューブ熱交換器を設けることと、
前記インレットヘッダのインレットポートにおいて、前記熱交換器の冷媒流体インレットから冷媒流体を受け入れて、受け入れた冷媒流体を、
前記チューブスタックの複数のマイクロチューブ
へ放出することと、
前記
複数のインレットヘッダ通路が前記複数のアウトレットヘッダ通路と連動し、前記インレットヘッダと前記アウトレットヘッダとの間で、冷媒流体を、第一の方向および第二の方向にチューブスタックを複数回通過させることと、
前記チューブスタックの前記
複数のマイクロチューブか
ら冷媒流体を、
前記アウトレットヘッダのアウトレット通路において受け入れて、受け入れた冷媒流体を、前記アウトレットヘッダのアウトレットポートから、前記熱交換器の冷媒流体アウトレットへ放出することと、を含む方法。
【請求項10】
前記
複数のインレットヘッダ通
路および前記
複数のアウトレットヘッダ通路の各々は、
前記冷媒流体の受け入れ用のインレットポートを含むインレット面と、
前記受け入れた流体の放出用のアウトレットポートを含むアウトレット面と、
前記インレットポートと前記アウトレットポートを流体的に結合する経路と、を備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記
複数のインレットヘッダ通
路および前記
複数のアウトレットヘッダ通路の各々に対して、前記経路は、前記インレットポートと前記アウトレットポートとの間の実質的に180度のU字状経路である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記
複数のインレットヘッダ通
路および前記
複数のアウトレットヘッダ通路の各々に対して、前記インレット面および前記アウトレット面は、互いに実質的に同一平面上にある、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記
複数のインレットヘッダ通
路および前記
複数のアウトレットヘッダ通路の各々に対して、
前記インレット面は、複数の前記インレットポートを有し、
前記アウトレット面は、複数の前記アウトレットポートを有し、および
各ヘッダ通路は複数の前記経路を備え、複数の前記経路の各々は、複数の前記インレットポートのうちの一つを、複数の前記アウトレットポートのうちの一つに流体的に結合している、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記
複数のインレットヘッダ通
路および前記
複数のアウトレットヘッダ通路の各々は、前記チューブスタックのエンドプレートを密封し、および前記インレット面と前記アウトレット面とを流体的に隔離するように構成されたガスケットをさらに備える、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記
複数のインレットヘッダ通
路および前記
複数のアウトレットヘッダ通路の各々は、
前記チューブスタックに対向するように配置されたUターン面と、
前記Uターン面から突出し、および前記Uターン面と前記チューブスタックとの間に密封された容積を形成するように、前記チューブスタックのエンドプレートを密封するように構成されたガスケットを備える隆起した外周と、を備え、前記ガスケットは、前記密封された容積が、前記冷媒流体の前記マイクロチューブから成るそれぞれの群からの受け入れと、前記マイクロチューブから成るそれぞれの群への冷媒流体の放出とを実行するように前記エンドプレートを密封する、請求項9に記載の方法。
【国際調査報告】