(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】バイオマーカーセンサーを有するエアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
A24D 1/20 20200101AFI20240528BHJP
A24D 1/02 20060101ALI20240528BHJP
A24F 40/51 20200101ALI20240528BHJP
【FI】
A24D1/20
A24D1/02
A24F40/51
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571870
(86)(22)【出願日】2022-05-17
(85)【翻訳文提出日】2023-11-20
(86)【国際出願番号】 EP2022063242
(87)【国際公開番号】W WO2022243271
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】カリ リカルド
(72)【発明者】
【氏名】ラジャン トニー モーゼス
(72)【発明者】
【氏名】セレダ アレクサンドラ
【テーマコード(参考)】
4B045
4B162
【Fターム(参考)】
4B045AA21
4B045AA50
4B045AB11
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AB14
4B162AC14
4B162AC34
4B162AC50
4B162AD20
4B162AD40
(57)【要約】
本発明は、エアロゾル形成基体を備えるエアロゾル発生物品に関する。エアロゾル発生物品は、口側端、遠位端、およびバイオマーカーセンサーを備え、バイオマーカーセンサーは、エアロゾル発生物品へと提供され、また口側端から少なくとも1センチメートル離れている。本発明はまた、エアロゾル発生装置、ならびにエアロゾル発生装置およびエアロゾル発生物品を備えるエアロゾル発生システムにも関する。本発明はまた、こうしたエアロゾル発生システムを動作する方法にも関する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル形成基体を備えるエアロゾル発生物品であって、
前記エアロゾル発生物品が、口側端および遠位端、ならびにバイオマーカーセンサーを備え、
前記バイオマーカーセンサーが、前記エアロゾル発生物品へと提供され、かつ前記口側端から少なくとも1センチメートル離れている、エアロゾル発生物品。
【請求項2】
前記口側端にマウスピースをさらに備え、かつ前記バイオマーカーセンサーが前記マウスピースから離れて提供されている、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記エアロゾル形成基体が提供された一部分をさらに備え、かつ前記バイオマーカーセンサーが、前記エアロゾル形成基体が提供された前記一部分に位置付けられる、請求項1~2のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項4】
穿孔をさらに備え、かつ前記バイオマーカーセンサーが、前記穿孔から上流に提供される、請求項1~3のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記エアロゾル発生物品が円筒状形状を有し、かつ前記バイオマーカーセンサーが、前記エアロゾル発生物品の前記外周の周りに帯の形態で提供される、請求項1~4のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記バイオマーカーセンサーが、前記ユーザーの唾液中の対応するバイオマーカーとの接触に伴い変化する特性を有する物質を含む、請求項1~5のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記バイオマーカーセンサー内の前記基体が、前記ユーザーの唾液中に存在するニコチンまたはニコチン代謝物との接触に伴い、その色を変化させるように構成された比色物質である、請求項1~6のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記バイオマーカーセンサーが、前記ユーザーによって視覚的に検査することができるように位置付けられる、請求項1~7のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項9】
前記バイオマーカーセンサーが、前記エアロゾル発生物品の前記外表面に位置付けられる、請求項1~8のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項10】
前記バイオマーカーセンサーが、透明、半透明、または穿孔された材料の一つ以上の層によって覆われる、請求項1~9のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項11】
前記エアロゾル発生装置が、前記エアロゾル発生物品の前記バイオマーカーセンサーの前記特性の変化を検出するように構成されたセンサーを備える、請求項1~10のいずれかに記載のエアロゾル発生物品を受容するための空洞を備えるエアロゾル発生装置。
【請求項12】
前記エアロゾル発生装置が、前記エアロゾル発生物品の前記バイオマーカーセンサーの比色変化を検出するように構成された光学センサーを備える、請求項11に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項13】
請求項1~10のいずれかに記載のエアロゾル発生物品と、請求項11および12のいずれかに記載のエアロゾル発生装置とを備える、エアロゾル発生システム。
【請求項14】
前記エアロゾル発生装置が、前記センサーに動作可能に結合され、かつ前記エアロゾル発生物品の前記バイオマーカーセンサーによって得られた前記バイオマーカー濃度レベルに基づいて、前記エアロゾル発生装置の動作を制御する制御ユニットを備える、請求項13に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項15】
前記エアロゾル発生装置が、前記センサーへと動作可能に結合された制御ユニットを備え、かつ前記エアロゾル発生物品の前記バイオマーカーセンサーによって得られた前記バイオマーカー濃度レベルに基づいて前記エアロゾル発生装置の動作が制御される、請求項13または14に記載のエアロゾル発生システムを動作する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マウスピースおよびバイオマーカーセンサーを備えるエアロゾル発生物品に関する。本発明はまた、こうしたエアロゾル発生物品を受容するためのエアロゾル発生装置、ならびにエアロゾル発生物品およびエアロゾル発生装置を備えるシステムにも関する。本発明はさらに、こうしたシステムを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本開示は概して、バイオマーカーセンサーを含むエアロゾル発生物品に関する。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置とともに使用されてもよい。バイオマーカーセンサーは、エアロゾル発生装置の対応する制御電子機器によって読み出すことができる。このようにして、ユーザー体験を調整するために使用されてもよいフィードバックが提供されてもよい。例えば、ニコチン送達は、ユーザーの唾液中の測定されたバイオマーカー濃度に基づいて制御されてもよい。測定されたバイオマーカー濃度は、好ましくは、ユーザーのニコチン曝露レベルに関連する場合がある。
【0003】
ニコチンまたはコチニンもしくは3-ヒドロキシ-コチニンなどのその代謝誘導体などのバイオマーカーは、ユーザーが以前にどの程度激しくたばこ製品またはニコチン送達エアロゾル発生装置を使用したかを特定するために使用されてもよい。一部の代謝誘導体は、使用後40時間より長く、ユーザーの唾液中で検出可能である場合がある。
【0004】
それ故に、ニコチン送達製品の常用者のバイオマーカーレベルをモニターすることによって、ニコチン摂取量をモニターすることができ、そしてその後のユーザー体験に影響を与えてもよい。ユーザーのニコチン摂取量を一定レベルまたは連続的に減少するレベルに保つための、動機が提供されてもよい。
【0005】
具体的にはユーザーの挙動のモニタリングに関して、増加した機能性を提供するエアロゾル発生システムで使用されるエアロゾル発生物品を提供することが望ましいことになる。
【0006】
こうした増加した機能性を提供するエアロゾル発生システムで使用されるエアロゾル発生物品を提供し、かつこのエアロゾル発生システムは、取り扱いが簡単であることが望ましいことになる。長期間使用することができ、また同時に高い衛生基準を提供するエアロゾル発生システムを提供することが望ましいことになる。
【0007】
低減されたコストで製造することができるエアロゾル発生物品を備えるエアロゾル発生システムを提供することがさらに望ましいことになる。
【発明の概要】
【0008】
本発明の実施形態によると、エアロゾル形成基体を備えるエアロゾル発生物品が提供される。エアロゾル発生物品は、口側端および遠位端を備える。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品へと提供され、また口側端から少なくとも1センチメートル離れているバイオマーカーセンサーを備える。
【0009】
ユーザー体験中に、エアロゾル発生物品の口側端はユーザーの口の中へと入れられる。バイオマーカーセンサーは、ユーザーの口と直接接触しないように位置付けられる。このようにして、バイオマーカーセンサーは、ユーザー体験全体を通して見ることができてもよい。具体的には、バイオマーカーセンサーは、ユーザー体験中にユーザーによって、または電子機器によって読み出されてもよい。
【0010】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品の口側端において専用のマウスピースを備えてもよい。マウスピースは、ユーザー体験中にユーザーの口の中に定置されてもよい、エアロゾル発生物品の一部である。バイオマーカーセンサーは、マウスピースから離して提供されてもよい。バイオマーカーセンサーは、マウスピースから上流に提供されてもよい。バイオマーカーセンサーをマウスピースから離して位置付けることによって、バイオマーカーがユーザーの口と接触しないことが効率的に確保されてもよい。
【0011】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体がその中に提供される、一部分を含んでもよい。バイオマーカーセンサーは、エアロゾル形成基体がその中に提供される部分に位置付けられてもよい。エアロゾル形成基体が提供される部分は、ユーザー体験中にユーザーの口の中へと入れられなくてもよい。その結果、バイオマーカーセンサーをエアロゾル形成基体がその中に提供される部分に位置付けることによって、この場合もバイオマーカーがユーザーの口と接触しないことが再び効率的に確保されてもよい。
【0012】
エアロゾル発生物品は、穿孔を備えてもよい。エアロゾル発生物品は、穿孔線を備えてもよい。バイオマーカーセンサーは、穿孔線から上流に提供されてもよい。穿孔線は、周囲空気がエアロゾル発生物品の気流チャネルの中へと導入されることを可能にするために、エアロゾル発生物品内に提供される。この機能を満たすために、穿孔線は通常、ユーザー体験中覆われない。具体的には、穿孔線は通常、ユーザー体験中にユーザーの口によって覆われない。それ故に、このようにしてもまた、バイオマーカーがユーザーの口と接触しないことが効率的に確保されてもよい。
【0013】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生装置」は、エアロゾル形成基体と相互作用してエアロゾルを発生する装置に関する。例えば、エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の一部であってもよい。発生したエアロゾルは、ユーザーの口を通してユーザーの肺の中へと直接的に吸入可能なエアロゾルであってもよい。エアロゾル発生装置は、ホルダーであってもよい。エアロゾル発生装置は、電気加熱式のエアロゾル発生装置であってもよい。エアロゾル発生装置は、電気回路を備えてもよい。エアロゾル発生装置は、電源を備えてもよい。エアロゾル発生装置は、加熱チャンバを備えてもよい。エアロゾル発生装置は、発熱体を備えてもよい。電気回路、および電源は、エアロゾル発生装置の主本体内に配設されることが好ましい。
【0014】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成基体を含む物品を指す。例えば、エアロゾル発生物品は、ユーザーの口を通ってユーザーの肺の中へと直接吸入可能なエアロゾルを発生するエアロゾル発生物品であってもよい。エアロゾル発生物品は、使い捨てであってもよい。たばこを含むエアロゾル形成基体を備えるエアロゾル発生物品は、たばこスティックと呼ばれる場合がある。
【0015】
エアロゾル発生物品は、実質的に円筒状の形状であってもよい。エアロゾル発生物品は、実質的に細長くてもよい。エアロゾル発生物品は、長さと、その長さに対して実質的に直角を成す周囲とを有してもよい。エアロゾル形成基体は、実質的に円筒状の形状であってもよい。エアロゾル形成基体は、実質的に細長くてもよい。エアロゾル形成基体はまた、長さと、その長さに対して実質的に直角を成す周囲と、も有してもよい。
【0016】
エアロゾル発生物品は、およそ30mm~およそ100mmの全長を有してもよい。エアロゾル発生物品は、およそ5mm~およそ12mmの外径を有してもよい。エアロゾル発生物品は、フィルタープラグを備えてもよい。フィルタープラグは、エアロゾル発生物品の下流端に位置してもよい。フィルタープラグは、セルロースアセテートフィルタープラグであってもよい。一態様では、フィルタープラグは、およそ7mmの長さであるが、およそ5mm~およそ10mmの長さを有してもよい。
【0017】
一態様では、エアロゾル発生物品は、およそ45mmの全長を有してもよい。エアロゾル発生物品は、およそ7.2mmの外径を有してもよい。さらに、エアロゾル形成基体は、およそ10mmの長さを有してもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は、およそ12mmの長さを有してもよい。さらに、エアロゾル形成基体の直径は、およそ5mm~およそ12mmであってもよい。エアロゾル発生物品は、外側紙ラッパーを備えてもよい。さらに、エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体とフィルタープラグとの間に分離部を備えてもよい。分離部は、およそ18mmであってもよいが、およそ5mm~およそ25mmの範囲内であってもよい。
【0018】
エアロゾル発生装置の加熱チャンバは、細長い形状を有してもよい。エアロゾル発生装置の加熱チャンバは、エアロゾル発生装置の加熱チャンバとともに使用され、かつその中に挿入されるエアロゾル発生物品の断面に対応する断面を有してもよい。
【0019】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体に関する。こうした揮発性化合物は、エアロゾル形成基体を加熱することによって放出されてもよい。エアロゾル形成基体は、好都合なことに、エアロゾル発生物品の一部であってもよい。
【0020】
エアロゾル形成基体は固体エアロゾル形成基体であってもよく、または液体エアロゾル形成基体であってもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は固体構成要素と液体構成要素との両方を備えてもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、高密度でかつ安定したエアロゾルの形成を容易にするエアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の実施例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0021】
エアロゾル形成基体は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体である。揮発性化合物は、エアロゾル形成基体を加熱することによって放出されてもよい。
【0022】
エアロゾル発生装置は、電気回路を備えてもよい。電気回路は、マイクロプロセッサを備えてもよく、これはプログラマブルマイクロプロセッサであってもよい。マイクロプロセッサは、コントローラの一部であってもよい。電気回路は、さらなる電子構成要素を備えてもよい。電気回路は、発熱体への電力の供給を調節するように構成されてもよい。電力はエアロゾル発生装置の起動に続いて発熱体へと連続的に供給されてもよく、または毎回の吸煙ごとなどのように、断続的に供給されてもよい。電力は、電流パルスの形態で発熱体に供給されてもよい。電気回路は発熱体の電気抵抗をモニターするように、かつ好ましくは発熱体の電気抵抗に応じて、発熱体への電力の供給を制御するように構成されてもよい。
【0023】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生装置の主本体内に電源(典型的には電池)を備えてもよい。一態様では、電源はリチウムイオン電池である。別の方法として、電源はニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、またはリチウム系電池(例えば、リチウムコバルト電池、リン酸鉄リチウム電池、チタン酸リチウム、もしくはリチウムポリマー電池)であってもよい。代替として、電源は、コンデンサなどの別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要とする場合があり、また一回以上の使用体験のために十分なエネルギーの貯蔵を可能にする容量を有してもよく、例えば、電源はおおよそ6分間の期間、または6分の倍数の期間の間、エアロゾルを連続的に発生するのに十分な容量を有してもよい。別の実施例では、電源は所定の吸煙回数、または発熱体の不連続的な起動を提供するために十分な容量を有してもよい。
【0024】
エアロゾル発生装置は、アトマイザーを備えてもよい。液体エアロゾル形成基体を霧化して、ユーザーがその後吸い込むことができるエアロゾルを形成するために、アトマイザーが提供される。アトマイザーは発熱体を備えてもよく、その場合、アトマイザーは気化器として示される。一般的にアトマイザーは、液体エアロゾル形成基体を霧化することができる任意の装置として構成されてもよい。例えば、アトマイザーは、液体エアロゾル形成基体を霧化するために、ベンチュリ効果に基づくネブライザーまたはアトマイザーノズルを備えてもよい。それ故に、液体エアロゾル形成基体の霧化は、非熱的エアロゾル化技法によって実現されてもよい。振動要素、振動メッシュ、圧電駆動ネブライザー、または表面音響波エアロゾル化を有する機械的に振動する気化器が使用されてもよい。
【0025】
アトマイザーは、供給された量の液体エアロゾル形成基体を加熱するためのヒーターを備える気化器として構成されることが好ましい。ヒーターは、液体エアロゾル形成基体を加熱するために適切な任意の装置であってもよく、そしてエアロゾルを形成するために液体エアロゾル形成基体のうちの少なくとも一部を気化する。ヒーターは模範的に、コイルヒーター、毛細管ヒーター、メッシュヒーター、または金属プレートヒーターとであってもよい。ヒーターは模範的に、電力を受電し、受電した電力の少なくとも一部を熱エネルギーに変換する抵抗ヒーターであってもよい。別の方法として、または追加的に、ヒーターは、時間変化する磁界によって誘導加熱されるサセプタであってもよい。ヒーターは単一の発熱体のみを備えてもよく、または複数の発熱体を備えてもよい。単一または複数の発熱体の温度は、電気回路によって制御されることが好ましい。
【0026】
本明細書で使用される場合、「上流」、「下流」、「近位」、「遠位」、「前方」、および「後方」という用語は、その使用中にエアロゾル発生装置のマウスピースを吸入するユーザーによって引き起こされる気流の方向に対する、エアロゾル発生装置の構成要素または構成要素の部分の相対的な位置を記述するために使用される。
【0027】
バイオマーカーセンサーは、任意の適切な形態および形状で提供されてもよい。バイオマーカーセンサーには、エアロゾル発生物品の外表面に試験パッチが提供されてもよい。試験パッチは、接着剤または任意の他の適切な取り付け手段でエアロゾル発生物品の外表面に接着されてもよい。
【0028】
バイオマーカーセンサーは、エアロゾル発生物品の外周の周りに延びる帯の形態で提供されてもよい。こうした設計は、円筒状形状を有するエアロゾル発生物品に対して特に有利である場合がある。帯の形態で提供されるバイオマーカーセンサーは、従来の取り付け方法を使用してエアロゾル発生物品へとしっかりと固定される場合がある。エアロゾル発生物品の外周の周りに延びるバイオマーカーセンサーは、ユーザー体験全体を通してユーザーによって、または対応する読み出し手段によって簡単に観察可能である場合がある。
【0029】
バイオマーカーは、ユーザーの口に由来する任意の口腔液を調べるために使用されてもよい。こうした口腔液は、主に唾液を含んでもよいが、例えば、ユーザーの息の凝縮物も含んでもよい。明瞭化のために、唾液という用語は、この文書では任意の口腔液の例として使用される。
【0030】
バイオマーカーセンサーは、任意の適切なバイオマーカー検出技術を採用してもよい。ユーザーの唾液中のバイオマーカー濃度を検出するための知られている技術としては、比色法、ガスクロマトグラフィー(GC)、GS質量分析(GC-MS)、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)、および放射免疫測定(RIA)が挙げられる。側方流動試験紙、例えば側方流動接触点クロマトグラフィー唾液バイオマーカー検出システムが使用されてもよい。こうしたバイオマーカー検出技術またはその他の適切な技術を、本発明での使用のために適合させることができる。
【0031】
バイオマーカーセンサーは、ユーザーの唾液中の対応するバイオマーカーとの接触に伴い変化する特性を有する物質を含んでもよい。バイオマーカーセンサーは、ナノ粒子、染料、および化学薬品のうちの一つ以上を含む物質を含有してもよい。バイオマーカーセンサーは、ユーザーの唾液中の特定のバイオマーカーの存在が検出された時、物理的特性の変化につながる物質を含有してもよい。バイオマーカーセンサー内の物質は、ユーザーの唾液中に存在するバイオマーカーとの接触に伴いその色を変化するように構成された比色物質であってもよい。
【0032】
こうした比色法に有用な発色団生成試薬としては、バルビツール酸(BA)、1,3-ジエチル-2-チオバルビツール酸(DETBA)、およびメルドラム酸(MA)が挙げられてもよい。コチニン当量測定値には、ピリジン誘導体(具体的には、ニコチン代謝物)を判定するために、シアン化物および発色団生成試薬(例えば、BA、MA、DETBA)を使用してもよい。BAは、こうしたシアン化物の比色定量のための、いくつかのピリジン誘導体との使用が知られている。比色ニコチン代謝物(コチニンなど)アッセイは、発色団生成剤としてピラゾロンを使用してもよい。こうしたアッセイは、ユーザーの唾液中のニコチン-代謝物濃度(コチニン濃度など)を検出するためだけでなく、定量的に測定するためにも使用されてもよい。
【0033】
色の変化は、ユーザーによって視覚的に観察されてもよい。このようにして、ユーザーは、エアロゾル発生物品の真正性についての確認を得てもよい。バイオマーカーセンサーは、製品の偽造の防止または検出のために使用されてもよい。物質は、ユーザーが製品の完全性および真正性を確認することを可能にする、ブランドロゴ、QRコード、バーコード、または別の視覚的なコードなどの、予め定義され、かつ容易に認識することができるパターンで提供されてもよい。
【0034】
バイオマーカーセンサーは、ユーザーの唾液中に存在する任意のバイオマーカーに応答するセンサーであってもよい。適切なバイオマーカーとしては、ニコチン代謝物またはコルチゾール代謝物が含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
任意の一つ以上のセンサーは、ユーザーの唾液中の任意の一つ以上のニコチン代謝物を検出するように構成されてもよい。ニコチン代謝物の例としては、ニコチングルクロニド、ニコチンN’-酸化物、ニコチンイソメトニウムイオン、コチニンメトニウムイオン、コチニングルクロニド、3-ピリジル酢酸、ニコチン-Δイミニウムイオン、コチニン、コチニンN-酸化物、4-(3-ピリジル)-ブタン酸、2;-ヒドロキシニコチン、ノルニコチン、N’-ヒドロキシメチルノルニコチン、5’-ヒドロキシコチニン、7rans-3’-ヒドロキシコチニン、4-(メチルアミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン、4-オキソ-4-(3-ピリジル)-ブタンアミド、4-オキソ-4-(3-ピチジル)-N-メチルブタンアミド、frans-3’-ヒドロキシコチニングルクロニド、4-(3-ピリジル)-3-ブテン酸、4-ヒドロキシ-4-(3-ピリジル)-ブタン酸、4-オキソ-4-(3-ピリジル)-ブタン酸、および5-(-3-ピリジル)-テトラヒドロ-フラン-2-オンが挙げられる。少なくとも一つのセンサーは、コチニンレベルを検出するように構成されてもよい。
【0036】
コチニンは、一つには、長い血漿中半減期を持つので、また高い割合のニコチンがコチニンに変換されるので、好ましい代謝物である。例えば、コチニンは典型的に、ニコチンの約30分と比較して、約11時間~約37時間の血漿中半減期を持つ。加えて、約70パーセント~約80パーセントのニコチンが肝臓内でコチニンに変換され、そして血流へと送達される。さらに、コチニンの唾液中濃度は、血漿中コチニン濃度に比例すると考えられる。
【0037】
バイオマーカーセンサーは、関連する濃度範囲内のコチニンの量を定量化するように構成されてもよい。一例として、研究は、ニコチン含有エアロゾルへの受動暴露は、5ナノグラム毎ミリリットルを下回る唾液中コチニン濃度をもたらすことを示しているが、重度の受動暴露は10ナノグラム毎ミリリットルの唾液中濃度をもたらす可能性がある。常用者の唾液中のコチニン濃度は、約10ナノグラム毎ミリリットル~約100ナノグラム毎ミリリットルの範囲である場合がある。その結果、かつ好ましくは、センサーは、約10ナノグラム毎ミリリットル~約150ナノグラム毎ミリリットルなどの、約5ナノグラム毎ミリリットル~約200ナノグラム毎ミリリットルの範囲内のコチニンの唾液中濃度を正確に定量するように構成されてもよい。しかしながら、当然のことながら、センサーの信頼性および感度の範囲は、必要に応じて、または所望のようにその他の濃度範囲を含むように調整されてもよい。
【0038】
バイオマーカーセンサーは、ニコチン代謝物の結合または検出パートナーとして作用する生物学的物質を含んでもよい。こうした生物学的物質は、本明細書では一般的に、ニコチン代謝物に対する抗体と呼ばれる。こうした抗体がどのように調製されうるかは、先行技術では知られている。模範的に、米国特許第5,164,504号(コチニン誘導体に対するイムノアッセイ用抗体)、米国特許出願第2011/305715号(3-ヒドロキシコチニンに対する抗体)、および米国特許第7,517,699号(側方流動コチニンイムノアッセイ)が本明細書に参照され、それらはすべて、本開示と矛盾しない範囲で、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0039】
上述の結果を達成する、または上述の結果に近づくために採用することができるセンサー技術は、例えば、Francesco Riccia,b,Gianluca Adornettoa,Giuseppe Palleschia,ELECTROCHEMICAL SCIENCE AND TECHNOLOGY State of the Art and Future Perspectives On the occasion of the International Year of Chemistry(2011);Electrochimica Acta;Volume 84,1 December 2012,Pages 74-83によって記述され、これは本開示と矛盾しない範囲で、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。適切なセンサー技術のさらなる記述は、Ashlesha Bhide,et al.,“Next-Generation Continuous Metabolite Sensing toward Emerging Sensor Needs”,ACS Omega 2021,6,6031-6040,in Shikha Sharma et al.,“Antibodies and antibody-derived analytical biosensors”,Essays in Biochemistry(2016)60 9-18、およびNikhil Bhalla et al.,Introduction to biosensors Essays in Biochemistry(2016)60 1-8に見出すことができ、それらはすべて、本開示と矛盾しない範囲で、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0040】
エアロゾル発生物品は、複数のバイオマーカーセンサーを備えてもよい。バイオマーカーセンサーはすべて、同じバイオマーカーに応答してもよい。センサーは、異なるバイオマーカーに応答してもよい。複数のバイオマーカーセンサーを使用することによって、バイオマーカーシグネチャーまたは分子シグネチャーが得られてもよい。
【0041】
バイオマーカーセンサーに唾液を提供するために、ユーザーは舌を使用して紙巻たばこ用紙またはバイオマーカー帯をなめることが必要とされる場合がある。このバイオマーカー帯または紙巻たばこ用紙をなめることは、ユーザーの唾液を直接的に吸収し、そしてバイオマーカーセンサーにおける化学反応のために唾液を利用可能にすることを可能にする。バイオマーカーセンサーの色の光学的に可視的な変化は、ユーザーの唾液の適用のすぐ後に知覚される場合がある。
【0042】
ユーザーの唾液はまた、エアロゾル発生物品の通常の使用中にバイオマーカーセンサーへと搬送されてもよい。この目的のために、エアロゾル発生物品は、バイオマーカーセンサーとエアロゾル発生物品の口側端との間に延びる一つ以上の毛細管チャネルを備えてもよい。
【0043】
エアロゾル発生物品の口側端は、ユーザー体験中に、ユーザーの口の中へと入れられる。その結果、エアロゾル発生物品の口側端から延びる毛細管チャネルは、有利なことに、唾液をユーザーの口からエアロゾル発生物品のバイオマーカーセンサーに向かって移動するために使用されてもよい。
【0044】
複数のバイオマーカーセンサーが使用される場合、複数の毛細管チャネルが採用されてもよい。毛細管チャネルの各々は、バイオマーカーセンサーのうちの一つへと動作可能に連結されてもよい。
【0045】
エアロゾル発生物品は、細長くてもよく、また長軸方向軸を画定してもよい。一つ以上の毛細管チャネルは、エアロゾル発生物品の長軸方向軸と実質的に平行な方向に延びてもよい。
【0046】
毛細管チャネルは中空管として形成されてもよい。毛細管チャネルは、高分子材料または複合材料から形成されてもよい。
【0047】
毛細管チャネルの直径は、0.001~1.0ミリメートルの範囲であってもよい。毛細管チャネルの直径は、0.01~0.5ミリメートルの範囲であってもよい。毛細管チャネルの直径は、0.01~0.1ミリメートルの範囲であってもよい。毛細管チャネルの直径は、毛細管作用によって搬送される流体材料に依存してもよい。低粘度材料は、十分に速い輸送を達成するために、一般的に、より小さい直径の毛細管を必要とする。
【0048】
毛細管チャネルは、非円形状内部断面を有する中空チャネルであってもよい。こうした非円形状毛細管チャネルの直径は、最も大きい延長を有する断面寸法として理解される。
【0049】
エアロゾル発生物品は、三つ、四つ、または五つの毛細管チャネルを備えてもよい。毛細管チャネルは、同一の寸法を有してもよい。毛細管チャネルは、長さが異なっていてもよい。毛細管チャネルは、直径が異なっていてもよい。毛細管チャネルは、長さおよび直径が異なっていてもよい。
【0050】
エアロゾル発生物品は、マウスピースを備えてもよい。マウスピースは、ラッパー、チッピングペーパーによって、またはラッパーとチッピングペーパーとの両方によって囲まれたマウスピースコアを備えてもよい。ラッパーおよびチッピングペーパーは、任意の適切な材料または材料の組み合わせから形成されてもよい。ラッパーまたはチッピングペーパーは、紙、積層紙、またはセルロース系材料から形成されてもよい。ラッパーまたはチッピングペーパーは、紙巻たばこ用紙から形成されてもよい。
【0051】
マウスピースコアは、紙巻たばこフィルターの製造で通常使用される材料から形成されてもよい。マウスピースコアは、フィルターを備えてもよい。フィルターは、一つ以上の適切な濾過材料から形成されてもよい。数多くのこうした濾過材料が、当技術分野で知られている。一実施形態では、マウスピースコアは、セルロースアセテートトウから形成されるフィルターを備えてもよい。マウスピースコアは、中空アセテート管を備えてもよい。
【0052】
マウスピースは、エアロゾル発生物品の外径とほぼ等しい外径を有してもよい。
【0053】
マウスピースは、およそ5ミリメートル~およそ10ミリメートルの直径の外径を有してもよい。
【0054】
マウスピースは、およそ5ミリメートル~およそ20ミリメートルの長さを有してもよい。
【0055】
マウスピースは毛細管チャネルを備えてもよい。マウスピースコアおよび毛細管チャネルは、ラッパーによって取り囲まれてもよい。
【0056】
毛細管チャネルは、マウスピースの長軸方向に概して平行な方向に延びてもよく、またマウスピースコアとラッパーとの間で半径方向に位置付けられてもよい。
【0057】
エアロゾル発生物品は、マウスピースから上流にさらなる構成要素を備えてもよい。こうしたさらなる構成要素は、感覚媒体を有する一部分を含んでもよい。バイオマーカーセンサーは、エアロゾル発生物品のマウスピース以外の任意の部分に提供されてもよい。毛細管チャネルは、エアロゾル発生物品の口側端からバイオマーカーセンサーが位置付けられる場所へと延びてもよい。
【0058】
バイオマーカーセンサーは、エアロゾル発生物品の感覚媒体部分に提供されてもよい。毛細管チャネルは、エアロゾル発生物品の口側端から感覚媒体部分内に位置付けられるバイオマーカーセンサーへと延びてもよい。
【0059】
バイオマーカーセンサーをユーザーの口の中へと入れられない部分に提供することによって、ユーザーの唾液への曝露に伴うバイオマーカーセンサーの反応を、ユーザー体験全体を通してユーザーによって視覚的に検査することができることが確保されてもよい。
【0060】
バイオマーカーセンサーは、エアロゾル発生物品の外表面に提供されてもよい。このようにして、バイオマーカーセンサーを、ユーザー体験全体を通して、ユーザーによって、または対応するセンサー配設によって視覚的に検査することができることを確実にすることができる。
【0061】
バイオマーカーセンサーはまた、透明、半透明、または穿孔された材料の一つ以上の層によって覆われてもよい。こうした材料は、エアロゾル発生物品の取り扱い中にバイオマーカーセンサーを保護するために有用である場合がある。
【0062】
ユーザーの唾液がバイオマーカーセンサーに到達することを依然として可能にするために、エアロゾル発生物品の外部ラッピング材料は、紙マイクロ流体装置として構成されてもよい。こうした紙マイクロ流体装置は、疎水性バリアの間に提供された親水性セルロース繊維の使用を含んでもよい。こうした紙マイクロ流体装置は、毛細管力によって流体を輸送してもよく、またこれは当該技術分野で周知である。紙マイクロ流体装置は、ワックス印刷、インクジェット印刷、フォトリソグラフィー、フレキソ印刷、プラズマ処理、レーザー処理、ウェットエッチング、スクリーン印刷、またはワックススクリーン印刷によって調製されてもよい。こうした紙マイクロ流体装置の製造はまた、積み重ねられて毛細管チャネルの3D配設を形成する複数の紙層も備えてもよい。
【0063】
透明、半透明、または穿孔された材料の層の厚さは、バイオマーカーセンサーが依然としてユーザーによって、または対応するセンサー配設によって視覚的に検査することができるように構成される必要がある。これらの層の全体的な厚さは、1.0ミリメートルを下回ってもよい。これらの層の全体的な厚さは、0.1ミリメートルを下回ってもよい。
【0064】
本発明はまた、上述のようなエアロゾル発生物品を受容するための空洞を備えるエアロゾル発生装置にも関する。空洞は、エアロゾル発生装置の加熱チャンバーを形成してもよい。エアロゾル発生装置は、バイオマーカーセンサーの特性の変化を検出するように構成されたセンサー配設を備えてもよい。エアロゾル発生装置のセンサー配設は、バイオマーカーセンサーの比色変化を検出するように構成された光学センサーを備えてもよい。
【0065】
エアロゾル発生装置のセンサー配設は、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の空洞の中へと挿入されている時に、使用時にバイオマーカーセンサーを読み出すことができるように位置付けられてもよい。
【0066】
バイオマーカーセンサーが、エアロゾル発生物品の全周囲にわたって延びない試験パッチの形態で提供される場合、センサー配設およびバイオマーカーセンサーが相互に隣接した読み出し位置に位置することを確実にするために、エアロゾル発生物品が正しい回転配向でエアロゾル発生装置の空洞の中へと挿入されることを確保する必要がある。別の方法として、センサー配設は、エアロゾル発生物品の全円周をモニターすることができるように提供されてもよい。こうした場合、エアロゾル発生物品が、バイオマーカーセンサーの軸方向位置がセンサー配設の軸方向位置に対応するようなやり方で挿入されることのみが必要とされる。この場合、バイオマーカーセンサーは、エアロゾル発生物品の回転配向とは無関係に読み出すことができる。
【0067】
バイオマーカーセンサーが、エアロゾル発生物品の全周囲にわたって延びる帯の形態で提供される場合、バイオマーカーセンサーもまた、エアロゾル発生物品の回転配向とは無関係に読み出すことができる。これは、エアロゾル発生装置の取り扱いを容易にする場合がある。
【0068】
バイオマーカーセンサーを読み出すための適切なセンサー配設は、当業者に周知であり、また本明細書でより詳細に記述する必要はない。特に、バイオマーカーセンサーの比色データを読み出すためのセンサー配設は、これに関して知られている。光学センサー配設は、バイオマーカーセンサーの色変化を判定するためのカメラを含んでもよい。こうした光学センサー配設は、バイオマーカーセンサーの色変化を判定することができる場合があり、したがって、所与のバイオマーカーがユーザーの唾液中に存在するかどうかを判定することができる場合がある。また、バイオマーカーセンサーの色変化を定量し、それによってユーザーの唾液中のバイオマーカーの濃度レベルを決定するために、こうした光学センサー配設を用いて判定することも可能である。
【0069】
エアロゾル発生装置は、センサー配設へと動作可能に連結された制御ユニットを備えてもよい。制御ユニットは、エアロゾル発生装置の動作を制御するために、センサー配設から提供されたデータを使用するように構成されてもよい。制御ユニットは、エアロゾル発生物品のバイオマーカーセンサーによって得られたバイオマーカー濃度レベルに基づいて、エアロゾル発生装置の動作を制御するように構成されてもよい。
【0070】
センサー配設から提供されるバイオマーカーデータを評価することによって、エアロゾル発生装置の制御は、判定されたバイオマーカーデータまたは判定されたバイオマーカーシグネチャーに適合することができる。このようにして、個々のユーザー体験を強化することができる。例えば、ニコチン送達は、バイオマーカーデータに基づいて調整することができる。バイオマーカーデータが顕著なバイオマーカーレベルを示す場合、エアロゾル発生装置の動作は制限または防止される場合がある。
【0071】
本発明はまた、エアロゾル発生物品と、上述のようなエアロゾル発生装置と、を備えるエアロゾル発生システムにも関する。
【0072】
本発明はまた、エアロゾル発生システムを動作する方法にも関する。方法は、上述のようなエアロゾル発生物品をエアロゾル発生装置の中へと挿入する工程を含んでもよい。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品のバイオマーカーセンサーを読み出すために、センサー配設へと動作可能に連結された制御ユニットを備える。エアロゾル発生装置の動作は、エアロゾル発生物品のバイオマーカーセンサーによって判定されたバイオマーカー濃度レベルに基づいて、制御されてもよい。
【0073】
下記に非限定的な実施例の非網羅的なリストが提供される。これらの実施例の特徴のうちのいずれか一つ以上は、本明細書に記述される別の実施例、実施形態、または態様のうちのいずれか一つ以上の特徴と組み合わせられてもよい。
【実施例】
【0074】
エアロゾル形成基体を備えるエアロゾル発生物品であって、
口側端および遠位端、ならびにバイオマーカーセンサーを備え、バイオマーカーセンサーが、エアロゾル発生物品へと提供され、かつ口側端から少なくとも1センチメートル離れている、エアロゾル発生物品。
【実施例】
【0075】
口側端にマウスピースをさらに備え、かつバイオマーカーセンサーがマウスピースから離れて提供されている、実施例1によるエアロゾル発生物品。
【実施例】
【0076】
エアロゾル形成基体が提供された一部分をさらに備え、かつバイオマーカーセンサーが、エアロゾル形成基体が提供された一部分に位置付けられる、いずれかの先行する実施例によるエアロゾル発生物品。
【実施例】
【0077】
穿孔をさらに備え、かつバイオマーカーセンサーが、穿孔から上流に提供される、いずれかの先行する実施例によるエアロゾル発生物品。
【実施例】
【0078】
バイオマーカーセンサーが、エアロゾル発生物品の外表面に提供される試験パッチである、いずれかの先行する実施例によるエアロゾル発生物品。
【実施例】
【0079】
エアロゾル発生物品が円筒状形状を有し、かつバイオマーカーセンサーが、エアロゾル発生物品の外周の周りに帯の形態で提供される、いずれかの先行する実施例によるエアロゾル発生物品。
【実施例】
【0080】
バイオマーカーセンサーが、ユーザーの唾液中の対応するバイオマーカーとの接触に伴い変化する特性を有する物質を含む、いずれかの先行する実施例によるエアロゾル発生物品。
【実施例】
【0081】
ニコチン代謝物センサー内の基体が、染料および化学薬品のうちの一つ以上を含む、いずれかの先行する実施例によるエアロゾル発生物品。
【実施例】
【0082】
バイオマーカーセンサー内の基体が、ユーザーの唾液中に存在するニコチンまたはニコチン代謝物との接触に伴い、その色を変化させるように構成された比色物質である、いずれかの先行する実施例によるエアロゾル発生物品。
【実施例】
【0083】
バイオマーカーセンサーとエアロゾル発生物品の口側端との間に延びる一つ以上の毛細管チャネルを備える、いずれかの先行する実施例によるエアロゾル発生物品。
【実施例】
【0084】
一つ以上の毛細管チャネルが、0.1ミリメートルを下回る、好ましくは0.01ミリメートルを下回る内径を有するポリマーまたは複合材料管であってもよい、いずれかの先行する実施例によるエアロゾル発生物品。
【実施例】
【0085】
マウスピースと、マウスピースの長さに沿って延びる毛細管チャネルと、を備える、いずれかの先行する実施例によるエアロゾル発生物品。
【実施例】
【0086】
マウスピースが、マウスピースコア材料および毛細管チャネルを備え、マウスピースコア材料および毛細管チャネルが、ラッパーによって囲まれている、いずれかの先行する実施例によるエアロゾル発生物品。
【実施例】
【0087】
毛細管チャネルが、半径方向でマウスピースコア材料とラッパーとの間に位置付けられる、いずれかの先行する実施例によるエアロゾル発生物品。
【実施例】
【0088】
バイオマーカーセンサーが、ユーザーによって視覚的に検査することができるように位置付けられる、いずれかの先行する実施例によるエアロゾル発生物品。
【実施例】
【0089】
バイオマーカーセンサーが、エアロゾル発生物品の外表面に位置付けられる、いずれかの先行する実施例によるエアロゾル発生物品。
【実施例】
【0090】
バイオマーカーセンサーが、透明、半透明、または穿孔された材料の一つ以上の層によって覆われる、いずれかの先行する実施例によるエアロゾル発生物品。
【実施例】
【0091】
複数のバイオマーカーセンサーが使用され、バイオマーカーセンサーが、同じまたは異なるバイオマーカーに応答する、いずれかの先行する実施例によるエアロゾル発生物品。
【実施例】
【0092】
エアロゾル発生装置が、バイオマーカーセンサーの特性の変化を検出するように構成されたセンサーを備える、いずれかの先行する実施例によるエアロゾル発生物品を受容するための空洞を備えるエアロゾル発生装置。
【実施例】
【0093】
エアロゾル発生装置が、バイオマーカーセンサーの比色変化を検出するように構成された光学センサーを備える、実施例19によるエアロゾル発生装置。
【実施例】
【0094】
実施例1~18のいずれかによるエアロゾル発生物品と、実施例19~20のいずれかによるエアロゾル発生装置とを備える、エアロゾル発生システム。
【実施例】
【0095】
エアロゾル発生装置が、センサーに動作可能に結合され、かつエアロゾル発生物品のバイオマーカーセンサーによって得られたバイオマーカー濃度レベルに基づいて、エアロゾル発生装置の動作を制御する制御ユニットを備える、実施例21によるエアロゾル発生システム。
【実施例】
【0096】
エアロゾル発生装置が、センサーへと動作可能に結合された制御ユニットを備え、かつエアロゾル発生装置の動作が、エアロゾル発生物品のバイオマーカーセンサーによって得られたバイオマーカー濃度レベルに基づいて制御される、実施例21または22によるエアロゾル発生システムを動作する方法。
【0097】
一つの実施形態に関して記述される特徴は、本発明の他の実施形態にも等しく適用されてもよい。
【0098】
例証としてのみであるが、添付図面を参照しながら本発明をさらに記述する。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【
図1】
図1は、毛細管チャネルを有するエアロゾル発生物品を示す。
【
図2】
図2は、バイオマーカーセンサーを有するエアロゾル発生物品を示す。
【
図3】
図3は、本発明のエアロゾル発生装置を示す。
【
図4】
図4は、穿孔を有するエアロゾル発生物品を示す。
【
図5】
図5は、フィルターチッピングペーパーを有するエアロゾル発生物品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0100】
図1は、本発明の実施形態におけるエアロゾル発生物品10を示す。
図1Aに図示するように、円筒状のエアロゾル発生物品10は、感覚媒体部分12およびマウスピース部分14を備える。エアロゾル発生物品10の口側端16においてマウスピース部分14が提供されてもよい。両方の部分は、ラッパー18によって巻かれ、かつ相互に接続される。
【0101】
エアロゾル発生物品10の全長に沿って、毛細管チャネル20が提供される。これらの毛細管チャネル20は、0.01ミリメートルの内径を有する中空の高分子管である。毛細管チャネルは、感覚媒体部分12およびマウスピース部分14の周囲の外側に提供され、かつこれらの部分12、14とラッパー16との間に挟まれる。ラッパー18は、従来の紙巻たばこ用紙から作製される。
【0102】
毛細管チャネル20と直角にバイオマーカーセンサー22が提供される。この場合、バイオマーカーセンサー22はピラゾロンを含み、これはニコチンおよびユーザーの唾液中のコチニン濃度を決定するために有用である。
【0103】
バイオマーカーセンサー22は、エアロゾル発生物品10の全周囲にわたって延びる帯の形態で提供される。バイオマーカーセンサー22は、毛細管チャネル20へと動作可能に連結される。流体、特にユーザーの唾液は、ユーザー体験中にエアロゾル発生物品10がユーザーの口の中に定置された時に、口側端16から毛細管チャネル20の中へと入る場合がある。
【0104】
図1Bは、完全に巻かれたエアロゾル発生物品10を示す。ラッパーには、エアロゾル発生物品10の感覚媒体部分12とマウスピース部分14とを識別するために異なる色が提供される。
図1Bに図示するように、バイオマーカーセンサー22は、エアロゾル発生物品10の感覚媒体部分12に提供される。バイオマーカーセンサー22においてニコチンまたはコチニンが検出されない限り、バイオマーカーセンサー22は無色であり、エアロゾル発生物品10上では認識することができない。
【0105】
エアロゾル発生物品10の使用中、マウスピース部分はユーザーの口の中に定置される。エアロゾル発生物品10のユーザーの口との物理的接触は、唾液が毛細管チャネル20の中へと入ることを可能にする。唾液は、バイオマーカーセンサー22に向かって、かつバイオマーカーセンサー22の上へと毛細管作用によって引き出される。ユーザーの唾液がニコチンまたはコチジン(cotidine)を含有する場合、これらのバイオマーカーはバイオマーカーセンサーのピラゾロンと反応し、そして
図1Cに概略的に示されるようにバイオマーカーセンサー22の色を変化させる。この色の変化は、ユーザーによって視覚的に判定することができ、またエアロゾル発生装置の対応するセンサー配設によって検出される場合がある。
【0106】
図2は、本発明のエアロゾル発生物品10の代替的な配設を示す。エアロゾル発生物品10は、大部分は
図1のエアロゾル発生物品10に対応する。
図2のエアロゾル発生物品10は、いかなる毛細管チャネルも備えない。それ故に、ユーザーの唾液がバイオマーカーセンサー22と接触することを可能にするために、ユーザーはバイオマーカーセンサー22またはバイオマーカーセンサー22を含む紙巻たばこ用紙ラッパー18の一部分を、ユーザーの舌で直接的になめてもよい。
【0107】
この場合も、ユーザーの唾液がニコチンまたはコチジンを含有する場合、ユーザーによって視覚的に判定することができ、またエアロゾル発生装置の対応するセンサー配設によっても検出されてもよい色の変化が引き起こされることになる。
【0108】
図3では、エアロゾル発生物品10とともに使用するエアロゾル発生装置30を図示する。エアロゾル発生物品30およびエアロゾル発生装置10は、エアロゾル発生システムを一緒に形成する。
【0109】
図3Aに図示するように、エアロゾル発生装置30は、取り外し可能キャップ34を有するハウジング32を備える。取り外し可能キャップ34は、取り外し可能キャップ34における開口部を覆うカバー36を備える。エアロゾル発生装置30は、ボタン38を有し、ボタン38を介してエアロゾル発生装置30をオンおよびオフに切り替えてもよい。
【0110】
図3Bの断面図では、エアロゾル発生装置30の内部構成要素が図示される。エアロゾル発生装置30は、電池40と、充電ポート42と、制御ユニット46を有するプリント基板44とを備える。
【0111】
エアロゾル発生装置は、取り外し可能キャップ34における開口部を介してアクセス可能な空洞50を画定する。空洞50は、電気ヒーター52を備え、そしてエアロゾル発生物品の感覚媒体部分を加熱するための加熱チャンバとして作用する。
【0112】
センサー配設は、空洞50の中に提供される。センサー配設は、光学センサー54を備える。光学センサー54はリング形状であり、そして空洞50の内表面の周りに延びる。光学センサー54は、挿入されたエアロゾル発生物品10のバイオマーカーセンサー22の直接の見通し内に位置する。
【0113】
図3Cは、帯形状のバイオマーカーセンサー22を備える、
図1または
図2によるエアロゾル発生物品10を示す。
図3Bおよび
図3Cの比較から分かるように、バイオマーカーセンサー22の垂直位置は、エアロゾル発生物品10がエアロゾル発生装置30の空洞の中へと完全に挿入された時、光学センサー54の垂直位置に対応する。
【0114】
エアロゾル発生装置30の制御ユニットは、光学センサー54と連結される。光学センサー54は、バイオマーカーセンサー22をモニターするように構成される。バイオマーカーセンサー22が、ユーザーの唾液中のニコチンまたはコチニンの存在に起因してその色を変化させる時、光学センサー54は、制御ユニット46によって受信される対応する信号を生成してもよい。光学センサー54から受信したデータに基づいて、制御ユニット46は、エアロゾル発生装置30の動作を調整してもよい。
【0115】
図4は、本発明のエアロゾル発生物品10のさらなる実施形態を示す。エアロゾル発生物品10は、ラッパー18によって接続された感覚媒体部分12およびマウスピース部分14を備える。感覚媒体部分12とマウスピース部分14との間には、追加的な構成要素60、62が提供される。これらの追加的な構成要素60、62は、異なる直径を有する中空アセテート管であり、これはエアロゾル発生物品10内に画定される気流経路内でのエアロゾル形成を支援するために使用される。複数の穿孔を含む穿孔線58が、より大きい直径の中空アセテート管である構成要素62のエリアに提供される。バイオマーカーセンサー22は、穿孔線58から上流に提供される。穿孔線58は、ユーザー体験中にユーザーの口によって覆われないため、エアロゾル発生物品10の口側端16からなおさらに離れて位置するバイオマーカーセンサー22は、同じようにユーザー体験中にユーザーの口と直接接触しない。ユーザーの唾液をバイオマーカーセンサー22へと移送するために、バイオマーカーセンサー22は、
図2を用いて記述された実施形態に従ってユーザーによってなめられてもよく、または
図1を用いて記述された実施形態に従って、エアロゾル発生物品10に毛細管が提供されてもよい。
【0116】
図5もまた、
図4のエアロゾル発生物品10と類似した、本発明のエアロゾル発生物品10の実施形態を示す。この実施形態では、穿孔線は提供されていない。しかしながら、ユーザーの口と接触する可能性がある部分は、ラッパー18とは異なる色を有するチッピングペーパー64を用いて追加的に巻かれる。バイオマーカーセンサー22は、チッピングペーパー64によって覆われる領域から上流に提供される。それ故に、この場合もバイオマーカーセンサー22は、ユーザー体験中にユーザーの口と直接接触しない、エアロゾル発生物品10のエリアに提供される。ユーザーの唾液をバイオマーカーセンサー22へと移送するために、エアロゾル発生物品10の口側端16から延び、そしてバイオマーカーセンサー22へと動作可能に連結された毛細管20が提供される。より良好な可視性のために、毛細管20の一部のみが、エアロゾル発生物品10の口側端16から延びるように
図5に示される。典型的に、すべての毛細管20は、エアロゾル発生物品10の口側端16から延びるように構成されることになる。
【国際調査報告】