(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】バッテリパック充電平衡化のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240528BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20240528BHJP
H02J 7/04 20060101ALI20240528BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240528BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20240528BHJP
G01R 31/389 20190101ALI20240528BHJP
G01R 31/396 20190101ALN20240528BHJP
【FI】
H02J7/00 X
H02J7/02 H
H02J7/02 J
H02J7/00 H
H02J7/04 F
H01M10/48 P
H01M10/44 P
G01R31/389
G01R31/396
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571874
(86)(22)【出願日】2022-05-20
(85)【翻訳文提出日】2024-01-17
(86)【国際出願番号】 US2022030368
(87)【国際公開番号】W WO2022246274
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523090283
【氏名又は名称】イオントラ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】コノプカ ダニエル エイ
(72)【発明者】
【氏名】ハウレット ザ サード ジョン リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ホルト ジェフリー ジェイ
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
2G216BA51
2G216CA01
2G216CB17
2G216CB24
5G503AA01
5G503BA03
5G503BA04
5G503BB02
5G503CA01
5G503CA08
5G503CA11
5G503CB11
5G503CC02
5G503DA07
5G503EA05
5G503HA00
5H030AS08
5H030AS12
5H030BB01
5H030BB23
5H030FF22
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
(57)【要約】
複数のバッテリセルを含むバッテリパックを充電(再充電)および放電するためのシステムが開示される。システムは、バッテリパックまたはパックのセルの最小インピーダンス値に対応する周波数をモニタリングし、バッテリパックに印加される充電エネルギー信号を調整する、反復プロセスを実行し得る。いくつかの場合に、バッテリパックの1つまたは複数のセルのための充電エネルギー信号に対する周波数応答をモニタリングするために、タップがバッテリパック内に設けられてもよい。他の場合に、ユニットとしてのバッテリパックが、反復してモニタリングされてもよい。このプロセスは、バッテリパックのセルにわたって相対充電バランスを維持し、バッテリパックを再充電する時間を減少させ、パックの寿命を延長し、バッテリパックを充電する電流量を最適化し、様々な非効率性に対するエネルギー損失を回避し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学デバイスを充電するための方法であって、
電気化学パック内に配置された複数の電気化学セルのそれぞれの少なくとも1つの高調波とインピーダンスとの間の関係をそれぞれが示す、複数の高調波プロファイルにアクセスすることと、
前記複数の電気化学セルのそれぞれについての相対充電値を判定することと、
前記複数の電気化学セルのそれぞれについての前記相対充電値に基づいて、前記電気化学パックの電極におけるエネルギー信号を制御することであって、前記エネルギー信号が前記複数の電気化学セルの目標電気化学セルの目標インピーダンス値に関連する高調波にある、前記制御することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記複数の電気化学セルの少なくとも一部が、直列接続で接続される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の電気化学セルの少なくとも一部が、並列接続で接続される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記エネルギー信号が、充電電流、放電電流、充電電圧、放電電圧、充電電力、または放電電力のうちの1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記目標電気化学セルが、前記電気化学パックの前記電極に直接接続される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の電気化学セルのうちの少なくとも1つの他の電気化学セルが、前記目標電気化学セルと前記電気化学パックの前記電極との間に接続される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記エネルギー信号の一部が、前記目標インピーダンス値に関連する前記高調波に基づいて前記目標電気化学セルによって吸収されて、前記目標電気化学セルの前記相対充電値を増加させる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記エネルギー信号の一部が、前記目標インピーダンス値に関連する前記高調波に基づいて前記目標電気化学セルによって吸収されて、前記目標電気化学セルの前記相対充電値を減少させる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記エネルギー信号を制御することが、前記電気化学デバイスの前記複数の電気化学セルの前記相対充電値を平衡化する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
複数の電気化学セルを含む電気化学パックと通信する充電信号整形回路と、
複数の電気化学セルのそれぞれのインピーダンス測定値を取得するために前記電気化学パックと通信するインピーダンス測定回路と、
コントローラであって、
前記複数の電気化学セルのそれぞれについての相対充電値を判定することと、
前記複数の電気化学セルのそれぞれについての前記相対充電値に基づいて、前記複数の電気化学セルの目標電気化学セルを識別することと、
前記目標電気化学セルの目標インピーダンス値に関連する高調波に基づいて、前記目標電気化学セルのための充電信号を整形するように、前記充電信号整形回路を制御することと、
をする、コントローラと、
を備える、バッテリパック充電システム。
【請求項11】
前記高調波が、前記電気化学デバイスの目標実数インピーダンス値に関連する、請求項10に記載のバッテリパック充電システム。
【請求項12】
前記高調波が、前記電気化学デバイスの目標虚数インピーダンス値に関連する、請求項10に記載のバッテリパック充電システム。
【請求項13】
前記高調波が、前記電気化学デバイスの実数インピーダンス値および虚数インピーダンス値の組み合わせに関連する、請求項10に記載のバッテリパック充電システム。
【請求項14】
前記高調波が、前記電気化学デバイスのリアクタンスに関連する、請求項10に記載のバッテリパック充電システム。
【請求項15】
前記充電信号の一部が、前記目標インピーダンス値に関連する前記高調波に基づいて前記目標電気化学セルによって吸収されて、前記目標電気化学セルの前記相対充電値を増加させる、請求項10に記載のバッテリパック充電システム。
【請求項16】
前記エネルギー信号の一部が、前記目標インピーダンス値に関連する前記高調波に基づいて前記目標電気化学セルによって吸収されて、前記目標電気化学セルの前記相対充電値を減少させる、請求項10に記載のバッテリパック充電システム。
【請求項17】
電力信号を提供する電源をさらに備え、前記充電信号整形回路を制御することが、前記充電信号を提供するために前記電力信号からエネルギーを吸い上げることを含む、請求項10に記載のバッテリパック充電システム。
【請求項18】
バッテリパックの充電を平衡化するための方法であって、
複数の電気化学セルのうちの第1のセルの充電の示度が前記複数の電気化学セルのうちの第2のセルの充電の示度よりも小さいことに基づいて、前記第1のセルの目標インピーダンス値を取得することと、
前記第1のセルの前記目標インピーダンスに関連する高調波を含むように、前記複数の電気化学セルのための充電信号を整形することであって、前記充電信号が、前記第1のセルを充電するためのものである、前記整形することと、
を含む、方法。
【請求項19】
前記複数の電気化学セルのうちの第3のセルの充電の示度が前記複数の電気化学セルのうちの第4のセルの充電の示度よりも大きいことに基づいて、前記第3のセルの目標インピーダンス値を取得することと、
前記第3のセルの前記目標インピーダンスに関連する高調波を含むように、前記複数の電気化学セルのための充電信号を整形することであって、前記充電信号が、前記第3のセルを放電するためのものである、前記整形することと、
をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記複数の電気化学セルのうちの前記第1のセルおよび前記第2のセルが、直列接続で接続される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記複数の電気化学セルのうちの前記第1のセルおよび前記第2のセルが、並列接続で接続される、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記充電信号を整形することが、
充電信号整形回路を制御して、前記第1のセルの前記目標インピーダンス値に関連する前記高調波を含むように前記充電信号を整形することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記高調波が、前記複数の電気化学セルのうちの前記第1のセルのリアクタンスに関連する、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記複数の電気化学セルのうちの前記第1のセルの前記充電の前記示度が、前記第1のセルにわたって測定された電位に対応する、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許協力条約(PCT)出願は、2021年5月20日に出願された「Systems and Methods for Battery Pack Charge Balancing」と題する、米国特許出願第63/191,138号に関連し、それに対する優先権を主張し、その内容全体が、全ての目的で参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の実施形態は、概して、バッテリパックを形成するために相互接続されたバッテリセルを充電または放電するシステムおよび方法に関し、より具体的には、バッテリパックのセル間で平衡化された充電および/または平衡化された容量を提供するための高効率の充電信号または放電信号の生成に関する。
【背景技術】
【0003】
特に、電力工具、電気掃除機、任意の数の異なるポータブル電気デバイス、および電気自動車などの多くの電動デバイスは、動作電力源として再充電可能なバッテリを使用する。再充電可能なバッテリは、有限バッテリ容量によって制限され、消耗すると再充電しなければならない。電力供給されるデバイスは、多くの場合、バッテリを再充電するために必要な時間の間、静止しなければならないため、バッテリの再充電が不便である場合がある。自動車の場合、高容量バッテリパックを再充電するのに数時間かかることがある。したがって、バッテリを再充電するのに必要な時間を減少させるための急速充電技術を開発することに著しい努力が注がれている。しかしながら、急速再充電システムは、一般的には非効率的であるが、低速の再充電システムは、再充電動作を長引かせ、サービスへの迅速な復帰という基本目的が損なわれる。
【0004】
上記の短所に加えて、多くの再充電可能なバッテリは、直列および/または並列の何らかの組み合わせで接続されてバッテリパックを形成する、複数の個々のセルを含む。例えば、再充電可能なセルのグループが、直列で接続されてバッテリパックを形成してもよく、再充電可能なセルのグループが、並列で接続されてバッテリパックを形成してもよく、いくつかの再充電可能なセルが、直列で接続されてグループまたはモジュールを形成してもよく、グループまたはモジュールが、その後並列で接続されてバッテリパックを形成する、などであってもよい。セルの相互接続にかかわらず、バッテリパックを再充電することは、多くの場合、セルの相互接続へ分配される充電信号を提供することを含む。しかしながら、バッテリパックのセルの物理的および/または化学的特性の変動に起因して、セルの充電は、初期容量差ならびにおそらく過充電および過放電も含む不均一な充電および放電を含む、様々な可能性のある理由に起因して不平衡になることがある。許容誤差、製造ばらつき、化学成分差、および製造時におけるセル間のその他の差異に単純に起因して、製造時にセルの容量が変動する場合がある。セルは、温度差、電荷分布差、および放電差を含むいくつもの理由で充電サイクル中に異なった変化をすることもある。セルが、時間および充電/放電サイクルが経つにつれて不平衡になると、例えば、セルの過充電または過放電がそれらのセルをさらに損傷することから、その差がさらなる不平衡を引き起こし、使用される充電および放電アルゴリズムに応じてパック全体の容量を低下させる場合があり、その他の有害な影響がある。
【0005】
特にこれらの観測を踏まえて、本開示の態様が考案され、開発された。
【発明の概要】
【0006】
本開示の一態様は、電気化学デバイスを充電するための方法に関する。方法は、電気化学パック内に配置された複数の電気化学セルを含む複数の電気化学デバイスのそれぞれの少なくとも1つの高調波とインピーダンスとの間の関係をそれぞれが示す、複数の高調波プロファイルにアクセスすることと、複数の電気化学セルのそれぞれについての相対充電値を判定することと、複数の電気化学セルのそれぞれについての相対充電値に基づいて、電気化学パックの電極におけるエネルギー信号を制御することであって、エネルギー信号が複数の電気化学セルのうちの目標電気化学セルの最小インピーダンス値に関連する高調波にある、制御することと、の動作を含み得る。
【0007】
本開示の別の態様は、バッテリパック充電システムに関する。システムは、複数の電気化学セルを含む電気化学パックと通信する充電信号整形回路と、複数の電気化学セルのそれぞれのインピーダンス測定値を取得するために電気化学パックと通信するインピーダンス測定回路と、コントローラと、を含み得る。コントローラは、複数の電気化学セルのそれぞれについての相対充電値を判定し、複数の電気化学セルのそれぞれについての相対充電値に基づいて、複数の電気化学セルのうちの目標電気化学セルを識別し、目標電気化学セルの最小インピーダンス値に関連する高調波に基づいて、目標電気化学セルのための充電信号を整形するように、充電信号整形回路を制御する。
【0008】
本開示のさらに別の態様は、バッテリパックの充電を平衡化するための方法に関する。方法は、複数の電気化学セルのうちの第1のセルの充電の示度が複数の電気化学セルのうちの第2のセルの充電の示度よりも小さいことに基づいて、第1のセルの最小インピーダンス値を取得することと、第1のセルの最小インピーダンスに関連する高調波を含むように、複数の電気化学セルのための充電信号を整形することであって、充電信号が、第1のセルを充電するためのものである、整形することと、の動作を含み得る。
【0009】
本明細書に記載する本開示の前述のおよび他の目的、特徴、および利点は、添付図面に示されるように、それらの発明的概念の特定の実施形態の以下の説明から明らかであるべきである。図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示し、したがって、範囲内に限定すると考えられるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】平衡化手続が適用され得る以前のバッテリパックの複数のセルの電圧出力の棒グラフである。
【
図1B】一実施形態による、バッテリセルに印加される充電信号の対応する周波数に対する、バッテリセルの推定実数インピーダンス値のグラフである。
【
図2】一実施形態による、充電信号整形回路を利用してバッテリパックを充電する回路を示す概略図である。
【
図3A】複数のバッテリセルを含む第1の例示的なバッテリパック構成を示す概略図である。
【
図3B】複数のバッテリセルを含む第2の例示的なバッテリパック構成を示す概略図である。
【
図4】一実施形態による、バッテリセルに印加される充電信号の対応する周波数に対する、バッテリセルの判定されたインピーダンス値のグラフである。
【
図5】一実施形態による、バッテリ充電回路から生成された立ち上がりエッジ部および本体部を含む、整形されたバッテリ信号充電信号の信号図である。
【
図6】一実施形態による、示された最大および最小周波数を有する、パックに印加される充電信号の対応する周波数に対する、バッテリパックの判定されたインピーダンス値のグラフである。
【
図7】一実施形態による、最小インピーダンス値に対応する周波数に基づいてバッテリパックのための充電信号を生成する方法を示すフローチャートである。
【
図8】一実施形態による、バッテリパックのセルを充電または放電するためにバッテリパックのための充電信号を生成する方法を示すフローチャートである。
【
図9】本開示の実施形態を実施する際に使用され得るコンピューティングシステムの実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
複数の電気化学バッテリセルを含むバッテリパックを充電(再充電)および放電するためのシステム、回路、および方法が、本明細書に開示される。充電および再充電という用語は、本明細書では同義的に使用される。説明するシステム、回路、および方法を通して、パックが、従来技術と比較して不平衡化の影響が少なく充電および放電され得る。さらに、本開示の態様は、不平衡になるはずのセルを平衡化し得るシステムおよび方法を含む。さらに、従来技術とは異なり、平衡化技術は、不平衡セルだけでなく、パックのいくつかのまたは全ての他のセルにも印加される充電信号と共に採用され得る。
【0012】
バッテリパックは、並列、直列、並列および直列などの任意の方式で結合された任意の数のセルを含み得る。概して、バッテリパックは、制御可能な電源からの再充電信号の印加によって再充電され得る。しかしながら、バッテリパックを充電することによって、パックのセルについて充電が不平衡状態となることがある。例えば、
図1Aは、バッテリパックの様々な個別のセルの電圧測定値104を示す棒グラフ100である。電圧測定は、充電中、放電中、または静置時に行われ得る。いずれにしても、パック内のセルが不平衡になると、パックの異なるセルの端子における電圧測定値は異なることが多い。セルの端子電圧は、セルが充電されている間、時間が経つにつれて上昇する傾向にある。セルが同等で、等しいエネルギーを受ける場合、セル電圧は、同一の充電状態ではほぼ同一になる。
【0013】
図1Aに示すように、例示的なバッテリパックの(セル1~Xと示す)複数のセルについての端子電圧106a~hが、グラフ100に示されている。図示するように、バッテリパックの各セルは、セル間の不平衡を反映して、異なる電圧106a~hを有する。いくつかの従来技術では、セルのうちの1つの出力電圧が、カットオフ電圧値102に到達すると、バッテリパックのセルの充電が遮断される場合がある。例えば、セル5の出力電圧106eがカットオフ電圧102に到達すると、
図1Aのグラフ100に関連するバッテリパックの充電が終了することがある。しかしながら、この実施例では、バッテリパックの残りのセルは、まだカットオフ電圧102まで充電されておらず、したがって完全に充電されたセルを示すカットオフ電圧に全てのセルが到達する前に充電が停止されることによって、バッテリパックは完全に充電されない。カットオフ電圧は、製造業者によって指定されてもよく、または他の手段によって識別されてもよいことに留意されたい。
【0014】
バッテリパックの不平衡な充電に対するいくつかの応答が、提案されている。一実施例では、バッテリパックの各セルがカットオフ電圧102に到達するまで、充電信号がバッテリパックに印加され得る。しかしながら、これは、セルの1つまたは複数が充電不足または過充電になって、不十分な容量利用率、セル間の不均一な容量、またはセルへの損傷をもたらし、時にはセルおよびバッテリパックへの壊滅的な損傷をもたらし得る。パックの1つまたは複数のセルの過充電または充電不足を避けるために、充電回路は、充電バランサを含み得る。概して、充電バランサは、各セルの充電を平衡に維持するように努めて、バッテリパックのセルの充電をモニタリングおよび調整し得る。1つの特定の実施態様において、充電バランサは、各セルの出力電圧をモニタリングし、出力電圧がカットオフ電圧102に到達すると、モニタリングされたセルに接続された放電抵抗を作動させて、各セルがカットオフ電圧に到達するまでセルの電圧をカットオフ電圧に維持し得る。他の場合に、充電バランサは、セルの利用可能な電圧を平衡に維持するように努めて、より高い充電を有するセルからより低い充電を有するセルに充電信号をリダイレクトし得る。充電バランサによって使用される平衡化技術にかかわらず、バッテリパックのセルの平衡化は、特に高速充電シナリオにおいて、バッテリパックの充電プロセスに悪影響を与える場合がある。例えば、バッテリパックのセルの平衡化によって、充電信号のいくらかが放電抵抗を通して散逸するため、充電プロセス全体が減速し、より多くの充電エネルギーを消費し得る。セル平衡化のための他の解決策も、費用が掛かり、管理が困難である場合がある。
【0015】
セル平衡化を通してもたらされる非効率性に加えて、矩形波充電パルスを伴う充電方式を使用することによって、セルの寿命がさらに劣化し、再充電中のバッテリパックの不平衡を悪化もしくは加速させ得るか、またはバッテリパックの再充電に他の非効率性をもたらし得る。例えば、バッテリパックのセルの電極(典型的にはアノード)への充電電流の急激な印加(即ち、矩形波パルスの急勾配の立ち上がりエッジ)は、端末セルにわたって大きな初期インピーダンスを引き起こし得る。
図1Bは、セルに印加される再充電信号の対応する周波数に対する、典型的なバッテリセルの推定実数インピーダンス値のグラフを示す。特に、グラフ160は、セル106への入力信号の周波数の対数周波数軸(軸162)に対する実数インピーダンス値(軸164)のプロットを示す。プロット160は、バッテリパックを再充電するために使用される再充電電力信号の様々な周波数における、セルの電極にわたる実数インピーダンス値を示す。プロット160の形状および測定値は、セルの種類、セルの充電状態、セルの動作制約、セルの温度、バッテリパック内のセルの構成、バッテリパック内のセルの機械特性および化学特性などに基づいて変化し得る。しかしながら、充電中のセルの特性の概略的理解が、周波数に対するインピーダンス値のプロット166から得られ得る。特に、セルの電極において経験する実数インピーダンス値は、セルに提供される電力充電信号の周波数に基づいて変化して、高周波数において実数インピーダンス値166が全般的に急激に上昇し得る。例えば、周波数f
Sq168におけるバッテリセルへの入力電力信号は、バッテリセル電極において高い実数インピーダンスをもたらし得る。
【0016】
バッテリパックを再充電するために矩形波充電信号を使用することによって、矩形波パルスの立ち上がりエッジにおいて大きな周波数がもたらされ得る。特に、バッテリセルへの充電信号の急速な変化によって、従来の逆パルス方式の使用中、矩形波パルスの立ち上がりエッジなどにおいて、高周波数の高調波から構成されるノイズがもたらされ得る。
図1Bのグラフ160に示すように、そのような高調波は、バッテリセル電極において高いインピーダンスを生じる。この高いインピーダンスは、容量損失、熱発生、およびバッテリセル全体を通した電気運動活動の不平衡を含む多くの非効率性、電荷境界における望ましくない電気化学応答、ならびにバッテリを損傷し、かつバッテリセルの寿命を劣化させ得るバッテリセル内の材料の劣化をもたらし得る。高周波数/高インピーダンス高調波コンテンツの1つの特定の問題は、被覆を引き起こし、被覆は、各セルに異なる影響を及ぼし得る。被覆は、同様に、充電中にセルがどのくらいエネルギーを要するかに影響を及ぼし、したがってセル不平衡が悪化し得る。さらに、高速パルスでバッテリを常温起動することによって、容量性充電および拡散性プロセスが始まるため、電磁誘導活動の制限が生じる。この期間中、近位のリチウムが反応し、急速に消費されて、セルの正常性およびそのコンポーネントに悪影響を与える望ましくない副反応および拡散限界状態の期間が残り、それによって、再びパック内のセル間の不平衡化がその後生じ得る。
【0017】
加えて、これらの非効率性は、バッテリパックの不平衡な充電につながることがある。例えば、バッテリパックのセルの容量損失は、完全に充電されるときでさえ、セルがカットオフ電圧に到達することができないという結果をもたらすことがあり、それによってバッテリパックのセルが不平衡のままとなる。別の実施例では、セルの充電の非効率性によって、そのセルがバッテリパック内の他のセルよりも低速で充電され、充電バランサが、充電プロセスの間、より高速充電のセルからより多くのエネルギーを散逸させる必要がある。充電バランサは、複数の充電および放電セッションにわたってパックのセルに対して行われた損傷を補償するために、バッテリパックの寿命の間、時間が経つにつれて非効率的になり得る。
【0018】
本開示の態様は、バッテリパックの従来の充電と比較して、いくつかの追加の利点を単体でまたは組み合わせて提供し得る。例えば、本明細書に記載する充電技術は、より高速の充電速度がセルのバッテリパックに適用されるのを可能にし、したがって従来技術と比較してより高速の充電を可能にし得る。正常な充電速度と考えられる間、本明細書に記載する技術は、より長い相対サイクル寿命を提供し得る。即ち、パックは、何らかの閾値、例えば、容量よりも低下する前に比較的多くの回数、充電および放電されることが可能であってもよい。一実施例では、バッテリパックの「低速充電」と考えられる間、開示するシステムおよび方法は、パックのセルのより長い寿命および充電エネルギー効率を提供する。別の実施例では、「高速充電」と考えられるものにおいて、開示するシステムおよび方法は、熱の生成を少なくしつつ、充電速度およびセル寿命のバランス改善をもたらす。さらに、本開示の態様は、パックのセルの充電中、バッテリパックのセルを平衡に維持するように動作する。本開示の様々な態様が、従来技術の性能または効果と比較して説明されているが、本明細書に提示する様々な可能な利点に関わりなく、技術、システムなどのそれ自体が発明的であると、認識されるべきである。
【0019】
一実施例では、本明細書で説明する様々な実施形態は、バッテリパック、バッテリパックの複数のセル、またはバッテリパックの特定のセルのエネルギー移送に対する実数および/または虚数インピーダンスに基づいて、最適なエネルギー移送に関連する目標とされる高調波から構成される充電信号を生成することによって、バッテリパックを充電または放電する。1つの特定の実施例では、充電または放電信号は、特定の整形された、ならびにまたはバッテリパックもしくはセルの最小インピーダンス(実数および/もしくは虚数)値に関連する1つもしくは複数の高調波成分から構成された、エネルギー信号のシーケンスであってもよい。別の実施例では、信号のエネルギー信号は、バッテリパックまたはパックのセルの実数および虚数インピーダンス値の両方に関連する高調波に対応する。さらに別の実施例では、信号のエネルギー信号は、バッテリパックまたはパックのセルのアドミタンスのコンダクタンスまたはサセプタンスのうちの1つまたは両方に関連する高調波に対応し得る。概して逆の関係を考慮すると、本明細書で使用するインピーダンスという用語は、その逆アドミタンスを含み、コンダクタンスおよびサセプタンスのその成分を単体でまたは組み合わせて含み得る。より詳細には、何らかの態様のバッテリパックの最小インピーダンス値に対応する周波数を判定するシステムおよび回路が説明される。別の実施例では、システムは、最小インピーダンスまたはその付近における周波数を含む周波数の範囲を識別する、インピーダンススペクトルを生成し得る。いくつかの実施例では、最小インピーダンスが発生する周波数は、充電状態、温度、および他の因子に起因して変化し得るため、本明細書で説明する技術は、パックの最小インピーダンス周波数を再評価してもよい。回路は、判定された最小インピーダンスまたはその付近における高調波または周波数に対応する充電信号(例えば、充電電流)のエネルギー信号を整形または生成し得る。
【0020】
本明細書に記載する回路は、いくつかの場合に、バッテリパックまたはパックのセルの最小インピーダンス値に対応する周波数をモニタリングまたは判定し、バッテリパックに印加されるエネルギー信号を調整する、反復プロセスを実行し得る。いくつかの場合に、バッテリパックの1つまたは複数のセルのための充電エネルギー信号に対する周波数応答をモニタリングするために、タップがバッテリパック内に設けられてもよい。他の場合に、ユニットとしてのバッテリパックが、反復してモニタリングされてもよい。このプロセスは、バッテリパックを再充電するために使用される充電信号の効率を改善し、それにより他の利点の中でも、バッテリパックのセルにわたる相対充電バランスを維持し、バッテリパックを再充電する時間を減少させ、パックの寿命(例えば、それが経験し得る充電および放電サイクル数)を延長し、バッテリパックを充電する電流の量を最適化し、様々な非効率性に対するエネルギー損失を回避し得る。例えば、充電信号における高インピーダンスは、容量損失、熱生成、バッテリセルの中の材料の劣化などの多くの非効率性をもたらし得るため、バッテリパックの各セルの充電速度が、複数の再充電および放電サイクルを経て変化し始め、バッテリパックのセルの潜在的に不平衡な充電につながり得る。セルに対するこれらの悪影響を制限することによって、各セルの特性に対する変化が、高調波ベースの充電エネルギー信号整形によって軽減されるため、バッテリパックの充電のさらなる平衡化が発生し得る。
【0021】
いくつかの場合に、本明細書に記載する充電技術は、バッテリパックの中の特定のセルを、パック内の他のセルとは異なるように充電または放電するための目標とすることによって、バッテリパックのセルを平衡化することに役立ち得る。まず初めに、システムは、パックのセルを査定して、セルが不平衡であるかまたは不平衡になってきているかを検出し得る。パックの特定のセルは、そのとき、再平衡化のための目標にされてもよい。そのようなセルについての低インピーダンス測定値に関連する周波数または高調波は、充電信号に対するセルの応答の分析から判定されてもよく、判定されたセルの周波数応答に基づいて、バッテリパックの不平衡セルを他のセルとは異なるように充電または放電してセルのバランスが取れるようにするように、後続の充電信号が変更または生成されてもよい。このような技術では、高調波は、パックのセルを平衡化するために特定のセルに適合される。バッテリパックの1つまたは複数のセルに対応する特定の高調波の識別を通して、信号自体の高調波コンテンツが、パックが不平衡になるときの有害効果を回避するために、パックのセルの充電バランスを維持するように適合されてもよい。さらに、バッテリパックの特定セルを目標にするための充電信号の整形は、バッテリパックのための充電平衡化手続を改善するために、単体でまたは充電バランサと併せて使用されてもよい。
【0022】
本明細書で開示するシステム、回路、および方法は、バッテリパックが使用されているどの適用例に対しても所望の容量、電圧、および出力電流範囲を達成するために、何らかの方法で接続されたいくつかの数のセルを含み得る任意の形態のバッテリパックを充電することに適用可能である。本明細書で説明する様々な実施形態は、高速充電を提供するためにも考えられ得る。いずれかの、または両方の状況において、かつエネルギー信号を含む充電信号の特定の文脈において、充電回路は、従来の矩形波パルスに関連する急勾配のエッジではなく整形された立ち上がりエッジを含む充電エネルギー信号を生成するように制御され得る。一実施例では、充電エネルギー信号の立ち上がりエッジは、バッテリパック、バッテリパックのセル、またはバッテリパックの特定のセルの最小または最小付近の実数および/または虚数インピーダンス値に関連する高調波に対応する、判定された周波数(高調波)に基づき得る。充電エネルギー信号は、また、パックまたはセルの最小実数インピーダンスおよび虚数インピーダンスの組み合わせに基づいてもよい。別の実施例では、充電エネルギー信号は、充電されているバッテリパックの、コンダクタンスおよび/もしくはサセプタンス、または任意の他のアドミタンスの態様に、単体でまたは組み合わせて基づき得る。バッテリパックまたはセルのさらに他の態様が、充電エネルギー信号を整形するために考慮され、使用されてもよい。概して、実数および虚数インピーダンス値が考慮される場合、本技術は、単体のまたは組み合わせた値が高調波に対するバッテリ特徴のインピータンスの態様に基づく高調波値を査定し、システムは、インピーダンスに応じて充電信号を生成することを目指す。
【0023】
セルの最小実数インピーダンスを有する高調波に基づいて生成された充電エネルギー信号について、少しの間説明すると、最小付近の実数インピーダンス値に対応する高調波の形状を有する立ち上がりエッジの適用によって、セルへのエネルギー移送が最適化され得る。同時に、システムは、充電信号が、セルにおける大きなインピーダンスまたは他の有害効果を有し得る高調波コンテンツを含まないように、充電信号を定義し得る。このようにして、高調波で調整された充電信号(harmonically tuned charge signal)が、回路の制御を通して適用されて、最適化された量の電力をバッテリパックに供給しつつ、高周波数を除去し、信号から高調波を低下させ得る。したがって、この整形された充電信号は、バッテリパックの充電中にバッテリパック内の様々なインターフェースにわたるインピーダンスを低下させ、それにより、バッテリパックのより効率的な充電のためにバッテリパックのセルにわたる充電バランスを維持し得る。
【0024】
図2は、一実施形態による、充電信号整形回路206およびインピーダンス測定回路208を利用して、複数のセル206を含むバッテリパック204を再充電するための回路200を示す概略図である。概して、回路200は、電源202を含んでもよく、電源202は、電圧源または電流源であってもよい。1つの特定の実施形態では、電源202は、直流(DC)電圧源であるが、交流(AC)源も考えられる。概して、電源202は、バッテリパック204への印加のために充電信号を整形する充電信号整形回路に充電電流を供給する。1つの特定の実施態様において、
図2の回路200は、バッテリパック204を充電する際に使用する充電信号の1つまたは複数のエネルギー信号を整形するための充電信号整形回路206を含み得る。一実施例では、回路コントローラ210は、充電信号の整形を制御するために、電力信号整形回路206に1つまたは複数の入力を提供し得る。入力は、電源202からの信号をバッテリパック204のためのより効率的な充電信号に変更するために、整形回路206によって使用されてもよい。充電信号整形回路206の一実施例の動作および構成は、2021年4月16日に出願された「Systems and Methods for Battery Cell Charging」と題する、米国非仮特許出願第17/232,975号により詳細に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。他の充電信号整形回路の実施態様もまた、バッテリパックを充電するために本明細書に記載した技術と共に利用されてもよい。
【0025】
いくつかの場合に、充電信号整形回路206は、バッテリパック204、バッテリパックの複数のセル、またはパックの特定のセルに関連する最小実数インピーダンス値に関連する高調波に少なくとも部分的に対応する充電信号を生成するために、電源202からのエネルギーを変更し得る。バッテリパックまたはセルを特性化することも可能であり、それによって、他の因子の中でも任意の所与の充電電流、電圧、電荷、充電/放電サイクル数、および/または温度におけるインピーダンスが既知であり得る、インピーダンスが直接測定されないがメモリから取得される、などである。一実施例では、回路200は、セル電圧および充電電流、および温度のような他のセル属性を測定するため、ならびにバッテリパック204またはパックのセル206の電極にわたってインピーダンスを測定または計算するために、バッテリパック204に接続されたインピーダンス測定回路208を含み得る。特に、インピーダンス測定回路208は、バッテリパック204の第1の電極および第2の電極に接続して、バッテリパックの性能または状態データを取得し得る。他の実施例では、データまたは測定値は、バッテリパックに含まれた1つまたは複数の測定タップを介して、バッテリパック204から取得されてもよい。例えば、
図3Aは、複数のバッテリセル306a~306eを含む、第1の例示的なバッテリパック構成304を示す概略図であり、
図3Bは、複数のバッテリセル326a~326kを含む、第2の例示的なバッテリパック構成324を示す概略図である。回路200のバッテリパック204は、
図3Aのバッテリパック304もしくは
図3Bのバッテリパックと類似の構成を有してもよく、または直列接続および/もしくは並列接続の組み合わせで接続されるセルの任意の他の構成を有してもよい。
図3Aおよび
図3Bのバッテリパック304、324は、単に可能なバッテリパック構成の実施例として本明細書において与えられている。
【0026】
バッテリパック304は、直列構成で接続された複数のバッテリセル306a~306eを示す。概して、バッテリパック304は、電極308、310に接続された負荷に電力を提供するための単一バッテリセルとして電気的に機能し得る。バッテリパック304を充電するために、充電信号が、セルのバッテリパック304の第1の電極308(アノードなど)に印加され得る。充電信号は、バッテリパック304のセル306a~306eを通って伝播して、各セルが充電信号からエネルギーを吸収し得る。バッテリパック324は、バッテリセル326a~326eの第2の構成、より詳細には、複数のセル326a~326eの第1のセットが直列で接続され、複数のセル326f~326kの第2のセットが直列で接続され、それぞれの列が並列構成で接続された、バッテリセル326a~326eの第2の構成を示す。バッテリセルの他の構成も、電力信号を負荷に提供するために他のバッテリパックにおいて利用されてもよく、本明細書に記載する技術、回路、およびシステムを使用して充電されてもよい。
【0027】
上述の通り、バッテリパックのインピーダンスまたは他の特性が、バッテリパック204、またはバッテリパックのセル206の個々もしくはグループから取られた測定値から判定され得る。例えば、
図3Aのバッテリパック304のインピーダンス全体が、インピーダンス測定回路208の、バッテリパック304の電極308および電極310への接続を通して判定され得る。他の場合に、バッテリパック304の1つまたは複数のセル306a~306eのインピーダンスまたは他の特性が、測定または判定され得る。例えば、パックのセル間のバッテリパック内の接続へのアクセスを提供する、1つまたは複数のタップ312~318が、バッテリパック304に含まれてもよい。利用可能なタップ312~318への測定デバイスの接続を通して、バッテリパック304内のセル306a~306eのインピーダンスまたは他の特性が、取得または判定され得る。以下でより詳細に説明するように、インピーダンス判定は、パック内の特定セルを目標とするようにバッテリパック304への充電信号を生成もしくは構成するため、またはパックの充電中にバッテリパック304のセル間の充電バランスを維持するために利用され得る。
【0028】
一実施例では、パック内のバッテリパック204またはセル206のインピーダンスが、充電信号の高調波で調整された信号(例えば、エネルギー信号)に応じて判定され得る。インピーダンスは、また、パックまたはセルを特性化するためにセルの異なる周波数属性に関連する範囲のインピーダンス値を生成するように変化する周波数属性を有する信号を印加するルーチンの一部として判定されてもよく、それは、充電前、充電中、充電中に周期的に、行われてもよく、探索技術および他の技術と組み合わせて使用されてもよい。インピーダンスは、実数値および虚数値またはリアクタンス値を含み得る。バッテリパック204、セル206、またはパックのセルのインピーダンスは、バッテリパック204のセル206の充電状態および/または温度を含む、バッテリパックの化学特徴の多くの物理に基づいて変化し得る。したがって、インピーダンス測定回路208は、他の時間の中でも特にセルの再充電中に、バッテリパック204の様々なインピーダンス値を判定し、かつ測定されたインピーダンス値を回路コントローラ210に提供するように、回路コントローラ210によって制御され得る。いくつかの場合に、電源202からのエネルギーが、バッテリパック204またはパックのセル206の最小虚数インピーダンス値に関連する高調波に対応する1つまたは複数の充電信号にスカルプトされ得るように、バッテリパック204の判定されたインピーダンスの虚数成分(またはリアクタンス)が、回路コントローラによって充電信号整形回路206に提供され得る。別の実施例では、回路コントローラ210は、受信したリアクタンス値に基づいて1つまたは複数の制御信号を生成し、それらの制御信号を充電信号整形回路206に提供し得る。制御信号は、他の機能の中でも特に、リアクタンス値に対応する高調波成分を含むように充電信号を整形し得る。さらに他の実施例では、充電信号整形回路206は、バッテリパック204のアドミタンスのコンダクタンスもしくはサセプタンス成分、またはバッテリセルにおけるインピーダンスに関連する任意の他の態様に関連する高調波に少なくとも部分的に対応する充電信号を生成するために、電源202からのエネルギーを変更し得る。したがって、インピーダンスの実数または虚数成分に関係すると本明細書に記載されているが、システムおよび方法は、同様に、バッテリセルのアドミタンスのコンダクタンス成分またはサセプタンス成分などの、バッテリセルの他の属性を測定または考慮し得る。
【0029】
図4は、一実施形態による、バッテリパックに印加される充電信号の対応する周波数に対する、バッテリパック204の判定されたインピーダンス値のグラフ402である。特に、グラフ402は、充電信号の対数周波数軸(軸406)に対するインピーダンス(実数、虚数、またはその両方の組み合わせ)値(軸404)のプロットを示す。プロット408は、充電信号の様々な周波数における、バッテリパック204の電極にわたるインピーダンス値を示す。図示するように、インピーダンス値408は、充電信号の周波数に基づいて変化して、最高周波数におけるインピーダンス値408が全般的に急速に上昇し得る。しかしながら、バッテリパック204についてのインピーダンス値のプロット414は、また、f
Minとラベル付けされた特定の充電信号周波数に対応する最小インピーダンス値410を示す。バッテリパック204についてのインピーダンス値414のプロットは、バッテリケミストリ、充電状態、温度、充電信号の成分などのパックまたはパックのセルの多くの因子に依存し得る。したがって、バッテリパック204の最小インピーダンス値410に対応する周波数f
Min412は、同様に、充電中の特定のバッテリパック204の特性に依存し得る。周波数f
Min412は、パック内のセルの構成およびパック内のセル間の接続などのバッテリパック204の他の態様に対応し得る。
【0030】
バッテリパック204のセル206のインピーダンスが、受けた電力を熱または他の非効率なものに変換するため、バッテリパック204またはセルについての最小インピーダンス値410に対応する周波数412を含む充電信号を生成することによって、バッテリパックに対する充電エネルギー印加の効率が改善され得る。言い換えると、周波数fMin412またはその付近における高調波を含むように充電信号を定義または整形することによって、充電効率が向上し、セルへの損傷が減少し、熱生成および他の利点が制御され得る。本明細書で説明するように、充電信号の様々な態様は、高調波を含み得る。一実施例では、充電エネルギー信号の立ち上がりエッジが、高調波に従って整形され得る。別の実施例では、充電エネルギー信号の立ち下がりエッジが、高調波に従って整形され得る。別の実施例では、充電エネルギー信号の本体が、ある最小インピーダンスに関連する周波数またはその付近における高調波から構成され得る。さらに別の実施例では、充電エネルギー信号は、高調波に適合された立ち上がりエッジ、立ち下がりエッジ、および本体の様々な組み合わせを含み得る。
【0031】
したがって、
図2の再充電回路200の一実施態様は、充電信号の周波数の範囲にわたるバッテリパックの様々なインピーダンス値を判定するために、バッテリパック204またはバッテリパックのタップに接続されたインピーダンス測定回路208を含み得る。インピーダンス測定回路208は、バッテリパックの様々なタップからバッテリパック204またはセルのインピーダンスを判定するのに十分な情報を収集するように構成された、任意の既知の回路または以下の回路を含み得る。一実施例では、インピーダンス測定回路は、電圧センサおよび電流センサを含み、電圧センサおよび電流センサから電圧および電流測定が行われ、インピーダンスが計算され得る。バッテリパック204の複数のインピーダンス値が、充電電力信号の様々な周波数において測定されてもよく、バッテリセル204の曲線414の最小インピーダンス値を判定または推定し得る回路コントローラ210に提供されてもよい。一実施態様において、回路コントローラ210は、インピーダンス値のリアクタンス成分を判定し得る。回路コントローラ210は、また、バッテリパック204の最小インピーダンス値410に対応する周波数f
Min412の高調波において一連の充電エネルギー信号を生成するように、充電信号整形回路206の1つまたは複数のコンポーネントを制御し得る。以下でさらに説明するように、回路コントローラ210は、また、再充電セッション中の様々なタイミングのバッテリパック204の電流状態に対する推定されたインピーダンス値を測定または判定する反復プロセスを行い、それに応じて、新たに推定された周波数f
Min412と一致するように充電電力信号414のエネルギー信号を調整し得る。
【0032】
図5は、バッテリパック204のセル206の充電を平衡化するために充電信号に識別された高調波を含むように、回路コントローラ210および/または充電信号整形回路206によって生成され得る充電信号の実施例を示す。一実施例では、充電信号整形回路206は、回路コントローラ210によって提供される1つまたは複数の制御信号に基づいて、整形された高調波で調整されたエネルギー信号522を生成し得る。さらに、エネルギー信号522は、パックを充電するために提供される多くのそのようなエネルギー信号のうちの1つであってもよい。
図5の実施例において、信号
図502は、時間506に対する電圧信号電流504を示している。図示する通り、エネルギー信号522は、非対称であり、立ち上がりエッジ514が立ち下がりエッジ512と比較して明らかに整形されている。概して、整形されたエネルギー信号522の様々な部分(立ち上がりエッジ514、立ち下がりエッジ512、および/またはエネルギー信号本体508のコンテンツなど)が、特定の高調波から構成され得る。したがって、いくつかの場合に、エネルギー信号522は、上述したように、バッテリセル電極において見られる最小インピーダンス値に対応するかまたは関連する高調波の組み合わせによって、定義または整形され得る。特に、充電信号のエネルギー信号522は、バッテリパック204についての最小インピーダンス値に関連する、選択された周波数に対応する立ち上がりエッジ部514を含み得る。例えば、エネルギー信号522の立ち上がりエッジ514の形状は、バッテリパックの最小インピーダンス値における周波数として制御回路210によって識別される、高調波f
Min412に対応し得る。一実施例では、立ち上がりエッジ514は、最小インピーダンスの周波数における対応する正弦波の立ち上がりエッジに基づき得る。最小インピーダンス周波数を識別することは、バッテリパック204、バッテリパックの複数のセル206、またはバッテリパックの単一セルの、特に測定値、バッテリ特性に、単体でまたは組み合わせて基づき得る。選択された周波数にかかわらず、エネルギー信号522の立ち上がりエッジ514は、バッテリパック204のセル206の平衡化を通した電力再充電信号のより効率的な印加のために、バッテリパックにおいて見られるインピーダンスを最小化または低下させる、高調波における充電信号の一部の立ち上がりエッジと同一であるように整形され得る。
【0033】
エネルギー信号522のいくらか後の時間において、エネルギー信号の大きさは、エネルギー信号508の頂点の一定電流に対応する上限電圧もしくは電流またはフローティング電圧もしくは電流に到達し得る。エネルギー信号522の持続期間は、バッテリパック204のセル206に充電を提供するように回路コントローラ210によって制御されてもよく、セル組成物、セルの向きおよび接続、セルの充電状態、セルの温度などの、パックのセルの特性に基づき得る。エネルギー信号の本体508は、最小インピーダンスの同一周波数に関連する高調波の集合から構成され得る。
【0034】
いくつかの場合に、エネルギー信号522は、エネルギー信号522に続くセルへの充電を除去するための急勾配の立ち下がりエッジ512を含むように制御され得る。急勾配の立ち下がりエッジ512は、高周波数の高調波成分を含み得るが、電流および電圧の大きさが急勾配の立ち下がりエッジの後にバッテリパックにわたってゼロ(電圧の場合ゼロ過電位)に近づくかまたは等しくなるため、そのような高調波がバッテリパック204における有害なインピーダンスを増大させないこともある。より高い高調波と有害なインピーダンスとの間のこの分離は、充電信号の大きさが、充電電流がゼロに到達するのに必要な時間が減少するようにバッテリのフロート電圧(例えば、時間TT516において示される、充電電流を受けないときのバッテリ電圧)よりも一時的に低下するときにも、依然として当てはまる。より詳細には、バッテリパック204における電流は、バッテリパックへの電流が除去された後、ゼロに戻るまでにいくらか時間がかかり得る。バッテリにおいて電流がゼロに戻る際のこの遅延によって、充電信号522にさらなる非効率性が追加され得る。したがって、いくつかの実施態様では、充電信号は、電圧をゼロ電流に対応する遷移電圧未満にするように制御され得る。エネルギー信号522の立ち下がりエッジ512の後の(期間TT516と示される)期間の間、充電信号522を遷移電圧未満にすることによって、立ち下がりブリップなしのエネルギー信号と比較して、より高速で電流がゼロアンペアになり得る。充電信号522がゼロ電流に対応する遷移電圧未満に制御される期間TT516は、バッテリパック204における電流がゼロアンペアに戻る時間を最小化するように、回路コントローラ210によって判定または設定され得る。充電信号522が特定の残りの期間にゼロアンペアに戻ると、別の充電エネルギー信号が、バッテリパック204に印加され得る。したがって、バッテリパック204において電流がゼロに戻るのに必要な時間が減少することによって、充電エネルギー信号がバッテリセルを充電するために印加され得る速度が増大し得る。
【0035】
このように充電信号整形回路206の制御を通して、バッテリパック204またはパックのセル206の最小インピーダンス値に対応する高調波の正弦的な立ち上がりエッジ514と、上位振幅508の期間と、バッテリパック204に十分な充電を提供しつつパック電極において低インピーダンスを維持する急勾配の立ち下がりエッジ512と、を含む、整形された充電エネルギー信号522が生成され得る。さらに、整形された充電エネルギー信号522の印加を通してバッテリパック204のセル206へのインピーダンスが低下することによって、セルの充電が平衡に維持され、それによって、1つのセルから別のセルへのエネルギーの追加放電または変位が減少して、バッテリパック204の充電効率が向上し得る。
【0036】
上述した実施態様は、実数および/または虚数の、バッテリパック204またはバッテリパックのセル206のインピーダンスを測定または取得して、充電信号のエネルギー信号の少なくとも一部の周波数成分を判定することを伴う。バッテリパック204のインピーダンス値は、様々なやり方または方法で取得され得る。一実施態様において、バッテリパック204におけるインピーダンスは、充電信号がバッテリパックに印加されるときにリアルタイムで測定または推定され得る。例えば、バッテリパック204における充電信号の電圧および電流波形の大きさおよび時間成分の態様が、測定および/または推定され得る。概して、充電信号の電圧および電流波形のいくつかの態様が、バッテリパック204におけるインピーダンスが判定または推定するために判定または測定され得る。別の実施態様では、電圧または電流波形の数百または数千の測定値が、デジタル処理システムによって取得および分析され得る。概して、波形の忠実度がより高く、かつ/またはより多くの波形が測定されるほど、バッテリパック204に印加される波形のインピーダンスのより正確な分析が提供されて、充電信号のエネルギー信号の形状を判定するための、最小インピーダンス値が発生する充電信号の高調波成分またはバッテリパックに対する波形の影響の他の態様が、より適切に判定され得る。
【0037】
上述の通り、回路コントローラ210は、最小インピーダンス値に対応する周波数に基づいて、バッテリパック204のための充電信号の高調波で調整されたエネルギー信号を生成し得る。最小インピーダンス値に対応する周波数または高調波は、判定された最小インピーダンス値(実数もしくは虚数またはその両方)における周波数を含んでもよく、あるいは判定された最小インピーダンス値付近であってもよい。例えば、周波数は、判定された最小実数インピーダンス値と判定された最小虚数インピーダンス値とが、異なる周波数において発生し得るとき、それらのインピーダンス値に対応する周波数の間であってもよい。別の実施例では、バッテリパックの1つまたは複数の最小インピーダンス値に対応する周波数の範囲が判定されてもよく、バッテリパックへの充電信号は、識別された周波数の範囲内の高調波を含んで生成されてもよい。
図6は、厳密ではないが最小インピーダンス周波数値における、許容可能な最小限のインピーダンス値の間の範囲の最大周波数610および最小周波数608のグラフ602を示す。
図6のグラフ602は、パックに提供された充電信号の周波数に対する、バッテリパックのインピーダンス値のプロットを表すという点で、上述した
図4のグラフ402に類似している。この実施例では、最小インピーダンス値410に対応する周波数f
Min412を判定するのではなく、バッテリセルを充電するための許容可能なインピーダンス値の範囲に基づいて、最小周波数f
RMin608および最大周波数f
RMax610によって定義される周波数の範囲が、バッテリの最小インピーダンス値612付近で判定され得る。許容可能なインピーダンス値の範囲は、閾値インピーダンス値に基づき得る。最小周波数f
RMin608および最大周波数f
RMax610またはその値の間の範囲内の任意の周波数が、選択され、生成されたバッテリ充電信号に含まれ得る。許容可能なインピーダンス値における周波数の範囲に基づいて、充電信号に複数の高調波を含むことによって、単一の高調波信号から利用可能であるよりも多くの充電が、バッテリパックを再充電するために提供されると同時に、充電エネルギー信号を受信するバッテリセルにおいてより小さなインピーダンスを維持し得る。
【0038】
図7に示される1つの特定の実施態様では、最小インピーダンス値に対応する周波数に基づいてバッテリパックのための充電信号を生成する方法700が提供される。方法700の動作は、回路コントローラ210によって、特に、整形された充電信号を整形回路に生成させるための制御信号を充電信号整形回路206に提供することによって、実行され得る。他の回路設計およびコンポーネントもまた、方法700の1つまたは複数の動作を実行するように、回路コントローラ210によって制御され得る。
【0039】
動作702において開始すると、回路コントローラ210は、バッテリパック204に印加する初期充電信号の特性を選択して、パックの平衡化された充電を開始し得る。例えば、回路コントローラ210は、バッテリパック204を再充電するために使用される充電信号の初期周波数を選択し得る。1つの場合に、従来の矩形波充電パルスの非効率性を回避するために、パック204を再充電する充電エネルギー信号が選択され得る。他の場合に、初期充電信号は、
図5に示されるエネルギー信号に類似の1つまたは複数のエネルギー信号を含み得る。選択される周波数は、バッテリの最初の充電中に、バッテリパック204におけるインピーダンスを最小化または低下させるように判定され得る。1つの特定の実施態様では、回路コントローラ210は、バッテリパック204の履歴データ、バッテリパックの1つまたは複数のセル206の履歴データ、類似の構成のバッテリパックの履歴データ、または他のバッテリ再充電データに基づいて、充電信号のための初期周波数を取得し得る。したがって、最初に選択される周波数は、バッテリパック204の充電状態について現在査定された最小インピーダンス値に対応しなくてもよいが、目標バッテリセルまたは任意の他のバッテリセルについての1つまたは複数の履歴上のインピーダンス判定に基づいてもよい。最初の充電信号は、また、低い電流振幅を有してもよい。バッテリパック204に最初に低い電流振幅を印加することによって、高インピーダンス値に関連する信号の中の高調波から生じる、パックセル206への任意の有害な影響が制限され得る。言い換えると、バッテリセル206の低インピーダンスに関連する高調波は、既知でない場合があるか、または最初に推定されるため、以下でより詳細に説明するように、低インピーダンス高調波が判定されるまで、バッテリパック204に対するいかなる可能性のある悪影響または準最適な影響も制限するために、比較的低い電流振幅の充電信号が供給され得る。
【0040】
上述の通り、バッテリパック204における最小インピーダンスは、バッテリの充電中に変化し得る。例えば、バッテリパック204のセル206の充電状態および温度が、パックの最小インピーダンス特性を全体として変化させ得る。エネルギー信号充電信号の周波数を、バッテリの充電状態におけるバッテリパック204の最小インピーダンスに対応する周波数に調整することによって、バッテリパックの充電に効率性の利点が与えられ得る。したがって、回路コントローラ210は、動作704において、様々な周波数におけるバッテリパック204またはパックの1つもしくは複数のセル206のインピーダンスを測定して、様々な周波数におけるバッテリパックのインピーダンス値の関数を取得し得る。一実施態様では、回路コントローラ210は、様々な周波数における1つまたは複数のテスト信号をバッテリパック204に印加して、バッテリパックにおいて測定された最小インピーダンスに対応する充電信号周波数を判定し得る。バッテリパック204に印加されるテスト信号または充電信号毎に、バッテリパック204における対応するインピーダンス値(実数または虚数インピーダンス)が、判定および/または記憶され得る。
【0041】
動作706において、測定されたテストインピーダンスの最小インピーダンス値が判定され得る。1つの場合に、虚数インピーダンスまたはリアクタンスが判定されてもよい。いずれにしても、回路コントローラ210は、最小インピーダンス値として受信したテスト結果から最小インピーダンス値を選択し得る。別の実施例では、回路コントローラ210は、受信したインピーダンス値を分析し、最小実数インピーダンス値を判定するために値を外挿推定してもよい。例えば、測定値は、一連の増加するテスト周波数に対してインピーダンス値が減少し、続いて次の一連の増加するテスト周波数に対して測定値が増加することを示してもよい。回路コントローラ210は、バッテリパック204についての最小インピーダンス値が、増加するテスト周波数の第1のセットと増加するテスト周波数の第2のセットとの間の周波数に対応すると判定してもよい。この状況では、回路コントローラ210は、測定された値の間でバッテリパック204についての最小インピーダンス値を推定してもよい。
【0042】
動作708において、回路コントローラ210は、バッテリパック204について判定された最小インピーダンス値に対応する周波数を判定し得る。例えば、テスト信号の周波数406に対するバッテリパック204またはパックのセル206のインピーダンス値404のグラフ414が生成されてもよく、最小インピーダンス値410がグラフから判定されてもよい。最小インピーダンス値410に対応する周波数もまた、グラフ414から判定されてもよい。概して、最小インピーダンス値を生じるバッテリパック204への入力信号の周波数を判定するための任意の相関アルゴリズムが利用されて、対応する周波数が判定されてもよい。
【0043】
動作710において、回路コントローラ210は、測定されたテストインピーダンスの最小インピーダンス値に対応する周波数が、充電信号が提供される、以前選択された周波数とは異なるかどうかを判定し、判定された周波数を含むように充電信号を調整し得る。回路コントローラ210が、バッテリパック204へのテスト信号の印加から取得された対応する周波数が、充電信号が提供されている周波数とは異なると判定する場合、回路コントローラ210は、充電エネルギー信号の立ち上がりエッジなどにおいて、充電エネルギー信号内にその周波数を含め得る。さらに、動作712において、回路コントローラ210は、信号のエネルギー信号の電流振幅を増大させるように充電信号をさらに変更して、バッテリパック204のセル206に供給されるエネルギーを増加させ得る。より詳細には、充電信号が、バッテリセル206におけるインピーダンスを減少させることを目的とする高調波を含むため、バッテリパック204のセル間の充電バランスを維持しつつ、より高速にセルを充電するために、より大きな電流が充電信号に含まれ得るように、信号内の高周波数の悪影響が低下し得る。整形されたエネルギー信号充電信号の生成後、方法700は、動作704に戻って、充電信号に対するバッテリパック204および/またはセル206の周波数応答のモニタリング、ならびにモニタリングされたバッテリパックの特性による充電信号の調整を継続し得る。
【0044】
一実施例では、回路コントローラ210は、実数インピーダンス値および虚数インピーダンス値の組み合わせを計算または取得して、充電信号のエネルギー信号が生成される周波数または高調波を選択してもよい。そのような組み合わせの1つが、実数および虚数インピーダンス値の係数計算を含み得る。バッテリにおけるインピーダンスの両方の成分の他の組み合わせも、回路コントローラ210によって計算または判定され、充電信号のエネルギー信号整形に使用されてもよい。例えば、実数インピーダンスおよび虚数インピーダンス値の1つまたは両方が、不均衡に重み付けされてもよく(実数インピーダンス値に20%の重みを、虚数インピーダンス値に80%の重みを適用するなど)、または比例して重み付けされてもよく、充電エネルギー信号の立ち上がりエッジまたは幅などの、充電信号のエネルギー信号の異なる態様を判定するために使用されてもよい。バッテリパックまたはセルにおけるインピーダンスの両方の成分(実数インピーダンスおよび虚数インピーダンス)を考慮することによって、より効率的な充電信号が生成され得る。バッテリパックまたはパックのセルにおけるインピーダンスの両方の成分を考慮することは、複数のセル間の接続によってインピーダンスが追加される、複数のセルを有するシステムに特に有用になり得る。
【0045】
いくつかの場合に、回路コントローラ210は、最小実数インピーダンス値に対応する周波数または最小虚数インピーダンス値に対応する周波数のいずれかとは異なる、充電信号についての周波数を選択してもよい。むしろ、回路コントローラ210は、実数インピーダンス値と虚数インピーダンス値とを平衡化して、充電信号に対して選択される周波数が、バッテリパックに関連する任意の識別された高調波プロファイルに関連する任意の周波数であり得るように、充電信号のための高調波を判定してもよい。
【0046】
上述の通り、信号のエネルギー信号の立ち上がりエッジの高調波などの充電信号の特性が、バッテリパック204内の特定のセルを目標とするように整形され得る。
図8は、一実施形態による、バッテリパックのセル206を充電または放電するためにバッテリパック204のための充電信号を生成する方法のフローチャートである。上記と同様に、方法800の動作は、回路コントローラ210によって、特に、整形された充電信号を整形回路に生成させるための制御信号を充電信号整形回路206に提供することによって、実行され得る。
【0047】
動作802において開始すると、回路コントローラ210は、パックの充電中にバッテリパック204のセル206のインピーダンスをモニタリングし得る。より詳細には、バッテリパック204は、
図3Aのバッテリパック304に示されるような、バッテリ204のセル206の相互接続に電気接続を提供する1つまたは複数のタップを含み得る。タップは、パック全体に依らず、バッテリパックのセルまたはセルのグループに関連する測定電圧、電流、電力などの様々な測定値がバッテリパック204から取得され得るように、セル206の内部接続に電気接続を与える。測定値は、バッテリセル206の実数または虚数インピーダンス特性などのバッテリパック204のセルの特性を判定するために、回路コントローラ210によって利用され得る。実施例として
図3Aのバッテリパック304を利用すると、タップ312および314は、回路コントローラ210および/またはインピーダンス測定回路208が、セル306bのインピーダンスを測定または判定することを可能にし得る。特に、回路コントローラ210は、タップ312とタップ314との間の電圧差を取得し、セル306bへの電流を測定し得る。セル306bのインピーダンスは、所与の周波数においてセルを通る電流で電圧差を除算することによる、この判定された電圧および電流の関数であってもよい。同様に、タップ314および316は、回路コントローラ210が、セル306cまたはセル306a~306cのグループのインピーダンス特性を測定または判定することを可能にし得る。セル206の特性もまた、同様の方法でバッテリパック304の1つまたは複数の他のセルについて回路コントローラ210によって取得され得る。
【0048】
バッテリパック204の1つまたは複数のセル206のモニタリングされたインピーダンスを通して、回路コントローラ210は、充電信号の特定の高調波をパックの異なるセルに関連付け得る。例えば、上記でさらに詳細に説明したように、低インピーダンス値がその特定セル上に存在する周波数または高調波を識別するために使用され得るインピーダンスグラフが、バッテリパック204の第1のセル206に対して生成され得る。バッテリパック204内の各セル206が異なる特性(セル組成物、充電状態、温度など)を有し得るため、各セルは、セルにおける低インピーダンスに関連する異なる周波数を有し得る。したがって、高調波は、そのセルについての低インピーダンス値に対応するバッテリパック204の1つまたは複数のセル206に関連し得る。いくつかの場合に、バッテリパック204の1つよりも多くのセル206が、セルの特性が類似であり得るときに同一の高調波に関連し得る。
【0049】
動作806において、回路コントローラ210は、バッテリパック204の1つまたは複数のセル206についての相対充電を判定して、セルの充電の不平衡を判定し得る。上述の通り、バッテリパック204のセル206は、パックのセルの様々な特性または状態に起因して、同一の速度で充電しない場合があり、バッテリパックの不平衡な充電につながる。時間が経つにつれて、不平衡が増大する傾向があり、現在の技術の1つの利点は、不平衡が検出され、急速に修正されつつ、プロセス全体の充電速度を維持し得るということである。
図1Aの実施例は、不平衡になったバッテリパックの一実施例を示しており、電圧差が不平衡についての基準として使用される。回路コントローラ210は、したがって、バッテリパック204のセル206のそれぞれについて相対充電を判定して、1つまたは複数のセルがパックの他のセルと比較してより多くの充電または少ない充電を有するかどうかを判定し得る。したがって、回路コントローラ210は、バッテリパック204の中のどのセル206が、パックの他のセルよりも多くの充電または少ない充電を有し得るかを判定し得る。
【0050】
バッテリパック204のセル206の充電を平衡化することによって、上述したように、より効率的なパック充電が提供され得る。したがって、回路コントローラ210は、取得したセルの充電に基づいて、パック内の他のセルと比較してより少ないまたはより多くの充電を有する1つまたは複数のセルを判定し得る。例えば、
図1Aに戻ると、回路コントローラ210は、セル1 106aがバッテリパック204のセル206の最小充電を有すると判定し、他のセルと比較して充電を増加させ、それにより平衡化し得る。この特定の実施例では、セル206の充電を平衡化することは、パック204内の他のセルとセルの充電を整列するために、より大きな充電エネルギーをセル1 106aに提供することを含み得る。したがって、回路コントローラ210は、充電の調整が適用され得る目標セルとしてセル1を識別し得る。別の実施例では、パック204のセル106eは、パック内の他のセルと比較してより高い充電を有すると識別され得る。そのような実施例では、最も高い充電を有するセルが、目標セルであってもよく、目標セルの充電に対する調整は、目標セルの放電を含み得る。
【0051】
動作808において、回路コントローラ210は、目標セルに対応する高調波を含むように、充電信号エネルギー信号の1つまたは複数の特性を調整し得る。例えば、目標セルが、パック内の他のセルよりも少ない充電を有してもよく、充電信号は、目標セルに関連する高調波を含むように変更されてもよい。目標セル206は、高調波において低インピーダンスを有するため、エネルギー信号が目標セルを目標とし得るように、セルが充電信号エネルギー信号の大部分を吸収し得る。実施例として
図3Aのバッテリパックを使用すると、セル306a(
図1Aにおいてセル106aとして示される)は充電が不十分であり、セル306eにより近いセルがより多く充電されていると仮定する。セル306の充電の平衡化は、パック304の第1のセル(そのようなセル306a~306b)によってより大量に吸収される、より低いインピーダンス高調波を印加することによって発生し得る。さらに、セル306eがあまり充電信号を吸収しないように、より低いインピーダンス高調波が、充電信号がセル306eに到達するまでに少なくとも部分的にフィルタリング除去されてもよく、セルのパックの充電を効果的に平衡化し得る。いくつかの場合に、立ち下がりエッジも高調波を有してもよく、高調波によって、充電エネルギー信号がパック304の第1のセルに対してより長く持続し得る。別の実施例では、セル306eは、他のセルと比較して充電が不十分であってもよく、それによって、エネルギー信号の高調波が、ニュートラル(可能な最低リアクタンス)であるように調整されて、すぐ後により高いインピーダンス放電エネルギー信号が続き得る。この充電信号は、セル306aに最も近いセルを部分的に放電し、セル306eにおいて受信されると減衰されて、セル306eの充電容量が追いつくことを可能にし得る。類似の手法が、チェーンの中間のセルに対して適用されてもよい。
【0052】
並列構成の不平衡セルの場合、特に、
図4のインピーダンス対周波数のプロット402の、より急勾配の領域付近の周波数において、充電信号がバッテリパック204のセル206を通して印加され得る。その周波数におけるセルのインピーダンスがそれ以外と整合しない場合、そのような信号によって、各セル206の電圧が異なる速度でシフトし得る。化学プロセスは完全には可逆的でないため、充電信号の正の部分に対するセルのインピーダンスは、負の部分と同一ではなくなり、結果として、セルの容量にいくらかの小さな純変化があり得る。この場合、全てのセルの電圧が一直線に降下し始めるまで、または充電中のセルの変化の任意の増加が遅くなるか、もしくは増加しなくなるまで、充電信号内の高調波に対する調整が適用され得る。
【0053】
別の実施例では、目標セルは、バッテリパック204の中の他のセルよりも多くの充電を有し得る。この状況では、充電信号エネルギー信号の立ち下がり部(
図5の波形522のセクション516など)が、目標セルに関連する高調波を含むように変更され得る。充電信号エネルギー信号が、パック204の他のセルよりも高い充電を有するセルを放電するために利用され得るように、立ち下がり部516は、目標セルを放電し得る。充電信号の他の充電または放電部もまた、パックのセルの充電を平衡化するために、バッテリパック204の特定セルまたはセルのグループを目標とするように変更され得る。特定の高調波を有する充電信号エネルギー信号を調整または生成することによって、セル206またはバッテリパック204のセルの充電が、セルを充電または放電するための目標とされ得る。セルの充電または放電は、バッテリパック204のセルの充電を平衡化することに役立ち得る。例えば、目標セル206に関連する高調波を含むように充電信号エネルギー信号を調整することによって、セルは、おそらくセル充電がパックの他のセルよりも少ないことに応じて、セルの充電を増加させるために充電信号からエネルギーを吸収し得る。別の実施例では、目標セルに関連する高調波を含むように充電信号エネルギー信号の放電部分を調整することによって、セルがパック204の他のセルよりも高い充電を有する場合に、セルがエネルギーを放電し、セルの充電を減少させ得る。このようにして、セル206またはバッテリパック204のセルに関連する高調波は、パック内のセルの充電平衡化に役立つように、目標セルを充電または放電するために利用されてもよい。
【0054】
本明細書で説明する様々な実施形態は、バッテリパック、バッテリパックの複数のセル、またはバッテリパックの特定のセルのエネルギー移送の実数および/または虚数値に基づいて、最適なエネルギー移送に関連する高調波に対応する充電信号のエネルギー信号を生成することによって、バッテリパックを充電する。高調波に対応するように充電信号のエネルギー信号を整形することは、バッテリパックのセルの充電平衡化に役立ち得る。充電信号は、バッテリパックと通信する充電バランサとは別個に、または併せて整形されてもよい。さらに他の実施例では、充電信号のエネルギー信号は、特定セルを充電または放電するためにバッテリパックの特定セルまたはセルのグループに対応する高調波で整形されてもよい。目標セルは、バッテリパックのセル充電平衡化をさらにもたらすために充電または放電されてもよい。
【0055】
図9を参照すると、本明細書で説明した様々なシステムおよび方法を実施し得る1つまたは複数のコンピューティングユニットを有する例示的なコンピューティングシステム900の詳細な説明が、提供される。コンピューティングシステム900は、コントローラの一部であってもよく、本明細書で説明した様々な実施態様と動作可能に通信してもよく、本明細書で説明した方法に関連する様々な動作を実行してもよく、バッテリを特性化するための様々なデータを処理するためにオフラインで実行してもよく、本明細書で説明したシステム全体の一部であってもよい。コンピューティングシステム900は、本明細書で説明した様々な信号を処理してもよく、および/または本明細書で説明した様々な信号を提供してもよい。例えば、バッテリ測定情報は、そのようなコンピューティングシステム900に提供されてもよい。コンピューティングシステム900は、また、様々な図面に関連して説明した、例えば、コントローラ、モデル、調整/整形回路に適用可能であってもよく、本明細書で説明した様々な方法を実施するために使用されてもよい。これらのデバイスの特定の実施態様は、異なる可能な特定のコンピューティングアーキテクチャのものであってもよく、その全てが本明細書で詳細に説明されているわけではないが、当業者には理解されるであろうということを、理解されたい。コンピュータシステムは、ASIC、FPGA、マイクロコントローラ、もしくは他のコンピューティング構成と考えられてもよく、および/またはそれらを含んでもよいことを、さらに理解されたい。そのような様々な可能な実施態様において、後述のより多くのまたはより少ないコンポーネントが含まれてもよく、当業者によって理解されるように、相互接続および他の変更が行われる。
【0056】
コンピュータシステム900は、コンピュータプログラム製品を実行してコンピュータプロセスを実行することが可能な、コンピューティングシステムであってもよい。データおよびプログラムファイルは、コンピュータシステム900に入力されてもよく、コンピュータシステム900は、ファイルを読み出し、その中のプログラムを実行する。1つもしくは複数のハードウェアプロセッサ902、1つもしくは複数のデータ記憶デバイス904、1つもしくは複数のメモリデバイス906、および/または1つもしくは複数のポート908~912を含む、コンピュータシステム900の要素のいくつかが、
図9に示されている。加えて、当業者によって認識される他の要素が、コンピューティングシステム900に含まれてもよいが、
図9には明示的に示されておらず、または本明細書でさらに説明されていない。コンピュータシステム900の様々な要素は、1つもしくは複数の通信バス、ポイントツーポイント通信パス、または
図9に明示的に示されていない他の通信手段を用いて、互いに通信し得る。同様に、様々な実施態様では、システムに開示された様々な要素が、任意の所与の実施態様に含まれても含まれなくてもよい。
【0057】
プロセッサ902は、例えば、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、および/または1つもしくは複数の内部レベルのキャッシュを含み得る。プロセッサ902が、単一の中央処理装置、または一般に並列処理環境と呼ばれる、互いに並列で命令を実行し、動作を実行することが可能な複数の処理装置を含むように、1つまたは複数のプロセッサ902が存在し得る。
【0058】
様々な可能な組み合わせの現在説明した技術が、データストアドデバイス904上に記憶された、メモリデバイス906上に記憶された、および/またはポート908~912の1つまたは複数を介して通信されたソフトウェアにおいて、少なくとも一部実施されてもよく、それにより、
図9のコンピュータシステム900を本明細書に記載された動作を実施するための専用機械に変換する。
【0059】
1つまたは複数のデータ記憶デバイス904は、アプリケーションプログラムおよびコンピューティングシステム900の様々なコンポーネントを管理するオペレーティングシステム(OS)の両方の命令を含み得る、コンピュータプロセスを実行するためのコンピュータ実行可能命令などの、コンピューティングシステム900の中で生成または採用されたデータを記憶することが可能な、任意の不揮発性データ記憶デバイスを含み得る。データ記憶デバイス904は、磁気ディスクドライブ、光ディスクドライブ、ソリッドステートドライブ(SSD)、フラッシュドライブなどを、限定ではなく含み得る。データ記憶デバイス904は、リムーバブルデータ記憶媒体、非リムーバブルデータ記憶媒体、ならびに/または、1つもしくは複数のデータベース管理製品、ウェブサーバ製品、アプリケーションサーバ製品、および/もしくは他の追加ソフトウェアコンポーネントを含む、そのようなコンピュータプログラム製品で有線もしくは無線ネットワークアーキテクチャを介して利用可能にされた外部記憶デバイスを含んでもよい。リムーバブルデータ記憶媒体の実施例は、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク読み取り専用メモリ(DVD-ROM)、光磁気ディスク、フラッシュドライブなどを含む。非リムーバブルデータ記憶媒体の実施例は、内部磁気ハードディスク、SSDなどを含む。1つまたは複数のメモリデバイス906は、揮発性メモリ(例えば、動的ランダムアクセスメモリ(DRAM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)など)、および/または不揮発性メモリ(例えば、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリなど)を含み得る。
【0060】
現在説明する技術によるシステムおよび方法を実現するためのメカニズムを含むコンピュータプログラム製品は、データ記憶デバイス904および/またはメモリデバイス906に常駐してもよく、データ記憶デバイス904および/またはメモリデバイス906は、機械可読媒体と呼ばれてもよい。機械可読媒体は、本開示の動作の任意の1つもしくは複数を実行するための命令を機械による実行のために記憶もしくは符号化することが可能な、またはそのような命令によって利用され、もしくはそのような命令に関連付けられたデータ構造および/もしくはモジュールを記憶もしくは符号化することが可能な、任意の有形非一時的媒体を含み得ると、理解されたい。機械可読媒体は、1つまたは複数の実行可能命令またはデータ構造を記憶する、単一媒体または複数媒体(例えば、集中型もしくは分散型データベース、ならびに/もしくは関連するキャッシュおよびサーバ)を含み得る。
【0061】
いくつかの実施態様では、コンピュータシステム900は、他のコンピューティング、ネットワーク、または車両デバイスと通信するための、入力/出力(I/O)ポート908、通信ポート910、およびサブシステムポート912などの1つまたは複数のポートを含む。ポート908~912は、結合または分離されてもよく、より多くのまたはより少ないポートがコンピュータシステム900に含まれてもよいと、理解されたい。I/Oポート908は、I/Oデバイスまたは他のデバイスに接続されてもよく、それによって、情報がコンピュータシステム900に入力され、またはコンピュータシステム900から出力される。そのようなI/Oデバイスは、1つまたは複数の入力デバイス、出力デバイス、および/または環境トランスデューサデバイスを、限定ではなく含み得る。
【0062】
一実施態様では、入力デバイスは、人間の声、身体運動、身体接触または圧力などの人間が生成した信号を、I/Oポート908を介したコンピューティングシステム900への入力データとして電気信号に変換する。いくつかの実施例では、そのような入力は、先行する図面に関して説明した様々なシステムおよび方法とは別個であってもよい。同様に、出力デバイスは、I/Oポート908を介してコンピューティングシステム900から受信した電気信号を、本明細書で説明した様々な方法およびシステムによって感知または使用され得る信号に変換し得る。入力デバイスは、I/Oポート908を介してプロセッサ902への情報および/またはコマンド選択を通信するための英数字および他のキーを含む、英数字入力デバイスであってもよい。
【0063】
環境トランスデューサデバイスは、1つの形態のエネルギーまたは信号を、I/Oポート908を介したコンピューティングシステム900への入力またはコンピューティングシステム900からの出力のための別の形態に変換する。例えば、コンピューティングシステム900の中で生成された電気信号は、別の種類の信号に変換されてもよく、その逆も同様である。一実施態様において、環境トランスデューサデバイスは、バッテリ電圧、開回路バッテリ電圧、充電電流、バッテリ温度、光、音、温度、圧力、磁場、電場、化学的性質などの、コンピューティングデバイス900にローカルまたはリモートの環境の特性または態様を感知する。
【0064】
一実施態様では、通信ポート910は、コンピュータシステム900が本明細書で提示した方法およびシステムを実行すること、ならびにそれによって判定された情報およびネットワーク構成変更を送信することに有用なネットワークデータを受信し得るネットワークに接続され得る。例えば、外部システムと共有されるバッテリ測定または計算データなど、充電プロトコルが、更新されてもよい。通信ポート910は、コンピュータシステム900を、1つまたは複数の有線または無線通信ネットワークまたは接続によって、コンピューティングシステム900と他のデバイスとの間で情報を送信および/または受信するように構成された1つまたは複数の通信インターフェースデバイスに接続する。そのようなネットワークまたは接続の実施例は、ユニバーサルシリアルバス(USB)、イーサネット、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)、近距離通信(NFC)、ロングタームエボリューション(LTE)などを、限定ではなく含む。1つまたは複数のそのような通信インターフェースデバイスが、ポイントツーポイント通信パス、ワイドエリアネットワーク(WAN)(例えばインターネット)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、セルラー(例えば、第3世代(3G)、第4世代(4G)、第5世代(5G))ネットワーク、または別の通信手段を直接経て、1つまたは複数の他の機械と通信するために通信ポート910を介して利用され得る。
【0065】
コンピュータシステム900は、本明細書に記載した方法およびシステムに従って充電されているデバイスに関連する1つまたは複数のシステムと通信して、デバイスの動作を制御し、および/またはコンピュータシステム900とデバイスの1つまたは複数のサブシステムとの間で情報を交換するためのサブシステムポート912を含み得る。車両のそのようなサブシステムの実施例は、モータコントローラおよびシステム、バッテリ管理システムなどを、限定ではなく含む。
【0066】
しかしながら、
図9に記載したシステムは、本開示の態様に従って採用し、または構成され得るコンピュータシステムの1つの可能な実施例である。コンピューティングシステム上で現在開示した技術を実施するためのコンピュータ実行可能命令を記憶する、他の非一時的有形コンピュータ可読記憶媒体が利用され得ると、理解されたい。
【0067】
本開示の実施形態は、様々なステップを含み、それらのステップが本明細書で説明されている。ステップは、ハードウェアコンポーネントによって実行されてもよく、または機械実行可能命令で具現化されてもよく、機械実行可能命令は、命令でプログラムされた汎用または専用プロセッサにステップを実行させるために使用され得る。代替として、ステップは、ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアの組み合わせによって実行され得る。
【0068】
本発明の範囲から逸脱することなく、説明した例示的実施形態に対して様々な修正および追加が行われ得る。例えば、上述の実施態様または実施例とも呼ばれる実施形態は、特定の特徴を指しているが、本発明の範囲は、特徴の異なる組み合わせを有する実施形態および説明した特徴の全てを含まない実施形態も含む。したがって、本発明の範囲は、その全ての等価物と共にそのような代替物、修正物、および変形物の全てを包含することを意図している。
【0069】
特定の実施態様について説明されているが、これは、単に例示の目的で行われていることを理解されたい。他のコンポーネントおよび構成が、開示の思想および範囲から外れることなく使用され得ると、当業者は認識するであろう。したがって、以下の説明および図面は例示であり、限定として解釈されるべきではない。多数の特定の詳細は、開示の完全な理解をもたらすために記載されている。しかしながら、ある場合において、周知のまたは従来通りの詳細は、説明を不明確にしないために記載されていない。本開示の1つのまたはある実施形態への参照は、同一の実施形態または任意の実施形態に対する参照であってもよく、そのような参照は、実施形態の少なくとも1つを意味する。
【0070】
「一実施形態」または「実施形態」に対する参照は、実施形態に関係して説明する特定の特徴、構造、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。明細書中の様々な箇所での「一実施形態における」という句の出現は、必ずしも全てが同一の実施形態を指すものではなく、他の実施形態を相互に排除する別個のまたは代替の実施形態でもない。さらに、いくつかの実施形態によって表され、それ以外によっては表されないことがある、様々な特徴が記載されている。
【0071】
本明細書で使用される用語は、概して、本開示の文脈の範囲内で、かつ各用語が使用される特定の文脈において、当技術分野における通常の意味を有する。代替の言葉および同義語は、本明細書で説明した用語の任意の1つまたは複数に対して使用されてもよく、本明細書において用語が詳述または説明されているか否かに、特別な意義が置かれるべきではない。場合によっては、ある用語に対する同義語が提供される。1つまたは複数の同義語の説明は、他の同義語の使用を除外するものではない。本明細書で説明した任意の用語の例を含む本明細書のいずれかの箇所での例の使用は、単なる例示であり、本開示または任意の例示的な用語の範囲および意味をさらに限定することを意図するものではない。同様に、本開示は、本明細書で与えられた様々な実施形態に限定されない。
【0072】
本開示の範囲を限定する意図なしに、本開示の実施形態による機器、装置、方法、およびそれらの関連する結果の例が、以下で与えられる。表題または副題が、読み手の便宜上の例において使用されてもよく、それは、開示の範囲を決して制限すべきではないことに留意されたい。特段の定義がない限り、本明細書で用いられる技術的および科学的用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって共通理解される意味を有する。矛盾する場合、定義を含む本文書が制御するものとする。
【0073】
本開示の追加的な特徴および利点が、以下の説明において記載され、説明から一部明らかとなり、または本明細書で開示される原理の実施によって学習され得る。開示の特徴および利点が、添付の特許請求の範囲において特に指摘される機器および組み合わせによって、実現および取得され得る。本開示のこれらのおよび他の特徴は、以下の説明および添付の特許請求の範囲からより完全に明らかとなり、または本明細書に記載された原理の実施によって学習され得る。
【国際調査報告】