(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】シミュレーションベースの外科的分析システム
(51)【国際特許分類】
G16H 50/50 20180101AFI20240528BHJP
【FI】
G16H50/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571918
(86)(22)【出願日】2022-05-20
(85)【翻訳文提出日】2024-01-12
(86)【国際出願番号】 IB2022054730
(87)【国際公開番号】W WO2022243960
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】シャイブ・チャールズ・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン・ザ・フォース・フレデリック・イー
(72)【発明者】
【氏名】フィービッグ・ケビン・エム
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA03
(57)【要約】
コンピューティングデバイスは、第1の模擬外科処置に関連付けられた第1のデータ及び第2の模擬外科処置に関連付けられた第2のデータを取得するように構成され得る。第1のデータ及び第2のデータは、外科処置の手術タスクに関連付けられ得る。コンピューティングデバイスは、第1のデータ及び第2のデータから集約データを生成するように構成され得る。コンピューティングデバイスは、集約データから、第1のデータの第1の外科的選択肢と第1のデータの外科的側面との間の第1の因果関係、及び第1のデータの第2の外科的選択肢と第2のデータの対応する外科的側面との間の第2の因果関係を決定するように構成され得る。コンピューティングデバイスは、第1のデータとの第1の因果関係、及び第2のデータとの第2の因果関係を表示するように構成され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科処置をシミュレートするためのコンピューティングデバイスであって、
プロセッサを備え、前記プロセッサが、
第1の模擬外科処置に関連付けられた第1のデータ及び第2の模擬外科処置に関連付けられた第2のデータを取得することであって、前記第1の模擬外科処置及び前記第2の模擬外科処置が各々、外科処置をシミュレートし、前記第1のデータ及び前記第2のデータが各々、前記外科処置の手術タスクに関連付けられている、ことと、
前記第1のデータの第1の外科的選択肢と前記第1のデータの外科的側面との間の第1の因果関係、及び前記第1のデータの第2の外科的選択肢と前記第2のデータの対応する外科的側面との間の第2の因果関係を決定することと、
前記第1のデータ及び前記第2のデータを表示することであって、前記第1の因果関係が、前記第1のデータとともに表示され、前記第2の因果関係が、前記第2のデータとともに表示される、ことと、を行うように構成されている、コンピューティングデバイス。
【請求項2】
前記第1の模擬外科処置及び前記第2の模擬外科処置が、同じシミュレーション構成又は同じシミュレーション構成のセットで構成されている、請求項1に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項3】
前記外科的側面が、以下:手術タスクの持続時間、手術器具の使用、外科的転帰、又は外科的合併症のうちの1つに関連付けられている、請求項1に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項4】
前記第1のデータの前記第1の外科的選択肢が、外科的選択肢選択点における複数の外科的選択肢からの選択であり、前記第2のデータの前記第2の外科的選択肢が、前記外科的選択肢選択点の前記複数の外科的選択肢からの選択であり、前記外科的選択肢選択点が、前記手術タスクの一部であり、前記第1のデータの前記外科的側面が、外科的合併症を含み、前記第2のデータの前記対応する外科的側面が、前記外科的合併症を含まない、請求項1に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項5】
前記第1のデータの前記外科的側面が、第1の数値を含み、前記第2のデータの前記対応する外科的側面が、第2の数値を含み、前記プロセッサが、前記集約データを表示するように更に構成されている、請求項1に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項6】
前記第1の模擬外科処置が、ユーザ模擬処置であり、前記第2の模擬外科処置が、コンピュータ模擬処置である、請求項1に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項7】
前記プロセッサが、
前記第1のデータの前記第1の外科的選択肢及び前記第1のデータの前記外科的側面のシミュレーションを再現する要求を受信することであって、前記第1のデータの前記外科的側面が、外科的転帰又は外科的合併症を含む、ことと、
前記第1のデータの前記第1の外科的選択肢及び前記第1のデータの前記外科的側面の前記シミュレーションの可視化を生成することと、を行うように更に構成されている、請求項1に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項8】
前記第1の模擬外科処置が、コンピュータ模擬処置であり、前記プロセッサが、
前記外科的選択肢選択点の前記複数の外科的選択肢をシミュレートする要求を受信し、
前記外科的選択肢選択点の前記複数の外科的選択肢の可視化を生成するように更に構成されている、請求項4に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項9】
手術シミュレーションを介して外科的分析を実施するためのコンピュータ実装方法であって、
第1の模擬外科処置に関連付けられた第1のデータ及び第2の模擬外科処置に関連付けられた第2のデータを取得することであって、前記第1の模擬外科処置及び前記第2の模擬外科処置が各々、外科処置をシミュレートし、前記第1のデータ及び前記第2のデータが各々、前記外科処置の手術タスクに関連付けられている、ことと、
前記第1のデータの第1の外科的選択肢と前記第1のデータの外科的側面との間の第1の因果関係、及び前記第1のデータの第2の外科的選択肢と前記第2のデータの対応する外科的側面との間の第2の因果関係を決定することと、
前記第1のデータ及び前記第2のデータを表示することであって、前記第1の因果関係が、前記第1のデータとともに表示され、前記第2の因果関係が、前記第2のデータとともに表示される、ことと、を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項10】
前記第1の模擬外科処置及び前記第2の模擬外科処置が、同じシミュレーション構成又は同じシミュレーション構成のセットで構成されている、請求項9に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
前記外科的側面が、以下:手術タスクの持続時間、手術器具の使用、外科的転帰、又は外科的合併症のうちの1つに関連付けられている、請求項9に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項12】
前記第1のデータの前記第1の外科的選択肢が、外科的選択肢選択点における複数の外科的選択肢からの選択であり、前記第2のデータの前記第2の外科的選択肢が、前記外科的選択肢選択点の前記複数の外科的選択肢からの選択であり、前記外科的選択肢選択点が、前記手術タスクの一部であり、前記第1のデータの前記外科的側面が、外科的合併症を含み、前記第2のデータの前記対応する外科的側面が、前記外科的合併症を含まない、請求項9に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項13】
前記第1のデータの前記外科的側面が、第1の数値を含み、前記第2のデータの前記対応する外科的側面が、第2の数値を含み、前記プロセッサが、前記集約データを表示するように更に構成されている、請求項9に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項14】
前記第1の模擬外科処置が、ユーザ模擬処置であり、前記第2の模擬外科処置が、コンピュータ模擬処置である、請求項9に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項15】
前記第1のデータの前記第1の外科的選択肢及び前記第1のデータの前記外科的側面のシミュレーションを再現する要求を受信することであって、前記第1のデータの前記外科的側面が、外科的転帰又は外科的合併症を含む、ことと、
前記第1のデータの前記第1の外科的選択肢及び前記第1のデータの前記外科的側面の前記シミュレーションの可視化を生成することと、を更に含む、請求項9に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項16】
前記第1の外科処置における前記外科的選択肢選択点の前記複数の外科的選択肢をシミュレートする要求を受信することと、
前記第1の外科処置における前記外科的選択肢選択点の前記複数の外科的選択肢の可視化を生成することと、を更に含む、請求項9に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項17】
前記プロセッサが、前記第1のデータの前記外科的側面及び前記第2のデータの前記対応する外科的側面に基づいて、前記第1のデータ及び前記第2のデータから集約データを生成するように更に構成されており、前記プロセッサが、前記集約データから前記第1の因果関係及び前記第2の因果関係を決定するように構成されている、請求項1に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項18】
前記第1のデータの前記第1の外科的選択肢と前記第1のデータの前記外科的側面との間の前記因果関係、及び前記第2のデータの前記第2の外科的選択肢と前記第2のデータの前記外科的側面との間の前記因果関係が各々、1つ又は2つ以上の係数値と、任意選択的に、統計的有意性の値と、を含む、請求項1に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項19】
前記第1のデータの前記外科的側面及び前記第2のデータの前記対応する外科的側面に基づいて、前記第1のデータ及び前記第2のデータから集約データを生成することを更に含み、前記第1の因果関係及び前記第2の因果関係を決定することが、前記集約データから前記第1の因果関係及び前記第2の因果関係を決定することを含む、請求項9に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項20】
前記第1のデータの前記第1の外科的選択肢と前記第1のデータの前記外科的側面との間の前記因果関係、及び前記第2のデータの前記第2の外科的選択肢と前記第2のデータの前記外科的側面との間の前記因果関係が各々、1つ又は2つ以上の係数値と、任意選択的に、統計的有意性の値と、を含む、請求項9に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項21】
コンピュータによって実行されると、前記コンピュータに請求項9に記載の方法を実施させる命令を含む、コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年5月21日出願の米国特許仮出願第63/191,681号の利益を主張し、参照によりその開示の全体が本書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、同時に出願された以下の出願に関連し、その各々の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
・ 2021年5月27日出願の「METHODS FOR SURGICAL SIMULATION」と題する米国特許出願第17/332,594号(代理人整理番号END9338USNP1)
・ 2021年5月27日出願の「SURGICAL SIMULATION OBJECT RECTIFICATION SYSTEM」と題する米国特許出願第17/332,524号(代理人整理番号END9338USNP2)
・ 2021年5月27日出願の「SURGICAL SIMULATION NAVIGATION SYSTEM」と題する米国特許出願第17/332,399号(代理人整理番号END9338USNP3)
・ 2021年5月27日出願の「SURGICAL SIMULATION SYSTEM WITH COORDINATED IMAGINING」と題する米国特許出願第17/332,441号(代理人整理番号END9338USNP4)
・ 2021年5月27日出願の「SURGICAL SIMULATION SYSTEM WITH SIMULATED SURGICAL EQUIPMENT COORDINATION」と題する米国特許出願第17/332,462号(代理人整理番号END9338USNP5)
・ 2021年5月27日出願の「SIMULATION-BASED SURGICAL PROCEDURE PLANNING SYSTEM」と題する米国特許出願第17/332,197号(代理人整理番号END9338USNP6)
・ 2021年5月27日出願の「SIMULATION-BASED DIRECTED SURGICAL DEVELOPMENT SYSTEM」と題する米国特許出願第17/332,407号(代理人整理番号END9338USNP7)
・ 2021年5月27日出願の「SURGICAL ADVERSE EVENT SIMULATION SYSTEM」と題する米国特許出願第17/332,449号(代理人整理番号END9338USNP8)
・ 2021年5月27日出願の「DYNAMIC ADAPTATION SYSTEM FOR SURGICAL SIMULATION」と題する米国特許出願第17/332,480号(代理人整理番号END9338USNP10)
【背景技術】
【0003】
例えば、手術環境及び/又は外科処置のコンピュータベースの3次元シミュレーションなど手術シミュレーションは、手術技術を進歩させる機会を提示する。手術シミュレーションは、手術訓練、計画、開発などに役立つ可能性を有する。例えば、手術シミュレーションは、新たな処置で外科医を訓練するために、及び/又は外科医に既知の処置の実行を向上させるために使用され得る。手術シミュレーションは、外科医が次の処置の準備を支援するための仮想「最終リハーサル」として使用され得る。また、手術シミュレーションは、実証されていない処置及び技法を用いた実験に使用され得る。
【0004】
しかしながら、手術シミュレーションプラットフォームは、能力、範囲、及び適用可能性において多くの制限に直面する複合システムである。例えば、多くのプラットフォームは、特定の学習目的に対処するように、又は手術ロボットの動作をシミュレートするなど、単一の機器の動作をシミュレートするように特別にプログラムされ、調整された技術「サイロ」である。これらのような制限は、手術技術を進歩させるためのツールとしてのプラットフォームの有効性を低減させ得る。また、そのような制限は、術前計画、術中サポート、術後分析など手術プロセスの他の側面へのシミュレーションベースのアプリケーションの統合に対する重大な技術的障害を表し得る。
【0005】
したがって、例えば、手術シミュレーション能力、範囲、及び適用可能性に対処する技術的進歩など手術シミュレーション技術における革新は、手術分野における更なる進歩を加速させ得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
外科ベースの外科的分析のためのシステム、方法、及び手段が、本明細書に記載される。手術シミュレーションを介して外科的分析を実施するためのコンピューティングデバイスは、プロセッサを含み得る。プロセッサは、第1の模擬外科処置に関連付けられた第1のデータ及び第2の模擬外科処置に関連付けられた第2のデータを取得するように構成され得る。第1の模擬外科処置及び第2の模擬外科処置は、外科処置をシミュレートし得る。第1のデータ及び第2のデータは、外科処置の手術タスクに関連付けられ得る。プロセッサは、第1のデータの外科的側面及び第2のデータの対応する外科的側面に基づいて、第1のデータ及び第2のデータから集約データを生成するように構成され得る。プロセッサは、集約データから、第1のデータの第1の外科的選択肢と第1のデータの外科的側面との間の第1の因果関係、及び第1のデータの第2の外科的選択肢と第2のデータの対応する外科的側面との間の第2の因果関係を決定するように構成され得る。プロセッサは、第1のデータ及び第2のデータを表示するように構成され得る。第1の因果関係は、第1のデータとともに表示され得、第2の因果関係は、第2のデータとともに表示され得る。
【0007】
本発明によれば、外科処置をシミュレートするためのコンピューティングデバイスが提供され、コンピューティングデバイスは、第1の模擬外科処置に関連付けられた第1のデータ及び第2の模擬外科処置に関連付けられた第2のデータを取得することであって、第1の模擬外科処置及び第2の模擬外科処置が各々、外科処置をシミュレートし、第1のデータ及び第2のデータが各々、外科処置の手術タスクに関連付けられている、ことと、第1のデータの第1の外科的選択肢と第1のデータの外科的側面との間の第1の因果関係、及び第1のデータの第2の外科的選択肢と第2のデータの対応する外科的側面との間の第2の因果関係を決定することと、第1のデータ及び第2のデータを表示することであって、第1の因果関係が、第1のデータとともに表示され、第2の因果関係が、第2のデータとともに表示される、ことと、を行うように構成されたプロセッサを備える。
【0008】
いくつかの実施形態では、単一の手術タスクに関連付けられた複数の外科的選択肢が存在し得、この外科的選択肢のセットを、それぞれのデータセット(すなわち、第1のデータ/第2のデータ)に記憶することができる。外科的選択肢の各々は、数値に関連付けられ得る(例えば、1つの外科的選択肢には、0の値が割り当てられて得る一方で、別の外科的選択肢には、1の値が割り当てられ得る)。いくつかの実施形態では、それぞれのデータセット内の各外科的選択肢に割り当てられた数値は、行番号、又はデータセット内のデータ場所への他のポインタを指し得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、「因果関係」は、外科的選択肢の各々に割り当てられた数値と外科的転帰との間の線形又は非線形関係を含み得る。したがって、因果関係は、独立変数が従属変数にどのように影響を及ぼすかを定義する係数を含み得る。「因果関係」は、決定された関係の統計的強度を示す、統計的有意性の値(例えば、P数)を更に含み得る。いくつかの実施形態では、係数及び統計的有意性の値の両方をユーザに表示することができる。
【0010】
「第1の模擬外科処置及び第2の模擬外科処置が各々、外科処置をシミュレートする」とは、これらの処置の各々が同じタイプの外科処置をシミュレートする場合を指し得ることが理解され得る。すなわち、第1の模擬外科処置においてシミュレートされる外科処置は、第2の模擬外科処置においてシミュレートされる同じ外科処置である。
【0011】
同様に、「第1のデータ及び第2のデータが各々、外科処置の手術タスクに関連付けられる」とは、各データのセットが処置の同じ手術タスクに関連付けられることを指し得る。すなわち、第1のデータに関連付けられた手術タスクは、第2のデータに関連付けられた手術タスクと同じであり得る。
【0012】
しかしながら、場合によっては、それぞれの模擬外科処置の各々は、異なる外科的選択肢(すなわち、処置における具体的な手術タスクに関して講じられる異なる措置)を含み得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、「外科的側面」は、具体的な外科的転帰又は外科的合併症を指し得る。例えば、第1及び第2のデータセットを集約し、外科的転帰又は外科的合併症に基づいて因果関係について分析することができる。
【0014】
異なるシミュレーション(外科処置において同じタスクをシミュレートすること)において取られる異なる外科的選択肢と、それらの対応する外科的側面(例えば、外科的転帰)との間の統計的分析を実施すること(すなわち、因果関係を決定すること)の1つの利点は、プロセッサが、ある特定の選択肢が外科手術の異なる側面に及ぼす影響を決定するように構成され得ることである。この情報は、将来の外科手術においてどの外科的選択肢を選択するかについての情報に基づく決定を行うことを可能にする方法でユーザに提示され得る。これは、シミュレーションに基づく外科的選択肢の適切な選択が、手術時間を短縮し、患者転帰を改善し、外科的合併症を低減することなどができるため、患者の全体的な幸福に良い影響を及ぼすであろう。
【0015】
いくつかの実施形態では、第1の模擬外科処置及び第2の模擬外科処置は、同じシミュレーション構成又は同じシミュレーション構成のセットで構成される。
【0016】
いくつかの実施形態では、外科的側面は、以下:手術タスクの持続時間、手術器具の使用、外科的転帰、又は外科的合併症のうちの1つに関連付けられる。
【0017】
いくつかの実施形態では、第1のデータの第1の外科的選択肢は、外科的選択肢選択点における複数の外科的選択肢からの選択であり、第2のデータの第2の外科的選択肢は、外科的選択肢選択点の複数の外科的選択肢からの選択であり、外科的選択肢選択点は、手術タスクの一部であり、第1のデータの外科的側面は、外科的合併症を含み、第2のデータの対応する外科的側面は、外科的合併症を含まない。
【0018】
いくつかの実施形態では、第1のデータの外科的側面は、第1の数値を含み、第2のデータの対応する外科的側面は、第2の数値を含み、プロセッサは、集約データを表示するように更に構成される。
【0019】
いくつかの実施形態では、第1の模擬外科処置は、ユーザ模擬処置であり、第2の模擬外科処置は、コンピュータ模擬処置である。
【0020】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、第1のデータの第1の外科的選択肢及び第1のデータの外科的側面のシミュレーションを再現する要求を受信することであって、第1のデータの外科的側面が、外科的転帰又は外科的合併症を含む、ことと、第1のデータの第1の外科的選択肢及び第1のデータの外科的側面のシミュレーションの可視化を生成することと、を行うように更に構成される。
【0021】
いくつかの実施形態では、第1の模擬外科処置は、コンピュータ模擬処置であり、プロセッサは、外科的選択肢選択点の複数の外科的選択肢をシミュレートする要求を受信し、外科的選択肢選択点の複数の外科的選択肢の可視化を生成するように更に構成される。
【0022】
また、本発明によれば、手術シミュレーションを介して外科的分析を実施するためのコンピュータ実装方法も提供され、方法は、第1の模擬外科処置に関連付けられた第1のデータ及び第2の模擬外科処置に関連付けられた第2のデータを取得することであって、第1の模擬外科処置及び第2の模擬外科処置が各々、外科処置をシミュレートし、第1のデータ及び第2のデータが各々、外科処置の手術タスクに関連付けられる、ことと、第1のデータの第1の外科的選択肢と第1のデータの外科的側面との間の第1の因果関係、及び第1のデータの第2の外科的選択肢と第2のデータの対応する外科的側面との間の第2の因果関係を決定することと、第1のデータ及び第2のデータを表示することであって、第1の因果関係が、第1のデータとともに表示され、第2の因果関係が、第2のデータとともに表示される、ことと、を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、第1の模擬外科処置及び第2の模擬外科処置は、同じシミュレーション構成又は同じシミュレーション構成のセットで構成される。
【0024】
いくつかの実施形態では、外科的側面は、以下:手術タスクの持続時間、手術器具の使用、外科的転帰、又は外科的合併症のうちの1つに関連付けられる。
【0025】
いくつかの実施形態では、第1のデータの第1の外科的選択肢は、外科的選択肢選択点における複数の外科的選択肢からの選択であり、第2のデータの第2の外科的選択肢は、外科的選択肢選択点の複数の外科的選択肢からの選択であり、外科的選択肢選択点は、手術タスクの一部であり、第1のデータの外科的側面は、外科的合併症を含み、第2のデータの対応する外科的側面は、外科的合併症を含まない。
【0026】
いくつかの実施形態では、第1のデータの外科的側面は、第1の数値を含み、第2のデータの対応する外科的側面は、第2の数値を含み、プロセッサは、集約データを表示するように更に構成される。
【0027】
いくつかの実施形態では、第1の模擬外科処置は、ユーザ模擬処置であり、第2の模擬外科処置は、コンピュータ模擬処置である。
【0028】
いくつかの実施形態では、方法は、第1のデータの第1の外科的選択肢及び第1のデータの外科的側面のシミュレーションを再現する要求を受信することであって、第1のデータの外科的側面が、外科的転帰又は外科的合併症を含む、ことと、第1のデータの第1の外科的選択肢及び第1のデータの外科的側面のシミュレーションの可視化を生成することと、を更に含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、方法は、第1の外科処置における外科的選択肢選択点の複数の外科的選択肢をシミュレートする要求を受信することと、第1の外科処置における外科的選択肢選択点の複数の外科的選択肢の可視化を生成することと、を更に含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、第1のデータの外科的側面及び第2のデータの対応する外科的側面に基づいて、第1のデータ及び第2のデータから集約データを生成するように更に構成され、プロセッサは、集約データから第1の因果関係及び第2の因果関係を決定するように構成される。
【0031】
いくつかの実施形態では、第1のデータの第1の外科的選択肢と第1のデータの外科的側面との間の因果関係、及び第2のデータの第2の外科的選択肢と第2のデータの外科的側面との間の因果関係は各々、1つ又は2つ以上の係数値と、任意選択的に、統計的有意性の値と、を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、方法は、第1のデータの外科的側面及び第2のデータの対応する外科的側面に基づいて、第1のデータ及び第2のデータから集約データを生成することを更に含み、第1の因果関係及び第2の因果関係を決定することは、集約データから第1の因果関係及び第2の因果関係を決定することを含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、第1のデータの第1の外科的選択肢と第1のデータの外科的側面との間の因果関係、及び第2のデータの第2の外科的選択肢と第2のデータの外科的側面との間の因果関係は各々、1つ又は2つ以上の係数値と、任意選択的に、統計的有意性の値と、を含む。
【0034】
本発明によると、コンピュータによって実行されると、コンピュータに本発明による方法を実施させる命令を含む、コンピュータ可読媒体も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】コンピュータ実装インタラクティブ外科用システムのブロック図である。
【
図2】手術室で外科的処置を実施するために使用されている例示的外科用システムを示す。
【
図3】本開示の少なくとも1つの態様による、可視化システム、ロボットシステム、及びインテリジェント器具とペアリングされた例示的な外科用ハブを示す。
【
図4】本開示の少なくとも1つの態様による、医療施設の1つ以上の手術現場、又は外科手術のための専門設備を備えた医療施設内の任意の部屋に位置しているモジュール式デバイスをクラウドに接続するように構成された通信ハブを有する外科用データネットワークを示す。
【
図5】例示的コンピュータ実装インタラクティブ外科用システムを示す図である。
【
図6】モジュール式制御タワーに連結された複数のモジュールを含む例示的な外科用ハブを示す。
【
図7】例示的手術シミュレータシステムのブロック図である。
【
図8】例示的手術シミュレータシステムのブロック図である。
【
図9】例示的手術シミュレータのユーザインターフェースデバイスを描写するブロック図である。
【
図10】例示的手術シミュレータの動作のフロー図である。
【
図11A】コンピュータ実装インタラクティブ手術システム及び/又は手術シミュレータで使用するための例示的外科処置計画のデータ構造を示す。
【
図11B】コンピュータ実装インタラクティブ手術システム及び/又は手術シミュレータで使用するための例示的外科処置計画のデータ構造を示す。
【
図12】外科処置シミュレーションレビューの例示的データフローである。
【
図13】例示的外科処置シミュレーションレビューユーザインターフェースの例示的出力である。
【
図14A】外科処置シミュレーションレビューの態様の例示的実装を示す。
【
図14B】外科処置シミュレーションレビューの態様の例示的実装を示す。
【
図15】外科処置シミュレーションレビューの例示的動作のフローチャートである。
【
図16】胸部肺葉切断外科処置のための複数のシミュレーションウォークスルーのタイミングの比較を示す。
【
図17】結果をともに達成するためにシミュレーション内で協働して作業する医師及び医師助手の図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
手術シミュレーションシステム、デバイス、及び方法は、他の医療機器、データソース、プロセス、及び機関との統合の態様を含み得る。手術シミュレーションシステム、デバイス、及び方法は、例えば、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム及び/又はコンピュータ実装インタラクティブ外科用システムの1つ又は2つ以上の要素との統合の態様を含み得る。
【0037】
図1を参照すると、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム100は、1つ以上の外科用システム102と、クラウドベースのシステム(例えば、ストレージデバイス105に連結されたリモートサーバ113を含み得るクラウド104)とを備え得る。各外科用システム102は、リモートサーバ113を含み得るクラウド104と通信する、少なくとも1つの外科用ハブ106を備え得る。
【0038】
1つ以上のシミュレーションデバイス103、111は、コンピュータ実装インタラクティブ手術システム100と通信し得、及び/又はその一部として統合され得る。例えば、シミュレーションデバイス103は、1つ以上の手術システム102の要素であり得る。例えば、シミュレーションデバイス103は、1つ以上の手術用ハブ106と通信し得る。例えば、シミュレーションデバイス111は、クラウド104を介してコンピュータ実装インタラクティブ手術システム100と通信し得る。
【0039】
一例では、
図1に示すように、外科用システム102は、可視化システム108と、ロボットシステム110と、手持ち式インテリジェント外科用器具112とを含み、これらは、互いに、及び/又はハブ106と通信するように構成されている。いくつかの態様では、外科用システム102は、M個のハブ106と、N個の可視化システム108と、O個のロボットシステム110と、P個の手持ち式インテリジェント外科用器具112とを備えてもよく、M、N、O及びPは1以上の整数であり得る。
【0040】
様々な態様では、可視化システム108は、
図2に示すように、滅菌野に対して戦略的に配置される1つ以上の撮像センサと、1つ以上の画像処理ユニットと、1つ以上のストレージアレイと、1つ以上のディスプレイとを備え得る。一態様では、可視化システム108は、HL7、PACS及びEMR用のインターフェースを備え得る。視覚化システム108の様々な構成要素については、2018年12月4日出願の「METHOD OF HUB COMMUNICATION,PROCESSING,STORAGE AND DISPLAY」と題する米国特許出願公開第2019-0200844(A1)号(米国特許出願第16/209,385号)において「Advanced Imaging Acquisition Module」という見出しの下で説明されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0041】
図2に示すように、一次ディスプレイ119は、手術台114のオペレータに見えるように滅菌野に配置される。加えて、可視化タワー111が、滅菌野の外に配置される。可視化タワー111は、互いに反対側を向いている第1の非滅菌ディスプレイ107及び第2の非滅菌ディスプレイ109を備え得る。ハブ106によって誘導される可視化システム108は、ディスプレイ107、109及び119を利用して、滅菌野の内側及び外側のオペレータへの情報フローを調整するように構成されている。例えば、ハブ106は、可視化システム108に、一次ディスプレイ119上に手術部位のライブ映像を維持しながら、撮像デバイス124によって記録される手術部位のスナップショットを非滅菌ディスプレイ107又は109に表示させることができる。非滅菌ディスプレイ107又は109上のスナップショットにより、例えば、非滅菌オペレータが、外科処置に関連する診断ステップを実施し得る。
【0042】
一態様では、ハブ106は、可視化タワー111にいる非滅菌オペレータによって入力された診断入力又はフィードバックを滅菌野内の一次ディスプレイ119に送り、これを手術台にいる滅菌オペレータが見ることができるようにも構成することができる。一例では、入力は、ハブ106によって一次ディスプレイ119に送ることができる、非滅菌ディスプレイ107又は109上に表示されるスナップショットへの修正の形態であり得る。
【0043】
図2を参照すると、外科用器具112は、外科処置において外科用システム102の一部として使用されている。ハブ106はまた、外科用器具112のディスプレイへの情報フローを調整するようにも構成することができる。例えば、その開示が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2018年12月4日出願の「METHOD OF HUB COMMUNICATION,PROCESSING,STORAGE AND DISPLAY」と題する米国特許出願公開第2019-0200844(A1)号(米国特許出願第16/209,385号)において。可視化タワー111にいる非滅菌オペレータによって入力された診断入力又はフィードバックは、ハブ106によって滅菌野内の手術器具ディスプレイ115に送ることができ、これを手術器具112のオペレータが見ることができる。手術用システム102で使用するために好適な例示的外科用器具については、例えば、2018年12月4日出願の「METHOD OF HUB COMMUNICATION,PROCESSING,STORAGE AND DISPLAY」と題する米国特許出願公開第2019-0200844(A1)号(米国特許出願第16/209,385号)において「Surgical Instrument Hardware」という見出しの下で記載されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0044】
図2は、手術室116内の手術台114上に横たわっている患者に対して外科処置を実行するために使用されている外科用システム102の例を示す。ロボットシステム110は、外科処置において手術システム102の一部として使用され得る。ロボットシステム110は、外科医のコンソール118と、患者側カート120(手術ロボット)と、手術ロボットハブ122と、を含み得る。外科医が外科医のコンソール118を通して手術部位を見る間、患者側カート120は、患者の身体の低侵襲切開部を通して、少なくとも1つの着脱可能に連結された外科用ツール117を操作し得る。手術部位の画像は、撮像デバイス124の向きを変えるために、患者側カート120によって操作され得る医療撮像デバイス124によって取得され得る。ロボットハブ122を使用して、手術部位の画像を処理し、その後、外科医のコンソール118を通して、外科医に表示し得る。
【0045】
他のタイプのロボットシステムが、外科用システム102とともに使用するように容易に適合され得る。本開示とともに使用するのに好適なロボットシステム及び外科ともツールの様々な例は、2018年12月4日出願の「METHOD OF ROBOTIC HUB COMMUNICATION,DETECTION,AND CONTROL」と題する米国特許出願公開第2019-0201137(A1)号(米国特許出願第16/209,407号)に記載されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0046】
クラウド104によって実施され、本開示とともに使用するのに好適なクラウドベース分析法の様々な例は、2018年12月4日出願の「METHOD OF CLOUD BASED DATA ANALYTICS FOR USE WITH THE HUB」と題する米国特許出願公開第2019-0206569(A1)号(米国特許出願第16/209,403号)に記載されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0047】
様々な態様では、撮像デバイス124は、少なくとも1つの画像センサと、1つ以上の光学構成要素と、を含み得る。好適な画像センサとしては、電荷結合素子(CCD)センサ及び相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0048】
撮像デバイス124の光学構成要素は、1つ以上の照明源、及び/又は1つ以上のレンズを含んでもよい。1つ以上の照明源は、術野の一部分を照明するように方向付けられてもよい。1つ以上の画像センサは、組織及び/又は外科用器具から反射又は屈折された光を含む、術野から反射又は屈折された光を受信することができる。
【0049】
1つ以上の照明源は、可視スペクトル並びに不可視スペクトル内の電磁エネルギーを照射するように構成され得る。可視スペクトルは、場合によっては、光スペクトルや発光スペクトルとも称され、人間の目に見える(すなわち、人間の目によって検出することができる)電磁スペクトルの一部分であり、可視光、又は単に光と称されることがある。典型的な人間の目は、空気中の約380nm~約750nmの波長に応答する。
【0050】
不可視スペクトル(例えば、非発光スペクトル)は、可視スペクトルの下方及び上方に位置する(すなわち、約380nm未満及び約750nm超の波長の)電磁スペクトルの一部分である。不可視スペクトルは、人間の目で検出可能ではない。約750nmを超える波長は、赤色可視スペクトルよりも長く、これらは不可視赤外線(IR)、マイクロ波及び無線電磁放射線になる。約380nm未満の波長は、紫色スペクトルよりも短く、これらは不可視紫外線、X線及びガンマ線電磁放射線になる。
【0051】
様々な態様では、撮像デバイス124は、低侵襲性処置において使用するように構成されている。本開示とともに使用するために好適な撮像デバイスの例としては、関節鏡、血管鏡、気管支鏡、胆道鏡、結腸鏡、膀胱鏡、十二指腸鏡、腸鏡、食道胃十二指腸鏡(胃カメラ)、内視鏡、喉頭鏡、鼻咽喉-腎盂鏡、S状結腸鏡、胸腔鏡、及び尿管鏡が挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
撮像装置は、トポグラフィーと下層構造とを区別するために、マルチスペクトルモニタリンスを採用してもよい。マルチスペクトル画像は、電磁スペクトル全体から特定の波長範囲内の画像データを取り込むものである。波長は、フィルタによって、又は可視光範囲を超える周波数、例えば、IR、及び紫外からの光を含む特定の波長に対する感度を有する器具を使用することによって分離することができる。スペクトル撮像により、人間の目がもつ赤、緑、青の受容体では取り込むことができない追加情報を抽出することが可能である。マルチスペクトル撮像の使用については、2018年12月4日に出願された「METHOD OF HUB COMMUNICATION,PROCESSING,STORAGE AND DISPLAY」と題する米国特許出願公開第2019-0200844(A1)号(米国特許出願第16/209,385号)において、「Advanced Imaging Acquisition Module」という見出しの下により詳細に記載されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。マルチスペクトルモニタリングは、処置された組織に対して上述の試験のうちの1つ以上を実行するための手術タスクが完了した後に術野を再配置するのに有用なツールであり得る。いかなる外科手術においても、手術室及び手術機器の厳格な滅菌が必要であることは自明である。「手術現場」、すなわち、手術室又は処置室において要求される厳格な衛生条件及び滅菌条件は、全ての医療装置及び機器の可能な最も高い滅菌性を必要とする。滅菌プロセスの一部としては、撮像デバイス124並びにその付属品及び構成要素を含む、患者と接触する、又は滅菌野に侵入するあらゆるものを滅菌する必要性が挙げられる。滅菌野は、トレイ内又は滅菌タオル上などの微生物を含まないと見なされる特定の領域と見なされ得ること、あるいは滅菌野は、外科処置の準備が整った患者の直ぐ周囲の領域と見なされ得ることは理解されよう。滅菌野は、適切な衣類を着用した洗浄済みのチーム構成員、並びにその領域内の全ての備品及び固定具を含み得る。
【0053】
ここで
図3を参照すると、可視化システム108、ロボットシステム110及びハンドヘルド式インテリジェント外科用器具112と通信するハブ106が示されている。ハブ106は、ハブディスプレイ135、撮像モジュール138、発生器モジュール140、通信モジュール130、プロセッサモジュール132、ストレージアレイ134、及び手術室マッピングモジュール133を含む。特定の態様では、
図3に示されるように、ハブ106は、排煙モジュール126及び/又は吸引/灌注モジュール128を更に含む。外科処置中、封止及び/又は切断のために、組織へエネルギーを印加することは、一般に、排煙、過剰な流体の吸引、及び/又は組織の灌注と関連付けられる。異なる供給源からの流体ライン、電力ライン及び/又はデータラインは、外科処置中に絡まり合うことが多い。外科処置中にこの問題に対処することで貴重な時間が失われる場合がある。ラインの絡まりをほどくには、それらの対応するモジュールからラインを抜くことが必要となる場合があり、そのためにはモジュールをリセットすることが必要となる場合がある。ハブモジュール式エンクロージャ136は、電力ライン、データライン、及び流体ラインを管理するための統合環境を提供し、このようなライン間の絡まりの頻度を低減させる。本開示の態様は、手術部位における組織へのエネルギー印加を伴う外科処置において使用するための外科用ハブを提示する。外科用ハブは、ハブエンクロージャと、ハブエンクロージャのドッキングステーション内に摺動可能に受容可能な組み合わせ発生器モジュールと、を含む。ドッキングステーションはデータ接点及び電力接点を含む。組み合わせ発生器モジュールは、単一ユニット内に収容された、超音波エネルギー発生器構成要素、双極RFエネルギー発生器構成要素、及び単極RFエネルギー発生器構成要素のうちの2つ以上を含む。一態様では、組み合わせ発生器モジュールはまた、排煙構成要素と、組み合わせ発生器モジュールを外科用器具に接続するための少なくとも1つのエネルギー供給ケーブルと、組織への治療エネルギーの印加によって発生した煙、流体及び/又は微粒子を排出するように構成された少なくとも1つの排煙構成要素と、リモート手術部位から排煙構成要素まで延在する流体ラインと、を含む。一態様では、上記の流体ラインは第1の流体ラインであり、第2の流体ラインは、遠隔手術部位から、ハブエンクロージャ内に摺動可能に受容される吸引及び灌注モジュールまで延在している。一態様では、ハブエンクロージャは、流体インターフェースを備える。一部特定の外科処置は、2つ以上のエネルギータイプを組織に印加することを必要とする場合がある。1つのエネルギータイプは、組織を切断するのにより有益であり得るが、別の異なるエネルギータイプは、組織を封止するのにより有益であり得る。例えば、双極発生器は組織を封止するために使用することができ、一方で、超音波発生器は封止された組織を切断するために使用することができる。本開示の態様は、ハブのモジュール式エンクロージャ136が様々な発生器を収容して、これらの間のインタラクティブ通信を促進するように構成されているという解決法を提示する。ハブモジュール式エンクロージャ136の利点の1つは、様々なモジュールの迅速な取り外し及び/又は交換を可能にすることである。本開示の態様は、組織へのエネルギー印加を伴う外科処置で使用するためのモジュール式外科用エンクロージャを提示する。モジュール式外科用エンクロージャは、組織に印加するための第1のエネルギーを発生させるように構成された第1のエネルギー発生器モジュールと、第1のデータ及び電力接点を含む第1のドッキングポートを備える第1のドッキングステーションと、を含み、第1のエネルギー発生器モジュールは、電力及びデータ接点と電気係合するように摺動可能に移動可能であり、また第1のエネルギー発生器モジュールは、第1の電力及びデータ接点との電気係合から外れるように摺動可能に移動可能である。上記に加えて、モジュール式外科用エンクロージャはまた、第1のエネルギーとは異なる、組織に印加するための第2のエネルギーを発生させるように構成された第2のエネルギー発生器モジュールと、第2のデータ接点及び第2の電力接点を含む第2のドッキングポートを備える第2のドッキングステーションと、を含み、第2のエネルギー発生器モジュールは、電力接点及びデータ接点と電気係合するように摺動可能に移動可能であり、また第2のエネルギー発生器モジュールは、第2の電力接点及び第2のデータ接点との電気係合から外れるように摺動可能に移動可能である。加えて、モジュール式外科用エンクロージャはまた、第1のエネルギー発生器モジュールと第2のエネルギー発生器モジュールとの間の通信を容易にするように構成されている、第1のドッキングポートと第2のドッキングポートとの間の通信バスを含む。
図3を参照すると、発生器モジュール140、排煙モジュール126、及び吸引/灌注モジュール128のモジュール式統合を可能にするハブモジュール式エンクロージャ136に関する本開示の態様が提示される。ハブモジュール式エンクロージャ136は、モジュール140とモジュール126とモジュール128と間のインタラクティブ通信を更に促進する。発生器モジュール140は、ハブのモジュール式エンクロージャ136に摺動可能に挿入可能な単一のハウジングユニット内に支持される、一体化された単極構成要素、双極構成要素及び超音波構成要素を備える発生器モジュールであってもよい。発生器モジュール140は、単極デバイス142、双極デバイス144、及び超音波デバイス146に接続するように構成され得る。代替的に、発生器モジュール140は、ハブモジュール式エンクロージャ136を介して相互作用する一連の単極発生器モジュール、双極発生器モジュール、及び/又は超音波発生器モジュールを備えてもよい。複数の発生器が単一の発生器として機能するように、ハブモジュール式エンクロージャ136は、複数の発生器の挿入と、ハブモジュール式エンクロージャ136にドッキングされた発生器間の双方向通信と、を促進するように構成することができる。
【0054】
図4は、医療施設の1つ以上の手術室、又は外科手術のための専門設備を備えた医療施設内の任意の部屋に位置するモジュール式デバイスをクラウドベースのシステム(例えばストレージ装置205に連結されたリモートサーバ213を含み得るクラウド204)に接続するように構成されたモジュール式通信ハブ203を備える外科用データネットワーク201を示す。一態様では、モジュール式通信ハブ203は、ネットワークルータと通信するネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ209を備える。モジュール式通信ハブ203は、ローカルコンピュータシステム210に結合して、ローカルコンピュータ処理及びデータ操作を提供することもできる。外科用データネットワーク201は、パッシブ、インテリジェント又は切り替え式として構成されてもよい。受動的外科用データネットワークはデータの導管として機能し、データが1つのデバイス(又はセグメント)から別の装置(又はセグメント)に、及びクラウドコンピューティングリソースに行くことを可能にする。インテリジェント手術データネットワークは、トラフィックが監視対象の手術データネットワークを通過することを可能にし、ネットワークハブ207又はネットワークスイッチ209内の各ポートを構成する追加の特徴部を含む。インテリジェント外科用データネットワークは、管理可能なハブ又はスイッチと称され得る。スイッチングハブは、各パケットの宛先アドレスを読み取り、次いでパケットを正しいポートに転送する。
【0055】
手術室に配置されたモジュール式デバイス1a~1nは、モジュール式通信ハブ203に連結され得る。ネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ209は、ネットワークルータ211に連結されて、装置1a~1nをクラウド204又はローカルコンピュータシステム210に接続することができる。デバイス1a~1nに関連付けられたデータは、リモートデータ処理及び操作のためにルータを介してクラウドベースのコンピュータに転送され得る。デバイス1a~1nに関連付けられたデータはまた、ローカルでのデータ処理及び操作のためにローカルコンピュータシステム210に転送され得る。同じ手術室に配置されたモジュール式デバイス2a~2mもまた、ネットワークスイッチ209に連結され得る。ネットワークスイッチ209は、ネットワークハブ207及び/又はネットワークルータ211に連結されて、装置2a~2mをクラウド204に接続することができる。装置2a~2nに関連付けられたデータは、データ処理及び操作のためにネットワークルータ211を介してクラウド204に転送されてもよい。デバイス2a~2mに関連付けられたデータはまた、ローカルでのデータ処理及び操作のためにローカルコンピュータシステム210に転送され得る。
【0056】
複数のネットワークハブ207及び/又は複数のネットワークスイッチ209を複数のネットワークルータ211と相互接続することによって、外科用データネットワーク201が拡張され得ることが理解されるであろう。モジュール式通信ハブ203は、複数のデバイス1a~1n/2a~2mを受け入れるように構成されたモジュール式制御タワー内に収容され得る。ローカルコンピュータシステム210はまた、モジュール式制御タワーに収容され得る。モジュール式通信ハブ203は、ディスプレイ212に接続されて、例えば外科処置中に、装置1a~1n/2a~2mのうちのいくつかによって取得された画像を表示する。様々な態様では、装置1a~1n/2a~2mとしては、外科用データネットワーク201のモジュール式通信ハブ203に接続され得るモジュール式装置の中でもとりわけ、例えば、内視鏡に連結された撮像モジュール138、エネルギーベースの外科用装置に連結された発生器モジュール140、排煙モジュール126、吸引/灌注モジュール128、通信モジュール130、プロセッサモジュール132、ストレージアレイ134、ディスプレイに連結された外科用装置、及び/又は非接触センサモジュールなどの様々なモジュールが挙げられ得る。
【0057】
一態様では、外科用データネットワーク201は、装置1a~1n/2a~2mをクラウドに接続する、ネットワークハブ、ネットワークスイッチ及びネットワークルータとの組み合わせを含んでもよい。ネットワークハブ又はネットワークスイッチに連結された装置1a~1n/2a~2mのいずれか1つ又は全ては、リアルタイムでデータを収集し、データ処理及び操作のためにデータをクラウドコンピュータに転送することができる。クラウドコンピューティングは、ソフトウェアアプリケーションを取り扱うために、ローカルサーバ又はパーソナル装置を有するのではなく、コンピューティングリソースを共有することに依存することは理解されるであろう。「クラウド」という語は、「インターネット」の隠喩として使用され得るが、この用語はそのように限定はされない。したがって、「クラウドコンピューティング」という用語は、本明細書では「インターネットベースのコンピューティングのうちの1つのタイプ」を指すように使用され得、この場合、サーバ、ストレージ及びアプリケーションなど様々なサービスは、手術室(例えば、固定式、移動式、一時的又は現場の手術室又は空間)に配置されたモジュール式通信ハブ203及び/又はコンピュータシステム210に、並びにインターネットを介して、モジュール式通信ハブ203及び/又はコンピュータシステム210に接続されたデバイスに配信される。クラウドインフラストラクチャは、クラウドサービスプロバイダによって維持され得る。この文脈において、クラウドサービスプロバイダは、1つ又は2つ以上の手術室内に位置するデバイス1a~1n/2a~2mの使用及び制御を調整する事業体であり得る。クラウドコンピューティングサービスは、スマート外科用器具、ロボット及び手術室内に位置する他のコンピュータ化装置によって収集されたデータに基づいて多数の計算を実施することができる。ハブハードウェアは、複数のデバイス又は接続部がクラウドコンピューティングリソース及びストレージと通信するコンピュータに接続することを可能にする。
【0058】
装置1a~1n/2a~2mによって収集されたデータにクラウドコンピュータデータ処理技術を適用することで、外科用データネットワークは、外科的転帰の改善、コスト低減及び患者満足度の改善を提供することができる。組織の封止及び切断処置後に、組織の状態を観察して封止された組織の漏出又は灌流を評価するために、装置1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかを用いることができる。クラウドベースのコンピューティングを使用して、身体組織のサンプルの画像を含むデータを診断目的で検査して疾患の影響などの病理を識別するために、装置1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかを用いることができる。そのようなデータには、組織の位置特定及びマージン確認並びに表現型が含まれ得る。撮像装置と一体化された様々なセンサを使用し、かつ複数の撮像装置によって捕捉された画像をオーバーレイするなどの技術を使用して、身体の解剖学的構造を識別するために、装置1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかを用いることができる。画像データを含む、装置1a~1n/2a~2mによって収集されたデータは、画像処理及び操作を含むデータ処理及び操作のために、クラウド204若しくはローカルコンピュータシステム210又はその両方に転送されてもよい。データは、組織特異的部位及び状態に対する内視鏡的介入、新興技術、標的化放射線、標的化介入及び精密ロボットの適用などの更なる治療を遂行できるかを判定することによって、外科処置の結果を改善するために分析されてもよい。こうしたデータ分析は、予後分析処理を更に用いてもよく、標準化された手法を使用することは、外科的治療及び外科医の挙動を確認するか、又は外科的治療及び外科医の挙動に対する修正を提案するかのいずれかのために有益なフィードバックを提供することができる。
【0059】
手術室装置1a~1nは、ネットワークハブに対する装置1a~1nの構成に応じて有線チャネル又は無線チャネルを介して、モジュール式通信ハブ203に接続されてもよい。ネットワークハブ207は、一態様では、開放型システム間相互接続(Open System Interconnection、OSI)モデルの物理層上で機能するローカルネットワークブロードキャストデバイスとして実装され得る。ネットワークハブは、同じ手術室ネットワーク内に位置する装置1a~1nに接続性を提供することができる。ネットワークハブ207は、パケットの形態のデータを収集し、それらを半二重モードでルータに送信し得る。ネットワークハブ207は、デバイスデータを転送するためにいずれの媒体アクセス制御/インターネットプロトコル(media access control、MAC/Internet Protocol、IP)も記憶することができない。デバイス1a~1nのうちの1つのみが、ネットワークハブ207を介して一度にデータを送信し得る。ネットワークハブ207は、情報の送信先に関するルーティングテーブル又はインテリジェンスを有することができず、全てのネットワークデータを各コネクション全体及びクラウド204上のリモートサーバ213(
図4)にブロードキャストする。ネットワークハブ207は、コリジョンなど基本的なネットワークエラーを検出することができるが、全ての情報を複数のポートにブロードキャストすることは、セキュリティリスクとなり、ボトルネックを引き起こすおそれがある。
【0060】
手術室デバイス2a~2mは、有線チャネル又は無線チャネルを介してネットワークスイッチ209に接続され得る。ネットワークスイッチ209は、OSIモデルのデータリンク層内で機能する。ネットワークスイッチ209は、同一手術室内に配置されたデバイス2a~2mをネットワークに接続するためのマルチキャストデバイスであり得る。ネットワークスイッチ209は、フレームの形態のデータをネットワークルータ211に送信することができ、全二重モードで機能する。複数のデバイス2a~2mは、ネットワークスイッチ209を介して同時にデータを送信し得る。ネットワークスイッチ209は、データを転送するためにデバイス2a~2mのMACアドレスを記憶し、使用する。
【0061】
ネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ209は、クラウド204に接続するためにネットワークルータ211に連結され得る。ネットワークルータ211は、OSIモデルのネットワーク層内で機能する。ネットワークルータ211は、装置1a~1n/2a~2mのいずれか1つ又は全てによって収集されたデータを更に処理及び操作するために、ネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ211から受信したデータパケットをクラウドベースのコンピュータリソースに送信するための経路を作成する。ネットワークルータ211は、例えば、同一医療施設の異なる手術室、又は異なる医療施設の異なる手術室に配置された異なるネットワークなど、異なる位置に配置された2つ以上の異なるネットワークを接続するために利用され得る。ネットワークルータ211は、パケットの形態のデータをクラウド204に送信でき、全二重モードで機能する。複数の装置が同時にデータを送信することができる。ネットワークルータ211は、データを転送するためにIPアドレスを使用する。
【0062】
一実施例では、ネットワークハブ207は、複数のUSBデバイスをホストコンピュータに接続することを可能にするUSBハブとして実装され得る。USBハブは、装置をホストシステムコンピュータに接続するために利用可能なポートが多くなるように、単一のUSBポートをいくつかの階層に拡張することができる。ネットワークハブ207は、有線チャネル又は無線チャネルを介して情報を受信するための有線機能又は無線機能を含み得る。一態様では、無線USB短距離高帯域無線通信プロトコルが、手術室内に位置する装置1a~1nと装置2a~2mとの間の通信のために用いられてもよい。
【0063】
例では、手術室装置1a~1n/2a~2mは、固定及びモバイル装置から短距離にわたってデータを交換し(2.4~2.485GHzのISM帯域における短波長UHF電波を使用して)、かつパーソナルエリアネットワーク(PAN)を構築するために、Bluetooth無線技術規格を介してモジュール式通信ハブ203と通信することができる。手術現場デバイス1a~1n/2a~2mは、いくつかの無線通信規格若しくは有線通信規格又はプロトコルを介してモジュール式通信ハブ203と通信してもよく、このような規格又はプロトコルとしては、Wi-Fi(IEEE802.11ファミリ)、WiMAX(IEEE802.16ファミリ)、IEEE802.20、無線(new radio、NR)、ロングタームエボリューション(long-term evolution、LTE)、並びにEv-DO、HSPA+、HSDPA+、HSUPA+、EDGE、GSM、GPRS、CDMA、TDMA、DECT、及びこれらのイーサネット派生物のみならず3G、4G、5G、及びそれ以降と指定される任意の他の無線プロトコル及び有線プロトコルが挙げられるが、これらに限定されない。コンピューティングモジュールは、複数の通信モジュールを含んでもよい。例えば、第1の通信モジュールは、Wi-Fi及びBluetoothなどのより短距離の無線通信専用であってもよく、第2の通信モジュールは、GPS、EDGE、GPRS、CDMA、WiMAX、LTE、Ev-DOなどのより長距離の無線通信専用であってもよい。
【0064】
モジュール式通信ハブ203は、手術室装置1a~1n/2a~2mの1つ又は全ての中央接続部として機能することができ、フレームとして知られるデータ型を取り扱える。フレームは、装置1a~1n/2a~2mによって生成されたデータを搬送できる。フレームがモジュール式通信ハブ203によって受信されると、フレームは増幅されてネットワークルータ211へ送信され、ネットワークルータ211は本明細書に記載されるように、数多くのワイヤレス又は有線通信規格又はプロトコルを使用することによって、このデータをクラウドコンピューティングリソースに転送する。
【0065】
モジュール式通信ハブ203は、スタンドアロンデバイスとして使用され得るか、又はより大きなネットワークを形成するために互換性のあるネットワークハブ及びネットワークスイッチに接続され得る。モジュール式通信ハブ203は、概して設置、構成、及び維持が容易であるため、手術室デバイス1a~1n/2a~2mをネットワーク形成するための良好な選択肢となり得る。
【0066】
図5は、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム200を示す。コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム200は、多くの点で、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム100と類似している。例えば、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム200は、多くの点で外科用システム102と類似する1つ又は2つ以上の外科用システム202を含む。各外科用システム202は、リモートサーバ213を含み得るクラウド204と通信する少なくとも1つの外科用ハブ206を含む。一態様では、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム200は、例えば、インテリジェント外科用器具、ロボット及び手術室内に位置する他のコンピュータ化装置などの複数の手術室装置に接続されたモジュール式制御タワー236を備える。
図6に示すように、モジュール式制御タワー236は、コンピュータシステム210に連結されたモジュール式通信ハブ203を備える。
【0067】
図5の実施例に示すように、モジュール式制御タワー236は、内視鏡239に連結され得る撮像モジュール238、エネルギー装置241に連結され得る発生器モジュール240、排煙器モジュール226、吸引/灌注モジュール228、通信モジュール230、プロセッサモジュール232、ストレージアレイ234、任意選択的にディスプレイ237に連結されたスマート装置/器具235及び非接触センサモジュール242に連結され得る。手術室デバイスは、モジュール式制御タワー236を介してクラウドコンピューティングリソース及びデータストレージに連結され得る。ロボットハブ222もまた、モジュール式制御タワー236及びクラウドコンピューティングリソースに接続されてもよい。とりわけ、装置/器具235、可視化システム208が、本明細書に記載されるように、有線又は無線通信規格又はプロトコルを介して、モジュール式制御タワー236に連結されてもよい。モジュール式制御タワー236は、撮像モジュール、装置/器具ディスプレイ及び/又は他の可視化システム208から受信した画像を表示及びオーバーレイするためにハブディスプレイ215(例えば、モニタ、スクリーン)に連結されてもよい。ハブディスプレイはまた、モジュール式制御タワーに接続されたデバイスから受信されたデータを、画像及び重ね合わせられた画像とともに表示してもよい。
【0068】
図6は、モジュール式制御タワー236に連結された複数のモジュールを備える外科用ハブ206を示す。モジュール式制御タワー236は、例えばネットワーク接続装置などのモジュール式通信ハブ203と、例えばローカルでの処理、可視化及び撮像を行うためのコンピュータシステム210と、を備え得る。
図6に示すように、モジュール式通信ハブ203は、モジュール式通信ハブ203に接続されてもよいモジュール(例えば、装置)の数を拡張するために階層化構成で接続されて、モジュールに関連付けられたデータをコンピュータシステム210、クラウドコンピューティングリソース、又はその両方に転送してもよい。
図6に示すように、モジュール式通信ハブ203内のネットワークハブ/スイッチの各々は、3つの下流ポート及び1つの上流ポートを含み得る。上流のネットワークハブ/スイッチは、クラウドコンピューティングリソース及びローカルディスプレイ217への通信接続を提供するためにプロセッサに接続され得る。クラウド204への通信は、有線通信チャネル又は無線通信チャネルのいずれかを介して行うことができる。
【0069】
手術用ハブ206は、手術室の寸法を測定し、超音波非接触測定デバイス又はレーザタイプ非接触測定デバイスのいずれかを使用して手術室のマップを生成するために、非接触センサモジュール242を利用し得る。超音波ベースの非接触センサモジュールは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年12月4日に出願された「METHOD OF HUB COMMUNICATION,PROCESSING,STORAGE AND DISPLAY」と題する米国特許出願公開第2019-0200844(A1)号(米国特許出願第16/209,385号)において「Surgical Hub Spatial Awareness Within an Operating Room」という見出しで記載されているように、超音波のバーストを送信し、それが手術室の周囲壁から跳ね返るときのエコーを受信することによって、手術室をスキャンすることができ、センサモジュールは、手術室のサイズを決定し、Bluetoothペアリング距離限界を調節するように構成される。レーザベースの非接触センサモジュールは、例えば、レーザ光パルスを送信し、手術室の周囲壁から跳ね返るレーザ光パルスを受信し、送信されたパルスの位相を受信したパルスと比較して手術室のサイズを決定し、Bluetoothペアリング距離限界を調節することによって、手術室をスキャンし得る。
【0070】
コンピュータシステム210は、プロセッサ244と、ネットワークインターフェース245と、を備え得る。プロセッサ244は、システムバスを介して、通信モジュール247、記憶デバイス248、メモリ249、不揮発性メモリ250、及び入力/出力インターフェース251に連結されていてもよい。システムバスは、任意の様々な利用可能なバスアーキテクチャを使用する、メモリバス若しくはメモリコントローラ、ペリフェラルバス若しくは外部バス、及び/又はローカルバスを含むいくつかのタイプのバス構造(複数可)のうちのいずれかとすることができ、それらのアーキテクチャの例としては、9ビットバス、業界標準アーキテクチャ(Industrial Standard Architecture、ISA)、マイクロチャネルアーキテクチャ(Micro-Charmel Architecture、MSA)、拡張ISA(Extended ISA、EISA)、インテリジェントドライブエレクトロニクス(Intelligent Drive Electronics、IDE)、VESAローカルバス(VESA Local Bus、VLB)、周辺装置相互接続(Peripheral Component Interconnect、PCI)、USB、アドバンスドグラフィックスポート(Advanced Graphics Port、AGP)、パーソナルコンピュータメモリカード国際協会バス(Personal Computer Memory Card International Association、PCMCIA)、小型計算機システムインターフェース(Small Computer Systems Interface、SCSI)、又は任意の他の独自バスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
プロセッサ244は、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであり得る。一態様では、プロセッサは、例えば、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。このプロセッサコアは、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルシリアルランダムアクセスメモリ(SRAM)、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部読み出し専用メモリ(ROM)、2KBの電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)及び/又は、1つ以上のパルス幅変調(PWM)モジュール、1つ以上の直交エンコーダ入力(QEI)アナログ、12個のアナログ入力チャネルを備える1つ以上の12ビットアナログ-デジタル変換器(ADC)を含む。なお、その詳細は、製品データシートで入手可能である。
【0072】
一態様では、プロセッサ244は、同じくTexas Instruments製のHercules ARM Cortex R4の商品名で知られるTMS570及びRM4xなどの2つのコントローラベースのファミリを含む安全コントローラを含んでもよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性及びメモリの選択肢を提供しながら、高度な集積型安全機構を提供するために、とりわけ、IEC61508及びISO26262の安全限界用途専用に構成されてもよい。
【0073】
システムメモリとしては、揮発性メモリ及び不揮発性メモリを挙げることができる。起動中などにコンピュータシステム内の要素間で情報を転送するための基本ルーチンを含む基本入出力システム(BIOS)は、不揮発性メモリに記憶される。例えば、不揮発性メモリとしては、ROM、プログラマブルROM(PROM)、電気的プログラマブルROM(EPROM)、EEPROM又はフラッシュメモリが挙げられ得る。揮発性メモリとしては、外部キャッシュメモリとして機能するランダムアクセスメモリ(RAM)が挙げられる。更に、RAMは、SRAM、ダイナミックRAM(DRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)、ダブルデータレートSDRAM(DDR SDRAM)、エンハンスドSDRAM(ESDRAM)、シンクリンクDRAM(SLDRAM)及びダイレクトランバスRAM(DRRAM)などの多くの形態で利用可能である。
【0074】
コンピュータシステム210はまた、例えば、ディスクストレージなどの取り外し可能/取り外し不可能な揮発性/不揮発性のコンピュータストレージ媒体を含み得る。ディスク記憶装置としては、磁気ディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、テープドライブ、Jazドライブ、Zipドライブ、LS-60ドライブ、フラッシュメモリカード又はメモリスティックのような装置を挙げることができるが、これらに限定されない。加えて、ディスク記憶装置は、上記の記憶媒体を、独立して、又は他の記憶媒体との組み合わせで含むことができる。他の記憶媒体としては、コンパクトディスクROM装置(CD-ROM)、コンパクトディスク記録可能ドライブ(CD-Rドライブ)、コンパクトディスク書き換え可能ドライブ(CD-RWドライブ)若しくはデジタル多用途ディスクROMドライブ(DVD-ROM)などの光ディスクドライブが挙げられるがこれらに限定されない。ディスク記憶装置のシステムバスへの接続を容易にするために、取り外し可能な又は取り外し不可能なインターフェースが用いられてもよい。
【0075】
コンピュータシステム210は、好適な動作環境において、記載したユーザと基本コンピュータリソースとの間で媒介として機能するソフトウェアを含み得ることを理解されたい。このようなソフトウェアとしてはオペレーティングシステムを挙げることができる。ディスク記憶装置上に記憶され得るオペレーティングシステムは、コンピュータシステムのリソースを制御及び割り当てするように機能し得る。システムアプリケーションは、システムメモリ内又はディスク記憶装置上のいずれかに記憶されたプログラムモジュール及びプログラムデータを介して、オペレーティングシステムによるリソース管理を活用し得る。本明細書に記載される様々な構成要素は、様々なオペレーティングシステム又はオペレーティングシステムの組み合わせで実装することができることを理解されたい。
【0076】
ユーザは、I/Oインターフェース251に連結された入力デバイスを介してコンピュータシステム210にコマンド又は情報を入力し得る。入力装置としては、マウス、トラックボール、スタイラス、タッチパッドなどのポインティング装置、キーボード、マイクロフォン、ジョイスティック、ゲームパッド、衛星放送受信アンテナ、スキャナ、TVチューナカード、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、ウェブカメラなどを挙げることができるが、これらに限定されない。これら及び他の入力装置は、インターフェースポートを介し、システムバスを通じてプロセッサに接続する。インターフェースポートとしては、例えば、シリアルポート、パラレルポート、ゲームポート及びUSBが挙げられる。出力装置は、入力装置と同じタイプのポートのうちのいくつかを使用する。したがって、例えば、USBポートを使用して、コンピュータシステムに入力を提供し、コンピュータシステムからの情報を出力装置に出力してもよい。出力アダプタは、特別なアダプタを必要とし得る出力装置の中でもとりわけ、モニタ、ディスプレイ、スピーカ及びプリンタなどのいくつかの出力装置が存在できることを示すために提供され得る。出力アダプタとしては、出力装置とシステムバスとの間の接続手段を提供するビデオ及びサウンドカードを挙げることができるが、これは例示としてのものであり、限定するものではない。リモートコンピュータなどの他の装置及び/又は装置のシステムは、入力及び出力機能の両方を提供できることに留意されたい。
【0077】
コンピュータシステム210は、クラウドコンピュータなどの1つ以上のリモートコンピュータ、又はローカルコンピュータへの論理接続を使用するネットワーク化環境で動作し得る。リモートクラウドコンピュータは、パーソナルコンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ワークステーション、マイクロプロセッサベースの機器、ピア装置又は他の一般的なネットワークノードなどであり得るが、典型的には、コンピュータシステムに関して説明される要素の多く又は全てを含む。簡潔にするために、リモートコンピュータとともに、メモリストレージ装置のみが示される。リモートコンピュータは、ネットワークインターフェースを介してコンピュータシステムに論理的に接続され、続いて、通信接続部を介して物理的に接続され得る。ネットワークインターフェースは、ローカルエリアネットワーク(LAN)及びワイドエリアネットワーク(WAN)などの通信ネットワークを包含し得る。LAN技術としては、光ファイバ分散データインターフェース(FDDI)、銅線分散データインターフェース(CDDI)、Ethernet/IEEE802.3、Token Ring/IEEE802.5などを挙げることができる。WAN技術としては、ポイントツーポイントリンク、統合サービスデジタルネットワーク(ISDN)及びその変形などの回路交換ネットワーク、パケット交換ネットワーク並びにデジタル加入者回線(DSL)を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0078】
様々な態様では、
図6のコンピュータシステム210、
図5、
図6の撮像モジュール238、及び/又は可視化システム208、及び/又はプロセッサモジュール232は、画像プロセッサ、画像処理エンジン、メディアプロセッサ、又はデジタル画像の処理に使用される任意の専用デジタル信号プロセッサ(DSP)を含んでもよい。画像プロセッサは、単一命令複数データ(SIMD)、又は複数命令複数データ(MIMD)技術を用いた並列コンピューティングを用いて速度及び効率を高めることができる。デジタル画像処理エンジンは、様々なタスクを実施することができる。画像プロセッサは、マルチコアプロセッサアーキテクチャを備えるチップ上のシステムであってもよい。
【0079】
通信接続部(複数可)とは、ネットワークインターフェースをバスに接続するために用いられるハードウェア/ソフトウェアを指してもよい。例示的な明瞭さのため通信接続部は、コンピュータシステム内部に示されているが、通信接続部は、コンピュータシステム210の外部にあってもよい。例示のみを目的として、ネットワークインターフェースへの接続に必要なハードウェア/ソフトウェアとしては、通常の電話グレードモデム、ケーブルモデム及びDSLモデムを含むモデム、ISDNアダプタ並びにイーサネットカードなどの内部及び外部技術を挙げることができる。
【0080】
図7は、例示的手術シミュレータシステムのブロック図である。手術シミュレータシステムは、シミュレーションデバイス30000を含み得る。手術シミュレータシステムは、アプリケーション作成デバイス30002、ヒューマンインターフェースデバイス30004、外科医エージェントデバイス30006、及び/又は手術データシステム30008を含み得る。
【0081】
シミュレーションデバイス30000は、コアシミュレーション機能を提供し得る。例えば、1つ以上のシミュレーションのロード/実行、ユーザ制御情報入力の受信及び処理、視覚、聴覚、及び/又は触覚情報出力の生成及び送信、シミュレーション動作及び活動情報の収集、並びに一次シミュレーションサイクル処理は、シミュレーションデバイス30000によって実行され得る。
【0082】
アプリケーション作成デバイス30002は、シミュレーション作成機能を提供し得る。個々のシミュレーションアプリケーションは、アプリケーションモジュール30010としてシミュレーションデバイス30000に記憶され得る。アプリケーションモジュール30010は、アプリケーション作成デバイス30002によって作成、変更、及び/又は削除され得る。アプリケーションモジュール30010は、シミュレーションデバイス30000の動作を指示するコンピュータ可読命令及び/又は実行可能命令を含み得る。例えば、アプリケーションモジュール30010は、情報を記憶して手術シミュレーションを実行するのに好適な任意のファイルタイプ、例えば、シミュレーションスクリプト、プログラミングコード、拡張マークアップ言語(Extensible Markup Language、XML)ファイルなど構造データファイル、データベースファイルなどを含み得る。
【0083】
アプリケーション作成デバイス30002は、アプリケーションモジュール30010を作成するための制御部を伴うグラフィカルユーザインターフェースを含み得る。アプリケーション作成デバイス3002は、シミュレーションデバイス30000と通信して、シミュレーション動作のためにアプリケーションモジュール30010を検索、変更、及び/又はロードすることができる。例えば、グラフィカルユーザインターフェースは、ユーザがシミュレーション活動を選択し、様々なシミュレーションパラメータを入力し、シミュレーション目的を設定し、シミュレーションの実行を確認することを可能にするインターフェース構造を含み得る。アプリケーション作成デバイス30002は、スタンドアロンデバイスとして提供され得、及び/又は、例えばシミュレーションデバイス30000と統合されるなど、手術シミュレーションシステムの1つ以上の他のデバイスと統合され得る。
【0084】
ヒューマンインターフェースデバイス30004は、人間のユーザがシミュレーションデバイス30000によって提供されるシミュレーションと相互作用することを可能にする、任意のハードウェア、ソフトウェア、及び/又はそれらの組み合わせを含み得る。ヒューマンインターフェースデバイス30004は、ユーザがシミュレーションデバイス300000に制御入力を提供すること、及び/又はシミュレーションデバイス30000から出力情報(視覚、聴覚、及び/又は触覚情報など)を受信することを可能にし得る。一実施例では、ヒューマンインターフェースデバイス30004は、従来のデスクトップコンピュータを含み得る。
【0085】
ヒューマンインターフェースデバイス30004は、好適な物理的機器を含み得る。例えば、ヒューマンインターフェースデバイス30004は、外科処置の態様を物理的に、及び/又は仮想的に模倣する物理的機器を含み得る。例えば、そのような機器としては、卓上ユニット、部分タスク仮想現実ユニット、高忠実度仮想現実ユニット、高忠実度フルサイズ患者ユニット、スイートユニット、高忠実度フル手術室ユニット、フル物理仮想現実ユニット、手術ロボットコンソールユニットなどが挙げられ得る。例えば、ヒューマンインターフェースデバイス30004は、Gallager et al,「Simulations for Procedural Training」,Fundamentals of Surgical Simulation,Principles and Practice,Springer(2012)によって開示されるコンピュータベースのシミュレータインターフェースなどデバイスを含み得る。
【0086】
ヒューマンインターフェースデバイス30004は、外科用器具を物理的に、及び/又は仮想的に模倣する物理的機器を含み得る。例えば、ヒューマンインターフェースデバイス30004は、トロカール、ハンドアクセスポート、気腹針、及びガイドシースなどアクセス機器など外科用器具(instruments)、器具(appliances)、及び消耗品を模倣する物理的デバイス;パッチ、ゼラチン、及び粉末など補助止血剤;伸延具及びプレートなど頭蓋顎顔面器具;バルーン及びインフレータ;診断カテーテル、アクセスカテーテル、血管カテーテル、及び治療カテーテルなどカテーテル;組織シーラー、剪断機、ブレード、及び鉗子などエネルギー封止及び解剖用デバイス;引き下げワイヤ、圧縮ねじ、プレート、インプラント、ドリル、バー、ロッド、及びコネクタなど整形外科用器具;切開及び内視鏡クリップアプライヤなど結紮具;マイクロ波アブレーション機器;ドレーン、縫合糸、結紮糸、持針器、回収器、及び縫合クリップなど補助内視鏡器具;オープンステープラ、内視鏡ステープラ、カッターステープラ、電動ステープラ、円形ステープラ、血管用ステープラ、線形ステープラ、ステープルカートリッジ、及びステープルライン補強アプリケータなど外科用ステープル留め機器;縫合糸、接着剤、針、及び結び目のない組織制御デバイスなど創傷閉鎖材料;低侵襲撮像デバイスなど撮像装置などを含み得る。例えば、ヒューマンインターフェースデバイス30004は、仮想現実ヘッドセットを用いて動作すると、上記で開示されたものなど外科用器具(instruments)、器具(appliances)、及び消耗品を模倣する、仮想現実ハンドヘルドコントローラを含み得る。
【0087】
ヒューマンインターフェースデバイス30004は、シミュレーションの視覚表現をユーザに伝達するディスプレイを含み得る。ヒューマンインターフェースデバイス30004は、コンピュータディスプレイを含み得る。ヒューマンインターフェースデバイス30004は、仮想現実ヘッドセットディスプレイを含み得る。例えば、仮想現実ヘッドセットディスプレイは、本明細書の
図2に開示されるものなど手術環境を表示するために使用され得る。そのような仮想現実ヘッドセットディスプレイを有するユーザは、例えば、患者、ロボットシステム110、外科医のコンソール118、手術ロボットハブ122、1つ以上の外科用ツール117、撮像デバイス124、患者側カート120、1つ以上のディスプレイ119、107、109など、外科手術室116内の要素のうちのいずれかを視認し得る、及び/又はいずれかと相互作用し得る。
【0088】
ヒューマンインターフェースデバイス30006は、外科医の視点を表す視覚情報を提示し得る。ヒューマンインターフェースデバイス30006は、関節鏡、血管内視鏡、気管支鏡、コレドコスコープ、コノスコープ、サイトスコープ、十二指腸内視鏡、腸鏡、上部消化管内視鏡(胃鏡)、内視鏡、喉頭鏡、鼻咽喉-腎盂鏡(nasopharyngo-neproscope)、S状結腸鏡、胸腔鏡、尿管鏡、及びそれらの関連器具、制御部などの模擬撮像デバイスからの視覚情報を提示し得る。ヒューマンインターフェースデバイス30006は、コンピュータ断層撮影(computed tomography、CT)ユニット、磁気共鳴撮像(magnetic resonance imaging、MRI)ユニット、画像誘導手術ユニット、術中超音波ユニットなど模擬補助術中撮像機器;蛍光透視ユニットなどからの視覚情報を提示し得る。そのような視点視覚情報、手術撮像情報、及び補足術中撮像情報は、シミュレーションの動作に好適な任意の組み合わせでユーザに表示され得る。例えば、そのような情報は、単一のフルスクリーンビュー、タイルウィンドウビュー、ピクチャインピクチャビューとしてユーザに提示され得るか、又は仮想現実ビューの模擬ディスプレイユニットに登録され得る。
【0089】
ヒューマンインターフェースデバイス30004は、物理及び/又は仮想現実手術ロボット外科医コンソールを含み得る。例えば、例示的外科医コンソール様ヒューマンインターフェースデバイス30004は、立体視ディスプレイなどディスプレイと、ハンドヘルドマニピュレータ、フットペダルなどを含む制御入力と、を含み得る。例えば、外科医コンソール様ヒューマンインターフェースデバイス30004は、本明細書に開示される外科医のコンソール118のインターフェースを含み得る。ヒューマンインターフェースデバイス30004は、例えば、マイクロフォン及び音声認識機能によって音声制御を可能にし得る。ヒューマンインターフェースデバイス30004は、例えばスピーカによって可聴フィードバックを提供し得る。ヒューマンインターフェースデバイス30004は、例えば、振動、力フィードバック、ボルテックスリング、及び超音波技法によって触覚フィードバックを提供し得る。
【0090】
実装される場合、ヒューマンインターフェースデバイス30004は、スタンドアロンデバイスとして設けられ得、及び/又は、例えばシミュレーションデバイス30000と統合されるなど、手術シミュレーションシステムの1つ以上の他のデバイスと統合され得る。シミュレーションデバイス30000は、ヒューマンインターフェースデバイス30004と通信するためのインターフェースモジュール30012を含み得る。一実施例では、ヒューマンインターフェースデバイス30004は、コンピュータ実装インタラクティブ手術システム100の1つ以上の要素に統合され得る。例えば、ヒューマンインターフェースデバイス30004は、コンピュータシステム210に統合され得る。例えば、ヒューマンインターフェースデバイス30004は、ハブ106に統合され得る。例えば、ヒューマンインターフェースデバイス30004は、視覚化システム108に統合され得る。インターフェースモジュール30012は、例えば、手術データシステムインターフェースモジュール30014を介してコンピュータ実装インタラクティブ手術システム100の1つ以上の要素と通信し得る。
【0091】
一実施形態では、2つ以上のヒューマンインターフェースデバイス30004がシミュレーションデバイス30000と同時に連動し得る。例えば、多人数シミュレーションアプリケーション
【0092】
外科医エージェントデバイス30006は、シミュレーションデバイス30000の入力及び出力に対するコンピュータベースの制御及び応答を提供するのに好適な任意のハードウェア及び/又はソフトウェアを含み得る。外科医エージェントデバイス30006は、シミュレーションデバイス30000への人間の入力を模倣するコンピュータ処理を含み得る。例えば、外科医エージェントデバイス30006は、基本的な器具操作など制御入力を記録し、登録することが可能であり得る。外科医エージェントデバイス30006は、シミュレーションデバイス30000の入力/出力アプリケーションプログラミングインターフェース(application programming interface、API)にアクセスすることができる、コンピュータ処理を含み得る。例えば、APIは、外科医エージェントデバイス3006に従って指示され得る1つ以上の入力/出力機能を明らかにし得る。機能は、機器の位置及び動きを直接制御する機能など粒度の細かい操作及び物理ベースの入力/出力機能を含み得る。機能は、結紮活動、縫合活動、ステープル留め活動などより粒度の粗い活動ベースの入力/出力機能を含み得る。機能は、外科的アクセス機能、臓器授動機能などより粒度の粗い外手術タスク及び/又はステージベースの入力/出力機能を含み得る。各機能は、粒度のレベルと一致するパラメータを含み得る。パラメータは、シミュレーション内での機能の動作を指示するための特定の詳細を提供し得る。外科医エージェント30006は、複数のシミュレーション実行を生成し、操作するための機能を含み得る。例えば、ユーザは、様々な縫合技法の持続時間を推定することを望む場合がある。外科医エージェントデバイス30006は、任意の数の異なる技法のシミュレーションを計画するために使用され得、そのそれぞれは、シミュレーションデバイスを介して実行され得、シミュレーションデバイスによって収集されたメトリックは、持続時間の差異を推定するために使用され得る。
【0093】
外科医エージェントデバイス30006は、スタンドアロンデバイスとして提供され得、及び/又は、例えばシミュレーションデバイス30000と統合されるなど、手術シミュレーションシステムの1つ以上の他のデバイスと統合され得る。シミュレーションデバイス30000は、外科医エージェントデバイス30006と通信するためのインターフェースモジュール30012を含み得る。例えば、外科医エージェントデバイス30006は、シミュレーションデバイス30000のモジュールとして統合され得る。例えば、外科医エージェントデバイス30006は、シミュレーションデバイスのアプリケーションモジュール30010に統合され得る。
【0094】
手術データシステム30008は、外部の構造化された手術情報及び機能をシミュレーションデバイス30000に提供するのに好適な任意のハードウェア及び/又はソフトウェアを含み得る。手術データシステム30008は、本明細書の
図1~
図6に関連して説明される構造及び/又は機能を含み得る。例えば、手術データシステム30008は、コンピュータ実装インタラクティブ手術システム100の1つ以上の要素を含み得る。手術データシステム30008は、例えば、手術用ハブ106を含み得る。例えば、シミュレーションデバイス30000は、手術用ハブの通信モジュール130を介した手術用ハブ106との通信を可能にする手術データシステムインターフェースモジュール30014を含む。手術データシステム30008は、例えば、1つ以上の手術データリポジトリを含み得る。例えば、手術データシステム30008は、手術室に配置されたコンピュータシステム210を含み得る。例えば、手術データシステム30008は、クラウド204内に遠隔サーバ213を含み得る。
【0095】
例えば、手術用ハブ106など手術データシステム30008は、シミュレーションデバイス30000及び/又はアプリケーション作成デバイス30002にデータを提供し得る。例えば、データは、手術用ハブ106によって収集された、及び/又は生成された任意の手術データを含み得る。また例えば、シミュレーションデバイス30000は、
図1~
図6に開示されたネットワーク化されたデバイスのいずれかから同様のデータを直接受信し得る。そのようなデータは、例えば、ライブ外科処置に関する情報を含み得る。そのようなデータは、過去の外科処置に関する情報を含み得る。そのようなデータは、将来の予定された外科処置に関する情報を含み得る。
【0096】
外科処置に関する情報は、患者、スタッフ、計画された処置、経験した処置、及び患者転帰など術後活動に関する情報を含み得る。例えば、シミュレーションデバイスによって受信され、使用される情報は、患者の記録、患者の画像、患者の解剖学的構造のモデル、患者の検査結果、患者の病歴などを含み得る。例えば、シミュレーションデバイスによって受信され、使用される情報は、処置のスタッフ名簿、特定のスタッフメンバーの過去の処置に関する詳細、スタッフメトリック、経験、最近の日程及び作業負荷、並びに過去の手術活動(そのような器具の使用統計、処置期間など)を含み得る。例えば、シミュレーションデバイスによって受信され、使用される情報は、処置計画、機器及び在庫情報、プルリスト、チェックリスト、処置計画分析、並びに推奨を含み得る。例えば、シミュレーションデバイスによって受信され、使用される情報は、ライブ処置中に収集されたか、又は生成された任意のデータ、例えば、処置の進捗状況、マイルストーン、患者情報、バイタル、手術室のセットアップ、スタッフの動き、画像、器具の使用、手術技法、例えば、ビデオによって取り込まれたもの、手動で記録されたもの、及び/又は例えば、持続時間、異常事象の報告などスマート器具による報告から推測されたものなどを含み得る。ライブ処置中に捕捉されたあらゆるデータもまた、記憶され、過去の処置として利用可能にされ得る。例えば、シミュレーションデバイスによって受信され、使用される情報は、術後記録、患者の回復情報、及び患者の転帰情報、検査、画像など術後診断情報を含み得る。
【0097】
シミュレーションデバイス30000は、1つ以上のシミュレーションを実行するのに好適な任意のコンピュータ又は処理プラットフォームを含み得る。シミュレーションは、コンピュータでモデル化された外科処置環境を含み得る。例えば、シミュレーションは、患者の解剖学的構造及び/又は生理学的構造のモデルを含み得る。例えば、シミュレーションは、外科医、看護師、他の医師、技術者などの行動など1人以上の医療従事者の行動及び/又は器具のモデルを含み得る。
【0098】
シミュレーションデバイス30000は、1つ以上の追加の機能モジュールを含み得る。各モジュールは、モジュールの機能を可能にするハードウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせを含み得る。協調して動作する1つ以上のモジュールは、医療処置のシミュレーションが実行され得るコンピュータフレームワークを表し得る。モジュールは、コンピュータ処理ユニット、グラフィックス処理ユニット、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array、FPGA)、通信ハードウェア、メモリなどのハードウェア要素を含み得る。モジュールは、プロセッサによって実行されるとモジュールに特定の機能を実行させるソフトウェア要素を含み得る。
【0099】
シミュレーションデバイスは、例えば、コアシミュレーションモジュール30016、シミュレーションアプリケーションモジュールディレクトリ30018、インターフェースモジュール30012、物体特性モジュール30020、物理モジュール30022、生理学的モデル30024、テクスチャモデル30026、3Dグラフィックスパイプライン30028、手術データシステムインターフェースモジュール30014、メトリック抽出モジュール30030、セッション記憶及び管理モジュール30032を含み得る。シミュレーションデバイスは、オペレーティングシステムモジュール30034を含み得る。
【0100】
コアシミュレーションモデル30016は、シミュレーションデバイス30000の主要シミュレーション機能を提供し得る。例えば、コアシミュレーションモジュール30016は、シミュレーションを初期化するための、シミュレーションデバイス30000の他のモジュールと通信し、相互作用するための、及び/又はアーキテクチャレベルのシミュレーションパラメータを管理するためのコードを含み得る。例えば、コアシミュレーションモジュール30016は、シミュレーションデバイス30000のモジュールの動作の時間整合及び/又は調整を提供するために、マスタイベントクロックを含み得る。例えば、コアシミュレーションモジュール30016は、シミュレーションフレームレート全般を確立し得る。
【0101】
コアシミュレーションモジュール30016は、マスタシミュレーションサイクルを提供するためのコアを含み得る。コアシミュレーションモジュール30016は、マスタシミュレーションサイクルの1つ以上の繰り返しを実行し得る。マスタシミュレーションサイクルの各繰り返しは、シミュレーションの個々のタイムスライスを表し得る。一実施例では、コアシミュレーションモジュール30016は、
図10に開示されるフローに従ってマスタシミュレーションサイクルを実行し得る。
【0102】
シミュレーションアプリケーションモジュールディレクトリ30018は、1つ以上のアプリケーションモジュール30010の記憶、検索、及び/又はリンクを管理し得る。各アプリケーションモジュール30010は、シミュレーションのアプリケーションレベルの態様を指示するコードを含み得る。例えば、アプリケーションモジュール30010は、特定の解剖学的構造、特定の教示スコープ、特定の機器のシミュレーションなどを提供する機能を含み得る。例示的シミュレーションデバイス30000では、アプリケーション固有のシミュレーションデバイス30000は、シミュレーションアプリケーションモジュールディレクトリ30010の有無にかかわらず、単一のアプリケーションモジュール30010とともに動作し得る。シミュレーションアプリケーションモジュールディレクトリ30018は、コアシミュレーションモジュール30016及び/又はアプリケーション作成デバイス30002との相互作用に基づいて動作し得る。
【0103】
インターフェースモジュール30012は、ヒューマンインターフェースデバイス30004及び/又は外科医エージェントデバイス30006と相互作用するための機能を提供し得る。例えば、インターフェースモジュール30012は、ヒューマンインターフェースデバイス30004から受信した情報をソフトウェアコマンド、割り込みなどに変換するための1つ以上のドライバを含み得る。例えば、インターフェースモジュール30012は、外科医エージェント30006と相互作用するためのソフトウェアアプリケーションプログラミングインターフェース(API)を含み得る。インターフェースモジュール30012は、ヒューマンインターフェースモジュール30004及び/又は外科医エージェントデバイス30006から受信した情報をシミュレーションデバイス30000の他のモジュールに提供し得る。例えば、インターフェースモジュール30012は、模擬器具の動きを表す制御入力をヒューマンインターフェースモジュール30004及び/又は外科医エージェントデバイス30006から受信し、当該情報をシミュレーションデバイス30000の1つ以上の他のモジュールに提供し得、それにより、動きがシミュレーションで表され得る。
【0104】
インターフェースモジュール30012は、外科医エージェントデバイス30006とのより粒度の細かい相互作用を可能にするためにAPIを提供し得る。例えば、APIは、外科医エージェントデバイス30006からシミュレーションパラメータ及びシミュレーション設定を受信するためのインターフェースを提供し得る。そのようなシミュレーションパラメータ及び/又はシミュレーション設定は、例えば、アプリケーション作成デバイス30002を介したユーザによるそれらの入力と同様であり得る。例えば、外科医エージェントデバイス30006では、シミュレーションデバイス30000によって1つ以上のコンピュータ制御シミュレーショントライアルを実行することが可能であり得る。例えば、外科医エージェントデバイス30006では、それぞれが代替相互作用を伴う、複数のシミュレーションを実行することが可能であり得る。
【0105】
インターフェースモジュール30012は、シミュレーションデバイス30000からの出力をヒューマンインターフェースデバイス30004及び/又は外科医エージェントデバイス30006に送信し得る。例えば、出力としては、視覚出力、触覚出力、音声出力、及び/又は構造化データ出力などが挙げられ得る。
【0106】
物体特性モジュール30020は、シミュレーション内の物体の模擬外観及び/又は挙動を管理するための機能を提供し得る。模擬物体としては、解剖学的構造、器具、機器、消耗品、流体など物体が挙げられ得る。物体の外観は、位置、寸法、スケール、材料、親/子関係、頂点、面、対話性、透明度、軌跡、レンダリング特性、テクスチャ、表面反射率、モーションブラー、レイヤリングなど物体特性によって管理され得る。物体の挙動は、物理特性、質量、運動、衝突挙動、弾性、粘度、表面張力、リギング制約、硬度、剪断強度、引き裂き挙動、粒度など物体特性によって管理され得る。
【0107】
物理モジュール30022は、シミュレーション内の物体の物理的応答及び/又は相互作用を計算する機能を提供し得る。物理モジュールは、古典力学、流体力学、軟体力学、ブラウン運動、衝突検出、布挙動、有限要素解析などに従って、そのような応答及び/又は相互作用を決定し得る。物理モジュール30022は、PhysX(商標)、Simulation Open Framework Architecture(Simulation Open Framework Architecture、SOFA)(商標)、VisSim(商標)などの商用モジュール及び/又はオープンソースモジュールを含み得る。
【0108】
生理学的モジュール30024は、シミュレーションにおいて解剖学的構造及び/又は患者の生理学的応答及び/又は相互作用全般を計算する機能を提供し得る。生理学的モジュール30024は、重要な器官及び/又は系の生理学的モデルを提供し得る。生理学的モデルは、数学モデル、統計モデルなどを含み得る。例えば、生理学的モジュール30024は、患者のバイタルをモジュール化して、シミュレーション中に実行された活動に対する患者の反応及び/又は相互作用を計算し得る。例えば、循環モデルは、シミュレーションにおいて切断された血管に応答して血圧を計算し得る。生理学的モジュール30024及び物理モジュール30022は、シミュレーションの各状態の計算中に互いに協調し得る。例えば、循環モデルによって計算された血圧は、物理モジュール30022によって計算され、物体特性モジュール30020によって管理される流体力学特性を決定するために使用され得る。
【0109】
テクスチャモジュール30026は、シミュレーション内の物体の適切な表面を決定、検索、及び/又は生成する機能を提供し得る。テクスチャモジュール30026は、シミュレーションのパラメータに従って制御され得る1つ以上の表面モダリティを含み得る。表面モダリティは、人工的に生成された表面、実世界の画像に基づいた表面、及びそれらの組み合わせを含み得る。テクスチャモジュール30026は、ユーザインターフェースモジュール30012を介してユーザに正確な触覚フィードバックを提供するために物理モジュール30022と動作を調整し得る。
【0110】
3Dグラフィックスパイプライン30028は、シミュレーション環境の視覚的レンダリングに機能を提供し得る。3Dグラフィックスパイプライン30028は、物体特性及び奥行を受信し得る。3Dグラフィックスパイプライン30028は、カメラ視点から見た3D空間内の物体を表す、ユーザに提示されるべき視覚化を決定し得る。3Dグラフィックスパイプライン30028は、ライティング、投影、クリッピング、ビュー変換などレンダリングの幾何学的態様を決定し得る。3Dグラフィックスパイプライン30028は、フラグメンテーション、ピクセルシェーディング、頂点シェーディング、ジオメトリ共有、テクスチャフィルタリングなど、レンダリングのラスタ化態様を決定し得る。3Dグラフィックスパイプライン30028は、テクスチャモジュール30026と協調して、インターフェースモジュール30012を介してユーザに正確な視覚フィードバックを提供し得る。
【0111】
手術データシステムインターフェースモジュール30014は、コンピュータ実装インタラクティブ手術システム100の1つ以上の要素にインタラクティブ接続性を提供し得る。コンピュータ実装インタラクティブ手術システム100の1つ以上の要素からの情報は、手術データシステムインターフェースモジュール30014を介して、シミュレーションデバイス30000の1つ以上のモジュールに通信され、シミュレーションの動作に影響を及ぼし得る。例えば、手術データシステムインターフェースモジュール30014は、外科処置に関する情報を受信し、それを対応するアプリケーションモジュール30010に通信し得る。例えば、手術データシステムインターフェースモジュール30014は、器具に関する情報を受信し、それを物体特性モジュール30020に通信し得る。例えば、手術データシステムインターフェースモジュール30014は、患者に関する情報を受信し、生理学的モジュールに通信し得る。例えば、手術データシステムインターフェースモジュール30014は、組織画像に関する情報を受信し、それをテクスチャモジュール30026に通信し得る。
【0112】
シミュレーションデバイス30000のモジュールからの情報は、手術データシステムインターフェース30014を介して、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム100の1つ又は2つ以上の要素に提供され得る。例えば、コンピュータ実装インタラクティブ手術システム100の1つ以上の要素は、メトリック抽出モジュール30030からの模擬処置計画に関連する統計を受信し得る。例えば、コンピュータ実装インタラクティブ手術システム100の1つ以上の要素は、セッション記憶及び管理モジュール30032から、再現されたシミュレーション視覚化処置計画を受信し得る。例えば、手術データシステムインターフェースモジュール30014は、インターフェースモジュール30012とコンピュータ実装インタラクティブ手術システム100の1つ以上の要素との間に通信経路を提供し得る。例えば、ライブ外科処置中の外科医は、手術室からシミュレーション情報にアクセスし得る、及び/又はシミュレーションを操作し得る。例えば、外科医は、外科医コンソール118を使用して、ライブ外科処置に対応するシミュレーションにアクセスすることができる、及び/又は当該シミュレーションと対話することができる。
【0113】
メトリック抽出モジュール30014は、シミュレーションの動作に関連する様々なパラメータの記録機能を提供し得る。例えば、メトリック抽出モジュール30014は、持続時間、活動の数、動きの数、動きの複雑さ、参加したスタッフ、スタッフの動き、機器及び/又は器具の変更などシミュレーション全般に関連するメトリックを記録し得る。例えば、メトリック抽出モジュール30014は、模擬患者バイタル、合併症、衝突、出血などシミュレーションの特定側面に関連するメトリックを記録し得る。メトリック抽出モジュール30014は、シミュレーション中にメトリック関連事象のマスタログを維持し得る。メトリック抽出モジュール30014は、シミュレーションに使用されるアプリケーションモジュール30010からの構成に従ってメトリック関連事象を記録し得る。
【0114】
セッション記憶及び管理モジュール30032は、メインシミュレーション実行記録の管理機能を提供し得る。例えば、セッション記憶及び管理モジュール30032は、シミュレーションが全体として再実行され、表示され、及び/又は分析されることを可能にする情報を記憶し得る。セッション記憶及び管理モジュール30032は、
図10に関して開示される入力、シミュレーション状態、及び出力など各入力、シミュレーション状態、及び出力に関する情報を記憶し得る。セッション記憶及び管理モジュール30032は、以前のシミュレーションが、新しいユーザ入力によって呼び出され、コピーされ、初期化されることを可能にし得る。例示すると、訓練中の外科医は、経験豊富な外科医によって実行されたシミュレーションを呼び出し、重要なステップにおいてシミュレーションを一時停止させ、自身でそのステップを試みることができる。セッション記憶及び管理モジュール30032は、特定のシミュレーションの様々な実行間でオーバーレイ機能を提供し得る。そのようなオーバーレイは、類似性及び差異を強調し得、訓練を強化し得る。
【0115】
オペレーティングシステムモジュール30034は、シミュレーションデバイス30000のハードウェアリソース及び/又はソフトウェアリソースを管理し得る。オペレーティングシステムモジュール30034は、シミュレーションデバイス30000の他のモジュールにコンピューティングシステムレベルの共通サービスを提供し得る。例えば、オペレーティングシステムモジュール30034は、ハードウェア入出力処理、メモリ割り当て、ハードウェア割込み処理、ソフトウェア割込み処理、スレッド処理、シングルタスク処理、マルチタスク処理などを提供し得る。シミュレーションデバイス30000は、リアルタイムコンピューティングデバイスであり得る。オペレーティングシステムモジュール30034は、リアルタイムオペレーティングシステムを含み得る。例えば、オペレーティングシステムモジュール30034は、コアシミュレーションモジュール30016によって確立されたイベント及びフレームレートによって駆動され得る。
【0116】
図8は、例示的手術シミュレータシステムのブロック図である。シミュレーションデバイス30000は、例示的ハードウェアアーキテクチャとともに示されている。例えば、シミュレーションデバイス30000は、プロセッサ30034、メモリ30036、ストレージ30038、ディスプレイアダプタ30040、操作インターフェースアダプタ30042、手術データシステムアダプタ30044、及び/又はネットワークアダプタ30046を含み得る。プロセッサ30034、メモリ30036、ストレージ30038、ディスプレイアダプタ30040、操作インターフェースアダプタ30042、手術データシステムアダプタ30044、及び/又はネットワークアダプタ30046のうちの1つ以上は、本明細書に開示されるシミュレーションデバイス30000のモジュールの動作を可能にするために使用され得る。
【0117】
プロセッサ30046は、コンピュータ処理ユニット、グラフィックス処理ユニット、任意の適切なマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)など、並びに/又はコンピュータエージェント及び/若しくは人間のユーザとの相互作用のために3D模擬環境を処理し、提供するのに好適である、それらの任意の組み合わせを含み得る。一実施例では、プロセッサ30046は、1つ以上の処理ユニットを含み得る。プロセッサ30046は、本明細書に開示されるデジタル処理要件を実施するように、任意の好適な深さのプロセッサであり得る。例えば、プロセッサ30046は、32ビットのプロセッサ、64ビットのプロセッサ、128ビットのプロセッサなど。
【0118】
そのようなプロセッサは、プロセッサによって実行されると、プロセッサによって実行又は支援されるものとして本明細書に記載されるステップをプロセッサに実行させることができる命令を記憶し得る媒体、例えばコンピュータ可読媒体を備え得るか、又はそれと通信し得る。コンピュータ可読媒体のいくつかの実施形態は、限定するものではないが、ウェブサーバ内のプロセッサなどプロセッサにコンピュータ可読命令を提供することができる電子、光学式、磁気、又は他の記憶デバイスを含み得る。媒体の他の例は、フロッピーディスク、CD-ROM、磁気ディスク、メモリチップ、ROM、RAM、ASIC、構成されたプロセッサ、全ての光媒体、全ての磁気テープ若しくは他の磁気媒体、又はコンピュータプロセッサが読み取ることができる任意の他の媒体を含むが、これらに限定されない。説明されるプロセッサ及び処理は、1つ以上の構造であり得、1つ以上の構造を介して分散され得る。プロセッサは、本明細書で説明される方法のうちの1つ以上(又は方法の一部)を実行するためのコードを含み得る。
【0119】
メモリ30036は、データを記憶するのに好適な任意の構成要素又は構成要素の集合を含み得る。例えば、メモリ30036は、揮発性メモリ及び/又は不揮発性メモリを含み得る。メモリ30036は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(read-only memory、ROM)、消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(erasable programmable read-only memory、EPROM)、電気的に消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(electrically erasable programmable read-only memory、EEPROM)、フラッシュメモリなどを含み得る。
【0120】
ストレージ30038は、大量のデータを記憶するのに好適な任意の構成要素又は構成要素の集合を含み得る。例えば、ストレージ30038は、ハードディスクドライブ(hard disk drive、HDD)、ソリッドステートドライブ(solid state drive、SSD)、ネットワーク接続ストレージ(network-attached storage、NAS)などを含み得る。ストレージ30038は、データベース構造及び/又はデータベース管理システム(database management system、DBMS)を含み得る。
【0121】
ディスプレイアダプタ30040は、3Dシミュレーション環境の視覚表現を出力するのに好適な任意の構成要素又は構成要素の集合を含み得る。例えば、ディスプレイアダプタ30040は、グラフィックスカード、ディスプレイカード、グラフィックスアダプタなどを含み得る。ディスプレイアダプタ30040は、ヒューマンインターフェースデバイス30004のディスプレイなどディスプレイデバイスへの出力画像のフィードを生成するために使用され得る。ディスプレイアダプタ30040は、グラフィックス処理ユニット(graphics processing unit、GPU)を含み得る。ディスプレイアダプタ30040は、例えば、グラフィックスパイプラインをレンダリングするためのハードウェアを含み得る。操作インターフェースアダプタ30042は、ヒューマンインターフェースデバイスから操作情報を受信し、及び/又はヒューマンインターフェースデバイスにフィードバック情報を出力するのに好適な任意の構成要素又は構成要素の集合を含み得る。例えば、操作インターフェースアダプタ30042は、仮想現実ヘッドセットから動作追跡情報を受信し、次に、ユーザに表示されているビューを操作し得る。例えば、操作インターフェースアダプタ30042は、手術器具を操作しているユーザを示す制御入力を受信し、次に、ユーザのハンドヘルドデバイスに触覚フィードバックを出力し得る。例えば、操作インターフェースアダプタ30042は、従来のデスクトップキーボード及びマウスから制御情報を受信し得る。操作インターフェースアダプタは、シリアル入力/出力ポート、パラレル入力/出力ポート、ユニバーサル非同期送受信機(universal asynchronous receiver transmitter、UART)、ディスクリート論理入力/出力ピン、アナログ-デジタル変換器、デジタル-アナログ変換器、ユニバーサルシリアルバス(universal serial bus、USBI)ポート、USB-Cポート、FireWireポート、高性能パラレルインターフェース(High Performance Parallel Interface、HIPPI)、Thunderboltポート、Yapbus、イーサネット、ギガビットイーサネット、及び/又は任意の他の好適な周辺インターフェース技術など入力/出力ハードウェアを含み得る。
【0122】
手術データシステムアダプタ30044は、手術データシステム30008と通信するのに好適な任意の構成要素又は構成要素の集合を含み得る。手術データシステムアダプタ30044は、シミュレーションデバイス30000と手術データシステム30008との間に物理チャネルを確立するための通信ハードウェアを含み得る。例えば、手術データシステムアダプタ30044は、USBポート、USB-Cポート、FireWireポート、HIPPIポート、Thunderboltポート、Yapbusポート、イーサネットポート、ギガビットイーサネットポート、及び/又は任意の他の好適な周辺インターフェースを含み得る。手術データシステムアダプタ30044は、ネットワークアダプタ30046及びネットワーク30048を介してシミュレーションデバイス30000と手術データシステム30008との間に論理チャネルを確立するためのハードウェア、ソフトウェア、及び/又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0123】
ネットワークアダプタ30046は、例えばネットワーク30048などネットワークを介した通信に好適な任意の構成要素又は構成要素の集合を含み得る。ネットワークアダプタ30046は、ローカルエリアネットワーク(local area network、LAN)、ワイドエリアネットワーク(wide area network、WAN)、及び/又はモバイルネットワークなどを介した通信を可能にし得る。LAN技術としては、光ファイバ分散データインターフェース(FDDI)、銅線分散データインターフェース(CDDI)、Ethernet/IEEE802.3、Token Ring/IEEE802.5、Wi-Fi/IEEE 802.11などを挙げることができる。WAN技術としては、ポイントツーポイントリンク、統合サービスデジタルネットワーク(ISDN)及びその変形などの回路交換ネットワーク、パケット交換ネットワーク並びにデジタル加入者回線(DSL)を挙げることができるが、これらに限定されない。モバイルネットワークは、GSM/GPRS/EDGE(2G)、UMTS/HSPA(3G)、ロングタームエボリューション(LTE)又は4G、LTEアドバンスト(LTE-A)、ニューラジオ(NR)又は5Gなどのモバイル通信プロトコルのうちの1つ以上に基づく通信リンクを含み得る。
【0124】
一実施形態では、ネットワークアダプタ30046は、5Gネットワークアダプタなど無線ネットワークアダプタを含み得る。そのような5Gネットワークアダプタ30046は、5G New Radio(NR)トランシーバを使用して、拡張モバイルブロードバンド(enhanced mobile broadband、eMBB)に超高信頼低遅延通信(ultra-reliable and low latency communication、URLLC)を提供し得る。そのような5Gネットワークアダプタ30046は、3.5GHz~7GHz及び/又は24GHz~48GHz帯域などより高い無線帯域など無線帯域を使用し得る。そのような5Gネットワークアダプタ30046にサービス提供するネットワーク30048としては、パブリックワイヤレスネットワーク、セミプライベート(例えば、ネットワークスライシングベースの)ネットワーク、及び/又は完全プライベートワイヤレスネットワークが挙げられ得る。
【0125】
図9は、例示的手術シミュレータのユーザインターフェースデバイス30004を描写する、ブロック図である。ヒューマンユーザインターフェースデバイス30004は、例示的ハードウェアアーキテクチャとともに示されている。例えば、ヒューマンユーザインターフェースデバイス30004は、プロセッサ30050、メモリ30052、ディスプレイサブシステム30054、及び/又は操作サブシステム30056を含み得る。
【0126】
プロセッサ30050は、コンピュータ処理ユニット、グラフィックス処理ユニット、任意の好適なマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)など、及び/又はシミュレーションデバイス30000から受信した視覚情報の表示、シミュレーションデバイスに送信するための操作情報の処理、シミュレーションデバイス30000から受信したフィードバック情報の処理などに関連する処理を取り扱うのに好適なそれらの任意の組み合わせを含み得る。プロセッサ30050は、ユーザからの制御操作を検知するために1つ以上のローカルセンサとインターフェースし、及び/又はユーザからのフィードバックを提供するために1つ以上のローカルアクチュエータとインターフェースするためのマイクロコントローラを含み得る。
【0127】
そのようなプロセッサは、プロセッサによって実行されると、プロセッサによって実行又は支援されるものとして本明細書に記載されるステップをプロセッサに実行させることができる命令を記憶し得る媒体、例えばコンピュータ可読媒体を備え得るか、又はそれと通信し得る。コンピュータ可読媒体のいくつかの実施形態は、限定するものではないが、ウェブサーバ内のプロセッサなどプロセッサにコンピュータ可読命令を提供することができる電子、光学式、磁気、又は他の記憶デバイスを含み得る。媒体の他の例は、フロッピーディスク、CD-ROM、磁気ディスク、メモリチップ、ROM、RAM、ASIC、構成されたプロセッサ、全ての光媒体、全ての磁気テープ若しくは他の磁気媒体、又はコンピュータプロセッサが読み取ることができる任意の他の媒体を含むが、これらに限定されない。説明されるプロセッサ及び処理は、1つ以上の構造であり得、1つ以上の構造を介して分散され得る。プロセッサは、本明細書で説明される方法のうちの1つ以上(又は方法の一部)を実行するためのコードを含み得る。
【0128】
メモリ30036は、データを記憶するのに好適な任意の構成要素又は構成要素の集合を含み得る。例えば、メモリ30036は、揮発性メモリ及び/又は不揮発性メモリを含み得る。メモリ30036は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリなどを含み得る。
【0129】
ディスプレイサブシステム30054は、シミュレーションデバイス30000からユーザに3Dシミュレーションの視覚表現を表示するのに好適な任意の構成要素又は構成要素の集合を含み得る。ディスプレイサブシステムは、モニタ、デジタルプロジェクタ、スマートフォン、デジタルヘッドセット、仮想現実ヘッドセット、立体視ディスプレイ、ロボット手術外科医のコンソールディスプレイ、手術用ディスプレイユニット、手術用顕微鏡などディスプレイハードウェアを含み得る。
【0130】
操作サブシステム30056は、ユーザから操作制御を収集してシミュレーションデバイス30000に送信し、及び/又はシミュレーションデバイス30000から受信したフィードバック情報をユーザに提供するのに好適な任意の構成要素又は構成要素の集合を含み得る。ユーザからの操作は、ユーザに関わる、例えば、シミュレーションにおけるユーザの意図を示すために関与する、センサとの任意のインターフェースを含み得る。例えば、インターフェースとしては、キーボード、マウス、ジョイスティック、実際の手術用器具のサイズ、形状、及び動作を模倣する物理的機器、仮想現実ハンドヘルドコントローラ、スマートグローブ、動作検知システム(例えば、手追跡システムなど)、ロボット手術外科医のコンソールマニピュレータ及び/又は制御部、実際のロボット手術外科医のコンソールマニピュレータ並びに/又は制御装置のサイズ、形状、及び動作を模倣する物理的ユニットなどが挙げられ得る。例えば、インターフェースは、シミュレーション内でユーザの視点を示すために、ヘッドセット内に加速度計などの視点センサを含み得る。
【0131】
シミュレーションデバイス30000からのフィードバックは、ユーザに感覚入力を提供するアクチュエータとの任意のインターフェースを含み得る。例えば、フィードバックとしては、触覚フィードバック、力フィードバック、温度フィードバック、水分フィードバック、音声フィードバック、嗅覚フィードバックなどが挙げられ得る。例えば、ロボット手術外科医のコンソールのマニピュレータにおける力フィードバック及び/又は触覚アクチュエータを使用して、そのようなマニピュレータをライブ処置で動作させた場合にユーザが感じるであろうフィードバックをシミュレートすることができる。例えば、実際の手術用ステープラのサイズ、形状、及び動作を模倣するユーザデバイスにおける力フィードバック及び/又は触覚アクチュエータを使用して、例えば組織に係合し、ステープラを発射するときの力フィードバックなど、生体組織上でそのようなデバイスを動作させる場合にユーザが感じるであろうフィードバックをシミュレートすることができる。
【0132】
図10は、例示的手術シミュレータの動作のフロー図である。30058において、シミュレーションアプリケーションがロードされ得る。例えば、コアシミュレーションモジュール30016は、特定のアプリケーションモジュール30010に関連付けられたデータをメモリ30036にロードさせ得る。ロードされたデータは、プロセッサ30034が特定のシミュレーションを動作させるための命令を含み得る。ロードされたデータは、シミュレーションの処置計画を含み得る。例えば、処置計画は、例えば、
図11A~
図11Bに関して、本明細書に開示されるように構造化され得る。ロードされたデータは、シミュレーションの初期状態を含み得る。
【0133】
30060において、シミュレーション出力が決定され得る、及び/又は送信され得る。例えば、シミュレーション出力は、シミュレーションデバイス30000によって決定され得る、及び/又は送信され得る。ここで、コアシミュレーションモジュール30016は、シミュレーションの現在の状態(例えば、初期状態及び/又は後続の状態)を参照し得る。コアシミュレーションモジュール30016は、現在の状態を処理して出力するために1つ以上の他のモジュールに関与し得る。例えば、コアシミュレーションモジュールは、物体特性モジュール30020、テクスチャモジュール30026、アプリケーションモジュール30010、3Dグラフィックスパイプライン30028、インターフェースモジュール30012、及び/又は手術データシステムインターフェースモジュール30014のうちのいずれかに関与して、現在のシミュレーション状態を情報に処理して出力し得る。出力に関連する情報は、例えば、メトリック抽出モジュール30030並びに/又はセッション記憶及び管理モジュール30032によって処理され得る、及び/又は記憶され得る。
【0134】
例えば、人間が操作するシミュレーションセッションでは、出力情報は、ディスプレイアダプタ30040及び/又は操作インターフェースアダプタ30042を介して、ヒューマンインターフェースデバイス30004のディスプレイサブシステム30054及び/又は操作サブシステム30056に送信され得る。例えば、コンピュータ制御シミュレーションセッションでは、出力情報は、インターフェースモジュール30012を介して外科医エージェント30006に送信され得る。また、例えば、コンピュータ制御シミュレーションセッションでは、出力情報は、アプリケーションモジュール30010において送信され得る(例えば、ローカルに処理され得る)。例えば、手術データシステム30008を介してアクセスされるセッションでは、出力情報は、手術データシステムアダプタ30044及び/又はネットワークアダプタ30046を介して手術データシステムインターフェースモジュール30014によって送信され得る。
【0135】
30062において、シミュレーション入力が受信され得る、及び/又は処理され得る。例えば、シミュレーション入力は、シミュレーションデバイス30000によって受信され得る、及び/又は処理され得る。ここで、コアシミュレーションモジュールは、インターフェースデバイス、手術データシステムインターフェースモジュール、及び/又はアプリケーションモジュール30010に関与して、制御入力を受信し得る。入力に関連する情報は、例えば、メトリック抽出モジュール30030並びに/又はセッション記憶及び管理モジュール30032によって処理され得る、並びに/又は記憶され得る。
【0136】
例えば、人間が操作するシミュレーションセッションでは、入力情報は、ヒューマンインターフェースデバイス30004の操作サブシステム30056から送信され、操作インターフェースアダプタ30042を介して受信され得る。例えば、コンピュータ制御シミュレーションセッションにでは、入力情報は、外科医エージェント30006から送信され、インターフェースモジュール30012を介して受信され得る。また、例えば、コンピュータ制御シミュレーションセッションでは、入力情報は、アプリケーションモジュール30010において受信され得る(例えば、ローカルに処理され得る)。例えば、手術データシステム30008を介してアクセスされるセッションでは、入力情報は、手術データシステムアダプタ30044及び/又はネットワークアダプタ30046を介して受信され、最初に手術データシステムインターフェースモジュール30014によって処理され得る。
【0137】
30064において、後続のシミュレーション状態が決定され得る。例えば、後続のシミュレーション状態は、現在のシミュレーション状態及び/又は任意の受信された入力から決定され得る。コアシミュレーションモジュール30016は、シミュレーションデバイス30000の他のモジュールのうちの1つ以上に関与して、後続のシミュレーション状態を決定することができる。例えば、コードシミュレーションモジュール30016は、アプリケーションモジュール、物体特性モジュール、物理モジュール、生理学的モジュールなどに関与し得る。後続のシミュレーション状態は、プロセッサ30034の動作によって決定され得る。入力に関連する情報は、例えば、メトリック抽出モジュール30030並びに/又はセッション記憶及び管理モジュール30032によって処理され得る、並びに/又は記憶され得る。
【0138】
このステージでは、プロセスは、30060において入力を受信することにループし得る。このフローの各繰り返しは、シミュレーションにおける対応する時間サイクルを表し得る。シミュレーションのフレームレートは、シミュレーションの目標及び手術シミュレーションデバイス30000の処理能力に好適なレベルに設定され得る。より低いフレームレートは、ライブ人間相互作用シミュレーションを達成する処理を可能にし得る。より高いフレームレートは、より高いシミュレーション忠実度を可能にし得る。例えば、コンピュータ制御シミュレーションを、例えば、外科医エージェント30006を用いて動作させるとき、より高いフレームレートがシミュレーションの処理時間に、シミュレーションしている実世界時間を超えさせる場合であっても、より高いフレームレートが使用され得る。
【0139】
図11A~
図11Bは、コンピュータ実装インタラクティブ手術システム及び/又は手術シミュレータで使用するための例示的外科処置計画のデータ構造を示す。外科処置計画は、外科処置を実行するために使用され得るスタッフ、機器、技法、及びステップを概説する情報を含み得る。例えば、処置計画は、処置において関与するべき役割及び/又は特定の医療専門家を示すスタッフ名簿を含み得る。処置計画は、処置中に使用され得る、耐久性のある手術用機器、撮像機器、器具、消耗品など機器のリストを含み得る。例えば、処置計画は、手術室を準備するときに外科医及び手術に好適なツール及び材料を組み立てるために使用する、外科技術師のための候補リストを含み得る。処置計画は、処置の予定される技法に関する情報を含み得る。例えば、同一手術目標の処置計画は、異なるアクセス方法、授動方法、検査方法、組織接合方法、創傷閉鎖方法などを含み得る。
【0140】
処置計画は、個々の症例に関する外科医の専門家としての判断を反映し得る。処置計画は、特定の技法に対する外科医の選好及び/又は経験を反映し得る。処置計画は、特定の手術タスクを役割及び機器にマッピングし得る。処置計画は、予定処置のタイムラインを提供し得る。
【0141】
処置計画は、1つ以上の決定点及び/又は分岐を含み得る。そのような決定点及び/又は分岐は、処置の特定の態様に利用可能である外科的選択肢を提供し得、選択肢のうちの1つを選択することは、手術自体からの情報に基づき得る。例えば、1つ以上の選択肢を選択することは、特定患者の解剖学的構造の特定平面に基づいて選択され得、外科医は、ライブ手術中に患者の組織の評価に基づいて選択肢を選択し得る。
【0142】
処置計画は、1つ以上の不測事態を含み得る。これらは、可能性が低いものの生じ得る、ライブ手術中にあり得る状況に関する情報を含み得る。不測事態は、当該状況が生じた場合に用いられ得る、1つ以上の手術タスクを含み得る。不測事態は、十分な機器、スタッフ、及び/又は消耗品を処置中にいつでも使用できることを保証するために使用され得る。
【0143】
処置計画は、1つ以上のデータ構造で記録され得る。処置計画データ構造は、将来のライブ手術に関するデータ、完了したライブ手術に関するデータ、将来の模擬手術に関するデータ、完了した模擬手術に関するデータなどを記録するために使用され得る。ライブ外科手術用の処置計画データ構造は、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム100によって使用され得る。例えば、ライブ手術用の処置計画データ構造は、コンピュータ実装インタラクティブ手術システム100の状況認識及び/又は動作態様を強化するために、手術用ハブ106によって使用され得る。ライブ手術用の処置計画データ構造は、手術用ハブ106によって使用されて、構造化分析のためにライブ手術の別個の要素を記録し得る。
【0144】
処置計画データ構造は、シミュレーションデバイス30000によって使用され得る。例えば、処置計画データ構造はシミュレーションデバイス30000によって使用されて、シミュレーションセッションの設定及び/又は1つ以上の目的を確立し得る。例えば、処置計画データ構造は、シミュレーションデバイス30000によって使用されて、構造化分析のために模擬手術の個別要素を記録し得る。
【0145】
処置計画データ構造は、処置に関連するデータ要素を捕捉するのに好適な任意の構造を含み得る。例えば、処置計画は、例えば、
図11Aに示されるものなどツリー状データ構造で記録され得る。ここで、ツリー構造のルートは、コア処置データ30066を表す。コア処置データ30066は、処置名、処置コード、患者名、日付、時間など、処置全般に関する情報を含み得る。シミュレーションの場合、コア処置データ30066は、デバイスID、ソフトウェアバージョン、ユーザ、シミュレーション実行設定(フレームレート、解像度、接続されたユーザインターフェースデバイスなど)などシミュレーションデバイスに関する情報を含み得る。
【0146】
処置データは、ツリー構造のリーフを含み得る。第1のレベルのリーフは、処置セットアップ30068、1つ以上の処置ステージ30070、1つ以上の不測事態30072、及び処置の結果30074に関するデータなど、処置計画の主要な態様に関するデータを含むことができる。
【0147】
セットアップデータ30068は、処置の準備及び/又は初期状態に関する情報を含み得る。例えば、セットアップデータ30068は、スタッフ名簿、スタッフの役割及び/又はスタッフID、手術室ID、機器リスト、部屋のレイアウト、当初の手術台位置、術野で準備された器具及び/又は消耗品のリスト、機器に関連する全ての初期設定、術前画像、患者記録など要素を含み得る。シミュレーションの場合には、セットアップデータ30068は、模擬解剖学的構造の記録、模擬生理機能の記録、術前画像など模擬環境に関する情報を含み得る。
【0148】
ステージデータ30070は、処置の主要マイルストーンに関連するデータ要素を含み得る。例えば、処置のステージは、アクセスの確立などマイルストーンを含み得る。ステージデータ30070は、処置の特定ステージを実行するために使用され得るスタッフ、機器、技法、及びステップに関連する情報を含み得る。ステージデータ30070は、ステージIDを含み得る。
【0149】
ステージは、1つ以上の手術タスク30076など1つ以上のサブリーフによって更に詳述され得る。手術タスクは、所与のステージ内の別個の手術ステップを表し得る。例えば、アクセスステージにおいて、トロカールを配置することは、手術タスクであり得る。手術タスクデータ30076は、タスクIDを含み得る。手術タスクデータ30076は、タスクを実行しているスタッフ及び/又は外科医、使用される機器、適用される特定の技法、タスク実行中の患者バイタル、他の環境情報、及びリストなど特定のタスクに関連する情報を含み得る。各タスクは、目標データ30078、解剖学的構造-器具相互作用に関連するデータ30080、及び結果データ30082を用いて更に詳述され得る。目標データ30078は、タスク実行の相対的成功を示す情報を含み得る。目標データ30078は、予定タスク持続時間、許容可能な実行特異度、効率モダリティ、合併症の回避などに関する情報を含み得る。結果データ30082は、1つ以上の目標に関連する情報を含み得る。結果データ30082は、目標に対する手術実行(例えば、ライブ及び/又は模擬)を記録し得る。
【0150】
タスクデータ30076は、解剖学的構造-器具相互作用データ30080の1つ以上の要素を含み得る。解剖学的構造-器具相互作用データ30080は、手術実行の粒度の細かい指示を表し得る。解剖学的構造-器具相互作用データ30080は、手術タスクの実行に使用される1つ以上の特定の活動を表し得る。解剖学的構造-器具相互作用データ30080は、外科医の観察可能な挙動を表し得る。
【0151】
一実施例では、解剖学的構造-器具相互作用データ30080は、外科医によって解剖学的構造に加えられている特定の位置、力、角度などを含み得る。例えば、ライブ手術では、手術用ハブ106によってスマート器具から記録されたデータは、解剖学的構造-器具相互作用データ30080として捕捉され得る。例えば、コンピュータ実装インタラクティブ手術システム100の他の要素と協働する手術用スマートステープラは、ステープラの位置、角度、先端力、ジョー力、ステープルカートリッジタイプ、閉鎖圧力、発射速度などを記録し得る。模擬手術では、同様のデータ要素が捕捉され得る。
【0152】
不測事態データ30072は、処置に関連し得る任意の合併症を示し得る。各不測事態データ30072は、特定の合併症に対する適切な反応に対処する1つ以上のタスクデータ要素30084を含み得る。不測事態データ30072は、元の処置計画からの逸脱を示し得る。また、例えば、不測事態データは、1つ以上のタスク30078及び/又は解剖学的構造-器具相互作用30080と相互参照され得る。例えば、解剖学的構造-器具相互作用30080における特定の実行が合併症につながり得る場合、当該実行の性質及び不測事態の相互参照は、当該解剖学的構造-器具相互作用30080に関連する結果データ30082に含まれ得る。
【0153】
結果データ30074は、処置の結果を示し得る。ここで、手術実行のメトリック全般が記憶され得、実際の及び/若しくは模擬患者回復情報、並びに/又は患者転帰を記録する。例えば、結果データ30074は、効率情報、コスト情報、手術期間、作業負荷メトリック、計画された消耗品の使用割合などを含み得る。
【0154】
図11Bは、特定の処置、タスク、又は活動を完了するための代替ステップの構造を更に確立する、上記で開示された要素を有する処置計画データ構造を示す。示されるように、処置データ30086によって表される処置は、2つの代替セットアップを含み得、それぞれのセットアップデータ(第1のセットアップデータ30088、30090、及び第2のセットアップデータ30092)によってそれぞれ示される。第1のセットアップデータ30088、30090は、2つの代替タスク30094、30096を含み得る。第2セットアップデータ30092は、1つのタスク30098を含み得る。この図では、処置データ30086によって表される処置は、3つの異なる方法で達成され得る。第1の方法は、第1のセットアップ30088及び第1のタスク30094を用いる。第2の方法は、第1のセットアップ30090及び第2のタスク30096を用いる。そして第3の方法は、第2のセットアップ30092及びその対応するタスク30098を用いる。
【0155】
ツリー構造の各パスは、処置を実行するための代替方法の特定のセットを表し得る。そのような構造は、特定のライブ及び/又は模擬手術用の特定の処置計画の作成を支援するために有用であり得る。そのような構造は、処置の多くの考えられる代替策をシミュレートして結果の差異を評価するのに有用であり得る。
【0156】
図12は、外科処置シミュレーションレビューの例示的データフロー34600である。データフロー34600は、シミュレーションデバイス30000(例えば、
図7及び
図8に記載される)によって実施され得る。データフロー34600は、シミュレーションデバイス30000のプロセッサ30034によって実施され得る。
【0157】
外科処置シミュレーションレビューユーザインターフェース34602は、ユーザ34612によって使用され得る。ユーザ34612は、外科医などの医療インストラクタ又はトレーナであり得る。ユーザ34612は、医学生又は研修医などの医療訓練生であり得る。
【0158】
外科処置シミュレーションレビューユーザインタフェース34602は、以前に実行された外科処置シミュレーションをレビューするために使用され得る。ユーザインターフェース34602は、(例えば、
図13及び
図14A~14Bに更に記載されるように)閲覧するために1つ又は2つ以上の以前のシミュレーションの要約情報を読み出し得る。ユーザインターフェース34602は、シミュレーションの一部又は全ての部分を再現するために以前のシミュレーションを読み出し得る。以前のシミュレーションの要約情報は、シミュレーションを再現する選択肢を提供するように構成され得る。
【0159】
例えば、ユーザインターフェース34602は、ユーザ34612に表示するために、シミュレーションデータストア34606から1つ又は2つ以上の記憶されたシミュレーション34604の要約情報を読み出し得る。記憶されたシミュレーションの要約情報は、シミュレーションの手術ステップ、ステップ内の手術タスク、手術タスクを伴う外科的選択肢に関する情報の要約を含み得る。要約情報は、内訳情報及び/又は集約情報を含み得る。更なる詳細が、
図13及び
図14A~
図14Bに記載されている。
【0160】
例えば、要約情報を表示する記憶されたシミュレーションは、再現されるように構成され得る。一実施例では、要約情報を表示するとき、1つ又は2つ以上の記憶されたシミュレーション34068の中の記憶されたシミュレーション34604は、シミュレーションを再現する選択肢(例えば、リンク又はボタン)を提供し得る。シミュレーションを再現するためのユーザ34612の選択に応答して、外科処置シミュレーションレビューユーザインタフェース34602は、シミュレータ34610に再現要求34614を送信し得る。応答して、シミュレータ34610は、シミュレーションデータストア34606から記憶されたシミュレーション34608の完全なデータセットを読み出して、(例えば、可視化モジュールにおいて)再現し得る。例えば、要約情報を表示する記憶されたシミュレーションは、模擬外科処置の1つの手術ステップなどのシミュレーションの一部を再現するように構成され得る。そのような場合において、シミュレータ34610は、再現する模擬外科処置の1つの手術ステップを読み出し得る。
【0161】
図13は、例示的外科処置シミュレーションレビューユーザインタフェースの例示的出力34650である。例示的出力34650は、シミュレーションデバイス30000(例えば、
図7及び
図8に記載される)によって生成され得る。例示的出力34650は、シミュレーションデバイス30000のプロセッサ30034によって生成され得る。
【0162】
例示的出力34650は、外科処置シミュレーションレビューユーザインターフェース34602の例示的出力であり得る。例示的出力34650は、2つの模擬S状結腸切除術である、模擬S状結腸切除術1及び模擬S状結腸切除術2の要約情報を提示する。2つの模擬S状結腸切除処置は、模擬患者のためのシミュレーション構成を含む、同じシミュレーション構成でシミュレートされている場合がある。2つの模擬S状結腸切除処置の各々は、開始する34652、アクセスする34654、結腸を動かす34656、S状結腸を切除する34658、吻合を実施する34660、及び終了する34662という手術ステップの要約情報を提示する。各手術ステップは、外科的選択肢、外科的転帰、及び外科的選択肢が外科的転帰にどのように関連するかを含む、手術タスクの要約情報を提示する。
【0163】
手術ステップ「開始する」34652は、手術タスクの要約情報を含み得る:切開及びトロカール留置を行う。模擬S状結腸切除術1について、腹腔鏡のトロカールポートのための「切開を行う」手術タスクは、臍の切開位置、12mmの切開長さ、2分1秒の切開持続時間、切開持続時間がユーザインターフェース34602によって生成された集約データ点、すなわち、2つの模擬S状結腸切除術の平均切開持続時間を15秒上回るという情報を提示する。比較すると、模擬S状結腸切除術2について、腹腔鏡のトロカールポートのための「切開を行う」手術タスクは、臍の切開位置、12mmの切開長さ、1分31秒の切開持続時間、切開持続時間が2つの模擬S状結腸切除術の平均切開持続時間を15秒下回るという情報を提示する。
【0164】
模擬S状結腸切除術1について、把持器のトロカールポートのための「切開を行う」手術タスクは、腹部の右上四半部の切開位置、5mmの切開長さ、1分1秒の切開持続時間、切開持続時間が2つの模擬S状結腸切除術の平均切開持続時間を8秒上回るという情報を提示する。比較すると、模擬S状結腸切除術2について、腹腔鏡のトロカールポートのための「切開を行う」手術タスクは、上正中線の切開位置、5mmの切開長さ、45秒の切開持続時間、切開持続時間が2つの模擬S状結腸切除術の平均切開持続時間を8秒下回るという情報を提示する。
【0165】
模擬S状結腸切除術1について、高調波デバイスのトロカールポートのための「切開を行う」手術タスクは、腹部の右下四半部の切開位置、12mmの切開長さ、1分46秒の切開持続時間、切開持続時間が2つの模擬S状結腸切除術の平均切開持続時間を8秒上回るという情報を提示する。比較すると、模擬S状結腸切除術2について、高調波デバイスのトロカールポートのための「切開を行う」手術タスクは、腹部の右下四半部の切開位置、12mmの切開長さ、1分30秒の切開持続時間、切開持続時間が2つの模擬S状結腸切除術の平均切開持続時間を8秒下回るという情報を提示する。
【0166】
示されるように、再現オプション34672は、模擬S状結腸切除術1の手術ステップ「開始する」34652における「切開を行う」手術タスクのために提供され得る。選択されると、再現オプション34672は、シミュレータ(例えば、
図12に記載されるシミュレータ34610)において手術ステップのシミュレーションを再現し得る。再現オプション34672などの再現オプションは、任意の手術ステップ、手術ステップにおける任意の手術タスク、及び/又は模擬外科処置全体のために提供され得る。
【0167】
模擬S状結腸切除術2の手術ステップ「開始する」34652における「切開を行う」手術タスクのための再現オプション34674が、提供され得る。再現オプション34674は、記載されるように再現オプション34672と同様に動作し得る。
【0168】
手術ステップ「アクセスする」34654は、手術タスクの要約情報を含み得る:腸間膜を解離し、下腸間膜動脈(inferior mesenteric artery、IMA)分岐を識別し、尿管を識別する。アクセスする34654という手術ステップは、手術タスク「IMA分岐を識別する」又は手術タスク「尿管を識別する」を実施することなく完了し得る。そのような手術タスクを実施しないことは、外科的選択肢(例えば、暗黙の外科的選択肢)として解釈され得る。そのような場合において、出血又は損傷した尿管などの外科的合併症が生じ得る。
【0169】
示されるように、模擬S状結腸切除術1について、手術タスク「腸間膜を解離する」は、38分1秒の全解離持続時間、及び解離時間が2つの模擬S状結腸切除術の平均切開持続時間を8分49秒上回るという情報を提示する。比較すると、模擬S状結腸切除術2について、手術タスク「腸間膜を解離する」は、20分23秒の全解離持続時間、及び解離時間が2つの模擬S状結腸切除術の平均切開時間を8分49秒下回るという情報を提示する。
【0170】
示されるように、「内側から外側」は、模擬S状結腸切除術1及び模擬S状結腸切除術2のための手術タスク「腸間膜を解離する」の解離方向についての外科的選択肢である。
【0171】
示されるように、手術タスク「IMA分岐を識別する」は、模擬S状結腸切除術1のために実施され、模擬S状結腸切除術2のために実施されなかった。手術タスク「IMA分岐を識別する」と対応する外科的転帰との間の因果関係が示される。因果関係の矢印は、識別されているIMA分岐の外科的選択肢を起源とし、合併症のない外科的転帰で終わる。比較すると、因果関係の矢印は、識別されていないIMA分岐の外科的選択肢を起源とし、中程度の出血という外科的合併症の外科的転帰で終わる。これらなどの因果関係がどのように決定され得るかという更なる詳細が、
図14A及び
図14Bに示される。
【0172】
示されるように、手術タスク「尿管を識別する」は、模擬S状結腸切除術1及び模擬S状結腸切除術2のために実施された。手術タスク「尿管を識別する」と、模擬S状結腸切除術1の対応する外科的転帰との間の因果関係が示される。因果関係の矢印は、尿管を識別するという外科的選択肢を起源とし、合併症のない外科的転帰で終わる。これらなどの因果関係がどのように決定され得るかという更なる詳細が、
図14A及び
図14Bに示される。
【0173】
手術ステップ「結腸を動かす」34656は、手術タスクの要約情報を含み得る:IMAを結紮し、上部S状結腸を動かし、下行結腸を動かし、直腸及びS状結腸を動かす。
【0174】
示されるように、模擬S状結腸切除術1について、手術タスク「IMAを結紮する」は、6分31秒の全結紮持続時間、及び結紮持続時間が2つの模擬S状結腸切除術の平均IMA結紮持続時間を39秒上回るという情報を提示する。比較すると、模擬S状結腸切除術2について、手術タスク「IMA結紮」は、5分12秒の全結紮時間、及び切開時間が2つの模擬S状結腸切除術の平均IMA結紮時間を39秒下回るという情報を提示する。
【0175】
示されるように、IMAが結紮された順序の外科的選択肢は、模擬S状結腸切除術1と模擬S状結腸切除術2との間で異なる。例えば、IMA分岐は、模擬S状結腸切除術1ではIMA根の前に結紮された。比較すると、IMA根は、模擬S状結腸切除術2ではIMA分岐の前に結紮された。IMA結紮の外科的選択肢「根の前の分岐(branches before root)」と対応する外科的転帰との間の因果関係が示される。因果関係の矢印は、「根の前の分岐」外科的選択肢を起源とし、外科的合併症なし及び最小出血という外科的転帰で終わる。同様に、IMA結紮の外科的選択肢「分岐の前の根(root before branches)」と対応する外科的転帰との間の因果関係が示される。因果関係の矢印は、「分岐の前の根」外科的選択肢を起源とし、いくつかの合併症及び中程度の出血という外科的転帰で終わる。これらなどの因果関係がどのように決定され得るかという更なる詳細が、
図14A及び
図14Bに示される。
【0176】
手術ステップ「S状結腸を切除する」34658は、手術タスクの同様の要約情報を含み得る:腸を横に切断し、S状結腸を除去し、円形ステープラのためのアンビルを設定する。手術ステップ「吻合を実施する」34660は、手術タスクの同様の要約情報を含み得る:直腸を準備し、円形ステープラを挿入し、アンビルを直腸と整列させ、アンビルを円形ステープラに取り付け、円形ステープラを発射する。手術ステップ「終了する」34662は、手術タスクの同様の要約情報を含み得る:結腸を膨張させ、漏出をチェックし、トロカールを除去し、切開を閉鎖する。
【0177】
図14A及び
図14Bは、外科処置シミュレーションレビューの態様の例示的実装を示す。例示的実装は、(例えば、
図7及び
図8に記載される)シミュレーションデバイス30000によって実施され得る。例示的実装は、シミュレーションデバイス30000のプロセッサ30034によって実施され得る。
【0178】
図13に記載されるように、外科的選択肢と対応する外科的転帰との間の因果関係は、複数の模擬外科処置から決定され得る。例えば、
図13に示されるように、IMA結紮の外科的選択肢「根の前の分岐」と対応する出血合併症の不在との間の因果関係は、例えば、同じシミュレーション構成で構成されたものなどの複数の模擬S状結腸切除処置から決定され得る。IMA結紮の外科的選択肢「分岐の前の根」と対応する出血合併症との間の因果関係は、例えば、同じシミュレーション構成で構成されたものなどの複数の模擬S状結腸切除処置から決定され得る。
【0179】
図14A及び
図14Bは、そのような因果関係を決定するための多重線形回帰を使用する例示的分析方法を実証する。
図14Aに示されるように、分析のための入力データは、2つの独立変数34702「IMA結紮根対分岐順序」及び「IMA結紮分岐順序」、並びに標的変数34704「出血量」である。独立変数「IMA結紮根対分岐順序」は、異なる外科的選択肢が選択され得る外科的選択肢選択点を表す。外科的選択肢選択点における外科的選択肢の例としては、「分岐の前の根」及び「根の前の分岐」が挙げられ得る。独立変数「IMA結紮分岐順序」は、第2の外科的選択肢選択点を表す。外科的選択肢選択点における外科的選択肢の例としては、「最も細いものから最も太いもの」、「最も太いものから最も細いもの」、及び「その他」が挙げられ得る。
【0180】
標的変数「出血量」は、「IMA結紮根対分岐順序」外科的選択肢選択点及び/又は「IMA結紮分岐順序」外科的選択肢選択点に対応する外科的転帰を表す。外科的転帰の例としては、「最小」、「中程度」、及び「重度」が挙げられ得る。「中程度」又は「重度」の外科的転帰は、外科的合併症として解釈され得る。
【0181】
独立変数列34702及び標的変数列34704の値は、ここでは説明を容易にするためにテキスト形式である。値は、多重線形回帰分析方法下でそれらの対応する数値を有する。例えば、「分岐の前の根」は、1の値であり得、「根の前の分岐」は、0の値であり得る。例えば、「最も細いものから最も太いもの」は、1の値であり得、「最も太いものから最も細いもの」は、0の値であり得、「その他」は、2の値であり得る。例えば、「最小」は、0.1の値であり得、中程度は、5の値であり得、「重度」は、20の値であり得る。
【0182】
図14Bに示されるように、多重線形回帰分析方法を使用する例示的分析のための例示的出力データは、独立変数34702「IMA結紮根対分岐順序」及び「IMA結紮分岐順序」の係数及びp値である。3.45の値は、「IMA結紮根対分岐順序」の1単位の増加があると、「出血量」の3.45倍の増加があることを示す。係数値3.45と一致して、独立変数「IMA結紮根対分岐順序」のp値は、0.01であり、これは0.05未満の値である。係数値及びp値は、独立変数「IMA結紮根対分岐順序」が、標的変数「出血量」を予測する際の重要な因子であることを示す。したがって、因果関係は、2つの変数間に存在することが決定される。
【0183】
「IMA結紮分岐順序」の係数値0.14は、「IMA結紮分岐順序」の1単位の増加があると、「出血量」の0.14倍の増加があることを示す。係数値0.14と一致して、独立変数「IMA結紮根対分岐順序」のp値は、0.64であり、これは0.05を超える値である。係数値及びp値は、独立変数「IMA結紮分岐順序」が、標的値「出血量」を予測する際の重要な因子ではないことを示す。したがって、因果関係は、2つの変数間に存在しないことが決定される。
【0184】
図15は、外科処置シミュレーションレビューの例示的動作のフローチャート34750である。例えば、例示的動作は、データ集約のために記憶されたシミュレーションデータを取得するプロセスを含み得る。本プロセスは、外科的選択肢と対応する外科的側面との間の因果関係を決定し得る。
【0185】
34752では、第1の模擬外科処置に関連付けられた第1のデータ及び第2の模擬外科処置に関連付けられた第2のデータが、取得され得る。第1の模擬外科処置及び第2の模擬外科処置は、外科処置をシミュレートし得る。第1のデータ及び第2のデータは、外科処置の手術タスクに関連付けられ得る。例えば、第1の模擬外科処置及び第2の模擬外科処置は、同じシミュレーション構成又は同じシミュレーション構成のセットで構成され得る。例えば、第1の模擬外科処置は、ユーザ模擬処置であり得、第2の模擬外科処置は、コンピュータ模擬処置であり得る。
【0186】
34752では、第1のデータ及び第2のデータからの集約データが、第1のデータの外科的側面及び第2のデータの対応する外科的側面に基づいて生成され得る。例えば、外科的側面は、以下:手術タスクの持続時間、手術器具の使用、外科的転帰、又は外科的合併症のうちの1つに関連付けられ得る。例えば、第1のデータの外科的側面は、第1の数値を含み得、第2のデータの対応する外科的側面は、第2の数値を含み得る。そのような場合において、本プロセスは、集約データを表示し得る。
【0187】
34756では、第1のデータの第1の外科的選択肢と第1のデータの外科的側面との間の第1の因果関係、及び第1のデータの第2の外科的選択肢と第2のデータの対応する外科的側面との間の第2の因果関係が、集約データから決定され得る。例えば、第1のデータの第1の外科的選択肢は、外科的選択肢選択点の複数の外科的選択肢からの第1の選択であり得る。第2のデータの第2の外科的選択肢は、外科的選択肢選択点の複数の外科的選択肢からの第2の選択であり得る。外科的選択肢選択点は、手術タスクの一部であり得る。第1のデータの外科的側面は、外科的合併症を含み得る。第2のデータの対応する外科的側面は、外科的合併症を含まない場合がある。
【0188】
34758では、第1のデータ及び第2のデータが、表示され得る。
【0189】
例えば、第1のデータの第1の外科的選択肢及び第1のデータの外科的側面のシミュレーションを再現する要求が、受信され得る。第1のデータの外科的側面は、外科的転帰又は外科的合併症を含み得る。第1のデータの第1の外科的選択肢及び第1のデータの外科的側面のシミュレーションの可視化が、生成され得る。
【0190】
例えば、第1の外科処置における外科的選択肢選択点の複数の外科的選択肢をシミュレートする要求が、受信され得る。第1の外科処置における外科的選択肢選択点の複数の外科的選択肢の可視化が、生成され得る。
【0191】
外科的分析システムは、差異、影響、及び/又は重要な影響を識別するために、複数のシミュレーションの要約及び/又は概要を提示し得る。
【0192】
外科的分析システムは、概要インターフェースを提供し得る。概要インターフェースは、例えば、反応、使用、及び/又は転帰に関して、複数のシミュレーションを集約し得る。概要インターフェースは、例えば、反応、使用、及び転帰に関して、複数のシミュレーションを対比し得る。外科的分析システムは、シミュレーションデータセットの反応、合併症、及び/又は転帰をコンパイルすることが可能であり得る。外科的分析システムは、シミュレーションデータセットの反応、合併症、及び/又は転帰を集約することが可能であり得る。複数のシミュレーションは、同じユーザ、異なるユーザ、及び/又はコンピュータによって実行されるシミュレーションであり得る。主要な学習又は命令セットは、具体的な事象及び/又は重要な事象の具体的な局所反応の集約であり得る。重要な学習又は命令セットは、教師又はインストラクタからの最良実践又は重要な生成ビューを示すようにオーバーレイされ得る。
【0193】
複数のシミュレーションユーザ(例えば、研修医)は、同じ方法で(例えば、訓練目的のために)シミュレータセットアップ上で練習し得る。要約は、各個人がどのようにしたか、及び/又は各個人が何をしたかのプラス並びに/若しくはマイナス、及び/又はプラス並びにマイナスから生じた軽微な差異を報告する手段として使用され得る。シミュレーションユーザ(例えば、学生)のグループ又はクラスは、同じ又は同様の方法でシミュレーションセットアップと相互作用し得る。そのアプローチ、機具使用、使用のステップ、転帰、及び合併症の各々の集約は、どのような作業及びどのような課題に直面したかという報告のために並んで示され得る。例えば、研修を行う病院では、要約及び概要は、教育スタッフ、例えば、主任研修外科医又は臨床専門職からの入力を含み得る。結果として生じた差異は、アプローチ、タスク毎の時間、器具使用及び技法の詳細、転帰、費用、スタッフ効率、又はロボット若しくは代替機器の位置付け及び使用などを含み得る。
【0194】
外科的分析システムは、シミュレーションの自動ウォークスルーを実施し得る。自動シミュレーションウォークスルーは、外科医ウォークスルー又は他の単一のデータセットと比較されて、処置計画外科医に異なる決定木位置におけるオプションを与え得る。外科医による計画及び模擬処置は、例えば、民族誌学的レイアウトフォーマットで左右に表示されて、外科医が、自分の選択肢を、最良実践、代替アプローチ、及び/又は予想される合併症からの他のオプションと比較することを可能にし得る。この決定木は、外科医が、処置計画における異なる点で異なる選択肢の間で選択することを可能にし得る。外科医の選択肢は、計画のための調節及び/又はオプションを実践及び/又は可視化するために、実践的相互作用のためのシミュレーションにフィードバックされ得る。
図16は、胸部肺葉切断外科処置のための複数のシミュレーションウォークスルーのタイミングの比較の
図34770である。
【0195】
外科的分析システムは、ユーザが、各決定点におけるオプションを見て、(例えば、ゲームシナリオレビューと同様に)各選択肢からのオプション及び転帰を拡張することを可能にし得る。各ステップは、ズームインされ、ユーザ(例えば、外科医)が、ズームインされた事象から生じる複数の可能なステップの各々を見て可視化することを可能にし得る。ユーザは、それらをその選択肢からカスケードし、将来の複数のステップ、並びに各選択がどのような転帰及び合併症に影響するかが見え得る。外科的分析システムは、総和及び転帰レビューを提供し得る。外科的分析システムは、AIアルゴリズムにフィードバックを提供し得る。
【0196】
外科的分析システムは、(例えば、実際の外科処置においてそのような事象を回避することを学習するようにシミュレーションユーザを訓練するために)シミュレーションを介して起こり得る有害事象を検出し、強調表示し得る。各ステップに続いて、外科的分析システムは、解離圧力に起因する肺静脈破裂、ルーリム張力、結腸吻合張力、又は解離中の尿管損傷などの有害事象が、どのようなものであり得るかというシミュレーションを提供し得る。外科的分析システムによるシミュレーションは、CSATSの実際のビデオを取得し、シミュレーションを増強し得る。外科的分析システムによるシミュレーションは、記憶されたシミュレーション(例えば、純粋なシミュレーション)からシミュレーションデータを取得し得る。有害事象の例は、出血又は滲出、空気漏出、制限された血流をもたらす組織張力、尿管又は神経のような隣接する重要な構造への損傷、エネルギーデバイスからの付随的熱損傷、不完全又は過剰なアブレーションなどであり得る。
【0197】
シミュレーションは、多人数シミュレーションであり得る。多人数デジタルシミュレーションは、複数の医療専門家(healthcare professional、HCP)が同じ外科処置において同じ模擬患者と同時に対話することを可能にし得る。多人数デジタルシミュレーションは、非常に複雑な処置を支援するために必要とされる対話型関係を築き得る。
【0198】
デジタルシミュレーションは、人々へのリスクを伴わずに、現実の可視化、応答、及びフィードバックを提供し得る外科手術を教示、訓練、又は実践するために使用され得るツールであり得る。多人数仮想現実状態でORスタッフ全体を有することは、より現実的な環境を提供するために実際の外科処置中に生じ得る、相互作用、誤差、及び他の未知のものを追加し得る。
【0199】
例えば手術室看護師は、外科医を直接補助し得、手術に積極的に関与し得る。多人数VRは、チームの反応を訓練し、及び/又は計画外のシナリオのために看護師を準備するために、器具の手渡し、間違った器具を手渡すシナリオ、又は欠陥のある器具をシミュレートし得る。そのようなシミュレーションは、起こり得る転帰のチームを準備し得るため、患者から外科医の注意をそらし得る、外科医が全員に指示及び/又は通信しなければならないこととは対照的に、全員が反応するように訓練及び/又は準備される。そのようなシミュレーションは、機器を渡すとき、及び/又はある特定の患者状態を監視するときを把握するように看護師を訓練し得、これは、効率を改善し、患者から注意をそらすことを最小限にし得る。
【0200】
例えば、外回り看護師は、手術室が滅菌されていること、及び手術室が処置中に無菌のままであることを確実にし得る。多人数VRは、非滅菌状態、滅菌包装を開封するとき、又は滅菌野で機器が必要とされ得るときをシミュレートし得る。そのようなシミュレーションは、OR内の時間を最小限にする必要性のタイミングに対する準備及び知識を提供し得る。そのようなシミュレーションは、手術部位への汚染を引き起こす妨害が最も少ない状態で包装を開封する、及び/又は機器を移動させるときについて、例えば、ドアが開いているか、若しくは開かれようとしているときに、並びに/又は人々がOR内で活発に移動しているときに開封しない、又は移動させないように、外回り看護師を訓練し得る。
【0201】
例えば、外科医及び麻酔医は、共通の目標、例えば、患者にとっての安全性及び良好な転帰を目指す、手術室(operating room、OR)内の重要人物であり得る。マスクの後ろでは、互いの心を読めない場合がある。訓練シナリオは、患者に対するその応答に影響を及ぼす行動を互いに知らせ続け得る。外科医と麻酔医の関係は、関係を改善し得、患者の安全性及び周術期ケアの質を増加させる効果を有し得る、介入につながり得る。
【0202】
多人数デジタルシミュレーションは、新しい及び/又は異なる方法を学習するように外科医及び/又はスタッフを再訓練するために使用され得る。ほとんどの外科医は、その訓練又は教師に基づいてツールを操作及び使用し続け得、例えば、典型的には、手元のタスク、例えば、その手の中のデバイス、場所、又はエネルギー活性化若しくは発射について心配し、及び/又は考える必要なく、手術に集中することが可能であり得るため、そのキャリアの全体を通して、このアプローチを継続し得る。これは、注意をそらさないように外科医にとって本能的になり得る。技術が進歩するにつれて、至適基準が、施設及び/若しくは処置のために設定され得るか、又は各施設内の方法が、異なり得る。多人数デジタルシミュレーションは、現実のシナリオに入る前に快適に感じるために、外科医/スタッフが再訓練されるための方法であり得る。シミュレーションは、効率要件が満たされるまで、異なる技法及び/又は実践をベースライン化し得る。
【0203】
図17は、結果をともに達成するためにシミュレーション内で協働して作業する医師及び医師助手の
図34780である。
【0204】
シミュレータ(例えば、訓練のためのシミュレータ)は、ユーザにスコア及び/又は報酬システムを示して、競争を推進し、個人の発展/改善を推進し、かつ/又は個人が施設内で行動を実施することを認証するか、若しくは可能にするために定義されたスコアを必要とし得る。例えば、スコアは、ユーザを他者に対してベースライン化するか、又は発展を推進して定義された分野で改善するために、ユーザがどの程度成功したかという理解をユーザに提供するために使用され得る。例えば、スコアは、ユーザが実際の実証の前に行動を実施するように適切に訓練されたという確信及び/又は指示を施設に提供し得る。例えば、施設は、そのスタッフメンバーを訓練し、及び/又は発展させるために、報酬システムとしてスコア、例えば、高いスコア及び/又はある特定のレベルを使用し得る。例えば、施設は、スタッフ/個人が法的問題又は訴訟について適切に訓練されたという正当化及び/又は確認を提供するためにスコアを使用し得る。スコアは、訓練されている重要なタスク、効率、価値、転帰などに関連し得る。スコアは、良好な挙動を強化し、及び/又は変動を低減するために使用され得る。
【0205】
以下の実施形態の非包括的な列挙はまた、本開示の一部を形成する。
【0206】
実施形態1.外科処置をシミュレートするためのコンピューティングデバイスであって、
プロセッサを備え、プロセッサが
第1の模擬外科処置に関連付けられた第1のデータ及び第2の模擬外科処置に関連付けられた第2のデータを取得することであって、第1の模擬外科処置及び第2の模擬外科処置が各々、外科処置をシミュレートし、第1のデータ及び第2のデータが各々、外科処置の手術タスクに関連付けられている、ことと、
第1のデータの第1の外科的選択肢と第1のデータの外科的側面との間の第1の因果関係、及び第1のデータの第2の外科的選択肢と第2のデータの対応する外科的側面との間の第2の因果関係を決定することと、
第1のデータ及び第2のデータを表示することであって、第1の因果関係が、第1のデータとともに表示され、第2の因果関係が、第2のデータとともに表示される、ことと、を行うように構成されている、コンピューティングデバイス。
【0207】
いくつかの実施形態では、単一の手術タスクに関連付けられた複数の外科的選択肢が存在し得、この外科的選択肢のセットを、それぞれのデータセット(すなわち、第1のデータ/第2のデータ)に記憶することができる。外科的選択肢の各々は、数値に関連付けられ得る(例えば、1つの外科的選択肢には、0の値が割り当てられて得る一方で、別の外科的選択肢には、1の値が割り当てられ得る)。いくつかの実施形態では、それぞれのデータセット内の各外科的選択肢に割り当てられた数値は、行番号、又はデータセット内のデータ場所への他のポインタを指し得る。
【0208】
いくつかの実施形態では、「因果関係」は、外科的選択肢の各々に割り当てられた数値と外科的転帰との間の線形又は非線形関係を含み得る。したがって、因果関係は、独立変数が従属変数にどのように影響を及ぼすかを定義する係数を含み得る。「因果関係」は、決定された関係の統計的強度を示す統計的有意性の値(例えば、P数)を更に含み得る。いくつかの実施形態では、係数及び統計的有意性の値の両方をユーザに表示することができる。
【0209】
実施形態が、「第1の模擬外科処置及び第2の模擬外科処置が各々、外科処置をシミュレートする」と記載する場合、これらの処置の各々が同じタイプの外科処置をシミュレートする場合を指し得ることが理解され得る。すなわち、第1の模擬外科処置においてシミュレートされる外科処置は、第2の模擬外科処置においてシミュレートされる同じ外科処置である。
【0210】
同様に、実施形態が、「第1のデータ及び第2のデータが各々、外科処置の手術タスクに関連付けられる」と記載する場合、これは、各データのセットが処置の同じ手術タスクに関連付けられることを指し得る。すなわち、第1のデータに関連付けられた手術タスクは、第2のデータに関連付けられた手術タスクと同じであり得る。
【0211】
しかしながら、場合によっては、それぞれの模擬外科処置の各々は、異なる外科的選択肢(すなわち、処置における具体的な手術タスクに関して講じられる異なる措置)を含み得る。
【0212】
いくつかの実施形態では、「外科的側面」は、具体的な外科的転帰又は外科的合併症を指し得る。例えば、第1及び第2のデータセットを集約し、外科的転帰又は外科的合併症に基づいて因果関係について分析することができる。
【0213】
異なるシミュレーション(外科処置において同じタスクをシミュレートすること)において取られる異なる外科的選択肢と、それらの対応する外科的側面(例えば、外科的転帰)との間の統計的分析を実施すること(すなわち、因果関係を決定すること)の利点は、プロセッサが、ある特定の選択肢が外科手術の異なる側面に及ぼす影響を決定するように構成され得ることである。この情報は、将来の外科手術においてどの外科的選択肢を選択するかについての情報に基づく決定を行うことを可能にする方法でユーザに提示され得る。これは、シミュレーションに基づく外科的選択肢の適切な選択が、手術時間を短縮し、患者転帰を改善し、外科的合併症を低減することなどができるため、患者の全体的な幸福に良い影響を及ぼすであろう。
【0214】
実施形態2.第1の模擬外科処置及び第2の模擬外科処置が、同じシミュレーション構成又は同じシミュレーション構成のセットで構成されている、実施形態1に記載のコンピューティングデバイス。
【0215】
実施形態3.外科的側面が、以下:手術タスクの持続時間、手術器具の使用、外科的転帰、又は外科的合併症のうちの1つに関連付けられている、実施形態1又は2に記載のコンピューティングデバイス。
【0216】
実施形態4.第1のデータの第1の外科的選択肢が、外科的選択肢選択点における複数の外科的選択肢からの選択であり、第2のデータの第2の外科的選択肢が、外科的選択肢選択点の複数の外科的選択肢からの選択であり、外科的選択肢選択点が、手術タスクの一部であり、第1のデータの外科的側面が、外科的合併症を含み、第2のデータの対応する外科的側面が、外科的合併症を含まない、実施形態1~3のいずれか1つに記載のコンピューティングデバイス。
【0217】
実施形態5.第1のデータの外科的側面が、第1の数値を含み、第2のデータの対応する外科的側面が、第2の数値を含み、プロセッサが、集約データを表示するように更に構成されている、実施形態1~4のいずれか1つに記載のコンピューティングデバイス。
【0218】
実施形態6.第1の模擬外科処置が、ユーザ模擬処置であり、第2の模擬外科処置が、コンピュータ模擬処置である、実施形態1~5のいずれか1つに記載のコンピューティングデバイス。
【0219】
実施形態7.プロセッサが、
第1のデータの第1の外科的選択肢及び第1のデータの外科的側面のシミュレーションを再現する要求を受信することであって、第1のデータの外科的側面が、外科的転帰又は外科的合併症を含む、ことと、
第1のデータの第1の外科的選択肢及び第1のデータの外科的側面のシミュレーションの可視化を生成することと、を行うように更に構成されている、実施形態1~6のいずれか1つに記載のコンピューティングデバイス。
【0220】
実施形態8.第1の模擬外科処置が、コンピュータ模擬処置であり、プロセッサが、
外科的選択肢選択点の複数の外科的選択肢をシミュレートする要求を受信し、
外科的選択肢選択点の複数の外科的選択肢の可視化を生成するように更に構成されている、実施形態4~7のいずれか1つに記載のコンピューティングデバイス。
【0221】
実施形態9.手術シミュレーションを介して外科的分析を実施するためのコンピュータ実装方法であって、
第1の模擬外科処置に関連付けられた第1のデータ及び第2の模擬外科処置に関連付けられた第2のデータを取得することであって、第1の模擬外科処置及び第2の模擬外科処置が各々、外科処置をシミュレートし、第1のデータ及び第2のデータが各々、外科処置の手術タスクに関連付けられている、ことと、
第1のデータの第1の外科的選択肢と第1のデータの外科的側面との間の第1の因果関係、及び第1のデータの第2の外科的選択肢と第2のデータの対応する外科的側面との間の第2の因果関係を決定することと、
第1のデータ及び第2のデータを表示することであって、第1の因果関係が、第1のデータとともに表示され、第2の因果関係が、第2のデータとともに表示される、ことと、を含む、コンピュータ実装方法。
【0222】
実施形態10.第1の模擬外科処置及び第2の模擬外科処置が、同じシミュレーション構成又は同じシミュレーション構成のセットで構成されている、実施形態9に記載のコンピュータ実装方法。
【0223】
実施形態11.外科的側面が、以下:手術タスクの持続時間、手術器具の使用、外科的転帰、又は外科的合併症のうちの1つに関連付けられている、実施形態9又は10に記載のコンピュータ実装方法。
【0224】
実施形態12.第1のデータの第1の外科的選択肢が、外科的選択肢選択点における複数の外科的選択肢からの選択であり、第2のデータの第2の外科的選択肢が、外科的選択肢選択点の複数の外科的選択肢からの選択であり、外科的選択肢選択点が、手術タスクの一部であり、第1のデータの外科的側面が、外科的合併症を含み、第2のデータの対応する外科的側面が、外科的合併症を含まない、実施形態9~11のいずれか1つに記載のコンピュータ実装方法。
【0225】
実施形態13.第1のデータの外科的側面が、第1の数値を含み、第2のデータの対応する外科的側面が、第2の数値を含み、プロセッサが、集約データを表示するように更に構成されている、実施形態9~12のいずれか1つに記載のコンピュータ実装方法。
【0226】
実施形態14.第1の模擬外科処置が、ユーザ模擬処置であり、第2の模擬外科処置が、コンピュータ模擬処置である、実施形態9~13のいずれか1つに記載のコンピュータ実装方法。
【0227】
実施形態15.
第1のデータの第1の外科的選択肢及び第1のデータの外科的側面のシミュレーションを再現する要求を受信することであって、第1のデータの外科的側面が、外科的転帰又は外科的合併症を含む、ことと、
第1のデータの第1の外科的選択肢及び第1のデータの外科的側面のシミュレーションの可視化を生成することと、を更に含む、実施形態9~14のいずれか1つに記載のコンピュータ実装方法。
【0228】
実施形態16.
第1の外科処置における外科的選択肢選択点の複数の外科的選択肢をシミュレートする要求を受信することと、
第1の外科処置における外科的選択肢選択点の複数の外科的選択肢の可視化を生成することと、を更に含む、実施形態9~15のいずれか1つに記載のコンピュータ実装方法。
【0229】
実施形態17.プロセッサが、第1のデータの外科的側面及び第2のデータの対応する外科的側面に基づいて、第1のデータ及び第2のデータから集約データを生成するように更に構成されており、プロセッサが、集約データから第1の因果関係及び第2の因果関係を決定するように構成されている、実施形態1~8のいずれか1つに記載のコンピューティングデバイス。
【0230】
実施形態18.第1のデータの第1の外科的選択肢と第1のデータの外科的側面との間の因果関係、及び第2のデータの第2の外科的選択肢と第2のデータの外科的側面との間の因果関係が各々、1つ又は2つ以上の係数値と、任意選択的に、統計的有意性の値と、を含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載のコンピューティングデバイス。
【0231】
実施形態19.第1のデータの外科的側面及び第2のデータの対応する外科的側面に基づいて、第1のデータ及び第2のデータから集約データを生成することを更に含み、第1の因果関係及び第2の因果関係を決定することが、集約データから第1の因果関係及び第2の因果関係を決定することを含む、実施形態9~16のいずれか1つに記載のコンピュータ実装方法。
【0232】
実施形態20.第1のデータの第1の外科的選択肢と第1のデータの外科的側面との間の因果関係、及び第2のデータの第2の外科的選択肢と第2のデータの外科的側面との間の因果関係が各々、1つ又は2つ以上の係数値と、任意選択的に、統計的有意性の値と、を含む、実施形態9~16のいずれか1つに記載のコンピュータ実装方法。
【0233】
実施形態21.コンピュータによって実行されると、コンピュータに実施形態9~16、19、及び20のいずれか1つに記載の方法を実施させる命令を含む、コンピュータ可読媒体。
【0234】
以下の態様の非包括的な列挙も、本開示の一部を形成する。
【0235】
態様1.手術シミュレーションを介して外科的分析を実施するためのコンピューティングデバイスであって、第1の模擬外科処置に関連付けられた第1のデータ及び第2の模擬外科処置に関連付けられた第2のデータを取得することであって、第1の模擬外科処置及び第2の模擬外科処置が各々、外科処置をシミュレートし、第1のデータ及び第2のデータが各々、外科処置の手術タスクに関連付けられている、ことと、第1のデータの外科的側面及び第2のデータの対応する外科的側面に基づいて、第1のデータ及び第2のデータから集約データを生成することと、集約データから、第1のデータの第1の外科的選択肢と第1のデータの外科的側面との間の第1の因果関係、及び第1のデータの第2の外科的選択肢と第2のデータの対応する外科的側面との間の第2の因果関係を決定することと、第1のデータ及び第2のデータを表示することであって、第1の因果関係が、第1のデータとともに表示され、第2の因果関係が、第2のデータとともに表示される、ことと、を行うように構成されたプロセッサを備える、コンピューティングデバイス。
【0236】
態様2.第1の模擬外科処置及び第2の模擬外科処置が、同じシミュレーション構成又は同じシミュレーション構成のセットで構成されている、態様1に記載の手術シミュレーションを介して外科的分析を実施するためのコンピューティングデバイス。
【0237】
態様3.外科的側面が、手術タスクの持続時間、手術器具の使用、外科的転帰、又は外科的合併症のうちの1つに関連付けられている、態様1に記載の手術シミュレーションを介して外科的分析を実施するためのコンピューティングデバイス。
【0238】
態様4.第1のデータの第1の外科的選択肢が、外科的選択肢選択点における複数の外科的選択肢からの選択であり、第2のデータの第2の外科的選択肢が、外科的選択肢選択点の複数の外科的選択肢からの選択であり、外科的選択肢選択点が、手術タスクの一部であり、第1のデータの外科的側面が、外科的合併症を含み、第2のデータの対応する外科的側面が、外科的合併症を含まない、態様1に記載の手術シミュレーションを介して外科的分析を実施するためのコンピューティングデバイス。
【0239】
態様5.第1のデータの外科的側面が、第1の数値を含み、第2のデータの対応する外科的側面が、第2の数値を含み、プロセッサが、集約データを表示するように更に構成されている、態様1に記載の手術シミュレーションを介して外科的分析を実施するためのコンピューティングデバイス。
【0240】
態様6.第1の模擬外科処置が、ユーザ模擬処置であり、第2の模擬外科処置が、コンピュータ模擬処置である、態様1に記載の手術シミュレーションを介して外科的分析を実施するためのコンピューティングデバイス。
【0241】
態様7.プロセッサが、第1のデータの第1の外科的選択肢及び第1のデータの外科的側面のシミュレーションを再現する要求を受信することであって、第1のデータの外科的側面が、外科的転帰又は外科的合併症を含む、ことと、第1のデータの第1の外科的選択肢及び第1のデータの外科的側面のシミュレーションの可視化を生成することと、を行うように更に構成されている、態様1に記載の手術シミュレーションを介して外科的分析を実施するためのコンピューティングデバイス。
【0242】
態様8.プロセッサが、第1の模擬外科処置における外科的選択肢選択点の複数の外科的選択肢をシミュレートする要求を受信することと、第1の模擬外科処置における外科的選択肢選択点の複数の外科的選択肢の可視化を生成することと、を行うように更に構成されている、態様4に記載の手術シミュレーションを介して外科的分析を実施するためのコンピューティングデバイス。
【0243】
態様9.手術シミュレーションを介して外科的分析を実施するためのコンピュータ実装方法であって、第1の模擬外科処置に関連付けられた第1のデータ及び第2の模擬外科処置に関連付けられた第2のデータを取得することであって、第1の模擬外科処置及び第2の模擬外科処置が各々、外科処置をシミュレートし、第1のデータ及び第2のデータが各々、外科処置の手術タスクに関連付けられている、ことと、第1のデータの外科的側面及び第2のデータの対応する外科的側面に基づいて、第1のデータ及び第2のデータから集約データを生成することと、集約データから、第1のデータの第1の外科的選択肢と第1のデータの外科的側面との間の第1の因果関係、及び第1のデータの第2の外科的選択肢と第2のデータの対応する外科的側面との間の第2の因果関係を決定することと、第1のデータ及び第2のデータを表示することであって、第1の因果関係が、第1のデータとともに表示され、第2の因果関係が、第2のデータとともに表示される、ことと、を含む、コンピュータ実装方法。
【0244】
態様10.第1の模擬外科処置及び第2の模擬外科処置が、同じシミュレーション構成又は同じシミュレーション構成のセットで構成されている、態様9に記載の手術シミュレーションを介して外科的分析を実施するためのコンピュータ実装方法。
【0245】
態様11.外科的側面が、手術タスクの持続時間、手術器具の使用、外科的転帰、又は外科的合併症のうちの1つに関連付けられている、態様9に記載の手術シミュレーションを介して外科的分析を実施するためのコンピュータ実装方法。
【0246】
態様12.第1のデータの第1の外科的選択肢が、外科的選択肢選択点における複数の外科的選択肢からの選択であり、第2のデータの第2の外科的選択肢が、外科的選択肢選択点の複数の外科的選択肢からの選択であり、外科的選択肢選択点が、手術タスクの一部であり、第1のデータの外科的側面が、外科的合併症を含み、第2のデータの対応する外科的側面が、外科的合併症を含まない、態様9に記載の手術シミュレーションを介して外科的分析を実施するためのコンピュータ実装方法。
【0247】
態様13.第1のデータの外科的側面が、第1の数値を含み、第2のデータの対応する外科的側面が、第2の数値を含み、方法が、集約データを表示することを更に含む、態様9に記載の手術シミュレーションを介して外科的分析を実施するためのコンピュータ実装方法。
【0248】
態様14.第1の模擬外科処置が、ユーザ模擬処置であり、第2の模擬外科処置が、コンピュータ模擬処置である、態様9に記載の手術シミュレーションを介して外科的分析を実施するためのコンピュータ実装方法。
【0249】
態様15.第1のデータの第1の外科的選択肢及び第1のデータの外科的側面のシミュレーションを再現する要求を受信することであって、第1のデータの外科的側面が、外科的転帰又は外科的合併症を含む、ことと、第1のデータの第1の外科的選択肢及び第1のデータの外科的側面のシミュレーションの可視化を生成することと、を更に含む、態様9に記載の手術シミュレーションを介して外科的分析を実施するためのコンピュータ実装方法。
【0250】
態様16.第1の外科処置における外科的選択肢選択点の複数の外科的選択肢をシミュレートする要求を受信することと、第1の外科処置における外科的選択肢選択点の複数の外科的選択肢の可視化を生成することと、を更に含む、態様12に記載の手術シミュレーションを介して外科的分析を実施するためのコンピュータ実装方法。
【0251】
〔実施の態様〕
(1) 外科処置をシミュレートするためのコンピューティングデバイスであって、
プロセッサを備え、前記プロセッサが、
第1の模擬外科処置に関連付けられた第1のデータ及び第2の模擬外科処置に関連付けられた第2のデータを取得することであって、前記第1の模擬外科処置及び前記第2の模擬外科処置が各々、外科処置をシミュレートし、前記第1のデータ及び前記第2のデータが各々、前記外科処置の手術タスクに関連付けられている、ことと、
前記第1のデータの第1の外科的選択肢と前記第1のデータの外科的側面との間の第1の因果関係、及び前記第1のデータの第2の外科的選択肢と前記第2のデータの対応する外科的側面との間の第2の因果関係を決定することと、
前記第1のデータ及び前記第2のデータを表示することであって、前記第1の因果関係が、前記第1のデータとともに表示され、前記第2の因果関係が、前記第2のデータとともに表示される、ことと、を行うように構成されている、コンピューティングデバイス。
(2) 前記第1の模擬外科処置及び前記第2の模擬外科処置が、同じシミュレーション構成又は同じシミュレーション構成のセットで構成されている、実施態様1に記載のコンピューティングデバイス。
(3) 前記外科的側面が、以下:手術タスクの持続時間、手術器具の使用、外科的転帰、又は外科的合併症のうちの1つに関連付けられている、実施態様1に記載のコンピューティングデバイス。
(4) 前記第1のデータの前記第1の外科的選択肢が、外科的選択肢選択点における複数の外科的選択肢からの選択であり、前記第2のデータの前記第2の外科的選択肢が、前記外科的選択肢選択点の前記複数の外科的選択肢からの選択であり、前記外科的選択肢選択点が、前記手術タスクの一部であり、前記第1のデータの前記外科的側面が、外科的合併症を含み、前記第2のデータの前記対応する外科的側面が、前記外科的合併症を含まない、実施態様1に記載のコンピューティングデバイス。
(5) 前記第1のデータの前記外科的側面が、第1の数値を含み、前記第2のデータの前記対応する外科的側面が、第2の数値を含み、前記プロセッサが、前記集約データを表示するように更に構成されている、実施態様1に記載のコンピューティングデバイス。
【0252】
(6) 前記第1の模擬外科処置が、ユーザ模擬処置であり、前記第2の模擬外科処置が、コンピュータ模擬処置である、実施態様1に記載のコンピューティングデバイス。
(7) 前記プロセッサが、
前記第1のデータの前記第1の外科的選択肢及び前記第1のデータの前記外科的側面のシミュレーションを再現する要求を受信することであって、前記第1のデータの前記外科的側面が、外科的転帰又は外科的合併症を含む、ことと、
前記第1のデータの前記第1の外科的選択肢及び前記第1のデータの前記外科的側面の前記シミュレーションの可視化を生成することと、を行うように更に構成されている、実施態様1に記載のコンピューティングデバイス。
(8) 前記第1の模擬外科処置が、コンピュータ模擬処置であり、前記プロセッサが、
前記外科的選択肢選択点の前記複数の外科的選択肢をシミュレートする要求を受信し、
前記外科的選択肢選択点の前記複数の外科的選択肢の可視化を生成するように更に構成されている、実施態様4に記載のコンピューティングデバイス。
(9) 手術シミュレーションを介して外科的分析を実施するためのコンピュータ実装方法であって、
第1の模擬外科処置に関連付けられた第1のデータ及び第2の模擬外科処置に関連付けられた第2のデータを取得することであって、前記第1の模擬外科処置及び前記第2の模擬外科処置が各々、外科処置をシミュレートし、前記第1のデータ及び前記第2のデータが各々、前記外科処置の手術タスクに関連付けられている、ことと、
前記第1のデータの第1の外科的選択肢と前記第1のデータの外科的側面との間の第1の因果関係、及び前記第1のデータの第2の外科的選択肢と前記第2のデータの対応する外科的側面との間の第2の因果関係を決定することと、
前記第1のデータ及び前記第2のデータを表示することであって、前記第1の因果関係が、前記第1のデータとともに表示され、前記第2の因果関係が、前記第2のデータとともに表示される、ことと、を含む、コンピュータ実装方法。
(10) 前記第1の模擬外科処置及び前記第2の模擬外科処置が、同じシミュレーション構成又は同じシミュレーション構成のセットで構成されている、実施態様9に記載のコンピュータ実装方法。
【0253】
(11) 前記外科的側面が、以下:手術タスクの持続時間、手術器具の使用、外科的転帰、又は外科的合併症のうちの1つに関連付けられている、実施態様9に記載のコンピュータ実装方法。
(12) 前記第1のデータの前記第1の外科的選択肢が、外科的選択肢選択点における複数の外科的選択肢からの選択であり、前記第2のデータの前記第2の外科的選択肢が、前記外科的選択肢選択点の前記複数の外科的選択肢からの選択であり、前記外科的選択肢選択点が、前記手術タスクの一部であり、前記第1のデータの前記外科的側面が、外科的合併症を含み、前記第2のデータの前記対応する外科的側面が、前記外科的合併症を含まない、実施態様9に記載のコンピュータ実装方法。
(13) 前記第1のデータの前記外科的側面が、第1の数値を含み、前記第2のデータの前記対応する外科的側面が、第2の数値を含み、前記プロセッサが、前記集約データを表示するように更に構成されている、実施態様9に記載のコンピュータ実装方法。
(14) 前記第1の模擬外科処置が、ユーザ模擬処置であり、前記第2の模擬外科処置が、コンピュータ模擬処置である、実施態様9に記載のコンピュータ実装方法。
(15) 前記第1のデータの前記第1の外科的選択肢及び前記第1のデータの前記外科的側面のシミュレーションを再現する要求を受信することであって、前記第1のデータの前記外科的側面が、外科的転帰又は外科的合併症を含む、ことと、
前記第1のデータの前記第1の外科的選択肢及び前記第1のデータの前記外科的側面の前記シミュレーションの可視化を生成することと、を更に含む、実施態様9に記載のコンピュータ実装方法。
【0254】
(16) 前記第1の外科処置における前記外科的選択肢選択点の前記複数の外科的選択肢をシミュレートする要求を受信することと、
前記第1の外科処置における前記外科的選択肢選択点の前記複数の外科的選択肢の可視化を生成することと、を更に含む、実施態様9に記載のコンピュータ実装方法。
(17) 前記プロセッサが、前記第1のデータの前記外科的側面及び前記第2のデータの前記対応する外科的側面に基づいて、前記第1のデータ及び前記第2のデータから集約データを生成するように更に構成されており、前記プロセッサが、前記集約データから前記第1の因果関係及び前記第2の因果関係を決定するように構成されている、実施態様1に記載のコンピューティングデバイス。
(18) 前記第1のデータの前記第1の外科的選択肢と前記第1のデータの前記外科的側面との間の前記因果関係、及び前記第2のデータの前記第2の外科的選択肢と前記第2のデータの前記外科的側面との間の前記因果関係が各々、1つ又は2つ以上の係数値と、任意選択的に、統計的有意性の値と、を含む、実施態様1に記載のコンピューティングデバイス。
(19) 前記第1のデータの前記外科的側面及び前記第2のデータの前記対応する外科的側面に基づいて、前記第1のデータ及び前記第2のデータから集約データを生成することを更に含み、前記第1の因果関係及び前記第2の因果関係を決定することが、前記集約データから前記第1の因果関係及び前記第2の因果関係を決定することを含む、実施態様9に記載のコンピュータ実装方法。
(20) 前記第1のデータの前記第1の外科的選択肢と前記第1のデータの前記外科的側面との間の前記因果関係、及び前記第2のデータの前記第2の外科的選択肢と前記第2のデータの前記外科的側面との間の前記因果関係が各々、1つ又は2つ以上の係数値と、任意選択的に、統計的有意性の値と、を含む、実施態様9に記載のコンピュータ実装方法。
【0255】
(21) コンピュータによって実行されると、前記コンピュータに実施態様9に記載の方法を実施させる命令を含む、コンピュータ可読媒体。
【国際調査報告】