(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】医療用デバイスにおける異種材料結合用接着剤
(51)【国際特許分類】
C09J 5/00 20060101AFI20240528BHJP
C08F 299/06 20060101ALI20240528BHJP
C09J 5/06 20060101ALI20240528BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20240528BHJP
C09J 175/16 20060101ALI20240528BHJP
A61L 31/04 20060101ALI20240528BHJP
A61L 31/14 20060101ALI20240528BHJP
A61L 31/06 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
C09J5/00
C08F299/06
C09J5/06
C09J11/06
C09J175/16
A61L31/04 110
A61L31/14
A61L31/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023571957
(86)(22)【出願日】2022-05-09
(85)【翻訳文提出日】2024-01-18
(86)【国際出願番号】 US2022028381
(87)【国際公開番号】W WO2022245573
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505403186
【氏名又は名称】ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メン、ファンチン
(72)【発明者】
【氏名】セヴィンチ、ゼフラ
(72)【発明者】
【氏名】バイマー、マーク ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】セムラー、ジェイムス ジョセフ
【テーマコード(参考)】
4C081
4J040
4J127
【Fターム(参考)】
4C081AC06
4C081AC07
4C081BB09
4C081CA031
4C081CA161
4C081CA201
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4C081EA05
4J040EF251
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4J040PA32
4J127AA03
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4J127BB041
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4J127BG05Y
4J127BG271
4J127BG27Y
4J127EA12
4J127FA14
4J127FA43
(57)【要約】
医療用デバイス構成要素の異種材料の結合は、異種材料から構成される2つの構成要素の少なくとも1つの表面に接着剤を塗布し、表面を接触させ、接触した表面を熱および/または放射線に曝露して接着剤を硬化させ、表面を結合することによって行われ得る。1つの医療用構成要素、例えば医療用チューブは、非極性のポリ塩化ビニルを含まない熱可塑性ポリマー材料から構成され得、他の医療用構成要素、例えば医療用コネクタは、ポリアクリラート、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、メチルメタクリラート-アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(mABS)、ポリエステル、および/またはポリカーボナート材料から構成され得る。接着剤配合物は、(a)反応性アクリラート基およびアルケニル基を有するポリオレフィンオリゴマーと、(b)開始剤と、場合により(c)溶媒と、を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用デバイス構成要素の異種材料を結合する方法であって、
前記方法は、
非極性の非ポリ塩化ビニル熱可塑性ポリマー材料から構成される1つの医療用構成要素の表面上に、またはポリアクリラート、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、および/もしくはポリカーボナートから構成される他の医療用構成要素の表面上に、またはそのような両方の表面上に接着剤を塗布することと、
前記表面を接触させることと、
前記接着剤を架橋して前記表面を結合するために、接触した前記表面を熱または光放射線に曝露させることと、
結合された前記表面を滅菌することと、
を含み、
前記接着剤配合物が、(a)反応性アクリラート基およびアルケニル基を有するポリオレフィンオリゴマーと、(b)開始剤と、場合により(c)溶媒と、を含む、方法。
【請求項2】
結合された前記表面を電離放射線による滅菌に供することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つの医療用構成要素が、医療用チューブである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記チューブが、スチレン含有熱可塑性エラストマーを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記他の医療用構成要素が、アクリル系ポリマー、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、メチルメタクリラート-アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(mABS)、アクリル-ポリカーボナート系材料、ポリエステル、ポリカーボナートまたはそれらの組み合わせで構成される医療用コネクタを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記1つの医療用構成要素が、スチレン含有熱可塑性エラストマーで構成される医療用チューブを含み、前記他の医療用構成要素が、アクリル系ポリマー、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、メチルメタクリラート-アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(mABS)、アクリル-ポリカーボナート系材料、ポリエステル、ポリカーボナートまたはそれらの組み合わせで構成される医療用コネクタである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記開始剤が、光重合開始剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記接着剤配合物が、溶媒を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
反応性アクリラート基を有する前記ポリオレフィンオリゴマーが、ポリブタジエンオリゴマー鎖に沿ってカルバマート結合および/またはペンダント1,2ビニル基を介して前記ポリブタジエンオリゴマーに結合した反応性アクリラート基を有する前記ポリブタジエンオリゴマーを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
(a)ポリオレフィンオリゴマー鎖に沿って反応性アクリラート基およびペンダント1,2ビニル基を有する前記ポリオレフィンオリゴマーと、(b)開始剤と、場合により(c)溶媒と、を含む、ポリ塩化ビニルを含まない材料を一緒に結合するための接着剤配合物。
【請求項11】
反応性アクリラート基を有する前記ポリオレフィンオリゴマーが、式(I)
【化1】
(式中、R
1がウレタン結合を介してポリオレフィン鎖に結合したアクリラートまたはメタクリラート部分を表し、nが10~約500の整数であり、mが0~約250の整数である)
で表される反応性アクリラート基を有するポリブタジエンオリゴマーを含む、請求項10に記載の接着剤配合物。
【請求項12】
前記開始剤が、光重合開始剤を含む、請求項10に記載の接着剤配合物。
【請求項13】
前記ポリオレフィンオリゴマーが、前記接着剤配合物の少なくとも50重量%の前記反応性成分を含む、請求項10~12のいずれか一項に記載の接着剤配合物。
【請求項14】
請求項10~13のいずれか一項に記載の硬化接着剤配合物によって医療用コネクタに結合された非極性のポリ塩化ビニルを含まない熱可塑性ポリマー材料で構成されたチューブを含む輸液セット。
【請求項15】
前記チューブが、スチレン含有熱可塑性エラストマーを含み、前記医療用コネクタが、アクリル系ポリマー、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、メチルメタクリラート-アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(mABS)、アクリル-ポリカーボナート系材料、ポリエステル、ポリカーボナートまたはそれらの組み合わせで構成される、請求項14に記載の輸液セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年5月21日に出願された米国仮出願第63/191,871号の優先権を主張し、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、(a)ポリオレフィンオリゴマー鎖に沿って反応性アクリラート基およびペンダント1,2ビニル基を有するポリオレフィンオリゴマー、(b)開始剤、および場合により(c)溶媒を含む接着剤による医療用デバイス構成要素の異種材料の結合に関する。
【背景技術】
【0003】
注入ポンプの有無にかかわらず流体容器を患者に接続するチューブ、バルブ、フィッティング、およびスパイクのアセンブリは、「IVセット」と呼ばれることがある。輸液セットは、複数のポリマーチューブセグメントを複数のポリマー構成要素に接合することによって構築される。接合部は、典型的には、接触面の一方または両方に溶媒または接着剤の薄層を塗布し、次いで2つの面を合わせることによって形成される。
【0004】
しかし、輸液セットは、熱可塑性エラストマーおよびポリオレフィンなどの非ポリ塩化ビニル材料で構築されることが多くなっており、これらは、それらの相対的な化学的不活性のために、他の医療用構成要素、特に異なるポリマー材料で作られた構成要素に結合することが困難である。したがって、熱可塑性エラストマーから作製されたチューブを使用して輸液セットを製造する際のより重要な問題は、所望の流体の流れを伴う安全なおよび/または漏れのない接合部を得るために、そのようなチューブおよび輸液構成要素を一貫して接合することである。
【0005】
したがって、特に医療用デバイス用のポリ塩化ビニルを含まない材料を用いて、接着性を改善し、凝集障害耐性を改善し、医療用チューブと剛性コネクタとの間、および/またはコネクタハブへの針との間の漏れ防止接合部を提供することが継続的に必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本技術の態様は、(a)反応性アクリラート基および反応性アルケニル基を有するポリオレフィンオリゴマーと、(b)熱または光開始剤などの開始剤と、場合により(c)溶媒と、を含む接着剤配合物に関する。接着剤は、医療用デバイス構成要素の異種材料を結合するように適合される。有利には、反応性ポリオレフィンオリゴマーは、非極性一次ポリマー骨格、ポリオレフィンオリゴマー鎖に沿ったアルケンまたはペンダント1,2ビニル基などの反応性アルケニル基、およびカルバマート(ウレタン基)などの極性連結基を含む極性末端セグメント、反応性(メタ)アクリラート末端基を連結するエステルを含む。さらに、反応性ポリオレフィンオリゴマーは、アクリラートおよびビニル基に加えて、熱、光、または電離放射線などの外部刺激に応答して共有結合を形成するよう反応し得る任意の官能基を含むことができる。反応性アクリラート基を有するポリオレフィンオリゴマーは、約500~約30,000g/mol、例えば約500~約10,000または5,000、または3,000g/molの数平均分子量を有することができる。
【0007】
本技術のさらなる態様は、非極性の非ポリ塩化ビニル熱可塑性ポリマー材料から構成される1つの医療用構成要素の表面上に、またはポリアクリラート、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、および/もしくはポリカーボナートから構成される他の医療用構成要素の表面上に、またはそのような両方の表面上に接着剤を塗布することによって、医療用デバイス構成要素の異種材料を結合することと、接着剤を架橋して表面を結合するために、接触した表面を熱または光放射線に接触させて曝露させることと、結合された表面を滅菌することと、に関する。滅菌は、有利には、接着剤の化学反応をさらに誘発することができ、電離放射線などによる滅菌を含むことができる。
【0008】
本技術の他の態様は、硬化した接着剤配合物によって医療用コネクタに結合された非極性のポリ塩化ビニルを含まない熱可塑性ポリマー材料からなるチューブを含む輸液セットに関し、接着剤配合物は、(a)反応性アクリラート基およびアルケニル基を有するポリオレフィンオリゴマーと、(b)開始剤と、場合により(c)溶媒と、を含む。
【0009】
実施形態は、以下の特徴の1つまたは複数を個別にまたは組み合わせて含む。例えば、接合される1つの医療用構成要素は医療用チューブであってもよく、他の医療用構成要素は医療用コネクタであってもよく、チューブは、スチレン含有熱可塑性エラストマーを含むことができ、例えば、コネクタは、アクリル系ポリマー、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、メチルメタクリラート-アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(mABS)、アクリル-ポリカーボナート系材料、ポリエステル、ポリカーボナートまたはそれらの組み合わせから構成され得る。
【0010】
本技術のさらなる利点は、以下の詳細な説明から当業者に容易に明らかになり、本技術の特定の態様のみが単に例示として示され説明される。理解されるように、本技術は、他の異なる構成が可能であり、そのいくつかの詳細は、すべて本技術から逸脱することなく、他の様々な点で修正が可能である。したがって、図面および説明は、本質的に例示と見なされるべきであり、限定と見なされるべきではない。
【0011】
さらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、開示された実施形態を示し、説明と共に開示された実施形態の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】放射線およびUV/ガンマ線を受けていないサンプル接着剤配合物の引張力の差のプロットである。UV/ガンマ線処理群は統計学的に有意である(p=0.000)。
【0013】
【
図2】
図2Aおよび
図2Bは、放射線およびUV/ガンマ線を受けていないサンプル接着剤配合物の引張力の差のプロットである。UV/ガンマ線処理群は統計学的に有意である(p=0.000)。
【0014】
【
図3】様々な放射条件に供されたサンプル接着剤配合物の引張力の差のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に記載される詳細な説明は、本技術の様々な構成を説明するものであり、本技術が実施され得る唯一の構成を表すことを意図するものではない。詳細な説明は、本技術の完全な理解を提供する目的のための特定の詳細を含む。したがって、寸法は、非限定的な例として特定の態様に関して提供される。しかしながら、本技術がこれらの特定の詳細なしで実施され得ることは当業者には明らかであろう。いくつかの例では、本技術の概念を不明瞭にすることを避けるために、周知の構造および構成要素がブロック図形式で示されている。
【0016】
本開示は、本技術の例を含み、添付の特許請求の範囲を限定しないことを理解されたい。ここで、本技術の様々な態様が、特定であるが非限定的な例に従って開示される。本開示に記載された様々な実施形態は、異なる方法および変形で、所望の用途または実装形態に従って実行することができる。
【0017】
本技術の態様は、(a)反応性アクリラート基およびアルケニル基を有するポリオレフィンオリゴマーと、(b)熱または光開始剤などの開始剤と、場合により(c)溶媒と、を含む接着剤配合物(または略して接着剤)に関する。有利には、反応性ポリオレフィンオリゴマーは、非極性一次ポリマー骨格、ポリオレフィンオリゴマー鎖に沿ったアルケンまたはペンダント1,2ビニル基などの反応性アルケニル基、およびカルバマート(ウレタン基)などの極性連結基を含む極性末端セグメント、反応性(メタ)アクリラート末端基を連結するエステルを含む。さらに、反応性ポリオレフィンオリゴマーは、アクリラートおよびビニル基に加えて、熱、光、または電離放射線などの外部刺激に応答して共有結合を形成するよう反応し得る任意の官能基を含むことができる。接着剤は、熱または光硬化性接着剤配合物の貯蔵寿命を延長するために、ポリオレフィンオリゴマー、粘度調整剤、粘着付与剤および/または阻害剤、例えばフリーラジカル阻害剤と共重合するアクリラート単量体成分をさらに含むことができる。
【0018】
有利には、反応性アクリラート基を有するポリオレフィンオリゴマーは、接着剤の反応性成分の主成分(少なくとも50%(重量基準))である。いくつかの実施形態では、接着剤配合物は、接着剤の反応性成分として少なくとも60%、70%、80%またはそれ以上(重量基準)の反応性ポリオレフィンオリゴマーを含む。接着剤は、ポリオレフィンオリゴマーの2つの異なるタイプの反応性基に起因して、2つの別個のモードによって硬化されることができる。すなわち、アクリラート基は光硬化によって硬化させることができ、1,2ビニル基は、医療用デバイスの滅菌に有用な条件下で電離放射線(例えば、eビームおよび/またはガンマ線)によって硬化させることができる。電離放射線によって反応する傾向がある1,2ビニル基はまた、接着剤および合わせ面中の成分および構成成分と反応することができ、これは結合の強度を高める。
【0019】
本開示の接着剤配合物は、一般的に非極性のポリ塩化ビニルを含まない熱可塑性ポリマー材料から作製された医療用デバイス構成要素などの医療用デバイス構成要素の異種材料を、一般的に極性のアクリル系ポリマー材料、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、メチルメタクリラート-アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(mABS)、アクリル-ポリカーボナート系材料、ポリエステル、ポリカーボナートなどから作製された医療用デバイス構成要素に結合するように適合されている。非ポリ塩化ビニル熱可塑性ポリマー材料から作製された医療用デバイス構成要素には、医療用チューブが含まれ、ポリアクリラート、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリカーボナートなどから作製された医療用デバイス構成要素には、スパイク、オスルアー、無針弁コネクタおよび剛性カプラなどの剛性コネクタが含まれる。本開示の接着剤配合物はさらに、表面を接着剤で結合した後に医療用デバイスがそのような滅菌を受けるように、医療用デバイスに一般的な慣行である熱、化学物質または放射線(例えば、熱、エチレンオキシドまたはガンマ線で滅菌)による滅菌に耐えるように適合される。
【0020】
本開示の接着剤配合物は、非極性の非ポリ塩化ビニル熱可塑性ポリマー材料から構成される1つの医療用構成要素の表面上に、またはポリアクリラート、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、および/もしくはポリカーボナートから構成される他の医療用構成要素の表面上に、またはそのような両方の表面上に接着剤を塗布することと、塗布された接着剤を有する表面を接触させることと、接着剤を架橋して表面を結合するために、接触した表面を熱または放射線に接触させて曝露させることと、によって医療用デバイス構成要素の異種材料を結合するために有利に用いられ得る。放射線は、(i)UV放射線などの光放射線、および(ii)eビームおよび/またはガンマ線などの電離放射線を含むことができる。
【0021】
特定の態様では、1つの医療用構成要素は、非極性の非ポリ塩化ビニル熱可塑性ポリマー材料から構成することができ、非ポリ塩化ビニル熱可塑性ポリマー材料から構成される医療用チューブとすることができる。他の態様では、他の医療用構成要素は、ポリアクリラート、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、および/またはポリカーボナートから構成することができは、ポリアクリラート、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、および/またはポリカーボナートから構成される剛性コネクタまたはカプラとすることができる。
【0022】
本開示の例示的な接着剤配合物は、限定されないが、ポリオレフィンオリゴマー鎖に沿って反応性アクリラート基(すなわち、少なくとも2つの反応性アクリラート基)および反応性ペンダント1,2ビニル基を有するポリオレフィンオリゴマーを含む。このようなポリオレフィンオリゴマーは、反応性アクリラート基を有するポリブタジエンオリゴマー、無水マレイン酸官能性の有無にかかわらずアクリル変性塩素化ポリオレフィンであり得る。このような反応性ポリオレフィンオリゴマーは、ウレタン連結基を介してポリブタジエン鎖の両端に結合した(メタ)アクリル基を有するポリブタジエンアクリラート樹脂などの反応性アクリラートをオレフィンに結合する極性基を有することができる。エポキシ基および無水マレイン酸残基などの追加の反応基もポリオレフィンオリゴマーに含めることができる。反応性アクリラート基を有するポリオレフィンオリゴマーは、約500~約30,000g/mol、例えば約500~約10,000または5,000、または3,000g/molの数平均分子量を有することができる。
【0023】
本開示の接着剤配合物における反応性アクリラート基を有するポリオレフィンオリゴマーの使用は、反応性ポリオレフィンの繰り返し単位が、結合に供される医療用構成要素の1つの非極性熱可塑性ポリマー材料と同様であるという利点を有し、したがって熱可塑性物質に対する親和性をもたらす。さらに、反応性ポリオレフィンオリゴマー上のアクリラートおよび他の極性基は、極性材料から作製された他の医療用デバイス構成要素に対する親和性を作り出すことができる。例えば、ウレタンまたはカルバマートは、双極子-双極子モーメントまたは水素結合によって剛性プラスチックの極性表面との表面相互作用を促進する強力な極性基である。
【0024】
さらに、モノマー成分とは対照的に、オリゴマーを使用すると、重合時の体積収縮が小さくなり、結合界面領域のギャップの充填体積変化が最小になる。そのため、接合構成要素の潜在的な漏れを改善できることが期待される。本開示の接着剤配合物中の反応性アクリラート基を有する特定のポリオレフィンオリゴマーの別の利点は、ガンマまたは電子ビーム放射線からの滅菌後に、1,2ビニル基などの残留反応性基の反応を継続して接着剤をさらに硬化させることができることである。例えば、(メタ)アクリラート官能性末端基および1,2ビニル側鎖は、架橋反応を有して、高度に架橋されたネットワークを生成し、高い引張力の熱硬化性樹脂を形成する。
【0025】
本開示の一態様では、本開示の接着剤配合物中の反応性アクリラート基を有するポリオレフィンオリゴマーは、以下の式(I)によって表される反応性アクリラート基を有するポリブタジエンオリゴマーを含む。
【化1】
【0026】
式中、R
1はアクリラートまたはメタクリラート部分を表し、nは10~約500の整数、例えば10~約100であり、mは0~約250の整数、例えば0~約100である。本開示の一態様では、反応性アクリラート基を有するポリブタジエンオリゴマーは、約500~約30,000g/mol、例えば約500~約10,000または5,000、または3,000g/molの数平均分子量を有することができる。アクリラートまたはメタクリラート部分は、以下に示すように表すことができる。
【化2】
【0027】
式中、R2はHまたはメチルを表す。
【0028】
本開示の接着剤配合物中の反応性アクリラート基を有する他のポリオレフィンオリゴマーは、以下のスキーム1に示すものを含むことができる。
【化3】
スキーム1
【0029】
極性エステル結合を介してポリオレフィンオリゴマー鎖に結合した反応性アクリラート基を有するそのようなポリオレフィンオリゴマーはまた、ポリオレフィンオリゴマー鎖に沿った反応性アルケニル基を含む。
【0030】
本開示の接着剤配合物はまた、限定されないが、イソボルニルアクリラート(IBOA)、メチルアクリラート、エチルアクリラート、ブチルアクリラート、イソブチルアクリラート、tert-ブチルアクリラート、ヘキシルアクリラート、2-エチルヘキシルアクリラート、オクチルアクリラート、デシルアクリラート、イソデシルアクリラート、イソオクチルアクリラート、ラウリルアクリラート、オクタデシルアクリラート、トリデシルアクリラート、2-ナフチルアクリラート、ベンジルアクリラートなどのアクリラートモノマー成分を含むことができる。
【0031】
接着剤配合物はまた、反応性アクリラート基および/または他のモノマー成分を有するポリオレフィンオリゴマーの反応性基の架橋を開始するための1つ以上の開始剤を含むことができる。本開示の接着剤配合物に含めることができる有用な開始剤としては、例えば、熱重合開始剤および光重合開始剤が挙げられる。
【0032】
熱重合開始剤は、熱にさらされるとラジカルまたはカチオンを生成する化合物である。例えば、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2’-アゾジ(2-メチルブチロニトリル)(AMBN)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(ADVN)などのアゾ化合物、ならびにベンゾイルペルオキシド(BPO)、tert-ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)熱ラジカル開始剤、ベンゼンスルホン酸エステルおよびアルキルスルホニウム塩などの有機過酸化物を、熱開始剤として本開示の接着剤に使用することができる。
【0033】
接着剤配合物はまた、紫外線照射などの光照射によりフリーラジカルを生成する光重合開始剤を含むことができ、これはまた、または代替として、例えば限定されないが、Darocur 1173として入手可能なケトン、ベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン、ジフェニルホスフィンオキシド開始剤などのホスフィンオキシド、例えばIrgacure(商標)TPOとして入手可能なジフェニル(2,4,6トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(Irgacure 819)などを含む本開示の接着剤に使用することもできる。
【0034】
本開示の接着剤配合物に使用することができる溶媒には、限定されないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ベンジルアルコールなどのアルコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、1,3-ジオキサンなどのエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン、エチルアセタート、エチルフォルマートなどのエステル、ジメチルホルムアミド、ジメチルおよびジエチルアセトアミドなどのアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド、ヘキサンなどの炭化水素、トルエン、塩化メチレンなどの塩素化溶媒などの1つ以上が含まれる。
【0035】
本開示の接着剤配合物は、輸液によって薬液を投与するための医療用チューブおよびコネクタを含む輸液セットの構成要素などの異種医療用デバイス構成要素を接着するのに有用である。
【0036】
特定の態様によれば、静脈内投与のためのチューブは、非ポリ塩化ビニル(PVC)熱可塑性ポリマーおよび/またはシリコーン材料を含むことができる。そのような材料としては、例えば、シリコーン、熱可塑性オレフィン(TPO)、熱可塑性エラストマー(TPE)、例えばスチレン含有熱可塑性エラストマー(S-TPE)、例えばスチレンブロック共重合体(SBC)、例えばスチレン-ブタジエン-スチレン-スチレン共重合体(SBS)、スチレン-ブタジエン-スチレン-スチレンブロック共重合体(SBSS)、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)、ポリオレフィンエラストマー(POE)などの熱可塑性エラストマーの1つ以上、またはそれらを含むブレンドが挙げられる。熱酸化安定性およびUV安定性を改善するために、S-TPEエラストマー(例えば、SBS、SBSSまたはSISポリマーのポリブタジエンまたはポリイソプレンゴムブロック)の不飽和ゴムブロックを水素化して、限定されないが、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン熱可塑性エラストマー(SEBS)、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレン(SEPS)を含む水素化スチレン系熱可塑性エラストマーを形成することができる。高性能熱可塑性エラストマー(TPE)は、医療用チューブおよびフィルム用の可撓性PVCの持続可能な代替物として設計されている。さらに、チューブは、水素化スチレン系熱可塑性エラストマーと、ポリプロピレンなどの水素化または飽和ポリオレフィン、例えばランダムコポリマーポリプロピレン(RCPP)などのホモ、ブロックおよび/またはランダムポリプロピレンのブレンドを含むことができる。
【0037】
そのような例示的な材料は、光学的に透明であり、熱安定性であり、化学的および放射線滅菌可能(例えば、熱、エチレンオキシドまたは電離放射線で滅菌)であり、生理学的に不活性であり得る。そのような例示的な材料はまた、環境的に適合可能であり、最小限の汚染物質で焼却することができる。
【0038】
本開示のチューブは、流体が流れる内径が約0.1mm~約3.5mm、例えば約0.5mm~約2.5mmの範囲であり、側壁全体の厚さが0.1mm~2mm、例えば約0.4mm~約1mmの範囲であってもよい。
【0039】
本開示のチューブは、患者への静脈内流体の輸送のための静脈内アセンブリ、重力容器および/または注入ポンプと共に特に有用である。流体容器を患者に静脈内接続するチューブ、バルブ、フィッティング、およびスパイクのアセンブリは、「IVセット」と呼ばれることがある。注入ポンプは、静脈内(IV)流体を投与するために使用され得る医療用デバイスである。そのようなアセンブリ、容器およびポンプは、本開示の1つ以上の医療用コネクタおよびチューブに結合されたチューブを使用し、それ自体が有用である。
【0040】
例えば、本開示によるチューブは、本開示の接着剤の薄層を接触面の一方または両方に塗布することによって、医療用コネクタまたは他の医療用構成要素に容易に嵌合し、結合することができる。接着剤が塗布された後、接着剤を架橋し、表面を結合するために、チューブ表面および他の医療用構成要素の表面を接触させ、熱および/または放射線に曝露する。チューブの接触面は、接合される接触面が内層であるか外層であるかまたはその両方であるかに応じて、内径、外径、または内径と外径の両方であり得る。接着剤は、内側、外側、またはその両方に塗布することができる。
【0041】
本開示から利益を得ることができる医療用コネクタとしては、限定されないが、アクリル系ポリマー材料、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、メチルメタクリラート-アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(mABS)、アクリル-ポリカーボナート系材料、ポリエステル、ポリカーボナートなど、またはそれらの組み合わせで構成されるコネクタが挙げられる。
【0042】
本出願の一実施形態では、本開示によるチューブは、チューブの表面上、または医療用コネクタなどの医療用構成要素の表面上、またはチューブの表面と医療用構成要素の表面の両方に接着剤を塗布することによって、医療用コネクタに容易に嵌合および結合することができる。接着剤が塗布された表面を接触させ、接触させた表面を熱または放射線に曝露して接着剤を架橋させ、表面を接着させる。次いで、結合された医療用構成要素は、熱、化学物質または放射線によって滅菌され得る。特定の実施形態では、接着剤がペンダントビニル基を有するポリオレフィンオリゴマーを含む場合、ガンマ線による滅菌は、接着剤をさらに硬化させて、嵌合した表面により強い結合を形成する。
【実施例】
【0043】
以下の例は、本技術の特定の態様をさらに説明することを意図しており、本質的に限定するものではない。当業者は、日常的な実験のみを使用して、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を認識するか、または確認することができるであろう。
【0044】
一連の接着剤配合物を、2つのグレードのポリブタジエンアクリラート樹脂のうちの1つを、ウレタン連結基を介してポリブタジエン鎖の両端に結合した(メタ)アクリル基と組み合わせることによって調製した。このような樹脂は、日本曹達株式会社からTE-2000およびTEAI-1000として市販されている。これらの樹脂の化学構造および特性を以下のスキーム2および表1に示す。
TE-2000
【化4】
TEAI-1000
【化5】
スキーム2
【表1】
【0045】
以下の6つのサンプルを記載のように調製した。
【0046】
サンプル1:50% w/w濃度で均一な粘度の溶液を作製するために、メチルエーテルケトン(MEK)に溶解したTE2000を含む製剤を開発するための実験研究を行った。
【0047】
サンプル2:50% w/w濃度で均一な粘度の溶液を作製するために、メチルエーテルケトンに溶解したTEAI-1000を含む製剤を開発するための実験研究を行った。
【0048】
サンプル3:サンプル1からの7gの50% TE-2000(3.5gのTE-2000)に、0.1gの光開始剤Irgacure 819を添加して、70:2のTE-2000とIrgacure 819の重量比とした。
【0049】
サンプル4:サンプル2からの7gの50% TEAI-1000(3.5gのTE-2000)に、0.1gの光開始剤Irgacure 819を添加して、70:2の重量比とした。
【0050】
サンプル5:サンプル1からの7gの50% TE-2000(3.5gのTE-2000)に、1.5gのイソボルニルアクリラート(IBOA)、0.1gのIrgacure 819を添加して、70:30:2の重量比のTE-2000、イソボルニルアクリラート(IBOA)およびIrgacure 819の溶液を作製した。
【0051】
サンプル6:サンプル2からの7gの50% TEAI-1000(3.5gのTE-2000)に、1.5gのIBOA、0.1gのIrgacure 819を添加して、70:30:2の重量比のTEAI-1000、IBOAおよびIrgacure 819の溶液を作製した。
【0052】
アセンブリの結合およびスチレン系TPEチューブのメスポケットルアーコネクタへの加工:
【0053】
ID 0.107インチおよびOD 0.145インチの寸法を有する押出スチレン系ブロックコポリマー系のTPEチューブをそれぞれ3インチの長さに切断し、次いで、約0.5インチの長さの範囲のチューブ外面に綿Qチップによって接着剤コーティングの薄層を塗布した。接着剤は、上記の調製されたサンプル1~6由来のものであった。接着剤で覆われたチューブセグメントを、ルアーコネクト(mABS材料)のメスポケットに、それが停止してしっかりと係合するまで手動で完全に挿入した。次いで、アセンブリを、波長365nmのLEDを用いて20秒間UV硬化させた。UV出力は1~1.5W/cm2であり、LEDヘッドとアセンブリ接合部との間の硬化距離は1インチであった。21.4~35kGyの線量を有するガンマ線からの有効性を試験するために、アセンブリもガンマ線で滅菌した。
【0054】
インストロンによる結合アセンブリ分離力測定:
【0055】
一般的試験(インストロン)を使用して、引張力試験を20インチ/分の歪み速度で行った。ルアーコネクタを保持固定具に配置し、次いで、上部グリッパを調整して、結合ポケットの開口部から1インチ離れてチューブにクランプするようにした。
【0056】
異なる処理条件(UV、ガンマ)でのサンプル群による引張力の結果(サンプルサイズ5)を、故障モード(TPO=チューブプルアウト、TB=チュービングブレーク)と共に以下の表2に示す。
【表2】
【0057】
サンプル1および2の接着剤組成物は、アクリラートの反応性基を有するポリブタジエンと、溶媒MEKと、を含む。接着剤組成物中にUVまたは熱開始剤は存在しないが、UVおよびガンマ処理後、引張力はサンプル1では25%、サンプル2では18%増加することが観察された(
図1A)。
図2は、UV/ガンマ滅菌後の統計的改善のミニタブの結果を示す。
【0058】
接着剤サンプル3、サンプル4、サンプル5およびサンプル6からの表2の引張力データを収集し、表3に表にした各処理条件からの引張力の変化率を増加させて、異なる処理条件下で比較するために
図3にプロットした。
【表3】
【0059】
さらに、引張力の変化が処理時に統計的に有意であるかどうかを理解するために、グラフプロットを用いてANOVA分析を実施し、サンプル3~6についてTukeyの比較試験を以下に実証した。分析は、サンプル3~6について統計的に有意な対照由来の引張力を改善するために処理(ガンマ、UV、またはUVとガンマとの組み合わせ)が必要であることを示した。
【0060】
サンプルについて列挙した成分に加えて、他の熱および/または光開始剤を使用することができる。粘度調整剤を、製造性およびアセンブリの容易性のために使用することができる。接着剤配合物は、追加の適切な有機溶媒で希釈することができ、粘着付与剤をさらに含むことができる。さらに、HQ、BHT、MEHQなどのフリーラジカル阻害剤を、熱または光硬化性接着剤配合物の貯蔵寿命を延長するために追加する可能性がある。
【0061】
開示されたプロセスの方法におけるブロックの任意の特定の順序または階層は、例示的な手法の例示であることが理解される。設計または実装の選好に基づいて、プロセス内のブロックの特定の順序または階層は再配置されてもよく、またはすべての図示されたブロックが実行されてもよいことが理解される。いくつかの実装形態では、ブロックのいずれかが同時に実行されてもよい。
【0062】
本開示は、当業者が本明細書に記載の様々な態様を実施することを可能にするために提供される。本開示は、本技術の様々な例を提供し、本技術はこれらの例に限定されない。これらの態様に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義される一般的な原理は、他の態様に適用されてもよい。
【0063】
単数形の要素への言及は、特に明記しない限り、「1つおよび1つのみ」を意味するものではなく、むしろ「1つまたは複数」を意味するものである。特に明記しない限り、「いくつか」という用語は、1つまたは複数を指す。男性の代名詞(例えば、彼の(his))には、女性および中性の性別(例えば、彼女の(her)およびその(its))が含まれ、逆もまた同様である。見出しおよび小見出しがある場合、それらは便宜上使用されているにすぎず、本発明を限定するものではない。
【0064】
「例示的」という用語は、本明細書では「例または例示としての役割を果たす」ことを意味するために使用される。本明細書で「例示的」として説明される態様または設計は、必ずしも他の態様または設計よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。一態様では、本明細書に記載の様々な代替の構成および動作は、少なくとも同等であると見なされ得る。
【0065】
本明細書で使用される場合、一連の項目の前の「少なくとも1つ」という語句は、項目のいずれかを分離するための「または」という用語と共に、リストの各項目ではなく、リスト全体を変更する。「少なくとも1つの」という語句は、少なくとも1つの項目の選択を必要としない。むしろ、句は、項目のいずれか1つの少なくとも1つ、および/または項目の任意の組み合わせの少なくとも1つ、および/または項目の各々の少なくとも1つを含む意味を可能にする。例として、「A、B、またはCの少なくとも1つ」という語句は、Aのみ、Bのみ、またはCのみを指し得る。またはA、BおよびCの任意の組み合わせである。
【0066】
「態様」などの語句は、そのような態様が本技術に必須であること、またはそのような態様が本技術のすべての構成に適用されることを意味しない。態様に関する開示は、すべての構成に適用されてもよく、1つまたは複数の構成に適用されてもよい。態様は、1つまたは複数の例を提供することができる。1つの態様などの語句は、1つまたは複数の態様を指すことができ、その逆も可能である。「態様」などの語句は、そのような態様が本技術に必須であること、またはそのような態様が本技術のすべての構成に適用されることを意味しない。実施形態に関する開示は、すべての実施形態、または1つもしくは複数の実施形態に適用することができる。態様は、1つまたは複数の例を提供することができる。1つの態様などの語句は、1つまたは複数の態様を指すことができ、その逆も可能である。「態様」などの語句は、そのような態様が本技術に必須であること、またはそのような態様が本技術のすべての構成に適用されることを意味しない。構成に関する開示は、すべての構成に適用されてもよいし、1つまたは複数の構成に適用されてもよい。構成は、1つまたは複数の例を提供することができる。そのような構成という語句は、1つまたは複数の構成を指すことができ、その逆も同様である。
【0067】
一態様では、特に明記しない限り、以下の特許請求の範囲を含む本明細書に記載されているすべての測定値、値、格付け、位置、大きさ、サイズ、および他の仕様は、近似的であり、正確ではない。一態様では、それらは、それらが関連する機能およびそれらが関連する技術分野で慣用的なものと一致する合理的な範囲を有することが意図されている。
【0068】
開示されたステップ、動作、またはプロセスの特定の順序または階層は、例示的な手法の例示であることが理解される。設計の選好に基づいて、ステップ、動作、またはプロセスの特定の順序または階層が再配置され得ることが理解される。ステップ、動作またはプロセスのいくつかは、同時に実行されてもよい。ステップ、動作、またはプロセスの一部またはすべては、ユーザの介入なしに自動的に実行されてもよい。添付の方法クレームは、もしあれば、様々なステップ、動作またはプロセスの要素をサンプル順序で提示し、提示された特定の順序または階層に限定されることを意味しない。
【0069】
当業者に知られている、または後に当業者に知られるようになる、本開示を通して説明される様々な態様の要素に対するすべての構造的および機能的等価物は、参照により本明細書に明示的に組み込まれ、特許請求の範囲に包含されることが意図される。さらに、本明細書に開示されたものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかにかかわらず、公衆に専用であることを意図していない。請求項のいかなる要素も、要素が「のための手段」という語句を使用して明示的に記載されていない限り、または方法請求項の場合、要素が「のためのステップ」という語句を使用して記載されていない限り、35 U.S.C.§112(f)の規定の下で解釈されるべきではない。さらに、「含む(include)」、「有する(have)」などの用語が使用される限りにおいて、そのような用語は、「含む(comprise)」が特許請求の範囲において移行語として使用される場合に解釈されるように、「含む(comprise)」という用語と同様に包括的であることが意図される。
【0070】
本開示の表題、背景技術、概要、図面の簡単な説明および要約は、本明細書によって本開示に組み込まれ、限定的な説明としてではなく、本開示の例示的な例として提供される。特許請求の範囲または意味を限定するために使用されないことを理解して提出される。さらに、詳細な説明では、説明が例示的な例を提供し、本開示を簡素化する目的で様々な実施形態において様々な特徴が一緒にグループ化されていることが分かる。この開示方法は、特許請求される主題が各請求項に明示的に記載されているよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映すると解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、本発明の主題は、単一の開示された構成または動作のすべての特徴よりも少ない特徴にある。以下の特許請求の範囲は、詳細な説明に組み込まれ、各請求項は別個に特許請求される主題として独立している。
【0071】
特許請求の範囲は、本明細書に記載された態様に限定されることを意図するものではなく、言語特許請求の範囲と一致する全範囲が与えられ、すべての法的同等物を包含するものとする。それにもかかわらず、特許請求の範囲のいずれも、35 U.S.C.§101、102または103の要件を満たさない主題を包含することを意図しておらず、そのように解釈されるべきでもない。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用デバイス構成要素の異種材料を結合する方法であって、
前記方法は、
非極性の非ポリ塩化ビニル熱可塑性ポリマー材料から構成される1つの医療用構成要素の表面上に、またはポリアクリラート、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、および/もしくはポリカーボナートから構成される他の医療用構成要素の表面上に、またはそのような両方の表面上に接着剤を塗布することと、
前記表面を接触させることと、
前記接着剤を架橋して前記表面を結合するために、接触した前記表面を熱または光放射線に曝露させることと、
結合された前記表面を滅菌することと、
を含み、
前記接着剤配合物が、(a)反応性アクリラート基およびアルケニル基を有するポリオレフィンオリゴマーと、(b)開始剤と、場合により(c)溶媒と、を含
み、
前記ポリオレフィンオリゴマーが、式(I)
【化1】
(式中、R
1
がウレタン結合を介してポリオレフィン鎖に結合したアクリラートまたはメタクリラート部分を表し、nが10~500の整数であり、mが0~250の整数である)
で表される、方法。
【請求項2】
結合された前記表面を電離放射線による滅菌に供することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つの医療用構成要素が、医療用チューブである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記チューブが、スチレン含有熱可塑性エラストマーを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記他の医療用構成要素が、アクリル系ポリマー、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、メチルメタクリラート-アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(mABS)、アクリル-ポリカーボナート系材料、ポリエステル、ポリカーボナートまたはそれらの組み合わせで構成される医療用コネクタを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記1つの医療用構成要素が、スチレン含有熱可塑性エラストマーで構成される医療用チューブを含み、前記他の医療用構成要素が、アクリル系ポリマー、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、メチルメタクリラート-アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(mABS)、アクリル-ポリカーボナート系材料、ポリエステル、ポリカーボナートまたはそれらの組み合わせで構成される医療用コネクタである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記開始剤が、光重合開始剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記接着剤配合物が、溶媒を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
反応性アクリラート基を有する前記ポリオレフィンオリゴマーが、ポリブタジエンオリゴマー鎖に沿ってカルバマート結合およ
びペンダント1,2ビニル基を介して前記ポリブタジエンオリゴマーに結合した反応性アクリラート
末端基を有する前記ポリブタジエンオリゴマーを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
(a)ポリオレフィンオリゴマー鎖に沿って反応性アクリラート
末端基およびペンダント1,2ビニル基を有する前記ポリオレフィンオリゴマーと、(b)開始剤と、場合により(c)溶媒と、を含む、ポリ塩化ビニルを含まない材料を一緒に結合するための接着剤配合物
であって、
反応性アクリラート基を有する前記ポリオレフィンオリゴマーが、式(I)
【化2】
(式中、R
1
がウレタン結合を介してポリオレフィン鎖に結合したアクリラートまたはメタクリラート部分を表し、nが10~500の整数であり、mが0~250の整数である)
で表される反応性アクリラート基を有するポリブタジエンオリゴマーを含む、接着剤配合物。
【請求項11】
前記開始剤が、光重合開始剤を含む、請求項10に記載の接着剤配合物。
【請求項12】
前記ポリオレフィンオリゴマーが、前記接着剤配合物の少なくとも50重量%の前記反応性成分を含む、請求項10~
11のいずれか一項に記載の接着剤配合物。
【請求項13】
請求項10~
12のいずれか一項に記載の硬化接着剤配合物によって医療用コネクタに結合された非極性のポリ塩化ビニルを含まない熱可塑性ポリマー材料で構成されたチューブを含む輸液セット。
【請求項14】
前記チューブが、スチレン含有熱可塑性エラストマーを含み、前記医療用コネクタが、アクリル系ポリマー、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、メチルメタクリラート-アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(mABS)、アクリル-ポリカーボナート系材料、ポリエステル、ポリカーボナートまたはそれらの組み合わせで構成される、請求項
13に記載の輸液セット。
【国際調査報告】