(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】優れた吸着接触器
(51)【国際特許分類】
B01D 53/04 20060101AFI20240528BHJP
C01B 32/50 20170101ALI20240528BHJP
B01D 53/047 20060101ALI20240528BHJP
B01J 20/18 20060101ALN20240528BHJP
B01J 20/22 20060101ALN20240528BHJP
B01J 20/26 20060101ALN20240528BHJP
【FI】
B01D53/04 110
C01B32/50
B01D53/04 220
B01D53/047
B01J20/18 A
B01J20/22 A
B01J20/26 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572029
(86)(22)【出願日】2022-05-20
(85)【翻訳文提出日】2024-01-19
(86)【国際出願番号】 US2022030243
(87)【国際公開番号】W WO2022246191
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523025539
【氏名又は名称】エクソンモービル テクノロジー アンド エンジニアリング カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ExxonMobil Technology and Engineering Company
(71)【出願人】
【識別番号】504466834
【氏名又は名称】ジョージア テック リサーチ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100121223
【氏名又は名称】森本 悟道
(72)【発明者】
【氏名】ウェストン,サイモン シー.
(72)【発明者】
【氏名】ライブリー,ライアン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】リールフ,マシュー ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】コロス,ウィリアム ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】クアン,ブンエイ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,フォンイー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ドン フィ
(72)【発明者】
【氏名】ガ,ソンビン
(72)【発明者】
【氏名】デウィット,スティーブン ジェー.エー.
(72)【発明者】
【氏名】リュー,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ホームズ,ハンナ イー.
【テーマコード(参考)】
4D012
4G066
4G146
【Fターム(参考)】
4D012BA01
4D012BA02
4D012CA03
4D012CB02
4D012CD10
4D012CG01
4D012CG03
4G066AB13B
4G066AB24B
4G066AC02C
4G066AC11B
4G066AC12C
4G066AC14C
4G066AC15C
4G066AC24C
4G066AC26C
4G066AC31C
4G066AC33C
4G066BA07
4G066BA25
4G066BA36
4G066CA35
4G066DA01
4G066FA03
4G146JA02
4G146JC05
4G146JC21
4G146JC25
4G146JC28
(57)【要約】
プロセスガス流が熱伝達流体によって汚染される可能性を低減又は最小化しつつ、改善された熱管理を許容可能な接触器構造が提供される。接触器構造体は、ガス流体からの成分の吸着を可能にするために導入されたガス流、又は、前回吸着された成分のパージガス流への脱着を促進するために導入されたガス流といった、プロセスガス流用の1又は複数組の流路を含んでいることが可能である。プロセスガス流路は、一体構造体の構造材料によって規定される流路に相当し得る。一体構造体は、接触器全体に相当するか、又は、一体構造体は、接触器の一部を形成するモノリスに相当し得る。接触器構造体は、熱伝達流体用の1又は複数組の流路も含むことが可能である。熱伝達流体流路も、一体構造体の構造材料によって規定され得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体構造体の構造材料によって規定される複数の第1のプロセスガス流路であって、前記構造材料は少なくとも1つの吸着剤成分を含む、複数の第1のプロセスガス流路と、
前記一体構造体の構造材料によって規定される複数の第2の熱伝達流体流路と、
前記プロセスガス流路に流体連通した1つ又は複数のプロセスガス入口ヘッダと、
前記熱伝達流体流路に流体連通した1つ又は複数の熱伝達流体入口ヘッダであって、前記1つ又は複数のプロセスガス入口ヘッダ及び前記1つ又は複数の熱伝達流体入口ヘッダのうちの少なくとも1つは、前記一体構造体の構造材料によって規定されている、1つ又は複数の熱伝達流体入口ヘッダと、
前記プロセスガス流路又は前記熱伝達流体路に流体連通した少なくとも1つの出口ヘッダと、を備える吸着モジュール。
【請求項2】
前記プロセスガス流路についての流れの平均軸が、前記熱伝達流体流路についての流れの平均軸と、前記一体構造体の中心容積内で30°以下だけ異なる、請求項1に記載の吸着モジュール。
【請求項3】
前記プロセスガス流路の第1の部分が、前記プロセスガス流路の第2の部分の断面積よりも小さい平均断面積を有し、前記プロセスガス流路の前記第2の部分は、前記プロセスガス流路の前記第1の部分より下流側にあり、前記プロセスガス流路の平均断面積は、任意選択により、前記プロセスガス流路の少なくとも一部について連続的に増加している、先行する請求項のいずれか1項に記載の吸着モジュール。
【請求項4】
前記一体構造体は、接触器を含み、
前記吸着モジュールは、
前記プロセスガス流路に流体連通したプロセスガス出口ヘッダであって、前記一体構造体の構造材料によって規定されているプロセスガス出口ヘッダと、
前記熱伝達流体流路に流体連通した熱伝達流体出口ヘッダであって、前記一体構造体の構造材料によって規定されている熱伝達流体出口ヘッダと、を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の吸着モジュール。
【請求項5】
i)前記吸着モジュールは、前記一体構造体の構造材料によって規定された二次入口ヘッダを備え、前記熱伝達流体入口ヘッダは、前記二次入口ヘッダと前記熱伝達流体流路との間に流体連通を提供するか、
ii)前記吸着モジュールは、前記一体構造体の構造材料によって規定されたさらなる入口ヘッダを備え、前記プロセスガス入口ヘッダは、前記さらなる入口ヘッダと前記プロセスガス流路との間に流体連通を提供するか、又は、
iii)i)とii)との組み合わせが提供される、請求項4に記載の吸着モジュール。
【請求項6】
前記一体構造体は、モノリスを備え、前記吸着モジュールは、複数の外殻片をさらに備え、前記モノリスは、少なくとも部分的に前記複数の外殻片に含まれる、先行する請求項のいずれか1項に記載の吸着モジュール。
【請求項7】
a)前記吸着モジュールは、前記モノリスと前記複数の外殻片のうちの少なくとも1つの外殻片との間に容積を含む二次入口ヘッダを備え、前記熱伝達流体入口ヘッダは、前記二次入口ヘッダと前記熱伝達流体流路との間に流体連通を提供するか、
b)前記吸着モジュールは、前記モノリスと前記複数の外殻片のうちの少なくとも1つの外殻片との間に容積を含むさらなる入口ヘッダを備え、前記熱伝達流体入口ヘッダは、前記さらなる入口ヘッダと前記プロセスガス流路との間に流体連通を提供するか、又は、
c)a)とb)との組み合わせが提供される、請求項6に記載の吸着モジュール。
【請求項8】
前記構造材料は、ポリマー材料と前記少なくとも1つの吸着剤成分との複合材料を含み、前記構造材料の前記少なくとも1つの吸着剤成分は、任意選択により、金属有機骨格材料、ゼオタイプ骨格構造を含む材料、ポリマー材料、又は、これらの組み合わせを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の吸着モジュール。
【請求項9】
前記構造材料は、酢酸セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエーテル・スルホン、ポリスルホン、エピクロルヒドリン、ポリエーテルアミドブロック共重合体、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリスチレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリウレタン、エラストマー、これらの共重合体、固有微細孔性のポリマー、又は、これらの組み合わせを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の吸着モジュール。
【請求項10】
前記熱伝達流体入口ヘッダ及び前記熱伝達流体流路は、障壁層をさらに備える、先行する請求項のいずれか1項に記載の吸着モジュール。
【請求項11】
前記少なくとも1つの吸着剤成分は、少なくとも1つのCO
2用吸着剤を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の吸着モジュール。
【請求項12】
障壁層を吸着接触器の流路の内部に形成する方法であって、
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の吸着モジュールを提供するステップと、
ポリマー障壁成分を含む溶液を前記熱伝達流体流路の中に送るステップと、
パージ流を前記熱伝達流体流路に流し、前記熱伝達流体流路の表面に障壁層を形成するステップと、
前記溶液を前記熱伝達流体流路の中に送るステップ及び前記パージ流を前記熱伝達流体流路に流すステップのうちの少なくとも1つのステップ中に、前記プロセスガス流路内の圧力を、前記パージ流を流すステップ中の前記熱伝達流体路に関連付けられた平均圧力よりも低い少なくとも5kPa-aの圧力まで低下させるステップと、を備える方法。
【請求項13】
前記溶液を送るステップ、前記パージ流を流すステップ、及び、前記圧力を低下させるステップを、複数回繰り返すステップをさらに備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
複数の第1のプロセスガス流路及び複数の第2の熱伝達流体流路を含むモノリスと、
第1の外殻片及び第2の外殻片を備える外殻であって、前記第1の外殻片は、ポリマー構造材料を含む一体構造体であり、前記第1の外殻片は、プロセスガス入口ヘッダを備え、前記モノリスは、前記第1の外殻片及び前記第2の外殻片によって規定される容積内に少なくとも部分的に存在し、前記複数の第1のプロセスガス流路は、前記プロセスガス入口ヘッダに流体連通している、外殻と、
前記プロセスガス流路又は前記熱伝達流体路に流体連通した少なくとも1つの出口ヘッダと、を備える、吸着モジュール。
【請求項15】
前記モノリスは、セラミックモノリス、金属モノリス、又は、これらの組み合わせを含み、前記モノリスは、任意選択により、前記モノリスにコーティングされた吸着剤を含む、請求項14に記載の吸着モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2021年5月21日付で出願された米国特許出願第63/191,640号の特許協力条約(PCT)に基づく出願であり、そのPCT第8条に基づく優先権を主張するものである。当該米国特許出願の全体を、それが以下に完全に示されているものとして、参照により本明細書に援用する。
(技術分野)
【0002】
熱伝達流体の管理機構が一体化された吸着接触器、及びこのような接触器を作成するための方法が提供されている。
【背景技術】
【0003】
様々な種類のCO2源(産業規模、小規模、及び直接空気回収)からのCO2排出量及び/又は濃度を軽減することは、現在関心を集める分野である。CO2排出量を軽減するための戦略の1つの種類は、吸着剤又は吸収剤を使用して、CO2を潜在的な排出ガス流から除去し、その後このCO2を、CO2の大気中への放出を低減、最小化、又は排除するために処理可能な流れの一部として脱着することである。
【0004】
米国特許第8,784,534号及び米国特許第8,858,683号は、スイング吸着プロセスによって、気相流から成分を吸着する方法の例を記載している。一般に、温度及び圧力の変化の組み合わせを用いて、第1のプロセスガス流体からの成分の吸着/吸収と、その後の吸着された成分のパージガス流への脱着との間で循環させることが可能である。その後、当該吸着された成分を、パージガス流から分離することが可能である。
【0005】
一般に、スイング温度及び/又は圧力の変動が、収着/脱着サイクルを実施することに影響し得るが、CO2の収着/脱着を工業規模で実施するためには、解決しなければならない様々な現実の問題がある。幾つかの困難な課題は、ガス流からCO2を選択的に除去した後、吸着したCO2を第2の流体流の中に放出することが可能な吸着剤又は吸収剤を選択することに関連する。他の困難な課題は、CO2除去をより大規模に行おうとしたときに生じる工学的問題に関連し得る。例えば、CO2除去に吸着又は吸収を用いるための幾つかの課題は、CO2含有ガス流が多数の吸着部位と接触することを可能にするために必要な吸着剤/吸収剤の構造体の容積を低減又は最小化することに関連し得る。吸着剤/吸収剤の構造体の容積が大きい場合、吸着剤モジュールに必要な装置設置面積は急速に増大し、これに応じて、吸着剤モジュールを動作させるためのエネルギーコストも高くなり得る。他の課題は、収着/脱着サイクル中の吸着剤/吸収剤の構造体内の温度を管理することに関連し得る。これは、吸着剤モジュール内のプロセス流が当該モジュール内の任意の熱伝達流体によって汚染されることを回避することを含み得る。さらに他の課題は、吸着剤モジュールへの流れ及び吸着剤モジュールからの流れを管理すること、例えば、過剰な圧力低下を回避することや、流体流を吸着剤モジュールの全容積中に導入することの困難性を低減又は最小化すること等に関連し得る。
【0006】
従来、触媒としての用途や吸着剤/脱着剤としての用途を含む様々な用途に、接触器を使用可能である。従来の接触器構造体の一種は、充填層(ベッド)である。この種の構成では、充填層は、粒子(例えば、触媒又は吸着剤/吸収剤の粒子)から成ることが可能である。任意選択により、不活性粒子又は他の種類の粒子を混合してこの層を形成し、触媒又は吸着剤の密度を制御することができる。その後、この充填層にプロセス流体(典型的にはガス)を流通させる。充填層は、所定の容積内で、高密度の触媒部位又は吸着/吸収剤部位を提供するために有効な構造体であり得る。しかしながら、直接の流路が無いので、充填層中には、ガス流量よりも比較的大きい圧力低下が生じ得る。
【0007】
別の種類の従来型接触構造体は、モノリスである。モノリス構造体は、典型的には、複数の流路を含み、それらの流路を通ってプロセスガスが流れる。流路の表面は、触媒又は吸着剤でコーティングされていることが可能である。モノリス構造体の1つの困難な点は、プロセスガスとの接触に利用可能な部位の数である。なぜなら、部位の数は、流路の内表面でコーティング可能な部位の数にのみ対応している場合が多いからである。反応を触媒するために触媒部位が一時的にのみ使用される触媒的用途では、このことに対する関心は低い。
【0008】
接触器構造体についてのさらなる検討事項は、温度管理である。吸着剤/吸収剤の幾つかの用途では、接触器を冷却するか、又は、加熱及び冷却の両方を行うことが有効であり得る。冷却(又は、加熱及び冷却の両方)は、熱伝達流体を使用することによって実現できる。しかしながら、従来では、熱伝達流体が、接触器を用いて処理されるプロセスガスと混合することを回避することが望ましい場合が多い。所定の種類の接触器構造体の利点を保持しながらプロセスガス及び熱伝達流体について別々の流れを維持することは、様々な困難な工学的課題を提示する。
【0009】
工業規模のモジュールにおいて高密度の収着/脱着部位を提供可能な吸着剤接触器であって、熱管理における困難性を低減又は最小化し、及び/又は、モジュール内の流体流を管理する際の困難性を低減又は最小化する吸着剤接触器が、求められている。
【0010】
米国特許第8,133,308は、温度スイング吸着プロセスにおいて使用可能な吸着剤繊維組成物について説明している。複数の吸着剤繊維を装置内に配置することについても記載されている。吸着剤繊維は、ポリマーマトリクスに相当し、吸着剤はポリマーマトリクスにおいて支持されている。繊維の中心管腔は、障壁層によってポリマーマトリクスから密封されている。幾つかの態様では、複数の吸着剤繊維は、気相流から(CO2といった)成分を吸着するための装置に配置可能である。このような態様では、複数の繊維が導管の中に収容されている。プロセスガスは、導管の外面にある穴を通って、この導管の中に直交流のように流れ込むことが可能である。所望の成分を吸着した後、プロセスガスの残留物は、導管からの排気のための中央管に入ることが可能である。導管の端部にあるヘッダを使用して、熱伝達流体をこれらの繊維のうちの1つ又は複数の繊維の中心管腔を通って流すことができるので、プロセスガスは熱伝達流体と混合しない。なお、プロセスガス用の流れ経路は、複数の繊維を収容するために使用される導管の形状によって少なくとも部分的に規定されている。これは、導管の壁が、プロセスガスを導管の中央排気管に向かって流すための格納庫の少なくとも一部を提供するからである。
【0011】
米国特許第8,673,059は、気体分離用の温度スイング吸着接触器について説明している。この接触器は、吸着剤材料に対応するか、又は、吸着剤材料用の支持部として機能することが可能な支持材料を含む。接触器は、支持材料の層の上又は間で支持される微小管をさらに含む。この微小管は、温度管理用の熱伝達流体を運ぶことが可能である。
【0012】
米国特許第9,011,583は、複数の流体流路を含むモノリス型構造体について説明している。モノリスは、吸着剤接触器の一部として使用され得る。動作中には、モノリスの上部に別個のキャップ又は上部構造を配置して、プロセスガスが選択された流路の中に入ることを遮断することが可能である。その後、選択された流路は、動作中の熱伝達流体の搬送に使用可能である。上部構造も、熱伝達流体をプロセスガス流が含まれる流路の中に導入せずに、熱伝達流体をモノリス中の選択された流路の中に導入するためのヘッダを規定することを支援する。これは、部分的に、選択された流路のうちの幾つかから壁を除去することによって実現可能であり、これによって、選択された流路は、モノリスと上部構造との組み合わせによって規定されるヘッダの領域と流体連通する。選択された流路は、熱伝達流体が、選択された流路から出ないようにするためにコーティングされていてもよい。
【0013】
米国特許第6,746,515は、モジュール式に構成可能な吸着システムについて説明している。このモジュール式の吸着システムは、複数の層に相当し、これらは、熱伝達流体層が吸着剤層の上及び/又は下に配置されることが可能なように構成されている。このモジュール式の吸着システムは、シムを使用して構成することが可能であるので、モジュール式のシステムの層の種類毎に所望の材料が選択され得る。
【発明の概要】
【0014】
一態様では、吸着モジュールが提供される。吸着モジュールは、一体構造体の構造材料によって規定される複数の第1のプロセスガス流路を含む。この構造材料は、少なくとも1つの吸着剤成分を含む。吸着モジュールは、一体構造体の構造材料によって規定される複数の第2の熱伝達流体流路をさらに含む。吸着モジュールは、プロセスガス流路に流体連通した1つ又は複数のプロセスガス入口ヘッダをさらに含む。吸着モジュールは、熱伝達流体流路に流体連通した1つ又は複数の熱伝達流体入口ヘッダをさらに含む。様々な態様において、1つ又は複数のプロセスガス入口ヘッダと1つ又は複数の熱伝達流体入口ヘッダとのうちの少なくとも一方は、一体構造体の構造材料によって規定されている。したがって、少なくとも1つのプロセスガス入口ヘッダが、構造材料によって規定されていてもよく、又は、少なくとも1つの熱伝達流体入口ヘッダが、構造材料によって規定されていてもよく、か、又は、これらの入口ヘッダのうちの少なくとも一方が構造材料によって規定されていてもよい。加えて、吸着モジュールは、プロセスガス流路又は熱伝達流体路に流体連通した少なくとも1つの出口ヘッダを含む。
【0015】
他の一態様では、吸着モジュールが提供される。吸着モジュールは、複数の第1のプロセスガス流路及び複数の第2の熱伝達流体流路を含むモノリスを備える。吸着モジュールは、第1の外殻片及び第2の外殻片を備える外殻をさらに備える。第1の外殻片は、ポリマー構造材料を含む一体構造体であり、第1の外殻片は、プロセスガス入口ヘッダを備え、モノリスは、第1の外殻片及び第2の外殻片によって規定される容積内に少なくとも部分的に存在し、複数の第1のプロセスガス流路は、プロセスガス入口ヘッダに流体連通している。加えて、吸着モジュールは、プロセスガス流路又は熱伝達流体路に流体連通した少なくとも1つの出口ヘッダを備える。
【0016】
さらに他の一態様では、障壁層を吸着接触器の流路の内部に形成する方法が提供される。この方法は、1つ又は複数の第1の接触器入口及び1つ又は複数の第1の接触器出口に流体連通した第1組の流路と、1つ又は複数の第2の接触器入口及び1つ又は複数の第2の接触器出口に流体連通した第2組の流路とを含む一体構造体を提供するステップを備える。この第1組の流路及び第2組の流路は、一体構造体の構造材料によって規定されており、構造材料はポリマー材料を含む。この方法は、ポリマー障壁成分を含む溶液を第1の第1組の流路の中に送るステップをさらに含む。この方法は、パージ流を第1組の流路に流し、第1組の流路の表面に障壁層を形成するステップをさらに含む。加えて、この方法は、溶液を第1組の流路の中に送るステップ及びパージ流を第1組の流路に流すステップのうちの少なくとも1つのステップの間に、第2組の流路内の圧力を、i)1つ又は複数の第1の接触器入口における平均圧力、及び、ii)1つ又は複数の第1の接触器出口における平均圧力のうちの低い方の圧力よりも低い、少なくとも5kPa-aの圧力に低下させるステップをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、吸着接触器内の流路の構成の一例を概略的に示す図である。
【0018】
【
図2】
図2は、
図1に係る流路構成を有する接触器用の、プロセス流路とプロセスガス入口ヘッダとのインターフェース(界面)によって規定される平面に基づいた断面図である。
【0019】
【
図3】
図3は、接触器の一体構造体を含む接触器構成を示す斜視図である。
【0020】
【
図4】
図4は、モジュール式の接触器構成を示す斜視図である。
【0021】
【
図5】
図5は、拡大流路構成及び縮小流路構成を含む、モノリスの例を示す図である。
【0022】
【
図6】
図6は、拡大流路及び縮小流路の接触器構成のCO2吸着破過曲線を示す図である。
【0023】
【
図7】
図7は、拡大流路及び充填層の接触器構成のCO2吸着破過曲線を示す図である。
【0024】
【
図8】
図8は、様々な接触器構成について、接触器内の圧力低下を示す図である。
【0025】
【
図9A】
図9Aは、中心容積を規定する方法を説明する図である。
【
図9B】
図9Bは、中心容積を規定する方法を説明する図である。
【
図9C】
図9Cは、中心容積を規定する方法を説明する図である。
【
図9D】
図9Dは、中心容積を規定する方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
ここに記載の詳細な説明及び特許請求の範囲における全ての数値は、示される当該数値について「約」又は「およそ」の値に変更されるものとし、当業者であれば予測するであろう実験誤差及び変動を考慮したものである。
[概要]
【0027】
様々な態様において、プロセスガス流が熱伝達流体によって汚染される可能性を低減又は最小化しつつ、収着/脱着サイクル中の改善された熱管理を許容可能な接触器構造が提供される。接触器構造は、ガス流体からの成分の吸着を可能にするために導入されるガス流、又は、前回吸着された成分のパージガス流への脱着を促進するために導入されるガス流といった、プロセスガス流用の1又は複数組の流路を含む。プロセスガス流路は、一体構造体の構造材料によって規定される流路に相当し得る。これは、接触器における様々な構造によって規定される開放空間(例えば、複数の中空繊維間の開放空間)を単に有することとは対照的、又は、流体が流通する一般的な多孔質構造に相当する吸着剤を有することとは対照的である。一体構造体は接触器全体に相当し得る、又は、一体構造体は接触器の一部を形成するモノリスに相当し得る。任意選択により、構造材料は、多孔質材料であってもよく、プロセスガスが少なくとも限られた程度で、プロセスガス流路からバルク構造材料の中に入るようになっていてもよい。接触器構造はまた、熱伝達流体用の1又は複数組の流路を含んでいてもよい。熱伝達流路も、一体構造体の構造材料によって規定されてもよい。
【0028】
様々な態様において、プロセスガス流路及び熱伝達流体流路の配向は、様々な種類の流路の熱相互作用を増大又は最大化するように選択可能である。例えば、プロセスガス流路及び熱伝達流路についての流れの平均方向は、一体構造体内のプロセスガス流路の流れ経路の少なくとも一部に実質的に揃えられていることが可能であり、例えば、接触器構造の中心容積内において実質的に平行であることが可能である。このようにプロセスガス流路と熱伝達流体流路とを実質的に揃えることは、熱伝達流体がプロセスガス流路に侵入する可能性を低減又は最小化しつつ実現可能である。一例として、幾つかの態様では、熱伝達流体流路を形成した後、熱伝達流体流路に障壁層を追加して、熱伝達流体がプロセス流体と混合される可能性を低減又は最小化することが可能である。
【0029】
加えて又は代わりに、幾つかの態様では、プロセスガス流路の寸法は、接触器構造の範囲において変動し得る。意外にも、プロセスガス流路の寸法を流路の下流部において増大させることは、接触器構造において吸着されている成分の実質的な破過の前に処理可能なプロセスガスの量の増大を提供し得ることが分かった。任意の特定の理論に制限されることなく、従来、流路の寸法を増大させることは、流路の容積に対する表面積の比率を減少させることになるため、プロセスガス流路の寸法を増大させることは、破過時間を短縮させることになると考えられていた。しかしながら、ここに記載されるように、吸着剤が構造材料全体にわたって分散された多孔質の流路構造の場合には、プロセスガス流路の寸法を流路寸法の下流部において増大させることは、所定の流量のプロセスガスが破過する前の処理時間を延長させ得ることが分かった。
【0030】
幾つかの態様では、接触器は、一体構造体である。このような態様では、一体構造体は、構造材料から形成可能である。一体構造体の構造材料が、プロセスガス流路、熱伝達流体流路、及び、少なくとも1つのヘッダを規定することが可能である。一体構造体の構造材料によって規定される少なくとも1つのヘッダは、プロセスガス用の少なくとも1つのヘッダであるか、熱伝達流体用の少なくとも1つのヘッダであるか、又は、プロセスガス及び熱伝達流体の両方のヘッダが、構造材料によって規定されてもよい。加えて又は代わりに、プロセスガス用の出口ヘッダ及び/又は熱伝達流体用の出口ヘッダが、一体構造体の構造材料によって規定されてもよい。
【0031】
一体構造体の構造材料によって規定された少なくとも1つのヘッダを有することにより、ヘッダが、プロセスガス流路又は熱伝達流体流路の開始部から下流側の位置に配置されることが可能となる。これによって、プロセスガス及び熱伝達流体を別々の流路で維持することを支援可能である。例えば、熱伝達流体用の入口ヘッダがプロセスガス流路の開始部から下流側に配置されている場合、熱伝達流体流路も、下流の位置で開始することが可能となる。これによって、熱伝達流体流路にプロセスガスが流入することを別途遮断する必要がなくなる。なぜなら、プロセスガスがプロセスガス流路の中に分散されるまで、熱伝達流体流路は始まらないからである。加えて、一体構造体を有するということは、構造体が、接合片を合わせた際に、別々の容量の間から流体の漏洩が生じ得る隙間又は継目を有していないことを意味している。プロセスガス流路又は熱伝達流体流路の終端部から上流側に配置された出口ヘッダを有することによっても、類似の利点が得られる。障壁層を熱伝達流体流路に追加することを組み合わせれば、接触器内の各流体の経路の実質的な全長に渡って、プロセスガスと熱伝達流体との混合を低減し、最小化し、又は、排除することが可能である。
【0032】
代替的には、接触器は、複数の構造体に相当し得る。複数の構造体は、少なくとも1つのモノリスと、当該少なくとも1つのモノリスを少なくとも部分的に包含する1つ又は複数の外殻片とを含む。この種類の構成では、1つ又は複数の外殻片のうちの少なくとも1つは、プロセスガス用の流入口、熱伝達流体用の流入口、又は、プロセスガス用の流入口及び熱伝達流体用の流入口の両方を含み得る。プロセスガス用の流入口及び熱伝達流体用の流入口が、同じ外殻片の一部である場合、これらの流入口は、外殻片の同じ面の一部であってもよいし、又は、異なる面の一部であってもよい。任意選択により、少なくとも1つのモノリスが部分的にのみ外殻片内に存在する場合、プロセスガス及び/又は熱伝達流体は、少なくとも部分的に、外殻片を通らずに直接、モノリスの中に送られてもよい。
【0033】
幾つかの態様では、接触器が、1つ又は複数の外部片に少なくとも部分的に包含された少なくとも1つのモノリスに相当する場合、モノリスは、プロセスガス流路及び熱伝達流体流路を含む一体構造体に相当し得る。任意選択により、モノリスは、モノリスの構造材料によって規定される少なくとも1つのヘッダ及び/又は少なくとも1つの流出口ヘッダをさらに含むことが可能である。
【0034】
加えて又は代わりに、接触器が1つまたは複数の外部片を含む場合、外部片は、外部片の構造材料によって規定されるヘッダを含むことが可能である。例えば、接触器用の一構成は、少なくとも部分的に複数の外部片に包含されるモノリス(従来のセラミックモノリスに相当し得る)を有することであり得る。このような構成では、外部片のうちの1つが、モノリス中に存在する複数の流路に適合し得る複数の流路から成るヘッダを含むことが可能である。
【0035】
ここに記載されるモノリス、接触器、又は外殻片に相当する一体構造体を用意するための一選択肢は、3次元(3D)印刷とも呼ばれることがある積層造形を使用することである。3D印刷用のインクは、ポリマー含有溶液に相当する。溶媒を除去した後、結果として生じるポリマー構造材料は、多孔質の構造材料に相当し得る。幾つかの態様では、ポリマー構造材料は、吸着剤として機能し得る。任意選択により、結果として生じるポリマー構造材料の吸着性能を強化するために、別個の吸着剤がインクに含まれていてもよい。
【0036】
なお、ここに記載する定義では、いくつかの一体構造体が、接触器及びモノリスの両方の定義に当てはまる場合がある。これは、一体構造体が、ここに記載されるような接触器の特徴の全てを含むが、少なくとも部分的に1つ又は複数の外部片にも包含されている場合に起こり得る。ここで、プロセスガス又は熱伝達流体の少なくとも一方は、一体構造体に入るためには、1つの外部片の穴又は開口部を通過する必要がある。なお、ここに記載する定義では、プロセスガスの全て、及び、熱伝達流体の全てが一体構造体の中に直接送られる場合、このような一体構造体は、ここでは、接触器として定義され、このような接触器が部分的に、プロセスガス及び熱伝達流体が通過しない他の構造片内に存在する場合であっても、モノリスとしては定義されない。
【0037】
[定義]
【0038】
この考察では、構造材料から形成される一体構造体とは、構造材料の表面又は構造材料内の任意の2か所が、構造材料における継目、隙間、又は他の不連続物を通過しない曲線により接続可能な構造体であると定義される。曲線は、直線である必要は無く、したがって曲線は、一体構造体の構造材料によって規定される流路、ヘッダ、又は他の流体経路/開口部を避けて通過可能である。これは、例えば、後に物理的に接合される、例えば、構造材料とは異なる材料を含むネジ、リベット、又は溶接により接合される2つの片によって形成された構造体とは対照的である。これはまた、構造体の一片が構造体の別の片に挿入され得る構造体であって、これらの片の相対位置はタブ、摩擦係合、又は他の機械的/物理的手段によって維持される構造体とは対称的である。幾つかの態様では、接触器は、一体構造体に相当し得る。他の態様では、接触器内のモノリスが、一体構造体に相当し得る。
【0039】
この考察では、制限されない流れとは、構造体内の開放容積を通った流れであると定義される。ここで、開放容積は、流れの経路中に0.3mm以上の流れの断面積を提供する。なお、制限されない流れの経路は、流れの経路における曲線又は流れの経路における乱流といった特徴によって、制限されない流れの経路に沿って流れる流体の圧力低下を引き起こし得る。制限されない流れは、充填層を通る流れ、多孔質材料による拡散、又は、膜への浸透といった、様々な種類の流れに相当する制限される流れの反義語である。
【0040】
この考察では、「構造材料によって規定される」一体構造体内の容積とは、ここでは、容積内の流体用の制限されない流れの経路が構造材料によって規定されている容積であると定義される。例えば、構造材料によって規定され得る容積の一種は、プロセスガス流路又は熱伝達流体流路といった流路である。1つの流路について、制限されない流れの経路は、構造体の1つの面の流路の最初の開口部から流路の出口までの経路に相当する。流路の壁が構造材料によって規定されている場合、一体構造体の構造材料がこのような流路を規定する。ここに定義されるように、材料を通る流体の拡散は、制限された流れに相当し、したがって、多孔質材料を使用して、流路用の制限されない流れの経路を規定してもよい。加えて、障壁材料を使用して流路における多孔質構造体材料の壁をコーティングする程度まで、ここに提供される定義では、このようなコーティングされた流路は、コーティング材料が実質的に流路の断面形状を変化させない限り、依然として構造材料によって規定される。
【0041】
別の例として、一体構造体内のヘッダとは、ヘッダの全ての表面が構造材料に相当する場合、一体構造体の構造材料によって定義される。これは、ヘッダの容積が、2つの別々の片の間の容積によって定義される状況とは対照的である。2つの別々の片は、合体されることによって、ヘッダの少なくとも1つの内面が第1の片の表面となり、ヘッダの少なくとも第2の内面が第2の片の表面となる。
【0042】
この考察では、流路内の所定の位置における断面積とは、所定の位置において平面を流路に貫通させることによって実現可能な最小断面積であると定義される。この考察では、1つの流路の平均断面積は、任意の2つの平行な平面の間に位置する流路の部分について定義可能である。複数の流路の平均断面積は、任意の2つの平行な平面の間の複数の流路の部分についての平均断面積の平均として定義される。
【0043】
この考察では、収着とは、吸着及び吸収の両方を含むものとして定義される。吸着とは、成分と表面又は活性部位との物理的結合を指し、例えば、固体表面におけるCO2の物理収着を指す。吸収とは、成分を異なる相に物理的又は化学的に組み込むことであり、例えば、気相CO2を液相アミンとの複合体に組み込むことである。脱着とは、吸着された又は吸収された成分を吸着表面又は吸収相から分離することであると定義される。
【0044】
この考察では、ポリマー材料の表面積は、ASTM D3663に従って測定されるBET(Brunauer、Emmett、及びTeller)表面積と定義される。この考察では、ASTM D4641(N2細孔容積)又はASTM D4284(Hg細孔容積)に従って、細孔容積を測定可能である。
【0045】
この考察では、ゼオタイプとは、酸素原子をブリッジすることによって接続された四面体原子によって形成された多孔質の骨格構造を有する結晶物質を指すものと定義される。公知のゼオタイプ構造体の例が、国際ゼオライト学会の構造委員会を代表して発行された「Atlas of Zeolite Frameworks」(第6回改訂版、Ch. Baerlocher, L.B. McCusker, D.H. Olson, eds., Elsevier, New York (2007))と、対応するウェブサイトhttp://www.iza-structure.org/databases/とに記載されている。この定義では、ゼオライトとは、具体的には、ゼオタイプ骨格構造を有するアルミノケイ酸塩を指す。この定義では、ゼオタイプとは、ゼオタイプ骨格構造と、シリコン及びアルミニウムとは異なるヘテロ原子の酸化物を含有する結晶構造体と、を有するアルミノケイ酸塩(つまりゼオライト)を意味するものであり得る。このようなヘテロ原子は、ゼオタイプ骨格に含めるために適していると一般的に知られた任意のヘテロ原子、例えば、ガリウム、ホウ素、ゲルマニウム、リン、亜鉛、及び/又は、ゼオタイプ骨格におけるシリコン及び/又はアルミニウムを置換可能な他の遷移金属等を含み得る。なお、この定義では、ゼオタイプは、シリコアルミノホスフェート(SAPO)材料又はアルミノホスフェート(AlPO)材料といった材料を含んでいてもよい。
【0046】
[接触器構造体の例]
【0047】
図1は、吸着剤接触器における流路の構成の一例を概略的に示す図である。
図1では、流路130は、プロセスガス流用の流路に相当する。なお、
図1には3つのプロセスガス流路130が図示されているが、任意の好適な数のプロセスガス流路が設けられていてよい。便宜上、プロセスガス流路130は、二次元配列として図示されているが、多くの種類の接触器構成には、プロセスガス流路の三次元配列が含まれ得ることは理解されよう。動作中、プロセスガスは、接触器110に、接触器110の面又は壁121のプロセスガス入口132を通って流入する。プロセスガスは、プロセスガス入口ヘッダ140の中に流入する。その後、ガスは、プロセスガス流路130に分散される。
図1に示される構成例では、プロセスガス流路は、プロセスガス出口ヘッダ145の中に通じる。この混合されたプロセスガス排出は、その後、接触器の別の壁又は面123のプロセスガス出口138を通って接触器から流出する。なお、必要に応じて、複数のプロセスガス入口132、及び/又は、複数のプロセスガス出口138を用いてもよい。同様に、プロセスガス入口ヘッダ140は複数のヘッダであってもよく、及び/又は、プロセスガス出口ヘッダ145が複数の分岐管に相当してもよい。
【0048】
流路160は、熱伝達流体用の流路に相当する。なお、
図1には4つの熱伝達流体流路160が示されているが、任意の好適な数の熱伝達流体流路160が設けられていてもよい。便宜上、熱伝達流体流路160は、二次元配列として図示されているが、多くの種類の接触器構成には、熱伝達流体流路の三次元配列が含まれ得ることは理解されよう。
図1に示される構成例では、熱伝達流体入口162が、接触器110に、接触器110の第2の面122から、プロセスガス流路130の流れ方向に対して直角に入るようになっている。他の構成では、熱伝達流体入口162は、プロセスガス入口132と同じ壁又は面に配置されていてもよく、及び/又は、熱伝達流体入口162は、垂直以外の角度で屈曲した面に配置されていてもよい。熱伝達流体入口ヘッダ170を用いて、熱伝達流体を熱伝達流路160に分散させることが可能である。
図1に示される構成例では、熱伝達流体流路は、熱伝達流体出口ヘッダ175に通じる。この混合された熱伝達流体排出は、その後、別の壁又は面124に形成された熱伝達流体出口168を通って接触器から流出する。なお、必要に応じて、複数の熱伝達流体入口162を用いてもよく、及び/又は、複数の熱伝達流体出口168を用いてもよい。同様に、熱伝達流体入口ヘッダ170は、複数のヘッダであってもよく、及び/又は、熱伝達流体出口ヘッダ175が複数の分岐管に相当してもよい。なお、熱伝達流体ヘッダ170は、導管として示されており、複数の熱伝達流路160が当該導管から分岐している。他の態様では、熱伝達流体ヘッダ170は、より大きなヘッダ容積、例えば、プロセスガスヘッダ140について示されるより大きなヘッダ容積に相当することが可能である。
【0049】
図1に示される構成例では、プロセスガス流路130及び熱伝達流体流路160は、プロセスガス流路の大部分の流れの経路の長さにおいてほぼ平行である。以下により詳細に説明するように、様々な態様において、接触器の中心容積内で、プロセスガス流路130内の流れの平均方向は、熱伝達流路160内の流れの平均方向と、30°以下だけ、又は、20°以下だけ、又は10°以下だけ異なっていてもよい。
【0050】
なお、プロセスガス流路130及び熱伝達流体流路160は、
図1では、実質的に直線状かつ実質的に一定寸法の流路として示されている。他の態様では、任意の好適な種類の流れの経路を使用してもよい。加えて又は代わりに、流路の寸法は、好適な方法で変更してもよい。
【0051】
図2は、プロセスガス流入口ヘッダ140がプロセスガス流路130とインターフェースを形成している位置における、プロセスガス流路130の内部を示す断面図である。
図2の断面図は、熱伝達流体入口162及び熱伝達流体出口168の位置によって示されるように、熱伝達流体の流入及び流出に対して垂直である。
図1の熱伝達流体ヘッダ170が、
図1のプロセスガス入口ヘッダ140よりも下流に位置しているので、
図2に示される断面図では、全てのガス流路の開口部は、プロセスガス流路130に相当する。
【0052】
図3は、
図1及び
図2に示される種類の構成を実施可能な接触器構造体の一例を示す斜視図である。
図3では、接触器外殻301(図の上部)及び対応する内部モノリス320(図の下部)が、これらの構造体を説明するために、別々の構造体として示されている。しかしながら、外殻301及び内部モノリス320は、例えば3D印刷を使用して一体構造体を形成することによって、一体構造体として形成されていても良いことは理解されよう。接触器が一体構造体でないさらに他の態様では、外殻301を、複数の外殻片(図示されていない)を使用して形成し、1つ又は複数のモノリス320を外殻301の中に挿入可能とすることもできる。
【0053】
図3では、外殻301は、幾つかの開口部を含む。プロセスガス入口332及び熱伝達流体出口368が、
図3に示されている。プロセスガス入口332は、外部から流入した流れとプロセスガス入口ヘッダ340との間の流体連通を提供する。プロセスガス入口ヘッダ340は、内部モノリス320と外殻301との間の容積に相当する。プロセスガス入口ヘッダ340は、プロセスガスが複数のプロセスガス流路330に分散されることを可能にする。
図3に示される例では、接触器は、熱伝達流体の流出に関連する2種類のヘッダを含む。第1の群の熱伝達流体ヘッダ375は、接触器構造体のモノリス部320内の熱伝達流体ヘッダを示している。熱伝達流体ヘッダ375は、熱伝達流体を、プロセスガス流路の流れの方向に対して垂直に送り、このため、熱伝達流体流は、モノリス内のプロセスガス流に実質的に平行になり得るが、依然として、接触器から当該流れに対して垂直である方向に沿って流出することが可能である。第2の熱伝達流体ヘッダ395は、内部モノリス320と外殻301との間の別の容積に相当する。第2の熱伝達流体出口ヘッダ395は、第1の群の熱伝達流体ヘッダ375から流出する熱伝達流体が外部の熱伝達流体排出導管380を通って排出用の共通の容積に収集されることを可能にする。
【0054】
プロセスガス入口332及び熱伝達流体出口368に加えて、プロセスガス出口338及び熱伝達流体入口362も外殻301に設けられているが、これらの開口部は、
図3に提供される斜視図においては視認できない。プロセスガス出口338は、プロセスガス出口ヘッダ(図示されていない)を介した、プロセスガス流路330の出口と外部のプロセスガス排出導管との間の流体連通を可能にする。熱伝達流体入口362は、熱伝達流体流入ヘッダ(図示されていない)を介した、熱伝達流体流路360の開始部と外部の熱伝達流体流入導管との間の流体連通を可能にする。
【0055】
より一般的に言えば、接触器が1つ又は複数の外部片に少なくとも部分的に含まれる少なくとも1つのモノリスを含むアセンブリに相当する態様では、接触器用の1つ又は複数のヘッダは、1つの外部片と1つのモノリスとの間に規定される容積に相当し得る。このような態様では、当該外部片と当該モノリスとの間の容積は、当該外部片の1つ又は複数の開口部、及び、当該モノリスの1つ又は複数の開口部と流体連通していることが可能である。なお、接触器が一体構造体である態様では、接触器内にあるヘッダは、一体構造体の構造材料によって規定されるヘッダに相当し得る。
【0056】
図1~
図3に示される構成は、例えば、ポリマー構造材料から様々な一体構造体を形成するための3D印刷を用いて形成され得る。任意選択により、幾つかの態様では、接触器内の少なくとも1つの構造体は、代替的な方法によって、例えば、1つ又は複数の外殻片に部分的に含まれるセラミックモノリスを用いる方法によって形成可能である。ここで、少なくとも1つの外殻片が3D印刷を用いて形成される。さらに別の選択肢は、1つ又は複数の外殻片に部分的に含まれる、3D印刷によって形成されたモノリスを使用することであり、ここで、少なくとも1つの外殻片は、3D印刷とは異なる方法によって形成される。
【0057】
図4は、別の種類の接触器構成の一例を示している。
図4に示される例では、接触器は、1つ又は複数のモノリス420と、外殻上部411及び外殻下部412といった2つ以上の外殻片から成る外殻とを含む、モジュール式の接触器アセンブリである。
図4では、モノリス420は、複数の流路を含む。流路の第1の部分はプロセスガス流路430に相当し、流路の第2の部分は熱伝達流体流路460に相当する。外殻上部411は、プロセスガス入口ヘッダ及び熱伝達流体入口ヘッダを提供する一体構造体に対応し得る。これは、プロセスガス入口432がプロセスガス流路430と流体連通し、熱伝達流体入口462が熱伝達流体流路460と流体連通し、それぞれの流れが混合しないようにすることを可能にするものである。以下に記載するように、熱伝達流体流路460内に障壁層を設けることによって、混合がさらに低減、最小化、又は、排除され得る。
【0058】
[流路についての流れの平均軸]
【0059】
この考察では、接触器の中心容積内のプロセスガス流路及び熱伝達流体流路について、流れの平均軸を規定することが可能である。中心容積を判定するために、以下の手順を用いることが可能である。まず、プロセスガス流路を、プロセスガス流入口ヘッダとプロセスガス出口ヘッダとを接続する流路として規定する。プロセスガス入口が構造体の縁部に相当する場合、この規定のために、構造体の縁部をプロセスガスヘッダとして規定する。同様に、プロセスガスが、直接、流路から構造体の外部に流出するならば、構造体の縁部は、出口ヘッダとして規定される。次に、プロセスガス流路について、(高さ、幅、及び長さの寸法間が直角の)矩形境界ボックスを生成可能である。矩形境界ボックスは、全てのプロセスガス流路を含む最小の矩形ボックスとして規定される。
【0060】
次に、プロセスガス流路用の境界ボックスについて中心点を規定することが可能である。境界ボックスが矩形ボックスであるので、中心点は、矩形ボックスの各辺の中点の座標を有する点として規定される。境界ボックスの中心点を規定した後、同じ中心点を有するが容積は約半分である、より小さい矩形ボックスを規定可能である。より小さい(約半分容積の)矩形ボックスは、同じ中心点を有するが各辺の長さが20%低減されたボックスに相当する。
【0061】
プロセスガス流路用の容積が低減されたボックスを規定した後、同様の手順を用いて、熱伝達流体流路に基づく容積が低減されたボックスを規定することが可能である。熱伝達流体流路は、熱伝達流体入口ヘッダと熱伝達流体出口ヘッダとを接続する流路として規定される。これに基づき、熱伝達流体流路について、矩形境界ボックスを規定可能である。そして、中心点を決定し、次に、容積が低減されたボックス(つまり、各辺の長さが20%低減されたボックス)を決定することが可能である。
【0062】
プロセスガス流路に基づく容積が低減されたボックスを規定し、熱伝達流体流路に基づく容積が低減されたボックスを規定した後、中心容積を規定することが可能である。中心容積は、容積が低減された2つのボックス間の重複する容積として規定される。
【0063】
図9A~
図9Dは、共通容積を特定するプロセスを図解するものである。図を簡略化するために、
図9A~
図9Dは、二次元の図を用いてプロセスを説明する。
図9Aでは、プロセスガス流路930及び熱伝達流体流路960を備える接触器が示されている。プロセスガス流路930は、プロセスガス入口ヘッダ940とプロセスガス出口ヘッダ945との間の流体連通を提供する。熱伝達流体流路960は、熱伝達流体入口ヘッダ970と熱伝達流体出口ヘッダ975との間の流体連通を提供する。
【0064】
図9Bは、プロセスガス流路930に関連するボックスを作成するプロセスを示している。
図9Bでは、プロセスガス流路は、境界ボックス1001に含まれている。境界ボックス1001は、全てのプロセスガス流路を含む最小寸法の矩形ボックスを表すことを目的としている。しかしながら、境界ボックス1001を、図中の流路及びヘッダから明確に区別可能とするために、境界ボックス1001の縁部はわずかにオフセットされている。境界ボックス1001は中心点1005を有する。容積が低減されたボックス1009は、同じ中心点1005を有するが境界ボックス1001よりも辺が20%短いボックスである。
【0065】
同様に
図9Cは、熱伝達流体流路を含む矩形ボックスに基づく境界ボックス1011を示している。
図9Cはまた、境界ボックス1011の中心点1015と、同じ中心点1015を有する容積が低減されたボックス1019とを示している。
【0066】
図9Dは、ボックス1009とボックス1019との間の重複部1025を示している。重複容積1025は、
図9A~
図9Dに示される接触器の中心容積に相当する。
【0067】
一旦、中心容積が決定されると、この中心容積内の異なる種類の流路についての流れの平均軸を決定可能である。プロセスガス流路についての流れの平均軸を判定するために、中心容積内に存在するプロセスガス流路の一部について、流れの軸が決定される。ほとんどの流路では、流路は一回だけ中心容積に入り、一回だけ中心容積から出て行く。なお、1つのプロセスガス流路が、中心容積に3回を超える回数だけ入るか、又は、中心容積から3回を超える回数だけ出て行くならば、このプロセスガス流路は、考慮から排除される。
【0068】
中心容積内の各プロセスガス流路では、当該流路の流れの軸は、流路内の流体の流れの平均方向に相当する直線ベクトルである。この直線ベクトルは、プロセスガス流路の直線ベクトルから中点線までの最小二乗距離を最小化する直線に相当する。流路の中点線は、流路の幾何学的中心を流れの経路に沿って通過する線に相当する。もちろん、直線状の流路では、流れの軸は、単に、流路の中点線に対応することになる。別の例として、螺旋状の流路は、螺旋の中心軸にほぼ対応する流れの平均方向を有することになる。このベクトルは、中心容積内の対応するプロセスガス流路の出発点に対応する出発点を有している。終点は、ベクトルが中心容積の別の面に接触する位置である。その後、流れの平均軸を求めることが可能である。流れの平均軸は、中心容積内の個々のプロセスガス流路についての流れの軸のベクトルの平均であるベクトルに相当する。
【0069】
中心容積内の熱伝達流体流路についての流れの平均軸を判定するために、上記の手順を、熱伝達流体流路について繰り返し行うことが可能である。
【0070】
そして、プロセスガス流路の流れの平均軸、及び、熱伝達流体路の流れの平均軸を用いて、ベクトル間の角度を判定することが可能である。この角度は、中心容積内における、プロセスガス流路及び熱伝達流体流路についての流れの方向における差異を表している。様々な態様において、プロセスガス流路の流れの平均軸と熱伝達流体路の流れの平均軸との間の角度は、30°以下、又は20°以下、又は10°以下であり、例えば、ベクトル同士がほぼ揃うか又は平行(つまり0°)になるまでの角度であり得る。
【0071】
[一体構造体の構造材料]
【0072】
一体構造体を形成するための方法の一例は、積層造形、特に溶媒ベースの積層造形(SBAM)を使用することである。SBAMでは、積層造形用のインクを使用して、ポリマー構造材料に基づく構造体を形成可能である。このインクは、ポリマー材料用の溶媒を含むことが可能であり、溶媒として形成される構造体は、インクから除去される。インクは、任意選択により、1つ又は複数の吸着剤を含んでいてもよい。こうすることによって、吸着剤が構造体全体に分散されたポリマー構造体の形成が可能になる。この考察では、「ポリマー材料」とは、単に、構造体のポリマー部分を指すが、「構造材料」又は「ポリマー構造材料」とは、ポリマーと(吸着剤といった)任意の添加成分とがポリマーマトリクスに一体化されたものを指す。
【0073】
様々な態様において、接触器は、構造材料と吸着剤とから成る1つ又は複数の一体構造体に相当し得る。幾つかの態様では、構造材料は、構造材料及び吸着剤の両方として(又は少なくとも部分的に吸着剤として)機能するポリマー材料に相当し得る。幾つかの態様では、構造材料は、ポリマー材料と当該ポリマー材料に組み込まれた別個の吸着剤との複合材料に相当し得る。一体構造体は、任意の好適な方法によってポリマー構造材料から形成され得る。幾つかの態様では、一体構造体は、溶媒ベースの積層造形によって形成可能である。ポリマー材料及び/又は構造材料に一体化された吸着剤によって吸着可能な成分の一例は、CO2である。
【0074】
幾つかの態様では、ポリマー構造材料から構造を形成した後、ポリマー構造材料は、比較的大きい表面積を有し、プロセスガスに曝される構造材料の容積当たりの潜在的な吸着部位の数を増やすことが可能である。例えば、幾つかの態様では、ポリマー構造材料の表面積は、50m2/g以上、又は100m2/g以上、又は200m2/g以上、又は500m2/g以上であることが可能であり、例えば最大3000m2/g、又は場合によってはそれ以上の表面積であり得る。
【0075】
幾つかの態様では、構造材料は、プロセスガスがポリマー材料の中に拡散可能なように、十分な微細孔性を有していることが可能である。これによって、一体構造体を形成するために使用される構造材料の容積の様々な部分(例えば最大で、実質的に全容積)を通った吸着が可能になる。このような態様では、構造材料は、(窒素物理収着によって決定される)細孔容積が0.3cm3/g~1.3cm3/gであり、及び/又は、(水銀ポロシメトリによって決定される)細孔容積が1.0cm3/g~3.0cm3/gであり得る。他の態様では、構造材料は、比較的低い微細孔性を有していてもよく、主に吸着が生じ得る容積は、流路、及び/又は、当該流路に接続された、一体構造体内の他の開放容積に相当する。
【0076】
様々な種類のポリマーが、構造材料中のポリマー材料として使用され得る。ポリマー構造材料中のポリマー材料として使用可能なポリマーの例には、限定される訳ではないが、酢酸セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリスルホン、ポリエーテル・スルホン、エピクロルヒドリン、ポリエーテルアミドブロック共重合体、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリスチレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリウレタン、エラストマー、これらの共重合体、又は、これらの組み合わせが含まれる。ポリマーの他の例には、固有多孔性のポリマー(PIM)に対応する材料が含まれ得る。幾つかの態様では、ポリマー構造材料中のポリマーは、限定される訳ではないが、酢酸セルロース、ポリイミン(Matrimid5218等)、ポリアミド-イミド(Torlon(登録商標)等)、ポリエーテル・スルホン(PES)、PIM-1の誘導体(アミドキシム化されたPIM-1等)、及び、微細孔性に影響する固有立体フラストレーションを有する他のポリマーを含むことが可能である。
【0077】
ポリマー構造材料がポリマー材料と組み込まれた吸着剤との複合材料に相当する場合、様々な吸着剤材料を吸着剤として使用できる。吸着剤の幾つかの例は、金属有機骨格(構造体)(MOF)材料、活性炭、多孔性芳香族骨格材料、共有結合性有機骨格材料、多孔性有機ポリマー、及び、ケージ材料、又は、これらの組み合わせであり得る。MOF材料の例には、EMM-44、EMM-67、及び、HKUST-1が含まれる。他の種類の吸着剤には、限定される訳ではないが、ゼオタイプ骨格構造を有する吸着剤が含まれ得る。より一般的に言えば、任意の好適な種類の微粒子吸着剤が使用され得る。このような吸着剤は、任意の好適な方法で組み込まれることが可能である。例えば、一体構造体を3D印刷により形成する場合、3D印刷用のインクは、ポリマー材料と吸着剤材料のナノ粒子とを両方含んでいることが可能である。加えて又は代わりに、吸着剤を、ウォッシュコートを用いて吸着剤を含有するコーティングの1つ又は複数の層を追加することにより、プロセスガス流路の内面に添加してもよい。
【0078】
幾つかの代替的な態様では、接触器における1つ又は複数の構造体は、ポリマー材料とは異なる構造材料から形成された構造体に相当し得る。例えば、幾つかの態様では、外殻がポリマー材料から形成され、少なくとも1つの内部モノリスが、セラミック材料又は金属材料に相当する構造材料から形成されていてもよい。接触器が一体構造体である態様では、構造材料は、好ましくは、ポリマー材料及び/又はポリマー材料と1つ又は複数の吸着剤との複合材料である。
【0079】
様々な態様において、さらなる吸着剤粒子を包含するポリマー接触器構造を形成するためのインク複合体は、少なくとも1つの溶媒、少なくとも1つの構造形成成分(非溶媒及び/又は細孔形成成分)、溶媒中に溶解したポリマー材料、及び、溶液に分散及び/又は懸濁した吸着剤材料の粒子を含み得る。幾つかの態様では、吸着剤粒子は、MOF材料、任意選択により感水性MOF等、に相当し得る。加えて又は代わりに、吸着剤粒子は、ゼオタイプ骨格構造を有する材料、活性炭、又は、他の種類の吸着剤粒子に相当し得る。
【0080】
様々な態様において、かなりの量の吸着剤材料を含むポリマーインク複合体を用いて、3D印刷によるポリマー構造を形成することが可能である。ポリマー構造の形成は、ポリマーを、溶媒や構造形成成分(つまり、非溶媒及び/又は細孔形成成分)と組み合わせた溶液として堆積させて、その後、相反転を用いることによって行われる。これは、溶媒が蒸発してポリマー構造を形成するからである。
【0081】
インク組成物を用いて3D印刷を行う場合、インク組成物は、インク組成物が均質相に相当するように選択可能であるが、溶媒蒸発が目標量となるとインク組成物がバイノーダル線を交差することができ、これによって相反転が生じる。3D印刷の間、インクは、溶媒を含む雰囲気下で堆積し得るので、溶媒蒸発は、インク組成物が所望の表面に「印刷された」後まで、低減又は最小化される。例えば、インクを堆積させるための印字ヘッドは、印刷が行われる際にさらなる溶媒を分散させるための1つ又は複数のさらなるノズルを含んでいてもよく、そのため、相反転はインクが当該表面上に堆積するまでは生じない。一層のインク組成物が堆積又は印刷された後、溶媒の蒸発が可能となる。溶媒濃度が低減されるので、溶媒系は、最終的に不安定になり、溶媒中に溶解されたポリマーが凝結して連続的なポリマー骨格を形成する。この構造形成成分及び任意の残留溶媒が、分離相を形成し、これによって、さらなる細孔容積をポリマー構造に形成することが促進され得る。その後、この構造形成成分及び残留溶媒は、製造プロセス中に、場合によってはさらなる乾燥工程を行うことによって除去可能である。
【0082】
幾つかの態様では、吸着剤のポリマーに対する重量比が1.0以上(つまり、吸着剤のポリマーに対する重量比が1対1)、又は1.5以上、又は2.0以上、又は3.0以上、例えば最大6.0又は場合によってはそれ以上であるインク組成物を用いることが可能である。加えて又は代わりに、インク組成物は、インク組成物の重量に対して、10wt%以上、又は15wt%、又は20wt%以上、例えば最大50wt%又は場合によってはそれ以上の吸着剤を含有することが可能である。さらに加えて又は代わりに、インク組成物におけるポリマーと吸着剤との総合重量は、インク組成物の重量に対して、25wt%以上、又は30wt%以上、又は40wt%以上、例えば最大60wt%以上又は場合によってはそれ以上に相当し得る。さらに加えて又は代わりに、インク組成物は、インク組成物の重量に対して7.0wt%~15wt%、又は10wt%~15wt%、又は12wt%~15wt%のポリマーを含むことが可能である。なお、インク組成物は、相反転が生じ得る程度に十分な量のポリマーを含むことが可能である。
【0083】
他の態様では、インク組成物は、吸着剤のポリマーに対する重量比が、0.3~6.0、又は0.5~6.0、又は1.0~6.0、又は1.5~6.0、又は2.0~6.0、又は3.0~6.0であり得る。吸着剤のポリマーに対する比率が低い場合、吸着剤材料を組み込む利点が低減されるが、このようなインク組成物と従来の三元インク組成物との間の差異も低減される。このような態様では、インク組成物は、インク組成物の重量に対して3.0wt%以上、又は5.0wt%以上、又は10wt%以上、又は15wt%以上、又は20wt%以上、例えば最大50wt%又は場合によってはそれ以上の吸着剤を含むことが可能である。
【0084】
様々な金属有機骨格材料を、3D印刷によって構造を形成するためのインク組成物の中に組み込むことが可能である。金属有機骨格(MOF)は、共有結合によってリガンドを有機結合することによって連結された金属イオン/酸化物二次形成ユニットから成る、比較的新規のクラスの多孔質材料である。MOFは、低密度、高い内部表面積、及び、均一寸法の孔及び流路によって特徴付けられる。MOFは、典型的には結晶物質である。幾つかの種類のMOF材料は、ゼオライトイミダゾール骨格(「ZIF」と呼ばれることもある)、非従来型のMOF(「UMOF」と呼ばれることもある)、及び、SIFSIX MOFを含むことが可能である。
【0085】
様々なMOFが、CO2吸着性能を有するものとして特徴付けられてきた。例えば、Mg-MOF-74は、Mg2+イオン及び2,5-ジヒドロキシテレフタル酸に基づく金属有機骨格材料に相当する。別の例として、MOF-274は、4,4′-ジオキシドビフェニル-3,3′-ジカルボン酸塩に組み合わされたMg2+金属イオンに基づく金属有機骨格材料に相当する。別の例として、EMM-67は、4,4′-ジオキシドビフェニル-3,3′-ジカルボン酸塩に組み合わされた、Mg2+及びMn2+金属イオンに基づく金属有機骨格材料に相当する。MOF-274及びEMM-67は、ジアミン、N,N′-ジメチルエチレンジアミン、又は2-アミノメチルピペリジンといった官能性を添加してEMM-44といった構造を生成することによって、さらに強化される。さらに別の例として、MIL-101(Cr)は、3個のクロムの三方晶ノードと、MTN(IZAコード)トポロジのベンゼン-ジカルボン酸塩連結によってブリッジされた少なくとも13個の酸素原子とから成る金属有機骨格である。さらに別の例は、EMM-42である。EMM-42は、MIL-101(Cr)と同じ二次形成ユニットを有する金属有機骨格であり、つまり3個のクロム原子の三方晶ノードであって、隣接するクロムノードを結合するベンゼン-ジカルボン酸塩リガンドの幾つか又は全てが、フェニレンビスホスホン酸に結合するリガンドによって置換されたユニット3個のクロム原子の三方晶ノードを有する金属有機骨格である。さらに別の例は、MOF-99とも呼ばれるHKUST-1である。HKUST-1骨格は、ベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸リンカー分子によって接続された二量体の金属ユニットから形成されている。パドルウィールユニットとは、金属中心の配位環境を説明するために一般的に使用されている構造モチーフであり、HKUST-1構造の二次形成ユニット(SBU)とも呼ばれる。パドルウィールは、2つの金属中心をブリッジする4つのベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸リンカー分子から構成される。
【0086】
3D印刷中にポリマー構造を形成するために、インク組成物は、ポリマーを含むことが可能である。インク組成物に含まれ得るポリマーの幾つかの例は、固有微細孔性のポリマーである。固有微細孔性のポリマー(PIM)は、重要な気体分離にとって関心を集める新しい材料である。ポリマー骨格に一体化されたスピロ中心が、高効率な充填を妨げ、ポリマーに微細孔を誘導する。この微細孔は、接触器構造を形成するために有効であり得る。なぜなら、微細孔によって、接触器構造中の流路を通って流れるプロセスガスが、接触器容積の別の部分にアクセスできるようになるからである。
【0087】
他の種類の多孔質のポリマーを用いて、インク組成物を形成してもよい。幾つかの態様では、インク組成物中のポリマーは、限定される訳ではないが、酢酸セルロース(Cellulose Acetate)、ポリイミン(例えば、Matrimid5218)、ポリアミド-イミドポリマー、ポリエーテル・スルホン(PES)、PIM-1の誘導体(例えば、アミドキシム化されたPIM-1)、及び、微細孔性に作用する固有の立体フラストレーションを有する他のポリマーを含むことが可能である。
【0088】
幾つかの態様では、溶媒は、テトラヒドロフラン、アセトン、及び/又は、N-メチルピロリドンであり得る。より一般的に言えば、溶媒は、インク組成物中でのポリマーに対する溶解度が高い溶媒であり得る。揮発性溶媒化合物におけるポリマーの溶解度のレベルを判定するための多くの方法が存在する。例えば、幾つかの態様では、ポリマー及び揮発性溶媒化合物についてヒルデブランド溶解パラメータが測定され得る。幾つかの実施形態では、ポリマー及び揮発性溶媒化合物のヒルデブランド溶解パラメータは、3.6MPal/2以下の差異を有していることが可能である。当業者であれば、このような実施形態が、ポリマーを溶融して実質的に均一な溶液を生成可能な揮発性溶媒化合物を提供することになることは理解されよう。態様によっては、潜在的な溶媒は、限定される訳ではないが、アセトアルデヒド、酢酸、アセトン、アセトニトリル、ブタンジオール、ブトキシエタノール、酪酸、ジエタノールアミン、ジエチレントリアミン、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメトキシエタン、ジメチル・スルホキシド(DMSO)、ジオキサン、エタノール、エチルアミン、エチレン・グリコール、ギ酸、フルフリルアルコール、グリセロール、メタノール、メチルジエタノールアミン、イソシアン化メチル、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、プロパノール、プロパンジオール、プロパン酸、プロピレン・グリコール、ピリジン、テトラヒドロフラン(THF)、トリエチレン・グリコール、ジメチルヒドラジン、ヒドラジン、フッ化水素酸、過酸化水素、硝酸、硫酸、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、クロロホルム、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、又は、これらの組み合わせを含むことが可能である。
【0089】
インク組成物に構造形成成分として非溶媒が含まれている態様では、非溶媒は、インク組成物におけるポリマーに対する溶解度が低い又は最低である化合物であり得る。非溶媒化合物におけるポリマーの溶解度のレベルを判定するための多くの方法が存在する。幾つかの態様では、非溶媒は、最初に、ポリマー及び非溶媒化合物について測定可能なハンセン溶解パラメータを測定することによって選択され得る。例えば、ポリマー及び非溶媒は、ポリマー及び非溶媒化合物のハンセン溶解パラメータから算出される相対エネルギー差が、1以上となり得るように選択可能である。当業者であれば、このような実施形態が、ポリマーを溶融不可能な非溶媒化合物を提供することになることは理解されよう。
【0090】
幾つかの態様では、非溶媒は、トルエン、ジメチルアセトアミド、又は、これらの組み合わせに相当し得る。幾つかの態様では、非溶媒は、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)であり得る。幾つかの態様では、非溶媒は、水であること、及び/又は、水を含むことが可能である。他の態様では、非溶媒は、実質的に、水を含んでいなくてもよく(0.1wt%未満であってもよく)、これによって、インク組成物において感水性MOFを使用することが可能になる。HKUST-1は、感水性MOFの一例である。幾つかの態様では、非溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、又はn-プロパノールといったアルコールであり得る。なお、インク組成物を堆積させた後に存在することになる条件下で、溶媒の蒸発速度は、非溶媒の蒸発速度よりも早くなり得る。なぜなら、そうでなければ、ポリマー構造を形成するための相反転は起こり得ないからである。
【0091】
加えて又は代わりに、細孔形成成分が、構造形成成分として含まれていてもよい。LiNO3は、インク組成物において使用可能な細孔形成成分の一例である。細孔形成成分は、比較的少ない量、例えば、インク組成物の0.1wt%~20wt%、又は0.1wt%~10wt%、又は0.1wt%~5.0wt%、又は1.0wt%~20wt%、又は1.0wt%~10wt%に相当する量で添加可能である。
【0092】
表1は、3D印刷用のインク組成物を形成するために使用可能な、ポリマー、溶媒、及び、非溶媒又は細孔形成成分(つまり、構造形成成分)の組み合わせの例を示している。表1の最終カラムは、3D印刷用のインク組成物を形成するために挙げられたポリマーと組み合わせて使用すると問題を生じさせ得る、特定の溶媒を示している。
【表1】
【0093】
インク組成物を用いて構造体を形成するためのプリンタの一例は、直接インク書き込みによるプリンタであり得る。例えば、幾つかの態様では、プリンタは、インク保持容器、インク保持容器に取り付けられるように構成されたインクノズル、蒸気ノズル、及び、基板用可動ステージを含み得る。幾つかの態様では、可動ステージは、基板に取り外し可能に取り付けられるように構成されていてもよい。インクノズルと可動ステージとの間の距離は、制御ボリューム外殻によって実質的に包囲された空隙を含み得る。例えば、制御ボリューム外殻は、蒸気ノズルを収容するための開口部を有する円筒殻を含み得る。制御ボリューム外殻は、インクノズル及び空隙を実質的に包囲するために、任意の中空形状を有していることが可能である。中空形状には、限定される訳ではないが、円筒形、円錐形、四角形、円錐台形、楕円形、又は、これらの任意の組み合わせが含まれる。幾つかの代替態様では、層を形成する間に、さらなる溶媒が、蒸気として制御ボリューム外殻の中に分散され、インク組成物の層が堆積した直後の蒸発量を管理することを支援することが可能である。
【0094】
幾つかの態様では、3D構造を形成するためにインク組成物が堆積したベッド又は表面は、加熱されたベッド又は表面であり得る。加熱されたベッド又は表面を使用することによって、溶媒の蒸発を支援し、相反転を生じさせてポリマー構造を形成することが可能である。幾つかの態様では、3D印刷構造を形成するためにインク組成物が堆積したベッド又は表面は、40℃~80℃の温度に加熱され得る。
[障壁層]
【0095】
様々な態様において、障壁層を、プロセスガス流路及び/又は熱伝達流体流路に追加することが可能である。吸着剤がポリマー構造材料の容積にわたって分散されている態様では、任意選択であるが好ましくは、障壁層を熱伝達流路に追加することが可能である。
【0096】
任意の好適な種類の障壁層を使用可能である。障壁層は、熱伝達流体及び/又はプロセスガスの障壁を介した拡散が低減又は最小化されるように、微細孔性が低減又は最小化された材料であることが可能である。障壁層の好適な材料の例は、限定される訳ではないが、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ラテックス、ポリアクリロニトリル、エピクロルヒドリン、ポリエーテルアミドブロック共重合体、及び、上記したものの混合物及び/又は共重合体を含むことが可能である。なお、モノリスの構造によっては、セラミック、ガラス、又は金属酸化物の障壁層といった他の障壁層も好適であり得る。
【0097】
障壁層を一体構造体に追加することの困難な点のうちの1つは、障壁層を所望の流路だけに選択的に追加することである。従来、障壁層をモノリスに追加することは、典型的には、モノリス全体を障壁層の溶液に浸漬被覆することにより行われている。これは効果的であり得るが、障壁層をプロセスガス流路及び熱伝達流体流路の両方に塗布することになる。吸着剤が、プロセスガス流路及び熱伝達流体流路を含む一体構造体の容積にわたって分散されている態様では、熱伝達流体流路は障壁層を有するが、プロセスガス流路はまだ実質的に障壁層を含まなくてもよいことが望ましい。
【0098】
障壁層を熱伝達流体流路に選択的に追加するための1つの選択肢は、障壁層を形成するために適したポリマー溶液を熱伝達流体流路の中に選択的に流入させることである。障壁層を追加するためには、最初に、一体構造体の所望の流路(例えば、熱伝達流体流路)を水又は溶媒で飽和させる。その後、ラテックス溶液(又は他の障壁ポリマー溶液)をこの流路に流して、壁をコーティングすることが可能である。その後、空気又はN2(あるいは、より詳細に言えば、障壁ポリマー溶液と相互作用しない任意の気体)を流路の下方に流し、流路の妨害物が形成されることを最小化又は回避することが可能である。空気又はN2を流すことは、ラテックスの乾燥を誘導するために好適であり得る。湿度の高い空気/N2を使用してもよく、この場合、流路障壁の品質改善が見られ得る。ラテックス(又は他のポリマー溶液)を流した後に空気又はN2を流すこのプロセスを、所望の障壁厚さが得られるまで繰り返し行う。幾つかの態様では、別のサイクルのポリマー添加が開始されるたびに、一体構造体の配向を反転させて、一体構造体の両端に障壁層を良好に取り付けることを確保可能である。
【0099】
別の例として、熱伝達流体流路及びプロセスガス流路を規定する構造材料が多孔質材料である態様では、ここに記載される接触器の性質を使って、改善された障壁層を熱伝達流体路中に形成することを支援することができる。この種類の例では、任意選択により熱伝達流体路を水又は溶媒で飽和させることによって、このプロセスを開始可能である。その後、障壁層を形成するためのポリマー溶液を導入することが可能である。熱伝達流体流路と流体連通している1つの熱伝達流体入口(又は複数の熱伝達流体入口)を用いて、障壁ポリマー溶液を接触器の中に導入可能である。これは、接触器の分散システムを使用して、ポリマー溶液を所望の(熱伝達流体)流路の中に選択的に導入することが可能であることを意味している。障壁ポリマー溶液を導入する間、プロセスガス入口及びプロセスガス出口は、ポンプに接続されていてもよく、その結果、プロセスガス流路内の圧力は、熱伝達流体流路内の圧力よりも低減される。プロセスガス流路と熱伝達流体流路との間の圧力差により、熱伝達流体流路を規定するバルク構造材料中への障壁ポリマー溶液の拡散を強化することが可能である。これによって、実質的に完全な障壁層を熱伝達流体流路中に形成可能となり、同時に、流路直径の損失を低減又は最小化できる。なぜなら、結果として形成される障壁層として増加した部分は、構造材料内にあるからである。
【0100】
図1に示される構成を用いて、障壁層を、例えば熱伝達流体路だけに選択的に組み込むこの原理を説明することが可能である。
図1に示される構成例では、別々のヘッダが、プロセスガス流路130及び熱伝達流体流路160内の流れを管理することを提供している。
図1では、プロセスガス流路130は、プロセスガス入口132、プロセスガス入口ヘッダ140、プロセスガス流路130、プロセスガス出口ヘッダ145、及び、プロセスガス出口138を含む流れ経路の中に組み込まれている。したがって、この流れ経路内の全ての要素間に流体連通が存在する。熱伝達流体流路160用には、別個の流れ経路が設けられている。熱伝達流体流路160との流体連通用の流れ経路は、熱伝達流体入口162、熱伝達流体入口ヘッダ170、熱伝達流体流路160、熱伝達流体出口ヘッダ175、及び、熱伝達流体出口168を含む。これらの別々の流れ経路が利用可能であるため、ポリマー溶液は、熱伝達流体流路160を含む流れ経路といった、選択された流れ経路の中に導入され得る。任意選択により、他の流れ経路(つまり、プロセスガス流路130を含む流れ経路)が減圧に曝されて、障壁層が、熱伝達流体流路160を含む選択された流れ経路の周りの細孔に侵入することをさらに強化することが可能である。このような例では、障壁ポリマー溶液の導入中、及び/又は、その後の乾燥/パージステップの間、流体中の熱伝達流体入口162又は熱伝達流体出口168の一方が、開放されており、過剰なポリマー溶液の排出、又は、乾燥/パージガスの排出が可能である。(この開放端は、障壁ポリマー溶液又は乾燥/パージガスが導入される入口又は出口とは異なる)。障壁ポリマー溶液を導入している間、及び/又は、乾燥/パージガスステップの間、この熱伝達流体システムの開放入口又は出口は、典型的には、熱伝達流体流路中の最低圧力に相当することになる。様々な態様において、プロセスガス流路中の圧力は、プロセスガス流路(例えば、プロセスガス流路130)内の圧力が熱伝達流体システムの開放端(例えば、熱伝達流体入口162又は熱伝達流体出口168)よりも、5.0kPa以上だけ、又は10kPa以上だけ、又は20kPa以上だけ、例えば最大約100kPaだけ低くなるように低減可能である。
[流路構成]
【0101】
様々な態様において、プロセスガス流路及び熱伝達流路は、流路間の熱伝達の可能性を向上又は最大化するように構成されていることが可能である。1つの選択肢は、複数のプロセスガス流路から複数の熱流体伝達流路への全ての熱伝達を増大又は最大化する流路のアレイを有することである。別の選択肢は、個々の流路と個々の熱伝達流路との相互作用を増大又は最大化する流路構成を有することである。さらに別の選択肢は、個々の流路間の相互作用と、流路のアレイ間の相互作用とを改善することの組み合わせを含むことが可能である。流路配置の任意の好適な組み合わせを用いることが可能である。例えば、別の選択肢は、螺旋状に撚り合わせたプロセスガス流路及び熱伝達流体流路のセットを三次元に配列することである。これは、任意選択により、線形のさらなる熱伝達流体流路及び/又はプロセスガス流路が分散されたアレイをさらに含むことが可能である。さらに別の選択肢は、独立しているが撚り合わせた流路の螺旋構造であり得る。
【0102】
図1に示される構成では、プロセスガス流路及び熱伝達流路は、寸法が比較的一定であり、熱伝達流体入口ヘッダと熱伝達流体出口ヘッダとの位置が実質的に平行であるように示されている。これは、流路が分散された三次元配列を2つ有することに相当する。これは、潜在的に、多数の熱伝達流体流路中の熱伝達流体と任意の所定のプロセスガス流路との間に熱伝達を提供し得る。この種類の構成では、プロセスガス流路の熱伝達流体流路に対する様々な比率を使用可能である。
【0103】
図1は、平行な線形流路を示しているが、他の種類の流路構成を使用することも可能である。例えば、一対の流路間の伝達は、撚り合わせた螺旋状の構成をプロセスガス流路及び熱伝達流体流路に使用することによって増大させることが潜在的に可能である。
【0104】
流路構成の更に別の選択肢は、寸法を流路の長さにわたって変動可能とすることである。流路の寸法は、流路の断面積に基づいて説明され得る。従来、接触器には、ほぼ一定の断面積の流路が使用されていた。従来、流路の寸法を変更できる程度まで流路の下流部の断面積を縮小することは、プロセスガスが流路の端部に向かって流れるため、吸着された成分の濃度の低減を補償するためには都合が良いと期待されていた。しかしながら、思いがけないことに、改善された吸着は、流路の下流部の断面積を拡大させることによって実現可能であることが分かった。
【0105】
流路の下流部の断面積の増大は、任意の好適な方法で実現可能である。1つの選択肢は、流路の長さに沿って断面積を連続的に増大させること、例えば、流路が構造材料を通って進むにつれて断面積をリニアに増大させることである。別の選択肢は、断面積の段階的増加を1つ又は複数有することであり得る。さらに他の選択肢は、連続的増加又は段階的増加の組み合わせを使用することであり得る。さらに他の選択肢は、最初は、流路寸法を維持し、その後下流位置において断面積の連続的及び/又は段階的増加を開始することであり得る。
[例-プロセスガス流路寸法の変更]
【0106】
質量伝達接触器構造が運動学的吸着性能に与える影響を調査するために、3つの吸着接触器を3D印刷で作成した。これら3つの吸着モノリスモジュールは、狭い流路のモノリス、中程度の流路のモノリス、及び、広い流路のモノリスに相当するものであった。広い流路のモノリスは、幅が333μmの正方形のプロセスガス流路を含んでいた。中程度の流路のモノリスは、幅が115μmの正方形のプロセスガス流路を含んでいた。狭い流路のモノリスは、幅が52μmの流路を有していた。
【0107】
吸着接触器は、一層ずつ作成した。個々の接触器について、多層の繊維をz方向に充填し、各層は同じ数の繊維で構成されていた。隣接する層の繊維を直交する方向に堆積させた。吸着性能を公正に比較可能とするために、これら3つの吸着モジュールは同じ全体寸法を有し(0.9cm×0.9cm×0.9cm)、同じ材料で装填されていた(0.27gのPIM-1)。吸着材を、同じ溶液-ベースの積層造形(SBAM)プロトコルによって作成したので、吸着モジュールの各繊維は、3D印刷された吸着剤繊維中の階層的な細孔に関連付けられた同じ微細孔性(40%)を有していた。生成されたPIM-1繊維の見掛け密度は、0.6g/mLであり、各吸着モジュールの空隙比は、水銀ポロシメトリによって検査すると、0.383であった。したがって、この例では、運動学的吸着性能に影響する主なパラメータは、接触器の構造であった。
【0108】
吸着モジュールを個別に専用のステンレス鋼の立方筒にパッケージ化した。16μmのアルミ箔を使用して、ステンレス鋼の筐体と構造化した吸着剤との間の隙間を密封し、漏れ経路が発生しないようにした。グラスウールを吸着モジュールの間に充填し、ガス組成が径方向に変動しないようにした。
【0109】
図5は、モノリスモジュールを使用して形成された2つの接触器構成の例を示す図である。第1の構成では、中程度の流路のモノリスモジュール及び広い流路のモノリスモジュールを、中程度の流路のモノリスモジュールが上流に配置された構造で、接触器に挿入した。これは、
図5の上部に図示されている。説明を簡略化するために、この(
図5の上部に図示されている)吸着材アセンブリの戦略を、「拡大流路」と呼ぶ。これは、中程度の流路の吸着材の流体路が、広い流路の吸着材(幅333μm)よりも小さい(幅115μm)からである。第2の構成では、2つの同じモノリスモジュールを接触器に挿入したが、広い流路のモノリスモジュールが上流に配置された構造を採用した。これは、
図5の下部に図示されている。この吸着材アセンブリの戦略を、「縮小流路」と呼ぶ。
【0110】
拡大流路アセンブリ及び縮小流路アセンブリの吸着性能を、12.5vol%のCO2、12.5vol%のHe、及び75vol%のN2の組成を有するシミュレートされた燃焼排気を用いて試験した。モノリスモジュールを形成するために使用されるPIM-1材料は、CO2を吸着するが、He又はN2は吸着しない。好適なアセンブリを接触器の中に配置した後、シミュレートされた燃焼排気を、約10cm3/min、20cm3/min、30cm3/min、及び40cm3/minの流量で、接触器に流した。接触器からの排気の組成を観察し、時間に応じた、接触器の排気中のCO2濃度を測定した。一貫性検査を提供するために、燃焼排気中のHeの濃度も観察した。
図6は、20cm3/minの流入量における吸着試験の結果を示す図である。
図6に示されるように、拡大流路アセンブリの5.0vol%破過容量におけるCO2容量は、縮小流路アセンブリについての5.0vol%の破過のCO2容量と比べて、ほぼ2倍であった。より高い流量においても、増大した破過容量が観察された。
【0111】
拡大流路設計の吸着接触器アセンブリを、従来型の充填材料に基づく吸着材とも比較した。この比較のために使用した拡大流路設計は、狭いモジュール、中程度のモジュール、及び、広いモジュールを含む「3倍拡大」構成であった。これを、PIM-1に基づく充填材料の充填層を含む接触器と比較した。内部質量伝達抵抗の影響を排除するために、SBAM法により、多成分PIM-1溶液を印刷してランダムコイルを作成し、その後これを1cmの長さの繊維に切断した。同一のプロセス履歴のため、PIM-1繊維及びPIM-1吸着接触器モジュールは、同一の空隙率を有しており、したがって、同一の内部質量伝達係数を有している。その後、PIM-1繊維に25wt%のPEIを浸透させ、同じステンレス鋼の筐体の中に充填した。
【0112】
1セット目の実験では、PEI/PIM-1充填材料を含む充填層接触器を、拡大流路設計と比較した。充填層は、PEI/PIM-1繊維をベッドの中にランダム充填することにより作成した。このPEI/PIM-1(0.18g/0.54g)充填層(0.9cm×0.9cm×1.8cm)を、20cm3/minにおける同じシミュレートされた燃焼排気を用いて試験した。
図7に示されるように、充填層吸着材及び拡大流路アセンブリは、これらの2つの接触器が同じ空隙比、同じ吸着剤の量、及び、同じ全体寸法を有しているにも関わらず、極めて異なるCO2破過曲線を示した。充填層吸着材は、わずかに早いCO2破過(59秒)と、100秒で0~9.8%の急激なCO2濃度増加とを示した。比較として、拡大流路アセンブリは、遅延したCO2破過(77秒)と、250秒で0~9.8%のより遅いCO2濃度増加とを示した。何らかの特定の理論に制約されることなく、充填層吸着材の早いCO2破過は、充填層中の緩く充填された領域における迂回によるものであると考えられる。充填層中の湾曲した流体分散路によっても、質量伝達をより高効率に行うことができ、これによって急激なCO2濃度の増加となる。充填層吸着材は、拡大流路アセンブリよりも、より長くかつ平坦なCO2破過の終息部を示している。これは、充填層吸着材における熱除去の効率が低いことを示している。充填層吸着材は、0.43mmolの5%破過容量、及び、1.08mmolの全容量を示している。比較として、拡大流路アセンブリは、5%破過閾値についてのCO2容量の33%の増加を示している。
【0113】
モジュール式の吸着接触器の他の利点は、圧力低下が少ないことである。
図8は、0.16cm/s~1.83cm/sの範囲の空塔速度で窒素に曝されたときの、異なる2通りの方法で充填されたモジュール式の吸着接触器アセンブリ及び繊維のベッドにおける規格化された圧力低下を示している。1つの種類の充填層では、繊維をランダムに充填した。別の種類の充填層では、整列された繊維を用いてベッドを形成した。非常に短い吸着材(長さ1.8cm)に充填した場合、整列された繊維から成る充填層は、典型的には、迂回効果を示す。ランダム繊維充填の吸着材は、流体迂回による課題を排除するが、流体に対する抵抗は高くなる。拡大流路アセンブリと縮小流路アセンブリとの間に圧力低下における差異は観察できなかった。これは予測と一致している。個々の吸着モジュールの長さは、流路の直径よりも大きいので、アセンブリのほとんどにおいて完全に発展した流れが予測される。結果として、拡大及び縮小による入口効果は、大きな役割を果たすはずはなく、したがって、モジュールの順番は、流れ抵抗に関して重要であるはずはない。
[さらなる実施形態]
【0114】
実施形態1
一体構造体の構造材料によって規定される複数の第1のプロセスガス流路であって、前記構造材料は少なくとも1つの吸着剤成分を含む、複数の第1のプロセスガス流路と、
前記一体構造体の構造材料によって規定される複数の第2の熱伝達流体流路と、
前記プロセスガス流路に流体連通した1つ又は複数のプロセスガス入口ヘッダと、
前記熱伝達流体流路に流体連通した1つ又は複数の熱伝達流体入口ヘッダであって、前記1つ又は複数のプロセスガス入口ヘッダ及び前記1つ又は複数の熱伝達流体入口ヘッダのうちの少なくとも1つは、前記一体構造体の構造材料によって規定されている、1つ又は複数の熱伝達流体入口ヘッダと、
前記プロセスガス流路又は前記熱伝達流体路に流体連通した少なくとも1つの出口ヘッダと、を備える吸着モジュール。
【0115】
実施形態2
前記プロセスガス流路についての流れの平均軸が、前記熱伝達流体流路についての流れの平均軸と、前記一体構造体の中心容積内で30°以下だけ異なる、実施形態1に記載の吸着モジュール。
【0116】
実施形態3
前記プロセスガス流路の第1の部分が、前記プロセスガス流路の第2の部分の断面積よりも小さい平均断面積を有し、前記プロセスガス流路の前記第2の部分は、前記プロセスガス流路の前記第1の部分より下流側にあり、前記プロセスガス流路の平均断面積は、任意選択により、前記プロセスガス流路の少なくとも一部について連続的に増加している、上記した実施形態のいずれか1つに記載の吸着モジュール。
【0117】
実施形態4
前記一体構造体は、接触器を含み、
前記吸着モジュールは、
前記プロセスガス流路に流体連通したプロセスガス出口ヘッダであって、前記一体構造体の構造材料によって規定されているプロセスガス出口ヘッダと、
前記熱伝達流体流路に流体連通した熱伝達流体出口ヘッダであって、前記一体構造体の構造材料によって規定されている熱伝達流体出口ヘッダと、を含む、上記した実施形態のいずれか1つに記載の吸着モジュール。
【0118】
実施形態5
i) 前記吸着モジュールは、前記一体構造体の構造材料によって規定された二次入口ヘッダを備え、前記熱伝達流体入口ヘッダは、前記二次入口ヘッダと前記熱伝達流体流路との間に流体連通を提供するか、
ii) 前記吸着モジュールは、前記一体構造体の構造材料によって規定されたさらなる入口ヘッダを備え、前記プロセスガス入口ヘッダは、前記さらなる入口ヘッダと前記プロセスガス流路との間に流体連通を提供するか、又は、
iii) i)とii)との組み合わせが提供される、実施形態4に記載の吸着モジュール。
【0119】
実施形態6
前記一体構造体は、モノリスを備え、前記吸着モジュールは、複数の外殻片をさらに備え、前記モノリスは、少なくとも部分的に前記複数の外殻片に含まれる、上記した実施形態のいずれか1つに記載の吸着モジュール。
【0120】
実施形態7
a) 前記吸着モジュールは、前記モノリスと前記複数の外殻片のうちの少なくとも1つの外殻片との間に容積を含む二次入口ヘッダを備え、前記熱伝達流体入口ヘッダは、前記二次入口ヘッダと前記熱伝達流体流路との間に流体連通を提供するか、
b) 前記吸着モジュールは、前記モノリスと前記複数の外殻片のうちの少なくとも1つの外殻片との間に容積を含むさらなる入口ヘッダを備え、前記熱伝達流体入口ヘッダは、前記さらなる入口ヘッダと前記プロセスガス流路との間に流体連通を提供するか、又は、
c) a)とb)との組み合わせが提供される、実施形態6に記載の吸着モジュール。
【0121】
実施形態8
前記構造材料は、ポリマー材料と前記少なくとも1つの吸着剤成分との複合材料を含み、前記構造材料の前記少なくとも1つの吸着剤成分は、任意選択により、金属有機骨格材料、ゼオタイプ骨格構造を含む材料、ポリマー材料、又は、これらの組み合わせを含む、上記した実施形態のいずれか1つに記載の吸着モジュール。
【0122】
実施形態9
前記構造材料は、酢酸セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエーテル・スルホン、ポリスルホン、エピクロルヒドリン、ポリエーテルアミドブロック共重合体、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリスチレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリウレタン、エラストマー、これらの共重合体、固有微細孔性のポリマー、又は、これらの組み合わせを含む、上記した実施形態のいずれか1つに記載の吸着モジュール。
【0123】
実施形態10
前記熱伝達流体入口ヘッダ及び前記熱伝達流体流路は、障壁層をさらに備える、上記した実施形態のいずれか1つに記載の吸着モジュール。
【0124】
実施形態11
前記少なくとも1つの吸着剤成分は、少なくとも1つのCO2用吸着剤を含む、上記した実施形態のいずれか1つに記載の吸着モジュール。
【0125】
実施形態12
障壁層を吸着接触器の流路の内部に形成する方法であって、
請求項1~11のいずれか1項に記載の吸着モジュールを提供するステップと、
ポリマー障壁成分を含む溶液を前記熱伝達流体流路の中に送るステップと、
パージ流を前記熱伝達流体流路に流し、前記熱伝達流体流路の表面に障壁層を形成するステップと、
前記溶液を前記熱伝達流体流路の中に送るステップ及び前記パージ流を前記熱伝達流体流路に流すステップのうちの少なくとも1つのステップ中に、前記プロセスガス流路内の圧力を、前記パージ流を流すステップ中の前記熱伝達流体路に関連付けられた平均圧力よりも低い少なくとも5kPa-aの圧力まで低下させるステップと、を備える方法。
【0126】
実施形態13
前記溶液を送るステップ、前記パージ流を流すステップ、及び、前記圧力を低下させるステップを、複数回繰り返すステップをさらに備える、実施形態12に記載の方法。
【0127】
実施形態14
複数の第1のプロセスガス流路及び複数の第2の熱伝達流体流路を含むモノリスと、
第1の外殻片及び第2の外殻片を備える外殻であって、前記第1の外殻片は、ポリマー構造材料を含む一体構造体であり、前記第1の外殻片は、プロセスガス入口ヘッダを備え、前記モノリスは、前記第1の外殻片及び前記第2の外殻片によって規定される容積内に少なくとも部分的に存在し、前記複数の第1のプロセスガス流路は、前記プロセスガス入口ヘッダに流体連通している、外殻と、
前記プロセスガス流路又は前記熱伝達流体路に流体連通した少なくとも1つの出口ヘッダと、を備える、吸着モジュール。
【0128】
実施形態15
前記モノリスは、セラミックモノリス、金属モノリス、又は、これらの組み合わせを含み、前記モノリスは、任意選択により、前記モノリスにコーティングされた吸着剤を含む、実施形態14に記載の吸着モジュール。
【0129】
本発明を特定の実施形態を参照しつつ説明及び図解してきたが、当業者であれば、本発明は、必ずしもここに図示されていない変形例にも有用であることは理解されよう。このため、本発明の真の範囲を判定するためには、添付の特許請求の範囲だけを参照されたい。
【国際調査報告】