(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】胃液の流入を防止する硬質シェルカプセル
(51)【国際特許分類】
A61J 3/07 20060101AFI20240528BHJP
B01J 2/00 20060101ALI20240528BHJP
A61J 1/05 20060101ALI20240528BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20240528BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240528BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240528BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20240528BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240528BHJP
A61K 9/52 20060101ALI20240528BHJP
B01J 13/22 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
A61J3/07 F
B01J2/00 B
A61J1/05 311
A61K9/48
A61K47/38
A61K47/36
A61K47/42
A61K47/32
A61K9/52
B01J13/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572600
(86)(22)【出願日】2022-05-23
(85)【翻訳文提出日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 EP2022063843
(87)【国際公開番号】W WO2022248381
(87)【国際公開日】2022-12-01
(32)【優先日】2021-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Operations GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1-11, 45128 Essen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ハンス ベーア
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ヘラー
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン スミス
(72)【発明者】
【氏名】ベッティーナ ヘルツァー
【テーマコード(参考)】
4C047
4C076
4G004
4G005
【Fターム(参考)】
4C047AA40
4C047BB11
4C047BB35
4C047CC03
4C047DD03
4C047GG15
4C047LL12
4C076AA54
4C076AA60
4C076AA67
4C076BB01
4C076EE06H
4C076EE07H
4C076EE09A
4C076EE10A
4C076EE10H
4C076EE11A
4C076EE12A
4C076EE12H
4C076EE16H
4C076EE23H
4C076EE30A
4C076EE32A
4C076EE32H
4C076EE33H
4C076EE38A
4C076EE42A
4C076FF31
4C076FF33
4G004BA00
4G005AA01
4G005AB25
4G005BA14
4G005BB06
4G005BB15
4G005DB06Z
4G005DB12Z
4G005DB13Z
4G005DB14Z
4G005DB22X
4G005DC29Z
4G005DC34Z
4G005DD58Z
4G005DD59Z
4G005DD63Z
4G005DD64Z
4G005EA01
4G005EA03
(57)【要約】
本発明は、医薬品または栄養補助食品生物学的活性成分のための容器として適した、少なくとも1つの機能性コートおよびトップコートを含むポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルを調製するための方法であって、硬質シェルカプセルが、本体およびキャップを含み、閉鎖状態では、キャップが、予備ロック状態または最終ロック状態のいずれかで本体に重なっており、硬質シェルカプセルを、予備ロック状態で提供し、a1)少なくとも1種のポリマー;および任意選択的に更なる賦形剤;を含むかまたはこれらからなる第1のコーティング溶液、懸濁液または分散液でコーティングして、予備ロック状態の硬質シェルカプセルの機能性コートを得て、その後、a2)少なくとも1種のポリマー;任意選択的に更なる賦形剤;を含むかまたはこれらからなる第1のコーティング溶液、懸濁液または分散液とは異なる第2のコーティング溶液、懸濁液または分散液でコーティングして、予備ロック状態の硬質シェルカプセルのトップコートを得て、総コーティング量が、2.0~10mg/cm2であり、かつトップコートのコーティング量が、機能性コートのコーティング量の最大40%である、方法に関する。さらに、本発明は、本発明による方法から得られる、ポリマーコーティングされた硬質シェルカプセル、および即時放出、遅延放出、または持続放出のための、ポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルの使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬品または栄養補助食品の生物学的活性成分のための容器として適した、少なくとも1つの機能性コートおよびトップコートを含むポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルを調製するための方法であって、
前記硬質シェルカプセルが、本体およびキャップを含み、
閉鎖状態では、前記キャップが、予備ロック状態または最終ロック状態のいずれかで前記本体に重なっており、
前記硬質シェルカプセルを、前記予備ロック状態で提供し、
a1)少なくとも1種のポリマー;
b1)任意選択的に少なくとも1種の流動促進剤;
c1)任意選択的に少なくとも1種の乳化剤;
d1)任意選択的に少なくとも1種の可塑剤;
e1)任意選択的に少なくとも1種の生物学的活性成分;および
f1)任意選択的にa1)~e1)とは異なる少なくとも1種の添加剤;
を含むかまたはこれらからなる第1のコーティング溶液、懸濁液または分散液でコーティングして、前記予備ロック状態の前記硬質シェルカプセルの前記機能性コートを得て、その後、
a2)少なくとも1種のポリマー;
b2)任意選択的に少なくとも1種の流動促進剤;
c2)少なくとも1種の乳化剤;
d2)少なくとも1種の可塑剤;
e2)任意選択的に少なくとも1種の生物学的活性成分;および
f2)任意選択的にa2)~e2)とは異なる少なくとも1種の添加剤;
を含むかまたはこれらからなる、前記第1のコーティング溶液、懸濁液または分散液とは異なる第2のコーティング溶液、懸濁液または分散液でコーティングして、前記予備ロック状態の前記硬質シェルカプセルの前記トップコートを得て、
総コーティング量が、2.0~10mg/cm
2であり、かつ
前記トップコートのコーティング量が、前記機能性コートのコーティング量の最大40%である、
方法。
【請求項2】
前記本体および前記キャップのベース材料が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デンプン、ゼラチン、プルラン、および(メタ)アクリル酸のC1~C4アルキルエステルと(メタ)アクリル酸とのコポリマーから選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1種のポリマーa1)および/またはa2)が、少なくとも1種の(メタ)アクリレートコポリマーから選択される、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1種のポリマーa1)および/またはa2)が、
i)65~75重量%のエチルアクリレートおよび25~35重量%のメチルメタクリレートの重合単位を含む70~80重量%のコアと、45~55重量%のエチルアクリレートおよび45~55重量%のメタクリル酸の重合単位を含む20~30重量%のシェルとを有する、二段階乳化重合プロセスによって得られるコポリマーであるコアシェルポリマー;または
ii)25~95重量%の、アクリル酸もしくはメタクリル酸のC1~C12アルキルエステルと、アニオン性基を有する75~5重量%の(メタ)アクリレートモノマーとを重合することによって得られるアニオン性ポリマー;または
iii)アクリル酸もしくはメタクリル酸のC1~C4アルキルエステルと、アルキル基に第3級もしくは第4級アンモニウム基を有するアクリル酸もしくはメタクリル酸のアルキルエステルとを重合することによって得られるカチオン性(メタ)アクリレートコポリマー;または
iv)メタクリル酸とエチルアクリレートとを重合するか、メタクリル酸とメチルメタクリレートとを重合するか、エチルアクリレートとメチルメタクリレートとを重合するか、もしくはメタクリル酸とメチルアクリレートとメチルメタクリレートとを重合することによって得られる(メタ)アクリレートコポリマー;または
v)40~60重量%のメタクリル酸と60~40重量%のエチルアクリレートとを重合することによって得られる(メタ)アクリレートコポリマー;または
vi)60~80重量%のエチルアクリレートと40~20重量%のメチルメタクリレートとを重合することによって得られる(メタ)アクリレートコポリマー;または
vii)5~15重量%のメタクリル酸と60~70重量%のメチルアクリレートと20~30重量%のメチルメタクリレートとを重合することによって得られる(メタ)アクリレートコポリマー;またはそれらの混合物
である、請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1種のポリマーa1)および/またはa2)が、
i)40~60重量%のメタクリル酸および60~40重量%のエチルアクリレートを共重合することによって得られる(メタ)アクリレートコポリマーと、60~80重量%のエチルアクリレートおよび40~20重量%のメチルメタクリレートを重合することによって得られる(メタ)アクリレートコポリマーと、任意選択的に最大2重量%の(メタ)アクリル酸との混合物;または
ii)5~15重量%のメタクリル酸、60~70重量%のメチルアクリレートおよび20~30重量%のメチルメタクリレートを共重合することによって得られる(メタ)アクリレートコポリマーと、40~60重量%のメタクリル酸および60~40重量%のエチルアクリレートを共重合することによって得られる(メタ)アクリレートコポリマーとの混合物
である、請求項1または2記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1種のポリマーa1)および/またはa2)が、少なくとも1種のアニオン性セルロース、エチルセルロース、もしくは少なくとも35重量%のアミロースを含むデンプン、またはそれらの混合物から選択される、請求項1または2記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1種のポリマーa1)および/またはa2)、好ましくはa2)が、セルロース、例えば、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルセルロース(EC)、メチルセルロース(MC)、セルロースエステル、セルロースグリコレート、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、またはそれらの混合物から選択される、請求項1または2記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1種の流動促進剤が、前記第1および/または第2のコーティング溶液、懸濁液または分散液中に存在している、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1種の乳化剤が、前記第1のコーティング溶液、懸濁液または分散液中に存在している、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1種の可塑剤が、前記第1のコーティング溶液、懸濁液または分散液中に存在している、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1種のポリマーの総重量に基づいて最大400重量%の少なくとも1種の添加剤が、前記第1および/または第2のコーティング溶液、懸濁液または分散液に含まれる、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記本体および前記キャップが、前記キャップが前記本体と重なる領域に、前記予備ロック状態または前記最終ロック状態のいずれかで所定位置へのスナップイン機構によって前記カプセルを閉鎖することを可能にする周囲ノッチまたはディンプルを含む、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記本体がテーパー状リムを含む、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか1項記載の方法から得られる、ポリマーコーティングされた硬質シェルカプセル。
【請求項15】
即時放出、遅延放出、または持続放出のための、請求項14記載のポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品または栄養補助食品の生物学的活性成分のための容器として適した、少なくとも1つの機能性コートおよびトップコートを含むポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルを調製するための方法であって、
硬質シェルカプセルが、本体およびキャップを含み、
閉鎖状態では、キャップが、予備ロック状態または最終ロック状態のいずれかで本体に重なっており、
硬質シェルカプセルを、予備ロック状態で提供し、
a1)少なくとも1種のポリマー;
b1)任意選択的に少なくとも1種の流動促進剤;
c1)任意選択的に少なくとも1種の乳化剤;
d1)任意選択的に少なくとも1種の可塑剤;
e1)任意選択的に少なくとも1種の生物学的活性成分;および
f1)任意選択的にa1)~e1)とは異なる少なくとも1種の添加剤;
を含むかまたはこれらからなる第1のコーティング溶液、懸濁液または分散液でコーティングして、予備ロック状態の硬質シェルカプセルの機能性コートを得て、その後、
a2)少なくとも1種のポリマー;
b2)任意選択的に少なくとも1種の流動促進剤;
c2)少なくとも1種の乳化剤;
d2)少なくとも1種の可塑剤;
e2)任意選択的に少なくとも1種の生物学的活性成分;および
f2)任意選択的にa2)~e2)とは異なる少なくとも1種の添加剤;
を含むかまたはこれらからなる、第1のコーティング溶液、懸濁液または分散液とは異なる第2のコーティング溶液、懸濁液または分散液でコーティングして、予備ロック状態の硬質シェルカプセルのトップコートを得て、
総コーティング量が、2.0~10mg/cm2であり、かつ
トップコートのコーティング量が、機能性コートのコーティング量の最大40%である、
方法に関する。
【0002】
さらに、本発明は、本発明による方法から得られる、ポリマーコーティングされた硬質シェルカプセル、および即時放出、遅延放出、または持続放出のための、ポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルの使用に関する。
【0003】
背景
Covid危機の間、核酸ベースの薬物は、この世界的なパンデミックと戦う上で重要な役割を得た。しかしながら、液体ナノ粒子(LNP)に基づくそのような薬物の製造、保管、使用、および送達は、特に、核酸の温度敏感性、および異なる媒体と接触すると分解によって活性を失う核酸の傾向を理由に、困難である。現在、市場にある薬物は、溶液の注射を介して主に投与されている。したがって、そのような核酸ベースの薬物のための経口送達ルートを提供するためには、核酸ベースの薬物の充填を含む温度に敏感な取り扱いを可能にするビヒクルが必要であり、同様に、核酸を酵素的に分解することなく胃腸管を通過することができるという前提条件も必要である。さらに、非常に大量のこれらの核酸ベースの薬物の需要を理由に、製造方法は、効率的かつ迅速である必要がある。
【0004】
例えば、Ball et al., Oral delivery of siRNA lipid nanoparticles: Fate in the GI tract, Scientific reports (2018) 8:2178には、胃液中でのLNPの挙動が開示されている。
【0005】
特に、最初のLNPを、ペプシンを含有していた模擬胃液(pH1~2)中でインキュベートしたことが開示されている。30分後に、これらは、パンクレアチンを含有する模擬腸液に曝露され、さらに30分間インキュベートされた。遺伝子サイレンシングは、24時間後に定量的PCRによって評価された。消化されたLNPは、効果的ではなかったが、消化されていないLNPは、約70%の遺伝子サイレンシングを達成した。元々のナノ粒子と比較して消化されたLNPのZ平均直径およびPDIが有意に増加していることに見られるように、効力は、LNPの凝集によって低下した可能性がある。パンクレアチン(トリプシン、アミラーゼ、リパーゼ、リボヌクレアーゼ、およびプロテアーゼを含む酵素の混合物)を含有する腸液によって引き起こされる分解効果は、ナノ粒子配合物の変形形態によって、またはカプセル充填の一部となる他の賦形剤でしか解決できないことが開示されている。
【0006】
経口送達についての別の選択肢は、硬質シェルカプセルの使用であり得る。例えば国際公開第2019/148278号および米国特許出願公開第2010291201号明細書に開示されているような、LNPが充填されており、かつロックされて、その後にコーティングされる硬質シェルカプセルは、コーティングプロセスが、それらの温度敏感性を理由に核酸の分解を引き起こす可能性があるため、適切ではない。
【0007】
これらの問題を克服するために、本発明の発明者等は、例えば国際公開第2019/096833号に開示されているような、予備ロック状態でコーティングされ、後に充填されるポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルを用いることから開始した。しかしながら、ポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルの経口送達の分野では、主な目標は、胃液中での薬物の放出を防止する硬質シェルカプセルを提供することであった。これに関して、模擬胃液中でインキュベートした場合に放出を防止するコーティングは、カプセルシェルへの胃液の流入を必ずしも防止しないことが見出された。薬物の放出は既知のこれらの硬質シェルカプセルでは観察されないが、核酸ベースの薬物物質がカプセルから放出される前であっても、胃液の流入は、ペプシン媒介消化を促進する。
【0008】
したがって、本発明の発明者等は、2時間のインキュベーション期間中における模擬胃液の流入を、カプセル充填物の乾燥時損失(loss on drying)の増加5%未満のレベルに制限することができ、かつカプセル充填機で上手く用いるのに適切である、最適化された放出調節された(腸溶性)プレコート空硬質シェルカプセルを開発した。核酸のような敏感な医薬品または栄養補助食品生物学的活性成分に対する悪影響を回避するためには、好ましくは3%未満の低い平均媒体吸収を有するカプセルが特に望ましい。
【0009】
そのような硬質シェルカプセルを得るためには、機能性コートおよびトップコート、ならびに2.0~10mg/cm2の特定のコーティング量が必須であることと、トップコートのコーティング量が、機能性コートのコーティング量の最大40%、最大30%、好ましくは最大28%であることが見出された。
【0010】
発明の概要
第1の態様では、本発明は、医薬品または栄養補助食品の生物学的活性成分のための容器として適した、少なくとも1つの機能性コートおよびトップコートを含むポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルを調製するための方法であって、
硬質シェルカプセルが、本体およびキャップを含み、
閉鎖状態では、キャップが、予備ロック状態または最終ロック状態のいずれかで本体に重なっており、
硬質シェルカプセルを、予備ロック状態で提供し、
a1)少なくとも1種のポリマー;
b1)任意選択的に少なくとも1種の流動促進剤;
c1)任意選択的に少なくとも1種の乳化剤;
d1)任意選択的に少なくとも1種の可塑剤;
e1)任意選択的に少なくとも1種の生物学的活性成分;および
f1)任意選択的にa1)~e1)とは異なる少なくとも1種の添加剤;
を含むかまたはこれらからなる第1のコーティング溶液、懸濁液または分散液でコーティングして、予備ロック状態の硬質シェルカプセルの機能性コートを得て、その後、
a2)少なくとも1種のポリマー;
b2)任意選択的に少なくとも1種の流動促進剤;
c2)少なくとも1種の乳化剤;
d2)少なくとも1種の可塑剤;
e2)任意選択的に少なくとも1種の生物学的活性成分;および
f2)任意選択的にa2)~e2)とは異なる少なくとも1種の添加剤;
を含むかまたはこれらからなる、第1のコーティング溶液、懸濁液または分散液とは異なる第2のコーティング溶液、懸濁液または分散液でコーティングして、予備ロック状態の硬質シェルカプセルのトップコートを得て、
総コーティング量が、2.0~10mg/cm2であり、かつ
トップコートのコーティング量が、機能性コートのコーティング量の最大40%である、
方法に関する。
【0011】
第2の態様では、本発明は、本発明による方法から得られる、ポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルに関する。
【0012】
第3の態様では、本発明は、即時放出、遅延放出、または持続放出のための、本発明によるポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルの使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】リボグリーンアッセイによって得られるような、0.1NのHCl(0~120分間)およびリン酸塩緩衝液pH6.8(120~180分間)中での溶解アッセイ後の例5および例8のカプセルからのmRNA-LNPの放出動態を示す図である(n=3の代表)。
【
図2】異なる前処理後のLNPサンプルのトランスフェクション効率を示す図である。
【0014】
発明の詳細な説明
硬質シェルカプセル
医薬品または栄養補助食品のための硬質シェルカプセルは、当業者には周知である。硬質シェルカプセルは、本体およびキャップと呼ばれる2つのカプセル半体から構成される2ピースの封入カプセルである。カプセルの本体およびキャップの材料は、通常、硬質の、場合によって脆い材料で作製されている。硬質シェルカプセルは、本体およびキャップを含む。本体およびキャップは、通常、反対端に閉鎖した丸い半球形の端部を有する、片側の端部が開放された円筒形のものである。キャップおよび本体の形状およびサイズは、本体をその開放端でキャップの開放端に伸縮自在に押し込むことができるようなものである。
【0015】
本体およびキャップは、本体の外側およびキャップの内側に、カプセルが予備ロック状態で閉鎖されているときに部分的に重なり、最終ロック状態で完全に重なる、潜在的な重なり一致領域(重なり領域)を含む。キャップが本体の重なり一致領域の上方に部分的にスライドされている場合、カプセルは予備ロック状態にある。キャップが本体の重なり一致領域の上方に完全にスライドされている場合、カプセルは最終ロック状態にある。予備ロック状態または最終ロック状態の維持は、通常、一致周囲ノッチまたはディンプル、好ましくは細長いディンプルなどの、本体およびキャップのスナップインロック機構によって補助される。
【0016】
通常、本体は、キャップよりも長い。カプセルを閉鎖またはロックするために、本体の外側重なり領域をキャップによって覆ってよい。閉鎖状態では、キャップは、予備ロック状態または最終ロック状態のいずれかで本体の外側重なり領域を覆っている。最終ロック状態では、キャップは、本体の外側重なり領域を全体的に覆っており、予備ロック状態では、キャップは、本体の外側重なり領域に部分的にのみ重なっている。キャップを本体の上方でスライドさせて、通常、カプセルが予備ロック状態または最終ロック状態のいずれかで閉鎖される2つの異なる位置のうちの一方で固定することができる。
【0017】
硬質シェルカプセルは、異なるサイズで市販されている。硬質シェルカプセルは、通常、本体およびキャップがすでに予備ロック状態に位置している空の容器として、必要に応じて、別々のカプセル半体、本体、およびキャップとして送達される。予備ロックされた硬質シェルカプセルを、カプセルの開放、充填、および最終ロック状態への閉鎖を実施するカプセル充填機に供給することができる。通常、硬質シェルカプセルは、生物学的活性成分を含む乾燥材料、例えば、粉末もしくは顆粒、または粘稠な液体で充填されている。
【0018】
キャップおよび本体には、カプセルの予備ロック(一時的)および/または最終ロックにとって有利な閉鎖手段が設けられている。したがって、突出点をキャップの内壁に設けることができ、カプセルを閉鎖したときに突出部が凹部に係合するように配置された若干より大きな凹んだ点が本体の外壁に設けられている。あるいは、突出部を本体の外壁に、凹部をキャップの内壁に形成することができる。突出部または凹部が壁の周りにリング状またはスパイラル状に配置された配置でもよい。突出部および凹部の点状構成の代わりに、これらは、キャップまたは本体の壁を環状構成で取り囲んでよいが、有利には、カプセル内部へのおよびカプセル内部からのガスの交換を可能にする凹所および開口部が設けられている。カプセルの最終ロック位置においてキャップ上の突出部が本体上の突出部に隣接して位置するように、1つ以上の突出部をキャップの内壁および本体の外壁の周りに環状配置で設けることができる。場合によって、本体上の突出部が、カプセルの最終ロック位置でキャップにおける凹部にラッチングするように、突出部が、開放端の近くで本体の外側に形成されており、凹部が、開放端の近くでキャップにおいて形成されている。突出部は、カプセルへの損傷なくいつでも予備ロック状態でキャップを開放することができるようなもの、あるいは、キャップが一旦閉鎖されたらこれを破壊することなしにはカプセルを再び開放することができないようなものであってよい。1つ以上のそのようなラッチング機構(ラッチ)(例えば、2つの周囲の溝)を有するカプセルが好ましい。2つのカプセル部分を異なる程度で留める少なくとも2つのそのようなラッチング手段を有するカプセルがより好ましい。この種の部分では、第1のラッチング(ディンプルまたは周囲ノッチ)手段をカプセルキャップおよびカプセル本体において開口部の近くに形成することができ、第2のラッチング(周囲ノッチ)をカプセル部分の閉鎖端に向かって若干さらにシフトさせることができる。第1のラッチング手段は、第2のラッチング手段ほど強くはない程度で、2つのカプセル部分を留める。この変形例には、空カプセルの製造後に、第1のラッチング機構を使用して、カプセルキャップおよびカプセル本体を最初に予備ロックでまとめて接続することができるという利点がある。次いで、カプセルを充填するために、2つのカプセル部分は再び分離される。充填後に、2つのカプセル部分は、2セット目のラッチがカプセル部分を最終ロック状態でしっかりと留めるまでまとめて押される。
【0019】
好ましくは、硬質シェルカプセルの本体およびキャップは、キャップが本体の上方でスライドすることができる領域に、周囲ノッチおよび/またはディンプルを各々含む。本体の周囲ノッチおよびキャップのディンプルは、スナップインまたは所定位置へのスナップイン機構を提供するように互いに一致する。ディンプルは、円形であってよいか、または長手方向に細長くてよい(楕円形)。本体の周囲ノッチおよびキャップの周囲ノッチ(かなり一致したリング)も、スナップインまたは所定位置へのスナップイン機構を提供するように互いに一致する。これによって、カプセルを、予備ロック状態または最終ロック状態のいずれかで、所定位置へのスナップ機構によって閉鎖することができる。
【0020】
好ましくは、本体の一致周囲ノッチおよびキャップの細長いディンプルを、本体およびキャップを予備ロック状態で互いに固定するために使用する。本体およびキャップの一致周囲ノッチを、好ましくは、本体およびキャップを最終ロック状態で互いに固定またはロックするために使用する。
【0021】
キャップを本体の上方でスライドさせることができる領域は、本体とキャップとの重なり領域または端的に重なり領域と呼ぶことができる。キャップが、部分的にのみ、おそらくは重なり領域の20~90%または60~85%本体に重なっている場合、硬質シェルカプセルは、部分的にのみ閉鎖されている(予備ロックされている)。好ましくは、本体およびキャップにおいて一致周囲ノッチおよび/またはディンプルのようなロック機構が存在する場合、部分的に閉鎖されたカプセルは、予備ロックされていると呼ぶことができる。カプセルが予備ロック状態でポリマーコーティングされている場合、コーティングは、この予備ロック状態においてキャップが重なっていない、本体およびキャップの重なり領域の部分を含む外側表面を完全に覆うことになる。カプセルが、予備ロック状態でポリマーコーティングされ、次いで、最終ロック状態に閉鎖される場合、予備ロック状態においてキャップが重なっていない、本体およびキャップの重なり領域の部分のコーティングは、次いで、キャップによって覆われることになる。次いで本体とキャップとの間に最終ロック状態で囲まれるコーティングの部分の存在は、硬質シェルカプセルを強く密封するのに十分である。
【0022】
キャップが本体の重なり領域全体にわたって本体に重なっている場合、硬質シェルカプセルは、最終閉鎖されているか、または最終ロック状態にある。好ましくは、本体およびキャップにおいて一致周囲ノッチおよび/またはディンプルのようなロック機構が存在する場合、最終閉鎖されたカプセルは、最終ロックされていると呼ぶことができる。
【0023】
通常、本体およびキャップを予備ロック状態で固定するためにはディンプルが好ましい。拘束力のない規則として、ディンプルの一致領域は、周囲ノッチの一致領域よりも小さい。したがって、スナップインされたディンプルは、一致周囲ノッチによるスナップイン固定をスナップアウトするのに必要であり得る力よりも少ない力を適用することによって、再びスナップアウトすることができる。
【0024】
本体およびキャップのディンプルは、キャップを本体の上方でスライドさせることができる領域に位置しており、スナップインまたは所定位置へのスナップイン機構によって予備ロック状態で互いに一致する。例えば、キャップの周りに円形に分布して位置している、2つ、4つ、または好ましくは6つのノッチまたはディンプルが存在してよい。
【0025】
通常、キャップを本体の上方でスライドさせることができる領域におけるキャップのディンプルおよび本体の周囲ノッチは、これらが予備ロック状態で所定位置へのスナップイン機構によってカプセルを閉鎖することを可能にするように互いに一致する。予備ロック状態では、開放するのに必要な力が比較的低いため、硬質シェルカプセルは、損傷なく手動でまたは機械によって再び開放することができる。したがって、「予備ロック状態」は、「緩くキャップされた状態」とも称されることがある。
【0026】
通常、キャップを本体の上方でスライドさせることができる領域における本体およびキャップの周囲ノッチまたは一致ロックリングは、これらが最終ロック状態で所定位置へのスナップイン機構によってカプセルを閉鎖することを可能にするように互いに一致する。最終ロック状態では、開放するのに必要な力が比較的高いため、硬質シェルカプセルは、損傷なしには手動でまたは機械によって再び開放することができないか、またはほとんどできない。
【0027】
通常、ディンプルおよび周囲ノッチがカプセル本体またはカプセルキャップに形成されている。これらの突出部および凹部が設けられたカプセル部品を互いに係合させると、カプセル本体とその上に配置されているカプセルキャップとの間の接触表面に沿って、10ミクロン~150ミクロン、より詳細には20ミクロン~100ミクロンの理想的に定義された均一なギャップが形成される。
【0028】
好ましくは、硬質シェルカプセルの本体は、テーパー状リムを含む。テーパー状リムによって、カプセルを手動でまたは機械によって閉鎖する際に、本体およびキャップのリムが衝突して損傷することを防止する。
【0029】
硬質シェルカプセルとは対照的に、軟質シェルカプセルは、接合された一体型封入カプセルである。軟質ゲルカプセルは、多くの場合、ブロー成形された軟質ゲル化物質から作製され、通常、生物学的活性成分を含む液体で注入によって充填される。本発明は、接合された軟質シェル一体型封入カプセルに関するものではない。
【0030】
硬質シェルカプセルのサイズ
閉鎖された最終ロックされた硬質シェルカプセルは、約5~40mmの範囲の全長を有してよい。キャップの直径は、約1.3~12mmの範囲であってよい。本体の直径は、約1.2~11mmの範囲であってよい。キャップの長さは、約4~20mmの範囲であってよく、本体の長さは、8~30mmの範囲であってよい。充填体積は、約0.004~2mlの間であってよい。予備ロック長さと最終ロック長さとの間の差は、約1~5mmであってよい。
【0031】
カプセルは、例えばサイズ000~5の標準化されたサイズに分割することができる。サイズ000の閉鎖されたカプセルは、例えば、約9.9mmのキャップ外径および約9.5mmの本体外径を伴って、約28mmの全長を有する。キャップの長さは、約14mmであり、本体の長さは、約22mmである。充填体積は、約1.4mlである。
【0032】
サイズ5の閉鎖されたカプセルは、例えば、約4.8mmのキャップ外径および約4.6mmの本体外径を伴って、約10mmの全長を有する。キャップの長さは、約5.6mmであり、本体の長さは、約9.4mmである。充填体積は、約0.13mlである。
【0033】
サイズ0のカプセルは、予備ロック状態で約23~24mmの長さを示してよく、最終ロック状態で約20.5~21.5mmの長さを示してよい。したがって、予備ロック長さと最終ロック長さとの間の差は、約2~3mmであってよい。
【0034】
コーティングされた硬質シェルカプセル
本発明は、本明細書に記載されているような方法によって得られる、ポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルに関する。
【0035】
本体およびキャップの材料
本体およびキャップのベース材料は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デンプン、ゼラチン、プルラン、および(メタ)アクリル酸のC1~C4アルキルエステルと(メタ)アクリル酸とのコポリマーから選択することができる。ポリマーコーティングに対するその良好な接着特性を理由に、本体およびキャップがHPMCまたはゼラチンを含むかまたはこれらからなる硬質シェルカプセルが好ましく、HPMCが最も好ましい。
【0036】
機能性コーティング層またはトップコーティング層に含まれるポリマーまたはポリマー混合物
以下で、機能性コーティング層またはトップコーティング層中の少なくとも1種のポリマーで使用するのに適切なポリマーが開示されている。特に具体的に記載されていない限り、それぞれのポリマーは、一般に両方のコーティング層(以下、「コーティング層」と称する)に使用することができる。
【0037】
コーティング層に含まれる少なくとも1種のポリマーは、好ましくはフィルム形成ポリマーであり、アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマー、および中性ポリマー、またはそれらの任意の混合物の群から選択することができる。
【0038】
本明細書に開示されているような一般的なまたは特定のポリマー特徴または実施形態の選択は、カプセル材料、カプセルサイズ、コーティング厚さ、生物学的活性成分、および開示されているようなその他の特徴または実施形態などの、本明細書に開示されているような材料または数値的特徴または実施形態のその他の一般的なまたは特定の選択と制限なく組み合わせることができる。
【0039】
単層であってよいか、または2つ以上の個別の層を含んでよいかもしくは2つ以上の個別の層からなっていてよいコーティング層は、合計10~100重量%、20~95重量%、30~90重量%の1種以上のポリマー、好ましくは(メタ)アクリレートコポリマーを含んでよい。
【0040】
それぞれのポリマーについて言及されているモノマーの割合は、一般に、合計で100重量%になる。
【0041】
機能性コーティング層およびトップコーティング層は、互いに異なる。特に、これらは、コーティング層にそれぞれ含有される少なくとも1種のポリマーについて異なる。例えば、両方の層は、同じアニオン性ポリマーを含有してよいが、その場合、2つのコーティングのうちの一方は、特定のアニオン性ポリマーとは異なる第2のポリマーを含有することが必要である。
【0042】
好ましい実施形態では、機能性コーティング層は、少なくとも1種のアニオン性ポリマーを含み、かつ/または50℃未満のTgmを有する少なくとも1種のポリマーを含む。より好ましい実施形態では、機能性コーティング層は、好ましくは以下に記載されているように、少なくとも1種のアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーを含む。
【0043】
好ましい実施形態では、トップコーティング層は、少なくとも1種のカチオン性ポリマー、または少なくとも1種の中性ポリマー、またはそれらの任意の混合物を含む。好ましい実施形態では、トップコーティング層は、好ましくは以下に記載されているように、少なくとも1種の天然ポリマーまたはデンプンから選択される。
【0044】
ガラス転移温度Tgm
コーティング層は、125℃以下、好ましくは-10~115℃のガラス転移温度Tgmを有する1種以上のポリマー、好ましくは(メタ)アクリレートコポリマーを含んでよい。
【0045】
コーティング層は、130℃以下、好ましくは127℃以下、より好ましくは50~127℃のガラス転移温度Tgmを有する、1種以上のアニオン性セルロース、エチルセルロース、および/または少なくとも35重量%のアミロースを含む1種以上のデンプンを含んでよい。
【0046】
本発明によるガラス転移温度Tgmは、好ましくは、ISO 11357-2:2013-05に従って示差走査熱量測定(DSC)によって決定される。決定は、20K/分の加熱速度で実施される。ガラス転移温度Tgmは、DIN EN ISO 11357-2の第10.1.2項に記載されているようなハーフステップハイト法(half step height method)によって同様に決定することもできる。
【0047】
アニオン性ポリマー-腸溶性コーティングおよび胃耐性
記載されている方法は、胃耐性および小腸(腸溶性コーティング)または大腸(結腸標的化)における意図された急速放出を有する医薬品または栄養補助食品剤形のための強く閉鎖されたポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルを提供するのに特に有用である。
【0048】
コーティング層に含まれる少なくとも1種のポリマーは、アニオン性(メタ)アクリレートコポリマー、アニオン性ポリビニルポリマーまたはコポリマー、およびアニオン性セルロースの群から選択されるアニオン性ポリマーであってよい。
【0049】
上述のアニオン性ポリマーは、「腸溶性ポリマー」とも呼ばれる。コーティング層において、そのようなポリマーは、カプセルに腸溶性保護を提供することができる。腸溶性保護は、カプセルが、最終閉鎖状態にあり、かつ医薬品または栄養補助食品生物学的活性成分を含む充填物を含む場合に、含まれる生物学的活性成分の10%未満が、pH1.2の0.1のHCl中で120分後に放出されることを意味するものとする。最も好ましくは、pH1.2の0.1のHCl中で120分、続いて、pH6.8の緩衝媒体に変更した後に、含まれる生物学的活性成分の約80%以上が、合計時間165分または180分後に放出される。
【0050】
結腸標的化は、カプセルが、最終閉鎖状態にあり、かつ医薬品または栄養補助食品生物学的活性成分を含む充填物を含む場合に、含まれる生物学的活性成分の10%未満が、pH1.2の0.1のHCl中で120分後に放出されることを意味するものとする。好ましくは、pH1.2の0.1のHCl中で120分、続いて、pH6.8の緩衝媒体に変更した後に、含まれる生物学的活性成分の約80%以上が、合計時間165分後に放出される。最も好ましくは、pH1.2の0.1のHCl中で120分、続いて、pH6.5または6.8の緩衝媒体に中間変更して60分、続いて、pH7.2またはpH7.4の緩衝媒体に最終変更した後に、含まれる生物学的活性成分の約80%以上が、合計時間225分または240分後に放出される。
【0051】
溶解試験は、米国薬局方43(USP)の<711>章に従って、50または75rpmのパドル速度を有するUSP装置IIを利用して実施される。試験媒体温度は、37+0.5℃に調整される。サンプルは、適切な時点で採取される。
【0052】
アニオン性(メタ)アクリレートコポリマー
好ましくは、アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーは、25~95重量%、好ましくは40~95重量%、特に60~40重量%のフリーラジカル重合されたC1~C12アルキルエステル、好ましくは、アクリル酸またはメタクリル酸のC1~C4アルキルエステルと、アニオン性基を有する75~5重量%、好ましくは60~5重量%、特に40~60重量%の(メタ)アクリレートモノマーとを含む。一般に言及されている割合は、合計で100重量%になる。しかしながら、本質的な特性の損傷または変化をもたらすことなく、0~10重量%、例えば1~5重量%の範囲の少量のビニル共重合可能な更なるモノマー、例えば、ヒドロキシエチルメタクリレートまたはヒドロキシエチルアクリレートなどが存在することもさらに可能である。ビニル共重合可能な更なるモノマーが存在しないことが好ましい。
【0053】
アクリル酸またはメタクリル酸のC1~C4アルキルエステルは、特に、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、およびブチルアクリレートである。
【0054】
アニオン性基を有する(メタ)アクリレートモノマーは、例えば、アクリル酸であり、メタクリル酸が好ましい。
【0055】
適切なアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーは、40~60重量%のメタクリル酸と、60~40重量%のメチルメタクリレートまたは60~40重量%のエチルアクリレートとから重合されたもの(EUDRAGIT(登録商標)LまたはEUDRAGIT(登録商標)L 100 55タイプ)である。
【0056】
EUDRAGIT(登録商標)Lは、50重量%のメチルメタクリレートと50重量%のメタクリル酸とから重合されたコポリマーである。腸分泌液または模擬腸液における特定の活性成分放出の開始のpHは、約pH値6.0であると言うことができる。
【0057】
EUDRAGIT(登録商標)L 100-55は、50重量%のメチルメタクリレートと50重量%のメタクリル酸とから重合されたコポリマーである。EUDRAGIT(登録商標)L 30 D-55は、30重量%のEUDRAGIT(登録商標)L 100-55を含む分散液である。腸分泌液または模擬腸液における特定の活性成分放出の開始のpHは、約pH値5.5であると言うことができる。
【0058】
同様に、20~40重量%のメタクリル酸と80~60重量%のメチルメタクリレートとから重合されたアニオン性(メタ)アクリレートコポリマー(EUDRAGIT(登録商標)Sタイプ)が適切である。腸分泌液または模擬腸液における特定の活性成分放出の開始のpH値は、約pH値7.0であると言うことができる。
【0059】
適切な(メタ)アクリレートコポリマーは、10~30重量%のメチルメタクリレートと、50~70重量%のメチルアクリレートと、5~15重量%のメタクリル酸とから重合する(EUDRAGIT(登録商標)FSタイプ)。腸分泌液または模擬腸液における特定の活性成分放出の開始時のpHは、約pH値7.0であると言うことができる。
【0060】
EUDRAGIT(登録商標)FSは、25重量%のメチルメタクリレートと、65重量%のメチルアクリレートと、10重量%のメタクリル酸とから重合されたコポリマーである。EUDRAGIT(登録商標)FS 30 Dは、30重量%のEUDRAGIT(登録商標)FSを含む分散液である。
【0061】
20~34重量%のメタクリル酸および/またはアクリル酸と、
20~69重量%のメチルアクリレートと、
0~40重量%のエチルアクリレートと、ならびに/または必要に応じて
0~10重量%のビニル共重合可能な更なるモノマーと
から構成されるコポリマーが適切であるが、
ただし、ISO 11357-2:2013-05の小項目3.3.3に従ったコポリマーのガラス転移温度は、60℃以下である。この(メタ)アクリレートコポリマーは、その破断点伸び特性が良好であることを理由に、ペレットを錠剤に圧縮するのに特に適切である。
【0062】
20~33重量%のメタクリル酸および/またはアクリル酸と、
5~30重量%のメチルアクリレートと、
20~40重量%のエチルアクリレートと、
10重量%超~30重量%のブチルメタクリレートと、ならびに必要に応じて
0~10重量%のビニル共重合可能な更なるモノマーと
から重合されたコポリマーが適切であり、
モノマーの割合の合計は、合計で100重量%になり、
ただし、ISO 11357-2:2013-05の小項目3.3.3に従ったコポリマーのガラス転移温度(中間点温度Tmg)は、55~70℃である。
【0063】
コポリマーは、好ましくは、先に示されている量の範囲内の、90、95、または99~100重量%のモノマーメタクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、およびブチルメタクリレートからなる。しかしながら、これが必ずしも本質的な特性の低減につながるわけではなく、0~10重量%、例えば1~5重量%の範囲の少量のビニル共重合可能な更なるモノマー、例えば、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ビニルピロリドン、ビニルマロン酸、スチレン、ビニルアルコール、酢酸ビニル、および/またはそれらの誘導体などがさらに存在することが可能である。
【0064】
更なる適切なアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーは、国際公開第2012/171575号または国際公開第2012/171576号に記載されているようないわゆるコア/シェルポリマーであってよい。適切なコアシェルポリマーは、30重量%のエチルアクリレートおよび70重量%のメチルメタクリレートの重合単位を含む75重量%のコアと、50重量%のエチルアクリレートおよび50重量%のメタクリル酸から重合された25重量%を占めるシェルとを有する、二段階乳化重合プロセスからのコポリマーである。
【0065】
適切なコアシェルポリマーは、65~75重量%のエチルアクリレートおよび25~35重量%のメチルメタクリレートの重合単位を含む70~80重量%のコアと、45~55重量%のエチルアクリレートおよび45~55重量%のメタクリル酸の重合単位を含む20~30重量%のシェルとを有する、二段階乳化重合プロセスからのコポリマーであってよい。
【0066】
アニオン性セルロース
アニオン性セルロースは、カルボキシメチルエチルセルロースおよびその塩、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、酢酸コハク酸セルロース(CAS)、酢酸トリメリット酸セルロース(CAT)、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCP、HP50、HP55)、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS-LF、-MF、-HF)から選択することができる。
【0067】
コーティング層は、好ましくは130℃以下のガラス転移温度Tgm(ISO 11357-2:2013-05に従った示差走査熱量測定(DSC)によって決定)を有する、1種以上のアニオン性セルロース、エチルセルロース、および/または少なくとも35重量%のアミロースを含む1種以上のデンプンを含んでよく、コーティング層は、好ましくは約1~5.8mg/cm2、より好ましくは2~5mg/cm2の量で存在する。
【0068】
コーティング層は、合計10~100重量%、20~95重量%、30~90重量%の1種以上のアニオン性セルロース、エチルセルロース、および/または少なくとも35重量%のアミロースを含む1種以上のデンプンを含んでよい。
【0069】
フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースのガラス転移温度Tgmは、約132~138℃である(HP-55タイプは、約133℃であり、HP-50タイプは、約137℃である)。
【0070】
酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)のガラス転移温度Tgmは、約120℃である(AquaSolve(商標)L HPMCASは、119℃であり、AquaSolve(商標)M HPMCASは、120℃であり、AquaSolve(商標)H HPMCASは、122℃である)。
【0071】
エチルセルロース
エチルセルロースは、繰り返しグルコース単位の水酸基の一部がエチルエーテル基に変換されたセルロースの誘導体である。エチルセルロースは、開示されているようなカプセルのための遅延放出コーティング材料として使用することができる。エチルセルロースのガラス転移温度Tgmは、約128~130℃の範囲であってよい(Hui Ling Lai et al. Int.J.Pharmaceuticals 386 (2010) 178-184)。
【0072】
少なくとも35重量%のアミロースを含むデンプン
少なくとも35重量%のアミロースを含むデンプンは、コーンまたはトウモロコシ由来のデンプンとして市販されている。
【0073】
少なくとも35重量%のアミロースを含むデンプンは、例えば欧州特許第1296658号明細書から知られている。高いアミロース含有量を有するこのタイプの化学加工(アセチル化)デンプンは、予備ゲル化プロセスによって得られる。これらのデンプンは、医薬品または栄養補助食品の分野での様々な用途に使用される固体配合物のためのカプセルおよびコーティングの製造について高い機械的耐性を示す。
【0074】
少なくとも35重量%のアミロースを含むデンプンのガラス転移温度Tgmは、約52~60℃の範囲であってよい(Peng Liu et al., J.Cereal Science (2010) 388-391)。
【0075】
アニオン性ビニルコポリマー
アニオン性ビニルコポリマーは、ポリ酢酸ビニルフタレートまたは酢酸ビニルとクロトン酸とのコポリマー(好ましくは9:1の比)によって例示されるような、アクリル酸またはメタクリル酸以外の不飽和カルボン酸から選択することができる。
【0076】
カチオン性ポリマー
コーティング層に含まれる適切なカチオン性(メタ)アクリレートコポリマーは、アクリル酸またはメタクリル酸のC1~C4アルキルエステルと、アルキル基に第3級または第4級アンモニウム基を有するアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステルとを含むモノマーから重合することができる。カチオン性水溶性(メタ)アクリレートコポリマーは、アルキルラジカルに第3級アミノ基を有するアルキルアクリレートおよび/またはアルキルメタクリレートから部分的または完全に重合することができる。これらの種類のポリマーを含むコーティングは、硬質シェルカプセルに水分保護を提供するという利点を有し得る。水分保護は、容易に充填および最終ロックされたカプセルの保管中の水分または水の吸収が減少していることと理解されるものとする。
【0077】
適切なカチオン性(メタ)アクリレートコポリマーは、30~80重量%の、アクリル酸またはメタクリル酸のC1~C4アルキルエステルと、70~20重量%の、アルキルラジカルに第3級アミノ基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマーとから重合することができる。
【0078】
好ましいカチオン性(メタ)アクリレートコポリマーは、20~30重量%のメチルメタクリレートと、20~30重量%のブチルメタクリレートと、60~40重量%のジメチルアミノエチルメタクリレートとから重合することができる(EUDRAGIT(登録商標)Eタイプポリマー)。
【0079】
第3級アミノ基を有する特に適切な市販の(メタ)アクリレートコポリマーは、25重量%のメチルメタクリレートと、25重量%のブチルメタクリレートと、50重量%のジメチルアミノエチルメタクリレートとから重合する(EUDRAGIT(登録商標)E 100またはEUDRAGIT(登録商標)E PO(粉末形態))。EUDRAGIT(登録商標)E 100およびEUDRAGIT(登録商標)E POは、pH値約5.0未満で水溶性であり、したがって、胃分泌液に可溶でもある。
【0080】
適切な(メタ)アクリレートコポリマーは、85~98重量%の、アクリル酸またはメタクリル酸のフリーラジカル重合されたC1~C4アルキルエステルと、15~2重量%の、アルキルラジカルに第4級アミノ基を有する(メタ)アクリレートモノマーとから構成することができる。
【0081】
アクリル酸またはメタクリル酸の好ましいC1~C4アルキルエステルは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、およびメチルメタクリレートである。
【0082】
更なる適切なカチオン性(メタ)アクリレートポリマーは、2-トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドまたはトリメチルアンモニウムプロピルメタクリレートクロリドの重合モノマー単位を含有してよい。
【0083】
適切なコポリマーは、50~70重量%のメチルメタクリレートと、20~40重量%のエチルアクリレートと、7~2重量%の2-トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドとから重合することができる。
【0084】
特に適切なコポリマーは、65重量%のメチルメタクリレートと、30重量%のエチルアクリレートと、5重量%の2-トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドとから重合する(EUDRAGIT(登録商標)RS)。
【0085】
更なる適切な(メタ)アクリレートコポリマーは、85重量%~93重量%未満の、アクリル酸またはメタクリル酸のC1~C4アルキルエステルと、7重量%超~15重量%の、アルキルラジカルに第4級アミノ基を有する(メタ)アクリレートモノマーとから重合することができる。そのような(メタ)アクリレートモノマーは、市販されており、放出減速コーティングに長い間使用されてきた。
【0086】
特に適切なコポリマーは、60重量%のメチルメタクリレートと、30重量%のエチルアクリレートと、10重量%の2-トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドとから重合する(EUDRAGIT(登録商標)RL)。
【0087】
中性ポリマー
中性ポリマーは、中性モノマーと、5重量%未満、好ましくは2重量%未満、または最も好ましくは0重量%の、イオン性基を有するモノマーとから重合されたポリマーとして定義される。
【0088】
硬質シェルカプセルのコーティングに適切な中性ポリマーは、メタクリレートコポリマー、好ましくは、EUDRAGIT(登録商標)NEもしくはEUDRAGIT(登録商標)NMのようなエチルアクリレートとメチルメタクリレートとのコポリマー、中性セルロース、例えば、セルロースのメチルエーテル、エチルエーテルもしくはプロピルエーテル、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、またはポリビニルアルコールである。
【0089】
中性メタクリレートコポリマーは、多くの場合、アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーとの混合物において有用である。
【0090】
中性メタクリレートコポリマーは、少なくとも95重量%超の程度、特に少なくとも98重量%の程度、好ましくは少なくとも99重量%の程度、特に少なくとも99重量%の程度、より好ましくは100重量%の程度の、中性ラジカル、特にC1~C4アルキルラジカルを有する(メタ)アクリレートモノマーから重合する。
【0091】
中性ラジカルを有する適切な(メタ)アクリレートモノマーは、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートである。メチルメタクリレート、エチルアクリレート、およびメチルアクリレートが好ましい。
【0092】
アニオン性ラジカルを有するメタクリレートモノマー、例えば、アクリル酸および/またはメタクリル酸は、5重量%未満、好ましくは2重量%以下、より好ましくは1重量%以下、または0.05~1重量%の少量で存在してよい。
【0093】
適切な例は、20~40重量%のエチルアクリレート、60~80重量%のメチルメタクリレート、および0重量%~5重量%未満、好ましくは、0~2重量%または0.05~1重量%のメタクリル酸またはアクリル酸から重合された中性または実質的に中性の(メタ)アクリレートコポリマーである。
【0094】
適切な例は、20~40重量%のメチルメタクリレート、60~80重量%のエチルアクリレート、および0重量%~5重量%未満、好ましくは、0~2重量%または0.05~1重量%のメタクリル酸またはアクリル酸から重合された中性または実質的に中性の(メタ)アクリレートコポリマーである。(EUDRAGIT(登録商標)NEまたはEUDRAGIT(登録商標)NMタイプ)。
【0095】
EUDRAGIT(登録商標)NEおよびEUDRAGIT(登録商標)NMは、28~32重量%のメチルメタクリレートと68~72重量%のエチルアクリレートとのフリーラジカル重合単位を含むコポリマーである。
【0096】
国際公開第01/68767号に従って15.2~17.3のHLB値を有する1~10重量%の非イオン性乳化剤を使用して分散液として調製した中性または本質的に中性のメチルアクリレートコポリマーが好ましい。後者のものは、乳化剤による結晶構造の形成による相分離がないという利点を呈する(EUDRAGIT(登録商標)NMタイプ)。
【0097】
しかしながら、欧州特許出願公開第1571164号明細書によると、0.05~1重量%の少ない割合のモノオレフィン性不飽和C3~C8カルボン酸を有する対応する実質的に中性の(メタ)アクリレートコポリマーは、比較的少量、例えば0.001~1重量%のアニオン性乳化剤の存在下での乳化重合によっても調製することができる。
【0098】
天然ポリマー
特に栄養補助食品剤形では、いわゆる「天然ポリマー」コーティングが多くの顧客に好まれている。天然ポリマーは、自然、植物、微生物、または動物からの供給源に基づいているが、さらに化学的に加工されている場合がある。コーティングのための天然ポリマーは、デンプン、アルギネート、またはアルギネートの塩、好ましくは、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、シェラック、ゼイン、カルボキシメチルゼイン、加工デンプン、例えばEUDRAGUARD(登録商標)Natural、マリンスポンジコラーゲン、キトサン、ジェランガムなどのポリマーから選択することができる。適切なポリマー混合物は、以下のものを含んでよい:
エチルセルロースおよびペクチン、加工デンプン(EUDRAGUARD(登録商標)Natural)およびアルギネートおよび/またはペクチン、シェラックおよびアルギネートおよび/またはペクチン、シェラックおよびイヌリン、ホエイタンパク質およびガム(グアーガムまたはトラガカントガムなど)、ゼインおよびポリエチレングリコール、アルギン酸ナトリウムおよびキトサン。
【0099】
以下で、機能性コートまたはトップコート中に存在してよい更なる成分について説明する。
【0100】
特に明示的に述べられていない限り、これらの成分は、一般に、両方のコーティング層で使用するのに適切である。それぞれの成分の量は、特に明示的に述べられていない限り、それぞれのコーティング層に含有される少なくとも1種のポリマーの総重量を考慮して示される。
【0101】
流動促進剤
流動促進剤は、通常、親油性の特性を有する。これらは、フィルム形成ポリマーのフィルム形成中のコアの凝集を防止する。
【0102】
少なくとも1種の流動促進剤は、好ましくは、例えばRXCIPIENTS(登録商標)GL100またはRXCIPIENTS(登録商標)GL200という商標名で市販されているシリカ、粉砕シリカ、ヒュームドシリカ、カオリンケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛のようなステアリン酸塩、フマル酸ステアリルナトリウム、デンプン、ステアリン酸、好ましくは、タルク、ステアリン酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素、およびモノステアリン酸グリセロール、またはそれらの混合物、より好ましくは、モノステアリン酸グリセロールおよびタルクまたはそれらの混合物から選択される。
【0103】
コーティング層における流動促進剤の使用についての標準的な割合は、少なくとも1種のポリマーの総重量に対して、0.5~100重量%、好ましくは3~75重量%、より好ましくは5~50重量%、最も好ましくは5~30重量%の範囲である。
【0104】
乳化剤
一般に、すべて公知の乳化剤が適切である。非イオン性乳化剤、特に10超のHLBまたは12超のHLBを有する乳化剤が好ましい。HBL値は、Griffin, William C. (1954), “Calculation of HLB Values of Non-Ionic Surfactants” (PDF), Journal of the Society of Cosmetic Chemists, 5 (4):249-56に従って決定することができる。
【0105】
少なくとも1種の乳化剤は、好ましくは、ポリグリコシド、アルコール、糖および糖誘導体、ポリエーテル、アミン、ポリエチレン誘導体、硫酸アルキル(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム)、硫酸アルキルエーテル、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ポリソルベート(例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン)、ノニルフェノールエトキシレート(ノノキシノール-9)、およびそれらの混合物から選択される。
【0106】
少なくとも1種の乳化剤は、好ましくは、アルキルポリグリコシド、デシルグルコシド、デシルポリグルコース、ラウリルグルコシド、オクチルグルコシド、N-オクチルベータ-D-チオグルコピラノシド、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ポリオキシエチレンセトステアリルアルコール、セチルステアリルアルコール、オレイルアルコール、ジオレイン酸ポリグリセリル-6、クエン酸ステアリン酸グリセリル、カプリン酸ポリグリセリル-3、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、イソステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸ポリグリセリル-4、モノリノール酸グリセリル、炭酸ジカプリリル、アルコールポリグリコールエーテル、セテアリルアルコールのポリエチレングリコールエーテル(n=20)、ステアリン酸ポリエチレングリコール-6、ステアリン酸グリコール、ステアリン酸ポリエチレングリコール-32、ステアリン酸ポリエチレングリコール-20、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、ラウリン酸ポリエチレングリコール-4、ポリエチレングリコールイソセチルエーテル(n=20)、ラウリン酸(C12)のポリエチレングリコール-32(Mw1500g/mol)モノエステルおよびジエステル、ノナエチレングリコール、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル、オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ポリエチレングリコールマクロセチルエーテル、パルミチン酸(C16)またはステアリン酸(C18)またはカプリル酸のポリエチレングリコールエステル、BRIJ S2のようなステアリルアルコール由来のポリオキシエチレン脂肪エーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンステアレート、マクロゴールステアリルエーテル(20)、ステアリン酸ジエチルアミノエチル、ステアリン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸スクロース、トリステアリン酸スクロース、モノステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸マンニド、モノオレイン酸オクタグリセロール、ジオレイン酸ソルビタン、ポリリシンオレエート、ポリソルベート20およびポリオキシエチレン(20)モノオレイン酸ソルビタン(ポリソルベート80)のようなポリソルベート、ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ヤシ脂肪酸スクロース、ヤシ脂肪酸グリセレス-2、ヤシ脂肪酸エチルヘキシル、ミリスチン酸ポリプロピレングリコール-3ベンジルエーテル、ミリスチン酸ナトリウム、チオリンゴ酸金ナトリウム、ラウリン酸ポリエチレングリコール-8、ジラウリン酸ポリエチレン-4、α-ヘキサデシル-ω-ヒドロキシポリ(オキシエチレン)からのもの、コカミドジエタノールアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)ドデカンアミド、オクチルフェノキシポリエトキシエタノール、マルトシド、2,3-ジヒドロキシプロピルドデカノエート、3-[(3R,6R,9R,12R,15S,22S,25S,30aS)-6,9,15,22-テトラキス(2-アミノ-2-オキソエチル)-3-(4-ヒドロキシベンジル)-12-(ヒドロキシメチル)-18-(11-メチルトリデシル)-1,4,7,10,13,16,20,23,26-ノナオキソトリアコンタヒドロピロロ[1,2-g][1,4,7,10,13,16,19,22,25]ノナアザシクロオクタコシン-25-イル]プロペンアミド、2-{2-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[2-(4-ノニルフェノキシ)エトキシ]エトキシ}エトキシ)エトキシ]エトキシ}エトキシ)エトキシ]エトキシ}エタノール、オキシポリエトキシドデカン、ポロキサマー188(Pluronic F-68)およびポロキサマー407のようなポロキサマー、モノカプリン酸プロピレングリコール、タイプI(Capryol PGMC)、ポリエトキシル化タローアミン、ポリグリセロール、ポリオキシル40水添ヒマシ油、サーファクチン、2-[4-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェノキシ]エタノール、カルボマー、ナトリウムカルボマー、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カラギーナン、コレステロール、デオキシコール酸、卵リン脂質のようなリン脂質、ジェランガム、ラノリン、カプリン酸、Polawax NF、Polawax A31またはCeral PWのようなワックス、エステルガム、デアセチルホスフェート、大豆レシチン、スフィンゴミエリン、リン酸ナトリウム、ラウロイル乳酸ナトリウム、ラノリン、オキシランモノブチルエーテルを有するオキシランメチルポリマー、1,2-ジエルコイルホスファチジルコリン、平均14モルのプロピレンオキシドで末端ブロックされたジメチコン、ラウリルメチコンコポリオール、ラウログリコール90、Amphocerine KSのような白色鉱油、イソヘキサデカン中のアクリルアミド/タウリン酸アクリロイルジメチルナトリウムコポリマーの分散液、ならびにポリアクリル酸ナトリウム、またはそれらの混合物から選択される。マクロゴールステアリルエーテル(20)およびポリソルベート80が好ましい。
【0107】
一実施形態では、少なくとも1種のポリマーの総重量に基づいて3重量%未満、好ましくは1.5重量%の少なくとも1種の乳化剤が存在するか、もしくは本質的に存在しないか、または乳化剤が全く存在しない。
【0108】
少なくとも1種の乳化剤がトップコートに含有される。
【0109】
機能性コーティング層またはトップコーティング層
機能性コーティング層またはトップコーティング層は、10重量%以上、20重量%以上、30重量%以上、40重量%以上、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、90重量%以上、または95重量%以上の少なくとも1種のポリマーを含んでよい。コーティング層は、10~100重量%、10~90重量%、12~80重量%、15~80重量%、18~80重量%、20~80重量%、または40~80重量%の少なくとも1種のポリマーを含んでよい。
【0110】
トップコーティング層は、開示されているような少なくとも1種のポリマーを含む機能性コーティング層上に位置している。トップコートも、好ましくは水溶性または本質的に水溶性である。トップコートは、医薬品または栄養補助食品の形態を着色する機能、または保管中に水分などの環境的な影響から保護する機能を有してよい。
【0111】
機能性コーティング層およびトップコーティング層の量および厚さ
工業用充填機内での最終カプセルの流入防止および加工性を確実にするためには、総コーティング量が2.0~10mg/cm2であることが必要であり、トップコートのコーティング量が機能性コートのコーティング量の最大40%であることが見出された。
【0112】
サイズ#0の硬質シェルカプセルの場合、コーティング層の量は、多過ぎるべきではない。適用されるコーティング層の量が多過ぎる場合、これによって、ポリマーコーティングされた予備ロックされた硬質シェルカプセルを後にカプセル充填機内で加工することが困難になる可能性がある。コーティング層の量が、5mg/cm2未満、例えば2~4mg/cm2である場合、通常、変形なしで標準的なカプセル充填機を用いても問題は起こらない。4mg/cm2~最大約8mg/cm2の範囲では、カプセル充填機をなおも使用することができるが、本体およびキャップの形状を若干より幅広に調整するべきである。そのような調整は、機械技師であれば容易に実施することができる。したがって、カプセル充填機は、約3~約8mg/cm2のコーティング層の量の範囲内で有利に使用することができる。
【0113】
サイズ#1の硬質シェルカプセルの場合、コーティング層の量は、多過ぎるべきではない。適用されるコーティング層の量が多過ぎる場合、これによって、ポリマーコーティングされた予備ロックされた硬質シェルカプセルを後にカプセル充填機内で加工することが困難になる可能性がある。コーティング層の量が、4mg/cm2未満、例えば2~3.5mg/cm2である場合、通常、変形なしで標準的なカプセル充填機を用いても問題は起こらない。3.5mg/cm2~最大約8mg/cm2の範囲では、カプセル充填機をなおも使用することができるが、本体およびキャップの形状を若干より幅広に調整するべきである。そのような調整は、機械技師であれば容易に実施することができる。したがって、カプセル充填機は、約3~約8mg/cm2のコーティング層の量の範囲内で有利に使用することができる。
【0114】
サイズ#3の硬質シェルカプセルの場合、コーティング層の量は、多過ぎるべきではない。適用されるコーティング層の量が多過ぎる場合、これによって、ポリマーコーティングされた予備ロックされた硬質シェルカプセルを後にカプセル充填機内で加工することが困難になる可能性がある。2mg/cm2~最大約6mg/cm2の範囲では、カプセル充填機をなおも使用することができるが、本体およびキャップの形状を若干より幅広に調整するべきである。そのような調整は、機械技師であれば容易に実施することができる。したがって、カプセル充填機は、約3~約6mg/cm2のコーティング層の量の範囲内で有利に使用することができる。
【0115】
適用されるコーティング層の量が多過ぎる場合、本体とキャップとの間のギャップが予備ロック状態にあるキャップのリムにおいてあまりに多くのコーティング層の集合体も存在することになる。これによって、コーティングされた予備ロックされた硬質シェルカプセルを手動でまたは機械内で開放する場合、乾燥後にコーティング層のひびが生じる可能性がある。ひびによって、後にカプセルの漏出が生じる可能性がある。最終的に、コーティングが厚過ぎると、コーティング層が本体とキャップとの間の重なり領域におけるギャップよりも厚いため、開放されたコーティングされた硬質シェルカプセルを最終ロック状態に閉鎖することが困難または不可能になる可能性がある。
【0116】
概略的な規則として、硬質シェルカプセル上のコーティング層は、0.7~20mg/cm2、1.0~18mg/cm2、2~10mg/cm2、4~8mg/cm2、1.0~8mg/cm2、1.5~5.5mg/cm2、1.5~4mg/cm2の量(=総重量増加)で適用することができる。
【0117】
概略的な規則として、硬質シェルカプセル上のコーティング層は、約5~100μm、10~50μm、15~75μmの平均厚さを有してよい。
【0118】
概略的な規則として、硬質シェルカプセル上のコーティング層は、予備ロックされたカプセルの重量に対して、5~50%、好ましくは8~40%の乾燥重量の量で適用することができる。
【0119】
この指針によって、当業者であれば、コーティング層の量を過少~過多の間の範囲で調整することができるであろう。
【0120】
生物学的活性成分
生物学的活性成分は、好ましくは、医薬品活性成分および/または栄養補助食品活性成分および/または化粧品活性成分である。特定の生物学的活性成分がそれぞれのコーティング層に含有される可能性があるが、生物学的活性成分が充填物に含有されることが好ましい。特に、生物学的活性成分が、リポソーム、脂質ナノ粒子、または核酸である場合、生物学的活性成分は、充填物のみに含有される。
【0121】
医薬品または栄養補助食品活性成分
本発明は、好ましくは、医薬品または栄養補助食品活性成分の充填物を有する、即時放出性、遅延放出性、または持続放出性の配合された医薬品または栄養補助食品剤形に有用である。
【0122】
記載されているポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルのための充填物としてその構成要素を使用することができる医薬品活性成分の適切な治療的および化学的なクラスは、例えば、鎮痛薬、抗生物質または抗感染症薬、抗体、抗てんかん薬、植物からの抗原、抗リウマチ薬、ベンズイミダゾール誘導体、ベータ遮断薬、心臓血管薬、化学療法薬、中枢神経系薬、ジギタリス配糖体、胃腸薬、例えば、プロトンポンプ阻害剤、酵素、ホルモン、液体または固体の天然抽出物、オリゴヌクレオチド、ペプチド、ホルモン、タンパク質、治療用細菌、ペプチド、タンパク質(金属)塩、すなわち、アスパルテート、塩化物、泌尿器科薬、脂質ナノ粒子、リポソーム、ポリマーナノ粒子、ワクチンである。好ましい実施形態では、少なくとも1種のリポソームまたは脂質ナノ粒子が含有される。
【0123】
好ましい実施形態では、医薬的活性成分は、脂質ナノ粒子、リポソーム、または核酸であり、より好ましくは、核酸剤は、DNA、RNA、またはそれらの組み合わせであってよい。幾つかの実施形態では、核酸剤は、オリゴヌクレオチドおよび/またはポリヌクレオチドであってよい。幾つかの実施形態では、核酸剤は、オリゴヌクレオチドおよび/または修飾オリゴヌクレオチド(リン酸化による修飾を含むが、これらに限定されることはない);アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび/または修飾アンチセンスオリゴヌクレオチド(リン酸化による修飾を含むが、これらに限定されることはない)であってよい。幾つかの実施形態では、核酸剤は、cDNAおよび/またはゲノムDNAを含んでよい。幾つかの実施形態では、核酸剤は、非ヒトDNAおよび/またはRNA(例えば、ウイルス、細菌、または真菌の核酸配列)を含んでよい。幾つかの実施形態では、核酸剤は、プラスミド、コスミド、遺伝子断片、人工および/もしくは天然染色体(例えば、酵母人工染色体)、ならびに/またはその一部であってよい。幾つかの実施形態では、核酸剤は、機能性RNA(例えば、mRNA、tRNA、rRNA、および/またはリボザイム)であってよい。幾つかの実施形態では、核酸剤は、RNAi誘導物質、低分子干渉RNA(siRNA)、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、および/またはマイクロRNA(miRNA)であってよい。幾つかの実施形態では、核酸剤は、ペプチド核酸(PNA)であってよい。幾つかの実施形態では、核酸剤は、修飾されていても修飾されていなくてもよい核酸の合成類似体を含むポリヌクレオチドであってよい。幾つかの実施形態では、核酸剤は、一本鎖DNA、二本鎖DNA、スーパーコイルDNAおよび/もしくは三重らせんDNA;Z-DNA;ならびに/またはそれらの組み合わせを含むDNAの様々な構造形態を含んでよい。更なる適切な核酸は、例えば、参照により組み込まれる国際公開第2012103035号に開示されている。
【0124】
記載されているポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルのための充填物として使用することができる薬物の更なる例は、例えば、アカンプロセート、アエスシン、アミラーゼ、アセチルサリチル酸、アドレナリン、5-アミノサリチル酸、オーレオマイシン、バシトラシン、バルサラジン、ベータカロテン、ビカルタミド、ビサコジル、ブロメライン、ブロメライン、ブデソニド、カルシトニン、カルバマシピン、カルボプラチン、セファロスポリン、セトロレリックス、クラリスロマイシン、クロロマイセチン、シメチジン、シサプリド、クラドリビン、クロラゼペート、クロマリン、1-デアミノシステイン-8-D-アルギニン-バソプレシン、デラムシクラン、デチレリックス、デクスランソプラゾール、ジクロフェナク、ジダノシン、ジギトキシンおよび他のジギタリス配糖体、ジヒドロストレプトマイシン、ジメチコン、ジバルプロエクス、ドロスピレノン、デュロキセチン、酵素、エリスロマイシン、エソメプラゾール、エストロゲン、エトポシド、ファモチジン、フッ化物、ニンニク油、グルカゴン、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、ヘパリン、ヒドロコルチゾン、ヒト成長ホルモン(hGH)、イブプロフェン、イラプラゾール、インスリン、インターフェロン、インターロイキン、イントロンA、ケトプロフェン、ランソプラゾール、ロイプロリダセタットリパーゼ(leuprolidacetat lipase)、リポ酸、リチウム、キニン、メマンチン、メサラジン、メテナミン、ミラメリン、ミネラル、ミノプラゾール、ナプロキセン、ナタマイシン、ニトロフランチオン、ノボビオシン、オルサラジン、オメプラゾール、オロテート、パンクレアチン、パントプラゾール、副甲状腺ホルモン、パロキセチン、ペニシリン、ペルプラゾール、ピンドロール、ポリミキシン、カリウム、プラバスタチン、プレドニゾン、プレグルメタシンプロガバイド、プロソマトスタチン、プロテアーゼ、キナプリル、ラベプラゾール、ラニチジン、ラノラジン、レボキセチン、ルトシド、ソマトスタチンストレプトマイシン、サブチリン、スルファサラジン、スルファニルアミド、タムスロシン、テナトプラゾール、トリプシン、バルプロ酸、バソプレシン、ビタミン、亜鉛であり、それらの塩、誘導体、多形体、同形体、またはそれらの任意の種類の混合物もしくは組み合わせを含む。
【0125】
医薬品および栄養補助食品活性成分、賦形剤および組成物、または医薬品もしくは栄養補助食品剤形という用語に広範な重複があることは当業者には明らかである。栄養補助食品として列挙されている多くの物質は、医薬品活性成分として使用することもできる。特定の用途、ならびに地方自治体の法律および分類に応じて、同じ物質が、医薬品もしくは栄養補助食品活性成分、または医薬品もしくは栄養補助食品組成物、またはさらにはその両方として列挙されている場合がある。
【0126】
栄養補助食品は、当業者には周知である。栄養補助食品は、多くの場合、ヒトの健康に医療効果があると主張される食品の抽出物として定義される。したがって、栄養補助食品活性成分は、同様に医薬的活性も示す可能性がある:栄養補助食品活性成分の例は、抗酸化物質としてのブドウ製品からのレスベラトロール、高コレステロール血症を軽減するためのオオバコ種子殻などの可溶性食物繊維製品、がんの予防剤としてのブロッコリー(スルファン)、および動脈の健康を改善するための大豆またはクローバー(イソフラボノイド)であってよい。したがって、栄養補助食品として列挙されている多くの物質を医薬品活性成分として使用することもできることが明らかである。
【0127】
記載されているポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルのための充填物として使用することができる典型的な栄養補助食品または栄養補助食品活性成分は、プロバイオティクスおよびプレバイオティクスを含んでいてもよい。プロバイオティクスは、消費されるとヒトまたは動物の健康を補助すると考えられている生きた微生物である。プレバイオティクスは、ヒトまたは動物の腸内で有益な微生物の増殖または活性を誘導または促進する栄養補助食品または栄養補助食品活性成分である。
【0128】
栄養補助食品の例は、ブドウ製品からのレスベラトロール、抗酸化物質としてのブルーベリーからのオメガ-3-脂肪酸またはプロアントシアニン、高コレステロール血症を軽減するためのオオバコ種子殻などの可溶性食物繊維製品、がん予防剤としてのブロッコリー(スルファン)、および動脈の健康を改善するための大豆またはクローバー(イソフラボノイド)である。他の栄養補助食品の例は、フラボノイド、抗酸化物質、亜麻仁からのアルファリノール酸、マリーゴールドの花弁からのベータカロテン、またはベリーからのアントシアニンである。ニュートラシューティカルズまたはニュートリシューティカルズという表現は、栄養補助食品の同義語として使用されることがある。
【0129】
好ましい生物学的活性成分は、メトプロロール、メサラミン、およびオメプラゾールである。
【0130】
添加剤
本発明による添加剤は、好ましくは賦形剤であり、これらは、当業者には周知であり、多くの場合、コーティングされた硬質シェルカプセルに含有される生物学的活性成分とともに、かつ/または本明細書で開示および特許請求されているような硬質シェルカプセルのポリマーコーティング層とともに配合される。使用されるすべての賦形剤は、毒物学的に安全である必要があり、患者または消費者にリスクを与えることなく医薬品または栄養補助食品に使用される必要がある。
【0131】
剤形は、抗酸化物質、光沢剤、結合剤、着香剤、流動助剤、芳香剤、浸透促進剤、顔料、細孔形成剤もしくは安定剤、またはそれらの組み合わせの群から選択される賦形剤、好ましくは医薬品または栄養補助食品に許容可能な賦形剤を含んでよい。医薬品または栄養補助食品に許容可能な賦形剤は、開示されているようなポリマーを含むコアおよび/またはコーティング層に含まれてよい。医薬品または栄養補助食品に許容可能な賦形剤は、医薬品または栄養補助食品の分野での用途に使用することが可能な賦形剤である。
【0132】
機能性コーティング層またはトップコーティング層は、少なくとも1種のポリマーの総重量に基づいて、最大90重量%、最大80重量%、最大70重量%、最大50重量%、最大60重量%、最大50重量%、最大40重量%、最大30重量%、最大20重量%、最大10重量%、最大5重量%、最大3重量%、最大1重量%の添加剤、または医薬品もしくは栄養補助食品に許容可能な賦形剤を含んでよいか、またはこれらを全く含んでいなくてよい(0%)。
【0133】
可塑剤
硬質シェルカプセルのポリマーコーティングは、1種以上の可塑剤を含んでよい。可塑剤は、添加される量に応じて、ポリマーとの物理的相互作用を通じてガラス転移温度を低下させ、フィルム形成を促進する。適切な物質は、通常、100~20,000g/molの間の分子量を有し、分子内に1個以上の親水性基、例えば、ヒドロキシル、エステル、またはアミノ基を含む。
【0134】
適切な可塑剤の例は、クエン酸アルキル、フタル酸アルキル、セバシン酸アルキル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコールである。好ましい可塑剤は、クエン酸トリエチル(TEC)、クエン酸アセチルトリエチル(ATEC)、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル(DBS)、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコール、またはそれらの混合物である。
【0135】
配合物への可塑剤の添加は、公知の手法で、直接的に、水溶液中で、または混合物の熱前処理後に行うことができる。可塑剤の混合物を用いることも可能である。硬質シェルカプセルのポリマーコーティングは、1種以上の可塑剤を、少なくとも1種のポリマーに基づいて計算して、好ましくは最大60重量%、最大30重量%、最大25重量%、最大20重量%、最大15重量%、最大10重量%、最大5重量%、5重量%未満含んでよいか、または可塑剤は全く含まれていなくてよい(0%)。
【0136】
トップコートは、少なくとも1種の可塑剤を含む。
【0137】
充填剤
標準的な充填剤は、通常、コーティングおよび結合剤への加工中に本発明の配合物に添加される。医薬コーティングの中または層の上方における標準的な充填剤の導入される量および使用は、当業者にはよく知られている。標準的な充填剤の例は、離型剤、顔料、安定剤、抗酸化物質、細孔形成剤、浸透促進剤、光沢剤、芳香剤、または着香剤である。これらは、加工補助剤として使用され、信頼性および再現性のある調製プロセスおよび良好な長期保存安定性を確実にすることを意図しているか、またはこれらは、医薬品形態で追加的な有利な特性を達成する。これらは、加工前にポリマー配合物に添加され、コーティングの浸透性に影響を与える可能性がある。この特性は、必要に応じて、追加的な制御パラメータとして使用することができる。
【0138】
顔料
顔料は、可溶性形態で添加されることはほとんどない。一般に、酸化アルミニウム顔料または酸化鉄顔料などの顔料は、分散形態で使用される。二酸化チタンは、白色化顔料として使用される。顔料の使用についての標準的な割合は、コーティング層中の少なくとも1種のポリマーの総重量に対して、10~200重量%、20~200重量%である。少なくとも1種のポリマーの総重量に基づいて最大200重量%の割合を容易に加工することができる。
【0139】
特に有利な実施形態では、顔料は、トップコートに使用される。適用は、粉末の形態で、または5~35%(w/w)固体含有量を有する水性懸濁液からの噴霧によって行われる。必要な濃度は、ポリマー層への組み込みの場合よりも低く、医薬品形態の重量に対して、0.1~2重量%に相当する。
【0140】
任意選択的なサブコート
任意選択的に、硬質シェルカプセルをサブコートでさらにコーティングすることができる。
【0141】
サブコートは、カプセルと機能性コーティング層との間に位置することができ、先に開示されているような少なくとも1種のポリマーを含む。サブコートは、活性成分放出特性には本質的に影響を与えないが、例えば、ポリマーコーティング層の接着を改善することができる。サブコートは、好ましくは本質的に水溶性であり、例えば、これは、フィルム形成剤としてのHPMCのような物質からなってよい。サブコート層の平均厚さは、通常、非常に薄く、例えば、15μm以下、好ましくは10μm以下(0.1~1.0mg/cm2)である。サブコートは、予備ロック状態の硬質シェルカプセル上に必ずしも適用される必要はない。
【0142】
コーティングされた硬質シェルカプセルを調製するための方法
医薬品または栄養補助食品生物学的活性成分のための容器として適した、ポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルを調製するための方法であって、硬質シェルカプセルが、本体およびキャップを含み、閉鎖状態では、キャップが、予備ロック状態または最終ロック状態のいずれかで本体に重なっており、硬質シェルカプセルを、予備ロック状態で提供し、本発明によるコーティング溶液、懸濁液または分散液でコーティング、好ましくは噴霧コーティングして、機能性コーティング層を生成し、次いで、任意選択的に、乾燥させ、本発明によるコーティング溶液、懸濁液または分散液でコーティング、好ましくは噴霧コーティングして、予備ロック状態の硬質シェルカプセルの外側表面を覆うトップコーティング層を生成する、方法が記載されている。
【0143】
更なるプロセスステップでは、予備ロックされた硬質シェルカプセルは、医薬品または栄養補助食品生物学的活性成分を含む充填物が供給されてよく、最終ロック状態に閉鎖される。
【0144】
そのような更なるプロセスステップでは、予備ロック状態のポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルを、開放し、少なくとも1種の生物学的活性成分を含む充填物で充填することができ、最終ロック状態で閉鎖する。この更なるプロセスステップは、好ましくは、予備ロック状態のコーティングされた硬質シェルカプセルを、開放、少なくとも1種の生物学的活性成分を含む充填物の充填、およびポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルの最終ロック状態への閉鎖を実施するカプセル充填機に供給することで実施される。
【0145】
この更なるプロセスステップによって、少なくとも1種の生物学的活性成分のための容器である、最終ロックされたポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルが得られる。少なくとも1種の生物学的活性成分のための容器である、最終ロックされたポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルは、好ましくは医薬品または栄養補助食品剤形である。
【0146】
医薬品または栄養補助食品剤形は、好ましくは、少なくとも1種の生物学的活性成分を含む充填物を含有する最終ロック状態のポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルを含み、ポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルは、本発明によるコーティング層を含み、コーティング層は、予備ロック状態のカプセルの外側表面領域を覆うが、キャップが予備ロック状態で本体を覆う重なり領域は覆わない。
【0147】
少なくとも1種のポリマーを含むコーティング懸濁液は、有機溶媒、例えば、アセトン、イソプロパノール、またはエタノールを含有してよい。有機溶媒中の乾燥重量材料の濃度は、ポリマーの約5~50重量%であってよい。適切な噴霧濃度は、乾燥重量で約5~25%であってよい。
【0148】
コーティング懸濁液は、水性媒体中、例えば、水中、または80重量%以上の水とアセトンまたはイソプロパノールなどの20重量%以下の水溶性溶媒との混合物中の少なくとも1種のポリマーの分散液であってよい。水性媒体中の乾燥重量材料の適切な濃度は、約5~50重量%であってよい。適切な噴霧濃度は、乾燥重量で約5~25%であってよい。
【0149】
噴霧コーティングは、好ましくは、ドラムコーターまたは流動床コーティング設備内で、予備ロックされたカプセル上にコーティング溶液または分散液を噴霧することによって実施される。
【0150】
剤形のための充填物を調製するための方法
医薬品または栄養補助食品剤形のための充填物を調製するための適切な方法は、当業者に周知である。本明細書に開示されているような医薬品または栄養補助食品剤形のための充填物を調製するための適切な方法は、直接圧縮である乾燥顆粒、湿潤顆粒もしくは焼結顆粒の圧縮によって、押出およびその後の丸めによって、湿式もしくは乾式造粒によって、直接ペレット化によって、または活性成分不含ビーズもしくは中性コアもしくは活性成分含有粒子もしくはペレット上に粉末を結合することによってペレットの形態の生物学的活性成分を含むコアを形成し、任意選択的に、噴霧プロセスでまたは流動床噴霧造粒によって水性分散液または有機溶液の形態でコーティング層を塗布することによるものであり得る。
【0151】
カプセル充填機
ポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルは、本体およびキャップを分離し、本体を充填物で充填し、本体およびキャップを最終ロック状態で再接続するステップを実施するカプセル充填機に予備ロックされた状態で提供される。
【0152】
使用されるカプセル充填機は、1時間あたり1000個以上の充填および最終閉鎖されたカプセルの生産量の速度で充填および閉鎖されたカプセルを製造することができるカプセル充填機、好ましくは全自動カプセル充填機であってよい。カプセル充填機、好ましくは全自動カプセル充填機は、当技術分野で周知であり、幾つかの会社から市販されている。実施例で使用されるような適切なカプセル充填機は、例えば、ACG、モデルAFT Labであってよい。
【0153】
使用されるカプセル充填機は、好ましくは、1時間あたり、1,000個以上、好ましくは10,000個以上、30,000個以上、100,000個以上、10,000個~最大500,000個の充填および最終閉鎖されたカプセルの生産量の速度で操作することができる。一般に、1時間あたり10,000個未満のカプセルの生産量は、実験室スケールであると考えられ、30,000個未満の生産量は、パイロットスケールであると考えられる。
【0154】
カプセル充填機の一般的な操作
カプセル充填プロセスの前に、カプセル充填機に、十分な数または量の予備コーティングされた硬質シェルカプセルが予備ロック状態で供給される。カプセル充填機には、操作中に充填すべき十分な量の充填物も供給される。
【0155】
予備ロック状態の硬質シェルカプセルは、重力によって給送チューブまたはシュートに落下することができる。キャップと本体との間の直径差を機械的に測定することによって、カプセルを均一に整列させることができる。次いで、硬質シェルカプセルは、通常、適切な方位で、2つの区画からなるハウジングまたはブッシングに給送される。
【0156】
上側ブッシングまたはハウジングの直径は、通常、カプセル本体のブッシングの直径よりも大きく、したがって、カプセルのキャップは、本体が真空によって下側ブッシング内に引き込まれる一方で、上部ブッシング内に保持することができる。カプセルが開放されると/本体およびキャップが分離されると、上側および下側のハウジングまたはブッシングは、カプセル本体を充填のために位置決めするように分離される。
【0157】
次いで、開放されたカプセル本体は、充填物で充填される。顆粒、粉末、ペレット、または小型錠剤などの異なる充填物に対して、様々なタイプの充填機構を適用することができる。カプセル充填機は、一般に、様々な投薬成分および様々な数の充填ステーションを取り扱うために、様々な機構を用いる。投与システムは、通常、カプセルのサイズおよびカプセル本体の容量によって左右される充填物の体積または量に基づく。空カプセルのメーカーは、通常、充填材料の密度に基づいて、メーカーのカプセル本体の体積容量と、異なるカプセルサイズについての最大充填重量とを示す参照表を提供している。充填後に、本体およびキャップは、最終ロック状態または位置で機械によって再接続される。
【0158】
使用/使用方法/方法ステップ
本明細書に記載されているような適切なポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルを調製するための方法は、医薬品または栄養補助食品生物学的活性成分のための容器として適した、ポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルを調製するための、本体およびキャップを含む硬質シェルカプセルの使用方法であって、閉鎖状態では、キャップが、予備ロック状態または最終ロック状態のいずれかで本体に重なっており、
a)硬質シェルカプセルを予備ロック状態で提供するステップと、
b)ポリマーまたはポリマーの混合物を含む第1および第2のコーティング溶液、懸濁液または分散液を噴霧コーティングして、予備ロック状態の硬質シェルカプセルの外側表面を覆う機能性コーティング層およびトップコーティング層を生成するステップと
を含む、使用方法として理解することができる。
【0159】
噴霧コーティングは、好ましくは、ドラムコーター設備または流動床コーティング設備を使用することによって適用することができる。噴霧コーティングプロセス中の適切な生成物温度は、約15~40℃、好ましくは約20~35℃の範囲であってよい。適切な噴霧速度は、約0.3~17.0、好ましくは0.5~14[g/分/kg]の範囲であってよい。噴霧コーティング後に、乾燥ステップが含まれる。
【0160】
予備ロック状態のポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルを、ステップc)で開放し、ステップd)で医薬品または栄養補助食品生物学的活性成分を含む充填物で充填し、次いで、ステップe)で閉鎖して、最終ロック状態にすることができる。
【0161】
ステップc)~e)は、手動で実施することができるか、または好ましくは、カプセル充填機などの適切な設備によって補助することができる。好ましくは、予備ロック状態のコーティングされた硬質シェルカプセルを、開放ステップc)、ステップd)における医薬品または栄養補助食品生物学的活性成分を含む充填物の充填、およびステップe)における最終ロック状態へのカプセルの閉鎖を実施するカプセル充填機に供給する。
【0162】
本明細書に開示されているようなすべてのそれらの一般的なまたは特定の特徴および実施形態の選択は、ポリマー、カプセル材料、カプセルサイズ、コーティング厚さ、生物学的活性成分、および開示されているようなその他の実施形態などの、本明細書に開示されているような材料または数値的特徴および実施形態のその他の一般的なまたは特定の選択と制限なく組み合わせることができる。
【0163】
医薬品または栄養補助食品剤形
医薬品または栄養補助食品生物学的活性成分を含む充填物を含有する最終ロック状態のポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルを含む医薬品または栄養補助食品剤形であって、ポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルが、ポリマーまたはポリマーの混合物を含むコーティング層を含み、コーティング層が、予備ロック状態のカプセルの外側表面領域を覆う、医薬品または栄養補助食品剤形が開示されている。予備ロック状態のカプセルの外側表面領域は、最終ロック状態のカプセルの外側表面領域よりも大きいため、ポリマーコーティング層の一部は、硬質シェルカプセルの本体とキャップとの間に隠れているか、または囲まれており、それによって、効率的な密封が実現される。
【0164】
項目
特に、本発明は、以下のものに関する:
1.医薬品または栄養補助食品生物学的活性成分のための容器として適した、少なくとも1つの機能性コートおよびトップコートを含むポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルを調製するための方法であって、
硬質シェルカプセルが、本体およびキャップを含み、
閉鎖状態では、キャップが、予備ロック状態または最終ロック状態のいずれかで本体に重なっており、
硬質シェルカプセルを、予備ロック状態で提供し、
a1)少なくとも1種のポリマー;
b1)任意選択的に少なくとも1種の流動促進剤;
c1)任意選択的に少なくとも1種の乳化剤;
d1)任意選択的に少なくとも1種の可塑剤;
e1)任意選択的に少なくとも1種の生物学的活性成分;および
f1)任意選択的にa1)~e1)とは異なる少なくとも1種の添加剤;
を含むかまたはこれらからなる第1のコーティング溶液、懸濁液または分散液でコーティング、好ましくは噴霧コーティングして、予備ロック状態の硬質シェルカプセルの機能性コートを得て、その後、
a2)少なくとも1種のポリマー;
b2)任意選択的に少なくとも1種の流動促進剤;
c2)少なくとも1種の乳化剤;
d2)少なくとも1種の可塑剤;
e2)任意選択的に少なくとも1種の生物学的活性成分;および
f2)任意選択的にa2)~e2)とは異なる少なくとも1種の添加剤;
を含むかまたはこれらからなる第1のコーティング溶液、懸濁液または分散液とは異なる第2のコーティング溶液、懸濁液または分散液でコーティングして、予備ロック状態の硬質シェルカプセルのトップコートを得て、
総コーティング量が、2~10mg/cm2、好ましくは2.2~9mg/cm2、より好ましくは2.5~8mg/cm2であり、かつ
トップコートのコーティング量が、機能性コートのコーティング量の最大40%、最大30%、好ましくは最大28%である、
方法。
【0165】
2.本体およびキャップのベース材料が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デンプン、ゼラチン、プルラン、および(メタ)アクリル酸のC1~C4アルキルエステルと(メタ)アクリル酸とのコポリマーから選択され、好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロースである、項目1記載の方法。
【0166】
3.少なくとも1種のポリマーa1)および/またはa2)、好ましくはa1)が、少なくとも1種のアニオン性ポリマーまたは少なくとも1種の(メタ)アクリレートコポリマー、好ましくは少なくとも1種のアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーから選択され、より好ましくは125℃以下のガラス転移温度Tgmを有する、項目1または2記載の方法。
【0167】
4.少なくとも1種のポリマーa1)および/またはa2)、好ましくはa1)が、
i)65~75重量%のエチルアクリレートおよび25~35重量%のメチルメタクリレートの重合単位を含む70~80重量%のコアと、45~55重量%のエチルアクリレートおよび45~55重量%のメタクリル酸の重合単位を含む20~30重量%のシェルとを有する、二段階乳化重合プロセスによって得られるコポリマーであるコアシェルポリマー;または
ii)25~95重量%の、アクリル酸もしくはメタクリル酸のC1~C12アルキルエステルと、アニオン性基を有する75~5重量%の(メタ)アクリレートモノマーとを重合することによって得られるアニオン性ポリマー;または
iii)アクリル酸もしくはメタクリル酸のC1~C4アルキルエステルと、アルキル基に第3級もしくは第4級アンモニウム基を有するアクリル酸もしくはメタクリル酸のアルキルエステルとを重合することによって得られるカチオン性(メタ)アクリレートコポリマー;または
iv)メタクリル酸とエチルアクリレートとを重合するか、メタクリル酸とメチルメタクリレートとを重合するか、エチルアクリレートとメチルメタクリレートとを重合するか、もしくはメタクリル酸とメチルアクリレートとメチルメタクリレートとを重合することによって得られる(メタ)アクリレートコポリマー;または
v)40~60重量%のメタクリル酸と60~40重量%のエチルアクリレートとを重合することによって得られる(メタ)アクリレートコポリマー;または
vi)60~80重量%のエチルアクリレートと40~20重量%のメチルメタクリレートとを重合することによって得られる(メタ)アクリレートコポリマー;または
vii)5~15重量%のメタクリル酸と60~70重量%のメチルアクリレートと20~30重量%のメチルメタクリレートとを重合することによって得られる(メタ)アクリレートコポリマー;またはそれらの混合物
である、項目1または2記載の方法。
【0168】
5.少なくとも1種のポリマーa1)および/またはa2)、好ましくはa1)が、
i)好ましくは10:1~1:10の重量比での、40~60重量%のメタクリル酸および60~40重量%のエチルアクリレートを共重合することによって得られる(メタ)アクリレートコポリマーと、60~80重量%、好ましくは60~78重量%のエチルアクリレートおよび40~20重量%、好ましくは20~38重量%のメチルメタクリレートを重合することによって得られる(メタ)アクリレートコポリマーと、任意選択的に最大2重量%の(メタ)アクリル酸との混合物;または
ii)好ましくは1:1~5:1の重量比での、5~15重量%のメタクリル酸、60~70重量%のメチルアクリレートおよび20~30重量%のメチルメタクリレートを共重合することによって得られる(メタ)アクリレートコポリマーと、40~60重量%のメタクリル酸および60~40重量%のエチルアクリレートを共重合することによって得られる(メタ)アクリレートコポリマーとの混合物
である、項目1または2記載の方法。
【0169】
6.少なくとも1種のポリマーa1)および/またはa2)、好ましくはa2)が、少なくとも1種のアニオン性セルロース、エチルセルロース、または少なくとも35重量%のアミロースを含むデンプンから選択され、より好ましくは、メチルセルロースおよび/またはヒドロキシプロピルメチルセルロースである、項目1または2記載の方法。
【0170】
7.少なくとも1種のポリマーa1)および/またはa2)、好ましくはa2)が、セルロース、例えば、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルセルロース(EC)、メチルセルロース(MC)、セルロースエステル、セルロースグリコレート、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、またはそれらの混合物、より好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、またはそれらの混合物から選択される、項目1または2記載の方法。
【0171】
8.少なくとも1種の流動促進剤が、第1および/または第2のコーティング溶液、懸濁液または分散液中に存在しており、
好ましくは、少なくとも1種の流動促進剤が、
i)少なくとも1種のポリマーの総重量に基づいて3~75重量%の量で存在しており、かつ/または
ii)シリカ、粉砕シリカ、ヒュームドシリカ、カオリンケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸塩、フマル酸ステアリルナトリウム、デンプン、ステアリン酸、またはそれらの混合物、好ましくは、タルク、ステアリン酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素、およびモノステアリン酸グリセロール、またはそれらの混合物、より好ましくは、モノステアリン酸グリセロール、タルク、およびそれらの混合物から選択される、
項目1から7までのいずれか1つ記載の方法。
【0172】
9.少なくとも1種の乳化剤が、第1のコーティング溶液、懸濁液または分散液中に存在しており、少なくとも1種の乳化剤が、好ましくは、
i)少なくとも1種のポリマーの総重量に基づいて、3重量%未満、好ましくは1.5重量%未満の量で存在しているか;または
ii)少なくとも1種のポリマーの総重量に基づいて1.5~40重量%の量で存在しており、かつ/または
iii)非イオン性乳化剤、好ましくは、10超、好ましくは12超のHLBを有する非イオン性乳化剤である、
項目1から8までのいずれか1つ記載の方法。
【0173】
10.少なくとも1種の乳化剤が、第2のコーティング溶液、懸濁液または分散液中に存在しており、
i)少なくとも1種のポリマーの総重量に基づいて、3重量%未満、好ましくは1.5重量%未満の量で存在しているか;または
ii)少なくとも1種のポリマーの総重量に基づいて1.5~40重量%の量で存在しており、かつ/または
iii)非イオン性乳化剤、好ましくは、10超、好ましくは12超のHLBを有する非イオン性乳化剤である、
項目1から9までのいずれか1つ記載の方法。
【0174】
11.少なくとも1種の可塑剤が、第1のコーティング溶液、懸濁液または分散液中に存在しており、少なくとも1種の可塑剤が、好ましくは、
i)少なくとも1種のポリマーの総重量に基づいて2~40重量%の量で存在しており、かつ/または
ii)クエン酸アルキル、フタル酸アルキル、およびセバシン酸アルキル、またはそれらの混合物、好ましくは、セバシン酸ジエチル、クエン酸トリエチル(TEC)、クエン酸アセチルトリエチル(ATEC)、セバシン酸ジエチル、およびセバシン酸ジブチル(DBS)、またはそれらの混合物から選択される、
項目1から10までのいずれか1つ記載の方法。
【0175】
12.少なくとも1種の可塑剤が、第2のコーティング溶液、懸濁液または分散液中に存在しており、
i)少なくとも1種のポリマーの総重量に基づいて2~40重量%の量で存在しており、かつ/または
ii)クエン酸アルキル、フタル酸アルキル、およびセバシン酸アルキル、またはそれらの混合物、好ましくは、セバシン酸ジエチル、クエン酸トリエチル(TEC)、クエン酸アセチルトリエチル(ATEC)、セバシン酸ジエチル、およびセバシン酸ジブチル(DBS)、またはそれらの混合物から選択される、
項目1から11までのいずれか1つ記載の方法。
【0176】
13.少なくとも1種のポリマーの総重量に対して最大400重量%、好ましくは最大200重量%、より好ましくは最大100重量%の少なくとも1種の添加剤が、第1および/または第2のコーティング溶液、懸濁液または分散液に含まれ、好ましくは、抗酸化物質、光沢剤、着香剤、流動助剤、芳香剤、浸透促進剤、顔料、a)とは異なるポリマー、細孔形成剤もしくは安定剤、またはそれらの組み合わせから選択される、項目1から12までのいずれか1つ記載の方法。
【0177】
14.本体およびキャップが、キャップが本体と重なる領域に、予備ロック状態または最終ロック状態のいずれかで所定位置へのスナップイン機構によってカプセルを閉鎖することを可能にする周囲ノッチまたはディンプルを含む、項目1から13までのいずれか1つ記載の方法。
【0178】
15.本体がテーパー状リムを含む、項目1から14までのいずれか1つ記載の方法。
【0179】
16.コーティング層を、約0.7~20mg/cm2、好ましくは2~10mg/cm2、4~8mg/cm2、1.0~8mg/cm2、1.5~5.5mg/cm2、または1.5~4mg/cm2の量で適用する、項目1から15までのいずれか1つ記載の方法。
【0180】
17.予備ロック状態のポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルを、開放し、医薬品または栄養補助食品生物学的活性成分を含む充填物で充填し、最終ロック状態に閉鎖する、項目1から16までのいずれか1つ記載の方法。
【0181】
18.予備ロック状態のポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルを、開放、医薬品または栄養補助食品生物学的活性成分を含む充填物の充填、および最終ロック状態への閉鎖を実施するカプセル充填機に供給する、項目1から17までのいずれか1つ記載の方法。
【0182】
19.項目1から18までのいずれか1つ記載の方法から得られる、ポリマーコーティングされた硬質シェルカプセル。
【0183】
20.即時放出、遅延放出、または持続放出、好ましくは遅延放出、より好ましくは腸送達のための即時放出、遅延放出、または持続放出のための、項目19記載のポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルの使用。
【実施例】
【0184】
例1:崩壊試験中の水分吸収
水分または酸に敏感なAPIの配合物についての重要な基準は、遅延放出カプセル配合物のインビトロまたはインビボ試験中の胃媒体の流入の防止または制限である。特に、mRNA脂質ナノ粒子配合物の場合、胃通過中の消化酵素の吸収が重要である。例えば、ペプシンは、胃の中に見られ、タンパク質を分解する(Ball et al., Oral delivery of siRNA lipid nanoparticles: Fate in the GI tract, Scientific Reports, (2018) 8:2178)。遅延放出配合物の重要な機能は、胃通過中の含まれる活性医薬品賦形剤の保護であるため、インビトロまたはインビボ試験中にそれぞれ、胃液および模擬胃液の流入を制限することが重要である。したがって、遅延放出性の予備コーティングされた空カプセルの流入特性が調査されている。
【0185】
試験方法:
米国薬局方(US)43NF38総論<701>に従った崩壊試験。崩壊試験は、カプセルの放出までの胃通過を模擬する3種の媒体組成物を利用して実施した。したがって、配合物ごとに3回のn=3調査を実施し、異なる試験媒体段階で停止して、カプセル内容物の乾燥時損失試験(LOD)を実施した。カプセルを500mgの総重量の乳糖の粉末試験組成物で充填した。カプセルを、ワイプで穏やかに乾燥させ、崩壊試験の最後に慎重に開放した。カプセルの内部の粉末ブレンドをLODについて試験した。
【0186】
配合物ごとの試験:
1. 0.1Nの塩酸で2時間、続いて、LOD試験(ディスクなしの崩壊試験)。
2. 0.1Nの塩酸で2時間、続いて、1時間のリン酸塩緩衝液pH5.5に完全に変更、続いて、LOD試験(ディスクなしの崩壊試験)。
3. 0.1Nの塩酸で2時間、続いて、1時間のリン酸塩緩衝液pH5.5に完全に変更、1時間のリン酸塩緩衝液pH6.8に完全に変更、続いて、崩壊時間の検出(崩壊時間を検出するための最終段階においてのみディスク)。
【0187】
LOD試験
米国薬局方(US)43NF38総論<731>による
設備:水分分析計HC103(Mettler-Toledo GmbH)
サンプル正味重量:1~1.5g
停止基準3:1g/50g
温度105℃
緩衝液媒体:
リン酸塩緩衝液pH5.5
65.5gのリン酸二水素カリウム
6.5gのリン酸水素二ナトリウム
5lの水
リン酸塩緩衝液pH6.8
10gのリン酸二水素カリウム
20gのリン酸水素二カリウム
85gの塩化ナトリウム
10lの水
【表1】
【0188】
例2:(本発明)ドラムコーターにおける予備ロックされたカプセルの腸溶性コーティング
機能性コートおよびトップコートの配合物は、予備ロック状態の545.82mm2の表面積および9,000個のカプセル(Capsugel V-Capsサイズ0)のバッチサイズを考慮して計算する。
【0189】
機能性コーティング
GMSエマルションの調製において、40%の水を最大70~80℃に加熱した。ポリソルベート80溶液、クエン酸トリエチル、およびGMSを、ホモジナイザ(例えば、Ultra Turrax)を使用して、加熱した水中で10分間均質化した。固体含有量は、約15%であった。残りの60%の水を、従来のスターラを使用することによって熱いGMSエマルションに撹拌導入し、連続的に撹拌しながら室温に冷却した。次いで、賦形剤懸濁液を、従来のスターラで穏やかに撹拌しながら、EUDRAGIT(登録商標)L 30 D-55分散液にゆっくりと注いだ。10分間の穏やかな撹拌後に、EUDRAGIT(登録商標)NM 30 Dを連続撹拌下でゆっくりと添加し、さらに15分間撹拌した。最終的なコーティング懸濁液を、400μmのふるいに通してふるい分けし、コーティングプロセス中に撹拌した。カプセルを、ドラムコーターを利用して予備ロック状態でコーティングした。
【0190】
【0191】
トップコーティング
METHOCEL(商標)VLVを、塊化を防止するように穏やかに撹拌しながら、水に完全に分散させた。40%の水を最大70~80℃に加熱した。ポリソルベート80溶液、クエン酸トリエチル、およびGMSを、ホモジナイザ(例えば、Ultra Turrax)を使用して、加熱した水中で10分間均質化した。固体含有量は、約15%であるべきである。残りの60%の水を、従来のスターラを使用することによって熱いGMSエマルションに撹拌導入し、連続的に撹拌しながら室温に冷却した。従来のスターラで穏やかに撹拌しながら、懸濁液をMETHOCEL(商標)VLV溶液にゆっくりと注ぐ。噴霧懸濁液を0.3mmのふるいに通す。賦形剤懸濁液をポリマー分散液に添加した。噴霧懸濁液をコーティングプロセス中に穏やかに撹拌した。
【0192】
【0193】
カプセルコーティングプロセス
カプセルを完全穿孔サイドベンドパンコーティングシステム(fully perforated side-vended pan coating system)O’Hara M10でコーティングする。関連するプロセスパラメータを表4に列挙する。
【0194】
【0195】
ブリッジング試験:
カプセルを、本体とキャップとの間のブリッジングについて試験した。本体を保持し、カプセルのキャップを穏やかに捻ることによって、試験を実施した。カプセルを損傷させること、亀裂が聞こえること、または亀裂が感じられることなしにはキャップを捻ることができなかった場合、およびキャップを全く捻ることができなかった場合、カプセルは壊れており、ブリッジングが決定された。100個のカプセルを試験した。
【0196】
結果:
この例の結果、100個中0個は、カプセルのキャップおよび本体を分離するために大きな力を必要とする。
【0197】
例3:(本発明)ドラムコーターにおける予備ロックされたカプセルの腸溶性コーティング
機能性コートおよびトップコートの配合物は、予備ロック状態の545.82mm2の表面積および9,000個のカプセル(Capsugel V-Capsサイズ0)のバッチサイズを考慮して計算する。
【0198】
機能性コーティング
GMSエマルションの調製において、40%の水を最大70~80℃に加熱した。ポリソルベート80溶液、クエン酸トリエチル、およびGMSを、ホモジナイザ(例えば、Ultra Turrax)を使用して、加熱した水中で10分間均質化した。固体含有量は、約15%であった。残りの60%の水を、従来のスターラを使用することによって熱いGMSエマルションに撹拌導入し、連続的に撹拌しながら室温に冷却した。次いで、賦形剤懸濁液を、従来のスターラで穏やかに撹拌しながら、EUDRAGIT(登録商標)L 30 D-55分散液にゆっくりと注いだ。10分間の穏やかな撹拌後に、EUDRAGIT(登録商標)NM 30 Dを連続撹拌下でゆっくりと添加し、さらに15分間撹拌した。最終的なコーティング懸濁液を、400μmのふるいに通してふるい分けし、コーティングプロセス中に撹拌した。カプセルを、ドラムコーターを利用して予備ロック状態でコーティングした。
【0199】
【0200】
トップコーティング
METHOCEL(商標)VLVを、塊化を防止するように穏やかに撹拌しながら、水に完全に分散させた。40%の水を最大70~80℃に加熱した。ポリソルベート80溶液、クエン酸トリエチル、およびGMSを、ホモジナイザ(例えば、Ultra Turrax)を使用して、加熱した水中で10分間均質化した。固体含有量は、約15%であるべきである。残りの60%の水を、従来のスターラを使用することによって熱いGMSエマルションに撹拌導入し、連続的に撹拌しながら室温に冷却した。従来のスターラで穏やかに撹拌しながら、懸濁液をMETHOCEL(商標)VLV溶液にゆっくりと注ぐ。噴霧懸濁液を0.3mmのふるいに通す。賦形剤懸濁液をポリマー分散液に添加した。噴霧懸濁液をコーティングプロセス中に穏やかに撹拌した。
【0201】
【0202】
カプセルコーティングプロセス
カプセルを完全穿孔サイドベンドパンコーティングシステムO’Hara M10でコーティングする。関連するプロセスパラメータを表7に列挙する。
【0203】
【0204】
ブリッジング試験:
カプセルを、本体とキャップとの間のブリッジングについて試験した。本体を保持し、カプセルのキャップを穏やかに捻ることによって、試験を実施した。カプセルを損傷させること、亀裂が聞こえること、または亀裂が感じられることなしにはキャップを捻ることができなかった場合、およびキャップを全く捻ることができなかった場合、カプセルは壊れており、ブリッジングが決定された。100個のカプセルを試験した。
【0205】
結果:
この例の結果、100個中0個は、カプセルのキャップおよび本体を分離するために大きな力を必要とする。
【0206】
例4:(本発明)ドラムコーターにおける予備ロックされたカプセルの腸溶性コーティング
機能性コートおよびトップコートの配合物は、予備ロック状態の545.82mm2の表面積および9,000個のカプセル(Capsugel V-Capsサイズ0)のバッチサイズを考慮して計算する。
【0207】
機能性コーティング
GMSエマルションの調製において、40%の水を最大70~80℃に加熱した。ポリソルベート80溶液、クエン酸トリエチル、およびGMSを、ホモジナイザ(例えば、Ultra Turrax)を使用して、加熱した水中で10分間均質化した。固体含有量は、約15%であった。残りの60%の水を、従来のスターラを使用することによって熱いGMSエマルションに撹拌導入し、連続的に撹拌しながら室温に冷却した。次いで、賦形剤懸濁液を、従来のスターラで穏やかに撹拌しながら、EUDRAGIT(登録商標)L 30 D-55分散液にゆっくりと注いだ。10分間の穏やかな撹拌後に、EUDRAGIT(登録商標)NM 30 Dを連続撹拌下でゆっくりと添加し、さらに15分間撹拌した。最終的なコーティング懸濁液を、400μmのふるいに通してふるい分けし、コーティングプロセス中に撹拌した。カプセルを、ドラムコーターを利用して予備ロック状態でコーティングした。
【0208】
【0209】
トップコーティング
METHOCEL(商標)VLVを、塊化を防止するように穏やかに撹拌しながら、水に完全に分散させた。40%の水を最大70~80℃に加熱した。ポリソルベート80溶液、クエン酸トリエチル、およびGMSを、ホモジナイザ(例えば、Ultra Turrax)を使用して、加熱した水中で10分間均質化した。固体含有量は、約15%であるべきである。残りの60%の水を、従来のスターラを使用することによって熱いGMSエマルションに撹拌導入し、連続的に撹拌しながら室温に冷却した。従来のスターラで穏やかに撹拌しながら、懸濁液をMETHOCEL(商標)VLV溶液にゆっくりと注ぐ。噴霧懸濁液を0.3mmのふるいに通す。賦形剤懸濁液をポリマー分散液に添加した。噴霧懸濁液をコーティングプロセス中に穏やかに撹拌した。
【0210】
【0211】
カプセルコーティングプロセス
カプセルを完全穿孔サイドベンドパンコーティングシステムO’Hara M10でコーティングする。関連するプロセスパラメータを表10に列挙する。
【0212】
【0213】
ブリッジング試験:
カプセルを、本体とキャップとの間のブリッジングについて試験した。本体を保持し、カプセルのキャップを穏やかに捻ることによって、試験を実施した。カプセルを損傷させること、亀裂が聞こえること、または亀裂が感じられることなしにはキャップを捻ることができなかった場合、およびキャップを全く捻ることができなかった場合、カプセルは壊れており、ブリッジングが決定された。100個のカプセルを試験した。
【0214】
結果:
この例の結果、100個中1個は、カプセルのキャップおよび本体を分離するために大きな力を必要とする。
【0215】
例5:(本発明)ドラムコーターにおける予備ロックされたカプセルの腸溶性コーティング
機能性コートおよびトップコートの配合物は、予備ロック状態の594.5mm2の表面積および40,000個のカプセル(K-capsサイズ0)のバッチサイズを考慮して計算する。
【0216】
機能性コーティング
GMSエマルションの調製において、40%の水を最大70~80℃に加熱した。ポリソルベート80溶液、クエン酸トリエチル、およびGMSを、ホモジナイザ(例えば、Ultra Turrax)を使用して、加熱した水中で10分間均質化した。固体含有量は、約15%であった。残りの60%の水を、従来のスターラを使用することによって熱いGMSエマルションに撹拌導入し、連続的に撹拌しながら室温に冷却した。次いで、賦形剤懸濁液を、従来のスターラで穏やかに撹拌しながら、EUDRAGIT(登録商標)L 30 D-55分散液にゆっくりと注いだ。10分間の穏やかな撹拌後に、EUDRAGIT(登録商標)NM 30 Dを連続撹拌下でゆっくりと添加し、さらに15分間撹拌した。最終的なコーティング懸濁液を、300μmのふるいに通してふるい分けし、コーティングプロセス中に撹拌した。カプセルを、ドラムコーターを利用して予備ロック状態でコーティングした。
【0217】
【0218】
トップコーティング
METHOCEL(商標)VLVを、塊化を防止するように穏やかに撹拌しながら、水に完全に分散させた。40%の水を最大70~80℃に加熱した。ポリソルベート80溶液、クエン酸トリエチル、およびGMSを、ホモジナイザ(例えば、Ultra Turrax)を使用して、加熱した水中で10分間均質化した。固体含有量は、約15%であるべきである。残りの60%の水を、従来のスターラを使用することによって熱いGMSエマルションに撹拌導入し、連続的に撹拌しながら室温に冷却した。従来のスターラで穏やかに撹拌しながら、懸濁液をMETHOCEL(商標)VLV溶液にゆっくりと注ぐ。噴霧懸濁液を0.3mmのふるいに通す。賦形剤懸濁液をポリマー分散液に添加した。噴霧懸濁液をコーティングプロセス中に穏やかに撹拌した。
【0219】
【0220】
カプセルコーティングプロセス
カプセルを完全穿孔サイドベンドパンコーティングシステムBohle BFC 40でコーティングする。関連するプロセスパラメータを表13に列挙する。
【0221】
設備パラメータを機能性コーティングおよびトップコーティングについて同一に保った。
【0222】
【0223】
ブリッジング試験:
カプセルを、本体とキャップとの間のブリッジングについて試験した。本体を保持し、カプセルのキャップを穏やかに捻ることによって、試験を実施した。カプセルを損傷させること、亀裂が聞こえること、または亀裂が感じられることなしにはキャップを捻ることができなかった場合、およびキャップを全く捻ることができなかった場合、カプセルは壊れており、ブリッジングが決定された。100個のカプセルを試験した。
【0224】
結果:
この例の結果、100個中2個は、カプセルのキャップおよび本体を分離するために大きな力を必要とする。
【0225】
崩壊試験(欧州薬局方2.9.1試験Bの胃耐性カプセルに基づく修正された方法に従う)-未充填のカプセル
方法:0.1NのHClで2時間、続いて、緩衝液系pH6.8に完全に変更。
【0226】
装置:PTZ Auto 4 EZ Pharma Test
検出方法:視覚的および電気的インピーダンス
温度:37.0℃
媒体I:欧州薬局方に従った700mlの0.1NのHCL
媒体II:欧州薬局方に従った700mLのpH6.8のリン酸塩緩衝液
サンプル:n=6
【表14】
【0227】
溶解試験(欧州薬局方(2.9.3)装置IIに従う)
カプセルを手動で充填する。ポリマーコーティングされた予備ロックされたカプセルを、500mgのカフェイン/乳糖混合物4:6で手動で充填し、最終ロック状態に閉鎖し、溶解試験で試験した。
【0228】
方法:
装置:ERWEKA DT 700パドル装置(USPII)
検出方法:オンラインUV
温度:37.5℃
媒体I:(2NのNaOHおよび2NのHClを使用することによって)pH1.2に調整した700mlの0.1NのHCL
媒体II:2時間後に媒体Iに214mlの0.2NのNa
3PO
4溶液を添加して、pHを6.8に増加させる(2NのNaOHおよび2NのHClを使用することによってpHを微調整する)。
パドル速度:75rpm
【表15】
【0229】
例6:(本発明)ドラムコーターにおける予備ロックされたカプセルの腸溶性コーティング
機能性コートおよびトップコートの配合物は、予備ロック状態の545.82mm2の表面積および9,000個のカプセル(Capsugel V-Capsサイズ0)のバッチサイズを考慮して計算する。
【0230】
機能性コーティング
GMSエマルションの調製において、40%の水を最大70~80℃に加熱した。ポリソルベート80溶液、クエン酸トリエチル、およびGMSを、ホモジナイザ(例えば、Ultra Turrax)を使用して、加熱した水中で10分間均質化した。固体含有量は、約15%であった。残りの60%の水を、従来のスターラを使用することによって熱いGMSエマルションに撹拌導入し、連続的に撹拌しながら室温に冷却した。次いで、賦形剤懸濁液を、従来のスターラで穏やかに撹拌しながら、EUDRAGIT(登録商標)L 30 D-55分散液にゆっくりと注いだ。10分間の穏やかな撹拌後に、EUDRAGIT(登録商標)FS 30 Dを連続撹拌下でゆっくりと添加し、さらに15分間撹拌した。最終的なコーティング懸濁液を、400μmのふるいに通してふるい分けし、コーティングプロセス中に撹拌した。カプセルを、ドラムコーターを利用して予備ロック状態でコーティングした。
【0231】
【0232】
トップコーティング
METHOCEL(商標)VLVを、塊化を防止するように穏やかに撹拌しながら、水に完全に分散させた。40%の水を最大70~80℃に加熱した。ポリソルベート80溶液、クエン酸トリエチル、およびGMSを、ホモジナイザ(例えば、Ultra Turrax)を使用して、加熱した水中で10分間均質化した。固体含有量は、約15%であるべきである。残りの60%の水を、従来のスターラを使用することによって熱いGMSエマルションに撹拌導入し、連続的に撹拌しながら室温に冷却した。従来のスターラで穏やかに撹拌しながら、懸濁液をMETHOCEL(商標)VLV溶液にゆっくりと注ぐ。噴霧懸濁液を0.3mmのふるいに通す。賦形剤懸濁液をポリマー分散液に添加した。噴霧懸濁液をコーティングプロセス中に穏やかに撹拌した。
【0233】
【0234】
カプセルコーティングプロセス
カプセルを完全穿孔サイドベンドパンコーティングシステムO’Hara M10でコーティングする。関連するプロセスパラメータを表18に列挙する。
【0235】
【0236】
ブリッジング試験:
カプセルを、本体とキャップとの間のブリッジングについて試験した。本体を保持し、カプセルのキャップを穏やかに捻ることによって、試験を実施した。カプセルを損傷させること、亀裂が聞こえること、または亀裂が感じられることなしにはキャップを捻ることができなかった場合、およびキャップを全く捻ることができなかった場合、カプセルは壊れており、ブリッジングが決定された。100個のカプセルを試験した。
【0237】
結果:
この例の結果、100個中0個は、カプセルのキャップおよび本体を分離するために大きな力を必要とする。
【0238】
例7:(本発明)ドラムコーターにおける予備ロックされたカプセルの腸溶性コーティング
機能性コートおよびトップコートの配合物は、予備ロック状態の464.56mm2の表面積および9,000個のカプセル(Capsugel V-Capsサイズ0)のバッチサイズを考慮して計算する。
【0239】
機能性コーティング
GMSエマルションの調製において、40%の水を最大70~80℃に加熱した。ポリソルベート80溶液、クエン酸トリエチル、およびGMSを、ホモジナイザ(例えば、Ultra Turrax)を使用して、加熱した水中で10分間均質化した。固体含有量は、約15%であった。残りの60%の水を、従来のスターラを使用することによって熱いGMSエマルションに撹拌導入し、連続的に撹拌しながら室温に冷却した。次いで、賦形剤懸濁液を、従来のスターラで穏やかに撹拌しながら、EUDRAGIT(登録商標)L 30 D-55分散液にゆっくりと注いだ。10分間の穏やかな撹拌後に、EUDRAGIT(登録商標)FS 30 Dを連続撹拌下でゆっくりと添加し、さらに15分間撹拌した。最終的なコーティング懸濁液を、400μmのふるいに通してふるい分けし、コーティングプロセス中に撹拌した。カプセルを、ドラムコーターを利用して予備ロック状態でコーティングした。
【0240】
【0241】
トップコーティング
METHOCEL(商標)VLVを、塊化を防止するように穏やかに撹拌しながら、水に完全に分散させた。40%の水を最大70~80℃に加熱した。ポリソルベート80溶液、クエン酸トリエチル、およびGMSを、ホモジナイザ(例えば、Ultra Turrax)を使用して、加熱した水中で10分間均質化した。固体含有量は、約15%であるべきである。残りの60%の水を、従来のスターラを使用することによって熱いGMSエマルションに撹拌導入し、連続的に撹拌しながら室温に冷却した。従来のスターラで穏やかに撹拌しながら、懸濁液をMETHOCEL(商標)VLV溶液にゆっくりと注ぐ。噴霧懸濁液を0.3mmのふるいに通す。賦形剤懸濁液をポリマー分散液に添加した。噴霧懸濁液をコーティングプロセス中に穏やかに撹拌した。
【0242】
【0243】
カプセルコーティングプロセス
カプセルを完全穿孔サイドベンドパンコーティングシステムO’Hara M10でコーティングする。関連するプロセスパラメータを表21に列挙する。
【0244】
【0245】
ブリッジング試験:
カプセルを、本体とキャップとの間のブリッジングについて試験した。本体を保持し、カプセルのキャップを穏やかに捻ることによって、試験を実施した。カプセルを損傷させること、亀裂が聞こえること、または亀裂が感じられることなしにはキャップを捻ることができなかった場合、およびキャップを全く捻ることができなかった場合、カプセルは壊れており、ブリッジングが決定された。100個のカプセルを試験した。
【0246】
結果:
この例の結果、100個中0個は、カプセルのキャップおよび本体を分離するために大きな力を必要とする。
【0247】
例8:(本発明)ドラムコーターにおける予備ロックされたカプセルの腸溶性コーティング
機能性コートおよびトップコートの配合物は、予備ロック状態の464.56mm2の表面積および9,000個のカプセル(Capsugel V-Capsサイズ0)のバッチサイズを考慮して計算する。
【0248】
機能性コーティング
GMSエマルションの調製において、40%の水を最大70~80℃に加熱した。ポリソルベート80溶液、クエン酸トリエチル、およびGMSを、ホモジナイザ(例えば、Ultra Turrax)を使用して、加熱した水中で10分間均質化した。固体含有量は、約15%であった。残りの60%の水を、従来のスターラを使用することによって熱いGMSエマルションに撹拌導入し、連続的に撹拌しながら室温に冷却した。次いで、賦形剤懸濁液を、従来のスターラで穏やかに撹拌しながら、EUDRAGIT(登録商標)L 30 D-55分散液にゆっくりと注いだ。10分間の穏やかな撹拌後に、EUDRAGIT(登録商標)NM 30 Dを連続撹拌下でゆっくりと添加し、さらに15分間撹拌した。最終的なコーティング懸濁液を、400μmのふるいに通してふるい分けし、コーティングプロセス中に撹拌した。カプセルを、ドラムコーターを利用して予備ロック状態でコーティングした。
【0249】
【0250】
トップコーティング
METHOCEL(商標)VLVを、塊化を防止するように穏やかに撹拌しながら、水に完全に分散させた。40%の水を最大70~80℃に加熱した。ポリソルベート80溶液、クエン酸トリエチル、およびGMSを、ホモジナイザ(例えば、Ultra Turrax)を使用して、加熱した水中で10分間均質化した。固体含有量は、約15%であるべきである。残りの60%の水を、従来のスターラを使用することによって熱いGMSエマルションに撹拌導入し、連続的に撹拌しながら室温に冷却した。従来のスターラで穏やかに撹拌しながら、懸濁液をMETHOCEL(商標)VLV溶液にゆっくりと注ぐ。噴霧懸濁液を0.3mmのふるいに通す。賦形剤懸濁液をポリマー分散液に添加した。噴霧懸濁液をコーティングプロセス中に穏やかに撹拌した。
【0251】
【0252】
カプセルコーティングプロセス
カプセルを完全穿孔サイドベンドパンコーティングシステムO’Hara M10でコーティングする。関連するプロセスパラメータを表24に列挙する。
【0253】
【0254】
ブリッジング試験:
カプセルを、本体とキャップとの間のブリッジングについて試験した。本体を保持し、カプセルのキャップを穏やかに捻ることによって、試験を実施した。カプセルを損傷させること、亀裂が聞こえること、または亀裂が感じられることなしにはキャップを捻ることができなかった場合、およびキャップを全く捻ることができなかった場合、カプセルは壊れており、ブリッジングが決定された。100個のカプセルを試験した。
【0255】
結果:
この例の結果、100個中2個は、カプセルのキャップおよび本体を分離するために大きな力を必要とする。
【0256】
例9:(本発明)RNA含有脂質ナノ粒子での腸溶性コーティングカプセルの充填および脂質ナノ粒子のpH依存性放出
この例では、脂質ナノ粒子(LNP)を含有するFLuc mRNAを、腸溶性コーティングカプセルと組み合わせるための関連モデル薬物生成物として適用する。
【0257】
【0258】
9.44mMの総脂質(50mol%のDODMA、38mol%のコレステロール、10mol%のDSPC、2mol%のPEG2K-DMG)を含有するエタノール溶液1.4mLを、Nanoassemblr Benchtop(PNI)プラットフォームを使用して、0.133g/LのCleanCap(登録商標)FLuc mRNA(TriLink、L-7602)と11.01mMの酢酸とを含有するRNAse不含水溶液4.2mLと混合した。粗LNP溶液を、10mMのHEPES緩衝液pH7に対して3時間透析(Slide-A-Lyzer(商標)、10K MWCO)した(3×緩衝液交換)。透析後に、RNAse不含スクロース溶液(20重量%)をLNP溶液に添加して、10重量%の最終スクロース濃度を達成した。LNPを、48時間かけて凍結乾燥させ、更なる使用まで4℃で保存した。
【0259】
カプセルの充填および溶解アッセイ
凍結乾燥したLNPを、カプセル1個当たり100μgのmRNAに等しい量で例5および8の腸溶性コーティングカプセルに充填した。充填されたカプセルを、密封し、更なる使用まで4℃で保管した。
【0260】
摂食状態の胃環境を模擬するために、カプセルを、ロッキングシェーカー上で、2g/Lのペプシンを含有する10mLの0.1NのHCl中において、37℃で2時間インキュベートした。放出分析のためのサンプルを60分後および120分後に採取した。続いて、酸性媒体を10mLの0.2Mのリン酸塩緩衝液pH6.8と交換し、カプセルを15分間隔でサンプル採取しながらさらに60分間インキュベートした。
【0261】
陰性対照として、カプセル保護なしの純粋なLNPを同じ条件下でインキュベートした。13.9μLのLNP溶液(36ng/μLのmRNAを含有する)を、2g/Lのペプシンを含有する50μLの0.1NのHClと混合し、オービタルシェーカー上で、37℃および300rpmで2時間インキュベートした。
【0262】
その後、36.1μLのリン酸塩緩衝液を混合物に添加し、インキュベーションをさらに60分間続けた。
【0263】
溶解アッセイ後に、溶解したカプセルおよびLNPを含有する媒体を、中間保管なしで直ちに細胞トランスフェクションアッセイに使用した。一定の時間間隔で採取したサンプルを、リボグリーンアッセイでの更なる分析まで、4℃で保管した。
【0264】
LNP/カプセル放出動態を評価するためのリボグリーンアッセイ
カプセルからのLNPの放出後のRNAを検出および定量するために、リボグリーンアッセイを適用した。放出動態を確立するために、mRNA濃度を異なる時間間隔で測定した。リボグリーン染料でmRNAを染色する前に、LNPをTriton X-100で処理するか、または未処理のまま放置した。これによって、(Triton X-100による粒子構造の破壊後の)全mRNAの測定、または無傷の粒子内での利用可能なmRNAのみの測定が可能になる。
【0265】
実験手順
Quant-iT(商標)RiboGreen(商標)RNAアッセイキットをこのアッセイに使用した。リボグリーンアッセイは蛍光の測定に基づいているため、透明な底部を有する黒色の96ウェルアッセイプレートを適用した。この手順を、わずかな調整を加えてメーカーのプロトコルに従って実施した。第1のステップでは、緩衝液ストックをRNAse不含水で希釈することによって1×TE緩衝液を調製した。1mlのTriton X-100を50mlの1×TE緩衝液と混合し、続いて、15分間撹拌することによって、2%のTriton緩衝液を調製した。LNPサンプルを、TE緩衝液を使用して1μg/mlの理論濃度に希釈し、50μlの体積でプレートに添加した。全mRNAまたは利用可能なmRNAのみを測定するために、50μlのTriton緩衝液またはTE緩衝液のいずれかをサンプルに添加した。Triton緩衝液の存在下でLNPを溶解させるために、プレートを37℃および5%のCO2においてインキュベータに10分間入れた。対応するFluc mRNAおよび緩衝液を有する較正標準を適用し、サンプルと同じプレートに添加した。リボグリーン染料の作業溶液を、試薬をTE緩衝液で1:100に希釈することによって調製した。100μlの作業溶液を各ウェルに添加し、続いて、上下にピペッティングすることで完全に混合した。蛍光シグナルを、480/520nmの励起/発光値でマイクロプレートリーダを用いて測定した。すべてのサンプルおよび標準を二重に測定した。
【0266】
結果
これらの結果を
図1に示す。
図1は、リボグリーンアッセイによって得られるような、0.1NのHCl(0~120分間)およびリン酸塩緩衝液pH6.8(120~180分間)中での溶解アッセイ後の例5および例8のカプセルからのmRNA-LNPの放出動態を示す(n=3からの代表)。濃い黒色のバー:無傷のLNP、影付きのバー:Triton X-100で溶解させたLNP。
【0267】
リボグリーンアッセイは、腸溶性コーティングカプセルからのmRNA-LNPのpH依存性放出を明らかに証明している。全mRNAおよびLNP内の利用可能なmRNAの測定のどちらによっても、同じ放出速度が与えられる。
【0268】
インキュベーション媒体を酸性からpH6.8に交換してから30分以内に、LNPは、完全に再水和され、カプセルから放出され、これに伴って、完全なカプセル溶解が起こった。重要なのは、LNPおよびmRNAの放出が0.1NのHCl中での120分間のインキュベーション中に観察されなかったことであり、それによって、酸性条件下でのカプセルの構造的完全性が確認される。
【0269】
カプセルの充填および放出の前後のLNP活性を評価するためのトランスフェクションアッセイ
例5および8のカプセルからの放出後のLNP機能を評価するために、ヒト上皮細胞(HeLa)細胞におけるルシフェラーゼトランスフェクションアッセイを適用した。再水和のみ行われた、またはカプセル保護なしで摂食状態の模擬胃液および腸液中でさらにインキュベートした凍結乾燥LNPは、それぞれ陽性対照および陰性対照として機能した。
【0270】
実験手順
トランスフェクションの1日前に、ウェル1個あたり10,000個の細胞を96ウェルプレートに播種し、37℃および5%のCO2で24時間培養した。2日目に、古い媒体を除去し、90μLの新鮮な媒体を細胞に添加した。すべてのサンプルを、希釈のためのRNAse不含水を使用して5ng/μLのmRNA濃度に調整した。それぞれの希釈されたサンプル10μLを細胞に添加し、100μLの総量でウェル1個あたり50ngのmRNAの量に等しくした。細胞を37℃および5%のCO2で24時間さらにインキュベートした。3日目に、トランスフェクション効率を、メーカー(Promega GmbH)のプロトコルに従ってルシフェラーゼキットシステムを使用して測定した。ルシフェラーゼ基質を細胞に添加することによって、マルチプレートリーダ(Plate Reader Infinite(登録商標)200 PRO、Tecan)によって定量化することができる発光シグナルが生成される。
【0271】
結果
これらの結果を
図2に示す。
図2は、異なる前処理後のLNPサンプルのトランスフェクション効率を示す。ウェル1個あたり50ngのmRNAを各条件に適用した。
【0272】
ルシフェラーゼアッセイは、これらのサンプルでインキュベートされたHeLa細胞が、埋め込まれたFluc mRNAの明確な発現を示したため、カプセルからの放出後のLNPの機能を実証している。摂食状態の模擬胃液および腸液に対するLNPの保護は、いかなるカプセル保護もなく同じ媒体に曝露されたLNP陰性対照を考慮することによってさらに検証する。カプセル保護されたLNPのトランスフェクション効率は、非保護のLPNの効率よりも1.5~2log高く、LNPの機能に対する腸溶性コーティングカプセルの明らかな有益な効果が確認される。
【0273】
陽性対照、すなわち、再水和されてトランスフェクションアッセイに直接的に適用された凍結乾燥LNPと比較して、放出されたLNPの効率は、約1log低い。これは、LNPと相互作用して粒子の完全性を損なわせる可能性のある溶解したカプセル成分に起因し得る。重要なのは、例5のカプセルが、例8のものよりも約0.5logより良好な性能を示すことであり、おそらくカプセル組成の違いを理由に、LNPとのより良好な適合性を示す。
【0274】
例10:(比較)ドラムコーターにおける予備ロックされたカプセルの腸溶性コーティング
機能性コートの配合物は、予備ロック状態の545.82mm2の表面積および3,125個のカプセル(Capsugel VcapsPlusサイズ0)のバッチサイズを考慮して計算する。
【0275】
機能性コーティング
GMSエマルションの調製において、40%の水を最大70~80℃に加熱した。ポリソルベート80溶液、クエン酸トリエチル、およびGMSを、ホモジナイザ(例えば、Ultra Turrax)を使用して、加熱した水中で10分間均質化した。固体含有量は、約15%であった。残りの60%の水を、従来のスターラを使用することによって熱いGMSエマルションに撹拌導入し、連続的に撹拌しながら室温に冷却した。次いで、賦形剤懸濁液を、従来のスターラで穏やかに撹拌しながら、EUDRAGIT(登録商標)L 30 D-55分散液にゆっくりと注ぎ、さらに15分間撹拌した。最終的なコーティング懸濁液を、300μmのふるいに通してふるい分けし、コーティングプロセス中に撹拌した。カプセルを、ドラムコーターを利用して予備ロック状態でコーティングした。
【0276】
【0277】
カプセルコーティングプロセス
カプセルを完全穿孔サイドベンドパンコーティングシステムLoedinge LHC 15/30/36でコーティングする。関連するプロセスパラメータを表27に列挙する。
【0278】
【0279】
プロセスにおいて、サンプルを、2mg/cm2および3mg/cm2のポリマー重量増加後に採取した。
【0280】
ブリッジング試験:
カプセルを、本体とキャップとの間のブリッジングについて試験した。本体を保持し、カプセルのキャップを穏やかに捻ることによって、試験を実施した。カプセルを損傷させること、亀裂が聞こえること、または亀裂が感じられることなしにはキャップを捻ることができなかった場合、およびキャップを全く捻ることができなかった場合、カプセルは壊れており、ブリッジングが決定された。100個のカプセルを試験した。
【0281】
結果:
この例の結果、100個中0個は、カプセルのキャップおよび本体を分離するために大きな力を必要とする。
【0282】
封入パラメータ
MCCとカフェインとの50:50のブレンド400mgを、カプセルの開放、輸送、充填、および閉鎖のための標準フォーマットサイズ0器具を使用する粉末充填セットアップを有する自動MG2 Labby Capsule充填設備を使用して、ポリマーコーティングされた予備ロックされたカプセルに充填した。機械の生産量を2000cps/時に設定した。
【0283】
カプセルは自動カプセル充填機内で試験し、2.6mg/cm2および3.9mg/cm2の総固体重量増加が自動で処理可能であった。5.1mg/cm2の総固体重量増加では、層厚の増加を理由に予備ロックされたカプセルを用いて操作することができない標準的な器具という制限があった。その特定の配合物について4mg/cm2超のポリマー重量増加を観察することができた場合、調査するためには、カプセル直径の増加を考慮した修正された器具が必要になり得る。
【0284】
溶解試験(欧州薬局方(2.9.3)装置IIに従う)
方法:
装置:ERWEKA DT 700パドル装置(USPII)
検出方法:オンラインUV
温度:37.5℃
媒体I:(2NのNaOHおよび2NのHClを使用することによって)pH1.2に調整した700mlの0.1NのHCL
媒体II:2時間後に媒体Iに214mlの0.2NのNa
3PO
4溶液を添加して、pHを6.8に増加させる(2NのNaOHおよび2NのHClを使用することによってpHを微調整する)。
パドル速度:75rpm
サンプル:2mg/cm
2の重量増加を有する容器1~3のインプロセスサンプル
:3mg/cm
2の重量増加を有する容器4~6のインプロセスサンプル
【表28】
【0285】
溶解試験を介した流入検出(欧州薬局方(2.9.3)装置IIに従う)
方法:
装置:ERWEKA DT 700パドル装置(USPII)
検出方法:オンラインUV
温度:37.5℃
媒体I:(2NのNaOHおよび2NのHClを使用することによって)pH1.2に調整した700mlの0.1NのHCL
媒体II:2時間後に媒体Iに214mlの0.2NのNa3PO4溶液を添加して、pHを6.8に増加させる(2NのNaOHおよび2NのHClを使用することによってpHを微調整する)。
パドル速度:50rpm
サンプル:2mg/cm2の重量増加を有する容器1~3のインプロセスサンプル
:3.5mg/cm2の重量増加を有する容器4~6のインプロセスサンプル
:4.0mg/cm2の重量増加を有する容器7~9のインプロセスサンプル
:5.0mg/cm2の重量増加を有する容器10~12のインプロセスサンプル
【0286】
酸吸収を検出するために、サンプルを手動でオメプラゾールで充填した。オメプラゾールは、酸と接触すると、化学分解を理由に、赤みがかった/茶色がかった色に変化する。
【0287】
結果:
容器1~3 3つの容器すべてで強い色の変化
容器4~6 1つの容器で強い色の変化、2つの容器で最小限の色の変化
容器7~9 1つの容器で強い色の変化、2つの容器で最小限の色の変化
容器10~12 1つの容器で適度な色の変化、2つの容器で中間の色の変化
【0288】
例11:(比較)ドラムコーターにおける予備ロックされたカプセルの腸溶性コーティング
機能性コートの配合物は、予備ロック状態の545.82mm2の表面積および3,125個のカプセル(Capsugel VcapsPlusサイズ0)のバッチサイズを考慮して計算する。
【0289】
機能性コーティング
GMSエマルションの調製において、40%の水を最大70~80℃に加熱した。ポリソルベート80溶液、クエン酸トリエチル、およびGMSを、ホモジナイザ(例えば、Ultra Turrax)を使用して、加熱した水中で10分間均質化した。固体含有量は、約15%であった。残りの60%の水を、従来のスターラを使用することによって熱いGMSエマルションに撹拌導入し、連続的に撹拌しながら室温に冷却した。次いで、賦形剤懸濁液を、従来のスターラで穏やかに撹拌しながら、EUDRAGIT(登録商標)L 30 D-55分散液にゆっくりと注いだ。10分間の穏やかな撹拌後に、EUDRAGIT(登録商標)FS 30 Dを連続撹拌下でゆっくりと添加し、さらに15分間撹拌した。最終的なコーティング懸濁液を、300μmのふるいに通してふるい分けし、コーティングプロセス中に撹拌した。カプセルを、ドラムコーターを利用して予備ロック状態でコーティングした。
【0290】
【0291】
カプセルコーティングプロセス
カプセルを完全穿孔サイドベンドパンコーティングシステムLoedige LHC 15/30/36でコーティングする。関連するプロセスパラメータを表30に列挙する。
【0292】
【0293】
プロセスにおいて、サンプルを、1mg/cm2、2mg/cm2、および3mg/cm2のポリマー重量増加後に採取した。
【0294】
ブリッジング試験:
カプセルを、本体とキャップとの間のブリッジングについて試験した。本体を保持し、カプセルのキャップを穏やかに捻ることによって、試験を実施した。カプセルを損傷させること、亀裂が聞こえること、または亀裂が感じられることなしにはキャップを捻ることができなかった場合、およびキャップを全く捻ることができなかった場合、カプセルは壊れており、ブリッジングが決定された。100個のカプセルを試験した。
【0295】
結果:
この例の結果、100個中0個は、カプセルのキャップおよび本体を分離するために大きな力を必要とする。
【0296】
封入パラメータ
MCCとカフェインとの50:50のブレンド400mgを、カプセルの開放、輸送、充填、および閉鎖のための標準フォーマットサイズ0器具を使用する粉末充填セットアップを有する自動MG2 Labby Capsule充填設備を使用して、ポリマーコーティングされた予備ロックされたカプセルに充填した。機械の生産量を2000cps/時に設定した。
【0297】
カプセルは自動カプセル充填機内で試験し、1.25mg/cm2の総固体重量増加が自動で処理可能であった。2.5mg/cm2以上の総固体重量増加では、層厚の増加および予備コーティングされたカプセルの粘着性を理由に予備ロックされたカプセルを用いて操作することができない標準的な器具へのカプセルの流動性という制限があった。
【0298】
溶解試験(欧州薬局方(2.9.3)装置IIに従う)
方法:
装置:ERWEKA DT 700パドル装置(USPII)
検出方法:オンラインUV
温度:37.5℃
媒体I:(2NのNaOHおよび2NのHClを使用することによって)pH1.2に調整した700mlの0.1NのHCL
媒体II:2時間後に媒体Iに214mlの0.2NのNa
3PO
4溶液を添加して、pHを6.8に増加させる(2NのNaOHおよび2NのHClを使用することによってpHを微調整する)。
パドル速度:75rpm
サンプル:1.25mg/cm
2の重量増加を有する容器1~3のインプロセスサンプル
【表31】
【0299】
例12:(比較)ドラムコーターにおける予備ロックされたカプセルの腸溶性コーティング
機能性コートおよびトップコートの配合物は、予備ロック状態の594.5mm2の表面積および5,000個のカプセル(K-capsサイズ0)のバッチサイズを考慮して計算する。
【0300】
機能性コーティング
クエン酸トリエチルおよび水を、従来のスターラで穏やかに撹拌しながら、EUDRAGIT(登録商標)L 30 D-55分散液にゆっくりと注いだ。10分間の穏やかな撹拌後に、EUDRAGIT(登録商標)NM 30 Dを連続撹拌下でゆっくりと添加し、さらに15分間撹拌した。最終的なコーティング懸濁液を、300μmのふるいに通してふるい分けし、コーティングプロセス中に撹拌した。カプセルを、ドラムコーターを利用して予備ロック状態でコーティングした。
【0301】
【0302】
トップコーティング
METHOCEL(商標)E3を、固体が完全に溶解するまで、塊化を防止するように穏やかに撹拌しながら、水に完全に分散させた。さらに15分間撹拌し、噴霧懸濁液を0.3mmのふるいに通す。賦形剤懸濁液をポリマー分散液に添加した。噴霧懸濁液をコーティングプロセス中に穏やかに撹拌した。
【0303】
【0304】
カプセルコーティングプロセス
14インチ穿孔ドラムコーティングシステムであるNeocotaを使用してカプセルをコーティングした。
【0305】
ブリッジング試験:
カプセルを、本体とキャップとの間のブリッジングについて試験した。本体を保持し、カプセルのキャップを穏やかに捻ることによって、試験を実施した。カプセルを損傷させること、亀裂が聞こえること、または亀裂が感じられることなしにはキャップを捻ることができなかった場合、およびキャップを全く捻ることができなかった場合、カプセルは壊れており、ブリッジングが決定された。100個のカプセルを試験した。
【0306】
封入パラメータ
MCCとカフェインとの60:40のブレンド472mgを、カプセルの開放、輸送、充填、および閉鎖のための標準フォーマットサイズ0器具を使用する粉末充填セットアップを有する自動Bosch GKF 400カプセル充填設備を使用して、ポリマーコーティングされた予備ロックされたカプセルに充填した。機械の生産量を12,000cps/時に設定した。
【0307】
崩壊試験(欧州薬局方2.9.1試験Bの胃耐性カプセルに基づく修正された方法に従う)
方法:0.1NのHClで2時間、続いて、緩衝液系pH6.8に完全に変更。
装置:PTZ Auto 4 EZ Pharma Test
検出方法:視覚的および電気的インピーダンス
温度:37.0℃
媒体I:欧州薬局方に従った700mlの0.1NのHCL
媒体II:欧州薬局方に従った700mLのpH6.8のリン酸塩緩衝液
サンプル:n=6
【表34】
【0308】
崩壊試験中の水分吸収
追加的な崩壊試験を上記の方法に従って実施した。配合物1つごとにn=6調査を実施し、0.1NのHCl中で2時間後に停止した。カプセルによる媒体吸収を評価するために、媒体曝露の前後でカプセル重量を決定した。カプセルを500mgの総重量の乳糖の粉末試験組成物で充填した。カプセルを計量前にワイプで穏やかに乾燥させた。
【0309】
【0310】
結論:
ブリッジングしたカプセルなしの成功したコーティング。カプセルは自動カプセル充填機内で試験し、2.2mg/cm2の総固体重量増加が自動で処理可能であった。0.1NのHCL中で2時間の崩壊耐性、およびリン酸塩緩衝液pH6.8中で30分後に崩壊。
【0311】
本発明の例2~8の媒体吸収を、0.1NのHClに2時間曝露した後に0.03~2.31で決定したが、これは、比較例12よりも有意に少なかった。特に例5および7は、それぞれ0.05%および0.26%という有意に低いレベルの吸収を示した。これらのカプセル組成物は、例9において、酸敏感性の高いFLuc mRNAで上手く試験された。
【国際調査報告】