(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】キメラ抗原受容体
(51)【国際特許分類】
C07K 19/00 20060101AFI20240528BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240528BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240528BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240528BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240528BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240528BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20240528BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240528BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20240528BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20240528BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240528BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20240528BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240528BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240528BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240528BHJP
C07K 14/705 20060101ALI20240528BHJP
C07K 14/725 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
C07K19/00 ZNA
C07K16/28
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N5/0783
C12N15/13
C12N15/12
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
A61K35/17
A61P35/00
A61P37/04
A61K39/395 N
C07K14/705
C07K14/725
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572609
(86)(22)【出願日】2022-05-23
(85)【翻訳文提出日】2024-01-11
(86)【国際出願番号】 US2022030557
(87)【国際公開番号】W WO2022251120
(87)【国際公開日】2022-12-01
(32)【優先日】2021-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514266932
【氏名又は名称】カイト ファーマ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Kite Pharma, Inc
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メン ケビン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ムラカミ ジョディ
(72)【発明者】
【氏名】ハイレ サミュエル ティー.
(72)【発明者】
【氏名】リャオ エドワード エイチ.
【テーマコード(参考)】
4B065
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA01Y
4B065AA57X
4B065AA57Y
4B065AA72X
4B065AA72Y
4B065AA83X
4B065AA83Y
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA44
4C085AA14
4C085CC03
4C085DD62
4C085EE01
4C087AA01
4C087BB37
4C087BB65
4C087NA14
4C087ZB09
4C087ZB26
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA09
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
NGK2Dエクトドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)が提供される。それを含む組成物、細胞及び細胞療法が提供される。治療方法が更に提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キメラ抗原受容体(CAR)であって、
NKG2Dエクトドメインと、
膜貫通ドメインと、
4-1BB共刺激ドメインと、
CD3-ゼータシグナル伝達ドメインを含むシグナル伝達ドメインと、
を含む、キメラ抗原受容体。
【請求項2】
CD8-アルファヒンジドメインを更に含む、請求項1に記載のCAR。
【請求項3】
前記CD8-アルファヒンジドメインが、配列番号15に記載のアミノ酸配列を含む、請求項2に記載のCAR。
【請求項4】
前記NKG2Dエクトドメインが、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項5】
前記膜貫通ドメインが、CD28膜貫通ドメインを更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項6】
前記CD28膜貫通ドメインが、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含む、請求項5に記載のCAR。
【請求項7】
前記4-1BB共刺激ドメインが、配列番号33又は配列番号63に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項8】
前記CD3ゼータシグナル伝達ドメインが、配列番号27に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項9】
前記シグナル伝達ドメインが、CD3-イプシロンシグナル伝達ドメインを更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項10】
前記CD3-イプシロンシグナル伝達ドメインが、配列番号31又は配列番号61に記載のアミノ酸配列を含む、請求項9に記載のCAR。
【請求項11】
配列番号53、配列番号54、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、及び配列番号76からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のCARをコードする、核酸。
【請求項13】
配列番号67、配列番号69、配列番号71、配列番号73、配列番号75、及び配列番号77からなる群から選択されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも90%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む、請求項12に記載の核酸。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の核酸を含む、組換えベクター。
【請求項15】
前記組換えベクター又は核酸が、操作されたT細胞受容体(TCR)をコードする核酸を更に含む、請求項14に記載の組換えベクター又は請求項12若しくは13に記載の核酸。
【請求項16】
前記組換えベクター又は核酸が、腫瘍抗原に特異的な第2のCARをコードする核酸を更に含む、請求項14に記載の組換えベクター又は請求項12若しくは13に記載の核酸。
【請求項17】
前記腫瘍抗原が、HPV-16E6及びHPV-16E7、アルファ葉酸受容体、5T4、αvβ6インテグリン、BCMA、B7-H3、B7-H6、CAIX、CD19、CD20、CD22、CD28、CD30、CD33、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD70、CD79a、CD79b、CD123、CD137(4-1BB)、CD138、CD171、CEA、CSPG4、CLL-1、CS1、EGFR、ErbB2(HERII)を含むEGFRファミリー、EGFRvIII、EGP2、EGP40、EPCAM、EphA2、EpCAM、FAP、胎児AchR、FRa、Flt3、GD2、GD3、グリピカン-3(GPC3)、HLA-Al+MAGEI、HLA-A2+MAGE1、HLAA3+MAGE1、HLA-Al+NY-ES0-1、HLA-A2+NY-ES0-1、HLA-A3+NY-ES0-1、IL-llRα、IL-13Rα2、ラムダ、ルイス-Y、カッパ、メソセリン、Mucl、Muc16、NCAM、NKG2Dリガンド、NYE-S0-1、PRAME、PSCA、PSMA、RORI、SSX、サバイビン、TACI、TAG72、TEM、又はVEGFRIIを含む、請求項15又は請求項16に記載の組換えベクター又は核酸。
【請求項18】
請求項12~17のいずれか一項に記載の核酸又は組換えベクターで形質転換された、宿主細胞。
【請求項19】
請求項12若しくは13に記載の核酸又は請求項14に記載の組換えベクター、及び腫瘍抗原に特異的な操作されたT細胞受容体(TCR)又は第2のCARをコードする核酸又は組換えベクターで形質転換された、宿主細胞。
【請求項20】
前記腫瘍抗原が、HPV-16E6及びHPV-16E7、アルファ葉酸受容体、5T4、αvβ6インテグリン、BCMA、B7-H3、B7-H6、CAIX、CD19、CD20、CD22、CD28、CD30、CD33、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD70、CD79a、CD79b、CD123、CD137(4-1BB)、CD138、CD171、CEA、CSPG4、CLL-1、CS1、EGFR、ErbB2(HERII)を含むEGFRファミリー、EGFRvIII、EGP2、EGP40、EPCAM、EphA2、EpCAM、FAP、胎児AchR、FRa、Flt3、GD2、GD3、グリピカン-3(GPC3)、HLA-Al+MAGEI、HLA-A2+MAGE1、HLAA3+MAGE1、HLA-Al+NY-ES0-1、HLA-A2+NY-ES0-1、HLA-A3+NY-ES0-1、IL-llRα、IL-13Rα2、ラムダ、ルイス-Y、カッパ、メソセリン、Mucl、Muc16、NCAM、NKG2Dリガンド、NYE-S0-1、PRAME、PSCA、PSMA、RORI、SSX、サバイビン、TACI、TAG72、TEM、又はVEGFRIIを含む、請求項19に記載の宿主細胞。
【請求項21】
前記宿主細胞が、iPSC、T細胞、又はNK細胞を含む、請求項18~20のいずれか一項に記載の宿主細胞。
【請求項22】
請求項21に記載の宿主細胞を含む、医薬組成物。
【請求項23】
疾患の治療を必要とする患者における疾患を治療する方法であって、請求項21に記載の宿主細胞又は請求項22に記載の医薬組成物を前記患者へ投与することを含む、方法。
【請求項24】
前記宿主細胞が、前記患者に対して同種異系である、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年5月24日に出願され、「Chimeric Antigen Receptor」と題された、米国特許仮出願第63/192,296号に対する優先権の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、細胞療法の分野に関し、より具体的には、NKG2Dキメラ抗原受容体に関する。
【背景技術】
【0003】
ヒトがんは、本質的に、遺伝子変換又はエピジェネティクス変換を起こして、異常ながん細胞になった正常細胞から構成される。そうすることで、がん細胞は、正常細胞によって発現されるものとは異なるタンパク質及び他の抗原を発現し始める。これらの異常な腫瘍抗原は、がん細胞を特異的に標的化して死滅させるために身体の自然免疫系によって使用され得る。しかしながら、がん細胞は様々なメカニズムを用いて、T及びBリンパ球などの免疫細胞が正常にがん細胞を標的とするのを阻止する。
【0004】
現在のT細胞療法は、患者のがん細胞を標的とし、これを死滅させるように濃縮又は改変されたヒトT細胞に基づく。特定のがん細胞を標的とし、これを死滅させるT細胞の能力を増加させるために、T細胞を特定の標的がん細胞に指向する構築物を発現するようにT細胞を遺伝子操作する方法が開発されてきた。特定の腫瘍抗原と相互作用することができる結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)及び遺伝子操作されたT細胞受容体(TCR)は、T細胞が特定の腫瘍抗原を発現するがん細胞を標的とし、これを死滅させることを可能にする。しかしながら、いくつかの腫瘍型、特に固形腫瘍は、T細胞免疫療法に対して耐性であり、腫瘍固有の耐性機構をT細胞免疫療法に標的化するための次世代増強戦略の開発が必要である。NKG2Dリガンドはほとんどのタイプの腫瘍上で発現され、これらは、健常細胞と比較して腫瘍細胞上でのリガンド発現の相対的選択性を実証し、伝統的なT細胞療法を増強するための標的を表す。
【発明の概要】
【0005】
NKG2Dエクトドメインを含む、キメラ抗原受容体(CAR)と、膜貫通ドメインと、4-1BB共刺激ドメインと、CD3-ゼータシグナル伝達ドメインを含むシグナル伝達ドメインと、が開示される。実施形態では、4-1BB共刺激ドメインは、配列番号33に記載のアミノ酸配列を含む。実施形態では、CD3ゼータシグナル伝達ドメインは、配列番号27に記載のアミノ酸配列を含む。実施形態では、CARは、CD8-アルファヒンジドメインを更に含む。実施形態では、CD8-アルファヒンジドメインは、配列番号15に記載のアミノ酸配列を含む。実施形態では、NKG2Dエクトドメインは、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含む。実施形態では、膜貫通ドメインは、CD28膜貫通ドメインを含む。実施形態では、CD28膜貫通ドメインは、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含む。実施形態では、シグナル伝達ドメインは、CD3-イプシロンシグナル伝達ドメインを更に含む。実施形態では、CD3-イプシロンシグナル伝達ドメインは、配列番号31に記載のアミノ酸配列を含む。
【0006】
開示されるCARをコードする核酸及びそれを含むベクターが開示される。実施形態では、組換えベクター又は核酸は、腫瘍抗原に特異的な、操作されたT細胞受容体(TCR)をコードする核酸を更に含む。実施形態では、組換えベクター又は核酸は、腫瘍抗原に特異的な第2のCARをコードする核酸を更に含む。実施形態では、腫瘍抗原は、HPV-16 E6、HPV-16 E7、アルファ葉酸受容体、5T4、αvβ6インテグリン、BCMA、B7-H3、B7-H6、CAIX、CD19、CD20、CD22、CD28、CD30、CD33、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD70、CD79a、CD79b、CD123、CD137(4-1BB)、CD138、CD171、CEA、CSPG4、CLL-1、CS1。EGFR、ErbB2(HERII)を含むEGFRファミリー、EGFRvIII、EGP2、EGP40、EPCAM、EphA2、EpCAM、FAP、胎児AchR、FRa、Flt3、GD2、GD3、グリピカン-3(GPC3)、HLA-Al+MAGEI、HLA-A2+MAGE1、HLAA3+MAGE1、HLA-Al+NY-ES0-1、HLA-A2+NY-ES0-1、HLA-A3+NY-ES0-1、IL-llRα、IL-13Rα2、ラムダ、ルイス-Y、カッパ、メソセリン、Mucl、Muc16、NCAM、NKG2Dリガンド、NYE-S0-1、PRAME、PSCA、PSMA、RORI、SSX、サバイビン、TACI、TAG72、TEM、又はVEGFRIIを含む。
【0007】
核酸又は開示される組換えベクターで形質転換された宿主細胞が開示される。実施形態では、宿主細胞を、開示する核酸又は組換えベクター、及び腫瘍抗原に特異的な操作されたT細胞受容体(TCR)又は腫瘍抗原に特異的な第2のCARをコードする核酸又は組換えベクターで形質転換する。実施形態では、腫瘍抗原は、HPV-16E6、HPV-16E7、アルファ葉酸受容体、5T4、αvβ6インテグリン、BCMA、B7-H3、B7-H6、CAIX、CD19、CD20、CD22、CD28、CD30、CD33、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD70、CD79a、CD79b、CD123、CD137(4-1BB)、CD138、CD171、CEA、CSPG4、CLL-1、CS1、EGFR、ErbB2(HERII)を含むEGFRファミリー、EGFRvIII、EGP2、EGP40、EPCAM、EphA2、EpCAM、FAP、胎児AchR、FRa、Flt3、GD2、GD3、グリピカン-3(GPC3)、HLA-Al+MAGEI、HLA-A2+MAGE1、HLAA3+MAGE1、HLA-Al+NY-ES0-1、HLA-A2+NY-ES0-1、HLA-A3+NY-ES0-1、IL-llRα、IL-13Rα2、ラムダ、ルイス-Y、カッパ、メソセリン、Mucl、Muc16、NCAM、NKG2Dリガンド、NYE-S0-1、PRAME、PSCA、PSMA、RORI、SSX、サバイビン、TACI、TAG72、TEM、又はVEGFRIIを含む。実施形態では、宿主細胞は、人工多能性幹細胞(iPSC)、T細胞、又はNK細胞を含む。開示されるT細胞及び/又はNK細胞を含む、医薬組成物が開示される。疾患の治療を必要とする患者における疾患を治療する方法であって、開示されるT細胞及び/若しくはNK細胞又は医薬組成物を患者に投与することを含む、方法が開示される。実施形態では、宿主細胞は、患者に対して同種異系である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
用語
【0009】
本開示をより容易に理解するために、特定の用語を以下で最初に定義する。以下の用語及び他の用語の追加の定義は、本明細書全体に記載されている。
【0010】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0011】
本明細書で使用される場合、特に明記されるか、又は文脈から明らかでない限り、「又は」という用語は包括的であると理解され、「又は」及び「及び」の両方を包含する。
【0012】
本明細書で使用される「及び/又は」という用語は、他のものの有無にかかわらず、2つの指定された特徴又は構成要素の各々の具体的な開示として解釈されるべきである。したがって、本明細書で、「A及び/又はB」などの語句で使用される「及び/又は」という用語は、A及びB、A又はB;A(単独);並びにB(単独)を含むことを意図している。同様に、「A、B、及び/又はC」などの語句で使用される「及び/又は」という用語は、次の態様、A、B、及びC;A、B、又はC;A又はC;A又はB;B又はC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);並びにC(単独)の各々を包含することを意図している。
【0013】
本明細書で使用される場合、「例えば」という用語は、単に例として使用され、限定を意図するものではなく、本明細書で明示的に列挙された項目のみを指すと解釈されるべきではない。
【0014】
「以上」、「少なくとも」、「超」などの用語、例えば、「少なくとも1つ」は、限定するものではないが、記載された値より少なくとも、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、若しくは、150、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000、又はそれ以上を含むものと理解される。その間の任意のより大きい数又は分数も含まれる。
【0015】
逆に、「以下」という用語は、記載された値よりも小さい各値を含む。例えば、「100個以下のヌクレオチド」には、100、99、98、97、96、95、94、93、92、91、90、89、88、87、86、85、84、83、82、81、80、79、78、77、76、75、74、73、72、71、70、69、68、67、66、65、64、63、62、61、60、59、58、57、56、55、54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、及び0個のヌクレオチドが含まれる。その間の任意のより少ない数又は分数も含まれる。
【0016】
「複数」、「少なくとも2つ」、「2つ以上」、「少なくとも第2」などの用語は、限定するものではないが、少なくとも、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19 20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、若しくは、150、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000、又はそれ以上を含むものと理解される。その間の任意のより大きい数又は分数も含まれる。
【0017】
本明細書全体を通して、「含む(comprising)」という語又は「含む(comprises)」若しくは「含む(comprising)」などの変化形は、記載された要素、整数若しくは工程、又は要素、整数若しくは工程の群を含むことを意味するが、任意の他の要素、整数若しくは工程、又は要素、整数若しくは工程の群を除外することを意味しないと理解される。態様が「含む(comprising)」という文言で本明細書に記載されている場合は常に、「からなる(consisting of)」及び/又は「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語で記載されている他の類似の態様もまた提示されていることが理解される。
【0018】
具体的に述べられているか、又は文脈から明らかである場合を除き、「約」という用語は、当業者によって決定される特定の値又は組成について許容可能な誤差範囲内にある値又は組成を指し、これは、その値又は組成がどのように測定又は決定されるか、すなわち測定系の限界にある程度依存する。例えば、「約」又は「から本質的になる」は、当該技術分野の慣行によって1又は1超の標準偏差の範囲内であることを意味し得る。「約」又は「から本質的になる」は、最大10%(すなわち、±10%)の範囲を意味し得る。したがって、「約」は、記載された値よりも、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、0.01%、又は0.001%大きいか又は小さいと理解し得る。例えば、約5mgは、4.5mg~5.5mgの任意の量を含み得る。更に、特に生物学的な系又はプロセスに関して、この用語は、最大で1桁又は最大で5倍の値を意味し得る。本開示において特定の値又は組成が提示される場合、特に明記しない限り、「約」又は「から本質的になる」の意味は、その特定の値又は組成について許容可能な誤差範囲内にあると想定する必要がある。
【0019】
本明細書に記載されるように、任意の濃度範囲、パーセンテージ(百分率)範囲、比の範囲、又は整数の範囲は、特に明記しない限り、列挙された範囲内の任意の整数の値、及び適宜その分数(整数の10分の1及び100分の1など)を含むと理解されるべきである。
【0020】
本明細書で使用される単位、接頭辞及び記号は、Systeme International de Unites(SI)で受け入れられている形式を使用して提示される。数値範囲は、範囲を定義する数を含む。
【0021】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が関連する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。例えば、Juo,「The Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology」,2nd ed.,(2001),CRC Press、「The Dictionary of Cell & Molecular Biology」,5th ed.,(2013),Academic Press、及び「The Oxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology」,Cammack et al.eds.,2nd ed,(2006),Oxford University Pressは、本開示で使用される用語の多くについて一般的な辞書を当業者に提供している。
【0022】
「投与すること」は、当業者に既知の様々な方法及び送達システムのいずれかを使用した、対象への、本明細書で開示される改変されたT細胞などの薬剤の物理的導入を指す。本明細書中に開示される製剤のための例示的な投与経路としては、例えば、注射又は注入による、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、脊髄又は他の非経口投与経路が挙げられる。「非経口投与」という語句は、経腸及び局所投与以外の、通常は注射による投与様式を意味し、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ内、病巣内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外、及び胸骨内の注射及び注入、並びにインビボ電気穿孔を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、製剤は、非経口でない経路を介して、例えば、経口的に投与される。他の非経口でない経路としては、局所、表皮又は粘膜投与経路、例えば、鼻腔内、膣内、直腸、舌下、又は局所が挙げられる。投与はまた、例えば、1回、複数回、及び/又は1回以上の長期間にわたって行われ得る。
【0023】
「活性化された」及び「活性化」という用語は、検出可能な細胞増殖を誘導するために十分に刺激されたT細胞の状態を指す。一実施形態では、活性化はまた、誘導されたサイトカイン産生、及び検出可能なエフェクター機能に関連し得る。「活性化T細胞」という用語は、とりわけ、増殖しているT細胞を指す。TCRのみを介して生成されたシグナルは、T細胞の完全な活性化に不十分である可能性があり、1つ以上の二次又は共刺激シグナルも必要とされ得る。したがって、T細胞活性化は、TCR/CD3複合体を介した一次刺激シグナル及び1つ以上の二次共刺激シグナルを含む。共刺激は、TCR/CD3複合体を介した刺激などの一次活性化シグナルを受けたT細胞による増殖及び/又はサイトカイン産生によって証明され得る。
【0024】
「抗体」(antibody、Ab)という用語は、抗原に特異的に結合する糖タンパク質免疫グロブリンを含むが、これに限定されない。概して、及び抗体は、ジスルフィド結合によって相互接続された少なくとも2本の重(heavy、H)鎖及び2本の軽(light、L)鎖、又はその抗原結合分子を含み得る。各H鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではVHと略す)及び重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つの定常ドメイン、CH1、CH2及びCH3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVLと略す)及び軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つの定常ドメイン、CLを含む。VH及びVL領域は、フレームワーク領域(framework region、FR)と呼ばれるより保存された領域に組み入れられている、相補性決定領域(complementarity determining region、CDR)と呼ばれる超可変領域に更に細分することができる。各VH及びVLは、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3及びFR4の順序で配置される3つのCDR及び4つのFRを含む。重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。Abの定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)及び古典的補体系の第1成分(C1q)を含む、宿主組織又は因子への免疫グロブリンの結合を媒介し得る。一般に、ヒト抗体は、通例「Y字形状」構造と称されるものに互いに会合する2つの同一の重(H)鎖ポリペプチド(各々約50kD)と、2つの同一の軽(L)鎖ポリペプチド(各々約25kD)で構成される、約150kDの四量体剤である。重鎖及び軽鎖は、単一のジスルフィド結合によって互いに連結又は接続され、他の2つのジスルフィド結合が重鎖ヒンジ領域を互いに接続し、その結果、二量体が互いに接続されて、四量体が形成される。天然に産生された抗体も、例えばCH2ドメイン上で、グリコシル化される。
【0025】
「ヒト抗体」という用語は、ヒト免疫グロブリン配列、又はそれとは区別できない配列から生成、組み立て、又は誘導された可変及び定常ドメイン配列を有する抗体を含むことを意図している。いくつかの実施形態では、抗体(又は抗体成分)は、それらのアミノ酸配列が、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列によってコードされていない残基又は要素(例えば、インビトロでのランダム若しくは部位特異的変異誘発によって導入された又はインビボでの体細胞変異によって導入された変異)を含むとしても、「ヒト」であるとみなされ得る。「ヒト化」という用語は、非ヒト種の可変ドメイン(例えば、マウス)に由来する配列を有する可変ドメインを有し、ヒト生殖細胞系コード化配列とより類似するように改変されている抗体を含むことが意図される。いくつかの実施形態では、「ヒト化」抗体は、実質的にヒトフレームワークドメインのアミノ酸配列を有する1つ以上のフレームワークドメインと、実質的に非ヒト抗体のアミノ酸配列を有する1つ以上の相補性決定領域とを含む。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体は、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、概してヒト免疫グロブリン定常ドメインのものを含む。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体は、ヒト重鎖定常ドメインのCH1、ヒンジ、CH2、CH3、及び任意選択的に、CH4領域を含み得る。
【0026】
抗体としては、例えば、モノクローナル抗体、組換え産生された抗体、単一特異的抗体、多重特異的抗体(二重特異的抗体を含む)、ヒト抗体、操作された抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、免疫グロブリン、合成抗体、2つの重鎖分子と2つの軽鎖分子とを含む四量体抗体、抗体軽鎖単量体、抗体重鎖単量体、抗体軽鎖二量体、抗体重鎖二量体、抗体軽鎖-抗体重鎖対、イントラボディ、抗体融合物(本明細書では「抗体コンジュゲート」と称されることもある)、ヘテロコンジュゲート抗体、単一ドメイン抗体、一価抗体、単鎖抗体又は一本鎖Fv(single-chain Fv、scFv)、ラクダ化(camelized)抗体、アフィボディ、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、抗抗Id抗体を含む)、ミニボディ、ドメイン抗体、合成抗体(本明細書では「抗体ミメティック」と称されることもある)、及び上記のいずれかの抗原結合フラグメントを挙げることができる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、ポリクローナル抗体集団を指す。抗体はまた、例えば、Fab’フラグメント、Fd’フラグメント、Fdフラグメント、単離されたCDR、一本鎖Fv、ポリペプチド-Fc融合体、単一ドメイン抗体(例えば、IgNAR又はそのフラグメントなどのサメ単一ドメイン抗体、及びヒト重鎖抗体(UniAb))、単鎖若しくはタンデムダイアボディ(TandAb(登録商標))、ラクダ科動物抗体、Anticalins(登録商標)、Nanobodies(登録商標)ミニボディ、BiTE(登録商標)、アンキリン反復タンパク質又はDARPINs(登録商標)、Avimers(登録商標)、DART、TCR様抗体、Adnectins(登録商標)、Affilins(登録商標)、Trans-bodies(登録商標)、Affibodies(登録商標)、TrimerX(登録商標)、MicroProteins、Fynomers(登録商標)、Centyrins(登録商標)、及びKALBITOR(登録商標)を含み得る。
【0027】
免疫グロブリンは、IgA、分泌型IgA、IgG、IgE、及びIgMを含むがこれらに限定されない、一般的に既知のアイソタイプのうちのいずれかに由来し得る。IgGサブクラスはまた、当業者に周知であり、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4を含むが、これらに限定されない。「アイソタイプ」は、重鎖定常領域遺伝子によってコードされるAbクラス又はサブクラスを指す(例えば、IgM又はIgG1)。「抗体」という用語は、例として、天然に存在する抗体及び天然に存在しない抗体の両方、モノクローナル及びポリクローナル抗体、キメラ及びヒト化抗体、ヒト又は非ヒト抗体、全合成抗体、並びに単鎖抗体を含む。非ヒト抗体は、ヒトにおけるその免疫原性を低減させる組換え法によってヒト化され得る。明示的に述べられていない場合、又文脈が別段の指示をしない限り、「抗体」という用語は、前述の免疫グロブリンのうちのいずれかの抗原結合フラグメント又は抗原結合部分を含み、一価及び二価のフラグメント又は部分、並びに単鎖抗体も含む。
【0028】
「抗原結合分子」、「抗原結合部分」、「抗原結合フラグメント」又は「抗体フラグメント」又は「抗原結合ドメイン」は、分子の抗原結合部分を含む任意の分子を指す。一例において、抗原結合分子は、抗体、又はscFvなどのその一部である。一例において、抗原ビディング(biding)分子は、抗原に結合するTCRの一部であり、TCRアルファ鎖の抗原結合部分及び/又はTCRアルファ鎖の抗原結合部分であり得る。一例において、抗原ビディング(biding)分子は、NKG2Dリガンドに結合するNKG2Dの一部であり得る。抗原結合分子は、抗原相補性決定領域(CDR)を含み得る。抗体フラグメントの例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFvフラグメント、dAb、線状抗体、scFv抗体、及び抗原結合分子から形成された多重特異的抗体が挙げられるが、これらに限定されない。ペプチボディ(すなわち、ペプチド結合ドメインを含むFc融合分子)は、好適な抗原結合分子の別の例である。いくつかの実施形態では、抗原結合分子は、腫瘍細胞上の抗原に結合する。いくつかの実施形態では、抗原結合分子は、過剰増殖性疾患に関与する細胞上の抗原又はウイルス抗原若しくは細菌抗原に結合する。実施形態では、抗原結合分子は、キメラ抗原受容体(CAR)又は操作されたT細胞受容体(TCR)である。ある特定の実施形態では、抗原結合分子又はドメインは、抗原に特異的に結合する抗体フラグメントであり、その相補性決定領域(CDR)のうちの1つ以上を含む。更なる実施形態では、抗原結合分子は、一本鎖可変フラグメント(single chain variable fragment、scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合分子又はドメインは、アビマーを含むか、又はアビマーからなる。
【0029】
いくつかの例では、CDRは、参照抗体(例えば、本開示の抗体)及び/又は本開示で提供されるCDRの配列に見られるものと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、CDRは、参照CDRと比較して、配列が同一であるという点、又は1、2、3、4、若しくは5(例えば、1~5)個のアミノ酸置換を含有するという点のいずれかで、参照CDRと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、CDRは、参照CDRに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性(例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を示すという点で、参照CDRと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、CDRは、参照CDRと少なくとも96%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を示すという点で、参照CDRと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、CDRは、参照CDRと比較して、CDR内の1個のアミノ酸が欠失、付加、又は置換されているが、同時にCDRが、それ以外は参照CDRのアミノ酸配列と同一であるアミノ酸配列を有するという点で、参照CDRと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、CDRは、参照CDRと比較して、CDR内の2、3、4、又は5(例えば、2~5)個のアミノ酸が、欠失、付加、又は置換されているが、同時にCDRが、それ以外は参照CDRのアミノ酸配列と同一であるアミノ酸配列を有するという点で、参照CDRと実質的に同一である。様々な実施形態では、抗原結合フラグメントは、参照抗体と同じ抗原に結合する。様々な実施形態では、抗原結合フラグメントは、参照抗体と交差競合し、例えば、参照抗体と実質的に同じ又は同一のエピトープに結合する。
【0030】
抗原結合フラグメントは、任意の手段によって産生され得る。例えば、いくつかの実施形態では、抗原結合フラグメントは、無傷の抗体のフラグメント化によって酵素的又は化学的に産生され得る。いくつかの実施形態では、抗原結合フラグメントは、組換えにより産生され得る(操作された核酸配列の発現によってなど)。いくつかの実施形態では、抗原結合フラグメントは、全体的又は部分的に合成により産生され得る。いくつかの実施形態では、抗原結合フラグメントは、少なくとも約50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190アミノ酸以上の長さを有してもよく、いくつかの実施形態では、少なくとも約200アミノ酸(例えば、50~100、50~150、50~200、又は100~200アミノ酸)の長さを有してもよい。
【0031】
「可変領域」又は「可変ドメイン」という用語は、互換的に使用される。可変領域は、典型的には、抗体の一部、概して、軽鎖又は重鎖の一部、典型的には成熟重鎖のアミノ末端110~120アミノ酸及び成熟軽鎖の約90~115アミノ酸を指し、これらは抗体間で配列が大きく異なり、その特定の抗原に対する特定の抗体の結合及び特異性に使用される。配列の変動性は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる領域に集中し、可変ドメイン内のより高度に保存された領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。いかなる特定の機構又は理論にも束縛されることを望まないが、軽鎖及び重鎖のCDRは、抗原との抗体の相互作用及び特異性を主に担うと考えられている。ある特定の実施形態では、可変領域は、ヒト可変領域である。ある特定の実施形態では、可変領域は、げっ歯類又はマウスCDR及びヒトフレームワーク領域(FR)を含む。実施形態では、可変領域は霊長類(例えば、非ヒト霊長類)可変領域である。ある特定の実施形態では、可変領域は、げっ歯類又はマウスCDR及び霊長類(例えば、非ヒト霊長類)フレームワーク領域(FR)を含む。
【0032】
「VL」及び「VLドメイン」という用語は、抗体又はその抗原結合分子の軽鎖可変領域を指すために互換的に使用される。
【0033】
「VH」及び「VHドメイン」という用語は、抗体又はその抗原結合分子の重鎖可変領域を指すために互換的に使用される。
【0034】
CDRの多くの定義が、一般に、使用されている:Kabat番号付け、Chothia番号付け、AbM番号付け、又は接触番号付け。AbM定義は、Oxford Molecular社のAbM抗体モデリングソフトウェアによって使用される2つの間の折衷案である。接触定義は、利用可能な複合結晶構造の分析に基づく。
【0035】
【0036】
「Kabat番号付け」などの用語は、当該技術分野で認識されており、抗体又はその抗原結合分子の重鎖及び軽鎖可変領域のアミノ酸残基に番号付けするシステムを指す。ある特定の態様では、抗体のCDRは、Kabat番号付けシステムに従って決定できる(例えば、Kabat EA & Wu TT(1971)Ann NY Acad Sci 190:382-391及びKabat EA et al.,(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242を参照されたい)。Kabat番号付けシステムを使用すると、抗体重鎖分子内のCDRは、典型的には、アミノ酸位置31~35(任意選択的に35に続いて1つ又は2つの追加のアミノ酸を含むことができる(Kabat番号付けスキームでは、35A及び35Bと称される))(CDR1)、アミノ酸位置50~65(CDR2)、及びアミノ酸位置95~102(CDR3)に存在する。Kabat番号付けシステムを使用すると、抗体軽鎖分子内のCDRは、典型的には、アミノ酸位置24~34(CDR1)、アミノ酸位置50~56(CDR2)、及びアミノ酸位置89~97(CDR3)に存在する。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体のCDRは、Kabat番号付けスキームに従って決定されている。
【0037】
ある特定の態様では、抗体のCDRは、免疫グロブリン構造ループの位置を指すChothia番号付けスキームに従って決定することができる(例えば、Chothia C & Lesk AM,(1987),J Mol Biol 196:901-917、Al-Lazikani B et al.,(1997)J Mol Biol 273:927-948、Chothia C et al.,(1992)J Mol Biol 227:799-817、Tramontano A et al.,(1990)J Mol Biol 215(1):175-82、及び米国特許第7,709,226号を参照されたい)。典型的には、Kabat番号付け規則を使用する場合、Chothia CDR-H1ループは重鎖アミノ酸26~32、33、又は34に存在し、Chothia CDR-H2ループは重鎖アミノ酸52~56に存在し、Chothia CDR-H3ループは重鎖アミノ酸95~102に存在し、一方、Chothia CDR-L1ループは軽鎖アミノ酸24~34に存在し、Chothia CDR-L2ループは軽鎖アミノ酸50~56に存在し、Chothia CDR-L3ループは軽鎖アミノ酸89~97に存在する。Kabat番号付け規則を使用して番号付けされた場合の、Chothia CDR-HIループの終了は、ループの長さに応じてH32とH34との間で変化する(これは、Kabat番号付けスキームがH35A及びH35Bに挿入を配置するためであり、35Aも35Bも存在しない場合、ループは32で終了し、35Aのみが存在する場合、ループは33で終了し、35A及び35Bの両方が存在する場合、ループは34で終了する)。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体のCDRは、Chothia番号付けスキームに従って決定されている。
【0038】
「定常領域」及び「定常ドメイン」という用語は交換可能であり、当該技術分野で一般的な意味を有する。定常領域は、抗体部分であり、例えば、抗体の抗原への結合に直接関与しないが、Fc受容体との相互作用などの様々なエフェクター機能を示すことができる、軽鎖及び/又は重鎖のカルボキシル末端部分である。免疫グロブリン分子の定常領域は、概して、免疫グロブリン可変ドメインと比較してより保存されたアミノ酸配列を有する。
【0039】
抗体に関して使用される場合、「重鎖」という用語は、任意の異なるタイプ、例えば、定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、アルファ(α)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)及びミュー(μ)を指してもよく、これらのタイプは、IgGのサブクラス、例えば、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4を含む、抗体のIgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMクラスをそれぞれ生成する。
【0040】
抗体に関して使用される場合、「軽鎖」という用語は、任意の異なるタイプ、例えば、定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)又はラムダ(λ)を指してもよい。軽鎖アミノ酸配列は、当該技術分野で周知である。特定の実施形態では、軽鎖は、ヒト軽鎖である。
【0041】
「抗原」は、ヒト又は動物に注射又は吸収される組成物(腫瘍特異的タンパク質を含むものなど)を含む、ヒト又は動物における抗体の産生又はT細胞応答を刺激し得る化合物、組成物、又は物質を指す。抗原は、開示された抗原などの異種抗原によって誘発されるものを含む、特定の体液性又は細胞性免疫の産物と反応する。「標的抗原」又は「目的の標的抗原」は、他の正常な(所望の)細胞の表面に実質的に見られず、本明細書で企図されるTCR又はCARの結合ドメインが結合するように設計されている抗原である。当業者は、事実上、全てのタンパク質又はペプチドを含む任意の巨大分子が抗原として機能し得ることを容易に理解するであろう。抗原は、内因的に発現、すなわちゲノムDNAによって発現されても、又は組換えによって発現されてもよい。抗原は、がん細胞などのある特定の組織に特異的であることも、又は広く発現されることもできる。更に、より大きな分子のフラグメントが抗原として作用し得る。「標的」は、結合モチーフ、CAR、TCR又は抗原結合剤、例えば抗体によって結合される任意の分子である。
【0042】
「抗原特異的標的化領域」(Antigen-specific targeting region:ASTR)は、特異的抗原を標的とするCAR又はTCRの領域を指す。CAR又はTCR上の標的化領域は、細胞外である。いくつかの実施形態では、抗原特異的標的化領域は、抗体又はその機能的等価物又はそのフラグメント又はその誘導体を含み、標的化領域の各々は、異なる抗原を標的とする。標的化領域は、全長重鎖、Fabフラグメント、単鎖Fv(scFv)フラグメント、二価単鎖抗体又はダイアボディを含み得、これらの各々は、標的抗原に特異的である。しかしながら、連結されたサイトカイン(サイトカイン受容体を担持する細胞の認識をもたらす)、アフィボディ、NKG2Dなどの天然に存在する受容体由来のリガンド結合ドメイン、受容体(例えば、腫瘍細胞上の)に対する可溶性タンパク質/ペプチドリガンド、ペプチド、及び免疫応答を促すワクチンなどの多数の代替物が存在し、これらは各々、本開示の様々な実施形態において使用され得る。実際、当業者に理解されるように、所定の抗原に高い親和性で結合するほとんどの任意の分子は、抗原特異的標的化領域として使用され得る。
【0043】
「抗原提示細胞」又は「APC」は、T細胞に対して、抗原を処理し、提示する細胞を指す。例示的なAPCは、樹状細胞、マクロファージ、B細胞、ある特定の活性化上皮細胞、並びにTCR刺激及び適切なT細胞共刺激が可能な他の細胞型を含む。
【0044】
「抗腫瘍効果」は、腫瘍体積の減少、腫瘍細胞の数の減少、腫瘍細胞増殖の減少、転移の数の減少、全生存期間又は無増悪生存期間の増加、平均余命の延長、又は腫瘍に関連する様々な生理学的症状の改善として提示され得る生物学的効果を指す。抗腫瘍効果はまた、腫瘍の発生の予防を指し得る。
【0045】
2つの事象又は実体は、一方の存在、レベル、及び/又は形態が他方の存在、レベル、及び/又は形態と相関する場合、互いに「会合」している。例えば、実体(例えば、ポリペプチド、遺伝子シグネチャー、代謝産物、微生物など)は、その存在、レベル、及び/又は形態が、疾患、障害、又は状態の発生率及び/又は感受性と(例えば、関連集団にわたって)相関する場合に、疾患、障害、又は状態と関連していると考えられる。例えば、2つ以上の実体は、それらが直接又は間接的に相互作用する場合、それらが互いに物理的に(例えば結合するなど)近接し、かつ/又は物理的に近接したままとなるように、互いに物理的に「会合」している。更なる例では、互いに物理的に会合している2つ以上の実体は、例えば、水素結合、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用、磁性、及びそれらの組み合わせによって、互いに共有結合的に連結若しくは接続されているか、又は非共有結合的に会合している。
【0046】
「自己」という用語は、後に再導入される同じ個体に由来する任意の材料を指す。例えば、本明細書に記載の操作された自己細胞療法(engineered autologous cell therapy、eACT(商標))の方法は、患者からのリンパ球の採取を含み、次いで、それは、例えばCAR構築物を発現するように操作され、次いで、同じ患者に投与される。
【0047】
「結合親和性」とは、概して、分子(例えば、抗体)の単一結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有結合相互作用の合計の強度を指す。別段に指定しない限り、「結合親和性」は、結合対のメンバー(例えば、抗体及び抗原)間の1:1相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子XのパートナーYに対する親和性は、概して、解離定数(KD)によって表され得る。親和性は、平衡解離定数(KD)及び平衡会合定数(KA)を含むがこれらに限定されない、当該技術分野で既知の多くの方法で測定及び/又は表現され得る。KDは、koff/konの商から計算され、一方、KAは、kon/koffの商から計算される。konは、例えば、抗原に対する抗体の会合速度定数を指し、koffは、例えば、抗原に対する抗体の解離を指す。kon及びkoffは、BIACORE(登録商標)又はKinExAなどの当業者に既知の技術によって決定することができる。
【0048】
「KD」(M)という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の解離平衡定数、又は抗原に結合する抗体若しくは抗体結合フラグメントの解離平衡定数を指す。KDと結合親和性との間には反比例の関係があり、したがって、KD値が小さいほど、親和性が高い、すなわち強い。したがって、「より高い親和性」又は「より強い親和性」という用語は、相互作用を形成するより高い能力、したがってより小さいKD値に関し、逆に、「より低い親和性」又は「より弱い親和性」という用語は、相互作用を形成するより低い能力、したがってより大きいKD値に関する。いくつかの状況では、別の相互作用パートナー分子(例えば、抗原Y)に対する分子(例えば、抗体)の結合親和性と比較して、その相互作用パートナー分子(例えば、抗原X)に対する特定の分子(例えば、抗体)のより高い結合親和性(又はKD)は、より大きいKD(より低い、又はより弱い親和性)をより小さいKD(より高い、又はより強い親和性)で割ることによって決定される結合比として表され得、例えば、場合によっては、5倍又は10倍大きい結合親和性として表され得る。
【0049】
「kd」(秒-1又は1/s)という用語は、抗体-抗原相互作用などの特定の結合対の解離速度定数、又は抗体若しくは抗体結合フラグメントなどの結合対の解離速度定数を指す。当該値は、k0ir値とも称される。
【0050】
「ka」(M-1×秒-1又は1/M)という用語は、抗体-抗原相互作用などの特定の結合対の会合速度定数、又は抗体若しくは抗体結合フラグメントなどの特定の結合対の会合速度定数を指す。
【0051】
「KA」(M-1又は1/M)という用語は、抗体-抗原相互作用などの特定の結合対の会合平衡定数、又は抗体若しくは抗体結合フラグメントなどの結合対の会合平衡定数を指す。会合平衡定数は、kaをkdで割ることによって得られる。
【0052】
「結合」という用語は、一般に、2つ以上の実体間の非共有結合性会合を指す。直接結合は、実体又は部分間の物理的接触を伴う。「間接的な」結合は、1つ以上の中間実体との物理的接触による物理的相互作用を含む。2つ以上の実体間の結合は、例えば、相互作用する実体若しくは部分が単独で、又は(例えば、共有結合若しくは他の様式で担体実体と、及び/若しくは細胞のような生物学的系内で会合している間などの)より複雑な系において研究される場合などの様々な状況のいずれかにおいて評価され得る。
【0053】
「免疫特異的に結合する」、「免疫特異的に認識する」、「特異的に結合する」及び「特異的に認識する」という用語は、抗体の文脈において類似の用語であり、そのような結合が当業者によって理解されているように、抗原(例えば、エピトープ又は免疫複合体)に結合する分子を指す。例えば、抗原に特異的に結合する分子は、他のペプチド又はポリペプチドに、例えば免疫アッセイ、BIACORE(登録商標)、KinExA 3000機器(Sapidyne Instruments、Boise,ID)、又は当該技術分野で既知の他のアッセイによって決定されるように、一般的により低い親和性で結合し得る。特定の実施形態では、ある抗原に特異的に結合する分子は、分子が別の抗原に結合するときのKAよりも少なくとも2log、2.5log、3log、4log、又はそれより大きいKAでその抗原に結合する。結合は、結合ドメイン、抗体、又は抗原結合系と標的ではない実体(すなわち、非標的)との会合と比較して、結合ドメイン、抗体、又は抗原結合系と、結合ドメイン、抗体、又は抗原結合系の標的との優先的な会合を含み得る。いくつかの実施形態では、結合ドメイン、抗体、又は抗原結合系と標的との結合が、結合ドメイン、抗体、又は抗原結合系と非標的との結合と比較して、2倍超、5倍超、10倍超、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、又は100倍超である場合、結合ドメイン、抗体、又は抗原結合系は、標的に選択的に結合する。いくつかの実施形態では、結合ドメイン、抗体、又は抗原結合系は、結合親和性が約10-5M未満、約10-6M未満、約10-7M未満、約10-8M未満、又は約10-9M未満である場合、標的に選択的に結合する。
【0054】
別の実施形態では、抗原に特異的に結合する分子は、約1×10-7Mの解離定数(Kd)で結合する。いくつかの実施形態では、抗原結合分子は、Kdが約1×10-9M~約5×10-9Mである場合、「高親和性」で抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗原結合分子は、Kdが1×10-10M~約5×10-10Mである場合、「非常に高親和性」で抗原に特異的に結合する。一実施形態では、抗原結合分子は10-9MのKdを有する。一実施形態では、解離速度は約1×10-5未満である。
【0055】
ある特定の実施形態では、本明細書では、標的ヒト抗原に結合する抗体又はその抗原結合分子であり、例えば、ラジオイムノアッセイ、表面プラズモン共鳴、又は速度論的排除アッセイによって測定された場合、別の種の標的抗原に対してよりも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、又はそれよりも高い親和性で、標的抗原に結合する、抗体又はその抗原結合分子が提供される。特定の実施形態では、標的ヒト抗原に結合する、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合分子は、例えば、ラジオイムノアッセイ、表面プラズモン共鳴、又は速度論的排除アッセイによって測定された場合、抗体又はその抗原結合分子のヒト抗原への結合の10%、15%、又は20%未満で、別の種の標的抗原に結合する。
【0056】
「がん」は、体内の異常細胞の制御されていない増殖を特徴とする様々な疾患の広範な群を指す。調節されない細胞分裂及び増殖は、隣接組織に侵入し、リンパ系又は血流を介して身体の遠位部分に転移することもある悪性腫瘍の形成をもたらす。「がん」又は「がん組織」は、腫瘍を含み得る。いくつかの実施形態では、本開示の方法を使用して、例えば、前立腺がん、骨がん、膵臓がん、皮膚がん、頭頸部のがん、皮膚又は眼内悪性黒色腫、子宮がん、卵巣がん、直腸がん、肛門領域のがん、胃がん、精巣がん、子宮がん、ファロピウス管のがん腫、子宮内膜のがん腫、子宮頸のがん腫、膣のがん腫、外陰のがん腫、多発性骨髄腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(non-Hodgkin’s lymphoma、NHL)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(primary mediastinal large B cell lymphoma、PMBC)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B cell lymphoma、DLBCL)、濾胞性リンパ腫(follicular lymphoma、FL)、形質転換型濾胞性リンパ腫、脾辺縁帯リンパ腫(splenic marginal zone lymphoma、SMZL)、食道のがん、小腸のがん、内分泌系のがん、甲状腺のがん、副甲状腺のがん、副腎のがん、軟部組織の肉腫、尿道のがん、陰茎のがん、慢性又は急性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病(acute lymphoblastic leukemia、ALL)(非T細胞ALLを含む)、慢性リンパ性白血病(chronic lymphocytic leukemia、CLL)、小児期の固形腫瘍、リンパ球性リンパ腫、膀胱のがん、腎臓又は尿管のがん、腎盂のがん、中枢神経系(central nervous system、CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管新生、脊椎軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮がん、扁平上皮がん、T細胞リンパ腫、アスベストによって誘導されたものを含む環境的に誘導されたがん、他のB細胞悪性腫瘍、多発性骨髄腫、及び当該がんの組み合わせに由来する腫瘍の腫瘍サイズを低減し得る。特定のがんは、化学療法又は放射線療法に反応性であり得、又は特定のがんは難治性であり得る。難治性がんは、外科的介入に適していないがんを指し、難治性がんは、最初から化学療法又は放射線療法に応答しないか、又はがんが時間の経過と共に非応答になるかのいずれかである。
【0057】
「ケモカイン」は、細胞の走化性又は方向性運動を媒介するサイトカインの一種である。ケモカインの例としては、IL-8、IL-16、エオタキシン、エオタキシン-3、マクロファージ由来ケモカイン(MDC又はCCL22)、単球走化性タンパク質1(MCP-1又はCCL2)、MCP-4、マクロファージ炎症性タンパク質1α(MIP-1α、MIP-1a)、MIP-1β(MIP-1b)、ガンマ誘導性タンパク質10(IP-10)、並びに胸腺及び活性化制御ケモカイン(TARC又はCCL17)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
「キメラ抗原受容体」又は「CAR」は、抗原結合時に結合ドメイン及び免疫細胞(例えば、ナイーブT細胞、中央メモリーT細胞、エフェクターメモリーT細胞、NK細胞又はそれらの組み合わせなどのT細胞)を活性化する手段を含むように操作された分子を指す。CARは、人工T細胞受容体、キメラT細胞受容体、又はキメラ免疫受容体としても既知である。いくつかの実施形態では、CARは、結合ドメイン、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、1つ以上の共刺激ドメイン、及び細胞内シグナル伝達ドメインを含む。キメラ抗原受容体を発現するように遺伝子操作されたT細胞は、CAR T細胞と称され得る。同様に、キメラ抗原受容体を発現するように遺伝子操作されたNK細胞は、CAR NK細胞と称され得る。
【0059】
「減少する」又は「下げる」、又は「軽減する」、又は「低減する」又は「弱める」とは、概して、ビヒクル単独(すなわち、活性部分)又は対照分子/組成物のいずれかによって引き起こされる応答と比較して、より低い生理学的応答(すなわち、下流効果)を生成するか、誘発するか、又は引き起こす、本明細書で企図される組成物の能力を指す。「減少」又は「低減された」量は、典型的には「統計的に有意な」量であり、対照組成物であるビヒクルによって生成される応答(参照応答)の、1.1、1.2、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、15、20、30倍、又はそれ以上(例えば、500倍、1000倍)(例えば、1.5、1.6、1.7.1.8などの1より上の、間にある全ての整数及び少数を含む)の減少を含み得る。
【0060】
「細胞外ドメイン」(又は「ECD」)は、ポリペプチドが細胞膜に存在する場合、細胞膜の外側、細胞外空間に存在すると理解されるポリペプチドの一部を指す。エクトドメインは、本明細書において、細胞外ドメインと互換的に使用され得る。
【0061】
「細胞外リガンド結合ドメイン」という用語は、本明細書で使用される場合、リガンド、例えば、細胞表面分子に結合することができるオリゴ又はポリペプチドを指す。例えば、細胞外リガンド結合ドメインは、特定の疾患状態(例えば、がん)に関連する標的細胞上の細胞表面マーカーとして作用するリガンドを認識するように選択され得る。リガンドとして作用し得る細胞表面マーカーの例としては、ウイルス、細菌及び寄生虫感染、自己免疫疾患並びにがん細胞に関連するものが挙げられる。
【0062】
CARの結合ドメインの後に、「スペーサー」又は「ヒンジ」が続く場合があり、これは、抗原結合ドメインをエフェクター細胞表面から離れるように移動させて、適切な細胞/細胞接触、抗原結合、及び活性化を可能にする領域を指す(Patel et al.,Gene Therapy,1999;6:412-419)。CARにおけるヒンジ領域は、概して、膜貫通(transmembrane、TM)ドメインと結合ドメインとの間にある。ある特定の実施形態では、ヒンジ領域は、免疫グロブリンヒンジ領域であり、野生型免疫グロブリンヒンジ領域又は改変された野生型免疫グロブリンヒンジ領域、例えばIgg4ヒンジなどであり得る。本明細書に記載のCARにおいて使用される他の例示的なヒンジ領域は、CD8アルファ、CD4、CD28、及びCD7などの1型の膜タンパク質の細胞外領域に由来するヒンジ領域を含み、これらは、これらの分子の野生型ヒンジ領域であり得るか、又は変更され得る。
【0063】
「膜貫通」領域又はドメインは、細胞外結合部分を免疫エフェクター細胞の原形質膜に固定し、結合ドメインの標的抗原への結合を促進するCARの部分である。膜貫通ドメインは、CD3ゼータ膜貫通ドメインであり得るが、しかしながら、用いられ得る他の膜貫通ドメインとしては、CD8アルファ、CD4、CD28、CD45、CD9、CD16、CD22、CD33、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、NKG2D、2B4、及びCD154から得られるものが含まれる。ある特定の実施形態では、膜貫通ドメインは、合成であり、その場合、それはロイシン及びバリンなどの疎水性残基を主に含む。
【0064】
「細胞内シグナル伝達ドメイン」又は「シグナル伝達ドメイン」は、標的抗原に結合する効果的なCARのメッセージを免疫エフェクター細胞の内部に伝達して、CAR結合標的細胞への細胞傷害性因子の放出、又は細胞外CARドメインへの抗原結合で誘発された他の細胞応答を含む、エフェクター細胞機能、例えば、活性化、サイトカイン産生、増殖、及び細胞傷害性活性を誘発することに関与する、キメラ抗原受容体タンパク質の一部を指す。「エフェクター機能」という用語は、細胞の特殊な機能を指す。T細胞のエフェクター機能は、例えば、細胞溶解活性又はサイトカインの分泌を含む援助若しくは活性であり得る。したがって、本明細書で互換的に使用される「細胞内シグナル伝達ドメイン」又は「シグナル伝達ドメイン」という用語は、エフェクター機能シグナルを伝達し、細胞を特殊な機能を果たすように指向するタンパク質の部分を指す。通常、細胞内シグナル伝達ドメイン全体が用いられ得るが、多くの場合、ドメイン全体を使用する必要はない。細胞内シグナル伝達ドメインの切断部分が使用される限りにおいて、そのような切断部分は、エフェクター機能シグナルを変換する限り、ドメイン全体の代わりに使用され得る。細胞内シグナル伝達ドメインという用語は、エフェクター機能シグナルを伝達するのに十分な細胞内シグナル伝達ドメインの任意の切断部分を含むことを意味する。細胞内シグナル伝達ドメインは、「シグナル伝達ドメイン」としても既知であり、典型的には、ヒトCD3又はFcRy鎖の部分に由来する。
【0065】
T細胞受容体のみを介して生成されたシグナルは、T細胞の完全な活性化に不十分であり、二次又は共刺激シグナルも必要とされることが既知である。したがって、T細胞活性化は、2つの異なるクラスの細胞質シグナル伝達配列:T細胞受容体を介して抗原依存的一次活性化を開始するもの(一次細胞質シグナル伝達配列)及び抗原非依存的な様式で作用して二次又は共刺激シグナルを提供するもの(二次細胞質シグナル伝達配列)によって媒介されると言うことができる。共刺激様式で作用する細胞質シグナル伝達配列は、免疫受容体チロシンベース活性化ドメイン又はITAMとして既知であるシグナル伝達ドメインを含有し得る。
【0066】
本開示において特に有用であるITAM含有一次細胞質シグナル伝達配列の例としては、DAP10、DAP12、TCRゼータ、FcRガンマ、FcRベータ、CD3ゼータ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD5、CD22、CD79a、CD79b及びCD66dに由来するものが挙げられる。
【0067】
本明細書で使用される場合、「共刺激シグナル伝達ドメイン」又は「共刺激ドメイン」という用語は、共刺激分子の細胞内ドメインを含むCARの部分を指す。共刺激分子は、抗原への結合時にTリンパ球の効率的な活性化及び機能に必要とされる第2のシグナルを提供する、抗原受容体又はFc受容体以外の細胞表面分子である。かかる共刺激分子の例としては、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40(CD134)、CD30、CD40、PD-1、ICOS(CD278)、LFA-1、CD2、CD7、LIGHT、NKD2C、2B4、CD137、DAP12B7-H2、及びCD83に特異的に結合するリガンドが挙げられる。したがって、本開示は、CD28、CD3-イプシロン、4-1BBに由来する例示的な共刺激ドメインを提供するが、他の共刺激ドメインは、本明細書に記載のCARとの使用のために企図される。1つ以上の共刺激シグナル伝達ドメインの包含は、CAR受容体を発現するT細胞及びNK細胞の有効性及び増殖を増強し得る。細胞内シグナル伝達及び共刺激シグナル伝達ドメインは、膜貫通ドメインのカルボキシル末端にタンデムで任意の順序で連結され得る。
【0068】
CD3又はFcRガンマ由来のシグナル伝達ドメインを含有するように操作されたCARは、T細胞活性化及びエフェクター機能のための強力なシグナルを送達することが示されているが、それらは、付随する共刺激シグナルの非存在下でT細胞生存及び増殖を促進するシグナルを誘発するのに十分ではない。1つ以上の共刺激シグナル伝達ドメイン(例えば、4-1BB、CD28、CD137、CD134、及びCD278に由来する細胞内共刺激ドメイン)と一緒に、CD3ゼータ又はFcRガンマに由来する結合ドメイン、ヒンジ、膜貫通及びシグナル伝達ドメインを含有する他のCARは、インビトロでCAR発現T細胞において、並びに動物モデル及びがん患者において、抗腫瘍活性並びに増加したサイトカイン分泌、溶解活性、生存及び増殖をより効果的に指向し得る(Milone et al.,Molecular Therapy,2009;17:1453-1464、Zhong et al.,Molecular Therapy,2010;18:413-420、Carpenito et al.,PNAS,2009;106:3360-3365)。
【0069】
「共刺激シグナル」は、TCR/CD3ライゲーションなどの一次シグナルと組み合わせて、限定するものではないが、重要な分子の増殖及び/又はアップレギュレーション又はダウンレギュレーションなどのT細胞応答をもたらすシグナルを指す。
【0070】
「共刺激リガンド」は、T細胞上の同族共刺激分子に特異的に結合する抗原提示細胞上の分子を含む。共刺激リガンドの結合は、限定するものではないが、増殖、活性化、分化などのT細胞応答を媒介するシグナルを提供する。共刺激リガンドは、刺激分子によって提供される一次シグナルに加えて、例えば、T細胞受容体(TCR)/CD3複合体と、ペプチドを負荷した主要組織適合遺伝子複合体(major histocompatibility complex、MHC)分子との結合によって、シグナルを誘導する。共刺激リガンドとしては、限定するものではないが、3/TR6、4-1BBリガンド、Tollリガンド受容体に結合するアゴニスト又は抗体、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、CD30リガンド、CD40、CD7、CD70、CD83、ヘルペスウイルス侵入メディエーター(herpes virus entry mediator、HVEM)、ヒト白血球抗原G(human leukocyte antigen G、HLA-G)、ILT4、免疫グロブリン様転写物(immunoglobulin-like transcript、ILT)3、誘導性共刺激リガンド(inducible costimulatory ligand、ICOS-L)、細胞間接着分子(intercellular adhesion molecule、ICAM)、B7-H3と特異的に結合するリガンド、リンホトキシンベータ受容体、MHCクラスI鎖関連タンパク質A(MHC class I chain-related protein A、MICA)、MHCクラスI鎖関連タンパク質B(MHC class I chain-related protein B、MICB)、OX40リガンド、PD-L2、又はプログラム死(programmed death、PD)L1を挙げることができる。共刺激リガンドとしては、限定するものではないが、T細胞上に存在する共刺激分子と特異的に結合する抗体、例えば、限定するものではないが、4-1BB、B7-H3、CD2、CD27、CD28、CD30、CD40、CD7、ICOS、CD83と特異的に結合するリガンド、リンパ球機能関連抗原1(lymphocyte function-associated antigen-1、LFA-1)、ナチュラルキラー細胞受容体C(NKG2C)、OX40、PD-1、又は腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー14(tumor necrosis factor superfamily member 14、TNFSF14又はLIGHT)が挙げられる。
【0071】
「共刺激分子」は、共刺激リガンドと特異的に結合し、それによってT細胞による共刺激応答、例えば、限定するものではないが、増殖を媒介するT細胞上の同族結合パートナーである。共刺激分子には、それだけに限らないが、「共刺激分子」が、共刺激リガンドと特異的に結合し、それによってT細胞による共刺激応答、例えば限定するものではないが、増殖を媒介するT細胞上の同族結合パートナーであることが含まれる。共刺激分子としては、4-1BB/CD137、B7-H3、BAFFR、BLAME(SLAMF8)、BTLA、CD 33、CD 45、CD100(SEMA4D)、CD103、CD134、CD137、CD154、CD16、CD160(BY55)、CD18、CD19、CD19a、CD2、CD22、CD247、CD27、CD276(B7-H3)、CD28、CD29、CD3(アルファ、ベータ、デルタ、イプシロン、ガンマ、ゼータ)、CD30、CD37、CD4、CD4、CD40、CD49a、CD49D、CD49f、CD5、CD64、CD69、CD7、CD80、CD83リガンド、CD84、CD86、CD8アルファ、CD8ベータ、CD9、CD96(Tactile)、CDl-la、CDl-lb、CDl-lc、CDl-ld、CDS、CEACAM1、CRT AM、DAP-10、DNAM1(CD226)、Fcガンマ受容体、GADS、GITR、HVEM(LIGHTR)、IA4、ICAM-1、ICAM-1、ICOS、Igアルファ(CD79a)、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Rアルファ、インテグリン、ITGA4、ITGA4、ITGA6、ITGAD、ITGAE、ITGAL、ITGAM、ITGAX、ITGB2、ITGB7、ITGBl、KIRDS2、LAT、LFA-1、LFA-1、LIGHT、LIGHT(腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー14、TNFSF14)、LTBR、Ly9(CD229)、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1(CDl la/CD18)、MHCクラスI分子、NKG2C、NKG2D、NKp30、NKp44、NKp46、NKp80(KLRF1)、OX40、PAG/Cbp、PD-1、PSGL1、SELPLG(CD162)、シグナル伝達リンパ球活性化分子、SLAM(SLAMF1、CD150;IPO-3)、SLAMF4(CD244;2B4)、SLAMF6(NTB-A、Lyl08)、SLAMF7、SLP-76、TNF、TNFr、TNFR2、Tollリガンド受容体、TRANCE/RANKL、VLA1、又はVLA-6、又はフラグメント、切断、又はそれらの組み合わせが含まれるがこれらに限定されない。
【0072】
「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が同様の側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられるものである。側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野で定義されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、ベータ分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸が含まれる。ある特定の実施形態では、CDR内又はその抗体又はその抗原結合分子のフレームワーク領域内の1つ以上のアミノ酸残基は、同様の側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えることができる。一般に、2つの配列は、対応する位置に保存的アミノ酸置換を含有する場合、概して「実質的に同様」とみなされる。例えば、ある特定のアミノ酸は、概して、「疎水性」又は「親水性」アミノ酸として、及び/又は「極性」又は「非極性」側鎖を有するものとして分類される。同じ種類の別のアミノ酸の置換は、保存的置換とみなされ得る。例示的なアミノ酸分類を以下の表2及び表3に要約する。
【0073】
【0074】
【0075】
「併用療法」は、対象が2つ以上の治療レジメン(例えば、2つ以上の治療部分)に同時に曝露されるそれらの状況を指す。いくつかの実施形態では、2つ以上のレジメンは、同時に投与されてもよく、いくつかの実施形態では、そのようなレジメンは、連続して投与され得(例えば、第1のレジメンの全ての「用量」は、第2のレジメンの任意の用量の投与前に投与される)、いくつかの実施形態では、そのような薬剤は、重複する投与レジメンで投与される。いくつかの実施形態では、併用療法の「投与」は、組み合わせにおいて他の薬剤又はモダリティの投与を受ける対象への1つ以上の薬剤又はモダリティの投与を含み得る。明確にするために、併用療法は、個々の薬剤が単一の組成物で一緒に(又は必然的に同時に)投与されることを必要としないが、いくつかの実施形態では、2つ以上の薬剤又はその活性部分が、組み合わせ組成物で、又は組み合わせ化合物(例えば、単一の化学錯体又は共有結合実体の一部として)でさえ一緒に投与され得る。
【0076】
「に対応する」は、適切な参照分子又は組成物との比較を通して、分子又は組成物中の構造要素の位置/同一性を示すために使用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、ポリマー中のモノマー残基(例えば、ポリペプチド中のアミノ酸残基又はポリヌクレオチド中の核酸残基)が、適切な参照ポリマー中の残基「に対応する」ものとして同定され得る。例えば、単純化の目的のために、ポリペプチド中の残基が、参照関連ポリペプチドに基づく標準的な番号付けシステムを使用して指定されてもよく、その結果、例えば、100位の残基「に対応する」アミノ酸は、それが参照ポリペプチド中の100位に見出される残基に対応する限り、実際にはアミノ酸鎖中の100番目のアミノ酸である必要はない。例えば、本開示によるポリペプチド及び/又は核酸中の「対応する」残基を同定するために利用され得る、例えば、BLAST、CS-BLAST、CUDASW++、DIAMOND、FASTA、GGSEARCH/GLSEARCH、Genoogle、HMMER、HHpred/HHsearch、IDF、Infernal、KLAST、USEARCH、parasail、PSI-BLAST、PSI-Search、ScalaBLAST、Sequilab、SAM、SSEARCH、SWAPHI、SWAPHI-LS、SWIMM、又はSWIPEなどのソフトウェアプログラムを含む、様々な配列アラインメント戦略が利用可能である。
【0077】
抗原と第1の抗原結合分子との間の相互作用が、参照結合分子の抗原と相互作用する能力を遮断、制限、阻害、又はさもなければ低減する場合、抗体、その抗原結合フラグメント、CAR又はTCRなどの抗原結合分子は、抗体又はその抗原結合フラグメントなどの参照結合分子と「交差競合」する。交差競合は、完全であり得、例えば、抗原結合分子の抗原への結合は、参照結合分子の抗原に結合する能力を完全に遮断するか、又は部分的であり得、例えば、抗原結合分子の抗原への結合は、参照抗原結合分子の抗原に結合する能力を低減させる。ある特定の実施形態では、参照抗原結合分子と交差競合する抗原結合分子は、参照抗原結合分子と同じ又は重複するエピトープに結合する。他の実施形態では、参照抗原結合分子と交差競合する抗原結合分子は、参照抗原結合分子とは異なるエピトープに結合する。多くの種類の競合結合アッセイを使用して、1つの抗原結合分子が別の抗原結合分子と競合するかどうかを決定することができる:固相直接又は間接ラジオイムノアッセイ(radioimmunoassay、RIA)、固相直接又は間接酵素イムノアッセイ(enzyme immunoassay、EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(Stahli et al.,1983,Methods in Enzymology 9:242-253)、固相直接ビオチン-アビジンEIA(Kirkland et al.,1986,J.Immunol.137:3614-3619);固相直接標識アッセイ、固相直接標識サンドイッチアッセイ(Harlow and Lane,1988,Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press)、1-125標識を使用する固相直接標識RIA(Morel et al.,1988,Molec.Immunol.25:7-15);固相直接ビオチン-アビジンEIA(Cheung,et al.,1990,Virology 176:546-552)、及び直接標識RIA(Moldenhauer et al.,1990,Scand.J.Immunol.32:77-82)。
【0078】
「サイトカイン」は、特定の抗原との接触に応答して1つの細胞によって放出される非抗体タンパク質を指し、サイトカインは第2の細胞と相互作用して第2の細胞における応答を媒介する。サイトカインは、細胞によって内因的に発現され得、又は対象に投与され得る。サイトカインは、免疫応答を伝播するために、マクロファージ、B細胞、T細胞、及び肥満細胞などの免疫細胞によって放出され得る。サイトカインは、レシピエント細胞において様々な応答を誘導し得る。サイトカインには、恒常性サイトカイン、ケモカイン、炎症誘発性サイトカイン、エフェクター、及び急性期タンパク質が含まれ得る。例えば、インターロイキン(interleukin、IL)7及びIL-15などの恒常性サイトカインは、免疫細胞の生存及び増殖を促進し、炎症誘発性サイトカインは、炎症応答を促進し得る。恒常性サイトカインの例としては、IL-2、IL-4、IL-5、IL-7、IL-10、IL-12p40、IL-12p70、IL-15、及びインターフェロン(IFN)ガンマが挙げられるが、これらに限定されない。炎症誘発性サイトカインの例としては、IL-1a、IL-1b、IL-6、IL-13、IL-17a、腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor、TNF)-アルファ、TNF-ベータ、線維芽細胞増殖因子(fibroblast growth factor、FGF)2、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(granulocyte macrophage colony-stimulating factor、GM-CSF)、可溶性細胞間接着分子1(soluble intercellular adhesion molecule 1、sICAM-1)、可溶性血管接着分子1(soluble vascular adhesion molecule 1、sVCAM-1)、血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor、VEGF)、VEGF-C、VEGF-D、及び胎盤増殖因子(placental growth factor、PLGF)が挙げられるが、これらに限定されない。エフェクターの例としては、グランザイムA、グランザイムB、可溶性Fasリガンド(soluble Fas ligand、sFasL)、及びパーフォリンが挙げられるが、これらに限定されない。急性期タンパク質の例としては、C反応性タンパク質(C-reactive protein、CRP)及び血清アミロイドA(serum amyloid A、SAA)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
「ドメイン」という用語は、実体の一部を指す。いくつかの実施形態では、「ドメイン」は、例えば、ドメインがその親実体の残りから物理的に分離されている場合に、ドメインが構造的及び/又は機能的特徴を実質的に又は完全に保持するように、実体の構造的及び/又は機能的特徴と関連付けられる。いくつかの実施形態では、ドメインは、その(親)実体から分離され、異なる(レシピエント)実体と連結又は接続された場合に、例えば、親実体で特徴付けられる1つ以上の構造的及び/又は機能的特徴をレシピエント実体で実質的に保持及び/又は付与する実体の一部を含み得る。いくつかの実施形態では、ドメインは、分子(例えば、小分子、炭水化物、脂質、核酸、又はポリペプチド)の一部である。いくつかの実施形態では、ドメインはポリペプチドの部分である。いくつかのそのような実施形態では、ドメインは、構造要素(例えば、アミノ酸配列若しくは配列ドメイン、α-ヘリックス特性、β-シート特性、コイルドコイル特性、ランダムコイル特性など)によって、及び/又は機能的特徴(例えば、結合活性、酵素活性、フォールディング活性、シグナル伝達活性など)によって特徴付けられる。
【0080】
「剤形」という用語は、対象に投与するための活性剤(例えば、抗原結合系又は抗体)の物理的に別個の単位を指すために使用され得る。概して、そのような各単位は、所定量の活性剤を含有する。いくつかの実施形態では、そのような量は、関連する集団に投与されたときに所望の又は有益な結果と相関することが決定された投与レジメンに従って投与するのに適切な単位投与量(その全部分)である。対象に投与される治療用組成物又は薬剤の総量は、1人以上の医師によって決定され、2つ以上の剤形の投与を含み得る。
【0081】
「投与レジメン」という用語は、対象に個別に投与される1つ以上の単位用量のセットを指すために使用され得る。いくつかの実施形態では、所与の治療薬は、1つ以上の用量を含み得る推奨投与レジメンを有する。いくつかの実施形態では、投与レジメンは、各々が他の用量から時間的に離されている複数の用量を含む。いくつかの実施形態では、投与レジメンは、複数の用量を含み、連続用量が、等しい長さの期間によって互いに離され、いくつかの実施形態では、投与レジメンは、複数の用量を含み、連続用量は、少なくとも2つの異なる長さの期間によって互いに離される。いくつかの実施形態では、投与レジメン内の全ての用量は、同じ単位用量量である。いくつかの実施形態では、投与レジメン内の異なる用量は、異なる量である。いくつかの実施形態では、投与レジメンは、第1の用量量で第1の用量を含み、続いて、第1の用量量とは異なる第2の用量量で1つ以上の追加用量を含む。いくつかの実施形態では、投与レジメンは、所望の又は有益な結果を達成するように定期的に調整される。
【0082】
「エフェクター細胞」は、1つ以上のFc受容体を発現し、1つ以上のエフェクター機能を媒介する免疫系の細胞を指す。いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は、単球、マクロファージ、好中球、樹状細胞、好酸球、マスト細胞、血小板、大顆粒リンパ球、ランゲルハンス細胞、ナチュラルキラー(natural killer、NK)細胞、Tリンパ球、及びBリンパ球のうちの1つ以上を含み得るが、これらに限定されない。エフェクター細胞は、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、及びサルを含むが、これらに限定されない任意の生物のものであり得る。
【0083】
「エフェクター機能」は、抗体Fc領域とFc受容体又はリガンドとの相互作用の生物学的結果を指す。エフェクター機能は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity、ADCC)、抗体依存性細胞媒介性貪食作用(antibody-dependent cell-mediated phagocytosis、ADCP)、及び補体媒介性細胞傷害(complement-mediated cytotoxicity、CMC)を含むが、これらに限定されない。エフェクター機能は、抗原結合依存性、抗原結合非依存性、又はその両方であり得る。ADCCは、免疫エフェクター細胞による抗体結合標的細胞の溶解を指す。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、ADCCは、概して、Fc受容体(Fc receptor、FcR)を含むエフェクター細胞が、抗体コーティングされた標的細胞(例えば、抗体が結合している抗原をその表面に発現する細胞)を認識し、その後死滅させることに関与すると理解されている。ADCCを媒介するエフェクター細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、好中球、好酸球のうちの1つ以上を含むがこれらに更に限定されない免疫細胞を含み得る。
【0084】
養子細胞移入としても既知であり「eACT(商標)」と略され得る「操作された自己細胞療法」という用語は、患者自身のT細胞を採取し、続いて1つ以上の特定の腫瘍細胞又は悪性腫瘍の細胞表面に発現される1つ以上の抗原を認識して標的化するように遺伝子改変するプロセスである。T細胞又はNK細胞は、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)及び/又はT細胞受容体(TCR)を発現するように操作され得る。いくつかの例において、CAR陽性(+)T細胞又はNK細胞は、少なくとも1つの共刺激ドメイン及び少なくとも1つの活性化ドメインを含む細胞内シグナル伝達部分に連結された特定の腫瘍抗原に特異的な細胞外一本鎖可変フラグメント(scFv)を発現するように操作される。いくつかの例において、CAR陽性(+)T細胞又はNK細胞は、少なくとも1つの共刺激ドメイン及び少なくとも1つの活性化ドメインを含む細胞内シグナル伝達部分に連結された、NKG2D抗原に特異的なNKG2Dの細胞外ドメインを発現するように操作される。共刺激ドメインは、天然に存在する共刺激ドメイン又はそのバリアント、例えば、短縮型ヒンジドメイン(「truncated hinge domain、THD」)を有するバリアントに由来し得、活性化ドメインは、例えば、CD3-ゼータ及び/又はCD3-イプシロンに由来し得る。ある特定の実施形態では、CARは、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の共刺激ドメインを有するように設計されている。
【0085】
いくつかの実施形態では、CARは、共刺激ドメインが別個のポリペプチド鎖として発現されるように操作される。例示的なCAR T細胞療法及び構築物は、米国特許出願公開第2013/0287748号、同第2014/0227237号、同第2014/0099309号、及び同第2014/0050708号に記載されており、これらは参照によりその全体が組み込まれる。「養子細胞療法」又は「Adoptive cell therapy、ACT」は、抗腫瘍活性を有する免疫細胞を対象、例えば、がん患者に移植することを含む。いくつかの実施形態では、ACTは、抗腫瘍活性を有するリンパ球(例えば、操作されたリンパ球)の使用を含む治療アプローチである。
【0086】
「エピトープ」は、抗体が特異的に結合することができる抗原の局在化領域を指す。エピトープは、例えば、ポリペプチドの連続アミノ酸(線形又は連続エピトープ)であり得るか、又はエピトープは、例えば、ポリペプチド又はポリペプチドの2つ以上の非連続領域(立体配座、非線形、不連続、又は非連続エピトープ)からの一緒になり得る。ある特定の実施形態では、抗体が結合するエピトープは、例えば、NMR分光法、X線回折結晶学研究、ELISAアッセイ、質量分析と組み合わせた水素/重水素交換(例えば、液体クロマトグラフィーエレクトロスプレー質量分析)、アレイベースのオリゴペプチドスキャンニングアッセイ、及び/又は変異誘発マッピング(例えば、部位特異的変異誘発マッピング)によって決定することができる。X線結晶学の場合、結晶化は、当該技術分野で既知の方法のいずれかを使用して達成され得る(例えば、Giege R et al.,(1994)Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 50(Pt4):339-350、McPherson A(1990)Eur J Biochem 189:1-23、Chayen NE(1997)Structure 5:1269-1274、McPherson A(1976)J Biol Chem 251:6300-6303)。抗体:抗原結晶は、周知のX線回折技術を使用して研究することができ、X-PLOR(Yale University,1992、Molecular Simulations Inc.によって配布;例えば、Meth Enzymol(1985)volumes 114 & 115,eds Wyckoff HW et al,、米国特許出願公開第2004/0014194号)、及びBUSTER(Bricogne G(1993)Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 49(Pt 1):37-60、Bricogne G(1997)Meth Enzymol 276A:361-423,ed Carter CW、Roversi P et al.,(2000)Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 56(Pt 10):1316-1323を参照されたい)などのコンピュータソフトウェアを使用して精密化することができる。変異誘発マッピング研究は、当業者に既知である任意の方法を使用して達成され得る。例えば、アラニンスキャニング変異誘発技術を含む変異誘発技術の説明についてはChampe M et al.,(1995)J Biol Chem 270:1388-1394及びCunningham BC & Wells JA(1989)Science 244:1081-1085を参照されたい。
【0087】
遺伝子、タンパク質、及び/又は核酸に関する「内因性」とは、免疫細胞などの細胞におけるその遺伝子、タンパク質、及び/又は核酸の天然の存在を指す。
【0088】
「外因性」とは、核酸、遺伝子、又はタンパク質などの薬剤が、例えば、外部供給源から細胞に導入されることを指す。細胞に導入された核酸は、細胞中に天然に見出されるタンパク質をコードする場合であっても外因性である。タンパク質をコードする核酸のかかる外因性導入は、同様の条件下、例えば、外因性核酸の導入なしでの細胞において天然に見出されるレベルを超えてタンパク質の発現を増加させるために使用され得る。
【0089】
「賦形剤」という用語は、例えば、所望の一貫性又は安定化効果を提供する又はそれらに寄与するために、組成物中に含まれ得る薬剤を指す。いくつかの実施形態では、好適な賦形剤は、例えば、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、マルト、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどを含み得る。
【0090】
本明細書に記載の材料又は実体の「フラグメント」又は「部分」は、例えば、物理的実体又は抽象的実体の、全体の個別の部分を含む構造を有する。いくつかの実施形態では、フラグメントは、全体に見られる1つ以上の部分を欠く。いくつかの実施形態では、フラグメントは、全体に見られる特徴的な構造的要素、ドメイン又は部分からなるか、又はそれらを含む。いくつかの実施形態では、ポリマーフラグメントは、ポリマー全体に見られる、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13,14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500以上の単量体単位(例えば、残基)を含むか、又はそれらからなる。いくつかの実施形態では、ポリマーフラグメントは、ポリマー全体に見られる単量体単位(例えば残基)のうちの少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、25%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%以上を含むか、又はそれらからなる(例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)。材料又は実体全体は、いくつかの実施形態では、フラグメントの「親」と称され得る。
【0091】
「融合ポリペプチド」又は「融合タンパク質」という用語は、概して、少なくとも2つのセグメントを含むポリペプチドを指す。概して、2つのセグメントが、(1)同じペプチドに、本質的に含まれていない部分、及び/又は(2)単一のポリペプチドに前もって互いに連結又は接続されていない部分、及び/又は(3)人間の手の作用を通じて互いに連結又は接続されている部分である場合、少なくとも2つのそのようなセグメントを含有するポリペプチドは融合ポリペプチドであるとみなされる。実施形態では、CARは、融合タンパク質である。実施形態では、TCRは、融合タンパク質である。
【0092】
「遺伝子産物」又は「発現産物」という用語は、一般に、遺伝子から転写されたRNA(処理前及び/若しくは処理後)、又は遺伝子から転写されたRNAによってコードされるポリペプチド(改変前及び/若しくは改変後)を指す。
【0093】
「遺伝子操作された」又は「操作された」という用語は、限定するものではないが、コード領域若しくは非コード領域又はその一部を削除すること、又はコード領域若しくはその一部を挿入することなど、細胞のゲノムを改変する方法を指す。いくつかの実施形態では、改変された細胞は、リンパ球、例えば、T細胞又はNK細胞であり、患者又はドナーのいずれかから得ることができる。いくつかの実施形態では、改変された細胞は、T細胞又はNK細胞などのリンパ球に分化することができる人工多能性幹細胞(iPSC)である。細胞は、細胞のゲノムに組み込まれる外因性構築物、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)又はT細胞受容体(TCR)を発現するように改変されてもよい。他の遺伝子編集もまた、例えば、拒絶を減少させるため及び/又は細胞適合性を増強するために行うことができる。操作には、概して、人間の手による操作が含まれる。例えば、ポリヌクレオチドは、自然界ではその順序で連結又は接続されていない2つ以上の配列が、操作されたポリヌクレオチドにおいては互いに直接連結又は接続されるように人間の手によって操作される場合、「操作された」とみなされる。分子生物学の技術による細胞の操作の文脈では、細胞又は生物は、その遺伝情報が変更されるように操作された場合、「操作された」とみなされる(例えば、以前に存在しない新しい遺伝物質が、例えば、形質転換、体細胞ハイブリダイゼーション、トランスフェクション、形質導入、又は他のメカニズムによって導入されているか、又は以前に存在した遺伝物質が、例えば、置換若しくは欠失変異によって、又は他のプロトコルによって変化又は除去される)。いくつかの実施形態では、結合剤は、改変されたリンパ球、例えば、T細胞又はNK細胞であり、患者又はドナーのいずれかから得ることができる。操作された細胞は、細胞のゲノムに組み込まれる外因性構築物、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)又はT細胞受容体(TCR)を発現するように改変され得る。操作されたポリヌクレオチド又は結合剤の子孫は、概して、実際の操作が前の実体で実行されたとしても、「操作された」と称される。いくつかの実施形態では、「操作された」は、設計及び製造された実体を指す。「設計された」という用語は、(i)その構造が人間の手によって選択されるか、若しくはそれによって選択された、(ii)人間の手を必要とするプロセスによって産生される、並びに/又は(iii)天然物質及び他の既知の薬剤とは異なる、薬剤を指す。
【0094】
「T細胞受容体」又は「TCR」は、T細胞の表面上に存在する抗原認識分子を指す。正常なT細胞の発達中に、4つのTCR遺伝子、α、β、γ、及びδの各々は、再配置して非常に多様なTCRタンパク質をもたらすことができる。TCRベースのT細胞療法の例は、国際出願第PCT/US2013/059608号及び同第PCT/US2015/033129号に開示されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0095】
「異種」という用語は、天然に存在する配列以外の任意の供給源に由来することを意味する。例えば、共刺激タンパク質の一部として含まれる異種配列は、野生型ヒト共刺激タンパク質として天然に存在しない、すなわち、野生型ヒト同時刺激タンパク質と整列しないアミノ酸である。例えば、異種ヌクレオチド配列は、野生型ヒト共刺激タンパク質コード配列のヌクレオチド配列以外のヌクレオチド配列を指す。
【0096】
「同一性」という用語とは、ポリマー分子間、例えば、核酸分子間(例えばDNA分子及び/又はRNA分子)、及び/又はポリペプチド分子間の全体的な関連性を指す。提供される2つのポリペプチド配列間の同一性パーセントを計算するための方法が既知である。例えば、2つの核酸又はポリペプチド配列の同一性パーセントの計算は、最適な比較目的のために2つの配列を整列させることによって実行され得る(例えば、ギャップは、最適なアラインメントのために第1及び第2の配列の一方又は両方に導入され得、非同一の配列は、比較目的で無視され得る)。次いで、対応する位置でのヌクレオチド又はアミノ酸が比較される。第1の配列の位置が第2の配列における対応する位置と同じ残基(例えば、ヌクレオチド又はアミノ酸)で占められている場合は、分子はその位置で同一である。2つの配列間の同一性パーセントは、任意選択的に、ギャップの数、及び各ギャップの長さを考慮して、配列によって共有される同一位置の数の関数であり、2つの配列の最適なアラインメントのために導入する必要があり得る。配列の比較又はアラインメント及び2つの配列間の同一性パーセントの決定は、BLAST(基本的なローカルアラインメント検索ツール)などの数学的アルゴリズムを使用して達成され得る。いくつかの実施形態では、ポリマー分子は、それらの配列が、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%同一である場合(例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)、互いに「相同」であるとみなされる。
【0097】
同一性パーセントを計算するために、比較される配列は、典型的には、配列間の最大の一致を与える方法で整列される。同一性パーセントを決定するために使用され得るコンピュータプログラムの一例は、GCGプログラムパッケージであり、これにはGAPが含まれる(Devereux et al.,1984,Nucl.Acid Res.12:387、Genetics Computer Group,University of Wisconsin,Madison,Wis.)。コンピュータアルゴリズムGAPは、配列同一性パーセントが決定されるべき2つのポリペプチド又はポリヌクレオチドを整列させるために使用される。配列は、それぞれのアミノ酸又はヌクレオチド(アルゴリズムによって決定される「一致したスパン」)の最適なマッチングのために整列される。ある特定の実施形態では、標準比較マトリックス(PAM250比較マトリックスについては、Dayhoff et al.,1978,Atlas of Protein Sequence and Structure 5:345-352、BLOSUM62比較マトリックスについては、Henikoff et al.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:10915-10919を参照されたい)も、アルゴリズムで使用される。アミノ酸配列又は核酸配列の比較には他のアルゴリズムも利用可能であり、ヌクレオチド配列用のBLASTN及びアミノ酸配列用のBLASTP、gapped BLAST、及びPSI-BLASTなどの市販のコンピュータプログラムで利用可能なものを含む。例示的なかかるプログラムは、Altschul,et al.,Basic local alignment search tool,J.Mol.Biol.,215(3):403-410,1990、Altschul,et al.,Methods in Enzymology、Altschul,et al.,「Gapped BLAST and PSI-BLAST:a new generation of protein database search programs,」Nucleic Acids Res.25:3389-3402,1997、Baxevanis,et al.,Bioinformatics:A Practical Guide to the Analysis of Genes and Proteins,Wiley,1998、及びMisener,et al.,(eds.),Bioinformatics Methods and Protocols(Methods in Molecular Biology,Vol.132),Humana Press,1999に記載されている。類似の配列を特定することに加えて、上記のプログラムは、概して、類似度の指標を提供する。いくつかの実施形態では、対応する残基の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又はそれ以上が、関連するひと続き(relevant stretch)の残基にわたって類似及び/又は同一である場合(例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)、2つの配列は、実質的に類似しているとみなされる。いくつかの実施形態では、関連するひと続きは完全な配列である。いくつかの実施形態では、関連するひと続きは、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも125、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、少なくとも225、少なくとも250、少なくとも275、少なくとも300、少なくとも325、少なくとも350、少なくとも375、少なくとも400、少なくとも425、少なくとも450、少なくとも475、少なくとも500以上の残基である。実質的な配列類似性を有する配列は、互いに相同体であり得る。
【0098】
「実質的同一性」又は「実質的に同一」という用語は、核酸又はそのフラグメントに言及する場合、別の核酸(又はその相補鎖)と適切なヌクレオチド挿入又は欠失を伴って最適に整列させた場合、以下に考察するように、FASTA、BLAST、又はGapなどの配列同一性の任意の周知のアルゴリズムによって測定して、ヌクレオチド塩基の少なくとも約95%、より好ましくは少なくとも約96%、97%、98%、又は99%のヌクレオチド配列同一性が存在することを示す。参照核酸分子に対して実質的同一性を有する核酸分子は、ある特定の例では、参照核酸分子によってコードされるポリペプチドと同じ又は実質的に類似のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードし得る。
【0099】
ポリペプチドに適用される場合、「実質的類似性」又は「実質的に類似」という用語は、2つのペプチド配列が、デフォルトギャップ重みを使用するプログラムGAP又はBESTFITなどによって最適に整列された場合に、少なくとも95%の配列同一性、更により好ましくは少なくとも98%又は99%の配列同一性を共有することを意味する。好ましくは、同一でない残基位置は、保存的アミノ酸置換によって異なる。
【0100】
「改善する」、「増加させる」、「阻害する」及び「低減する」という用語は、ベースライン又は他の参照基準値に対する値を示す。いくつかの実施形態では、適切な基準測定値は、薬剤若しくは治療の非存在下(例えば、前及び/若しくは後)、又は適切な同等の参照薬剤の存在下で、それ以外は同等の条件下での特定の系における(例えば、単一の個体における)測定を含み得る。いくつかの実施形態では、適切な基準測定値は、関連する薬剤又は治療の存在下で、同等の方法で応答することが既知であるか又は予想される同等の系での測定を含み得る。
【0101】
「免疫応答」は、免疫系の細胞(例えば、Tリンパ球、Bリンパ球、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、好酸球、肥満細胞、樹状細胞及び好中球)及びこれらの細胞又は肝臓のいずれかによって産生される可溶性巨大分子(Ab、サイトカイン及び補体を含む)の作用であって、侵入している病原体、病原体に感染した細胞若しくは組織、がん性若しくは他の異常な細胞、又は自己免疫若しくは病理学的炎症の場合には正常なヒト細胞若しくは組織の、選択的標的化、結合、損傷、破壊、及び/又は脊椎動物の体からの排除をもたらす作用を指す。
【0102】
「免疫療法」という用語は、免疫応答を誘導する、増強する、抑制する又は他の様態で改変すること、を含む、方法による、疾患に罹患しているか、又は疾患に罹患するか若しくは再発するリスクがある対象の治療を指す。免疫療法の例としては、限定するものではないが、NK細胞及びT細胞療法が挙げられる。T細胞療法は、養子T細胞療法、腫瘍浸潤リンパ球(tumor-infiltrating lymphocyte、TIL)免疫療法、自己細胞療法、操作された自己細胞療法(eACT(商標))、及び同種異系T細胞移植を含み得る。しかしながら、当業者は、本明細書に開示される前処置方法が任意の移植T細胞療法の有効性を高めることを理解するであろう。T細胞療法の例は、米国特許出願公開第2014/0154228号及び同第2002/0006409号、米国特許第5,728,388号、及び国際公開第2008/081035号に記載されている。TCRベースのT細胞療法の例は、国際出願第PCT/US2013/059608号及び同第PCT/US2015/033129号に開示されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0103】
免疫療法のT細胞又はNK細胞は、当該技術分野で既知の任意の供給源に由来し得る。例えば、造血幹細胞集団(例えば、iPSCs)からインビトロでT細胞及びNK細胞を分化させることができ、又は対象から得ることができる。T細胞及びNK細胞は、例えば、末梢血単核細胞(peripheral blood mononuclear cells、PBMC)、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位からの組織、腹水、胸水、脾臓組織、及び腫瘍から得られ得る。更に、T細胞は、当該技術分野で利用可能な1つ以上のT細胞株に由来し得る。T細胞はまた、FICOLL(商標)分離及び/又はアフェレーシスなどの当業者に既知の様々な技術を使用して、対象から採取された血液単位から得ることができる。T細胞療法のためにT細胞を単離する更なる方法は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2013/0287748号に開示されている。
【0104】
「インビトロ」という用語は、多細胞生物内ではなく、人工環境、例えば試験管、反応容器、細胞培養などで起こる事象を指す。「インビトロ細胞」という用語は、エクスビボで培養される任意の細胞を指す。特に、インビトロ細胞は、T細胞又はNK細胞を含み得る。「インビボ」という用語は、ヒト又は非ヒト動物などの多細胞生物内で起こる事象を指す。
【0105】
「単離された」という用語は、(1)物質が以前に会合していたか、又は別様には物質が会合していたであろう、少なくとも一部の成分から分離されている物質、及び/又は(2)限定された若しくは定義された量又は濃度の1つ以上の既知又は未知の夾雑物質を含む組成物中に存在する物質を指す。単離された物質は、いくつかの実施形態では、物質が以前に会合していた、物質ではない他の成分、例えばその物質が以前に又は別様には会合したであろう他の成分又は夾雑物質の、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約99%超(例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)から分離されてもよい。ある特定の例では、物質は、それが、限定された若しくは低減された量又は濃度の同じ又は類似の種類の分子を含む組成物中に存在する場合に、単離される。例えば、ある特定の例では、核酸、DNA、又はRNA物質は、それらが、限定された若しくは低減された量又は濃度の物質ではない核酸、DNA、又はRNA分子を含む組成物中に存在する場合に、単離される。例えば、ある特定の例では、ポリペプチド物質は、それが限定された若しくは低減された量又は濃度の物質ではないポリペプチド分子を含む組成物中に存在する場合に、単離される。ある特定の実施形態では、量は、例えば、組成物中に存在する所望の物質の量に対して測定された量であり得る。ある特定の実施形態では、限定された量は、組成物中の物質の量の100%以下である量、例えば、組成物中の物質の量の1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は95%以下(例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)である量であってもよい。ある特定の例では、組成物は、選択された物質に関して純粋又は実質的に純粋である。いくつかの実施形態では、単離された物質は、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約99%超(例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)の純度である。物質は、他の成分又は夾雑物質を実質的に含まない場合、「純粋」である。いくつかの実施形態では、物質は、例えば、1つ以上の担体又は賦形剤など(例えば、緩衝液、溶媒、水など)のある特定の他の成分と組み合わされた後であっても、まだ「単離された」又は「純粋な」とみなされてもよく、そのような実施形態では、物質の単離又は純度パーセントは、そのような担体又は賦形剤を含まずに計算される。
【0106】
「リンカー」(L)又は「リンカードメイン」又は「リンカー領域」は、例えば、CAR、TCR、及び/若しくはscFvのドメイン/領域のいずれか、又はこれらのポリペプチドの多くのうちのいつも1つを一緒に連結する、約1~100アミノ酸長のオリゴ又はポリペプチド領域を指す。リンカーは、隣接するタンパク質ドメインが互いに対して自由に移動するように、グリシン及びセリンのような柔軟な残基から構成され得る。2つの隣接するドメインが互いに立体的に干渉しないことを確実にすることが望ましい場合には、より長いリンカーを使用してもよい。リンカーは、切断可能であっても切断不可能であってもよい。切断可能なリンカーの例としては、2Aリンカー(例えば、T2A)、2A様リンカー又はそれらの機能的等価物、及びそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、リンカーは、ピコルナウイルス2A様リンカー、ブタテッショウウイルス(P2A)、ウイルス(T2A)のCHYSEL配列(配列番号1)、又はそれらの組み合わせ、バリアント及び機能的等価物を含む。他の実施形態では、リンカー配列は、2Aグリシンと2Bプロリンとの間の切断をもたらす、Asp-Val/Ile-Glu-X-Asn-Pro-Gly(2A)-Pro(2B)ドメイン(配列番号2)を含み得る。他のリンカーは当業者に明らかであり、本開示に関連して使用され得る。リンカーは、異なる要素を互いに接続する多要素薬剤の一部であり得る。例えば、2つ以上の機能的又は構造的ドメインを含むポリペプチドは、それらを互いに連結する、かかるドメイン間のアミノ酸のストレッチを含み得る。いくつかの実施形態では、リンカー要素を含むポリペプチドは、一般形態S1-L-S2の全体構造を有し、S1及びS2は、同じであっても異なっていてもよく、リンカーによって互いに関連付けられた2つのドメインを表す。リンカーは、CAR又はTCRのドメイン/領域のいずれかを一緒に接続又は連結し得る。いくつかの実施形態では、ポリペプチドリンカーは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100又はそれを超えるアミノ酸長(例えば、1~10、1~20、1~30、1~40、1~50、1~60、1~70、1~80、1~90、1~100、10~20、10~30、10~40、10~50、10~60、10~70、10~80、10~90、又は10~100アミノ酸長)である。いくつかの実施形態では、リンカーは、剛直な三次元構造をとらない傾向があり、代わりにポリペプチドに柔軟性を提供することを特徴とする。別の例において、それは、CAR及び/又はTCRなどの、発現される又は多くのポリペプチドに接続するために使用され得る。
【0107】
他のリンカーとしては、切断可能でないリンカーが挙げられる。本発明を実現するために、「フレキシブルなリンカー」を含む多数のリンカーが用いられる。後者は、グリシンに富んでいる。Klein et al.,Protein Engineering,Design & Selection Vol.27,No.10,pp.325-330,2014、Priyanka et al.,Protein Sci.,2013 Feb;22(2):153-167。
【0108】
いくつかの実施形態では、リンカーは、合成リンカーである。合成リンカーは、約10アミノ酸~約200アミノ酸、例えば、10~25アミノ酸、25~50アミノ酸、50~75アミノ酸、75~100アミノ酸、100~125アミノ酸、125~150アミノ酸、150~175アミノ酸、又は175~200アミノ酸の長さを有し得る。合成リンカーは、10~30アミノ酸、例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30アミノ酸の長さを有し得る。合成リンカーは、30~50アミノ酸、例えば、30~35アミノ酸、35~40アミノ酸、40~45アミノ酸、又は45~50アミノ酸の長さを有し得る。
【0109】
いくつかの実施形態では、リンカーは、フレキシブルなリンカーである。いくつかの実施形態では、リンカーは、グリシン(Gly又はG)残基が豊富である。いくつかの実施形態では、リンカーは、セリン(Ser又はS)残基が豊富である。いくつかの実施形態では、リンカーは、グリシン及びセリン残基が豊富である。
【0110】
「リンパ球」という用語には、ナチュラルキラー(NK)細胞、T細胞、又はB細胞が含まれる。NK細胞は、遺伝免疫系の構成要素を代表する細胞傷害性(細胞毒性)リンパ球の一種である。NK細胞は、腫瘍及びウイルスに感染した細胞を拒絶する。それは、アポトーシス又はプログラム細胞死の過程を通して作用する。それらは、細胞を死滅させるために活性化を必要としないので、「ナチュラルキラー」と呼ばれた。T細胞は、細胞媒介免疫(抗体関与なし)において役割を果たす。そのT細胞受容体(TCR)は、他のリンパ球型から分化する。免疫系の分化した器官である胸腺は、主にT細胞の成熟化を担う。6つの種類のT細胞、すなわち、ヘルパーT細胞(例えば、CD4+細胞)、細胞傷害性T細胞(TC、細胞傷害性Tリンパ球、CTL、Tキラー細胞、細胞溶解性T細胞、CD8+T細胞又はキラーT細胞としても既知である)、メモリーT細胞((i)幹メモリーTSCM細胞は、ナイーブ細胞と同様に、CD45RO-、CCR7+、CD45RA+、CD62L+(L-セレクチン)、CD27+、CD28+及びIL-7Rα+であるが、それらは、大量のCD95、IL-2Rβ、CXCR3及びLFA-1も発現し、メモリー細胞独特の多数の機能的属性を示す)、(ii)セントラルメモリーTCM細胞は、L-セレクチン及びCCR7を発現し、IL-2を分泌するが、それらは、IFNγ又はIL-4を分泌しない、(iii)エフェクターメモリーTEM細胞は、L-セレクチン又はCCR7を発現せず、IFNγ及びIL-4などのエフェクターサイトカインを産生する)、制御性T細胞(Treg、サプレッサーT細胞、又はCD4+CD25+制御性T細胞)、ナチュラルキラーT細胞(Natural Killer T cells、NKT)及びガンマデルタT細胞が存在する。一方、B細胞は、体液性免疫(抗体の関与を伴う)において役割を果たす。B細胞は、抗体及び抗原を産生し、抗原提示細胞(APC)の役割を果たし、抗原相互作用による活性化後にメモリーB細胞に変わる。哺乳動物では、未成熟B細胞は骨髄で形成され、その名称はここに由来する。
【0111】
「中和する」という用語は、リガンドに結合し、そのリガンドの生物学的作用を防止又は低減する抗原結合分子、scFv、抗体、又はそのフラグメントを指す。いくつかの実施形態では、抗原結合分子、scFv、抗体、又はそのフラグメントは、リガンド上の結合部位を直接遮断するか、さもなければ間接的手段(リガンドの構造的又はエネルギー的変化など)を介して結合するリガンドの能力を変化させる。いくつかの実施形態では、抗原結合分子、scFv、抗体、又はそのフラグメントは、それが結合しているタンパク質が生物学的機能を果たすのを妨げる。
【0112】
「核酸」は、ヌクレオチドの任意のポリマー鎖を指す。核酸は、DNA、RNA、又はそれらの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、核酸は、1つ以上の天然核酸残基を含む。いくつかの実施形態では、核酸は、1つ以上の核酸類似体から構成される。いくつかの実施形態では、核酸は、天然源からの単離、相補的鋳型に基づく重合による酵素的合成(インビボ又はインビトロ)、組換え細胞又は系での再生、及び化学合成のうちの1つ以上によって調製される。いくつかの実施形態では、核酸は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、20、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、又はそれ以上の残基(例えば、20~100、20~500、20~1000、20~2000、又は20~5000、又はそれ以上の残基)の長さである。いくつかの実施形態では、核酸は、部分的又は全体的に一本鎖であり、いくつかの実施形態では、核酸は、部分的又は全体的に二本鎖である。いくつかの実施形態では、核酸は、ポリペプチドをコードする、又はポリペプチドをコードする配列の相補体である、少なくとも1つの要素を含むヌクレオチド配列を有する。
【0113】
「作動可能に連結された」とは、記載された構成要素がそれらの意図された様式で機能することを可能にする関係にある並置を指す。例えば、機能要素に「作動可能に連結された」制御要素は、機能要素の発現及び/又は活性が、制御要素と適合性のある条件下で達成されるように関連付けられる。実施形態では、プロモーターは、核酸へと作動可能に連結されている。
【0114】
「患者」は、がん(例えば、多発性骨髄腫)に罹患している任意のヒトを含む。「対象」及び「患者」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0115】
「ペプチド」、「ポリペプチド」、及び「タンパク質」という用語は互換的に使用され、ペプチド結合によって共有結合したアミノ酸残基から構成される化合物を指す。タンパク質又はペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸を含有し、タンパク質又はペプチドの配列を構成できるアミノ酸の最大数に制限はない。ポリペプチドは、ペプチド結合によって互いに結合した2つ以上のアミノ酸を含む任意のペプチド又はタンパク質を含む。本明細書で使用される場合、この用語は、例えば、当該技術分野で一般にペプチド、オリゴペプチド及びオリゴマーとも称される短鎖と、当該技術分野で概してタンパク質と称される長鎖の両方を指し、そのうち多くの種類がある。「ポリペプチド」には、例えば、とりわけ、生物学的に活性なフラグメント、実質的に相同なポリペプチド、オリゴペプチド、ホモ二量体、ヘテロ二量体、ポリペプチドのバリアント、改変ポリペプチド、誘導体、類似体、融合タンパク質が含まれる。ポリペプチドには、天然ペプチド、組換えペプチド、合成ペプチド、又はそれらの組み合わせが含まれる。
【0116】
「薬学的に許容される」という用語は、レシピエントに投与される場合、そのレシピエントに有害ではないか、又はそのレシピエントに対する利益が有害な影響を上回る、分子又は組成物を指す。本明細書に開示される組成物を製剤化するために使用される担体、希釈剤、又は賦形剤に関して、薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤は、組成物の他の成分と適合でなければならず、そのレシピエントに有害ではないか、又はレシピエントに対する利益がいかなる有害な影響をも上回る必要がある。「薬学的に許容される担体」という用語は、身体のある部分から別の部分への(例えば、ある臓器から別の臓器への)薬剤の運搬又は輸送に関与する、液体若しくは固体充填剤、希釈剤、賦形剤、又は溶媒封入材料などの薬学的に許容される材料、組成物、又はビヒクルを意味する。医薬組成物中に存在する各担体は、製剤の他の成分と適合性があり、患者に有害ではないという意味で「許容可能」でなければならず、又はレシピエントに対する利益が有害な影響を上回る必要がある。薬学的に許容される担体として機能し得る材料のいくつかの例は、ラクトース、グルコース、及びスクロースなどの糖;トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプンなどのデンプン;セルロース、並びにカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、及び酢酸セルロースなどのその誘導体;トラガント末;麦芽;ゼラチン;タルク;カカオバター及び坐剤ワックスなどの賦形剤;落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、大豆油などの油;プロピレングリコールなどのグリコール;グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコールなどのポリオール;オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張性生理食塩水;リンゲル液、エチルアルコール;pH緩衝溶液;ポリエステル、ポリカーボネート及び/又はポリ無水物;並びに医薬製剤に用いられる他の非毒性の適合性物質、を含む。
【0117】
「医薬組成物」という用語は、活性剤が1つ以上の薬学的に許容される担体と一緒に製剤化される組成物を指す。いくつかの実施形態では、活性剤は、関連する対象又は集団に投与されたときに所定の治療効果を達成する統計的に有意な確率を示す治療レジメンにおける投与に適した単位用量量で存在する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、固体又は液体形態での投与のために製剤化されてもよく、これらに限定されないが、以下に対し適合された形態を含む:経口投与、例えば、水薬(水性若しくは非水溶液又は懸濁液)、錠剤、例えば、バッカル、舌下、及び全身吸収を標的とするもの、ボーラス、粉末剤、顆粒剤、舌に適用するためのペースト;非経口投与、例えば、滅菌溶液若しくは懸濁液、又は持続放出製剤としての例えば、皮下、筋肉内、静脈内、又は硬膜外注射による;局所投与、例えば、皮膚、肺、又は口腔に塗布される、クリーム、軟膏、又は徐放性パッチ又はスプレーとして;膣内又は直腸内、例えば、ペッサリー、クリーム、又は泡状物質(foam)として;舌下;眼に対する;経皮的;あるいは経鼻的、肺、及び他の粘膜表面に対するもの。
【0118】
「増殖」という用語は、細胞の対称的又は非対称的な分裂のいずれかで、細胞分裂の増加を指す。いくつかの実施形態では、「増殖」は、T細胞の対称的又は非対称的な分裂を指す。「増殖増加」は、非処理試料中の細胞と比較して、処理された試料中の細胞数が増加すると発生する。
【0119】
「参照」という用語は、比較が実施される標準又は対照を記載する。例えば、いくつかの実施形態では、目的の薬剤、動物、個体、集団、試料、配列、又は値は、薬剤、動物、個体、集団、試料、配列、又は値である参照又は対照と比較される。いくつかの実施形態では、参照又は対照は、目的の試験、測定、又は決定と実質的に同時に試験、測定、及び/又は決定される。いくつかの実施形態では、参照又は対照は、任意選択的に有形的媒体で具現化された過去からの参照又は対照である。概して、参照又は対照は、評価下にあるものと同等の条件又は状況下で決定又は特徴付けられる。類似性が、選択された参照又は対照に対する依存性及び/又はそれとの比較を正当とするのに十分である場合。
【0120】
「制御性T細胞」(「Treg」、「Treg細胞」、又は「Treg」)は、特定の免疫活性、例えば、自己免疫、アレルギー、及び感染に対する応答の制御に関与するCD4+Tリンパ球の系統を指す。制御性T細胞は、T細胞集団の活性を調節することができ、特定の自然免疫系細胞型に影響を及ぼすこともできる。Tregは、バイオマーカーCD4、CD25及びFoxp3の発現、並びにCD127の低発現によって同定され得る。天然に存在するTreg細胞は、通常、末梢CD4+Tリンパ球の約5~10%を構成する。しかしながら、腫瘍微小環境内のTreg細胞(すなわち、腫瘍浸潤性Treg細胞)は、全CD4+Tリンパ球集団の20~30%ものTreg細胞を構成し得る。
【0121】
「試料」という用語は、一般に、目的の供給源から得られた、又はこれに由来する材料のアリコートを指す。いくつかの実施形態では、目的の供給源は、生物学的供給源又は環境的供給源である。いくつかの実施形態では、目的の供給源は、細胞集団、組織、又は動物(例えば、ヒト)などの細胞又は生物を含み得る。いくつかの実施形態では、目的の供給源は、生物学的組織又は流体を含む。いくつかの実施形態では、生物学的組織又は流体は、羊水、房水、腹水、胆汁、骨髄、血液、母乳、脳脊髄液、耳垢、乳糜、糜粥、射精液、内リンパ液、滲出液、糞便、胃酸、胃液、リンパ液、粘液、心嚢液、外リンパ液、腹水、胸水、膿、カタル性分泌物、唾液、皮脂、精液、漿液、恥垢、痰、滑液、汗、涙、尿、膣分泌物、硝子体液、嘔吐物、及び/又はそれらの組み合わせ若しくは成分を含み得る。いくつかの実施形態では、生物学的流体は、細胞内液、細胞外液、脈管内流体(血漿)、間質液、リンパ液、及び/又は細胞通過液を含み得る。いくつかの実施形態では、生物学的流体は、植物滲出物を含み得る。いくつかの実施形態では、生物学的組織又は試料は、例えば、吸引、生検(例えば、細針又は組織生検)、スワブ(例えば、口腔スワブ、鼻腔スワブ、皮膚スワブ又は膣スワブ)、掻き取り、手術、洗浄(例えば気管支肺胞、管、鼻腔、眼、口腔、子宮、膣又は他の洗浄)によって得ることができる。いくつかの実施形態では、生物学的試料は、個体から得られた細胞を含む。いくつかの実施形態では、試料は、任意の適切な手段によって目的の供給源から直接得られた「一次試料」である。いくつかの実施形態では、文脈から明らかなように、「試料」という用語は、一次試料を処理することによって(例えば、一次試料の1つ以上の成分を除去することによって、及び/又は一次試料に1つ以上の薬剤を添加することによって)得られる調製物を指す。そのような「処理された試料」は、例えば、試料から抽出された、あるいは一次試料を核酸の増幅又は逆転写、特定の成分の単離及び/又は精製などの1つ以上の技法に供すること等によって得られた核酸又はタンパク質を含み得る。
【0122】
「一本鎖可変フラグメント」、「単鎖抗体可変フラグメント」又は「scFv」抗体は、リンカーペプチドによって連結された重鎖及び軽鎖のみの可変領域を含む抗体の形態を指す。
【0123】
「がんの病期」という用語は、がんの進行のレベルの定性的又は定量的評価を指す。いくつかの実施形態では、がんの病期を決定するために使用される基準は、がんが身体のどこに位置するか、腫瘍サイズ、がんがリンパ節に広がっているかどうか、がんが身体の1つ以上の異なる部分に広がっているかどうかなどのうちの1つ以上を含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、いわゆるTNMシステムを使用して病期分類され得、これによると、Tは、通常は原発腫瘍と呼ばれる主な腫瘍のサイズ及び範囲を指し、Nは、がんを有する近くのリンパ節の数を指し、Mは、がんが転移したかどうかを指す。いくつかの実施形態では、がんは、ステージ0(異常細胞が近くの組織に拡散せずに存在し、がん腫インサイチュ又はCISとも呼ばれ、CISは、がんではないが、がんになり得る)、ステージI~III(がんが存在し、数が大きいほど、腫瘍が大きくなり、近くの組織に広がっている)、又はステージIV(がんが身体の離れた部分に広がっている)と称され得る。いくつかの実施形態では、がんは、以下からなる群から選択される病期に割り当てられ得る:インサイチュ、限局性(がんはそれが始まった場所に限定され、それが広がった徴候はない)、局所(がんが近くのリンパ節、組織、又は器官に広がっている):遠位(がんが身体の離れた部分に広がっている)、及び未知(病期を決定するための十分な情報がない)。
【0124】
「刺激」は、刺激分子とその同族リガンドとの結合によって誘導される一次応答を指し、結合はシグナル伝達事象を媒介する。「刺激分子」は、抗原存在細胞上に存在する同族刺激リガンドと特異的に結合する、T細胞上の分子、例えば、T細胞受容体(TCR)/CD3複合体である。「刺激リガンド」は、抗原提示細胞(例えば、APC、樹状細胞、B細胞など)上に存在する場合、T細胞上の刺激分子と特異的に結合し、それによって、限定するものではないが、活性化、免疫応答の開始、増殖などの、T細胞による一次応答を媒介し得るリガンドである。刺激リガンドには、抗CD3抗体(OKT3など)、ペプチドを負荷したMHCクラスI分子、スーパーアゴニスト抗CD2抗体、及びスーパーアゴニスト抗CD28抗体が含まれるが、これらに限定されない。
【0125】
「治療薬」という語句は、生物に投与された場合に所望の薬理学的効果を誘発する任意の薬剤を指し得る。いくつかの実施形態では、薬剤は、適切な集団にわたって統計学的に有意な効果を示す場合には、治療薬であるとみなされる。いくつかの実施形態では、適切な集団は、モデル生物又はヒト対象の集団であり得る。いくつかの実施形態では、適切な集団は、バイオマーカーの有無等に応じて、特定の年齢群、性別、遺伝的背景、既存の臨床状態などの様々な基準によって定義することができる。いくつかの実施形態では、治療薬は、疾患、障害、及び/又は状態の1つ以上の症状又は特徴の緩和、改善、軽減、阻害、予防、発症の遅延、重症度の低減、及び/又は発生率の低減に使用することができる物質である。いくつかの実施形態では、治療薬は、ヒトへの投与のために市販され得る前に、政府機関によって承認されているか、又は承認される必要がある薬剤である。いくつかの実施形態では、治療薬は、ヒトへの投与のために医学的処方が必要とされる薬剤である。
【0126】
治療剤、例えば、操作されたCAR T細胞又はNK細胞の「治療有効量」、「有効用量」、「有効量」又は「治療有効投与量」は、単独で又は別の治療薬と組み合わせて使用された場合に、対象を疾患の発症から保護するか、あるいは、疾患症状の重症度の低下、疾患症状のない期間の頻度及び期間の増加、又は疾患の罹患に起因する障害若しくは能力障害の予防によって証明される疾患の退縮を促進する任意の量である。疾患の退縮を促進する治療剤の能力は、臨床試験中のヒト対象において、ヒトにおける有効性を予測する動物モデル系において、又はインビトロアッセイにおいて薬剤の活性をアッセイすることによってなど、当業者に既知の様々な方法を使用して評価され得る。
【0127】
「形質導入」及び「形質導入された」という用語は、外来DNAがウイルスベクターを介して細胞に導入される過程を指す(Jones et al.,「Genetics:principles and analysis,」Boston:Jones & Bartlett Publ.(1998)を参照されたい)。いくつかの実施形態では、ベクターは、レトロウイルスベクター、DNAベクター、RNAベクター、アデノウイルスベクター、バキュロウイルスベクター、エプスタインバーウイルスベクター、パポバウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、単純ヘルペスウイルスベクター、アデノウイルス関連ベクター、レンチウイルスベクター、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0128】
「形質転換」は、外因性DNAが宿主細胞に導入される任意のプロセスを指す。変換は、様々な方法を使用して、天然又は人工条件下で起こり得る。形質転換は、原核宿主細胞又は真核宿主細胞への外来核酸配列の挿入のための任意の既知の方法を使用して達成され得る。いくつかの実施形態では、いくつかの形質転換方法論は、形質転換される宿主細胞及び/又は挿入される核酸に基づいて選択される。形質転換の方法は、ウイルス感染、エレクトロポレーション、及びリポフェクションを含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、「形質転換された」細胞は、挿入されたDNAが、自律的に複製するプラスミド又は宿主染色体の一部として複製することができるという点で安定的に形質転換される。いくつかの実施形態では、形質転換細胞は、導入された核酸を発現し得る。
【0129】
対象の「治療」又は「治療すること」は、症状、合併症若しくは状態、又は疾患に関連する生化学的徴候の発症、進行、発展、重症度若しくは再発を逆転、緩和、改善、阻害、減速又は予防することを目的として、対象に対して行われる任意の種類の介入若しくはプロセス、又は対象への活性剤の投与を指す。一実施形態では、「治療」又は「治療すること」は、部分寛解を含む。別の実施形態では、「治療」又は「治療すること」は、完全寛解を含む。いくつかの実施形態では、治療は、関連する疾患、障害及び/若しくは状態の徴候を示さない対象、並びに/又は疾患、障害及び/若しくは状態の初期徴候のみを示す対象の治療であり得る。いくつかの実施形態では、そのような治療は、関連する疾患、障害及び/又は状態の1つ以上の確定的な徴候を示す対象の治療であり得る。いくつかの実施形態では、治療は、関連する疾患、障害、及び/又は状態に罹患していると診断された対象の治療であり得る。いくつかの実施形態では、治療は、関連する疾患、障害、及び/又は状態の発症のリスクの増加と統計的に相関する1つ以上の感受性因子を有することが既知である対象の治療であり得る。
【0130】
「ベクター」という用語は、提供される核酸配列を含むか、又は組み込むように改変されたレシピエント核酸分子を指す。ベクターの1つのタイプは、追加のDNAがライゲーションされ得る環状二本鎖DNA分子を指す「プラスミド」である。別の種類のベクターは、ウイルスベクターであり、追加のDNAセグメントは、ウイルスゲノムにライゲーションされ得る。ある特定のベクターは、それらが導入される宿主細胞で自律複製することができる(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクター及びエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノムに組み込まれてもよく、それによって宿主ゲノムと共に複製される。更に、ある特定のベクターは、それらが作動可能に連結されている挿入遺伝子の発現を指示する配列を含む。そのようなベクターは、本明細書で「発現ベクター」と称され得る。標準技術が、ベクターの操作に使用することができ、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989))に見られ、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0131】
「配列」という用語は、DNA又はRNAであり得る任意の長さのヌクレオチド配列を指し、直鎖状、環状又は分岐状であり得、一本鎖又は二本鎖のいずれかであり得る。「ドナー配列」という用語は、ゲノムに挿入されるヌクレオチド配列を指す。ドナー配列は、任意の長さ、例えば、2~10,000ヌクレオチド長(又はその間若しくはそれを超える任意の整数値)、好ましくは約100~1,000ヌクレオチド長(又はその間の任意の整数)、より好ましくは約200~500ヌクレオチド長のものであり得る。
【0132】
本開示の目的のための「遺伝子」は、遺伝子産物をコードするDNA領域(以下を参照)、及び遺伝子産物の産生を調節する全てのDNA領域を含み、かかる調節配列がコード配列及び/又は転写配列に隣接するか否かにかかわらない。したがって、遺伝子は、プロモーター配列、ターミネーター、リボソーム結合部位及び内部リボソーム進入部位などの翻訳調節配列、エンハンサー、サイレンサー、インスレーター、境界エレメント、複製起点、マトリックス付着部位及び遺伝子座制御領域を含むが、必ずしもこれらに限定されない。
【0133】
「膜貫通ドメイン」は、哺乳動物細胞において発現された場合に対応する内因性ポリペプチド中に存在する場合、脂質二重層を横断する少なくとも1つの連続するアミノ酸配列を含むポリペプチドのドメインである。例えば、膜貫通ドメインは、哺乳動物細胞において発現された場合に対応する内因性ポリペプチド中に存在する場合、各々が脂質二重層を横断する、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の連続するアミノ酸配列を含み得る。膜貫通ドメインは、例えば、脂質二重層においてαヘリックス二次構造を有する少なくとも1つ(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個)の連続するアミノ酸配列(哺乳動物細胞において発現された場合に対応する内因性ポリペプチド中に存在する場合、脂質二重層を横断する)を含み得る。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、脂質二重層においてβバレル二次構造を形成する2つ以上の連続するアミノ酸配列(哺乳動物細胞において発現された場合に対応する内因性ポリペプチド中に存在する場合、各々が脂質二重層を横断する)を含み得る。膜貫通ドメインの非限定的な例は、本明細書に記載されている。膜貫通ドメインの更なる例は、当該技術分野で既知である。
【0134】
「原形質膜の細胞外側」という語句は、ポリペプチドの位置を説明するために使用される場合、ポリペプチドが、原形質膜を横断する少なくとも1つの膜貫通ドメインと、細胞外空間に位置する少なくとも1つのドメイン(例えば、少なくとも1つの抗原結合ドメイン)とを含むことを意味する。
【0135】
本開示は、特に反対に示されない限り、当該技術分野の技術の範囲内である、化学、生化学、有機化学、分子生物学、微生物学、組換えDNA技術、遺伝学、免疫学、及び細胞生物学の方法を用いることができ、その多くは、例示の目的で以下に記載される。そのような技術は、文献において完全に説明されている。例えば、Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(3rd Edition,2001)、Maniatis et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(1982)、Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley and Sons,updated July 2008)、Short Protocols in Molecular Biology:A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associates and Wiley-Interscience、Glover,DNA Cloning:A Practical Approach,vol.I & II(IRL Press,Oxford,1985)、Anand,Techniques for the Analysis of Complex Genomes,(Academic Press,New York,1992)、Transcription and Translation(B.Hames & S.Higgins,Eds.,1984)、Perbal,A Practical Guide to Molecular Cloning(1984)、Harlow and Lane,Antibodies,(Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1998)Current Protocols in Immunology Q.E.Coligan,A.M.Kruisbeek,D.H.Margulies,E.M.Shevach and W.Strober,eds.,1991)、Annual Review of Immunology、並びにAdvances in Immunologyなどのジャーナルのモノグラフを参照されたい。
【0136】
本開示は、本明細書でNKG2D CARと称される、1つ以上のNKG2Dリガンドに結合することができるNKG2Dの細胞外ドメインの一部を含む、抗原受容体(CAR)を提供する。とりわけ、本開示は、がんの治療及び/又は免疫応答の開始若しくは調節に有用な方法及び組成物を提供する。いくつかの実施形態では、NKG2D CARは、1つ以上の腫瘍抗原に特異的なTCR、及び/又は1つ以上の腫瘍抗原に特異的な1つ以上の追加的なCARと共に発現される。
【0137】
本開示の様々な実施形態は、本明細書で提供されるNKG2D CARをコードするベクター、例えばNKG2D CARをコードするベクターを提供する。本開示の様々な実施形態は、TCR又は1つ以上の追加的なCAR(例えば、NKG2D CARとは異なる標的に結合するCAR)をコードするベクター、例えばNKG2D CAR及びTCR又は1つ以上の追加的なCARをコードするベクターを提供する。いくつかの実施形態では、NKG2D CARは、TCR又は1つ以上の追加的なCARをコードするベクターとは別のベクターにおいてコードされる。いくつかの実施形態では、NKG2D CARは、TCR又は1つ以上の追加的なCARをコードする同じベクターにおいてコードされる。
【0138】
本開示の様々な実施形態は、NKG2D CARをコードするか又は発現する細胞、例えばNKG2D CARをコードするか又は発現するように操作された人工多能性幹細胞(induce pluripotent cells、iPSC)、T細胞、又はNK細胞を提供する。本開示の様々な実施形態は、NKG2D CAR及びTCR又は1つ以上の追加的なCARをコードするか又は発現する細胞、例えば、NKG2D CAR及びTCR又は1つ以上の追加的なCARをコードするか又は発現するように操作されたT細胞又はNK細胞を提供する。本開示は、組み込まれた遺伝子、例えば、目的のヌクレオチド配列(例えば、そのようなヌクレオチド配列を含む構成的発現構築物及び/又は誘導性発現構築物)で遺伝子改変された免疫細胞を提供する。実施形態では、免疫細胞を更に操作して、TCR又は1つ以上の追加的なCARを発現させる。いくつかの実施形態では、本開示は、腫瘍を有する対象を治療する方法であって、対象に本明細書に記載のNKG2D CAR療法を投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、1つ以上の追加の療法(例えば、第2の結合剤(例えば、CAR-T細胞、CAR-NK細胞、TCR-T細胞、TIL細胞、同種異系NK細胞、及び自己NK細胞)、抗体-薬物コンジュゲート、抗体、二重特異性抗体、T細胞会合二重特異性抗体、操作された抗体、及び/又は本明細書に記載のポリペプチド)の投与を更に含む。
【0139】
ナチュラルキラー細胞は、NK細胞機能の調節に関与しているいくつかのカルシウム依存性(C型)レクチンを優先的に発現する。NKG2D(参照により本明細書に組み込まれる、2021年3月7日に更新されたNCBI Gene ID:22914)は、C型レクチン様受容体のNKG2ファミリーに属する膜貫通タンパク質である。NKG2遺伝子ファミリーは、NK細胞において優先的に発現されるいくつかのC型レクチン遺伝子を含有する領域である、NK複合体内に位置する。NKG2Dは、そのリガンドが感染又はがんなどにおけるようなゲノムストレスの結果のいずれかとして細胞ストレス中に誘導されるので、形質転換及び感染細胞の検出及び排除のための認識受容体である。NKG2Dは、MHCクラスI鎖関連A及びBタンパク質並びにUL-16結合タンパク質を含む、リガンドの多様なファミリーに結合する。これらのリガンドの表面発現は、免疫系によるストレスを受けた細胞の認識に重要であり、したがって、このタンパク質及びそのリガンドは、免疫疾患及びがんの処置のための治療標的である。
【0140】
NKG2Dリガンドは、正常細胞の表面上には存在しないか又は低レベルでしか存在しないが、感染細胞、形質転換細胞、老化細胞、及びストレス細胞によって過剰発現される、誘導自己タンパク質である。それらの発現は、様々なストレス経路によって異なる段階(転写、mRNA、及びタンパク質の安定化、細胞表面からの切断)で調節される。NKG2Dリガンドは、MHCクラスI分子に相同であり、MIC及びRAET1/ULBPの2つのファミリーへと分けられる。ヒトMIC遺伝子は、MHC遺伝子座内に位置し、7つのメンバー(MICA-G)から構成され、そのうちMICA及びMICBのみが機能的転写物を産生する。10個の既知のヒトRAET1/ULBP遺伝子のうち、6個が機能性タンパク質をコードする:RAET1E/ULBP4、RAET1G/ULBP5、RAET1H/ULBP2、RAET1/ULBP1、RAET1L/ULBP6、RAET1N/ULBP3。
【0141】
キメラ抗原受容体(CAR)は、選択された標的に対してT細胞又はNK細胞(例えば、患者又はドナーT又はNK細胞)を指向又は再指向させ得る、操作された受容体である。CARは、標的(抗原、及び開示されたNKG2D CARの場合はNKG2Dリガンドなど)を認識し、その標的に結合した場合、免疫細胞を活性化してその標的を担持する細胞を攻撃及び破壊するように操作してもよい。これらの標的が腫瘍細胞上に存在する場合、CARを発現する免疫細胞は、腫瘍細胞を標的化して死滅させ得る。CARは、概して、抗原結合を媒介する細胞外結合ドメイン(例えば、NKG2Dエクトドメイン)、CARが細胞表面又は細胞膜に存在する場合に細胞膜にわたるか又はこれにわたると理解される膜貫通ドメイン、及び細胞内(又は細胞質)シグナル伝達ドメインを含む。
【0142】
少なくとも1つの非限定的な観点によれば、CAR組成物の少なくとも3つの「世代」が存在している。第1世代のCARでは、結合ドメイン(例えば、一本鎖フラグメント可変結合ドメイン)は、ヒンジドメイン及び1つ以上のスペーサーを任意選択的に含む膜貫通ドメインを介してシグナル伝達ドメイン(例えば、CD3ζ)に連結又は接続されている。第2世代のCARでは、共刺激ドメイン(CD28、4-1BB、又はOX-40などCM1)がシグナル伝達ドメイン(例えば、CD3ζ)と共に導入される。第3世代のCARでは、第2の共刺激ドメイン(CM2)が含まれる。
【0143】
TCRは、α鎖及びβ鎖から構成されるヘテロ二量体である。TCRシグナル伝達は、免疫シナプスを生成するシグナル伝達タンパク質の動員を必要とする。加えて、原形質膜におけるTCRの局在化は、T細胞において発現されるCD3複合体に依存する。操作された一本鎖TCRは、例えば、CAR構築物の膜貫通ドメイン及びシグナル伝達ドメイン、既知の方法及び構築物(例えば、sTCR及びTCR-CAR分子、例えば、TCRβ鎖とCD28 TM及びCD28及びCD3ζシグナル伝達モジュールとの融合物)を使用して生成され得る。
【0144】
本開示のNKG2D CARは、NKG2Dリガンドに結合する細胞外NKG2Dドメインを含み得る。いくつかの実施形態では、抗原結合系が、共刺激ドメイン、及び/又は細胞外ドメイン(例えば、「ヒンジ」又は「スペーサー」領域)、及び/又は膜貫通ドメイン、及び/又は細胞内(シグナル伝達)ドメイン、CD3-ゼータ、及び/又はCD3-イプシロン活性化ドメインを更に含む。
【0145】
ある特定の実施形態では、NKG2D CARは、配列番号3に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有するポリペプチドを指す、NKG2Dエクトドメイン(細胞外ドメイン)ポリペプチドを含む。LFNQEVQIPLTESYCGPCPKNWICYKNNCYQFFDESKNWYESQASCMSQNASLLKVYSKEDQDLLKLVKSYHWMGLVHIPTNGSWQWEDGSILSPNLLTIIEMQKGDCALYASSFKGYIENCSTPNTYICMQRTV(配列番号3)。実施形態では、NKG2Dエクトドメインは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる:TTATTCAACCAAGAAGTCCAGATTCCCTTGACCGAAAGTTACTGCGGCCCATGTCCGAAAAACTGGATATGTTATAAAAATAACTGTTACCAGTTCTTCGATGAATCTAAAAACTGGTATGAGAGCCAGGCATCTTGTATGTCTCAAAATGCCAGCCTGCTCAAAGTATACAGCAAGGAGGACCAGGATTTACTTAAACTGGTGAAGTCATATCACTGGATGGGATTGGTACACATTCCCACAAATGGATCTTGGCAGTGGGAAGACGGCTCCATTCTCTCACCCAACCTACTAACAATAATTGAAATGCAGAAGGGAGACTGCGCACTCTATGCATCGAGCTTTAAAGGTTATATAGAAAACTGTTCAACTCCAAATACATACATCTGCATGCAAAGGACTGTA(配列番号4)。実施形態では、NKG2Dエクトドメインは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる:TTATTCAACCAAGAAGTCCAAATTCCCTTGACCGAAAGTTACTGTGGCCCATGTCCTAAAAACTGGATATGTTACAAAAATAACTGTTACCAATTCTTCGATGAAAGTAAAAACTGGTATGAGAGCCAGGCTTCTTGTATGTCTCAAAATGCCAGCCTTCTGAAAGTATACAGCAAGGAGGACCAGGATTTACTTAAACTGGTGAAGTCATATCATTGGATGGGACTAGTACACATTCCAACAAATGGATCTTGGCAGTGGGAAGACGGCTCCATTCTCTCACCCAACCTACTAACAATAATTGAAATGCAGAAGGGAGACTGTGCACTCTATGCATCGAGCTTTAAAGGCTATATAGAAAACTGTTCAACTCCAAATACATACATCTGCATGCAAAGGACTGTG(配列番号5)。実施形態では、NKG2Dエクトドメインは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる:TTATTCAACCAAGAAGTCCAAATTCCCTTGACCGAAAGTTACTGTGGCCCATGTCCTAAGAACTGGATATGTTACAAAAATAACTGTTACCAATTCTTCGATGAATCTAAGAATTGGTATGAGAGCCAGGCTTCTTGTATGTCTCAAAATGCCAGCCTTCTTAAAGTATACAGCAAAGAGGACCAGGATTTACTTAAACTGGTGAAGTCATATCATTGGATGGGACTAGTACACATTCCAACAAATGGATCTTGGCAGTGGGAAGACGGCTCCATTCTCTCACCCAACCTACTAACAATAATTGAAATGCAGAAGGGAGACTGTGCACTCTATGCATCGAGCTTTAAAGGCTATATAGAAAACTGTTCAACTCCAAATACATATATTTGCATGCAAAG GACTGTG(配列番号55)。
【0146】
いくつかの実施形態では、本開示のNKG2D CARは、リーダーペプチド(P)、NKG2Dエクトドメイン(B)、ヒンジ(E)、膜貫通ドメイン(T)、共刺激ドメイン(C)、第2の共刺激ドメイン(C’)、及び活性化ドメイン(A)のうちの1つ以上又は全てを含む、抗原結合系を含み得る。いくつかの例では、NKG2D CARは、以下のB E T Aに従って構成される。ある特定の例では、活性化ドメインは、1つ以上の活性化ドメインを含む。ある特定の態様では、活性化ドメインは、CD3ζ、CD3ε、又はCD3ζ及びCD3εの両方を含む。いくつかの例では、NKG2D CARは、以下のP B E T Aに従って構成される。いくつかの例では、NKG2D CARは、以下のB E T C Aに従って構成される。いくつかの例では、NKG2D CARは、以下のP B E T C Aに従って構成される。いくつかの例では、NKG2D CARは、以下のB E T C C’ Aに従って構成される。いくつかの例では、NKG2D CARは、以下のP B E T C C’ Aに従って構成される。
【0147】
ある特定の実施形態では、本明細書で企図されるCARは、様々なドメイン間に分子の適切な間隔立体配座のために追加されるリンカー残基を含み得る。本明細書で企図されるCARは、1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つ以上のリンカーを含み得る。いくつかの実施形態では、リンカーの長さは、約1~約25アミノ酸、約5~約20アミノ酸、又は約10~約20アミノ酸、又は任意の介在する長さのアミノ酸である。いくつかの実施形態では、リンカーは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、又はそれ以上のアミノ酸長である。
【0148】
リンカーの例示的な例としては、グリシンポリマー(G)n、グリシン-セリンポリマー(G1~5S1~5)n(式中、nは、少なくとも1、2、3、4、又は5の整数である)、グリシン-アラニンポリマー、アラニン-セリンポリマー、及び当該技術分野で既知の他のフレキシブルなリンカーが挙げられる。グリシン及びグリシン-セリンポリマーは、比較的構造化されておらず、したがって、本明細書に記載のCARなどの融合タンパク質のドメイン間の中性テザーとして機能することができる。グリシンは、更にアラニンよりもファイ-プサイ空間にアクセスし、より長い側鎖を有する残基よりもはるかに制限が少ない(Scheraga,Rev.Computational Chem.11173-142(1992)を参照されたい)。本明細書で企図される他のリンカーとしては、Whitlowリンカー(Whitlow,Protein Eng.6(8):989-95(1993)を参照されたい)が含まれる。当業者は、いくつかの実施形態におけるCARの設計が、全て又は部分的にフレキシブルなリンカーを含み得、それにより、リンカーが、フレキシブルリンカー、並びに所望のCAR構造を提供するようにより低いフレキシブル構造を付与する1つ以上の部分を含み得ることを認識するであろう。一実施形態では、本明細書に記載の構築物のいずれかは、「GS」リンカーを含み得る。別の実施形態では、本明細書に記載の構築物のいずれかは、「GSG」リンカーを含む。一例において、グリシン-セリンリンカーは、ggatcc(配列番号7)又はgggtcc(配列番号8)による核酸配列によってコードされ得る、アミノ酸配列GS(配列番号6)を含むか又はそれからなる。一例において、グリシン-セリンリンカーは、ggcggtggaagcggaggaggttcc(配列番号10)による核酸配列によってコードされ得る、アミノ酸配列GGGSGGGS(配列番号9)を含むか又はそれからなる。別の実施形態では、本明細書に記載のCARは、配列番号11(GSTSGSGKPGSGEGSTKG(配列番号11)のものに対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、リンカーは、以下に記載の核酸配列に対して少なくとも75%の配列同一性(例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸配列によってコードされる:gggagcactagcggctctggcaaacctggatctggcgagggatctaccaagggc(配列番号12)、gggagcacaagcggctctggcaaacctggatctggcgagggatctaccaagggc(配列番号13)、又はgggagcacaagcggctctggcaaacctggatccggcgagggatctaccaagggc(配列番号14)。
【0149】
CARの結合ドメインは、概して、1つ以上の「ヒンジドメイン」が続くことができ、これは抗原結合ドメインをエフェクター細胞表面から離して位置付けて適切な細胞/細胞接触、抗原結合、及び活性化を可能にする役割を果たす。CARは、概して、結合ドメインと膜貫通ドメインとの間に1つ以上のヒンジドメインを含む。ヒンジドメインは、天然、合成、半合成、又は組換え供給源のいずれかに由来し得る。ヒンジドメインは、天然に存在する免疫グロブリンヒンジ領域又は改変された免疫グロブリンヒンジ領域のアミノ酸配列を含み得る。
【0150】
いくつかの実施形態では、本明細書に企図されるCARは、免疫グロブリン様ヒンジドメインであるか、免疫グロブリン様ヒンジドメインからであるか、又は免疫グロブリン様ヒンジドメインに由来する(例えば、免疫グロブリン様ヒンジドメインの全て若しくはフラグメントを含む)ヒンジを含み得る。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、免疫グロブリンからであるか、又は免疫グロブリンに由来する。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgD、IgE、若しくはIgMのヒンジ、又はそのフラグメントから選択される。ヒンジは、天然の供給源又は合成の供給源に由来し得る。本明細書に記載のCARに使用するのに好適なヒンジドメインは、CD8α、CD4、CD28、及びCD7などの1型の膜タンパク質の細胞外領域に由来するヒンジ領域を含み、これらは、これらの分子の野生型ヒンジ領域であり得るか、又は変更され得る。ヒンジは、天然の供給源又は合成の供給源に由来し得る。いくつかの実施形態では、本開示の抗原結合システムは、CD2、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD3ガンマ、CD4、CD7、CD8α、CD8β、CD11a(ITGAL)、CD11b(ITGAM)、CD11c(ITGAX)、CD11d(ITGAD)、CD18(ITGB2)、CD19(B4)、CD27(TNFRSF7)、CD28、CD28T、CD29(ITGB1)、CD30(TNFRSF8)、CD40(TNFRSF5)、CD48(SLAMF2)、CD49a(ITGA1)、CD49d(ITGA4)、CD49f(ITGA6)、CD66a(CEACAM1)、CD66b(CEACAM8)、CD66c(CEACAM6)、CD66d(CEACAM3)、CD66e(CEACAM5)、CD69(CLEC2)、CD79A(B細胞抗原受容体複合体関連アルファ鎖)、CD79B(B細胞抗原受容体複合体関連ベータ鎖)、CD84(SLAMF5)、CD96(Tactile)、CD100(SEMA4D)、CD103(ITGAE)、CD134(OX40)、CD137(4-1BB)、CD150(SLAMF1)、CD158A(KIR2DL1)、CD158B1(KIR2DL2)、CD158B2(KIR2DL3)、CD158C(KIR3DP1)、CD158D(KIRDL4)、CD158F1(KIR2DL5A)、CD158F2(KIR2DL5B)、CD158K(KIR3DL2)、CD160(BY55)、CD162(SELPLG)、CD226(DNAM1)、CD229(SLAMF3)、CD244(SLAMF4)、CD247(CD3-ゼータ)、CD258(LIGHT)、CD268(BAFFR)、CD270(TNFSF14)、CD272(BTLA)、CD276(B7-H3)、CD279(PD-1)、CD314(NKG2D)、CD319(SLAMF7)、CD335(NK-p46)、CD336(NK-p44)、CD337(NK-p30)、CD352(SLAMF6)、CD353(SLAMF8)、CD355(CRTAM)、CD357(TNFRSF18)、誘導性T細胞共刺激因子(ICOS)、LFA-1(CD11a/CD18)、NKG2C,DAP-10、ICAM-1、NKp80(KLRF1)、IL-2Rベータ、IL-2Rガンマ、IL-7Rアルファ、LFA1-1、SLAMF9、LAT、GADS(GrpL)、SLP-76(LCP2)、PAG1/CBP、CD83リガンド、Fcガンマ受容体、MHCクラス1分子、MHCクラス2分子、TNF受容体タンパク質、免疫グロブリンタンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、活性化NK細胞受容体、若しくはTollリガンド受容体、又はそれらのフラグメント若しくは組み合わせであるか、それらからであるか、又はそれらに由来する(例えば、これらの全て又はフラグメントを含む)ヒンジを含み得る。
【0151】
これらのヒンジドメインのポリヌクレオチド配列及びポリペプチド配列は既知である。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインをコードするポリヌクレオチドは、既知のヌクレオチド配列と少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%(例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)同一のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインのポリペプチド配列は、既知のポリペプチド配列と少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%(例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)同一のポリペプチド配列を含む。
【0152】
実施形態では、ヒンジドメインは、CD8αヒンジ領域を含む。実施形態では、本明細書に記載のCARは、配列番号15TTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACD(配列番号15)に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有するアミノ酸配列を有するCD8α由来のヒンジドメインを含む。実施形態では、CD8α由来のヒンジドメインは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる:ACCACGACGCCAGCGCCGCGACCACCAACACCGGCGCCCACCATCGCGTCGCAACCCCTGTCCCTGCGCCCAGAGGCGTGCCGGCCAGCGGCGGGGGGCGCAGTGCACACGAGGGGGCTGGACTTCGCCTGTGAT(配列番号16)。実施形態では、CD8α由来のヒンジドメインは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる:ACAACGACGCCAGCGCCGCGACCACCAACACCGGCGCCCACCATCGCGTCGCAACCCCTGTCCCTGAGGCCTGAAGCGTGCCGGCCAGCGGCGGGGGGCGCAGTGCACACGAGGGGGCTGGACTTCGCTTGTGAC(配列番号17)。実施形態では、CD8α由来のヒンジドメインは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる:ACCACGACGCCAGCGCCGCGACCACCAACACCGGCGCCCACCATCGCGTCGCAACCCCTGTCCCTGCGCCCCGAGGCGTGCCGGCCAGCGGCGGGGGGCGCAGTGCACACGAGGGGGCTGGACTTCGCCTGTGAT(配列番号18)。実施形態では、CD8α由来のヒンジドメインは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる:ACCACGACGCCAGCGCCGCGACCACCAACACCGGCGCCCACCATCGCGTCGCAACCCCTGTCCCTGAGGCCTGAAGCGTGCCGGCCAGCGGCGGGCGGCGCAGTGCACACGAGAGGGCTGGACTTCGCCTGTGAT(配列番号56)。
【0153】
実施形態では、ヒンジドメインは、2017年3月31日に出願された国際出願第PCT/US2017/025351号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示されているような、切断型CD28ヒンジ領域(CD28T)ヒンジ領域を含む。実施形態では、本明細書に記載のCARは、配列番号19(LDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKP(配列番号19))に対して配列番号230に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有するアミノ酸配列を有するCD28Tヒンジドメインを含む。実施形態では、CD28Tヒンジドメインは、以下による配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる:CTAGACAATGAGAAGAGCAATGGAACCATTATCCATGTGAAAGGGAAACACCTTTGTCCAAGTCCCCTATTTCCCGGACCTTCTAAGCCC(配列番号20)。
【0154】
一般に、(例えば、抗原結合系の)「膜貫通ドメイン」は、細胞表面又は細胞膜の分子中に存在する場合に膜内に存在する(例えば、細胞膜の一部又は全部にわたる)という属性を有するドメインを指す。本開示の抗原結合系の共刺激ドメインは、膜貫通ドメイン及び/又は細胞内シグナル伝達ドメインを更に含んでもよい。膜貫通ドメイン中の全てのアミノ酸が膜内に存在する必要はない。例えば、いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、タンパク質の指定されたひと続き又は部分が実質的に膜内に位置することを特徴とする。アミノ酸配列又は核酸配列は、タンパク質の細胞内局在化(例えば、膜貫通局在化)を予測するための様々なアルゴリズムを使用して分析され得る。プログラムpsort(PSORT.org)及びProsite(prosite.expasy.org)は、そのようなプログラムの例である。
【0155】
本明細書に記載の抗原結合系に含まれる膜貫通ドメインのタイプは、いかなるタイプにも限定されない。いくつかの実施形態では、結合ドメイン及び/又は細胞内ドメインと天然に会合している膜貫通ドメインが選択される。いくつかの例では、膜貫通ドメインは、例えば、同じ又は異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインへのそのようなドメインの結合を回避して、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小限に抑えるために、1つ以上のアミノ酸の改変(例えば、欠失、挿入、及び/又は置換)を含む。
【0156】
膜貫通ドメインは、天然又は合成のいずれかの供給源に由来し得る。供給源が天然である場合、ドメインは、任意の膜結合タンパク質又は膜貫通タンパク質に由来し得る。例示的な膜貫通ドメインは、T細胞受容体のアルファ、ベータ、又はゼータ鎖、2B4、CD28、CD3イプシロン、CD3デルタ、CD3ガンマ、CD45、CD4、CD5、CD7、CD8、CD8アルファ、CD8ベータ、CD9、CD11a、CD11b、CD11c、CD11d、CD16、CD22、CD27、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、TNFSFR25、CD154、4-1BB/CD137、活性化NK細胞受容体、免疫グロブリンタンパク質、B7-H3、BAFFR、BLAME(SLAMF8)、BTLA、CD100(SEMA4D)、CD103、CD160(BY55)、CD18、CD19、CD19a、CD2、CD247、CD276(B7-H3)、CD29、CD30、CD40、CD49a、CD49D、CD49f、CD69、CD84、CD96(Tactile)、CDS、CEACAM1、CRTAM、サイトカイン受容体、DAP-10、DAP-12、DNAM1(CD226)、Fcガンマ受容体、GADS、GITR、HVEM(LIGHTR)、IA4、ICAM-1、ICAM-1、Igアルファ(CD79a)、IL-2Rベータ、IL-2Rガンマ、IL-7Rアルファ、誘導性T細胞共刺激因子(ICOS)、インテグリン、ITGA4、ITGA4、ITGA6、ITGAD、ITGAE、ITGAL、ITGAM、ITGAX、ITGB2、ITGB7、ITGB1、KIRDS2、LAT、LFA-1、LFA-1、CD83と結合するリガンド、LIGHT、LIGHT、LTBR、Ly9(CD229)、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1、CD1-1a/CD18)、MHCクラス1分子、NKG2C、NKG2D、NKp30、NKp44、NKp46、NKp80(KLRF1)、OX-40、PAG/Cbp、プログラム死-1(PD-1)、PSGL1、SELPLG(CD162)、シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAMタンパク質)、SLAM(SLAMF1;CD150;IPO-3)、SLAMF4(CD244;2B4)、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAMF7、SLP-76、TNF受容体タンパク質、TNFR2、TNFSF14、Tollリガンド受容体、TRANCE/RANKL、VLA1、若しくはVLA-6、又はそれらのフラグメント、切断、若しくは組み合わせに由来し得る(例えば、少なくとも膜貫通ドメインを含み得る)。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは合成であり得る(並びに、例えば、ロイシン及びバリンなどの主に疎水性の残基を含むことができる)。いくつかの実施形態では、フェニルアラニン、トリプトファン、及びバリンのトリプレットは、合成膜貫通ドメインの両端に含まれる。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、細胞質ドメインに直接連結又は接続される。いくつかの実施形態では、短いオリゴ又はポリペプチドリンカー(例えば、2~10アミノ酸長)は、膜貫通ドメインと細胞内ドメインとの間の連結を形成し得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、グリシン-セリンダブレットである。
【0157】
本明細書で提供される膜貫通ドメインのポリヌクレオチド配列及びポリペプチド配列は既知である。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインをコードするポリヌクレオチドは、既知のヌクレオチド配列と少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%(例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)同一のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインのポリペプチド配列は、既知のポリペプチド配列と少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%(例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)同一のポリペプチド配列を含む。任意選択的に、短いスペーサーが、CARの細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞内ドメインのいずれか又はいくつかの間に連結を形成し得る。
【0158】
実施形態では、本明細書に記載のNKG2D CARは、配列番号21(FWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWV(配列番号21))のものに対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有するアミノ酸配列を有するCD28由来のTMドメインを含む。実施形態では、CD28由来のTMドメインは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる:TTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTG(配列番号22)。実施形態では、CD28由来のTMドメインは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる:TTTTGGGTATTGGTAGTAGTGGGCGGAGTCCTGGCTTGCTATAGTCTGCTAGTAACAGTGGCTTTTATTATATTTTGGGTG(配列番号23)。実施形態では、CD28由来のTMドメインは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる:TTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTG(配列番号24)。
【0159】
実施形態では、本明細書に記載のCARは、配列番号25(IYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYC(配列番号25))のものに対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有するアミノ酸配列を有するCD8α由来のTMドメインを含む。実施形態では、CD8α由来のTMドメインは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる:ATCTACATCTGGGCGCCCTTGGCCGGGACTTGTGGGGTCCTTCTCCTGTCACTGGTTATCACCCTTTATTGC(配列番号26)。実施形態では、CD8α由来のTMドメインは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる:ATCTACATCTGGGCGCCCTTGGCCGGGACTTGTGGGGTCCTTCTCCTGTCACTGGTTATCACCCTTTACTGC(配列番号57)。
【0160】
免疫細胞への抗原の結合時にシグナルを伝達し得る細胞内シグナル伝達ドメインは既知であり、そのいずれも本開示の抗原結合系に含まれ得る。例えば、T細胞受容体(TCR)の細胞質配列は、抗原へのTCRの結合後にシグナル伝達を開始することが既知である(例えば、Brownlie et al.,Nature Rev.Immunol.13:257-269(2013))。
【0161】
いくつかの実施形態では、本明細書で企図されるCARは、細胞内シグナル伝達ドメインを含む。「細胞内シグナル伝達ドメイン」は、標的抗原に結合する効果的なCARのメッセージを免疫エフェクター細胞の内部に伝達して、CAR結合標的細胞への細胞傷害性因子の放出、又は細胞外CARドメインへの抗原結合で誘発された他の細胞応答を含む、エフェクター細胞機能、例えば、活性化、サイトカイン産生、増殖、及び細胞傷害性活性を誘発することに関与する、CARの一部を指す。いくつかの実施形態では、シグナル伝達ドメイン及び/又は活性化ドメインは、免疫受容体チロシンベースの活性化ドメイン(ITAM)を含む。細胞質シグナル伝達配列を含有するITAMの例は、TCRゼータ、FcRガンマ、FcRベータ、CD3ゼータ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD5、CD22、CD79a、CD79b、及びCD66dから誘導されたものを含む(例えば、Love et al.,Cold Spring Harb.Perspect.Biol.2:a002485(2010)、Smith-Garvin et al.,Annu.Rev.Immunol.27:591-619(2009)を参照されたい)。ある特定の実施形態では、好適なシグナル伝達ドメインは、限定されるものではないが、4-1BB/CD137、活性化NK細胞受容体、免疫グロブリンタンパク質、B7-H3、BAFFR、BLAME(SLAMF8)、BTLA、CD100(SEMA4D)、CD103、CD160(BY55)、CD18、CD19、CD19a、CD2、CD247、CD27、CD276(B7-H3)、CD28、CD29、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD3ガンマ、CD30、CD4、CD40、CD49a、CD49D、CD49f、CD69、CD7、CD84、CD8アルファ、CD8ベータ、CD96(Tactile)、CD11a、CD11b、CD11c、CD11d、CDS、CEACAM1、CRT AM、サイトカイン受容体、DAP-10、DNAM1(CD226)、Fcガンマ受容体、GADS、GITR、HVEM(LIGHTR)、IA4、ICAM-1、ICAM-1、Igアルファ(CD79a)、IL-2Rベータ、IL-2Rガンマ、IL-7Rアルファ、誘導性T細胞共刺激因子(ICOS)、インテグリン、ITGA4、ITGA4、ITGA6、ITGAD、ITGAE、ITGAL、ITGAM、ITGAX、ITGB2、ITGB7、ITGB1、KIRDS2、LAT、LFA-1、LFA-1、CD83に結合するリガンド、LIGHT、LIGHT、LTBR、Ly9(CD229)、Ly108)、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1、CD1-1a/CD18)、MHCクラス1分子、NKG2C、NKG2D、NKp30、NKp44、NKp46、NKp80(KLRF1)、OX-40、PAG/Cbp、プログラム死-1(PD-1)、PSGL1、SELPLG(CD162)、シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAMタンパク質)、SLAM(SLAMF1;CD150;IPO-3)、SLAMF4(CD244;2B4)、SLAMF6(NTB-A、SLAMF7、SLP-76、TNF受容体タンパク質、TNFR2、TNFSF14、Tollリガンド受容体、TRANCE/RANKL、VLA1、若しくはVLA-6、又はそれらの断片、切断、若しくは組み合わせを含む。
【0162】
「エフェクター機能」という用語は、細胞の特殊な機能を指す。T細胞のエフェクター機能は、例えば、細胞溶解活性又はサイトカインの分泌を含む援助若しくは活性であり得る。したがって、「細胞内シグナル伝達ドメイン」という用語は、エフェクター機能シグナルを伝達し、細胞を特殊な機能を果たすように指示するタンパク質の部分を指す。通常、細胞内シグナル伝達ドメイン全体が使用され得るが、多くの場合、ドメイン全体を使用する必要はない。細胞内シグナル伝達ドメインの切断部分が使用される限りにおいて、そのような切断部分は、エフェクター機能シグナルを変換する限り、ドメイン全体の代わりに使用され得る。細胞内シグナル伝達ドメインという用語は、エフェクター機能シグナルを伝達するのに十分な細胞内シグナル伝達ドメインの任意の切断部分を含むことを意味する。
【0163】
TCRのみを介して生成されたシグナルは、T細胞の完全な活性化に不十分であり、二次又は共刺激シグナルも必要とされ得ることが既知である。したがって、T細胞活性化は、2つの異なるクラスの細胞内シグナル伝達ドメイン:TCRを介して抗原依存的に一次活性化を開始する一次シグナル伝達ドメイン(例えば、TCR/CD3複合体)及び抗原非依存的に作用して二次又は共刺激シグナルを提供する共刺激シグナル伝達ドメインによって媒介されると言うことができる。いくつかの実施形態では、本明細書で企図されるCARは、1つ以上の「共刺激シグナル伝達ドメイン」及び「一次シグナル伝達ドメイン」を含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0164】
本開示において有用な一次シグナル伝達ドメインを含有するITAMの例示的な例としては、TCRζ、FcRγ、FcRβ、DAP12、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD22、CD79a、CD79b、及びCD66dに由来するものが含まれる。いくつかの実施形態では、CARは、CD3ζ一次シグナル伝達ドメイン及び1つ以上の共刺激シグナル伝達ドメインを含む。細胞内一次シグナル伝達及び共刺激シグナル伝達ドメインは、膜貫通ドメインのカルボキシル末端にタンデムで任意の順序で連結され得る。一実施形態では、CARは、配列番号27に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有するアミノ酸配列を有するCD3ζドメインを含む。LRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号27)。実施形態では、CD3ζドメインは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる:CTGAGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGGCAGAACCAACTCTATAACGAGCTCAATCTAGGAAGGAGAGAAGAGTACGATGTTCTAGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCACGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAACGAACTACAAAAAGATAAAATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGCATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGCCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTTCACATGCAAGCTCTGCCCCCTCGC(配列番号28)。実施形態では、CD3ζドメインは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる:CTGAGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAACGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGCATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGACGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGC(配列番号29)。
【0165】
実施形態では、CD3ζドメインは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる:CTGAGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGGCGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGC(配列番号30)。実施形態では、CD3ζドメインは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる:CTGAGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAAGGGCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGGCGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAAGCTCTGCCCCCTCGCTGA(配列番号58)。実施形態では、CD3ζドメインは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる:CTGAGAGTTAAGTTCAGCAGGAGCGCCGACGCCCCTGCCTACCAGCAAGGACAGAATCAACTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAGGAATACGATGTGCTGGACAAGAGGAGAGGCAGAGACCCCGAGATGGGCGGCAAACCTAGAAGAAAGAACCCCCAGGAGGGCCTGTATAACGAGCTCCAGAAGGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAAAGAAGAAGAGGCAAGGGCCACGACGGCCTCTACCAGGGCTTAAGCACAGCTACAAAGGACACCTACGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCTAGATGA(配列番号59)。実施形態では、CD3ζドメインは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる:CTGAGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAAGGGCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGGCGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAAGCTCTGCCCCCTCGCTGA(配列番号60)。
【0166】
いくつかの実施形態では、CARは、CD3ζシグナル伝達ドメイン、CD3εシグナル伝達ドメイン、及び1つ以上の共刺激シグナル伝達ドメインを含む。細胞内一次シグナル伝達及び共刺激シグナル伝達ドメインは、膜貫通ドメインのカルボキシル末端にタンデムで任意の順序で連結され得る。実施形態では、CARは、配列番号31のものに対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有するアミノ酸配列を有するCD3εドメインを有する。KNRKAKAKPVTRGAGAGGRQRGQNKERPPPVPNPDYEPIRKGQRDLYSGL(配列番号31)。実施形態では、CARは、配列番号__のものに対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有するアミノ酸配列を有するCD3εドメインを有する。KNRKAKAKPVTRGAGAGGRQRGQNKERPPPVPNPDYEPIRKGQRDLYSGLNQRRI(配列番号61)。
【0167】
実施形態では、CD3εドメインは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる:AAGAACCGAAAAGCAAAAGCCAAGCCTGTTACAAGAGGAGCAGGGGCAGGAGGCCGACAGAGAGGGCAAAACAAAGAAAGGCCCCCGCCCGTCCCAAACCCGGATTATGAGCCAATTAGGAAGGGTCAGAGAGACCTGTATTCTGGGCTC(配列番号32)。実施形態では、CD3εドメインは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる:AAGAACCGCAAAGCAAAGGCAAAACCCGTCACACGAGGAGCGGGCGCAGGGGGACGACAACGCGGTCAGAATAAGGAACGCCCGCCTCCAGTACCAAATCCAGATTATGAACCAATTCGGAAGGGACAACGCGATCTCTACTCCGGTCTCAATCAGAGGCGAATT(配列番号62)。
【0168】
本明細書で企図されるCARは、CAR受容体を発現するT細胞の有効性及び増殖を増強するための1つ以上の共刺激シグナル伝達ドメインを含む。本明細書で使用される場合、「共刺激シグナル伝達ドメイン」又は「共刺激ドメイン」という用語は、共刺激分子の細胞内シグナル伝達ドメインを指す。いくつかの実施形態では、共刺激分子は、DAP-10、DAP-12、CD27、CD28、CD137(4-IBB)、OX40(CD134)、CD30、CD40、PD-I、ICOS(CD278)、CTLA4、LFA-1、CD2、CD7、LIGHT、TRIM、LCK3、SLAM、DAPIO、LAG3、HVEM、B7-H3、NKD2C、GITR、CD5、ICAM-l、CDl la、Lck、TNFR-I、TNFR-II、FasR、NKG2C、B7-H3、及びCD83を含み得る。
【0169】
実施形態では、CARは、配列番号33に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有するアミノ酸配列を有する4-1BB共刺激ドメインを含む。KRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCE(配列番号33)。実施形態では、CARは、配列番号__に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有するアミノ酸配列を有する4-1BB共刺激ドメインを有する。KRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEL(配列番号63)。実施形態では、4-IBB共刺激ドメインは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる:AAACGAGGCAGAAAGAAACTCCTGTATATATTCAAACAACCATTTATGAGACCAGTACAAACAACTCAGGAGGAGGATGGCTGTAGCTGCCGATTCCCGGAAGAAGAAGAAGGTGGCTGTGAA(配列番号34)。実施形態では、4-IBB共刺激ドメインは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる:AAACGGGGCAGAAAGAAACTCCTGTATATATTCAAACAACCATTTATGAGACCAGTACAAACTACTCAAGAGGAAGATGGCTGTAGCTGCCGATTTCCAGAAGAAGAAGAAGGAGGATGTGAA(配列番号35)。実施形態では、4-IBB共刺激ドメインは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる:AAACGGGGCAGAAAGAAACTCCTGTATATATTCAAACAACCATTTATGAGACCAGTACAAACTACTCAAGAGGAAGATGGCTGTAGCTGCCGATTTCCAGAAGAAGAAGAAGGAGGATGTGAA(配列番号36)。実施形態では、4-IBB共刺激ドメインは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる:AAGAGAGGCCGGAAGAAGCTGCTGTACATCTTCAAGCAGCCCTTCATGAGACCTGTGCAGACCACACAGGAGGAAGACGGCTGCAGCTGTAGATTCCCCGAGGAAGAGGAGGGCGGCTGTGAGCTG(配列番号64)。
【0170】
実施形態では、CARは、配列番号37に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有するアミノ酸配列を含むCD28共刺激ドメインを含む。RSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRS(配列番号37)。実施形態では、CD28共刺激ドメインは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる:AGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCC(配列番号38)。
【0171】
本明細書に記載の操作されたNKG2D CARはまた、NKG2DエクトドメインのN末端にN末端シグナルペプチド又はタグを含み得る。一実施形態では、異種シグナルペプチドを使用することができる。抗原結合ドメインは、新生タンパク質を小胞体に誘導し続いて細胞表面に移行させるリーダー又はシグナルペプチドに融合され得る。シグナルペプチドを含有するポリペプチドが細胞表面で発現されると、シグナルペプチドは、概して、小胞体内のポリペプチドのプロセシング及び細胞表面への移行中にタンパク質分解的に除去されることが理解される。したがって、本明細書に記載のCAR構築物などのポリペプチドは、概して、シグナルペプチドを欠く成熟タンパク質として細胞表面で発現されるが、ポリペプチドの前駆体形態は、シグナルペプチドを含む。当該技術分野で既知の任意の好適なシグナル配列を使用することができる。同様に、当該技術分野で既知の任意の既知のタグ配列もまた使用してもよい。
【0172】
実施形態では、シグナル配列は、CD8αシグナル配列である。実施形態では、本明細書に記載のNKG2D CARは、配列番号39に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有するアミノ酸配列を有するCD8αシグナル配列を含む;MALPVTALLLPLALLLHAARP(配列番号39)。実施形態では、CD8αシグナル配列は、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる:ATGGCTCTTCCTGTGACTGCACTACTGCTGCCCCTGGCCTTACTTCTTCATGCTGCGCGTCCT(配列番号40)。実施形態では、CD8αシグナル配列は、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる:ATGGCTCTTCCTGTGACAGCTCTTCTGCTGCCCCTGGCCCTGCTTCTGCATGCTGCTAGACCT(配列番号65)。
【0173】
一実施形態では、シグナル配列は、CSF2RAシグナル配列である。実施形態では、本明細書に記載のNKG2D CARは、MLLLVTSLLLCELPHPAFLLIP(配列番号41)、MEWTWVFLFLLSVTAGVHS(配列番号42)、又はMALPVTALLLPLALLLHAARP(配列番号43)に対して、少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有するアミノ酸配列を有するCSF2RAシグナル配列を含む。実施形態では、CSF2RAシグナル配列は、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる:ATGGCTCTTCCTGTGACAGCTCTTCTGCTGCCCCTGGCCCTGCTTCTGCATGCTGCTAGACCT(配列番号44)。
【0174】
CARの成分は、バイオテクノロジーの日常的な技術を使用して同等の成分と交換又は「スワップ」され得る。非限定的かつ部分的ないくつかの例では、本開示のCARは、本明細書で提供されるヒンジ及び本明細書で提供される共刺激ドメインと組み合わせて、本明細書で提供される結合ドメインを含み得る。ある特定の例では、本開示のCARは、本明細書で提供されるリーダー配列を、本明細書で提供される結合ドメインと一緒に、本明細書で提供されるヒンジ及び本明細書で提供される共刺激ドメインと組み合わせて含み得る。
【0175】
本明細書に記載の一実施形態では、NKG2D CAR構築物は、配列番号45に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有するアミノ酸配列を有する。MALPVTALLLPLALLLHAARPLFNQEVQIPLTESYCGPCPKNWICYKNNCYQFFDESKNWYESQASCMSQNASLLKVYSKEDQDLLKLVKSYHWMGLVHIPTNGSWQWEDGSILSPNLLTIIEMQKGDCALYASSFKGYIENCSTPNTYICMQRTVTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号45)。実施形態では、NKG2D CAR結合CARは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる:ATGGCTCTTCCTGTGACTGCACTACTGCTGCCCCTGGCCTTACTTCTTCATGCTGCGCGTCCTTTATTCAACCAAGAAGTCCAGATTCCCTTGACCGAAAGTTACTGCGGCCCATGTCCGAAAAACTGGATATGTTATAAAAATAACTGTTACCAGTTCTTCGATGAATCTAAAAACTGGTATGAGAGCCAGGCATCTTGTATGTCTCAAAATGCCAGCCTGCTCAAAGTATACAGCAAGGAGGACCAGGATTTACTTAAACTGGTGAAGTCATATCACTGGATGGGATTGGTACACATTCCCACAAATGGATCTTGGCAGTGGGAAGACGGCTCCATTCTCTCACCCAACCTACTAACAATAATTGAAATGCAGAAGGGAGACTGCGCACTCTATGCATCGAGCTTTAAAGGTTATATAGAAAACTGTTCAACTCCAAATACATACATCTGCATGCAAAGGACTGTAACAACGACGCCAGCGCCGCGACCACCAACACCGGCGCCCACCATCGCGTCGCAACCCCTGTCCCTGAGGCCTGAAGCGTGCCGGCCAGCGGCGGGGGGCGCAGTGCACACGAGGGGGCTGGACTTCGCTTGTGACTTTTGGGTATTGGTAGTAGTGGGCGGAGTCCTGGCTTGCTATAGTCTGCTAGTAACAGTGGCTTTTATTATATTTTGGGTGAAACGAGGCAGAAAGAAACTCCTGTATATATTCAAACAACCATTTATGAGACCAGTACAAACAACTCAGGAGGAGGATGGCTGTAGCTGCCGATTCCCGGAAGAAGAAGAAGGTGGCTGTGAACTGAGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGGCAGAACCAACTCTATAACGAGCTCAATCTAGGAAGGAGAGAAGAGTACGATGTTCTAGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCACGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAACGAACTACAAAAAGATAAAATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGCATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGCCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTTCACATGCAAGCTCTGCCCCCTCGC(配列番号46)。
【0176】
実施形態では、NKG2D CAR構築物は、配列番号47に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有するアミノ酸配列を有する。LFNQEVQIPLTESYCGPCPKNWICYKNNCYQFFDESKNWYESQASCMSQNASLLKVYSKEDQDLLKLVKSYHWMGLVHIPTNGSWQWEDGSILSPNLLTIIEMQKGDCALYASSFKGYIENCSTPNTYICMQRTVTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号47)。実施形態では、NKG2D CAR結合CARは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる:TTATTCAACCAAGAAGTCCAGATTCCCTTGACCGAAAGTTACTGCGGCCCATGTCCGAAAAACTGGATATGTTATAAAAATAACTGTTACCAGTTCTTCGATGAATCTAAAAACTGGTATGAGAGCCAGGCATCTTGTATGTCTCAAAATGCCAGCCTGCTCAAAGTATACAGCAAGGAGGACCAGGATTTACTTAAACTGGTGAAGTCATATCACTGGATGGGATTGGTACACATTCCCACAAATGGATCTTGGCAGTGGGAAGACGGCTCCATTCTCTCACCCAACCTACTAACAATAATTGAAATGCAGAAGGGAGACTGCGCACTCTATGCATCGAGCTTTAAAGGTTATATAGAAAACTGTTCAACTCCAAATACATACATCTGCATGCAAAGGACTGTAACAACGACGCCAGCGCCGCGACCACCAACACCGGCGCCCACCATCGCGTCGCAACCCCTGTCCCTGAGGCCTGAAGCGTGCCGGCCAGCGGCGGGGGGCGCAGTGCACACGAGGGGGCTGGACTTCGCTTGTGACTTTTGGGTATTGGTAGTAGTGGGCGGAGTCCTGGCTTGCTATAGTCTGCTAGTAACAGTGGCTTTTATTATATTTTGGGTGAAACGAGGCAGAAAGAAACTCCTGTATATATTCAAACAACCATTTATGAGACCAGTACAAACAACTCAGGAGGAGGATGGCTGTAGCTGCCGATTCCCGGAAGAAGAAGAAGGTGGCTGTGAACTGAGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGGCAGAACCAACTCTATAACGAGCTCAATCTAGGAAGGAGAGAAGAGTACGATGTTCTAGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCACGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAACGAACTACAAAAAGATAAAATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGCATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGCCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTTCACATGCAAGCTCTGCCCCCTCGC(配列番号48)。
【0177】
実施形態では、NKG2D CAR構築物は、配列番号49に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有するアミノ酸配列を有する。MALPVTALLLPLALLLHAARPLFNQEVQIPLTESYCGPCPKNWICYKNNCYQFFDESKNWYESQASCMSQNASLLKVYSKEDQDLLKLVKSYHWMGLVHIPTNGSWQWEDGSILSPNLLTIIEMQKGDCALYASSFKGYIENCSTPNTYICMQRTVTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEKNRKAKAKPVTRGAGAGGRQRGQNKERPPPVPNPDYEPIRKGQRDLYSGLLRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号49)。実施形態では、NKG2D CAR結合CARは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる:ATGGCTCTTCCTGTGACAGCTCTTCTGCTGCCCCTGGCCCTGCTTCTGCATGCTGCTAGACCTTTATTCAACCAAGAAGTCCAAATTCCCTTGACCGAAAGTTACTGTGGCCCATGTCCTAAAAACTGGATATGTTACAAAAATAACTGTTACCAATTCTTCGATGAAAGTAAAAACTGGTATGAGAGCCAGGCTTCTTGTATGTCTCAAAATGCCAGCCTTCTGAAAGTATACAGCAAGGAGGACCAGGATTTACTTAAACTGGTGAAGTCATATCATTGGATGGGACTAGTACACATTCCAACAAATGGATCTTGGCAGTGGGAAGACGGCTCCATTCTCTCACCCAACCTACTAACAATAATTGAAATGCAGAAGGGAGACTGTGCACTCTATGCATCGAGCTTTAAAGGCTATATAGAAAACTGTTCAACTCCAAATACATACATCTGCATGCAAAGGACTGTGACCACGACGCCAGCGCCGCGACCACCAACACCGGCGCCCACCATCGCGTCGCAACCCCTGTCCCTGCGCCCAGAGGCGTGCCGGCCAGCGGCGGGGGGCGCAGTGCACACGAGGGGGCTGGACTTCGCCTGTGATTTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAAACGGGGCAGAAAGAAACTCCTGTATATATTCAAACAACCATTTATGAGACCAGTACAAACTACTCAAGAGGAAGATGGCTGTAGCTGCCGATTTCCAGAAGAAGAAGAAGGAGGATGTGAAAAGAACCGAAAAGCAAAAGCCAAGCCTGTTACAAGAGGAGCAGGGGCAGGAGGCCGACAGAGAGGGCAAAACAAAGAAAGGCCCCCGCCCGTCCCAAACCCGGATTATGAGCCAATTAGGAAGGGTCAGAGAGACCTGTATTCTGGGCTCCTGAGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAACGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGCATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGACGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGC(配列番号50)。
【0178】
実施形態では、NKG2D CAR構築物は、配列番号51に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有するアミノ酸配列を有する。LFNQEVQIPLTESYCGPCPKNWICYKNNCYQFFDESKNWYESQASCMSQNASLLKVYSKEDQDLLKLVKSYHWMGLVHIPTNGSWQWEDGSILSPNLLTIIEMQKGDCALYASSFKGYIENCSTPNTYICMQRTVTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEKNRKAKAKPVTRGAGAGGRQRGQNKERPPPVPNPDYEPIRKGQRDLYSGLLRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号51)。実施形態では、NKG2D CAR結合CARは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる:TTATTCAACCAAGAAGTCCAAATTCCCTTGACCGAAAGTTACTGTGGCCCATGTCCTAAAAACTGGATATGTTACAAAAATAACTGTTACCAATTCTTCGATGAAAGTAAAAACTGGTATGAGAGCCAGGCTTCTTGTATGTCTCAAAATGCCAGCCTTCTGAAAGTATACAGCAAGGAGGACCAGGATTTACTTAAACTGGTGAAGTCATATCATTGGATGGGACTAGTACACATTCCAACAAATGGATCTTGGCAGTGGGAAGACGGCTCCATTCTCTCACCCAACCTACTAACAATAATTGAAATGCAGAAGGGAGACTGTGCACTCTATGCATCGAGCTTTAAAGGCTATATAGAAAACTGTTCAACTCCAAATACATACATCTGCATGCAAAGGACTGTGACCACGACGCCAGCGCCGCGACCACCAACACCGGCGCCCACCATCGCGTCGCAACCCCTGTCCCTGCGCCCAGAGGCGTGCCGGCCAGCGGCGGGGGGCGCAGTGCACACGAGGGGGCTGGACTTCGCCTGTGATTTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAAACGGGGCAGAAAGAAACTCCTGTATATATTCAAACAACCATTTATGAGACCAGTACAAACTACTCAAGAGGAAGATGGCTGTAGCTGCCGATTTCCAGAAGAAGAAGAAGGAGGATGTGAAAAGAACCGAAAAGCAAAAGCCAAGCCTGTTACAAGAGGAGCAGGGGCAGGAGGCCGACAGAGAGGGCAAAACAAAGAAAGGCCCCCGCCCGTCCCAAACCCGGATTATGAGCCAATTAGGAAGGGTCAGAGAGACCTGTATTCTGGGCTCCTGAGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAACGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGCATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGACGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGC(配列番号52)。
【0179】
本開示は、T細胞免疫療法で使用される操作されたT細胞受容体(TCR)と共に、本明細書に記載のNKG2D CARの使用を企図する。TCRのライブラリは、標的抗原に対するそれらの選択性についてスクリーニングされ得る。このようにして、標的抗原に対する高い結合力及び反応性を有する天然TCRが選択され、クローン化され、続いて養子免疫療法に使用されるT細胞集団に導入され得る。本明細書に記載されるNKG2D CARもまた発現する操作されたTCRを有するT細胞又はNK細胞は、TCR特異性に起因して特異的抗原を標的化することができるだけでなく、NKG2Dリガンドを発現する細胞もまた標的化することができる。したがって、本明細書に記載のNKG2D CARとTCRを組み合わせることは、養子T細胞又はNK細胞免疫療法の治療効果を維持又は増強する方法を提供し得る。実施形態では、本明細書に記載のNKG2D CARを、TCRと共発現させる。
【0180】
本明細書に記載の一実施形態では、T細胞又はNK細胞は、標的抗原及び/又はNKG2Dリガンドを発現する腫瘍細胞に対するT細胞又はNK細胞に特異性を付与する、TCRを形成し得るTCRのサブユニットをコードするポリヌクレオチドを導入することによって改変される。いくつかの実施形態では、サブユニットが、トランスフェクトされたT細胞及びNK細胞に付与されるTCRを形成する能力、標的細胞にホームする能力を保持し、免疫学的に関連するサイトカインシグナル伝達に関与する限り、サブユニットは、天然に存在するサブユニットと比較して、1つ以上のアミノ酸置換、欠失、挿入、又は改変を有している。操作されたTCRはまた、関連する腫瘍関連ペプチドを高結合活性で表示する標的細胞にも結合し、任意選択で関連するペプチドをインビボで提示する標的細胞の効率的な死滅を媒介し得る。
【0181】
操作されたTCRをコードする核酸は、T細胞の(天然に存在する)染色体において自然な状況から単離され得、本明細書の他の箇所に記載されるように、好適なベクターに組み込まれ得る。核酸及びそれらを含むベクターの両方を細胞に移してもよく、その細胞はT細胞であってもよい。次いで、改変されたT細胞は、形質導入された核酸又は核酸によってコードされるTCRの1つ以上の鎖(及びいくつかの態様では2つの鎖)を発現することができる。いくつかの実施形態では、操作されたTCRは、導入されたTCRを通常は発現しないT細胞に導入されるため、外因性TCRである。操作されたTCRの本質的な態様は、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)又は同様の免疫学的成分によって提示される腫瘍抗原に対して高いアビディティを有することである。操作されたTCRとは対照的に、CARは、MHC独立した様式で標的抗原に結合するように操作される。
【0182】
本明細書に記載の核酸によってコードされるタンパク質は、付着した追加のポリペプチドがα鎖又はβ鎖が機能的T細胞受容体を形成する能力及びMHC依存性抗原認識を妨げない限り、TCRのα鎖又はβ鎖のアミノ末端又はカルボキシル末端部分に結合した追加のポリペプチドで発現され得る。
【0183】
本明細書で企図される操作されたTCRによって認識される抗原には、血液がん及び固形腫瘍及びウイルス誘発性がんの両方の抗原を含むがん抗原が含まれるが、これらに限定されない。HPV誘発子宮頸がんの治療のためのTCR療法は、有望な関心領域である。したがって、腫瘍溶解性タンパク質HPV-16 E6及びHPV-16 E7は、TCRと共に使用するための潜在的な標的抗原であり得る(例えば、国際出願第PCT/US2015/033129号を参照されたい)。他の例示的な抗原としては、HPV-16 E6及びHPV-16 E7を含むHPV腫瘍性タンパク質、アルファ葉酸受容体、5T4、αvβ6インテグリン、BCMA、B7-H3、B7-H6、CAIX、CD19、CD20、CD22、CD28、CD30、CD33、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD70、CD79a、CD79b、CD123、CD137(4-1BB)、CD138、CD171、CEA、CSPG4、CLL-1、EGFR、ErbB2(HERII)を含むEGFRファミリー、EGFRvIII、EGP2、EGP40、EPCAM、EphA2、EpCAM、FAP、胎児AchR、FRa、GD2、GD3、グリピカン-3(Glypican-3、GPC3)、HLA-Al+MAGEI、HLA-A2+MAGE1、HLAA3+MAGE1、MAGA-A3、HLA-Al+NY-ES0-1、HLA-A2+NY-ES0-1、HLA-A3+NY-ES0-1、IL-11Rα、IL-13Rα2、ラムダ、ルイス-Y、カッパ、メソセリン、Mucl、Muc16、NCAM、NKG2Dリガンド、NY-ES0-1、PRAME、PSCA、PSMA、RORI、SSX、サバイビン、TAG72、TACI、TEM、並びにVEGFRII、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0184】
本明細書に記載される任意のTCR構築物を本開示のNKG2D CARと組み合わせることは、TCR療法の治療効果を回復、維持、又は増強し得る。したがって、本明細書に記載の一実施形態では、NKG2D CARは、HPVに対して指向されたTCRとT細胞又はNK細胞中で共発現される。本明細書に記載の別の実施形態では、NKG2D CARは、HPV-16 E6タンパク質に対して指向されたTCRとT細胞又はNK細胞中で共発現される。本明細書に記載の別の実施形態では、NKG2D CARは、HPV-16 E7タンパク質に対して指向されたTCRとT細胞又はNK細胞中で共発現される。
【0185】
T細胞又はNK細胞はまた、細胞傷害性を腫瘍細胞に再指向させる第2のCAR(NKG2D CARに加えて)を発現するように設計されたベクターで遺伝子操作され得る。いくつかの実施形態では、CARは、標的抗原(例えば、腫瘍抗原)に対する抗体ベースの特異性を、活性化細胞内ドメインと組み合わせて、特定の抗腫瘍細胞免疫活性を呈するキメラタンパク質を生成する分子である。本開示は、本明細書に記載されるNKG2D CARの、1つ以上の追加的なCARとの使用を企図する。TCRの使用と同様に、NKG2D CARと1つ以上の追加的なCARとの共発現は、CAR療法の拡大を促進し、増強し、保護し、場合によっては回復させ得る。実施形態では、NKG2D CARは、1つ以上の追加的なCARと共発現される。
【0186】
本明細書で企図される1つ以上の追加的なCARは、特定の標的抗原(また、結合ドメイン又は抗原特異的結合ドメインとも称される)に結合する細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン及び細胞内シグナル伝達ドメインを含む。1つ以上の追加的なCARの主要な特徴は、免疫エフェクター細胞特異性を再指向させるそれらの能力であり、それによって、増殖、サイトカイン産生、食作用、又は主要組織適合性(MHC)に依存しない方法で標的抗原発現細胞の細胞死を媒介し得る分子の産生をトリガし、モノクローナル抗体、可溶性リガンド、又は細胞特異的共受容体の細胞特異的標的化能力を利用する。
【0187】
いくつかの実施形態では、1つ以上の追加的なCARは、標的抗原に特異的に結合する、抗体又はその抗原結合フラグメント、テザーリガンド、又は共受容体の細胞外ドメインを含むがこれらに限定されない細胞外結合ドメインを含む。非限定的な例として、標的抗原には以下が含まれ得る:HPV-16 E6及びHPV-16 E7を含むHPV腫瘍性タンパク質、アルファ葉酸受容体、5T4、αvβ6インテグリン、BCMA、B7-H3、B7-H6、CAIX、CD19、CD20、CD22、CD28、CD30、CD33、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD70、CD79a、CD79b、CD123、CD137(4-1BB)、CD138、CD171、CEA、CSPG4、CLL-1、EGFR、ErbB2(HERII)を含むEGFRファミリー、EGFRvIII、EGP2、EGP40、EPCAM、EphA2、EpCAM、FAP、胎児AchR、FRa、GD2、GD3、グリピカン-3(GPC3)、HLA-Al+MAGEI、HLA-A2+MAGE1、HLAA3+MAGE1、HLA-Al+NY-ES0-1、HLA-A2+NY-ES0-1、HLA-A3+NY-ES0-1、IL-llRα、IL-13Rα2、ラムダ、ルイス-Y、カッパ、メソセリン、Mucl、Muc16、NCAM、NKG2Dリガンド、NYE-S0-1、PRAME、PSCA、PSMA、RORI、SSX、サバイビン、TACI、TAG72、TEM、並びにVEGFRII;本明細書に記載の実施形態では、CARは、BCMA、CLL-1、CD19、CD20、CD22、CD28、CD137(4-1BB)、グリピカン-3(GPC3)、PSCA、PSMA、又はTACIを含む腫瘍抗原に結合する。
【0188】
いくつかの実施形態では、本明細書で企図される1つ以上の追加的なCARは、腫瘍細胞上に発現される標的ポリペプチド、例えば標的抗原に特異的に結合する細胞外結合ドメインを含む。本明細書で使用される場合、用語、「結合ドメイン」、「細胞外ドメイン」、「細胞外結合ドメイン」、「抗原特異的結合ドメイン」、「抗原結合ドメイン」、及び「細胞外抗原特異的結合ドメイン」は、互換的に使用され、目的の標的抗原に特異的に結合する能力を有するCARを提供する。結合ドメインは、生物学的分子(例えば、細胞表面受容体又は腫瘍タンパク質、脂質、多糖類、又はそれらの他の細胞表面標的分子、又はそれらの成分)を特異的に認識して結合する能力を有する任意のタンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチド、又はペプチドを含み得る。結合ドメインは、目的の生物学的分子のための、天然で、合成により、半合成により、又は組換えにより産生された結合パートナーを含む。
【0189】
いくつかの実施形態では、1つ以上の追加的なCARの細胞外結合ドメインは、その抗体又は抗原結合フラグメントを含む。「抗体」とは、免疫細胞によって認識されるものなどの、抗原決定基を含有するペプチド、脂質、多糖類、又は核酸などの標的抗原のエピトープを特異的に認識して結合する、少なくとも軽鎖又は重鎖免疫グロブリン可変領域を含むポリペプチドである結合剤を指す。抗体には、その抗原結合フラグメントを含む。この用語はまた、キメラ抗体(例えば、ヒト化マウス抗体)、ヘテロ-コンジュゲート抗体(例えば、二重特異的抗体)及びその抗原結合フラグメントなどの遺伝子操作された形態を含む。また、Pierce Catalog and Handbook,1994-1995(Pierce Chemical Co.,Rockford,IL);Kuby,J.,Immunology,3rd Ed.,W.H.Freeman & Co.,New York,1997も参照されたい。
【0190】
いくつかの実施形態では、標的抗原は以下のエピトープである:HPV-16 E6及びHPV-16 E7を含むHPV腫瘍性タンパク質、アルファ葉酸受容体、5T4、αvβ6インテグリン、BCMA、B7-H3、B7-H6、CAIX、CD19、CD20、CD22、CD28、CD30、CD33、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD70、CD79a、CD79b、CD123、CD137(4-1BB)、CD138、CD171、CEA、CSPG4、CLL-1、EGFR、ErbB2(HERII)を含むEGFRファミリー、EGFRvIII、EGP2、EGP40、EPCAM、EphA2、EpCAM、F AP、胎児AchR、FRa、GD2、GD3、グリピカン-3(GPC3)、HLA-Al+MAGEI、HLA-A2+MAGE1、HLAA3+MAGE1、HLA-Al+NY-ES0-1、HLA-A2+NY-ES0-1、HLA-A3+NY-ES0-1、IL-llRα、IL-13Rα2、ラムダ、ルイス-Y、カッパ、メソセリン、Mucl、Muc16、NCAM、NKG2Dリガンド、NYE-S0-1、PRAME、PSCA、PSMA、RORI、SSX、サバイビン、TAG72、TEM、TACI、並びにVEGFRIIポリペプチド。本明細書に記載の一実施形態では、CARは、BCMA、CLL-1、CD19、CD20、CD22、CD28、CD137(4-1BB)、グリピカン-3(GPC3)、PSCA、PSMA、又はTACIを含む腫瘍抗原エピトープに結合する。
【0191】
ある特定の実施形態では、本明細書で企図される1つ以上の追加的なCARは、様々なドメイン間に、例えば、VHドメインとVLドメインとの間に、分子の適切な間隔立体配座のために追加されるリンカー残基を含み得る。本明細書で企図されるCARは、1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つ以上のリンカーを含み得る。いくつかの実施形態では、リンカーの長さは、約1~約25アミノ酸、約5~約20アミノ酸、又は約10~約20アミノ酸、又は任意の介在する長さのアミノ酸である。いくつかの実施形態では、リンカーは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、又はそれ以上のアミノ酸長である。
【0192】
リンカーの例示的な例としては、グリシンポリマー(G)n、グリシン-セリンポリマー(G1~5S1~5)n(式中、nは、少なくとも1、2、3、4、又は5の整数である)、グリシン-アラニンポリマー、アラニン-セリンポリマー、及び当該技術分野で既知の他のフレキシブルなリンカーが挙げられる。グリシン及びグリシン-セリンポリマーは、比較的構造化されておらず、したがって、本明細書に記載のCARなどの融合タンパク質のドメイン間の中性テザーとして機能することができる。グリシンは、更にアラニンよりもファイ-プサイ空間にアクセスし、より長い側鎖を有する残基よりもはるかに制限が少ない(Scheraga,Rev.Computational Chem.11173-142(1992)を参照されたい)。本明細書で企図される他のリンカーとしては、Whitlowリンカー(Whitlow,Protein Eng.6(8):989-95(1993)を参照されたい)が含まれる。当業者は、いくつかの実施形態におけるCARの設計が、全て又は部分的にフレキシブルなリンカーを含み得、それにより、リンカーが、フレキシブルリンカー、並びに所望のCAR構造を提供するようにより低いフレキシブル構造を付与する1つ以上の部分を含み得ることを認識するであろう。一実施形態では、本明細書に記載の構築物のいずれかは、「GS」リンカーを含み得る。別の実施形態では、本明細書に記載の構築物のいずれかは、「GSG」リンカーを含む。別の実施形態では、本明細書に記載のCARは、配列番号40のものに対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有するアミノ酸配列を含む。GSTSGSGKPGSGEGSTKG(配列番号40)。
【0193】
他の実施形態では、CARは、可変領域連結配列を更に含むscFvを含む。「可変領域連結配列」は、重鎖可変領域を軽鎖可変領域に接続し、かつ得られたポリペプチドが同じ軽鎖及び重鎖可変領域を含む抗体と同じ標的分子への特異的結合親和性を保持するように、2つの亜結合ドメインの相互作用と適合性のあるスペーサー機能を提供するアミノ酸配列である。一実施形態では、可変領域連結配列は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、又はそれ以上のアミノ酸長である。
【0194】
他の実施形態では、CARの結合ドメインに続く1つ以上の「スペーサードメイン」が続き、これは、抗原結合ドメインをエフェクター細胞表面から離れるように移動させて、適切な細胞/細胞接触、抗原結合、及び活性化を可能にする領域を指す(Patel et al.,Gene Therapy,1999;6:412-419)。スペーサードメインは、天然、合成、半合成、又は組換え供給源のいずれかに由来し得る。ある特定の実施形態では、スペーサードメインは、免疫グロブリンの一部であり、これには、1つ以上の重鎖定常領域、例えばCH2及びCH3が含まれるが、これらに限定されない。スペーサードメインは、天然に存在する免疫グロブリンヒンジ領域又は改変された免疫グロブリンヒンジ領域のアミノ酸配列を含み得る。
【0195】
CARの結合ドメインは、概して、1つ以上の「ヒンジドメイン」が続くことができ、これは抗原結合ドメインをエフェクター細胞表面から離して位置付けて適切な細胞/細胞接触、抗原結合、及び活性化を可能にする役割を果たす。CARは、概して、結合ドメインと膜貫通ドメインとの間に1つ以上のヒンジドメインを含む。ヒンジドメインは、天然、合成、半合成、又は組換え供給源のいずれかに由来し得る。ヒンジドメインは、天然に存在する免疫グロブリンヒンジ領域又は改変された免疫グロブリンヒンジ領域のアミノ酸配列を含み得る。
【0196】
2つ以上のポリペプチドの発現が望ましい場合、それらをコードするポリヌクレオチド配列は、IRES配列によって分離され得る。別の実施形態では、2つ以上のポリペプチドは、T2Aポリペプチド等の1つ以上の自己切断ポリペプチド配列を含む融合タンパク質として発現され得る。他の実施形態では、それらは、異なるプロモーターから発現され、2つ以上のベクター中に存在し得る。いくつかの実施形態では、NKG2D CARは、TCR及び/又は1つ以上の非NKG2D CARと同じベクター中にコードされ、配列がIRES配列によって分離されている同じプロモーターに作動可能に連結されている。いくつかの実施形態では、NKG2D CARは、TCR及び/又は1つ以上の非NKG2D CARと同じベクター中にコードされ、配列が切断可能なリンカーによって分離されている同じプロモーターに作動可能に連結されている。いくつかの実施形態では、NKG2D CARは、TCR及び/又は1つ以上の非NKG2D CARと同じベクター中にコードされ、NKG2D CARは、TCR及び/又は1つ以上の非NKG2D CARとは異なるプロモーターに作動可能に連結されている。いくつかの実施形態では、NKG2D CARは、TCR及び/又は1つ以上の非NKG2D CARとは異なるベクター中にコードされる。
【0197】
「ポリペプチド」、「ポリペプチドフラグメント」、「ペプチド」、及び「タンパク質」は、反対に特定されない限り、従来の意味に従って、すなわち、アミノ酸の配列としてのものである。ポリペプチドは、特定の長さに限定されず、例えば、完全長タンパク質配列又は完全長タンパク質のフラグメントを含み得、ポリペプチドの後翻訳改変、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化など、並びに自然発生及び非自然発生の両方で当該技術分野で既知である他の改変を含み得る。様々な実施形態では、本明細書で企図されるポリペプチドは、タンパク質のN末端部にシグナル(又はリーダー)配列を含み、これは、同時翻訳又は翻訳後にタンパク質の移動を指示する。
【0198】
ポリペプチドには、「ポリペプチドバリアント」が含まれる。ポリペプチドバリアントは、1つ以上の置換、欠失、付加、及び/又は挿入において天然に存在するポリペプチドとは異なり得る。そのようなバリアントは、天然に存在し得るか、又は例えば、上記のポリペプチド配列のうちの1つ以上を改変することによって合成により生成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上の置換、欠失、付加、及び/又は挿入を導入することによって、操作されたNKG2D CARの結合親和性及び/又は他の生物学的特性を改善することが望ましい場合がある。好ましくは、本開示のポリペプチドは、それに対して少なくとも約50%、60%、65%、70%、75%、85%、90%、95%、98%、又は99%のアミノ酸同一性を有するポリペプチドを含む。本開示のポリペプチドには、本明細書に記載の参照配列(例えば、配列表を参照されたい)のいずれかに対して、少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するバリアントが含まれ、典型的には、バリアントは参照配列の少なくとも1つの生物学的活性を維持する。ポリペプチドには、「ポリペプチドフラグメント」が含まれる。ポリペプチドフラグメントは、アミノ末端欠失、カルボキシル末端欠失、及び/又は天然に存在する若しくは組換え産生されたポリペプチドの内部欠失若しくは置換を有する単量体又は多量体であり得るポリペプチドを指す。ある特定の実施形態では、ポリペプチドフラグメントは、少なくとも5~約500アミノ酸長のアミノ酸鎖を含み得る。ある特定の実施形態では、フラグメントは、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、150、200、250、300、350、400、又は450アミノ酸長であることが理解されよう。
【0199】
ポリペプチドはまた、ポリペプチド(例えば、ポリ-His)の合成、精製、又は同定を容易にするため、又はポリペプチドの固体支持体への結合を増強するために、リンカー若しくは他の配列にインフレームで融合又はコンジュゲートさせることもできる。上記のように、本開示のポリペプチドは、アミノ酸置換、欠失、切断、及び挿入を含む様々な方法で変更され得る。そのような操作のための方法は、概して当該技術分野で既知である。例えば、参照ポリペプチドのアミノ酸配列バリアントは、DNA中の変異によって調製され得る。変異誘発及びヌクレオチド配列の変化のための方法は、当該技術分野で周知である。例えば、Kunkel(1985,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.82:488-492)、Kunkel et al.,(1987,Methods in Enzymol,154:367-382)、米国特許第4,873,192号、Watson,J.D.et al.,(Molecular Biology of the Gene,Fourth Edition,Benjamin/Cummings,Menlo Park,Calif.,1987)及びそれらの中で引用された参考文献を参照されたい。目的のタンパク質の生物学的活性に影響を与えない適切なアミノ酸置換に対するガイダンスは、Dayhoff et al.,(1978)Atlas of Protein Sequence and Structure(Natl.Biomed.Res.Found.,Washington,D.C.)のモデルに見出し得る。
【0200】
ある特定の実施形態では、バリアントは、保存的置換を含む。「保存的置換」は、ペプチド化学の当業者がポリペプチドの二次構造及びヒドロパシー特性が実質的に変化しないことを予想するように、アミノ酸が類似の特性を有する別のアミノ酸に置換されているものである。改変を、本開示のポリヌクレオチド及びポリペプチドの構造に加えることができ、それでも望ましい特性を有するバリアント又は誘導体ポリペプチドをコードする機能性分子を得ることができる。
【0201】
ポリペプチドバリアントには、グリコシル化形態、他の分子との凝集性コンジュゲート、及び無関係な化学部分(例えば、ペグ化分子)を有する共有結合コンジュゲートが更に含まれる。共有結合バリアントは、当該技術分野で既知であるように、アミノ酸鎖又はN-若しくはC-末端残基に見られる官能基を連結することによって調製され得る。バリアントには、対立遺伝子バリアント、種バリアント、及びムテインも含まれる。タンパク質の機能的活性に影響を与えない領域の切断又は欠失も又バリアントである。
【0202】
本開示のポリペプチドは、融合ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、融合ポリペプチド及び融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが提供される。融合ポリペプチド及び融合タンパク質は、少なくとも 2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個以上のポリペプチドセグメントを有するポリペプチドを指す。融合ポリペプチドは、典型的には、C末端からN末端に連結されているが、それらはまた、C末端からC末端に連結され、N末端からN末端、又はN-末端からC末端に連結され得る。融合タンパク質のポリペプチドは、任意の順序又は特定の順序であり得る。融合ポリペプチド又は融合タンパク質はまた、融合ポリペプチドの所望の転写活性が保存される限り、保存的に改変されたバリアント、多型バリアント、対立遺伝子、変異体、部分配列、及び種間相同体を含み得る。融合ポリペプチドは、化学合成法によって、又は2つの部分間の化学結合によって産生されてもよく、他の一般的な技術を使用して概して調製されてもよい。融合ポリペプチドを含む連結されたDNA配列は、本明細書の他の箇所で考察されるように、好適な転写又は翻訳制御要素に作動可能に連結される。
【0203】
一実施形態では、融合パートナーは、天然組換えタンパク質よりも高い収率でタンパク質(発現エンハンサー)を発現するのを助ける配列を含む。他の融合パートナーは、タンパク質の溶解度を増加させるように、又はタンパク質を所望の細胞内区画に標的化することを可能にするように、又は細胞膜を通る融合タンパク質の輸送を促進するように選択され得る。
【0204】
融合ポリペプチドは、本明細書に記載のポリペプチドドメインの各々の間にポリペプチド切断シグナルを更に含み得る。更に、ポリペプチド部位は、任意のリンカーペプチド配列に入れられ得る。例示的なポリペプチド切断シグナルとしては、ポリペプチド切断認識部位、例えばプロテアーゼ切断部位、ヌクレアーゼ切断部位(例えば、稀な制限酵素認識部位、自己切断リボザイム認識部位)、及び自己切断ウイルスオリゴペプチドが挙げられる(deFelipe and Ryan,2004.Traffic,5(8);616~26)。好適なプロテアーゼ切断部位及び自己切断ペプチドは、当業者に既知である(例えば、Ryan et al.,1997.J Gener.Viral.78:699-722、Scymczak et al.(2004)Nature Biotech.5,589-594を参照されたい)。例示的なプロテアーゼ切断部位としては、ポチウイルスのNiaプロテアーゼ(例えば、タバコエッチ病ウイルスプロテアーゼ)、ポチウイルスHCプロテアーゼ、ポチウイルスPl(P35)プロテアーゼ、ビオウイルス(byovirus)Niaプロテアーゼ、ビオウイルスRNA-2-コード化プロテアーゼ、アフトウイルスLプロテアーゼ、エンテロウイルス2Aプロテアーゼ、ライノウイルス2Aプロテアーゼ、ピコマ(picoma)3Cプロテアーゼ、コモウイルス24Kプロテアーゼ、ネポウイルス24Kプロテアーゼ、RTSV(イネツングロ病球状ウイルス)3C-様プロテアーゼ、PYVF(パースニップ黄色斑点ウイルス)3C-様プロテアーゼ、ヘパリン、トロンビン、第Xa因子、及びエンテロキナーゼの切断部位が挙げられるが、これらに限定されない。その高い切断ストリンジェンシーのために、TEV(tobacco etch virus、タバコエッチ病ウイルス)プロテアーゼ切断部位が使用され得る。他の実施形態では、自己切断ペプチドは、ポチウイルス及びカルジオウイルス2Aペプチド、FMDV(foot-and-mouth disease virus、口蹄疫ウイルス)、ウマ鼻炎Aウイルス、Thosea asignaウイルス、及びブタテッショウウイルスから得られたポリペプチド配列を含み得る。他の実施形態では、自己切断ポリペプチド部位は、2A又は2Aの同様の部位、配列又はドメインを含む(Donnelly et al.,2001.J Gen.Viral.82:1027-1041)。
【0205】
概して、任意の適切なウイルスベクター又はベクターが、本明細書に記載の操作された構築物の形質導入に使用され得ることが理解される。本明細書に記載の一実施形態では、細胞(例えば、T細胞、NK細胞、又はiPSC)は、レトロウイルスベクター、例えば、レンチウイルスベクターで形質導入される。本明細書で使用される場合、「レトロウイルス」という用語は、そのゲノムRNAを直鎖状二本鎖DNAコピーに逆転写し、続いてそのゲノムDNAを宿主ゲノムに共有結合的に統合するRNAウイルスを指す。いくつかの実施形態での使用に好適な例示的なレトロウイルスには、以下が含まれるが、これらに限定されない:モロニーマウス白血病ウイルス(Moloney murine leukemia virus、M-MuLV)、モロニーマウス肉腫ウイルス(Moloney murine sarcoma virus、MoMSV)、ハーベイマウス肉腫ウイルス(murine mammary tumor virus、HaMuSV)、マウス乳がんウイルス(murine mammary tumor virus、MuMTV)、テナガザル白血病ウイルス(gibbon ape leukemia virus、GaLV)、ネコ白血病ウイルス(feline leukemia virus、FLV)、スプーマウイルス、フレンドマウス白血病ウイルス、マウス幹細胞ウイルス(Murine Stem Cell Virus、MSCV)、ラウス肉腫ウイルス(Rous Sarcoma Virus、RSV)及びレンチウイルス。
【0206】
本明細書で使用される場合、「レンチウイルス」という用語は、複合体レトロウイルスのグループ(又は属)を指す。例示的なレンチウイルスには、以下が含まれるが、これらに限定されない:HIV(human immunodeficiency virus、ヒト免疫不全ウイルス、HIV1型、及びHIV2型を含む)、ビスナ・マエディウイルス(visna-maedi virus、VMV)ウイルス、ヤギ関節炎脳炎ウイルス(caprine arthritis encephalitis virus、CAEV)、ウマ伝染性貧血ウイルス(equine infectious anemia virus、EIAV)、ネコ免疫不全ウイルス(feline immunodeficiency virus、FIV)、ウシ免疫不全ウイルス(bovine immune deficiency virus、BIV)、及びサル免疫不全ウイルス(simian immunodeficiency virus、SIV)。
【0207】
「ベクター」という用語は、本明細書では、別の核酸分子を移動又は輸送することができる核酸分子を指すために使用される。移された核酸は、概して、ベクター核酸分子に連結され、例えば、ベクター核酸分子に挿入される。ベクターは、細胞内で自律複製を指示する配列を含み得るか、又は宿主細胞DNAへの組込みを可能にするのに十分な配列を含み得る。有用なベクターには、例えば、プラスミド(例えば、DNAプラスミド又はRNAプラスミド)、トランスポゾン、コスミド、細菌人工染色体、及びウイルスベクターが含まれる。有用なウイルスベクターには、例えば、複製欠損レトロウイルス及びレンチウイルスが含まれる。
【0208】
当業者には明らかであるように、「ウイルスベクター」という用語は、核酸分子の移動又は細胞のゲノムへの組込みを容易にするウイルス由来の核酸要素を含む核酸分子(例えば、トランスファープラスミド)、あるいは核酸移動を媒介するウイルス粒子のいずれかを指すのに広く使用されている。ウイルス粒子は、典型的には、核酸に加えて、様々なウイルス成分及び時には宿主細胞成分も含む。
【0209】
ウイルスベクターという用語は、核酸を細胞に移すことができるウイルス若しくはウイルス粒子又は移された核酸自体のいずれかを指し得る。ウイルスベクター及びトランスファープラスミドは、主にウイルスに由来する構造的及び/又は機能的遺伝的要素を含有する。「レトロウイルスベクター」という用語は、主にレトロウイルスに由来する構造的及び機能的遺伝的要素、又はその一部を含むウイルスベクター又はプラスミドを指す。「レンチウイルスベクター」という用語は、主にレンチウイルスに由来するLTRを含む、構造的及び機能的遺伝的要素、又はその一部を含むウイルスベクター又はプラスミドを指す。「ハイブリッドベクター」という用語は、レトロウイルス、例えば、レンチウイルス、配列、及び非レトロウイルスのウイルス配列の両方を含有するベクター、LTR、又は他の核酸を指す。一実施形態では、ハイブリッドベクターは、レトロウイルス、例えば、レンチウイルス、逆転写、複製、積分、及び/又はパッケージングのための配列を含む、ベクター又はトランスファープラスミドを指す。
【0210】
いくつかの実施形態では、「レンチウイルスベクター」、「レンチウイルス発現ベクター」という用語は、レンチウイルストランスファープラスミド及び/又は感染性レンチウイルス粒子を指すために使用され得る。本明細書で、クローニング部位、プロモーター、調節要素、異種核酸などの要素に対して言及される場合、これらの要素の配列は、本開示のレンチウイルス粒子中にRNA形態で存在し、本開示のDNAプラスミド中にDNA形態で存在することを理解されたい。本明細書に記載の一実施形態では、発現ベクターは、レンチウイルス発現ベクターである。
【0211】
プロウイルスの両端には、「長い末端反復」又は「LTR」と呼ばれる構造がある。「長い末端反復(long terminal repeat、LTR)」という用語は、レトロウイルスDNAの末端に位置する塩基対のドメインを指し、これは、それらの天然の配列構成において、ダイレクトリピートであり、U3、R及びU5領域を含有する。LTRは、概して、レトロウイルス遺伝子の発現(例えば、遺伝子転写物の促進、開始、及びポリアデニル化)及びウイルス複製に対する基本的な機能を提供する。LTRは、転写制御要素、ポリアデニル化シグナル、及びウイルスゲノムの複製及び組込みに必要な配列を含む多数の調節シグナルを含有する。ウイルスLTRは、U3、R、及びU5と呼ばれる3つの領域に分割される。U3領域は、エンハンサー及びプロモーター要素を含有する。U5領域は、プライマー結合部位とR領域との間の配列であり、ポリアデニル化配列を含有する。R(repeat、繰り返し)領域は、U3及びU5領域に隣接している。LTRは、U3、R及びU5領域で構成され、ウイルスゲノムの5’及び3’末端の両方に現れる。5’LTRに隣接しているのは、ゲノムの逆転写(tRNAプライマー結合部位)、及びウイルスRNAの粒子への効率的なパッケージング(Psi部位)に必要な配列である。
【0212】
本明細書で使用される場合、「パッケージングシグナル」又は「パッケージング配列」という用語は、ウイルスRNAのウイルスキャプシド又は粒子への挿入に必要なレトロウイルスゲノム内に位置する配列を指し、例えば、Clever et al.,1995.J of Virology,Vol.69,No.4;pp.2101-2109を参照されたい。いくつかのレトロウイルスベクターは、ウイルスゲノムのキャプシド形成に必要な最小パッケージングシグナル(psi[’P]配列とも称される)を使用する。したがって、本明細書で使用される場合、「パッケージング配列」、「パッケージングシグナル」、「psi」、及び記号「’P」という用語は、ウイルス粒子形成中のレトロウイルスRNA鎖のキャプシド形成に必要な非コード配列に関連して使用される。
【0213】
様々な実施形態では、ベクターは、改変された5’LTR及び/又は3’LTRを含む。LTRのいずれか又は両方は、1つ以上の欠失、挿入、又は置換を含むがこれらに限定されない1つ以上の改変を含み得る。3’LTRの改変は、ウイルスの複製を欠陥にすることによってレンチウイルス又はレトロウイルス系の安全性を改善するためにしばしば行われる。本明細書で使用される場合、「複製欠陥」という用語は、感染性ビリオンが産生されないように完全で効果的な複製できないウイルス(例えば、複製欠陥レンチウイルス子孫)を指す。「複製能のある」という用語は、ウイルスのウイルス複製が感染背ビリオン(例えば、複製能のあるレンチウイルス子孫)を産生することができるように、複製が可能な野生型ウイルス又は変異ウイルスを指す。
【0214】
「自己不活性化」(Self-inactivating、SIN)ベクターは、U3領域として既知である右(3’)LTRエンハンサー-プロモーター領域が、ウイルス複製の最初のラウンドを超えるウイルスの転写を防ぐように改変されている(例えば、欠失又は置換によって)、複製欠陥ベクター、例えば、レトロウイルス又はレンチウイルスベクターを指す。これは、ウイルス複製中に、右(3’)LTR U3領域が左(5’)LTR U3領域の鋳型として使用され、したがって、U3エンハンサー-プロモーターなしではウイルス転写物が作製することができないためである。本開示の更なる実施形態では、3’LTRは、U5領域が、例えば、理想的なポリ(A)配列で置き換えられるように改変される。3’LTR、5’LTR、又は3’及び5’LTRの両方への改変などのLTRへの改変もまた、本明細書で企図されることに留意されたい。
【0215】
5’LTRのU3領域を異種プロモーターで置き換えてウイルス粒子の産生中にウイルスゲノムの転写を駆動することによって、更に安全性が強化される。使用され得る異種プロモーターの例としては、例えば、ウイルス性シミアンウイルス40(simian virus 40、SV40)(例えば、初期又は後期)、サイトメガロウイルス(cytomegalovirus、CMV)(例えば、即時初期)、モロニーマウス白血病ウイルス(Moloney murine leukemia virus、MoMLV)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、及び単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus、HSV)(チミジンキナーゼ)プロモーターが挙げられる。典型的なプロモーターは、Tat非依存的な方法で高レベルの転写を駆動することができる。ウイルス産生システムに完全なU3配列がないため、この置換により、組換えによって複製能のあるウイルスが生成される可能性が低減する。ある特定の実施形態では、異種プロモーターは、ウイルスゲノムが転写される様式を制御する際に追加の利点を有する。例えば、異種プロモーターは、誘導因子が存在する場合にのみ、ウイルスゲノムの全部又は一部の転写が発生するように誘導性であり得る。誘導因子には、1つ以上の化学化合物、又は宿主細胞が培養される温度若しくはpHなどの生理学的条件が含まれるが、これらに限定されない。
【0216】
いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、TAR要素を含む。「trans-activation response、TAR」という用語は、レンチウイルス(例えば、HIV)LTRのR領域に位置する「トランス活性化応答」遺伝的要素を指す。この要素は、レンチウイルストランス活性化因子(trans-activator、tat)遺伝的要素と相互作用して、ウイルス複製を増強する。
【0217】
「R領域」は、キャッピンググループの開始時に始まり(すなわち、転写開始)、ポリAトラクトの開始直前に終了するレトロウイルスLTR内の領域を指す。R領域はまた、U3及びU5領域に隣接するものとして定義される。R領域は、逆転写中に、ゲノムの一方の末端からもう一方の末端への新生DNAの移動を可能にする役割を果たす。
【0218】
本明細書で使用される場合、「FLAP要素」という用語は、配列に、レトロウイルス、例えば、HIV-I又はHIV-2の中央ポリプリン管及び中央終端配列(cPPT及びCTS)が含まれるの中央ポリプリン管及び中央終端配列(cPPT及びCTS)が含まれる核酸を指す。好適なFLAP要素は、米国特許第6,682,907号及びZennou,et al.,2000,Cell,101:173に記載されている。HIV-I逆転写中、中央ポリプリン管(central polypurine tract、cPPT)でのプラス鎖DNAの中央開始及び中央終端配列(central termination sequence、CTS)における中央終端により3本鎖DNA構造の形成をもたらす:HIV-I中央DNAフラップ。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、DNAフラップは、レンチウイルスゲノム核内移行のシス活性決定因子として作用し得、かつ/又はウイルスの力価を増加させ得る。
【0219】
一実施形態では、レトロウイルス又はレンチウイルストランスファーベクターは、1つ以上の輸出要素を含む。「輸出要素」という用語は、細胞の核から細胞質へのRNA転写物の輸送を調節するシス作用転写後調節要素を指す。RNA輸出要素の例としては、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)rev応答要素(rev response element、RRE)(例えば、Cullen et al.,1991.J Virol.65:1053、及びCullen et al.,1991.Cell 58:423を参照されたい)、及びB型肝炎ウイルスの転写後調節要素(hepatitis B virus post-transcriptional regulatory element、HPRE)が挙げられるが、これらに限定されない。概して、RNA輸出要素は、遺伝子の3’UTR内に配置され、1つ又は複数のコピーとして挿入され得る。
【0220】
他の実施形態では、ウイルスベクターにおける異種配列の発現は、転写後調節要素、効率的なポリアデニル化部位、及び任意選択的に転写終結シグナルをベクターに組み込むことによって増加する。様々な転写後調節要素が、タンパク質での異種核酸の発現を増加させる可能性があり、例えば、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節要素(WPRE、Zufferey et al.,1999,J Virol.,73:2886)、B型肝炎ウイルスに存在する転写後調節要素(post-transcriptional regulatory element present、HPRE)(Huang et al.,Mol.Cell.Biol.,5:3864)、など(Liu et al.,1995,Genes Dev.,9:1766)である。
【0221】
いくつかの実施形態では、ベクターは、転写又は翻訳調節活性を有する調節オリゴヌクレオチドを含み得る。そのようなオリゴヌクレオチドは、発現の制御を調節するための様々な遺伝子発現構成で使用することができる。転写調節オリゴヌクレオチドは、組換え発現構築物の発現レベルを増加(増強)又は減少(サイレンシング)させることができる。調節オリゴヌクレオチドは、例えば、構成的又は誘導性の発現を含む、ポリヌクレオチドの組織特異的、発生段階特異的、又は同様の発現を付与するためのものを含む、文脈特異的様式での発現を選択的に調節することができる。本開示の調節オリゴヌクレオチドはまた、発現ベクターの成分又は発現可能なポリヌクレオチドに作動可能に連結された調節オリゴヌクレオチドを含む組換え核酸分子であり得る。調節要素は、数ヌクレオチドから数百ヌクレオチドまでの様々な長さであり得る。
【0222】
異種核酸転写物の効率的な終結及びポリアデニル化を指示する要素は、異種遺伝子発現を増加させる。転写終結シグナルは、概して、ポリアデニル化シグナルの下流に見られる。いくつかの実施形態では、ベクターは、発現されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの3’のポリアデニル化配列を含む。本明細書で使用される「ポリA部位」又は「ポリA配列」という用語は、RNAポリメラーゼIIによる新生RNA転写物の終結及びポリアデニル化の両方を誘導するDNA配列を示す。ポリアデニル化配列は、コード配列の3’末端にポリAテールを添加することによってmRNAの安定性を促進し得、したがって、翻訳効率の増加に寄与し得る。組換え転写物の効率的なポリアデニル化は、ポリAテールを欠く転写物が不安定であり、急速に劣化するため、望ましい。本開示のベクターで使用され得るポリAシグナルの例示的な例としては、理想的なポリA配列(例えば、AATAAA、ATTAAA、AGTAAA)、ウシ成長ホルモンポリA配列(bovine growth hormone poly A sequence、BGHpA)、ウサギβ-グロビンポリA配列(rabbit β-globin poly A sequence、rβgpA)、又は当該技術分野で既知の別の好適な異種若しくは内因性ポリA配列が挙げられる。
【0223】
本明細書には、「コドン最適化」核酸も記載されている。「コドン最適化」核酸は、コドンが特定のシステム(特定の種又は種の群など)における発現に最適であるように変更された核酸配列を指す。例えば、核酸配列は、哺乳動物細胞又は特定の哺乳動物種(ヒト細胞など)における発現のために、天然配列のコドンのうちの少なくとも1つ、2つ以上、又はかなりの数を、その種の遺伝子においてより頻繁に又は最も頻繁に使用されるコドンで置き換えることによって、最適化され得る。コドン最適化は、コード化タンパク質のアミノ酸配列を変更しない。
【0224】
コドン最適化ヌクレオチド配列は、発現有効性に関連する改善された特性を提示することができる。いくつかの実施形態では、転写されるDNA配列は、より効率的な転写及び/又は翻訳を促進するように最適化され得る。いくつかの実施形態では、DNA配列は、シス調節要素(例えば、TATAボックス、終結シグナル、及びタンパク質結合部位)、人工組換え部位、カイ部位、CpGジヌクレオチド含有量、陰性CpGアイランド、GC含有量、ポリメラーゼ滑り部位、及び/又は転写に関連する他の要素に関して最適化され得る。DNA配列は、潜在(cryptic)スプライス部位、mRNA二次構造、mRNAの安定した遊離エネルギー、反復配列、RNA不安定性ドメイン、及び/又はmRNAプロセシング及び安定性に関連する他の要素に関して最適化され得る。DNA配列は、コドン使用バイアス、コドン適合性、内部カイ部位、リボソーム結合部位(例えば、IRES)、未成熟ポリA部位、シャイン・ダルガノ(Shine-Dalgarno、SD)配列、及び/又は翻訳に関連する他の要素に関して最適化されてもよく、かつ/又はDNA配列は、コドンコンテキスト、コドン-アンチコドン相互作用、翻訳休止部位、及び/又はタンパク質フォールディング関連する他の要素に関して最適化されてもよい。
【0225】
ベクターは、1つ以上のLTRを有してもよく、いずれのLTRも、1つ以上のヌクレオチド置換、付加、又は欠失などの1つ以上の改変を含む。ベクターは、形質導入効率(例えば、cPPT/FLAP)、ウイルスパッケージング(例えば、Psi(Ψ)パッケージングシグナル、RRE)、及び/又は治療用遺伝子発現(例えば、ポリ(A)配列)を増加させる他の要素を増加させるための1つ以上のアクセサリ要素を更に含み得、任意選択的にWPRE又はHPREを含み得る。当業者は、多くの他の異なる実施形態が本開示の既存の実施形態から形成され得ることを理解するであろう。
【0226】
「宿主細胞」は、本開示の組換えベクター又はポリヌクレオチドで、インビボ、エクスビボ、又はインビトロでトランスフェクトされた、感染された、又は形質導入された細胞を含む。宿主細胞は、パッケージング細胞、プロデューサー細胞、及びウイルスベクターに感染した細胞を含み得る。いくつかの実施形態では、本開示のウイルスベクターに感染した宿主細胞は、治療を必要とする対象に投与される。ある特定の実施形態では、「標的細胞」という用語は、宿主細胞と互換的に使用され、所望の細胞型のトランスフェクトされた細胞、感染された細胞、又は形質導入された細胞を指す。いくつかの実施形態では、標的細胞はT細胞である。
【0227】
多くの場合、妥当なウイルス力価を達成するために、大規模なウイルス粒子産生が必要である。ウイルス粒子は、ウイルス構造遺伝子及び/又はアクセサリ遺伝子、例えば、gag、pol、env、tat、rev、vif、vpr、vpu、vpx、又はnef遺伝子又は他のレトロウイルス遺伝子を含むパッケージング細胞株にトランスファーベクターを、トランスフェクトすることによって産生される。
【0228】
本明細書で使用される場合、「パッケージングベクター」という用語は、パッケージングシグナルを欠き、1つ、2つ、3つ、4つ以上のウイルス構造及び/又はアクセサリ遺伝子をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクター又はウイルスベクターを指す。通常、パッケージングベクターは、パッケージング細胞に含まれ、トランスフェクション、形質導入、又は感染を介して細胞に導入される。トランスフェクション、形質導入、又は感染のための方法は、当業者によって周知である。本開示のレトロウイルス/レンチウイルストランスファーベクターは、トランスフェクション、形質導入、又は感染を介してパッケージング細胞株に導入されて、プロデューサー細胞又は細胞株を生成し得る。本開示のパッケージングベクターは、例えば、リン酸カルシウムトランスフェクション、リポフェクション、又はエレクトロポレーションを含む一般的な方法によってヒト細胞又は細胞株に導入され得る。いくつかの実施形態では、パッケージングベクターは、ネオマイシン、ハイグロマイシン、ピューロマイシン、ブラストシジン、ゼオシン、チミジンキナーゼ、DHFR、Glnシンテターゼ、又はADAなどの優性選択可能マーカーと共に細胞に導入され、その後、適切な薬物の存在下で選択し、クローンを単離する。選択可能なマーカー遺伝子は、パッケージングベクターによって、例えば、IRES又は自己切断ウイルスペプチドによって、コードされる遺伝子に物理的に結合され得る。
【0229】
ウイルスエンベロープタンパク質(env)は、細胞株から生成された組換えレトロウイルスによって最終的に感染及び形質転換され得る宿主細胞の範囲を決定する。HIV-1、HIV-2、SIV、FIV、及びEIVなどのレンチウイルスの場合、envタンパク質はgp41及びgp120を含む。いくつかの実施形態では、本開示のパッケージング細胞によって発現されるウイルスenvタンパク質は、前述のように、ウイルスgag及びpol遺伝子とは別個のベクター上にコードされる。
【0230】
本明細書に記載の実施形態で用いられ得るレトロウイルス由来env遺伝子の例示的な例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:MLVエンベロープ、IOAIエンベロープ、BAEV、FeLV-B、RDI 14、SSAV、Ebola、Sendai、FPV(トリペストウイルス)、及びインフルエンザウイルスエンベロープ。同様に、RNAウイルス(例えば、Picomaviridae、Calciviridae、Astroviridae、Togaviridae、Flaviviridae、Coronaviridae、Paramyxoviridae、Rhabdoviridae、Filoviridae、Orthomyxoviridae、Bunyaviridae、Arenaviridae、Reoviridae、Bimaviridae、RetroviridaeのRNAウイルスファミリー)由来並びにDNAウイルス(Hepadnaviridae、Circoviridae、Parvoviridae、Papovaviridae、Adenoviridae、Herpesviridae、Poxyiridae、及びIridoviridaeファミリー)由来のエンベロープをコードする遺伝子を利用することができる。代表的な例としては、FeLV、VEE、HFVW、WDSV、SFV、Rabies、ALV、BIV、BL V、EBV、CAEV、SNV、ChTL V、STLV、MPMV SMRV、RAV、FuSV、MH2、AEV、AMV、CTIO、及びEIAVが挙げられる。
【0231】
他の実施形態では、本開示のウイルスをシュードタイピングするためのエンベロープタンパク質には、以下のウイルスのいずれかが含まれるが、これらに限定されない:A型インフルエンザウイルス例えば、H1N1、H1N2、H3N2、及びH5Nl(トリインフルエンザ)、B型インフルエンザウイルス、C型インフルエンザウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、ロタウイルス、ノーウォークウイルスグループの任意のウイルス、腸内アデノウイルス、パルボウイルス、デング熱ウイルス、サル痘、モノネガウイルス目(Mononegavirales)、リッサウイルス例えば狂犬病ウイルス、ラゴスコウモリウイルス、モコラウイルス(Mokola virus)、デュベンヘイジウイルス、ヨーロッパコウモリウイルス1及び2、オーストラリアコウモリウイルス、エフェメロウイルス、ベジクロウイルス、水疱性口内炎ウイルス(Vesicular Stomatitis Virus、VSV)、ヘルペスウイルス例えば単純ヘルペスウイルス1型及び2型、水痘帯状疱疹、サイトメガロウイルス、エプスタインバーウイルス(Epstein-Barr virus、EBV)、ヒトヘルペスウイルス(human herpesvirus、HHV)、ヒトヘルペスウイルス6型及び8型、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、乳頭腫ウイルス、ネズミガンマヘルペスウイルス、アレナウイルス、例えばアルゼンチン出血熱ウイルス、ボリビア出血熱ウイルス、サビア関連出血熱ウイルス、ベネズエラ出血熱ウイルス、ラッサ熱ウイルス、マチュポウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(Lymphocytic choriomeningitis virus、LCMV)、ブニヤウイルス科(Bunyaviridiae)例えばクリミア・コンゴ出血熱ウイルス、ハンタウイルス(Hantavirus)、腎症候群を引き起こす出血熱ウイルス、リフトバレー熱ウイルス、エボラ出血熱及びマールブルグ出血熱を含むフィロウイルス科(Filoviridae)(フィロウイルス)、カイサヌール(Kaysanur)森林病ウイルス、オムスク出血熱ウイルス、ダニ媒介性脳炎を引き起こすウイルスを含むフラビウイルス科(Flaviviridae)、パラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)例えば、ヘンドラウイルス、ニパウイルス、大痘瘡及び小痘瘡(天然痘)、アルファウイルス例えば、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス、SARS関連コロナウイルス(SARS-associated coronavirus、SARS-Co V)、西ナイルウイルス、又はいずれかの脳炎を引き起こすウイルス。
【0232】
本明細書で使用される「偽型」又は「偽型タイピング」という用語は、ウイルスエンベロープタンパク質が他の特徴を有する別のウイルスのもので置換されているウイルスを指す。例えば、HIVは、水疱性口内炎ウイルスGタンパク質(vesicular stomatitis virus G-protein、VSV-G)エンベロープタンパク質で偽型化され得、これにより、HIVエンベロープタンパク質(env遺伝子によってコードされる)が通常ウイルスをCD4+提示細胞に標的化するため、HIVはより広範囲の細胞に感染することができる。
【0233】
本明細書で使用される場合、「パッケージング細胞株」という用語は、パッケージングシグナルを含まないが、ウイルス粒子の正しいパッケージングに必要なウイルス構造タンパク質及び複製酵素(例えば、gag、pol、及びenv)を安定的に又は一時的に発現する細胞株に関して使用される。任意の好適な細胞株を用いて、本開示のパッケージング細胞を調製することができる。概して、細胞は哺乳動物細胞である。別の実施形態では、パッケージング細胞株を産生するために使用される細胞は、ヒト細胞である。パッケージング細胞株を生成するために使用され得る好適な細胞株としては、例えば、CHO細胞、BHK細胞、MDCK細胞、C3H 10Tl/2細胞、FLY細胞、Psi-2細胞、BOSC23細胞、P A317細胞、WEHI細胞、COS細胞、BSC1細胞、BSC40細胞、BMT 10細胞、VERO細胞、W138細胞、MRC5細胞、A549細胞、HTI080細胞、293細胞、293T細胞、B-50細胞、3T3細胞、NIH3T3細胞、HepG2細胞、Saos-2細胞、Huh7細胞、HeLa細胞、W163細胞、211細胞、及び211A細胞が挙げられる。
【0234】
本明細書で使用される場合、「プロデューサー細胞株」という用語は、パッケージング細胞株及びパッケージングシグナルを含む転写ベクター構築物を含む組換えレトロウイルス粒子を産生することができる細胞株を指す。感染性ウイルス粒子及びウイルス原液の生成は、従来の技術を使用して実行され得る。ウイルス原液を調製する方法は、当該技術分野で既知であり、例えば、Y.Soneoka et al.(1995)Nucl.Acids Res.23:628-633、及びN.R.Landau et al.(1992)J Virol.66:5110-5113を参照されたい。感染性ウイルス粒子は、従来の技術を使用してパッケージング細胞から収集され得る。例えば、感染性粒子は、当該技術分野で既知であるように、細胞溶解、又は細胞培養物の上清の収集によって収集され得る。任意選択的に、収集されたウイルス粒子を精製してもよい。好適な精製技術は、当業者に周知である。
【0235】
トランスフェクションではなく、ウイルス感染によるレトロウイルス又はレンチウイルスベクターを使用する遺伝子又は他のポリヌクレオチド配列の送達は、「形質導入」と称される。一実施形態では、レトロウイルスベクターは、感染及びプロウイルス組込みを介して細胞に形質導入される。ある特定の実施形態では、標的細胞、例えば、T細胞又はNK細胞は、ウイルス又はレトロウイルスベクターを使用する感染によって細胞に送達される遺伝子又は他のポリヌクレオチド配列を含む場合、「形質導入される」。いくつかの実施形態では、形質導入細胞は、その細胞ゲノム中のレトロウイルス又はレンチウイルスベクターによって送達される1つ以上の遺伝子又は他のポリヌクレオチド配列を含む。
【0236】
本開示の構築物の1つ以上を発現する宿主細胞が開示される。宿主細胞は、操作されたTCR及び/又はCARを発現する1つ以上のポリペプチドをコードする核酸配列を含む1つ以上のウイルスベクターで形質導入され得る。本開示のある特定の実施形態に従って利用され得る遺伝子療法におけるウイルスベクターの使用に関連する他の方法は、例えば、Kay,M.A.(1997)Chest 111(6Supp.):138S-142S;Ferry,N.and Heard,J.M.(1998)Hum.Gene Ther.9:1975-81、Shiratory,Y.et al.,(1999)Liver 19:265-74、Oka,K.et al.,(2000)Curr.Opin.Lipidol.11:179-86、Thule,P.M.and Liu,J.M.(2000)Gene Ther.7:1744-52、Yang,N.S.(1992)Crit.Rev.Biotechnol.12:335-56、Alt,M.(1995)J Hepatol.23:746-58、Brody,S.L.and Crystal,R.G.(1994)Ann.NY Acad.Sci.716:90-101、Strayer,D.S.(1999)Expert Opin.Investig.Drugs 8:2159-2172、Smith-Arica,J.R.and Bartlett,J.S.(2001)Curr.Cardiol.Rep.3:43-49、及びLee,H.C.et al.,(2000)Nature 408:483-8に見出され得る。
【0237】
本明細書に記載の組成物は、本明細書で企図されるように、1つ以上のポリヌクレオチド、ポリペプチド、それらを含むベクター、及びT細胞組成物、及びNK組成物を含み得る。本明細書に記載される一実施形態は、NKG2D CARを発現する改変T細胞を含む組成物である。本明細書に記載される別の実施形態は、NKG2D CARを発現する改変NK細胞を含む組成物である。組成物には、医薬組成物が含まれるが、これらに限定されない。「医薬組成物」は、単独で、又は1つ以上の他の治療法と組み合わせて、細胞又は動物に投与するための薬学的に許容されるか又は生理学的に許容される溶液に製剤化された組成物を指す。必要に応じて、本開示の組成物は、例えば、サイトカイン、成長因子、ホルモン、小分子、化学療法薬、プロドラッグ、薬物、抗体、又は他の様々な薬剤活性剤などの他の薬剤と組み合わせて投与され得ることも理解されるであろう。追加の薬剤が、意図された療法を送達する組成物の能力に悪影響を及ぼさない限り、組成物に含まれ得る他の成分は実質的に制限されない。
【0238】
「薬学的に許容される」という語句は、本明細書では、合理的な利益/リスク比に相応する、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題若しくは合併症なしに、ヒト及び動物の組織と接触して使用するのに好適な、健全な医学的判断の範囲内にあるこれらの化合物、材料、組成物、及び/又は剤形を指すために用いられる。
【0239】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤」には、限定されないが、米国食品医薬品局によって、ヒト又は家畜での使用が許容されるものとして承認されている、任意のアジュバント、担体、賦形剤、滑剤、甘味剤、希釈剤、防腐剤、染料/着色剤、風味増強剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、安定剤、等張剤、溶媒、界面活性剤、又は乳化剤が含まれる。例示的な薬学的に許容される担体には、ラクトース、グルコース、及びスクロースなどの糖;トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプンなどのデンプン;セルロース、並びにカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、及び酢酸セルロースなどのその誘導体;トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;カカオバター、ワックス、動物及び植物性脂肪、パラフィン、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、酸化亜鉛;ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コム油(com oil)、及び大豆油などの油;プロピレングリコールなどのグリコール;グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコールなどのポリオール;オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;発熱物質を含まない(pyrogen-free)水;等張性生理食塩水;リンゲル溶液;エチルアルコール;リン酸緩衝液;並びに医薬製剤で使用される任意の他の適合性物質が含まれるが、これらに限定されない。
【0240】
本明細書に記載の一実施形態では、本開示の組成物は、本明細書で企図される量の改変されたT細胞又はNK細胞を含む。本明細書で企図されるT細胞又はNK細胞を含む医薬組成物は、102~1010細胞/kg体重、105~109細胞/kg体重、105~108細胞/kg体重、105~107細胞/kg体重、107~109細胞/kg体重、又は107~108細胞/kg体重(これらの範囲内の全ての整数値を含む)の投与量で投与され得ると概して述べることができる。細胞の数は、その中に含まれる細胞の種類と同様に、組成物が意図される最終的な使用に依存するであろう。操作されたNKG2D CARを発現するように改変されたT細胞又はNK細胞は、これらの範囲内の投与量で複数回投与され得る。細胞は、治療を受けている患者に対して同種異系であっても、同系であっても、異種であっても、自家であってもよい。所望される場合、治療はまた、注入されたT細胞の生着及び機能を増強するため、本明細書に記載のマイトジェン(例えば、PHA)又はリンホカイン、サイトカイン、及び/又はケモカイン(例えば、IFN-γ、IL-2、IL-7、IL-15、IL-12、TNF-アルファ、IL-18、及びTNF-ベータ、GM-CSF、IL-4、IL-13、Flt3-L、RANTES、MIP1α、など)の投与も含まれ得る。
【0241】
概して、本明細書に記載されるように活性化及び増殖された細胞を含む組成物は、免疫無防備状態又は免疫抑制状態にある個体において生じる疾患の治療及び予防に利用され得る。いくつかの、本明細書で企図される改変されたT細胞又はNK細胞を含む組成物は、がんの治療に使用される。本明細書に記載の改変されたT細胞又はNK細胞は、単独で、又は担体、希釈剤、賦形剤、及び/又はIL-2、IL-7、及び/若しくはIL-15若しくは他のサイトカイン若しくは細胞集団などの他の成分と組み合わせて医薬組成物として投与され得る。いくつかの実施形態では、本明細書で企図される医薬組成物は、1つ以上の薬学的又は生理学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤と組み合わせて、ある量の遺伝子改変されたT細胞又はNK細胞を含む。
【0242】
本明細書で企図される改変されたT細胞又はNK細胞を含む医薬組成物は、中性緩衝生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水などの緩衝液;グルコース、マンノース、スクロース、又はデキストラン、マンニトールなどの炭水化物;タンパク質;グリシンなどのポリペプチド又はアミノ酸;酸化防止剤;EDTA又はグルタチオンなどのキレート剤;アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム);及び防腐剤、を更に含み得る。本開示の組成物は、非経口投与、例えば、血管内(静脈内又は動脈内)、腹腔内又は筋肉内投与用に製剤化され得る。
【0243】
液体医薬組成物は、溶液、懸濁液、又は他の同様の形態であるかにかかわらず、以下のうちの1つ以上を含み得る:注射用の水などの滅菌希釈剤、生理食塩水、リンゲル液、等張塩化ナトリウムなどの生理食塩水、溶媒又は懸濁媒体として機能し得る合成モノ又はジグリセリドなどの固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又は他の溶媒;ベンジルアルコール又はメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸又は重亜硫酸ナトリウムなどの酸化防止剤;エチレンジアミン酸四酢酸などのキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩、又はホスフェートなどの緩衝液、及び塩化ナトリウム又はデキストロースなどの張度を調整するための薬剤。非経口調製物は、ガラス又はプラスチック製のアンプル、使い捨て注射器又は複数回投与バイアルに封入され得る。滅菌注射用医薬組成物も含まれる。
【0244】
いくつかの実施形態では、本明細書で企図される組成物は、単独で又は1つ以上の治療薬と組み合わせて、有効量の増殖改変されたT細胞又はNK細胞組成物を含む。したがって、T細胞又はNK細胞組成物は、単独で、又は放射線療法、化学療法、移植、免疫療法、ホルモン療法、光動的療法などの他の既知のがんの治療と組み合わせて投与され得る。組成物はまた、抗生物質及び抗ウイルス剤と組み合わせて投与され得る。そのような治療薬は、がんなどの本明細書に記載の疾患状態の治療として当該技術分野で受け入れられ得る。一実施形態では、本明細書で企図される組成物はまた、TGF-βの阻害剤、例えば、小分子阻害剤LY55299と共に投与され得る。企図される例示的な治療薬としては、サイトカイン、増殖因子、ステロイド、NSAID、DMARD、抗炎症薬、化学療法薬、放射線治療薬、治療用抗体、又は他の活性及び補助剤が挙げられる。
【0245】
ある特定の実施形態では、本明細書で企図されるT細胞又はNK細胞を含む組成物は、任意の数の化学療法剤と組み合わせて投与することができる。化学療法剤の例には、限定されないが、チオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXAN(商標))などのアルキル化剤;アルキルスルホネート、例えば、ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファン;アジリジン、例えば、ベンゾドパ、カルボコン、メトレドパ、及びウレドパ;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスファミド、トリメチロメラミンレジュームを含むエチレンイミン及びメチルアメラミン;ナイトロジェンマスタード、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、クロロフォスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン、トロフォスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタード;ニトロソ尿素、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、例えば、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトレビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗剤、例えば、メトトレキサート、及び5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸類似体、例えば、デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキセート;プリン類似体、例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフル、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、5-FU;アンドロゲン、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗アドレナリン、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充剤、例えば、フロリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン、ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキサート;デフォファミン;デメコルチン;ジアジクオン;エルホルミチン;酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標);ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology、Princeton,N.J.)及びドキセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Rhone-Poulenc Rorer、Antony,France);クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金類似体、例えば、シスプラチン及びカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼロダ;イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RPS 2000;ジフルオロメチルオミチン(DMFO);Targretin(商標)(ベキサロテン)、Panretin(商標)(アリトレチノイン)などのレチノイン酸誘導体;ONTAK(商標)(デニロイキンジフチトクス);エスペラマイシン;カペシタビン;並びに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸又は誘導体が挙げられる。また、この定義には、例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びトレミフェン(Fareston)を含む抗エストロゲンなどの腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように作用する抗ホルモン剤;並びに、抗アンドロゲン剤、例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、リュープロリド、及びゴセレリン;並びに、上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸又は誘導体も含まれる。
【0246】
様々な追加の治療薬を、本明細書中に記載の組成物又は薬剤/治療と併せて使用することができる。一実施形態では、T細胞を含む組成物は、抗炎症剤と共に投与される。抗炎症剤又は薬物としては、ステロイド及びグルココルチコイド(ベタメタゾン、ブデソニド、デキサメタゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロンを含む)、アスピリンを含む非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)、イブプロフェン、ナプロキセン、メトトレキサート、スルファサラジン、レフルノミド、抗TNF薬、シクロホスファミド、及びミコフェノール酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0247】
いくつかの実施形態では、NSAIDは、イブプロフェン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、VIOXX(登録商標)(ロフェコキシブ)及びCELEBREX(登録商標)(セレコキシブ)などのCox-2阻害剤、並びにシアリレートからなる群から選択される。例示的な鎮痛剤は、アセトアミノフェン、オキシコドン、トラマドール、又はプロポキシフェン塩酸塩からなる群から選択される。例示的なグルココルチコイドは、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、又はプレドニゾンからなる群から選択される。例示的な生物学的応答調節剤としては、細胞表面マーカーに対する分子(例えば、CD4、CD5など)、サイトカイン阻害剤、例えば、TNFアンタゴニスト(例えば、エタネルセプト(ENBREL(登録商標))、アダリムマブ(HUMIRA(登録商標))及びインフリキシマブ(REMICADE(登録商標))、ケモカイン阻害剤、及び接着分子阻害剤が挙げられる。生物学的応答調節剤としては、モノクローナル抗体並びに分子の組換え形態が挙げられる。例示的な疾患改変性抗リウマチ薬(disease-modifying anti-rheumatic drug、DMARD)としては、アザチオプリン、シクロホスファミド、シクロスポリン、メトトレキサート、ペニシラミン、レフルノミド、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキン、金(経口(オーラノフィン)及び筋肉内)、及びミノサイクリンが挙げられる。
【0248】
他の実施形態では、本明細書で企図されるCAR又はTCR改変T細胞又はNK細胞との組み合わせに好適な治療用抗体としては、アバゴボマブ、アデカツムマブ、アフツズマブ、アレムツズマブ、アルツモマブ、アマツキシマブ、アナツモマブ、アルシツモマブ、バビツキシマブ、ベクツモマブ、ベバシズマブ、ビバツズマブ、ブリナツモマブ、ブレンツキシマブ、カンツズマブ、カツマキソマブ、セツキシマブ、シタツズマブ、シクスツムマブ、クリバツズマブ、コナツムマブ、ダラツムマブ、ドロジツマブ、デュリゴツマブ、デュシギツマブ、デツモマブ、ダセツズマブ、ダロツズマブ、エクロメキシマブ、エロツズマブ、エンシツキマブ(ensituximab)、エルツマキソマブ(ertumaxomab)、エタラシズマブ、ファリエツズマブ(farietuzumab)、フィクラツズマブ、フィギツムマブ、フランボツマブ、フツキシマブ、ガニツマブ、ゲムツズマブ、ギレンツキシマブ、グレムバツムマブ、イブリツモマブ、イゴボマブ、イマツズマブ、インダツキシマブ、イノツズマブ、インテツムマブ、イピリムマブ、イラツムマブ、ラベツズマブ、レキサツムマブ、リンツズマブ、ロルボツズマブ、ルカツムマブ、マパツムマブ、マツズマブ、ミラツズマブ、ミンレツモマブ、ミツモマブ、モキセツモマブ、ナマツマブ、ナプツモマブ、ネシツムマブ、ニモツズマブ、ノフェツモマブ、オカラツズマブ、オファツムマブ、オララツマブ、オナツズマブ、オポルツズマブ、オレゴボマブ、パニツムマブ、パルサツズマブ、パトリツマブ、ペムツモマブ、ペルツズマブ、ピンツモマブ、プリツムマブ、ラコツモマブ、ラドレツマブ、リロツムマブ、リツキシマブ、ロバツムマブ、サツモマブ、シブロツズマブ、シルツキシマブ、シムツズマブ、ソリトマブ、タカツズマブ、タプリツモマブ、テナツモマブ、テプロツムマブ、チガツズマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ、ツコツズマブ、ウブリツキシマブ、ベルツズマブ、ボルセツズマブ、ボツムマブ(votumumab)、ザルツムマブ(zalutumumab)、CC49及び3F8、が含まれるがこれらに限定されない。
【0249】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される組成物は、サイトカインと共に投与される。本明細書で使用される場合、「サイトカイン」は、細胞間メディエーターとして別の細胞に作用する1つの細胞集団によって放出されるタンパク質の総称を意味する。サイトカインの例は、リンホカイン、モノカイン、ケモカイン、及び従来のポリペプチドホルモンである。サイトカインには、成長ホルモン、例えば、ヒト成長ホルモン、N-メチオニルヒト成長ホルモン、及びウシ成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;リラキシン;プロリラキシン;糖タンパク質ホルモン、例えば、卵胞刺激ホルモン(follicle stimulating hormone、FSH)、甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormone、TSH)、黄体形成ホルモン(luteinizing hormone、LH);肝増殖因子;線維芽細胞増殖因子;プロラクチン;胎盤ラクトゲン;腫瘍壊死因子-アルファ及び-ベータ;ミュラー管抑制因子;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮成長因子;インテグリン;トロンボポエチン(thrombopoietin、TPO);神経成長因子、例えば、NGF-ベータ;血小板増殖因子;形質転換増殖因子(transforming growth factor、TGF)、例えば、TGF-アルファ及びTGF-ベータ;インスリン様成長因子-I及び成長因子-II;エリスロポエチン(erythropoietin、EPO);骨誘導因子;インターフェロン、例えば、インターフェロン-アルファ、ベータ、及びガンマ;コロニー刺激因子(colony stimulating factor、CSF)、例えば、マクロファージ-CSF(M-CSF);顆粒球マクロファージCSF(granulocyte-macrophage-CSF、GM-CSF);及び顆粒球CSF(granulocyte-CSF、G-CSF);インターロイキン(IL)、例えば、IL-1、IL-1α、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12;IL-15、腫瘍壊死因子、例えば、TNF-アルファ又はTNF-ベータ;並びにLIF及びkitリガンド(kit ligand、KL)を含む他のポリペプチド因子が含まれる。本明細書で使用される場合、サイトカインという用語には、天然源又は組換え細胞培養物由来のタンパク質、及び天然配列サイトカインの生物学的に活性な等価物が含まれる。
【0250】
いずれの細胞も、本開示のポリヌクレオチド、ベクター、又はポリペプチドのための宿主細胞として使用することができる。いくつかの実施形態では、細胞は、原核細胞、真菌細胞、酵母細胞、又は哺乳動物細胞などのより高等な真核細胞であり得る。好適な原核細胞には、限定されないが、グラム陰性又はグラム陽性生物などの真性細菌、例えば、EscherichiaなどのEnterobactehaceae、例えば、E.coli;Enterobacter;Erwinia;Klebsiella;Proteus;Salmonella、例えば、Salmonella typhimurium;Serratia、例えば、Serratia marcescans、及びShigella;B.subtilis及びB.licheniformisなどのBacilli;P.aeruginosaなどのPseudomonas;並びにStreptomycesが含まれる。いくつかの実施形態では、細胞はヒト細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は免疫細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、T細胞、B細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、TCR発現細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、樹状細胞、顆粒球、自然リンパ細胞、巨核球、単球、マクロファージ、血小板、胸腺細胞、及び骨髄細胞からなる群から選択される。一実施形態では、免疫細胞はT細胞である。別の実施形態では、免疫細胞はNK細胞である。ある特定の実施形態では、T細胞は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、自己T細胞、操作された自己T細胞(eACT(商標))、同種異系T細胞、異種T細胞、又はそれらの任意の組み合わせである。抗体療法又は独立型NKG2D CAR改変T細胞とは異なり、T細胞(又は上記の任意の細胞)。
【0251】
本明細書に記載の別の実施形態は、本明細書に記載のTCR若しくはCARを発現するT細胞又はNK細胞を含む組成物の有効量、例えば、治療有効量を投与することを含む、治療を必要とする対象のがんを治療する方法である。投与の量及び頻度は、患者の状態、患者の疾患の種類及び重症度などの要因によって決定されるが、適切な投与量は、臨床試験によって決定され得る。
【0252】
他の実施形態では、本明細書で企図される治療有効量の改変されたT細胞又はそれを含む組成物を、単独で、又は1つ以上の治療薬と組み合わせて、それを必要とする患者に投与することを含む、方法が提供される。ある特定の実施形態では、本開示の細胞は、がんを発症するリスクのある患者の治療に使用される。したがって、本開示は、がんの治療又は予防のための方法を提供し、それを必要とする対象に、治療有効量の本開示の改変T細胞を投与することを含む。
【0253】
当業者は、所望の治療に影響を及ぼすために本開示の組成物の複数回の投与が必要とされ得ることを認識するであろう。例えば、組成物は、1週間、2週間、3週間、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、1年、2年、5年、10年、又はそれ以上のスパンにわたって1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10回以上投与され得る。
【0254】
ある特定の実施形態では、活性化T細胞を対象に投与し、次いで、血液を再採取し(又はアフェレーシスを行う)、本開示に従ってそこからT細胞を活性化し、これらの活性化及び増殖されたT細胞を患者に再注入することが望ましい場合がある。このプロセスは、数週間毎に複数回実行され得る。ある特定の実施形態では、T細胞は、10cc~400ccの採血から活性化され得る。理論に束縛されるものではないが、この複数の採血/複数の再注入プロトコルを使用して、T細胞のある特定の集団を選択するのに役立ち得る。
【0255】
本明細書で企図される組成物の投与は、エアロゾル吸入、注射、摂取、輸血、移植、又は移植を含む、任意の便利な方法で実施され得る。いくつかの実施形態では、組成物は非経口的に投与される。本明細書で使用される場合、「非経口投与」及び「非経口的に投与される」という語句は、経腸及び局所投与以外の、通常は注射による投与様式を意味し、血管内、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、腫瘍内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、及び、胸骨下の注射及び注入、を含むが、これらに限定されない。一実施形態では、本明細書で企図される組成物は、腫瘍、リンパ節、又は感染部位への直接注射によって対象に投与される。
【0256】
一実施形態では、それを必要とする対象は、対象におけるがんに対する細胞免疫応答を増加させるために有効量の組成物を投与される。免疫応答は、感染細胞を死滅させることができる細胞傷害性T細胞、制御性T細胞、及びヘルパーT細胞応答によって媒介される細胞免疫応答を含み得る。したがって、抗体産生をもたらすB細胞を活性化することができるヘルパーT細胞によって主に媒介される体液性免疫応答も誘導され得る。本開示の組成物によって誘発される免疫応答のタイプを分析するために、当該技術分野で十分に説明されている様々な技術を使用することができ、例えば、Current Protocols in Immunology,Edited by:John E.Coligan,Ada M.Kruisbeek,David H.Margulies,Ethan M.Shevach,Warren Strober(2001)John Wiley & Sons,NY,N.Yに十分に記載されている。
【0257】
T細胞媒介性殺傷の場合、CAR-リガンド結合は、T細胞へのCARシグナル伝達を開始し、T細胞が、様々な機構によって標的細胞アポトーシスを誘導することができるタンパク質を産生する又は放出するように誘導する、様々なT細胞シグナル伝達経路の活性化をもたらす。これらのT細胞媒介メカニズムには、T細胞からの標的細胞への細胞内細胞傷害性顆粒の移動、標的細胞殺滅を直接的に誘導し得る炎症誘発性サイトカインのT細胞分泌(又は他のキラーエフェクター細胞の動員を介して間接的に)、及び標的細胞上のそれらの同族死受容体(例えばFas)への結合後に標的細胞アポトーシスを誘導するT細胞表面上の死受容体リガンド(例えば、FasL)のアップレギュレーションが含まれる(しかし、これらに限定されない)。
【0258】
本明細書に記載の実施形態は、がんと診断された対象を治療する方法であって、対象からT細胞を取り出すことと、本明細書で企図されるNKG2D CARをコードする核酸を含むベクターで当該T細胞を遺伝子改変し、それによって改変されたT細胞の集団を産生することと、改変されたT細胞の集団を同じ対象に投与することと、を含む、方法である。
【0259】
ある特定の実施形態では、本開示はまた、対象における標的細胞集団に対するエフェクター細胞媒介免疫調節剤応答を刺激するための方法であって、NKG2D CAR分子をコードする核酸構築物を発現する免疫エフェクター細胞集団を対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0260】
本明細書に記載の細胞組成物を投与するための方法は、対象において操作されたNKG2D CARを直接発現するか、又は対象に導入するとNKG2D CAR分子を発現する成熟免疫エフェクター細胞に分化する免疫エフェクター細胞の遺伝子改変前駆細胞の再導入時のいずれかで、エクスビボで遺伝子改変された免疫エフェクター細胞の再導入をもたらすのに効果的である任意の方法を含む。1つの方法は、エクスビボで末梢血T細胞を本開示による核酸構築物で形質導入し、形質導入された細胞を対象に戻すことを含む。
【0261】
前述の開示は、理解を明確にするために、例示及び例としてある程度詳細に説明されているが、本開示の教示に照らして、当業者には、添付の特許請求の範囲の趣旨又は範囲から逸脱することなく、ある特定の変更及び改変を加えることができることが容易に明らかになるであろう。以下の実施例は、限定するものではなく、例示としてのみ提供される。当業者は、本質的に同様の結果をもたらすために変更又は改変され得る様々な非重要なパラメータを容易に認識するであろう。
【実施例】
【0262】
実施例1
NKG2D CAR構築物設計
以下の実施例において使用されるように、操作されたNKG2Dキメラ抗原受容体構築物を設計し、レトロウイルスベクターにおいて合成した。NKG2D CAR1と称される第1の構築物は、N末端からC末端に、シグナルペプチド、NKG2D細胞外ドメイン、CD8アルファヒンジ、CD28膜貫通ドメイン、4-1BB細胞間ドメイン、及びCD3ζシグナル伝達ドメインを含むシグナル伝達ドメインを含む。このキメラ抗原受容体のアミノ酸配列を、以下に示す:MALPVTALLLPLALLLHAARPLFNQEVQIPLTESYCGPCPKNWICYKNNCYQFFDESKNWYESQASCMSQNASLLKVYSKEDQDLLKLVKSYHWMGLVHIPTNGSWQWEDGSILSPNLLTIIEMQKGDCALYASSFKGYIENCSTPNTYICMQRTVTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号53)。
【0263】
NKG2D CAR2と称される第2の構築物は、N末端からC末端に、シグナルペプチド、NKG2D細胞外ドメイン、CD8アルファヒンジ、CD28膜貫通ドメイン、4-1BB細胞間ドメイン、並びにCD3εシグナル伝達ドメイン及びCD3ζシグナル伝達ドメインを含むシグナル伝達ドメイン、を含む。このキメラ抗原受容体のアミノ酸配列を、以下に示す:
MALPVTALLLPLALLLHAARPLFNQEVQIPLTESYCGPCPKNWICYKNNCYQFFDESKNWYESQASCMSQNASLLKVYSKEDQDLLKLVKSYHWMGLVHIPTNGSWQWEDGSILSPNLLTIIEMQKGDCALYASSFKGYIENCSTPNTYICMQRTVTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEKNRKAKAKPVTRGAGAGGRQRGQNKERPPPVPNPDYEPIRKGQRDLYSGLLRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号54)。
【0264】
NKG2D CAR3と称される第3の構築物は、N末端からC末端に、NKG2D細胞外ドメイン、CD8ヒンジ、CD8膜貫通ドメイン、4-1BB細胞間ドメイン、及びCD3ζシグナル伝達ドメインを含むシグナル伝達ドメインを含む。このキメラ抗原受容体のアミノ酸配列は、以下のアミノ酸配列を含む:LFNQEVQIPLTESYCGPCPKNWICYKNNCYQFFDESKNWYESQASCMSQNASLLKVYSKEDQDLLKLVKSYHWMGLVHIPTNGSWQWEDGSILSPNLLTIIEMQKGDCALYASSFKGYIENCSTPNTYICMQRTVTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号66)。一態様では、CAR3は、以下のヌクレオチド配列によりコードされる:
1 cgtgaggctc cggtgcccgt cagtgggcag agcgcacatc gcccacagtc cccgagaagt
61 tggggggagg ggtcggcaat tgaaccggtg cctagagaag gtggcgcggg gtaaactggg
121 aaagtgatgt cgtgtactgg ctccgccttt ttcccgaggg tgggggagaa ccgtatataa
181 gtgcagtagt cgccgtgaac gttctttttc gcaacgggtt tgccgccaga acacaggtaa
241 gtgccgtgtg tggttcccgc gggcctggcc tctttacggg ttatggccct tgcgtgcctt
301 gaattacttc cacgcccctg gctgcagtac gtgattcttg atcccgagct tcgggttgga
361 agtgggtggg agagttcgag gccttgcgct taaggagccc cttcgcctcg tgcttgagtt
421 gaggcctggc ttgggcgctg gggccgccgc gtgcgaatct ggtggcacct tcgcgcctgt
481 ctcgctgctt tcgataagtc tctagccatt taaaattttt gatgacctgc tgcgacgctt
541 tttttctggc aagatagtct tgtaaatgcg ggccaagatc tgcacactgg tatttcggtt
601 tttggggccg cgggcggcga cggggcccgt gcgtcccagc gcacatgttc ggcgaggcgg
661 ggcctgcgag cgcggccacc gagaatcgga cgggggtagt ctcaagctgg ccggcctgct
721 ctggtgcctg gcctcgcgcc gccgtgtatc gccccgccct gggcggcaag gctggcccgg
781 tcggcaccag ttgcgtgagc ggaaagatgg ccgcttcccg gccctgctgc agggagctca
841 aaatggagga cgcggcgctc gggagagcgg gcgggtgagt cacccacaca aaggaaaagg
901 gcctttccgt cctcagccgt cgcttcatgt gactccacgg agtaccgggc gccgtccagg
961 cacctcgatt agttctcgag cttttggagt acgtcgtctt taggttgggg ggaggggttt
1021 tatgcgatgg agtttcccca cactgagtgg gtggagactg aagttaggcc agcttggcac
1081 ttgatgtaat tctccttgga atttgccctt tttgagtttg gatcttggtt cattctcaag
1141 cctcagacag tggttcaaag tttttttctt ccatttcagg tgtcgtgaaa actaccccta
1201 aaagccaaag cgccgccacc atggctcttc ctgtgacagc tcttctgctg cccctggccc
1261 tgcttctgca tgctgctaga cctgagcaaa agttgatttc tgaggaagac ctcgccggca
1321 gtttattcaa ccaagaagtc caaattccct tgaccgaaag ttactgtggc ccatgtccta
1381 agaactggat atgttacaaa aataactgtt accaattctt cgatgaatct aagaattggt
1441 atgagagcca ggcttcttgt atgtctcaaa atgccagcct tcttaaagta tacagcaaag
1501 aggaccagga tttacttaaa ctggtgaagt catatcattg gatgggacta gtacacattc
1561 caacaaatgg atcttggcag tgggaagacg gctccattct ctcacccaac ctactaacaa
1621 taattgaaat gcagaaggga gactgtgcac tctatgcatc gagctttaaa ggctatatag
1681 aaaactgttc aactccaaat acatatattt gcatgcaaag gactgtgacc acgacgccag
1741 cgccgcgacc accaacaccg gcgcccacca tcgcgtcgca acccctgtcc ctgaggcctg
1801 aagcgtgccg gccagcggcg ggcggcgcag tgcacacgag agggctggac ttcgcctgtg
1861 atatctacat ctgggcgccc ttggccggga cttgtggggt ccttctcctg tcactggtta
1921 tcacccttta ctgcaaacgg ggcagaaaga aactcctgta tatattcaaa caaccattta
1981 tgagaccagt acaaactact caagaggaag atggctgtag ctgccgattt ccagaagaag
2041 aagaaggagg atgtgaactg agagtgaagt tcagcaggag cgcagacgcc cccgcgtacc
2101 agcaagggca gaaccagctc tataacgagc tcaatctagg acgaagagag gagtacgatg
2161 ttttggacaa gaggcgtggc cgggaccctg agatgggggg aaagccgaga aggaagaacc
2221 ctcaggaagg cctgtacaat gaactgcaga aagataagat ggcggaggcc tacagtgaga
2281 ttgggatgaa aggcgagcgc cggaggggca aggggcacga tggcctttac cagggtctca
2341 gtacagccac caaggacacc tacgacgccc ttcacatgca agctctgccc cctcgctga(配列番号67)。
CAR3は、(配列番号67)に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされ得る。ある特定の態様では、(配列番号67)の核酸配列は、Myc(ヒトc-Myc癌原遺伝子)エピトープタグ、及びMycタグとNKG2D細胞外ドメインとの間のリンカーをコードする配列を除去するように改変され得る。(配列番号67)の核酸配列は、位置1221~1283でCD8aシグナルペプチドをコードし、このシグナルペプチドは、異なるシグナルペプチドに置換され得る。
【0265】
NKG2D CAR4と称される第4の構築物は、N末端からC末端に、NKG2D細胞外ドメイン、CD8アルファヒンジ、CD28膜貫通ドメイン、4-1BB細胞間ドメイン、及びCD3ζシグナル伝達ドメインを含むシグナル伝達ドメインを含む。このキメラ抗原受容体のアミノ酸配列は、以下のアミノ酸配列を含む:LFNQEVQIPLTESYCGPCPKNWICYKNNCYQFFDESKNWYESQASCMSQNASLLKVYSKEDQDLLKLVKSYHWMGLVHIPTNGSWQWEDGSILSPNLLTIIEMQKGDCALYASSFKGYIENCSTPNTYICMQRTVTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号68)。一態様では、CAR4は、以下のヌクレオチド配列によりコードされる:
1 cgtgaggctc cggtgcccgt cagtgggcag agcgcacatc gcccacagtc cccgagaagt
61 tggggggagg ggtcggcaat tgaaccggtg cctagagaag gtggcgcggg gtaaactggg
121 aaagtgatgt cgtgtactgg ctccgccttt ttcccgaggg tgggggagaa ccgtatataa
181 gtgcagtagt cgccgtgaac gttctttttc gcaacgggtt tgccgccaga acacaggtaa
241 gtgccgtgtg tggttcccgc gggcctggcc tctttacggg ttatggccct tgcgtgcctt
301 gaattacttc cacgcccctg gctgcagtac gtgattcttg atcccgagct tcgggttgga
361 agtgggtggg agagttcgag gccttgcgct taaggagccc cttcgcctcg tgcttgagtt
421 gaggcctggc ttgggcgctg gggccgccgc gtgcgaatct ggtggcacct tcgcgcctgt
481 ctcgctgctt tcgataagtc tctagccatt taaaattttt gatgacctgc tgcgacgctt
541 tttttctggc aagatagtct tgtaaatgcg ggccaagatc tgcacactgg tatttcggtt
601 tttggggccg cgggcggcga cggggcccgt gcgtcccagc gcacatgttc ggcgaggcgg
661 ggcctgcgag cgcggccacc gagaatcgga cgggggtagt ctcaagctgg ccggcctgct
721 ctggtgcctg gcctcgcgcc gccgtgtatc gccccgccct gggcggcaag gctggcccgg
781 tcggcaccag ttgcgtgagc ggaaagatgg ccgcttcccg gccctgctgc agggagctca
841 aaatggagga cgcggcgctc gggagagcgg gcgggtgagt cacccacaca aaggaaaagg
901 gcctttccgt cctcagccgt cgcttcatgt gactccacgg agtaccgggc gccgtccagg
961 cacctcgatt agttctcgag cttttggagt acgtcgtctt taggttgggg ggaggggttt
1021 tatgcgatgg agtttcccca cactgagtgg gtggagactg aagttaggcc agcttggcac
1081 ttgatgtaat tctccttgga atttgccctt tttgagtttg gatcttggtt cattctcaag
1141 cctcagacag tggttcaaag tttttttctt ccatttcagg tgtcgtgaaa actaccccta
1201 aaagccaaag cgccgccacc atggctcttc ctgtgacagc tcttctgctg cccctggccc
1261 tgcttctgca tgctgctaga cctgagcaaa agttgatttc tgaggaagac ctcgccggca
1321 gtttattcaa ccaagaagtc caaattccct tgaccgaaag ttactgtggc ccatgtccta
1381 agaactggat atgttacaaa aataactgtt accaattctt cgatgaatct aagaattggt
1441 atgagagcca ggcttcttgt atgtctcaaa atgccagcct tcttaaagta tacagcaaag
1501 aggaccagga tttacttaaa ctggtgaagt catatcattg gatgggacta gtacacattc
1561 caacaaatgg atcttggcag tgggaagacg gctccattct ctcacccaac ctactaacaa
1621 taattgaaat gcagaaggga gactgtgcac tctatgcatc gagctttaaa ggctatatag
1681 aaaactgttc aactccaaat acatatattt gcatgcaaag gactgtgacc acgacgccag
1741 cgccgcgacc accaacaccg gcgcccacca tcgcgtcgca acccctgtcc ctgaggcctg
1801 aagcgtgccg gccagcggcg ggcggcgcag tgcacacgag agggctggac ttcgcctgtg
1861 atttttgggt gctggtggtg gttggtggag tcctggcttg ctatagcttg ctagtaacag
1921 tggcctttat tattttctgg gtcaaacggg gcagaaagaa actcctgtat atattcaaac
1981 aaccatttat gagaccagta caaactactc aagaggaaga tggctgtagc tgccgatttc
2041 cagaagaaga agaaggagga tgtgaactga gagtgaagtt cagcaggagc gcagacgccc
2101 ccgcgtacca gcaagggcag aaccagctct ataacgagct caatctagga cgaagagagg
2161 agtacgatgt tttggacaag aggcgtggcc gggaccctga gatgggggga aagccgagaa
2221 ggaagaaccc tcaggaaggc ctgtacaatg aactgcagaa agataagatg gcggaggcct
2281 acagtgagat tgggatgaaa ggcgagcgcc ggaggggcaa ggggcacgat ggcctttacc
2341 agggtctcag tacagccacc aaggacacct acgacgccct tcacatgcaa gctctgcccc
2401ctcgctga(配列番号69)。
CAR4は、(配列番号69)に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされ得る。ある特定の態様では、(配列番号69)の核酸配列は、Myc(ヒトc-Myc癌原遺伝子)エピトープタグ、及びMycタグとNKG2D細胞外ドメインとの間のリンカーをコードする配列を除去するように改変され得る。(配列番号69)の核酸配列は、位置1221~1283でCD8aシグナルペプチドをコードし、このシグナルペプチドは、異なるシグナルペプチドに置換され得る。
【0266】
NKG2D CAR5と称される第5の構築物は、N末端からC末端に、NKG2D細胞外ドメイン、CD8ヒンジ、CD8膜貫通ドメイン、4-1BB細胞間ドメイン、並びにCD3εシグナル伝達ドメイン及びCD3ζシグナル伝達ドメインを含むシグナル伝達ドメインを含む。このキメラ抗原受容体のアミノ酸配列は、以下のアミノ酸配列を含む:LFNQEVQIPLTESYCGPCPKNWICYKNNCYQFFDESKNWYESQASCMSQNASLLKVYSKEDQDLLKLVKSYHWMGLVHIPTNGSWQWEDGSILSPNLLTIIEMQKGDCALYASSFKGYIENCSTPNTYICMQRTVTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFAIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELKNRKAKAKPVTRGAGAGGRQRGQNKERPPPVPNPDYEPIRKGQRDLYSGLNQRRILRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号70)。一態様では、CAR5は、以下のヌクレオチド配列によりコードされる:
1 cgcggaatga aagaccccac ctgtaggttt ggcaagctag cttaagtaac gccattttgc
61 aaggcatgga aaatacataa ctgagaatag agaagttcag atcaaggtta ggaacagaga
121 gacagcagaa tatgggccaa acaggatatc tgtggtaagc agttcctgcc ccggctcagg
181 gccaagaaca gatggtcccc agatgcggtc ccgccctcag cagtttctag agaaccatca
241 gatgtttcca gggtgcccca aggacctgaa atgaccctgt gccttatttg aactaaccaa
301 tcagttcgct tctcgcttct gttcgcgcgc ttctgctccc cgagctcaat aaaagagccc
361 acaacccctc actcggcgcg ccagtccttc gaagtagatc tttgtcgatc ctaccatcca
421 ctcgacacac ccgccagcgg ccgctgccaa gcttccgagc tctcgaatta attcacgccg
481 ccaccatggc tcttcctgtg acagctcttc tgctgcccct ggccctgctt ctgcatgctg
541 ctagacctga gcaaaagttg atttctgagg aagacctcgc cggcagttta ttcaaccaag
601 aagtccaaat tcccttgacc gaaagttact gtggcccatg tcctaagaac tggatatgtt
661 acaaaaataa ctgttaccaa ttcttcgatg aatctaagaa ttggtatgag agccaggctt
721 cttgtatgtc tcaaaatgcc agccttctta aagtatacag caaagaggac caggatttac
781 ttaaactggt gaagtcatat cattggatgg gactagtaca cattccaaca aatggatctt
841 ggcagtggga agacggctcc attctctcac ccaacctact aacaataatt gaaatgcaga
901 agggagactg tgcactctat gcatcgagct ttaaaggcta tatagaaaac tgttcaactc
961 caaatacata tatttgcatg caaaggactg tgaccaccac tcctgctcca agacctccta
1021 cccccgctcc tacaatcgcc agccaacctc tgagcctgag accggaggca tgcagacctg
1081 cggcaggggg agcagttcac acaagaggct tggacttcgc ttgcgacatc tacatctggg
1141 cccctctggc cggcacatgc ggagttcttc ttcttagcct ggtgatcacc ctgtactgca
1201 agagaggccg gaagaagctg ctgtacatct tcaagcagcc cttcatgaga cctgtgcaga
1261 ccacacagga ggaagacggc tgcagctgta gattccccga ggaagaggag ggcggctgtg
1321 agctgaagaa ccgcaaagca aaggcaaaac ccgtcacacg aggagcgggc gcagggggac
1381 gacaacgcgg tcagaataag gaacgcccgc ctccagtacc aaatccagat tatgaaccaa
1441 ttcggaaggg acaacgcgat ctctactccg gtctcaatca gaggcgaatt ctgagagtta
1501 agttcagcag gagcgccgac gcccctgcct accagcaagg acagaatcaa ctgtacaacg
1561 agctgaacct gggcagacgg gaggaatacg atgtgctgga caagaggaga ggcagagacc
1621 ccgagatggg cggcaaacct agaagaaaga acccccagga gggcctgtat aacgagctcc
1681 agaaggacaa gatggccgag gcctacagcg agatcggcat gaagggcgaa agaagaagag
1741 gcaagggcca cgacggcctc taccagggct taagcacagc tacaaaggac acctacgacg
1801 ccctgcacat gcaggccctg ccccctagat ga(配列番号71)
CAR5は、(配列番号71)に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされ得る。ある特定の態様では、(配列番号71)の核酸配列は、Myc(ヒトc-Myc癌原遺伝子)エピトープタグ、及びMycタグとNKG2D細胞外ドメインとの間のリンカーをコードする配列を除去するように改変され得る。(配列番号71)の核酸配列は、位置486~548でCD8aシグナルペプチドをコードし、このシグナルペプチドは、異なるシグナルペプチドに置換され得る。
【0267】
NKG2D CAR6と称される第6の構築物は、N末端からC末端に、NKG2D細胞外ドメイン、CD8アルファヒンジ、CD8膜貫通ドメイン、4-1BB細胞間ドメイン、並びにCD3εシグナル伝達ドメイン及びCD3ζシグナル伝達ドメインを含むシグナル伝達ドメインを含む。このキメラ抗原受容体のアミノ酸配列は、以下のアミノ酸配列を含む:LFNQEVQIPLTESYCGPCPKNWICYKNNCYQFFDESKNWYESQASCMSQNASLLKVYSKEDQDLLKLVKSYHWMGLVHIPTNGSWQWEDGSILSPNLLTIIEMQKGDCALYASSFKGYIENCSTPNTYICMQRTVTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEKNRKAKAKPVTRGAGAGGRQRGQNKERPPPVPNPDYEPIRKGQRDLYSGLLRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号72)。一態様では、CAR6は、以下のヌクレオチド配列によりコードされる:
1 cgcggaatga aagaccccac ctgtaggttt ggcaagctag cttaagtaac gccattttgc
61 aaggcatgga aaatacataa ctgagaatag agaagttcag atcaaggtta ggaacagaga
121 gacagcagaa tatgggccaa acaggatatc tgtggtaagc agttcctgcc ccggctcagg
181 gccaagaaca gatggtcccc agatgcggtc ccgccctcag cagtttctag agaaccatca
241 gatgtttcca gggtgcccca aggacctgaa atgaccctgt gccttatttg aactaaccaa
301 tcagttcgct tctcgcttct gttcgcgcgc ttctgctccc cgagctcaat aaaagagccc
361 acaacccctc actcggcgcg ccagtccttc gaagtagatc tttgtcgatc ctaccatcca
421 ctcgacacac ccgccagcgg ccgctgccaa gcttccgagc tctcgaatta attcacgccg
481 ccaccatggc tcttcctgtg acagctcttc tgctgcccct ggccctgctt ctgcatgctg
541 ctagacctga gcaaaagttg atttctgagg aagacctcgc cggcagttta ttcaaccaag
601 aagtccaaat tcccttgacc gaaagttact gtggcccatg tcctaagaac tggatatgtt
661 acaaaaataa ctgttaccaa ttcttcgatg aatctaagaa ttggtatgag agccaggctt
721 cttgtatgtc tcaaaatgcc agccttctta aagtatacag caaagaggac caggatttac
781 ttaaactggt gaagtcatat cattggatgg gactagtaca cattccaaca aatggatctt
841 ggcagtggga agacggctcc attctctcac ccaacctact aacaataatt gaaatgcaga
901 agggagactg tgcactctat gcatcgagct ttaaaggcta tatagaaaac tgttcaactc
961 caaatacata tatttgcatg caaaggactg tgaccacgac gccagcgccg cgaccaccaa
1021 caccggcgcc caccatcgcg tcgcaacccc tgtccctgag gcctgaagcg tgccggccag
1081 cggcgggcgg cgcagtgcac acgagagggc tggacttcgc ctgtgatatc tacatctggg
1141 cgcccttggc cgggacttgt ggggtccttc tcctgtcact ggttatcacc ctttactgca
1201 aacggggcag aaagaaactc ctgtatatat tcaaacaacc atttatgaga ccagtacaaa
1261 ctactcaaga ggaagatggc tgtagctgcc gatttccaga agaagaagaa ggaggatgtg
1321 aaaagaaccg aaaagcaaaa gccaagcctg ttacaagagg agcaggggca ggaggccgac
1381 agagagggca aaacaaagaa aggcccccgc ccgtcccaaa cccggattat gagccaatta
1441 ggaagggtca gagagacctg tattctgggc tcctgagagt gaagttcagc aggagcgcag
1501 acgcccccgc gtaccagcaa gggcagaacc agctctataa cgagctcaat ctaggacgaa
1561 gagaggagta cgatgttttg gacaagaggc gtggccggga ccctgagatg gggggaaagc
1621 cgagaaggaa gaaccctcag gaaggcctgt acaatgaact gcagaaagat aagatggcgg
1681 aggcctacag tgagattggg atgaaaggcg agcgccggag gggcaagggg cacgatggcc
1741 tttaccaggg tctcagtaca gccaccaagg acacctacga cgcccttcac atgcaagctc
1801 tgccccctcg ctga(配列番号73)
CAR6は、(配列番号73)に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされ得る。ある特定の態様では、(配列番号73)の核酸配列は、Myc(ヒトc-Myc癌原遺伝子)エピトープタグ、及びMycタグとNKG2D細胞外ドメインとの間のリンカーをコードする配列を除去するように改変され得る。(配列番号73)の核酸配列は、位置486~548でCD8aシグナルペプチドをコードし、このシグナルペプチドは、異なるシグナルペプチドに置換され得る。
【0268】
NKG2D CAR7と称される第7の構築物は、N末端からC末端に、NKG2D細胞外ドメイン、CD8アルファヒンジ、CD28膜貫通ドメイン、4-1BB細胞間ドメイン、並びにCD3εシグナル伝達ドメイン及びCD3ζシグナル伝達ドメインを含むシグナル伝達ドメインを含む。このキメラ抗原受容体のアミノ酸配列は、以下のアミノ酸配列を含む:LFNQEVQIPLTESYCGPCPKNWICYKNNCYQFFDESKNWYESQASCMSQNASLLKVYSKEDQDLLKLVKSYHWMGLVHIPTNGSWQWEDGSILSPNLLTIIEMQKGDCALYASSFKGYIENCSTPNTYICMQRTVTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEKNRKAKAKPVTRGAGAGGRQRGQNKERPPPVPNPDYEPIRKGQRDLYSGLLRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号74)。一態様では、CAR7は、以下のヌクレオチド配列によりコードされる:
1 cgcggaatga aagaccccac ctgtaggttt ggcaagctag cttaagtaac gccattttgc
61 aaggcatgga aaatacataa ctgagaatag agaagttcag atcaaggtta ggaacagaga
121 gacagcagaa tatgggccaa acaggatatc tgtggtaagc agttcctgcc ccggctcagg
181 gccaagaaca gatggtcccc agatgcggtc ccgccctcag cagtttctag agaaccatca
241 gatgtttcca gggtgcccca aggacctgaa atgaccctgt gccttatttg aactaaccaa
301 tcagttcgct tctcgcttct gttcgcgcgc ttctgctccc cgagctcaat aaaagagccc
361 acaacccctc actcggcgcg ccagtccttc gaagtagatc tttgtcgatc ctaccatcca
421 ctcgacacac ccgccagcgg ccgctgccaa gcttccgagc tctcgaatta attcacgccg
481 ccaccatggc tcttcctgtg acagctcttc tgctgcccct ggccctgctt ctgcatgctg
541 ctagacctga gcaaaagttg atttctgagg aagacctcgc cggcagttta ttcaaccaag
601 aagtccaaat tcccttgacc gaaagttact gtggcccatg tcctaagaac tggatatgtt
661 acaaaaataa ctgttaccaa ttcttcgatg aatctaagaa ttggtatgag agccaggctt
721 cttgtatgtc tcaaaatgcc agccttctta aagtatacag caaagaggac caggatttac
781 ttaaactggt gaagtcatat cattggatgg gactagtaca cattccaaca aatggatctt
841 ggcagtggga agacggctcc attctctcac ccaacctact aacaataatt gaaatgcaga
901 agggagactg tgcactctat gcatcgagct ttaaaggcta tatagaaaac tgttcaactc
961 caaatacata tatttgcatg caaaggactg tgaccacgac gccagcgccg cgaccaccaa
1021 caccggcgcc caccatcgcg tcgcaacccc tgtccctgag gcctgaagcg tgccggccag
1081 cggcgggcgg cgcagtgcac acgagagggc tggacttcgc ctgtgatttt tgggtgctgg
1141 tggtggttgg tggagtcctg gcttgctata gcttgctagt aacagtggcc tttattattt
1201 tctgggtcaa acggggcaga aagaaactcc tgtatatatt caaacaacca tttatgagac
1261 cagtacaaac tactcaagag gaagatggct gtagctgccg atttccagaa gaagaagaag
1321 gaggatgtga aaagaaccga aaagcaaaag ccaagcctgt tacaagagga gcaggggcag
1381 gaggccgaca gagagggcaa aacaaagaaa ggcccccgcc cgtcccaaac ccggattatg
1441 agccaattag gaagggtcag agagacctgt attctgggct cctgagagtg aagttcagca
1501 ggagcgcaga cgcccccgcg taccagcaag ggcagaacca gctctataac gagctcaatc
1561 taggacgaag agaggagtac gatgttttgg acaagaggcg tggccgggac cctgagatgg
1621 ggggaaagcc gagaaggaag aaccctcagg aaggcctgta caatgaactg cagaaagata
1681 agatggcgga ggcctacagt gagattggga tgaaaggcga gcgccggagg ggcaaggggc
1741 acgatggcct ttaccagggt ctcagtacag ccaccaagga cacctacgac gcccttcaca
1801 tgcaagctct gccccctcgc tga(配列番号75)
CAR7は(配列番号75)に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされ得る。ある特定の態様では、(配列番号75)の核酸配列は、Myc(ヒトc-Myc癌原遺伝子)エピトープタグ、及びMycタグとNKG2D細胞外ドメインとの間のリンカーをコードする配列を除去するように改変され得る。(配列番号75)の核酸配列は、位置486~548でCD8aシグナルペプチドをコードし、このシグナルペプチドは、異なるシグナルペプチドに置換され得る。
【0269】
NKG2D CAR8と称される第8の構築物は、N末端からC末端に、NKG2D細胞外ドメイン、CD8アルファヒンジ、CD28膜貫通ドメイン、4-1BB細胞間ドメイン、並びにCD3εシグナル伝達ドメイン及びCD3ζシグナル伝達ドメインを含むシグナル伝達ドメインを含む。このキメラ抗原受容体のアミノ酸配列は、以下のアミノ酸配列を含む:LFNQEVQIPLTESYCGPCPKNWICYKNNCYQFFDESKNWYESQASCMSQNASLLKVYSKEDQDLLKLVKSYHWMGLVHIPTNGSWQWEDGSILSPNLLTIIEMQKGDCALYASSFKGYIENCSTPNTYICMQRTVTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEKNRKAKAKPVTRGAGAGGRQRGQNKERPPPVPNPDYEPIRKGQRDLYSGLNQRRILRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号76)。一態様では、CAR8は、以下のヌクレオチド配列によりコードされる:
1 cgcggaatga aagaccccac ctgtaggttt ggcaagctag cttaagtaac gccattttgc
61 aaggcatgga aaatacataa ctgagaatag agaagttcag atcaaggtta ggaacagaga
121 gacagcagaa tatgggccaa acaggatatc tgtggtaagc agttcctgcc ccggctcagg
181 gccaagaaca gatggtcccc agatgcggtc ccgccctcag cagtttctag agaaccatca
241 gatgtttcca gggtgcccca aggacctgaa atgaccctgt gccttatttg aactaaccaa
301 tcagttcgct tctcgcttct gttcgcgcgc ttctgctccc cgagctcaat aaaagagccc
361 acaacccctc actcggcgcg ccagtccttc gaagtagatc tttgtcgatc ctaccatcca
421 ctcgacacac ccgccagcgg ccgctgccaa gcttccgagc tctcgaatta attcacgccg
481 ccaccatggc tcttcctgtg acagctcttc tgctgcccct ggccctgctt ctgcatgctg
541 ctagacctga gcaaaagttg atttctgagg aagacctcgc cggcagttta ttcaaccaag
601 aagtccaaat tcccttgacc gaaagttact gtggcccatg tcctaagaac tggatatgtt
661 acaaaaataa ctgttaccaa ttcttcgatg aatctaagaa ttggtatgag agccaggctt
721 cttgtatgtc tcaaaatgcc agccttctta aagtatacag caaagaggac caggatttac
781 ttaaactggt gaagtcatat cattggatgg gactagtaca cattccaaca aatggatctt
841 ggcagtggga agacggctcc attctctcac ccaacctact aacaataatt gaaatgcaga
901 agggagactg tgcactctat gcatcgagct ttaaaggcta tatagaaaac tgttcaactc
961 caaatacata tatttgcatg caaaggactg tgaccacgac gccagcgccg cgaccaccaa
1021 caccggcgcc caccatcgcg tcgcaacccc tgtccctgag gcctgaagcg tgccggccag
1081 cggcgggcgg cgcagtgcac acgagagggc tggacttcgc ctgtgatttt tgggtgctgg
1141 tggtggttgg tggagtcctg gcttgctata gcttgctagt aacagtggcc tttattattt
1201 tctgggtcaa acggggcaga aagaaactcc tgtatatatt caaacaacca tttatgagac
1261 cagtacaaac tactcaagag gaagatggct gtagctgccg atttccagaa gaagaagaag
1321 gaggatgtga aaagaaccgc aaagcaaagg caaaacccgt cacacgagga gcgggcgcag
1381 ggggacgaca acgcggtcag aataaggaac gcccgcctcc agtaccaaat ccagattatg
1441 aaccaattcg gaagggacaa cgcgatctct actccggtct caatcagagg cgaattctga
1501 gagtgaagtt cagcaggagc gcagacgccc ccgcgtacca gcaagggcag aaccagctct
1561 ataacgagct caatctagga cgaagagagg agtacgatgt tttggacaag aggcgtggcc
1621 gggaccctga gatgggggga aagccgagaa ggaagaaccc tcaggaaggc ctgtacaatg
1681 aactgcagaa agataagatg gcggaggcct acagtgagat tgggatgaaa ggcgagcgcc
1741 ggaggggcaa ggggcacgat ggcctttacc agggtctcag tacagccacc aaggacacct
1801 acgacgccct tcacatgcaa gctctgcccc ctcgctga
(配列番号77)
CAR8は(配列番号77)に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされ得る。ある特定の態様では、(配列番号77)の核酸配列は、Myc(ヒトc-Myc癌原遺伝子)エピトープタグ、及びMycタグとNKG2D細胞外ドメインとの間のリンカーをコードする配列を除去するように改変され得る。(配列番号77)の核酸配列は、位置486~548でCD8aシグナルペプチドをコードし、このシグナルペプチドは、異なるシグナルペプチドに置換され得る。
【0270】
実施例2
形質導入効率
レトロウイルスベクターを全てのT細胞形質導入に使用した。HPV16+E711-19エピトープを標的とする操作されたTCRを、NKG2D CAR構築物との単一又は同時形質導入のために使用した(Jin B.Y.et al.,2018 JCI Insight)。健常ドナーから得た予め凍結保存したPBMCを解凍し、300IUのIL-2を補充したOptimizer T細胞培地中で抗CD3を用いて48時間活性化した。PBMCに、HPV16+E711-19エピトープを標的とする操作されたTCR(本実施例及び以下の実施例において、HPV-TCRと称される)、NKG2D CAR、又は両方の構築物を含有するレトロウイルスを形質導入した。形質導入されたT細胞を、IL-7(10ng/mL)、IL-15(10ng/mL)、及びAkt VIII阻害剤(AKTi、1μM)を補充したOptimizer T細胞培地中で10日間増殖させた。形質導入効率を、T細胞活性化後8日目及び15日目にフローサイトメトリーによって測定した。TCR形質導入効率を検出するための抗体としては、抗マウスTCRβクローンH57-597(BioLegend)が挙げられ、NKG2D形質導入効率を検出するための抗体としては、抗ヒトCD314クローン1D11(BioLegend)が挙げられる。全てのフローサイトメトリーデータを、BD FACSDiva(商標)ソフトウェアを用いてLSR-Fortessa(BD LSR Fortessa(商標))で収集し、データをFlowJo(全てBD Sciences)を使用して分析した。全ての抗体染色を、1%BSAを含有するPBS中で4℃で行った。
【0271】
表4は、フローサイトメトリーによる培養の8日目及び15日目後の形質導入T細胞及び非形質導入T細胞の発現レベル(平均蛍光強度(MFI)及び陽性細胞%として測定)を示す。全ての構築物において高い形質導入効率が観察された。小さなNKG2D+のみの集団が、HPV-TCR+NKG2D CAR1及びHPV-TCR+NKG2D CAR2群に存在する。
【0272】
【0273】
表19は、Myc染色及びフローサイトメトリーによる発現測定に基づく、培養7/8日後の形質導入T細胞及び非形質導入T細胞の発現レベル(平均蛍光強度(MFI)及び陽性細胞%として)を示す。全ての構築物において高い形質導入効率が観察された。
【0274】
【0275】
実施例3
増殖及び生存率
細胞増殖Vi-Cell XRセルカウンター(Beckman Coulter)によって細胞増殖を測定し、氷上で20分間にわたりPBS中のLive/Dead Blue(ThermoFisher)で細胞を染色することによって細胞生存率を測定し、T細胞活性化後8日目及び15日目にフローサイトメトリーによって分析した(表5)。形質転換されたT細胞を実施例2に記載のように活性化した。表5は、IL-7、IL-15、及びAKTiを補充したOptimizer培地で培養した、形質導入T細胞及び非形質導入T細胞の増殖及び細胞生存率を示す。NKG2D CAR1のみ、NKG2D CAR2のみ、HPV-TCR+NKG2D CAR1及びHPV-TCR+NKG2D CAR2は、HPV-TCRのみ又は非形質導入T細胞よりも高いレベルの増殖を示した。
【0276】
【0277】
実施例4
製品属性の決定
メモリー表現型及びCD4/CD8比を、T細胞活性化後8日目にフローサイトメトリーによって測定した(表6)。メモリー表現型を評価するために使用される抗体は、抗ヒトCD45RAクローンHI100(BioLegend)、抗ヒトCD45ROクローンUCHL1(BioLegend)、抗ヒトCCR7クローンG043H7(BioLegend)、抗ヒトCD62LクローンDREG-56(BioLegend)を含む。CD4/CD8比を評価するために使用される抗体には、抗ヒトCD3クローンSK7(BioLegend)、抗ヒトCD4クローンRPA-T4(BioLegend)、及び抗ヒトCD8クローンSK1(BioLegend)が含まれる。形質転換されたT細胞を実施例2に記載のように活性化した。メモリー表現型を以下のように評価した:ナイーブT細胞(CD45RA+CD45RO-CCR7+CD62L+);セントラルメモリーT細胞(CD45RA-CD45RO+CCR7+CD62L+);エフェクターメモリーT細胞(CD45RA-CD45RO+CCR7-CD62L-);末端エフェクターT細胞(CD45RA+CD45RO-CCR7-CD62L-)。全てのフローサイトメトリーデータを、BD FACSDiva(商標)ソフトウェアを用いてLSR-Fortessa(BD LSR Fortessa(商標))で収集し、データをFlowJo(全てBD Sciences)を使用して分析した。全ての抗体染色を、1%BSAを含有するPBS中で4℃で行った。
【0278】
8日後にIL-2を補充したTC培地で培養した形質導入CD3+T細胞及び非形質導入CD3+T細胞のCD4/CD8比及びメモリー表現型を表6に示す。形質導入T細胞と非形質導入T細胞との間でCD4/CD8比に有意な変化はなかった。非形質導入T細胞及びHPV-TCRのみ形質導入されたT細胞は、NKG2D CAR1のみ、NKG2D CAR2のみ、HPV-TCR+NKG2D CAR1、又はHPV-TCR+NKG2D CAR2で形質導入されたT細胞よりも大きなナイーブT細胞区画を呈した。加えて、非形質導入T細胞及びHPV-TCRのみ形質導入されたT細胞は、NKG2D CAR1のみ、NKG2D CAR2のみ、HPV-TCR+NKG2D CAR1、又はHPV-TCR+NKG2D CAR2で形質導入されたT細胞よりも小さなメモリーT細胞区画を呈した。
【0279】
【0280】
実施例5
細胞傷害性
HPV-TCR形質導入T細胞は、HPV16+腫瘍細胞株を効果的に排除し、高レベルのIFNγを産生することが以前に示されている。HPV-TCRを用いた第I相臨床試験からの患者腫瘍の配列決定(Nagarsheth N.B.et al.,2021 Nat Med)は、腫瘍が高度に不均一であり、かつMHC-I抗原プロセシング及び提示経路において突然変異を呈することができ、それによって、それらをHPV-TCR操作養子TCR-T療法に対して耐性にすることを示唆している。患者の腫瘍データをモデル化するために、CRISPR-Cas9システム(Vakulskas CA et al.,2018 Nature)を用いてβ2M(β2MKO)をノックアウトすることによって、HPV16+腫瘍細胞株(CaSki)をA*02:01を欠くように操作した。更に、通常はHLA-A*02:01を欠くSiHa HPV16+腫瘍細胞株を、レトロウイルスベクターを用いてA*02:01を過剰発現するように操作した。CaSki及びSiHa腫瘍細胞株を、それぞれ、高いE7発現及び低いE7発現に起因して選択した。非形質導入PBMC及び形質導入PBMCで無傷のHLA-A*02:01の有無にかかわらず、これらの腫瘍細胞株の殺傷を、xCELLigence RTCA MP(Agilent Technologies)プラットフォームを用いて評価し、様々なエフェクター対標的(E:T)比が表7及び表8に示された。
【0281】
表7は、8日目に選別し、次いで10日目に野生型細胞又はβ2MKO CaSki細胞と種々のE:T比で96ウェルxCELLigenceプレート中において共培養した、形質導入T細胞(実施例2参照)の結果を示す。インピーダンス値(IV)を72時間後に測定した。対照IVは、非形質導入T細胞のインピーダンス値を表し、実験IVは、HPV-TCRのみ、NKG2D CAR1のみ、NKG2D CAR2のみ、HPV-TCR+NKG2D CAR1、又はHPV-TCR+NKG2D CAR2のいずれかのインピーダンス値を表す。細胞傷害性パーセントを以下の式によって計算した:
% Cytotoxicity=1-(Control IV-Experimental IV)*100
【0282】
【0283】
表8、8日目に選別し、次いで10日目に野生型細胞又はSiHa細胞を発現するA*02:01と種々のE:T比で96ウェルxCELLigenceプレート中において共培養した、形質導入T細胞(実施例2参照)の結果を示す。インピーダンス値(IV)を72時間後に測定し、細胞傷害性パーセントを上記のように計算した。
【0284】
HPV-TCR形質導入T細胞は、野生型CaSki細胞株及びA
*02 SiHa細胞株を首尾よく排除したが、β2M KO CaSki細胞株又は野生型SiHa細胞株を排除することはできなかった。重要なことに、NKG2D CAR形質導入T細胞及びHPV-TCR T細胞と共形質導入されたNKG2D CARは、それらのHLA-A
*02:01状態とは無関係に、CaSki細胞株及びSiHa細胞株を首尾よく死滅させることができた。
【0285】
実施例6
サイトカイン産生
24時間の培養後、実施例5で使用したxCELLigence 96ウェルプレートから上清を回収することによって、サイトカイン産生を測定した。Meso Sector S 600プラットフォーム(Institute for Biopharmaceutical Research,Inc.)を用いて、サイトカインレベルを測定した。HPV-TCR+NKG2D CAR T細胞からのIFNγ産生は、野生型細胞又はA*02 SiHa細胞と共培養した場合のHPV-TCR形質導入細胞と同様であった。しかしながら、HPV-TCR+NKG2D CAR T細胞からのIFNγ産生は、β2MKO CaSki細胞又は野生型SiHa細胞と共培養した場合はHPV-TCR形質導入T細胞と比較して増加し、これは、細胞傷害性データと相関した(表9及び表10を参照のこと)。これらのデータは、HPV-TCR形質導入T細胞が標的細胞を排除する場合にNKG2D CAR T細胞がわずかなレベルのIFNγを分泌するが、しかし、HPV-TCR形質導入T細胞が標的細胞を排除しなかった場合に十分なIFNγを産生することを示した。興味深いことに、NKG2D CAR1及びHPV-TCR+NKG2D CAR1を形質導入したT細胞は、NKG2D CAR2又はHPV-TCR+NKG2D CAR2を形質導入したT細胞よりも高いレベルのIFNγを産生する。
【0286】
表9は、8日目に選別し、次いで10日目に野生型細胞又はβ2MKO CaSki細胞と種々のE:T比で96ウェルxCELLigenceプレート中において共培養した、形質導入T細胞の結果を示す。24時間で、培地上清を抽出し、Meso Sector S 600プラットフォームを製造業者の指示に従って用いて、IFNγ濃度(pg/mL)を決定するために処理した。
【0287】
【0288】
表10は、8日目に選別し、次いで10日目に野生型細胞又はA*02 SiHa細胞と種々のE:T比で96ウェルxCELLigenceプレート中において共培養した、形質導入T細胞の結果を示す。24時間で、培地上清を抽出し、Meso Sector S 600プラットフォームを製造業者の指示に従って用いて、IFNγ濃度(pg/mL)を決定するために処理した。
【0289】
【0290】
実施例7
形質導入されたT細胞の長期増殖及び枯渇
長期死滅アッセイにおける反復抗原刺激は、T細胞を機能的に枯渇させ、インビボ有効性と相関するものと考えられる。連続抗原刺激アッセイを完了するために、標的細胞(WT CaSki、β2MKO CaSki、野生型SiHa、又はA*02 SiHa)を、形質導入されたT細胞(実施例2を参照)へ2~3日毎に添加した。5回目の刺激で、野生型CaSki、β2MKO CaSki、野生型SiHa、又はA*02 SiHaのいずれかの細胞傷害性を、xCELLigence RTCA MPプラットフォームを用いて表11及び表12に示す様々なE:T比で評価した。NKG2D CARの添加にもかかわらず、HPV-TCR+NKG2D CAR形質導入T細胞は、連続刺激後にその標的を首尾よく排除し、かつHPV-TCRのみを形質導入したT細胞と比較して高レベルの増殖を呈した(表11、表12を参照のこと)。
【0291】
表11は、8日目に選別し、次いで10日目に野生型CaSki細胞と3:1のE:T比で共培養した、形質導入T細胞の結果を示す。次いで、野生型CaSki細胞を2~3日毎に添加した。5回目の刺激で、T細胞を、96ウェルxCELLigenceプレート中において野生型細胞又はβ2MKO CaSki細胞と種々のE:T比で共培養した。インピーダンス値(IV)を72時間後に測定し、細胞傷害性を上記のように計算した。
【0292】
【0293】
表12は、8日目に選別し、次いで10日目に野生型CaSki細胞と3:1のE:T比で共培養した、形質導入T細胞の結果を示す。次いで、野生型CaSki細胞を2~3日毎に添加した。5回目の刺激で、T細胞を、96ウェルxCELLigenceプレート中において野生型細胞又はA*02 SiHa細胞と種々のE:T比で共培養した。インピーダンス値(IV)を72時間後に測定し、細胞傷害性を計算し、細胞傷害性上記のように計算した。
【0294】
【0295】
実施例8
HPV16+腫瘍細胞株と共培養されたHPV-TCRと共発現されたNKG2D CAR及びNKG2D CARの細胞傷害性及びサイトカイン産生
NKG2DベースのCARの安全性に対処するために、NKG2D CAR1のみ、NKG2D CAR2のみ、HPV-TCR+NKG2D CAR1、及びHPV-TCR+NKG2D CAR2を形質導入したT細胞を、主にNKG2Dリガンド陰性であるC33A細胞株、並びに表13及び表14に示されたような種々のE:T比の初代正常子宮頸部上皮細胞のいずれかと共培養した。初代正常子宮頸部上皮細胞を、より高いNKG2Dリガンド発現に起因して選択した。xCELLigence RTCA MPプラットフォームからの細胞傷害性データ及びMeso Sector S 600プラットフォームからのIFNγ産生は、C33A及び初代正常子宮頸部上皮細胞の両方に対する低い反応性を示した。これらのデータは、NKG2D CAR2が強い安全性プロファイルを有し、かつオフターゲット効果を呈する可能性が低いことを示唆している。
【0296】
表13は、8日目に選別し、次いで10日目にC33A細胞又は初代正常子宮頸部上皮細胞と種々のE:T比で96ウェルxCELLigenceプレート中において共培養した、形質導入T細胞の結果を示す。24時間で、培地上清を抽出し、Meso Sector S 600プラットフォームを用いて、IFNγ濃度(pg/mL)を決定するために処理した。
【0297】
【0298】
表14は、8日目に選別し、次いで10日目にC33A細胞株又は初代正常子宮頸部上皮細胞と種々のE:T比で96ウェルxCELLigenceプレート中において共培養した、形質導入T細胞の結果を示す。24時間で、培地上清を抽出し、Meso Sector S 600プラットフォームを用いて、IFNγ濃度(pg/mL)を決定するために処理した。
【0299】
【0300】
実施例9
マウス異種移植モデルにおけるHPV16+腫瘍に対するNKG2D CARのインビボ有効性
野生型及びβ2MKO HPV16+固形腫瘍の両方を排除する際のHPV-TCRのみ、NKG2D CARのみ、及びHPV-TCR+NKG2D CARのインビボ有効性を決定するために、5E6野生型CaSki及び5E6 β2MKO CaSki細胞を、6~8週齢雌NSGマウス(NOD.Cg-Prkdcscid Il2rgtm1Wjl/SzJ)のそれぞれ左脇腹及び右脇腹に皮下移植した。5つの研究群が含まれた:ビヒクル対照(PBS)、非形質導入T細胞(NTD)、HPV-TCRのみ、NKG2D CAR2のみ、及びHPV-TCR+NKG2D CAR2。野生型CaSki細胞の腫瘍体積がおよそ70mm3に達し、β2MKO CaSki細胞がおよそ30mm3に達した場合、マウス1匹当たり20×106個のT細胞を6日目に養子移入した。IL-2補充は添加しなかった。デジタルキャリパーを用いて3~4日毎に腫瘍を測定し、マウスの体重を記録した。末梢血を、T細胞養子移入の24時間後、次いでその後毎週収集した。末梢血中のT細胞の持続性をフローサイトメトリーによって特徴付けた。末梢血中のT細胞持続性を評価するための抗体としては、抗マウスCD45クローン30-F11(BioLegend)、抗ヒトCD45クローンHI30(BioLegend)、抗ヒトCD4クローンRPA-T4(BioLegend)、抗ヒトCD8クローンSK1(BioLegend)、抗ヒトCD279クローンEH12.2H7(BioLegend)、抗ヒトHLA-DRクローンL243(BioLegend)、抗マウスTCRβクローンH57-597(BioLegend)、抗ヒトCD314クローン1D11(Biolegend)、及びL/D Blue(ThermoFisher)が挙げられる。全てのフローサイトメトリーデータを、BD FACSDiva(商標)ソフトウェアを用いてLSR-Fortessa(BD LSR Fortessa(商標))で収集し、データをFlowJo(全てBD Sciences)を使用して分析した。全ての抗体染色を、1%BSAを含有するPBS中で4℃で行った。試験期間は62日間であった。全体として、HPV-TCRは、左脇腹上の野生型CaSki細胞の腫瘍増殖を制御することができたが、しかし、右脇腹上に移植されたβ2MKO CaSki細胞の腫瘍制御のいかなる徴候も示さなかった。対照的に、NKG2D CAR2のみ及びHPV-TCR+NKG2D CAR2は、野生型細胞及びβ2 MKO CaSki細胞の両方の腫瘍増殖を首尾よく制御した(表15、表16を参照のこと)。更に、腫瘍を担持するマウスの体重は、養子T細胞移入後の最初の数週間、腫瘍サイズに起因してマウスが研究から外されるまで、有意に変動しなかった。(表17を参照されたい)。NKG2D CAR2のみ又はHPV-TCR+NKG2D CAR2 T細胞を受けた全てのマウスにおいて観察可能な腫瘍がないにもかかわらず、ほとんどのマウスは腫瘍増殖の再発を実証し、形質導入されたT細胞の持続性の欠如を示唆した。これは、養子T細胞移入の3週間後に末梢血中に形質導入されたT細胞が存在しないことによって更に支持される(表18を参照のこと)。
【0301】
【0302】
【0303】
【0304】
【0305】
【0306】
【0307】
【0308】
【0309】
【0310】
【0311】
【0312】
【0313】
【0314】
一般に、以下の特許請求の範囲では、使用される用語は、本明細書及び特許請求の範囲に開示される特定の実施形態に特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではなく、そのような特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲と共に、全ての可能な実施形態を含むと解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は、本開示によって限定されない。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2024-01-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キメラ抗原受容体(CAR)であって、
NKG2Dエクトドメインと、
膜貫通ドメインと、
4-1BB共刺激ドメインと、
CD3-
イプシロンシグナル伝達ドメインを含むシグナル伝達ドメインと、
を含む、キメラ抗原受容体。
【請求項2】
CD8-アルファヒンジドメインを更に含む、請求項1に記載のCAR。
【請求項3】
前記CD8-アルファヒンジドメインが、配列番号15に記載のアミノ酸配列を含む、請求項2に記載のCAR。
【請求項4】
前記NKG2Dエクトドメインが、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項5】
前記膜貫通ドメインが、CD28膜貫通ドメインを更に含む、請求項1~
3のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項6】
前記CD28膜貫通ドメインが、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含む、請求項5に記載のCAR。
【請求項7】
前記4-1BB共刺激ドメインが、配列番号33又は配列番号63に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~
3のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項8】
前記シグナル伝達ドメインが、配列番号27に記載のアミノ酸配列を
含むCD3ゼータシグナル伝達ドメインを更に含む、請求項1~
3のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項9】
前記CD3-イプシロンシグナル伝達ドメインが、配列番号31又は配列番号61に記載のアミノ酸配列を含む、請求項
1~3のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項10】
配列番号53、配列番号54、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、及び配列番号76からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~
3のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項11】
請求項
1に記載のCARをコードする、核酸。
【請求項12】
配列番号67、配列番号69、配列番号71、配列番号73、配列番号75、及び配列番号77からなる群から選択されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも90%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む、請求項
11に記載の核酸。
【請求項13】
請求項
11に記載の核酸を含む、組換えベクター。
【請求項14】
前記組換えベクター又は核酸が、操作されたT細胞受容体(TCR)をコードする核酸を更に含む、請求項
13に記載の組換えベクター又は請求項
11若しくは
12に記載の核酸。
【請求項15】
前記組換えベクター又は核酸が、腫瘍抗原に特異的な第2のCARをコードする核酸を更に含む、請求項
13に記載の組換えベクター又は請求項
11若しくは
12に記載の核酸。
【請求項16】
前記腫瘍抗原が、HPV-16E6及びHPV-16E7、アルファ葉酸受容体、5T4、αvβ6インテグリン、BCMA、B7-H3、B7-H6、CAIX、CD19、CD20、CD22、CD28、CD30、CD33、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD70、CD79a、CD79b、CD123、CD137(4-1BB)、CD138、CD171、CEA、CSPG4、CLL-1、CS1、EGFR、ErbB2(HERII)を含むEGFRファミリー、EGFRvIII、EGP2、EGP40、EPCAM、EphA2、EpCAM、FAP、胎児AchR、FRa、Flt3、GD2、GD3、グリピカン-3(GPC3)、HLA-Al+MAGEI、HLA-A2+MAGE1、HLAA3+MAGE1、HLA-Al+NY-ES0-1、HLA-A2+NY-ES0-1、HLA-A3+NY-ES0-1、IL-llRα、IL-13Rα2、ラムダ、ルイス-Y、カッパ、メソセリン、Mucl、Muc16、NCAM、NKG2Dリガンド、NYE-S0-1、PRAME、PSCA、PSMA、RORI、SSX、サバイビン、TACI、TAG72、TEM、又はVEGFRIIを含む、請求項1
5に記載の組換えベクター又は核酸。
【請求項17】
請求項13に記載の組換えベクター又は請求項11若しくは12に記載の核酸で形質転換された、宿主細胞。
【請求項18】
請求項
11若しくは
12に記載の核酸又は請求項
13に記載の組換えベクター、及び腫瘍抗原に特異的な操作されたT細胞受容体(TCR)又は第2のCARをコードする核酸又は組換えベクターで形質転換された、宿主細胞。
【請求項19】
前記腫瘍抗原が、HPV-16E6及びHPV-16E7、アルファ葉酸受容体、5T4、αvβ6インテグリン、BCMA、B7-H3、B7-H6、CAIX、CD19、CD20、CD22、CD28、CD30、CD33、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD70、CD79a、CD79b、CD123、CD137(4-1BB)、CD138、CD171、CEA、CSPG4、CLL-1、CS1、EGFR、ErbB2(HERII)を含むEGFRファミリー、EGFRvIII、EGP2、EGP40、EPCAM、EphA2、EpCAM、FAP、胎児AchR、FRa、Flt3、GD2、GD3、グリピカン-3(GPC3)、HLA-Al+MAGEI、HLA-A2+MAGE1、HLAA3+MAGE1、HLA-Al+NY-ES0-1、HLA-A2+NY-ES0-1、HLA-A3+NY-ES0-1、IL-llRα、IL-13Rα2、ラムダ、ルイス-Y、カッパ、メソセリン、Mucl、Muc16、NCAM、NKG2Dリガンド、NYE-S0-1、PRAME、PSCA、PSMA、RORI、SSX、サバイビン、TACI、TAG72、TEM、又はVEGFRIIを含む、請求項
18に記載の宿主細胞。
【請求項20】
前記宿主細胞が、iPSC、T細胞、又はNK細胞を含む、請求項
17に記載の宿主細胞。
【請求項21】
請求項
20に記載の宿主細胞を含む、医薬組成物。
【請求項22】
疾患の治療を必要とする患者にお
いて疾患を治療する
ための、請求項
21に記載の医薬組成
物。
【請求項23】
前記宿主細胞が、前記患者に対して同種異系である、請求項
22に記載の
医薬組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0261
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0261】
前述の開示は、理解を明確にするために、例示及び例としてある程度詳細に説明されているが、本開示の教示に照らして、当業者には、添付の特許請求の範囲の趣旨又は範囲から逸脱することなく、ある特定の変更及び改変を加えることができることが容易に明らかになるであろう。以下の実施例は、限定するものではなく、例示としてのみ提供される。当業者は、本質的に同様の結果をもたらすために変更又は改変され得る様々な非重要なパラメータを容易に認識するであろう。
[項1]
キメラ抗原受容体(CAR)であって、
NKG2Dエクトドメインと、
膜貫通ドメインと、
4-1BB共刺激ドメインと、
CD3-ゼータシグナル伝達ドメインを含むシグナル伝達ドメインと、
を含む、キメラ抗原受容体。
[項2]
CD8-アルファヒンジドメインを更に含む、項1に記載のCAR。
[項3]
前記CD8-アルファヒンジドメインが、配列番号15に記載のアミノ酸配列を含む、項2に記載のCAR。
[項4]
前記NKG2Dエクトドメインが、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含む、項1~3のいずれか一項に記載のCAR。
[項5]
前記膜貫通ドメインが、CD28膜貫通ドメインを更に含む、項1~4のいずれか一項に記載のCAR。
[項6]
前記CD28膜貫通ドメインが、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含む、項5に記載のCAR。
[項7]
前記4-1BB共刺激ドメインが、配列番号33又は配列番号63に記載のアミノ酸配列を含む、項1~6のいずれか一項に記載のCAR。
[項8]
前記CD3ゼータシグナル伝達ドメインが、配列番号27に記載のアミノ酸配列を含む、項1~7のいずれか一項に記載のCAR。
[項9]
前記シグナル伝達ドメインが、CD3-イプシロンシグナル伝達ドメインを更に含む、項1~8のいずれか一項に記載のCAR。
[項10]
前記CD3-イプシロンシグナル伝達ドメインが、配列番号31又は配列番号61に記載のアミノ酸配列を含む、項9に記載のCAR。
[項11]
配列番号53、配列番号54、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、及び配列番号76からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、項1~10のいずれか一項に記載のCAR。
[項12]
項1~11のいずれか一項に記載のCARをコードする、核酸。
[項13]
配列番号67、配列番号69、配列番号71、配列番号73、配列番号75、及び配列番号77からなる群から選択されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも90%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む、項12に記載の核酸。
[項14]
項12又は13に記載の核酸を含む、組換えベクター。
[項15]
前記組換えベクター又は核酸が、操作されたT細胞受容体(TCR)をコードする核酸を更に含む、項14に記載の組換えベクター又は項12若しくは13に記載の核酸。
[項16]
前記組換えベクター又は核酸が、腫瘍抗原に特異的な第2のCARをコードする核酸を更に含む、項14に記載の組換えベクター又は項12若しくは13に記載の核酸。
[項17]
前記腫瘍抗原が、HPV-16E6及びHPV-16E7、アルファ葉酸受容体、5T4、αvβ6インテグリン、BCMA、B7-H3、B7-H6、CAIX、CD19、CD20、CD22、CD28、CD30、CD33、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD70、CD79a、CD79b、CD123、CD137(4-1BB)、CD138、CD171、CEA、CSPG4、CLL-1、CS1、EGFR、ErbB2(HERII)を含むEGFRファミリー、EGFRvIII、EGP2、EGP40、EPCAM、EphA2、EpCAM、FAP、胎児AchR、FRa、Flt3、GD2、GD3、グリピカン-3(GPC3)、HLA-Al+MAGEI、HLA-A2+MAGE1、HLAA3+MAGE1、HLA-Al+NY-ES0-1、HLA-A2+NY-ES0-1、HLA-A3+NY-ES0-1、IL-llRα、IL-13Rα2、ラムダ、ルイス-Y、カッパ、メソセリン、Mucl、Muc16、NCAM、NKG2Dリガンド、NYE-S0-1、PRAME、PSCA、PSMA、RORI、SSX、サバイビン、TACI、TAG72、TEM、又はVEGFRIIを含む、項15又は項16に記載の組換えベクター又は核酸。
[項18]
項12~17のいずれか一項に記載の核酸又は組換えベクターで形質転換された、宿主細胞。
[項19]
項12若しくは13に記載の核酸又は項14に記載の組換えベクター、及び腫瘍抗原に特異的な操作されたT細胞受容体(TCR)又は第2のCARをコードする核酸又は組換えベクターで形質転換された、宿主細胞。
[項20]
前記腫瘍抗原が、HPV-16E6及びHPV-16E7、アルファ葉酸受容体、5T4、αvβ6インテグリン、BCMA、B7-H3、B7-H6、CAIX、CD19、CD20、CD22、CD28、CD30、CD33、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD70、CD79a、CD79b、CD123、CD137(4-1BB)、CD138、CD171、CEA、CSPG4、CLL-1、CS1、EGFR、ErbB2(HERII)を含むEGFRファミリー、EGFRvIII、EGP2、EGP40、EPCAM、EphA2、EpCAM、FAP、胎児AchR、FRa、Flt3、GD2、GD3、グリピカン-3(GPC3)、HLA-Al+MAGEI、HLA-A2+MAGE1、HLAA3+MAGE1、HLA-Al+NY-ES0-1、HLA-A2+NY-ES0-1、HLA-A3+NY-ES0-1、IL-llRα、IL-13Rα2、ラムダ、ルイス-Y、カッパ、メソセリン、Mucl、Muc16、NCAM、NKG2Dリガンド、NYE-S0-1、PRAME、PSCA、PSMA、RORI、SSX、サバイビン、TACI、TAG72、TEM、又はVEGFRIIを含む、項19に記載の宿主細胞。
[項21]
前記宿主細胞が、iPSC、T細胞、又はNK細胞を含む、項18~20のいずれか一項に記載の宿主細胞。
[項22]
項21に記載の宿主細胞を含む、医薬組成物。
[項23]
疾患の治療を必要とする患者における疾患を治療する方法であって、項21に記載の宿主細胞又は項22に記載の医薬組成物を前記患者へ投与することを含む、方法。
[項24]
前記宿主細胞が、前記患者に対して同種異系である、項23に記載の方法。
【国際調査報告】