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特表2024-521771ポリチオフェン/ポリアニオン組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】ポリチオフェン/ポリアニオン組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 65/00 20060101AFI20240528BHJP
   C08F 212/08 20060101ALI20240528BHJP
   C08L 25/08 20060101ALI20240528BHJP
   H01G 9/028 20060101ALI20240528BHJP
   H01G 9/00 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
C08L65/00
C08F212/08
C08L25/08
H01G9/028 G
H01G9/00 290H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572730
(86)(22)【出願日】2022-06-03
(85)【翻訳文提出日】2023-11-24
(86)【国際出願番号】 EP2022065198
(87)【国際公開番号】W WO2022254012
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】21177790.9
(32)【優先日】2021-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593194476
【氏名又は名称】アグフア-ゲヴエルト,ナームローゼ・フエンノートシヤツプ
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】弁理士法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハーケンス,ロアルド
(72)【発明者】
【氏名】ロキュフィエ,ヨハン
【テーマコード(参考)】
4J002
4J100
【Fターム(参考)】
4J002BC04X
4J002BC10X
4J002CE00W
4J002EC046
4J002ED036
4J002EU026
4J002EV206
4J002FD206
4J002GQ00
4J002HA06
4J002HA07
4J100AB07P
4J100AB07Q
4J100BA56P
4J100BA56Q
4J100CA04
4J100DA01
4J100FA03
4J100FA19
4J100FA28
4J100FA30
4J100JA43
(57)【要約】
ポリチオフェン及びポリアニオンを含む導電性ポリマー分散液。この導電性ポリマー分散液は、ポリアニオンが式Iのモノマー単位のホモポリマーまたはコポリマーであることを特徴とし、式中、R~Rはいずれも、水素、ハロゲン、エーテル、及び置換または非置換のアルキル基からなる群から選択されるが、但し、R~Rのうちの少なくとも1つは、式IIの置換基であり、式中、Lは、20個未満の炭素原子を有する二価の連結基を表し、nは、0または1を表し、R及びRは、水素、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアルケニル基、置換または非置換のアルキニル基、置換または非置換のアラルキル基、置換または非置換のアルカリル基、及び置換または非置換のアリール基またはヘテロアリール基からなる群から独立して選択され、L、R、及びRはいずれも、5~8員環の形成に必要な原子を表し得、Mは、水素を表すか、またはスルホン酸基の負電荷を相殺するための対イオンを表し、破線は、式Iのフェニル環への共有結合を表す。
【化1】
【化2】
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリチオフェン及びポリアニオンを含む導電性ポリマー分散液であって、前記ポリアニオンが式I
【化1】
のモノマーのホモポリマーまたはコポリマーであることを特徴とし、
式中、
~Rがいずれも、水素、ハロゲン、エーテル、及び置換または非置換のアルキル基からなる群から選択されるが、但し、R~Rのうちの少なくとも1つが、式II
【化2】
の置換基であり、
式中、Lが、20個未満の炭素原子を有する二価の連結基を表し、
nが、0または1を表し、
及びRが、水素、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアルケニル基、置換または非置換のアルキニル基、置換または非置換のアラルキル基、置換または非置換のアルカリル基、及び置換または非置換のアリール基またはヘテロアリール基からなる群から独立して選択され、
L、R、及びRがいずれも、5~8員環の形成に必要な原子を表し得、
Mが、水素を表すか、またはスルホン酸基の負電荷を相殺するための対イオンを表し、
破線が、式Iのフェニル環への共有結合を表す、前記導電性ポリマー分散液。
【請求項2】
Lが、置換または非置換のC-C10アルキレン基である、請求項1に記載の導電性ポリマー分散液。
【請求項3】
nが、0である、請求項1または2に記載の導電性ポリマー分散液。
【請求項4】
及びRが、水素である、先行請求項のいずれかに記載の導電性ポリマー分散液。
【請求項5】
、R、及びRのうちの1つのみが、式IIによって表される置換基である、先行請求項のいずれかに記載の導電性ポリマー分散液。
【請求項6】
が、式IIによって表される置換基であり、R、R、R、及びRが、水素を表す、先行請求項のいずれかに記載の導電性ポリマー分散液。
【請求項7】
Mが、HまたはNaを表す、先行請求項のいずれかに記載の導電性ポリマー分散液。
【請求項8】
前記ポリチオフェン及び前記ポリアニオンがポリチオフェン/ポリアニオン粒子として存在し、レーザー回折によって測定される前記ポリチオフェン/ポリアニオン粒子の中央粒径(d50)が5~40nmである、先行請求項のいずれかに記載の導電性ポリマー分散液。
【請求項9】
先行請求項のいずれかに記載の導電性ポリマー分散液を含む液体配合物。
【請求項10】
前記配合物が、2~8.5のpHを有する、請求項9に記載の液体配合物。
【請求項11】
20℃、せん断速度100s-1でレオメータを用いて測定される前記配合物の粘度が、1~250mPa・sである、請求項9または10に記載の液体配合物。
【請求項12】
N-メチル-ピロリジノン、N-ブチル-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-ピロリドン、DMSO、エチレングリコール、及びジエチレングリコールからなる群から選択される導電性向上化合物をさらに含む、請求項9~11のいずれかに記載の液体配合物。
【請求項13】
多孔質アノード体を含むポリマーコンデンサーの作製方法であって、前記作製方法が、請求項9~12のいずれかに記載の液体配合物を前記多孔質アノード体の少なくとも一部に導入するステップを含む、前記作製方法。
【請求項14】
電子デバイスにおける導電層の作製のための、請求項9~12のいずれかに記載の液体配合物の使用。
【請求項15】
前記電子デバイスが、光伝導セル、フォトレジスタ、光スイッチ、フォトトランジスタ、光電管、IR検出器、光起電デバイス、太陽電池、記憶デバイス用の被覆材料、電界効果抵抗デバイス、帯電防止フィルム、バイオセンサー、エレクトロクロミックデバイス、固体電解質コンデンサー、ハイブリッドコンデンサー、超コンデンサー、エネルギー貯蔵デバイス、バッテリー、及び電磁遮蔽物から選択される、請求項14に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規のポリチオフェン/ポリアニオン組成物及びさまざまな用途(例えば、ポリマーコンデンサーなど)におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
温室効果ガス排出に対する環境的な懸念から、バッテリー容量を大きくしたバッテリー式電気自動車及び(プラグイン)ハイブリッド電気自動車に対する需要が喚起されている。こうした自動車用電子機器中の制御装置は、いわゆるポリマーコンデンサーをいくつか含む。
【0003】
高電圧及び高コンバータ周波数での動作に起因して、コンデンサーは高温に晒され得る。したがって、高温でのこうしたコンデンサーの信頼性は、電気自動車におけるこうしたデバイスの重要な特徴の1つである。
【0004】
この分野では、ポリマーハイブリッドアルミニウム電解コンデンサーがよく利用される。こうしたコンデンサーは、電極及び誘電体層として働くエッチング処理アルミニウム/酸化アルミニウム(Al/Al)箔からなり、このAl/Al箔は、対電極として機能する導電性ポリマー層によって被覆されている。一般にはポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)が使用され、PEDOT:PSSは、水性分散液からの浸漬被覆によってAl/Al基材上を被覆する導電性ポリマー複合物である。この導電性ポリマーフィルムの温度安定性は、高温でのコンデンサーの信頼性に直接的に影響を及ぼす。PEDOT:PSSについては、ポリアニオンPSSが温度上昇時の分解と関連しており、それ故に、PSSが導電性ポリマー層の信頼性を制限している。
【0005】
こうしたコンデンサーの製造は、PEDOT:PSSの水性分散液中でコンデンサー素子を浸漬被覆することによって実施される。こうした分散液は、一般に、PSSポリマーの酸性度に起因して1.5~2のpHを有する。一方で、コンデンサーの誘電体層として機能するAl層の安定pH範囲は4~8.5である。したがって、導電性ポリマー分散液は、通常、このpH範囲内のpHに至るまで塩基で中和される。しかしながら、PEDOT:PSS分散液については、この中和によって、得られるPEDOT:PSS層の表面抵抗が増してしまう。ポリマー層の表面抵抗の増大は、コンデンサーの等価直列抵抗(ESR)の増大と関連する。
【0006】
こうしたコンデンサーの製造の追加の側面は、Al/Al箔への導電性ポリマー粒子の浸透である。表面積を広げるために、Al箔にはエッチング処理が施され、その後にこのエッチング処理Al箔が陽極酸化されてAlの薄層を与える。このプロセスによって多孔質Al/Al基材が創出され、この基材は水性PEDOT:PSS分散液で浸漬被覆される。したがって、導電性ポリマー粒子の粒径が、Al/Al基材の細孔へのポリマーの浸透能力を決定付ける。導電性ポリマー分散液の中央粒径が小さければ小さいほど、典型的には、より良好な被覆が得られる。さらに、上述の酸化アルミニウム素材の安定pH範囲内で粒径が小さく保たれることが好ましい。
【0007】
PSSは、通常、水性分散液におけるPEDOT用分散剤として使用される。
【0008】
特許文献1(Shin Etsu Chemicals)では、PSSの代替物として、ベンズアミド構造またはアクリルアミド構造及びスルホニル基を有するいわゆるドーパ
ントポリマーについて記載されている。こうしたポリマーを単独使用またはPSSと併用することで、得られる水性PEDOT分散液のろ過性及び被覆性が改善される。
【0009】
特許文献2(Yonsei University)では、スチレンスルホン酸とフッ素化スチレンモノマーまたはアクリレートモノマーとのコポリマーについて開示されている。それらを使用することで、得られるPEDOT分散液の適応性、溶液安定性、及び被覆性が改善される。
【0010】
特許文献3(Sagami Central Chemical Research Center)では、スチレンスルホン酸及びビニルアルコールを使用してPEDOT用のコポリマー分散剤を調製することについて開示されている。こうしたコポリマーでは、PSSと比較してフィルム形成の改善及び吸湿性が低下が見られる。しかしながら、接着性の低下が認められている。
【0011】
特許文献4(Tosoh)では、アクリル系スルホン酸モノマーとスチレンスルホン酸とのコポリマーについて記載されている。そのようなコポリマーを用いることで、より小さなPEDOT:ポリアニオン粒子が得られる。
【0012】
特許文献5(Panasonic)では、それぞれスルホン酸基、カルボキシ基、及びヒドロキシル基を有する3つの異なるモノマーから調製される、いわゆるアクリル系ポリマードーパントについて開示されている。これらのポリマードーパントは、ポリマーコンデンサーの作製に使用されるPEDOT分散液に使用される。
【0013】
特許文献6(Panasonic)では、互いに重なり合う異なる導電層を形成させ、各導電層の間にいわゆる処理液を適用することによってポリマーコンデンサーの耐熱性が改善される。処理液は、低分子添加剤(ナフタレンスルホン酸など)を含む。特許文献7(Panasonic)では、そのような処理液は、芳香族カルボン酸を含む。
【0014】
特許文献8(Heraeus Precious Metals)では、コンデンサーの生産プロセスについて開示されており、分散液は、分散剤と、ポリチオフェンとポリアニオンとの複合物と、を含み、分散液中のポリチオフェン:ポリアニオンの重量比は0.5超である。
【0015】
自体によって形成される導電性ポリマー層の温度安定性を改善する導電性ポリマー分散液は、高温でのポリマーコンデンサーの信頼性を改善し得る。さらに、得られる導電性ポリマー層の粒径増大または表面抵抗増大を伴わずに4~8.5のpH範囲で分散液を使用し得るのであれば、ポリマーコンデンサーのESRも改善され得る。最終的に、分散液の中央粒径が小さくなれば、多孔質基材への導電性ポリマー粒子の浸透性が改善されることから、得られるコンデンサーのESRがさらに改善されることになる。
【0016】
したがって、安定な水性PEDOT分散液を調製するためのPSS代替物が必要とされている。スチレン基とスルホン酸基との間に連結基を用いるPSS代替物を使用することで、導電性ポリマー層の他の特性に重大な影響を与えることなく、導電性ポリマー層の熱安定性が改善され、より高いpHレベルでの処理が可能になり、導電性ポリマー分散液の粒径が小さくなることが明らかになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/240564号明細書
【特許文献2】韓国登録特許第102211924号公報
【特許文献3】特許第6785390号公報
【特許文献4】特開2020-183493号公報
【特許文献5】米国特許出願公開第2018/068801号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2020/279692号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2020/211785号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2015/0279503号明細書
【発明の概要】
【0018】
高温信頼性及び等価表面抵抗(Equivalent Surface Resistance)(ESR)が改善されたポリマーコンデンサーを実現し得る導電性ポリマーを含む分散液を提供することが本発明の目的である。
【0019】
本発明の目的は、請求項1に記載の分散液によって実現される。
【0020】
本発明の追加の目的は、本明細書の以後の説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0021】
定義
「単官能性」という用語(例えば、重合可能な単官能性化合物における「単官能性」という用語)は、重合可能な化合物が重合可能な基を1つ含むことを意味する。
【0022】
「二官能性」という用語(例えば、重合可能な二官能性化合物における「二官能性」という用語)は、重合可能な化合物が重合可能な基を2つ含むことを意味する。
【0023】
「多官能性」という用語(例えば、重合可能な多官能性化合物における「多官能性」という用語)は、重合可能な化合物が重合可能な基を3つ以上含むことを意味する。
【0024】
「アルキル」という用語は、各炭素原子数のアルキル基について可能なすべての変形形態を意味し、すなわち、メチル、エチル、炭素原子数3のものについては、n-プロピル及びイソプロピル、炭素原子数4のものについては、n-ブチル、イソブチル、及びターシャリー-ブチル、炭素原子数5のものについては、n-ペンチル、1,1-ジメチル-プロピル、2,2-ジメチルプロピル、及び2-メチル-ブチルを意味する(その他も同様)。
【0025】
別段の指定がない限り、置換または非置換のアルキル基は、好ましくは、C-Cアルキル基である。
【0026】
別段の指定がない限り、置換または非置換のアルケニル基は、好ましくは、C-Cアルケニル基である。
【0027】
別段の指定がない限り、置換または非置換のアルキニル基は、好ましくは、C-Cアルキニル基である。
【0028】
別段の指定がない限り、置換または非置換のアルカリル基は、好ましくは、1つ、2つ、3つ、またはそれを超える数のC-Cアルキル基を含むフェニル基またはナフチル基である。
【0029】
別段の指定がない限り、置換または非置換のアラルキル基は、好ましくは、フェニル基またはナフチル基を含むC-C20アルキル基である。
【0030】
別段の指定がない限り、置換または非置換のアリール基は、好ましくは、フェニル基またはナフチル基である。
【0031】
別段の指定がない限り、置換または非置換のヘテロアリール基は、好ましくは、1つ、2つ、または3つの酸素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子、またはそれらの組み合わせによって置換された5員または6員の環である。
【0032】
別段の指定がない限り、置換または非置換のアルキレン基は、好ましくは、C-Cアルキレン基である。
【0033】
「置換」という用語(例えば、置換アルキル基における「置換」という用語)は、アルキル基が、そのような基に通常存在する原子(すなわち、炭素及び水素)以外の原子によって置換されたものであり得ることを意味する。例えば、置換アルキル基は、ハロゲン原子またはチオール基を含み得る。非置換アルキル基は、炭素原子及び水素原子のみを含む。
【0034】
別段の指定がない限り、置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基、置換アラルキル基、置換アルカリル基、置換アリール、及び置換ヘテロアリール基は、好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル及びターシャリー-ブチル、エステル、アミド、アミン、エーテル、チオエーテル、ケトン、アルデヒド、スルホキシド、スルホン、スルホン酸エステル、スルホンアミド、-Cl、-Br、-I、-OH、-SH、-CN、ならびに-NOからなる群から選択される1つ以上の構成要素によって置換されている。
【0035】
導電性ポリマー分散液
本明細書では、導電性ポリマーを含む分散液は、導電性ポリマー分散液と称される。
【0036】
本発明による導電性ポリマー分散液は、以下に記載のポリアニオン及び導電性ポリマーを含む。
【0037】
以下に記載のように、ポリチオフェンは、好ましくは、ポリアニオンの存在下で調製される。ポリアニオンは、ポリチオフェンを安定化し、それによって、分散媒体(好ましくは、水)中に分散したポリチオフェン/ポリアニオン粒子を形成し得る。
【0038】
導電性ポリマー分散液は、好ましくは、水性分散液である。
【0039】
ポリ(チオフェン)とポリアニオンとの質量比の範囲は、1:10~10:1であり、より好ましくは、1:5~5:1であり、最も好ましくは、1:3~3:1である。
【0040】
導電性ポリマー分散液の分散媒体は、水、水溶性有機溶媒、またはその混合物である。好ましい有機溶媒は、プロトン性有機溶媒(アルコールまたは酸など)である。分散媒体は、好ましくは、水である。
【0041】
導電性ポリマー分散液は、他の成分(例えば、分散剤など)を含み得る。
【0042】
導電性ポリマー分散液は、好ましくは、以下に記載のように調製される。
【0043】
ポリアニオン
導電性ポリマー分散液はポリアニオンを含み、当該ポリアニオンは、式I
【化1】
のモノマーのホモポリマーまたはコポリマーであり、
式中、
~Rはいずれも、水素、ハロゲン、エーテル、及び置換または非置換のアルキル基からなる群から選択されるが、但し、R~Rのうちの少なくとも1つは、式II、
【化2】
の置換基であることが条件であり、
式中、Lは、20個未満の炭素原子を有する二価の連結基を表し、
nは、0または1を表し、
及びRは、水素、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアルケニル基、置換または非置換のアルキニル基、置換または非置換のアラルキル基、置換または非置換のアルカリル基、及び置換または非置換のアリール基またはヘテロアリール基からなる群から独立して選択され、
L、R、及びRはいずれも、5~8員環の形成に必要な原子を表し得、
Mは、水素を表すか、またはスルホン酸基の負電荷を相殺するための対イオンを表し、
破線は、式Iのフェニル環への共有結合を表す。
【0044】
Lは、好ましくは、置換または非置換のアルキレン基、置換または非置換のアルケニレン基、及び置換または非置換のアルキニレン基からなる群から選択され、置換または非置換のアルキレン基が、より好ましい。
【0045】
Lは、好ましくは、置換または非置換のC-C10アルキレン基であり、より好ましくは、置換または非置換のC-Cアルキレン基である。
【0046】
好ましくは、nは、0を表す。
【0047】
及びRは、好ましくは、水素及び置換または非置換のアルキル基からなる群から独立して選択され、水素が最も好ましい。
【0048】
好ましい実施形態では、R~Rのうちの1つのみが、式IIによって表される置換基である。
【0049】
別の好ましい実施形態では、R、R、及びRのうちの1つは、式IIによって表される置換基である。
【0050】
さらに別の好ましい実施形態では、式IIによって表されない置換基はすべて、水素である。
【0051】
特に好ましい実施形態では、Rは、式IIによって表される置換基であり、R、R、R、及びRは、水素を表す。
【0052】
Mは、好ましくは、第四級アンモニウム基、H、またはNaを表し、最も好ましくは、Mは、Hを表す。
【0053】
表1には、典型的な式Iのモノマーが開示される。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0054】
ポリアニオンは、式Iのモノマーと少なくとも1つの他のモノマーとのコポリマーであり得る。
【0055】
そのようなコポリマーでは、式Iのモノマーの量は、好ましくは、少なくとも25mol%であり、より好ましくは、少なくとも50mol%であり、最も好ましくは、少なくとも75mol%であり、特に好ましくは、少なくとも90mol%であり、これらはすべて、コポリマーのモノマー単位の総量に対するものである。
【0056】
スチレンスルホン酸とのコポリマーが、特に好ましいコポリマーである。
【0057】
一方で、式Iのモノマーのホモポリマーが最も好ましい。
【0058】
ポリアニオンの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは、1000~1000000Daであり、より好ましくは、50000~500000Daであり、最も好ましくは、100000~300000Daである。
【0059】
表2には、本発明による典型的なポリアニオンが示される。
【表2】
【0060】
X+Yは、1であり、Xは、好ましくは、0.25~1であり、より好ましくは、0.50~1であり、最も好ましくは、0.75~1であり、特に好ましくは、0.9~1である。
【0061】
上記のポリアニオンに加えて、導電性ポリマー分散液は、1つ以上の他のポリアニオンを含み得る。例えば、上記のポリアニオンは、PSSと組み合わせられ得る。
【0062】
導電性ポリマー
導電性ポリマー分散液は、導電性ポリマーを含む。
【0063】
導電性ポリマーは、好ましくは、ポリチオフェンである。
【0064】
そのようなポリチオフェンは、典型的には、当該ポリマーの主鎖上に位置する正電荷を有する。この正電荷は、好ましくは、アニオンによって少なくとも部分的に相殺される。
【0065】
アニオンが共有結合でポリマーに結合している場合、そうしたポリマーは、自己ドープ型ポリマーまたは真性導電性ポリマー(intrinsically conductive polymer)と称されることが多い。そのような自己ドープ型ポリマー(すなわち、アニオン性基を含む)の調製に使用されるモノマーは、自己ドープ型モノマーとも称される。
【0066】
アニオンが別の化合物である場合、ポリマーは、典型的には、外部ドープ型ポリマーまたは外的導電性ポリマー(extrinsically conductive polymer)と称される。別の化合物として添加されるアニオンは、好ましくは、ポリアニオンである。
【0067】
外的導電性ポリマー
導電性ポリマー分散液は、外的導電性ポリマーを含む。
【0068】
本明細書で称される外的導電性ポリマーは、主鎖上に位置する正電荷を有し、この正電荷は、当該ポリマーに共有結合で結合していないアニオンによって少なくとも部分的に相殺される。
【0069】
本発明では、外的導電性ポリマーのカチオン電荷は、上記のポリアニオンによって少なくとも部分的に相殺される。
【0070】
外的導電性ポリマーは、好ましくは、ポリチオフェンである。ポリチオフェンは、ホモポリマーまたはコポリマーであり得る。
【0071】
好ましい外部ドープ型ポリチオフェンは、EP-A440957の2ページ目46行目~3ページ目14行目に開示されている。
【0072】
好ましいポリチオフェンは、式III
【化3】
によって表され、
式中
2<n≦100であり、
及びRは、独立して、水素を表すか、置換または非置換のC-Cアルキル基を表すか、あるいは置換もしくは非置換のC-Cアルキレン基または置換もしくは非置換のC-C10シクロアルキレン基を一緒に形成する。
【0073】
好ましくは、nは、3~50の整数であり、より好ましくは、4~20の整数である。
【0074】
好ましくは、R及びRは、非置換エチレン基、非置換メチレン基、アルキルによって任意選択で置換されたメチレン基、C1-12アルキルもしくはフェニルによって任意選択で置換されたエチレン基、非置換1,3-プロピレン基、または非置換1,2-シクロヘキシレン基を独立して表す。
【0075】
好ましいポリチオフェンは、3,4-メチレンジオキシ-チオフェン、3,4-エチレンジオキシチオフェン、3,4-プロピレン-ジオキシチオフェン、3,4-ブチレンジオキシチオフェン、及びそれらの誘導体からなる群から選択される任意選択で置換されたオキシ-アルキレン-オキシ架橋を2つのアルコキシ基が一緒に形成する3,4-ジアルコキシ-チオフェンのホモポリマーまたはコポリマーである。
【0076】
そのようなポリマーは、Handbook of Oligo-and Polythiophenes(D.Fichou編),Wiley-VCH,Weinheim(1999)、L.Groenendaal et al.Advanced Materi
als,volume 12,pages 481-494(2000)、L.J.Kloeppner et al.Polymer Preprints,volume 40(2),page 792(1999)、P.Schottland et al.Synthetic Metals,volume 101,pages 7-8(1999)、及びD.M.Welsh et al.Polymer Preprints,volume 38(2),page 320(1997)に開示されている。
【0077】
特に好ましい外的導電性ポリマーは、ポリエチレン-ジオキシチオフェン(PEDOT)(3,4-エチレン-ジオキシチオペン(EDOT)のホモポリマー)である。
【0078】
真性導電性ポリマー
以下に記載のポリマーコンデンサーの作製方法では、上記の外的導電性ポリマーと組み合わせて真性導電性ポリマーが使用されることもあり得る。
【0079】
好ましくは、そのような真性導電性ポリマーは、上記の外的導電性ポリマー及びポリアニオンを含むポリマー導電性分散液に加えて、別のポリマー導電性分散液として使用される。
【0080】
本明細書で称される真性導電性ポリマーは、当該ポリマーが主鎖上に位置する正電荷を有し、この正電荷が、当該ポリマーに共有結合で結合したアニオンによって少なくとも部分的に相殺されることを意味する。
【0081】
そのような真性導電性ポリマーは、例えば、EP-A1122274に開示されている。
【0082】
好ましい真性導電性ポリマーは、式IV
【化4】
のモノマーのチオフェンホモポリマーまたはチオフェンコポリマーであり、
式中、
Aは、スルホン酸またはその塩、ホスホン酸またはその塩、リン酸エステルまたはその塩、硫酸エステルまたはその塩、及びカルボン酸またはその塩からなる群から選択される少なくとも1つの官能基でさらに官能化された置換または非置換のC-Cアルキレン架橋を表す。
【0083】
式IV中のAは、好ましくは、Cアルキレン架橋を表す。
【0084】
より好ましい真性導電性ポリマーは、式V
【化5】
のモノマーのチオフェン(コ)ポリマーであり、
式中、
は、1~15個の炭素原子を含む二価の連結基を表し、Cは、スルホン酸またはその塩、ホスホン酸またはその塩、リン酸エステルまたはその塩、硫酸エステルまたはその塩、及びカルボン酸またはその塩からなる群から選択される官能基を表す。
【0085】
Cは、好ましくは、スルホン酸またはその塩を表す。
【0086】
特に好ましい真性導電性ポリマーは、式VI
【化6】
のモノマー単位を含むチオフェンホモポリマーまたはチオフェンコポリマーであり、
式中、
は、10個以下の炭素原子を含む二価の連結基を表し、
Mは、水素を表すか、またはスルホン酸基の負電荷を相殺するための対イオンを表す。
【0087】
表3には、典型的な式IVの自己ドープ型モノマーが示される。
【表3-1】
【表3-2】
【0088】
導電性ポリマーの調製
ポリチオフェンポリマーは、好ましくは、水性媒体中でチオフェンモノマーを酸化重合させることによって調製される。
【0089】
外部ドープ型ポリチオフェンの場合、酸化重合は、好ましくは、ポリアニオンの存在下で実施される。
【0090】
水相媒体中のチオフェンモノマーの濃度は、好ましくは、0.1~25wt%の範囲内であり、好ましくは、0.5~10wt%の範囲内であり、これらはすべて、水性反応媒体の総重量に対するものである。
【0091】
適切な酸化剤は、鉄(III)塩(FeClなど)ならびに芳香族スルホン酸及び脂肪族スルホン酸の鉄(III)塩、H、KCr、アルカリ金属過ホウ酸塩、アルカリ金属過硫酸塩またはアンモニウム過硫酸塩、ならびにその混合物である。
【0092】
追加の適切な酸化剤については、例えば、Handbook of Conducti
ng Polymers(Ed.Skotheim,T.A.),Marcel Dekker:New York,1986,Vol.1,pages 46-57に記載されている。
【0093】
特に好ましい酸化剤は、ペルオキシ二硫酸の塩(具体的には、K、Na)、鉄(III)塩(具体的には、塩化鉄(III))、またはそれらの組み合わせである。
【0094】
ペルオキシ二硫酸の塩と、このペルオキシ二硫酸の切断を触媒する少なくとも1つの追加の化合物(Fe(III)塩など)と、の混合物が特に好ましい。
【0095】
特に好ましい実施形態によれば、酸化剤は、Fe(SOとNaとの混合物である。
【0096】
水性反応媒体の調製方法はさまざまなものが存在する。チオフェンモノマーを水性反応媒体中に溶解もしくは分散させた後に酸化剤(複数可)(同じく水相中に溶解もしくは分散され得る)が添加され得るか、または最初に酸化剤(複数可)を水性反応媒体中に溶解もしくは分散させた後にチオフェンモノマー(同じく水相中に溶解もしくは分散され得る)が添加される。
【0097】
複数の酸化剤(例えば、Fe(SOとNaとの混合物)が使用される場合、これらの成分のうちの1つ(例えば、Fe(SO)をチオフェンモノマーと水性反応媒体中で最初に混合した後に、第2の酸化剤(例えば、Na)を添加することもさらに可能である。
【0098】
酸化重合は、好ましくは、EP-11453877(Agfa Gevaert)に開示されているように不活性な雰囲気の下で実施される。酸化剤(例えば、ペルオキシ二硫酸の塩)が反応媒体に添加されるときの反応媒体の酸素含量は、好ましくは、3mg/リットル未満であり、より好ましくは、1.5mg/リットル未満であり、最も好ましくは、0.5mg/リットル未満である。
【0099】
反応媒体中の酸素の濃度は任意の手段によって制御することができ、こうした手段は、凍結解凍を使用する手法、不活性ガス(アルゴン、窒素、またはヘリウムなど)を反応媒体に長時間通気するもの、不活性ガス雰囲気下での犠牲反応(sacrificial reaction)で酸素を消費させるものなどである。不活性ガスは、好ましくは、重合が完了するまで反応媒体に通気され、それによって酸素濃度は3mg/l未満に維持される。
【0100】
酸化重合は、好ましくは、EP-A1384739(Heraeus)に開示されるように、低pHで実施される。pHは、好ましくは、1.5以下であり、より好ましくは、1.00以下である。
【0101】
pHを調整するために、酸は、好ましくは、水溶性無機酸及び水溶性有機酸の群から選択される。無機酸の例は、塩酸、硫酸、硝酸、及びリン酸である。有機酸の例としては、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、及びトリフルオロメタンスルホン酸が挙げられる。
【0102】
反応混合物の温度は、好ましくは、0~100℃であり、より好ましくは、0~50℃であり、最も好ましくは、5~30℃である。
【0103】
反応混合物中のチオフェンモノマー及びポリアニオンの量は、固形分が、好ましくは、0.05~25wt%、より好ましくは、0.1~10wt%、最も好ましくは、0.8~2wt%である安定なポリチオフェン/ポリアニオン分散液が得られるように選択される。
【0104】
重合反応の完了後、液体組成物は、例えば、ろ過、具体的には、限外ろ過、ならびに/またはイオン交換体での処理、具体的には、アニオン交換体及びカチオン交換体での処理によってさらに精製され得る。
【0105】
精製ステップの後、導電性ポリマー分散液は、その使用用途向けにさらに最適化され得る。例えば、ポリマーコンデンサーの作製に使用される場合、以下に記載のポリマーコンデンサー配合物が導電性ポリマー分散液から調製され得る。
【0106】
導電性ポリマーの調製の間にはさまざまな均質化手法が使用され得る。こうした均質化手法は、
-超音波均質化手法、
-加圧均質化手法、及び
-機械的均質化手法
から選択され得る。
【0107】
好ましい機械的ホモジナイザーは、ローター・ステーター式ホモジナイザー及びブレード型ホモジナイザーである。別の機械的均質化手法は、スピニングディスクリアクターを使用するものであり得る。
【0108】
好ましい高圧ホモジナイザー(例えば、GaulinホモジナイザーまたはArieteホモジナイザーなど)は、加圧下で非常に狭いチャネルまたはオリフィスに分散液を強制的に通すものである。別の好ましい高圧ホモジナイザーは、マイクロフルイダイザーである。
【0109】
2つ以上のホモジナイザーが、好ましくは連続様式で、併用され得る。
【0110】
均質化手法は、重合反応前、重合反応中、及び重合反応後に使用され得る。こうした均質化手法は、以下に記載の液体配合物の調製の間にも使用され得る。
【0111】
液体配合物
導電性ポリマー分散液が使用される用途に応じて、追加の成分が導電性ポリマー分散液に添加され、それによって、そうした用途向けに最適化された液体配合物が形成され得る。
【0112】
例えば、ポリマーコンデンサーの作製に使用される場合、そのような液体配合物は、ポリマーコンデンサー配合物と称され得る。
【0113】
以下に記載の追加の成分のすべてまたは一部が、上述の導電性ポリマー分散液に添加され得る。
【0114】
上記の導電性ポリマー及びポリアニオンに加えて、配合物は、追加の添加剤をさらに含み得、こうした追加の添加剤は、界面活性物質、接着促進剤、架橋剤、結合剤、導電性向上化合物、熱安定性及び水分安定性改善化合物、酸性化合物、ならびにアルカリ性化合物などである。
【0115】
界面活性化合物は、
-アニオン性界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸及び塩、パラフィンスルホネート、アルコールスルホネート、エーテルスルホネート、スルホスクシネート、リン酸エステル、アルキルエーテルカルボン酸、またはカルボキシレートなど)、
-カチオン性界面活性剤(第四級アルキルアンモニウム塩など)、
-非イオン性界面活性剤(直鎖アルコールエトキシレート、オキソアルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、またはアルキルポリグルコシドなど)、ならびに
-双性イオン性界面活性剤(カルボン酸基及び第四級アンモニウム基の両方を含む化合物(例えば、ラウリル-N,N-(ジメチル-アンモニオ)-ブチレート及びラウリル-N,N-(ジメチル)-グリシンベタイン)、硫酸基及び第四級アンモニウム基の両方を含む化合物(例えば、3-[(3-コラミド-プロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパン-スルホネート、3-(4-tert-ブチル-1-ピリジニオ)-1-プロパンスルホネート、3-(1-ピリジニオ)-1-プロパンスルホネート、及び3-(ベンジル-ジメチル-アンモニオ)プロパンスルホネート)、リン酸基及び第四級アンモニウム基の両方を含む化合物(例えば、ヘキサデシルホスホコリン)、ヒドロキシ基が付加された第四級アンモニウム基を含む化合物(例えば、ラウリルジメチルアミンN-オキシド)、ならびにリン脂質(リン酸基を介してカップリングした第四級アンモニウム頭部と、2つの疎水性脂肪酸と結合したグリセロールと、からなる)など)
であり得る。
【0116】
特に好ましい界面活性剤は、Dynol(登録商標)及びZonyl(登録商標)という商標で入手可能な市販の界面活性剤である。
【0117】
好ましい接着促進剤は、有機官能性シランまたはその加水分解物(3-グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、3-アミノ-プロピル-トリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピル-トリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、またはオクチルトリエトキシシランなど)である。
【0118】
好ましい架橋剤は、メラミン化合物、ブロックイソシアネート、官能性シラン(テトラエトキシシランなど)、アルコキシシラン加水分解物(テトラエトキシシランなど)、エポキシシラン(3-グリシドキシ-プロピルトリアルコキシシランなど)である。
【0119】
好ましい結合剤は、ポリウレタン、ポリアクリレート、またはポリオレフィンである。
【0120】
好ましい導電性向上剤は、
-エーテル基を含む化合物(例えば、テトラヒドロフランなど)、
-ラクトン基を含む化合物(γ-ブチロラクトンまたはγ-バレロ-ラクトンなど)、
-アミド基またはラクタム基を含む化合物(カプロラクタム、N-メチルカプロラクタム,N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルアセトアミド、ホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-ホルムアミド、N-メチル-ホルムアニリド、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N-オクチル-ピロリドン、2-ピロリドン、N-ブチル-ピロリドン、及びN-ヒドロキシエチル-ピロリドンなど)、
-スルホン及びスルホキシド(スルホラン(テトラメチレンスルホン)またはジメチルスルホキシド(DMSO)など)、
-糖または糖誘導体(アラビノース、サッカロース、グルコース、フルクトース、またはラクトースなど)、
-二価アルコールまたは多価アルコール(ソルビトール、キシリトール、マンニトール、マンノース、ガラクトース、ソルボース、グルコン酸、またはエチレングリコール、ジ(エチレングリコール)またはトリ(エチレングリコール)、1,1,1-トリメチロール
-プロパン、1,3-プロパンジオール、1,2-プロパン-ジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2,3-プロパントリオール、1,2,4-ブタントリオール、または1,2,6-ヘキサントリオール、芳香族の二価アルコールまたは多価アルコール(レゾルシノールなど)など)
である。
【0121】
特に好ましい導電性向上化合物は、N-メチル-ピロリジノン、N-ブチル-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-ピロリドン、DMSO、エチレングリコール、及びジエチレングリコールからなる群から選択される。
【0122】
好ましい安定性向上化合物は、没食子酸誘導体である。
【0123】
ポリマーコンデンサー配合物は、1~14のpHを有し、より好ましくは、1~8のpHを有し得る。腐食感受性誘電体(酸化アルミニウムまたは酸化ニオブなど)向けには、ポリマーコンデンサー配合物は、そうした誘電体を損なわないために、好ましくは、2.5~8のpHを有する。
【0124】
pHの調整には、WO2010/003874の4ページ目13~32行目に記載の塩基または酸を使用することが好ましい。こうした化合物は、ポリマーコンデンサー配合物のフィルム形成を損なうことはなく、より高い温度(はんだ付け温度など)でも揮発しない。好ましい化合物は、塩基(2-ジメチルアミノエタノール、2,2’-イミノジエタノール、または2,2’,2”-ニトリロトリエタノール)及び酸(ポリスチレンスルホン酸)である。
【0125】
ポリマーコンデンサー配合物の粘度は、典型的には、適用方法に応じて最適化され、0.01~1000mPa・s(20℃、せん断速度100s-1でレオメータを用いて測定した場合)であり得る。好ましくは、粘度は、1~500mPa・sであり、より好ましくは、1~250mPa・sである。アルミニウム巻回型コンデンサーの生産の場合、粘度は、好ましくは、1~200mPa・sである一方で、タンタル電解コンデンサーまたはアルミニウム積層型コンデンサーの生産では、粘度は、好ましくは、1~50mPa・sである。
【0126】
粘度の調整は、例えば、追加の添加剤として適切なレオロジー調整剤を添加することによって達成され得る。
【0127】
上述のように、分散した導電性ポリマーの粒径は、多孔質アノード体の含浸に影響し得る。ポリチオフェン/ポリアニオン粒子の中央粒径(d50)は、好ましくは、1~150nmであり、より好ましくは、2~50nmであり、最も好ましくは、5~40nmである。d50粒径は、好ましくは、レーザー回折によって測定される。
【0128】
ポリマーコンデンサー配合物の固形分は、各場合において配合物の総重量に基づいて、好ましくは、0.01~20wt%、より好ましくは、0.1~15wt%であり、最も好ましくは、0.25~10wt%である。
【0129】
ポリマーコンデンサー
ポリマーコンデンサー(ポリマー電解質コンデンサーとも称される)は、固体導電性ポリマー電解質を含む電解コンデンサーである。
【0130】
電解コンデンサーでは、アノード酸化によって絶縁酸化皮膜を形成する化学的特徴を有するいくつかの特殊金属(いわゆるバルブ金属と称されることが多い)が使用される。電
解槽においてアノード素材に正電圧を印加することによって、印加電圧に対応する厚さを有する酸化物バリア層が形成され得る。この酸化皮膜は、電解コンデンサーにおいて誘電体として働く。コンデンサーの静電容量を増やすために、アノード表面は粗面化され、したがって、酸化皮膜表面も粗面化される。
【0131】
コンデンサーを完成させるには、粗い絶縁酸化物表面に対電極を適合させる必要がある。これは、電解質によって達成され、この電解質は、電解コンデンサーのカソード電極として働く。ポリマー電解質コンデンサーでは、この対電極は、導電性ポリマー(好ましくは、ポリチオフェン導電性ポリマー)の1つ以上の層からなる。
【0132】
ポリマーコンデンサー間の主な差異は、アノード素材、及び誘電体として使用されるその酸化物である。
-ポリマータンタル電解コンデンサーでは、高純度焼結タンタル粉末がアノードとして使用され、五酸化タンタル(Ta)が誘電体とされる。
-ポリマーアルミニウム電解コンデンサーでは、電気化学的にエッチング処理(粗面化)された高純度アルミニウム箔がアノードとして使用され、酸化アルミニウム(Al)が誘電体とされる。
【0133】
自体の酸化皮膜(誘電体)で被覆された多孔質金属層(アノード)は、本明細書では、多孔質アノード体と称される。
【0134】
ポリマーコンデンサーの作製方法
本発明によるポリマーコンデンサーの作製方法は、多孔質アノード体の少なくとも一部にポリマーコンデンサー配合物を導入するステップを含む。
【0135】
ポリマーコンデンサー配合物は、任意の既知のプロセスによって多孔質アノード体中に導入することができ、こうしたプロセスは、含浸、浸漬、注入、滴下、吹き付け、噴霧、ナイフコーティング、ブラッシング、または印刷(例えば、インクジェット印刷、スクリーン印刷、もしくはタンポン印刷)などである。
【0136】
好ましくは、ポリマーコンデンサー配合物は、多孔質アノード体をポリマーコンデンサー配合物中に浸漬し、それによって当該液体組成物を多孔質アノード体に含浸させることによって多孔質アノード体の少なくとも一部に導入される。
【0137】
液体組成物中への浸漬または液体組成物での含浸は、好ましくは、1秒~120分間、より好ましくは、5秒~60分間、最も好ましくは、10秒~15分の範囲内で実施される。アノード体への液体組成物の導入は、例えば、加圧もしくは減圧、振動、超音波、または熱によって促進され得る。
【0138】
液体組成物での多孔質アノード体の含浸後に、液体組成物中に含まれている溶媒を、好ましくは、少なくとも部分的に除去することで、誘電体を完全または部分的に被覆する固体電解質が得られ、それによってコンデンサー体が形成される。固体電解質による誘電体の被覆率は、好ましくは、少なくとも10%であり、より好ましくは、少なくとも25%であり、最も好ましくは、少なくとも50%である。被覆率は、DE-A-102005043828に記載のものであり得る。
【0139】
溶媒は、好ましくは、液体組成物から電極体を取り出し、乾燥させることによって除去される。この乾燥ステップは、好ましくは、20℃~260℃の温度、より好ましくは、50℃~220℃の温度、最も好ましくは、80℃~200℃の温度で実施される。
【0140】
浸漬及び乾燥ステップは、特定の要件を満たす上で、誘電体上に付着する固体電解質層の厚さが適するように、または電極体中への電解質の充填度が適するように、1回または数回繰り返され得る。
【0141】
ポリマーカソード層の形成には、自己ドープ型ポリチオフェン及び外部ドープ型ポリチオフェンの両方を使用することが有利であり得る。両方の型のポリチオフェンポリマーを単一のポリマーコンデンサー配合物中で組み合わせ、上記のように導入することができる。一方で、自己ドープ型または外部ドープ型のポリチオフェンをそれぞれが含む異なるポリマーコンデンサー配合物を使用してコンデンサー中に両方の型のポリチオペンを導入することが好ましい。好ましくは、最初に自己ドープ型ポリチオペンが多孔質アノード体中に導入され、その後に外部ドープ型ポリチオフェンが導入される。自己ドープ型ポリチオフェン及び外部ドープ型ポリチオフェンの両方を使用することについては、例えば、WO2014/048562(Heraeus)及びUS2016/0351338(AVX)に開示されている。
【0142】
この様式でのコンデンサー体の作製後に、当業者に知られる方法及び様式によってコンデンサー体にさらに手を加えることができる。タンタル電解コンデンサーの場合、コンデンサー体は、例えば、ポリマー外層(DE-A-102004022674もしくはDE-A-102009007594に記載のもの)ならびに/またはグラファイト層及び銀層(DE-A-102005043828から知見が得られるもの)で被覆することができ、一方、アルミニウム巻回型コンデンサーの場合、コンデンサー体は、US7,497,879B2の教示に従って、アルミニウムビーカー中に組み込まれ、このアルミニウムビーカーに封着ガラスが付与され、このアルミニウムビーカーがクリンピングによって機械的に堅く密封される。その結果、コンデンサーは、既知の様式では経年劣化によって生じる誘電体の欠陥とは無縁のものとなり得る。
【実施例
【0143】
材料
下記の実施例において使用した材料はすべて、別段の指定がない限り、標準的な入手元(ALDRICH CHEMICAL Co.(Belgium)及びACROS(Belgium)など)から容易に入手可能であった。水は、脱イオン水を使用した。
【0144】
4-ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩は、TCI Europe(Belgium)から市販されているものである。
【0145】
INI-01は、Fujifilm(Belgium)から市販されている2,2’-アゾビス[2-メチル-N-2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]である。
【0146】
INI-02は、Fujifilm(Belgium)から市販されている2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩である。
【0147】
EDOTは、Heraeusから市販されている3,4-エチレンジオキシチオフェンである。
【0148】
PSS-1は、Houben-Weyl,Methoden der organischen Chemie,Vol.E 20,Makromolekulaire Stoffe,Teil 2(1987),page1141に開示の方法に従って調製された300kDaのMwを有するポリスチレンスルホン酸の5.85wt%水溶液である。
【0149】
方法
粘度測定
粘度は、ガラスキャピラリー粘度計を用いて測定した。
【0150】
表面抵抗測定
表面抵抗SERは、2点プローブ法を使用して室温で測定した。
【0151】
粒径測定
中央粒径は、Malvern-Panalytical Mastersizer3000でのレーザー回折分析によって決定した。
【0152】
分子量測定
ポリマーの分子量は、ポリスチレンスルホネート標準物質で較正した2998A PDA検出器と連動するWaters e2695でのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定した。分子量分布は、Waters Empower3を用いて計算されている。
【0153】
核磁気共鳴測定
コポリマーのモル比は、Royalプローブを備えたJEOL ECZ400R(at
=2.04”-d1=10”-nt=64-25 gr C-pw45)でDOにおける核磁気共鳴(NMR)によって決定した。
【0154】
静電容量測定
コンデンサーの静電容量は、ポテンショスタットを用いて120Hz、室温で測定した。
【0155】
ESR測定
等価直列抵抗(ESR)は、ポテンショスタットを用いて100kHz、室温で測定した。
【0156】
実施例1
モノマーI-2((4-ビニルフェニル)メタンスルホン酸ナトリウム塩)の合成
【化7】
窒素雰囲気下で、亜硫酸ナトリウム(22.72g、180mmol)及び2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(0.79g、4mmol)を144mLの水に溶解した。反応混合物を撹拌しながら、当該反応混合物に対して、1-(クロロメチル)-4-ビニル-ベンゼン(20.35g、120mmol)をアセトン(114mL)中に含む溶液を添加した。次に、反応混合物を6時間還流した。その後、反応物を室温に冷却した。形成された沈殿物をろ過し、エタノールで洗浄した。ろ液を減圧下で濃縮した。
【0157】
両方の画分を水/イソプロパノール(0.75/0.25)中で再結晶化し、ろ過して
からアセトンで洗浄することで、(4-ビニルフェニル)メタンスルホン酸ナトリウム塩(23.4g、88.6%)を白色の粉末として得た。
【0158】
(1-(2-ブロモアルキル)-4-エテニルベンゼン)中間体03~05の合成
【化8】
4-ブロモスチレン(7.32g、40.0mmol、1当量)をTHF(133mL)に溶解し、窒素雰囲気下で撹拌した。この溶液を-70℃に冷却し、n-ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、16.80mL、42.0mmol)を滴下して添加した。1時間撹拌後、表4に示されるジブロモアルカン試薬を添加し(4当量)、反応混合物を撹拌しながら室温に温めた。反応混合物をさらに2時間撹拌した。その後、水を添加し(50mL)、回転蒸発によってTHFを除去した。混合物をジクロロメタンで抽出した(50mLで2回)。その後、ブチルヒドロキシトルエン(BHT、0.09g、0.01当量)を有機相に添加し、この有機相をブライン(50mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水してからろ過した。残存するジクロロメタンを回転蒸発によって除去した。
【0159】
得られた混合物をカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/ジクロロメタン)によって精製した。生成物を灰白色の固体として得た。ジブロモアルカン試薬の正確な量及び精製後の反応収率は表4で見ることができる。
【表4】
【0160】
((4-ビニルフェニル)アルカン-スルホン酸ナトリウム塩)モノマーI-3~I-5の合成
【化9】
NaSO及びBHTを水に溶解し、窒素雰囲気下に置いた。反応混合物を撹拌しながら、当該反応混合物に対して、中間体-03をアセトン中に含む溶液を添加した。次に、反応混合物を6時間還流した。その後、反応物を室温に冷却した。形成された沈殿物をろ過し、エタノールで洗浄した。このようにして、モノマーI-3を白色の粉末として得た。反応での正確な使用量及び精製後の反応収率は表5で見ることができる。
【0161】
モノマーI-4については、中間体-04をアセトン中に含む溶液を使用し、エタノールでの洗浄後に得られたろ液を回転蒸発によって乾燥させた。次に、得られた残留物をメチル-tert-ブチルエーテルで処理し、ろ過してから乾燥させた。
【0162】
モノマーI-5については、中間体-05をアセトン中に含む溶液を使用し、エタノールでの洗浄後に得られたろ液を回転蒸発によって乾燥させた。次に、得られた残留物をメチル-tert-ブチルエーテルで処理し、ろ過してから乾燥させた。
【表5】
【0163】
実施例2
ポリアニオン-01(a)~ポリアニオン-01(g)(式中、X=1、Y=0)の調製
【化10】
ポリアニオン-01(a)
実施例1で得られたモノマーI-2(4-ビニルフェニル)メタンスルホン酸ナトリウム塩)を77.73mLの水に3.89g溶解した。反応混合物を撹拌し、90℃に加熱した。
【0164】
INI-01の2wt%水溶液を調製し、窒素で1時間脱気した。この開始剤溶液を反応混合物に手早く一定量添加して、開始剤濃度を3.33mol%にした。この溶液を90℃で20時間撹拌した。
【0165】
その後、反応混合物をイオン交換体(30gのLewatit(登録商標)MonoPlusS108H(ろ過及び2回の水洗浄(20mL)を実施したもの))で2回処理した。
【0166】
この手順によって、透明~やや黄色のポリアニオン-01(a)(式中、x=1)水溶液を得た。
【0167】
ポリアニオン-01(b)
10.55gのモノマーI-2及び73.05mLの水を使用して、ポリアニオン-01(a)について記載したようにポリアニオン-01(b)を合成した。
【0168】
ポリアニオン-01(c)
5.22gのモノマーI-2及び30.92mLの水を使用して、ポリアニオン-01(a)について記載したようにポリアニオン-01(c)を合成した。
【0169】
ポリアニオン-01(d)
INI-02の2wt%溶液、4.00gのモノマーI-2、22.62mLの水、反応温度60℃を使用して、ポリアニオン-01(a)について記載したようにポリアニオン-01(d)を合成した。
【0170】
ポリアニオン-01(e)
開始剤濃度2.00mol%、5.22gのモノマーI-2、及び35.46mLの水を使用して、ポリアニオン-01(a)について記載したようにポリアニオン-01(e)を合成した。
【0171】
ポリアニオン-01(f)
5.22gのモノマーI-2及び30.92mLの水を使用して、ポリアニオン-01(a)について記載したようにポリアニオン-01(f)を合成した。
【0172】
ポリアニオン-01(g)
INI-02の3.33mol%溶液、10.00gのモノマーI-2、及び56.56mLの水を使用して、ポリアニオン-01(a)について記載したようにポリアニオン-01(g)を合成した。
【0173】
実施例3
異なるX及びYを有するポリアニオン-01(h)~ポリアニオン-01(j)の調製
【化11】
ポリアニオン-01(h)
5.77gの4-ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩及び2.05gのモノマーI-2((4-ビニルフェニル)メタンスルホン酸ナトリウム塩)(実施例1で得られたもの)を45.10mLの水に溶解した。反応混合物を撹拌し、90℃に加熱した。
【0174】
INI-01の2wt%水溶液を調製し、窒素で1時間脱気した。この開始剤溶液を反応混合物に手早く一定量添加して、開始剤濃度を3.33mol%にした。この溶液を90℃で20時間撹拌した。
【0175】
その後、反応混合物をイオン交換体(50gのLewatit(登録商標)MonoPlusS108H(ろ過及び2回の水洗浄(50mL)を実施したもの))で2回処理した。
【0176】
この手順によって、透明~やや黄色のポリアニオン-01(h)水溶液を得た。
【0177】
ポリアニオン-01(i)
3.77gの4-ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩及び4.03gのモノマーI-2及び45.43mLの水を使用して、ポリアニオン-01(h)について記載したようにポリアニオン-01(i)を合成した。
【0178】
ポリアニオン-01(j)
1.85gの4-ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩及び5.94gのモノマーI-2及び45.74mLの水を使用して、ポリアニオン-01(h)について記載したようにポリアニオン-01(j)を合成した。
【0179】
実施例4
ポリアニオン-02~ポリアニオン-04の調製
【化12】
ポリアニオン-02
1.43gのモノマーI-3(実施例1で得られたもの)を8.94mLの水に溶解した。この反応混合物を撹拌し、95℃に加熱した。
【0180】
INI-01の2wt%水溶液を調製し、窒素で1時間脱気した。この開始剤溶液を反応混合物に手早く一定量添加して、開始剤濃度を3.33mol%にした。この溶液を90℃で20時間撹拌した。
【0181】
その後、反応混合物を水(25mL)で希釈し、イオン交換体(10gのLewatit(登録商標)MonoPlusS108H(ろ過及び2回の水洗浄(10mL)を実施したもの))で2回処理した。
【0182】
この手順によって、透明~やや黄色のポリアニオン-02水溶液を得た。
【0183】
ポリアニオン-03
0.82gのモノマーI-4(実施例1で得られたもの)を5.25mLの水に溶解した。この反応混合物を撹拌し、95℃に加熱した。
【0184】
INI-01の2wt%水溶液を調製し、窒素で1時間脱気した。この開始剤溶液を反応混合物に手早く一定量添加して、開始剤濃度を3.33mol%にした。この溶液を90℃で20時間撹拌した。
【0185】
その後、反応混合物を水(25mL)で希釈し、イオン交換体(10gのLewatit(登録商標)MonoPlusS108H(ろ過及び2回の水洗浄(10mL)を実施したもの))で2回処理した。
【0186】
この手順によって、透明~やや黄色のポリアニオン-03水溶液を得た。
【0187】
ポリアニオン-04
1.11gのモノマーI-5(実施例1で得られたもの)を8.07mLの水に溶解した。この反応混合物を撹拌し、95℃に加熱した。
【0188】
INI-01の2wt%水溶液を調製し、窒素で1時間脱気した。この開始剤溶液を反応混合物に手早く一定量添加して、開始剤濃度を3.33mol%にした。この溶液を90℃で20時間撹拌した。
【0189】
その後、反応混合物をイオン交換体(10gのLewatit(登録商標)MonoPlusS108H(ろ過及び2回の水洗浄(15mL)を実施したもの))で2回処理した。
【0190】
この手順によって、透明~やや黄色のポリアニオン-04水溶液を得た。
【0191】
実施例5
ポリアニオン-01(a)~ポリアニオン-01(j)、ポリアニオン-02、ポリアニオン-03、及びポリアニオン-04の分子量(Mw)(kDa)を上記のように決定した。結果は、H-NMRによって測定したX/Y比及び得られたポリアニオン溶液の濃度と併せて表6に示される。
【表6】
【0192】
実施例6
PEDOT/ポリアニオン-01(a)分散液の調製
【化13】
77.3gのポリアニオン-01(a)水溶液(実施例2で得られたもの)、脱イオン
水(147mL)、硝酸(2.4g、2.72mmol)を反応容器中で混合する。硫酸鉄(III)(0.09g、0.22mmol)及び過硫酸ナトリウム(1.78g、7.47mmol)を添加した。反応混合物を撹拌し、窒素気流下で90分間5℃に冷却した。酸素レベルは30ppb未満である。3,4-エチレンジオキシチオフェン(EDOT)(0.96g、6.79mmol)を反応混合物に添加し、窒素下、5℃で20時間撹拌する。反応混合物をイオン交換体(65gのLewatit(登録商標)MonoPlusM600+35gのLewatit(登録商標)MonoPlusS108H(ろ過及び3回の水洗浄(25mL)を反復実施したもの))で処理する。得られた粘性混合物を高せん断均質化処理(Lab Gaulin、4×600bar)に供した。分散液を減圧下で濃縮する。この手順によって、青色のPEDOT/ポリアニオン-01(a)水分散液(1.38wt%)を得た。
【0193】
実施例7
PEDOT/ポリアニオン-01(b)分散液の調製
88.7gのポリアニオン-01(b)(実施例2で得られたもの)、210mLの脱イオン水、3.1gの硝酸、0.11gの硫酸鉄(III)、2.26gの過硫酸ナトリウム、及び1.23gのEDOTを使用したことを除き、実施例6と同じ様式で重合を実施した。反応混合物をイオン交換体(77gのLewatit(登録商標)MonoPlusM600+42gのLewatit(登録商標)MonoPlusS108H(ろ過及び3回の水洗浄(30mL)を反復実施したもの))で処理する。この手順によって、青色のPEDOT:ポリアニオン-01(b)水分散液(1.15wt%)を得た。
【0194】
実施例8
PEDOT/ポリアニオン-01(c)分散液の調製
172.8gのポリアニオン-01(c)(実施例2で得られたもの)、206mLの脱イオン水、3.9gの硝酸、0.14gの硫酸鉄(III)、2.86gの過硫酸ナトリウム、及び1.55gのEDOTを使用したことを除き、実施例6と同じ様式で重合を実施した。反応混合物をイオン交換体(100gのLewatit(登録商標)MonoPlusM600+55gのLewatit(登録商標)MonoPlusS108H(ろ過及び2回の水洗浄(50mL)を反復実施したもの))で処理する。この手順によって、青色のPEDOT/ポリアニオン-01(c)水分散液(1.28wt%)を得た。
【0195】
実施例9
PEDOT/ポリアニオン-01(d)の調製
83.2gのポリアニオン-01(d)(実施例2で得られたもの)、176mLの脱イオン水、2.70gの硝酸、0.10gの硫酸鉄(III)、1.96gの過硫酸ナトリウム、及び1.06gのEDOTを使用したことを除き、実施例6と同じ様式で重合を実施した。反応混合物をイオン交換体(70gのLewatit(登録商標)MonoPlusM600+40gのLewatit(登録商標)MonoPlusS108H(ろ過及び2回の水洗浄(50mL)を反復実施したもの))で処理する。この手順によって、青色のPEDOT/ポリアニオン-01(d)水分散液(1.27wt%)を得た。
【0196】
実施例10
PEDOT/ポリアニオン-01(e)の調製
191.7gのポリアニオン-01(e)(実施例2で得られたもの)、197mLの脱イオン水、4.0gの硝酸、0.15gの硫酸鉄(III)、2.94gの過硫酸ナトリウム、及び1.59gのEDOTを使用したことを除き、実施例6と同じ様式で重合を実施した。反応混合物をイオン交換体(100gのLewatit(登録商標)MonoPlusM600+55gのLewatit(登録商標)MonoPlusS108H(ろ過及び2回の水洗浄(50mL)を反復実施したもの))で処理する。この手順によっ
て、青色のPEDOT/ポリアニオン-01(e)水分散液(1.23wt%)を得た。
【0197】
実施例11
PEDOT/ポリアニオン-01(f)の調製
131.9gのポリアニオン-01(f)(実施例2で得られたもの)、346mLの脱イオン水、5.0gの硝酸、0.18gの硫酸鉄(III)、3.62gの過硫酸ナトリウム、及び1.96gのEDOTを使用したことを除き、実施例6と同じ様式で重合を実施した。反応混合物をイオン交換体(125gのLewatit(登録商標)MonoPlusM600+66gのLewatit(登録商標)MonoPlusS108H(ろ過及び2回の水洗浄(50mL)を反復実施したもの))で処理する。この手順によって、青色のPEDOT/ポリアニオン-01(f)水分散液(1.40wt%)を得た。
【0198】
実施例12
PEDOT/ポリアニオン-01(g)の調製
134.9gのポリアニオン-01(g)(実施例2で得られたもの)、323mLの脱イオン水、4.8gの硝酸、0.17gの硫酸鉄(III)、3.47gの過硫酸ナトリウム、及び1.88gのEDOTを使用したことを除き、実施例6と同じ様式で重合を実施した。反応混合物をイオン交換体(120gのLewatit(登録商標)MonoPlusM600+65gのLewatit(登録商標)MonoPlusS108H(ろ過及び2回の水洗浄(50mL)を反復実施したもの))で処理する。この手順によって、青色のPEDOT/ポリアニオン-01(g)水分散液(1.22wt%)を得た。
【0199】
実施例13
PEDOT/ポリアニオン-01(h)の調製
110.8gのポリアニオン-01(h)(実施例3で得られたもの)、213mLの脱イオン水、3.48gの硝酸、0.12gの硫酸鉄(III)、2.53gの過硫酸ナトリウム、及び1.37gのEDOTを使用したことを除き、実施例6と同じ様式で重合を実施した。反応混合物をイオン交換体(90gのLewatit(登録商標)MonoPlusM600+50gのLewatit(登録商標)MonoPlusS108H(ろ過及び2回の水洗浄(50mL)を反復実施したもの))で処理する。この手順によって、青色のPEDOT/ポリアニオン-01(h)水分散液(1.23wt%)を得た。
【0200】
実施例14
PEDOT/ポリアニオン-01(i)の調製
125.7gのポリアニオン-01(i)(実施例3で得られたもの)、198mLの脱イオン水、3.43gの硝酸、0.12の硫酸鉄(III)、2.50gの過硫酸ナトリウム、及び1.35gのEDOTを使用したことを除き、実施例6と同じ様式で重合を実施した。反応混合物をイオン交換体(90gのLewatit(登録商標)MonoPlusM600+50gのLewatit(登録商標)MonoPlusS108H(ろ過及び2回の水洗浄(50mL)を反復実施したもの))で処理する。この手順によって、青色のPEDOT/ポリアニオン-01(i)水分散液(1.38wt%)を得た。
【0201】
実施例15
PEDOT/ポリアニオン-01(j)の調製
119.2gのポリアニオン-01(j)(実施例3で得られたもの)、205mLの脱イオン水、3.39gの硝酸、0.12gの硫酸鉄(III)、2.46gの過硫酸ナトリウム、及び1.34gのEDOTを使用したことを除き、実施例6と同じ様式で重合を実施した。反応混合物をイオン交換体(90gのLewatit(登録商標)MonoPlusM600+45gのLewatit(登録商標)MonoPlusS108H(ろ過及び2回の水洗浄(50mL)を反復実施したもの))で処理する。この手順によっ
て、青色のPEDOT/ポリアニオン-01(j)水分散液(1.32wt%)を得た。
【0202】
実施例16
PEDOT/ポリアニオン-02の調製
22.6gのポリアニオン-02(実施例4で得られたもの)、14.8mLの脱イオン水、0.35gの硝酸、0.013gの硫酸鉄(III)、0.25gの過硫酸ナトリウム、及び0.14gのEDOTを使用したことを除き、実施例6と同じ様式で重合を実施した。反応混合物をイオン交換体(10gのLewatit(登録商標)MonoPlusM600+5gのLewatit(登録商標)MonoPlusS108H(ろ過及び2回の水洗浄(15mL)を反復実施したもの))で処理する。この手順によって、青色のPEDOT/ポリアニオン-02水分散液(1.00wt%)を得た。
【0203】
実施例17
PEDOT/ポリアニオン-03の調製
24.3gのポリアニオン-03(実施例4で得られたもの)、13.6mLの脱イオン水、0.34gの硝酸、0.012gの硫酸鉄(III)、0.25gの過硫酸ナトリウム、及び0.13gのEDOTを使用したことを除き、実施例6と同じ様式で重合を実施した。反応混合物をイオン交換体(10gのLewatit(登録商標)MonoPlusM600+5gのLewatit(登録商標)MonoPlusS108H(ろ過及び2回の水洗浄(15mL)を反復実施したもの))で処理する。この手順によって、青色のPEDOT/ポリアニオン-03水分散液(1.32wt%)を得た。
【0204】
実施例18
PEDOT/ポリアニオン-04の調製
46.6gのポリアニオン-04(実施例4で得られたもの)、8.2mLの脱イオン水、0.45gの硝酸、0.016gの硫酸鉄(III)、0.33gの過硫酸ナトリウム、及び0.18gのEDOTを使用したことを除き、実施例6と同じ様式で重合を実施した。反応混合物をイオン交換体(12gのLewatit(登録商標)MonoPlusM600+6gのLewatit(登録商標)MonoPlusS108H(ろ過及び2回の水洗浄(15mL)を反復実施したもの))で処理する。この手順によって、青色のPEDOT/ポリアニオン-04水分散液(1.90wt%)を得た。
【0205】
比較実施例1:PEDOT/PSS-1の調製
73.3gのPSS-1、脱イオン水(325mL)、及び硝酸(4.3g、48.3mmol)を反応容器中で混合した。
【0206】
硫酸鉄(III)(0.16g、0.39mmol)及び過硫酸ナトリウム(3.16g、13.3mmol)を添加した。反応混合物を撹拌し、窒素気流下で5℃に冷却した。酸素レベルは30ppb未満であった。
【0207】
EDOT(1.71g、12.1mmol)を反応混合物に添加し、5℃で20時間撹拌した。
【0208】
その後、反応混合物をイオン交換体(110gのLewatit(登録商標)MonoPlusM600+60gのLewatit(登録商標)MonoPlusS108H(ろ過及び2回の水洗浄(50mL)を反復実施したもの))で処理した。得られた粘性混合物を高せん断均質化処理(Lab Gaulin、4×600bar)に供した。
【0209】
減圧下での濃度ステップ後、1.12wt%の青色のPEDOT/PSS-1(a)水分散液を得た。
【0210】
比較実施例2:PEDOT/PSS-1の調製
比較実施例1と同じ様式で重合を実施した。この手順によって、青色のPEDOT/PSS-1(b)水分散液(1.22wt%)を得た。2-ジメチル-アミノ-エタノールを用いてpHレベルを3.16に調整した。
【0211】
比較実施例3:PEDOT/PSS-1の調製
2.06gのEDOT、88.7gのPSS-1、389mLの脱イオン水、14.3gの硝酸、0.094gの硫酸鉄(III)、3.48gの過硫酸ナトリウム、130gのLewatit(登録商標)MonoPlusM600、及び70gのLewatit(登録商標)MonoPlusS108Hを用いて、比較実施例1と同じ様式で重合を実施した。この手順によって、青色のPEDOT/PSS-1(c)水分散液(1.15wt%)を得た。
【0212】
実施例19
表7には、表7に記載の分散液の粒径(Φ)及びこれらの分散液のPET上バーコートフィルムのSERが示される。
【表7】
【0213】
本発明によるポリアニオンを含むPEDOT分散液の粒径は、従来のPEDOT/PS
S分散液の粒径と同等であることが表7から明らかである。このことは、さらなる試験には供さなかったポリアニオン-02、03、及び04を除き、これらの分散液の被覆物のSERにも当てはまる。
【0214】
実施例20
表8に記載のポリマー分散液をPET基材上にバーコートした。次に、この被覆フィルムを60℃/95%RH、85℃/85%RH、及び105℃/乾燥の条件の下で500時間保管した。表8には、形成時点のフィルムのSERと保管後のフィルムのSERとの比(ΔSER(倍率))が示される。
【表8】
【0215】
本発明によるポリアニオンを使用する分散液から調製したフィルムは、高温/高相対湿度(RH)条件下での保管時により安定であることが、表8の結果から明らかである。
【0216】
実施例21
2-ジメチルアミノ-エタノールを用いて分散液のpHを開始pHから4~6のpHレベル(表9に記載の終了pH)に変化させるpH試験を実施した。開始pH及び終了pHの両方の時点で、分散液の中央粒径を測定すると共に、バーコーターを用いてPET上に導電層を作製し、そのSERを測定した。
【0217】
表9は、開始pHでの分散液の中央粒径に対する終了pHでの分散液の中央粒径の比[ΦpH(終了)/ΦpH(開始)]を示す。
表9は、開始pH及び終了pHの両方での分散液の被覆層のSERの比(ΔSER(pH))も示す。
【表9】
【0218】
本発明によるポリアニオンを使用する分散液は、従来のPEDOT/PSS分散液と比較して、pHが上昇しても安定であることが表9の結果から明らかである。
【0219】
実施例22:コンデンサーの作製
表面上にエッチング層を含む化学的改変アルミニウム箔をバルブ金属ベースとして作製した。誘電体層を形成させて、このアルミニウム箔を被覆した。得られた化学的改変アルミニウム箔をアノード部品として使用した。アルミナ層の定格電圧は90Vであり、静電容量は6.4μF/cmである。厚さ20μmのソルダマスクをAl箔上に印刷して、10mm×10mmの開口部のアレイを付与した。このパターン化箔を切断して30mm×105mmのストリップとして、その上に5つの開口部を有するようにした。
【0220】
コンデンサーの製造において使用する導電性ポリマー分散液を水、ジエチレングリコール、及びDYNOL(商標)604と共に配合物化し、アルミニウム箔の被覆前に超音波均質化ステップに供して処理した。
【0221】
その後、PEDOT/ポリアニオン-01(e)分散液を用いてストリップを浸漬被覆し、150℃で5分間乾燥させた。この浸漬被覆ステップ及び硬化ステップを数回繰り返した。その後、炭素ペースト及び銀ペーストを連続的にPEDOT層上にスクリーン印刷し、硬化させた。
【0222】
追加のコンデンサーを上記のように作製及び測定した。その際、PEDOT/ポリアニオン-01(f)、PEDOT/ポリアニオン-01(g)、及びPEDOT/PSS-1(c)を導電性ポリマー分散液として使用した。
【0223】
表10には、コンデンサー評価の結果のまとめが示される。
【表10】
【0224】
本発明によるポリアニオンを使用する分散液を用いることで、コンデンサーの静電容量は大きくなる一方で、ESRは小さくなることが、表10の結果から明らかである。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリチオフェン及びポリアニオンを含む導電性ポリマー分散液であって、前記ポリアニオンが式I
【化1】
のモノマーのホモポリマーまたはコポリマーであることを特徴とし、
式中、
~Rがいずれも、水素、ハロゲン、エーテル、及び置換または非置換のアルキル基からなる群から選択されるが、但し、R~Rのうちの少なくとも1つが、式II
【化2】
の置換基であり、
式中、Lが、20個未満の炭素原子を有する二価の連結基を表し、
nが、0または1を表し、
及びRが、水素、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアルケニル基、置換または非置換のアルキニル基、置換または非置換のアラルキル基、置換または非
置換のアルカリル基、及び置換または非置換のアリール基またはヘテロアリール基からなる群から独立して選択され、
L、R、及びRがいずれも、5~8員環の形成に必要な原子を表し得、
Mが、水素を表すか、またはスルホン酸基の負電荷を相殺するための対イオンを表し、
破線が、式Iのフェニル環への共有結合を表す、前記導電性ポリマー分散液。
【請求項2】
Lが、置換または非置換のC-C10アルキレン基である、請求項1に記載の導電性ポリマー分散液。
【請求項3】
nが、0である、請求項1に記載の導電性ポリマー分散液。
【請求項4】
及びRが、水素である、請求項1に記載の導電性ポリマー分散液。
【請求項5】
、R、及びRのうちの1つのみが、式IIによって表される置換基である、請求項1に記載の導電性ポリマー分散液。
【請求項6】
が、式IIによって表される置換基であり、R、R、R、及びRが、水素を表す、請求項1に記載の導電性ポリマー分散液。
【請求項7】
Mが、HまたはNaを表す、請求項1に記載の導電性ポリマー分散液。
【請求項8】
前記ポリチオフェン及び前記ポリアニオンが、レーザー回折によって測定される5~40nmの中央粒径(d50)を有するポリチオフェン/ポリアニオン粒子として存在する、請求項1に記載の導電性ポリマー分散液。
【請求項9】
請求項1に記載の導電性ポリマー分散液を含む液体配合物。
【請求項10】
前記配合物が、2~8.5のpHを有する、請求項9に記載の液体配合物。
【請求項11】
20℃、せん断速度100s-1でレオメータを用いて測定される前記配合物の粘度が、1~250mPa・sである、請求項9に記載の液体配合物。
【請求項12】
N-メチル-ピロリジノン、N-ブチル-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-ピロリドン、DMSO、エチレングリコール、及びジエチレングリコールからなる群から選択される導電性向上化合物をさらに含む、請求項9に記載の液体配合物。
【請求項13】
多孔質アノード体を含むポリマーコンデンサーの作製方法であって、前記作製方法が、請求項9に記載の液体配合物を前記多孔質アノード体の少なくとも一部に導入するステップを含む、前記作製方法。
【請求項14】
電子デバイスにおける導電層の作製のための、請求項9に記載の液体配合物の使用。
【請求項15】
前記電子デバイスが、光伝導セル、フォトレジスタ、光スイッチ、フォトトランジスタ、光電管、IR検出器、光起電デバイス、太陽電池、記憶デバイス用の被覆材料、電界効果抵抗デバイス、帯電防止フィルム、バイオセンサー、エレクトロクロミックデバイス、固体電解質コンデンサー、ハイブリッドコンデンサー、超コンデンサー、エネルギー貯蔵デバイス、バッテリー、及び電磁遮蔽物から選択される、請求項14に記載の使用。
【国際調査報告】