IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハルドール・トプサー・アクチエゼルスカベットの特許一覧

特表2024-521773合成ガスの製造及びプロセス凝縮水の発生のためのプロセス及びプラント
<>
  • 特表-合成ガスの製造及びプロセス凝縮水の発生のためのプロセス及びプラント 図
< >

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】合成ガスの製造及びプロセス凝縮水の発生のためのプロセス及びプラント
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/38 20060101AFI20240528BHJP
   C01B 3/56 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
C01B3/38
C01B3/56 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572733
(86)(22)【出願日】2022-05-23
(85)【翻訳文提出日】2024-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2022063905
(87)【国際公開番号】W WO2022248406
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】PA202100545
(32)【優先日】2021-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000282
【氏名又は名称】トプソー・アクチエゼルスカベット
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】デール・ピア・ユール
【テーマコード(参考)】
4G140
【Fターム(参考)】
4G140EA03
4G140EA06
4G140EB03
4G140EB32
4G140EB33
4G140EB37
4G140EB39
4G140EB44
4G140EB46
4G140FA02
4G140FB02
4G140FB04
4G140FB05
4G140FC03
4G140FC08
4G140FE01
(57)【要約】
水蒸気改質ユニット中での炭化水素原料の接触水蒸気改質によって合成ガスを製造するためのプロセス及びプラントであって、第一及び第二シフト転化ユニットを更に含み、水が、合成ガスからプロセス凝縮水として除去され、ボイラー供給水が該プロセスに導入され、及び前記プロセスまたはプラントが、少なくとも二つの別個の蒸気流、すなわち合成ガスの冷却によって前記ボイラー供給水の少なくとも一部から発生する純蒸気、及び合成ガスを、任意に純蒸気及び/または水蒸気改質ユニットからの煙道ガスと一緒に用いることによって、プロセス凝縮水ボイラー(PCボイラー)中でプロセス凝縮水の少なくとも一部を蒸発させることにより発生するプロセス蒸気を生成する、前記プロセス及びプラント。プロセス蒸気、及びPCボイラーから生じるもの以外の純蒸気は、第一シフト転化ユニット、任意に及び第二シフト転化ユニットにも加えられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意に煙道ガスを発生する水蒸気改質ユニット中で炭化水素原料を接触水蒸気改質することによって合成ガスを製造するプロセスであって、
水が前記合成ガスからプロセス凝縮水として除去され、及び
ボイラー供給水が当該プロセスに導入され、及び
前記プロセスは、少なくとも二つの別個の蒸気流、すなわち
i)合成ガスの冷却によって前記ボイラー供給水(BFW)の少なくとも一部から発生する純蒸気流、及び
ii)合成ガスの冷却によってプロセス凝縮水の少なくとも一部を蒸発させて発生するプロセス蒸気流、
を生成し;
ステップii)は、プロセス凝縮水ボイラー(PCボイラー)中で行われ;
前記水蒸気改質ユニットは粗製合成ガスを生成し、及び前記合成ガスは、前記粗製合成ガスを、一つ以上の水性ガスシフト転化ユニットの使用を含む接触水性ガスシフト(WGS)転化段階に通すことによって生成されたプロセスガスであり;
前記一つ以上の水性ガスシフト転化ユニットは、高温または中温シフト転化ユニット(HTまたはMTシフトユニット)などの第一シフト転化ユニット、及び中温または低温シフト転化ユニット(MTまたはLTシフトユニット)などのその後の第二シフト転化ユニット、任意に及び低温シフト転化ユニット(LTシフトユニット)などの第三シフト転化ユニットを含み、及び前記ステップii)における合成ガスの前記冷却は、前記第一または第二シフト転化ユニット、例えば前記HTまたはMTシフトユニットを出た合成ガス流の冷却であり;
前記プロセス蒸気流の少なくとも一部及び前記純蒸気流の少なくとも一部が、前記第一シフト転化ユニットに加えられ;及び
ステップi)において、前記ボイラー供給水(BFW)の少なくとも一部から発生した前記純蒸気流は、
i-1)少なくとも部分的に一つ以上の熱交換器またはボイラー中での合成ガスの冷却によって発生する純蒸気、及び/または
i-2)一つ以上の熱交換器及びボイラーでの前記煙道ガスの冷却によって発生する純蒸気、
を含む、前記プロセス。
【請求項2】
ステップi-1)及び/またはi-2)において、前記純蒸気流が、第一シフト転化ユニットからの合成ガスを冷却するためのボイラー、例えば前記PCボイラーは除いて、一つ以上のボイラーで発生する純蒸気からなる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
プロセス蒸気流の少なくとも一部及び純蒸気流の少なくとも一部が、前記第二シフト転化ユニットに加えられる、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
プロセス蒸気流及び純蒸気流が一緒に加えられる、請求項1~3のいずれか一つに記載のプロセス。
【請求項5】
ステップii)が、前記純蒸気流の少なくとも一部の冷却も含む、請求項1~4のいずれか一つに記載のプロセス。
【請求項6】
前記水蒸気改質ユニットが、自熱式改質(ATR)ユニットであるか、または慣用の水蒸気メタン改質器(SMR)、例えば管状改質器とATRユニットとの組み合わせであるか、または電気加熱式改質器(e-SMR)であるか、またはe-SMRとATRユニットとの組み合わせであり、それらから前記粗製合成ガスが製造される、請求項1~5のいずれか一つに記載のプロセス。
【請求項7】
前記プロセス凝縮水が予熱され、好ましくは、
- 前記ステップii)で使用される純蒸気、またはそれの凝縮水;
及び/または
- 前記WGS転化段階の後、好ましくは第二または第三シフト転化ユニットの後に、但し、好ましくは、純蒸気流の発生のために使用される一つ以上の熱交換器、すなわちBFW予熱ユニットにおいて合成ガスを更に冷却する前に回収された合成ガスの一部、
との間接的な熱交換によって、予熱される、
請求項1~6のいずれか一つに記載のプロセス。
【請求項8】
前記純蒸気流の一部がエクスポート流として回収される、請求項1~7のいずれか一つに記載のプロセス。
【請求項9】
前記プロセス蒸気流が、水蒸気改質ユニットに入る前の炭化水素原料と混合され;及び任意に、前記プロセス蒸気が、炭化水素原料との混合時に純蒸気と組み合わされる、請求項1~8のいずれか一つに記載のプロセス。
【請求項10】
前記合成ガスが水素製品流に転化され、ここで、前記プロセス凝縮水は、プロセス凝縮水分離器中で発生し、この際、前記プロセス凝縮水分離器は、水枯渇化合成ガス流も発生し、この水枯渇化合成ガス流の少なくとも一部は、(好ましくは圧力スイング吸着ユニット(PSAユニット)において)水素精製段階を通って、前記水素製品流及びオフガス流を生成する、請求項1~9のいずれか一つに記載のプロセス。
【請求項11】
PCボイラー中でプロセス蒸気流を発生するために使用された後の純蒸気流が凝縮され、そして前記プロセスに導入されたボイラー供給水(BFW)に混合される、請求項1~10のいずれか一つに記載のプロセス。
【請求項12】
合成ガスを製造するためのプラントであって、
- 炭化水素原料を前記合成ガスに転化し、任意に及び煙道ガスを発生するための水蒸気改質ユニット;
- 前記合成ガスから水を除去して、水枯渇化合成ガス流及びプロセス凝縮水流を生成するための、プロセス凝縮水分離器;
- 一つ以上のボイラー供給水(BFW)熱交換器及びボイラーを含む蒸気系統であって、前記一つ以上の熱交換器及びボイラーにおいて、前記合成ガスの間接的な冷却によって純蒸気流を発生するための、蒸気系統;
- プロセス蒸気流を発生するためのプロセス凝縮水ボイラー(PCボイラー)を含む、プロセス凝縮水(PC)系統、但し、前記PCボイラーは、
・合成ガスの冷却によって前記プロセス凝縮水流の少なくとも一部を蒸発するための熱交換ユニット;任意に及び
・熱交換媒体としての前記純蒸気流の少なくとも一部の冷却によって、前記プロセス凝縮水流の少なくとも一部を蒸発するための熱交換ユニット、及び/または前記煙道ガスの冷却によって前記プロセス凝縮水流の少なくとも一部を蒸発するための熱交換ユニット、
を含む、プロセス凝縮水(PC)系統、
- 前記合成ガスを水素で富化するための一つ以上の水性ガスシフト転化ユニットを含む接触水性ガスシフト(WGS)転化段階であって、前記一つ以上の水性ガスシフト転化ユニットは、高温もしくは中温シフト転化ユニット(HTもしくはMTシフトユニット)などの第一シフト転化ユニット、及び中温もしくは低温シフト転化ユニット(MTもしくはLTシフトユニット)などの下流の第二シフト転化ユニットを含み;前記PCボイラー中での合成ガスの前記冷却は、前記第一または第二シフト転化ユニットを出た合成ガス流の冷却である、接触水性ガスシフト(WGS)転化段階;
- 前記プロセス蒸気流の少なくとも一部を、及び前記純蒸気流の少なくとも一部を、前記一つ以上の水性ガスシフト転化ユニットの第一のユニットへそれぞれ案内するための各導管;
を含み、
前記純蒸気流は、第一シフト転化ユニットからの合成ガスを冷却するためのボイラー、例えば前記PCボイラーは除いて、一つ以上のボイラーで発生した純蒸気である、
前記プラント。
【請求項13】
前記水蒸気改質ユニットが、水蒸気改質ユニットで発生した煙道ガスを排出するための出口を含み、及び前記PCボイラーが更に、
熱交換媒体としての前記純蒸気流の少なくとも一部を冷却することによって前記プロセス凝縮水流の少なくとも一部を蒸発させるための熱交換ユニット、及び/または前記煙道ガスの冷却によって前記プロセス凝縮水流の少なくとも一部を蒸発させるための熱交換ユニット、
を含む、請求項12に記載のプラント。
【請求項14】
前記プロセス蒸気流の少なくとも一部を、及び前記純蒸気流の少なくとも一部を、前記一つ以上の水性ガスシフト転化ユニットの第二のユニットへそれぞれ案内するための各導管を更に含む、請求項12または13に記載のプラント。
【請求項15】
前記蒸気系統が、前記一つ以上のBFW熱交換器及びボイラー中で発生する純蒸気を輸送するために適合した配管網、すなわちパイプネットワークを含み、及び前記純蒸気流の前記少なくとも一部を、前記一つ以上の水性ガスシフト転化ユニットの第一及び任意に第二のユニットに案内するための導管が、前記配管網から派生する導管である、請求項12~14のいずれか一つに記載のプラント。
【請求項16】
前記水枯渇化合成ガス流の少なくとも一部から水素製品、及びオフガス流を生成するための水素精製ユニットを更に含む、請求項12~15のいずれか一つに記載のプラント。
【請求項17】
水蒸気改質ユニットが、自熱式改質(ATR)ユニットであるか、慣用の水蒸気メタン改質器(SMR)、例えば管状改質器とATRユニットとの組み合わせであるか、または電気加熱式改質器(e-SMR)であるか、またはe-SMRとATRユニットとの組み合わせである、請求項12~16のいずれか一つに記載のプラント。
【請求項18】
- 前記プロセス凝縮水流を前記プロセス凝縮水ボイラーに案内するための、ポンプなどのプロセス凝縮水加圧手段;
- 前記プロセス蒸気流の発生の間に使用された前記純蒸気流からの凝縮水生成物を収集するための凝縮水ポット及び/または凝縮水ドラム、任意に及び前記凝縮水生成物を輸送しそしてこれを該プラントに導入されたBFWと混合するための、ポンプなどの加圧手段、
を更に含む、請求項12~17のいずれか一つに記載のプラント。
【請求項19】
前記プロセス凝縮水ボイラーの上流でのプロセス凝縮水の間接的な加熱のための熱交換器を更に含み、前記間接的加熱は、好ましくは、前記一つ以上の水性ガスシフト転化ユニットの下流で回収された合成ガスの一部を用いたものであり、該プラントは、好ましくは、合成ガスの前記部分を分割するための手段も含む、請求項12~18のいずれか一つに記載のプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成ガス及び/または水素製品を製造するためのプロセス及びプラントであって、合成ガス及び/または水素製品の製造が、このプロセスの間に生成するプロセス凝縮水に由来し及び該プロセスまたはプラント内部で消費してもよいプロセス蒸気、並びに合成ガスの冷却によってボイラー供給水から発生する、エクスポート蒸気としての純蒸気を製造しつつ行われる、プロセス及びプラントに関する。該プロセス/プラントは、水蒸気改質ユニット並びに第一及び第二シフト転化ユニットを含み、及びプロセス蒸気及び純蒸気は、前記の第一シフト転化ユニットに、場合により及び前記第二シフト転化ユニットにも加えられる。前記プロセス蒸気及び純蒸気は適宜混合され、そして第一シフト転化ユニットに入るガスの蒸気/乾性ガスモル比を調節するために第一シフトに加えられる。
【背景技術】
【0002】
合成ガス(シンガス)、すなわち水素及び一酸化炭素に富むガスを製造するためのプロセス及びプラントでは、この合成ガスは、価値ある中間物または最終製品、例えば水素の製造に更に使用することができる。合成ガスは、通常は、いわゆる接触水蒸気メタン改質及び/または自熱式改質によって製造される。水蒸気メタン改質の結果、合成ガス(シンガス)は水を含み、これは通常は除去する必要がある。水の除去は、通常は、分離器中で行われ、この際、プロセス凝縮水(PC)流及び水枯渇化合成ガス流が発生する。また、このプロセスの一部として、製造された合成ガスを、いわゆるボイラー供給水(BFW)予熱ユニットを用いて間接的に冷却するため、ボイラー供給水(BFW)が使用される。
【0003】
その際、BFWは飽和蒸気に変化し、これは純蒸気とも称される。この純蒸気は、プロセスの間に発生した不純物、すなわち汚染物、例えば二酸化炭素、メタノール、アンモニア及び酢酸は通常含まず、それ故、この純蒸気は、エクスポート蒸気としての使用に適している、というのも、カスタマーは高い蒸気品質を求めるのが通常だからである。他方で、このような汚染物は、少量ではあるが、プロセス凝縮水中には存在し、そのため、この流れから発生した蒸気は、エクスポート蒸気としての使用には適さない。
【0004】
通常は、プロセス凝縮水は、PCストリッパー中で水蒸気を用いてストリッピングされる。ストリッピングされたプロセス凝縮水はBFWと混合され、そして蒸気製造及びエクスポート流のために使用される。ストリッピングされたプロセス凝縮水はなおも少量の不純物を含み、これは、純蒸気の発生を汚染する虞がある。
【0005】
US2005/0288381A1(特許文献1)は、水蒸気改質システムからのプロセス流凝縮水をリサイクルする方法を開示している。別個の蒸気製造システムで発生した純蒸気の一部との熱交換によって、PCボイラーにおいてプロセス蒸気が発生する。このプロセス蒸気、及び純蒸気の残りの部分は、次いで組み合わされ、そして水蒸気改質の原料としての炭化水素/蒸気流を生成するために使用される。
【0006】
EP3235785A1(特許文献2)は、発生した純蒸気の一部を用いることによって、プロセス凝縮水を蒸発させてプロセス蒸気を生成することを含むプロセスを開示している。純蒸気の発生のためには、水蒸気改質プロセスからの合成ガス及び煙道ガスが使用される。
【0007】
EP3235784A1(特許文献3)は、EP3235785A1(特許文献2)に類似し、そして熱交換媒体として純蒸気を使用してプロセス凝縮水を蒸発させることによりプロセス蒸気を発生させることを含むプロセスを開示している。
【0008】
GB2006814A(特許文献4)は、プロセス凝縮水を、熱交換媒体として純水素を用いた循環加熱ユニットに送ることにより、プロセス蒸気を発生させることを含む、プロセスを開示している。
【0009】
US9556026(特許文献5)は、連続して配置された熱交換器ユニット中で、水凝縮物を合成ガスと熱交換し、次いで、こうして予熱された水凝縮物を蒸気ドラムに送り、そこで熱交換媒体としての水蒸気メタン改質器からの煙道ガスを用いてプロセス蒸気を生成することにより、プロセス蒸気を発生されることを含むプロセスを開示している。
【0010】
US10919761(特許文献6)は、水蒸気改質からの合成ガス(粗製合成ガス)を、多段式の水性ガスシフト段階において水素リッチガス混合物に転化することを含むプロセスを開示している。新鮮な蒸気を、水性ガスシフトのための反応パートナーとして粗製合成ガスに加え、そして転化された合成ガスを冷却すると、水性凝縮物が発生する。
【0011】
本出願人のWO201818162576(特許文献7)は、プロセス凝縮水を、ストリップ蒸気流を用いてストリッピングして、これを次いで第一シフト転化ユニットにリサイクルすることを含むプロセスを開示している。
【0012】
EP3138810A1(特許文献8)は前記のUS95566026B1(特許文献9)に類似する。両方とも、水蒸気メタン改質器(SMR)中での接触水蒸気改質によって合成ガスを製造するための方法を開示する。これらの文献のいずれにおいても、二つの異なる蒸気ラインが存在する。すなわち一つは、プロセス蒸気ラインであって、これは、SMRの下流のシフトユニットからの合成ガス(シンガス)によって複数の熱交換器を介して冷却されたプロセス凝縮水からのラインであり、ここで、前記プロセス蒸気はプロセス蒸気ドラムを終点とし;もう一つは、別個の「純」蒸気ラインであり、これは、この場合もまたシフトユニットからのシンガスを冷却することによって複数の熱交換器を通過したボイラー供給水から発生したものであり、ここで、「純」蒸気は、別個の「純」蒸気ドラムを終点とする。プロセス蒸気ドラム及び純蒸気ドラムからの合流蒸気は、SMRへの炭化水素原料と混合される。これらの文献は、プロセス凝縮水ストリッパー(PCストリッパー)の使用を不要としているようである。これらの文献は、プロセス蒸気中のメタノールなどの不純物の問題を取り扱っておらず、更にこれらには、少なくとも、シフトユニットからのシンガスの冷却及びBFWの蒸発のための共通のPCボイラーの提供、並びにシフトユニットへのプロセス蒸気及び純蒸気の添加については記載がない。SMRを稼働させる際に下流で蒸気を加える必要がないことを考えればなおさら、これの文献のいずれでも、これらの特徴を提供することは提案されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】US2005/0288381A1
【特許文献2】EP3235785A1
【特許文献3】EP3235784A1
【特許文献4】GB2006814A
【特許文献5】US9556026
【特許文献6】US10919761
【特許文献7】WO201818162576
【特許文献8】EP3138810A1
【特許文献9】US95566026B1
【特許文献10】WO2019/228797A1
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】“Tubular reforming and autothermal reforming of natural gas-an overview of available processes”,Ib Dybkjaer,Fuel Processing Technology 42(1995)85-107
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の課題の一つは、ボイラー供給水から発生する、蒸気エクスポート用に使用される純蒸気が、プロセスの間に生成するプロセス凝縮水流からの不純物で汚染されることを防ぐことである。
【0016】
本発明の他の課題の一つは、水性ガスシフトのために十分な蒸気を提供する一方で、同時に、BFWから発生した純蒸気を輸送する系統を、プロセス凝縮水、特に蒸発させたプロセス凝縮水を輸送する系統を分離した状態にすることであり、というのも、プロセス凝縮水は、純蒸気が供給されるプラントの幾つかユニットでは望ましくないメタノールなどの不純物を含むからである。
【0017】
本発明の更に別の課題の一つは、第一シフト転化ユニットに入るガス、すなわち第一シフト転化ユニットの入口での合成ガスの蒸気/乾性ガスモル比を最適に制御または調節できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
これらの及び他の課題は、本発明によって解消される。
【0019】
応じて、第一の観点では、本発明は、水蒸気改質ユニット中で炭化水素原料を接触水蒸気改質によって合成ガスを製造し、この際、前記改質ユニットは任意に煙道ガスを発生する、プロセスであって、
水が、前記合成ガスからプロセス凝縮水として除去され、
ボイラー供給水が前記プロセスに導入され、及び
前記プロセスは、少なくとも二つの別個の蒸気流、すなわち:
i)合成ガスの冷却によって前記ボイラー供給水(BFW)の少なくとも一部から発生した純蒸気流、及び
ii)合成ガスの冷却によって前記プロセス凝縮水の少なくとも一部を蒸発させることによって発生したプロセス蒸気流、
を生成し;
ステップii)は、プロセス凝縮水ボイラー(PCボイラー)中で行われ;
前記水蒸気改質ユニットは粗製合成ガスを製造し、及び前記合成ガスは、前記粗製合成ガスを、一つ以上の水性ガスシフト転化ユニットの使用を含む接触水性ガスシフト(WGS)転化段階に通すことによって製造されたプロセスガスであり;
前記一つ以上の水性ガスシフト転化ユニットは、高温もしくは中温シフト転化ユニット(HTもしくはMTシフトユニット)などの第一シフト転化ユニット、及び中温もしくは低温シフト転化ユニット(MTもしくはLTシフトユニット)などのその後の第二シフト転化ユニット、任意に及び低温シフト転化ユニット(LTシフトユニット)などの第三シフト転化ユニットを含み、及びステップii)における合成ガスの前記冷却は、前記第一もしくは第二シフト転化ユニット、例えば前記HTもしくはMTシフトユニットを出る合成ガス流の冷却であり;
前記プロセス蒸気流の少なくとも一部及び前記純蒸気流の少なくとも一部は、例えば前記粗製合成ガスに加えることによって、前記第一シフト転化ユニットに加えられ;及び
ステップi)において、前記ボイラー供給水(BFW)の少なくとも一部から発生した前記純蒸気流は、
i-1)純蒸気であって、それの少なくとも一部は、前記粗製合成ガスを接触水性ガスシフト(WGS)転化段階に通す前に、前記合成ガスを、一つ以上の熱交換器またはボイラー中で、例えばBFW予熱ユニット及び廃熱ボイラー(WHB)中で冷却することによって発生した純蒸気;及び/または
i-2)前記煙道ガスを、一つ以上の熱交換器及びボイラー中で、例えばBFW予熱ユニット中及び廃熱ボイラー(WHB)中で冷却することによって、例えばステップii)において、すなわち前記PCボイラー中で前記合成ガスを冷却することによって発生した純蒸気、
を含む、前記プロセスである。
【0020】
本発明によって、シフトユニットからのシンガスの冷却のため及びBFWの蒸発のために単一のもしくは共通のPCボイラーを設けることができ、更には、添付の図面に示されるように、プロセス蒸気及び純蒸気がシフトユニットに加えられる。
【0021】
本発明の第一の観点に基づいた一つの態様では、ステップi-1)及び/またはi-2)において、前記純蒸気流は、第一シフト転化ユニットからの合成ガスの冷却のためのボイラー、例えば前記PCボイラーは除いて、一つ以上のボイラーで発生した純蒸気からなる。応じて、合成ガスの冷却によって前記ボイラー供給水(BFW)の少なくとも一部から発生した純蒸気流は、プロセス蒸気流を発生するために使用された後の純蒸気、すなわち前記PCボイラーを通過した後の純蒸気は含まない。
【0022】
前記PCボイラーで使用された後、すなわちこのボイラー中でBFWを沸騰させた後の純蒸気は、シフトユニット(複数可)に加えられる純蒸気の一部であってもよいものの、PCボイラーからのこのような蒸気は含めずに、その代わりに、単に、それを集めて回収することが時折望ましくあり得る。
【0023】
それ故、プロセス蒸気、並びにステップii)のPCボイラー以外のどこかで当該プロセス/プラントで発生した純蒸気が、第一シフト転化ユニットに加えられる。それより、以下に更に説明するように、プラントのフレキシビリティ、制御及び生産能力を同時に高めつつ、従来技術と比べてWGS転化のために必要な蒸気の量を高め得ることが見出された。
【0024】
より一般的には、BFW予熱ユニット及び廃熱ボイラーからの純蒸気は、第一シフト転化ユニットと第二シフト転化ユニットとの間のPCボイラーからの純蒸気も任意に含めて、前記廃熱ボイラー中で発生した純蒸気を輸送するのに、並びに前記プロセス蒸気流の発生の間に使用された前記純蒸気を輸送するのに適合された配管網、すなわちパイプネットワークを含む共通の蒸気系統に通される。パイプネットワークは、適切には、純蒸気を収集するための凝縮水ポット及び/または凝縮水ドラムも含む。
【0025】
前記配管網からは、それに含まれる純蒸気の一部を、第一シフト転化ユニットに、任意に及び第二シフト転化ユニットにも導くことができる。この配管網は、蒸発させたプロセス凝縮水、すなわちプロセス蒸気を輸送する系統からは分離した状態にされる、というのも、プロセス凝縮水は、メタノールなどの不純物を含み、これは、前記配管網蒸気系統からの蒸気が導かれるプラントの幾つかのユニットにおいて望ましくないからである。メタノール、ギ酸メチルまたはアミン類、例えばMMA、DMA、TMAなどの不純物は、水性ガスシフト触媒との接触時に除去される。純蒸気及びプロセス蒸気は、第一シフト転化ユニット、任意に及び第二シフト転化ユニットに、及び/または接触改質ステップに一緒に加えられる時の他は、組み合わされない。
【0026】
本発明の第一の観点に基づいた一つの態様では、プロセス蒸気流の少なくとも一部及び純蒸気流の少なくとも一部が、前記第二シフト転化ユニットに加えられる。これに伴う利点は、蒸気が様々な場所でWGS転化段階に加えられるので、プロセス及びプラントのフレキシビリティが高まる点である。
【0027】
本発明の第一の観点に基づいた態様の一つでは、プロセス蒸気流及び純蒸気流は、例えば前記第一シフト転化ユニット、任意に及び前記第二シフト転化ユニットに加える前にこれらの流れを組み合わせることによって、一緒に加えられる。これに伴う利点は、配管設計の最適化のための自由度である。
【0028】
それ故、本発明は、
- 蒸発したプロセス凝縮水、すなわちプロセス蒸気の少なくとも一部を、純蒸気と混合して加えることにより、第一シフト転化ユニットの入口での蒸気/乾性ガス比、すなわち第一シフト転化ユニットに入る粗製合成ガスの蒸気/乾性ガス比が調節される;
- PCボイラー中でのプロセス凝縮水の蒸発は、第一シフト転化ユニットを出る合成ガスを冷却することによって及び純蒸気を凝縮することによって、行われる;
ことを含む。
【0029】
純蒸気は、第一シフト転化ユニットに入る合成ガス中の最適な蒸気/乾性モルガス比を制御するために使用される。
【0030】
最適な蒸気/乾性モルガス比は0.3から0.8までの間である。実際の比率は、必要なCO転化率及び必要な全体的なエネルギー消費量に依存する。
【0031】
第一シフト転化ユニットからの出口ガスの冷却から蒸気を製造することは、工業的によく知られている。この蒸気は、通常は、共通の蒸気系統に混合され、そこでこの蒸気は、全蒸気製造のうちの35%未満を占める。この共通の蒸気系統は、プロセス/プラントに、必要な蒸気を供給する。蒸気は、外部源からインポートすることも、または外部源にエクスポートすることもでき、これは、蒸気の品質が合意された基準に従うことを要求する。
【0032】
該プロセス/プラントに加えられた蒸気の一部は、最終的には凝縮されそしてプロセス凝縮水流を形成する。取原水量を減らし及び廃水量を最小化するために、プロセス凝縮水が、蒸気発生のための液状供給水として再利用される。しかし、プロセス凝縮水から発生した蒸気は、プロセスに加えることはできるものの、合意された基準を満たす品質を持たないため、エクスポートはできない。それ故、プロセス凝縮水から発生した蒸気を、ボイラー供給水から発生した純蒸気から分離することが重要である。この分離は、プロセス凝縮水から発生した蒸気、すなわちプロセス蒸気を、純蒸気を含む共通の蒸気系統中に混合しないことによって達成される。
【0033】
蒸気は、炭化水素の接触水蒸気改質でまたはシフト反応CO+HO→CO+Hの一部としてのいずれかで、該プロセスにおいて消費される。これは、蒸発するプロセス凝縮水からの蒸気、すなわちプロセス蒸気は、所定のプロセス混合点に必要な全ての蒸気は供給できないことを意味する。接触水蒸気改質ステップに加えられる蒸気の一部は、改質反応CH+HO→CO+3Hに使用され、その結果、プロセス混合点、例えば接触水蒸気改質の前のプロセス混合点へのモル蒸気流量よりも低いモルプロセス凝縮水流量となる。接触水蒸気改質ステップへの蒸気の添加量が非常に少ない場合は、例えば粗製合成ガスを製造するための水蒸気改質ユニットが、自熱式改質器単独、またはSMRと組み合わせた自熱式改質器である時には、より多くの蒸気を、粗製合成ガスに、すなわち第一シフト転化ユニットの前に加えることが必要となる。これらの場合には、この追加的な混合点のための必要な最適モル蒸気流量は、生じるモルプロセス凝縮水流量より多くなる。
【0034】
先に記載した通り、プロセス凝集水を蒸気製造のために再使用する周知の方法の一つは、それを、プロセス凝縮水ストリッパーに送ることであり、そこでプロセス凝集水は純蒸気を用いてストリッピングされる。生じるストリッパー蒸気は、接触水蒸気改質の入口及び/または第一シフト転化ユニットの入口の混合点に、追加の必要な純蒸気と一緒に加えられる。ストリッピングされた凝縮水は、更に処理した後に、ボイラー供給水のための補充水として使用される。
【0035】
それ故、本発明は、より簡単な方法を開示するものであり、該方法では、プロセス凝縮水は、蒸発器、すなわちPCボイラーに送られ、及びプロセス凝縮水の実質的に全て、すなわち最小で1%の必要なブローダウンフローは除いた、プロセス凝縮水の全てが蒸発される。蒸発したプロセス凝縮水、すなわちプロセス蒸気は、前記の既知の方法におけるストリッパー蒸気と同様に、プロセスに加えることができる。
【0036】
PCボイラーは、例えば、本出願に記載のように、第一シフト転化ユニットと第二シフト転化ユニットとの間に配置される。廃熱ボイラーなどの別個のボイラーも、純蒸気が製造されるところならばどこでも該プロセス/プラントに適切に供することができ、このような純蒸気は、例えば、接触水蒸気改質の出口の合成ガスをこのボイラーを用いて冷却することによって、すなわち、水蒸気改質ユニットを出た直後であるが、但し、BFW予熱ユニット中で更に冷却する前の、粗製合成ガスを冷却することによって;または例えば、水蒸気改質ユニットからの煙道ガスを冷却することによっても、製造される。純蒸気は、本出願にも記載のように、プロセス凝縮水を蒸発させるためにも使用できる。
【0037】
本発明においては、プロセス凝縮水は、第一シフトからの合成ガスの冷却と純蒸気の凝縮との組み合わせによって、PCボイラー中で蒸発させることができる。適切には、生じた蒸発凝縮水、すなわちプロセス蒸気は、第一シフトの前の混合点に加えられ、生じる合成ガス中の0.3と0.8との間の蒸気乾性モルガス比を保障する最適蒸気添加。それ故、この比率は、追加的な純蒸気を加えることによって制御され、この追加の蒸気は、例えば、粗製合成ガス(接触水蒸気改質からの合成ガス)の冷却及び/または水蒸気改質ユニットからの煙道ガスの冷却によって別個に発生させたものである。
【0038】
PCボイラーは、純蒸気を製造するところならどこにでも該プロセス中に配置することができる。適切には、PCボイラー中でのプロセス凝縮水の蒸発は、第一シフトからの合成ガスを冷却することによって、任意に及び接触水蒸気改質からの粗製合成ガスを冷却することによって、または接触水蒸気改質からの煙道ガスを冷却することによって起こす、というのも、その結果、最小の純水蒸気発生量となり、応じて、そのための装置の量が最小となるからである。
【0039】
それ故、本発明の第一の観点に基づく一つの態様では、ステップii)は、前記純蒸気流の少なくとも一部の冷却も含む。
【0040】
シフト後に利用可能な熱は、全てのプロセス凝縮水を蒸発させるのには必ずしも十分ではない場合がある。純粋蒸気の冷却は、PCボイラー280中の熱交換ユニット280’、例えば加熱コイルを用いて、添付の図面に示すように、残部を蒸発させるための熱源として使用される。
【0041】
合成ガスの冷却とは、合成ガスの一部の冷却を含むことは理解されよう。また、前記煙道ガスの冷却とは、前記煙道ガスの一部の冷却を含むことも理解されよう。
【0042】
それ故、本発明は、二つの別個のプロセスラインまたは系統、すなわち、一つは、エクスポート流として使用するためにもしくは該プロセスに蒸気を提供するために、特に水性ガスシフト転化のための蒸気を提供するために適した純蒸気を発生させるためのものであり、そして別個の一つは、プロセス蒸気の発生のためであって、例えば純蒸気がプロセス蒸気を発生させるための熱交換媒体として使用されるプロセス蒸気の発生のためのものである、二つの別個のプロセスラインまたは系統を提供する。プロセス凝縮水は不純物を含むために、純蒸気及びプロセス蒸気は、先に記載したように第一シフト転化ユニットに、任意に及び第二シフト転化ユニットに、及び/または接触水蒸気改質ステップに一緒に加えられる場合は除いて、組み合すことはない。
【0043】
同様に先に記載したように、プロセス蒸気は、プロセス凝縮水の蒸発及びそれによるプロセス蒸気の生成のための熱交換媒体(複数可)としての、純蒸気及び合成ガスの使用によって、または例えば、合成ガス、純蒸気及び煙道ガスの使用によっても、または例えば、合成ガス及び煙道ガスの使用によっても、発生させることできる。
【0044】
本発明は、単一のステップ、すなわちステップii)でのプロセス蒸気の発生を可能にする。
【0045】
ステップii)は、プロセス凝縮水ボイラー(PCボイラー)中で行われ、該ボイラーには、好ましくは、合成ガス、純蒸気及び/または煙道ガスを冷却するための一つ以上の熱交換器ユニットが配置されている。それ故、純蒸気及び/または煙道ガスの冷却と共に、合成ガスの冷却を組み合せた単一のPCボイラーが利用される。これは、例えば、合成ガスを用いてプロセス凝縮水を加熱または蒸発させるために別個のユニットを用い、及び最終的にプロセス凝縮水を蒸発させてプロセス蒸気を発生させるために追加的な一つ以上のユニットを更に下流で用いる場合と比べて、より単純で、かつかなりより効果的な方策である。またこれは、例えば上記のEP3138810A1(特許文献8)及びUS95566026B1(特許文献9)に開示されるように各々の蒸気ラインのために別個の蒸気ドラムを設ける場合、すなわち一つは純蒸気を収集するためのドラム、他方はプロセス蒸気を収集するためのドラムを設ける場合と比べて、かなりより単純でかつ効果的な方策である。
【0046】
純蒸気もしくは煙道ガス、及び合成ガスは、好ましくは、プロセス凝縮水との、混合などの直接的な接触ではなく、間接的な熱交換によって使用される。
【0047】
特に、プロセス蒸気の発生において、すなわち単一のPCボイラーにおいて、純蒸気と合成ガスとの使用を組み合わせることによって、PCボイラーのより効率の高い使用が達成される、というのも、純蒸気及び合成ガスの両方を、PCボイラーとの熱交換媒体として使用し得るからである。この際、比較的小さいPCボイラーサイズも達成される。
【0048】
一つの態様では、水蒸気改質ユニットは、慣用の水蒸気メタン改質器(SMR)、例えば管状改質器である。他の態様の一つでは、水蒸気改質ユニットは、電気加熱式改質器(e-SMR)である。他の態様の一つでは、水蒸気改質ユニットは、自熱式改質(ATR)ユニットである。
【0049】
特に、本発明の第一の観点に基づく態様の一つでは、水蒸気改質ユニットは、自熱式改質(ATR)ユニットであるか;慣用の水蒸気メタン改質器(SMR)、例えば管状改質器とATRユニットとの組み合わせであるか;または電気加熱式改質器(e-SMR)であるか;またはe-SMRとATRユニットとの組み合わせであり、それらから前記粗製合成ガスが製造される。
【0050】
慣用の水蒸気メタン改質器(SMR)、例えば管状改質器とATRユニットとの組み合わせとしての水蒸気改質ユニットの使用が、大規模で水素を製造するのに特に適している。e-SMRの使用は、よりサステイナブルな選択肢を可能する、というのも、e-SMRは、再生可能資源、例えば風、太陽及び水力のどれでも、それらから発生した電力を適切に動力とするからである。また、e-SMRは比較的小型な反応器であることから、プロットサイズを小さくできるなど、他の利点も生じる。
【0051】
水蒸気改質ユニットをATRユニットとして該プロセスを操業することも有利である場合がある、なぜならば、SMRと比べると、ATRは煙道ガスを発生しないからである。加えて、ATRは、炭素に対する水蒸気のモル比をかなり低くした操業を可能にし、それにより、プロセスへの水の持ち込み量を少なくし、そうして中でも、下流の装置サイズを小型にすることができる。
【0052】
これらの改質器についての更なる情報については、詳細は、本出願人の特許及び/または文献を直接参照することによって与えられる。例えば、管状及び自熱式改質については、“Tubular reforming and autothermal reforming of natural gas-an overview of available processes”,Ib Dybkjaer,Fuel Processing Technology 42(1995)85-107(非特許文献1)に概要が記載されている。より最近の技術であるe-SMRの説明については、特に、本出願人のWO2019/228797A1(特許文献10)が挙げられる。
【0053】
水蒸気改質ユニットがATRである接触水蒸気改質の場合は、水性ガスシフト転化は、好ましくは、HTシフトユニットと、その後続のMTまたはLTシフトユニットである。水蒸気改質ユニットが慣用のSMRである接触水蒸気改質の場合は、シフト転化は、好ましくはMTシフトである。
【0054】
水性ガスシフトは、当技術分野で周知のように合成ガスを水素で富化することを可能にする。第一シフト転化ユニット、例えばMTシフトユニットを出た合成ガスの温度は、330から350℃までの範囲であり、他方で、後続の第二シフト転化ユニットから出た合成ガスは、200から250℃までの範囲であり、それ故、前者の方が、プロセス凝縮水を蒸発させるための熱交換媒体としての使用により適している。特にATRの場合は、HTシフトからの出口温度は430から460℃までであり、下流のMTシフトからの出口温度は320から340℃までである。それ故、PCボイラーは、HT及びMTシフトコンバータの両方の下流に配置することができる。
【0055】
本発明の第一の観点に基づく態様の一つでは、プロセス凝縮水は予熱され、好ましくは、
- 前記ステップii)で使用される純蒸気、またはそれの凝縮水;
及び/または
- 前記WGS転化段階の後、好ましくは第二または第三シフト転化ユニットの後に、但し、好ましくは、純蒸気流の発生のために使用される一つ以上の熱交換器、すなわちBFW予熱ユニットにおいて合成ガスを更に冷却する前に、回収された合成ガスの一部、
との間接的な熱交換によって、予熱される。
【0056】
それ故、合成ガス流、好ましくは第二(及び最後の)シフト転化ユニット(LTシフト)からの合成ガスは、前記プロセス凝縮水流を発生させるために水が除去される合成ガス流と、(好ましくは、例えばプロセス凝縮水予熱器における、間接的熱交換によって)プロセス凝縮水の予熱に専ら使用されるバイパス流とに分割される。こうして予熱されたプロセス凝縮水は、次いで、プロセス蒸気を発生するために前記PCボイラーに通される。この態様は、プロセス蒸気が合成ガス及び純蒸気の冷却によって発生するステップii)を行う時に、特に適している。
【0057】
これらの態様は、PCボイラーの熱負荷(heat duty)を簡単かつ効果的に軽減し、それによりそれのサイズを縮小できるという利点を供する。
【0058】
本発明の第一の観点に基づく態様の一つでは、純蒸気流の一部が、エクスポート蒸気として使用、すなわち回収される。それ故、純蒸気の一部は、プロセス蒸気の発生のために使用され、他方で、他の部分は、汚染されていないため、エクスポートとして使用される。
【0059】
本発明の第一の観点に基づく態様の一つでは、プロセス蒸気流、例えばそれの一部は、水蒸気改質ユニットに入る前の炭化水素原料と混合される。プロセス蒸気は、任意に、炭化水素原料と混合する際に、純蒸気と組み合わせられる。
【0060】
本発明の第一の観点に基づいた態様の一つでは、合成ガスは、水素製品流に変換され、この際、プロセス凝縮水が、プロセス凝縮水分離器において発生し、ここで、このプロセス凝縮水分離器では、水枯渇化合成ガス流も発生し、それの一部が、水素精製段階、好ましくは圧力スイング吸着ユニット(PSAユニット)に通されて、前記水素製品流とオフガス流とを生成する。
【0061】
それにより、水素製造のための非常に費用効果の高いプロセス及びプラントが提供され、これらは、該プロセスに使用するためのプロセス蒸気を発生させるためのプロセス凝縮水ストリッパーを設ける必要なく、プロセス蒸気と純蒸気とを有利に共存させる。
【0062】
本発明の第一の観点に基づく態様の一つでは、PCボイラーでプロセス蒸気流を発生するために使用した後の純蒸気流は、凝縮され、そして該プロセスに導入されるボイラー供給水(BFW)に混合される。
【0063】
それにより、BFW流が、純蒸気流からの凝縮水で補充されるので、該プロセス/プラントの高い熱効率が得られる。
【0064】
本発明の第一の観点(プロセス)に基づいた他の一般的な態様の一つでは、水蒸気改質ユニット中での炭化水素原料の接触水蒸気改質によって合成ガスを製造するためのプロセスであって、水が、プロセス凝縮水として合成ガスから除去され、ボイラー供給水が該プロセスに導入され、及び前記プロセスは、少なくとも二つの別個の蒸気流、すなわちi)合成ガスの冷却によって前記ボイラー供給水(BFW)の少なくとの一部から発生した純蒸気流、及びii)合成ガスの冷却によってプロセス凝縮水の少なくとも一部を蒸発させることによって発生したプロセス蒸気流を生成し;
ステップii)は、プロセス凝縮水ボイラー(PCボイラー)中で行われ;
前記水蒸気改質ユニットは粗製合成ガスを製造し、及び前記合成ガスは、前記粗製合成ガスを、一つ以上の水性ガスシフト転化ユニットの使用を含む接触水性ガスシフト(WGS)転化段階に通すことによって製造されたプロセスガスであり;
前記一つ以上の水性ガスシフト転化ユニットは、高温もしくは中温シフト転化ユニット(HTもしくはMTシフトユニット)などの第一シフト転化ユニット、及びその後の、中温もしくは低温シフト転化ユニット(MTもしくはLTシフトユニット)などの第二シフト転化ユニットを含み、及び前記ステップii)における合成ガスの前記冷却は、前記第一または第二シフト転化ユニット、例えば前記HTまたはMTシフトユニットから出た合成ガス流の冷却であり;
前記プロセス蒸気流の少なくとも一部及び前記純蒸気流の少なくとの一部は、前記第一シフト転化ユニットに加えられる、
前記プロセスが提供される。
【0065】
この他の一般的な態様の一つの態様では、前記改質ユニットは任意に煙道ガスを発生し、及びステップi)において、前記ボイラー供給水(BFW)の少なくとも一部から発生した前記純蒸気流は:
i-1)一つ以上の熱交換器またはボイラー中で、少なくとも部分的に合成ガスの冷却によって発生した純蒸気、及び/または
i-2)一つ以上の熱交換器またはボイラーにおいて、前記煙道ガスの冷却によって発生した純蒸気、
を含む。
【0066】
この他の一般的な態様の一つの態様では、前記一つ以上の水性ガスシフト転化ユニットは、低温シフト転化ユニット(LTシフトユニット)などの第三シフト転化ユニットを含む。
【0067】
本発明の第一の観点に関連して先に記載した態様のいずれも及びそれらに付随する利点は、この他の一般的な態様に関しても該当し得ることは理解されよう。
【0068】
第二の観点では、本発明は、合成ガスを製造するための、プラント、すなわちプロセスプラントも包含する。それ故、合成ガスを製造するためのプラントであって、
- 炭化水素原料を前記合成ガスに転化するための水蒸気改質ユニット;但し、前記水蒸気改質ユニットは、任意に煙道ガスを発生し、及び前記水蒸気改質ユニットは、この煙道ガスを排出するための出口を含み;
- 前記合成ガスから水を除去して、水枯渇化シンガス流及びプロセス凝縮水流を生成するための、プロセス凝縮水分離器;
- 純蒸気流を発生させるための一つ以上のBFW熱交換器及びボイラーを含む蒸気系統であって、前記一つ以上の熱交換器及びボイラーにおいて、例えばBFW予熱ユニットにおいて及び廃熱ボイラー(WHB)において、例えば、前記水蒸気改質ユニットと下流の接触水性ガスシフト(WGS)転化段階との間に配置されたBFW予熱ユニットにおいて及び廃熱ボイラー(WHB)において前記合成ガスを間接的に冷却することによって純蒸気流を発生するための、一つ以上のBFW熱交換器及びボイラーを含む蒸気系統;
- プロセス蒸気流を発生するためのプロセス凝縮水ボイラー(PCボイラー)を含む、プロセス凝縮水(PC)系統、但し、前記PCボイラーは、
・合成ガスの冷却によって前記プロセス凝縮水流の少なくとも一部を蒸発させるための熱交換ユニット;任意に及び
・熱交換媒体としての前記純蒸気流の少なくとも一部を冷却することによって前記プロセス凝縮水流の少なくとも一部を蒸発させるための熱交換ユニット、及び/または前記煙道ガスの冷却によって前記プロセス凝縮水流の少なくとも一部を蒸発させるための熱交換ユニット;
を含み;
- 前記合成ガスを水素で富化するための一つ以上の水性ガスシフト転化ユニットを含む接触水性ガスシフト(WGS)転化段階、但し、前記一つ以上の水性ガスシフト転化ユニットは、高温もしくは中温シフト転化ユニット(HTもしくはMTシフトユニット)などの第一シフト転化ユニット、及び中温もしくは低温シフト転化ユニット(MTもしくはLTシフトユニット)などの下流の第二シフト転化ユニット、任意に及び低温シフト転化ユニット(LTシフトユニット)などの第三シフト転化ユニットを含み;ここで、PCボイラー中の合成ガスの前記冷却は、前記第一または第二シフト転化ユニット、例えば前記HTまたはMTシフトユニットを出る合成ガス流の冷却である;
前記プロセス蒸気流の少なくとも一部及び前記純蒸気流の少なくとも一部を、前記一つ以上の水性ガスシフト転化ユニットのうちの第一のユニットにそれぞれ導くための各導管;任意に及び、前記プロセス蒸気流の少なくとも一部及び前記純蒸気流の少なくとも一部を、前記一つ以上の水性ガスシフト転化ユニットのうちの第二のユニットにそれぞれ導くための各導管;
を含み、
前記純蒸気流は、第一シフト転化ユニットからの合成ガスを冷却するためのボイラー、例えば前記PCボイラーは除いて、一つ以上のボイラーで発生した純蒸気である、
前記プラントが提供される。
【0069】
前記第一または第二シフト転化ユニットには、前記ユニット、すなわち第一または第二シフト転化ユニットを出る前記合成ガス流のための出口が設けられていること、及び合成ガスを前記PCボイラーに案内するための導管が設けられていることは理解されよう。
【0070】
適切には、前記出口と直接的な流体連通関係にある。それ故、合成ガスがPCボイラーに入る時にそれの組成を変化させる中間的なステップまたはユニットは存在しない。
【0071】
応じて、合成ガスの冷却によって前記ボイラー供給水(BFW)の少なくとも一部から発生した純蒸気流は、プロセス蒸気流を発生するために使用された後の純蒸気、すなわち前記PCボイラーで使用された後の純蒸気は含まない。PCボイラー以外のところで該プロセス/プラントで発生したプロセス蒸気及び純蒸気が、第一シフト転化ユニットに加えられる。
【0072】
それで、添付の図面に示されるように、単一のまたは共通のPCボイラーを利用でき、これは、プロセス凝集水を蒸発させて前記プロセス蒸気流を発生させるために、任意に純蒸気及び/または煙道ガスと共に、合成ガスを使用する。更に、PCボイラー以外のところで該プラント中で発生したプロセス蒸気及び純蒸気が、第一シフト転化ユニットに、任意に及び第二シフト転化ユニットに加えられる。それにより、従来技術と比べるとWGS転化に必要な水蒸気量を増やしつつ、同時に、プラントのフレキシビリティ、コントロール及び生産能力を高めることができる。
【0073】
本発明の第二の観点に基づく態様の一つでは、蒸気系統は、前記一つ以上のBFW熱交換器及び廃熱ボイラー(WHB)などのボイラー、例えば水蒸気改質ユニット直後のWHB中で発生した純蒸気を輸送するために適合した配管網、すなわちパイプネットワークを含み、及び前記純蒸気流の前記少なくとも一部を、前記一つ以上の水性ガスシフト転化ユニットの第一及び任意に第二のユニットに案内するための導管は、前記配管網から派生する導管である。パイプネットワークは、適切には、純蒸気を収集するための凝縮水ポット及び/または凝縮水ドラムも含む。独特な態様の一つでは、前記配管網は、前記PCボイラー中での前記プロセス蒸気流の発生の間に使用された純蒸気流を輸送するための手段を含む。
【0074】
前記配管網からは、それに含まれる純蒸気の一部が、第一及び任意に第二のシフト転化ユニットに案内される。この配管網は、蒸発したプロセス凝縮水、すなわちプロセス蒸気を輸送する系統から分離した状態に保たれる、というのも、プロセス凝縮水は、メタノールなどの不純物を含み、このような不純物は、配管網蒸気系統からの蒸気が導かれる該プラントの幾つかのユニットにおいて望ましくないからである。メタノールなどの前記不純物は、第一及び第二シフト転化ユニットの水性ガスシフト触媒との接触時に除去される。本発明の第一の観点に関連して先に記載した通り、純蒸気及びプロセス蒸気は、これらが、第一シフト転化ユニットに、任意に及び第二シフト転化ユニットに、及び/または接触改質ステップ、すなわち水蒸気改質ユニットに一緒に加えられる時の他は、組み合されない。
【0075】
本発明の第二の観点に基づく態様の一つでは、前記プラントは、更に、前記水枯渇化シンガス流の少なくとも一部から水素製品を、及びオフガス流、例えばPSAオフガス流を生成するための、水素精製ユニット、好ましくはPSAユニットを含む。
【0076】
この水素製品は次いでエンドユーザーに提供されるが、PSAオフガスは、例えば、合成ガスの製造のためにここで使用される燃焼式加熱器などの水蒸気改質ユニット(複数可)において、それらを補助するために使用し得る。
【0077】
好ましくは、一つ以上の熱交換器、すなわちBFW予熱ユニット内での前記BFWと前記合成ガスとの前記間接的接触は、例えば合成ガスが水蒸気改質からの粗製合成ガスである場合は、前記一つ以上の水性ガスシフト転化ユニットの上流で、及び/または、例えば合成ガスが第一及び/または最終シフト転化ユニットを出るプロセスガスである場合は、前記一つ以上の水性ガスシフト転化ユニットの下流で行われる。
【0078】
本発明の第二の観点に基づく態様の一つでは、水蒸気改質ユニットは、自熱式改質ユニット(ATRユニット)であるか;慣用の水蒸気メタン改質器(SMR)、例えば管状改質器とATRユニットとの組み合わせであるか;または電気加熱式改質器(e-SMR)であるか;またはe-SMRとATRユニットとの組み合わせである。特に、SMR及びATRユニットの組み合わせは、大規模での水素生産に適していることが分かった。e-SMRとATRとの組み合わせは、SMRと比べると水蒸気改質ユニットがよりコンパクトであり、そのため、プロットサイズをかなり小さくでき、及び特にカーボンフットプリントを顕著に減少できるという追加的な利点を供する、というのも、e-SMRは、太陽、風及び水力などの再生可能資源からの電力により適切に動力を得るからである。
【0079】
「慣用のSMR」及び「SMR」という用語は相互互換に使用されることは理解されよう。また、「管状改質器」という用語は、本願の目的に関しては、SMRの特定の例である。
【0080】
本発明の第二の観点に基づく一つの態様では、該プラントは、更に、
- 前記プロセス凝縮水流を前記プロセス凝縮水ボイラーに導くための、ポンプなどのプロセス凝縮水加圧手段;
- (PCボイラーを出る前記純蒸気流の一部を用いることで)前記プロセス蒸気流を発生させる間に使用された前記純蒸気流からの凝縮水生成物を収集するための凝縮水ポット及び/または凝縮水ドラム、任意に及び、前記凝縮水生成物(凝縮した純蒸気)を輸送し、これを該プラントに導入されたBFW、すなわちBFWインポートと混合するための、ポンプなどの加圧手段、
を含む。
【0081】
本発明の第二の観点に基づく一つの態様では、該プラントは、更に、前記プロセス凝縮水ボイラーの上流でプロセス凝集水を間接的に加熱するための熱交換器を含み、ここで、前記間接的加熱は、好ましくは、前記一つ以上の水性ガスシフト転化ユニットの下流で回収された合成ガスの一部を用いて行われ、及び該プラントは、好ましくは、合成ガスの前記部分を分割する手段も含む。
【0082】
このような熱交換器の設置は、該プロセス及びプラントにおける改善された熱統合を供し、そしてPCボイラーの小型化を可能にする。
【0083】
本発明の第一の観点の態様のいずれも、本発明の第二の観点でも使用でき、またその逆も可能である。本発明の第一の観点の態様の付随する利点のいずれも、本発明の第二の観点でも使用でき、またその逆も可能であることは理解されよう。
【0084】
本発明の利点には次の点が含まれる:
プロセス凝縮水ストリッパーを省略でき、それにより、プロセス/プラントを簡素化でき、また設備投資(capex)も削減できる点;
BFWの用意に必要な処理が少なく、それ故、装置及び設備装置もより少なくなる点;
豊富に利用できる純蒸気の使用を介して調節が行われることを保障することで、主たるプロセスパラメータ、すなわちWGS転化段階の第一シフト転化ユニットに入る前の、粗製合成ガス中の蒸気乾性ガスモル比を最適に制御できる点。
【発明を実施するための形態】
【0085】
添付の図面は、本発明の一つの態様に従うプロセスレイアウトであって、PCボイラー中でのプロセス蒸気の発生のために純蒸気及び合成ガスが使用されており、及びプロセス蒸気及び純蒸気が第一シフト転化ユニットに導かれる、プロセスレイアウトを示す。
【0086】
プロセスプラント200が示され、ここで、第一シフト転化ユニット220と第二シフト転化ユニット220’との間に配置されたプロセス凝縮水ボイラー、すなわちPCボイラー280は、熱交換媒体として純蒸気を用いることによってプロセス凝縮水流を蒸発させるための熱交換ユニット280’、並びに合成ガスを冷却することによって、すなわち熱交換媒体として合成ガスを用いることによってプロセス凝縮水を蒸発させるための別個の熱交換ユニット280’’を含む。
【0087】
炭化水素原料(図示せず)は、粗製合成ガス212を製造するために、ATRユニット(図示せず)などの水蒸気改質ユニット中で接触改質され、前記粗製合成ガス212は、第一ボイラー供給水(BFW)予熱器(熱交換ユニット)210を通過して、予熱された(粗製)合成ガス流214を発生し、これは次いで、MT-シフトユニット220の形の第一のユニットと、LT-シフトユニット220’の形の第二のユニットとを含む接触シフト転化段階を通過する。熱交換ユニット210の上流には、廃熱ボイラー(WHB)(図示せず)も、純蒸気を製造するために水蒸気改質ユニットの後に適切に配置される。
【0088】
第一ユニット220からは、合成ガス216が回収され、これは次いで、PCボイラー280中に配置された熱交換ユニット280’’中で熱交換媒体として使用され、それにより冷却される。この冷却された合成ガスは予熱器210’中で更に冷却され、その後、LTシフトユニット220’に入り、それにより水素リッチな合成ガス216’を製造する。この流れ216’の一部は分割され、そしてポンプ250により加圧されてPCボイラー280に向かうプロセス凝縮水流228を、予熱器または熱交換ユニット260を介して予熱するために使用される。
【0089】
合成ガス流216’の他の部分は、プロセスに導入されるBFWインポート流234を用いてBFW予熱器210’’中で更に冷却される。BFW予熱器210’’及び210’及び210中で使用された後のこのBFWは、蒸気発生のために回収される。BFW予熱器210’’からのこうして更に冷却された前記合成ガスは次いで、予熱器260からの冷却された合成ガスと組み合わされ、そしてPC分離器230へと送られる。このPC分離器230からは、水枯渇化合成ガス流220が回収され、これは最終的には、PSAユニットなどの水素精製ユニット240へと送られ、そこで、水素製品流224及びPSAオフガス流226が生成する。PC分離器230中の除去された水は、前記PC凝縮水流228として回収され、これは、PCボイラー280を通過した後に、プロセス蒸気232となる。このプロセス蒸気232は、図に示すように第一シフトユニット220(MTシフトユニット)に加えられる。任意選択に、プロセス蒸気232の一部は、図示はしていないが、第二シフトユニット220’(LTシフト)にも加えられる。熱交換ユニット210からのBFW及び上流のWHB(図示せず)から発生した純蒸気も、プロセス蒸気232と混合することによって、流れ234’によって示されるように第一シフト転化ユニットに加えられ、及び任意選択に第二シフト転化ユニットにも加えられる。熱交換ユニット280’を通過する、PCボイラー280からの純蒸気は、第一のまたは任意に第二のシフト転化ユニットには加えられない。熱交換ユニット280’中でプロセス凝縮水を蒸発させるために使用された後、図に示されるように、この純蒸気はポット290に集められ、そしてそれから回収される。
【図
【手続補正書】
【提出日】2024-02-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0089
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0089】
合成ガス流216’の他の部分は、プロセスに導入されるBFWインポート流234を用いてBFW予熱器210’’中で更に冷却される。BFW予熱器210’’及び210’及び210中で使用された後のこのBFWは、蒸気発生のために回収される。BFW予熱器210’’からのこうして更に冷却された前記合成ガスは次いで、予熱器260からの冷却された合成ガスと組み合わされ、そしてPC分離器230へと送られる。このPC分離器230からは、水枯渇化合成ガス流220が回収され、これは最終的には、PSAユニットなどの水素精製ユニット240へと送られ、そこで、水素製品流224及びPSAオフガス流226が生成する。PC分離器230中の除去された水は、前記PC凝縮水流228として回収され、これは、PCボイラー280を通過した後に、プロセス蒸気232となる。このプロセス蒸気232は、図に示すように第一シフトユニット220(MTシフトユニット)に加えられる。任意選択に、プロセス蒸気232の一部は、図示はしていないが、第二シフトユニット220’(LTシフト)にも加えられる。熱交換ユニット210からのBFW及び上流のWHB(図示せず)から発生した純蒸気も、プロセス蒸気232と混合することによって、流れ234’によって示されるように第一シフト転化ユニットに加えられ、及び任意選択に第二シフト転化ユニットにも加えられる。熱交換ユニット280’を通過する、PCボイラー280からの純蒸気は、第一のまたは任意に第二のシフト転化ユニットには加えられない。熱交換ユニット280’中でプロセス凝縮水を蒸発させるために使用された後、図に示されるように、この純蒸気はポット290に集められ、そしてそれから回収される。
本願は特許請求の範囲に記載の発明に係るものであるが、本願の開示は以下も包含する:
1. 任意に煙道ガスを発生する水蒸気改質ユニット中で炭化水素原料を接触水蒸気改質することによって合成ガスを製造するプロセスであって、
水が前記合成ガスからプロセス凝縮水として除去され、及び
ボイラー供給水が当該プロセスに導入され、及び
前記プロセスは、少なくとも二つの別個の蒸気流、すなわち
i)合成ガスの冷却によって前記ボイラー供給水(BFW)の少なくとも一部から発生する純蒸気流、及び
ii)合成ガスの冷却によってプロセス凝縮水の少なくとも一部を蒸発させて発生するプロセス蒸気流、
を生成し;
ステップii)は、プロセス凝縮水ボイラー(PCボイラー)中で行われ;
前記水蒸気改質ユニットは粗製合成ガスを生成し、及び前記合成ガスは、前記粗製合成ガスを、一つ以上の水性ガスシフト転化ユニットの使用を含む接触水性ガスシフト(WGS)転化段階に通すことによって生成されたプロセスガスであり;
前記一つ以上の水性ガスシフト転化ユニットは、高温または中温シフト転化ユニット(HTまたはMTシフトユニット)などの第一シフト転化ユニット、及び中温または低温シフト転化ユニット(MTまたはLTシフトユニット)などのその後の第二シフト転化ユニット、任意に及び低温シフト転化ユニット(LTシフトユニット)などの第三シフト転化ユニットを含み、及び前記ステップii)における合成ガスの前記冷却は、前記第一または第二シフト転化ユニット、例えば前記HTまたはMTシフトユニットを出た合成ガス流の冷却であり;
前記プロセス蒸気流の少なくとも一部及び前記純蒸気流の少なくとも一部が、前記第一シフト転化ユニットに加えられ;及び
ステップi)において、前記ボイラー供給水(BFW)の少なくとも一部から発生した前記純蒸気流は、
i-1)少なくとも部分的に一つ以上の熱交換器またはボイラー中での合成ガスの冷却によって発生する純蒸気、及び/または
i-2)一つ以上の熱交換器及びボイラーでの前記煙道ガスの冷却によって発生する純蒸気、
を含む、前記プロセス。
2. ステップi-1)及び/またはi-2)において、前記純蒸気流が、第一シフト転化ユニットからの合成ガスを冷却するためのボイラー、例えば前記PCボイラーは除いて、一つ以上のボイラーで発生する純蒸気からなる、前記1.に記載のプロセス。
3. プロセス蒸気流の少なくとも一部及び純蒸気流の少なくとも一部が、前記第二シフト転化ユニットに加えられる、前記1.または2.に記載のプロセス。
4. プロセス蒸気流及び純蒸気流が一緒に加えられる、前記1.~3.のいずれか一つに記載のプロセス。
5. ステップii)が、前記純蒸気流の少なくとも一部の冷却も含む、前記1.~4.のいずれか一つに記載のプロセス。
6. 前記水蒸気改質ユニットが、自熱式改質(ATR)ユニットであるか、または慣用の水蒸気メタン改質器(SMR)、例えば管状改質器とATRユニットとの組み合わせであるか、または電気加熱式改質器(e-SMR)であるか、またはe-SMRとATRユニットとの組み合わせであり、それらから前記粗製合成ガスが製造される、前記1.~5.のいずれか一つに記載のプロセス。
7. 前記プロセス凝縮水が予熱され、好ましくは、
- 前記ステップii)で使用される純蒸気、またはそれの凝縮水;
及び/または
- 前記WGS転化段階の後、好ましくは第二または第三シフト転化ユニットの後に、但し、好ましくは、純蒸気流の発生のために使用される一つ以上の熱交換器、すなわちBFW予熱ユニットにおいて合成ガスを更に冷却する前に回収された合成ガスの一部、
との間接的な熱交換によって、予熱される、
前記1.~6.のいずれか一つに記載のプロセス。
8. 前記純蒸気流の一部がエクスポート流として回収される、前記1.~7.のいずれか一つに記載のプロセス。
9. 前記プロセス蒸気流が、水蒸気改質ユニットに入る前の炭化水素原料と混合され;及び任意に、前記プロセス蒸気が、炭化水素原料との混合時に純蒸気と組み合わされる、前記1.~8.のいずれか一つに記載のプロセス。
10. 前記合成ガスが水素製品流に転化され、ここで、前記プロセス凝縮水は、プロセス凝縮水分離器中で発生し、この際、前記プロセス凝縮水分離器は、水枯渇化合成ガス流も発生し、この水枯渇化合成ガス流の少なくとも一部は、(好ましくは圧力スイング吸着ユニット(PSAユニット)において)水素精製段階を通って、前記水素製品流及びオフガス流を生成する、前記1.~9.のいずれか一つに記載のプロセス。
11. PCボイラー中でプロセス蒸気流を発生するために使用された後の純蒸気流が凝縮され、そして前記プロセスに導入されたボイラー供給水(BFW)に混合される、前記1.~10.のいずれか一つに記載のプロセス。
12. 合成ガスを製造するためのプラントであって、
- 炭化水素原料を前記合成ガスに転化し、任意に及び煙道ガスを発生するための水蒸気改質ユニット;
- 前記合成ガスから水を除去して、水枯渇化合成ガス流及びプロセス凝縮水流を生成するための、プロセス凝縮水分離器;
- 一つ以上のボイラー供給水(BFW)熱交換器及びボイラーを含む蒸気系統であって、前記一つ以上の熱交換器及びボイラーにおいて、前記合成ガスの間接的な冷却によって純蒸気流を発生するための、蒸気系統;
- プロセス蒸気流を発生するためのプロセス凝縮水ボイラー(PCボイラー)を含む、プロセス凝縮水(PC)系統、但し、前記PCボイラーは、
・合成ガスの冷却によって前記プロセス凝縮水流の少なくとも一部を蒸発するための熱交換ユニット;任意に及び
・熱交換媒体としての前記純蒸気流の少なくとも一部の冷却によって、前記プロセス凝縮水流の少なくとも一部を蒸発するための熱交換ユニット、及び/または前記煙道ガスの冷却によって前記プロセス凝縮水流の少なくとも一部を蒸発するための熱交換ユニット、
を含む、プロセス凝縮水(PC)系統、
- 前記合成ガスを水素で富化するための一つ以上の水性ガスシフト転化ユニットを含む接触水性ガスシフト(WGS)転化段階であって、前記一つ以上の水性ガスシフト転化ユニットは、高温もしくは中温シフト転化ユニット(HTもしくはMTシフトユニット)などの第一シフト転化ユニット、及び中温もしくは低温シフト転化ユニット(MTもしくはLTシフトユニット)などの下流の第二シフト転化ユニットを含み;前記PCボイラー中での合成ガスの前記冷却は、前記第一または第二シフト転化ユニットを出た合成ガス流の冷却である、接触水性ガスシフト(WGS)転化段階;
- 前記プロセス蒸気流の少なくとも一部を、及び前記純蒸気流の少なくとも一部を、前記一つ以上の水性ガスシフト転化ユニットの第一のユニットへそれぞれ案内するための各導管;
を含み、
前記純蒸気流は、第一シフト転化ユニットからの合成ガスを冷却するためのボイラー、例えば前記PCボイラーは除いて、一つ以上のボイラーで発生した純蒸気である、
前記プラント。
13. 前記水蒸気改質ユニットが、水蒸気改質ユニットで発生した煙道ガスを排出するための出口を含み、及び前記PCボイラーが更に、
熱交換媒体としての前記純蒸気流の少なくとも一部を冷却することによって前記プロセス凝縮水流の少なくとも一部を蒸発させるための熱交換ユニット、及び/または前記煙道ガスの冷却によって前記プロセス凝縮水流の少なくとも一部を蒸発させるための熱交換ユニット、
を含む、前記12.に記載のプラント。
14. 前記プロセス蒸気流の少なくとも一部を、及び前記純蒸気流の少なくとも一部を、前記一つ以上の水性ガスシフト転化ユニットの第二のユニットへそれぞれ案内するための各導管を更に含む、前記12.または13.に記載のプラント。
15. 前記蒸気系統が、前記一つ以上のBFW熱交換器及びボイラー中で発生する純蒸気を輸送するために適合した配管網、すなわちパイプネットワークを含み、及び前記純蒸気流の前記少なくとも一部を、前記一つ以上の水性ガスシフト転化ユニットの第一及び任意に第二のユニットに案内するための導管が、前記配管網から派生する導管である、前記12.~14.のいずれか一つに記載のプラント。
16. 前記水枯渇化合成ガス流の少なくとも一部から水素製品、及びオフガス流を生成するための水素精製ユニットを更に含む、前記12.~15.のいずれか一つに記載のプラント。
17. 水蒸気改質ユニットが、自熱式改質(ATR)ユニットであるか、慣用の水蒸気メタン改質器(SMR)、例えば管状改質器とATRユニットとの組み合わせであるか、または電気加熱式改質器(e-SMR)であるか、またはe-SMRとATRユニットとの組み合わせである、前記12.~16.のいずれか一つに記載のプラント。
18.
- 前記プロセス凝縮水流を前記プロセス凝縮水ボイラーに案内するための、ポンプなどのプロセス凝縮水加圧手段;
- 前記プロセス蒸気流の発生の間に使用された前記純蒸気流からの凝縮水生成物を収集するための凝縮水ポット及び/または凝縮水ドラム、任意に及び前記凝縮水生成物を輸送しそしてこれを該プラントに導入されたBFWと混合するための、ポンプなどの加圧手段、
を更に含む、前記12.~17.のいずれか一つに記載のプラント。
19. 前記プロセス凝縮水ボイラーの上流でのプロセス凝縮水の間接的な加熱のための熱交換器を更に含み、前記間接的加熱は、好ましくは、前記一つ以上の水性ガスシフト転化ユニットの下流で回収された合成ガスの一部を用いたものであり、該プラントは、好ましくは、合成ガスの前記部分を分割するための手段も含む、前記12.~18.のいずれか一つに記載のプラント。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意に煙道ガスを発生する水蒸気改質ユニット中で炭化水素原料を接触水蒸気改質することによって合成ガスを製造するプロセスであって、
水が前記合成ガスからプロセス凝縮水として除去され、及び
ボイラー供給水が当該プロセスに導入され、及び
前記プロセスは、少なくとも二つの別個の蒸気流、すなわち
i)合成ガスの冷却によって前記ボイラー供給水(BFW)の少なくとも一部から発生する純蒸気流、及び
ii)合成ガスの冷却によってプロセス凝縮水の少なくとも一部を蒸発させて発生するプロセス蒸気流、
を生成し;
ステップii)は、プロセス凝縮水ボイラー(PCボイラー)中で行われ;
前記水蒸気改質ユニットは粗製合成ガスを生成し、及び前記合成ガスは、前記粗製合成ガスを、一つ以上の水性ガスシフト転化ユニットの使用を含む接触水性ガスシフト(WGS)転化段階に通すことによって生成されたプロセスガスであり;
前記一つ以上の水性ガスシフト転化ユニットは、高温または中温シフト転化ユニット(HTまたはMTシフトユニット)などの第一シフト転化ユニット、及び中温または低温シフト転化ユニット(MTまたはLTシフトユニット)などのその後の第二シフト転化ユニット、任意に及び低温シフト転化ユニット(LTシフトユニット)などの第三シフト転化ユニットを含み、及び前記ステップii)における合成ガスの前記冷却は、前記第一または第二シフト転化ユニット、例えば前記HTまたはMTシフトユニットを出た合成ガス流の冷却であり;
前記プロセス蒸気流の少なくとも一部及び前記純蒸気流の少なくとも一部が、前記第一シフト転化ユニットに加えられ; 及び
ステップi)において、前記ボイラー供給水(BFW)の少なくとも一部から発生した前記純蒸気流は、
i-1) 少なくとも部分的に一つ以上の熱交換器またはボイラー中での合成ガスの冷却によって発生する純蒸気、及び/または
i-2) 一つ以上の熱交換器及びボイラーでの前記煙道ガスの冷却によって発生する純蒸気、
を含む、前記プロセス。
【請求項2】
ステップi-1)及び/またはi-2)において、前記純蒸気流が、第一シフト転化ユニットからの合成ガスを冷却するためのボイラー、例えば前記PCボイラーは除いて、一つ以上のボイラーで発生する純蒸気からなる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
プロセス蒸気流の少なくとも一部及び純蒸気流の少なくとも一部が、前記第二シフト転化ユニットに加えられる、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
プロセス蒸気流及び純蒸気流が一緒に加えられる、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項5】
ステップii)が、前記純蒸気流の少なくとも一部の冷却も含む、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項6】
前記水蒸気改質ユニットが、自熱式改質(ATR)ユニットであるか、または慣用の水蒸気メタン改質器(SMR)、例えば管状改質器とATRユニットとの組み合わせであるか、または電気加熱式改質器(e-SMR)であるか、またはe-SMRとATRユニットとの組み合わせであり、それらから前記粗製合成ガスが製造される、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項7】
前記プロセス凝縮水が予熱され、好ましくは、
- 前記ステップii)で使用される純蒸気、またはそれの凝縮水;
及び/または
- 前記WGS転化段階の後、好ましくは第二または第三シフト転化ユニットの後に、但し、好ましくは、純蒸気流の発生のために使用される一つ以上の熱交換器、すなわちBFW予熱ユニットにおいて合成ガスを更に冷却する前に回収された合成ガスの一部、
との間接的な熱交換によって、予熱される、
請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項8】
前記純蒸気流の一部がエクスポート流として回収される、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項9】
前記プロセス蒸気流が、水蒸気改質ユニットに入る前の炭化水素原料と混合され; 及び任意に、前記プロセス蒸気が、炭化水素原料との混合時に純蒸気と組み合わされる、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項10】
前記合成ガスが水素製品流に転化され、ここで、前記プロセス凝縮水は、プロセス凝縮水分離器中で発生し、この際、前記プロセス凝縮水分離器は、水枯渇化合成ガス流も発生し、この水枯渇化合成ガス流の少なくとも一部は、(好ましくは圧力スイング吸着ユニット(PSAユニット)において)水素精製段階を通って、前記水素製品流及びオフガス流を生成する、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項11】
PCボイラー中でプロセス蒸気流を発生するために使用された後の純蒸気流が凝縮され、そして前記プロセスに導入されたボイラー供給水(BFW)に混合される、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項12】
合成ガスを製造するためのプラントであって、
- 炭化水素原料を前記合成ガスに転化し、任意に及び煙道ガスを発生するための水蒸気改質ユニット;
- 前記合成ガスから水を除去して、水枯渇化合成ガス流及びプロセス凝縮水流を生成するための、プロセス凝縮水分離器;
- 一つ以上のボイラー供給水(BFW)熱交換器及びボイラーを含む蒸気系統であって、前記一つ以上の熱交換器及びボイラーでは、前記合成ガスの間接的な冷却によって純蒸気流が発生する、蒸気系統;
- プロセス蒸気流を発生するためのプロセス凝縮水ボイラー(PCボイラー)を含む、プロセス凝縮水(PC)系統、但し、前記PCボイラーは、
・合成ガスの冷却によって前記プロセス凝縮水流の少なくとも一部を蒸発するための熱交換ユニット; 任意に及び
・熱交換媒体としての前記純蒸気流の少なくとも一部の冷却によって、前記プロセス凝縮水流の少なくとも一部を蒸発するための熱交換ユニット、及び/または前記煙道ガスの冷却によって前記プロセス凝縮水流の少なくとも一部を蒸発するための熱交換ユニット、
を含む、プロセス凝縮水(PC)系統、
- 前記合成ガスを水素で富化するための一つ以上の水性ガスシフト転化ユニットを含む接触水性ガスシフト(WGS)転化段階であって、前記一つ以上の水性ガスシフト転化ユニットは、高温もしくは中温シフト転化ユニット(HTもしくはMTシフトユニット)などの第一シフト転化ユニット、及び中温もしくは低温シフト転化ユニット(MTもしくはLTシフトユニット)などの下流の第二シフト転化ユニットを含み; 前記PCボイラー中での合成ガスの前記冷却は、前記第一または第二シフト転化ユニットを出た合成ガス流の冷却である、接触水性ガスシフト(WGS)転化段階;
- 前記プロセス蒸気流の少なくとも一部を、及び前記純蒸気流の少なくとも一部を、前記一つ以上の水性ガスシフト転化ユニットの第一のユニットへそれぞれ案内するための各導管;
を含み、
前記純蒸気流は、第一シフト転化ユニットからの合成ガスを冷却するためのボイラー、例えば前記PCボイラーは除いて、一つ以上のボイラーで発生した純蒸気である、
前記プラント。
【請求項13】
前記水蒸気改質ユニットが、水蒸気改質ユニットで発生した煙道ガスを排出するための出口を含み、及び前記PCボイラーが更に、
熱交換媒体としての前記純蒸気流の少なくとも一部を冷却することによって前記プロセス凝縮水流の少なくとも一部を蒸発させるための熱交換ユニット、及び/または前記煙道ガスの冷却によって前記プロセス凝縮水流の少なくとも一部を蒸発させるための熱交換ユニット、
を含む、請求項12に記載のプラント。
【請求項14】
前記プロセス蒸気流の少なくとも一部を、及び前記純蒸気流の少なくとも一部を、前記一つ以上の水性ガスシフト転化ユニットの第二のユニットへそれぞれ案内するための各導管を更に含む、請求項12または13に記載のプラント。
【請求項15】
前記蒸気系統が、前記一つ以上のBFW熱交換器及びボイラー中で発生する純蒸気を輸送するために適合した配管網、すなわちパイプネットワークを含み、及び前記純蒸気流の前記少なくとも一部を、前記一つ以上の水性ガスシフト転化ユニットの第一及び任意に第二のユニットに案内するための導管が、前記配管網から派生する導管である、請求項12または13に記載のプラント。
【請求項16】
前記水枯渇化合成ガス流の少なくとも一部から水素製品、及びオフガス流を生成するための水素精製ユニットを更に含む、請求項12または13に記載のプラント。
【請求項17】
水蒸気改質ユニットが、自熱式改質(ATR)ユニットであるか、慣用の水蒸気メタン改質器(SMR)、例えば管状改質器とATRユニットとの組み合わせであるか、または電気加熱式改質器(e-SMR)であるか、またはe-SMRとATRユニットとの組み合わせである、請求項12または13に記載のプラント。
【請求項18】
- 前記プロセス凝縮水流を前記プロセス凝縮水ボイラーに案内するための、ポンプなどのプロセス凝縮水加圧手段;
- 前記プロセス蒸気流の発生の間に使用された前記純蒸気流からの凝縮水生成物を収集するための凝縮水ポット及び/または凝縮水ドラム、任意に及び前記凝縮水生成物を輸送しそしてこれを該プラントに導入されたBFWと混合するための、ポンプなどの加圧手段、
を更に含む、請求項12または13に記載のプラント。
【請求項19】
前記プロセス凝縮水ボイラーの上流でのプロセス凝縮水の間接的な加熱のための熱交換器を更に含み、前記間接的加熱は、好ましくは、前記一つ以上の水性ガスシフト転化ユニットの下流で回収された合成ガスの一部を用いたものであり、該プラントは、好ましくは、合成ガスの前記部分を分割する手段も含む、請求項12または13に記載のプラント。
【国際調査報告】