(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】前立腺がんの治療のための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
A61K 51/10 20060101AFI20240528BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20240528BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240528BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240528BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240528BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240528BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20240528BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20240528BHJP
A61K 38/24 20060101ALI20240528BHJP
C07K 16/40 20060101ALN20240528BHJP
【FI】
A61K51/10 100
A61K47/22
A61K47/12
A61K47/26
A61K9/08
A61P35/00
A61P13/08
A61P35/04
A61K38/24
C07K16/40 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572767
(86)(22)【出願日】2022-05-25
(85)【翻訳文提出日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 IB2022054891
(87)【国際公開番号】W WO2022249089
(87)【国際公開日】2022-12-01
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509087759
【氏名又は名称】ヤンセン バイオテツク,インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100209037
【氏名又は名称】猪狩 俊博
(72)【発明者】
【氏名】ソルター,リース
(72)【発明者】
【氏名】サクシナ,ニーハ
(72)【発明者】
【氏名】ディヴジ,チャイタニャ
(72)【発明者】
【氏名】オドノヒュー,ジョセフ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB13
4C076CC27
4C076DD43
4C076DD46
4C076DD59
4C076FF11
4C084DB09
4C084MA02
4C084MA17
4C084MA65
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB26
4C084ZC04
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA71
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本発明の実施形態は、がん、特に前立腺がんの治療のための組成物及び方法を提供する。ある特定の実施形態によれば、患者におけるがんの治療方法は、治療有効量の放射性コンジュゲートを患者に投与することを含み、放射性コンジュゲートは、hK2に対する結合特異性を有する抗体又は抗原結合ドメインを含む。hK2に対する結合特異性を有する放射標識抗体を含む医薬組成物もまた、本明細書で提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者におけるがんの治療方法であって、
治療有効量の、放射性コンジュゲートと1つ又は2つ以上の医薬的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物を前記患者に投与することを含み、
前記放射性コンジュゲートが、hK2に対する結合特異性を有する抗体又は抗原結合断片にコンジュゲートされた少なくとも1つの放射性金属錯体を含み、
前記放射性金属錯体が、放射性金属を含み、
前記放射性金属が、投薬時に、前記医薬組成物の用量当たり約50μCi~約350μCiの標的放射能を提供する、方法。
【請求項2】
前記放射性コンジュゲートが、hK2に対する結合特異性を有する抗体にコンジュゲートされた少なくとも1つの放射性金属錯体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抗体が、配列番号1及び配列番号2及び配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、並びに配列番号4及び配列番号5及び配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記抗体が、配列番号8のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号9のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)を含む、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記抗体が、配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、及び配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項6】
前記抗体が、配列番号10のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有する重鎖定常領域、及び配列番号11のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有する軽鎖定常領域を含む、請求項2~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記抗体が、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域、及び配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域を含む、請求項2~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記抗体が、配列番号12のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有する重鎖、及び配列番号13のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有する軽鎖を含む、請求項2~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記抗体が、配列番号12のアミノ酸配列を有する重鎖、及び配列番号13のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、請求項2~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記放射性金属が、
225Ac、
111In、
177Lu、
32P、
47Sc、
67Cu、
77As、
89Sr、
90Y、
99Tc、
105Rh、
109Pd、
111Ag、
131I、
134Ce、
149Tb、
152Tb、
155Tb、
153Sm、
159Gd、
165Dy、
166Ho、
169Er、
186Re、
188Re、
194Ir、
198Au、
199Au、
211At、
212Pb、
212Bi、
213Bi、
223Ra、
255Fm、及び
227Thからなる群から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記放射性金属が、
225Acである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記放射性金属錯体が、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10,四酢酸(DOTA)、S-2-(4-イソチオシアナトベンジル)-1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸(NOTA)、1,4,8,11-テトラアザシクロドセダン(tetraazacyclodocedan)-1,4,8,11-四酢酸(TETA)、3,6,9,15-テトラアザビシクロ[9.3.1]-ペンタデカ-1(15),11,13-トリエン-4-(S)-(4-イソチオシアナトベンジル)-3,6,9-三酢酸(PCTA)、5-S-(4-アミノベンジル)-1-オキサ-4,7,10-トリアザシクロドデカン-4,7,10-トリス(酢酸)(DO3A)、及びそれらの誘導体からなる群から選択されるキレート剤を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記放射性金属錯体が、DOTAであるキレート剤を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記放射性金属錯体が、DOTAにキレート化された
225Acを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記放射性コンジュゲートが、(a)式(IV)
【化1】
(式中、
R
1が、水素であり、R
2が、-L
1-R
4であり、
あるいは、R
1が、-L
1-R
4であり、R
2が、水素であり、
R
3が、水素であり、
あるいは、R
2及びR
3が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員若しくは6員シクロアルキルを形成し、前記5員若しくは6員シクロアルキルが、-L
1-R
4で任意選択的に置換されており、
L
1が、存在しないか、若しくはリンカーであり、
R
4が、前記抗体である)
の化合物若しくはその医薬的に許容される塩、又は
(b)式(V)
【化2】
(式中、
L
1が、存在しないか、若しくはリンカーであり、
R
4が、抗体である)
の化合物若しくはその医薬的に許容される塩にキレート化された前記放射性金属を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記放射性金属が、
225Acであり、前記放射性金属が、約2mgの全抗体当たり約50μCi~約350μCiの標的比放射能を提供する、請求項2~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記放射性金属が、
225Acであり、前記放射性金属が、約2mgの全抗体当たり約50μCi~約300μCiの標的比放射能を提供する、請求項2~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記放射性金属が、
225Acであり、前記放射性金属が、約2mgの全抗体当たり約50μCi~約250μCiの標的比放射能を提供する、請求項2~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記放射性金属が、
225Acであり、前記放射性金属が、約2mgの全抗体当たり約50μCi~約200μCiの標的比放射能を提供する、請求項2~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記放射性金属が、
225Acであり、前記放射性金属が、約2mgの全抗体当たり約50μCi~約150μCiの標的比放射能を提供する、請求項2~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記放射性金属が、
225Acであり、前記放射性金属が、約2mgの全抗体当たり約50μCi~約100μCiの標的比放射能を提供する、請求項2~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記放射性金属が、
225Acであり、前記放射性金属が、約2mgの全抗体当たり約150μCi~約250μCiの標的比放射能を提供する、請求項2~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記放射性金属が、
225Acであり、前記放射性金属が、約2mgの全抗体当たり約50μCiの標的比放射能を提供する、請求項2~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記放射性金属が、
225Acであり、前記放射性金属が、約2mgの全抗体当たり約100μCiの標的比放射能を提供する、請求項2~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記放射性金属が、
225Acであり、前記放射性金属が、約2mgの全抗体当たり約150μCiの標的比放射能を提供する、請求項2~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記放射性金属が、
225Acであり、前記放射性金属が、約2mgの全抗体当たり約200μCiの標的比放射能を提供する、請求項2~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記医薬組成物が、約1μCi/mL~約100μCi/mL、又は約5μCi/mL~約75μCi/mL、又は約10μCi/mL~約60μCi/mL、又は約12.5μCi/mL~約50μCi/mL、又は約12.5μCi/mL、又は約25μCi/mL、又は約37.5μCi/mL、又は約50μCi/mLの標的放射能濃度を含む、請求項2~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記医薬組成物が、約1mg~約5mgの全抗体、又は約1mg~約4mgの全抗体を含む、請求項2~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記医薬組成物が、約1mg~約3mgの全抗体を含む、請求項2~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記医薬組成物が、約1.5~約2.5mgの全抗体を含む、請求項2~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記医薬組成物が、約2mgの全抗体を含む、請求項2~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記1つ又は2つ以上の医薬的に許容される賦形剤が、1つ又は2つ以上の放射線防護剤を含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記1つ又は2つ以上の放射線防護剤が、アスコルビン酸ナトリウム、ゲンチシン酸、又はそれらの組み合わせを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記1つ又は2つ以上の放射線防護剤が、アスコルビン酸ナトリウムを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記1つ又は2つ以上の放射線防護剤が、ゲンチシン酸を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記1つ又は2つ以上の医薬的に許容される賦形剤が、1つ又は2つ以上の界面活性剤を更に含む、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記1つ又は2つ以上の界面活性剤が、ポリソルベート20を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記1つ又は2つ以上の医薬的に許容される賦形剤が、酢酸緩衝剤を更に含む、請求項1~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記医薬組成物が、前記放射性コンジュゲート、アスコルビン酸ナトリウム、ポリソルベート20、酢酸緩衝剤、及び水を含む、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記医薬組成物が、水中において、前記放射性コンジュゲート、約24~28mMの酢酸、約0.25~0.75%のアスコルビン酸ナトリウム、及び約0.01~0.1%のポリソルベート20を含む、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記医薬組成物が、水中において、前記放射性コンジュゲート、約25mMの酢酸、約0.5%のアスコルビン酸ナトリウム、及び約0.04%のポリソルベート20を含む、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記医薬組成物が、水中において、前記放射性コンジュゲート、約26.75mMの酢酸、約0.5%のアスコルビン酸ナトリウム、及び約0.04%のポリソルベート20を含む、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記医薬組成物が、約5~約6(例えば、約5.5)のpHを有する、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記医薬組成物が、いかなる保存剤も含有しない、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記医薬組成物が、いかなるスクロースも含有しない、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記医薬組成物が、いかなるモノサッカライド、ジサッカライド、オリゴサッカライド、又はポリサッカライドも含有しない、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記医薬組成物が、いかなるモノサッカライド又はジサッカライドも含有しない、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記医薬組成物が、いかなるジサッカライドも含有しない、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記医薬組成物が、約2~8℃の温度範囲で、少なくとも約96時間又は少なくとも約120時間安定である、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記医薬組成物の前記用量が、約1mL~約20mL、又は約1mL~約10mL、又は約2mL~約6mL、又は約3mL~約5mL、又は約4mLの体積を有する、請求項2~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記医薬組成物の前記用量が、約4mLの前記用量当たり約2mgの全抗体を含む、請求項2~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記医薬組成物が、約0.01~5.0mg/mL、又は約0.1~1.0mg/mL、又は約0.4~0.6mg/mL、又は約0.5mg/mLの量で全抗体を含む(例えば、全抗体が、コンジュゲート中間体及び前記放射性コンジュゲートの総量を含む)、請求項2~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記医薬組成物が、非放射標識抗体を更に含み、前記非放射標識抗体が、前記放射性金属錯体にコンジュゲートされた前記抗体と同じ抗体である、請求項2~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記コンジュゲートされた抗体及び前記非放射標識抗体の総量が、約10mg、又は約9mg、又は約8mg、又は約7mg、又は約6mg、又は約5mg、又は約4mg、又は約3mg、又は約2mgを超えない、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記医薬組成物を前記患者に静脈内投与することを含む、請求項1~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記放射性金属をコンジュゲート中間体にキレート化して、前記放射性コンジュゲートを形成してから、約168時間以内、又は約144時間以内、又は約120時間以内、又は約96時間以内、又は約72時間以内、又は約48時間以内、又は約24時間以内に、前記医薬組成物を前記患者に投与することを含む、請求項1~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記医薬組成物を前記患者に約4週間毎に1回投与することを含む、請求項1~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記医薬組成物を前記患者に約8週間毎に1回投与することを含む、請求項1~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記医薬組成物を前記患者に約12週間毎に1回投与することを含む、請求項1~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記がんが、前立腺がんである、請求項1~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記がんが、非限局性前立腺がんである、請求項1~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記がんが、転移性前立腺がんである、請求項1~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記がんが、去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)である、請求項1~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記がんが、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)である、請求項1~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記がんが、腺がんを有するmCRPCである、請求項1~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記患者のテストステロン去勢レベルが、約50ng/dL以下である、請求項1~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記患者が、少なくとも1つのアンドロゲン受容体(AR)標的療法に以前に曝露されていた、請求項1~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記AR標的療法が、酢酸アビラテロン、エンザルタミド、アパルタミド、ダロルタミド、又は前述のいずれかの組み合わせである、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記患者が、以前に化学療法を受けていた、請求項1~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記化学療法が、タキサンの投与を含んでいた、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記患者が、以前に精巣摘出又は内科的去勢を受けていた、請求項1~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記患者が、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニスト又はアンタゴニストによる進行中のアンドロゲン除去療法を受けている、請求項1~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記用量を前記患者に単回投与で投与することを含む、請求項1~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記用量を2回以上の部分用量の複数回投与で投与することを含む、請求項1~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記用量を2回の部分用量として投与することを含む、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
医薬組成物であって、
放射性コンジュゲートと1つ又は2つ以上の医薬的に許容される賦形剤とを含み、
前記放射性コンジュゲートが、hK2に対する結合特異性を有する抗体又は抗原結合断片にコンジュゲートされた少なくとも1つの放射性金属錯体を含み、
前記放射性金属錯体が、放射性金属を含む、医薬組成物。
【請求項77】
前記1つ又は2つ以上の医薬的に許容される賦形剤が、1つ又は2つ以上の放射線防護剤を含む、請求項76に記載の医薬組成物。
【請求項78】
前記放射性コンジュゲートが、hK2に対する結合特異性を有する抗体にコンジュゲートされた少なくとも1つの放射性金属錯体を含む、請求項76又は77に記載の医薬組成物。
【請求項79】
前記抗体が、配列番号1及び配列番号2及び配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、並びに配列番号4及び配列番号5及び配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項78に記載の医薬組成物。
【請求項80】
前記抗体が、配列番号8のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号9のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)を含む、請求項78又は79に記載の医薬組成物。
【請求項81】
前記抗体が、配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、及び配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、請求項78又は79に記載の医薬組成物。
【請求項82】
前記抗体が、配列番号10のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有する重鎖定常領域、及び配列番号11のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有する軽鎖定常領域を含む、請求項78~81のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項83】
前記抗体が、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域、及び配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域を含む、請求項78~81のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項84】
前記抗体が、配列番号12のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有する重鎖、及び配列番号13のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有する軽鎖を含む、請求項78~83のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項85】
前記抗体が、配列番号12のアミノ酸配列を有する重鎖、及び配列番号13のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、請求項78~83のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項86】
前記放射性金属が、
225Ac、
111In、
177Lu、
32P、
47Sc、
67Cu、
77As、
89Sr、
90Y、
99Tc、
105Rh、
109Pd、
111Ag、
131I、
134Ce、
149Tb、
152Tb、
155Tb、
153Sm、
159Gd、
165Dy、
166Ho、
169Er、
186Re、
188Re、
194Ir、
198Au、
199Au、
211At、
212Pb、
212Bi、
213Bi、
223Ra、
255Fm、及び
227Thからなる群から選択される、請求項77~85のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項87】
前記放射性金属が、
225Acである、請求項77~85のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項88】
前記放射性金属錯体が、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10,四酢酸(DOTA)、S-2-(4-イソチオシアナトベンジル)-1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸(NOTA)、1,4,8,11-テトラアザシクロドセダン(tetraazacyclodocedan)-1,4,8,11-四酢酸(TETA)、3,6,9,15-テトラアザビシクロ[9.3.1]-ペンタデカ-1(15),11,13-トリエン-4-(S)-(4-イソチオシアナトベンジル)-3,6,9-三酢酸(PCTA)、5-S-(4-アミノベンジル)-1-オキサ-4,7,10-トリアザシクロドデカン-4,7,10-トリス(酢酸)(DO3A)、及びそれらの誘導体からなる群から選択されるキレート剤を含む、請求項77~87のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項89】
前記放射性金属錯体が、DOTAであるキレート剤を含む、請求項77~87のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項90】
前記放射性金属錯体が、DOTAにキレート化された
225Acを含む、請求項77~89のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項91】
前記放射性コンジュゲートが、(a)式(IV)
【化3】
(式中、
R
1が、水素であり、R
2が、-L
1-R
4であり、
あるいは、R
1が、-L
1-R
4であり、R
2が、水素であり、
R
3が、水素であり、
あるいは、R
2及びR
3が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員若しくは6員シクロアルキルを形成し、前記5員若しくは6員シクロアルキルが、-L
1-R
4で任意選択的に置換されており、
L
1が、存在しないか、若しくはリンカーであり、
R
4が、前記抗体である)
の化合物若しくはその医薬的に許容される塩、又は
(b)式(V)
【化4】
(式中、
L
1が、存在しないか、若しくはリンカーであり、
R
4が、抗体である)
の化合物若しくはその医薬的に許容される塩にキレート化された前記放射性金属を含む、請求項77~87のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項92】
前記1つ又は2つ以上の放射線防護剤が、アスコルビン酸ナトリウム、ゲンチシン酸、又はそれらの組み合わせを(例えば、約0.1~w/v1%、又は約0.25~0.75w/v%、又は約0.5w/v%の量で)含む、請求項77~91のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項93】
前記1つ又は2つ以上の放射線防護剤が、アスコルビン酸ナトリウムを(例えば、約0.1~1w/v%、又は約0.25~0.75w/v%、又は約0.5w/v%の量で)含む、請求項77~91のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項94】
前記1つ又は2つ以上の放射線防護剤が、ゲンチシン酸を(例えば、約0.1~1w/v%、又は約0.25~0.75w/v%、又は約0.5w/v%の量で)含む、請求項77~91のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項95】
前記1つ又は2つ以上の医薬的に許容される賦形剤が、1つ又は2つ以上の界面活性剤を更に含む、請求項76~94のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項96】
前記1つ又は2つ以上の界面活性剤が、ポリソルベート20を含む、請求項95に記載の医薬組成物。
【請求項97】
前記1つ又は2つ以上の医薬的に許容される賦形剤が、酢酸緩衝剤を更に含む、請求項76~96のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項98】
前記放射性コンジュゲート、アスコルビン酸ナトリウム、ポリソルベート20、酢酸緩衝剤、及び水を含む、請求項76~97のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項99】
水中において、前記放射性コンジュゲート、約24~28mMの酢酸、約0.25~0.75%のアスコルビン酸ナトリウム、及び約0.01~0.1%のポリソルベート20を含む、請求項76~97のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項100】
水中において、前記放射性コンジュゲート、約26.75mMの酢酸、約0.5%のアスコルビン酸ナトリウム、及び約0.04%のポリソルベート20を含む、請求項76~97のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項101】
水中において、前記放射性コンジュゲート、約26.75mMの酢酸、約0.5%のアスコルビン酸ナトリウム、及び約0.04%のポリソルベート20を含む、請求項76~97のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項102】
前記医薬組成物が、約5~約6(例えば、約5.5)のpHを有する、請求項76~101のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項103】
前記医薬組成物が、いかなる保存剤も含有しない、請求項76~101のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項104】
前記医薬組成物が、いかなるスクロースも含有しない、請求項76~103のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項105】
前記医薬組成物が、いかなるモノサッカライド、ジサッカライド、オリゴサッカライド、又はポリサッカライドも含有しない、請求項76~104のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項106】
前記医薬組成物が、いかなるモノサッカライド又はジサッカライドも含有しない、請求項76~104のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項107】
前記医薬組成物が、いかなるジサッカライドも含有しない、請求項76~104のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項108】
前記1つ又は2つ以上の医薬的に許容される賦形剤が、水中において、酢酸緩衝剤、アスコルビン酸ナトリウム、及びポリソルベート20からなるか、又はそれらから本質的になる、請求項76~104のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項109】
前記医薬組成物が、静脈内投与用に製剤化されている、請求項76~108のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項110】
前記医薬組成物が、約2~8℃の温度範囲で、少なくとも72時間、又は少なくとも96時間、又は少なくとも120時間安定である、請求項76~109のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項111】
前記放射性コンジュゲートが、前記抗体にコンジュゲートされた、平均約1~約4、又は約2~約3のキレート剤分子を含む、請求項77~110のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項112】
前記放射性金属が、
225Acであり、前記放射性金属が、約2mgの全抗体当たり約50μCi~約350μCiの比放射能を提供する、請求項77~111のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項113】
前記放射性金属が、
225Acであり、前記放射性金属が、約2mgの全抗体当たり約50μCi~約300μCiの比放射能を提供する、請求項77~111のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項114】
前記放射性金属が、
225Acであり、前記放射性金属が、約2mgの全抗体当たり約50μCi~約250μCiの比放射能を提供する、請求項77~111のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項115】
前記放射性金属が、
225Acであり、前記放射性金属が、約2mgの全抗体当たり約50μCi~約200μCiの比放射能を提供する、請求項77~111のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項116】
前記放射性金属が、
225Acであり、前記放射性金属が、約2mgの全抗体当たり約50μCi~約150μCiの比放射能を提供する、請求項77~111のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項117】
前記放射性金属が、
225Acであり、前記放射性金属が、約2mgの全抗体当たり約50μCi~約100μCiの比放射能を提供する、請求項77~111のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項118】
前記放射性金属が、
225Acであり、前記放射性金属が、投薬時に約2mgの全抗体当たり約50μCi~約200μCiの標的比放射能を提供する、請求項77~111のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項119】
前記放射性金属が、
225Acであり、前記放射性金属が、投薬時に約2mgの全抗体当たり約50μCiの標的比放射能を提供する、請求項77~111のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項120】
前記放射性金属が、
225Acであり、前記放射性金属が、投薬時に約2mgの全抗体当たり約100μCiの標的比放射能を提供する、請求項77~111のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項121】
前記放射性金属が、
225Acであり、前記放射性金属が、投薬時に約2mgの全抗体当たり約150μCiの標的比放射能を提供する、請求項77~111のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項122】
前記放射性金属が、
225Acであり、前記放射性金属が、投薬時に約2mgの全抗体当たり約200μCiの標的比放射能を提供する、請求項77~111のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項123】
約1mg~約20mgの全抗体を含む、請求項77~122のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項124】
約1mg~約10mgの全抗体を含む、請求項77~122のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項125】
約1mg~約5mgの全抗体を含む、請求項77~122のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項126】
約2mgの全抗体を含む、請求項77~122のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項127】
約10mgの全抗体を含む、請求項77~122のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項128】
コンジュゲート中間体及び前記放射性コンジュゲートの総量を約0.1~1.0mg/mLの量で含む、請求項77~127のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項129】
コンジュゲート中間体及び前記放射性コンジュゲートの総量を約0.4~0.6mg/mLの量で含む、請求項77~127のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項130】
コンジュゲート中間体及び前記放射性コンジュゲートの総量を約0.5mg/mLの量で含む、請求項77~127のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項131】
非放射標識抗体を更に含み、前記非放射標識抗体が、前記放射性金属錯体にコンジュゲートされた前記抗体と同じ抗体である、請求項77~130のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項132】
前記コンジュゲートされた抗体及び前記非放射性標識抗体の総量が、約10mg、又は約9mg、又は約8mg、又は約7mg、又は約6mg、又は約5mg、又は約4mg、又は約3mg、又は約2mgを超えない、請求項131に記載の医薬組成物。
【請求項133】
患者においてがんを治療するための方法であって、治療有効量の請求項76~132のいずれか一項に記載の医薬組成物を前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項134】
前記医薬組成物を前記患者に約4週間毎に1回投与することを含む、請求項133に記載の方法。
【請求項135】
前記医薬組成物を前記患者に約8週間毎に1回投与することを含む、請求項133に記載の方法。
【請求項136】
前記医薬組成物を前記患者に約12週間毎に1回投与することを含む、請求項133に記載の方法。
【請求項137】
前記がんが、前立腺がんである、請求項133~136のいずれか一項に記載の方法。
【請求項138】
前記がんが、非限局性前立腺がんである、請求項133~136のいずれか一項に記載の方法。
【請求項139】
前記がんが、転移性前立腺がんである、請求項133~136のいずれか一項に記載の方法。
【請求項140】
前記がんが、去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)である、請求項133~136のいずれか一項に記載の方法。
【請求項141】
前記がんが、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)である、請求項133~136のいずれか一項に記載の方法。
【請求項142】
前記がんが、腺がんを有するmCRPCである、請求項133~136のいずれか一項に記載の方法。
【請求項143】
前記患者のテストステロン去勢レベルが、約50ng/dL以下である、請求項133~142のいずれか一項に記載の方法。
【請求項144】
前記患者が、少なくとも1つのアンドロゲン受容体(AR)標的療法に以前に曝露されていた、請求項133~142のいずれか一項に記載の方法。
【請求項145】
前記AR標的療法が、酢酸アビラテロン、エンザルタミド、アパルタミド、ダロルタミド、又は前述のいずれかの組み合わせである、請求項144に記載の方法。
【請求項146】
前記患者が、以前に化学療法を受けていた、請求項133~145のいずれか一項に記載の方法。
【請求項147】
前記化学療法が、タキサンの投与を含んでいた、請求項146に記載の方法。
【請求項148】
前記患者が、以前に精巣摘出又は内科的去勢を受けていた、請求項133~147のいずれか一項に記載の方法。
【請求項149】
前記患者が、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニスト又はアンタゴニストによる進行中のアンドロゲン除去療法を受けている、請求項133~148のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年5月27日に出願された米国仮特許出願第63/193,704号及び2022年4月28日に出願された米国仮特許出願第63/335,761号の優先権の利益を主張し、これらは、それらの全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明の実施形態は、前立腺がんの治療のための組成物及び方法に関する。特に、本発明の実施形態は、hK2標的療法のための放射性コンジュゲート組成物に関する。
【0003】
(電子的に提出された配列表の参照)
本出願は、ファイル名がJBI6423WOPCT1_SeqListing.txt」であり、2022年5月12日に作成され、17kbのサイズを有する、ASCII形式の配列表としてEFS-Webを介して電子的に提出された配列表を含む。EFS-Webを介して提出された配列表は、本明細書の一部であり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
前立腺がんは、最も一般的な形態のがんの1つである。腫瘍の成長は、通常、長期間にわたって起こるプロセスである。前立腺がんは、多くの場合、軽度の形態のがんである。実際、前立腺がんと診断された人々の大部分は、生存及び回復する。少数の人々は、初期に転移するより侵襲性の形態の前立腺がんに遭遇する。この侵襲性の形態の前立腺がんは、がんが嚢外組織に広がる前の初期に診断された場合にのみ治癒可能であり得る。
【0005】
転移性去勢抵抗性前立腺がん(metastatic castration-resistant prostate cancer、mCRPC)を有する患者の管理のための展望は、アンドロゲン受容体(androgen receptor、AR)指向療法(例えば、エンザルタミド及び酢酸アビラテロン+プレドニゾン)、化学療法(例えば、ドセタキセル及びカバジタキセル)、並びに細胞免疫療法(例えば、シプロイセル-T)を含むいくつかの新しい薬剤の承認によって変化した。これらの薬剤を用いることで、全生存期間は、以前に報告されていた6~10ヶ月から18~24ヶ月の範囲に改善した。しかしながら、ほとんどの前立腺がん患者は、抗アンドロゲン又はアンドロゲン合成阻害剤治療で13~20ヶ月以内に疾患進行を経験する。
【発明の概要】
【0006】
前立腺がんを治療及び診断するための新しい治療剤及び方法が、依然として必要とされており、特に、耐性経路を克服する作用機序を有する療法は、mCRPCの治療のための代替戦略を開発する上で極めて重要である。
【0007】
本発明は、医薬組成物、医薬組成物の作製方法、及びそのような治療を必要とする患者におけるがんの治療方法に関する。
【0008】
本発明の一実施形態によれば、患者におけるがんの治療方法は、治療有効量の、放射性コンジュゲートと1つ又は2つ以上の医薬的に許容される賦形剤とを含む、医薬組成物を患者に投与することを含み、放射性コンジュゲートは、hK2に対する結合特異性を有する抗体又は抗原結合断片にコンジュゲートされた少なくとも1つの放射性金属錯体を含み、放射性金属錯体は、放射性金属を含み、放射性金属は、投薬時に、医薬組成物の用量当たり約50μCi~約350μCiの標的放射能を提供する。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、患者におけるがんの治療方法は、治療有効量の、放射性コンジュゲートと1つ又は2つ以上の医薬的に許容される賦形剤とを含む、医薬組成物を患者に投与することを含み、放射性コンジュゲートは、hK2に対する結合特異性を有する抗体にコンジュゲートされた少なくとも1つの放射性金属錯体を含み、放射性金属錯体は、225Acである放射性金属を含み、放射性金属は、投薬時に、医薬組成物の用量当たり約50μCi~約350μCiの標的放射能を提供する。
【0010】
一実施形態によれば、放射性コンジュゲートは、hK2に対する結合特異性を有する抗体にコンジュゲートされた少なくとも1つの放射性金属錯体を含み、抗体は、配列番号1及び配列番号2及び配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、並びに配列番号4及び配列番号5及び配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0011】
一実施形態によれば、放射性金属錯体は、DOTAであるキレート剤を含む。
【0012】
一実施形態によれば、放射性コンジュゲートは、(a)式(IV)
【0013】
【化1】
(式中、
R
1は、水素であり、R
2は、-L
1-R
4であり、
あるいは、R
1は、-L
1-R
4であり、R
2は、水素であり、
R
3は、水素であり、
あるいは、R
2及びR
3は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員若しくは6員シクロアルキルを形成し、5員若しくは6員シクロアルキルは、-L
1-R
4で任意選択的に置換されており、
L
1は、存在しないか、若しくはリンカーであり、
R
4は、抗体である)の化合物若しくはその医薬的に許容される塩、又は
【0014】
(b)式(V)
【0015】
【化2】
(式中、
L
1は、存在しないか、若しくはリンカーであり、
R
4は、抗体である)の化合物若しくはその医薬的に許容される塩にキレート化された放射性金属を含み、
例えば、キレート剤は、以下の式:
【0016】
【化3】
の化合物又はその医薬的に許容される塩である。
【0017】
一実施形態によれば、放射性金属は、225Acであり、放射性金属は、約2mgの全抗体当たり約25μCi~約350μCi、又は約2mgの全抗体当たり約50μCi~約350μCiの標的比放射能を提供する。
【0018】
一実施形態によれば、本方法は、医薬組成物を患者に静脈内投与することを含む。
【0019】
本発明の実施形態は、前立腺がんと診断されている患者、例えば、後期前立腺がんを有する患者を治療する上で特に有用である。一実施形態によれば、がんは、非限局性前立腺がんである。別の実施形態によれば、がんは、転移性前立腺がんである。別の実施形態によれば、がんは、去勢抵抗性前立腺がん(castration-resistant prostate cancer、CRPC)である。別の実施形態によれば、がんは、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)である。別の実施形態によれば、がんは、腺がんを有するmCRPCである。
【0020】
本発明の別の実施形態は、放射性コンジュゲートと1つ又は2つ以上の医薬的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物を提供し、放射性コンジュゲートは、hK2に対する結合特異性を有する抗体又は抗原結合断片にコンジュゲートされた少なくとも1つの放射性金属錯体を含み、放射性金属錯体は、放射性金属を含む。
【0021】
一実施形態によれば、本医薬組成物は、放射性コンジュゲートと1つ又は2つ以上の医薬的に許容される賦形剤とを含み、放射性コンジュゲートは、hK2に対する結合特異性を有する抗体にコンジュゲートされた少なくとも1つの放射性金属錯体を含み、放射性金属錯体は、225Acである放射性金属を含み、抗体は、配列番号1及び配列番号2及び配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、並びに配列番号4及び配列番号5及び配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0022】
一実施形態によれば、1つ又は2つ以上の医薬的に許容される賦形剤は、アスコルビン酸ナトリウム、ゲンチシン酸、又はそれらの組み合わせなどの1つ又は2つ以上の放射線防護剤を(例えば、約0.1~約5w/v%、又は約0.1~約4w/v%、又は約0.1~約3w/v%、約0.1~約2w/v%、又は約0.1~約1w/v%、又は約0.25~約0.75w/v%、又は約0.5w/v%の量で)含む。
【0023】
一実施形態によれば、1つ又は2つ以上の医薬的に許容される賦形剤は、ポリソルベート20などの1つ又は2つ以上の界面活性剤を含む。
【0024】
一実施形態によれば、本医薬組成物は、放射性コンジュゲート、アスコルビン酸ナトリウム、ポリソルベート20、酢酸緩衝剤、及び水を含む。
【0025】
一実施形態によれば、本医薬組成物は、水中において放射性コンジュゲート、約24~28mMの酢酸、約0.25~0.75w/v%のアスコルビン酸ナトリウム、及び約0.01~0.15w/v%のポリソルベート20を含む。
【0026】
一実施形態によれば、本医薬組成物は、約5~約6(例えば、約5.5)のpHを有する。
【0027】
一実施形態によれば、本医薬組成物は、糖又は糖アルコールなどのいかなる抗凍結剤も含有しない。
【0028】
一実施形態によれば、放射性金属は、225Acであり、放射性金属は、投薬時に約2mgの全抗体当たり約50μCi~約350μCiの比放射能を提供する。
【0029】
一実施形態によれば、本医薬組成物は、コンジュゲート中間体及び放射性コンジュゲートの総量を約0.1~1.0mg/mL、例えば、約0.5mg/mLの量で含む。
【0030】
本発明の別の実施形態は、第1の中間体組成物及び第2の中間体組成物を組み合わせて、医薬組成物を形成することを含む、医薬組成物の作製方法を提供し、第1の中間体組成物は、放射性コンジュゲートを含み、第2の中間体組成物は、コンジュゲート中間体を含み、いかなる放射性コンジュゲートも含有しない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明のある特定の態様を更に実証するために含まれている。本発明は、本明細書に提示される特定の実施形態の説明と組み合わせて、これらの図面のうちの1つ又は2つ以上を参照することによって、より良く理解され得る。
【
図1A】薬物製品組成物の高速液体クロマトグラフである。
【
図1B】
111In-DOTA-h11B6の高速液体クロマトグラフである。
【
図2A】T=0(
図2A)及びT=96時間(
図2A)での、スクロースを含み、アスコルビン酸を欠く、
225Ac-DOTA-h11B6薬物製品の高速液体クロマトグラフである。
【
図2B】T=0(
図2A)及びT=96時間(
図2A)での、スクロースを含み、アスコルビン酸を欠く、
225Ac-DOTA-h11B6薬物製品の高速液体クロマトグラフである。
【
図3A】薬物製品の高速液体クロマトグラフである。組成物は、4mLの薬物製品当たり約50μCi(
図3A及び
図3B)の
225Ac-DOTA-h11B6を含む。
図3A及び
図3Cの組成物は、アスコルビン酸ナトリウムを更に含む。
【
図3B】薬物製品の高速液体クロマトグラフである。組成物は、4mLの薬物製品当たり約50μCi(
図3A及び
図3B)の
225Ac-DOTA-h11B6を含む。
図3A及び
図3Cの組成物は、アスコルビン酸ナトリウムを更に含む。
【
図3C】薬物製品の高速液体クロマトグラフである。組成物は、4mLの薬物製品当たり200μCi(
図3C及び
図3D)の
225Ac-DOTA-h11B6を含む。
図3B及び
図3Dの組成物は、スクロースを更に含む。
【
図3D】薬物製品の高速液体クロマトグラフである。組成物は、4mLの薬物製品当たり200μCi(
図3C及び
図3D)の
225Ac-DOTA-h11B6を含む。
図3B及び
図3Dの組成物は、スクロースを更に含む。
【
図4A】本発明の放射性コンジュゲートの実施例(Ac-225とキレート剤との間の結合は示さず)を図示する。
【
図4B】本発明の放射性コンジュゲートの実施例(Ac-225とキレート剤との間の結合は示さず)を図示する。
【
図5A】本発明のコンジュゲート中間体の実施例を図示する。DOTAを含むコンジュゲート中間体(リジン部分は示さず)の図示を提供する。
【
図5B】本発明のコンジュゲート中間体の実施例を図示する。DOTAを含むコンジュゲート中間体(リジン部分を表す)の図示を提供する。
【
図5C】本発明のコンジュゲート中間体の実施例を図示する。DOTAを含むコンジュゲート中間体のコンジュゲーションプロセスの図示を提供する。
【
図6A】本発明のコンジュゲート中間体(TOPA-h11B6)の実施例を図示する。TOPAキレート剤(TOPA-h11B6)を含むコンジュゲート中間体(リジン部分は示さず)の図示を提供する。
【
図6B】本発明のコンジュゲート中間体(TOPA-h11B6)の実施例を図示する。
図6Aに示されるコンジュゲート中間体(リジン部分を表す)の図示を提供する。
【
図6C】本発明のコンジュゲート中間体(TOPA-h11B6)の実施例を図示する。コンジュゲート中間体のコンジュゲーションプロセスの図示を提供する。
【
図7】h11B6抗体のバルク重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本明細書に記載の化合物、組成物、及び方法は、そのような治療を必要とする患者においてがんを治療する上で有用である。本化合物、組成物、及び方法の実施形態は、進行期の前立腺がん、特に去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)を含む前立腺がんを治療する上で有効であり、したがって、患者のより長い生存率をもたらす。これらの化合物は、進行期の前立腺に対する既存の治療が不成功であるとみなされる患者において特に有用である。
【0033】
ヒトカリクレイン2(human kallikrein 2、hK2)は、円柱前立腺上皮細胞によって産生され、遺伝的にPSA遺伝子と80%の相同性を有する密接に関連する前立腺特異的抗原(prostate-specific antigen、PSAヒト腺性カリクレイン3)と同一の方法でアンドロゲン受容体(AR)シグナル伝達によって駆動される、トリプシン様抗原である。しかしながら、PSAとは異なり、hK2の循環レベルは、例外的に低レベルで見出され、ここでそれらは、複数のプロテアーゼ阻害剤複合体によって結合され得る。hK2は、主に分泌されると考えられているが、それが抗原抗体複合体を介して内在化を誘導することができるという証拠があり、したがって、それは、細胞表面上にも存在すると考えられている。hK2発現は、前立腺腺がんに高度に特異的であり、疾患進行にわたって増加するため、hK2標的療法は、魅力的である。
【0034】
例示的なhK2配列は、転写物:KLK2-201(ENST00000325321)として記載され、本明細書では配列番号7として提供され、遺伝子ENSG00000167751の産物であり、アンサンブルデータベースに与えられるとおりである。
【0035】
ある特定の用語
「抗原結合断片」又は「抗原結合ドメイン」は、抗原に結合する単離されたタンパク質の一部分を指す。抗原結合断片は、合成ポリペプチド、酵素的に入手可能なポリペプチド、又は遺伝的に操作されたポリペプチドであってもよく、これらには、抗原に結合する免疫グロブリンの部分(VH、VL、VH、及びVLなど)、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd、及びFv断片、1つのVHドメイン又は1つのVLドメインからなるドメイン抗体(domain antibody、dAb)、サメ可変IgNARドメイン、ラクダ化VHドメイン、VHHドメイン、FR3-CDR3-FR4部分などの抗体のCDRを模倣するアミノ酸残基からなる最小認識ユニット、HCDR1、HCDR2、及び/又はHCDR3、並びにLCDR1、LCDR2、及び/又はLCDR3、抗原に結合する代替足場、並びに抗原結合断片を含む多重特異性タンパク質が含まれる。抗原結合断片(VH及びVLなど)は、合成リンカーを介して互いに連結して、VH及びVLドメインが別個の一本鎖により発現された場合に、VH/VLドメインが分子内又は分子間で対合して、一本鎖Fv(single chain Fv、scFv)又はダイアボディなどの一価の抗原結合ドメインを形成することができる、様々なタイプの一本鎖抗体設計を形成することができる。
【0036】
「抗体」は、広義の意味を有し、マウス、ヒト、ヒト化、及びキメラモノクローナル抗体を含むモノクローナル抗体、多重特異性抗体(抗原結合断片、二重特異性、三重特異性、四重特異性、二量体、四量体、又は多量体抗体など)、一本鎖抗体、ドメイン抗体、並びに必要な特異性の抗原結合部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の修飾された構成を含む、免疫グロブリン分子を含む。「完全長抗体」は、ジスルフィド結合により相互接続された、2本の重鎖(heavy chain、HC)及び2本の軽鎖(light chain、LC)、並びにこれらの多量体(例えば、IgM)で構成される。各重鎖は、重鎖可変領域(heavy chain variable region、VH)並びに(ドメインCH1、ヒンジ、CH2、及びCH3で構成される)重鎖定常領域で構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(light chain variable region、VL)及び軽鎖定常領域(light chain constant region、CL)で構成される。VH領域及びVL領域は、フレームワーク領域(framework region、FR)が散在しており、相補性決定領域(complementarity determining region、CDR)と呼称される超可変領域に更に細分化され得る。各VH及びVLは、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって、以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4で配置された、3つのCDR及び4つのFRセグメントで構成される。免疫グロブリンは、重鎖定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、5つの主要なクラス、すなわち、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMに割り当てられ得る。IgA及びIgGは、アイソタイプのIgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4として更に細分類される。いかなる脊椎動物種の抗体軽鎖も、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、2つの明確に異なるタイプ、すなわち、カッパ(κ)及びラムダ(λ)のうちの一方に割り当てられ得る。
【0037】
抗原又は抗体に関して使用される場合、「変異体」という用語は、天然又は未修飾の配列と比較して、1つ又は2つ以上(例えば、約1~約25、約1~約20、約1~約15、約1~約10、又は約1~約5など)のアミノ酸配列置換、欠失、及び/又は付加を含むペプチド又はポリペプチドを指し得る。例えば、hK2変異体は、天然hK2のアミノ酸配列に対する1つ又は2つ以上(例えば、約1~約25、約1~約20、約1~約15、約1~約10、又は約1~約5など)の変更から生じ得る。また、例として、h11B6などの抗hK2抗体の変異体は、天然又は以前に未修飾の抗hK2抗体のアミノ酸配列に対する1つ又は2つ以上(例えば、約1~約25、約1~約20、約1~約15、約1~約10、又は約1~約5など)の変更から生じ得る。変異体は、天然に存在し得る(対立遺伝子変異型若しくはスプライシング変異体など)か、又は人工的に構築され得る。ポリペプチド変異体は、変異体をコードする対応する核酸分子から調製され得る。特定の実施形態では、hK2変異体又は抗hK2抗体変異体は、それぞれhK2又は抗hK2抗体の機能活性を少なくとも保持する。特定の実施形態では、抗hK2抗体変異体は、hK2に結合し、かつ/又はhK2活性に拮抗的である。ある特定の実施形態では、変異体は、hK2又は抗hK2抗体のVH又はVL領域若しくはサブ領域(1つ又は2つ以上のCDRなど)をコードする核酸分子の一塩基多型(single nucleotide polymorphism、SNP)変異体によってコードされる。
【0038】
抗体に関連して使用される場合、変異体の非限定的な例は、変異体Fc領域を有する抗体である「Fc変異体」である。「変異体Fc領域」は、少なくとも1つのアミノ酸修飾(例えば、置換、付加、又は欠失)により、天然配列Fc領域のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、変異体Fc領域は、天然配列Fc領域又は親ポリペプチドのFc領域と比較して、少なくとも1つのアミノ酸置換を有しており、例えば、天然配列Fc領域又は親ポリペプチドのFc領域において、約1~約10個のアミノ酸置換、又は約1~約5個のアミノ酸置換を有する。本明細書の変異体Fc領域は、天然配列Fc領域及び/又は親ポリペプチドのFc領域と少なくとも約80%の相同性、又はそれと少なくとも約90%の相同性、例えば、それと少なくとも約95%の相同性を有し得る。
【0039】
「同一性」という用語は、配列をアラインメント及び比較することによって決定される、2つ若しくは3つ以上のポリペプチド分子又は2つ若しくは3つ以上の核酸分子の配列間の関係を指す。参照ポリペプチド配列に対する「配列同一性パーセント(%)」は、最大配列同一性パーセントを達成するように、かつ配列同一性の一部としていかなる保存的置換も考慮することなく、配列をアラインメントし、必要に応じてギャップを導入した後の、参照ポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基の百分率として定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的のためのアライメントは、当該技術分野における技能の範囲内である様々な方式、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、又はMEGALIGN(DNAStar,Inc.)ソフトウェアなどの公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して達成することができる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列をアラインメントするための適切なパラメータを決定することができる。
【0040】
「特異的に結合する」、「特異的結合」、「特異的に結合している」、又は「結合する」とは、タンパク質性分子が、抗原又は抗原内のエピトープに、他の抗原に対する親和性よりも高い親和性で結合することを指す。典型的には、タンパク質性分子は、約1×10-7M以下、例えば、約5×10-8M以下、約1×10-8M以下、約1×10-9M以下、約1×10-10M以下、約1×10-11M以下、又は約1×10-12M以下の平衡解離定数(KD)で抗原又は抗原内のエピトープに結合し、典型的には、KDは、非特異的抗原(例えば、BSA、カゼイン)への結合についてのそのKDよりも少なくとも100倍小さい。本明細書で使用される場合、「hK2に対する結合特異性を有する」抗体又は抗原結合ドメインは、それぞれhK2に特異的に結合する抗体又は抗原結合ドメインを指す。
【0041】
本明細書で使用される場合、ある特定の実施形態では、「対象」という用語は、非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラットなど)又は霊長類(例えば、サル及びヒト)などの哺乳動物を指す。特定の実施形態では、対象は、ヒトである。一実施形態では、対象は、病態又は障害と診断された哺乳動物、例えば、ヒトである。別の実施形態では、対象は、病態又は障害を発症するリスクのある哺乳動物、例えば、ヒトである。本明細書で使用される場合、「患者」という用語は、ヒトを指す。
【0042】
「投与する」又は「投与」は、本明細書に記載されているか、又は当該技術分野で既知の、粘膜、皮内、静脈内、筋肉内、皮下送達、及び/又は任意の他の物理的送達方法などによって、注射又は他の方法によって、体外に存在する物質を患者に物理的に送達する行為を指す。
【0043】
本明細書で使用される場合、「治療/処置する」、「治療/処置」、及び「治療/処置すること」という用語は、1つ又は2つ以上の療法の投与から生じる、疾患又は病態の進行、重症度、及び/又は持続期間の低減又は寛解を指す。治療は、患者がまだ基礎疾患に罹患している場合があるにもかかわらず、患者に改善が観察されるような、基礎疾患に関連する1つ又は2つ以上の症状の減少、軽減、及び/又は緩和があったかどうかを評価することによって決定され得る。「治療/処置すること」という用語は、疾患の管理及び寛解の両方を含む。「管理する」、「管理すること」、及び「管理」という用語は、対象が療法から得られる有益な効果を指し、必ずしも疾患の治癒をもたらすとは限らない。
【0044】
本明細書で使用される場合、「有効量」又は「治療有効量」という用語は、所与の病態及び投与レジメンに対して所望の治療効果をもたらすのに十分である、本明細書で提供される放射性コンジュゲート又は医薬組成物の量を指す。
【0045】
薬品、医薬品、活性剤、医薬品有効成分(active pharmaceutical ingredient、API)、薬物、薬剤、及び活性という用語は、本明細書では、医薬組成物中の薬学的に活性な化合物を指すために互換的に使用される。本発明による使用に好適なAPIの一例は、hK2に対する結合特異性を有する放射性コンジュゲートである。医薬組成物は、1つ又は2つ以上のAPI、及び本明細書において「賦形剤」と称される1つ又は2つ以上の追加成分を含み得る。好ましくは、賦形剤は、実質的又は完全に薬学的に不活性である。
【0046】
「用量」という用語は、特定の時間に患者に投与される特定の医薬組成物の総量を指す。好ましくは、用量は、医薬組成物の単位用量の単回投与として(例えば、静脈内投与を介して)送達される。あるいは、複数の部分用量に細分化された単位用量の複数回投与があってもよい(部分用量は、単位用量の一部分を指す)。
【0047】
本明細書で使用される場合、「医薬的に許容される」という用語は、非毒性、かつ好ましくは、例えば、欧州若しくは米国の連邦若しくは州政府の規制機関によって認可されているか、又は動物及びより具体的にはヒトにおける使用について、米国薬局方若しくは他の一般に認められている薬局方に列挙されていることを意味する。
【0048】
放射性崩壊は、不安定な原子核が放射線によってエネルギーを失って、少なくとも1つの娘核種を生成するプロセスを指す。半減期は、放射性試料の原子核の半分がその娘核種に崩壊するのに必要な時間を指す。物質の放射能の非SI測定単位は、キュリー(curie、Ci)である。1キュリーは、1秒当たりに崩壊する原子の数が370億(3.7×1010)個に等しい放射性物質の量に等しい。物質の放射能の代替測定単位は、ベクレル(becquerel、Bq)のSI単位である。ベクレルは、1秒当たりに1つの原子核が崩壊する放射性物質の量に等しい。比放射能は、試料中の単位モル又は質量当たりの放射能の量を指し、例えば、Ci/mmol又はCi/mgとして表現されることもある。比濃度(例えば、mCi/mL又はμCi/mLとして表現される)としても知られる放射能濃度は、単位体積当たりの放射能の総量を指す。
【0049】
免疫コンジュゲート及び放射性コンジュゲートに関して、「コンジュゲートされた」という用語は、「連結された」を意味する。(抗体及びキレート剤などの)分子は、例えば、共有結合によって互いに連結され得る。
【0050】
「がん」は、体内の異常細胞の制御されていない成長を特徴とする広範な群の様々な疾患を指す。制御されていない細胞分裂及び成長は、隣接組織を浸潤する悪性腫瘍の形成をもたらし、リンパ系又は血流を介して身体の遠位部分にも転移し得る。「がん」又は「がん組織」は、腫瘍を含み得る。
【0051】
「含む(comprising)」という移行用語は、特許用語において一般的に受け入れられている意味を暗示することを意図する。「含む(comprising)」は、「含む(including)」又は「含有する」と同義であり、包括的又は非制限的なものであり、追加の列挙されていない要素又は方法工程を除外するものではない。
【0052】
「AとBとの間」又は「A~Bの間」などの語句で使用される「間」という用語は、A及びBの両方を含む範囲を指す。「AからB」又は「A~B」などの語句で使用される「から」という用語は、A及びBの両方を含む範囲を指す。
【0053】
値が、「約」という記述語の使用によって近似値として表現されるとき、その特定の値は、別の実施形態を形成することが理解される。概して、「約」という用語の使用は、本開示の発明主題によって得ようとしている所望の特性に応じて変動し得る近似値を示し、その機能に基づいて、それが使用される特定の文脈において解釈されるべきである。場合によっては、特定の値に対して使用される有効数字の数は、「約」という用語の程度を決定する1つの非限定的な方法であり得る。他の場合、一連の値において使用される漸次的変化を使用して、各値について「約」という用語に利用可能な意図する範囲を決定することができる。存在する場合、全ての範囲は、包括的であり、組み合わせ可能である。すなわち、範囲で記述される値への言及は、その範囲内の全ての値を含む。ある特定の実施形態では、「約」という用語は、関連する値の±10%の変動を意味するが、追加の実施形態では、変動が±5%、±15%、±20%、±25%、又は±50%であり得る場合も含む。
【0054】
別個の実施形態の文脈において明確性のために本明細書に記載される、本発明の特定の特徴はまた、単一の実施形態内に組み合わされて提供されてもよいことが理解される。すなわち、明白に不適合であるか又は具体的に除外されない限り、各個々の実施形態は、任意の他の実施形態と組み合わせ可能であるとみなされ、そのような組み合わせは、別の実施形態であるとみなされる。逆に、単一の実施形態の文脈において簡潔さのために記載される本発明の様々な特徴はまた、別個に又は任意の部分組み合わせとして提供されてもよい。最後に、実施形態は、一連の工程の一部として又はより全般的な構造の一部として記載され得るが、各当該工程は、それ自体が独立する実施形態であるとみなされ、他のものと組み合わせ可能であり得る。
【0055】
リストが提示される場合、別途記載されない限り、そのリストの各個々の要素、及びそのリストの全ての組み合わせは、別個の実施形態であることを理解されたい。例えば、「A、B、又はC」として提示される実施形態のリストは、実施形態「A」、「B」、「C」、「A又はB」、「A又はC」、「B又はC」、又は「A、B、又はC」を含むと解釈されるべきである。
【0056】
本開示を通して利用される略語には、以下のものが含まれる。
【0057】
【0058】
【0059】
本発明は、それらの全てが本開示の一部を形成する、添付図面及び実施例に関連して解釈される以下の説明を参照することによって、より容易に理解され得る。本発明は、本明細書に記載されるか又は示される特定の化合物、方法、条件、又はパラメータに限定されるものではないこと、及び本明細書で使用される専門用語は、実施例を用いて特定の実施形態を説明する目的のためだけのものであり、いかなる特許請求される発明も限定することを意図するものではないことを理解すべきである。同様に、別途具体的に記載されない限り、可能な機序又は作用様式又は改善理由に関するいかなる説明も、単に例示を意図したものであり、本発明は、いかなるそのような提案されている機序又は作用様式又は改善理由の正確さ又は不正確さによっても制約を受けるものではない。
【0060】
本発明の放射性コンジュゲート
本発明の実施形態は、放射性コンジュゲートでhK2を標的として、前立腺がん患者において有効ながん細胞死(例えば、腫瘍細胞死)を達成するための組成物及び方法に関する。本明細書で使用される場合、「免疫コンジュゲート」は、毒素、薬品、放射性金属イオン、キレート剤、放射性金属錯体などの第2の分子にコンジュゲートされた(連結された、例えば、共有結合を介して結合した)抗体又は抗原結合ドメインを指す。「放射性コンジュゲート」(本明細書では「放射性免疫コンジュゲート」とも称される)は、特に、少なくとも1つの放射性金属錯体にコンジュゲートされた(連結された、例えば、共有結合を介して結合した)抗体又は抗原結合ドメインを指す。換言すると、放射性コンジュゲートは、抗体又は抗原結合ドメインに連結された、例えば、共有結合を介して結合した、少なくとも1つの放射性金属錯体を指す。放射性コンジュゲートは、リンカーを含む少なくとも1つの放射性金属錯体を含んでもよく、放射性金属錯体は、リンカーを介して抗体又は抗原結合ドメインに連結される。
【0061】
本明細書で使用される場合、「抗体-キレート剤複合体」又は「コンジュゲート中間体」又は「原薬中間体」は、放射性金属を含まないキレート剤にコンジュゲートされた(連結された、例えば、共有結合を介して結合された)抗体又は抗原結合ドメインを含む、放射性コンジュゲートの前駆体を指す。コンジュゲート中間体は、リンカーを含んでもよく、キレート剤は、そのリンカーを介して抗体又は抗原結合ドメインに連結される。放射性金属がコンジュゲート中間体のキレート剤にキレート化された後、それは、放射性コンジュゲートになる。例えば、「DOTA-mAb」は、抗体にコンジュゲートされたDOTAを含むコンジュゲート中間体を指す。コンジュゲート中間体の一例は、DOTA-h11B6である。本明細書で使用される場合、「DOTA-h11B6」は、任意選択的にリンカーを介してh11B6にコンジュゲートされたDOTAを含むコンジュゲート中間体である。DOTA-mAbの非限定的な例を、
図5A~
図5Cに図示する。コンジュゲート中間体の別の例は、TOPA-h11B6である。本明細書中で使用される場合、「TOPA-h11B6」は、任意選択的にリンカーを介してh11B6にコンジュゲートされたTOPAを含む、コンジュゲート中間体である。TOPA-mAbの非限定的な例を、
図6A~
図6Cに図示する。
【0062】
キレート剤は、当該技術分野で既知の方法に従って抗体にコンジュゲートされてもよく、例えば、キレート剤は、リンカーを介して抗体にコンジュゲートされてもよい。したがって、本発明の放射性コンジュゲート及びコンジュゲート中間体は、リンカーによって抗体に連結されたキレート剤を含み得る。本明細書で使用される場合、「リンカー」という用語は、一般に、キレート剤を抗体又は抗原結合ドメインに連結する化学部分を指す。本開示を考慮して、当業者に既知の任意の好適なリンカーを本発明で使用することができる。リンカーは、例えば、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換ヘテロアルキル部分、置換若しくは非置換アリール若しくはヘテロアリール、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol、PEG)リンカー、ペプチドリンカー、糖ベースのリンカー、又は切断可能なリンカー、例えばジスルフィド結合若しくはプロテアーゼ切断部位、例えば、バリン-シトルリン-p-アミノベンジル(p-aminobenzyl、PAB)を含有することができる。
【0063】
ある特定の実施形態によれば、キレート剤又はキレート剤-リンカーは、本明細書に記載の求核性部分又は求電子性部分を含む。キレート剤又はキレート剤-リンカーの求核基又は求電子基と、対応する反応パートナーを含む抗体又は抗原結合ドメインとの反応は、抗体又は抗原結合ドメインがキレート剤-リンカーに共有結合することを可能にする。式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、及び(VI)の化合物に関して本明細書で使用される場合、リンカー(L1)は、求電子性部分又は求核性部分(R11)に連結されて、-L1-R11を形成することができる。求核基の例としては、アジド、アミン、及びチオールが挙げられるが、これらに限定されない。求電子基の例としては、アミン反応性基、チオール反応性基、アルキニル、及びシクロアルキニルが挙げられるが、これらに限定されない。アミン反応性基は、好ましくは、各ポリペプチド鎖のN末端及びリジン残基の側鎖に存在する一級アミンを含む、一級アミンと反応する。アミン反応性基の例としては、N-ヒドロキシスクシンイミド(N-hydroxy succinimide、NHS)、置換NHS(スルホ-NHSなど)、イソチオシアネート(-NCS)、イソシアネート(-NCO)、エステル、カルボン酸、ハロゲン化アシル、アミド、アルキルアミド、並びにテトラフルオロフェニルエステル及びパーフルオロフェニルエステルが挙げられるが、これらに限定されない。チオール反応性基は、チオール又はスルフヒドリルと反応し、好ましくは、ポリペプチドのシステイン残基の側鎖に存在するチオールと反応する。チオール反応性基の例としては、マイケル受容体(例えば、マレイミド)、ハロアセチル、ハロゲン化アシル、活性化ジスルフィド、及びフェニルオキサジアゾールスルホンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
ある特定の実施形態によれば、コンジュゲーション反応は、抗体(例えば、h11B6 mAb)のリジン側鎖のイプシロンアミノ基への1つ又は複数のキレート剤分子(例えば、DOTA分子)の付加をもたらす。例えば、1、2、3、4、又は5個のDOTA分子を、抗体にコンジュゲートすることができる。ある特定の実施形態によれば、
図5に図示されるように、p-SCN-Bn-DOTAを抗体と反応させて、DOTAを含むコンジュゲート中間体を形成することができる。
図5Aは、DOTAを含むコンジュゲート中間体(リジン部分は示さず)の図示を提供する。
図5Bは、DOTAを含むコンジュゲート中間体(リジン部分を表す)の図示を提供する。
図6B及び
図6Cは、本発明による代替キレート剤を含むコンジュゲート中間体の図示を提供する。
【0065】
抗体分子当たりのキレート剤-リンカー分子の数を示すキレート剤対抗体比(chelator-to-antibody ratio、CAR)は、オンライン質量分析を用いたRP-HPLCを使用するインタクト質量分析によって測定することができる。ある特定の実施形態によれば、本発明のコンジュゲート中間体(例えば、DOTA-h11B6などのDOTA-mAb)の平均CARは、約1~約8、約1~約7、又は約1~約6、又は約1~約5、又は約1~約4、又は約1~約3、又は約2~約4、又は約2~約3である。
【0066】
特定の実施形態によれば、本明細書に記載の放射性コンジュゲートは、カリクレイン関連ペプチダーゼ2(hK2)に対する結合特異性を有する抗体又は抗原結合ドメインにコンジュゲートされた放射性金属錯体を含む。特定の実施形態によれば、放射性コンジュゲートは、放射性金属錯体にコンジュゲートされた(連結された)抗体を含む放射標識抗体である。特定の実施形態によれば、放射性コンジュゲートは、キレート剤及び放射性金属を含む放射性金属錯体にコンジュゲートされたh11B6などの抗体を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、キレート剤に共有結合している。本明細書に記載されるように、放射性金属錯体は、任意選択的にリンカーを含む。
【0067】
本明細書で使用される場合、「放射性金属錯体」は、大環状化合物であるキレート剤と会合した放射性金属イオンを含む錯体を指す。典型的には、放射性金属イオンは、配位結合を介して大環状化合物に結合又は配位される。大環状環のヘテロ原子は、大環状化合物への放射性金属イオンの配位結合に関与し得る。大環状化合物は、1つ又は2つ以上の置換基で置換することができ、この1つ又は2つ以上の置換基はまた、大環状環のヘテロ原子に加えて又はその代わりに、大環状化合物への放射性金属イオンの配位結合に関与し得る。キレート剤と放射性同位体との間の可能な結合の他の例としては、イオン結合、水素結合、ファンデルワールス力、又は疎水性相互作用などのゲストホスト結合が挙げられる。放射性金属錯体は、キレート剤を抗体又は抗原結合ドメインに連結する化学部分であるリンカーを任意選択的に含み得る。
【0068】
本明細書で使用される場合、「放射性同位体」、「放射性金属イオン」、又は「放射活性金属イオン」という用語は、互換的に使用され、粒子及び/又は光子を放出する元素の1つ又は2つ以上の同位体を指す。本発明による治療用途に使用され得る放射性同位体の非限定的な例としては、例えば、225Ac、177Lu、32P、47Sc、67Cu、77As、89Sr、90Y、99Tc、105Rh、109Pd、111Ag、131I、134Ce、149Tb、152Tb、155Tb、153Sm、159Gd、165Dy、166Ho、169Er、186Re、188Re、194Ir、198Au、199Au、211At、212Pb、212Bi、213Bi、223Ra、255Fm、及び227Thなどの、例えば、ベータ線放出体又はアルファ線放出体が挙げられる。本発明による造影剤として使用され得る放射性同位体の他の非限定的な例としては、例えば、177Lu、62Cu、64Cu、67Ga、68Ga、86Y、89Zr、及び111Inなどのガンマ線放出放射性同位体が挙げられる。ある特定の実施形態では、放射性金属イオンは、治療用途に有用な放射性金属イオンを意味する「治療用放出体」である。治療用放出体の例としては、132La、135La、134Ce、144Nd、149Tb、152Tb、155Tb、153Sm、159Gd、165Dy、166Ho、169Er、177Lu、186Re、188Re、194Ir、198Au、199Au、211At、212Pb、212Bi、213Bi、223Ra、225Ac、255Fm、及び227Th、226Th、230Uなどのベータ線放出体又はアルファ線放出体が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、本発明で使用される放射性金属イオンは、アクチニウム225(225Ac)などのアルファ線放出放射性金属イオンである。
【0069】
特定の放射性金属は、治療剤(例えば、225Ac)及び/又は造影剤(例えば、111In)として使用され得ることに留意されたい。治療剤としての使用に好適な放射性金属は、前立腺がん細胞などのがん細胞の成長を低減若しくは阻害すること、又は特に死滅させることができるものである。ある特定の実施形態では、本発明の放射性コンジュゲートは、がん細胞の表面抗原に結合し、細胞死を開始することによって、腫瘍付近でアルファ及び/又はベータ粒子を放出する能力を有する細胞傷害性ペイロードを送達することができる。ある特定の実施形態では、本発明の放射性結合体は、hk2発現がん細胞内に内在化される。
【0070】
本明細書で使用される「225Ac」、「225Ac」、又は「Ac-225」という用語は、アルファ線放出放射性金属であるアクチニウム-225を指す。特定の実施形態によれば、225Acのおよそ10日(約9.9日)間の半減期は、本明細書に記載の化合物を調製するのに十分に長いが、h11B6などの放射性金属錯体にコンジュゲートされた抗体の循環薬物動態に適合するのに十分に短い。225Acは、安定同位体である209Biに達する前に最終的に4つのアルファ粒子を放出する一連の工程で崩壊し、それによって化合物の効力の増加を提供する。
【0071】
本発明の抗体
特定の実施形態によれば、本発明の放射性コンジュゲートは、h11B6抗体である抗体を含む。h11B6抗体の実施形態は、米国特許第10,100,125号に記載されており、これは、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書で使用される場合、「h11B6抗体」又は「h11B6 mAb」又は「h11B6」又は「hu11B6」は、ヒトカリクレイン-2(hK2)に対する結合特異性を有する抗体を指し、抗体は、(a)配列番号1及び配列番号2及び配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、並びに/又は(b)配列番号4及び配列番号5及び配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、1つ又は2つ以上のヒト抗体由来のフレームワークアミノ酸配列を含む。
【0072】
特定の実施形態によれば、本発明の放射性コンジュゲートは、h11B6抗体を含み、これは、(a)配列番号1のアミノ酸配列(SDYAWN)を有するVH CDR1、配列番号2のアミノ酸配列(YISYSGSTTYNPSLKS)を有するVH CDR2、及び配列番号3のアミノ酸配列(GYYYGSGF)を有するVH CDR3を含む、重鎖可変領域(VH)、並びに(b)配列番号4のアミノ酸配列(KASESVEYFGTSLMH)を有するVL CDR1、配列番号5のアミノ酸配列(AASNRES)を有するVL CDR2、及び配列番号6のアミノ酸配列(QQTRKVPYT)を有するVL CDR3を含む、軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0073】
上記の6つのアミノ酸配列は、Kabat et al.,(1991)Sequences of Immunological Interest,5th edition,NIH,Bethesda,Md.に従って定義される、相補性決定領域(CDR)を表す(この開示は、参照により本明細書に組み込まれる)。Kabatの番号付けスキーム(Kabat et al.,1991)は、この説明を通して使用される。
【0074】
特定の実施形態によれば、本発明の放射性コンジュゲートは、h11B6抗体を含み、これは、配列番号8のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%の配列同一性を有するを有する重鎖可変領域(VH)、及び/又は配列番号9のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0075】
特定の実施形態によれば、本発明の放射性コンジュゲートは、h11B6抗体を含み、これは、配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)及び/又は配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0076】
配列番号8は、以下のものである。
QVQLQESGPGLVKPSDTLSLTCAVSGNSITSDYAWNWIRQPPGKG LEWIGYISYSGSTTYNPSLKSRVTMSRDTSKNQFSLKLSSVTAVD TAVYYCATGYYYGSGFWGQGTLVTVSS
【0077】
配列番号9は、以下のものである。
DIVLTQSPDSLAVSLGERATINCKASESVEYFGTSLMHWYQQKP GQPPKLLIYAASNRESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAV YYCQQTRKVPYTFGQGTKLEIK
【0078】
特定の実施形態によれば、本発明の放射性コンジュゲートは、h11B6抗体を含み、これは、配列番号10のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%の配列同一性を有するを有する重鎖定常領域、及び/又は配列番号11のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%の配列同一性を有する軽鎖定常領域を含む。
【0079】
特定の実施形態によれば、本発明の放射性コンジュゲートは、h11B6抗体を含み、これは、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域及び/又は配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域を含む。
【0080】
配列番号10は、以下のものである。
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0081】
配列番号11は、以下のものである。
RTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0082】
特定の実施形態によれば、本発明の放射性コンジュゲートは、h11B6抗体を含み、これは、配列番号12のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%の配列同一性を有するを有する重鎖、及び/又は配列番号13のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも98%の配列同一性を有する軽鎖を含む。
【0083】
特定の実施形態によれば、本発明の放射性コンジュゲートは、h11B6抗体を含み、これは、配列番号12のアミノ酸配列を有する重鎖及び/又は配列番号13のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。
【0084】
h11B6重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、
図7にも示す。
【0085】
特定の実施形態によれば、本発明の抗体(例えば、h11B6)は、IgA、IgD、IgE、IgG、又はIgM分子などのインタクトな(すなわち、完全な)抗体を含むか、又はそれからなる。
【0086】
特定の実施形態によれば、本発明の抗体(例えば、h11B6)は、インタクトなIgG分子、又はその変異体を含むか、又はそれからなる。IgG分子は、任意の既知のサブタイプ、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4であり得る。
【0087】
特定の実施形態によれば、本発明の放射性コンジュゲートは、IgG1抗体であるh11B6抗体を含む。特定の実施形態によれば、本発明の放射性コンジュゲートは、IgG1カッパアイソタイプであるh11B6抗体を含む。特定の実施形態によれば、本発明の放射性コンジュゲートは、IgG1抗体又はその変異体(Fc変異体など)であるh11B6抗体を含む。
【0088】
一実施形態によれば、本発明の放射性コンジュゲートは、任意選択的にリンカーを介してDOTAにコンジュゲートされた抗体を含む。例えば、h11B6抗体をDOTAにコンジュゲートして、DOTA-h11B6コンジュゲート中間体を生成することができ、次いでDOTA-h11B6を225Acにキレート化して、放射性コンジュゲート225Ac-DOTA-h11B6を生成する。
【0089】
ある特定の実施形態によれば、DOTA-h11B6は、既知の方法に従って、h11B6をDOTA誘導体p-SCN-Bn-DOTA(CAS登録番号:127985-74-4、化学名:2-S-(4-イソチオシアナトベンジル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)に化学的にコンジュゲートし、h11B6 mAbのリジン側鎖のイプシロンアミノ基への複数のDOTA分子の付加をもたらすことによって形成される。次いで、DOTA-h11B6を225Acにキレート化して、放射性コンジュゲート225Ac-DOTA-h11B6を生成することができる。患者に投与されると、放射性コンジュゲート225Ac-DOTA-h11B6は、hK2発現細胞に結合し、それらの中で内在化することができる。
【0090】
一実施形態によれば、本発明の放射性コンジュゲートは、任意選択的にリンカーを介してTOPAにコンジュゲートされた抗体を含む。例えば、h11B6抗体をTOPAにコンジュゲートして、TOPA-h11B6コンジュゲート中間体を生成することができ、次いでTOPA-h11B6を225Acにキレート化して、放射性コンジュゲート225Ac-TOPA-h11B6を生成する。
【0091】
ある特定の実施形態によれば、TOPA-h11B6は、国際公開第2020/229974号又は国際出願第PCT/IB2021/060350号に記載されるように形成される。次いで、TOPA-h11B6を225Acにキレート化して、放射性コンジュゲート225Ac-TOPA-h11B6を生成することができる。患者に投与されると、放射性コンジュゲート225Ac-TOPA-h11B6は、hK2発現細胞に結合し、それらの中で内在化することができる。
【0092】
一実施形態によれば、h11B6抗体などの本発明の抗体は、米国特許第10,100,125号及び同第9,873,891号に記載されるように調製することができ、これらは両方とも参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、h11B6などの本発明の抗体は、CHO-DG44細胞を使用して調製される。
【0093】
抗体の生成のための方法は、当該技術分野で周知である。例えば、組み換えポリペプチドの生成のための好適な方法は、原核生物又は真核生物宿主細胞内での発現など、当該技術分野で既知である(例えば、Sambrook&Russell,2000,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Third Edition,Cold Spring Harbor,N.Y.を参照されたく、この文書における関連する開示は、これにより参照により本明細書に組み込まれる)。
【0094】
本発明の一態様は、本発明の抗体又はその成分であるポリペプチド鎖をコードする単離された核酸分子を提供する。「核酸分子」は、DNA(例えば、ゲノムDNA又は相補的DNA)及びmRNA分子を含み、これらは、一本鎖又は二本鎖であり得る。一実施形態では、核酸分子は、cDNA分子である。核酸分子は、特定の宿主細胞内での抗体ポリペプチドの発現のために、例えば、ヒト細胞内での発現のために、コドン最適化され得ることが当業者によって理解される(例えば、Angov,2011,Biotechnol.J.6(6):650-659を参照されたい)。
【0095】
特定の実施形態では、本発明の核酸分子は、(a)配列番号14のヌクレオチド配列、及び/又は(b)配列番号15のヌクレオチド配列を含む。
【0096】
本発明の抗体変異体
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗体のアミノ酸配列の修飾が企図される。例えば、特異性、熱安定性、発現レベル、エフェクター機能、グリコシル化(例えば、フコシル化)、免疫原性の低減、又は溶解性を含むがこれらに限定されない、抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的特性を改善することが望ましい場合がある。したがって、本明細書に記載の抗体に加えて、抗体変異体もまた調製され得ることが企図される。例えば、抗体変異体は、適切なヌクレオチド変化を、コードするDNAに導入することによって、及び/又は所望の抗体若しくはポリペプチドを合成することによって調製することができる。当業者は、アミノ酸変化が、グリコシル化部位の数若しくは位置の変化、又は膜アンカー特性の変更などの、抗体の翻訳後プロセスを変更し得ることを理解する。
【0097】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗体は、例えば、任意のタイプの分子を抗体に共有結合させることによって、化学修飾される。抗体誘導体は、例えば、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、既知の保護基/遮断基による誘導体化、タンパク質分解切断、細胞リガンド又は他のタンパク質への結合などにより化学修飾されている抗体を含み得る。多数の化学修飾のうちのいずれも、特異的化学開裂、アセチル化、製剤化、ツニカマイシンの代謝合成などを含むがこれらに限定されない、既知の技法により実行することができる。加えて、抗体は、1つ又は2つ以上の非古典的アミノ酸を含有し得る。
【0098】
変異は、抗体又はポリペプチドをコードする1つ又は2つ以上のコドンの置換、欠失、又は挿入であってもよく、これは、天然配列の抗体又はポリペプチドと比較して、アミノ酸配列の変化を結果としてもたらす。アミノ酸置換は、ロイシンのセリンによる置き換え、例えば、保存的アミノ酸の置き換えなどの、あるアミノ酸を類似の構造的及び/又は化学的特性を有する別のアミノ酸に置き換えた結果であり得る。当業者に既知の標準的な技法を使用して、例えば、部位特異的変異誘発及びアミノ酸置換をもたらすPCR媒介変異誘発を含む変異を、本明細書で提供される分子をコードするヌクレオチド配列に導入することができる。挿入又は欠失は、任意選択的に、約1~5のアミノ酸の範囲であり得る。ある特定の実施形態では、置換、欠失、又は挿入は、元の分子と比較して、25未満のアミノ酸置換、20未満のアミノ酸置換、15未満のアミノ酸置換、10未満のアミノ酸置換、5未満のアミノ酸置換、4未満のアミノ酸置換、3未満のアミノ酸置換、又は2未満のアミノ酸置換を含む。特定の実施形態では、置換は、1つ又は2つ以上の予測される非必須アミノ酸残基で行われる保存的アミノ酸置換である。許容される変異は、配列内に、アミノ酸の挿入、欠失、又は置換を体系的に行い、結果として得られる変異体を、全長天然配列又は成熟天然配列が呈する活性について試験することにより決定することができる。
【0099】
アミノ酸配列の挿入には、1つの残基から100以上の残基を含有するポリペプチドまでの長さのアミノ末端及び/又はカルボキシル末端の融合、並びに単一又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例としては、N末端メチオニル残基を有する抗体が挙げられる。抗体分子の他の挿入変異体は、抗体のN末端又はC末端の、酵素(例えば、抗体指向酵素によるプロドラッグ療法)又は抗体の血清半減期を延長するポリペプチドへの融合体を含む。
【0100】
「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、類似した電荷を持つ側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられるアミノ酸置換である。類似した電荷を有する側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野で定義されている。これらのファミリーとしては、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非電荷極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸が挙げられる。あるいは、飽和変異誘発などにより、コード配列の全部又は一部に沿ってランダムに変異を導入することができ、得られた突然変異体の生物活性をスクリーニングして、活性を保持する突然変異体を同定することもできる。変異誘発の後、コードされたタンパク質を発現させ、タンパク質の活性を決定することができる。
【0101】
抗体の生物学的特性における実質的な修飾は、(a)置換領域内のポリペプチドの構造骨格、例えば、シート又はヘリックス立体構造、(b)標的部位における分子の電荷若しくは疎水性、又は(c)側鎖のバルク、の維持に対するそれらの効果が著明に異なる置換を選択することにより達成することができる。あるいは、保存的(例えば、類似した特性及び/又は側鎖による、アミノ酸群内の)置換は、特性を維持するか、又は有意に変化させないように行うことができる。アミノ酸は、それらの側鎖の特性の類似性に従ってグループ化することができる(例えば、Lehninger,Biochemistry 73-75(2d ed.1975)を参照されたい):(1)非極性:Ala(A)、Val(V)、Leu(L)、Ile(I)、Pro(P)、Phe(F)、Trp(W)、Met(M);(2)非荷電極性:Gly(G)、Ser(S)、Thr(T)、Cys(C)、Tyr(Y)、Asn(N)、Gln(Q);(3)酸性:Asp(D)、Glu(E);及び(4)塩基性:Lys(K)、Arg(R)、His(H)。
【0102】
あるいは、天然に存在する残基は、共通の側鎖特性に基づいてグループに分化されることもある:(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;(3)酸性:Asp、Glu;(4)塩基性:His、Lys、Arg;(5)鎖の向きに影響を与える残基:Gly、Pro;(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0103】
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを、別のクラスのメンバーと交換することを伴う。そのような置換残基はまた、保存的置換部位に、又は残りの(非保存的)部位に導入され得る。
【0104】
したがって、一実施形態では、hK2エピトープに結合する抗体は、本明細書に記載の抗体のアミノ酸配列、例えば、本明細書に記載のh11B6抗体のアミノ酸配列と、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0105】
本発明のキレート剤
特定の実施形態によれば、本発明のキレート剤は、金属、好ましくは放射性金属を錯体化して、放射性金属錯体を形成することができるキレート剤を指す。好ましくは、キレート剤は、大環状化合物である。ある特定の実施形態では、キレート剤は、環原子として1つ又は2つ以上のヘテロ原子、例えば、酸素及び/又は窒素を含有する大環状分子又は大環状環を含む。
【0106】
特定の実施形態によれば、キレート剤は、大環状キレート化部分を含む。大環状キレート化部分の例にとしては、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA)、S-2-(4-イソチオシアナトベンジル)-1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸(NOTA)、1,4,8,11-テトラアザシクロドセダン(tetraazacyclodocedan)-1,4,8,11-四酢酸(TETA)、3,6,9,15-テトラアザビシクロ[9.3.1]-ペンタデカ-1(15),11,13-トリエン-4-(S)-(4-イソチオシアナトベンジル)-3,6,9-三酢酸(PCTA)、5-S-(4-アミノベンジル)-1-オキサ-4,7,10-トリアザシクロドデカン-4,7,10-トリス(酢酸)(DO3A)、又はその誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、キレート剤は、1,4,7,10テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10,四酢酸(DOTA)である。他の態様では、キレート剤は、S-2-(4-イソチオシアナトベンジル)-1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸(NOTA)である。更なる態様では、キレート剤は、1,4,8,11-テトラアザシクロドセダン(tetraazacyclodocedan)-1,4,8,11-四酢酸(TETA)である。更に他の態様では、キレート剤は、3,6,9,15-テトラアザビシクロ[9.3.1]-ペンタデカ-1(15),11,13-トリエン-4-(S)-(4-イソチオシアナトベンジル)-3,6,9-三酢酸(PCTA)である。なお更なる態様では、キレート剤は、5-S-(4-アミノベンジル)-1-オキサ-4,7,10-トリアザシクロドデカン-4,7,10-トリス(酢酸)(DO3A)である。他の態様では、キレート剤は、DOTA、DFO、DTPA、NOTA、又はTETAである。
【0107】
代替実施形態では、キレート剤は、4,13-ジアザ-18-クラウン-6の誘導体である大環状分子を含む。4,13-ジアザ-18-クラウン-6は、様々な方法で調製することができる(例えば、Gatto et al.,Org.Synth.1990,68,227;doi:10.15227/orgsyn.068.0227を参照されたい)。本発明の更なる実施形態によれば、キレート剤は、国際公開第2020/229974号に記載されているものなどのH2bp18c6又はH2bp18c6誘導体である。H2bp18c6は、本明細書に記載のN,N’-ビス[(6-カルボキシ-2-ピリジル)メチル]-4,13-ジアザ-18-クラウン-6を指す。H2bp18c6及びH2bp18c6誘導体はまた、例えば、Thiele et al.”An Eighteen-Membered Macrocyclic Ligand for Actinium-225 Targeted Alpha Therapy”Angew.Chem.Int.Ed.(2017)56,14712-14717、及びRoca-Sabio et al.”Macrocyclic Receptor Exhibiting Unprecedented Selectivity for Light Lanthanides”J.Am.Chem.Soc.(2009)131,3331-3341にも記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。本発明による使用に好適な追加のキレート剤は、国際公開第2018/183906号及び国際公開第2020/106886号に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0108】
本明細書で使用される場合、「TOPA」という用語は、H2bp18c6として当該技術分野で既知の大環状分子を指し、これは、代替的に、N,N’-ビス[(6-カルボキシ-2-ピリジル)メチル]-4,13-ジアザ-18-クラウン-6、又は6,6’-((1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7,16-ジイル)ビス(メチレン))ジピコリン酸と称されることもある。例えば、Roca-Sabioらを参照されたい。
【0109】
式(I)、(II)、及び(III)のキレート剤
本発明による使用に好適な追加のキレート剤は、国際公開第2020/229974号に記載されており、これは、参照により本明細書に組み込まれる。特定の実施形態によれば、例えば、国際公開第2020/229974号に記載されるように、キレート剤は、式(I)の構造:
【0110】
【化4】
(式中、
環A及び環Bの各々は、独立して、6~10員アリール又は5~10員ヘテロアリールであり、環A及び環Bの各々は、任意選択的に、ハロ、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-OR
13、-SR
13、-(CH
2)
pCOOR
13、-OC(O)R
13、-N(R
13)
2、-CON(R
13)
2、-NO
2、-CN-OC(O)N(R
13)
2、及びXからなる群から独立して選択される1つ以上の置換基で置換されてもよく、
Z
1及びZ
2の各々は、独立して、(C(R
12)
2)
m-、又は-(CH
2)
n-C(R
12)(X)-(CH
2)
n-であり、
各Xは、独立して、-L
1-R
11であり、
各nは、独立して、0、1、2、3、4、又は5であり、
各mは、独立して、1、2、3、4、又は5であり、
各pは、独立して、0又は1であり、
L
1は、存在しないか、又はリンカーであり、
R
11は、求核性部分若しくは求電子性部分であるか、又はR
11は、抗体若しくは抗原結合ドメインを含み、
各R
12は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、又はヘテロアリールであり、
各R
13は、独立して、水素又はアルキルであり、
R
14、R
15、R
16、及びR
17の各々は、独立して、水素、アルキル、又はXであり、
あるいは、R
14及びR
15並びに/又はR
16及びR
17は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、任意選択的にXで置換される5員又は6員シクロアルキル環を形成し、
ただし、キレート剤は、少なくとも1つのXを含み、Xが環A又は環B上に存在する場合、L
1がリンカーであるか、又はR
12及びR
14~R
17のうちの少なくとも1つが水素ではないことを条件とする)を有する。
【0111】
本発明の実施形態によれば、キレート剤は、少なくとも1つのX基を含む(式中、Xは、-L1-R11であり、L1は、存在しないか、若しくはリンカーであり、R11は、求電子性部分若しくは求核性部分であるか、又はR11は、抗体若しくは抗原結合ドメインを含む)。R11が求核性部分又は求電子性部分である場合、そのような部分を使用して、直接的に、又はリンカーを介して間接的に、抗体又は抗原結合ドメインにキレート剤を結合させることができる。好ましい実施形態によれば、R11は、h11B6などのhK2に対する結合特異性を有する抗体を含む。
【0112】
ある特定の実施形態では、キレート剤は、単一のX基を含み、好ましくはX基のL1は、リンカーである。
【0113】
本発明のキレート剤は、大環状環の炭素原子、Z1若しくはZ2位、又は環A若しくは環B上のうちのいずれか1つにおいてXで置換することができ、ただし、環A又は環BがX基を含む場合、L1がリンカーであるか、又はR12及びR14~R17-のうちの少なくとも1つが水素ではない(すなわち、Z1、Z2の炭素原子及び/又は大環状環の炭素のうちの少なくとも1つが、例えば、メチル又はエチルなどのアルキル基で置換されている)ことを条件とする。好ましくは、そのような位置での置換は、放射性金属イオン、特に225Acに対するキレート剤のキレート化効率に影響せず、いくつかの実施形態では、置換は、キレート化効率を高めることができる。
【0114】
いくつかの実施形態では、L1は、存在しない。L1が存在しない場合、R11は、キレート剤に直接結合される(例えば、共有結合を介して)。
【0115】
いくつかの実施形態では、L1は、リンカーである。式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、及び(VI)の化合物に関して本明細書で使用される場合、L1は、キレート剤を、求核性部分、求電子性部分、抗体、又は抗原結合ドメインに連結する化学部分を指す。本開示を考慮して、当業者に既知の任意の好適なリンカーを本発明で使用することができる。リンカーは、例えば、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換ヘテロアルキル部分、置換若しくは非置換アリール若しくはヘテロアリール、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol、PEG)リンカー、ペプチドリンカー、糖ベースのリンカー、又は切断可能なリンカー(ジスルフィド結合若しくはプロテアーゼ切断部位(バリン-シトルリン-p-アミノベンジル(p-aminobenzyl、PABなど)など)を含有することができる。使用に好適な例示的なリンカー構造としては、
【0116】
【化5】
が挙げられるが、これらに限定されない(式中、nは、0~10の整数、好ましくは1~4の整数であり、mは、0~12の整数、好ましくは0~6の整数である)。
【0117】
いくつかの実施形態では、R11は、求核性部分又は求電子性部分である。「求核性部分」又は「求核基」は、化学反応において共有結合を形成するために電子対を供与する官能基を指す。「求電子性部分」又は「求電子基」は、化学反応において共有結合を形成するために電子対を受容する官能基を指す。求核基は、化学反応において、新たな共有結合を形成するために求電子基と反応し、その逆もしかりである。本発明のキレート剤の求核基又は求電子基と、対応する反応パートナーを含む抗体又は抗原結合ドメイン又は他の化学部分(例えば、リンカー)との反応により、本発明のキレート剤への抗体又は抗原結合ドメイン又は化学部分の共有結合が可能になる。
【0118】
求核基の例示的な例としては、アジド、アミン、及びチオールが挙げられるが、これらに限定されない。求電子基の例示的な例としては、アミン反応性基、チオール反応性基、アルキニル、及びシクロアルキニルが挙げられるが、これらに限定されない。アミン反応性基は、好ましくは、各ポリペプチド鎖のN末端及びリジン残基の側鎖に存在する一級アミンを含む、一級アミンと反応する。本発明での使用に好適なアミン反応性基の例としては、N-ヒドロキシスクシンイミド(N-hydroxy succinimide、NHS)、置換NHS(スルホ-NHSなど)、イソチオシアネート(-NCS)、イソシアネート(-NCO)、エステル、カルボン酸、ハロゲン化アシル、アミド、アルキルアミド、並びにテトラフルオロフェニルエステル及びパーフルオロフェニルエステルが挙げられるが、これらに限定されない。チオール反応性基は、チオール又はスルフヒドリルと反応し、好ましくは、ポリペプチドのシステイン残基の側鎖に存在するチオールと反応する。本発明での使用に好適なチオール反応性基の例としては、マイケル受容体(例えば、マレイミド)、ハロアセチル、ハロゲン化アシル、活性化ジスルフィド、及びフェニルオキサジアゾールスルホンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0119】
特定の実施形態では、R11は、-NH2、-NCS(イソチオシアネート)、-NCO(イソシアネート)、-N3(アジド)、アルキニル、シクロアルキニル、カルボン酸、エステル、アミド、アルキルアミド、マレイミド、ハロゲン化アシル、テトラジン、又はトランス-シクロオクテン、より具体的には-NCS、-NCO、-N3、アルキニル、シクロアルキニル、-C(O)R13、-COOR13、-CON(R13)2、マレイミド、ハロゲン化アシル(例えば、-C(O)Cl、-C(O)Br)、テトラジン、又はトランス-シクロオクテンであり、各R13は、独立して、水素又はアルキルである。
【0120】
いくつかの実施形態では、R11は、アルキニル、シクロアルキニル、又はアジド基であり、したがってクリック化学反応を使用して、抗体又は抗原結合ドメイン又は他の化学部分(例えば、リンカー)へのキレート剤の結合を可能にする。そのような実施形態では、実施することができるクリック化学反応は、1,2,4-トリアゾールリンカー又は部分を形成するためのアジド(-N3)とアルキニル基又はシクロアルキニル基との間のヒュスゲン環化付加又は1,3-双極子環化付加である。一実施形態では、キレート剤は、アルキニル又はシクロアルキニル基を含み、抗体又は抗原結合ドメイン又は他の化学部分は、アジド基を含む。別の実施形態では、キレート剤は、アジド基を含み、抗体又は抗原結合ドメイン又は他の化学部分は、アルキニル又はシクロアルキニル基を含む。
【0121】
ある特定の実施形態では、R11は、アルキニル基であり、より好ましくは、特に、歪み促進型アジド-アルキンシクロ環化付加(strain-promoted azide-alkyne cycloaddition、SPAAC)を介してアジド基と反応性である末端アルキニル基又はシクロアルキニル基である。SPAACを介してアジド基と反応することができるシクロアルキニル基の例としては、シクロオクチニル又はビシクロノニニル(bicyclononynyl、BCN)、ジフッ素化シクロオクチニル(difluorinated cyclooctynyl、DIFO)、ジベンゾシクロオクチニル(dibenzocyclooctynyl、DIBO)、ケト-DIBO、ビアリールアザシクロオクチノニル(biarylazacyclooctynonyl、BARAC)、ジベンゾアザシクロオクチニル(DIBAC、DBCO、ADIBO)、ジメトキシアザシクロオクチニル(dimethoxyazacyclooctynyl、DIMAC)、ジフルオロベンゾシクロオクチニル(difluorobenzocyclooctynyl、DIFBO)、モノベンゾシクロオクチニル(monobenzocyclooctynyl、MOBO)、及びテトラメトキシジベンゾシクロオクチニル(tetramethoxy dibenzocyclooctynyl、TMDIBO)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
特定の実施形態では、R11は、以下の構造を有するジベンゾアザシクロオクチニル(DIBAC、DBCO、ADIBO)である:
【0123】
【化6】
R
11がDBCOであるそのような実施形態では、DBCOは、直接的に、又はリンカーを介して間接的に化合物に共有結合することができ、好ましくは、リンカーを介して間接的に化合物に結合する。
【0124】
いくつかの実施形態では、R11は、抗体又は抗原結合ドメインを含む。抗体又は抗原結合ドメインは、共有結合を介して直接的に、又はリンカーを介して間接的にキレート剤に連結することができる。好ましい実施形態によれば、R11は、h11B6などのhK2に対する結合特異性を有する抗体を含む。
【0125】
本発明の実施形態によれば、環A及び環Bの各々は、独立して、6~10員アリール又は5~10員ヘテロアリールである。代替実施形態では、環A及び環Bの各々は、任意選択的に置換されたヘテロシクリル環(オキサゾリンなど)であることが企図される。環A及び環Bの各々は、ハロ、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-OR13、-SR13、-(CH2)pCOOR13、-OC(O)R13、-N(R13)2、-CON(R13)2、-NO2、-CN-OC(O)N(R13)2、及びXからなる群から独立して選択される1つ以上の置換基で、任意選択的にかつ独立して置換することができる。この目的に好適な6~10員アリール基の例としては、フェニル及びナフチルが挙げられるが、これらに限定されない。この目的に好適な5~10員ヘテロアリール基の例としては、ピリジニル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、及びイミダゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。5~10員ヘテロアリール基及び6~10員アリール基の好適な置換基の例としては、-COOH、テトラゾリル、及び-CH2COOHが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、置換基は、-COOH、又は-COOHのアイソスターであるテトラゾリルである。
【0126】
ある特定の実施形態では、環A及び環Bの各々は、独立してかつ任意選択的に、-COOH及び-CH2COOHであるがこれらに限定されない、1つ以上のカルボキシル基で置換されている。
【0127】
ある特定の実施形態では、環A及び環Bの各々は、独立してかつ任意選択的にテトラゾリルで置換されている。
【0128】
一実施形態では、環A及び環Bは同じであり、例えば、環A及び環Bの両方がピリジニルである。別の実施形態では、環A及び環Bは異なり、例えば、環A及び環のうちの1つがピリジニルであり、他方がフェニルである。
【0129】
特定の実施形態では、環A及び環Bの両方は、-COOHで置換されたピリジニルである。
【0130】
特定の実施形態では、環A及び環Bの両方は、テトラゾリルで置換されたピリジニルである。
【0131】
別の特定の実施形態では、環A及び環Bの両方は、以下の構造を有するピコリン酸基である:
【0132】
【0133】
本発明の実施形態によれば、Z1及びZ2の各々は、独立して、-(C(R12)2)m又は-(CH2)n-C(R12)(X)-(CH2)n-であり、各Xは、独立して、-L1-R11であり、各R12は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールであり、各nは、独立して、0、1、2、3、4、又は5であり、各mは、独立して、1、2、3、4、又は5である。
【0134】
いくつかの実施形態では、各R12は、独立して、水素又はアルキルであり、より好ましくは、水素、-CH3、又は-CH2CH3である。
【0135】
いくつかの実施形態では、各R12は、水素である。
【0136】
いくつかの実施形態では、Z1及びZ2の両方は、-(CH2)m-である(式中、各mは、好ましくは1である)。そのような実施形態では、大環状環、環A、又は環Bの炭素原子は、X基で置換される。
【0137】
いくつかの実施形態では、Z1及びZ2の一方は、-(CH2)n-C(R12)(X)-(CH2)n-であり、他方は、-(CH2)m-である。
【0138】
いくつかの実施形態では、Z1及びZ2-(CH2)n-C(R12)(X)-(CH2)n-であり、他方は、-(CH2)m-であり、各nは、0であり、mは、1であり、Xは、-L1-R11であり、L1は、リンカーである。
【0139】
いくつかの実施形態では、Z1及びZ2の両方は、-(CH2)m-であり、各mは、独立して、0、1、2、3、4、又は5であり、好ましくは各mは、1であり、R14、R15、R16、及びR17のうちの1つは、Xであり、R14、R15、R16及びR17の残りは、各々水素である。
【0140】
いくつかの実施形態では、R14及びR15は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員又は6員シクロアルキル環(すなわち、シクロペンチル又はシクロヘキシル)を形成する。そのような5員又は6員シクロアルキル環は、X基で置換することができる。
【0141】
いくつかの実施形態では、R16及びR17は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員又は6員シクロアルキル環(すなわち、シクロペンチル又はシクロヘキシル)を形成する。そのような5員又は6員シクロアルキル環は、X基で置換することができる。
【0142】
ある特定の実施形態では、キレート剤は、式(II)の構造:
【0143】
【化8】
(式中、
A
1は、N若しくはCR
1であるか、又は存在せず、
A
2は、N又はCR
2であり、
A
3は、N又はCR
3であり、
A
4は、N又はCR
4であり、
A
5は、N又はCR
5であり、
A
6は、N若しくはCR
6であるか、又は存在せず、
A
7は、N又はCR
7であり、
A
8は、N又はCR
8であり、
A
9は、N又はCR
9であり、
A
10は、N又はCR
10であり、
ただし、A
1、A
2、A
3、A
4、及びA
5のうちの3つ以下が、Nであり、A
6、A
7、A
8、A
9、及びA
10のうちの3つ以下が、Nであることを条件とし、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、及びR
10の各々は、独立して、水素、ハロ、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、OR
13、-SR
13、-(CH
2)
pCOOR
13、-OC(O)R
13、-N(R
13)
2、-CON(R
13)
2、-NO
2、-CN-OC(O)N(R
13)
2、及び-Xからなる群から選択され、
あるいは、任意の2つの直接隣接するR
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、及びR
10は、それらが結合している原子と一緒になって、5員又は6員置換又は非置換炭素環又は窒素含有環を形成し、
Z
1、Z
2、X、n、m、p、L
1、及びR
11~R
17は、式(I)について上述したとおりであり、
ただし、キレート剤は、少なくとも1つのXを含み、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、及びR
10のいずれか1つがXである場合、L
1はリンカーであるか、又はR
12及びR
14~R
17の少なくとも1つは水素ではないことを条件とする)を有する。
【0144】
いくつかの実施形態では、任意の2つの直接隣接するR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、及びR10は、それらが結合している原子と一緒になって、5員又は6員置換又は非置換炭素環式環又は窒素含有環を形成する。形成することができるそのような炭素環の例としては、ナフチルが挙げられるが、これに限定されない。形成することができるそのような窒素含有環の例としては、キノリニルが挙げられるが、これに限定されない。炭素環又は窒素含有環は、非置換であってもよいか、又は1つ以上の好適な置換基、例えば、-COOH、-CH2COOH、テトラゾリルなどで置換されてもよい。
【0145】
いくつかの実施形態では、L1は、存在しない。L1が存在しない場合、R11は、キレート剤に直接結合される(例えば、共有結合を介して)。
【0146】
いくつかの実施形態では、L1は、リンカーである。本開示を考慮して、上記のものなどの、当業者に既知の任意の好適なリンカーを本発明で使用することができる。
【0147】
いくつかの実施形態では、A1、A2、A3、A4、及びA5のうちの1つは窒素であり、A1、A2、A3、A4、及びA5のうちの1つは-COOHで置換された炭素であり、残りはCHである、すなわち、カルボン酸で置換されたピリジニル環を形成する。
【0148】
いくつかの実施形態では、A6、A7、A8、A9、及びA10のうちの1つは窒素であり、A6、A7、A8、A9、及びA10のうちの1つは-COOHで置換された炭素であり、残りはCHである、すなわち、カルボン酸で置換されたピリジニル環を形成する。
【0149】
一実施形態では、R1、R2、R3、R4、及びR5のうちの少なくとも1つは、-COOHである。一実施形態では、R6、R7、R8、R9、及びR10のうちの少なくとも1つは、-COOHである。別の実施形態では、R1、R2、R3、R4、及びR5のうちの少なくとも1つは、-COOHであり、R6、R7、R8、R9、及びR10のうちの少なくとも1つは、-COOHである。
【0150】
いくつかの実施形態では、A1及びA10の各々は、窒素であり、A2は、CR2であり、R2は、-COOHであり、A9は、CR9であり、R9は、-COOHであり、A3~A8の各々は、それぞれ、CR2、CR3、CR4、CR5、CR6、CR7、及びCR8であり、R3~R8の各々は、水素である。
【0151】
いくつかの実施形態では、A1、A2、A3、A4、及びA5のうちの1つは窒素であり、A1、A2、A3、A4及びA5のうちの1つはテトラゾリルで置換された炭素であり、残りはCHである。
【0152】
いくつかの実施形態では、A6、A7、A8、A9、及びA10のうちの1つは窒素であり、A6、A7、A8、A9、及びA10のうちの1つはテトラゾリルで置換された炭素であり、残りはCHである。
【0153】
一実施形態では、R1、R2、R3、R4、及びR5のうちの少なくとも1つは、テトラゾリルである。一実施形態では、R6、R7、R8、R9、及びR10のうちの少なくとも1つは、テトラゾリルである。別の実施形態では、R1、R2、R3、R4、及びR5のうちの少なくとも1つは、テトラゾリルであり、R6,R7、R8、R9、及びR10のうちの少なくとも1つは、テトラゾリルである。
【0154】
いくつかの実施形態では、各R12は、水素である。
【0155】
いくつかの実施形態では、R11は、アルキニル基又はシクロアルキニル基、好ましくはシクロオクチニル又はシクロオクチニル誘導体、例えば、DBCOである。
【0156】
式(II)のキレート剤の特定の実施形態では、
A1及びA10の各々は、窒素であり、
A2は、CR2であり、R2は、-COOHであり、
A9は、CR9であり、R9は、-COOHであり、
A3~A8の各々は、それぞれ、CR2、CR3、CR4、CR5、CR6、CR7、及びCR8であり、
R3~R8の各々は、水素であり、
Z1及びZ2の一方が-(CH2)mであり、Z1及びZ2の他方が-(CH2)n-C(R12)(X)-(CH2)n-であり、
R12は、水素であり、
mは、1であり、
各nは、0であり、
Xは、-L1-R11であり、L1は、リンカーであり、-R11は、求電子基、例えば、シクロオクチニル又はDBCOなどのシクロオクチニル誘導体であり、
R14~R17の各々は、水素であり、あるいは、R16及びR17は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員又は6員シクロアルキルを形成する。
【0157】
ある特定の実施形態では、キレート剤は、式(III)の構造:
【0158】
【化9】
(式中、
各A
11は、独立して、O、S、NMe又はNHであり、
各R
18は、独立して、水素、ハロ、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-OR
13、-SR
13、-COOR
13、-OC(O)R
13、-N(R
13)
2、-CON(R
13)
2、-NO
2、-CN-OC(O)N(R
13)
2、及び-Xからなる群から選択され、
Z
1、Z
2、X、n、m、L
1、R
11~R
17は、式(I)について上述したとおりであり、
ただし、キレート剤は、少なくとも1つのXを含み、R
18がXである場合、L
1がリンカーであるか、又はR
12及びR
14~R
17のうちの少なくとも1つが水素ではないことを条件とする)を有する。
【0159】
いくつかの実施形態では、各A11は、同じであり、各A11は、O、S、NMe又はNHである。例えば、各A11は、Sであり得る。他の実施形態では、各A11は異なっており、各々が、独立して、O、S、NMe、及びNHから選択される。
【0160】
いくつかの実施形態では、各R18は、独立して、-(CH2p-COOR13又はテトラゾリルであり、R13は、水素であり、各pは、独立して、0又は1である。
【0161】
いくつかの実施形態では、各R18は、-COOHである。
【0162】
いくつかの実施形態では、各R18は、-CH2COOHである。
【0163】
いくつかの実施形態では、各R18は、テトラゾリルである。
【0164】
式(III)のキレート剤の特定の実施形態では、
各R18は、COOHであり、
Z1及びZ2の一方が-(CH2)mであり、Z1及びZ2の他方が-(CH2)n-C(R12)(X)-(CH2)n-であり、
R12は、水素であり、
mは、1であり、各nは、0であり、
Xは、-L1-R11であり、L1は、リンカーであり、-R11は、求電子基、例えば、シクロオクチニル又はDBCO若しくはBCNなどのシクロオクチニル誘導体であり、
R14~R17の各々は、水素であり、あるいは、R16及びR17は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員又は6員シクロアルキルを形成する。
【0165】
本発明の特定の実施形態は、以下:
【0166】
【化10】
(式中、
L
1は、存在しないか、又はリンカーであり、
R
11は、求核性部分若しくは求電子性部分であるか、又はR
11は、抗原結合ドメイン(例えば、h11B6)を含み、かつ
各R
12は、独立して、水素、-CH
3、又は-CH
2CH
3であるが、ただし、少なくとも1つのR
12は、-CH
3又は-CH
2CH
3であることを条件とする)からなる群から選択されるキレート剤である。
【0167】
いくつかの実施形態では、R11は、-NH2、-NCS、-NCO、-N3、アルキニル、シクロアルキニル、-C(O)R13、-COOR13、-CON(R13)2、マレイミド、ハロゲン化アシル、テトラジン、又はトランス-シクロオクテンである。
【0168】
ある特定の実施形態では、R11は、シクロオクチニル、又はビシクロノニニル(BCN)、ジフッ素化シクロオクチニル(DIFO)、ジベンゾシクロオクチニル(DIBO)、ケト-DIBO、ビアリールアザシクロオクチノニル(BARAC)、ジベンゾアザシクロオクチニル(DIBAC、DBCO、ADIBO)、ジメトキシアザシクロオクチニル(DIMAC)、ジフルオロベンゾシクロオクチニル(DIFBO)、モノベンゾシクロオクチニル(MOBO)、及びテトラメトキシジベンゾシクロオクチニル(TMDIBO)からなる群から選択されるシクロオクチニル誘導体である。
【0169】
好ましくは、R11は、アルキニル基又はシクロアルキニル基であり、より好ましくはシクロアルキニル基、例えば、DBCO又はBCNである。
【0170】
本発明の例示的なキレート剤としては、
【0171】
【0172】
【化12】
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0173】
そのようなキレート剤は、国際公開第2020/229974号に記載されているように、クリック化学反応を介してキレート剤をアジド標識抗体又は抗原結合ドメインと反応させて、1,2,3-トリアゾールリンカーを形成することによって、抗体又は抗原結合ドメインに共有結合して、免疫コンジュゲート又は放射性免疫コンジュゲートを形成することができる。
【0174】
本発明のキレート剤は、本開示を考慮して当該技術分野で既知の任意の方法によって製造することができる。例えば、ペンダント芳香族/ヘテロ芳香族基は、国際公開第2020/229974号に例示及び記載されているものなどの当該技術分野で既知の方法によって大環状環部分に結合することができる。
【0175】
式(IV)、(V)及び(VI)のキレート剤
本発明による使用に好適な追加のキレート剤は、国際出願第PCT/IB2021/060350号に記載されており、これは、参照により本明細書に組み込まれる。特定の実施形態によれば、例えば、国際出願第PCT/IB2021/060350号に記載されているように、キレート剤は、式(IV)の構造:
【0176】
【化13】
(式中、
R
1は、水素であり、R
2は、-L
1-R
4であり、
あるいは、R
1は、-L
1-R
4であり、R
2は、水素であり、
R
3は、水素であり、
あるいは、R
2及びR
3は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員又は6員シクロアルキルを形成し、5員又は6員シクロアルキルは、-L
1-R
4で任意選択的に置換されており、
L
1は、存在しないか、又はリンカーであり、
R
4は、求核性部分、求電子性部分、又は抗体若しくは抗原結合ドメイン(例えば、h11B6)である)又はその医薬的に許容される塩を有する。
【0177】
いくつかの実施形態では、L1は、存在しない。L1が存在しない場合、R4は、化合物に直接結合される(例えば、共有結合を介して)。
【0178】
いくつかの実施形態では、L1は、リンカーである。本明細書で使用される場合、「リンカー」という用語は、本発明の化合物を、求核性部分、求電子性部分、又は抗体若しくは抗原結合ドメインに連結する化学部分を指す。本開示を考慮して、当業者に既知の任意の好適なリンカーを本発明で使用することができる。リンカーは、例えば、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換ヘテロアルキル部分、置換若しくは非置換アリール若しくはヘテロアリール、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol、PEG)リンカー、ペプチドリンカー、糖ベースのリンカー、又は切断可能なリンカー(ジスルフィド結合若しくはプロテアーゼ切断部位(バリン-シトルリン-p-アミノベンジル(p-aminobenzyl、PABなど)など)を有し得る。本発明での使用に好適な例示的なリンカー構造としては、
【0179】
【化14】
が挙げられるが、これらに限定されない(式中、mは、0~12の整数である)。
【0180】
いくつかの実施形態では、R4は、求核性部分又は求電子性部分である。「求核性部分」又は「求核基」は、化学反応において共有結合を形成するために電子対を供与する官能基を指す。「求電子性部分」又は「求電子基」は、化学反応において共有結合を形成するために電子対を受容する官能基を指す。求核基は、化学反応において、新たな共有結合を形成するために求電子基と反応し、その逆もしかりである。本発明の化合物の求核基又は求電子基と、対応する反応パートナーを含む抗体又は抗原結合ドメイン又は他の化学部分(例えば、リンカー)との反応により、本発明の化合物への抗体又は抗原結合ドメイン又は化学部分の共有結合が可能になる。
【0181】
求核基の例としては、アジド、アミン、及びチオールが挙げられるが、これらに限定されない。求電子基の例としては、アミン反応性基、チオール反応性基、アルキニル、及びシクロアルキニルが挙げられるが、これらに限定されない。アミン反応性基は、好ましくは、各ポリペプチド鎖のN末端及びリジン残基の側鎖に存在する一級アミンを含む、一級アミンと反応する。本発明での使用に好適なアミン反応性基の例としては、N-ヒドロキシスクシンイミド(N-hydroxy succinimide、NHS)、置換NHS(スルホ-NHSなど)、イソチオシアネート(-NCS)、イソシアネート(-NCO)、エステル、カルボン酸、ハロゲン化アシル、アミド、アルキルアミド、並びにテトラフルオロフェニルエステル及びパーフルオロフェニルエステルが挙げられるが、これらに限定されない。チオール反応性基は、チオール又はスルフヒドリルと反応し、好ましくは、ポリペプチドのシステイン残基の側鎖に存在するチオールと反応する。本発明での使用に好適なチオール反応性基の例としては、マイケル受容体(例えば、マレイミド)、ハロアセチル、ハロゲン化アシル、活性化ジスルフィド、及びフェニルオキサジアゾールスルホンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0182】
ある特定の実施形態では、R4は、-NH2、-NCS(イソチオシアネート)、-NCO(イソシアネート)、-N3(アジド)、アルキニル、シクロアルキニル、カルボン酸、エステル、アミド、アルキルアミド、マレイミド、ハロゲン化アシル、テトラジン、又はトランス-シクロオクテンであり、より具体的には、-NCS、-NCO、-N3、アルキニル、シクロアルキニル、-C(O)R13、-COOR13、-CON(R13)2、マレイミド、ハロゲン化アシル(例えば、-C(O)Cl、-C(O)Br)、テトラジン、又はトランス-シクロオクテンである(式中、各R13は、独立して、水素又はアルキルである)。
【0183】
いくつかの実施形態では、R4は、アルキニル、シクロアルキニル又はアジド基であり、したがって、クリック化学反応を使用した抗体又は抗原結合ドメイン又は他の化学部分(例えば、リンカー)への本発明の化合物の結合を可能にする。そのような実施形態では、実施することができるクリック化学反応は、1,2,4-トリアゾールリンカー又は部分を形成するためのアジド(-N3)とアルキニル基又はシクロアルキニル基との間のヒュスゲン環化付加又は1,3-双極子環化付加である。一実施形態では、本発明の化合物は、アルキニル基又はシクロアルキニル基を含み、抗体又は抗原結合ドメイン又は他の化学部分は、アジド基を含む。別の実施形態では、本発明の化合物は、アジド基を含み、抗体又は抗原結合ドメイン又は他の化学部分は、アルキニル又はシクロアルキニル基を含む。
【0184】
ある特定の実施形態では、R4は、アルキニル基であり、より好ましくは、特に、歪み促進型アジド-アルキンシクロ環化付加(SPAAC)を介してアジド基と反応性である末端アルキニル基又はシクロアルキニル基である。SPAACを介してアジド基と反応することができるシクロアルキニル基の例としては、シクロオクチニル又はビシクロノニニル(BCN)、ジフッ素化シクロオクチニル(DIFO)、ジベンゾシクロオクチニル(DIBO)、ケト-DIBO、ビアリールアザシクロオクチノニル(BARAC)、ジベンゾアザシクロオクチニル(DIBAC、DBCO、ADIBO)、ジメトキシアザシクロオクチニル(DIMAC)、ジフルオロベンゾシクロオクチニル(DIFBO)、モノベンゾシクロオクチニル(MOBO)、及びテトラメトキシジベンゾシクロオクチニル(TMDIBO)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0185】
ある特定の実施形態では、R4は、以下の構造を有するジベンゾアザシクロオクチニル(DIBAC、DBCO、ADIBO)である:
【0186】
【化15】
R
4がDBCOである実施形態では、DBCOは、直接的に又はリンカーを介して間接的に化合物に共有結合することができ、好ましくは、リンカーを介して間接的に化合物に結合する。
【0187】
ある特定の実施形態では、R4は、抗体又は抗原結合ドメインを含む。抗体又は抗原結合ドメインは、共有結合を介して直接的に、又はリンカーを介して間接的に化合物に連結することができる。好ましい実施形態では、抗体又は抗原結合ドメインは、h11B6などのhK2に対する結合特異性を有する。
【0188】
別の実施形態では、キレート剤は、式(V):
【0189】
【化16】
(式中、
L
1は、存在しないか、又はリンカーであり、
R
4は、求核性部分、求電子性部分、又は抗体若しくは抗原結合ドメインである)の化合物又はその医薬的に許容される塩を対象とする。
【0190】
別の実施形態では、キレート剤は、式(VI):
【0191】
【化17】
(式中、
L
1は、存在しないか、又はリンカーであり、
R
4は、求核性部分、求電子性部分、又は抗体若しくは抗原結合ドメイン(例えば、h11B6)である)の化合物又はその医薬的に許容される塩である。
【0192】
別の実施形態では、キレート剤は、上述の化合物(式中、R1は、-L1-R4であり、R2及びR3は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員又は6員シクロアルキルを形成し、L1は、存在しないか、又はリンカーであり、R4は、求核性部分、求電子性部分、又は抗体若しくは抗原結合ドメインである)又はその医薬的に許容される塩である。
【0193】
更なる実施形態では、キレート剤は、上述の化合物(式中、R1は、Hであり、R2及びR3は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、-L1-R4で置換されている5員又は6員のシクロアルキルを形成し、L1は、存在しないか、又はリンカーであり、R4は、求核性部分、求電子性部分、又は抗体若しくは抗原結合ドメインである)又はその医薬的に許容される塩である。
【0194】
上述のキレート剤の追加の実施形態は、R4が抗体であるものを含む。好ましい実施形態によれば、R4は、h11B6などのhK2に対する結合特異性を有する抗体を含む。
【0195】
一実施形態では、キレート剤は、以下の化合物及びそれらの医薬的に許容される塩からなる群から独立して選択される任意の1つ又は2つ以上である:
【0196】
【0197】
【0198】
一実施形態では、本発明の放射性コンジュゲートは、以下の式のキレート剤又はその医薬的に許容される塩を含む:
【0199】
【0200】
当該キレート剤は、例えば、国際公開第2020/229974号又は国際出願第PCT/IB2021/060350号に記載されているように、クリック化学反応を介して化合物をアジド標識抗体又は抗原結合ドメインと反応させて、1,2,3-トリアゾールリンカーを形成することによって、抗体又は抗原結合ドメイン(例えば、h11B6)に共有結合して、免疫コンジュゲート又は放射性免疫コンジュゲートを形成することができる。
【0201】
本発明のキレート剤、放射性金属錯体、及び放射性免疫コンジュゲートは、本開示を考慮して当該技術分野で既知の任意の方法によって製造することができる。例えば、ペンダント芳香族/ヘテロ芳香族基は、国際公開第2020/229974号及び国際出願第PCT/IB2021/060350号に例示及び記載されているものなどの当該技術分野で既知の方法によって大環状環部分に結合することができる。
【0202】
化学命名法
当業者は、化合物構造が、一般に認識されている命名システム及び記号を使用して命名又は同定され得ることを理解する。例として、化合物は、一般名、系統名、又は非系統名で命名又は同定され得る。化学の分野において一般に認識されている命名システム及び記号としては、ケミカル・アブストラクツ・サービス(Chemical Abstract Service、CAS)及び国際純正・応用化学連合(International Union of Pure and Applied Chemistry、IUPAC)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0203】
一般に、水素又はHなどの特定の元素への言及は、その元素の全ての同位体を含むことを意味する。例えば、R基が水素又はHを含むように定義される場合、重水素及びトリチウムも含む。したがって、トリチウム、C14、P32及びS35などの放射性同位体を含む化合物は、本技術の範囲内である。そのような標識を本技術の化合物に挿入するための手順は、本明細書の開示に基づいて、当業者には容易に明らかになるであろう。
【0204】
「置換された」という用語は、少なくとも1つの水素原子が非水素基で置き換えられていることを意味するが、ただし、全ての通常の原子価が維持され、置換が安定した化合物をもたらすことを条件とする。特定の基が「置換される」場合、その基は、置換基のリストから独立して選択される、1個又は2個以上の置換基、好ましくは1~5個の置換基、より好ましくは1~3個の置換基、最も好ましくは1~2個の置換基を有することができる。例えば、「置換された」は、その中に含有される水素原子への1つ又は2つ以上の結合が非水素又は非炭素原子への結合によって置き換えられる、以下に定義されるような有機基(例えば、アルキル基)を指す。置換された基はまた、炭素又は水素原子への1つ又は2つ以上の結合が、二重結合又は三重結合を含む1つ又は2つ以上の結合でヘテロ原子に置き換えられる基も含む。したがって、別途指定されない限り、置換された基は、1つ又は2つ以上の置換基で置換される。いくつかの実施形態では、置換された基は、1、2、3、4、5、又は6個の置換基で置換されている。置換基の例としては、ハロゲン(すなわち、F、Cl、Br、及びI);ヒドロキシル;アルコキシ、アルケノキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルオキシ、及びヘテロシクリルアルコキシ基;カルボニル(オキソ);カルボキシラート;エステル;ウレタン;オキシム;ヒドロキシルアミン;アルコキシアミン;アラルコキシアミン;チオール;スルフィド;スルホキシド;スルホン;スルホニル;ペンタフルオロスルファニル(すなわち、SF)、スルホンアミド;アミン;N-オキシド;ヒドラジン;ヒドラジド;ヒドラゾン;アジド;アミド;尿素;アミジン;グアニジン;エナミン;イミド;イソシアネート;イソチオシアネート;シアネート;チオシアネート;イミン;ニトロ基;ニトリル(すなわち、CN)などが挙げられる。「独立して」という用語は、置換基に関して使用されるとき、2つ以上のそのような置換基が可能である場合、そのような置換基は互いに同じでも異なってもよいことを意味する。
【0205】
置換されたシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、及びヘテロアリール基などの置換された環基は、水素原子への結合が炭素原子への結合で置き換えられている環及び環系も含む。したがって、置換されたシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、及びヘテロアリール基はまた、以下に定義されるような置換された又は非置換のアルキル、アルケニル、及びアルキニル基で置換され得る。
【0206】
本明細書で使用される場合、C1~C11、C1~C8、又はC1~C6などのCm~Cnは、基の前に使用される場合、m~n個の炭素原子を含有する基を指す。
【0207】
アルキル基には、1~12個の炭素原子、典型的には、1~10個の炭素原子、又はいくつかの実施形態では、1~8個、1~6個、若しくは1~4個の炭素原子を有する直鎖及び分岐鎖アルキル基が含まれる。例えば、アルキル基は、1~12個の炭素原子(C1~12アルキル)、又は1~8個の炭素原子(C1~8アルキル)、又は1~6個の炭素原子(C1~6アルキル)を含有し得る。直鎖アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、及びn-オクチル基などの基が挙げられる。分岐鎖アルキル基の例としては、イソプロピル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ネオペンチル、イソペンチル、及び2,2-ジメチルプロピル基が挙げられるが、これらに限定されない。アルキル基は、置換又は非置換であり得る。代表的な置換アルキル基は、上記に列挙された置換基などの置換基で1回又は2回以上置換されてもよく、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、ヒドロキシアルキル、チオアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アルコキシアルキル、カルボキシアルキルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0208】
シクロアルキル基は、環中に3~12個の炭素原子、又はいくつかの実施形態では、3~10個、3~8個、若しくは3~4個、5個、若しくは6個の炭素原子を有する単環式、二環式、又は三環式アルキル基を含む。例示的な単環式シクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチル基が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、シクロアルキル基は、3~8の環員を有するが、他の実施形態では、環炭素原子の数は、3~5個、3~6個、又は3~7個の範囲である。二環式及び三環式環系は、架橋シクロアルキル基及び縮合環の両方を含み、例えば、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、アダマンチル、デカリニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。シクロアルキル基は、置換又は非置換であり得る。置換されたシクロアルキル基は、上記で定義されたように、非水素基及び非炭素基で1回又は2回以上置換され得る。しかしながら、置換されたシクロアルキル基はまた、上記で定義された直鎖又は分岐鎖アルキル基で置換される環も含む。代表的な置換されたシクロアルキル基は、一置換であっても、2回以上置換されてもよく(2,2-、2,3-、2,4-2,5-、又は2,6-二置換シクロヘキシル基などであるが、これらに限定されない)、これらは、上記に列挙された置換基などの置換基で置換され得る。
【0209】
シクロアルキルアルキル基は、アルキル基の水素又は炭素結合が、上記で定義したシクロアルキル基への結合で置き換えられている、上記で定義されたアルキル基である。いくつかの実施形態では、シクロアルキルアルキル基は、4~16個の炭素原子、4~12個の炭素原子、典型的には、4~10個の炭素原子を有する。シクロアルキルアルキル基は、置換又は非置換であり得る。置換シクロアルキルアルキル基は、基のアルキル部分、シクロアルキル部分、又はアルキル部分及びシクロアルキル部分の両方で置換されてもよい。代表的な置換シクロアルキルアルキル基は、一置換であっても、2回以上置換されてもよく、上記に列挙されたものなどの置換基での一置換、二置換、又は三置換であり得るが、これらに限定されない。
【0210】
アルケニル基は、少なくとも1つの二重結合が2つの炭素原子の間に存在することを除いて、上記で定義された直鎖及び分岐鎖アルキル基を含む。アルケニル基は、2~12個の炭素原子、典型的には、2~10個の炭素原子、又はいくつかの実施形態では、2~8個、2~6個、若しくは2~4個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、アルケニルは、1つの炭素-炭素二重結合、又は2、3、4個以上の炭素-炭素二重結合などの複数の炭素-炭素二重結合を有することができる。アルケニル基の例としては、メテニル、エテニル、プロペニル、ブテニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。アルケニル基は、置換又は非置換であり得る。代表的な置換アルケニル基は、一置換であるか、又は2回以上置換されてもよく、例えば、上記に列挙された置換基での一置換、二置換、又は三置換であり得るが、これらに限定されない。
【0211】
シクロアルケニル基は、少なくとも1つの二重結合が2つの炭素原子の間にある、上で定義されたシクロアルキル基を含む。シクロアルケニル基は、環中に3~12個、より好ましくは3~8個の炭素原子を有し、かつ2個の炭素原子間に少なくとも1つの二重結合を含む、単環式又は多環式アルキル基であり得る。シクロアルケニル基は、置換又は非置換であり得る。いくつかの実施形態では、シクロアルケニル基は、1つ、2つ、若しくは3つの二重結合、又は2つ、3つ、4つ、若しくはそれ以上の炭素-炭素二重結合などの複数の炭素-炭素二重結合を有し得るが、芳香族化合物は含まない。シクロアルケニル基は、3~14個の炭素原子、又はいくつかの実施形態では、5~14個の炭素原子、5~10個の炭素原子、又は更には5個、6個、7個、若しくは8個の炭素原子を有する。シクロアルケニル基の例としては、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキサジエニル、シクロブタジエニル、及びシクロペンタジエニルが挙げられる。
【0212】
シクロアルケニルアルキル基は、アルキル基の水素又は炭素結合が、上記で定義したシクロアルケニル基への結合で置き換えられている、上記で定義したアルキル基である。シクロアルケニルアルキル基は、置換又は非置換であり得る。置換シクロアルケニルアルキル基は、基のアルキル部分、シクロアルケニル部分、又はアルキル部分及びシクロアルケニル部分の両方で置換されてもよい。代表的な置換シクロアルケニルアルキル基は、上記に列挙された置換基などの置換基で1回又は2回以上置換され得る。
【0213】
アルキニル基は、少なくとも1つの三重結合が2つの炭素原子の間に存在することを除いて、上記で定義された直鎖及び分岐鎖アルキル基を含む。アルキニル基は、2~12個の炭素原子、典型的には、2~10個の炭素原子、又はいくつかの実施形態では、2~8個、2~6個、若しくは2~4個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、1つ、2つ、又は3つの炭素-炭素三重結合を有する。例としては、とりわけ、-C=CH、-C=CCH3、-CH2C=CCH3、-C=CCH2CH(CH2CH3)2が挙げられるが、これらに限定されない。アルキニル基は、置換又は非置換であり得る。末端アルキンは、三重結合炭素原子に結合した少なくとも1個の水素原子を有する。代表的な置換アルキニル基は、一置換であっても、2回以上置換されてもよく、例えば、上記に列挙されたものなどの置換基での一置換、二置換、又は三置換であり得るが、これらに限定されない。「環状アルキン」又は「シクロアルキニル」は、2個の炭素原子間に少なくとも1つの三重結合を含むシクロアルキル環である。環状アルキン又はシクロアルキニル基の例としては、シクロオクチン、ビシクロノニン(BCN)、二フッ素化シクロオクチン(DIFO)、ジベンゾシクロオクチン(DIBO)、ケト-DIBO、ビアリールアザシクロオクチノン(BARAC)、ジベンゾアザシクロオクチン(DIBAC)、ジメトキシアザシクロオクチン(DIMAC)、ジフルオロベンゾシクロオクチン(DIFBO)、モノベンゾシクロオクチン(MOBO)、及びテトラメトキシDIBO(TMDIBO)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0214】
アリール基は、ヘテロ原子を含有しない環状芳香族炭化水素である。本明細書におけるアリール基には、単環式、二環式、及び三環式環系が含まれる。したがって、アリール基には、フェニル、アズレニル、ヘプタレニル、ビフェニル、フルオレニル、フェナントレニル、アントラセニル、インデニル、インダニル、ペンタレニル、及びナフチル基が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アリール基は、6~14個の炭素を含有し、他の場合では、基の環部分に6~12個、又は更には6~10個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態では、アリール基は、フェニル又はナフチルである。アリール基は、置換又は非置換であり得る。「アリール基」という語句は、縮合芳香族-脂肪族環系(例えば、インダニル、テトラヒドロナフチルなど)などの縮合環を含有する基を含む。代表的な置換アリール基は、一置換であっても、2回以上置換されてもよい。例えば、一置換アリール基には、2-、3-、4-、5-、若しくは6置換フェニル又はナフチル基が含まれるが、これらに限定されず、これらは、上記に列挙された置換基などの置換基で置換され得る。アリール部分は周知であり、例えば、Lewis,R.J.,ed.,Hawley’s Condensed Chemical Dictionary,13th Edition,John Wiley&Sons,Inc.,New York(1997)に記載されている。アリール基は、単一の環構造(すなわち、単環式)であるか、又は縮合環構造である複数の環構造(すなわち、多環式)を含むことができる。好ましくは、アリール基は、単環式アリール基である。
【0215】
アルコキシ基は、水素原子への結合が上記で定義された置換された又は非置換のアルキル基の炭素原子への結合によって置き換えられるヒドロキシル基(-OH)である。直鎖アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。分岐鎖アルコキシ基の例としては、イソプロポキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、イソペントキシ、イソヘキソキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。シクロアルコキシ基の例としては、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。アルコキシ基は、置換又は非置換であり得る。代表的な置換されたアルコキシ基は、上記に列挙された置換基などの置換基で1回又は2回以上置換され得る。
【0216】
同様に、アルキルチオ又はチオアルコキシは、-SR基を指す(式中、Rは、硫黄架橋を介して親分子に結合したアルキル、例えば、-S-メチル、-S-エチルなどである)。アルキルチオの代表的な例としては、-SCH3、-SCH2CH3などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0217】
本明細書で使用される場合、「ハロゲン」という用語は、臭素、塩素、フッ素、又はヨウ素を指す。相応して、「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを意味する。いくつかの実施形態では、ハロゲンは、フッ素である。他の実施形態では、ハロゲンは、塩素又は臭素である。
【0218】
「ヒドロキシ」及び「ヒドロキシル」という用語は、互換的に使用することができ、-OHを指す。
【0219】
「カルボキシ」という用語は、-COOHを指す。
【0220】
「シアノ」という用語は、-CNを指す。
【0221】
「ニトロ」という用語は、-NO2を指す。
【0222】
「イソチオシアネート」という用語は、-N=C=Sを指す。
【0223】
「イソシアネート」という用語は、-N=C=Oを指す。
【0224】
「アジド」という用語は、-N3を指す。
【0225】
「アミノ」という用語は、-NH2を指す。「アルキルアミノ」という用語は、窒素に結合した水素原子の一方又は両方がアルキル基で置換されているアミノ基を指す。アルキルアミン基は、-NR2として表すことができる(式中、各Rは、独立して、水素又はアルキル基である)。例えば、アルキルアミンには、メチルアミン(-NHCH3)、ジメチルアミン(-N(CH3)2)、-NHCH2CH3などが含まれる。本明細書で使用される場合、「アミノアルキル」という用語は、1つ又は2つ以上のアミノ基で置換された分岐鎖及び直鎖飽和脂肪族炭化水素基の両方を含むことを意図している。アミノアルキル基の代表的な例としては、-CH2NH2、-CH2CH2NH2、及び-CH2CH(NH2)CH3が挙げられるが、これらに限定されない。
【0226】
本明細書で使用される場合、「アミド」は、-C(O)N(R)2を指す(式中、各Rは、独立して、アルキル基又は水素である)。アミドの例としては、-C(O)NH2、-C(O)NHCH3、及び-C(O)N(CH3)2が挙げられるが、これらに限定されない。
【0227】
「ヒドロキシルアルキル」及び「ヒドロキシアルキル」という用語は、互換的に使用され、1つ又は2つ以上のヒドロキシル基で置換されたアルキル基を指す。アルキルは、分岐鎖又は直鎖脂肪族炭化水素であり得る。ヒドロキシルアルキルの例としては、ヒドロキシルメチル(-CH2OH)、ヒドロキシルエチル(-CH2CH2OH)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0228】
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクリル」という用語は、硫黄、酸素、又は窒素などの少なくとも1個のヘテロ原子環員を含む安定な単環式及び多環式炭化水素を含む。本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」という用語は、硫黄、酸素、又は窒素などの少なくとも1個のヘテロ原子環員を含む安定な単環式及び多環式芳香族炭化水素を含む。ヘテロアリールは、単環式又は多環式、例えば、二環式又は三環式であり得る。ヘテロ原子を含むヘテロシクリル又はヘテロアリール基の各環は、1個又は2個の酸素原子又は硫黄原子及び/又は1~4個の窒素原子を含むことができ、ただし、各環中のヘテロ原子の総数が4個以下であり、各環が少なくとも1個の炭素原子を有することを条件とする。多環式、例えば、二環式又は三環式であるヘテロアリール基は、少なくとも1つの完全芳香環を含む必要があるが、他の縮合環又は環は芳香族又は非芳香族であり得る。ヘテロシクリル又はヘテロアリール基は、ヘテロシクリル又はヘテロアリール基のうちの任意の環の任意の利用可能な窒素又は炭素原子に結合することができる。好ましくは、「ヘテロアリール」という用語は、環のうちの少なくとも1つに少なくとも1個のヘテロ原子(O、S、又はN)を有する5員又は6員の単環式基及び9員又は10員の二環式基を指し、ヘテロ原子含有環は、好ましくは、1、2、又は3個のヘテロ原子を有し、より好ましくは、O、S、及び/又はNから選択される1又は2個のヘテロ原子を有する。ヘテロアリールの窒素ヘテロ原子は、置換又は非置換であり得る。加えて、ヘテロアリールの窒素及び硫黄ヘテロ原子は、任意選択的に酸化することができる(すなわち、N→O及びS(O)rであり、式中、rは、0、1、又は2である)。
【0229】
「エステル」という用語は、-C(O)2Rを指す(式中、Rは、アルキルである)。
【0230】
「カルバメート」という用語は、-OC(O)NR2を指す(式中、各Rは、独立して、アルキル又は水素である)。
【0231】
「アルデヒド」という用語は、-C(O)Hを指す。
【0232】
「炭酸」という用語は、-OC(O)ORを指す(式中、Rはアルキルである)。
【0233】
「マレイミド」という用語は、化学式H2C2(CO)2NHを有する基を指す。「マレイミド」という用語は、別の基又は分子に共有結合したマレイミド基を指す。好ましくは、マレイミド基は、N結合し、例えば、以下のとおりである。
【0234】
【0235】
「ハロゲン化アシル」という用語は、-C(O)Xを指す(式中、Xは、ハロ(例えば、Br、Cl)である)。例示的なハロゲン化アシルとしては、塩化アシル(-C(O)Cl)及び臭化アシル(-C(O)Br)が挙げられる。
【0236】
当該技術分野で使用される慣用に従って、
【0237】
【化22】
は、本発明の抗原結合ドメインなどのコア、親、又は骨格構造に対する部分、官能基、又は置換基の結合点である結合を描示するために、本明細書の構造式で使用される。
【0238】
任意の変数が、化合物の任意の構成又は式において2回以上発生する場合、各発生におけるその定義は、他の全ての発生におけるその定義とは無関係である。したがって、例えば、ある基が0~3個のR基で置換されることが示されている場合、当該基は、最大3個のR基で任意選択的に置換することができ、各々の場合に、Rは、Rの定義から独立して選択される。
【0239】
置換基への結合が環中の2つの原子を結合する結合を横断するように示される場合、そのような置換基は、環上の任意の原子に結合することができる。
【0240】
ある特定の実施形態では、放射性コンジュゲートは、225Ac-DOTA-h11B6であり、アクチニウム225-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10,四酢酸-h11B6とも称される。本明細書で使用される場合、225Ac-DOTA-h11B6は、DOTAにキレート化された225Acを含む放射性コンジュゲートであり、当該DOTAは、任意選択的にリンカーを介してh11B6にコンジュゲートされる。本明細書で使用される場合、111In-DOTA-h11B6は、DOTAにキレート化された111Inを含む放射性コンジュゲートであり、当該DOTAは、任意選択的にリンカーを介してh11B6にコンジュゲートされる。
【0241】
ある特定の実施形態では、放射性コンジュゲートは、以下の化合物又はその変異体によって表すことができる:
【0242】
【0243】
ある特定の実施形態では、放射性コンジュゲートは、225Ac-TOPA-h11B6である。本明細書で使用される場合、225Ac-TOPA-h11B6は、TOPAにキレート化された225Acを含む放射性コンジュゲートであり、当該TOPAは、任意選択的にリンカーを介してh11B6にコンジュゲートされる。一実施形態では、225Ac-TOPA-h11B6放射性コンジュゲートは、TOPA-[C7]-フェニルチオ尿素-h11B6抗体コンジュゲートと称されることもある以下の化合物又はその変異体によって表すことができる:
【0244】
【0245】
上記に示されるTOPA-[C7]-フェニルチオ尿素-h11B6抗体コンジュゲートにおいて、構造は、フェニルチオ尿素部分に連結されたh11b6のリジン残基を描示しない(
図6B及び
図6Cで描示する)。
【0246】
医薬組成物及び使用方法
本発明の実施形態は、患者におけるがんの治療方法であって、治療有効量の放射性コンジュゲートを患者に投与することを含む、方法を提供する。一実施形態によれば、本方法は、治療有効量の、放射性コンジュゲートと1つ又は2つ以上の医薬的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物を患者に投与することを含む。
【0247】
本発明の実施形態は、前立腺がんと診断されている患者、例えば、後期前立腺がんを有する患者を治療する上で特に有用である。一実施形態によれば、がんは、非限局性前立腺がんである。別の実施形態によれば、がんは、転移性前立腺がんである。別の実施形態によれば、がんは、去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)である。別の実施形態によれば、がんは、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)である。別の実施形態によれば、がんは、腺がんを有するmCRPCである。特定の実施形態によれば、患者のテストステロン去勢レベルは、約50ng/dL以下である。追加の実施形態によれば、患者は、少なくとも1つのアンドロゲン受容体(AR)標的療法、例えば、酢酸アビラテロン、エンザルタミド、アパルタミド、ダロルタミド、又は前述のいずれかの組み合わせに以前に曝露されていた。追加の実施形態によれば、患者は、以前に化学療法を受けており、例えば、化学療法は、タキサンの投与を含んでいた。別の実施形態によれば、患者は、以前に精巣摘出又は内科的去勢を受けていた。別の実施形態によれば、患者は、ゴナドトロピン放出ホルモン(gonadotropin releasing hormone、GnRH)アゴニスト又はアンタゴニストによる進行中のアンドロゲン除去療法を受けている。
【0248】
本明細書に記載の治療方法の実施形態によれば、患者に投与される放射性コンジュゲートは、hK2に対する結合特異性を有する抗体又は抗原結合断片にコンジュゲートされた少なくとも1つの放射性金属錯体を含む。好ましくは、放射性コンジュゲートは、hK2に対する結合特異性を有する抗体にコンジュゲートされた少なくとも1つの放射性金属錯体を含む。好ましい実施形態では、放射性金属錯体は、225Acを含む。
【0249】
一実施形態によれば、医薬組成物中の放射性金属は、225Acであり、医薬組成物の用量当たり約50μCi~約350μCiの標的放射能を提供する。追加の実施形態によれば、医薬組成物中の放射性金属は、医薬組成物の用量当たり約50μCi~約300μCi、又は約50μCi~約250μCi、又は約50μCi~約240μCi、又は約50μCi~約230μCi、又は約50μCi~約220μCi、又は約50μCi~約210μCi、又は約50μCi~約200μCi、又は約50μCi~約175μCi、又は約50μCi~約150μCi、又は約50μCi~約125μCi、又は約50μCi~約100μCi、又は約100μCi~約300μCi、又は約100μCi~約250μCi、又は約100μCi~約240μCi、又は約100μCi~約230μCi、又は約100μCi~約220μCi、又は約100μCi~約210μCi、又は約100μCi~約200μCi、又は約100μCi~約175μCi、又は約100μCi~約150μCi、又は約150μCi~約300μCi、又は約150μCi~約250μCi、又は約175μCi~約225μCiの標的放射能を提供する。
【0250】
一実施形態によれば、医薬組成物中の放射性金属は、225Acであり、医薬組成物の用量当たり約50μCi~約500μCiの標的放射能を提供する。追加の実施形態によれば、医薬組成物中の放射性金属は、医薬組成物の用量当たり約50μC~約450μCi、又は約50μC~約400μCi、又は約50μC~約350μCi、又は約100μC~約500μCi、又は約100μC~約450μCi、又は約100μC~約400μCi、又は約100μC~約350μCi、又は約150μC~約500μCi、又は約150μC~約450μCi、又は約150μC~約400μCi、又は約150μC~約350μCi、又は約200μC~約500μCi、又は約200μC~約450μCi、又は約200μC~約400μCi、又は約200μC~約350μCiの標的放射能を提供する。
【0251】
一実施形態によれば、医薬組成物中の放射性金属は、225Acであり、医薬組成物中の約2mgの全抗体当たり約50μCi~約350μCiの標的比放射能を提供する。追加の実施形態によれば、医薬組成物中の放射性金属は、医薬組成物中の約2mgの全抗体当たり約50μCi~約300μCi、又は約50μCi~約250μCi、又は約50μCi~約240μCi、又は約50μCi~約230μCi、又は約50μCi~約220μCi、又は約50μCi~約210μCi、又は約50μCi~約200μCi、又は約50μCi~約175μCi、又は約50μCi~約150μCi、又は約50μCi~約125μCi、又は約50μCi~約100μCi、又は約100μCi~約300μCi、又は約100μCi~約250μCi、又は約100μCi~約240μCi、又は約100μCi~約230μCi、又は約100μCi~約220μCi、又は約100μCi~約210μCi、又は約100μCi~約200μCi、又は約100μCi~約175μCi、又は約100μCi~約150μCi、又は約150μCi~約300μCi、又は約150μCi~約250μCi、又は約175μCi~約225μCiの放射能の標的比放射能を提供する。追加の実施形態によれば、医薬組成物中の放射性金属は、医薬組成物中の約2mgの全抗体当たり約50μCi、又は約100μCi、又は約150μCi、又は約175μCi、又は約200μCi、又は約225μCi、又は約250μCi、又は約275μCi、又は約300μCiの標的比放射能を提供する。例えば、2mgの抗体当たり300μCiの量は、150μCi/mgの抗体と等価であり、2mgの抗体当たり200μCiは、100μCi/mgの抗体と等価であるなどと理解されるべきである。
【0252】
別の実施形態によれば、医薬組成物中の放射性金属は、225Acであり、医薬組成物中の約2mg~約10mgの全抗体当たり(例えば、医薬組成物中の約2mg、又は約4mg、又は約6mg、又は約8mg、又は約10mgの全抗体当たり)約50μCi~約350μCiの標的比放射能を提供する。追加の実施形態によれば、医薬組成物中の放射性金属は、医薬組成物中の約2mg~約10mgの全抗体当たり(例えば、医薬組成物中の約2mg、又は約4mg、又は約6mg、又は約8mg、又は約10mgの全抗体当たり)、約50μCi~約300μCi、又は約50μCi~約250μCi、又は約50μCi~約240μCi、又は約50μCi~約230μCi、又は約50μCi~約220μCi、又は約50μCi~約210μCi、又は約50μCi~約200μCi、又は約50μCi~約175μCi、又は約50μCi~約150μCi、又は約50μCi~約125μCi、又は約50μCi~約100μCi、又は約100μCi~約300μCi、又は約100μCi~約250μCi、又は約100μCi~約240μCi、又は約100μCi~約230μCi、又は約100μCi~約220μCi、又は約100μCi~約210μCi、又は約100μCi~約200μCi、又は約100μCi~約175μCi、又は約100μCi~約150μCi、又は約150μCi~約300μCi、又は約150μCi~約250μCi、又は約175μCi~約225μCi放射能の標的比放射能を提供する。追加の実施形態によれば、医薬組成物中の放射性金属は、医薬組成物中の約2mg~約10mgの全抗体当たり(例えば、医薬組成物中の約2mg、又は約4mg、又は約6mg、又は約8mg、又は約10mgの全抗体当たり)、約50μCi、又は約100μCi、又は約150μCi、又は約175μCi、又は約200μCi、又は約225μCi、又は約250μCi、又は約275μCi、又は約300μCi、又は約350μCiの標的比放射能を提供する。
【0253】
別の実施形態によれば、医薬組成物中の放射性金属は、225Acであり、医薬組成物中の約2mg~約10mgの全抗体当たり(例えば、医薬組成物中の約2mg、又は約4mg、又は約6mg、又は約8mg、又は約10mgの全抗体当たり)約50μCi~約500μCiの標的比放射能を提供する。追加の実施形態によれば、医薬組成物中の放射性金属は、医薬組成物中の約2mg~約10mgの全抗体当たり(例えば、医薬組成物中の約2mg、又は約4mg、又は約6mg、又は約8mg、又は約10mgの全抗体当たり)、約50μCi~約450μCi、又は約50μCi~約400μCi、又は約50μCi~約350μCi、又は約100μCi~約500μCi、又は約100μCi~約450μCi、又は約100μCi~約400μCi、又は約100μCi~約350μCi、又は約150μCi~約500μCi、又は約150μCi~約450μCi、又は約150μCi~約400μCi、又は約150μCi~約350μCi、又は約200μCi~約500μCi、又は約200μCi~約450μCi、又は約200μCi~約400μCi、又は約200μCi~約350μCi放射能の標的比放射能を提供する。追加の実施形態によれば、医薬組成物中の放射性金属は、医薬組成物中の約2mg~約10mgの全抗体当たり(例えば、医薬組成物中の約2mg、又は約4mg、又は約6mg、又は約8mg、又は約10mgの全抗体当たり)約350μCi、又は約375μCi、又は約400μCi、又は約425μCi、又は約450μCi、又は約475μCi、又は約500μCiの標的比放射能を提供する。
【0254】
一実施形態によれば、医薬組成物中の放射性金属は、225Acであり、医薬組成物の標的放射能濃度は、約1μCi/mL~約100μCi/mL、又は約5μCi/mL~約75μCi/mL、又は約10μCi/mL~約60μCi/mL、又は約12.5μCi/mL~約50μCi/mL、又は約12.5μCi/mL、又は約25μCi/mL、又は約37.5μCi/mL、又は約50μCi/mLである。
【0255】
本明細書で使用される場合、「投薬時」は、患者が放射性コンジュゲートを含む医薬組成物の用量を投与される時間を指す(例えば、単回投与として、又は2回以上の部分用量の複数回投与で)。225Acの崩壊に起因して、医薬組成物中の225Acによって提供される放射能の量は、製造時から投薬時まで、すなわち、製造プロセス中に225Acがコンジュゲート中間体にキレート化されて、放射性コンジュゲートを形成するおよその時間から、放射性コンジュゲートが患者に投与される時間まで減少する。一実施例によれば、医薬組成物中の225Acによって提供される放射能は、225Acがコンジュゲート中間体にキレート化されて、放射性コンジュゲートを形成するおよその時間(例えば、放射性コンジュゲートが形成及び精製された後)に約264μCiである場合、投与時の約96時間後の放射能は、約200μCiであり得る。任意の所与の時間における225Acの崩壊、及びしたがって量は、時間ゼロにおいて測定された活性の初期量、経過時間、及び225Acの半減期に基づいて計算することができる。
【0256】
本明細書中で使用される場合、放射性金属の「標的」比放射能又は「標的」放射能又は「標的」放射能濃度は、それぞれ、比放射能又は放射能又は放射能濃度の量を指し、これは、例えば、製造時に組成物中に存在する放射性金属の量、及び製造と患者への投与との間に予想される時間(及び付随する放射性金属崩壊)の量に基づいて、患者への予測投与時間に医薬組成物の用量に存在すると計算される。投薬時の実際の比放射能又は放射能又は放射能濃度は、それぞれ、標的比放射能又は放射能又は放射能濃度からわずかに変動し得る(例えば、患者への実際の投与時間が、予測投与時間からわずかに異なる場合)ことが理解されるべきである。
【0257】
特定の実施形態によれば、医薬組成物はまた、非放射標識抗体も含有する。例えば、非放射標識抗体を含む組成物を、放射性コンジュゲートを含む組成物と組み合わせて、放射性コンジュゲート組成物を所望の放射能用量に希釈してもよい。本明細書で使用される場合、「非放射標識抗体」という用語は、放射性金属にコンジュゲートされていない抗体又は抗体-キレート剤複合体を指す。特定の実施形態によれば、組成物中に存在する非放射標識抗体は、DOTA-mAb(例えば、DOTA-h11B6)などのコンジュゲート中間体である。好ましくは、非放射標識抗体は、組成物中に含有される放射性コンジュゲートと同じ抗体を含み、例えば、本医薬組成物は、ある量の225Ac-DOTA-h11B6及びある量のDOTA-h11B6を含んでもよい。あるいは、本医薬組成物は、ある量の225Ac-TOPA-h11B6及びある量のTOPA-h11B6を含んでもよい。本明細書で使用される場合、「全抗体」は、医薬組成物中の抗体の総量を指し、例えば、全抗体は、(a)放射性金属錯体にコンジュゲートされた抗体の量、及び(b)コンジュゲート中間体などの非放射標識抗体の量を含んでもよい。標的全抗体は、患者への予測投与時間に医薬組成物の用量中に存在すると計算される抗体の量を指す。ある特定の実施形態によれば、抗体(放射標識及び非放射標識)の総量は、組成物中で約10mg、又は約9mg、又は約8mg、又は約7mg、又は約6mg、又は約5mg、又は約4mg、又は約3mg、又は約2mgを超えない。
【0258】
ある特定の実施形態によれば、本発明の医薬組成物の作製方法は、第1の中間体組成物及び第2の中間体組成物を組み合わせて、医薬組成物を形成することを含み、第1の中間体組成物は、放射性コンジュゲートを含み、第2の中間体組成物は、コンジュゲート中間体を含み、いかなる放射性コンジュゲートも含有しない。ある特定の実施形態によれば、第1の中間組成物及び第2の中間組成物は、同じ医薬的に許容される賦形剤を含む。
【0259】
特定の実施形態によれば、本医薬組成物は、約0.1mg~約5mgの全抗体、又は約0.1mg~約4mgの全抗体、又は約0.1mg~約3mgの全抗体、又は約0.1mg~約4mgの全抗体、約0.1mg~約3mgの全抗体、又は約0.1mg~約2mgの全抗体、又は約0.5mg~約5mgの全抗体、又は約0.5mg~約4mgの全抗体、又は約0.5mg~約3mgの全抗体、又は約0.5mg~約3.5mgの全抗体、又は約0.5mg~約4mgの全抗体、又は約1mg~約10mgの全抗体、又は約1mg~約7mgの全抗体、又は約1mg~約5mgの全抗体、又は約1mg~約4mgの全抗体、又は約1mg~約3mgの全抗体、又は約1.5~約2.5mgの全抗体、又は約1.1若しくは約1.2mgの全抗体、又は約1.3mgの全抗体、又は約1.4mgの全抗体、又は約1.5mgの全抗体、又は約1.6mgの全抗体、又は約1.7mgの全抗体、又は約1.8mgの全抗体、又は約1.9mgの全抗体、又は約2mgの全抗体、又は約2.1mgの全抗体、又は約2.2mgの全抗体、又は約2.3mgの全抗体、又は約2.4mgの全抗体、又は約2.5mgの全抗体、又は約2.6mgの全抗体、又は約2.7mgの全抗体、又は約2.8mgの全抗体、又は約2.9mgの全抗体を含む。
【0260】
特定の実施形態によれば、本医薬組成物の用量は、約1mL~約20mL、又は約1mL~約10mL、又は約2mL~約6mL、又は約3mL~約5mL、又は約4mLの体積を有する。一実施形態によれば、本医薬組成物の用量は、約4mLの用量当たり約2mgの全抗体(すなわち、約2mLの用量当たり約1mgの全抗体)を含む。本明細書に記載されるように、用量は、複数の部分用量として投与されてもよい。例えば、8mLの用量は、2回の4mLの部分用量として投与されてもよい。一実施形態では、対象には、2回の4mL部分用量が投与され、各部分用量は、2mgの抗体を含有し、8mLの用量当たり合計4mgの抗体となる。
【0261】
特定の実施形態によれば、本医薬組成物は、全抗体を、約0.01~5.0mg/mL、又は約0.01~4.0mg/mL、又は約0.01~3.0mg/mL、約0.01~2.0mg/mL、又は約0.01~1.0mg/mL、約0.1~5.0mg/mL、又は約0.1~4.0mg/mL、又は約0.1~3.0mg/mL、約0.1~2.0mg/mL、又は約0.1~1.0mg/mL、約0.3~0.7mg/mL、又は約0.4~0.6mg/mL、又は約0.5mg/mLの量で含む。
【0262】
一実施形態によれば、本医薬組成物の用量を含有するバイアル中、例えば、225Ac-DOTA-h11B6及びDOTA-h11B6を含有するバイアル中の標的全抗体濃度は、約0.5±0.1mg/mLである。一実施形態では、用量が約4mLの医薬組成物を含有する場合、用量中の標的全抗体濃度は、約0.5mg/mLであり、用量の標的放射能は、約50μCiであり、標的放射能濃度は、約12.5μCi/mL(例えば、12.5μCi/mL±10%)である。別の実施形態では、用量が約4mLの医薬組成物を含有する場合、用量中の標的全抗体濃度は、約0.5mg/mLであり、用量の標的放射能は、約100μCiであり、標的放射能濃度は、約25μCi/mL(例えば、25μCi/mL±10%)である。別の実施形態では、用量が約4mLの医薬組成物を含有する場合、用量中の標的全抗体濃度は、約0.5mg/mLであり、用量の標的放射能は、約150μCiであり、標的放射能濃度は、約37.5μCi/mL(例えば、37.5μCi/mL±10%)である。別の実施形態では、用量が約4mLの医薬組成物を含有する場合、用量中の標的全抗体濃度は、約0.5mg/mL(約2mgの全抗体)であり、用量の標的放射能は、約200μCiであり、標的放射能濃度は、約50μCi/mL(例えば、50μCi/mL±10%)である。別の実施形態では、用量が約8mLの医薬組成物を含有する場合、用量中の標的全抗体濃度は、約0.5mg/mL(約4mgの全抗体)であり、用量の標的放射能は、約300μCiであり、標的放射能濃度は、約37.5μCi/mL(例えば、37.5μCi/mL±10%)である。
【0263】
更なる実施形態によれば、全抗体は、約0.1mg/mL~約1mg/mLの濃度で医薬組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の全抗体の濃度は、約0.1~約0.9、約0.1~約0.8、約0.1~約0.7、約0.1~約0.6、約0.1~約0.5、約0.1~約0.4、約0.1~約0.3、約0.1~約0.2、約0.2~約1、約0.2~約0.9、約0.2~約0.8、約0.2~約0.7、約0.2~約0.6、約0.2~約0.5、約0.2~約0.4、約0.2~約0.3、約0.3~約1、約0.3~約0.9、約0.3~約0.8、約0.3~約0.7、約0.3~約0.6、約0.3~約0.5、約0.3~約0.4、約0.4~約1、約0.4~約0.9、約0.4~約0.8、約0.4~約0.7、約0.4~約0.6、約0.4~約0.5、約0.5~約1、約0.5~約0.9、約0.5~約0.8、約0.5~約0.7、約0.5~約0.6、約0.6~約1、約0.6~約0.9、約0.6~約0.8、約0.6~約0.7、約0.7~約1、約0.7~約0.9、約0.7~約0.8、約0.8~約1、約0.8~約0.9、又は約0.9~約1mg/mLである。他の実施形態では、本医薬組成物は、約0.5mg/mLの全抗体を含有する。更なる実施形態では、本医薬組成物は、合計約0.1mg/mL~約1mg/mLの225Ac-DOTA-h11B6及びDOTA-h11B6を含有する。更なる実施形態では、本医薬組成物は、合計約0.5mg/mLの225Ac-DOTA-h11B6及びDOTA-h11B6を含有する。更なる実施形態では、本医薬組成物は、合計約0.1mg/mL~約1mg/mLの225Ac-TOPA-h11B6及びTOPA-h11B6を含有する。更なる実施形態では、本医薬組成物は、合計約0.5mg/mLの225Ac-TOPA-h11B6及びTOPA-h11B6を含有する。
【0264】
本発明の医薬組成物は、当業者に既知の任意の好適な経路を介して投与することができる。例えば、本組成物は、非経口投与されてもよい。投与経路の非限定的な例としては、静脈内(intravenous、IV)、筋肉内、若しくは皮下が挙げられ、又はそれらは、注入技法によって投与されてもよい。ある特定の態様では、本明細書の治療方法は、医薬組成物を静脈内注射することを含む。
【0265】
一実施形態によれば、本発明の医薬組成物は、単回使用の注射用滅菌溶液中に提供される。本組成物は、好ましくは、密封バイアル中、例えば、ラテックスを含まないストッパー及びアルミニウムシールで閉じた環状オレフィンポリマーバイアル中で注射時まで冷蔵される。
【0266】
本発明の医薬組成物は、医療専門家によって患者に投与され得る。いくつかの実施形態では、本医薬組成物は、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、又は約16週間毎に1回投与される。いくつかの実施形態では、本医薬組成物は、約4~約12、約4~約10、約4~約8、約4~約6、約6~約12、約6~約10、約6~約8、約8~約12、約8~約10、又は約10~約12週間毎に1回投与される。ある特定の態様では、本医薬組成物は、約4週間毎に1回患者に投与される。ある特定の態様では、本医薬組成物は、約6週間毎に1回患者に投与される。他の態様では、本医薬組成物は、約8週間毎に1回患者に投与される。ある特定の態様では、本医薬組成物は、約10週毎に1回患者に投与される。更なる態様では、本医薬組成物は、約12週毎に1回患者に投与される。ある特定の実施形態によれば、患者には、約2~約12回の用量、又は約2~約10回の用量、又は約2~約8回の用量、又は約2~約6回の用量、又は約2~約4回の用量が投与される。一実施形態によれば、患者の投薬レジメンは、少なくとも2回の用量、又は少なくとも3回の用量、又は少なくとも4回の用量、又は少なくとも5回の用量、又は少なくとも6回の用量を投与することを含み、1回の用量は、8週間毎に投与される。一実施形態によれば、患者の投薬レジメンは、4回の全用量を投与することを含み、1回の用量が8週間毎に投与される。あるいは、患者の投薬レジメンは、5回又は6回又は7回又は8回又は9回又は10回又は11回又は12回の全用量を投与することを含み、1回の用量は、8週間毎に1回投与される。なお更なる実施形態では、患者の投薬レジメンは、それが12回を超える全用量を含むように継続してもよい。
【0267】
本発明の医薬組成物の用量は、単回投与によって、又は2回以上の部分用量の複数回投与で用量を投与することによって(例えば、用量を複数回に分けて投与することによって)患者に投与することができる。あるいは、用量は、長期間にわたる連続注入として提供されてもよい。
【0268】
本発明の医薬組成物は、単独で、又は主治医によって決定される1つ若しくは2つ以上の追加の治療剤若しくは造影剤若しくはモダリティと組み合わせて投与され得ることが、当業者によって理解される。本発明の医薬組成物は、前立腺がんの治療のための他の治療モダリティの前又はそれと同時に、患者に投与され得る。
【0269】
好ましくは、本発明の医薬組成物は、溶液を血液と等張にするため、及び/又は好適なpHを提供するための他の物質を含有し得る、滅菌水溶液の形態である。いくつかの実施形態では、水溶液のpHは、約4~約7、約4.5~約6.5、約5~約6、又は約5.5である。他の実施形態では、水溶液のpHは、約5、約5.1、約5.2、約5.3、約5.4、約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、又は約6である。更なる実施形態では、水溶液のpHは、約5.5である。
【0270】
本明細書に記載されるように、225Acの崩壊に起因して、医薬組成物の用量中の225Acによって提供される放射能の量は、製造時から(225Acがコンジュゲート中間体にキレート化されて、放射性コンジュゲートを形成するおよその時間から)、用量が患者に投与される時間まで減少する。好ましくは、放射性コンジュゲートは、キレート化のおよその時間と患者への投薬の時間との間に生じると推定される225Acの比放射能の減少を考慮に入れるように、製造中に十分な量の225Acで標識される。(225Acのキレート化を介した)放射性コンジュゲートの形成から患者への用量の投与までの時間を制限することもまた好ましい。
【0271】
特定の実施形態によれば、本発明の医薬組成物は、放射性金属をコンジュゲート中間体にキレート化して、放射性コンジュゲートを形成してから、約7日(168時間)以内に、又は放射性金属をコンジュゲート中間体にキレート化して、放射性コンジュゲートを形成してから、約144時間以内、又は約120時間以内、又は約96時間以内、又は約72時間以内、又は約48時間以内、又は約24時間以内に患者に投与される。特定の実施形態によれば、本発明の方法は、放射性金属をコンジュゲート中間体にキレート化して、放射性コンジュゲートを形成してから、約120時間以内に、医薬組成物を患者に投与すること(すなわち、投薬時間が生じること)を含む。特定の実施形態によれば、本発明の方法は、放射性金属をコンジュゲート中間体にキレート化して、放射性コンジュゲートを形成してから、約96時間以内に、医薬組成物を患者に投与すること(すなわち、投薬時間が生じること)を含む。特定の実施形態によれば、本発明の方法は、放射性金属をコンジュゲート中間体にキレート化して、放射性コンジュゲートを形成してから、約72時間以内に、医薬組成物を患者に投与すること(すなわち、投薬時間が生じること)を含む。
【0272】
特定の実施形態によれば、本発明の放射性コンジュゲートは、1つ又は2つ以上の医薬的に許容される賦形剤と混合して投与される。「医薬組成物」及び「医薬製剤」という用語は、本開示全体を通して互換的に使用される。本医薬組成物は、当該技術分野で既知の技法を使用して調製され得る。特定の実施形態では、本医薬組成物は、十分に貯蔵安定性であり、ヒトへの投与に好適である。
【0273】
賦形剤は、当業者によって選択されてもよく、所望の投与経路に応じて多様な形態をとることができる。例えば、非経口投与のためには、賦形剤は、滅菌水を含んでもよく、他の成分を添加して、組成物の溶解性及び保存性を増加させてもよい。注射用懸濁剤又は溶液はまた、水性担体及び/又は適切な添加剤(可溶化剤及び保存剤など)を含む賦形剤を利用して、調製することもできる。
【0274】
いくつかの実施形態では、賦形剤は、好ましくは、溶液のpHを安定化させる目的で酸-塩基混合物を含有する水溶液である緩衝剤を含む。緩衝剤の例としては、Trizma、ビシン、トリシン、MOPS、MOPSO、MOBS、トリス、ヘペス、HEPBS、MES、リン酸、炭酸、酢酸、クエン酸、グリコール酸、乳酸、ホウ酸、ACES、ADA、酒石酸、AMP、AMPD、AMPSO、BES、CABS、カコジル酸、CHES、DIPSO、EPPS、エタノールアミン、グリシン、HEPPSO、イミダゾール、イミダゾール乳酸、PIPES、SSC、SSPE、POPSO、TAPS、TABS、TAPSO、又はTESが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、緩衝剤は、Trizmaである。他の実施形態では、緩衝剤は、ビシンである。更なる実施形態では、緩衝剤は、トリシンである。更に他の実施形態では、緩衝剤は、MOPSである。なお更なる実施形態では、緩衝剤は、MOPSOである。他の実施形態では、緩衝剤は、MOBSである。更なる実施形態では、緩衝剤は、トリスである。更に他の実施形態では、緩衝剤は、ヘペスである。なお更なる実施形態では、緩衝剤は、HEPBSである。他の実施形態では、緩衝剤は、MESである。更なる実施形態では、緩衝剤は、リン酸である。更に他の実施形態では、緩衝剤は、炭酸である。なお更なる実施形態では、緩衝剤は、酢酸である。更に他の実施形態では、緩衝剤は、クエン酸である。なお更なる実施形態では、緩衝剤は、グリコール酸である。他の実施形態では、緩衝剤は、乳酸である。更なる実施形態では、緩衝剤は、ホウ酸である。更に他の実施形態では、緩衝剤は、ACESである。なお更なる実施形態では、緩衝剤は、ADAである。他の実施形態では、緩衝剤は、酒石酸である。更なる実施形態では、緩衝剤は、AMPである。更に他の実施形態では、緩衝剤は、AMPDである。なお更なる実施形態では、緩衝剤は、AMPSOである。他の実施形態では、緩衝剤は、BESである。更なる実施形態では、緩衝剤は、CABSである。更に他の実施形態では、緩衝剤は、カコジル酸である。なお更なる実施形態では、緩衝剤は、CHESである。他の実施形態では、緩衝剤は、DIPSOである。更なる実施形態では、緩衝剤は、EPPSである。更に他の実施形態では、緩衝剤は、エタノールアミンである。なお更なる実施形態では、緩衝剤は、グリシンである。他の実施形態では、緩衝剤は、HEPPSOである。更なる実施形態では、緩衝剤は、イミダゾールである。更に他の実施形態では、緩衝剤は、イミダゾール乳酸である。なお更なる実施形態では、緩衝剤は、PIPESである。他の実施形態では、緩衝剤は、SSCである。更なる実施形態では、緩衝剤は、SSPEである。更に他の実施形態では、緩衝剤は、POPSOである。なお更なる実施形態では、緩衝剤は、TAPSである。他の実施形態では、緩衝剤は、TABSである。更なる実施形態では、緩衝剤は、TAPSOである。他の実施形態では、緩衝剤は、TESである。緩衝剤は、所望のpHを得る濃度で提供されることが望ましい。いくつかの態様では、緩衝剤の濃度は、約10~約50mMである。他の態様では、緩衝剤のpHは、約20~約50、約25~約50、約30~約50、約35~約50、約40~約50、約45~約50、約20~約45、約25~約45、約30~約45、約35~約45、約40~約45、約20~約40、約25~約40、約30~約40、約35~約40、約20~約35、約25~約35、約30~約35、約20~約30、約25~約30、又は約20~約25mMである。更なる態様では、緩衝剤の濃度は、約24~約28、約25~約28、約25~約27、約26~約28、又は約26~約27mMである。更に他の態様では、緩衝剤の濃度は、約25mMである。更に他の態様では、緩衝剤の濃度は、約26.75mMである。一実施形態では、緩衝剤は、酢酸を含む。
【0275】
追加の実施形態では、賦形剤は、希釈剤を含む。「希釈剤」という用語は、医薬組成物を希釈する目的の水溶液又は非水溶液を指す。例えば、希釈剤は、生理食塩水、水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール、又は油(ベニバナ油、トウモロコシ油、ピーナッツ油、綿実油、若しくはゴマ油など)のうちの1つ又は2つ以上を含み得る。ある特定の実施形態では、希釈剤は、水である。希釈剤の追加の非限定的な例としては、滅菌水、様々な濃度の生理食塩水(NS/0.9%、1/2 NS/0.45%)、様々な濃度のデキストロース(D5W、D10W)、又はデキストロース+生理食塩水(1/2 NSD5W)が挙げられる。
【0276】
本医薬組成物は、滅菌などの従来の製剤化操作に供されてもよく、かつ/又は従来のアジュバントを含有してもよい。本医薬組成物はまた、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び/又は製剤を意図されるレシピエントの血液と等張にする溶質を含有し得る水性及び非水性滅菌注射溶液を含有してもよい。
【0277】
更に他の実施形態では、賦形剤は、結合剤、炭水化物、コーティング剤、着色剤、崩壊剤、分散剤、乳化剤、充填剤、香味剤、造粒剤、脂質、滑沢剤、ミネラル、ポリマー、保存剤、放射線防護剤、可溶化剤、安定剤、懸濁化剤、甘味剤、増粘剤、湿潤剤、又はそれらの組み合わせのうちの1つ又は2つ以上を含み得る。
【0278】
特定の実施形態によれば、賦形剤は、少なくとも1つの放射線防護剤を含む。ある特定の実施形態では、本医薬組成物は、放射性コンジュゲートと1つ又は2つ以上の医薬的に許容される賦形剤とを含み、放射性コンジュゲートは、hK2(例えば、h11B6又はその変異体)に対する結合特異性を有する抗体又は抗原結合断片にコンジュゲートされた少なくとも1つの放射性金属錯体を含み、1つ又は2つ以上の医薬的に許容される賦形剤は、1つ又は2つ以上の放射線防護剤を含む。
【0279】
放射線防護剤の例としては、アスコルビン酸ナトリウム、ゲンチシン酸、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態によれば、本組成物は、アスコルビン酸ナトリウムを含む。代替実施形態によれば、本組成物は、ゲンチシン酸を含む。
【0280】
他の実施形態では、賦形剤は、1つ又は2つ以上の界面活性剤を含む。界面活性剤の非限定的な例としては、ポリソルベート及びポロキサマー(ポリソルベート20、ポリソルベート80、及びポロキサマー188など)が挙げられる。一実施形態によれば、賦形剤は、ポリソルベート20を含む。更なる実施形態では、賦形剤は、アスコルビン酸ナトリウム、ポリソルベート20、又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態は、本医薬組成物は、放射性コンジュゲート及びアスコルビン酸ナトリウムを含有する。他の実施形態では、本医薬組成物は、ポリソルベート20を含有する。更なる実施形態では、本医薬組成物は、アスコルビン酸ナトリウム及びポリソルベート20を含有する。いくつかの実施形態では、本医薬組成物は、放射性コンジュゲート及びゲンチジン酸を含有する。更なる実施形態では、本医薬組成物は、ゲンチジン酸及びポリソルベート20を含有する。
【0281】
賦形剤の量は、所望の投与経路、患者、及び医薬組成物中の特定の賦形剤に基づいて選択される。好ましい実施形態では、本医薬組成物中に存在するアスコルビン酸ナトリウムの量は、放射性コンジュゲートの分解を阻害する。望ましくは、アスコルビン酸ナトリウムは、例えば、とりわけ、高速液体クロマトグラフィ、核磁気共鳴、質量スペクトル、又は元素分析などの分光法によって測定される、アスコルビン酸ナトリウムを含有しない組成物と比較して、放射性コンジュゲートの分解を阻害する。他の実施形態では、本医薬組成物は、約0.05~約5.0w/v%のアスコルビン酸ナトリウム及び/又はゲンチシン酸を含有する。更なる実施形態では、本医薬組成物は、約0.1~約5、約0.1~約4、約0.1~約3、約0.1~約2、約0.1~約1、約0.2~約1、約0.3~約1、約0.4~約1、約0.5~約1、約0.6~約1、約0.7~約1、約0.8~約1、約0.9~約1、約0.1~約0.9、約0.2~約0.9、約0.3~約0.9、約0.4~約0.9、約0.5~約0.9、約0.6~約0.9、約0.7~約0.9、約0.8~約0.9、約0.1~約0.8、約0.2~約0.8、約0.3~約0.8、約0.4~約0.8、約0.5~約0.8、約0.6~約0.8、約0.7~約0.8、約0.1~約0.7、約0.2~約0.7、約0.3~約0.6、約0.4~約0.6、約0.5~約0.6、約0.1~約0.5、約0.2~約0.5、約0.3~約0.5、約0.4~約0.5、約0.1~約0.4、約0.2~約0.4、約0.3~約0.4、約0.1~約0.3、約0.2~約0.3、又は約0.1~約0.2w/v%のアスコルビン酸ナトリウムを含有する。更に他の実施形態では、本医薬組成物は、約0.l、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、又は約1w/v%のアスコルビン酸ナトリウムを含有する。なお更なる実施形態では、本医薬組成物は、約0.5w/v%のアスコルビン酸ナトリウムを含有する。
【0282】
他の実施形態では、本医薬組成物は、約0.005~約0.15w/v%、又は約0.005~約0.12w/v%、又は約0.005~約0.1w/v%、又は約0.005~約0.08w/v%、又は約0.005~約0.06w/v%、又は約0.005~約0.12w/v%、又は約0.005~約0.04w/v%のポリソルベート20を含有する。ある特定の態様では、本医薬組成物は、約0.01~約0.12、約0.02~約0.12、約0.03~約0.12、約0.04~約0.12、約0.05~約0.12、約0.06~約0.12、約0.07~約0.12、約0.08~約0.12、約0.09~約0.12、約0.01~約0.1、約0.02~約0.1、約0.03~約0.1、約0.04~約0.1、約0.05~約0.1、約0.06~約0.1、約0.07~約0.1、約0.08~約0.1、約0.09~約0.1、約0.01~約0.09、約0.02~約0.09、約0.03~約0.09、約0.04~約0.09、約0.05~約0.09、約0.06~約0.09、約0.07~約0.09、約0.08~約0.09、約0.01~約0.08、約0.02~約0.08、約0.03~約0.08、約0.04~約0.08、約0.05~約0.08、約0.06~約0.08、約0.07~約0.08、約0.01~約0.07、約0.02~約0.07、約0.03~約0.06、約0.04~約0.06、約0.05~約0.06、約0.01~約0.05、約0.02~約0.05、約0.03~約0.05、約0.04~約0.05、約0.01~約0.04、約0.02~約0.04、約0.03~約0.04、約0.01~約0.03、約0.02~約0.03、又は約0.01~約0.02w/v%のポリソルベート20を含有する。他の態様では、本医薬組成物は、約0.01、約0.02、約0.03、約0.04、約0.05、約0.06、約0.07、約0.08、約0.09、約0.1、約0.11、約0.12、約0.13、約0.14、又は約0.15w/v%のポリソルベート20を含有する。更なる態様では、本医薬組成物は、約0.04w/v%のポリソルベート20を含有する。
【0283】
ある特定の実施形態によれば、本医薬組成物は、いかなる保存剤も含有しない。
【0284】
ある特定の実施形態によれば、本医薬組成物は、いかなるスクロースも含有せず、特に、放射性金属が225Acである場合、例えば、放射性コンジュゲートが225Ac-DOTA-h11B6である場合、本医薬組成物は、いかなるスクロースも含有しなくてもよい。ある特定の実施形態によれば、225Acを含有する組成物中へのスクロースの包含は、本明細書に記載されるように、放射線分解性分解物の形成をもたらす。したがって、ある特定の実施形態では、スクロースは、除外されても、又は少量、例えば、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満、若しくは0.01%未満に限定されてもよい。
【0285】
ある特定の実施形態によれば、本医薬組成物は、いかなるデキストリン(例えば、シクロデキストリン)、モノサッカライド、ジサッカライド、オリゴサッカライド、又はポリサッカライドも含有しない。
【0286】
ある特定の実施形態によれば、本医薬組成物は、いかなるモノサッカライド又はジサッカライドも含有しない。
【0287】
ある特定の実施形態によれば、本医薬組成物は、いかなるジサッカライドも含有しない。
【0288】
ある特定の実施形態によれば、本医薬組成物は、いかなる糖アルコール(例えば、ソルビトール)も含有しない。
【0289】
ある特定の実施形態によれば、本医薬組成物は、いかなる抗凍結剤(例えば、糖、糖アルコール、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシドなど)も含有しない。
【0290】
ある特定の実施形態では、本医薬組成物は、約0.5mg/mLの放射性コンジュゲート及びコンジュゲート中間体、並びに約0.5%w/v%のアスコルビン酸ナトリウムを含有する。他の実施形態では、本医薬組成物は、約0.5mg/mLの放射性コンジュゲート及びコンジュゲート中間体、並びに約0.04w/v%のポリソルベート20を含有する。更なる実施形態では、本医薬組成物は、約0.5mg/mLの放射性コンジュゲート及びコンジュゲート中間体、並びに約25~27mMの酢酸緩衝剤を含有する。更に他の実施形態では、医薬品は、約0.5mg/mLの放射性コンジュゲート及びコンジュゲート中間体、約0.5w/v%のアスコルビン酸ナトリウム、並びに約0.04w/v%のポリソルベート20を含有する。なお更なる実施形態では、医薬品は、約0.5mg/mLの放射性コンジュゲート及びコンジュゲート中間体、約0.5w/v%のアスコルビン酸ナトリウム、並びに約25~27mMの酢酸緩衝剤を含有する。他の実施形態では、医薬品は、約0.5mg/mLの放射性コンジュゲート及びコンジュゲート中間体、約0.04w/v%のポリソルベート20、並びに約25~27mMの酢酸緩衝剤を含有する。更なる実施形態では、本医薬組成物は、約0.5mg/mLの放射性コンジュゲート及びコンジュゲート中間体、約0.5w/v%のアスコルビン酸ナトリウム、約0.04w/v%のポリソルベート20、並びに約25~27mMの酢酸緩衝剤を含有する。
【0291】
ある特定の態様では、本医薬組成物は、放射性コンジュゲート及び酢酸緩衝剤を含有する。他の態様では、本医薬組成物は、放射性結合体、酢酸緩衝剤、及びアスコルビン酸ナトリウムを含有する。更なる態様では、本医薬組成物は、放射性コンジュゲート及びポリソルベート20を含有する。更に他の態様では、本医薬組成物は、放射性コンジュゲート、アスコルビン酸ナトリウム、ポリソルベート20、及び酢酸緩衝剤を含有する。なお更なる態様では、本医薬組成物は、225Ac-DOTA-h11B6、酢酸緩衝剤を含有する。他の態様では、本医薬組成物は、225Ac-DOTA-h11B6、酢酸緩衝剤、及びアスコルビン酸ナトリウムを含有する。更なる態様では、本医薬組成物は、225Ac-DOTA-h11B6、ポリソルベート20を含有する。更に他の態様では、本医薬組成物は、225Ac-DOTA-h11B6、アスコルビン酸ナトリウム、ポリソルベート20、及び酢酸緩衝剤を含有する。なお更なる態様では、本医薬組成物は、225Ac-TOPA-h11B6、酢酸緩衝剤を含有する。他の態様では、本医薬組成物は、225Ac-TOPA-h11B6、酢酸緩衝剤、及びアスコルビン酸ナトリウムを含有する。更なる態様では、本医薬組成物は、225Ac-TOPA-h11B6、ポリソルベート20を含有する。更に他の態様では、本医薬組成物は、225Ac-TOPA-h11B6、アスコルビン酸ナトリウム、ポリソルベート20、及び酢酸緩衝剤を含有する。
【0292】
一実施形態によれば、本医薬組成物は、25~27mMの酢酸(例えば、25mM又は26.75mM)中に225Ac-DOTA-h11B6及びDOTA-h11B6を約0.5mg/mLの総量で、0.5%のアスコルビン酸ナトリウム、及び滅菌水中に0.04%ポリソルベート20(好ましくは、約5.5のpH)を含有する。ある特定の実施形態によれば、225Ac-DOTA-h11B6の放射能225Ac線量は、予測投薬時に4mL(約2mgのh11B6質量)中、約50、約100、約150、又は約200μCiを標的とする。他の実施形態によれば、225Ac-DOTA-h11B6の放射能225Ac線量は、投薬時に200μCi超(例えば、約250μCi又は約300μCi又は約350μCiなど)を標的とし、例えば、用量は、予測投薬時に、約8mL中に約250μCi、又は約8mL中に約300μCi、又は約8mL中に約350μCi(例えば、約2mgのh11B6当たり、又は用量当たり約4mg若しくは約6mg若しくは約8mg若しくは約10mgの質量)を含み得る。
【0293】
一実施形態によれば、本医薬組成物は、25~27mMの酢酸(例えば、25mM又は26.75mM)中に約0.5mg/mLの総量の225Ac-TOPA-h11B6及びTOPA-h11B6、0.5%のアスコルビン酸ナトリウム、及び滅菌水中に0.04%ポリソルベート20(好ましくは、約5.5のpH)を含有する。ある特定の実施形態によれば、225Ac-TOPA-h11B6の放射能225Ac線量は、予測投薬時に4mL(約2mgのh11B6質量)中、約50、約100、約150、又は約200μCiを標的とする。他の実施形態によれば、225Ac-TOPA-h11B6の放射能225Ac線量は、投薬時に200μCi超(例えば、約250μCi又は約300μCi又は約350μCiなど)を標的とし、例えば、用量は、予測投薬時に、約8mL中に約250μCi、又は約8mL中に約300μCi、又は約8mL中に約350μCi(例えば、約2mgのh11B6当たり、又は用量当たり約4mg若しくは約6mg若しくは約8mg若しくは約10mgの質量)を含み得る。
【0294】
列挙された実施形態
本発明の番号付けされた例示的な実施形態を、以下に提供する。
1.患者におけるがんの治療方法であって、
治療有効量の、放射性コンジュゲートと1つ又は2つ以上の医薬的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物を患者に投与することを含み、
放射性コンジュゲートが、hK2に対する結合特異性を有する抗体又は抗原結合断片にコンジュゲートされた少なくとも1つの放射性金属錯体を含み、
放射性金属錯体が、放射性金属を含み、
放射性金属が、投薬時に、医薬組成物の用量当たり約50μCi~約350μCiの標的放射能を提供する、方法。
1A.患者におけるがんの治療方法であって、
治療有効量の、放射性コンジュゲートと1つ又は2つ以上の医薬的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物を患者に投与することを含み、
放射性コンジュゲートが、hK2に対する結合特異性を有する抗体又は抗原結合断片にコンジュゲートされた少なくとも1つの放射性金属錯体を含み、
放射性金属錯体が、放射性金属を含み、
放射性金属が、投薬時に、医薬組成物の用量当たり約350μCi~約500μCiの標的放射能を提供する、方法。
2.放射性コンジュゲートが、hK2に対する結合特異性を有する抗体にコンジュゲートされた少なくとも1つの放射性金属錯体を含む、実施形態1又は1Aに記載の方法。
3.抗体が、配列番号1及び配列番号2及び配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、並びに配列番号4及び配列番号5及び配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、実施形態2に記載の方法。
4.抗体が、配列番号8のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号9のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)を含む、実施形態2又は3に記載の方法。
5.抗体が、配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、及び配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、実施形態2又は3に記載の方法。
6.抗体が、配列番号10のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有する重鎖定常領域、及び配列番号11のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有する軽鎖定常領域を含む、実施形態2~5のいずれか1つに記載の方法。
7.抗体が、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域、及び配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域を含む、実施形態2~5のいずれか1つに記載の方法。
8.抗体が、配列番号12のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有する重鎖、及び配列番号13のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有する軽鎖を含む、実施形態2~7のいずれか1つに記載の方法。
9.抗体が、配列番号12のアミノ酸配列を有する重鎖、及び配列番号13のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、実施形態2~7のいずれか1つに記載の方法。
10.放射性金属が、225Ac、111In、177Lu、32P、47Sc、67Cu、77As、89Sr、90Y、99Tc、105Rh、109Pd、111Ag、131I、134Ce、149Tb、152Tb、155Tb、153Sm、159Gd、165Dy、166Ho、169Er、186Re、188Re、194Ir、198Au、199Au、211At、212Pb、212Bi、213Bi、223Ra、255Fm、及び227Thからなる群から選択される、実施形態1~9又は1Aのいずれか1つに記載の方法。
11.放射性金属が、225Acである、実施形態1~9又は1Aのいずれか1つに記載の方法。
12.放射性金属錯体が、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10,四酢酸(DOTA)、S-2-(4-イソチオシアナトベンジル)-1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸(NOTA)、1,4,8,11-テトラアザシクロドセダン(tetraazacyclodocedan)-1,4,8,11-四酢酸(TETA)、3,6,9,15-テトラアザビシクロ[9.3.1]-ペンタデカ-1(15),11,13-トリエン-4-(S)-(4-イソチオシアナトベンジル)-3,6,9-三酢酸(PCTA)、5-S-(4-アミノベンジル)-1-オキサ-4,7,10-トリアザシクロドデカン-4,7,10-トリス(酢酸)(DO3A)、及びそれらの誘導体からなる群から選択されるキレート剤を含む、実施形態1~11又は1Aのいずれか1つに記載の方法。
13.放射性金属錯体が、DOTAであるキレート剤を含む、実施形態1~11又は1Aのいずれか1つに記載の方法。
13A.放射性金属錯体が、TOPAであるキレート剤を含む、実施形態1~11又は1Aのいずれか1つに記載の方法。
14.放射性金属錯体が、DOTAにキレート化された225Acを含む、実施形態1~13又は1Aのいずれか1つに記載の方法。
14A.放射性金属錯体が、TOPAにキレート化された225Acを含む、実施形態1~11又は1Aのいずれか1つに記載の方法。
15.放射性コンジュゲートが、(a)式(IV)
【0295】
【化25】
(式中、
R
1が、水素であり、R
2が、-L
1-R
4であり、
あるいは、R
1が、-L
1-R
4であり、R
2が、水素であり、
R
3が、水素であり、
あるいは、R
2及びR
3が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員若しくは6員シクロアルキルを形成し、5員若しくは6員シクロアルキルが、-L
1-R
4で任意選択的に置換されており、
L
1が、存在しないか、若しくはリンカーであり、
R
4が、抗体である)の化合物若しくはその医薬的に許容される塩、又は
(b)式(V)
【0296】
【化26】
(式中、
L
1が、存在しないか、若しくはリンカーであり、
R
4が、抗体である)の化合物若しくはその医薬的に許容される塩にキレート化された放射性金属を含み、
例えば、放射性コンジュゲートを形成するために使用されるキレート剤は、以下の式:
【0297】
【化27】
の化合物又はその医薬的に許容される塩である、実施形態1~11又は1Aのいずれか1つに記載の方法。
16.放射性金属が、
225Acであり、放射性金属が、約2mgの全抗体当たり約25μCi~約350μCi、又は約2mgの全抗体当たり約50μCi~約350μCiの標的比放射能を提供する、実施形態2~15又は13A又は14Aのいずれか1つに記載の方法。
16A.放射性金属が、
225Acであり、放射性金属が、約2mgの全抗体~約10mgの全抗体当たり(例えば、約4mgの全抗体当たり)約25μCi~約350μCi又は約2mgの全抗体~約10mgの全抗体当たり(例えば、約4mgの全抗体当たり)約50μCi~約350μCiの標的比放射能を提供する、実施形態2~15又は13A又は14Aのいずれか1つに記載の方法。
17.放射性金属が、
225Acであり、放射性金属が、約2mgの全抗体当たり約25μCi~約300μCi、又は約2mgの全抗体当たり約50μCi~約300μCiの標的比放射能を提供する、実施形態2~15又は13A又は14Aのいずれか1つに記載の方法。
17A.放射性金属が、
225Acであり、放射性金属が、約2mgの全抗体~約10mgの全抗体当たり(例えば、約4mgの全抗体当たり)約25μCi~約300μCi、又は約2mgの全抗体~約10mgの全抗体当たり(例えば、約4mgの全抗体当たり)約50μCi~約300μCiの標的比放射能を提供する、実施形態2~15又は13A又は14Aのいずれか1つに記載の方法。
18.放射性金属が、
225Acであり、放射性金属が、約2mgの全抗体当たり約25μCi~約250μCi、又は約2mgの全抗体当たり約50μCi~約250μCiの標的比放射能を提供する、実施形態2~15又は13A又は14Aのいずれか1つに記載の方法。
18A.放射性金属が、
225Acであり、放射性金属が、約2mgの全抗体~約10mgの全抗体当たり(例えば、約4mgの全抗体当たり)約25μCi~約250μCi、又は約2mgの全抗体~約10mgの全抗体当たり(例えば、約4mgの全抗体当たり)約50μCi~約250μCiの標的比放射能を提供する、実施形態2~15又は13A又は14Aのいずれか1つに記載の方法。
19.放射性金属が、
225Acであり、放射性金属が、約2mgの全抗体当たり約25μCi~約200μCi、又は約2mgの全抗体当たり約50μCi~約200μCiの標的比放射能を提供する、実施形態2~15又は13A又は14Aのいずれか1つに記載の方法。
20.放射性金属が、
225Acであり、放射性金属が、約2mgの全抗体当たり約25μCi~約150μCi、又は約2mgの全抗体当たり約50μCi~約150μCiの標的比放射能を提供する、実施形態2~15又は13A又は14Aのいずれか1つに記載の方法。
21.放射性金属が、
225Acであり、放射性金属が、約2mgの全抗体当たり約25μCi~約100μCi、又は約2mgの全抗体当たり約50μCi~約100μCiの標的比放射能を提供する、実施形態2~15又は13A又は14Aのいずれか1つに記載の方法。
22.放射性金属が、
225Acであり、放射性金属が、約2mgの全抗体当たり約150μCi~約250μCiの標的比放射能を提供する、実施形態2~15又は13A又は14Aのいずれか1つに記載の方法。
23.放射性金属が、
225Acであり、放射性金属が、約2mgの全抗体当たり約50μCiの標的比放射能を提供する、実施形態2~15又は13A又は14Aのいずれか1つに記載の方法。
24.放射性金属が、
225Acであり、放射性金属が、約2mgの全抗体当たり約100μCiの標的比放射能を提供する、実施形態2~15又は13A又は14Aのいずれか1つに記載の方法。
25.放射性金属が、
225Acであり、放射性金属が、約2mgの全抗体当たり約150μCiの標的比放射能を提供する、実施形態2~15又は13A又は14Aのいずれか1つに記載の方法。
26.放射性金属が、
225Acであり、放射性金属が、約2mgの全抗体当たり約200μCiの標的比放射能を提供する、実施形態2~15又は13A又は14Aのいずれか1つに記載の方法。
27.医薬組成物が、約1μCi/mL~約100μCi/mL、又は約5μCi/mL~約75μCi/mL、又は約10μCi/mL~約60μCi/mL、又は約12.5μCi/mL~約50μCi/mL、又は約12.5μCi/mL、又は約25μCi/mL、又は約37.5μCi/mL、又は約50μCi/mLの標的放射能濃度を含む、実施形態2~26又は13A又は14A又は16A又は17A又は18Aのいずれか1つに記載の方法。
28.医薬組成物が、約1mg~約5mgの全抗体、又は約1mg~約4mgの全抗体を含む、実施形態2~26又は13A又は14A又は16A又は17A又は18Aのいずれか1つに記載の方法。
28A.医薬組成物が、約1mg~約10mgの全抗体、又は約2mg~約8mgの全抗体を含む、実施形態2~26又は13A又は14A又は16A又は17A又は18Aのいずれか1つに記載の方法。
29.医薬組成物が、約1mg~約4mgの全抗体を含む、実施形態2~26又は13A又は14A又は16A又は17A又は18Aのいずれか1つに記載の方法。
30.医薬組成物が、約1mg~約3mgの全抗体を含む、実施形態2~26又は13A又は14A又は16A又は17A又は18Aのいずれか1つに記載の方法。
31.医薬組成物が、約1.5~約2.5mgの全抗体を含む、実施形態2~26又は13A又は14A又は16A又は17A又は18Aのいずれか1つに記載の方法。
32.医薬組成物が、約2mgの全抗体を含む、実施形態2~26又は13A又は14A又は16A又は17A又は18Aのいずれか1つに記載の方法。
32A.医薬組成物が、約4mgの全抗体又は約8mgの全抗体を含む、実施形態2~26又は13A又は14A又は16A又は17A又は18Aのいずれか1つに記載の方法。
33.1つ又は2つ以上の医薬的に許容される賦形剤が、1つ又は2つ以上の放射線防護剤を含む、実施形態1~31又は1A又は13A又は14A又は16A又は17A又は18A又は28Aのいずれか1つに記載の方法。
34.1つ又は2つ以上の放射線防護剤が、アスコルビン酸ナトリウム、ゲンチシン酸、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態32又は32Aに記載の方法。
35.1つ又は2つ以上の放射線防護剤が、アスコルビン酸ナトリウムを含む、実施形態32又は32Aに記載の方法。
36.1つ又は2つ以上の放射線防護剤が、ゲンチシン酸を含む、実施形態32又は32Aに記載の方法。
37.1つ又は2つ以上の医薬的に許容される賦形剤が、1つ又は2つ以上の界面活性剤を更に含む、実施形態1~35又は1A又は13A又は14A又は16A又は17A又は18A又は28A又は32Aのいずれか1つに記載の方法。
38.1つ又は2つ以上の界面活性剤が、ポリソルベート20を含む、実施形態36に記載の方法。
39.1つ又は2つ以上の医薬的に許容される賦形剤が、酢酸緩衝剤を更に含む、実施形態1~37又は1A又は13A又は14A又は16A又は17A又は18A又は28A又は32Aのいずれか1つに記載の方法。
40.医薬組成物が、放射性コンジュゲート、アスコルビン酸ナトリウム、ポリソルベート20、酢酸緩衝剤、及び水を含む(pH調整のために酢酸が任意選択的に添加され得る)、実施形態1~38又は1A又は13A又は14A又は16A又は17A又は18A又は28A又は32Aのいずれか1つに記載の方法。
41.医薬組成物が、水中において放射性コンジュゲート、約24~28mMの酢酸、約0.25~0.75%のアスコルビン酸ナトリウム、及び約0.01~0.15%のポリソルベート20を含む、実施形態1~38又は1A又は13A又は14A又は16A又は17A又は18A又は28A又は32Aのいずれか1つに記載の方法。
42.医薬組成物が、水中において放射性コンジュゲート、約25mMの酢酸、約0.5%のアスコルビン酸ナトリウム、及び約0.04%のポリソルベート20を含む、実施形態1~38又は1A又は13A又は14A又は16A又は17A又は18A又は28A又は32Aのいずれか1つに記載の方法。
43.医薬組成物が、水中において放射性コンジュゲート、約26.75mMの酢酸、約0.5%のアスコルビン酸ナトリウム、及び約0.04%のポリソルベート20を含む、実施形態1~38又は1A又は13A又は14A又は16A又は17A又は18A又は28A又は32Aのいずれか1つに記載の方法。
44.医薬組成物が、約5~約6(例えば、約5.5)のpHを有する、実施形態1~42又は1A又は13A又は14A又は16A又は17A又は18A又は28A又は32Aのいずれか1つに記載の方法。
45.医薬組成物が、いかなる保存剤も含有しない、実施形態1~43又は1A又は13A又は14A又は16A又は17A又は18A又は28A又は32Aのいずれか1つに記載の方法。
46.医薬組成物が、いかなるスクロースも含有しない、実施形態1~44又は1A又は13A又は14A又は16A又は17A又は18A又は28A又は32Aのいずれか1つに記載の方法。
47.医薬組成物が、いかなるモノサッカライド、ジサッカライド、オリゴサッカライド、又はポリサッカライドも含有しない、実施形態1~44又は1A又は13A又は14A又は16A又は17A又は18A又は28A又は32Aのいずれか1つに記載の方法。
48.医薬組成物が、いかなるモノサッカライド又はジサッカライドも含有しない、実施形態1~44又は1A又は13A又は14A又は16A又は17A又は18A又は28A又は32Aのいずれか1つに記載の方法。
49.医薬組成物が、いかなるジサッカライドも含有しない、実施形態1~44又は1A又は13A又は14A又は16A又は17A又は18A又は28A又は32Aのいずれか1つに記載の方法。
50.医薬組成物が、約2~8℃の温度範囲で、少なくとも約72時間、又は少なくとも約96時間、又は少なくとも約120時間安定である、実施形態1~48又は1A又は13A又は14A又は16A又は17A又は18A又は28A又は32Aのいずれか1つに記載の方法。
51.医薬組成物の用量が、約1mL~約20mL、又は約1mL~約10mL、又は約2mL~約6mL、又は約3mL~約5mL、又は約4mLの体積を有する、実施形態2~49又は13A又は14A又は16A又は17A又は18A又は28A又は32Aのいずれか1つに記載の方法。
52.医薬組成物の用量が、約4mLの用量当たり約2mgの全抗体を含む、実施形態2~49又は13A又は14A又は16A又は17A又は18A又は28A又は32Aのいずれか1つに記載の方法。
53.医薬組成物が、約0.1~1.0mg/mL、又は約0.4~0.6mg/mL、又は約0.5mg/mLの量で全抗体を含む、実施形態2~51又は13A又は14A又は16A又は17A又は18A又は28A又は32Aのいずれか1つに記載の方法。
54.医薬組成物が、非放射標識抗体(例えば、DOTA-mAb、例えば、DOTA-h11B6などのコンジュゲート中間体)を更に含み、非放射標識抗体が、放射性金属錯体にコンジュゲートされた抗体と同じ抗体である、実施形態2~52又は13A又は14A又は16A又は17A又は18A又は28A又は32Aのいずれか1つに記載の方法。
55.コンジュゲートされた抗体及び非放射標識抗体の総量が、約10mg、又は約9mg、又は約8mg、又は約7mg、又は約6mg、又は約5mg、又は約4mg、又は約3mg、又は約2mgを超えない、実施形態53に記載の方法。
56.医薬組成物を患者に静脈内投与することを含む、実施形態1~54又は1A又は13A又は14A又は16A又は17A又は18A又は28A又は32Aのいずれか1つに記載の方法。
57.放射性金属をコンジュゲート中間体にキレート化して、放射性コンジュゲートを形成してから、約168時間以内、又は約144時間以内、又は約120時間以内、又は約96時間以内、又は約72時間以内、又は約48時間以内、又は約24時間以内に、医薬組成物を患者に投与することを含む、実施形態1~55又は1A又は13A又は14A又は16A又は17A又は18A又は28A又は32Aのいずれか1つに記載の方法。
58.医薬組成物を患者に約4週間毎に1回投与することを含む、実施形態1~56又は1A又は13A又は14A又は16A又は17A又は18A又は28A又は32Aのいずれか1つに記載の方法。
59.医薬組成物を患者に約8週間毎に1回投与することを含む、実施形態1~56又は1A又は13A又は14A又は16A又は17A又は18A又は28A又は32Aのいずれか1つに記載の方法。
60.医薬組成物を患者に約12週間毎に1回投与することを含む、実施形態1~56又は1A又は13A又は14A又は16A又は17A又は18A又は28A又は32Aのいずれか1つに記載の方法。
61.がんが、前立腺がんである、実施形態1~59又は1A又は13A又は14A又は16A又は17A又は18A又は28A又は32Aのいずれか1つに記載の方法。
62.がんが、非限局性前立腺がんである、実施形態1~59又は1A又は13A又は14A又は16A又は17A又は18A又は28A又は32Aのいずれか1つに記載の方法。
63.がんが、転移性前立腺がんである、実施形態1~59又は1A又は13A又は14A又は16A又は17A又は18A又は28A又は32Aのいずれか1つに記載の方法。
64.がんが、去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)である、実施形態1~59又は1A又は13A又は14A又は16A又は17A又は18A又は28A又は32Aのいずれか1つに記載の方法。
65.がんが、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)である、実施形態1~59又は1A又は13A又は14A又は16A又は17A又は18A又は28A又は32Aのいずれか1つに記載の方法。
66.がんが、腺がんを有するmCRPCである、実施形態1~59又は1A又は13A又は14A又は16A又は17A又は18A又は28A又は32Aのいずれか1つに記載の方法。
67.患者のテストステロン去勢レベルが、約50ng/dL以下である、実施形態1~65又は1A又は13A又は14A又は16A又は17A又は18A又は28A又は32Aのいずれか1つに記載の方法。
68.患者が、少なくとも1つのアンドロゲン受容体(AR)標的療法に以前に曝露されていた、実施形態1~66又は1A又は13A又は14A又は16A又は17A又は18A又は28A又は32Aのいずれか1つに記載の方法。
69.AR標的療法が、酢酸アビラテロン、エンザルタミド、アパルタミド、ダロルタミド、又は前述のいずれかの組み合わせである、実施形態67に記載の方法。
70.患者が、以前に化学療法を受けていた、実施形態1~68又は1A又は13A又は14A又は16A又は17A又は18A又は28A又は32Aのいずれか1つに記載の方法。
71.化学療法が、タキサンの投与を含んでいた、実施形態69に記載の方法。
72.患者が、以前に精巣摘出又は内科的去勢を受けていた、実施形態1~70又は1A又は13A又は14A又は16A又は17A又は18A又は28A又は32Aのいずれか1つに記載の方法。
73.患者が、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニスト又はアンタゴニストによる進行中のアンドロゲン除去療法を受けている、実施形態1~71又は1A又は13A又は14A又は16A又は17A又は18A又は28A又は32Aのいずれか1つに記載の方法。
74.用量を患者に単回投与で投与することを含む、実施形態1~72又は1A又は13A又は14A又は16A又は17A又は18A又は28A又は32Aのいずれか1つに記載の方法。
75.用量を2回以上の部分用量の複数回投与で投与することを含む、実施形態1~72又は1A又は13A又は14A又は16A又は17A又は18A又は28A又は32Aのいずれか1つに記載の方法。
75A.用量を2回の部分用量(例えば、2回の4mLの部分用量)で投与することを含む、実施形態75に記載の方法。
76.医薬組成物であって、
放射性コンジュゲートと1つ又は2つ以上の医薬的に許容される賦形剤とを含み、
放射性コンジュゲートが、hK2に対する結合特異性を有する抗体又は抗原結合断片にコンジュゲートされた少なくとも1つの放射性金属錯体を含み、
放射性金属錯体が、放射性金属を含む、医薬組成物。
77.1つ又は2つ以上の医薬的に許容される賦形剤が、1つ又は2つ以上の放射線防護剤を含む、実施形態76に記載の医薬組成物。
78.放射性コンジュゲートが、hK2に対する結合特異性を有する抗体にコンジュゲートされた少なくとも1つの放射性金属錯体を含む、実施形態76又は77に記載の医薬組成物。
79.抗体が、配列番号1及び配列番号2及び配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、並びに配列番号4及び配列番号5及び配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、実施形態78に記載の医薬組成物。
80.抗体が、配列番号8のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、及び配列番号9のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)を含む、実施形態78又は79に記載の医薬組成物。
81.抗体が、配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、及び配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、実施形態78又は79に記載の医薬組成物。
82.抗体が、配列番号10のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有する重鎖定常領域、及び配列番号11のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有する軽鎖定常領域を含む、実施形態78~81のいずれか1つに記載の医薬組成物。
83.抗体が、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域、及び配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域を含む、実施形態78~81のいずれか1つに記載の医薬組成物。
84.抗体が、配列番号12のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有する重鎖、及び配列番号13のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有する軽鎖を含む、実施形態78~83のいずれか1つに記載の医薬組成物。
85.抗体が、配列番号12のアミノ酸配列を有する重鎖、及び配列番号13のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、実施形態78~83のいずれか1つに記載の医薬組成物。
86.放射性金属が、
225Ac、
111In、
177Lu、
32P、
47Sc、
67Cu、
77As、
89Sr、
90Y、
99Tc、
105Rh、
109Pd、
111Ag、
131I、
134Ce、
149Tb、
152Tb、
155Tb、
153Sm、
159Gd、
165Dy、
166Ho、
169Er、
186Re、
188Re、
194Ir、
198Au、
199Au、
211At、
212Pb、
212Bi、
213Bi、
223Ra、
255Fm、及び
227Thからなる群から選択される、実施形態76~85のいずれか1つに記載の医薬組成物。
87.放射性金属が、
225Acである、実施形態76~85のいずれか1つに記載の医薬組成物。
88.放射性金属錯体が、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10,四酢酸(DOTA)、S-2-(4-イソチオシアナトベンジル)-1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸(NOTA)、1,4,8,11-テトラアザシクロドセダン(tetraazacyclodocedan)-1,4,8,11-四酢酸(TETA)、3,6,9,15-テトラアザビシクロ[9.3.1]-ペンタデカ-1(15),11,13-トリエン-4-(S)-(4-イソチオシアナトベンジル)-3,6,9-三酢酸(PCTA)、5-S-(4-アミノベンジル)-1-オキサ-4,7,10-トリアザシクロドデカン-4,7,10-トリス(酢酸)(DO3A)、及びそれらの誘導体からなる群から選択されるキレート剤を含む、実施形態76~87のいずれか1つに記載の医薬組成物。
89.放射性金属錯体が、DOTAであるキレート剤を含む、実施形態76~87のいずれか1つに記載の医薬組成物。
90.放射性金属錯体が、DOTAにキレート化された
225Acを含む、実施形態76~89のいずれか1つに記載の医薬組成物。
91.放射性コンジュゲートが、(a)式(IV)
【0298】
【化28】
(式中、
R
1が、水素であり、R
2が、-L
1-R
4であり、
あるいは、R
1が、-L
1-R
4であり、R
2が、水素であり、
R
3が、水素であり、
あるいは、R
2及びR
3が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員若しくは6員シクロアルキルを形成し、5員若しくは6員シクロアルキルが、-L
1-R
4で任意選択的に置換されており、
L
1が、存在しないか、若しくはリンカーであり、
R
4が、抗体である)の化合物若しくはその医薬的に許容される塩、又は
(b)式(V)
【0299】
【化29】
(式中、
L
1が、存在しないか、若しくはリンカーであり、
R
4が、抗体である)の化合物若しくはその医薬的に許容される塩にキレート化された放射性金属を含み、
例えば、放射性コンジュゲートを形成するために使用されるキレート剤は、以下の式:
【0300】
【化30】
の化合物又はその医薬的に許容される塩である、実施形態76~87のいずれか1つに記載の医薬組成物。
92.1つ又は2つ以上の放射線防護剤が、アスコルビン酸ナトリウム、ゲンチシン酸、又はそれらの組み合わせを(例えば、約0.1~約5w/v%、又は約0.1~約4w/v%、又は約0.1~約3w/v%、約0.1~約2w/v%、又は約0.1~約1w/v%、又は約0.25~約0.75w/v%、又は約0.5w/v%の量で)含む、実施形態77~91のいずれか1つに記載の医薬組成物。
93.1つ又は2つ以上の放射線防護剤が、アスコルビン酸ナトリウムを(例えば、約0.1~約5w/v%、又は約0.1~約4w/v%、又は約0.1~約3w/v%、約0.1~約2w/v%、又は約0.1~約1w/v%、又は約0.25~約0.75w/v%、又は約0.5w/v%の量で)含む、実施形態77~91のいずれか1つに記載の医薬組成物。
94.1つ又は2つ以上の放射線防護剤が、ゲンチシン酸を(例えば、約0.1~約5w/v%、又は約0.1~約4w/v%、又は約0.1~約3w/v%、約0.1~約2w/v%、又は又は約0.1~約1w/v%、又は約0.25~約0.75w/v%、又は約0.5w/v%の量で)含む、実施形態77~91のいずれか1つに記載の医薬組成物。
95.1つ又は2つ以上の医薬的に許容される賦形剤が、1つ又は2つ以上の界面活性剤を更に含む、実施形態76~94のいずれか1つに記載の医薬組成物。
96.1つ又は2つ以上の界面活性剤が、ポリソルベート20を含む、実施形態95に記載の医薬組成物。
97.1つ又は2つ以上の医薬的に許容される賦形剤が、酢酸緩衝剤を更に含む、実施形態76~96のいずれか1つに記載の医薬組成物。
98.放射性コンジュゲート、アスコルビン酸ナトリウム、ポリソルベート20、酢酸緩衝剤、及び水を含む(pH調整のために酢酸が任意選択的に添加され得る)、実施形態76~97のいずれか1つに記載の医薬組成物。
99.水中において放射性コンジュゲート、約24~28mM酢酸、約0.25~0.75w/v%のアスコルビン酸ナトリウム、及び約0.01~0.15w/v%のポリソルベート20を含む、実施形態76~97のいずれか1つに記載の医薬組成物。
100.水中において放射性コンジュゲート、約25mMの酢酸、約0.5w/v%のアスコルビン酸ナトリウム、及び約0.04w/v%のポリソルベート20を含む、実施形態76~97のいずれか1つに記載の医薬組成物。
101.水中において放射性コンジュゲート、約26.75mMの酢酸、約0.5w/v%のアスコルビン酸ナトリウム、及び約0.04w/v%のポリソルベート20を含む、実施形態76~97のいずれか1つに記載の医薬組成物。
102.医薬組成物が、約5~約6(例えば、約5.5)のpHを有する、実施形態76~101のいずれか1つに記載の医薬組成物。
103.医薬組成物が、いかなる保存剤も含有しない、実施形態76~101のいずれか1つに記載の医薬組成物。
104.医薬組成物が、いかなるスクロースも含有しない、実施形態76~103のいずれか1つに記載の医薬組成物。
105.医薬組成物が、いかなるモノサッカライド、ジサッカライド、オリゴサッカライド、又はポリサッカライドも含有しない、実施形態76~103のいずれか1つに記載の医薬組成物。
106.医薬組成物が、いかなるモノサッカライド又はジサッカライドも含有しない、実施形態76~103のいずれか1つに記載の医薬組成物。
107.医薬組成物が、いかなるジサッカライドも含有しない、実施形態76~103のいずれか1つに記載の医薬組成物。
108.1つ又は2つ以上の医薬的に許容される賦形剤が、水中において酢酸緩衝剤、アスコルビン酸ナトリウム、及びポリソルベート20からなるか、又はそれらから本質的になる、実施形態76~103のいずれか1つに記載の医薬組成物。
109.医薬組成物が、静脈内投与用に製剤化されている、実施形態76~108のいずれか1つに記載の医薬組成物。
110.医薬組成物が、約2~8℃の温度範囲で、少なくとも72時間、又は少なくとも96時間、又は少なくとも120時間安定である、実施形態76~109のいずれか1つに記載の医薬組成物。
111.放射性コンジュゲートが、抗体にコンジュゲートされた、平均約1~約4、又は約2~約3のキレート剤分子を含む、実施形態77~110のいずれか1つに記載の医薬組成物。
112.放射性金属が、
225Acであり、放射性金属が、約2mgの全抗体当たり約50μCi~約350μCiの比放射能を提供する、実施形態77~111のいずれか1つに記載の医薬組成物。
112A.放射性金属が、
225Acであり、放射性金属が、約2mg~約10mgの全抗体当たり約50μCi~約350μCiの比放射能を提供する、実施形態77~111のいずれか1つに記載の医薬組成物。
112B.放射性金属が、
225Acであり、放射性金属が、約2mg~約10mgの全抗体当たり約350μCi~約500μCiの比放射能を提供する、実施形態77~111のいずれか1つに記載の医薬組成物。
113.放射性金属が、
225Acであり、放射性金属が、約2mgの全抗体当たり約50μCi~約300μCiの比放射能を提供する、実施形態77~111のいずれか1つに記載の医薬組成物。
113A.放射性金属が、
225Acであり、放射性金属が、約2mg~約10mgの全抗体当たり約50μCi~約300μCiの比放射能を提供する、実施形態77~111のいずれか1つに記載の医薬組成物。
114.放射性金属が、
225Acであり、放射性金属が、約2mgの全抗体当たり約50μCi~約250μCiの比放射能を提供する、実施形態77~111のいずれか1つに記載の医薬組成物。
114A.放射性金属が、
225Acであり、放射性金属が、約2mg~約10mgの全抗体当たり約50μCi~約250μCiの比放射能を提供する、実施形態77~111のいずれか1つに記載の医薬組成物。
115.放射性金属が、
225Acであり、放射性金属が、約2mgの全抗体当たり約50μCi~約200μCiの比放射能を提供する、実施形態77~111のいずれか1つに記載の医薬組成物。
116.放射性金属が、
225Acであり、放射性金属が、約2mgの全抗体当たり約50μCi~約150μCiの比放射能を提供する、実施形態77~111のいずれか1つに記載の医薬組成物。
117.放射性金属が、
225Acであり、放射性金属が、約2mgの全抗体当たり約50μCi~約100μCiの比放射能を提供する、実施形態77~111のいずれか1つに記載の医薬組成物。
118.放射性金属が、
225Acであり、放射性金属が、投薬時に約2mgの全抗体当たり約50μCi~約200μCiの標的比放射能を提供する、実施形態77~111のいずれか1つに記載の医薬組成物。
119.放射性金属が、
225Acであり、放射性金属が、投薬時に約2mgの全抗体当たり約50μCiの標的比放射能を提供する、実施形態77~111のいずれか1つに記載の医薬組成物。
120.放射性金属が、
225Acであり、放射性金属が、投薬時に約2mgの全抗体当たり約100μCiの標的比放射能をもたらす、実施形態77~111のいずれか1つに記載の医薬組成物。
121.放射性金属が、
225Acであり、放射性金属が、投薬時に約2mgの全抗体当たり約150μCiの標的比放射能を提供する、実施形態77~111のいずれか1つに記載の医薬組成物。
122.放射性金属が、
225Acであり、放射性金属が、投薬時に約2mgの全抗体当たり約200μCiの標的比放射能をもたらす、実施形態77~111のいずれか1つに記載の医薬組成物。
122A.放射性金属が、
225Acであり、放射性金属が、投薬時に約4mgの全抗体当たり約300μCiの標的比放射能を提供する、実施形態77~111のいずれか1つに記載の医薬組成物。
123.約1mg~約20mgの全抗体を含む、実施形態77~122のいずれか1つに記載の医薬組成物。
124.約1mg~約10mgの全抗体を含む、実施形態77~122のいずれか1つに記載の医薬組成物。
125.約1mg~約5mgの全抗体を含む、実施形態77~122のいずれか1つに記載の医薬組成物。
126.約2mgの全抗体を含む、実施形態77~122のいずれか1つに記載の医薬組成物。
127.約10mgの全抗体を含む、実施形態77~122のいずれか1つに記載の医薬組成物。
128.コンジュゲート中間体及び放射性コンジュゲートの総量を約0.1~1.0mg/mLの量で含む、実施形態77~127のいずれか1つに記載の医薬組成物。
129.コンジュゲート中間体及び放射性コンジュゲートの総量を約0.4~0.6mg/mLの量で含む、実施形態77~127のいずれか1つに記載の医薬組成物。
130.コンジュゲート中間体及び放射性コンジュゲートの総量を約0.5mg/mLの量で含む、実施形態77~127のいずれか1つに記載の医薬組成物。
131.非放射標識抗体(例えば、DOTA-mAb、例えば、DOTA-h11B6などのコンジュゲート中間体)を更に含み、非放射標識抗体が、放射性金属錯体にコンジュゲートされた抗体と同じ抗体である、実施形態77~127のいずれか1つに記載の医薬組成物。
132.コンジュゲートされた抗体及び非放射性標識抗体の総量が、約10mg、又は約9mg、又は約8mg、又は約7mg、又は約6mg、又は約5mg、又は約4mg、又は約3mg、又は約2mgを超えない、実施形態131に記載の医薬組成物。
133.患者においてがんを治療するための方法であって、治療有効量の実施形態76~132又は112A又は112B又は113A又は114A又は122Aのいずれか1つに記載の医薬組成物を患者に投与することを含む、方法。
134.医薬組成物を患者に約4週間毎に1回投与することを含む、実施形態133に記載の方法。
135.医薬組成物を患者に約8週間毎に1回投与することを含む、実施形態133に記載の方法。
136.医薬組成物を患者に約12週間毎に1回投与することを含む、実施形態133に記載の方法。
137.がんが、前立腺がんである、実施形態133~136のいずれか1つに記載の方法。
138.がんが、非限局性前立腺がんである、実施形態133~136のいずれか1つに記載の方法。
139.がんが、転移性前立腺がんである、実施形態133~136のいずれか1つに記載の方法。
140.がんが、去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)である、実施形態133~136のいずれか1つに記載の方法。
141.がんが、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)である、実施形態133~136のいずれか1つに記載の方法。
142.がんが、腺がんを有するmCRPCである、実施形態133~136のいずれか1つに記載の方法。
143.患者のテストステロン去勢レベルが、約50ng/dL以下である、実施形態133~142のいずれか1つに記載の方法。
144.患者が、少なくとも1つのアンドロゲン受容体(AR)標的療法に以前に曝露されていた、実施形態133~143のいずれか1つに記載の方法。
145.AR標的療法が、酢酸アビラテロン、エンザルタミド、アパルタミド、ダロルタミド、又は前述のいずれかの組み合わせである、実施形態144に記載の方法。
146.患者が、以前に化学療法を受けていた、実施形態133~145のいずれか1つに記載の方法。
147.化学療法が、タキサンの投与を含んでいた、実施形態146に記載の方法。
148.患者が、以前に精巣摘出又は内科的去勢を受けていた、実施形態133~147のいずれか1つに記載の方法。
149.患者が、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニスト又はアンタゴニストによる進行中のアンドロゲン除去療法を受けている、実施形態133~148のいずれか1つに記載の方法。
150.がん、例えば、mCRPCなどの前立腺の治療に使用するための、実施形態76~132又は112A又は112B又は113A又は114A又は122Aのいずれか1つに記載の医薬組成物。
151.実施形態76~132又は112A又は112B又は113A又は114A又は122Aのいずれか1つに記載の医薬組成物の作製方法であって、第1の中間体組成物及び第2の中間体組成物を組み合わせて、医薬組成物を形成することを含み、第1の中間体組成物が、放射性コンジュゲートを含み、第2の中間体組成物が、コンジュゲート中間体を含み、いかなる放射性コンジュゲートも含有しない、方法。
152.放射性コンジュゲート及びコンジュゲート中間体が、同じ抗体を含む、実施形態151に記載の方法。
153.放射性コンジュゲート及びコンジュゲート中間体が、同じ抗体及び同じキレート剤を含む、実施形態151に記載の方法。
154.第1の中間組成物及び第2の中間組成物が、同じ医薬的に許容される賦形剤を含む、実施形態151~153のいずれか1つに記載の方法。
155.第1の中間組成物及び第2の中間組成物が、同じ医薬的に許容される賦形剤を同じ量又は実質的に同じ量で含む、実施形態151~153のいずれか1つに記載の方法。
156.放射性金属をコンジュゲート中間体にキレート化して、放射性コンジュゲートを形成することを更に含む、実施形態151~155のいずれか1つに記載の方法。
【0301】
上記の列挙された実施形態1~156、又は16A、17A、18A、28A、32A、75A、112A、112B、113A、114A、又は122Aのいずれか1つを含む特定の実施形態によれば、放射性コンジュゲートは、225Ac-DOTA-h11B6である。
【0302】
上記の列挙された実施形態1~156、又は16A、17A、18A、28A、32A、75A、112A、112B、113A、114A、又は122Aのいずれか1つを含む特定の実施形態によれば、放射性コンジュゲートは、(例えば、
図6A~
図6Cに図示される)
225Ac-TOPA-h11B6などのTOPA-[C7]-フェニルチオ尿素-h11B6抗体コンジュゲートである。
【0303】
以下の実施例は、本発明の本質を更に説明することを意図している。以下の実施例は、本発明を限定しないことを理解されたい。
【実施例】
【0304】
以下の実施例で用いられるh11B6抗体は、配列番号12による重鎖及び配列番号13による軽鎖を含む。
【0305】
実施例1:ヒトにおける111In-DOTA-h11B6の第0相画像試験
111In-DOTA-h11B6のファースト・イン・ヒューマンの第0相画像試験を行って、進行前立腺がんを有する対象においてhK2を標的とする放射線免疫療法の可能性を決定した。(臨床試験識別子NCT04116164)。
【0306】
2mgの[111In]-DOTA-h11B6(名目上185MBq[111In])の単回低速ボーラス注入を、8mgのh11B6とともに、又はそれなしで、静脈内投与した。患者に投与した製剤は、25mMの酢酸、8.5%のスクロース(w/v)、0.04%のポリソルベート20(w/v)、pH5.5中の0.5mg/mLの
111In-DOTA-h11B6であった。この製剤のUV及び放射線HPLCクロマトグラムを得た。
図1A及び
図1Bを参照されたい。
【0307】
少なくとも2週間、有害事象(adverse event、AE)について患者を観察した。少なくとも1回のSPECT/CTスキャンを含む連続ガンマカメラ造影を、投与後8日まで実施した。連続血液試料を2週間にわたって得て、血清放射能及びh11B6タンパク質レベルを決定した。正常器官の線量測定は、OLINDA-EXMを使用して推定した。
【0308】
最初の6人の患者の結果を、表1に要約する。治療は、全ての患者において許容され、有害事象はなく、唾液腺を含むいかなる器官にも高度蓄積の証拠はなかった。初期分布体積は、血管区画に限定されているようであった。全ての患者において、血管区画からの放射能の低速のクリアランスが、骨格及び非骨格病変に対する漸進的な標的化とともに観察された。骨及び軟組織転移に限局化されたh11B6 mAbは、有意な正常組織内取り込みを有さず、唾液腺を残した。血清薬物動態及び重要な正常器官(肝臓、脾臓、腎臓)生体内分布の両方は、2mg及び10mgの抗体質量で抗体の生物学的挙動には本質的に差がないことを露呈した。
【0309】
【0310】
実施例2:
225Ac-DOTA-h11B6を含む製剤「A」の調製
h11B6にコンジュゲートしたアクチニウムを含む製剤を調製するために、第0相で使用したものと同じ製剤を作製したが、
111In-DOTA-h11B6を
225Ac-DOTA-h11B6で置き換えた。26.75mMの酢酸中に0.5mg/mLの
225Ac-DOTA-h11B6、8.5%のスクロース(w/v)、及び0.04%のポリソルベート20(w/v)、pH5.5を含有する、「製剤A」を調製した。放射線分解性分解物が、この製剤のUV及び放射線HPLCクロマトグラムにおいて観察された。
図2A及び
図2Bを参照されたい。放射線分解性分解物は、製剤中のスクロースの放射線分解から生じるものと同定した。
【0311】
実施例3:
225Ac-DOTA-h11B6を含む製剤「B」の調製
抗凍結剤であるスクロースは、一次放射線からの二次放射線分解性分解産物の形成のため、製剤Aから排除した。形態は、凍結固体から液体溶液に修正した。しかしながら、スクロースの排除は、
225Ac-DOTA-h11B6薬物製品の分解の加速、特にh11B6抗体の分解の加速をもたらした。0.5%のw/vアスコルビン酸ナトリウム(ビタミンC)を犠牲的な放射線防護剤として添加して、分解を弱め、その結果、26.75mMの酢酸中に0.5mg/mLの
225Ac-DOTA-h11B6、0.5%w/vのアスコルビン酸ナトリウム(ビタミンC)、及び0.04%のポリソルベート20、pH5.5を含有する、「製剤B」が得られた。この製剤のUV及び放射線HPLCクロマトグラムを得た。
図3A~
図3Dを参照されたい。
225Ac-DOTA-h11B6薬物製品の分解は、製剤Bにおいて有意に低減した。
【0312】
実施例4:225Ac-DOTA-h11B6、及び225Ac-DOTA-h11B6を含む製剤「B」の製造
この実施例は、225Ac-DOTA-h11B6を含有する薬物製品の製造を記載するが、類似の方法はまた、225Ac-DOTA-h11B6の代わりに225Ac-TOPA-h11B6を含有する薬物製品の製造にも使用することができる。
【0313】
この実施例は、225Ac-DOTA-h11B6薬物製品及びこの薬物製品を含有する溶液の製造のためのプロセスを記載する。抗体h11B6は、例えば、米国特許第10,100,125号に記載されるように調製することができ、これは、参照により本明細書に組み込まれる。抗体h11B6はまた、CHO DG44由来細胞株及びFujifilm Diosynth Biotechnologiesから市販されているhEF1αプロモータ二重遺伝子ベクターを使用して、米国特許第9,873,891号に記載の方法を使用して調製することもでき、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0314】
前培養及び増殖に続いて、細胞培養物は、既知の濾過技法を使用して清澄化してもよい。濾液を濃縮し、緩衝剤(25mMのNaOAc、pH5.5)中10g/Lの標的最終濃度になるまでダイアフィルターする。h11B6を、0.2μmのフィルターを通して濾過し、滅菌バッグに充填し、コンジュゲーションの前に長期保存のために-65℃以下で凍結してもよい。
【0315】
次いで、解凍したh11B6を、DOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)のh11B6へのその後のコンジュゲーションのために、50mMのビシン、120mMのNaCl、pH8.5にダイアフィルターする(緩衝剤交換する)。前工程からの未透過液を反応器に移し、25℃まで加温しながら撹拌する。p-SCN-Bn-DOTAの水溶液を調製し、反応器に添加する。反応を、25℃で20時間維持した。コンジュゲーション反応の産物(DOTA-h11B6)を、25mMのNaOAc、pH5.5での最終ダイアフィルトレーションのために未透過液容器に直接移す。次に、DOTA-h11B6コンジュゲート中間体を、0.2μmのフィルターを通して濾過し、滅菌ポリカーボネート容器に充填し、長期保存のために-65℃以下で凍結してもよい。
【0316】
コンジュゲーション反応は、h11B6 mAbのリジン側鎖のイプシロンアミノ基への複数のDOTA分子の付加をもたらす。h11B6 mAb分子当たりのDOTA分子の数を示すコンジュゲート対抗体比(CAR)は、オンライン質量分析を用いたRP-HPLCを使用するインタクト質量分析によって測定することができる。p-SCN-Bn-DOTAの分子構造に基づいて、各DOTA残基は、抗体に552Daの質量を付加し、これは、インタクト質量分析によって容易に検出することができる。試料の複雑さを低減するために、DOTA-h11B6コンジュゲート中間体をPNGase Fで処理して、N連結グリカンを除去し、カルボキシペプチダーゼBで処理して、C末端リジン残基を除去した。2.6のDOTA-h11B6の平均CARを、検出された全てのCAR種からの加重平均として計算した。
【0317】
225Ac-DOTA-h11B6薬物製品は、前駆体であるDOTA-h11B6コンジュゲート中間体から連続操作で製造され、これは、三塩化225アクチニウムと反応して、170μCi/mg以上の標的比放射能を有する225アクチニウム-放射標識原薬を生成する。225Ac-DOTA-h11B6原薬を合成し、PD-10カラム精製によって精製し、インサイツで製剤化する。以下に記載されるように、225Ac-DOTA-h11B6原薬をDOTA-h11B6及び再製剤化緩衝剤とブレンドすることによって、4つの薬物製品提示物(2mgのタンパク質中、50、100、150、及び200μCi)を製造する。ブレンドした製品提示物を個々に滅菌濾過し、最終患者バイアルに無菌的に充填する。
【0318】
中間精製緩衝剤(26.75mMの酢酸、0.04%のポリソルベート20、酢酸、pH5.5)を、最終配合精製緩衝剤のために調製し、使用前の30日間以下にわたって、2~8℃で保存することができる。アスコルビン酸ナトリウムを中間精製緩衝剤に添加し、0.2μmの滅菌フィルターを通して滅菌産物保持容器に濾過して、最終配合精製緩衝剤(26.75mMの酢酸、0.5%(w/v)のアスコルビン酸ナトリウム、0.04%(w/v)のポリソルベート20、酢酸、pH5.5)を生成する。
【0319】
DOTA-h11B6コンジュゲート中間体を、室温で解凍する。三塩化アクチニウムの溶液を、三硝酸アクチニウムを0.1Nの塩化水素酸に溶解することによって調製する(既に三塩化形態であるAc-225の供給源を使用することもまた可能である)。三塩化アクチニウム(800~1300μCi)を、4.4mgのDOTA-h11B6及び酢酸ナトリウム緩衝剤とともにインキュベートし(事前に調製し、6ヶ月以下保存した酢酸でpH調整)、pHを6.5に調整する。次いで、225Ac-DOTA-h11B6を、事前に条件付けしたPD-10カラム上で精製し、最終精製緩衝剤で溶出する。精製後、放射能の量を測定する。
【0320】
4つの線量(50、100、150、及び200μCiを達成するための調製物において、DOTA-h11B6コンジュゲート中間体を、最終再製剤化緩衝剤を使用して、0.5mg/mL(26.75mMの酢酸、0.5%(w/v)のアスコルビン酸ナトリウム、0.04%(w/v)のポリソルベート20、酢酸pH5.5)に再製剤化し、0.2μmの滅菌フィルターを通して濾過する。次いで、225Ac-DOTA-h11B6を中間バイアルに分注して、所望の単位線量(患者への予測投与時間に、4mL中の50、100、150、及び200μCi)を達成し、再製剤化したDOTA-h11B6コンジュゲート中間体を、6.8mLの体積まで添加して、薬物製品を生成する。次いで、薬物製品を0.2μmの滅菌フィルターを通して濾過し、4.8mLの体積まで無菌的に充填する。残りの薬物製品もまた、0.2μm滅菌フィルターを通して濾過し、薬物製品のリリース試験のために無菌的に充填する。薬物製品を直ちに2~8℃で保存する。
【0321】
したがって、放射標識薬物製品225Ac-DOTA-h11B6は、静脈内注射用の滅菌溶液として調製され、保存剤を含有しない。225Ac-DOTA-h11B6は、患者への予測投与時間に4つの薬物製品(drug product、DP)の単位線量:50、100、150、及び200μCiで利用可能である。
【0322】
薬物製品の標的組成を、以下の表2に提供する。あるいは、225Ac-DOTA-h11B6及びDOTA-h11B6の代わりに、それぞれ225Ac-TOPA-h11B6及びTOPA-h11B6を用いて、組成物を調製してもよい。
【0323】
【表3】
a標的充填体積(4.8mL)は、0.8mLの過充填を含む。
b較正時の標的活性濃度。
c本明細書に記載されるように、
225Ac-DOTA-h11B6をDOTA-h11B6及び再製剤化緩衝剤と組み合わせて、それぞれの薬物製品単位用量を生成する。
【0324】
実施例5A:DOTA-h11B6安定性試験
この試験は、様々な環境条件及び様々な長さの時間の下に安定して置いたDOTA-h11B6原薬中間体(25mMの酢酸中に製剤化された10mg/mL、pHを5.5に調整)の属性を監視するために行った。原薬中間体(Drug Substance Intermediate、DSI)を20mLのポリカーボネートボトルに9mLの充填体積で等分することによって、研究試験品を調製した。
【0325】
【0326】
安定性試験結果
推奨、加速、及び2つのストレス条件下で保持したDOTA-h11B6 DSIの安定性結果を、以下に列挙する。推奨保存条件で保持したDSIの全ての時点で、アッセイ試験毎に観察された全ての試験パラメータ結果値は、約-65℃の温度で約48ヶ月以上の保存後、約-40℃の温度で約6ヶ月以上の保存後、約5℃の温度で約6ヶ月以上の保存後、及び/又は約-65℃の温度で約4年以上の保存後に保持した場合の安定性の最も好ましい実施形態と一致する基準を超えていた。特に注目すべきことに、加速条件(-40℃)で6ヶ月間保持したDSI、及びストレス条件(5℃)で6ヶ月間保持したDSIは、-65℃で約4年以上保持した場合の安定性の好ましい実施形態と一致する結果を示した。
【0327】
ストレス条件(25℃)で1ヶ月間保持したDOTA-h11B6 DSIの結果は、このストレス保存条件に曝露された原薬中間体について以下の分解速度を示した。
【0328】
-65℃データ
【0329】
【0330】
【0331】
【表7】
SE-HPLC=サイズ排除高速液体クロマトグラフィHMW=高分子量;LMW=低分子量;CE-SDS=キャピラリ電気泳動ドデシル硫酸ナトリウム;LC=軽鎖;HC=重鎖;NGHC=非グリコシル化重鎖;IgG=免疫グロブリンG;CIEF=陽イオン交換;NR=報告されず
【0332】
-40℃データ
【0333】
【0334】
【0335】
【表10】
SE-HPLC=サイズ排除高速液体クロマトグラフィHMW=高分子量;LMW=低分子量;CE-SDS=キャピラリ電気泳動ドデシル硫酸ナトリウム;LC=軽鎖;HC=重鎖;NGHC=非グリコシル化重鎖;IgG=免疫グロブリンG;cIEF=キャピラリ等電点電気泳動;RP-HPLC=逆相高速液体クロマトグラフィ
【0336】
5℃データ
【0337】
【0338】
【0339】
【表13】
SE-HPLC=サイズ排除高速液体クロマトグラフィHMW=高分子量;LMW=低分子量;CE-SDS=キャピラリ電気泳動ドデシル硫酸ナトリウム;LC=軽鎖;HC=重鎖;NGHC=非グリコシル化重鎖;IgG=免疫グロブリンG;cIEF=キャピラリ等電点電気泳動;RP-HPLC=逆相高速液体クロマトグラフィ
【0340】
25℃データ
【0341】
【0342】
【0343】
【表16】
SE-HPLC=サイズ排除高速液体クロマトグラフィHMW=高分子量;LMW=低分子量;CE-SDS=キャピラリ電気泳動ドデシル硫酸ナトリウム;LC=軽鎖;HC=重鎖;NGHC=非グリコシル化重鎖;IgG=免疫グロブリンG;cIEF=キャピラリ等電点電気泳動;RP-HPLC=逆相高速液体クロマトグラフィ
【0344】
実施例5B:111In-DOTA-h11B6安定性試験
この試験は、推奨保存条件下に安定して置いた111In-DOTA-h11B6薬物製品(DP)属性を監視するために行った。研究試験品は、事前にストッパーで閉じ、蓋をし、圧着密封した10Rホウケイ酸バイアルのセプタムを通して薬物製品を充填することによって、調製した。
【0345】
【0346】
安定性試験結果
推奨及び加速の条件下で保持した111In-DOTA-h11B6 DPの安定性結果を、以下に列挙する。推奨保存条件で保持したDPの全ての時点で、アッセイ試験毎に観察された全ての試験パラメータ結果値は、約-40℃の温度で約72時間以上及び/又は約5℃の温度で約72時間以上保存後に保持した場合の安定性の最も好ましい実施形態と一致する基準を超えていた。
【0347】
加速(5℃)で72時間保持したDPの結果は、-40℃で約72時間以上保持した場合の安定性の好ましい実施形態と一致する結果を示した。
【0348】
40℃データ
【0349】
【0350】
【表19】
ND=検出されず、HMWS=高分子量種、LMWS=低分子量種
【0351】
5℃データ
【0352】
【0353】
【表21】
HMWS=高分子量種、LMWS=低分子量種、μCi=マイクロキュリー、ND=検出されず
【0354】
実施例5C:225Ac-DOTA-h11B6安定性試験
この試験は、推奨保存条件下に安定して置いた225Ac-DOTA-h11B6薬物製品(50μCi及び200μCi)属性を監視するために行った。研究試験品は、事前に密封した10R環状オレフィンポリマーバイアルのセプタムを通して薬物製品を充填することによって、調製した。
【0355】
【0356】
安定性試験結果
推奨保存条件下で保持した225Ac-DOTA-h11B6 DPの安定性結果を、以下に列挙する。推奨保存条件で保持したDPの全ての時点で、アッセイ試験毎に観察された全ての試験パラメータ結果値は、約96時間の保存後に保持した場合の安定性の最も好ましい実施形態と一致する基準を超えた。
【0357】
2~8℃データ
【0358】
【0359】
【0360】
【0361】
【表26】
SEC=サイズ排除クロマトグラフィ、HMWS=高分子量種、LMWS=低分子量種、μCi=マイクロキュリー
【0362】
実施例6:進行前立腺がんのための、ヒトカリクレイン-2(hK2)を標的とするアクチニウム-225標識抗体の使用(試験ID:NCT04644770;69086420PCR1001)
この実施例は、AR標的療法中又はその後に疾患進行を有するmCRPCを有する成人患者に投与される、225Ac-DOTA-h11B6の安全性、薬物動態、薬力学、及び予備的抗腫瘍活性を評価するためのファースト・イン・ヒューマンの第1相試験を記載する。実施例3及び4に記載の製剤Bを、第1相試験において患者に投与する。本明細書において考察されるように、225Ac-DOTA-h11B6は、DOTAで標識され、α線粒子放出放射性核種225Acにキレート化された、hK2特異的モノクローナル抗体h11B6であり、hK2抗原を標的とする放射免疫療法である。この試験の患者コホートには、この実施例に記載の類似の臨床方法に従って、類似の医薬組成物を使用して、225Ac-DOTA-h11B6の代わりに225Ac-TOPA-h11B6が投与されることに留意されたい。
【0363】
主要な目的は、225Ac-DOTA-h11B6の安全性及び推奨される第2相用量(recommended Phase2 dose、RP2D)を決定すること、並びに用量制限毒性(dose-limiting toxicity、DLT)を含む有害事象の発生率、持続期間、及び重症度を評価することである。副次的な目的及びエンドポイントは、予備的な抗腫瘍活性を評価し、225Ac-DOTA-h11B6の薬理学の更なる理解を提供する。例えば、表3を参照されたい。
【0364】
【表27】
225Ac-DOTA-h11B6を、少なくとも1つの新規AR標的療法に以前に曝露されていた、mCRPCを有する18歳以上の成人男性に投与する。
225Ac-DOTA-h11B6の投与は、2部構成:用量漸増(第1部)及び用量拡大(第2部)で行う。
【0365】
治療に対する応答は、PCWG3の応答基準に従って評価する。
【0366】
血液試料を採取して、血清放射能の薬物動態及びh11B6抗体の濃度を特徴付け、225Ac-DOTA-h11B6の抗薬物抗体の存在を特徴付ける。
【0367】
225Ac-DOTA-h11B6の安全性は、身体検査、米国東海岸がん臨床試験グループ(Eastern Cooperative Oncology Group、ECOG)パフォーマンスステータス、心電図、臨床検査室試験、バイタルサイン、及び有害事象の監視によって評価する。心エコー図又はマルチゲート収集スキャンが、スクリーニング時に評価される。その後の評価は、臨床的に示される場合に行われる。有害事象の重症度は、National Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events(バージョン5.0)を使用して評価される。併用薬の使用が記録される。
【0368】
用量漸増の決定は、過量投与制御を伴う用量漸増(escalation with overdose control、EWOC)を用いた、ベイズロジスティック回帰モデル(Bayesian logistic regression model、BLRM)に基づく修正された連続再評価法(modified continual reassessment method、mCRM)によって支持される。
【0369】
組み入れ基準は、以下を含む:
各可能性のある患者は、以下の基準全てを満たす必要がある:
【0370】
【0371】
除外基準は、以下を含む:
以下の基準のうちのいずれかを満たす可能性のあるいかなる患者も、除外される。
【0372】
【0373】
A.第1部:用量漸増
参加者は、225Ac-DOTA-h11B6の静脈内(IV)注射を、以下に記載の量で1回又は複数回用量で受ける。
【0374】
第1部では、50μCi/2mgの225Ac-DOTA-h11B6を、第1の用量漸増コホートに投与する。この初期コホートにおいてDLT評価を行った後、放射性225Ac-DOTA-h11B6の次の用量レベルへの用量漸増は、薬物動態、薬力学、安全性、及び予備的な抗腫瘍活性を含むがこれらに限定されない、全ての利用可能な追加のデータの検討に基づく。
【0375】
表4は、200μCiを超える(例えば、300μCi以上)用量を含む、可能性のある用量漸増経路を図示する、計画された(暫定)用量漸増スケジュールを示す。試験参加者の安全性を確保するために、中間の用量レベル増分が可能である。初期コホートは、50μCiの放射能量の225Ac-DOTA-h11B6を受ける。漸増は、最初に50μCiの増分で生じる。8週間毎に1回用量の投薬間隔を使用する。出発抗体(h11B6)の質量は、2mgであり、最大10mgまで増加する可能性がある。最初は、抗体質量用量を、コホートにわたって放射能を増加させながら一定に保つ。
【0376】
【0377】
この試験の参加者に投与される最終薬物製品には2つの成分:225Ac-DOTA-h11B6及び非標識DOTA-h11B6抗体がある。2つの成分は、単一のバイアル中で事前に混合されてもよい。2つの成分は、処方された放射能線量、及び2~10mgの間の全抗体質量で、各参加者の来診のために提供される。表5を参照されたい。
【0378】
【0379】
225Ac-DOTA-h11B6放射能治験製品は、ラテックスを含まないストッパー及びアルミニウムシールで閉じた環状オレフィンポリマーバイアル中の、注射用の単回使用、滅菌、冷蔵溶液である。225Ac-DOTA-h11B6は、pH5.5の滅菌水中において26.75mMの酢酸、0.5%のアスコルビン酸ナトリウム、及び0.04%のポリソルベート20で製剤化される。治験製品は、透明で無色からわずかに黄色であり、目に見える微粒子状物質を含まない。225Ac-DOTA-h11B6バイアルを、2~8℃の温度範囲で冷蔵保存し、光から保護する。薬物製品は、いかなる保存剤も含有せず、単回使用のみのために設計される。診療所に供給されるバイアルは、実際の投与時間に応じて4.0±0.4mLの最終用量中止を可能にするために、0.8mL(合計4.8mL)のオーバーフィルを含有する。225Ac-DOTA-h11B6の放射能濃度は、最初に4mL(2mg)中の50、100、150、又は200μCiを標的とし、続いて200μCiを超える用量(例えば、300μCi、これは8mLの総体積を有し、タンパク質濃度は2mg/4mLであり、したがって予測投与時間で4mgの総タンパク質となる)を標的とする。試験参加者の安全性を確保するために、中間の用量レベル増分が可能である。上記のように、この試験のための類似の治験製品は、追加の患者コホートについて、225Ac-DOTA-h11B6の代わりに、225Ac-TOPA-h11B6を含む。
【0380】
用量漸増は、EWOCを用いたBLRMに基づく修正された連続再評価法によって導かれる、適応的用量漸増戦略を使用して支持される。
【0381】
RP2Dは、全ての利用可能な薬物動態、薬力学、安全性、及び有効性データの検討後に決定される。RP2Dが決定されると、患者を治療して、第2部におけるRP2Dでの225Ac-DOTA-h11B6の安全性、薬物動態、薬力学、及び予備的な抗腫瘍活性を確認する。
【0382】
B.第2部:用量拡大
第2部では、第1部で決定された225Ac-DOTA-h11B6のRP2Dを、1つ又は2つ以上のコホートの患者に投与する。
【0383】
全ての有害事象、及びDLTの基準を満たす有害事象を再検討し、確認する。有害事象は、NCI CTCAEバージョン5.0に従って評価する。DLTの基準を、表6に概説する。
【0384】
上記のように、この試験の患者コホートには、この実施例に記載の類似の臨床方法に従って、225Ac-DOTA-h11B6の代わりに225Ac-TOPA-h11B6が投与される。
【0385】
【0386】
結果測定を、表7に提供する。
【0387】
【0388】
副次的評価項目を、表8に提供する。
【0389】
【0390】
中間臨床結果
69086420PCR1001研究において50、100、150、及び200μCiの4つの放射能線量レベルにわたって225Ac-DOTA-h11B6を投与した転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)を有する23人の参加者について、受けた用量の中央値は、2回用量(範囲:1~6回)であり、治療期間の中央値は、1.87ヶ月(範囲:1~10.8)であった。用量制限毒性(DLT)は、4つの放射能線量レベルのいずれにおいても報告されなかった。
【0391】
これらの参加者について、最も頻繁に報告された(15%以上)治療下で発生した有害事象(treatment-emergent adverse event、TEAE)は、疲労(39.1%)、食欲減退(34.8%)、下痢(26.1%)、貧血及び血小板減少症(それぞれ21.7%)、並びに悪心及び白血球減少症(それぞれ17.4%)であった。これらの一般に報告されるTEAEの大部分は、グレード3の疲労を有する50μCiの参加者1人、グレード4の血小板減少症を有する150μCiの参加者1人、及びグレード3の貧血を有する参加者2人(50μCiが1人及び200μCiが1人)を除いて、グレード1又は2のものである。治療下で発生した重篤な有害事象(serious adverse event、SAE)が、2人の参加者について報告されており、100μCiの参加者1人が低カリウム血症、及び150μCiの参加者1人が低カルシウム血症であった。150μCiの参加者1人は、血小板減少症のために中止したが、他の全ての中止した参加者は、進行性疾患又は他の理由によるものであった。いずれの参加者においても、用量低減は必要なかった。治療中の死亡は、観察されなかった。これらの参加者における有効性のシグナルには、例えば、100uCi以上の放射能線量での患者におけるベースラインからの50%以上のPSA減少が含まれる。
【0392】
本明細書に引用又は記載する各特許、特許出願、及び刊行物の開示は、あらゆる目的のために各々、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【配列表】
【国際調査報告】