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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】併用療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/519 20060101AFI20240528BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240528BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20240528BHJP
   A61K 31/5383 20060101ALI20240528BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
A61K31/519
A61P35/00
A61K31/5377
A61K31/5383
A61K31/506
A61P43/00 105
A61P11/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572798
(86)(22)【出願日】2022-05-24
(85)【翻訳文提出日】2024-01-23
(86)【国際出願番号】 US2022030697
(87)【国際公開番号】W WO2022251193
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】63/194,140
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/329,056
(32)【優先日】2022-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】518229401
【氏名又は名称】ミラティ セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘリング,ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】ケッチャム,ジョン・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】クヘア,シルピ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC42
4C086CB09
4C086CB22
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZA59
4C086ZB21
4C086ZB26
(57)【要約】
本発明は、KRas G12Cがんを治療するための併用療法に関する。具体的には、本発明は、がんの治療を必要とする対象におけるがんを治療する方法であって、治療有効量のSOS1阻害剤と、KRas G12C阻害剤との組み合わせを対象に投与することを含む、方法と、そのような組成物を含む薬学的組成物と、そのような組成物を含むキットと、その使用方法とに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、治療有効量のKRas G12C阻害剤アダグラシブ
【化1】
又はその薬学的に許容される塩と、SOS1阻害剤との組み合わせを前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記SOS1阻害剤が、
【化2】
(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-モルホリノピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、
【化3】
3-((R)-1-((7-((S)-ヘキサヒドロピラジノ[2,1-c][1,4]オキサジン-8(1H)-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、
【化4】
(R)-3-(1-((7-(3-(ジメチルアミノ)-3-メチルアゼチジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、及び
【化5】
(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、
【化6】
(R)-3-(1-((7-(4-エチルピペラジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、
【化7】
(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-(ピペラジン-1-イル)ピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、及び
【化8】
3-((R)-1-((7-((S)-3-(ジメチルアミノ)ピロリジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、及び
【化9】
(R)-3-(1-((6-フルオロ-4-メチル-7-(4-メチルピペラジン-1-イル)フタラジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、並びにそれらの薬学的に許容される塩から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記SOS1阻害剤が、
【化10】
又はその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、以下の構造を有する化合物
【化11】
又はその薬学的に許容される塩を、前記がんの治療を必要とする対象に投与することも含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、治療有効量の
-KRas G12C阻害剤アダグラシブ
【化12】
又はその薬学的に許容される塩と、
-SOS1阻害剤
【化13】
又はその薬学的に許容される塩と、
-MEK阻害剤
【化14】
又はその薬学的に許容される塩との組み合わせを、前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項6】
前記SOS1阻害剤化合物が、BI1701963である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記SOS1阻害剤及び前記KRas G12C阻害剤が、同じ日に投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記SOS1阻害剤及び前記KRas G12C阻害剤が、異なる日に投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記KRas G12C阻害剤が、最大耐用量で投与される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記SOS1阻害剤が、最大耐用量で投与される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記SOS1阻害剤及び前記KRas G12C阻害剤が各々、最大耐用量で投与される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記KRas G12C阻害剤が、最大耐用量未満で投与される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記SOS 1阻害剤が、最大耐用量未満で投与される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記SOS1阻害剤及び前記KRas G12C阻害剤が各々、最大耐用量未満で投与される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記治療有効量の前記SOS1阻害剤と前記KRas G12C阻害剤との前記組み合わせが、前記KRas G12C阻害剤のみによる治療と比較して、前記対象における全生存期間の増加、無増悪生存期間の増加、腫瘍増殖退縮の増加、腫瘍増殖阻害の増加、又は安定期間の増加をもたらす、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記治療有効量の前記SOS1阻害剤と前記KRas G12C阻害剤との前記組み合わせが、前記SOS1阻害剤のみによる治療と比較して、前記対象における全生存期間の増加、無増悪生存期間の増加、腫瘍増殖退縮の増加、腫瘍増殖阻害の増加、又は安定期間の増加をもたらす、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
治療有効量の請求項1~14のいずれか一項に記載のSOS1阻害剤とKRas G12C阻害剤アダグラシブとの組み合わせと、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、薬学的組成物。
【請求項18】
細胞におけるKRas G12C活性を阻害するための方法であって、KRas G12C活性の阻害が望まれる前記細胞を、有効量のKRas G12C阻害剤アダグラシブ
【化15】
又はその薬学的に許容される塩と、SOS1阻害剤との組み合わせと接触させることを含む、方法。
【請求項19】
前記SOS1阻害剤が、
【化16】
(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-モルホリノピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、
【化17】
3-((R)-1-((7-((S)-ヘキサヒドロピラジノ[2,1-c][1,4]オキサジン-8(1H)-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、
【化18】
(R)-3-(1-((7-(3-(ジメチルアミノ)-3-メチルアゼチジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、及び
【化19】
(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、
【化20】
(R)-3-(1-((7-(4-エチルピペラジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、
【化21】
(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-(ピペラジン-1-イル)ピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、及び
【化22】
3-((R)-1-((7-((S)-3-(ジメチルアミノ)ピロリジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、及び
【化23】
(R)-3-(1-((6-フルオロ-4-メチル-7-(4-メチルピペラジン-1-イル)フタラジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、並びにそれらの薬学的に許容される塩から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記SOS1阻害剤が、
【化24】
又はその薬学的に許容される塩である、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記細胞を、以下の構造を有する化合物
【化25】
又はその薬学的に許容される塩と接触させることを更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記SOS1阻害剤が、前記KRas G12C阻害剤に対するがん細胞の感受性を相乗的に増加させる、請求項1~16及び18~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
KRas G12C阻害剤に対するがん細胞の感受性を増加させるための方法であって、KRas G12C治療を受けている対象に、有効量の前記KRas G12C阻害剤アダグラシブ
【化26】
又はその薬学的に許容される塩と、SOS1阻害剤との組み合わせを投与することを含み、前記SOS1阻害剤が、前記KRas G12C阻害剤に対する前記がん細胞の感受性を相乗的に増加させる、方法。
【請求項24】
SOS阻害剤が、
【化27】
又はその薬学的に許容される塩である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記方法が、以下の構造を有する化合物
【化28】
又はその薬学的に許容される塩を、前記がんの治療を必要とする対象に投与することを更に含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記組み合わせ中の前記KRas G12C阻害剤の前記治療有効量が、1日当たり約0.01~100mg/kgである、請求項1~16又は18~25のずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記組み合わせ中の前記KRas G12C阻害剤の前記治療有効量が、1日当たり約0.1~50mg/kgである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記組み合わせ中の前記SOS1阻害剤の前記治療有効量が、1日当たり約0.01~100mg/kgである、請求項1~16又は18~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記組み合わせ中の前記SOS1阻害剤の前記治療有効量が、1日当たり約0.1~50mg/kgである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記がんが、心臓:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫及び奇形腫;肺:気管支原性がん(扁平上皮、未分化小細胞、未分化大細胞、腺がん)、肺胞(細気管支)がん、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨過誤腫、中皮腫;胃腸:食道(扁平上皮がん、腺がん、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(がん、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵(管腺がん、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸(腺がん、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポージ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺がん、管状腺がん、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫);尿生殖路:腎(腺がん、ウィルムス腫瘍(腎芽細胞腫)、リンパ腫、白血病)、膀胱及び尿道(扁平上皮がん、移行上皮がん、腺がん)、前立腺(腺がん、肉腫)、精巣(精上皮腫、テラトーマ、胚性がん腫、奇形がん、絨毛がん、肉腫、間質細胞がん、線維腫、乳腺線維腺腫、腺腫様腫瘍、脂肪腫);肝臓:肝がん(肝細胞がん)、胆管がん、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫;胆管:胆嚢がん、膨大部がん、胆管がん;骨:骨原性肉腫(骨肉種)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性ミエローマ、悪性巨細胞腫脊索腫、骨軟骨腫(osteochronfroma)(骨軟骨外骨腫)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫及び巨細胞腫瘍;神経系:頭蓋(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽細胞腫、膠腫、上衣腫、胚細胞腫(松果体腫)、多形性膠芽腫、乏突起神経膠腫、神経鞘腫、網膜芽腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、膠腫、肉腫);婦人科系:子宮がん(子宮内膜がん(漿液性嚢胞がん、粘液性嚢胞腺がん、未分類がん)、顆粒膜-包膜細胞腫、セルトリ-ライディッヒ細胞腫、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰(扁平上皮がん、上皮内がん、腺がん、線維肉腫、メラノーマ)、腟(明細胞がん、扁平上皮がん、ボツリソイド肉腫(胎児性横紋筋肉腫)、ファロピウス管(がん);血液系:血(骨髄性白血病(急性及び慢性)、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性ミエローマ、脊髄形成異常症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(悪性リンパ腫);皮膚:悪性メラノーマ、基底細胞がん、扁平上皮細胞がん、カポージ肉腫、黒子異形成母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾せん;及び副腎:神経芽細胞種からなる群から選択される、請求項1~16及び18~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記がんが前記がんが、KRas G12C関連がんである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記がんが、非小細胞肺がんである、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
対象におけるKRas G12Cがんを治療するための、請求項17に記載の薬学的組成物を含む、キット。
【請求項34】
前記薬学的組成物の投与のための説明書を有する添付文書を更に含む、請求項33に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、がんの治療に有用な併用療法に関する。具体的には、本発明は、セブンレスの息子ホモログ1(Son of sevenless、SOS1)阻害剤及びKRas G12C阻害剤の治療的に有効な組み合わせと、阻害剤を含む薬学的組成物と、組成物を含むキットと、その使用方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
KRas阻害剤
カーステンラット肉腫2ウイルスがん遺伝子ホモログ(「KRas」)は、低分子量GTPアーゼであり、がん遺伝子のRasファミリーのメンバーである。KRasは、非活性(GDP結合)状態と活性(GTP結合)状態との間を循環する分子スイッチとして機能し、複数のチロシンキナーゼから受け取った上流の細胞シグナルを下流のエフェクターに伝達して、細胞増殖を含む様々なプロセスを調節する(例えば、Alamgeer et al.,(2013)Current Opin Pharmcol.13:394-401参照)。
【0003】
悪性腫瘍における活性化KRasの役割は、30年以上前に観察された(例えば、Der et al.,(1982)Proc.Natl Acad.Sci.USA 79(11):3637-3640参照)。KRasの異常な発現は、全てのがんの最大20%を占め、GTP結合を安定化し、かつKRasの構成的活性化及び下流のシグナル伝達をもたらす発がん性KRas変異は、肺腺がんの25~30%で報告されている。(例えば、Samatar and Poulikakos(2014)Nat Rev Drug Disc 13(12):928-942 doi:10.1038/nrd428参照)。KRas一次アミノ酸配列のコドン12及び13でミスセンス変異をもたらす単一ヌクレオチド置換は、肺腺がんにおけるこれらのKRasドライバー変異の約40%を含み、G12C塩基転換は最も一般的な活性化変異である(例えば、Dogan et al.,(2012)Clin Cancer Res.18(22):6169-6177オンライン公開2012年9月26日doi:10.1158/1078-0432.CCR-11-3265参照)。
【0004】
悪性腫瘍におけるKRasの周知の役割及び様々な腫瘍型におけるKRasのこれらの頻繁な変異の発見により、KRasは、製薬業界のがん治療での非常に魅力的な標的となった。がんの治療のためのKRasの阻害剤を開発するための30年間の大規模な発見努力にもかかわらず、KRas阻害剤は規制当局の承認を得るのに十分な安全性及び/又は有効性をまだ実証していない(例えば、McCormick(2015)Clin Cancer Res.21(8):1797-1801参照)。
【0005】
KRas活性を阻害する化合物は、依然として非常に望ましく、研究中であり、グアニンヌクレオチド交換因子などのエフェクターを破壊するもの(例えば、Sun et al.,(2012)Agnew Chem Int Ed Engl.51(25):6140-6143 doi:10.1002/anie201201358参照)、並びにKRas G12Cを標的とするもの(例えば、Ostrem et al.,(2013)Nature 503:548-551参照)を含む。明らかに、KRasの阻害剤、具体的には、KRas G12Cを含むKRas変異を活性化する阻害剤を開発するための継続的な関心及び努力が依然として払われている。
【0006】
本明細書に開示されるKRas G12C阻害剤は、KRas G12C酵素活性の強力な阻害剤であり、KRas G12C変異を保有する細胞株のインビトロ増殖を阻害する単剤活性を呈する一方で、任意の所与のKRas G12C阻害剤の相対的効力及び/又は観察される最大効果は、KRas変異細胞株の間で変動し得る。効力の範囲及び観察された最大効果についての理由は完全には理解されていないが、ある特定の細胞株は、異なる内因性耐性を有するようである。したがって、インビトロ及びインビボでのKRas G12C阻害剤の効力、有効性、治療指数、及び/又は臨床的利益を最大化するための代替的アプローチを開発する必要がある。
【0007】
SOS1阻害剤
Rasファミリーは、v-Ki-ras2カーステンラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(KRas)、神経芽細胞腫RASウイルスがん遺伝子ホモログ(NRAS)、及びハーベイマウス肉腫ウイルスがん遺伝子(HRas)を含み、正常な状態及びがんを含む変化した状態における細胞分裂、増殖、及び機能を決定的に調節する(例えば、Simanshu et al.Cell,2017.170(1):p.17-33;Matikas et al.,Crit Rev Oncol Hematol,2017.110:p.1-12参照)。RASタンパク質は、受容体チロシンキナーゼ(receptor tyrosine kinase、RTK)を含む上流シグナルによって活性化され、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(mitogen-activated protein kinase、MAPK)/細胞外シグナル調節キナーゼ(extracellular signal-regulated kinase、ERK)経路などのいくつかの下流シグナル伝達経路にシグナルを伝達する。RASシグナル伝達の過剰活性化は、RAS遺伝子又はRAS経路の他の遺伝子における変異又は変化の結果として、がんにおいて頻繁に観察される。RAS及びRASシグナル伝達を阻害するストラテジーの同定は、がん及びRAS調節疾患状態の治療に有用であると予測される。
【0008】
RASタンパク質は、不活性グアノシン二リン酸(guanosine diphosphate、GDP)結合状態と活性グアノシン三リン酸(guanosine triphosphate、GTP)結合状態との間を循環するグアノシン三リン酸(GTPアーゼ)である。RASタンパク質は、内因性GTP加水分解及びヌクレオチド交換の両方を呈し、これは外因性GTPアーゼ活性化タンパク質(GTPase activating protein、GAP)及びグアニン交換因子(guanine echange factor、GEF)によって更に増強される。セブンレスの息子ホモログ1(SOS1)は、GDPのGTPへの交換を媒介し、それによってRASタンパク質を活性化するGEFである。GAP及びGEFを通したこの調節は、正常な条件下で活性化及び非活性化が厳密に調節される機構である。3つ全てのRASタンパク質におけるいくつかの残基での変異は、がんにおいて頻繁に観察され、RASが主に活性化状態のままであることがもたらされる(Sanchez-Vega et al.,Cell,2018.173:p.321-337 Li et al.,Nature Reviews Cancer,2018.18:p.767-777参照)。コドン12及び13における変異は、RASタンパク質のGTP加水分解及び交換速度を破壊する。最近の生化学的分析は、これらの変異タンパク質が、それらの内因性GTPアーゼ活性に基づく活性化のためにヌクレオチドサイクリングを依然として必要とし、外因性GAP及びGEFに対する部分的な感受性を呈し得ることを実証した。したがって、変異RASタンパク質は、SOS1 GEFなどの上流因子の阻害に感受性である(Hillig,2019;Patricelli,2016;Lito,2016;Nichols,2018)。
【0009】
哺乳動物細胞において同定されている3つの主要なRAS-GEFファミリーは、SOS、RAS-GRF、及びRAS-GRPである(Rojas,2011)。RAS-GRF及びRAS-GRPは、それぞれ中枢神経系の細胞及び造血細胞において発現されるが、SOSファミリーは、遍在的に発現され、RTKシグナル伝達の変換に関与する。SOSファミリーは、SOS1及びSOS2を含み、これらのタンパク質は、約70%の配列同一性を共有する。SOS1は、SOS2の急速な分解に起因して、SOS2よりもはるかに活性であるようである。マウスSOS2ノックアウトは、生存可能であるが、SOS1ノックアウトは、胚性致死である。タモキシフェン誘導性SOS1ノックアウトマウスモデルを使用して、成体マウスにおけるSOS1及びSOS2の役割を調べたところ、SOS1ノックアウトは生存可能であったが、SOS1/2ダブルノックアウトは生存不可能であったことが実証され(Baltanas,2013)、これは、機能的冗長性及びSOS1の選択的阻害がSOS1-RAS活性化疾患の治療に十分な治療指数を有し得ることを示唆している。
【0010】
SOSタンパク質は、増殖因子受容体結合タンパク質2(growth factor receptor bound protein 2、GRB2)との相互作用を通してリン酸化RTKに動員される。原形質膜への動員は、SOSをRASに近接して配置し、SOS媒介性RAS活性化を可能にする。SOSタンパク質は、ヌクレオチド交換を促進する触媒結合部位を通して、並びにSOSの触媒機能を増加させるGTP結合RASファミリータンパク質を結合するアロステリック部位を通してRASに結合する(Freedman et al.,Proc.Natl.Acad.Sci,USA 2006.103(45):p.16692-97)。アロステリック部位への結合は、触媒部位の立体的閉塞を軽減し、したがって触媒部位の完全な活性化に必要とされる。アロステリック部位との相互作用後の触媒部位での活性コンホメーションの保持は、活性化状態における重要なドメインの強化された相互作用に起因して単離状態で維持される。SOS1変異は、ヌーナン症候群、並びに肺腺がん、胎児性横紋筋肉腫、セルトリ細胞精巣腫瘍、及び皮膚の顆粒細胞腫瘍を含むいくつかのがんにおいて見出される(例えば、Denayer,E.,et al,Genes Chromosomes Cancer,2010.49(3):p.242-52参照)。
【0011】
GTPアーゼ活性化タンパク質(GAP)は、RASファミリーメンバーの低い内因性GTPアーゼ活性を刺激し、したがって、活性なGTP結合RASタンパク質を不活性なGDP結合RASタンパク質に変換するタンパク質である(例えば、Simanshu,D.K.,Cell,2017,Ras Proteins and their Regulators in Human Disease参照)。ホスファターゼPTPN11(SHP2)及びGEF SOS1における活性化変化はがんにおいて生じる一方で、GAPニューロフィブロミン1(neurofibromin 1、NF-1)における不活性化変異及び機能喪失変化も生じて、SOS1活性が対抗されず、RASタンパク質を通した経路の下流の活性が上昇する状態が作り出される。
【0012】
MEK阻害剤
マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(mitogen-activated protein kinase、MAPK)シグナル伝達経路は、様々な細胞活性(細胞増殖、生存、分化、及び運動性が挙げられるが、これらに限定されない)の調節に関与する。古典的なMAPK経路は、Ras(全ての動物細胞系統及び器官において発現される関連タンパク質のファミリー)、Raf(レトロウイルスがん遺伝子に関連する3つのセリン/スレオニン特異的タンパク質キナーゼのファミリー)、MEK(マイトジェン活性化タンパク質キナーゼキナーゼ)、及びERK(細胞外シグナル調節キナーゼ)からなり、細胞表面受容体で生成された増殖シグナルを、細胞質シグナル伝達を通して核内に順次中継する。
【0013】
MEK阻害剤は、Ras/Raf/MEK/ERKシグナル伝達経路を標的とし、それによって細胞増殖を阻害し、アポトーシスを誘導する。
【0014】
MAPK経路は、がんにおいて最も一般的に変異する発がん性経路の1つであり、この経路の調節解除は、頻繁に観察され、黒色腫、膵臓がん、肺がん、結腸直腸がん、及び乳がんを含むいくつかのがんの発がん及び維持において中心的な役割を果たす。(例えば、Neuzillet et al.,(2014)Pharmacology&Therapeutics 141:160-171)。
【0015】
MEKに対して活性を呈するいくつかの阻害剤が開発されており、これらの阻害剤の多くは、ヒト臨床試験において研究されているか、又は研究されてきた。提供される組成物及び方法に好適なMEK阻害剤の例としては、セルメチニブ、6-(4-ブロモ-2-クロロアニリノ)-7-フルオロ-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルベンズイミダゾール-5-カルボキサミド;AZD8330、2-(2-フルオロ-4-ヨードアニリノ)-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-1,5-ジメチル-6-オキソピリジン-3-カルボキサミド;PD0325901、N-[(2R)-2,3-ジヒドロキシプロポキシ]-3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードアニリノ)ベンズアミド;PD318088、5-ブロモ-N-(2,3-ジヒドロキシプロポキシ)-3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードアニリノ)ベンズアミド;レファメチニブ、N-[3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードアニリノ)-6-メトキシフェニル]-1-[(2S)-2,3-ジヒドロキシプロピル]シクロプロパン-1-スルホンアミド;ビニメチニブ、6-(4-ブロモ-2-フルオロアニリノ)-7-フルオロ-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルベンズイミダゾール-5-カルボキサミド;RO4987655、3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードアニリノ)-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-[(3-オキソオキサジナン-2-イル)メチル]ベンズアミド、RO5126766(VS-6766)、3-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)ピリジン-4-イル]メチル]-4-メチル-7-ピリミジン-2-イルオキシクロメン-2-オン;WX-554、HL-085;ClnQ-03;G-573、7-フルオロ-3-(2-フルオロ-4-ヨードアニリノ)-N-[(2S)-2-ヒドロキシプロポキシ]フロ[3,2-c]ピリジン-2-カルボキサミド;PD184161、5-ブロモ-2-(2-クロロ-4-ヨードアニリノ)-N-(シクロプロピルメトキシ)-3,4-ジフルオロベンズアミド;RO5068760、(2S,3S)-2-[(4R)-4-[4-[(2R)-2,3-ジヒドロキシプロポキシ]フェニル]-2,5-ジオキソイミダゾリジン-1-イル]-N-(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)-3-フェニルブタンアミド;SL327、(Z)-3-アミノ-3-(4-アミノフェニル)スルファニル-2-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]プロプ-2-エンニトリル;MEK162(Arry-162)、5-((4-ブロモ-2-フルオロフェニル)アミノ)-4-フルオロ-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-1-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボキサミド;Tak-733、(R)-3-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-6-フルオロ-5-((2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ)-8-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-4,7(3H,8H)-ジオン;GDC-0623、5-((2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ)-N-(2-ヒドロキシエトキシ)イミダゾ[1,5-a]ピリジン-6-カルボキサミド;U0126、(2E,3E)-2-(アミノ((2-アミノフェニル)チオ)メチレン)-3-(アミノ((3-アミノフェニル)チオ)メチレン)スクシノニトリル;トラメチニブ、N-(3-(3-シクロプロピル-5-((2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ)-6,8-ジメチル-2,4,7-トリオキソ-3,4,6,7-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-1(2H)-イル)フェニル)アセトアミド;BI-847325、(E)-3-(3-(((4-((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)アミノ)(フェニル)メチレン)-2-オキソインドリン-6-イル)-N-エチルプロピオールアミド;ピマセルチブ、(S)-N-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-3-((2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ)イソニコチンアミド;BIX02189、(Z)-3-(((3-((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)アミノ)(フェニル)メチレン)-N,N-ジメチル-2-オキソインドリン-6-カルボキサミド;コビメチニブ、(3,4-ジフルオロ-2-((2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ)フェニル)(3-ヒドロキシ-3-(ピペリジン-2-イル)アゼチジン-1-イル)メタノン;PD-98059、2-(2-アミノ-3-メトキシフェニル)-4H-クロメン-4-オン;APS-2-79、6,7-ジメトキシ-N-(2-メチル-4-フェノキシフェニル)キナゾリン-4-アミン;PD198306、N-(シクロプロピルメトキシ)-3,4,5-トリフルオロ-2-(4-ヨード-2-メチルベンジル)ベンズアミド;CI-1040、2-(2-クロロ-4-ヨードベンジル)-N-(シクロプロピルメトキシ)-3,4-ジフルオロベンズアミド;SL327、(Z)-3-アミノ-3-((4-アミノフェニル)チオ)-2-(2-(トリフルオロメチル)フェニル)アクリロニトリル、及びBIX02188、(Z)-3-(((3-((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)アミノ)(フェニル)メチレン)-2-オキソインドリン-6-カルボキサミドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
これらのMEK阻害剤の構造は、例えば、Cheng et al,Current Development Status of MEK Inhibitors,Molecules 2017,22,1551、並びに米国特許第10,370,374号及び同第10,323,035号、並びに米国特許出願公開第2019/0144382号、同第2018/0370948号、同第2018/0296533号、同第2018/0147192号、同第2018/0118715号、同第2017/0231963号、同第2017/0183348号、同第2017/0183333号、同第2017/0166523号、同第2017/0101408号、同第2017/0096388号、同第2016/0331753号、同第2016/0168103号、同第2016/0168102号、同第2016/0136150号、同第2016/0108041号、同第2015/0141399号、同第2015/0133424号、同第2015/0051209号、同第2014/0378466号、同第2014/0275527号、同第2014/0135519号、同第2014/0128442号、同第2014/0080804号、同第2013/0150573号、同第2013/0018075号、同第2012/0238599号、同第2012/0208859号、同第2012/0107307号、同第2012/0022076号、同第2011/0288092号、同第2011/0263558号、同第2011/0190257号、同第2011/0183981号、同第2011/0172191号、同第2011/0158971号、同第2011/0124622号、同第2011/0112152号、同第2011/0060049号、同第2011/0021558号、同第2010/0331334号、同第2010/0267710号、同第2010/0261718号、同第2010/0261717号、同第2010/0260714号、同第2010/0256149号、同第2010/0249096号、同第2010/0197676号、同第2010/0179124号、同第2010/0063053号、同第2009/0291961号、同第2009/0264411号、同第2009/0233915号、同第2009/0215834号、同第2009/0209542号、同第2009/0156576号、同第2009/0149437号、同第2009/0143579号、同第2009/0143389号、同第2009/0131435号、同第2009/0082457号、同第2009/0030058号、同第2008/0306063号、同第2008/0280957号、同第2008/0255133号、同第2008/0177082号、同第2008/0171778号、同第2008/0166359号、同第2008/0058340号、同第2007/0299063号、同第2007/0293544号、同第2007/0287737号、同第2007/0287709号、同第2007/0244164号、同第2007/0238710号、同第2007/0213367号、同第2007/0172843号、同第2007/0112038号、同第2007/0105859号、同第2006/0211073号、同第2006/0194802号、同第2006/0189808号、同第2006/0189668号、同第2006/0189649号、同第2006/0154990号、同第2006/0106225号、同第2006/0089382号、同第2006/0052608号、同第2005/0256123号、同第2005/0250782号、及び同第2005/0153942号に見出すことができ、これらの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0017】
提供される組成物及び方法に好適なMEK阻害剤の1つは、以下の構造を有するVS-6766である。
【0018】
【化1】
3-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)ピリジン-4-イル]メチル]-4-メチル-7-ピリミジン-2-イルオキシクロメン-2-オン
【0019】
MEK阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物を製造するための方法は、当業者に周知であり、MEK阻害剤は、研究又はヒトへの使用の両方に好適な形態で、多種多様な商業的供給業者から得ることができる。加えて、本明細書に開示される組成物及び方法における使用に好適なMEK阻害剤、並びにそのような阻害剤を調製するための方法は、米国特許出願公開第2019/0144382号、同第2018/0370948号、同第2018/0296533号、同第2018/0147192号、同第2018/0118715号、同第2017/0231963号、同第2017/0183348号、同第2017/0183333号、同第2017/0166523号、同第2017/0101408号、同第2017/0096388号、同第2016/0331753号、同第2016/0168103号、同第2016/0168102号、同第2016/0136150号、同第2016/0108041号、同第2015/0141399号、同第2015/0133424号、同第2015/0051209号、同第2014/0378466号、同第2014/0275527号、同第2014/0135519号、同第2014/0128442号、同第2014/0080804号、同第2013/0150573号、同第2013/0018075号、同第2012/0238599号、同第2012/0208859号、同第2012/0107307号、同第2012/0022076号、同第2011/0288092号、同第2011/0263558号、同第2011/0190257号、同第2011/0183981号、同第2011/0172191号、同第2011/0158971号、同第2011/0124622号、同第2011/0112152号、同第2011/0060049号、同第2011/0021558号、同第2010/0331334号、同第2010/0267710号、同第2010/0261718号、同第2010/0261717号、同第2010/0260714号、同第2010/0256149号、同第2010/0249096号、同第2010/0197676号、同第2010/0179124号、同第2010/0063053号、同第2009/0291961号、同第2009/0264411号、同第2009/0233915号、同第2009/0215834号、同第2009/0209542号、同第2009/0156576号、同第2009/0149437号、同第2009/0143579号、同第2009/0143389号、同第2009/0131435号、同第2009/0082457号、同第2009/0030058号、同第2008/0306063号、同第2008/0280957号、同第2008/0255133号、同第2008/0177082号、同第2008/0171778号、同第2008/0166359号、同第2008/0058340号、同第2007/0299063号、同第2007/0293544号、同第2007/0287737号、同第2007/0287709号、同第2007/0244164号、同第2007/0238710号、同第2007/0213367号、同第2007/0172843号、同第2007/0112038号、同第2007/0105859号、同第2006/0211073号、同第2006/0194802号、同第2006/0189808号、同第2006/0189668号、同第2006/0189649号、同第2006/0154990号、同第2006/0106225号、同第2006/0089382号、同第2006/0052608号、同第2005/0256123号、同第2005/0250782号、及び同第2005/0153942号に開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】Alamgeer et al.,(2013)Current Opin Pharmcol.13:394-401
【非特許文献2】Der et al.,(1982)Proc.Natl Acad.Sci.USA 79(11):3637-3640
【非特許文献3】Samatar and Poulikakos(2014)Nat Rev Drug Disc 13(12):928-942 doi:10.1038/nrd428
【非特許文献4】Dogan et al.,(2012)Clin Cancer Res.18(22):6169-6177オンライン公開2012年9月26日doi:10.1158/1078-0432.CCR-11-3265
【非特許文献5】McCormick(2015)Clin Cancer Res.21(8):1797-1801
【非特許文献6】Sun et al.,(2012)Agnew Chem Int Ed Engl.51(25):6140-6143 doi:10.1002/anie201201358
【非特許文献7】Ostrem et al.,(2013)Nature 503:548-551
【非特許文献8】Simanshu et al.Cell,2017.170(1):p.17-33
【非特許文献9】Matikas et al.,Crit Rev Oncol Hematol,2017.110:p.1-12
【非特許文献10】Sanchez-Vega et al.,Cell,2018.173:p.321-337 Li et al.,Nature Reviews Cancer,2018.18:p.767-777
【非特許文献11】Freedman et al.,Proc.Natl.Acad.Sci,USA 2006.103(45):p.16692-97
【非特許文献12】Denayer,E.,et al,Genes Chromosomes Cancer,2010.49(3):p.242-52
【非特許文献13】Simanshu,D.K.,Cell,2017,Ras Proteins and their Regulators in Human Disease
【非特許文献14】Neuzillet et al.,(2014)Pharmacology&Therapeutics 141:160-171
【発明の概要】
【0021】
本発明の併用療法は、一態様では、KRas G12C阻害剤の効力を相乗的に増加させ、本明細書に開示されるKRas G12C阻害剤の改善された有効性をもたらす。本発明の併用療法は、別の態様では、本明細書に開示されるKRas G12C阻害剤を単剤として用いる治療と比較して、改善された臨床的利益を患者に提供する。
【0022】
したがって、本発明の一態様では、本明細書に更に詳細に記載されているような、米国仮特許出願第62/951,812号、同第62/975,645号、同第63/044,802号、同第62/980,790号、及び同第63/057,563号(及び国際出願PCT/US20/66003号、同PCT/US21/19184号、同PCT/US21/43309号、及び同US17/127,582号を含む、対応する米国及び国際出願及び刊行物)に記載されているものなどの、SOS1阻害剤の治療的に有効な組み合わせが提供され、例えば、
【0023】
【化2】
(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-モルホリノピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、
【0024】
【化3】
3-((R)-1-((7-((S)-ヘキサヒドロピラジノ[2,1-c][1,4]オキサジン-8(1H)-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、
【0025】
【化4】
(R)-3-(1-((7-(3-(ジメチルアミノ)-3-メチルアゼチジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、
【0026】
【化5】
(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、
【0027】
【化6】
(R)-3-(1-((7-(4-エチルピペラジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、
【0028】
【化7】
(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-(ピペラジン-1-イル)ピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、
【0029】
【化8】
3-((R)-1-((7-((S)-3-(ジメチルアミノ)ピロリジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、
【0030】
【化9】
(R)-3-(1-((6-フルオロ-4-メチル-7-(4-メチルピペラジン-1-イル)フタラジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、
又はそれらの薬学的に許容される塩、
及びKRas G12C阻害剤化合物2-[(2S)-4-[7-(8-クロロ-1-ナフチル)-2-[[(2S)-1-メチルピロリジン-2-イル]メトキシ]-6,8-ジヒドロ-5H-ピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル]-1-(2-フルオロプロパ-2-エノイル)ピペラジン-2-イル]アセトニトリル(MRTX849としても知られ、アダグラシブとしても知られる)
【0031】
【化10】
又はその薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0032】
本発明の別の態様では、BI1701963などのSOS1阻害剤又はその薬学的に許容される塩と、KRas G12C阻害剤化合物2-[(2S)-4-[7-(8-クロロ-1-ナフチル)-2-[[(2S)-1-メチルピロリジン-2-イル]メトキシ]-6,8-ジヒドロ-5H-ピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル]-1-(2-フルオロプロパ-2-エノイル)ピペラジン-2-イル]アセトニトリル(MRTX849としても知られ、アダグラシブとしても知られる)
【0033】
【化11】
又はその薬学的に許容される塩との治療的に有効な組み合わせが提供される。
【0034】
一態様では、本発明は、
式:
【0035】
【化12】
を有する、SOS1阻害剤(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-モルホリノピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル(MRTX0902としても知られる)、又はその薬学的に許容される塩と、
KRas G12C阻害剤化合物2-[(2S)-4-[7-(8-クロロ-1-ナフチル)-2-[[(2S)-1-メチルピロリジン-2-イル]メトキシ]-6,8-ジヒドロ-5H-ピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル]-1-(2-フルオロプロパ-2-エノイル)ピペラジン-2-イル]アセトニトリル(MRTX849としても知られ、アダグラシブとしても知られる)との治療的に有効な組み合わせを提供する。
【0036】
別の態様では、本発明は、
式:
【0037】
【化13】
を有する、SOS1阻害剤(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-モルホリノピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル(MRTX0902としても知られる)、又はその薬学的に許容される塩と、
KRas G12C阻害剤化合物2-[(2S)-4-[7-(8-クロロ-1-ナフチル)-2-[[(2S)-1-メチルピロリジン-2-イル]メトキシ]-6,8-ジヒドロ-5H-ピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル]-1-(2-フルオロプロパ-2-エノイル)ピペラジン-2-イル]アセトニトリル(MRTX849としても知られ、アダグラシブとしても知られる)と、
以下の構造を有するMEK阻害剤[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)ピリジン-4-イル]メチル]-4-メチル-7-ピリミジン-2-イルオキシクロメン-2-オン(VS-6766としても知られる)
【0038】
【化14】
又はそれらの薬学的に許容される塩との治療的に有効な組み合わせを提供する。
【0039】
本発明の別の態様では、薬学的組成物であって、治療有効量の(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-モルホリノピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、3-((R)-1-((7-((S)-ヘキサヒドロピラジノ[2、1-c][1,4]オキサジン-8(1H)-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、(R)-3-(1-((7-(3-(ジメチルアミノ)-3-メチルアゼチジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、(R)-3-(1-((7-(4-エチルピペラジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-(ピペラジン-1-イル)ピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、3-((R)-1-((7-((S)-3-(ジメチルアミノ)ピロリジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、若しくは(R)-3-(1-((6-フルオロ-4-メチル-7-(4-メチルピペラジン-1-イル)フタラジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリルなどのSOS1阻害剤、又はBI1701963などのSOS1阻害剤と、KRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ、又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される賦形剤との組み合わせを含む、薬学的組成物が、方法における使用のために提供される。
【0040】
いくつかの実施形態では、方法は、MEK阻害剤の投与を必要とする対象に、MEK阻害剤を投与することを更に含み得、したがって、アダグラシブ、SOS1阻害剤、及びMEK阻害剤、例えばVS-6766が対象に投与される。
【0041】
本発明の一態様では、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、治療有効量の(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-モルホリノピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、3-((R)-1-((7-((S)-ヘキサヒドロピラジノ[2,1-c][1,4]オキサジン-8(1H)-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、(R)-3-(1-((7-(3-(ジメチルアミノ)-3-メチルアゼチジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、(R)-3-(1-((7-(4-エチルピペラジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-(ピペラジン-1-イル)ピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、3-((R)-1-((7-((S)-3-(ジメチルアミノ)ピロリジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル若しくは(R)-3-(1-((6-フルオロ-4-メチル-7-(4-メチルピペラジン-1-イル)フタラジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリルなどのSOS1阻害剤、
若しくはBI1701963などのSOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物と、KRas G12C阻害剤アダグラシブ、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物との組み合わせを対象に投与することを含む、方法が本明細書に提供される。
【0042】
一実施形態では、がんは、KRas G12C関連がんである。一実施形態では、KRas G12C関連がんは、肺がんである。
【0043】
本発明のいくつかの態様では、KRas G12C阻害剤化合物及びSOS1阻害剤は、提供される組成物及び方法における唯一の活性薬剤である。
【0044】
提供される組成物及び方法に好適なSOS1阻害剤の例としては、(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-モルホリノピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、3-((R)-1-((7-((S)-ヘキサヒドロピラジノ[2,1-c][1,4]オキサジン-8(1H)-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、(R)-3-(1-((7-(3-(ジメチルアミノ)-3-メチルアゼチジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、(R)-3-(1-((7-(4-エチルピペラジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-(ピペラジン-1-イル)ピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、3-((R)-1-((7-((S)-3-(ジメチルアミノ)ピロリジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、及び(R)-3-(1-((6-フルオロ-4-メチル-7-(4-メチルピペラジン-1-イル)フタラジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、並びにそれらの薬学的に許容される塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
提供される組成物及び方法に好適なSOS1阻害剤の他の例としては、BI1701963が挙げられる。
【0046】
更に別の態様では、本発明は、細胞におけるKRas G12C活性を阻害するための方法であって、KRas G12C活性の阻害が望まれる細胞を、有効量のKRas G12C阻害剤アダグラシブ
【0047】
【化15】
又はその薬学的に許容される塩と、SOS1阻害剤との組み合わせと接触させることを含む、方法を提供する。
【0048】
一実施形態では、SOS1阻害剤は、以下の構造
【0049】
【化16】
又はその薬学的に許容される塩を有する。
【0050】
更に別の態様では、方法は、細胞を、以下の構造を有する化合物
【0051】
【化17】
又はその薬学的に許容される塩と接触させることも含む。
【0052】
更に別の態様では、本発明は、KRas G12C阻害剤に対するがん細胞の感受性を増加させるための方法であって、がん細胞を、治療有効量のKRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物と、SOS1阻害剤又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物との組み合わせと接触させることを含み、SOS1阻害剤が、KRas G12C阻害剤に対するがん細胞の感受性を相乗的に増加させる、方法を提供する。一実施形態では、接触は、インビトロである。一実施形態では、接触は、インビボである。一実施形態では、方法は、KRas G12C治療を受けている対象に、有効量のKRas G12C阻害剤アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩と、SOS1阻害剤との組み合わせを投与することを含み、SOS1阻害剤は、KRas G12C阻害剤に対するがん細胞の感受性を相乗的に増加させる。
【0053】
一実施形態では、KRas G12C阻害剤に対するがん細胞の感受性を増加させるための方法は、がん細胞を、治療有効量のKRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物と、以下の構造を有するSOS1阻害剤
【0054】
【化18】
又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物との組み合わせと接触させることを含む。
【0055】
更に別の実施形態では、KRas G12C阻害剤に対するがん細胞の感受性を増加させるための方法は、がん細胞を、以下の構造を有する化合物
【0056】
【化19】
又はその薬学的に許容される塩と接触させることも含む。
【0057】
また、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療するための方法であって、(a)がんが、KRas G12C変異(例えば、KRas G12C関連がん)と関連していることを決定する(例えば、規制当局が承認した、例えば、FDA承認のアッセイ又はキットを使用して決定される)ことと、(b)治療有効量のSOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物と、KRas G12C阻害剤アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物との組み合わせを患者に投与することであって、SOS1阻害剤が、アダグラシブに対するKRas G12C関連がんの感受性を相乗的に増加させる、投与することと、を含む、方法も本明細書に提供される。
【0058】
また、SOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物と、KRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物と、を含む、キットも本明細書に提供される。また、KRas G12Cがんの治療における使用のための、SOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物と、KRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物と、を含む、キットも提供される。
【0059】
関連する態様では、本発明は、ある用量のSOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物と、KRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物を、対象におけるがん細胞の増殖を阻害するのに有効な量で含有するキットを提供する。キットは、場合によっては、SOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物、及びKRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の投与のための説明書を有する、添付文書を含む。添付文書は、SOS1阻害剤又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物を、KRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物と組み合わせて使用するための一組の説明書を使用者に提供し得る。
【0060】
本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、本発明の組成物又は方法による治療の前に、患者は、化学療法、標的化抗がん剤、放射線療法、及び手術のうちの1つ以上により治療され、任意選択で、以前の治療は不成功に終わり、かつ/又は患者は手術が施され、任意選択で、手術は不成功に終わり、かつ/又は患者は、プラチナベースの化学療法剤により治療され、任意選択で、患者は、プラチナベースの化学療法剤による治療に非応答性であると以前に決定されており、かつ/又は患者は、キナーゼ阻害剤で治療され、任意選択で、キナーゼ阻害剤による以前の治療は不成功に終わり、かつ/又は患者は、1つ以上の他の治療薬により治療された。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1】MRTX0902、アダグラシブ、並びにMRTX0902及びアダグラシブの組み合わせによる、MIA PaCA-2腫瘍保有マウスの腫瘍増殖阻害のチャートである。
図2】MRTX0902、アダグラシブ、並びにMRTX0902及びアダグラシブの組み合わせによる、MIA PaCA-2腫瘍保有マウスの腫瘍増殖阻害のチャートである。
図3】MRTX2006、アダグラシブ、並びにMRTX0902及びアダグラシブの組み合わせによる、MIA PaCA-2腫瘍保有マウスの腫瘍増殖阻害のチャートである。
図4】MRTX4197、アダグラシブ、並びにMRTX0902及びアダグラシブの組み合わせによる、MIA PaCA-2腫瘍保有マウスの腫瘍増殖阻害のチャートである。
図5】MRTX0902、アダグラシブ、並びにMRTX0902及びアダグラシブの組み合わせによる、LU99腫瘍保有マウスの腫瘍増殖阻害のチャートである。
図6】MRTX0902、アダグラシブ、並びにMRTX0902及びアダグラシブの組み合わせによる、NCl-H2122腫瘍保有マウスの腫瘍増殖阻害のチャートである。
図7】MRTX0902、アダグラシブ、MRTX0902及びVS-6766の組み合わせ、並びにVS-6766及びアダグラシブの組み合わせによる、NCI-H 2122腫瘍保有マウスの腫瘍増殖阻害のチャートである。
図8】MRTX0902、アダグラシブ、並びにMRTX0902及びアダグラシブの組み合わせによる、CR6256腫瘍保有マウスの腫瘍増殖阻害のチャートである。
図9】様々なヒト腫瘍異種移植KRas G12CモデルにおけるMRTX849及びMRTX0902の組み合わせの有効性を実証する棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0062】
本発明は、KRas G12Cがんを治療するための併用療法に関する。具体的には、本発明は、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、治療有効量のSOS1阻害剤又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物と、KRas G12C阻害剤アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物との組み合わせを対象に投与することを含む、方法と、治療有効量の阻害剤を含む薬学的組成物と、組成物を含むキットと、その使用方法とに関する。
【0063】
SOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の、KRas G12C阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物との組み合わせは、KRas G12Cを発現するがん細胞に対するKRas G12C阻害剤化合物アダグラシブの効力を相乗的に増加させ、それによって、KRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩の有効性及び治療指数を増加させる。
【0064】
定義
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書で言及される全ての特許、特許出願、及び刊行物は、参照により組み込まれる。
【0065】
本明細書で使用される場合、「KRas G12C」は、アミノ酸位置12でのグリシンからシステインへのアミノ酸置換を含有する変異型の哺乳動物KRasタンパク質を指す。ヒトKRasのアミノ酸コドン及び残基位置の割り当ては、UniProtKB/Swiss-Prot P01116:Variant p.Gly12Cysにより同定されるアミノ酸配列に基づく。
【0066】
本明細書で使用される場合、「KRas G12C阻害剤」は、国際公開第2019/099524号に記載されるような式(I)、式I-A、及び式I-Bによって表される本発明の化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩を指す(例えば、実施例番号234、359、478、若しくは507、又はその薬学的に許容される塩)。これらの化合物は、KRas G12Cの酵素活性の全て又は一部を負に調節又は阻害することができる。本発明のKRas G12C阻害剤は、12位のシステイン残基のスルフヒドリル側鎖と共有結合付加物を形成することによって、KRas G12Cと相互作用し、不可逆的に結合し、KRas G12Cの酵素活性の阻害を生じさせる。アダグラシブは、KRas G12C阻害剤の一例である、
【0067】
本明細書で使用される「KRas G12C関連疾患又は障害」は、KRas G12C変異に関連するか、又はそれによって媒介されるか、又はそれを有する疾患又は障害を指す。KRas G12C関連疾患又は障害の非限定的な例は、KRas G12C関連がんである。
【0068】
本明細書で使用される場合、「SOS1」は、RAS経路を通したシグナル伝達に関与するSOS1遺伝子によってコードされるセブンレスの息子ホモログ1タンパク質を指す。
【0069】
本明細書で使用される場合、「SOS1阻害剤」は、KRASとSOS1との間の相互作用の全て又は一部を負に調節又は阻害することができる化合物を指す。
【0070】
本明細書で使用される場合、交換可能に使用される「対象」、「個体」、又は「患者」という用語は、マウス、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、霊長類、及びヒトなどの哺乳動物を含む任意の動物を指す。いくつかの実施形態では、患者は、ヒトである。いくつかの実施形態では、対象は、治療及び/又は予防されるべき疾患又は障害の少なくとも1つの症状を経験及び/又は呈している。いくつかの実施形態では、対象は、KRas G12C変異を有するがんを有すると同定又は診断されている(例えば、規制当局が承認した、例えば、FDA承認のアッセイ又はキットを使用して決定される)。いくつかの実施形態では、対象は、KRas G12C変異に対して陽性である腫瘍を有する(例えば、規制当局が承認したアッセイ又はキットを使用して決定される)。対象は、KRas G12C変異に対して陽性である腫瘍を有する対象であり得る(例えば、規制当局が承認した、例えば、FDA承認のアッセイ又はキットを使用して陽性と同定される)。対象は、腫瘍がKRas G12C変異を有する対象であり得る(例えば、規制当局が承認した、例えば、FDA承認のキット又はアッセイを使用して、腫瘍がそのように同定される場合)。いくつかの実施形態では、対象は、KRas G12C遺伝子関連がんを有することが疑われる。いくつかの実施形態では、対象は、対象がKRas G12C変異を有する腫瘍を有することを示す臨床記録を有する(及び任意選択で、臨床記録は、対象が本明細書に提供される組成物のうちのいずれかで治療されるべきであることを示す)。
【0071】
本明細書で使用される「小児患者」という用語は、診断又は治療時に16歳未満の患者を指す。「小児」という用語は、以下を含む様々な亜集団に更に分けることができる:新生児(出生から生後1ヶ月まで)、乳児(1ヶ月から2歳まで)、小児(2歳から12歳まで)、及び青年(12歳~21歳(22歳の誕生日までであるが、22歳の誕生日を含まない))。Berhman RE,Kliegman R,Arvin AM,Nelson WE.Nelson Textbook of Pediatrics,15th Ed.Philadelphia:W.B.Saunders Company,1996、Rudolph AM,et al.Rudolph’s Pediatrics,21st Ed.New York:McGraw-Hill,2002、及びAvery MD,First LR.Pediatric Medicine,2nd Ed.Baltimore:Williams & Wilkins;1994。
【0072】
本明細書に記載の方法又は使用のいずれかのいくつかの実施形態では、サンプル(例えば、患者(例えば、KRas G12C関連がんを有することが疑われる患者、KRas G12C関連がんの1つ以上の症状を有する患者、及び/又はKRas G12C関連がんを発症するリスクが増加した患者)からの生物学的サンプル又は生検サンプル(例えば、パラフィン包埋生検サンプル))を使用して、患者がKRas G12C変異を有するかどうかを決定するために使用されるアッセイには、例えば、次世代シーケンシング、免疫組織化学、蛍光顕微鏡検査、ブレークアパートFISH分析、サザンブロッティング、ウエスタンブロッティング、FACS分析、ノーザンブロッティング、及びPCRベースの増幅(例えば、RT-PCR及び定量的リアルタイムRT-PCR)が含まれ得る。当該技術分野で周知であるように、アッセイは、典型的には、例えば、少なくとも1つの標識された核酸プローブ又は少なくとも1つの標識された抗体若しくはその抗原結合断片を用いて行われる。
【0073】
「規制当局」という用語は、その国での薬学的剤の医療使用を承認するための国の機関である。例えば、規制当局の非限定的な例は、米国食品医薬品局(Food and Drug Administration、FDA)である。
【0074】
本明細書で使用される場合、化合物の「有効量」は、所望の標的、すなわちSOS1又はKRas G12Cの活性を負に調節又は阻害するのに十分な量である。そのような量は、単回投与量として投与され得るか、又はレジメンに従って投与され得、それにより、それは有効である。
【0075】
本明細書で使用される場合、化合物の「治療有効量」は、症状を改善するか、若しくはある様式では低減するか、又は状態の進行を停止若しくは逆転させるか、又はSOS1若しくはKRas G12Cの活性を負に調節若しくは阻害するのに十分な量である。そのような量は、単回投与量として投与され得るか、又はレジメンに従って投与され得、それにより、それは有効である。
【0076】
本明細書で使用される場合、2つの化合物の「組み合わせの治療有効量」は、組み合わせにおける各化合物の治療有効量と比較して、すなわち、単に付加的である以上に、組み合わせの活性を一緒に相乗的に増加させる量である。代替的に、インビボにおいて、治療有効量のSOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物と、KRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物との組み合わせは、KRas G12C阻害剤のみによる治療と比較して、対象における全生存期間「overall survival、「OS」)期間の増加をもたらす。一実施形態では、治療有効量のSOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物と、KRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物との組み合わせは、KRas G12C阻害剤のみによる治療と比較して、対象における無増悪生存(progression-free survival、「PFS」)期間の増加をもたらす。一実施形態では、治療有効量のSOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物と、KRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物との組み合わせは、KRas G12C阻害剤のみによる治療と比較して、対象における腫瘍退縮の増加をもたらす。一実施形態では、治療有効量のSOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物と、KRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物との組み合わせは、KRas G12C阻害剤のみによる治療と比較して、対象における腫瘍増殖阻害の増加をもたらす。一実施形態では、治療有効量のSOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物と、KRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物との組み合わせは、KRas G12C阻害剤のみによる治療と比較して、対象における安定期間の改善をもたらす。組み合わせにおける各化合物の量は、組み合わせが相乗的である限り、単剤療法として単独で投与される場合の各化合物の治療有効量と同じであり得るか、又は異なり得る。そのような量は、単回投与量として投与され得るか、又はレジメンに従って投与され得、それにより、それは有効である。
【0077】
本明細書で使用される場合、治療とは、状態、障害、又は疾患の症状又は病状が改善されるか、又はそうでなければ有益に変更される任意の様式を意味する。治療はまた、本明細書の組成物の任意の薬学的使用を包含する。
【0078】
本明細書で使用される場合、特定の薬学的組成物の投与による特定の障害の症状の「改善」は、永続的又は一時的、持続的又は一過性にかかわらず、組成物の投与に起因又は関連し得る任意の軽減を指す。
【0079】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、数値的に定義されたパラメータ(例えば、本明細書に記載のKRas阻害剤若しくはSOS1阻害剤若しくはその薬学的に許容される塩の用量、又は治療時間の長さ)を修飾するために使用される場合、そのパラメータが、そのパラメータについて記載された数値の上下に10%ほど変動し得ることを意味する。例えば、約5mg/kgの用量は、4.5mg/kg~5.5mg/kgで変動し得る。「約」は、パラメータの列挙の最初に使用される場合、各パラメータを修飾することを意味する。例えば、約0.5mg、0.75mg又は1.0mgは、約0.5mg、約0.75mg又は約1.0mgを意味する。同様に、約5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、及び25%以上は、約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、及び約25%以上を意味する。
【0080】
KRas G12C阻害剤化合物
本発明の一態様では、がんの治療を必要とする対象におけるがんを治療する方法であって、治療有効量のSOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物と、KRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物との組み合わせを対象に投与することを含む、方法が、本明細書に提供される。
【0081】
一実施形態では、KRas G12C阻害剤は、
【0082】
【化20】
(アダグラシブ、MRTX849、及び国際公開第2019/099524号における実施例478とも称される)又はその薬学的に許容される塩である。
【0083】
本発明の方法で使用されるKRas G12C阻害剤は、1つ以上のキラル中心を有し得、立体異性体混合物、空間におけるそれらの原子の配置が異なる同一の構成の異性体として合成され得る。化合物は、混合物として使用され得るか、又は個々の構成成分/異性体は、市販の試薬及び当業者に周知の立体異性体及び鏡像異性体を単離するための従来の方法を使用して、例えば、製造業者の説明書に従ってCHIRALPAK(登録商標)(Sigma-Aldrich)又はCHIRALCEL(登録商標)(Diacel Corp)キラルクロマトグラフィーHPLCカラムを使用して、分離され得る。代替的に、本発明の化合物は、光学的に純粋なキラル試薬及び中間体を使用して合成されて、個々の異性体又は鏡像異性体を調製し得る。特に指定のない限り、全てのキラル(鏡像異性体及びジアステレオマー)及びラセミ形態は、本発明の範囲内である。特に指定のない限り、特許請求の範囲を含む明細書が本発明の化合物に言及するときはいつでも、「化合物」という用語は、全てのキラル(鏡像異性体及びジアステレオマー)及びラセミ形態を包含すると理解されるべきである。
【0084】
一実施形態では、方法で使用されるKRas G12C阻害剤化合物アダグラシブは、上記化合物の塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸などの無機塩で形成される塩、酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パモン酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタリンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、及びポリガラクツロン酸などの有機酸で形成される塩、並びに式--NR+Z-の四級アンモニウムから形成される塩を含み、式中、Rは、水素、アルキル、又はベンジルであり、Zは、対イオンであり、これには、塩化物、臭化物、ヨウ化物、--O-アルキル、トルエンスルホン酸塩、メチルスルホン酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、又はカルボン酸塩(安息香酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、グリコール酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、桂皮酸塩、マンデル酸塩、ベンジル酸塩、及びジフェニル酢酸塩)が含まれる。
【0085】
本明細書に開示されるKRas G12C阻害剤を製造するための方法は、既知である。例えば、共通所有の公開された国際PCT出願番号第2017/201161号、及び同第2019/099524号は、アダグラシブを含む化合物を調製するための一般的な反応スキームを記載し、これらの化合物の調製のための詳細な合成経路も提供する。
【0086】
SOS1阻害剤化合物
一実施形態では、SOS1阻害剤は、(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-モルホリノピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、3-((R)-1-((7-((S)-ヘキサヒドロピラジノ[2,1-c][1,4]オキサジン-8(1H)-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、(R)-3-(1-((7-(3-(ジメチルアミノ)-3-メチルアゼチジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、(R)-3-(1-((7-(4-エチルピペラジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-(ピペラジン-1-イル)ピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、3-((R)-1-((7-((S)-3-(ジメチルアミノ)ピロリジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、(R)-3-(1-((6-フルオロ-4-メチル-7-(4-メチルピペラジン-1-イル)フタラジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリルから選択される化合物、若しくはその薬学的に許容される塩から選択されるか、又は本明細書においてにより詳細に記載されているような米国仮特許出願第62/951,812号、同第62/975,645号、同第63/044,802号、同第62/980,790号、及び同第63/057,563号(並びに国際出願PCT/US20/06603号及び米国特許第17/127,582号を含む対応する国際出願及び刊行物)に記載されている化合物から選択される。
【0087】
別の実施形態では、SOS1阻害剤は、BI1701963である。
【0088】
別の実施形態では、SOS1阻害剤は、以下の式の化合物
【0089】
【化21】
又はその薬学的に許容される塩であり、式中、Rは、水素、ヒドロキシル、C1-C6アルキル、アルコキシ、-N(R、-NRC(O)R、-C(O)N(R、-SOアルキル、-SONRアルキル、シクロアルキル、-Q-ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは、各々任意選択で、1つ以上のRと置換され、各Qは、独立して、結合、O、又はNRであり、Xは、N又はCRであり、各Rは、独立して、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、-N(R、-SOアルキル、-NRC(O)C1-C3アルキル、-C(O)シクロアルキル、-C(O)ヘテロシクリル、又はアリールであり、シクロアルキル、ヘテロシクリル、又はアリールは、各々任意選択で、1つ以上のR11と置換され、Rは、水素、C1-C6アルキル、アルコキシ、-N(R10、シクロアルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、C1-C6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは、各々任意選択で、1つ以上のRと置換され、Yは、結合又はヘテロアリーレンであり、Rは、各々任意選択で1つ以上のRと置換された、アリール又はヘテロアリールであり、各Rは、独立して、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、C1-C3アルキル、ハロアルキル、-N(R、-L-N(R、又は-SOアルキルであり、Lは、C1-C3アルキレンであり、各Rは、独立して、水素、C1-C3アルキル、ハロアルキル、又はシクロアルキルであり、Rは、水素、シアノ、又はアルコキシであり、Rは、C1-C2アルキル又はハロ-C1-C2アルキルであり、各Rは、独立して、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、アルコキシ、又はC1-C3アルキルであり、各R10は、独立して、水素、C1-C3アルキル、又はシクロアルキルであり、各R11は、独立して、C1-C3アルキル又はハロアルキルである。これらの化合物としては、以下のような化合物
【0090】
【化22】
【0091】
【化23】
【0092】
【化24】
【0093】
【化25】
【0094】
【化26】
【0095】
【化27】
【0096】
【化28】
【0097】
【化29】
【0098】
【化30】
【0099】
【化31】
【0100】
【化32】
【0101】
【化33】
【0102】
【化34】
【0103】
【化35】
【0104】
【化36】
【0105】
【化37】
【0106】
【化38】
【0107】
【化39】
【0108】
【化40】
並びにそれらの薬学的に許容される塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0109】
別の実施形態では、SOS1阻害剤は、以下の式の化合物
【0110】
【化41】
又はその薬学的に許容される塩であり、式中、Rは、水素、ヒドロキシ、C1-C6アルキル、アルコキシ、-N(R、-NRC(O)R、-C(O)N(R、-SOアルキル、-SONRアルキル、シクロアルキル、-Q-ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは、各々任意選択で、1つ以上のRと置換され、各Qは、独立して、結合又はOであり、Xは、N又はCRであり、各Rは、独立して、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、-N(R、-SOアルキル、-NRC(O)RC1-C3アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、又はアリールであり、Rは、水素、ハロゲン、シアノ、C1-C6アルキル、アルコキシ、-N(R10,-NR10C(O)NR10、-C(O)N(R10、-SOアルキル、-SONR10アルキル、-SON(R10、シクロアルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、C1-C6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは、各々任意選択で、1つ以上のRと置換され、Yは、結合又はヘテロアリーレンであり、Rは、各々任意選択で1つ以上のRと置換された、アリール又はヘテロアリールであり、各Rは、独立して、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、C1-C3アルキル、ハロアルキル、又は-L-N(Rであり、Lは、C1-C3アルキレンであり、各Rは、独立して、水素、C1-C3アルキル、又はシクロアルキルであり、Rは、水素又はアルコキシであり、Rは、C1-C2アルキル又はハロ-C1-C2アルキルであり、各Rは、独立して、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、アルコキシ、又はC1-C6アルキルであり、各R10は、独立して、水素、C1-C3アルキル、又はシクロアルキルであり、R11は、水素、C1-C3アルキル、シクロアルキル、又はハロアルキルである。これらの化合物としては、以下のような化合物
【0111】
【化42】
並びにそれらの薬学的に許容される塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0112】
別の実施形態では、SOS1阻害剤は、以下の式の化合物
【0113】
【化43】
又はその薬学的に許容される塩であり、式中、Rは、水素、ヒドロキシル、C1-C6アルキル、アルコキシ、-N(R、-NRC(O)R、-C(O)N(R、-SOアルキル、-SONRアルキル、シクロアルキル、-Q-ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールは、各々任意選択で、1つ以上のRと置換され、各Qは、独立して、結合、O、又はNRであり、Xは、N又はCRであり、ただし、XがNである場合、Rは、ヒドロキシルではなく、各Rは、独立して、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、-N(R、-SOアルキル、-NRC(O)C1-C3アルキル、-C(O)シクロアルキル、-C(O)ヘテロシクリル、又はアリールであり、シクロアルキル、ヘテロシクリル、又はアリールは、各々任意選択で、1つ以上のRと置換され、Rは、水素、C1-C3アルキル、C1-C3ハロアルキル、又はシクロアルキルであり、Yは、結合又はヘテロアリーレンであり、Rは、各々任意選択で1つ以上のRと置換される、アリール又はヘテロアリールであり、各Rは、独立して、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、C1-C4アルキル、ハロアルキル、-N(R、-L-N(R、又は-SOアルキルであり、Lは、C1-C3アルキレンであり、各Rは、独立して、水素、C1-C3アルキル、ハロアルキル、又はシクロアルキルであり、Rは、水素、シアノ、又はアルコキシであり、Rは、C1-C2アルキル又はハロ-C1-C2アルキルであり、各Rは、独立して、C1-C3アルキル又はハロアルキルである。これらの化合物としては、以下のような化合物
【0114】
【化44】
並びにそれらの薬学的に許容される塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0115】
別の実施形態では、SOS1阻害剤は、
【0116】
【化45】
(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-モルホリノピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、
【0117】
【化46】
3-((R)-1-((7-((S)-ヘキサヒドロピラジノ[2,1-c][1,4]オキサジン-8(1H)-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、
【0118】
【化47】
(R)-3-(1-((7-(3-(ジメチルアミノ)-3-メチルアゼチジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、及び
【0119】
【化48】
(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、
【0120】
【化49】
(R)-3-(1-((7-(4-エチルピペラジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、
【0121】
【化50】
(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-(ピペラジン-1-イル)ピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、及び
【0122】
【化51】
3-((R)-1-((7-((S)-3-(ジメチルアミノ)ピロリジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、
【0123】
【化52】
(R)-3-(1-((6-フルオロ-4-メチル-7-(4-メチルピペラジン-1-イル)フタラジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、並びにそれらの薬学的に許容される塩から選択される化合物である。
【0124】
本発明の方法で使用されるSOS1阻害剤は、1つ以上のキラル中心を有し得、立体異性体混合物、空間におけるそれらの原子の配置が異なる同一の構成の異性体として合成され得る。化合物は、混合物として使用され得るか、又は個々の構成成分/異性体は、市販の試薬及び当業者に周知の立体異性体及び鏡像異性体を単離するための従来の方法を使用して、例えば、製造業者の説明書に従ってCHIRALPAK(登録商標)(Sigma-Aldrich)又はCHIRALCEL(登録商標)(Diacel Corp)キラルクロマトグラフィーHPLCカラムを使用して、分離され得る。代替的に、本発明の化合物は、光学的に純粋なキラル試薬及び中間体を使用して合成されて、個々の異性体又は鏡像異性体を調製し得る。特に指定のない限り、全てのキラル(鏡像異性体及びジアステレオマー)及びラセミ形態は、本発明の範囲内である。特に指定のない限り、特許請求の範囲を含む明細書が本発明の化合物に言及するときはいつでも、「化合物」という用語は、全てのキラル(鏡像異性体及びジアステレオマー)及びラセミ形態を包含すると理解されるべきである。
【0125】
一実施形態では、SOS1阻害剤化合物は、その塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸などの無機塩で形成される塩、酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パモン酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタリンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、及びポリガラクツロン酸などの有機酸で形成される塩、並びに式--NR+Z-の四級アンモニウムから形成される塩を含み、式中、Rは、水素、アルキル、又はベンジルであり、Zは、対イオンであり、これには、塩化物、臭化物、ヨウ化物、--O-アルキル、トルエンスルホン酸塩、メチルスルホン酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、又はカルボン酸塩(安息香酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、グリコール酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、桂皮酸塩、マンデル酸塩、ベンジル酸塩、及びジフェニル酢酸塩)が含まれる。
【0126】
本明細書に開示されるSOS1阻害剤を製造するための方法は、既知である。例えば、共有所有の出願番号第62/951,812号、同第62/975,645号、同第63/044,802号、同第62/980,790号、及び同第63/057,563号、並びに対応する国際出願及び公開国際出願PCT/US2020/066003号(国際公開第21/127429号)、同PCT/US2021/019184号(国際公開第2021/173524号)、及び同PCT/US2021/043309号(国際公開第2022/026465号)は、化合物を調製するための一般的な反応スキームを記載し、これらの化合物の調製のための詳細な合成経路も提供する。
【0127】
薬学的組成物
SOS1阻害剤及びKRas G12C化合物アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩は、薬学的組成物に製剤化され得る。
【0128】
別の態様では、本発明は、本明細書に開示される方法において使用され得る、SOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩と、KRas G12C阻害剤アダグラシブ、又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体、賦形剤、又は希釈剤と、を含む、薬学的組成物を提供する。SOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩、及びKRas G12C阻害剤、又はその薬学的に許容される塩は、独立して、当技術分野において周知の任意の方法によって製剤化され得、非経口、経口、舌下、経皮、局所、鼻腔内、気管内、又は直腸内を含むが、これらに限定されない任意の経路による投与のために調製され得る。ある特定の実施形態では、SOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩、及びKRas G12C阻害剤、又はその薬学的に許容される塩は、病院環境において静脈内投与される。一実施形態では、投与は、経口経路によるものであり得る。
【0129】
担体の特徴は、投与経路に依存する。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、細胞、細胞培養物、組織、又は生物などの生体系と適合性があり、かつ有効成分の生物学的活性の有効性を干渉しない、非毒性材料を意味する。したがって、組成物は、阻害剤に加えて、希釈剤、充填剤、塩、緩衝剤、安定剤、可溶化剤、及び当該技術分野で周知の他の材料を含有し得る。薬学的に許容される製剤の調製は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition,ed.A.Gennaro,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1990に記載されている。
【0130】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」という用語は、上記で同定された化合物の所望の生物学的活性を保持し、かつ望ましくない毒性学的効果を最小限呈するか又は全く呈さない塩を指す。そのような塩の例としては、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸など)で形成される酸付加塩、並びに酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パモン酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、及びポリガラクツロン酸などの有機酸で形成される塩が挙げられるが、これらに限定されない。化合物はまた、当業者により既知である薬学的に許容される四級塩として投与することができ、これは具体的には、式--NR+Z-の四級アンモニウム塩を含み、式中、Rは、水素、アルキル、又はベンジルであり、Zは、対イオンであり、これには、塩化物、臭化物、ヨウ化物、--O-アルキル、トルエンスルホン酸塩、メチルスルホン酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、又はカルボン酸塩(安息香酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、グリコール酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、桂皮酸塩、マンデル酸塩、ベンジル酸塩、及びジフェニル酢酸塩など)が含まれる。
【0131】
活性化合物は、治療される患者に深刻な毒性作用を引き起こすことなく、治療有効量を患者に送達するのに十分な量で、薬学的に許容される担体又は希釈剤に含まれる。一実施形態では、上述の全ての条件に対する活性化合物の用量は、1日当たり約0.01~300mg/kg、例えば、0.1~100mg/kg、及び更なる例として1日当たりレシピエントの体重1キログラム当たり0.5~約25mgの範囲である。典型的な局所投与量は、好適な担体中0.01~3%重量/重量の範囲になる。薬学的に許容される誘導体の有効な投与量範囲は、送達されるべき親化合物の重量に基づいて計算することができる。誘導体がそれ自体で活性を呈する場合、有効投与量は、誘導体の重量を使用して、又は当業者に既知である他の手段によって、上記のように推定することができる。
【0132】
SOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物と、KRas G12C阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物と、を含む、薬学的組成物は、本明細書に記載の使用方法において使用され得る。
【0133】
同時投与
SOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩、及びKRas G12C阻害剤、又はその薬学的に許容される塩は、別々の剤形又は個々の剤形に製剤化することができ、これらを次々に同時投与することができる。別の選択肢は、投与経路が同じ(例えば、経口)である場合、2つの活性化合物を同時投与のための単一の形態に製剤化することができるが、同時投与の両方の方法は、同じ治療処置又はレジメンの一部である。
【0134】
方法における使用のための、SOS1阻害剤、若しくはその薬学的に許容される塩、及び/又はKRas G12C阻害剤、若しくはその薬学的に許容される塩を含む、薬学的組成物は、同時、別々、又は逐次使用のためのものであり得る。一実施形態では、SOS1阻害剤又はその薬学的に許容される塩は、KRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩の投与前に投与される。別の実施形態では、SOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩は、KRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ又その薬学的に許容される塩の投与後に投与される。別の実施形態では、SOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩は、KRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩の投与とほぼ同時に投与される。
【0135】
場合によっては、異なる時間及び異なる経路による各阻害剤の別々の投与が有利であろう。したがって、組み合わせにおける構成成分、すなわちKRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩、及びSOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩は、必ずしも本質的に同時に又は任意の順序で投与される必要はない。
【0136】
抗がん剤は、典型的には、最大耐用量(maximum tolerated dose、「MTD」)で投与され、これは、許容できない副作用を引き起こさない薬物の最高用量である。一実施形態では、KRas G12C阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物、及びSOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物は、各々、それらのそれぞれのMTDで投与される。一実施形態では、KRas G12C阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物は、そのMTDで投与され、SOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物は、そのMTD未満の量で投与される。一実施形態では、KRas G12C阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物は、そのMTD未満の量で投与され、SOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物は、そのMTDで投与される。一実施形態では、KRas G12C阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物、及びSOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物は、各々、それらのそれぞれのMTD未満で投与される。投与は、一方の化合物のピーク薬物動態効果が他方のピーク薬物動態効果と一致するようにタイミングを合わせ得る。
【0137】
一実施形態では、KRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の単回用量が、1日当たりに(すなわち、約24時間間隔で)投与される(すなわち、QD)。別の実施形態では、KRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の2回の用量が、1日当たりに投与される(すなわち、BID)。別の実施形態では、KRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の3回の用量が、1日当たりに投与される(すなわち、TID)。
【0138】
一実施形態では、SOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物は、QDで投与される。別の実施形態では、SOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物は、BIDで投与される。別の実施形態では、本発明のSOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物は、TIDで投与される。
【0139】
一実施形態では、KRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物、及びSOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の単回用量が、各々、1日1回投与される。
【0140】
提供される組成物及び方法に好適なSOS1阻害剤の例としては、本明細書に記載されるもの、例えば、(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-モルホリノピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、3-((R)-1-((7-((S)-ヘキサヒドロピラジノ[2,1-c][1,4]オキサジン-8(1H)-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、(R)-3-(1-((7-(3-(ジメチルアミノ)-3-メチルアゼチジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、(R)-3-(1-((7-(4-エチルピペラジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-(ピペラジン-1-イル)ピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、3-((R)-1-((7-((S)-3-(ジメチルアミノ)ピロリジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、及び(R)-3-(1-((6-フルオロ-4-メチル-7-(4-メチルピペラジン-1-イル)フタラジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、
若しくはその薬学的に許容される塩、又はBI1701963などのSOS1阻害剤が挙げられる。
【0141】
併用療法
本発明の一態様では、がんの治療を必要とする対象におけるがんを治療する方法であって、治療有効量のSOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物と、KRasKRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物との組み合わせを対象に投与することを含む、方法が、本明細書に提供される。一実施形態では、がんは、KRas G12C関連がんである。一実施形態では、KRas G12C関連がんは、肺がんである。
【0142】
更に別の態様では、本発明は、細胞におけるKRas G12C活性を阻害するための方法であって、KRas G12C活性の阻害が望まれる細胞を、有効量のKRas G12C阻害剤アダグラシブ
【0143】
【化53】
又はその薬学的に許容される塩と、SOS1阻害剤との組み合わせと接触させることを含む、方法を提供する。
【0144】
一実施形態では、SOS1阻害剤は、以下の構造
【0145】
【化54】
又はその薬学的に許容される塩を有する。
【0146】
更に別の態様では、方法は、細胞を、以下の構造を有する化合物
【0147】
【化55】
又はその薬学的に許容される塩と接触させることも含む。
【0148】
更に別の態様では、本発明は、KRas G12C阻害剤に対するがん細胞の感受性を増加させるための方法であって、がん細胞を、有効量のKRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物と、SOS1阻害剤又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物との組み合わせと接触させることを含み、SOS1阻害剤が、KRas G12C阻害剤に対するがん細胞の感受性を相乗的に増加させる、方法を提供する。一実施形態では、接触は、インビトロである。一実施形態では、接触は、インビボである。一実施形態では、方法は、KRas G12C治療を受けている対象に、有効量のKRas G12C阻害剤アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩とSOS1阻害剤との組み合わせを投与することを含み、SOS1阻害剤は、KRas G12C阻害剤に対するがん細胞の感受性を相乗的に増加させる。
【0149】
一実施形態では、KRas G12C阻害剤に対するがん細胞の感受性を増加させるための方法は、がん細胞を、治療有効量のKRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物と、以下の構造を有するSOS1阻害剤
【0150】
【化56】
又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物との組み合わせと接触させることを含む。
【0151】
更に別の実施形態では、KRas G12C阻害剤に対するがん細胞の感受性を増加させるための方法は、がん細胞を、以下の構造を有する化合物
【0152】
【化57】
又はその薬学的に許容される塩と接触させることも含む。
【0153】
一実施形態では、併用療法は、以下の式を有する化合物
【0154】
【化58】
(アダグラシブ)又はその薬学的に許容される塩と、SOS1阻害剤との組み合わせを含む。
【0155】
このような一実施形態では、SOS1阻害剤は、
【0156】
【化59】
である。
【0157】
別のそのような実施形態では、SOS1阻害剤は、
【0158】
【化60】
である。
【0159】
更に別のそのような実施形態では、SOS1阻害剤は、
【0160】
【化61】
である。
【0161】
更に別のそのような実施形態では、SOS1阻害剤は、
【0162】
【化62】
である。
【0163】
別の実施形態では、SOS1阻害剤は、
【0164】
【化63】
である。
【0165】
別の実施形態では、SOS1阻害剤は、
【0166】
【化64】
である。
【0167】
別の実施形態では、SOS1阻害剤は、
【0168】
【化65】
である。
【0169】
別の実施形態では、SOS1阻害剤は、
【0170】
【化66】
である。
【0171】
また更に別の実施形態では、SOS1阻害剤は、BI1701963である。
【0172】
更に別の実施形態では、本発明は、
式:
【0173】
【化67】
を有する、SOS1阻害剤(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-モルホリノピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル(MRTX0902としても知られる)、又はその薬学的に許容される塩と、
KRas G12C阻害剤化合物2-[(2S)-4-[7-(8-クロロ-1-ナフチル)-2-[[(2S)-1-メチルピロリジン-2-イル]メトキシ]-6,8-ジヒドロ-5H-ピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル]-1-(2-フルオロプロパ-2-エノイル)ピペラジン-2-イル]アセトニトリル(MRTX849としても知られ、アダグラシブとしても知られる)との治療的に有効な組み合わせを提供する。
【0174】
別の実施形態では、本発明は、
式:
【0175】
【化68】
を有する、SOS1阻害剤(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-モルホリノピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル(MRTX0902としても知られる)、又はその薬学的に許容される塩と、
KRas G12C阻害剤化合物2-[(2S)-4-[7-(8-クロロ-1-ナフチル)-2-[[(2S)-1-メチルピロリジン-2-イル]メトキシ]-6,8-ジヒドロ-5H-ピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル]-1-(2-フルオロプロパ-2-エノイル)ピペラジン-2-イル]アセトニトリル(MRTX849としても知られ、アダグラシブとしても知られる)と、
以下の構造を有するMEK阻害剤[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)ピリジン-4-イル]メチル]-4-メチル-7-ピリミジン-2-イルオキシクロメン-2-オン(VS-6766としても知られる)
【0176】
【化69】
又はその薬学的に許容される塩との治療的に有効な組み合わせを提供する。
【0177】
本明細書で使用される場合、「接触させる」という用語は、インビトロ系又はインビボ系において示された部分を一緒にすることを指す。例えば、がん細胞を「接触させること」は、本明細書に提供される組み合わせを、KRas G12Cを有する個人又は対象(例えば、ヒト)へ投与すること、並びに、例えば、本明細書に提供される組み合わせを、KRas G12Cを含有する細胞又は精製された調製物を含有するサンプルに導入することを含む。
【0178】
KRas G12Cの活性を負に調節することにより、本明細書に記載の方法は、細胞内のKRas G12C活性の増強によりもたらされる望ましくない細胞増殖を阻害するように設計される。KRas G12Cの共有結合修飾の程度は、公開された国際PCT出願第2017/201161号及び同第2019/099524号に記載されるものを含む周知の方法を使用してインビトロでモニタリングされ得る。加えて、細胞における組み合わせの阻害剤活性は、例えば、治療の有効性を評価するためにリン酸化ERKの量のKRas G12C活性の阻害を測定することによってモニタリングすることができ、それに応じて、担当医師によって投与量を調整することができる。
【0179】
本明細書に提供される組成物及び方法は、KRas G12C関連がんの治療を必要とする対象におけるKRas G12C関連がんの治療のために使用され得、治療有効量のSOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物と、KRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物との組み合わせを当該対象に投与することを含み、SOS1阻害剤は、KRas G12C阻害剤に対するKRas G12C関連がんの感受性を相乗的に増加させる。一実施形態では、KRas G12C関連がんは、肺がんである。
【0180】
一実施形態では、治療有効量のSOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物と、KRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物との組み合わせは、KRas G12C阻害剤のみによる治療と比較して、対象における全生存期間(「OS」)の増加をもたらす。一実施形態では、治療有効量のSOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物と、KRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物との組み合わせは、KRas G12C阻害剤のみによる治療と比較して、対象における無増悪生存(「PFS」)期間の増加をもたらす。一実施形態では、治療有効量のSOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物と、KRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物との組み合わせは、KRas G12C阻害剤のみによる治療と比較して、対象における腫瘍退縮の増加をもたらす。一実施形態では、治療有効量のSOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物と、KRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物との組み合わせは、KRas G12C阻害剤のみによる治療と比較して、対象における腫瘍増殖阻害の増加をもたらす。一実施形態では、治療有効量のSOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物と、KRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物との組み合わせは、KRas G12C阻害剤アダグラシブのみによる治療と比較して、対象における安定期間の改善をもたらす。一実施形態では、SOS1阻害剤は、(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-モルホリノピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、3-((R)-1-((7-((S)-ヘキサヒドロピラジノ[2,1-c][1,4]オキサジン-8(1H)-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、(R)-3-(1-((7-(3-(ジメチルアミノ)-3-メチルアゼチジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、(R)-3-(1-((7-(4-エチルピペラジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-(ピペラジン-1-イル)ピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、3-((R)-1-((7-((S)-3-(ジメチルアミノ)ピロリジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、(R)-3-(1-((6-フルオロ-4-メチル-7-(4-メチルピペラジン-1-イル)フタラジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、又はその薬学的に許容される塩から選択される。別の実施形態では、SOS1阻害剤は、BI1701963である。
【0181】
別の実施形態では、SOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物は、KRas G12C単剤療法について疾患進行が観察されたら、KRas G12C阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物と組み合わせて投与され、ここで、併用療法は、患者におけるOS、PFS、腫瘍退縮、腫瘍増殖阻害、又は安定期間を増加させることによって、臨床的利益の増強を患者にもたらす。一実施形態では、KRas G12C阻害剤は、化合物番号1~678(国際公開第2019/099524号において番号付けされている)から選択される化合物、又はその薬学的に許容される塩である(例えば、実施例番号234、359、478、若しくは507、又はその薬学的に許容される塩)。
【0182】
一実施形態では、SOS1阻害剤は、(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-モルホリノピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、3-((R)-1-((7-((S)-ヘキサヒドロピラジノ[2,1-c][1,4]オキサジン-8(1H)-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、(R)-3-(1-((7-(3-(ジメチルアミノ)-3-メチルアゼチジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、(R)-3-(1-((7-(4-エチルピペラジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-(ピペラジン-1-イル)ピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、3-((R)-1-((7-((S)-3-(ジメチルアミノ)ピロリジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、(R)-3-(1-((6-フルオロ-4-メチル-7-(4-メチルピペラジン-1-イル)フタラジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、又はそれらの薬学的に許容される塩から選択される。別の実施形態では、SOS1阻害剤は、BI1701963である。
【0183】
一実施形態では、治療用組み合わせは、治療有効量のアダグラシブ及び(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-モルホリノピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、又はそれらの薬学的に許容される塩を含む。
【0184】
別の実施形態では、治療用組み合わせは、治療有効量のアダグラシブ及び3-((R)-1-((7-((S)-ヘキサヒドロピラジノ[2,1-c][1,4]オキサジン-8(1H)-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、又はそれらの薬学的に許容される塩を含む。
【0185】
別の実施形態では、治療用組み合わせは、治療有効量のアダグラシブ及び(R)-3-(1-((7-(3-(ジメチルアミノ)-3-メチルアゼチジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、又はそれらの薬学的に許容される塩を含む。
【0186】
別の実施形態では、治療用組み合わせは、治療有効量のアダグラシブ及び(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、又はそれらの薬学的に許容される塩を含む。
【0187】
別の実施形態では、治療用組み合わせは、治療有効量のアダグラシブ及び(R)-3-(1-((7-(4-エチルピペラジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、又はそれらの薬学的に許容される塩を含む。
【0188】
別の実施形態では、治療用組み合わせは、治療有効量のアダグラシブ及び(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-(ピペラジン-1-イル)ピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、又はそれらの薬学的に許容される塩を含む。
【0189】
別の実施形態では、治療用組み合わせは、治療有効量のアダグラシブ及び3-((R)-1-((7-((S)-3-(ジメチルアミノ)ピロリジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、又はそれらの薬学的に許容される塩を含む。
【0190】
別の実施形態では、治療用組み合わせは、治療有効量のアダグラシブ及び(R)-3-(1-((6-フルオロ-4-メチル-7-(4-メチルピペラジン-1-イル)フタラジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、又はそれらの薬学的に許容される塩を含む。
【0191】
別の実施形態では、治療用組み合わせは、治療有効量のアダグラシブを含み、SOS1阻害剤は、BI1701963である。
【0192】
本明細書で提供される組成物及び方法は、肺、大腸、膵臓、前立腺、乳房、脳、皮膚、子宮頸がん、精巣がんなどの腫瘍を含む様々ながんの治療に使用され得る。より具体的には、本発明の組成物及び方法によって治療され得るがんには、星状細胞、乳房、子宮頸部、結腸直腸、子宮内膜、食道、胃、頭頸部、肝細胞、喉頭、肺、口腔、卵巣、前立腺、及び甲状腺のがん及び肉腫が含まれるが、これらに限定されない。より詳細には、これらの化合物は、以下を治療するために使用され得る:心臓:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫及び奇形腫;肺:気管支原性がん(扁平上皮、未分化小細胞、未分化大細胞、腺がん)、肺胞(細気管支)がん、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨過誤腫、中皮腫;胃腸:食道(扁平上皮がん、腺がん、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(がん、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵(管腺がん、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸(腺がん、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポージ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺がん、管状腺がん、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫);尿生殖路:腎(腺がん、ウィルムス腫瘍(腎芽細胞腫)、リンパ腫、白血病)、膀胱及び尿道(扁平上皮がん、移行上皮がん、腺がん)、前立腺(腺がん、肉腫)、精巣(精上皮腫、テラトーマ、胚性がん腫、奇形がん、絨毛がん、肉腫、間質細胞がん、線維腫、乳腺線維腺腫、腺腫様腫瘍、脂肪腫);肝臓:肝がん(肝細胞がん)、胆管がん、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫;胆管:胆嚢がん、膨大部がん、胆管がん;骨:骨原性肉腫(骨肉種)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性ミエローマ、悪性巨細胞腫脊索腫、骨軟骨腫(osteochronfroma)(骨軟骨外骨腫)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫及び巨細胞腫瘍;神経系:頭蓋(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽細胞腫、膠腫、上衣腫、胚細胞腫(松果体腫)、多形性膠芽腫、乏突起神経膠腫、神経鞘腫、網膜芽腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、膠腫、肉腫);婦人科系:子宮(子宮内膜がん)、子宮頸部(子宮頸がん、子宮頸部異型前腫瘍)、卵巣(卵巣がん(漿液性嚢胞腺がん、粘液性嚢胞腺がん、未分類がん)、顆粒膜-包膜細胞腫、セルトリライディッヒ細胞腫、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰(扁平上皮がん、上皮内がん、腺がん、線維肉腫、メラノーマ)、腟(明細胞がん、扁平上皮がん、ボツリソイド肉腫(胎児性横紋筋肉腫)、ファロピウス管(がん);血液系:血(骨髄性白血病(急性及び慢性)、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性ミエローマ、脊髄形成異常症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(悪性リンパ腫);皮膚:悪性メラノーマ、基底細胞がん、扁平上皮細胞がん、カポージ肉腫、黒子異形成母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾せん;及び副腎:神経芽細胞種。ある特定の実施形態では、がんは、非小細胞肺がんである。
【0193】
また、がんの治療を必要とする患者においてがんを治療するための方法であって、(a)がんがKRas G12C変異(例えば、KRas G12C関連がん)と関連していることを決定すること(例えば、規制当局に承認された、例えば、FDA承認アッセイ又はキットを使用して決定される)と、(b)治療有効量のSOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物と、KRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物との組み合わせを患者に投与することであって、SOS1阻害剤が、KRas G12C阻害剤に対するKRas G12C関連がんの感受性を相乗的に増加させる、投与することと、を含む、方法も提供される。一実施形態では、KRas G12C阻害剤は、化合物番号1~678(国際公開第2019/099524号において番号付けされている)から選択される化合物、又はその薬学的に許容される塩である(例えば、実施例番号234、359、478、若しくは507のうちの1つ、又はその薬学的に許容される塩)。一実施形態では、SOS1阻害剤は、(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-モルホリノピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、3-((R)-1-((7-((S)-ヘキサヒドロピラジノ[2,1-c][1,4]オキサジン-8(1H)-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、(R)-3-(1-((7-(3-(ジメチルアミノ)-3-メチルアゼチジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、(R)-3-(1-((7-(4-エチルピペラジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-(ピペラジン-1-イル)ピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、3-((R)-1-((7-((S)-3-(ジメチルアミノ)ピロリジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、(R)-3-(1-((6-フルオロ-4-メチル-7-(4-メチルピペラジン-1-イル)フタラジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、若しくはその薬学的に許容される塩から選択されるか、又はSOS1阻害剤は、BI1701963である。
【0194】
一実施形態では、治療用組み合わせは、治療有効量の(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-モルホリノピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0195】
更なる実施形態では、治療用組み合わせは、治療有効量の3-((R)-1-((7-((S)-ヘキサヒドロピラジノ[2,1-c][1,4]オキサジン-8(1H)-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0196】
更なる実施形態では、治療用組み合わせは、治療有効量の(R)-3-(1-((7-(3-(ジメチルアミノ)-3-メチルアゼチジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0197】
更なる実施形態では、治療用組み合わせは、治療有効量の(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0198】
更なる実施形態では、治療用組み合わせは、治療有効量の(R)-3-(1-((7-(4-エチルピペラジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0199】
更なる実施形態では、治療用組み合わせは、治療有効量の(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-(ピペラジン-1-イル)ピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0200】
更なる実施形態では、治療用組み合わせは、治療有効量の3-((R)-1-((7-((S)-3-(ジメチルアミノ)ピロリジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0201】
更なる実施形態では、治療用組み合わせは、治療有効量の(R)-3-(1-((6-フルオロ-4-メチル-7-(4-メチルピペラジン-1-イル)フタラジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0202】
更なる実施形態では、治療用組み合わせは、治療有効量のBI1701963を含む。
【0203】
一実施形態では、KRas G12C化合物アダグラシブは、期間中、錠剤又はカプセルとして投与される。一実施形態では、アダグラシブの錠剤又はカプセル製剤は、約10mg、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1000mg、約1100mg、約1200mg、約1300mg、約1400mg、約1500mg、約1600mg、約1700mg、約1800mg、約1900mg、及び約2000mgのうちの1つ以上を含む。一実施形態では、アダグラシブは、ある期間中、毎日1日1回(QD)経口投与される。一実施形態では、アダグラシブは、ある期間中、毎日1日2回(BID)経口投与される。
【0204】
一実施形態では、SOS1化合物は、約20mg~約500mg(例えば、約20mg~約480mg、約20mg~約460mg、約20mg~約440mg、約20mg~約420mg、約20mg~約400mg、約20mg~約380mg、約20mg~約360mg、約20mg~約340mg、約20mg~約320mg、約20mg~約300mg、約20mg~約280mg、約20mg~約260mg、約20mg~約240mg、約20mg~約220mg、約20mg~約200mg、約20mg~約180mg、約20mg~約160mg、約20mg~約140mg、約20mg~約120mg、約20mg~約100mg、約20mg~約80mg、約20mg~約60mg、約20mg~約40mg、約40mg~約500mg、約40mg~約480mg、約40mg~約460mg、約40mg~約440mg、約40mg~約420mg、約40mg~約400mg、約40mg~約380mg、約40mg~約360mg、約40mg~約340mg、約40mg~約320mg、約40mg~約300mg、約40mg~約280mg、約40mg~約260mg、約40mg~約240mg、約40mg~約220mg、約40mg~約200mg、約40mg~約180mg、約40mg~約160mg、約40mg~約140mg、約40mg~約120mg、約40mg~約100mg、約40mg~約80mg、約40mg~約60mg、約60mg~約500mg、約60mg~約480mg、約60mg~約460mg、約60mg~約440mg、約60mg~約420mg、約60mg~約400mg、約60mg~約380mg、約60mg~約360mg、約60mg~約340mg、約60mg~約320mg、約60mg~約300mg、約60mg~約280mg、約60mg~約260mg、約60mg~約240mg、約60mg~約220mg、約60mg~約200mg、約60mg~約180mg、約60mg~約160mg、約60mg~約140mg、約60mg~約120mg、約60mg~約100mg、約60mg~約80mg、約80mg~約500mg、約80mg~約480mg、約80mg~約460mg、約80mg~約440mg、約80mg~約420mg、約80mg~約400mg、約80mg~約380mg、約80mg~約360mg、約80mg~約340mg、約80mg~約320mg、約80mg~約300mg、約80mg~約280mg、約80mg~約260mg、約80mg~約240mg、約80mg~約220mg、約80mg~約200mg、約80mg~約180mg、約80mg~約160mg、約80mg~約140mg、約80mg~約120mg、約80mg~約100mg、約100mg~約500mg、約100mg~約480mg、約100mg~約460mg、約100mg~約440mg、約100mg~約420mg、約100mg~約400mg、約100mg~約380mg、約100mg~約360mg、約100mg~約340mg、約100mg~約320mg、約100mg~約300mg、約100mg~約280mg、約100mg~約260mg、約100mg~約240mg、約100mg~約220mg、約100mg~約200mg、約100mg~約180mg、約100mg~約160mg、約100mg~約140mg、約100mg~約120mg、約120mg~約500mg、約120mg~約480mg、約120mg~約460mg、約120mg~約440mg、約120mg~約420mg、約120mg~約400mg、約120mg~約380mg、約120mg~約360mg、約120mg~約340mg、約120mg~約320mg、約120mg~約300mg、約120mg~約280mg、約120mg~約260mg、約120mg~約240mg、約120mg~約220mg、約120mg~約200mg、約120mg~約180mg、約120mg~約160mg、約120mg~約140mg、約140mg~約500mg、約140mg~約480mg、約140mg~約460mg、約140mg~約440mg、約140mg~約420mg、約140mg~約400mg、約140mg~約380mg、約140mg~約360mg、約140mg~約340mg、約140mg~約320mg、約140mg~約300mg、約140mg~約280mg、約140mg~約260mg、約140mg~約240mg、約140mg~約220mg、約140mg~約200mg、約140mg~約180mg、約140mg~約160mg、約160mg~約500mg、約160mg~約480mg、約160mg~約460mg、約160mg~約440mg、約160mg~約420mg、約160mg~約400mg、約160mg~約380mg、約160mg~約360mg、約160mg~約340mg、約160mg~約320mg、約160mg~約300mg、約160mg~約280mg、約160mg~約260mg、約160mg~約240mg、約160mg~約220mg、約160mg~約200mg、約160mg~約180mg、約180mg~約500mg、約180mg~約480mg、約180mg~約460mg、約180mg~約440mg、約180mg~約420mg、約180mg~約400mg、約180mg~約380mg、約180mg~約360mg、約180mg~約340mg、約180mg~約320mg、約180mg~約300mg、約180mg~約280mg、約180mg~約260mg、約180mg~約240mg、約180mg~約220mg、約180mg~約200mg、約200mg~約500mg、約200mg~約480mg、約200mg~約460mg、約200mg~約440mg、約200mg~約420mg、約200mg~約400mg、約200mg~約380mg、約200mg~約360mg、約200mg~約340mg、約200mg~約320mg、約200mg~約300mg、約200mg~約280mg、約200mg~約260mg、約200mg~約240mg、約200mg~約220mg、約220mg~約500mg、約220mg~約480mg、約220mg~約460mg、約220mg~約440mg、約220mg~約420mg、約220mg~約400mg、約220mg~約380mg、約220mg~約360mg、約220mg~約340mg、約220mg~約320mg、約220mg~約300mg、約220mg~約280mg、約220mg~約260mg、約220mg~約240mg、約240mg~約500mg、約240mg~約480mg、約240mg~約460mg、約240mg~約440mg、約240mg~約420mg、約240mg~約400mg、約240mg~約380mg、約240mg~約360mg、約240mg~約340mg、約240mg~約320mg、約240mg~約300mg、約240mg~約280mg、約240mg~約260mg、約260mg~約500mg、約260mg~約480mg、約260mg~約460mg、約260mg~約440mg、約260mg~約420mg、約260mg~約400mg、約260mg~約380mg、約260mg~約360mg、約260mg~約340mg、約260mg~約320mg、約260mg~約300mg、約260mg~約280mg、約280mg~約500mg、約280mg~約480mg、約280mg~約460mg、約280mg~約440mg、約280mg~約420mg、約280mg~約400mg、約280mg~約380mg、約280mg~約360mg、約280mg~約340mg、約280mg~約320mg、約280mg~約300mg、約300mg~約500mg、約300mg~約480mg、約300mg~約460mg、約300mg~約440mg、約300mg~約420mg、約300mg~約400mg、約300mg~約380mg、約300mg~約360mg、約300mg~約340mg、約300mg~約320mg、約320mg~約500mg、約320mg~約480mg、約320mg~約460mg、約320mg~約440mg、約320mg~約420mg、約320mg~約400mg、約320mg~約380mg、約320mg~約360mg、約320mg~約340mg、約340mg~約500mg、約340mg~約480mg、約340mg~約460mg、約340mg~約440mg、約340mg~約420mg、約340mg~約400mg、約340mg~約380mg、約340mg~約360mg、約360mg~約500mg、約360mg~約480mg、約360mg~約460mg、約360mg~約440mg、約360mg~約420mg、約360mg~約400mg、約360mg~約380mg、約380mg~約500mg、約380mg~約480mg、約380mg~約460mg、約380mg~約440mg、約380mg~約420mg、約380mg~約400mg、約400mg~約500mg、約400mg~約480mg、約400mg~約460mg、約400mg~約440mg、約400mg~約420mg、約420mg~約500mg、約420mg~約480mg、約420mg~約460mg、約420mg~約440mg、約440mg~約500mg、約440mg~約480mg、約440mg~約460mg、約460mg~約500mg、約460mg~約480mg、約480mg~約500mg、約25、約50、約75、約100、約150、約200、約250、約300、約350、約400、約450、又は約500mg)の量で経口投与され、ある期間にわたって投与される。一実施形態では、SOS1化合物は、ある期間中、毎日1日2回(BID)経口投与される。一実施形態では、アダグラシブは、ある期間中、毎日1日2回(BID)経口投与される。
【0205】
一実施形態では、併用療法は、アダグラシブの、例えば、約10mg~約400mg(例えば、約10mg~約380mg、約10mg~約360mg、約10mg~約340mg、約10mg~約320mg、約10mg~約300mg、約10mg~約280mg、約10mg~約260mg、約10mg~約240mg、約10mg~約220mg、約10mg~約200mg、約10mg~約180mg、約10mg~約160mg、約10mg~約140mg、約10mg~約120mg、約10mg~約100mg、約10mg~約80mg、約10mg~約60mg、約10mg~約40mg、約10mg~約20mg、約20mg~約400mg、約20mg~約380mg、約20mg~約360mg、約20mg~約340mg、約20mg~約320mg、約20mg~約300mg、約20mg~約280mg、約20mg~約260mg、約20mg~約240mg、約20mg~約220mg、約20mg~約200mg、約20mg~約180mg、約20mg~約160mg、約20mg~約140mg、約20mg~約120mg、約20mg~約100mg、約20mg~約80mg、約20mg~約60mg、約20mg~約40mg、約40mg~約400mg、約40mg~約380mg、約40mg~約360mg、約40mg~約340mg、約40mg~約320mg、約40mg~約300mg、約40mg~約280mg、約40mg~約260mg、約40mg~約240mg、約40mg~約220mg、約40mg~約200mg、約40mg~約180mg、約40mg~約160mg、約40mg~約140mg、約40mg~約120mg、約40mg~約100mg、約40mg~約80mg、約40mg~約60mg、約60mg~約400mg、約60mg~約380mg、約60mg~約360mg、約60mg~約340mg、約60mg~約320mg、約60mg~約300mg、約60mg~約280mg、約60mg~約260mg、約60mg~約240mg、約60mg~約220mg、約60mg~約200mg、約60mg~約180mg、約60mg~約160mg、約60mg~約140mg、約60mg~約120mg、約60mg~約100mg、約60mg~約80mg、約80mg~約400mg、約80mg~約380mg、約80mg~約360mg、約80mg~約340mg、約80mg~約320mg、約80mg~約300mg、約80mg~約280mg、約80mg~約260mg、約80mg~約240mg、約80mg~約220mg、約80mg~約200mg、約80mg~約180mg、約80mg~約160mg、約80mg~約140mg、約80mg~約120mg、約80mg~約100mg、約100mg~約400mg、約100mg~約380mg、約100mg~約360mg、約100mg~約340mg、約100mg~約320mg、約100mg~約300mg、約100mg~約280mg、約100mg~約260mg、約100mg~約240mg、約100mg~約220mg、約100mg~約200mg、約100mg~約180mg、約100mg~約160mg、約100mg~約140mg、約100mg~約120mg、約120mg~約400mg、約120mg~約380mg、約120mg~約360mg、約120mg~約340mg、約120mg~約320mg、約120mg~約300mg、約120mg~約280mg、約120mg~約260mg、約120mg~約240mg、約120mg~約220mg、約120mg~約200mg、約120mg~約180mg、約120mg~約160mg、約120mg~約140mg、約140mg~約400mg、約140mg~約380mg、約140mg~約360mg、約140mg~約340mg、約140mg~約320mg、約140mg~約300mg、約140mg~約280mg、約140mg~約260mg、約140mg~約240mg、約140mg~約220mg、約140mg~約200mg、約140mg~約180mg、約140mg~約160mg、約160mg~約400mg、約160mg~約380mg、約160mg~約360mg、約160mg~約360mg、約160mg~約340mg、約160mg~約320mg、約160mg~約300mg、約160mg~約280mg、約160mg~約260mg、約160mg~約240mg、約160mg~約220mg、約160mg~約200mg、約160mg~約180mg、約180mg~約400mg、約180mg~約380mg、約180mg~約360mg、約180mg~約340mg、約180mg~約320mg、約180mg~約300mg、約180mg~約280mg、約180mg~約260mg、約180mg~約240mg、約180mg~約220mg、約180mg~約200mg、約200mg~約400mg、約200mg~約380mg、約200mg~約360mg、約200mg~約340mg、約200mg~約320mg、約200mg~約300mg、約200mg~約280mg、約200mg~約260mg、約200mg~約240mg、約200mg~約220mg、約220mg~約400mg、約220mg~約380mg、約220mg~約360mg、約220mg~約340mg、約220mg~約320mg、約220mg~約300mg、約220mg~約280mg、約220mg~約260mg、約220mg~約240mg、約240mg~約400mg、約240mg~約380mg、約240mg~約360mg、約240mg~約340mg、約240mg~約320mg、約240mg~約300mg、約240mg~約280mg、約240mg~約260mg、約260mg~約400mg、約260mg~約380mg、約260mg~約360mg、約260mg~約340mg、約260mg~約320mg、約260mg~約300mg、約260mg~約280mg、約280mg~約400mg、約280mg~約380mg、約280mg~約360mg、約280mg~約340mg、約280mg~約320mg、約280mg~約300mg、約300mg~約400mg、約300mg~約380mg、約300mg~約360mg、約300mg~約340mg、約300mg~約320mg、約320mg~約400mg、約320mg~約380mg、約320mg~約360mg、約340mg~約360mg、約340mg~約400mg、約340mg~約380mg、約340mg~約360mg、約360mg~約400mg、約360mg~約380mg、約380mg~約400mg、約100mg、約200mg、約300mg、又は約400mg)の量での毎日(ある期間中)1回又は2回の経口投与と、例えば、毎日(ある期間中)1回投与される、SOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の経口投与と、を含む。一実施形態では、KRas G12C阻害剤 アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物は、1日1回経口投与される。別の実施形態では、KRas G12C阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物は、1日2回経口投与される。
【0206】
当業者は、好適で、既知であり、一般に受け入れられている細胞及び/又は動物モデルを使用するインビボ及びインビトロ試験の両方が、所与の障害を治療又は予防する試験化合物の能力を予測することを認識するであろう。
【0207】
当業者は、健康な患者及び/又は所与の障害に苦しむ患者における、ヒト初の用量範囲及び有効性試験を含むヒト臨床試験が、臨床及び医療分野で周知である方法に従って完了され得ることを更に認識するであろう。
【0208】
相乗作用
一実施形態では、SOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の添加は、KRas G12Cを発現するがん又はがん細胞株に対するKRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物の活性を相乗的に増加させる。2つの化合物が相乗作用を呈するかどうかを決定するための任意の方法を、組み合わせの相乗効果を決定するために使用得る。
【0209】
2つの化合物が相乗的に、すなわち単なる付加効果を超えて作用するかどうかを決定するために、いくつかの数学的モデルが開発されている。例えば、Loewe Additivity(Loew(1928)Physiol.27:47-187),Bliss Independence(Bliss(1939)Ann.Appl.Biol.26:585-615),Highest Single Agent,ZIP(Yadav et al(2015)Comput Struct Biotech J 13:504-513)and other models(Chou&Talalay(1984)Adv Enzyme Regul 22:27-55.#6382953;and Greco et al.(1995)Pharmacol Rev 47(2):331-85.#7568331)は、製薬産業において周知のモデルであり、相乗作用が検出されたかどうか、及びそのような相乗作用の大きさを示す「相乗作用スコア」を計算するために使用され得る。これらの相乗スコアを組み合わせることにより、SOS1阻害剤と組み合わせたKRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ-Bを評価し、特徴付けるために使用され得る複合相乗スコアが得られる。
【0210】
一般に、数学的モデルは、単剤値から得られたデータを使用して、組み合わせについて観察された効果と比較される組み合わせの予測された付加効果を決定する。観察された効果が予測された効果より大きい場合、組み合わせは相乗的であると見なされる。例えば、Bliss独立モデルは、観察された組み合わせ応答(Y)を、薬物-薬物相互作用からの効果がないという仮定に基づいて得られた予測された組み合わせ応答(Y)と比較する。典型的には、YがYより大きい場合、組み合わせ効果は、相乗的であると認定される。
【0211】
いくつかの実施形態では、本明細書で使用される「相乗効果」は、効果、例えば、本明細書に記載される臨床結果又はエンドポイントを含む有益な又は所望の結果のいずれかをもたらす、KRasKRas阻害剤又はその薬学的に許容される塩とSOS1SOS1阻害剤又はその薬学的に許容される塩との組み合わせを指し、これは、国際公開第2019/099524号において番号付けされた化合物番号1~678に記載されているものなどの化合物、例えばアダグラシブ、及びSOS1阻害剤又はその薬学的に許容される塩を単独で投与した場合に観察される効果の合計よりも大きい。一実施形態では、KRas G12C阻害剤は、アダグラシブ(MRTX-849、国際公開第2019/099524号における実施例番号478)又はその薬学的に許容される塩)である。一実施形態では、SOS1阻害剤は、(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-モルホリノピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、3-((R)-1-((7-((S)-ヘキサヒドロピラジノ[2,1-c][1,4]オキサジン-8(1H)-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、(R)-3-(1-((7-(3-(ジメチルアミノ)-3-メチルアゼチジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、R)-3-(1-((6-フルオロ-4-メチル-7-(4-メチルピペラジン-1-イル)フタラジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、若しくはその薬学的に許容される塩、又はBI1701963などのSOS1阻害剤から選択される。
【0212】
一実施形態では、相乗的な治療用組み合わせは、治療有効量の(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-モルホリノピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル及びアダグラシブを含む。一実施形態では、相乗的な治療用組み合わせは、治療有効量の3-((R)-1-((7-((S)-ヘキサヒドロピラジノ[2,1-c][1,4]オキサジン-8(1H)-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル及びアダグラシブを含む。一実施形態では、相乗的な治療用組み合わせは、治療有効量の(R)-3-(1-((7-(3-(ジメチルアミノ)-3-メチルアゼチジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル及びアダグラシブを含む。一実施形態では、相乗的な治療用組み合わせは、治療有効量の(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル及びアダグラシブを含む。一実施形態では、相乗的な治療用組み合わせは、治療有効量の(R)-3-(1-((7-(4-エチルピペラジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、及びアダグラシブを含む。一実施形態では、相乗的な治療用組み合わせは、治療有効量の(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-(ピペラジン-1-イル)ピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル、及びアダグラシブを含む。一実施形態では、相乗的な治療用組み合わせは、治療有効量の3-((R)-1-((7-((S)-3-(ジメチルアミノ)ピロリジン-1-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル、及びアダグラシブを含む。一実施形態では、相乗的な治療用組み合わせは、治療有効量の(R)-3-(1-((6-フルオロ-4-メチル-7-(4-メチルピペラジン-1-イル)フタラジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル及びアダグラシブを含む。
【0213】
一実施形態では、治療用組み合わせは、治療有効量のBI1701963及びアダグラシブを含む。
【0214】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、1日~2年(例えば、1日~22ヶ月、1日~20ヶ月、1日~18ヶ月、1日~16ヶ月、1日~14ヶ月、1日~12ヶ月、1日~10ヶ月、1日~9ヶ月、1日~8ヶ月、1日~7ヶ月、1日~6ヶ月、1日~5ヶ月、1日~4ヶ月、1日~3ヶ月、1日~2ヶ月、1日~1ヶ月、1週~2年、1週~22ヶ月、1週~20ヶ月、1週~18ヶ月、1週~16ヶ月、1週~14ヶ月、1週~12ヶ月、1週~10ヶ月、1週~9ヶ月、1週~8ヶ月、1週~7ヶ月、1週~6ヶ月、1週~5ヶ月、1週~4ヶ月、1週~3ヶ月、1週~2ヶ月、1週~1ヶ月、2週~2年、2週~22ヶ月、2週~20ヶ月、2週~18ヶ月、2週~16ヶ月、2週~14ヶ月、2週~12ヶ月、2週~10ヶ月、2週~9ヶ月、2週~8ヶ月、2週~7ヶ月、2週~6ヶ月、2週~5ヶ月、2週~4ヶ月、2週~3ヶ月、2週~2ヶ月、2週~1ヶ月、1ヶ月~2年、1ヶ月~22ヶ月、1ヶ月~20ヶ月、1ヶ月~18ヶ月、1ヶ月~16ヶ月、1ヶ月~14ヶ月、1ヶ月~12ヶ月、1ヶ月~10ヶ月、1ヶ月~9ヶ月、1ヶ月~8ヶ月、1ヶ月~7ヶ月、1ヶ月~6ヶ月、1ヶ月~6ヶ月、1ヶ月~5ヶ月、1ヶ月~4ヶ月、1ヶ月~3ヶ月、1ヶ月~2ヶ月、2ヶ月~2年、2ヶ月~22ヶ月、2ヶ月~20ヶ月、2ヶ月~18ヶ月、2ヶ月~16ヶ月、2ヶ月~14ヶ月、2ヶ月~12ヶ月、2ヶ月~10ヶ月、2ヶ月~9ヶ月、2ヶ月~8ヶ月、2ヶ月~7ヶ月、2ヶ月~6ヶ月、又は2ヶ月~5ヶ月、2ヶ月~4ヶ月、3ヶ月~2年、3ヶ月~22ヶ月、3ヶ月~20ヶ月、3ヶ月~18ヶ月、3ヶ月~16ヶ月、3ヶ月~14ヶ月、3ヶ月~12ヶ月、3ヶ月~10ヶ月、3ヶ月~8ヶ月、3ヶ月~6ヶ月、4ヶ月~2年、4ヶ月~22ヶ月、4ヶ月~20ヶ月、4ヶ月~18ヶ月、4ヶ月~16ヶ月、4ヶ月~14ヶ月、4ヶ月~12ヶ月、4ヶ月~10ヶ月、4ヶ月~8ヶ月、4ヶ月~6ヶ月、6ヶ月~2年、6ヶ月~22ヶ月、6ヶ月~20ヶ月、6ヶ月~18ヶ月、6ヶ月~16ヶ月、6ヶ月~14ヶ月、6ヶ月~12ヶ月、6ヶ月~10ヶ月、又は6ヶ月~8ヶ月)の期間に併用療法による治療を受けた患者の1つ以上の固形腫瘍の体積の、(例えば、治療より前の患者の1つ以上固形腫瘍のサイズと比較して)1%~99%(例えば、1%~98%、1%~95%、1%~90%、1~85%、1~80%、1%~75%、1%~70%、1%~65%、1%~60%、1%~55%、1%~50%、1%~45%、1%~40%、1%~35%、1%~30%、1%~25%、1%~20%、1%~15%、1%~10%、1%~5%、2%~99%、2%~90%、2%~85%、2%~80%、2%~75%、2%~70%、2%~65%、2%~60%、2%~55%、2%~50%、2%~45%、2%~40%、2%~35%、2%~30%、2%~25%、2%~20%、2%~15%、2%~10%、2%~5%、4%~99%、4%~95%、4%~90%、4%~85%、4%~80%、4%~75%、4%~70%、4%~65%、4%~60%、4%~55%、4%~50%、4%~45%、4%~40%、4%~35%、4%~30%、4%~25%、4%~20%、4%~15%、4%~10%、6%~99%、6%~95%、6%~90%、6%~85%、6%~80%、6%~75%、6%~70%、6%~65%、6%~60%、6%~55%、6%~50%、6%~45%、6%~40%、6%~35%、6%~30%、6%~25%、6%~20%、6%~15%、6%~10%、8%~99%、8%~95%、8%~90%、8%~85%、8%~80%、8%~75%、8%~70%、8%~65%、8%~60%、8%~55%、8%~50%、8%~45%、8%~40%、8%~35%、8%~30%、8%~25%、8%~20%、8%~15%、10%~99%、10%~95%、10%~90%、10%~85%、10%~80%、10%~75%、10%~70%、10%~65%、10%~60%、10%~55%、10%~50%、10%~45%、10%~40%、10%~35%、10%~30%、10%~25%、10%~20%、10%~15%、15%~99%、15%~95%、15%~90%、15%~85%、15%~80%、15%~75%、15%~70%、15%~65%、15%~60%、15%~55%、15%~50%、15%~55%、15%~50%、15%~45%、15%~40%、15%~35%、15%~30%、15%~25%、15%~20%、20%~99%、20%~95%、20%~90%、20%~85%、20%~80%、20%~75%、20%~70%、20%~65%、20%~60%、20%~55%、20%~50%、20%~45%、20%~40%、20%~35%、20%~30%、20%~25%、25%~99%、25%~95%、25%~90%、25%~85%、25%~80%、25%~75%、25%~70%、25%~65%、25%~60%、25%~55%、25%~50%、25%~45%、25%~40%、25%~35%、25%~30%、30%~99%、30%~95%、30%~90%、30%~85%、30%~80%、30%~75%、30%~70%、30%~65%、30%~60%、30%~55%、30%~50%、30%~45%、30%~40%、30%~35%、35%~99%、35%~95%、35%~90%、35%~85%、35%~80%、35%~75%、35%~70%、35%~65%、35%~60%、35%~55%、35%~50%、35%~45%、35%~40%、40%~99%、40%~95%、40%~90%、40%~85%、40%~80%、40%~75%、40%~70%、40%~65%、40%~60%、40%~55%、40%~60%、40%~55%、40%~50%、40%~45%、45%~99%、45%~95%、45%~95%、45%~90%、45%~85%、45%~80%、45%~75%、45%~70%、45%~65%、45%~60%、45%~55%、45%~50%、50%~99%、50%~95%、50%~90%、50%~85%、50%~80%、50%~75%、50%~70%、50%~65%、50%~60%、50%~55%、55%~99%、55%~95%、55%~90%、55%~85%、55%~80%、55%~75%、55%~70%、55%~65%、55%~60%、60%~99%、60%~95%、60%~90%、60%~85%、60%~80%、60%~75%、60%~70%、60%~65%、65%~99%、60%~95%、60%~90%、60%~85%、60%~80%、60%~75%、60%~70%、60%~65%、70%~99%、70%~95%、70%~90%、70%~85%、70%~80%、70%~75%、75%~99%、75%~95%、75%~90%、75%~85%、75%~80%、80%~99%、80%~95%、80%~90%、80%~85%、85%~99%、85%~95%、85%~90%、90%~99%、90%~95%、又は95%~100%)の低減をもたらし得る。
【0215】
「生存期間」という語句は、医療専門家による哺乳動物におけるがん(例えば、本明細書に記載のがんのいずれか)の同定又は診断と、(がんによって引き起こされる)哺乳動物の死亡時との間の時間の長さを意味する。がんを有する哺乳動物における生存期間を増加させる方法が本明細書に記載される。
【0216】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法のいずれかは、(例えば、類似のがんを有し、かつ異なる治療を受けたか又は治療を受けなかった患者と比較して)患者の生存期間の(例えば、1%~400%、1%~380%、1%~360%、1%~340%、1%~320%、1%~300%、1%~280%、1%~260%、1%~240%、1%~220%、1%~200%、1%~180%、1%~160%、1%~140%、1%~120%、1%~100%、1%~95%、1%~90%、1%~85%、1%~80%、1%~75%、1%~70%、1%~65%、1%~60%、1%~55%、1%~50%、1%~45%、1%~40%、1%~35%、1%~30%、1%~25%、1%~20%、1%~15%、1%~10%、1%~5%、5%~400%、5%~380%、5%~360%、5%~340%、5%~320%、5%~300%、5%~280%、5%~260%、5%~240%、5%~220%、5%~200%、5%~180%、5%~160%、5%~140%、5%~120%、5%~100%、5%~90%、5%~80%、5%~70%、5%~60%、5%~50%、5%~40%、5%~30%、5%~20%、5%~10%、10%~400%、10%~380%、10%~360%、10%~340%、10%~320%、10%~300%、10%~280%、10%~260%、10%~240%、10%~220%、10%~200%、10%~180%、10%~160%、10%~140%、10%~120%、10%~100%、10%~90%、10%~80%、10%~70%、10%~60%、10%~50%、10%~40%、10%~30%、10%~20%、20%~400%、20%~380%、20%~360%、20%~340%、20%~320%、20%~300%、20%~280%、20%~260%、20%~240%、20%~220%、20%~200%、20%~180%、20%~160%、20%~140%、20%~120%、20%~100%、20%~90%、20%~80%、20%~70%、20%~60%、20%~50%、20%~40%、20%~30%、30%~400%、30%~380%、30%~360%、30%~340%、30%~320%、30%~300%、30%~280%、30%~260%、30%~240%、30%~220%、30%~200%、30%~180%、30%~160%、30%~140%、30%~120%、30%~100%、30%~90%、30%~80%、30%~70%、30%~60%、30%~50%、30%~40%、40%~400%、40%~380%、40%~360%、40%~340%、40%~320%、40%~300%、40%~280%、40%~260%、40%~240%、40%~220%、40%~200%、40%~180%、40%~160%、40%~140%、40%~120%、40%~100%、40%~90%、40%~80%、40%~70%、40%~60%、40%~50%、50%~400%、50%~380%、50%~360%、50%~340%、50%~320%、50%~300%、50%~280%、50%~260%、50%~240%、50%~220%、50%~200%、50%~180%、50%~160%、50%~140%、50%~140%、50%~120%、50%~100%、50%~90%、50%~80%、50%~70%、50%~60%、60%~400%、60%~380%、60%~360%、60%~340%、60%~320%、60%~300%、60%~280%、60%~260%、60%~240%、60%~220%、60%~200%、60%~180%、60%~160%、60%~140%、60%~120%、60%~100%、60%~90%、60%~80%、60%~70%、70%~400%、70%~380%、70%~360%、70%~340%、70%~320%、70%~300%、70%~280%、70%~260%、70%~240%、70%~220%、70%~200%、70%~180%、70%~160%、70%~140%、70%~120%,~100%、70%~90%、70%~80%、80%~400%、80%~380%、80%~360%、80%~340%、80%~320%、80%~300%、80%~280%、80%~260%、80%~240%、80%~220%、80%~200%、80%~180%、80%~160%、80%~140%、80%~120%、80%~100%、80%~90%、90%~400%、90%~380%、90%~360%、90%~340%、90%~320%、90%~300%、90%~280%、90%~260%、90%~240%、90%~220%、90%~200%、90%~180%、90%~160%、90%~140%、90%~120%、90%~100%、100%~400%、100%~380%、100%~360%、100%~340%、100%~320%、100%~300%、100%~280%、100%~260%、100%~240%、100%~220%、100%~200%、100%~180%、100%~160%、100%~140%、100%~120%、120%~400%、120%~380%、120%~360%、120%~340%、120%~320%、120%~300%、120%~280%、120%~260%、120%~240%、120%~220%、120%~200%、120%~180%、120%~160%、120%~140%、140%~400%、140%~380%、140%~360%、140%~340%、140%~320%、140%~300%、140%~280%、140%~260%、140%~240%、140%~220%、140%~200%、140%~180%、140%~160%、160%~400%、160%~380%、160%~360%、160%~340%、160%~320%、160%~300%、160%~280%、160%~260%、160%~240%、160%~220%、160%~200%、160%~180%、180%~400%、180%~380%、180%~360%、180%~340%、180%~320%、180%~300%、180%~280%、180%~260%、180%~240%、180%~220%、180%~200%、200%~400%、200%~380%、200%~360%、200%~340%、200%~320%、200%~300%、200%~280%、200%~260%、200%~240%、200%~220%、220%~400%、220%~380%、220%~360%、220%~340%、220%~320%、220%~300%、220%~280%、220%~260%、220%~240%、240%~400%、240%~380%、240%~360%、240%~340%、240%~320%、240%~300%、240%~280%、240%~260%、260%~400%、260%~380%、260%~360%、260%~340%、260%~320%、260%~300%、260%~280%、280%~400%、280%~380%、280%~360%、280%~340%、280%~320%、280%~300%、300%~400%、300%~380%、300%~360%、300%~340%、又は300%~320%の)増加をもたらし得る。
【0217】
本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、本発明の組成物又は方法による治療の前に、患者は、化学療法、標的化抗がん剤、放射線療法、及び手術のうちの1つ以上により治療され、任意選択で、以前の治療は不成功に終わり、かつ/又は患者は手術が施され、任意選択で、手術は不成功に終わり、かつ/又は患者は、プラチナベースの化学療法剤により治療され、任意選択で、患者は、プラチナベースの化学療法剤による治療に非応答性であると以前に決定されており、かつ/又は患者は、キナーゼ阻害剤で治療され、任意選択で、キナーゼ阻害剤による以前の治療は不成功に終わり、かつ/又は患者は、1つ以上の他の治療薬により治療された。
【0218】
キット
本発明はまた、SOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物と、KRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物とを含む、キットに関する。また、血液がんの治療における使用のための、SOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物と、KRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物とを含む、キットが提供される。
【0219】
関連する態様では、本発明は、対象におけるがん細胞、具体的にはKRas G12C発現がん細胞の増殖を阻害するのに有効な量の、ある用量のSOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物と、ある用量のKRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物とを含有する、キットを提供する。キットは、場合によっては、SOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物と、KRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物との投与のための説明書を有する、添付文書を含む。添付文書は、SOS1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物を、KRas G12C阻害剤化合物アダグラシブ又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的組成物と組み合わせて使用するための一組の説明書を使用者に提供し得る。
【0220】
以下の実施例は、本発明の更なるある特定の実施形態を例示することを意図しており、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0221】
実施例A
KRas G12C阻害剤-SOS1阻害剤の組み合わせを調査するためのインビボモデル
免疫無防備状態ヌード/ヌードマウスに、KRas G12C変異を保有する細胞又は患者由来の腫瘍サンプルを右後側腹部に接種する。腫瘍体積のサイズが200~400mmに達したとき、マウスを各々4~12匹ずつ4群に分ける。第1の群には、ビヒクルのみを投与する。第2の群には、細胞株及び単剤活性に応じて、完全な腫瘍退縮をもたらさない最大の生物学的効果又は最大未満の生物学的効果を生じる濃度で、KRas G12C阻害剤の単剤用量を投与する。第3の群には、細胞株及び単剤活性に応じて、これも完全な腫瘍退縮をもたらさない最大の生物学的効果又は最大未満の生物学的効果を生じる濃度で、SOS1阻害剤の単剤用量を投与する。任意選択の群には、最大未満の生物学的効果を生じるMEK阻害剤(VS-6766)の単剤用量を投与する。最後の群には、単剤用量のKRas G12C阻害剤を単剤用量のSOS1阻害剤と組み合わせて、又は単剤用量のKRas G12C阻害剤を単剤用量のSOS1阻害剤及び単剤VS-6766と組み合わせて投与する。治療期間は細胞株によって異なるが、典型的には20~42日である。腫瘍体積を、キャリパーを使用して2~3日毎に測定し、腫瘍体積を式:0.5×(長さ×幅)によって計算する。このモデルにおける組み合わせについてのより大きな程度の腫瘍増殖阻害は、併用療法が、KRas G12C阻害剤のみによる治療と比較して、治療された対象に対して臨床的に意味のある利益を有する可能性が高いことを実証する。
【0222】
試験当たり16~32匹のヌード/ヌード、Balb/cヌード、又はNOD/SCIDマウスに、5×10の示された細胞株又は腫瘍断片を右後肢に接種した。腫瘍体積が約200~400mmに達したとき(試験0日目)、4~6群の各々において4匹以上のマウスに、20~42日間毎日経口投与した:ビヒクルのみ(水中0.5%MC(4000cps)/0.2%Tween80)、10、30、又は100mg/kgのKRas G12C阻害剤アダグラシブ(50mMクエン酸塩緩衝剤中10%カプチゾール、pH5.0)、0.3mg/kgのMEK阻害剤VS-6766(水中10%ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを含む5%DMSO)、50又は100mg/kgのSOS1阻害剤(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-モルホリノピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル(MRTX-0902)(水中0.5%MC(4000cps)/0.2%Tween80)、3-((R)-1-((7-((S)-ヘキサヒドロピラジノ[2,1-c][1,4]オキサジン-8(1H)-イル)-4-メチルピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)-2-メチルベンゾニトリル(MRTX-2006)(20%SBE-β-CD/50mMクエン酸pH5)、又は(R)-2-メチル-3-(1-((4-メチル-7-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[3,4-d]ピリダジン-1-イル)アミノ)エチル)ベンゾニトリル(MRTX-4197)(20%SBE-β-CD/50mMクエン酸pH5)、又は10、30、若しくは100mg/kgのKRas G12C阻害剤アダグラシブ、及び50又は100mg/kgのMRTX-0902、MRTX-2006、又はMRTX-4197。0.3mg/kgのMEK阻害剤VS-6766を用いた追加の組み合わせ群を、三重組み合わせ試験に含めた。1群当たり4~8匹のマウスについて予め特定された日に測定された腫瘍体積を平均し、MIA PaCa-2細胞について表1、表2、表3、及び表4;LU99細胞について表5;NCI-H2122細胞について表6及び表7;CR6256結腸直腸患者由来腫瘍について表8に報告する。
【0223】
【表1】
【0224】
図1及び表1に示すように、単剤としてのアダグラシブ又はMRTX-0902の投与は、27日目にそれぞれ76.3%及び37.5%の腫瘍増殖を呈した。SOS1阻害剤MRTX-0902とアダグラシブとの組み合わせは、27日目に-73.4%%の腫瘍退縮をもたらした。
【0225】
【表2】
【0226】
図2及び表2に示すように、単剤アダグラシブ又は25及び50mg/kg BID MRTX-0902の投与は、25日目にそれぞれ93.5%、41.2%、及び52.9%の腫瘍増殖を呈した。SOS1阻害剤MRTX-0902(25及び50mg/kg BID)とアダグラシブとの組み合わせは、25日目に、それぞれ-54.1%及び-92.1%の腫瘍退縮をもたらした。
【0227】
【表3】
【0228】
図3及び表3に示すように、単剤としてのアダグラシブ又はMRTX-2006の投与は、27日目にそれぞれ77.4%及び29.7%の腫瘍増殖を呈した。SOS1阻害剤MRTX-2006とアダグラシブとの組み合わせは、27日目に96.0%の腫瘍増殖阻害をもたらした。
【0229】
【表4】
【0230】
図4及び表4に示すように、単剤としてのアダグラシブ又はMRTX-4197の投与は、20日目にそれぞれ89.2%及び78.0%の腫瘍増殖を呈した。SOS1阻害剤MRTX-4197とアダグラシブとの組み合わせは、28日目に-73.0%の腫瘍退縮をもたらした。
【0231】
【表5】
【0232】
図5及び表5に示すように、単剤としてのアダグラシブ又はMRTX-0902の投与は、28日目にそれぞれ98.6%及び21.4%の腫瘍増殖を呈した。SOS1阻害剤MRTX-0902とアダグラシブとの組み合わせは、26日目に-90.9%の腫瘍退縮をもたらした。
【0233】
【表6】
【0234】
図6及び表6に示すように、単剤としてのアダグラシブ又はMRTX-0902の投与は、28日目にそれぞれ86.3%及び9.2%の腫瘍増殖を呈した。SOS1阻害剤MRTX-0902とアダグラシブとの組み合わせは、20日目に95.4%の腫瘍増殖阻害をもたらした。
【0235】
【表7】
【0236】
図7及び表7に示すように、単剤としてのアダグラシブ、MRTX-0902、又はVS-6766の投与は、23日目にそれぞれ86.9%、13.7%、及び81.1%の腫瘍増殖を呈した。SOS1阻害剤MRTX-0902、VS-6766、及びアダグラシブの組み合わせは、23日目に-61.9%の退縮をもたらした。
【0237】
【表8】
【0238】
図8及び表8に示すように、単剤としてのアダグラシブ又はMRTX-0902の投与は、42日目にそれぞれ99.0%及び6.1%の腫瘍増殖を呈した。SOS1阻害剤MRTX-0902とアダグラシブとの組み合わせは、42日目に-80.4%の退縮をもたらした。
【0239】
図9に示すように、アダグラシブとのMRTX-0902の投与は、膵臓がん、非小細胞肺がん、結腸直腸がん、及び食道がんからのKRASG 12C変異ヒト腫瘍細胞株由来及び患者由来の異種移植モデルにおいて広範な抗腫瘍活性をもたらす。これらの結果は、併用療法が、いずれかの単剤のみと比較してより大きな量の腫瘍増殖阻害をもたらしたことを実証し、KRas G12C発現がんに対する組み合わせの増強されたインビボ抗腫瘍有効性を実証する。
【0240】
本発明は、その特定の実施形態に関連して説明されてきたが、それは更なる修正が可能であり、本出願は、一般に、本発明の原理に従い、本発明が関係する当該技術分野内の既知の又は慣習的な慣行の範囲内であり、前述の本質的な特徴に適用され得、添付の特許請求の範囲において以下のような本開示からの逸脱を含む、本発明のいかなる変型、使用、又は適応も網羅することを意図することが理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】