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特表2024-521796シェーバーモーター制御プロトコルを動的に切り替えるモーター制御システム
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  • 特表-シェーバーモーター制御プロトコルを動的に切り替えるモーター制御システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】シェーバーモーター制御プロトコルを動的に切り替えるモーター制御システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/16 20060101AFI20240528BHJP
   A61B 17/3205 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
A61B17/16
A61B17/3205
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572927
(86)(22)【出願日】2022-05-25
(85)【翻訳文提出日】2024-01-23
(86)【国際出願番号】 US2022030901
(87)【国際公開番号】W WO2022251344
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】17/329,941
(32)【優先日】2021-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514290052
【氏名又は名称】アースレックス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ARTHREX, INC.
【住所又は居所原語表記】1370 Creekside Blvd, Naples, FL 34108, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フジェーレル,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ブレッカー,ロバート
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160FF21
4C160LL04
(57)【要約】
ハンドヘルドデバイス内のモーター12が動作している間にモーター制御プロトコルを動的に切り替えて、モーター動作の効率を高め、改善された信頼性及び性能を提供するように構成される医療デバイスシステム10が開示されている。少なくとも1つの実施形態において、医療デバイスシステム10は、モーター12を監視するように構成される1つ以上のセンサー16、18からの入力に基づいて、モーター12が動作している間にモーター制御プロトコルを動的に切り替えるように構成することができる。上記モーターの監視は、モーター12の磁束場の監視又はモーター12への電流の監視を含むが、これらに限定されない。医療デバイスシステム10は、6ステップ整流、ホールベース正弦波整流及びフィールド指向整流を含むがこれらに限定されないモーター制御プロトコル間でモーター制御プロトコルを動的に切り替えることができる。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療デバイスシステム(10)であって、
モーター(12)と、
前記モーター(12)に結合されたインナードライブシャフト(20)と、
前記モーター(12)を監視するように構成される少なくとも1つのセンサー(16)と、
内部に前記インナードライブシャフト(20)の少なくとも一部分が配置される細長い管状のアウターハウジング(22)と、
前記インナードライブシャフト(20)の遠位端(26)にある作業要素(24)と、
を備えるハンドヘルド回転式医療デバイス(14)と、
命令を記憶するメモリ(28)と、
前記命令を実行して演算を処理するプロセッサ(32)と、
を備え、
前記演算は、
前記モーター(12)を監視するように構成される少なくとも1つの前記センサー(16)を監視することによって、前記モーター(12)及び前記インナードライブシャフト(20)の駆動を制御することと、
前記モーター(12)を監視するように構成される少なくとも1つの前記センサー(16)からの入力に基づいて、前記モーター(12)が動作している間にモーター制御プロトコルを動的に切り替えることと、
を含む、
前記医療デバイスシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の医療デバイスシステム(10)であって、
前記モーター(12)を監視するように構成される少なくとも1つの前記センサー(16)は、前記モーター(12)の磁束場を監視するように構成される少なくとも1つのセンサー(16)である、
前記医療デバイスシステム。
【請求項3】
請求項2に記載の医療デバイスシステム(10)であって、
前記モーター(12)への電流を監視するように構成される少なくとも1つのセンサー(18)を更に備える、
前記医療デバイスシステム。
【請求項4】
請求項3に記載の医療デバイスシステム(10)であって、
前記プロセッサ(32)は、前記モーター(12)の前記磁束場を監視するように構成される少なくとも1つの前記センサー(16)からの入力と、前記モーター(12)への電流を監視するように構成される少なくとも1つの前記センサー(18)からの入力とに基づいて、前記モーター(12)が動作している間にモーター制御プロトコルを動的に切り替える命令に基づいて演算を処理する、
前記医療デバイスシステム。
【請求項5】
請求項1に記載の医療デバイスシステム(10)であって、
前記モーター(12)を監視するように構成される少なくとも1つの前記センサー(16)は、前記モーター(12)への電流を監視するように構成される少なくとも1つのセンサー(18)である、
前記医療デバイスシステム。
【請求項6】
請求項1に記載の医療デバイスシステム(10)であって、
入力に基づいてモーター制御プロトコルを動的に切り替える命令に基づいて演算を処理する前記プロセッサ(32)は、次のモーター制御プロトコル、すなわち、6ステップ整流、ホールベース正弦波整流及びフィールド指向整流のうちの少なくとも1つを介して、前記モーター(12)を動作させるように演算を処理するように構成される、
前記医療デバイスシステム。
【請求項7】
請求項1に記載の医療デバイスシステム(10)であって、
前記プロセッサ(32)は、前記システム(10)の構成要素の不具合を検出すると、前記モーター(12)を連続して駆動する演算を処理する命令を実行するように構成される、
前記医療デバイスシステム。
【請求項8】
請求項7に記載の医療デバイスシステム(10)であって、
前記プロセッサ(32)は、前記システム(10)の構成要素の不具合が検出され、不具合があるとして検出された前記構成要素が、少なくとも1つの前記センサー(16)であるとき、前記モーター(12)を連続して駆動する演算を処理する命令を実行するように構成される、
前記医療デバイスシステム。
【請求項9】
請求項1に記載の医療デバイスシステム(10)であって、
前記モーター(12)を監視するように構成される少なくとも1つの前記センサー(16)からの入力に基づいて、前記モーター(12)が動作している間にモーター制御プロトコルを動的に切り替えることは、前記プロセッサ(32)が、計算されたパラメーターを閾値と比較した結果に基づいてモーター制御プロトコルを選択する自動モードにおいて前記プロセッサ(32)を用いてモーター制御プロトコルを動的に切り替えることを含む、
前記医療デバイスシステム。
【請求項10】
請求項9に記載の医療デバイスシステム(10)であって、
前記閾値は固定されている、前記医療デバイスシステム。
【請求項11】
請求項9に記載の医療デバイスシステム(10)であって、
前記閾値は、前記プロセッサ(32)が許容可能な最小の信号対雑音比の閾値を計算するのに使用する測定されたノイズフロアの関数である、
前記医療デバイスシステム。
【請求項12】
請求項9に記載の医療デバイスシステム(10)であって、
前記閾値は、動的整流切り替え制御因子である、
前記医療デバイスシステム。
【請求項13】
請求項9に記載の医療デバイスシステム(10)であって、
前記プロセッサ(32)が計算されたパラメーターを閾値と比較することは、前記プロセッサ(32)がパラメーターを計算するのに使用するユーザー入力を前記プロセッサ(32)が受信することを更に含む、
前記医療デバイスシステム。
【請求項14】
請求項9に記載の医療デバイスシステム(10)であって、
計算されたパラメーターを閾値と比較することは、前記プロセッサ(32)がパラメーターを計算するのに使用する制御入力を前記プロセッサ(32)が受信することを更に含む、
前記医療デバイスシステム。
【請求項15】
請求項1に記載の医療デバイスシステム(10)であって、
前記モーター(12)を監視するように構成される少なくとも1つの前記センサー(16)からの入力に基づいて、前記モーター(12)が動作している間にモーター制御プロトコルを動的に切り替えることは、前記プロセッサ(32)がユーザーからの入力に基づいて動作する手動モードにおいて前記プロセッサ(32)を用いてモーター制御プロトコルを動的に切り替えることを含む、
前記医療デバイスシステム。
【請求項16】
医療デバイスシステム(10)であって、
モーター(12)と、
前記モーター(12)に結合されたインナードライブシャフト(20)と、
前記モーター(12)を監視するように構成される少なくとも1つのセンサー(16)と、
内部に前記インナードライブシャフト(20)の少なくとも一部分が配置される細長い管状のアウターハウジング(22)と、
前記インナードライブシャフト(20)の遠位端(26)にある作業要素(24)と、
を備えるハンドヘルド回転式医療デバイス(14)と、
命令を記憶するメモリ(28)と、
前記命令を実行して演算を処理するプロセッサ(32)と、
を備え、
前記演算は、
前記モーター(12)を監視するように構成される少なくとも1つの前記センサー(16)を監視することによって、前記モーター(12)及び前記インナードライブシャフト(20)の駆動を制御することと、
前記モーター(12)を監視するように構成される少なくとも1つの前記センサー(16)からの入力に基づいて、前記モーター(12)が動作している間にモーター制御プロトコルを動的に切り替えることと、
を含み、
前記プロセッサ(32)は、前記モーター(12)を監視するように構成される少なくとも1つの前記センサー(16)の存在を自動的に検出し、
少なくとも1つの前記センサー(16)は、前記モーター(12)の磁束場を検知するように構成される、
前記医療デバイスシステム。
【請求項17】
請求項16に記載の医療デバイスシステム(10)であって、
モーター制御プロトコルを動的に切り替える命令に基づいて演算を処理する前記プロセッサ(32)は、異なる時点において、次のモーター制御プロトコル、すなわち、6ステップ整流、ホールベース正弦波整流及びフィールド指向整流のうちの少なくとも1つを介して前記モーター(12)を動作させるように演算を処理するように構成される、
前記医療デバイスシステム。
【請求項18】
請求項16に記載の医療デバイスシステム(10)であって、
前記プロセッサ(32)は、前記システム(10)の構成要素の不具合を検出すると、前記モーター(12)を連続して駆動する演算を処理する命令を実行するように構成される、
前記医療デバイスシステム。
【請求項19】
請求項16に記載の医療デバイスシステム(10)であって、
前記モーター(12)を監視するように構成される少なくとも1つの前記センサー(16)からの入力に基づいて、前記モーター(12)が動作している間にモーター制御プロトコルを動的に切り替えることは、前記プロセッサ(32)が、計算されたパラメーターを閾値と比較した結果に基づいてモーター制御プロトコルを選択する自動モードにおいて前記プロセッサ(32)を用いてモーター制御プロトコルを動的に切り替えることを含む、
前記医療デバイスシステム。
【請求項20】
医療デバイスシステム(10)であって、
ハンドヘルド回転式医療デバイス(14)であって、
モーター(12)と、
前記モーター(12)に結合されたインナードライブシャフト(20)と、
前記モーター(12)を監視するように構成される少なくとも1つのセンサー(16)と、
内部に前記インナードライブシャフト(20)の少なくとも一部分がされる細長い管状のアウターハウジング(22)と、
前記インナードライブシャフト(20)の遠位端(26)にある作業要素(24)と、
を備えるハンドヘルド回転式医療デバイス(14)と、
命令を記憶するメモリ(28)と、
前記命令を実行して演算を処理するプロセッサ(32)と、
を備え、
前記演算は、
前記モーター(12)を監視するように構成される少なくとも1つの前記センサー(16)を監視することによって、前記モーター(12)及び前記インナードライブシャフト(20)の駆動を制御することと、
前記モーター(12)を監視するように構成される少なくとも1つの前記センサー(16)からの入力に基づいて、前記モーター(12)が動作している間にモーター制御プロトコルを動的に切り替えることと、
を含み、
前記プロセッサ(32)は、前記システム(10)の構成要素の不具合を検出すると、前記モーター(12)を連続して駆動する演算を処理する命令を実行するように構成され、
少なくとも1つの前記センサー(16)は、少なくとも1つのホールセンサーを介して前記モーター(12)の磁束場を検知するように構成される、
前記医療デバイスシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包括的には、ハンドヘルド回転式医療デバイスに関し、より詳細には、シェーバーを有するハンドヘルド回転式医療デバイスを駆動するモーター制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ハンドヘルド回転式医療デバイスは、作業端部を含む。これらの作業端部は、多くの場合に、身体からの硬組織又は軟組織の切除用に構成されるシェーバー又はバーである。これらのデバイスの多くは、軟組織を切除するように構成される。動力ツール及びシェーバーツールの一般的なコンソール要件は、所望のツール機能及びギア比に応じて、広範囲のトルクプロファイルにわたる、毎分数回転の低い毎分回転数(RPM:revolutions per minute)~75000RPMの高い毎分回転数の速度における順方向モーター回転及び逆方向モーター回転を含む。多くの場合に、モーターは、高負荷の下では、高トルクにおいて低速度を維持しながら滑らかに始動することが必要とされる一方、それ以外の時は、モーターは、過電流状態を制限するために動的な負荷変化を監視しながら高いRPMにばらつきなく加速する必要がある。
【0003】
シェーバーモーターを制御する現在の方法は、6ステップ整流手法に限られている。したがって、これらの現在のシステムは、用途及びそのような用途の要件にかかわらず、6ステップ整流手法の利点及び不利点に制限される。種々の外科的処置は、人間の身体に見られる様々な組織、軟骨及び骨を対象にするといった種々の要件を有する。患者における非常に多くのタイプの組織は、画一的な手法に適していない。逆に、各用具は、その用具が最良にハンドリングされるためのシェーバー動作の種々の要件を有する。
【発明の概要】
【0004】
ハンドヘルドデバイス内のモーターが動作している間にモーター制御プロトコルを動的に切り替えて、モーター動作の効率を高めるとともに改善された信頼性及び性能を提供するように構成される医療デバイスシステムが開示される。少なくとも1つの実施形態において、医療デバイスシステムは、モーターが動作している間にモーター制御プロトコルを動的に切り替えるように構成することができる。医療デバイスシステム内のコントローラーは、モーターの磁束場を監視するように構成される1つ以上のセンサーからの入力又はモーターへの電流を監視するように構成される1つ以上のセンサーからの入力を監視する。少なくとも1つの実施形態において、コントローラーは、1つ以上のセンサーからの入力に基づいて、複数のモーター制御プロトコルの間でモーター制御プロトコルを動的に切り替えることができる。モーター制御プロトコルには、6ステップ整流(Six-Step Commutation)、ホールベース正弦波整流(Hall-Based Sinusoidal Commutation)及びフィールド指向整流(Field Oriented Commutation)が含まれるがこれらに限定されない。
【0005】
少なくとも1つの実施形態において、医療デバイスシステムは、モーターと、モーターに結合されたインナードライブシャフトと、モーターの磁束場を検知するように構成される1つ以上のセンサーと、内部にインナードライブシャフトが配置されるようにインナードライブシャフトを封入する細長い管状のアウターハウジングと、インナードライブシャフトの遠位端にある作業要素(working element)とから形成されるハンドヘルド回転式医療デバイスを含むことができる。医療デバイスシステムは、モーターの磁束場を監視するように構成される1つ以上のセンサー若しくはモーターへの電流を検知するように構成される1つ以上のセンサー、又はそれらの双方を含むことができる。医療デバイスシステムは、命令を記憶するメモリと、命令を実行して演算を処理するプロセッサとを含むことができる。演算は、モーター及びインナードライブシャフトの駆動を制御することを含むことができ、プロセッサは、モーターの磁束場を監視するように構成されるセンサーと、モーターへの電流を監視するように構成されるセンサーとを監視するように構成される。
演算は、モーターの磁束場を監視するように構成されるセンサーからの入力若しくはモーターへの電流を監視するように構成されるセンサーからの入力、又はそれらの双方に基づいて、モーターが動作している間にモーター制御プロトコルを動的に切り替えることを含むことができる。
【0006】
プロセッサは、種々の時点において、次のモーター制御プロトコル、すなわち、6ステップ整流、ホールベース正弦波整流、フィールド指向整流、他のモーター制御方法及び今後考え出されるモーター制御プロトコルのうちの1つ以上を介してモーターを動作させるように演算を処理するように構成することができる。少なくとも1つの実施形態において、モーターは、ブラシレス直流モーターとすることができる。プロセッサは、モーターの磁束場を監視するように構成されるセンサーからの入力若しくはモーターへの電流を監視するように構成されるセンサーからの入力、又はそれらの双方に基づいて、モーターが動作している間にモーター制御プロトコルを動的に切り替える命令に基づいて演算を処理することができる。少なくとも1つの実施形態において、モーターの磁束場を検知するように構成されるセンサーは、1つ以上のホールセンサーとすることができる。
【0007】
少なくとも1つの実施形態において、プロセッサは、モーターの磁束場を検知するように構成されるセンサーの存在を自動的に検出することができる。このセンサーは、モーター上の1つ以上のホールセンサー等であるが、これに限定されるものではない。プロセッサは、システムの構成要素の不具合を検出すると、モーターを連続して駆動するように構成することもできる。少なくとも1つの実施形態において、不具合のある構成要素は、モーターの磁束場を監視するように構成される一方のセンサー及びモーターへの電流を監視するように構成される他方のセンサー
のいずれかである場合もあるし、双方である場合もある。システムは、センサー不具合のアラートを受けると、ユーザーが、外科的処置を継続するために交換ハンドピースを探し出すオプション、又は、不具合のあるセンサーを必要としないが、それでもなお同じハンドピースを使用して、外科医が交換デバイスを探し出す遅延なしで外科的処置を完了することを可能にする効率性が劣るモーター制御プロトコルにおいて、ハンドピースをシステムに動作させるオプションのいずれかを選択することを可能にするように構成することができる。
【0008】
動的に切り替えられるモーター制御プロトコルは、センサーからの計算されたパラメーターを閾値と比較した結果に基づくプロトコルを含むことができる。少なくとも1つの実施形態において、閾値は固定することができる。別の実施形態において、閾値は、プロセッサが許容可能な最小の信号対雑音比の閾値を計算するのに使用する測定されたノイズフロアの関数であってもよい。
【発明の効果】
【0009】
本システムの利点は、本システムが、シェーバーツール及びハンドピースの全体制御を最適化する目的で、種々のモーター制御方法の間で切り替えを行う自動のオンザフライシステムとして動作することができることである。
【0010】
本システムの別の利点は、本システムが、モーターが動作している間に種々のモーター制御方法に切り替えることができることである。
【0011】
本システムの更に別の利点は、
本システムがモーターの健全性を監視するように構成されるため、検出可能な不具合がハンドピース動作に存在する場合に、ワークフローの停止を引き起こすことなく処置の進行を継続できることである。これは、例えば、センサーの不具合が検出されると、外科手術に途絶を引き起こすのではなく、その処置にとって最適でないセンサーレス制御方法であり得るものを使用して処置を完了することがより望ましい外科的処置において有利であり得る。最適でない状況におけるハンドピースの継続使用は、外科医が決断することになり、ハンドピースの交換又はリセットを行うための外科医への適切なメッセージは、適切なシステムチャネルを通じて送られる。
【0012】
本システムの別の利点は、本システムが、ホールベースモーター整流プロトコル及び逆起電力(BEMF:back electromotive force)ブラシレス(BLDC)モーター整流プロトコルを、動作雑音及び振動を削減する正弦波形を有する拡張されたホールベースモーター整流プロトコルを使用して統合するとともに、センサーレスでもあり更により低い雑音特性及び振動特性を有するフィールド指向制御モータープロトコルも統合することである。
【0013】
本システムの更に別の利点は、本システムは、1つのモーター制御プロトコルが他のモーター制御プロトコルに優先して使用されるべき時機を自動的に検出し、モーターを制御している間にリアルタイムでそれらのモーター制御プロトコルの間で動的に切り替わることによって、複数のモーター制御プロトコルの間で動的に切り替わり、特定の動作性能を最適化し、種々の制御方法の強み及び弱みを利用することができることである。
【0014】
本システムの別の利点は、本システムを使用してハンドピースの振動モードを最適化することができることである。
【0015】
本システムの更に別の利点は、本システムが、これまで可能でなかったハンドヘルドデバイスにおける低い速度、トルク、熱効率及び電気効率の混合したものをサポートし、それによって、そのような要件を有する新たなハンドヘルドデバイスの開発を可能にすることである。
【0016】
本システムの別の利点は、本システムがモーターの耐用寿命を延長することである。
【0017】
本システムの更に別の利点は、本システムが広範囲の速度-トルク範囲、位置トラッキング及び効率要件にわたって動作可能であることである。
【0018】
本システムの別の利点は、本システムが、モーターのパラメーターを制御して、モーターのパラメーターが許容範囲外とならないように機能することである。
【0019】
本システムの更に別の利点は、プロセッサが、モーターの動作の全体にわたってモーターのランタイムベクトル(run-time vector)(位置、速度、加速度及び安定性)を維持するように機能することである。
【0020】
本システムの別の利点は、プロセッサが、トルク、信号対雑音比及びランタイムベクトル閾値に基づいてモーター制御プロトコルを選ぶことである。
【0021】
これらの実施形態及び他の実施形態は、以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、医療デバイスシステムの作業要素としてシェーバーを有するとともに、図5図8に規定されたモーター制御プロトコルに従って動作するように構成される一例示的なハンドヘルド回転式医療デバイスの斜視図である。
図2図2は、図1に示すシェーバーの分解側面図である。
図3図3は、図2に示すシェーバーの組立側面図である。
図4図4は、図3における断面線4-4に沿ったシェーバーの断面図である。
図5図5は、ハンドヘルドデバイス内のモーターが動作している間に医療デバイスシステムのモーター制御プロトコルを動的に切り替えて、モーター動作の効率を高めるとともに、信頼性及び性能を向上させる実施態様の概略図である。
図6図6は、プロセッサによって医療デバイスシステムのモーター制御プロトコルを動的に切り替える自動選択の概略図である。
図7図7は、ユーザーによって医療デバイスシステムのモーター制御プロトコルを動的に切り替える手動選択の概略図である。
図8図8は、6ステップモーター制御プロトコル、ホールベース正弦波モーター制御プロトコル及びフィールド指向モーター制御プロトコルを含むモーター制御プロトコルの様々なモード間でモーターが動作している間に切り替えながら、モーター巻線電流をリアルタイムでサンプリングしたシステムのコンソールコントローラーから取得されるデータを表している。
図9図9は、システムの始動トルク及び速度に関連した一般的なシェーバーハンドピース機能のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1図9に示すように、モーターの動作効率を高めるとともに、信頼性及び性能を向上させるために、ハンドヘルドデバイス14内のモーター12が動作している間にモーター制御プロトコルを動的に切り替えるように構成された医療デバイスシステム10が開示される。少なくとも1つの実施形態において、医療デバイスシステム10は、モーター12の磁束場を監視するように構成される1つ以上のセンサー16からの入力、若しくは、モーター12への電流を監視するように構成される1つ以上のセンサー18からの入力、又は、それらの双方に基づいて、モーター12が動作している間にモーター制御プロトコルを動的に切り替えるように構成することができる。少なくとも1つの実施形態において、医療デバイスシステム10は、図8に示す6ステップ整流60、ホールベース正弦波整流64、フィールド指向整流62や、他のモーター制御プロトコル及び今後考え出されるモーター制御プロトコルを含む複数のモーター制御プロトコルの間でモーター制御プロトコルを動的に切り替えることができる。モーター制御プロトコルは、これらに限定されるものではない。
【0024】
少なくとも1つの実施形態において、図1図4に示すように、医療デバイスシステム10は、ハンドヘルド回転式医療デバイス14を含むことができる。ハンドヘルド回転式医療デバイス14は、モーター12と、モーター12に結合されたインナードライブシャフト20とを含むことができる。少なくとも1つの実施形態において、モーター12は、ブラシレス直流モーター(BLDC:brushless direct current motor)とすることができるが、これに限定されるものではない。医療デバイスシステム10は、モーター12の磁束場を検知するように構成される1つ以上のセンサー16を含むことができる。センサー16は、1つ以上のホールセンサー、アナログ/デジタル変換器及び他のデバイスとすることができるが、これらに限定されるものではない。例えば、センサー16は、メインコンソールとも呼ばれるコントローラー38内のプロセッサ32に回転位置情報を返す、モーター12のモーターシャフト36に取り付けられた1つ以上のホールセンサーであってもよい。センサー16は、位置情報をプロセッサ32に直接又はエンコーダーを通じて提供する、モーター12のギアボックスシャフト上に取り付けられた1つ以上のホールセンサーであってもよい。上記エンコーダーは、位置を高分解能で監視するように構成されるとともに、その情報をI2C、SPI、CAN等の複数のデジタルプロトコルを介してプロセッサ32に提供するようにも構成される。センサー16は、モーター12のギアボックスシャフトのギア比とともに位置情報をプロセッサ32に提供する、モーター12のギアボックスシャフト上に取り付けられた1つ以上のホールセンサーであってもよい。
【0025】
センサー16は、モーター12の駆動信号の電流及び電圧を検知し、その後、プロセッサ32における計算を使用して、位置を特定するのに使用することができる逆起電力電圧の測定と、存在するトルクの量を特定するのに使用することができる電流の測定とを行う1つ以上のアナログ/デジタル変換器であってもよい。少なくとも1つの実施形態において、センサー16は、コントローラー38内に配置された1つ以上のアナログ/デジタル変換器であってもよい。センサー16は、モーターの位置及びトルクを正確に特定するための信号対雑音比の閾値を特定するために、モーター12の駆動電流及び逆起電力(BEMF)の雑音レベルの計算に使用されるアナログ/デジタル変換器であってもよい。
【0026】
ハンドヘルド回転式医療デバイス14は、図1図4に示すように、アウターハウジング22の内部にインナードライブシャフト20が配置されるように、インナードライブシャフト20を封入する細長い管状のアウターハウジング22を含むことができる。ハンドヘルド回転式医療デバイス14は、インナードライブシャフト20の遠位端26に作業要素24を含むことができる。少なくとも1つの実施形態において、作業要素24は、シェーバーとすることができるが、これに限定されるものではない。ハンドヘルド回転式医療デバイス14は、図1に示すように、モーター12への電流を検知するように構成される1つ以上のセンサー18を含むことができる。センサー18は、センサー16に関して本明細書において前述したセンサーのうちの1つ以上であってもよいが、これらに限定されるものではない。少なくとも1つの実施形態において、モーター12への電流を検知するように構成されるセンサー18は、モーターの磁石によって生成される逆起電力(BEMF)を検知するように構成することができる。医療デバイスシステム10は、デバイス14がシステム10に取り付けられたとき、又は、アタッチメントがハンドピースに固定されたときに、プロセッサ32が、そのデバイスに関連付けられた動作パラメーターを特定することができるように構成することができる。これらの動作パラメーターは、速度及びトルク等であるがこれらに限定されるものではなく、メモリ内、デバイス自体又はそれ以外の場所に記憶することができる。記憶されているそれらのパラメーターは、有線通信システム又は無線通信システムを介してプロセッサ32に通信することができる。
【0027】
医療デバイスシステム10は、図1に示すように、命令を記憶するメモリ28と、それらの命令を実行して演算を処理するプロセッサ32とを含むことができる。これらの演算は、図5図7に示すように、モーター12及びインナードライブシャフト20の駆動を制御することを含むことができ、プロセッサ32は、モーター12の磁束場を監視するセンサー16若しくはモーター12への電流を監視するセンサー18、又はそれらの双方を監視するように構成される。演算は、モーター12の磁束場を監視するように構成されるセンサー16からの入力若しくはモーター12への電流を監視するように構成されるセンサー18からの入力、又はそれらの双方に基づいて、モーター12が動作している間にモーター制御プロトコルを動的に切り替えることも含むことができる。モーター制御プロトコルを動的に切り替える命令に基づいて演算を処理するプロセッサ32は、種々の時点において以下のモーター制御プロトコルのうちの少なくとも1つを介してモーター12を動作させるように演算を処理するように構成することができる。モーター制御プロトコルには、6ステップ整流60、ホールベース正弦波整流64、フィールド指向整流62、他のモーター制御プロトコル及び今後考え出されるモーター制御プロトコルが含まれるが、これらに限定されるものではない。少なくとも1つの実施形態において、プロセッサ32は、受信された入力に基づいて、6ステップ整流60、ホールベース正弦波整流64及びフィールド指向整流62のうちの2つの間でモーター制御プロトコルを動的に切り替えることができる。
【0028】
プロセッサ32は、図5図8に示すように、3つの全ての方法の間で動的に切り替わって特定の動作性能を最適化することができる。3つの全ての方法の間で動的に切り替わることによって、この手法は、1つのモーター制御プロトコルが他のモーター制御プロトコルに優先して使用されるべき時機を自動的に検出し、モーター12を制御している間にリアルタイムでそれらのモーター制御プロトコルの間で動的に切り替わることによって、種々の制御方法の強み及び弱みを利用する。プロセッサ32は、モーター12を監視するように構成される1つ以上のセンサーからの入力に基づいて、モーター12が動作している間にモーター制御プロトコルを動的に切り替える命令に基づいて演算を処理することができる。少なくとも1つの実施形態において、プロセッサ32は、モーター12の磁束場を監視するように構成されるセンサー16からの入力若しくはモーター12への電流を監視するように構成されるセンサー18からの入力、又はそれらの双方に基づいて、モーター12が動作している間にモーター制御プロトコルを動的に切り替える命令に基づいて演算を処理することができる。少なくとも1つの実施形態において、モーター12の磁束場を検知するように構成されるセンサー16は、少なくとも1つのホールセンサーである。センサー16は、モーター12の磁束場を監視するように構成される1つ又は複数のセンサー16とすることができる。少なくとも1つの実施形態において、システム10は、モーター12の磁束場を監視するように構成される少なくとも3つのセンサー16を含むことができる。
【0029】
ホールセンサーが存在するとき、システム10は、BLDCモーター制御プロトコルを使用することができる。これは、最良のアルゴリズムが自動的に実施されることを可能にするとともに、作業要素24のウィンドウロック機能に必要とされる位置精度も維持するシナリオを生成する。速度は、設定された速度を測定された速度と比較し、より高い電圧又はより低い電圧をモーターに送るパルス幅変調(PWM:pulse width modulated)信号を通じてモーター電流を調整する比例積分微分(PID:proportional, integral, derivative)制御ループを用いて維持することができる。モーター12に対する負荷が増加するにつれて、速度は低下し、追加の電流が必要とされる。この追加の電流は、ブラシレス直流(BLDC)モーターの3つの相を駆動するコンソール電圧へのより高いPWMデューティーサイクルによって供給される。加えて、ホールセンサーが存在するときであっても、システム10は、1つのモーター制御プロトコルが他のモーター制御プロトコルに優先して使用されるべき時機を自動的に判断し、モーター12を制御している間にリアルタイムでそれらのモーター制御プロトコルの間で動的に切り替わることによって、種々のモーター制御プロトコルの強み及び弱みを利用することができる。
【0030】
少なくとも1つの実施形態において、モーター12が回転すると、モーター12に位置する複数のホールセンサー16は、モーターの磁束場の変化を検知し、モーターシャフト36の位置をコントローラー38にシグナリングすることができ、これによって、プロセッサ32は、電圧ドライバを正確にシーケンスすることが可能になり、それによって、モーターシャフト36は、一貫した方向に回転するモーター12を正確にシーケンスすることが可能になる。なお、上記複数のホールセンサー16は、3つのホールセンサー等であるが、これらに限定されるものではない。シーケンスを逆にすることによって、回転を順方向から逆方向に変更することができる。少なくとも1つの実施形態において、プロセッサ32は、モーター12の磁束場を検知するように構成される1つ以上のセンサー16の存在を自動的に検出することができる。
【0031】
図5に示すように、ユーザーは、任意の適切な方法を介してユーザー入力70をシステム10に提供することができる。この任意の適切な方法は、図1に示すようなコンソール38、インターフェース等であるが、これらに限定されるものではなく、上記インターフェースは、スクリーン、モニター、グラフィカルユーザーインターフェース等であるが、これらに限定されるものではない。これらは、コンピューター、ラップトップ、タブレットデバイス、ファブレット、サーバー、モバイルデバイス、スマートフォン、スマートウォッチ、及び/又は他の任意のタイプのコンピューティングデバイス内に組み込まれている場合もあるし、組み込まれていない場合もある。システム10は、ユーザー入力70を受信することができる。このユーザー入力は、システム10に取り付けられるツールアタッチメントのタイプ、ツールアタッチメントに関連付けられた動作仕様、システム10のハンドヘルドデバイス14を用いて外科医が行う処置のタイプ、ハンドヘルドデバイス14の動作モード等であるが、これらに限定されるものではない。上記動作仕様は、速度、トルク等であるが、これらに限定されるものではなく、上記動作モードは、振動モード、連続モード、高速度モード、中速度モード、低速度モード、高トルクモード、低トルクモード等あるが、これらに限定されるものではない。プロセッサ32は、この入力を受信することができ、メモリ28内に存在する情報をともに用いて、本明細書に述べるようにハンドヘルドデバイス14を制御することができる。
【0032】
システム10は、図5に示すように、制御入力72を受信することができる。制御入力72は、作業要素24の回転速度、作業要素24の加速度、トルク、回転位置等を含むが、これらに限定されるものではない。プロセッサ32は、駆動電圧を調整して入力とフィードバックとの間の誤差を軽減する制御ループ74を用いてモーターを制御することができる。プロセッサ32は、フィードバック計算76を行って、速度、加速度、トルク及び位置を用いてモーター12を制御することができる。プロセッサ32は、逆起電力(BEMF)、信号対雑音比(SNR:signal-to-noise ratio)、制限速度、制限トルク、制限加速度、モータープロトコルトリガー等に基づくモーター制御プロトコルの動的整流切り替え制御因子78について構成することができる。プロセッサ32は、モーター12が動作している間又はモーター12が停止されるときに、モーター動作プロトコルを動的に切り替えるように構成することができる。動的整流プロトコルスイッチマトリックス80は、プロセッサ32がトラペゾイド(6ステップ)モーター制御プロトコル60、フィールド指向モーター制御プロトコル(FOC)62、正弦波モーター制御プロトコル64、他のモーター制御プロトコル及び今後考え出されるモーター制御プロトコルの間で切り替わることを可能にする。少なくとも1つの実施形態において、トラペゾイド(6ステップ)モーター制御プロトコル60は、デフォルトのモータープロトコルモードとすることができる。モーター制御プロトコルが選択されると、プロセッサ32は、選択されたモーター制御プロトコルに従って、82におけるパルス幅変調駆動電圧を介してモーター12を駆動することができる。プロセッサ32は、84におけるセンサー16、18からの信号を受信して、本明細書において述べるフィードバック計算を行うことができる。
【0033】
少なくとも1つの実施形態において、図6に示すように、システム10は、プロセッサ32が比較されるセンサー16、18からの計算されたパラメーターを閾値と比較した結果に基づいて、プロセッサ32が、90において、モーター制御プロトコルを動的に切り替える演算を処理する命令を実行するように構成することができる。少なくとも1つの実施形態において、閾値は固定することができる。閾値は、プロセッサ32が許容可能な最小の信号対雑音比の閾値を計算するのに使用する測定されたノイズフロアの関数であってもよい。システム10は、ハンドピース14又は他の入力デバイス等を用いたユーザーからの入力を介して手動モード又は自動モードにすることができる。システム10が自動モードにされると、図6に示すように、プロセッサ32は、その後に閾値と比較される計算されたパラメーターに基づいて整流モードを選択する。閾値は、固定することもできるし、許容可能な最小の信号対雑音比(SNR)の閾値を取得するための測定されたノイズフロアの関数とすることもできる。
【0034】
プロセッサ32は、当面の状況に最も適合したモーター制御プロトコルを実施するように演算することができる。その時に、プロセッサ32は、そのような状況下で最も効率的なモーター制御プロトコルを実施することが可能であり得る。したがって、システム10は、モーター制御プロトコルの全ての間で動的に切り替わり、特定の動作性能を最適化することができる。モーター制御プロトコルのそれぞれは、他のモーター制御方法には見られない利点を有する。センサーが機能不全になった時等のそれ以外の時は、プロセッサ32によって実施されるモーター制御プロトコルが、システム10の全ての構成要素が動作可能である場合に最も効率的でない可能性があっても、プロセッサ32は、デバイス14の使用継続を可能にするモーター制御プロトコルを実施する。プロセッサ32がどのモーター制御プロトコルを実施するのかを判断する際に、図6に示すように、プロセッサ32は、以下の命令に基づいて演算を実行する。プロセッサは、92において、速度が制限を上回っているのか又は下回っているのかを判断し、一般に、プロセッサ32は、ハンドヘルドデバイス14を過度に低い速度又は過度に高い速度で動作させるフィールド指向制御(FOC:Field Oriented Control)モーター制御プロトコル62の使用を回避してもよい。速度範囲は、システム10における特定のモーターインプリメントに基づいて変化し得るシステムの考慮事項によって決定することができる。例えば、ギア比が高い場合には、それよりも低いギア比のモーター12よりも低速度でFOC62を使用することが可能になるが、最大速度も制限されることになる。低速度は逆電磁気力の測定を困難にするので、プロセッサ32は、速度スペクトルのローエンドにおいて信号対雑音比を監視することができる。プロセッサ32は、高速度を維持するのに必要とされる必須の計算を処理することができないので、プロセッサ32の計算の限界は、モーター速度スペクトルのハイエンドを制限する場合がある。システム10の演算速度の限界は、計算を行うのに必要とされる時間を最初にベンチマークテストすることによって、その後、FOCの上限を確立する所望の速度、ギア比及びモーターインダクタンスに基づいて事前に計算することができる。
【0035】
プロセッサ32が、92において、ハンドヘルドデバイス14があまり低速でない速度又はあまり高速でない速度で駆動されるべきであると判断した場合には、プロセッサは、94において、BEMF SMRが閾値以下であるか否かを判定する。94において、ハンドヘルドデバイス14が閾値以下でない場合には、プロセッサは、フィールド指向モーター制御プロトコル62を選択する。プロセッサ32は、電圧読み取り値がシステムの電流雑音レベル以下である場合には、フィールド指向制御モーター制御プロトコル62の使用を回避する。
【0036】
プロセッサ32が、92において、ハンドヘルドデバイス14が速度閾値を超えているか若しくは速度閾値以下であると判定した場合、又は、94において、BEMF SNR閾値以下であると判定した場合に、プロセッサ32は、96において、加速度が閾値以下であるか否かを判定する。プロセッサ32は、ハンドヘルドデバイス14の所望の使用法が高い加速要求を必要とする場合には、正弦波モーター制御プロトコル64の使用を回避することができる。ハンドヘルドデバイス14の所望の用途が加速限界に満たない場合には、プロセッサ32は、正弦波モーター制御プロトコル64を使用する。ハンドヘルドデバイス14の所望の用途が加速限界を超える場合には、プロセッサ32は、トラペゾイドモーター制御プロトコル60を使用する。少なくとも1つの実施形態において、プロセッサ32は、トラペゾイドモーター制御プロトコルをデフォルトのモーター制御プロトコルとして使用することができる。
【0037】
BEMFセンサーを使用するモーター制御プロトコルの使用は、モーター12を始動する時又はモーター12をより低い速度で動作させる時に有利である。そのようなことは、低速のモーター速度が、電流センサーを介したモーター制御を困難にする低電流を生成し、電流センサーを用いてBEMFを正確に検出するのに必要とされる信号対雑音比が一要因になることから当てはまる。ホールセンサー16は、センサー16がBLDCモーターにおける磁石の磁場を検出しており、これによって、モーター12の位置の検出がモーター12の速度から分離されるので、そのような問題に悩まされることはない。
【0038】
システム10が手動モードにあるとき、図7に示すように、プロセッサ32は、100において、ハンドピースが使用される外科的用途のタイプに応じて、ユーザーによって入力されたデータに明示的に基づいて、コントローラー38によって整流モードを選択する。ユーザーは、外科医又は他の医療専門家等であるが、これらに限定されるものではない。手動モードでは、ユーザー入力は、自動モードを無効にし、ユーザーからの入力に基づいて動作する。手動モードでは、外科医又は他の医療専門家等であるがこれらに限定されないユーザーは、ドリル等のツールのタイプ、ツールのアタッチメントのタイプ、速度、トルク等の動作条件、振動、連続等の動作モード、及び他の条件、並びに任意選択で所望のモーター制御プロトコルを入力することができる。したがって、手動モードにあるとき、ユーザーは、所望のモーター制御プロトコルを入力する場合もあるし、入力しない場合もある。少なくとも1つの実施形態において、ユーザーは、102において、ハンドヘルドデバイス14を動作させるためにどのモーター制御プロトコルが使用されるのかを指定する。外科的用途のタイプがシステム10に入力されると、コントローラー38は、ハンドピースを動作させるパラメーターを選択することができる。少なくとも1つの実施形態において、ユーザーは、システム10のメモリ28内に記憶されたプロファイルを有することができる。このプロファイルは、そのユーザーに特有のパラメーターを含むことができ、これらのパラメーターは、種々のツール、外科的処置の動作速度、トルク、及び他のオプションを含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
プロセッサ32は、104において、ユーザーからの入力に最良に整合するモーター制御プロトコル60、62、64を選ぶ。整合を行うことができず、モーター制御プロトコルが選択されない場合には、プロセッサ32は、106において、トラペゾイドモーター制御プロトコル60であるデフォルトのモーター制御プロトコルを選ぶ。前述したように、任意の整流手法が、モーター制御プロトコルの必要性に基づいてプロセッサ32によって動的に切り替えられる。
【0040】
図8に示すように、モーター12は、複数のモーター制御プロトコルのうちの1つを用いて制御することができる。少なくとも1つの実施形態において、モーター12は、1つ以上のホールセンサー16と同期される3相モーター巻線電流を介して制御することができる。6ステップ整流モーター制御プロトコル60は、1つ以上のホールセンサー16又はBEMFゼロクロスセンサーレス構成を用いて実施することができる。6ステップ整流モーター制御プロトコル60は、モーター動作中にわずかに高い電流引き込みを伴う即時のモーター始動及び低速度における高トルクを提供する。作業要素24の位置制御は、1つ以上のホールセンサー16を介して維持することができる。
【0041】
図8に示す正弦波整流モーター制御プロトコル64は、1つ以上のホールセンサー16又は補間角度補助を有するBEMFを用いて実施することができる。正弦波整流モーター制御プロトコル64は、わずかに低い電流引き込みを伴う即時のモーター始動及び低速度における高トルクと、滑らかなモーター動作とを提供する。作業要素24の位置制御は、1つ以上のホールセンサー16を介して維持することができる。
【0042】
図8に示すフィールド指向整流モーター制御プロトコル62は、連続したBEMF検知及び磁束場推定を用いて実施することができる。フィールド指向整流モーター制御プロトコル62は、モーター始動時において一般に強制される回転子角度を提供することができる。低速度における動作は信頼性が劣る可能性があり、より低い電流引き込みを用いたより大きな速度における動作はより滑らかである。フィールド指向整流モーター制御プロトコル62を用いた作業要素24の位置制御は、他の方法よりも信頼性が劣る場合がある。
【0043】
システム10は、システム10が種々のモーター制御プロトコルを実施するときに、システム10が、種々の用途の性能、種々の速度及びトルク範囲に影響を与える因子、並びに他の因子を考慮するようにも構成される。例えば、所望の医療処置が、図9の平滑化領域50に示すような平滑化動作を必要とする場合には、低流体流量で高速かつ低トルクで作業要素24を動作させることができる。平滑化領域50では、特に逆方向にバーを使用しているときに骨をより高速度において研磨するために作業要素24を動作させることができ、これは、外科医がバーをより制御し、骨を研磨することができるので望ましい。外科医は、多くの場合に、より高速度であることがより良いことであるという外科医の感覚のために、順方向であってもより高速度を使用する。少なくとも1つの実施形態において、高速度とは、積極的な骨切除の場合には約6200毎分回転数(RPM)とすることができる。なぜならば、そのような速度は、作業要素24上の溝が骨の内部に掘り進む時間を有することを可能にするからである。平滑化領域50内で作業要素24を動作させることは、組織切除に有益であり得る。なぜならば、そのような動作は、閉塞を削減し、切除レートを高めることができる短い時間において多くの小さな切除(bite)を行うことを可能にすることができるからである。研磨の価値がある処置は、多くの場合にCAM切除と呼ばれる、外科医が通常、大腿骨を研磨したい、大腿骨が寛骨臼と関節結合する臀部における手術にある。平滑化領域50内で作業要素24を動作させることは、関節唇修復前の寛骨臼形成においても使用することができる。外科医の中には、関節唇修復前の肩における関節窩の準備及び回旋腱板修復前の粗面の準備のための研磨バーがあることを高く評価する者がいる。図9の平滑化領域50内でシステム10を動作させ、それによって、作業要素24がより低いトルクを伴う高速度において動作されることは、使用されるモーター制御プロトコルがフィールド指向制御(FOC)プロトコル62であるときに最も効率的である。フィールド指向制御(FOC)プロトコル62は、FOCプロトコル62を維持するのに必要とされる計算負荷が、正弦波プロトコルに切り替えることを必要とする高い速度では可能でないので、速度が、正弦波プロトコルに切り替えることを必要とする点まで増加されない限り、モーター動作効率を最大にし、内部加熱を削減することができる。
【0044】
フィールド指向制御(FOC)プロトコル62が最も効率的なモーター制御プロトコルであり得る一例の状況は、外科医が移植片又は一般的な軟組織切除のために骨表面の準備をしている外科的処置である。特にバーを逆方向に使用しているときに骨をより高い速度で研磨することは、外科医がより高い速度においてバーをより多く制御し、骨を効果的に研磨することができるので望ましい。研磨を使用する外科的処置は、CAM切除と呼ばれる場合がある、外科医が大腿骨を研磨したい、大腿骨が寛骨臼と関節結合する臀部における外科的処置、関節唇修復前の寛骨臼形成、関節唇修復前の肩における関節窩の準備、及び回旋腱板修復前の粗面の準備を含むが、これらに限定されるものではない。少なくとも1つの実施形態において、作業要素24のより高い速度は、約5000RPMと約7000RPMとの間の回転速度とすることができ、少なくとも1つの実施形態において、最適な積極的骨切除の場合に約6200RPMとすることができる。作業要素24のそのような速度範囲は、組織切除に有益であり得る。なぜならば、そのような速度は、作業要素24が、閉塞を削減し、切除レートを高めることができる短い時間において多くの小さな切除(bite)を行うことを可能にするからである。
【0045】
図9の平滑化領域50におけるモーター動作の場合に、コントローラー38によってプロセッサ32を介して自動モード又は手動モードにおいてフィールド指向制御(FOC)プロトコル62を実施することができる。手動モードでは、ユーザーは、モーター12が高速度モード及び低トルクモードにおいて動作するように、メニュー選択を介してハンドヘルドデバイス14の動作モードを選ぶことができ、プロセッサ32は、その後、フィールド指向制御(FOC)プロトコル62を介してモーター12を動作させることができる。ユーザーは、システム10に取り付けられるシェーバー等のツールアタッチメントのタイプも入力することができる。ユーザーは、振動モード又は連続モードにおいて作業要素24を動作させることを選ぶことができる。別の実施形態において、ユーザーは、行われる外科的処置のタイプをシステム10に入力することができ、入力された外科的処置が、メモリ28内のフィールド指向制御プロトコル62、高速度モード及び低トルクモードに関連付けられた処置と一致するとき、プロセッサ32は、これらの動作モードを選ぶことができる。
【0046】
同様に、所望の医療処置が、図9の粗切断領域52に示すような粗切断(coarse cutting)を必要とする場合に、平滑化領域50における流体流量よりも高いものであり得る中流体流量で、平滑化領域50の速度よりも低いものであり得る中速、かつ平滑化領域50におけるトルクよりも高いものであり得る中トルクで作業要素24を動作させることができる。切断領域52において中速度で作業要素24を動作させることは、骨及び組織の切除に有用であり得る。図9の粗切断領域52においてシステム10を動作させ、それによって、作業要素24が中トルクを伴う中速度において動作されることは、使用されるモーター制御プロトコルがフィールド指向制御(FOC)プロトコル62であるときに最も効率的である。フィールド指向制御(FOC)プロトコル62は、トルク要求が、切断効率を改善するためにトラペゾイドプロトコル60に切り替えることを必要とする点まで増加されない限り、中トルク要求を伴う中速度においてモーターを動作させるときに効率的であり得る。フィールド指向制御(FOC)プロトコル62が最も効率的なモーター制御プロトコルであり得る一例の状況は、外科医がより積極的な骨又は軟組織の切除を実施する外科的処置を行っている外科的処置である。速度及びトルクの範囲の中央部分において作業要素24を動作させることが、骨及び組織の切除に望ましい。
【0047】
図9の粗切断領域52におけるモーター動作の場合に、コントローラー38によってプロセッサ32を介して自動モード又は手動モードにおいてフィールド指向制御(FOC)プロトコル62を実施することができる。手動モードでは、ユーザーは、モーター12が中速度モード及び中トルクモードにおいて動作するようなハンドヘルドデバイス14の動作モードを選ぶことができ、プロセッサ32は、その後、フィールド指向制御(FOC)プロトコル62を介してモーター12を動作させることができる。ユーザーは、振動モード又は連続モードにおいて作業要素24を動作させることを選ぶことができる。ユーザーは、システム10に取り付けられるシェーバー等のツールアタッチメントのタイプも入力することができる。別の実施形態において、ユーザーは、行われる外科的処置のタイプをシステム10に入力することができ、入力された外科的処置が、メモリ28内のフィールド指向制御(FOC)プロトコル62、高速度モード及び低トルクモードに関連付けられた処置と一致するとき、プロセッサ32は、これらの動作モードを選ぶことができる。
【0048】
所望の医療処置が、図9の平面切断領域54に示すような平面切断(planar cutting)を必要とする場合に、粗切断領域52における流体流量よりも高いものであり得るより高流体流量で、粗切断領域52における速度よりも低いものであり得る低速、かつ粗切断領域52におけるトルクよりも高いものであり得るより高トルクで作業要素24を動作させることができる。図9の平面切断領域54においてシステム10を動作させ、それによって、作業要素24がより低い速度においてより高いトルクを伴って動作されることは、使用されるモーター制御プロトコルが正弦波モーター制御プロトコル64であるときに最も効率的である。正弦波モーター制御プロトコル64は、トルク要求が、モーターストールを防止するために、強度の負荷を原因とするトラペゾイドモーター制御プロトコルに切り替えを必要とする点まで増加されない限り、より高いトルク要求を伴うより低い速度においてモーターを動作させるときに効率的であり得る。正弦波モーター制御プロトコル64を使用する一例の状況は、外科医が、粗切断領域52において行われるものよりも積極的な骨切除等の非常に積極的な骨切除、又はメニスカス切除を必要とする外科的処置を行っている場合とすることができる。正弦波モーター制御プロトコル64を使用してより高いトルクを伴うより低い速度を生み出すことは、ドリルを作業要素24として駆動することを最もよくサポートすることができ、それによって、ドリルは、リーマー仕上げに使用されるが、このドリルを使用して関節唇修復前のインプラント又はドリルが必要とされる任意の製作物のパイロットホールを作製するときに有用なものとすることができる。上記ドリルは、SHAVERDRILL等であるが、これに限定されるものではない。正弦波モーター制御プロトコル64は、より高いトルクを伴うより低い速度において作業要素24を微小破壊処置用に駆動するのに使用され、大腿骨、関節窩、膝蓋、又は足首のOCD損傷における線維軟骨の生成を助けることができる。作業要素24は、微小破壊器具等であるがこれに限定されるものではなく、また、この微小破壊器具は、POWERPICK等であるがこれに限定されるものではない。正弦波モーター制御プロトコル64は、ドリル等の作業要素24をより高いトルクを伴うより低い速度において駆動するのにも使用され、出血を促進することによってACL修復及び回旋腱板修復における治癒を促進することができる。
【0049】
図9の平面切断領域54におけるモーター動作の場合に、コントローラー38によってプロセッサ32を介して自動モード又は手動モードにおいて正弦波モーター制御プロトコル64を実施することができる。手動モードでは、ユーザーは、モーター12が低速度モード及び高トルクモードにおいて動作するようにメニュー選択を介してハンドヘルドデバイス14の動作モードを選ぶことができ、プロセッサ32は、その後、正弦波モーター制御プロトコル64を介してモーター12を動作させることができる。ユーザーは、システム10に取り付けられるドリル等のツールアタッチメントのタイプも入力することができる。ユーザーは、振動モード又は連続モードにおいて作業要素24を動作させることを選ぶことができる。別の実施形態において、ユーザーは、行われる外科的処置のタイプをシステム10に入力することができ、入力された外科的処置が、メモリ28内の正弦波モーター制御プロトコル64、低速度モード及び高トルクモードに関連付けられた処置と一致するとき、プロセッサ32は、これらの動作モードを選ぶことができる。
【0050】
システム10は、検出可能な不具合がハンドピース動作に存在する場合に、ハンドヘルドデバイス14の不具合のあるセンサー又は他の不具合のある構成要素を必要としないプロトコルにモーター制御プロトコルを切り替えることによって、ワークフローの停止を引き起こすことなくプロセッサ32の進行を継続することができるように、モーター動作の健全性の監視を行うように構成することもできる。そのような能力は、センサーの不具合が検出され、外科医が、手術に途絶を引き起こすのではなく、その処置にとって次善のセンサーレス制御方法であり得るものを使用して処置を完了することがより望ましいとの結論を下す外科的処置において有利であり得る。システム10は、外科医等のユーザーに検出された構成要素の不具合をアラートすることができる。外科医は、その後、モーター制御プロトコルを手動で切り替えることもできるし、ハンドピース14を使用せず、そのハンドピースを別のハンドピース14に交換することを決定することもできる。或いは、システム10は、モーター制御プロトコルを自動的に切り替えることもできる。プロセッサ32は、システム10の構成要素の不具合を検出すると、モーター12を連続して動作させる命令を実行することができる。少なくとも1つの実施形態において、プロセッサ32は、システム10の構成要素の不具合が検出され、不具合があると検出された構成要素がセンサー16、18の一方又は双方であるとき、モーター12を連続して駆動する演算を処理する命令を実行するように構成することができる。なお、一方のセンサー16は、モーターの磁束場を監視するものであり、他方のセンサー18は、モーター12への電流を監視するように構成されるものである。
【0051】
使用中、外科医又は他の医療専門家等であるがこれらに限定されないユーザーは、ツールのタイプ、着手される処置のタイプ、動作モード等であるがこれらに限定されない入力をシステムに提供することができる。医療デバイスシステム10のプロセッサ32は、モーター制御プロトコルを選んで、モーター12を動作させることができる。少なくとも1つの実施形態において、プロセッサ32は、6ステップホールベースモーター整流制御プロトコル60を実施することができる。このプロトコルを用いると、速度は、設定速度を測定された速度と比較し、モーター12へのより高い電圧又はより低い電圧を駆動しているパルス幅変調(PWM)信号を通じてモーター電流を調整する比例積分微分制御ループを用いて維持することができる。モーターに対する負荷が増加するにつれて、速度は低下し、追加の電流が必要とされる。この追加の電流は、ブラシレス直流(BLDC)モーター12の3つの相を駆動するコンソール電圧へのより高いPWMデューティーサイクルによって供給される。モーター12が回転すると、モーター12に位置する複数のホールセンサーが、モーターの磁束場の変化を検知し、モーターシャフトの位置をコントローラー38にシグナリングし、これによって、プロセッサ32は、モーター12が一貫した方向に回転し続けるように電圧ドライバを正確にシーケンスすることが可能になる。なお、上記複数のホールセンサーは、3つのホールセンサー等であるが、これらに限定されるものではない。モーター整流を介してシーケンスを逆にすることによって、回転を順方向から逆方向に変更することができる。
【0052】
システム10の使用の全体にわたって、プロセッサ32は、センサー16、18、及びユーザーからの任意の入力を含む全てのフィードバックシステムを監視し、そのような入力を分析する。プロセッサ32が、モーター12を動作させるのに使用される種々のモーター制御プロトコルが所与の状況により適していると判定した場合には、システム10は、使用中にモーター制御プロトコルを自動的に変更することができ、それによって、常に最も効果的なモーター制御プロトコルをモーターに提供する。そのような動作は、システム10の効率を高め、外科医に対する性能を向上させる。
【0053】
上記内容は、開示されたデバイスの実施形態を例示、説明、及び記載することを目的として提供されている。

図1
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【国際調査報告】