(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】ウェアラブルセンサデバイスのための歪み隔離された軟質バイオエレクトロニクス
(51)【国際特許分類】
A61B 5/257 20210101AFI20240528BHJP
A61B 5/276 20210101ALI20240528BHJP
A61B 5/256 20210101ALI20240528BHJP
A61B 5/28 20210101ALI20240528BHJP
【FI】
A61B5/257
A61B5/276 100
A61B5/256 220
A61B5/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572950
(86)(22)【出願日】2022-05-27
(85)【翻訳文提出日】2024-01-18
(86)【国際出願番号】 US2022031346
(87)【国際公開番号】W WO2022251636
(87)【国際公開日】2022-12-01
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】505477235
【氏名又は名称】ジョージア テック リサーチ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】イェオ,ウン-ホン
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127AA06
4C127LL13
(57)【要約】
歪みアイソレータを伴って構成されたウェアラブル軟質バイオエレクトロニックシステムのための例示的なシステム及び方法が開示され、歪みアイソレータは、身体の全体的な動き、例えば、歩行に起因する皮膚の一時的な伸縮及び相対的な運動から、皮膚と近接しているか又は接触しているそのセンサ電極又は他のセンサを隔離することができる。例示的なシステムは、ウェアラブルセンサの使用を容易にする硬質軟質材料及び隔離構造を採用し、ウェアラブルセンサは、皮膚の表面上に配置することができ、かつ着用者による身体運動中に取得された信号における運動のアーチファクトを最小化することができる。例示的なシステムは、歪みアイソレータと組み合わせて、伸縮可能なセンサを採用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
上部低弾性率層及び下部低弾性率層を含む2つ以上の低弾性率層を備える可撓性基板であって、前記可撓性基板は、前記上部低弾性率層上の第1の側面、及び前記下部低弾性率層上の第2の側面を有し、前記第2の側面は、人の皮膚領域と直接接触及び粘着するように構成された通気性軟質膜として構成されている、可撓性基板と、
前記可撓性基板の前記第2の側面に固定可能に取り付けられた1つ以上のパッドであって、前記1つ以上のパッドは、第1のエリアにわたって前記第2の側面に取り付ける第1のパッドを含み、前記1つ以上のパッドは、各々、前記皮膚領域の一部分に直接接触するように露出されている側面を有する、1つ以上のパッドと、
第1の歪み隔離構造を含む、前記上部低弾性率層に固定可能に取り付けられた1つ以上の歪み隔離構造であって、前記第1の歪み隔離構造は、前記第1のパッドの前記第1のエリアに対応するエリアにおいて、前記上部低弾性率層に取り付けられ、前記第1のパッドの周りに外周部を形成する外のり寸法を有するように形状加工されている、1つ以上の歪み隔離構造と、を備える、システム。
【請求項2】
前記第1の歪み隔離構造は、前記第1のパッドの前記第1の領域を越えて延在する内のり寸法を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のパッドは、第1の形状を有し、前記第1の歪み隔離構造は、第2の形状を有し、前記第1のパッドの前記第1の形状は、前記第1の歪み隔離構造の第2の形状と同じである、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のパッドは、第1の形状を有し、前記第1の歪み隔離構造は、第2の形状を有し、前記第1のパッドの前記第1の形状は、前記第1の歪み隔離構造の前記第2の形状とは異なる、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1のパッドは、正方形領域、長方形領域、円形領域、又は楕円形領域からなる群から選択される形状を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1のパッドは、平面幾何学的形状を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記上部低弾性率層は、1000μm未満の平均厚さを有する薄い低弾性率シリコーンエラストマー材料を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記下部低弾性率層は、20kPa未満の弾性率値を有する低弾性率シリコーンゲル材料を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記上部低弾性率層は、第1の弾性率値を有する第1の材料を含み、前記下部低弾性率層は、第2の弾性率値を有する第2の材料を含み、前記上部低弾性率層の前記第1の弾性率値は、前記下部低弾性率層の前記第2の弾性率値の少なくとも2倍である、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記1つ以上のパッドは、アレイを形成する、請求項1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記1つ以上のパッドは、オープンメッシュの伸縮可能な電極として構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記オープンメッシュの伸縮可能な電極は、曲がりくねった又は蛇行しているメッシュ接続によって、各々共に接続された複数の伸縮可能なパッドを備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記システムは、前記伸縮可能なパッドを通した光学測定、インピーダンス測定、静電容量測定、又は電位測定のうちの少なくとも1つのために構成されたスマートウォッチとして構成されている、請求項1~12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
第2のエリアにわたって前記第2の側面に取り付ける、第2の伸縮可能なパッドと、
前記第2の伸縮可能なパッドの前記第2のエリアに対応する第3のエリアにおいて、前記上部低弾性率層に取り付けられており、かつ前記第2の伸縮可能なパッドの周りに外周部を形成する外のり寸法を有するように形状加工されている、第2の歪み隔離構造と、を更に備える、請求項1~13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1のパッドを含む1つ以上のパッドが、第2のエリアにわたって、前記可撓性基板の前記第2の側面に固定可能に取り付けられている、一対の伸縮可能な接点を形成し、
前記システムは、
前記一対の伸縮可能な接点に結合する能動集積センサコンポーネントを更に備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記能動集積センサコンポーネントは、発光ダイオード又はフォトダイオードを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記システムは、心電図プローブとして構成されている、請求項1~16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記心電図プローブは、一対の前記可撓性パッド、多軸加速器、及び多軸ジャイロスコープを含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記心電図プローブは、光センサ、フォトダイオード、静電容量、及び/又は温度センサを更に含む、請求項17又は18に記載のシステム。
【請求項20】
前記可撓性基板上に搭載された能動集積チップアセンブリを更に備え、前記能動集積チップアセンブリは、トランスインピーダンス増幅器回路及びデジタルアナログコンバータを含む、少なくとも1つ以上の能動集積回路を備える、請求項1~19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記能動集積チップアセンブリをカプセル化するカプセル化層を更に備える、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記能動集積チップ回路は、測定された信号データをデバイス処理ユニット又はコントローラに提供するように構成されたローカル処理ユニット又はコントローラを更に含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
前記デバイス処理ユニット又はコントローラは、前記1つ以上のパッドと関連付けられた電極若しくはセンサを通じて取得された心電図信号、心拍数信号、呼吸数信号、又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを採用するように構成されている、請求項21に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府の関心に関する声明
この発明は、全米科学財団によって授与された補助金第2024742号の下で、政府支援を受けて行われた。政府は、本発明において、特定の権利を有する。
【0002】
関連出願
このPCT出願は、「Strain-Isolated Soft Bioelectronics for Wireless,Continuous,Motion Artifact-Controlled Health Monitoring in Real-Life Activities」と題された2021年5月27日に出願された米国仮特許出願第63/194,109号の優先権及びその利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
ウェアラブルデバイスを介して取得された生物物理学的信号の携帯可能で、長期の、継続的な監視は、例えば、スマートウォッチなどの日常のIoTウェアラブルデバイス、並びに臨床環境、例えば、ウェアラブル心電図において、一般的に望まれる。高品質のデータを収集することは、運動のアーチファクトに起因して、依然として困難のままである。
【0004】
運動アーチファクト(MA)は、一般に、センサ、及び/又はそのセンサが配置されている身体の動きによって引き起こされる測定電圧の一時的な変化を含む。例えば、歩行は、各歩調と共に、皮膚及びセンサデバイスに対して下向きの力を作り出し得、その力は、皮膚の一時的な伸縮、及び皮膚の電極との相対的な運動を引き起こし得る。これらの2つの障害を合わせると、それぞれ、皮膚の半電池電位、並びに電極との接触インピーダンスを変化させ得る。これらの測定電圧の一時的な変化は、心収縮などの他の身体信号と同じ振幅及び周波数を有する場合があり、多くの生理学的信号と区別することが困難になることが多い。ソフトウェアアルゴリズム及び信号フィルタリングは、信号品質を改善するために共通に使用されているが、それらは、特に長期監視の場合、計算的に高価になる場合があり、それらは、依然として、実際の生物信号の推定値を提供することができるにすぎない。
【0005】
低減された運動アーチファクトの有無にかかわらず、生物物理学的信号の取得を改善することに利点がある。
【発明の概要】
【0006】
歪みアイソレータを伴って構成されたウェアラブル軟質バイオエレクトロニックシステム(本明細書では、「SIS」とも称される)のための例示的なシステム及び方法が開示され、歪みアイソレータは、身体の全体的な動き(例えば、歩行)に起因する皮膚の一時的な伸縮及び相対的な運動から、皮膚と近接しているか又は接触しているそのセンサ電極又は他のセンサを隔離することができる。例示的なシステムは、ウェアラブルセンサの使用を容易にする硬質軟質材料及び隔離構造を採用し、ウェアラブルセンサは、皮膚の表面上に配置することができ、かつ着用者による身体運動中に取得された信号における運動のアーチファクトを最小化することができる。例示的な軟質バイオエレクトロニックシステムはまた、歪みアイソレータと組み合わせて、伸縮可能なセンサを採用することもできる。
【0007】
いくつかの実施形態では、ウェアラブル軟質バイオエレクトロニックシステム及び歪み隔離されたセンサ電極は、例えば、日常活動中の健康監視、例えば、携帯型ECGデバイス、健康監視デバイスのために、慣性センサを組み合わせて使用することができる。ウェアラブルセンサデバイスにおける運動アーチファクトを除去又は低減する際の、この例示的なシステムの実用性を確認する解析的及び計算的な分析、並びに動的な実験を通じて、研究が行われた。
【0008】
一態様では、システム(例えば、センサシステム又はデバイスシステム)が開示される。このシステムは、上部低弾性率層及び下部低弾性率層を含む2つ以上の低弾性率層を備える可撓性基板であって、可撓性基板は、上部低弾性率層上の第1の側面、及び下部低弾性率層上の第2の側面を有し、第2の側面は、人の皮膚領域と直接接触及び粘着するように構成された通気性軟質膜として構成されている、可撓性基板と、可撓性基板の第2の側面に固定可能に取り付けられた1つ以上のパッド(例えば、電極、伸縮可能な電極、センサICを搭載するための一対のパッド、又は一対の伸縮可能なパッド)であって、1つ以上のパッドは、第1のエリアにわたって第2の側面に取り付ける第1のパッドを含み、1つ以上のパッドは、各々、皮膚領域の一部分に直接接触するように露出されている側面を有する、1つ以上のパッドと、第1の歪み隔離構造を含む、上部低弾性率層に固定可能に取り付けられた1つ以上の歪み隔離構造であって、第1の歪み隔離構造は、第1のパッドの第1のエリアに対応するエリアにおいて、上部低弾性率層に取り付けられ、第1のパッドの周りに外周部を形成する外のり寸法を有するように形状加工されている、1つ以上の歪み隔離構造(例えば、歪み隔離構造は、皮膚歪み、及びパッドの移動又は滑りによって引き起こされるパッドインピーダンスの一時的変化を防止又は低減する)と、を含むことができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、第1の歪み隔離構造は、第1のパッドの第1のエリアを越えて延在する内のり寸法を有する。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1のパッドは、第1の形状を有し、第1の歪み隔離構造は、第2の形状を有し、第1のパッドの第1の形状は、第1の歪み隔離構造の第2の形状と同じである。
【0011】
いくつかの実施形態では、第1のパッドは、第1の形状を有し、第1の歪み隔離構造は、第2の形状を有し、第1のパッドの第1の形状は、第1の歪み隔離構造の第2の形状とは異なる。
【0012】
いくつかの実施形態では、第1のパッドは、正方形領域、長方形領域、円形領域、又は楕円形領域からなる群から選択される形状を有する。
【0013】
いくつかの実施形態では、第1のパッドは、平面幾何学的形状を有する。
【0014】
いくつかの実施形態では、上部低弾性率層は、1000μm未満の平均厚さを有する薄い低弾性率シリコーンエラストマー材料を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、下部低弾性率層は、20kPa未満の弾性率値を有する低弾性率シリコーンゲル材料を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、上部低弾性率層は、第1の弾性率値を有する第1の材料を含み、下部低弾性率層は、第2の弾性率値を有する第2の材料を含み、上部低弾性率層の第1の弾性率値は、下部低弾性率層の第2の弾性率値の少なくとも2倍である。
【0017】
いくつかの実施形態では、1つ以上のパッドは、アレイを形成する。
【0018】
いくつかの実施形態では、1つ以上のパッドは、オープンメッシュの伸縮可能な電極として構成される。
【0019】
いくつかの実施形態では、オープンメッシュの伸縮可能な電極は、曲がりくねった又は蛇行しているメッシュ接続によって、各々共に接続された複数の伸縮可能なパッド(例えば、円形、楕円形、正方形、長方形、又は他の幾何学的形状)を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、システムは、伸縮可能なパッドを通した光学測定、インピーダンス測定、静電容量測定、又は電位測定のうちの少なくとも1つのために構成されたスマートウォッチとして構成される。
【0021】
いくつかの実施形態では、システムは、第2のエリアにわたって第2の側面に取り付ける、第2の伸縮可能なパッドと、第2の伸縮可能なパッドの第2のエリアに対応する第3のエリアにおいて、上部低弾性率層に取り付けられており、かつ第2の伸縮可能なパッドの周りに外周部を形成する外のり寸法を有するように形状加工されている、第2の歪み隔離構造と、を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1のパッドを含む1つ以上のパッド(例えば、伸縮可能なパッド)が、第2のエリアにわたって、可撓性基板の第2の側面に固定可能に取り付けられている、一対の伸縮可能な接点を形成し、システムは、一対の伸縮可能な接点に結合する能動集積センサコンポーネントを更に備える。
【0023】
いくつかの実施形態では、能動集積センサコンポーネントは、発光ダイオード又はフォトダイオードを含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、システムは、心電図プローブとして構成される。
【0025】
いくつかの実施形態では、心電図プローブは、一対の可撓性パッド、多軸加速器(例えば、3軸加速器)、及び多軸ジャイロスコープ(例えば、3軸ジャイロスコープ)を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、心電図プローブは、光センサ、フォトダイオード、静電容量、及び/又は温度センサを更に含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、システムは、可撓性基板上に搭載された能動集積チップアセンブリを含み、能動集積チップアセンブリは、トランスインピーダンス増幅器回路及びデジタルアナログコンバータを含む、少なくとも1つ以上の能動集積回路を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、システムは、能動集積チップアセンブリをカプセル化するカプセル化層を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、能動集積チップ回路は、(例えば、スマートウォッチのために)測定された信号データをデバイス処理ユニット又はコントローラに提供するように構成されたローカル処理ユニット又はコントローラ(例えば、シリコン又はIC)を更に含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、デバイス処理ユニット又はコントローラは、1つ以上のパッド(例えば、伸縮可能なパッド)と関連付けられた電極若しくはセンサを通じて取得された心電図信号、心拍数信号、呼吸数信号、又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを採用するように構成される。
【0031】
当業者は、以下に説明される図面が例示目的のみのためであることを理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】例示的な実施形態による、歪み隔離されたセンサで構成された例示的なウェアラブル軟質バイオエレトロニックシステムデバイスを示す。
【
図2A】
図2A~
図2Jは、例示的な実施形態による、
図1の隔離されたセンサデバイス又はシステムにおける歪み隔離構造の例示的な構成を各々示す。
【
図2B】
図2A~
図2Jは、例示的な実施形態による、
図1の隔離されたセンサデバイス又はシステムにおける歪み隔離構造の例示的な構成を各々示す。
【
図2C】
図2A~
図2Jは、例示的な実施形態による、
図1の隔離されたセンサデバイス又はシステムにおける歪み隔離構造の例示的な構成を各々示す。
【
図2D】
図2A~
図2Jは、例示的な実施形態による、
図1の隔離されたセンサデバイス又はシステムにおける歪み隔離構造の例示的な構成を各々示す。
【
図2E】
図2A~
図2Jは、例示的な実施形態による、
図1の隔離されたセンサデバイス又はシステムにおける歪み隔離構造の例示的な構成を各々示す。
【
図2F】
図2A~
図2Jは、例示的な実施形態による、
図1の隔離されたセンサデバイス又はシステムにおける歪み隔離構造の例示的な構成を各々示す。
【
図2G】
図2A~
図2Jは、例示的な実施形態による、
図1の隔離されたセンサデバイス又はシステムにおける歪み隔離構造の例示的な構成を各々示す。
【
図2H】
図2A~
図2Jは、例示的な実施形態による、
図1の隔離されたセンサデバイス又はシステムにおける歪み隔離構造の例示的な構成を各々示す。
【
図2I】
図2A~
図2Jは、例示的な実施形態による、
図1の隔離されたセンサデバイス又はシステムにおける歪み隔離構造の例示的な構成を各々示す。
【
図2J】
図2A~
図2Jは、例示的な実施形態による、
図1の隔離されたセンサデバイス又はシステムにおける歪み隔離構造の例示的な構成を各々示す。
【
図3A】
図3A~
図3Eは、例示的な実施形態による歪みアイソレータ構成の例を各々提供する。
【
図3B】
図3A~
図3Eは、例示的な実施形態による歪みアイソレータ構成の例を各々提供する。
【
図3C】
図3A~
図3Eは、例示的な実施形態による歪みアイソレータ構成の例を各々提供する。
【
図3D】
図3A~
図3Eは、例示的な実施形態による歪みアイソレータ構成の例を各々提供する。
【
図3E】
図3A~
図3Eは、例示的な実施形態による歪みアイソレータ構成の例を各々提供する。
【
図4】例示的な実施形態による、歪み隔離されたセンサデバイス内で使用するための通気性基板を製作するための方法を示す。
【
図5A】例示的な実施形態による、
図1の隔離されたセンサデバイスのための例示的な製作方法を示す。
【
図5B】例示的な実施形態による、歪み隔離されたセンサデバイス内で使用され得る伸縮可能なセンサ電極又はパッドのための例示的な製作方法を示す。
【
図6a】
図6a~6bは、例示的な実施形態による、歪み隔離材料及び構造で構成された健康監視デバイスを開発及び評価するために行われた研究の概要を示す。
【
図6b】
図6a~6bは、例示的な実施形態による、歪み隔離材料及び構造で構成された健康監視デバイスを開発及び評価するために行われた研究の概要を示す。
【
図7a】
図7a~7bは、
図6a、
図6bの研究において行われた歪み隔離物理学及び計算モデル化のための分析的フレームワークを示す。
【
図7b】
図7a~7bは、
図6a、
図6bの研究において行われた歪み隔離物理学及び計算モデル化のための分析的フレームワークを示す。
【
図8】
図6a、
図6bの研究における、歪み隔離されたセンサシステムの信号処理及び分類性能の評価からの結果を示す。
【
図9】
図6a、
図6bの研究における、歪み隔離されたセンサシステムと、市販のセンサシステムとの間の比較研究の結果を示す。
【
図10】例えば、
図6a、
図6bの研究において評価された現実生活の活動中の生理学的信号を測定するための、歪み隔離されたセンサシステムの長期的な性能を示す。
【
図12】人の前腕に配置されたセンサデバイス上の粘着強度を測定するための実験装置を示す。
【
図13】ウェアラブルデバイスの運動アーチファクトの原因として歪みを識別した皮膚電極インピーダンス実験を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
様々な特許、特許出願、及び刊行物を含み得るいくつかの参考文献は、参考文献リストに引用され、本明細書に提供される開示の中で考察される。そのような参考文献の引用及び/又は考察は、本開示の説明を単にはっきりさせるために提供されるものであり、いずれのそのような文献も、本明細書で説明される本開示の任意の態様に対する「先行技術」であることを容認するものではない。表記に関しては、「[n]」は、リスト内の第n番目の参考文献に対応する。本明細書において引用及び考察される全ての参考文献は、各参考文献が参照により別々に組み込まれたかのように、それらの全体が参照により、かつ同じ範囲まで本明細書に組み込まれる。
【0034】
様々な特許、特許出願、及び刊行物を含み得るいくつかの参考文献は、参考文献リストに引用され、本明細書に提供される開示の中で考察される。そのような参考文献の引用及び/又は考察は、開示された技術の説明を単にはっきりさせるために提供されるものであり、いずれのそのような参考文献も、本明細書で説明される開示された技術の任意の態様に対する「先行技術」であることを容認するものではない。表記に関しては、「[n]」は、リスト内の第n番目の参考文献に対応する。例えば、[1]は、リスト内の第1番目の参考文献を指す。本明細書において引用及び考察される全ての参考文献は、各参考文献が参照により別々に組み込まれたかのように、それらの全体が参照により、かつ同じ範囲まで本明細書に組み込まれる。
【0035】
例示的なシステム
図1は、例示的な実施形態による、歪み隔離されたセンサ102(102aとして示される)で構成された例示的なウェアラブル軟質バイオエレトロニックシステムデバイス100を示している。この歪み隔離されたセンサ102は、1つ以上の低弾性率層106(少なくとも第1の低弾性率層106a、及び第2の低弾性率層106bを含めて示される)を有する可撓性基板104を含むか、又はそれから形成されており、可撓性基板104は、1つ以上のセンサパッド108(108a、108bとして示される)及び対応する歪みアイソレータ110(110a、110bとして示される)(歪み隔離構造とも称される)に固定可能に接続されている。
図1に示された例では、可撓性基板104は、第1の低弾性率層としてシリコーンエラストマーで、かつ第2の低弾性率層としてシリコーンゲルで作製することができ、第2の低弾性率層は、第1の低弾性率層よりも低い弾性率を有する。可撓性基板104は、人の皮膚に粘着するように構成された通気性軟質膜材料を含む接触部分(例えば、第2の低弾性率層106b)を含む。1つ以上のセンサパッド108(108a、108bとして示される)は、好ましくは、可撓性基板104に形成又は取り付けられて、(i)センサの電極としてか、又は(ii)皮膚に接触するか若しくは皮膚に近接することができる集積センサのための接続パッドとしてかのいずれかで機能する。パッド108に搭載されるように含まれ得る集積センサの非限定的な例としては、光センサ、フォトダイオード、静電容量、温度センサ、それらの組み合わせ、又は本明細書で説明される他のセンサが挙げられる。
【0036】
歪みアイソレータ110の位置は、それぞれのセンサパッド108の位置に対応することができる。歪みアイソレータ110は、形状加工されて、センサパッド(例えば、108a)の周りに外周部を形成する外のり寸法112を有することができる。センサパッド(例えば、108a)の周りに外周部114を形成することによって、歪みアイソレータ110は、皮膚歪み、及びパッドの移動又は滑りによって引き起こされるパッドインピーダンスの一時的な変化を防止又は低減することができる。その概念の解説図が、略
図116に示されている。略
図116において、センサ電極が、歪みアイソレータ114のないエラストマー上に形成されるように示されている。皮膚の一時的な伸縮、又は電極を有する皮膚の相対的な運動からの張力118(例えば、単軸方向の歪み)がエラストマー106’に適用されると、その結果として生じる変形もまた、センサ120上で観察される。対照的に、張力118が歪み隔離されたセンサ108(108’として示される)に適用されたときには、歪み隔離されたセンサ108’で観察される対応する張力又は伸縮は存在しない。
【0037】
プロット122は、市販の心電図(ECG)電極から取得された例示的な生物物理学的信号124’を示している。プロット126は、本明細書に記載されるような、歪みアイソレータセンサで構成された心電図電極から取得された生物物理学的な信号124を示している。プロット126において、同じ信号がより高い信号対雑音比(SNR)(9.62dBと比較して32.58dB)を有することと、プロット122における身体運動によって生成されたアーチファクト128が、より高い品質信号及びより高いSNRを提供するプロット126には存在しないことと、を観察することができる。
【0038】
可撓性基板104の低弾性率層106は、所定の配向に曲がる又は屈曲することができる単体構造を形成することができる。いくつかの実施形態では、可撓性基板104は、その上部領域とその下部領域との間に傾斜弾性率又は様々な弾性率を有する単一の低弾性率層を有することができる。他の実施形態では、可撓性基板104は、各々が異なる弾性率特性を有する複数の層で形成することができる。
【0039】
図1に示される例では、歪み隔離されたセンサ102(102a’として示される)は、第1の低弾性率層106aとして薄い低弾性率シリコーンエラストマー材料(例えば、1000μm未満の平均厚さを有する)で形成することができ、第2の低弾性率層106bは、20kPa未満の弾性率値を有する低弾性率シリコーンゲル材料で形成されている。実際、第1の低弾性率層106aの弾性率値は、第2の低弾性率層106bの弾性率値の少なくとも2倍である。
【0040】
いくつかの実施形態では、1つ以上のセンサパッド108は、アレイを形成することができる。このアレイは、歪みアイソレータ114の外周部内に別々に配置され得るか、又は複数のセンサパッドを有するアレイは、歪みアイソレータ114内に配置され得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、センサパッド108は、オープンメッシュの伸縮可能な電極又は伸縮可能なパッドとして構成される。このオープンメッシュの伸縮可能な電極又はパッドは、皮膚とセンサとの相互作用から適用される張力118に起因して、パッド構造に追加の張力又は歪みの緩和を提供する。
【0042】
例示的な隔離されたセンサシステム
隔離されたセンサ102は、ICコンポーネントを含む隔離されたセンサデバイスとして構成することができる。
図1の例では、隔離されたセンサ102aは、増幅器(例えば、トランスインピーダンス増幅器)、フィルタ、及び/又はアナログデジタルコンバータ(ADC)などのフロントエンド取得回路又はコンポーネント132(「コンポーネント」132’として示される)を搭載することができる可撓性プリント回路層130(「PCB」130’としても示される)で構成されている。その例では、隔離されたセンサ102aは、アナログデジタルコンバータ134、フィルタ136、及び増幅器138を含む。
【0043】
隔離されたセンサデバイス(例えば、102a’)は、コントローラ140、ネットワークインターフェース142(例えば、無線ネットワークインターフェース)、及び追加のセンサ144(例えば、1つ以上の慣性センサを含む慣性測定ユニット(IMU)144)を含む外部センサシステムに結合することができる。コントローラ140、ネットワークインターフェース142、及び/又は追加のセンサ144は、フロントエンド取得回路又はコンポーネント132と共に、可撓性プリント回路層130上に搭載することができる。センサシステム内に含まれ得る追加のセンサの非限定的な例としては、温度センサ、磁気ベースのセンサ、及び音響センサが挙げられる。
【0044】
いくつかの実施形態では、隔離されたセンサデバイス(例えば、102a’)は、上述したコンポーネントを含む集積センサシステムとして製作することができる。
図1に示された例では、センサシステムとしての隔離されたセンサデバイスは、コンポーネント132’の一部として、コントローラ140、ネットワークインターフェース142、及び/又は追加のセンサ144を含むことができる。
【0045】
例示的な歪み隔離構造
図2A~2Jは、例示的な実施形態による、
図1の隔離されたセンサデバイス又はシステムにおける歪み隔離構造の例示的な構成を各々示している。
【0046】
具体的には、
図2Aは、第1の低弾性率層106aと、センサパッド108(202として示される)を有する第2の低弾性率層106bと、を含む、例示的な歪み隔離されたセンサ102(200aとして示される)を示している。歪み隔離構造110(204として示される)は、第1の低弾性率層106aの最上部表面上に配置されている。
【0047】
図2Bは、
図2Aの第1の低弾性率層106a及び第2の低弾性率層106b、並びに歪み隔離された構造を含む、別の例示的な歪み隔離されたセンサ102(200bとして示される)を示している。第2の低弾性率層106bは、電極アレイ108(206として示される)を含む。
【0048】
図2Cは、
図2Aの第1の低弾性率層106a及び第2の低弾性率層106b、並びに歪み隔離された構造を含む、別の例示的な歪み隔離されたセンサ102(200cとして示される)を示している。第2の低弾性率層106bは、センサ(例えば、能動集積センサコンポーネント)をそれに結合した電極アレイ108(208として示される)を含む。能動集積センサコンポーネントの非限定的な例としては、発光ダイオード及びフォトダイオード、静電容量、並びに/又は温度センサが挙げられる。
【0049】
図2Dは、
図2Aの第1の低弾性率層106a及び第2の低弾性率層106b、並びに歪み隔離された構造を含む、別の例示的な歪み隔離されたセンサ102(200dとして示される)を示している。可撓性基板は、第3の低弾性率層212を更に含む。第2の低弾性率層106bは、電極アレイ108(202として示される)を含む。実際、可撓性基板は、追加の層を更に含むことができる。
【0050】
図2E及び2Fは、
図2Aの第1の低弾性率層106a及び第2の低弾性率層106b、並びに歪み隔離された構造を含む、別の例示的な歪み隔離されたセンサ102(それぞれ、200e及び200fとして示される)を各々示している。ここでは、歪み隔離構造110(214として示される)は、可撓性基板内に配置されている。
図2Eにおいて、歪み隔離構造110(214として示される)は、第1の低弾性率層106aの一部、及び第2の低弾性率層106bの一部の中に配置されている。
図2Fにおいて、歪み隔離構造110(216として示される)は、第2の低弾性率層106bの一部(例えば、第2の低弾性率層内の凹部)の中に配置されている。
【0051】
図2Dは、
図2Aの第1の低弾性率層106a及び第2の低弾性率層106b、並びに歪み隔離された構造を含む、別の例示的な歪み隔離されたセンサ102(200dとして示される)を示している。可撓性基板は、第3の低弾性率層212を更に含む。第2の低弾性率層106bは、電極アレイ108(202として示される)を含む。実際、可撓性基板は、追加の層を更に含むことができる。
【0052】
図2G及び2Hを参照すると、例示的な歪み隔離されたセンサ102の別のセット(それぞれ、200g及び200hとして示される)が示されており、それは、
図1のデバイス102a内に例示された、ただし、追加的に集積回路(「IC」)218を有するコンポーネントを各々含む。
図2Gにおいて、ICは、次いでセンサ200gに搭載される(可撓性、又は従来の)プリント回路基板220に搭載されている。
図2Gに示された例では、PCB220は、低弾性率エラストマー層130を介してセンサデバイス200gに搭載されている。
図2Hにおいて、ICは、低弾性率エラストマー層130に直接、例えば、接着剤を介して搭載されている。ICは、印刷可能な配線、例えば、導電性塗料を介して接続することができる。
図1に関連して説明されるように、IC(シリコン又はパッケージングされた)218は、コンポーネント132’の一部として、コントローラ140、ネットワークインターフェース142、及び/又は追加のセンサ144を含むことができる。
【0053】
図2Iは、
図2Hのデバイス102a内に例示されたコンポーネントを含むが、別のPCB回路222に接続された集積回路(「IC」)218を追加的に有する、別の例示的な歪み隔離されたセンサ102(200iとして示される)を示している。PCB回路222は、歪み隔離されたセンサデバイス102aからデバイス処理ユニット又はコントローラ(例えば、スマートウォッチ又は他のウェアラブルデバイスのための)に、測定信号データを提供するように構成され得る追加のICコンポーネント224(例えば、シリコン又はIC)を含む。IC224は、分析のローカル記憶装置若しくはリモート記憶装置内の心電図信号、心拍数信号、呼吸数信号、若しくはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを採用するように構成されるか、又は、例えば、PCB222に統合化されたディスプレイを介して表示するための、デバイス処理ユニット又はコントローラとすることができる。
【0054】
処理ユニットは、コンピューティングデバイスの動作のために必要な四則演算及び論理演算を行う標準的なプログラム可能プロセッサであってもよい。複数のプロセッサを採用することができる。本明細書で使用される場合、処理ユニット及びプロセッサは、入力に関する機能を実施し、かつ出力を作成するための符号化された命令を実行する物理的ハードウェアデバイスを指し、例えば、マイクロプロセッサ(MCU)、マイクロコントローラ、画像処理ユニット(GPU)、及び特定用途向け回路(ASIC)を含むが、これらに限定されない。したがって、命令は、プロセッサによって実行されるように考察され得るが、命令は、同時に、順次に実行されてもよく、又は別様では、1つ以上のプロセッサによって実行されてもよい。コンピューティングデバイスはまた、コンピューティングデバイスの様々なコンポーネント間で情報を通信するためのバス又は他の通信メカニズムを含むこともできる。
【0055】
上述した論理動作は、(1)コンピューティングシステム上で実行するコンピュータ実装された動作又はプログラムモジュールのシーケンスとして、かつ/又は(2)コンピューティングシステム内の相互接続された機械論理回路又は回路モジュールとして、実装することができることを理解されたい。この実施態様は、コンピューティングシステムの性能及び他の要件に依存する選択の問題である。したがって、本明細書で説明される論理演算は、状態演算、動作、又はモジュールと様々に称される。これらの演算、動作、及び/又はモジュールは、ソフトウェア、ファームウェア、専用デジタルロジック、ハードウェア、並びにそれらの任意の組み合わせで実装することができる。また、図に示され、かつ本明細書で説明されるものよりも多くの又は少ない演算が実施され得ることも理解されたい。これらの演算はまた、本明細書で説明される順序とは異なる順序で行うこともできる。
【0056】
1つ以上のプログラムは、例えば、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)、繰り返し使える制御などの使用を通じて、現在開示されている主題に関連して説明されたプロセスを実装又は利用することができる。そのようなプログラムは、高レベルの手続き型又はオブジェクト指向型のプログラミング言語に実装されて、コンピュータシステムと通信することができる。ただし、プログラムは、必要に応じて、アセンブリ言語又は機械語で実装することができる。いずれにしても、その言語は、コンパイラ型言語又はインタープリタ型言語であってもよく、ハードウェア実装と組み合わされてもよい。
【0057】
加えて、
図1~2Iを参照して例示及び説明されたコンポーネントのうちのいくつか又は全ては、カプセル化層(図示せず)にカプセル化することができる。
【0058】
歪み隔離されたセンサを有する例示的なスマートウォッチ
図2Jを参照すると、本開示の実施形態(例えば、
図1A~2Iを参照して説明される実施形態)は、コンポーネントのうちのいくつか又は全てがハウジングの内側にあるか、又はハウジングによって支持されるように、パッケージングすることができる。
図2Jに例示された例示的な実施形態200jでは、
図2Iを参照して例示及び説明されるコンポーネントは、ハウジング226内に位置決めされている。ハウジング226は、ストラップ(例えば、リストバンド)を含むことができるか、又はそれに接続するように適応することができる。
【0059】
ハウジング226はまた、PCB230上に搭載された1つ以上のディスプレイデバイス228(例えば、デジタル画面)を含むこともできる。ディスプレイPCB230は、コネクタ232及びスペーサ234を介してPCB222に接続することができる。このPCB222は、可撓性ケーブル236を通じて、ICコンポーネント218を介して、歪み隔離されたセンサデバイスに接続することができる。
図2Jに示された例では、歪み隔離されたセンサデバイス及びシステムは、着用可能で、可撓性のある、ハイブリッド電子システム(WFHE)として構成されている。
【0060】
スマートウォッチは、伸縮可能なパッドを通じて、光学測定、インピーダンス測定、静電容量測定、又は電位測定を含む測定を行うように構成することができる。
図2Jに示された例では、略
図240は、歪み隔離されたセンサ(例えば、102)で構成されたウェアラブルデバイス(例えば、200j)の動作を示している。略
図240に従って、歪み隔離されたセンサで製造されたPPGセンサ(例えば、LED及びフォトダイオード)又は電極(242として示される)のいずれかは、ローカルコントローラ246(「マイクロコントローラ」246として示される)に提供されている(加速度計244からの)加速度計信号と共に、生物物理学的信号を取得することができる。ローカルコントローラ246は、取得されたデータを前処理して、心拍数、ECG、及び/又は呼吸数測定値254、並びに活動監視256を決定及び表示するための処理動作252を実行している。心拍数測定値254は、運動アーチファクトの影響を受けていない取得された生物物理学的信号を使用して、決定することができる。本明細書で説明されるものを含む、様々な活動監視を使用することができる。
【0061】
実際、歪み隔離されたセンサは、通気性軟質膜の自然な粘着力を使用して、皮膚上のECG、HR、及びRRの、皮膚にやさしく、快適で、連続的な記録、並びに、例えば、機械学習アルゴリズムを介した様々な活動のリアルタイム分類を提供することができる。
【0062】
代替的な実施形態では、歪み隔離されたセンサデバイス及びシステムは、手首に装着された皮膚適合の、軟質材料を使用可能とするバイオエレクトロニックシステムとして構成することができる。例示的な説明は、Shinjae Kwonらによる「Skin-conformal,soft material-enabled bioelectronic system with minimized motion artifacts for reliable health and performance monitoring of athletes」、Biosensors and Bioelectronics 151(2020)に提供されており、それは、その全体が参照により組み込まれる。
【0063】
歪みアイソレータ構成の例
図3A~3Eは、歪みアイソレータ構成の例を提供している。
図3Aは、所与のセンサパッド108(308として示される)の例示的な歪みアイソレータ110(310として示される)、及びその関連する設計を示している。歪みアイソレータ構造の寸法及び厚さは、電極及び関連する材料の幾何学的形状を使用して画定することができる。
【0064】
図3B~3Eを参照すると、歪み隔離された構造の実施形態は、センサパッドとの異なる構成を含むことができる。実際、歪み隔離された構造は、異なる配向で、異なる形状で、かつ異なる割合を使用して、形成することができる。
図3Dでは、複数のセンサパッド、電極、センサ、又はそれらのアレイは、歪み隔離された構造によって取り囲まれ得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、第1の歪み隔離構造は、第1のパッドの第1のエリアを越えて延在する内のり寸法を有する。
【0066】
いくつかの実施形態では、第1のパッドは、第1の形状を有し、第1の歪み隔離構造は、第2の形状を有し、第1の伸縮可能なパッドの第1の形状は、第1の歪み隔離構造の第2の形状と同じである。
【0067】
いくつかの実施形態では、第1のパッドは、第1の形状を有し、第1の歪み隔離構造は、第2の形状を有し、第1のパッドの第1の形状は、第1の歪み隔離構造の第2の形状とは異なる。
【0068】
いくつかの実施形態では、第1のパッドは、正方形領域、長方形領域、円形領域、又は楕円形領域からなる群から選択される形状を有する。
【0069】
歪み隔離された構造のための例示的な構成
歪み隔離された構造は、デバイスの厚さ、材料、及びヤング率に基づいて設計することができる。この設計の例については、以下に提示される。
【0070】
材料の特性付け。一端に固定されたカンチレバー梁としてモデル化されたシートの場合、先端の力からのたわみは、式1に従って計算される。
【数1】
【0071】
式中、δは自由端のたわみであり、Pは力(320)であり、Lはビームの長さであり、Eはヤング率であり、Iは矩形ビーム(323)の慣性モーメントであり、I=bh
3/12である。この式から、弾性率は、式2に従って計算することができる。
【数2】
【0072】
式中、(P/δ)は、曲げ試験からの測定値であり、データの線形最小自乗法適合によって決定される。曲げ試験の例は、
図7a、
図7b、プロット760及び770に関連して説明される。例示的な弾性率Eは、1.22GPaである。
【0073】
歪み層の最適化。計算された弾性率E、及び主力学方程式を使用し、最小厚さ及び最大厚さを計算して、期待される平面外屈曲が皮膚との共形接触を維持することを可能にしながら、平面内歪みを最小化することができる。まず、中間部322の伸び値は、式3に従って、角柱梁としてモデル化されたシートについて計算することができる。
【数3】
【0074】
式中、Aは、長方形梁の断面積であり、Lは、歪み隔離された構造の内のり寸法である。2つの縁端部分は、式4に従って与えられる、点負荷、及び中央における最大たわみを有する支持梁としてモデル化することができる。
【数4】
【0075】
合わせて、中間部の伸び、及び縁端部の曲げは、歪み隔離された構造の外周部の内側の全歪みまで加算する。式2~4を組み合わせてhについて解くと、式5を得る。
【数5】
【0076】
式中、hminは、伸びをδallow未満に保つために必要な最小シート厚さである。内のり寸法Lの2%の歪みに基づいた、P=1N、L=21mm、E=1.22GPa、w=5.5mm、及びδallow=0.64mmの例示的な値は、hmin=14.2μmとなる。
【0077】
次に、シートの曲げ、及び粘着力(324)は、式6によって与えられる分散荷重を有する支持梁としてモデル化することができる。
【数6】
【0078】
式中、δ
maxは、梁の中心のたわみであり、qは、長さ当たりの分布した粘着力であり、Lは、梁の長さであり、Eは、ヤング率であり、Iは、長方形梁の慣性モーメントである。皮膚との共形接触を維持するために、粘着力は、所与のたわみに対する梁の剛性よりも大きくする必要がある。たわみ(324に従う)は、式7によって関係する幾何学的形状及び曲率半径を通じて決定することができる。
【数7】
【0079】
I、δmaxを代入し、hについて解くと、式8が得られる。
【数8】
【0080】
式中、h maxは、曲率半径rの周りに曲げられたときに、皮膚との共形接触を維持することが可能な最大シート厚さである。silbioneを用いた粘着試験に基づくq=18.32N/m、L=32mm、E=1.22GPa、b=11mm、及びr=15mmの例示的な値は、hmax=0.31mmとなる。
【0081】
皮膚歪みのモデル化。円形電極及び皮膚は、無歪み定常状態構成(326)にあり、皮膚は、延伸比λ
1、λ
2を有する2軸歪み(328)の下にある。電極と接触する皮膚の面積は、同じままである。皮膚が歪みを経験するときに、電極は、皮膚と共に移動するが、比較的歪みのないままである。この負荷シナリオは、初期に電極と接触している皮膚の一部分を、電極との接触から滑らせる。皮膚歪みが一定に保たれる場合、新しい定常状態が、現在の皮膚/電極界面で到達することができる。1つのMA源は、皮膚が電極に対して移動するときに生じるインピーダンス変化によって引き起こされる。皮膚/電極界面の感度は、皮膚/電極界面において接触する面積の変化によって定量化された。延伸比は、次式のように定義することができる。
【数9】
【0082】
式中、Lは、元の長さであり、δ
iは伸び、ε
iは、歪みである。式9を再整理すると、式10に従って、新しい長さを記述することができる。
【数10】
【0083】
2軸歪み328の略図から、延伸比がまた、式11に従って、新しい半分の長さを定義することを示すことができる。
【数11】
【0084】
面積の変化は、式12に従って、楕円の面積から円形電極の面積を引いたものを使用して計算することができる。
【数12】
【0085】
【0086】
メッシュ電極(330)は、半径r
1を有する小さい電極のN個の番号付きアレイとして、モデル化することができ、半径r
2を有する単一の電極に等しい総面積を有し、その関係は、式14によって与えられる。
【数14】
【0087】
したがって、面積の総変化は、所与の総電極面積について、別々の半径に関係なく、式15によって、歪みに正比例するように以下に示される。
【数15】
【0088】
例示的な通気性基板
図4は、例示的な実施形態による、歪み隔離されたセンサデバイスにおいて使用するための通気性基板を製作するための方法400を示している。方法400を使用して、針アレイを有するエポキシ鋳型を製作することができる。ステップ402において、アクリル板に孔をレーザカットする。ステップ404において、可撓性DragonSkin針にパターンを複製する。ステップ406において、可撓性DragonSkin孔を複製プロセスによって形成する。ステップ408において、エポキシ針アレイの最終的な鋳造鋳型を作成する。
【0089】
図4はまた、硬化及び取り外し後の完全なエポキシ針アレイ414及び通気性層416も例示している。実施形態は、電極を搭載するための滑らかな表面を含むことができる。エポキシ鋳型のCADモデル418のイラストもまた、針及び間隔寸法と共に、
図4に示されている。エポキシ鋳型(例えば、
図4に示されたCADモデル418のエポキシ鋳型)のセクション422のイラストは、針424の寸法及び間隔の非限定的な例を含む。
【0090】
図4に記載された通気性基板を製作する方法を使用して、使用中及び使用後の皮膚かぶれを最小化する基板を形成することができる。
図4のイラスト440は、例示的なデバイス444が取り外されている皮膚442を示しており、矢印446は、デバイス444の経路が皮膚442から剥がされているところを例示している。皮膚442は、最小限のかぶれを示しており、デバイスが通気性であることを示している。実際、この例示的なデバイスは、他の方法を使用して製作されたデバイスと比較して、強化された通気性を含むことができ、連続したデータが様々な日常活動中に記録されるのに好適であり得る。総じて、SISの例示的な実施形態は、既存のウェアラブルECG監視システムと比較して、歪み低減、及び実際に適用可能な健康データの連続記録における独自の性能を示している。
【0091】
隔離されたセンサデバイスの例示的な製作方法
図5Aは、例示的な実施形態による、
図1の隔離されたセンサデバイスのための例示的な製作方法500を例示している。
図5Aに示された例では、方法500は、エラストマー(例えば、8gのEcoflex00-30(Smooth-On))を調製すること(502)、エラストマーを容器(例えば、500μm厚のエラストマー膜を作成するためのポロスチレンペトリ皿)中に注ぐこと、及びそれを硬化させること(例えば、室温で5時間の間、Ecoflexを硬化させること)を含む。次いで、方法500は、エラストマーゲル(例えば、8gのsilbioneゲルA-4717(FactorII社))を調製すること(504)、Ecoflex上にそれを注ぐこと、それを(例えば、室温で24時間の間)硬化させること、及び適切なサイズに切断することを含む。次いで、方法500は、PCB層を製作すること(506)を含むことができる。エラストマーは、Ecoflexを上向きにして清潔な表面に反転することができ、silbioneゲルA-4717の薄膜を使用して回路を取り付けることができる。
【0092】
次いで、方法500は、歪み隔離層を取り付けること(508)を含むことができる(例えば、電極上に材料を直接取り付けることなく、Ecoflexの薄いカプセル化層を使用して)。次いで、方法500は、例えば、エラストマーを表面上に反転させることによって(例えば、silbione層を上向きにした状態で水平になるように、回路に切り欠きを有することによって)、電極を配置すること(510)を含むことができる。表面は、IPAで洗浄することができる。次いで、方法500は、(例えば、silbioneゲルA-4717の薄膜を使用して)回路ICを取り付けることを含むことができる。
【0093】
次いで、方法500は、(例えば、水溶性テープを使用し、かつ脱イオン水を用いて水溶性テーブルを除去することによって)可撓性電極をsilbioneに移すことを含むことができる。
【0094】
次いで、方法500は、可撓性導電性フィルム(ACF)(例えば、高速乾燥銀塗料(TedPella社))を使用して、可撓性電極を回路ICに接続することを含むことができる。次いで、方法500は、電池を取り付けること(514)を含む。次いで、方法500は、(例えば、Ecoflexを用いて)ACF接続の露出部分をカプセル化すること(516)を含む。
【0095】
伸縮可能なセンサ電極又はパッドの例示的な製作方法
図5Bは、例示的な実施形態による、歪み隔離されたセンサデバイス内で使用され得る、伸縮可能なセンサ電極又はパッドのための例示的な製作方法520を示している。
【0096】
図5Bの例では、方法520は、Siウェハを形成すること(又は提供すること)(522)を含む。次いで、方法520は、PDMSでウェハをスピンコーティングすること(524)を含む。次いで、方法520は、PDMS上にポリイミドをスピンコーティングすること(526)を含むことができる。次いで、方法520は、金層及びクロム層を堆積すること(528)を含むことができる。次いで、方法520は、PRパターン形成を行うこと(530)を含む。次いで、方法520は、金/クロムエッチングを行うこと(532)を含むことができる。次いで、方法520は、露出された回路上でPR及びスピンコーティングした(566)ポリイミドを除去することを含むことができる。次いで、方法520は、PRパターニング568を行い(538)、次いで、回路に対して露出された部分をエッチングすること(540)を含むことができる。次いで、方法520は、フォトレジストを除去すること(542)を含むことができる。
【0097】
実験結果及び例
図6a、
図6bは、歪み隔離材料及び構造で構成された健康監視デバイス(例えば、100)を開発及び評価するために実行された研究を示している。
【0098】
この研究は、新しいクラスの歪み隔離物理学、硬質軟質材料一体化、及び統合システムパッケージングを開発し、統合された、無線で長期的に使用可能な健康モニタを可能にした。研究は、分析的、計算的、及び実験的評価を通じて、開発された無線ウェアラブルECG電子システム(例えば、100)が、データを消失することなく、現実生活の連続的な日常活動中に、過度の運動アーチファクト(MA)を物理的に制限することができることを観察した。研究された歪み隔離された軟質バイオエレクトロニクス(SIS)は、通気性軟質膜を使用して、自然な粘着を提供し、その粘着は、皮膚上のECG、心拍数(HR)、及び呼吸数(RR)の、皮膚にやさしく、快適で、連続的な記録、並びに機械学習アルゴリズムを介して様々な活動のリアルタイム分類を提供することができる。
【0099】
研究は、実験的に、2つの生理学的信号監視市販無線デバイスに関して、歪み隔離された軟質バイオエレクトロニクスを評価した。研究は、共形の皮膚接触、強化された快適さ、及びMA効果を無視して高品質データを維持する際に、SISの並外れた性能を観察した。SISは、2つの市販無線デバイスと同時に試験されて、日常生活の様々な身体活動中にMA低減を示している。最後に、デバイスは、8時間を超える間、複数の参加者によって着用され、全ての参加者は、デスクワークから運動までの範囲にわたる様々な日常活動を行っている。
【0100】
図6a、
図6bでは、研究で採用されたSIS、構造レイアウト、歪み隔離力学、及びデバイス機能についての設計概要の要約が提供されている。一体型軟質知覚不能システム(
図6Aでは、100aとして示される)は、様々な日常活動全体を通して連続的な健康及び運動の監視のために胸部エリアに確実かつ離散的に粘着することができる、非常に小さいフォームファクタを有することができる。
【0101】
初期皮膚電極インピーダンス分析。まず、ウェアラブルデバイスのインピーダンス変化の原因を識別するために、皮膚電極インピーダンスを測定した系統的な実験研究が行われた。
図13は、ワイヤー1330の外乱、電極1332への直接的な圧力、及び電極周囲の皮膚1334への圧力のための試験装置を示している。プロット1340は、外乱の各カテゴリについてのインピーダンス変化のパーセンテージを示しており、このパーセンテージは、初期値を基準とする。プロット1350は、ゲル電極の場合の、測定されたインピーダンス対時間のプロットを示し、プロット1360は、乾燥電極1360の場合の、測定されたインピーダンス変化対時間のプロットを示している。インピーダンス試験は、100kHzで行われた。
【0102】
3つの候補(センサ接続ワイヤー、皮膚搭載電極、及び隣接皮膚)の間で、測定されたインピーダンスが、適用される歪みから電極までの最も顕著な外乱を経験したことが観察された。歪み隔離センサは、この発見に対処するために、部分的に開発された。
【0103】
歪み隔離デバイス。研究は、適用される歪みを低減するための、一対の歪みアイソレータを開発して、各電極上に歪みアイソレータを位置付けた。研究はまた、ECG、HR、及びRRなどの非侵襲的な生理学的信号を測定するために、皮膚と直接接触するための、一対のナノ膜メッシュ電極も開発した。研究は、故障なしで過度の引っ張り歪みに少なくとも100%まで耐えるように、開放メッシュで伸縮可能な電極を設計した。研究はまた、優れた粘着特性を提供してデバイスを皮膚に密着させるための極めて低い弾性率シリコーンゲル(例えば、E=5kPa)を有する下部層を有する健康監視デバイスを開発し、その中で、上部層は、丈夫なプラットフォームを提供して回路を搭載するための低弾性率シリコーンエラストマー(例えば、E=68.9kPa)を有し、デバイスを取り扱うのにより快適にさせ、かつ衣服への望ましくない貼り付きを防止する。
図6a、
図6bでは、研究されたデバイスは、610として示されている。
【0104】
研究されたデバイス610は、PCBがシリコーンエラストマーでカプセル化されている充電式リチウムイオン電池(3.7V、110mAh)を有する小型化PCBを含んだ。研究されたデバイスは、PCB基部からエラストマーを通って突き出た磁気接続を使用して、記録セッションの間に充電を行うように構成された。回路は、シリコーンゲルの薄い層の中央に搭載されて、皮膚剥離のない、より広い範囲の曲げを可能にした。研究デバイスは、各電極の上方に配置された歪みアイソレータを含み、電極上にエラストマーを直接露出させて皮膚電極界面での共形接触を自由に維持しながら、電極を取り囲んで過度な歪み又は突発的な歪みから電極を保護した。研究されたデバイス610は、胸部エリア上に配置されるように構成され、立位、歩行、走行、及び突然の腕の動きなどの様々な日常活動下で評価された。
【0105】
機械的特性研究されたデバイス610は、全ての必要なコンポーネントを有するように構成され、充電式電池は、機械的可撓性及び伸縮性を有する。パネル650は、上部胴体上の意図された適用部位の予想される変形を越えてねじられ、曲げられ、及び伸縮されることが可能である、研究されたデバイス610を示している。
【0106】
データ処理システム及びワークフロー略
図660は、歪み隔離されたセンサ610及びその対応するデータ取得システムのためのデータ処理ワークフローを示しており、そのデータ取得システムは、信号監視/記憶のための携帯型スマートデバイス662を含んだ。電極(例えば、「ナノ膜電極」664として示されるセンサパッド108)及びオンボード加速度計(「6軸加速度計」666として示される)からの測定データは、Bluetooth回路(668)を介して、生理学的信号のリアルタイム表示又は記録のための、ユーザのスマートフォン又はタブレット662に送信される。回路690は、研究されたデバイス(31mm×21mm)のレイアウトを示しており、これには、アンテナ、加速度計、Bluetoothマイクロコントローラ、電圧調整器、充電/電力管理回路、増幅器、ADC回路、及び電極入力が含まれる。
【0107】
携帯型スマートデバイス662は、リアルタイムECGデータ、3軸角度配向データ、及び3軸加速度を表示するように特別設計されたアプリケーションで構成された。研究中、ECG注釈及び長期健康データは、各セッションの終了時に計算された。
【0108】
性能の検証。
図7a、
図7bは、歪み隔離物理学及び計算モデル化のための分析フレームワークを示している。モデル702は、皮膚の一部、及び2軸歪みに影響を受ける単一の円形電極を示している。網掛け部分(強調するために誇張されている)は、伸縮前に以前に電極と接触しているヒトの皮膚を表している。モデル702は、面積変化(δA)が電極における局所歪みに正比例することを示している。歪みは、最終寸法(a、b)及び電極半径(r)から計算された延伸比(λ1、λ2)を定義する。これは、任意のサイズの電極に適用可能である。皮膚と共に伸縮することができるメッシュ電極もまた、各メッシュパッドでの歪みに比例する外乱の影響を受ける。モデル化の目的は、皮膚歪み、及び電極の移動又は滑りによって引き起こされる接触インピーダンスの一時的な変化を防ぐことである。
【0109】
有限要素解析。この分析は、延伸比、及び歪みと面積変化との間の比例関係を定量化した。有限要素解析(FEA)が行われ、結果は、伸縮されたヒトの皮膚を模倣するように垂直方向に適用された引っ張り歪み(15%)を有する結果出力712に示された。
【0110】
市販のソフトウェアABAQUSを使用して、分析計算を検証し、機械的性能を最適化した。考慮された3つの主なコンポーネントは、エラストマー基板、PCB回路、及び歪み隔離層であった。全てのコンポーネントは、六面体要素、すなわち、エラストマー(C3D8RH)、PCB回路(C3D8)、及び歪み隔離層(C3D8R)を使用してメッシュ化され、合計787個の要素及び合計1876個のノードを有した。エラストマー基板は、係数D1=10.152、C10=4.8E-02を有する超弾性Neo-Hooke材料として、モデル化された。弾性率(E)及びポアソン比(ν)は、EPCB=24GPa、νPCB=0.12、ESIL=1.22GPa、νSIL=0.43である。
【0111】
FEAの結果は、統合化されたSILなしで、下部電極が36%の歪みを経験し、一方、歪みアイソレータによって保護されている上部電極が3%の計算された歪みを有することを示した。結果はまた、各電極の接触面積の変化が歪みに比例することを示しており、これは、下部電極上のとても小さい各電極パッドを通って滑る皮膚の総面積が上部電極内で発生する変化の12倍を超える可能性があることを意味する。FEA結果から、歪みアイソレータが歪み及び接触面積において、より小さい変化を有することが明らかである。
【0112】
物理的実験。この研究は、歪みアイソレータが平面内歪みに耐えるのに十分な剛性を有し、同時にまた、非平坦なヒトの皮膚に対する共形積層のために、平面から外に曲げるのに十分な可撓性を有するはずであるとの仮説を立てた。ポリプロピレンのシートを使用して歪みアイソレータを製作する物理的実験が行われた。その歪みアイソレータのヤング率(E)は、曲げ試験を用いて、E=1.22GPAであった。プロット760は、力対変位の測定値を示しており、プロット770は、変換された力及びヤング率についての力対変位の測定値を示している。
【0113】
粘着試験。プロット720は、各試行についての、2つのサンプルの厚さ対曲げ半径からの粘着試験の結果を示している。プロット内のエリア722は、エラストマーの粘着エネルギーについての分析計算によって、上部で制限されている。その結果は、約0.3mmの(この材料の)許容最大歪みアイソレータ厚さが、15mmの想定された半径の周りに曲げられながら、粘着力を維持することが可能であることを示した。結果はまた、電極における歪みを低減することが可能になる最小厚さが約14μmであることを示した。歪みアイソレータパラメータを決定するための説明が、
図3Aに関連して考察される。
【0114】
図12は、人の前腕上に配置されたセンサデバイス(歪みアイソレータの有無にかかわらず)の粘着強度を測定するための実験装置1202を示している。プロット1204は、2つの試験される場合の粘着対変位の測定を示している。歪みアイソレータを有するセンサデバイスは、歪みアイソレータを有さないセンサデバイスについての0.1832N/cmの粘着強度と比較して、平均して(例えば、回路コンポーネントからの初期剛性が克服される場合の34mm~70mmである)0.2614N/cmの粘着強度を有することが観察された。
【0115】
主歪み及びミーゼス応力のシミュレーション
図7a、
図7bは、最大及び最小のSIL厚さの主歪み及びミーゼス応力の評価のための追加のFEA結果730を示している。歪みアイソレータデバイス(厚さ0.3mm)についての結果732は、SIL内での、電極における3%の歪み、及び4.9MPaの応力を示している。歪みアイソレータデバイス(厚さ14μm)についての結果734は、電極において21%の歪み、及び58MPaの内部応力の増加を示しており、その内部応力は、材料の降伏強度よりも高く、部分的な塑性変形をもたらす。研究は、この評価に従って、0.3mm厚さの歪みアイソレータを有するデバイス610を構築した。
【0116】
日常活動の評価。製作された歪み隔離されたセンサの性能を評価するために、この研究は、屋内コースで一連の短い再現可能な比較試験を行った。各試行(各3分長)は、一連の活動、すなわち、遊休(0mph)、歩行(2mph)、速歩(4mph)、ジョギング(6mph)、歩行(2mph)、及び遊休(0mph)について、30秒間隔で構成された。同じデバイスを、合計8つの試行について使用し、そのうちの4つは、歪みアイソレータが裸のエラストマー基板に搭載される前に行われ、4つの試行は、センサデバイスに統合化された歪みアイソレータを用いて行われた。プロット740は、代表的なデータを示している。歪み隔離されたセンサは、歪みアイソレータ構造を有さない裸のエラストマーケースと比較して、運動アーチファクトの明らかな低減を達成したことを観察することができる。
【0117】
プロット750は、全ての試行からの計算された信号対雑音比(SNR)を示している。遊休からジョギングまでの平均SNR低減は、歪み隔離デバイスについては30.3~22.0dBであったのに対し、歪み隔離されていないデバイスについては31.6~16.9dBであったことを観察することができる。
【0118】
信号処理及び分類性能。
図8は、研究における、歪み隔離されたセンサシステムの信号処理及び分類性能の評価からの結果を示している。この研究は、一対の電極、3軸加速器、及び3軸ジャイロスコープを含むセンサシステムを採用した。フローチャート802は、ECG注釈、HRデータ、RRデータ、及び活動分類を取り出すための信号処理動作を示している。取得された信号の例として、HRピーク発見(グラフ822に従って)、RRピーク検出(824)、HR及びRRの移動平均(826)、並びに3分試験ルーチンのための活動ラベル(遊休、歩行、速歩、及びジョギング)を有する加速度計データ(828)が示されている。
【0119】
フローチャート802に従って、生のECG信号は、最初に、0.5~30Hzのバンドパスフィルタを使用してフィルタリングされて、低周波数ベースラインドリフト移動、及び腕の運動によって引き起こされる胸部筋肉活動などの、高周波雑音を除去した。ピーク発見アルゴリズムを使用して、HRピーク発見グラフ822中にドットとして示されている、ECG波形のRピークとして知られる局所最大データ点を識別した。HRデータは、10秒ウィンドウを使用して平均化された。同時に、HRピークは、三次スプライン補間を使用して決定された。824の赤色の破線として示される、結果として得られた波形は、呼吸中の胸部の周期的な拡張及び収縮に起因し得、それは、各吸入によって、電極が互いから遠く離れて、かつ心臓から遠く離れて移動することを引き起こした。Rピーク振幅におけるこの変化は、別個のピーク発見アルゴリズムを用いて処理されて、RRピーク(RRピーク検出824内の黒い三角形)を識別することができ、それは、30秒ウィンドウを使用して平均化された。HR及びRRの移動平均(826)は、それぞれ、毎分の心拍数及び毎分の呼吸数の単位で3分間の試験ルーチン全体について表示された。
【0120】
別個に、加速度計データ828は、活動レベルを分類するために処理された。3軸線形加速度は、atotal=sqrt(ax
2+ay
2+az
2)を使用して、黒線として示される総線形加速度を計算するために使用され、これは、デバイスの配向とは無関係である、身体運動の一貫した測定を提供した。残留畳み込みニューラルネットワーク(CNN)に基づく機械学習アルゴリズムは、加速度計データにおける遊休(832)、歩行(834)、速歩(836)、及びジョギング(838)として表示されるユーザの活動を分類した。各カテゴリの合計時間は、日常の活動を追跡するために使用された。
【0121】
分類アルゴリズム。略
図840は、6軸加速度計/ジャイロスコープデータの分類のために使用される高レベルCNN構成を示している。グラフ850に示すように、12個の記録されたデータセットを使用してモデルを訓練し、ユーザのリアルタイム活動を認識するための、99.3%の全体的な精度を与えた。必要な層成分、残留接続、及び訓練試験プロセスを有する詳細なモデルが、
図11a、
図11b、
図11cに示されている。
【0122】
図11a、
図11b、
図11cは、
図8の分類アルゴリズムの詳細な例を示している。畳み込み層及び逆畳み込み層のセットを含むActivityResNetモデル1102が示されている。略
図1130は、ActivityResNetモデル1102の詳細な実施態様を示している。各個々の畳み込み層は、モデル1110内に示されている。試験損失及び訓練損失1120のグラフもまた、示されている。この研究は、一体型SISを含む実施形態が、コンピューティングデバイス(例えば、ユーザのスマートフォン)を使用することによって、複数の健康関連データを正常に測定することができることを観察した。平均HR又は活動スコアなどの、リアルタイムで利用可能な一次データは、患者又はスポーツ選手が日常の健康状態を評価するのに役立つことができる。それ以上に、生のデータへのアクセスにより、医療サービス提供者は、記録セッションが終了した後に行われるより深い分析を通じて、患者の生理学的状態についてはるかに多くのことを学習することが可能になる。CNN活動分類は、1人の参加者からのデータを使用して訓練され、各活動についてのベースラインスコアを保証する任意の参加者からのデータを分類するために使用することができる基準点を与えた。このモデルは、再訓練されて、個々の移動パターン、又は所望のフィットネス目標に適合させることができる。明らかに、胸部搭載されて歪み隔離されたセンサの利点は、それが、ECG、HR、RR、及び活動検出において、既存の手首着用可能な市販の健康モニタよりも正確であり得ることである。
【0123】
比較研究。この研究は、市販のデバイスと比較して、歪み隔離されたセンサの性能検証を行った。この研究は、胸部エリアでの同時ECG記録を介した、2つの市販の無線心臓モニタを利用した。
図9は、比較研究からの結果を示している。
【0124】
略
図902では、歪み隔離されたデバイス610は、胸部に配置される市販の一体型デバイス906(MAX-ECG Monitor,Maxim Integrated社)と一緒に示されている。両方のデバイスは、同様の実装面積を有するように観察されたが、市販の一体型デバイス906は、皮膚を胴絞めし、かつ皮膚から剥離するように観察することができる、布地で裏打ちされたより堅い粘着性ゲル電極パッチを含んでいた。パッチの全長にわたって経験された歪みは、回路が接続されている縁端部に集中するようになる可能性が高く、結果として、電極上で直接剥離(908)がもたらされる。この観察は、デバイスの残りの部分が、身体の動きに耐えることができる、皮膚への共形接触を有することを依然として可能にしながら、電極において特別に剛性が調整されるというSISの利点を強調する。
【0125】
プロット910は、比較のために規格化された平均遊休値を有する4つの同時試験からのSNR結果を示している。「遊休」及び「ジョギング」についての平均SNR低減は、市販のデバイスの場合には、それぞれ、25.7dB及び21.6dBであったが、歪み隔離デバイスの場合には、25.7dB及び12.1dBであった。これは、それらのそれぞれのベースライン遊休信号と比較したときに、市販のデバイスの場合には、53%であったのに対して、SISの場合には、16%の信号品質低減である。
【0126】
プロット920は、1回の試行からの、遊休、歩行、及びジョギングについての生のECGプロット(2秒)の比較を示している。その結果は、ユーザの活動レベルが増加するにつれて、市販のデバイスにおける運動アーチファクトが増加したことを示しているが、歪み隔離されたセンサの場合には、そうではない。
【0127】
プロット930は、2つのデバイスを用いた完全な運動セッション、すなわち、規格化されたECG波形(上)、取り出されたHR及びRR(中央)、並びに対応する活動を伴う加速度データ(下)を示している。
【0128】
プロット940は、被験者が一定の腕の動きを有したときの、歪み隔離デバイス及び市販デバイスからの測定されたECGデータの比較を示している。このプロットは、市販デバイスによる重大な運動アーチファクトを示している。
【0129】
ゲル電極を有する第2の市販の無線デバイス(BioRadio、Great Lakes NeuroTechnologies社)もまた評価した。以前の記事[23、30、36]によって説明されているように、吊り下げワイヤー及びゲル電極を有するBioRadioは、SNRの有意な低減、及びより多くの変動、並びにMA脆弱性を示した。
【0130】
長期的な性能評価。
図10は、例えば、休憩(1004)、デスクワーク(1006)、家事(1008)、及び運動(1010)を含む、現実生活の活動中の生理学的信号を測定するために、歪み隔離されたセンサシステムの長期的な性能を評価するための研究の結果を示している。
【0131】
プロット1022は、8時間連続した、生理学的データのリアルタイム連続記録の、記録されたECGデータの代表的なセットを示している。プロット1024は、同じ期間にわたって記録されたHR及びRRデータを示している。プロット1024は、同じ期間にわたって訓練された機械学習の分類出力を示している。運動アーチファクトの問題又は事象は、観察されなかった。
【0132】
プロット1040は、4つのタイプの活動に費やされた時間のパーセンテージの比較を示している。皮膚に対する長期的連続的な生理学的監視を容易にするために、歪み隔離デバイスは、連続的な皮膚電極間接触及び低インピーダンスのために構成された。デバイスはまた、通気性のある、長期的な、着用可能な、孔の空いた基板を採用することによって、記録セッション中に過剰な発汗を最小化するための空気透過性を最大化するようにも構成された。画像1050は、研究された歪み隔離デバイスの基板を示している。軟質エラストマー基板1052は、伸縮可能な通気孔のアレイを含む。画像1056は、孔の断面図を示している。
【0133】
考察
心臓血管病は、米国の成人人口の48%に影響を及ぼしており、世界的に最大の死因であり続けている[1]。日常活動中にいつでも起きる可能性がある様々な不整脈の発症を検出するために、ECGの携帯型で長期の連続的な監視が、緊急に必要とされている。ゴールド標準のホルターモニタよりも小さいフォームファクタを提供するために、多くの歩行ECGデバイスが開発されている。臨床環境の外で高品質データを収集することは、運動アーチファクトに起因して、高難度のままである。ここでは、ECG運動アーチファクト(MA)は、センサ、及び/又はセンサが配置されている身体の動きによって引き起こされる測定電圧の一時的な変化として定義される。例えば、歩行は、ステップ毎に、皮膚及びECGデバイス上に下向きの力を作り出し、これは、皮膚の一時的な伸縮、及び電極を有する皮膚の相対的な運動を引き起こす。これらの2つの障害を合わせると、それぞれ、皮膚の半電池電位、並びに電極との接触インピーダンスを変化させる[2]。測定電圧のこれらの一時的な変化は、心拍数と同じ振幅及び周波数を有し得[3]、それらを、多くの生理学的信号と区別することを困難にしている。ソフトウェアアルゴリズム及び信号フィルタリングは、一般に、信号品質を改善するために使用されるが、それらは、特に長期監視の場合、計算的に高価になる可能性があり、それらは、依然として、実際の生物信号の推定値しか提供しない[4-7]。フィルタリングはまた、二次的な改善方法として、任意の信号に対して行うことができるが、生のデータを改善することができない。別の解決策は、加圧された堅いストラップを使用して、皮膚上のデバイス移動を制限することである[8、9]。しかしながら、この方法は、ユーザの活動に深刻な不快感及び制限を引き起こす。ユーザがストラップ圧力を緩めると、センサは、皮膚との適切な接触を失い、結果として、信号劣化をもたらす。いくつかのデバイスは、導電性ゲルを使用してインピーダンスを低減するか、又は強力な粘着剤を使用して移動を低減するが、これは、しばしば、使用を延長した後に皮膚発疹を起こすか、又は除去されたときに皮膚を損傷させることさえある[10-14]。最近の研究は、皮膚上に穏やかな積層を作る、乾燥した、粘着剤のない電極の適用の可能性を示している[15-17]。しかしながら、これらは、依然として、複数のワイヤー、センサ及び電子機器の剛性、並びに皮膚上の電極移動によって引き起こされる過剰なMAの影響を受ける。乾燥電極は、歩く、手を伸ばす、及び他の日常活動を行う間の身体運動によって誘発される皮膚の歪み及び振動に、特に敏感である[4、18-20]。乾燥電極設計の1つの改善は、皮膚と共に伸縮することができる薄膜開放メッシュ電極の開発であった。以前の研究は、共形接触に起因する剛性電極と比較したメッシュ電極を使用して、ある程度のMAの低減を示した[21-25]。他の研究は、信号品質と電極接触面積との相関性を示した[25-27]。これにより、筆者らは、共形接触及び電極接触面積に変化をもたらすメカニズムに焦点を当てて、電極における皮膚歪みが乾燥電極のMAの主な原因であることを示した。最近報告されたデバイスは、軟質材料[28-32]又は曲がりくねったパターン[33-35]を使用しているが、以前の研究は、外部源からの皮膚電極歪みによって引き起こされるMAを大幅に低減するためのウェアラブルデバイスの能力を示していない。
【0134】
本開示の実施形態は、複数時間の現実生活の活動中に、MAを物理的に制限することができる、完全に統合化された無線長期使用可能システム(SIS)を含む。本開示の実施形態は、皮膚上の複数の生体電位の、皮膚にやさしく、快適で、連続的な記録を提供するための、自然な粘着力を含む通気性軟質膜を含むことができる。本明細書で説明される研究は、皮膚電極界面における歪み力学の詳細と共に、材料、機械的設計、及び軟質パッケージング方針を含む。加えて、この研究は、患者の移動中に過剰な皮膚の歪み及び振動から電極を同時に保護しながら、デバイスが皮膚への共形接触を維持するために必要な歪み隔離設計パラメータについて説明した。一組の計算的かつ実験的研究は、可撓性のある、かつ伸縮可能なデバイスの機械的信頼性を有効にする。信号処理ワークフローの実施形態もまた、開示及び説明され、ECG、心拍数(HR)、呼吸数(RR)、及び活動分類の監視を示している。本明細書で説明される研究では、SISは、2つの市販の無線デバイスと共に同時に試験されて、日常生活における様々な身体活動中のMA低減を示した。本明細書に記載される研究の一態様では、デバイスは、複数の参加者によって8時間超の間、着用された。8時間の期間中に、参加者は、デスクワークから運動までの範囲にわたる様々な日常活動を行った。本明細書に記載される研究では、軟質ウェアラブルSISの例示的な実施形態は、MAベースのデータを損失することなく、複数の生理学的データの高品質で連続的な無線検出の性能に優れていることを示した。
【0135】
これは、皮膚にやさしいデバイスを用いて高品質の生理学的データを記録するための、筆者らの以前の努力の継続である[15、23、30、36]。他のグループによって提示されたいくつかのデバイス設計は、硬質の粘着パッチ又は基布を使用して、電極での歪みを低減することをねらいとしているが[8、9]、それらは、結果として、デバイスの堅さ及び剛性の増加をもたらし、皮膚への共形電極接触、並びに一貫した信号品質を失う。これに対して、例示的な歪み隔離センサは、歪みアイソレータ統合化を介して電極への過剰な歪み伝達を制限しながら、軟質エラストマー膜を介して皮膚電極接触の品質を維持する。したがって、歪み隔離センサは、家庭又は臨床環境における現実生活の活動において、連続的で高品質な健康監視を提供することができる。
【0136】
本開示の例示的な実施形態は、いくつかの例で、本明細書に詳細に説明されているが、他の実施形態が想定されることを理解されたい。したがって、本開示は、以下の説明に記載されているか、又は図面に例示されている構成要素の構造及び配置の詳細に対するその範囲に限定されるべきであることを意図されない。本開示は、他の実施形態が可能であり、様々な方式で実践又は実行することが可能である。
【0137】
本明細書、及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明示的に別様に示さない限り、複数の参照物を含むことに留意する必要がある。本明細書では、範囲は、「約」若しくは「およそ5」というある特定の値から、かつ/又は「約」若しくは「およそ」という別の特定の値までのように表現され得る。そのような範囲が表現される場合、他の例示的な実施形態は、一方の特定の値及び/又は他方の特定の値を含む。
【0138】
「備える(comprising)」又は「含有する(containing)」又は「含む(including)」とは、少なくとも、名前の化合物、要素、粒子、又は方法ステップが、組成物又は物品又は方法に存在することを意味するが、他のそのような化合物、材料、粒子、方法ステップが、名前の付いたものと同じ機能を有する場合であっても、他の化合物、材料、粒子、方法ステップの存在を排除されるものではない。
【0139】
例示的な実施形態を説明する際に、専門用語が、明確さのために用いられるであろう。各用語は、当業者によって理解されるように、その用語の最も広い意味を想定し、同様の目的を達成するために同様の様式で動作する全ての技術的均等物を含むことが意図されている。また、方法の1つ以上のステップの言及は、明示的に識別されたそれらのステップの間に、追加の方法ステップ、又は介在する方法ステップの存在を排除するものではないことも理解されたい。方法のステップは、本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される順序と異なる順序で行われてもよい。同様に、デバイス又はシステム内の1つ以上のコンポーネントの言及は、明示的に識別されたそれらのコンポーネント間の追加のコンポーネント又は介在するコンポーネントの存在を排除するものではないことも理解されたい。
【0140】
本明細書で考察されるときに、「被験者」とは、任意の適用可能なヒト、動物、若しくは他の生物、生体若しくは死体、又は他の生物学的若しくは分子構造若しくは化学的環境であってもよく、被験者の特定の構成要素、例えば、被験者の特定の組織若しくは体液(例えば、生きている被験者の身体の特定のエリア内のヒト組織)に関連してもよく、これは、本明細書では「関心のエリア」又は「関心の領域」と称される、被験者の特定の場所にあってもよい。
【0141】
本明細書で考察されているように、被験者は、ヒト又は任意の動物であってもよいことを理解されたい。動物は、様々な任意の適用可能なタイプであってもよく、それには、哺乳動物、獣医動物、家畜動物、又はペットタイプの動物などが含まれるが、これらに限定されないことを理解されたい。一例として、動物は、ヒトと同様の特定の特性を有するように、具体的に選択された実験動物(例えば、ラット、イヌ、ブタ、サル)等であってもよい。被験者は、例えば、任意の適用可能なヒト患者であってもよいことを理解されたい。
【0142】
「約」という用語は、本明細書で使用される場合、およそ、その領域内、おおまかに、又はその周辺であることを意味する。「約」という用語が数値範囲と共に使用される場合、それは、記載された数値の上及び下の境界を拡張することによってその範囲を修正する。一般に、「約」という用語は、本明細書では、数値を、記述された値を上及び下に10%の変動で修正するために使用される。一態様では、「約」という用語は、その用語が使用される数の数値の±10%を意味する。したがって、約50%は、45%~55%の範囲内であることを意味する。端点によって本明細書で列挙された数値範囲は、その範囲内に包含される全ての数及び端数を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.90、4、4.24、及び5を含む)。
【0143】
同様に、端点によって本明細書で列挙された数値範囲は、その範囲内に包含される部分範囲を含む(例えば、1~5は、1~1.5、1.5~2、2~2.75、2.75~3、3~3.90、3.90~4、4~4.24、4.24~5、2~5、3~5、1~4、及び2~4を含む)。また、全ての数及びその端数は、「約」という用語によって修正されると推定されることを理解されたい。
【0144】
以下に列挙される、また本明細書全体にわたる以下の特許、出願、及び刊行物は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
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【国際調査報告】