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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】溶液相単一分子捕捉及び関連技術
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/68 20180101AFI20240528BHJP
   C12Q 1/6834 20180101ALI20240528BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20240528BHJP
   G01N 33/536 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
C12Q1/68
C12Q1/6834 Z
C12N15/09 200
G01N33/536 D
G01N33/536 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572982
(86)(22)【出願日】2022-05-26
(85)【翻訳文提出日】2023-11-24
(86)【国際出願番号】 US2022031155
(87)【国際公開番号】W WO2022251514
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】63/194,005
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/249,367
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】505373306
【氏名又は名称】ソマロジック オペレーティング カンパニー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100137626
【弁理士】
【氏名又は名称】田代 玄
(72)【発明者】
【氏名】ゴピナート アシュウィン
(72)【発明者】
【氏名】ロゼムンド ポール
(72)【発明者】
【氏名】シェティ リシャブ
(72)【発明者】
【氏名】ボーウェン シェーン
(72)【発明者】
【氏名】ガリミディ レイチェル
(72)【発明者】
【氏名】ユアン ダジュン
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA18
4B063QQ41
4B063QQ61
4B063QQ79
4B063QQ89
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR48
4B063QS24
4B063QS33
4B063QS34
4B063QX02
4B063QX04
(57)【要約】
本明細書では、試料中に存在する1つ以上の分析物分子を検出するための構造及び方法が提供される。いくつかの実施形態では、1つ以上の分析物分子は、溶液中で超分子構造を有する複合体を形成する。複合体の超分子構造は、アレイの結合部位への分析物分子の結合が超分子構造の1つ以上の特徴を介して検出可能であるように検出可能であり得る。アレイの結合部位は、検出を容易にするために結合複合体を捕捉するための捕捉分子を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中に存在する分析物分子を検出するための方法であって、
分析物分子を含む試料を提供することと、
前記試料を溶液中の超分子構造のプールと接触させて分析物分子-超分子構造複合体を形成することであって、個々の分析物分子-超分子構造複合体が、
複数のコア分子を含むコア構造、
前記コア構造に結合した親和性結合剤、及び
前記親和性結合剤に結合した前記分析物分子の分析物分子を含み、
超分子構造の前記プールの異なる超分子構造が、前記分析物分子の他の分析物分子に対して異なる結合親和性を有する異なる親和性結合剤を含む、前記形成することと、
前記分析物分子-超分子構造複合体をアレイと接触させることであって、前記アレイの結合部位が、異なる分析物分子に対する結合親和性を有するそれぞれの固定化親和性結合剤を含む、前記接触させることと、
前記分析物分子-超分子構造複合体の前記アレイの結合部位への結合を検出することと、
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記アレイの前記個々の結合部位に結合した前記個々の分析物分子-超分子構造の前記個々の分析物分子を同定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記同定することが、前記超分子構造から検出可能なシグナルを生成すること、及び前記検出可能なシグナルを前記個々の結合部位と関連付けることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記検出可能なシグナルが、前記個々の結合部位における前記個々の分析物分子-超分子構造の存在を示す光学的、磁気的または電気的シグナルである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記同定することが、前記超分子構造の開始剤を増幅すること、及び前記増幅を検出することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記開始剤が核酸である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記同定することが、前記個々の結合部位に固定化された開始剤を増幅すること、及び前記増幅を検出することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記開始剤が核酸である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記親和性結合剤及び前記固定化親和性結合剤が、抗体分子または抗体分子の一部である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
個々の結合部位における固定化親和性結合剤への前記分析物分子-超分子構造の結合が、前記分析物分子の第1の部分への前記超分子構造の前記親和性結合剤の結合及び前記分析物分子の第2の部分への前記固定化親和性結合剤の結合を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記固定化親和性結合剤が、核酸捕捉分子を介して各個々の結合部位に連結される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
各個々の結合部位が複数の核酸捕捉分子を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
個々の結合部位における前記複数の核酸捕捉分子が全て同じ核酸配列を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の核酸捕捉分子が、固定化超分子構造に結合される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
各個々の結合部位が、全て前記分析物分子の同じ分析物分子に対する親和性を有する複数の固定化親和性結合剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
各結合部位が20~500ナノメートルの直径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記プールの各超分子構造がナノ構造である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
各コア構造がナノ構造である、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記プールの各超分子構造が、所定の形状に配置され、及び/または所定の分子量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記試料を前記アレイと接触させた後、前記アレイの結合部位に結合していない分析物分子-超分子構造を除去することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記分析物分子が、タンパク質、ペプチド、ペプチド断片、脂質、DNA、RNA、有機分子、無機分子、その複合体、またはその任意の組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
試料中に存在する分析物分子を検出するための方法であって、
超分子構造のアレイを提供することであって、各個々の超分子構造が基板のそれぞれの結合部位に固定化されており、前記アレイの個々の超分子構造が、
複数のコア分子を含むコア構造、及び
前記コア構造に連結された複数の核酸捕捉分子であって、前記核酸捕捉分子は、それぞれ、前記アレイの他の超分子構造の識別配列と区別可能な同じ識別配列を含む、前記複数の核酸捕捉分子を含む、前記提供することと、
前記アレイを、異なる識別配列に対する結合特異性を有する一本鎖核酸タグに連結された親和性結合剤のプールと接触させて、各結合部位が前記親和性結合剤のプールの異なるサブセットを含むように、異なる前記親和性結合剤を前記アレイの異なる結合部位に結合させることと、
前記分析物分子が前記親和性結合剤のプールの個々の親和性結合剤に結合するように前記試料を前記アレイと接触させることであって、前記分析物分子が超分子構造検出アセンブリと複合体化されている、前記接触させることと、
前記個々の結合部位への前記分析物分子の結合を検出することと、
を含む、前記方法。
【請求項23】
前記超分子構造検出アセンブリが、各結合部位にただ1つの分析物分子が結合し得るようなサイズである、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記核酸捕捉分子が一本鎖である、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記超分子構造検出アセンブリが、前記分析物分子に結合して複合体を形成する親和性結合剤に結合される、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記超分子構造検出アセンブリが、前記分析物分子に結合して複合体を形成する単一の親和性結合剤のみを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
試料中に存在する分析物分子を検出するための方法であって、
アレイの個々の結合部位が、前記アレイの異なる結合部位に固定化された他の一本鎖オリゴヌクレオチドの配列と識別可能な同じ配列を含む複数の一本鎖オリゴヌクレオチドを含むように、前記アレイに固定化された一本鎖オリゴヌクレオチドを含む前記アレイを提供することと、
前記アレイを親和性結合剤のプールと接触させて、前記固定化一本鎖オリゴヌクレオチドに前記アレイの結合部位で前記親和性結合剤のサブセットを捕捉させることであって、前記捕捉された親和性結合剤がそれぞれの結合部位に固定化された捕捉分子を形成するようにする、前記捕捉させることと、
前記分析物分子が前記個々の結合部位で個々の捕捉分子に結合するように、前記試料を前記アレイと接触させることであって、前記分析物分子が超分子構造検出アセンブリと複合体化されている、前記接触させることと、
前記個々の結合部位への前記分析物分子の結合を検出することと、
を含む、前記方法。
【請求項28】
前記一本鎖オリゴヌクレオチドが前記アレイ上にプリントされる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記アレイの各結合部位がウェルを含み、前記一本鎖核酸が前記ウェル内に位置するビーズ上に固定化される、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
各結合部位における前記親和性結合剤の前記サブセットが、複数の親和性結合剤を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記一本鎖オリゴヌクレオチドを固定化することが、前記個々の結合部位でローリングサークル増幅生成物を捕捉することであって、前記ローリングサークル増幅生成物が複数の相補的プローブを含む、前記捕捉すること、及び前記複数の相補的プローブを結合部位に固定することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記一本鎖オリゴヌクレオチドを固定化することが、前記個々の結合部位で官能化ナノ粒子を捕捉することであって、前記官能化ナノ粒子が複数の二本鎖核酸を含む、前記捕捉すること、及び前記二本鎖核酸の鎖を前記個々の結合部位に固定することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
試料中に存在する分析物分子を検出するための方法であって、
ナノボールまたは官能化ナノ構造を形成することであって、前記ナノボールまたは官能化ナノ構造体が、
複数の個々のオリゴヌクレオチドであって、前記複数のオリゴヌクレオチドのそれぞれが化学的部分に連結されており、各オリゴヌクレオチドが前記ナノボールまたは官能化ナノ構造体の相補的核酸に結合している、前記複数の個々のオリゴヌクレオチドを含む、前記形成することと、
複数の活性部位を含むパターン化アレイを提供することと、
前記ナノボールまたは官能化ナノ構造体を前記パターン化アレイと共にインキュベートして、個々の活性部位の活性基を前記複数の個々のオリゴヌクレオチドの化学的部分に共有結合させて、前記個々のナノボールまたは官能化ナノ構造体を前記個々の活性部位に結合させることと、
前記ナノボールまたは官能化ナノ構造の前記相補的核酸から前記複数の個々のオリゴヌクレオチドを変性させることと、
前記個々の結合部位に固定化された前記複数の個々のオリゴヌクレオチドを残すように前記アレイから前記ナノボールまたは官能化ナノ構造体を洗浄することであって、前記複数の個々のオリゴヌクレオチドが一本鎖である、前記洗浄することと、
前記アレイを親和性結合剤のプールと接触させて、前記固定化された複数の個々のオリゴヌクレオチドに、前記個々の結合部位で前記親和性結合剤のサブセットを捕捉させることと、
を含む、前記方法。
【請求項34】
前記ナノボールを形成することが、ローリングサークル増幅生成物を生成することを含み、前記ローリングサークル増幅生成物が前記複数の個々のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズしている、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記官能化ナノ粒子を形成することが、複数の一本鎖核酸をナノ粒子に共有結合させること、及び前記共有結合された一本鎖核酸に前記複数の個々のオリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせることを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
試料中に存在する分析物分子を検出するための方法であって、
分析物分子を含む試料を提供することと、
前記試料を溶液中の超分子構造のプールと接触させて分析物分子-超分子構造複合体を形成することであって、個々の分析物分子-超分子構造複合体が、
複数のコア分子を含むコア構造、
前記コア構造に結合した親和性結合剤、
試料固有のバーコード、及び
前記親和性結合剤に結合した前記分析物分子の分析物分子を含み、
超分子構造の前記プールの異なる超分子構造が、前記分析物分子の他の分析物分子に対して異なる結合親和性を有する異なる親和性結合剤を含む、前記形成することと、
前記分析物分子-超分子構造複合体を他の分析物分子-超分子構造複合体とプール化することであって、前記他の分析物分子-超分子構造複合体が、それぞれ異なる試料特異的バーコードに関連する、前記プール化することと、
前記プール化分析物分子-超分子構造複合体をアレイと接触させることであって、前記アレイの結合部位が、異なる分析物分子に対する結合親和性を有するそれぞれの固定化親和性結合剤を含む、前記接触させることと、
前記分析物分子-超分子構造複合体の前記アレイの結合部位への結合を検出することと、
前記検出された結合を前記試料特異的バーコードと関連付けることと、
を含む、前記方法。
【請求項37】
分析物検出用のアレイであって、
基板上にパターン化され、前記基板の間隙表面によって分離された複数の結合部位であって、各結合部位がウェルを含み、前記ウェルの少なくとも1つの表面が第1の化学基を含み、前記間隙表面が第2の化学基を含む、前記複数の結合部位と、
前記結合部位の各々にロードされたビーズであって、前記第1の化学基が前記ビーズに選択的に結合し、前記第2の化学基が前記ビーズと相互作用しないかまたは結合せず、各ビーズが、
前記アレイの個々の結合部位が、前記アレイの異なる結合部位に固定化された他の一本鎖オリゴヌクレオチドの配列と識別可能な同じ配列を含む複数の一本鎖オリゴヌクレオチドを含むように、各ビーズに固定化された複数の一本鎖オリゴヌクレオチドを含む、前記ビーズと、
捕捉された親和性結合剤がそれぞれの結合部位に固定化された捕捉分子を形成するように、前記アレイの結合部位で捕捉される前記親和性結合剤と、
前記個々の結合部位で個々の捕捉分子に結合した分析物分子と、を含み、各分析物分子が超分子構造検出アセンブリと複合体を形成する、
前記アレイ。
【請求項38】
試料中に存在する分析物分子を検出するための方法であって、
複数の超分子構造を提供することであって、各超分子構造が、
複数のコア分子を含むコア構造、
抗原に対する結合親和性を有し、核酸捕捉鎖に結合された抗体、及び
前記核酸捕捉鎖に対する相補鎖であって、前記相補鎖が前記コア構造に連結され、前記核酸捕捉鎖と二重鎖構造を形成して前記抗体を前記コア構造に結合させ、前記複数の超分子構造が、それぞれ異なる結合親和性を有する互いに異なる抗体を含む、前記相補鎖を含む、前記提供することと、
前記抗原が前記抗体に結合して複合体を形成するように、前記複数の超分子構造を前記抗原を含む試料と接触させることと、
前記複合体を、前記抗原に対する結合特異性を有する捕捉抗体を担持するビーズと接触させてサンドイッチ構造を形成することと、
前記核酸捕捉鎖を、置換鎖を使用して前記相補鎖から置換し、前記コア構造を溶液中に放出させることであって、前記放出されたコア構造が前記抗体に結合していない、前記放出させることと、
前記コア構造を検出することと、
を含む、前記方法。
【請求項39】
前記コア構造が、核酸から形成されたボックスオリガミである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記ボックスオリガミが、特定の波長で蛍光を発する複数のフルオロフォアに結合され、前記コア構造を検出することが、前記特定の波長で蛍光を検出することを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記捕捉鎖が、前記相補鎖に結合しないが、前記置換鎖に結合する足がかり領域を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記相補鎖が、前記捕捉鎖に結合しないが、前記置換鎖に結合する足がかり領域を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記検出の前に、前記放出されたコア構造から前記サンドイッチ構造の残りの部分を分離することを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項44】
前記置換の前に、前記抗原に結合していない前記複数の超分子構造を分離することを含む、請求項43に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年5月27日に出願された米国仮出願第63/194,005号及び2021年9月28日に出願された米国仮出願第63/249,367号の優先権を主張し、それらの開示は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
個別化医療の現在の状態は、圧倒的にゲノム中心であり、主に個体内に存在する遺伝子の定量化に焦点を当てている。そのようなアプローチは非常に強力であることが証明されているが、臨床医に個人の健康の完全な像を提供するものではない。遺伝子は個体の「青写真」であり、病気を発症する可能性を知らせるだけであるからである。個体内では、これらの「青写真」は、個体の健康に影響を及ぼすために、最初にRNAに転写され、次いで細胞内の様々なタンパク質分子「アクター」に翻訳される必要がある。
【0003】
タンパク質の濃度、タンパク質間の相互作用(タンパク質-タンパク質相互作用またはPPI)、ならびにタンパク質と他の分子との間の相互作用は、異なる器官の健康、恒常性調節機構、ならびにこれらのシステムと外部環境との相互作用に複雑に関連している。したがって、タンパク質及びPPIなどのタンパク質相互作用に関する定量的情報は、所与の時点における個人の健康の完全な像を作成するために、ならびにあらゆる新興の健康問題を予測するために不可欠である。これらのタンパク質間の存在及び相互作用もまた、薬物開発に不可欠であり、個々のプロテオーム及び環境または他の全身事象に応答したプロテオームへの変化を捕捉するための非常に求められているデータセットになりつつある。所与の試料内のタンパク質及び他の分子とのタンパク質相互作用を検出及び定量する能力は、そのようなヘルスケア開発の不可欠な構成要素である。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、一般的に、試料中の分析物分子の検出及び定量のためのシステム、構造及び方法に関する。
【0005】
いくつかの実施形態では、試料中に存在する分析物分子を検出するための溶液ベースの技術が本明細書で提供される。この技術は、溶液中の分析物がそれぞれの超分子構造によって捕捉されるか、そうでなければそれぞれの超分子構造と関連付けられる試料調製ステップを含む。例えば、一実施形態では、個々の分析物(例えば、タンパク質分子)は、超分子構造の親和性結合剤によって捕捉される。捕捉されると、分析物-超分子構造複合体は、検出システムの一部として基板上で検出することができ、それにより、基板の個々の結合部位は、目的の分析物に対する親和性結合剤を担持する。分析物-超分子構造複合体の結合部位での結合は、結合部位親和性結合剤及び超分子構造親和性結合剤が個々の分析物分子上の異なる位置に結合するサンドイッチ型配置であり得る。したがって、特定の結合部位で検出されたシグナルは、試料中の目的の特定の分析物の存在と関連付けることができる。複合体の超分子構造は、1)個々の超分子構造の関連する親和性結合剤を同定するためのタグまたはバーコード(例えば、固有のバーコード配列を有する核酸)、2)検出システムにおける結合と相関させることができる検出可能なシグナルを提供するための検出可能な開始剤、及び3)基板の結合部位での分子の単一分子結合または低平均化を促進する、例えば、同じ結合部位での他の分子の結合を立体的に妨害または立体的に閉塞する分析物に結合した物理的足場のうちの1つまたは複数を提供することができる。
【0006】
サイズ排除超分子構造は、溶液中の分析物と複合体化し、複合体化した分析物を検出するための基質を調製する際により大きな柔軟性をもたらす。製造が複雑である各結合部位に関連する単一の親和性結合剤を有するように設計されたシステムとは対照的に、開示された技術は、各結合部位に複数の固定化された親和性結合剤を含む、より許容性の高い結合部位調製物と共に機能する。したがって、超分子構造は、単一分子結合実体であり得るが、基質は、各結合部位での多分子結合を可能にするように配置され得る。空間が各部位での結合を制限する超分子構造によって促進される、各結合部位での少数または単一分子結合の性質は、単一の検出プラットフォームでの複数のタンパク質相互作用のハイスループット並列特性評価を可能にする。さらに、溶液ベースの試料調製は、基板ベースの試料調製と比較してより合理化されている。
【0007】
本明細書に提供されるように、試料中に存在する分析物分子を検出するための方法は、分析物分子を含む試料を提供することと、試料を溶液中の超分子構造のプールと接触させて分析物分子-超分子構造複合体を形成することとを含むことができる。超分子構造は、複数のコア分子と、コア構造に結合した親和性結合剤とを含むコア構造を含むことができる。個々の分析物分子-超分子構造複合体は、複数のコア分子を含むコア構造:前記コア構造に結合した親和性結合剤;及び前記親和性結合剤に結合した分析物分子の分析物分子を含んでいてもよく、前記超分子構造のプールの異なる超分子構造は、前記分析物分子の他の分析物分子に対する異なる結合親和性を有する異なる親和性結合剤を含む。この方法はまた、分析物分子-超分子構造複合体をアレイと接触させることを含み、アレイの結合部位は、異なる分析物分子に対する結合親和性を有するそれぞれの固定化された親和性結合剤を含み、そして、前記分析物分子-超分子構造複合体の前記アレイの結合部位への結合を検出することを含む。
【0008】
本明細書で提供されるように、試料中に存在する分析物分子を検出するための方法は、超分子構造のアレイを提供することを含むことができ、各個々の超分子構造は、基板のそれぞれの結合部位に固定化される。アレイの個々の超分子構造は、複数のコア分子を含むコア構造;及び前記コア構造に連結された複数の核酸捕捉分子を含み、核酸捕捉分子はそれぞれ、アレイの他の超分子構造の識別配列と区別可能な同じ識別配列を含む。この方法は、アレイを、異なる識別配列に対する結合特異性を有する一本鎖核酸タグに連結された親和性結合剤のプールと接触させて、各結合部位が親和性結合剤のプールの異なるサブセットを含むように、異なる親和性結合剤をアレイの異なる結合部位に結合させることを含む。この方法はまた、分析物分子が親和性結合剤のプールの個々の親和性結合剤に結合するように試料をアレイと接触させることであって、分析物分子が超分子構造検出アセンブリと複合体を形成する、接触させること、及び個々の結合部位への分析物分子の結合を検出することを含む。
【0009】
本明細書で提供されるように、試料中に存在する分析物分子を検出するための方法は、アレイの個々の結合部位が、アレイの異なる結合部位に固定化された他の一本鎖核酸の配列と区別可能な同じ配列を含む複数の一本鎖核酸を含むように、アレイに固定化された一本鎖核酸を含むアレイを提供することを含み得る。この方法は、アレイを親和性結合剤のプールと接触させて、固定化された一本鎖オリゴヌクレオチドにアレイの結合部位で親和性結合剤のサブセットを捕捉させ、捕捉された親和性結合剤がそれぞれの結合部位に固定化された捕捉分子を形成するようにすること、及び試料をアレイと接触させて、分析物分子が個々の捕捉分子に結合するようにすることを含み、分析物分子は超分子構造検出アセンブリと複合体化される。この方法はまた、個々の結合部位への分析物分子の結合を検出することを含む。
【0010】
本明細書で提供されるように、試料中に存在する分析物分子を検出するための方法は、ナノボールまたは官能化ナノ構造を形成することを含むことができる。ナノボールまたは官能化ナノ構造は、複数の個々のオリゴヌクレオチドを含み、複数のオリゴヌクレオチドの各々は化学的部分に結合しており、各オリゴヌクレオチドはナノボールまたは官能化ナノ構造体の相補的核酸に結合している。本方法は、複数の活性部位を含むパターン化アレイを提供すること;ナノボールまたは官能化ナノ構造をパターン化アレイと共にインキュベートして、個々の活性部位の活性基を複数の個々のオリゴヌクレオチドの化学部分に共有結合させて、個々のナノボールまたは官能化ナノ構造を個々の活性部位に結合させること;ナノボールまたは官能化ナノ構造体の相補的核酸から複数の個々のオリゴヌクレオチドを変性させること;個々の結合部位に固定化された複数の個々のオリゴヌクレオチドを残すようにアレイから前記ナノボールまたは官能化ナノ構造を洗浄することであって、複数の個々のオリゴヌクレオチドが一本鎖である、洗浄すること;及びアレイを親和性結合剤のプールと接触させて、固定化された複数の個々のオリゴヌクレオチドに、個々の結合部位で前記親和性結合剤のサブセットを捕捉させることを含む。
【0011】
本明細書に提供されるように、試料中に存在する分析物分子を検出するための方法は、分析物分子を含む試料を提供することと、試料を溶液中の超分子構造のプールと接触させて分析物分子-超分子構造複合体を形成することとを含むことができる。個々の分析物分子-超分子構造複合体は、複数のコア分子を含むコア構造:コア構造に結合した親和性結合剤;及び親和性結合剤に結合した分析物分子の分析物分子試料特異的バーコードを含み、前記超分子構造のプールの異なる超分子構造は、前記分析物分子の他の分析物分子に対する異なる結合親和性を有する異なる親和性結合剤を含む。この方法は、分析物分子-超分子構造複合体を他の分析物分子-超分子構造複合体とプールすることであって、他の分析物分子-超分子構造複合体は、それぞれ異なる試料特異的バーコードと関連付けられる、プールすること;プールされた分析物分子-超分子構造複合体をアレイと接触させることであって、アレイの結合部位が、異なる分析物分子に対する結合親和性を有するそれぞれの固定化された親和性結合剤を含む、接触させること;アレイの結合部位への分析物分子-超分子構造複合体の結合を検出すること;及び検出された結合を試料特異的バーコードと関連付けることを含む。
【0012】
本明細書で提供されるように、試料中に存在する分析物分子を検出するための方法が開示される。この方法は、複数の超分子構造を提供することを含む。各超分子構造は、複数のコア分子を含むコア構造;抗原に対する結合親和性を有し、核酸捕捉鎖に結合された抗体;及び核酸捕捉鎖に対する相補鎖を含み、相補鎖はコア構造に連結され、核酸捕捉鎖と二重鎖構造を形成して抗体をコア構造に結合させ、複数の超分子構造は、それぞれ異なる結合親和性を有する互いに異なる抗体を含む。この方法は、抗原が抗体に結合して複合体を形成するように、複数の超分子構造を抗原を含む試料と接触させること;前記複合体を、抗原に対する結合特異性を有する捕捉抗体を担持するビーズと接触させてサンドイッチ構造を形成すること;核酸捕捉鎖を、置換鎖を使用して相補鎖から置換して、コア構造を溶液中に放出させることであって、放出されたコア構造が抗体に結合していない、放出させること;及びコア構造を検出することを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される任意の方法は、試料中の分析物分子の存在を検出すること及び/またはその濃度を定量化することを含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される任意の方法は、検出された分析物分子を同定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される任意の方法は、分析物分子が単一分子以上のカウントで試料中に存在する場合、シグナルに基づいて分析物分子を検出することをさらに含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される任意の方法について、各コア構造はナノ構造である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される任意の方法について、各コア構造に対する複数のコア分子は、所定の形状に配置され、及び/または所定の分子量を有する。いくつかの実施形態では、所定の形状は、別の超分子構造との交差反応性を制限または防止するように構成される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される任意の方法について、各コア構造に対する複数のコア分子は、1つ以上の核酸鎖、1つ以上の分岐核酸、1つ以上のペプチド、1つ以上の低分子、またはその組合せを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される任意の方法について、各コア構造は独立して、骨格デオキシリボ核酸(DNA)オリガミ、骨格リボ核酸(RNA)オリガミ、骨格ハイブリッドDNA:RNAオリガミ、一本鎖DNAタイル構造、多本鎖DNAタイル構造、一本鎖RNAオリガミ、多本鎖RNAタイル構造、複数の骨格を有する階層的に構成されたDNAまたはRNAオリガミ、ペプチド構造、またはその組合せを含む。
【0015】
超分子構造の親和性結合剤は、化学結合を介してコア構造に結合することができる。いくつかの実施形態では、溶液ベースの超分子構造の親和性結合剤及び/または結合部位の固定化された親和性結合剤は、独立して、タンパク質、ペプチド、抗体、アプタマー(RNA及びDNA)、フルオロフォア、ダルピン、触媒、重合開始剤、PEGのようなポリマー、またはその組合せを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される任意の方法について、検出可能なシグナルは、例えば結合部位及び/または超分子構造の特定の親和性結合剤を示すバーコードを含む。いくつかの実施形態では、各バーコードは、親和性結合剤に対応し、それぞれの検出剤分子に結合した分析物分子に対するその特異性を示す情報を提供するDNAシグナルまたは開始剤シグナルを提供する。いくつかの実施形態では、バーコードは、遺伝子タイピング、qPCR、配列決定またはその組合せを使用して分析される。いくつかの実施形態では、試料中の複数の分析物分子は、多重化によって同時に検出される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される任意の方法について、本明細書に提供される親和性結合剤は、1つまたは複数の特定の種類の分析物分子に結合するように構成される。
【0017】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される複数の超分子構造を使用することを含む任意の方法について、複数の超分子構造の各コア構造は互いに同一である。しかしながら、結合された親和性結合剤は、複数に対して変化し得る。したがって、一実施形態では、(例えば、複数の)超分子構造のプールは、結合した親和性結合剤、及びいくつかの実施形態では、結合した親和性結合剤を同定する同定部分(例えば、親和性結合剤識別バーコード核酸配列)を除いて同一である。単一の基板または検出プラットフォーム上で検出された多重化試料の場合、特定の試料に関連する超分子構造は、試料を同定する試料関連同定部分(例えば、試料バーコード核酸配列)を有することができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、各超分子構造は、複数の超分子構造間の交差反応を低減または排除することができる所定の形状、サイズ、分子量、またはその組合せを含む。いくつかの実施形態では、各超分子構造は、ただ1つの親和性結合剤または複数の親和性結合剤を含む。超分子構造が単一のコア構造上に複数の親和性結合剤を含む場合、複数の親和性結合剤は全て同じ結合特異性を有し得る、例えば、全てが同じ分析物に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、各超分子構造は、複数の超分子構造間の交差反応を低減または排除するように、捕捉分子及び検出分子の所定の化学量論比を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、基板は、固体支持体、固体基板、ポリマーマトリクス、または1つ以上のビーズを含む。基板は、基板上にパターン化され、基板の間隙表面によって分離された複数の結合部位を含むことができ、各結合部位はウェルを含み、ウェルの少なくとも1つの表面は第1の化学基を含み、間隙表面は第2の化学基を含む。ビーズは各結合部位に負荷され、第1の化学基はビーズに選択的に結合し、第2の化学基はビーズと相互作用しないかまたはビーズに結合しない。各ビーズは、アレイの個々の結合部位が、アレイの異なる結合部位に固定化された他の一本鎖オリゴヌクレオチドの配列と区別可能な同じ配列を含む複数の一本鎖オリゴヌクレオチドと、捕捉された親和性結合剤がそれぞれの結合部位に固定化された捕捉分子を形成し、アレイの結合部位に捕捉された親和性結合剤とを含むように、各ビーズに固定化された複数の一本鎖オリゴヌクレオチドを含む。検出中、分析物分子は、個々の結合部位で個々の捕捉分子に結合し、各分析物分子は超分子構造検出アセンブリと複合体を形成する。検出アセンブリの検出は、基板に結合した分析物の検出を可能にする。
【0020】
いくつかの実施形態では、複数の超分子構造が、成形または平面基板などの基板上に配置され、基板は複数の結合部位を含み、各個々の結合部位は、例えば、個々の結合部位が個々の分析物分子に特異的であり、基板の異なる結合部位が異なる分析物分子に特異性を有するように、同じ分析物分子に結合するように構成された1つ以上の親和性結合剤に結合される。開示される実施形態はまた、開示される方法を実施するための試料調製試薬、基板、及び検出システムを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される任意の方法について、試料は複合生体試料を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される任意の方法について、試料の1つまたは複数の分析物分子は、タンパク質、ペプチド、ペプチド断片、脂質、DNA、RNA、有機分子、無機分子、その複合体、またはその任意の組合せを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される任意の方法について、試料は生物学的粒子または生体分子を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される任意の方法について、試料は、タンパク質、ペプチド、ペプチド断片、脂質、DNA、RNA、有機分子、ウイルス粒子、エキソソーム、オルガネラ、またはその任意の複合体を含む水溶液を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される任意の方法について、試料は、組織生検材料、血液、血漿、尿、唾液、涙、脳脊髄液、細胞外液、培養細胞、培養培地、廃棄組織、植物物質、合成タンパク質、プリオン、細菌及び/もしくはウイルス試料または真菌組織、またはその組合せを含む。試料は、廃水または土壌試料などの環境試料であり得る。試料はまた、非生物学的試料であってもよい。一実施形態では、試料は、化学プロセスステップからの試料、食品もしくは栄養成分の試料、または包装構成要素であり得る。
【0022】
試料は、試料を本明細書で提供される溶液中の超分子構造と接触させる前に、細胞から分析物を放出するために、または他の方法で分析のために試料を調製するために処理され得る。
【0023】
ここで、開示された装置、送達システム、または方法の特定の実施形態を、図面を参照して説明する。この詳細な説明のいずれも、任意の特定の構成要素、特徴、または工程が本発明に必須であることを暗示することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本開示の実施形態による溶液ベースの捕捉後の例示的な分析物-超分子構造複合体を示す。
図2】本開示の実施形態による溶液ベースの単一分子捕捉試料調製を含む例示的なワークフローを示す図である。
図3】本開示の実施形態による分析物検出用の基板の一例を示す。
図4】本開示の実施形態による、捕捉分子及び捕捉された分析物-超分子構造複合体を有する基板の結合部位の一例を示す。
図5】本開示の実施形態による分析物検出用の基板の一例を示す。
図6】本開示の実施形態による、分析物検出のための基質と共に使用するための連結バーコード核酸構造を示す。
図7】本開示の実施形態による、図6の連結バーコード核酸構造を含む分析物検出用基板の一例を示す。
図8】本開示の実施形態による、分析物検出のための基板と共に使用するためのナノ粒子構造を示す。
図9】本開示の実施形態による、図5のナノ粒子構造を含む分析物検出用の基板の一例を示す。
図10】本開示の実施形態による分析物検出用の基板の一例を示す。
図11】本開示の実施形態による分析物検出用ビーズの一例を示す。
図12】本開示の実施形態による、分析物検出のためのビーズを収容するための基板を生成するための例示的なワークフローを示す。
図13】本開示の実施形態による多重検出のための溶液ベースの単一分子捕捉試料調製を含む例示的なワークフローを示す。
図14A】本開示の実施形態による、超分子構造を形成するために箱オリガミに複合体化されたIgG親和性結合剤を含む、抗原検出のための実験ワークフローの工程を示す。
図14B図14Aの実験ワークフローの追加の工程を示す。
図15図14A~Bの実験ワークフローを使用して評価された異なる実験サブグループを示す。
図16図14A~Bの実験ワークフローで使用される3つの抗原の異なる抗原の組合せを用いた溶液ベースの光学的検出結果を示す。
図17図14A~Bの実験ワークフローで使用されたTSHの滴定による溶液ベースの光学的検出結果を示す。
図18】別の抗原の存在の有無にかかわらず、抗原滴定のための溶液ベースの光学的検出結果を示す。
図19】モノマー二量体及び三量体抗原についての溶液ベースの光学的検出結果を示す。
図20】非標識抗原と標識抗原の混合物の溶液ベースの光学的検出結果を示す。
図21】混合試料または複合体試料の溶液ベースの光学的検出結果を示す。
図22】滴定した抗原試料の溶液ベースの光学的検出結果を示す。
図23】本開示の実施形態による例示的な分析物検出システムのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書では、試料中に存在する1つ以上の分析物分子を検出するための構造及び方法が開示される。いくつかの実施形態では、1つ以上の分析物分子は、1つ以上の超分子構造による溶液ベースの捕捉に基づいて検出される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の超分子構造は、試料中及び溶液中に存在する分析物に特異的に結合する親和性結合剤を含むか、またはそれに連結されており、分析物の単一分子捕捉に用いられる。分析物の結合は、溶液中で分析物分子-超分子構造複合体を形成し、これらの複合体は、本明細書で提供される検出システムによって検出することができる。
【0026】
実施形態では、複合体化された分析物は、検出システムの基板または他の検出プラットフォームに関連する固定化された親和性結合剤によって捕捉される。複合体の捕捉は、次いで複合体を基板上に固定化し、固定化された基板の1つ以上の特徴またはその関連する結合部位を特徴付けて、試料中の分析物を特徴付けることができる。一実施形態では、超分子構造は、固有の識別子(例えば、核酸配列、ペプチド、多糖、アクリダイト)などの検出可能な部分、及び/または(例えば、光学的、電気的、磁気的に)検出可能な他の分子を含むか、それと相互作用するか、またはそれをドッキングするために使用することができる分子を含む。いくつかの実施形態では、検出可能な部分は、DNAシグナルまたは他の開始剤シグナルを生成し、それにより、結合部位への分析物分子-超分子構造複合体の結合の検出及び定量化を、超分子構造の固有の識別子及び/または結合部位の固有の識別子の増幅によって検出することができる。いくつかの実施形態では、超分子構造は、基板を光学的に検出可能なシグナルに変換する酵素に連結される。いくつかの実施形態では、超分子構造は、電気的または磁気的に検出可能な信号を生成するために基板上のセンサに結合される。一実施形態では、超分子構造は、基板に連結または固定された核酸オリガミである。一実施形態では、超分子構造は、親和性結合剤の固有の識別子を含み、親和性結合剤を超分子構造の足場に連結するバーコード架橋またはリンカーを介して親和性結合剤を担持する。
【0027】
いくつかの実施形態では、開示される技術は、複合試料中の分析物分子の単一分子捕捉を提供する。捕捉実体としての超分子構造の使用は、特異的な同定、及びいくつかの実施形態では、基板の結合部位との相互作用を介した関連する親和性結合剤の検出を可能にする。したがって、本明細書で提供されるように、複数の異なる分析物の分析物プールの結合特性が特徴付けられるアッセイ結果を生成するために、基板上の多くの異なる親和性結合剤のプールの中の個々の親和性結合剤に検出可能な分析物が結合する。これにより、分析物の特徴づけられていない組成を有する試料を、目的の特定の分析物の存在及び/または濃度について分析することが可能になる。例えば、ヒト試料は、親和性結合剤が既知の感染性疾患抗原パネルを表すように、抗原親和性結合剤のパネルにおける特定の抗原に対する結合特異性を有する抗体の存在及び/または濃度を決定するために特徴付けることができる。アッセイ結果は、試料を提供する対象における抗体の存在を示す、特定の抗原に関連する陽性結合結果を示し得る。別の実施形態では、試料中の分析物の同一性は、少なくとも部分的に既知であってもよいが、それらの結合親和性は、親和性結合剤の特定のプールについて特徴付けられなくてもよい。例えば、親和性結合剤は候補薬物のセットであってもよく、分析物はヒト血液中の分子であり得る。そのようなタンパク質への薬物候補の結合を使用して、バイオアベイラビリティまたは潜在的なオフターゲット結合を評価することができる。アッセイ結果は、特定の検出剤結合の同定(例えば、分析物に特異的な抗体を含む検出剤分子アセンブリにおけるバーコード識別によって結合を識別すること)に基づく、特定の分析物にマッピングされ得る特定の薬物候補に関連する陽性の結合結果を示し得る。
【0028】
タンパク質などの分析物の従来の検出プロトコルは、結合の指標として検出抗体に連結された酵素によって生成された検出可能な蛍光シグナルを含み得るが、開示された技術は、追加的または代替的に、検出剤分子アセンブリの固有の識別子(または他の開始剤)から増幅された核酸シグナルを提供することができ、そこから配列情報を決定することができるか、またはそこから増幅に対応する光学的に検出可能なシグナルが放出される(例えば、固有の識別子に特異的なプライマー/プローブセットを使用したqPCR)。したがって、アレイの特定の結合部位で捕捉された複合体の固有の識別情報は、特定の実施形態において分析物を捕捉した特定の親和性結合剤の特定の識別を可能にする。超分子構造の構成要素のモジュール式でカスタマイズ可能な構造は、一般的に同じであり、特定の親和性結合剤の結合中に固有の識別子を有する個々の超分子構造をバーコード化するバルクまたは共通のコア構造を提供することを可能にする。したがって、同定配列は、ただ1つの特異的親和性結合剤に結び付けられる。他の検出技術としては、光学的、磁気的、及び/または電気的検出技術が挙げられ得る。
【0029】
開示される実施形態は、分析物が生物学的試料などの試料中に存在する分析物検出に関する。いくつかの実施形態では、試料は、タンパク質、ペプチド、ペプチド断片、脂質、DNA、RNA、有機分子、無機分子、その複合体、またはその任意の組合せを含む水溶液を含む。いくつかの実施形態では、試料中の分析物分子は、タンパク質、ペプチド、ペプチド断片、脂質、DNA、RNA、有機分子、無機分子、その複合体、またはその任意の組合せを含む。いくつかの実施形態では、分析物分子は、インタクトタンパク質、変性タンパク質、部分的または完全に分解されたタンパク質、ペプチド断片、変性核酸、分解された核酸断片、それらの複合体、またはその組合せを含む。いくつかの実施形態では、試料は、組織、細胞、組織及び/もしくは細胞の環境、またはその組合せから得られる。いくつかの実施形態では、試料は、組織生検、血液、血漿、尿、唾液、涙、脳脊髄液、細胞外流体、培養細胞、培養培地、廃棄組織、植物物質、合成タンパク質、細菌、ウイルス試料、真菌組織、またはその組合せを含む。いくつかの実施形態では、試料は、精製の有無にかかわらず、細胞、組織、体液(例えば、血液)、環境試料、またはそれらの組合せなどの一次供給源から単離される。いくつかの実施形態では、機械的プロセスまたは他の細胞溶解方法(例えば、溶解緩衝液)を使用して細胞を溶解する。いくつかの実施形態では、試料は、機械的プロセス(例えば、遠心分離)、ミクロン濾過、クロマトグラフィーカラム、他の濾過方法、またはその組合せを使用して濾過される。いくつかの実施形態では、試料を1つ以上の酵素で処理して、1つ以上の核酸または1つ以上のタンパク質を除去する。いくつかの実施形態では、試料は、インタクトなタンパク質、変性タンパク質、部分的または完全に分解されたタンパク質、ペプチド断片、変性核酸または分解された核酸断片を含む。いくつかの実施形態では、試料は、1以上の個人、1以上の動物、1以上の植物、またはその組合せから収集される。いくつかの実施形態では、試料は、感染性疾患、免疫障害、癌、遺伝性疾患、変性疾患、生活習慣病、傷害、希少疾患、加齢性疾患、またはその組合せを含む疾患または障害を有する個体、動物及び/または植物から収集される。
【0030】
開示された技術は、超分子構造に連結された親和性分子の単一分子結合を利用する。分析物分子の単一分子結合は、図1に示すような複合体を形成し、これは開示された技術による検出システムによって検出可能である。複合体形成は溶液中で起こる。図1は、コア構造13及び親和性結合剤2を含む超分子構造10の例示的な実施形態を提供する。いくつかの実施形態では、超分子構造10は、1つ以上の親和性結合剤2を含む。一実施形態では、超分子構造10は、コア構造13及び親和性結合剤2を含む複合体を指し得る。一実施形態では、超分子構造10は、コア構造13を指し得、超分子構造10は、親和性結合剤2を含んでも含まなくてもよい。
【0031】
したがって、本明細書では超分子構造10が提供される。いくつかの実施形態では、超分子構造10は、分子を空間的に編成することができるプログラム可能な構造である。いくつかの実施形態では、超分子構造10は、互いに連結された複数の分子を含む。いくつかの実施形態では、超分子構造10の複数の分子は、互いに少なくともいくつかと相互作用する。いくつかの実施形態では、超分子構造10は、特定の形状、例えば、x-y平面において最長寸法を有する実質的に平面の形状を含む。いくつかの実施形態では、超分子構造10はナノ構造である。いくつかの実施形態では、超分子構造10は、超分子構造10の複数の分子に基づく所定の分子量を含むナノ構造である。いくつかの実施形態では、複数の分子は、結合、化学結合、物理的結合、またはその組合せを介して互いに連結される。いくつかの実施形態では、超分子構造10は、互いに特異的に相互作用する明確に定義された数のより小さい分子から形成された、特定の形状及び分子量の大きな分子実体を含む。いくつかの実施形態では、超分子構造10の構造的、化学的、及び物理的特性は明示的に設計される。いくつかの実施形態では、超分子構造10は、所定の距離に従って離間した複数のサブコンポーネントを含む。いくつかの実施形態では、超分子構造10の少なくとも一部は剛性である。いくつかの実施形態では、超分子構造10の少なくとも一部は半剛性である。いくつかの実施形態では、超分子構造の少なくとも一部は可撓性である。一実施形態では、超分子構造10は、一次元で少なくとも50~200nmである。一実施形態では、超分子構造10は、任意の寸法で少なくとも20nmの長さである。
【0032】
いくつかの実施形態では、コア構造13は、ポリヌクレオチド構造、タンパク質構造、ポリマー構造、またはその組合せである。いくつかの実施形態では、コア構造13は、互いに連結された1つ以上のコア分子を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のコア分子は、互いに連結された2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、50、100、200または500個の固有の分子を含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のコア分子は、約2個の固有の分子から約1000個の固有の分子を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のコア分子は互いに相互作用し、超分子構造の特定の形状を規定する。いくつかの実施形態では、複数のコア分子は、可逆的な非共有結合相互作用を介して互いに相互作用する。
【0033】
いくつかの実施形態では、コア構造13の特定の形状は、三次元(3D)構成である。いくつかの実施形態では、1つ以上のコア分子は、特定の分子量を提供する。例えば、複数の超分子構造10の全てのコア構造13は、同じ構成、サイズ、及び/または重量を有し得るが、それらの結合リンカー配列及び結合親和性結合剤2が異なっていてもよい。しかし、異なるリンカー20及び親和性結合剤2を除いて、複数の超分子構造10は、他の点では同一であってもよい。いくつかの実施形態では、コア構造13はナノ構造である。いくつかの場合、1つまたは複数のコア分子は、1つまたは複数の核酸鎖(例えば、DNA、RNA、非天然核酸)、1つまたは複数の分枝核酸、1つまたは複数のペプチド、1つまたは複数の小分子、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、コア構造13は、完全にポリヌクレオチド構造を含む。いくつかの実施形態では、コア構造13の少なくとも一部は剛性である。いくつかの実施形態では、コア構造13の少なくとも一部は半剛性である。いくつかの実施形態では、コア構造13の少なくとも一部は可撓性である。いくつかの実施形態では、コア構造13は、骨格デオキシリボ核酸(DNA)オリガミ、骨格リボ核酸(RNA)オリガミ、骨格ハイブリッドDNA/RNAオリガミ、一本鎖DNAタイル構造、多鎖DNAタイル構造、一本鎖DNAオリガミ、一本鎖RNAオリガミ、一本鎖RNAタイル構造、多鎖RNAタイル構造、複数の骨格を有する階層的に構成されたDNA及び/またはRNAオリガミ、ペプチド構造、またはその組合せを含む。いくつかの実施形態では、DNAオリガミはスキャフォールドされる。いくつかの実施形態では、RNAオリガミはスキャフォールドされる。いくつかの実施形態では、ハイブリッドDNA/RNAオリガミは、スキャフォールドされる。いくつかの実施形態では、コア構造13は、所定の二次元(2D)または3D形状を含むDNAオリガミ、RNAオリガミ、またはハイブリッドDNA/RNAオリガミを含む。
【0034】
一実施形態では、コア構造13は、約50nm~約1μの少なくとも1つの側方寸法を有する核酸オリガミである。一実施形態では、核酸オリガミは、例として、約50nm~約200nm、約50nm~約400nm、約50nm~約600nm、約50nm~約800nm、約100nm~約200nm、約100nm~約300nm、約100nm~約400nm、約100nm~約500nm、約200nm~約400nmの少なくとも1つの側方寸法を有する。一実施形態では、核酸オリガミは、少なくとも約50nm~約1μの第1の側方寸法と、第1の側方寸法に直交する約50nm~約1μの第2の側方寸法とを有する。一実施形態では、核酸オリガミは、約200nm2~約1μ2の面積を有する平面フットプリントを有する。
【0035】
図1に示すように、いくつかの実施形態では、コア構造13は、親和性結合剤2に連結されるように構成される。いくつかの実施形態では、親和性結合剤2は、それに連結されたときにコアナノ構造13に対して固定化される。しかしながら、コア構造13は溶液中にあってもよく、したがって試料または反応容器に対して固定化されていなくてもよい。図1に示されるように、いくつかの実施形態において、親和性結合剤2は、リンカー20を介してコア構造13に連結される。いくつかの実施形態では、リンカー20は、連結された親和性結合剤2に関連する特定の配列の核酸(二本鎖または一本鎖のDNAまたはRNA)を含むポリマーを含む。したがって、ヌクレオチドリンカー20の配列は、異なる親和性結合剤2のプールの中で親和性結合剤2を一意に識別する。バーコードは、少なくとも6ヌクレオチドであってもよく、6~50ヌクレオチドであってもよい。図1において、超分子構造10は、親和性結合剤2に対する結合特異性を有する分析物分子14に結合し、分析物分子-超分子構造複合体40を形成する。
【0036】
いくつかの実施形態では、任意の数の1つ以上のコア分子13は、親和性結合剤2と結合を形成するように構成された1つ以上のリンカー20を含む。いくつかの実施形態では、リンカー20は、化学結合を介してコア構造13の1つ以上のコア分子に結合している。いくつかの実施形態では、リンカー20はコア反応性分子を含み得る。いくつかの実施形態では、各コア反応性分子は、独立して、アミン、チオール、DBCO、NHSエステル、マレイミド、ビオチン、アジド、アクリダイト、特定の配列の一本鎖核酸(例えば、RNAまたはDNA)、またはポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)または1つ以上の重合開始剤)を含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のコアリンカーの少なくとも1つは、DNA配列ドメインを含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、コア構造13は、コア構造13上の所定の位置で親和性結合剤2に連結される。
【0038】
いくつかの実施形態では、親和性結合剤2は、タンパク質、ペプチド、抗体、抗体由来試薬、アプタマー(RNA及びDNA)、フルオロフォア、ナノボディ、ダルピン、触媒、重合開始剤、PEGのようなポリマー、有機分子、低分子、医薬化合物、候補医薬化合物、合成分子、またはその組合せを含む。いくつかの実施形態では、単一の親和性結合剤2がコア構造13に連結される。いくつかの実施形態では、複数の親和性結合剤2がコア構造13に連結されている。例えば、同じコア構造13上の異なる親和性結合剤2は、同じ分析物分子に対して異なる結合部位を表してもよく、または例えばタンパク質-タンパク質複合体の多分子複合体の異なる分析物分子に結合してもよい。別の例では、複数の同じ親和性結合剤2がコア構造13上に存在してもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、超分子構造10の各構成要素は、独立して改変または調整されてもよい。いくつかの実施形態では、超分子構造10の構成要素のうちの1つ以上を改変することにより、超分子構造自体の二次元及び三次元形状を改変することができる。いくつかの実施形態では、超分子構造の構成要素のうちの1つ以上を改変することにより、コア構造13の二次元及び三次元形状を改変することができる。いくつかの実施形態では、超分子ナノ構造の構成要素を独立して改変するそのような能力は、1つ以上の超分子構造の組織化に対する正確な制御を可能にする。
【0040】
本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、1つ以上の超分子構造複合体40は、試料中の1つ以上の分析物分子の検出を可能にする。図2は、溶液中で分析物分子-超分子構造複合体40を形成するためのワークフローの概略図である。それぞれの異なる分析物に対する親和性のパネルまたはセットを表す関連する親和性結合剤2を有する超分子構造10のプールを、複数の異なる分析物分子14を含む試料50と接触させる。試料50中の分析物14は、特徴付けられていないまたは未知の分析物14であり得る。実施形態では、試料50は、1つ以上の対照分析物14を含み得る。
【0041】
個々の分析物分子14及び個々の親和性結合剤2が互いに結合特異性を有する場合、分析物分子14は親和性結合剤2と会合して、個々の分析物分子-超分子構造複合体40を形成する。反応条件は、特異的親和性結合剤2への分析物分子14の結合を可能にする。本明細書で提供される場合、結合特異性は、反応条件下で、未結合試薬の洗浄または除去工程後にインタクトのままである分析物分子14と親和性結合剤2との間の相互作用を指し得る。結合特異性は、共有結合または非共有結合、イオン結合、双極子相互作用、親水性または疎水性相互作用、相補的核酸結合などの形成を含み得る。特異的結合は、特定の親和性結合剤2のみに結合し、他の親和性結合剤2には結合しない分析物分子14への結合を指し得る。したがって、超分子構造10のプールの特定の親和性結合剤2は、特定の分析物分子14に結合する(例えば、第1の分析物分子14aと第1の親和性結合剤2aとの間の結合、または第2の分析物分子14bと第1の親和性結合剤2bとの間の結合)。特定の親和性結合剤2は、所与の試料50中に利用可能な結合パートナーを有しない場合があり、したがって、特異性を有するいかなる分析物分子14にも結合しない。
【0042】
本明細書で提供されるように、複合体40の形成後、複合体が検出システムに提供される前に、未結合分析物14を除去することができる。しかし、他の実施形態では、洗浄工程は行われない。溶液中の未結合分析物14は、検出システムと相互作用することができるが、結合部位で特異的に結合する可能性は低く、超分子構造10を担持しないため検出可能なシグナルを生成しない。
【0043】
開示された複合体40の分析物14は、図3図13に一般的に示されるように、基板60上または基板60内に分布した結合部位66のアレイを有するパターン化基板60との相互作用に基づいて検出され得る。基板60は、固定化された捕捉分子70を有することによって官能化されたマイクロパターン化結合部位66の画定されたセットを含み得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、結合部位66は、平面基板60上にマイクロパターン化される。いくつかの実施形態では、表面上の結合部位66は周期的パターンである。いくつかの実施形態では、表面上の結合部位66は、非周期的パターン(例えば、ランダム)である。いくつかの実施形態では、最小距離は、任意の2つの結合部位66の間で特定される。いくつかの実施形態では、任意の2つの結合部位66の間の最小距離は、少なくとも約200nmである。いくつかの実施形態では、任意の2つの結合部位66の間の最小距離は、少なくとも約40nm~約5000nmである。いくつかの実施形態では、結合部位66の幾何学的形状は、円形、正方形、三角形、または他の多角形を含む。いくつかの実施形態において、個々の結合部位66は、直径20~200nmである。基板60は、参照により本明細書に組み込まれる、2020年11月30日に出願された米国仮出願第63/119,316号に一般的に論じられているようにパターン化されてもよい。
【0045】
基板60は、1つ以上の二酸化ケイ素、窒化ケイ素、グラフェンまたは炭化ケイ素層を有するガラスまたはシリコンウェハを含むことができる。一実施形態では、各結合部位66は、各結合部位66に同じタイプの複数の捕捉分子70を収容し、異なる結合部位66は、異なる捕捉分子特異性または異なる化学を有する。パターン化基板60は、リソグラフィプロセスによって製造することができる。さらに、開示された技術の実施形態は、結合または「使用された」複合体40を基板60から除去して、後続の反応で新しい複合体40の結合を可能にする1つ以上の再生工程を含み得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、基板60は、基板60上の他の特徴の基準特徴として使用される表面上に画定された幾何学的特徴を有する基準マーカ(図示せず)を含むことができる。いくつかの実施形態では、平面基板60は、結合部位66の形成前に画定される、FET、リング共振器、フォトニック結晶またはマイクロ電極などの光学的または電気的デバイスなどの検出を容易にする構造を含む。
【0047】
図3は、本明細書に記載されるように、捕捉分子70(抗体として示されるが、複合体40をプルダウンするための任意の適切な捕捉分子であり得る)を使用する表面ベースのアッセイを使用して、試料中の分析物分子を検出するために使用される基板60を形成する例示的な図を提供する。一実施形態では、捕捉分子70は、本明細書に一般的に開示される親和性結合剤である。図3では、方法100に従って、個々の捕捉分子70で官能化または連結された複数の結合部位66を有するパターン化基板60を形成することができる。基板ベース層110が設けられる。不動態化層112は、選択的に保護することができるベース層110上で成長、組み立て、または堆積される。不動態化層(複数可)112は、窒化ケイ素、グラフェン、石英、金属、金、銀、白金、パラジウム、PDMS、ポリマーフィルム、またはその組合せを含み得る。不動態化層112は、グラフェン、酸化アルミニウム、HfO2、Cr23(酸化クロム)、酸化チタン、酸化タンタル、金属酸化物、二酸化ケイ素(SiO2)、またはその組合せであってもよい。不動態化層112は、ポリアクリルアミドなどの自己組織化ポリマーであってもよい。
【0048】
不動態化層112は、例えば、最上層112の一部を除去することによってパターン化されて、基板60の結合部位66に対応することになるベース層110の位置120を露出させる。パターン化は、フォトリソグラフィ、電子ビームリソグラフィ、ナノインプリント、ポリマースピンコーティング、光学的パターン化、プラズマ活性化、酸/塩基処理、または他のパターン化モダリティであってもよい。露出位置120は、これらの層の個々の化学的性質に応じて、化学的またはプラズマ処理によって活性化されて、異なる反応性基を生成することができる。
【0049】
捕捉分子70を活性化位置120に結合させて、結合部位66を生成することができる。図示の例では、結合部位66に捕捉分子70をプリントすることができる。個々の結合部位66は、予め選択された捕捉分子70でプリントされている。しかしながら、捕捉分子を結合部位66に連結するための他の付着または結合技術も考えられる。実施形態において、1)各結合部位は、複数(例えば、2つ以上)の捕捉分子70を含み、2)個々の結合部位における全ての捕捉分子70は、特定の分析物14に対して同じ結合特異性を有する。
【0050】
捕捉分子70は、本明細書で提供されるように、1つ以上の親和性結合剤、超分子構造、核酸を含み得る。基板60の各結合部位66は、個々の結合部位66について同じ結合特異性を有する複数の捕捉分子70を含む。さらに、隣接または異なる結合部位66は、第1の捕捉分子70aが第二の捕捉分子70bとは異なる結合特異性を有するように、異なる結合特異性を有することができる。
【0051】
各結合部位66に固定化された(基板60上の非結合部位位置には存在しない)捕捉分子70は、タンパク質、ペプチド、抗体、アプタマー(RNA及びDNA)、フルオロフォア、ナノボディ、ダルピン、触媒、重合開始剤、PEGのようなポリマー、有機分子、またはその組合せを含み得る。
【0052】
各結合部位66は、配列決定、増幅、または検出の一部としてのハイブリダイゼーションアッセイのいずれかを介して読み出すことができるバーコードまたは固有の識別配列に結合され得る。アッセイを実行する前に、基板60上に固定化され、基板60上の空間的位置を有する捕捉分子70のマップを取得し、基板60の品質管理として実行することができる。マップは、本明細書で提供される分析物検出システム(図10参照)に保存することができ、試料の分析物情報を提供するために陽性結合事象の報告を生成するために使用することができる。
【0053】
基板60は、一旦形成されると、複合体40を提供するために試料調製(図2に示す)後の分析物捕捉工程で使用することができる。いくつかの実施形態では、複合体40を、フローセルを使用して平面基板と接触させる。いくつかの実施形態では、複合体40は、結合部位66に結合した捕捉分子70を有する基板60上でインキュベートされる。いくつかの実施形態では、インキュベーション期間は、約30秒~約24時間であり得る。いくつかの実施形態では、インキュベーション期間は、約30秒~約1分、約1分~約5分、約5分~約30分、約30分~約1時間、約1時間~約5時間、約5時間~約12時間、約12時間~約24時間、約24時間~約48時間であり得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、複合体40の分析物分子14は、結合部位66上の捕捉分子70と相互作用する。図4は、複合体40aの特定の分析物14aに対する特異性を有する捕捉分子70aを有する例示的な結合部位66を示す。相互作用の後、シグナル発生によって結合を検出することができる。結合していない複合体40bは、検出前に洗い流し得る。捕捉分子70aとそれぞれの分析物分子14aとは、互いに結合特異性を有していてもよい。分析物分子14aは、基板60と接触する前に溶液中で複合体40aを形成するため、捕捉分子70a、分析物14a及び親和性結合剤2a(コア構造13aに連結)は、図4に示すように、サンドイッチ様の結合配置を形成することができる。そのため、捕捉分子70a及び親和性結合剤2aの両方が同じ分析物14aに対して特異性を有することができる。しかし、捕捉分子70a及び親和性結合剤2aは、分析物14a上の異なる部位で結合していてもよい。
【0055】
これらのワークフロー工程の後、様々な結合複合体40がアレイ上に残り、それぞれがそれぞれの捕捉分子70に結合し、分析物14を特定の超分子構造同一性に関連付けるために様々な検出プロトコルに供することができ、これは、次いで公知の親和性結合剤2に関連付けられ、次いで、特定の結合部位66において、固有の識別子、例えばバーコード配列に関連付け得る。したがって、検出は、分析物-親和性結合剤結合の特徴付けを可能にする。
【0056】
いくつかの実施形態では、図5のワークフロー150に示すように、結合部位66は、活性化位置120に配置されて結合部位66を形成する単一の超分子構造160を介して官能化される。結合部位66は、超分子構造160を配置する前に、図3に関して一般的に開示されるように活性化され得る。超分子構造160は、一般に、本明細書で提供される超分子構造10として配置されてもよく、DNAオリガミを含むコア構造13を含んでもよく、ここで、超分子構造10は、アンカー分子を介した連結を含み得るDNAオリガミ配置技術を使用して結合部位のそれぞれに取り付けられる。いくつかの実施形態では、DNAオリガミ配置は、結合部位66上に個々のDNAオリガミ(例えば、コア構造体)を構成するための指向性自己組織化技術を含む。いくつかの実施形態では、平面基板60は、このステップの後、清浄な環境でかなりの期間保管することができる。
【0057】
図示の実施形態では、超分子構造160は、組み立てられ、既に連結された捕捉分子70と共に提供される。それぞれ異なる分析物特異性を有する個々の超分子構造は、別々に、例えば別々の反応管で形成することができる。複数の捕捉分子70は、超分子構造160のコア構造13に連結されている。単一の結合部位66における単一の超分子構造160の捕捉分子70は全て同じ結合特異性を有する。さらに、各超分子構造160は、関連する捕捉分子70の種類を一意に識別するバーコードまたは他の識別配列を含む。
【0058】
捕捉分子70が結合部位66上に「右側上方」に配置されるように、予め形成された超分子構造160の配置は方向性があり得る。他の実施形態では、超分子構造160は全て一般に同じであり、個々の結合部位にランダムに配置される。異なる結合部位に配置された後、固有の同定配列及び関連する捕捉分子70が連結される。
【0059】
図6図7は、結合部位66が連結核酸生成物200の結合剤を介して官能化されている平面基板60の形成における工程を示す。図5は、環状鋳型210から連結核酸生成物200を形成する工程を示す。環状鋳型は、環状鋳型210を他の環状鋳型210から一意に区別するバーコード配列220を含む。プライマー230を伸長させる鎖置換ポリメラーゼによるローリングサークル増幅は、反復単位252と連結された核酸を含む一本鎖ローリングサークル増幅生成物を生成する。活性基262を有する一本鎖プローブ260は、バーコード配列220に相補的にハイブリダイズし、バーコード配列202が反復単位252の一部として反復する連結核酸生成物200上の複数の場所に結合する。したがって、結合部位生成のためのローリングサークル増幅の最終生成物は、複数の結合プローブ260及び関連する活性基262を有する連結された核酸生成物200である。一実施形態では、本明細書で提供される基板の形成は、それぞれの異なるテンプレート210から複数の生成物200を作成することを含み、各生成物200は、異なるテンプレート210に基づいて区別可能な配列を有する。それぞれの異なる生成物200は、異なる反応容器内で形成することができる。しかし、一実施形態では、異なるテンプレート210をプールして、プールされた生成物200を生成することができる。図7に示すように、各生成物200は、一般的に1:1の比で結合部位66と会合するため、生成物200のプールされた集団は、それにもかかわらず基板60の周りに分布し得る。しかしながら、生成物200を独立して生成することは、特定の種のテンプレート210からの生成物200の不均等な産生をもたらす増幅バイアスの差を防止することができ、その結果、結合部位66上の特定のテンプレート配列の過剰提示をもたらし得る。
【0060】
各テンプレート210は、本明細書で提供されるような捕捉分子70のバーコードまたは固有の識別子として、特定の捕捉分子70と会合するかまたはそれにキー止めすることができる配列を含む。
【0061】
図7のワークフロー270に示すように、活性部位120は、図3図5に関して一般的に開示されているように作成することができる。結合部位66は、活性化位置120に複数の結合プローブ260を有する単一の連結核酸生成物200の配置によって官能化されて、結合部位66を形成する。活性部位120は、図示のように、パッシベーション層112によって囲まれた活性分子280を含む。一本鎖連結核酸生成物200は、一般的に単一の生成物200のみが単一の活性部位120上に収容されるようなサイズのナノボールである。結合部位66の形成中の生成物200と活性部位との会合は、結合(ハイブリダイズ)プローブ260の活性基262を介する。プローブ262と活性分子との相互作用は、NHS-エステル、チオール、DBCO、アジド、マレイミド相互作用によるものであり得る。例えば、一実施形態において、マレイミド基は、反応混合物のpHが6.5~7.5である場合、スルフヒドリル基と特異的に反応し;その結果、安定なチオエーテル結合が形成される。したがって、一実施形態では、活性基262はマレイミド試薬であり得、活性分子280はスルフヒドリルであり得る。活性基262と活性分子280とを反応させて、安定な共役チオエーテル結合を形成する。これにより、プローブ260が活性部位120に固定化される。ナノボール生成物は、変性温度でプローブ260から変性させ、洗浄することによって除去することができる。この工程により、プローブ260は結合部位66に固定化されたままになる。プローブ260は全て、オリゴヌクレオチドの少なくとも一部に沿って同じ配列を有する。一実施形態では、プローブ260は全て、結合部位66内で互いに同じ配列を有するが、いくつか、ほとんど、または全ての他の結合部位に結合したプローブ260とは異なる配列を有する。一実施形態では、個々の結合部位のプローブ260は、互いに少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性、または少なくとも99%の同一性を有する。異なる結合部位66間のプローブ260は、50%未満の配列同一性を有し得る。ナノボール生成物200は円形テンプレート210(図6参照)から生成されるため、異なる配列を有する異なるテンプレート210は、対応して異なるナノボール生成物200を生成する。したがって、異なる生成物200の反復単位252に相補的なプローブ260は、元のテンプレート配列に基づいて異なる配列を有する。
【0062】
プローブ260は、固定化されると、タグ化された相補的オリゴヌクレオチドを介して配列決定、増幅または検出されて、結合部位66及びそのそれぞれの固定化プローブ260をマッピングすることができる。マップは、検出システム(図13)に保存することができる。
【0063】
図8図9は、基板60の結合部位66上に捕捉分子を配置するための別の構造配置を示す。図8では、ポリマーヒドロゲル、架橋ポリマーまたは無機材料から作製され得るナノ粒子300を、ナノ粒子300に共有結合することができる化学的部分303を有する一本鎖オリゴヌクレオチド302とインキュベートする。続いて、一本鎖オリゴヌクレオチド302で官能化されたナノ粒子300を、第2の化学的部分305を有する第2の一本鎖オリゴヌクレオチド306とインキュベートして、固定化された二本鎖DNAを有し、化学的部分305を有する官能化ナノ粒子307を得る。したがって、オリゴヌクレオチド302、306は、相補性に基づいて相互作用して二本鎖DNAを形成し、化学的部分はハイブリダイゼーションを介してナノ粒子307に結合している。化学的部分303、305の例には、チオール、アミン、DBCO、マレイアミド、アジド、NHS-エステルが含まれるが、これらに限定されない。
【0064】
図8の官能化ナノ粒子307を使用して、ナノ粒子307の配置、表面への共有結合、及びその後の除去/変性によって、パターン化された基板60上にssDNAのモノクローナルクラスタを作成することができる。基板60をパターン化するための工程1及び2は、本明細書で一般的に開示されるように実行することができる(例えば、図3参照)。一実施形態では、ワークフローは、最初に表面を不動態化し、次いで、本明細書で提供されるプロトコルに従ってリソグラフィによってパターン化し、一方が結合部位66内にあり、他方が不動態化背景112を形成する、2つの化学的特性を有する表面をもたらすことを含む。工程3では、図8の官能化ナノ粒子307をパターン化基板60上でインキュベートして、結合部位66内でナノ粒子307の組織化をもたらす。このアセンブリの駆動力は、ナノ粒子307と結合部位66との間の相互作用である。ナノ粒子307は、一般的に単一の結合部位66において組織化または配置された単一のナノ粒子307が存在するようなサイズである。ナノ粒子307に結合した化学的部分305は、結合部位66の表面310に共有結合している。最後に、ナノ粒子上のナノ粒子307ならびに相補的核酸302核酸を変性させてオリゴヌクレオチド鎖302、306を分離し、各結合部位が同一のssDNA306の複数のコピーを有するパターン化表面を得る。一本鎖DNA(またはRNA)306は、化学的部分305を介して表面310に共有結合している。
【0065】
図10は、個々の結合部位66に配置された一本鎖オリゴヌクレオチド320への、抗体として示される捕捉分子70の結合を示す。一本鎖オリゴヌクレオチド300は、図7に示すように活性基262を介して結合されたプローブ260であり得る。一本鎖オリゴヌクレオチド300は、図9に示すように部分305を介して結合されたオリゴヌクレオチド306であり得る。結合部位66に固定化された一本鎖オリゴヌクレオチド320は、捕捉分子70(例えば、ハイブリダイゼーション)として直接機能し得る。しかし、実施形態では、オリゴヌクレオチド320の固有の配列を使用して、結合部位特異的な様式でハイブリダイゼーションを介して捕捉分子70に結合される相補的タグを設計することができる。一本鎖オリゴヌクレオチド320は、実施形態では、図3に示すように、結合部位66に直接プリントされてもよい。個々の結合部位66の一本鎖オリゴヌクレオチド320は全て、同じ配列を有するか、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性、または少なくとも99%の同一性を有する配列を有する。捕捉分子70は、相補的配列を含むタグ290によってオリゴヌクレオチド300に結合される。個々の捕捉分子70、または個々の分析物に対する結合特異性を有する捕捉分子70の種類は、異なる特異性を有する異なる捕捉分子70に結合された他のタグ322の他の配列と区別可能な固有の配列を有するタグ322に結合される。タグ322は、オリゴヌクレオチド320の公知の配列に基づいて設計される。したがって、それぞれの固有のタグ322を有する異なる捕捉分子70のプールを、一本鎖オリゴヌクレオチド320を含む結合部位66と接触させることができる。
【0066】
示されるように、各結合部位66は、複数の捕捉分子70に結合することができ、捕捉分子70に結合する分析物を介して、1、2、3またはそれ以上の複合体40と相互作用することができる。複合体上の超分子構造10の存在は、結合部位あたりの平均分子を低く保つ。しかしながら、各結合部位66における同じ特異性の複数の捕捉分子70の存在は、分析物の強い特異的結合を促進する。
【0067】
図11は、捕捉分子70がビーズ330に結合している実施形態である。ビーズ330は、図示の実施形態では、ウェル340によって形成された個々の結合部位66が単一のビーズ330を収容するようなサイズ及び形状の基板60のウェル340内に配置される。しかしながら、ビーズ330は溶液中にあり、基板と会合していなくてもよいことを理解されたい。各ビーズは、全て本明細書で提供されるのと同じまたはほぼ同じ配列を有する固有のオリゴヌクレオチド320で官能化され、タグ322を有する捕捉分子70は、それらが相補的配列である場合にのみオリゴヌクレオチド320にハイブリダイズする。
【0068】
図12は、結合部位形成(例えば、図10図11におけるような結合部位66について)の一例を示す。結合部位66は、複数の分析物2(例えば、本明細書で論じられるDNA、RNA、またはタンパク質/ペプチド)を担持するビーズ330をリソグラフィで画定されたナノ/マイクロウェルに充填するために使用することができる。図示されたワークフローは、ウェル390の内壁及び底部上の第1の化学基または官能基と、間隙表面362上の異なる反応性を有する他の異なる化学基とを含む外面を有するナノ/マイクロウェル360を有する最終生成物350(例えば、基板60)を生成する。さらに、第1の化学基は、それがビーズ330と(静電的または共有結合的に)相互作用するが、他方の化学基はビーズ300と相互作用しないように設計される。このような状況では、ビーズ330が基板350と共にインキュベートされると、それらはウェル360内に選択的に結合するが、間隙360には結合しない。ビーズ330のサイズまたは直径は、一実施形態では、20nm~5ミクロンであり得る。ウェルは、一実施形態では、(例えば、隣接する間隙362の間の距離として測定される)にわたって20nm~5ミクロンであり得る。ウェル360は、ただ1つのビーズ330を収容するようなサイズであり得る。したがって、特定の実施形態では、各ウェル360のサイズは、ビーズ直径の2倍以下であり得る。
【0069】
図12のワークフローでは、樹脂被覆層を有する二酸化ケイ素表面が提供され、ナノインプリントによってパターン化される。パターン化された樹脂は、プラズマ(例えば、O2プラズマ)で活性化され、第1のシランで処理される。処理された表面には、ポリメチルメタクリレート(PMMA)コーティングなどのコーティングが施される。酸素エッチングは、下層パターン形成された樹脂の上面を露出させ、第1のシランはウェル360の側面及び底面に保持しながら、間隙362から第1のシランを除去する。露出した間隙間に第2の防汚処理を施し、PMMAを除去してウェル360を露出させる。開示されたワークフローは、例として、基板360を生成するためのものである。基板360は、ビーズ330を充填するために使用することができ、開示された技術と共に使用することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、図13に示すように、多重化によって試料中の複数の分析物分子が同時に検出され、異なる複数の超分子構造10が、配列決定及び分析物同定ならびに試料の逆多重化のための複数のシグナル(例えば、リンカーバーコード、試料バーコード)を提供する。いくつかの実施形態では、試料中の分析物を検出するための本明細書に記載の方法は、複数の超分子構造10を使用することによって高スループット及び高多重化能力を提供する。異なる複数の超分子構造10a、10b、10cはそれぞれ、複数または異なるセット間で同じセットであっても、異なるセットであってもよい親和性結合剤2の異なるセットを関連付けている。しかし、一実施形態では、多重分析物検出は、親和性結合剤2のセットと適合する捕捉分子70の特定のセットを有する同じ官能化基板60を使用して全て検出することができる親和性結合剤2の同じセットと全て接触する異なる試料に使用することができる。
【0071】
コア構造13は一般的に同じものであってもよく、これにより、個々の複数のコア構造13は異なる親和性結合剤2に結合される。しかし、特定の試料ランについて、全てのコア構造13は、試料50間で区別可能な1つ以上の試料特異的オリゴヌクレオチドバーコード450a、450b、450cを含んでいても、またはそれらに結合されてもよい。すなわち、各コア構造13は、1つ以上のバーコード450を含むことができる。したがって、複合体40a、40b、40cは、試料基板上にプールされても、または一緒にランしてもよいが、検出可能なシグナルは、特定の試料特異的バーコード450の検出に基づいて特定の試料と関連付け得る。
【0072】
多重化は、複合体40を未結合分析物14から分離する洗浄または分離工程を含み得る。そのような分離は、超分子構造10上のタグを介した親和性分離、磁気分離、サイズ分離を含み得る。
【0073】
本開示の実施形態は、nプレックスキットなどの多重化キットを含む。キットは、コア構造13上に汎用または共通のアダプタを備える。アダプタは、異なるnプレックスバーコード用のドックとして機能する。バーコードの数は、多重化される試料の数に基づいて選択することができ、各試料バーコードは、試料インデックス付きコア構造13がタグ付け、複合体形成、及び未結合分析物からの分離まで互いに分離されるように、別々の反応容器に追加することができる。
【0074】
図14Aは、抗原検出のための実験ワークフローの工程を示す。ワークフローは、超分子構造10を官能化して特定の親和性結合剤と複合体化することを含む。例えば、コア構造13は、略箱形のコア構造体500として実装されてもよい。しかしながら、コア構造13の他の形状及び実装も考えられることを理解されたい。各コア構造13は、ここではフルオロフォア500として示されているシグナル伝達要素に結合されている。しかしながら、シグナル伝達要素は、核酸シグナル発生器、光信号発生器、電気信号発生器、磁気信号発生器であってもよい。シグナル伝達要素は、図23に関して一般的に説明したように、検出システムによって検出し得る。
【0075】
図15図16に関して議論した実験では、親和性結合剤2は、本開示の実施形態による複数の会合したフルオロフォア510の超分子構造を有するボックスオリガミ構造500(例えば、核酸鎖から形成されたボックス構造)を有するコア構造13に複合体化した一本鎖捕捉鎖520に結合したIgG抗体520であった。しかしながら、他の抗体種または他の親和性結合剤2も開示された実施形態に包含されることを理解されたい。図示の例では、それぞれの異なるIgGは、異なる分析物、例えば抗原522に対してそれぞれ異なる特異性を有する異なる親和性結合剤2を表す。したがって、図示されたワークフローは、三重検出能力で示されており、各特異的IgG抗体は、特定のフルオロフォア型を有する超分子構造に結合されている。したがって、第1のIgG抗体520aに結合したフルオロフォア510aは、第1の蛍光範囲で検出することができ、第2のIgG抗体520bに結合したフルオロフォア510bは、識別可能な第2の蛍光範囲で検出することができ、第3のIgG抗体520cに結合したフルオロフォア510cは、識別可能な第3の蛍光範囲で検出することができる。一実施形態では、各ボックスオリガミ構造500は、異なる結合フルオロフォア510a、510b、510cに応じて異なる蛍光検出波長によって異なること以外は、一般的に同じである。しかしながら、実施形態では、コア構造13またはボックスオリガミ構造500のプールは、特定のワークフローに対して同じであっても異なっていてもよい。
【0076】
工程1において、IgGにコンジュゲートされた一本鎖核酸捕捉鎖522は、ボックスオリガミ構造500に結合された一本鎖相補鎖524と複合体を形成して、二重鎖構造を形成する。したがって、IgG抗体は、二重鎖構造形成を促進する条件下で相補的結合を介してコア構造13と複合体化される。それぞれの異なる抗体520及びボックスオリガミ構造500は、特定の試薬調製工程を単純化及びバッチ化するために、異なる親和性結合特異性に対してさえ同じであるそれぞれのユニバーサル捕捉鎖522及び相補鎖524を有することができる。しかしながら、実施形態では、それぞれの特異的IgG抗体520a、520b、及び520cなどは、特定の親和性結合剤2に固有のバーコードまたは他の識別情報を含み得る固有の核酸捕捉鎖522に結合され得る。
【0077】
実験的ワークフローは、3つの異なるIgG抗体520a、520b、520cとの三重反応として示されているが、3つの異なる抗原、単一、二重または他の多重配置の検出を可能にすることも企図される。一実施形態では、拡張されたフルオロフォアシグナル分解能は、各ボックスオリガミ構造500に結合されたフルオロフォア510の数を制御して、異なるシグナル強度の範囲を達成することによって達成することができる。したがって、親和性結合剤2は、検出された蛍光範囲及び/または検出された強度に基づいて区別することができる。
【0078】
ワークフローの工程2において、上記分子構造のプールを、目的の抗原526を含んでも含まなくてもよい試料と接触させる。IgG抗体が特異的に結合する抗原526が存在する場合、抗原526に結合した超分子構造10の複合体528であるアセンブリ40が形成される。
【0079】
工程1及び2の前、間、または後に実行し得るワークフローの工程3において、ビーズ530、例えば磁気ビーズは、捕捉抗体536で官能化されて、官能化捕捉ビーズ540を形成する。一例では、ビーズ530は、ビオチン標識抗体536に結合するストレプトアビジンに結合され得る。捕捉抗体536a、536b、536cは、IgG抗体520a、520b、520cの特異的結合に基づいて異なる結合特異性を有し得る。
【0080】
図14Bは、図14Aの実験ワークフローの追加の工程を示す。工程4において、超分子構造-抗原複合体528を官能化捕捉ビーズ540と接触させてサンドイッチ構造550を形成する。例えば、IgG抗体520及び捕捉抗体536は両方とも特定の抗原526に結合する。一実施形態では、IgG抗体520a及び捕捉抗体536aは両方とも個々の抗原526に結合する。抗原526が結合していないボックスオリガミ500は、磁気ビーズ530に結合されないため、磁気プルダウンによってサンドイッチ構造550から除去することができる。
【0081】
工程5において、捕捉鎖520及び相補鎖522の二重鎖を破壊するために、置換鎖560が反応混合物中に提供される。一実施形態では、置換は、足がかり媒介置換を介する。したがって、一例では、捕捉鎖522は、相補鎖522に結合する相補的領域と、非相補的であり、置換鎖560と接触する前に未結合または未アニーリングのままである足がかり領域とを含む。置換鎖は、相補領域及び足がかり領域の両方に相補的であり、したがって、足がかり領域への置換鎖560の結合剤を介した相補鎖522からの置換を容易にして、置換鎖560及び捕捉鎖520の二重鎖を形成する。したがって、置換鎖560は、相補鎖522と配列同一性を共有し、足がかり相補的領域も含む。置換鎖との接触により、捕捉鎖520及び置換鎖560は、ボックスオリガミ500を溶液に放出する二重鎖を形成し、捕捉鎖520は、置換鎖560と二重鎖になっている。一実施形態では、放出されたボックスオリガミ500は、サンドイッチ構造550の残りの部分570から分離することができる。例えば、残りの部分570は、ボックスオリガミを溶液中に残すように磁気的にプルダウンすることができるビーズ530を保持する。
【0082】
相補鎖522は足がかり領域を含むことができるので、置換は逆転されてもよいことを理解されたい。置換鎖560は相補鎖522に結合して二重鎖を破壊し、ボックスオリガミを溶液に放出し、捕捉鎖520は一本鎖である。
【0083】
工程6において、放出されたボックスオリガミ500は、結合されたフルオロフォア510に対応する波長で撮像され、検出可能なシグナルは、特定の波長範囲に関連する特定の抗原の存在を示す。シグナルは、抗原の存在を示す予想された、または適切な光強度について評価することができる。例えば、光強度は可能であるが、本明細書で説明するように、他の検出様式も考えられる。
【0084】
一実施形態では、異なる捕捉鎖520に対する特異性を有する異なる置換鎖560の時間的に分離されたサイクルを使用して、ワークフローの複雑さを高めることができる。例えば、3つのフルオロフォアの例では、N個の3つのフルオロフォアのセットをボックスオリガミ500に結合することができ、固有のセット固有の置換鎖56によって置換されるセット固有の捕捉鎖520を有する。N個の組について、N個の固有の捕捉鎖520-置換鎖560の対が存在し得る。公知の配列の各固有の置換鎖560を別々に追加して、対応する捕捉鎖520を担持するボックスオリガミ500の一部のみを放出することができる。放出されたボックスオリガミ500を撮像して抗原関連データを取得し、次の置換鎖560を追加することができる。
【0085】
図15は、図14A~Bの実験ワークフローを使用して評価された異なる実験サブグループを示す。使用した抗原は、TSH、PSA、及びIL-6であり、これらは3つの異なる抗体結合及び検出に対応していた。異なる抗原を単独で、及び潜在的な交差結合または他の干渉を同定するために互いに組み合わせて試験した。抗体充填%:1.5%(Dynabeads)で抗体を充填した。実験では、インキュベーション時間は以下の通りであった:
ビーズインキュベーションを伴うビオチン化IgGについて30分間
任意の遊離アビジン部位を占めるD-ビオチンで10分間
1 ボックスIgG及び抗原での時間
ボックス-IgG抗原及びIgG-ビーズ 1×PBS pH7.4+0.1% Tween+10mM Mgで1時間。置換鎖は、PBS Tween+10mM Mg中の1uM置換鎖であった。異なるフルオロフォアは以下の通りであった:
alexafluor 488ボックスを用いたIL-6読み出し
alexafluor 647ボックスを用いたTSH読み出し
alexafluor 750ボックスを用いたPSA読み出し
検出はTecanマイクロプレートリーダーを介した。実験的ワークフローは、他の、より多い、及び/またはより少ないフルオロフォアを用いて実施され得ることを理解されたい。
【0086】
図16は、図15の実験で使用された3つの抗原の異なる抗原の組合せを用いた実験結果を示し、光強度の読み出しを示す。個々の抗原の各々は、独立してまたは混合物中で、有意なクロストークまたは干渉なしに検出することができる。
【0087】
図17は、図15の実験において使用され、TSHが滴定されるが、PSA及びIL-6が一定に保持される、3つの抗原の異なる抗原組合せを用いた実験結果を示す。試料中のTSHの濃度の変化は、検出された光出力に反映される。
【0088】
図18は、二重反応におけるTSHまたはPSAの滴定を用い、抗原の濃度の変化が光出力において検出可能であることを示す、実験の実験結果を示す。
【0089】
図19は、混合物から4つのサイトカインを定量化するための四重実験の結果を示す。
TNFa:alexafluor 488ボックス(128イメージャ)による読み出し
IL-10:atto 565ボックス(128イメージャ)による読み出し
INFy:alexafluor 647ボックス(128イメージャ)による読み出し
IL-2:alexafluor 750ボックス(128イメージャ)による読み出し
ボックスオリガミIgGは5nMで全て入力する
10mM MOPS+150mM NaCl+10mM MgCl2+0.1% tween-20中の抗原及びボックス-IgGとの2時間のインキュベーション
ボックス-IgG:抗原+IgG-ビーズとの1時間のインキュベーション
10mM MOPS+150mM NaCl+10mM MgCl2+0.1% tween-20中500nMによるボックスの置換
tecanでの読み取り、15uL/試料、491、550、641nmの励起波長での140ゲイン
複製された3つのうち2つを100×ダイマー/トリマー抗原で希釈し、より大きな読み取り値を得た。
【0090】
図20は、サブグループあたり1つのサイトカインのみが検出された混合物から、4つのサイトカインを定量化した実験の結果を示す。
【0091】
図21は、IL-2、TNFα、IL-10及びIFNγが擬似血清混合物中で検出される実験を示しており、これは、複雑な生体試料中の抗原について光学的検出が見られることを示している。
【0092】
図22は、IL-8及びTNFαの一連の滴定を示し、一定のCRP濃度は、抗原濃度差が光出力において検出可能であることを示している。
【0093】
実験結果は、提案された実験的ワークフローのための効果的な溶液ベースの検出を実証した。
【0094】
本開示の実施形態は、開示された実施形態の特定の方法を実行するように構成された1つ以上のコンピュータ実装検出システムを含む。図23は、コントローラ1001を含む分析物検出システム1000を示す。コントローラ1001は、プロセッサ1002と、プロセッサ1002によって実行されるように構成された命令を記憶するメモリ1004とを含む。コントローラ1001は、例えば、インターネット1010及び/または無線もしくは有線ネットワークを介した通信を容易にするために、ユーザインターフェース1006及び通信回路1008を含む。ユーザインターフェース1006は、本明細書で提供される特徴付けられた分析物検出結果とのユーザ相互作用を容易にする。
【0095】
プロセッサ1002は、分析物検出データを受信し、検出された分析物を特徴付けるようにプログラムされる。一実施形態では、プロセッサは、結合部位66のアレイとの超分子構造複合体40のインキュベーション、及び結合部位66、複合体10、またはその両方の特徴の検出後に、試料中の検出された分析物のレポートを生成する。レポートは、検出された分析物結合事象に対応する様々な結合部位で生成された光シグナルのデータを含み得る。レポートは、検出された分析物のリストまたは陽性/陰性結合結果などの処理されたデータを含み得る。レポートは、複合体10及び/または利用可能な捕捉分子70の利用可能な親和性結合剤のリストを含むことができ、これは分析物検出能力を示す。
【0096】
システム1000はまた、超分子構造10(及び/または結合部位66の任意の固定化超分子構造160)の1つ以上の構成要素の検出を介して分析物結合を検出するように動作する分析物検出器1020を含む。分析物検出器1020は、1つ以上のセンサ1022を有する検出システムを含む。分析物検出器1020はまた、試料のインキュベーションならびに適切な時点での反応試薬及び検出器分子アセンブリの適切な放出を制御する反応コントローラ1024を含むことができる。センサ1022は、光学的センサ(例えば、蛍光センサ、赤外線センサ)、画像センサ、電気センサ、または磁気センサのうちの1つ以上であり得る。一実施形態では、センサ102は、金属酸化物半導体画像センサデバイスである。
【0097】
捕捉分子70との相互作用を介して個々の結合部位66に保持された複合体40の超分子構造10が検出され、検出可能なシグナルを生成する。例えば、リンカー20のバーコードは、結合した複合体と接触する検出可能なシグナル伝達要素(例えば、相補的配列のハイブリダイゼーションを介する)の結合部位として使用される。いくつかの実施形態では、シグナル伝達要素は、蛍光分子またはマイクロビーズ、蛍光ポリマー、高荷電ナノ粒子またはポリマーを含む。いくつかの実施形態では、バーコードは増幅される。例えば、バーコードは、ローリングサークル増幅またはハイブリダイゼーション連鎖反応などのプロセスにおいて、高蛍光ポリマーの成長のための重合開始剤として使用される。
【0098】
いくつかの実施形態では、シグナル伝達要素は光学的に活性であり、基板60内の顕微鏡または一体型光学センサを使用して測定することができる。いくつかの実施形態では、シグナル伝達要素は電気的に活性であり、一体型電気センサを使用して測定することができる。いくつかの実施形態では、シグナル伝達要素は磁気的に活性であり、一体型磁気センサを使用して測定することができる。いくつかの実施形態では、各シグナル事象は、対応する検出器及び親和性結合剤によって決定される同じ種類の分析物分子(同じ種類の分析物分子の単一のコピー)の捕捉に関連し、したがって、シグナル伝達要素が存在する位置の数をカウントすることにより、試料中の分析物分子の定量化が可能になる。
【0099】
いくつかの実施形態では、超分子構造は、試料中の所与の分析物分子の存在に関する情報をDNAシグナルに変換する。いくつかの実施形態では、DNAシグナルは、捕捉バーコード及び/または検出器バーコードの配列データに対応し、親和性結合剤及び検出器分子は、分析物分子に同時に連結(例えば結合)される(例えば、サンドイッチ形成)。
【0100】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるように、分析物分子の存在を検出することは、試料から分析物分子の特性を同定及び定量化するために使用される溶液に、単一または複数の固有の核酸分子を制御可能に放出することを含む。いくつかの実施形態では、前記固有の核酸分子は、それぞれの超分子構造の捕捉バーコード20によって提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の分析物分子の存在を検出することは、溶液中の分析物分子の濃度を定量化するために計数することができる状態変化に関連する光学的または電気的シグナルを生成することを含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、各超分子構造10は、関連する親和性結合剤に対応する固有のDNAバーコードを含む。本明細書で提供されるように、リンカーバーコード20は、個々の超分子構造10を一意に識別するために使用することができる。次に、各超分子構造10は、親和性結合剤2が捕捉バーコード20に関連付けられるように、例えば、分析物検出システムのルックアップテーブルに記憶されるようにアセンブリされる。したがって、捕捉バーコード20が識別されると、親和性結合剤2の同一性もアクセス可能である。
【0102】
分析物検出技術は分析物結合を特徴付けるために使用することができる。結合複合体40は、1)超分子構造10のバーコード20、及び実施形態では、2)バーコード20と同じ場所に位置する捕捉分子70のバーコードに基づいて特徴付けることができる。バーコードは、結合部位66、複合体40、または捕捉分子70のうちの1つ以上に結合した検出器分子によって生成されたシグナルによって検出することができる。一実施形態では、捕捉分子70の位置は、複合体結合の前に決定することができる。すなわち、結合部位66のアレイは、予めマッピングされて提供されても、またはマッピングは別個の工程であってもよい。マッピングは、固有の光学的、電気的、及び/または磁気的パターンを検出するなど、本明細書で一般的に提供されるような捕捉分子バーコードを検出する工程を含み得る。一実施形態では、検出は、捕捉バーコードのヌクレオチド配列を配列決定することを含む。一実施形態では、検出は、増幅生成物の増幅及び定量化、例えばqPCRによるプローブに関連するシグナルの検出を含む。
【0103】
本発明の好適な実施形態が本明細書に示され記載されたが、そのような実施形態は、ほんの一例として提供されることが当業者に自明であろう。ここで、当業者は、多数の変化形、変更、及び置換を本発明から逸脱することなく想定するであろう。本明細書に記載される本発明の実施形態に対する種々の代替手段が、本発明の実施において採用され得ることを理解されたい。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲に含まれる方法及び構造、ならびにそれらの等価物が、それにより包含されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
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図17
図18
図19
図20
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図22
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【国際調査報告】