(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】無機質基材を処理するための環境に優しい組成物
(51)【国際特許分類】
C09K 3/18 20060101AFI20240528BHJP
C04B 41/62 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
C09K3/18 104
C04B41/62
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572993
(86)(22)【出願日】2022-05-12
(85)【翻訳文提出日】2023-11-24
(86)【国際出願番号】 EP2022062894
(87)【国際公開番号】W WO2022248238
(87)【国際公開日】2022-12-01
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Operations GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1-11, 45128 Essen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ズザンネ クリスティーネ マルテンス-クルック
(72)【発明者】
【氏名】スポメンコ リェジッチ
(72)【発明者】
【氏名】ムスタファ ギュツェルザーイン
(72)【発明者】
【氏名】シュテフェン ツァイゼル
【テーマコード(参考)】
4G028
4H020
【Fターム(参考)】
4G028CA01
4G028CB08
4H020AA02
4H020AB06
4H020AB07
4H020BA33
(57)【要約】
本発明は、基材の表面、特に無機質基材の表面を処理するための分散液、前記分散液を調製する方法、基材の表面を処理するための方法、および前記分散液を用いて得られた基材に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の表面を処理するための分散液であって、
A)イソブチルトリアルコキシシラン、およびn-ブチルトリアルコキシシランからなる群より選択される少なくとも1種のブチルシラン;
B)式(P)
【化1】
[式中、
R
p1は、水素、アルキル基、およびアリール基からなる群より選択され、
R
p2は、C3~C18アルキル基、およびアルケニル基からなる群より選択され、
pは、0、1、および2より選択される]
によって表される少なくとも2つの構成単位を有する少なくとも1種のシラン系化合物;ならびに
C)水
を含む、分散液。
【請求項2】
D)少なくとも1種の非イオン性乳化剤
を含むことを特徴とする、請求項1記載の分散液。
【請求項3】
前記少なくとも1種の非イオン性乳化剤が、式(E):
【化2】
[式中、
R
E1は、C8~C22アルキル基であり;
R
E2は、水素、アルキル基、ヒドロキシル基、およびオキシアルキル基からなる群より選択され;
Eは、それぞれ独立して、アルカンジイル基であり;ならびに
nは1~100の範囲の整数である]
によって表されることを特徴とする、請求項2記載の分散液。
【請求項4】
前記少なくとも1種のシラン系化合物は、2~40個、好ましくは2~20個、より好ましくは2~8個の式(P)による構成単位を含むことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の分散液。
【請求項5】
前記ブチルシランは、イソブチルトリアルコキシシラン、好ましくはイソブチルトリエトキシシランであることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の分散液。
【請求項6】
前記少なくとも1種のシラン系化合物の量は、前記分散液の総重量に対して、1~60重量%、好ましくは5~50重量%、より好ましくは10~40重量%の範囲であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の分散液。
【請求項7】
前記少なくとも1種のブチルシランの量は、前記分散液の総重量に対して、1~60重量%、好ましくは5~50重量%、より好ましくは10~40重量%の範囲であることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の分散液。
【請求項8】
前記少なくとも1種のブチルシランと、前記少なくとも1種のシラン系化合物との重量比は、0.1~10、好ましくは0.2~5、より好ましくは0.25~4の範囲であることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の分散液。
【請求項9】
前記少なくとも1種の非イオン性乳化剤の量が、前記分散液の総重量に対して、0.1~10重量%、好ましくは0.5~5重量%、より好ましくは1.0~2.0重量%の範囲であることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の分散液。
【請求項10】
水の量が、前記分散液の総重量に対して、1~60重量%、好ましくは10~55重量%、より好ましくは30~50重量%の範囲であることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の分散液。
【請求項11】
前記分散液は、好ましくは式(A)
【化3】
[式中、
R
Aは、C8~C22アルキル基であり;ならびに
Aは、カルボン酸基、スルホン酸基、およびホスホン酸基からなる群より選択されるか、またはその塩である]
によって表される少なくとも1種のアニオン性乳化剤を含むことを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の分散液。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか1項記載の分散液を調製する方法であって、
A1)水を含む水相を提供する方法工程;
A2)前記少なくとも1種のブチルシランと、前記少なくとも1種のシラン系化合物とを提供する方法工程;
A3)前記水相と、前記少なくとも1種のブチルシランと、前記少なくとも1種のシラン系化合物とを混合する方法工程;および
A4)高圧ホモジナイザー中で、前記水相と、前記少なくとも1種のブチルシランと、前記少なくとも1種のシラン系化合物との混合物に、第1の圧力段階および第2の圧力段階を適用する方法工程
を含む、方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法によって得られた分散液。
【請求項14】
基材の表面を処理するための方法であって、処理された表面を得るために、
B1)前記表面を有する前記基材を提供する方法工程;および
B2)前記基材の前記表面を、請求項1から11までのいずれか1項、または請求項13記載の分散液で処理する方法工程
を含む、方法。
【請求項15】
i)少なくとも1つの表面を有する基材、好ましくは無機質基材、より好ましくは、コンクリート、石灰石、砂岩、テラコッタ、大理石、ローム、セメント、花崗岩、砂、シェール、人造石、石膏、粘土、およびそれらの混合物からなる群より選択される無機質基材;ならびに
ii)請求項1から11までのいずれか1項、または請求項13記載の分散液で前記基材を処理することによって得られる少なくとも1つの層
を含む、物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材の表面、特に無機質基材の表面を処理するための分散液、前記分散液を調製する方法、基材の表面を処理するための方法、および前記分散液を用いて得られた基材に関する。
【0002】
発明の背景
当該技術分野において、アルキルシランおよびシロキサンは、表面を処理するために長期にわたり使用されてきた。しかしながら、純粋なシランまたはシロキサンは、処理中のVOC(揮発性有機化合物)の遊離量が多く、かつそのような製品の貯蔵寿命が限られているため、その使用がしばしば制限される。VOCの遊離量を減少させるために、米国特許第5225510号明細書は、石造建築のための処理として、アルキルシランの加水分解物または縮合物の使用を提案している。しかしながら、開示された製品は依然として反応性であるため、十分な貯蔵安定性に欠けており、したがって、処理された表面の特性は、製品ができてから経過した年数に応じて異なることとなる。しかしながら、このような状況は、一定で信頼性がある特性を有する処理表面を望む顧客にとっては受け入れがたいものである。
【0003】
欧州特許出願公開第3072858号明細書では、アミンと組み合わせてアルキルシランを使用した鉄骨鉄筋コンクリートの表面を改善する別の試みが論じられている。しかしながら、アミンは、アルキルシランの縮合のための触媒であり、ここでもまた、処理表面の特性は、製品ができてから経過した年数に依存する。さらに、アミンの多くには毒性があり、かつ/または環境に対して危険を及ぼす。
【0004】
アルコキシシランとアルコキシシロキサンとの水性分散液、その調製および使用は、様々な刊行物に記載されている(例えば、国際公開第2006/081891号および国際公開第2006/081892号を参照)。そのような分散液は、とりわけ、建設業界で使用される無機質表面に対して、疎水性効果を与えるために使用される。これらの分散液は、典型的には、n-オクチルトリエトキシシラン(当該技術分野ではOCTEOともいう)、またはそのアルコキシ誘導体を利用することで、十分な疎水性と長期間持続効果とを得ることができる。しかしながら、近年、n-オクチルトリエトキシシランが水生生物に対して毒性であることが判明し、したがって、再分類が予定されている。このような化合物または組成物の使用は、水生生物に対して重大な脅威となる。
【0005】
中国特許出願公開第107556050号明細書では、コンクリート表面の処理に、とりわけOCTEO系環状シロキサンを使用したペーストが採用されている。環状シロキサンは、その毒性で周知であり、回避されるべきである。
【0006】
当該技術分野において、シランおよびシランから誘導される化合物を使用して様々な試みがなされているが、OCTEOまたはアミン類などの有害物質を使用することなく無機質基材を疎水性にする解決手段は、これまでのところ提示されていない。無機質基材は、主に屋外で使用されるので、そのような有害物質の曝露を効果的に防止することができない。その結果、地下水の汚染等、生態系への被害を引き起こす可能性がある。
【0007】
発明の課題
したがって、本発明の課題は、先行技術の欠点を克服することである。本発明のさらなる課題は、無機質表面を疎水性にするための組成物を提供することである。本発明の根幹となる別の目的は、OCTEO(またはOCTEOから誘導される縮合物)の使用を必要としない、環境に優しい組成物を提供することである。
【0008】
発明の概要
これらの課題は、本発明による(無機質)基材の表面を処理するための分散液であって、
A)イソブチルトリアルコキシシランおよびn-ブチルトリアルコキシシランからなる群より選択される少なくとも1種のブチルシラン;
B)式(P)
【化1】
[式中、
R
p1は、水素、アルキル基、およびアリール基からなる群より選択され、
R
p2は、C3~C18アルキル基およびアルケニル基からなる群より選択され、
pは、0、1、および2より選択される]
によって表される少なくとも2つの構成単位を有する少なくとも1種のシラン系化合物;ならびに
C)水
を含む、分散液を使用することにより解決される。
【0009】
有利には、本発明により、OCTEOなどを用いた先行技術の解決手段と比較して、改善された疎水性効果を達成することができる。さらに驚くべきことに、本発明による分散液は、20℃で少なくとも12ヶ月間にわたり貯蔵安定性であることが見出された。本発明による分散液のこのような貯蔵安定性により、前記分散液で表面を処理した場合に、時間が経っても一定の特性を得ることができる。本発明による分散液は、好ましくはOCTEOを含まず、したがって、環境に優しい。
【0010】
本発明の目的を特に首尾良く解決する好ましい実施形態は、従属請求項または以下に記載するとおりである。
【0011】
発明の詳細な説明
本明細書全体にわたり、特に断りがない限り、パーセンテージは重量パーセント(重量%)である。本明細書において示される濃度は、特に断りがない限り、分散液または組成物全体の体積または質量を指す。
【0012】
本発明において、用語「アルキル」は、環状および/または非環状構造要素を含む分枝鎖状または非分枝鎖状のアルキル基を含み、ここで、アルキル基の環状構造要素は、少なくとも3個の炭素原子を必然的に必要とする。本明細書および特許請求の範囲におけるC1~CXアルキルは、1~X個の炭素原子(Xは整数である)を有するアルキル基を指す。例えば、C1~C8アルキルとしては、とりわけ、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、tert-ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、およびオクチルが挙げられる。置換アルキル基は、理論上、少なくとも1つの水素を、官能基で置き換えることによって得ることができる。特に断りがない限り、アルキル基は、その改善された水溶性を理由に、好ましくは、置換または非置換のC1~C8アルキルより選択され、より好ましくは、置換または非置換のC1~C4アルキルより選択される。
【0013】
「アルケニル」は、少なくとも1種のオレフィン性(C=C二重)結合を含むアルキル基の不飽和誘導体である。上記の好ましいアルキル基についての記載は、アルケニル基にも準用される。
【0014】
用語「アルカンジイル」は、2つの遊離原子価(結合部位)を有する対応する基である。当該技術分野において、アルカンジイルは「アルキレン」と称する場合がある。本発明において当該残基は、環状および/または非環状構造要素を含み、直鎖状および/または分枝鎖状であってもよい。例えば、C1~C4アルカンジイルとしては、とりわけ、メタン-1,1-ジイル、エタン-1,2-ジイル、エタン-1,1-ジイル、プロパン-1,3-ジイル、プロパン-1,2-ジイル、プロパン-1,1-ジイル、ブタン-1,4-ジイル、ブタン-1,3-ジイル、ブタン-1,2-ジイル、ブタン-1,1-ジイル、ブタン-2,3-ジイルが挙げられる。さらに、アルカンジイル化合物に結合されている個々の水素原子は、それぞれの場合において、アルキル基に関して上記で定義したような官能基で置換されてもよい。特に断りのない限り、アルカンジイル基は、その改善された水溶性を理由に、好ましくは、置換または非置換のC1~C8アルカンジイルより選択され、より好ましくは、置換または非置換のC1~C4アルカンジイルより選択される。
【0015】
本発明において用語「アリール」は、環状芳香族炭化水素残基、例えばフェニルまたはナフチルを指し、個々の環炭素原子は、N、O、および/またはSで置換可能であり、例えばベンゾチアゾリルを指す。ピリジニウム化合物の調製における不所望な副反応を回避するためには、炭素原子が置換されないことが好ましい。さらに、アリール基は、それぞれの場合において、水素原子を官能基で置き換えることによって、任意に置換される。用語C5~CXアリールは、環状芳香族基中に5~X個(当然、Xは整数である)の炭素原子(任意にN、O、および/またはSで置換される)を有するアリール基を指す。特に断りのない限り、C5~C6アリールが好ましい。「アレーンジイル」は、アリールに対応する二価の基であり、例えばフェニレンである。上記の好ましいアリール基についての記載は、アレーンジイル基にも準用される。
【0016】
特に断りのない限り、上記の基は、置換または非置換である。置換基としての官能基は、好ましくは、ヒドロキシル(-OH)およびカルボキシル(-CO2H)からなる群より選択される。基は、以下で異なる旨の記載がない限り、好ましくは非置換である。
【0017】
2つ以上の残基が所与の群より選択される場合、各残基は、以下で特に断りのない限り、互いに独立して選択され、すなわち、前記群の中で同じ基または異なる基となるように選択され得る。本明細書において、いくつかの化学式における結合部位は、波線で強調される場合がある。本明細書に記載された方法は、指定された方法工程を含む。指定された方法工程は、特に断りのない限り、所与の順序で実行される。方法は、前記方法工程の前、後、および/またはその間に実施されるさらなる方法工程を任意で含む。本発明の一態様に関する好ましい態様および詳細は、特に断りのない限り、または技術的に実行不可能でない限り、本発明の他の態様に準用される。
【0018】
本発明による分散液は、少なくとも1種のブチルシランを含む。ブチルシランは、市販されているか、または当該技術分野で公知の手段によって調製されてもよい。少なくとも1種のブチルシランは、イソブチルトリアルコキシシラン、およびn-ブチルトリアルコキシシランからなる群より選択される。
【0019】
イソブチルトリアルコキシシランは、式(B1):
【化2】
[式中、R
B1は、それぞれ独立してアルキル基であり、好ましくはメチル基およびエチル基からなる群より選択される]
によって表すことができる。
【0020】
n-ブチルトリアルコキシシランは、式(C1):
【化3】
[式中、R
C1は、それぞれ独立してアルキル基であり、好ましくはメチル基およびエチル基からなる群より選択される]
によって表すことができる。
【0021】
少なくとも1種のブチルシランは、好ましくはイソブチルトリアルコキシシラン、より好ましくはイソブチルトリエトキシシラン(同様に:(2-メチルプロピル)トリエトキシシラン)である。好ましいブチルシランは、有利には(無機質)基材中により効率的に浸透することができるので、改善された疎水性効果を可能にする。当該材料への浸透が改善されているので、疎水性効果の長期耐久性がさらに高まる。
【0022】
本発明による分散液中の少なくとも1種のブチルシランの量は、分散液の総重量に対して、好ましくは1~60重量%、より好ましくは5~50重量%、さらにより好ましくは10~40重量%の範囲である。2種以上のブチルシランが使用される場合、全てのブチルシランの総量が上記の範囲であることが好ましい。
【0023】
本発明による分散液は、少なくとも1種のシラン系化合物を含む。少なくとも1種のシラン系化合物は、式(P)で表される少なくとも2つの構成単位を含む(または好ましくは、少なくとも2つの構成単位からなる)。式(P)で表される少なくとも2つの構成単位は、各構成単位の2つのケイ素原子の間に存在する結合酸素原子によって、互いに結合されている。式(P)で表される2つの構成単位からなるシラン系化合物は、以下のように例示される場合がある:
【化4】
【0024】
VOCの量を減少させるために、Rp1は、好ましくは水素およびC1~C4アルキル基からなる群より選択され、より好ましくは水素、メチル基、およびエチル基からなる群より選択され、さらにより好ましくは水素である。
【0025】
Rp2は、好ましくはC3~C18アルキル基およびビニル基からなる群より選択され、Rp2は、好ましくはC3~C8アルキル基、より好ましくはC3~C4アルキル基、さらにより好ましくはn-プロピルである。アルキル基Rp2は任意に置換されており、ここで、少なくとも1つの官能基は、ハロゲン基(好ましくは、塩素および臭素)、アミノ基(-NH2)、およびチオール基(-SH)からなる群より選択される。アルキル基Rp2は、好ましくは非置換である。
【0026】
pは、好ましくは0および1より選択される。
【0027】
少なくとも1種のシラン系化合物は、式(P)により表される構成単位を好ましくは2~40個、より好ましくは2~20個、さらにより好ましくは2~8個含む(またはより好ましくは、それらからなる)。構成単位の数は、当業者に公知の標準的な手段によって測定することができる。例えば、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)によって、構成単位の数を得ることができる。一般的に、前記方法は、分子質量(molecular mass)または分子量(molecular weight)、ならびに分子質量分布の測定を可能にする。GPC分析方法は、「Modern Size-Exclusion Liquid Chromatography」, Andre Striegel et al., Wiley & Sons, 2nd ed., 2009に詳細に記載されている。較正のための好ましい標準液は、ポリエチレンオキシド/ポリエチレングリコールであり、Agilent 1100装置で、溶離液として流量1mL/分のMEK(メチルエチルケトン)と、MZ Gel SD plusカラムからなるカラムセットとを使用して測定した。
【0028】
式(P)により表される少なくとも2つの構成単位は、シラン系化合物の、好ましくは少なくとも50重量%、より好ましくは75重量%、さらにより好ましくは90重量%を占める。少なくとも1種のシラン系化合物は、好ましくは、式(P)により表される少なくとも2つの構成単位からなる。
【0029】
シラン系化合物は当該技術分野で公知の手段によって調製することができる。シラン系化合物(特にプロピルトリエトキシシランオリゴマー)の調製は、例えば米国特許出願公開第2002/0090316号明細書(特に、段落[0021]および[0058]~[0062]を参照)に記載のとおりに行うことができる。例えば、シラン系化合物は、適切なシラン、例えばトリアルコキシアルキルシラン、およびトリアルコキシアルケニルシラン、またはそれらの各トリハロ誘導体(例えばトリクロロプロピルシラン)の加水分解および縮合を、好ましくはエタノールなどの適切な溶媒中で、制御しながら行うことで調整可能である。適切な触媒、例えば塩酸などの適切なpH調整剤を使用することが好ましい。加水分解および縮合の制御に続いて、好ましくは蒸留工程を行い、もしあれば溶媒、および形成された加水分解アルコールを除去する(上記参照)。シロキサン化合物について記載された調製の詳細は、一般的に準用される。シラン系化合物の好ましい例は、その調製のしやすさ、および本発明による分散液における顕著な効果の点で、上記のように調製される対応するシラン、特にn-プロピルトリアルコキシシランのオリゴマーおよびポリマーである。本発明の文脈において、オリゴマーは式(P)で表される構成単位を2~10個含み、ポリマーは前記構成単位を11個以上含む。
【0030】
本発明による分散液中の、少なくとも1種のシラン系化合物の量は、分散液の総重量に対して、好ましくは1~60重量%、より好ましくは5~50重量%、さらにより好ましくは10~40重量%の範囲である。2種以上のシラン系化合物が使用される場合、全てのシラン系化合物の総量が上記の範囲にあることが好ましい。
【0031】
少なくとも1種のブチルシランと、少なくとも1種のシラン系化合物との重量比は、0.1~10、好ましくは0.2~5、より好ましくは0.25~4の範囲である。本発明による分散液において、本発明による分散液において2種以上のブチルシランおよび/またはシラン系化合物が使用される場合、それらの総重量が重量比を計算するために使用される。処理される基材への分散液の浸透深さをさらに改善するためには、前記重量比は、少なくとも1(前述の上限のうちの1つを使用)、好ましくは1~4、より好ましくは3~4であるべきである。
【0032】
分散液は水を含む。水の量は、分散液の総重量に対し、好ましくは1~60重量%、より好ましくは10~55重量%、さらにより好ましくは30~50重量%の範囲にある。
【0033】
本発明による分散液は、通常、少なくとも1種の乳化剤を含む。当該技術分野において、乳化剤は界面活性剤または湿潤剤とも呼ばれる。本発明による分散液は:
D)少なくとも1種の非イオン性乳化剤
を含むことが好ましい。
【0034】
非イオン性乳化剤は、国際公開第2006/081891号に開示されているケイ素機能性乳化剤Aなどのケイ素機能性乳化剤ではないことが好ましい(特に第12頁12行目~第13頁9行目を参照)。ケイ素機能性乳化剤は、必ずしも分散液の貯蔵安定性を十分に改善するとは限らない。このことは、(本発明による分散液におけるブチルシランおよびシラン系化合物の代わりに)OCTEOおよびその縮合物を使用した場合は、ケイ素機能性乳化剤が優れているため、特に驚くべきことであった。
【0035】
少なくとも1種の非イオン性乳化剤は、8~13、好ましくは9~12、より好ましくは10~11の範囲のHLB値を有することが好ましい。
【0036】
少なくとも1種の非イオン性乳化剤は、式(E):
【化5】
[式中、R
E1は、C8~C22アルキル基であり、
R
E2は、水素、アルキル基、ヒドロキシル基、およびオキシアルキル基からなる群より選択され、
Eは、それぞれ独立して、アルカンジイル基であり、ならびに
nは1~100の範囲の整数である]
によって表されることが好ましい。
【0037】
RE1は、好ましくはC10~C18アルキル基、より好ましくはC12~C16アルキル基である。好ましくは、RE1は分枝鎖状アルキル基である。最も好ましくは、RE1は、イソ-C13アルキル基である。
【0038】
RE2は、好ましくは、ヒドロキシル基、オキシメチル基、およびメチル基からなる群より選択される。より好ましくは、RE2はヒドロキシル基である。
【0039】
Eは、好ましくは、1,2-エタンジイル基、1,2-プロパンジイル基、および1,3-プロパンジイル基からなる群より選択される。
【0040】
nは、好ましくは2~10、好ましくは3~7、より好ましくは4~6の範囲である。
【0041】
少なくとも1種の非イオン性乳化剤(特に式(E)で表される少なくとも1種の非イオン性乳化剤)は、有利には、本発明による分散液の貯蔵寿命を改善する。この改善は、他の乳化剤を使用した場合と比較しても顕著である。
【0042】
少なくとも1種の非イオン性乳化剤の量は、全分散液に対して、好ましくは0.1~10重量%、より好ましくは0.5~5重量%、さらにより好ましくは1.0~2.0重量%の範囲である。少なくとも1種の非イオン性乳化剤の量がこれよりも多くても、本発明による分散液の貯蔵寿命をさらに延ばすことができないため、コストが増加するだけであり、一方でこれよりも量が少ないと、前記効果を達成するために必ずしも十分ではない場合がある。
【0043】
本発明による分散液は、少なくとも1種のアニオン性乳化剤を含むことが好ましい。少なくとも1種のアニオン性乳化剤は、好ましくは、式(A)
【化6】
[式中、R
Aは、C8~C22アルキル基であり、かつ
Aは、カルボン酸基、スルホン酸基(-SO
3H)、およびホスホン酸基(-PO
3H
2)からなる群より選択されるか、またはその塩である]
によって表される。
【0044】
RAは、好ましくはC10~C18アルキル基、より好ましくはC12~C16アルキル基である。Aは、スルホン酸基またはその塩であることが好ましい。
【0045】
少なくとも1種のアニオン性乳化剤の量は、全分散液に対して、好ましくは0.1~2重量%、より好ましくは0.2~1重量%、さらにより好ましくは0.3~0.6重量%の範囲である。少なくとも1種のアニオン性乳化剤の量がこれより多いと、本発明による分散液の貯蔵寿命をさらに延ばすことができないため、コストが増加するだけであり、一方でこれよりも量が少ないと、前記効果を達成するために必ずしも十分ではない場合がある。
【0046】
少なくとも1種のアニオン性乳化剤を、少なくとも1種の非イオン性乳化剤と組み合わせることにより、本発明による分散液の貯蔵寿命が著しく改善される。少なくとも1種の非イオン性乳化剤(特に式(E)で表される乳化剤)と、少なくとも1種のアニオン性乳化剤(特に式(A)により表される乳化剤)との組み合わせによって、それら乳化剤のうちの1種のみを使用する場合に比べて、貯蔵安定性が向上する。というのも、それらは相乗的に作用するからである。このため、本発明による分散液は、少なくとも1種の非イオン性乳化剤と、少なくとも1種のアニオン性乳化剤とを含むことが好ましく、式(E)で表される少なくとも1種の非イオン性乳化剤と、式(A)により表される少なくとも1種のアニオン性乳化剤とを含むことが最も好ましい。後者の場合、式(E)により表される少なくとも1種の非イオン性乳化剤の量と、式(A)により表される少なくとも1種のアニオン性乳化剤の量との合計は、分散液の総重量に対して、10.0重量%を超えないことが好ましく、2.0重量%を超えないことがより好ましい。合計がそれより高いと、本発明による分散液がもたらす疎水性効果が弱まる場合がある。
【0047】
本発明による分散液は、少なくとも1種の防腐剤を含むことが好ましい。この防腐剤は、分散液の寿命を有利に改善する。適切な防腐剤はこの技術分野で公知である。好ましい防腐剤の量は、分散液の総重量に対して、好ましくは0.01~1重量%、より好ましくは0.1~0.3重量%の範囲である。好ましい防腐剤は、クロロメチルイソチアゾリノン(CIT)、メチルイソチアゾリノン(MIT)、およびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0048】
本発明による分散液は、少なくとも1種の消泡剤を含むことが好ましい。少なくとも1種の消泡剤の量は、分散液の総重量に対して、好ましくは0.02~2重量%、より好ましくは0.1~1.0重量%、さらにより好ましくは0.4~0.8重量%の範囲である。消泡剤は当該技術分野で公知であり、当業者は通常行う実験に基づいて適切な消泡剤を選択することができる。特に適切であると思われる消泡剤は、BYK011(BYK-Chemie GmbHから入手可能)の商品名で入手できる、泡阻害性ポリマーと疎水性溶媒との混合物である。
【0049】
前記した成分に加え、分散液は、任意に、芳香剤、腐食防止剤、ベントナイトなどのレオロジー助剤、または例えばジブチルスズジラウレート、チタンアルコキシド、またはジルコニウムアルコキシド(例えばテトラブチルチタネート)などの、有機スズ、チタン、もしくはジルコニウム化合物などのような触媒から選択される1種以上の慣用の助剤を含む。任意の1種以上の慣用の助剤は、分散液の総重量に対して、0.005~10重量%の量で存在し得る。
【0050】
メチルシリケート、エチルシリケート、またはプロピルシリケートなどのアルキルシリケートの総量は、分散液の総重量に対して、1重量%以下、好ましくは0.1重量%以下であることが好ましい。分散液は、特にメチルシリケート、エチルシリケート、およびプロピルシリケートなどのアルキルシリケート(技術原料に時々存在する微量不純物は無視する)を含まないことが理想的である。アルキルシリケートは、分散液の所望の効果を弱める場合がある。
【0051】
本発明による分散液におけるアクリレート、またはポリアクリレート、具体的にはフルオロアクリレート、またはフルオロアクリレートから誘導されたオリゴマー/ポリマーの総量は、分散液の総重量に対して、1重量%以下、好ましくは0.1重量%以下であることが好ましい。分散液は、前記化合物(技術原料に時々存在する微量不純物は無視する)を含まないことが理想的である。アクリレート、またはポリアクリレートは、分散液の所望の効果を弱める場合がある。
【0052】
本発明による分散液中の疎水性金属酸化物の総量は、分散液の総重量に対して、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下、さらにより好ましくは0.005重量%以下である。分散液は、疎水性金属酸化物(技術原料に時々存在する微量不純物は無視する)を含まないことが理想的である。本発明の文脈において、疎水性金属酸化物とは、アルミニウム、ケイ素、およびチタンの酸化物、水酸化物、およびオキソ水和物であり、特に脂肪酸、脂肪アルコール、アルキルケイ酸塩、またはアルキルシランなどの疎水化剤で処理されたものである。疎水性金属酸化物は、本発明による分散液の寿命を短縮する場合がある。
【0053】
環境および健康上の理由から、本発明による分散液中の環状シロキサンの総量は、分散液の総重量に対して、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下、さらにより好ましくは0.005重量%以下である。分散液は、環状シロキサンを含まないことが理想的である。
【0054】
本発明の文脈における分散液は、1つより多くの相を含む材料として理解されるものであり、それらの相のうち少なくとも1つの相は、細かく分かれた相領域(分散相)から成り、そのサイズはしばしばコロイド状サイズの範囲であり、連続相全体に分散している。連続相および分散相は、液体(20℃)であることが好ましく、したがって、本発明による分散液は、好ましくはエマルション、より好ましくは水中油型分散液である。少なくとも1種のブチルシランおよび少なくとも1種のシラン系化合物は、本発明による分散液の油相中に存在する。
【0055】
スパンD:
D=(d90-d10)/d50
として表される、本発明による分散液における液滴サイズ分布の幅は、好ましくは0.9~1.15の範囲であり、より好ましくは1.05~1.15の範囲である。このような液滴サイズ分布を有する分散液は、特に貯蔵安定性である。
【0056】
分散液のpH値は、少なくとも1種の任意のpH調整剤によって調整することができる。少なくとも1つの任意のpH調整剤は、分散液の所望のpH値に応じて、塩基または酸である。適切な酸は、とりわけ無機酸および有機酸であり、それらのうち有機酸が好ましい。有用な無機酸は塩酸である。好ましい有機酸は、ギ酸および酢酸である。適切な塩基は、とりわけ、水酸化ナトリウム、アルカリ土類水酸化物などのアルカリ性水酸化物、およびNaHCO3などの炭酸水素塩である。遊離アミノ基を有する化合物(すなわち、アミンだけでなく、アミノ基含有シランおよびシロキサン)は、分散液中の成分A)およびB)の望ましくない加水分解/縮合反応を触媒し、それにより分散液の貯蔵寿命を短縮する場合があるため、あまり好ましくない。このため、遊離アミノ基を有する化合物の最大量が、1重量%、好ましくは0.05重量%であることが好ましく、本発明による分散液は、そのような化合物を含まないことが理想的である。
【0057】
分散液のpH値は、好ましくは4.0~9.2、より好ましくは6.0~8.0、さらにより好ましくは7.0~8.5の範囲である。pH値は、DIN EN ISO 10523 (2012)に従って測定される。少なくとも1種の任意のpH調整剤は、好ましくは、pH値を調製するために必要とされる、上記の範囲に従ったpH値を調整するのに必要な量で使用される。
【0058】
本発明の好ましい実施形態において、本発明による分散液は、
A)少なくとも1種のブチルシラン;
B)式(P)で表される少なくとも2つの構成単位を有する少なくとも1種のシラン系化合物;
C)水;
D)少なくとも1種の非イオン性乳化剤;
E)少なくとも1種のアニオン性乳化剤;
F)好ましくは、少なくとも1種の防腐剤;
G)好ましくは、少なくとも1種の消泡剤;
H)任意で、少なくとも1種のpH調整剤;および
I)任意で、1種以上の上記の慣用の助剤
を含む(またはそれらからなる)。
【0059】
本発明による分散液に関する上記の選好および詳細は、この好ましい実施形態に準用される。これには、特に分散液の成分の量および比が含まれる。
【0060】
本発明による分散液は、(無機質)基材の表面、好ましくは以下に記載される基材の表面を処理するために使用されることが好ましい。前記表面上に本発明による分散液を使用することで、表面が疎水性になり、かつ基材の水揚げ量を低減する。
【0061】
さらなる態様において、本発明は、
A1)水を含む水相を提供する方法工程;
A2)少なくとも1種のブチルシランと、少なくとも1種のシラン系化合物とを提供する方法工程;
A3)水相と、少なくとも1種のブチルシランと、少なくとも1種のシラン系化合物とを混合する方法工程;および
A4)高圧ホモジナイザー中で、水相と、少なくとも1種のブチルシランと、少なくとも1種のシラン系化合物との混合物に、第1の圧力段階、および第2の圧力段階を適用する方法工程
を含む、本発明による分散液を調製する方法に関する。
【0062】
本発明の方法を実施することにより、本発明による分散液が得られる。
【0063】
本発明による方法は、方法工程A1)~A4)を含む。方法工程A3)およびA4)は、所与の順序で実施される。必要であれば、方法工程A1)およびA2)の順序は、逆にしてもよい。いずれの場合にも、方法工程A1)およびA2)は、方法工程A3)およびA4)の前に実施される。本発明による方法は、任意に、前記方法工程の前、後、および/またはその間に実施されるさらなる方法工程を含む。
【0064】
本発明による方法により、従来不可能であった、ブチルシランを含有する貯蔵安定性の分散液を容易に調整することができる。
【0065】
方法工程A1)において、水を含む水相が提供される。水相が(水以外の)成分をさらに含む場合、それらは例えば攪拌により、水と混合され、理想的には水に溶解されるか、または少なくとも、均一な相が得られるまで水と混合される。水相中に存在可能な成分は、少なくとも1種の非イオン性乳化剤、少なくとも1種のアニオン性乳化剤、少なくとも1種の防腐剤、少なくとも1種の消泡剤、および少なくとも1種のpH調整剤である。
【0066】
方法工程A2)において、少なくとも1種のブチルシラン、および少なくとも1種のシラン系化合物が提供される。任意に、少なくとも1種のブチルシランおよび少なくとも1種のシラン系化合物は混合され、その混合物に可溶な、またはその混合物と混和可能である成分がさらに添加される。時間の節約のために、少なくとも1種のブチルシラン、および少なくとも1種のシラン系化合物を混合せず、続く方法工程A3)において混合することが好ましい。
【0067】
方法工程A3)において、水相と、少なくとも1種のブチルシランと、少なくとも1種のシラン系化合物とを混合する。この場合、混合とは、2つの相が少なくとも互いに接触させられることを意味する。それらは、(例えば撹拌により)方法工程A4)で使用される高圧ホモジナイザー中で混合されることが好ましい。
【0068】
方法工程A3)の継続時間は、好ましくは15~60分、より好ましくは20~40分、さらにより好ましくは25~35分の範囲である。
【0069】
方法工程A3)において、温度は特に制限されない。方法工程A3)で使用される(混合物の)温度は、好ましくは1~8℃、より好ましくは3~5℃、さらにより好ましくは4~6℃の範囲であることが好ましい。
【0070】
方法工程A4)では、(方法工程A3)で得られた)水相と、少なくとも1種のブチルシランと、少なくとも1種のシラン系化合物の混合物が、高圧ホモジナイザーで処理される。高圧ホモジナイザーは、分散液を調製するために使用される慣用のツールである。そのようなホモジナイザーは、例えば、APV Gaulin GmbH, Luebeckから入手可能である。特に適切なホモジナイザーは、上記企業から入手可能な、商品名APV Gaulin 15である。高圧ホモジナイザーの圧力の設定および報告には、ノズルの幅またはノズル間隙の機械的設定が必要である。高圧ホモジナイザーは、第1および第2の圧力段階を設定することができるように、少なくとも2つのノズル、またはノズル間隙を有することが好ましい。前記高圧ホモジナイザーにおいて、第1の圧力段階および第2の圧力段階が、水相と、少なくとも1種のブチルシランと、少なくとも1種のシラン系化合物との混合物に適用される。
【0071】
第1の圧力段階で使用される圧力は、好ましくは5~50MPa、より好ましくは10~40MPa、さらにより好ましくは25~35MPaの範囲である。第2の圧力段階で使用される圧力は、好ましくは1~10MPa、より好ましくは2~5MPa、さらにより好ましくは2.5~4MPaの範囲である。
【0072】
方法工程A4)の継続時間は、5~30分、好ましくは10~20分、より好ましくは14~16分の範囲である。
【0073】
方法工程A4)で使用される(前記混合物の)温度は、好ましくは1~8℃、より好ましくは3~5℃、さらにより好ましくは4~6℃の範囲である。方法工程A4)の均質化におけるこのような温度範囲は、得られる分散液の貯蔵安定性をさらに改善する。
【0074】
本発明による方法を実施する間、特に方法工程A1)および/またはA2)において、混合物/相中への空気混入を回避することが総じて好ましい。混合物/相中の空気が、形成される中間相の望ましくない増加につながる場合があり、そのような増加のせいで、より多量の乳化剤を使用しなくてはならなくなり、ひいては、処理された基材の疎水性を悪化させる場合がある。
【0075】
本発明はさらに、本発明による分散液の調整方法によって得られた分散液に関する。このようにして得られた分散液は、室温(すなわち20℃)で貯蔵されることが好ましい。
【0076】
別の態様において、本発明は、処理された表面を得るために
B1)表面を有する基材を提供する方法工程;および
B2)本発明による分散液を用いて、基材の表面を処理する方法工程;
を含む、(無機質)基材の表面を処理するための方法に関する。
【0077】
本発明による方法は、処理された基材の水揚げ量を著しく低減する。本発明による方法の処理は、処理された表面を疎水性にするのに有利である。
【0078】
本発明による方法は、方法工程B1)およびB2)を含む。これらの方法工程は、所定の順序で実施される。本発明による方法は、任意に、前記方法ステップの前、後、および/またはその間に実施される方法工程をさらに含む。
【0079】
本発明による方法の方法工程B1)では、表面を有する基材が提供される。基材は、好ましくは(多孔質)無機質基材であり、前記無機質基材は、好ましくは、コンクリート、石灰石、砂岩、テラコッタ、大理石、ローム、セメント、花崗岩、砂、頁岩、人造石、石膏、粘土、およびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つの無機質材料を含むか、またはより好ましくは、そのような群より選択される少なくとも一つの無機質材料からなる。
【0080】
任意に、(無機質)基材は、建築/建設業界で使用されるレンガ、タイル、クリンカ、瓦、繊維セメント板、または同様の物品の形態を有する。
【0081】
無機質基材は、少なくとも1種の繊維、より好ましくは複数の繊維を含むことが好ましい。さらにより好ましくは、無機質基材は、繊維強化セメントである。好ましい繊維は、炭素繊維、セルロース繊維、(耐アルカリ性)ガラス繊維、(水不溶性)ポリビニルアルコール繊維、ホモポリアクリロニトリル繊維、およびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0082】
方法は、任意で
B1.i)基材の表面を前処理する方法工程
を、さらに含む。
【0083】
方法工程B1.i)は、方法工程B1)と方法工程B2)との間に実施されるものである。前処理は、当該技術分野で公知なものであり、とりわけ、(例えば、界面活性剤含有の水溶液を用いた)表面洗浄、(例えば、酸化剤および/またはシリカなどの研磨性物質含有の水溶液を用いた)化学研磨、表面の高圧もしくは水蒸気洗浄、または表面の研磨ブラッシングなどが挙げられる。方法工程B1.i)は、方法工程B2)における本発明による分散液を用いた処理を、より施しやすい表面にすることを目的とする。
【0084】
本発明による方法の方法工程B2)において、基材の表面は、本発明による分散液で処理される。
【0085】
方法工程において、本発明による分散液の温度は、好ましくは5~50℃、より好ましくは10~40℃、さらにより好ましくは15~25℃の範囲である。
【0086】
方法工程B2)において、本発明による分散液の基材表面への適用量は、とりわけ基材の吸収率に依存し、好ましくは50~800g/m2、より好ましくは100~500g/m2、さらにより好ましくは200~350g/m2の範囲である。
【0087】
方法工程B2)において、適用の手段は特に限定されない。基材の表面は、本発明による分散液を用いて、噴霧、浸漬、ブラッシング、およびフラッディングによって処理可能である。例えばエアレス装置を用いた噴霧により適用することが好ましい。
【0088】
本発明による方法は、任意に、方法工程B2)の後に行われる
c)基材を乾燥させる方法工程
をさらに含む。
【0089】
基材の乾燥は、好ましくは10℃~80℃の温度で行われる。省エネルギーの理由から、基材を室温(典型的には約20℃)で乾燥させることが好ましい。乾燥は、本発明による分散液の全ての揮発性成分が、蒸発により除去されるまで継続されることが好ましい。必要に応じて、オーブンなどの従来の乾燥手段を、制限なしに使用することができる。
【0090】
本発明はさらに、
i)少なくとも1つの表面を有する基材、好ましくは無機質基材、より好ましくは、コンクリート、石灰石、砂岩、テラコッタ、大理石、ローム、セメント、花崗岩、砂、シェール、人造石、石膏、粘土、およびそれらの混合物からなる群より選択される無機質基材;ならびに
ii)本発明による分散液で基材を処理することによって得られる少なくとも1つの層
を含む、(処理された)物品に関する。
【0091】
本発明の文脈において、層は、基材表面へのあらゆる種類の構造的表面処理を包含すると理解されるべきであり、具体的には、表面に存在するあらゆる細孔の処理を含む。本発明による分散液を用いて基材を処理して得られる層は、基材の表面上に存在することが好ましく、基材の表面に直接存在することが好ましい。
【0092】
本発明はさらに、上述した少なくとも1つの物品を含む(建築用)構造体に関する。前記構造体は、好ましくは人工物である。本発明の文脈における構造体とは、例えば壁、床、橋、トンネル、港(特に港湾施設およびドック)、および道路などの建物および建築物である。構造体は、例えば本発明による物品の1つ以上を用いて作られる。
【0093】
ここで、本発明を以下の非限定的な実施例を参照して説明する。
【0094】
実施例
特に断りのない限り、使用された市販品は、本明細書の出願日に入手可能であった技術データシートに記載のとおりである。
【0095】
平均液滴サイズ、およびその分布の幅は、Coulter(登録商標)LS粒径分析装置を使用して測定することができ、必要に応じて、液滴径に対する液滴の体積割合を(好ましくは対数スケールで)プロットしたグラフで、液滴サイズ分布を示す。単峰性分布の場合は、曲線は1つの極大値を有し、双峰性分布の場合は、曲線は2つの極大値を有する。以下において、このような分布曲線の極大値の位置がμmで報告される場合、この報告された値は、双峰性分布または多峰性分布の場合、最小液滴径を有する最初の極大値に関する。
【0096】
分散液実施例1(本発明による):
分散液の組成:
【表1】
【0097】
ラウリル硫酸ナトリウム、非イオン性乳化剤、防腐剤、およびpH調整剤を水に溶解させ、水相を調製した(方法工程A1))。そのために、混合物を室温で5~10分間撹拌した。次に、ブチルシランと、シラン系化合物とを慎重に混合して空気の混入を回避し、油相を調製した(方法工程A2))。引き続き、2つの相を、高圧ホモジナイザー(APV Gaulin 15、方法工程A3))中で30分間混合し、15MPaの第1の圧力段階および3MPaを採用した第2の圧力段階で15分間処理した(方法工程A4))。
【0098】
得られた分散液は水中油型エマルションであり、室温で12ヶ月を超えても安定であった。水で希釈した試料の貯蔵安定性も、良好であることが証明された。
【0099】
分散液は、以下の液滴サイズ分布を有していた:
平均液滴サイズ0.27μm、液滴サイズ分布曲線の極大値の位置0.30μm、d90=0.41μm、d50=0.30μm、d10=0.07μm。スパンDは、1.13であった。
【0100】
分散液実施例2(本発明による):
分散液の組成:
【表2】
【0101】
分散液を、実施例1について記載したのと同じ方法で調製した。
【0102】
分散液は、以下の液滴サイズ分布を有していた:
平均液滴サイズ0.15μm、液滴サイズ分布曲線の極大値の位置0.14μm、d90=0.23μm、d50=0.14μm、d10=0.08μm。スパンDは、1.06であった。
【0103】
得られた分散液は、水中油型エマルションであり、室温で12ヶ月を超えても安定であった。水で希釈した試料(分散液1重量部および水1.5重量部)の貯蔵安定性も、良好であることが証明された。
【0104】
分散液実施例3(比較例)
分散液の組成:
【表3】
【0105】
ラウリル硫酸ナトリウム、ケイ素機能性乳化剤A、ロールオフ用添加剤、防腐剤、およびNaHCO3を水に溶解させて、水相を調製した。このために、混合物を室温で5~10分間撹拌した。次いで、オクチルトリエトキシシロキサンと、オクチルトリエトキシシランとを慎重に混合して空気の混入を回避し、油相を調製した。引き続き、2つの相を、高圧ホモジナイザー(APV Gaulin 15)中で合わせた。第1の圧力段階では圧力15MPaを印加し、第2の圧力段階では圧力3MPaを印加した。乳化時間は合計で45分であった。
【0106】
得られた分散液は、室温で12ヶ月を超えて安定であった。水で希釈した試料(分散液1重量部および水1.5重量部)の貯蔵安定性も、良好であることが証明された。
【0107】
分散液は、以下の液滴サイズ分布を有していた:
平均液滴サイズ0.27μm、液滴サイズ分布曲線の極大値の位置0.27μm、d90=0.35μm、d50=0.26μm、d10=0.19μm。スパンDは、0.61であった。
【0108】
分散液実施例4(比較例)
分散液の組成:
【表4】
【0109】
ラウリル硫酸ナトリウム、飽和イソ-C13アルコール系非イオン性乳化剤、防腐剤、およびNaHCO3を水に溶解して水相を調製した。このために、混合物を室温で5~10分間撹拌した。次いで、オクチルトリエトキシシランと、n-プロピルトリエトキシシランのオリゴマーとを慎重に混合して空気の混入を回避し、油相を調製した。引き続き、2つの相を高圧ホモジナイザー(APV Gaulin 15)中で合わせた。第1の圧力段階では圧力15MPaを印加し、第2の圧力段階では圧力3MPaを印加した。乳化時間は合計で45分であった。
【0110】
得られた分散液は、室温で12ヶ月を超えて安定であった。水で希釈した試料(分散液1重量部および水1重量部)の貯蔵安定性も、良好であることが証明された。
【0111】
分散液は、以下の液滴サイズ分布を有していた:
平均液滴サイズズ0.33μm、液滴サイズ分布曲線の極大値の位置0.32μm、d90=0.44μm、d50=0.33μm、d10=0.23μm。スパンDは、0.65であった。
【0112】
分散液実施例5(欧州特許第1843991号明細書の例3に基づく比較例)
分散液の組成:
【表5】
【0113】
ラウリル硫酸ナトリウム、ケイ素機能性乳化剤、ロールオフ用添加剤、防腐剤、およびNaHCO3を水に溶解させて、水相を調製した。このために、混合物を室温で5~10分間撹拌した。次いで、プロピルトリエトキシシランと、n-プロピルトリエトキシシランのオリゴマーとを慎重に混合して空気の混入を回避し、油相を調製した。引き続き、2つの相を高圧ホモジナイザー(APV Gaulin 15)中で合わせた。第1の圧力段階では圧力15MPaを印加し、第2の圧力段階では圧力3MPaを印加した。乳化時間は合計で45分であった。
【0114】
得られた分散液は、貯蔵安定性に欠け、かつそれぞれ60℃および40℃で貯蔵したところ、4日以内に相分離が生じた。室温で貯蔵した場合、分散液の相は31日以内に分離した。
【0115】
適用例
以下の適用例において、コンクリート試験片を基材として使用した。
【0116】
分散液実施例1~5の分散液を、適用前に、有効成分含量が20%になるまで水で希釈した。有効成分含量は、分散液実施例において使用されるケイ素化合物の総量に基づいて計算される。この場合のケイ素化合物は、少なくとも1種のブチルシラン、および少なくとも1種のシラン系化合物だけでなく、比較例で使用したプロピルトリエトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、およびそれらの各オリゴマーが含まれる。これに従うと、20%の有効成分含量を有する希釈分散液を得るためには、分散液実施例1の(50%の有効成分含量を有する)分散液40gを、60gの水で希釈する必要がある。
【0117】
こうして希釈された分散液に試験片を浸漬し、かつ浸漬された試験片を室温で乾燥させることによって、分散液を試験片上に適用した。処理前後の試験片の重さを測定し、適用量を求めた。
【0118】
このように処理した試験片を、以下の試験を実施する前に14日間(室温、すなわち20℃にて)乾燥させた:
【0119】
1)水揚げ量の低減:疎水性の特性を、それぞれの分散液における水揚げ量の低減によって表した。このために、一辺の長さが5cmのコンクリートキューブを、特定量の分散液を用いて浸漬により処理した。乾燥後(上記参照)、処理したキューブを、24時間完全に水中で貯蔵した。付着した水滴をセルロース布で注意深く除去した。次いで、増量分を測定した。DIN EN 13580に基づく水揚げ量(当該技術分野では吸水量ともいう)の低減分を、未処理のキューブと比較した。
【0120】
2)浸透深さ:浸透深さを測定するために、処理した試験片を2つに割り、破断面を水性着色系(水中に0.05重量%のメチレンブルーを含む)で濡らした。含浸されていない領域は着色され、含浸された領域は無色のままであった。処理表面から色境界面までの幅を、試験片本体における8つの異なる点にて測定することで、(平均)浸透深さ(mm)を計算することができた。
【0121】
【0122】
本発明による実施例1および2において、全ての先行技術の溶液と比較して、水揚げ量がさらに低減された。また、本発明の実施例は、水生生物に対して毒性であるオクチルトリエトキシシランを含まないため、環境に優しい。分散液実施例2の分散液で処理した基材は、優れた浸透深さを示した。これは、分散液実施例2で使用された、少なくとも1種のブチルシランと、少なくとも1種のシラン系化合物との好ましい重量比によるものである。
【0123】
本発明の他の実施形態は、本明細書の考察、または本明細書に開示される本発明を実施することにより、当業者にとって明らかになるであろう。明細書および実施例は例示としてのみ考慮されることが意図されており、本発明の厳格な範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ定義される。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の表面を処理するための分散液であって、
A)イソブチルトリアルコキシシラン、およびn-ブチルトリアルコキシシランからなる群より選択される少なくとも1種のブチルシラン;
B)式(P)
【化1】
[式中、
R
p1は、水素、アルキル基、およびアリール基からなる群より選択され、
R
p2は、C3~C18アルキル基、およびアルケニル基からなる群より選択され、
pは、0、1、および2より選択される]
によって表される少なくとも2つの構成単位を有する少なくとも1種のシラン系化合物;ならびに
C)水
を含む、分散液。
【請求項2】
D)少なくとも1種の非イオン性乳化剤
を含むことを特徴とする、請求項1記載の分散液。
【請求項3】
前記少なくとも1種の非イオン性乳化剤が、式(E):
【化2】
[式中、
R
E1は、C8~C22アルキル基であり;
R
E2は、水素、アルキル基、ヒドロキシル基、およびオキシアルキル基からなる群より選択され;
Eは、それぞれ独立して、アルカンジイル基であり;ならびに
nは1~100の範囲の整数である]
によって表されることを特徴とする、請求項2記載の分散液。
【請求項4】
前記少なくとも1種のシラン系化合物は、2~40個、好ましくは2~20個、より好ましくは2~8個の式(P)による構成単位を含むことを特徴とする、請求項
1記載の分散液。
【請求項5】
前記ブチルシランは、イソブチルトリアルコキシシラン、好ましくはイソブチルトリエトキシシランであることを特徴とする、請求項
1記載の分散液。
【請求項6】
前記少なくとも1種のシラン系化合物の量は、前記分散液の総重量に対して、1~60重量%、好ましくは5~50重量%、より好ましくは10~40重量%の範囲であることを特徴とする、請求項
1記載の分散液。
【請求項7】
前記少なくとも1種のブチルシランの量は、前記分散液の総重量に対して、1~60重量%、好ましくは5~50重量%、より好ましくは10~40重量%の範囲であることを特徴とする、請求項
1記載の分散液。
【請求項8】
前記少なくとも1種のブチルシランと、前記少なくとも1種のシラン系化合物との重量比は、0.1~10、好ましくは0.2~5、より好ましくは0.25~4の範囲であることを特徴とする、請求項
1記載の分散液。
【請求項9】
前記少なくとも1種の非イオン性乳化剤の量が、前記分散液の総重量に対して、0.1~10重量%、好ましくは0.5~5重量%、より好ましくは1.0~2.0重量%の範囲であることを特徴とする、請求項
2記載の分散液。
【請求項10】
水の量が、前記分散液の総重量に対して、1~60重量%、好ましくは10~55重量%、より好ましくは30~50重量%の範囲であることを特徴とする、請求項
1記載の分散液。
【請求項11】
前記分散液は、好ましくは式(A)
【化3】
[式中、
R
Aは、C8~C22アルキル基であり;ならびに
Aは、カルボン酸基、スルホン酸基、およびホスホン酸基からなる群より選択されるか、またはその塩である]
によって表される少なくとも1種のアニオン性乳化剤を含むことを特徴とする、請求項
1記載の分散液。
【請求項12】
請求項
1記載の分散液を調製する方法であって、
A1)水を含む水相を提供する方法工程;
A2)前記少なくとも1種のブチルシランと、前記少なくとも1種のシラン系化合物とを提供する方法工程;
A3)前記水相と、前記少なくとも1種のブチルシランと、前記少なくとも1種のシラン系化合物とを混合する方法工程;および
A4)高圧ホモジナイザー中で、前記水相と、前記少なくとも1種のブチルシランと、前記少なくとも1種のシラン系化合物との混合物に、第1の圧力段階および第2の圧力段階を適用する方法工程
を含む、方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法によって得られた分散液。
【請求項14】
基材の表面を処理するための方法であって、処理された表面を得るために、
B1)前記表面を有する前記基材を提供する方法工程;および
B2)前記基材の前記表面を、請求項
1または請求項13記載の分散液で処理する方法工程
を含む、方法。
【請求項15】
i)少なくとも1つの表面を有する基材、好ましくは無機質基材、より好ましくは、コンクリート、石灰石、砂岩、テラコッタ、大理石、ローム、セメント、花崗岩、砂、シェール、人造石、石膏、粘土、およびそれらの混合物からなる群より選択される無機質基材;ならびに
ii)請求項
1または請求項13記載の分散液で前記基材を処理することによって得られる少なくとも1つの層
を含む、物品。
【国際調査報告】