(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】データを感知および取得する装置および方法
(51)【国際特許分類】
G01L 1/22 20060101AFI20240528BHJP
G01L 1/24 20060101ALI20240528BHJP
G01N 3/08 20060101ALN20240528BHJP
【FI】
G01L1/22 M
G01L1/24 A
G01N3/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573296
(86)(22)【出願日】2022-05-27
(85)【翻訳文提出日】2023-12-13
(86)【国際出願番号】 SG2022050360
(87)【国際公開番号】W WO2022250616
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】10202105665Q
(32)【優先日】2021-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506076891
【氏名又は名称】ナンヤン テクノロジカル ユニヴァーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ヤオウェン
(72)【発明者】
【氏名】バンデジヤ、ラジャット
(72)【発明者】
【氏名】モハンティ、リピ
【テーマコード(参考)】
2F049
2G061
【Fターム(参考)】
2F049CA07
2G061AA01
2G061AA02
2G061AB01
2G061BA20
2G061CA20
2G061CB20
2G061EA04
2G061EB07
2G061EC02
(57)【要約】
データ感知および取得装置に関する。データ感知および取得装置は、第1歪み信号を感知および取得するように構成された第1感知および変換器モジュールと、第2歪み信号を感知および取得するように構成された第2感知および変換器モジュールと、第1感知および変換器モジュールおよび第2感知および変換器モジュールとで信号通信またはデータ通信を行なうように配置されたデータ取得モジュールと、を備えている。データ取得モジュールは、第1歪み信号と第2歪み信号の受信のいずれかを選択するとともに、受信済み第1歪み信号または受信済み第2歪み信号をデジタル値に変換するように構成されたセレクタを備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ感知および取得装置としての装置であって、前記装置は、
第1歪み信号を感知および取得するように構成された第1感知および変換器モジュールと、
第2歪み信号を感知および取得するように構成された第2感知および変換器モジュールと、
前記第1感知および変換器モジュールと前記第2感知および変換器モジュールとで信号通信またはデータ通信を行なうように配置されたデータ取得モジュールであって、前記データ取得モジュールは、前記第1歪み信号の受信と前記第2歪み信号の受信とのいずれかを選択するとともに受信済み前記第1歪み信号または受信済み前記第2歪み信号をデジタル値に変換するように構成されたセレクタを備えている、前記データ取得モジュールと、
を備えている、装置。
【請求項2】
前記第1感知および変換器モジュールは、電気箔歪みゲージセンサを有している電気歪みゲージ取得ユニットを備えている、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1感知および変換器モジュールはホイートストンブリッジ回路を備えており、
前記電気箔歪みゲージセンサは、前記ホイートストンブリッジ回路のアームを形成する、
請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ホイートストンブリッジ回路は、前記ホイートストンブリッジ回路の2つのノードを横切る電位差が、前記電気箔歪みゲージセンサの測定抵抗値の変化に応じて可変するように構成されている、
請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第2感知および変換器モジュールは光学センサモジュールを備えており、前記光学センサモジュールは、チャープファイバブラッググレーティングCFBGセンサを有しているインテロゲータアームと、チャープファイバブラッググレーティングCFBGセンサまたは均一ファイバブラッググレーティングUFBGセンサを有している感知アームと、を備えており、
前記インテロゲータアームは、前記感知アームとの同一帯域または同位置帯域のいずれかで動作するように構成されている、
請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記チャープファイバブラッググレーティングCFBGセンサまたは前記均一ファイバブラッググレーティングUFBGセンサの帯域は、広帯域光源に関連する電力強度対波長グラフの傾き、上昇または下降、の直線部分から選択される、
請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記インテロゲータアームはLED光源を内蔵するかまたは前記LED光源に接続されるかしており、
前記感知アームは、歪み測定値を得るべく外部に接続するように動作可能に配置されている、
請求項5または6に記載の装置。
【請求項8】
前記データ取得モジュールはトランシーバモジュールを備えており、
前記トランシーバモジュールは、ユニバーサル非同期受信機-送信機(UART)接続を使用することで前記セレクタとでインタフェースするための、シングルボードコンピュータを備えている、
請求項1~7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記セレクタと前記シングルボードコンピュータとのうちの少なくとも1つは、前記第1歪み信号と前記第2歪み信号とを統合するように構成されている、
請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第1歪み信号と前記第2歪み信号とのうちの少なくとも1つは、アナログ差動電圧の形態であり、
前記アナログ差動電圧は、前記デジタル値に変換する前に増幅される、
請求項1~9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
構造物の歪みを監視するシステムであって、前記システムは、
前記構造物に取り付けられた電気歪みゲージESGセンサを有している第1感知および変換器モジュールであって、前記電気歪みゲージESGセンサは前記構造物への引張歪みまたは圧縮歪みの付与に関連する第1歪み信号を感知および取得するように構成されている、前記第1感知および変換器モジュールと、
前記構造物に取り付けられた光ファイバベースセンサを有している第2感知および変換器モジュールであって、前記光ファイバベースセンサは第2歪み信号を感知および取得するように構成されている、前記第2感知および変換器モジュールと、
前記第1感知および変換器モジュールおよび前記第2感知および変換器モジュールとで信号通信またはデータ通信を行なうように配置されたデータ取得モジュールであって、前記第1歪み信号の受信と前記第2歪み信号の受信とのいずれかを選択するとともに受信済み前記第1歪み信号または受信済み前記第2歪み信号をデジタル値に変換するように構成されたセレクタを備えている前記データ取得モジュールと、
を備えている、システム。
【請求項12】
前記システムはさらにシングルボードコンピュータを備えており、
前記シングルボードコンピュータは、変換済みの前記デジタル値を受信するとともに表示用に端末装置にさらに送信するべく、前記データ取得モジュールに無線通信可能に配置されている、
請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1感知および変換器モジュールはホイートストンブリッジ回路を備えており、
前記電気歪みゲージESGセンサは前記ホイートストンブリッジ回路の抵抗アームである、
請求項11または12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第2感知および変換器モジュールは光学センサモジュールを備えており、
前記光学センサモジュールは、チャープファイバブラッググレーティングCFBGセンサを有しているインテロゲータアームと、チャープファイバブラッググレーティングCFBGセンサまたは均一ファイバブラッググレーティングUFBGセンサを有している感知アームと、を備えており、
前記インテロゲータアームは、前記感知アームとの同一帯域または同位置帯域のいずれかになるように構成されている、
請求項11~13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1感知および変換器モジュールと、前記第2感知および変換器モジュールと、および前記データ取得モジュールと、のうちの少なくとも1つは、他のモジュールに対して無線通信可能に配置されている、
請求項11~14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
受信済みの前記第1歪み信号または受信済みの前記第2歪み信号と、前記デジタル値と、は端末装置に送信するべくデータベースに格納される、
請求項11~15のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
前記セレクタと前記シングルボードコンピュータとのうちの少なくとも1つは、前記第1歪み信号と前記第2歪み信号とを統合するように構成されている、
請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
構造物の歪みデータを感知および取得する方法であって、前記方法は、
前記構造物に取り付けられた電気歪みゲージESGセンサから第1歪み信号を取得するとともに、前記第1歪み信号を第1感知および変換器モジュールに送信する工程と、
前記構造物に取り付けられた光ファイバベースセンサから第2歪み信号を取得するとともに、前記第2歪み信号を第2感知および変換器モジュールに送信する工程と、
前記第1歪み信号と前記第2歪み信号とを、各々のアナログ値に変換する工程と、
各々の前記アナログ値を選択するとともに、前記アナログ値をデジタル値に変換する工程と、
を備えている、方法。
【請求項19】
前記方法はさらに、変換済みの前記デジタル値を、コンピュータ装置に表示するためのデータセットに保存する工程を備えている、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
データを感知および取得する装置であって、前記装置は、
第1歪み信号を感知および取得するように構成された第1感知および変換器モジュールと、
第2歪み信号を感知および取得するように構成された第2感知および変換器モジュールと、
前記第1感知および変換器モジュールおよび前記第2感知および変換器モジュールとで信号通信またはデータ通信を行なうように配置されたデータ取得モジュールであって、前記第1歪み信号の受信と前記第2歪み信号の受信とのいずれかを選択するとともに受信済み前記第1歪み信号または受信済み前記第2歪み信号をデジタル値に変換するように構成されたセレクタを備えている前記データ取得モジュールと、
を備えており、
前記データ取得モジュールはさらに、ユニバーサル非同期受信機-送信機(UART)接続を使用することで前記セレクタとでインタフェースするためのシングルボードコンピュータを備えており、前記セレクタと前記シングルボードコンピュータとのうちの少なくとも1つは前記第1歪み信号と前記第2歪み信号とを統合するように構成されている、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はデータを、限定されないが特に歪み(ひずみ、ストレイン)データを、感知および取得するデータ取得装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ファイバブラッググレーティング(FBG)センサのような様々なセンサは、土木、機械、および/または海洋工学、の用途における構造ヘルスモニタリング(SHM)のために採用されている。ファイバブラッググレーティングFBGセンサは、付与(アプライ)済みの歪み(ひずみ、ストレイン)の関数として記録済みの波長シフトおよびデータを受信するように、1つまたは複数の分光計(スペクトロメータ)を使用することでインテロゲートされる光学センサである。スペクトル/波長シフトは、その後、ユーザが光強度をアナログ電圧に変換できるように、強度の変化に相関させることができる。よって、ファイバブラッググレーティングFBGセンサを採用するシステムに、比較的低コストの電子部品(構成要素)を採用することが可能にされている。
【0003】
構造ヘルスモニタリングSHMに使用される別のタイプのセンサは、電気歪みゲージ(ESG)である。電気歪みゲージESGは、機械的歪み測定のために乾燥した場所に配置されることがあるとともに、比較的信頼性が高い。電気歪みゲージESGは、数種類の従来型装置やデータ取得(収集)システムで、インテロゲート(質問、問合せ)されることができる。
【0004】
現在、ファイバブラッググレーティングFBGセンサと電気歪みゲージESGとは、引張歪みまたは圧縮歪みの測定値を得るべく、光学装置と電気装置とを用いることで別々に配置およびインテロゲート(問合せ)されている。歪み測定値を取得(収集)するための典型的なデータ取得システム(DAQ:データアクイジッションシステム)は、測定値を表示するためのラップトップ(ノートPC)にデータ通信するように配置(構成、アレンジ)済みの、ファイバブラッググレーティングFBGまたは電気歪みゲージESGのいずれかを備えている場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国特許出願公開第112613129号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複数の計測が必要な構造物(構造体、ストラクチャ)では、複数のデータ取得システムDAQを配置する必要がある。このため、さまざまな土木、機械、および/または海洋工学アプリケーション(用途)で歪み計測を取得するための構成要素(部品)やコストが、増加する虞がある。さらに、収集済みの計測値はさまざまなデータタイプである可能性があるので、計測値をユーザが視認できるようにする前に、さらなる処理を必要とすることがよくある。このようなさらなる処理には、さらに構成要素が必要になる場合がある。
【0007】
データの、特に汚れの測定およびデータの、感知(センシング、検出、検知)および取得に関連するコストおよびフォームファクタを低減するソリューションを提供する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
電気歪みゲージESGおよびファイバブラッググレーティングFBGセンサが単一のデバイスに統合(インテグレート)され得る、統合データ取得装置の形態の技術的解決策が提案される。電気歪みゲージESGセンサおよびファイバブラッググレーティングFBGセンサは、コンピュータ装置上における表示を促進するべく、変換済みの信号がデジタル化済みの差動電圧形態で標準化されるように、感知および変換器(センシングアンドトランスデューサ)モジュールの一部を形成することができる。統合データ取得装置は、センサ測定からデータ転送までの、完全なシステムインボックスの一部を形成することができる。
【0009】
本開示の一態様によれば、歪みデータを感知および取得するための装置が提供される。この装置は、第1歪み信号を感知および取得するように構成された第1感知および変換器(センシングアンドトランスデューサ)モジュールと、第2歪み信号を感知および取得するように構成された第2感知および変換器モジュールと、前記第1感知および変換器モジュールおよび前記第2感知および変換器モジュールとで信号通信またはデータ通信を行なうように配置されたデータ取得モジュールと、を備えている。データ取得モジュールはセレクタを備えている。セレクタは、前記第1歪み信号の受信と前記第2歪み信号の受信とのいずれかを選択するとともに、受信済み前記第1歪み信号または受信済み前記第2歪み信号をデジタル値に変換(コンバート)するように構成されている。
【0010】
実施形態において、第1感知および変換器モジュールは、電気箔(エレクトリカルフォイル)歪みゲージセンサを有している電気歪みゲージ取得ユニットを備えて構成される。
実施形態において、第1感知および変換器モジュールは、ホイートストンブリッジ回路を備えている。電気箔歪みゲージセンサは、ホイートストンブリッジのアームを形成する。ホイートストンブリッジは、ホイートストンブリッジ回路の2つのノードを横切る電位差が、電気箔歪みゲージセンサの測定済みの抵抗の変化(チェンジ)に応じて可変(ベアリ)するように構成することができる。
【0011】
実施形態において、第2感知および変換器モジュールは光学センサモジュールを備えている。光学センサモジュールは、チャープファイバブラッググレーティングCFBGセンサを有しているインテロゲータアームと、チャープファイバブラッググレーティングCFBGセンサまたは均一ファイバブラッググレーティングUFBGセンサを有している感知アームと、を備えている。インテロゲータアームは、感知アームとの同一帯域または同位置(コロケーテッド)帯域のいずれかで動作するように構成されている。チャープファイバブラッググレーティングCFBGセンサまたは均一ファイバブラッググレーティングUFBGセンサの帯域は、広帯域光源に関連する電力強度対波長グラフの傾き(上昇するかまたは下降する)の直線部分から選択されることがある。
【0012】
実施形態において、インテロゲータアームはLED光源を内蔵している。感知アームは歪み測定値を得るべく外部に接続するように動作可能に配置(アレンジ、構成)されている。
【0013】
実施形態において、データ取得モジュールは、トランシーバモジュールを備えている。トランシーバモジュールは、ユニバーサル非同期受信機-送信機(UART)通信プロトコルを使用することでセレクタとでインタフェースするための、シングルボードコンピュータを備えている。
【0014】
実施形態では、第1歪み信号および/または第2歪み信号は、アナログ差動電圧の形態である。アナログ差動電圧は、デジタル値に変換する前に増幅される。
本開示の別の態様によれば、構造物上の歪みを監視するためのシステムが提供される。システムは、構造物に取り付けられた電気歪みゲージESGセンサを有している第1感知および変換器モジュールであって、電気歪みゲージESGセンサは、構造物への引張歪みまたは圧縮歪みの付与に関連する第1歪み信号を感知および取得するように構成されている、第1感知および変換器モジュールと、構造物に取り付けられた光ファイバベースのセンサを有している第2感知および変換器モジュールであって、光ファイバベースのセンサは、第2歪み信号を感知および取得するように構成されている、第2感知および変換器モジュールと、を備えている。システムはさらに、第1感知および変換器モジュールおよび第2感知および変換器モジュールとで信号通信またはデータ通信を行なうように配置されたデータ取得モジュールを備えている。データ取得モジュールはセレクタを備えている。セレクタは、第1歪み信号の受信と第2歪み信号の受信とのいずれかを選択するとともに、受信済み第1歪み信号または受信済み第2歪み信号をデジタル値に変換するように構成されている。
【0015】
一実施形態では、トランシーバモジュールはシングルボードコンピュータを備えて構成される。シングルボードコンピュータは、変換済みのデジタル値を受信するとともに、さらに表示用に端末装置に送信するべく、セレクタに無線通信するように配置(構成、アレンジ)されている。
【0016】
実施形態において、第1感知および変換器モジュールは、ホイートストンブリッジ回路を備えている。電気歪みゲージESGセンサは、ホイートストンブリッジの抵抗アームである。
【0017】
実施形態において、第2感知および変換器モジュールは、光センサモジュールを備えている。光センサモジュールは、チャープファイバブラッググレーティングCFBGセンサを有しているインテロゲータアームと、チャープファイバブラッググレーティングCFBGセンサまたは均一ファイバブラッググレーティングUFBGセンサを有している感知アームと、を備えている。インテロゲータアームは、感知アームとの同一帯域または同位置帯域のいずれかであるように構成される。
【0018】
実施形態において、第1感知および変換器モジュールと、第2感知および変換器モジュールと、およびデータ取得モジュールと、のうちの少なくとも1つは、他のモジュールに対して無線通信可能に配置される。
【0019】
実施形態において、受信済みの第1歪み信号または受信済みの第2歪み信号と、およびデジタル値と、は端末装置に送信するべくデータベースに格納される。
本開示の別の態様によれば、歪みデータを感知および取得する方法が提供される。この方法は、構造物に取り付けられた電気歪みゲージESGセンサから第1歪み信号を取得するとともに、前記第1歪み信号を第1感知および変換器モジュールに送信する工程と、構造物に取り付けられた光ファイバベースのセンサから第2歪み信号を取得するとともに、前記第2歪み信号を第2感知および変換器モジュールに送信する工程と、第1歪み信号および第2歪み信号を各々のアナログ値に変換(トランスデュース)する工程と、各々のアナログ値を選択するとともに、前記アナログ値をデジタル値に変換(コンバート)する工程と、を備えている。
【0020】
いくつかの実施形態において、本方法はさらに、変換済みのデジタル値を、コンピュータ装置上に表示するためにデータセットに格納する工程を備えている。
本開示は、非限定的な実施例および添付の図面と併せて考慮されるとき、詳細な説明を参照することによって、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1A-1B】
図1Aと
図1Bは、電気歪みゲージとファイバブラッググレーティングFBGセンサとのそれぞれに基づく抵抗に基づき、歪みデータを感知および取得する先行技術の装置をそれぞれ示す図。
【
図2】少なくとも2つの感知および変換器モジュールに基づく、歪みデータの感知および取得を行なう統合装置のシステム図。
【
図3】実施形態によるホイートストンブリッジ構成に配置された第1感知および変換器モジュールの概略図。
【
図4A】光ファイバセンサを利用する、第2感知および変換器モジュールの3つの可能な実施形態のうちの1つを示す図。
【
図4B】光ファイバセンサを利用する、第2感知および変換器モジュールの3つの可能な実施形態のうちの1つを示す図。
【
図4C】光ファイバセンサを利用する、第2感知および変換器モジュールの3つの可能な実施形態のうちの1つを示す図。
【
図5A】実施形態による集積回路プロトタイピングキットおよび内蔵回路図設計の形態の、データ取得モジュールを示す図。
【
図5B】実施形態による集積回路プロトタイピングキットおよび内蔵回路図設計の形態の、データ取得モジュールを示す図。
【
図6】データ取得用のプログラムICプロトタイピングキットのフローチャート。
【
図8A】統合装置を試験するために引張歪みおよび/または圧縮歪みを測定するべく、梁の長さに沿って取り付けられたセンサを有している実験セットアップを示す図。
【
図8B】統合装置を試験するために引張歪みおよび/または圧縮歪みを測定するべく、梁の長さに沿って取り付けられたセンサを有している実験セットアップを示す図。
【
図8C】統合装置を試験するために引張歪みおよび/または圧縮歪みを測定するべく、梁の長さに沿って取り付けられたセンサを有している実験セットアップを示す図。
【
図8D】統合装置を試験するために引張歪みおよび/または圧縮歪みを測定するべく、梁の長さに沿って取り付けられたセンサを有している実験セットアップを示す図。
【
図9A】0.1Nの負荷(荷重)増分で異なる引張歪みを付与した場合の、本開示で使用する感知チャープファイバブラッググレーティングCFBGの透過光の光強度(y軸)対波長(x軸)のスペクトルのプロットを示す図。増加する負荷で右にシフト。
【
図9B】0.1Nの負荷(荷重)増分で異なる圧縮歪みが付与される場合の、感知チャープファイバブラッググレーティングCFBGの透過光の光強度(y軸)対波長(x軸)のスペクトルのプロットを示す図。増加する負荷で左にシフト。
【
図10A】アルミニウム片持ち梁に取り付けた統合装置のセンサの負荷曲線および除荷曲線を示している。従来のデータ取得システムDAQ(NIDAQ)と、本開示の統合装置と、から得られた結果を示している図。
【
図10B】アルミニウム片持ち梁に取り付けた統合装置のセンサの負荷曲線および除荷曲線を示している。従来のデータ取得システムDAQ(NIDAQ)と、本開示の統合装置と、から得られた結果を示している図。
【
図11A】従来のデータ取得システムDAQ(NIDAQ)と、本開示の統合装置の各種センサと、から得られた結果を示す、正規化スケール(Y軸)でプロットされた引張負荷歪みデータ(X軸)を各々示す図。
【
図11B】従来のデータ取得システムDAQ(NIDAQ)と、本開示の統合装置の各種センサと、から得られた結果を示す、正規化スケール(Y軸)でプロットされた圧縮負荷歪みデータ(X軸)を各々示す図。
【
図12A】アルミニウム片持ち梁に取り付けられたセンサの負荷曲線と除荷曲線を示している。従来のデータ取得システムDAQと、
図4Bの統合装置の第2感知および変換器モジュールと、から得られた結果を表示している図。
【
図12B】アルミニウム片持ち梁に取り付けられたセンサの負荷曲線と除荷曲線を示している。従来のデータ取得システムDAQと、
図4Cの統合装置の第2感知および変換器モジュールと、から得られた結果を表示している図。
【
図13】複数の感知および変換器モジュールから入力を受け取ることができる、統合装置のデータ取得モジュールの実施形態を示す図。
【
図14】
図1Aおよび
図1Bのスタンドアロン先行技術装置らとで個別に比較した、統合装置の主要な特徴を示す表。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の詳細な説明は、例示として、本開示が実施され得る特定の詳細および実施形態を描き示す添付の図面を参照する。これらの実施形態は、当業者が本開示を実施できるように十分詳細に記載されている。本開示の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用したり、構造的、論理的な変更を加えたりしてもよい。いくつかの実施形態は、1つまたは複数の他の実施形態とで組み合わせることで新たな実施形態を形成することができるので、様々な実施形態は必ずしも相互に排他的ではない。
【0023】
複数のシステムまたは複数の方法のうちの1つの文脈で説明された実施形態は、他のシステムまたは方法に対しても同様に有効である。
或る実施形態の文脈で説明される特徴は、他の実施形態における同じ特徴または類似の特徴に対応して適用可能にされ得る。或る実施形態の文脈で説明される特徴は、他の実施形態で明示的に説明されていなくても、他の実施形態に対応して適用可能にされ得る。さらに、或る実施形態の文脈における特徴について説明されるような追加および/または組み合わせおよび/または代替は、他の実施形態における同じまたは類似の特徴に対応して適用可能にされ得る。
【0024】
いくつかの実施形態の文脈において、特徴または要素に関して使用される冠詞「a」、「an」および「the」は、特徴または要素のうちの1つまたは複数への言及を備えている。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「および/または」は、関連する列挙された項目の、1つまたは複数の任意のおよび全ての組み合わせを備えている。
本明細書で使用する場合、「歪み(ひずみ、ストレイン)データ」という用語は、材料の初期寸法(初期長さ)に対する、当該材料の寸法の変化に関連する値、読み取り値、計算値、導出値、および測定値、のうちの少なくとも1つを広く備えている。歪み(ひずみ)は、マイクロ歪み(με)として知られる単位で表されることがある。寸法の変化(チェンジインレングス)は、材料に付与済みの引張力(正の測定値として表される)または圧縮力(負の測定値として表される)の結果である可能性がある。
【0026】
本明細書で使用される場合、「モジュール」という用語は、特定用途向け集積回路(ASIC)、電気/電子回路、組合せ論理回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、コードを実行するプロセッサ(共有、専用、またはグループ)、記載された機能を提供する他の適切なハードウェア構成要素、またはシステムオンチップなどの上記の一部またはすべての組み合わせ、を指すかその一部を形成するかまたは備えている。モジュールという用語は、プロセッサによって実行されるコードを格納するメモリ(共有、専用、またはグループ)を備えている場合がある。
【0027】
以下では、実施形態を詳細に説明する。
図1Aは、電気歪みデータを感知および取得するべく、ラップトップ装置2とデータ取得(収集)システム3とに接続済みの、電気歪みゲージ1の形態の先行技術装置を示す。
図1Bは、ラップトップ装置6とファイバブラッググレーティングFBGセンサ7とに接続済みの、光学式インテロゲータシステム5の形態の先行技術装置を示している。いずれの装置においても、ルータ8がデータ取得システム3および光学式インテロゲータシステム5に接続されているので、遠隔データ転送および監視を促進することができる。理解されるように、構造物の様々な点から歪みデータを感知および取得するべく、
図1Aおよび
図1Bに示される複数の装置セットが必要になる場合があるので、部品同士(構成要素同士)に関連するコストの増加につながる。
【0028】
図2は、歪みデータを感知および取得するための装置100の概略図を示す。装置100は監視装置であってもよく、データ取得装置を備えていることができる。データ取得装置は、第1歪み(ひずみ、ストレイン)信号を感知および取得するように構成された第1感知および変換器(センシングアンドトランスデューサ)モジュール102と、第2歪み信号を感知および取得するように構成された第2感知および変換器モジュール104と、第1感知および変換器モジュール102および第2感知および変換器モジュール104とでデータ通信可能に配置(構成、アレンジ)されたデータ取得モジュール106と、を備えている。データ取得モジュール106は、第1歪み信号および第2歪み信号の受信のいずれかを選択するとともに、受信済み第1歪み信号または受信済み第2歪み信号をデジタル電圧値に変換するように構成されたセレクタ108を備えている。デジタル電圧値は、構成および/またはプログラミングに応じて、複数のチャネルから得られた信号に関連するデジタル差動電圧またはシングルエンド電圧値とすることができる。いくつかの実施形態では、シングルエンド電圧は、入力ピンから得られる電圧入力と、基準電圧(例えば接地電圧)と、に基づき得られる場合がある。
【0029】
いくつかの実施形態では、装置100は、少なくとも1つの電気センサおよび少なくとも1つの光学センサから、歪みデータを感知および受信することができる統合データ感知および取得システムの形態で実施することができる。電気センサは、第1歪み信号が電気抵抗値の形態で得られる、抵抗ベースのセンサであってもよい。光学センサは、光ファイバセンサ、特にファイバブラッググレーティング(FBG)センサ、である場合があるので、第2歪み信号は光強度値の形態で得られる場合がある。
【0030】
図3は、付与済みの歪み力によって抵抗値が変化する抵抗センサを備えている、第1感知および変換器(センシングアンドトランスデューサ)モジュールの概略図を示す。これは力、圧力、張力、を電気抵抗値に、または電気抵抗値の変化(チェンジ)に、変換するべく使用することができる。抵抗センサが適用される表面上の付与済みの歪みは、この抵抗値の変化(チェンジ)によって測定することができる。一実施形態では、抵抗センサは、電気箔歪みゲージのような、電気歪みゲージ202の形をしている。抵抗値の変化(チェンジ)が比較的小さいので、電気歪みゲージ202は、4本の抵抗アームを備えているホイートストンブリッジ回路配置の抵抗アームを形成するように、実装または配置することができる。このような配置では、電気歪みゲージ202は、
図3に示すように抵抗R
4とみなすことができる。他の3本のアームR
1、R
2およびR
3は、R
4の無歪み抵抗値に基づき、修正(フィックス、固定)および較正することができる。
【0031】
動作時には、ホイートストンブリッジに、5ボルト(V)のような励磁電圧VEXを印加することができる。2つのノード(V1&V2)同士間の電位差は、歪みゲージの抵抗に応じて変化(チェンジ)する。電気歪みゲージ202は、付与(アプライ)された測定済みの歪みに相関する可変抵抗器とみなすことができる。
【0032】
2つのノードV1およびV2間の出力または電位差(V0)は、数学的に次の式(1)で表すことができる。
【0033】
【0034】
これを簡略化すると、式(2)のようになる。
【0035】
【0036】
式(2)によって、R1とR2で定義される側の抵抗同士の比が、R3とR4で定義される側の抵抗同士の比に等しい場合、すなわちR1/R2=R4/R3という条件が満たされる場合、VOはゼロになることがわかる。この場合、ホイートストンブリッジは平衡しているので、電気歪みゲージ202が配置または適用されている材料の歪み測定は検出されない。
【0037】
一部の実施形態では、ホイートストンブリッジの固定抵抗R1、R2、R3は、現在の電気歪みゲージESGの標準抵抗値に一致する固定値になるように、限定されないが、例えば120Ω(オーム)になるように選択される。すなわち、R1=R2=R3=120Ωである。ホイートストンブリッジに供給される励磁電圧VEXが5Vである場合、式(2)はさらに、以下のように式(3)へと簡略化することができる。
【0038】
【0039】
ここでΔは、電気歪みゲージESG202が取り付けられている構造物表面に歪み力が付与されたときの、120Ωからの電気歪みゲージESG202の抵抗値の変化(チェンジ)である。理解されるように、抵抗に変化(チェンジ)がない場合、出力電圧はゼロになる。電気歪みゲージES202Gが取り付けられている表面に、歪みが誘発または感知されると、電気歪みゲージESG202の抵抗は、120Ωから可変(ベアリ)することで変化(チェンジ)する。この変化によってブリッジのバランスが崩れるので、ノード同士間の電位差(V0)はゼロでなくなる。120Ωの歪みゲージが利用できるようにR1、R2、R3は120Ωに選ばれているが、接続される歪みゲージと抵抗の抵抗値がどのような値であっても動作するように、抵抗値を置き換えたり調整したりすることができることは評価できる。その場合、必要なアナログ抵抗信号は、一般式(1)によって求めることができる。
【0040】
図4A、
図4B、および
図4C、は各々が複数の光ファイバセンサを備えている第2変換器104の、3つの異なる実施形態の概略図を示す。
図4Aに示す実施形態では、第2感知および変換器モジュール104Aは、LED光源402、光カプラ404、スプリッタ406、インテロゲータアーム408、歪み感知アーム410、および温度感知アーム412、を備えて構成される。歪み感知アーム410で感知済みの光信号は、光信号を電気信号に変換する変換器414に出力される。温度感知アーム412によって感知済みの光信号は、光信号を電気信号に変換する変換器416に出力される。インテロゲータアーム408、歪み感知アーム410、および温度感知アーム412、は各々チャープファイバブラッググレーティング(CFBG)光ファイバセンサを備えて構成されることができる。
図4Aに示す実施形態では、3つのアーム(408、410、412)すべてが、チャープファイバブラッググレーティングCFBGを備えて構成されている。
【0041】
動作概念(オペレーションコンセプト)は、同一帯域または同位置の別のファイバブラッググレーティングFBG408を使用する、感知ファイバブラッググレーティングFBG(410、412)のインテロゲーションに基づく。LED光源402は、好適には広帯域光源であってよく、ファイバブラッググレーティングの動作帯域は、LED光源402に関連する電力強度対波長グラフの傾き(上昇または下降)の直線部分から選択されてよい。いくつかの実施形態では、直線部分は、中間の勾配(傾き、スロープ)に対応し得る。いくつかの実施形態では、LED光源402およびインテロゲータアーム408は内蔵されていてもよい。感知アーム(410、412)は、光学式歪みセンサとして使用される場合、外部に接続することができる。各々のアーム(408、410、412)の3つのチャープファイバブラッググレーティングCFBGセンサは、1300ナノメートル(nm)または1500nmの帯域で動作することができる。感知アーム(410、412)については、4~6nmの帯域幅を使用することができる。いくつかの実施形態では、6nmよりも広い帯域幅が考えられる。
【0042】
LED光源402は、1300nmのピグテールLED光源であってもよい。ファイバカプラ(404)は、(2X2)カプラ、すなわち、単一のファイバ入力を、2つの出力に分割することまたはその逆を可能にするものであってもよい。光ファイバカプラでもあるスプリッタ406は、(1X2)カプラ、すなわち、単一ファイバの入力を、その逆をせずに2つの出力に分割することを可能にするものであってもよい。歪み感知アーム410および温度感知アーム412から感知され送信済みの光強度は、フォトダイオードを用いることで測定、受信、および/または定量化、することができる。1つのチャープファイバブラッググレーティングCFBGは、構造物上のターゲットポイントに取り付けることによって、引張または圧縮の歪み測定に使用されている。もう1つのチャープファイバブラッググレーティングCFBGは、構造物(構造体、ストラクチャ)に取り付けることなく、温度補正に使用される。
【0043】
次に、第2感知および変換器モジュール104Aを、その動作(オペレーション)の文脈(コンテキスト)で説明する。
図4Aに示すように、LED光源402からの光は、光カプラ404を介してインテロゲータアーム408に入る。光は反射して光カプラ404に戻り、反射光はスプリッタ(カプラ)406に入り、歪み感知アーム410と温度感知アーム412との間で分割される。歪み感知アーム410と温度感知アーム412との送信端同士は、1つまたは複数のフォトダイオード(図示せず)に接続されている。フォトダイオードは、各々の光-アナログ変換器414、416を通して、光電力を電圧に変換する。歪み感知アーム410によって感知済みの歪みが変化すると、電圧値が変化する。温度感知アーム412は、周囲温度または周辺温度の影響を補償(補正)するべく使用されている。変換器416の出力は、基準信号として機能する。ファイバブラッググレーティングFBGの透過スペクトルは、温度と歪みの両方の関数であるので、変換済みのアナログ値同士間の値の差を取ることによって、実際の歪みを計算することができる。
図4Aのアーキテクチャは比較的柔軟であり、用途に応じて、透過モードまたは反射モードで動作するように、様々な組み合わせで配置することができる。
図4Cに示されるように、均一ファイバブラッググレーティング(UFBG)を、感知ユニットとして使用することもできる。
【0044】
図4Bは、第2感知および変換器モジュール104Bの別の実施形態を示す。この実施形態では、温度感知アーム412およびインテロゲータアーム408は、カスケード形態または直列に配置される。LED光源402から放出済みの光は、スプリッタ406を介して、温度感知アーム412への入力と、光-電気変換器418への入力と、の間で分割される。光-電気変換器418は、光-電気変換器414とで比較するための基準電圧信号を生成する。実施形態(104B)は、
図4Aに示される3つのチャープファイバブラッググレーティングCFBGアーキテクチャとで比較して、比較的安価な2つのチャープファイバブラッググレーティングCFBGで構成される。これは、両方のチャープファイバブラッググレーティングCFBGが同じ周囲温度に配置されることを条件として、温度補償済みの歪み値を提供する。
【0045】
図4Cに示す別の実施形態では、第2感知および変換器モジュール104Cは、均一ファイバブラッググレーティング(UFBG)411を、感知アームとして構成する。この実施形態では、均一ファイバブラッググレーティングUFBG411は、チャープファイバブラッググレーティングCFBG408によってインテロゲートされる。均一ファイバブラッググレーティングUFBGスペクトルは、チャープファイバブラッググレーティングCFBGスペクトルの中心付近(アラウンドセンター)になるように構成されている。光源はSLEDの形態でもよく、LEDで代用でき、1300nm帯で同様のデータを得ることができる。これは、
図4Aの光学部品を、
図4Cに置き換えた別の代替構成とすることができる。
【0046】
ファイバブラッググレーティングFBGを使用する光感知コンセプトは、同一または同位置の帯域の別のチャープファイバブラッググレーティングCFBGを使用する感知チャープファイバブラッググレーティングCFBGおよび/または均一ファイバブラッググレーティングUFBGのインテロゲートに基づく。動作帯域(ワーキングバンド)は、発光ダイオード(LED)などの広帯域光源の中間勾配(立ち上がりまたは立ち下がり)で選択される。センサの動作(操作、オペレーション)範囲はこの構成によって決まる。感知用の均一ファイバブラッググレーティングUFBGアームが曲がったり、歪みを感知したりすると、ブラッグ波長の強度が増減するので(チャープファイバブラッググレーティングCFBGからの光の勾配(スロープ)や、当該光の単調に変化する強度に起因する)、後に変換器によって捕捉される。他のアーキテクチャとで比較した場合のこの組合せの利点は、1つのチャープファイバブラッググレーティングCFBGセンサと、1つの均一ファイバブラッググレーティングUFBGセンサと、しか必要としないことである。均一ファイバブラッググレーティングUFBGが比較的安価に入手可能なので、システムのコストをさらに低減することができる。
図4A、
図4B、および
図4Cは、3つの可能な実施形態を示すが、要素(404、406、408、410、412)のさらなる順列は、さらなる実施形態を提供するべく当業者によって想定され得ることが企図される。歪みデータに加えて、温度データおよび振動関連データなどの他のデータが、第2変換器104から取得され得ることがさらに企図される。
【0047】
図5Aは、CY8ckit-059プロトタイピングキットなどのプロトタイピングのキット500の形態の、データ取得モジュール106の実施形態を示している。キット500は、データ取得モジュール106の開発および実装に使用することができる。プロトタイピングのキット500は、物理的集積回路または他の代替モジュールに、置き換え可能にされていることが想定される。示されるように、キット500は、プログラミングおよびデバッグ部分502と、ターゲット部分504と、を備えて構成される。ターゲット部分504は、第1感知および変換器モジュール102および第2感知および変換器モジュール104の各々から一対のアナログ入力を受け取るための、複数の汎用入出力(GIPO)ピン506を備えて構成される。キット500は、キット500に電力を供給するための電源(例えば5V電源)を受け入れるための、USBコネクタなどのコネクタを備えていることができる。
【0048】
図5Bは、セレクタ108を実装するためのプログラムされたターゲット(対象)部分504の概略図である。図示の実施形態では、セレクタ108は、アナログマルチプレクサ(AMux)510とアナログデジタル変換器(ADC)512とを備えて構成される。アナログデジタル変換器ADC512は、高分解能のオンチップ20ビットのアナログデジタル変換器ADCである。アナログデジタル変換器ADC512は、第1感知および変換器モジュール102および第2感知および変換器モジュール104から取得したアナログ電圧信号を、デジタル信号に変換するべく使用される。アナログデジタル変換器ADC512は、マルチチャネルのアナログデジタル変換器ADCであるようにプログラムされてもよい。ここでピンP3_0およびピンP3_1は、集合的に1つのチャネル(506a)を形成している。ピンP3_2およびピンP3_3は、集合的に別のチャネル(506b)を形成する。キット500の汎用入出力GIPOピンの数に基づき、最大23個のチャネルをプログラムすることができる。ノード同士の電位差(例えば、ピンP3_1とピンP3_0との間の電位差)が、第1感知および変換器モジュール102に関連する感知済みの歪み力の指示を提供するべく取られる必要があるので、アナログデジタル変換器ADC512は、差動モードで動作するように構成される。
図5Bはさらに、トランシーバ110とのデータ通信を促進するための、ユニバーサル非同期受信機-送信機(UART)モジュール514を示す。ユニバーサル非同期受信機-送信機UARTモジュール514は、セレクタ108からトランシーバ110へのデータ送信を促進するべく、送信モードでプログラムすることができる。
【0049】
ホイートストンブリッジ回路からのV1端子はピンP3_0に接続されているとともに、V2端子はピンP3_1に接続されていることで、差動電圧をとる。歪み感知414に接続済みの変換器の出力はピンP3_2に接続されており、基準信号416に接続済みの変換器の出力はピンP3_3に接続される。
【0050】
アナログマルチプレクサ(AMux)510は、複数のチャネルからの入力の受信を切り替えるべく使用されるので、様々なタイプのセンサからの同時データ取得を促進する。各チャネルの切り替えの後、アナログデジタル変換器ADC512には、抵抗感知に基づく第1感知および変換器モジュール102(P3_0、P3_1)から、または光感知に基づく第2感知および変換器モジュール104(P3_2、P3_3)から、1対のアナログ信号が入力される。アナログデジタル変換器ADC512は、電気センサまたは光センサから一度に1つずつ入力を受信するか、またはバッチで入力を受信することができる。入力を受信する方法は、様々であることが想定される。アナログデジタル変換器ADC512は次に各信号のペアの差を計算するとともに、アナログ信号をデジタルに変換する。
【0051】
差動チャネルの数を増やすことができることは、評価できる。1つの差動ペアは2つの汎用入出力GIPOを使用することで形成されている。必ずしも隣接する汎用入出力GIPOである必要はないが、差動ペアの最大数は、汎用入出力GIPOの総数の半分まで増やすことができる。CY8ckit-059キットに基づくと、46個の汎用入出力GIPOがあるとともに、最大差動チャネルは23個まで可能にされている。設計とプログラムの変更によって、最大23個の電気歪みゲージESGおよび/またはチャープファイバブラッググレーティングCFBGセンサを、同時にキットに接続できる。言い換えれば、キット500を利用すれば、最大23個の感知および変換器モジュールを、装置100に収容することができる。
【0052】
しかし、アナログデジタル変換器ADCによって提供される最大サンプリング周波数は、接続済みのチャネル同士間で分配されるので、利用されるチャネルの数が多いほど、チャネルあたりのサンプリング周波数が低くなる可能性がある。最大サンプリング周波数は、選択(セレクト)または抽出(チョイス)済みのアナログデジタル変換器ADCの分解能によって異なる場合がある。非限定的な例では、20ビット分解能の場合、分解能は毎秒22サンプル程度である。このサンプリングレートは、エンジニアリングアプリケーションにおける静的測定の要件を満たしている。チャネルあたりのサンプリング周波数は、次の式(4)で与えられる。
【0053】
【0054】
高分解能のアナログデジタル変換器ADCは、オンチップゲイン(オンチップアンプ)を提供する。オンチップアンプ(オンチップ増幅器)は、受信済み信号を増幅するべく利用することができる。従って、チャネル同士間の電位差の1マイクロボルト以上の変化も感知することができる。有利なことに、外部増幅器は必要ない。さらなる外部構成要素も考えられるが、外部回路は信号にノイズを加える虞があるので、オンチップ増幅と高分解能とのアナログデジタル変換器ADCを使用することが好ましい。いくつかの実施形態では、差動入力(例えば、ピンP3_0とP3_1(第1チャネル)との間の電圧差、またはP3_2とP3_3(第2チャネル)との間の電圧差)は、さらなる処理のためにトランシーバモジュール110に送られる前に、およそ7倍に増幅されることがある。言い換えれば、ユーザに表示するべくグラフ上にプロットされる値は、装置100によって感知済みの差動アナログ電圧の約7倍である。
【0055】
いくつかの実施形態では、アナログデジタル変換器ADCは、各々の変換器(102、104)からのアナログ入力を連続的にサンプリングするように構成されてもよい。得られたデータ(サンプル)は、処理されてトランシーバモジュール110に送信されてもよい。このトランシーバモジュール110は、ユニバーサル非同期受信機-送信機UARTモジュール514に通信するべく受信モードに構成済みのユニバーサル非同期受信機-送信機(UART)接続を介してデータを受信するべく、シングルボードコンピュータ(SBC)を備えて構成されてもよい。受信モードに構成済みのユニバーサル非同期受信機-送信機UART接続は、別の同様のユニバーサル非同期受信機-送信機UARTモジュール(図示せず)を含んでもよい。シングルボードコンピュータSBCはさらに、オプションの端末装置(例えばパーソナルコンピュータ)とのデータ送受信を促進する機能を果たすために、4Gインターネットドングルに接続するように構成されてもよい。トランシーバモジュール110とセレクタモジュール108は、ユニバーサル非同期受信機-送信機UART通信プロトコルを使用することで互いにインタフェース可能な、別個のユニット同士として機能してもよい。
【0056】
ユニバーサル非同期受信機-送信機UARTモジュール514を介した出力信号またはデータは、さらなる処理のためにシングルボードコンピュータSBCに送信され得る。信号がシングルボードコンピュータによって受信されると、それら信号は、例えば無線通信プロトコルを介してさらに送信されるとともに、任意のシリアル端末プログラムを介して表示されるだけでなく、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)ソフトウェアを用いることでプロットされ得る。いくつかの実施形態では、ユニバーサルシリアルバス(USB)ドングルなどのモバイルネットワークアダプタ装置をシングルボードコンピュータに接続することによって、インターネット接続をシングルボードコンピュータに提供することができる。シングルボードコンピュータは、インターネット接続を介して、VNC(ヴァーチャルネットワークコンピューティング)プロトコルなどのグラフィカルユーザインタフェースへのリモート(遠隔)アクセスに適したプロトコルを使用することで、リモートアクセスすることができる。ユーザは、クライアント端末で(無線ネットワークを介して)遠隔アクセスすることで、データを見ることができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、シングルボードコンピュータは、データ取得モジュール106とで組み合わされるかまたはデータ取得モジュール106とで統合されるかすることで、単一のデバイス/モジュール/ボードを形成することができる。
【0058】
図6は、データ取得処理600のプログラミングを示すフローチャートである。この処理は、初期化処理602によって開始する。初期化処理602は、アナログマルチプレクサ510と、アナログデジタル変換器ADC512と、ユニバーサル非同期受信機-送信機UARTモジュール514と、感知入力を取得するチャネルの総数(感知および変換器モジュール102、104の数に対応する)と、およびチャネルカウンタをゼロに設定することと、についての初期化である。
【0059】
初期化処理602の後、データ取得モジュール106は、各々の変換器604からデータを受信するように構成されており、各変換器は1つのチャネルに接続される。例えば、アナログマルチプレクサ510はチャネル(例えば506a)を選択するとともに、ホイートストンブリッジから得られた差動電圧をアナログデジタル変換器ADC512によってデジタルデータに変換する。次に、デジタルデータは、さらなる送信または表示のために、1つまたは複数のペアのユニバーサル非同期受信機-送信機UARTモジュール同士間のユニバーサル非同期受信機-送信機UART接続を使用することで、シングルボードコンピュータに送信される。チャネルカウンタは、変換器414および416からデータを受信するとともに、次のチャネル、例えば506bを選択するべく、1つだけ増加する。同じデータ取得処理が繰り返される。同時に、チャネルカウンタの値は、606からデータを取得する最後のチャネルに当たっているかどうかチェックされており、当たっていれば、チャネルカウンタは0にリセットされる(608)。そうではない場合、次のチャネルについてデータ取得処理を繰り返す。
【0060】
図7は、例えばパーソナルコンピュータのようなオプションの端末エンドユーザ装置にデータを送信する無線機能を備えた、
図3~
図6で説明した実施形態の統合システム設計を示している。この設計は、装置100が両方のタイプのセンサ(電気および光学)から同時に歪み力を感知することができる方法を示している。いくつかの実施形態では、光学センサと電気センサの両方からのリアルタイムデータを、1つの画面に同時に表示することができる。2つの異なる感知システムを、1つの装置/1つのプラットフォームに組み合わせるという独自の利点は、測定結果とともに確立される。
【0061】
図8Aは、実験セットアップ800を示す。実験セットアップ800は、片持ち梁(カンチレバービーム)802の長さに沿って片持ち梁802の形態の試験構造物に取り付けられた、電気歪みゲージESGセンサ202およびチャープファイバブラッググレーティングCFBGセンサ410を有している。電気歪みゲージESGセンサ202およびチャープファイバブラッググレーティングCFBGセンサ410は、利用可能な適切な電気ワイヤ806およびコネクタ808を介して、ボックス804に収容済みの残りの構成要素に接続することができる。例えば、
図3に示すホイートストンブリッジ回路の残りの部分と、
図4Aに示す光学部品と、はボックス804に収容されてもよい。実験は、或る量の歪みを経験する構造物にセンサ202、410が取り付けられたときの電圧変化量を調べるべく、行なわれる。
【0062】
図8Bは、22.2センチメートル(cm)の長さを有している片持ち梁802を示す。ファイバブラッググレーティングFBGセンサ410と電気歪みゲージESGセンサ202は、固定点810を中心に枢動(ピボット)する片持ち梁に歪み力を付与しやすくするべく、高くされた(エレベイテッド、高架)構造物に取り付けられた固定点810から5.5cmの距離に貼り付けられている。
図8Cは、アルミニウム製の片持ち梁を、高架(高くされた)プラットフォーム812に取り付けるとともに、その片持ち梁の自由端に金属片814で負荷をかけた状態を示している。引張歪み力がかかるのをシミュレートするべく、負荷/負荷解除(除荷)ステップごとに0.1Nの変化を可能にしている。
図8Dは、圧縮歪み力を測定するべく使用される、片持ち梁802の下(すなわち、
図8Cとは反対側の表面)に配置済みのセンサ(410、202)を示す図である。
【0063】
測定手順は4つの部分を備えている。すなわち、
(a)校正後にNI_DAQなどの従来のデータ取得システム(DAQ)を使用することで、セットアップを参照する。
【0064】
(b)負荷および除荷データ(マイクロ歪みμε)は、電気歪みゲージESGセンサ202から測定される。
(c)負荷サイクルは、光スペクトル分析器OSAを用いることで、ファイバブラッググレーティングUFBGセンサ410について参照される。
【0065】
(d)次に、装置100を使用することで、同じ負荷サイクルと除荷サイクルとを記録する。その後、取得済みのデータが比較されることで、
図9A~
図9Eに示すようにグラフがプロットされる。
【0066】
校正を目的として、電気歪みゲージESGセンサ202が経験する歪み力を記録するべく、従来型のデータ取得システムDAQであるNI-9237Cシリーズ歪み/ブリッジ入力モジュールが使用される。アルミニウムの片持ち梁802の自由端で0.1Nの負荷変化で負荷試験と除荷試験を行なっており、負荷試験では0.1Nから0.5Nまで(0.1Nの増分(増加刻み、インクリメント))、除荷試験では0.5Nから0.1Nまで(0.1Nの減分(減少刻み、デクリメント))、0.1Nの負荷刻みである。対応する歪み値は、記録されるとともに、1つまたは複数の電気歪みゲージ202およびチャープファイバブラッググレーティングCFBGセンサ410のさらなる試験の基準(参照)として使用される。これらのセンサによって得られるデータは、例えば4Gモバイル通信プロトコルのようなブロードバンドモバイル通信のような無線通信プロトコルを介して、得られてもよいことが理解できる。
【0067】
引張歪みの測定値または読取値を得るべく、
図8Cに示される実験セットアップが使用される。
図9Aに示されるように引張歪みのスペクトル(強度対波長)が記録される。光の強度が増加するにつれて、負荷が増加するとスペクトルが右にシフトすることに留意されたい。
【0068】
圧縮歪み測定を行なうために、
図8Dに示した実験セットアップを使用する。圧縮歪みのスペクトル(強度対波長)を
図9Bにプロットした。光の強度が低下するにつれて、負荷が増加したときにスペクトルが左にシフトすることに注目されたい。
【0069】
図10Aは、負荷0.1Nから0.5Nに対して電気歪みゲージESG202が歪みを経験したときの、開発済み装置100(各種グラフではInDEOと表示)の電圧出力(ユニバーサル非同期受信機-送信機UARTモジュール514の後)の変化のグラフプロットを示している。このプロットは、電気歪みゲージESGの従来の測定方法とで比較して、すなわち従来のデータ取得システムDAQであるNI-9237Cシリーズ歪み/ブリッジ入力モジュールを使用した場合とで比較して、示している。結果は、装置100が従来のデータ取得システムDAQとで同様の測定を、達成していることを示している。
【0070】
図10Bは、チャープファイバブラッググレーティングCFBGセンサ410に歪みが発生したときの、開発済み装置100の出力(ユニバーサル非同期受信機-送信機UARTモジュール514の後)の電圧の変化のグラフプロットを示している。引張歪みと圧縮歪みとを測定するべく、負荷試験と除荷(アンローディング、無負荷)試験とが実施される。同じ試験(負荷(ローディング)のみ)について、従来の光スペクトル分析器(OSA)を用いた従来の測定とで比較した。その結果、この装置100は、従来の光スペクトル分析器OSAとで同様の測定を、達成していることがわかる。
【0071】
取得されており、
図10Aおよび
図10Bのグラフに表示されたデータは、すべてのグラフにおいて直線性が観察されることを示している。従来のデータ取得システムDAQを介して収集されたデータは、電気歪みゲージESG202から収集されたデータを較正するべく使用することができる。光スペクトル分析器OSAは、チャープファイバブラッググレーティングCFBG波長シフトおよびパワーを測定する従来の方法である。
図10Bに示すデータは、チャープファイバブラッググレーティングCFBG410から得られた歪みデータを検証するべく使用される。
【0072】
いくつかの実施形態では、引張歪みについては
図11Aに、圧縮歪みについては
図11Bに示すように、トランシーバモジュール110からの電圧出力値を正規化することができる。正規化された歪みデータは、従来のデータ取得システムDAQから得られた基準(参照、レファレンス)データに、比較的よく一致することがわかった。
【0073】
これらの結果は、装置100が光学的センサと電気的センサとの両方をインテロゲート(問い合わせ)することが可能にされているとともに、光学的歪みと電気的歪みとを同時に感知する統合システムとしての展開に適していることを示している。さらに、装置100は4G対応であるので、遠隔でリアルタイムの構造健全性監視を促進することができる。
【0074】
図10および
図11に示す比較グラフに基づき、装置100は、第1感知および変換器モジュール102と第2感知および変換器モジュール104とに対して、シームレスに動作することが示されている。
【0075】
図12Aは、
図4Bに示す第2感知および変換器モジュール104Bの、比較グラフプロットを示す。従来のデータ取得システムDAQと、
図8A~
図8Dに示す実験セットアップを用いた装置100と、に基づき得られた試験結果が、
図12Aに示されている。グラフプロットは、市販のデータ取得システムDAQから得られたデータに匹敵する、応答を示している。
【0076】
図12Bは、
図4Cに示される第2感知および変換器モジュール104Cの比較グラフプロットを示す。
図12Bには、従来のデータ取得システムDAQと、
図8A~
図8Dに示す実験セットアップを用いた装置100と、に基づき得られた試験結果が示されている。グラフプロットは、市販のデータ取得システムDAQから得られたデータに匹敵する、応答を示している。
【0077】
前述の実施形態は、2つの感知および変換器モジュールに関して説明されてきたが、最大チャネル数までの複数の感知および変換器モジュールが企図されていることは評価できる。また、シングルボードコンピュータは、カスタマイズされたチップまたはボードの形態でデバイスの一部として統合されることも企図される。
【0078】
図13は、複数の光学ベースの感知および変換器モジュールと、複数の抵抗ベースの感知および変換器モジュールと、を示すシステム図である。
図13の実施形態は、並列処理のために最大23個の感知および変換器モジュールまで複数のユニットを多重化(マルチプレクシング)することが可能にされているが、構成および/またはハードウェアの改良に応じて、より多くの感知および変換器モジュールが多重化され得ることが企図される。
図13には、アナログデジタル変換器ADCへの入力として構成された、並列に配置された2つの光学ベースの感知および変換器と1つの抵抗ベースの感知および変換器とが示されている。前述のように、装置100は4Gまたは5Gモバイルネットワークアダプタ装置を備えていることができる。これによって、有利には遠隔監視(リモートモニタリング)機能が提供される。
【0079】
いくつかの実施形態では、第2感知および変換器モジュール104から得られたファイバブラッググレーティングUFBGベースの歪み信号は、端末装置に無線送信される前に、第1感知および変換器モジュール102から得られた電気歪みゲージESGベースの歪み信号を参照するべく使用されてもよい。歪み信号は、式(5)で表されるような形式で統合(積分、インテグレート)することができる。
【0080】
【0081】
ここで、Iは受信装置へ送信されるおよび/または受信装置によって受信される統合信号である。SOは、光ファイバベースのセンサから得られる光感知信号である。SEは、電気歪みゲージESGベースのセンサから得られる電気感知信号である。K1、K2、K3は定数または関数である。Iは、アプリケーションの要件(用途の要求)に基づき、1Hz~100Hz(またはそれ以上)のレートで、動的に記録することができる。
【0082】
式(5)は、複数の光ファイバベースのセンサの場合、以下のように式(6)に一般化することができる。
【0083】
【0084】
ここで、qはチャネル数である。i、j、m、nは、装置100内の光学的感知ユニットおよび電気的感知ユニットからの信号に割り当てられた、任意の整数である。装置100は複数のチャネルからデータを取得することができるので、オンチッププログラマブルマルチプレクサの能力を利用することによって、複数のチャネルを監視するように構成することができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、式(5)または式(6)で数学的に表されるような統合信号(積分信号)Iは、セレクタおよび/またはシングルボードコンピュータSBCのいずれかによって計算され得る。
【0086】
有利なことに、受信データは後処理を必要としない。また、データは送信機からインターネット網を使用することで直接送信されるので、送信機と、受信機の端末コンピュータ装置との間に、例えばラップトップやスマートフォンとの間に、追加の装置を必要としない。インターネットに接続可能なスマートフォンやノートパソコンであれば、使用可能なデータにアクセスすることができる。装置100は、感知ポイント/送信ポイントにおいてスタンドアロンユニットとして構成することができる。
【0087】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のアイドル歪みゲージを装置100に取り付けることで、装置自体による妨害を軽減することができる。ユーザ装置で受信済みの歪みデータは、光学センサを代表する。アイドル歪みゲージを使用することで、追加のデバイスプロファイリング/デバイスドリフトを明示的に受信することができる。歪みゲージを使用すると、感知信号を監視するための後処理が不要になる場合がある。さらに、エッジ処理をデバイス内でリアルタイムに行なうことで、変動を緩和することができる。アイドル歪みゲージは、装置100の任意の熱ドリフトを含む周囲または環境条件を参照するべく、使用することができる。アイドル歪みゲージの電気歪みゲージESGは、このような熱ドリフトを考慮しているので、データを送信する前に各々のチャープファイバブラッググレーティングCFBG1-チャープファイバブラッググレーティングCFBG2-電気歪みゲージESGセンサからの読取値を瞬時に補正するための、クロスチェックセンサとしても使用できる。
【0088】
装置100は、土木構造物、機械構造物、および海洋構造物、などの様々な用途に適用されることが想定されるが、これらに限定されるものではない。さらに、装置100は、クラウドベースのシステムまたはプラットフォームの一部を形成するか、またはクラウドベースのシステムまたはプラットフォームに組み込まれるか、してもよいことが企図される。第1感知および変換器モジュール102および第2感知および変換器モジュール104から得られたデータは、光学センサおよび電気歪みゲージ用に統一することができるので、より効率的な分析および解釈を促進する。
【0089】
データ取得モジュール106は、信号処理および無線送受信のための、追加構成要素を備えていることができることが企図される。
装置100上のセンサは、無線送信機および/または受信機を備えるとともに、それらのセンサからデータを受信するインテリジェントコントローラをさらに備えていることが想定される。このような配置は、既存のモノのインターネット(IoT)プラットフォームへの装置100の統合を有利に促進するとともに、他のIoTセンサとで共に配備される。
【0090】
図14は、
図1Aおよび
図1Bに示された先行技術のデバイスに対する、装置100のコスト上の利点の簡単な要約を示す。
図10~
図12に示された結果と合わせて読むと、本開示の統合装置としての装置100は、現在確立されているデータ取得システムとの一貫した測定を、わずかなコストで実証(デモンストレート)している。
【0091】
本開示は、特定の実施形態を参照して特に示されおよび説明されてきたが、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の精神および範囲から逸脱することなく、形態および詳細において様々な変更がなされ得ることが当業者によって理解されるべきである。したがって、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によって示されており、特許請求の範囲の意味および同等性の範囲内に入るすべての変更は、したがって、包含されることが意図される。
【国際調査報告】