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特表2024-521846バス加入機器、バスシステム、および2線式バスシステム内でのデータ伝送方法
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  • 特表-バス加入機器、バスシステム、および2線式バスシステム内でのデータ伝送方法 図1
  • 特表-バス加入機器、バスシステム、および2線式バスシステム内でのデータ伝送方法 図2-3
  • 特表-バス加入機器、バスシステム、および2線式バスシステム内でのデータ伝送方法 図4
  • 特表-バス加入機器、バスシステム、および2線式バスシステム内でのデータ伝送方法 図5
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  • 特表-バス加入機器、バスシステム、および2線式バスシステム内でのデータ伝送方法 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】バス加入機器、バスシステム、および2線式バスシステム内でのデータ伝送方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 25/02 20060101AFI20240528BHJP
【FI】
H04L25/02 K
H04L25/02 J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573338
(86)(22)【出願日】2022-05-24
(85)【翻訳文提出日】2024-01-23
(86)【国際出願番号】 EP2022064002
(87)【国際公開番号】W WO2022253630
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】102021205523.0
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100161908
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 依子
(72)【発明者】
【氏名】シュッツェ,ノーマン
(72)【発明者】
【氏名】バルカー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ナギー,バリント
(72)【発明者】
【氏名】レンナー,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ゲルラッハ,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】フェーリンガー,シュテファン
【テーマコード(参考)】
5K029
【Fターム(参考)】
5K029AA18
5K029CC01
5K029DD03
5K029DD23
5K029DD25
(57)【要約】
バス加入機器(1)、2線式バスシステム(10)、および2線式バスシステム(10)内でのデータ伝送方法が提案される。この方法は、第1のバス加入機器(1)および第2のバス加入機器(2)に、変化するバッテリー電圧を供給するステップと、変化するバッテリー電圧に重畳された変調信号により、第1のバス加入機器(1)から第2のバス加入機器(2)にデータを伝送し、その際、変調信号が、変化するバッテリー電圧のレベルに所定のやり方で追従するステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2線式バスシステム(10)内でのデータ伝送方法であって、
- 第1のバス加入機器(1)および第2のバス加入機器(2)に、変化するバッテリー電圧(UBatt)を供給するステップ(100)と、
- 前記変化するバッテリー電圧(UBatt)に重畳された変調信号(Umod)により、前記第1のバス加入機器(1)から前記第2のバス加入機器(2)にデータを伝送し(200)、その際、前記変調信号(Umod)が、前記変化するバッテリー電圧(UBatt)のレベルに所定のやり方で追従するステップと
を含むデータ伝送方法。
【請求項2】
- 前記変化するバッテリー電圧(UBatt)と前記変調信号(Umod)のHighレベル(Umod_high)との差、および/または
- 前記変調信号(Umod)のHighレベル(Umod_high)とLowレベル(Umod_low)との差が、一定に保たれる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記変調信号(Umod)の平均値が、前記変化するバッテリー電圧(UBatt)の所定のオフセットをもって追従される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記2線式バスシステム(10)内にある全てのバス加入機器(1、2、3、4)が、前記変化するバッテリー電圧(UBatt)を提供するバッテリーによって供給される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記変調信号(Umod)が、変調抵抗(Rmod)により、前記変化するバッテリー電圧(UBatt)から導出され、前記変調抵抗が、前記変調信号(Umod)を生成するために所定の電流(IGes)によって貫流される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記変調信号(Umod)のHighレベル(Umod_high)とLowレベル(Umod_low)の間の所望の電圧ストロークが、複数の電流ソース(I、I、I)により、前記変調抵抗(Rmod)と電気的グラウンドとの間で生成される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記変調信号(Umod)が、調節段(5)およびドライバー段(6)により、前記変化するバッテリー電圧(UBatt)から生成される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のバス加入機器(1)内に電圧レギュレータが存在していない、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法により第1のバス加入機器(1)として使用するためのバス加入機器であって、
- 通信のためおよび変化するバッテリー電圧(UBatt)を取得するための2線式バス端子を含み、
- 前記第1のバス加入機器(1)が、前記2線式バス端子を介して第2のバス加入機器(2)に前記変化するバッテリー電圧(UBatt)によってエネルギーを供給するよう、および
- 前記第2のバス加入機器(2)に前記変化するバッテリー電圧(UBatt)に重畳された変調信号(Umod)を届かせるよう適応されており、前記第1のバス加入機器(1)がさらに、前記変調信号(Umod)を前記変化するバッテリー電圧(UBatt)のレベルに所定のやり方で追従するよう適応されている、バス加入機器。
【請求項10】
- 請求項9に記載の第1のバス加入機器(1)と、
- 2線式ラインによって前記第1のバス加入機器(1)に接続された第2のバス加入機器(2)と
を含むバスシステム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バス加入機器、バスシステム、および2線式バスシステム内でのデータ伝送方法に関する。本発明は、とりわけ、バッテリー技術によって給電され、変化する(変動する)直流電圧が供給されるバスシステム(とりわけアイランド・バスシステム(Inselbussystem))に関する。
【背景技術】
【0002】
現況技術では、とりわけ、自動車および航空に関する用途において、制御機器の情報交換を比較的少ないケーブル配線の手間によって可能にするバスシステムが知られている。とりわけ制御機器の有線での連結に関し、情報を、およびバス加入機器の動作エネルギーを、バスラインを介して分配する可能性が生じる。現況技術では、変調方法は、一般的に供給電圧のその時々の高さに関係なく規定されている。例えば、固定の所定の電圧によって異なる符号(low/high)を通信するため、0ボルトおよび5ボルトのレベルが規定される。今日のバスシステム、例えばPSI5では、マスター制御機器は、バス加入機器に同時に電圧供給する場合、このために同期パルスアーキテクチャを利用するので、低いデータレートでしかバス加入機器に送信できない。DSI3では、変調電圧が、一定の供給電圧に関係づけられており、この一定の供給電圧は、バス加入機器に供給するためのマスター制御機器内で電圧レギュレータを必要とする。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、2線式バスシステム内でのデータ伝送方法を提案する。この2線式バスシステムは、ガルバニックに/電気的に実現されるバスシステムと理解され得る。これに関してはとりわけ、2つの制御機器が2本のワイヤだけを介して相互に接続されており、これらのワイヤを介して制御機器が情報交換を行い、かつ電気エネルギーを供給される。第1のステップでは、変化するバッテリー電圧により、第1のバス加入機器および第2のバス加入機器がエネルギーを供給される。どの理由からバッテリー電圧が変化するかは本発明にとって重要ではない。ただしバッテリー電圧は、基本的には直流電圧として設計された電圧であり、この電圧が、動作状態に応じて、落込みを有し得るかまたは変動し得る。とにかく、変化するバッテリー電圧に重畳された変調信号により、第1のバス加入機器から第2のバス加入機器へとデータ交換が行われる。ただし変調信号は、グラウンドに対して所定のレベルを有するのではなく、変化するバッテリー電圧のレベルに所定のやり方で追従する。とりわけ、変化するバッテリー電圧は、この変化するバッテリー電圧に対する所定の電圧落込みを、伝送すべきデータの符号化に用いるために使用され得る。これに関しHighレベルは、変化するバッテリー電圧から少しの電圧を差し引くことで規定され、その一方でLowレベルは、変化するバッテリー電圧からより多くの所定の電圧を差し引くことで表される。こうすることで変調信号は、変化するバッテリー電圧のその時々のレベルに応じて、この変化するバッテリー電圧と一緒に「漂う」。この場合、全てのバス加入機器に変化するバッテリー電圧を永続的に供給することができ、かつ全てのバス加入機器は、変化するバッテリー電圧が変調切替信号のレベルに及ぼす影響も一緒に受け得る。受信側のバス加入機器は、変調信号の交流電圧分離と、その後の、変化する閾値追従を伴うコンパレータを介したデジタル変換とにより、受信データを受信し得る。データは、「マンチェスター符号化」によって作成され得る。データは、例えば最大125kBit/sで送信され得る。本発明によれば、変化するバッテリー電圧信号と一緒に漂う変調信号の故に、バス加入機器に供給するための送信側の(とりわけマスター)制御機器内での追加的な電圧レギュレータをなくすことができる。マスターは、例えば調節段およびドライバー段を介してバッテリー電圧からそのままで獲得される変化する変調電圧を使って動作する。したがって、変調信号のHighレベルとLowレベルの間の所定の差が満たされている限り、変化するバッテリー電圧の実際のレベルは、データの復号化には関係ない。とりわけ、LowレベルとHighレベルの間のストロークは予め規定することができ、かつ変化するバッテリー電圧と一緒に漂い/フロートし得る。
【0004】
従属請求項は本発明の好ましい変形形態を示している。
バッテリー電圧が、本発明による電圧変調の周波数範囲内のノイズを抑制するために、追加的にフィルタリングされ得ることが有利である。これは、(ゆっくり)変化するバッテリー電圧が、古典的な意味において一定に保たれるまたは支えられることを意味しない。このようにして、単純な構造および確実な通信が提供され得る。
【0005】
残りのバス加入機器(単純な加入機器またはスレーブ)は、必要であれば、変化するバッテリー電圧からまたは本発明によるやり方で変調された変化するバッテリー電圧から、一定の動作電圧を生成するために、自前の電圧レギュレータを有し得る。
【0006】
本発明は、とりわけ、変調信号の電圧ストロークに関し、基準レベルとして0ボルトではなく、バッテリー電圧の経時的に(ゆっくり)変化するその時々の電圧レベルが採用されると理解され得る。したがって、変化するバッテリー電圧(変調されていない供給電圧)と、変調されたバス信号(変調信号)のHighレベルとの差は、経時的に一定に保たれ得る。つまり、変調信号のHighレベルは、供給電圧(変化するバッテリー電圧)の変調されていない信号に、固定のオフセット(差)をもって結合されている。その代わりにまたはそれに加えて、変調信号のHighレベルとLowレベルとの差が一定に保たれ得る。2線式バスシステム内の全ての通信ペアが、類似の変化するバッテリー電圧を自由に使えるという前提の下、この変化するバッテリー電圧が、変調信号/バス信号からデータを復調または受信するためにも使用され得る。
【0007】
任意選択で、変調ストロークの平均値または動作点は、変化するバッテリー電圧の下に所定のオフセットをもって「吊るされ」得る。言い換えれば、変調信号の平均レベル(U_mod_high+U_mod_low)×1/2は、変化するバッテリー電圧のそれぞれその時々のレベルに、経時的に固定のオフセットをもって追従される。
【0008】
2線式バスシステム内にある全てのバス加入機器(マスターおよび全てのスレーブ)が、1つの同じバッテリーによってエネルギーを供給され得ることが好ましい。このバッテリーは、変化するバッテリー電圧を提供し得る。この場合、バスシステムの長さが十分に短ければ(とりわけ<20m)、全ての制御機器が、データの送信および本来の受信のために十分に同一のバス電圧を受信することが保証されている。
【0009】
変調信号は、例えば所定の変調抵抗により、変化するバッテリー電圧から導出され得る。この場合、変調信号を生成するために、Highレベル用の所定の電流が変調抵抗を通って引き込まれることにより、変調抵抗と、電気的グラウンドに接続された電流ソースとの間でHighレベルが取り出される。これに相応して、電流ソースおよび/またはさらなる電流ソースを使ってより多くの所定の電流が変調抵抗を通って引き込まれることにより、変調抵抗と1つまたは複数の電流ソースとの間でLowレベルが取り出される。このようにして、それぞれ送信側の制御機器がバス電圧を選択的にHighレベルまたはLowレベルに引き下げることにより、データがバスを介して送信される。そうしない場合には、それぞれの制御機器のそれぞれの電流ソースがオフにされる。
【0010】
変調信号が、調節段およびドライバー段により、変化するバッテリー電圧から生成され得ることが好ましい。このために調節段は、変調目標電圧と、ドライバー出力段の後の変調実電圧とを比較して、調節差を小さく保つ。技術的に、ドライバー出力段での電圧降下の結果として生じる僅かな調節差が残る。言い換えればこの調節差は、ドライバー出力段での電圧降下に基づく、変化するバッテリー電圧と変調信号のHighレベルとの差である。例えばトランジスタのオン状態でドレインとソースの間に低い抵抗を有するユニポーラトランジスタとしてまたは低い飽和残留電圧を有するバイポーラトランジスタによって実現され得るプッシュプル段としてのドライバー出力段の技術的設計に相応して、電圧降下、したがって残る調節差を小さく保つことができ、よって変調信号のHighレベルは可能な限り高い。
【0011】
本発明による2線式バスシステムにより、第1のバス加入機器(マスター)内に電圧レギュレータは必要ない。調節されていない電圧レベルは、本発明による変調原理により、2線式バスシステムを介して通信されるデータの変調および復調の際に問題ではない。このようにして、費用を節減でき、かつ第1のバス加入機器/バスシステムの複雑さが軽減され得る。
【0012】
本発明の第2の態様に基づき、前述のような方法において第1のバス加入機器として使用するためのバス加入機器が提案される。第1のバス加入機器は、バス加入機器と通信するためおよび変化するバッテリー電圧を取得するための2線式バス端子を有する。残りのバス加入機器は、第1のバス加入機器によってエネルギーを供給され、かつ変化するバッテリー電圧上に変調されたデータによってアドレッシングされる。この場合、第1のバス加入機器は、変調信号を変化するバッテリー電圧のレベルに所定のやり方で追従するよう適応されている。言い換えれば、変調信号のHighレベルおよびLowレベルは、変化するバッテリー電圧の「表面下で」一緒に漂う。
【0013】
本発明の第3の態様に基づき、上記の発明態様に基づく第1のバス加入機器と、2線式ラインによって第1のバス加入機器に接続された少なくとも1つの第2のバス加入機器とを有するバスシステムが提案される。特徴、特徴の組合せ、およびこれらから生じる利点は、本発明の第1および第2の態様と関連して上で詳述した特徴、特徴の組合せ、およびこれらから生じる利点に明らかに相応しており、繰り返しを避けるためこれらの態様を参照されたい。
【0014】
以下に、添付の図面を参照しながら本発明の例示的実施形態を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の1つの例示的実施形態に基づく2線式バスシステムの概略図である。
図2】変化するバッテリー電圧UBattおよび変調電圧Umodを具体的に説明する電圧タイミング図である。
図3図2の電圧タイミング図の部分拡大図である。
図4】制御可能な電流シンクを備えた本発明によるバス加入機器の1つの例示的実施形態の概略図である。
図5】本発明によるバス加入機器の例示的実施形態の、ドライバー段と接続された調節段の概略図である。
図6】本発明によるバスシステムのバス加入機器の受信経路におけるアセンブリの原理回路図である。
図7】2線式バスシステム内での本発明によるデータ伝送方法の1つの例示的実施形態のステップを具体的に説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、バッテリー7により、マスターの形態での第1の制御機器1に、変化するバッテリー電圧を供給する2線式バスシステム10を概略図で示している。第1の制御機器1は、バッテリー7から第2の制御機器2、第3の制御機器3、および第4の制御機器4に変化するバッテリー電圧を供給するよう、ならびにバス加入機器としての制御機器2、3、4にデータを送信するよう適応されている。
【0017】
2線式バスシステム10は、例えば乗用車、バン、トラック、空中を飛行する乗り物、および/または水上を走る乗り物内で設けられ得る。オンボードネットワーク電圧は、12ボルト、24ボルト、48ボルト、またはさらに400ボルトもしくは800ボルトを有し得る。制御機器2、3、4内の、電圧変調されたマンチェスター符号化の受信および復号化の構成要素は、変調信号の交流電圧分離と、その後の、変化する閾値追従を伴うコンパレータを介したデジタル変換とである。このために必要なアセンブリは図6と関連して紹介する。
【0018】
図2は、変化するバッテリー電圧UBattの電圧タイミング図を示している。0秒~0.20msの間は、変化するバッテリー電圧UBattが約7ボルトから約16.5ボルトに上昇しており、約0.4msからは再び約7ボルトへと低下している。
【0019】
このような電圧ストローク内では、固定の変調電圧またはHighレベルからLowレベルへのΔは極めて低い分解能しか有し得ないであろうから、本発明によるやり方では、変調信号Umodが、変化するバッテリー電圧UBattの下にほぼ等距離で「吊るされ」る。言い換えれば、互いに対応している約1.5ボルトの0秒でのLowレベルと5ボルトのHighレベルが、0.20ms~0.40msの間の範囲内では10ボルト足らず(Lowレベル)と約13.5ボルト(Highレベル)にまで変化する。言い換えれば、第1の(最初の)時間範囲内では変調信号UmodのLowレベルは、後の時点での変調信号Umodの対応しているLowレベルより明らかに低い。それどころか、第1の時間範囲内のHighレベルは、後の時点でのLowレベルより明らかに低く規定されている。言い換えれば、第1の時間範囲内での(例えば0秒での)変調信号Umodの全てのレベルは、第2の(後の)時間範囲内での(約0.2msからの)LowレベルおよびHighレベルより低く規定されている。逆のことが、第2の時間範囲と、0.50msから続く第3の時間範囲とに当てはまり、第3の時間範囲内では、LowレベルおよびHighレベルが第1の時間範囲に相応している。それに引き換え、Lowレベルからそのすぐ後に続くHighレベルへの、変調信号Umodの電圧ストロークは、時間範囲全体(第1~第3の時間範囲)にわたって一定で、約3ボルトであり続ける。これに相応して、変化するバッテリー電圧UBattと変調信号UmodのHighレベルとの間も経時的に一定(約3ボルト)であり続ける。最後に、変化するバッテリー電圧UBattと、重畳された変調信号UmodのLowレベルとの差も経時的に一定で、約6ボルトであり続ける。
【0020】
図3は、図2に示した電圧タイミング図の一部分を示しており、この一部分から、両方の電圧信号UBattとUmodの関係性が明らかである。フィルタリングされたバッテリー電圧UBattは、考察されている時間範囲内では、一定という印象を与え、その一方でHighレベルUmod_highは、UBattの約3ボルト下に留まっている。これは、ドライバー出力段による電圧降下UTreibに相当する。下の値Umod_lowでは、変調電圧は、自由に選択可能な電圧、例えばUmod_high-[0.5ボルト~2ボルト]に相当する。LowレベルUmod_lowにはさらに様々な電圧レベルが可能であり、これにより、もっと高いビットレートが可能である。これに関しては、例えばHighレベルから0.5ボルトを引き算した差の(不図示の)第1のLowレベルが第1のシンボルに、およびHighレベルから1ボルトを引き算した差の第2のLowレベルが第2のシンボルに相当する。これにより、データ伝送のロバスト性を、具体的な2線式ラインシステムに適合させるため、電圧差、つまり変調電圧ストロークが、バスのラインパラメータおよび環境影響に適合され得ることも有利である。注意を払うべきは、両方の図示した電圧推移がバス全体に送信されるのではなく、変化するバッテリー電圧UBattは例えば第1の制御機器1にのみ提供され、第1の制御機器1がデータ伝送のために変調信号Umodを2線式ラインを介して制御機器2、3、4(図1を参照)に伝えるということである。
【0021】
図4は、例えば第1のバス加入機器(マスター)1により、2線式ライン(バス)上での変化する変調電圧を生成するための部品の概略図を示している。3つの制御可能な変化する電流シンクI、I、およびIは、論理8により必要に応じて変調のため、それぞれのスイッチS、S、Sおよび制御線7を介してアクティブ化されるよう適応されている。これにより、デジタルの(マンチェスター符号化された)データストリームが、変調電流に、最終的には変化する変調目標電圧USollに変換される。これに関し、変調目標電圧USollは下式で明らかとなる。
【0022】
Soll=UBattFilter-Rmod×IGes
式中、UBattFilterは、フィルタリングされた変化するバッテリー電圧であり、Rmodは、変調抵抗のオーム抵抗であり、IGesは、制御可能な電流ソースにより、変調抵抗Rmodを通って引き込まれる電流全体である。電圧信号USollは、(図5に示した)調節段に送られる。必要の際は、電流シンク/電流ソースI、I、Iの時間的にずれたスイッチングにより、目標電圧ストロークの時間的形状(パルス成形)が適合され得る。これにより、任意のパルス形状(例えば矩形、正弦、三角、またはさらに妨害エミッションを低減するためのエッジ変形「のみ」)が実現され得る。
【0023】
図5は、本発明によるバス加入機器(マスター)内で使用するための調節段5およびドライバー段6を含む回路を示している。調節段5は、変調目標電圧USollと、ドライバー出力段の後の変調実電圧Umodとを比較して、調節差を小さく保つ。技術的に、ドライバー段6での電圧降下の結果として生じる僅かな調節差が残る。例えば低いソース抵抗を有するユニポーラトランジスタまたは低い飽和残留電圧を有するバイポーラトランジスタを備えたプッシュプル段としてのドライバー段6の技術的設計に相応して、電圧降下、したがって残る調節差が小さく保たれ得る。
【0024】
図6は、2つだけの異なる電圧レベル(HighおよびLow)を伝送する際の、制御機器(とりわけスレーブ)の受信経路内の、交流電圧結合およびその後のデジタル変換の原理回路を示している。例えば2つだけの電圧レベルを伝送する場合、受信側では、制御機器2、3、4が、変調電圧Umodを平均の変化する直流電圧成分から切り離すために(交流電圧分離)、単純な回路構造を必要とする。続いて、0ボルトを中心として対称的な例えばマンチェスター符号化された交流電圧信号の、後続のコンパレータ11の入力電圧範囲への電圧適合が行われる。交流電圧分離は、交流電圧分離器9およびコンデンサーCによって行われる。交流電圧分離器9とコンパレータ11の間のフィルターネットワークは、オーム抵抗RおよびコンデンサーCを内包するローパスを含む。コンパレータ11は、変調信号Umodのデジタル化を担っており、これに関し、その切替閾値は、ローパスフィルタリングされた変調信号からそのままで一緒に生成される。コンパレータは、デジタル化された変調信号Umod_digiを出力する。交流電圧分離器9およびコンパレータ11の電圧供給USensorは、例えば交流電圧分離器9およびコンパレータ11内にある電圧レギュレータにより、変調電圧から実現される。
【0025】
図7は、2線式バスシステム内での本発明によるデータ伝送方法の1つの例示的実施形態のステップを示している。この方法は、第1のステップ100で、第1のバス加入機器(マスター)および第2のバス加入機器(スレーブ)への、変化するバッテリー電圧の供給を含んでいる。このバッテリー電圧は、大きさが経時的に(ゆっくり)変化し得る直流電圧信号と理解され得る。これに関し、この変化するバッテリー電圧は、例えばその最小電圧の20%、40%、60%、またはそれより多く上方にずれ得る。第2のステップ200では、第1のバス加入機器(マスター)から第2のバス加入機器(スレーブ)へ、変化するバッテリー電圧に重畳されたまたは書き込まれた変調信号によってデータが伝送される。変調信号は、変化するバッテリー電圧のレベルに所定のやり方で追従する。言い換えれば、「変調信号は、変化するバッテリー電圧のそれぞれのレベルの下に等距離で」ぶら下がっている。変化するバッテリー電圧が第1のバス加入機器(マスター)に送られる一方で、第1のバス加入機器(マスター)は、2線式ラインを介して変調信号を第2のバス加入機器およびさらなるバス加入機器に送信する。
【0026】
本発明は、バスにおけるセンサーのためのマスター制御機器内での電圧生成を簡略化し、かつ例えば目下のところ現況技術で知られているパーキングセンサーの世代に比べて少なくとも最大6倍高い、マスター制御機器からバス加入機器へのデータ伝送を可能にし、かつ通信中のバス加入機器内でのエネルギー中間蓄積なしで、センサーの中断のない動作を可能にする。これは、構造を簡略化し、現況技術では常に必要であったハードウェアを不要にする。
図1
図2-3】
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-01-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2線式バスシステム(10)内でのデータ伝送方法であって、
- 第1のバス加入機器(1)および第2のバス加入機器(2)に、変化するバッテリー電圧(UBatt)を供給するステップ(100)と、
- 前記変化するバッテリー電圧(UBatt)に重畳された変調信号(Umod)により、前記第1のバス加入機器(1)から前記第2のバス加入機器(2)にデータを伝送し(200)、その際、前記変調信号(Umod)が、前記変化するバッテリー電圧(UBatt)のレベルに所定のやり方で追従するステップと
を含むデータ伝送方法。
【請求項2】
- 前記変化するバッテリー電圧(UBatt)と前記変調信号(Umod)のHighレベル(Umod_high)との差、および/または
- 前記変調信号(Umod)のHighレベル(Umod_high)とLowレベル(Umod_low)との差が、一定に保たれる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記変調信号(Umod)の平均値が、前記変化するバッテリー電圧(UBatt)の所定のオフセットをもって追従される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記2線式バスシステム(10)内にある全てのバス加入機器(1、2、3、4)が、前記変化するバッテリー電圧(UBatt)を提供するバッテリーによって供給される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記変調信号(Umod)が、変調抵抗(Rmod)により、前記変化するバッテリー電圧(UBatt)から導出され、前記変調抵抗が、前記変調信号(Umod)を生成するために所定の電流(IGes)によって貫流される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記変調信号(Umod)のHighレベル(Umod_high)とLowレベル(Umod_low)の間の所望の電圧ストロークが、複数の電流ソース(I、I、I)により、前記変調抵抗(Rmod)と電気的グラウンドとの間で生成される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記変調信号(Umod)が、調節段(5)およびドライバー段(6)により、前記変化するバッテリー電圧(UBatt)から生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のバス加入機器(1)内に電圧レギュレータが存在していない、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法により第1のバス加入機器(1)として使用するためのバス加入機器であって、
- 通信のためおよび変化するバッテリー電圧(UBatt)を取得するための2線式バス端子を含み、
- 前記第1のバス加入機器(1)が、前記2線式バス端子を介して第2のバス加入機器(2)に前記変化するバッテリー電圧(UBatt)によってエネルギーを供給するよう、および
- 前記第2のバス加入機器(2)に前記変化するバッテリー電圧(UBatt)に重畳された変調信号(Umod)を届かせるよう適応されており、前記第1のバス加入機器(1)がさらに、前記変調信号(Umod)を前記変化するバッテリー電圧(UBatt)のレベルに所定のやり方で追従するよう適応されている、バス加入機器。
【請求項10】
- 請求項9に記載の第1のバス加入機器(1)と、
- 2線式ラインによって前記第1のバス加入機器(1)に接続された第2のバス加入機器(2)と
を含むバスシステム(10)。
【国際調査報告】