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特表2024-521851センサデータ点を処理するためのコンピュータ実装方法およびデータ処理ハードウェア
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】センサデータ点を処理するためのコンピュータ実装方法およびデータ処理ハードウェア
(51)【国際特許分類】
   G01D 1/00 20060101AFI20240528BHJP
【FI】
G01D1/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573369
(86)(22)【出願日】2022-06-14
(85)【翻訳文提出日】2023-11-28
(86)【国際出願番号】 EP2022066172
(87)【国際公開番号】W WO2023274719
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】21182865.2
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】322007626
【氏名又は名称】コンチネンタル・オートナマス・モビリティ・ジャーマニー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】スレイマン・ワッシム
(72)【発明者】
【氏名】グラッツ・ニコライ
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン・クリストファー
(57)【要約】
センサデータ点を処理するためのコンピュータ実装方法およびデータ処理ハードウェア
本発明は、データ処理ハードウェアを用いてセンサデータ点を処理するためのコンピュータ実装方法において、初期の複数のガウス分布を保存する分布バッファを初期化し、初期の複数のガウス分布の各ガウス分布は、少なくとも1つのセンサから逐次的に受信した初期の複数のセンサデータ点を備え、対応する所定の分布距離閾値を有し、分布距離条件に基づいてn個の新規センサデータ点について分布バッファを逐次的に更新して、新規ガウス分布または更新された単一のガウス分布または更新されたマージガウス分布の何れか1つを備える更新された複数のガウス分布を生成する、コンピュータ実装方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサデータ点を処理するためのコンピュータ実装方法において、
データ処理ハードウェアによる以下のステップ:
1.初期の複数のガウス分布gを保存する分布バッファGを初期化するステップであって、各ガウス分布gは少なくとも1つのセンサから逐次的に受信した初期の複数のセンサデータ点Prを備え、各ガウス分布gは対応する所定の分布距離閾値Ddminを有するステップと;
2.前記少なくとも1つのセンサから新規センサデータ点Prnewを逐次的に取得し、前記新規センサデータ点Prnewと各ガウス分布gとの間の分布距離Ddを計算するステップと;
3.各ガウス分布gについて、前記分布距離Ddが、分布距離条件Dd<Ddminであることを満たしているか否か、各々、分布距離Dd<前記対応する所定の分布距離閾値Ddminであるか否かを検証するステップであって、
3.1.前記分布距離条件Dd<Ddminを満たすガウス分布gがない場合、前記新規センサデータ点Prnewを含む新規ガウス分布gnewを生成し、
3.2.前記分布距離条件Dd<Ddminを単一のガウス分布gが満たす場合、前記新規センサデータ点Prnewを追加することにより前記単一のガウス分布gを更新し、更新された単一のガウス分布g1-updatedを生成し、
3.3.前記分布距離条件Dd<Ddminを少なくとも2つのガウス分布g,g,・・・,gが満たす場合、前記少なくとも2つのガウス分布g,g,・・・,gをマージし、マージガウス分布gm-mergedを生成して、前記新規センサデータ点Prnewを追加することにより前記マージガウス分布gm-mergedを更新し、更新されたマージガウス分布gm-merged-updatedを生成する、ステップと、
4.前記新規ガウス分布gnewまたは
前記更新された単一のガウス分布g1-updatedまたは
前記更新されたマージガウス分布gm-merged-updated
の何れか1つを含むことにより前記初期の複数のガウス分布gを更新し、前記分布バッファGにおいて、更新された複数のガウス分布gn-updatedを生成するステップとを備えることであって、ステップ1.2.、1.3.および1.4.をn個の新規センサデータ点Prn-newについて繰り返すことを特徴とするコンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記分布距離Ddが前記新規センサデータ点Prnewと各ガウス分布gの平均μとの間のユークリッド距離である、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記分布距離Ddが、以下のような、各ガウス分布gに関する前記新規センサデータ点Prnewの確率であり、
【数1】
ここで、
【数2】
は、新規点Prnewが各ガウス分布gから生成される確率;
Prnewは、新規センサデータ点であって、k個の成分を有するベクトル;
μは、各ガウス分布gの平均であって、k個の成分を有するベクトル;
Σは、各ガウス分布の共分散であって、(kx k)行列;
は、転置である、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記分布距離Ddがマハラノビス距離の式を用いて計算される、請求項1~3の何れか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
n個の新規センサデータ点Prn-newを逐次的に加算することによる、前記更新された単一のガウス分布g1-updatedおよび前記更新されたマージガウス分布gm-merged-updatedの逐次的な更新は、以下の式により行われる:
【数3】
ここで、
μgnは、任意の前記単一のガウス分布gおよび前記マージガウス分布gm-mergedの平均
Σgnは、任意の前記単一のガウス分布gおよびマージガウス分布gm-mergedの共分散、
μgn-updatedは、任意の前記更新された単一のガウス分布g1-updatedおよび前記更新されたマージガウス分布gm-merged-updatedの平均、
Σgn-updated任意の前記更新された単一のガウス分布g1-updatedおよび前記更新されたマージガウス分布gm-merged-updatedの共分散、
は、転置である、請求項1~4の何れか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記新規センサデータ点Prnewは共分散行列
【数4】
を備え、センサデータ点ガウス分布
【数5】
を形成し、前記分布距離Ddは、カルバック・ライブラ情報量またはバタチャリヤ距離を用いて、各ガウス分布gと前記センサデータ点ガウス分布
【数6】
との間で計算される、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記少なくとも2つのガウス分布g,g,・・・,gのマージは、少なくとも2つのガウス分布g,g,・・・,gから2つの分布のペアを連続的にマージして、マージガウス分布gm-mergedを生成し、2つの分布の各々のペアからの2つの分布の平均および分散を重み付けすることにより行われる、請求項1または6に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
データ処理ハードウェアにより行われる以下のステップにおいて、前記分布バッファGから前記初期の複数のガウス分布gと更新された複数のガウス分布gn-updatedとを用いて、バッファOからの複数の物体oを備える静的環境のライトウェイト表現を作成する:
8.1.前記初期の複数のガウス分布gから分布リストとして初期の複数の物体on-initialを定義し、
8.2.前記更新された複数のガウス分布gn-updatedから更新された分布、つまり、
前記新規ガウス分布gnewまたは
前記更新された単一のガウス分布g1-updatedまたは
前記更新されたマージガウス分布gm-merged-updated
の何れか1つを前記分布バッファGから受信し、前記更新された分布から前記初期の複数の物体on-initialの各物体oまでの物体距離Doを計算し、
8.3.前記更新された分布が物体距離条件Do<Dominを満たしているか否か、つまり、前記物体距離Do<所定の物体距離閾値Dominであるか否かを検証し、前記初期の複数の物体on-initialを更新して、以下の更新分布タイプに応じて更新された複数の物体on-updatedを生成し、
8.3.1.前記更新された分布が前記新規ガウス分布gnewである場合、前記初期の複数の物体on-initialの更新は以下のように行われる:
前記初期の複数の物体on-initialのどの物体に関しても、前記更新された分布が前記物体距離条件Do<Dominを満たしていない場合、前記新規ガウス分布gnewを割り当てることにより新規物体onewを生成し、前記物体バッファOに前記新規物体onewを保存し;
単一の物体oに関して、前記更新された分布が前記物体距離条件Do<Dominを満たしている場合、前記新規ガウス分布gnewを割り当てることにより前記単一の物体oを更新し、更新された単一の物体o1-updatedを生成し、前記物体バッファOに前記更新された単一の物体o1-updatedを保存し;
前記初期の複数の物体on-initialの複数の物体oに関して、前記更新された分布が前記物体距離条件Do<Dominを満たしている場合、前記複数の物体oをマージし、マージ物体om-mergedを生成し、新規ガウス分布gnewを割り当てることにより前記マージ物体om-mergedを更新し、更新されたマージ物体om-merged-updatedを生成し、前記物体バッファOに前記更新されたマージ物体om-merged-updatedを保存し;
8.3.2.前記更新された分布が前記更新された単一のガウス分布g1-updatedである場合、前記初期の複数の物体on-initialの更新は、前記単一のガウス分布gを備える対応する前記物体oを更新することにより行われ、更新された物体oupdatedを生成し、前記物体バッファOに前記更新された物体oupdatedを保存し;
8.3.3.前記更新された分布が前記更新されたマージガウス分布gm-merged-updatedである場合、前記初期の複数の物体on-initialの更新は以下のように行われる:
単一の物体oに関して、前記更新された分布が前記物体距離条件Do<Dominを満たしている場合、前記単一の物体oを更新し、前記更新された分布を含めることにより更新された単一の物体o1-updatedを生成し、前記物体バッファOに前記更新された単一の物体o1-updatedを保存し;
前記初期の複数の物体on-initialの複数の物体oに関して、前記更新された分布が前記物体距離条件を満たしている場合、前記複数の物体oをマージし、マージ物体om-mergedを生成し、前記更新された分布を含めることにより前記マージ物体om-mergedの表現を更新し、更新されたマージ物体om-merged-updatedを生成し、前記物体バッファOに前記更新されたマージ物体om-merged-updatedを保存し、
8.4.前記新規物体onewまたは
前記更新された単一の物体o1-updatedまたは
前記更新されたマージ物体om-merged-updated
の何れか1つを即時の使用のために前記物体バッファOからユーザインタフェースにエクスポートすることにより前記静的環境の前記ライトウェイト表現を作成して絶え間なく更新し、ステップ8.2.~8.4.をn個の新規センサデータ点Prn-newについて繰り返す、請求項1~7の何れか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
前記新規物体onew
前記更新された物体oupdatedおよび
前記更新されたマージ物体om-merged-updated
が、対応するガウス分布の平均μにより作成される、請求項8に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
前記新規物体onew
前記更新された物体oupdatedおよび
前記更新されたマージ物体om-merged-updated
が、ある確率に対応している、対応するガウス分布の主軸に関して選択される2つの点から作成される、請求項8に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
前記対応するガウス分布が、各ガウス分布gの2*k個の点を有し、ここで、kは前記対応するガウス分布の次元である、請求項10に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項12】
前記新規物体onew
前記更新された物体oupdatedおよび
前記更新されたマージ物体om-merged-updated
が、対応するガウス分布の特定数L個のセンサデータ点Prから作成され、前記特定数Lは、ある確率に対応している超楕円からサンプリングされる、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記静的環境の前記ライトウェイト表現が、前記データ処理ハードウェアと通信する車両の駆動システムに送信される、請求項8~12の何れか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項14】
請求項1~13の何れか1項に記載の方法のステップを行うように構成されるデータ処理ハードウェア。
【請求項15】
センサ、好ましくは、超音波センサに含まれるようにさらに構成される、請求項14に記載のデータ処理ハードウェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサデータ点を処理するためのコンピュータ実装方法およびデータ処理ハードウェアに関する。
【0002】
本発明において用いられる用語
ローデータ点、別称、ローセンサデータまたはセンサデータ点は、センサから受信したデータを示す。
【0003】
ライトウェイト環境マップは、少ないメモリフットプリント(RAMの使用量)と少ない中央処理装置(CPU)の使用量で、全体的に、少ないシステムリソースの使用量で、環境の全ての詳細を供給するマップである。
【背景技術】
【0004】
様々なタイプのデータを供給するセンサが、活動および技術分野の広い範囲においてますます用いられている。一般に、センサは、各処理サイクルにおいて多数のローデータ点を供給し、ローデータ点が処理されることにより、関連する情報が供給される。ローデータ点の処理は、ニーズに応じて何らかのデータ構造を作成することを含み、データ構造は、各処理サイクルのセンサデータ点のデータ処理を出力するために用いられる。
【0005】
いくつかの場合においては、ローデータ点のデータ処理の出力は、環境マップを構築するために用いられる。例えば、環境における静的物体を記述することであり、1つまたは複数のセンサが、シーン、例えば、自動車産業の場合、または倉庫管理の場合、または多数の物体が保管されている他の空間等における物体から「密な」ローデータ点を生成する。
【0006】
また、別の場合においては、ローデータ点のデータ処理の出力は、環境マップを生成することなく、意思決定者に送信するために用いられる。例えば、医療分野であり、患者からのデータをセンサにより収集して医療装置に送信し、さらに専門医が分析する。
【0007】
先行技術の不利な点
第1の不利な点は、センサから受信したデータの分布が、多数のロー点の処理中に保存されないことである。第2の不利な点は、第1の不利な点に由来する。センサから受信したデータの分布を保存しない場合、多数のロー点を保存すると大量のデータとなり、この大量のデータを処理するためには、1つまたは複数のハードウェア装置のますます大容量のメモリと大きい処理能力が必要とされる。
【0008】
自動車産業の具体的な場合においては、センサデータは、最近のセンサ、例えば、ライダセンサ、レーダセンサ、超音波センサから得られ、これらセンサはシーンから静的物体を環境マッピングするために用いられ、各処理サイクルにおいて多数の点を供給する。
通常の場合、環境マップは、これらセンサデータ点、例えば、グリッドマップまたは点群を用いて構築される。マップの作成および更新には大容量のメモリと大量の計算が必要とされるため、車両の電子制御ユニットのアーキテクチャを構築する選択肢が限定されることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、既存の解決手段と比較して小容量のメモリと少ない計算リソースを用いて、所定のデータ構造におけるセンサデータの分布を保存しつつ、特に、環境における静的物体からデータを収集するセンサから受信したセンサデータ点を処理するためのより効率的な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本課題を解決するために、発明者たちは、本発明の第1態様において、センサデータ点を処理するためのコンピュータ実装方法において、データ処理ハードウェアにより行われる4つのステップ:
1.初期の複数のガウス分布gを保存する分布バッファGを初期化するステップであって、各ガウス分布gは少なくとも1つのセンサから逐次的に受信した初期の複数のセンサデータ点Prを備え、各ガウス分布gは対応する所定の分布距離閾値Ddminを有するステップと;
2.少なくとも1つのセンサから新規センサデータ点Prnewを逐次的に取得し、新規センサデータ点Prnewと各ガウス分布gとの間の分布距離Ddを計算するステップと;
3.各ガウス分布gについて、分布距離Ddが、分布距離条件Dd<Ddminであることを満たしているか否か、各々、分布距離Dd<対応する所定の分布距離閾値Ddminであるか否かを検証するステップであって、
3.1.分布距離条件Dd<Ddminを満たすガウス分布gがない場合、新規センサデータ点Prnewを含む新規ガウス分布gnewを生成し、
3.2.分布距離条件Dd<Ddminを単一のガウス分布gが満たす場合、新規センサデータ点Prnewを追加することにより単一のガウス分布gを更新し、更新された単一のガウス分布g1-updatedを生成し、
3.3.分布距離条件Dd<Ddminを少なくとも2つのガウス分布g,g,…,gが満たす場合、少なくとも2つのガウス分布g,g,…,gをマージし、マージガウス分布gm-mergedを生成して、新規センサデータ点Prnewを追加することによりマージガウス分布gm-mergedを更新し、更新されたマージガウス分布gm-merged-updatedを生成する、ステップと、
4.新規ガウス分布gnewまたは
更新された単一のガウス分布g1-updatedまたは
更新されたマージガウス分布gm-merged-updated
の何れか1つを含むことにより初期の複数のガウス分布gを更新し、分布バッファGにおいて、更新された複数のガウス分布gn-updatedを生成するステップとを備え、
ステップ1.2.、1.3.および1.4.をn個の新規センサデータ点Prn-newについて繰り返す、コンピュータ実装方法を着想した。
【0011】
本発明の第2態様において、センサデータ点を処理するためのコンピュータ実装方法のステップを行なうように構成されるデータ処理ハードウェアが提供される。
【0012】
本発明は、本開示において記載および/または図示されている任意の新規な態様または特徴にまで及ぶ。本発明の1つの態様における任意の特徴は、本発明の他の態様に、任意の適当な組み合わせで適用することができる。本発明の様々な特徴の具体的な組み合わせは、独立して、実装および/または供給および/または使用することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の主な有利な点は以下の通りである:
連続する処理サイクルについてセンサデータ点の処理中に、入力として1つまたは複数のセンサ(例えば、超音波、レーダ等)から受信したセンサデータ点について所定のデータ構造を生成し、この所定のデータ構造を保存すること。
連続する処理サイクルについてロー点群の処理中に、所定のデータ構造を用いることによりデータ処理ハードウェアのメモリと計算能力リソースを節約すること。
メモリと計算能力リソースが節約されることから、より幅広いデータ処理ハードウェア、特に、小型データ処理ハードウェアによってローセンサデータを処理するために本発明を用いることが可能になる一方、これにより、例えば、処理すべきローセンサデータをどこかに送信する代わりに、いくつかのセンサにデータ処理ハードウェアを設けることにより、より幅広い状況において本発明を用いることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明に係るセンサデータ点を処理するための方法を概略的に示す。
図2図2は、本発明の方法を用いる実施形態のうちの1つにおけるシーンの例を示す。
図3図3は、図2のシーンに先行技術による方法を適用した結果を示す。
図4図4は、図2のシーンの例を用いる同じ実施形態において、本方法を適用して図2に示される点から楕円を構築する概略図を示す。
図5図5は、図2のシーンについての同じ実施形態による本方法、つまり、楕円から物体(この場合は凸包)を構築する概略図を示す。
図6図6は、楕円に基づいて物体を構築するための本発明の別の好ましい実施形態における概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明および実装例
通常の場合、ローセンサデータは、大規模で、クリーンでない、役に立たないデータを埋め込んでいる。大量の不要で役に立たないデータにより、メモリと計算能力は不必要に増大し、制約されたセンサネットワークにおいては望ましくない。
従って、ローセンサデータは、まず、データクリーニング処理される必要があり、クリーニングされたセンサデータが出力され、このデータを処理して関連する情報を取得する。また、提案される手法は、ガウス分布を用いてローセンサデータを処理する。ガウス分布は逐次的に構築されるため、ロー点を保存する必要がない。
【0016】
図1を参照すると、本発明に係るセンサデータ点を処理するためのコンピュータ実装方法は、データ処理ハードウェアにより行われる4つのステップを備える。
ステップ1.1において、初期の複数のガウス分布gを保存する分布バッファGを初期化し、各ガウス分布gは少なくとも1つのセンサから逐次的に受信した初期の複数のセンサデータ点Prを備える。
本方法で用いられるセンサデータ点Prは、例えば、1つまたは複数のセンサから、または、センサから受信したセンサデータ点Prを融合または他のタイプの処理をした結果、処理装置から、または、センサデータ点を供給する任意の他のソースから、受信される。センサの非限定的な例としては、超音波センサ、レーダセンサ、位置センサ、例えば、GPS、モーションセンサ、例えば、加速度センサ、ジャイロスコープ、カメラセンサ、光センサ、マイクロフォン、近接センサ、磁気センサ、温度、圧力、湿度、体のメディカルパラメータ、化学および生化学物質ならびに神経信号を測定するセンサ、また、赤外線センサ、赤外線カメラ、近傍の物体との距離、煙および気体の存在を測定するモーション検知装置、湿度センサが挙げられる。
センサデータ点Prは、任意の以下のタイプを含む:2つの座標x,yを有するセンサデータ点Pr、3つの座標x,y,zを有するセンサデータ点Pr、2つまたは3つの座標を有し、さらなる特徴、例えば、反射振幅、方向、動径速度、加速度を有するセンサデータ点Pr。また、センサデータ点Prは誤差も含み、誤差は、センサデータ点Prと同じ数の座標、つまり、2つの座標x,yまたは3つの座標x,y,zを有する。
ガウス分布gは平均および共分散により定義され、例えば、xおよびy座標を有する2次元センサデータ点の場合、平均は2つの座標のベクトル、共分散行列は2x2対称行列であり、つまり、そのような場合、分布を表すためには5つの浮動小数点が必要とされる。各ガウス分布gは対応する所定の分布距離閾値Ddminを有する。
ステップ1.2.において、少なくとも1つのセンサから新規センサデータ点Prnewを逐次的に取得する。データ処理ハードウェアは、新規センサデータ点Prnewと初期の複数のガウス分布gからの各ガウス分布gとの間の分布距離Ddを計算する。
さらに、ステップ1.3.において、データ処理ハードウェアは、各ガウス分布gについて、分布距離Ddが、分布距離条件Dd<Ddminを満たしているか否か、各々、分布距離Dd<対応する所定の分布距離閾値Ddminであるか否かを検証する。
3つの相互排他的な選択肢が存在する。
1.3.1.分布距離条件Dd<Ddminを満たすガウス分布gがない場合、新規センサデータ点Prnewを含む新規ガウス分布gnewを生成する。
1.3.2.分布距離条件Dd<Ddminを単一のガウス分布gが満たす場合、新規センサデータ点Prnewを追加することによりこの単一のガウス分布gを更新し、更新された単一のガウス分布g1-updatedを生成する。
1.3.3.分布距離条件Dd<Ddminを少なくとも2つのガウス分布g,g,…,gが満たす場合、少なくとも2つのガウス分布g,g,…,gをマージし、マージガウス分布gm-mergedを生成して、新規センサデータ点Prnewを追加することによりこのマージガウス分布gm-mergedを更新し、更新されたマージガウス分布gm-merged-updatedを生成する。
最後のステップ1.4.において、
新規ガウス分布gnewまたは
更新された単一のガウス分布g1-updatedまたは
更新されたマージガウス分布gm-merged-updated
の何れか1つを含むことにより、分布バッファGからの初期の複数のガウス分布gを更新する。
ステップ1.2.、1.3.および1.4.をn個の新規センサデータ点Prn-newについて繰り返す。
本方法の最後に、更新された複数のガウス分布gn-updatedを分布バッファGにおいて生成する。
【0017】
更新された複数のガウス分布gn-updatedの主な有利な点は、連続する処理サイクルについてセンサデータ点の処理中に、センサから受信した複数のセンサデータ点について所定のデータ構造をガウス分布および所定の分布距離閾値Ddminに基づいて定義し、各々の所定のデータ構造を保存することである。この主な有利な点は、図2に示される実施形態において示されるように、ガウス分布の特徴を用いて複数のセンサデータ点をフィルタ処理し、外れ値を削除することにより、複数のセンサデータ点を保存する必要性が除かれることに由来する。
本発明の方法を適用することは、連続する処理サイクルについてロー点群の処理中に、所定のデータ構造を用いることによりデータ処理ハードウェアのメモリと計算能力リソースを節約するという有利な点を有する。
さらに、メモリと計算能力リソースが節約されることから、より幅広いデータ処理ハードウェア、特に、小型データ処理ハードウェアによってローセンサデータを処理することが可能になる一方、これにより、より幅広い状況において本発明を用いることが可能になるという有利な点を本発明は有している。
【0018】
様々な技術分野における本発明の使用についていくつかの例を詳述する前に本発明の方法のいくつかの好ましい実施形態を提示することが便宜であるのは、様々な実施形態は幅広い領域において本発明を使用することを可能にするものであるからである。
【0019】
好ましい実施形態において、分布距離Ddが新規センサデータ点Prnewと各ガウス分布gの平均μとの間のユークリッド距離である。
ユークリッド距離を用いることの特に有利な点は、計算能力リソースが節約されることであり、これにより、より幅広いデータ処理ハードウェアによってローセンサデータを処理するように本発明を用いることが可能になる。計算能力リソースを節約することは、計算コストを削減するというさらなる有利な点を有する。
【0020】
別の好ましい実施形態において、計算資源をさらに節約するために、分布距離は、1つの距離であるノルムであり、つまり、例えば、2次元において分布距離Dd=|x1-x2|+|y1-y2|として定義するl1ノルムを用いる。
【0021】
別の好ましい実施形態において、分布距離Ddが、以下のような、初期の複数のガウス分布gの各ガウス分布gに関する新規センサデータ点Prnewの確率であり、
【数1】
ここで、
【数2】
は、新規点Prnewが各ガウス分布gから生成される確率;
Prnewは、新規センサデータ点であって、k個の成分を有するベクトル;
μは、各ガウス分布gの平均であって、k個の成分を有するベクトル;
Σは、各ガウス分布の共分散であって、(kx k)行列;
は、転置である。
この好ましい実施形態においては、新規点Prnewは、各ガウス分布gに属しやすくなり、この各ガウス分布gは、上記実施形態と比較して、より高い確率を生じさせる。
【0022】
別の好ましい実施形態において、分布距離Ddの計算は、初期の複数のガウス分布gの各ガウス分布gに関して点Prnewの正規化された確率を以下のように計算することにより行われる。
【数3】
ここで、cは、正規化係数である。
この好ましい実施形態において、これら新規点Prnewも、ガウス分布に属しやすくなり、このガウス分布は、上記実施形態と比較して、より高い確率を生じさせるものであり、分布距離Ddは確率と反比例する。
上記実施形態に対するこの好ましい実施形態の特に有利な点は、新規点Prnewが等確率楕円、つまり、prob(Prnew,g)=cの楕円の内側に位置する場合、正規化係数c>1であり、新規点Prnewが等確率楕円の外側に位置する場合、正規化係数c<1であるように、正規化係数cを選択できることである。
【0023】
別の好ましい実施形態において、分布距離Ddがマハラノビス距離の式を用いて計算される。分布距離Ddを新規センサデータ点Prnewの確率として定義するか否か、分布距離Ddを新規センサデータ点Prnewと各ガウス分布gの平均μとの間のユークリッド距離として計算するか否かとは無関係に、マハラノビス距離の式の使用は適用される。
マハラノビス距離の式を用いることが特に有利であるのは、ユークリッド距離を除く他の距離よりも計算が低コストだからである。
【0024】
別の好ましい実施形態において、n個の新規センサデータ点Prn-newを逐次的に加算することによる、更新された単一のガウス分布g1-updatedおよび更新されたマージガウス分布gm-merged-updatedの逐次的更新は、以下の式により行われる:
【数4】
ここで、
μgnは、任意の単一のガウス分布gおよびマージガウス分布gm-mergedの平均
Σgn任意の単一のガウス分布gおよびマージガウス分布gm-mergedの共分散、
μgn-updatedは、任意の更新された単一のガウス分布g1-updatedおよび更新されたマージガウス分布gm-merged-updatedの平均、
Σgn-updated任意の更新された単一のガウス分布g1-updatedおよび更新されたマージガウス分布gm-merged-updatedの共分散、
は、転置である。
逐次的更新の実施形態の記載は本発明の原理の説明を目的とするに過ぎないが、同じ結果が得られる任意の逐次的更新も、そのような原理から逸脱することなく適用されてよい。
【0025】
別の好ましい実施形態において、n個の新規センサデータ点Prn-newを逐次的に加算することによる、数値的安定性がさらに高い、更新された単一のガウス分布g1-updatedおよび更新されたマージガウス分布gm-merged-updatedの逐次的更新は、以下の式により行われる:
【数5】
更新される平均と分散に関して、変数Sは以下のように用いられる:
【数6】
ここで、
Δ=Prn-new-μgn
Δupdated=Prn-new-μgn-updated
Sは、
【数7】
によりΣと関連付けられる。
分布距離Ddを新規センサデータ点Prnewの確率として定義するか否か、分布距離Ddを新規センサデータ点Prnewと各ガウス分布gの平均μとの間のユークリッド距離として計算するか否か、分布距離Ddをマハラノビス距離の式を用いて計算するか否かとは無関係に、n個の新規センサデータ点Prn-newの逐次的加算は適用される。
【0026】
別の好ましい実施形態において、新規センサデータ点Prnewは共分散行列
【数8】
を備え、センサデータ点ガウス分布
【数9】
を形成し、分布距離Ddは、カルバック・ライブラ情報量またはバタチャリヤ距離を用いて、各ガウス分布gとこのセンサデータ点ガウス分布
【数10】
との間で計算される。
【0027】
別の好ましい実施形態において、少なくとも2つのガウス分布g,g,…,gのマージは、少なくとも2つのガウス分布g,g,…,gから2つの分布のペアを連続的にマージして、マージガウス分布gm-mergedを生成し、2つの分布の各々のペアからの2つの分布の平均および分散を重み付けすることにより行われる。連続的マージは以下のように行われる:
少なくとも2つのガウス分布g,g,…,gから分布のペアを選択し、
ペアからの2つの分布の平均および分散を重み付けすることにより、第1中間マージガウス分布gm-merged-intermediaryを生成し、
少なくとも2つのガウス分布g,g,…,gから別の分布を選択し、これを中間マージガウス分布gm-merged-intermediaryとマージして、第2中間マージガウス分布gm-merged-intermediaryを生成し、
少なくとも2つのガウス分布g,g,…,gからの全ての分布がマージに含まれるまで、さらなる中間マージガウス分布gm-merged-intermediaryの生成を継続する。
連続的マージは以下の式により行われる。
【数11】
ここで、
【数12】
μg1,μg2は、ペアからの2つの分布の平均、
Σg1,Σg2は、ペアからの2つの分布の分散、
μgm-mergedは、マージガウス分布gm-mergedの平均、
Σgm-mergedは、マージガウス分布gm-mergedの分散である。
【0028】
任意の上記実施形態における本発明の方法は、様々な技術分野において適用される。本発明を用いる目的に応じて、様々なタイプおよび数のセンサが用いられ、上記の具体的な実施形態から、より良好な結果を得ることができる。本方法の考えられる使用の全てに関して、メモリと計算能力を節約するという有利な点は、例えば、処理すべきローセンサデータをどこかに送信する代わりに、いくつかのセンサにデータ処理ハードウェアを設けることにより可能になり、小型ハードウェア処理装置を用いることを可能にする。
【0029】
図2図4図5において見られるように、本方法により生成された、更新された複数のガウス分布gn-updatedを、インテリジェント駐車管理、どの駐車場に空き空間があるかを運転者が簡単にチェックして見つけることができるスマート輸送システム、またはどこに利用可能な空き空間があるかを見ることができるインテリジェント倉庫管理に用いることができる。新規センサデータ点Prnewは、例えば、位置用GPSセンサ、速度用加速度センサ、方向用ジャイロスコープ、車両識別用RFID、乗客および車両検出用赤外線センサ、車両移動記録用カメラ等、これらのタイプのアプリケーションを制御するセンサから逐次的に取得される。
【0030】
本方法により生成された、更新された複数のガウス分布gn-updatedを、スマート輸送アプリケーション、センサを用いて街中の日々の交通を管理する交通監視および管理アプリケーション、インテリジェント情報処理システムにおいて用いて、適切に交通の経路を定め、飲酒運転者を突き止め、今後の交通状況を推定できるように交通状況、交通パターンを推定することにより、交通混雑を最小化し、簡単で面倒のない駐車を確実にし、事故を回避することができ、交通監視用車両追跡システムを実装することもできる。また、本方法により生成された、更新された複数のガウス分布gn-updatedを、自分の車両により移動する人々の安全を確保するアプリケーションと、対応するセンサを用いた事故検知アプリケーションにおいて用いることができる。
【0031】
患者からのデータを収集するセンサから新規センサデータ点Prnewが逐次的に取得される場合、本方法のステップにより生成された、更新された複数のガウス分布gn-updatedを、患者の健康状態を継続的に監視して記録し、何らかの異常な指標が見つかった場合には警告を送信するように特化されたアプリケーションにおいて用いることができる。
【0032】
図2図3図4図5を参照すると、インテリジェント駐車管理またはインテリジェント倉庫管理を構築するために任意の上記実施形態において本発明の方法を用いる一般的な例が示されており、分布バッファGから初期の複数のガウス分布gと更新された複数のガウス分布gn-updatedを用いて、バッファOからの複数の物体oを備える静的環境のライトウェイト表現を作成する。バッファOからの複数の物体oは、任意の数学的タイプであってよく、例えば、多角形、凸包等であってよい。数学的表現は、1つの現実物体または現実物体の一部に対応する。例えば、駐車車両を1つまたは複数の多角形により表現することができる。各物体は、距離測定に基づいて同様の分布から構築される。
【0033】
例えば、自動車産業の場合、または倉庫管理の場合、または多数の物体が保管されている他の空間等における物体間の空き空間を突き止める必要がある時に、そのような静的環境のライトウェイト表現が用いられる。
【0034】
図2は、壁と並行に駐車されている2つの並列車両であって、これらの車両間には空き駐車スロットが存在する2つの並列車両を、自車両が走査している実施形態の具体例のシーンを示す。
【0035】
図3は、先行技術により、シーンにおける物体からの「密」なデータ点、つまり、自車両の12個の超音波センサから取得した2次元データ点を示す。
【0036】
ステップ8.1.において、初期の複数のガウス分布gから分布リストとして初期の複数の物体on-initialを定義し、例えば、物体oは分布g,g,gを備え、特に、o={g,g,g}である。
ステップ8.2.において、更新された複数のガウス分布gn-updatedから、
新規ガウス分布gnewまたは
更新された単一のガウス分布g1-updatedまたは
更新されたマージガウス分布gm-merged-updated
の何れか1つを受信し、理解を容易にするために、更新された分布と称される。
ここで、更新された分布から初期の複数の物体on-initialの各物体oまでの物体距離Doを計算する。このようにして、上記例については、物体距離Doは、更新された分布gと物体oに属する全ての分布との間の最小距離、つまり、距離(o,g)=min{距離(g,g),距離(g,g),距離(g,g)},o={g,g,g}として定義され、分布間距離は、カルバック・ライブラ情報量またはバタチャリヤ距離を用いて上述の定義で計算される。
ステップ8.3.において、更新された分布が物体距離条件を満たしているか否か、つまり、物体距離Do<所定の物体距離閾値Domin(Do<Domin)であるか否かを検証し、初期の複数の物体on-initialを更新して、以下のような更新分布タイプに応じて、更新された複数の物体on-updatedを生成し、
更新された分布が新規ガウス分布gnewである場合、初期の複数の物体on-initialの更新は以下のように行われる:
初期の複数の物体on-initialのどの物体に関しても、更新された分布が物体距離条件(Do<Domin)を満たしていない場合、新規ガウス分布gnewを割り当てることにより新規物体onewを生成し、物体バッファOに新規物体onewを保存し;
単一の物体oに関して、更新された分布が物体距離条件(Do<Domin)を満たしている場合、新規ガウス分布gnewを割り当てることにより単一の物体oを更新し、更新された単一の物体o1-updatedを生成し、物体バッファOに更新された単一の物体o1-updatedを保存する。
物体がガウス分布のリストo={g,g,g}として定義される上記例について、ガウス分布の割り当て後、物体はo={g,g,g,g}となる。以下の好ましい実施形態において説明されるように、凸包表現の更新は、任意の凸包作成アルゴリズムを用いて、特定の点を選択して、対応する物体oから各々の分布を表現することにより行われてよい。
初期の複数の物体on-initialの複数の物体oに関して、更新された分布が物体距離条件(Do<Domin)を満たしている場合、複数の物体oをマージし、マージ物体om-mergedを生成し、新規ガウス分布gnewをマージ物体om-mergedに割り当てることによりマージ物体om-mergedを更新し、更新されたマージ物体om-merged-updatedを生成し、物体バッファOに更新されたマージ物体om-merged-updatedを保存する。
第1物体がガウス分布のリストo={g,g,g}として定義され、第2物体がo’={g,g10}として定義される上記例について、第1物体oを第2物体o’とマージした後、o’’={g,g,g,g,g10}と定義されるマージ物体が得られる。
更新された分布が更新された単一のガウス分布g1-updatedである場合、初期の複数の物体on-initialの更新は、単一のガウス分布gを備える対応する物体oの表現を更新することにより行われ、更新された物体oupdatedを生成し、物体バッファOに更新された物体oupdatedを保存し;
更新された分布が更新されたマージガウス分布gm-merged-updatedである場合、初期の複数の物体on-initialの更新は以下のように行われる:
単一の物体oに関して、更新された分布が物体距離条件Do<Dominを満たしている場合、更新された分布を含めることにより単一の物体oの表現を更新し、更新された単一の物体o1-updatedを生成し、物体バッファOに更新された単一の物体o1-updatedを保存し;
初期の複数の物体on-initialの複数の物体oに関して、更新された分布が物体距離条件Do<Dominを満たしている場合、複数の物体oをマージし、マージ物体om-mergedを生成し、更新された分布を含めることにより更新し、更新されたマージ物体om-merged-updatedを生成し、物体バッファOに更新されたマージ物体om-merged-updatedを保存する。
ステップ8.4.において、
少なくとも1つの新規物体onewまたは
更新された物体updatedまたは
マージ物体om-merged
の何れか1つを即時の使用のために物体バッファOからユーザインタフェースにエクスポートすることにより静的環境のライトウェイト表現を作成して絶え間なく更新する。
ステップ8.2.~8.4.をn個の新規センサデータ点Prn-newについて繰り返す。
【0037】
図4は、図3の具体例について先行技術によるセンサデータ点を処理するための方法を適用した結果を示し、示されている22093個のローデータ点は各々3つの座標(x、y、「反射方向」の方向)を有しているが、簡潔のため、xおよびy座標のみが図示されている。
【0038】
図5に示される分布は、本発明に係るセンサデータ点を処理するためのコンピュータ実装方法の結果を示す。このように、合計320個の分布を用いて、2093個のローデータ点が示されている。
320個の分布の各々は、5つの浮動小数点が保存されることを必要とする。これは、複数の物体oを備える静的環境のライトウェイト表現を構築するには合計で5*320=1600個の浮動小数点を必要とすることを意味している。
先行技術の場合、複数の物体oを備える静的環境のロー点を表現するには合計で、(各座標の2)*22093=44186個の浮動小数点を必要とする。
その結果、複数の物体oを備える静的環境の圧縮マップ、特に、ライトウェイト表現は、非圧縮データと比較して、サイズがたったの約3.6%=1600*100/44186である。この例においては、本発明に係る方法を用いて連続する処理サイクルについてローデータ点群の処理中に、所定のデータ構造を用いることにより、データ処理ハードウェアのメモリと計算能力資源のサイズが約96.4%節約されることになる。
言い換えれば、圧縮比=圧縮前/圧縮後は約28であり、つまり、圧縮データは非圧縮データの約28分の1の大きさである。
【0039】
なお、圧縮比は、センサデータ点の濃度とクラッタおよび測定誤差の分布に依存する。後者の分布がガウス分布である場合、センサデータ点を表現する本発明に係るセンサデータ点を処理するためのコンピュータ実装方法によって、より良好な圧縮比が得られることになる。
【0040】
マップの様々な表現を、分布リストとして作成された物体から作成することができる。分布リストとして作成される物体は、分布を物体にグループ化することを意味している。
マップの具体的な各表現は、具体的なニーズと、マップのこの具体的な表現を作成するための具体的なプログラムに依存する。例えば、マップの一方の具体的な表現は多角形状を備え、マップの他方の具体的な表現は単純な形状、例えば、凸包を備える等である。
分布リストから具体的な表現、例えば、これに限定されるものではないが、多角形状、凸包等の構築は、先行技術文献から利用可能なアルゴリズムによって行われる。
【0041】
1つの選択肢において、
新規物体onew
更新された物体oupdatedおよび
更新されたマージ物体om-merged-updated
が、対応するガウス分布の平均μにより作成される。
他の選択肢において、
新規物体onew
更新された物体oupdatedおよび
更新されたマージ物体om-merged-updated
が、ある確率に対応している、対応するガウス分布の主軸に関して選択される2つの点、例えば、2シグマ点または主軸の任意の他の複数シグマから作成される。
1つの変形例において、
新規物体onew
更新された物体oupdatedおよび
更新されたマージ物体om-merged-updated
が2シグマ点から作成される場合、対応するガウス分布は2*k次元を有する。
別の選択肢において、
新規物体onew
更新された物体oupdatedおよび
更新されたマージ物体om-merged-updated
が、対応するガウス分布の特定数L個のセンサデータ点Prから作成され、特定数Lは、ある確率に対応している超楕円からサンプリングされる。
新規点Prnewの数は、最終マップにおける分布が過剰適合されないように考慮して調整される。
新規点Prnewの数を増加させることの特に有利な点は、より正確な具体的マップ表現でありつつ、メモリと計算能力資源が節約されることであり、これにより、より幅広いデータ処理ハードウェアによってローセンサデータを処理するために本発明を用いることが可能になる。
【0042】
図6は、楕円に基づく複数の物体oの構築を説明する、上記好ましい実施形態の示唆的なイメージを示す。複数の物体oを構築または更新するために構築された楕円、例えば、凸包または多角形の使用は、ガウス分布の平均が点位置を表す点の使用と同様に行うことができる。
しかし、楕円が大きく、大きい分散に対応している場合、物体を構築するためにより多くのセンサデータ点が用いられることになり、例えば、楕円の長軸からの2つの点または楕円の輪郭からのより多くのセンサデータ点が用いられる。この楕円は具体的なガウス分布gと具体的な確率prob(Pr,g)に基づいて定義され、ここで、確率はどの楕円がガウス分布から選択されるかを定める。
具体的な確率を選択することが重要であるのは、非常に小さい確率だと、2次元の場合、x,y平面全体をカバーする楕円となってしまう一方、大きい確率を選択すると平均が得られるに過ぎないからである。具体的な確率prob(Pr,g)の選択は、累積分布関数CDFに基づいて行われてもよく、物体に含まれるべき点の百分率が選択されてよい。
【0043】
本発明の第2の態様において、任意の実施形態に係る本方法のステップを行うように構成されるデータ処理ハードウェアが提供される。
【0044】
好ましい実施形態において、データ処理ハードウェアはセンサに含まれるようにさらに構成され、本発明の方法を行うセンサのプロセッサを用いるという有利な点を有する。
任意の上記変形例における静的環境のライトウェイト表現が、データ処理ハードウェアと通信する車両の駆動システムに送信されてよい。
【0045】
好ましい実施形態に関して本方法の説明が詳細に開示されている一方、本発明の教示の本質的な範囲から逸脱することなく、その有利な点を減じることなく、本発明の様々な修正および変形が明らかであることを当業者は理解するだろう。従って、そのような修正および変形を添付の特許請求の範囲がカバーすることが意図されている。
【符号の説明】
【0046】
Prnew 少なくとも1つのセンサから受信した新規センサデータ点
Prn-new n個の新規センサデータ点
Pr 初期の複数のセンサデータ点
初期の複数のガウス分布
n-updated 更新された複数のガウス分布
G 複数のガウス分布を備える分布バッファ
g 複数のガウス分布Gの各ガウス分布
Dd 新規センサデータ点Prnewと各ガウス分布gとの間の分布距離
Ddmin 所定の分布距離閾値
new 新規センサデータ点Prnewを含む新規ガウス分布
分布距離条件Dd<Ddminを満たす単一のガウス分布
1-updated 新規センサデータ点Prnewを含む更新された単一のガウス分布
,g,g 分布距離条件Dd<Ddminを満たす少なくとも2つのガウス分布
m-merged 少なくとも2つのガウス分布g,g,…,gのマージガウス分布
m-merged-updated 新規センサデータ点Prnewを含むマージガウス分布gm-mergedの更新されたマージガウス分布
O 複数の物体を備えるバッファ
n-initial 初期の複数のガウス分布gから分布リストとして作成される初期の複数の物体
n-updated 更新された複数のガウス分布gn-updatedに基づいて作成される更新された複数の物体
初期の複数のガウス分布gと更新された複数のガウス分布gn-updatedを用いて作成される複数の物体
Do 更新された分布から初期の複数の物体on-initialの各物体oまでとして計算される物体距離
Domin 所定の物体距離閾値
new 新規ガウス分布gnewを割り当てることにより生成される新規物体
物体距離条件Do<Dominを満たす単一の物体
1-updated 更新された分布を含む更新された単一の物体o
物体距離条件Do<Dominを満たす複数の物体
m-merged 物体距離条件Do<Dominを満たす複数の物体oを含むマージ物体
m-merged-updated 更新された分布を含むマージ物体の更新されたマージ物体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-11-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0045】
好ましい実施形態に関して本方法の説明が詳細に開示されている一方、本発明の教示の本質的な範囲から逸脱することなく、その有利な点を減じることなく、本発明の様々な修正および変形が明らかであることを当業者は理解するだろう。従って、そのような修正および変形を添付の特許請求の範囲がカバーすることが意図されている。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の観点として以下も含む。
[1].
センサデータ点を処理するためのコンピュータ実装方法において、
データ処理ハードウェアによる以下のステップ:
1.初期の複数のガウス分布g を保存する分布バッファGを初期化するステップであって、各ガウス分布gは少なくとも1つのセンサから逐次的に受信した初期の複数のセンサデータ点Prを備え、各ガウス分布gは対応する所定の分布距離閾値Dd min を有するステップと;
2.前記少なくとも1つのセンサから新規センサデータ点Pr new を逐次的に取得し、前記新規センサデータ点Pr new と各ガウス分布gとの間の分布距離Ddを計算するステップと;
3.各ガウス分布gについて、前記分布距離Ddが、分布距離条件Dd<Dd min であることを満たしているか否か、各々、分布距離Dd<前記対応する所定の分布距離閾値Dd min であるか否かを検証するステップであって、
3.1.前記分布距離条件Dd<Dd min を満たすガウス分布gがない場合、前記新規センサデータ点Pr new を含む新規ガウス分布g new を生成し、
3.2.前記分布距離条件Dd<Dd min を単一のガウス分布g が満たす場合、前記新規センサデータ点Pr new を追加することにより前記単一のガウス分布g を更新し、更新された単一のガウス分布g 1-updated を生成し、
3.3.前記分布距離条件Dd<Dd min を少なくとも2つのガウス分布g ,g ,・・・,g が満たす場合、前記少なくとも2つのガウス分布g ,g ,・・・,g をマージし、マージガウス分布g m-merged を生成して、前記新規センサデータ点Pr new を追加することにより前記マージガウス分布g m-merged を更新し、更新されたマージガウス分布g m-merged-updated を生成する、ステップと、
4.前記新規ガウス分布g new または
前記更新された単一のガウス分布g 1-updated または
前記更新されたマージガウス分布g m-merged-updated
の何れか1つを含むことにより前記初期の複数のガウス分布g を更新し、前記分布バッファGにおいて、更新された複数のガウス分布g n-updated を生成するステップとを備えることであって、ステップ1.2.、1.3.および1.4.をn個の新規センサデータ点Pr n-new について繰り返すことを特徴とするコンピュータ実装方法。
[2].
前記分布距離Ddが前記新規センサデータ点Pr new と各ガウス分布gの平均μ との間のユークリッド距離である、上記[1]に記載のコンピュータ実装方法。
[3].
前記分布距離Ddが、以下のような、各ガウス分布gに関する前記新規センサデータ点Pr new の確率であり、
【数13】
ここで、
【数14】
は、新規点Pr new が各ガウス分布gから生成される確率;
Pr new は、新規センサデータ点であって、k個の成分を有するベクトル;
μ は、各ガウス分布gの平均であって、k個の成分を有するベクトル;
Σ は、各ガウス分布の共分散であって、(kx k)行列;
は、転置である、上記[1]に記載のコンピュータ実装方法。
[4].
前記分布距離Ddがマハラノビス距離の式を用いて計算される、請求項1~3の何れか1項に記載のコンピュータ実装方法。
[5].
n個の新規センサデータ点Pr n-new を逐次的に加算することによる、前記更新された単一のガウス分布g 1-updated および前記更新されたマージガウス分布g m-merged-updated の逐次的な更新は、以下の式により行われる:
【数15】
ここで、
μ gn は、任意の前記単一のガウス分布g および前記マージガウス分布g m-merged の平均
Σ gn は、任意の前記単一のガウス分布g およびマージガウス分布g m-merged の共分散、
μ gn-updated は、任意の前記更新された単一のガウス分布g 1-updated および前記更新されたマージガウス分布g m-merged-updated の平均、
Σ gn-updated 任意の前記更新された単一のガウス分布g 1-updated および前記更新されたマージガウス分布g m-merged-updated の共分散、
は、転置である、上記[1]~[4]の何れか1つに記載のコンピュータ実装方法。
6.
前記新規センサデータ点Pr new は共分散行列
【数16】
を備え、センサデータ点ガウス分布
【数17】
を形成し、前記分布距離Ddは、カルバック・ライブラ情報量またはバタチャリヤ距離を用いて、各ガウス分布gと前記センサデータ点ガウス分布
【数18】
との間で計算される、上記[1]に記載のコンピュータ実装方法。
[7].
前記少なくとも2つのガウス分布g ,g ,・・・,g のマージは、少なくとも2つのガウス分布g ,g ,・・・,g から2つの分布のペアを連続的にマージして、マージガウス分布g m-merged を生成し、2つの分布の各々のペアからの2つの分布の平均および分散を重み付けすることにより行われる、[1]または[6]に記載のコンピュータ実装方法。
[8].
データ処理ハードウェアにより行われる以下のステップにおいて、前記分布バッファGから前記初期の複数のガウス分布g と更新された複数のガウス分布g n-updated とを用いて、バッファOからの複数の物体o を備える静的環境のライトウェイト表現を作成する:
8.1.前記初期の複数のガウス分布g から分布リストとして初期の複数の物体o n-initial を定義し、
8.2.前記更新された複数のガウス分布g n-updated から更新された分布、つまり、
前記新規ガウス分布g new または
前記更新された単一のガウス分布g 1-updated または
前記更新されたマージガウス分布g m-merged-updated
の何れか1つを前記分布バッファGから受信し、前記更新された分布から前記初期の複数の物体o n-initial の各物体oまでの物体距離Doを計算し、
8.3.前記更新された分布が物体距離条件Do<Do min を満たしているか否か、つまり、前記物体距離Do<所定の物体距離閾値Do min であるか否かを検証し、前記初期の複数の物体o n-initial を更新して、以下の更新分布タイプに応じて更新された複数の物体o n-updated を生成し、
8.3.1.前記更新された分布が前記新規ガウス分布g new である場合、前記初期の複数の物体o n-initial の更新は以下のように行われる:
前記初期の複数の物体o n-initial のどの物体に関しても、前記更新された分布が前記物体距離条件Do<Do min を満たしていない場合、前記新規ガウス分布g new を割り当てることにより新規物体o new を生成し、前記物体バッファOに前記新規物体o new を保存し;
単一の物体o に関して、前記更新された分布が前記物体距離条件Do<Do min を満たしている場合、前記新規ガウス分布g new を割り当てることにより前記単一の物体o を更新し、更新された単一の物体o 1-updated を生成し、前記物体バッファOに前記更新された単一の物体o 1-updated を保存し;
前記初期の複数の物体o n-initial の複数の物体o に関して、前記更新された分布が前記物体距離条件Do<Do min を満たしている場合、前記複数の物体o をマージし、マージ物体o m-merged を生成し、新規ガウス分布g new を割り当てることにより前記マージ物体o m-merged を更新し、更新されたマージ物体o m-merged-updated を生成し、前記物体バッファOに前記更新されたマージ物体o m-merged-updated を保存し;
8.3.2.前記更新された分布が前記更新された単一のガウス分布g 1-updated である場合、前記初期の複数の物体o n-initial の更新は、前記単一のガウス分布g を備える対応する前記物体oを更新することにより行われ、更新された物体o updated を生成し、前記物体バッファOに前記更新された物体o updated を保存し;
8.3.3.前記更新された分布が前記更新されたマージガウス分布g m-merged-updated である場合、前記初期の複数の物体o n-initial の更新は以下のように行われる:
単一の物体o に関して、前記更新された分布が前記物体距離条件Do<Do min を満たしている場合、前記単一の物体o を更新し、前記更新された分布を含めることにより更新された単一の物体o 1-updated を生成し、前記物体バッファOに前記更新された単一の物体o 1-updated を保存し;
前記初期の複数の物体o n-initial の複数の物体o に関して、前記更新された分布が前記物体距離条件を満たしている場合、前記複数の物体o をマージし、マージ物体o m-merged を生成し、前記更新された分布を含めることにより前記マージ物体o m-merged の表現を更新し、更新されたマージ物体o m-merged-updated を生成し、前記物体バッファOに前記更新されたマージ物体o m-merged-updated を保存し、
8.4.前記新規物体o new または
前記更新された単一の物体o 1-updated または
前記更新されたマージ物体o m-merged-updated
の何れか1つを即時の使用のために前記物体バッファOからユーザインタフェースにエクスポートすることにより前記静的環境の前記ライトウェイト表現を作成して絶え間なく更新し、ステップ8.2.~8.4.をn個の新規センサデータ点Pr n-new について繰り返す、上記[1]~[7]の何れか1つに記載のコンピュータ実装方法。
[9].
前記新規物体o new
前記更新された物体o updated および
前記更新されたマージ物体o m-merged-updated
が、対応するガウス分布の平均μ により作成される、上記[8]に記載のコンピュータ実装方法。
[10].
前記新規物体o new
前記更新された物体o updated および
前記更新されたマージ物体o m-merged-updated
が、ある確率に対応している、対応するガウス分布の主軸に関して選択される2つの点から作成される、[8]に記載のコンピュータ実装方法。
[11].
前記対応するガウス分布が、各ガウス分布gの2*k個の点を有し、ここで、kは前記対応するガウス分布の次元である、上記[10]に記載のコンピュータ実装方法。
[12].
前記新規物体o new
前記更新された物体o updated および
前記更新されたマージ物体o m-merged-updated
が、対応するガウス分布の特定数L個のセンサデータ点Pr から作成され、前記特定数Lは、ある確率に対応している超楕円からサンプリングされる、上記[8]に記載の方法。
[13].
前記静的環境の前記ライトウェイト表現が、前記データ処理ハードウェアと通信する車両の駆動システムに送信される、上記[8]~[12]の何れか1つに記載のコンピュータ実装方法。
[14].
上記[1]~[13]の何れか1つに記載の方法のステップを行うように構成されるデータ処理ハードウェア。
[15].
センサ、好ましくは、超音波センサに含まれるようにさらに構成される、上記[14]に記載のデータ処理ハードウェア。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサデータ点を処理するためのコンピュータ実装方法において、
データ処理ハードウェアによる以下のステップ:
1.初期の複数のガウス分布gを保存する分布バッファGを初期化するステップであって、各ガウス分布gは少なくとも1つのセンサから逐次的に受信した初期の複数のセンサデータ点Prを備え、各ガウス分布gは対応する所定の分布距離閾値Ddminを有するステップと;
2.前記少なくとも1つのセンサから新規センサデータ点Prnewを逐次的に取得し、前記新規センサデータ点Prnewと各ガウス分布gとの間の分布距離Ddを計算するステップと;
3.各ガウス分布gについて、前記分布距離Ddが、分布距離条件Dd<Ddminであることを満たしているか否か、各々、分布距離Dd<前記対応する所定の分布距離閾値Ddminであるか否かを検証するステップであって、
3.1.前記分布距離条件Dd<Ddminを満たすガウス分布gがない場合、前記新規センサデータ点Prnewを含む新規ガウス分布gnewを生成し、
3.2.前記分布距離条件Dd<Ddminを単一のガウス分布gが満たす場合、前記新規センサデータ点Prnewを追加することにより前記単一のガウス分布gを更新し、更新された単一のガウス分布g1-updatedを生成し、
3.3.前記分布距離条件Dd<Ddminを少なくとも2つのガウス分布g,g,・・・,gが満たす場合、前記少なくとも2つのガウス分布g,g,・・・,gをマージし、マージガウス分布gm-mergedを生成して、前記新規センサデータ点Prnewを追加することにより前記マージガウス分布gm-mergedを更新し、更新されたマージガウス分布gm-merged-updatedを生成する、ステップと、
4.前記新規ガウス分布gnewまたは
前記更新された単一のガウス分布g1-updatedまたは
前記更新されたマージガウス分布gm-merged-updated
の何れか1つを含むことにより前記初期の複数のガウス分布gを更新し、前記分布バッファGにおいて、更新された複数のガウス分布gn-updatedを生成するステップとを備えることであって、ステップ1.2.、1.3.および1.4.をn個の新規センサデータ点Prn-newについて繰り返すことを特徴とするコンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記分布距離Ddが前記新規センサデータ点Prnewと各ガウス分布gの平均μとの間のユークリッド距離である、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記分布距離Ddが、以下のような、各ガウス分布gに関する前記新規センサデータ点Prnewの確率であり、
【数1】
ここで、
【数2】
は、新規点Prnewが各ガウス分布gから生成される確率;
Prnewは、新規センサデータ点であって、k個の成分を有するベクトル;
μは、各ガウス分布gの平均であって、k個の成分を有するベクトル;
Σは、各ガウス分布の共分散であって、(kx k)行列;
は、転置である、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記分布距離Ddがマハラノビス距離の式を用いて計算される、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
n個の新規センサデータ点Prn-newを逐次的に加算することによる、前記更新された単一のガウス分布g1-updatedおよび前記更新されたマージガウス分布gm-merged-updatedの逐次的な更新は、以下の式により行われる:
【数3】
ここで、
μgnは、任意の前記単一のガウス分布gおよび前記マージガウス分布gm-mergedの平均
Σgnは、任意の前記単一のガウス分布gおよびマージガウス分布gm-mergedの共分散、
μgn-updatedは、任意の前記更新された単一のガウス分布g1-updatedおよび前記更新されたマージガウス分布gm-merged-updatedの平均、
Σgn-updated任意の前記更新された単一のガウス分布g1-updatedおよび前記更新されたマージガウス分布gm-merged-updatedの共分散、
は、転置である、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記新規センサデータ点Prnewは共分散行列
【数4】
を備え、センサデータ点ガウス分布
【数5】
を形成し、前記分布距離Ddは、カルバック・ライブラ情報量またはバタチャリヤ距離を用いて、各ガウス分布gと前記センサデータ点ガウス分布
【数6】
との間で計算される、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記少なくとも2つのガウス分布g,g,・・・,gのマージは、少なくとも2つのガウス分布g,g,・・・,gから2つの分布のペアを連続的にマージして、マージガウス分布gm-mergedを生成し、2つの分布の各々のペアからの2つの分布の平均および分散を重み付けすることにより行われる、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
データ処理ハードウェアにより行われる以下のステップにおいて、前記分布バッファGから前記初期の複数のガウス分布gと更新された複数のガウス分布gn-updatedとを用いて、バッファOからの複数の物体oを備える静的環境のライトウェイト表現を作成する:
8.1.前記初期の複数のガウス分布gから分布リストとして初期の複数の物体on-initialを定義し、
8.2.前記更新された複数のガウス分布gn-updatedから更新された分布、つまり、
前記新規ガウス分布gnewまたは
前記更新された単一のガウス分布g1-updatedまたは
前記更新されたマージガウス分布gm-merged-updated
の何れか1つを前記分布バッファGから受信し、前記更新された分布から前記初期の複数の物体on-initialの各物体oまでの物体距離Doを計算し、
8.3.前記更新された分布が物体距離条件Do<Dominを満たしているか否か、つまり、前記物体距離Do<所定の物体距離閾値Dominであるか否かを検証し、前記初期の複数の物体on-initialを更新して、以下の更新分布タイプに応じて更新された複数の物体on-updatedを生成し、
8.3.1.前記更新された分布が前記新規ガウス分布gnewである場合、前記初期の複数の物体on-initialの更新は以下のように行われる:
前記初期の複数の物体on-initialのどの物体に関しても、前記更新された分布が前記物体距離条件Do<Dominを満たしていない場合、前記新規ガウス分布gnewを割り当てることにより新規物体onewを生成し、前記物体バッファOに前記新規物体onewを保存し;
単一の物体oに関して、前記更新された分布が前記物体距離条件Do<Dominを満たしている場合、前記新規ガウス分布gnewを割り当てることにより前記単一の物体oを更新し、更新された単一の物体o1-updatedを生成し、前記物体バッファOに前記更新された単一の物体o1-updatedを保存し;
前記初期の複数の物体on-initialの複数の物体oに関して、前記更新された分布が前記物体距離条件Do<Dominを満たしている場合、前記複数の物体oをマージし、マージ物体om-mergedを生成し、新規ガウス分布gnewを割り当てることにより前記マージ物体om-mergedを更新し、更新されたマージ物体om-merged-updatedを生成し、前記物体バッファOに前記更新されたマージ物体om-merged-updatedを保存し;
8.3.2.前記更新された分布が前記更新された単一のガウス分布g1-updatedである場合、前記初期の複数の物体on-initialの更新は、前記単一のガウス分布gを備える対応する前記物体oを更新することにより行われ、更新された物体oupdatedを生成し、前記物体バッファOに前記更新された物体oupdatedを保存し;
8.3.3.前記更新された分布が前記更新されたマージガウス分布gm-merged-updatedである場合、前記初期の複数の物体on-initialの更新は以下のように行われる:
単一の物体oに関して、前記更新された分布が前記物体距離条件Do<Dominを満たしている場合、前記単一の物体oを更新し、前記更新された分布を含めることにより更新された単一の物体o1-updatedを生成し、前記物体バッファOに前記更新された単一の物体o1-updatedを保存し;
前記初期の複数の物体on-initialの複数の物体oに関して、前記更新された分布が前記物体距離条件を満たしている場合、前記複数の物体oをマージし、マージ物体om-mergedを生成し、前記更新された分布を含めることにより前記マージ物体om-mergedの表現を更新し、更新されたマージ物体om-merged-updatedを生成し、前記物体バッファOに前記更新されたマージ物体om-merged-updatedを保存し、
8.4.前記新規物体onewまたは
前記更新された単一の物体o1-updatedまたは
前記更新されたマージ物体om-merged-updated
の何れか1つを即時の使用のために前記物体バッファOからユーザインタフェースにエクスポートすることにより前記静的環境の前記ライトウェイト表現を作成して絶え間なく更新し、ステップ8.2.~8.4.をn個の新規センサデータ点Prn-newについて繰り返す、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
前記新規物体onew
前記更新された物体oupdatedおよび
前記更新されたマージ物体om-merged-updated
が、対応するガウス分布の平均μにより作成される、請求項8に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
前記新規物体onew
前記更新された物体oupdatedおよび
前記更新されたマージ物体om-merged-updated
が、ある確率に対応している、対応するガウス分布の主軸に関して選択される2つの点から作成される、請求項8に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
前記対応するガウス分布が、各ガウス分布gの2*k個の点を有し、ここで、kは前記対応するガウス分布の次元である、請求項10に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項12】
前記新規物体onew
前記更新された物体oupdatedおよび
前記更新されたマージ物体om-merged-updated
が、対応するガウス分布の特定数L個のセンサデータ点Prから作成され、前記特定数Lは、ある確率に対応している超楕円からサンプリングされる、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記静的環境の前記ライトウェイト表現が、前記データ処理ハードウェアと通信する車両の駆動システムに送信される、請求項8に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項14】
請求項1~13の何れか1項に記載の方法のステップを行うように構成されるデータ処理ハードウェア。
【請求項15】
センサ、好ましくは、超音波センサに含まれるようにさらに構成される、請求項14に記載のデータ処理ハードウェア。
【国際調査報告】