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特表2024-521896過大構造高さを有する3次元微小構造を支持体材料に形成するためのリソグラフィ方法
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  • 特表-過大構造高さを有する3次元微小構造を支持体材料に形成するためのリソグラフィ方法 図1
  • 特表-過大構造高さを有する3次元微小構造を支持体材料に形成するためのリソグラフィ方法 図2
  • 特表-過大構造高さを有する3次元微小構造を支持体材料に形成するためのリソグラフィ方法 図3
  • 特表-過大構造高さを有する3次元微小構造を支持体材料に形成するためのリソグラフィ方法 図4
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  • 特表-過大構造高さを有する3次元微小構造を支持体材料に形成するためのリソグラフィ方法 図6
  • 特表-過大構造高さを有する3次元微小構造を支持体材料に形成するためのリソグラフィ方法 図7
  • 特表-過大構造高さを有する3次元微小構造を支持体材料に形成するためのリソグラフィ方法 図8
  • 特表-過大構造高さを有する3次元微小構造を支持体材料に形成するためのリソグラフィ方法 図9
  • 特表-過大構造高さを有する3次元微小構造を支持体材料に形成するためのリソグラフィ方法 図10-12
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】過大構造高さを有する3次元微小構造を支持体材料に形成するためのリソグラフィ方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20240528BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G03F7/20 505
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574341
(86)(22)【出願日】2022-05-20
(85)【翻訳文提出日】2024-01-18
(86)【国際出願番号】 EP2022063680
(87)【国際公開番号】W WO2022253591
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】21177401.3
(32)【優先日】2021-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515055203
【氏名又は名称】ヨアノイム リサーチ フォルシュングスゲゼルシャフト エムベーハー
【氏名又は名称原語表記】JOANNEUM RESEARCH FORSCHUNGSGESELLSCHAFT MBH
【住所又は居所原語表記】Leonhardstrasse 59,A-8010 Graz,Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】クナ、ラディスラフ
(72)【発明者】
【氏名】ポストル、マルクス
(72)【発明者】
【氏名】シュタットローバー、バーバラ
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197AA22
2H197AA28
2H197AA29
2H197AA42
2H197AB20
2H197CC05
2H197DA02
2H197DA03
2H197DB08
2H197DB31
2H197EA30
2H197EB23
2H197HA06
(57)【要約】
【課題】過大構造高さを有する3次元微小構造を支持体材料に形成するリソグラフィ方法を改善すること。
【解決手段】露光装置を用いて過大構造高さを有する3次元微小構造を光構造化性支持体材料に形成するためのリソグラフィ方法。過大構造高さは最大公称侵入深さを上回る高さを有する。本方法は以下の工程を含む:基板支持体(2)における所定の層高さ(H.1)を有する光構造化性支持体材料(1)の平面的塗布;支持体材料(1)への露光の際の最大公称侵入深さより大きい全体高さ(H.10)を有する形成されるべき微小構造の仮想3次元構造モデル(10)のコンピュータ支援によるモデル化;構造モデル(10)の全体高さ(H.10)の、連続的に上下に積み重ねられる複数の部分構造(11、12、13)へのコンピュータ支援による分割;部分構造(11、12、13)の各々についての仮想フォトマスク(M.11、M.12、M.13)の計算;層毎に仮想フォトマスク(M.11、M.12、M.13)全体が構造化されるまでの、支持体材料(1)の露光・現像による仮想フォトマスク(M.11、M.12、M.13)を用いた構造化;構造モデル(S.10)全体及びその全体高さ(H.10)に対応する構造化部を含む完全に構造化された支持体材料(30)の取得。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光装置を用いて過大構造高さを有する3次元微小構造を光構造化性支持体材料に形成するためのリソグラフィ方法であって、但し、前記光構造化性支持体材料の露光特性と関連する前記露光装置の露光パラメータに依存して、露光の最大公称侵入深さ、従ってその結果として生じる支持体材料の光構造化部が得られ、及び、過大構造高さは前記最大公称侵入深さの値を超える高さを有する、リソグラフィ方法は、以下の方法工程:
-a- 基板支持体(2)上における光構造化性支持体材料(1)の平面的塗布、但し、塗布された支持体材料(1)は、所定の層高さ(H.1)を有し、前記基板支持体(2)の反対側にある上側に平坦な表面(O.1)を有し、及び、前記支持体材料(1)の性質は電磁ビームによる露光によって変化可能である;
-b- 入力値としての情報データの使用、但し、前記情報データは、選択された光構造化性支持体材料(1)の最大公称侵入深さについての及び過大構造高さを有する形成されるべき3次元微小構造の幾何学的形状についてのデータを含む;
-c- 工程-b-による情報データに依存する、前記形成されるべき微小構造の仮想3次元構造モデル(10)のコンピュータ支援によるモデル化、但し、前記構造モデル(10)は前記形成されるべき微小構造のトポグラフィデータ(T.10)を含み、及び、前記トポグラフィデータ(T.10)を用いて、前記形成されるべき微小構造についての前記構造モデル(10)の全体高さ(H.10)が決定され、前記全体高さ(H.10)は前記支持体材料(1)への露光の際の前記電磁ビームの最大公称侵入深さより大きくかつ前記支持体材料(1)の塗布された前記層高さ(H.1)より小さい;
-d- 前記3次元構造モデル(10)の全体高さ(H.10)の、連続的に上下に積み重ねられるN個(N≧2~n)の高さ層へのコンピュータ支援による分割、但し、N個(N≧2~n)の高さ層の各々は前記構造モデル(10)の個々の部分構造(11、12、13)に対応し、N個(N≧2~n)の部分構造(11、12、13)の各々は夫々部分高さ(H.11、H.12、H.13)を有し、数Nは2以上の整数であり、数N(N≧2~n)は、N個(N≧2~n)の部分高さ(H.11、H.12、H.13)の各々が前記支持体材料(1)への露光の際の前記露光装置によって供給可能な電磁ビームの前記可能[最大]公称侵入深さ以下であるように、選択され、個々の部分構造(11、12、13)のN個(N≧2~n)の部分高さ(H.11、H.12、H.13)の和は前記構造モデル(10)の全体高さ(H.10)に対応する;
-e- 前記構造モデル(10)のN個(N≧2~n)の部分構造(11、12、13)の各々についての仮想フォトマスク(M.11、M.12、M.13)の計算、但し、N個(N≧2~n)のフォトマスク(M.11、M.12、M.13)の各々について、各部分構造(11、12、13)の夫々のトポグラフィデータ(T.11、T.12、T.13)は個々の露光ドーズの相応の値に換算され、1つの部分構造(11、12、13)の所定の部位(X、Y、Z)について計算された露光ドーズは対応する部分構造(11、12、13)の内部の同じ部位(X、Y、Z)の個別の高さ位置(Z)と相関関係を有する;
-f- 前記構造モデル(10)の一番下の高さ層における第1部分構造(11)に対応する第1仮想フォトマスク(M.11)及びアライメントマーキング(20)の前記支持体材料(1)の表面(O.1)上における位置決め;
-g- 前記表面(O.1)に配置されている前記アライメントマーキング(20)を用いた、前記支持体材料(1)の位置合わせ露光、但し、前記支持体材料(1)の表面(O.1)から出発し、前記第1仮想フォトマスク(M.11)において決定された個々の露光ドーズに応じた空間的に解像された(X、Y、Z)露光によって、前記第1部分構造(11)の構造化部(S.11)は前記支持体材料(1)に書き込まれる;
-h- 前記第1仮想フォトマスク(M.11)によって予め決定された前記支持体材料(1)の露光部分の湿式化学的現像、但し、前記第1部分構造(11)の構造化部(S.11)の表面は、前記支持体材料(1)の現像速度及び計算された露光ドーズに依存して、前記構造化部(S.11)の表面が前記露光及び現像(E)後に光学的に平滑(G)になるまで、平滑化される;
-i- 部分的に構造化された支持体材料の第1中間産物(21)の取得、但し、前記第1中間産物(21)は前記第1部分構造(11)の構造化部(S.11)を含む;
-j- 夫々に先行する(N-1)中間産物(21)の夫々に先行する(N-1)部分構造(11)の既に構造化された構造化部(S.11)の内部における、更なる第N(N≧2~n)仮想フォトマスク(M.12、M.13)の位置決め、但し、第N(N≧2~n)仮想フォトマスク(M.12、M.13)は、夫々に先行する(N-1)高さ層に連続的に引き続く次により高くに位置する構造モデル(10)の第N(N≧2~n)高さ層における第N(N≧2~n)部分構造(12、13)に対応する;
-k- 前記表面(O.1)に配置されているアライメントマーキング(20)を用いた夫々に先行する(N-1)中間産物(21、22、23)の更なる位置合わせ露光、但し、夫々に先行する(N-1)の部分構造(11)の既に構造化された構造化部(S.11)から出発し、前記第N(N≧2~n)仮想フォトマスク(M.12、M.13)において決定された個々の露光ドーズに応じた空間的に解像された(X、Y、Z)露光によって、前記第N(N≧2~n)部分構造(12、13)の構造化部(S.12、S.13)は部分的に構造化された支持体材料の夫々に先行する(N-1)中間産物(21)に書き込まれ、前記支持体材料(1)の内部における第N(N≧2~n)部分構造(12、13)の構造化部(S.12、S.13)は、夫々、夫々に先行する(N-1)部分構造(11)の構造化部(S.11)よりもより深くに位置する;
-l- 前記第N(N≧2~n)仮想フォトマスク(M.12、M.13)によって予め決定された前記支持体材料(1)の露光部分の湿式化学的現像、但し、前記第N(N≧2~n)部分構造(12、13)の構造化部(S.12、S.13)の表面は、前記支持体材料(1)の現像速度及び計算された露光ドーズに依存して、前記構造化部(S.11)の表面が前記露光及び現像(E)後に光学的に平滑(G)になるまで、平滑化される;
-m- 層毎に全部でN個(N≧2~n)の仮想フォトマスク(M.11、M.12、M.13)が構造化されるまで、一連の工程-j-(夫々更なる仮想フォトマスクの位置付け)、-k-(更なる露光)及び-l-(更なる現像)の必要に応じた相応の繰り返し;
-n- 完全に構造化された支持体材料(30)の取得(生成)、但し、前記完全に構造化された支持体材料(30)は、前記構造モデル(S.10)全体及びその全体高さ(H.10)に対応する構造化部を含む、
を含むこと
を特徴とする、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記光構造化性支持体材料(1)は、露光部分が後続する湿式化学的現像の際に前記支持体材料(1)から溶解により除去されるポジティブ作用性フォトレジストであること
を特徴とする、方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、
前記支持体材料(1)の位置合わせ露光は、1光子吸収及び/又は2光子吸収に基づくマスクレスレーザリソグラフィによって、又は、空間光変調器及び結像光学系が使用される光学的マスクレスリソグラフィによって、実行されること
を特徴とする、方法。
【請求項4】
請求項1~3の何れかに記載の方法において、
少なくとも1つの仮想フォトマスク(M.11、M.12、M.13)は、所定の傾斜角(α)で傾けられて配置された支持体材料(1)の表面(O.1)のアライメントマーキング(20)を用いて、位置決めされること
を特徴とする、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、
前記支持体材料(1)の位置合わせ露光及び前記少なくとも1つの仮想フォトマスク(M.11、M.12、M.13)によって予め定められた前記支持体材料(1)の露光部分の後続する湿式化学的現像(E)は、所定の傾斜角(α)で傾けられて配置された支持体材料(1)の表面(O.1)のアライメントマーキング(20)を用いて、実行されること
を特徴とする、方法。
【請求項6】
請求項1~5の何れかに記載の方法において、
前記光構造化性支持体材料(1)は、100μmより大きい、好ましくは200μmより大きい、特に好ましくは500μmより大きい層高さ(H.1)を有すること、
前記支持体材料(1)は、好ましくは、前記基板支持体(2)に多層で(1.1、1.2、1.3、1.4)塗布されること
を特徴とする、方法。
【請求項7】
請求項1~6の何れかに記載の方法において、
前記構造モデル(10)の全体高さ(H.10)は100μmより大きいこと
を特徴とする、方法。
【請求項8】
請求項1~7の何れかに記載の方法において、
前記数N(N≧2~n)は、個々の部分構造(11、12、13)のN(N≧2~n)個の部分高さ(H.11、H.12、H.13)の各々が最大公称侵入深さ以下であるよう、好ましくは30μm未満であるよう、特に好ましくは20μm未満であるよう、選択されること
を特徴とする、方法。
【請求項9】
請求項1~8の何れかに記載の方法において、
前記数N(N≧2~n)は、個々の部分構造(11、12、13)のN(N≧2~n)個の部分高さ(H.11、H.12、H.13)の各々が、最大公称侵入深さ以下である、好ましくは30μm未満である、特に好ましくは20μm未満である同じ部分高さを有するよう、選択されること
を特徴とする、方法。
【請求項10】
請求項1~9の何れかに記載の方法において、
前記露光及び現像(E)後の前記部分構造(S.11、S.12、S.13)の光学的に平滑な表面(G)は、最大で50nm、好ましくは最大で40nm、とりわけ好ましくは最大で30nmの平均粗さ値を有する粗さを有すること
を特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大きな構造高さを有する3次元微小構造を光構造化性支持体材料に形成するためのリソグラフィ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの技術分野における小型化の流れの中で、最近では、微小構造は、例えば光電子工学、フォトニクス、画像処理センサ技術の領域、マシンヴィジョン、ロボティクス及びモーションコントロールシステム等において、多くの新たな応用分野を見出している。これらの及び更なる応用領域においては、例えば100マイクロメートル(μm)から始まってサブミリメートル(mm)(ミリメートル未満)のスケール(ないしオーダー)のより大きな構造高さないし構造深さをも有する1次元、2次元及び/又は3次元微小構造を効率的に支持体材料に迅速にかつ可及的に最大の精度で形成可能にする必要性がしばしばある。更に、場合によりオーバーハング又はキャビティを有する1次元(略称:1D)、2次元(略称:2D)及び/又は3次元(略称:3D)微小構造を有する支持体材料の製造に加えて、更に、いわゆる2.5D微小構造もまた支持体材料に形成可能にするという要求がある。当業者は、「2.5D」という概念を、それ自体は3次元(3D)であるが、定義された(境界が明確な)下縁(Unterkante)を有しない物体ないし構造(体)として理解する。とりわけ、2.5D微小構造は、バックカット(Hinterschneidungen)、アンダーカット(Unterschneidungen)及び/又はオーバーハング(Ueberhaengen)を有し得る。例えば、その下縁が丸められている球面レンズは、2.5D微小構造と称される。この種の2.5D微小構造は、例えば、光学用途に使用可能である。
【0003】
本発明の枠内において、微小構造の構造高さの概念としては、当該微小構造の構造深さも同義に理解されることができる。3次元のデカルト(直交)座標系においては、例えば、X軸方向に所定の長さとY軸方向に所定の幅を有するフラットな微小構造を定めることができる。微小構造の構造高さは、高さの指標として役立つZ軸方向において定められる。水準(水平)面(Flaechenniveau)から(を基準として)測定可能な微小構造の凹部(窪み)ないしキャビティは、マイナスのZ軸方向における構造深さとしても定めることができる。簡単化のために、以下においては、大抵は、構造高さ(の語)を用いる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術から2つの異なる方法が既に知られており、両者の方法は微小構造の構造化のために光子を使用する。
【0006】
マスクレス1光子レーザビームリソグラフィ(略称:1PL)では、ポジティブ(ポジ型)フォトレジストの一層が仮想のデジタルフォトマスクを用いて露光された後、現像される。仮想フォトマスクを用いることによって、フォトレジスト層の個々の点(複数)は、個別の光ドーズ(Lichtdosis)の局所的(空間的)変化によって相応に異なって露光され、そのため、後続の一回の現像の作用と合わせて、個別に構造化されることができる。
【0007】
しかしながら、この場合、光の吸収はフォトレジストの層厚に応じて指数関数的に増大するため、フォトレジストの露光の際の侵入深さは著しく制限されるという欠点がある。それと同時に、フォトレジストが構造化されることができる最大可能構造高さないし構造深さも同じ制限を受ける。他方、光ドーズ即ち露光面積当たりの光強度の増大は、所定の限界以上になると、フォトレジストの破壊をもたらし得る。現在市場で入手可能なポジ型フォトレジストは、通常、最大で1200mWs/cmの光ドーズで露光可能である。従って、ポジ型フォトレジストのただ1つの層を使用する場合、微小構造の形成は最大で100μm(マイクロメートル)の最大構造高さないし構造深さに制限される。
【0008】
更に、いわゆるダイレクト2光子レーザビームリソグラフィ(略称:2PL)が従来技術から知られているが、これは、例えば既に予め形成されたマクロ光学系[構造]上に微小光学構造を付加的に形成するために使用可能である。
【0009】
この場合、支持体材料の構造化(構造形成)は、仮想3Dフォトマスクを用いたいわゆる「ボクセル」の順次走査及びフォトレジストの後続の一回の現像を基礎としている。“volume”についての略音節“vox”と“elements”についての略音節“el”の英語に由来する組み合わせである概念「ボクセル(Voxel)」は、コンピュータグラフィック(の分野)では、3次元グリッド(格子)における(1つの)グリッド点ないし画像点として理解されるものである。デカルト座標において離散的な形で存在する空間データセットの場合、ボクセルは、当該データセットのXYZ座標における離散的な値を表す。
【0010】
それ自体では、ミリメートル領域の構造高さを有する2.5D構造及び純粋な3D構造も形成可能であるこの方法の欠点は、現状では時間当たり僅かに凡そ3mmという極めて遅い書込(描画)速度である。個別に書き込まれる(形成される)各構造層のレイヤ高さ(層厚)は、この方法では、1つのボクセルサイズ、即ち、1マイクロメートル(μm)未満の1つの画像点のサイズに相当する。従って、この技術では、構造化可能な全表面は、最大で数平方ミリメートルに制限される。更に、処理時間があまりにも遅いため、そのような微小構造は効率的にもコスト面で有利にも形成されることができず、スループットも小さい。
【0011】
第3の既知の技術は、ダイヤモンド回転技術(Diamantdrehtechnik)であるが、これは、原理的に回転対称の物体の製造に限定されている。それ自体はマイクロメートルスケール(ないしオーダー)での3D構造の構造化のためにも開発された超精細ダイヤモンド回転技術も弱点を有する。超精細ダイヤモンド回転技術によって製造されたワークピースにおける構造は、通常はマイクロメートルスケールにおいて、予め定められた構造形状からずれる。この場合、3マイクロメートル(μm)までのずれは普通であり、そのため、ダイヤモンド回転技術は、微小構造の精細な構造化には適切ではない。
【0012】
それゆえ、本発明の課題は、大きな構造高さを有する3次元微小構造を支持体材料に形成する(刻み込むないし焼き付ける)ための改善されたリソグラフィ方法を提供することである。この新規な方法は、従来技術から既知の欠点(複数)を克服することが望まれる。
【0013】
とりわけ1光子レーザビームリソグラフィ(1PL法)に対しては、100マイクロメートル(μm)を超える構造高さないし構造深さを有する微小構造をも迅速にかつ高精度で作製可能にすることが、新規な本方法によって可能であることが望まれる。
【0014】
2光子レーザビームリソグラフィ(2PL法)に対しては、例えば基底面において数平方センチメートルを有する比較的大面積の微小構造をも迅速にかつ高スループットで作製することが、新規な本方法によって可能であることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
これらの課題は、請求項1の特徴を有する冒頭に掲げたタイプのリソグラフィ方法によって解決される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の有利な形態及び発展構成は従属請求項及び本明細書に記載されている。
【0017】
本発明に応じ、露光装置を用いて過大構造高さを有する3次元微小構造を光構造化性支持体材料に形成するためのリソグラフィ方法であって、但し、光構造化性支持体材料の露光特性と関連する露光装置の露光パラメータに依存して、露光の最大公称侵入深さ、従ってその結果として生じる支持体材料の光構造化部が得られ、及び、過大構造高さは最大公称侵入深さの値を超える高さを有する、リソグラフィ方法は、以下の方法工程を含む:
-a- 基板支持体上における光構造化性支持体材料の平面的(平坦な)塗布、但し、塗布された支持体材料は、所定の層高さを有し、及び、基板支持体の反対側にある上側に平坦な表面を有し、及び、支持体材料の性質は電磁ビームによる露光によって変化可能である;
-b- 入力値としての情報データの使用、但し、この情報データは、選択された光構造化性支持体材料の最大公称侵入深さについての及び過大構造高さを有する形成されるべき3次元微小構造の幾何学的形状についてのデータを含む;
-c- 工程-b-による情報データに依存する、形成されるべき微小構造の仮想3次元構造モデルのコンピュータ支援によるモデル化、但し、構造モデルは形成されるべき微小構造のトポグラフィデータを含み、及び、トポグラフィデータを用いて、形成されるべき微小構造についての構造モデルの全体高さが決定され、該全体高さは支持体材料への露光の際の電磁ビームの最大公称侵入深さより大きくかつ支持体材料の塗布された層高さより小さい;
-d- 3次元構造モデルの全体高さの、連続的に上下に積み重ねられるN個(N≧2~n)の高さ層へのコンピュータ支援による分割、但し、数NはN≧2~N=nの制御変数であり、N個(N≧2~n)の高さ層の各々は構造モデルの個々の部分構造に対応し、N個(N≧2~n)の部分構造の各々は夫々部分高さを有し、数Nは2以上の整数であり、数N(N≧2~n)は、N個(N≧2~n)の部分高さの各々が支持体材料への露光の際の露光装置によって供給可能な電磁ビームの可能[最大]公称侵入深さ以下であるように、選択され、個々の部分構造のN個(N≧2~n)の部分高さの和は構造モデルの全体高さに対応する;
-e- 構造モデルのN個(N≧2~n)の部分構造の各々についての仮想フォトマスクの計算、但し、N個(N≧2~n)のフォトマスクの各々について、各部分構造の夫々のトポグラフィデータは個々の露光ドーズの相応の値に換算され、1つの部分構造の所定の部位について計算された露光ドーズは対応する部分構造の内部の同じ部位の個別の高さ位置と相関関係を有する;
-f- 構造モデルの一番下の高さ層における第1部分構造に対応する第1仮想フォトマスクの、及び、支持体材料の表面上のアライメントマーキングの位置決め(位置付け);
-g- 前記表面に配置されているアライメントマーキングを用いた支持体材料の位置合わせ露光、但し、支持体材料の表面から出発し、第1仮想フォトマスクにおいて決定された個々の露光ドーズに応じた空間的に解像された露光によって、第1部分構造の構造化部は支持体材料に書き込まれる(形成される);
-h- 第1仮想フォトマスクによって予め決定された支持体材料の露光部分の湿式化学的現像、但し、第1部分構造の構造化部の表面は、支持体材料の現像速度及び計算された露光ドーズに依存して、構造化部の表面が露光及び現像後に光学的に平滑になるまで、平滑化される;
-i- 部分的に構造化された支持体材料の第1中間産物の取得(生成)、但し、第1中間産物は第1部分構造の構造化部を含む;
-j- 夫々に先行する(N-1)中間産物の夫々に先行する(N-1)部分構造の既に構造化された構造化部の内部における、更なる第N(N≧2~n)仮想フォトマスクの位置決め、但し、第N(N≧2~n)仮想フォトマスクは、夫々に先行する(N-1)高さ層に連続的に引き続く次により高くに位置する構造モデルの第N(N≧2~n)高さ層における第N(N≧2~n)部分構造に対応する;
-k- 前記表面に配置されているアライメントマーキングを用いた夫々に先行する(N-1)中間産物の更なる位置合わせ露光、但し、夫々に先行する(N-1)の部分構造の既に構造化された構造化部から出発し、第N(N≧2~n)仮想フォトマスクにおいて決定された個々の露光ドーズに応じた空間的に解像された露光によって、第N(N≧2~n)部分構造の構造化部は部分的に構造化された支持体材料の夫々に先行する(N-1)中間産物に書き込まれ(形成され)、支持体材料の内部における第N(N≧2~n)部分構造の構造化部は、夫々、夫々に先行する(N-1)部分構造の構造化部よりもより深くに位置する;
-l- 第N(N≧2~n)仮想フォトマスクによって予め決定された支持体材料の露光部分の湿式化学的現像、但し、第N(N≧2~n)部分構造の構造化部の表面は、支持体材料の現像速度及び計算された露光ドーズに依存して、構造化部の表面が露光及び現像後に光学的に平滑になるまで、平滑化される;
-m- 層毎に全部でN個(N≧2~n)の仮想フォトマスクが構造化されるまで、一連の工程-j-(夫々更なる仮想フォトマスクの位置決め)、-k-(更なる露光)及び-l-(更なる現像)の必要に応じた相応の繰り返し;
-n- 完全に構造化された支持体材料の取得(生成)、但し、完全に構造化された支持体材料は、構造モデル全体及びその全体高さに対応する構造化部を含む。
【0018】
「過大構造高さ」という概念は、ここでは、その構造高さが光構造化性支持体材料内への露光の最大公称侵入深さよりも大きい微小構造(の高さ)として理解されるものである。
【0019】
露光の最大公称侵入深さは以下のパラメータに依存して生じる:
‐ 使用される光構造化性支持体材料及び選択される支持体材料の光化学的材料特性に依存する夫々可能な露光深さの選択;
‐ 破壊することなく支持体材料を露光するために適切な光ドーズの選択;
‐ 使用される露光装置の選択;
‐ 適切な現像時間の選択。
【0020】
従って、現像時間のような選択される露光装置の露光パラメータに依存して、及び、露光の際に支持体材料を破壊することなく選択されることが可能な最大光ドーズのような光構造化性支持体材料の露光特性ないし材料特性との関連において、露光の最大公称侵入深さが得られるが、現在使用可能な材料及び装置では、公称侵入深さは概ね最大で100マイクロメートル(μm)である。
【0021】
例えば、露光装置として、開口数が0.14の4倍顕微鏡対物レンズを使用すると目的に適い得る。更に、例えば、マスクレス1光子レーザビームリソグラフィ(略称:1PL)を用いて405ナノメートル(nm)の光波長及び100mm/sの書込(描画)速度で凡そ50マイクロメートル(μm)の光構造化性支持体材料における露光深さを達成するために、750mWs/cmの光ドーズを選択すると目的に適い得る。現像時間の選択のために、例えば、とりわけ現像機としてMicrochemicals社(www.microchemicals.com)の製品AZ(登録商標)MIF現像機が使用される場合、30分の現像時間を選択すると、有利であり得る。
【0022】
従って、過大構造高さは、以下において定義に従って、凡そ100マイクロメートル(μm)の上記の基準値よりも大きく、更にはこの基準値よりも顕著に大きくあり得る高さを有する。本発明の方法は、有利なことに、その構造高さが例えば500マイクロメートル(μm)又はそれ以上のオーダーの寸法であり得る構造をも光構造化性材料に形成ないし書き込む(描画する)ことができる。そのような過大構造高さは、以下において、サブミリメートル(mm)スケール(オーダー)の構造高さとも称される。
【0023】
工程-a-では、まず、光構造化性支持体材料が基板支持体上に平面的に(平坦に)塗布される(配される)。有利には、光構造化性支持体材料は、支持体材料に転写されることが望まれる形成されるべき3次元微小構造の過大構造高さよりも相応により大きい平面的(平坦な)支持体材料の相応に大きな層高さが得られるまで、必要に応じて複数の層の形で上下に重ねて塗布されるフォトレジストであり得る。
【0024】
光構造化性支持体材料は、そのために、以下の現行のコーティング方法の1つに応じて1回及び/又は複数回で基板支持体に塗布されることができる:浸漬コーティング(英語:dip coating);スピンコーティング(英語:spin coating);スロットダイコーティング(英語:slot die coating);ドクターブレード(Rakel)コーティング(英語:doctor blading);カーテンコーティング(英語:curtain coating)又は計量ロッド(Dosierstab)コーティング(英語:Metering rod or Meyer bar coating)。
【0025】
工程-b-では、選択した支持体材料を露光する場合の最大公称侵入深さを用いて、及び、過大構造高さを有する形成されるべき微小構造の幾何学的形状、とりわけ輪郭データを用いて、3次元微小構造の後続のモデル化のための相応の情報が収集される。
【0026】
工程-c-は、予め求められた(得られた)情報に依存して、形成されるべき3次元微小構造から仮想ないしデジタル3次元構造モデルとして生成されるCAD(Computer Aided Design)データ(セット)を用いて、目的に適うよう実行可能である。仮想構造モデルは、この場合、形成されるべき微小構造のトポグラフィデータを含み、該トポグラフィデータを用いて、形成されるべき微小構造についての構造モデルの全体高さが決定される(求められる)。構造モデルのこの全体高さは、支持体材料への露光の際の電磁ビームの最大公称侵入深さよりも大きくかつ支持体材料の塗布された層高さよりも小さい。既に直前に記載したように、少なくとも100マイクロメートル(μm)の全体構造高さないし全体構造深さを有する、更にはサブミリメートル領域の構造高さまでの微小構造が形成されることができる。構造高さないし構造深さは、更に、3次元デカルト(直交)座標系におけるZ軸方向に関するものであり、Z軸方向は高さ位置(Hoehenlage)を定める。
【0027】
概念トポグラフィ(Topographie)(ギリシア語のtopos(ドイツ語の“Ort”(位置))とgrafein(ドイツ語の“zeichnen”ないし“beschreiben”(記述する))に由来する;逐語的には“Ortsbeschreibung”(位置記述))は、更に、技術的表面又は微小構造の表面状態(性状)ないし幾何学的形態及び物理的化学的特性(性質)の記述として理解される。トポグラフィ(表面状態、表面形態等)の記述は、一般的には、測定方法のデータに基づく。
【0028】
次の工程-d-では、3次元構造モデルの全体高さの、連続的に上下に積み重ねられる少なくとも2つの又は3以上のN個(N≧2~n)、但し数NはN≧2~N=nの制御変数、の高さ層へのコンピュータ支援による分割が実行される。高さ層の部分高さは、夫々、支持体材料への露光の際の露光装置によって供給可能な電磁ビームの可能[最大]公称侵入深さ以下であり、個々の部分構造の部分高さの和は構造モデルの全体高さに対応する。仮想構造モデルの少なくとも2つの又は3以上の上下に積み重ねられる高さ層への分割は、デカルト座標系の高さ位置に対応するZ軸方向において実行される。
【0029】
次の工程-e-、即ち、仮想構造モデルの部分構造の各々についての(1つの)仮想フォトマスクの計算は、有利には、マスクレスグレイトーンリソグラフィのための装置の制御に役立つ。各仮想フォトマスクは、従って、個々の露光ドーズないし部分構造の特定の一部位についての光強度を表す。
【0030】
構造モデルの夫々の高さ位置ないし部分構造の特定の一部位の最大構造高さは、この場合、部分構造のこの部位を支持体材料に形成(刻印)するないし書き込むことができる最大深さに対応する。構造モデルの相応の部分構造の構造高さの、支持体材料におけるこの部分構造の構造化部の構造深さへの反転は、光化学的構造化に基づいて生じる。
【0031】
現像可能な層厚は、この場合、大抵は、露光ドーズないし単位時間当たりの光強度[mWs/cm]と共に非線形的に増大する。
【0032】
次に、工程-f-では、構造モデルの一番下の高さ層における第1部分構造に対応する第1仮想フォトマスクが支持体材料の表面に相応に位置決めされる。ここで、第1仮想フォトマスクには、支持体材料の表面における(部分構造)形成のためのアライメントマーキングも記録されている(含まれている)。
【0033】
次の工程-g-では、支持体材料の表面に配置されているアライメントマーキングを用いた、支持体材料の位置合わせ露光が実行される。ここで、支持体材料の表面から出発し、第1仮想フォトマスクにおいて決定された個々の露光ドーズに応じた空間的に解像された露光によって、第1部分構造の構造化部は支持体材料に書き込まれる(形成される)。
【0034】
露光に引き続いて、工程-h-において、第1仮想フォトマスクによって予め決定された支持体材料の露光部分の湿式化学的現像が実行される。ここで、第1部分構造の構造化部の表面は、選択される構造化手法に依存して即ち使用される支持体材料の現像速度及び計算された露光ドーズに依存して、該構造化部の表面が露光及び現像後に光学的に平滑になるまで、平滑化される。
【0035】
とりわけ光学素子の製造のための成形方法の分野における当業者には、「光学的に平滑な表面」の概念は既知である。例えばAlexander W. Koch et al.の専門書“Optische Messtechnik an technischen Oberflaechen”, expert-Verlag 1998, ISBN 3-8169-1372-5 から分かるように、表面は、その表面粗さないし構造が可視スペクトル領域の光の波長λ(ラムダ)より遥かに小さい場合、「光学的に平滑」と称される。光学的に価値(精度)の高い素子に対しては、光学的に平滑な表面についてλ/16の最大不均一性(粗さ)の要求が妥当する。
【0036】
凡そ380nm~780nmの波長λを有する光の可視スペクトル領域については、このことは、「光学的に平滑」な表面の粗さ値が最大で23.75nm(380nm/16)~48.75nm(780nm/16)である必要があることを意味する。
【0037】
露光及び現像後に支持体材料の上側における構造化部即ち構造化された凹部の表面が光学的に平滑であるために満たされる必要がある基準は、1つの又は複数の後続の更なる露光工程において不所望の散乱光(迷光)を阻止することができるという効果を有する。とりわけ更なるレーザ構造化の場合、更なる構造化を散乱光効果及びそれに伴うエラー源なしに実行することは重要である。
【0038】
既に構造化されている表面の更なる露光・現像による後続する次の構造化において現れる散乱光効果は、平均粗さ値Raで表現される構造化された表面の粗さが小さくなればなるほど、より小さくなることが可能である。従って、露光・現像による更なる構造化もそれだけ一層正確に実行されることができる。有利には、支持体材料の内部における構造化された凹部ないしキャビティの表面の構造化は、光学的に平滑な表面について好ましくは30nm(ナノメートル)以下の粗さ値に調節されるよう、実行される。
【0039】
概念「構造化」は、ここでは、夫々、方法工程「位置合わせ露光」(工程-g-)と「湿式化学的現像」(工程-h-)の組み合わせとして理解されるものである。
【0040】
従って、構造化の結果は、支持体材料に書き込まれた(形成された)構造であり、該構造は、1つ又は複数の後続の更なる構造化工程に適切な光学的に平滑な表面を有する。
【0041】
工程-i-により、そのため、部分的に構造化された支持体材料の第1中間産物が生成される。ここで、第1中間産物は第1部分構造の構造化部を含む。
【0042】
更なる工程-j-、-k-及び-l-は、予め既に生成されている構造化部の内部における仮想構造モデルの後続の次の高さ位置に対応する次の仮想フォトマスクの構造化に役立つ。
【0043】
工程-m-により、層毎に仮想フォトマスク全体が構造化されるまで、一連の工程-j-(夫々更なる仮想フォトマスクの位置決め)、-k-(更なる露光)及び-l-(更なる現像)が必要に応じて繰り返される。
【0044】
工程-n-により、本発明に応じ、完全に構造化された支持体材料が製品として得られる。ここで、完全に構造化された支持体材料は、その全体高さに沿ってないしその全体高さと共に仮想3次元構造モデル全体に対応する構造化部を含む。完全に構造化された支持体材料は、更に、例えば、ガルバニック(galvanisch)法による原構造(Originalstruktur)の更なる成形のための又はシリコン成形による父型(Stempel)の製造のためのマスター(原型)として役立ち得る。
【0045】
この方法によって、光化学的に構造化可能な支持体材料に3次元(3D)微小構造を(パターン)形成するための新規な反転リソグラフィ方法が与えられる。ここで、3次元微小構造は、現在既知の製造方法ではこれまで迅速かつ精密に(正確に)製造できなかったマイクロメートルのスケール(オーダー)からサブミリメートルまでのスケール(オーダー)の過大構造高さを有する。
【0046】
本発明の一方法において、光構造化性支持体材料は、露光部分が後続の湿式化学的現像の際に支持体材料から溶解により除去されるポジティブ作用性(ポジ型)フォトレジストである場合、有利であり得る。
【0047】
フォトレジスト(英語でphotoresist)は、とりわけマイクロメートル及びサブマイクロメートル領域の構造の製造のためのマイクロエレクトロニクス及びマイクロシステム技術における並びに回路基板製造における、フォトリソグラフィ構造化の際に使用される。フォトレジストのための最も重要な出発物質(原材料)はポリマ(例えばポリメチルメタクリレート、ポリメチルグルタルイミド)ないしエポキシド樹脂、シクロペンタノン又はγ-ブチロラクトンのような溶媒、及び、感光性成分である。
【0048】
液体フォトレジストの他には、固体ないしドライレジスト(フォトフィルム:Photofolien)もある。
【0049】
露光の際には、フォト層の溶解性は、紫外光成分の形での電磁ビームによって、仮想フォトマスクの光ドーズに対応して局所的に変化される(光化学反応)。
【0050】
溶解性の変化に応じて以下のように分けられる:
‐ ネガティブ作用性(ネガ型)フォトレジスト(英語でnegative tone photoresist):溶解性(溶解度)は露光後に減少する
‐ ポジティブ作用性(ポジ型)フォトレジスト(英語でpositive tone photoresist):溶解性(溶解度)は露光後に増大する。
【0051】
ポジティブ作用性フォトレジストの場合、場合によっては既に硬化されているフォトレジストは、露光によって光化学的に変化され、そのため、相応の現像液に対して可溶になり、現像後、照射前に相応のカバーマスクによって保護されていたないしは露光部分の外部にある領域のみが残る。
【0052】
光構造化性支持体材料としてのポジティブ作用性フォトレジストの使用は、方法に応じて層毎に―計算された仮想フォトマスク(複数)に従って―高さ層が次々とポジ型フォトレジスト内へ一層深く構造化され、最終的に、その全体高さが予め定められた構造モデルの全体高さに対応する凹部ないしキャビティを完全に構造化されたポジ型フォトレジストにおいて得ることができるという利点を提供する。ポジティブ作用性フォトレジストの非構造化領域、即ち露光及び現像がされなかった領域は、有利には、(工程-a-により)最初に選択された層高さを維持する。
【0053】
ポジティブ作用性フォトレジストの形での完全に構造化された支持体材料は、更に、例えば、ガルバニック(galvanisch)法による原構造(Originalstruktur)の更なる成形のための又はシリコン成形による父型(Stempel)の製造のためのマスター(原型)として役立ち得る。
【0054】
本発明の一方法において、支持体材料の位置合わせ露光は、1光子吸収及び/又は2光子吸収に基づくマスクレスレーザリソグラフィによって、又は、空間光変調器及び結像光学系が使用される光学的マスクレスリソグラフィによって、実行される場合、格別に有利であり得る。
【0055】
概念「マスクレスレーザリソグラフィ」は、連続スキャン及びこれと同時の光強度の変調を用いた合焦する(集光する)レーザビームによって、光構造化性支持体材料、好ましくはポジティブ作用性フォトレジストを露光するための方法として、当業者に理解される。露光源としては、レーザ光が使用される。この露光方法の利点としては、マスクレスレーザリソグラフィによって、ピクセル当たりの、従って、XYZ座標を用いて正確に定義されるデータセットの一において、格別に精密に(正確に)定義される光ドーズが可能になる点が挙げられる。1光子吸収(略称:1PL)及び/又は2光子吸収(略称:2PL)の使用の可能性に基づき、この露光方法によって、それにより真の3D構造を作製することが可能になる。尤も、この露光方法は、連続スキャンを行うため、どちらかといえば低速であるのが欠点である。
【0056】
概念「光学的マスクレスリソグラフィ」は、支持体材料ないし好ましくはフォトレジストにおける空間光変調器の(1つの)面(ピクセルマトリックス)の光学的結像によって構造化が実行される、光構造化性支持体材料、好ましくはポジティブ作用性フォトレジストを露光するための方法として、当業者に理解される。露光源としては、このため、例えばUV-LEDによって生成されるUV光が使用される。この露光方法は、マスクレスレーザリソグラフィの場合と比べて面露光が顕著により迅速に実行可能であるという点で有利である。尤も、光学的マスクレスリソグラフィの方法の欠点は、この露光方法による真の3D構造化は、構造化中に相応のサンプルないし支持体材料を傾けることが必要になり得ることである。本発明の好ましい一実施バリエーションでは、少なくとも1つの仮想フォトマスクが所定の傾斜角で傾けられて配置された支持体材料の表面のアライメントマーキングを用いて位置決めされる場合、とりわけバックカット(Hinterschneidungen)の構造化のために、有利であり得る。
【0057】
上述のように、とりわけ露光方法として光学的マスクレスリソグラフィを使用する場合、バックカット、アンダーカット及び/又はオーバーハングのような真の3D構造の構造化中に支持体材料を傾けることが必要になり得る。支持体材料を傾けるために必要な相応の傾斜角は、例えば電動ゴニオメータによって調節されることができる。
【0058】
本発明の方法によって、複数の又は全部の仮想フォトマスクが、所定の傾斜角で傾けられて配置された支持体材料の表面に位置決めされることも可能になる。更に、本発明の方法の枠内において、露光のために、支持体材料が、複数の又は全部の仮想フォトマスクについて、夫々、構造化されるべき高さ層毎にないし仮想フォトマスク毎に同じ傾斜角で又は個別に異なる傾斜角で傾斜されることができる。
【0059】
この有利な方法バリエーションの一発展形態においては、支持体材料の位置合わせ露光及び少なくとも1つの仮想フォトマスクによって予め定められた支持体材料の露光部分の後続する湿式化学的現像は、所定の傾斜角で傾けられて配置された支持体材料の表面のアライメントマーキング(複数)を用いて、実行されることが可能である。
【0060】
第1仮想フォトマスクと一緒に支持体材料の表面に一緒に構造化されるアライメントマーキング(ないしアライメントマーク)は、支持体材料の傾斜露光ないし傾斜構造化の際にも、後続の更なる構造化工程のための精密な(正確な)位置決めのために役立つ。
【0061】
本発明の方法において、光構造化性支持体材料は、100マイクロメートル(μm)より大きい、好ましくは200マイクロメートル(μm)より大きい、特に好ましくは500マイクロメートル(μm)より大きい層高さを有する場合、格別に好都合であり得、支持体材料は基板支持体に多層で(多層として)塗布されることが好ましい。
【0062】
支持体材料の層高さは、この場合、支持体材料が、構造モデル全体、とりわけ構造モデルの全体高さを受容するために十分な層厚を提供するよう、選択されることが望ましいであろう。
【0063】
本発明の方法において、有利には、構造モデルの全体高さは100マイクロメートル(μm)より大きいことが可能である。
【0064】
有利なことに、本発明の方法によって、現在既知の製造方法によってはこれまで迅速かつ精密に(正確に)作製できなかったマイクロメートルからサブミリメートルのスケール(オーダー)の過大構造高さを有する3次元微小構造を作製することができる。工程-c-においてモデル化される構造モデルの全体高さもまた、従って、100マイクロメートル(μm)よりも顕著により大きいことが可能であり、サブミリメートルのスケール(オーダー)にまで到達し得る。
【0065】
本発明の更なる有利な一バリエーションでは、本方法において、数N(N≧2~n)は、個々の部分構造のN(N≧2~n)個の部分高さの各々が最大公称侵入深さ以下であるよう、好ましくは30マイクロメートル(μm)未満であるよう、特に好ましくは20マイクロメートル(μm)未満であるよう、選択されることが可能である。
【0066】
上述したように、露光の際の最大公称侵入深さは、以下のファクタの組み合わせによって本質的に決定される:
‐ 支持体材料を破壊しないための、最大可能光ドーズ;
‐ 最大現像時間
‐ 使用される支持体材料の光化学的材料特性。
【0067】
これらのファクタに基づき、例えば50マイクロメートル(μm)以下の部分構造の構造高さが選択される場合、適用例に応じて、支持体材料の精密な(正確な)構造化が可能になり得ることが、予備試験において示された。選択される部分構造の部分高さが小さければ小さい程、それだけ一層より正確に、複雑な構造モデル、即ち、例えばバックカットを含む複雑な幾何学的形状を有する構造モデルも、方法に応じて支持体材料へ書き込まれる(形成される)ことができる。
【0068】
本発明の一方法において、数N(N≧2~n)が、個々の部分構造のN(N≧2~n)個の部分高さの各々が、最大公称侵入深さ以下である、好ましくは30マイクロメートル(μm)未満、特に好ましくは20マイクロメートル(μm)未満である同じ部分高さを有するよう、選択される場合、格別に目的に適うことができる。
【0069】
このバリエーションでは、各部分構造につき常に同じ構造高さで効率的に作製することができる。
【0070】
本発明の一方法において、露光及び現像後の部分構造[構造化部]の光学的に平滑な表面が、最大で50ナノメートル(nm)、好ましくは最大で40ナノメートル(nm)、とりわけ好ましくは最大で30ナノメートル(nm)の平均粗さ値Raを有する粗さを有する場合、格別に精密な(正確な)構造化を達成することができる。
【0071】
とりわけ更なるレーザ構造化において、光学的に平滑な表面は、後続する更なる構造化を散乱光(迷光)作用なしに、従って、それによってもたらされるエラー源(原因)なしに達成するという利点を提供する。
【0072】
本発明の更なる細部、特徴及び利点は、図面に模式的に示された実施例(複数)についての以下の説明から明らかになる。各図には側面図が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1】或る層高さで基板支持体に塗布されている光構造化性支持体材料の一例。
図2】支持体材料に転写されるべき第1実施バリエーションによる微小構造の一例の3次元構造モデル。
図3】上下に積み重ねられる一連の複数の高さ層に応じた複数の部分構造へ分割された、図2に示した構造モデル。
図4】構造モデルの個々の部分構造ないし高さ層のトポグラフィデータに対応する複数の仮想フォトマスクの一例。
図5】単純化したチャートで示した、各仮想フォトマスクの各露光ドーズと個別部分構造の各々のトポグラフィデータの相関関係の一例。
図6】支持体材料の表面における、アライメントマーキング(複数)の一例を伴う、構造モデルの一番下の高さ層の第1部分構造に対応する第1仮想フォトマスクの一例の位置決め。
図7】第1仮想フォトマスクを用いた支持体材料の露光・現像後の、第1部分構造の既に構造化された構造化部の内部における、更なる第2仮想フォトマスクの一例の位置決め。第2仮想フォトマスクは、一番下の高さ層に連続的に続いて位置する構造モデルの次により高い高さ層の第2部分構造に対応する。
図8】第1仮想フォトマスクと第2仮想フォトマスクを用いる支持体材料の露光・現像後における、予め既に形成された構造化部の内部における更なる第3仮想フォトマスクの一例の位置決め。
図9図2に示した構造モデル全体の構造化部を有し完全に構造化された支持体材料の一例。
図10】支持体材料の表面における、アライメントマーキング(複数)の一例を伴う、第2実施バリエーションに応じた微小構造の一例の構造モデルの一番下の高さ層の第1部分構造に対応する第1仮想フォトマスクの一例の位置決め。
図11】第1仮想フォトマスクを用いた支持体材料の露光・現像後の、第1部分構造の既に構造化された構造化部の内部の或る傾斜角で傾けられた層における、更なる第2仮想フォトマスクの一例の位置決め。第2仮想フォトマスクは、一番下の高さ層に連続的に続いて位置する構造体モデルの次により高い高さ層の第2部分構造体に対応する。
図12】オーバーハングを有する構造モデルの一例の構造化部を有する完全に構造化された支持体材料の一例。
【実施例
【0074】
以下の詳細な図面の説明においては、本発明の方法の第1の実施バリエーションに関する図1図9を参照する。
【0075】
図1は、全体層高さH.1の複数の平面層1.1、1.2、1.3、1.4で基板支持体2に配されている光構造化性支持体材料1の一例、例えばポジティブ作用性フォトレジストを模式的に示す。基板支持体2としては、ここでは例えば平坦なガラスプレートが使用される。支持体材料1を形成している複数の層1.1、1.2、1.3、1.4は、図1においては部分断面図で象徴的に示されている。実際には、ポジティブ作用性フォトレジストの複数の層1.1、1.2、1.3、1.4は、可及的に任意の部位において同じ光化学的材料特性を有する大きな層高さH.1を有し均質に構造化された支持体材料1を得るために、可及的に均質に互いに結合することが重要である。支持体材料1ないしフォトレジストの層高さH.1ないし層深さについては、ここでは例えば900μm(マイクロメートル)が選択される。デカルト座標系では、層高さH.1の高さ方向はZ軸方向に相当する。支持体材料1は、XY面の方向に延在する平坦な表面O.1ないし外面を有する。
【0076】
ポジティブ作用性フォトレジストとしては、ここでは例えば、選択的に、何れもMicrochemicals社(www.microchemicals.com)の、製品AZ(登録商標)4562(“Positive thick resist”)又は製品AZ(登録商標)9260を使用することができる。露光の最大公称侵入深さはこのフォトレジストでは凡そ75マイクロメートル(μm)である。
【0077】
図2は、支持体材料1に転写されるべき3次元構造の一例のデジタル式に生成された仮想の3次元の構造モデル10の一例を側面図で示す。構造モデル10は、(除去により)形成されるべき(abzuformend)微小構造のトポグラフィデータT.10を含む。構造モデル10は、Z軸方向における構造モデル10の最大延伸(長さ)に対応する全体高さH.10を有する。構造モデル10の全体高さH.10は、ここでは例えば400μm(マイクロメートル)であり、従って、支持体材料の露光の際の電磁ビームの最大公称侵入深さ(凡そ75マイクロメートル)よりも大きく、かつ、基板支持体2上の支持体材料1の塗布される層高さH.1、ここでは900マイクロメートルよりも小さい。
【0078】
図3は、図2に示した仮想3次元構造モデル10であって、一連の上下に積み重ねられる複数の高さ層(Hoehenschichten)に対応してコンピュータ支援(処理)により複数の部分構造11、12、13へ分割されたものを示す。部分構造11、12、13は夫々部分高さH.11、H.12、H.13を有し、部分高さH.11、H.12、H.13は夫々支持体材料1の露光の際の可能公称侵入深さ以下である。
【0079】
ここでは、例えば、各部分構造11、12、13について夫々同じ部分高さH.11、H.12、H.13が選択されるが、この部分高さはここでは例えば40μmであり、従って、支持体材料1の露光の際の公称侵入深さ未満である。実際には、ここで例示した場合において、400μmの全体高さH.10は、上下に積み重ねられる(積層される)10個の部分構造11、12、13等に分割される必要があり、これらの部分構造は、ここでは、例えば夫々40μmの同じ部分高さH.11、H.12、H.13等を有する。各部分構造11、12、13は夫々に割り当てられたトポグラフィデータT.11、T.12、T.13を有する。簡単化のため、以下の模式的な図面についての説明は、上下に積み重ねられる図示の3つの部分構造11、12、13に限定してなされている。尤も、要求に応じ相応の仮想構造モデル10を場合により異なる部分高さを有する複数の部分構造へも必要に応じて分割することは、当業者にはよく知られている。
【0080】
図4は、構造モデル10の部分構造11、12、13の夫々について定められる複数の仮想フォトマスクM.11、M.12、M.13の例を示す。更に、構造モデル10の個々の部分構造11、12、13ないし高さ層の夫々のトポグラフィデータT.11、T.12、T.13は、個々の露光ドーズの相応の値に換算される。部分構造11、12、13のO.11、O.12、O.13で指示された上側は、単に、全部で構造モデル10全体を形成するために、各部分構造11、12、13が上下に積み重ねられる仕方についての一義的な割当て(順序)を示すために役立つ。図4に模式的に示されたフォトマスクM.11、M.12、M.13は、部分構造11、12、13の特定の部位X、Y、Zについて求められた個々の露光ドーズがこの部分構造11、12、13の内部における夫々に割り当てられた高さ位置(Hoehenlage)ないしは同じ部位点X、Y、ZのZ軸方向における座標値と関連する限りにおいて、個々の部分構造11、12、13のトポグラフィデータT.11、T.12、T.13と相関関係にある(関連している)。
【0081】
図5は、各仮想フォトマスクM.11、M.12、M.13の夫々の露光ドーズI(単位:mWs/cm)と個別の部分構造11、12、13の夫々のトポグラフィデータとの相関関係を単純化したチャートの形で示す。選択される局所的(空間的)露光ドーズIが大きければ大きい程、部分構造11、12、13の内部における部位X、Y、Zの位置もそれだけ一層より高くなり、当該部位の高さ位置は構造モデル10におけるその位置(Lage)に関係するが、仮想フォトマスクM.11、M.12、M.13を用いる引き続く構造化の際に、それだけ一層深く支持体材料1内に書き込まれる(形成される)ことができる。支持体材料1に関し、より高い露光ドーズIは、従って、それだけ一層深く支持体材料1の内部へ書き込まれることができることを意味する。
【0082】
図6は、支持体材料1ないしポジティブ作用性フォトレジストの表面O.1における、アライメントマーキング(Ausrichtungsmarkierungen)20を伴う、構造モデル10の一番下の高さ層である第1部分構造11に対応する第1仮想フォトマスクM.11の位置決め(Positionieren)を示す。フォトマスクM.11の位置決めはここでは矢印Aによって象徴的に示されている。後続する方法工程においても位置合わせのために使用されるアライメントマーキング20は第1仮想フォトマスクM.11に含まれており、当該フォトマスクM.11と一緒に構造化される。
【0083】
第1仮想フォトマスクM.11によって予め定められる支持体材料1の露光部分の位置合わせ露光及び後続する湿式化学的現像を含み、矢印Eによって象徴的に示されている光化学的構造化の作用態様を明確に説明するために、図6においてはここで、反転された第1仮想フォトマスクM’.11も示されている。反転第1仮想フォトマスクM’.11は、第1仮想フォトマスクM.11に対応するが、その極性(ないし向き)(Polaritaet)は変化ないし反転されている。
【0084】
構造モデル10の対応する第1部分構造11の(図3による「正」のZ軸方向における)構造高さH.11の、支持体材料1におけるこの部分構造11の構造化部S.11の(図6による「負」のZ軸方向における)構造深さへの反転は、光化学的構造化に基づいてもたらされる。この場合、構造化パラメータは、構造化部S.11の表面が構造化(工程)E後に、即ち露光及び現像(工程)後に、光学的に平滑Gであるように、選択される。位置21は、第1部分構造11に応じた構造化部S.11によって構造化されている構造化支持体材料1の第1中間産物21を示す。
【0085】
図7は、第1仮想フォトマスクM.11を用いた支持体材料1の露光・現像E後の、第1部分構造体11の既に構造化された構造化部S.11の内部における、更なる第2仮想フォトマスクM.12の位置決めを示す。ここで、第2仮想フォトマスクM.12は、一番下の高さ層に連続的に続いて位置する構造モデル10の次により高い高さ層の第2部分構造12に対応する。
【0086】
第2仮想フォトマスクM.12は、同様に、支持体材料1の表面O.1のアライメントマーキング20を用いて位置合わせされるが、これは矢印Aによって象徴的に示されている。
【0087】
第2仮想フォトマスクM.12によって予め定められる支持体材料1の露光部分の位置合わせ露光及び後続する湿式化学的現像を含む更なる構造化は矢印Eによって象徴的に示されている。図6と同様に、図7においてはここでも、反転された第2仮想フォトマスクM’.12が示されている。反転第2仮想フォトマスクM’.12は、同様に、第2仮想フォトマスクM.12に対応するが、その極性(ないし向き)は変化ないし反転されている。
【0088】
構造モデル10の対応する第2部分構造12の(図3による「正」のZ軸方向における)構造高さH.12の、支持体材料1におけるこの部分構造12の構造化部S.12の(図7による「負」のZ軸方向における)構造深さへの反転は、同様に、光化学的構造化に基づいてもたらされる。この場合、構造化パラメータは、予め構造化されているキャビティS.11の内部ないし下方に配置される(位置付けられる)構造化部S.12の表面も構造化(工程)E後に、即ち露光・現像(工程)後に、光学的に平滑Gであるように、選択される。位置22は、第2部分構造12に応じた構造化部S.12によって構造化されている構造化支持体材料1の第2中間産物22を示す。
【0089】
図8は、図6及び図7において予め既に示した構造化工程を繰り返したものを示し、第1仮想フォトマスクM.11と第2仮想フォトマスクM.12を用いる支持体材料1の予め実行された構造化E即ち露光・現像後における、予め既に形成された構造化部S.12の内部における更なる第3仮想フォトマスクM.13の位置決めを示す。
【0090】
同図に記載された反転された第3仮想フォトマスクM’.13は、同様に、例えば図5に示されているような第3仮想フォトマスクM.13に対応するが、その極性(ないし向き)は変化ないし反転されている。
【0091】
第3仮想フォトマスクM.13によって予め定められる支持体材料1の露光部分の位置合わせ露光及び後続する湿式化学的現像を含む更なる構造化は、同様に、矢印Eによって象徴的に示されている。
【0092】
構造化パラメータは、構造化部S.13の表面も構造化(工程)E後に即ち露光・現像(工程)後に、光学的に平滑Gであるように、選択される。位置23は、付加的に第3部分構造体13に応じた構造化部S.11によって既に構造化されている構造化支持体材料1の第3中間産物23を示す。
【0093】
更なる層毎の構造化Eの実行に用いられる更なる仮想フォトマスク(複数)の位置決めを相応に繰り返すことによって、支持体材料1が最終的に構造モデルの全体高さH.10に従って構造モデル全体の構造化部S.10を含むことになるまで、すべての部分構造が、層毎に、一層深くに支持体材料1内へと構造化される。
【0094】
図9は、製造方法の生産物として、図2に示した構造モデル10全体の構造化部を有し完全に構造化された支持体材料30の一例を側面図で示す。
【0095】
図10図12の更なる記載は、本発明の方法の更なる一実施バリエーションに関する。この更なるバリエーションは、本質的に、バックカット(Hinterschneidungen)を構造化するために支持体材料1を傾けることのみ、既に説明した(第1の)バリエーションと相違する。対比可能な(同等の)方法的特徴については、夫々、同じ位置記号が使用される。それについては、既に詳細になされた説明を参照されたい。
【0096】
図10は―図6と同様に―支持体材料1の表面における、アライメントマーキング20を伴う、第2の実施バリエーションに応じた微小構造の一例の構造モデル10の一番下の高さ層の第1部分構造11に対応する第1仮想フォトマスクM.11の位置決めを示す。
【0097】
図11は、構造化E後即ち支持体材料1の露光・現像後の、第1部分構造11の既に形成された構造化部S.11の内部の傾斜角αで傾けられた位置における、更なる第2仮想フォトマスクM.12の位置決めを示す。ここで、第2仮想フォトマスクM.12は、一番下の高さ層に連続的に続いて位置する構造モデル10の次により高い高さ層の第2部分構造12に対応する。傾斜角αは、この角度で支持体材料1ないしこの場合構造化された支持体材料1の第1中間産物21が傾けられるのであるが、水平方向に対して、即ちデカルト座標系のXY面に対して、定められる。
【0098】
図12は、構造化部の3次元のバックカットないしオーバーハングを形成する更なる第2構造化部S.12が既に形成されている第2中間産物22の一例を示す。バックカットの部分は、図12においては二点鎖線で示されている。場合によっては、更なる構造化工程を相応に繰り返すことによって、オーバーハングを有する構造モデルの構造化部を有する完全に構造化された支持体材料を製造することができる。
【符号の説明】
【0099】
1 光構造化性支持体材料、フォトレジスト
1.1 支持体材料の層(ないし更なる層1.2、1.3、1.4)
2 基板支持体
10 構造モデル
11 構造モデルの第1の部分構造
12 構造モデルの第2の部分構造
13 構造モデルの第3の部分構造
20 アライメントマーキング
21 構造化された支持体材料の第1中間産物
22 構造化された支持体材料の第2中間産物
23 構造化された支持体材料の第3中間産物
30 構造化された支持体材料
A 仮想フォトマスクの位置決め(矢印)
E 露光及び現像(矢印)
G 光学的に平滑な表面
H.1 支持体材料の層高さ
H.10 構造モデルの全体高さ
H.11 構造モデルの第1部分構造の部分高さ
H.12 構造モデルの第2部分構造の部分高さ
H.13 構造モデルの第3部分構造の部分高さ
L.1 支持体材料の長さ
M.11 構造モデルの第1部分構造の第1仮想フォトマスク
M.12 構造モデルの第2部分構造の第2仮想フォトマスク
M.13 構造モデルの第3部分構造の第3仮想フォトマスク
M’.11 (極性が変化された)反転第1仮想フォトマスク
M’.12 (極性が変化された)反転第2仮想フォトマスク
M’.13 (極性が変化された)反転第3仮想フォトマスク
O.1 支持体材料の表面ないし外面
O.11 第1仮想フォトマスクの上側
O.12 第2仮想フォトマスクの上側
O.13 第3仮想フォトマスクの上側
S.10 構造モデル全体の構造化部
S.11 構造モデルの第1部分構造の構造化部
S.12 構造モデルの第2部分構造の構造化部
S.13 構造モデルの第3部分構造の構造化部
T.10 構造モデル全体のトポグラフィデータ
T.11 第1部分構造のトポグラフィデータ
T.12 第2部分構造のトポグラフィデータ
T.13 第3部分構造のトポグラフィデータ
X X軸方向
Y Y軸方向
Z Z軸方向
α 傾斜角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10-12】
【国際調査報告】