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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】抗TREM-1抗体
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20240528BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20240528BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240528BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240528BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 5/14 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20240528BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240528BHJP
   A61K 38/02 20060101ALI20240528BHJP
   C12P 21/08 20060101ALN20240528BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C07K16/28
C07K19/00
C12N15/62 Z
C07K16/46
A61P29/00
A61P37/06
A61P9/00
A61P35/00
A61P31/00
A61P31/04
A61P31/12
A61P1/04
A61P43/00 105
A61P11/00
A61P1/16
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P17/06
A61P37/02
A61P13/12
A61P3/10
A61P5/14
A61P25/00
A61P17/00
A61P37/08
A61P11/06
A61K39/395 N
A61K38/02
C12P21/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574424
(86)(22)【出願日】2022-06-02
(85)【翻訳文提出日】2024-01-30
(86)【国際出願番号】 EP2022065140
(87)【国際公開番号】W WO2022253991
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】21305743.3
(32)【優先日】2021-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】521127963
【氏名又は名称】イノトレム
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】デライブ,マーク
(72)【発明者】
【氏名】ガラウド,ジーン―ジャック
(72)【発明者】
【氏名】ブーフェンザー,アミール
(72)【発明者】
【氏名】メイレファー,マリン
(72)【発明者】
【氏名】ヴォイゾン―クリストフ,ジュリー
(72)【発明者】
【氏名】カラスコ,ケビン
【テーマコード(参考)】
4B064
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4C084AA01
4C084AA02
4C084BA03
4C084BA41
4C084MA13
4C084MA17
4C084MA23
4C084MA24
4C084MA43
4C084MA52
4C084MA55
4C084MA59
4C084MA60
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA011
4C084ZA012
4C084ZA361
4C084ZA362
4C084ZA591
4C084ZA592
4C084ZA621
4C084ZA622
4C084ZA681
4C084ZA682
4C084ZA751
4C084ZA752
4C084ZA811
4C084ZA812
4C084ZA891
4C084ZA892
4C084ZA961
4C084ZA962
4C084ZB071
4C084ZB072
4C084ZB081
4C084ZB082
4C084ZB111
4C084ZB112
4C084ZB131
4C084ZB132
4C084ZB151
4C084ZB152
4C084ZB211
4C084ZB212
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB311
4C084ZB312
4C084ZB331
4C084ZB332
4C084ZB351
4C084ZB352
4C084ZC061
4C084ZC062
4C084ZC351
4C084ZC352
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085CC23
4C085EE01
4C085GG01
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG08
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA40
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、新規抗TREM-1(骨髄細胞上で発現されるトリガー受容体-1)抗体及びその抗原結合断片、上記抗体及びその抗原結合断片を含む融合タンパク質、並びにその治療用途に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離された抗TREM-1(骨髄細胞上で発現されるトリガー受容体-1(Triggering Receptor Expressed on Myeloid cells-1))抗体又はその抗原結合断片であって、
a)前記単離された抗TREM-1抗体又はその抗原結合断片の重鎖の可変領域(VH)は、以下の3つの相補性決定領域(CDR):
-CDR1:NTYIH(配列番号1);
-CDR2:RIDPAXGXTKYXPKVXG(配列番号2)(ここで、Xは、Asn(N)又はGly(G)であり、Xは、Asn(N)又はArg(R)であり、Xは、Ala(A)、Asp(D)、又はSer(S)であり、Xは、Gln(Q)又はLys(K)である);および
-CDR3:HXGXTMDY(配列番号3)(ここで、Xは、Tyr(Y)又はArg(R)であり、Xは、Ser(S)又はGly(G)である);
を含み、
b)前記単離された抗TREM-1抗体又はその抗原結合断片の軽鎖の可変領域(VL)は、以下の3つのCDR:
-CDR1:RASXSVXNYGISFXN(配列番号4)(ここで、Xは、Glu(E)又はGln(Q)であり、Xは、Asp(D)又はSer(S)であり、Xは、Met(M)又はLeu(L)である);
-CDR2:AAX1011121314(配列番号5)(ここで、X10は、Ser(S)又はGlu(E)であり、X11は、Asn(N)又はTyr(Y)であり、X12は、Gln(Q)又はArg(R)であり、X13は、Gly(G)、Ala(A)、又はLys(K)であり、X14は、Ser(S)又はArg(R)である);および
-CDR3:QQSX151617PX18T(配列番号6)(ここで、X15は、Lys(K)、Arg(R)、又はSer(S)であり、X16は、Glu(E)、His(H)、又はAsn(N)であり、X17は、Val(V)又はPhe(F)であり、X18は、Trp(W)又はTyr(Y)である);
を含む、
単離された抗TREM-1抗体又はその抗原結合断片。
【請求項2】
以下のCDR:
-CDR1:NTYIH(配列番号1)、V-CDR2:RIDPAGGRTKYDPKVKG(配列番号7)、V-CDR3:HYGGTMDY(配列番号8)、V-CDR1:RASESVDNYGISFLN(配列番号9)、V-CDR2:AAEYRGR(配列番号10)、及びV-CDR3:QQSRHVPYT(配列番号11);又は
-CDR1:NTYIH(配列番号1)、V-CDR2:RIDPAGGRTKYSPKVQG(配列番号12)、V-CDR3:HRGGTMDY(配列番号13)、V-CDR1:RASQSVSNYGISFLN(配列番号14)、V-CDR2:AASYQKR(配列番号15)、及びV-CDR3:QQSSNFPWT(配列番号16);又は
-CDR1:NTYIH(配列番号1)、V-CDR2:RIDPAGGRTKYAPKVKG(配列番号17)、V-CDR3:HRGGTMDY(配列番号13)、V-CDR1:RASQSVSNYGISFLN(配列番号14)、V-CDR2:AAEYRGR(配列番号10)、及びV-CDR3:QQSSNVPYT(配列番号18);又は
-CDR1:NTYIH(配列番号1)、V-CDR2:RIDPAGGRTKYAPKVQG(配列番号19)、V-CDR3:HYGGTMDY(配列番号8)、V-CDR1:RASQSVSNYGISFLN(配列番号14)、V-CDR2:AAEYQGR(配列番号20)、及びV-CDR3:QQSSNVPYT(配列番号18);又は
-CDR1:NTYIH(配列番号1)、V-CDR2:RIDPAGGRTKYAPKVKG(配列番号17)、V-CDR3:HRGGTMDY(配列番号13)、V-CDR1:RASQSVSNYGISFLN(配列番号14)、V-CDR2:AAEYRAR(配列番号21)、及びV-CDR3:QQSSNVPYT(配列番号18);又は
-CDR1:NTYIH(配列番号1)、V-CDR2:RIDPANGNTKYAPKVQG(配列番号22)、V-CDR3:HYGSTMDY(配列番号23)、V-CDR1:RASESVDNYGISFMN(配列番号24)、V-CDR2:AASNQGS(配列番号25)、及びV-CDR3:QQSKEVPWT(配列番号26)
を含む、請求項1に記載の単離された抗TREM-1抗体又はその抗原結合断片。
【請求項3】
配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、及び配列番号32のいずれか1つに記載される配列、又は配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、及び配列番号32のいずれか1つと少なくとも80%の同一性を有する配列、を有する重鎖の可変領域(VH)を含む、請求項1又は2に記載の単離された抗TREM-1抗体又はその抗原結合断片。
【請求項4】
配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、及び配列番号38のいずれか1つに記載される配列、又は配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、及び配列番号38のいずれか1つと少なくとも80%の同一性を有する配列、を有する軽鎖の可変領域(VL)を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の単離された抗TREM-1抗体又はその抗原結合断片。
【請求項5】
配列番号27に記載される配列、又は配列番号27と少なくとも80%の同一性を有する配列、を有する重鎖の可変領域(VH)と、配列番号33に記載される配列、又は配列番号33と少なくとも80%の同一性を有する配列、を有する軽鎖の可変領域(VL)と、を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の単離された抗TREM-1抗体又はその抗原結合断片。
【請求項6】
前記抗体が、モノクローナル抗体である、請求項1~5のいずれか一項に記載の単離された抗TREM-1抗体又はその抗原結合断片。
【請求項7】
前記抗体が、ヒト化抗体又はヒト抗体である、請求項1~6のいずれか一項に記載の単離された抗TREM-1抗体又はその抗原結合断片。
【請求項8】
一価であり、好ましくは抗原結合断片が、Fab、Fv、又はscFvである、請求項1~7のいずれか一項に記載の単離された抗TREM-1抗体又はその抗原結合断片。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の抗TREM-1抗体又はその抗原結合断片を含む、融合タンパク質。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載の抗TREM-1抗体又はその抗原結合断片、又は請求項9に記載の融合タンパク質、をコードする核酸。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか一項に記載の単離された抗TREM-1抗体又はその抗原結合断片又は請求項9に記載の融合タンパク質と、少なくとも1種の医薬的に許容し得る賦形剤と、を含む医薬組成物。
【請求項12】
医薬としての使用のための、請求項1~8のいずれか一項に記載の単離された抗TREM-1抗体又はその抗原結合断片、請求項9に記載の融合タンパク質、又は請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
炎症性疾患又は自己免疫疾患;心血管疾患;癌、特に固形癌;及び感染症、特に細菌感染症又はウイルス感染症から選択される疾患の治療における使用のための、請求項1~8のいずれか一項に記載の単離された抗TREM-1抗体又はその抗原結合断片、請求項9に記載の融合タンパク質、又は請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記炎症性疾患又は自己免疫疾患が、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、線維症、肺線維症、肝線維症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、アルコール性肝炎、関節リウマチ、乾癬、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、血管炎、全身性炎症反応症候群(SIRS)、敗血症、敗血症性ショック、I型糖尿病、バセドウ病、多発性硬化症、自己免疫性心筋炎、川崎病、冠動脈疾患、慢性閉塞性肺疾患、間質性肺疾患、自己免疫性甲状腺炎、強皮症、全身性硬化症、変形性関節症、アトピー性皮膚炎、白斑、移植片対宿主病、シェーグレン症候群、自己免疫性腎炎、グッドパスチャー症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、アレルギー、及び喘息から選択される、請求項13に記載の使用のための単離された抗TREM-1抗体又はその抗原結合断片、融合タンパク質、又は医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、炎症の分野に関し、新規抗ヒトTREM-1(骨髄細胞上で発現されるトリガー受容体-1(Triggering Receptor Expressed on Myeloid cells-1))抗体及びその抗原結合断片を開示する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
CD354としても知られることもある、TREM-1(骨髄細胞上で発現されるトリガー受容体-1)は、単球、マクロファージ、好中球、血小板、及び樹状細胞などの自然免疫細胞の大部分により、並びに内皮細胞により発現される免疫受容体である。ヒトTREM遺伝子クラスターは、染色体6p21.1上に位置し、TREM1~5及びTLT-1(TREM様転写産物-1)の6つの異なるタンパク質をコードする。TREM-1は、3つの別々のドメイン:Ig様構造(主にリガンド結合に関与する)、膜貫通部分、及びDNAX活性化タンパク質12すなわちDAP12と呼ばれるアダプタータンパク質と結合する短い細胞質尾部、を含むIgスーパーファミリーに属する膜結合糖タンパク質受容体である。そのリガンドの結合時に、TREM-1はしたがって、DAP12の助けを借りて下流のシグナル伝達経路を活性化する。
【0003】
例えばTammaroら(Pharmacol Ther.2017 Sep;177:81-95に記載されているように、TREM-1の関与は、ZAP70(ゼータ鎖関連タンパク質キナーゼ70)及びSYK(脾臓チロシンキナーゼ)を含むシグナル伝達経路を誘導し、後者は、Cbl(Casitas B系統リンパ腫)、SOS(セブンレスの息子)、及びGRB2(成長因子受容体結合タンパク質-2)などのアダプター分子のその後の動員とチロシンリン酸化を促進し、それは、PI3K、PLC-γ(ホスホリパーゼ-C-ガンマ)、ERK-1、ERK-2及びp38 MAPKを介する下流のシグナル伝達をもたらす。これらの経路の活性化は、Ca2+動員、アクチン細胞骨格の再構成、及びNF-kBなどの転写因子の活性化を誘導する。最終的に、TREM-1の活性化は特に、急速な好中球の脱顆粒と酸化バーストと共に、炎症性サイトカインとケモカインの発現及び分泌をもたらす。
【0004】
TREM-1の機能は、盛んな免疫応答を誘導するために、病原体認識受容体(PRR)との相乗効果により、炎症を開始するのではなく、増強することである。Nod様受容体(NLR)及びToll様受容体(TLR)を含むPRRの関与はそのため、TREM-1発現の上方制御及び/又は細胞膜でのその動員とクラスタリングを誘導し、それは、その二量体化及び多量体化をもたらす。上記NLR及び/又はTLRは、DAMP(危険関連分子パターン(Danger Associated Molecular Patterns))又はPAMP(病原体関連分子パターン(Pathogen Associated Molecular Patterns))によって活性化され得る。特に、上記NLR及びTLRの活性化は、DAMP及び/又はアラーミンとの相互作用による無菌の炎症状態下で生じるか、又はPAMPとの相互作用による感染状態下で生じ得る。TREM-1はそのため、それが感染により誘導される(感染性炎症)か又はそうでない(無菌性炎症)かにかかわらず、炎症を増強することにおいて役割を果たす。したがって、TREM-1とそのシグナル伝達経路は、敗血症及び敗血症性ショックなどの感染によって引き起こされる炎症又は過剰炎症において役割を果たすが、アテローム性動脈硬化症、虚血再灌流誘発性組織損傷、大腸炎、線維症及び癌を含む、いくつかの非感染性急性及び慢性炎症性疾患の病態にも寄与する。
【0005】
注目すべきことに、炎症を開始するのではなく増強することに関するその重要性のため、TREM-1の阻害は、自然免疫反応のTREM-1依存性増強ループを遮断し、かつ炎症応答を完全に無効にするのではなく、炎症を弱めると予想される。TREM-1を特異的に結合し阻害できる分子を特定することは、感染性炎症性疾患の治療並びに非感染性の急性及び慢性炎症性疾患の治療に特に関連し得る。現在臨床試験中のTLT-1ペプチドLR12を含む阻害性ペプチドなどの、いくつかのTREM-1阻害剤はすでに説明されている(WO2011/124685)。しかし、これまでのところ、治療用として承認されているTREM-1阻害剤はない。
【0006】
したがって、感染性炎症であろうと無菌性炎症であろうと、炎症を弱めるために使用され得る新規TREM-1阻害剤が依然として必要である。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、新規抗ヒトTREM-1抗体及びその抗原結合断片に関する。実施例の節で例示されるように、本明細書に記載の新規抗ヒトTREM-1抗体及びその抗原結合断片は、ヒトTREM-1を結合し阻害できる。特に、それらは、エンドトキシン血症の動物モデルで誘発される炎症反応を弱めることができる。注目すべきことに、本明細書に記載される新規抗ヒトTREM-1抗体及びその抗原結合断片は、それにより活性化される刺激シグナルに関係なく、TREM-1シグナル伝達経路を阻害できる。それらはしたがって、TREM-1リガンド複合体で直接活性化されるか、又は例えば、PGNによるTLR2又はLPSによるTLR4などの様々なToll様受容体(TLR)の刺激を介して間接的に活性化される、TREM-1シグナル伝達経路を阻害できる。
【0008】
概要
本発明は、単離された抗TREM-1(骨髄細胞上で発現されるトリガー受容体-1)抗体又はその抗原結合断片に関し、
a)上記単離された抗TREM-1抗体又はその抗原結合断片の重鎖の可変領域(VH)は、以下の3つの相補性決定領域(CDR):
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1);
-V-CDR2:RIDPAXGXTKYXPKVXG(配列番号2)、ここで、XはAsn(N)又はGly(G)であり、XはAsn(N)又はArg(R)であり、XはAla(A)、Asp(D)、又はSer(S)であり、XはGln(Q)又はLys(K)であり;かつ
-V-CDR3:HXGXTMDY(配列番号3)、ここで、XはTyr(Y)又はArg(R)であり、XはSer(S)又はGly(G)である
を含み;
b)上記単離された抗TREM-1抗体又はその抗原結合断片の軽鎖の可変領域(VL)は、以下の3つのCDR:
-V-CDR1:RASXSVXNYGISFXN(配列番号4)、ここで、XはGlu(E)又はGln (Q)であり、XはAsp(D)又はSer(S)であり、XはMet(M)又はLeu(L)であり;
-V-CDR2:AAX1011121314(配列番号5)、ここで、X10はSer(S)又はGlu(E)であり、X11はAsn(N)又はTyr(Y)であり、X12はGln(Q)又はArg(R)であり、X13はGly(G)、Ala(A)、又はLys(K)であり、X14はSer(S)又はArg(R)であり;かつ
-V-CDR3:QQSX151617PX18T(配列番号6)、ここで、X15はLys(K)、Arg(R)、又はSer(S)であり、X16はGlu(E)、His(H)、又はAsn(N)であり、X17はVal(V)又はPhe(F)であり、X18はTrp(W)又はTyr(Y)である
を含む。
【0009】
一実施形態において、単離された抗TREM-1抗体又はその抗原結合断片は、以下のCDR:
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1)、V-CDR2:RIDPAGGRTKYDPKVKG(配列番号7)、V-CDR3:HYGGTMDY(配列番号8)、V-CDR1:RASESVDNYGISFLN(配列番号9)、V-CDR2:AAEYRGR(配列番号10)、及びV-CDR3:QQSRHVPYT(配列番号11);又は
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1)、V-CDR2:RIDPAGGRTKYSPKVQG(配列番号12)、V-CDR3:HRGGTMDY(配列番号13)、V-CDR1:RASQSVSNYGISFLN(配列番号14)、V-CDR2:AASYQKR(配列番号15)、及びV-CDR3:QQSSNFPWT(配列番号16);又は
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1)、V-CDR2:RIDPAGGRTKYAPKVKG(配列番号17)、V-CDR3:HRGGTMDY(配列番号13)、V-CDR1:RASQSVSNYGISFLN(配列番号14)、V-CDR2:AAEYRGR(配列番号10)、及びV-CDR3:QQSSNVPYT(配列番号18);又は
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1)、V-CDR2:RIDPAGGRTKYAPKVQG(配列番号19)、V-CDR3:HYGGTMDY(配列番号8)、V-CDR1:RASQSVSNYGISFLN(配列番号14)、V-CDR2:AAEYQGR(配列番号20)、及びV-CDR3:QQSSNVPYT(配列番号18);又は
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1)、V-CDR2:RIDPAGGRTKYAPKVKG(配列番号17)、V-CDR3:HRGGTMDY(配列番号13)、V-CDR1:RASQSVSNYGISFLN(配列番号14)、V-CDR2:AAEYRAR(配列番号21)、及びV-CDR3:QQSSNVPYT(配列番号18);又は
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1)、V-CDR2:RIDPANGNTKYAPKVQG(配列番号22)、V-CDR3:HYGSTMDY(配列番号23)、V-CDR1:RASESVDNYGISFMN(配列番号24)、V-CDR2:AASNQGS(配列番号25)、及びV-CDR3:QQSKEVPWT(配列番号26)
を含む。
【0010】
一実施形態において、単離された抗TREM-1抗体又はその抗原結合断片は、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、及び配列番号32のいずれか1つに記載の配列、又は配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、及び配列番号32のいずれか1つと少なくとも80%の同一性を有する配列を有する重鎖の可変領域(VH)を含む。
【0011】
一実施形態において、単離された抗TREM-1抗体又はその抗原結合断片は、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、及び配列番号38のいずれか1つに記載の配列、又は配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、及び配列番号38のいずれか1つと少なくとも80%の同一性を有する配列を有する軽鎖の可変領域(VL)を含む。
【0012】
一実施形態において、単離された抗TREM-1抗体又はその抗原結合断片は、配列番号27に記載の配列、又は配列番号27と少なくとも80%の同一性を有する配列を有する重鎖の可変領域(VH)、及び配列番号33に記載の配列、又は配列番号33と少なくとも80%の同一性を有する配列を有する軽鎖の可変領域(VL)を含む。
【0013】
一実施形態において、単離された抗TREM1抗体は、モノクローナル抗体である。一実施形態において、単離された抗TREM1抗体は、ヒト化抗体又はヒト抗体である。一実施形態において、単離された抗TREM-1抗体又はその抗原結合断片は、一価であり、好ましくは抗原結合断片は、Fab、Fv、又はscFvである。
【0014】
本発明の別の目的は、上記抗TREM-1抗体又はその抗原結合断片を含む融合タンパク質である。
【0015】
本発明の別の目的は、上記抗TREM-1抗体もしくは抗原結合断片、又は上記融合タンパク質をコードする核酸である。
【0016】
本発明の別の目的は、上記単離された抗TREM-1抗体もしくはその抗原結合断片、又は上記融合タンパク質、及び少なくとも1種の医薬的に許容し得る賦形剤を含む医薬組成物である。
【0017】
本発明の別の目的は、医薬としての使用のための、上記単離された抗TREM-1抗体又はその抗原結合断片、上記融合タンパク質、又は上記医薬組成物である。
【0018】
本発明の別の目的は、炎症性疾患又は自己免疫疾患;心血管疾患;癌、特に固形癌;及び感染症、特に細菌感染症又はウイルス感染症から選択される疾患の治療における使用のための、上記単離された抗TREM-1抗体又はその抗原結合断片、上記融合タンパク質、又は上記医薬組成物である。一実施形態において、上記炎症性疾患又は自己免疫疾患は、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、線維症、肺線維症、肝線維症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、アルコール性肝炎、関節リウマチ、乾癬、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、血管炎、全身性炎症反応症候群(SIRS)、敗血症、敗血症性ショック、I型糖尿病、バセドウ病、多発性硬化症、自己免疫性心筋炎、川崎病、冠動脈疾患、慢性閉塞性肺疾患、間質性肺疾患、自己免疫性甲状腺炎、強皮症、全身性硬化症、変形性関節症、アトピー性皮膚炎、白斑、移植片対宿主病、シェーグレン症候群、自己免疫性腎炎、グッドパスチャー症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、アレルギー、及び喘息から選択される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
定義
本発明において、以下の用語は、以下の意味を有する:
【0020】
「Ab」は、抗体(又は抗体(複数))を指し、「mAb」は、モノクローナル抗体(又はモノクローナル抗体(複数))を指す。
【0021】
数字の前の「約」は、上記数字の値の±10%以下を包含する。用語「約」が指す値自体も、具体的に、かつ好ましく開示されることが理解されるべきである。
【0022】
「親和性」は、抗体-抗原複合体の強度を規定するために使用される。親和性は、抗体上でのエピトープと抗原結合部位の相互作用の強度を評価する。それは、親和性定数K又は解離定数Kにより表され得る。
【0023】
本明細書で使用される「抗体」及び「免疫グロブリン又はIg」は、互換的に使用されてよく、関連する特異的免疫反応性を有するか否かにかかわらず、2つの重鎖(H鎖)と2つの軽鎖(L鎖)の組み合わせを有するタンパク質を指す。「抗体」は、目的の抗原(例えば、ヒトTREM-1)に対して有意な既知の特異的免疫反応活性を有するような集合体を指す。用語「抗hTREM-1抗体」は、本明細書において、ヒトTREM-1タンパク質に対し免疫学的特異性を示す抗体を指すために使用される。本明細書の他の箇所で説明されるように、ヒトTREM-1(hTREM-1)に対する「特異性」は、例えば、サルTREM-1などのhTREM-1のオルソログとの交差反応性を排除しない。上述したように、抗体及び免疫グロブリンは、それらの間の鎖間共有結合の有無にかかわらず、軽鎖及び重鎖を含む。脊椎動物系における基本的な免疫グロブリン構造は、比較的よく理解されている。「免疫グロブリン」という総称は、生化学的に区別できる免疫グロブリンの5つの別々のクラス:IgG、IgM、IgA、IgD、及びIgE、を含む。本明細書における開示は一般に免疫グロブリンのIgGクラスを対象とするが、5つのクラス全てが、本発明の範囲内である。IgG免疫グロブリンは、約23kDaの分子量を有する2つの同一の軽鎖と、約53~70kDaの分子量を有する2つの同一の重鎖を含む。4本の鎖は、「Y」構造でジスルフィド結合により結合され、軽鎖が、「Y」字の口から始まり可変領域を通って続く重鎖に腕木のように付く。免疫グロブリンの軽鎖は、カッパ(κ)又はラムダ(λ)のいずれかとして分類される。各重鎖クラスは、κ又はλ軽鎖のいずれかと結合され得る。一般に、軽鎖と重鎖は互いに共有結合され、2つの重鎖の「テール」領域は、免疫グロブリンがハイブリドーマ、B細胞又は遺伝子改変宿主細胞のいずれかによって生成されるときに、共有ジスルフィド結合又は非共有結合により互いに結合される。重鎖では、アミノ酸配列は、Y構造の二股末端のN末端から各鎖の下部のC末端へと続く。当業者なら、重鎖が、ガンマ(γ)、ミュー(μ)、アルファ(α)、デルタ(δ)又はイプシロン(ε)に分類され、その中のいくつかのサブクラス(例えば、γ1~γ4)があることを理解するであろう。それぞれ、IgG、IgM、IgA、IgD又はIgEとして抗体の「クラス」を決定するのは、この鎖の性質である。免疫グロブリンサブクラス又は「アイソタイプ」(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1など)は、十分に特徴付けられており、機能的特殊化を付与することが知られている。これらのクラス及びアイソタイプの各々の改変されたバージョンは、本開示の観点から当業者に容易に認識され、したがって、本発明の範囲内である。本明細書に示されるように、抗体の可変領域は、抗体が抗原上のエピトープを選択的に認識し、かつ特異的に結合することを可能にする。すなわち、抗体の軽鎖可変領域又はドメイン(VL)と重鎖可変領域又はドメイン(VH)が組み合わさって、3次元抗原結合部位を規定する可変領域を形成する。この第4級の抗体構造は、「Y」の各アームの末端に存在する抗原結合部位を形成する。より具体的には、抗原結合部位は、各VH及びVL上の3つの相補性決定領域(CDR)によって定義される。
【0024】
本明細書で使用されるように、用語「(抗体の)抗原結合断片」を含む、用語「抗体断片」は、インタクトな抗体の少なくとも一部、好ましくはインタクトな抗体の抗原結合領域又は可変領域を指し、それは、抗原のエピトープと特異的に相互作用する(例えば、結合、立体障害、安定化/不安定化、空間分布により)能力を保持する。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv断片、scFv断片、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、VHドメインとCH1ドメインからなるFd断片、線状抗体、sdAb(VL又はVHのいずれか)などの単一ドメイン抗体、ラクダ科VHHドメイン、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価断片などの抗体断片から形成される多重特異的抗体、及び単離されたCDR又は抗体の他のエピトープ結合断片が挙げられるが、これらに限定されない。抗原結合断片はまた、単一ドメイン抗体、マキシボディ、ミニボディ、ナノボディ、イントラボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、v-NAR及びビス-scFv中に組み込まれ得る。抗原結合断片は、フィブロネクチンIII型などのポリペプチドに基づく足場中に移植され得る。抗体のパパイン消化は、「Fab」断片と呼ばれる、2つの同一の抗原結合断片と、呼称が結晶化しやすい能力を反映する、残りの「Fc」断片を生成する。Fab断片は、H鎖の可変領域(VH)及びH鎖の最初の定常ドメイン(CH1)と共に、L鎖全体からなる。各Fab断片は、抗原結合に関して一価であり、すなわち、それは、単一の抗原結合部位を有する。抗体のペプシン処理は、二価の抗原結合活性を有する2つのジスルフィドで連結されるFab断片におおまかに対応しかつ依然として抗原と架橋できる、単一の大きなF(ab’)断片を生じる。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域からの1以上のシステインを含む、CH1ドメインのカルボキシ末端に追加の少数の残基を有することによりFab断片とは異なる。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が遊離チオール基を保有するFab’の本明細書における呼称である。F(ab’)抗体断片はもともと、それらの間にヒンジシステインを有するFab’断片のペアとして生成された。抗体断片の他の化学的カップリングも知られている。
【0025】
「抗原」又は「Ag」は、免疫応答を誘発する分子を指す。この免疫応答は、抗体生成、及び/又は特定の免疫学的コンピテント細胞の活性化のいずれか、又はその両方を含み得る。
【0026】
本明細書で使用されるように、用語「結合断片」および、特に、用語「抗原結合断片」は、抗体全体よりも少ないアミノ酸残基を含む、本発明による抗体の一部又は領域を指す。「結合断片」は、抗原を結合し、かつ/又は抗原結合についてそこからそれが得られた抗体全体と競合する。抗体結合断片は、限定されることなく、一本鎖抗体、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab)'、Fd、脱フコシル化抗体、ダイアボディ、トリアボディ及びテトラボディを包含する。
【0027】
「CDR」又は「相補性決定領域」は、重鎖と軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内に見出される非連続の抗原結合部位を意味する。所与のCDRの正確なアミノ酸配列境界は、Kabatら(1991)、「免疫学的関心対象のタンパク質の配列」第5版、公衆衛生サービス、国立衛生研究所(Public Health Service,National Institutes of Health)、Bethesda,MD(「Kabat」付番スキーム)、Al-Lazikaniら,(1997)JMB 273,927-948(「Chothia」付番スキーム)によって記載されているもの、又はそれらの組み合わせを含む多くの周知のスキームのいずれかを使用して決定できる。より最近では、普遍的な付番体系であるImMunoGeneTics(IMGT)情報システム(商標登録)(Lefrancら,Nucleic Acids Res.27:209-212 1999)が、開発され、広く採用されている。IMGTは、ヒト及び他の脊椎動物の免疫グロブリン(IG)、T細胞受容体(TR)及び主要組織適合抗原複合体(MHC)に特化した統合情報システムである。本明細書では、CDRは、アミノ酸配列及び軽鎖又は重鎖内の位置の両方の観点から言及される(例えば、VH-CDR1、VH-CDR2、VH-CDR3、VL-CDR1、VL-CDR2、VL-CDR3)。免疫グロブリン可変領域(又は可変ドメイン)の構造内のCDRの「位置」は種間で保存されかつループと呼ばれる構造に存在するので、構造的特徴に従って可変領域配列を整列する付番体系を用いることにより、CDR及びフレームワーク残基を容易に特定できる。この情報は、ある種の免疫グロブリン由来のCDR残基を、典型的にはヒト抗体由来のアクセプターフレームワーク中に移植する及び置換する際に用いることができる。Kabat付番体系とIMGT固有付番体系の間の対応関係もまた、当業者には周知である(例えば、Lefrancら前掲)。
【0028】
「エピトープ」は、それに抗体又はその抗原結合断片が結合する、タンパク質又は複数のタンパク質上に位置するアミノ酸の特異的配置を指す。エピトープはしばしば、アミノ酸又は糖側鎖などの分子の化学的に活性な表面グループ化からなり、特異的な3次元構造特性と特異的な電荷特性を有する。エピトープは、直線的(又は連続的)又は構造的であり得、すなわち、必ずしも連続していなくてもよい抗原の様々な領域中のアミノ酸の2以上の配列を含み得る。
【0029】
「フレームワーク領域」又は「FR領域」又は「非CDR領域」は、可変領域の一部であるが、CDRの一部ではない(例えば、CDRのKabat定義又はCDRのIMGT(登録商標)付番定義を使用して)、アミノ酸残基を含む。したがって、可変領域フレームワークは、長さが約100~120アミノ酸であるが、CDRの外側のアミノ酸のみを含む。重鎖可変領域(VH)の具体例について、およびKabat又はChothiaにより定義されるCDRについて:
-FR1は、Chothia/AbMの定義によるアミノ酸1~25を包含する可変領域のドメイン、又はKabatの定義による5残基後のドメインに対応し得る;
-FR2は、アミノ酸36~49を包含する可変領域のドメインに対応し得る;
-FR3は、アミノ酸67~98を包含する可変領域のドメインに対応し得る;かつ
-FR4は、アミノ酸104~110から可変領域の末端の可変領域のドメインに対応し得る。
軽鎖のフレームワーク領域は同様に、軽鎖可変領域(VL)の各CDRによって分離される。天然に存在する抗体では、各単量体抗体に存在する6つのCDRは、抗体が水性環境下で3次元構造をとるときに抗原結合部位を形成するように特異的に配置されるアミノ酸の、短い、連続しない配列である。上述したように、重鎖及び軽鎖可変領域(又はドメイン)の残りは、アミノ酸配列において分子間のばらつきをそれほど示さず、フレームワーク領域に対応する。フレームワーク領域は主に、βシート構造をとり、CDRは、βシート構造を連結し、かつ場合によってはその一部を形成する、ループを形成する。そのため、これらのフレームワーク領域は、鎖間の非共有結合相互作用により正しい向きで6つのCDRを配置することを提供する足場を形成するように作用する。配置されたCDRにより形成される抗原結合部位は、免疫反応性抗原上のエピトープと相補的な表面を定義する。この相補的な表面は、免疫反応性抗原エピトープへの抗体の非共有結合を促進する。上述したように、CDRの位置は、当業者により容易に特定できる。
【0030】
「Fcドメイン」、「Fc部分」、及び「Fc領域」は、互換的に使用されてよく、抗体重鎖のC末端断片、例えば、ヒトガンマ重鎖のアミノ酸(aa)約230~aa約450、又は他の種類の抗体重鎖(例えば、ヒト抗体についてはα、δ、ε及びμ)、又はその天然に存在するアロタイプ中のその対応する配列を指す。
【0031】
本明細書で使用されるように、「Fv」は、完全な抗原認識部位及び抗原結合部位を含有する最小の抗体断片を指す。この断片は、緊密な非共有的会合での1つのVHと1つのVLの二量体からなる。これらの2つのドメインの折り畳みから、抗原結合に寄与しかつ抗体に抗原結合特異性を付与する6つの超可変ループ(重鎖と軽鎖から各々3つのループ)が生じる。しかし、単一可変ドメイン(又は抗原に特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でさえ、結合部位全体よりも低い親和性でではあるが、抗原を認識し結合する能力を有する。
【0032】
「重鎖領域」は、免疫グロブリン重鎖の定常ドメインに由来するアミノ酸配列を含む。重鎖領域を含むタンパク質は、CH1ドメイン、ヒンジ領域(例えば、上部、中部、及び/又は下部のヒンジドメイン)、CH2ドメイン、CH3ドメイン、又はそれらの変異型もしくは断片の少なくとも1つを含む。特定の実施形態において、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、免疫グロブリン重鎖のFc領域(例えば、ヒンジ部分、CH2ドメイン、及びCH3ドメイン)を含んでよい。特定の実施形態において、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、少なくとも定常ドメインの領域(例えば、CH2ドメインの全部又は一部)を欠く。特定の実施形態において、定常ドメインの少なくとも1つ、好ましくは全ては、ヒト免疫グロブリン重鎖に由来する。例えば、一実施形態において、重鎖領域は、完全なヒトヒンジドメインを含む。特定の実施形態において、重鎖領域は、完全なヒトFc領域(例えば、ヒト免疫グロブリン由来のヒンジ、CH2及びCH3ドメイン配列)を含む。特定の実施形態において、重鎖領域の構成要素の定常ドメインは、異なる免疫グロブリン分子に由来する。例えば、タンパク質の重鎖領域は、IgG1分子に由来するCH2ドメイン及びIgG3又はIgG4分子に由来するヒンジ領域を含んでよい。特定の実施形態において、定常ドメインは、異なる免疫グロブリン分子の領域を含むキメラドメインである。例えば、ヒンジは、IgG1分子由来の第1の領域及びIgG3又はIgG4分子由来の第2の領域を含んでよい。特定の実施形態において、重鎖領域の定常ドメインは、それらが天然に存在する(野生型)免疫グロブリン分子からのアミノ酸配列において様々であるように修飾されてよい。すなわち、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、重鎖定常ドメイン(CH1、ヒンジ、CH2又はCH3)の1以上に対し及び/又は軽鎖定常ドメイン(CL)に対し変更又は修飾を含んでよい。例示的修飾は、1以上のドメイン中の1以上のアミノ酸の付加、欠失又は置換を含む。
【0033】
「ヒンジ領域」は、CH1ドメインをCH2ドメインに結合する重鎖分子の領域を含む。このヒンジ領域は、約25残基を含み、柔軟であり、そのため2つのN末端抗原結合領域が独立して動くことを可能にする。ヒンジ領域は、3つの別々のドメイン:上部、中部、及び下部のヒンジドメイン、に細分化できる(Rouxら,1998.J Immunol.161(8):4083-90)。
【0034】
「同一性」又は「同一の」は、2以上のポリペプチドの配列間の関係において本発明で使用される場合、2以上のアミノ酸残基の文字列間の一致数によって決定される、ポリペプチド間の配列関連性の程度を指す。「同一性」は、特定の数学的モデル又はコンピュータプログラム(すなわち、「アルゴリズム」)によって対処されるギャップアライメント(存在する場合)を有する2以上の配列のより小さい配列間の一致の割合を評価する。関連するポリペプチドの同一性は、公知の方法によって容易に計算できる。このような方法は、計算分子生物学(Computational Molecular Biology),Lesk,A.M.,(編).,Oxford University Press,New York,1988;Biocomputing:Informatics and Genome Projects,Smith,D.W.,(編),Academic Press,New York,1993;配列データのコンピューター解析(Computer Analysis of Sequence Data),パート1,Griffin,A.M.,及びGriffin,H.G.,(編),Humana Press,New Jersey,1994;分子生物学の配列解析(Sequence Analysis in Molecular Biology),von Heinje,G.,Academic Press,1987;配列解析プライマー(Sequence Analysis Primer),Gribskov,M.及びDevereux,J.,(編),M.Stockton Press,New York,1991;並びにCarilloら,SIAM J.Applied Math.48,1073(1988)に記載されるものを含むが、これらに限定されない。同一性を決定するための好ましい方法は、試験される配列間で最大の一致が得られるように設計される。同一性を決定する方法は、公的に利用可能であるコンピュータプログラムに記載されている。2つの配列間の同一性を決定するための好ましいコンピュータプログラム方法は、GAPを含むGCGプログラムパッケージ(Devereuxら,Nucl.Acid.Res.\2,387(1984);Genetics Computer Group,University of Wisconsin,Madison,Wis.),BLASTP,BLASTN,及びFASTA(Altschulら,J.MoI.Biol.215,403-410(1990))を含む。BLASTXプログラムは、米国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information(NCBI))及び他の情報源(BLAST Manual,Altschulら NCB/NLM/NIH Bethesda,Md.20894;Altschulら,J.MoI.Biol.215,403-410(1990))から公的に利用可能である。よく知られているスミス・ウォーターマン・アルゴリズムもまた、同一性の決定に使用されてよい。
【0035】
「モノクローナル抗体」は、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団に含まれる個々の抗体は、少量で存在し得る天然の変異の可能性を除き同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一の抗原部位に対するものである。さらに、異なる決定基(エピトープ)に向けられた異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に向けられる。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、それらが他の抗体に混入されずに合成され得るという点で、有利である。修飾語「モノクローナル」は、任意の特定の方法による抗体の生成を必要とすると解釈されるべきではない。例えば、本発明によるモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、Kohlerら,1975.Nature.256(5517):495-7により最初に記載されたハイブリドーマ法により調製されるか、又は細菌、真核動物又は植物細胞における組換えDNA法を使用して作製され得る(米国特許第4,816,567号)。「モノクローナル抗体」はまた、例えば、Clacksonら,1991.Nature.352(6336):624-8及びMarksら,1991.J Mol Biol.222(3):581-97に記載の技術を使用してファージ抗体ライブラリーから単離され得る。
【0036】
「一本鎖抗体」は、本明細書で使用されるように、(1)一本鎖Fv分子(scFv);(2)付随する重鎖部分なしに、1つの軽鎖可変領域のみを含む一本鎖タンパク質、又は軽鎖可変領域(VL)の3つのCDRを含むその断片;及び(3)付随する軽鎖部分なしに、1つの重鎖可変領域(VH)のみを含む一本鎖タンパク質、又は重鎖可変領域の3つのCDRを含むその断片、を限定なしに含む、連続するアミノ酸残基の途切れない1つの配列を含むか、又はそれからなる一次構造を有するタンパク質である、任意の抗体又はその断片を指す。
【0037】
「sFv」又は「scFv」とも略される、「一本鎖Fv」は、単一のアミノ酸鎖へと連結されたVH及びVLを含む抗体断片を指す。好ましくは、scFvアミノ酸配列は、scFvが抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にする、VHとVLの間のペプチドリンカーをさらに含む。
【0038】
「対象」は、哺乳動物、好ましくはヒトを指す。本発明によれば、対象は、哺乳動物、好ましくはヒトである。
【0039】
「治療的有効量」又は「治療的有効用量」は、治療を必要とする対象に重大な否定的又は有害な副作用を引き起こすことなく、疾患の症状又は徴候の1以上を予防する、低減する、緩和する又は減速(軽減)することを目的とした、本明細書に記載の抗hTREM-1抗体又はその抗原結合断片の量又は用量又は濃度を指す。
【0040】
「治療」又は「処置」は、治療的処置、予防的(prophylactic)(又は予防的(preventative))処置、又は治療的処置と予防的(prophylactic)(又は予防的(preventative))処置の両方を指し、その目的は、疾患の症状又は徴候の1以上を予防する、低減する、緩和する、及び/又は減速(軽減)することである。
【0041】
「TREM-1」は、「骨髄細胞上で発現されるトリガー受容体-1(triggering receptor expressed on myeloid cell-1)」を指し、CD354としても知られることもある。前述したように、TREM-1は、3つの別々のドメイン:Ig様構造(主にリガンド結合に関与する)、膜貫通部分、及び短い細胞質尾部、を含む膜結合型免疫受容体である。特に断りのない限り、ヒトTREM-1タンパク質は、2000年10月1日に最終修正されたUniProtKB/Swiss-Protアクセッション番号Q9NP99-1及び2005年11月22日に最終修正されたUniProtKBアクセッション番号Q38L15-1に対応する配列番号43に記載のアミノ酸配列を有する。いくつかの転写産物が、ヒトTREM-1について知られている。TREM1-201(転写産物ID ensembl ENST00000244709.8)と一般に呼ばれる転写産物は、配列番号43に記載のアミノ酸配列をコードする。TREM1-202と一般に呼ばれる転写産物は、TREM-1アイソフォーム2(ensembl転写産物ID ENST00000334475.10)としても知られ、配列番号44に記載のアミノ酸配列(UniProtKB/Swiss-Protアクセッション番号Q9NP99-2に対応する)をコードする。TREM1-207と一般に呼ばれる転写産物は、TREM-1アイソフォーム3(ensembl転写産物ID ENST00000591620.1)としても知られ、配列番号45に記載のアミノ酸配列(UniProtKB/Swiss-Protアクセッション番号Q9NP99-3)をコードする。TREM1-204(ensembl転写産物ID ENST00000589614.5)と一般に呼ばれる転写産物は、配列番号46に記載のアミノ酸配列(2013年1月9日に最終修正されたUniProtKB/Swiss-Protアクセッション番号K7EKM5-1に対応する)をコードする。
【0042】
「hTREM-1」は、ヒトTREM-1を指す。
【0043】
「可変の」は、VH及びVLの特定領域が、抗体間で配列が大きく異なり、かつその標的抗原に対する各特定の抗体の結合及び特異性に使用される、という事実を指す。しかし、この可変性は、抗体の可変ドメイン全体に均等に分布されない。それは、抗原結合部位の一部を形成するVLとVHの各々において「超可変ループ」と呼ばれる3つのセグメント中に集中される。6つの超可変ループはそれぞれ、本明細書上記で定義される、「相補性決定領域」すなわち「CDR」の一部を含み得る。
【0044】
「VH」は、抗体の重鎖の可変領域(又はドメイン)を指す。
【0045】
「VL」は、抗体の軽鎖の可変領域(又はドメイン)を指す。
【0046】
詳細な説明
本発明は、ヒトの骨髄細胞上で発現されるトリガー受容体-1(Triggering Receptor Expressed on Myeloid cells-1)(ヒトTREM-1又はhTREM-1)に結合する、単離された抗体、又はその抗原結合断片に関する。本発明はそのため、単離された抗ヒトTREM-1(又は抗hTREM-1)抗体又はその抗原結合断片に関する。
【0047】
一実施形態によれば、単離された抗体、又はその抗原結合断片は、hTREM-1に特異的に結合する。言い換えると、一実施形態によれば、単離された抗体、又はその抗原結合断片は、hTREM-1に特異的である。
【0048】
抗体又はその抗原結合断片は、それが上記抗原(例えば、TREM-1、特にhTREM-1)と検出可能なレベルで、好ましくは約10-1以上、好ましくは約5×10-1、10-1、5×10-1、又は10-1以上の親和性定数(k)で、反応する場合、抗原に「特異的である」、「免疫特異的である」又は「特異的に結合する」と言われる。その同族抗原に対する抗体又はその抗原結合断片の親和性はまた一般に、平衡解離定数(K)として表される。そのため、抗体又はその抗原結合断片は、それが上記抗原(例えば、TREM-1、特にhTREM-1)と検出可能なレベルで、好ましくは10-6M以下、好ましくは10-7M、5×10-8M、10-8M、5×10-9M、10-9M、又は5×10-10M以下のK、又はそれより低いKで、反応する場合、抗原に「免疫特異的である」、「特異的である」又は「特異的に結合する」と言われる。
【0049】
抗体又はその抗原結合断片の親和性は、従来の技術、例えば、Scatchard,1949.Ann NY Acad Sci.51:660-672により記載されたものを使用して容易に決定できる。抗原、細胞又は組織に対する抗体又はその抗原結合断片の結合特性は一般に、例えば、ELISA、免疫組織化学(IHC)及び/又は蛍光活性化細胞選別(FACS)などの免疫蛍光ベースのアッセイを含む免疫検出方法を使用して、又は表面プラズモン共鳴(SPR、例えば、BIAcore(登録商標)を使用する)により決定され及び評価され得る。
【0050】
一実施形態において、単離された抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、約10×10-9M以下の、好ましくは約9×10-9M、8×10-9M、7×10-9M、6×10-9M、5×10-9M、4×10-9M、3×10-9M、2×10-9M、又は10-9M以下の、hTREM-1への結合についてのKを示す。一実施形態において、単離された抗-hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、約10-9M以下の、好ましくは約9×10-10M、8×10-10M、7×10-10M、6×10-10M、又は5×10-10M以下の、hTREM-1への結合についてのKを示す。一実施形態において、hTREM-1への結合についての単離された抗-hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片のKは、約1.10-10M~約10.10-9Mの、好ましくは約3.10-10M~約8.10-9Mの範囲である。
【0051】
一実施形態によれば、単離された抗体、又はその抗原結合断片は、
-2000年10月1日に最終修正されたUniProtKB/Swiss-Protアクセッション番号Q9NP99-1及び2005年11月22日に最終修正されたUniProtKBアクセッション番号Q38L15-1に対応し;かつまたTREM1-201(転写産物ID ensembl ENST00000244709.8)と一般に呼ばれる転写産物によってコードされるアミノ酸配列に対応する、配列番号43;
-UniProtKB/Swiss-Protアクセッション番号Q9NP99-2に対応し;かつまたTREM1-202と一般に呼ばれ、TREM-1アイソフォーム2(ensembl転写産物ID ENST00000334475.10)としても知られる転写産物によってコードされるアミノ酸配列に対応する、配列番号44;
-UniProtKB/Swiss-Protアクセッション番号Q9NP99-3に対応し;かつまたTREM1-207と一般に呼ばれ、TREM-1アイソフォーム3(ensembl転写産物ID ENST00000591620.1)としても知られる転写産物によってコードされるアミノ酸配列に対応する、配列番号45;または
-2013年1月9日に最終修正されたUniProtKB/Swiss-Protアクセッション番号K7EKM5-1に対応し;かつまたTREM1-204(ensembl転写産物ID ENST00000589614.5)と一般に呼ばれる転写産物に対応する、配列番号46
の少なくとも1つに記載のアミノ酸配列を有するヒトTREM-1を結合する。
【0052】
一実施形態において、単離された抗体、又はその抗原結合断片は、配列番号43に記載のアミノ酸配列を有するhTREM-1、配列番号44に記載のアミノ酸配列を有するhTREM-1、配列番号45に記載のアミノ酸配列を有するhTREM-1、及び/又は配列番号46に記載のアミノ酸配列を有するhTREM-1を結合する。一実施形態において、単離された抗体、又はその抗原結合断片は、配列番号43に記載のアミノ酸配列を有するhTREM-1を結合する。
【0053】
実施形態によれば、単離された抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、hTREM-1を阻害できる。
【0054】
本明細書で使用されるように、「hTREM-1を阻害できる」は、単離された抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片が、TREM-1、特にhTREM-1の機能及び/又は活性を阻害できることを意味する。そのため、一実施形態において、単離された抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、TREM-1シグナル伝達経路の活性化を阻害できる。一実施形態において、単離された抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、TREM-1のクラスタリングを阻害できる。一実施形態において、単離された抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、TREM-1の二量体化を阻害できる。一実施形態において、単離された抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、TREM-1上のリガンド結合を阻害できる。
【0055】
一実施形態において、単離された抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、それによりTREM-1が活性化される刺激シグナルに関係なく、TREM-1、特にhTREM-1の機能及び/又は活性を阻害できる。一実施形態において、単離された抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、リガンド依存的に(例えば、PGLYRP1を用いて)及び/又はリガンド非依存的に(例えば、TLRを介して)活性化されたTREM-1、特にhTREM-1の機能及び/又は活性を阻害できる。TREM-1、特にhTREM-1を活性化するための刺激方法は、当技術分野で周知であり、例えば、TREM-1を発現する細胞(例えば、好中球など)とTREM-1リガンド複合体(例えば、ペプチドグリカンと複合体化されたPGLYRP1(ペプチドグリカン認識タンパク質1))のインキュベーションによる直接的な活性化;並びにTREM-1を発現する細胞(例えば、好中球など)とペプチドグリカン(PGN)、リポ多糖類(LPS)、又は熱殺菌されたもしくは熱不活化された細菌(例えば、熱殺菌された大腸菌もしくは熱殺菌された枯草菌など)のインキュベーションによるToll様受容体(TLR)(TLR2及び/又はTLR4など)の活性化による間接的な活性化を含む。そのため、一実施形態において、単離された抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、TREM-1リガンド複合体(例えば、PGNと複合体化されたPGLYRP1)による、PGN刺激による、LPS刺激による、又は熱殺菌されたもしくは熱不活化された細菌(例えば、熱殺菌された大腸菌もしくは熱殺菌された枯草菌など)によるいずれかでのTREM-1の活性化後に、TREM-1、特にhTREM-1の機能及び/又は活性を阻害できる。
【0056】
TREM-1阻害を評価するための方法は、当技術分野で周知であり、例えば、本明細書下記の実施例の節に記載されるアッセイを含む。
【0057】
TREM-1阻害を評価するためのアッセイは、例えば、リポ多糖類(LPS)の存在下で、又はペプチドグリカン(PGN)のみの存在下で、又はペプチドグリカンと複合体化されたPGLYRP1(ペプチドグリカン認識タンパク質1)(いわゆるPPx又はPP複合体)の存在下で、又は大腸菌もしくは枯草菌などの熱殺菌されたもしくは熱不活化された細菌の存在下でのインキュベーションにより、TREM-1シグナル伝達経路を活性化するように刺激された好中球による活性酸素種(ROS)生成のインビトロ評価を含む。一実施形態において、TREM-1を結合できかつ、LPS刺激された好中球、PGN刺激された好中球、PP刺激された好中球、又は熱殺菌されたもしくは熱不活性化された細菌刺激好中球によるROS生成を阻害できる化合物はそのため、TREM-1を阻害できる。
【0058】
TREM-1阻害を評価するためのアッセイはまた、例えば、LPSの存在下で、又はPGNのみの存在下で、又はPP複合体の存在下で、又は大腸菌もしくは枯草菌などの熱殺菌された又は熱不活化された細菌の存在下でのインキュベーションにより、TREM-1シグナル伝達経路を活性化するように刺激された霊長類もしくはヒトの細胞又はhTREM-1ノックインマウス初代細胞(例えば、ヒトもしくはカニクイザルもしくはhTREM-1ノックインマウスの好中球、単球、又は全血試料)によるpro炎症性サイトカイン/ケモカイン(単球化学誘引性タンパク質1(MCP1)としても知られるサイトカインケモカインリガンド2(CCL2)、インターロイキン-1β(IL-1β)、インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-8(IL-8)、C-X-Cモチーフケモカインリガンド10(CXCL10)としても知られるインターフェロンガンマ誘導性タンパク質10(IP-10)、及び腫瘍壊死因子アルファ(TNF-αもしくはTNFa)など)の発現及び/又は分泌のインビトロ評価も含む。一実施形態において、TREM-1を結合できかつ、LPS刺激された、PGN刺激された、PP刺激された、又は熱殺菌されたもしくは熱不活性化された細菌に刺激された好中球又は全血によるpro炎症性サイトカイン/ケモカインの発現及び/又は分泌を阻害できる化合物はそのため、TREM-1を阻害できる。
【0059】
TREM-1阻害を評価するためのアッセイはまた、例えば、LPSの存在下で、又はPGNのみの存在下で、又はPP複合体の存在下で、又は大腸菌もしくは枯草菌などの熱殺菌された又は熱不活化された細菌の存在下でのインキュベーションによる、TREM-1シグナル伝達経路を活性化するように刺激されたヒト単球細胞株(例えば、THP-1細胞株)又はヒト骨髄単球細胞株(例えば、U937細胞株)によるpro炎症性サイトカイン/ケモカイン(MCP1としても知られるCCL2、IL-1β、IL-6、IL-8、CXCL10としても知られるIP-10、及びTNF-α又はTNFaなど)の発現及び/又は分泌のインビトロ評価を含む。一実施形態において、TREM-1を結合できかつ、LPS刺激された、PGN刺激された、PP刺激された、又は熱殺菌されたもしくは熱不活性化された細菌刺激ヒト単球細胞株又はヒト骨髄単球細胞株によるpro炎症性サイトカイン/ケモカインの発現及び/又は分泌を阻害できる化合物はそのため、TREM-1を阻害できる。
【0060】
TREM-1阻害を評価するためのアッセイはまた、マウスモデルにおけるpro炎症性サイトカイン/ケモカイン(MCP1としても知られるCCL2、IL-1β、IL-6、IL-8、CXCL10としても知られるIP-10、及びTNF-α又はTNFaなど)の発現及び/又は分泌のインビボ評価を含む。関連するマウスモデルの例としては、エンドトキシン血症がLPSによって誘導されたトランスジェニックBRGSFマウス、エンドトキシン血症がLPSによって誘導されたhTREM-1ノックインマウス、全身性炎症応答がPGNによって誘導されたhTREM-1ノックインマウス、及び、例えば、局所炎症応答を誘導するためにLPS又はPGNで処置されたhTREM-1ノックインマウスが挙げられる。一実施形態において、上記のマウスモデルにおいてTREM-1を結合できかつ、pro炎症性サイトカイン/ケモカインの発現及び/又は分泌を阻害できる化合物はそのため、TREM-1を阻害できる。
【0061】
一実施形態において、本明細書に記載の抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、単離された抗体、又はその抗原結合断片である。
【0062】
本明細書で使用されるように、「単離された抗体又はその抗原結合断片」中でのような、「単離された」は、異なる抗原特異性を有する他のタンパク質又は抗体を実質的に含まない抗体、又はその抗原結合断片(例えば、hTREM-1を特異的に結合し、かつhTREM-1以外の抗原を特異的に結合するタンパク質又は抗体を実質的に含まない単離された抗体、又はその抗原結合断片)を指すことを意図する。hTREM-1を特異的に結合する単離された抗体、又はその抗原結合断片は、しかし、他の属又は種からのTREM-1分子などの、他の関連抗原に対する交差反応性を有してよい。さらに、単離された抗体、又はその抗原結合断片は、他の細胞物質及び/又は化学物質、特に、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質成分もしくは非タンパク質成分を含むがこれらに限定されない、抗体又はその抗原結合断片の治療的使用を妨げるであろうもの、を実質的に含まないであろう。
【0063】
一実施形態において、単離された抗体、又はその抗原結合断片は、精製される。
【0064】
一実施形態において、単離された抗体、又はその抗原結合断片は、抗体又は抗原結合断片の80重量%、85重量%、90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95%重量%、96%重量%、98%重量%、又は99重量%を超える純度、好ましくは90重量%、96%重量%、97%重量%、98%重量%、又は99重量%を超える純度を得るために精製される。一実施形態において、純度は、分析用サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって決定される。
【0065】
一実施形態において、単離された抗体、又はその抗原結合断片は、タンパク質1mgあたり0.5、0.4、0.3、0.2、又は0.1EU未満の、好ましくはタンパク質1mgあたり0.1EU未満のエンドトキシンレベルを得るために精製される。
【0066】
一実施形態において、上述したように、単離された抗体、又はその抗原結合断片は、hTREM-1及びhTREM-1の少なくとも1つのオルソログを結合する。そのため、一実施形態において、単離された抗体、又はその抗原結合断片は、hTREM-1及び別の属又は種からの少なくとも1つのTREM-1を結合する。言い換えると、一実施形態において、単離された抗体、又はその抗原結合断片は、他の関連抗原に対し交差反応性を示す(交差反応する)。一実施形態において、単離された抗体、又はその抗原結合断片は、hTREM-1及びサルTREM-1(特に、カニクイザルのサルTREM-1(cynomolgus monkey TREM-1)又は略してカニクイザルTREM-1(cynomolgus TREM-1))を結合する。
【0067】
一実施形態において、単離された抗hTREM-1抗体又はその抗原結合断片は、全抗体、ヒト化抗体、一本鎖抗体、二量体一本鎖抗体、Fv、scFv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fcサイレント抗体又は抗原結合断片(すなわち、Fcサイレントを含む抗体又は抗原結合断片)、デフコシル化Fc(デフコシル化抗体)、二重特異性抗体、ダイアボディ、トリアボディ、及びテトラボディなどの改変されたFcを有する抗体又は抗原結合断片を含むか、又はそれらからなる群から選択される分子である。
【0068】
抗体の抗原結合断片は、標準的な方法を使用して取得できる。例えば、Fab又はF(ab’)断片は、従来の技術に従って、単離された抗体のプロテアーゼ消化によって生成され得る。あるいは、Fab断片などの抗体の抗原結合断片は、組換えタンパク質として発現され得る。
【0069】
一実施形態において、単離された抗体、又はその抗原結合断片は、モノクローナルである。別の実施形態において、単離された抗体、又はその抗原結合断片は、ポリクローナルである。
【0070】
一実施形態において、単離された抗体、又はその抗原結合断片は、一価である。別の実施形態において、単離された抗体、又はその抗原結合断片は、二価である。
【0071】
一価抗原結合抗体断片の例としては、Fab断片、scFv断片、Fv断片が挙げられる。一実施形態において、抗原結合抗体断片はそのため、Fab、Fv、及びscFvを含むか、又はそれらからなる群から選択される分子である。一実施形態において、単離された抗体、又はその抗原結合断片は、Fabである。
【0072】
一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、完全にヒトの又は実質的にヒトの重鎖定常領域(本明細書ではCと略す)及び/又は軽鎖定常領域(本明細書ではCと略す)を含む。一実施形態において、定常領域は、ヒト由来のものである。
【0073】
用語「実質的にヒトの」は、ヒト化された抗体又はキメラ抗体又はその抗原結合断片の定常領域のコンテキストにおいて、ヒト定常領域のアミノ酸配列と少なくとも70%の同一性、好ましくは少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を有する定常領域を指す。
【0074】
一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、完全な又は実質的に完全なマウスのC及び/又はCを含む。一実施形態において、定常領域はマウス由来のものである。
【0075】
一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、マウス抗体又はその抗原結合断片である。
【0076】
一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、キメラ抗体又はその抗原結合断片である。
【0077】
「キメラ抗体」は、本明細書で使用されるように、それと自然界では天然に連結されない第2のアミノ酸配列に連結された第1のアミノ酸配列を含む抗体又はその抗原結合断片を指す。アミノ酸配列は通常、キメラの(又は融合の)タンパク質で一緒にされる別々のタンパク質に存在するか、又は同じタンパク質に通常存在するが、キメラの(又は融合の)タンパク質において新たな配置で配置され得る。キメラタンパク質は、例えば、化学合成により、又はペプチド領域が所望の関係でコードされるポリヌクレオチドを作製すること及び翻訳することにより作製され得る。用語「キメラ抗体」は、本明細書において、
(a)定常領域、又はその一部が、可変領域が異なるもしくは変更されたクラス、エフェクター機能及び/又は種の定常領域、又はキメラ抗体に新たな特性を付与する全く異なる分子、例えば、酵素、タンパク質、毒素、ホルモン、成長因子、薬物などに連結されるように変更される、置換されるもしく交換されるか;又は
(b)可変領域又はその一部が、異なるもしくは変更された抗原特異性を有する可変領域もしくはその一部と;あるいは別の種又は別の抗体クラスもしくはサブクラスからの対応する配列と変更される、置換される又は交換される
抗体及びその抗原結合断片を包含する。
【0078】
一実施形態において、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、脱免疫化された抗体又はその抗原結合断片である。
【0079】
脱免疫化は、本明細書に記載されるようにhTREM-1を結合し阻害する能力を妨げることなく、抗体又はその抗原結合断片の免疫原性を低下させることを目的とする。抗体、又はその抗原結合断片を脱免疫化するための方法は、当技術分野で周知である。このような方法は特に、抗体、又はその抗原結合断片のアミノ酸配列に存在するヒトT細胞エピトープ配列内の主要なアミノ酸を置換すること、したがってHLA(ヒト白血球抗原)への抗体又はその抗原結合断片の結合及びその後のT細胞応答の誘発を防止することを含む。
【0080】
一実施形態において、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、ヒト化された抗体又はその抗原結合断片である。
【0081】
「ヒト化抗体」は、本明細書で使用されるように、非ヒト免疫グロブリン由来の最小限の配列を含有するキメラ抗体又はその抗原結合断片を指す。これは、例えば、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に見出されるアミノ酸を取り込むために非ヒト抗体アミノ酸配列を変更することにより、ヒト細胞により作られる抗体により似るように変更された可変領域及び定常領域を有する、非ヒト細胞により作られる抗体を含む。本発明によるヒト化抗体又はその抗原結合断片は、例えばCDRにおいて、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列によりコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロでのランダムなもしくは部位特異的な変異誘発により又はインビボでの体細胞変異により導入された変異)を含んでよい。用語「ヒト化抗体」はまた、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖細胞系に由来するCDR配列がヒトのフレームワーク配列に移植されている、抗体及びその抗原結合断片も含む。言い換えると、用語「ヒト化抗体」は、レシピエントのヒト抗体のCDRがドナーの非ヒト抗体からのCDRで置換される抗体又はその抗原結合断片を指し得る。ヒト化抗体又はその抗原結合断片はまた、フレームワーク配列中のドナー起源の残基を含んでもよい。ヒト化抗体又はその抗原結合断片はまた、ヒト免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部を含んでもよい。ヒト化抗体又はその抗原結合断片はまた、レシピエント抗体中にも移入されたCDRもしくはフレームワーク配列中にも見出されない残基を含んでもよい。
【0082】
「ヒト化抗体」は、元の抗体又はドナー抗体(ドナー非ヒト抗体など)と同様の抗原特異性を保持し得る。しかし、ヒト化の特定の方法を用いると、抗体の結合の親和性及び/又は特異性が増強され得る。
【0083】
本発明による抗体又はその抗原結合断片をヒト化するための方法は、当技術分野で周知である。例えば、ヒト化抗体及びその抗原結合断片は、ヒト抗体レパートリーを発現するように操作されたトランスジェニック動物(Jakobovitzら,1993.Nature.362(6417):255-8)を免疫化に用いることによる、又はファージディスプレイ法を用いた抗体レパートリーの選択によるなどの、様々な技術に従って生成され得る。このような技術は、当業者に公知であり、本願に開示されるように、モノクローナル抗体又はその抗原結合断片から始めて実施できる。
【0084】
一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、IgGクラスに由来する。
【0085】
一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、ヒトIgG1サブクラスに由来する。一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片はそのため、IgG1抗体、好ましくは、ヒトIgG1抗体又はキメラヒトIgG1抗体である。一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、ヒトIgG4サブクラスに由来する。一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片はそのため、IgG4抗体、好ましくはヒトIgG4抗体又はキメラヒトIgG4抗体である。一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、ヒトIgG2サブクラスに由来する。一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片はそのため、IgG2抗体、好ましくはヒトIgG2抗体又はキメラヒトIgG2抗体である。一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、ヒトIgG3サブクラスに由来する。一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片はそのため、IgG3抗体、好ましくはヒトIgG3抗体又はキメラヒトIgG3抗体である。
【0086】
本明細書で使用されるように、所与の配列を参照して、語句「異なるアミノ酸により置換される[...]のアミノ酸を有すると特徴づけられる」は、保存的アミノ酸修飾の、上記配列における、発生を指す。
【0087】
本明細書で使用されるように、表現「保存的アミノ酸修飾」は、そのアミノ酸配列を含有する抗体又はその抗原結合断片の結合特性に顕著に影響を与えない又は結合特性を変えない、修飾を指す。そのような保存的修飾は、アミノ酸の置換、付加及び欠失を含む。修飾は、部位特異的変異誘発及びPCR媒介変異誘発などの、当技術分野で公知の標準的な技術により抗体又はその抗原結合断片に導入できる。
【0088】
保存的アミノ酸置換は典型的には、あるアミノ酸残基が類似の物理化学的特性を有する側鎖を有するアミノ酸残基で置換されたものである。指定された可変領域及びCDR配列は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35個の又はそれより多いアミノ酸の挿入、欠失及び/又は置換を含み得る。置換が行われる場合、好ましい置換は、保存的修飾である。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野で定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、荷電していない極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、β分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。そのため、本発明による抗体もしくはその抗原結合断片のCDR及び/又は可変領域内の1以上のアミノ酸残基は、同じ側鎖ファミリーからの他のアミノ酸残基と置き換えることができ、変更された抗体は、本明細書に記載されるアッセイを使用して保持される機能(すなわち、本明細書に記載の特性、例えば、hTREM-1への結合など)について試験され得る。一実施形態において、本発明による抗体又はその抗原結合断片のCDR及び/又は可変領域内の一連のアミノ酸は、側鎖ファミリーメンバーの順序及び/又は組成が異なる構造的に類似した一連のものと置き換えることができる。
【0089】
本発明では、特に断りのない限り、相補性決定領域(CDR)の位置は、Kabat命名法を使用して決定される。
【0090】
一実施形態によれば、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つの、より好ましくは3つの以下の相補性決定領域(CDR):
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1);
-V-CDR2:RIDPAXGXTKYXPKVXG(配列番号2)、ここで、XはN又はGであり、XはN又はRであり、XはA、D、又はSであり、XはQ又はKであるか;又はRIDPAXGXTKYXPKFXG(配列番号39)、ここで、XはN又はGであり、XはN又はRであり、XはA、D、又はSであり、XはQ又はKであり;かつ/又は
-V-CDR3:HXGXTMDY(配列番号3)、XはY又はRであり、XはS又はGである
を含む、重鎖の可変領域(重鎖可変領域又はVHとも呼ばれる)を含む。
【0091】
一実施形態によれば、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つの、より好ましくは3つの以下のCDR:
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1);
-V-CDR2:RIDPAXGXTKYXPKVXG(配列番号2)、ここで、XはN又はGであり、XはN又はRであり、XはA、D、又はSであり、XはQ又はKであり;かつ/又は
-V-CDR3:HXGXTMDY(配列番号3)、XはY又はRであり、XはS又はGである
を含む、VHを含む。
【0092】
一実施形態によれば、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つの、より好ましくは3つの以下のCDR:
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1);
-V-CDR2:RIDPAXGXTKYXPKFXG(配列番号39)、XはN又はGであり、XはN又はRであり、XはA、D、又はSであり、XはQ又はKであり;かつ/又は
-V-CDR3:HXGXTMDY(配列番号3)、XはY又はRであり、XはS又はGである
を含む、VHを含む。
【0093】
一実施形態によれば、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、3つの以下のCDR:
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1);
-V-CDR2:RIDPAXGXTKYXPKVXG(配列番号2)、
ここで、XはN又はGであり、XはN又はRであり、XはA、D、又はSであり、XはQ又はKであるか;又はRIDPAXGXTKYXPKFXG(配列番号39)、ここで、XはN又はGであり、XはN又はRであり、XはA、D、又はSであり、XはQ又はKであり;かつ
-V-CDR3:HXGXTMDY(配列番号3)、XはY又はRであり、XはS又はGである
を含む、VHを含む。
【0094】
一実施形態によれば、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、3つの以下のCDR:
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1);
-V-CDR2:RIDPAXGXTKYXPKVXG(配列番号2)、ここで、XはN又はGであり、XはN又はRであり、XはA、D、又はSであり、XはQ又はKであり;かつ
-V-CDR3:HXGXTMDY(配列番号3)、XはY又はRであり、XはS又はGである
を含む、VHを含む。
【0095】
一実施形態によれば、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、3つの以下のCDR:
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1);
-V-CDR2:RIDPAXGXTKYXPKFXG(配列番号39)、ここで、XはN又はGであり、XはN又はRであり、XはA、D、又はSであり、XはQ又はKであり;かつ
-V-CDR3:HXGXTMDY(配列番号3)、XはY又はRであり、XはS又はGである
を含む、VHを含む。
【0096】
上記の配列番号2に記載の配列を有するV-CDR2の例は、限定されないが、RIDPAGGRTKYDPKVKG(配列番号7)、RIDPAGGRTKYSPKVQG(配列番号12)、RIDPAGGRTKYAPKVKG(配列番号17)、RIDPAGGRTKYAPKVQG(配列番号19)、及びRIDPANGNTKYAPKVQG(配列番号22)を含む。そのため、一実施形態において、上記の配列番号2に記載の配列を有するV-CDR2は、RIDPAGGRTKYDPKVKG(配列番号7)、RIDPAGGRTKYSPKVQG(配列番号12)、RIDPAGGRTKYAPKVKG(配列番号17)、RIDPAGGRTKYAPKVQG(配列番号19)、及びRIDPANGNTKYAPKVQG(配列番号22)を含むか、又はそれらからなる群から選択される。
【0097】
上記の配列番号39に記載の配列を有するV-CDR2の例は、限定されないが、RIDPANGNTKYAPKFQG(配列番号40)を含む。そのため、一実施形態において、上記の配列番号39に記載の配列を有するV-CDR2は、RIDPANGNTKYAPKFQG(配列番号40)である。
【0098】
上記の配列番号3に記載の配列を有するV-CDR3の例は、限定されないが、HYGGTMDY(配列番号8)、HRGGTMDY(配列番号13)、及びHYGSTMDY(配列番号23)を含む。そのため、一実施形態において、上記の配列番号3に記載の配列を有するV-CDR3は、HYGGTMDY(配列番号8)、HRGGTMDY(配列番号13)、及びHYGSTMDY(配列番号23)を含むか、又はそれらからなる群から選択される。
【0099】
一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、以下のCDRの少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ又は3つ)の、好ましくは3つの以下のCDR
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1);
-V-CDR2:RIDPAGGRTKYDPKVKG(配列番号7);及び/又は
-V-CDR3:HYGGTMDY(配列番号8)
を含む、VHを含む。
【0100】
一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、以下のCDRの少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ又は3つ)の、好ましくは3つの以下のCDR
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1);
-V-CDR2:RIDPAGGRTKYSPKVQG(配列番号12);及び/又は
-V-CDR3:HRGGTMDY(配列番号13)
を含む、VHを含む。
【0101】
一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、以下のCDRの少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ又は3つ)の、好ましくは3つの以下のCDR
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1);
-V-RIDPAGGRTKYAPKVKG(配列番号17);及び/又は
-V-CDR3:HRGGTMDY(配列番号13)
を含む、VHを含む。
【0102】
一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、以下のCDRの少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ又は3つ)の、好ましくは3つの以下のCDR
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1);
-V-RIDPAGGRTKYAPKVQG(配列番号19);及び/又は
-V-CDR3:HYGGTMDY(配列番号8)
を含む、VHを含む。
【0103】
一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、以下のCDRの少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ又は3つ)の、好ましくは3つの以下のCDR
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1);
-V-RIDPANGNTKYAPKVQG(配列番号22);及び/又は
-V-CDR3:HYGSTMDY(配列番号23)
を含む、VHを含む。
【0104】
一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、以下のCDRの少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ又は3つ)、好ましくは3つの以下のCDR
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1);
-V-RIDPANGNTKYAPKFQG(配列番号40);及び/又は
-V-CDR3:HYGSTMDY(配列番号23)
を含む、VHを含む。
【0105】
一実施形態において、本明細書上記の配列番号1~3、7、8、12、13、17、19、22、23、39及び40のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を有するV-CDR1、V-CDR2及び/又はV-CDR3のいずれかは、異なるアミノ酸により
置換されている1個、2個、3個の又はそれより多いアミノ酸(複数可)を有すると特徴づけられ得る。一実施形態において、配列番号1~3、7、8、12、13、17、19、22、23、39及び40を有するV-CDR1、V-CDR2及び/又はV-CDR3のいずれかは、対応する配列番号に列挙された特定のCDR又はCDRのセットと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の又はそれより大きな同一性を共有するアミノ酸配列を有すると特徴づけられ得る。言い換えると、一実施形態において、本明細書上記のV-CDR1、V-CDR2及び/又はV-CDR3は、配列番号1~3、7、8、12、13、17、19、22、23、39及び40のいずれか1つに記載の対応するアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の又はそれより大きな同一性を共有するアミノ酸配列を有する。
【0106】
一実施形態によれば、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つの、より好ましくは3つの以下の相補性決定領域(CDR):
-V-CDR1:RASXSVXNYGISFXN(配列番号4)、ここで、XはE又はGであり、XはD又はSであり、XはM又はLであり;
-V-CDR2:AAX1011121314(配列番号5)、ここで、X10はS又はEであり、X11はN又はYであり、X12はQ又はRであり、X13はG、A、又はKであり、X14はS又はRであり;かつ/又は
-V-CDR3:QQSX151617PX18T(配列番号6)、ここで、X15はK、R、又はSであり、X16はE、H、又はNであり、X17はV又はFであり、X18はW又はYである
を含む、軽鎖の可変領域(軽鎖可変領域又はVLともいう)を含む。
【0107】
一実施形態によれば、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、3つの以下のCDR:
-V-CDR1:RASXSVXNYGISFXN(配列番号4)、ここで、XはE又はGであり、XはD又はSであり、XはM又はLであり;
-V-CDR2:AAX1011121314(配列番号5)、ここで、X10はS又はEであり、X11はN又はYであり、X12はQ又はRであり、X13はG、A、又はKであり、X14はS又はRであり;かつ
-V-CDR3:QQSX151617PX18T(配列番号6)、ここで、X15はK、R、又はSであり、X16はE、H、又はNであり、X17はV又はFであり、X18はW又はYである
を含む、VLを含む
【0108】
本明細書上記の配列番号4に記載の配列を有するV-CDR1の例は、限定されないが、RASESVDNYGISFLN(配列番号9)、RASQSVSNYGISFLN(配列番号14)、及びRASESVDNYGISFMN(配列番号24)を含む。そのため、一実施形態において、上記の配列番号4に記載の配列を有するV-CDR1は、RASESVDNYGISFLN(配列番号9)、RASQSVSNYGISFLN(配列番号14)、及びRASESVDNYGISFMN(配列番号24)を含むか、又はそれらからなる群から選択される。
【0109】
本明細書上記の配列番号5に記載の配列を有するV-CDR2の例は、限定されないが、AAEYRGR(配列番号10)、AASYQKR(配列番号15)、AAEYQGR(配列番号20)、AAEYRAR(配列番号21)、及びAASNQGS(配列番号25)を含む。そのため、一実施形態において、本明細書上記の配列番号5に記載の配列を有するV-CDR2は、AAEYRGR(配列番号10)、AASYQKR(配列番号15)、AAEYQGR(配列番号20)、AAEYRAR(配列番号21)、及びAASNQGS(配列番号25)を含むか、又はそれらからなる群から選択される。
【0110】
本明細書上記の配列番号6に記載の配列を有するV-CDR3の例は、限定されないが、QQSRHVPYT(配列番号11)、QQSSNFPWT(配列番号16)、QQSSNVPYT(配列番号18)、及びQQSKEVPWT(配列番号26)を含む。そのため、一実施形態において、本明細書上記の配列番号6に記載の配列を有するV-CDR3は、QQSRHVPYT(配列番号11)、QQSSNFPWT(配列番号16)、QQSSNVPYT(配列番号18)、及びQQSKEVPWT(配列番号26)を含むか、又はそれらからなる群から選択される。
【0111】
一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、以下のCDRの少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ又は3つ)の、好ましくは3つの以下のCDR:
-V-CDR1:RASESVDNYGISFLN(配列番号9);
-V-CDR2:AAEYRGR(配列番号10);及び/又は
-V-CDR3:QQSRHVPYT(配列番号11);
を含む、VLを含む。
【0112】
一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、以下のCDRの少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ又は3つ)の、好ましくは3つの以下のCDR:
-V-CDR1:RASQSVSNYGISFLN(配列番号14);
-V-CDR2:AASYQKR(配列番号15)及び/又は
-V-CDR3:QQSSNFPWT(配列番号16);
を含む、VLを含む。
【0113】
一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、以下のCDRの少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ又は3つ)の、好ましくは3つの以下のCDR:
-V-CDR1:RASQSVSNYGISFLN(配列番号14);
-V-CDR2:AAEYRGR(配列番号10);及び/又は
-V-CDR3:QQSSNVPYT(配列番号18);
を含む、VLを含む。
【0114】
一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、以下のCDRの少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ又は3つ)の、好ましくは3つの以下のCDR:
-V-CDR1:RASQSVSNYGISFLN(配列番号14);
-V-CDR2:AAEYQGR(配列番号20);及び/又は
-V-CDR3:QQSSNVPYT(配列番号18);
を含む、VLを含む。
【0115】
一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、以下のCDRの少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ又は3つ)の、好ましくは3つの以下のCDR:
-V-CDR1:RASQSVSNYGISFLN(配列番号14);
-V-CDR2:AAEYRAR(配列番号21);及び/又は
-V-CDR3:QQSSNVPYT(配列番号18);
を含む、VLを含む。
【0116】
一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、以下のCDRの少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ又は3つ)の、好ましくは3つの以下のCDR:
-V-CDR1:RASESVDNYGISFMN(配列番号24);
-V-CDR2:AASNQGS(配列番号25);及び/又は
-V-CDR3:QQSKEVPWT(配列番号26);
を含む、VLを含む。
【0117】
一実施形態において、本明細書上記の配列番号4~6、9~11、14~16、18、20、21及び24~25のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を有するV-CDR1、V-CDR2及び/又はV-CDR3のいずれかは、異なるアミノ酸により置換されている1個、2個、3個の又はそれより多いアミノ酸(複数可)を有すると特徴づけられ得る。一実施形態において、配列番号4~6、9~11、14~16、18、20、21及び24~25を有するV-CDR1、V-CDR2及び/又はV-CDR3のいずれかは、対応する配列番号に列挙された特定のCDR又はCDRのセットと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の又はそれより大きな同一性を共有するアミノ酸配列を有すると特徴づけられ得る。言い換えると、一実施形態において、本明細書上記のV-CDR1、V-CDR2及び/又はV-CDR3は、配列番号4~6、9~11、14~16、18、20、21及び24~25のいずれか1つに記載の対応するアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の又はそれより大きな同一性を共有するアミノ酸配列を有する。
【0118】
一実施形態によれば、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、
少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つの、より好ましくは3つの以下のCDR:
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1);
-V-CDR2:RIDPAXGXTKYXPKVXG(配列番号2)、ここで、XはN又はGであり、XはN又はRであり、XはA、D、又はSであり、XはQ又はKであるか;又はRIDPAXGXTKYXPKFXG(配列番号39)、ここで、XはN又はGであり、XはN又はRであり、XはA、D、又はSであり、XはQ又はKであり;かつ/又は
-V-CDR3:HXGXTMDY(配列番号3)、XはY又はRであり、XはS又はGである
を含む、重鎖の可変領域(VH);及び
少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つの、より好ましくは3つの以下のCDR:
-V-CDR1:RASXSVXNYGISFXN(配列番号4)、ここで、XはE又はGであり、XはD又はSであり、XはM又はLであり;
-V-CDR2:AAX1011121314(配列番号5)、ここで、X10はS又はEであり、X11はN又はYであり、X12はQ又はRであり、X13はG、A、又はKであり、X14はS又はRであり;かつ/又は
-V-CDR3:QQSX151617PX18T(配列番号6)、ここで、X15はK、R、又はSであり、X16はE、H、又はNであり、X17はV又はFであり、X18はW又はYである
を含む、軽鎖の可変領域(VL)
を含む。
【0119】
一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、
少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つの、より好ましくは3つの以下のCDR:
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1);
-V-CDR2:RIDPAXGXTKYXPKVXG(配列番号2)、ここで、XはN又はGであり、XはN又はRであり、XはA、D、又はSであり、XはQ又はKであり;かつ/又は
-V-CDR3:HXGXTMDY(配列番号3)、XはY又はRであり、XはS又はGである
を含む、VH;及び
少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つの、より好ましくは3つの以下のCDR:
-V-CDR1:RASXSVXNYGISFXN(配列番号4)、ここで、XはE又はGであり、XはD又はSであり、XはM又はLであり;
-V-CDR2:AAX1011121314(配列番号5)、ここで、X10はS又はEであり、X11はN又はYであり、X12はQ又はRであり、X13はG、A、又はKであり、X14はS又はRであり;かつ/又は
-V-CDR3:QQSX151617PX18T(配列番号6)、ここで、X15はK、R、又はSであり、X16はE、H、又はNであり、X17はV又はFであり、X18はW又はYである
を含む、VL
を含む。
【0120】
一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、
少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つの、より好ましくは3つの以下のCDR:
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1);
-V-CDR2:RIDPAXGXTKYXPKFXG(配列番号39)、ここで、XはN又はGであり、XはN又はRであり、XはA、D、又はSであり、XはQ又はKであり;かつ/又は
-V-CDR3:HXGXTMDY(配列番号3)、XはY又はRであり、XはS又はGである
を含む、VH;及び
少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つの、より好ましくは3つの以下のCDR:
-V-CDR1:RASXSVXNYGISFXN(配列番号4)、ここで、XはE又はGであり、XはD又はSであり、XはM又はLであり;
-V-CDR2:AAX1011121314(配列番号5)、ここで、X10はS又はEであり、X11はN又はYであり、X12はQ又はRであり、X13はG、A、又はKであり、X14はS又はRであり;かつ/又は
-V-CDR3:QQSX151617PX18T(配列番号6)、ここで、X15はK、R、又はSであり、X16はE、H、又はNであり、X17はV又はFであり、X18はW又はYである
を含む、VL
を含む。
【0121】
一実施形態によれば、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、
3つの以下のCDR:
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1);
-V-CDR2:RIDPAXGXTKYXPKVXG(配列番号2)、ここで、XはN又はGであり、XはN又はRであり、XはA、D、又はSであり、XはQ又はKであるか;又はRIDPAXGXTKYXPKFXG(配列番号39)、ここで、XはN又はGであり、XはN又はRであり、XはA、D、又はSであり、XはQ又はKであり;かつ
-V-CDR3:HXGXTMDY(配列番号3)、XはY又はRであり、XはS又はGである
を含む、VH;及び
3つの以下のCDR:
-V-CDR1:RASXSVXNYGISFXN(配列番号4)、ここで、XはE又はGであり、XはD又はSであり、XはM又はLであり;
-V-CDR2:AAX1011121314(配列番号5)、ここで、X10はS又はEであり、X11はN又はYであり、X12はQ又はRであり、X13はG、A、又はKであり、X14はS又はRであり;かつ
-V-CDR3:QQSX151617PX18T(配列番号6)、ここで、X15はK、R、又はSであり、X16はE、H、又はNであり、X17はV又はFであり、X18はW又はYである
を含む、VL
を含む。
【0122】
一実施形態によれば、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、
3つの以下のCDR:
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1);
-V-CDR2:RIDPAXGXTKYXPKVXG(配列番号2)、ここで、XはN又はGであり、XはN又はRであり、XはA、D、又はSであり、XはQ又はKであり;かつ
-V-CDR3:HXGXTMDY(配列番号3)、XはY又はRであり、XはS又はGである
を含む、VH;及び
3つの以下のCDR:
-V-CDR1:RASXSVXNYGISFXN(配列番号4)、ここで、XはE又はGであり、XはD又はSであり、XはM又はLであり;
-V-CDR2:AAX1011121314(配列番号5)、ここで、X10はS又はEであり、X11はN又はYであり、X12はQ又はRであり、X13はG、A、又はKであり、X14はS又はRであり;かつ
-V-CDR3:QQSX151617PX18T(配列番号6)、ここで、X15はK、R、又はSであり、X16はE、H、又はNであり、X17はV又はFであり、X18はW又はYである
を含む、VL
を含む。
【0123】
一実施形態によれば、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、
3つの以下のCDR:
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1);
-V-CDR2:RIDPAXGXTKYXPKFXG(配列番号39)、ここで、XはN又はGであり、XはN又はRであり、XはA、D、又はSであり、XはQ又はKであり;かつ
-V-CDR3:HXGXTMDY(配列番号3)、XはY又はRであり、XはS又はGである
を含む、VH;及び
3つの以下のCDR:
-V-CDR1:RASXSVXNYGISFXN(配列番号4)、ここで、XはE又はGであり、XはD又はSであり、XはM又はLであり;
-V-CDR2:AAX1011121314(配列番号5)、ここで、X10はS又はEであり、X11はN又はYであり、X12はQ又はRであり、X13はG、A、又はKであり、X14はS又はRであり;かつ
-V-CDR3:QQSX151617PX18T(配列番号6)、ここで、X15はK、R、又はSであり、X16はE、H、又はNであり、X17はV又はFであり、X18はW又はYである
を含む、VL
を含む。
【0124】
一実施形態によれば、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、以下のCDR:
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1)、V-CDR2:RIDPAGGRTKYDPKVKG(配列番号7)、V-CDR3:HYGGTMDY(配列番号8)、V-CDR1:RASESVDNYGISFLN(配列番号9)、V-CDR2:AAEYRGR(配列番号10)、及びV-CDR3:QQSRHVPYT(配列番号11);又は
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1)、V-CDR2:RIDPAGGRTKYSPKVQG(配列番号12)、V-CDR3:HRGGTMDY(配列番号13)、V-CDR1:RASQSVSNYGISFLN(配列番号14)、V-CDR2:AASYQKR(配列番号15)、及びV-CDR3:QQSSNFPWT(配列番号16);又は
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1)、V-CDR2:RIDPAGGRTKYAPKVKG(配列番号17)、V-CDR3:HRGGTMDY(配列番号13)、V-CDR1:RASQSVSNYGISFLN(配列番号14)、V-CDR2:AAEYRGR(配列番号10)、及びV-CDR3:QQSSNVPYT(配列番号18);又は
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1)、V-CDR2:RIDPAGGRTKYAPKVQG(配列番号19)、V-CDR3:HYGGTMDY(配列番号8)、V-CDR1:RASQSVSNYGISFLN(配列番号14)、V-CDR2:AAEYQGR(配列番号20)、及びV-CDR3:QQSSNVPYT(配列番号18);又は
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1)、V-CDR2:RIDPAGGRTKYAPKVKG(配列番号17)、V-CDR3:HRGGTMDY(配列番号13)、V-CDR1:RASQSVSNYGISFLN(配列番号14)、V-CDR2:AAEYRAR(配列番号21)、及びV-CDR3:QQSSNVPYT(配列番号18);又は
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1)、V-CDR2:RIDPANGNTKYAPKVQG(配列番号22)、V-CDR3:HYGSTMDY(配列番号23)、V-CDR1:RASESVDNYGISFMN(配列番号24)、V-CDR2:AASNQGS(配列番号25)、及びV-CDR3:QQSKEVPWT(配列番号26);又は
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1)、V-CDR2:RIDPANGNTKYAPKFQG(配列番号40)、V-CDR3:HYGSTMDY(配列番号23)、V-CDR1:RASESVDNYGISFMN(配列番号24)、V-CDR2:AASNQGS(配列番号25)、及びV-CDR3:QQSKEVPWT(配列番号26)
を含む。
【0125】
一実施形態によれば、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、以下のCDR:
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1)、V-CDR2:RIDPAGGRTKYDPKVKG(配列番号7)、V-CDR3:HYGGTMDY(配列番号8)、V-CDR1:RASESVDNYGISFLN(配列番号9)、V-CDR2:AAEYRGR(配列番号10)、及びV-CDR3:QQSRHVPYT(配列番号11);又は
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1)、V-CDR2:RIDPAGGRTKYSPKVQG(配列番号12)、V-CDR3:HRGGTMDY(配列番号13)、V-CDR1:RASQSVSNYGISFLN(配列番号14)、V-CDR2:AASYQKR(配列番号15)、及びV-CDR3:QQSSNFPWT(配列番号16);又は
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1)、V-CDR2:RIDPAGGRTKYAPKVKG(配列番号17)、V-CDR3:HRGGTMDY(配列番号13)、V-CDR1:RASQSVSNYGISFLN(配列番号14)、V-CDR2:AAEYRGR(配列番号10)、及びV-CDR3:QQSSNVPYT(配列番号18);又は
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1)、V-CDR2:RIDPAGGRTKYAPKVQG(配列番号19)、V-CDR3:HYGGTMDY(配列番号8)、V-CDR1:RASQSVSNYGISFLN(配列番号14)、V-CDR2:AAEYQGR(配列番号20)、及びV-CDR3:QQSSNVPYT(配列番号18);又は
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1)、V-CDR2:RIDPAGGRTKYAPKVKG(配列番号17)、V-CDR3:HRGGTMDY(配列番号13)、V-CDR1:RASQSVSNYGISFLN(配列番号14)、V-CDR2:AAEYRAR(配列番号21)、及びV-CDR3:QQSSNVPYT(配列番号18);又は
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1)、V-CDR2:RIDPANGNTKYAPKVQG(配列番号22)、V-CDR3:HYGSTMDY(配列番号23)、V-CDR1:RASESVDNYGISFMN(配列番号24)、V-CDR2:AASNQGS(配列番号25)、及びV-CDR3:QQSKEVPWT(配列番号26)
を含む。
【0126】
一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、
3つの以下のCDR:
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1);
-V-CDR2:RIDPAGGRTKYDPKVKG(配列番号7);及び
-V-CDR3:HYGGTMDY(配列番号8)
を含む、VH;並びに
3つの以下のCDR:
-V-CDR1:RASESVDNYGISFLN(配列番号9);
-V-CDR2:AAEYRGR(配列番号10);及び
-V-CDR3:QQSRHVPYT(配列番号11)
を含む、VL
を含む。
【0127】
一実施形態において、配列番号1、7、8を有するV-CDR1、V-CDR2及び/もしくはV-CDR3のいずれか並びに/又は配列番号9~11を有するV-CDR1、V-CDR2及び/もしくはV-CDR3のいずれかは、対応する配列番号に列挙された特定のCDR又はCDRのセットと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の又はそれより大きな同一性を共有するアミノ酸配列を有すると特徴づけられ得る。言い換えると、一実施形態において、本明細書上記のV-CDR1、V-CDR2、V-CDR3、V-CDR1、V-CDR2及び/又はV-CDR3は、配列番号1、7、8及び9~11に記載の対応するアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の又はそれより大きな同一性を共有するアミノ酸配列を有する。
【0128】
配列番号1、7、8を有するV-CDR1、V-CDR2及びV-CDR3を含むVH並びに配列番号9~11を有するV-CDR1、V-CDR2及びV-CDR3を含むVLを含む抗体の例は、INO-10-3である。配列番号1、7、8を有するV-CDR1、V-CDR2及びV-CDR3を含むVH並びに配列番号9~11を有するV-CDR1、V-CDR2及びV-CDR3を含むVLを含む抗原結合抗体断片の例は、Fab断片INO-10-F3(又はF3)である。
【0129】
一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、
3つの以下のCDR:
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1);
-V-CDR2:RIDPAGGRTKYSPKVQG(配列番号12);及び
-V-CDR3:HRGGTMDY(配列番号13)
を含む、VH;並びに
3つの以下のCDR:
-V-CDR1:RASQSVSNYGISFLN(配列番号14);
-V-CDR2:AASYQKR(配列番号15)及び
-V-CDR3:QQSSNFPWT(配列番号16)
を含む、VL
を含む。
【0130】
一実施形態において、配列番号1、12、13を有するV-CDR1、V-CDR2及び/もしくはV-CDR3のいずれか並びに/又は配列番号14~16を有するV-CDR1、V-CDR2及びV-CDR3のいずれかは、対応する配列番号に列挙された特定のCDR又はCDRのセットと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の又はそれより大きな同一性を共有するアミノ酸配列を有すると特徴づけられ得る。言い換えると、一実施形態において、本明細書上記のV-CDR1、V-CDR2、V-CDR3、V-CDR1、V-CDR2及び/又はV-CDR3は、配列番号1、12、13及び14~16に記載の対応するアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の又はそれより大きな同一性を共有するアミノ酸配列を有する。
【0131】
配列番号1、12、13を有するV-CDR1、V-CDR2及びV-CDR3を含むVH並びに配列番号14~16を有するV-CDR1、V-CDR2及びV-CDR3を含むVLを含む抗体の例は、INO-10-2である。配列番号1、12、13を有するV-CDR1、V-CDR2及びV-CDR3を含むVH並びに配列番号14~16を有するV-CDR1、V-CDR2及びV-CDR3を含むVLを含む抗原結合抗体断片の例は、Fab断片INO-10-F2(又はF2)である。
【0132】
一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、
3つの以下のCDR:
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1);
-V-CDR2:RIDPAGGRTKYAPKVKG(配列番号17);及び
-V-CDR3:HRGGTMDY(配列番号13)
を含む、VH;並びに
3つの以下のCDR:
-V-CDR1:RASQSVSNYGISFLN(配列番号14);
-V-CDR2:AAEYRGR(配列番号10);及び
-V-CDR3:QQSSNVPYT(配列番号18)
を含む、VL
を含む。
【0133】
一実施形態において、配列番号1、17、13を有するV-CDR1、V-CDR2及び/もしくはV-CDR3のいずれか並びに/又は配列番号14、10、18を有するV-CDR1、V-CDR2及びV-CDR3のいずれかは、対応する配列番号に列挙された特定のCDR又はCDRのセットと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の又はそれより大きな同一性を共有するアミノ酸配列を有すると特徴づけられ得る。言い換えると、一実施形態において、本明細書上記のV-CDR1、V-CDR2、V-CDR3、V-CDR1、V-CDR2及び/又はV-CDR3は、配列番号1、17、13、14、10、及び18に記載の対応するアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の又はそれより大きな同一性を共有するアミノ酸配列を有する。
【0134】
配列番号1、17、13を有するV-CDR1、V-CDR2及びV-CDR3を含むVH並びに配列番号14、10、18を有するV-CDR1、V-CDR2及びV-CDR3を含むVLを含む抗体の例は、INO-10-4である。配列番号1、17、13を有するV-CDR1、V-CDR2及びV-CDR3を含むVH並びに配列番号14、10、18を有するV-CDR1、V-CDR2及びV-CDR3を含むVLを含む抗原結合抗体断片の例は、Fab断片INO-10-F4(又はF4)である。
【0135】
一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、
3つの以下のCDR:
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1);
-V-CDR2:RIDPAGGRTKYAPKVQG(配列番号19);及び
-V-CDR3:HYGGTMDY(配列番号8)
を含む、VH;並びに
3つの以下のCDR:
-V-CDR1:RASQSVSNYGISFLN(配列番号14);
-V-CDR2:AAEYQGR(配列番号20);及び
-V-CDR3:QQSSNVPYT(配列番号18)
を含む、VL
を含む。
【0136】
一実施形態において、配列番号1、19、8を有するV-CDR1、V-CDR2及び/もしくはV-CDR3のいずれか並びに/又は配列番号14、20、18を有するV-CDR1、V-CDR2及びV-CDR3のいずれかは、対応する配列番号に列挙された特定のCDR又はCDRのセットと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の又はそれより大きな同一性を共有するアミノ酸配列を有すると特徴づけられ得る。言い換えると、一実施形態において、本明細書上記のV-CDR1、V-CDR2、V-CDR3、V-CDR1、V-CDR2及び/又はV-CDR3は、配列番号1、19、8、14、20、及び18に記載の対応するアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の又はそれより大きな同一性を共有するアミノ酸配列を有する。
【0137】
配列番号1、19、8を有するV-CDR1、V-CDR2及びV-CDR3を含むVH並びに配列番号14、20、18を有するV-CDR1、V-CDR2及びV-CDR3を含むVLを含む抗体の例は、INO-10-5である。配列番号1、19、8を有するV-CDR1、V-CDR2及びV-CDR3を含むVH並びに配列番号14、20、18を有するV-CDR1、V-CDR2及びV-CDR3を含むVLを含む抗原結合抗体断片の例は、Fab断片INO-10-F5(又はF5)である。
【0138】
一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、
3つの以下のCDR:
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1);
-V-CDR2:RIDPAGGRTKYAPKVKG(配列番号17);及び
-V-CDR3:HRGGTMDY(配列番号13)
を含む、VH;並びに
3つの以下のCDR:
-V-CDR1:RASQSVSNYGISFLN(配列番号14);
-V-CDR2:AAEYRAR(配列番号21);及び
-V-CDR3:QQSSNVPYT(配列番号18)
を含む、VL
を含む。
【0139】
一実施形態において、配列番号1、17、13を有するV-CDR1、V-CDR2及び/もしくはV-CDR3のいずれか並びに/又は配列番号14、21、18を有するV-CDR1、V-CDR2及びV-CDR3のいずれかは、対応する配列番号に列挙された特定のCDR又はCDRのセットと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の又はそれより大きな同一性を共有するアミノ酸配列を有すると特徴づけられ得る。言い換えると、一実施形態において、本明細書上記のV-CDR1、V-CDR2、V-CDR3、V-CDR1、V-CDR2及び/又はV-CDR3は、配列番号1、17、13、14、21、及び18に記載の対応するアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の又はそれより大きな同一性を共有するアミノ酸配列を有する。
【0140】
配列番号1、17、13を有するV-CDR1、V-CDR2及びV-CDR3を含むVH並びに配列番号14、21、18を有するV-CDR1、V-CDR2及びV-CDR3を含むVLを含む抗体の例は、INO-10-6である。配列番号1、17、13を有するV-CDR1、V-CDR2及びV-CDR3を含むVH並びに配列番号14、21、18を有するV-CDR1、V-CDR2及びV-CDR3を含むVLを含む抗原結合抗体断片の例は、Fab断片INO-10-F6(又はF6)である。
【0141】
一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、
3つの以下のCDR:
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1);
-V-CDR2:RIDPANGNTKYAPKVQG(配列番号22);及び
-V-CDR3:HYGSTMDY(配列番号23)
を含む、VH;並びに
3つの以下のCDR:
-V-CDR1:RASESVDNYGISFMN(配列番号24);
-V-CDR2:AASNQGS(配列番号25);及び
-V-CDR3:QQSKEVPWT(配列番号26)
を含む、VL
を含む。
【0142】
一実施形態において、配列番号1、22、23を有するV-CDR1、V-CDR2及び/もしくはV-CDR3のいずれか並びに/又は配列番号24~26を有するV-CDR1、V-CDR2及びV-CDR3のいずれかは、対応する配列番号に列挙された特定のCDR又はCDRのセットと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の又はそれより大きな同一性を共有するアミノ酸配列を有すると特徴づけられ得る。言い換えると、一実施形態において、本明細書上記のV-CDR1、V-CDR2、V-CDR3、V-CDR1、V-CDR2及び/又はV-CDR3は、配列番号1、22、23及び24~26に記載の対応するアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の又はそれより大きな同一性を共有するアミノ酸配列を有する。
【0143】
配列番号1、22、23を有するV-CDR1、V-CDR2及びV-CDR3を含むVH並びに配列番号24~26を有するV-CDR1、V-CDR2及びV-CDR3を含むVLを含む抗体の例は、INO-10-1である。配列番号1、22、23を有するV-CDR1、V-CDR2及びV-CDR3を含むVH並びに配列番号24~26を有するV-CDR1、V-CDR2及びV-CDR3を含むVLを含む抗原結合抗体断片の例は、Fab断片INO-10-F1(又はF1)である。
【0144】
一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、
3つの以下のCDR:
-V-CDR1:NTYIH(配列番号1);
-V-CDR2:RIDPANGNTKYAPKFQG(配列番号40);及び
-V-CDR3:HYGSTMDY(配列番号23)
を含む、VH;並びに
3つの以下のCDR:
-V-CDR1:RASESVDNYGISFMN(配列番号24);
-V-CDR2:AASNQGS(配列番号25);及び
-V-CDR3:QQSKEVPWT(配列番号26)
を含む、VL
を含む。
【0145】
一実施形態において、配列番号1、40、23を有するV-CDR1、V-CDR2及び/もしくはV-CDR3のいずれか並びに/又は配列番号24~26を有するV-CDR1、V-CDR2及びV-CDR3のいずれかは、対応する配列番号に列挙された特定のCDR又はCDRのセットと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の又はそれより大きな同一性を共有するアミノ酸配列を有すると特徴づけられ得る。言い換えると、一実施形態において、本明細書上記のV-CDR1、V-CDR2、V-CDR3、V-CDR1、V-CDR2及び/又はV-CDR3は、配列番号1、40、23及び24~26に記載の対応するアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の又はそれより大きな同一性を共有するアミノ酸配列を有する。
【0146】
配列番号1、40、23を有するV-CDR1、V-CDR2及びV-CDR3を含むVH並びに配列番号24~26を有するV-CDR1、V-CDR2及びV-CDR3を含むVLを含む抗体の例は、INO-10である。配列番号1、40、23を有するV-CDR1、V-CDR2及びV-CDR3を含むVH並びに配列番号24~26を有するV-CDR1、V-CDR2及びV-CDR3を含むVLを含む抗原結合抗体断片の例は、Fab断片INO-10-Fである。
【0147】
一実施形態によれば、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、及び配列番号41を含むか、又はそれらからなる群から選択される配列を含むか、又はそれらからなる重鎖の可変領域(VH)を含む。
【0148】
一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号41を含むか、又はそれらからなる群から選択される配列、及び配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、又は配列番号41と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を有する配列を含むか、又はそれらからなるVHを含む。
【0149】
一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、異なるアミノ酸により置換された1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35個の又はそれより多いアミノ酸(複数可)を有する配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、及び配列番号41を含むか、又はそれらからなる群から選択される配列を含むか、又はそれからなるVHを含む。一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、異なるアミノ酸で置換された1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35個の又はそれより多いアミノ酸(複数可)を有する配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、及び配列番号41を含むか、又はそれらからなる群から選択される配列を含むか、又はそれからなるVHを含み、上記アミノ酸置換(複数可)は、3つのCDRのいずれかにおいて生じない。
【0150】
一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、及び/又は配列番号41と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の又はそれより大きな同一性を共有するアミノ酸配列を有するVHを含む。一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、及び/又は配列番号41のフレームワーク領域(すなわち、非CDR領域)のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の又はそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域のアミノ酸配列を有するVHを含む。
【0151】
一実施形態によれば、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、及び配列番号32を含むか、又はそれらからなる群から選択される配列を含むか、又はそれからなるVHを含む。
【0152】
一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32を含むか、又はそれらからなる群から選択される配列、及び配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、又は配列番号32と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を有する配列を含むか、又はそれらからなるVHを含む。
【0153】
一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、異なるアミノ酸により置換された1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、2、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35個の又はそれより多いアミノ酸(複数可)を有する配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、及び配列番号32を含むか、又はそれらからなる群から選択される配列を含むか、又はそれからなるVHを含む。一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、異なるアミノ酸で置換された1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35個の又はそれより多いアミノ酸(複数可)を有する配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、及び配列番号32を含むか、又はそれらからなる群から選択される配列を含むか、又はそれからなるVHを含み、上記アミノ酸置換(複数可)は、3つのCDRのいずれかにおいて生じない。
【0154】
一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、及び/又は配列番号32と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の又はそれより大きな同一性を共有するアミノ酸配列を有するVHを含む。一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、及び/又は配列番号32のフレームワーク領域(すなわち、非CDR領域)のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の又はそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域のアミノ酸配列を有するVHを含む。
【0155】
一実施形態によれば、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、及び配列番号42を含むか、又はそれらからなる群から選択される配列を含むか、又はそれからなる軽鎖の可変領域(VL)を含む。
【0156】
一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号42を含むか、又はそれらからなる群から選択される配列、及び配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、もしくは配列番号42と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を有する配列を含むか、又はそれらからなるVLを含む。
【0157】
一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、異なるアミノ酸により置換された1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35個の又はそれより多いアミノ酸(複数可)を有する配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、及び配列番号42を含むか、又はそれらからなる群から選択される配列を含むか、又はそれからなるVLを含む。一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、異なるアミノ酸により置換された1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35個の又はそれより多いアミノ酸(複数可)を有する配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、及び配列番号42を含むか、又はそれらからなる群から選択される配列を含むか、又はそれからなるVLを含み、上記アミノ酸置換(複数可)は、3つのCDRのいずれかにおいて生じない。
【0158】
一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、及び/又は配列番号42と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の又はそれより大きな同一性を共有するアミノ酸配列を有するVLを含む。一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、及び/又は配列番号42のフレームワーク領域(すなわち、非CDR領域)のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の又はそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域のアミノ酸配列を有するVLを含む。
【0159】
一実施形態によれば、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、及び配列番号38を含むか、又はそれらからなる群から選択される配列を含むか、又はそれからなるVLを含む。
【0160】
一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38を含むか、又はそれらからなる群から選択される配列、及び配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、又は配列番号38と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を有する配列を含むか、又はそれらからなるVLを含む。
【0161】
一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、異なるアミノ酸により置換された1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35個の又はそれより多いアミノ酸(複数可)を有する配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、及び配列番号38を含むか、又はそれらからなる群から選択される配列を含むか、又はそれからなるVLを含む。一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、異なるアミノ酸により置換された1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35個の又はそれより多いアミノ酸(複数可)を有する配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、及び配列番号38を含むか、又はそれらからなる群から選択される配列を含むか、又はそれからなるVLを含み、上記アミノ酸置換(複数可)は、3つのCDRのいずれかにおいて生じない。
一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、及び/又は配列番号38と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の又はそれより大きな同一性を共有するアミノ酸配列を有するVLを含む。一実施形態において、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、及び/又は配列番号38のフレームワーク領域(すなわち、非CDR領域)のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の又はそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域のアミノ酸配列を有するVLを含む。
【0162】
一実施形態によれば、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、
-配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号41を含むか、又はそれらからなる群から選択される配列、及び配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、又は配列番号41と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を有する配列を含むか、又はそれらからなる重鎖の可変領域(VH);並びに
-配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号42を含むか、又はそれらからなる群から選択される配列、及び配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、もしくは配列番号42と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を有する配列を含むか、又はそれらからなる軽鎖の可変領域(VL)
を含む。
【0163】
一実施形態によれば、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、
-配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、及び配列番号41を含むか、もしくはそれらからなる群から選択される配列を含むか、もしくはそれからなるVH、又は配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、もしくは配列番号41のフレームワーク領域(すなわち、非CDR領域)と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域の配列を有するか、含むか、又はそれからなるVH;並びに
-配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、及び配列番号42を含むか、もしくはそれからなる群から選択される配列を含むか、もしくはそれからなるVL、又は配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、もしくは配列番号42のフレームワーク領域(すなわち、非CDR領域)と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域の配列を有するか、含むか、又はそれからなるVL
を含む。
【0164】
一実施形態によれば、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、
-配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32を含むか、又はそれからなる群から選択される配列、及び配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、又は配列番号32と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を有する配列を含むか、又はそれらからなるVH;並びに
-配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38を含むか、又はそれらからなる群から選択される配列、及び配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、又は配列番号38と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を有する配列を含むか、又はそれらからなるVL
を含む。
【0165】
一実施形態によれば、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、
-配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、及び配列番号32を含むか、もしくはそれらからなる群から選択される配列を含むか、もしくはそれからなるVH、又は配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、もしくは配列番号32のフレームワーク領域(すなわち、非CDR領域)と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域の配列を有するか、含むか、又はそれからなるVH;並びに
-配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、及び配列番号38を含むか、もしくはそれからなる配列を含むか、もしくはそれからなるVL、又は配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、もしくは配列番号38のフレームワーク領域(すなわち、非CDR領域)と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域の配列を有するか、含むか、又はそれからなるVL
を含む。
【0166】
一実施形態によれば、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、
-配列番号27、もしくは配列番号27と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を有する配列を含むか、もしくはそれからなるVH、又は配列番号27のフレームワーク領域と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域の配列を有するか、含むか、又はそれからなるVH;並びに
-配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号42を含むか、もしくはそれからなる群から選択される配列、及び配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、もしくは配列番号42と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を有する配列を含むかもしくはそれからなるVL、又は配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、もしくは配列番号42のフレームワーク領域と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域の配列を有するか、含むか、又はそれからなるVL
を含む。
【0167】
一実施形態によれば、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、
-配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、及び配列番号32、配列番号41を含むか、もしくはそれらからなる群から選択される配列、及び配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、及び配列番号32、もしくは配列番号41と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を有する配列を含むか、もしくはそれからなるVH、又は配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、もしくは配列番号41のフレームワーク領域と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域の配列を有するか、含むか、又はそれからなるVH;並びに
-配列番号33、もしくは配列番号33と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を有する配列を含むか、もしくはそれからなるVL、又は配列番号33のフレームワーク領域と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域の配列を有するか、含むか、又はそれからなるVL
を含む。
【0168】
一実施形態によれば、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、
-配列番号27、もしくは配列番号27と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を有する配列を含むか、もしくはそれからなるVH、又は配列番号27のフレームワーク領域と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域の配列を有するVH;並びに配列番号33、もしくは配列番号33と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を有する配列を含むか、もしくはそれからなるVL、又は配列番号33のフレームワーク領域と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域の配列を有するVL;又は
-配列番号28、もしくは配列番号28と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を有する配列を含むか、もしくはそれからなるVH、又は配列番号28のフレームワーク領域と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域の配列を有するVH;並びに配列番号34、もしくは配列番号34と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を有する配列を含むか、もしくはそれからなるVL、又は配列番号34のフレームワーク領域と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域の配列を有するVL;又は
-配列番号29、もしくは配列番号29と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を有する配列を含むか、もしくはそれからなるVH、又は配列番号29のフレームワーク領域と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域の配列を有するVH;並びに配列番号35、もしくは配列番号35と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を有する配列を含むか、もしくはそれからなるVL、又は配列番号35のフレームワーク領域と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域の配列を有するVL;又は
-配列番号30、もしくは配列番号30と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を有する配列を含むか、もしくはそれからなるVH、又は配列番号30のフレームワーク領域と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域の配列を有するVH;並びに配列番号36、もしくは配列番号36と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の同一性を有する配列を含むか、もしくはそれからなるVL、又は配列番号36のフレームワーク領域と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域の配列を有するVL;又は
-配列番号31、もしくは配列番号31と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を有する配列を含むか、もしくはそれからなるVH、又は配列番号31のフレームワーク領域と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域の配列を有するVH;並びに配列番号37、もしくは配列番号37と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を有する配列を含むか、もしくはそれからなるVL、又は配列番号37のフレームワーク領域と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域の配列を有するVL;又は
-配列番号32、もしくは配列番号32と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を有する配列を含むか、もしくはそれからなるVH、又は配列番号32のフレームワーク領域と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域の配列を有するVH;並びに配列番号38、もしくは配列番号38と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を有する配列を含むか、もしくはそれからなるVL、又は配列番号38のフレームワーク領域と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域の配列を有するVL;又は
-配列番号41、もしくは配列番号41と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を有する配列を含むか、もしくはそれからなるVH、又は配列番号41のフレームワーク領域と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域の配列を有するVH;並びに配列番号42、もしくは配列番号42と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を有する配列を含むか、もしくはそれからなるVL、又は配列番号42のフレームワーク領域と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域の配列を有するVL
を含む。
【0169】
一実施形態によれば、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、
-配列番号27、もしくは配列番号27と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を有する配列を含むか、もしくはそれからなるVH、又は配列番号27のフレームワーク領域と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域の配列を有するか、含むか、又はそれからなるVH;並びに
-配列番号33、もしくは配列番号33と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を有する配列を含むか、もしくはそれからなるVL、又は配列番号33のフレームワーク領域と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域の配列を有するか、含むか、又はそれからなるVL
を含む。
【0170】
このような抗体の例は、INO-10-3(又はMAB3)である。このような抗原結合抗体断片の例は、Fab断片INO-10-F3(又はF3)である。
【0171】
一実施形態によれば、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、
-配列番号28、もしくは配列番号28と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を有する配列を含むか、もしくはそれからなるVH、又は配列番号28のフレームワーク領域と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域の配列を有するか、含むか、又はそれからなるVH;並びに
-配列番号34、もしくは配列番号34と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を有する配列を含むか、もしくはそれからなるVL、又は配列番号34のフレームワーク領域と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域の配列を有するか、含むか、又はそれからなるVL
を含む。
【0172】
このような抗体の例は、INO-10-2(又はMAB2)である。このような抗原結合抗体断片の例は、Fab断片INO-10-F2(又はF2)である。
【0173】
一実施形態によれば、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、
-配列番号29、もしくは配列番号29と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を有する配列を含むか、もしくはそれからなるVH、又は配列番号29のフレームワーク領域と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域の配列を有するか、含むか、又はそれからなるVH;並びに
-配列番号35、もしくは配列番号35と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を有する配列を含むか、もしくはそれからなるVL、又は配列番号35のフレームワーク領域と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域の配列を有するか、含むか、又はそれからなるVL
を含む。
【0174】
このような抗体の例は、INO-10-4(又はMAB4)である。このような抗原結合抗体断片の例は、Fab断片INO-10-F4(又はF4)である。
【0175】
一実施形態によれば、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、
-配列番号30、もしくは配列番号30と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を有する配列を含むか、もしくはそれからなるVH、又は配列番号30のフレームワーク領域と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域の配列を有するか、含むか、又はそれからなるVH;並びに
-配列番号36、もしくは配列番号36と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を有する配列を含むか、もしくはそれからなるVL、又は配列番号36のフレームワーク領域と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域の配列を有するか、含むか、又はそれからなるVL
を含む。
【0176】
このような抗体の例は、INO-10-5(又はMAB5)である。このような抗原結合抗体断片の例は、Fab断片INO-10-F5(又はF5)である。
【0177】
一実施形態によれば、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、
-配列番号31、もしくは配列番号31と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を有する配列を含むか、もしくはそれからなるVH、又は配列番号31のフレームワーク領域と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域の配列を有するか、含むか、又はそれからなるVH;並びに
-配列番号37、もしくは配列番号37と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を有する配列を含むか、もしくはそれからなるVL、又は配列番号37のフレームワーク領域と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域の配列を有するか、含むか、又はそれからなるVL
を含む。
【0178】
このような抗体の例は、INO-10-6(又はMAB6)である。このような抗原結合抗体断片の例は、Fab断片INO-10-F6(又はF6)である。
【0179】
一実施形態によれば、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、
-配列番号32、もしくは配列番号32と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を有する配列を含むか、もしくはそれからなるVH、又は配列番号32のフレームワーク領域と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域の配列を有するか、含むか、又はそれからなるVH;並びに
-配列番号38、もしくは配列番号38と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を有する配列を含むか、もしくはそれからなるVL、又は配列番号38のフレームワーク領域と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域の配列を有するか、含むか、又はそれからなるVL
を含む。
【0180】
このような抗体の例は、INO-10-1(又はMAB1)である。このような抗原結合抗体断片の例は、Fab断片INO-10-F1(又はF1)である。
【0181】
一実施形態によれば、抗hTREM-1抗体、又はその抗原結合断片は、
-配列番号41、もしくは配列番号41と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を有する配列を含むか、もしくはそれからなるVH、又は配列番号41のフレームワーク領域と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域の配列を有するか、含むか、又はそれからなるVH;並びに
-配列番号42、もしくは配列番号42と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を有する配列を含むか、もしくはそれからなるVL、又は配列番号42のフレームワーク領域と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きな同一性を共有するフレームワーク領域の配列を有するか、含むか、又はそれからなるVL
を含む。
【0182】
このような抗体の例は、INO-10である。このような抗原結合抗体断片の例は、Fab断片INO-10-Fである。
【0183】
本発明はさらに、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片を含む融合タンパク質に関する。例えば、融合タンパク質は、天然の半減期の長いタンパク質又はタンパク質ドメイン(例えば、ヒト血清アルブミン)を含んでよい。
【0184】
一実施形態において、融合タンパク質は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片及びHSA(ヒト血清アルブミン)を含む。一実施形態において、HSAは、配列番号59の配列を含むか、又はそれからなる。一実施形態において、HSAは、配列番号60の配列を含むか、又はそれからなる。一実施形態において、HSAはそのため、任意でリンカーを介して、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片に融合(又は結合)される。
【0185】
一実施形態において、HSAは、5個以下のアミノ酸からなるリンカー(例えば、3、4又は5個のアミノ酸からなるリンカー)などの短いリンカーを介して、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片に融合される(又は結合される)。一実施形態において、HSAは、10個以上のアミノ酸からなるリンカー(例えば、12、13、14、15、又は16個のアミノ酸からなるリンカー)などの長いリンカーを介して、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片に融合される(又は結合される)。
【0186】
一実施形態において、HSAは、抗体又はその抗原結合断片の重鎖に融合(又は結合)される。一実施形態において、HSAは、抗体又はその抗原結合断片の切り詰められた重鎖のCH1ドメインに融合される(又は結合される)。一実施形態において、HSAは、抗体又はその抗原結合断片の重鎖(又は切り詰められた重鎖)のC末端で融合される(又は結合される)。一実施形態において、HSAは、抗体又はその抗原結合断片の軽鎖に融合される(又は結合される)。一実施形態において、HSAは、抗体又はその抗原結合断片の軽鎖のN末端で融合される(又は結合される)。
【0187】
一実施形態において、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片は、例えば、生体内の、例えば、血清中の半減期を増加させるために修飾される。抗体を修飾するための方法は、当技術分野で周知であり、限定されないが、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)などの、反復される化学部分へのコンジュゲーション、ヒト血清アルブミンへのコンジュゲーションなどを含む。
【0188】
本発明の別の目的物は、本発明による抗体又はその抗原結合断片をコードする単離された核酸である。本発明の別の目的物は、本明細書に記載の融合タンパク質をコードする単離された核酸である。
【0189】
本明細書で使用される「単離された核酸」は、他の核酸配列、特に他のゲノムDNA配列、並びに天然配列に自然に付随するリボソーム及びポリメラーゼなどのタンパク質又は複合体から実質的に分離された核酸を指すことを意図する。この用語は、その天然環境から除去された核酸配列を包含し、組換え型のもしくはクローン化されたDNA又はRNA単離物、並びに化学的に合成された類似体又は異種系により生物学的に合成された類似体を含む。実質的に純粋な核酸は、単離された形態の核酸を含む。
【0190】
もちろん、これは、最初に単離された状態の核酸を指し、人間の手により単離された核酸に後で付加された遺伝子又は配列を排除しない。
【0191】
一実施形態において、単離された核酸は、精製される。
【0192】
一実施形態において、単離された核酸は、(i)吸光度法又は蛍光法によって(例えば、260及び280nmでの吸光度の比(A260/280)を測定することなどにより)測定される、核酸の80重量%、85重量%、90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%又はそれより多く、及び最も好ましくは96重量%、97重量%、98重量%又は99重量%;又は(ii)アガロースゲル電気泳動とエチジウムブロマイド、SYBRグリーン、ゲルグリーン(GelGreen)などのインターカレート剤の使用により示されるような均質性、へと精製される。
【0193】
一実施形態において、核酸は、本発明による抗体又はその抗原結合断片の少なくとも重鎖可変領域(VH)及び/又は軽鎖可変領域(VL)をコードする。一実施形態において、核酸は、本発明による抗体又はその抗原結合断片の可変領域及び定常領域をコードし得る。一実施形態において、核酸は、別々の核酸上又は同じ核酸分子上に本発明による抗体又はその抗原結合断片の重鎖及び軽鎖をコードし得る。
【0194】
一実施形態において、本発明による核酸は、本発明による抗体又はその抗原結合断片のVHをコードする配列を含むか、又はそれからなる。
【0195】
一実施形態において、本発明による核酸は、本発明による抗体又はその抗原結合断片のVHをコードする配列を含むか、又はそれからなり、上記配列は、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、及び配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、又は配列番号52と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の又はそれより大きい同一性を共有する配列を含むか、又はそれらからなる群から選択される。
【0196】
一実施形態において、本発明による核酸は、本発明による抗体又はその抗原結合断片のVLをコードする配列を含むか、又はそれからなる。
【0197】
一実施形態において、本発明による核酸は、本発明による抗体又はその抗原結合断片のVLをコードする配列を含むか、又はそれからなり、上記配列は、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、及び配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、又は配列番号58と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の又はそれより大きい同一性を共有する配列を含むか、又はそれらからなる群から選択される。
【0198】
一実施形態において、本発明による核酸は、
-本発明による抗体又はその抗原結合断片のVHをコードする配列;及び
-本発明による抗体又はその抗原結合断片のVLをコードする配列
を含むか、又はそれらからなる。
【0199】
一実施形態において、本発明による核酸は、
-配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、及び配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、又は配列番号52と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の又はそれより大きい同一性を共有する配列を含むか、又はそれらからなる群から選択される配列;並びに
-配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、及び配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、又は配列番号58と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の又はそれより大きい同一性を共有する配列を含むか、又はそれらからなる群から選択される配列
を含むか、又はそれらからなる。
【0200】
一実施形態において、本発明による核酸は、
-配列番号47に記載の核酸配列、又は配列番号47と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きい同一性を共有する核酸配列を含むか、又はそれらからなるVHをコードする配列;並びに
-配列番号53に記載の核酸配列、又は配列番号53と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きい同一性を共有する核酸配列を含むか、又はそれらからなるVLをコードする配列
を含むか、又はそれらからなる。一実施形態において、上記核酸は、INO-10-3抗体又はINO-10-F3(又はF3)Fab断片のVH及びVLをコードする。
【0201】
一実施形態において、本発明による核酸は、
-配列番号48に記載の核酸配列、又は配列番号48と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きい同一性を共有する核酸配列を含むか、又はそれらからなるVHをコードする配列;並びに
-配列番号54に記載の核酸配列、又は配列番号54と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きい同一性を共有する核酸配列を含むか、又はそれらからなるVLをコードする配列
を含むか、又はそれらからなる。一実施形態において、上記核酸は、INO-10-2抗体又はINO-10-F2(又はF2)Fab断片のVH及びVLをコードする。
【0202】
一実施形態において、本発明による核酸は、
-配列番号49に記載の核酸配列、又は配列番号49と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きい同一性を共有する核酸配列を含むか、又はそれらからなるVHをコードする配列;並びに
-配列番号55に記載の核酸配列、又は配列番号55と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きい同一性を共有する核酸配列を含むか、又はそれらからなるVLをコードする配列
を含むか、又はそれらからなる。一実施形態において、上記核酸は、INO-10-4抗体又はINO-10-F4(又はF4)Fab断片のVH及びVLをコードする。
【0203】
一実施形態において、本発明による核酸は、
-配列番号50に記載の核酸配列、又は配列番号50と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きい同一性を共有する核酸配列を含むか、又はそれらからなるVHをコードする配列;並びに
-配列番号56に記載の核酸配列、又は配列番号56と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きい同一性を共有する核酸配列を含むか、又はそれらからなるVLをコードする配列
を含むか、又はそれらからなる。一実施形態において、上記核酸は、INO-10-5抗体又はINO-10-F5(又はF5)Fab断片のVH及びVLをコードする。
【0204】
一実施形態において、本発明による核酸は、
-配列番号51に記載の核酸配列、又は配列番号51と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きい同一性を共有する核酸配列を含むか、又はそれらからなるVHをコードする配列;並びに
-配列番号57に記載の核酸配列、又は配列番号57と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きい同一性を共有する核酸配列を含むか、又はそれらからなるVLをコードする配列
を含むか、又はそれらからなる。一実施形態において、上記核酸は、INO-10-6抗体又はINO-10-F6(又はF6)Fab断片のVH及びVLをコードする。
【0205】
一実施形態において、本発明による核酸は、
-配列番号52に記載の核酸配列、又は配列番号52と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きい同一性を共有する核酸配列を含むか、又はそれらからなるVHをコードする配列;並びに
-配列番号58に記載の核酸配列、又は配列番号58と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のもしくはそれより大きい同一性を共有する核酸配列を含むか、又はそれらからなるVLをコードする配列
を含むか、又はそれらからなる。一実施形態において、上記核酸は、INO-10-1抗体又はINO-10-F1(又はF1)Fab断片のVH及びVLをコードする。
【0206】
典型的には、本発明による核酸は、DNA又はRNA分子であり、それらは、例えばプラスミド、コスミド、エピソーム、人工染色体、ファージ又はウイルスベクターなどの、任意の適切なベクターに含まれ得る。
【0207】
そのため、本発明の別の目的物は、本発明による抗体又はその抗原結合断片をコードする核酸を含む、例えば、発現ベクターなどの、ベクターである。本発明の別の目的物は、本発明による融合タンパク質をコードする核酸を含む、例えば、発現ベクターなどの、ベクターである。
【0208】
用語「ベクター」、「クローニングベクター」及び「発現ベクター」は、宿主細胞を形質転換しかつ、抗体又はその抗原結合断片をコードする導入された配列の発現(例えば、転写及び翻訳)を促進するように、それによりDNA又はRNA配列(例えば、外来遺伝子)が宿主細胞中に導入され得る、運搬体を意味する。このようなベクターは、対象への投与時に上記抗体又はその抗原結合断片の発現を生じさせるか指示するための、プロモーター、エンハンサー、ターミネーターなどの調節エレメントを含んでよい。動物細胞の発現ベクターに用いられるプロモーター及びエンハンサーの例としては、SV40の早期プロモーター及びエンハンサー、モロニーマウス白血病ウイルスのLTRプロモーター及びエンハンサー、免疫グロブリンH鎖のプロモーター及びエンハンサーなどが挙げられるが、これらに限定されない。動物細胞のための任意の発現ベクターが、本明細書に記載の抗hTREM-1抗体又はその抗原結合断片をコードする遺伝子が挿入され発現される限り、用いられてよい。適切なベクターの例としては、pAGE107、pAGE103、pHSG274、pKCR、pSG1ベータd2-4などが挙げられる。プラスミドの他の例としては、複製起点を含む複製プラスミド、又は例えば、pUC、pcDNA、pBRなどの組込みプラスミドが挙げられる。ウイルスベクターの他の例としては、アデノウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルス及びAAVベクターが挙げられる。このような組換えウイルスは、パッケージング細胞をトランスフェクトすることによる、又はヘルパープラスミドもしくはウイルスによる一過性トランスフェクションによるなどの、当技術分野で公知の技術により生成され得る。ウイルスパッケージング細胞の典型的な例としては、PA317細胞、PsiCRIP細胞、GPenv+細胞、293細胞が挙げられる。
【0209】
一実施形態において、本発明によるベクター又は発現ベクターは、調節エレメントに作用可能に連結された、本発明による抗体又はその抗原結合断片の重鎖可変ドメインをコードする配列を含む。一実施形態において、本発明によるベクター又は発現ベクターは、調節エレメントに作用可能に連結された本発明による抗体又はその抗原結合断片の軽鎖可変ドメインをコードする配列を含む。
【0210】
一実施形態において、本発明による発現ベクターは、モノシストロニックである。「モノシストロニック」は、単一の核酸が単一の発現ベクターで発現されることを意味する。一実施形態において、本発明による発現ベクターは、ポリシストロニックである。「ポリシストロニック」は、少なくとも2以上の核酸が単一の発現ベクターで発現されることを意味する。
【0211】
本発明の別の目的物は、上記ベクターを含む単離された宿主細胞である。上記宿主細胞は、本明細書に記載の抗hTREM-1抗体又はその抗原結合断片の組換え生成に使用され得る。
【0212】
実施形態において、宿主細胞は、原核生物細胞、又は真核生物細胞、例えば、酵母又は哺乳類細胞などであり得る。哺乳類細胞の例としては、SV40(COS-7、ATCC CRL 1651)によって形質転換されたサル腎臓CV1系統;ヒト胚性腎臓株(293又は293T細胞サブ);ベビーハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL 10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO);マウスセルトリ細胞(TM4);マウス骨髄腫細胞SP2/0-AG14(ATCC CRL 1581;ATCC CRL 8287)又はNSO(HPA培養コレクション番号85110503);サルの腎臓細胞(CVl ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76、ATCC CRL-1587);ヒト子宮頸癌細胞(HELA、ATCC CCL 2);イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL 34);バッファローラット肝細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75);ヒト肝細胞(Hep G2、HB 8065);マウス乳腺腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL51);TRI細胞;MRC5細胞;FS4細胞;並びにDSMのPERC-6細胞株が挙げられるが、これらに限定されない。これらの宿主細胞の各々における使用に適する発現ベクターもまた、当技術分野で一般的に公知である。
【0213】
用語「宿主細胞」は一般に、培養細胞株を指すことに留意されたい。その中に本発明による抗hTREM-1抗体もしくはその抗原結合断片をコードするベクター又は発現ベクターが導入されるヒト全体は、「宿主細胞」の定義から明示的に除外される。
【0214】
本発明の別の目的は、本明細書に記載の単離された抗hTREM-1抗体又はその抗原結合断片を生成する及び精製する方法である。
【0215】
一実施形態において、本方法は、
-コンピテント宿主細胞中に上記の組換え核酸もしくはベクターをインビトロ又はエクスビボで導入すること;
-抗hTREM-1抗体又はその抗原結合断片の発現に適する条件下で、本発明による核酸又は発現ベクターで形質転換された宿主細胞をインビトロ又はエクスビボで培養すること;
-任意で、上記抗hTREM-1抗体又はその抗原結合断片を発現する及び/又は分泌する細胞を選択すること;並びに
-発現した抗hTREM-1抗体又はその抗原結合断片を回収すること
を含む。
【0216】
この組換えプロセスは、当技術分野で周知であり、インビトロ、エクスビボ及び/又はインビボ治療用途を意図されるモノクローナル抗体を含む、抗体又はその抗原結合断片の大規模生成に使用できる。
【0217】
実施形態において、発現された抗体又はその抗原結合断片は、さらに精製される。本発明による抗体又はその抗原結合断片を精製する方法は、当技術分野で周知であり、限定されないが、抗CH1抗体、タンパク質A-セファロース、ゲル電気泳動、クロマトグラフィー、特にアフィニティークロマトグラフィー、の使用を含む。
【0218】
本発明の別の目的物は、本発明による抗体又はその抗原結合断片を含むか、本質的にそれらからなるか、又はそれらからなる組成物である。
【0219】
本発明の別の目的物は、本発明による少なくとも1種の融合タンパク質を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる組成物である。
【0220】
本発明のさらなる目的物は、本発明による抗体もしくはその抗原結合断片、もしくは融合タンパク質をコードする少なくとも1種の核酸、又はそのような核酸を含む少なくとも1種のベクターを含むか、本質的にそれらからなる、又はそれらからなる組成物である。
【0221】
本発明の別の目的物は、本発明による少なくとも1種の抗体又はその抗原結合断片、及び少なくとも1種の医薬的に許容し得る賦形剤を含むか、本質的にそれらからなる、又はそれらからなる医薬組成物である。
【0222】
本発明の別の目的物は、本発明による少なくとも1種の融合タンパク質、及び少なくとも1種の医薬的に許容し得る賦形剤を含むか、本質的にそれらからなる、又はそれらからなる医薬組成物である。
【0223】
本発明のさらなる目的物は、本発明による抗hTREM-1抗体もしくはその抗原結合断片、もしくは融合タンパク質をコードする少なくとも1種の核酸、又はそのような核酸を含む少なくとも1種のベクター、及び少なくとも1種の医薬的に許容し得る賦形剤を含む、本質的にそれらからなる、又はそれらからなる医薬組成物である。
【0224】
本明細書で使用されるように、組成物又は医薬組成物に関して「本質的にそれからなる」は、少なくとも1種の抗体又はその抗原結合断片、融合タンパク質、核酸、又はベクターが、上記組成物又は医薬組成物内で生物活性を有する唯一の治療剤又は薬剤であることを意味する。
【0225】
用語「医薬的に許容し得る賦形剤」又は「医薬的に許容し得る担体」は、任意の及び全ての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などを含む。上記賦形剤又は担体は、対象、好ましくはヒトに投与した場合に、有害な、アレルギー性の又は他の予期せぬ反応を生じない。医薬的に許容し得る賦形剤又は担体は、無毒の固体、半固体又は液体の充填剤、希釈剤、封入材料又はあらゆる種類の製剤補助剤を指す。ヒト投与のために、調製物は、FDA(米国食品医薬品局)又はEMA(欧州医薬品庁)などの、規制当局が要求する無菌性、発熱性、及び一般的な安全性と純度の基準を満たす必要がある。
【0226】
組成物又は医薬組成物において使用され得る医薬的に許容し得る賦形剤又は担体は、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えばリン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩又は電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素ニナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイダルシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリエチレングリコール、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコール及びウール脂肪を含むが、これらに限定されない。
【0227】
一実施形態において、本発明による医薬組成物は、対象への注射に適合された製剤のための医薬的に許容し得るビヒクルを含む。これらは、特に等張性で、無菌の生理食塩水(リン酸一ナトリウム又はリン酸二ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム又は塩化マグネシウムなど、もしくはそのような塩の混合物)、又は乾燥された、特に凍結乾燥された組成物であり、これらは、状況に応じて、滅菌水又は生理食塩水の添加時に、注射可能な溶液の構成を可能にする。
【0228】
本発明の別の目的物は、本発明による少なくとも1種の抗体又はその抗原結合断片を含むか、本質的にそれらからなる、又はそれらからなる医薬である。
【0229】
本発明の別の目的物は、本発明による少なくとも1種の融合タンパク質を含むか、本質的にそれからなる、又はそれからなる医薬である。
【0230】
本発明のさらなる目的物は、本発明による抗体又はもしくはその抗原結合断片、もしくは融合タンパク質をコードする少なくとも1種の核酸、又はそのような核酸を含む少なくとも1種のベクターを含むか、本質的にそれらからなる、又はそれらからなる医薬である。
【0231】
本発明の別の目的物は、本発明による少なくとも1種の抗体、もしくはその抗原結合断片、又は融合タンパク質、並びに、任意に、使用説明書を含むキットである。
【0232】
「キット」は、本発明による少なくとも1種の抗体、もしくはその抗原結合断片、もしくは融合タンパク質を含む任意の製造物(例えば、パッケージ又は容器)を意図する。キットは、本明細書に記載の方法を実施するためのユニットとして宣伝され、配布され、又は販売されてよい。
【0233】
本発明の別の目的物は、医薬としての使用のための本発明による抗体又はその抗原結合断片である。
【0234】
本発明の別の目的物は、医薬としての使用のための本発明による融合タンパク質である。
【0235】
本発明のさらなる目的物は、医薬としての使用のための、本発明による抗体もしくはその抗原結合断片、もしくは融合タンパク質をコードする核酸、又はそのような核酸を含むベクターである。
【0236】
本発明のさらなる目的物は、医薬としての使用のための、本明細書に記載の組成物、医薬組成物又は医薬である。
【0237】
それを必要とする対象における使用のために、組成物、医薬組成物又は医薬は、対象への投与用に製剤化されるであろう。本発明による組成物、医薬組成物又は医薬は、非経口で、注射により、注入により、吸入スプレーにより、経口で、直腸で、経鼻で、局所で、又は植込みリザーバーを介して投与され得る。本明細書で使用される投与という用語はそのため、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、髄腔内、肝臓内、病巣内、及び頭蓋内注射又は注入技術を含む。
【0238】
注入に適合する形態の例としては、溶液、例えば、滅菌水溶液、ゲル、分散液、エマルジョン、懸濁液、使用前の液体添加時に溶液又は懸濁液を調製するための使用に適する固体形態、例えば、粉末、リポソーム形態などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0239】
一実施形態において、本発明による抗体又はその抗原結合断片、融合タンパク質、核酸、ベクター、組成物、医薬組成物又は医薬は、治療的有効量又は治療的有効用量でのそれを必要とする対象への投与のためである。
【0240】
本発明による抗体又はその抗原結合断片、融合タンパク質、核酸、発現ベクター、組成物、医薬組成物又は医薬の1日当たりの総使用量は健全な医学的判断の範囲内で主治医によって決定されることが、理解されるであろう。任意の特定の対象に対する具体的な治療的有効量又は治療的有効用量は、治療される疾患及び疾患の重症度;採用される抗体又はその抗原結合断片、融合タンパク質、核酸、ベクター、組成物、医薬組成物又は医薬の活性;対象の年齢、体重、一般的な健康状態、性別及び食事;採用される特異的な抗体又はその抗原結合断片、融合タンパク質、核酸、発現ベクター、組成物、医薬組成物又は医薬の投与の時間、投与の経路、及び排出の速度;治療の期間;採用される特異的な抗体又はその抗原結合断片、融合タンパク質、核酸、ベクター、組成物、医薬組成物又は医薬と組み合わせて又は同時に使用される薬物などの医療技術分野で周知の要因を含む、様々な要因によって異なる。例えば、所望の治療効果を達成するために必要とされるレベルよりも低いレベルで治療薬の投与を開始し、所望の効果が達成されるまで投与量を徐々に増加させることは、十分に当業者の範囲内である。各治療に必要とされる総用量は、複数回投与により又は単回投与で投与され得る。
【0241】
一実施形態において、抗体、その抗原結合断片、又は融合タンパク質の投与に使用される投薬計画又は投与量は、様々なパラメータの関数として、特に使用される投与様式、関連する病理学、又は所望の治療の期間の関数として適合され得る。例えば、抗体、その抗原結合断片、又は融合タンパク質の投与を、所望の治療効果を達成するために必要とされるレベルよりも低いレベルで開始し、所望の効果が達成されるまで投与量を徐々に増加させることは、十分に当業者の範囲内である。抗体、抗原結合断片、又は融合タンパク質の1日投与量は、成人1日あたり0.01~1000mgの広い範囲にわたり変化し得る。組成物、医薬組成物又は医薬は、治療される対象への投与量の対症療法的調整のために、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100、250、及び500mgの治療剤を含有し得る。組成物、医薬組成物、又は医薬は典型的には例えば、約0.01mg~約500mgの治療剤を含んでよい。治療剤の治療的有効量は例えば、1日当たり0.0002mg/kg~約20mg/kg体重の投与量レベルで供給されてよい。例えば、本明細書の上で記載される組成物、医薬組成物又は医薬中に存在する抗体、その抗原結合断片、又は融合タンパク質は、例えば、1mg/mL、5mg/mL、10mg/mL、50mg/mL又は100mg/mLの濃度などの、1mg/mL~約100mg/mLの範囲の濃度で供給され得る。一実施形態において、抗体、その抗原結合断片、又は融合タンパク質は、100mg(10mL)又は500mg(50mL)の単回使用バイアルのいずれかで、約10mg/mLの濃度にて供給される。これらの投与量は例示的であること、および最適な投与量は臨床試験において決定されなければならない組成物、医薬組成物、又は医薬中の特定の抗体、その抗原結合断片、又は融合タンパク質の親和性及び忍容性を考慮して適合され得ることが、理解されるであろう。
【0242】
本発明は、それを必要とする対象における炎症性疾患又は自己免疫疾患;心血管疾患;癌、特に固形癌;及び感染症、特に細菌感染症又はウイルス感染症から選択される疾患を治療するための(又はそれを治療することにおける使用のための又はその治療における使用のための)本明細書に記載の抗体、もしくはその抗原結合断片、又は融合タンパク質に関する。
【0243】
本発明はまた、それを必要とする対象における炎症性疾患又は自己免疫疾患;心血管疾患;癌、特に固形癌;及び感染症、特に細菌感染症又はウイルス感染症から選択される疾患を治療するための(又はそれを治療することにおける使用のための又はその治療における使用のための)本明細書に記載の抗体、もしくはその抗原結合断片、もしくは融合タンパク質をコードする核酸、又は本明細書に記載の上記核酸を含むベクターに関する。
【0244】
本発明は、それを必要とする対象における炎症性疾患又は自己免疫疾患;心血管疾患;癌、特に固形癌;及び感染症、特に細菌感染症又はウイルス感染症から選択される疾患を治療するための(又はそれを治療することにおける使用のための又はその治療における使用のための)本明細書に記載の組成物、医薬組成物、又は医薬に関する。
【0245】
本発明は、それを必要とする対象における炎症性疾患又は自己免疫疾患;心血管疾患;癌、特に固形癌;及び感染症、特に細菌感染症又はウイルス感染症から選択される疾患を治療するための方法に関し、上記方法は、本明細書に記載の少なくとも1種の単離された抗体、又はその抗原結合断片、又は融合タンパク質を対象に投与することを含む。
【0246】
本発明は、それを必要とする対象における炎症性疾患又は自己免疫疾患;心血管疾患;癌、特に固形癌;及び感染症、特に細菌感染症又はウイルス感染症から選択される疾患を治療するための方法に関し、上記方法は、本明細書に記載の抗体、又はその抗原結合断片、又は融合タンパク質をコードする少なくとも1種の核酸又は本明細書に記載の上記核酸を含む少なくとも1種のベクターを対象に投与することを含む。
【0247】
本発明は、それを必要とする対象における炎症性疾患又は自己免疫疾患;心血管疾患;癌、特に固形癌;及び感染症、特に細菌感染症又はウイルス感染症から選択される疾患を治療するための方法に関し、上記方法は、本明細書に記載の組成物、医薬組成物又は医薬を対象に投与することを含む。
【0248】
本発明は、それを必要とする対象における炎症性疾患又は自己免疫疾患;心血管疾患;癌、特に固形癌;及び感染症、特に細菌感染症又はウイルス感染症から選択される疾患を治療するための(又はそれを治療することにおける使用のための又はその治療における使用のための)医薬組成物に関し、上記医薬組成物は、
-本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片;
-本明細書に記載の融合タンパク質;
-本明細書に記載の抗体、もしくはその抗原結合断片、又は融合タンパク質をコードする核酸;又は
-そのような核酸を含むベクター;
及び任意に少なくとも1種の医薬的に許容し得る賦形剤
の少なくとも1つを含む。
【0249】
本発明はさらに、それを必要とする対象における、炎症性疾患又は自己免疫疾患;心血管疾患;癌、特に固形癌;及び感染症、特に細菌感染症又はウイルス感染症から選択される疾患を治療するための医薬の製造のための、本明細書に記載の抗体、もしくはその抗原結合断片、又は融合タンパク質の使用に関する。
【0250】
本発明はさらに、それを必要とする対象における、炎症性疾患又は自己免疫疾患;心血管疾患;癌、特に固形癌;及び感染症、特に細菌感染症又はウイルス感染症から選択される疾患を治療するための医薬の製造のための、本明細書に記載の抗体、もしくはその抗原結合断片、もしくは融合タンパク質をコードする核酸、又はそのような核酸を含むベクターの使用に関する。
【0251】
一実施形態において、治療されるべき疾患は、炎症性疾患である。本明細書で使用されるように、用語「炎症性疾患」は、炎症の存在により特徴づけられる障害及び状態を指す。炎症の症状は、慢性的な痛み、腫れ、発赤、関節及び筋肉のこわばり、患部の機能及び動きの喪失を含み得る。炎症性疾患の例としては、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、関節リウマチ、乾癬、全身性エリテマトーデス、血管炎、敗血症、全身性炎症反応症候群(SIRS)、多発性硬化症、冠動脈疾患、慢性閉塞性肺疾患、間質性肺疾患、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、及び喘息が挙げられる。一実施形態において、炎症性疾患は、結合組織疾患又は障害である。炎症性結合組織疾患又は障害の例としては、関節リウマチ、強皮症及びループスが挙げられる。
【0252】
一実施形態において、治療されるべき疾患は、自己免疫疾患である。自己免疫疾患の例としては、炎症性腸疾患(IBD)、関節リウマチ、乾癬、全身性エリテマトーデス、血管炎、I型糖尿病、バセドウ病、多発性硬化症、及び自己免疫性心筋炎が挙げられる。
【0253】
一実施形態において、治療されるべき疾患は、炎症性疾患又は自己免疫疾患である。
【0254】
一実施形態において、上記炎症性疾患又は自己免疫疾患は、炎症性腸疾患(IBD)(ALPI関連IBD、単一遺伝子性超早期発症型IBDを含む)、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、肺線維症又は肝線維症などの線維症、関節リウマチ、若年性特発性関節炎、乾癬、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、血管炎、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、アルコール性肝炎、全身性炎症反応症候群(SIRS)、敗血症、敗血症性ショック、I型糖尿病、バセドウ病、多発性硬化症、自己免疫性心筋炎、川崎病、冠動脈疾患、慢性閉塞性肺疾患、間質性肺疾患、自己免疫性甲状腺炎、強皮症、全身性硬化症、変形性関節症、脊椎炎、強直性脊椎炎、アトピー性皮膚炎、白斑、黄斑変性症、網膜変性症、ぶどう膜炎、化膿性汗腺炎、歯肉の炎症と疾患、移植片対宿主病、シェーグレン症候群、自己免疫性腎炎、グッドパスチャー症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、アレルギー、及び喘息から選択される。本明細書で使用されるように、「炎症性腸疾患(IBD)」は、単一遺伝子多遺伝子IBD、単一遺伝子IBD、超早期発症型IBD、早期発症型IBD、及び治療抵抗性IBDを包含する。
【0255】
一実施形態において、上記炎症性疾患又は自己免疫疾患は、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、線維症、肺線維症、肝線維症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、アルコール性肝炎、関節リウマチ、乾癬、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、血管炎、全身性炎症反応症候群(SIRS)、敗血症、敗血症性ショック、I型糖尿病、バセドウ病、多発性硬化症、自己免疫性心筋炎、川崎病、冠動脈疾患、慢性閉塞性肺疾患、間質性肺疾患、自己免疫性甲状腺炎、強皮症、全身性硬化症、変形性関節症、アトピー性皮膚炎、白斑、移植片対宿主病、シェーグレン症候群、自己免疫性腎炎、グッドパスチャー症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、アレルギー、及び喘息から選択される。
【0256】
一実施形態において、上記炎症性疾患又は自己免疫疾患は、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、関節リウマチ、乾癬、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、血管炎、全身性炎症反応症候群(SIRS)、敗血症、敗血症性ショック、I型糖尿病、バセドウ病、多発性硬化症、自己免疫性心筋炎、川崎病、冠動脈疾患、慢性閉塞性肺疾患、間質性肺疾患、自己免疫性甲状腺炎、強皮症、全身性硬化症、変形性関節症、アトピー性皮膚炎、白斑、移植片対宿主病、シェーグレン症候群、自己免疫性腎炎、グッドパスチャー症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、アレルギー、及び喘息から選択される。
【0257】
一実施形態において、治療されるべき疾患は、心血管疾患である。心血管疾患の例としては、心筋梗塞、急性心筋梗塞、脳梗塞、虚血、冠状動脈性心疾患、急性冠状動脈症候群、脳卒中、動脈瘤、安定狭心症、労作性狭心症、心筋症、高血圧性心疾患、慢性心不全、急性心不全、肺性心不全、心臓不整脈、炎症性心疾患(心内膜炎及び心筋炎など)、血管炎、末梢動脈疾患、SIRS関連心筋及び血管機能不全、アテローム性動脈硬化症が挙げられる。
【0258】
一実施形態において、治療されるべき疾患は、癌である。本明細書で使用されるように、用語「癌」は一般に、異常細胞の制御不能な分裂によって引き起こされる疾患を指す。用語「癌」は特に、腫瘍形成に関連するあらゆる疾患を指す。用語「癌」は、固形癌と血液癌を包含し、原発癌と転移性癌の両方を包含する。癌の例としては、癌、腺癌、軟部組織癌、肉腫、奇形腫、黒色腫、白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、及び脳の癌が挙げられる。一実施形態において、癌は、免疫回避性(immunoevasive)である。一実施形態において、癌は、免疫応答性である。一実施形態において、癌は、黒色腫、腎臓癌又は腎癌、肝胆道癌、頭頸部扁平上皮癌(HNSC)、膵臓癌、結腸癌、膀胱癌、尿路上皮癌、神経膠芽腫癌、前立腺癌、肺癌、乳(乳腺)癌、卵巣癌、胃癌、食道癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、精巣癌、白血病、リンパ腫、又は中皮腫である。一実施形態において、癌は、結腸癌、膵臓癌、又は乳癌である。
【0259】
一実施形態において、治療されるべき疾患は、感染症である。本明細書で使用されるように、用語「感染症」は、感染に起因する病理学的状態又は障害を指す。感染症の例としては、それぞれ細菌、ウイルス、真菌、及び寄生虫によって引き起こされる感染症である細菌性疾患(又は細菌感染症)、ウイルス性疾患(又はウイルス感染症)、真菌性疾患(又は真菌感染症)、及び寄生虫症(又は寄生虫感染症)が挙げられる。細菌性疾患の例としては、大腸菌感染症が挙げられる。
【0260】
一実施形態において、治療されるべき疾患は、動脈瘤、スティル病(特に、成人発症スティル病又はAOSD)、火傷、CAR-T細胞療法後のサイトカイン放出症候群(CRS)、CAR-T細胞療法後の免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)、嚢胞性線維症、子宮内膜炎、家族性地中海熱、痛風、肝肉芽腫、特発性肉芽腫性乳腺炎、腎臓病(無菌性慢性腎損傷、腎症を含む)、肝疾患(非アルコール性脂肪性肝炎)(NASH)、アルコール性肝炎)、肺疾患(急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、サルコイドーシス)、肥満(及び関連疾患)、膵炎、アルツハイマー病、パーキンソン病、脳卒中、外傷、及び心血管疾患(CVD)を含むか、又はそれらからなる群から選択される。
【0261】
一実施形態において、治療されるべき疾患は、炎症性腸疾患(IBD)、ALPI関連IBD、単一遺伝子性超早期発症型IBD、クローン病、又は潰瘍性大腸炎である。
【0262】
一実施形態において、本明細書に記載の抗体、その抗原結合断片、融合タンパク質、核酸、ベクター、組成物、医薬組成物又は医薬は、少なくとも1種のさらなる治療的活性剤又は治療法と一緒の投与のために投与されるか、又は投与のために適合されることになっている。本明細書に記載の抗体、その抗原結合断片、融合タンパク質、核酸、ベクター、組成物、医薬組成物又は医薬は、上記少なくとも1種のさらなる治療的活性剤又は治療法と同時に、別々に、又は順次投与されてよい。一実施形態において、本明細書に記載の抗体、その抗原結合断片、融合タンパク質、核酸、ベクター医薬は、組み合わされた調製物、組成物、医薬組成物又は医薬の中などの少なくとも1種のさらなる治療的活性剤又は治療法と組み合わせて投与するために投与されるか、又は投与するために適合されることになっている。
【0263】
本明細書に記載の抗体、その抗原結合断片、融合タンパク質、核酸、ベクター、組成物、医薬組成物又は医薬と共に使用され得る治療的活性剤の例としては、抗TNFα(例えば、アダリムマブ、エタネルセプト、インフリキシマブ、又はセルトリズマブ)、抗インターロイキン(IL)-12/23(例えば、ウステキヌマブ)、抗インテグリン(例えば、ベドリズマブ又はナタリズマブ)、JAK阻害剤(例えば、トファシチニブ、バリシチニブ、又はフィルゴチニブ)、抗PD-1抗体(例えば、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ)、抗PD-L1抗体(例えば、デュルバルマブ、アベルマブ、アテゾリズマブ)、抗PD-L2抗体、及び抗CTLA-4抗体(例えば、イピリムマブ)が挙げられる。
【0264】
本明細書に記載の抗体、その抗原結合断片、融合タンパク質、核酸、ベクター、組成物、医薬組成物又は医薬と共に使用され得る治療法の例としては、PD-1/PD-L1/PD-L2遮断療法、CTLA4遮断療法、T細胞上の阻害分子が遮断される全身性チェックポイント遮断療法、養子T細胞療法、CAR-T細胞療法、細胞療法、例えば樹状細胞療法、及び化学療法が挙げられる。
【0265】
一実施形態において、治療されるべき疾患は、上記の炎症性疾患、例えば上記の炎症性腸疾患(IBD)又は関節リウマチであり、本明細書に記載の抗体、その抗原結合断片、融合タンパク質、核酸、ベクター、組成物、医薬組成物又は医薬は、抗TNFα、抗IL-12/23、抗インテグリン、及びJAK阻害剤を含むか、又はそれらからなる群から選択される少なくとも1種のさらなる治療的活性剤と一緒の投与のために投与されるか、又は投与のために適合されることになっている。
【0266】
一実施形態において、治療されるべき疾患は、上記の癌であり、本明細書に記載の抗体、その抗原結合断片、融合タンパク質、核酸、ベクター、組成物、医薬組成物又は医薬は、PD-1/PD-L1/PD-L2遮断療法、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗PD-L2抗体、CTLA4遮断療法、抗CTLA4抗体、T細胞上の阻害分子が遮断される全身性チェックポイント遮断療法、養子T細胞療法、CAR-T細胞療法、樹状細胞療法などの細胞療法、及び化学療法を含むか、又はそれらからなる群から選択される少なくとも1種のさらなる治療的活性剤又は治療法と一緒の投与のために投与されるか、又は投与のために適合されることになっている。
【0267】
一実施形態において、治療を必要とする対象は、生体試料中のTREM-1、特に可溶性TREM-1(sTREM-1)の彼/彼女のレベルの測定後に特定される又は選択される。
【0268】
一実施形態において、治療を必要とする対象は、生体試料中のTREM-1、特にsTREM-1の彼/彼女のレベルの測定を通じてモニターされる。上記モニタリングは、対象における疾患の進行のモニタリング、治療に対する対象の応答(すなわち、本明細書に記載の抗体、その抗原結合断片、融合タンパク質、核酸、ベクター、組成物、医薬組成物もしくは医薬に対する応答)のモニタリング、及び/又は対象における治療の有効性(すなわち、本明細書に記載の抗体、その抗原結合断片、融合タンパク質、核酸、ベクター、組成物、医薬組成物又は医薬の有効性)のモニタリングを包含し得る。
【0269】
本明細書で使用されるように、「骨髄細胞上で発現される可溶性のトリガー受容体-1(soluble triggering receptor expressed on myeloid cell-1))」としての「sTREM-1」は、TREM-1の膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインを欠く可溶性形態のTREM-1を指す。一実施形態において、sTREM-1はそのため、TREM-1の細胞外ドメインの可溶性形態に対応する。一実施形態において、sTREM-1は、骨髄細胞の膜から、特に活性化された骨髄細胞から脱落される切り詰め型TREM-1に対応する。一実施形態において、sTREM-1は、配列番号43のアミノ酸21~205に対応するアミノ酸配列を有する。一実施形態において、sTREM-1は、配列番号43のアミノ酸31~205に対応するアミノ酸配列を有する。一実施形態において、sTREM-1は、配列番号43のアミノ酸31~137に対応するアミノ酸配列を含み、200個以下のアミノ酸長、好ましくは185個以下のアミノ酸長を有する。
【0270】
本明細書で使用されるように、「生体試料」は、対象から単離され、採取(collect)され又は収集(harvest)された生体試料を指し、対象から得られた体液、細胞試料及び/又は組織抽出物、例えば、ホモジネート又は可溶化組織を含み得る。一実施形態において、本発明は、対象から生体試料を取得することを含まない。そのため、一実施形態において、対象からの生体試料は、以前に対象から取得された生体試料である。上記生体試料は、本明細書に記載されるように、使用される前に適切な状態で保存され得る。一実施形態において、対象からの生体試料は、体液試料である。体液の例としては、血液、血漿、血清、リンパ液、唾液、尿、細気管支肺胞洗浄液、脳脊髄液、汗又はそれらの任意の他の身体分泌物又は誘導体が挙げられる。
【0271】
本明細書で使用されるように、用語「測定する」は、用語「測定」又は「検出」と交換可能であり、対象からの生体試料中の所与の物質、すなわち、TREM-1又はsTREM-1の存在、不在、含量、又は量(有効量であり得る)を評価することを意味する。本明細書で使用されるように、「測定する」は、生体試料中及び対象内の上記物質、すなわち、TREM-1又はsTREM-1の定性的又は定量的濃度(例えば、血中濃度又は血漿濃度)の導出を含む。本明細書で使用されるように、「TREM-1レベル」、特に「sTREM-1レベル」の中の用語「レベル」は、TREM-1、特にsTREM-1の含量、量、又は濃度を指す。
【0272】
TREM-1、特にsTREM-1のレベルは、当技術分野における任意の公知の方法により測定され得る。発現レベル、例えば、転写レベル又は翻訳レベルを測定する方法は、当業者に周知である。
【0273】
本明細書上記に記載の生体試料中のTREM-1、特にsTREM-1の転写レベル(すなわち、TREM-1のmRNA又はcDNAのレベル、特にsTREM-1のmRNA又はcDNAのレベル)を測定するための方法は、当業者に周知であり、限定されないが、PCR、qPCR、RT-PCR、RT-qPCR、ノーザンブロット、ハイブリダイゼーション技術、例えば、マイクロアレイの使用など、及びこれらの組み合わせを含み、それらは、RT-PCRによって得られたアンプリコンのハイブリダイゼーション、シーケンシング、例えば、次世代DNAシーケンシング(NGS)又はRNA-seqなど(「全トランスクリプトームショットガンシーケンシング」としても知られる)を含むが、これらに限定されない。
【0274】
TREM-1、特にsTREM-1の翻訳レベル(すなわち、TREM-1タンパク質又はsTREM-1タンパク質のレベル)を測定するための方法は、当業者に周知であり、限定されないが、免疫組織化学、マルチプレックス法(例えば、Luminex(登録商標))、イムノアッセイ、ウェスタンブロット、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、サンドイッチELISA、マルチプレックスELISA、キャピラリーベースのELISA(例えば、ELLA(登録商標)プラットフォーム)、電気化学発光(electrogenerated chemiluminescence)とも呼ばれる電気化学発光(electrochemiluminescence)(ECL)又は電気化学発光イムノアッセイ(ECLIA)、酵素結合蛍光アッセイ(ELFA)、蛍光結合免疫吸着アッセイ(FLISA)、酵素イムノアッセイ(EIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、フローサイトメトリー(FACS)、表面プラズモン共鳴(SPR)、バイオレイヤー干渉法(BLI)、イムノクロマトグラフィーアッセイ(ICA)(例えば、NEXUS IB10、Sphingotech)及び質量分析ベースのアプローチを含む。
【0275】
以下の配列を、本明細書で列挙する:
-配列番号1:NTYIH;
-配列番号2:RIDPAXGXTKYXPKVXG、ここで、XはN又はGであり、XはN又はRであり、XはA、D、又はSであり、XはQ又はKである;
-配列番号3:HXGXTMDY、ここで、XはY又はRであり、XはS又はGである;
-配列番号4:RASXSVXNYGISFXN、ここで、XはE又はGであり、XはD又はSであり、XはM又はLである;
-配列番号5:AAX1011121314、ここで、X10はS又はEであり、X11はN又はYであり、X12はQ又はRであり、X13はG、A、又はKであり、X14はS又はRである;
-配列番号6:QQSX151617PX18T、ここで、X15はK、R、又はSであり、X16はE、H、又はNであり、X17はV又はFであり、X18はW又はYである;
-配列番号7:RIDPAGGRTKYDPKVKG;
-配列番号8:HYGGTMDY;
-配列番号9:RASESVDNYGISFLN;
-配列番号10:AAEYRGR;
-配列番号11:QQSRHVPYT;
-配列番号12:RIDPAGGRTKYSPKVQG;
-配列番号13:HRGGTMDY;
-配列番号14:RASQSVSNYGISFLN;
-配列番号15:AASYQKR;
-配列番号16:QQSSNFPWT;
-配列番号17:RIDPAGGRTKYAPKVKG;
-配列番号18:QQSSNVPYT;
-配列番号19:RIDPAGGRTKYAPKVQG;
-配列番号20:AAEYQGR;
-配列番号21:AAEYRAR;
-配列番号22:RIDPANGNTKYAPKVQG;
-配列番号23:HYGSTMDY;
-配列番号24:RASESVDNYGISFMN;
-配列番号25:AASNQGS;
-配列番号26:QQSKEVPWT;
-配列番号27:EVQLVESGGALVKPGGSLRLSCAASGFNIDNTYIHWVRQAPGKGLEWIGRIDPAGGRTKYDPKVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLKTEDTAVYYCTGHYGGTMDYWGQGTLVTVSS;
-配列番号28:EVQLVESGGALVKPGGSLRLSCAASGFNIGNTYIHWVRQAPGKGLEWIGRIDPAGGRTKYSPKVQGRFTISAPTSKNTAYLQMNSLKTEDTAVYYCTGHRGGTMDYWGQGTLVTVSS;
-配列番号29:EVQLVESGGALVKPGGSLRLSCAASGFNIGNTYIHWVRQAPGKGLEWVGRIDPAGGRTKYAPKVKGRFTISADDSKNTAYLQMNSLKTEDTAVYYCTGHRGGTMDYWGQGTLVTVSS;
-配列番号30:EVQLVESGGALVKPGGSLRLSCAASGFNIGNTYIHWVRQAPGKGLEWIGRIDPAGGRTKYAPKVQGRFTISADTSKNTAYLQMNSLKTEDTAVYYCTGHYGGTMDYWGQGTLVTVSS;
-配列番号31:EVQLVESGGALVKPGGSLRLSCAASGFNIGNTYIHWVRQAPGKGLEWVGRIDPAGGRTKYAPKVKGRFTISADDSKNTLYLQMNSLKTEDTAVYYCTGHRGGTMDYWGQGTLVTVSS;
-配列番号32:EVQLVESGGALVKPGGSLRLSCAASGFNIKNTYIHWVRQAPGKGLEWIGRIDPANGNTKYAPKVQGRFTISADTSKNTAYLQMNSLKTEDTAVYYCTGHYGSTMDYWGQGTLVTVSS;
-配列番号33:EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASESVDNYGISFLNWYQQKPGQAPRLLIYAAEYRGRGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQSRHVPYTFGQGTKVEIK;
-配列番号34:EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSNYGISFLNWYQQKPGQAPRLLIYAASYQKRGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQSSNFPWTFGQGTKVEIK;
-配列番号35:EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSNYGISFLNWYQQKPGQAPRLLIYAAEYRGRGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQSSNVPYTFGQGTKVEIK;
-配列番号36:EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSNYGISFLNWYQQKPGQAPRLLIYAAEYQGRGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQSSNVPYTFGQGTKLEIK;
-配列番号37:EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSNYGISFLNWYQQKPGQAPRLLIYAAEYRARGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQSSNVPYTFGQGTKVEIK;
-配列番号38:EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASESVDNYGISFMNWFQQKPGQAPRLLIYAASNQGSGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYFCQQSKEVPWTFGQGTKVEIK;
-配列番号39:RIDPAX1GX2TKYX3PKFX4G、ここで、XはN又はGであり、XはN又はRであり、XはA、D、又はSであり、XはQ又はKである;
-配列番号40:RIDPANGNTKYAPKFQG;
-配列番号41:AVQLQQSVAALVRPGASVKLSCTASGFNIKNTYIHWVKQRPEQGLEWIGRIDPANGNTKYAPKFQGKATITADTSSDTAYLQLSSLTSDDTAIYYCTGHYGSTMDYWGQGTSVTVSS;
-配列番号42:EIVLTQSPASLAVSLGQRATISCRASESVDNYGISFMNWFQQKPGQTPKLLIYAASNQGSGVPARFSGSGSGTDFSLNIHPMEDDDTAMYFCQQSKEVPWTFGGGTKLEIK;
-配列番号43:MRKTRLWGLLWMLFVSELRAATKLTEEKYELKEGQTLDVKCDYTLEKFASSQKAWQIIRDGEMPKTLACTERPSKNSHPVQVGRIILEDYHDHGLLRVRMVNLQVEDSGLYQCVIYQPPKEPHMLFDRIRLVVTKGFSGTPGSNENSTQNVYKIPPTTTKALCPLYTSPRTVTQAPPKSTADVSTPDSEINLTNVTDIIRVPVFNIVILLAGGFLSKSLVFSVLFAVTLRSFVP;
-配列番号44:MRKTRLWGLLWMLFVSELRAATKLTEEKYELKEGQTLDVKCDYTLEKFASSQKAWQIIRDGEMPKTLACTERPSKNSHPVQVGRIILEDYHDHGLLRVRMVNLQVEDSGLYQCVIYQPPKEPHMLFDRIRLVVTKGFRCSTLSFSWLVDS;
-配列番号45:MRKTRLWGLLWMLFVSELRAATKLTEEKYELKEGQTLDVKCDYTLEKFASSQKAWQIIRDGEMPKTLACTERPSKNSHPVQVGRIILEDYHDHGLLRVRMVNLQVEDSGLYQCVIYQPPKEPHMLFDRIRLVVTKGFSGTPGSNENSTQNVYKIPPTTTKALCPLYTSPRTVTQAPPKSTADVSTPDSEINLTNVTDIIRYSFQVPGPLVWTLSPLFPSLCAERM;
-配列番号46:MRKTRLWGLLWMLFVSELRAATKLTEEKYELKEGQTLDVKCDYTLEKFASSQKAWQIIRDGEMPKTLACTERPSKNSHPVQVGRIILEDYHDHGLLRVRMVNLQVEDSGLYQCVIYQPPKEPHMLFDRIRLVVTKGFSGTPGSNENSTQNVYKIPPTTTKALCPLYTSPRTVTQAPPKSTADVSTPDSEINLTNVTDIIREKSMTFGIRRLDVESHPLPPLHTGHFRISQFFSQAGTQSLHSCYKGKPTP;
-配列番号47:GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGAGGCGCTCTCGTGAAGCCTGGCGGCTCTCTCAGACTCTCTTGCGCTGCCTCCGGCTTCAACATCGACAACACCTACATCCACTGGGTGCGGCAGGCTCCTGGAAAGGGACTCGAGTGGATCGGAAGAATCGACCCTGCTGGAGGGAGAACCAAGTACGACCCCAAGGTCAAGGGGCGGTTCACCATCTCTGCCGACACCTCCAAGAACACCGCCTACCTGCAGATGAACAGCCTCAAGACCGAGGACACCGCTGTCTACTACTGCACCGGGCACTACGGAGGGACAATGGATTACTGGGGACAGGGGACACTCGTCACCGTCTCTAGC;
-配列番号48:GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGAGGCGCTCTCGTGAAGCCTGGCGGCTCTCTCAGACTCTCTTGCGCTGCCTCCGGCTTCAACATCGGAAACACCTACATCCACTGGGTGCGGCAGGCTCCTGGAAAGGGACTCGAGTGGATCGGAAGAATCGACCCTGCTGGAGGGAGAACCAAGTACTCCCCAAAGGTCCAGGGGCGGTTCACCATCTCTGCCCCTACCTCCAAGAACACCGCCTACCTGCAGATGAACAGCCTCAAGACCGAGGACACCGCTGTCTACTACTGTACCGGGCACAGGGGAGGGACAATGGATTACTGGGGACAGGGGACACTCGTCACCGTCTCTAGC;
-配列番号49:GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGAGGCGCTCTGGTGAAGCCTGGCGGCTCTCTGAGACTGTCTTGCGCTGCCTCCGGCTTCAACATCGGCAACACCTACATCCACTGGGTGCGGCAGGCTCCTGGAAAGGGACTGGAGTGGGTGGGCAGAATCGATCCTGCTGGCGGAAGAACCAAGTACGCCCCAAAGGTGAAGGGACGGTTCACCATCTCTGCCGACGACTCCAAGAACACCGCCTACCTCCAGATGAACTCCCTCAAGACCGAGGACACCGCTGTGTACTACTGTACCGGACACCGGGGAGGGACAATGGATTACTGGGGACAGGGGACACTCGTGACCGTGTCTTCC;
-配列番号50:GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGAGGCGCTCTGGTGAAGCCTGGCGGCTCTCTGAGACTGTCTTGCGCTGCCTCCGGCTTCAACATCGGCAACACCTACATCCACTGGGTGCGGCAGGCTCCTGGAAAGGGACTGGAGTGGATCGGCAGAATCGACCCTGCTGGCGGAAGAACCAAGTACGCCCCAAAGGTGCAGGGACGGTTCACCATCTCTGCCGACACCTCCAAGAACACCGCCTACCTCCAGATGAACTCCCTCAAGACCGAGGACACCGCCGTGTACTACTGCACCGGACACTACGGAGGGACAATGGATTACTGGGGACAGGGGACACTCGTGACCGTGTCTTCC;
-配列番号51:GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGAGGCGCTCTGGTGAAGCCTGGCGGCTCTCTCAGACTCTCTTGCGCTGCCTCCGGCTTCAACATCGGAAACACCTACATCCACTGGGTGCGGCAGGCTCCTGGAAAGGGACTCGAGTGGGTCGGAAGAATCGATCCTGCTGGAGGGAGAACCAAGTACGCCCCAAAGGTCAAGGGGCGGTTCACCATCTCTGCCGACGACTCCAAGAACACCCTGTACCTCCAGATGAACAGCCTCAAGACCGAGGACACCGCTGTCTACTACTGTACCGGGCACAGGGGAGGGACAATGGATTACTGGGGACAGGGGACACTCGTCACCGTCTCTAGC;
-配列番号52:GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGAGGCGCTCTGGTGAAGCCTGGCGGCTCTCTGAGACTGTCTTGCGCTGCCTCCGGCTTCAACATCAAGAACACCTACATCCACTGGGTGCGGCAGGCTCCTGGAAAGGGACTGGAGTGGATCGGCCGGATCGACCCTGCTAACGGCAACACCAAGTACGCCCCAAAGGTGCAGGGACGGTTCACCATCTCTGCCGACACCTCCAAGAACACCGCCTACCTCCAGATGAACTCCCTCAAGACCGAGGACACCGCCGTGTACTACTGCACCGGACACTACGGATCCACCATGGACTACTGGGGACAGGGGACACTCGTGACCGTGTCTTCC;
-配列番号53:GAGATCGTCCTGACCCAGTCTCCTGCCACCCTGTCTCTCTCTCCCGGCGAAAGAGCCACCCTCTCTTGCAGAGCCTCCGAGTCCGTGGACAACTACGGCATCTCCTTCCTCAACTGGTACCAACAGAAGCCTGGACAGGCCCCTAGGCTCCTCATCTACGCTGCTGAGTACAGGGGAAGGGGAATCCCCGCTAGGTTCTCTGGGAGTGGGTCTGGGACCGACTTCACCCTCACCATCTCCTCCCTCGAGCCCGAGGACTTCGCTGTGTACTACTGCCAGCAGTCCCGGCACGTGCCTTACACCTTCGGGCAGGGGACCAAGGTGGAGATCAAG;
-配列番号54:GAGATCGTCCTGACCCAGTCTCCTGCCACCCTGTCTCTGTCTCCCGGCGAGAGAGCCACCCTGTCTTGCAGAGCCTCCCAGTCCGTGTCCAACTACGGCATCTCCTTCCTGAACTGGTACCAACAGAAGCCTGGCCAGGCCCCTAGACTCCTCATCTACGCCGCCTCTTACCAGAAGCGGGGCATCCCCGCCAGATTCTCTGGATCTGGATCTGGAACCGACTTCACCCTCACCATCTCCTCCCTCGAGCCCGAGGACTTCGCAGTGTACTACTGCCAGCAGTCCTCCAACTTCCCCTGGACCTTCGGACAGGGGACCAAGGTGGAGATCAAG;
-配列番号55:GAGATCGTCCTGACCCAGTCTCCTGCCACCCTGTCTCTGTCTCCCGGCGAGAGAGCCACCCTGTCTTGCAGAGCCTCCCAGTCCGTGTCCAACTACGGCATCTCCTTCCTGAACTGGTACCAACAGAAGCCTGGCCAGGCCCCTAGACTCCTCATCTACGCCGCCGAGTACAGAGGCAGAGGCATCCCCGCCAGATTCTCTGGATCTGGATCTGGAACCGACTTCACCCTCACCATCTCCTCCCTCGAGCCCGAGGACTTCGCAGTGTACTACTGCCAGCAGTCCTCCAACGTGCCCTACACCTTCGGCCAGGGGACCAAGGTGGAGATCAAG;
-配列番号56:GAGATCGTCCTGACCCAGTCTCCTGCCACCCTGTCTCTGTCTCCCGGCGAGAGAGCCACCCTGTCTTGCAGAGCCTCCCAGTCCGTGTCCAACTACGGCATCTCCTTCCTGAACTGGTACCAACAGAAGCCTGGCCAGGCCCCTAGACTGCTCATCTACGCCGCCGAGTACCAGGGCAGAGGCATCCCTGCCAGATTCTCTGGATCTGGATCTGGAACCGACTTCACCCTCACCATCTCCTCCCTCGAGCCCGAGGACTTCGCAGTGTACTACTGCCAGCAGTCCTCCAACGTGCCCTACACCTTCGGCCAGGGGACCAAGCTCGAGATCAAG;
-配列番号57:GAGATCGTCCTGACCCAGTCTCCTGCCACCCTGTCTCTCTCTCCCGGCGAAAGAGCCACCCTCTCTTGCAGAGCCTCCCAGTCCGTGTCCAACTACGGAATCTCCTTCCTCAACTGGTACCAACAGAAGCCTGGACAGGCCCCTAGGCTCCTCATCTACGCAGCTGAGTACAGGGCTAGGGGAATCCCCGCTAGGTTCTCTGGATCTGGGAGTGGGACCGACTTCACCCTCACCATCTCCTCCCTGGAGCCCGAGGACTTCGCTGTGTACTACTGCCAGCAGTCCTCCAACGTGCCTTACACCTTCGGGCAGGGGACCAAGGTGGAGATCAAG;
-配列番号58:GAGATCGTCCTGACCCAGTCTCCTGCCACCCTGTCTCTGTCTCCCGGCGAGAGAGCCACCCTGTCTTGCAGAGCCTCCGAGTCCGTGGACAACTACGGCATCTCCTTCATGAACTGGTTCCAACAGAAGCCTGGCCAGGCCCCTAGACTGCTCATCTACGCCGCCTCTAACCAGGGCTCTGGCATCCCCGCCAGATTCTCTGGATCTGGATCTGGAACCGACTTCACCCTCACCATCTCCTCCCTCGAGCCCGAGGACTTCGCAGTGTACTTCTGCCAGCAGTCCAAGGAGGTCCCTTGGACCTTTGGGCAGGGGACCAAGGTGGAGATCAAG;
-配列番号59:DAHKSEVAHRFKDLGEENFKALVLIAFAQYLQQCPFEDHVKLVNEVTEFAKTCVADESAENCDKSLHTLFGDKLCTVATLRETYGEMADCCAKQEPERNECFLQHKDDNPNLPRLVRPEVDVMCTAFHDNEETFLKKYLYEIARRHPYFYAPELLFFAKRYKAAFTECCQAADKAACLLPKLDELRDEGKASSAKQRLKCASLQKFGERAFKAWAVARLSQRFPKAEFAEVSKLVTDLTKVHTECCHGDLLECADDRADLAKYICENQDSISSKLKECCEKPLLEKSHCIAEVENDEMPADLPSLAADFVESKDVCKNYAEAKDVFLGMFLYEYARRHPDYSVVLLLRLAKTYETTLEKCCAAADPHECYAKVFDEFKPLVEEPQNLIKQNCELFEQLGEYKFQNALLVRYTKKVPQVSTPTLVEVSRNLGKVGSKCCKHPEAKRMPCAEDYLSVVLNQLCVLHEKTPVSDRVTKCCTESLVNRRPCFSALEVDETYVPKEFNAETFTFHADICTLSEKERQIKKQTALVELVKHKPKATKEQLKAVMDDFAAFVEKCCKADDKETCFAEEGKKLVAASQAALGL;
-配列番号60:DAHKSEVAHRFKDLGEENFKALVLIAFAQYLQQSPFEDHVKLVNEVTEFAKTCVADESAENCDKSLHTLFGDKLCTVATLRETYGEMADCCAKQEPERNECFLQHKDDNPNLPRLVRPEVDVMCTAFHDNEETFLKKYLYEIARRHPYFYAPELLFFAKRYKAAFTECCQAADKAACLLPKLDELRDEGKASSAKQRLKCASLQKFGERAFKAWAVARLSQRFPKAEFAEVSKLVTDLTKVHTECCHGDLLECADDRADLAKYICENQDSISSKLKECCEKPLLEKSHCIAEVENDEMPADLPSLAADFVESKDVCKNYAEAKDVFLGMFLYEYARRHPDYSVVLLLRLAKTYETTLEKCCAAADPHECYAKVFDEFKPLVEEPQNLIKQNCELFEQLGEYKFQNALLVRYTKKVPQVSTPTLVEVSRNLGKVGSKCCKHPEAKRMPCAEDYLSVVLNQLCVLHEKTPVSDRVTKCCTESLVNRRPCFSALEVDETYVPKEFNAETFTFHADICTLSEKERQIKKQTALVELVKHKPKATKEQLKAVMDDFAAFVEKCCKADDKETCFAEEGKKLVAASQAALGL;
-配列番号61:LQEEDAGEYGCM。
【図面の簡単な説明】
【0276】
図1図1は、好中球の細胞内活性酸素種(ROS)生成に対する抗TREM-1抗体(INO-10 hIgG1)又はFab(INO-10 Fab)の効果を示すヒストグラムである。ヒト初代好中球を、非刺激状態(resting conditions)(NS)で2時間インキュベートするか、指示濃度のINO-10 IgG1又はINO-10 Fabの存在下又は不在下で、LPS(100ng/mL)で刺激した。パラメトリックt検定によって決定される、LPS単独に対するp<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
図2図2は、U937細胞上の及びTREM-1の上方制御を誘導するためにビタミンD3で前処理したU937細胞(U937-vitD3)上のTREM-1の発現(フローサイトメトリーによって評価した)を示すグラフである。
図3図3は、TREM-1の上方制御を誘導するためにビタミンD3で前処理したU937細胞上の抗TREM-1 Fab INO-10F及び陰性対照INO-10F-0(0.01~10μg/mL)の結合(フローサイトメトリーによって評価した)を示すグラフである。
図4図4A~Cは、ビタミンD3で前処理したU937細胞(U937-vitD3)によるサイトカイン(IL-6、IL-10及びIL-1β)の生成に対する抗TREM-1 Fab INO-10Fの効果を示す一組のグラフである。上清中のIL-6(図4A)、IL-10(図4B)及びIL-1β(図4C)の濃度を、INO-10F又は対照(Ctrl)(INO-10F-0-Ctrl)の存在下で、非刺激状態(resting conditions)又はPP活性化状態(ペプチドグリカンと複合体化したPGLYRP1に対応するPP複合体での刺激)でのU937-vitD3細胞の24時間刺激後に測定した。パラメトリックt検定によって決定される、PP単独に対するp<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
図5図5A~Cは、TREM-1の上方制御を誘導するためにTHP-1細胞及びビタミンD3で前処理したTHP-1細胞上のTREM-1発現(図5A)、CD14発現(図5B)及びTLR4発現(図5C)を示す一組のグラフである。TREM-1、CD14及びTLR4の発現を、フローサイトメトリーにより評価し、アイソタイプ対照と比較した。
図6図6は、THP-1細胞及びビタミンD3で前処理したTHP-1細胞(THP-1-vitD3)上の抗TREM-1 Fab INO-10F(0.01~10μg/mL)の結合(フローサイトメトリーによって評価した)を示すグラフである。
図7図7A~Bは、THP-1ブルー細胞及びTHP-1-vitD3ブルー細胞(すなわち、TREM-1の上方制御を誘導するためにビタミンD3で前処理したTHP-1ブルー細胞)中のNF-κBの活性化に対する抗TREM-1 Fab INO-10Fの効果を示す。図7Aは、非刺激状態(resting conditions)で指示濃度(0.1~10μg/mL)のINO-10Fの存在下(非刺激(resting)+INO-10F)で6時間、又は指示濃度(0.1~10μg/mL)のINO-10F及びLPS(LPS+INO-10F)の存在下で6時間のいずれかで、SEAP(650nmで測定)の活性を測定することによって評価した、THP-1ブルー細胞及びTHP-1-vitD3ブルー細胞中のNF-κBの活性化を示すヒストグラムである。メトリックt検定によって決定される、LPS単独に対するp<0.05、**p<0.01。図7Bは、指示濃度(0.1~10μg/mL)のINO-10Fの存在下での、LPSプライミング(100ng/mL)時のNF-κB活性化の動態を示すグラフである。二元配置ANOVA検定によって決定される、LPS単独に対するp<0.05、**p<0.01。
図8図8は、TREM-1の上方制御を誘導するためにビタミンD3で前処理したTHP-1細胞(THP-1-vitD3)によるIL-8の生成に対する抗TREM-1 Fab INO-10Fの効果を示すヒストグラムである。上清中のIL-8濃度を、指示濃度(0、0.1又は10μg/mL)のINO-10Fの存在下で、LPS又は刺激なし(NS)でTHP-1-vitD3細胞の24時間刺激後に評価した。パラメトリックt検定によって決定される、LPS単独に対するp<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
図9図9は、示された時間での好中球上のTREM-1発現(フローサイトメトリーによって評価した)を示すグラフである。ヒト初代好中球を、非刺激状態で培養して、LPSで3時間刺激するか、又はLPSで24時間刺激した。TREM-1の発現を、アイソタイプ対照と比較する。
図10図10は、異なる濃度(0.000001~10μg/mL)での新たに単離したヒト初代好中球に対するINO-10F(フローサイトメトリーによって評価した)の結合を示すグラフである。
図11図11は、LPSと共に(黒い四角)又は非刺激状態(灰色の円)でのいずれかで、指示濃度(10-11~10μg/mL)のINO-10Fの存在下で2時間インキュベートした際のヒト初代好中球による活性酸素種(ROS)放出を示すグラフである。
図12図12A~Bは、好中球による活性酸素種(ROS)放出に対する抗TREM-1 Fab INO-10Fの効果を示す。図12Aは、非刺激状態(NS)で、又はペプチドグリカン(PP)と複合体化されたPGLYRP1に対応するPP複合体で刺激してのいずれかで、指示濃度(0~10μg/mL)のINO-10Fと2時間インキュベートした際の、ヒト初代好中球によるROS放出を示すヒストグラムである。図12Bは、ヒト初代好中球上の指示濃度(0~10μg/mL)でのINO-10Fの結合率(黒丸)及び指示濃度(0~10μg/mL)のINO-10Fの存在下のPP刺激後のヒト初代好中球によるROS放出率(灰色の四角)を示すグラフである。
図13図13は、好中球によるIL-6の生成に対する抗TREM-1 Fab INO-10Fの効果を示すグラフである。好中球上清中のIL-6の濃度を、LPSと共に又は非刺激状態のいずれかで、指示濃度(0、0.1、又は10μg/mL)のINO-10Fでの6時間及び24時間の刺激後に評価した。
図14図14A~Eは、24時間の全血刺激アッセイ後のサイトカイン血漿濃度に対する抗TREM-1 Fab INO-10Fの効果を示す一組のヒストグラムである。INO-10Fを、非刺激状態(NS)で又はLPSと共にのいずれかで、指示濃度(0~10μg/mL)で添加した。陽性対照として、既知のTREM-1阻害剤(ペプチドLR12)による刺激を、LPSと共に実施した。24時間後に、次のサイトカインの発現を評価した:IL-1β(図14A)、IL-10(図14B)、TNFα(図14C)、IL-6(図14D)、及びIL-8(図14E)。パラメトリックt検定によって決定される、LPS単独に対するp<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
図15図15は、24時間の全血刺激アッセイ後のIL-8血漿濃度を示す箱ひげ図である。INO-10Fを、14人の健康なボランティアの全血に、安静状態(NS)で又はLPSと共にのいずれかで指示濃度(0~10μg/mL)で添加した。陽性対照として、既知のTREM-1阻害剤(ペプチドLR12)による刺激を、LPSと共に実施した。24時間後に、IL-8の血漿濃度を評価した。対応のあるノンパラメトリックt検定によって決定される、LPS単独に対するp<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
図16図16A~Gは、LPSにより誘導されるエンドトキシン血症に罹患しているトランスジェニックBRGSF-his(ヒト化免疫系)マウスにおけるヒトサイトカインの血漿濃度に対する抗TREM-1 Fab INO-10F及びHSA-INO-10Fの効果を示す一組の箱ひげ図である。BRGSF-hisマウスに、腹腔内注射でPBS(対照(control (CTRL)))又はLPSのいずれかを投与した。LPSを受けたBRGSF-hisマウスは最初に、ビヒクル(LPS)、INO-10F(LPS+10F-10μg/mL)、又はHSAとINO-10Fの融合タンパク質(LPS+HSA-10F-10μg/mL)のいずれかからなる、腹腔内注射による事前処置(LPSの30分前)を受けた。血液試料を、LPS注射の8時間後に採種し、次のヒトサイトカイン/ケモカインの血漿濃度を評価した:CCL2(図16A)、IL-1β(図16B)、IL-10(図16C)、IL-6(図16D)、及びIL-8(図16E)、IP-10(図16F)、並びにTNFα(図16G)。LPS単独に対する示された条件間のp値を、ノンパラメトリックt検定に従って計算した。
図17図17A~Bは、U937細胞(図17A)及びU937-vitD3細胞、すなわち、TREM-1の上方制御を誘導するためにビタミンD3で前処理したU937細胞上の抗TREM-1 Fab INO-10F及び抗TREM-1 Fab変異体INO-10F-0(F0)、INO-10F-1(F1)、INO-10F-2(F2)、INO-10F-3(F3)、INO-10F-4(F4)、INO-10F-5(F5)、及びINO-10F-6(F6)の結合(フローサイトメトリーによって評価した)を示す一組のグラフである((図17B)。
図18図18は、ビタミンD3で前処理したU937細胞によるIL-6生成に対する抗TREM-1 Fab変異体INO-10F-0(F0)、INO-10F-1(F1)、INO-10F-2(F2)、INO-10F-3(F3)、INO-10F-4(F4)、INO-10F-5(F5)、及びINO-10F-6(F6)の効果を示すヒストグラムである。IL-6の濃度を、指示濃度(0~10μg/mL)の抗TREM-1 Fab変異体の存在下で、非刺激状態(NS)又はPP活性化状態(ペプチドグリカンと複合体化されたPGLYRP1に対応するPP複合体による刺激)での、U937-vitD3細胞の24時間刺激後の上清中で決定した。陽性対照として、既知のTREM-1阻害剤(ペプチドLR12)による刺激を、PP活性化状態(LR12)で実施した。PP単独に対するp<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.001。
図19図19は、新たに単離した初代好中球に対する、指示濃度(0.001~10μg/mL)の抗TREM-1 Fab変異体INO-10F-3(F3)及びINO-10F-O(F0)の結合(フローサイトメトリーによって評価した)を比較するグラフである。
図20図20は、ヒト初代好中球によるIL-8の生成に対する抗TREM-1 Fab変異体INO-10F-0(F0)、INO-10F-1(F1)、INO-10F-2(F2)、INO-10F-3(F3)、INO-10F-4(F4)、INO-10F-5(F5)、及びINO-10F-6(F6)の効果を示すヒストグラムである。IL-8の濃度を、指示濃度(0~10μg/mL)の抗TREM-1 Fab変異体の存在下で、非刺激状態(NS)又はLPS活性化状態での好中球の24時間刺激後の上清中で決定した。陽性対照として、既知のTREM-1阻害剤(ペプチドLR12)での刺激を、LPS活性化状態(LR12)で実施した。LPS単独に対するp<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.001。
図21図21A~Hは、好中球の細胞内活性酸素種(ROS)生成に対する抗TREM-1 Fab INO-10F及び抗TREM-1 Fab変異体の効果を示す一組のグラフである。ヒト初代好中球を、指示濃度(0.001~10μg/mL)のINO-10 Fab(図21A)又は抗TREM-1 Fab変異体INO-10F-0又はF0(図21B)、INO-10F-1又はF1(図21C)、INO-10F-2又はF2(図21D)、INO-10F-3又はF3(図21E)、INO-10F-4又はF4(図21F)、INO-10F-5又はF5(図21G)、及びINO-10F-6又はF6(図21H)の存在下で、LPS(100ng/mL)で2時間刺激した。
図22図22A~Cは、好中球の細胞内活性酸素種(ROS)生成に対する抗TREM-1 Fab変異体(HSA又はF3-HSAと結合したINO-10F-3)の効果を示す一組のグラフである。ヒト初代好中球を、指示濃度(0.02~20μg/mL)のF3-HSAの存在下で、LPS(100ng/mL)(図22A)又はPGN(10μg/mL)に対応するペプチドグリカンと複合体化されたPGLYRP1(5μg/mL)に対応するPP複合体(PP)(図22B)又はペプチドグリカン(PGN-10μg/mL)(図22C)のみで2時間刺激した。パラメトリックANOVA検定によって決定される、LPS単独(図22A)、PP単独(図22B)又はPGN単独(図22C)に対するp<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
図23図23A~Bは、5人の健康なドナーからの赤血球の溶解後の24時間の全血刺激アッセイ後のサイトカイン血漿濃度に対する抗TREM-1 Fab変異体(HSA又はF3-HSAと結合したINO-10F-3)の効果を示す一組の箱ひげ図である。F3-HSA又はアイソタイプ対照(CTLR)を、非刺激状態(NS)又はPGN(10μg/mL)に対応するペプチドグリカンと複合体化されたPGLYRP1(5μg/mL)に対応するPP複合体(PP)又はペプチドグリカン(PGN-10μg/mL)単独のいずれかで、指示濃度(0~20μg/mL)で添加した。24時間後に、次のサイトカインの発現を評価した:IL-8(図23A)及びTNFα(図23B)。ノンパラメトリックt検定によって決定されるPP単独又はPGN単独に対するp<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
図24図24A~Cは、赤血球溶解後の24時間のカニクイザル全血刺激アッセイ後のサイトカイン血漿濃度に対する抗TREM-1Fab変異体(HSA又はF3-HSAと結合したINO-10F-3)の効果を示す一組のヒストグラムである。F3-HSA又はアイソタイプ対照(CTRL)を、PGN(10μg/mL)に対応するペプチドグリカンと複合体化されたPGLYRP1(5μg/mL)に対応するPP複合体(PP)又はペプチドグリカン(PGN-20μg/mL)単独のいずれかで、指示濃度(0~20μg/mL)で添加した。24時間後に、次のサイトカインの発現を評価した:IL-8(図24A)、TNFα(図24B)及びIL-6(図24C)。ノンパラメトリックt検定によって決定される、PGN単独に対するp<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
【実施例
【0277】
本発明を以下の実施例によりさらに説明する。
【0278】
実施例:
材料及び方法
抗hTREM-1抗体/Fab断片の生成
新規抗ヒトTREM-1(抗hTREM1)マウス抗体を、組換えhTREM-1タンパク質でマウスを免疫することによって取得した。抗hTREM-1マウス抗体及びFab断片の配列を、ハイブリドーマのシーケンシング及び配列解析(Diaclone,France)によって取得した。組換えキメラ抗hTREM-1抗体(ヒトIgG1又はhIgG1)及びFab断片を次いで、生成した。可変領域由来の配列を、pQMCF-1.2発現ベクターにサブクローニングし、コード領域を、シーケンシングにより検証した。CHOEBNALT85 1E9細胞(Icosagen)を次に、R007トランスフェクション試薬(Icosagen)を使用して96時間CHO TF培地(Xell AG)中にてpQMCF-1.2発現ベクターでトランスフェクトした。トランスフェクションを、PCRにより検証した。発現を、クマシー染色により確認し、分泌を、生産性を推定するためにエンドポイントクマシー染色で確認した。次いで精製工程を、hIgG1についてHiTrap MabSelect SuRe、又はFab断片についてHisTrap Excel(いずれもGE Healthcare)によるキャプチャーを使用して行った。最後に、ゲル濾過を、Superdex 200 Increase10/300GL(GE Healthcare)で行い、回収したタンパク質を、0.22μm(Ultra Capsule GF,Merck Millipore)でろ過した。プロセスの最後に、キメラhIgG1又はFab断片は、次の許容基準を満たす必要がある:濃度1mg/mL、純度90%超、及びタンパク質1mgあたり0.1EU未満のエンドトキシンレベル。精製したhIgG1及びFab断片を、次の緩衝液:ヒスチジン-Tween緩衝液[20mMのヒスチジン、150mMのNaCl、0.02%Tween80、pH6.0]中で保存した。
【0279】
細胞の単離、培養及び刺激
U937細胞:ヒト骨髄単球細胞株U937(Culture Collections,Public Health England N°85011440)の細胞を、GlutaMAXを含みかつ10%ウシ胎児血清すなわちFCS(Thermo Fisher Scientific)、25mMのHEPES、100U/mLのペニシリン及びストレプトマイシン(全てThermo Fisher Scientific)を補充したRPMI 1640培地中で培養した。いくつかの実験では、示される場合、U937細胞を、TREM-1の上方制御を誘導するために、100nMのビタミンD3又はvitD3とも呼ばれる1,25-ジヒドロキシビタミンD3(Sigma-Aldrich,USA)を補充した同じ条件で培養した。
【0280】
THP-1ブルー細胞:ヒトTHP1-ブルー細胞株は、NF-κB誘導性SEAP(分泌型胚性アルカリホスファターゼ)レポーターコンストラクト(InvivoGen,France)の安定なトランスフェクションによるヒトTHP-1単球細胞株に由来する。実際に、これらの細胞は、NF-κB転写因子の活性化を報告している。THP1ブルー細胞を、10%の熱不活化FBS(ウシ胎児血清)、2mMのL-グルタミン、25mMのHEPES、100μg/mLのノルモシン、及び100U/mLのペニシリンとストレプトマイシンを補充したRPMI 1640培地中で培養した。いくつかの実験では、示される場合、THP1ブルー細胞を、TREM-1の上方制御を誘導するために、100nMの1,25-ジヒドロキシビタミンD3(vitD3)を補充した同じ条件で培養した。
【0281】
U937細胞、THP1細胞、又はヒト初代好中球におけるTREM-1、TLR4、及びCD14の発現を、フローサイトメトリーによって評価した。細胞を、抗TREM1-APC、抗CD14-PE、又は抗TLR4-FITC抗体、又は対応するアイソタイプ対照(Miltenyi-Biotec,Germany)と共に暗所で、4℃で10分間インキュベートし、次いで洗浄し、データを、フローサイトメトリー(C6 Accuri、BD、USA)によって収集した。フローサイトメトリーのデータを、FlowJoソフトウェア(TreeStar、USA)を使用して解析した。
【0282】
初代細胞:初代ヒト好中球を、製造業者の指示に従い、EasySep(商標)ヒト単球/好中球単離キット(StemCell,Canada)を用いる免疫磁気陰性細胞選別により、健康なドナーの末梢血から単離した。純度を、フローサイトメトリーによって評価した。細胞を、刺激の前に、GlutaMAXを含み、10%FCS、25mMのHEPES、100U/mLのペニシリン及びストレプトマイシン(全てThermo Fisher Scientific)を補充したRPMI 1640培地中に懸濁した。ヒト初代好中球を、指定した時間と濃度で、抗TREM-1モジュレーター(hIgG1又はFab)と共に又はなしで、非刺激状態(resting conditions)(刺激のない状態(non-stimulating conditions)もしくはNSとも呼ばれる)で、又は大腸菌血清型0127:B8(Sigma-Aldrich)由来の100ng/mLのLPSと、又はPPxとも呼ばれるPP複合体(それぞれInvivogen,France及びBiotechne、UK社製の、10μg/mLのペプチドグリカンと複合体化された5μg/mLのPGLYRP1(ペプチドグリカン認識タンパク質1)に対応する)と、又はペプチドグリカン(PGN)単独(10μg/mL)とインキュベートした。示される場合、好中球を、100μg/mLの臨床段階のTREM-1阻害ペプチドLR12(配列番号61-LQEEDAGEYGCMに記載のアミノ酸を有するTLT-1ペプチド)とインキュベートした。
【0283】
ヒト及びカニクイザルTREM-1への結合
細胞:U937細胞又は初代好中球を、300gで5分間遠心分離し、ペレットを、1×10細胞/mLへと再懸濁した。試験される分子(hIgG1又はFab)を、FACS緩衝液(1×PBS、0.5%のBSA、2.5mMのEDTA)中にて異なる濃度(0.0001~20μg/mL)で希釈した。細胞を、試験される分子(hIgG1又はFab)の存在下で4℃にて30分間インキュベートし、次いで、300gで5分間遠心分離した。上清を除去し、1×PBS洗浄を、行った。細胞を、再度洗浄し、300gで5分間遠心分離し、ペレットを、FACS緩衝液中に回収した。次いで、二次抗体(1:200、アロフィコシアニン(APC)AffiniPure F(ab’)断片ヤギ抗ヒトIgG(H+L)(Jackson ImmunoResearch,USA)を、細胞懸濁液に添加した。4℃で30分間のインキュベーションの後、細胞を、1×PBSで洗浄し、300gで5分間遠心分離した。最後に、細胞を、FACS緩衝液中に再懸濁し、試験された分子(hIgG1又はFab)の細胞への結合を定量化するためにフローサイトメトリー(C6 Accuri,BD,USA)によって分析した。最後に、フローサイトメトリーデータを、FlowJoソフトウェアを使用して解析した。
【0284】
表面プラズモン共鳴(SPR):hTREM-1(ヒトTREM-1)及びcTREM-1(カニクイザルTREM-1)に対するTREM-1抗体又はFabの相互作用動態を評価するために、表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイを、実施した(BiacoreTM T200,GE Healthcare Biosciences)。抗ヒトFc抗体(Cytiva)を、IgG1親和性を評価するためにCM5センサーチップに固定化し、Fabを、チップ上に直接固定化した。固定化実験を、HBS-EP+1Xランニング緩衝液(10mMのHEPES、150mMのNaCl、3mMのEDTA、0.05%界面活性剤P20、pH7.4)を使用して25℃で行った。抗ヒトFc抗体又はFabを、センサーチップのデキストランマトリックス上のアミンカップリングを使用する固定化手順を行う前に、酸性pHの10mM酢酸ナトリウム中で希釈した。表面を、100mMの1-エチル-3-[3-ジメチルアミノプロピル]カルボジミド塩酸塩又はEDC及び400mMのN-ヒドロキシスルホスクシンイミド又はNHS(EDC/NHS)(Liu Y,Wilson WD.Methods Mol Biol.2010;613:1-23)の溶液を使用して活性化した。これらの注入後に、エタノールアミンを注入して、表面を不活性化した。固定化ウィザードを使用して、数千の固定化RU(共振ユニット)を得た。固定化レベルを、センサーチップの表面を適切に覆うために選択した。予備的な手動実行を、捕捉条件を最適化するために、かつ全てのヒト抗体について同様の捕捉レベルを得るために、実施した。hTREM-1又はcTREM-1タンパク質の結合を、全てのフローセルに検体を注入することによって行った。ヒト及びカニクイザルTREM-1タンパク質を、それぞれ、0.1nM、0.5nM、2.5nM、10nM及び40nM、又は0.5nM、2nM、10nM、40nM及び200nMの濃度でランニング緩衝液(HBS-EP+1X)中に希釈した。濃度を、単一サイクルカイネティクス法を使用して評価した。このアプローチは、漸増濃度の検体の連続注入からなり、サイクルの最後に塩化マグネシウム緩衝液(Cytiva)を使用して1回の再生工程を行う。TREM-1抗体又はFabとhTREM-1又はcTREM-1の結合親和性を、複合体の形成及び解離の速度の測定によって決定される平衡解離定数(K)の決定により定量化した。k(会合速度)とk(解離速度)などの一価複合体の会合と解離に対応する速度定数を、Biacore T200評価ソフトウェア、バージョン3.1(GE Healthcare)を使用して1:1ラングミュアモデルにデータを当てはめることにより取得した。Kは、式K=k/kによるkとkに関する。
【0285】
活性酸素種(ROS)の生成
細胞内ROS生成の定量化を、細胞中のROSの存在の指標として使用されるフルオレセインの化学的還元型である、細胞透過性DCFDA(2',7'-ジクロロフルオレセインジアセテート)(Thermo Fisher Scientific)を使用して評価した。細胞内エステラーゼと酸化による酢酸基の切断時に、非蛍光性のDCFDAは、高蛍光の2',7'-ジクロロフルオレセイン(DCF)に変換される。例えば、ヒト初代好中球を、100ng/mLのLPSと共に又はなしで試験される分子(hIgG1又はFab)、またはPP複合体(それぞれInvivogen,France及びBiotechne、UK社製からの、10μg/mLのペプチドグリカンと複合体化された5μg/mLのPGLYRP1(ペプチドグリカン認識タンパク質1)に対応する)、又はペプチドグリカン(PGN)単独(10μg/mL)の存在下で、5μMのDCFDAと37℃にて5%COで2時間インキュベートした。データを、フローサイトメトリー(C6 Accuri,BD,USA)又は蛍光光度計(Varioskan Lux,ThermoScientific)を使用して取得した。結果を、平均蛍光強度(MFI)又は相対蛍光単位(RFU)として表す。
【0286】
THP-1 Quantiブルーアッセイ:NF-κB細胞株レポーター
QUANTIブルーアッセイ(InvivoGen)は、SEAPの活性を決定するための比色酵素試験である。この試験を、NF-κBによって誘導可能なSEAPレポーター遺伝子を含むTHP1ブルー細胞にて使用する。この試験を使用して、NF-κBの活性化を、SEAPの活性(650nmで測定)を決定することにより評価できる。100nMの1,25-ジヒドロキシビタミンD3(vitD3)とのTHP-1ブルー細胞の48時間培養後に、Quantiブルーアッセイを、実施した。96ウェルマイクロプレート中で、細胞(1×10細胞/ウェル)を、1~10時間37℃、5%COで、指示濃度(0.1-1-10μg/mL)の試験される分子(hIgG1又はFab)及びLPS(0.1μg/mL)の存在下又は不在下でインキュベートした。続いて、細胞を、300gで5分間遠心分離し、上清を、収集した。新しい透明の96ウェルマイクロプレート中で、細胞上清を、Quantiブルー試薬(1:10)と混合し、37℃、5%COで30分間インキュベートした。最後に、光学濃度を、マイクロプレートリーダー(Varioskan Lux、ThermoScientific)を用いて650nmで測定した。
【0287】
全血検査
健康なヒトドナーから得られた全血の刺激アッセイを使用して、炎症性サイトカインレベル(IL-1β、TNFα、IL-6、IL-8、及びIL-10)を、評価した。試験される分子(hIgG1又はFab)を最初に、異なる濃度(0.1-1-10μg/mL又は示されるとおり)に希釈し、LPS(0.1μg/mL、InvivoGen、France)の存在下又は不在下で、又はPP複合体(それぞれInvivogen,France及びBiotechne、UK社製の、10μg/mLのペプチドグリカンと複合体化された5μg/mLのPGLYRP1に対応する)の存在下で、又はPGNとも呼ばれるペプチドグリカン(Invivogen,France)単独と共に12ウェルプレートのウェルに添加した。続いて、全血(塩化アンモニウム(Stemcell、France)による赤血球の溶解後の)を、ウェルに添加し、37℃、5%COで24時間インキュベートした。次いで、試料を、血漿を回収するために、300gで10分間遠心分離し、その中のIL-8レベルを、製造元の指示に従ってQuantikine ELISAヒトIL-8/CXCL8キット(R&D Systems)を使用して、又はElla技術(Protein Simple,UK)、自動イムノアッセイシステムを使用して評価した。試料を、1回のアッセイで5種のサイトカイン(IL-1β、TNFα、IL-6、IL-8、及びIL-10)のレベルを評価するためにシングルプレックス又はマルチプレックスカートリッジ(Protein Simple,UK)に添加した。
【0288】
あるいは、カニクイザル由来の全血を、用いた。健康なカニクイザルドナー(Macaca fascicularis)から得られた全血の刺激アッセイを使用して、炎症性サイトカインレベル(IL-8、TNFα、IL-6)を、評価した。試験される分子(hIgG1又はFab)を最初に、異なる濃度(0.2-2-20μg/mL)に希釈し、PP複合体(又はPPx)(それぞれInvivogen,France及びBiotechne、UK社製の、10μg/mLのペプチドグリカンと複合体化された5μg/mLのPGLYRP1に対応する)の存在下で、又はPGNとも呼ばれるペプチドグリカン(Invivogen,France)単独と共に24ウェルプレートのウェルに添加した。続いて、全血(塩化アンモニウム(Stemcell、France)による赤血球の溶解後の)を、ウェルに添加し、37℃、5%COで24時間インキュベートした。次いで、試料を、血漿を回収するために、300gで10分間遠心分離し、その中のTNFα、IL-6及びIL-8レベルを、Ella技術(Protein Simple,UK)、自動イムノアッセイシステムを使用して評価した。試料を、1回のアッセイで3種のサイトカイン(TNFα、IL-6及びIL-8)のレベルを評価するためにシングルプレックス又はマルチプレックスカートリッジ(Protein Simple,UK)に添加した。
【0289】
U937-VitD3刺激
U937細胞を、48時間100nMの1,25-ジヒドロキシビタミンD3(vitD3)の存在下で、10%FCS、25mMのHEPES、100U/mlのペニシリン及びストレプトマイシンを補充したRPMI 1640 GlutaMAX培地中で培養して、TREM-1の上方制御を誘導した。次いで、細胞を、回収し、24時間37℃、5%COで指示濃度(0.1-1-10μg/mL)の試験される分子(hIgG1又はFab)及びLPS(0.1μg/mL)の存在下又は不在下で播種した(1×10細胞/ウェル)。続いて、細胞を、300gで5分間遠心分離し、上清を、収集した。最後に、上清中の炎症性サイトカインレベル(IL-1β、IL-6及びIL-10)の濃度を、Ella技術(Protein Simple,UK)を使用して評価した。
【0290】
好中球刺激
初代ヒト好中球を、前述のように健康なドナーの血液から単離し、1×10細胞/mLで播種した。次いで、細胞を、24時間37℃、5%COで指示濃度(0.1~10μg/mL)の試験される分子(hIgG1又はFab)及びLPS(0.1μg/mL)の存在下又は不在下でインキュベートした。続いて、細胞を、300gで5分間遠心分離し、上清を、収集した。最後に、上清中のIL-6又はIL-8の濃度を、製造元の指示書に従いQuantikine ELISAヒトIL-6又はIL-8キット(R&D Systems、France)又はElla技術(Protein Simple,UK)を使用して評価した。
【0291】
ヒト化免疫系(his-)マウス
GenOway(France)からのBRGSFマウスは、Rag2-/-Il2rg-/-SirpaNODFlk2+/-遺伝子型を示すBALB/cマウスである。His(humanized immune system)(ヒト化免疫系)マウスを、以下のように作製した:簡単に説明すると、新生児マウス(5日齢以下)に、致死量未満の放射線照射後の肝内注射により臍帯から得られた約1×10個のヒト造血前駆細胞(hHPC)CD34を移植した。骨髄免疫系を増強するために、全てのマウスは、実験前に2日ごとに10μgの組換えヒトhFLT3-L/Fcの腹腔内(i.p.)注射を4回受けた。
【0292】
ヒト実験的エンドトキシン血症
Hisマウスを、LPS負荷に供して、抗TREM-1 INO-10 Fab断片(INO-10F)のインビボ免疫調節効果を評価した。簡単に説明すると、Flt3リガンド(FLT3L)ブーストの翌日に、hisマウスに、PBS、INO-10F、又はHSAとしても知られるヒト血清アルブミンと結合されたINO-10F(INO-10F-HSA)を含む延長された半減期を有する融合タンパク質のいずれかを10mg/kgの腹腔内(i.p.)単回用量で投与し、その30分後に、8mg/kgのLPS(リポ多糖類;大腸菌血清型O127:B8、バッチL3129、Sigma Chemical、St Louis,France)をi.p.注射した。濃度を、マウスの各群で同じ量を注入するように調整した。8時間後、血液試料を、心内穿刺によって採取し、EDTAチューブに収集した。血漿を、全血の遠心分離(300g、10分)により取得し、-80℃で保存した。サイトカイン(CCL-2、IL-1β、IL-10、IL-6、IL-8、IP-10、及びTNFα)の血漿レベルを、Ella技術(Protein Simple,UK)により実行されるシンプルPlexカートリッジを使用して決定した。
【0293】
結果
INO-10-Fはヒト初代好中球におけるTREM-1の活性化を効率的に阻止する
合計51個の抗hTREM-1の固有配列を得、ヒトIgG1キメラ抗体(hIgG1)及び対応するFab断片(又は略してFab)として生成した。これらのコンストラクトを、ヒトTREM-1に結合するそれらの能力についてスクリーニングした。ヒトTREM-1とのそれらの相互作用の検証後に、全てのコンストラクトを、リポ多糖(LPS)による好中球の活性化に続いてヒト初代好中球による活性酸素種(ROS)の放出を減少させるそれらの能力についてスクリーニングした。実際に、LPSとのそれらのインキュベーションによる好中球(それらの表面でTREM-1を発現する)におけるTREM-1の活性化は、好中球によるROS生成を顕著にもたらす。LPSで活性化された好中球によるROS生成を減少させる試験されたコンストラクトの能力はそのため、TREM-1を阻害するそれらの能力を反映する。1つのリード、抗hTREM-1 Fab断片である、いわゆるINO-10Fを、特定した。図1に示すように、INO-10Fは、1μg/mL及び10μg/mLで好中球によるROS放出を有意に減少できた。INO-10Fはそのため、TREM-1の活性化を阻害できた。機能スクリーニングから得られたデータに基づき、INO-10Fを、最良のリード化合物として特定した。
【0294】
フローサイトメトリーによるヒトTREM-1へのINO-10F結合とU937-vitD3細胞におけるTREM-1活性化の阻害
ビタミンD3(1,25-ジヒドロキシビタミンD3)とのU937細胞のインキュベーションは、未処理のU937対照細胞の膜におけるTREM-1発現と比較して、膜でのTREM-1発現の増加と関連付けられた(図2)。フローサイトメトリーを使用して、INO-10FがU937-vitD3細胞(すなわち、ビタミンD3で前処理したU937細胞)において用量依存的にヒトTREM-1に結合し、約0.2μg/mLで50%結合に達することが示された(図3)。予想通り、陰性対照のINO-10F-0は、U937-vitD3細胞上でヒトTREM-1への結合を示さなかった(図3)。興味深いことに、INO-10Fはまた、用量依存的にTREM-1活性化を阻害することが示された。例えば、PGLYRP-1:PGN複合体(又はPP)による炎症反応の誘導を介する、骨髄細胞(それらの表面でTREM-1を発現する)におけるTREM-1の活性化は顕著に、上記細胞によるサイトカイン/ケモカインの発現及び分泌をもたらす。図4に示されるように、U937-vitD3細胞と漸増濃度のINO-10Fのインキュベーションは、PGLYRP-1:PGN複合体(PPx又はPP)でU937-vitD3細胞を24時間刺激することにより誘導されるIL-6としても知られるインターロイキン-6(図4A)、IL-10としても知られるインターロイキン-10(図4B)、及びIL-1βとしても知られるインターロイキン-1β(図4C)の放出の減少と関連付けられた。このアッセイでは、INO-10Fの最大効果は、1~10μg/mLで達成され、50%の阻害は、約0.1μg/mLで達せられた。
【0295】
フローサイトメトリーによるヒトTREM-1へのINO-10F結合とTHP-1ブルーvitD3細胞におけるTREM-1活性化の阻害
THP-1細胞とビタミンD3のインキュベーションは、未処理のTHP-1細胞の膜におけるTREM-1発現と比較して、TREM-1発現の増加(図5A)、及びヒトCD14すなわちhCD14の増加(図5B)及びヒトToll様受容体4すなわちhTLR4の減少(図5C)と関連付けられた。フローサイトメトリーを使用して、INO-10FがTHP-1-vitD3細胞(ビタミンD3で前処理したTHP-1細胞)で発現されるヒトTREM-1に用量依存的に結合し、0.014μg/mLで50%結合に達したことが示された(図6)。予想通り、未処理のTHP-1対照細胞へのINO-10Fの結合はほとんどなかった(図6)。
【0296】
INO-10Fの活性を評価するために、未処理のTHP-1ブルー細胞又は48時間ビタミンD3で前処理したTHP-1ブルー細胞を、LPS(100ng/mL)の存在下又は不在下で増加する用量のINO-10Fとインキュベートした。例えばLPSによる、炎症応答の誘導を介する単球(それらの表面でTREM-1を発現する)などの骨髄細胞におけるTREM-1の活性化は顕著に、上記細胞におけるNF-κB活性化をもたらす。6時間後に、NF-κBの活性化を、Quantiブルー試薬を使用して評価した。図7Aに示したNF-κB活性化の阻害により反映されるように、INO-10Fは、TREM-1を過剰発現する細胞でのみTREM-1を阻害でき、0.1~10μg/mLで効果を有した。INO-10Fは、LPS活性化ナイーブTHP-1ブルー細胞(すなわち、ビタミンD3で前処理されなかったTHP-1ブルー細胞)に対し効果がなかった。2回目の実験は、INO-10Fが、ビタミンD3で前処理したTHP-1ブルー細胞において時間依存的及び用量依存的に、LPSによるNF-κBの活性化を制限できたことをさらに確認した。INO-10Fは、NF-κBの活性化を6~10時間阻害し、用量に応じて10時間で最大の効果を示した(図7B)。
【0297】
次いで、THP-1ブルー細胞のIL-8生成を、ビタミンD3によるそれらの前処理及び漸増濃度(0、0.1及び10μg/mL)のINO-10Fの存在下のLPS(100ng/mL)による24時間のそれらの刺激の後で評価した。INO-10Fは、LPS刺激により誘導されるIL-8の放出を濃度依存的に減少させ、10μg/mLで最大の効果に達した(図8)。この結果は、INO-10FがビタミンD3で前処理したTHP-1ブルー細胞においてTREM-1を阻害できることを裏付ける。
【0298】
フローサイトメトリーによるヒトTREM-1へのINO-10F結合と初代好中球及び全血におけるTREM-1活性化の阻害
ヒト初代好中球は、生理学的条件下で膜において高レベルのTREM-1を発現し、LPS刺激時にその発現を上方制御しない。実際に、図9に示すように、ヒト初代好中球の膜でのTREM-1の発現は、非刺激状態および3時間又は24時間のいずれかの、LPSによる刺激後で類似している。INO-10Fは、新たに単離したヒト好中球上で濃度依存的にヒトTREM-1を結合でき、0.01~0.1μg/mLで、約0.023μg/mLにて50%結合に達した(図10)。次いで、好中球上のTREM-1活性化を阻害するINO-10Fの能力を、LPS刺激時のROSのそれらの放出の評価を通じて評価した。予想通り、INO-10F単独は、非刺激状態でのROS生成の不在により観察されるように、TREM-1のいかなる活性化も誘導しなかった(図11)。ROSは、LPS刺激時にヒト初代好中球により生成され、INO-10Fは、約4.6μg/mLの濃度で上記ROS生成を50%減少させ、TREM-1を阻害するその能力を確認した(図11)。同様の実験を、PGLYRP-1:PGN複合体(PPx又はPP)を使用して行って、TREM-1の直接活性化によりヒト初代好中球におけるROS生成を誘導した。INO-10Fはまた、好中球によるROS生成を減少させ、ヒト初代好中球上のヒトTREM-1への最大結合濃度(図12B)に相当する1μg/mLで最大効果に達した(図12A)。
【0299】
最後に、ヒト初代好中球によるIL-6分泌を、LPS(100mg/mL)と共に又は非刺激状態でのいずれかで、INO-10F(0.1又は10μg/mL)の存在下で0、6及び24時間の好中球のインキュベーション後に評価した。図13に示されるように、INO-10Fは、用量依存的及び時間依存的にLPSにより誘導されるIL-6の放出を低下させた。
【0300】
TREM-1のその阻害によるINO-10Fの免疫調節特性をさらに確認するために、INO-10Fの効果を、ヒト全血サイトカインアッセイ刺激で評価した。上で詳述したように、健康なヒトドナーから得られた全血を、LPS(100ng/mL)と、INO-10F又は陽性対照(すなわち、TREM-1を阻害することが知られているペプチドLR12)のいずれかの存在下で、37℃、5%COで24時間インキュベートした。血漿を、回収し、いくつかのサイトカインの血漿レベルを、測定した。図14に示すように、このアッセイでは、INO-10Fは用量依存的に、いくつかのサイトカインの放出を低下させた。実際に、INO-10Fは、LPSが誘導するIL-1β(図14A)、IL-10(図14B)、TNFα(図14C)、IL-6(図14D)、及びIL-8(図14E)の放出を制限した。IL-8血漿濃度に対するINO-10Fの効果もまた、14人の健康なボランティアから採取した全血試料のLPS刺激後にインビトロで評価した。図15に示すように、INO-10Fは、IL-8血漿濃度の用量依存的な減少(0.01~10μg/mL)を誘導した。LPSが誘導するIL-8生成の減少もまた、ペプチドLR12(陽性対照)を用いて観察した。全血アッセイにおいて、INO-10Fは、非刺激状態(すなわち、LPSの不在下)でIL-8又は他の研究対象サイトカインのいかなる顕著な生成も誘導しなかった。
【0301】
BRGS-Fマウスエンドトキシン血症モデルにおけるヒトTREM-1の阻止は、免疫炎症応答を低下させる
INO-10Fの免疫調節効果を、LPS(8mg/kg)の腹腔内(i.p.)投与によりエンドトキシン血症を誘導したヒト化免疫系を有するトランスジェニックBRGSFマウスで、インビボで評価した。マウスを、ビヒクル、INO-10F、又はINO-10Fを含む融合タンパク質のいずれかと共にPBS(対照)単独又はLPSのいずれかをi.p.投与するために4つの治療グループに無作為に分けた。実際に、LPSを投与したマウスのうち、「LPS」グループは、処置としてビヒクルを受け、「LPS+10F」グループは10μg/mLのINO-10Fのi.p.投与を受け、「LPS+HSA-10F」グループは、ヒト血清アルブミン(HSA)とINO-10F(10F)の融合タンパク質からなる延長された半減期を有する10μg/mLのINO-10Fフォーマットのi.p.投与を受けた。マウスを、30分間ビヒクル、INO-10F又はHSA-INO-10F(HSA-10F)で前処理し、次いで、LPSを投与してエンドトキシン血症を誘導した。血液試料を、LPS注射の8時間後に採取し、ヒトサイトカイン/ケモカイン濃度を、血漿中で定量化した(CCL-2、IL-1β、IL-10、IL-6、IL-8、IP-10、及びTNFα)。LPSは、対照グループ(CTRL)と比較して、ヒト炎症性サイトカイン/ケモカインの放出を著しく増加させた。興味深いことに、図16に示すように、INO-10FとINO-10F-HSAの両方は、単球走化性タンパク質1すなわちMCP1としても知られる循環ヒト炎症性サイトカインケモカインリガンド2(CCL2)(図16A)、インターロイキン-1βすなわちIL-1β(図16B)、インターロイキン-10すなわちIL-10(図16C)、インターロイキン-6すなわちIL-6(図16D)、インターロイキン-8すなわちIL-8(図16E)、C-X-Cモチーフケモカインリガンド10すなわちCXCL10としても知られるインターフェロンガンマ誘導性タンパク質10(IP-10)(図16F)、及び腫瘍壊死因子アルファすなわちTNFα又はTNFa(図16G)の分泌を調節でき、延長された半減期を有するHSA-INO-10F融合タンパク質では効果がより顕著であった。これらの結果は、インビボでの抗TREM-1 INO-10F Fab断片の免疫調節効果を裏付ける。
【0302】
最適化されたINO-10F変異体のTREM-1への結合
INO-10F結合特性及び活性を改善するために、抗TREM-1 INO-10抗体のヒト化変異体及び抗TREM-1 INO-10F Fab断片の対応するヒト化変異体を、作製した。抗TREM-1 INO-10抗体のヒト化変異体を、INO-10-2、INO-10-3、INO-10-4、INO-10-5、及びINO-10-6と命名し、抗TREM-1 INO-10F Fab断片のヒト化変異体を、INO-10F-2(F2)、INO-10F-3(F3)、INO-10F-4(F4)、INO-10F-5(F5)、及びINO-10F-6(F6)と命名した。2つの追加のヒト化変異体を、対照として使用した:INO-10F-0(F0)、及びINO-10Fに最も類似したCDRを有する(CDRは、V-CDR2中のアミノ酸1個の違いを除いて同一である)ヒト化抗TREM-1 Fab断片である、INO-10F-1(F1)。最初に、結合親和性定数、会合速度及び解離速度を、表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイを使用して決定した。Fab断片を、CM5センサーチップの表面に固定化し、その後、増加する濃度の組換えヒトTREM-1又はカニクイザルTREM-1を注入した。結果を、下記表1に示す。TREM-1(hTREM-1又はcTREM-1のいずれか)への結合は、Fab断片INO-10F-0(F0)では観察されなかった。Fab断片INO-10F-1(F1)は、hTREM-1を結合できただけであり、Fab断片INO-10Fのものと類似の親和性を有した。Fab断片INO-10F-2~INO-10F-6(F2~F6)は、Fab断片INO-10Fよりも高い親和性を示した。
表1:ヒトとカニクイザルTREM-1と異なる抗TREM-1モノクローナル抗体Fab断片の相互作用に関する結合定数ka又はkon(会合速度)、k又はkoff(解離速度)及びK(平衡解離定数)
【表1】
【0303】
最適化されたINO-10F変異体はU937細胞及び初代細胞においてTREM-1を阻害できる
ビタミンD3で前処理したU937(U937-vitD3細胞)上で及び未処理の対照U937細胞上で発現されるヒトTREM-1への、最適化された抗TREM-1 Fab断片の結合を次に、評価した。予想通り、結合は、U937細胞では観察されなかった(図17A)。図17Bに示されるように、U937-vitD3細胞上で、INO-10F-F0は、10μg/mLで弱い結合を示し、INO-10Fは、以前に得られたものと同様の結合プロファイルを示した(図3参照)。より良好な親和性への明らかなシフトが、最適化された変異体INO-10F-1~INO-10F-6について観察され、SPRデータを裏付けた(図17B)。
【0304】
INO-10Fで得られた結果に従って、INO-10F-1(V-CDR2におけるアミノ酸1個の違いを除いて同一のCDRを有する、INO-10Fに最も類似したヒト化Fab断片である)は、PGLYRP-1:PGN複合体(PP複合体)での刺激により誘導されるU937-vitD3細胞によるIL-6の放出を減少させることができ、0.5μg/mLで約50%阻害(IC50)を達成した。INO-10F-0は、INO-10Fと比較してTREM-1に対する親和性の減少を示し、10μg/mLでのみ観察されるIL-6放出の限定的な減少と関連付けられた。TREM-1へのINO-10F-2(F2)~INO-10F-6(F6)の向上された親和性は、IL-6放出の50%阻害(IC50)を誘導するために必要とされる用量の減少へのシフトにつながった。特に、INO-10F-3(F3)は、約0.05μg/mLのIC50を示した。TREM-1の既知の阻害剤であるペプチドLR12を、陽性対照として使用した(図18)。INO-10F-3(F3)の結合が、新たに単離したヒト好中球により発現されたTREM-1において確認され、約0.03μg/mLで50%結合に達した(図19)。
【0305】
次に、好中球LPS刺激アッセイを実施して、LPSでの24時間の刺激後にヒト初代好中球によるIL-8の放出を減少させるように最適化された抗TREM-1 Fab断片の能力を評価した。図20に示すように、INO-10F-2(F2)とINO-10F-3(F3)は、0.1~10μg/mLで良好で顕著な阻害特性を示した。INO-10F-4(F4)とINO-10F-6(F6)もまた、1μg/mL又は10μg/mLで添加された場合に、IL-8放出を有意に減少させることができた。INO-10F-1(F1)とINO-10F-5(F5)は、10μg/mLで添加された場合にのみIL-8放出を有意に減少させることができた。最後に、好中球LPS刺激アッセイも実施して、ヒト初代好中球の24時間のLPS刺激後に誘導されるROS生成を減少させる最適化された抗TREM-1 Fab断片の能力を評価した。図21A~Hに示すように、INO-10F-2(F2)とINO-10F-3(F3)は、LPS活性化好中球によるROS生成の最良の阻害プロファイルを示した。実際に、INO-10F-2(F2)は、0.01μg/mLでの28%~10μg/mLでの44%でROS生成を阻害し(図21D)、INO-10F-3(F3)は、0.01μg/mLでの21%~10μg/mlでの52%でROS放出を阻害できた(図21E)。INO-10F-4(F4)とINO-10F-6(F6)もまた、1μg/mL又は10μg/mLで添加された場合に、LPS活性化好中球によるROS生成を阻害できた。INO-10F-1(F1)とINO-10F-5(F5)は、10μg/mLで添加された場合にのみ、LPS活性化好中球によるROS生成を阻害できた。予想通り、INO-10F-0(F0)は、LPS活性化好中球によるROS生成を阻害しなかった。
【0306】
HSAに結合されたINO-10F変異体は、初代細胞及び全血アッセイにおいてTREM-1を阻害できる
HSAとしても知られるヒト血清アルブミンと結合された最適化されたFab断片INO-10F-3(又はF3)からなる融合タンパク質を、作製した。F3-HSAと呼ばれる上記融合タンパク質の阻害効果を、ヒト初代好中球によるROS生成において評価した(図22)。ヒト初代好中球をそのため、指示濃度(0~20μg/mL)のF3-HSAの存在下で、LPS(100ng/mL)、又はペプチドグリカン(10μg/mL)と複合体化されたPGLYRP1(5μg/mL)に対応するPP複合体(PP)、又はペプチドグリカンのみ(PGN-10μg/mL)で2時間刺激した。F3-HSAは、LPS(約1μg/mLで約50%減少-図22A参照)で、PP複合体(約1μg/mLで約85%減少-図22B)で、又はPGN単独(約1μg/mLで約75%減少-図22C)で好中球を刺激した後に、ROS放出を阻害できた。
【0307】
次に、F3-HSAの効果を、赤血球の溶解後の24時間全血刺激アッセイ後のサイトカイン血漿濃度に対し評価した。F3-HSA又はアイソタイプ対照(CTLR)を、非刺激状態、又はPGN(10μg/mL)と複合体化されたPGLYRP1(5μg/mL)に対応するPP複合体の存在下で、又はPGNのみ(10μg/mL)の存在下で、指示濃度(0~20μg/mL)で全血に添加した。24時間後に、次のサイトカイン:IL-8及びTNFα、の発現を評価した。図23に示すように、このアッセイでは、F3-HSAは、サイトカイン放出を低下させなかった対照と比較して、用量依存的にIL-8とTNFαの両方の放出を低下させた。実際に、F3-HSAは、PP又はPGN単独のいずれかでの刺激後にIL-8の放出を低下させ(図23A)、PP又はPGN単独のいずれかでの刺激後にTNFαの放出を低下させた(図23B)。
【0308】
同様のアッセイを次に、カニクイザル全血を用いて実施した。F3-HSA又はアイソタイプ対照(CTLR)をそのため、非刺激状態、又はPGN(10μg/mL)と複合体化されたPGLYRP1(5μg/mL)に対応するPP複合体の存在下で、又はPGNのみ(20μg/mL)の存在下で、指示濃度(0~20μg/mL)で健康なカニクイザルドナー(Macaca fascicularis)から得られた全血に添加した。24時間後に、次のサイトカインの発現を評価した:IL-8、TNFα、及びIL-6。図24に示されるように、このアッセイでは、F3-HSAは、サイトカイン放出を低下させなかった対照と比較して、IL-8、TNFα、及びIL-6の放出を用量依存的に低下させた。実際に、F3-HSAは、PGN単独又はPPでの刺激後にIL-8の放出を低下させ(図24A)、PGN単独又はPPでの刺激後にTNFαの放出を低下させ(図24B)、かつPGN単独又はPPのいずれかでの刺激後にIL-6の放出を低下させた(図24C)。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E
図15
図16A
図16B
図16C
図16D
図16E
図16F
図16G
図17
図18
図19
図20
図21-1】
図21-2】
図21-3】
図22
図23
図24-1】
図24-2】
【手続補正書】
【提出日】2024-03-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2024521904000001.app
【国際調査報告】