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特表2024-521913ワークピースの冷間加工プロファイル成形のための装置および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】ワークピースの冷間加工プロファイル成形のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B21H 1/20 20060101AFI20240528BHJP
   B21H 5/02 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
B21H1/20
B21H5/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574517
(86)(22)【出願日】2022-06-02
(85)【翻訳文提出日】2024-01-30
(86)【国際出願番号】 EP2022065014
(87)【国際公開番号】W WO2022253942
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】00654/21
(32)【優先日】2021-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593041147
【氏名又は名称】エルンスト グロープ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Ernst Grob AG
【住所又は居所原語表記】Rohrgasse 9, Maennedorf, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デリアツ,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】カプキン,エクレム
(57)【要約】
長手方向軸(Z)と、機械加工領域(11)内に、長手方向軸(Z)に沿って延在し、プロファイル(P)が組み込まれる、例えば円筒形の外面(11a)とを備えるワークピース(1)を冷間加工することによってプロファイルが設けられたプロファイル本体を製造する方法が記載される。ここで、ワークピース(1)は、長手方向軸(Z)を中心とした回転運動(R1)を行い、ツール(2)が機械加工領域(11)と接触する多数の連続的に実行される再成形係合においてツール(2)によって機械加工される。ツール(2)は、ツール軸(Q)を中心に回転可能にツールホルダ(5;5a1)に保持されている。ツールホルダ(5)は、
- 回転軸(W)を中心に回転可能であるように周回体(8)に取り付けられ、その回転軸(W)を中心に回転運動(R5)をするように駆動され、
- 周回体(8)によって周回運動(R8)をするように駆動される。
ここで、ワークピース(1)の回転運動(R1)は、ツールホルダ(5)の周回運動(R8)と同期し、ツールホルダ(5)の回転運動(R5)は、ツールホルダ(5)の周回運動(R8)と同期する。また、ツール軸(Q)は、回転軸(W)とは異なる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸(Z)と、機械加工領域(11)内にプロファイル(P)が組み込まれる外面(11a)とを備えるワークピース(1)を冷間加工することによって前記プロファイル(P)が設けられたプロファイル本体(1p)を製造するための方法であって、前記ワークピース(1)は、前記長手方向軸(Z)を中心とする回転運動(R1)を行い、第1のツール(2)が前記機械加工領域(11)と接触する多数の連続的に実行される再成形係合において前記第1のツール(2)によって機械加工され、前記第1のツール(2)は、第1のツールホルダ(5;5a1)によって保持され、前記第1のツールホルダ(5;5a1,...)は、
- 前記第1のツールホルダ(5;5a1,...)の回転軸(W)を中心に回転可能であるように周回体(8)に取り付けられ、前記回転軸(W)を中心に回転運動(R5)をするように駆動され、以下で使用される方位角という用語は、前記回転軸(W)によって定義され、
- 前記周回体(8)によって周回運動(R8)をするように駆動され、
- 前記ワークピース(1)の前記回転運動(R1)は、前記第1のツールホルダ(5;5a1,...)の前記周回運動(R8)と同期され、
- 前記第1のツールホルダ(5;5a1,...)の前記回転運動(R5)は、前記第1のツールホルダ(5;5a1,...)の前記周回運動(R8)と同期され、
- 前記第1のツール(2)は、前記回転軸(W)とは異なる第1のツール軸(Q)を中心にして回転可能であるように前記第1のツールホルダ(5;5a1,...)に取り付けられ、特に回転自在に取り付けられ、特に前記第1のツール軸(Q)は前記回転軸(W)から離れている、方法。
【請求項2】
- 前記ワークピース(1)の円周にわたって分布するいくつかの異なる位置の各々において、いくつかの前記再成形係合が行われるように、前記ワークピース(1)の前記回転運動(R1)は、前記第1のツールホルダ(5;5a1,...)の前記周回運動(R8)と同期され、
- 前記第1のツール(2)が前記再成形係合の各々について同じ方位角配向(φ)を通るように、前記第1のツールホルダ(5;5a1,...)の前記回転運動(R5)は、前記第1のツールホルダ(5;5a1,...)の前記周回運動(R8)と同期される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記周回体(8)は、周回体軸(V)を中心とした回転(R8’)を実行し、前記周回体軸(V)および前記回転軸(W)は、互いに平行に整列される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のツール(2)は、前記ツール軸(Q)に対して回転対称である活性領域(21)を備え、特に前記第1のツール(2)はローラとして具体化される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ツールホルダ(5;5a1,...)の前記回転運動(R5)は、遊星ギヤ(40)によって前記第1のツールホルダ(5;5a1,...)の前記周回運動(R8)と同期される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記遊星ギヤ(40)は、リングギヤ(41)と、前記リングギヤ(41)内を走行する遊星歯車(45)とを備え、前記遊星歯車(45)は、前記第1のツールホルダ(5;5a1,...)の一部であり、これと共に前記回転運動(R5)を実行する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ワークピースは、第2のツール(2b)が前記ワークピース(1)と接触する多数の連続的に実行される再成形係合において前記第2のツール(2b)によって同時に機械加工され、特に、前記第2のツール(2b)の前記連続的に実行される再成形係合の各々は、同時に前記第1のツール(2a)の再成形係合が行われる前記長手方向軸(Z)に対して前記ワークピース(1)の位置とは反対側にある前記ワークピース(1)の位置で行われ、特に、前記第1のツール(2a)および前記第2のツール(2b)はローラとして具体化される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ワークピースは、さらなるツール(2a2,2a1)が前記ワークピース(1)と接触する多数の連続的に実行される再成形係合において前記さらなるツール(2a2,2a1’)によって追加的に機械加工され、特に、前記さらなるツール(2a1’)を保持するツールホルダ(5;5a2,...)は、既に述べた前記ツールホルダ(5;5a1,...)と同じ周回運動(R8)を実行し、このさらなるツールホルダ(5;5a2)は、既に述べた前記ツールホルダ(5;5a1,...)と同一であるか、またはこれとは異なり、特に、前記第1のツール(2a)および前記さらなるツール(2a2,2a1’)は、ローラとして具体化される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記さらなるツール(2a1’)は、前記第1のツール(2;2a1)と同じツールホルダ(5a1)によって保持され、特に、前記さらなるツール(2a1;2a1’)は、前記回転軸(W)および前記第1のツール軸(Q)とは異なるさらなるツール軸を中心に回転可能であるように前記ツールホルダ(5a1)に取り付けられ、特に、前記さらなるツール軸は、前記第1のツール軸(Q)に対して方位角方向に離間され、特に、前記第1のツール軸(Q)および前記さらなるツール軸および前記回転軸(W)は、共通平面に対して垂直に整列される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第2のツールホルダ(5a2)が設けられ、前記第2のツールホルダは、前記第1のツールホルダ(5a1)とは異なり、前記第2のツールホルダによって、前記さらなるツール(2a2)は、さらなるツール軸を中心に回転可能に保持され、前記第1のツールホルダおよび前記第2のツールホルダの前記周回運動は、同じ周回経路(U)を描き、特に、前記さらなるツール(2a2)は、前記第2のツールホルダの回転軸とは異なるさらなるツール軸を中心に回転可能であるように前記第2のツールホルダ(5a2)に取り付けられ、特に、前記第1のツール軸(Q)および前記さらなるツール軸および前記回転軸(W)は、共通平面に対して垂直に整列される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
ワークピース(1)を冷間加工することによってプロファイル(P)が設けられたプロファイル本体(1p)を製造するための装置(100)であって、前記装置(100)は、
- 前記ワークピース(1)を保持するための、その長手方向軸(Z)を中心に回転可能なワークピースホルダ(10)と、
- 前記長手方向軸(Z)を中心とした前記ワークピースホルダ(10)の回転運動(R1)を生成するための駆動装置(A1)と、
- 周回体(8)と、
- 第1のツール(2a;2a1)を保持するための第1のツールホルダ(5;5a1)であって、前記ツールホルダ(5;5a1)の回転軸(W)を中心に回転可能であるように前記周回体(8)に取り付けられている、第1のツールホルダ(5;5a1)と、
- 前記第1のツールホルダ(5;5a1)の、その回転軸(W)を中心とした回転運動(R5)を生成するための駆動装置(A5)と、
- 前記周回体(8)の運動を生成するための駆動装置(A8)であって、前記駆動装置によって、前記第1のツールホルダ(5;5a1)が周回運動(R8)をするように駆動可能である、駆動装置(A8)と、
- 前記ワークピースホルダ(10)の前記回転運動(R5)を前記第1のツールホルダ(5;5a1)の前記周回運動(R8)と同期させるための第1の同期装置(S1)と、
- 前記第1のツールホルダ(5;5a1)の前記回転運動(R5)を前記第1のツールホルダ(5;5a1)の前記周回運動(R8)と同期させるための第2の同期装置(S5)と、を備え、
前記第1のツールホルダ(5;5a1)は、前記第1のツール(2;2a1)を受け入れるための第1の回転軸受を備え、前記第1の回転軸受は、前記第1のツールホルダ(5;5a1)の前記回転軸(W)とは異なる第1のツール軸(Q)を画定し、それにより、前記第1のツール(2;2a1)は、前記第1のツール軸(Q)を中心に回転可能、特に回転自在である、装置。
【請求項12】
前記第1のツール軸(Q)を中心に回転可能であるように前記第1の回転軸受に取り付けられた前記第1のツール(2;2a1)を備え、特に前記第1のツール(2;2a1)は、
- 前記第1のツール軸(Q)に対して回転対称である活性領域(2)を備える、および/または
- ローラ(2;2a1)として具体化される、請求項11に記載の装置(100)。
【請求項13】
前記装置(100)は、前記長手方向軸(Z)に平行な前記ワークピースホルダ(100)の運動を生成するための駆動装置(AZ)を備える、請求項11または12に記載の装置(100)。
【請求項14】
前記第2の同期装置(S5)の構成要素および/または前記回転軸(W)を中心とする前記第1のツールホルダ(5;5a1)の回転運動(R5)を生成するための前記駆動装置(A5)の構成要素である遊星ギヤ(40)を備える、請求項11~13のいずれか1項に記載の装置(100)。
【請求項15】
前記周回体(8)は、プロファイル成形ヘッド(3)に取り付けられ、前記装置(100)は、前記プロファイル成形ヘッド(3)を前記長手方向軸(Z)に向かって移動させるための駆動部(A2)を備える、請求項11~14のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に冷間加工によって、例えば回転対称の中実部品または中空部品におけるプロファイルの製造の分野に関する。本発明は、特許請求の範囲の前文による装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冷間加工方式で中実部品または中空部品をプロファイル成形するための様々な方法が、最新技術から知られている。
【0003】
例えば、円周にわたって分布し、装置への板金部品の挿入時にプロファイルギャップが生成される板金部品に係合する多数のツールを備える装置によって再成形される非プロファイル板金部品によって、単一の工程でプロファイルを有する中空部品を提供することが知られている。ポットの中間軸に延びる歯を有する内側歯部および/または外側歯部を有するポット状板金部品を製造するための対応する方法は、例えば独国特許出願公開第102014002971号明細書から知られている。
【0004】
そのような方法の欠点は、例えばプロファイルギャップ形状の変更がすべてのツールの交換を必要とし、別の直径を有する板金部品の機械加工への再設定が、対応して適合された新しい装置の作成を必要とするため、それらがあまり柔軟ではないという事実である。
【0005】
他の冷間加工方法では、例えば国際公開第2005/075125号明細書から知られているように、ワークピースは、プロファイルを成形するために周回方式で駆動されるツールによってハンマリング方式で周期的に機械加工される。この方法は、他の製品への再設定または製品仕様の変更が非常に少ない労力で可能であるため、その適用において非常に柔軟である。さらに、この方法は、例えば固体材料の大きなモジュールを有する歯部などの材料の大きな再成形を必要とする場合であっても、非常に長いプロファイルの製造を可能にする。一方で、国際公開第2005/075125号明細書から知られている方法では、ツールの周回運動のために、径方向外側に大きく突出する肩部に近づくまでのプロファイル成形の誘導はそう簡単ではない。
【0006】
ワークピースの外側に突出する肩部の近くまでワークピースへのプロファイル成形を可能にする方法は、例えば国際公開第2007/009267号明細書から知られている。そこに記載されている方法では、外側にプロファイル成形されたマンドレル上に着座する円筒形の薄肉中空部品には、少なくとも1つのプロファイル成形ツールが中空部品の半径方向外側から長手方向軸まで中空部品に著しく作用するように作られることによる冷間加工で、中空部品の長手方向軸に実質的に平行に延びるプロファイルが設けられる。本明細書では、プロファイル成形ツールは、長手方向軸に垂直な方向に振動するように、したがって半径方向に直線的に往復運動することによって、いずれの場合も中空部品の表面に作用するようにされる。そして、一定の半径方向送り深さが与えられると、プロファイル成形ツールは、所望のプロファイル長さが達成されるまで中空部品に対して軸方向に変位し、中空部品の機械加工は、中空部品の外側に突出する肩部で開始することができる。
【0007】
表面品質に対する特に高い要求が与えられると、国際公開第2007/009267号明細書による方法の後に、中空部品の後加工を実行することが必要になる可能性がある。これは、中空部品が、各係合を有するプロファイル成形ツールによって短い軸方向断面でのみ加工され、わずかな鱗片状の粗さをもたらす可能性があるからである。
【0008】
さらに、国際公開第2020/099536号明細書から、径方向外側に大きく突出する肩部に非常に近いところまでプロファイルを製造することを可能にする方法が知られている。この方法はまた、例えば大きなモジュールを有する歯部の場合、特に固体材料における大きな材料の再成形を必要とする場合であっても、プロファイルの製造を可能にする。さらに、この方法では、高い表面品質を達成することができ、この方法は、原則として後加工を必要としないが、少なくとも固体材料では、プロファイル成形に高品質が要求される場合、このようにして製造されたプロファイルの長さは、いずれにせよ非常に制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、プロファイルが設けられたプロファイル本体を製造するための方法、ならびに上述の欠点を有さない対応する装置を提供することである。
【0010】
例えば、他の製品の製造または修正された製品仕様の実現のために、方法または装置を簡単かつ安価に改造することが可能になる。
【0011】
本発明のさらなる可能な目的は、特に高い表面品質を有するプロファイル作成を可能にすることである。
【0012】
本発明のさらなる可能な目的は、特に、例えば、特に固体材料の大きなモジュールを有する歯部など、材料の大幅な再成形を必要とするプロファイル成形に関する、大きな長さのプロファイルを製造することである。
【0013】
本発明のさらなる可能な目的は、特に固体材料において、かつ大きなプロファイル長さが与えられた場合に、特に正確なプロファイル成形を可能にすることである。
【0014】
本発明のさらなる可能な目的は、特に高い生産性でプロファイル作成を可能にすることである。
【0015】
本発明のさらなる可能な目的は、ワークピース突出部の近くまで、例えばプロファイル成形されるワークピースの外側に突出する肩部の近くまでプロファイル成形を可能にすることである。
【0016】
本発明のさらなる可能な目的は、2つのプロファイル画定構造の間およびこれらの近くまでのプロファイル成形を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
これらの目的の少なくとも1つは、以下に説明する装置および/または方法によって達成することができる。
【0018】
この方法では、ツールホルダ、およびこれを有する、ツールホルダによって保持されるツールは、少なくとも2つの構成要素、具体的には、例えば遊星と同様の周回経路に沿った周回運動、およびそれ自体の軸を中心とした回転運動を含む複雑な運動をするように駆動される。ここで、これら2つの運動は互いに同期される。周回運動は、周期運動であり得る。回転運動を生成するために適切な駆動装置を設けることができる。
【0019】
周回運動によって、ツールホルダおよびツールはまた、機械加工されるワークピースまで周期的に導かれ、これに再成形方法で作用し、その後、これに再び接近するために、ワークピースからそれ自体再び離れることができる。例えば、ツールは、一周ごとに1回(または二周または三周ごとでも)ワークピースと再成形係合することができる。
【0020】
ツールホルダの回転軸を中心としたツール軸の回転運動がツールホルダの周回運動と共に提供されることにより、前記提供は以下でより詳細に説明され、ツールは、新しい方法で冷間加工方法でワークピースを繰り返し機械加工することができる。ツールは、ワークピースの機械加工領域でワークピースを繰り返し機械加工する活性領域を備えることができる。ここで、回転軸を中心としたツールホルダの回転方向は、特に、周回運動の回転方向とは反対であり得る。
【0021】
言及された国際公開第2005/075125号明細書からの方法と同様であるが、方法間の重要な違いは、後に明らかになるように、(国際公開第2005/075125号明細書において同一である)ツール軸とツールホルダ回転軸との違いから生じる。
【0022】
したがって、いずれの場合も、短い持続時間の間のツールのワークピースへの係合は、周期的に(周回運動に起因して)、かつツール(より正確には、ツールの活性領域)がワークピースと接触しているこの短い持続時間内に行うことができ、場合によってツールは、ツール軸の周りだけでなく、ツールホルダの回転軸の周りも回転することができ、その結果、(上述の短い持続時間の間に)ツールホルダによって提供される周回運動に加えて、周回運動に対抗することができるツールの運動が追加される。したがって、再成形係合中にツールの活性領域がワークピースと接触する接触領域の長さは、上述の国際公開第2005/075125号明細書による方法の場合よりも短くすることができる。さらに、これは、非ハンマリングとは明らかに異なり、例えば上述の国際公開第2020/099536号明細書から知られているような転造機械加工である。
【0023】
プロファイルを成形するためのワークピースの機械加工は、プロファイルの軸方向延長部に沿った多数の個々の機械加工工程で構成され、前記工程は互いに軸方向にオフセットされ、互いにわずかに重なり合うだけである。したがって、高い表面品質、とりわけプロファイル成形の高い精度を達成することができる。したがって、表面品質に対する要求が特に高い国際公開第2007/009267号明細書による方法の場合に必要とされ得るような後加工を回避することができる。
【0024】
上述の同期化と共にツールホルダがそれ自体の軸を中心として回転運動することにより、ツールがワークピースと係合するときに、ツールホルダが所望のまたは所定の方位角整列、例えば常に同じ方位角整列に位置することが可能になる。上述の回転運動のために、ツールホルダの方位角整列の変化が各係合中に起こり、例えばツールの各係合との方位角整列は、係合の期間にわたって同じように変化する。
【0025】
例えば、ツールホルダの回転運動は、ツールホルダが再成形係合の各々について同じ方位角配向を通るように、ツールホルダの周回運動と同期され得る。
【0026】
本明細書において、方位角および方位角的にという用語は、別段の指定がない限り、ツールホルダの回転軸に関する。
【0027】
同期は、上述の回転軸とは異なるツール軸を中心に回転可能に取り付けられたツールの有用な適用を可能にする。特に、回転対称の活性領域を有するツールを適用することができる。したがって、ツールは、例えば上述の国際公開第2005/075125号明細書から知られているように、例えばローラであってもよい。
【0028】
ツール軸が回転軸を中心に回転している間のツールホルダの回転軸を中心とした固有の回転により、係合が行われた後のツールは、ワークピースから再び比較的迅速に離れることができ、その結果、ワークピース突出部、例えばワークピース肩部との接触を回避することができ、したがってツールによるワークピース突出部の再成形を回避することができる。
【0029】
プロファイルの所望の軸方向延長を達成するために、ワークピースの軸方向前進を提供することができる。
【0030】
例えば、回転運動は、完全な周回の間にまたは連続的に行うことができる。これにより、ツールホルダの回転運動とツールホルダの周回運動との良好な同期能力を達成することができる。
【0031】
例えば、2つの運動の同期は、機械的に実現することができる。したがって、この同期のために機械的同期装置を提供することができる。しかしながら、上述の運動は、例えば電子的に、したがって電子同期装置によって、互いに異なる方法で同期され得る。
【0032】
いくつかの実施形態の例では、以下で第2の同期装置とも呼ばれる上述の同期装置は、遊星ギヤを備える。例えば、リングギヤと、リングギヤ内を走行する遊星歯車とを備えることができ、遊星歯車は、ツールホルダの一部を表すことができ、あるいは少なくともツールホルダに固定的に接続することができ、あるいはツールホルダの回転運動と共に回転軸を中心に共回転することができ、上述の周回運動にも関与する。遊星歯車の軸は、回転軸と同軸であってもよい。
【0033】
一方で、遊星ギヤはまた、その回転軸を中心としたその回転運動のためにツールホルダを駆動することができる。したがって、既に上述した、ツールホルダの回転軸を中心としたツールホルダの回転運動を生成するための駆動装置は、遊星ギヤを備えることができる。
【0034】
これにより、ツールホルダの回転軸を中心とした回転運動を同時に発生させ、この回転運動をツールホルダの周回運動と同期させる遊星ギヤを提供することができる。
【0035】
上述した、例えば遊星周回運動は、周回体によってツールホルダに付与することができる。ツールホルダは、周回体に取り付けることができ、特に、その回転軸を中心に回転可能に取り付けることができる。周回体は、例えば、周回体軸を中心とした回転を実行することができ、ツールホルダの回転軸は、周回体軸に対して距離があり、その結果、回転軸は、本質的に円形経路に沿って周回運動を実行する。
【0036】
前述の遊星ギヤが想定される場合、この周回運動は、遊星ギヤによって提供されるツールホルダの回転運動を生成することができる。このために、周回体軸は、リングギヤの軸と同軸に整列され得る。したがって、既に上述した、その回転軸を中心としたツールホルダの回転運動を生成するための駆動装置は、周回体および遊星ギヤを備えることができる。同様に、周回体がその周回体軸を中心に回転する間の駆動シャフトは、上述の駆動装置に属することができる。
【0037】
周回体に加えて、周回体をその周回体軸を中心としたその回転に駆動するための駆動シャフトはまた、周回体の運動を生成するための駆動装置に属することができる。
【0038】
さらに、ワークピースまたはツールを保持するワークピースホルダの長手方向軸に垂直な、ツールホルダの半径方向の送りを提供することができ、それにより、機械加工の過程で、ツールのワークピースへのより深い係合が可能になる。所望のプロファイル深さに達するまで、ツールホルダを半径方向に送ることができる。
【0039】
例えば、半径方向送りは、周回体、または少なくとも周回体の周回体軸が長手方向軸に向かって移動することによって実現することができ、したがってこの文脈では半径方向の前進を受ける。
【0040】
例えば、周回体は、その周回体軸を中心に回転可能であるようにプロファイル成形ヘッドに取り付けられ、特にプロファイル成形ヘッドに取り付けられ、プロファイル成形ヘッドは、長手方向軸に向かって移動するように駆動可能である。したがって、周回体は、その周回体軸を中心に回転する間、半径方向送りのための駆動部によって長手方向軸に向かって移動することができる。したがって、周回体軸は、長手方向軸に向かって移動することができる。
【0041】
これにより、ツールホルダ(およびツール)の上述の複雑な運動は、さらなる構成要素、具体的には、長手方向軸に対して半径方向に延びる上述の運動(半径方向送り運動)をさらに含むことができる。したがって、ツールホルダの回転軸は、円の中心点の直線運動と重ね合わされる円形運動から生じる運動を実行することができ、特に直線運動は、円形運動によって画定される平面内で行われる。
【0042】
さらに、長手方向軸を中心としたワークピースまたはワークピースホルダの回転運動は、例えば、適切な駆動装置によって、例えばトルクモータによって生成して提供することができ、その結果、ワークピースは、ワークピースの円周にわたって分布する異なる位置でツールによって機械加工することができる。したがって、製造されるプロファイルの異なるプロファイルギャップは、ツールによって製造することができる。以下でさらに説明するように、いくつかのツールを提供することができ、その結果、単一のツール(またはツールの各々)は、必ずしもプロファイルのすべてのプロファイルギャップの成形に寄与するわけではない。これにもかかわらず、ツールがワークピースの円周に沿ったすべての位置でワークピースと係合することを想定することができ、その位置では、プロファイルのプロファイルギャップが生成され、したがってプロファイルのすべてのプロファイルギャップの成形に寄与する。
【0043】
上述の回転運動は、変化する回転速度、特に少なくとも部分的に周期的に変化する回転速度を有することができる。上述の回転運動は、例えば、断続的な回転であってもよい。
【0044】
比較的高い回転速度および比較的低い回転速度の連続する段階を有するワークピースまたはワークピースホルダの回転運動の回転速度を想定することができる。特に、ツールによるワークピースの機械加工は、比較的低い回転速度の段階の間に各々行うことができる。ツールの係合中にワークピースがよりゆっくりと回転するほど、またはワークピースがよりゆっくりと回転するほど、または比較的低い回転速度の段階で静止していると、最終的に生成されるプロファイルの高い精度をより良好に達成することができる。
【0045】
例えば、ワークピースが静止している回転運動の段階でワークピースを機械加工するツールを想定することができる。例えば、ワークピースの断続的な回転の回転停止の段階(回転停止時の回転速度は0である)でワークピースを機械加工するツールを想定することができる。
【0046】
一方で、一定の回転速度を有する前述の回転運動を想定することも可能である。その結果、生産性を向上させることができる。
【0047】
ワークピースホルダの回転運動とツールホルダの周回運動との同期を提供することができる。これにより、ワークピースの加工がワークピースの円周に沿って同じ位置で繰り返し行われることを確実にすることができる。
【0048】
例えば、以下では第1の同期装置とも呼ばれるそれぞれの同期装置は、電子同期装置とすることができる。
【0049】
上記で概説した実施形態の例では、遊星ギヤおよび周回体を用いて、第1の同期装置は、例えば、ワークピースまたはワークピースホルダの回転のための駆動を、周回体をその周回体軸を中心としたその回転に駆動するための駆動シャフトと同期させることができる。
【0050】
したがって、この方法は、特に、ワークピースを冷間加工することによってプロファイルが設けられたプロファイル本体を製造するための方法とすることができ、ワークピースは、長手方向軸と、機械加工領域内に、プロファイルが組み込まれる外面とを有することができる。外面は、長手方向軸に沿って延びることができる。特に、外面は、例えば円錐形または円筒形など、長手方向軸と同心であってもよい。しかしながら、外面の他の形状、例えば多角形の形状、例えば所定のプリズム機械加工領域も可能である。
【0051】
ここで、ワークピースは、長手方向軸を中心とした回転運動を実行する。また、ワークピース、特に上述の外面は、多数の連続的に実行される再成形係合においてツールによって機械加工され、その際、ツールまたはより正確にはツールの活性領域が機械加工領域と接触する。それぞれのツール運動についても、上記でさらに説明した。
【0052】
ツールは、ツールホルダによって保持され、ツールホルダは、ツールホルダの回転軸を中心に回転可能であるように周回体に取り付けられ、その回転軸を中心に回転運動をするように駆動される。ツールホルダは、周回体によって周回運動をするように駆動される。具体的には、ツールホルダは、周回体によって、周回経路に沿った運動をするように駆動される。
【0053】
ツールは、ツール軸を中心に回転可能であるようにツールホルダに取り付けられ、ツール軸は、ツールホルダの回転軸と同一ではない。
【0054】
特に、ツール軸は、ツールホルダの回転軸に対して距離を置くことができる。2つの軸は、例えば互いに平行に整列させることができる。平行に整列していない軸も含む一般的な場合、「距離」とは、数学的に直線として理解される軸が交差しないことを意味する。
【0055】
本明細書に記載されている方法を前述の国際公開第2005/075125号明細書の方法と比較すると、周回体のほぼ同じ直径が与えられると、ほぼ同じ量の力が再成形に利用可能であり、それにより、大きな直径が与えられると、固体材料および大きな歯部成形モジュールでも大幅な再成形が可能であることが分かる。しかしながら、本明細書に記載の方法では、ツールがワークピースに近い(ワークピースホルダの軸に平行なまたはプロファイル成形の方向に平行な)延伸の長さ、例えば、係合の間にツール(より正確には、ツールの活性領域)がワークピースに接触する延伸の長さは、上述の国際公開第2005/075125号明細書の場合よりも短くすることができる。その理由は、ツールをツールホルダに非同軸的に取り付けると、周回運動とツールホルダの回転運動との重ね合わせにより、ワークピースの近くでのツールの運動は、例えば楕円などのハイポサイクロイドに沿った運動として説明することができ、これは、係合の近くでは、ほぼ円形の運動として説明することができ、この円形の運動の直径は、周回運動の直径よりも大幅に小さくすることができるためである。したがって、同じ周回運動が与えられた国際公開第2005/075125号明細書の方法による場合よりも、プロファイル成形されるワークピースの外側に突出する肩部の近くまでプロファイルを生成することが可能である。
【0056】
しかしながら、プロファイル成形されるワークピースの外側に突出する肩部に同様に近いプロファイルも、上述の国際公開第2005/075125号明細書による方法で製造することができる。しかしながら、これは、周回直径がそれに応じて小さい、例えば上述の円形運動の直径と同様に小さいように選択された場合にのみ機能する。しかしながら、これにより、ワークピースの再成形に利用可能な力が大幅に小さくなり、例えば、固体材料の大きな歯部モジュールを製造することができない。
【0057】
一方で、本明細書に記載の方法を(セクタツールを用いて)前述の国際公開第2020/099536号明細書からの方法と比較すると、ここでは擬似的に任意のプロファイル長さを生成することができ、プロファイル全体に沿って一定の良好な品質を有することが分かる。対照的に、国際公開第2020/099536号明細書による方法では、これはセクタツールの活性領域の長さに最大限に対応するプロファイル長さの場合のみである。これは、材料挙動、特に原則としてワークピース材料の流れ挙動がプロファイルに沿って一定ではないため、その結果、狭いプロファイル公差を所与の長いプロファイルに保つことがほとんどできないためである。例えば、ワークピース端部における管状ワークピースの材料は、ワークピースの中央部よりも容易に変形して流動することができる。したがって、国際公開第2020/099536号明細書によるセクタツールを用いた方法を適用する能力は、短いプロファイルに限定される傾向がある。
【0058】
特に、ツールは、ツール軸を中心に回転自在であり得る。したがって、ツールは、ワークピースへの係合によってツール軸を中心に回転させることができる。
【0059】
ツールは、ツール軸に対して回転対称である活性領域を備えることができる。このようにして、係合の結果は、ツール軸に対するツールの回転方向とは無関係とすることができ、前記方向は係合中に存在する。
【0060】
ツールは、例えばローラとして具体化することができる。
さらに、以下を想定することができる。
【0061】
- ワークピースの回転運動は、ツールホルダの周回運動と同期される、および
- ツールホルダの回転運動は、ツールホルダの周回運動と同期される。
【0062】
特に、ワークピースの回転運動は、ワークピースの円周にわたって分布するいくつかの異なる位置の各々において、いくつかの再成形係合が行われるように、ツールホルダの周回モーメントと同期されることを想定することができる。外側プロファイルが作成される場合、上述の位置は、プロファイルのプロファイルギャップが作成される位置とすることができる。本方法によってワークピースの内側プロファイルが成形される場合、位置は、成形される内側プロファイルの隣接するプロファイルギャップの間にあるような位置とすることができる。
【0063】
また、特に、再成形係合の各々について、ツールが同じ方位角配向を通るように、ツールホルダの回転運動がツールホルダの周回運動と同期されることも想定することができる。
【0064】
それぞれの再成形係合中にツールが通過する方位角配向が再成形係合の各々について同一であるように、ツールホルダの回転運動がツールホルダの周回運動と同期される場合、例えば、例えばワークピースの突出部などのプロファイル画定構造の近くまで延びるプロファイルを作成することができる。
【0065】
さらに、ワークピースにおけるプロファイルの前進成形のために長手方向軸に平行に行われる周回体に対するワークピースの相対運動を想定することができる。特に、上述したように、周回体は、その周りを回転する周回体軸を備えることができ、周回体軸に対するワークピースの相対運動は、長手方向軸に平行に行われる。
【0066】
例えば、ワークピースは、長手方向軸に平行に移動(軸方向前進)するように駆動可能である。
【0067】
軸方向前進によって、本方法の過程で(長手方向軸に対して)異なる軸方向位置でツール係合を行うことができる。例えば、ワークピースを保持するワークピースホルダは、駆動部を介して長手方向軸に平行な方向に駆動可能である。
【0068】
本方法はまた、ワークピースをプロファイル成形する方法として、および/またはワークピースにプロファイルを成形する方法として見ることもできる。
【0069】
ワークピースは、中空部品、特に回転対称、例えば円筒形の中空部品とすることができる。
【0070】
ワークピースは、中実部品、特に回転対称、例えば円筒形の中実部品とすることができる。
【0071】
ワークピースは、金属ワークピースとすることができる。
機械加工領域は、プロファイル成形が組み込まれる領域、したがってプロファイル成形される領域とすることができる。機械加工領域は、ワークピースの軸方向に限定された部分、例えば管状または棒状ワークピースの端部ピースとすることができる。
【0072】
ワークピースは、機械加工領域に接続する第2の領域を備えることができる。機械加工領域に隣接するこの第2の領域は、例えばワークピース突出部などのプロファイル画定構造を備えることができ、少なくとも長手方向軸を中心とする(方位角)角度領域において、これがワークピース突出部に隣接する機械加工領域における外面の半径方向延長部よりも大きい半径方向延長部を有する。プロファイル画定構造は、プロファイル成形障害物、例えばワークピース肩部とすることができる。
【0073】
プロファイル画定構造は、プロファイルの端部または画定部を形成することができる。
機械加工領域の外面は、例えば回転対称、例えば円筒形または円錐形とすることができる。しかしながら、外面は、これとは異なるように、例えば多角形に設計することもできる。
【0074】
プロファイルは、外側プロファイルとすることができる。これは、中空部品または中実部分に作成することができる。例えば、中空部品に関して、例えば、その機械加工領域内のワークピースが外側プロファイルのマンドレル上に着座することを想定した場合、外側プロファイルと内側プロファイルとを同時に成形することも可能である。さらに、外側歯部を同時に製造することなく、内側歯部を中空部品に製造することも可能である。このために、その機械加工領域内のワークピースが外側プロファイルのマンドレル上に着座していることも想定することができる。
【0075】
プロファイル成形は、円周にわたって分布する、特に例えば円周にわたって均一に分布する多数のプロファイルギャップ(機械加工領域におけるワークピースの深さ)を備えることができる。しかしながら、プロファイルギャップは、不均一な方法で円周にわたって分布され得る。
【0076】
ツールホルダの周回運動は、連続的な運動とすることができ、特に一定の速度で行うことができる。
【0077】
ツールホルダの回転運動は、連続的な運動とすることができ、特に一定の回転速度で行うことができる。
【0078】
特に、これらの2つの速度は、互いに時間的に一定の比を有することができる。
周回運動は、円形運動とすることができる。
【0079】
特にツールホルダの運動を描く軌道(運動経路)は、長手方向軸に垂直な(半径方向の)運動と周回運動との重ね合わせから生じることができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、周回体は、周回体軸を中心とした回転を実行する。これにより、ツールホルダの周回運動を生成することができる。ツールホルダの周回運動は、周回体軸に垂直な平面内で行うことができる。
【0081】
周回体軸および回転軸は、互いに平行に整列され得る。
ツールホルダの(回転軸を中心とする)回転運動の回転方向は、例えば、(周回体軸を中心とする)周回運動の回転方向と反対(反対の回転方向)とすることができる。
【0082】
ツールホルダの周回運動は、長手方向軸が平行に整列される平面内で、および/またはツール軸に垂直な平面が長手方向軸に垂直な平面に垂直である平面内で行うことができる。特に、これは、特に係合中にワークピースまたはワークピースホルダの回転運動が減速するか、または断続的な回転運動が提供される場合に、長手方向軸に平行に延びるプロファイル、例えば直線歯部を生成するために提供することができる。
【0083】
一方で、例えば、斜めの歯部が製造される場合、または例えばワークピースまたはワークピースホルダの一定の回転速度が与えられた場合など、係合中にワークピースが依然として回転する場合、異なる整列を提供することができる。例えば、次いで、長手方向軸との枢動角を囲むツール軸に垂直な平面を想定することができ、前記枢動角は0とは異なる。この枢動角は、例えば、プロファイルの斜角または係合中のワークピースもしくはワークピースホルダの回転速度に応じて選択することができる。
【0084】
周回体の回転は、連続的な運動とすることができ、特に一定の回転速度を有することができる。また、ツールホルダの回転運動は、連続的な運動とすることができ、特に一定の回転速度を有することができる。また、これらの2つの回転速度は、互いに時間的に一定の比を有することができる。これらの2つの回転速度の同期は、既に上述したように、例えば遊星ギヤによって達成することができる。
【0085】
遊星ギヤは、リングギヤと、リングギヤ内を走行する遊星歯車とを備えることができる。遊星歯車は、ツールホルダの一部とすることができる。そして、これと共に回転運動を実行することができる。遊星歯車の位置は、ツール軸の位置に対して固定することができる。
【0086】
リングギヤは、周回体が取り付けられる、特に回転可能に取り付けられるプロファイル成形ヘッド内に固定することができる。
【0087】
プロファイル成形ヘッドは、装置の部品を受け入れるまたは取り付けるための軸受ハウジングとすることができる。例えば、
- 周回体は、特に回転可能に取り付けることができる、
- 周回体の回転のための駆動部を取り付けることができる、および
- 存在する限り、
プロファイル成形ヘッドに固定されたリングギヤ。
【0088】
さらに、プロファイル成形ヘッドは、半径方向送りのための駆動部、例えば直線駆動部に能動的に接続することができる。
【0089】
2つのプロファイル成形ヘッドを設けることもでき、各々が少なくとも1つのツール、例えば、第1のプロファイル成形ヘッド内の第1のツールと、第2のプロファイル成形ヘッド内の第2のツールとを備える。これらは、例えば、長手方向軸を含む平面に対して鏡像化された方法で、長手方向軸に対して互いに対向して配置することができる。両方のツールは、例えばローラとして具体化することができる。
【0090】
特にそれらの中に設けられた周回体およびリングギヤなどの装置部品を含む2つのプロファイル成形ヘッドは、等しく設計することができ、または同じ仕様に従って製造することができ、装置部品の運動は、長手方向軸を含む平面に対して鏡像化された方法で進む。
【0091】
2つの言及されたツールのそれぞれの周回運動は、互いに異なっていてもよく、特に、長手方向軸を含む平面に対して鏡像化された方法で互いに行われてもよい。ここで、上述の2つのツールのそれぞれの周回運動は、1つの同じ平面内で行うことができる。
【0092】
したがって、第1のツール(第1のプロファイル成形ヘッド)の周回運動は、上述の2つのツールの再成形係合が同時に行われるように、第2のツール(第2のプロファイル成形ヘッド)の周回運動と同期され得る。
【0093】
(鏡像)対称構造のために、長手方向軸に向けられたそれぞれの力が本質的に互いに打ち消し合うので、ワークピースホルダの機械的負荷を低く保つことができる。
【0094】
いくつかのツールは、他の理由で、他の場所、例えば同じプロファイル成形ヘッド内に設けることもできる。これらは、例えば、同じ方法で設計することができる。ツールは、例えばローラ、特に同じように設計されたローラとすることができる。いくつかのツールホルダが設けられている場合、これらも同様に設計することができる。
【0095】
一方で、単一のツールホルダは、例えば、それらのツール軸がツールホルダの回転軸に対して方位角方向に均一に分布するように、2つ以上のツールを保持することができる。
【0096】
例えば、これらのツールは、連続する周回の間に交互にワークピースに再成形的に係合することができる。
【0097】
これにより、個々のツールの耐用年数を延ばすことができる。
他方で、2つ以上のツールホルダを設けることができ、これらは各々(少なくとも)1つのツールを保持する。これらのツールホルダの周回運動は、例えば同じ周回経路を描くことができ、それらは周回経路に沿って均一に分布することができる。例えば、これらのツールホルダは、周回体軸に対して方位角方向に均一に分布され得る。
【0098】
例えば、ワークピースへの1回の係合は、ツールホルダごとに周回体の回転周回ごとに行うことができる。
【0099】
これにより(周回体の周回数が同じである場合)、時間当たりの係合回数が増加し、したがってワークピースのより迅速な機械加工を達成することができる。周回体の回転期間中に、N回の再成形係合を行うことができ、Nは、各々が(少なくとも)1つのツールを有するツールホルダの数を指定する。
【0100】
Nが、各々がn個のツールを有するツールホルダの数を指定し、2つの等しく(例えば、鏡像化された)構築されたボスヘッドが提供される場合、ワークピースの機械加工は、したがって2・N・n個のツールを用いて行うことができる。
【0101】
ツールまたは少なくともそれらの活性領域は、例えば同じ仕様に従って製造することができる。
【0102】
説明したように、ツールはローラとすることができる。
その活性領域において、ツールは、断面平面に沿った断面において、生成されるプロファイルのプロファイルギャップの形状の負の値に対応する形状を有することができ、この断面平面は、活性領域を通り、ツール軸を含む。ツール軸に垂直な平面が長手方向軸に垂直な平面に垂直に整列される場合、係合中に活性領域を通る長手方向軸に垂直な断面において、製造されるプロファイルのプロファイルギャップの形状の負の値に対応する形状を有するツールを想定することができる。
【0103】
特に、これは、プロファイルが外側プロファイルを備えるか、または外側プロファイルである場合に提供することができる。任意選択的に、内側プロファイルはまた、外側プロファイルと同時に成形されてもよく、またはそうでなくてもよい。
【0104】
活性領域は、ツール軸に対して回転対称とすることができる。
活性領域は、ツールがワークピースと(直接)接触するツールの領域であるという点で定義することができる。しかしながら、各係合が与えられると、活性領域の一部のみがワークピースと(直接)接触することを想定することができる。ツール軸を中心として回転自在に取り付けられたツールを考えると、各係合によって活性領域のどの部分がワークピースと(直接)接触するかは本質的にランダムである。
【0105】
説明したようなツールがツールホルダによって保持される場合、ツール軸は、関連するツールホルダと共回転することができる。また、ツールホルダの一部である遊星歯車が設けられる場合、遊星歯車に対するツール軸の相対位置も一定であり得る。
【0106】
ツールは、ツールホルダの少なくとも1つのさらなる部分に固定することができるツールホルダのツールインサートの一部とすることができる。
【0107】
装置は、ワークピースを冷間加工することによって、プロファイルが設けられたプロファイル本体を製造するための装置とすることができる。このために、装置は、
- ワークピースを保持するための、その長手方向軸を中心に回転可能なワークピースホルダと、
- 長手方向軸を中心としたワークピースホルダの回転運動を生成するための駆動装置であって、特に、回転運動は断続的であるか、または停止の時間と回転運動の時間とを交互に有する駆動装置と、
- 周回体と、
- ツールを保持するためのツールホルダであって、特に、ツールホルダの回転軸を中心に回転可能であるように周回体に取り付けられる、ツールホルダと、
- ツールホルダの回転軸を中心とした回転運動を生成するための駆動装置と、
- 周回体の運動を生成するための駆動装置であって、駆動装置によって、ツールホルダは、特に周回経路に沿って周回運動をするように駆動可能である、駆動装置と、を備えることができる。
【0108】
さらに、装置は、
- ワークピースホルダの回転運動をツールホルダの周回運動と同期させるための第1の同期装置と、
- ツールホルダの回転運動をツールホルダの前記周回運動と同期させるための第2の同期装置と、を備えることができる。
【0109】
ツールホルダは、ツールを受け入れるために、ツールホルダの回転軸とは異なるツール軸を画定する回転軸受を備えることができ、具体的には、ツールはツール軸を中心に回転可能である。特に、ツールは、ツール軸を中心に回転自在であり得る。
【0110】
いくつかの実施形態では、装置は、ツール軸を中心に回転可能であるように回転軸受に取り付けられたツールを備える。
【0111】
特に、以下のツールを想定することができる。
- ツール軸に対して回転対称である活性領域を有する、および/または
- ローラとして具体化される。
【0112】
ツールホルダの回転軸を中心とした回転運動を生成するための駆動装置は、第2の同期装置と少なくとも部分的に同一とすることができる。例えば、既に説明した遊星ギヤは、一方では、周回体の運動をツールホルダの回転運動に変換することによってこの駆動装置の一部とすることができ、他方では、ツールホルダの回転運動をツールホルダの周回運動に結合することによって第1の同期装置の一部とする(または第1の同期装置に対応する)ことができる。
【0113】
周回体の運動を生成するための駆動装置は、例えば駆動スピンドルを備えることができる。これはまた、例えば遊星ギヤによって与えられる、その回転軸を中心としたツールホルダの回転運動を生成するための駆動装置の一部であってもよい。
【0114】
周回体は、プロファイル成形ヘッドに取り付けることができ、特に回転可能に取り付けることができる。また、それは、駆動部によって、長手方向軸に向かって、すなわち半径方向送り運動のために駆動することができる。駆動部は、例えば、長手方向軸に対して垂直に動くプロファイル成形ヘッドの運動のための駆動部によってもよい。
【0115】
装置は、長手方向軸に平行なワークピースホルダの運動を生成するための駆動装置を備えることができる。これにより、ツール係合は、ワークピースの端部から徐々に離れた位置で少しずつ行うことができる。長手方向軸に平行に進むプロファイルの成形を可能にすることができる。
【0116】
第1の同期装置および第2の同期装置は、1つの同じ同期装置であってもよく、または互いに完全にもしくは部分的に異なっていてもよい。
【0117】
第1の同期装置は、第1のツールホルダの周回運動の周回頻度がワークピースの回転運動の速度に対して固定された(時間的に変化しない)比にあることを保証するように構成することができる。
【0118】
第2の同期装置は、第1のツールホルダの周回運動の周回頻度が、ツールホルダの回転運動の速度に対して固定された(時間的に変化しない)比にあることを保証するように構成することができる。
【0119】
装置は、ワークピースの冷間加工が、多数の連続的に実行される再成形係合によって行われ得るように構成することができる。これらは、同じツールの係合、またはいくつかのツールの係合であってもよい。
【0120】
また、第1の同期装置は、ワークピースホルダの回転運動をツールホルダの周回運動と同期させるように構成することができ、その結果、ワークピースの円周にわたって分布するいくつかの異なる位置の各々において、再成形係合のいくつかが行われる。
【0121】
装置は、再成形係合の各々においてツールが機械加工領域と接触するように構成することができる。特に、装置は、ツールの活性領域(より正確には、活性領域の一部)が再成形係合の各々において機械加工領域と接触するように設計することができる。それぞれのツール(より正確には、その活性領域または活性領域部分)は、本明細書では、ハンマリング方式で(機械加工領域内の)外面に作用することができる。ツールは、各係合部を用いて冷間加工方式で機械加工領域に作用することができる。
【0122】
また、第2の同期装置は、ツールホルダの回転運動をツールホルダの周回運動と同期させるように構成することができ、その結果、ツールの再成形係合の各々において、ツール軸は(回転軸に対して)方位角位置の同じ(小さい)領域を通る。
【0123】
いくつかのツールおよび1つ以上のツールホルダ(いずれの場合もツールのうちの少なくとも1つを保持する)が想定される場合、第2の同期装置は、少なくとも1つのツールホルダの回転運動をそれぞれのツールホルダの周回運動と同期させるように構成され、その結果、ツール軸の各々は、それぞれのツールの再成形係合の各々における(回転軸に対する)方位角位置の同じ(小さい)領域を通ることが想定され得る。
【0124】
例えば、成形されるプロファイルがr個のプロファイルギャップを備え、装置がN個のツールホルダを備え、その周回運動が1つの同じ周回経路を描く場合、第1の同期装置は、例えば、周回運動の期間持続時間のN番目がワークピースの回転運動の期間持続時間のr番目の整数倍に等しくなるように構成することができる。これにより、係合は、プロファイルギャップが生成されるワークピースの円周に沿った位置で正確に行われる。特に、第1の同期装置は、例えば、周回運動の期間持続時間のN番目がワークピースの回転運動の期間持続時間のr番目に等しくなるように構成することができる。これにより、係合は各々、隣接するプロファイルギャップ位置で行われる。
【0125】
本発明は、記載された方法の特徴に対応する特徴を有する装置を含み、逆に、記載された装置の特徴に対応する特徴を有する方法を含む。
【0126】
さらなる実施形態および利点は、従属する特許請求の範囲および図面から導き出されるはずである。
【0127】
以下、本発明の主題を、実施形態の例および添付の図面を用いてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0128】
図1】ワークピースの冷間加工プロファイル成形のための方法を実施するための装置。
図2A】方法の連続段階。
図2B】方法の連続段階。
図2C】方法の連続段階。
図2D】方法の連続段階。
図3】その回転軸およびツール軸を通る断面で示す、ツールを有するツールホルダ。
図4図3による遊星歯車を有する遊星ギヤの詳細。
図5】記号化された半径方向送りおよび軸方向前進を有する、2つのプロファイル成形ヘッドを有する装置の詳細。
図6A】ツールホルダの周回経路。
図6B】象徴的に示す、半径方向送り運動。
図6C】周回運動と半径方向送りとの重ね合わせとしてのツールホルダの軌道。
図7】各々が2つのツールを有する3つのツールホルダを各々備える2つのプロファイル成形ヘッドを有する装置の詳細。
図8】外側に突出する肩部を有するプロファイル本体。
図9】長手方向軸に垂直な断面における、外側プロファイルのマンドレル上のワークピースの詳細。
図10】長手方向軸を含む断面で示す、円錐形の機械加工領域を有するワークピース。
図11】長手方向軸に垂直な断面で示す、多角形の外面を有するワークピース。
図12】間にプロファイルが成形された、2つの軸方向に離間した半径方向外側に向けられたプロファイル画定構造を有するワークピースまたはプロファイル本体。
図13】その間にプロファイルが成形された、半径方向内向きおよび外向きに軸方向に離間した2つのプロファイル画定構造を有するワークピースまたはプロファイル本体。
図14】プロファイル画定構造を有さないワークピースおよびプロファイル本体。
図15】長手方向軸に垂直な断面で示す、非回転対称的なプロファイル画定構造を有するワークピース。
図16】長手方向軸に垂直な断面で示す、方位角方向に不均一に分布したプロファイルギャップを有するワークピースまたはプロファイル本体。
図17】枢動ツール軸が与えられた状況の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0129】
本発明の理解にある程度必須でない部分については図示を省略する。記載された実施形態の例は、本発明の主題の例示であるか、またはその説明に役立ち、限定的な効果を有しない。
【0130】
図1は、ワークピース1の冷間加工プロファイル成形のための方法を実施するための装置100を示す。ワークピース1は、図1に象徴的に表され、同時にワークピース1の長手方向軸でもある長手方向軸Zを有するワークピースホルダ10内に保持される。
【0131】
図示の例のワークピース1は、長手方向軸Zに対して回転対称であり、外面11aを有する機械加工領域11を備え、例として円筒形であり、プロファイルが組み込まれ、第2の領域12が接続され、第2の領域では、ワークピース1は機械加工領域11よりも大きい直径を有する。これにより、ワークピース肩部13として設計されたプロファイル画定構造が領域11と12との間に成形される。
【0132】
さらに、図1に象徴的に表されている周回体8が設けられ、前記周回体は、具体的には、図1には表されていない周回体軸を中心として回転する図示の例においてそれによって運動R8’を実行し、したがって回転R8’を実行する。周回体8の運動R8’により周回経路Uに沿って周回運動R8を実行するツールホルダ5が、周回体8に取り付けられている。
【0133】
ツールホルダ5は、回転軸Wを備え、回転軸Wを中心として、それは回転運動R5を実行する。この回転運動R5は、例えば駆動部(回転駆動部)によって直接的に生成することができるが、以下でさらに詳細に説明するように、例えば機械的に、例えば遊星ギヤによって、周回体8の運動R8’から導出することができる。
【0134】
ツールホルダ5は、少なくとも1つのツール2を保持し、少なくとも1つのツール2は、活性領域21を備え、活性領域において、具体的には、ワークピース1への係合中に運動を実行することによってワークピース1と冷間加工接触し、前記運動は以下でより詳細に説明される。ツール2は、ツール軸Qを中心に回転可能であるように、特にツールホルダ5内に回転自在に取り付けられる。ツール軸Qは、ツールホルダ5の回転軸Wと同一ではない。例として、これに平行に整列され、これに対して距離を置くことができる。
【0135】
ツール2は、(ツール軸Qに対して)回転対称の活性領域を備えることができる。
ツール2は、例えばローラとして具体化することができる。
【0136】
ワークピース1内のプロファイルギャップは、ツール2によって生成され、ツール2は、プロファイルギャップごとに多数の係合を実行する。
【0137】
ツール2がワークピース1の円周にわたって分布する異なる位置でワークピース1に係合することができるようにするために、ワークピース1は、ツールホルダ10によって長手方向軸Zを中心とした回転運動R1をするように駆動することができ、特に、回転運動R1は、ツール係合が各々ワークピース1の回転停止段階で行われるように断続的な回転とすることができる。
【0138】
さらに、長手方向軸Zに平行なワークピース1の軸方向前進のための駆動部を設けることができる。これにより、長手方向軸Zに沿ったプロファイルの前進成形を達成することができる。
【0139】
駆動の目的のための能動的接続は、破線によって図1に示されており、同期化の目的のための能動的接続(機械的および/または電子的に実現することができる)は、太い点線によって示されている。
【0140】
ワークピースホルダ10の回転運動R1を生成するための駆動装置A1、例えばトルクモータまたは他の回転駆動部、および周回体8の運動R8’を生成するための駆動装置A8が設けられている。駆動装置A8は、例えば、駆動シャフトを備えることができる。
【0141】
さらに、既に上述したように、ツールホルダ5の回転軸Wを中心とした回転モーメントR5を生成するための駆動装置A5が設けられている。
【0142】
回転軸Wは、周回体軸と平行に整列される。ツールホルダの周回運動R8は、これらの軸が垂直である平面内で行われる。図示の例では、長手方向軸はこの平面に平行に整列される。
【0143】
ツール軸Qは、回転軸Wと平行に整列され得る。
プロファイルギャップが生成される場所でツール係合が行われるために、ワークピース回転R1および周回運動R8は、第1の同期装置S1によって、例えばワークピース回転R1によって互いに同期され、周回体8の運動R8’は、第1の同期装置S1によって互いに同期される。
【0144】
例えば、同期は、2つの運動(R1およびR8またはR8’)がそれらの周回時間の時間的に一定の比を有することにあり得る。例えば、1つのツール2のみが提供され、各場合にツール2のワークピース1への連続的な係合が隣接するプロファイルギャップ内に行われる場合、T8/T1=zを選択することができ、ツールホルダ5の周回運動R8の周回時間(周期)T8およびワークピースの周回時間(周期)T1であり、zは生成されるプロファイルギャップの数である。
【0145】
この同期は、例えば電子同期装置S1によって実現することができる。しかしながら、他の同期装置、例えば機械的な同期装置も基本的に考えられる。
【0146】
さらに、第2の同期装置S5もさらに設けられ、これにより、ツールホルダ5の回転モーメントR5と、ツールホルダ5の周回運動R8とが互いに同期される。これは、例えば電子同期装置によって実現することができ、この場合、これは第1の同期装置S1と同一であってもよい。図示の実施形態の例では、この同期は、機械的に、具体的には既に述べた遊星ギヤによって実現される。
【0147】
これに関する限り、駆動装置A5は、具体的には、一方では回転運動R5を生成し、他方では回転運動R5と周回モーメントR8との間の同期を達成する遊星ギヤによって、第2の同期装置S5と少なくとも部分的に同一とすることができる。
【0148】
第2の同期装置S5によって達成される同期により、ツール軸Qは、ワークピース1への各係合中に(ツールホルダ5の回転軸Wに対して)同じ方位角整列を仮定することができる。これは、例えば、図1に表されているようなワークピース1が外側に突出するワークピース肩部13を備え、この肩部の近くまでプロファイルが成形される場合に有利であり得る。これについて、図2A図2Dで説明する。
【0149】
図2A図2Dは、本方法の連続する段階を示す。大部分の参照符号は既に上記で説明されている。φは、回転軸Wに対するツール軸の方位角位置、またはより正確には対応する方位角(反時計回り方向に測定される)を示す。例えば、図2A図2D図4においても、以下を参照)に示すように、方位角配向の基準軸として以下を選択することができる。
【0150】
- 回転軸W(図2A図2D中に破線で示す)に対して垂直に整列され、活性領域21の中央を通り、回転軸Wを通る軸、および
- 回転軸W(図2A図2D中に点線で示す)に対して垂直に整列され、活性領域21の中央を通り、周回体軸を通る軸。
【0151】
図2Aは、係合が開始される直前の状況を示しており、その直後にツール2がワークピース1と接触する。図示の例における方位角φは、概ね317°であり、-43°に相当する。
【0152】
図2Bは、概ね係合途中の状況を示している。方位角φは、図示の例では数度である。
図2Cは、係合終了直後の様子を示している。ツール2はもはやワークピース1と接触していない。図示例の方位角φは概ね40°である。
【0153】
図2Dは、係合終了後の状況を示す。その後すぐに、ツール2はワークピース肩部13を越えて移動する。図示の例における方位角φは、良好な70°である。
【0154】
第2の同期装置S5によって、例えば、ツール2がワークピース1と接触し、したがって、各周回において、例えば0°に近い小さな方位角領域においてのみ、ハンマー方式でそれを再成形することができる。
【0155】
ツールホルダの周回運動と、回転軸を中心としたツールホルダの回転運動とが重なり合うことにより、ツール2は、ツール軸と回転軸とが同一ではないことに起因して、非常に短時間だけ、かつ(例えば、長手方向軸Zに平行に測定して)非常に短い部分に沿ってのみワークピース1と接触することができる。
【0156】
したがって、ツール2がワークピース肩部13と接触(再成形)するのを防ぐことができるが、これにもかかわらず、プロファイルの成形は、ワークピース肩部13の近くまで行うことができる。
【0157】
図2Aによって簡単に認識することができるように、右側に表されている端部のワークピース1は、そこで終わる代わりに、さらなるワークピース突出部(図2Aにおいて点線で表す)を備えることができる。そのような場合、記載された方法によって、それぞれのワークピース突出部の近くまで延びるように、2つのワークピース突出部間にプロファイルを成形することが可能である。
【0158】
図3は、ツール2を有するツールホルダ5を、その回転軸Wおよびツール軸Qを通る断面で示す。それは、軸が回転軸Wと同軸である2つの遊星歯車45と、周回体8(図1参照)内の回転可能な取り付けのための2つの軸受領域2Lとを(任意選択的に)備える。ツールホルダ5は、図示のように、1つの部品として、またはいくつかの部品から設計することができる。
【0159】
ツールホルダ5は、例えば、ツール2がツール軸Qを中心に回転可能に取り付けられるツールインサート2e(図3では、認識性を向上させるためにハッチングで表す)を備えることができる。例えば、図3に示すように、ツール2としてのローラを、ツール軸Qを中心として回転自在に取り付けることができる。この目的のために、ツールインサート22eは、回転軸受(図には別個に示さず)を備えることができる。ツールインサート2eは、ツールホルダ5の少なくとも1つのさらなる部分に固定的に接続することができ、例えばこれにねじ止めすることができる。
【0160】
ツール軸Qは、遊星歯車45に対してツールホルダ5内に固定して配置することができる。
【0161】
図4は、例えば、図3によるツールホルダ5に一体化された遊星歯車45を備える装置の遊星ギヤ40の詳細を回転軸Wに垂直な断面図で示しているが、図4では一方のみが見える。
【0162】
遊星ギヤ40は、軸42を有するリングギヤ41を備え、これとは別に、図4には示されておらず、ツールホルダ5の第2の遊星歯車が走行する第2のリングギヤをさらに備えることができる。
【0163】
遊星歯車45の軸46は、回転軸Wと同軸である。また、周回体軸V(ツールホルダの周回運動の軸に対応する)は、リングギヤ41の軸42と同軸である。
【0164】
遊星ギヤ40の適切な寸法設定によって、例えば、ワークピース1への係合が完了する、またはワークピース1への係合が開始される、ツールホルダ5の周回経路U(図1参照)に沿った特定の位置でのツール軸Qが、各周回と常に同じ方位角位置(回転軸に対して)を有することを確実にすることができる。
【0165】
2つのリングギヤおよび2つの遊星歯車を有する遊星ギヤの代わりに、遊星ギヤは、例えば、1つ以下のリングギヤおよび1つ以下の遊星歯車で実現することもできる。
【0166】
2つのツール係合がツールの各係合と共に、具体的には長手方向軸に対して互いに対向し、特に同じ位置で(長手方向軸Zに対して)軸方向にも対向するワークピース1の場所で行われる場合、ワークピースホルダ10に対する機械的要求を大幅に低減することができる。
【0167】
図5は、2つのプロファイル成形ヘッド3a、3bを有する装置100の詳細を示し、さらに半径方向送りおよび軸方向前進が記号化されている。周回体(いずれの場合も少なくとも1つのツールホルダを含む)および設けられている限り遊星ギヤは、プロファイル成形ヘッド3a、3bに取り付けることができる。
【0168】
プロファイル成形ヘッド3a、3bまたはそれらに取り付けられた部品は、本質的に同じ方法で設計することができるが、運動に関して鏡像化することができる。
【0169】
これにより、図5(破線)に記号で示されているワークピース1は、いずれの場合も、長手方向軸Zに対して互いに対向して配置された2つのツールによって機械加工することができる。
【0170】
したがって、2つの周回体の運動は、互いに同期されることができ、または例えば1つの同じ回転駆動部の1つの同じ運動から生じることができる。また、1つ以上のリングギヤを、プロファイル成形ヘッドの各々に固定することができる。
【0171】
機械加工の過程で、ワークピースへの多数の連続的なツール係合によって長手方向軸Zに沿ったプロファイルの前進成形を可能にするために、ワークピースを軸方向に、したがって長手方向軸Zに平行な方向に移動させることができると有利であり得る。当然ながら、これは、単一のプロファイル成形ヘッドのみが設けられている場合、またはツール係合が片側からのみ行われる場合、またはいずれの場合も複数のツールによって行われない場合にも当てはまる。
【0172】
そのような軸方向運動は、黒色で塗りつぶされた大きな矢印によって図5に示されている。
【0173】
このために、軸方向前進のための駆動部AZを設けることができる。
機械加工の過程で、ツールを半径方向に、したがって長手方向軸Zに垂直な方向に送ることができれば有利であり得る。これは、係合の数が増加するにつれて、成形されるプロファイルギャップがさらに深くなるためである。これは、単一のプロファイル成形ヘッドのみが設けられている場合、またはツール係合が片側からのみ行われる場合、またはいずれの場合も複数のツールによって同時に行われない場合にも当てはまる。
【0174】
そのような半径方向の送り運動は、図5において、L2で示される開いた矢印によって表されている。これは、長手方向軸に対して垂直に延び、ツールホルダの周回運動によって描かれる平面に平行な軸に沿って行うことができる。
【0175】
このために、半径方向送りのための駆動部A2を設けることができる。
半径方向送りに起因して、ツールホルダの軌道または運動経路は、図6A図6Cに概略的に示されるように、周回運動Uと(直線的な)半径方向送り運動との重ね合わせから生じる。
【0176】
ここで、図6Aは、ツールホルダの周回経路Uを表す。
図6Bは、半径方向送り運動L2を表す。
【0177】
図6Cは、周回運動Uと半径方向送りL2との重ね合わせから生じるツールホルダの軌道Tを表す。ここで、実際には、ほぼ円形の軌跡成分間の距離は、図6Cに明確に示すものよりも非常に小さくすることができる。
【0178】
図7は、各々がそれぞれ2つのツール2a1、2a1’および2a2、2a2’などを有する3つのツールホルダ5a1、5a2、5a3および5b1、5b2、5b3を各々備える2つのプロファイル成形ヘッドを有する装置100の詳細を示す。
【0179】
(場合によってはプロファイル成形ヘッドごとに)いくつかのツールホルダ5a1、5a2、...を設けることにより、周回体の1つの軌道ごとにいくつかの係合を行うことができ、これにより迅速な機械加工、したがってより短時間でのプロファイルの作成を可能にできる。
【0180】
ツールホルダごとにいくつかのツールが提供されることにより、それらの耐用年数を延ばすことができ、したがって、より長い、中断のないプロファイル成形を可能にすることができる。例えば、第2の同期装置S5(図1参照)は、ツールホルダごとにn個のツールが与えられると、各場合において、ツールホルダ5の周回経路U(図1を参照)に沿った特定の位置(例えば、ツール1への係合が完了する場所)での周回体8の周回後に、それぞれのツールのツール軸が、軌道の開始時の方位角位置と306°/nだけ異なる方位角配向を有するように構成することができる。この差は、360°および360°の倍数とは異なるので、360°/nの倍数であってもよい。
【0181】
さらに、図7には、本明細書に記載の方法によって、2つのプロファイル画定構造間、例えば2つのワークピース肩部13、13’間のプロファイルを成形することもでき、プロファイルは各々、プロファイル画定構造の近くまで到達することができることが示されている。
【0182】
図8は、長手方向軸Zに垂直な断面において、記載された方法または記載された装置によって生成することができるプロファイルPを備えるプロファイル本体1pを示す。プロファイル成形は、多数のプロファイルギャップplを備える。これらのプロファイルギャップplの各々は、図8による断面において、生成されるプロファイルギャップplの形状に本質的に対応する形状を有する活性領域21を各々が有する1つ以上のツール2の多数の係合の連続的な実行によって生じている。
【0183】
プロファイル本体1pは、外側にプロファイル成形されたマンドレル6に着座する中空部品であり、外側に突出する肩部13を備える。プロファイル成形されたマンドレル6を使用するために、本方法によって外側プロファイルを成形することができるだけでなく、内側プロファイルも同時に成形することができる。
【0184】
非プロファイルマンドレル上に着座する中実部品または中空部品に関して、内側プロファイルを同時に成形することなく外側プロファイルを成形することができる。
【0185】
さらに、中空部品に外側プロファイルを成形することなく、中空部品に内側歯部を生成することが可能である。これを図9に示す。
【0186】
図9は、長手方向軸に垂直な断面において、外側にプロファイル成形されたマンドレル6上に着座し、ツール2によって説明した方法でまさに機械加工されようとしているワークピース1の詳細を示している。機械加工により、ワークピース1の材料は、プロファイルギャップ6pに成形される。ツール2は、広範な活性領域を有する。
【0187】
図10は、一例として、長手方向軸Zを含む断面において、ツール1の機械加工領域11の外面が円筒形である必要はなく、例えば図示のように円錐形であってもよいことを示す。
【0188】
図11は、一例として、長手方向軸Zに垂直な断面において、ワークピース1の機械加工領域11の外面11aが必ずしも回転対称である必要はなく、例えば、表されているように多角形であってもよいことを示している。図11に示されているのは、外面11aが6つの部分表面を備える場合であるが、非常に多くの部分表面を備える外面11aを想定することもできる。関連する機械加工領域において、ワークピース1は、例えば、角柱状とすることができる。
【0189】
図12は、半径方向外側に突出する2つの軸方向に離間したプロファイル画定構造13、13’を有するワークピース1またはプロファイル本体1pの例を示す。記載された方法によって生成されたプロファイルギャップplを有するプロファイルPは、これらの近くまで到達する。
【0190】
プロファイル画定構造はまた、機械加工領域の隣接する部分に対して半径方向内側に向けられてもよい。図13は、この例を示し、機械加工領域11の一端のプロファイル画定構造13は半径方向内側に向けられ、機械加工領域11の他端のプロファイル画定構造13’は半径方向外側に向けられる。
【0191】
図14は、例として、画定構造をプロファイル成形することによって機械加工領域11を必ずしも片側または両側で画定する必要がないことを示す。示されているのはプロファイル本体であり、これに関して、機械加工領域11の両端はプロファイル画定構造に隣接していない。
【0192】
図15は、一例として、ワークピース1のプロファイル画定構造13が必ずしも回転対称ではないことを示す。図示の例では、半径方向外側に突出するいくつかのワークピース突出部が設けられており、これらは異なる方位角位置に配置されている。
【0193】
図16は、長手方向軸Lに垂直な断面において、プロファイルギャップ1pが方位角方向に不均一に分布しているプロファイルを備えるワークピース1またはプロファイル本体1pを示す。円周にわたって均一に分布するプロファイルギャップは多くの用途に好ましいが、プロファイルギャップplの方位角方向に不規則な配置が有利である用途がある。
【0194】
当然ながら、単一のワークピースは、2つ以上の異なる機械加工領域を備えることができ、これは例えば互いに軸方向に距離を置くことができ、いずれの場合も本明細書に記載されているようにプロファイルが設けられる。
【0195】
図1図5図7に示す例に関して、ツール軸Qに垂直な平面は、長手方向軸Zを含む。しかしながら、これは1つの選択肢に過ぎない。既にさらに上述したように、この選択肢は、真っ直ぐな歯部が製造され、ワークピースが静止しているか、または係合中にゆっくりとしか回転しない場合に特に有用であり得る。
【0196】
しかしながら、図17に概略的に示されるように、長手方向軸との枢動角δ(0度に等しくない)を囲むツール軸に垂直な平面も想定することができる。これは、例えば斜め歯部のような斜めに延びるプロファイルを成形するために、または例えばワークピース1またはワークピースホルダが一定の回転速度で回転運動する場合のように、ワークピース1がツール係合中に回転する場合にも有用であり得る。特に、図17に示すように、(枢動された)ツール軸Q’は、垂直に整列したツール軸Qに対して、長手方向軸Zに平行な方向に枢動することができる。換言すれば、非枢動ツール軸Qは、枢動ツール軸Q’と共に、長手方向軸Zに平行な平面内にあるように枢動される。図17において言及された平面は、図面の平面である。枢動ツール軸Q’に垂直な平面は、図17に一点鎖線で表されており、枢動ツール軸Qも非枢動ツール軸Qとの枢動角δを囲むので、長手方向軸は枢動角δを囲む。枢動角δの大きさは、例えば、プロファイルの斜角、または係合中のワークピースもしくはワークピースホルダの回転速度に依存し得る。
【0197】
例えば、プロファイル成形ヘッドは、ツール軸Q、(ツールホルダの)回転軸W、および周回体軸Vが同時に枢動することができるように枢動され得る。
【0198】
ツール軸Q、回転軸Wおよび周回体軸Vが互いに平行である場合、例えば、これらはすべて同じ枢動角δを中心に枢動することができる。ツール軸Qに垂直な平面は、相互の平行性のために、回転軸Wおよび周回体軸Vにも垂直である。
【0199】
既に上で説明したように、本明細書に記載の方法はまた、このために大きな力を必要とするプロファイルの成形を可能にすることができ、これにもかかわらず、プロファイル画定構造(例えば、ワークピース肩部など)の近くまでプロファイルを成形することが可能である。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【国際調査報告】