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特表2024-521917ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞及びその用途
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞及びその用途
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/747 20150101AFI20240528BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 7/02 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 19/06 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 19/10 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20240528BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20240528BHJP
【FI】
A61K35/747
A61P37/02
A61P43/00 105
A61P31/12
A61P37/06
A61P37/08
A61P11/00
A61P1/16
A61P9/00
A61P1/04
A61P13/12
A61P7/02
A61P17/00
A61P25/00
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P17/06
A61P19/08
A61P27/02
A61P11/06
A61P9/10
A61P29/00
A61P1/18
A61P19/06
A61P19/10
A61P25/28
A61P25/16
A23L33/135
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574552
(86)(22)【出願日】2022-05-31
(85)【翻訳文提出日】2023-12-19
(86)【国際出願番号】 KR2022007768
(87)【国際公開番号】W WO2022255784
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】10-2021-0072078
(32)【優先日】2021-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0173139
(32)【優先日】2021-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】516348577
【氏名又は名称】エムディー ヘルスケア インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MD HEALTHCARE INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ユン-クン
【テーマコード(参考)】
4B018
4C087
【Fターム(参考)】
4B018MD86
4B018ME14
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC56
4C087CA09
4C087MA52
4C087NA14
4C087ZA02
4C087ZA14
4C087ZA15
4C087ZA16
4C087ZA33
4C087ZA34
4C087ZA36
4C087ZA54
4C087ZA59
4C087ZA66
4C087ZA75
4C087ZA81
4C087ZA89
4C087ZA96
4C087ZA97
4C087ZB07
4C087ZB08
4C087ZB11
4C087ZB13
4C087ZB15
4C087ZB21
4C087ZB33
4C087ZC31
4C087ZC52
4C087ZC54
(57)【要約】
【要約】
本発明は、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞及びその用途に関し、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を有効成分として含む免疫疾患または細胞老化関連疾患の予防、改善、または治療用組成物に関する。本発明者らは、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞が細胞の恒常性を増加させて細胞老化に関連する疾患の発生を抑制し、ウイルス性因子による免疫疾患モデルにおいて免疫過敏反応を抑制して免疫疾患の発生を抑制することを確認した。したがって、本発明によるラクトバチルス・ラムノサス由来小胞は、ウイルス感染疾患、アレルギー性免疫疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患及び細胞老化関連疾患などを予防、症状改善、または治療するための医薬品または健康機能食品などの開発に有用に利用できるだろう。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を有効成分として含有する、免疫疾患及び細胞老化関連疾患からなる群から選ばれる少なくとも1つの予防または治療用薬学的組成物。
【請求項2】
前記免疫疾患は、ウイルス感染疾患、アレルギー性免疫疾患、及び自己免疫疾患からなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記ウイルス感染症は、ウイルス性肺炎、ウイルス性肝炎、ウイルス性心臓炎、ウイルス性腸炎、ウイルス性腎炎、ウイルス性血栓塞栓症、帯状疱疹、及びメニエール病からなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記自己免疫疾患は、全身性紅斑性嚢胞、関節リウマチ、シェーグレン症候群、ベーチェット病、強直性脊椎炎、及び多発性硬化症からなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記アレルギー性免疫疾患は、アトピー性皮膚炎、乾癬、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性喘息、過敏性肺炎、食品アレルギー、セリアック病、過敏性腸症候群、及びアナフィラキシーからなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記細胞老化関連疾患は、狭心症、心筋梗塞、心筋症、血栓塞栓症、及び脳卒中からなる群から選ばれる少なくとも1つの心血管疾患、アルコール性脂肪肝炎、肝硬変、慢性胆道炎、慢性胆嚢炎、及び慢性膵炎からなる群から選ばれる少なくとも1つの肝臓-胆道-膵臓疾患、痛風、骨関節炎、骨粗しょう症からなる群から選ばれる少なくとも1つの筋骨格系疾患、並びにアルツハイマー病、パーキンソン病、及び黄斑変性からなる群から選ばれる少なくとも1つの神経疾患からなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記小胞は、平均直径が10~1000nmであることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
前記小胞は、ラクトバチルス・ラムノサス培養液から分離されることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
前記小胞は、ラクトバチルス・ラムノサスを添加して製造された食品から分離されることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
前記小胞は、ラクトバチルス・ラムノサスから自然的に分泌または人工的に生産されることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を有効成分として含む、免疫疾患及び細胞老化関連疾患からなる群から選ばれる少なくとも1つの予防または改善用食品組成物。
【請求項12】
前記免疫疾患は、ウイルス感染疾患、アレルギー性免疫疾患、及び自己免疫疾患からなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする、請求項11に記載の食品組成物。
【請求項13】
前記小胞は、ラクトバチルス・ラムノサス培養液から分離されることを特徴とする、請求項11に記載の食品組成物。
【請求項14】
前記小胞は、ラクトバチルス・ラムノサスを添加して製造された食品から分離されることを特徴とする、請求項11に記載の食品組成物。
【請求項15】
前記小胞は、ラクトバチルス・ラムノサスから自然的に分泌または人工的に生産されることを特徴とする、請求項11に記載の食品組成物。
【請求項16】
ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を有効成分として含む、老化予防または治療用薬学的組成物。
【請求項17】
ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を有効成分として含む、老化予防または改善用食品組成物。
【請求項18】
ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を有効成分として含む、老化予防または改善用化粧料組成物。
【請求項19】
ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を有効成分として含む組成物をそれを必要とする個体に投与する段階を含む、免疫疾患及び細胞老化関連疾患からなる群から選ばれる少なくとも1つの予防または治療方法。
【請求項20】
ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を有効成分として含む組成物の免疫疾患及び細胞老化関連疾患からなる群から選ばれる少なくとも1つの予防または治療用途。
【請求項21】
ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞の免疫疾患及び細胞老化関連疾患からなる群から選ばれる少なくとも1つの治療用薬剤製造のための用途。
【請求項22】
ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を有効成分として含む組成物をそれを必要とする個体に投与する段階を含む、老化の予防または治療方法。
【請求項23】
ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を有効成分として含む組成物の老化予防または治療用途。
【請求項24】
ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞の老化治療用薬剤製造のための用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)由来小胞を有効成分として含む免疫疾患及び細胞老化関連疾患の予防、改善、または治療用組成物に関する。
【0002】
本発明は、2021年6月3日付で出願された大韓民国特許出願第10-2021-0072078号及び2021年12月6日付で出願された大韓民国特許出願第10-2021-0173139号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示されたすべての内容は、本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
21世紀に入って過去伝染病として認識されていた急性感染性疾患の重要性は減少した。一方、私たちの体の主要臓器に発生する免疫機能異常及び細胞老化による慢性疾患が生活の質の減少と人間の寿命を決定する主な疾患へと疾患パターンが変わった。このような疾病パターンの変化は食事パターンの変化と密接な関連があるが、過去に栄養状態が不足していた時代には栄養失調による急性感染性疾患が主な死亡原因であったが、最近、栄養が豊富になって栄養過剰で発生する免疫機能の異常及び細胞老化に関連した慢性疾患が主な問題となっている。
【0004】
栄養過剰により脂肪が正常に貯蔵される場所である脂肪組織だけでなく、血管、心臓、肝臓、腎臓、筋肉などに蓄積しつつ脂肪毒性(lipotoxicity)がもたらされ、これにより炎症及び細胞の老化が発生する。すなわち、炭水化物または脂質代謝障害により血中脂質と脂肪酸が増加し、細胞内に脂肪酸が多くなるにつれて脂肪酸による炎症反応が発生し、炎症反応は、細胞老化及び死滅を起こして心血管、肝臓、腎臓、筋肉、脳などの臓器の機能障害が発生することになる。このような病因によって発生する疾患として、狭心症、血栓塞栓症、心筋梗塞、心筋症、脳卒中などの心血管疾患、慢性腎症、腎不全などの腎臓疾患、骨関節炎、痛風、骨粗しょう症などの筋骨格系疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病などの退行性脳疾患などが含まれる
【0005】
免疫(immunity)は、生物学的、化学的、物理的、精神的ストレスに対する細胞の防御メカニズムであり、先天免疫(innate immunity)と後天免疫(adaptive immunity)を介して起こる。特に病原性因子に繰り返し露出時に不適切な免疫反応が起こると、慢性炎症反応の結果として疾病が発生するが、代表的な例として、環境的な病原性因子による免疫過敏反応によるアレルギー疾患及び内部的に生成される病原性危険因子による過敏反応の結果として発生する自己免疫疾患が代表的である。また、最近、免疫機能が細胞の代謝機能と密接に関連していることが明らかになったが、栄養過剰による免疫機能障害の病因に関連して、細胞質内脂肪酸、尿酸などの代謝産物が危険信号として作用して細胞質内に存在するパターン認識受容体(pattern recognition receptor)であるNLRP(Nucleotide-binding oligomerization domain)によって認知される。これはインフラマソームを形成して細胞死滅を誘導するとともに、炎症性メディエーターを分泌して炎症細胞浸潤を誘導するという事実が知られている。
【0006】
一方、人体に共生する微生物は100兆に達してヒト細胞より多く、微生物の遺伝子数は、ヒトの遺伝子数の100倍を超えることが知られている。微生物叢(microbiotaやmicrobiome)は、所与の住居地に存在する真正細菌(bacteria)、古細菌(archaea)、真核生物(eukarya)を含む微生物群集(microbial community)を指す。
【0007】
私たちの体に共生する細菌及び周辺環境に存在する細菌は、他の細胞への遺伝子、低分子化合物、タンパク質などの情報を交換するためにナノメートルサイズの小胞(vesicle)を分泌する。粘膜は、200ナノメートル(nm)サイズ以上の粒子は通過できない物理的な防御膜を形成して、粘膜に共生する細菌の場合には粘膜を通過できないが、細菌由来小胞は、サイズが200ナノメートルサイズ以下であるため、比較的自由に粘膜を通じて上皮細胞を通過して私たちの体に吸収される。このように細菌由来小胞は、細菌から分泌されたものであるが、細菌と構成成分、体内吸収率、副作用の危険性などが互いに異なり、これにより細菌由来小胞を使用することは生きている細菌を使用することとは全く異なるか、または顕著な効果を示す。
【0008】
局所的に分泌された細菌由来小胞は、粘膜の上皮細胞を通じて吸収されて局所炎症反応を誘導するだけでなく、上皮細胞を通過した小胞は、リンパ管を通じて全身的に吸収されて各臓器に分布し、分布した臓器で代謝機能と免疫機能を調節する。例えば、大腸菌(Eshcherichia coli)などの病原性グラム陰性細菌に由来する小胞は、病原性ナノ粒子として局所的に大腸炎や食中毒などを引き起こし、血管に吸収された場合に血管内皮細胞に吸収されて炎症反応を誘導して全身的な炎症反応及び血液凝固を促進し、さらにインスリンが作用する筋肉細胞などに吸収され、インスリン抵抗性と糖尿病などの代謝疾患を誘発する。一方、有益な細菌に由来する小胞は病原性小胞による免疫機能及び代謝機能異常を調節して疾病を調節しうる。
【0009】
ラクトバチルス属細菌は、乳酸を分泌する代表的な有益菌として知られている。このうち、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)は、グラム陽性桿菌として嫌気性環境だけでなく、好気性環境でもよく育ち、我々の体にも共生する細菌であり、発酵過程においても重要な細菌として知られている。ラクトバチルス・ラムノサスのようなグラム陽性菌(gram-positive bacteria)由来の小胞は、細菌由来タンパク質、代謝体及び核酸の他にも細菌の細胞壁構成成分であるペプチドグリカン(peptidoglycan)とリポテイコ酸(lipoteichoic acid)を有している。
【0010】
しかし、ラクトバチルス・ラムノサスから分泌される小胞が免疫機能障害及び細胞老化関連疾患の予防、または治療のために用いられる場合はないのが実状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者らは、前記のような従来の問題点を解決するために鋭意研究した結果、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞が免疫疾患及び細胞老化関連疾患の治療効果があることを確認し、本発明を完成した。
【0012】
したがって、本発明は、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を有効成分として含有する、免疫疾患及び細胞老化関連疾患からなる群から選ばれる少なくとも1つの予防、改善または治療用薬学的組成物を提供することを目的とする。
【0013】
しかし、本発明が解決しようとする技術的課題は、前述した課題に制限されず、言及されていないさらに他の課題は、以下の記載から当業者が明確に理解できるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記のような本発明の目的を達成するために、本発明者らは、ラクトバチルス・ラムノサス細菌を培養して培養液から小胞を分離し、分離された小胞を高脂肪食による細胞老化関連疾患マウスに経口内投与した結果、体重増加が抑制され、腎機能及び肺機能が好転され、このような作用はTh17及びTh2過敏反応の抑制に関連していることを確認した。また、本発明の小胞が断食(starvation)、運動などのATP産生がよく起こらないストレス(metabolic stress)状況において、自己捕食(autophagy)を介して細胞の恒常性を誘導する核心シグナルであるAMPK(AMP-activated kinase)の活性化を増加させることを確認した。また、ウイルス性病原因子であるpoly(I:C)によって誘導された免疫疾患マウスモデルに前記小胞を経口内投与したとき、インターフェロン-ガンマ及びIL-6を媒介とする免疫過敏反応による全身炎症反応が抑制され、局所的にはTNF-α及びIL-6を媒介とする免疫過敏反応による肺炎症が有意に抑制されることを確認した。また、前記ウイルス性因子による免疫過敏反応は、前記小胞がNF-κBシグナル及びその下部シグナルであるinducible NOS(iNOS)発現を抑制して作用することを確認した。
【0015】
したがって、本発明は、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を有効成分として含有する、免疫疾患及び細胞老化関連疾患からなる群から選ばれる少なくとも1つの予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0016】
本発明の一具現例において、前記免疫疾患は、ウイルス感染疾患、アレルギー性免疫疾患、及び自己免疫疾患からなる群から選ばれる少なくとも1つであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0017】
本発明の他の具現例において、前記ウイルス感染症は、ウイルス性肺炎、ウイルス性肝炎、ウイルス性心臓炎、ウイルス性腸炎、ウイルス性腎炎、ウイルス性血栓塞栓症、帯状疱疹、及びメニエール病からなる群から選ばれる少なくとも1つであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0018】
本発明のさらに他の具現例において、前記自己免疫疾患は、全身性紅斑性嚢胞、関節リウマチ、シェーグレン症候群、ベーチェット病、強直性脊椎炎、及び多発性硬化症からなる群から選ばれる少なくとも1つであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0019】
本発明のさらに他の具現例において、前記アレルギー性免疫疾患は、アトピー性皮膚炎、乾癬、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性喘息、過敏性肺炎、食品アレルギー、セリアック病、過敏性腸症候群、及びアナフィラキシーからなる群から選ばれる少なくとも1つであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0020】
本発明のさらに他の具現例において、前記細胞老化関連疾患は、狭心症、心筋梗塞、心筋症、血栓塞栓症、及び脳卒中からなる群から選ばれる少なくとも1つの心血管疾患、アルコール性脂肪肝炎、肝硬変、慢性胆道炎、慢性胆嚢炎、及び慢性膵炎からなる群から選ばれる少なくとも1つの肝臓-胆道-膵臓疾患、痛風、骨関節炎、骨粗しょう症からなる群から選ばれる少なくとも1つの筋骨格系疾患、及びアルツハイマー病、パーキンソン病、及び黄斑変性からなる群から選ばれる少なくとも1つの神経疾患からなる群から選ばれる少なくとも1つであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0021】
本発明のさらに他の具現例において、前記小胞は、平均直径が10~1000nmであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0022】
本発明のさらに他の具現例において、前記小胞は、ラクトバチルス・ラムノサス培養液から分離されるものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0023】
本発明のさらに他の具現例において、前記小胞は、ラクトバチルス・ラムノサスを添加して製造された食品から分離されるものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0024】
本発明のさらに他の具現例において、前記小胞は、ラクトバチルス・ラムノサスから自然的に分泌または人工的に生産されるものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0025】
また、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を有効成分として含む、免疫疾患及び細胞老化関連疾患からなる群から選ばれる少なくとも1つの予防または改善用食品組成物を提供する。
【0026】
また、本発明は、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を有効成分として含む、老化予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0027】
また、本発明は、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を有効成分として含む、老化予防または改善用食品組成物を提供する。
【0028】
また、本発明は、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を有効成分として含む、老化予防または改善用化粧料組成物を提供する。
【0029】
また、本発明は、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を有効成分として含む組成物をそれを必要とする個体に投与する段階を含む、免疫疾患及び細胞老化関連疾患からなる群から選ばれる少なくとも1つの予防または治療方法を提供する。
【0030】
また、本発明は、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を有効成分として含む組成物の免疫疾患及び細胞老化関連疾患からなる群から選ばれる少なくとも1つの予防または治療用途を提供する。
【0031】
また、本発明は、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞の免疫疾患及び細胞老化関連疾患からなる群から選ばれる少なくとも1つの治療用薬剤の製造のための用途を提供する。
【0032】
また、本発明は、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を有効成分として含む組成物をそれを必要とする個体に投与する段階を含む、老化の予防または治療方法を提供する。
【0033】
また、本発明は、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を有効成分として含む組成物の老化予防または治療用途を提供する。
【0034】
また、本発明は、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞の老化治療用薬剤の製造のための用途を提供する。
【発明の効果】
【0035】
本発明によるラクトバチルス・ラムノサス細菌由来小胞を高脂肪食による細胞老化関連疾患マウスモデルに経口投与時、体重増加が抑制され、腎機能及び肺機能が好転することを確認した。また、ATP産生がよく起こらないエネルギー代謝ストレス状況において、自己捕食を通じて細胞の恒常性を誘導する核心シグナルであるAMPKを前記小胞が活性化させることを確認した。
【0036】
これに加えて、ウイルス性病原性因子であるpoly(I:C)によって誘導された免疫機能障害関連疾患マウスモデルに前記小胞を経口内投与したとき、免疫過敏反応による全身的な炎症反応が抑制され、局所的にもウイルス性因子による免疫過敏反応による肺炎症が有意に抑制された。また、前記ウイルス性因子による免疫過敏反応は、前記小胞がNF-κBシグナル及びその下部信号であるiNOS発現を抑制して作用することが確認された。
【0037】
したがって、本発明によるラクトバチルス・ラムノサス由来小胞は、ウイルス感染症、アレルギー性免疫疾患、及び自己免疫疾患を含む免疫疾患、及び細胞老化関連疾患を予防、症状改善、または治療するための医薬品または健康機能食品などの開発に有用に利用できるものと期待される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は、高脂肪食によって誘導された細胞老化関連疾患マウスモデルにラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を経口内投与して細胞老化関連疾患に対する治療効果を評価するための実験プロトコルである。
図2図2は、高脂肪食による細胞老化関連疾患マウスモデルにおいてラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を経口内投与して体重減少効果を評価した結果である。
図3a-3b】図3a及び図3bは、高脂肪食による細胞老化関連疾患マウスモデルにおいてラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を経口内投与して血清内腎機能検査(BUN,クレアチニン)値を確認した結果である。
図4図4は、高脂肪食による細胞老化関連疾患マウスモデルにおいてラクトバシラスラムノサス由来小胞を経口内投与して肺機能の変化を観察した結果である。
図5a-5b】図5a及び図5bは、高脂肪食による細胞老化関連疾患マウスモデルにおいてラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を経口内投与して気道洗浄液内のTh17及びTh2関連サイトカイン値を確認した結果である。
図6図6は、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞が筋肉細胞内でAMPK活性化を通じて細胞恒常性維持に及ぼす影響を評価した結果である。
図7図7は、ウイルス感染による免疫疾患を模写する原因因子であるpoly(I:C)を鼻腔内投与して誘導した免疫機能障害関連疾患マウスにラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を経口投与し、免疫疾患に対する治療効果を評価するための実験プロトコルである。
図8a-8b】図8a及び図8bは、poly(I:C)を鼻腔内投与して誘導した免疫疾患マウスモデルにラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を経口投与し、気道洗浄液内の総炎症細胞数(a)及びマクロファージ及びリンパ球数(b)の変化を観察した結果である。
図9a-9b】図9a及び図9bは、poly(I:C)を鼻腔内投与して誘導した免疫疾患マウスモデルにラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を経口内投与してH&E染色による肺組織学的変化を観察したイメージ(図9a)及び気道周辺に浸潤した免疫細胞数(図9b)を確認した結果である。
図10図10は、poly(I:C)を鼻腔内投与して誘導した免疫疾患マウスモデルにラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を経口内投与して血中炎症指標であるhs-CRP値を確認した結果である。
図11a-11b】図11a及び図11bは、poly(I:C)を鼻腔内投与して誘導した免疫疾患マウスモデルにラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を経口内投与して気道洗浄液内の炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-6)値を確認した結果である。
図12a-12b】図12a及び図12bは、poly(I:C)を鼻腔内投与して誘導した免疫疾患マウスモデルにラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を経口内投与した後に得られた脾臓T細胞において抗CD3及び抗CD28抗体でT細胞を刺激した後、T細胞から分泌される炎症性サイトカイン(IFN-γ、IL-6)値を確認した結果である。
図13図13は、poly(I:C)を鼻腔内投与して誘導した免疫疾患マウスモデルにラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を経口内投与した後に得られた肺組織においてNF-κB及びiNOSの発現を確認した結果である。
図14図14は、免疫疾患及び代謝疾患に対するラクトバチルス・ラムノサスの作用メカニズムを分子生物学的レベルで要約した図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明は、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞及びその用途に関する。
【0040】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0041】
本発明者らは、高脂肪食による細胞老化を誘導した慢性疾患マウスにラクトバチルス・ラムノサス細菌を培養して培養液から小胞を分離して経口内投与した場合、体重増加が抑制され、腎機能及び肺機能が好転することを確認し、このような作用は、Th17及びTh2細胞による免疫過敏反応の抑制に関連していることを確認した(実施例2及び3参照)。
【0042】
また、本発明の小胞は、ATP産生がよく起こらないエネルギー代謝ストレス状況において、自己捕食を通じて細胞の恒常性を誘導する核心シグナルであるAMPKを活性化させることを確認した(実施例4参照)。
【0043】
また、ウイルス性病原性因子であるpoly(I:C)によって誘導された免疫疾患マウスモデルに前記小胞を経口内投与したとき、全身的な炎症反応が抑制され、局所的にもウイルス性因子による肺炎症が有意に抑制されたことを確認した(実施例5及び6参照)。
【0044】
また、前記ウイルス性因子による免疫過敏反応は、前記小胞がNF-κBシグナル及びその下部信号であるiNOS発現を抑制して作用することを確認したところ(実施例7参照)、本発明によるラクトバチルス・ラムノサス細菌由来小胞は、免疫疾患及び細胞老化関連神経疾患に対する予防用または治療用組成物として有用に利用できることを確認した。
【0045】
したがって、本発明は、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を有効成分として含有する、免疫疾患及び細胞老化関連疾患からなる群から選ばれる少なくとも1つの予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0046】
本発明において使用される用語の「細胞外小胞」または「小胞(Extracellular vesicle)」とは、様々な細菌から分泌されるナノサイズの脂質膜からなる構造物を意味し、本発明において、前記小胞はラクトバチルス・ラムノサスから自然的に分泌されるか、または人工的に生産された膜からなるすべての構造物を総称する。
【0047】
前記小胞は、ラクトバチルス・ラムノサス培養過程において熱処理、高圧処理するか、または前記細菌培養液を遠心分離、超高速遠心分離、高圧処理、押出、超音波分解、細胞溶解、均質化、冷凍・解凍、電気穿孔、機械的分解、化学物質処理、フィルターによるろ過、ゲルろ過クロマトグラフィー、フリーフロー電気泳動、及びキャピラリー電気泳動からなる群から選ばれる少なくとも1つの方法を使用して分離してもよい。また、不純物を除去するための洗浄、得られた小胞の濃縮などの過程をさらに含んでもよい。
【0048】
本発明の前記ラクトバチルス・ラムノサスの培養液または発酵食品から小胞を分離する方法は小胞を含むものであれば、特に制限されない。例えば、遠心分離、超高速遠心分離、フィルターによるろ過、ゲルろ過クロマトグラフィー、フリーフロー電気泳動、またはキャピラリー電気泳動などの方法、及びそれらの組み合わせを用いて小胞を分離することができ、また、不純物の除去のための洗浄、得られた小胞の濃縮などの過程をさらに含んでもよい。
【0049】
本発明の前記小胞は、ラクトバチルス・ラムノサスの培養液またはラクトバチルス・ラムノサスを添加して製造された食品から分離されてもよく、ラクトバチルス・ラムノサスから自然的に分泌または人工的に生産されたものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0050】
本発明において前記方法により分離された小胞は、平均直径が10~1000nm、10~900nm、10~800nm、10~700nm、10~600nm、10~500nm、10~400nm、10~300nm、10~220nm、10~200nm、10~100nm、10~90nm、10~80nm、10~70nm、10~60nm、10~50nm、10~40nm、または20~40nmであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0051】
本発明において使用される用語の「免疫疾患(immune disease)」とは、生体内での免疫機能障害によって発生する疾患を総称する。一般に免疫疾患は病原性因子によって炎症が発生し、その結果、細胞死滅及び炎症性メディエーターによる炎症細胞の浸潤が誘導される。また、本発明の「免疫機能障害関連疾患(immune dysfunction related disease)」または「免疫疾患(immune disease)」とは、外部因子または内部因子による免疫過敏反応を特徴とする免疫機能障害によって発生する疾患を総称する。一般にウイルス、アレルゲンなどの外部因子に対する過敏反応を特徴とする免疫機能障害によりウイルス感染疾患及びアレルギー性免疫疾患が発生し、自己抗原などの内部因子に対する免疫機能障害により自己免疫疾患が発生する。前記免疫機能障害関連疾患または免疫疾患としては、ウイルス感染疾患、アレルギー性免疫疾患、及び自己免疫疾患などがある。
【0052】
本発明において、前記ウイルス感染疾患は、ウイルスによる肺炎、肺結核、結核、風邪、インフルエンザ、気道感染、鼻炎、鼻咽頭炎、中耳炎、気管支炎、リンパ腺炎、耳下腺炎、リンパ節炎、口唇炎、口内炎、関節炎、筋肉炎、皮膚炎、血管炎、歯肉炎、歯根膜炎、角膜炎、結膜炎、創傷感染、腹膜炎、肝炎、骨髄炎、蜂巣炎、髄膜炎、脳炎、脳膿瘍、脳脊髄炎、髄膜炎、骨髄炎、腎臓炎、心筋炎、心内膜炎、腸炎、胃炎、食道炎、十二指腸炎、大腸炎、尿路炎、膀胱炎、膣炎、子宮頸管炎、卵管炎、感染性紅斑、細菌性赤痢、膿瘍及び潰瘍、菌血症、下痢、赤痢、胃腸炎、胃腸管炎、泌尿生殖器膿瘍、開放性創傷又は傷の感染、化膿性炎症、膿瘍、腫れもの、膿皮症、膿痂疹、毛嚢炎、蜂巣炎、術後創感染症、皮膚熱傷症候群、皮膚火傷症候群、血栓性血小板減少症、溶血性尿毒症症候群、腎不全症、腎盂腎炎、糸球体腎炎、神経系膿瘍、中耳炎、副鼻腔炎、咽頭炎、扁桃腺炎、乳様突起炎、軟部組織炎、歯性感染症、涙嚢炎、胸膜炎、腹部膿瘍、肝膿瘍、胆嚢炎、脾膿瘍、心嚢炎、心筋炎、胎盤炎、羊水炎、乳房炎、敗血症性ショック(septic shock)、全身性炎症反応症候群(systemic inflammatory response syndrome, SIRS)、多臓器機能障害症候群(multiple organ dysfunction syndrome, MODS)、血栓塞栓症、帯状疱疹、及びメニエール病からなる群から選ばれる少なくとも1つであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0053】
本発明において、前記自己免疫疾患は、敗血症、動脈硬化、菌血症、全身性炎症反応症候群、多臓器機能不全、骨粗しょう症、歯周炎、全身性紅斑性ループス、関節リウマチ、骨関節炎、幼年型慢性関節炎、脊椎関節症、多発性硬化症、全身性硬化症、特発性炎症性筋障害、シェーグレン症候群(Sjogren’s syndrome)、全身性脈管炎、サルコイドーシス(sarcoidosis)、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少症、甲状腺炎、真性糖尿病、免疫介在性腎疾患、中枢神経系または末梢神経系の脱髄性疾患、特発性脱髄性多発神経炎、ギラン・バレー症候群(Guillain-Barre syndrome)、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、肝胆汁性疾患、感染性または自己免疫性慢性活性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、肉芽腫性肝炎、硬化性胆管炎、炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease, IBD)、潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis)、クローン病(Crohn’s disease)、過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome)、グルテン(gluten)敏感性腸疾患、ウィップル病(Whipple’s disease)、自己免疫性または免疫介在性皮膚疾患、水泡性皮膚疾患多形紅斑、接触性皮膚炎、乾癬、アレルギー性免疫疾患、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、食物過敏症、ニキビ、じんましん、肺の免疫疾患、好酸球性肺炎、特発性肺線維症、及び過敏性肺炎からなる群から選ばれる少なくとも1つであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0054】
本発明において、前記アレルギー性免疫疾患は、アトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性喘息、過敏性肺炎、食品アレルギー、セリアック病、過敏性腸症候群、及びアナフィラキシーからなる群から選ばれる少なくとも1つであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0055】
本発明において使用される用語の「細胞老化関連疾患(cellular aging related disease)」とは、栄養過剰で生体内でのエネルギー代謝ストレスによって細胞老化が促進されて発生する疾患を総称する。前記細胞老化関連疾患は、高血圧、動脈硬化、狭心症、高脂血症、心不全、心筋梗塞、心筋症、血栓塞栓症、及び脳卒中からなる群から選ばれる少なくとも1つの心血管疾患、
【0056】
非アルコール性脂肪性肝炎(non-alcoholic steatohepatitis、NASH)、アルコール性脂肪性肝炎(alcoholic steatohepatitis)、肝硬変(liver cirrhosis)、胆道炎(cholangitis)、胆嚢炎(cholecystitis)、及び膵臓炎(pancreatitis)からなる群から選ばれる少なくとも1つの肝臓-胆道-膵臓疾患、
【0057】
糸球体腎炎(glomerulonephritis)、及び慢性腎症(chronic nephropathy)からなる群から選ばれる少なくとも1つの腎臓疾患、
【0058】
緊張減退症(atony)、筋萎縮症(muscular artrophy)、筋異栄養症(muscular dystrophy)、筋無力症、悪液質(cachexia)、痛風(Gout)、筋減少症(sarcopenia)、骨粗しょう症(osteoporosis)、パジェット病(Paget’s disease)、関節リウマチ(rheumatoid arthritis)、及び骨関節炎(osteoarthritis)からなる群から選ばれる少なくとも1つの筋骨格系疾患、
【0059】
軽度認知障害(mild cognitive impairment)、認知症(dementia)、アルツハイマー病(Alzheimers disease)、パーキンソン病(Parkinsons disease)、ハンチントン病(Huntingtons disease)、ルー・ゲーリック病(Amyotrophic lateral sclerosis. ALS)、バッテン病(Batten disease)、カーンズ・セイヤー症候群(Kearns-Sayre syndrome, KSS)、慢性進行性外眼筋麻痺(chronic progressive external ophthalmoplegia, CPEO)、メラス症候群(mitochondrial encephalomyopathy with lactic acidosis and stroke-like episodes,MERRF)、NARP症候群(neurogenic weakness with ataxia and retinitis pigmentosa,NARP)、リー症候群(Leigh syndrome,LS)、MIRAS症候群(mitochondrial recessive ataxia syndrome)、レビー小体型認知症(Dementia with Lewy Bodies,DLB)、多発梗塞性認知症(Multi-Infarct Dementia,MID)、前頭側頭葉変性症(frontotemporal lobar degeneration,FTLD)、ピック病(Pick’s disease)、大脳皮質基底核変性症(Corticobasal degeneration,CBD)、進行性核上性麻痺(palsy,PSP)、黄斑変性(age-related macular degeneration,AMD)、嗅覚障害(dysosmia)、聴覚障害(deafness)、及び糖尿病網膜症(diabetic retinopathy)からなる群から選ばれる少なくとも1つの神経疾患などがある。
【0060】
本発明の組成物内の前記小胞の含量は、疾患の症状、症状の進行度合い、患者の状態などに応じて適宜調節可能であり、例えば、全組成物重量を基準として、0.0001~99.9重量%、または0.001~50重量%であってもよいが、これに限定されるものではない。前記含量比は、溶媒を除去した乾燥量を基準とした値である。
【0061】
本発明による薬学的組成物は、薬学的組成物の製造に通常使用される適切な担体、賦形剤及び希釈剤をさらに含んでもよい。前記賦形剤は、例えば、希釈剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、吸着剤、保湿剤、フィルムコーティング物質、及び制御放出添加剤からなる群から選ばれる少なくとも一つであってもよい。
【0062】
本発明による薬学的組成物は、それぞれ通常の方法により散剤、顆粒剤、徐放性顆粒剤、腸溶性顆粒剤、液剤、点眼剤、エルシリック剤、乳剤、懸濁液剤、酒精剤、トローチ剤、芳香水剤、リモナーデ剤、錠剤、徐放性錠剤、腸溶性錠剤、舌下錠、硬質カプセル剤、軟質カプセル剤、徐放性カプセル剤、腸溶性カプセル剤、丸剤、チンキ剤、軟調エキス剤、乾燥エキス剤、流動エキス剤、注射剤、カプセル剤、灌流液、硬膏剤、ローション剤、パスタ剤、噴霧剤、吸入剤、パッチ剤、滅菌注射液、またはエアロゾルなどの外用剤などの形態で剤形化して使用されてもよく、前記外用剤は、クリーム、ジェル、パッチ、噴霧剤、軟膏剤、硬膏剤、ローション剤、リニメント剤、パスタ剤またはカタプラズマ剤などの剤形を有してもよい。
【0063】
本発明による薬学的組成物に含まれてもよい担体、賦形剤及び希釈剤としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、オリゴ糖、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アカシアゴム、アルギネート、ゼラチン、カルシウムホスフェイト、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、非晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレート及び鉱物油が挙げられる。
【0064】
製剤化する場合は、通常、使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤または賦形剤を使用して調製される。
【0065】
本発明による錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、トローチ剤の添加剤として、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、小麦デンプン、乳糖、白糖、ブドウ糖、果糖、D-マンニトール、沈降炭酸カルシウム、合成ケイ酸アルミニウム、リン酸一水素カルシウム、硫酸カルシウム、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、精製ラノリン、微結晶セルロース、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カオリン、尿素、コロイド状シリカゲル、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)1928、HPMC2208、HPMC2906、HPMC2910、プロピレングリコール、カゼイン、乳酸カルシウム、プリモゼルなどの賦形剤、ゼラチン、アラビアゴム、エタノール、寒天粉、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ブドウ糖、精製水、カゼインナトリウム、グリセリン、ステアリン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、微結晶セルロース、デキストリン、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシメチルセルロース、精製シェラック、デンプン糊、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの結合剤が使用されてもよく、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、トウモロコシデンプン、寒天粉、メチルセルロース、ベントナイト、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クエン酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、無水ケイ酸、1-ヒドロキシプロピルセルロース、デキストラン、イオン交換樹脂、酢酸ポリビニル、ホルムアルデヒド処理カゼイン及びゼラチン、アルギン酸、アミロース、グアルゴム(Guar gum)、重曹、ポリビニルピロリドン、リン酸カルシウム、ゲル化澱粉、アラビアゴム、アミロペクチン、ペクチン、ポリリン酸ナトリウム、エチルセルロース、白糖、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、D-ソルビトール液、硬質無水ケイ酸などの崩壊剤、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、水素化植物油(Hydrogenated vegetable oil)、タルク、石松子、カオリン、ワセリン、ステアリン酸ナトリウム、カカオ脂、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸マグネシウム、ポリチレングリコール4000、PEG6000、流動パラフィン、水素添加大豆油(Lubri wax)、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリル硫酸ナトリウム、酸化マグネシウム、マクロゴール(Macrogol)、合成ケイ酸アルミニウム、無水ケイ酸、高級脂肪酸、高級アルコール、シリコーン油、パラフィン油、ポリエチレングリコール脂肪酸エーテル、デンプン、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、dl-ロイシン、硬質無水ケイ酸などの滑沢剤が使用されてもよい。
【0066】
本発明による液剤の添加剤としては、水、希塩酸、希硫酸、クエン酸ナトリウム、モノステアリン酸スクロース類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル類(ツインエステル)、ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル類、ラノリンエーテル類、ラノリンエステル類、酢酸、塩酸、アンモニア水、炭酸アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、プロルアミン、ポリビニルピロリドン、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどが使用されてもよい。
【0067】
本発明によるシロップ剤には白糖の溶液、他の糖類または甘味剤などが使用されてもよく、必要に応じて芳香剤、着色剤、保存剤、安定剤、懸濁化剤、乳化剤、粘稠剤などが使用されてもよい。
【0068】
本発明の乳剤には精製水が使用されてもよく、必要に応じて乳化剤、保存剤、安定剤、芳香剤などが使用されてもよい。
【0069】
本発明による懸濁剤には、アカシア、トラガカンタ、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶セルロース、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、HPMC1828、HPMC2906、HPMC2910など懸濁化剤が使用されてもよく、必要に応じて界面活性剤、保存剤、安定剤、着色剤、芳香剤が使用されてもよい。
【0070】
本発明による注射剤には、注射用蒸留水、0.9%塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロース+塩化ナトリウム注射液、ピーイージー(PEG)、ラクトリンゲル注射液、エタノール、プロピレングリコール、不揮発性油-ごま油、綿実油、落花生油、大豆油、トウモロコシ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、安息香酸ベンゼンなどの溶剤、安息香酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、尿素、ウレタン、モノエチルアセトアミド、ブタゾリジン、プロピレングリコール、ツイン類、ニジョンチン酸アミド、ヘキサミン、ジメチルアセトアミドなどの溶解補助剤、弱酸及びその塩(酢酸と酢酸ナトリウム)、弱塩基及びその塩(アンモニア及び酢酸アンモニウム)、有機化合物、タンパク質、アルブミン、ペプトン、ガム類などの緩衝剤、塩化ナトリウムなどの等張化剤、亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO)二酸化炭素ガス、メタ重亜硫酸ナトリウム(Na)、亜硫酸ナトリウム(NaSO)、窒素ガス(N)、エチレンジアミンテトラ酢酸などの安定剤、ソジウムビスルフィド0.1%、ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート、チオウレア、エチレンジアミンテトラ酢酸ジナトリウム、アセトンソジウムビスルファイトなどの硫酸化剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、塩酸プロカイン、ブドウ糖、グルコン酸カルシウムなどの無痛化剤、CMCナトリウム、アルギン酸ナトリウム、ツイン80、モノステアリン酸アルミニウムなどの懸濁化剤を含んでもよい。
【0071】
本発明による坐剤には、カカオ脂、ラノリン、ウイテプゾール、ポリエチレングリコール、グリセロゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸とオレイン酸の混合物、スバナル(Subanal)、綿実油、落花生油、ヤシ油、カカオバター+コレステロール、レシチン、ラネットワックス、モノステアリン酸グリセロール、ツインまたはスパン、イムハウゼン(Imhausen)、モノレン(モノステアリン酸プロピレングリコール)、グリセリン、アデプスソリダス(Adeps solidus)、ブチラムテゴ-G(Buytyrum Tego-G)、セベスパマ16(Cebes Pharma 16)、ヘキサライドベース95、コトマ(Cotomar)、ヒドロコートSP、S-70-XXA、S-70-XX75(S-70-XX95)、ヒドロコート(Hydrokote)25、ヒドロコート711、イドロポスタール(Idropostal)、マサエストラリウム(Massa estrarium、A、AS、B、C、D、E、I、T)、マサ-MF、マスポール、マスポール-15、ネオスポスタル-エン、パラマウンド-B、スポシロ(OSI、OSIX、A、B、C、D、H、L)、坐剤基剤IVタイプ(AB、B、A、BC、BBG、E、BGF、C、D、299)、スポスタル(N、Es)、ウェコビ(W、R、S、M、Fs)、テゼスタートリグリセリド基剤(TG-95、MA、57)などの基剤が使用されてもよい。
【0072】
経口投与用固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は、前記抽出物に少なくとも一つの賦形剤、例えば、デンプン、カルシウムカーボネート(calcium carbonate)、スクロース(sucrose)またはラクトース(lactose)、ゼラチンなどを混合して調製される。また、単純な賦形剤の他に、マグネシウムスチレートタルクなどの潤滑剤も使用される。
【0073】
経口投与用液状製剤としては、懸濁剤、内容液剤、乳剤、シロップ剤などが該当するが、よく使用される単純希釈剤である水、リキドパラフィンの他に様々な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれてもよい。非経口投与用製剤には、滅菌水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、エチルオレートなどの注射可能なエステルなどが使用されてもよい。
【0074】
本発明による薬学的組成物は、薬学的に有効な量で投与する。本発明において、「薬学的に有効な量」とは、医学的治療に適用可能な合理的な受恵/リスク比で疾患を治療するのに十分な量を意味し、有効用量レベルは、患者疾患の種類、重症度、薬物の活性、薬物に対する敏感度、投与時間、投与経路及び排出比率、治療期間、同時に使用される薬物を含む要素及びその他の医学分野においてよく知られている要素によって決定されてもよい。
【0075】
本発明による薬学的組成物は、個別治療剤として投与するか、または他の治療剤と併用して投与されてもよく、従来の治療剤とは順次的または同時に投与されてもよく、単一または多重投与されてもよい。前記要素をすべて考慮し、副作用なしに最小限の量で最大の効果が得られる量を投与することが重要であり、これは本発明が属する技術分野において通常の技術者によって容易に決定されてもよい。
【0076】
本発明の薬学的組成物は、個体に様々な経路で投与されてもよい。投与のすべての方式は、予想できるが、例えば、経口服用、皮下注射、腹腔内投与、静脈注射、筋肉注射、脊髄周囲空間(硬膜内)注射、舌下投与、頬粘膜投与、直腸内挿入、膣内挿入、眼球投与、耳投与、鼻腔投与、吸入、口または鼻を通じての噴霧、皮膚投与、経皮投与などによって投与されてもよい。
【0077】
本発明の薬学的組成物は、治療する疾患、投与経路、患者の年齢、性別、体重及び疾患の重症度などの様々な関連因子とともに、活性成分である薬物の種類によって決定される。具体的には、本発明による組成物の有効量は、患者の年齢、性別、体重に応じて異なってもよく、一般に体重1kg当たり0.001~150mg、好ましくは、0.01~100mgを毎日または隔日投与するか、または1日1~3回に分けて投与してもよい。しかし、投与経路、肥満の重症度、性別、体重、年齢などに応じて増減できるので、前記投与量がいかなる方法でも本発明の範囲を限定するものではない。
【0078】
また、本発明は、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を有効成分として含む組成物をそれを必要とする個体に投与する段階を含む、免疫疾患及び細胞老化関連疾患からなる群から選ばれる少なくとも1つの予防または治療方法を提供する。
【0079】
また、本発明は、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を有効成分として含む組成物の免疫疾患及び細胞老化関連疾患からなる群から選ばれる少なくとも1つの予防または治療用途を提供する。
【0080】
また、本発明は、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞の免疫疾患及び細胞老化関連疾患からなる群から選ばれる少なくとも1つの治療用薬剤の製造のための用途を提供する。
【0081】
本発明において「個体」とは、疾患の治療を必要とする対象を意味し、より具体的には、ヒトまたは非-ヒトの霊長類、マウス(mouse)、ラット(rat)、イヌ、ネコ、ウマ、及びウシなどの哺乳類であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0082】
本発明において「投与」とは、任意の適切な方法で個体に所定の本発明の組成物を提供することを意味する。
【0083】
本発明において「予防」とは、所望の疾患の発病を抑制するか、または遅延させるすべての行為を意味し、「治療」とは、本発明による薬学的組成物の投与により所望の疾患とそれに伴う代謝異常の症状が好転するか、または有益に変更されるすべての行為を意味し、「改善」とは、本発明による組成物の投与により目的とする疾患に係るパラメータ、例えば症状の程度を減少させる全ての行為をいう。
【0084】
また、本発明は、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を有効成分として含む免疫疾患及び細胞老化関連疾患からなる群から選ばれる少なくとも1つの予防または改善用食品組成物を提供する。
【0085】
前記食品組成物は、健康機能性食品組成物であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0086】
本発明の前記小胞を食品添加物として使用する場合、そのまま添加するか、または他の食品や食品成分とともに使用してもよく、通常の方法により適宜使用してもよい。有効成分の混合量は、使用目的(予防、健康または治療的処置)に応じて適宜決定されてもよい。一般に、食品または飲料の製造時、本発明の小胞は、原料に対して15重量%以下、または10重量%以下の量で添加されてもよい。しかし、健康及び衛生を目的とするか、または健康調節を目的とする長期間の摂取の場合、前記量は前記範囲以下であってもよく、安全性の面で何の問題もないため、有効成分は、前記範囲以上の量で使用されてもよい。
【0087】
前記食品の種類には特に制限はない。前記物質を添加できる食品の例としては、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンディー類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他の麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む酪農製品、各種スープ、飲料水、お茶、ドリンク剤、アルコール飲料及びビタミン複合剤などがあり、通常の意味での健康機能食品をすべて含む。
【0088】
本発明による健康飲料組成物は、通常の飲料のように、様々な香味剤または天然炭水化物などを追加成分として含有してもよい。上述した天然炭水化物は、ブドウ糖および果糖などのモノサッカライド、マルトース及びスクロースなどのジサッカライド、デキストリン及びシクロデキストリンなどのポリサッカライド、及びキシリトール、ソルビトール及びエリトリトールなどの糖アルコールである。甘味剤としては、タウマチン、ステビア抽出物などの天然甘味剤や、サッカリン、アスパルテームなどの合成甘味剤などが使用されてもよい。前記天然炭水化物の割合は、本発明の組成物100mLあたり一般に約0.01~0.20g、または約0.04~0.10gである。
【0089】
前記に加えて、本発明の組成物は、様々な栄養剤、ビタミン、電解質、風味剤、着色剤、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護コロイド増粘剤、pH調整剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使用される炭酸化剤などを含有してもよい。その他に、本発明の組成物は、天然フルーツジュース、フルーツジュース飲料及び野菜飲料の製造のための果肉を含有してもよい。これらの成分は独立してまたは組み合わせて使用してもよい。このような添加剤の割合はあまり重要ではないが、本発明の組成物100重量部当たり0.01~0.20重量部の範囲から選ばれるのが一般的である。
【0090】
また、本発明は、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を有効成分として含む老化または老化関連疾患の予防または治療用薬学的組成物に関する。
【0091】
また、本発明は、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を有効成分として含む、老化または老化関連疾患の予防または改善用食品組成物に関する。
【0092】
また、本発明は、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を有効成分として含む、老化予防または改善用化粧料組成物に関する。
【0093】
また、本発明は、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を有効成分として含む組成物をそれを必要とする個体に投与する段階を含む、老化の予防または治療方法を提供する。
【0094】
また、本発明は、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を有効成分として含む組成物の老化予防または治療用途を提供する。
【0095】
また、本発明は、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞の老化治療用薬剤の製造のための用途を提供する。
【0096】
本発明において「老化」とは、時間が経つにつれて起こる身体のすべての生理的変化を通称するもので、個体によって数多くの要因によって非常に多様に起こる生命現象を意味する。老化現象を具体的に察し見ると、各構成器官及び組織の機能変化が起こるもので、個体の老化は、結局、その個体を構成する細胞の老化に起因する。本発明において、前記老化は、脳、肝臓、肺、腎臓、筋肉、皮膚またはこれらの臓器の細胞老化によるものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0097】
本発明において「老化関連疾患(age-related disease)」とは、脳、肝臓、肺、腎臓、心臓、筋肉、皮膚などの臓器に存在する細胞の老化によって発生する疾患であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0098】
本発明による化粧料組成物の剤形としては、スキンローション、スキンソフナー、スキントナー、アストリンジェント、ローション、ミルクローション、モイスチャーローション、栄養ローション、マッサージクリーム、栄養クリーム、ミスト、モイスチャークリーム、ハンドクリーム、ハンドローション、ファンデーション、エッセンス、栄養エッセンス、パック、石鹸、クレンジングフォーム、クレンジングローション、クレンジングクリーム、クレンジングオイル、クレンジングバーム、ボディローションまたはボディクレンザーの形態であってもよい。
【0099】
本発明の化粧料組成物は、水溶性ビタミン、油溶性ビタミン、高分子ペプチド、高分子多糖、及びスフィンゴ脂質からなる群から選ばれる組成物をさらに含んでもよい。
【0100】
水溶性ビタミンとしては、化粧品に配合可能なものであればどのようなものでもよいが、例えば、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ピリドキシン、塩酸ピリドキシン、ビタミンB12、パントテン酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、葉酸、ビタミンC、ビタミンHなどが挙げられ、それらの塩(チアミン塩酸塩、アスコルビン酸ナトリウム塩など)や誘導体(アスコルビン酸-2-リン酸ナトリウム塩、アスコルビン酸-2-リン酸マグネシウム塩など)も本発明で使用されてもよい水溶性ビタミンに含まれる。水溶性ビタミンは、微生物変換法、微生物の培養物からの精製法、酵素法または化学合成法などの通常の方法により得ることができる。
【0101】
油溶性ビタミンとしては、化粧品に配合可能なものであればどのようなものでもよいが、例えば、ビタミンA、カロチン、ビタミンD2、ビタミンD3、ビタミンE(d1-アルファトコフェロール、d-アルファトコフェロール、d-アルファトコフェロール)などが挙げられ、それらの誘導体(パルミチン酸アスコルビン、ステアリン酸アスコルビン、ジパルミチン酸アスコルビン、酢酸d1-アルファトコフェロール、ニコチン酸d1-アルファトコフェロールビタミンE、DL-パントテニルアルコール、D-パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテルなど)なども本発明で使用される油溶性ビタミンに含まれる。油溶性ビタミンは、微生物変換法、微生物の培養物からの精製法、酵素または化学合成法などの通常の方法により得ることができる。
【0102】
高分子ペプチドとしては、化粧品に配合可能なものであればどのようなものでもよいが、例えば、コラーゲン、加水分解コラーゲン、ゼラチン、エラスチン、加水分解エラスチン、ケラチンなどが挙げられる。高分子ペプチドは、微生物の培養液からの精製法、酵素法または化学合成法などの通常の方法により精製取得してもよく、または通常、豚や牛などの真皮、蚕の絹繊維などの天然物から精製して使用してもよい。
【0103】
高分子多糖としては、化粧品に配合可能なものであればどのようなものでもよいが、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸またはその塩(ナトリウム塩など)などが挙げられる。例えば、コンドロイチン硫酸またはその塩などは、通常、哺乳動物や魚類から精製して使用してもよい。
【0104】
スフィンゴ脂質としては、化粧品に配合可能なものであればどのようなものでもよいが、例えば、セラミド、フィトスフィンゴシン、スフィンゴ糖脂質などが挙げられる。スフィンゴ脂質は、通常、哺乳類、魚類、貝類、酵母または植物などから通常の方法により精製するか、または化学合成法により得ることができる。
【0105】
本発明の化粧料組成物には、前記必須成分に加えて、必要に応じて通常の化粧品に配合される他の成分を配合してもよい。
【0106】
その他に添加してもよい配合成分としては油脂成分、保湿剤、エモリエント剤、界面活性剤、有機及び無機顔料、有機粉体、紫外線吸収剤、防腐剤、殺菌剤、酸化防止剤、植物抽出物、pH調整剤、アルコール、色素、香料、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、精製水などが挙げられる。
【0107】
油脂成分としては、エステル系油脂、炭化水素系油脂、シリコン系油脂、フッ素系油脂、動物油脂、植物油脂などが挙げられる。
【0108】
エステル系油脂としては、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、2-エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、パルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、リノレン酸エチル、リノレン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、ネオペンタン酸イソアルキル、トリ(カプリル、カプリン酸)グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリトリトール、カプリル酸セチル、ラウリン酸デシル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸デシル、リシノレイン酸セチル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸イソセチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オクチルドデシル、リノレン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セトステアリル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、ジオクタン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジ(カプリル、カプリン酸)プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、オクタン酸イソステアリル、イソノナン酸オクチル、ネオデカン酸ヘキシルデシル、ネオデカン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸オクチルデシル、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ポリグリセリンイソステアリン酸エステル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソアルキル、クエン酸トリイソオクチル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸オクチルデシル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリオクチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、アジピンサンジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジオクチル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソセチル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸ステアリル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソステアリルなどのエステル系などが挙げられる。
【0109】
炭化水素系油脂としては、スクワラン、流動パラフィン、アルファ-オレフィンオリゴマー、イソパラフィン、セレシン、パラフィン、流動イソパラフィン、ポリブデン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリンなどの炭化水素系油脂などが挙げられる。
【0110】
シリコン系油脂としては、ポリメチルシリコン、メチルフェニルシリコン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルシクロシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルセチルオキシシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルステアロキシシロキサン共重合体、アルキル変性シリコン油、アミノ変性シリコン油などが挙げられる。
【0111】
フッ素系油脂としては、パーフルオロポリエーテルなどが挙げられる。
【0112】
動物や植物の油脂としては、アボカド油、アルモンド油、オリーブ油、ゴマ油、米ぬか油、サフラワー油、大豆油、トウモロコシ油、菜種油、杏仁油、パーム核油、パーム油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、綿実油、ヤシ油、ココナッツ油、小麦胚芽油、米胚芽油、シアバター、月見草油、マカダミアナッツ油、メドウフォーム油、卵黄油、牛脂、馬油、ミンク油、オレンジラフィー油、ホホバ油、カンデリラワックス、カルナバワックス、液状ラノリン、硬化ヒマシ油などの動物や植物の油脂が挙げられる。
【0113】
保湿剤としては、水溶性低分子保湿剤、脂溶性分子保湿剤、水溶性高分子、脂溶性高分子などが挙げられる。
【0114】
水溶性低分子保湿剤としては、セリン、グルタミン、ソルビトール、マンニトール、ピロリドン-カルボン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコールB(重合度n=2以上)、ポリプロピレングリコール(重合度n=2以上)、ポリグリセリンB(重合度n=2以上)、乳酸、乳酸塩などが挙げられる。
【0115】
脂溶性低分子保湿剤としては、コレステロール、コレステロールエステルなどが挙げられる。
【0116】
水溶性高分子としては、カルボキシビニルポリマー、ポリアスパラギン酸塩、トラガカント、キサンタンガム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、水溶性キチン、キトサン、デキストリンなどが挙げられる。
【0117】
脂溶性高分子としては、ポリビニルピロリドン・エイコセン共重合体、ポリビニルピロリドン・ヘキサデセン共重合体、ニトロセルロース、デキストリン脂肪酸エステル、高分子シリコンなどが挙げられる。
【0118】
エモリエント剤としては、長鎖アシルグルタミン酸コレステリルエステル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、12-ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸、ロジン酸、ラノリン脂肪酸コレステリルエステルなどが挙げられる。
【0119】
界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。
【0120】
非イオン性界面活性剤としては、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、POE(ポリオキシエチレン)ソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビタン脂肪酸エステル、POEグリセリン脂肪酸エステル、POEアルキルエーテル、POE脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油、POEヒマシ油、POE・POP(ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン)共重合体、POE・POPアルキルエーテル、ポリエーテル変性シリコーン、ラウリン酸アルカノールアミド、アルキルアミンオキシド、水素添加大豆リン脂質などが挙げられる。
【0121】
アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、アルファ-アシルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキルリン酸塩、POEアルキルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、N-アシルアミノ酸塩、POEアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸ナトリウム、アシル化加水分解コラーゲンペプチド塩、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0122】
カチオン性界面活性剤としては、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セトステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ステアリンサンジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラノリン誘導体第4級アンモニウム塩などが挙げられる。
【0123】
両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、アミドベタイン型、スルホベタイン型、ヒドロキシスルホベタイン型、アミドスルホベタイン型、ホスホベタイン型、アミノカルボン酸塩型、イミダゾリン誘導体型、アミドアミン型などの両性界面活性剤などが挙げられる。
【0124】
有機及び無機顔料としては、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、ベンガラ、クレー、ベントナイト、チタン被覆雲母、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化鉄、群青、酸化クロム、水酸化クロム、カラミン及びこれらの複合体などの無機顔料、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、シルクパウダー、セルロース、CIピグメントイエロー、CIピグメントオレンジなどの有機顔料及びこれらの無機顔料と有機顔料の複合顔料などが挙げられる。
【0125】
有機粉体としては、ステアリン酸カルシウムなどの金属石鹸、セチリン酸亜鉛ナトリウム、ラウリルリン酸亜鉛、ラウリルリン酸カルシウムなどのアルキルリン酸金属、N-ラウロイル-ベータ-アラニンカルシウム、N-ラウロイル-ベータ-アラニン亜鉛、N-ラウロイルグリシンカルシウムなどのアシルアミノ酸多価金属塩、N-ラウロイル-タウリンカルシウム、N-パルミトイル-タウリンカルシウムなどのアミドスルホン酸多価金属塩と、N-エプシロン-ラウロイル-L-リジン、N-エプシロン-パルミトイルリジン、N-アルファ-パリトイルオルニチン、N-アルファ-ラウロイルアルギニン、N-アルファ-硬化牛脂脂肪酸アシルアルギニンなどのN-アシル塩基性アミノ酸、N-ラウロイルグルリシルグリシンなどのN-アシルポリペプチド、アルファ-アミノカプリル酸、アルファ-アミノラウリン酸などのアルファ-アミノ脂肪酸、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、四フッ化エチレンなどが挙げられる。
【0126】
紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸アミル、パラアミノ安息香酸オクチル、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸フェニル、サリチル酸オクチル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸ブチルフェニル、サリチル酸ホモメンチル、けい皮酸ベンジル、パラメトキシけい皮酸-2-エトキシエチル、パラメトキシけい皮酸オクチル、ジパラメトキシけい皮酸モノ-2-エチルヘキサングリセリル、パラメトキシけい皮酸イソプロピル、ジイソプロピル・ジイソプロピルけい皮酸エステル混合物、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、ヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸及びその塩、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン、2,4,6-トリアニリノ-p-(カルボ-2'-エチルヘキシル-1'-オキシ)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
【0127】
殺菌剤としては、ヒノキチオール、トリクロサン、トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル、クロルヘキシジングルコン酸塩、フェノキシエタノール、レゾルシン、イソプロピルメチルフェノール、アズレン、サリチル酸、ジンクピリチオン、塩化ベンザルコニウム、減光素301号、モノニトログアヤコールナトリウム、ウンデシレン酸などが挙げられる。
【0128】
酸化防止剤としては、ブチルヒドロキシアニソール、ガーリック酸プロピル、エリソルビン酸などが挙げられる。
【0129】
pH調整剤としては、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リンゴ酸、リンゴ酸ナトリウム、フマル酸、フマル酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、リン酸一水素ナトリウムなどが挙げられる。
【0130】
アルコールとしては、セチルアルコールなどの高級アルコールが挙げられる。
【0131】
また、その他の添加してもよい配合成分は、これに限定されるものではなく、また、前記いずれの成分も本発明の目的及び効果を損なわない範囲内で配合可能であるが、総重量に対して0.01-5%の重量百分率または0.01-3%重量百分率で配合されてもよい。
【0132】
本発明の剤形がローション、ペースト、クリームまたはゲルである場合には、担体成分として動物繊維、植物繊維、ワックス、パラフィン、澱粉、トラカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、シリカ、タルクまたは酸化亜鉛などが使用されてもよい。
【0133】
本発明の剤形がパウダーまたはスプレーである場合には、担体成分としてラクトース、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、カルシウムシリケートまたはポリアミドパウダーが用いられてもよく、特にスプレーである場合には、さらにクロロフルオロハイドロカーボン、プロパン/ブタンまたはジメチルエーテルのような推進剤を含んでもよい。
【0134】
本発明の剤形が溶液または乳濁液の場合には、担体成分として溶媒、溶媒化剤や乳濁化剤が用いられ、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾアート、プロピレングリコール、1、3-ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコールまたはソルビタンの脂肪酸エステルがある。
【0135】
本発明の剤形が懸濁液である場合には、担体成分として、水、エタノールまたはプロピレングリコールなどの液状希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル及びポリオキシエチレンソルビタンエステルなどの懸濁剤、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガまたはトラカントなどが用いられてもよい。
【0136】
本発明の剤形が界面-活性剤含有クレンジングである場合には、担体成分として脂肪族アルコールサルフェート、脂肪族アルコールエーテルサルフェート、スルホコハク酸モノエステル、イセチオン酸、イミダゾリニウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテルサルフェート、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物性油、ラノリン誘導体またはエトキシ化グリセロール脂肪酸エステルなどが用いられてもよい。
【実施例
【0137】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示する。しかし、下記実施例は、本発明をより容易に理解するために提供されるものであり、下記実施例により本発明の内容が限定されるものではない。
【0138】
[実施例]
実施例1.ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞の分離
ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)由来小胞(extracellular vesicle;EV)を分離するために、ラクトバチルス・ラムノサス細菌株を自ら開発した培地に接種して嫌気性環境で培養した。37℃で吸光度(OD600nm)が1.0~1.5になるまで静置培養した後、培地に再接種して培養した。次に、菌体が含まれている培養液を回収し、13,000gで4℃で15分間遠心分離して菌体を除去した上澄み液を得た。得られた上澄み液は再び0.22μmのフィルターを用いてろ過し、ろ過した上澄み液は100kDa Pellicon 2 Cassettフィルターメンブレン(Merck Millipore)とMaster Flex pump system(Cole-Parmer)を用いて50mL以下の体積に濃縮した。濃縮した上澄み液を再び0.22μmのフィルターを用いてろ過し、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞(MDH-003)を分離した。以下の実施例では、分離した前記小胞を用いて実験を行った。
【0139】
実施例2.栄養過剰に誘導された細胞老化関連疾患マウスにおけるラクトバチルス・ラムノサス由来小胞の治療効果
栄養過剰により肥満が発生し、肥満は低レベルの全身性慢性炎症状態であり、栄養過剰により体内で異常代謝産物が作られ炎症性メディエーターが分泌されて慢性炎症を引き起こす。また、栄養過剰によりエネルギー代謝ストレス状況で細胞の恒常性を維持するAMPKシグナルが抑制されて細胞老化が促進されることにより、細胞老化関連疾患が発生することがある。特に、肥満は喘息の発生及び肺機能の低下に関与する危険因子であるという研究結果が多く知られている。したがって、高脂肪食で栄養過剰を誘導したマウスにおいてラクトバチルス・ラムノサス由来小胞(MDH-003)の治療効果を評価するために、以下の方法で実験を行った。
【0140】
具体的には、BALB/c 6週齢雌マウスに22週間高脂肪食(Harlan,adjusted calories diet)を給与して肥満を誘導した後、23週から26週まで4週間持続的に高脂肪食を給与するとともに、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を1回50μgの用量で週4回経口投与し、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞の効能評価を行った(図1参照)。
【0141】
2-1.体重減少効果の確認
24週~27週目の高脂肪食マウスの体重を測定した。
【0142】
その結果、図2に示すように、26週から肥満群(Obese)に比べてラクトバチルス・ラムノサス由来小胞投与群(MDH-003)において体重減少効果が観察された。
【0143】
2-2.腎機能改善効果の確認
腎臓損傷マーカーである血清内のBlood urea nitrogen(BUN,血液尿素窒素)及びCreatinine(Cr,クレアチニン)値検査を通じて腎機能を評価した。
【0144】
血清においてクレアチニン、及びBUNは、現在販売されているアッセイキット(Pointe Sceintific、Linclon Park、MI)を通じて測定した。
【0145】
図3a及び図3bに示すように、27週間高脂肪食を摂取したマウスにおいては、BUN及びCr値が増加し、高脂肪食によって誘導された腎機能異常、すなわち、腎臓の損傷がラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を投与した群では回復した。
【0146】
2-3.肺機能改善効果の確認
高脂肪食による肺機能の変化を評価した。具体的には、flexiVent(SCIREQ,Canada)を使用して気道過敏性(AHR,Airway hyperresponsiveness)を測定した。これはInvasive methodでマウスの麻酔状態で、メタコリン(Methacholine)濃度(0,5,10,25,50mg/ml)の変化によるairway resistance(Rrs)値を測定した。マウスは、メタコリンを吸入させる前に0.9%生理食塩水を10秒間噴霧して基底(Basal control)気道過敏性を測定し、メタコリンに対する気道反応の差を確認するために、各マウスに超音波噴霧器を用いてメタコリンの濃度を増加させて測定した。各濃度のメタコリン投与後、3分間Rrs値を測定して平均値を使用した。気道機能の変化の程度は、0.9%生理食塩水の吸入後に得られた基底Rrs値に基づいてその差を百分率で表した。
【0147】
図4に示すように、肥満群は陰性対照群に対して気道過敏性が増加し、このように増加した気道過敏性はラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を投与した群で改善されたことを確認した。
【0148】
以上の結果から、栄養過剰で細胞老化が促進されて発生する腎機能及び肺機能障害をラクトバチルス・ラムノサス由来小胞が効率的に治療できることが分かる。
【0149】
実施例3.栄養過剰により誘導された細胞老化関連疾患マウスにおけるラクトバチルス・ラムノサス由来小胞の免疫機能調節効果
免疫は先天免疫(innate immunity)と適応免疫(adaptive immunity)に分けられ、外部または内部因子に対する免疫機能の異常が発生する場合、疾病が発生する。特に、後天免疫反応に重要なT細胞はサイトカインを分泌して免疫疾患を誘導するが、特にTh17細胞は、主にIL-17、IL-6などを分泌し、好中球性炎症を特徴とする炎症疾患を誘導し、Th2細胞はIL-4、IL-5などを分泌して好酸球性炎症を特徴とする炎症疾患を誘導する。
【0150】
そこで、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞がTh17及びTh2細胞による過敏反応に対する治療効果を評価した。具体的には、実施例2の方法と同様に高脂肪食で栄養過剰を誘導したマウスにラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を経口内投与し、気道洗浄液内のTh17及びTh2関連サイトカイン(IL-17、IL-4、及びIL-5)値は、Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay(ELISA,R&D Systems)法により測定した。ELISA分析のために、Capture抗体をPBSで希釈し、96-wellポリスチレンプレートに作用濃度に合わせて50μlずつ分注した後、4℃で一晩反応させた。その後、PBST(0.05%tween-20を含むPBS)溶液100μlで2回洗浄した後、RD(1%BSAを含むPBST)溶液100μlを分注し、常温で1時間遮断(blocking)した後、再びPBST 100μlで2回洗浄した後、サンプル及びstandardを濃度に合わせて50μlずつ分注し、常温で2時間反応させた。再びPBST100μlで2回洗浄した後、detection抗体をRDで希釈し、作用濃度に合わせて50μlずつ分注し、常温で2時間反応させた。再びPBST 100μlで2回洗浄した後、Strpetavidin-HRPをRDに1/200で希釈して50μlずつ分注し、常温で30分間反応させた。最後にPBST100μlで3回洗浄した後、TMB基質と0.04%過酸化水素水を1:1混合した溶液50μlを分注した後、発色を待ち5分から20分後に発色が進行したとき、1M硫酸溶液を50μlずつ分注して反応を停止し、SynergyTM HT multi-detection microplate readerを用いて(BioTek,USA)450nmで吸光度を測定した。
【0151】
その結果、図5a及び図5bに示すように、肥満群の場合には正常栄養状態のマウスに比べて気道洗浄液内のTh17サイトカインであるIL-17、及びTh2サイトカインであるIL-4及びIL-5が著しく増加していた。一方、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を投与した群では、気道洗浄液内のTh17及びTh2サイトカインの数値が正常レベルに減少した。
【0152】
以上の結果から、栄養過剰によって誘導される免疫機能異常がラクトバチルス・ラムノサス由来小胞によって効率的に抑制及び改善されることが分かる。
【0153】
実施例4.エネルギー代謝ストレスに対する細胞の恒常性維持へのラクトバチルス・ラムノサス由来小胞の治療効果
細胞老化とは、反復的な物理的、化学的、生物学的、精神的ストレスによって細胞の分裂能力が消失するものと定義され、反復的なストレスによって細胞の老化とともに細胞再生能力が低下し、細胞老化及び老化関連疾病が発生する。特に、細胞はATP産生が低下する代謝ストレス状況で細胞内シグナル伝達経路としてAMPKタンパク質を活性化し、細胞の恒常性(metabolic homeostasis)を誘導することにより、細胞老化及び死滅を抑制することになる。
【0154】
そこで、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞(MDH-003)が細胞内でAMPK活性化を通じて細胞老化に及ぼす影響を評価するために、以下の方法で実験を行った。すなわち、筋肉細胞においてラクトバチルス・ラムノサス由来小胞の処理濃度によるAMPK活性を評価するために、細胞にラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を0、0.1、1、及び10μg/mlの濃度で1時間処理した。対照群としては、老化を抑制するメトホルミン(metformin)を10μg/mlの濃度で使用した。前記薬物を細胞に処理した後、AMPKシグナル伝達において重要な指標であるpAMPKの量の差をウェスタンブロットで測定した。
【0155】
その結果、図6に示すように、AMPKのリン酸化(pAMPK)がラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を処理した場合にメトホミンと同様に増加し、このような効果は、本発明の小胞の濃度に依存的に増加した。
【0156】
以上の結果から、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞は、AMPKシグナルを活性化して代謝ストレスに対する細胞の恒常性を増加させることにより、細胞の生存能力を亢進させて老化を予防することが分かる。
【0157】
実施例5.ウイルス性因子であるpoly(I:C)によって誘導された免疫疾患マウスモデルにおけるラクトバチルス・ラムノサス由来小胞の炎症抑制効果
Poly(I:C)は、人工的に合成された二重構造のリボヌクレオチドポリマーであり、一部のウイルスに存在するdsRNAと構造的に類似しており、様々な炎症性シグナル伝達経路を活性化してウイルス感染症を誘発する。
【0158】
そこで、ウイルス性因子による免疫疾患モデルにおいてラクトバチルス・ラムノサス由来小胞の治療効果を評価するために、以下の方法で実験を行った。すなわち、図7に示すように、C57BL/6 6週齢雄マウスにウイルス性因子であるpoly(I:C)を2週間隔日で鼻腔内投与して免疫疾患マウスモデルを作製した。ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞は、poly(I:C)投与6日前から2週間隔日で経口内投与した。対照薬物としては、デキサメタゾンを2mg/kgの用量で腹腔内投与した。
【0159】
5-1.増加した炎症細胞減少効果の確認
投与後のマウスの気道洗浄液を得て、炎症細胞の数を評価した。
【0160】
その結果、図8a及び図8bに示すように、気道洗浄液内の炎症細胞数の変化を観察した結果、poly(I:C)を投与した場合には、気道洗浄液内の炎症細胞の数が増加し、特にマクロファージとリンパ球数が増加した。一方、poly(I:C)によって増加した気道洗浄液内の炎症細胞の数は、デキサメタゾン(Dex)治療と同様にラクトバチルス・ラムノサス由来小胞によって有意に抑制された。
【0161】
5-2.肺組織損傷改善効果の確認
Hematoxylin and Eosin(H&E)染色によって肺組織の変化を評価した。
【0162】
図9aに示すように、正常群の肺組織では小さなサイズの肺胞が均一に観察されたが、poly(I:C)投与群では肺胞周辺に細胞が多く集まっていることが観察された。また、デキサメタゾンを処理した群とラクトバチルスラムノスース由来小胞を投与した群では、比較的肺胞の形態が均一に維持された。
【0163】
また、図9bに示すように、気道周辺で免疫細胞の浸潤が減少することを確認した。
【0164】
5-3.全身炎症反応抑制効果の確認
ウイルス性因子による全身的な炎症反応を血中高感度C反応タンパク質(hsCRP)値を通じて評価した。CRPは急性期反応タンパク質として全身炎症反応のマーカーとして使用されており、hsCRPは、心血管疾患の単純なマーカーではなく独立した危険因子であり、hsCRP検査は標準CRP検査より低い濃度の該当タンパク質をより正確に検出でき、血管内皮細胞の機能障害促進、血栓形成増進などの作用を通じて動脈硬化とそれによる合併疾患の発生に重要な役割を果たすと考えられている。本実施例では、Immunonephelometric assay法でhsCRPの濃度を測定した。
【0165】
図10に示すように、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞によりhsCRP値が減少した。
【0166】
以上の結果から、poly(I:C)によって誘導された全身性炎症反応、及び肺疾患がラクトバチルス・ラムノサス由来小胞によって効果的に治療されることが分かる。
【0167】
実施例6.ウイルス性因子であるpoly(I:C)によって誘導された免疫疾患マウスモデルにおけるラクトバチルス・ラムノサス由来小胞の免疫調節効果
6-1.気道洗浄液から炎症性サイトカイン分泌の確認
炎症細胞が分泌するTNF-αとIL-6は、病原性因子による炎症疾患を誘導する代表的な炎症性メディエーターである。本実施例では、ウイルス性因子による免疫機能異常に対するラクトバチルス・ラムノサス由来小胞の免疫調節効果を評価するために、以下の方法で実験を行った。すなわち、実施例5に記載された免疫疾患マウスモデルにおいて、気道洗浄液内の炎症性サイトカインTNF-α、及びIL-6をELISA法により測定した。ELISA法は、前述した方法を使用した。
【0168】
その結果、図11a及び図11bに示すように、気道洗浄液内のTNF-αとIL-6濃度がpoly(I:C)投与群において陰性対照群(NC)に対して増加した。一方、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞投与群では、poly(I:C)によって増加したTNF-αとIL-6分泌が陰性対照群レベルに有意に減少し、これはデキサメタゾン(Dexa)投与群よりも抑制効果に優れていた。
【0169】
6-2.脾臓T細胞における炎症性サイトカイン分泌の確認
脾臓T細胞においてサイトカイン分泌様相を評価し、poly(I:C)による全身的な免疫機能異常においてラクトバチルス・ラムノサス由来小胞の治療効果を評価した。
【0170】
図12a及び図12bに示されるように、poly(I:C)投与群においてTh1サイトカインであるIFN-γ及びTh17サイトカインであるIL-6の分泌が陰性対照群に対して増加した。一方、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞によって増加したIFN-γ及びIL-6は有意に抑制された。一方、デキサメタゾン(Dexa)は効果がなかった。
【0171】
以上の結果から、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞は、ウイルス性因子による免疫機能異常を効率的に抑制でき、これは従来の免疫抑制剤であるデキサメタゾンより優れた治療効果があることが分かる。
【0172】
実施例7.ウイルス性因子であるpoly(I:C)による免疫機能障害の調節に対するラクトバチルス・ラムノサス由来小胞の分子生物学的作用メカニズムの確認
核転写因子であるnuclear factor-κB(NF-κB)は、炎症調節因子としてinducible nitric oxide synthase(iNOS)の転写を誘導し、様々な伝染性サイトカインの分泌を増加させる。
【0173】
そこで、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞がNF-κB活性化を介して炎症反応に及ぼす影響を評価するために、マウス肺組織を用いたwestern blot法で実験を行った。
【0174】
図13に示すように、NF-κBのリン酸化(p-NF-κB、p-p65)及びiNOS発現がpoly(I:C)を投与した場合に増加した。また、poly(I:C)によって増加したNF-κBのリン酸化(p-NF-κB、p-p65)は、デキサメタゾン(Dex)及びラクトバチルス・ラムノサス由来小胞によって抑制された。また、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を投与した場合、デキサメタゾンよりもpoly(I:C)により増加したiNOS発現を効率的に抑制した。
【0175】
以上の結果から、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞が病原性因子による免疫機能以上の核心であるNF-κBシグナル及びその下部信号であるiNOSの発現を効率的に抑制し、ウイルス性因子による免疫過敏反応を調節することが分かる。
【0176】
以上の結果から、本発明のラクトバチルス・ラムノサス由来小胞は、AMPKシグナルを介して細胞の恒常性を増加させ、細胞老化及び細胞死滅を抑制するだけでなく、生物学的因子による免疫機能の異常をNF-κBシグナルを抑制して炎症の発生を抑制することにより、免疫疾患及び細胞老化関連疾患を効率的に治療できることを確認したところ(図14参照)、本発明のラクトバチルス・ラムノサス由来小胞は、免疫機能障害及び細胞老化関連疾患の改善、予防、または治療用途として使用できるものと期待される。
【0177】
前述した本発明の説明は、例示のためのものであり、本発明の属する技術分野の通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態に容易に変形が可能であることが理解できるであろう。したがって、前述の実施例は、すべての面で例示的なものであり、限定的でないものと理解しなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0178】
本発明によるラクトバチルス・ラムノサス由来小胞は体重増加を抑制し、腎機能及び肺機能を好転させることができ、細胞恒常性を誘導する核心シグナルであるAMPKを活性化させ、全身的な炎症反応を抑制し、免疫過敏反応による肺炎症を有意に抑制したところ、ウイルス感染疾患、アレルギー性免疫疾患、及び自己免疫疾患を含む免疫疾患、並びに細胞老化関連疾患を予防、症状改善、または治療するための医薬品または健康機能食品などの開発に有用に用いることができ、産業上の利用可能性がある。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8a
図8b
図9a
図9b
図10
図11a
図11b
図12a
図12b
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2023-12-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を有効成分として含有する、免疫疾患及び細胞老化関連疾患からなる群から選ばれる少なくとも1つの予防または治療用薬学的組成物。
【請求項2】
前記免疫疾患は、ウイルス感染疾患、アレルギー性免疫疾患、及び自己免疫疾患からなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記ウイルス感染症は、ウイルス性肺炎、ウイルス性肝炎、ウイルス性心臓炎、ウイルス性腸炎、ウイルス性腎炎、ウイルス性血栓塞栓症、帯状疱疹、及びメニエール病からなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記自己免疫疾患は、全身性紅斑性嚢胞、関節リウマチ、シェーグレン症候群、ベーチェット病、強直性脊椎炎、及び多発性硬化症からなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記アレルギー性免疫疾患は、アトピー性皮膚炎、乾癬、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性喘息、過敏性肺炎、食品アレルギー、セリアック病、過敏性腸症候群、及びアナフィラキシーからなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記細胞老化関連疾患は、狭心症、心筋梗塞、心筋症、血栓塞栓症、及び脳卒中からなる群から選ばれる少なくとも1つの心血管疾患、アルコール性脂肪肝炎、肝硬変、慢性胆道炎、慢性胆嚢炎、及び慢性膵炎からなる群から選ばれる少なくとも1つの肝臓-胆道-膵臓疾患、痛風、骨関節炎、骨粗しょう症からなる群から選ばれる少なくとも1つの筋骨格系疾患、並びにアルツハイマー病、パーキンソン病、及び黄斑変性からなる群から選ばれる少なくとも1つの神経疾患からなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記小胞は、平均直径が10~1000nmであることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
前記小胞は、ラクトバチルス・ラムノサス培養液から分離されることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
前記小胞は、ラクトバチルス・ラムノサスを添加して製造された食品から分離されることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
前記小胞は、ラクトバチルス・ラムノサスから自然的に分泌または人工的に生産されることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を有効成分として含む、免疫疾患及び細胞老化関連疾患からなる群から選ばれる少なくとも1つの予防または改善用食品組成物。
【請求項12】
前記免疫疾患は、ウイルス感染疾患、アレルギー性免疫疾患、及び自己免疫疾患からなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする、請求項11に記載の食品組成物。
【請求項13】
前記小胞は、ラクトバチルス・ラムノサス培養液から分離されることを特徴とする、請求項11に記載の食品組成物。
【請求項14】
前記小胞は、ラクトバチルス・ラムノサスを添加して製造された食品から分離されることを特徴とする、請求項11に記載の食品組成物。
【請求項15】
前記小胞は、ラクトバチルス・ラムノサスから自然的に分泌または人工的に生産されることを特徴とする、請求項11に記載の食品組成物。
【請求項16】
ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を有効成分として含む、老化予防または治療用薬学的組成物。
【請求項17】
ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を有効成分として含む、老化予防または改善用食品組成物。
【請求項18】
ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞を有効成分として含む、老化予防または改善用化粧料組成物。
【請求項19】
ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞の免疫疾患及び細胞老化関連疾患からなる群から選ばれる少なくとも1つの治療用薬剤製造のための使用
【請求項20】
ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞の老化治療用薬剤製造のための使用
【国際調査報告】