(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】単一ピクセルサーモパイルを有するセンサを使用して空間における占有者の構成を決定するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/22 20240101AFI20240528BHJP
【FI】
G06Q50/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574567
(86)(22)【出願日】2022-05-20
(85)【翻訳文提出日】2024-01-31
(86)【国際出願番号】 EP2022063794
(87)【国際公開番号】W WO2022253600
(87)【国際公開日】2022-12-08
(32)【優先日】2021-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ムルティ アブヒシェック
(72)【発明者】
【氏名】ユ ジン
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA13
(57)【要約】
監視システム及び方法が開示される。システムは、単一ピクセルサーモパイル(SPT)を有するセンサデバイスと、センサデバイスと通信するコントローラとを含む。コントローラは、空間における1人以上の占有者の第1の構成及び第2の構成を検出するためのトレーニングデータを決定又は取得する、SPTセンサから温度信号を受信する、温度信号のステップ変化を検出する、温度信号の形状又はパターンの少なくとも1つの特徴に対する第1の確率及び第2の確率を決定し、第1の確率及び第2の確率は、それぞれ、トレーニングデータに基づく空間における1人以上の占有者の第1の構成及び第2の構成に対応する、及び、決定された第1及び第2の確率に基づいて温度信号のクラスラベルを特定するように構成される。クラスラベルは、空間における1人以上の占有者の第1の構成又は第2の構成に対応する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間における1人以上の占有者の構成を決定するためのシステムであって、当該システムは、
前記空間における単一ピクセルサーモパイルを含む少なくとも1つのセンサデバイスであって、前記単一ピクセルサーモパイルは、前記空間における1人以上の占有者に関するセンサ信号を捕捉するように構成される、センサデバイスと、
前記空間における前記少なくとも1つのセンサデバイスと通信するコントローラであって、前記コントローラは、
前記空間における1人以上の占有者の第1の構成及び第2の構成を検出するためのトレーニングデータを決定又は取得する、
前記単一ピクセルサーモパイルから温度信号を受信し、前記温度信号は、経時的な前記単一ピクセルサーモパイルの視野内にある前記空間における検出エリアに対応する、
前記温度信号の変化を検出し、前記変化は、所定のステップ閾値以上である、
前記温度信号の形状又はパターンの少なくとも1つの特徴に対する第1の確率及び第2の確率を決定し、前記第1の確率及び前記第2の確率は、それぞれ、前記トレーニングデータに基づく前記空間における1人以上の占有者の前記第1の構成及び前記第2の構成に対応する、及び
前記決定された第1及び第2の確率並びに事後確率推定を使用して前記温度信号のクラスラベルを特定し、前記クラスラベルは、前記空間における1人以上の占有者の前記第1の構成又は前記第2の構成に対応し、前記事後確率推定は、前記第1の確率又は前記第2の確率を示す、
ように構成されるコントローラと、
を含む、システム。
【請求項2】
前記クラスラベルが前記第1の構成に対応する場合、前記コントローラは、前記第1の構成に対応する前記温度信号の前記形状又はパターンの前記少なくとも1つの特徴に対する前記第1の確率が所定の確率閾値を超えるかどうかを判断するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の構成に対応する前記温度信号の前記形状又はパターンの前記少なくとも1つの特徴に対する前記第1の確率が前記所定の確率閾値を超える場合、前記コントローラは、前記空間における1人以上の占有者の前記第1の構成の情報を含む通知を提供するように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の構成に対応する前記温度信号の前記形状又はパターンの前記少なくとも1つの特徴に対する前記第1の確率が前記所定の確率閾値を超えない場合、前記コントローラは、前記第1の構成に対応する前記温度信号の前記形状又はパターンの前記少なくとも1つの特徴に関する情報を含む信号を前記空間における別のセンサデバイス又は別のコントローラに送信するように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の構成に対応する前記温度信号の前記形状又はパターンの前記少なくとも1つの特徴に対する前記第1の確率が前記所定の確率閾値を超えない場合、前記コントローラは、前記第1の構成に対応する別の温度信号の形状又はパターンに関する情報を含む信号を前記空間における別のセンサデバイス又は別のコントローラから受信するように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記コントローラは、前記空間における1人以上の占有者の前記第1の構成に関するその後の決定のために、前記第1の構成に対応する前記温度信号の前記形状又はパターンの前記少なくとも1つの特徴に関する情報を含む前記信号と、前記空間における前記別のセンサデバイス又は前記別のコントローラからの前記第1の構成に対応する前記別の温度信号の前記形状又はパターンに関する情報を含む前記信号とを融合するように構成される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記単一ピクセルサーモパイルを含む前記少なくとも1つのセンサデバイスは、照明器具に内蔵され、前記照明器具は、前記空間における複数のコネクテッド照明デバイスの一部である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記単一ピクセルサーモパイルを含む前記少なくとも1つのセンサデバイスは、前記空間の出入り口に設けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
空間における1人以上の占有者の構成を決定するための方法であって、当該方法は、
(a) 前記空間に単一ピクセルサーモパイルを含む少なくとも1つのセンサデバイスを設けることであって、前記単一ピクセルサーモパイルは、前記空間における1人以上の占有者に関するセンサ信号を捕捉するように構成される、ことと、
(b) 前記空間に前記少なくとも1つのセンサデバイスと通信するコントローラを設けることと、
(c) 前記コントローラによって、前記空間における1人以上の占有者の第1の構成及び第2の構成を検出するためのトレーニングデータを決定又は取得することと、
(d) 前記単一ピクセルサーモパイルで、経時的に前記単一ピクセルサーモパイルの視野内にある前記空間における検出エリアの温度信号を測定することと、
(e) 前記コントローラで、前記温度信号の変化を検出することであって、前記変化は、所定のステップ閾値以上である、ことと、
(f) 前記コントローラで、前記温度信号の形状又はパターンの少なくとも1つの特徴に対する第1の確率及び第2の確率を決定することであって、前記第1の確率及び前記第2の確率は、それぞれ、前記トレーニングデータに基づく前記空間における1人以上の占有者の前記第1の構成及び前記第2の構成に対応する、ことと、
(g) 前記コントローラで、前記決定された第1及び第2の確率並びに事後確率推定を使用して前記温度信号のクラスラベルを特定することであって、前記クラスラベルは、前記空間における1人以上の占有者の前記第1の構成又は前記第2の構成に対応し、前記事後確率推定は、前記第1の確率又は前記第2の確率を示す、ことと、
を含む、方法。
【請求項10】
前記クラスラベルが、前記空間における1人以上の占有者の前記第1の構成に対応する場合、当該方法は、前記コントローラで、前記第1の構成に対応する前記温度信号の前記形状又はパターンの前記少なくとも1つの特徴に対する前記第1の確率が所定の確率閾値を超えるかどうかを判断することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の構成に対応する前記温度信号の前記形状又はパターンの前記少なくとも1つの特徴に対する前記第1の確率が前記所定の確率閾値を超える場合、当該方法は、前記コントローラで、前記空間における1人以上の占有者の前記第1の構成の情報を含む通知を提供することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の構成に対応する前記温度信号の前記形状又はパターンの前記少なくとも1つの特徴に対する前記第1の確率が前記所定の確率閾値を超えない場合、当該方法は、前記コントローラで、前記第1の構成に対応する前記温度信号の前記形状又はパターンの前記少なくとも1つの特徴に関する情報を含む信号を前記空間における別のセンサデバイス又は別のコントローラに送信することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
当該方法は、前記空間における1人以上の占有者の前記第1の構成に関するその後の決定のために、前記第1の構成に対応する前記温度信号の前記形状又はパターンの前記少なくとも1つの特徴に関する情報を含む前記信号と、前記別のセンサデバイスからの少なくとも1つの他の信号とを融合することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記クラスラベルが前記空間における1人以上の占有者の前記第2の構成に対応する場合、当該方法は、前記コントローラでステップ(d)、(e)、(f)、及び(g)を繰り返すことを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記単一ピクセルサーモパイルを含む前記少なくとも1つのセンサデバイスは、照明器具に内蔵され、前記照明器具は、前記空間における複数のコネクテッド照明デバイスの一部である、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、単一ピクセルサーモパイルを有するセンサを使用して空間における占有者の構成を決定するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
個人が医療検査又は治療のために入院する場合、典型的には、自身で検査又は治療に歩いていく及び/又は検査又は治療から歩いてくることは許可されない。代わりに、個人又は患者は、車椅子、ストレッチャ、担架等に乗って、1人以上の権限のある医療従事者に付き添われる。適切な患者搬送は、知識、技術、器具、及びコミュニケーションを必要とし、そのいずれかが欠けても、無防備なレールで指を挟んで切り傷を負う等の軽傷、又は外傷性脳損傷若しくは転落死等の大惨事を引き起こす可能性がある。米国の入院患者数を考慮すると、仮に各患者が病室まで搬送され、検査を受ける及び検査から戻るために搬送され、病室から出口まで搬送されたとすると、患者搬送中に怪我をする機会は少なくとも1億4000万回あることになる。さらに、患者搬送中の院内事故は報告されないことの方が多いと推定される。ほとんどの医療提供者は、これらの事故の発生を防ぐために、トレーニング、器具アップグレード、及び設備投資にかなりの資源を投じている。
【0003】
車椅子介助は、空港及び他の輸送ハブでも極めて重要である。例えば、空港で車椅子介助を必要とする人の数は、年間航空旅客数の増加よりもかなり高い割合で増加の一途をたどっている。車椅子介助を必要とする人は、移動困難者(PRM:Passengers with Reduced Mobility)と呼ばれることもある。PRMの安全な搬送は、効率的で安全な輸送システムにとって極めて重要である。
【0004】
さらに、医療施設と同様、空港は、車椅子の保有台数の把握に問題を抱えている。これらの問題により、毎年多額の損失が発生している。車椅子を追跡する従来のシステム及び方法は、車椅子を強化する(augment)、又は可視光通信(VLC:visible light communication)センサ若しくはBluetooth(登録商標)ローエナジローカリゼーションセンサ(Bluetooth low-energy localization sensor)等の追加の機器を使用することを伴っている。残念ながら、このようなセンサは、高価及び/又はプライバシ攻撃に対して脆弱であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
斯くして、プライバシの懸念を尊重する一方、医療施設及び輸送ハブにおける患者及びPRMの搬送を監視及び追跡するための改善されたシステム及び方法が当技術分野で必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、一般に、単一ピクセルサーモパイル(SPT)を有するセンサデバイスを使用して患者及び移動困難者(PRM)の搬送を監視するための発明システム及び方法に関する。一般に、本開示の実施形態は、照明器具に埋め込まれる、及び、任意選択的に、出入り口にSPTセンサを有するコネクテッド照明システム(connected lighting system)を使用して空間における1人以上の占有者の構成を決定するための改善されたシステム及び方法に関する。本発明のシステム及び方法は、SPT信号のステップ変化を検出すること、検出されたステップ変化を2つ以上のクラスに分類すること、各分類で信頼スコア(confidence score)を算出すること、及び分類を補完する(supplement)及び/又は車椅子ロケーションを更新するために空間又は建物にわたってSPTセンサによって検出されるイベントを分析することを含む。許容できない占有者の構成が検出される場合、本発明のシステム及び方法は、このような構成の通知を提供することができる。本出願人は、SPT信号の形状又はパターンの特徴が、人の数及びそれらの構成と強く相関することを認識し、理解している。このような特徴は、追跡のための強化(augmentation for tracking)を必要とせず、プライバシの懸念を尊重しながら、患者及びPRM(車椅子に乗ったPRMを含む)の搬送を監視するために使用されることができる。システム及び方法のSPTセンサは、コストがかからないという利点もある。
【0007】
概して、一態様では、空間における1人以上の占有者(occupant)の構成(configuration)を決定するためのシステムが提供される。システムは、空間における単一ピクセルサーモパイルを有する少なくとも1つのセンサデバイスであって、単一ピクセルサーモパイルは、空間における1人以上の占有者に関するセンサ信号を捕捉するように構成される、センサデバイスと、空間における少なくとも1つのセンサデバイスと通信するコントローラとを含む。システムのコントローラは、空間における1人以上の占有者の第1の構成及び第2の構成を検出するためのトレーニングデータを決定又は取得する、単一ピクセルサーモパイルから温度信号を受信し、温度信号は、経時的な単一ピクセルサーモパイルの視野内にある空間における検出エリアに対応する、温度信号の変化を検出し、変化は、所定のステップ閾値以上である、温度信号の形状又はパターンの少なくとも1つの特徴に対する第1の確率及び第2の確率を決定し、第1の確率及び第2の確率は、それぞれ、トレーニングデータに基づく空間における1人以上の占有者の第1の構成及び第2の構成に対応する、及び、決定された第1及び第2の確率に基づいて温度信号のクラスラベルを特定し、クラスラベルは、空間における1人以上の占有者の第1の構成又は第2の構成に対応する、ように構成される。
【0008】
ある実施形態では、クラスラベルが第1の構成に対応する場合、コントローラはさらに、第1の構成に対応する温度信号の形状又はパターンの少なくとも1つの特徴に対する第1の確率が所定の確率閾値を超えるかどうかを判断するように構成される。
【0009】
ある実施形態では、第1の構成に対応する温度信号の形状又はパターンの少なくとも1つの特徴に対する第1の確率が所定の確率閾値を超える場合、コントローラはさらに、空間における1人以上の占有者の第1の構成の情報を含む通知を提供するように構成される。
【0010】
ある実施形態では、第1の構成に対応する温度信号の形状又はパターンの少なくとも1つの特徴に対する第1の確率が所定の確率閾値を超えない場合、コントローラはさらに、第1の構成に対応する温度信号の形状又はパターンの少なくとも1つの特徴に関する情報を含む信号を空間における別のセンサデバイス又は別のコントローラに送信するように構成される。
【0011】
ある実施形態では、第1の構成に対応する温度信号の形状又はパターンの少なくとも1つの特徴に対する第1の確率が所定の確率閾値を超えない場合、コントローラはさらに、第1の構成に対応する別の温度信号の形状又はパターンに関する情報を含む信号を空間における別のセンサデバイス又は別のコントローラから受信するように構成される。
【0012】
ある実施形態では、コントローラはさらに、空間における1人以上の占有者の第1の構成に関するその後の決定のために、第1の構成に対応する温度信号の形状又はパターンの少なくとも1つの特徴に関する情報を含む信号と、空間における別のセンサデバイス又は別のコントローラからの第1の構成に対応する別の温度信号の形状又はパターンに関する情報を含む信号とを融合する(fuse)ように構成される。
【0013】
ある実施形態では、単一ピクセルサーモパイルを含む少なくとも1つのセンサデバイスは、照明器具に内蔵され、照明器具は、空間における複数のコネクテッド照明デバイスの一部である。
【0014】
ある実施形態では、単一ピクセルサーモパイルを含む少なくとも1つのセンサデバイスは、空間の出入り口(doorway)に設けられる。
【0015】
一般に、別の態様において、空間における1人以上の占有者の構成を決定するための方法が提供される。方法は、(a) 空間に単一ピクセルサーモパイルを含む少なくとも1つのセンサデバイスを設けることであって、単一ピクセルサーモパイルは、空間における1人以上の占有者に関するセンサ信号を捕捉するように構成される、ことと、(b) 空間に少なくとも1つのセンサデバイスと通信するコントローラを設けることと、(c) コントローラによって、空間における1人以上の占有者の第1の構成及び第2の構成を検出するためのトレーニングデータを決定又は取得することと、(d) 単一ピクセルサーモパイルで、経時的に単一ピクセルサーモパイルの視野内にある空間における検出エリアの温度信号を測定することと、(e) コントローラで、温度信号の変化を検出することであって、変化は、所定のステップ閾値以上である、ことと、(f) コントローラで、温度信号の形状又はパターンの少なくとも1つの特徴に対する第1の確率及び第2の確率を決定することであって、第1の確率及び第2の確率は、それぞれ、トレーニングデータに基づく空間における1人以上の占有者の第1の構成及び前記第2の構成に対応する、ことと、(g) コントローラで、決定された第1及び第2の確率に基づいて温度信号のクラスラベルを特定することであって、クラスラベルは、空間における1人以上の占有者の第1の構成又は前記第2の構成に対応する、こととを含む。
【0016】
ある実施形態では、クラスラベルが、空間における1人以上の占有者の第1の構成に対応する場合、方法はさらに、コントローラで、第1の構成に対応する温度信号の形状又はパターンの少なくとも1つの特徴に対する第1の確率が所定の確率閾値を超えるかどうかを判断することを含む。
【0017】
ある実施形態では、第1の構成に対応する温度信号の形状又はパターンの少なくとも1つの特徴に対する第1の確率が所定の確率閾値を超える場合、当該方法はさらに、コントローラで、空間における1人以上の占有者の第1の構成の情報を含む通知を提供することを含む。
【0018】
ある実施形態では、第1の構成に対応する温度信号の形状又はパターンの少なくとも1つの特徴に対する第1の確率が所定の確率閾値を超えない場合、当該方法はさらに、コントローラで、第1の構成に対応する温度信号の形状又はパターンの少なくとも1つの特徴に関する情報を含む信号を空間における別のセンサデバイス又は別のコントローラに送信することを含む。
【0019】
ある実施形態では、方法はさらに、空間における1人以上の占有者の第1の構成に関するその後の決定のために、第1の構成に対応する温度信号の形状又はパターンの少なくとも1つの特徴に関する情報を含む信号と、別のセンサデバイスからの少なくとも1つの他の信号とを融合することを含む。
【0020】
ある実施形態では、クラスラベルが空間における1人以上の占有者の第2の構成に対応する場合、方法はさらに、コントローラでステップ(d)、(e)、(f)、及び(g)を繰り返すことを含む。
【0021】
ある実施形態では、単一ピクセルサーモパイルを含む少なくとも1つのセンサデバイスは、照明器具に内蔵され、照明器具は、空間における複数のコネクテッド照明デバイスの一部である。
【0022】
上述の概念と、以下でより詳細に論じられる追加的概念との全ての組み合わせは(そのような概念が互いに矛盾しないという条件下で)、本明細書で開示される発明の主題の一部であると想到される点を理解されたい。特に、本開示の最後に記載されている特許請求される主題の全ての組み合わせは、本明細書で開示される発明の主題の一部であると想到される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図面中、同様の参照文字は、一般に、異なる図の全体にわたって同じ部分を指す。また、図面は、必ずしも縮尺通りではなく、その代わり一般的に、開示の原理を例示することに重点が置かれている。
【
図1】本開示の態様による、埋め込み単一ピクセルサーモパイルセンサを有する少なくとも1つのセンサデバイスを含む空間の概略図を示す。
【
図2A】本開示の態様による、単一ピクセルサーモパイルを有する少なくとも1つのセンサデバイス、コントローラ、及び1つ以上の照明デバイスを含むコネクテッド照明システムの概略図を示す。
【
図2B】本開示の態様による、単一ピクセルサーモパイルを含むセンサデバイス及びコントローラを有する少なくとも1つの照明デバイスを含むコネクテッド照明システムの概略図を示す。
【
図3】本開示の態様による、単一ピクセルサーモパイルからの例示的な概略温度信号を示す。
【
図4】本開示の態様による、医療施設における1つ以上の車椅子の出入りを監視するためのシステム及び方法の一実施形態を示す。
【
図5】本開示の態様による、空間における1つ以上の車椅子の出入りを監視するための例示的な方法を示す。
【
図6】本開示の態様による、空間における1人以上の占有者の構成を決定するための例示的な方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示は、単一ピクセルサーモパイル(SPT)を含む埋め込みセンサデバイスを有するコネクテッド照明システムを使用して空間における1人以上の占有者の構成を決定するための改善されたシステム及び方法の様々な実施形態を述べる。本出願人は、SPT信号の形状又はパターンの特徴が、人の数及びそれらの構成と強く相関することを認識し、理解している。さらに、本出願人は、本明細書で述べられるようにSPT信号の形状又はパターンの特徴に基づいて患者及び移動困難者(PRM)の搬送を監視することが有益であることを認識し、理解している。システム及び方法は、空間における1人以上の占有者の2つ以上の構成に対応するデータを用いてトレーニングされることができる。セットアップ及びトレーニング後、システム及び方法は、1つ以上の測定されたSPT信号のステップイベントを検出する、1つ以上の測定されたSPT信号の形状又はパターンに対する統計的特徴を算出する、算出された統計的特徴及びトレーニングデータに基づいて事後確率を算出する、及び、1つ以上のSPT信号を、空間における1人以上の占有者の2つ以上の構成のうちの少なくとも1つに対応するものとして分類することができる。例示的な実施形態では、ベイズ分類(Bayesian classification)が、システムを可能にする(enable)ために使用される。医療施設における患者及び空港等の輸送ハブにおけるPRMの搬送を監視することに加え、本明細書で述べられるシステム及び方法は、オフィスにおける共連れ(tailgating)を検出する及び任意の適切な安全関連のユースケースを可能にするために使用されることができる。
【0025】
本開示は、マルチグリッド及びコネクテッドアーキテクチャ(例えば、コネクテッド照明インフラストラクチャ)に既に配置されている可能性があるイルミネーションデバイスを利用することにより単一ピクセルサーモパイルセンサの分散ネットワークを提供するためのシステム及び方法の様々な実施形態を述べる。このような既存のインフラストラクチャは、本明細書で述べられる追加の検出及び通知機能のためのバックボーンとして使用されることができる。SignifyのSlimBlend(登録商標)吊り下げ型照明器具は、本明細書で述べられるマイクロフォン、カメラ、及びサーモパイル赤外線センサ等の組み込みIoTセンサを備える適切なイルミネーションデバイスの一例である。ある実施形態では、イルミネーションデバイスは、レシーバ及びセンサ等のためのUSBタイプのコネクタスロットを含む。センサレディインターフェース(sensor ready interface)を含むイルミネーションデバイスは、特に適しており、給電、照明器具の機能へのDALI(Digital Addressable Lighting Interface)接続性、及び標準化されたスロットジオメトリを既に提供する。天井埋め込み型又は表面取り付け型照明器具、吊り下げ型照明器具、壁取り付け型照明器具、及び床自立型照明器具等を含む、コネクテッド又はコネクタブル、及びセンサ対応である任意のイルミネーションデバイスが企図されていることを理解されたい。サーモパイル赤外線センサを含む吊り下げ型照明器具又は床自立型照明器具は、センサが空間における占有者のより近くに配置され、人々のより高い温度を検出することができるので有利であり得る。さらに、サーモパイルセンサの分解能は、約3mの天井高さに取り付けられる天井埋め込み型又は表面取り付け型照明器具内に取り付けられるサーモパイルセンサの分解能よりも低くすることができる。
【0026】
本明細書で用いられる「照明器具(luminaire)」という用語は、同じ又は異なるタイプの1つ以上の光源を含む装置を指す。所与の照明器具は、(複数の)光源のための様々な取り付け構成、エンクロージャ/ハウジングの様々な構成及び形状、並びに/又は電気的及び機械的接続の様々な構成の任意のものを有してもよい。さらに、所与の照明器具は、任意選択的に、(複数の)光源の動作に関連する様々な他の構成要素(例えば、制御回路)に関連付けられてもよい(例えば、含んでもよく、結合されてもよく、及び/又は一体にパッケージ化されてもよい)。また、光源は、限定するものではないが、指示、表示、及び/又は照明を含む様々な用途に対し構成されてもよいことを理解されたい。
【0027】
図1を参照すると、本開示の態様による、センサデバイスSDを含む空間10の概略図が示されている。空間10は、病院又は独立生活施設(independent living facility)等の医療施設、空港、オフィス空間等であることができる。センサデバイスSDは、
図2Aに示されるように単一ピクセルサーモパイルSPT及びコントローラ102を含む。
図2Aは、本開示の態様によるコネクテッド照明システム100の概略図を示している。コネクテッド照明システム100は、単一ピクセルサーモパイルSPTを有する少なくとも1つのセンサデバイスSD、コントローラ102、及び1つ以上の照明デバイス104A、104B等を含む。単一ピクセルサーモパイルSPT及びコントローラ102は、
図2Aに示されるようにセンサデバイスSDの同じハウジング内に収容され、動作可能に結合されている。代替的な実施形態では、単一ピクセルサーモパイルSPT及びコントローラ102は、別々に収納される。
図2Aに示されるシステム100において、1つ以上の照明デバイス104A及び104Bは、センサデバイスSDと動作可能に結合されている。
【0028】
ある実施形態では、センサデバイスSDは、
図2Bのコネクテッド照明システム200に示されるように少なくとも1つの照明デバイス204A内に埋め込まれる。言い換えれば、ある実施形態において、照明デバイス204Aは、単一ピクセルサーモパイルSPTを有するセンサデバイスSDを含んでもよい。例示的な実施形態では、センサデバイスSDは、照明器具の一部、又は照明器具に具現化される又は照明器具に接続可能なセンサバンドル(sensor-bundle)の一部である。少なくとも1つの照明デバイス204Aは、検出エリア106を含む空間20を照らすように構成される。少なくとも1つの照明デバイス204Aは、コントローラ202が空間20内の検出エリア106における1人以上の占有者の構成を決定した結果として本明細書で述べられるように通知を提供するように構成されることもできる。
【0029】
各照明デバイス又は照明器具は、プリント回路基板上に配される発光ダイオード(LED:light emitting diode)を含むことができる1つ以上の光源を含む。LEDは、1つ以上の光源ドライバによって特定の特性(すなわち、色強度及び色温度)の光を発するように駆動されるように構成されることができる。LEDは、アクティブ(すなわち、オン)、非アクティブ(すなわち、オフ)、又は係数d(0≦d≦1)によって調光されてもよい。値d=0は、LEDがオフされることを意味し、d=1は、LEDがその最大イルミネーション(maximum illumination)にあることを表す。
【0030】
コントローラ102は、ネットワークインターフェース120、メモリ及び/又はストレージデバイス122、並びに1つ以上のプロセッサ124を含む。ネットワークインターフェース120は、コネクテッド照明器具が、同じワイヤレスプロトコル標準規格を利用するモバイルデバイスを含む他のデバイスと及びコネクテッド照明システム100内で互いにワイヤレスで通信すること及び/又はネットワークアクティビティを監視することを可能にする、及び、コントローラ102が、SPTセンサSPTからデータを受信することを可能にするワイヤレストランシーバ又は任意の他のデバイスとして具現化されることができる。ある実施形態では、ネットワークインターフェース120は、有線通信リンクを使用してもよい。SPTセンサは、任意の適切な有線/ワイヤレスネットワーク通信チャネルを介してコントローラ102の1つ以上のプロセッサ124にデータを送信するように構成される。ある実施形態では、データは、ネットワークを通ることなくコントローラ102の1つ以上のプロセッサ124に直接送信されることができる。データは、有線/ワイヤレス通信チャネルを介してコントローラ102のメモリ122に記憶されることができる。コントローラ102のメモリ122及び1つ以上のプロセッサ124は、照明デバイス104A、104B、204A、SPTセンサの動作を制御、監視、及び/又は支援する、及び、本明細書で述べられるコントローラ102の他の機能を実行するための当技術分野における任意の適切な形態をとってもよい。コントローラ102の1つ以上のプロセッサ124はまた、メモリ122に記憶された命令を実行する、又は、例えば、本明細書で述べられる方法の1つ以上のステップを実行するためにデータを処理することが可能である。コントローラ102の1つ以上のプロセッサ124は、本明細書で述べられるような、データをキャプチャする及びキャプチャされたデータ内のステップイベントを検出するための1つ以上のモジュール、ステップイベントを分類するための1つ以上のモジュール、関連信頼スコアに基づいてステップイベント分類を分析するための1つ以上のモジュール、及び1つ以上のトレーニングモジュール等、1つ以上のモジュールを含んでもよい。以下の説明はベイズ分類技術を採用する実施形態を詳述するが、本開示はそのように限定されるべきではない。任意の適切な形態の分類が想定される。例えば、ロジスティック回帰(logistic regression)又は任意の他の適切な代替手段が使用されることができる。
【0031】
図1に示される実施形態において、センサデバイスSDは、エリア10の床に向かって下向きに出入り口(doorway)内に設けられている。代替的な実施形態では、センサデバイスSDは、エリア10の床に向かって角度を付けて出入口に設けられる。また、センサデバイスは、天井に設けられ、エリア10の床に向かってまっすぐ下向きに又は床に向かって斜めに向けられることもできる。単一ピクセルサーモパイルSPTは、空間10の検出エリア106内で熱エネルギを電気エネルギに変換する。検出エリア106は、単一ピクセルサーモパイルSPTによって監視されるべきエリアである。検出エリア106は、
図2A及び
図2Bに示されるように中心線CLを有するボリュメトリックコーン(volumetric cone)として具現化される。中心線CLは、
図2A及び
図2Bの単一ピクセルサーモパイルSPTの中心から発している。ボリュメトリックコーンは、単一ピクセルサーモパイルSPTの視野と見なされてもよい。斯くして、検出エリア106は、単一ピクセルサーモパイルSPTの単一ピクセル分解能(single-pixel resolution)に対応する。
図1では、空間10におけるセンサデバイスSDの取り付け方に起因して、検出エリア106のボリュメトリックコーンの約半分しか見えない。
図2A及び
図2Bでは、検出エリア106は90度の視野を表しているが、視野は、アプリケーション又は単一ピクセルサーモパイルSPTのタイプに依存して増加又は減少されることができることを理解されたい。また、検出エリア106は、表面エリア、例えば、空間の床上のボリュメトリックコーンの二次元フットプリント(two-dimensional footprint)と見なされることもできる。
【0032】
単一ピクセルサーモパイルSPTによる電気エネルギへの熱エネルギの変換は、温度信号、熱信号、エンタルピ(enthalpy)信号とも呼ばれることができる、SPTセンサ信号を生成する。温度信号はまた、物体赤外線(IR)測定信号とみなされることもできる。単一ピクセルサーモパイルSPTは、単一ピクセル分解能に起因して単一の温度値を生成する。
図3において、例示的な温度信号300が、横軸(X)上のある期間にわたって示されている。例示的な信号300は、1人以上の人Pが検出エリア106又は視野に入る又は検出エリア106又は視野から出る際の経時的な大きな(drastic)変化を示している。斯くして、温度信号300がある期間にわたって測定される場合、温度信号300は、完全な検出エリア(complete detection area)106の過渡的な温度応答(又は熱応答)を含む。
【0033】
図3に示されるように、信号300は、ある実施形態において部分A、B、及びCを含む。ある実施形態において、他の信号は、追加の部分を含み得る。信号300の部分Aは、ある期間の初めに人Pが存在しない検出エリア106の温度を表している。部分Aの後、1人以上の人Pが検出エリア106に入り、IR信号のステップ変化Bを引き起こす。ステップ変化(step change)は、時系列の信号の平均温度レベルの急激な変化、ステップ、ジャンプ、又はシフトを指す。ステップ変化Bの後、1人以上の人Pが当該期間にわたり検出エリア106内をさらに移動し続けると、IR信号は、部分Cの間に徐々に減少する。
【0034】
本出願人は、立ち上がり時間及びオーバーシュート等の他の統計的特徴と共にステップ変化Bの大きさは、検出エリア106内で検出される人の数及び/又は検出エリア106内のそれらの構成と強く相関することを認識し、理解している。
図3において、ステップ変化Bのサイズは、302で示されている。ステップ変化に関する「サイズ(size)」という用語は、特定の低温度値又は低温度値の範囲と、特定の高温度値又は高温度値の範囲との間の温度変化量を指す。302における温度信号の変化は、少なくとも1人の人が検出エリアに入る/検出エリアから出る等のステップイベント(step event)を示すものではない温度信号の最小変動を検出することを避けるために所定のステップ閾値以上でなければならない。
【0035】
図3のステップ変化Bの立ち上がり時間は、304で示されている。「立ち上がり時間(rise time)」という用語は、信号が特定の低温度値又は低温度値の範囲から特定の高温度値又は高温度値の範囲に変化するのにかかる時間量を指す。
図3のステップ変化Bのオーバーシュートは、306で示されている。「オーバーシュート(overshoot)」という用語は、低温度値又は低温度値の範囲から高温度値又は高温度値の範囲への遷移中にその定常状態又は最終値を超える過渡温度値を指す。ステップサイズ、立ち上がり時間、及びオーバーシュートは、検出エリア106内で検出される人の数及び/又は検出エリア106内のそれらの構成と強く相関し得る例示的な信号特徴である。
【0036】
例えば、
図3のサイズ302等、2人の人がSPTの視野の中に入ってくる又は視野から出て行く場合のステップサイズは、1人の人がSPTの視野に入ってくる又は視野から出て行く場合のステップサイズよりも大きい。正のステップサイズは、人が視野の中に入ってくることに対応する。負のステップサイズは、人が視野から出て行くことに対応する。
【0037】
また、ステップサイズは、SPTからの距離の関数として分析されることもできる。一般に、人が歩きながら視野に入る場合のステップサイズは、人が座りながら視野に入る場合のステップサイズよりも大きい。ステップサイズは、SPTから1m以内で分析されることができるが、任意の適切な距離が、アプリケーションに依存して使用されることができる。人がSPTと向き合っている場合のステップサイズは、一般に、人がSPTに背を向けている場合のステップサイズよりも大きい。斯くして、立ってセンサと向き合っている人は、一般に、最大のステップサイズを有する。座ってセンサと向き合っている人は、一般に、2番目に大きなステップサイズを有する。センサに背を向けて立っている人は、一般に、その次に大きなステップサイズを有する。センサに背を向けて座っている人は、一般に、3つの他の構成に比べて最も小さいステップサイズを有する。後頭部から放出される熱量よりも多くの熱が顔から放出されるため、ステップサイズは、人がSPTと向き合っている場合により大きくなる。
【0038】
2人の人が視野に入る場合の統計的特徴は、一般に、人々の個々の効果の重ね合わせ(superposition)として特徴付けられる。斯くして、2人の人が立って視野に入る場合、ステップサイズは、1人の人が立って視野に入る場合に検出されるステップのサイズの約2倍となる。同じことは、3人の人が視野に入る場合にも当てはまる。斯くして、3人の人が立って視野に入る場合、ステップサイズは、1人の人が立って視野に入る場合に検出されるステップのサイズの約3倍となる。
【0039】
本明細書でさらに述べられるように、単一ピクセルサーモパイルSPT及び/又はコントローラ102は、検出された温度信号の形状又はパターンに基づいて空間における占有者の構成を検出するためにトレーニングされることができる。本明細書で述べられるように、トレーニングは、かなりの量のラベルありデータ(labelled data)を必要とする教師あり学習アプローチ(supervised learning approach)で実施されることができる。代替的に、トレーニングは、システムが空間に設置された後に大量のラベルなしデータ(unlabelled data)を必要とする代表的学習アプローチ(representative learning approach)で実施することができる。ある実施形態では、コントローラ102は、単一ピクセルサーモパイルSPTから伝達される温度信号を取得する。
図4に示されるように、施設における車椅子の出入りを監視するためのシステム及び方法の一実施形態が示されている。
図4のシステム及び方法400は、温度信号のステップ変化を検出するためのシステム及び方法402と、検出されたステップ変化を分類するためのシステム及び方法404と、分類された検出されたステップ変化を分析するためのシステム及び方法406とを含む。有利なことに、本明細書で述べられるシステム及び方法は、車椅子を追跡デバイスで強化する必要なく、施設における車椅子の出入りを追跡することができる。
【0040】
温度信号のステップ変化を検出するためのシステム及び方法402は、検出された信号の温度変化と所定のステップ閾値とを比較することを含む。温度変化が所定のステップ閾値以上である場合、ステップイベントが発生したと決定されることができる。
【0041】
検出されたステップ変化を分類するためのシステム及び方法404は、検出されたステップ変化の1つ以上の信号特徴が、1つ以上のクラスに関連付けられる信号特徴と十分に類似しているかどうかを判断することを含む。クラスは、異常又は許容できない空間における占有者の数及び/又は構成を識別するクラスと、正常又は許容できる空間における占有者の数及び/又は構成を識別する1つ以上のクラスとを含むことができる。ある実施形態では、異常又は許容できないシナリオ又はクラスは、誰も付き添わずに車椅子に座っている1人の人だけを識別するものである。この場合、システム及び方法は、車椅子の人が施設の方針及び手順に従って付き添われていないことを検出することができる。正常又は許容できるシナリオ又はクラスは、座っている人がいない状態で歩いている1人の人を識別するもの、別の人が座っている状態で歩いている1人の人を識別するもの、座っている人がいない状態で歩いている2人以上の人を識別するもの、及び他のものとは異なる別のシナリオ又はクラスを含むことができる。正常又は許容できるシナリオ又はクラスの1つ以上は、任意の組み合わせで組み合わされることができる。上記に列挙されていない追加の正常又は許容できるシナリオ又はクラスも想定される。
【0042】
本明細書で述べられるシステム及び方法のとりわけ有利な点の1つは、分類された構成で検出される車椅子が、追加の追跡強化を必要とすることなく、空間における複数のSPTセンサ間で追跡されることができることである。本明細書で述べられるシステム及び方法の別の有利な点は、1つ以上の固有のSPT信号が、空間に決まって(routinely)存在する個人について学習されることができることである。
【0043】
異常又は許容できないシナリオ又はクラスは、検出された温度信号の1つ以上の特徴が、車椅子に座っている1人の人だけが検出エリア106に入っている又は検出エリア106を出ていることを示す、
図4に示されるCLASS A(クラスA)であることができる。
【0044】
上記で列挙される正常又は許容できるシナリオ又はクラスは、
図4において、CLASS B(クラスB)、CLASS C(クラスC)、CLASS D(クラスD)、及びCLASS E(クラスE)として示されている。検出された温度信号の1つ以上の特徴が、座っている人がいない状態で1人の人が歩いていることを示す場合、当該信号は、CLASS Bとして分類されることができる。座っている人がいないので、CLASS Aに関連付けられる信号で示されるように、車椅子の人が付き添いなしで検出エリア106に入っている又は検出エリア106を出ている可能性は低い。検出された温度信号の1つ以上の特徴が、別の人が座っている状態で1人の人が歩いていることを示す場合、当該信号は、CLASS Cとして分類されることができる。この構成は、ある実施形態で望まれるように、車椅子の人が付き添いと共に検出エリアに入っている又は検出エリアを出ている状況を表す。検出された温度信号の1つ以上の特徴が、座っている人がいない状態で2人以上の人が歩いていることを示す場合、当該信号は、CLASS Dとして分類されることができる。(上記のCLASS Bと同様)座っている人がいないので、車椅子の人が付き添いなしで検出エリア106に入っている又は検出エリア106を出ている可能性は低い。検出された温度信号の1つ以上の特徴が、CLASS A、B、C、及びDに関連付けられるものとは異なる空間における占有者の構成を示す場合、当該信号は、CLASS Eとして分類されることができる。ここでも、CLASS Eは、(上記のCLASS Aで示されるように)付き添いなしで検出エリア106に少なくとも1人の車椅子の人が存在することを示さないので、構成は依然として正常又は許容できるとみなされることができる。
【0045】
分類された検出されたステップ変化406を分析するためのシステム及び方法406は、分類が十分に信頼又は信用できるかどうかを判断すること、及び/又は1つ以上の個々の弱い(weak)決定に基づいてその後の分類を行うために空間10にわたる複数のSPTセンサからの情報を組み合わせることを含む。分類された検出されたステップ変化を分析するためのシステム及び方法406は、検出される構成に依存して車椅子のロケーションを更新することを含むこともできる。
【0046】
教師あり学習アプローチ及び大量のラベル付きデータを使用する実施形態では、5つのクラス(CLASSE A、B、C、D、及びE)の各々に関する統計的特徴が、ラベル付きデータによって特徴付けられ、システムが、ラベル付きデータに基づいて尤度密度(likelihood density)を推定することによってトレーニングされる。これらの尤度密度は、ステップサイズ、及びそれらが占有者の数及び/又は構成にどのように相関するかに関連するデータから学習されることができる。例えば、CLASS A、B、C、D、及びEのステップサイズに関する尤度密度は、P(step_size|A)、P(step_size|B)、P(step_size|C)、P(step_size|D)、及びP(step_size|E)の形をとることができる。同様の密度が、ラベルありデータから、立ち上がり時間及びオーバーシュート等、他の統計的特徴について学習されることができる。CLASS A、B、C、D、及びEの十分なラベルありデータでもって、時系列ディープラーニングモデル(time-series deep learning model)が、特徴を学習し、A~Eの分類を行うために使用されることができる。CLASS A~Eは、入る及び出るとで異なるステップサイズ、並びにその振幅、搬送中に発生するリップルを引き起こす。
【0047】
単一ピクセルサーモパイルSPTを有する少なくとも1つのセンサデバイスSDが空間10に設置され、コントローラ102が空間10に設置され、コントローラ102が少なくとも1つのセンサデバイスと動作可能に結合された後、コントローラ102は、空間における占有者の構成を検出するためのトレーニングデータを取得又は決定する。トレーニングデータは、上述したようなラベルありデータ、又は任意の適切な代替物に基づくことができる。トレーニングデータは、空間10における少なくとも1つのセンサデバイスの構成に基づくこともできる。例えば、少なくとも1つのセンサデバイスSDの高さ、又は少なくとも1つのセンサデバイスSDが取り付けられている角度は、CLASS A、B、C、D、及びEの信号の特徴の形状又はパターンにおいて役割を果たすことができる。トレーニングデータを生成するための適切な代替案の1つは、システム100が空間10に設置された後に大量のラベルなしデータを取得することを含む。このような代替案は、大量のラベルなしデータに表現学習(representation learning)のための予測符号化を適用し、人の数、姿勢、歩行速度等に起因するSPT特徴を学習し、その後、小さなセットのラベルありデータで微調整する(fine-tune)ことを含む。その後、学習されたSPT特徴は、イベントA~Eを検出するために分類フレームワークに取り込まれることができる。
【0048】
システム100が、本明細書で述べられるようなトレーニング後、空間10における1人以上の占有者の構成を決定するために動作している場合、単一ピクセルサーモパイルSPTは、検出エリア106の温度信号を測定し、当該温度信号をコントローラ102に伝える。コントローラ102は、信号の変化と少なくとも1つの所定のステップ閾値とを比較することにより温度信号のステップ変化を検出する。
【0049】
ステップ分類を行うために、コントローラ102は、少なくとも所定のステップ閾値を満たす検出されたステップ変化の形状又はパターンの少なくとも1つの特徴の事後確率(a posterior probability)を決定する。5つのクラス(CLASS A、B、C、D、及びE)を使用する例の場合、コントローラ102は、アプリケーションに依存して使用されている検出されたステップ変化の統計的特徴(例えば、ステップサイズ、立ち上がり時間、及び/又はオーバーシュート)の事後確率を決定する。CLASS A特徴に対するステップサイズ、立ち上がり時間、及びオーバーシュートに基づく例示の検出されたステップ変化の事後確率は、P(A|step_size, overshoot, rise_time) ∝ P(step_size|A).P(overshoot|A).P(rise_time|A).P(A)の形をとることができる。ここで、比例の右側の最初の3つの項は、トレーニング中に学習される尤度であり、P(A)は、CLASS Aであった真のイベントの事前バイアス(prior bias)である。事前確率(prior probability)は、医療施設におけるさまざまなタイプのエリアに基づいて又は医療施設のさまざまなタイプについて調整されることができる。ある実施形態では、事後確率と尤度との関係は、依存性(dependency)、例えば、ステップサイズとオーバーシュートとの依存性に適合する(accommodate for)こともできる。CLASS B特徴に対するステップサイズ、立ち上がり時間、及びオーバーシュートに基づく検出されたステップ変化の事後確率は、P(B|step_size, overshoot, rise_time) ∝ P(step_size|B).P(overshoot|B).P(rise_time|B).P(B)の形をとることができる。ここで、比例の右側の最初の3つの項は、トレーニング中に学習される尤度であり、P(B)は、CLASS Bであった真のイベントの事前バイアスである。CLASS C特徴に対するステップサイズ、立ち上がり時間、及びオーバーシュートに基づく検出されたステップ変化の事後確率は、P(C|step_size, overshoot, rise_time) ∝ P(step_size|C).P(overshoot|C).P(rise_time|C).P(C)の形をとることができる。ここで、比例の右側の最初の3つの項は、トレーニング中に学習される尤度であり、P(C)は、CLASS Cであった真のイベントの事前バイアスである。CLASS D特徴に対するステップサイズ、立ち上がり時間、及びオーバーシュートに基づく検出されたステップ変化の事後確率は、P(D|step_size, overshoot, rise_time) ∝ P(step_size|D).P(overshoot|D).P(rise_time|D).P(D)の形をとることができる。ここで、比例の右側の最初の3つの項は、トレーニング中に学習される尤度であり、P(D)は、CLASS Dであった真のイベントの事前バイアスである。CLASS E特徴に対するステップサイズ、立ち上がり時間、及びオーバーシュートに基づく検出されたステップ変化の事後確率は、P(E|step_size, overshoot, rise_time) ∝ P(step_size|E).P(overshoot|E).P(rise_time|E).P(E)の形をとることができる。ここで、比例の右側の最初の3つの項は、トレーニング中に学習される尤度であり、P(E)は、CLASS Eであった真のイベントの事前バイアスである。
【0050】
クラスA、B、C、D、及びEに対するステップサイズ、立ち上がり時間、及びオーバーシュートに基づいて検出されたステップ変化について事後確率が算出された後、コントローラ102は、検出された温度信号のクラスラベルを特定する。特定されたクラスラベルは、以下のシナリオのうちの少なくとも1つに対応する:「1人の人が座っている(one person sitting)」(CLASS A)、「1人の人が歩いている(one person walking)」(CLASS B)、「1人の人が歩いている及び1人の人が座っている(one person walking and one person sitting)」(CLASS C)、「2人以上の人が歩いている(more than one person walking)」(CLASS D)、及び「その他(other)」(CLASS E)。一実施形態では、クラスラベルは、コントローラ102によって、最大事後確率推定(maximum a posteriori probability estimate)(MAP)を決定することによって特定される。
【0051】
一実施形態では、クラスが、「1人の人が歩いている」(CLASS B)、「1人の人が座っている及び別の人が立っている(one person sitting and other standing)」(CLASS C)、「>1人の人が歩いている(>1 person walking)」(CLASS D)、又は「その他」(CLASS E)に対応する場合、検出エリア106を監視することを継続する以外に、システムによるアクションは行われない。一方、クラスが、座っている姿勢の人が1人だけ検出エリア106に入っている又は検出エリア106から出ている、「1人の人が座っている」(CLASS A)に対応する場合、システムは、アラームを発するように構成されることができるが、事後確率がある所定の確率閾値を上回る場合に限られる。所定の確率閾値は、ある実施形態では、偽陽性(false positive)の発生を低減するために使用される。確率閾値は、ある実施形態では受信者動作特性(ROC:receiver operating characteristic)曲線又は任意の適切な代替物を用いて調整することができる。このような曲線では、真陽性率(true positive rate)が、様々な閾値設定において偽陽性率(false positive rate)に対してプロットされることができる。
図2Aに示されるように、コントローラ102が、検出された温度信号が本明細書で述べられるような「1人の人が座っている」(CLASS A)に対応すると決定する場合、コントローラ102は、CLASS A構成に関する情報を含む通知110を提供することができる。通知は、点灯又は点滅する赤色光等、センサデバイスSD上の視覚的アラートであることができる。追加的に又は代替的に、視覚的アラートは、センサデバイスSDに接続される1つ以上の照明デバイス104A、104B、204A等から来ることができる。ある実施形態では、通知は、可聴アラートであることができる。可聴アラートは、センサデバイスSD、又はセンサデバイスSD若しくは1つ以上の照明デバイス104A、104B、204Aに接続されるサウンドシステムから来ることができる。追加的に又は代替的に、通知は、ナースステーションのコンピューティング又はモニタリングデバイス等の遠隔デバイスに送信される情報、又は何らかの適切な代替物を含むことができる。コントローラ102は、クラスA構成に関する情報を含む出力信号を出力することができ、出力信号は、センサデバイスSD上の1つ以上の光源、又は1つ以上の照明デバイス104A、104B、204A上の1つ以上の光源を制御するように構成される。追加的に又は代替的に、コントローラ102からの出力信号は、センサデバイスSD上若しくはセンサデバイスSD内の1つ以上のスピーカ、又は1つ以上の照明デバイス104A、104B、204A上若しくは1つ以上の照明デバイス104A、104B、204A内の1つ以上のスピーカを制御するように構成されることができる。
【0052】
所定の確率閾値が満たされない場合、情報は、個々の弱い判断を融合することにより共同判断(joint decision)が行われることができるように、空間10又は建物における他のセンサ又はコントローラにブロードキャストされることができる。
図2Aに示されるように、コントローラ102がクラスラベルを特定するが、信号の事後確率が所定の確率閾値を満たさないと決定する場合、コントローラ102は、信号に関する情報112を、空間10における別のセンサデバイス又は別のコントローラ114に送信することができる。同様に、コントローラ102は、別の信号に関する情報112を、空間10における別のセンサ又は別のコントローラ114から受信することができる。
【0053】
図5は、空間における1つ以上の車椅子の出入りを監視するための例示的な方法500を示している。ステップS501において、ステップイベントが、SPTセンサからの温度信号内で検出される。ステップS502において、ステップイベントの統計的特徴が算出される。ステップS503において、事後確率が、算出された統計的特徴及びトレーニングデータに基づいて算出され、最大事後確率推定(MAP)が、クラスラベルで信号を分類するために使用される。ステップS504において、クラスラベルに依存して、信号に関連付けられる事後確率が所定の確率閾値を上回るかどうかが判断される。上述したように、クラスラベルが、許容できる又は正常シナリオのうちのいずれかである場合、信号に関連付けられる事後確率と所定の確率閾値とを比較する必要はない。代わりに、システムは、監視ステップを継続することができる。一方、クラスラベルが、異常又は許容できないシナリオ(例えば、付き添いのない患者)に関連付けられる場合、信号に関連付けられる事後確率が所定の確率閾値を上回るかどうかが判断される。ステップS505Aにおいて、事後確率が所定の確率閾値を上回る場合、患者又はPRMのステータス(status)が、クラスラベルに関連付けられる構成に基づいて更新されることができる、及び/又は、上述した通知等の任意の他の適切なアクションが行われることができる。一方、ステップS505Bにおいて、事後確率が所定の確率閾値を上回らない場合、コネクテッド照明システムの1つ以上のSPTセンサからの情報は、構成のその後の決定(subsequent determination)のためにブロードキャストされることができる。所定の確率閾値は、分類に関連付けられる十分な信頼レベルを表すようなレベルに設定される。
【0054】
図6は、空間における1人以上の占有者の構成を決定するための例示的な方法600である。ステップ602において、少なくとも1つのセンサデバイスSDが空間10に設けられ、少なくとも1つのセンサデバイスは、空間における1人以上の占有者に関するセンサ信号を捕捉するように構成される単一ピクセルサーモパイルSPTを有する。本明細書で述べられるように、単一ピクセルサーモパイルSPTは、熱エネルギを電気エネルギに変換する。ステップ604において、コントローラ102が空間に設けられ、コントローラは、空間における少なくとも1つのセンサデバイスと通信する。
【0055】
ステップ606において、コントローラ102は、空間における1人以上の占有者の少なくとも第1の構成及び第2の構成を検出するためのトレーニングデータを決定又は取得する。ある実施形態では、コントローラ102は、異常又は許容できない構成に対応する少なくとも1つの構成、及び、正常又は許容できる構成に対応する少なくとも1つの構成を検出するためのトレーニングデータを決定又は取得する。ある実施形態では、コントローラ102は、2つ以上の正常又は許容できる構成を検出するためのトレーニングデータを決定又は取得する。
【0056】
ステップ608において、単一ピクセルサーモパイルSPTは、経時的に空間における検出エリア106の温度信号を測定又は取得する。検出エリアは、単一ピクセルサーモパイルの視野内にある。ある実施形態では、視野は約90度である。
【0057】
ステップ610において、コントローラ102は、温度信号の変化(例えば、ステップ変化B)を検出し、変化は、所定のステップ閾値以上である。
【0058】
ステップ612において、コントローラ102は、温度信号の形状又はパターンの少なくとも1つの特徴に対する第1の確率及び第2の確率を決定し、第1の確率及び第2の確率は、決定された又は取得されたトレーニングデータに基づく、それぞれ、第1の構成及び第2の構成に対応する。温度信号の形状又はパターンの少なくとも1つの特徴に対する第1の確率は、第1の構成に対応する。温度信号の形状又はパターンの少なくとも1つの特徴に対する第2の確率は、第2の構成に対応する。
【0059】
ステップ614において、コントローラ102は、決定された確率に基づいて温度信号のクラスラベルを特定する。クラスラベルは、空間における1人以上の占有者の第1の構成又は第2の構成に対応する。
【0060】
一実施形態において、第1の構成は、「1人の人が座っている」(CLASS A)を表し、第2の構成は、「1人の人が歩いている」(CLASS B)、「1人の人が歩いている及び1人の人が座っている」(CLASS C)、「2人以上の人が歩いている」(CLASS D)、又は「その他」(CLASS E)を表す。このような実施形態において、方法600はさらに、コントローラ102によって、第1の構成に対応する温度信号の形状又はパターンの少なくとも1つの特徴に対する事後確率が所定の確率閾値を超えるかどうかを判断することを含むことができる。このような実施形態は、コントローラ102が、「1人の人が座っている」(CLASS A)を表すことができる第1の構成に対応するクラスラベルを特定する場合に適用可能である。事後確率が所定の確率閾値を超える場合、方法600はさらに、本明細書で述べられるような、空間における1人以上の占有者の第1の構成の情報を含む通知を提供することを含むことができる。
【0061】
事後確率が所定の確率閾値を超えない別の実施形態では、方法600はさらに、第1の構成に対応する温度信号の形状又はパターンの少なくとも1つの特徴に関する情報を含む信号を送信することを含む。送信信号は、空間における別のセンサデバイス又は別のコントローラに送られる。事後確率が所定の確率閾値を超えない場合、クラスラベルは、低い又はリライアブル(reliable)ではない関連信頼スコア(associated confidence score)を有したと推論されることができる。代替的に、方法600はさらに、第1の構成に対応する別の温度信号の形状又はパターンに関する情報を有する信号を受信することを含む。受信情報は、空間における別のセンサデバイス又は別のコントローラからのものであることができる。その後、コントローラ102における第1の構成に対応する温度信号の形状又はパターンの少なくとも1つの特徴に関する情報は、空間における1人以上の占有者の構成のその後の決定のために空間における別のセンサデバイス又は別のコントローラからの情報と融合されることができる。空間における複数のSPTセンサからのデータを組み合わせることは、よりリライアブルであるようなより高い関連信頼スコアを有する信号を生成することができる。複数のSPTセンサからのデータを組み合わせることは、信号のノイズを補償することもできる。また、追加の信号処理が、固有のSPTセンサ信号を用いて車椅子の人を識別するために本明細書で述べられるシステム及び方法のいずれにおいても使用されることができる。
【0062】
また、そうではないことが明確に示されない限り、2つ以上のステップ又は行為を含む、本明細書で特許請求されるいずれの方法においても、その方法のステップ又は行為の順序は、必ずしも、その方法のステップ又は行為が列挙されている順序に限定されるものではないことも理解されるべきである。
【0063】
本明細書で定義及び使用されるような、全ての定義は、辞書定義、参照により組み込まれる文書中での定義、及び/又は定義される用語の通常の意味を支配するように理解されるべきである。
【0064】
不定冠詞「a」及び「an」は、本明細書及び請求項において使用されるとき、そうではないことが明確に示されない限り、「少なくとも1つ」を意味するように理解されるべきである。
【0065】
語句「及び/又は」は、本明細書及び請求項において使用されるとき、そのように結合されている要素の「いずれか又は双方」、すなわち、一部の場合には接続的に存在し、他の場合には離接的に存在する要素を意味するように理解されるべきである。「及び/又は」で列挙されている複数の要素は、同じ方式で、すなわち、そのように結合されている要素のうちの「1つ以上」として解釈されるべきである。「及び/又は」の節によって具体的に特定されている要素以外の他の要素は、具体的に特定されているそれらの要素に関連するか又は関連しないかにかかわらず、オプションとして存在してもよい。
【0066】
本明細書及び請求項において使用されるとき、「又は」は、上記で定義されたような「及び/又は」と同じ意味を有するように理解されるべきである。例えば、リスト内の項目を分離する際、「又は」又は「及び/又は」は、包括的であるとして、すなわち、少なくとも1つを含むが、また、いくつかの要素又は要素のリストのうちの2つ以上を、オプションとして、列挙されていない追加項目も含むとして解釈されるものとする。その反対が明確に示される、「~のうちの1つのみ」若しくは「~のうちの厳密に1つ」、又は請求項で使用される場合の「~から成る」等の用語のみが、いくつかの要素又は要素のリストのうちの厳密に1つを含むことに言及する。一般に、用語「又は」は、本明細書で使用されるとき、「~のいずれか」、「~のうちの1つ」、「~のうちの1つのみ」、又は「~のうちの厳密に1つ」等の、排他性の用語に先行する場合にのみ、排他的選択肢(すなわち、「一方又は他方であるが、双方ではない」)を示すとして解釈されるものとする。
【0067】
本明細書及び請求項において使用されるとき、1つ以上の要素のリストを参照する語句「少なくとも1つ」は、その要素のリスト内の要素の任意の1つ以上から選択された、少なくとも1つを意味するが、必ずしも、その要素のリスト内で具体的に列挙されているそれぞれの要素のうちの、少なくとも1つを含むものではなく、その要素のリスト内の要素の、任意の組み合わせを排除するものではないことが理解されるべきである。この定義はまた、語句「少なくとも1つ」が言及する、その要素のリスト内で具体的に特定されている要素以外の要素が、具体的に特定されているそれらの要素に関連するか又は関連しないかにかかわらず、オプションとして存在してもよいことも可能にする。
【0068】
特許請求の範囲においても上記明細書においても、「備える」、「含む」、「担持する」、「有する」、「含有する」、「関与する」、「保持する」、「~で構成される」等のすべての移行句は、非制限的、すなわち、含むがそれに限定されないことを意味すると理解されるべきである。「~からなる」及び「本質的に~からなる」といった移行句のみが、それぞれ、クローズド(closed)又は半クローズド(semi-closed)移行句である。
【0069】
いくつかの発明実施形態が、本明細書で説明及び図示されてきたが、当業者は、本明細書で説明される機能を実行するための、並びに/あるいは、その結果及び/又は利点のうちの1つ以上を得るための、様々な他の手段及び/又は構造体を、容易に構想することとなり、そのような変形態様及び/又は修正態様は、本明細書で説明される発明実施形態の範囲内にあるものと見なされる。より一般的には、本明細書で説明される全てのパラメータ、寸法、材料、及び構成は、例示であることが意図されており、実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成は、本発明の教示が使用される特定の用途に応じて変化することを、当業者は容易に理解するであろう。当業者は、通常の実験のみを使用して、本明細書で説明される特定の発明実施形態に対する、多くの等価物を認識し、又は確認することが可能であろう。それゆえ、上述の実施形態は、例としてのみ提示されており、添付の請求項及びその等価物の範囲内で、具体的に説明及び特許請求されるもの以外の発明実施形態が実践されてもよい点を理解されたい。本開示の発明実施形態は、本明細書で説明される、それぞれの個別の特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法を対象とする。更には、2つ以上のそのような特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法の任意の組み合わせは、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法が相互に矛盾しない場合であれば、本開示の発明の範囲内に含まれる。
【国際調査報告】