IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ライトフォース オーソドンティックス インコーポレーテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】患者専用の歯列矯正チューブの製造
(51)【国際特許分類】
   A61C 7/16 20060101AFI20240528BHJP
【FI】
A61C7/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574615
(86)(22)【出願日】2022-05-27
(85)【翻訳文提出日】2024-01-30
(86)【国際出願番号】 US2022031421
(87)【国際公開番号】W WO2022256263
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】63/318,954
(32)【優先日】2022-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/195,052
(32)【優先日】2021-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
(71)【出願人】
【識別番号】523453248
【氏名又は名称】ライトフォース オーソドンティックス インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】LIGHTFORCE ORTHODONTICS INC.
【住所又は居所原語表記】44 3rd Ave.,Burlington,MA 01803,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァノーイ,サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】ウィンチェル,ディラン
(72)【発明者】
【氏名】ファファラ,ケルシー,エー.
(72)【発明者】
【氏名】デュガン,オイシン
(72)【発明者】
【氏名】グリフィン,アルフレッド,チャールズ,サード
【テーマコード(参考)】
4C052
【Fターム(参考)】
4C052AA20
4C052JJ03
4C052JJ10
(57)【要約】
実施形態は、セラミックスラリーベースの積層造形(AM)技術を使用することによる、カスタマイズされた唇側/舌側矯正チューブの直接製造の方法論に関する。例えば、積層造形によってカスタマイズされたセラミック唇側/舌側矯正チューブを製造する方法は、歯列データに基づいて、患者の歯のプロファイルの歯列データを測定すること、患者の歯の3次元コンピュータ支援設計(3D CAD)モデルを作成し、その3D CADモデルを保存すること、前記3D CADモデルに基づいて、単一の唇側または舌側チューブ構造の仮想3D CADチューブ構造モデルを設計すること、
3D CAD のチューブ構造モデルに関連するデータを積層造形機にインポートすること、および積層造形機を用いて、セラミック、ポリマー由来のセラミック、およびポリマー由来の金属のうちの少なくとも1つを含む無機材料から積層造形によってチューブを直接製造することを含むことが出来る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の為にカスタマイズされた歯列矯正チューブを製造する方法であって、該方法は、以下:
患者の1以上の歯列の3次元(3D)モデルを取得すること;
患者の1以上の歯列の3Dモデルを使用して歯列矯正チューブ構造の3Dモデルを生成し、歯列矯正チューブ構造は、患者の歯からの歯列矯正チューブの剥離を容易にする剥離構造を含むこと;および
積層造形デバイスを使用して、歯列矯正チューブ構造の3Dモデルに基づいてカスタマイズされた歯列矯正チューブを作成すること
を含む、前記方法。
【請求項2】
剥離構造の少なくとも一部が、1以上の歯列のうちの少なくとも1つの3Dモデルに基づいたカスタマイズされた形状を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
剥離構造が、歯列矯正チューブ構造の一部に応力集中部を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
応力集中部が、垂直抗力が応力集中部に加わったときにカスタマイズされた歯列矯正チューブが破砕するような形状になっている、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
応力集中部が、歯列矯正用チューブ構造の咬合-歯肉方向に沿って延びる、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
応力集中部が、実質的に三角形の断面であるプロファイルを備えた部分を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
剥離構造が、歯列矯正チューブ構造の3Dモデル内にリッジを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
リッジが、歯列矯正チューブ構造のベースと歯列矯正チューブ構造の面との界面に近接している、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
リッジの高さが、歯列矯正チューブ構造の近心-遠心軸に沿って変化する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
患者の1以上の歯列の3Dモデルを使用して生成された歯列矯正チューブ構造の3Dモデルを使用して、積層造形デバイスによって作成されたカスタマイズされた歯列矯正チューブであって、
患者の歯からのカスタマイズされた歯列矯正チューブの剥離を容易にする剥離構造
を含む、前記カスタマイズされた歯列矯正チューブ。
【請求項11】
剥離構造の少なくとも一部が、1以上の歯列のうちの少なくとも1つの3Dモデルに基づいてカスタマイズされた形状を有する、請求項10に記載のカスタマイズされた歯列矯正チューブ。
【請求項12】
剥離構造が、カスタマイズされた歯列矯正チューブの一部に応力集中部を含む、請求項10に記載のカスタマイズされた歯列矯正チューブ。
【請求項13】
カスタマイズされた歯列矯正チューブが、応力集中部に垂直抗力が加わると破砕する、請求項12に記載のカスタマイズされた歯列矯正チューブ。
【請求項14】
カスタマイズされた歯列矯正チューブが、以下:
ベース;および
2つの部分;を含み、
応力集中部は、2つの部分の間に略V字形の空間を含み;および
略V字形の空間の頂点は、ベースに近接している、
請求項10に記載のカスタマイズされた歯列矯正チューブ。
【請求項15】
2つの部分のそれぞれが、略V字形の空間のそれぞれの側に実質的に平坦な壁を含む、請求項14に記載のカスタマイズされた歯列矯正チューブ。
【請求項16】
剥離構造が、少なくとも1つのリッジを含む、請求項10に記載のカスタマイズされた歯列矯正チューブ。
【請求項17】
ベース;および
ベースに対して垂直な面;をさらに含み、
少なくとも1つのリッジが、少なくとも部分的に、ベースと面との交点の近くに位置する、請求項16に記載のカスタマイズされた歯列矯正チューブ。
【請求項18】
面が、アーチワイヤがスロットに挿入される大きさのスロット開口部を含む、請求項17に記載のカスタマイズされた歯列矯正チューブ。
【請求項19】
カスタマイズされた歯列矯正チューブが、少なくとも部分的に空間によって分離された2つの部分を含み、少なくとも1つのリッジは第1のリッジと第2のリッジを含み、
第1のリッジは、2つの部分のうちの第1の部分に位置し;および
第2のリッジは、2つの部分のうちの第2の部分に位置する、
請求項16に記載のカスタマイズされた歯列矯正チューブ。
【請求項20】
2つの部分を隔てる空間が、応力集中部である、請求項19に記載のカスタマイズされた歯列矯正チューブ。
【請求項21】
複数の部分のそれぞれが、その部分を通って延びるそれぞれのスロットを含む、請求項10に記載のカスタマイズされた歯列矯正チューブ。
【請求項22】
複数の部分のスロットが、アーチワイヤが複数の部分のスロットを通過するように位置合わせされる、請求項21に記載のカスタマイズされた歯列矯正チューブ。
【請求項23】
患者の為にカスタマイズされた歯列矯正チューブを製造する方法であって、該方法は、以下:
患者の1以上の歯列の3次元(3D)モデルを取得すること;
患者の1以上の歯列の3Dモデルを使用して歯列矯正チューブ構造の3Dモデルを生成し、該歯列矯正チューブ構造は、ワイヤを受け入れるための複数の壁によって囲まれたスロット:を含み、複数の壁のうちの1以上の端部は、歯列矯正チューブ構造の近心面に対して角度が付けられていること;および
積層造形デバイスを使用して、歯列矯正チューブ構造の3Dモデルに基づいてカスタマイズされた歯列矯正チューブを作成すること
を含む、前記方法。
【請求項24】
歯列矯正処方に基づいて、スロットの主要部分の角度を決定すること;をさらに含み、
歯列矯正チューブ構造の3Dモデルを生成することは、スロットの主要部分の決定された角度を有するスロットを生成することを含む、
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
歯列矯正処方が、患者の歯の関連する歯に対する望ましいトルク、先端、回転、またはそれらの組み合わせの指示を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
スロットが、4つの壁とおよび4つの角を含み;および
スロットは、カスタマイズされた歯列矯正チューブの積層造形中にスロットの角で材料が重合するのを防ぐために、スロットの各角にほぞ穴を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
スロットに受け入れられるワイヤのサイズおよび形状に基づいてスロットのサイズおよび形状を決定すること;をさらに含み:
歯列矯正チューブ構造の3Dモデルを生成することは、決定されたサイズおよび形状を有するスロットを生成することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
歯列矯正チューブ構造の3Dモデルを生成することが、以下:
スロットの少なくとも一部分のグレースケールパターンを決定し、グレースケールパターンは、積層造形デバイスによって適用される重合パターンを示すこと;および
グレースケールパターンをスロットの少なくとも一部に適用すること
を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
グレースケールパターンが、複数のピクセルを含み、各ピクセルは歯列矯正チューブ構造の3Dモデル内のそれぞれの位置で重合される材料の量を示す、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
グレースケールパターンが、歯列矯正チューブ構造の3Dモデル内のそれぞれの位置で重合がオンかオフかを示す複数のピクセルを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
歯列矯正チューブ構造が、スロットを通って流れる材料が、それを通って歯列矯正チューブ構造から出ることができるノッチを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
歯列矯正チューブ構造が、カスタマイズされた歯列矯正チューブが作成されるビルドプレートに隣接する界面を含み;および
ノッチは、少なくとも部分的に、ビルドプレートに隣接する界面に位置する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
患者の1以上の歯列の3Dモデルを使用して生成された歯列矯正チューブ構造の3Dモデルを使用して、積層造形デバイスによって作成されたカスタマイズされた歯列矯正チューブであって、以下:
ワイヤを受け入れるための複数の壁によって囲まれたスロットであって、複数の壁のうちの1以上の端部が、カスタマイズされた歯列矯正チューブの近心面に対して角度をなしている、前記スロット
を含む、前記カスタマイズされた歯列矯正チューブ。
【請求項34】
スロットの主要部分の角度が、歯列矯正処方に基づいている、請求項33に記載のカスタマイズされた歯列矯正チューブ。
【請求項35】
スロットが、スロットによって受け入れられるワイヤの形状に基づいて形作られる、請求項33に記載のカスタマイズされた歯列矯正チューブ。
【請求項36】
カスタマイズされた歯列矯正チューブがベースプレートに接続されるときに、材料がノッチを通ってスロットから流出できるようにするノッチをさらに含む、請求項33に記載のカスタマイズされた歯列矯正チューブ。
【請求項37】
2つの部分をさらに含み、それぞれがその部分を通って延びるそれぞれのスロットを有する、請求項33に記載のカスタマイズされた歯列矯正チューブ。
【請求項38】
2つの部分のそれぞれのスロットが、以下:
1以上のスロット壁の端部が角度を付けられた第1の側面;および
1以上のスロット壁の端部が角度を付けられていない第2の側面
を含む、請求項37に記載のカスタマイズされた歯列矯正チューブ。
【請求項39】
2つの部分のスロットが、第1のスロットの主要部分の角度が第2のスロットの主要部分の角度と同じになるように位置合わせされる、請求項37に記載のカスタマイズされた歯列矯正チューブ。
【請求項40】
スロットが、略長方形のワイヤを受け入れるように形作られる、請求項33に記載のカスタマイズされた歯列矯正チューブ。
【請求項41】
複数の壁のうちの少なくともいくつかが、互いに実質的に平行である、請求項33に記載のカスタマイズされた歯列矯正チューブ。
【請求項42】
1以上の壁の端部がそれぞれ、カスタマイズされた歯列矯正チューブの近心面から約20度~80度の間で角度が付けられている、請求項33に記載のカスタマイズされた歯列矯正チューブ。
【請求項43】
患者の為にカスタマイズされた歯列矯正チューブを製造する方法であって、該方法は、以下:
患者の1以上の歯列の3次元(3D)モデルを取得すること;
患者の1以上の歯列の3Dモデルを使用して歯列矯正チューブ構造の3Dモデルを生成し、歯列矯正チューブ構造は、湾曲した歯肉ベースエッジを含むこと;および
積層造形デバイスを使用して、歯列矯正チューブ構造の3Dモデルに基づいてカスタマイズされた歯列矯正チューブを作成すること
を含む、前記方法。
【請求項44】
湾曲した歯肉ベースエッジの角の曲率半径を決定することをさらに含み、
歯列矯正チューブ構造の3Dモデルを生成することが、決定された曲率半径の角を有する湾曲した歯肉ベースエッジを生成することを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
湾曲した歯肉ベースエッジの角の曲率半径を決定することが、1以上の歯列のうちの歯の3Dモデルに基づいて曲率半径を決定することを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
歯の3Dモデルに基づいて曲率半径を決定することが、歯の歯肉マージンに基づいて曲率半径を決定することを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
湾曲した歯肉ベースエッジの角の曲率半径を決定することが、歯列矯正処方に基づいて曲率半径を決定することを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
歯列矯正処方が、トルク、先端、回転、またはそれらの組み合わせの指示を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
湾曲した歯肉ベースエッジの角の曲率半径が、約0.05mm~2.0mmである、請求項43に記載の方法。
【請求項50】
歯列矯正チューブ構造が、湾曲した咬合エッジを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項51】
歯列矯正チューブ構造が、角度付きフックを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項52】
角度付きフックの角度を決定することをさらに含み、
歯列矯正チューブ構造の3Dモデルを生成することが、決定された角度を有する角度付きフックを生成することを含む、
請求項51に記載の方法。
【請求項53】
角度付きフックが、歯列矯正チューブ構造の面から唇側に0度~90度の間で角度が付けられている、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
角度付きフックが、歯列矯正チューブ構造の面から顔面に0度~90度の間で角度が付けられている、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
角度付きフックが、角度付きフックの平面において歯列矯正チューブ構造の本体から0度~45度の間で角度が付けられている、請求項51に記載の方法。
【請求項56】
患者の1以上の歯列の3Dモデルを使用して生成された歯列矯正チューブ構造の3Dモデルを使用して積層造形デバイスによって製造される、カスタマイズされた歯列矯正チューブであって、以下:
湾曲した歯肉ベースエッジ
を含む、前記歯列矯正チューブ。
【請求項57】
湾曲した咬合エッジをさらに含む、請求項56に記載のカスタマイズされた歯列矯正チューブ。
【請求項58】
湾曲した歯肉エッジの曲率が、1以上の歯列のうちの歯の歯肉マージンに基づく、請求項56に記載のカスタマイズされた歯列矯正チューブ。
【請求項59】
湾曲した歯肉エッジの曲率が、歯列矯正処方に基づいている、請求項56に記載のカスタマイズされた歯列矯正チューブ。
【請求項60】
湾曲した歯肉ベースエッジの角の曲率半径が、約0.05mm~2.0mmである、請求項56に記載のカスタマイズされた歯列矯正チューブ。
【請求項61】
角度付きフックをさらに含む、請求項56に記載のカスタマイズされた歯列矯正チューブ。
【請求項62】
角度付きフックが、角度付きフックが患者の口の一部と接触するのを避けるために、カスタマイズされた歯列矯正チューブの本体に対して角度が付けられている、請求項61に記載のカスタマイズされた歯列矯正チューブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連文献
本出願は、2022年3月11日に出願された、「MANUFACTURE OF PATIENT-SPECIFIC ORTHODONTIC TUBE」と題する、米国仮出願第63/318,954号、および、2021年5月30日に出願された、「MANUFACTURE OF PATIENT-SPECIFIC ORTHODONTIC TUBES」と題する、米国仮出願第63/195,052号の関連出願であり、米国特許法第119条の下でこの仮出願に基づく優先権を主張し、これらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の一実施形態は、概して、歯を矯正し、不正咬合を矯正するためのセラミック唇側/舌側(labial/lingual)歯列矯正チューブの製造に関する。より具体的には、本発明の一実施形態は、セラミックスラリーベースの積層造形(AM)技術を使用することによる、カスタマイズされた唇側/舌側矯正チューブの直接製造の方法論に関する。
【背景技術】
【0003】
歯列矯正は、不正咬合を矯正し、歯を整えるために診療所で広く採用されている。従来の方法では、あらかじめ成形したブラケットとチューブを歯に接着し、円形、正方形、または長方形の断面形状の弾性金属ワイヤをチューブのスロットに通して駆動力を提供する。個々の歯に対するブラケットとチューブの適合は、歯の表面とブラケットおよびチューブの表面の間の隙間を接着剤で埋めることによって行われる。これにより、歯が最終位置に移動したときにブラケットとチューブのスロットが(製造精度に応じて)略平らな水平面に位置するように、ブラケットとチューブが歯に接着される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明のいくつかの実施形態は、カスタムの舌側または唇側のセラミック歯列矯正チューブを作成するための改良された技術を提供し、そのようなチューブを院内で製造する能力を提供する。
【0005】
あらかじめ成形されたエッジワイズ(edgewise)チューブには処方がない場合があり、アーチワイヤ(archwire)の調整が必要である。代替的に、エッジワイズチューブは、「ストレートワイヤ器具」と呼ばれるものにおいて、特定の歯の角形成、傾斜、または内外変化の理想的な処方を有することもできる。通常、チューブパッドは個々の患者の歯に合わせて特注で作られるわけではないため、チューブの配置は臨床医の責任で行われ、これにより誤差が生じる可能性があり、一般に患者の来院回数が増え、全体の治療時間が長くなる。これらのチューブは通常、既製製品である。チューブを歯に接着する際の位置のずれは、ワイヤの曲がりを補正するか、チューブの接着を剥離して再配置することで修正できるが、どちらも時間とコストが増加する。現在、カスタムの金属舌側チューブが入手可能であり、3Dスキャンまたは歯列の印象に基づいて中央で製造され、臨床医に返送され、間接結合によって患者に移送される。
【0006】
選択的レーザ融解(SLM)は、カスタムの金属製舌側ブラケットおよびチューブを作成するために使用されている3DAM技術である(たとえば、米国特許第8,694,142号を参照)が、この技術では解像度と表面仕上げが不十分である。真のカスタム唇側チューブが使用されているが、標準の非カスタムチューブのカスタム位置は、チューブ自体に固有の誤差を伴う間接結合によって作成できる。現在の真のカスタム唇側システム(SURESMILE(登録商標)Inc.)の多くは、真のストレートワイヤ歯列矯正器具を作成するのではなく、3D スキャンに基づいてワイヤにカスタムの曲げを加えることに大きく依存している。例えば、米国特許第8,690,568号は、金属ブラケットのスロットを純正の金属ブラケットのベースにカスタム位置に溶接する方法を提供しているが、カスタムブラケットベースを作成する方法や、美しい非金属ブラケットを作成する方法については説明されていない。
【0007】
これらの部分的にカスタムの金属ブラケットとチューブ(チューブに似たもの)は、歯の形態と一致しないストックベースにより、スロット位置の不正確さと早期の剥離に悩まされており、審美性を考慮して非金属製の器具を好む高齢の患者にとっては魅力的ではない。セラミックブラケットは1980年代から市販され研究されており、優れた審美性、耐クリープ性、剛性、生体適合性、耐食性、口腔環境での安定性、および非毒性の性質により、金属ブラケットと比較して望ましい材料である。しかし、カスタマイズされていないセラミックチューブは、口腔内のブラケット内に位置するため、金属に代わる審美性の必要性が患者にとってそれほど重要ではないため、2018年以降にのみ利用可能になった。セラミックのブラケットとチューブは主に射出成形で製造されるが、製造上の制限がある。たとえば、射出成形を使用してアンダーカットを作成し、歯の接着剤に対するチューブの機械的接着強度を高めることは困難または不可能な場合がある。
【0008】
金属とは異なり、セラミックチューブは接着を剥離するために曲がることはないが、代わりにチューブと接着材料の間の接続を破砕する必要がある。セラミックの機械的特性とこの剥離メカニズムにより、チューブが歯から簡単に分離できない場合、チューブを剥離するときにエナメル質が損傷するリスクが高くなる。この場合、歯からチューブを取り除くためにダイヤモンドのバリを使用する必要があるが、これにより火花が発生し、長い時間がかかり、患者と医療提供者の体験が低下する可能性がある。
【0009】
現在、圧力がかかったときに特定の位置でチューブを強制的に破壊するように設計された「応力集中部」の形式に沿って、制御された破砕(fracture )によって剥離する市販のセラミックチューブはない。応力集中部の静的な形状では、チューブの厚さ(インアウト)と歯上の正確な位置に応じて一貫した剥離体験が得られないため、カスタム形状も使用する必要がある。
【0010】
現在、審美的なカスタムの舌側または唇側のセラミック矯正チューブを作成するシステムは存在せず、民間の矯正歯科診療所の訓練を受けたメンバーによって100%社内で製造できるカスタムのブラケットとチューブシステムも存在しない。カスタムの舌側および唇側のセラミック矯正チューブ、およびより審美的な唇側チューブを作成するための、より効率的かつ正確な技術の必要性が生じている。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態は、ストレートワイヤ器具の歯列矯正チューブの現在の製造技術で発生している問題を解決するために使用することができる。例えば、一実施形態では、任意の数のセラミックスラリーベースのAM技術を利用することによって、カスタマイズされた舌側/唇側チューブの直接製造方法を提供することができ、その例は、デジタル光処理(DLP)、レーザ光重合ステレオリソグラフィ、ジェット印刷(粒子噴射、ナノ粒子噴射を含む)、層スラリー堆積(LSD)、またはレーザ誘起スリップキャスティングを含む。スラリーは、液体中に分散した無機粒子として定義され、光重合性であっても、他のメカニズムによって重合してもよい。
【0012】
同様に、同様の方法を使用して、スラリー中の無機材料が金属である金属管を作成することもできる。製造可能な品目の例としては、個々の歯と頭蓋顔面の特徴に応じてカスタマイズされた唇側/舌側チューブが挙げられ、歯に直接適合する断層線/溝(破砕溝、応力集中部、または分離機構とも呼ばれる)がチューブに設計されている場合がある。セラミックスラリーベースのAMは、民間の矯正歯科技工所に快適に収まるほど小さなデバイスで実行でき、非カスタムおよびカスタムのチューブの市場価格と院内の量を考慮すると、現在、手頃な価格で入手できる。
【0013】
例えば、いくつかの実施形態では、セラミックスラリーベースのAMによってカスタマイズされたセラミック唇側/舌側矯正チューブを製造する方法は、患者の歯のプロファイルの歯列データを測定すること、歯列データに基づいて、リバースエンジニアリングを使用して患者の歯の3次元コンピュータ支援設計(3D CAD)モデルを作成すること、3D CADモデルをコンピュータに保存し、単一の唇側または舌側チューブ構造の3D CADチューブ構造モデルを設計すること、3D CADのチューブ構造モデルに関連するデータをセラミックスラリーベースのAM機械にインポートすること、セラミックスラリーベースのAM機械で層製造によりチューブ(グリーン部分)を直接作成することを含み得る。チューブの処理は、直接使用する前、または表面特性に関連する他の後処理ステップの前に、焼結炉および脱脂炉で行うことができる。
【0014】
3D CADチューブ構造モデルは、少なくとも以下: a)特定の歯の表面に接触するために、チューブの接着面に凹部および/またはアンダーカットを有するチューブパッド(ベース)、b)剥離を促進するために、患者の歯に適合する断層溝(破砕溝、応力集中部、または分離機構とも呼ばれる)、c)患者の歯列矯正のニーズに応じて位置決めするためのスロット、d)チューブ材料、e)特定の歯のプロファイル、f)歯上へのチューブの3次元配置をガイドするためのチューブガイドを表すデータを含む場合がある。
【0015】
セラミックスラリーベースのAM機械は、層製造によってチューブを直接作成するためのプラットフォームおよびプランジャーを含む成形コンパートメント、材料コンパートメント、デジタル光処理用のLED光源、または「ジェット」印刷で使用される少なくとも1つの吐出ノズルを含んだプリントヘッドを含み得るものであり、ここで、チューブは、3D CADチューブ構造モデルを層に分割するスライスソフトウェアを使用した層製造によって作成され、セラミックスラリーベースのAM機械で作成された各層の形状が3D CAD構造データと一致するように、各層の水平断面モデルを取得する。
【0016】
セラミックスラリーベースのAM機械は、製造中にチューブを保持するように適合されたバットと、バット底部上の設定可能な高さに保持されるように適合された水平ビルドプラットフォームと、所定の幾何学形状を有する強度パターンで水平ビルドプラットフォーム上の表面を位置選択的に露光するように制御される露光ユニットと、3D CADチューブ構造モデルを受け取り、3D CADチューブ構造モデルを使用して、ビルドプラットフォーム上で上下に重なる層を連続的な露光ステップで重合させるように適合された制御ユニットとを含み得るものであり、3D CADチューブ構造モデルを使用して、ビルドプラットフォーム上で上下に重なる層をそれぞれ所定の形状で連続的な露光ステップで重合させ、露光ユニットを制御し、層の各露光ステップの後に、バット底部に対するビルドプラットフォームの相対位置を調整して、層の幾何学形状の順序から生じる望ましい形状でオブジェクトを連続的に構築する。
【0017】
露光ユニットは、光源としてレーザをさらに含み、その光ビームが、制御ユニットによって制御される可動ミラーを介して露光領域を連続的に走査することができる。
【0018】
セラミックスラリーベースのAM機械は、レーザまたはLED光源である光源を含んでもよい。DLP機械の光源は、400~500nmの波長を放射する場合がある。DLP機械は、光変調器としてデジタル光処理チップを含むことができる。デジタル光処理チップは、マイクロミラーアレイまたはLCDアレイであってもよい。代替的に、セラミックスラリーベースのAM機械ではジェット技術を使用することもでき、これにより、非セラミック支持材料を分配する別のジェットの有無にかかわらず、液体セラミックスラリーがビルドプレート上に層状に噴射される。
【0019】
歯列データの測定は、CTスキャナ、口腔内スキャナ、座標測定機、レーザスキャナ、または構造化光デジタイザを使用して実行できる。歯列データの測定は、鋳造または3Dプリントされた歯のモデル上で3Dスキャンを実行することによって実行できる。光重合性材料は、高強度の酸化物、窒化物、炭化物セラミックス、ならびに、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、アルミナ強化ジルコニア(ATZ)、ジルコニア強化アルミナ(ZTA)、二ケイ酸リチウム、ケイ酸ロイサイトおよび窒化ケイ素を含むがこれらに限定されない金属、ならびに、ステンレス鋼17-4PHまたは316L、チタン(Ti/Ti-Al6-V4)、コバルトクロム(CoCr)、タングステンおよび炭化タングステン/コバルト(WまたはWC/Co)、炭化ケイ素(SiC)、モリブデン(Mo)および貴金属(例:金(Au))などの金属からなる群から選択され得る。
【0020】
層製造によりチューブを直接作成することは、光重合性材料を充填することができる、少なくとも部分的に透明または半透明に形成された水平底部を含むバットと、バット底部上の設定可能な高さに保持されるように適合された水平ビルドプラットフォームと、硬化をより正確に制御するためにマイクロミラーによって改良された光源を含み、所定の幾何学形状を有する強度パターンでビルドプラットフォーム上の表面の位置および選択的露光を制御されるように適合された露光ユニットと、連続的な露光ステップでビルドプラットフォーム上で上下に重なる層を重合するように適合された制御ユニットとを含む装置をさらに含んでもよく、槽内の光反応性スラリーを選択的に露光するように露光ユニットを制御し、レイヤーの各露光後に、バット底部に対するビルドプラットフォームの相対位置を調整し、そして、一連の層の幾何学的形状から生じる、所望の形状でチューブを連続的に構築する。
【0021】
露光ユニットは、光源としてレーザをさらに含み、その光ビームが、制御ユニットによって制御される可動ミラーを介して露光領域を連続的に走査することができる。
【0022】
スキャン精度は0.02mm未満になる場合がある。製造精度は1μmから約60μmであってもよく、この精度は、重合収縮量を予測する層間加算誤差補償法を使用することによって達成され得る。チューブの製造された層は、高強度の酸化物、窒化物、炭化物セラミックス、ならびに、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、アルミナ強化ジルコニア(ATZ)、ジルコニア強化アルミナ(ZTA)、二ケイ酸リチウム、ケイ酸ロイサイトおよび窒化ケイ素を含むがこれらに限定されない金属、ならびに、ステンレス鋼17-4PHまたは316L、チタン(Ti/Ti-Al6-V4)、コバルトクロム(CoCr)、タングステンおよび炭化タングステン/コバルト(WまたはWC/Co)、炭化ケイ素(SiC)、モリブデン(Mo)および貴金属(例:金(Au))などの金属からなる群から選択される材料を含む。
【0023】
3D CADモデルは、.stlファイルまたは別の3Dベクターファイルとして保存できる。製造される層の厚さは5~100マイクロメートル(μm)で、機械は1~100μmのX-Yピクセル解像度を使用する。さまざまな硬化戦略(CS)と硬化深さ(Cd)を使用できる。チューブの層を作成するための材料の選択は、さまざまな力の要求に基づいて行うことができる。
【0024】
プリントされたチューブには、スロット内のアーチワイヤと接触する金属インサートが付いている場合がある。プリントされたチューブは、従来のツイン設計であるか、自己結紮または能動結紮に変更されており、スロット内に0.018インチから0.022インチのアーチワイヤを収容するように設計されているが、スロットの高さは0.017インチから0.023インチまで変化する場合がある。歯に対するスロット位置は、カスタムベースを製造することによって、またはベースが変更されないカスタムスロット位置を製造することによってカスタマイズすることができる。
【0025】
チューブのパッドからスロットの深さまでの最小の長さは、必要なチューブのオフセットと、患者の快適さのためにチューブのプロファイルを小さくしたいという要望に応じて、0.2mm~3mmになる。チューブの角度、オフセット、トルク、処方は、選択した治療に基づいて決定できる。治療後のチューブの剥離を容易にするために、チューブの構造特性(任意の場所)を変更することができる。チューブの一部は、印刷されたチューブの時間を短縮し複雑さを軽減するように機能する、予め形成されたグリーンセラミック体であってもよい。
【0026】
印刷されたチューブガイドには、単一チューブ用の単一チューブアタッチメントが付いている場合がある。接着材料を使用してチューブをセラミックアーチワイヤ上に保持してもよい。接着材料は粘着性ワックスであってもよい。間接結合/カスタムチューブの配置は、カスタムセラミックチューブを理想的な歯の位置に運ぶトレイ(例えば、シリコーンベースまたは真空成形トレイ)を介して行うことができる。この方法は、間接結合システムを介してチューブを配置するのを助けるように適合された少なくとも2つの咬合側/切端側支持体を含んだ、あらゆる平面における歯上の各チューブの位置を規定する硬質セラミック長方形アーチワイヤまたは他のアーチ形状を含むチューブガイドを作成するステップをさらに含んでもよい。チューブを保持または歯の表面に接続するチューブの部分は、歯の表面プロファイルに基づいて設計され得る。
【0027】
チューブは、チューブが取り付けられる歯の色に一致する色を有していてもよい。チューブは透明であってもよい。チューブは、チューブが取り付けられる歯の色とは無関係に選択された色を有してもよい。
いくつかの実施形態では、3D CADチューブ構造モデルは、アーチワイヤを受け入れるように適合された少なくとも1つのスロットを定義するデータを含み得、これは、過剰重合による収縮を補償し、平行なスロット壁を達成するためのスロットの壁の補償角度を定義するデータを含む。
いくつかの実施形態では、3D CADチューブ構造モデルは、チューブのベースの表面の輪郭を定義するデータを含むことができる。輪郭は、チューブが接着される歯の形状に適合させることができる。輪郭は、チューブのイン/アウトおよびオフセット、スロットの先端、およびトルクのうちの少なくとも1つに基づいてさらに適合され得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、3D CADチューブ構造モデルは、チューブ構造ベースの周面上のリッジ(ridge)を定義するデータを含む。リッジは、チューブ構造のベースとチューブ構造の面との界面に配置することができる。リッジは、チューブ構造の歯肉エッジ面、チューブ構造の咬合エッジ面、またはその両方に配置することができる。リッジの高さは、チューブ構造の近心/遠心軸に沿って変化する可能性がある。リッジの高さは、約0.04mmから約1mmとすることができる。歯肉リッジの高さは、咬合リッジの高さとは異なっていてもよい。3D CADチューブ構造モデルは、応力集中部の位置に対応するリッジの隙間を定義するデータを含むことができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、3D CADチューブ構造モデルは、チューブ構造のベースの面取りを定義するデータを含む。面取りは、チューブ構造と歯との界面に配置することができる。面取りは、歯肉チューブと歯の界面、咬合面チューブと歯の界面、またはその両方に配置できる。面取りは、歯列矯正器具と嵌合するように構成することができる。いくつかの実施形態では、3D CADチューブ構造モデルは、チューブのベースまたは面(補助スロットまたは垂直スロット)の破砕溝を定義するデータを含むことができる。破砕溝は、垂直抗力が加わると破砕するように適合され得る。
【0030】
垂直抗力は、近心-遠心方向、咬合-歯肉方向、または任意の対向角のうちの少なくとも1つに加えられ得る。破砕溝は、垂直抗力が加わったときにチューブの予測可能な破砕を提供するように構成されており、引張力と剥離力の組み合わせによってチューブを剥離することができる。引張力と剥離力の組み合わせは、接着されたチューブのせん断接着強度よりも小さい場合がある。垂直抗力は10~180ニュートンになる。
【0031】
破砕溝は、チューブの寸法またはベースの寸法が同じでない場合は、それらによって定義されるチューブの中央の垂直方向の3分の1にあってもよい。破砕溝のエッジは滑らかで、口腔内の破片の捕捉を防ぐ。破砕溝は、尖った先端に達する咬合-歯肉方向または近心-遠心方向の歯の湾曲した窪みを含む弱化領域を含む場合がある。この尖った先端は、破砕の信頼性を高めるのに役立つ。破砕溝は、チューブの位置決めのその部分の歯の輪郭と一致し得る。
【0032】
破砕溝は、歯の表面からの深さが一定であってもよい。破砕溝の深さは0.10mm以上1.2mm以下であり、チューブの出入りに基づいて計算される。破砕溝は歯の表面からの深さが異なる場合がある。破砕溝の深さのばらつきは、歯の表面から破砕溝の最深部までの距離の最大50%である場合がある。破砕溝の幅は、0.25mmから1.25mmの間であってもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、3D CADチューブ構造モデルは、チューブの少なくともいくつかの角が丸いものとして定義するデータを含むことができる。チューブの歯肉角と咬合角の両方が丸くなっていてもよい。チューブの丸い角は、0.05mm以上2.0mm以下の曲率半径を有していてもよい。丸みは対称でも非対称でもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、3D CADチューブ構造モデルは、チューブのベースに複数の保持構造を定義するデータを含むことができる。各保持構造は、0°より大きい正の抜き勾配を有する3次元図形であってもよい。各保持構造は、半月錐、全円錐、正方形、長方形、保持格子、および/またはメッシュを含む3次元図形のグループから選択される3次元図形であってもよい。各保持構造は、略台形の断面を有し、歯の構造または表面に向けられた中立面を有し、チューブ本体に向けられたベース面よりも幅が広い。各中立面は平坦であってもよい。
【0035】
各中立面はベース面に平行であってもよい。少なくとも一部の中立面はベース面と平行でない場合がある。少なくとも一部の中立面は、保持構造の全体的なパターンが接着される歯の表面の輪郭に略沿うように、ベース面に平行でなくてもよい。少なくともいくつかの中立面は、接着される歯の表面の形状に合わせて輪郭を描くことができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、チューブは、歯の舌側または唇側表面に接着されるように適合され得る。唇側または舌側チューブは、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、アルミナ強化ジルコニア(ATZ)、ジルコニア強化アルミナ(ZTA)、二ケイ酸リチウム、ケイ酸ロイサイトおよび窒化ケイ素、ならびに、ステンレス鋼17-4PHまたは316L、チタン(Ti/Ti-Al6-V4)、コバルトクロム(CoCr)、タングステンおよび炭化タングステン/コバルト(WまたはWC/Co)、炭化ケイ素(SiC)、モリブデン(Mo)および貴金属(例:金(Au))などの金属で作られる。
【0037】
3D CADチューブ構造モデルは、アーチワイヤを受け入れるように適合された近心-遠心または水平スロット、チューブの中央3分の1内でアーチワイヤの少なくとも一部を受け入れるように適合された垂直スロット、またはその両方を定義するデータを含んでもよい。垂直スロットは、デジタル的に設計された舌側マルチループワイヤを受け入れるようにさらに適合され得る。
【0038】
いくつかの実施形態は、患者のためにカスタマイズされた歯列矯正チューブを製造する方法を提供する。この方法は以下:患者の1以上の歯列の3次元(3D)モデルを取得すること;患者の1以上の歯列の3Dモデルを使用して歯列矯正チューブ構造の3Dモデルを生成し、歯列矯正チューブ構造は、患者の歯からの歯列矯正チューブの剥離を容易にする剥離構造を含むこと;および積層造形デバイスを使用して、歯列矯正チューブ構造の3Dモデルに基づいてカスタマイズされた歯列矯正チューブを作成することを含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、剥離構造の少なくとも一部は、1以上の歯列のうちの少なくとも1つの3Dモデルに基づいたカスタマイズされた形状を有する。いくつかの実施形態では、剥離構造は、歯列矯正チューブ構造の一部に応力集中部を含む。いくつかの実施形態では、応力集中部は、垂直抗力が応力集中部に加わったときにカスタマイズされた歯列矯正チューブが破砕するような形状になっている。いくつかの実施形態では、応力集中部は、歯列矯正用チューブ構造の咬合-歯肉方向に沿って延びる。いくつかの実施形態では、応力集中部は、実質的に三角形の断面であるプロファイルを備えた部分を含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、剥離構造は、歯列矯正チューブ構造の3Dモデル内にリッジを含む。いくつかの実施形態では、リッジは、歯列矯正チューブ構造のベースと歯列矯正チューブ構造の面との界面に近接している。いくつかの実施形態では、リッジの高さは、歯列矯正チューブ構造の近心-遠心軸に沿って変化する。
【0041】
いくつかの実施形態は、患者の1以上の歯列の3Dモデルを使用して生成された歯列矯正チューブ構造の3Dモデルを使用して、積層造形デバイスによって作成されたカスタマイズされた歯列矯正チューブを提供し、該カスタマイズされた歯列矯正チューブは、患者の歯からのカスタマイズされた歯列矯正チューブの剥離を容易にする剥離構造を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、剥離構造の少なくとも一部は、1以上の歯列のうちの少なくとも1つの3Dモデルに基づいてカスタマイズされた形状を有する。いくつかの実施形態では、剥離構造は、カスタマイズされた歯列矯正チューブの一部に応力集中部を含む。いくつかの実施形態では、カスタマイズされた歯列矯正チューブは、応力集中部に垂直抗力が加わると破砕する。
【0043】
いくつかの実施形態では、カスタマイズされた歯列矯正チューブは、以下:ベース;および2つの部分;を含み、応力集中部は、2つの部分の間に略V字形の空間を含み;および略V字形の空間の頂点は、ベースに近接している。いくつかの実施形態では、2つの部分のそれぞれは、略V字形の空間のそれぞれの側に実質的に平坦な壁を含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、剥離構造は、少なくとも1つのリッジを含む。いくつかの実施形態では、カスタマイズされた歯列矯正チューブは、ベース;およびベースに対して垂直な面;をさらに含み、少なくとも1つのリッジが、少なくとも部分的に、ベースと面との交点の近くに位置する。いくつかの実施形態では、面は、アーチワイヤがスロットに挿入される大きさのスロット開口部を含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、カスタマイズされた歯列矯正チューブは、少なくとも部分的に空間によって分離された2つの部分を含み、少なくとも1つのリッジは第1のリッジと第2のリッジを含み、第1のリッジは、2つの部分のうちの第1の部分に位置し;および第2のリッジは、2つの部分のうちの第2の部分に位置する。いくつかの実施形態では、2つの部分を隔てる空間は、応力集中部である。
【0046】
いくつかの実施形態では、カスタマイズされた歯列矯正チューブは、その部分を通って延びるそれぞれのスロットを含む、複数の部分のそれぞれを含む。 複数の部分のスロットは、アーチワイヤが複数の部分のスロットを通過するように位置合わせされる。
【0047】
いくつかの実施形態は、患者の為にカスタマイズされた歯列矯正チューブを製造する方法を提供する。該方法は、以下:患者の1以上の歯列の3次元(3D)モデルを取得すること;患者の1以上の歯列の3Dモデルを使用して歯列矯正チューブ構造の3Dモデルを生成し、該歯列矯正チューブ構造は、ワイヤを受け入れるための複数の壁によって囲まれたスロット:を含み、複数の壁のうちの1以上の端部は、歯列矯正チューブ構造の近心面に対して角度が付けられていること;および積層造形デバイスを使用して、歯列矯正チューブ構造の3Dモデルに基づいてカスタマイズされた歯列矯正チューブを作成することを含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、方法は、歯列矯正処方に基づいて、スロットの主要部分の角度を決定すること;をさらに含み、歯列矯正チューブ構造の3Dモデルを生成することは、スロットの主要部分の決定された角度を有するスロットを生成することを含む。いくつかの実施形態は、歯列矯正処方は、患者の歯の関連する歯に対する望ましいトルク、先端、回転、またはそれらの組み合わせの指示を含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、スロットは、4つの壁とおよび4つの角を含み;およびスロットは、カスタマイズされた歯列矯正チューブの積層造形中にスロットの角で材料が重合するのを防ぐために、スロットの各角にほぞ穴を含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、方法は、スロットに受け入れられるワイヤのサイズおよび形状に基づいてスロットのサイズおよび形状を決定すること;をさらに含み:歯列矯正チューブ構造の3Dモデルを生成することは、決定されたサイズおよび形状を有するスロットを生成することを含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、歯列矯正チューブ構造の3Dモデルを生成することは、以下:スロットの少なくとも一部分のグレースケールパターンを決定し、グレースケールパターンは、積層造形デバイスによって適用される重合パターンを示すこと;およびグレースケールパターンをスロットの少なくとも一部に適用することを含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、グレースケールパターンは、複数のピクセルを含み、各ピクセルは歯列矯正チューブ構造の3Dモデル内のそれぞれの位置で重合される材料の量を示す。いくつかの実施形態は、グレースケールパターンは、歯列矯正チューブ構造の3Dモデル内のそれぞれの位置で重合がオンかオフかを示す複数のピクセルを含む。
【0053】
いくつかの実施形態は、歯列矯正チューブ構造は、スロットを通って流れる材料が、それを通って歯列矯正チューブ構造から出ることができるノッチを含む。いくつかの実施形態では、歯列矯正チューブ構造は、カスタマイズされた歯列矯正チューブが作成されるビルドプレートに隣接する界面を含み;およびノッチは、少なくとも部分的に、ビルドプレートに隣接する界面に位置する。
【0054】
いくつかの実施形態は、患者の1以上の歯列の3Dモデルを使用して生成された歯列矯正チューブ構造の3Dモデルを使用して、積層造形デバイスによって作成されたカスタマイズされた歯列矯正チューブを提供し、該カスタマイズされた歯列矯正チューブは、以下:ワイヤを受け入れるための複数の壁によって囲まれたスロットであって、複数の壁のうちの1以上の端部が、カスタマイズされた歯列矯正チューブの近心面に対して角度をなしている、前記スロットを含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、スロットの主要部分の角度は、歯列矯正処方に基づいている。いくつかの実施形態では、スロットは、スロットによって受け入れられるワイヤの形状に基づいて形作られる。いくつかの実施形態では、カスタマイズされた歯列矯正チューブがベースプレートに接続されるときに、材料がノッチを通ってスロットから流出できるようにするノッチをさらに含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、カスタマイズされた歯列矯正チューブは、2つの部分をさらに含み、それぞれがその部分を通って延びるそれぞれのスロットを有する。いくつかの実施形態では、2つの部分のそれぞれのスロットは、以下:1以上のスロット壁の端部が角度を付けられた第1の側面;および1以上のスロット壁の端部が角度を付けられていない第2の側面を含む。いくつかの実施形態は、2つの部分のスロットは、第1のスロットの主要部分の角度が第2のスロットの主要部分の角度と同じになるように位置合わせされる。
【0057】
いくつかの実施形態では、スロットは、略長方形のワイヤを受け入れるように形作られる。いくつかの実施形態では、複数の壁のうちの少なくともいくつかが、互いに実質的に平行である。いくつかの実施形態では、1以上の壁の端部がそれぞれ、カスタマイズされた歯列矯正チューブの近心面から約20度~80度の間で角度が付けられている。
【0058】
いくつかの実施形態は、患者の為にカスタマイズされた歯列矯正チューブを製造する方法を提供する。該方法は、以下:患者の1以上の歯列の3次元(3D)モデルを取得すること;患者の1以上の歯列の3Dモデルを使用して歯列矯正チューブ構造の3Dモデルを生成し、歯列矯正チューブ構造は、湾曲した歯肉ベースエッジを含むこと;および積層造形デバイスを使用して、歯列矯正チューブ構造の3Dモデルに基づいてカスタマイズされた歯列矯正チューブを作成することを含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、方法は、湾曲した歯肉ベースエッジの角の曲率半径を決定することをさらに含み、歯列矯正チューブ構造の3Dモデルを生成することが、決定された曲率半径の角を有する湾曲した歯肉ベースエッジを生成することを含む。いくつかの実施形態では、湾曲した歯肉ベースエッジの角の曲率半径を決定することは、1以上の歯列のうちの歯の3Dモデルに基づいて曲率半径を決定することを含む
【0060】
いくつかの実施形態では、歯の3Dモデルに基づいて曲率半径を決定することは、歯の歯肉マージンに基づいて曲率半径を決定することを含む。いくつかの実施形態では、湾曲した歯肉ベースエッジの角の曲率半径を決定することは、歯列矯正処方に基づいて曲率半径を決定することを含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、歯列矯正処方は、トルク、先端、回転、またはそれらの組み合わせの指示を含む。いくつかの実施形態では、湾曲した歯肉ベースエッジの角の曲率半径は、約0.05mm~2.0mmである。いくつかの実施形態では、歯列矯正チューブ構造は、湾曲した咬合エッジを含む。いくつかの実施形態では、歯列矯正チューブ構造は、角度付きフックを含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、方法は、角度付きフックの角度を決定することをさらに含み、歯列矯正チューブ構造の3Dモデルを生成することが、決定された角度を有する角度付きフックを生成することを含む。いくつかの実施形態では、角度付きフックは、歯列矯正チューブ構造の面から唇側に0度~90度の間で角度が付けられている。いくつかの実施形態では、角度付きフックは、歯列矯正チューブ構造の面から顔面に0度~90度の間で角度が付けられている。いくつかの実施形態では、角度付きフックは、角度付きフックの平面において歯列矯正チューブ構造の本体から0度~45度の間で角度が付けられている。
【0063】
いくつかの実施形態では、患者の1以上の歯列の3Dモデルを使用して生成された歯列矯正チューブ構造の3Dモデルを使用して積層造形デバイスによって製造される、カスタマイズされた歯列矯正チューブを提供する。カスタマイズされた歯列矯正チューブは、以下:湾曲した歯肉ベースエッジを含む。
いくつかの実施形態では、カスタマイズされた歯列矯正チューブは、湾曲した咬合エッジをさらに含む。いくつかの実施形態では、湾曲した歯肉エッジの曲率は、1以上の歯列のうちの歯の歯肉マージンに基づく。いくつかの実施形態では、湾曲した歯肉エッジの曲率は、歯列矯正処方に基づいている。いくつかの実施形態では、湾曲した歯肉ベースエッジの角の曲率半径は、約0.05mm~2.0mmである。
【0064】
いくつかの実施形態では、カスタマイズされた歯列矯正チューブは、角度付きフックをさらに含む。いくつかの実施形態では、角度付きフックは、角度付きフックが患者の口の一部と接触するのを避けるために、カスタマイズされた歯列矯正チューブの本体に対して角度が付けられている。
したがって、以下の詳細な説明がよりよく理解されるように、また当技術分野に対する本発明の貢献がよりよく理解されるように、開示された主題の特徴をかなり広範に概説した。当然のことながら、以下に説明され、本明細書に添付される特許請求の範囲の主題を形成する、開示された主題の追加の特徴が存在する。本明細書で使用される表現および用語は説明を目的としたものであり、限定するものと見なされるべきではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
様々な態様および実施形態について、以下の図を参照して説明する。図は必ずしも一定の縮尺で描かれておらず、図面では、様々な図に示されている同一または略同一の構成要素のそれぞれは、同様の符号で表されていることを理解されたい。明確にするために、すべての図面ですべての要素にラベルが付けられているわけではない。
【0066】
図1図1は、本明細書に記載の技術のいくつかの実施形態による、セラミックスラリーベースのAMによる舌側または唇側矯正チューブの直接製造プロセスの例示的なプロセスのフローチャートを示す。
図2図2は、本明細書に記載の技術のいくつかの実施形態による、歯の表面に接続された歯列矯正チューブの例を示す。
図3A図3Aは、本明細書に記載の技術のいくつかの実施形態による、例示的な歯列矯正チューブの近心図を示す。
図3B図3Bは、本明細書に記載される技術のいくつかの実施形態による、図3Aの例示的な歯列矯正チューブの遠位図を示す。
図4A図4Aは、本明細書に記載される技術のいくつかの実施形態による、応力集中部を含む例示的な歯列矯正チューブの図を示す。
図4B図4Bは、本明細書に記載される技術のいくつかの実施形態による、応力集中部を含む例示的な歯列矯正チューブの図を示す。
【0067】
図4C図4Cは、本明細書に記載される技術のいくつかの実施形態による、患者の歯の歯肉マージンに近似するように湾曲した歯肉エッジを有する歯列矯正チューブを示す。
図4D図4Dは、本明細書に記載される技術のいくつかの実施形態による、患者の歯の咬合面に近似するように湾曲した咬合エッジを有する歯列矯正チューブを示す。
図5図5は、本明細書に記載される技術のいくつかの実施形態による、チューブの面から見た例示的な歯列矯正チューブを示す。
図6図6は、本明細書に記載される技術のいくつかの実施形態による、破砕溝を含む例示的な歯列矯正チューブの断面図を示す。
図7図7は、本明細書に記載される技術のいくつかの実施形態による、可変深さを有する破砕溝を含む例示的な歯列矯正チューブの断面図を示す。
【0068】
図8図8は、本明細書に記載される技術のいくつかの実施形態による、破砕壁を有する例示的な歯列矯正チューブを示す。
図9図9は、本明細書に記載される技術のいくつかの実施形態による、保持構造を備えた例示的な歯列矯正チューブを示す。
図10図10は、本明細書に記載される技術のいくつかの実施形態による、例示的な保持構造の断面図を示す。
図11図11は、本明細書に記載の技術のいくつかの実施形態による、歯上の例示的な歯列矯正チューブの断面図を示す。
図12A図12Aは、本明細書に記載される技術のいくつかの実施形態による、例示的な歯列矯正チューブの歯肉または咬合面の図を示す。
図12B図12Bは、本明細書に記載される技術のいくつかの実施形態による、例示的な歯列矯正チューブの頬面図を示す。
図12C図12Cは、本明細書に記載される技術のいくつかの実施形態による、例示的な歯列矯正チューブの近心図または遠心図を示す。
【0069】
図13A図13Aは、本明細書に記載の技術のいくつかの実施形態による、チューブベースの周面の少なくとも一部の周りに画定されたリッジを含む例示的な歯列矯正チューブを示す。
図13B図13Bは、本明細書に記載される技術のいくつかの実施形態による、分割スロット本体を含む例示的な歯列矯正チューブを示す。
図14図14は、本明細書に記載の技術のいくつかの実施形態による、チューブのベースの周面の周囲に面取りを有する歯列矯正チューブの例を示す。
図15A図15Aは、本明細書に記載の技術のいくつかの実施形態による、重合されるピクセルの図を示す。
図15B図15Bは、本明細書に記載される技術のいくつかの実施形態による、ピクセル重合のためのグレースケールパターンを示す。
【0070】
図16A図16Aは、本明細書に記載される技術のいくつかの実施形態による、例示的な歯列矯正チューブのスロットを示す。
図16B図16Bは、本明細書に記載される技術のいくつかの実施形態による、スロットのエッジに沿ってピクセルをオンとオフに交互に配置することによって製造される例示的な歯列矯正チューブのスロットを示す。
図17図17は、本明細書に記載される技術のいくつかの実施形態による、例示的なコンピュータシステムを示す。
図18図18は、本明細書に記載の技術のいくつかの実施形態による、ベースプレート上の歯列矯正チューブの例を示す。
図19図19は、本明細書に記載される技術のいくつかの実施形態による、応力集中部を備えた例示的な歯列矯正チューブを示す。
図20図20は、本明細書に記載の技術のいくつかの実施形態による、歯肉リッジまたはその一部を示す。
図21図21は、本明細書に記載の技術のいくつかの実施形態による、本明細書に記載の歯列矯正チューブの実施形態を製造する例示的なプロセスのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0071】
本発明のいくつかの実施形態は、カスタムの舌側または唇側の歯列矯正チューブを作成するための改良された技術を提供し、そのようなチューブを院内で製造する能力を提供する。舌側または唇側の歯列矯正チューブは、本明細書では「歯列矯正チューブ」または「チューブ」と呼ばれることもある。
【0072】
本発明者らは、従来の歯列矯正チューブが患者の歯から確実に剥離できない可能性があり、したがって患者の歯から取り外すのが難しいことを認識した。そのため、従来の歯列矯正チューブは、臨床医(例えば、歯列矯正医)が患者の歯から歯列矯正チューブを剥離するために、大きな力を加えるか、そうでなければかなりの操作を行う必要がある場合がある。これにより、臨床医にとって治療がより困難になると同時に、治療中の患者にとっての不快感も増大する。
【0073】
そこで、本発明者らは、歯列矯正チューブを歯から確実に剥離できる剥離構造を備えたカスタマイズされた歯列矯正チューブ及びその製造技術を開発した。剥離構造により、臨床医は、歯列矯正チューブ内の特定の位置にある量の力を加えて、患者の歯から歯列矯正チューブを確実に剥離することができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、剥離構造は、歯列矯正チューブ内の特定の位置に加えられる力の結果として歯列矯正チューブを破壊させる応力集中部を含んでもよい。いくつかの実施形態では、剥離構造は、臨床医がリッジに力を加えることによって(例えばペンチを使用して)歯列矯正チューブを剥離できるようにするリッジを含んでもよい。
【0075】
本発明者らは、歯列矯正治療を容易にする形状のスロットを備えたカスタマイズされた歯列矯正チューブと、カスタマイズされた歯列矯正チューブを製造する技術をさらに開発した。この技術は、歯列矯正治療を容易にするためにスロットを成形することができる。いくつかの実施形態では、スロットは、臨床医にとってスロットへのワイヤの挿入を容易にする、角度が付けられたまたは面取りされた壁端部を含んでもよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、スロットは、歯列矯正治療に所望の力を提供するためにカスタマイズされたスロット角度を有してもよい。例えば、歯列矯正チューブのスロット角度は、患者の歯に加えられる所望の動き(例えば、トルク、先端、回転、またはそれらの組み合わせ)を示す歯列矯正処方に基づいて力を加えるようにカスタマイズすることができる。
【0077】
本発明者らは、歯列矯正チューブ構造の3Dモデルの寸法とより正確に一致する歯列矯正チューブを作成する歯列矯正チューブのAM技術をさらに開発した。いくつかの実施形態では、この技術は、歯列矯正チューブ構造の3Dモデルにおけるスロットの部分(例えば、ピクセル)のグレースケールパターンを決定する。グレースケールパターンは、製造中に歯列矯正チューブ内の位置にAMデバイスによって適用される重合パターンを示す。たとえば、グレースケールパターンは、重合が特定の場所ではオフになり、他の場所ではオンになることを示す場合がある。
【0078】
別の例では、グレースケールパターンは、スロットの部分にわたる重合の強度の変化を示し得る。グレースケールパターンにより、AMで使用される歯列矯正チューブ構造の3Dモデルにより厳密に一致する製造された歯列矯正チューブが得られる可能性がある。いくつかの実施形態では、この技術は、歯列矯正チューブ構造の3Dモデル内のスロットの角にほぞ穴を配置する。ほぞ穴は、AMデバイスの重合が停止される位置を表す場合がある。歯列矯正チューブ構造の3Dモデルのほぞ穴により、AMによって作成された歯列矯正チューブの角の丸みが減少する可能性がある。
【0079】
本発明者らは、AM後の歯列矯正チューブの後処理を容易にする歯列矯正チューブを開発した。AMデバイスで歯列矯正チューブを製造した後、歯列矯正チューブを洗浄する必要がある場合がある。例えば、過剰な非重合材料を除去するために、洗浄剤を歯列矯正チューブに適用してもよい。したがって、発明者らは、歯列矯正チューブの洗浄を容易にするノッチを含む歯列矯正チューブを開発した。歯列矯正チューブがAMデバイスによって製造されたベースプレートに取り付けられている間に、ノッチにより、歯列矯正チューブのスロット内の材料がノッチから流出する可能性がある。
【0080】
本発明者らは、患者の口内における歯列矯正チューブの不快感を軽減する歯列矯正チューブおよびその製造技術をさらに開発した。いくつかの実施形態では、この技術は、湾曲した歯肉エッジおよび/または咬合ベースエッジを有する歯列矯正チューブを作成する。湾曲した歯肉および/または咬合ベースエッジは、患者の歯茎線により密接に位置合わせすることによって患者への不快感を軽減しながら、歯列矯正チューブを患者の歯茎に近づけて配置することを可能にする。いくつかの実施形態では、この技術は、角度付きフックを備えた歯列矯正チューブを作成し、その結果、歯列矯正チューブが患者の口内に配置されるときの患者の不快感を軽減するために、フックが患者の口の一部(例えば、歯茎および/または頬)に接触するのを防止する。
【0081】
セラミックスラリーベースのAMによる舌側または唇側矯正チューブの直接製造プロセス100の実施形態の例示的なフローチャートが図1に示されている。プロセスは102で始まり、歯列データが測定され、歯のプロファイルのパラメータが分析される。たとえば、このような測定では、患者の歯を直接非接触3Dスキャナまたは口腔内スキャナでスキャンするCTレイヤーを使用する場合、または、座標測定機、レーザスキャナ、または構造化光デジタイザを使用して、事前に鋳造または3Dプリントされた歯のモデルの3D読み取り値を使用する場合もある。このような技術のスキャン精度は通常0.02mm未満である。
【0082】
104では、与えられた歯列データに基づいて、測定された歯の3D CADモデルが歯列データに基づいて構築され、stl、積層造形ファイル(AMF)形式、またはその他の3Dベクターファイルなどの典型的なファイル形式でコンピュータに保存される。歯の外部構造は複雑で、通常は不規則な曲線が含まれている。次に、ソフトウェアを使用して、歯の長軸に基づいた望ましい治療結果に合わせてモデル内の歯を再配置することができる。
【0083】
チューブを歯の表面に保持または接続するチューブパッドは、一般的な格子パターンではなく、歯の表面のプロファイルに従って特別に設計することができる。カスタマイズされたチューブは、特定の種類の症例で必要とされる前唇側歯冠トルクの増加など、個々の症例の要求を満たすことができる。図2は、本明細書に記載の技術のいくつかの実施形態による、歯の表面に接続された歯列矯正チューブの例を示す。
【0084】
図2の例に示されるように、歯の表面206の曲線については、舌側チューブ202および唇側チューブ204について示されるように、設計されたチューブのパッド(チューブの歯側)が歯の舌側または唇側表面に適合される。この例では、チューブ202(または本明細書では204)は、チューブ/歯の界面210に沿ってなど、歯206の形状に合わせて輪郭付けされたベース表面208を有する。
【0085】
ベース表面輪郭208は、歯上のチューブ202の所望の位置と一致するように構成され得る。チューブの位置を変更すると、輪郭208の変更が必要になる場合がある。ベース208は、歯の輪郭に合わせて形成することができ、一方で、チューブ面およびスロット212は、たとえば、1)イン/アウトとオフセット、2)先端、3)トルクなどを含む、歯列矯正チューブの処方において通常考慮される変数を含む事前に処方された位置に位置合わせすることができる。例えば、イン/アウト位置およびオフセットには、チューブ/歯の界面210に沿った歯に対するチューブの厚さおよびオフセットが関係し得る。
【0086】
先端パラメータは、近遠位方向に沿ったスロット212の角度を含む場合がある。トルクパラメータは、アーチワイヤによってトルクが加えられるように、歯の表面に対するスロット212および/またはベース208の傾斜を含み得る。チューブ300は、0°から-45°までの範囲の臨床トルク値に対応することができ、極度のトルクの場合には、チューブは、同じ基本形状を維持しながら内部で調整することができる。
【0087】
続いて106内で、選択したチューブの所望のトルク、オフセット、角度形成、および配置ガイドの咬合面/切縁の被覆率などの追加情報を入力する。
108では、測定された歯の入力3D CADモデル、所望の治療結果のモデル、および入力された追加情報に基づいて、ソフトウェアによってチューブ(または複数のチューブ)が設計される。設計プロセスの出力は3D CADモデルになる場合がある。このような3D CADモデルは、歯の表面に接触するチューブガイドとチューブパッドのほか、歯科矯正の要件、セラミックチューブの材質、歯のプロファイルに応じて理想的な位置を実現するスロットを含む、単一の舌側/唇側チューブ構造用に設計される場合がある。
【0088】
チューブのパッド(ボンディングパッド)は、歯からの厚さが0.4mm未満であってもよい。チューブ配置ガイドは、歯へのチューブの正しい配置をガイドするために、咬合側/切縁側に配置することができる。チューブの原材料としては、酸化アルミニウム(Al2O3)や酸化ジルコニウム(ZrO2)等の高強度酸化物セラミックスの粉末、その他の高強度セラミックス組成物や金属が挙げられる。
【0089】
3D CADのチューブ構造モデルを処理して、生産設備で使用する製造管理データを生成する。たとえば、セラミックスラリーベースのAMデバイスを使用してチューブを作成する場合、ソフトウェアは3D CADチューブ構造モデルをスライスして薄い層に分離し、各層の水平断面モデルを取得する。この断面モデルに基づいて、DLPデバイスはセラミックチューブを直接作成することができ、各層の形状が3D CAD構造データと確実に一致するようにする。例えば、そのような層の厚さは、層間加算誤差補償を使用することによって約1μm~約10μmの製造精度で約20μm~約50μm(マイクロメートルまたはミクロン)であり得る。
【0090】
図1の108に戻ると、3D CADチューブ構造モデルは、セラミックスラリーベースのAM機械などの3D作成機械に送信またはインポートされ、セラミックチューブが作成される。
【0091】
DLPは、光硬化性樹脂と、酸化アルミニウム(Al2O3)または酸化ジルコニウム(ZrO2)、窒化物またはケイ酸塩の固体充填物などのセラミック酸化物の層を積層することで機能し、その後、熱による脱脂と焼結のステップが続く、もう1つのセラミック積層造形(AM)プロセスである。このプロセスのより高い解像度は、LEDライトのデジタルミラーデバイス(DMD)チップと使用される光学系によって可能になる。(ステレオ)リソグラフィベースのセラミック製造(LCM)はこのプロセスを改善し、より高い解像度(40μm)と剛性を備えたより正確なプロセスを実現した。
【0092】
LCMプロセスには、均一に分散した酸化物またはガラスセラミック粒子を含む感光性樹脂の選択的硬化が含まれており、イメージングシステムにより非常に高い解像度で製造でき、光重合にはレーザも使用できるが、絶えず改良されているLED技術によって層情報の転写が可能である。
【0093】
チューブのベースは歯の表面に接着され、チューブのスロットはアーチワイヤに適合する。機械的特性の要件に応じて、DLP製造プロセス中に層に異なる材料組成物が必要になる場合がある。組み立てて処理した後、チューブに勾配がつき、パフォーマンスが向上する可能性がある。
【0094】
次いで、110で、後処理を適用することができる。例えば、熱処理(結合剤の燃焼のため)および焼結プロセスを適用して、最適なまたは改善されたセラミック密度を達成することができる。例えば、脱結合剤および焼結段階には、デバイスからグリーンチューブを除去すること、ブランクを炉にさらして重合結合剤を分解すること(脱結合剤)、およびセラミック材料を焼結することが含まれてもよい。
【0095】
別の例では、未硬化の材料または余分な材料をすべて除去するために、洗浄または洗浄処理を実行する必要がある場合がある。洗浄または洗浄処理は、チューブをビルドプレートに接続するときに、脱バインダおよび焼結の前に実行できる。このようなプロセスに対応するために、図3Aのチューブ300および図4Aのチューブ400は、製造中にスロットから材料(例えば、洗浄液または空気)が流れることを可能にするために、図4に示すように、ワイヤトルクを十分に表現しながら、近心側に小さなノッチ408を有し得る。
【0096】
ノッチ408は、0.1から1.5mmの間の幅と0.1から1mmの高さを有し得る。ノッチ408は、チューブの任意の外面からスロットを通って延びることができる。図3に示すように、チューブの面の近心側は、平坦または実質的に平坦な3つのエッジを含み、ビルドプレートに取り外し可能に接続されるように構成され、チューブの頬側表面に製造された第4のエッジ(すなわち、ノッチ408)を含む。チューブの頬側表面に画定されるノッチ408は、台形、実質的に台形、正方形、実質的に正方形、長方形、実質的に長方形、実質的に、楕円形、または実質的に楕円形の形状であり得る。
台形または実質的に台形の形状の場合、ノッチ408の非平行な側面は、階段状のプロファイルを有することができる。
【0097】
スロット幅に対するノッチ408の比率は、25%から200%の間とすることができる。いくつかの実施形態では、この比率は約25%、50%、75%、100%、125%、150%または200%である。たとえば、平行な側面はスロット幅の約100%にすることができ、非平行な側面は約25%または50%にすることができる。
図18は、本明細書に記載される技術のいくつかの実施形態による、ベースプレート1804上の例示的な歯列矯正チューブ1800を示す。例えば、歯列矯正チューブ1800は、歯列矯正チューブ構造の3Dモデルを使用するAMによって取得され得る。歯列矯正チューブ1800は、図18の「印刷方向」の矢印で示すように、ベースプレート1804に最も近い層から始まる一連の層でAMデバイスによって作成され得る。図18に示すように、歯列矯正チューブ1800は、歯列矯正チューブ1800内のビルドプレイ(build play)1804に隣接する位置にノッチ1802を含む。ノッチ1802により、スロット1806内の材料が歯列矯正チューブ1800から流出することが可能になり得る。例えば、製造後、歯列矯正チューブ1800をベースプレート1804に取り付けることができる。材料(例えば、洗浄液、空気、および/または他の材料)を歯列矯正チューブ1800に適用することができる。ノッチ1802は、材料がスロット1806から流出することができる開口部を提供することができる。
【0098】
さらに、臨床上の要求に基づいてチューブ表面を処理することもできる。
112で、チューブを配置する準備が整う。
一般に、チューブパッドの厚さは、舌側チューブの場合は1mm未満、唇側チューブの場合は1.5mm未満にすることができる。適切な製造材料は、高強度の酸化物、窒化物、炭化物セラミックス、ならびに、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、アルミナ強化ジルコニア(ATZ)、ジルコニア強化アルミナ(ZTA)、二ケイ酸リチウム、ケイ酸ロイサイトおよび窒化ケイ素を含むがこれらに限定されない金属、ならびに、ステンレス鋼17-4PHまたは316L、チタン(Ti/Ti-Al6-V4)、コバルトクロム(CoCr)、タングステンおよび炭化タングステン/コバルト(WまたはWC/Co)、炭化ケイ素(SiC)、モリブデン(Mo)および貴金属(例:金(Au))などの金属などを含む。
【0099】
チューブパッドは、周知の歯科用接着剤を用いて歯の表面に接着されてもよい。チューブのスロットはアーチワイヤに適合し、ストレートまたはカスタム曲げにすることができる。使用される製造プロセスに応じて、層には異なるセラミックまたは粉末組成物が必要になる場合がある。例えば、選択的レーザ溶融製造プロセスが使用される場合、酸化物またはガラスセラミック粒子を含む感光性樹脂の選択的硬化にLED光源が使用され得る。異なる層には異なるセラミックまたは粉末組成物が使用され得る。
【0100】
例示的なプリントチューブ300の端面図を図3A(近心図)および図3b(遠心図)に示す。図3aでは、チューブのベース306が右側(チューブの頬側)に示され、チューブの面304が左側(チューブの舌側)に示されている。パッド308は、歯と接触する部分であり、面304は、第1のスロット301を画定する第1のチューブ本体316を含み、いくつかの実施形態では、これは、歯に力を加えるためのアーチワイヤを受け入れるように適合された近心-遠心スロットであってもよい。チューブ300は、1.4mm~5mmの咬合-歯肉間距離を有し、2mm~8mmの近心遠心距離を有し得る。チューブ300は、頬または歯肉組織の炎症を防ぐために、0.05mmから1mmの間の半径を有するフィレットエッジ(filleted edge)312を有する。
フィレットエッジ312は、ベース306および/または第1のチューブ本体316上に形成することができる。第1のチューブ本体316は、フック320を含むことができる。
【0101】
スロット301は、所望のスロット壁位置302およびスロット301の壁の補償角度303を有することができ、これを利用して、過剰重合による収縮に対抗し、所望の寸法の平行なスロット壁302を達成することができる。いくつかの実施形態では、スロット301は、歯に力を加えるためのアーチワイヤを受け入れるように適合された近心-遠心スロットであってもよい。スロット301は、補償角303を含む「ダブテール(dovetail)」断面を有するように最初に製造され得、その結果、完成したチューブは、所望のスロット壁位置302によって示されるように、所望の寸法の平行なスロット壁を達成し得る。
【0102】
いくつかの実施形態では、ダブテールは、スロット301の各角に画定されたほぞ穴324を含む。スロット324は、4つの壁と4つの角を含むことができる。スロットは、スロットの各角にほぞ穴を含んでいてもよい。ほぞ穴は、歯列矯正チューブ構造の3Dモデル内の、AMデバイスが材料の重合を防ぐ領域を示す場合がある。したがって、ほぞ穴は、歯列矯正チューブのAM中にスロットの角で材料が重合するのを防ぐ可能性がある。いくつかの実施形態では、3Dモデル内の重合位置はピクセルによって指定され得る。このような実施形態では、AMデバイスは、3Dモデルのほぞ穴に対応するピクセルで材料の重合を停止することができる。例えば、ほぞ穴324は、材料がピクセル位置で重合しないように、DLPシステム内のデジタルマイクロミラーデバイスのピクセルをオフにすることによって形成することができる。ほぞ穴により材料の過剰重合が減少し、その結果、AMによって作成される歯列矯正チューブの精度が向上する可能性がある。ほぞ穴の結果、スロットの角の丸みが小さくなる場合がある。
【0103】
いくつかの実施形態では、スロット301は、スロット301によって受け入れられるワイヤのサイズおよび形状に基づいてサイズおよび形状を決定され得る。歯列矯正チューブ構造の3Dモデルは、所定のサイズおよび形状のスロットを用いて生成され得る。例えば、チューブ上のスロット301は、サイズ、形状、および角度の精度が高く、厚さが薄く、完全に充填されたときに長方形ワイヤを収容するように設計されている。いくつかの実施形態では、スロット301は、任意の所望のサイズおよび形状に製造され得る。いくつかの実施形態では、スロット301は、高さまたは幅よりも深い深さで製造される。いくつかの実施形態では、スロットの高さは0.016インチと0.024インチの間で変化し、幅は0.020インチと0.035インチの間であり得る。
【0104】
いくつかの実施形態では、スロットの近心端および遠心端は、歯列矯正ワイヤの挿入を容易にするために面取り310されてもよい。いくつかの実施形態では、面取り310の角度は、近心面から20°と80°との間であってもよい。面取りされたスロットは、壁によって囲まれ、壁の端部がチューブの近心面に対して角度をなすスロットを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、面取りされたスロットは、スロットへのワイヤの挿入を容易にすることができる。面取りされたスロットは、スロットを通るワイヤの挿入に抵抗する力を軽減することができる。いくつかの実施形態では、スロットの一方の壁の端部は、スロットの別の壁の端部とは異なる角度で面取りされてもよい。いくつかの実施形態では、スロットのすべての壁の端部は略同じであってもよい。
【0105】
いくつかの実施形態では、チューブのベース306は、選択された材料または所望の歯列矯正結果により、異なる高さを有してもよい。同様に、チューブのパッド308は、歯の表面に高度に適合し、歯の接触表面を最大にすることができる。これにより、臨床医によるチューブの配置がより正確になり、歯への接着がより適切になる可能性がある。また、各スロットはアーチワイヤと協働する独自の位置と形状を有するため、ねじれ誤差が最小限に抑えられ、改善された矯正結果が実現される。多くの実施形態において、これらの特徴部は一体品として製造され得、歯に対するスロットのカスタマイズは、スロットの位置変更またはチューブベースの移動の関数であり得る。多くの実施形態では、適切なチューブを作成するために特徴部を機械加工する必要はない。
【0106】
いくつかの実施形態では、チューブ300の近心面は、パッド308と、パッド308に接続された第1のチューブ本体316とを含む。第1のチューブ本体316は、スロット301、近心面の歯肉エッジ、舌側エッジおよび咬合エッジに画定された面取り310、および近心面の頬側エッジに形成されたノッチ408を画定する。パッド308は、歯の表面のネガとなるように構成される。面取り310は、エッジからスロット壁まで内向きの角度で延びている。ほぞ穴324は、隣接するスロット壁の交差点に形成される。 面取りは、スロット壁に対して内向きの角度で延びるノッチ408の1以上のエッジ面によって形成される。図3Aに示される実施形態では、近心面に対向するノッチエッジは面取りされており、スロット壁に対して内向きの角度で延び、ノッチ308の非平行なサイドエッジは、近心面から近心面に対向するノッチエッジまで内側に延びる。フック320は、第1のチューブ本体316の歯肉表面と頬側表面との交差点で第1のチューブ本体316に接続される。いくつかの実施形態では、フック320を頬面上に形成することができる。
【0107】
図4Aのチューブ400の表面に示されているように、チューブ400は、どの歯に配置されるべきかを示すためにチューブ内に刻印された表記410を有し得る。この表記410は、チューブの任意の表面にあってもよく、幅は0.5から4mmの間、高さの範囲は0.5から4mmであってもよい。表記の深さは最大1mmまでとなる。この表記410は、任意の形式の数字、文字、文字、多角形、あるいはそれらの組み合わせを含むことができる。デザインのバリエーションとして、表記がチューブの表面から盛り上がったり、エンボス加工されたりする場合がある。
【0108】
チューブ400は、エラストマー、バネ、または力のベクトルを生成する他の付属品などの追加の送達システムを使用する能力を提供するフック404などの付属品をさらに含むことができる。多くの実施形態において、これらの特徴部は、所望の適切な力ベクトルを生成するために、事前に設計された領域から突き出て一体品として製造され得る。フック404は、湾曲したフック、ストレートなフック、またはボールフックとすることができる。フック404は、患者の要求、医師の処方を満たし、歯茎または頬の炎症を避けるのに役立つように、構成可能なカスタム角度を有することができる。
図4Aは、フックを対称的な半分に分割するフック404の平面405を介してこの構成可能性を示す。
【0109】
いくつかの実施形態では、フック404は角度を付けられていてもよい。例えば、フック404は、歯列矯正チューブが患者の口内に配置されるときに、フック404が患者の口の一部(例えば、頬および/または歯茎)と接触するのを避けるために角度を付けられてもよい。歯列矯正チューブ構造の3Dモデルを生成するシステムは、フック404の角度を決定し、決定された角度のフックを含むように歯列矯正チューブ構造の3Dモデルを生成するように構成され得る。いくつかの実施形態では、フックの平面405は、チューブ400の面から唇側に90°から舌側に30°の間で角度を付けることができ、スロットの方向からいずれかの方向に最大45°まで角度を付けることができる。フック404の端部は、フックの平面405内でチューブ400の本体から離れる方向に最大45°の角度をなすことができる。チューブ300および400はフックを備えて示されているが、チューブはフックなしで形成されてもよい。
【0110】
チューブ400は、ベース414および面418を含む。ベース414は、パッド表面422、歯肉エッジ426、咬合エッジ430、近心エッジ434、および遠心エッジ438を含む。面414は、それを通って延びるスロットを画定する。面418は、それを通って延びる第1のスロットを画定する第1のチューブ本体442と、それを通って延びる第2のスロットを画定する第2のチューブ本体446とを含む分割チューブ本体を含む。パッド422は、歯の表面のネガとなるように構成される。パッド422は、図9および図10を参照してさらに説明するような保持特徴部を含む。
【0111】
チューブ400はまた、エラストマー、結紮紐、ばね、または力のベクトルを生成する他の付属品の取り付けまたは保持に適応するために、遠位端のスロットの後ろに切り欠き406を含んでもよい。切り欠き406は、ベースとチューブ本体(例えば、チューブ本体316または第2のチューブ本体446)との間に画定することができる。切り欠き406は、0.1mmから1mmの間の近心-遠心距離と、0.2mmから1.5mmの間の唇側-舌側寸法を有し得る。切り欠き406は、チューブの咬合-歯肉範囲にわたって延びることができ、または例えば丸い端部を形成するためにその範囲の一部にのみ沿って形成することができる。
いくつかの実施形態では、こぶ(nub)または突起(protrusion)が第2のチューブ本体446の遠位端に形成され、エラストマー、結紮紐、バネまたは他の付属品の取り付けまたは保持を助ける。
【0112】
図4に示されるように、チューブ400は、咬合側/歯肉側に延びるチューブの中心線に沿って作られた2つの別個のカットを含み、これにより、近心/遠心圧力が加えられたときにチューブが確実に破砕し、剥離することが可能になる。第1の401はベースに沿って切断され、歯の表面から最大0.3mmの深さまで一貫して切断される、歯の形状に一致するカスタム輪郭の多角形が含まれている。この多角形の幅は0.1mmを超え、チューブ幅の75%である。第2の402は、チューブの前面から切り取られた応力集中部である。この第2のカット形状は、口腔内の破片の捕捉を避けるために滑らかなエッジを持ち、チューブの近心面に向かって0°~45°の角度を付けることができる。この形状は、所望の位置で一貫した破砕を提供するためにピークに達する。
【0113】
歯の形態の詳細、チューブの処方、および所望の強度に応じて、切断403は、歯から0.1mmから1.2mmの任意の位置で開始し、チューブ構造の残りの部分を延ばすことができる。このカットの最終幅は、チューブ幅の5%~50%の範囲になる。歯肉/咬合方向の形状のカット403の曲線は、同一線上にある歯の曲率と完全に一致する。この形状は、歯の距離フィールドとチューブとの関係に基づいた厚み付けとブール演算の組み合わせによって作成される。形状の位置と厚さの詳細は、チューブのインアウトを計算し、最適なチューブ強度を提供するために実験テストを通じて決定されたアルゴリズムでこの値を使用することによって決定される。
【0114】
本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、歯列矯正チューブは、応力集中部を含む剥離構造を含み得る。いくつかの実施形態では、剥離構造は、患者の歯の3Dモデルに基づいてカスタマイズすることができる。応力集中部は、応力集中部に加えられる力に応じて歯列矯正チューブが破砕するような形状にすることができる。たとえば、応力集中部は35~40ニュートンの垂直抗力に反応して破砕する可能性がある。いくつかの実施形態では、応力集中部は、歯列矯正チューブの咬合-歯肉方向に沿って延びることができる。いくつかの実施形態では、応力集中部は、実質的に三角形の断面を有する部分を含むことができる。
【0115】
図19は、本明細書に記載の技術のいくつかの実施形態による、応力集中部1902を備えた例示的な歯列矯正チューブ1900を示す。図19に示すように、応力集中部1902は、歯の表面から距離1904の位置に先端を有する。次に、応力集中部1902は、先端から略V字形に延びる。図19の例では、応力集中部1902の両側に加えられる垂直抗力により、歯列矯正チューブ1902が破壊し、したがって患者の歯から剥離する可能性がある。いくつかの実施形態では、応力集中部1902が広がる距離は、任意の平らな突出部の所望のサイズに基づいて決定され得る。いくつかの実施形態では、応力集中部1902の最大幅は、応力集中部1902の壁の所望の急勾配に基づいて決定され得る。
【0116】
図4に示すように、いくつかの実施形態では、チューブ400の歯肉の角407は、接着面と干渉する可能性がある角質化/付着した歯肉を考慮して丸くされている。これらの角の丸みと半径は、患者ごとに、また症例内では歯ごとに変化する可能性がある。いくつかの実施形態では、歯肉角の曲率半径は、患者の歯の3Dモデルに基づいて決定され得る。いくつかの実施形態では、歯の真円度および半径、および/または歯肉マージンおよび/または咬合エッジに対する配置は、患者の処方によって、および/またはスマイル円弧に影響を与える医師の好みに基づいて決定される。カスタム形成されたエッジを備えたチューブは、ストックベースを備えたストックチューブよりも歯肉マージンまたは咬合エッジの近くに配置できる。いくつかの実施形態では、丸い歯肉角407の曲率半径は、0.05mmから2.0mmまでの範囲内であってもよい。図4Cは、患者の歯458の歯肉マージン454に近似するように湾曲した歯肉エッジ450を有するチューブ400’を示す。
【0117】
図4Dに示すように、いくつかの実施形態では、歯列矯正チューブの咬合エッジは湾曲または丸くすることができる。図4Dは、患者の歯の咬合面466に近似するように湾曲した咬合エッジ462を有するチューブ400’’を示す。咬合エッジの曲率半径は、患者および/または歯に合わせてカスタマイズすることができる。いくつかの実施形態では、咬合エッジの曲率半径は、患者の歯の3Dモデルに基づいて決定され得る。いくつかの実施形態では、曲率半径および/または歯の咬合エッジに対する配置は、患者の歯列矯正処方および/またはスマイル円弧に影響を与える医師の好みによって決定され得る。湾曲した咬合エッジを備えたチューブは、ストックチューブよりも咬合エッジの近くに配置される場合がある。いくつかの実施形態では、湾曲した歯肉エッジの曲率半径は、0.05~2.0mmの範囲内であってもよい。
【0118】
いくつかの実施形態では、歯列矯正チューブは、患者の歯の歯肉マージンに近似するように湾曲した歯肉エッジと、患者の歯の咬合面に近似するように湾曲した咬合エッジとを含み得る。
歯列矯正チューブ500の表面から見た歯列矯正チューブ500の一例が図5に示されている。この例では、ベースまたは全体の寸法によって定義される中間の3分の1の502と、スロットを有するチューブ500の領域の寸法によって定義される中間の3分の1の504が示されている。破砕溝508は、セラミックチューブ500の中央の垂直方向の3分の1(502または504)内に製造され得る。
【0119】
歯列矯正チューブ600の一例が、図6に断面図で示されている。図6に示される例では、破砕溝602、水平(近心-遠心)スロット604、および補助スロット606が示されている。破砕溝602は、チューブ600の中央3分の1内で垂直に(咬合-歯肉方向に)延びるチューブベース608内の歯の湾曲した窪み(溝)を含む弱化領域を含んでもよい。破砕溝602は、チューブの位置決め部分の歯の輪郭と一致し得る。破砕溝602は、チューブまたはベースの垂直正中線および/または補助スロット606の最深部と位置合わせすることができる。これらの特徴部間のチューブ領域は、チューブ600の弱化領域を形成し得る。
【0120】
いくつかの実施形態では、図6に示すように、破砕溝602は、歯の表面からの深さが一定であってもよい。いくつかの実施形態では、一定深さの破砕溝602は、患者の一部またはすべてのチューブについて公称深さまたは所定の深さであってもよい。例えば、溝の深さ610、612、および614はすべて同じ所定の深さ「X」であってもよい。このような公称深さまたは所定の深さは、例えば、0.10mmから1.2mmまでの範囲とすることができる。いくつかの実施形態では、一定深さの破砕溝602は、一部のチューブまたは各チューブについて異なる深さであってもよく、チューブの出入りに基づくものであってもよい。例えば、歯の表面から破砕溝602の最深部までの距離は、異なるチューブで異なる場合がある。
【0121】
歯列矯正チューブ700の一例が、図7に断面図で示されている。いくつかの実施形態では、図7に示すように、破砕溝702は、歯の表面からの深さが可変であってもよい。破砕溝702が可変であるいくつかの実施形態では、ばらつきは、歯の表面から破砕溝の最深部までの距離の最大50%の範囲を有し得る。例えば、溝深さ710は深さ「X」であり、溝深さ712は深さ「Y」であり、溝深さ714は深さ「Z」であり得る。いくつかの実施形態では、可変深さの破砕溝702は、患者の一部またはすべてのチューブに対して公称または所定の最大深さを有し得る。公称または所定の最大深さなどは、例えば、0.10mmから1.2mmまでの範囲内であってもよい。いくつかの実施形態では、一定深さの破砕溝702は、一部のチューブまたは各チューブについて異なる最大深さを有してもよい。例えば、歯の表面から破砕溝702の最深部までの距離は、異なるチューブでは異なる場合がある。
【0122】
有限要素解析により、チューブのタイウィング(tie wing)またはエッジの側面にかかる近心-遠心力により、チューブのベースの中央3分の1に力が集中することが明らかになった。いくつかの実施形態では、破砕溝602は、そのような力が最も集中したであろう除去された材料の領域として画定され得る。破砕溝602の追加により、チューブの中央の垂直方向の3分の1に予想通りチューブ破砕を生じさせるのに必要な力が低下し、歯からセラミックチューブを剥離するのに役立つ。弱化領域と破砕力は、溝および/または補助スロットの寸法を調整することによって最適化できる。
【0123】
アルゴリズムは、医師の好みに基づいて、または特定の患者集団に対して力の値が高すぎるか低すぎるかどうかに基づいて、異なる力の値を許可するように変更できる。青少年は歯列矯正治療のベストプラクティスに従わないことがよくあるが、その場合、異常な咀嚼力、つまりペンを噛むことによってチューブが早期に剥離しないように、より高い剥離力値を使用できる。成人がこれらの問題を抱えておらず、歯列矯正医が結合を剥離するのに大きな力を使用する必要がないことを好む場合には、この機能を調整する必要はない。
【0124】
本発明の利点は、カスタマイズされたチューブの剥離力の一貫性が向上することである。応力集中部の形状を歯の形状に連動させ、この応力集中部の深さをブラケットやチューブの厚みで制御することで、より確実な破砕力を実現できる。この改善された破壊力の一貫性により、特に一連のブラケットやチューブを一度に剥離する場合に、より前向きな体験が可能になる。さらに、現在設定されている強度が低すぎるか高すぎることが判明した場合、正確な強度の調整を改善することができる。
【0125】
この補助スロット/応力集中部は、ブラケット、チューブ、アタッチメントなどのさまざまな歯列矯正器具に適用できる。湾曲したタイウィングエッジを適用して構造の完全性と製造性を向上させることができ、断層線への補助スロットの傾斜を設計して層の分離を減らし、高品質の製造性を実現できる。ベース210のチャネルも、歯の形状に合わせて湾曲させることができ、応力集中点としてだけでなく、過剰な結合材料の出口チャネルとしても機能する。
【0126】
タイウィング、スロットエンクロージャ、およびスロットの設計を変えることによって、近心/遠心方向、または2つの方向の間の対角線上に移動する同じ形状(破砕溝)を作成できる可能性がある。この方向を変更すると、3Mフォーサススプリング(Forsus springs)やその他の歯列矯正機能器具、クラスII/IIIの「咬合矯正器」などの高力アタッチメントを使用するときに、チューブが剥離するリスクが軽減される可能性がある。
【0127】
本発明の変形例は、応力集中部自体の代替形状、並びに応力集中部の方向の変更を含む。チャネル202の形状は、カスタム輪郭を維持したまま変更して、異なる力プロファイルを提供したり、食物のトラップを避けて清潔さを高めたり、チューブの構造的完全性を強化したりすることもできる。もう1つの改善点は、歯列矯正医がワイヤが係合したまま標準的なユーティリティプライヤー(ワインガートプライヤーやハウプライヤーなど)または新しい特殊プライヤを使ってチューブの結合を解除できるように設計を調整することである。これにより、患者が剥離中に誤ってチューブを飲み込むことがなくなり、剥離プロセスの効率が大幅に向上する。このシナリオでは、アルゴリズム、チャネルの形状、およびチャネルの位置を調整できる。
【0128】
この改良された応力集中部は、ピークを有するプロファイルを使用するが、円形、長方形、または他の閉じた形状を応力集中部のプロファイルとして使用することもできる。追加の形状は、チューブの正確な強度を調整したり、製造の容易な経路を提供したりするのに役立つ場合がある。
【0129】
歯列矯正チューブ800の一例を図8に示す。この例では、破砕壁802は、チューブ800のベース804の周囲に製造され得る。いくつかの実施形態では、破砕壁802は、15~140μmの範囲内であり得る一定の厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、破砕壁802は、15~140μm(両端を含む)の範囲内であり得る、様々な厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、破砕壁1002によって形成された空洞に結合セメントを挿入することができる。いくつかの実施形態では、壁厚はチューブ800のすべてのエッジの周りで一定であってもよく、垂直抗力806(破砕壁802の表面に垂直な接触力の成分)を近心-遠心、咬合-歯肉、または任意の対向角などの任意の方向に加えることができる。
【0130】
チューブ全体の周囲の破砕壁802の連続性は、プライヤを介して壁の予測可能な破砕を提供し、典型的には接着されたチューブのせん断接着強度よりも小さい引張力と剥離力の組み合わせによるチューブの剥離を可能にすることができる。例えば、結紮されたワイヤの周囲を移動させて、チューブの唇側部分に近心-遠心力806を誘発し得るプライヤが使用され得る。いくつかの実施形態では、そのような力は、10~180ニュートンの範囲内であってもよい。この例には、スロット808(アーチワイヤ/近心-遠心スロット)も示されている。
【0131】
歯列矯正チューブ900の一例を図9に示す。この例では、複数の保持構造902がチューブ900のベース904に含まれて示されている。保持構造1000の一例が図10に断面図で示されている。いくつかの実施形態では、保持構造1000は、0°より大きい正の抜き勾配を有する3次元図形である任意の形状であってよい。抜き勾配1002は、歯の構造または表面に向けることができる中立面1004に対する垂直と、保持構造1000の側壁1006との間の角度であり得る。いくつかの実施形態では、断面において、保持構造1000は、歯の構造または表面に向けられた平面であり得る中立面1004を有する略台形であり得、ベース面1008よりも幅が広く、これは、チューブ本体に向けられた保持構造1000の側の平面であってもよい。
【0132】
中立面1004は、平坦であってもよく、あるいは接着される歯の表面の形状に合わせた輪郭であってもよい。各保持構造の中立面1004が平坦であるいくつかの実施形態では、すべての保持構造の中立面1004がベース面1008に平行であってもよいし、保持構造の全体的なパターンが歯の表面に略沿った輪郭となるように、一部またはすべての保持構造の中立面1004がベース面1008に平行でなくてもよい。さらに、中立面1004とベース面1008の平行または非平行な位置合わせは、各保持構造1000の抜き勾配1002に影響を与える可能性がある。
【0133】
接着セメントを使用して適切な保持を達成することができるが、特定の3次元印刷プロセスの制限を補償するために設計された抜き勾配1002の範囲を利用することができる。たとえば、望ましい最終的な抜き勾配を達成するには、デジタルファイルの抜き勾配の設計を大きくして、過剰重合、重合収縮、その他の補正を補正する必要がある場合がある。実際の印刷パーツからゼロまたは正の抜き勾配が得られれば(デジタルファイルのデザインに関係なく)、適切な保持が達成できるはずである。
【0134】
図9に示される例では、保持構造902は半月状の線または「トレンチ(trenches)」として示されている。しかしながら、いくつかの実施形態では、保持構造902は、半月錐、全円錐、正方形、長方形、保持格子もしくはメッシュ、または結合強度を高めることを意図した任意の点で正の抜き勾配を有する任意の他の形状であってもよい。正の抜き勾配を有するそのような形状は、射出成形または鋳造法よりもむしろ3次元印刷によってより効率的に製造され得る。
【0135】
歯上の歯列矯正チューブ1100の断面の一例を図11に示す。図11に示される例では、保持構造1102は、(3次元ベクトル(例えば、stlまたは積層造形ファイルフォーマット(AMF)表現)で示されるように)歯の表面に輪郭を描いて示される。各構造は、規定のチューブ位置内の歯の表面の対応する領域に適合するように輪郭を付けることができる。この例では、ベースキャビティ1104も、各保持構造がその寸法を維持し、すべての構造が同様の深さを有することを保証するような輪郭を描いて示されている。さらに、輪郭のあるキャビティ1104の深さ1106を画定することができる。このプロセスの一例は、米国特許公開第20190328493A1号に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0136】
AMプロセスを使用してチューブを形成する利点は、チューブがユニボディ構造であることであり、チューブが処方に基づいてユニボディ(unibody)構造として形成されることを意味する。カスタマイズを実現するために、チューブ面をチューブパッドとは別に形成し、その後チューブ面をチューブパッドに接着する必要はない。カスタムのユニボディチューブは、より正確に力を加えることができるため、より予測可能な治療結果が得られ、多くの場合、調整やワイヤ、ブラケット、チューブの調整のために矯正医に通う回数が減る。
【0137】
いくつかの実施形態では、歯列矯正チューブは、スロットの主要部分の角度がカスタマイズされたスロットを含むことができる。例えば、カスタマイズされた角度は、歯列矯正処方に基づいていてもよい。歯列矯正チューブ構造の3Dモデルを生成するシステムは、歯列矯正処方に基づいてスロットの主要部分の角度を決定し、決定された角度を有するスロットを有する歯列矯正チューブ構造の3Dモデルを生成するように構成され得る。いくつかの実施形態では、スロットの主要部分の角度は、チューブの長手軸に対してある角度でスロットを形成すること、および/または長手軸に対して回転させることによって修正することができる。所定の力は、チューブの長手軸に対してある角度で形成されるか、またはチューブの長手軸に対して回転するスロットを有するチューブを介して歯に加えることができる。たとえば、スロット角度や回転をアーチワイヤと組み合わせて、1以上の歯を先端、トルク、回転、または前後に移動することに使用できる。
【0138】
図12A(歯肉または咬合面の図)は、ベース1214およびチューブ本体1218を含む面を有するチューブ1210を示す。チューブ本体1218内に画定されたスロット1222は、近心-遠心長手方向軸に沿ってベース1214に対して上向きの角度で形成される。いくつかの実施形態では、チューブ本体1218内に画定されたスロット1222は、近心-遠心長手方向軸に沿ってベース1214に対して下降角度で形成される。スロット1222は歯の回転を引き起こす可能性がある。
【0139】
図12B(頬面図)は、ベース1214’と、チューブ本体1218’を含む面とを有するチューブ1210’を示す。チューブ本体1218’内に画定されたスロット1222’は、近心-遠心長手方向軸に対して斜めの角度で形成される。特定の実施形態では、角度は、歯肉エッジから咬合エッジまで、または咬合エッジから歯肉エッジまで傾斜していてもよい。スロット1222’は歯の転倒を引き起こす可能性がある。
【0140】
図12C(近心図または遠心図)は、ベース1214’’およびチューブ本体1218’’を含む面を有するチューブ1210’’を示す。チューブ本体1218’’内に画定されたスロット1222’’は、長手方向軸に沿って回転される。スロット1222’’は、長手方向軸に対して0.1度から45度の間で時計回りまたは反時計回りに回転することができる。スロット1222’’は歯のトルクを引き起こす可能性がある。いくつかの実施形態では、スロットは、正方形、実質的に正方形、長方形、または実質的に長方形の断面を有することができる。いくつかの実施形態では、スロットは、例えば近心から遠心へ、または遠心から近心へ先細りの断面を有することができる。
【0141】
チューブ本体1218または1218’は、単一チューブまたは分割チューブ本体(上述したように)であり得る。ベース1214または1214’のパッドは、歯の表面のネガとなるように製造することができる。いくつかの実施形態では、角度を付けたスロットにより、歯の表面によりよく適合するカスタムベースパッドの設計が可能となり、および/または上述したように、ベースをより歯肉側またはより咬合側に配置することが可能になる。
【0142】
上で説明したように、歯列矯正医は、チューブの代替設計特徴を使用して、標準的なユーティリティプライヤーを使用してチューブを剥離することができる。本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、歯列矯正チューブは、歯からのチューブの剥離を容易にするリッジを含む剥離構造を含んでもよい。リッジは、チューブに力を加えて(例えばペンチで)歯からチューブを取り外すために使用され得る。いくつかの実施形態では、リッジは、臨床医が容易にアクセスできるように配置されてもよい。例えば、リッジは、歯列矯正チューブのベースと歯列矯正チューブの面との界面の近くに配置されてもよい。
【0143】
図13Aは、ベース1304と、スロット1312を画定するスロット本体を含む面1308とを含むチューブ1300を示す。リッジ1316は、チューブベース1304の周面の少なくとも一部の周りに画定される。リッジ1316は、チューブベース1304とチューブ面1308との界面に配置され得る。
【0144】
図13Bは、ベース1304’と、それぞれがスロット1312a、1312bを画定する分割スロット本体1308a、1308bを含む面とを含むチューブ1300’を示す。リッジ1316’は、チューブベース1304’の周面の少なくとも一部の周りに画定される。隙間1320は、スロット本体1308a、1308bの分割の位置に対応するリッジ内に画定される。隙間は応力集中部に相当する可能性がある。リッジ1316’は、チューブベース1304’とスロット本体1308a、1308bを画定するチューブ面との界面に配置することができる。
【0145】
いくつかの実施形態では、リッジは、チューブの歯肉エッジ面、チューブの咬合エッジ面、またはその両方に配置される。リッジの高さは、チューブ構造の近心/遠心軸に沿って変化する可能性がある。リッジの高さは、約0.01mmから約1mmとすることができる。いくつかの実施形態では、リッジの高さは約0.04mmである。歯肉リッジの高さは、咬合リッジの高さと異なる場合がある。
【0146】
図20は、本明細書に記載の技術のいくつかの実施形態による、歯肉リッジ2000またはその一部を示す。図20に示すように、歯肉リッジ2000は、歯列矯正チューブのベースと歯列矯正チューブの面との界面に近接している。図20の例では、ベースから歯肉側/咬合側のリッジの高さ2004は0.2mmである。図20の例では、エッジにおけるリッジの厚さ2002は0.2mmである。図20の例に示すように、リッジはチューブのベースに近づくにつれて広がっている。いくつかの実施形態では、リッジの高さおよび/または厚さは、歯列矯正チューブの近心-遠心軸に沿って変化し得る。
【0147】
図14は、ベース1404と、スロット1412を画定するスロット本体を含む面1408とを含むチューブ1400を示す。面取り1416は、ベース1404の周面の周りに画定される。面取りは、チューブベース1404と歯との界面に配置することができる。面取りは、歯肉チューブと歯の界面、咬合面チューブと歯の界面、またはその両方に配置できる。面取りは、チューブを剥離するための歯列矯正ツールと嵌合するように構成することができる。たとえば、工具を面取りの上に置くことも、工具を面取りの隣に置くこともできる。面取りの高さは、約0.01mmから約1mmとすることができる。いくつかの実施形態では、面取りの高さは約0.04mmである。分割チューブ本体を有するいくつかの実施形態では、面取り部に隙間が形成される。
【0148】
積層造形部品の寸法精度は、重合中にどのピクセルをアクティブにするかを調整することで改善できる。通常、DLP印刷の精度は、ピクセルサイズと、光散乱の結果として発生する余分な重合の量によって制限される。レイヤー内の直線の寸法は、N*S+2Pという式で表すことができ、ここで、Nはピクセル数、Sはピクセルサイズ、Pは過剰な重合量である。Pは通常、プリンタのさまざまな側面(光の強度と散乱、材料組成物など)および印刷される部品の要素であり、制御することはできない。Sは使用されているプリンタの特性であり調整できないため、制御可能なパラメータはNだけになる。図15Aに示すように、白い四角は設計によってオンになっているピクセルを表し、青い形状Pは結果として生じる重合領域を表す。
【0149】
高度な寸法精度が必要なアプリケーションの場合、設計者はピクセルサイズの増分でしかパーツを調整できないため、これが制限要因になる可能性がある。グレースケーリングを使用して、過剰重合の量を制御できる(たとえば、特定のピクセルの強度を調整することによって)が、これは特殊なソフトウェアを必要とする面倒なプロセスになる可能性がある。部品ごとに独自のグレースケールパターンを開発する必要があり、部品の形状に応じて、プリントの各層に異なるパターンが必要になる場合がある。
【0150】
いくつかの実施形態では、部品のエッジに沿って特定のピクセルをオフにすることによって、過剰重合(P)の量を制御することができる。いくつかの実施形態では、歯列矯正チューブ構造の3Dモデルを生成するシステムは、歯列矯正チューブ構造の一部(例えば、スロット、スロットエッジ、および/または他の部分)のグレースケールパターンを決定するように構成され得る。グレースケールパターンは、歯列矯正チューブの製造中に歯列矯正チューブ構造の一部の異なる位置でAMデバイスによって適用される重合のパターンを示し得る。システムは、グレースケールパターンを歯列矯正チューブ構造の一部(例えば、スロットまたはその一部)に適用するように構成され得る。
【0151】
いくつかの実施形態では、グレースケールパターンは、さまざまなレベルの重合強度を示し得る。一実施形態では、グレースケールパターンは、重合がオフにされるべき重合の位置と、重合がオンにされる位置を示し得る。例えば、グレースケールパターンは、歯列矯正チューブ構造の3Dモデルの一部の1以上のピクセルで重合がオンになり、1以上の他のピクセルで重合がオフになることを示し得る。いくつかの実施形態では、グレースケールパターンは、AMデバイスの仕様、歯列矯正チューブ構造の寸法、および/または他の要因に基づいて決定され得る。
【0152】
図15Bは、本明細書に記載される技術のいくつかの実施形態による、歯列矯正チューブ構造のスロットのグレースケールパターンの例を示す。図15Bでは、白い四角は設計によってオンになっているピクセルを表し、黒い四角はオフになっているピクセルを表し、青色の形状Pはアクティブピクセルの行に隣接する結果として生じる重合領域を表し、青色の形状P’は、結果として生じる重合領域は、非活性化されたピクセルを含むピクセルの行に隣接する。パーツのエッジに沿ってどのピクセルをオンまたはオフにするかを調整することで、P’を制御して、プリンタのピクセルサイズよりも小さい寸法精度を実現できる。
【0153】
いくつかの実施形態では、2つ以上の隣接するピクセルを非アクティブ化することができる。いくつかの実施形態では、非アクティブ化された隣接ピクセルは、エッジに沿っているか、または積み重ねられていてもよい。いくつかの実施形態では、2つ以上の隣接ピクセルをアクティブにすることができ、アクティブにした隣接ピクセルの両側の第3のピクセルを非アクティブにすることができる。
【0154】
ピクセルの変更は、元の部品設計に組み込むことができ、たとえば図1に示すステップ108中にモデリングソフトウェアを使用して編集できる。図16Aおよび16Bは、このプロセスが印刷されたスロットの寸法にどのような影響を与える可能性があるかを示す例である。図16Aは、スロット本体1604内に画定されたスロット1600を示す。図16Bは、スロット本体1604’内に画定されたスロット1600’を示す。スロット1600とスロット1600’の設計幅は同じであるが、エッジに沿ってピクセルが交互に配置されているため、スロット1066’の実際の印刷幅は約40ミクロン増加し、これは、これらのパーツが印刷されたプリンタのピクセルサイズと同じである。スロット壁1608はより平坦な表面を有し、スロット壁1608’は波状の表面を有し、各波は非アクティブ化されたピクセルに対応する。
【0155】
現在、患者は美観が向上するため、金属よりもセラミックチューブに高い料金を支払っている。例えば、多くの患者は、チューブが取り付けられる歯の色と一致するチューブを望んでいる。これにより、チューブが見えにくくなり、外観が改善される場合がある。別の例として、本発明の実施形態は、透明なチューブを作成する能力を提供することができ、これによりさらに改善された外観を提供することができる。さらに、本発明の実施形態は、所望または選択された略任意の色、例えば、子供および一部の大人に使用するための明るい色のチューブを作成する機能を提供することができる。同様に、本発明の実施形態は、例えば子供および一部の大人に使用するための、動物、乗り物、おもちゃなどの形状など、機能によって決定されない目に見える形状を有するチューブを作成する機能を提供することができる。
【0156】
セラミックスラリーベースのAM技術を使用すると、設計したモデルを迅速にセラミック製品に変えることができる。チューブの製造工程は少なく、現場で行うことができるため、時間とコストを節約できる。
【0157】
記載されている技術は、個々の歯列矯正医が必要な機器とソフトウェアを購入できる程度まで費用対効果が高くなる。これにより、異なる処方のチューブを在庫する代わりに、チューブの在庫を簡素化できるようになる。セラミックのデジタル光処理(リソグラフィーベース)およびレーザリソグラフィー積層造形には、熱エネルギーを使用する選択的レーザ焼結/溶融(SLM)や、バインダとポリマー由来セラミックス(PDC)を使用する3Dプリンティング(3DP)システムと比較して、歯列矯正チューブの製造に多くの利点がある。たとえば、DLPは、より高い表面品質、より優れたオブジェクト解像度、および改善された機械的特性を提供する可能性がある。ステレオリソグラフィまたはマスク露光プロセスで光を使用して構造化されたPDCは、チューブ製造用のセラミックAM方法としても使用できる。
【0158】
記載された技術は、高強度の酸化物、窒化物、炭化物セラミックス、金属などの材料からチューブを製造するために使用でき、金属は、高強度の酸化物、窒化物、炭化物セラミックス、ならびに、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、アルミナ強化ジルコニア(ATZ)、ジルコニア強化アルミナ(ZTA)、二ケイ酸リチウム、ケイ酸ロイサイトおよび窒化ケイ素を含むがこれらに限定されない金属、ならびに、ステンレス鋼17-4PHまたは316L、チタン(Ti/Ti-Al6-V4)、コバルトクロム(CoCr)、タングステンおよび炭化タングステン/コバルト(WまたはWC/Co)、炭化ケイ素(SiC)、モリブデン(Mo)および貴金属(例:金(Au))などの金属などを含む。
【0159】
説明した技術を使用すると、チューブの配置精度が向上した真のストレートワイヤ器具を実現できるため、治療時間とエラーが軽減され;または、理想的な結果を達成するために、カスタム曲げアーチワイヤと組み合わせて使用することもできる。
カスタムの舌側チューブはこの方法で製造でき、米国特許第2007/0015104号に記載されているように、事前に曲げられたカスタマイズされたアーチワイヤを受け入れることができる。カスタム唇チューブには、事前に曲げられたワイヤを取り付けることもできる。
【0160】
リソグラフィベースのDLP(例えば、米国特許第8,623,264号)による唇側/舌側矯正チューブの層積層造形(AM)方法論の手順は、参照により本明細書に組み込まれるが、以下のように簡単に要約することができ;特に光透過性の水平底部を有する少なくとも1つのトラフ内に位置する光重合性材料が、少なくとも1つの水平プラットフォーム上の照明によって重合され、プラットフォームは、予め指定された幾何学的形状を有し、照明フィールド内でトラフ内に突き出ており、プラットフォームは垂直に移動されて後続の層を形成し、光重合性材料が最後に形成された層に追加され、前述のステップの繰り返しにより、CADソフトウェアから決定された一連の層形状から生じる、所望の処方/型における歯列矯正チューブの層状構造が得られる。
【0161】
トラフは供給位置まで水平に移動することができ、供給デバイスは、少なくとも1つのトラフが、照明フィールドがプラットフォームの下で照明ユニットの上に位置する照明位置に移動される前に、光重合性材料を少なくともトラフ底部の照射フィールドにもたらし、照明が行われ、「グリーンチューブ」が出現する。
【0162】
光重合性材料または光反応性懸濁液(スラリー)は、市販の二官能性および単官能性メタクリレートに基づいて調製することができる。例示的な材料は、約0.01~0.025重量%の高反応性光開始剤、約0.05~6重量%の分散剤、吸収剤、および約2~20重量%の非反応性希釈剤のスラリーブレンドであり得る。酸化アルミニウム(Al2O3)や酸化ジルコニウム(ZrO2)粉末などの高強度酸化物セラミックを固体充填して使用できるが、このプロセスは他のセラミック材料や金属にも拡張される可能性がある。
【0163】
いくつかの実施形態では、スラリー中のアルミナまたはジルコニアの配合量は、49重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%以上、または約49重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、95重量%、または99wt%とすることができる。いくつかの実施形態では、スラリー中のアルミナまたはジルコニアの配合量は、50~60重量%、60~70重量%、70~80重量%、80~90重量%、90~95重量%、95~100重量%であり得る。焼結アルミナまたはジルコニアの純度は、95重量%以上、または約95.5重量%、96重量%、96.5重量%、97重量%、97.5重量%、98重量%、98.5重量%、99重量%、99.1重量%、99.2重量%、99.3重量%、99.4重量% 、99.5重量%、99.6重量%、99.7重量%、99.8重量%または99.9重量%であってもよい。グリーン本体から焼結されたチューブまでの部品サイズの縮小は、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%になることがある。
【0164】
アクリレート部分は、モノマー、オリゴマー、またはポリマーであり得る。アクリレート部分は、複数のメタクリレート部分を含むことができる。
アクリレート部分の重量含有量は、5重量%~50重量%の間であり得る。いくつかの実施形態では、重量含有量は、5、10、15、20、25、30、35、40、または45重量%以上である。アクリレート部分はメタクリレート部分またはアクリル酸エステルであり得る。
【0165】
図21は、本明細書に記載の技術のいくつかの実施形態による、本明細書に記載の歯列矯正チューブの実施形態を製造するプロセス例2100のフローチャートを示す。プロセス2100は、任意の適切なコンピュータシステムによって実行され得る。例えば、プロセス2100は、図17を参照して本明細書で説明されるコンピュータシステム700によって実行され得る。
【0166】
プロセス2100はブロック2102で始まり、システムは患者の1以上の歯の3Dモデルを取得する。患者の歯の3Dモデルは、医療用画像デバイスを使用して取得できる。たとえば、患者の歯の3Dモデルは、CTスキャナ、口腔内スキャナ、座標測定機、レーザスキャナ、または構造化光デジタイザを使用して取得できる。
【0167】
次に、プロセス2100はブロック2104に進み、システムは患者の1以上の歯列の3Dモデルを使用して歯列矯正チューブ構造の3Dモデルを生成する。いくつかの実施形態では、システムは、歯列矯正処方に基づいて歯列矯正チューブ構造の3Dモデルを生成するように構成され得る。歯列矯正チューブ構造の様々な実施形態が、図2~16Bを参照して本明細書に記載される。例えば、システムは、歯列矯正チューブ構造の3DモデルをCADモデルまたは他のタイプの3Dモデルとして生成することができる。
【0168】
次に、プロセス2100はブロック2106に進み、システムはAMデバイスを使用して、歯列矯正チューブ構造の3Dモデルに基づいてカスタマイズされた歯列矯正チューブを作成する。いくつかの実施形態では、システムは、作成のために歯列矯正チューブ構造の3DモデルをAMデバイスに送信するように構成され得る。いくつかの実施形態では、システムは、AMデバイスを使用して、作成のために歯列矯正チューブ構造の3Dモデルを別の当事者(例えば、製造業者)に送信するように構成され得る。いくつかの実施形態では、システムは、カスタマイズされた歯列矯正チューブを作成するために使用され得るAMデバイスの構成要素であり得る。いくつかの実施形態では、システムは、AMデバイスによる(例えば、コマンドをAMデバイスに送信することによって)生成をトリガするように構成され得る。
【0169】
いくつかの実施形態では、AMデバイスは任意の適切なAMデバイスであってもよい。例えば、AMデバイスは、光重合デバイス、材料噴射デバイス、結合剤噴射デバイス、パワーベッド融合デバイス(例:選択後焼結デバイス、選択レーザ溶解デバイス、電子ビーム溶解デバイス、または直接金属レーザ焼結デバイス)、シート積層デバイス、または直接エネルギー堆積デバイスであってもよい。
【0170】
上に示したプロセスを実装できるコンピュータシステム700の例示的なブロック図を図17に示す。コンピュータシステム700は、典型的には、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、サーバシステム、およびミニコンピュータまたはメインフレームコンピュータなどの、プログラムされた汎用コンピュータシステムである。コンピュータシステム700は、1以上のプロセッサ(CPU)702A~702N、入出力回路704、ネットワークアダプタ706、およびメモリ708を含む。CPU702A~702Nは、本発明の実施形態の機能を実行するためにプログラム命令を実行する。通常、CPU702A~702Nは、INTEL PENTIUM(登録商標)プロセッサなどの1以上のマイクロプロセッサである。
【0171】
図17は、コンピュータシステム700が単一のマルチプロセッサコンピュータシステムとして実装され、複数のプロセッサ702A~702Nが、メモリ708、入出力回路704、ネットワークアダプタ706などのシステムリソースを共有する実施形態を示す。しかしながら、本発明は、コンピュータシステム700が複数のネットワーク化されたコンピュータシステムとして実装される実施形態も企図しており、これは、シングルプロセッサコンピュータシステム、マルチプロセッサコンピュータシステム、またはそれらの組み合わせである場合がある。
【0172】
入出力回路704は、コンピュータシステム700にデータを入力する、またはコンピュータシステム700からデータを出力する機能を提供する。たとえば、入出力回路は、キーボード、マウス、タッチパッド、トラックボール、スキャナなどの入力デバイス、ビデオアダプタ、モニタ、プリンタなどの出力デバイス、モデムなどの入出力デバイスなどを含む場合がある。ネットワークアダプタ706は、デバイス700をネットワーク710に接続する。ネットワーク710は、インターネットを含むがこれに限定されない、任意の公衆または専用のLANまたはWANであってもよい。
【0173】
メモリ708は、コンピュータシステム700の機能を実行するためにCPU702によって実行されるプログラム命令、およびCPU702によって使用および処理されるデータを格納する。メモリ708は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、プログラマブル読み取り専用メモリ(PROM)、電気的に消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリなど、ならびに、統合ドライブエレクトロニクス(IDE)インターフェイス、または、拡張IDE(EIDE)またはウルトラダイレクトメモリアクセス(UDMA)、または小型コンピュータシステムインターフェイス(SCSI)ベースのインターフェイス、高速SCSI、ワイドSCSI、高速およびワイドSCSIなど、シリアルアドバンストテクノロジアタッチメント(SATA)、またはそのバリエーションまたは拡張機能、またはファイバチャネルアービトレーテッドループ(FC-AL)インターフェイスなど、またはそのバリエーションまたは拡張機能など、またはその変形または拡張を使用する場合がある、磁気ディスクドライブ、テープドライブ、光ディスクドライブなどの電気機械メモリである。
【0174】
メモリ708の内容は、コンピュータシステム700が実行するようにプログラムされている機能に応じて変化する。図17に示される例では、コンテンツ分析プラットフォームが実装されるシステムに含まれるメモリ内容が示されている。しかしながら、当業者であれば、これらの機能は、それらの機能に関連するメモリ内容とともに、1つのシステム上に含めることができること、あるいは、よく知られた工学上の考慮事項に基づいて、複数のシステムに分散させることを認識するであろう。本発明の実施形態は、あらゆるそのような構成を企図している。
【0175】
図17に示される例では、メモリ708は、歯列データ測定ルーチン712、3D CAD歯モデル構築ルーチン714、3D CAD歯モデル編集ルーチン716、チューブ設計ルーチン718、製造制御データ生成ルーチン720、およびオペレーティングシステム722を含むことができる。歯列データ測定ルーチン712は、患者の歯上で直接CT層スキャンまたは非接触3Dスキャナによって生成され得るような歯列データを取得および処理し得るか、または以前に鋳造された歯モデル上の3D読み取り値を使用し得る。3D CAD歯モデル構築ルーチン714は、歯列データに基づいて測定された歯の3D CADモデルを構築することができる。
【0176】
3D CAD歯モデル編集ルーチン716は、モデル内の歯を所望の治療結果に合わせて再配置するために使用することができ、所望のトルク、オフセット、選択したチューブの角度、配置ガイドの咬合面/切端の被覆など、さらに追加情報を受け入れるために使用することができる。チューブ設計ルーチン718は、測定された歯の入力3D CADモデル、所望の治療結果のモデル、および入力された追加情報に基づいて3D CADモデルを設計および生成するために使用され得る。製造制御データ生成ルーチン720は、生産設備によって使用される製造制御データを生成するために使用され得る。オペレーティングシステム722は、システム全体の機能を提供する。
【0177】
追加の機能が、図1に示されるエンドユーザデバイス104などのエンドユーザデバイスに実装され得ることに留意されたい。エンドユーザーシステムは、図17に示されているものと同様の構造を持つコンピュータシステムである場合がある。このようなエンドユーザーシステムは、広告またはコンテンツの位置の幾何学的分析を実行する幾何学的分析ルーチンを含む場合がある。同様に、そのようなエンドユーザーシステムは、コンピュータが画面上に表示する広告またはコンテンツを最適化しているかどうかを判断するためのリソースベースの分析ルーチンを含む場合がある。
【0178】
図17に示すように、本発明の実施形態は、マルチプロセッサ、マルチタスク、マルチプロセス、および/またはマルチスレッドコンピューティングを提供する、シングルプロセッサ、シングルスレッドコンピューティングのみを提供するシステムへの実装も可能である1以上のシステム上での実装を企図している。マルチプロセッサコンピューティングでは、複数のプロセッサを使用してコンピューティングを実行する。マルチタスクコンピューティングは、複数のオペレーティングシステムタスクを使用してコンピューティングを実行することを含む。タスクは、実行中のプログラムとオペレーティングシステムによって使用される簿記情報の組み合わせを指すオペレーティングシステムの概念である。プログラムが実行されるたびに、オペレーティングシステムはそのプログラム用の新しいタスクを作成する。タスクは、タスク番号でプログラムを識別し、他の簿記情報をそれに添付するという点で、プログラムのための封筒のようなものである。
【0179】
Linux、UNIX(登録商標)、OS/2(登録商標)、Windows(登録商標)などの多くのオペレーティングシステムは、多くのタスクを同時に実行でき、マルチタスクオペレーティングシステムと呼ばれる。マルチタスクとは、複数の実行可能ファイルを同時に実行できるオペレーティングシステムの機能である。各実行可能ファイルは独自のアドレス空間で実行される。これは、実行可能ファイルがメモリを共有する方法がないことを意味する。これには、システム上で実行されている他のプログラムの実行にいかなるプログラムも損害を与えることが不可能であるため、利点がある。ただし、プログラムには、オペレーティングシステムを介する(またはファイルシステムに保存されているファイルを読み取ることによる)以外に情報を交換する方法がない。一部のオペレーティングシステムではこの2つを区別しているが、タスクとプロセスという用語は多くの場合同じ意味で使用されるため、マルチプロセスコンピューティングはマルチタスクコンピューティングに似ている。
【0180】
本明細書で概説される様々な方法またはプロセスは、様々なオペレーティングシステムまたはプラットフォームのいずれかを採用する1以上のプロセッサ上で実行可能なソフトウェアとしてコード化され得る。さらに、そのようなソフトウェアは、多数の適切なプログラミング言語および/またはプログラミングもしくはスクリプトツールのいずれかを使用して書かれてもよく、また、仮想機械または適切なフレームワーク上で実行される実行可能な機械語コードまたは中間コードとしてコンパイルされてもよい。
【0181】
この点において、様々な発明概念は、1以上のコンピュータまたは他のプロセッサ上で実行されると、本発明の様々な実施形態を実装する1以上のプログラムで符号化された少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読記憶媒体(例:コンピュータメモリ、1以上のフロッピーディスク、コンパクトディスク、光ディスク、磁気テープ、フラッシュメモリ、フィールドプログラマブルゲートアレイまたはその他の半導体デバイスの回路構成など)として具現化され得る。非一時的なコンピュータ可読媒体は、その上に格納されたプログラムを任意のコンピュータリソースにロードして、上述した本発明の様々な態様を実装できるように、可搬性であってもよい。
【0182】
「プログラム」、「ソフトウェア」、および/または「アプリケーション」という用語は、本明細書では、任意のタイプのコンピュータコードまたはコンピュータ実行可能命令のセットを指す一般的な意味で使用され、これは、コンピュータまたは他のプロセッサをプログラムして、上で論じた実施形態の様々な態様を実装するために使用することができる。さらに、一態様によれば、実行時に本発明の方法を実行する1以上のコンピュータプログラムは、単一のコンピュータまたはプロセッサ上に常駐する必要がないが、しかし、本発明のさまざまな態様を実装するために、異なるコンピュータまたはプロセッサ間でモジュール形式で分散されてもよいことを理解されたい。
【0183】
コンピュータ実行可能命令は、1以上のコンピュータまたは他のデバイスによって実行されるプログラムモジュールなど、多くの形式をとることができる。一般に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行する、または特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含む。通常、プログラムモジュールの機能は、さまざまな実施形態において必要に応じて組み合わせたり、分散したりすることができる。
【0184】
また、データ構造は、任意の適切な形式で非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。データ構造は、データ構造内の位置によって関連付けられたフィールドを含む場合がある。このような関係は、フィールド間の関係を伝達する非一時的なコンピュータ可読媒体内の位置をフィールドに記憶域に割り当てることによって同様に達成され得る。しかしながら、データ構造のフィールド内の情報間の関係を確立するために、データ要素間の関係を確立するポインタ、タグ、または他の機構の使用を含む、任意の適切な機構を使用することができる。
【0185】
様々な発明概念は、1以上の方法として具体化することができ、その例が提供されている。方法の一部として実行される動作は、適切な方法で順序付けできる。したがって、例示的な実施形態では連続的な動作として示されているが、動作が図示とは異なる順序で実行される実施形態を構築することができ、これにはいくつかの動作を同時に実行することを含む場合がある。
【0186】
本明細書および特許請求の範囲において使用される不定冠詞「a」および「an」は、明確に反対の指示がない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、「少なくとも1つの」という語句は、1以上の要素のリストを指し、要素のリスト内の任意の1以上の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味すると理解されるべきであるが、要素のリスト内に具体的にリストされている各要素の少なくとも1つを必ずしも含む必要はなく、要素のリスト内の要素の組み合わせを除外する必要はない。この定義は、「少なくとも1つ」という語句が指す要素のリスト内で特に特定された要素以外の要素が、特に特定された要素に関連するか無関係であるかに関係なく、オプションで存在することも許可する。
【0187】
本明細書および特許請求の範囲で使用される「および/または」という語句は、そのように結合された要素、すなわち要素の「いずれかまたは両方」を意味すると理解されるべきであり、場合によっては結合的に存在し、他の場合には選言的に存在する。「および/または」でリストされている複数の要素は、同じように解釈される必要があり、つまり、そのように結合された要素の「1以上」と解釈される。「および/または」節によって特に特定される要素以外に、特に特定される要素に関連するか無関係であるかにかかわらず、他の要素がオプションで存在する場合がある。したがって、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」への言及は、「含む」などの無制限の言語と組み合わせて使用される場合、一実施形態では、Aのみ(B以外の要素を任意に含む);別の実施形態では、Bのみ(A以外の要素を任意に含む);さらに別の実施形態では、AとBの両方(任意選択で他の要素を含む)を指す。
【0188】
本明細書および特許請求の範囲において使用される「または」は、上で定義された「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。たとえば、リスト内の項目を区切る場合、「または」または「および/または」は包括的であると解釈され、つまり、要素の数またはリストの少なくとも1つだけでなく、複数も含めること、およびオプションで追加のリストにない項目を含めることができる。「の1つだけ」または「のまさに1つ」、または特許請求の範囲で使用される場合は「からなる」など、反対のことが明確に示された用語のみが、いくつかの要素または要素のリストのうちのちょうど1つの要素を含むことを指すものとする。一般に、本明細書で使用される「または」という用語は、その前に排他性の用語が付いている場合、「いずれか」、「のうちの1つ」、「のうちの1つだけ」、または「のうちの1つだけ」など、排他的な選択肢(つまり、「どちらか一方で両方ではない」)を示すものとしてのみ解釈されるものとする。特許請求の範囲で使用される場合、「本質的に~からなる」は、特許法の分野で使用される通常の意味を有するものとする。
【0189】
請求項において請求項要素を修正するために「第1」、「第2」、「第3」などの序数詞を使用すること自体は、ある請求項要素の他の請求項に対する優先順位、優先順位、または順序、または方法の動作が実行される時間的順序を意味するものではない。このような用語は、特定の名前を持つ1つの請求項要素を同じ名前を持つ別の要素から区別するためのラベルとしてのみ使用される(ただし、序数詞の使用のため)。
【0190】
本明細書で使用される表現および用語は説明を目的としたものであり、限定するものと見なされるべきではない。「包含する」、「含む」、「有する」、「含有する」、「関与する」、およびそれらの変形の使用は、その後に列挙される項目および追加の項目を包含することを意味する。
【0191】
本発明のいくつかの実施形態を詳細に説明してきたが、当業者であれば、様々な修正および改良を容易に思いつくであろう。そのような修正および改良は、本発明の精神および範囲内にあることが意図されている。したがって、前述の説明は単なる例であり、限定することを意図したものではない。本発明は、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義されるようにのみ限定される。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図14
図15A
図15B
図16A
図16B
図17
図18
図19
図20
図21
【国際調査報告】