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特表2024-521952多重標的リン酸化酵素阻害活性を有するヌクレオシド誘導体及びそれを含むがんの予防及び治療用薬学的組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】多重標的リン酸化酵素阻害活性を有するヌクレオシド誘導体及びそれを含むがんの予防及び治療用薬学的組成物
(51)【国際特許分類】
   C07H 19/14 20060101AFI20240528BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 15/14 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240528BHJP
   A61K 31/7064 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
C07H19/14 CSP
A61P35/00
A61P11/00
A61P1/04
A61P15/14
A61P1/16
A61P13/08
A61P43/00 111
A61K31/7064
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575577
(86)(22)【出願日】2022-05-31
(85)【翻訳文提出日】2023-12-07
(86)【国際出願番号】 KR2022007747
(87)【国際公開番号】W WO2022260336
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】10-2021-0073914
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】520188684
【氏名又は名称】フューチャー・メディシン・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】FUTURE MEDICINE CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ラクシン
(72)【発明者】
【氏名】イ,サングク
(72)【発明者】
【氏名】トリパティ,スシル クマール
(72)【発明者】
【氏名】マシェルカル,カリシュマ ケイ
(72)【発明者】
【氏名】ソン,キス
(72)【発明者】
【氏名】ヨム,ユンア
(72)【発明者】
【氏名】クォン,ジヨン
【テーマコード(参考)】
4C057
4C086
【Fターム(参考)】
4C057BB02
4C057CC03
4C057CC05
4C057DD01
4C057LL04
4C057LL18
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZA68
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZB26
4C086ZC20
(57)【要約】
本発明はリン酸化酵素を阻害することでがんの予防または治療に使用され得るヌクレオシド誘導体及びその薬学的組成物に関し、前記ヌクレオシド誘導体はNTRK1、CSNK1D、DYRK1A、DYRK1B、及びFLT3のようなリン酸化酵素に対して阻害活性を有し、それによってリン酸化酵素と直接間接的に関連する多様ながん細胞に対する阻害活性を示すため、肺がん、結腸がん、乳がん、肝がん、胃がん、及び前立腺がんなどの各種がんを予防または治治療するのに使用され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表されるヌクレオシド誘導体またはその薬学的に許容可能な塩。
【化1】
(前記化学式1において、
Xは酸素(0)または硫黄(S)であり、
Rは、水素(H);置換または非置換のC乃至C10のアルキル(alkyl);または置換または非置換のC乃至C20のアリール(aryl)またはアルキルアリール(alkylaryl)であり、
は置換または非置換のC乃至C10のヘテロアリール(heteroaryl);置換または非置換のC乃至Cのアルケニル(alkenyl);置換または非置換のC乃至C20のアリール(aryl);置換または非置換のC乃至Cのアルキニル(alkynyl);シアノ(cyano);アミド(amide);またはカルボキシル(carboxyl)であり、
はハロゲン(halogen);置換または非置換のアミン(amine);または置換または非置換のC乃至C20のアリール(aryl)またはアルキルアリール(alkylaryl)であり、
Yは水素(H);ヒドロキシ(hydroxy)、エステル(ester)、アルコキシ(alkoxy)、アリール(aryl)、ヘテロアリール(heteroaryl)、ヘテロシクロアルキル(heterocycloalkyl)、シクロアルキル(cycloalkyl)、アジド(azide)、アミン(amine)、置換されたアミン、尿素(urea)、またはアミド(amide)に置換されたアルキル(alkyl);または=CZであり、前記Zはそれぞれ独立して水素(H)またはC乃至Cのアルキル(alkyl)である。
【請求項2】
前記へ輝アリールは、フラにる(furanyl)、チオフェニル(thiophenyl)、ピロリル(pyrrolyl)、ピラニル(pyranyl)、ピラゾリル(pyrazolyl)、ピリジニル(pyridinyl)、トリアゾリル(triazolyl)、イミダゾリル(imidazolyl)、チアゾリル(thiazolyl)、ピリミジニル(pyrimidinyl)、ピラジニル(pyrazinyl)、ピリダジニル(pyridazinyl)、インドリル(indolyl)、キノリニル(quinolinyl)、またはプリニル(purinyl)であり、
前記ヘテロシクロアルキルは、テトラヒドロフラニル(tetrahydrofuranyl)、チオラニル(thiolanyl)、ピロリジニル(pyrrolidinyl)、テトラヒドロピラニル(tetrahydropyranyl)、ピぺリジニル(piperidinyl)、ジオキサニル(dioxanyl)、モルホリノ(morpholino)、またはテトラヒドロピリミジニル(tetrahydropyrimidinyl)であり、
前記アリールはフェニル(phenyl)、ナフタレニル(naphthalenyl)、アントラセニル(anthracenyl)、またはフェナントレニル(phenanthrenyl)であり、前記アルキルアリールはベンジル(benzyl)であり、
前記アルキニルは、エチニル(ethynyl)、プロピニル(propynyl)、ブチニル(butynyl)、ペンチニル(pentynyl)、ヘキシニル(hexynyl)、へプチニル(heptynyl)、オクチニル(octynyl)、ノニニル(nonynyl)、またはデシニル(decynyl)であり、
前記アルケニルはエテニル(ethenyl)、プロぺニル(propenyl)、ブテニル(butenyl)、ペンテニル(pentenyl)、へキセニル(hexenyl)、へプテニル(heptenyl)、オクテニル(octenyl)、ノネニル(nonenyl)、またはデセニル(decenyl)であり、
前記アルキルは、メチル(methyl)、エチル(ethyl)、プロピル(propyl)、ブチル(butyl)、またはペンチル(pentyl)である、
請求項1に記載のヌクレオシド誘導体またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項3】
はフラニル(furanyl)、チオフェニル(thiophenyl)、ビニル(vinyl)、フェニル(phenyl)、チオモルホリノ(Thiomorpholino)フェニル、チオモルホリノジオキシドフェニル、スルホンアミド(sulfonamide)フェニル、エチルスルホンアミドフェニル、エチニル(ethynyl)、プロピニル(propynyl)、ブチニル(butynyl)、ジメチルブチニル(dimethylbutynyl)、シクロプロピルエチニル(cyclopropylethynyl)、シアノ(cyano)、アミド(amide)またはカルボキシ(carboxy)であり、
は塩素(Cl)またはアミン(-NH)である、
請求項1に記載のヌクレオシド誘導体またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項4】
Yは水素、-CHOH、-CHOCOAr、-CH、-CHNH、-CHNHCOAr、-CHNHCONH、-CHN-alkyl、-CHN-cycloalkyl、-CHN(CHCHO、または=CHであるが、
前記「Ar」は、フェニル、クロロ(chloro)フェニル、メトキシ(methoxy)フェニル、ジメチル(dimethyl)フェニル、またはニコチニル(nicotinyl)であり、前記「alkyl」はメチル、エチル、プロピル、ブチル、またはペンチルであり、前記「cycloalkyl」はシクロプロピル(cyclopropyl)、シクロブチル(cyclobutyl)、シクロペンチル(cyclopentyl)、またはシクロヘキシル(cyclohexyl)である、
請求項1に記載のヌクレオシド誘導体またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項5】
前記化学式1は、下記化学式1a-1b、2a-2d、3、4a-4d、5、6、7a-7h、8a-8e、9a-9c、10a-10c、11ai-11aiii、11b、12a-12b、13a-13g、及び14のうち一つである請求項1に記載のヌクレオシド誘導体またはその薬学的に許容可能な塩。
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のうちいずれか一項に記載のヌクレオシド誘導体またはその薬学的に許容可能な塩を含む、
がんの予防または治療用薬学的組成物。
【請求項7】
前記がんは肺がん、結腸がん、乳がん、肝がん、胃がん、及び前立腺がんからなる群よりお選択される一つ以上である、
請求項6に記載のがんの予防または治療用薬学的組成物。
【請求項8】
前記ヌクレオシド誘導体またはその薬学的に許容可能な塩はリン酸化酵素阻害活性を有する、
請求項6に記載のがんの予防または治療用薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリン酸化酵素を阻害することでがんの予防または治療に使用され得るヌクレオシド誘導体及びそれを含む薬学的組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
がんの成長の主な原因のうち一つはリン酸化酵素(kinase)の突然変異である。タンパク質リン酸化酵素はタンパク質のリン酸化を仲裁することで細胞機能に重要な役割を担っている。これらはアデノシン三リン酸(Adenosine triphosphate;ATP)の末端リン酸基をタンパク質基質に移すことで信号伝達、遺伝子調節、そして代謝のような反応を起こすため、リン酸化酵素の調節障害はがんを含む多様な疾病に関連し得る。よって、リン酸化酵素をターゲットにしてヌクレオシド誘導体を開発すればがんの治療に活用し得る。
【0003】
抗がん剤の主な問題は薬物低個性であり、これは単一療法製を行っているがん患者によく発生している。このような状況の中、多重薬物療法戦略は抵抗危機を克服することができる。一つ以上のターゲットを目標とする多重標的阻害剤はがん細胞の増殖を防ぎ、2番目に腫瘍の発生を支持する微視的環境を防ぐことで、単一標的阻害剤の効果を乗り越えることができる。
【0004】
一方、ATPの窒素塩基は水素結合によって蝶番地域と、リボース環は糖ポケットの極性残基と相互作用するのに対し、知られているリン酸化酵素阻害剤は糖ポケットとは結合せず、蝶番地域や疎水性地域を占める。よって、本発明者は選択的なリン酸化酵素阻害剤のデザインにおいて、ATPが結合しない疎水性ポケットが阻害剤開発の重要な部位であることを認識した。
【0005】
そこで、本発明者は、窒素塩基は蝶番地域と水素結合を形成し、疎水性残基(下記化学式1のR)と他の疎水性残基(下記化学式1のR)を変形させることで、疎水性ポケットを占めるヌクレオシドリン酸化酵素阻害をデザインした。また、ATPのリボース環のように、糖の極性ヒドロキシ基が糖地域と水素結合を形成することで分子をぴったり合わせるようにするが、これは結合力を増加させるということを発見した。他にも糖の一部分(下記化学式1のY)を変形させることで、この部分がリン酸化酵素ドメインの三リン酸結合部位に重要な結合を形成することに基づいて、合成した化合物のリン酸化酵素阻害活性をを評価した。それによって、がん細胞における過発現に関連するリン酸化酵素であるNTRK1、DYRK1A、DYRK1B、FLT3、CSNK1Dに対して効能のある選択的阻害剤を見つけ、これらが優れた抗がん活性を示すことを確認して本発明を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、選択的に特定のリン酸化酵素を阻害することでがんの予防または治療に使用され得るヌクレオシド誘導体及びそれを含む薬学的組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための本発明の一実施例によるヌクレオシド誘導体は、下記化学式1で表される。
【0008】
【化1】
Xは酸素(0)または硫黄(S)であり、
Rは、水素(H);置換または非置換のC乃至C10のアルキル(alkyl);または置換または非置換のC乃至C20のアリール(aryl)またはアルキルアリール(alkylaryl)であり、
は置換または非置換のC乃至C10のヘテロアリール(heteroaryl);置換または非置換のC乃至Cのアルケニル(alkenyl);置換または非置換のC乃至C20のアリール(aryl);置換または非置換のC乃至Cのアルキニル(alkynyl);シアノ(cyano);アミド(amide);またはカルボキシル(carboxyl)であり、
はハロゲン(halogen);置換または非置換のアミン(amine);または置換または非置換のC乃至C20のアリール(aryl)またはアルキルアリール(alkylaryl)であり、
Yは水素(H);ヒドロキシ(hydroxy)、エステル(ester)、アルコキシ(alkoxy)、アリール(aryl)、ヘテロアリール(heteroaryl)、ヘテロシクロアルキル(heterocycloalkyl)、シクロアルキル(cycloalkyl)、アジド(azide)、アミン(amine)、置換されたアミン、尿素(urea)、またはアミド(amide)に置換されたアルキル(alkyl);または=CZであり、前記Zはそれぞれ独立して水素(H)またはC乃至Cのアルキル(alkyl)である。
【0009】
前記R、R、R、及びYが置換される場合、C乃至Cのアルキル、C乃至C10のヘテロアリール及びスルホンアミド(sulfonamide)のうち一つ以上の置換される。
【0010】
前記へテルアリールは、フラニル(furanyl)、チオフェニル(thiophenyl)、ピロリル(pyrrolyl)、ピラニル(pyranyl)、ピラゾリル(pyrazolyl)、ピリジニル(pyridinyl)、トリアゾリル(triazolyl)、イミダゾリル(imidazolyl)、チアゾリル(thiazolyl)、ピリミジニル(pyrimidinyl)、ピラジニル(pyrazinyl)、ピリダジニル(pyridazinyl)、インドリル(indolyl)、キノリニル(quinolinyl)、またはプリニル(purinyl)である。
【0011】
前記ヘテロシクロアルキルは、テトラヒドロフラニル(tetrahydrofuranyl)、チオラニル(thiolanyl)、ピロリジニル(pyrrolidinyl)、テトラヒドロピラニル(tetrahydropyranyl)、ピぺリジニル(piperidinyl)、ジオキサニル(dioxanyl)、モルホリノ(morpholino)、またはテトラヒドロピリミジニル(tetrahydropyrimidinyl)である。
【0012】
前記アリールはフェニル(phenyl)、ナフタレニル(naphthalenyl)、アントラセニル(anthracenyl)、またはフェナントレニル(phenanthrenyl)であり、前記アルキルアリールはベンジル(benzyl)である。
【0013】
前記アルキニルはエチニル(ethynyl)、プロピニル(propynyl)、ブチニル(butynyl)、ペンチニル(pentynyl)、ヘキシニル(hexynyl)、へプチニル(heptynyl)、オクチニル(octynyl)、ノニニル(nonynyl)、またはデシニル(decynyl)である。
【0014】
前記アルケニルはエテニル(ethenyl)、プロぺニル(propenyl)、ブテニル(butenyl)、ペンテニル(pentenyl)、へキセニル(hexenyl)、へプテニル(heptenyl)、オクテニル(octenyl)、ノネニル(nonenyl)、またはデセニル(decenyl)である。
【0015】
前記アルキルはメチル(methyl)、エチル(ethyl)、プロピル(propyl)、ブチル(butyl)、またはペンチル(pentyl)である。
【0016】
詳しくは、Xは硫黄であり、Rは水素であり、Rはフラニル(furanyl)、チオフェニル(thiophenyl)、ビニル(vinyl)、フェニル(phenyl)、チオモルホリノ(Thiomorpholino)フェニル、チオモルホリノジオキシドフェニル、スルホンアミド(sulfonamide)フェニル、エチルスルホンアミドフェニル、エチニル(ethynyl)、プロピニル(propynyl)、ブチニル(butynyl)、ジメチルブチニル(dimethylbutynyl)、シクロプロピルエチニル(cyclopropylethynyl)、シアノ(cyano)、アミド(amide)またはカルボキシ(carboxy)であり、Rは塩素(Cl)またはアミン(-NH)であり、Yは水素、-CHOH、-CHOCOAr、-CH、-CHNH、-CHNHCOAr、-CHNHCONH、-CHN-alkyl、-CHN-cycloalkyl、-CHN(CHCHO、または=CHである。
【0017】
この際、前記「Ar」はアリールであって、フェニル、クロロ(chloro)フェニル、メトキシ(methoxy)フェニル、ジメチル(dimethyl)フェニル、またはニコチニル(nicotinyl)であり、前記「alkyl」はメチル、エチル、プロピル、ブチル、またはペンチルであり、前記「cycloalkyl」はシクロプロピル(cyclopropyl)、シクロブチル(cyclobutyl)、シクロペンチル(cyclopentyl)、またはシクロヘキシル(cyclohexyl)である。
【0018】
より詳しくは、本発明の一実施例によるヌクレオシド誘導体は、下記化学式1a-1b、2a-2d、3、4a-4d、5、6、7a-7h、8a-8e、9a-9c、10a-10c、11ai-11aiii、11b、12a-12b、13a-13g、及び14のうち一つで表現される。
【0019】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【0020】
前記本発明のヌクレオシド誘導体は薬学的に許容可能な塩の形態で提供される。塩としては、薬学的に許容される多様な有機酸または無機酸によって形成される酸付加塩が有用である。
【0021】
但し、これに限らず、本発明のヌクレオシド誘導体は通常の方法によって製造される全ての塩、水和物、及び溶媒化物の形態で提供されてもよい。
【0022】
上述したような本発明のヌクレオシド誘導体はNTRK1、CSNK1D、DYRK1A、DYRK1B、及びFLT3のようなリン酸化酵素に対して阻害活性を有し(実験例1を参照)、それによってリン酸化酵素と直接間接的に関連する多様ながん細胞に対する阻害活性を示すため(実験例2を参照)、肺がん(Lung cancer)、結腸がん(Colon cancer)、乳がん(Breast cancer)、肝がん(Liver cancer)、胃がん(Stomach cancer)、及び前立腺がん(Prostate cancer)などの各種がんを予防または治療し得る右薬学的組成物に含まれる。
【0023】
つまり、本発明のがんの予防または治療用薬学的組成物は前記ヌクレオシド誘導体またはその薬学的に許容可能な塩を含み、前記がんは肺がん、結腸がん、乳がん、肝がん、胃がん、及び前立腺がんからなる群より選択される一つ以上であり、前記ヌクレオシド誘導体またはその薬学的に許容可能な塩はリン酸化酵素阻害活性を有する。
【0024】
前記薬学的組成物は全身的または局部的に投与されるが、投与のために一般に使用される充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの賦形剤(または希釈剤)を使用して剤型化される。
【0025】
前記薬学的組成物の好ましい投与量は、患者の状態及び体重、疾病の程度、薬物の形態、投与経路及び期間など多数の因子によって異なるが、当業者によって適切に選択される。また、投与経路は患者の状態及びその重症度によって変化する。
【0026】
その他の実施例の具体的な事項は詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0027】
本発明の実施例によるヌクレオシド誘導体またはその薬学的に許容可能な塩はNTRK1、CSNK1D、DYRK1A、DYRK1B、及びFLT3のようなリン酸化酵素に対して阻害活性を有し、それによってリン酸化酵素と直接間接的に関連する多様ながん細胞に対する阻害活性を示すため、肺がん、結腸がん、乳がん、肝がん、胃がん、及び前立腺がんなどの各種がんを予防または治療するのに使用され得る。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書で使用された用語は実施例を説明するためのものであって、本発明を制限するものではない。本明細書において、「及び/または」は言及されたアイテムそれぞれ及び一つ以上の全ての組み合わせを含む。また、単数形は文の中で特に言及されない限り複数形も含む。明細書で使用される「含む(comprises)」及び/または「含む(comprising)」は、言及された構成要素以外にも一つ以上の他の構成要素の存在または追加を排除しない。「-」または「乃至」を使用して示した数値範囲は他の言及がない限り、その前後に記載の値をそれぞれ下限と上限として含む数値範囲を示す。「約」または「おおよそ」は、その後に記載の値及び数値範囲の20%以内の値または数値範囲を意味する。
【0029】
本発明において、「予防」とは、症状または疾患はまだないが、このような症状または疾患にかかる可能性がある個体で症状または疾患の発生を抑制することを意味する。
【0030】
本明細書において、「治療」とは、個体で(a)症状または疾患の発展(悪化)の抑制、(b)症状または疾患の軽減または改善、または(c)症状または疾患の除去を意味する。
【0031】
本明細書において、「個体」とは、本発明の組成物を投与することで「予防」または「治療」される症状または疾患を有するヒトを含む動物、特に哺乳類を意味する。
【0032】
本明細書において、「置換されたC乃至Cn+m」の化合物とは、置換された部分を含む化合物の全ての炭素の個数がn乃至n+mである場合はもちろん、置換された部分を除外した化合物の炭素の個数がn乃至n+mも含む。
【0033】
以下、本発明の実施例を製造例と実験例を介して詳細に説明するが、本発明の効果が下記実験例によって制限されないことは明らかである。
【0034】
製造例:本発明のヌクレオシド誘導体の製造
製造例1:化合物1a-1b及び2a-2dの合成
【化16】
【0035】
製造例1-1:7-((3aR,4R,6R,6aS)-6-(((テルト-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロシアノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)-4-クロロ-5-ヨード-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン(化合物16)の合成
無水アセトニトリルに4-クロロ-5-ヨード-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン(2.6g、9.33mmol)とビス(トレメチルシリル)アセトアミド(BSA、2.5mL、10.27mmol)を窒素置換下に入れ、10分間撹拌した。この溶液に化合物15(5g、10.27mmol)を無水アセトニトリルに溶解してから入れ、トリメチルシリルフルオロメタンスルホン酸塩(1.5mL、8.40mmol)を滴加し、常温で15分間撹拌した後、80℃で1時間更に攪拌した。反応が終結したことを確認した後、常温で酢酸エチル(700mL)で抽出し、有機層を分液して飽和炭酸水素ナトリウム水溶液とbrineで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧濾過によって残余固体を除去し、減圧濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィで化合物16(2.9g、40%)を得た。
【0036】
H NMR(CDOD,500MHz):δ8.46(s,1H),7.87(s,1H),7.64-7.58(m,4 H),7.40-7.33(m,4H),7.31-7.28(m,2H),6.24(d,J=2.2Hz,1H),5.10(dd,J=5.5,2.2Hz,1H),4.96(dd,J=5.5,2.1Hz,1H),3.88(dd,J=10.4,7.2Hz,1H),3.81(dd,J=10.4,7.3Hz,1H),3.75(td,J=7.2,2.1Hz,1H),1.55(s,3H),1.28(s,3H),1.04(s,9H);HRMS(ESI-Q-TOF) m/z[M+H] for C3034ClINSSi calculated 706.0818,found 706.0798.
【0037】
製造例1-2:7-((3aR,4R,6R,6aS)-6-(((テルト-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロシアノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)-5-ヨード-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-アミン(化合物17)の合成
化合物16(2.9g、4.11mmol)物質をstainless steel bombでNH/t-BuOH(30 mL)も溶かした後、90℃で24時間撹拌した。反応終結後、常温で反応溶液を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィで分離して化合物17(2.42g、86%)を得た。
【0038】
H NMR(CDCl,500MHz):δ8.22(s,1H),7.64-7.62(m,4H),7.43-7.40(m,2H),7.37-7.33(m,5H),6.21(d,J=2.7Hz,1H),5.88(brs,2H),4.88(dd,J=5.6,2.8Hz,1H),4.78(dd,J=5.6,2.8Hz,1H),3.86-3.79(m,2H),3.77-3.75(m,1H),1.58(s,3H),1.27(s,3H),1.07(s,9H);HRMS(ESI-Q-TOF) m/z[M+H] for C3036INSSi calculated 687.1317,found 687.1301.
【0039】
製造例1-3:7-((3aR,4R,6R,6aS)-6-(((テルト-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロシアノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-アミンと、7-((3aR,4R,6R,6aS)-6-(((テルト-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロシアノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)-5-(チオフェン-2-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-アミン(化合物18a/18b)の合成
公知の合成法(A):化合物17(1当量)をテトラヒドロフランに溶かした後、PdCl(PPh(15mol%)触媒を入れて5分間窒素置換した。2-(トリブチルスタンニル)ヘタリール(2.5当量)を入れた後、マイクロウェーブで70℃で1時間攪拌した。反応が終わった後、水とbrineで反応を終結させ、酢酸エチルで抽出した。有機溶媒層を分液して減圧濃縮した後、カラムクロマトグラフィで純粋な物質を分離する。
【0040】
化合物18aは黄色の粘性物質で、88%の収率で得た;H NMR(CDCl,400MHz):δ8.27(s,1H),7.64-7.61(m,4H),7.47-7.46(m,1H),7.39-7.36(m,3H),7.33-7.29(m,4H),6.45-6.44(m,1H),6.28-6.27(m,2H),5.98(brs,2H),4.95(dd,J=5.9,3.2Hz,1H),4.82(dd,J=5.9,3.2Hz,1H),3.92-3.82(m,2H),3.79-3.75(m,1H),1.59(s,3H),1.28(s,3H),1.05(s,9H);HRMS(ESI-Q-TOF) m/z[M+H] for C3439SSi calculated 627.2456,found 627.2463.
【0041】
化合物18bは無色の粘性物質で、92%の収率で得た;H NMR(CDCl,400MHz):δ8.28(s,1H),7.62-7.59(m,4H),7.37-7.34(m,3H),7.32-7.27(m,4H),7.23(s,1H),7.10-7.07(m,1H),7.00-6.99(m,1H),6.28(d,J=2.7Hz,1H),5.41(brs,2H),4.94(dd,J=5.5,3.2Hz,1H),4.81(dd,J=5.9,3.2Hz,1H),3.91-3.82(m,2H),3.79-3.74(m,1H),1.59(s,3H),1.28(s,3H),1.03(s,9H);HRMS(ESI-Q-TOF) m/z[M+H] for C3439S2Si calculated 643.2227,found 643.2218.
【0042】
製造例1-4:(2R,3R,4S,5R)-2-(4-アミノ-5-(フラン-2-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロチオフェン-3,4-ジオールと、(2R,3R,4S,5R)-2-(4-アミノ-5-(チオフェン-2-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロチオフェン-3,4-ジオール(化合物1aと1b)の合成
公知の合成法(B):化合物18a/18bをテトラヒドロフランに溶解した後、50%トリフルオロ酢酸水溶液を滴加して12時間攪拌した。弱塩基性正イオン交換樹脂(Dowex(登録商標) 66 free base)と1時間撹拌して中和し、減圧濾過して残余固体を除去した。減圧濾過後、シリカゲルカラムクロマトグラフィによって化合物1a/1bをそれぞれ75%、81%の収率で得た。
【0043】
製造例1-5:化合物19a-19dの合成
公知の合成法(C):化合物17(1当量)にホウ酸塩エステル、PdCl(PPh)(6mol%)、炭酸ナトリウム(2当量)を入れ、窒素置換されたジメチルホルムアミド/蒸留水(0.14M/0.36M)に溶解した後、マイクロウェーブで70℃、1時間攪拌した。蒸留水で反応を終結させた後、酢酸エチルで抽出した。有機溶媒層を分液してから蒸留水とbrineで洗浄し、減圧濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィによって化合物19a-dを得た。
【0044】
7-((3aR,4R,6R,6aS)-6-(((テルト-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロシアノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)-5-ビニル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-アミン(化合物19a)。化合物19aは黄色の粘性物質で、85%の収率で得た;H NMR(CDOD,400MHz):δ8.03(s,1H),7.64(t,J=9.2Hz,4H),7.42-7.39(m,3 H),7.37-7.31(m,4H),6.91(dd,J=17.2,10.8Hz,1H),6.21(s,1H),5.44(d,J=17.6Hz,1H),5.20(d,J=10.8Hz,1H),5.07-5.05(m,1H),4.96-4.95(m,1H),3.93-3.89(m,1H),3.86-3.81(m,1H),3.73-3.69(m,1H),1.55(s,3H),1.29(s,3H),1.04(s,9H);HRMS(ESI-Q-TOF) m/z[M+H] for C32H39SSi calculated 587.2507,found 587.2506.
【0045】
7-((3aR,4R,6R,6aS)-6-(((テルト-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロシアノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)-5-フェニル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-アミン(化合物19b)。化合物19bは無色の粘性物質で、91%の収率で得た;H NMR(CDOD,400MHz):δ8.11(s,1H),7.62-7.59(m,4H),7.43-7.41(m,3H),7.39-7.33(m,4H),7.29-7.26(m,4H),7.23(s,1H),6.27(d,J=2.7Hz,1H),5.09(dd,J=5.4,2.7Hz,1H),4.96(dd,J=5.5,2.3Hz,1H),3.92-3.82(m,2H),3.75-3.71(m,1H),1.57(s,3H),1.30(s,3H),1.01(s,9H);HRMS(ESI-Q-TOF) m/z[M+H] for C3641SSi calculated 637.2663,found 637.2646.
【0046】
4-(4-(4-アミノ-7-((3aR,4R,6R,6aS)-6-(((テルト-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロシアノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-イル)フェニル)チオモルホリン1,1-ジオキシド(化合物19c)。化合物19cは無色の粘性物質で、89%の収率で得た;H NMR(CDCl,400MHz):δ8.27(s,1H),7.61-7.59(m,4H),7.40-7.34(m,4H),7.32-7.27(m,4H),7.14(s,1H),6.94-6.92(m,2H),6.31(d,J=3.6Hz,1H),5.28(brs,2H),4.99(dd,J=5.9,3.2Hz,1H),4.82(dd,J=5.9,2.7Hz,1H),3.93-3.86(m,4H),3.84-3.82(m,2H),3.79-3.75(m,1H),3.13-3.11(m,4H),1.60(s,3H),1.29(s,3H),1.03(s,9H);HRMS(ESI-Q-TOF) m/z[M+H] for C4048Si calculated 770.2861,found 770.2865.
【0047】
N-(4-(4-アミノ-7-((3aR,4R,6R,6aS)-6-(((テルト-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロシアノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-イル)フェニル)エタンスルホンアミド(化合物19d)。化合物19dは無色の粘性物質で、87%の収率で得た;H NMR(CDCl,500MHz):δ8.29(s,1H),7.60-7.59(m,4H),7.39-7.34(m,2H),7.32-7.30(m,4H),7.28-7.27(m,2H),7.25-7.24(m,2H),7.20(s,1H),6.66(brs,1H),6.30(d,J=2.9Hz,1H),5.37(brs,2H),4.97(dd,J=5.6,3.0Hz,1H),4.82(dd,J=5.6,2.7Hz,1H),3.90-3.82(m,2H),3.80-3.78(m,1H),3.15(q,J=14.7,7.3Hz,2H),1.60(s,3H),1.39(t,J=7.3Hz,3H),1.29(s,3H),1.02(s,9H);HRMS(ESI-Q-TOF) m/z[M+H] for C3846Si calculated 744.2704,found 744.2698.
【0048】
製造例1-6:化合物2a-2dの合成
前記公知の合成法(B)を利用して化合物2a-dをそれぞれ78%、81%、80%、80%の収率で合成した。
【0049】
製造例2:化合物3及び4a-4dの合成
【化17】
【0050】
製造例2-1:7-((3aR,4R,6R,6aS)-6-(((テルト-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロシアノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)-5-((トリメチルシリル)エチニル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-アミン(化合物20)の合成
公知の合成法(D):化合物17にヨウ化銅(I)(25mol%)、PdCl(PPh(10mol%)を入れた後、ジメチルホルムアミド-トリエチルアミン(4:1)を入れて5分間窒素置換した。相応するアルキンを入れ、マイクロウェーブで50℃で1時間攪拌した。酢酸エチルと蒸留水で抽出し、有機層を分液した後、無水MgSOで乾燥して、減圧濾過によって残余固体を除去した。ろ液を減圧濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィで化合物を得た。
【0051】
化合物20は無色の粘性物質で、93%の収率で得た;H NMR(CDCl,500MHz):δ8.24(s,1H),7.65-7.62(m,4H),7.42-7.39(m,3H),7.37-7.34(m,4H),6.19(d,J=2.6Hz,1H),5.73(brs,2H),4.89(dd,J=5.6,2.6Hz,1H),4.78(dd,J=5.6,2.3Hz,1H),3.87-3.84(m,1H),3.79-3.73(m,2H),1.57(s,3H),1.27(s,3H),1.07(s,9H),0.24(s,9H);HRMS(ESI-Q-TOF) m/z[M+H] for C3545SSi calculated 657.2745,found 657.2739.
【0052】
製造例2-2:((3aR,4R,6R,6aS)-6-(4-アミノ-5-エチニル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチルテトラヒドロシアノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)メタノール(化合物21)の合成
公知の合成法(E):化合物20(0.58g、0.88mmol)を無水テトラヒドロフラン(5.8mL)に溶解した後、1Mフッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(2.64mL、2.64mmol)を加えた。反応溶液を常温で40分間撹拌した後、塩化アンモニウムで反応を終結した。酢酸エチルで抽出した後、有機溶媒層を分液して蒸留水とbrineで洗浄した後、無水MgSOで乾燥し、減圧濾過で残余固体を除去した。減圧濾過後、シリカゲルクロマトグラフィで化合物21(0.27g、90%)を得た。
【0053】
H NMR(CDOD,500MHz):δ8.12(s,1H),7.78(s,1H),6.27(d,J=3.0Hz,1H),5.14(dd,J=5.3,3.1Hz,1H),4.97(dd,J=5.4,2.2Hz,1H),3.79-3.74(m,2H),3.73(s,1H),3.71-3.68(m,1H),1.58(s,3H),1.32(s,3H);HRMS(ESI-Q-TOF) m/z[M+H] for C1619S calculated 347.1172,found 347.1168.
【0054】
製造例2-3:(2R,3R,4S,5R)-2-(4-アミノ-5-エチニル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロチオフェン-3,4-ジオール(化合物3)の合成
公知の合成法(F):化合物21(0.21g、0.60mmol)を無水テトラヒドロフランに溶解した後、低温で2N塩酸水溶液(6mL)を滴加し、常温で15時間攪拌した。反応終結後、弱塩基性正イオン交換樹脂(Dowex(登録商標) 66 free base)で1時間撹拌しながら中和した。減圧濾過で残余固体を除去してから減圧濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィで化合物3(0.13g、72%)を白色固体で得た。
【0055】
製造例2-4:化合物22a-22dの合成
化合物22a-dは前記公知の合成法(D)によって合成した。
【0056】
7-((3aR,4R,6R,6aS)-6-(((テルト-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロシアノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)-5-(プロプ-1-イン-1-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-アミン(化合物22a)。化合物22aは粘性物質で、96%の収率で得た;H NMR(CDCl,400MHz):δ8.22(s,1H),7.66-7.63(m,4H),7.41-7.40(m,2H),7.38-7.34(m,4H),7.30(s,1H),6.20(d,J=2.8Hz,1H),5.74(brs,2H),4.90(dd,J=5.6,2.8Hz,1H),4.80(dd,J=6.0,5.8Hz,1H),3.88(dd,J=10,6.8Hz,1H),3.82-3.75(m,2H),2.07(s,3H),1.58(s,3H),1.28(s,3H),1.08(s,9H);HRMS(ESI-Q-TOF) m/z[M+H] for C3339SSi calculated 599.2507,found 599.2512.
【0057】
5-(ブト-1-イン-1-イル)-7-((3aR,4R,6R,6aS)-6-(((テルト-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロシアノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-アミン(化合物22b)。化合物22bは粘性物質で、91%の収率で得た;H NMR(CDCl,500MHz):δ8.22(s,1H),7.65-7.62(m,4H),7.42-7.39(m,2H),7.37-7.34(m,4H),7.30(s,1H),6.19(d,J=2.7Hz,1H),5.68(brs,2H),4.89(dd,J=5.7,2.8Hz,1H),4.79(dd,J=5.6,2.8Hz,1H),3.87-3.85(m,1H),3.80-3.77(m,1H),3.76-3.74(m,1H),2.43(q,J=14.9,7.5Hz,2H),1.57(s,3H),1.27(s,3H),1.23(t,J=7.5Hz,3 H),1.06(s,9H);HRMS(ESI-Q-TOF) m/z[M+H] for C3441SSi calculated 613.2663,found 613.2669.
【0058】
7-((3aR,4R,6R,6aS)-6-(((テルト-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロシアノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)-5-(3,3-ジメチルブト-1-イン-1-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-アミン(化合物22c)。化合物22cは粘性物質で、80%の収率で得た;H NMR(CDCl,500MHz):δ8.21(s,1H),7.64(t,J=6.4Hz,4H),7.42-7.40(m,2H),7.38-7.34(m,4H),7.32(s,1H),6.20(d,J=2.6Hz,1H),5.83(brs,2H),4.88(dd,J=5.6,2.7Hz,1H),4.77(dd,J=5.5,2.5Hz,1H),3.87(dd,J=9.7,6.2Hz,1H),3.79-3.73(m,2H),1.57(s,3H),1.31(s,9H),1.26(s,3H),1.07(s,9H);HRMS(ESI-Q-TOF) m/z[M+H] for C3645SSi calculated 641.2976,found 641.2991.
【0059】
7-((3aR,4R,6R,6aS)-6-(((テルト-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロシアノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)-5-(シクロプロピルエチニル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-アミン(化合物22d)。化合物22dは粘性物質で、92%の収率で得た;H NMR(CDCl,400MHz):δ8.21(s,1H),7.66-7.63(m,4H),7.44-7.40(m,2H),7.39-7.34(m,4H),7.31(s,1H),6.19(d,J=3.2Hz,1H),5.93(brs,2H),4.88(dd,J=5.9,3.2Hz,1H),4.79(dd,J=5.9,2.7Hz,1H),3.89-3.85(m,1H),3.82-3.73(m,2H),1.58(s,3H),1.49-1.44(m,1H),1.27(s,3H),1.07(s,9H),0.92-0.85(m,2H),0.79-0.75(m,2H);HRMS(ESI-Q-TOF) m/z[M+H] for C3541SSi calculated 625.2663,found 625.2667.
【0060】
製造例2-5:化合物4a-4dの合成
前記公知の合成法(B)によって化合物4a-dをそれぞれ83%、86%、82%、86%の収率で合成した。
【0061】
製造例3:化合物5及び6の合成
【化18】
【0062】
製造例3-1:4-アミノ-7-((3aR,4R,6R,6aS)-6-(((テルト-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロシアノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボニトリル(化合物23)の合成
化合物17(0.42g、0.62mmol)をジメチルホルムアミド(5mL)に溶解した後、シアン化亜鉛(0.10g、0.92mmol)、Pd(PPh(0.0071g、0.06mmol)を加え、マイクロウェーブで150℃で15分間撹拌した。反応が終わった後、常温で減圧濾過し、残所固体を除去してから減圧濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィで化合物23(0.29g、82%)を得た。
【0063】
H NMR(CDCl,400MHz):δ8.36(s,1H),7.78(s,1H),7.66-7.62(m,4H),7.45-7.35(m,6H),6.17(d,J=2.4Hz,1H),4.91(dd,J=2.4Hz,J=5.6Hz,1H),4.82(d,J=5.6Hz,1H),3.81(s,3H),1.61(s,3H),1.30(s,3H),1.09(s,9H).HRMS(ESI-Q-TOF) m/z[M+H] for C31H36SSi calculated 586.2303,found 586.2311.
【0064】
製造例3-2:4-アミノ-7-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロチオフェン-2-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボニトリル(化合物5)の合成
化合物23(0.23g、0.42mmol)をテトラヒドロフラン(5mL)に溶解した後、50%トリフルオロ酢酸(5mL)水溶液を0℃で加えた。常温で12時間攪拌した後、反応が完結したらトルエンと共に蒸発させた。シリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、化合物5(0.078g、65%)を得た。
【0065】
製造例3-3:4-アミノ-7-((3aR,4R,6R,6aS)-6-(((テルト-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロシアノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボキサミド(化合物24)の合成
エタノール-蒸留水に化合物23(0.25g、0.77mmol)を溶解した後、ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(0.18g、1.93mmol)と炭酸カリウム(0.32g、2.32mmol)を加え、20時間還流しながら撹拌した。生成された固体を減圧濾過し、メタノールで洗浄してから乾燥した。化合物24は合成後、精製過程なしに次の反応に使用した。
【0066】
製造例3-4:4-アミノ-7-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)ペトラヒドロチオフェン-2-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボキサミド(化合物6)の合成
化合物24から、前記公知の合成法(F)を利用して化合物6(105mg、77% 2ステップ)を合成した。
【0067】
下記表1及び表2は、下記化学式Iで表される化合物のH NMR及びHRMS(High resolution mass spectrometry)データをそれぞれまとめたものである。
【0068】
【化19】
【0069】
【表1-1】
【表1-2】
【0070】
【表2】
【0071】
製造例4:化合物7a-7hの合成
【化20】
【0072】
製造例4-1:化合物25a-25dの合成
化合物18a、20、23、24(1当量)を無水テトラヒドロフランにそれぞれ溶解した後、4-ジメチルアミノピリジン(3当量)とジ-テルト-ブチルジカルボネート(6当量)を加えた。反応溶液を常温で12時間攪拌した後、反応が終結したことを確認する。減圧濃縮後、蒸留水と酢酸エチルで抽出し、有機溶媒層を分液した後、無水MgSOで乾燥した。減圧濾過で残余固体を除去した後、減圧濃縮して、それぞれ精製されていない化合物25a-dを得た。
【0073】
製造例4-2:化合物26a-26dの合成
化合物26a-dは前記公知の合成法(E)を利用して合成した。
【0074】
テルト-ブチル(テルト-ブトキシカルボニル)(5-フラン-2-イル)-7-((3aR,4R,6R,6aS)-6-(ヒドロキシメチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロシアノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)カルバメート(化合物26a)。化合物26aは粘性物質で、61%の収率で得た;H NMR(CDCl,400MHz):δ8.84(s,1H),7.67(s,1H),7.42(d,J=1.8Hz,1H),6.46-6.43(m,2H),6.23(d,J=3.6Hz,1H),5.28(dd,J=5.5,3.6Hz,1H),4.98(dd,J=5.5,1.3Hz,1H),4.01(s,2H),3.89(s,2H),1.65(s,3H),1.34(s,3H),1.27(s,18H);HRMS(ESI-Q-TOF) m/z[M+H] for C2837S calculated 589.2327,found 589.2322.
【0075】
テルト-ブチル(テルト-ブトキシカルボニル)(5-フラン-7-((3aR,4R,6R,6aS)-6-(ヒドロキシメチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロシアノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)カルバメート(化合物26b)。化合物26bは粘性物質で、90%の収率で得た;H NMR(CDOD,400MHz):δ8.78(s,1H),8.30(s,1H),6.46(d,J=2.8Hz,1H),5.21(dd,J=5.6,3.2Hz,1H),5.02(dd,J=5.2,1.2Hz,1H),3.79-3.74(m,3H),3.67(s,1H),1.61(s,3H),1.34(s,21H);HRMS(ESI-Q-TOF) m/z[M+H] for C2635S calculated 547.2221,found 547.2214.
【0076】
化合物26c、26dは精製過程なしに次の反応に使用した。
【0077】
製造例4-3:化合物27a-27hの合成
公知の合成法(G):化合物26a-d(1当量)をジクロロメタンに溶解した後、4-ジメチルアミノピリジン(0.08当量)、トリエチルアミン(2.5当量)、塩化ベンゾイル(1.1当量)をそれぞれ0℃で加えた。常温で15時間攪拌した後、反応が終結したことを確認する。反応溶液を蒸留水と酢酸エチルで抽出し、有機溶媒層を分液した後、無水MgSOで乾燥した。減圧濾過によって残余固体を除去した後、減圧濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィで精製して化合物を得た。
【0078】
((3aR,4R,6R,6aS)-6-(4-ビス(テルト-ブトキシカルボニル)アミノ)-5-(フラン-2-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチルテトラヒドロシアノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)安息香酸メチル(化合物27a)。化合物27aは化合物26aから合成され、粘性物質であって、75%の収率で得た;H NMR(CDCl,400MHz):δ8.87(s,1H),8.03(dd,J=8.6,1.3Hz,2H),7.74(s,1H),7.58-7.54(m,1H),7.44-7.41(m,2H),7.39-7.38(m,1H),6.44(d,J=2.7Hz,1H),6.42-6.40(m,2H),5.25(dd,J=5.4,2.2Hz,1H),5.04(dd,J=5.4,3.2Hz,1H),4.70(dd,J=11.4,7.3Hz,1H),4.50(dd,J=11.4,6.4Hz,1H),4.02(td,J=6.8,3.2Hz,1H),1.64(s,3H),1.34(s,3H),1.29(s,9H),1.26(s,9H);HRMS(ESI-Q-TOF) m/z[M+H] for C3541S calculated 693.2589,found 693.2585.
【0079】
((3aR,4R,6R,6aS)-6-(4-ビス(テルト-ブトキシカルボニル)アミノ)-5-エチニル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチルテトラヒドロシアノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)安息香酸メチル(化合物27b)。化合物27bは化合物26bから合成され、無色の粘性物質であって、94%の収率で得た;H NMR(CDCl,500MHz):δ8.86(s,1H),8.04-8.02(m,2H),7.70(s,1H),7.58-7.55(m,1H),7.46-7.43(m,2H),6.34(d,J=2.4Hz,1H),5.21(dd,J=5.6,2.4Hz,1H),5.04(dd,J=5.6,3.3Hz,1H),4.66(dd,J=11.4,7.4Hz,1H),4.51(dd,J=11.4,6.4Hz,1H),4.02-3.99(m,1H),3.14(s,1H),1.63(s,3H),1.38(s,18H),1.33(s,3H);HRMS(ESI-Q-TOF) m/z[M+H] for C3339S calculated 651.2483,found 651.2485.
【0080】
((3aR,4R,6R,6aS)-6-(4-ビス(テルト-ブトキシカルボニル)アミノ)-5-エチニル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチルテトラヒドロシアノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)メチル4-クロロ安息香酸(化合物27c)。化合物27cは化合物26cから合成され、粘性物質であって、78%の収率で得た;H NMR(CDOD,500MHz):δ8.80(s,1H),8.04(s,1H),7.99-7.96(m,2H),7.49-7.48(m,2H),6.44(d,J=2.2Hz,1H),5.44(dd,J=5.5,2.2Hz,1H),5.26(dd,J=5.5,2.7Hz,1H),4.65(dd,J=11.3,7.7Hz,1H),4.45(dd,J=11.3,6.6Hz,1H),4.03-4.0(m,1H),3.66(s,1H),1.60(s,3H),1.35(s,3H),1.33(s,18H);HRMS(ESI-Q-TOF) m/z[M+H] for C3338ClNS calculated 685.2093,found 685.2092.
【0081】
((3aR,4R,6R,6aS)-6-(4-ビス(テルト-ブトキシカルボニル)アミノ)-5-エチニル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチルテトラヒドロシアノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)メチル4-メトキシ安息香酸(化合物27d)。化合物27dは化合物26bから合成され、粘性物質であって、82%の収率で得た;H NMR(CDCl,500MHz):δ8.85(s,1H),7.98-7.97(m,2H),7.71(s,1H),6.92-6.90(m,2H),6.35(d,J=2.3Hz,1H),5.18(dd,J=5.5,2.4Hz,1H),5.02(dd,J=5.5,3.2Hz,1H),4.63(dd,J=11.4,7.3Hz,1H),4.47(dd,J=11.4,6.4Hz,1H),4.01-3.97(m,1H),3.84(s,3H),3.13(s,1H),1.62(s,3H),1.37(s,18H),1.33(s,3H);HRMS(ESI-Q-TOF) m/z[M+H] for C3441S calculated 681.2589,found 681.2591.
【0082】
((3aR,4R,6R,6aS)-6-(4-ビス(テルト-ブトキシカルボニル)アミノ)-5-エチニル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチルテトラヒドロシアノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)メチル2,6-ジメチル安息香酸(化合物27e)。化合物27eは化合物26bから合成され、粘性物質であって、84%の収率で得た;H NMR(CDCl,400MHz):δ8.84(s,1H),7.64(s,1H),7.21-7.17(m,1H),7.05-7.02(m,2H),6.33(d,J=3.0Hz,1H),5.18(dd,J=6.1,3.0Hz,1H),5.02(dd,J=5.5,3.0Hz,1H),4.64-4.53(m,2H),3.98(td,J=6.7,3.0Hz,1H),3.15(s,1H),2.32(s,6H),1.62(s,3H),1.38(s,18H),1.31(s,3H);HRMS(ESI-Q-TOF) m/z[M+H] for C3543S calculated 679.2796,found 679.2791.
【0083】
((3aR,4R,6R,6aS)-6-(4-ビス(テルト-ブトキシカルボニル)アミノ)-5-エチニル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチルテトラヒドロシアノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)イソニコチン酸メチル(化合物27f)。化合物27fは化合物26bから合成し、精製過程なしに次の反応に使用した。
【0084】
化合物27g、27hはそれぞれ26c、26dから合成し、精製過程なしに次の反応に使用した。
【0085】
製造例4-4:化合物7a-7hの合成
公知の合成法(H):化合物27a-hに50%ギ酸水溶液とテトラヒドロフランを入れ、常温で12時間攪拌した。反応が終結したことを確認した後、塩基性正イオン交換樹脂(Dowex(登録商標) 66 free base)で1時間撹拌しながら溶液を中和した。減圧濾過によって残余固体を除去した後、減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィで精製して化合物7a-hをそれぞれ60、83%、76%、80%、79%、88%(2ステップ)、69%(2ステップ)、75%(2ステップ)収率で得た。
【0086】
製造例5:化合物8a-8eの合成
【化21】
【0087】
製造例5-1:化合物28a-28dの合成
化合物26a-d(1当量)をピリジン(15mL/mmol)に溶解した後、攪拌しながら塩化メタンスルホニル(2当量)を0℃で滴加した。常温で4時間攪拌した後、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で反応を終結させた。そして、酢酸エチルで3回抽出した。有機溶媒層を無水MgSOで乾燥してから減圧濾過し、減圧濾過した残余物を精製過程なしに次の反応に使用した。精製されていないメタンスルホニル化合物をジメチルホルムアミド(5.5mL/mmol)に溶解した後、攪拌しながらアジ化ナトリウム(3当量)を滴加した。反応溶液を60℃で2時間加熱した。揮発性物質を減圧濃縮して蒸発させ、残余物を酢酸エチルと水に分液させた。有機溶媒層は硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濾過、減圧濃縮して、それぞれ精製されていない化合物28a-dを得た。化合物28a-dは精製過程なしにそのまま次の反応に使用した。
【0088】
製造例5-2:化合物29a-29dの合成
テトラヒドロフラン(27mL/mmol)に溶解された化合物28a-d(1当量)にトリフェニルホスフィン(2当量)を加えた後、常温で12時間攪拌した。反応溶液に25%アンモニア水(1.8mL/mmol)を加えた後、65℃で4時間撹拌した。揮発性物質は蒸発させ、精製されていない化合物29a-dは精製過程なしにそのまま次の反応に使用した。
【0089】
製造例5-3:化合物30a-30eの合成
化合物30aは29aから、30bと30cは29bから、30dと30eは29d-eからそれぞれ一般的な合成方法(G)(30a、30b、30d、30eは塩化ベンゾイルを、30cは4-メトキシ塩化ベンゾイル)で合成した。精製されていない30a、30d、30eは精製過程なしに次の反応に使用したことに対し、30bと30cはシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製した。
【0090】
テルト-ブチル(7-((3aR,4R,6R,6aS)-6-(ベンズアミドメチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロシアノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)-5-エチニル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)(テルト-ブトキシカルボニル)カルバメート(化合物30b)。化合物30bは化合物26bから3ステップを経て合成され、粘性物質であって、46%の収率で得た;H NMR(CDOD,500MHz):δ8.81(s,1H),8.14(s,1H),7.82(d,J=7.3Hz,2H),7.54(merged dd,J=J=7.3Hz,1H),7.46(merged dd,J=J=7.8Hz,2H),6.44(d,J=2.6Hz,1H),5.36(dd,J=5.6,2.7Hz,1H),5.12(dd,J=5.6,2.9Hz,1H),3.93-3.91(m,1H),3.86(dd,J=13.5,8.3Hz,1H),3.68(s,1H),3.62(dd,J=13.5,6.6Hz,1H),1.59(s,3H),1.34(s,18H),1.33(s,3H);HRMS(ESI-Q-TOF) m/z[M+H] for C33405O calculated 650.2643,found 650.2634.
【0091】
テルト-ブチル(テルト-ブトキシカルボニル)(5-エチニル-7-((3aR,4R,6R,6aS)-6-((4-メトキシベンズアミド)メチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロシアノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)カルバメート(化合物30c)。化合物30cは化合物26bから3ステップを経て合成され、粘性物質であって、52%の収率で得た;H NMR(CDCl,400MHz):δ8.77(s,1H),7.73(s,1H),7.71(d,J=3.6Hz,2H),6.90(d,J=9.1Hz,2H),6.62(brs,1H),6.29(d,J=3.0Hz,1H),5.20(dd,J=5.5,2.4Hz,1H),4.98(dd,J=5.5,3.0Hz,1H),3.89-3.84(m,2H),3.82(s,3H),3.80-3.75(m,1H),3.16(s,1H),1.59(s,3H),1.38(s,18H),1.30(s,3H);HRMS(ESI-Q-TOF) m/z[M+H] for C3442S calculated 680.2749,found 680.2739.
【0092】
製造例5-4:化合物8a-8eの合成
化合物8a-eはそれぞれ化合物30a-eから前記公知の合成方法(H)でそれぞれ81%(4ステップ)、65%、70%、71%(4ステップ)、68%(4ステップ)の収率で合成した。
【0093】
下記表3及び表4は、下記化学式IIで表される化合物のH NMR及びHRMSデータをそれぞれまとめたものである。
【0094】
【化22】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【0095】
【表4】
【0096】
製造例6:化合物9a-9c、10a-10c、11ai-11aiiii、及び11bの合成
【化23】
【0097】
製造例6-1:化合物9a-9cの合成
化合物9a-cはそれぞれ化合物28b-dから前記公知の合成方法(H)で合成した。
【0098】
製造例6-2:化合物10a-10cの合成
化合物9a-c(1当量)をテトラヒドロフラン(5.6mL/mmol)に溶解した後、トリフェニルホスフィン(2当量)を加えてから、溶液を常温で12時間攪拌した。水を溶液に加えた後、常温で更に3時間攪拌した。揮発性物質は蒸発させ、残余物はシリカゲルカラムクロマトグラフィによって精製して、化合物10a-cをそれぞれ63%、65%、59%の収率で合成した。
【0099】
製造例6-3:化合物31a-31cの合成
無水テトラヒドロフラン(6.6mL/mmol)に化合物29b-d(1当量)を溶解した溶液を撹拌しながらトリクロロアセチルイソシアン酸化物(1当量)を滴加し、反応溶液を常温で4時間攪拌した。水で反応を終わらせた後、酢酸エチルで3回抽出した。有機溶媒層を乾燥した後、減圧濾過し減圧濃縮して得た精製されていない残余物は次の反応のために使用された。精製されていない化合物にアンモニアで飽和されたメタノール(5mL/mmol)を加えた後、常温で3時間攪拌した。揮発性物質を蒸発させた後、精製されていない化合物31a-cは次の反応に使用した。
【0100】
製造例6-4:化合物11ai-11aiiiの合成
化合物11ai-11aiiiはそれぞれ31a-cから前記公知の合成法(H)でそれぞれ55%、60%、52%(2ステップ)の収率で合成した。
【0101】
製造例6-5:テルト-ブチル(テルトブトキシカルボニル)(7-((3aR,4R,6R,6aS)-6-((エチルアミノ)メチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロシアノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)-5-エチニル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)カルバメート(化合物32)の合成
化合物29b(0.05g、0.09mmol)とアセトアルデヒド(0.08mL)をメタノール(0.35mL)に溶解した後、水素化ホウ素ナトリウムと酢酸(4μL)を滴加した。反応溶液を常温で3時間攪拌した後、水で反応を終わらせた。次に、酢酸エチルで3回抽出した。有機溶媒層はMgSOで乾燥した後、減圧濾過と減圧濃縮によって精製されていない化合物32を合成し、精製過程なしに次の反応に使用した。
【0102】
製造例6-6:(2R,3R,4S,5R)-2-(4-アミノ-5-エチニル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-((エチルアミノ)メチル)テトラヒドロチオフェン-3,4-ジオール(化合物11b)の合成
化合物11bは化合物32から前記公知の合成方法(H)によって30%の収率(2ステップ)で合成した。
【0103】
製造例7:化合物12a及び12bの合成
【化24】
【0104】
製造例7-1:テルト-ブチル(テルト-ブトキシカルボニル)(7-((3aR,4R,6R,6aS)-2,2-ジメチル-6-(モルホリノメチル)テトラヒドロシアノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)-5-エチニル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)カルバメート(化合物33)の合成
塩化4-トルエンスルホニル(0.057g、0.30mmol)をテトラヒドロフラン(0.3mL)に溶解した溶液に、テトラヒドロフランに溶解した化合物26b(0.15g、0.27mmol)とトリエチルアミン(0.2mL)を0℃で加えた。反応溶液を常温で4時間攪拌し、水で反応を終わらせた。酢酸エチルで3回抽出した後、集めた有機溶媒層をMgSOで乾燥し、減圧濾過、減圧濃縮して精製されていない化合物を精製過程なしに次の反応に使用した。精製されていないトルエンスルホニル化合物をイソプロピルアルコール(0.6mL)に溶解した後、モルホリン(0.02g、0.23mmol)を加え、70℃で12時間還流させた。減圧濾過後、精製過程なしに次の反応に使用された。
【0105】
製造例7-2:(2R,3R,4S,5R)-2-(4-アミノ-5-エチニル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-(モルホリノメチル)テトラヒドロチオフェン-3,4-ジオール(化合物12a)の合成
化合物12aは化合物33から前記公知の合成方法(H)によって20%の収率(2ステップ)で合成した。
【0106】
製造例7-3:7-((3aR,4R,6aS)-2,2-ジメチル-6-メチレンテトラヒドロシアノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)-5-エチニル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-アミン(化合物34)の合成
ジクロロメタン(2.2mL)に化合物26b(0.15g、0.27mmol)を溶解した溶液に4-ジメチルアミノピリジン(0.0004g、0.003mmol)とトリエチルアミン(0.11mL、0.82mmol)を加え、溶液を0℃まで冷たく冷やした。この溶液に塩化メタンスルホニル(0.03mL、0.41mmol)を滴加し、反応溶液は常温で1時間攪拌した。反応は飽和された炭酸水素ナトリウム溶液で終わらせ、ジクロロメタンで3回抽出した。集めた有機溶媒層は塩水で洗浄し、MgSOで乾燥した後、減圧濾過、減圧濃縮して精製されていないメタンスルホニル化合物を得た。マイクロウェーブバイアルに入っている精製されていないメタンスルホニル化合物にテトラヒドロフラン(2.5mL)と40%メチルアミン水溶液(2mL)を加え、60℃で5時間加熱した。揮発性物質は蒸発させ、残余物はシリカゲルカラムクロマトグラフィによって精製して、化合物34(39.6mg、44%)を得た。
【0107】
H NMR(CDOD,400MHz):δ8.11(s,1H),7.35(s,1H),6.33(s,1H),5.52(s,1H),5.46(merged dd,J=J=4.8Hz,1H),5.32(s,1H),4.96(dd,J=4.8,0.8Hz,1H),3.73(s,1H),1.50(s,3H),1.33(s,3H);HRMS(ESI-Q-TOF) m/z[M+H] for C1617S calculated 329.1067,found 329.1064.
【0108】
製造例7-4:(2R,3R,4S)-2-(4-アミノ-5-エチニル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-メチレンテトラヒドロチオフェン-3,4-ジオール(化合物12b)の合成
化合物12bは化合物34から前記公知の合成方法(H)によって43%の収率で合成した。
【0109】
下記表5及び表6は、下記化学式III及びIVで表される化合物のH NMR及びHRMSデータをそれぞれまとめたものである。
【0110】
【化25】
【化26】
【表5-1】
【表5-2】
【0111】
【表6】
【0112】
製造例8:化合物13a-13gの合成
【化27】
【0113】
製造例8-1:(3aR,4S,6aS)-2,2-ジメチルテトラヒドロシアノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-オール(化合物37)の合成
メタノール/テトラヒドロフラン(30mL、9:1)に溶解した化合物36(1g、5.74mmol)に水素化ホウ素ナトリウム(0.21g、5.74mmol)を0℃で滴加した後、同じ温度で30分間撹拌し、次に、常温で30分間撹拌した。水で反応を終わらせた後、水溶液層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機溶媒層はMgSOで乾燥し、減圧濾過、減圧濃縮して精製されていない化合物37を合成した。この化合物は次の反応にそのまま使用し得るほど純水であった。
【0114】
製造例8-2:(3aR,6aS)-2,2-ジメチルテトラヒドロシアノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル酢酸(化合物38)の合成
ジクロロメタン(54mL)に化合物37(5.45g、30.92mmol)を溶解させた溶液を撹拌しながらトリエチルアミン(21.5mL、154.62mmol)を加えた後、無水酢酸(5.8mL、61.85mmol)を0℃で滴加した。反応溶液を常温で6時間撹拌し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で反応を終わらせた後、酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機溶媒層を乾燥、減圧濾過、減圧濃縮した。この化合物は次の反応にそのまま使用し得るほど純水であった。
【0115】
製造例8-3:4-クロロ-7-((3aR,4S,6aS)-2,2-ジメチルテトラヒドロシアノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)-5-ヨード-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジンン(化合物39)の合成
窒素環境下、無水アセトニトリル(90mL)で撹拌している4-クロロ-5-ヨード7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジンン(7.5g、27.07mmol)にN,0-ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(BSA、7.2mL、29.78mmol)を加え、常温で均質な溶液になるまで10分間攪拌した。この清い溶液に化合物38(6.5g、29.78mmol)が溶解されている無水アセトニトリル(65mL)を加え、次に、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホン酸塩(4.3mL、24.36mmol)を滴加した。反応溶液を常温で15分間撹拌し、予め80℃に加熱していおいた条件に移した。80℃で1時間攪拌した後、反応溶液を常温に冷やした。そして、酢酸エチルで希釈した。有機溶媒層は飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し、MgSOで乾燥した。そして、減圧濾過、減圧濃縮して残余物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、化合物39(5.28g、45%)を得た。
【0116】
H NMR(CDOD,500MHz):δ8.58(s,1H),7.83(s,1H),6.12(s,1H),5.32(t,J=4.8Hz,1H),5.22(merged dd,J=J=5.3Hz,1H),3.70(dd,J=12.9,4.4Hz,1H),3.12(merged dd,J=J=13Hz,1H),1.53(s,3H),1.32(s,3H);HRMS(ESI-Q-TOF) m/z[M+H] for C1314ClINS calculated 437.9534,found 437.9523.
【0117】
製造例8-4:7-((3aR,4R,6aS)-2,2-ジメチルテトラヒドロシアノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)-5-ヨード-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-アミン(化合物40)の合成
アンモニアで飽和されたテルトブチルアルコール(35mL)に化合物39(3.5g、7.99mmol)を溶解した後、ステンレススチールボムに入れて予め90℃に加熱された条件に移した後、同じ温度で24時間撹拌した。反応溶液が入っているスチールボムを常温に冷やした後、減圧濃縮して溶媒を蒸発させた。残余物はシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、化合物40(2.84g、85%)を得た。
【0118】
H NMR(CDCl,500MHz):δ8.25(s,1H),7.12(s,1H),5.89(s,1H),5.65(brs,2H),5.20-5.19(m,1H),5.15(merged dd,J=J=5.4Hz,1H),3.63(dd,J=12.8,4.4Hz,1H),3.15(merged dd,J=J=12.8Hz,1H),1.56(s,3H),1.32(s,3H);HRMS(ESI-Q-TOF) m/z[M+H] for C1316INS calculated 419.0033,found 419.0031.
【0119】
製造例8-5:化合物41a-41gの合成
化合物41aは化合物40から前記公知の合成方法(D)によって合成した。化合物41aiは化合物41aから前記公知の合成方法(E)によって合成した。化合物41b-cは化合物40から前記公知の合成方法(A)によって合成した。化合物41d-eは化合物40から前記公知の合成方法(C)によって合成した。化合物41f-gは化合物40から前記公知の合成方法(A)によって合成した。化合物41a-41gは精製過程なしに次の反応に使用した。
【0120】
製造例8-6:化合物13a-13gの合成
化合物13a-13gは化合物41ai-41gから前記公知の合成方法(F)によってそれぞれ70%、80%、75%、69%、65%、71%、69%(2ステップ)の収率で合成した。
【0121】
下記表7及び表8は、下記化学式Vで表される化合物のH NMR及びHRMSデータをそれぞれまとめたものである。
【0122】
【化28】
【0123】
【表7】
【0124】
【表8】
【0125】
製造例9:化合物14の合成
【化29】
【0126】
製造例9-1:(3aR,6R,6aS)-6-(((テルト-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロチエノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-オール(化合物42)の合成
化合物15(1.46g、3.00mmol)を溶かしたジクロロメタンにアンモニアで飽和されたテルトブチルアルコールを加え、反応混合物を4時間常温で撹拌した。前記反応混合物を減圧条件下で蒸発させた。前記残余物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、無色シロップとして化合物42(1.22g、91%)を得た。
【0127】
H NMR(CDCl,400MHz):δ7.71-7.68(m,4H),7.48-7.41(m,6H),5.29-5.26(m,1H),4.83-4.78(m,2H),4.33-4.31(brs,1H),3.90-3.87(m,1H),3.76-3.72(m,1H),3.55-3.53(m,1H).
【0128】
製造例9-2:7-((3aR,4R,6R,6aS)-6-(((テルト-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロチエノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)-2,4-ジクロロ-5-ヨード-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン(化合物43)の合成
無水テトラヒドロフラン(50mL)中の化合物42(1.14g、2.57mmol)、2.6-ジクロロ-7-ヨード-デアザアデニン(1.21g、3.86mmol)、トリフェニルホスフィン(1.35g、5.14mmol)の反応混合物を0℃まで冷却した。前記反応混合物に(E)-ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(1.04g、5.14mmol)を添加し、反応温度が徐々に常温に達するようにした。前記反応混合物を2時間常温で撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和した後、前記反応混合物を酢酸エチルと水に分配して酢酸エチルで3回抽出した。有機溶媒層を無水MgSOで乾燥し、ろ過してから蒸発させた。前記残余物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、黄色シロップとして化合物43(780.9mg、41%)を得た。
【0129】
H NMR(CDCl,400MHz):δ7.68-7.64(m,4H),7.59(s,1H),7.44-7.35(m,6H),6.27-6.27(m,1H),4.88-4.82(m,2H),3.95-3.83(m,3H),1.62(s,3H),1.30(s,3H),1.09(s,9H).
【0130】
製造例9-3:7-((3aR,4R,6R,6aS)-6-(((テルト-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロチエノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)-2,4-ジクロロ-5-((トリメチルシリル)エチニル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン(化合物44)の合成
DMF(4mL)とトリエチルアミン(1mL)が混合された混合物をマイクロウェーブバイアル入れた後、化合物43(153mg、0.206mmol)、ヨウ化銅(4.52mg、0.0041mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(14.5mg、0.020mmol)を加え、窒素ガスで5分間脱気した。前記反応混合物にトリメチルシリルアセチレン(22.3mg、0.22mmol)を加え、もう一度窒素ガスで5分間脱気した。前記反応混合物は酢酸エチルと水に分配して酢酸エチルで3回抽出した後、無水MgSOで乾燥し、ろ過してから蒸発させた。前記残余物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、黄色シロップとして化合物44(60.2mg、53%)を得た。
【0131】
H NMR(CDCl,400MHz):δ7.69-7.65(m,5H),7.46-7.36(m,6H),6.27-6.26(m,1H),4.85-4.82(m,2H),3.93-3.83(m,3H),1.62(s,3H),1.30(s,3H),1.10(s,9H),0.27(s,9H).HRMS(FAB) m/z[M+H] for C3541ClSSi found 710.1863.
【0132】
製造例9-4:7-((3aR,4R,6R,6aS)-6-(((テルト-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロシチエノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)-2-クロロ-5-((トリメチルシリル)エチニル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-アミン(化合物45)の合成
アンモニアで飽和されたテルトブチルアルコールに化合物44(72mg、0.101mmol)を溶かし、前記反応混合物をステンレススチールボムに入れて予め加熱された100℃条件に移した。前記反応混合物を同じ温度で15時間撹拌した。ステンレススチールボムに入っている前記反応混合物が常温になるまで冷却させた後、減圧条件で蒸発させた。前記残余物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、黄色シロップとして化合物45(49.7mg、71%)を得た。
【0133】
H NMR(CDCl,400MHz):δ7.69-7.65(m,4H),7.45-7.35(m,6H),7.28(s,1H),6.40(brs,1H),6.19-6.19(m,1H),4.87-4.84(m,2H),3.91-3.76(m,3H),1.59(s,3H),1.29(s,3H),1.09(s,9H),0.25(s,9H).HRMS(FAB) m/z[M+H] for C3543ClNSSi found 691.2361.
【0134】
製造例9-5:((3aR,4R,6R,6aS)-6-(4-アミノ-2-クロロ-5-エチニル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2,2-ジメチルテトラヒドロチエノ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)メタノール(化合物46)の合成
無水テトラヒドロフラン中の化合物45(50.1mg、0.072mmol)に1Mフッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(0.217mL、0.217mmol)と酢酸(0.217mmol)を加え、反応混合物を常温で2時間撹拌した。前記反応混合物を飽和NHCl水溶液で中和し、酢酸エチルと水に分配して、酢酸エチルで3回抽出した。有機溶媒層を無水MgSOで乾燥し、ろ過してから蒸発させた。前記残余物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、黄色シロップとして化合物46(22.3mg、81%)を得た。
【0135】
H NMR(CDCl,400MHz):δ7.30(s,1H),6.29(brs,2H),5.99-5.97(m,1H),5.21-5.19(m,1H),4.96-4.94(m,1H),4.01-3.98(m,1H),3.90-3.84(m,2H),3.26(s,1H),1.60(s,3H),1.31(s,3H);LRMS(ESI) m/z[M+H] for C1617ClNS found 381.1100.
【0136】
製造例9-6:(2R,3R,4S,5R)-2-(4-アミノ-2-クロロ-5-エチニル-7H-ピロロ[2,14-d]ピリミジン-7-イル)-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロチエノフェン-3,4-ジオール(化合物14)の合成
ジクロロメタン中の化合物46(20.0mg、0.052mmol)に1M三塩化ホウ素(0.078mL、0.078mmol)を-78℃で滴加した。前記反応混合物は同じ温度で1時間撹拌した。前記反応混合物はリン酸緩衝溶液(pH7.4)で中和した後、ジクロロメタンと水に分配させ、ジクロロメタンで3回抽出した。有機溶媒層を無水MgSOで乾燥し、ろ過してから蒸発させた。前記残余物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、白色固体として化合物14(14.8mg、83%)を得た。
【0137】
H NMR(CDCl,400MHz):δ7.82(s,1H),6.05-6.03(m,1H),4.45-4.42(m,1H),4.25-4.23(m,1H),3.89-3.80(m,2H),3.73(s,1H),3.52-3.44(m,1H);LRMS(ESI) m/z[M+H] for C1313ClNS found 341.0800.
【0138】
実験例1:リン酸化酵素に対する阻害活性の評価
前記製造例で合成された本発明のヌクレオシド誘導体のリン酸化酵素に対する阻害活性を調べるために、がん細胞における過発現に関連するリン酸化酵素であるNTRK1(Neurotrophic tyrosine kinase receptor type 1またはTropomyosin receptor kinase A)、CSNK1D(Casein kinase 1 isoform delta)、DYRK1A(Dual specificity tyrosine-phosphorylation-regulated kinase 1A)、DYRK1B(Dual specificity tyrosine-phosphorylation-regulated kinase 1B)、及びFLT3(Receptor-type tyrosine-protein kinaseまたはfms like tyrosine kinase 3またはcluster of differentiation antigen 135(CD135)またはfetal liver kinase-2(Flk2))に対する前記ヌクレオシド誘導体の阻害活性を確認した。
【0139】
阻害の測定方法は以下のようであった。殆どのリン酸化酵素はBL21大腸菌にリン酸化酵素がタグされたパージを32℃で溶菌されるまで培養した後、遠心分離、ろ過して生産された。また、HEK-293細胞を利用して生産された。次に、qPCRのためにDNAタブされた。ストレプトアビジンでコーティングされたビーズにビオチンタグされた基質を30分間撹拌して親和性レジンを製作した後、非特異的に結合された基質をバッファ(SeaBlock(Pierce)、1% BSA、0.05% Tween 20、1mM DTT)で洗浄した。
【0140】
リン酸化酵素試験は、リン酸化酵素、基質、親和性レジン、ジメチルスルホキシドに溶かした試験物質を共にバッファ(20% SeaBlock、0.17×PBS、0.05% Tween 20、6mM DTT)に1時間常温で撹拌した。次に、親和性基質をバッファ(1×PBS、0.05% Tween 20)で洗浄した後、溶出バッファ(1×PBS、0.05% Tween 20、0.5μM non-biotinylated affinity ligand)に懸濁して攪拌した。リン酸化酵素の濃度はqPCRで定量した。
【0141】
下記表9は1μMの化合物1a乃至14を各リン酸化酵素に処理した結果であり、(-)は効果なし;(+)は弱い(weak)阻害活性;(++)は中間程度(moderate)の阻害活性;(+++)は強い(strong)阻害活性;NDは結果なし(not determined)を意味する。
【0142】
【表9-1】
【表9-2】
【0143】
前記表9に示したように、本発明のヌクレオシド誘導体はNTRK1、CSNK1D、DYRK1A、DYRK1B、及びFLT3のようなリン酸化酵素に対して大体優れた阻害活性を有することが分かる。
【0144】
実験例2:がん細胞に対する阻害活性の評価
前記製造例で合成された本発明のヌクレオシド誘導体の抗がん活性を調べるために、A549(Lung cancer cells)、HCT116(Colon cancer cells)、MDA-MB-231(Breast cancer cells)、SK-Hep-1(Liver cancer cells)、SNU638(Stomach cancer cells)、及びPC-3(Prostate cancer cells)のがん細胞に対するIC50を測定した。
【0145】
試験方法は以下のようであった。細胞を一日中静置し、0日目の対照群と設定した。また、細胞に試験物質を加えた後、3日間静置した。次に、1%酢酸と0.4%スルホローダミンBで染色した。染色された細胞を乾燥して10mMトリス(pH10.0)に溶解した。吸光度は515nmで測定し、細胞分裂の程度は以下の数式によって求めた。細胞分裂(%)=(平均吸光度試験物質-平均吸光度0日目)/(平均吸光度対照群-平均吸光度0日目)×100で計算した後、TableCurve 2D v5.01(Systat Software Inc.,San Jose,CA,USA)を利用して非直線回帰分析によって計算した。
【0146】
その結果は下記表10のようである。
【表10-1】
【表10-2】
【表10-3】
【0147】
前記表10に示したように、本発明のヌクレオシド誘導体はA549、HCT116、MDA-MB-231、SK-Hep-1、SNU638、及びPC-3のようながん細胞に対して大体低いIC50値を示したため、抗がん効果が期待されるリン酸化酵素阻害剤として活用し得ることが分かる。
【国際調査報告】