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▶ スーチョウ スカイウェル ヘルスケア インフォメーション カンパニー,リミテッドの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】マイクロ噴霧デバイス
(51)【国際特許分類】
   B05B 17/00 20060101AFI20240528BHJP
【FI】
B05B17/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576027
(86)(22)【出願日】2022-06-07
(85)【翻訳文提出日】2024-02-06
(86)【国際出願番号】 CN2022097364
(87)【国際公開番号】W WO2022257919
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】202110642191.1
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
2.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】523024370
【氏名又は名称】スーチョウ スカイウェル ヘルスケア インフォメーション カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 慎介
(74)【代理人】
【識別番号】100119183
【弁理士】
【氏名又は名称】松任谷 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100173185
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100162503
【弁理士】
【氏名又は名称】今野 智介
(74)【代理人】
【識別番号】100144794
【弁理士】
【氏名又は名称】大木 信人
(74)【代理人】
【識別番号】100204582
【弁理士】
【氏名又は名称】大栗 由美
(72)【発明者】
【氏名】グ,ユ
【テーマコード(参考)】
4D074
【Fターム(参考)】
4D074BB02
4D074FF06
4D074FF08
4D074FF09
4D074FF14
(57)【要約】
噴霧デバイス(100、200、300)は、液体出口(121)を有する液体貯蔵容器(122、322)を備える液体輸送ユニット(102、302)であって、液体貯蔵容器(122、322)の液体出口(121)から噴霧すべき液体をある流量で放出するように構成された液体輸送ユニット(102、302)と、液体貯蔵容器(122、322)の液体出口(121)から噴霧すべき液体を受け取り、噴霧すべき液体をスプレー状で噴霧するように構成された噴霧ユニット(101、301)であって、所定の噴霧速度を有する噴霧ユニット(101、301)と、液体輸送ユニット(102、302)と通信接続している制御ユニットであって、噴霧ユニット(101、301)の所定の噴霧速度に従って、液体輸送ユニット(102、302)によって放出される噴霧すべき液体の流速を制御するように構成された制御ユニットとを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体出口を有する液体貯蔵容器を備える液体輸送ユニットであって、前記液体貯蔵容器の前記液体出口から噴霧すべき液体をある流量で放出するように構成された液体輸送ユニットと、
前記液体貯蔵容器の前記液体出口から前記噴霧すべき液体を受け取り、前記噴霧すべき液体をミスト状で噴霧するように構成された噴霧ユニットであって、所定の噴霧速度を有する噴霧ユニットと、
液体輸送ユニットと通信している制御ユニットであって、前記噴霧ユニットの前記所定の噴霧速度に従って、前記液体輸送ユニットが前記噴霧すべき液体を放出する流量を制御するように構成された制御ユニットと
を備える、噴霧デバイス。
【請求項2】
前記液体貯蔵容器の前記液体出口と前記噴霧ユニットとの間に間隙が形成され、前記間隙により、前記噴霧すべき液体が前記液体出口で所定のサイズの液滴を形成することが可能になり、前記液滴が前記噴霧ユニットに接触して、前記噴霧ユニットへ伝達される、請求項1に記載の噴霧デバイス。
【請求項3】
前記噴霧ユニットと前記液体出口との間の前記間隙が、前記噴霧すべき液体が重力によって落下する液滴を形成することを可能にするには不十分である、請求項2に記載の噴霧デバイス。
【請求項4】
前記制御ユニットが、前記噴霧ユニットと前記液体出口との間の前記間隙のサイズを調整するように構成される、請求項2に記載の噴霧デバイス。
【請求項5】
前記制御ユニットが、前記噴霧ユニットと前記液体出口との間の前記間隙の前記サイズを調整することによって、前記液体出口に形成することができる前記液滴の前記サイズを変化させるように構成される、請求項4に記載の噴霧デバイス。
【請求項6】
前記噴霧ユニットが、圧電セラミック微孔噴霧部品を備え、前記圧電セラミック微孔噴霧部品が、前記液体貯蔵容器の前記液体出口から前記噴霧すべき液体を受け取るための液体貯蔵領域を有し、前記液体輸送ユニットによって放出される前記噴霧すべき液体の前記流量が、前記圧電セラミック微孔噴霧部品が連続作業状態にあるときに前記液体貯蔵領域内の液体レベルの最大高さが1mm~4mmになるように設定される、請求項1に記載の噴霧デバイス。
【請求項7】
前記液体輸送ユニットが、プランジャおよびプランジャロッドを備え、前記プランジャが、前記液体貯蔵容器の内壁に摺動可能に係合され、前記プランジャロッドが、前記プランジャに接続されており、前記噴霧すべき液体が前記液体出口から流れ出るように、前記プランジャを駆動して前記液体貯蔵容器内で動かすように構成される、請求項1に記載の噴霧デバイス。
【請求項8】
前記デバイスが、
駆動ユニットをさらに備え、前記駆動ユニットが、伝動部材によって前記プランジャロッドを駆動するように構成され、前記伝動部材が、親ねじおよび親ねじナットを備え、前記駆動ユニットが、前記親ねじに接続され、前記親ねじを駆動して回転させ、前記プランジャロッドが、前記親ねじナットに接続され、前記親ねじの軸方向に前記親ねじナットとともに動く、請求項7に記載の噴霧デバイス。
【請求項9】
前記デバイスが、ミスト入口およびミスト吸引ポートを有するミスト一時貯蔵容器をさらに備え、前記ミスト入口が、前記噴霧ユニットに取外し可能に係合されて、前記噴霧ユニットによって噴霧された前記ミストを受け取って一時的に貯蔵するように構成される、請求項1に記載の噴霧デバイス。
【請求項10】
前記デバイスが、前記ミスト一時貯蔵容器内に配置された濃度マークを備え、前記ミスト一時貯蔵容器が、前記ミスト一時貯蔵容器の外側から観察することができる観察部分を備え、前記濃度マークが、前記ミスト一時貯蔵容器内のミスト濃度が事前設定された濃度値よりも低いときは、前記観察部分で視覚的に観察され、前記ミスト一時貯蔵容器内の前記ミスト濃度が前記事前設定された濃度値よりも高いときは、前記観察部分で視覚的に観察されないように設定される、請求項9に記載の噴霧デバイス。
【請求項11】
前記濃度マークが、前記ミスト一時貯蔵容器の前記内壁に配置されたマークであり、前記観察部分が、光透過性材料から形成される、請求項10に記載の噴霧デバイス。
【請求項12】
前記液体輸送ユニットの前記液体貯蔵容器が、液体レベルセンサを備え、前記制御ユニットが、前記液体レベルセンサと通信しており、前記液体貯蔵容器内の前記液体が指定の液体レベルよりも低いことを前記液体レベルセンサが示すとき、警告信号を生成するように構成される、請求項1に記載の噴霧デバイス。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の噴霧デバイスを使用するための方法であって、
前記噴霧ユニットの噴霧速度を決定するステップと、
前記噴霧ユニットの前記噴霧速度に基づいて、前記液体貯蔵容器の前記液体出口からの前記噴霧すべき液体の前記流量を決定するステップと、
前記噴霧すべき液体の前記決定された流量に基づいて、前記液体貯蔵容器の前記液体出口から前記噴霧すべき液体を放出するように、前記液体輸送ユニットを制御するステップと
を、前記制御ユニットによって実行することを含む、方法。
【請求項14】
前記液体貯蔵容器の前記液体出口と前記噴霧ユニットとの間に間隙が形成され、前記間隙により前記噴霧すべき液体が前記液体出口で所定のサイズの液滴を形成することが可能になり、前記液滴が前記噴霧ユニットに接触して、前記噴霧ユニットへ伝達され、前記方法が、
前記噴霧ユニットと前記液体出口との間の前記間隙のサイズを調整して、前記液体出口で形成することができる前記液滴の前記サイズを変化させる、前記制御ユニットによって実行されるステップ
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記噴霧デバイスが、
ミスト入口およびミスト吸引ポートを有するミスト一時貯蔵容器であって、前記ミスト入口が、前記噴霧ユニットに取外し可能に係合されて、前記噴霧ユニットによって噴霧されたミストを受け取って一時的に貯蔵するように構成される、ミスト一時貯蔵容器と、
前記ミスト一時貯蔵容器内に設けられた濃度マークであって、前記ミスト一時貯蔵容器が、前記ミスト一時貯蔵容器の外側から観察することができる観察部分を備え、前記濃度マークが、前記ミスト一時貯蔵容器内のミスト濃度が事前設定された濃度値よりも低いときは、前記観察部分で視覚的に観察され、前記ミスト一時貯蔵容器内の前記ミスト濃度が前記事前設定された濃度値よりも高いときは、前記観察部分で視覚的に観察されないように設定される、濃度マークとをさらに備え、
前記方法が、
前記ミスト一時貯蔵容器の前記ミスト入口を前記噴霧ユニットに係合して、前記噴霧ユニットによって噴霧されたミストを受け取って一時的に貯蔵することと、
前記観察部分を通して前記濃度マークを観察し、前記濃度マークを前記観察部分から視覚的に観察することができないときは、前記ミスト一時貯蔵容器を前記噴霧ユニットから取り外すことと、
前記ミスト一時貯蔵容器内に一時的に貯蔵された前記ミストを前記ミスト一時貯蔵容器の前記ミスト吸引ポートから吸引することとをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、噴霧の技術分野に関し、より詳細には、マイクロ噴霧デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
現在の生産および科学研究における多くの分野では、微量の薬物の吸入による送達および微小構成要素の表面へのスプレー噴霧など、微量の液体を噴霧することが必要とされている。しかし、超音波噴霧器、スクリーン式噴霧器、および空気圧縮噴霧器などの現在一般的な噴霧器では、そのような微量の液体の噴霧要件を満たすことが難しいことが多い。一方では、様々な理由により、既存の噴霧器の中には、数分またはそれ以上の連続噴霧作業モードを採用するものがあるが、噴霧される液体の量が比較的大きいため、噴霧用に微量の液体を処理する必要がある場合、これらの既存の噴霧器の制御モードでは噴霧量の正確な制御を実現することができないことが多い。たとえば、いくつかの噴霧デバイスは、開始されたときに瞬間的な電圧パルスを形成することが多く、これは最初の噴霧の安定性に影響を及ぼす。またこのようなパルス変化は、数秒または数十秒のマイクロ噴霧プロセスにおける噴霧量に著しく影響する。他方では、既存の噴霧器は最小作業液体レベル機構を有することが多いことから、これらの噴霧器の作業プロセスには必然的に残留液体が生じる。しかし、マイクロ噴霧の分野で使用される試薬または液体は、高価値および高濃度の特性を有する傾向があり、残留液体の存在は不要な廃棄を招く。
【0003】
したがって、マイクロ噴霧デバイスのさらなる改善が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本願の目的は、微量の液体を噴霧するという課題を解決することができる噴霧デバイスを提供することである。
【0005】
本願の一態様によれば、噴霧デバイスが提供される。噴霧デバイスは、液体出口を有する液体貯蔵容器を備える液体輸送ユニットであって、液体貯蔵容器の液体出口から噴霧すべき液体をある流量で放出するように構成された液体輸送ユニットと、液体貯蔵容器の液体出口から噴霧すべき液体を受け取り、噴霧すべき液体をミスト状で噴霧するように構成された噴霧ユニットであって、所定の噴霧速度を有する噴霧ユニットと、液体輸送ユニットと通信している制御ユニットであって、噴霧ユニットの所定の噴霧速度に従って、液体輸送ユニットが噴霧すべき液体を放出する流量を制御するように構成された制御ユニットとを備える。
【0006】
いくつかの実施形態では、液体貯蔵容器の液体出口と噴霧ユニットとの間に間隙が存在し、この間隙により、噴霧すべき液体が液体出口で所定のサイズの液滴を形成することが可能になり、液滴は噴霧ユニットに接触して、噴霧ユニットへ伝達される。
【0007】
いくつかの実施形態では、噴霧ユニットと液体出口との間の間隙は、噴霧すべき液体が重力によって落下する液滴を形成することを可能にするには不十分である。
【0008】
いくつかの実施形態では、制御ユニットは、噴霧ユニットと液体出口との間の間隙のサイズを調整するように構成される。
【0009】
いくつかの実施形態では、制御ユニットは、噴霧ユニットと液体出口との間の間隙のサイズを調整することによって、液体出口で形成することができる液滴のサイズを変化させるように構成される。
【0010】
いくつかの実施形態では、噴霧ユニットは、圧電セラミック微孔噴霧部品を備え、圧電セラミック微孔噴霧部品は、液体貯蔵容器の液体出口から噴霧すべき液体を受け取るための液体貯蔵領域を有し、液体輸送ユニットによって放出される噴霧すべき液体の流量は、圧電セラミック微孔噴霧部品が連続作業状態にあるときに液体貯蔵領域内の液体レベルの最大高さが1mm~4mmになるように設定される。
【0011】
いくつかの実施形態では、液体輸送ユニットは、プランジャおよびプランジャロッドを備え、プランジャは、液体貯蔵容器の内壁に摺動可能に係合され、プランジャロッドは、プランジャに接続されており、噴霧すべき液体が液体出口から流れ出ることができるように、プランジャを駆動して液体貯蔵容器内で動かすように構成される。
【0012】
いくつかの実施形態では、噴霧デバイスは、駆動ユニットをさらに備え、駆動ユニットは、伝動部材によってプランジャロッドを駆動するように構成され、伝動部材は、親ねじおよび親ねじナットを備え、駆動ユニットは、親ねじに接続され、親ねじを駆動して回転させ、プランジャロッドは、親ねじナットに接続され、親ねじの軸方向に沿って親ねじナットとともに動く。
【0013】
いくつかの実施形態では、噴霧デバイスは、ミスト入口およびミスト吸引ポートを有するミスト一時貯蔵容器をさらに含み、ミスト入口は、噴霧ユニットに取外し可能に係合されて、噴霧ユニットによって噴霧されたミストを受け取って一時的に貯蔵するように構成される。
【0014】
いくつかの実施形態では、噴霧デバイスは、ミスト一時貯蔵容器内に設けられた濃度マークを備え、ミスト一時貯蔵容器は、外側から観察することができる観察部分を備え、濃度マークは、ミスト一時貯蔵容器内のミスト濃度が所定の濃度値よりも低いときは、観察部分で視覚的に観察され、ミスト一時貯蔵容器内のミスト濃度が所定の濃度値よりも高いときは、観察部分で視覚的に観察されないように構成される。
【0015】
いくつかの実施形態では、濃度マークは、ミスト一時貯蔵容器の内壁に配置されたマークであり、観察部分は、光透過性材料によって形成される。
【0016】
いくつかの実施形態では、液体輸送ユニットの液体貯蔵容器は、液体レベルセンサを備え、制御ユニットは、液体レベルセンサと通信しており、液体貯蔵容器内の液体が指定の液体レベルよりも低いことを液体レベルセンサが示すとき、警告信号を生成するように構成される。
【0017】
本願の一態様では、上記の実施形態のいずれか1つに記載の噴霧装置を使用するための方法が提供され、この方法は、噴霧ユニットの噴霧速度を決定するステップと、噴霧ユニットの噴霧速度に基づいて、液体貯蔵容器の液体出口からの噴霧すべき液体の流量を決定するステップと、噴霧すべき液体の決定された流量に基づいて、液体貯蔵容器の液体出口から噴霧すべき液体を放出するように、液体輸送ユニットを制御するステップとを含み、これらのステップは制御ユニットによって実行される。
【0018】
いくつかの実施形態では、液体貯蔵容器の液体出口と噴霧ユニットとの間に間隙が形成され、この間隙により噴霧すべき液体が液体出口で所定のサイズの液滴を形成することが可能になり、液滴は噴霧ユニットに接触して、噴霧ユニットへ伝達され、この方法は、噴霧ユニットと液体出口との間の間隙のサイズを調整して、液体出口で形成することができる液滴のサイズを変化させる、制御ユニットによって実行されるステップを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、噴霧デバイスは、ミスト入口およびミスト吸引ポートを有するミスト一時貯蔵容器であって、ミスト入口が、噴霧ユニットに取外し可能に係合されて、噴霧ユニットによって噴霧されたミストを受け取って一時的に貯蔵するように構成される、ミスト一時貯蔵容器と、ミスト一時貯蔵容器内に設けられた濃度マークであって、ミスト一時貯蔵容器が、外側から観察することができる観察部分を備え、濃度マークが、ミスト一時貯蔵容器内のミスト濃度が所定の濃度値よりも低いときは、観察部分で視覚的に観察され、ミスト一時貯蔵容器内のミスト濃度が所定の濃度値よりも高いときは、観察部分で視覚的に観察されないように構成される、濃度マークとをさらに含み、この方法は、ミスト一時貯蔵容器のミスト入口を噴霧ユニットに係合して、噴霧ユニットによって噴霧されたミストを受け取って一時的に貯蔵することと、観察部分を通して濃度マークを観察し、濃度マークを観察部分から視覚的に観察することができないときは、ミスト一時貯蔵容器を噴霧ユニットから取り外すことと、ミスト一時貯蔵容器内に一時的に貯蔵されたミストをミスト一時貯蔵容器のミスト吸引ポートから吸引することとをさらに含む。
【0020】
上記は本願の概説であり、簡略化、要約、および省略されていることがあり、したがってこの部分は例示のみを目的とし、本願の範囲を何らかの形で限定することを意図したものではないことが、当業者には理解されよう。この概要は、特許請求される主題の主要な特徴または本質的な特徴を識別することを意図したものでも、特許請求される主題の範囲を決定するための補助手段として使用されることを意図したものでもない。
【0021】
本願の上記および他の特徴は、添付の図面と併せて、以下の説明および添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになる。これらの図面は、本願のいくつかの実施形態のみを示しており、したがって本願の範囲を限定すると見なされるべきではないことが理解されよう。添付の図面を採用することによって、本願の内容についてよりはっきりと詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本願の一実施形態による噴霧デバイス100の概略図である。
図2図2は、本願の別の実施形態による噴霧デバイス200のシステム概略ブロック図である。
図3図3は、本願のさらに別の実施形態による噴霧デバイス300の概略図である。
図4図4は、本願の一実施形態による噴霧デバイスを使用する方法400の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の詳細な説明は、説明の一部を形成する添付の図面を参照する。図面では、文脈上別途指示しない限り、類似の記号は類似の構成要素を全体として表す。詳細な説明、図面、および特許請求の範囲に記載されている例示的な実施形態は、限定的であることを意図したものではない。本開示の主題の精神または範囲から逸脱することなく、他の実施形態を用いてもよく、他の変更を加えてもよい。本願に概して記載され添付の図面に示されている本開示の様々な態様では、様々な構成、様々な構成の置換え、組合せ、および設計を加えることができ、これらはすべて本開示の一部を明示的に構成することが理解されよう。
【0024】
図1は、本願の一実施形態による噴霧デバイス100の概略図である。いくつかの実施形態では、この噴霧デバイスは、1μl~5mlなどの微量の液体を噴霧するために使用することができる。
【0025】
図1に示すように、噴霧デバイス100は、噴霧ユニット101および液体輸送ユニット102を含み、液体輸送ユニット102は、噴霧すべき液体を噴霧ユニット101へ送達するように構成され、噴霧ユニット101は、噴霧すべき液体を受け取り、噴霧すべき液体を液体ミスト状で噴霧する。液体輸送ユニット102は、噴霧すべき液体を貯蔵するための液体貯蔵容器122を含み、液体貯蔵容器122は、液体出口121を有しており、液体輸送ユニット102は、液体貯蔵容器122内の噴霧すべき液体を液体出口121から特定の流量で放出するように構成される。本明細書に記載する「特定の流量」は、噴霧すべき液体を特定の速度で連続して放出し、または特定の量の噴霧すべき液体を特定の頻度で断続的に放出して、その量の噴霧すべき液体を単位時間内に放出することを含むことができることに留意されたい。加えて、液体輸送ユニット102は、その送達手段に関して、任意の利用可能な液体送達形式をとることができ、関連する構造については、以下でより詳細に説明する。
【0026】
図1に示す噴霧ユニット101は、ソリッドホールセラミック噴霧部品、微孔セラミック噴霧部品、ジェット噴霧器など、任意の利用可能な噴霧構造形式を用いることができる。いくつかの実施形態では、噴霧ユニット101は、所定の噴霧速度を有することができる。噴霧ユニット101は、電気または他の手段によって駆動することができ、噴霧ユニット101の噴霧速度は、異なる駆動電圧/電流/電力または他の駆動力によって調整することができることが理解されよう。図1には示されていないが、噴霧デバイス100は、制御ユニットをさらに含むことができ、制御ユニットは、液体輸送ユニット102と通信しており、液体輸送ユニット102は、噴霧ユニット101の所定の噴霧速度に従って、噴霧すべき液体をある流量で放出するように制御される。このようにして、噴霧デバイス100は、噴霧ユニット101によって受け取られる噴霧すべき液体の量が常に好適な範囲内に入ることを可能にすることができ、液体輸送ユニット102によって輸送される液体は、噴霧ユニット101によって時間内に噴霧することができ、それによって噴霧効率を確保しながら、噴霧ユニット101上の過度の液体が噴霧効果に影響を及ぼすことを回避することができる。
【0027】
圧電セラミック微孔噴霧部品を用いる噴霧ユニット101を例にとると、圧電セラミック微孔噴霧部品は、液体出口121から噴霧すべき液体を受け取るための液体貯蔵領域(図示せず)を有する。制御ユニットは、微孔噴霧部品の液体貯蔵領域内の噴霧すべき液体の液膜厚さが常に適切な範囲内に入るように、たとえば液体貯蔵領域内に形成される液体レベルの最大高さが1mm~4mmになるように、液体輸送ユニット102を制御して、圧電セラミック微孔噴霧部品の噴霧速度に従って、液体出口121から噴霧すべき液体をある流量で放出させることができ、したがって液体貯蔵領域内の液体量が少なすぎることによって噴霧効率が低くなることが回避され、液体貯蔵領域内の過度の液体体積によって噴霧効果および効率が影響されることも防止される。上記の方法は、微量の液体が複数回または連続して噴霧される適用シナリオにとって特に効果的である。
【0028】
液体貯蔵領域は、噴霧ユニット上に構成された、特定の量の噴霧すべき液体を保持するために使用される任意の構造とすることができることに留意されたい。いくつかの実施形態では、液体貯蔵領域は、円筒形の凹部、球形の凹部、立方形の凹部、切頭円錐形の凹部などとすることができる。他の実施形態では、液体貯蔵領域は、内側の凹状の球冠面に形成された球冠形の凹状構造とすることができる。さらに他の実施形態では、液体貯蔵領域はまた、円筒形の凹部および球形の凹部の組合せなど、いくつかの凹状構造の組合せとすることができる。いくつかの他の実施形態では、液体貯蔵領域はまた、噴霧ユニットの領域の大部分を突出させる構造またはユニットとすることができる。
【0029】
制御ユニットは、様々な方法で噴霧ユニット101の所定の噴霧速度を得ることができることに留意されたい。いくつかの実施形態では、制御ユニットは、人間-コンピュータ相互作用インターフェースを介して操作者によって入力された噴霧ユニット101の所定の噴霧速度を得ることができる。いくつかの他の実施形態では、噴霧ユニット101は、識別可能なマーク(無線周波タグなど)を有することができ、噴霧デバイス100に取外し可能に取り付けられ、制御ユニットは、対応するマークを識別することによって、噴霧ユニット101の所定の噴霧速度の情報を得ることができる。このようにして、異なる噴霧要件に従って、使用者が対応する噴霧ユニット101を交換した後、制御ユニットは、交換用噴霧ユニット101の所定の噴霧速度を正確に識別し、それに対応して噴霧すべき液体を放出する液体輸送ユニット102の速度を調整することができる。
【0030】
図1をさらに参照すると、液体貯蔵容器122の液体出口121と噴霧ユニット101との間に間隙Dが存在し、間隙Dは、噴霧すべき液体が液体出口121で所定のサイズの液滴を形成することができるように構成され、所定のサイズの液滴は、噴霧ユニット101(たとえば、液体貯蔵領域の底面、側壁、または縁部)に接触することができ、液体張力によって噴霧ユニット101へ伝達される。本明細書に記載する間隙は、液体出口121と噴霧ユニット101との間の最も近い距離である。いくつかの実施形態では、噴霧ユニット101と液体出口121との間の間隙Dは、噴霧すべき液体が重力によって落下する液滴を形成することを可能にするには不十分になるように構成することができる。たとえば、液体出口121の形状、開口、または他の設定に応じて、液体出口121によって形成される噴霧すべき液体の液滴のサイズは、10マイクロリットルである。次いで、重力による自由な落下を回避するために、噴霧ユニット101と液体出口121との間の間隙Dのサイズを1.34mmまたはそれ以下にすることができる(液滴が略円形であり、10マイクロリットルの体積に対応すると仮定する)。このようにして、液体出口121から放出された噴霧すべき液体は、噴霧ユニット101に接触しており、噴霧ユニット101へ伝達された後、重力によって落下する液滴を形成し、したがって重力によって液滴を輸送することによって輸送効率が低くなるという問題を回避することができる。一方、液滴は、重力による落下によって噴霧ユニット101の有効噴霧領域から飛び散ることが防止される。このようにして、特にマイクロ液体輸送の適用シナリオにおいて、液体輸送ユニット102と噴霧ユニット101との間の液体輸送効率を実質上改善することができる。いくつかの実施形態では、液体出口121と噴霧ユニット101との間の間隙Dは、2mm以下に設定される。
【0031】
いくつかの実施形態では、噴霧ユニット101と液体出口との間の間隙Dのサイズは調整可能である。噴霧デバイス100の制御ユニットはまた、噴霧ユニット101と液体出口との間の間隙Dのサイズを調整するように構成することができる。このようにして、制御ユニットは、噴霧ユニット101と液体出口121との間の間隙Dのサイズを調整することによって、異なるサイズの液滴に適応することができる。たとえば、間隙Dが2mmであり、毎回20マイクロリットルの液滴が形成され、噴霧ユニット101へ輸送されると仮定したとき、液体輸送ユニット102の放出流量が変化せず、間隙Dが1.5mmに調整された場合、噴霧ユニット101の作用(たとえば、表面張力または振動)下で、液体出口で形成された比較的小さい体積の液滴は、噴霧ユニット101に接触し、噴霧ユニット101へ一度に伝達することができ、噴霧ユニット101によって噴霧される。間隙Dのサイズと輸送される液体のサイズとの間の関係は、たとえば実験または理論上の計算によって、事前に決定することができることが理解されよう。このようにして、間隙Dのサイズと液体のサイズとの間の所定の関係に従って、噴霧ユニット101への一度の伝達量を実質上制御することができ、したがって作業状態における噴霧ユニット101の液体貯蔵量を調整することができ、噴霧効果および作業効率が改善される。
【0032】
図1をさらに参照すると、液体輸送ユニット102は、プランジャ123と、プランジャ123に接続されたプランジャロッド124とをさらに含み、プランジャ123は、液体貯蔵容器122の内壁に摺動可能に係合され、プランジャロッド124を動かすことによって、プランジャ123を押して液体貯蔵容器122内で動かし、液体出口121から噴霧すべき液体を放出させることができる。従来の噴霧デバイスの液体送達システムと比べて、液体輸送ユニット102のプランジャロッド構造は、放出流の正確な定量的制御を容易にすることができ、それによって噴霧すべき微量の液体の送達量および送達速度の制御を完了することができる。液体輸送ユニット102はまた、蠕動ポンプ、シリンジポンプ、マイクロ流体気圧マイクロポンプなど、他の液体送達モードを採用することができることに留意されたい。
【0033】
図1に示すように、噴霧デバイス100は、駆動ユニット104をさらに含み、駆動ユニット104は、液体輸送ユニット102の液体送達速度および/または送達量を正確に制御するように、プランジャロッド124を駆動して伝動部材103を介して動かす。図1に示す実施形態では、伝動部材103は、親ねじ131および親ねじナット132を含み、親ねじ131は、駆動ユニット104に接続されており、駆動ユニット104の駆動下で回転する。駆動ユニット104は、ステッピングモータ、超音波モータ、または親ねじ131を駆動して回転させることが可能な他の機構を採用することができる。親ねじ131が回転すると、親ねじナット132が親ねじ131の軸方向に動き、親ねじナット132とプランジャロッド124との間の接続関係によって、親ねじナット132は、プランジャロッド124を駆動して、プランジャ123を制御可能に押して動かすことができ、それによって特定の量の噴霧すべき液体が液体出口121から放出される。図1に示すように、親ねじナット132は、保持部材133に接続することができ、プランジャロッド124は、保持部材133に取外し可能に固定されており、そのような構成は、液体輸送ユニット102の全体的な交換を容易にすることができる。たとえば、1回分の薬剤またはワクチンが包装された液体輸送ユニット102を保持部材133内に取外し可能に固定して、特定の量の液体送達を完了することができる。すべての液体が完全に放出された後、古い液体輸送ユニットを新しい液体輸送ユニットに直接交換することができ、したがって液体補充プロセスで生成されうる液体の汚染および残留液体の廃棄を回避することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、液体輸送ユニット102は、液体貯蔵容器122内の噴霧すべき液体の量を検出するように構成された液体レベルセンサをさらに含むことができる。さらに、制御ユニットは、液体レベルセンサと通信することができ、液体貯蔵容器122内の液体が指定の液体レベルよりも低いことを液体レベルセンサが示すとき、音響または光学警告信号を生成するように構成することができる。液体レベルセンサは、圧力式の液体レベルセンサを採用することができ、または液体貯蔵容器122内の液体レベルを監視もしくは指示することが可能な任意の他のタイプの構造もしくは構成要素とすることができることに留意されたい。たとえば、いくつかの実施形態では、液体レベルセンサは、プランジャ123、プランジャロッド124、または伝動部材103の運動量を監視する部材とすることができ、プランジャの運動量などを監視することによって、液体貯蔵容器122内の液体レベルを決定することができる。
【0035】
駆動ユニット104の駆動および/または液体レベルセンサの監視に基づいて、液体輸送ユニット102によって噴霧ユニット101へ輸送される液体の量を正確に制御することができ、それによって形成されるミストの量の精度が確保されることが理解されよう。たとえば、合計1mlの液体を10秒以内に噴霧ユニット101へ送達する必要があると仮定すると、液体輸送ユニット102は、毎秒100マイクロリットルの速度で噴霧すべき液体を噴霧ユニット101へ送達することができ、10マイクロリットル未満の液体量で噴霧すべき液体を噴霧ユニット101の液体貯蔵領域へ連続して輸送することができ、すなわち毎秒10個またはそれ以上の液滴(連続して伝達される液滴は、液体流の状態により類似している)が、噴霧ユニット101へ伝達される。噴霧ユニット101は、噴霧ユニット101内に貯蔵された液体を同期して噴霧するため、噴霧ユニットの液体貯蔵領域内の液体レベル高さは、所望のより低い高さ、たとえば2mm未満を、10秒間維持することができる。
【0036】
図1には示されていないが、噴霧デバイス100は、ミスト一時貯蔵容器をさらに含むことができる。ミスト一時貯蔵容器は、ミスト入口およびミスト吸引ポートを有し、ミスト入口は、噴霧ユニット101に取外し可能に係合されて、噴霧ユニット101によって噴霧されたミストを受け取って一時的に貯蔵するように構成される。たとえば、噴霧ユニット101は、ミスト化ポートを有することができ、ミスト一時容器のミスト入口は、ミスト化ポートに整合する形状を有することができ、したがってミスト入口は、噴霧ユニット101によって噴霧されたミストをミスト化ポートから受け取ることができる。噴霧時間または1次噴霧動作後、特定の量または濃度のミストがミスト一時貯蔵容器内に貯蔵されたとき、使用者は、ミスト吸引ポートを介してミスト一時貯蔵容器内に貯蔵されたミストを吸入することができる。連続吸入または周期的吸入という従来の方法と比べて、ミスト一時貯蔵容器は、一度に特定の濃度で薬物の吸入を実現することができ、これはマイクロ噴霧送達の使用にとって好適であるだけでなく、使用者の操作上の難しさを実質上低減させ、薬物送達効率を改善する。
【0037】
いくつかの実施形態では、ミスト一時貯蔵容器内の噴霧すべき液体の濃度を視覚的に示すために、噴霧デバイス100は、ミスト一時貯蔵容器内に配置された濃度マークをさらに含むことができる。それに応じて、ミスト一時容器は、外側から濃度マークを観察することができる観察部分を含むことができる。濃度マークの形状、構成、色、位置、および/または明るさなどのパラメータは、ミスト一時容器内のミスト濃度が所定の濃度値を下回ると、観察部分で濃度マークを視覚的に観察することができ、ミスト一時容器内のミスト濃度が所定の濃度値よりも高いときは、観察部分で濃度マークを視覚的に観察することができないように設定することができる。いくつかの実施形態では、濃度マークは、ミスト一時貯蔵容器の内壁に配置されたマーク、たとえば特定のグレースケールまたは色を有するパターンまたは凹状/凸状構造とすることができ、観察部分は、光透過性材料によって形成される。いくつかの他の実施形態では、濃度マークは、ミスト一時貯蔵容器の略中心位置に配置することができ、ミスト一時貯蔵容器は、使用者による観察を容易にするように、複数の観察部分を異なる方向に含むことができる。濃度マークの存在により、使用者は、使用者が受け取った噴霧すべき液体の濃度または総量が要件を満たすか否かを判断することができ、したがって吸入量が不十分であるために薬剤またはワクチンが効かない状況が回避される。
【0038】
図2は、本開示の別の実施形態による噴霧デバイス200のシステムブロック図を示す。図2に示すシステムブロック図は、図1に示す噴霧デバイス100に対応することができる。図2に示すように、噴霧デバイス200は、上部コンピュータ制御モジュールを含むことができ、上部コンピュータ制御モジュールは、実行すべき命令または関連するデータを記憶するための記憶モジュールを含むことができる。上部コンピュータ制御モジュールは、人間-コンピュータ相互作用インターフェースを含むことができ、したがって使用者は、特有の作業命令を入力することができる。一方、噴霧デバイス200は、液体貯蔵容器内の液体レベル、圧電セラミック噴霧部品の使用時間または使用回数、駆動ユニットの動作データなど、噴霧に関係する様々なデータ情報を表示するためのLED表示モジュールまたは表示パネルをさらに有することができる。加えて、噴霧デバイス200は、特別な音-光アラームモジュールをさらに有することができ、したがって噴霧デバイス200は、動作に異常が生じた(たとえば、液体レベルが低い、何度も噴霧部品が使用された、モータに異常が生じた)とき、対応する音信号または光信号の警告を操作者へ時間内に提供することができる。いくつかの他の実施形態では、上部コンピュータ制御モジュールは、通信モジュール(WiFi、ZigBee、RF、Bluetoothなど)を介して外部デバイスとさらに通信することができ、したがって噴霧デバイス200の状態データの遠隔制御ならびにクラウド分析および処理を実現することができる。
【0039】
図2をさらに参照すると、噴霧デバイス200は、上部コンピュータ制御モジュールを介してモータ駆動モジュールへ命令を送信し、したがって駆動モータがモータを駆動して開始させ、それによって伝動部材を駆動して動かし、さらに液体輸送ユニットの噴霧すべき液体を駆動して噴霧のために噴霧ユニットへ放出する。噴霧デバイス200は、センサモジュールをさらに含むことができ、センサモジュールは、噴霧ユニットおよび伝動部材でデータ(たとえば、伝動部材によって駆動された噴霧すべき液体の量、噴霧ユニットの動作状態、噴霧回数の累積数、液体輸送ユニットの現在の液体レベルなど)を感知し、それを上部コンピュータ制御モジュールへ伝送することができる。上部コンピュータ制御モジュールは、得られた情報に従って、対応する制御動作(たとえば、液体輸送ユニットの交換、噴霧ユニットの交換、液体送達流量の調整など)を実行することができる。噴霧デバイス200内の各ユニットまたは構成要素は、図1に示す噴霧デバイス100と同じ構造を採用しても、異なる構造を採用してもよいことに留意されたい。
【0040】
図3は、本開示のさらに別の実施形態による噴霧デバイス300の概略図を示し、その構造は、図1に示す噴霧デバイス100の構造に類似しており、類似の記号を有する部材または構成要素は、類似の構造または機能を有する。
【0041】
図3に示すように、噴霧デバイス300は、噴霧ユニット301と、噴霧すべき液体を噴霧ユニット301へ輸送するための液体輸送ユニット302とを有しており、液体噴霧ユニット302は、液体貯蔵容器322と、液体貯蔵容器内でプランジャを押して動かし、液体を輸送するためのプランジャロッド324とを備える。動作の際、噴霧デバイス300の駆動ユニット(この図には示さず)は、プランジャロッド324を駆動して伝動部材303を介して動かし、液体輸送を実現する。伝動部材303は、親ねじ331と、親ねじに整合する親ねじナット332とを含む。保持部材333の一端は親ねじナット332に取り付けられ、他端はプランジャロッド324に固定されて、親ねじナット332からプランジャロッド324へ駆動力を伝送する。噴霧デバイス300の伝動部分の構造は、図1に示す伝動部材103に概して類似しており、詳細について本明細書で繰り返し説明しない。
【0042】
図3をさらに参照すると、噴霧デバイス300は、ミスト入口351およびミスト吸引ポート352を含むミスト一時貯蔵容器305をさらに含む。ミスト入口351は、ミスト化ポートに整合する形状を有することができ、または別法として、ミスト入口351およびミスト化ポートを接続するための気密構造(図示せず)を設けることができる。使用の際、使用者は、噴霧されたミストを受け取るように、噴霧ユニット301の下にミスト一時貯蔵容器305を配置することができ、ミスト濃度が特定の程度に到達すると、ミスト一時貯蔵容器305が取り出され、ミスト一時貯蔵容器305内に貯蔵されたミストが、ミスト吸引ポート352を通して吸引される。ミスト一時貯蔵容器305の使用は、ミストを一度に高濃度で吸入することを確実にすることができるだけでなく、異なる使用者の使用プロセスで場合により生じる汚染および相互感染を回避することもできる。図3に示すように、噴霧デバイス300は、噴霧ユニット、液体輸送ユニット、駆動ユニットなどを実質上保護するためのカバー板構造306をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、ミスト入口351およびミスト吸引ポート352が同じ開口であってもよいことが理解されよう。
【0043】
図4は、本願の一実施形態による噴霧デバイスを使用する方法400の流れ図を示す。理解を容易にするために、使用方法400について、噴霧デバイス300を参照して以下で具体的に説明するが、使用方法400は、噴霧デバイス300と比べて異なる構造または構成要素を有する噴霧デバイスを使用することによって実装することもできることが理解されよう。図4に示すように、ステップ401で、使用された噴霧ユニット301の噴霧速度が決定される。上述したように、噴霧ユニットの噴霧速度は様々な方法で得ることができ、詳細について本明細書で繰り返し説明しない。決定された噴霧ユニット301の噴霧速度は0.1ml/分であると仮定され、次いでステップ402で、決定された0.1ml/分の噴霧ユニット301の噴霧速度に基づいて、それに対応して液体貯蔵容器322から放出される噴霧すべき液体の流量を決定することができる。その後、ステップ403で、噴霧すべき液体の決定された流量に基づいて、液体輸送ユニット302は、対応する流量で噴霧すべき液体を放出するように制御される。いくつかの実施形態では、液体輸送ユニット302は、1分間で0.01ml~2ml、好ましくは0.01ml~0.6mlの噴霧すべき液体を放出するように制御することができ、他の実施形態では、液体輸送ユニット102はまた、一度に0.01ml~2mlの噴霧すべき液体を断続的に放出することができ、各液体放出の期間は、1~30秒、好ましくは2~10秒であることに留意されたい。
【0044】
図3には示されていないが、噴霧ユニット301と液体出口との間に間隙Dが存在することができ、この間隙Dにより、液体出口で所定のサイズの液滴を形成するように噴霧すべき液体を放出することが可能になり、液滴は、噴霧ユニット301に接触した後、表面張力によって噴霧ユニット301へ伝達することができる。そのような間隙サイズにより、重力による自由な落下を回避することができる。
【0045】
図3および図4をさらに参照すると、いくつかの実施形態では、ステップ404で、ミスト一時容器305内のミスト入口351が噴霧ユニット301に係合されて、噴霧ユニット301によって噴霧されたミストを受け取って一時的に貯蔵する。その後、ステップ405で、ミスト一時貯蔵容器305の濃度マーク(この図には示さず)が観察部分から視覚的に観察され、濃度マークを観察部分から視覚的に観察することができないときは、ミスト一時貯蔵容器305内の噴霧すべき液体または薬物の濃度が吸入可能要件に到達したことが示される。その後、ステップ406で、最善の吸入送達効果を実現するために、ミスト一時貯蔵容器内の特定の濃度の噴霧された液体を、ミスト一時貯蔵容器305のミスト吸引ポート352から一度に吸引することができる。
【実施例
【0046】
[実施例1]
いくつかの実施形態では、噴霧デバイスの液体輸送ユニットは、噴霧すべき液体を噴霧ユニットへ断続的に輸送するように構成することができ、噴霧ユニットはまた、噴霧すべき液体を受け取るたびに単一の噴霧を実行するように構成される。このタイプの単一ショット噴霧デバイスは、薬物またはワクチン溶液の分割送達などの分割マイクロ噴霧送達要件にとって特に好適である。以下は、50mgの標的単一噴霧液体薬剤量の噴霧処理を実行するために本願のこのタイプの単一ショット噴霧デバイスが使用されるたびに実際に測定された噴霧液体薬剤の量である。実験では毎回、単一の計量方法を使用して、噴霧された液体薬剤の実際の量を得た。10回の噴霧測定が合計3ラウンド実行され、特有の測定データはそれぞれ、次のように表1~表3に示されており、噴霧された液体薬剤の量の標準偏差が非常に小さいことを見ることができる。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
[実施例2]
以下は、100mgの標的単一噴霧液体薬剤量の噴霧処理を実行するために本願のこのタイプの単一ショット噴霧デバイスが使用されるたびに実際に測定された噴霧液体薬剤の量である。同じく実験では毎回、単一の計量方法を採用して、実際の噴霧された液体薬剤の量を測定し、10回の噴霧測定が合計3ラウンド実行された。特有の測定データはそれぞれ、次のように表4~表6に示されており、噴霧された液体薬剤の量の標準偏差が非常に小さいことを見ることができる。
【0051】
【表4】
【0052】
【表5】
【0053】
【表6】
【0054】
本願の一実施形態による噴霧デバイスは、薬物またはワクチンなどの微量の肺吸入液体製剤を送達するのに特に好適である。この噴霧デバイスには、残留液体が少ない、洗い流す必要がない、定量化が正確である、適用範囲が広い、微生物汚染がない、閉塞がないなどの利点がある。噴霧中央粒径は、5ミクロン以下に達することができる。加えて、噴霧デバイスはミスト一時貯蔵容器をさらに含むことができるため、使用者は、高濃度の薬物またはワクチンのミストの吸引を正確かつ効率的に実現することができ、それによって薬物またはワクチンの最大限の利用を実現することができる。
【0055】
上記は本願の概説であり、簡略化、要約、および省略されていることがあり、したがってこの部分は例示のみを目的とし、本願の範囲を何らかの形で限定することを意図したものではないことが、当業者には理解されよう。この概要は、特許請求される主題の主要な特徴または本質的な特徴を識別することを意図したものでも、特許請求される主題の範囲を決定するための補助手段として使用されることを意図したものでもない。
【0056】
噴霧デバイスのいくつかの構成要素または部分構成要素について、上記の詳細な説明で言及したが、そのような区分は必須ではなく単なる例示であることに留意されたい。実際には、本願の一実施形態によれば、上述した2つ以上の構成要素の特徴および機能を1つの構成要素内で実施することができる。逆に、上述した構成要素のうちの1つの特徴および機能をさらに分割して、複数の構成要素によって実施することもできる。
【0057】
本明細書、本開示、図面、および添付の特許請求の範囲を検討することによって、開示する実施形態への他の変更が当業者には理解および実装されよう。特許請求の範囲において、「備える、含む(comprising)」という単語は、他の要素およびステップを除外するものではなく、「a」および「an」という用語は、複数を除外するものでもない。本願の実際的な応用では、1つの部分が、特許請求の範囲で参照される複数の技術的な特徴の機能を実行することができる。特許請求の範囲におけるあらゆる参照符号は、その範囲を限定すると解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】