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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】分光反射率測定方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/27 20060101AFI20240528BHJP
【FI】
G01N21/27 B
G01N21/27 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577440
(86)(22)【出願日】2022-06-14
(85)【翻訳文提出日】2024-02-13
(86)【国際出願番号】 CN2022098513
(87)【国際公開番号】W WO2022262692
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】202110660535.1
(32)【優先日】2021-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508219313
【氏名又は名称】杭州海康威視数字技術股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】姚 辛励
(72)【発明者】
【氏名】朱 永浩
(72)【発明者】
【氏名】朱 ▲鎮▼峰
(72)【発明者】
【氏名】蔡 宏
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 世峰
(72)【発明者】
【氏名】毛 慧
(72)【発明者】
【氏名】浦 世▲亮▼
(72)【発明者】
【氏名】徐 ▲鵬▼
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA02
2G059EE02
2G059EE12
2G059FF01
2G059FF08
2G059GG10
2G059JJ01
2G059JJ11
2G059JJ17
2G059KK04
2G059MM14
2G059NN05
(57)【要約】
本発明は、分光反射率測定方法およびシステムを提供する。前記分光反射率測定システムは、環境光感知モジュール、目標スペクトル収集モジュール、およびデータ処理モジュールを含む。環境光感知モジュールは、目標測定時刻における測定環境光スペクトルを収集し、測定環境光スペクトルをデータ処理モジュールに送信し、目標スペクトル収集モジュールは、目標測定時刻における測定目標スペクトルを収集し、測定目標スペクトルをデータ処理モジュールに送信し、データ処理モジュールは、同一の目標波長に対応する測定環境光スペクトルおよび測定目標スペクトルを決定し、前記測定環境光スペクトルおよび決定されたマッピングパラメータに基づいて測定基準スペクトルを決定し、前記測定目標スペクトルおよび前記測定基準スペクトルに基づいて被測定物の分光反射率を決定する。前記測定基準スペクトルは、第2の環境光のスペクトルであり、マッピングパラメータは、基準スペクトルと環境光スペクトルとの間のマッピング関係を表す。本発明の技術的解決手段により、被測定物の分光反射率を正確に算出することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境光感知モジュール、目標スペクトル収集モジュール、およびデータ処理モジュールを含む分光反射率測定システムであって、
前記環境光感知モジュールは、目標測定時刻における測定環境光スペクトルを収集し、前記測定環境光スペクトルを前記データ処理モジュールに送信するために用いられ、前記測定環境光スペクトルは、第1の環境光のスペクトルであり、前記第1の環境光は、前記環境光感知モジュールによって感知された環境光であり、
前記目標スペクトル収集モジュールは、目標測定時刻における測定目標スペクトルを収集し、前記測定目標スペクトルを前記データ処理モジュールに送信するために用いられ、前記測定目標スペクトルは、被測定物が第2の環境光を反射するスペクトルであり、前記第2の環境光は、前記目標スペクトル収集モジュールによって感知された環境光であり、
前記データ処理モジュールは、同一の目標波長に対応する測定環境光スペクトルおよび測定目標スペクトルを決定し、前記測定環境光スペクトルおよび決定されたマッピングパラメータに基づいて測定基準スペクトルを決定し、前記測定目標スペクトルおよび前記測定基準スペクトルに基づいて前記被測定物の分光反射率を決定するために用いられ、前記測定基準スペクトルは、前記第2の環境光のスペクトルであり、前記マッピングパラメータは、基準スペクトルと環境光スペクトルとの間のマッピング関係を表すことを特徴とする分光反射率測定システム。
【請求項2】
前記環境光感知モジュールは、第1の波長セット内の各波長について測定環境光スペクトル値を収集するために用いられ、前記目標スペクトル収集モジュールは、第2の波長セット内の各波長について測定目標スペクトル値を収集するために用いられ、前記第1の波長セットは前記第2の波長セットのサブセットであり、
前記データ処理モジュールが、同一の目標波長に対応する測定環境光スペクトルおよび測定目標スペクトルを決定する際に、具体的に、
前記第2の波長セット内の各波長を目標波長とし、各目標波長について、
前記目標スペクトル収集モジュールから、前記目標波長に対応する測定目標スペクトル値を収集し、
前記目標波長が前記第1の波長セットに存在するか否かを判断し、存在する場合、前記目標波長に対応する測定環境光スペクトル値を前記環境光感知モジュールから取得し、存在しない場合、前記環境光感知モジュールによって収集された少なくとも2つの波長の測定環境光スペクトル値に基づいて、前記目標波長に対応する測定環境光スペクトル値を決定するために用いられることを特徴とする請求項1に記載の分光反射率測定システム。
【請求項3】
前記データ処理モジュールが、前記環境光感知モジュールによって収集された少なくとも2つの波長の測定環境光スペクトル値に基づいて、前記目標波長に対応する測定環境光スペクトル値を決定する際に、具体的に、
前記第1の波長セットから第1のマッチング波長と第2のマッチング波長を選択し、
前記第1のマッチング波長に対応する測定環境光スペクトル値と、前記第2のマッチング波長に対応する測定環境光スペクトル値と、に基づいて、前記目標波長に対応する測定環境光スペクトル値を決定するために用いられる、
前記第1のマッチング波長は、前記第1の波長セット内の前記目標波長に最も近くて前記目標波長より小さい波長であり、前記第2のマッチング波長は、前記第1の波長セット内の前記目標波長に最も近くて前記目標波長より大きい波長であることを特徴とする請求項2に記載の分光反射率測定システム。
【請求項4】
前記データ処理モジュールは、前記測定環境光スペクトルおよび前記測定目標スペクトルにおける最大スペクトル値を決定し、
前記最大スペクトル値が所定のスペクトル最小値より小さい場合、前記環境光感知モジュールが現在使用している第1の露光時間を第2の露光時間に調整し、前記環境光感知モジュールが前記第2の露光時間に基づいて測定環境光スペクトルを収集するように制御し、前記目標スペクトル収集モジュールが前記第2の露光時間に基づいて測定目標スペクトルを収集するように制御し、
前記最大スペクトル値が所定のスペクトル最大値より大きい場合、前記環境光感知モジュールが現在使用している前記第1の露光時間を第3の露光時間に調整し、前記環境光感知モジュールが前記第3の露光時間に基づいて測定環境光スペクトルを収集するように制御し、前記目標スペクトル収集モジュールが前記第3の露光時間に基づいて測定目標スペクトルを収集するように制御するために用いられる、
前記第2の露光時間は前記第1の露光時間より大きく、前記第3の露光時間は前記第1の露光時間より小さいことを特徴とする請求項1に記載の分光反射率測定システム。
【請求項5】
前記環境光感知モジュールが位置データを収集し、前記位置データを前記データ処理モジュールに送信するために用いられ、
前記データ処理モジュールが、前記測定環境光スペクトルおよび決定されたマッピングパラメータに基づいて測定基準スペクトルを決定する際に、具体的に、前記位置データに基づいて角度パラメータを決定し、前記測定環境光スペクトル、前記角度パラメータおよび前記マッピングパラメータに基づいて、前記測定基準スペクトルを決定するために用いられ、前記マッピングパラメータは、基準スペクトル、環境光スペクトルおよび角度パラメータの間のマッピング関係を表し、
前記位置データが前記環境光感知モジュールの姿勢情報であれば、前記角度パラメータは、前記姿勢情報に対応する姿勢角であり、および/または、前記位置データが前記環境光感知モジュールの経度および緯度情報であれば、前記角度パラメータは、前記経度および緯度情報に対応する天頂角であることを特徴とする請求項1に記載の分光反射率測定システム。
【請求項6】
前記環境光感知モジュールは、目標較正時刻における較正環境光スペクトルを収集し、前記較正環境光スペクトルを前記データ処理モジュールに送信するために用いられ、前記較正環境光スペクトルは第1の環境光のスペクトルであり、前記第1の環境光は、前記環境光感知モジュールによって感知された環境光であり、
前記目標スペクトル収集モジュールは、目標較正時刻における較正目標スペクトルを収集し、前記較正目標スペクトルを前記データ処理モジュールに送信するために用いられ、前記較正目標スペクトルは較正物体が第2の環境光を反射するスペクトルであり、前記第2の環境光は、前記目標スペクトル収集モジュールによって感知された環境光であり、
前記データ処理モジュールは、同一の目標波長に対応する較正環境光スペクトルおよび較正目標スペクトルを決定し、前記較正目標スペクトルおよび前記較正物体の設定された分光反射率に基づいて、較正基準スペクトルを決定し、前記較正基準スペクトルおよび前記較正環境光スペクトルに基づいて前記マッピングパラメータを決定するために用いられ、前記較正基準スペクトルは、前記第2の環境光のスペクトルであることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の分光反射率測定システム。
【請求項7】
前記環境光感知モジュールが位置データを収集し、前記位置データを前記データ処理モジュールに送信するために用いられ、
前記データ処理モジュールが、前記較正基準スペクトルおよび前記較正環境光スペクトルに基づいて前記マッピングパラメータを決定する際に、具体的に、前記位置データに基づいて角度パラメータを決定し、前記角度パラメータ、前記較正基準スペクトルおよび前記較正環境光スペクトルに基づいて、前記マッピングパラメータを決定するために用いられ、前記マッピングパラメータは、基準スペクトル、環境光スペクトルおよび角度パラメータの間のマッピング関係を表し、
前記位置データが前記環境光感知モジュールの姿勢情報であれば、前記角度パラメータは、前記姿勢情報に対応する姿勢角であり、および/または、前記位置データが前記環境光感知モジュールの経度および緯度情報であれば、前記角度パラメータは、前記経度および緯度情報に対応する天頂角であることを特徴とする請求項6に記載の分光反射率測定システム。
【請求項8】
前記環境光感知モジュールは、少なくとも光均一化経路とマルチスペクトルセンサとを備え、前記光均一化経路は前記マルチスペクトルセンサに対向して配置され、環境光は前記光均一化経路によって光均一化された後、前記マルチスペクトルセンサに伝送され、前記マルチスペクトルセンサが複数の波長の前記測定環境光スペクトルを収集し、
または、前記環境光感知モジュールは、少なくとも光均一化経路と、光ファイバと、光ファイバ分光器とを備え、前記光ファイバの一端は、前記光ファイバ分光器に接続され、前記光ファイバの他端は、前記光均一化経路に接続され、環境光は、前記光均一化経路によって光均一化された後、前記光ファイバを介して前記光ファイバ分光器に伝送され、前記光ファイバ分光器が複数の波長の前記測定環境光スペクトルを収集し、
前記光ファイバ分光器が取得可能な測定環境光スペクトルの波長数が、前記マルチスペクトルセンサが取得可能な測定環境光スペクトルの波長数より多く、
前記環境光感知モジュールは、姿勢センサおよび/または位置センサをさらに備え、前記姿勢センサは姿勢情報を収集するために用いられ、前記位置センサは経度および緯度情報を収集するために用いられることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の分光反射率測定システム。
【請求項9】
前記目標スペクトル収集モジュールは、レンズと光ファイバ分光器とを備え、前記レンズは前記光ファイバ分光器に接続され、前記レンズは、前記被測定物が環境光を反射した後の光を収集して前記光ファイバ分光器に伝送し、前記光ファイバ分光器が複数の波長の前記測定目標スペクトルを収集し、
または、前記目標スペクトル収集モジュールは、レンズとイメージング分光器とを備え、前記レンズは前記イメージング分光器に接続され、前記レンズは、前記被測定物が環境光を反射した後の光を収集して前記イメージング分光器に伝送し、前記イメージング分光器が複数の波長の前記測定目標スペクトルを収集することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の分光反射率測定システム。
【請求項10】
同一の目標波長に対応する測定環境光スペクトルおよび測定目標スペクトルを決定するステップであって、前記測定環境光スペクトルの収集の時刻は前記測定目標スペクトルの収集の時刻と同じであり、前記測定環境光スペクトルは、第1の環境光のスペクトルであり、前記測定目標スペクトルは、被測定物が第2の環境光を反射するスペクトルである、ステップと、
前記測定環境光スペクトルおよび決定されたマッピングパラメータに基づいて測定基準スペクトルを決定ステップであって、前記測定基準スペクトルは、前記第2の環境光のスペクトルであり、前記マッピングパラメータは、基準スペクトルと環境光スペクトルとの間のマッピング関係を表す、ステップと、
前記測定目標スペクトルおよび前記測定基準スペクトルに基づいて前記被測定物の分光反射率を決定するステップと、
を含むことを特徴とする分光反射率測定方法。
【請求項11】
前記マッピングパラメータを決定するプロセスは、
同一の目標波長に対応する較正環境光スペクトルおよび較正目標スペクトルを決定するステップであって、前記較正環境光スペクトルの収集の時刻は前記較正目標スペクトルの収集の時刻と同じであり、前記較正環境光スペクトルは、第1の環境光のスペクトルであり、前記較正目標スペクトルは、較正物体が第2の環境光を反射するスペクトルである、ステップと、
前記較正目標スペクトルおよび前記較正物体の設定された分光反射率に基づいて、較正基準スペクトルを決定するステップであって、前記較正基準スペクトルは、前記第2の環境光のスペクトルである、ステップと、
前記較正基準スペクトルおよび前記較正環境光スペクトルに基づいて前記マッピングパラメータを決定するステップと、
を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学処理の技術分野に関し、特に、分光反射率測定方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ハイパースペクトルイメージングとは、イメージング技術とハイパースペクトル技術の組み合わせにより、被測定物の2次元の幾何学的空間と1次元のスペクトル情報を取得し、ハイパースペクトル分解能を持つ連続的な狭帯域の画像データを得ることを指す。
【0003】
ハイパースペクトル技術とは、非常に狭く連続的なスペクトルチャンネル(RGB(Red Green Blue、赤緑青)などの3チャンネルとは異なる)を用いて、被測定物のスペクトル情報を得る技術であり、この技術では、被測定物の複数のスペクトルチャンネルの電磁波データ(すなわち、スペクトル情報)を収集し、これらのデータの特徴に基づいて、被測定物の分子組成、相対含有率、材料種類などの関心情報を得ることができる。リモートセンシングや物質測定の分野では、被測定物の反射光強度に基づいて被測定物のスペクトル情報を得ることができる。しかし、照射光源のスペクトル成分の不一致により、異なる光源下で得られるスペクトル線が不一致となる。そのため、被測定物の反射光強度だけでは、被測定物のスペクトル情報を得ることができない。
【0004】
照射光源のスペクトル成分の不一致により、異なる光源下で得られるスペクトル線が不一致となる問題を解決するために、被測定物の評価特徴として分光反射率を取り入れること、すなわち分光反射率と組み合わせて被測定物のスペクトル情報を得ることが考えられる。分光反射率とは、ある波長帯域における被測定物の反射光束と、その波長帯域の入射光束との比を指す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
結論として、被測定物の分光反射率を算出することは、ハイパースペクトルイメージングを実現する上で重要な要素である。しかし、被測定物の分光反射率を正確に算出するための効果的な実現方法は未だ確立されていない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、環境光感知モジュール、目標スペクトル収集モジュール、およびデータ処理モジュールを含む分光反射率測定システムであって、
前記環境光感知モジュールは、目標測定時刻における測定環境光スペクトルを収集し、前記測定環境光スペクトルを前記データ処理モジュールに送信するために用いられ、前記測定環境光スペクトルは、第1の環境光のスペクトルであり、前記第1の環境光は、前記環境光感知モジュールによって感知された環境光であり、
前記目標スペクトル収集モジュールは、目標測定時刻における測定目標スペクトルを収集し、前記測定目標スペクトルを前記データ処理モジュールに送信するために用いられ、前記測定目標スペクトルは、被測定物が第2の環境光を反射するスペクトルであり、前記第2の環境光は、前記目標スペクトル収集モジュールによって感知された環境光であり、
前記データ処理モジュールは、同一の目標波長に対応する測定環境光スペクトルおよび測定目標スペクトルを決定し、前記測定環境光スペクトルおよび決定されたマッピングパラメータに基づいて測定基準スペクトルを決定し、前記測定目標スペクトルおよび前記測定基準スペクトルに基づいて前記被測定物の分光反射率を決定するために用いられ、前記測定基準スペクトルは、前記第2の環境光のスペクトルであり、前記マッピングパラメータは、基準スペクトルと環境光スペクトルとの間のマッピング関係を表す、
分光反射率測定システムを提供する。
【0007】
本発明は、同一の目標波長に対応する測定環境光スペクトルおよび測定目標スペクトルを決定するステップであって、前記測定環境光スペクトルの収集の時刻は前記測定目標スペクトルの収集の時刻と同じであり、前記測定環境光スペクトルは、第1の環境光のスペクトルであり、前記測定目標スペクトルは、被測定物が第2の環境光を反射するスペクトルである、ステップと、
前記測定環境光スペクトルおよび決定されたマッピングパラメータに基づいて測定基準スペクトルを決定ステップであって、前記測定基準スペクトルは、前記第2の環境光のスペクトルであり、前記マッピングパラメータは、基準スペクトルと環境光スペクトルとの間のマッピング関係を表す、ステップと、
前記測定目標スペクトルおよび前記測定基準スペクトルに基づいて前記被測定物の分光反射率を決定するステップと、を含む、
分光反射率測定方法を提供する。
【0008】
以上の技術的解決手段から分かるように、本発明の実施例では、基準スペクトルと環境光スペクトルとのマッピングパラメータを事前に較正することにより、同一の目標波長に対応する測定環境光スペクトルと測定目標スペクトルと前記マッピングパラメータとに基づいて、被測定物の分光反射率を決定することができるため、被測定物の分光反射率を正確に算出することができ、被測定物の分光反射率の迅速、リアルタイム、効率的かつ正確な取得を実現することができる。現場でリアルタイムに被測定物の分光反射率を連続的に取得することができ、現場の地物(すなわち被測定物)の分光反射率の取得の利便性とリアルタイム性を向上させた。使用過程において、較正物体(標準ホワイトボードなど)を使用して一回の較正(すなわち、較正マッピングパラメータ)を行えばよく、較正物体のデータの収集を繰り返す必要がなく、異なる天候、異なる太陽高度角の下での分光反射率の取得を実現することができ、太陽高度角/姿勢角補正などを通じて、様々な使用ケースにおける分光反射率の計算精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の実施例における技術的解決策をより明確に説明するために、本発明の実施例の説明において使用する添付図面を以下に簡単に紹介するが、明らかに、以下の説明における添付図面は、本発明において記載された一部の実施例に過ぎず、当業者であれば、本発明の実施例のこれらの添付図面に基づいて、他の添付図面を得ることができる。
図1】本発明の一実施形態に係る分光反射率測定システムの構造を示す概略図である。
図2A】本発明の一実施形態に係る分光反射率測定システムの配置を示す概略図である。
図2B】本発明の一実施形態に係る分光反射率測定システムの配置を示す概略図である。
図3】本発明の一実施形態に係るマッピングパラメータの較正プロセスを示す概略図である。
図4】本発明の一実施形態に係る分光反射率の計算プロセスを示す概略図である。
図5A】本発明の一実施形態に係る分光反射率測定システムの構造を示す概略図である。
図5B】本発明の一実施形態に係る分光反射率測定システムの構造を示す概略図である。
図5C】本発明の一実施形態に係る分光反射率測定システムの構造を示す概略図である。
図5D】本発明の一実施形態に係る分光反射率測定システムの構造を示す概略図である。
図5E】本発明の一実施形態に係る分光反射率測定システムの構造を示す概略図である。
図5F】本発明の一実施形態に係る分光反射率測定システムの構造を示す概略図である。
図6A】本発明の一実施形態に係る実際のシナリオ適用を示す概略図である。
図6B】本発明の一実施形態に係る実際のシナリオ適用を示す概略図である。
図6C】本発明の一実施形態に係る実際のシナリオ適用を示す概略図である。
図7】本発明の一実施形態に係る分光反射率測定方法のフローを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施例で使用された用語は特定の実施例を説明するための目的のみであり、本発明を限定するものではない。文脈が明らかに他の意味を示さない限り、本発明の実施例と特許請求の範囲に使用される単数形の「一種」、「前記」および「前記」は複数形を含むことも意図する。また、ここで使用される「および/または」という用語は、関連する列挙された項目の1つ以上を含む任意のまたはすべての可能な組み合わせを指すことも理解されるべきである。
【0011】
本発明の実施例では、様々な種類の情報を説明するために第1、第2、第3などの用語を用いることがあるが、このような情報はこれらの用語に限定されるべきではないことを理解されたい。これらの用語は、同じ種類の情報を互いに区別するために使用されるに過ぎない。例えば、本発明の範囲から逸脱することなく、第1の情報を第2の情報とも称することができ、同様に、第2の情報を第1の情報とも称することができる。さらに、文脈によっては、使用されている用語「もし」は、「…とき」、「…場合」または「決定に応答して」と解釈され得る。
【0012】
本発明の実施例は分光反射率測定システムを提供し、図1は前記分光反射率測定システムの構造を示す概略図である。図1に示すように、前記分光反射率測定システムは少なくとも環境光感知モジュール11、目標スペクトル収集モジュール12、およびデータ処理モジュール13を含み得る。
【0013】
環境光感知モジュール11は、目標測定時刻における測定環境光スペクトルを収集し、前記測定環境光スペクトルをデータ処理モジュール13に送信するために用いられ、前記測定環境光スペクトルは、第1の環境光のスペクトルであってもよく、前記第1の環境光は、環境光感知モジュール11によって感知された環境光であってもよい。例えば、すべての環境光に対して、環境光感知モジュール11は、環境光の一部である第1の環境光を感知することができ、第1の環境光は、異なる時刻に異なる値を有する。測定環境光スペクトルは、第1の環境光に対応するスペクトルである。
【0014】
目標スペクトル収集モジュール12は、目標測定時刻(すなわち測定環境光スペクトルの測定時刻)における測定目標スペクトルを収集し、前記測定目標スペクトルをデータ処理モジュール13に送信するために用いられ、前記測定目標スペクトルは、被測定物が第2の環境光を反射するスペクトルであってもよく、前記第2の環境光は、目標スペクトル収集モジュール12によって感知された環境光であってもよい。例えば、すべての環境光に対して、目標スペクトル収集モジュール12は、環境光の一部である第2の環境光を感知することができ、第2の環境光は第1の環境光と異なる。第2の環境光は、異なる時刻に異なる値を有する。測定目標スペクトルは、被測定物が第2の環境光を反射するスペクトルである。
【0015】
データ処理モジュール13は、同一の目標波長に対応する測定環境光スペクトルおよび測定目標スペクトルを決定し、前記測定環境光スペクトルおよび決定されたマッピングパラメータに基づいて測定基準スペクトルを決定するために用いられる。例示的に、前記測定基準スペクトルは、第2の環境光のスペクトルであってもよく、前記マッピングパラメータは、基準スペクトルと環境光スペクトルとの間のマッピング関係を表すために用いられ得る。データ処理モジュール13はさらに、前記測定目標スペクトルおよび前記測定基準スペクトルに基づいて前記被測定物の分光反射率を決定することができる。
【0016】
可能な一実施形態では、環境光感知モジュール11は、第1の波長セット内の各波長について測定環境光スペクトルを収集するために用いられ、目標スペクトル収集モジュール12は、第2の波長セット内の各波長について測定目標スペクトルを収集するために用いられ、第1の波長セットは第2の波長セットのサブセットである。データ処理モジュール13が、同一の目標波長に対応する測定環境光スペクトルおよび測定目標スペクトルを決定する際に、具体的に、第2の波長セット内の各波長を目標波長とし、各目標波長について、目標スペクトル収集モジュール12から、前記目標波長に対応する測定目標スペクトルを収集し、前記目標波長が第1の波長セットに存在するか否かを判断し、存在する場合、前記目標波長に対応する測定環境光スペクトルを環境光感知モジュール11から取得し、存在しない場合、環境光感知モジュール11によって収集された少なくとも2つの波長の測定環境光スペクトルに基づいて、前記目標波長に対応する測定環境光スペクトルを決定するために用いられる。例えば、第1の波長セットから第1のマッチング波長と第2のマッチング波長を選択し、第1のマッチング波長に対応する測定環境光スペクトルと、第2のマッチング波長に対応する測定環境光スペクトルとに基づいて、前記目標波長に対応する測定環境光スペクトルを決定する。第1のマッチング波長は、第1の波長セット内の前記目標波長に最も近くて前記目標波長より小さい波長であり、第2のマッチング波長は、第1の波長セット内の前記目標波長に最も近くて前記目標波長より大きい波長である。
【0017】
可能な一実施形態では、データ処理モジュール13はさらに、測定環境光スペクトルおよび測定目標スペクトルにおける最大スペクトル値を決定するために用いられる。前記最大スペクトル値が所定のスペクトル最小値より小さい場合、データ処理モジュール13は、環境光感知モジュール11が現在使用している第1の露光時間を第2の露光時間に調整し、環境光感知モジュール11が第2の露光時間に基づいて測定環境光スペクトルを収集するように制御し、目標スペクトル収集モジュール12が第2の露光時間に基づいて測定目標スペクトルを収集するように制御する。第2の露光時間は第1の露光時間より大きい。または、前記最大スペクトル値が所定のスペクトル最大値より大きい場合、データ処理モジュール13は、環境光感知モジュール11が現在使用している第1の露光時間を第3の露光時間に調整し、環境光感知モジュール11が第3の露光時間に基づいて測定環境光スペクトルを収集するように制御し、目標スペクトル収集モジュール12が第3の露光時間に基づいて測定目標スペクトルを収集するように制御する。第3の露光時間は第1の露光時間より小さい。
【0018】
可能な一実施形態では、環境光感知モジュール11はさらに、位置データを収集し、前記位置データをデータ処理モジュール13に送信することができる。データ処理モジュール13が、前記測定環境光スペクトルおよび決定されたマッピングパラメータに基づいて測定基準スペクトルを決定する際に、具体的に、前記位置データに基づいて角度パラメータを決定し、前記測定環境光スペクトル、前記角度パラメータおよび前記マッピングパラメータに基づいて、測定基準スペクトルを決定するために用いられ、前記マッピングパラメータは、基準スペクトル、環境光スペクトルおよび角度パラメータの間のマッピング関係を表す。
【0019】
例示的に、前記位置データが環境光感知モジュール11の姿勢情報であれば、前記角度パラメータは、前記姿勢情報に対応する姿勢角であってもよく、および/または、前記位置データが環境光感知モジュール11の経度および緯度情報であれば、前記角度パラメータは、前記経度および緯度情報に対応する天頂角であってもよい。
【0020】
可能な一実施形態では、マッピングパラメータを決定するプロセスは、以下を含み得る。
【0021】
環境光感知モジュール11は、目標較正時刻における較正環境光スペクトルを収集し、前記較正環境光スペクトルをデータ処理モジュール13に送信する。前記較正環境光スペクトルは第1の環境光のスペクトルであってもよく、前記第1の環境光は、環境光感知モジュール11によって感知された環境光であってもよい。
【0022】
目標スペクトル収集モジュール12は、目標較正時刻における較正目標スペクトルを収集し、前記較正目標スペクトルをデータ処理モジュール13に送信する。前記較正目標スペクトルは較正物体が第2の環境光を反射するスペクトルであり、前記第2の環境光は、目標スペクトル収集モジュール12によって感知された環境光である。
【0023】
データ処理モジュール13は、同一の目標波長に対応する較正環境光スペクトルおよび較正目標スペクトルを決定し、前記較正目標スペクトルおよび前記較正物体の設定された分光反射率に基づいて、較正基準スペクトルを決定する。前記較正基準スペクトルは、前記第2の環境光のスペクトルであってもよい。さらに、前記較正基準スペクトルおよび前記較正環境光スペクトルに基づいてマッピングパラメータを決定する。前記マッピングパラメータは、基準スペクトルおよび環境光スペクトルの間のマッピング関係を表す。
【0024】
可能な一実施形態では、環境光感知モジュール11はさらに、位置データを収集し、前記位置データをデータ処理モジュール13に送信することができる。データ処理モジュール13が、前記較正基準スペクトルおよび前記較正環境光スペクトルに基づいてマッピングパラメータを決定する際に、具体的に、前記位置データに基づいて角度パラメータを決定し、前記角度パラメータ、前記較正基準スペクトルおよび前記較正環境光スペクトルに基づいて、前記マッピングパラメータを決定するために用いられ、前記マッピングパラメータは、基準スペクトル、環境光スペクトルおよび角度パラメータの間のマッピング関係を表す。
【0025】
例示的、前記位置データが環境光感知モジュール11の姿勢情報であれば、前記角度パラメータは、前記姿勢情報に対応する姿勢角であってもよく、および/または、前記位置データが環境光感知モジュール11の経度および緯度情報であれば、前記角度パラメータは、前記経度および緯度情報に対応する天頂角であってもよい。
【0026】
可能な一実施形態では、環境光感知モジュール11は、少なくとも光均一化経路とマルチスペクトルセンサとを備え、光均一化経路はマルチスペクトルセンサに対向して配置され、環境光は光均一化経路によって光均一化された後、マルチスペクトルセンサに伝送され、マルチスペクトルセンサが複数の波長の測定環境光スペクトルを収集する。または、環境光感知モジュール11は、少なくとも光均一化経路と、光ファイバと、光ファイバ分光器とを備え、光ファイバの一端は、光ファイバ分光器に接続され、光ファイバの他端は、光均一化経路に接続され、環境光は、光均一化経路によって光均一化された後、光ファイバを介して光ファイバ分光器に伝送され、光ファイバ分光器が複数の波長の測定環境光スペクトルを収集する。上記の方式では、光ファイバ分光器が取得可能な測定環境光スペクトルの波長数が、マルチスペクトルセンサが取得可能な測定環境光スペクトルの波長数より多い。
【0027】
例示的に、環境光感知モジュール11はさらに、姿勢センサおよび/または位置センサを備えてもよく、姿勢センサは姿勢情報を収集するために用いられ、位置センサは経度および緯度情報を収集するために用いられる。
【0028】
可能な一実施形態では、目標スペクトル収集モジュール12は、少なくともレンズと光ファイバ分光器とを備え、前記レンズは前記光ファイバ分光器に接続され、前記レンズは、被測定物が環境光を反射した後の光を収集して前記光ファイバ分光器に伝送し、前記光ファイバ分光器が複数の波長の測定目標スペクトルを収集する。または、目標スペクトル収集モジュール12は、レンズとイメージング分光器とを備えてもよく、前記レンズは前記イメージング分光器に接続され、前記レンズは、被測定物が環境光を反射した後の光を収集して前記イメージング分光器に伝送し、前記イメージング分光器が複数の波長の測定目標スペクトルを収集する。
【0029】
以上の技術的解決手段から分かるように、本発明の実施例では、基準スペクトルと環境光スペクトルとのマッピングパラメータを事前に較正することにより、同一の目標波長に対応する測定環境光スペクトルと測定目標スペクトルと前記マッピングパラメータとに基づいて、被測定物の分光反射率を決定することができるため、被測定物の分光反射率を正確に算出することができ、被測定物の分光反射率の迅速、リアルタイム、効率的かつ正確な取得を実現することができる。現場でリアルタイムに被測定物の分光反射率を連続的に取得することができ、現場の地物(すなわち被測定物)の分光反射率の取得の利便性とリアルタイム性を向上させた。使用過程において、較正物体(標準ホワイトボードなど)を使用して一回の較正(すなわち、較正マッピングパラメータ)を行えばよく、較正物体のデータの収集を繰り返す必要がなく、異なる天候、異なる太陽高度角の下での分光反射率の取得を実現することができ、太陽高度角/姿勢角補正などを通じて、様々な使用ケースにおける分光反射率の計算精度を向上させることができる。
【0030】
以下、本発明の実施例に係る分光反射率測定システムを具体的な適用シナリオに関連して説明する。
【0031】
本発明の実施例の技術的解決手段を説明する前に、本発明に関連する概念を紹介する。
【0032】
ハイパースペクトル技術:非常に狭く連続的なスペクトルチャンネルを用いて、被測定物のスペクトル情報を得る技術であり、この技術では、被測定物の複数のスペクトルチャンネルの電磁波データ(すなわち、スペクトル情報)を収集し、これらのデータの特徴に基づいて、被測定物の分子組成、相対含有率、材料種類などの関心情報を得ることができる。可視光から短波長赤外域までの範囲では、スペクトル分解能はナノメートル(nm)レベルまで測定可能であり、通常、マルチバンド(multiple bands)の特性を有し、スペクトルチャンネル数は最大で数百以上となる可能性があり、通常、各スペクトルチャンネルの間は連続的である。ハイパースペクトルイメージングとは、イメージング技術とハイパースペクトル技術の組み合わせにより、被測定物の2次元の幾何学的空間と1次元のスペクトル情報を取得し、ハイパースペクトル分解能を持つ連続的な狭帯域の画像データを得ることを指す。
【0033】
分光反射率:分光反射率とは、ある波長帯域における地物の反射光束と、その波長帯域の入射光束との比を指す。地物は、異なる波長の電磁波を選択的に反射し、地物の特徴を有する。地物とは、地上にある物体(目標物ともいう)であり、本実施例では、被測定物や較正物体ともいう。被測定物とは、分光反射率の算出対象となる地物であり、較正物体とは、分光反射率が既知の地物である。明らかに、分光反射率の計算式は、地物によって反射された目標スペクトルを、地物が受光した入射光の基準スペクトルで除算するものである。
【0034】
光源が物体の表面に当たると、物体は異なる波長の電磁波を選択的に反射する。分光反射率とは、ある波長帯域において物体によって反射される光束と、物体に入射する光束との比であり、物体表面の属性である。分光反射率は物体そのものの色を表し、物体の色に関する情報を記録し、物体表面の材質を表す情報である。光束(luminous flux)とは、人間の目で知覚できる放射パワーであり、単位時間あたりのある波長帯域の放射エネルギーと、その波長帯域の相対的な可視性(relative visibility)との積に等しく、本実施例における光束は、スペクトルとして記すことができ、すなわち、光束をスペクトルで表現することができる。
【0035】
環境光感知:環境光とは、太陽光およびその散乱光を指し、環境光感知とは、環境光が地物体に入射したときに、入射光束を取得することを指し、入射光の光束は、通常、マルチ(ハイパー)スペクトルチャンネルを有するセンサによって取得され、前記入射光束は、地上の物体の分光反射率を算出するために用いられる。
【0036】
マルチスペクトルセンサ:マルチスペクトルセンサは、複数の広帯域(>10nm)かつ不連続なスペクトルチャンネルを有する感光素子を用いて、物体について対応するチャンネルの光強度情報を得るセンサであり、すなわち、スペクトル情報を得るために用いられる。
【0037】
コサイン応答:光がイメージャ検出器に傾斜して当たる場合、光電流出力はコサイン則に従うべきである。すなわち、この場合の照度は、光の垂直入射時の法線照度と入射角のコサインとの積に等しいはずである。
【0038】
原位置:事象の発生場所を指す。元の、正常な、自然な部分または場所にあり、被測定物の位置を変えたり、輸送などによって被測定物を傷つけたりしないことを指す。
【0039】
環境光スペクトル:分光反射率測定システムに、環境光感知モジュール11を設けることができ、環境光感知モジュール11は、環境光のスペクトル(すなわち、入射光束)を感知するために用いられ、このスペクトルを環境光スペクトルとして表記する。なお、環境光感知モジュール11が感知できる環境光は、すべての環境光の一部に過ぎず、区別の便宜上、環境光感知モジュール11が感知できる環境光を第1の環境光と称し、すなわち、環境光スペクトルは、第1の環境光に対応するスペクトル、すなわち、第1の環境光によって生成されたスペクトルである。
【0040】
基準スペクトル:分光反射率測定システムに、目標スペクトル収集モジュール12を設けることができ、目標スペクトル収集モジュール12は、環境光のスペクトルが物体によって反射された後のスペクトル(すなわち、反射光束)を感知するために用いられる。物体によって反射される前の環境光のスペクトルは、基準スペクトル(すなわち、入射光束)であり、この環境光のスペクトル(すなわち、基準スペクトル)は、目標スペクトル収集モジュール12が感知できるスペクトルである。
【0041】
なお、目標スペクトル収集モジュール12は、基準スペクトルを直接得ることはできず、目標スペクトル収集モジュール12が感知できるスペクトルを基準スペクトルと呼ぶが、目標スペクトル収集モジュール12が得ることができるのは、基準スペクトルが物体によって反射された後のスペクトルであり、すなわち、基準スペクトルが反射された後のスペクトルを得ることができる。
【0042】
目標スペクトル収集モジュール12が感知できる環境光は、すべての環境光の一部に過ぎず、区別の便宜上、目標スペクトル収集モジュール12が感知できる環境光を第2の環境光と称し、すなわち、基準スペクトルは、第2の環境光に対応するスペクトル、すなわち、第2の環境光によって生成されたスペクトルである。
【0043】
なお、目標スペクトル収集モジュール12が感知できる第2の環境光は、環境光感知モジュール11が感知できる第1の環境光とは異なるため、基準スペクトルと環境光スペクトルとの間に差異が生じる。基準スペクトルと環境光スペクトルとの間に差異があり、かつ、目標スペクトル収集モジュール12が基準スペクトルを直接得ることができないため、基準スペクトルと環境光スペクトルとの間のマッピング関係を較正する必要があり、これにより、環境光スペクトルを取得した後、環境光スペクトルと前記マッピング関係に基づいて基準スペクトルを推論することができる。
【0044】
目標スペクトル:分光反射率測定システムに、目標スペクトル収集モジュール12を設けることができ、目標スペクトル収集モジュール12は、基準スペクトルが物体によって反射された後のスペクトルを感知するために用いられ、この反射された後のスペクトルを目標スペクトル(すなわち、反射光束)として表記する。明らかに、基準スペクトルは物体によって反射されると、目標スペクトルが得られる。つまり、目標スペクトルは基準スペクトルに物体の分光反射率を乗じたものに等しい。
【0045】
上記の関係があるからこそ、基準スペクトルと目標スペクトルが既知であると、物体の分光反射率を得ることができ、目標スペクトルと物体の分光反射率が既知であると、基準スペクトルを得ることができる。
【0046】
被測定物の分光反射率を算出するために、本発明の実施例では、原位置オンラインリアルタイム分光反射率測定システムである分光反射率測定システムを提案する。基準スペクトルと環境光スペクトルとのマッピングパラメータを事前に較正することにより、被測定物の分光反射率を正確に算出することができ、被測定物の分光反射率の迅速、リアルタイム、効率的かつ正確な取得を実現することができる。例えば標準反射率板を用いて、分光反射率測定システムを事前に較正すると、現場でリアルタイムに被測定物の分光反射率を連続的に取得することができ、現場の地物(すなわち被測定物)の分光反射率の取得の利便性とリアルタイム性を向上させた。使用過程において、較正物体(標準ホワイトボード、標準反射率板など)を使用して一回の較正(すなわち、較正マッピングパラメータ)を行えばよく、較正物体のデータの収集を繰り返すことなく、分光反射率の取得を実現することができる。
【0047】
本発明の実施例では、分光反射率測定システムは環境光感知モジュール11、目標スペクトル収集モジュール12、およびデータ処理モジュール13を含み得る。ここで、環境光感知モジュール11は、異なる時刻および異なる太陽高度角度における目標領域の放射スペクトル(すなわち、環境光スペクトル)を取得し、環境光スペクトルをデータ処理モジュール13に送信するために用いられる。目標スペクトル収集モジュール12は、異なる時刻および異なる太陽高度角度における物体が太陽光によって照射された後に反射する放射スペクトル(すなわち、目標スペクトル)を取得し、目標スペクトルをデータ処理モジュール13に送信するために用いられる。データ処理モジュール13は、環境スペクトルおよび目標スペクトルの前処理、露光制御、マッピングパラメータ較正、分光反射率計算およびデータインバージョンに用いられる。
【0048】
前処理機能とは、入力データ(例えば、環境光スペクトルおよび目標スペクトル)のフィルタリングなどの前処理を行うことである。露光制御機能とは、環境光スペクトルおよび目標スペクトルに基づいて、環境光感知モジュール11および目標スペクトル収集モジュール12の露光時間およびスペクトルデータの平均収集回数を自動的に調整することである。マッピングパラメータ較正機能は、環境光感知モジュール11と目標スペクトル収集モジュール12のスペクトル取得における差を較正し、分光反射率測定システムの入出力関係を決定すること、すなわち、基準スペクトルと環境光スペクトルとのマッピングパラメータを較正することである。分光反射率計算機能は、較正されたマッピングパラメータに基づいて被測定物の分光反射率を計算することであり、例えば、環境光感知モジュール11の環境光スペクトル、目標スペクトル収集モジュール12の目標スペクトル、および前記マッピングパラメータに基づいて被測定物の分光反射率を計算する。データインバージョン機能は、算出された分光反射率を物質パラメータインバージョンモデルに導入し、被測定物の分光反射率に基づいて特定のパラメータのインバージョン計算を実行することができる。
【0049】
本発明の実施形態は、マッピングパラメータの較正プロセスと、較正されたマッピングパラメータに基づく被測定物の分光反射率の計算に関する。マッピングパラメータの較正プロセスでは、分光反射率測定システムの下に較正物体を配置することができ、較正物体は分光反射率が既知の物体であり、この場合、図2Aに示されるように、基準スペクトルと環境光スペクトルとの間のマッピングパラメータが較正される。較正されたマッピングパラメータに基づいて被測定物の分光反射率を計算する場合、図2Bに示されるように、分光反射率測定システムの下にあるのは被測定物であり、被測定物は分光反射率の算出対象となる、分光反射率が未知の物体である。
【0050】
例示的に、マッピングパラメータの較正プロセスは、環境光スペクトル、基準スペクトル、および目標スペクトルに関し、区別を容易にするために、前記プロセスの環境光スペクトルを較正環境光スペクトルと呼び、前記プロセスの基準スペクトルを較正基準スペクトルと呼び、前記プロセスの目標スペクトルを較正目標スペクトルと呼ぶ。
【0051】
較正されたマッピングパラメータに基づいて被測定物の分光反射率を計算する場合、環境光スペクトル、基準スペクトル、および目標スペクトルに関し、前記プロセスの環境光スペクトルを測定環境光スペクトルと呼び、前記プロセスの基準スペクトルを測定基準スペクトルと呼び、前記プロセスの目標スペクトルを測定目標スペクトルと呼ぶ。
【0052】
マッピングパラメータの較正プロセスは、図3に示されるように、以下を含み得る。
【0053】
ステップ301、環境光感知モジュール11は、目標較正時刻における較正環境光スペクトルを収集し、前記較正環境光スペクトルをデータ処理モジュール13に送信する。前記較正環境光スペクトルは第1の環境光のスペクトルであってもよく、前記第1の環境光は、環境光感知モジュール11によって感知された環境光であってもよい。
【0054】
ステップ302、目標スペクトル収集モジュール12は、目標較正時刻における較正目標スペクトルを収集し、前記較正目標スペクトルをデータ処理モジュール13に送信する。前記較正目標スペクトルは較正物体が第2の環境光を反射するスペクトルであり、前記第2の環境光は、目標スペクトル収集モジュール12によって感知された環境光である。
【0055】
例示的に、較正物体は、ホワイトボード、標準反射率板などの分光反射率が既知の物体であり、この較正物体の種類について限定せず、以降の実施例ではホワイトボードを例として説明する。
【0056】
例示的に、屋外の開放環境では、目標スペクトル収集モジュール12の収集範囲の環境光照度と環境光感知モジュール11の感知範囲の環境光照度が同じであり、かつ上下の光環境が遮光されないことが保証される。ホワイトボードは目標スペクトル収集モジュール12の収集範囲に配置され、ホワイトボードは目標スペクトル収集モジュール12の収集範囲を完全にカバーする必要があり、ホワイトボードの配置の模式図を図2Aに示す。ホワイトボードの位置を調整し終えた後、目標スペクトル収集モジュール12と環境光感知モジュール11が同期してスペクトルを収集し、すなわち、同一の時刻(この時刻を目標較正時刻と呼ぶことにする)のスペクトルを収集し、環境光感知モジュール11が収集したスペクトルを較正環境光スペクトルであり、目標スペクトル収集モジュール12が収集したスペクトルを較正目標スペクトルである。
【0057】
目標較正時刻は、時刻T1、時刻T2などの複数の時刻であってもよいため、環境光感知モジュール11は、時刻T1の較正環境光スペクトルを収集してもよく、目標スペクトル収集モジュール12は、時刻T1の較正目標スペクトルを収集してもよい。環境光感知モジュール11は、時刻T2の較正環境光スペクトルを収集してもよく、目標スペクトル収集モジュール12は、時刻T2の較正目標スペクトルを収集してもよいなどである。
【0058】
ステップ303、データ処理モジュール13が露光時間を調整するか否かを判断する。調整する場合、露光時間を調整し、環境光感知モジュール11に、調整された露光時間に基づいて較正環境光スペクトルを収集するように指示し、すなわち、ステップ301を再実行し、目標スペクトル収集モジュール12に、調整された露光時間に基づいて較正目標スペクトルを収集するように指示し、すなわち、ステップ302を再実行する。調整しない場合、ステップ304を実行してもよい。
【0059】
例えば、データ処理モジュール13は、較正環境光スペクトル(複数の較正環境光スペクトル値であってもよい)および較正目標スペクトル(複数の較正目標スペクトル値であってもよい)を受信した後、すべての較正環境光スペクトルおよびすべての較正目標スペクトルにおける最大値を決定してもよく、この最大値を最大スペクトル値と呼ぶ。
【0060】
前記最大スペクトル値が所定のスペクトル最小値(経験に基づいて設定してもよい)より小さい場合、第1の露光時間を第2の露光時間に調整してもよく、第2の露光時間は第1の露光時間より大きく、すなわち、第1の露光時間の値を増加させ、第1の露光時間は、環境光感知モジュール11および目標スペクトル収集モジュール12が現在使用している露光時間である。次に、データ処理モジュール13は、第2の露光時間を環境光感知モジュール11に送信し、環境光感知モジュール11は、第2の露光時間に基づいて較正環境光スペクトルを収集し、すなわち、環境光感知モジュール11は、第2の露光時間において較正環境光スペクトルを収集し、ステップ301に戻る。同様に、データ処理モジュール13は、第2の露光時間を目標スペクトル収集モジュール12に送信し、目標スペクトル収集モジュール12は、第2の露光時間に基づいて較正目標スペクトルを収集し、すなわち、目標スペクトル収集モジュール12は、第2の露光時間において較正目標スペクトルを収集し、ステップ302に戻る。
【0061】
前記最大スペクトル値が所定のスペクトル最大値(経験に基づいて設定してもよい)より大きい場合、第1の露光時間を第3の露光時間に調整してもよく、第3の露光時間は第1の露光時間より小さく、すなわち、第1の露光時間の値を減少させる。次に、データ処理モジュール13は、第3の露光時間を環境光感知モジュール11に送信し、環境光感知モジュール11は、第3の露光時間に基づいて較正環境光スペクトルを収集し、ステップ301に戻る。同様に、データ処理モジュール13は、第3の露光時間を目標スペクトル収集モジュール12に送信し、目標スペクトル収集モジュール12は、第3の露光時間に基づいて較正目標スペクトルを収集し、ステップ302に戻る。
【0062】
前記最大スペクトル値が所定のスペクトル最小値より小さくなく、かつ前記最大スペクトル値が所定のスペクトル最大値より大きくない場合、すなわち、前記最大スペクトル値が所定のスペクトル最小値と所定のスペクトル最大値との間にある場合、環境光感知モジュール11および目標スペクトル収集モジュール12が現在使用している第1の露光時間は適切であり、調整する必要がないことを示し、データ処理モジュール13は、露光時間を調整しないと判断し、ステップ304を実行してもよい。
【0063】
まとめると、太陽光の光強度は時間や天候によって大きく異なるため、較正環境光スペクトルおよび較正目標スペクトルを取得するために一律の露光時間を使用することは不可能であるため、データ処理モジュール13は、露光時間が適切であるか否か、すなわち露光時間を調整するか否かを分析することができ、露光時間を調整する場合は、露光時間を調整し、露光時間を調整するよう環境光感知モジュール11および目標スペクトル収集モジュール12に指示する。
【0064】
ステップ304、データ処理モジュール13は、較正環境光スペクトルおよび較正目標スペクトルに対してスペクトルの前処理を行う。例えば、データフィルタリング、ダークノイズ除去などの前処理が挙げられるが、この前処理について限定しない。
【0065】
ステップ305、データ処理モジュール13は、較正環境光スペクトルおよび較正目標スペクトルに基づいて、基準スペクトルと環境光スペクトルとの間のマッピング関係を決定し、基準スペクトルと環境光スペクトルとの間のマッピング関係を保存する。
【0066】
可能な一実施形態では、ステップ305の実現プロセスは、以下を含み得る。
【0067】
ステップ3051、同一の目標波長に対応する較正環境光スペクトルおよび較正目標スペクトルを決定する。
【0068】
例示的に、目標較正時刻における較正環境光スペクトルおよび較正目標スペクトルについて、較正環境光スペクトルは、複数の波長の較正環境光スペクトルであってもよく、較正目標スペクトルは、複数の波長の較正目標スペクトルであってもよい。例えば、環境光感知モジュール11は、第1の波長セット内の各波長の較正環境光スペクトルを収集するために用いられ、目標スペクトル収集モジュール12は、第2の波長セット内の各波長の較正目標スペクトルを収集するために用いられ、第1の波長セットは、第2の波長セットのサブセットであり、例えば、第1の波長セットは、波長a1、波長a3、および波長a5を含み、第2の波長セットは、波長a1、波長a2、波長a3、波長a4、および波長a5を含み、もちろん、上記は一例に過ぎず、第1の波長セットの波長数は、3よりはるかに大きく、例えば、数十であり、第2の波長セットの波長数は、5よりはるかに大きく、例えば、数百であり、これについて特に限定せず、波長数は、スペクトルチャンネル数とも呼ばれ得、例えば、スペクトルチャンネル数は、3および5などであってもよい。
【0069】
まとめると、データ処理モジュール13は、同一の目標較正時刻における、複数の較正環境光スペクトルおよび複数の較正目標スペクトルを得ることができ、例えば、データ処理モジュール13は、波長a1の較正環境光スペクトルb1、波長a3の較正環境光スペクトルb3、波長a5の較正環境光スペクトルb5、波長a1の較正目標スペクトルc1、波長a2の較正目標スペクトルc2、波長a3の較正目標スペクトルc3、波長a4の較正目標スペクトルc4、および波長a5の較正目標スペクトルc5を得ることができる。
【0070】
データ処理モジュール13は、第2の波長セットの各波長(例えば、波長a1、波長a2、波長a3、波長a4、および波長a5)をすべて目標波長として扱ってもよい。波長a1について、較正環境光スペクトルb1および較正目標スペクトルc1は、同一の目標波長a1に対応する較正環境光スペクトルおよび較正目標スペクトルである。波長a3について、較正環境光スペクトルb3および較正目標スペクトルc3は、同一の目標波長a3に対応する較正環境光スペクトルおよび較正目標スペクトルである。波長a5について、較正環境光スペクトルb5および較正目標スペクトルc5は、同一の目標波長a5に対応する較正環境光スペクトルおよび較正目標スペクトルである。
【0071】
波長a2について、第1の波長セットには波長a2が存在しないので、較正環境光スペクトルb1、較正環境光スペクトルb3および較正環境光スペクトルb5のうちの少なくとも2つに基づいて、波長a2に対応する較正環境光スペクトルを算出してもよく、これを較正環境光スペクトルb2と表記し、この算出方法について限定しない。例えば、較正環境光スペクトルb2を以下のように算出してもよい。第1の波長セットから第1のマッチング波長と第2のマッチング波長を選択し、第1のマッチング波長は、第1の波長セット内の波長a2に最も近くて目標波長より小さい波長、例えば波長a1であり、第2のマッチング波長は、第1の波長セット内の波長a2に最も近くて目標波長より大きい波長、例えば波長a3である。そして、波長a1の較正環境光スペクトルb1および波長a3の較正環境光スペクトルb3に基づいて、波長a2の較正環境光スペクトルb2を算出し、例えば、較正環境光スペクトルb1および較正環境光スペクトルb3に対して、補間演算、平均演算、重み付け演算(重み付けの重みは任意に設定可能)などを行うことにより、較正環境光スペクトルb2を得る。較正環境光スペクトルb2が得られる限り、この算出方法について限定しない。
【0072】
これまでのところ、波長a2について、較正環境光スペクトルb2および較正目標スペクトルc2は、同一の目標波長a2に対応する較正環境光スペクトルおよび較正目標スペクトルである。
【0073】
波長a4について、第1の波長セットには波長a4が存在しないので、波長a4に対応する較正環境光スペクトルb4を算出してもよい。例えば、波長a3の較正環境光スペクトルb3および波長a5の較正環境光スペクトルb5に基づいて、波長a4の較正環境光スペクトルb4を算出することができ、この算出方法について限定しない。これまでのところ、波長a4について、較正環境光スペクトルb4および較正目標スペクトルc4は、同一の目標波長a4に対応する較正環境光スペクトルおよび較正目標スペクトルである。
【0074】
まとめると、各目標波長に対応する較正環境光スペクトルおよび較正目標スペクトルを得ることができ、各目標波長について、前記目標波長に対応する較正環境光スペクトルおよび較正目標スペクトルに基づいて後続のステップを実行して、前記目標波長に対応するマッピングパラメータを得て前記マッピング関係を保存することができ、すなわち、各目標波長に対応するマッピングパラメータが保存されることになる。以下、説明の便宜上、一つの目標波長を例にとり、前記目標波長に対応する較正環境光スペクトルおよび較正目標スペクトルに基づいて、後続のステップを実行する。
【0075】
ステップ3052、各目標波長について、前記目標波長に対応する較正目標スペクトルおよび較正物体の分光反射率に基づいて、前記目標波長に対応する較正基準スペクトルを決定し、前記較正基準スペクトルは、第2の環境光のスペクトルであってもよく、第2の環境光は、目標スペクトル収集モジュール12によって感知された環境光である。
【0076】
例えば、較正目標スペクトルは、較正基準スペクトルが較正物体によって反射された後に得られるものであるため、較正目標スペクトルと較正物体の分光反射率が既知である場合、較正基準スペクトルを決定することができる。例えば、較正目標スペクトルを分光反射率で割ることによって較正基準スペクトルを求める。
【0077】
ステップ3053、各目標波長について、前記目標波長に対応する較正基準スペクトルおよび前記目標波長に対応する較正環境光スペクトルに基づいて、前記目標波長に対応するマッピングパラメータを決定し、前記マッピングパラメータを保存し、前記マッピングパラメータは、基準スペクトルと環境光スペクトルとの間のマッピング関係を表すために用いられる。
【0078】
可能な一実施形態では、基準スペクトルと環境光スペクトルとの間のマッピング関係は、y=f(x,k)のような関数関係を満たし、fは経験に基づいて設定可能な関数関係を表し、fはxとkに関係する関数である。この関数関係fの表現について限定せず、f(x,k)=x/kのように任意に設定することができ、もちろん、これは簡単な表現形式であり、実際の適用では関数関係fはより複雑になる。yは基準スペクトル、xは環境光スペクトル、kは基準スペクトルと環境光スペクトルとの間のマッピングパラメータを表す。
【0079】
上式において、yは基準スペクトルを表し、既知の値であり、すなわち目標波長に対応する較正基準スペクトルを表し、xは環境光スペクトルを表し、既知の値であり、すなわち目標波長に対応する較正環境光スペクトルを表し、関数関係fは予め設定されており、kは未知の値であり、すなわち決定する必要があるマッピングパラメータであり、したがって、較正基準スペクトルyおよび較正環境光スペクトルxを式y=f(x,k)に代入してマッピングパラメータkを得ることができる。
【0080】
可能な一実施形態では、環境光感知モジュール11はさらに、位置データを収集し、前記位置データをデータ処理モジュール13に送信することができる。ステップ3053において、データ処理モジュール13は、前記位置データに基づいて角度パラメータを決定し、前記角度パラメータ、前記較正基準スペクトルおよび前記較正環境光スペクトルに基づいて、前記マッピングパラメータを決定することができ、前記マッピングパラメータは、基準スペクトル、環境光スペクトルおよび角度パラメータの間のマッピング関係を表す。例示的、前記位置データが環境光感知モジュール11の姿勢情報であれば、前記角度パラメータは、前記姿勢情報に対応する姿勢角であってもよく、例えば、姿勢情報は環境光感知モジュール11の姿勢角であり、環境光感知モジュール11の姿勢角を直接決定することができる。および/または、前記位置データが環境光感知モジュール11の経度および緯度情報であれば、前記角度パラメータは、前記経度および緯度情報に対応する天頂角であってもよく、例えば、環境光感知モジュール11の経度および緯度情報に基づいて太陽の天頂角を決定してもよく、この決定方式について限定しない。また、角度パラメータには、太陽の天頂角の他に、較正物体の天頂角が含まれていてもよく、例えば、較正物体の天頂角を予め設定しておき、例えば、鉛直下方の収集および水平方向の収集について、較正物体の天頂角が0度および90度となるように設定してもよい。
【0081】
例えば、基準スペクトルと、環境光スペクトルと、角度パラメータとの間のマッピング関係は、y=f(x,k,p)のような関数関係を満たし、fは経験に基づいて設定可能な関数関係を表し、fはx、pおよびkに関係する関数である。この関数関係fの表現について限定せず、任意に設定することができる。xは環境光スペクトル、yは基準スペクトル、kは角度パラメータと、基準スペクトルと、環境光スペクトルとの間のマッピングパラメータを表す。
【0082】
pは、角度パラメータを表し、角度パラメータpは、環境光感知モジュール11の姿勢角p1、太陽の天頂角p2、および較正物体の天頂角p3のうちの少なくとも1つを含み、例えば、y=f(x,k,p1,p2,p3)、または、y=f(x,k,p1,p2)、または、y=f(x,k,p1,p3)、または、y=f(x,k,p2,p3)、または、y=f(x,k,p1)、または、y=f(x,k,p2)、または、y=f(x,k,p3)となるが、もちろん、上記はいくつかの例に過ぎず、これについて限定しない。説明の便宜上、以降はy=f(x,k,p1,p2,p3)を例にとって説明する。
【0083】
上式において、yは目標波長に対応する較正基準スペクトルを表し、xは目標波長に対応する較正環境光スペクトルを表し、関数関係fは予め設定されており、p1は環境光感知モジュール11の姿勢角を表し、p2は太陽の天頂角を表し、p3は較正物体の天頂角を表し、x、y、p1、p2、p3はすべて既知の値であることは明らかであり、kは未知の値であり、すなわち決定する必要があるマッピングパラメータであり、したがって、x、y、p1、p2、p3を式y=f(x,k,p1,p2,p3)に代入してマッピングパラメータkを得ることができる。
【0084】
可能な一実施形態では、上記の式y=f(x,k,p1,p2,p3)は、式y=f(x,z,k,p1,p2,p3)に置き換えてもよく、zはホワイトボードの分光反射率を表し、既知の値であり、すなわち、x、y、z、p1、p2、p3を式y=f(x,z,k,p1,p2,p3)に代入してマッピングパラメータkを得ることができる。
【0085】
可能な一実施態様において、マッピングパラメータの較正プロセスについて、マッピングパラメータkを得るように、環境光スペクトルを基準スペクトルにマッピングすることができるマッピング関係モデルを得てもよい。
【0086】
例えば、環境光感知モジュール11は、較正環境光スペクトルを収集することができ、前記較正環境光スペクトルをx(IEとも表記される)と表記することができ、光均一化経路、レンズの透過率、スプリット素子の回折効率、検出器応答、スペクトルチャンネル数、およびホワイトボードの分光反射率など、分光反射率測定システムにおける多くの要素の不一致により、基準スペクトルが較正環境光スペクトルxと等しくないため、マッピングパラメータの較正が必要となり、すなわち、基準スペクトルy(Irefとも表記される)と較正環境光スペクトルxとの間のマッピング関係モデルを較正する必要がある。前記マッピング関係モデルは、分光反射率測定システムの入出力関係を表すために用いられ、例えば、前記マッピング関係モデルは、y=f(x,p1,p2,p3,z,k)であってもよい。上式において、入出力関係はfで表してもよく、fはx、p1、p2、p3、z、kなどのパラメータに関連し、x(IE)は環境光スペクトルを表し、p1は環境光感知モジュール11の姿勢角を表し、p2は太陽の天頂角を表し、p3は較正物体の天頂角を表し、zはホワイトボードの分光反射率を表し、kはマッピングパラメータを表し、すなわち較正プロセスにおいて決定する必要がある値を表し、y(Iref)は基準スペクトルを表す。明らかに、上記のマッピング関係モデルy=f(x,p1,p2,p3,z,k)は、環境光スペクトルと参照スペクトルとの間のマッピング関係を表し、マッピングパラメータkを算出するだけでよい。
【0087】
もちろん、上記のマッピング関係モデルy=f(x,p1,p2,p3,z,k)は一例に過ぎず、実際の適用では、p1,p2,p3,zのうちの少なくとも1つのパラメータを取り除くことも可能であり、このマッピング関係モデルについて限定しない。
【0088】
マッピングパラメータを得た後、前記マッピングパラメータを保存することができ、後続の被測定物の分光反射率の計算において、ホワイトボードを用いて基準スペクトルを得る必要がなく、環境光感知モジュール11の環境光スペクトルおよびマッピングパラメータにより直接マッピングして基準スペクトルを得ることができる。
【0089】
被測定物の分光反射率の計算プロセスは、図4に示されるように、以下を含み得る。
【0090】
ステップ401、環境光感知モジュール11は、目標測定時刻における測定環境光スペクトルを収集し、前記測定環境光スペクトルをデータ処理モジュール13に送信する。前記測定環境光スペクトルは第1の環境光のスペクトルであってもよく、前記第1の環境光は、環境光感知モジュール11によって感知された環境光であってもよい。
【0091】
ステップ402、目標スペクトル収集モジュール12は、目標測定時刻における測定目標スペクトルを収集し、前記測定目標スペクトルをデータ処理モジュール13に送信する。前記測定目標スペクトルは測定物体が第2の環境光を反射するスペクトルであり、前記第2の環境光は、目標スペクトル収集モジュール12によって感知された環境光である。
【0092】
例示的に、被測定物は、分光反射率の算出対象となる物体であり、これについて限定しない。
【0093】
目標測定時刻は、時刻t1のような任意の時刻であってもよく、環境光感知モジュール11は、時刻t1における測定環境光スペクトルを収集してもよく、目標スペクトル収集モジュール12は、時刻t1における測定目標スペクトルを収集してもよい。
【0094】
例示的に、屋外の開放環境では、目標スペクトル収集モジュール12の収集範囲の環境光照度と環境光感知モジュール11の感知範囲の環境光照度が同じであり、かつ上下の光環境が遮光されないことを保証してもよく、被測定物を目標スペクトル収集モジュール12の収集範囲に配置する。
【0095】
ステップ403、データ処理モジュール13が露光時間を調整するか否かを判断する。調整する場合、露光時間を調整し、環境光感知モジュール11に、調整された露光時間に基づいて測定環境光スペクトルを収集するように指示し、すなわち、ステップ401を再実行し、目標スペクトル収集モジュール12に、調整された露光時間に基づいて測定目標スペクトルを収集するように指示し、すなわち、ステップ402を再実行する。調整しない場合、ステップ404を実行してもよい。
【0096】
例えば、データ処理モジュール13は、複数の測定環境光スペクトル値および複数の測定目標スペクトル値を受信した後、すべての測定環境光スペクトルおよびすべての測定目標スペクトルにおける最大値、すなわち最大スペクトル値を決定してもよい。前記最大スペクトル値が所定のスペクトル最小値より小さい場合、第1の露光時間を第2の露光時間に調整してもよく、第2の露光時間は第1の露光時間より大きく、第1の露光時間は、環境光感知モジュール11および目標スペクトル収集モジュール12が現在使用している露光時間である。次に、第2の露光時間を環境光感知モジュール11に送信し、環境光感知モジュール11は、第2の露光時間に基づいて測定環境光スペクトルを収集し、第2の露光時間を目標スペクトル収集モジュール12に送信し、目標スペクトル収集モジュール12は、第2の露光時間に基づいて測定目標スペクトルを収集する。前記最大スペクトル値が所定のスペクトル最大値より大きい場合、第1の露光時間を第3の露光時間に調整してもよく、第3の露光時間は第1の露光時間より小さく、第3の露光時間を環境光感知モジュール11に送信し、環境光感知モジュール11は、第3の露光時間に基づいて測定環境光スペクトルを収集し、第3の露光時間を目標スペクトル収集モジュール12に送信し、目標スペクトル収集モジュール12は、第3の露光時間に基づいて測定目標スペクトルを収集する。前記最大スペクトル値が所定のスペクトル最小値より小さくなく、かつ前記最大スペクトル値が所定のスペクトル最大値より大きくない場合、環境光感知モジュール11および目標スペクトル収集モジュール12が現在使用している第1の露光時間は適切であり、ステップ404を実行する。
【0097】
ステップ404、データ処理モジュール13は、測定環境光スペクトルおよび測定目標スペクトルに対してスペクトルの前処理を行う。例えば、データフィルタリング、ダークノイズ除去などの前処理が挙げられるが、この前処理について限定しない。
【0098】
ステップ405、データ処理モジュール13は、測定環境光スペクトル、測定目標スペクトル、および基準スペクトルと環境光スペクトルとの間のマッピング関係に基づいて、被測定物の分光反射率を決定する。
【0099】
可能な一実施形態では、ステップ405の実現プロセスは、以下を含み得る。
【0100】
ステップ4051、同一の目標波長に対応する測定環境光スペクトルおよび測定目標スペクトルを決定する。
【0101】
可能な一実施形態では、環境光感知モジュール11は、第1の波長セット内の各波長の測定環境光スペクトルを収集するために用いられ、目標スペクトル収集モジュール12は、第2の波長セット内の各波長の測定目標スペクトルを収集するために用いられ、第1の波長セットは、第2の波長セットのサブセットである。データ処理モジュール13は、第2の波長セット内の各波長を目標波長とし、各目標波長について、目標スペクトル収集モジュール12から、前記目標波長に対応する測定目標スペクトルを収集し、前記目標波長が第1の波長セットに存在するか否かを判断し、存在する場合、前記目標波長に対応する測定環境光スペクトルを環境光感知モジュール11から取得し、存在しない場合、環境光感知モジュール11によって収集された少なくとも2つの波長の測定環境光スペクトルに基づいて、前記目標波長に対応する測定環境光スペクトルを決定する。例えば、第1の波長セットから第1のマッチング波長と第2のマッチング波長を選択し、第1のマッチング波長に対応する測定環境光スペクトルと、第2のマッチング波長に対応する測定環境光スペクトルとに基づいて、前記目標波長に対応する測定環境光スペクトルを決定する。第1のマッチング波長は、第1の波長セット内の前記目標波長に最も近くて前記目標波長より小さい波長であり、第2のマッチング波長は、第1の波長セット内の前記目標波長に最も近くて前記目標波長より大きい波長である。
【0102】
ステップ4051の実現プロセスは、ステップ3051の実現プロセスと類似するので、ここでは繰り返さない。
【0103】
まとめると、各目標波長に対応する測定環境光スペクトルおよび測定目標スペクトルを得ることができ、各目標波長について、前記目標波長に対応する測定環境光スペクトルおよび測定目標スペクトルに基づいて後続のステップを実行して、前記目標波長に対応する分光反射率を得る。説明の便宜上、一つの目標波長を例にとり、前記目標波長に対応する測定環境光スペクトルおよび測定目標スペクトルに基づいて、後続のステップを実行する。
【0104】
ステップ4052、前記測定環境光スペクトルおよびマッピングパラメータ(すなわち基準スペクトルと環境光スペクトルとの間のマッピングパラメータ)に基づいて、測定基準スペクトルを決定し、前記測定基準スペクトルは、第2の環境光のスペクトルであってもよい。
【0105】
可能な一実施形態では、基準スペクトルと環境光スペクトルとの間のマッピング関係は、y=f(x,k)のような関数関係を満たし、fは経験に基づいて設定可能な関数関係を表し、yは基準スペクトル、xは環境光スペクトル、kは基準スペクトルと環境光スペクトルとの間のマッピングパラメータを表す。
【0106】
ステップ4052において、マッピングパラメータkは既知の値であり、xは目標波長に対応する測定環境光スペクトルであり、既知の値であるため、マッピングパラメータkおよび測定環境光スペクトルxを式y=f(x,k)に代入して、前記目標波長に対応する測定基準スペクトルである基準スペクトルyを得ることができる。
【0107】
可能な一実施形態では、環境光感知モジュール11はさらに、位置データを収集し、前記位置データをデータ処理モジュール13に送信することができる。ステップ4052において、データ処理モジュール13は、前記位置データに基づいて角度パラメータを決定し、前記測定環境光スペクトル、前記角度パラメータ、および前記マッピングパラメータに基づいて、前記測定基準スペクトルを決定することができ、前記マッピングパラメータは、基準スペクトル、環境光スペクトルおよび角度パラメータの間のマッピング関係を表す。例示的、前記位置データが環境光感知モジュール11の姿勢情報であれば、前記角度パラメータは、前記姿勢情報に対応する姿勢角であってもよく、例えば、姿勢情報は環境光感知モジュール11の姿勢角であり、環境光感知モジュール11の姿勢角を直接決定することができる。および/または、前記位置データが環境光感知モジュール11の経度および緯度情報であれば、前記角度パラメータは、前記経度および緯度情報に対応する天頂角であってもよく、例えば、環境光感知モジュール11の経度および緯度情報に基づいて太陽の天頂角を決定してもよく、この決定方式について限定しない。また、角度パラメータには、太陽の天頂角の他に、被測定物の天頂角が含まれていてもよく、例えば、被測定物の天頂角を予め設定しておき、例えば、鉛直下方の収集および水平方向の収集について、被測定物の天頂角が0度および90度となるように設定してもよい。
【0108】
例えば、基準スペクトルと、環境光スペクトルと、角度パラメータとの間のマッピング関係は、y=f(x,k,p)のような関数関係を満たし、fは経験に基づいて設定可能な関数関係を表し、xは環境光スペクトル、yは基準スペクトル、kはマッピングパラメータを表す。pは、角度パラメータを表し、角度パラメータpは、環境光感知モジュール11の姿勢角p1、太陽の天頂角p2、および被測定物の天頂角p3のうちの少なくとも1つを含み、例えば、y=f(x,k,p1,p2,p3)、または、y=f(x,k,p1,p2)、または、y=f(x,k,p1,p3)、または、y=f(x,k,p2,p3)、または、y=f(x,k,p1)、または、y=f(x,k,p2)、または、y=f(x,k,p3)となるが、もちろん、上記はいくつかの例に過ぎず、これについて限定しない。説明の便宜上、以降はy=f(x,k,p1,p2,p3)を例にとって説明する。
【0109】
上式において、yは目標波長に対応する測定基準スペクトルを表し、xは目標波長に対応する測定環境光スペクトルを表し、p1は環境光感知モジュール11の姿勢角を表し、p2は太陽の天頂角を表し、p3は被測定物の天頂角を表し、kはマッピングパラメータであり、x、k、p1、p2、p3はすべて既知の値であることは明らかであり、yは未知の値であり、すなわち決定する必要がある測定基準スペクトルであり、したがって、x、k、p1、p2、p3を式y=f(x,k,p1,p2,p3)に代入して目標波長に対応する測定基準スペクトルyを得ることができる。
【0110】
可能な一実施形態では、上記の式y=f(x,k,p1,p2,p3)は、式y=f(x,z,k,p1,p2,p3)に置き換えてもよく、zはホワイトボードの分光反射率を表し、既知の値であり、すなわち、x、k、z、p1、p2、p3を式y=f(x,z,k,p1,p2,p3)に代入して測定基準スペクトルyを得ることができる。
【0111】
もちろん、上記のマッピング関係モデルy=f(x,z,k,p1,p2,p3,)は一例に過ぎず、実際の適用では、p1,p2,p3,zのうちの少なくとも1つのパラメータを取り除くことも可能であり、このマッピング関係モデルについて限定しない。
【0112】
上式において、環境光感知モジュール11の姿勢角p1、太陽の天頂角p2、被測定物の天頂角p3は、環境光感知モジュール11の姿勢の変化、被測定物の姿勢の不一致、太陽の天頂角の過度の変化などに伴って算出される測定基準スペクトルの不正確さに対応して補正するためのパラメータ、すなわち、より正確な測定基準スペクトルを得るためのパラメータとして機能する。
【0113】
まとめると、目標波長に対応する測定環境光スペクトルと、目標波長に対応するマッピングパラメータ(基準スペクトルと環境光スペクトルとの間のマッピングパラメータ)とに基づいて目標波長に対応する測定基準スペクトルを決定する。
【0114】
ステップ4053、前記測定目標スペクトルおよび前記測定基準スペクトルに基づいて、被測定物の分光反射率を決定する。例えば、被測定物の分光反射率は、式R=IO/Irefで算出することができ、IOは目標波長に対応する測定目標スペクトルを表し、Irefは目標波長に対応する測定基準スペクトルを表し、Rは目標波長に対応する被測定物の分光反射率を表し、これで被測定物の分光反射率が得られる。
【0115】
可能な一実施形態では、被測定物の分光反射率を得た後、物質パラメータのインバージョンも行うことができる。すなわち、データ処理モジュール13は、アプリケーションシナリオに応じて対応するインバージョンモデルに分光反射率を導入し、分光反射率をインバージョンし、被測定物の、分光反射率に関連するパラメータを得る。
【0116】
可能な一実施形態では、環境光感知モジュール11は、少なくとも光均一化経路とマルチスペクトルセンサとを備え、光均一化経路はマルチスペクトルセンサに対向して配置され、環境光は光均一化経路によって光均一化された後、マルチスペクトルセンサに伝送され、マルチスペクトルセンサが複数の波長の環境光スペクトルを収集する。
【0117】
例えば、光均一化経路は、異なる入射角で透過した光線を均一化することができ、透過光は、入射角とは関係なく複数の角度で散乱する。均一化された光はマルチスペクトルセンサに伝送される。マルチスペクトルセンサは、複数の波長帯域のスペクトル強度を測定し、均一化された光を受光することができる。光線が異なる角度で光均一化経路に入射すると、マルチスペクトルセンサの光電流出力はコサイン応答に従う。マルチスペクトルセンサは、マルチチャンネルのフォトダイオード、マルチチャンネルスペクトルセンサ、またはシングルポイント光ファイバ分光器であってもよい。
【0118】
または、環境光感知モジュール11は、少なくとも光均一化経路と、光ファイバと、光ファイバ分光器とを備え、光ファイバの一端は、光ファイバ分光器に接続され、光ファイバの他端は、光均一化経路に接続され、環境光は、光均一化経路によって光均一化された後、光ファイバを介して光ファイバ分光器に伝送され、光ファイバ分光器が複数の波長の環境光スペクトルを収集する。上記方式と比較して、マルチスペクトルセンサは光ファイバ分光器に置き換えられ、光均一化経路は光ファイバを介して光ファイバ分光器に接続され、その他の構造は上記と類似するため、ここでは繰り返さない。
【0119】
上記の方式では、光ファイバ分光器が取得可能な測定環境光スペクトルの波長数が、マルチスペクトルセンサが取得可能な測定環境光スペクトルの波長数より多い。例えば、光ファイバ分光器は数百の波長の環境光スペクトルを収集することができ、マルチスペクトルセンサは数十の波長の環境光スペクトルを収集することができる。
【0120】
可能な一実施形態では、環境光感知モジュール11はさらに、姿勢センサ(例えば、ジャイロセンサ)および/または位置センサ(例えば、GPS)を備えてもよく、姿勢センサは姿勢情報(例えば、水平面に対する環境光感知モジュール11の姿勢角)を収集するために用いられ、位置センサは経度および緯度情報を収集するために用いられる。
【0121】
可能な一実施形態では、目標スペクトル収集モジュール12は、レンズおよびハイパースペクトルイメージャを含み得る。レンズは、目標領域に対して撮像または受光を行うことができ、ハイパースペクトルイメージャと直接または光ファイバによって接続され、また、結像レンズまたはコリメートレンズなどであってもよい。ハイパースペクトルイメージャは、レンズが撮像または受光を行う目標領域によって反射または放射された異なる波長帯域のスペクトル情報、すなわち目標スペクトルを得ることができる。ハイパースペクトルイメージャは、シングルポイント光ファイバ分光器、プッシュブルーム(push broom)イメージング分光器、またはスターリング(staring)イメージング分光器であってもよい。
【0122】
例えば、目標スペクトル収集モジュール12は、少なくともレンズと光ファイバ分光器(例えば、シングルポイント光ファイバ分光器)とを備え、前記レンズは前記光ファイバ分光器に接続(直接または光ファイバによって接続)され、前記レンズは、被測定物が環境光を反射した後の光を収集して前記光ファイバ分光器に伝送することができ、前記光ファイバ分光器が複数の波長の目標スペクトルを収集する。または、目標スペクトル収集モジュール12は、少なくともレンズとイメージング分光器(例えば、プッシュブルームイメージング分光器またはスターリングイメージング分光器)とを備え、前記レンズは前記イメージング分光器に接続されてもよく、前記レンズは、被測定物が環境光を反射した後の光を収集して前記イメージング分光器に伝送することができ、前記イメージング分光器が複数の波長の目標スペクトルを収集する。
【0123】
以下、いくつかの具体的な適用シナリオに関連して、本発明の実施例の環境光感知モジュール11、目標スペクトル収集モジュール12およびデータ処理モジュール13の接続関係、構造および機能などについて説明する。
【0124】
適用シナリオ1
【0125】
図5Aに示すように、1は環境光感知モジュール11の光均一化経路であり、異なる入射角で透過した光線を均一化することができ、透過光は、入射角とは関係なく複数の角度で散乱し、均一化された光はマルチスペクトルセンサに伝送される。2は環境光感知モジュール11のマルチスペクトルセンサであり、複数の波長のスペクトル強度を取得することができ、均一化された光を受光することができる。光線が異なる角度で光均一化経路に入射すると、マルチスペクトルセンサの光電流出力はコサイン応答に従い、目標領域のスペクトル(すなわち、環境光スペクトル)を収集することができる。3は姿勢センサ(例えば、ジャイロセンサ)および、位置センサ(例えば、GPS)であり、環境光検知モジュール11の緯度、経度、および姿勢角などの情報を取得することができる。4は目標スペクトル収集モジュール12のレンズであり、光を収集する機能を有する。5は目標スペクトル収集モジュール12の光ファイバ分光器(例えば、シングルポイント光ファイバ分光器)であり、光ファイバ分光器はレンズに直接接続され、目標領域のスペクトル(すなわち、目標スペクトル)を収集することができる。6は産業用制御ボード、すなわちデータ処理モジュール13であり、マルチスペクトルセンサ、姿勢センサ、位置センサ、および光ファイバ分光器などを制御し、データ受信、データ処理、アップロード、保存の機能を持つ。
【0126】
図5Aに示すように、光均一化経路1はマルチスペクトルセンサ2に対向して配置され、天頂方向を向いて鉛直上向きに取り付けられており、姿勢センサ、位置センサ3、光均一化経路1およびマルチスペクトルセンサ2は同じ姿勢に保たれている。レンズ4と光ファイバ分光器5は鉛直下向きに取り付けられ、下の領域のスペクトルを収集する。
【0127】
場合によって、測定対象物は、上記実施例のホワイトボードであってもよいし、被測定物であってもよい。被測定物の場合については図5Aに、ホワイトボードの場合については図5Bに示す。
【0128】
太陽光は、光均一化経路1と測定対象物に同じ太陽放射量で同時に当たる。太陽光は光均一化経路1を経てマルチスペクトルセンサ2で受光され、環境光スペクトルが得られる。測定対象物の光信号はレンズ4で収集された後、光ファイバ分光器5で分光され、目標スペクトルが得られる。
【0129】
産業用制御ボード6は、マルチスペクトルセンサ2、光ファイバ分光器5、姿勢センサおよび位置センサ3から送信されたデータを受信し、マルチスペクトルセンサ2および光ファイバ分光器5に対して露光制御を行う。露光が完了すると、データの前処理を行う。前処理が完了すると、事前に較正されたマッピングパラメータに従って、環境光スペクトルを基準スペクトルにマッピングし、基準スペクトラムおよび目標スペクトラムに基づいて分光反射率を算出する。
【0130】
適用シナリオ2
【0131】
図5Cに示すように、7は光ファイバ、8はシングルポイント光ファイバ分光器であり、適用シナリオ1とは異なり、マルチスペクトルセンサの代わりにシングルポイント光ファイバ分光器を使用することも可能であり、光ファイバ分光器の方がより多くのチャンネル数を収集する(すなわち、環境光スペクトルのチャンネル数がより多くなる)。光ファイバ7は、一端が光ファイバ分光器8に接続され、光ファイバ7の他端は、光均一化経路1に配置され、環境光を収集する。環境光は、光均一化経路1および光ファイバ7に導かれた後、光ファイバ分光器8に入って分光され、最終的に、光ファイバ分光器8は、環境光スペクトルを得る。
【0132】
前記適用シナリオでは、較正と分光反射率計算のプロセスに変更はないので、ここでは繰り返さない。
【0133】
適用シナリオ3
【0134】
図5Dに示すように、9はイメージング分光器であり、適用シナリオ1とは異なり、イメージング分光器の代わりに単一点光ファイバ分光器(ハイパースペクトル検出器)を使用することも可能であり、イメージング分光器9はレンズ4と組み合わせてイメージング領域全体のハイパースペクトル画像を取得することができる。レンズ4とイメージング分光器9は、下のイメージング領域のハイパースペクトル画像を取得するために下向きに取り付けられたままである。イメージング分光器9は、1回の露光後に再構成または並べ替えによってハイパースペクトル画像を得る、スターリングスナップショット型であってもよい。イメージング分光器9は、時間領域の多重露光によってハイパースペクトル画像を得る、スターリングアジャスタブルフィルタ型または時間領域フーリエ型のイメージング分光器であってもよい。また、イメージング分光器9は、内部または外部にプッシュブルーム装置を備え、空間領域のプッシュブルームの多重露光によってハイパースペクトル画像を得る、プッシュブルーム型のイメージング分光器であってもよい。
【0135】
前記応用シナリオでは、較正と分光反射率計算のプロセスは類似する。較正プロセスでは、マッピングパラメータを計算する際に、ハイパースペクトル画像内のホワイトボード領域のスペクトルデータを追加で抽出する必要がある。反射率計算プロセスでは、分光反射率曲線の代わりにハイパースペクトル反射率キューブが得られる。
【0136】
適用シナリオ4
【0137】
図5Eに示すように、適用シナリオ1または適用シナリオ3とは異なり、環境光感知モジュール11または分光反射率測定システム全体をある角度で動作するように傾斜させることが可能であり、図5Eは、適用シナリオ3について分光反射率測定システム全体をある角度で動作するように傾斜させた状態を示し、環境光感知モジュール11のみをある角度で動作するように傾斜させることも可能である。または、適用シナリオ1について、分光反射率測定システム全体をある角度で動作するように傾斜させたり、環境光感知モジュール11をある角度で動作するように傾斜させたりすることも可能であるが、ここでは繰り返さない。
【0138】
姿勢センサ(例えば、ジャイロセンサ)により姿勢角を取得することで、環境光スペクトルを補正することが可能であり、すなわち、上記実施例のマッピングパラメータは、環境光感知モジュール11の姿勢角に関連するものであってもよく、分光反射率測定システムがポンツーンまたは船舶に搭載された場合の波浪による角度変化など、外部環境の変化による角度変化にも適用可能である。
【0139】
適用シナリオ5
【0140】
図5Fに示すように、適用シナリオ1または適用シナリオ3とは異なり、目標スペクトル収集モジュール12は、水平または他の角度で取り付けられ、地面に対して垂直な目標スペクトルを取得するように動作することが可能であり、天頂に対する被測定物の角度を取得することにより、基準スペクトルの補正を行い、現在のシナリオにおける分光反射率を得る。すなわち、上述のマッピングパラメータは、被測定物の天頂角、太陽の天頂角に関連するものであってもよい。
【0141】
図5Fは、適用シナリオ3について、目標スペクトル収集モジュール12が水平または他の角度で動作するように取り付けられている様子を示しており、適用シナリオ1について、目標スペクトル収集モジュール12が水平または他の角度で動作するように取り付けられることも可能である。
【0142】
もちろん、上記の応用シナリオ1~応用シナリオ5は、環境光感知モジュール11、目標スペクトル収集モジュール12およびデータ処理モジュール13の接続関係や構造のいくつかの例に過ぎず、これについて限定しない。
【0143】
適用シナリオ6:原位置定点水質モニタリングの適用シナリオ
【0144】
図6Aに示すように、適用シナリオ2に基づき、分光反射率測定システムを原位置定点水質モニタリングに適用した適用シナリオである。太陽光の下で、太陽光は光均一化材料と水域に同時に、同じ太陽放射量で当たる。太陽光は光均一化経路を経て、光ファイバ分光器で環境光スペクトルとして受光され、環境光マッピング関係モデル(すなわち、マッピングパラメータ)によってマッピングされ、分光反射率の計算における基準スペクトルが得られる。水域の上り離水放射光信号はレンズで受信された後、分光反射率の計算における目標スペクトルとして光ファイバ分光器で受信される。産業用制御ボードは、離水放射の分光反射率を算出した後、事前に導入された水域パラメータインバージョンモデルに前記分光反射率を入力し、分光反射率に対して水質インバージョンを行い、現在の水質の水質パラメータ値を得る。水質インバージョンプロセスについて限定せず、全天候型の原位置オンライン水質モニタリングが実現する。
【0145】
例示的に、現在の水質の水質パラメータ値について、水質パラメータの指標およびその範囲は、クロロフィルa:0~500ug/L、全窒素:0~20mg/L、全リン:0~2mg/L、透明度:0~5m、過マンガン酸カリウム指数:0~20mg/L、濁度:0~1000NTU、アンモニア性窒素:0~10mg/L、浮遊物質濃度:0~300mg/L、CDOM吸収係数:0~30m-1、消衰係数C550:0~100m-1などであってもよい。
【0146】
適用シナリオ7:ドローンのハイパースペクトルリモートセンシングの適用シナリオ
【0147】
図6Bに示すように、適用シナリオ3に基づき、分光反射率測定システムをドローンのハイパースペクトルリモートセンシングに適用した適用シナリオである。ドローンが太陽光の下にあるとき、太陽光は光均一化材料と目標領域に同時に、同じ太陽放射量で当たる。太陽光は光均一化経路を経て、光ファイバ分光器で環境光スペクトルとして受光され、環境光マッピング関係モデル(すなわち、マッピングパラメータ)によってマッピングされ、分光反射率の計算における基準スペクトルが得られる。目標によって拡散反射された光信号はレンズで受信された後、分光反射率の計算における目標スペクトルとしてハイパースペクトルカメラ(すなわちイメージング分光器)で受信される。ハイパースペクトルカメラであるため、取得された目標スペクトルは線形配列(linear-array)の目標スペクトルまたは面配列(area-array)の目標スペクトルとなる。産業用制御ボードは、線形配列全体の目標スペクトルまたは面配列全体の目標スペクトルと、取得した基準スペクトルとを組み合わせて、線形配列分光反射率または面配列分光反射率を算出する。
【0148】
分光反射率測定システムを、ドローンのハイパースペクトルリモートセンシングに適用し、リアルタイムかつ安定的に基準スペクトルを取得することが可能であり、最終的に取得された分光反射率キューブが太陽照度の変化に影響されないようにする。マッピング関係の較正プロセスは上記の実施形態に類似しており、ホワイトボードをハイパースペクトルカメラの視野内に配置し、ハイパースペクトルカメラがホワイトボードを含むハイパースペクトル画像を1フレーム取得し、環境光感知モジュール11が現在の環境光マルチスペクトルデータを1フレーム取得する。前処理段階では、取得した1フレームのハイパースペクトル画像からホワイトボード領域のハイパースペクトルデータを抽出した後、環境光マッピング関係モデルを構築してマッピングパラメータ較正を実現することができる。
【0149】
適用シナリオ8:ドローンのハイパースペクトルリモートセンシングの適用シナリオ
【0150】
図6Cに示すように、適用シナリオ4に基づき、分光反射率測定システムをドローンのハイパースペクトルリモートセンシングに適用した適用シナリオであり、図6C図6Bの特定の態様である。ドローンの姿勢が傾いている場合、姿勢センサ(例えばジャイロセンサ)がドローンの姿勢状況を感知し、姿勢角を取得する。取得された姿勢角に基づいて、姿勢角の情報を環境光マッピング関係のモデルに付加することで、参照スペクトルを正確に取得し、分光反射率の計算に対する傾きのバイアスを除去することができる。
【0151】
以上の技術的解決手段から分かるように、本発明の実施例では、基準スペクトルと環境光スペクトルとのマッピングパラメータを事前に較正することにより、被測定物の分光反射率を正確に算出することができ、被測定物の分光反射率の迅速、リアルタイム、効率的かつ正確な取得を実現することができる。現場の原位置でリアルタイムに被測定物の分光反射率を連続的に取得することができ、現場の地物(すなわち被測定物)の分光反射率の取得の利便性とリアルタイム性を向上させた。使用過程において、較正物体(標準ホワイトボードなど)を使用して一回の較正(すなわち、較正マッピングパラメータ)を行えばよく、較正物体のデータの収集を繰り返す必要がなく、異なる天候、異なる太陽高度角の下での分光反射率の取得を実現することができ、太陽高度角/姿勢角補正などを通じて、様々な使用ケースにおける分光反射率の計算精度を向上させることができる。環境光感知モジュールと較正された環境光マッピング関係(すなわち、マッピングパラメータ)により、効率的かつ簡便に太陽放射下で被測定物の基準スペクトルを取得することができる。具体的には、環境光感知モジュールおよび目標スペクトル収集モジュールを使用して、一つの時刻に一回の較正を行うだけで、異なる天候、異なる太陽高度角の下での基準スペクトルの取得を実現することができ、分光反射率をリアルタイムで自動的に算出することができる。また、太陽高度角/姿勢角補正などを通じて、様々な使用ケースにおける分光反射率の計算精度を向上させることができる。環境光感知モジュールは、光均一化経路およびスペクトルセンサから構成され、コサイン応答特性を持ち、スペクトルセンサの光電流出力はコサイン応答に従い、すなわち、異なる入射角度によって発生する光電流は、光の垂直入射時の光電流と前記入射角のコサインとの積に等しく、大きな角度によって受光できなかったり、減衰したりする現象がなく、異なる時刻、異なる太陽高度角の下での目標領域の太陽放射スペクトルを得ることができる。1つの目標スペクトル収集モジュールと環境光感知モジュールだけで分光反射率の計算を実現でき、姿勢角度を取得するジャイロセンサを搭載して角度補正を行うことにより、様々な取り付け環境に対応できる。
【0152】
上述した分光反射率測定システムと同様の出願思想に基づき、本発明の実施例では、分光反射率測定システムに適用可能な分光反射率測定方法を提案し、図7は、前記分光反射率測定方法のフローを示す概略図であり、以下のステップを含み得る。
【0153】
ステップ701、同一の目標波長に対応する測定環境光スペクトルおよび測定目標スペクトルを決定する。測定環境光スペクトルの収集の時刻は測定目標スペクトルの収集の時刻と同じであり、測定環境光スペクトルは、第1の環境光のスペクトルであり、測定目標スペクトルは、被測定物が第2の環境光を反射するスペクトルである。
【0154】
例示的に、測定環境光スペクトルは、第1の波長セット内の各波長の測定環境光スペクトルを含み、測定目標スペクトルは、第2の波長セット内の各波長の測定目標スペクトルを含み、前記第1の波長セットは前記第2の波長セットのサブセットである。同一の目標波長に対応する測定環境光スペクトルおよび測定目標スペクトルを決定するステップは、前記第2の波長セット内の各波長を目標波長とし、各目標波長について、前記目標波長に対応する測定目標スペクトルを取得するステップと、前記目標波長が前記第1の波長セットに存在するか否かを判断し、存在する場合、前記目標波長に対応する測定環境光スペクトルを直接取得し、存在しない場合、少なくとも2つの波長の測定環境光スペクトルに基づいて、前記目標波長に対応する測定環境光スペクトルを決定するステップとを含み得るが、これらに限定されない。例えば、前記第1の波長セットから第1のマッチング波長と第2のマッチング波長を選択し、前記第1のマッチング波長に対応する測定環境光スペクトルと、前記第2のマッチング波長に対応する測定環境光スペクトルとに基づいて、前記目標波長に対応する測定環境光スペクトルを決定する。前記第1のマッチング波長は、第1の波長セット内の前記目標波長に最も近くて前記目標波長より小さい波長であり、前記第2のマッチング波長は、第1の波長セット内の前記目標波長に最も近くて前記目標波長より大きい波長である。
【0155】
可能な一実施形態では、測定環境光スペクトルおよび測定目標スペクトルにおける最大スペクトル値を決定してもよい。前記最大スペクトル値が所定のスペクトル最小値より小さい場合、現在使用している第1の露光時間を第2の露光時間に調整し、前記第2の露光時間に基づいて測定環境光スペクトルを収集し、前記第2の露光時間に基づいて測定目標スペクトルを収集する。前記第2の露光時間は前記第1の露光時間より大きい。
【0156】
前記最大スペクトル値が所定のスペクトル最大値より大きい場合、現在使用している前記第1の露光時間を第3の露光時間に調整し、前記第3の露光時間に基づいて測定環境光スペクトルを収集し、前記第3の露光時間に基づいて測定目標スペクトルを収集する。前記第3の露光時間は前記第1の露光時間より小さい。
【0157】
ステップ702、前記測定環境光スペクトルおよび決定されたマッピングパラメータに基づいて測定基準スペクトルを決定する。前記測定基準スペクトルは、第2の環境光のスペクトルであり、前記マッピングパラメータは、基準スペクトルと環境光スペクトルとの間のマッピング関係を表し、前記マッピングパラメータは、マッピングパラメータの較正プロセスに決定され、保存されるものである。
【0158】
可能な一実施形態では、位置データを収集してもよく、前記位置データに基づいて角度パラメータを決定し、前記測定環境光スペクトル、前記角度パラメータおよび前記マッピングパラメータに基づいて、測定基準スペクトルを決定し、前記マッピングパラメータは、基準スペクトル、環境光スペクトルおよび角度パラメータの間のマッピング関係を表す。例示的に、前記位置データが分光反射率測定システムの姿勢情報であれば、前記角度パラメータは、前記姿勢情報に対応する姿勢角であり、および/または、前記位置データが分光反射率測定システムの経度および緯度情報であれば、前記角度パラメータは、前記経度および緯度情報に対応する天頂角、例えば、太陽の天頂角である。
【0159】
ステップ703、測定目標スペクトルおよび測定基準スペクトルに基づいて被測定物の分光反射率を決定する。
【0160】
可能な一実施形態では、前記マッピングパラメータを決定するプロセス(すなわち較正プロセス)は、同一の目標波長に対応する較正環境光スペクトルおよび較正目標スペクトルを決定するステップであって、前記較正環境光スペクトルの収集の時刻は前記較正目標スペクトルの収集の時刻と同じであってもよく、前記較正環境光スペクトルは、第1の環境光のスペクトルであってもよく、前記較正目標スペクトルは、較正物体が第2の環境光を反射するスペクトルであってもよい、ステップと、前記較正目標スペクトルおよび前記較正物体の設定された分光反射率に基づいて、較正基準スペクトルを決定するステップであって、前記較正基準スペクトルは、前記第2の環境光のスペクトルであってもよい、ステップと、前記較正基準スペクトルおよび前記較正環境光スペクトルに基づいて前記マッピングパラメータを決定するステップと、を含み得るが、これらに限定されない。
【0161】
例示的に、較正環境光スペクトルは、第1の波長セット内の各波長の較正環境光スペクトルを含み、較正目標スペクトルは、第2の波長セット内の各波長の較正目標スペクトルを含み、前記第1の波長セットは前記第2の波長セットのサブセットである。同一の目標波長に対応する較正環境光スペクトルおよび較正目標スペクトルを決定するステップは、前記第2の波長セット内の各波長を目標波長とし、各目標波長について、前記目標波長に対応する較正目標スペクトルを取得するステップと、前記目標波長が前記第1の波長セットに存在するか否かを判断し、存在する場合、前記目標波長に対応する較正環境光スペクトルを直接取得し、存在しない場合、少なくとも2つの波長の較正環境光スペクトルに基づいて、前記目標波長に対応する較正環境光スペクトルを決定するステップとを含み得るが、これらに限定されない。例えば、前記第1の波長セットから第1のマッチング波長と第2のマッチング波長を選択し、前記第1のマッチング波長に対応する較正環境光スペクトルと、前記第2のマッチング波長に対応する較正環境光スペクトルとに基づいて、前記目標波長に対応する較正環境光スペクトルを決定する。前記第1のマッチング波長は、第1の波長セット内の前記目標波長に最も近くて前記目標波長より小さい波長であり、前記第2のマッチング波長は、第1の波長セット内の前記目標波長に最も近くて前記目標波長より大きい波長である。
【0162】
可能な一実施形態では、較正環境光スペクトルおよび較正目標スペクトルにおける最大スペクトル値を決定してもよい。前記最大スペクトル値が所定のスペクトル最小値より小さい場合、現在使用している第1の露光時間を第2の露光時間に調整し、前記第2の露光時間に基づいて較正環境光スペクトルを収集し、前記第2の露光時間に基づいて較正目標スペクトルを収集する。前記第2の露光時間は前記第1の露光時間より大きい。
【0163】
前記最大スペクトル値が所定のスペクトル最大値より大きい場合、現在使用している前記第1の露光時間を第3の露光時間に調整し、前記第3の露光時間に基づいて較正環境光スペクトルを収集し、前記第3の露光時間に基づいて較正目標スペクトルを収集する。前記第3の露光時間は前記第1の露光時間より小さい。
【0164】
可能な一実施形態では、マッピングパラメータを決定するプロセスについて、位置データを収集してもよく、前記位置データに基づいて角度パラメータを決定し、前記角度パラメータ、前記較正基準スペクトルおよび前記較正環境光スペクトルに基づいて、前記マッピングパラメータを決定し、前記マッピングパラメータは、基準スペクトル、環境光スペクトルおよび角度パラメータの間のマッピング関係を表す。前記位置データが分光反射率測定システムの姿勢情報であれば、前記角度パラメータは、前記姿勢情報に対応する姿勢角であり、および/または、前記位置データが分光反射率測定システムの経度および緯度情報であれば、前記角度パラメータは、前記経度および緯度情報に対応する天頂角である。
【0165】
説明の便宜上、上記の装置は、機能上、様々なユニットに分けて個別に説明されている。もちろん、本発明を実施する際に、様々なユニットの機能を同一または複数のソフトウェアおよび/またはハードウェアに実現することも可能である。
【0166】
当業者であれば分かるように、本発明の実施例が、方法、システム、またはコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。したがって、本発明は、ハードウェアだけからなる実施例、ソフトウェアだけからなる実施例、またはソフトウェアとハードウェアを組み合わせた実施例なる形態を用いてもよい。さらに、本発明の実施例は、コンピュータで使用可能なプログラムコードを含む1つまたは複数のコンピュータで使用可能な記憶媒体(磁気ディスクメモリ、CD-ROM、光学メモリなどを含むが、これらに限定されない)において実施されるコンピュータプログラム製品の形態であってもよい。
【0167】
本発明は、本発明の実施例による方法、デバイス(システム)、およびコンピュータプログラム製品のフローチャートおよび/またはブロック図を参照して説明される。フローチャートおよび/またはブロック図における各フローおよび/またはブロック、並びにフローチャートおよび/またはブロック図におけるフローおよび/またはブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令によって実現されてもよいことが理解されるべきである。これらのコンピュータプログラム命令は、マシンを生成するために、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、埋め込みプロセッサ、または他のプログラム可能なデータ処理デバイスのプロセッサに提供されてもよく、それにより、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理デバイスのプロセッサによって実行される命令により、フローチャートの1つまたは複数のフロー、および/またはブロック図の1つまたは複数のブロックにおいて指定される機能を実現するための装置が生成される。
【0168】
また、これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理デバイスに特定の方法で作業するように指示することができるコンピュータ可読メモリに記憶されてもよく、その結果、前記コンピュータ可読メモリに記憶されている命令により、フローチャートの1つまたは複数のフローおよび/またはブロック図の1つまたは複数のブロックにおいて指定される機能を実現する命令装置を含む製品が生成される。
【0169】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理デバイスにロードしてもよく、それにより、一連の動作ステップがコンピュータまたは他のプログラム可能なデバイス上で実行されることで、コンピュータにより実施される処理が生成され、それにより、コンピュータまたは他のプログラム可能なデバイス上で実行される命令により、フローチャートの1つまたは複数のフロー、および/またはブロック図の1つまたは複数のブロック内で指定される機能を実現するためのステップが提供される。
【0170】
上記は、本発明の実施例に過ぎず、本発明を限定するためのものではない。本発明は、当業者にとって様々な変更および変形が可能である。本発明の精神および原理の範囲内でなされる修正、等価置換、改良などは、いずれも本発明の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0171】
1 光均一化経路
2 マルチスペクトルセンサ
3 位置センサ
4 レンズ
5 光ファイバ分光器
11 環境光検知モジュール
11 環境光感知モジュール
12 目標スペクトル収集モジュール
13 データ処理モジュール
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6A
図6B
図6C
図7
【国際調査報告】