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特表2024-521979KRAS変異タンパク質の小分子阻害剤関連出願の相互参照
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】KRAS変異タンパク質の小分子阻害剤関連出願の相互参照
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20240528BHJP
   C07D 519/00 20060101ALI20240528BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20240528BHJP
   A61K 31/55 20060101ALI20240528BHJP
   A61K 31/541 20060101ALI20240528BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20240528BHJP
   A61K 31/553 20060101ALI20240528BHJP
   A61K 31/554 20060101ALI20240528BHJP
   A61K 31/551 20060101ALI20240528BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240528BHJP
   C07K 14/82 20060101ALN20240528BHJP
【FI】
C07D487/04 140
C07D487/04 CSP
C07D519/00 301
C07D519/00 311
C07D471/04 116
A61K31/55 ZNA
A61K31/541
A61K31/519
A61K31/553
A61K31/554
A61K31/551
A61K31/5377
A61P35/00
A61P43/00 105
C07K14/82
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517826
(86)(22)【出願日】2022-05-27
(85)【翻訳文提出日】2024-01-23
(86)【国際出願番号】 JP2022023210
(87)【国際公開番号】W WO2022250170
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】63/194,852
(32)【優先日】2021-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】000207827
【氏名又は名称】大鵬薬品工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】506025512
【氏名又は名称】アステックス・セラピューティクス・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ASTEX THERAPEUTICS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】小早川 優
(72)【発明者】
【氏名】大島 豪
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 智
(72)【発明者】
【氏名】ショプフ,パトリック
【テーマコード(参考)】
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086CB22
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZC41
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045CA41
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
式(I)の化合物又はそれの薬学的に許容される塩は、カーステンラット肉腫(KRAS)タンパク質のG12C、G12D及び/又はG12V変異体を阻害することができ、例えばがんを治療するための治療剤としての用途を有することが期待される。本開示は、式(I)の化合物又はそれの薬学的に許容される塩を含む医薬組成物も提供する。本開示は、がんの治療法及び予防での当該化合物若しくはそれの薬学的に許容される塩の使用方法、並びにそのための医薬品の調製方法に関するものでもある。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩。
【化1】
[式中、
Xは、
(i)6~9員単環式又は縮合二環式又は架橋二環式の複素環アルキル[前記複素環アルキルは飽和であり、N、S及びOからなる群から選択される1~2個のヘテロ原子を含む。];
(ii)8~10員スピロ複素環アルキル[前記スピロ複素環アルキルは飽和であり、N及びOからなる群から選択される1~2個のヘテロ原子を含む。];
(iii)
【化2】
及び
【化3】
からなる群から選択され;
Xが(i)又は(ii)である場合、Xは置換されていないか、ハロ、ヒドロキシ、C-Cアルキル、C-Cヒドロキシアルキル、C-Cフルオロアルキル、カルボキシ、カルバモイル、C-Cカルボキシアルキル、オキソ、シアノ、シアノメチル、アミノ、ピラゾリル、オキサジアゾロニル、-NHC(O)C-CアルコキシC-Cアルキル、-NHC(O)C-CアルコキシC-C10アリール、C-Cアルコキシ、メトキシ(C-C)アルキル、アミノ(C-C)アルキル、C-Cアルキルアミノ(C-C)アルキル、C-Cジアルキルアミノ、C-Cジアルキルアミノ(C-C)アルキル、及びNHC(O)C-C10ヘテロアリールからなる群から選択される1~4個のR置換基によって独立に置換されており、ヘテロアリールはC-Cアルキルによって置換されていても良く;
環Yは9~10員二環式環系であり、前記環系は部分不飽和であるか芳香族であり、環Yは0~2個の窒素ヘテロ原子を含み;
環Yは置換されていないか、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、C-Cアルキル、C-Cアルキニル、及びC-Cフルオロアルキルからなる群から選択される1~4個のR置換基によって独立に置換されており;
Zは、
(i)5~8員単環式若しくは二環式複素環アルキル[前記複素環アルキルは飽和であり、1窒素ヘテロ原子を含み、前記複素環アルキルは置換されていないかハロ、C-Cアルキル、及びメチレン(C-Cアルキル)(C-Cアルキル)カーバメートからなる群から選択される1個の置換基RZHCで置換されている。];
(ii)
【化4】
[式中、Mは、ヒドロキシ、C-Cジアルキルアミノ及びC-Cアルキルアミノからなる群から選択され、前記シクロプロピル基は置換されていないか最大2個のハロ基で置換されている。];
(iii)
【化5】
[式中、Pは5~8員単環式又は縮合二環式又は架橋二環式の複素環アルキルであり、前記複素環アルキルは飽和であり、N及びOからなる群から選択される1~2個のヘテロ原子を含み、前記複素環アルキルは置換されていないかハロ、ヒドロキシ、C-Cヒドロキシアルキル、C-Cシアノアルキル、カルバモイル、C-Cアルコキシ、シアノ、-NHC(O)C-Cアルキル、及びオキサジアゾロニルからなる群から選択される1個のR置換基で置換されており、前記シクロプロピル基は置換されていないか最大2個のハロ基で置換されている。]
からなる群から選択され;
下付文字mは0又は1であり;
下付文字nは1又は2である。]
【請求項2】
環Yが
【化6】
である、請求項1に記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩。
【請求項3】
環Yが
【化7】
である、請求項2に記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩。
【請求項4】
Xが
【化8】
であり、
Xが置換されていないか、1~4個のR置換基によって独立に置換されている、請求項1に記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩。
【請求項5】
Xがハロ、ヒドロキシ、C-Cアルキル、C-Cヒドロキシアルキル、C-Cフルオロアルキル、カルボキシ、カルバモイル、C-Cカルボキシアルキル、オキソ、シアノ、シアノメチル、アミノ、ピラゾリル、オキサジアゾロニル、-NHC(O)C-CアルコキシC-Cアルキル、-NHC(O)C-CアルコキシC-C10アリール、及びNHC(O)C-C10ヘテロアリールからなる群から選択される1~4個のR置換基によって置換されており、ヘテロアリールがC-Cアルキルによって置換されていても良い、請求項4に記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩。
【請求項6】
Xが
【化9】
である、請求項5に記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩。
【請求項7】
Xが
【化10】
であり、
下付文字pが0、1又は2である、請求項1に記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩。
【請求項8】
Xが
【化11】
である、請求項1に記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩。
【請求項9】
Zが
【化12】
である、請求項1に記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩。
【請求項10】
下付文字mが1である、請求項1に記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩。
【請求項11】
下付文字nが1である、請求項1に記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩。
【請求項12】
下付文字nが2である、請求項1に記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩。
【請求項13】
実施例1~151から選択される請求項1に記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩、別の抗がん剤、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項16】
KRAS-G12Dタンパク質を請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩と接触させて、前記KRAS-G12Dタンパク質の活性を阻害することを含む、KRAS-G12Dタンパク質の阻害方法。
【請求項17】
KRAS-G12Cタンパク質を請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩と接触させて、前記KRAS-G12Cタンパク質の活性を阻害することを含む、KRAS-G12Cタンパク質の阻害方法。
【請求項18】
KRAS-G12Vタンパク質を請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩と接触させて、前記KRAS-G12Vタンパク質の活性を阻害することを含む、KRAS-G12Vタンパク質の阻害方法。
【請求項19】
処置を必要とする対象者に、治療上有効量の請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩を投与することを含む、がんの治療方法。
【請求項20】
追加の活性剤を前記対象者に投与することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
治療法で使用するための請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物若しくは該化合物の薬学的に許容される塩、又は治療法における請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩の使用。
【請求項22】
がん治療で使用するための請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物若しくは該化合物の薬学的に許容される塩、又はがん治療のための請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩の使用。
【請求項23】
がん治療用の医薬調製のための請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩、又はがん治療用の医薬調製のための請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩の使用。
【請求項24】
がん治療で使用するための請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩及び追加の抗がん剤、又はがん治療のための請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩及び前記追加の抗がん剤の使用。
【請求項25】
がん治療用の医薬調製のための請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩及び追加の抗がん剤、又はがん治療用の医薬調整のための請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩及び前記追加の抗がん剤の使用。
【請求項26】
がん治療で使用するための請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩を含む医薬組成物、又はがん治療のための請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩を含む当該医薬組成物の使用。
【請求項27】
がん治療で使用するための請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩及び追加の抗がん剤を含む医薬組成物、又はがん治療のための請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩及び前記追加の抗がん剤を含む当該医薬組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年5月28日に出願された米国特許仮出願第63/194,852号の恩典を主張するものであり、これは全体が引用により本明細書に組み込まれる。
本発明は、例えばカーステンラット肉腫(KRAS)タンパク質のG12C変異体、G12D変異体及びG12V変異体を阻害するKRASの小分子阻害剤に関するものであり、式(I)の化合物を含む医薬組成物並びにがんなどの疾患の治療のためのそのような化合物の使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
RASは、分子量約21kDaの小さな単量体GTP結合タンパク質であり、分子のオン/オフスイッチとして機能する。RASは、グアニンヌクレオチド交換因子(GEF)(例えば、SOS1)のタンパク質に結合することによってGTPに結合することができ、これにより結合ヌクレオチドが強制的に放出され、GDPが放出される。RASがGTPに結合すると、それは活性化(オン)になり、c-Raf及びPI3-キナーゼなどの他の受容体のシグナルの伝播に必要なタンパク質を動員して活性化する。RASはまた、GTPヌクレオチドの末端リン酸を切断し、ヌクレオチドをGDPに変換する酵素活性も有する。変換速度は通常遅いが、RasGAPなどのGTPase活性化タンパク質(GAP)クラスのタンパク質によって劇的に加速され得る。GTPがGDPに変換されると、RASは不活性化(オフ)される。
【0003】
RASサブファミリーの一般的に知られている構成員には、HRAS、KRAS、及びNRASなどがある。これらのうち、KRASの変異が多くの悪性腫瘍で観察されており、膵管腺癌(PDAC)の86%、結腸直腸がん(CRC)の41%、及び肺腺がん(LUAD;非小細胞性肺がん(NSCLC)のサブタイプ)の32%で観察されている。その変異は、KRASの12位のグリシン残基(「G12」)で発生することが多く、G12での変異は、それぞれKRAS変異全体の91%(PDAC)、68%(CRC)、及び85%(LUAD)を占める。G12におけるアミノ酸置換の分布は、各組織タイプ間で変動する。LUADで最も優勢な変異はシステイン(「G12C」)への変異(46%)であるが、PDAC(45%)及びCRC(45%)での支配的な変異はアスパラギン酸(「G12D」)への変異である。G12でのバリンへの変異(「G12V」)が、PDAC(35%)、CRC(30%)、及びLUAD(23%)のすべてにおけるG12変異のかなりの部分で観察される(Nature Reviews Drug Discovery, 19, 533-552, 2020)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Nature Reviews Drug Discovery, 19, 533-552, 2020
【発明の概要】
【0005】
KRAS-G12C阻害剤の開発に熱心な取り組みが行われている。システイン残基に焦点を当てた共有結合阻害剤がいくつか報告されており、AMG510(NCT03600883)、MRTX849(NCT03785249)及びJNJ-74699157(NCT04006301)など、それらのいくつかは臨床研究に供されている。しかしながら、KRAS-G12C変異はすべてのKRAS変異の一部にすぎず、主にLUADで認められる。KRAS-G12DやKRAS-G12Vなど、他の一般的に発生するKRAS変異タンパク質を効果的に阻害するには、これらの変異体は活性部位に反応性システインを欠いているため、異なるアプローチが必要である(Nature Reviews Drug Discovery, 19, 533-552, 2020)。
【0006】
本開示は、変異体KRAS、HRAS及び/又はNRASタンパク質を調整し、がんの治療にとって貴重な薬学的に活性な化合物であり得る小分子阻害剤を提供する。一部の実施形態では、開示の化合物は、KRAS-G12C、KRAS-G12D、及び/又はKRAS-G12Vタンパク質を選択的に阻害する。式(I)の化合物:
【化1】
及びそれらの薬学的に許容される塩は、KRAS、HRAS及び/又はNRASの活性を調整し、それによって腫瘍障害に関連する細胞の成長、分化及び増殖を調節するシグナル伝達経路に影響を与えることができる。特定の実施形態では、式(I)の化合物は、KRAS-G12C、KRAS-G12D、及び/又はKRAS-G12Vタンパク質を阻害することができる。本開示はさらに、式(I)の化合物の製造方法、腫瘍障害を治療するためのそのような化合物の使用方法、及び式(I)の化合物を含む医薬組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
開示の化合物
1実施形態において、本開示は、上記で示した構造式(I)を有する化合物又はそれの薬学的に許容される塩を提供し、
式中、
Xは、
(i)6~9員単環式又は縮合二環式又は架橋二環式の複素環アルキル[前記複素環アルキルは飽和であり、N、S及びOからなる群から選択される1~2個のヘテロ原子を含む。];
(ii)8~10員スピロ複素環アルキル[前記スピロ複素環アルキルは飽和であり、N及びOからなる群から選択される1~2個のヘテロ原子を含む。];
(iii)
【化2】
及び
【化3】
からなる群から選択され;
Xが(i)又は(ii)である場合、Xは置換されていないか、ハロ、ヒドロキシ、C-Cアルキル、C-Cヒドロキシアルキル、C-Cフルオロアルキル、カルボキシ、カルバモイル、C-Cカルボキシアルキル、オキソ、シアノ、シアノメチル、アミノ、ピラゾリル、オキサジアゾロニル-NHC(O)C-CアルコキシC-Cアルキル、-NHC(O)C-CアルコキシC-C10アリール、C-Cアルコキシ、メトキシ(C-C)アルキル、アミノ(C-C)アルキル、C-Cアルキルアミノ(C-C)アルキル、C-Cジアルキルアミノ、C-Cジアルキルアミノ(C-C)アルキル、及びNHC(O)C-C10ヘテロアリールからなる群から選択される1~4個のR置換基によって独立に置換されており、ヘテロアリールはC-Cアルキルによって置換されていても良く;
環Yは9~10員二環式環系であり、前記環系は部分不飽和であるか芳香族であり、環Yは0~2個の窒素ヘテロ原子を含み;
環Yは置換されていないか、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、C-Cアルキル、C-Cアルキニル、及びC-Cフルオロアルキルからなる群から選択される1~4個のR置換基によって独立に置換されており;
Zは、
(i)5~8員単環式若しくは二環式複素環アルキル[前記複素環アルキルは飽和であり、1窒素ヘテロ原子を含み、前記複素環アルキルは置換されていないかハロ、C-Cアルキル、及びメチレン(C-Cアルキル)(C-Cアルキル)カーバメートからなる群から選択される1個の置換基RZHCで置換されている。];
(ii)
【化4】
[式中、Mは、ヒドロキシ、C-Cジアルキルアミノ及びC-Cアルキルアミノからなる群から選択され、前記シクロプロピル基は置換されていないか最大2個のハロ基で置換されている。];
(iii)
【化5】
[式中、Pは5~8員単環式又は縮合二環式又は架橋二環式の複素環アルキルであり、前記複素環アルキルは飽和であり、N及びOからなる群から選択される1~2個のヘテロ原子を含み、前記複素環アルキルは置換されていないかハロ、ヒドロキシ、C-Cヒドロキシアルキル、C-Cシアノアルキル、カルバモイル、C-Cアルコキシ、シアノ、-NHC(O)C-Cアルキル、及びオキサジアゾロニルからなる群から選択される1個のR置換基で置換されており、前記シクロプロピル基は置換されていないか最大2個のハロ基で置換されている。]
からなる群から選択され;
下付文字mは0又は1であり;
下付文字nは1又は2である。
【0008】
別の実施形態において、本開示は、環Yが
【化6】
である、式(I)の化合物を提供する。
【0009】
別の実施形態において、本開示は、環Yが
【化7】
である、式(I)の化合物を提供する。
【0010】
別の実施形態において、本開示は、Xが
【化8】
であり、
Xが置換されていないか、1~4個のR置換基によって独立に置換されている、式(I)の化合物を提供する。
【0011】
別の実施形態において、本開示は、Xが、ハロ、ヒドロキシ、C-Cアルキル、C-Cヒドロキシアルキル、C-Cフルオロアルキル、カルボキシ、カルバモイル、C-Cカルボキシアルキル、オキソ、シアノ、シアノメチル、アミノ、ピラゾリル、オキサジアゾロニル、-NHC(O)C-CアルコキシC-Cアルキル、-NHC(O)C-CアルコキシC-C10アリール及びNHC(O)C-C10ヘテロアリールからなる群から選択される1~4個のR置換基によって置換されており、ヘテロアリールがC-Cアルキルによって置換されていても良い、式(I)の化合物を提供する。
【0012】
別の実施形態において、本開示は、Xが
【化9】
である、式(I)の化合物を提供する。
【0013】
別の実施形態において、本開示は、Xが
【化10】
であり、下付文字pが0、1又は2である、式(I)の化合物を提供する。
【0014】
別の実施形態において、本開示は、Xが
【化11】
である式(I)の化合物を提供する。
【0015】
別の実施形態において、本開示は、Zが
【化12】
である式(I)の化合物を提供する。
【0016】
別の実施形態において、本開示は、下付文字mが1である式(I)の化合物を提供する。
【0017】
別の実施形態において、本開示は、下付文字nが1である式(I)の化合物を提供する。
【0018】
別の実施形態において、本開示は、下付文字nが2である式(I)の化合物を提供する。
【0019】
具体的な実施形態において、本開示は、下記に記載の実施例1~151のいずれか一つに記載の化合物又はそれの薬学的に許容される塩を提供する。
【0020】
本開示は、本明細書で定義の全ての構造式、実施形態及びクラスの薬学的に許容される塩を含む、本明細書で定義の化合物の薬学的に許容される塩を含む。
【0021】
定義
別断の定義がない限り、本明細書で用いられる科学技術用語はすべて、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されているものと同じ意味を有する。
【0022】
本開示全体を通して用いている場合、「式(I)の化合物」は、「式(I)の化合物又はそれの薬学的に許容され得る塩」を包含していると理解すべきである。同様に、「式(I)の化合物」、「本明細書に開示の化合物」、「本明細書に記載の化合物」、「本開示の化合物」などは互換的に用いられ、当該化合物、並びにそれの薬学的に許容される塩の両方を含むものである。
【0023】
「アルキル」並びに接頭語「alk」を有する他の基、例えばアルコキシなどは、表示した数の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖又はその組合せであり得る炭素鎖を意味する。例えば、C-Cアルキルは、1(すなわち、メチル)~最大6個の炭素原子(すなわち、ヘキシル)を有するアルキル基を意味する。特定の実施形態において、直鎖アルキル基は1~6個の炭素原子を有し、分枝アルキル基は3~7個の炭素原子を有する。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-及びtert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルなどがある。
【0024】
「アルコキシ」及び「アルキル-O-」は互換的に用いられ、酸素に連結されたアルキル基を指す。
【0025】
「アルコキシアルキル」は、アルコキシ及びアルキル基が前記で定義の通りであるアルコキシ-アルキル基を意味する。親部分への結合は、アルキル成分の炭素原子を介してである。好適なアルコキシアルキル基の非限定的な例には、メトキシメチル及びメトキシエチルなどのメトキシアルキル基などがある。
【0026】
「アルキニル」は、少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を含み、直鎖又は分岐であることができる脂肪族炭化水素基を意味する。非限定的な例には、エチニル、プロピニル及びブチニルなどがある。
【0027】
「アリール」は、5~14個の炭素原子を含み、環の少なくとも一つが芳香族である、単環式、二環式又は三環式炭素環式芳香環又は環系を意味する。非限定的な例としては、フェニル及びナフチルなどがある。
【0028】
「アルコキシアリール」は、アルコキシ基及びアリール基が前に定義した通りであるアルコキシ-アリール基を意味する。親部分への結合は、アリール成分の炭素原子を介してである。好適なアルコキシアリール基の非限定的な例としては、メトキシフェニルなどがある。
【0029】
「アミノアルキル」は、アルキルが前に定義した通りである-アルキル-NH基を意味する。親部分への結合は、アルキル成分の炭素原子を介してである。好適なアミノアルキル基の非限定的な例としてはアミノメチル及びアミノエチルなどがある。「アルキルアミノ」は、アルキルが前に定義した通りである-NH-アルキル基を意味する。親部分への結合は、アミノ成分の窒素を介してである。
【0030】
「二環式環系」とは、二つの結合した環を指す。それらの環は縮合していてもよく、すなわち二つの隣接する原子を共有していてもよく、又は「スピロ環式」、すなわち単一の原子のみを共有していてもよく、又は「架橋」していてもよく、すなわち、三つ以上の原子を共有し、二つの橋頭原子が少なくとも1個の原子を含む架橋によって連結されている。同様に、二環式環は、アリール環、複素環、シクロアルキル環などであってもよい。
【0031】
「カルバモイル」とは、カルバミン酸の-OH基の喪失によって形成される一価の基であるHN-C(O)-基を意味する。親基への結合は、カルボニル成分の炭素原子を介したものである。
【0032】
「カルボキシアルキル」とは、ここでアルキル基が先に定義されているカルボキシ(COOH)-アルキル基を意味する。親基への結合は、アルキル成分の炭素原子を介したものである。
【0033】
「シアノアルキル」は、アルキルが前に定義したとおりである-アルキル-CN基を意味する。親部分への結合は、アルキル成分の炭素原子を介したものである。好適なシアノアルキル基の非限定的な例としてはシアノメチル及び3-シアノプロピルなどがある。
【0034】
「シクロアルキル」とは、飽和環状炭化水素基を意味する。特定の実施形態において、シクロアルキル基は3~12個の炭素原子を有し、縮合した1~3個の炭素環を形成している。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチルなどがある。
【0035】
「ジアルキルアミノ」は、アミノ原子が二つのアルキル置換基によって置換されている、前に定義したアルキルアミノを意味し、その置換基は、同じであっても異なっていてもよく、例えば、-N(CH又は-N(CH)(CHCH)がある。
【0036】
「ジアルキルアミノアルキル」は、アミノ原子が二つのアルキル置換基によっても置換されている、前に定義したアミノアルキルを意味する。アミノ原子上で置換されるアルキル基は、同じであっても異なっていてもよい。好適なジアルキルアミノアルキル基の非限定的な例としてはジメチルアミノメチル[(CHNCH-]及びN-エチル-N-メチルアミノエチル[(CHCH)(CH)N-CHCH-]などがある。
【0037】
「フルオロアルキル」は、モノ置換並びにパーフルオロ置換アルキルまでの多フルオロ置換アルキル基を包含している。例えば、フルオロメチル、1,1-ジフルオロエチル、トリフルオロメチル又は1,1,1,2,2-ペンタフルオロブチルなどがある。
【0038】
「ハロゲン」又は「ハロ」には、別段の断りがない限り、フッ素(フルオロ)、塩素(クロロ)、臭素(ブロモ)及びヨウ素(ヨード)が含まれる。1実施形態において、ハロはフルオロ(-F)又はクロロ(-Cl)である。
【0039】
「ヘテロアリール」は、環内の1以上の原子が炭素以外の元素である(1個又は複数の)ヘテロ原子である芳香族の単環式及び二環式の環構造を示す。
「ヘテロアリール」は、環内の1個又は複数の原子、ヘテロ原子が炭素以外の元素である芳香族の単環式、二環式及び三環式の環構造を示す。ヘテロ原子は代表的にはO、S又はN原子である。ヘテロアリール基の例には、ピラゾリル、オキサジアゾロニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピリダジニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、インドリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル及びイミダゾリルなどがある。
【0040】
「複素環アルキル」又は「複素環(heterocyclic ring)」又は「複素環(heterocycle)」は、約3~約10個の環原子、好ましくは約5~約10個の環原子を含む非芳香族の単環式、二環式、三環式又は架橋環系であって、環系内の1以上の原子が炭素以外の元素、例えば、単独又は組み合わせでの窒素、酸素、リン、硫黄である環系を意味する。その環系には隣接する酸素及び/又は硫黄原子は存在しない。一部の実施形態において、複素環アルキルは、約5~約6個の環原子を含む。複素環の根名の前にある接頭辞アザ、オキサ、ホスファ又はチアは、それぞれ少なくとも窒素、酸素、リン又は硫黄原子が環原子として存在することを意味する。一部の実施形態において、複素環アルキルの窒素原子又は硫黄原子は、任意に、対応するN-オキサイド、S-オキサイド、又はS,S-ジオキサイドに酸化され得る。好適な単環式複素環の非限定的な例としては、ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、1,4-ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ホスホリナン、ホスフィナン、1-オキソホスフィナン-1-イウムなどがある。「スピロ複素環アルキル」とは、環が単一の原子のみを共有し、それらの環の少なくとも一つが複素環アルキルである縮合環系を指す。
【0041】
「ヒドロキシアルキル」は、アルキルが先に定義した通りであるHO-アルキル-基を意味する。親部分への結合は、アルキル基の炭素原子を介したものである。好ましいヒドロキシアルキルは低級アルキルを含む。好適なヒドロキシアルキル基の非限定的な例としてはヒドロキシメチル及び2-ヒドロキシエチルなどがある。
【0042】
「メチレン(C-Cアルキル)(C-Cアルキル)カーバメート」は、下記の構造:
【化13】
を有することを意味する。換言すれば、カルバメート基は、窒素原子に結合した、前に定義のアルキル基を有する。
【0043】
いずれかの可変部(例えば、R)が本明細書における任意の構成要素内又は式(I)若しくは他の一般式中に1回より多く存在している場合、各存在に対するその規定は、他のどのその存在における規定からも独立している。置換基及び/又は可変部の組合せは、かかる組合せによって安定な化合物がもたらされる場合のみ許容され得る。本開示の化合物の選出において、当業者には、化学構造の連結性及び安定性のよく知られた原則に合致する種々の置換基、すなわちRが選ばれるべきであることが認識されよう。異なることが明瞭に言及されていない限り、指定の置換基による置換は、環(例えば、アリール、ヘテロアリール環又は飽和ヘテロアリール環)内の任意の原子において許容されるが、かかる環内置換が化学的に可能であり、安定な化合物をもたらすものとする。「安定な」化合物は、調製及び単離することができ、その構造及び特性が、本明細書に記載の目的(例えば、対象者への治療的投与又は予防的投与)のための該化合物の使用が可能であるのに充分な期間、本質的に変わらないままであるか、又は本質的に変わらないままとなるようにされ得る化合物である。
【0044】
「置換されている」という用語は、指定の置換基による多重度の置換を包含しているとみなさるべきである。複数種の置換基部分が開示されているか、又は請求項に記載されている場合、置換される該化合物は、1以上の本開示の置換基部分又は請求項に記載の置換基部分により、1回以上、独立に置換され得る。独立して置換されるとは、該(2以上の)置換基が同一であっても異なっていてもよいことを意図する。
【0045】
別形態であることが明白に図示又は記載されていない限り、構造式内に図示された「流動的」結合を有する可変部、例えばRは、該可変部が結合している環内の利用可能な任意の炭素原子において許容される。ある部分が、式(I)又はその任意の実施形態において「置換されていてもよい」と記載されている場合、これは、式(I)又はその実施形態が、該部分に記載の(1以上の)置換基を含む化合物と同様に該部分に記載の(1以上の)置換基を含んでいない化合物も包含していることを意味する。
【0046】
波線
【化14】
は、本明細書で用いる場合、該化合物の残部との結合点を示す。
【0047】
式(I)の化合物は1以上の不斉中心を含んでいてもよく、したがって、ラセミ体及びラセミ混合物、単一のエナンチオマー、ジアステレオ異性体混合物並びに個々のジアステレオマーとして存在し得る。式(I)の化合物に存在する不斉中心はすべて、互いに独立しておりS配置又はR配置を有し得る。式(I)の化合物は、考えられ得るすべてのエナンチオマー及びジアステレオマー並びに2種類以上の立体異性体のあらゆる比率の混合物、例えばエナンチオマー及び/又はジアステレオマーの混合物を包含している。したがって、左旋性対掌体として及び右旋性対掌体としての両方のエナンチオマー的に純粋な形態、ラセミ体の形態並びに2つのエナンチオマーのあらゆる比率の混合物の形態のエナンチオマーが本開示の主題である。シス/トランス異性の場合、本開示は、シス型及びトランス型の両方並びにこれらの型のあらゆる比率の混合物を包含している。本開示は、式(I)の化合物のかかるあらゆる立体異性体形態を包含していることを意図する。構造式又は化学名によって立体中心における具体的な配置が明記されている場合、明記された該立体中心によって生じる該化合物のエナンチオマー又は立体異性体が意図される。式(I)の化合物の構造式のキラル中心に直線が示されている場合、該構造式は、該キラル中心と関連しているS立体異性体及びR立体異性体の両方並びにその混合物を包含している。
【0048】
式(I)の化合物は、例えば、適当な溶媒、例えばメタノール若しくは酢酸エチル又はその混合物での分別結晶により、或いは光学的に活性な固定相を用いたキラルクロマトグラフィーによってその個々のジアステレオ異性体に分離され得る。絶対立体化学は、必要であれば絶対配置が既知の不斉中心を含む試薬を用いて誘導体化された結晶性生成物又は結晶性中間体のX線結晶構造解析によって決定され得る。また、振動円二色性(VCD)を用いて絶対立体化学を決定してもよい。或いはまた、式(I)の化合物の任意の立体異性体又は異性体が、絶対配置が既知の光学的に純粋な出発物質又は試薬を用いた立体特異的合成によって得られ得る。
【0049】
所望により、該化合物のラセミ混合物は、個々のエナンチオマーが単離されるように分離され得る。分離は、当該技術分野でよく知られた方法によって、例えば、化合物のラセミ混合物のエナンチオマー的に純粋な化合物とのカップリングによってジアステレオマー混合物を形成させた後、標準的な方法、例えば分別結晶又はクロマトグラフィーによる個々のジアステレオマーの分離によって行なわれ得る。カップリング反応は多くの場合、エナンチオマー的に純粋な酸又は塩基を用いた塩の形成である。次いで、ジアステロメリック(diasteromeric)誘導体は、付加されたキラル残基の切断によって純粋なエナンチオマーに変換され得る。また、該化合物のラセミ混合物を、キラル固定相を用いるクロマトグラフィー法によって直接分離してもよく、この方法は当該技術分野でよく知られている。
【0050】
オレフィン性二重結合を含む式(I)の化合物では、特に指定していない限り、E幾何異性体及びZ幾何異性体の両方を包含していることを意図する。
【0051】
本明細書に記載の一部の化合物は、水素の結合点が異なり、1以上の二重結合のシフトを伴う互変異体として存在し得る。例えば、ケトンとそのエノール型はケト-エノール互変異体である。個々の互変異体並びにその混合物が式(I)の化合物によって包含される。
【0052】
本明細書に記載の式(I)の化合物の一部は、所与の温度において単結合回りの回転エネルギー障壁が自由回転を妨げるのに充分に高い場合、アトロプ異性体として存在し得、したがって、相違する特性を有する個々のアトロプ異性体の単離が可能となる。個々のアトロプ異性体並びにその混合物が本開示の式(I)の化合物に包含される。分割されたら、個々のアトロプ異性体は、確立された規則、例えば国際純正・応用化学連合(IUPAC)2013勧告に定められたものによって表記され得る。
【0053】
式(I)の化合物において、原子は、その天然の同位体存在度で存在してもよく、1個又は複数の原子の、同じ原子番号を有するが原子量又は質量数は自然界に圧倒的多数で見られる原子量又は質量数と異なる特定の同位体が人工的に富化されていてもよい。本明細書に記載し、請求項に記載しているような本開示は、式(I)の化合物及びその実施形態のあらゆる適当な同位体異型を包含していることを意図する。例えば、水素(H)の異なる同位体形態としては、プロチウム(H)及び重水素(H、また、本明細書においてDとも表示する)が挙げられる。プロチウムは、自然界に見られる圧倒的多数の水素同位体である。重水素を富化することにより、特定の治療上の利点、例えばイン・ビボ半減期の増大若しくは必要投薬量の低減がもたらされ得るか、又は生物学的試料の特性評価のための基準として有用な化合物がもたらされ得る。式(I)の同位体富化された化合物は、必要以上に実験を行なうことなく、当業者によく知られた慣用的な手法により、又は本明細書のスキーム及び実施例に記載のものと同様の方法により、適切な同位体富化された試薬及び/又は中間体を用いて調製することができる。
【0054】
「薬学的に許容される塩」という用語は、薬学的に許容される無毒性の塩基又は酸から調製される塩を示す。式(I)の化合物が酸性である場合、その対応する塩は、薬学的に許容される無毒性の塩基、例えば無機塩基及び有機塩基から簡便に調製され得る。かかる無機塩基から誘導される塩としては、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅(第二及び第一)、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン(第二及び第一)、カリウム、ナトリウム、亜鉛などの塩が挙げられる。好ましいのはアンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウムの塩である。薬学的に許容される無毒性の有機塩基から調製される塩としては、天然に存在する供給源及び合成供給源の両方から誘導される1級、2級及び3級アミンの塩が挙げられる。塩を形成することができる薬学的に許容される有機無毒性の塩基としては、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N-ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチル-モルホリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどが挙げられる。
【0055】
式(I)の化合物が塩基性である場合、その対応する塩は、薬学的に許容される無毒性の無機酸及び有機酸から簡便に調製され得る。かかる酸としては、例えば酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸などが挙げられる。好ましいのはクエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸及び酒石酸である。式(I)の化合物が分子内に酸性基と塩基性基を同時に含む場合、本開示はまた、記載の塩形態に加えて分子内塩又はベタイン(両性イオン)も包含する。塩は式(I)の化合物から当業者に知られた慣用的な方法によって、例えば有機若しくは無機の酸若しくは塩基と溶媒若しくは分散剤中で合わせることによって、又は他の塩でのアニオン交換若しくはカチオン交換によって得られ得る。また、本開示は、低い生理学的適合性のため直接は医薬品における使用に適さないが例えば化学反応又は薬学的に許容される塩の調製のための中間体として使用することができる式(I)の化合物のあらゆる塩も包含する。
【0056】
さらに、式(I)の化合物は非晶質形態及び/又は1つ若しくは複数の結晶性形態で存在していてもよく、そのため、本実施例を含む式(I)の化合物のあらゆる非晶質形態及び結晶性形態並びにその混合物が本開示の範囲内に包含されることを意図する。さらに、式(I)の化合物の一部は、水(すなわち、水和物)又は一般的な有機溶媒、例えば限定されないが酢酸エチルと溶媒和物を形成し得る。本発明の化合物のかかる溶媒和物及び水和物、特に、薬学的に許容される溶媒和物及び水和物も、非溶媒和形態及び無水形態とともに同様に本開示の範囲内に包含される。
【0057】
また、イン・ビボで本開示の範囲内の化合物への変換がもたらされる式(I)の化合物の任意の薬学的に許容されるプロドラッグ修飾体も本開示の範囲内である。
【0058】
「治療有効(又は奏効)量」という用語及び同様の記載、例えば「処置に有効なの量」又は「有効用量」は、研究者、獣医、医師その他の臨床関係者が求めている組織、系、動物又はヒトの生物学的又は医学的応答を誘発する式(I)の化合物の量を意味していることを意図する。好ましい1実施形態において、「治療有効量」という用語が、ヒト患者において少なくとも一つの臨床症状を緩和する式(I)の化合物の量を意味する。用語「予防有効(又は奏効)量」及び同様の記載、例えば「予防に奏効性の量」は、研究者、獣医、医師その他の臨床関係者が組織、系、動物又はヒトにおいて予防されることを求めている生物学的又は医学的事象の発生のリスクを抑制又は低減する式(I)の化合物の量を意味していることを意図する。
【0059】
式(I)の化合物の投薬量
式(I)の化合物を用いる投与法は、さまざまな要素、例えば患者のタイプ、種、年齢、体重、性別及び医学的状態;処置される状態の重度;投与に選んだ化合物の効力;投与経路;並びに患者の腎機能及び肝機能に従って選択される。その状態を予防する、阻止する、又はその進行を停止させるために必要とされる治療上有効投薬量又は予防上有効投薬量を決定する目的で、このような要素を考慮することは充分に、当業者である臨床関係者の通常の技術の範囲内である。具体的な1日投薬量は同時に、例えば腫瘍状態の処置のための治療上有効量及び例えば腫瘍状態の予防のための予防上有効量の両方であり得ることは理解される。
【0060】
個々のニーズはさまざまであるが、式(I)の化合物の有効量の至適範囲の決定は当該技術分野の技量の範囲内である。例えば本明細書において特定している状態及び障害の治癒的処置又は予防的処置におけるヒトへの投与では、式(I)の化合物の代表的な投薬量は、約0.05mg/kg/日~約50mg/kg/日又は少なくとも0.05mg/kg又は少なくとも0.08mg/kg又は少なくとも0.1mg/kg又は少なくとも0.2mg/kg又は少なくとも0.3mg/kg又は少なくとも0.4mg/kg又は少なくとも0.5mg/kg、及びこれらの間のいずれかの量から約50mg/kg以下、又は約40mg/kg以下、又は約30mg/kg以下、又は約20mg/kg以下又は約10mg/kg以下及びこれらの間のいずれかの値であることができ、これは例えば約2.5mg/日(0.5mg/kg×5kg)~約5000mg/日(50mg/kg×100kg)であることができる。例えば、該化合物の投薬量は、約0.1mg/kg/日~約50mg/kg/日、又は約0.05mg/kg/日~約10mg/kg/日、又は約0.05mg/kg/日~約5mg/kg/日、又は約0.05mg/kg/日~約3mg/kg/日、又は約0.07mg/kg/日~約3mg/kg/日、又は約0.09mg/kg/日~約3mg/kg/日、又は約0.05mg/kg/日~約0.1mg/kg/日、又は約0.1mg/kg/日~約1mg/kg/日、又は約1mg/kg/日~約10mg/kg/日、又は約1mg/kg/日~約5mg/kg/日、又は約1mg/kg/日~約3mg/kg/日、又は約3mg/日~約500mg/日、又は約5mg/日~約250mg/日、又は約10mg/日~約100mg/日、又は約3mg/日~約10mg/日又は約100mg/日~約250mg/日であることができる。かかる用量は、単回投与してもよく、複数用量に分割してもよい。
【0061】
医薬組成物
式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩は動物に、好ましくは哺乳動物、特にヒトに医薬品として単独で、相互の混合物の状態で、又は医薬組成物の形態で投与され得る。「対象者」又は「患者」という用語は、医学的状態の予防又は処置のために本発明の活性薬剤を使用する動物、好ましくは哺乳動物、特にヒトを包含している。該薬物を対象者への投与は、自己投与及び他者による患者への投与の両方を包含している。対象者は、既存の疾患又は医学的状態の処置を必要とするか、或いは該処置を所望している対象者であってもよく、前記疾患又は医学的状態の発生を予防するため、又はその発生リスクを低減するための予防的処置を必要とするか、或いは該予防的処置を所望している対象者であってもよい。本明細書で用いる場合、対象者が既存の状態の処置又は予防的処置を「必要とする」とは、医療専門家によるその必要性の決定並びに患者がかかる処置を望んでいることの両方を包含している。
【0062】
したがって、本開示により、医薬品としての使用のための式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩、変異型KRAS、HRAS及び/又はNRASタンパク質の活性を調整するためのその使用、特に、後述する疾患又は障害の治療及び予防におけるその使用並びにこのような目的のための医薬を調製するためのその使用もまた提供する。一部の特定の実施形態では、式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩がKRAS G12C、KRAS-G12D及び/又はKRAS-G12Vタンパク質を阻害する。
【0063】
さらに、本開示により、活性成分として有効用量の少なくとも一つの式(I)の化合物及び/又はその薬学的に許容される塩と、慣用的な薬学的に許容される担体、すなわち1以上の薬学的に許容される担体物質及び/又は添加剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0064】
したがって、本開示により、例えば、活性成分として有効用量の少なくとも一つの式(I)の化合物及び/又はそれの薬学的に許容される塩と慣用的な薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物としての使用のための前記化合物及びその薬学的に許容される塩、並びに後述する疾患又は障害、例えばがんの治療又は予防における前記化合物及び/又はその薬学的に許容される塩の使用、並びにこのような目的のための医薬を調製するためのその使用を提供する。
【0065】
本開示による医薬組成物は、例えば丸薬、錠剤、ラッカーコート(lacquered)錠、糖衣錠、粒剤、ゼラチン硬カプセル剤及びゼラチン軟カプセル剤、水性、アルコール性又は油性の液剤、シロップ、乳濁液又は懸濁液の形態で経口投与され得るか、或いは例えば坐剤の形態で経直腸投与され得る。また、投与は非経口で、例えば注射又は注入用の液剤の形態で皮下、筋肉又は静脈に行なってもよい。
【0066】
他の適当な投与形態は、例えば軟膏、チンキ剤、噴霧剤或いは経皮治療システム又は例えばマイクロカプセル、インプラント若しくはロッドの形態での経皮又は局所投与である。好ましい投与形態は、例えば処置対象の疾患及びその重度によって決まる。
【0067】
医薬組成物中の本明細書に記載の化合物の活性化合物及び/又はそれの薬学的に許容される塩の量は通常、用量あたり0.01~200mg、又は0.1~200mg、又は1~200mgであるが、医薬組成物の型に応じて多くしてもよい。一部の実施形態において、医薬組成物中の式(I)の化合物の活性化合物及び/又はそれの薬学的に許容される塩の量は用量あたり0.01~10mgである。医薬組成物は通常、0.5~90重量パーセントの少なくとも一つの式(I)の化合物及び/又はそれの薬学的に許容される塩を含む。医薬組成物の調製は、それ自体は公知の様式で行なわれ得る。この目的のため、1以上の式(I)の化合物及び/又はそれの薬学的に許容される塩を、1以上の固体又は液体の医薬担体物質及び/又は添加剤(又は補助物質)と一緒に、所望により、治療作用又は予防作用を有する他の医薬活性化合物との組合せで好適な投与形態又は剤形にし、次いで、それをヒト医療又は動物医療における医薬品として使用することができる。
【0068】
丸薬、錠剤、糖衣錠及びゼラチン硬カプセル剤の作製では、例えばラクトース、デンプン、例えばトウモロコシデンプン又はデンプン誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩などを使用することが可能である。ゼラチン軟カプセル剤及び坐剤用の担体は、例えば脂肪、ワックス、半固形及び液状のポリオール、天然油又は硬化油などである。液剤、例えば注射用液剤又は乳濁液若しくはシロップの調製のための好適な担体は、例えば水、生理学的に許容される塩化ナトリウム溶液、アルコール、例えばエタノール、グリセロール、ポリオール、スクロース、転化糖、グルコース、マンニトール、植物油などである。また、式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩を凍結乾燥させること、並びに得られた凍結乾燥物を、例えば注射又は注入用の調製物を調製するために使用することも可能である。マイクロカプセル、インプラント又はロッド用の好適な担体は、例えばグリコール酸と乳酸のコポリマーである。
【0069】
活性化合物及び担体の他に、医薬組成物は、慣用的な添加剤、例えば増量剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、湿展剤、安定剤、乳化剤、分散剤、保存料、甘味料、着色剤、香料、芳香剤、増粘剤、希釈剤、緩衝剤物質、溶媒、可溶化剤、デポー効果を得るための薬剤、浸透圧を改変するための塩類、コーティング剤及び/又は酸化防止剤を含むこともできる。
【0070】
式(I)の化合物の使用方法
本出願により、細胞を式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩と接触させることを含む、RAS介在細胞シグナル伝達を阻害する方法を提供する。RAS介在シグナル伝達の阻害は、当該技術分野で知られた多種多様な様式によって評価、実証され得る。非限定的な例としては、(a)RASのGTPアーゼ活性の低下;(b)GTP結合親和性の低下若しくはGDP結合親和性の増大;(c)GTPのKoffの増大若しくはGDPのKoffの低減;(d)RAS経路の下流のシグナル伝達分子レベルの低下、例えばpMEK、pERK若しくはpAKTレベルの低下;及び/又は(e)下流のシグナル伝達分子、例えば限定されないがRafに対するRAS複合体の結合の低減が挙げられる。上記のものの1以上の測定にはキット及び市販のアッセイを利用することができる。
【0071】
また、本出願により、式(I)の化合物(若しくはその薬学的に許容される塩)又はかかる化合物を含む医薬組成物を、疾患状態、例えば限定されないが、変異型KRAS、HRAS及び/又はNRASタンパク質が関与している状態(例えば、がん)、並びに一部の実施形態ではKRAS G12C、KRAS-G12D及び/又はKRAS-G12V変異体が関与している状態を処置するために使用する方法を提供する。
【0072】
一部の実施形態では、がんの処置のための方法が提供され、該方法は、治療上有効量の式(I)の化合物(若しくはその薬学的に許容される塩)又はかかる化合物を含む前述の任意の医薬組成物を、かかる処置を必要とする対象者に投与することを含む。一部の実施形態では、がんが、KRAS、HRAS又はNRASの変異、例えばKRAS G12C、KRAS-G12D及び/又はKRAS-G12V変異によって媒介されるものである。種々の実施形態において、がんは膵がん、結腸直腸がん又は肺がんである。一部の実施形態では、がんが胆嚢がん、甲状腺がん又は胆管がんである。
【0073】
一部の実施形態では、本開示により、障害の処置を、それを必要とする対象者において行なう方法を提供し、ここで前記方法は、対象者がKRAS、HRAS又はNRASの変異(例えば、KRAS G12C、KRAS-G12D及び/又はKRAS-G12V変異)を有するかどうかを調べること、もし該対象者が該KRAS、HRAS又はNRASの変異を有すると判定された場合、該対象者に治療上有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む。
【0074】
本開示の化合物は、足場非依存性細胞増殖を阻害し、したがって腫瘍転移を抑止する潜在的可能性を有する。したがって、本開示の別の実施形態により、有効量の式(I)の化合物を投与することを含む、腫瘍転移を抑止するための方法を提供する。
【0075】
KRAS、HRAS又はNRASの変異は造血器悪性腫瘍(例えば、血液、骨髄及び/又はリンパ節を冒すがん)においても確認されている。したがって、一部の特定の実施形態は、造血器悪性腫瘍の処置を必要とする対象者への式(I)の化合物の(例えば、医薬組成物の形態での)投与に関する。かかる悪性腫瘍としては、限定されないが白血病及びリンパ腫が挙げられる。例えば、本開示の化合物は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性(myelogenous)白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性単球性白血病(AMoL)及び/又は他の白血病などの疾患の処置のために使用され得る。他の実施形態では、該化合物は、リンパ腫、例えばホジキンリンパ腫又は非ホジキンリンパ腫の処置に有用である。種々の実施形態において、該化合物は、形質細胞性悪性腫瘍、例えば多発性骨髄腫、マントル細胞リンパ腫及びワルデンシュトレームマクログロブリン血症の処置に有用である。
【0076】
腫瘍又はがんが、KRAS、HRAS又はNRASの変異(例えば、KRAS G12C、KRAS-G12D及び/又はKRAS-G12V変異)を含むかどうかを調べることは、KRAS、HRAS又はNRASタンパク質をコードしているヌクレオチド配列をアセスメントすることにより、KRAS、HRAS又はNRASタンパク質のアミノ酸配列をアセスメントすることにより、或いは推定KRAS、HRAS又はNRAS変異型タンパク質の特徴をアセスメントすることにより行なわれ得る。野生型のヒトKRAS、HRAS又はNRASの配列は当該技術分野で知られている。
【0077】
また、KRAS、HRAS又はNRASのヌクレオチド配列内の変異を検出するための方法も当業者に知られている。このような方法としては、限定されないが、ポリメラーゼ連鎖反応-制限断片長多型(PCR-RFLP)アッセイ、ポリメラーゼ連鎖反応-一本鎖高次構造多型(PCR-SSCP)アッセイ、リアルタイムPCRアッセイ、PCRシーケンシング、変異型アレル特異的PCR増幅(MASA)アッセイ、ダイレクトシーケンシング、プライマー伸長反応、電気泳動、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ、ハイブリダイゼーションアッセイ、TaqManアッセイ、SNPジェノタイピングアッセイ、高分解能融解曲線アッセイ及びマイクロアレイ解析が挙げられる。一部の実施形態では、試料がKRAS、HRAS又はNRASの変異(例えば、KRAS G12C、KRAS-G12D及び/又はKRAS-G12V変異)についてリアルタイムPCRによって評価される。リアルタイムPCRでは、KRAS、HRAS又はNRAS変異に特異的な蛍光プローブが使用される。変異が存在する場合、プローブが結合し、蛍光が検出される。一部の実施形態では、KRAS、HRAS又はNRASの変異が、KRAS、HRAS又はNRAS遺伝子内の特定の領域(例えば、エキソン2及び/又はエキソン3)のダイレクトシーケンシング法を用いて確認される。
【0078】
KRAS、HRAS又はNRASタンパク質内の変異(例えば、KRAS G12C、KRAS-G12D及び/又はKRAS-G12V変異)を検出するための方法は当業者に知られている。このような方法としては、限定されないが、KRAS、HRAS又はNRASの変異型に特異的な結合剤(例えば、抗体)を用いた該変異型タンパク質の検出、タンパク質の電気泳動及びウエスタンブロッティング並びに直接ペプチド配列決定が挙げられる。
【0079】
腫瘍又はがんが、KRAS、HRAS又はNRASの変異(例えば、KRAS G12C、KRAS-G12D及び/又はKRAS-G12V変異)を含むか否かを調べるために、多くの組織サンプルを評価することができる。一部の実施形態では、サンプルは、腫瘍又はがんを有する対象者から採取される。一部の実施形態では、サンプルは、採取されたばかりの腫瘍/がんサンプルである。一部の実施形態では、サンプルは、凍結された腫瘍/がんのサンプルである。一部の実施形態では、サンプルは、ホルマリン固定パラフィン包埋サンプルである。一部の実施形態では、サンプルは、循環腫瘍細胞(CTC)サンプルである。一部の実施形態では、サンプルは、細胞溶解物に加工処理される。一部の実施形態では、試料は、DNA又はRNAに加工処理される。
【0080】
また、本出願は、治療上有効量の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩を、それを必要とする対象者に投与することを含む、過剰増殖性障害を処置する方法を提供する。一部の実施形態では、前記方法は、がん、例えば急性骨髄性(myeloid)白血病、青年期のがん、小児期の副腎皮質癌、AIDS関連のがん(例えば、リンパ腫及びカポジ肉腫)、肛門がん、虫垂がん、星状細胞腫、非定型奇形腫様、基底細胞癌、胆管がん、膀胱がん、骨のがん、脳幹膠腫、脳腫瘍、乳がん、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍、非定型奇形腫様、胚芽腫、胚細胞腫瘍、原発性リンパ腫、子宮頸がん、小児がん、脊索腫、心臓腫瘍、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄増殖性障害、結腸がん、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞性リンパ腫、肝外非浸潤性乳管癌(DCIS)、胚芽腫、CNSがん、子宮内膜がん、上衣細胞腫、食道がん、鼻腔神経芽細胞腫、ユーイング肉腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、目のがん、骨の線維性組織球腫、胆嚢がん、胃がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛性腫瘍、ヘアリー細胞白血病、頭頸部がん、心臓のがん、肝臓がん、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、眼球内のメラノーマ、膵島細胞腫瘍、膵神経内分泌腫瘍、腎臓がん、喉頭がん、口唇及び口腔のがん、肝臓がん、非浸潤性小葉癌(LCIS)、肺がん、リンパ腫、原発不明の転移性頸部扁平上皮がん、正中線癌、口内のがん;多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫/形質細胞新生物、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄異形成性/骨髄増殖性新生物、多発性骨髄腫、メルケル細胞癌、悪性中皮腫、骨の悪性線維性組織球腫及び骨肉腫、鼻腔及び副鼻腔のがん、鼻咽腔がん、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺がん(NSCLC)、口腔がん、口唇及び口腔のがん、口腔咽頭がん、卵巣がん、膵がん、乳頭腫症、パラガングリオーマ、副鼻腔及び鼻腔のがん、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん、胸膜肺芽腫、中枢神経系原発(CNS)リンパ腫、前立腺がん、直腸がん、移行上皮がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、皮膚がん、胃(stomach(gastric))がん、小細胞肺がん;小腸がん、軟部組織肉腫、T細胞リンパ腫、精巣がん、喉のがん、胸腺腫及び胸腺癌、甲状腺がん、腎盂及び尿管の移行上皮がん、絨毛性腫瘍、小児期の希少(unusual)がん、尿道がん、子宮肉腫、膣がん、外陰がん又はウイルス誘発性のがんに苦しんでいる対象者の処置に関する。一部の実施形態では、前記方法が、非がん性過剰増殖性障害、例えば、皮膚の良性肥厚化(例えば、乾癬)、再狭窄又は前立腺(例えば、良性前立腺肥大(BPH))の治療に関する。
【0081】
一部の実施形態では、処置のための該方法は、肺がんの処置に関するものであり、該方法は、治療上有効量の式(I)の化合物(又はかかる化合物を含む医薬組成物)を、それを必要とする対象者に投与することを含む。一部の特定の実施形態では、肺がんが非小細胞肺癌(NSCLC)、例えば腺癌、扁平上皮肺癌又は大細胞肺癌である。一部の実施形態では、肺がんが小細胞肺癌である。式(I)の化合物によって治療有益性がもたらされ得る他の肺がんとしては、限定されないが、腺腫瘍、カルチノイド腫瘍及び未分化癌が挙げられる。
【0082】
また、本開示により、変異型KRAS、HRAS又はNRASタンパク質の活性(例えば、KRAS G12C、KRAS-G12D及び/又はKRAS-G12V変異に起因する活性)を、該タンパク質を有効量の式(I)の化合物と接触させることによって調整する方法を提供する。調整はタンパク質の活性の阻害又は活性化であることができる。一部の実施形態では、本開示により、変異型KRAS、HRAS又はNRASタンパク質(例えば、KRAS G12C、KRAS-G12D及び/又はKRAS-G12V変異体)を有効量の式(I)の化合物と溶液状態で接触させることによってタンパク質の活性を阻害する方法を提供する。一部の実施形態では、本開示により、対象のタンパク質を発現する細胞、組織又は器官を接触させることによって変異型KRAS、HRAS又はNRASタンパク質の活性を阻害する方法を提供する。一部の実施形態では、本開示により、対象者、例えば限定されないが、齧歯類及び哺乳動物(例えば、ヒト)におけるタンパク質の活性を、該対象者に有効量の式(I)の化合物を投与することによって阻害する方法を提供する。
【0083】
併用療法
1以上のさらなる薬理学的活性薬剤を、式(I)の化合物(又はその薬学的に許容される塩)との併用で投与してもよい。さらなる活性薬剤(又は複数)は、式(I)の化合物と異なる体内で活性である医薬活性薬剤(又は複数)を意味していることを意図し、投与後に医薬活性形態に変換されるプロドラッグを包含している。また、該さらなる活性薬剤は、前記さらなる活性薬剤の遊離酸、遊離塩基及び薬学的に許容される塩も包含している。一般的に、任意の適当な1以上のさらなる活性薬剤、例えば化学療法剤又は治療用抗体が式(I)の化合物との任意の組合せで、単回投薬製剤(例えば、固定用量配合剤)にて、又は対象者への活性薬剤の並行投与若しくは逐次投与(別々の活性薬剤の共投与)を可能にする1以上の別々の投薬製剤にて使用され得る。また、式(I)の化合物(又はその薬学的に許容される塩)を、放射線療法、ホルモン療法、手術又は免疫療法との併用で投与してもよい。
【0084】
また、本出願により、該さらなる活性薬剤が、他の経路、又は同じ経路の他の成分、又はさらには式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩と併用して使用されるオーバーラップしている標的酵素セットを調整することが知られている併用療法のための方法を提供する。1実施形態において、かかる治療法としては、限定されないが、式(I)の1以上の化合物と化学療法剤、免疫療法剤、ホルモン剤及び抗ホルモン剤、標的療法剤並びに抗血管新生剤との併用により、相乗的又は相加的治療効果をもたらすことが挙げられる。別の実施形態では、かかる治療法は、相乗的又は相加的治療効果をもたらすための放射線処置を含む。
【0085】
さらなる活性薬剤(すなわち、さらなる抗がん剤)の例としては、化学療法剤(例えば、細胞毒性剤)、免疫療法剤、ホルモン剤及び抗ホルモン剤、標的療法剤並びに抗血管新生剤が挙げられる。多くの抗がん剤は、これらのグループのうちの1つ又は複数に分類され得る。一部の特定の抗がん剤を、本明細書において具体的なグループ又はサブグループにカテゴリー分類しているが、このような薬剤の多くは、1以上の他のグループ又はサブグループにも挙げることができる場合があり、これは現状の当該技術分野において理解され得よう。本明細書において具体的な薬剤を具体的なグループに分類していることは限定を意図するものではないことを理解されたい。多くの抗がん剤が現在、当該技術分野で知られており、本開示の化合物と併用して使用され得る。
【0086】
さらに、薬剤は作動薬、拮抗薬、アロステリックモジュレータ、毒素であり得るか、又はより一般的には、その標的を阻害又は刺激するように作用し得る(例えば、受容体又は酵素の活性化又は阻害)。例えば、使用に適しているのは、増殖因子に特異的に結合してその活性を阻害する1以上の薬剤(例えば、抗体、抗原結合領域又は可溶性受容体)、例えば肝細胞増殖因子(HGF、細胞分散因子としても知られる)の拮抗薬、及びその受容体「c-met」に特異的に結合する抗体又は抗原結合領域である。
【0087】
1実施形態では、該さらなる抗がん剤は化学療法剤、免疫療法剤、ホルモン剤、抗ホルモン剤、標的療法剤又は抗血管新生剤(若しくは血管新生阻害薬)である。1実施形態では、該さらなる抗がん剤は、化学療法剤、有糸分裂阻害薬、植物アルカロイド、アルキル化剤、代謝拮抗薬、白金系類似体、酵素、トポイソメラーゼ阻害薬、レチノイド、アジリジン、抗生物質、ホルモン剤、抗ホルモン剤、抗エストロゲン薬、抗アンドロゲン薬、副腎皮質抑制薬、アンドロゲン薬、標的療法剤、免疫療法剤、生物学的応答修飾薬、サイトカイン阻害薬、腫瘍ワクチン、モノクローナル抗体、免疫チェックポイント阻害薬、抗PD-1剤、抗PD-L1剤、コロニー刺激因子、免疫調節薬、免疫調節性イミド薬(IMiD)、抗CTLA4剤、抗LAGl剤、抗OX40剤、GITRアゴニスト、CAR-T細胞、BiTE、シグナル伝達阻害薬、増殖因子阻害薬、チロシンキナーゼ阻害薬、EGFR阻害薬、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害薬、プロテアソーム阻害薬、細胞周期阻害薬、抗血管新生剤、マトリックス-メタロプロテイナーゼ(MMP)阻害薬、肝細胞増殖因子阻害薬、TOR阻害薬、KDR阻害薬、VEGF阻害薬、HIF-1α阻害薬、HIF-2α阻害薬、線維芽細胞増殖因子(FGF)阻害薬、RAF阻害薬、MEK阻害薬、ERK阻害薬、PI3K阻害薬、AKT阻害薬、MCL-1阻害薬、BCL-2阻害薬、SHP2阻害薬、HER-2阻害薬、BRAF-阻害薬、遺伝子発現調節薬、オートファジー阻害薬、アポトーシス誘導剤、抗増殖剤及び解糖阻止薬からなる群より選択される。
【0088】
1実施形態では、該さらなる抗がん剤は化学療法剤である。化学療法剤の非限定的な例としては、有糸分裂阻害薬及び植物アルカロイド、アルキル化剤、代謝拮抗薬、白金系類似体、酵素、トポイソメラーゼ阻害薬、レチノイド、アジリジン並びに抗生物質が挙げられる。
【0089】
有糸分裂阻害薬及び植物アルカロイドの非限定的な例としては、タキサン、例えばカバジタキセル、ドセタキセル、ラロタキセル、オルタタキセル、パクリタキセル及びテセタキセル;デメコルシン;エポチロン;エリブリン;エトポシド(VP-16);リン酸エトポシド;ナベルビン;ノスカピン;テニポシド;タリブラスチン;ビンブラスチン;ビンクリスチン;ビンデシン;ビンフルニン;並びにビノレルビンが挙げられる。
【0090】
アルキル化剤の非限定的な例としては、ナイトロジェンマスタード、例えばクロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド(cholophosphamide)、サイトホスファン(cytophosphane)、エストラムスチン、イホスファミド、マンノムスチン、メクロレタミン、塩酸塩メクロレタミンオキシド、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン、トリス(2-クロロエチル)アミン、トロホスファミド及びウラシルマスタード;アルキルスルホン酸系、例えばブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファン;ニトロソウレア、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン、ストレプトゾトシン及びTA-07;エチレンイミン及びメチラメラミン(methylamelamine)、例えばアルトレタミン、チオテパ、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスファオルアミド(triethylenethiophosphaoramide)、トリエチレンホスホルアミド及びトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine);アンバムスチン;ベンダムスチン;ダカルバジン;エトグルシド;イロフルベン;マホスファミド;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;プロカルバジン;テモゾロミド;トレオスルファン;並びにトリアジコンが挙げられる。
【0091】
代謝拮抗薬の非限定的な例としては、葉酸類似体、例えばアミノプテリン、デノプテリン、エダトレキサート、メトトレキサート、プテロプテリン、ラルチトレキセド及びトリメトレキサート;プリンアナログ、例えば6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、フルダラビン、フォロデシン、チアミプリン及びチオグアニン;ピリミジンアナログ、例えば5-フルオロウラシル(5-FU)、6-アザウリジン、アンシタビン、アザシチジン、カペシタビン、カルモフール、シタラビン、デシタビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、ガロシタビン、ゲムシタビン及びサパシタビン;3-アミノピリジン-2-カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾン;ブロクスウリジン;クラドリビン;シクロホスファミド;シタラビン;エミテフル;ヒドロキシ尿素;メルカプトプリン;ネララビン;ペメトレキセド;ペントスタチン;テガフール;並びにトロキサシタビンが挙げられる。
【0092】
白金系類似体の非限定的な例としては、カルボプラチン、シスプラチン、シクロプラチン、ヘプタプラチン、ロバプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン及び四硝酸トリプラチンが挙げられる。
【0093】
酵素の非限定的な例としてはアスパラギナーゼ及びペグアスパラガーゼが挙げられる。
【0094】
トポイソメラーゼ阻害薬の非限定的な例としては、アクリジンカルボキサミド、アモナフィド、アムサクリン、ベロテカン、酢酸エリプチニウム、エキサテカン、インドロカルバゾール、イリノテカン、ルルトテカン、ミトザントロン、ラゾキサン、ルビテカン、SN-38、ソブゾキサン及びトポテカンが挙げられる。
【0095】
レチノイドの非限定的な例としては、アリトレチノイン、ベキサロテン、フェンレチニド、イソトレチノイン、リアロゾール、RIIレチンアミド及びトレチノインが挙げられる。
【0096】
アジリジンの非限定的な例としてはベンゾドパ(benzodopa)、カルボコン、メツエドパ(meturedopa)及びウレドパ(uredopa)が挙げられる。
【0097】
抗生物質の非限定的な例としては、インターカレート抗生物質;アントラセンジオン;アントラサイクリン系抗生物質、例えばアクラルビシン、アムルビシン、ダウノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、メノガリル、ノガラマイシン、ピラルビシン及びバルルビシン;6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン;アクラシノマイシン;アクチノマイシン;アウトラマイシン(authramycin);アザセリン;ブレオマイシン;カクチノマイシン;カリケアミシン;カラビシン(carabicin);カルミノマイシン;カルチノフィリン;クロモマイシン;ダクチノマイシン;デトルビシン;エソルビシン;エスペラミシン;ゲルダナマイシン;マルセロマイシン;マイトマイシン;マイトマイシンC;ミコフェノール酸;オリボマイシン;ノバントロン;ペプロマイシン;ポルフィロマイシン;ポトフィロマイシン(potfiromycin);ピューロマイシン;ケラマイシン;レベッカマイシン;ロドルビシン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;タネスピマイシン;ツベルシジン;ウベニメクス;ジノスタチン;ジノスタチンスチマラマー;並びにゾルビシンが挙げられる。
【0098】
1実施形態では、該さらなる抗がん剤は、ホルモン剤及び/又は抗ホルモン剤(すなわち、ホルモン療法薬)である。ホルモン剤及び抗ホルモン剤の非限定的な例としては、抗アンドロゲン薬、例えばアビラテロン、アパルタミド、ビカルタミド、ダロルタミド、エンザルタミド、フルタミド、ゴセレリン、ロイプロリド及びニルタミド;抗エストロゲン薬、例えば4-ヒドロキシタモキシフェン、アロマターゼ阻害4(5)-イミダゾール、EM-800、ホスフェストロール、フルベストラント、ケオキシフェン、LY 117018、オナプリストン、ラロキシフェン、タモキシフェン、トレミフェン及びトリオキシフェン;副腎皮質抑制薬、例えばアミノグルテチミド、デクスアミノグルテチミド(dexaminoglutethimide)、ミトタン及びトリロスタン;アンドロゲン薬、例えばカルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン及びテストラクトン;アバレリクス;アナストロゾール;セトロレリクス;デスロレリン;エキセメスタン;ファドロゾール;フィナステリド;ホルメスタン;ヒストレリン(RL 0903);ヒト絨毛性ゴナドトロピン;ランレオチド;LDI 200(Milkhaus);レトロゾール;ロイプロレリン;ミフェプリストン;ナファレリン;ナフォキシジン;オサテロン;プレドニゾン;チロトロピンアルファ;並びにトリプトレリンが挙げられる。
【0099】
1実施形態では、該さらなる抗がん剤は、免疫療法剤(すなわち、免疫療法薬)である。免疫療法剤の非限定的な例としては、生物学的応答修飾薬、サイトカイン阻害薬、腫瘍ワクチン、モノクローナル抗体、免疫チェックポイント阻害薬、コロニー刺激因子及び免疫調節薬が挙げられる。
【0100】
生物学的応答修飾薬、例えばサイトカイン阻害薬(サイトカイン)、例えばインターフェロン及びインターロイキンの非限定的な例としては、インターフェロンアルファ/インターフェロンアルファ、例えばインターフェロンアルファ-2、インターフェロンアルファ-2a、インターフェロンアルファ-2b、インターフェロンアルファ-nl、インターフェロンアルファ-n3、インターフェロンアルファコン-1、ペグインターフェロンアルファ-2a、ペグインターフェロンアルファ-2b及び白血球インターフェロンアルファ;インターフェロンベータ、例えばインターフェロンベータ-1a及びインターフェロンベータ-1b;インターフェロンガンマ、例えば天然のインターフェロンガンマ-1a及びインターフェロンガンマ-1b;アルデスロイキン;インターロイキン-1ベータ;インターロイキン-2;オプレルベキン;ソネルミン;タソネルミン;並びにビルリジン(virulizin)が挙げられる。
【0101】
腫瘍ワクチンの非限定的な例としては、APC 8015、AVICINE、膀胱がんワクチン、がんワクチン(Biomira)、ガストリン17免疫原、丸山ワクチン、メラノーマライセートワクチン、メラノーマ腫瘍ライセートワクチン(New York Medical College)、メラノーマワクチン(New York University)、メラノーマワクチン(Sloan Kettering Institute)、TICE(登録商標)BCG(Bacillus Calmette-Guerin)及びウイルス系メラノーマ細胞ライセートワクチン(Royal Newcastle Hospital)が挙げられる。
【0102】
モノクローナル抗体の非限定的な例としては、アバゴボマブ、アデカツムマブ、アフリベルセプト、アレムツズマブ、ブリナツモマブ、ブレンツキシマブベドチン、CA 125 MAb(Biomira)、がんMAb(Japan Pharmaceutical Development)、ダクリズマブ、ダラツムマブ、デノスマブ、エドレコロマブ、ゲムツズマブゾガマイシン、HER-2及びFc MAb(Medarex)、イブリツモマブチウキセタン、イディオタイプ105AD7 MAb(CRC Technology)、イディオタイプCEA MAb(Trilex)、イピリムマブ、リンツズマブ、LYM-1-ヨウ素131 MAb(Techni clone)、ミツモマブ、モキセツモマブ、オファツムマブ、多形性上皮ムチン-イットリウム90 MAb(Antisoma)、ラニビズマブ、リツキシマブ並びにトラスツズマブが挙げられる。
【0103】
免疫チェックポイント阻害薬の非限定的な例としては、抗PD-1剤又は抗PD-1抗体、例えばセミプリマブ、ニボルマブ及びペムブロリズマブ;抗PD-L1剤又は抗PD-L1抗体、例えばアテゾリズマブ、アベルマブ及びデュルバルマブ;抗CTLA-4剤又は抗CTLA-4抗体、例えばイピリムマブ;抗LAG1剤;並びに抗OX40剤が挙げられる。
【0104】
コロニー刺激因子の非限定的な例としては、ダルベポエチンアルファ、エポエチンアルファ、エポエチンベータ、フィルグラスチム、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、レノグラスチム、レリジスチム、ミリモスチム、モルグラモスチム、ナルトグラスチム、ペグフィルグラスチム及びサルグラモスチムが挙げられる。
【0105】
さらなる免疫療法剤の非限定的な例としては、BiTE、CAR-T細胞、GITRアゴニスト、イミキモド、免疫調節性イミド薬(IMiD)、ミスマッチ二本鎖RNA(Ampligen)、レシキモド、SRL 172及びサイマルファシンが挙げられる。
【0106】
1実施形態では、該さらなる抗がん剤は、標的療法剤(すなわち、標的療法)である。標的療法剤としては例えばモノクローナル抗体及び小分子薬が挙げられる。標的療法剤の非限定的な例としては、シグナル伝達阻害薬、増殖因子阻害薬、チロシンキナーゼ阻害薬、EGFR阻害薬、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害薬、プロテアソーム阻害薬、細胞周期阻害薬、血管新生阻害薬、マトリックス-メタロプロテイナーゼ(MMP)阻害薬、肝細胞増殖因子阻害薬、TOR阻害薬、KDR阻害薬、VEGF阻害薬、線維芽細胞増殖因子(FGF)阻害薬、MEK阻害薬、ERK阻害薬、PI3K阻害薬、AKT阻害薬、MCL-1阻害薬、BCL-2阻害薬、SHP2阻害薬、HER-2阻害薬、BRAF-阻害薬、遺伝子発現調節薬、オートファジー阻害薬、アポトーシス誘導剤、抗増殖剤及び解糖阻止薬が挙げられる。
【0107】
シグナル伝達阻害薬の非限定的な例としては、チロシンキナーゼ阻害薬、マルチキナーゼ阻害薬、アンロチニブ、アバプリチニブ、アキシチニブ、ダサチニブ、ドビチニブ、イマチニブ、レンバチニブ、ロニダミン、ニロチニブ、ニンテダニブ、パゾパニブ、ペグビソマント、ポナチニブ、バンデタニブ及びEGFR阻害剤が挙げられる。
【0108】
EGFR阻害剤の非限定的な例としては、EGFRの小分子拮抗薬、例えばアファチニブ、ブリガチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ及びオシメルチニブ;並びに抗体ベースのEGFR阻害薬、例えば、天然リガンドによるEGFRの活性化を部分的又は完全に遮断できる任意の抗EGFR抗体又は抗体断片が挙げられる。抗体系のEGFR阻害剤としては、例えば、Modjtahedi, H., et al., 1993, Br. J. Cancer 67:247-253;Teramoto, T., et al., 1996, Cancer 77:639-645;Goldstein et al, 1995, Clin. Cancer Res. 1:1311-1318;Huang, S. M., et al., 1999, Cancer Res. 15:59(8):1935-40;及びYang, X., et al., 1999, Cancer Res. 59:1236-1243に記載のもの;モノクローナル抗体Mab E7.6.3(Yang,1999上掲);Mab C225(ATCC寄託番号HB-8508)又は結合特性を有する抗体若しくは抗体断片;特異的なアンチセンスヌクレオチド若しくはsiRNA;アファチニブ、セツキシマブ;マツズマブ;ネシツムマブ;ニモツズマブ;パニツムマブ;並びにザルツムマブが挙げられ得る。
【0109】
ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害薬の非限定的な例としては、ベリノスタット、パノビノスタット、ロミデプシン及びボリノスタットが挙げられる。
【0110】
プロテアソーム阻害薬の非限定的な例としては、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、イキサゾミブ、マリゾミブ(サリノスポラミドa)及びオプロゾミブが挙げられる。
【0111】
細胞周期阻害薬、例えばCDK阻害薬の非限定的な例としては、アベマシクリブ、アルボシジブ、パルボシクリブ及びリボシクリブが挙げられる。
【0112】
1実施形態では、該さらなる抗がん剤は、抗血管新生剤(又は血管新生阻害薬)、例えば限定されないが、マトリックス-メタロプロテイナーゼ(MMP)阻害薬;VEGF阻害薬;EGFR阻害薬;TOR阻害薬、例えばエベロリムス及びテムシロリムス;PDGFRキナーゼ阻害剤、例えばクレノラニブ;HIF-lα阻害薬、例えばPX 478;HIF-2α阻害薬、例えばベルズチファン及び国際公開第2015/035223号に記載のHIF-2α阻害薬;線維芽細胞増殖因子(FGF)又はFGFR阻害剤、例えばB-FGF及びRG 13577;肝細胞増殖因子阻害薬;KDR阻害薬;抗Ang1剤及び抗Ang2剤;抗Tie2キナーゼ阻害剤;Tek拮抗薬(米国特許出願公開第2003/0162712号;米国特許第6,413,932号);抗TWEAK剤(米国特許第6,727,225号);インテグリンのそのリガンドへの結合に拮抗作用するADAMディスインテグリンドメイン(米国特許出願公開第2002/0042368号);抗eph受容体及び/又は抗エフリン抗体又は抗原結合領域(米国特許第5,981,245号;同第5,728,813号;同第5,969,110号;同第6,596,852号;同第6,232,447号;及び同第6,057,124号);並びに抗PDGF-BB拮抗薬及びPDGF-BBリガンドに特異的に結合する抗体又は抗原結合領域である。
【0113】
マトリックス-メタロプロテイナーゼ(MMP)阻害薬の非限定的な例としては、MMP-2(マトリックス-メタロプロテイナーゼ2)阻害薬、MMP-9(マトリックス-メタロプロテイナーゼ9)阻害薬、プリノマスタット、RO 32-3555及びRS 13-0830が挙げられる。有用なマトリックス メタロプロテイナーゼ阻害薬の例は、例えば国際公開第96/33172号、国際公開第96/27583号、欧州特許第1004578号、国際公開第98/07697号、国際公開第98/03516号、国際公開第98/34918号、国際公開第98/34915号、国際公開第98/33768号、国際公開第98/30566号、欧州特許第0606046号、欧州特許第0931788号、国際公開第90/05719号、国際公開第99/52910号、国際公開第99/52889号、国際公開第99/29667号、国際公開第1999/007675号、欧州特許第1786785号、欧州特許第1181017号、米国特許第2009/0012085号、米国特許第5,863,949号、米国特許第5,861,510号及び欧州特許第0780386号に記載されている。好ましいMMP-2阻害薬及びMMP-9阻害薬は、MMP-1を阻害する活性をほとんど、又は全く有しないものである。より好ましいのは、その他のマトリックス-メタロプロテイナーゼ(すなわち、MAP-1、MMP-3、MMP-4、MMP-5、MMP-6、MMP-7、MMP-8、MMP-10、MMP-11、MMP-12及びMMP-13)と比べてMMP-2及び/又はMMP-9を選択的に阻害するものである。
【0114】
VEGF阻害剤及びVEGFR阻害剤の非限定的な例としては、ベバシズマブ、セジラニブ、CEP 7055、CP 547632、KRN 633、オランチニブ、パゾパニブ、ペガプタニブ、ペガプタニブオクタナトリウム、セマキサニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、VEGF拮抗薬(Borean,Denmark)及びVEGF-TRAP(商標)が挙げられる。
【0115】
また、該さらなる抗がん剤は、別の抗血管新生剤、例えば限定されないが、2-メトキシエストラジオール、AE 941、アレムツズマブ、アルファ-D148 Mab(Amgen,US)、アルファスタチン、酢酸アネコルタブ、アンジオシジン、血管新生阻害薬,(SUGEN,US)、アンジオスタチン、抗Vn Mab(Crucell,オランダ)、アチプリモド、アキシチニブ、AZD 9935、BAY RES 2690(Bayer,ドイツ,BC 1(Genoa Institute of Cancer Research,イタリア)、ベロラニブ、ベネフィン(Lane Labs,US)、カボザンチニブ、CDP 791(Celltech Group,UK)、コンドロイチナーゼAC、シレンギチド、コンブレタスタチンA4プロドラッグ、CP 564959(OSI,US)、CV247、CYC 381(ハーバード大学,US)、E 7820、EHT 0101、エンドスタチン、エンザスタウリン塩酸塩、ER-68203-00(IVAX,US)、フィブリノゲン-E断片、Flk-1(ImClone Systems,US)、FLT 1(VEGFR 1)の形態、FR-111142、GCS-100、GW 2286(GlaxoSmithKline,UK)、IL-8、イロマスタット、IM-862、イルソグラジン、KM-2550(協和発酵,日本)、レナリドミド、レンバチニブ、MAbアルファ5ベータ3インテグリン、第2世代(Applied Molecular Evolution USA及びMedlmmune,US)、MAb VEGF(Xenova,UK)、マリマスタット、マスピン(Sosei,日本)、メタスタチン、モツポラミンC、M-PGA、オンブラブリン、OXI4503、PI 88、血小板第4因子、PPI 2458、ラムシルマブ、rBPI 21及びBPI由来抗血管新生性(XOMA,US)、レゴラフェニブ、SC-236、SD-7784(Pfizer,US)、SDX 103(カリフォルニア大学サンディエゴ校,US)、SG 292(Telios,US)、SU-0879(Pfizer,US)、TAN-1120、TBC-1635、テセバチニブ、テトラチオモリブデート、サリドマイド、トロンボスポンジン1阻害薬、Tie-2リガンド(Regeneron,US)、組織因子経路阻害薬(EntreMed,US)、腫瘍壊死因子-アルファ阻害薬、タムスタチン、TZ 93、ウロキナーゼ型プラスミノゲンアクチベータ阻害薬、バジメザン、バンデタニブ、バソスタチン、バタラニブ、VE-カドヘリン-2拮抗薬、キサントリゾール、XL 784(Exelixis,US)、ziv-アフリベルセプト並びにZD 6126であってもよい。
【0116】
ある実施形態では、該さらなる抗がん剤が、RAS-RAF-ERK又はPI3K-AKT-TORシグナル伝達経路を破壊又は阻害するか、或いはPD-1及び/又はPD-L1の拮抗薬であるさらなる活性薬剤である。ある実施形態では、(1種類又は複数種の)該さらなる抗がん剤がRAF阻害薬、EGFR阻害薬、MEK阻害薬、ERK阻害薬、PI3K阻害薬、AKT阻害薬、TOR阻害薬、MCL-1阻害薬、BCL-2阻害薬、SHP2阻害薬、プロテアソーム阻害薬又は免疫療法薬、例えばモノクローナル抗体、免疫調節性イミド薬(IMiD)、抗PD-1、抗PDL-1、抗CTLA4、抗LAGl及び抗OX40剤、GITRアゴニスト、CAR-T細胞並びにBiTEである。
【0117】
RAF阻害薬の非限定的な例としては、ダブラフェニブ、エンコラフェニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ及びベムラフェニブが挙げられる。
【0118】
MEK阻害薬の非限定的な例としては、ビニメチニブ、CI-1040、コビメチニブ、PD318088、PD325901、PD334581、PD98059、レファメチニブ、セルメチニブ及びトラメチニブが挙げられる。
【0119】
ERK阻害薬の非限定的な例としては、LY3214996、LTT462、MK-8353、SCH772984、ラボキセルチニブ、ウリキセルチニブ及び国際公開第2017/068412号に記載のようなERKiが挙げられる。
【0120】
PI3K阻害薬の非限定的な例としては、17-ヒドロキシウォルトマニン類似体(例えば、国際公開第06/044453号);AEZS-136;アルペリシブ;AS-252424;ブパルリシブ;CAL263;コパンリシブ;CUDC-907;ダクトリシブ(国際公開第06/122806号);デメトキシビリジン;デュベリシブ;GNE-477;GSK1059615;IC87114;イデラリシブ;INK1117;LY294002;パロミド(Palomid)529;パキサリシブ;ペリホシン;PI-103;PI-103塩酸塩;ピクチリシブ(例えば、国際公開第09/036,082号;国際公開第09/055,730号);PIK 90;PWT33597;SF1126;ソノリシブ(sonolisib);TGI 00-115;TGX-221;XL147;XL-765;ウォルトマニン;並びにZSTK474が挙げられる。
【0121】
AKT阻害薬の非限定的な例としては、Akt-1-1(Aktlを阻害する)(Barnett et al.(2005)Biochem.J.,385(Pt.2),399-408);Akt-1-1,2(Barnett et al.(2005)Biochem.J.385(Pt.2),399-408);API-59CJ-Ome(例えば、Jin et al.(2004)Br.J.Cancer 91,1808-12);1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジニル化合物(例えば、国際公開第05011700号);インドール-3-カルビノール及びその誘導体(例えば、米国特許第6,656,963号;Sarkar and Li(2004)J Nutr.134(12 追補),3493S-3498S);ペリホシン,Dasmahapatra et al.(2004)Clin.Cancer Res.10(15),5242-52,2004);ホスファチジルイノシトールエーテル脂質類似体(例えば、Gills and Dennis(2004)Expert.Opin.Investig.Drugs 13,787-97);トリシリビン(Yang et al.(2004)Cancer Res.64,4394-9);イミダゾオキサゾン化合物、例えばトランス-3-アミノ-1-メチル-3-[4-(3-フェニル-5H-イミダゾ[1,2-c]ピリド[3,4-e][1,3]オキサジン-2-イル)フェニル]-シクロブタノール塩酸塩(国際公開第2012/137870号);アフレセルチブ;;カピバセルチブ;MK2206;パタセルチブ(patasertib)、及び国際公開第2011/082270号及び国際公開第2012/177844号に開示のものが挙げられる。
【0122】
TOR阻害薬の非限定的な例としては、デフォロリムス;ATP競合的TORC1/TORC2阻害薬、例えばPI-103、PP242、PP30及びトリン(Torin)1;FKBP12エンハンサーにおけるTOR阻害薬、ラパマイシン及びその誘導体、例えばテムシロリムス、エベロリムス、国際公開第9409010号;例えば国際公開第98/02441号及び国際公開第01/14387号に開示されているようなラパログ、例えばAP23573、AP23464又はAP23841;40-(2-ヒドロキシエチル)ラパマイシン、40-[3-ヒドロキシ(ヒドロキシメチル)メチルプロパノエート]-ラパマイシン;40-エピ-(テトラゾリル)-ラパマイシン(ABT578とも称される);32-デオキソラパマイシン;16-ペンチニルオキシ-32(S)-ジヒドロラパニシン(rapanycin)、並びに国際公開第05/005434号に開示されている他の誘導体;米国特許第5,258,389号、国際公開第94/090101号、国際公開第92/05179号、米国特許第5,118,677号、米国特許第5,118,678号、米国特許第5,100,883号、米国特許第5,151,413号、米国特許第5,120,842号、国際公開第93/111130号、国際公開第94/02136号、国際公開第94/02485号、国際公開第95/14023号、国際公開第94/02136号、国際公開第95/16691号、国際公開第96/41807号、国際公開第96/41807号及び米国特許第5,256,790号に開示されている誘導体;並びにリン含有ラパマイシン誘導体(例えば、国際公開第05/016252号)が挙げられる。
【0123】
MCL-1阻害薬の非限定的な例としてはAMG-176、MIK665及びS63845が挙げられる。
【0124】
SHP2阻害薬の非限定的な例としては、国際公開第2019/167000号及び国際公開第2020/022323号に記載のSHP2阻害薬が挙げられる。
【0125】
使用に好適である抗がん剤のさらなる非限定的な例としては、2-エチルヒドラジド、2,2’,2”-トリクロロトリエチルアミン、ABVD、アセグラトン、アセマンナン、アルドホスファミドグリコシド、アルファラジン、アミホスチン、アミノレブリン酸、アナグレリド、ANCER、アンセスチム、抗CD22免疫毒素、抗腫瘍形成性ハーブ、アパジコン、アルグラビン、三酸化二ヒ素、アザチオプリン、BAM 002(Novelos)、bcl-2(Genta)、ベストラブシル(bestrabucil)、ビリコダール(biricodar)、ビサントレン、ブロモクリプチン、ブロスタリシン、ブリオスタチン、ブチオニンスルホキシミン、カリクリン、細胞周期非特異的抗新生物剤、セルモロイキン、クロドロネート、クロトリマゾール、シタラビンオクホスファート、DA 3030(Dong-A)、デフォホミン(defofamine)、デニロイキンジフチトクス、デクスラゾキサン、ジアジコン、ジクロロ酢酸、ジラゼプ、ジスコデルモリド、ドコサノール、ドキセルカルシフェロール、エデルホシン、エフロルニチン、EL532(Elan)、エルホミチン(elfomithine)、エルサミトルシン、エニルウラシル、エタニダゾール、エキシスリンド、フェルギノール、葉酸補充薬、例えばフロリン(frolinic)酸、ガシトシン(gacytosine)、硝酸ガリウム、ギメラシル/オテラシル/テガフール配合剤(S-1)、グリコピン(glycopine)、ヒスタミン二塩酸塩、HITジクロフェナク、HLA-B7遺伝子療法薬(Vical)、ヒト胎児性アルファフェトプロテイン、イバンドロネート、イバンドロン酸、ICE化学療法レジメン、イメキソン、イオベングアン、IT-101(CRLX101)、ラニキダル、LC 9018(Yakult)、レフルノミド、レンチナン、レバミゾール+フルオロウラシル、ロバスタチン、ルカントン、マソプロコール、メラルソプロール、メトクロプラミド、ミルテホシン、ミプロキシフェン(miproxifene)、ミトグアゾン、ミトゾロミド、モピダモール(mopidamol)、モテキサフィンガドリニウム、MX6(Galderma)、ナロキソン+ペンタゾシン、ニトラクリン、ノラトレキセド、NSC 631570 オクトレオチド(Ukrain)、オラパリブ、P-30タンパク質、PAC-1、パリフェルミン、パミドロネート、パミドロン酸、ポリ硫酸ペントサンナトリウム、フェナメット(phenamet)、ピシバニール、ピクサントロン、白金、ポドフィリン酸、ポルフィマーナトリウム、PSK(多糖類K)、ウサギ抗胸腺細胞ポリクローナル抗体、ラスブリエンボディメント(rasburiembodiment)、レチノイン酸、レニウムRe 186エチドロン酸塩、ロムルチド、サマリウム(153 Sm)レキシドロナム、シゾフィラン、フェニル酢酸ナトリウム、スパルホシン(sparfosic)酸、スピロゲルマニウム、塩化ストロンチウム-89、スラミン、スワインソニン、タラポルフィン、タリキダル、タザロテン、テガフール-ウラシル、テモポルフィン、テヌアゾン酸、テトラクロロデカオキシド、トロンボポエチン、エチルエチオプルプリンスズ、チラパザミン、TLC ELL-12、トシツモマブ-ヨウ素131、トリフルリジンとチピラシルの配合剤、トロポニンI(ハーバード大学,US)、ウレタン、バルスポダール、ベルテポルフィン、ゾレドロン酸及びゾスキダルが挙げられる。
【0126】
本開示はさらに、本明細書において提供する式(I)の化合物又は医薬組成物を、がんを処置するために放射線療法と併用して使用するための方法を提供する。放射線療法を施行するための手法は当該技術分野で知られており、このような手法が本明細書に記載の併用療法において使用され得る。この併用療法での式(I)の化合物の投与は本明細書に記載のようにして決定され得る。
【0127】
放射線療法は、いくつかの方法のうちの1つ、又は方法の組合せ、例えば限定されないが、外照射治療、内部放射線療法、組織内照射、定位手術的照射、全身性放射線療法、放射線治療及び永久的又は一時的な組織内密封小線源治療により施行され得る。用語「小線源治療」は、本明細書で用いる場合、体内の腫瘍又は他の増殖性組織の疾患部位又はその付近に挿入された空間的に閉じ込めた放射性物質によって送達される放射線療法を示す。この用語は、限定されないが、放射性同位体(例えば、At-211、I-131、I-125、Y-90、Re-186、Re-188、Sm-153、Bi-212、P-32、及びLuの放射性同位体)への曝露を包含していることを意図する。本開示の細胞調整剤(cell conditioner)としての使用に好適な放射線源は固形物及び液状物の両方を包含する。非限定的な一例として、放射線源は、放射性核種、例えばI-125、I-131、Yb-169、固形供給源としてのIr-192、固形供給源としてのI-125、又は光子、ベータ粒子、ガンマ放射線若しくは他の治療用光線を発する他の放射性核種であり得る。また、放射性物質は、(1種類又は複数種の)放射性核種の任意の溶液、例えばI-125又はI-131の溶液から作製された流体であってもよく、放射性流体を、固形放射性核種、例えばAu-198、Y-90の小粒子を含む適当な流体のスラリーを用いて作製してもよい。さらに、該(1種類又は複数種の)放射性核種をゲル又は放射性ミクロスフェアにしてもよい。
【0128】
本開示はさらに、該さらなる活性薬剤が、他の経路、又は同じ経路の他の成分、又はさらには式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩と併用して使用されるオーバーラップしている標的酵素セットを調整することが知られている併用療法のための方法を提供する。1実施形態において、かかる治療法としては、限定されないが、式(I)の1以上の化合物と化学療法剤、免疫療法剤、ホルモン療法剤、治療用抗体、標的療法剤及び放射線処置との併用により、相乗的又は相加的治療効果をもたらすことが挙げられる。
【0129】
本開示の化合物は、処置対象の状態に応じて、本明細書に開示の薬剤又は他の適当な薬剤と併用して使用され得る。したがって、一部の実施形態では、1以上の本開示の化合物が上記のような他の薬剤と共投与される。併用療法において使用する場合、本明細書に記載の化合物は第2の薬剤と同時に、又は別々に投与される。併用でのこの投与としては、二つの薬剤の同じ投薬形態での同時投与、別々の投薬形態での同時投与及び別々の投与が挙げられ得る。すなわち、式(I)の化合物と上記の任意の薬剤は一緒に同じ投薬形態に製剤化され、同時に投与され得る。或いはまた、式(I)の化合物と上記の任意の薬剤は同時に投与され得るが、両薬剤は別々の製剤に存在している。別の選択肢では、式(I)の化合物のすぐ後に上記の任意の薬剤が投与され得るか、又はその逆である。別々の投与プロトコルの一部の実施形態では、式(I)の化合物と上記の任意の薬剤が数分あけて、又は数時間あけて、又は数日あけて投与される。
【0130】
本開示の1態様では、別々に投与され得る医薬活性化合物の組合せでの疾患/病状の処置が想定されるため、本開示はさらに、別々の医薬組成物を合わせてキット形態にすることに関する。キットは、2つの別々の医薬組成物:式(I)の化合物及び第2の医薬用化合物を備えている。キットは、別々の該組成物を収容するための容器、例えば分割ボトル又は分割ホイルパケットを備えている。容器のさらなる例としては、シリンジ、箱及びバッグが挙げられる。一部の実施形態では、キットが、別々の該成分の使用のための使用説明書を備えている。キット形態は、別々の該成分が異なる投薬形態(例えば、経口と非経口)で好ましく投与され、異なる投薬間隔で投与される場合、或いは処方している医療従事者が組合せの個々の成分のタイトレーションを望む場合、特に好都合である。
【0131】
また、本開示により、治療における使用のための式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は治療における式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。また、本開示により、がんの処置における使用のための式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又はがんを処置するための式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。また、本開示により、がんの処置のための医薬の調製のための式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又はがんの処置のための医薬の調製のための式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。また、本開示により、がんの処置における使用のための式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩とさらなる抗がん剤、又はがんを処置するための式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩と該さらなる抗がん剤の使用を提供する。また、本開示により、がんの処置のための医薬の調製のための式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩とさらなる抗がん剤、又はがんの処置のための医薬の調製のための式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩と該さらなる抗がん剤の使用を提供する。また、本開示により、がんの処置における使用のための式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物、又はがんを処置するための式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物の使用を提供する。
また、本開示により、がんの処置における使用のための式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物とさらなる抗がん剤、又はがんを処置するための式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物と該さらなる抗がん剤の使用を提供する。
【0132】
本開示の化合物の製造方法
本明細書に記載の化合物は、適切な材料を使用して、以下の図式及び実施例の手順に従って製造することができ、以下の具体的な実施例によってさらに例示される。実施例はさらに、本開示の化合物の製造の詳細を説明するものである。当業者であれば、以下の製造手順の条件及び工程の既知の変形型を使用して、これらの化合物を製造できることを容易に理解するであろう。例えば、場合によっては、反応図式の段階を実行する順序を変更して、反応を容易にし、又は望ましくない反応生成物を回避することができる。これらの実施例は、さらなる説明のみを目的として提供されるものであって、本開示を限定することを意図するものではない。
【0133】
合成図式及び実施例全体を通して、略号及び頭文字は、特に記載のない限り以下の意味で使用され得る:s:一重線、d:二重線、t:三重線、q:四重線、sep:七重線、dd:二重二重線、dt:二重三重線、td:三重二重線、tt:三重三重線、ddd:二重二重二重線、ddt:二重二重三重線、dtd:二重三重二重線、tdd:三重二重二重線、m:多重線、br:広い、brs:広い一重線、tert:ターシャリー、DMSO-d:重ジメチルスルホキシド、CDCl:重クロロホルム、CDOD:重メタノール、THF:テトラヒドロフラン、DMF:N,N-ジメチルホルムアミド、DMSO:ジメチルスルホキシド、DCM:ジクロロメタン、IPE:ジイソプロピルエーテル、MTBE:メチルtert-ブチルエーテル、EtOAc:酢酸エチル、AcOH:酢酸、TFA:トリフルオロ酢酸、MeOH:メタノール、EtOH:エタノール、DIAD:アゾジカルボン酸ジイソプロピル、TMAD:N,N,N’,N’-テトラメチルアゾジカルボキサミド、EtN:トリエチルアミン、DIEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン、RT:室温、NIS:N-ヨードコハク酸イミド、Pd(dppf)Cl:[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)、及びHATU:1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキサイド・ヘキサフルオロホスフェート、KOAc:酢酸カリウム。
【0134】
実施例で使用される試薬は、別断の断りがない限り市販品である。シリカゲルカラムクロマトグラフィー及び塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィーには、Shoko Scientific Co., Ltd.又はBiotage製のプレパックカラムを使用した。NMRスペクトラムには、AVANCE NEO 400分光計(400MHz、BRUKER)及びAVANCE III HD 500分光計(500MHz、BRUKER)を使用した。テトラメチルシランを含む重水素化溶媒の場合、テトラメチルシランを内部標準として使用した。他の場合は、NMR溶媒を内部標準として用いて測定を行った。すべてのδ値はppmで示している。マイクロ波反応はBiotage製Initiator(商標名)を用いて行った。Waters製XSelect CSH C18 OBD Prepカラムを分取逆相HPLCに使用した。
【0135】
ベンジル2-メチル-5-オキソアゼパン-1-カルボキシレート(Int-J003-P1)
【化15】
【0136】
段階A:1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-オンO-エチルスルホニルオキシム(Int-J001)
1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-オンオキシム(3.00g、17.5mmol)及びトリメチルアミン(2.96mL、21.0mmol)のジクロロメタン(30mL)中溶液に、-15℃でエタンスルホニルクロライド(1.84mL、19.3mmol)を加え、混合物を同じ温度で0.5時間攪拌した。反応混合物に水(15mL)を加え、有機相を分離した。有機相を塩酸(1M、15mL)、飽和重炭酸ナトリウム溶液(15mL)及びブライン(15mL)で洗浄し、有機相を硫酸ナトリウムで脱水した。生成物溶液を濾過し、濾液を、それ以上精製せずに次の段階に用いた。ESI-MS m/z [M+H]264。
【0137】
段階B:ベンジル9-メチル-1,4-ジオキサ-8-アザスピロ[4.6]ウンデカン-8-カルボキシレート(Int-J002)
トリメチルアルミニウムの溶液(1.40Mヘキサン中溶液、25.0mL、35.0mmol)を攪拌しながら、それにジクロロメタン中の上記の1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-オンO-エチルスルホニルオキシム(Int-J001)溶液を-78℃で滴下した。反応混合物を昇温させて0℃とし、1時間攪拌した。その混合物に水素化ジイソブチルアルミニウム(1.00Mヘキサン中溶液、26.3mL、26.3mmol)を滴下し、混合物を0℃で1時間攪拌した。反応混合物をジクロロメタン(15mL)で希釈し、フッ化ナトリウム(10.5g、0.25mol)及び水(4.4mL)を反応混合物に加えた。混合物を室温で1時間高攪拌し、濾過した。濾液を減圧下に濃縮し、酢酸エチル(50mL)及び水(50mL)を残留物に加えた。混合物に重炭酸ナトリウム(30g、0.36mol)及びクロロギ酸ベンジル(11.9g、70.0mmol)を室温で加え、反応混合物を1時間攪拌した。有機相を分離し、水で洗浄し、減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(0%から40%、酢酸エチル勾配/ヘキサン)によって精製して、ベンジル9-メチル-1,4-ジオキサ-8-アザスピロ[4.6]ウンデカン-8-カルボキシレート(Int-J002)(3.60g)を得た。ESI-MS m/z [M+H]306。
【0138】
段階C:ベンジル2-メチル-5-オキソアゼパン-1-カルボキシレート(Int-J003)
ベンジル9-メチル-1,4-ジオキサ-8-アザスピロ[4.6]ウンデカン-8-カルボキシレート(Int-J002)(21.0g、68.8mmol)のアセトン(300mL)及び水(100mL)中溶液に、トルエン-4-スルホン酸水和物(19.6g、103mmol)を加えた。混合物を40℃で7時間攪拌後、反応混合物をEtOAcで抽出し、ブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(0%から50%、EtOAc勾配/ヘキサン)によって精製して、ベンジル2-メチル-5-オキソアゼパン-1-カルボキシレート(Int-J003)(14.7g)を得た。ESI-MS m/z [M+H]+262。
【0139】
段階D:ベンジル2-メチル-5-オキソアゼパン-1-カルボキシレート(Int-J003-P1及びInt-J003-P2))
ラセミ体ベンジル2-メチル-5-オキソアゼパン-1-カルボキシレート(Int-J003)を分離し、キラルベンジル2-メチル-5-オキソアゼパン-1-カルボキシレート(Int-J003-P1、下記の分析条件下)を合成に用いる。
【0140】
分析条件:カラム(CHIRALCEL OD-H、4.6mmID×250mmL、5μL)、溶離液(ヘキサン/2-プロパノール、700/300(体積比))、流量(1.0mL/分)、温度(30℃)、濃度(0.5mg/mL)、注入体積(10μL)。
【0141】
ベンジル2-メチル-5-オキソアゼパン-1-カルボキシレート(Int-J003-P1)の保持時間:6.053分。
【0142】
ベンジル2-メチル-5-オキソアゼパン-1-カルボキシレート(Int-J003-P2)の保持時間:7.945分。
【0143】
5,5-ジフルオロ-2-メチルアゼパン(Int-K002)
【化16】
【0144】
ベンジル2-メチル-5-オキソアゼパン-1-カルボキシレート(Int-J003-P1)(200mg、0.765mmol)のジクロロメタン(1.5mL)中溶液にジメチルアミノ硫黄トリフルオリド(0.700mL、6.41mmol)を0℃で加えた。混合物を室温で2時間攪拌後、飽和NaCO水溶液を加えることで反応停止した。反応混合物をCHClで抽出し、ブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(0%から50%、EtOAc勾配/ヘキサン)によって精製して、二フッ素化化合物を得た。
【0145】
二フッ素化化合物のエタノール(10mL)中溶液にPd(OH)/C(269mg、0.383mmol)を加えた。反応混合物のHガスパージ及び真空を3回行い、室温で1時間攪拌した。反応混合物を濾過し、減圧下に濃縮して、5,5-ジフルオロ-2-メチルアゼパン(Int-K002)(20.0mg)を得た。ESI-MS m/z [M+H]150。
【0146】
7-メチルアゼパン-4-オール塩酸塩(Int-K003-A)
【化17】
【0147】
段階A:ベンジル5-ヒドロキシ-2-メチルアゼパン-1-カルボキシレート(Int-K011-P1及びP2)

ベンジル2-メチル-5-オキソアゼパン-1-カルボキシレート(Int-J003P1)(400mg、1.53mmol)のMeOH(16mL)中溶液に、0℃で水素化ホウ素リチウムトリ-sec-ブチルの1.0M THF溶液(1.53mL、1.53mmol)を加えた。混合物を室温で1時間攪拌後、HOを加えることで反応停止した。反応混合物をEtOAcで抽出し、ブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(0%から50%、EtOAc勾配/ヘキサン)によって精製して、ベンジル5-ヒドロキシ-2-メチルアゼパン-1-カルボキシレート(Int-K011-P1、第1の溶出):ESI-MS m/z [M+H]264及びベンジル5-ヒドロキシ-2-メチルアゼパン-1-カルボキシレート(Int-K011-P2、第2の溶出):ESI-MS m/z [M+H]264を得た。
【0148】
段階B:7-メチルアゼパン-4-オール塩酸塩(Int-K003-A)ベンジル5-ヒドロキシ-2-メチルアゼパン-1-カルボキシレート(Int-K011-P1、第1の溶出)(79.0mg、0.300mmol)のエタノール(3.0mL)中溶液に、Pd(OH)/C(105mg、0.150mmol)を加えた。反応混合物のHガスパージ及び真空を3回行い、室温で30分攪拌した。反応混合物を濾過し、濾液にHClの4.0Mジオキサン溶液(1.0mL)を加えた。濾液を減圧下に濃縮して、7-メチルアゼパン-4-オール塩酸塩(Int-K003-A)を得た。ESI-MS m/z [M+H]130。
【0149】
7-メチルアゼパン-4-オール塩酸塩(Int-K003-B)
【化18】
【0150】
ベンジル5-ヒドロキシ-2-メチルアゼパン-1-カルボキシレート(Int-K011-P1、第1の溶出)に代えてベンジル5-ヒドロキシ-2-メチルアゼパン-1-カルボキシレート(Int-K011-P2、第2の溶出)を用い、7-メチルアゼパン-4-オール塩酸塩(Int-K003-A)と同様の経路によって、7-メチルアゼパン-4-オール塩酸塩(Int-K003-B)を合成した。ESI-MS m/z [M+H]130。
【0151】
5-フルオロ-2-メチルアゼパン塩酸塩(Int-K004-A)
【化19】
【0152】
ベンジル5-ヒドロキシ-2-メチルアゼパン-1-カルボキシレート(Int-K011-P1、第1の溶出)(175mg、0.665mmol)のジクロロメタン(1.3mL)中溶液に、0℃でジメチルアミノ硫黄トリフルオリド(0.143mL、1.31mmol)を加えた。混合物を室温で1時間攪拌後、飽和NaCO水溶液を加えることで反応停止した。反応混合物をCHClで抽出し、ブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(0%から50%、EtOAc勾配/ヘキサン)によって精製して、フッ素化化合物を得た。
【0153】
フッ素化化合物のエタノール(5.0mL)中溶液にPd(OH)/C(69.3mg、0.0987mmol)を加えた。反応混合物のHガスパージ及び真空を3回行い、室温で1時間攪拌した。反応混合物を濾過し、濾液にHClの4.0Mジオキサン溶液(1.0mL)を加えた。濾液を減圧下に濃縮して、5-フルオロ-2-メチルアゼパン塩酸塩(Int-K004-A)を得た。ESI-MS m/z [M+H]132。
【0154】
5-フルオロ-2-メチルアゼパン塩酸塩(Int-K004-B)
【化20】
【0155】
ベンジル5-ヒドロキシ-2-メチルアゼパン-1-カルボキシレート(Int-K011-P1、第1の溶出)に代えてベンジル5-ヒドロキシ-2-メチルアゼパン-1-カルボキシレート(Int-K011-P2、第2の溶出)を用い、5-フルオロ-2-メチルアゼパン塩酸塩(Int-K004-A)と同様の経路によって、5-フルオロ-2-メチルアゼパン塩酸塩(Int-K004-B)を合成した。ESI-MS m/z [M+H]132。
【0156】
2-(3-ヒドロキシピペリジン-3-イル)アセトニトリル塩酸塩(Int-XX023)
【化21】
【0157】
ベンジル1-オキサ-5-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキシレート(950mg、3.84mmol)のEtOH(20mL)及び水(20mL)中溶液に、シアン化ナトリウム(282mg、5.76mmol)を加えた。混合物を室温で4時間攪拌後、反応液をEtAOcで抽出し、ブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(0%から50%、EtOAc勾配/ヘキサン)によって精製して、シアン化化合物を得た。
【0158】
シアン化化合物(110mg、0.401mmol)のエタノール(2.0mL)中溶液にPd(OH)/C(141mg、0.200mmol)を加えた。反応混合物のHガスパージ及び真空を3回行い、室温で1時間攪拌した。反応混合物を濾過し、濾液にHClの4.0Mジオキサン溶液(1.0mL)を加えた。濾液を減圧下に濃縮して、2-(3-ヒドロキシピペリジン-3-イル)アセトニトリル塩酸塩(Int-XX023)を得た。ESI-MS m/z [M+H]141。
【0159】
3-ヒドロキシ-8-ヨード-1-ナフトエ酸(Int-T002)
【化22】
【0160】
段階A:3-アミノ-8-ヨード-1-ナフトエ酸(Int-T001)
8-ヨード-3-ニトロ-1-ナフトエ酸(1g、2.9mmol)の酢酸エチル(40mL)エタノール(15mL)中混合物に、5%Rh/C(0.5g)を加え、フラスコにHを充填した。混合物を室温で攪拌した。24時間後、反応混合物をセライト層で濾過し、濾液を濃縮乾固させて、粗3-アミノ-8-ヨード-1-ナフトエ酸(Int-T001)(0.94g)を褐色固体として得て、それを精製せずに次の段階で用いた。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ = 5.71 (brs, 2H), 6.87 (d, J=2.4 Hz, 1H), 7.00 (dd, J= 8.1, 7.3 Hz, 1H), 7.12 (d, J=2.4 Hz, 1H), 7.60 (d, J= 8.2 Hz, 1H), 7.8 (d, J= 7.3 Hz, 1H), 13.14 (brs, 1H). LCMS (ESI): m/z [M+H]+ 314.
【0161】
段階B:3-ヒドロキシ-8-ヨード-1-ナフトエ酸(Int-T002)
粗3-アミノ-8-ヨード-1-ナフトエ酸(Int-T001)(0.94g)の1M硫酸水溶液(38mL)中混合物を氷冷し、それに亜硝酸ナトリウム(0.228g、3.3mmol)の水溶液(水1mL)をゆっくり滴下した。混合物を1時間攪拌し、昇温させて室温とした。反応混合物を還流40%硫酸水溶液(108mL)に滴下した。反応混合物を1時間加熱還流し、次にガラスウール層で急速熱濾過して、不溶の炭化物を除去した。濾液を冷却して室温としたら、沈澱が生成した。沈澱を濾過によって回収し、水で洗浄して、3-ヒドロキシ-8-ヨード-1-ナフトエ酸(Int-T002)(0.54g)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ =7.13 (dd, J= 8.1, 7.3 Hz, 1H), 7.22 (d, J=2.8 Hz, 1H), 7.24 (d, J=2.8 Hz, 1H), 7.82 (dd, J= 8.3, 0.8 Hz, 1H), 8.01 (dd, J= 7.3, 1.2 Hz, 1H), 10.22 (brs, 1H). LCMS (ESI): m/z [M+H]+ 315.
【0162】
(2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-ヒドロキシ-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン・2塩酸塩(Int-L004)
【化23】
【0163】
段階A:tert-ブチル2-クロロ-4-((2-ニトロベンジル)オキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-L001)
tert-ブチル2,4-ジクロロ-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(55.0g、0.190mol)及び(2-ニトロフェニル)メタノール(29.0g、0.190mol)のトルエン(550mL)中溶液を攪拌しながら、それに炭酸セシウム(92.6g、0.284mol)を加え、混合物を昇温させて85℃とし、14時間攪拌した。混合物を冷却して室温とし、濾過し、濾液を減圧下に濃縮した。残留物にアセトニトリル(400mL)及び水(200mL)を加え、混合物を2日間懸濁させた。固体を濾過し、固体を酢酸エチル(400mL)中に85℃1時間懸濁させ、冷却して室温とした。固体を濾過し、真空乾燥して、tert-ブチル2-クロロ-4-((2-ニトロベンジル)オキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-L001)(21g)を得た。ESI-MS m/z [M+H]407、409。
【0164】
段階B:N,N-ジメチル-1-(1-(((4-((2-ニトロベンジル)オキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロピル)メタンアミン(Int-L002)
tert-ブチル2-クロロ-4-((2-ニトロベンジル)オキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-L001)(10.0g、24.6mmol)、(1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メタノール(4.13g、32.0mmol)、rac-BINAP(2.30g、3.69mmol)及び酢酸パラジウム(II)(414mg、1.84mmol)のトルエン(100mL)中混合物に炭酸セシウム(20.0g、61.5mmol)を加え、混合物を昇温させて130℃とし、3時間攪拌した。混合物を冷却して室温とし、濾過し、濾液を減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュNH-シリカゲルクロマトグラフィー(0%から100%、酢酸エチル勾配/ヘキサン)によって精製して、カップリング生成物を得た。カップリング生成物のジクロロメタン(50mL)中溶液にトリフルオロ酢酸(30mL)を加え、混合物を1時間攪拌した。トリフルオロ酢酸を減圧下に除去し、残留物をフラッシュNH-シリカゲルクロマトグラフィー(0%から50%、メタノール勾配/酢酸エチル)によって精製して、N,N-ジメチル-1-(1-(((4-((2-ニトロベンジル)オキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロピル)メタンアミン(Int-L002)(7.94g)を得た。ESI-MS m/z [M+H]400。
【0165】
段階C:(2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-((2-ニトロベンジル)オキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン(Int-L003)
3-ヒドロキシ-8-ヨード-1-ナフトエ酸(Int-T002)(5.19g、16.5mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール・1水和物(2.53g、16.5mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(3.26g、16.5mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(7.02mL、41.3mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(55mL)中混合物に、N,N-ジメチル-1-(1-(((4-((2-ニトロベンジル)オキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロピル)メタンアミン(Int-L002)(5.50g、13.8mmol)を加え、混合物を室温で7時間攪拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、希釈混合物を水で洗浄し、混合物を減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュNH-シリカゲルクロマトグラフィー(0%から60%、メタノール勾配/酢酸エチル)によって精製して、(2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-((2-ニトロベンジル)オキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン(Int-L003)(8.77g)を得た。ESI-MS m/z [M+H]696。
【0166】
段階D:(2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-ヒドロキシ-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン・2塩酸塩(Int-L004)
(2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-((2-ニトロベンジル)オキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン(Int-L003)(7.00g、10.1mmol)及び鉄(粉末、2.81g、50.3mmol)のテトラヒドロフラン(56mL)中懸濁液を攪拌しながら、それに塩酸(1M、56.0mL、5.56mmol)を加え、混合物を室温で2時間攪拌した。混合物をメタノール(100mL)及び酢酸エチル(100mL)で希釈し、混合物を濾過し、濃縮乾固させた。残留物に、酢酸エチル(30mL)及びメタノール(3mL)を加え、混合物を1時間懸濁させた。沈澱を濾過し、真空乾燥して、(2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-ヒドロキシ-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン・2塩酸塩(Int-L004)(6.80g)を得た。ESI-MS m/z [M+H]561。
【0167】
(4-ヒドロキシ-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン・2塩酸塩(Int-L005)
【化24】
【0168】
(1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メタノールに代えて(1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メタノールを用い、(2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-ヒドロキシ-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン・2塩酸塩(Int-L004)と同様の経路によって(4-ヒドロキシ-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン・2塩酸塩(Int-L005)を合成した。ESI-MS m/z [M+H]603・
【0169】
(R)-(1-((ジメチルアミノ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メタノール(Int-UU8-1)
【化25】
【0170】
段階A:2-[(アセチルオキシ)メチル]プロパ-2-エン-1-イルアセテート(Int-UU1)
5リットル四頸丸底フラスコに3-クロロ-2-(クロロメチル)プロパ-1-エン(600g、4.80mol)、トリエチルアミン(1.46kg、14.40mol)、及び酢酸(721g、12.0mol)を入れた。得られた溶液を70℃で終夜攪拌した。反応混合物を冷却して室温とし、水3リットルを加えることで反応停止した。得られた溶液を酢酸エチルで抽出し(1リットルで3回)、合わせた有機相をブライン溶液で洗浄した(1リットルで2回)。有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水した。脱水溶液を濾過し、濾液を濃縮した。残留物を酢酸エチル/石油エーテル(1:6)でのシリカゲルカラムによって精製して、2-[(アセチルオキシ)メチル]プロパ-2-エン-1-イルアセテート(Int-UU1)を得た。
【0171】
段階B:[1-[(アセチルオキシ)メチル]-2,2-ジフルオロシクロプロピル]メチルアセテート(Int-UU2)
窒素の不活性雰囲気に維持した20リットル四頸丸底フラスコに、2-[(アセチルオキシ)メチル]プロパ-2-エン-1-イルアセテート(Int-UU1)(600g、3.48mol)のジグライム(5リットル)中溶液を入れた。その後、ClCFCONa(2.65kg、17.4mol)のジグライム(5リットル)中溶液を180℃で5時間かけて攪拌下に滴下した。得られた溶液を180℃で1時間攪拌した。反応混合物を冷却して室温とし、HO(5リットル)を加えることで反応停止した。得られた溶液を石油エーテルで抽出し(2リットルで4回)、有機相を合わせた。合わせた有機相を水で洗浄し(2リットルで3回)、無水硫酸ナトリウムで脱水した。脱水溶液を濾過し、濾液を濃縮乾固して、[1-[(アセチルオキシ)メチル]-2,2-ジフルオロシクロプロピル]メチルアセテート(Int-UU2)を得て、それを精製せずに次の段階に直接用いた。
【0172】
段階C:[2,2-ジフルオロ-1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル]メタノール(Int-UU3)
20リットル四頸丸底フラスコに、[1-[(アセチルオキシ)メチル]-2,2-ジフルオロシクロプロピル]メチルアセテート(Int-UU2)(800g、3.60mol)、MeOH(10リットル)及びKCO(995g、7.20mol)を入れた。得られた溶液を室温で終夜攪拌した。固体を濾去した。濾液を濃縮した。得られた混合物を、水(2リットル)を加えることで希釈した。得られた溶液を酢酸エチルで抽出した(1リットルで5回)。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水した。脱水溶液を濾過し、濾液を減圧下に濃縮した。残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(1:1)でのシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、[2,2-ジフルオロ-1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル]メタノール(Int-UU3)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 1.30 (t, J=8.8 Hz, 2H), 3.52 (m, 4H), 4.79 (t, J=5.6 Hz, 2H).
【0173】
段階D:(1-((ベンジルオキシ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メタノール(Int-UU4)
吹き込み窒素アダプターを取り付けた500mL単頸丸底フラスコを窒素でパージし、次に水素化ナトリウム(4.52g、113mmol)及びN,N-ジメチルホルムアミド(100mL)を入れた。懸濁液を冷却して0℃とした。固体[2,2-ジフルオロ-1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル]メタノール(Int-UU3)(12.0g、87mmol)を少量ずつ加えた。混合物を攪拌しながら、1時間で昇温させて室温とした。得られた反応混合物を冷却して0℃とし、臭化ベンジル(10.3mL、87mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)中溶液で処理した。混合物を室温で1時間攪拌し、次に飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)及び水(10mL)で処理した。混合物を酢酸エチル(75mL)と水(75mL)の間で分配した。有機相を1重量%LiCi水溶液で洗浄し(30mLで3回)、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濾液を濃縮した。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(220g、0%から40%EtOAc/ヘキサン)による精製によって、(1-((ベンジルオキシ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メタノール(Int-UU4)を得た。
1H NMR (499 MHz, メタノール-d4) δ 7.39 ? 7.32 (m, 4H), 7.32 ? 7.26 (m, 1H), 4.62 ? 4.49 (m, 2H), 3.79 ? 3.64 (m, 3H), 3.60 (dd, J = 10.4, 2.1 Hz, 1H), 1.35 (dddd, J = 29.1, 12.5, 8.0, 4.5 Hz, 2H).
【0174】
段階E:(1-((ベンジルオキシ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メタノール(Int-UU5-1)
SFCキラルクロマトグラフィー(AD-H(21mm×250mm、5μm;条件5%MeOH+0.1%NHOH及び5%HO)を用いてラセミ体(1-((ベンジルオキシ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メタノール(Int-UU4)を分割して、(1-((ベンジルオキシ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メタノール(Int-UU5-1、ピーク1)を得た。
1H NMR (499 MHz, メタノール-d4) δ 7.39 ? 7.26 (m, 5H), 4.58 ? 4.51 (m, 2H), 3.78 ? 3.67 (m, 3H), 3.60 (dd, J = 10.4, 2.0 Hz, 1H), 1.35 (dddd, J = 28.4, 12.5, 8.0, 4.5 Hz, 2H).
(1-((ベンジルオキシ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メタノール(Int-UU5-2、ピーク2)も単離した。
【0175】
段階F:(S)-(1-((ベンジルオキシ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メチルメタンスルホネート(Int-UU6-1)
DCM(30mL)中の(1-((ベンジルオキシ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メタノール(Int-UU5-1)(3.25g、14.24mmol)を冷却して0℃とし、トリエチルアミン(7.94mL、57.0mmol)で処理し、次にメタンスルホニルクロライド(2.22mL、28.5mmol)のDCM(2.2mL)中溶液で処理した。反応混合物を攪拌しながら、3時間かけて昇温させて室温とした。反応混合物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(0%から100%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、(S)-(1-((ベンジルオキシ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メチルメタンスルホネート(Int-UU6-1)を得た。MS(ESI):m/z[M+Na]329。
【0176】
段階G:(R)-1-(1-((ベンジルオキシ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)-N,N-ジメチルメタンアミン(Int-UU7-1)
(S)-(1-((ベンジルオキシ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メチルメタンスルホネート(Int-UU6-1)(4.10g、13.4mmol)及びジメチルアミン(2M THF中溶液)(33.5mL、66.9mmol)を炭酸カリウム(3.70g、26.8mmol)で処理した。フラスコにキャップを施し、50℃で24時間加熱した。反応混合物を冷却して室温とし、水(20mL)で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濾液を濃縮した。粗残留物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(120g、0%から100%[1:3EtOH/EtOAc]/ヘキサン)によって精製して、(R)-1-(1-((ベンジルオキシ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)-N,N-ジメチルメタンアミン(Int-UU7-1)を得た。MS(ESI):m/z[M+H]256。
【0177】
段階H:(R)-(1-((ジメチルアミノ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メタノール(Int-UU8-1)
2,2,2-トリフルオロエタノール(20.0mL)中の(R)-1-(1-((ベンジルオキシ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)-N,N-ジメチルメタンアミン(Int-UU7-1)(2.96g、11.6mmol)及びPd/C(10重量%、湿支持体)(0.618g、0.580mmol)を100mLナスフラスコに入れ、水素ガス下に(1気圧、風船)室温で20時間攪拌した。混合物をセライト層で濾過し、層をメタノールで洗った(10mLで3回)。合わせた濾液及び洗浄液を3M HCl/メタノール(12mL、36.0mmol)で処理し、減圧下に濃縮して、透明無色粘稠シロップを得た。ジエチルエーテル(10mL)を加え、混合物を攪拌して沈澱を開始させた。混合物を減圧下に濃縮し、ジエチルエーテル(10mL)で処理し、1分間超音波処理した。ジエチルエーテルを傾斜法で除去した。固体を真空乾燥して、(R)-(1-((ジメチルアミノ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メタノール(Int-UU8-1)を得た。MS(ESI):m/z[M+H]166。中間体としてInt-UU5-2を用いて上記で同様の反応手順によって、(S)-(1-((ジメチルアミノ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メタノール(Int-UU8-2)を合成した。MS(ESI):m/z[M+H]166。
【0178】
(2R,7aS)-2-フルオロテトラヒドロ-1H-ピロリジン-7a(5H)-イル)メタノール(Int-VV6)
【化26】
【0179】
段階A:エチル2-(2-(クロロメチル)アリル)-5-オキソピロリジン-2-カルボキシレート(Int-VV1)
LiHMDS(1.00M、2.55リットル)を、N下、-40℃でエチル5-オキソピロリジン-2-カルボキシレート(200.g、1.27mol)及び3-クロロ-2-(クロロメチル)プロパ-1-エン(255g、2.04mol、236mL)のTHF(2.00リットル)中溶液に滴下した。混合物を20℃で20時間攪拌した、
【0180】
反応混合物を飽和NHCl溶液(1.00リットル)に投入し、混合物のpHを1N HClで6~7に調節した。得られた二相溶液をEtOAcで抽出した(500mLで3回)。有機相を合わせ、ブライン(600mL)で洗浄し、減圧下に濃縮して、粗残留物を得た。粗取得物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:石油エーテル:酢酸エチル=50:1から1:1勾配)によって精製して、エチル2-(2-(クロロメチル)アリル)-5-オキソピロリジン-2-カルボキシレート(Int-VV1)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.06 (br d, J = 17 Hz, 2H), 4.14 - 4.38 (m, 3H), 3.73 (br d, J = 16 Hz, 1H), 3.06 (br d, J = 16 Hz, 1H), 2.70 - 2.85 (m, 1H), 2.53 - 2.66 (m, 1H), 2.36 - 2.50 (m, 2H), 2.09 - 2.21 (m, 1H), 1.23 - 1.31 (m, 3H).
【0181】
段階B:エチル2-メチレン-5-オキソテトラヒドロ-1H-ピロリジン-7a(5H)-カルボキシレート(Int-VV2)
エチル2-(2-(クロロメチル)アリル)-5-オキソピロリジン-2-カルボキシレート(Int-VV1)(500.g、2.03mol)のTHF(500mL)中溶液を、水素化ナトリウム(97.7g、2.44mol、60.0%純度)のTHF(3.00リットル)中混合物に0℃で窒素下に滴下した。反応混合物を70℃で窒素下に12時間攪拌した。反応混合物を冷却し、飽和塩化アンモニウム溶液(2.00リットル)に投入し、5℃で1時間攪拌した。二相混合物をEtOAcで抽出した(600mLで3回)。合わせた有機相をブラインで洗浄し(500mLで2回)、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:石油エーテル:酢酸エチル=50:1から1:1)によって精製して、エチル2-メチレン-5-オキソテトラヒドロ-1H-ピロリジン-7a(5H)-カルボキシレート(Int-VV2)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.96 - 5.13 (m, 2H), 4.27 (br d, J = 16 Hz, 1H), 4.19 (q, J = 7 Hz, 2H), 3.71 (br d, J = 16 Hz, 1H), 3.04 (d, J = 16 Hz, 1H), 2.69 - 2.83 (m, 1H), 2.59 (ddd, J = 2, 9, 13 Hz, 1H), 2.40 - 2.52 (m, 2H), 1.96 - 2.22 (m, 1H), 1.26 (t, J = 7 Hz, 3H).
【0182】
段階C:エチル2,5-ジオキソテトラヒドロ-1H-ピロリジン-7a(5H)-カルボキシレート(Int-VV3)
オゾン(239mmol)(0.5~1m/h)をエチル2-メチレン-5-オキソテトラヒドロ-1H-ピロリジン-7a(5H)-カルボキシレート(Int-VV2)(160.g、765mmol)のDCM(1.60リットル)及びMeOH(160mL)中溶液に-70℃で9時間吹き込んだ。反応混合物に窒素を吹き込んで過剰のオゾンをパージした。次に、混合物に-70℃でジメチルスルフィド(76.0g、1.22mol)を加えた。反応混合物を20℃で14時間攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して、残留物を得た。粗残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:石油エーテル:酢酸エチル=50:1から1:1)によって精製して、エチル2,5-ジオキソテトラヒドロ-1H-ピロリジン-7a(5H)-カルボキシレート(Int-VV3)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.22 (q, J = 7 Hz, 2H), 4.07 - 4.12 (m, 1H), 3.54 (dd, J = 1, 18 Hz, 1H), 2.92 - 3.03 (m, 2H), 2.74 - 2.88 (m, 1H), 2.42 - 2.51 (m, 2H), 2.12 - 2.23 (m, 1H), 1.27 (t, J = 7 Hz, 3H)
【0183】
段階D:エチル2-ヒドロキシ-5-オキソテトラヒドロ-1H-ピロリジン-7a(5H)-カルボキシレート(Int-VV4)
エチル2,5-ジオキソテトラヒドロ-1H-ピロリジン-7a(5H)-カルボキシレート(Int-VV3)(200g、947mmol)のEtOH(2.00リットル)中溶液に0℃でN下にNaBH(10.8g、284mmol)を加えた。反応混合物を0℃で10分間攪拌した。飽和NHCl(50.0mL)を5℃で加えることで反応混合物を反応停止し、混合物を5℃で0.5時間攪拌した。反応混合物を減圧下に濃縮した。次に、4回の同じ反応からの粗生成物を合わせた。粗残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:石油エーテル:酢酸エチル=50:1から1:1)によって精製して、エチル2-ヒドロキシ-5-オキソテトラヒドロ-1H-ピロリジン-7a(5H)-カルボキシレート(Int-VV4)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.54 - 4.70 (m, 1H), 4.16 - 4.31 (m, 2H), 3.93 (dd, J = 6.0, 13 Hz, 1H), 3.09 (d, J = 13 Hz, 1H), 2.75 - 2.90 (m, 1H), 2.39 - 2.63 (m, 4H), 2.01 - 2.13 (m, 1H), 1.83 (dd, J = 6, 14 Hz, 1H), 1.29 (t, J = 7 Hz, 3H).
【0184】
段階E:エチル(2R,7aS)-2-フルオロ-5-オキソテトラヒドロ-1H-ピロリジン-7a(5H)-カルボキシレート(Int-VV5)
エチル2-ヒドロキシ-5-オキソテトラヒドロ-1H-ピロリジン-7a(5H)-カルボキシレート(Int-VV4)のDCM(600mL)中溶液に、N下に-70℃でDAST(90.7g、563mmol、74.4mL)を滴下した。反応混合物を昇温させて20℃とし、16時間攪拌した。10℃でEtOH(50.0mL)を加えることで反応停止し、次に水(300mL)で希釈し、DCMで抽出した(200mLで2回)。合わせた有機相をブライン(200mL)で洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物を6回の同じ反応から合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=50:1から1:1)によって精製した。HCl改質剤(MeCN/水+0.05%HCl改質剤)を用いる分取HPLCによって、この取得物をさらに精製した。キラルSFC(Daicel Chiralpak AS(50mm×250mm、10μm;条件0.1%NHOH/EtOH)を用いてラセミ混合物を分割して、エチル(2R,7aS)-2-フルオロ-5-オキソテトラヒドロ-1H-ピロリジン-7a(5H)-カルボキシレート(Int-VV5、ピーク2)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 5.16 - 5.43 (m, 1H), 4.14 - 4.27 (m, 3H), 3.06 - 3.26 (m, 1H), 2.57 - 2.85 (m, 3H), 2.38 - 2.50 (m, 1H), 2.07 - -2.30 (m, 2H), 1.28 (t, J = 7 Hz, 3H).
【0185】
段階F:((2R,7aS)-2-フルオロテトラヒドロ-1H-ピロリジン-7a(5H)-イル)メタノール(Int-VV6)
エチル(2R,7aS)-2-フルオロ-5-オキソテトラヒドロ-1H-ピロリジン-7a(5H)-カルボキシレート(Int-VV5)(82.0g、381mmol)のTHF(300mL)中溶液を、0℃で窒素下にLAH(21.7g、571mmol)のTHF(520mL)中混合物に加えた。反応混合物を昇温させて70℃とし、3時間攪拌した。反応混合物を冷却して0℃とし、0℃で窒素下にNaSO・10HOを加えることで反応停止した。反応混合物を20℃で0.5時間攪拌し、次に濾過した。フィルタケーキをEtOAcで洗浄し(600mLで5回)、濾液を無水MgSOで脱水した。混合物を濾過し、濾液を減圧下に濃縮して、残留物を得た。粗残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO、DCM:メタノール=100:1から10:1)によって精製して、((2R,7aS)-2-フルオロテトラヒドロ-1H-ピロリジン-7a(5H)-イル)メタノール(Int-VV6)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 5.06 - 5.34 (m, 1H), 3.25 (s, 2H), 3.08 - 3.23 (m, 3H), 2.85 - 3.08 (m, 2H), 2.00 - 2.12 (m, 2H), 1.74 - 1.93 (m, 4H).
【0186】
4-ブロモ-6-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1H-インダゾール(Int-HHH5)
【化27】
【0187】
段階A:1-ブロモ-5-フルオロ-2-ヨード-3-メチルベンゼン(Int-HHH1)
2-ブロモ-4-フルオロ-6-メチルアニリン(200g、0.983mol)をMeCN(800mL)に溶かした。得られた混合物を冷却して0℃とした。反応温度を0℃に維持しながら、濃HCl(12M、245mL)を反応混合物に加えた。反応温度を0℃に維持しながら、NaNO(81.1g、1.18mol当量)の水溶液(水400mL)を反応混合物に滴下した。得られた混合物を0℃で0.5時間攪拌した。次に、0℃で、KI(195g、1.18mol)の水溶液(水400mL)を、反応混合物に滴下した。得られた混合物を昇温させて室温とし、20℃で12時間攪拌した。この反応を、上記の条件を用いてさらに1バッチ繰り返した。その二つの反応バッチを合わせた。生成物混合物をNaOH水溶液によってpH8~9に調節し、水相をEtOAcで抽出した(2.00リットルで2回)。有機相をNaSOで脱水し、濾過し、濃縮した。得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(SiO、石油エーテル:酢酸エチル=1:0から0:1)によって精製して、1-ブロモ-5-フルオロ-2-ヨード-3-メチルベンゼン(Int-HHH1)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.27 - 7.22 (m, 1H), 6.95 (dd, J = 2.4, 8.8 Hz, 1H), 2.56 (s, 3H).
【0188】
段階B:1-ブロモ-5-フルオロ-3-メチル-2-(トリフルオロメチル)ベンゼン(Int-HHH2)
1-ブロモ-5-フルオロ-2-ヨード-3-メチルベンゼン(Int-HHH1)(100g、0.317mol)をDMF(1.50リットル)に溶かした。この混合物に、25℃でCuI(514g、2.70mol)及びメチル2,2-ジフルオロ-2-(フルオロスルホニル)アセテート(518g、2.70mol)を加えた。反応混合物を、60℃で12時間にわたり加熱攪拌した。この反応を、上記の条件を用いてさらに3バッチ繰り返した。その四つの反応バッチを合わせ、水(24リットル)で反応停止した。その混合物を石油エーテルで抽出した(8.00リットルで2回)。合わせた有機相をブライン(4リットルで2回)で洗浄し、NaSOで脱水した。脱水溶液を濾過し、濾液を減圧下に濃縮して、1-ブロモ-5-フルオロ-3-メチル-2-(トリフルオロメチル)ベンゼン(Int-HHH2)を含む粗取得物を得て、それを精製せずに次の段階に直接用いた。
【0189】
段階C:2-ブロモ-6-フルオロ-4-メチル-3-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド(Int-HHH3)
1-ブロモ-5-フルオロ-3-メチル-2-(トリフルオロメチル)ベンゼン(Int-HHH2)(100g、0.382mol)を2-MeTHF(500mL)に溶かした。反応混合物を冷却して-65℃とした。-65℃でその混合物に2M LDA溶液(213mL、426mmol)を加えた。反応混合物を-65℃で0.5時間攪拌した。この混合物に、-65℃でDMF(31.2g、0.420mol)を滴下した。反応混合物を-65℃で2時間攪拌した。この反応を、上記の条件を用いてさらに2バッチ繰り返した。その三つの反応バッチを合わせた。1M HClを用いることで反応混合物pHを3~4に調節し、水相を2-MeTHFで抽出した(500mLで2回)。有機相をNaSOで脱水し、濾過し、濃縮して2-ブロモ-6-フルオロ-4-メチル-3-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド(Int-HHH3)を得て、それをそれ以上精製せずに次の段階で用いた。
【0190】
段階D:4-ブロモ-6-メチル-5-(トリフルオロメチル)-1H-インダゾール(Int-HHH4)
2-ブロモ-6-フルオロ-4-メチル-3-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド(Int-HHH3)(100g、0.351mol)をTHF(800mL)に溶かした。この混合物に、25℃でN・HO(53.7g、1.05mol)を加えた。混合物を加熱し、60℃で2時間攪拌した。生成物混合物を水(400mL)で反応停止し、EtOAcで抽出した(200mLで2回)。合わせた有機相をブライン(200mL)で洗浄し、NaSOで脱水した。脱水溶液を濾過し、濾液を減圧下に濃縮して残留物を得た。この反応を、上記の条件を用いてさらに2バッチ繰り返した。その三つの反応バッチを合わせた。得られた残留物を、15℃で2時間にわたり、DCM(100mL)で摩砕した。固体を濾過によって回収して、4-ブロモ-6-メチル-5-(トリフルオロメチル)-1H-インダゾール(Int-HHH4)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 10.61 - 10.20 (m, 1H), 8.20 (d, J = 0.8 Hz, 1H), 7.34 (d, J = 0.6 Hz, 1H), 2.67 - 2.63 (m, 3H).
【0191】
段階E:4-ブロモ-6-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1H-インダゾール(Int-HHH5)
4-ブロモ-6-メチル-5-(トリフルオロメチル)-1H-インダゾール(Int-HHH4)(60.0g、0.215mol)をDCM(240mL)及びMeCN(240mL)に溶かした。その混合物に20℃でDHP(21.7g、0.258mol)及びTsOH・HO(8.18g、0.043mol)を加えた。反応混合物を20℃で12時間攪拌した。生成物混合物に水(200mL)を加えた。得られた混合物をDCMで抽出した(200mLで2回)。合わせた有機相をブライン(200mL)で洗浄し、NaSOで脱水した。脱水溶液を濾過し、濾液を減圧下に濃縮した。得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(SiO、石油エーテル:酢酸エチル=1:0から0:1)によって精製して、4-ブロモ-6-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1H-インダゾール(Int-HHH5)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3- d) δ 8.12 (s, 1H), 7.44 (s, 1H), 5.69 (dd, J = 3, 9 Hz, 1H), 4.09 - 3.94 (m, 1H), 3.81 - 3.69 (m, 1H), 2.69 - 2.63 (m, 3H), 2.56 - 2.43 (m, 1H), 2.19 - 2.14 (m, 1H), 2.12 - 2.04 (m, 1H), 1.87 - 1.73 (m, 2H), 1.71 - 1.63 (m, 1H).
【0192】
1,8-ジブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレン(Int-W002)
【化28】
【0193】
段階A:2,4,5-トリブロモナフタレン-1-アミン(Int-W001)
5-ブロモナフタレン-1-アミン(63g、280mmol)のDMA(1260mL)中溶液に、0℃でNBS(106g)を加えた。混合物を昇温させて室温とし、3時間攪拌した。反応混合物をNaSO(75g)のHO(380mL)中溶液及びNaHCO(24g)のHO(1100mL)中溶液で希釈し、1時間攪拌した。沈澱を濾過によって回収し、水で洗浄して、2,4,5-トリブロモナフタレン-1-アミン(Int-W001)(97g)を紫色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.99 (s, 1H), 7.97-7.95 (1H, m), 7.86-7.84 (1H, m), 7.31-7.29 (1H, m), 4.65 (2H, brs). LCMS (ESI): m/z [M+H]+ 379.9.
【0194】
段階B:1,8-ジブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレン(Int-W002)
2,4,5-トリブロモナフタレン-1-アミン(Int-W001)(60g、160mmol)のAcOH(780mL)及びプロピオン酸(300mL)中懸濁液に、0℃でNaNO(11g)を少量ずつ加え、反応混合物を20分間攪拌した。反応混合物を0℃でHO(1800mL)で希釈し、1時間攪拌した。得られたスラリーを濾過し、固体をHOで洗浄して4,5-ジブロモ-2-ヒドロキシナフタレン-1-ジアゾニウムを得て、それをそれ以上精製せずに用いた。
【0195】
4,5-ジブロモ-2-ヒドロキシナフタレン-1-ジアゾニウムのEtOH(1600mL)中懸濁液に0℃でNaBH(15g)を少量ずつ加え、反応混合物を30分攪拌した。混合物を昇温させて室温とし、終夜攪拌した。反応混合物を冷却して0℃とし、水(1500mL)及び5M HCl水溶液(79mL)で希釈した。混合物を溶媒留去してEtOHを除去し、CHClで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、減圧下に溶媒留去して4,5-ジブロモナフタレン-2-オールを得て、それをそれ以上精製せずに用いた。
【0196】
4,5-ジブロモナフタレン-2-オールのCHCl(900mL)中溶液に、0℃でi-PrNEt(170mL)及びMOMCl(36m)を加えた。室温で1時間攪拌後、反応混合物をEtOAc及び飽和NaHCOで希釈した。有機相を分離し、水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、溶媒留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、1,8-ジブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレン(Int-W002)(17.4g)を得た。
1H NMR (400 MHz, CHLOROFORM-d) δ = 7.82 (dd, J = 1.3, 7.4 Hz, 1H), 7.75 - 7.71 (m, 2H), 7.41 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 7.26 - 7.20 (m, J = 8.0, 8.0 Hz, 1H), 5.29 (s, 2H), 3.53 (s, 3H).
【0197】
実施例1:(4-(アゼパン-1-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン(実施例1)
【化29】
【0198】
(2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-ヒドロキシ-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン・2塩酸塩(Int-L004)(15.0mg、0.0237mmol)及びp-トルエンスルホニルクロライド(9.9mg、0.0521mmol)のDMF(0.3mL)中混合物に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.032mL、0.189mmol)を加え、混合物を室温で0.5時間攪拌した。混合物にヘキサメチレンイミン(0.0107mL、0.0947mmol)を加え、混合物を70℃で1時間攪拌した。次に、NaOH水溶液(2M、0.4mL)を混合物に加え、混合物を70℃でさらに1時間攪拌した。混合物を冷却して室温とし、DMSO(0.5mL)で希釈し、生成物混合物を逆相HPLC(MeCN/水+0.1%ギ酸)によって精製して、(4-(アゼパン-1-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン(実施例1)を得た。ESI-MS m/z [M+H]642。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.2 (s, 1H), 8.03-7.98 (m, 1H), 7.87-7.82 (m, 1H), 7.29-7.26 (m, 1H), 7.16-7.10 (m, 2H), 4.98 (br s, 1H), 4.70-4.45 (m, 2H), 4.19-4.00 (m, 4H), 3.70-3.62 (m, 1H), 2.35-2.18 (m, 2H), 2.16 (s, 3H), 2.12 (s, 3H), 1.83-1.70 (m, 2H), 1.60-1.34 (m, 8H), 0.59-0.56 (m, 2H), 0.54-0.51 (m, 2H).
【0199】
(2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-ヒドロキシ-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン・2塩酸塩(Int-L004)又は(1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メタノール及び相当するアミンを用い、実施例1と同様の経路によって、以下の表中の化合物を合成した。
【0200】
表1
【表1】
【0201】
実施例82:(4-(3-アミノ-5-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン(実施例82)
【化30】
【0202】
tert-ブチル(1-(2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-6-(3-ヒドロキシ-8-ヨード-1-ナフトイル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-5-ヒドロキシピペリジン-3-イル)カーバメート(実施例67)(30mg、0.0395mmol)のジクロロメタン(5mL)中溶液に、トリフルオロ酢酸(5mL)を加え、混合物を1時間攪拌した。トリフルオロ酢酸を減圧下に除去し、残留物をフラッシュNH-シリカゲルクロマトグラフィー(0%から50%、メタノール勾配/酢酸エチル)によって精製して、(4-(3-アミノ-5-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン(実施例82)を得た。ESI-MS m/z [M+H]659。
【0203】
実施例83:N-(1-(2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-6-(3-ヒドロキシ-8-ヨード-1-ナフトイル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-5-ヒドロキシピペリジン-3-イル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(実施例83)
【化31】
【0204】
1-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸(3.0mg、0.0237mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール・1水和物(2.9mg、0.0189mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(3.6mg、0.0189mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.006mL、0.0316mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(0.3mL)中混合物に、(4-(3-アミノ-5-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン(実施例82)(10mg、0.015mmol)を加え、その混合物を室温で5時間攪拌した。混合物をDMSO(0.6mL)で希釈し、生成物混合物を逆相HPLC(MeCN/水+0.1%ギ酸)によって精製して、N-(1-(2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-6-(3-ヒドロキシ-8-ヨード-1-ナフトイル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-5-ヒドロキシピペリジン-3-イル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(実施例83)を得た。ESI-MS m/z [M+H]767。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.3 (s, 1H), 8.49-8.13 (m, 1H), 8.04-7.96 (m, 1H), 7.89-7.78 (m, 1H), 7.47-7.39 (m, 1H), 7.30-7.20 (m, 1H), 7.18-7.05 (m, 2H), 6.84-6.66 (m, 1H), 5.15-4.52 (m, 2H), 4.28-3.65 (m, 7H), 3.64-3.12 (m, 10H) 2.25-2.18 (m, 1H), 2.16 (s, 3H), 2.11 (s, 3H), 1.93-1.43 (m, 1H), 0.61-0.48 (m, 2H), 0.40-0.30 (m, 2H)
【0205】
実施例84-1:(2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン(実施例84-1)
【化32】
【0206】
段階A:tert-ブチル2-クロロ-4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-84a)
tert-ブチル2,4-ジクロロ-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(3.88g、13.4mol)及び2-メチルアゼパン塩酸塩(2.00g、13.4mol)のDME(30mL)中溶液を攪拌しながら、それにN,N-ジイソプロピルエチルアミン(6.82mL、40.1mmol)を加え、混合物を昇温させて50℃とし、5時間攪拌した。混合物を冷却して室温とし、酢酸エチルで希釈した。希釈した混合物を水で洗浄し、混合物を減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(0%から40%、酢酸エチル勾配/ヘキサン)によって精製して、tert-ブチル2-クロロ-4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-84a)(3.52g)を得た。ESI-MS m/z [M+H]367、369。
【0207】
段階B:キラルHPLCによるtert-ブチル2-クロロ-4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-84a-1ピーク1及びInt-84a-2ピーク2)
ラセミ体tert-ブチル2-クロロ-4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-84a)をキラルHPLC(カラム:Chiral Art SB 4.6mmφ(YMC)、ヘキサン/EtOH0.1%ジエチルアミン)によって分離して、tert-ブチル2-クロロ-4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-84a-1、第1の溶出):ESI-MS m/z [M+H]367、369及びtert-ブチル2-クロロ-4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-84a-2、第2の溶出):ESI-MS m/z [M+H]367、369を得た。
【0208】
段階C:N,N-ジメチル-1-(1-(((4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロピル)メタンアミン(Int-84b)
tert-ブチル2-クロロ-4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-84a-2ピーク2、第2の溶出)(360mg、0.981mmol)、(1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メタノール(254mg、1.96mmol)、ジクロロ[9,9-ジメチル-4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン]パラジウム(II)(74mg、0.098mmol)のトルエン(10mL)中混合物に炭酸セシウム(959mg、2.94mmol)を加え、混合物を昇温させて130℃とし、3時間攪拌した。混合物を冷却して室温とし、濾過し、濾液を減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(0%から25%、メタノール勾配/クロロホルム)によって精製して、カップリング生成物を得た。カップリング生成物のジクロロメタン(2mL)中溶液にトリフルオロ酢酸(2mL)を加え、混合物を1時間攪拌した。トリフルオロ酢酸を減圧下に除去し、残留物をフラッシュNH-シリカゲルクロマトグラフィー(0%から50%、メタノール勾配/酢酸エチル)によって精製して、N,N-ジメチル-1-(1-(((4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロピル)メタンアミン(Int-84b)(180mg)を得た。ESI-MS m/z [M+H]360。
【0209】
段階D:実施例84-1:(2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン(実施例84)
3-ヒドロキシ-8-ヨード-1-ナフトエ酸(Int-T002)(105mg、0.334mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール・1水和物(51mg、0.334mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(64g、0.334mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.14mL、0.834mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(1mL)中混合物に、N,N-ジメチル-1-(1-(((4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロピル)メタンアミン(Int-84b)(100mg、0.278mmol)を加え、混合物を40℃で2時間攪拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、希釈混合物を水で洗浄し、混合物を減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュNH-シリカゲルクロマトグラフィー(0%から60%、メタノール勾配/酢酸エチル)によって精製して、(2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン(実施例84-1)を得た。ESI-MS m/z [M+H]656。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.3 (s, 1H), 8.02-7.98 (m, 1H), 7.88-7.80 (m, 1H), 7.29-7.24 (m, 1H), 7.19-7.09 (m, 2H), 5.15-5.04 (m, 1H), 4.96-4.88 (m, 1H), 4.70-4.38 (m, 1H), 4.22-4.00 (m, 5H), 3.21-2.80 (m, 3H), 2.26-2.10 (m, 1H), 2.15 (s, 3H), 2.11 (s, 3H), 1.85-0.90 (m, 8H), 0.59-0.50 (m, 2H), 0.39-0.31 (m, 2H).
【0210】
実施例84-2:(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)(2-((1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)メタノン(実施例84-2)
【化33】
【0211】
段階A:(1-(((4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロピル)メタノール(Int-84c-1)
tert-ブチル2-クロロ-4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-84a)(1.50g、4.09mmol)、1,1-ビス(ヒドロキシメチル)シクロプロパン(1.25g、12.3mmol)、RuPhosPdG3(171mg、0.204mmol)の1,4-ジオキサン(15mL)中混合物に、炭酸セシウム(4.00g、12.3mmol)を加え、混合物を昇温させて110℃とし、15分間攪拌した。混合物を冷却して室温とし、濾過し、濾液を減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(40%から80%、酢酸エチル勾配/ヘキサン)によって精製して、カップリング生成物を得た。カップリング生成物のジクロロメタン(5mL)中溶液にトリフルオロ酢酸(5mL)を加え、混合物を1時間攪拌した。トリフルオロ酢酸を減圧下に除去し、残留物をフラッシュNH-シリカゲルクロマトグラフィー(0%から50%、メタノール勾配/酢酸エチル)によって精製して、(1-(((4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロピル)メタノール(Int-84c-1)(1.36g)を得た。ESI-MS m/z [M+H]333。
【0212】
段階B:(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)(2-((1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)メタノン(実施例84-2)
3-ヒドロキシ-8-ヨード-1-ナフトエ酸(Int-T002)(1.54g、4.91mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール・1水和物(751mg、4.91mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(941g、4.91mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.09mL、12.3mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(15mL)中混合物に(1-(((4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロピル)メタノール(Int-84c-1)(1.36g、4.09mmol)を加え、混合物を室温で2時間攪拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、希釈混合物を水で洗浄し、混合物を減圧下に濃縮した。残留物を酢酸エチル(10mL)に懸濁させ、固体を濾過し、真空乾燥して、(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)(2-((1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)メタノン(実施例84-2)(1.45g)を得た。ESI-MS m/z [M+H]629。
【0213】
実施例85:(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)(2-((1-(((R)-3-メトキシピペリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)メタノン(実施例85)
【化34】
【0214】
(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)(2-((1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)メタノン(実施例84-2)(20.0mg、0.0318mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(27mL、0.159mmol)のDMF(0.3mL)中混合物に、0℃でエタンスルホニルクロライド(12.3mg、0.0955mmol)を加え、混合物を0℃で0.5時間攪拌した。混合物に(R)-3-メトキシピペリジン(18.3mg、0.159mmol)を加え、混合物を70℃で1時間攪拌した。次に、混合物にメタノール(0.1mL)及びNaOH水溶液(2M、0.2mL)を加え、混合物を70℃でさらに0.5時間攪拌した。混合物を冷却して室温とし、DMSO(0.6mL)で希釈し、生成物混合物を逆相HPLC(MeCN/水+0.1%ギ酸)によって精製して、(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)(2-((1-(((R)-3-メトキシピペリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)メタノン(実施例85)を得た。ESI-MS m/z [M+H]726。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.2 (s, 1H), 8.04-7.98 (m, 1H) 7.88-7.82 (m, 1H), 7.30-7.26 (m, 1H), 7.19-7.09 (m, 2H), 5.15-5.03 (m, 1H), 4.98-4.87 (m, 1H), 4.70-4.35 (m, 2H) 4.21-3.99 (m, 5H), 3.23 (s, 1.5H), 3.28 (s, 1.5H), 3.15-2.78 (m, 2H), 2.31-2.11(m, 2H), 2.00-0.95 (m, 24H), 0.61-0.51 (m, 2H), 0.40-0.31 (m, 2H).
【0215】
実施例84-2及び相当するアミンを用い、実施例85と同様の経路によって、以下の表中の化合物を合成した。
【0216】
表2
【表2】
【0217】
実施例84-2a:(R)-(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)(2-((1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)メタノン(実施例84-2a)
【化35】
【0218】
段階A:tert-ブチル(R)-2-クロロ-4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-84a-3)
tert-ブチル2,4-ジクロロ-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(2.13g、7.35mol)及び(R)-2-メチルアゼパン塩酸塩(1.00g、6.68mol)のDME(20mL)中溶液を攪拌しながら、それにN,N-ジイソプロピルエチルアミン(3.41mL、20.0mmol)を加え、混合物を昇温させて60℃とし、4時間攪拌した。混合物を冷却して室温とし、酢酸エチルで希釈した。希釈した混合物を水で洗浄し、混合物を減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(0%から40%、酢酸エチル勾配/ヘキサン)によって精製して、tert-ブチル(R)-2-クロロ-4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-84a-3)(1.92g)を得た。ESI-MS m/z [M+H]367、369。
【0219】
段階B:(R)-(1-(((4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロピル)メタノール(Int-84c-2)
tert-ブチル(R)-2-クロロ-4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-84a-3)(920mg、2.51mmol)、1,1-ビス(ヒドロキシメチル)シクロプロパン(768mg、7.52mmol)、RuPhosPdG3(52.4mg、0.0627mmol)の1,4-ジオキサン(15mL)中混合物に、炭酸セシウム(2.45g、7.52mmol)を加え、混合物を昇温させて110℃とし、30分攪拌した。混合物を冷却して室温とし、濾過し、濾液を減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(40%から80%、酢酸エチル勾配/ヘキサン)によって精製して、カップリング生成物を得た。カップリング生成物のジクロロメタン(5mL)中溶液にトリフルオロ酢酸(5mL)を加え、混合物を1時間攪拌した。トリフルオロ酢酸を減圧下に除去し、残留物をフラッシュNH-シリカゲルクロマトグラフィー(0%から50%、メタノール勾配/酢酸エチル)によって精製して、(R)-(1-(((4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロピル)メタノール(Int-84c-2)(500mg)を得た。ESI-MS m/z [M+H]333。
【0220】
段階C:(R)-(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)(2-((1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)メタノン(実施例84-2a)
3-ヒドロキシ-8-ヨード-1-ナフトエ酸(Int-T002)(471mg、1.50mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール・1水和物(230mg、1.50mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(288mg、1.50mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.64mL、3.75mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(5mL)中混合物に、(R)-(1-(((4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロピル)メタノール(Int-84c-2)(416mg、1.25mmol)を加え、混合物を室温で5時間攪拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、希釈混合物を水で洗浄し、混合物を減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュNH-シリカゲルクロマトグラフィー(0%から100%、酢酸エチル勾配/ヘキサン)によって精製して、(R)-(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)(2-((1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)メタノン(実施例84-2a)(580mg)を得た。ESI-MS m/z [M+H]629。
【0221】
実施例93:(R)-(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)(2-((1-((4-メトキシピペリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)メタノン(実施例93)
【化36】
【0222】
(R)-(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)(2-((1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)メタノン(実施例84-2a)及び4-メトキシピペリジンを用い、実施例85と同様の手順によって実施例93を合成した。ESI-MS m/z [M+H]+726。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.3 (s, 1H), 8.03-7.98 (m, 1H), 7.87-7.82 (m, 1H), 7.29-7.25 (m, 1H), 7.19-7.09 (m, 2H), 5.18-5.04 (m, 1H), 4.96-4.88 (m, 1H), 4.69-4.35 (m, 2H), 4.22-4.00 (m, 4H), 3.21 (s, 1.5H), 3.19 (s, 1.5H), 2.80-2.65 (m, 2H), 2.38-2.15 (m, 2H), 2.10-0.95 (m, 19H), 0.59-0.50 (m, 2H), 0.39-0.30 (m, 2H).
【0223】
実施例94:(R)-(2-((1-((1,4-オキシアゼパン-4-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン(実施例94)
【化37】
【0224】
(R)-(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)(2-((1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)メタノン(実施例84-2A)及び1,4-オキシアゼパンを用い、実施例85と同様の手順によって実施例94を合成した。ESI-MS m/z [M+H]+712。
【0225】
実施例95:(R)-(4-(3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-2-((1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン(実施例95)
【化38】
【0226】
段階A:tert-ブチル(R)-2-クロロ-4-(3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-95a)
tert-ブチル2,4-ジクロロ-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(900mg、3.10mmol)及び(R)-3-メチルピペリジン-3-オール塩酸塩(470mg、3.10mmol)のN,N-ジメチルアセトアミド(5.0mL)中溶液に、室温でN,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.62mL、9.31mmol)を加えた。混合物を室温で40分間攪拌後、HOを加えることで反応停止した。反応混合物をEtOAcで抽出し、ブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(0%から100%、EtOAc勾配/ヘキサン)によって精製して、tert-ブチル(R)-2-クロロ-4-(3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-95a)(1.12g)を得た。ESI-MS m/z [M+H]369、371。
【0227】
段階B:(R)-1-(2-((1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)メトキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペリジン-3-オール(Int-95b)
tert-ブチル(R)-2-クロロ-4-(3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-95a)(50.0mg、0.136mmol)、シクロプロパン-1,1-ジイルジメタノール(41.5mg、0.407mmol)及びRuPhosPdG3(3.40mg、0.00407mmol)の1,4-ジオキサン(0.7mL)中溶液に、室温で炭酸セシウム(132mg、0.407mmol)を加えた。混合物を100℃で1時間攪拌後、反応混合物を冷却して室温とし、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物をEtOAcに溶かし、HO及びブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、カップリング生成物を得た。カップリング生成物のジクロロメタン(2.6mL)中溶液にトリフルオロ酢酸(1.0mL)を加えた。混合物を室温で3時間攪拌後、反応混合物を減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュNH-シリカゲルクロマトグラフィー(0%から50%、MeOH勾配/EtOAc)によって精製して、(R)-1-(2-((1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)メトキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペリジン-3-オール(Int-95b)(37.5mg)を得た。ESI-MS m/z [M+H]335。
【0228】
段階C:実施例95(R)-(4-(3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-2-((1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン(実施例95)
(R)-1-(2-((1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)メトキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペリジン-3-オール(Int-95b)(37.5mg、0.112mmol)、3-ヒドロキシ-8-ヨード-1-ナフトエ酸(Int-T002)(38.7mg、0.123mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(23.6mg、0.123mmol)及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(18.9mg、0.123mmol)のDMF(1.2mL)中溶液に、室温でN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.0977mL、0.561mmol)を加えた。混合物を室温で15時間攪拌後、HOを加えることで反応停止した。反応混合物をEtOAcで抽出し、ブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュNH-シリカゲルクロマトグラフィー(0%から50%、MeOH勾配/EtOAc)及び逆相HPLC(MeCN/水+0.1%ギ酸)によって精製して、(R)-(4-(3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-2-((1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン(実施例95)を得た。ESI-MS m/z [M+H]631。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.3-10.2 (m, 1H), 8.02-7.96 (m, 1H), 7.87-7.80 (m, 1H), 7.29-7.24 (m, 1H), 7.16-7.08 (m, 2H), 5.06-4.83 (m, 1H), 4.68-4.34 (m, 4H), 4.26-3.96 (m, 4H), 3.90-3.64 (m, 1H), 3.57-3.44 (m, 1H), 3.25-2.96 (m, 2H), 1.85-1.38 (m, 4H), 1.13 (s, 3H), 0.80 (d, J = 10.6 Hz, 1H), 0.52-0.39 (m, 4H).
【0229】
実施例96:(R)-(4-(3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-2-((1-(ピペリジン-1-イルメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン(実施例96)
【化39】
【0230】
(R)-(4-(3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-2-((1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン(実施例95)(10.0mg、0.0159mmol)のN,N-ジメチルアセトアミド(0.3mL)中溶液に、5℃でエタンスルホニルクロライド(0.00333mL、0.0352mmol)及びトリエチルアミン(0.0111mL、0.0793mmol)を加えた。混合物を5℃で1時間攪拌後、反応混合物にピペリジン(0.00783mL、0.0793mmol)を加えた。混合物を75℃で2時間攪拌後、混合物に2.0M NaOH水溶液(0.2mL)を加え、混合物を75℃で30分攪拌した。反応混合物を冷却して室温とし、DMSO(0.5mL)で希釈し、逆相HPLC(MeCN/水+0.1%ギ酸)によって精製して、(R)-(4-(3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-2-((1-(ピペリジン-1-イルメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン(実施例96)を得た。ESI-MS m/z [M+H]698.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.3 (s, 1H), 8.02-7.96 (m, 1H), 7.87-7.80 (m, 1H), 7.29-7.24 (m, 1H), 7.16-7.08 (m, 2H), 5.06-4.82 (m, 1H), 4.70-4.33 (m, 3H), 4.19-3.96 (m,4H), 3.87-3.65 (m, 1H), 2.39-2.13 (m, 6H), 1.84-1.25 (m, 11H), 1.13 (s, 3H), 0.80 (d, J = 10.4 Hz, 1H), 0.60-0.46 (m, 2H), 0.38-0.27 (m, 2H).
【0231】
実施例95及び相当するアミンを用い、実施例96と同様の経路によって、以下の表中の化合物を合成した。
【0232】
表3
【表3】
【0233】
(R)-(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)(2-((1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-(3-メチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)ピペリジン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)メタノン(Int-108e)
【化40】
【0234】
段階A:ベンジル(R)-2-クロロ-4-(3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-108a)
ベンジル2,4-ジクロロ-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(300mg、0.925mmol)及び(R)-3-メチルピペリジン-3-オール塩酸塩(140mg、0.925mmol)のN,N-ジメチルアセトアミド(5.0mL)中溶液に、室温でN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.450mL、2.58mmol)を加えた。混合物を室温で30分攪拌後、HOを加えることで反応停止した。反応混合物をEtOAcで抽出し、ブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(0%から50%、EtOAc勾配/ヘキサン)によって精製して、ベンジル(R)-2-クロロ-4-(3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-108a)(357mg)を得た。ESI-MS m/z [M+H]403、405。
【0235】
段階B:ベンジル(R)-2-クロロ-4-(3-メチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)ピペリジン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-108b)
ベンジル(R)-2-クロロ-4-(3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-108a)(357mg、0.885mmol)のDMF(3.0mL)中溶液に、室温でイミダゾール(121mg、1.77mmol)及びクロロトリメチルシラン(0.340mL、2.68mmol)を加えた。混合物を室温で15時間攪拌後、HOを加えることで反応停止した。反応混合物をEtOAcで抽出し、ブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(0%から40%、EtOAc勾配/ヘキサン)によって精製して、ベンジル(R)-2-クロロ-4-(3-メチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)ピペリジン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-108b)(375mg)を得た。ESI-MS m/z [M+H]475、477。
【0236】
段階C:(R)-(1-(((4-(3-メチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)ピペリジン-1-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロピル)メタノール(Int-108c)及び(R)-(1-(((4-(3-メチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)ピペリジン-1-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロピル)メチルアセテート(Int-108d)
ベンジル(R)-2-クロロ-4-(3-メチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)ピペリジン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-108b)(375mg、0.788mmol)、シクロプロパン-1,1-ジイルジメタノール(242mg、2.36mmol)及びRuPhosPdG3(19.8mg、0.0236mmol)の1,4-ジオキサン(5.0mL)中溶液に、室温で炭酸セシウム(771mg、2.36mmol)を加えた。混合物を100℃で1時間攪拌後、反応混合物を冷却して室温とし、EtOAcで希釈し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュNH-シリカゲルクロマトグラフィー(50%から100%、EtOAc勾配/ヘキサン)によって精製して、カップリング生成物を得た。
【0237】
カップリング生成物のエタノール(20mL)中溶液に、Pd(OH)/C(277mg、0.394mmol)を加えた。反応混合物のHガスパージ及び真空を3回行い、室温で1時間攪拌した。反応混合物を濾過し、減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュNH-シリカゲルクロマトグラフィー(0%から30%、MeOH勾配/EtOAc)によって精製して、(R)-(1-(((4-(3-メチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)ピペリジン-1-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロピル)メタノール(Int-108c)(40.5mg):ESI-MS m/z [M+H]407及び(R)-(1-(((4-(3-メチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)ピペリジン-1-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロピル)メチルアセテート(Int-108d)(105mg):ESI-MS m/z [M+H]449を得た。
【0238】
段階D:(R)-(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)(2-((1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-(3-メチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)ピペリジン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)メタノン(Int-108e)
(R)-(1-(((4-(3-メチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)ピペリジン-1-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロピル)メタノール(Int-108c)(40.5mg、0.0996mmol)、(R)-(1-(((4-(3-メチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)ピペリジン-1-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロピル)メチルアセテート(Int-108d)(105mg、0.234mmol)、3-ヒドロキシ-8-ヨード-1-ナフトエ酸(Int-T002)(115mg、0.366mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(69.3mg、0.361mmol)及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(57.0mg、0.372mmol)のDMF(3.4mL)中溶液に、室温でN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.174mL、0.999mmol)を加えた。混合物を室温で3時間攪拌後、反応混合物にMeOH(1.0mL)及び2.0M NaOH水溶液(1.0mL)を加えた。混合物を室温で20分間攪拌後、2.0M HCl水溶液(1.0mL)を加えることで反応停止した。反応混合物をEtOAcで抽出し、ブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュNH-シリカゲルクロマトグラフィー(0%から40%、MeOH勾配/EtOAc)によって精製して、(R)-(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)(2-((1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-(3-メチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)ピペリジン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)メタノン(Int-108e)を得た。ESI-MS m/z [M+H]703。
【0239】
実施例108:(R)-(4-(3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-2-((1-((4-メトキシピペリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン(実施例108)
【化41】
【0240】
(R)-(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)(2-((1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-(3-メチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)ピペリジン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)メタノン(Int-108e)(22.0mg、0.0313mmol)のN,N-ジメチルアセトアミド(0.4mL)中溶液に、5℃でエタンスルホニルクロライド(0.00890mL、0.0939mmol)及びトリエチルアミン(0.0220mL、0.157mmol)を加えた。混合物を5℃で15分間攪拌後、反応混合物に4-メトキシピペリジン(0.0194mL、0.157mmol)を加えた。混合物を60℃で3時間攪拌後、混合物に2.0M NaOH水溶液(0.1mL)を加え、混合物を60℃で30分攪拌した。反応混合物に6.0M HCl水溶液(0.1mL)を加え、反応液を60℃で10分間攪拌した。反応混合物を冷却して室温とし、DMSO(0.5mL)で希釈し、逆相HPLC(MeCN/水+0.1%ギ酸)によって精製して、(R)-(4-(3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-2-((1-((4-メトキシピペリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン(実施例108)を得た。ESI-MS m/z [M+H]728。
【0241】
Int-108e及び相当するアミンを用い、実施例108と同様の経路によって、以下の表中の化合物を合成した。
【0242】
表4
【表4】
【0243】
実施例112:(2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-((R)-3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン(実施例112)
【化42】
【0244】
段階A:tert-ブチル2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-((R)-3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-112a)
tert-ブチル(R)-2-クロロ-4-(3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-95a)(100mg、0.271mmol)、(R)-(1-((3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メタノール(93.9mg、0.542mmol)及びRuPhosPdG3(6.80mg、0.00813mmol)の1,4-ジオキサン(1.5mL)中溶液に、室温で炭酸セシウム(265mg、0.813mmol)を加えた。混合物を100℃で3時間攪拌後、反応混合物を冷却して室温とし、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュNH-シリカゲルクロマトグラフィー(50%から100%、EtOAc勾配/ヘキサン)によって精製して、tert-ブチル2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-((R)-3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-112a)(156mg)を得た。ESI-MS m/z [M+H]506。
【0245】
段階B:実施例112(2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-((R)-3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン(実施例112)
tert-ブチル2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-((R)-3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-112a)(137mg、0.271mmol)のクロロホルム(3.0mL)中溶液にHClの4.0Mジオキサン溶液(0.68mL)を加えた。混合物を室温で4日間攪拌後、反応混合物を減圧下に濃縮して、アミン生成物を得た。
【0246】
アミン生成物、3-ヒドロキシ-8-ヨード-1-ナフトエ酸(Int-T002)(93.7mg、0.298mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(57.2mg、0.298mmol)及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(45.7mg、0.298mmol)のDMF(3.0mL)中溶液に、室温でN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.472mL、2.71mmol)を加えた。混合物を室温で24時間攪拌後、HOを加えることで反応停止した。反応混合物をEtOAcで抽出し、ブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物を逆相HPLC(MeCN/水+0.1%ギ酸)によって精製して、(2-((1-(((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-((R)-3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン(実施例112)を得た。ESI-MS m/z [M+H]702。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.3 (s, 1H), 8.02-7.96 (m, 1H), 7.87-7.80 (m, 1H), 7.29-7.23 (m, 1H), 7.16-7.07 (m, 2H), 5.26-4.83 (m, 2H), 4.68-4.33 (m, 2H), 4.20-3.93 (m, 4H), 3.87-3.65 (m, 1H), 2.87-2.68 (m, 2H), 2.34-2.22 (m, 2H), 2.16-1.95 (m, 1H), 1.91-1.70 (m, 2H), 1.68-1.40 (m, 3H), 1.34-1.20 (m, 2H), 1.13 (s, 3H), 0.89-0.75 (m, 3H), 0.60-0.47 (m, 2H), 0.45-0.31 (m, 2H).
【0247】
Int-95a及び相当するアミノアルコールを用い、実施例112と同様の経路によって、以下の表中の化合物を合成した。
【0248】
表5
【表5】
【0249】
実施例117:(2-(((R)-2,2-ジフルオロ-1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-((R)-3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン(実施例117)
【化43】
【0250】
段階A:tert-ブチル2-(((R)-1-((ベンジルオキシ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メトキシ)-4-((R)-3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-117a)
tert-ブチル(R)-2-クロロ-4-(3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-95a)(400mg、1.08mmol)、(S)-(1-((ベンジルオキシ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メタノール(Int-UU5-2)(371mg、1.63mmol)及びRuPhosPdG3(27.2mg、0.0325mmol)の1,4-ジオキサン(5.0mL)中溶液に、室温で炭酸セシウム(1.06g、3.25mmol)を加えた。混合物を100℃で6時間攪拌後、反応混合物を冷却して室温とし、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(10%から100%、EtOAc勾配/ヘキサン)によって精製して、tert-ブチル2-(((R)-1-((ベンジルオキシ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メトキシ)-4-((R)-3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-117a)(466mg)を得た。ESI-MS m/z [M+H]561。
【0251】
段階B:(R)-1-(2-(((R)-2,2-ジフルオロ-1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)メトキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペリジン-3-オール(Int-117b)
tert-ブチル2-(((R)-1-((ベンジルオキシ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メトキシ)-4-((R)-3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-117a)(466mg、0.830mmol)のエタノール(5.0mL)中溶液に、Pd(OH)/C(400mg、0.570mmol)を加えた。反応混合物のHガスパージ及び真空を3回行い、室温で2時間攪拌した。反応混合物を濾過し、減圧下に濃縮した。得られた生成物のジクロロメタン(8.0mL)中溶液に、トリフルオロ酢酸(1.6mL)を加えた。混合物を室温で2時間攪拌後、反応混合物を減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュNH-シリカゲルクロマトグラフィー(0%から50%、MeOH勾配/EtOAc)によって精製して、(R)-1-(2-(((R)-2,2-ジフルオロ-1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)メトキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペリジン-3-オール(Int-117b)(259mg)を得た。ESI-MS m/z [M+H]371。
【0252】
段階C:実施例117(2-(((R)-2,2-ジフルオロ-1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-((R)-3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン(実施例117)
(R)-1-(2-(((R)-2,2-ジフルオロ-1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)メトキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペリジン-3-オール(Int-117b)(259mg、0.699mmol)、3-ヒドロキシ-8-ヨード-1-ナフトエ酸(Int-T002)(241mg、0.769mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(147mg、0.769mmol)及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(118mg、0.769mmol)のDMF(7.0mL)中溶液に、室温でN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.609mL、3.49mmol)を加えた。混合物を室温で9時間攪拌後、HOを加えることで反応停止した。反応混合物をEtOAcで抽出し、ブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュNH-シリカゲルクロマトグラフィー(0%から50%、MeOH勾配/EtOAc)及び逆相HPLC(MeCN/水+0.1%ギ酸)によって精製して、(2-(((R)-2,2-ジフルオロ-1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-((R)-3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン(実施例117)を得た。ESI-MS m/z [M+H]667。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.3 (s, 1H), 8.02-7.96 (m, 1H), 7.87-7.80 (m, 1H), 7.29-7.24 (m, 1H), 7.17-7.07 (m, 2H), 5.10-4.84 (m, 2H), 4.71-4.48 (m, 2H), 4.48-4.30 (m, 2H), 4.27-4.11 (m, 2H), 4.08-3.67 (m, 1H), 3.62-3.49 (m, 2H), 3.10-2.98 (m, 1H), 1.86-1.24 (m, 7H), 1.14 (s, 3H), 0.86-0.76 (m, 1H).
【0253】
実施例118:(2-(((R)-1-((ジメチルアミノ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メトキシ)-4-((R)-3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン(実施例118)
【化44】
【0254】
(2-(((R)-2,2-ジフルオロ-1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-((R)-3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン(実施例117)(29.1mg、0.0437mmol)のN,N-ジメチルアセトアミド(0.45mL)中溶液に、5℃でエタンスルホニルクロライド(0.00869mL、0.0917mmol)及びトリエチルアミン(0.0614mL、0.437mmol)を加えた。混合物を5℃で15分間攪拌後、反応混合物に2.0M ジメチルアミンのTHF溶液(0.220mL、0.440mmol)を加えた。混合物を75℃で3時間攪拌後、混合物に2.0M NaOH水溶液(0.4mL)を加え、混合物を75℃で30分攪拌した。反応混合物を冷却して室温とし、DMSO(0.4mL)で希釈し、逆相HPLC(MeCN/水+0.1%ギ酸)によって精製して、(2-(((R)-1-((ジメチルアミノ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メトキシ)-4-((R)-3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン(実施例118)を得た。ESI-MS m/z [M+H]694。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.3 (s, 1H), 8.02-7.95 (m, 1H), 7.87-7.80 (m, 1H), 7.29-7.23 (m, 1H), 7.16-7.07 (m, 2H), 5.07-4.86 (m, 1H), 4.72-3.99 (m, 6H), 3.91-3.67 (m, 1H), 3.60-3.47 (m, 1H), 3.13-2.98 (m, 1H), 2.25 (d, J = 12.7 Hz, 1H), 2.19-2.07 (m, 6H), 1.85-1.35 (m, 6H), 1.14 (s, 3H), 0.94-0.75 (m, 2H).
【0255】
実施例117及び相当するアミンを用い、実施例118と同様の経路によって、以下の表中の化合物を合成した。
【0256】
表6
【表6】
【0257】
実施例124:(2-(((R)-1-((ジメチルアミノ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メトキシ)-4-((R)-2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン(実施例124)
【化45】
【0258】
段階A:tert-ブチル2-(((R)-1-((ベンジルオキシ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メトキシ)-4-((R)-2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-124a)
tert-ブチル(R)-2-クロロ-4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-84a-3)(200mg、0.545mmol)、(S)-(1-((ベンジルオキシ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メタノール(Int-UU5-2)(187mg、0.818mmol)及びRuPhosPdG3(13.7mg、0.0164mmol)の1,4-ジオキサン(1.5mL)中溶液に、室温で炭酸セシウム(533mg、1.64mmol)を加えた。混合物を100℃で5時間攪拌後、反応混合物を冷却して室温とし、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(0%から50%、EtOAc勾配/ヘキサン)によって精製して、tert-ブチル2-(((R)-1-((ベンジルオキシ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メトキシ)-4-((R)-2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-124a)(305mg)を得た。ESI-MS m/z [M+H]559。
【0259】
段階B:tert-ブチル2-(((R)-2,2-ジフルオロ-1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-((R)-2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-124b)
tert-ブチル2-(((R)-1-((ベンジルオキシ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メトキシ)-4-((R)-2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-124a)(305mg、0.545mmol)のエタノール(5.5mL)中溶液に、Pd(OH)/C(191mg、0.273mmol)を加えた。反応混合物のHガスパージ及び真空を3回行い、室温で2時間攪拌した。反応混合物を濾過し、減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュNH-シリカゲルクロマトグラフィー(30%から100%、EtOAc勾配/ヘキサン)によって精製して、tert-ブチル2-(((R)-2,2-ジフルオロ-1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-((R)-2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-124b)(253mg)を得た。ESI-MS m/z [M+H]469。
【0260】
段階C:tert-ブチル2-(((R)-1-((ジメチルアミノ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メトキシ)-4-((R)-2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-124c)
tert-ブチル2-(((R)-2,2-ジフルオロ-1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-((R)-2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-124b)(253mg、0.539mmol)のN,N-ジメチルアセトアミド(5.0mL)中溶液に、5℃でエタンスルホニルクロライド(0.0562mL、0.593mmol)及びトリエチルアミン(0.379mL、2.70mmol)を加えた。混合物を5℃で10分間攪拌後、反応混合物に2.0MジメチルアミンのTHF中溶液(1.35mL、2.70mmol)を加えた。混合物を60℃で14時間攪拌後、HOを加えることで反応停止した。反応混合物をEtOAcで抽出し、ブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュNH-シリカゲルクロマトグラフィー(30%から100%、EtOAc勾配/ヘキサン)によって精製して、tert-ブチル2-(((R)-1-((ジメチルアミノ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メトキシ)-4-((R)-2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-124c)(216mg)を得た。ESI-MS m/z [M+H]496。
【0261】
段階D:実施例124(2-(((R)-1-((ジメチルアミノ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メトキシ)-4-((R)-2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン(実施例124)
tert-ブチル2-(((R)-1-((ジメチルアミノ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メトキシ)-4-((R)-2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-124c)(216mg、0.435mmol)のクロロホルム(4.0mL)中溶液にHClの4.0Mジオキサン溶液(2.2mL)を加えた。混合物を室温で30分攪拌後、反応混合物を減圧下に濃縮して、アミン生成物を得た。
【0262】
アミン生成物、3-ヒドロキシ-8-ヨード-1-ナフトエ酸(Int-T002)(97.0mg、0.309mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(59.2mg、0.309mmol)及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(47.3mg、0.309mmol)のDMF(3.0mL)中溶液に、室温でN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.244mL、1.40mmol)を加えた。混合物を室温で13時間攪拌後、HOを加えることで反応停止した。反応混合物をEtOAcで抽出し、ブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物を逆相HPLC(MeCN/水+0.1%ギ酸)によって精製して、(2-(((R)-1-((ジメチルアミノ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メトキシ)-4-((R)-2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン(実施例124)を得た。ESI-MS m/z [M+H]692。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.2 (s, 1H), 8.03-7.96 (m, 1H), 7.87-7.80 (m, 1H), 7.29-7.23 (m, 1H), 7.19-7.07 (m, 2H), 5.16-4.85 (m, 1H), 4.79-4.00 (m, 5H), 3.80-3.55 (m, 1H), 3.05-2.85 (m, 1H), 2.37-2.20 (m, 2H), 2.17-2.06 (m, 6H), 1.96-1.56 (m, 4H), 1.55-1.25 (m, 4H), 1.25-0.52 (m, 6H).
【0263】
実施例125-1:(3-アミノ-8-ヨードナフタレン-1-イル)(2-(((R)-1-((ジメチルアミノ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メトキシ)-4-((R)-3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)メタノン(実施例125)
【化46】
【0264】
段階A:tert-ブチル2-(((R)-1-((ジメチルアミノ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メトキシ)-4-((R)-3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-125a)
tert-ブチル(R)-2-クロロ-4-(3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-95a)(100mg、0.271mmol)、(R)-(1-((ジメチルアミノ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メタノール(Int-UU8-1)塩酸塩(82.0mg、0.407mmol)及びRuPhosPdG3(6.80mg、0.00813mmol)の1,4-ジオキサン(1.5mL)中溶液に、室温で炭酸セシウム(265mg、0.813mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.0944mL、0.542mmol)を加えた。混合物を100℃で14時間攪拌後、反応混合物を冷却して室温とし、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュNH-シリカゲルクロマトグラフィー(20%から100%、EtOAc勾配/ヘキサン)によって精製して、tert-ブチル2-(((R)-1-((ジメチルアミノ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メトキシ)-4-((R)-3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-125a)(104mg)を得た。ESI-MS m/z [M+H]498。
【0265】
段階B:(R)-1-(2-(((R)-1-((ジメチルアミノ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メトキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペリジン-3-オール(Int-125b)
tert-ブチル2-(((R)-1-((ジメチルアミノ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メトキシ)-4-((R)-3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシレート(Int-125A)(104mg、0.210mmol)のジクロロメタン(2.0mL)中溶液に、トリフルオロ酢酸(0.4mL)を加えた。混合物を室温で2時間攪拌後、反応混合物を減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュNH-シリカゲルクロマトグラフィー(0%から50%、MeOH勾配/EtOAc)によって精製して、(R)-1-(2-(((R)-1-((ジメチルアミノ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メトキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペリジン-3-オール(Int-125b)(72.8mg)を得た。ESI-MS m/z [M+H]398。
【0266】
段階C:実施例125-1(3-アミノ-8-ヨードナフタレン-1-イル)(2-(((R)-1-((ジメチルアミノ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メトキシ)-4-((R)-3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)メタノン(実施例125-1)
(R)-1-(2-(((R)-1-((ジメチルアミノ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メトキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペリジン-3-オール(Int-125b)(6.00mg、0.0151mmol)、3-アミノ-8-ヨード-ナフタレン-1-カルボン酸(Int-T001)(5.20mg、0.0166mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(3.18mg、0.0166mmol)及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(2.54mg、0.0166mmol)のDMF(0.15mL)中溶液に、室温でN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.0131mL、0.0755mmol)を加えた。混合物を室温で14時間攪拌後、HOを加えることで反応停止した。反応混合物をEtOAcで抽出し、ブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物を逆相HPLC(MeCN/水+0.1%ギ酸)によって精製して、(3-アミノ-8-ヨードナフタレン-1-イル)(2-(((R)-1-((ジメチルアミノ)メチル)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メトキシ)-4-((R)-3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)メタノン(実施例125-1)を得た。ESI-MS m/z [M+H]693。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.82-7.77 (m, 1H), 7.67-7.60 (m, 1H), 7.03-6.96 (m, 2H), 6.94-6.89 (m, 1H), 5.69 (s, 2H), 5.06-4.80 (m, 1H), 4.65-4.00 (m, 6H), 3.57-3.47 (m, 2H), 2.18-2.06 (m, 6H), 1.84-1.35 (m, 6H), 1.25-1.19 (m, 2H), 1.14 (s, 3H), 0.89-0.76 (m, 2H).
【0267】
実施例125-2:(3-アミノ-8-ヨードナフタレン-1-イル)(2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)メタノン(実施例125-2)
【化47】
【0268】
3-アミノ-8-ヨード-1-ナフトエ酸(Int-T001)(52mg、0.167mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール・1水和物(26mg、0.167mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(32mg、0.167mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.071mL、0.417mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(2mL)中混合物に、N,N-ジメチル-1-(1-(((4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロピル)メタンアミン(Int-84b)(50mg、0.139mmol)を加え、混合物を室温で3時間攪拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、希釈混合物を水で洗浄し、混合物を減圧下に濃縮した。残留物を逆相HPLC(MeCN/水+0.1%ギ酸)によって精製して、(3-アミノ-8-ヨードナフタレン-1-イル)(2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)メタノン(実施例125-2)(30mg)を得た。ESI-MS m/z [M+H]655。
【0269】
実施例126:(2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(8-エチニル-3-ヒドロキシナフタレン-1-イル)メタノン(実施例126)
【化48】
【0270】
ヨウ化銅(I)(2.9mg、0.0153mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロライド(11mg、0.0153mmol)、(2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(3-ヒドロキシ-8-ヨードナフタレン-1-イル)メタノン(実施例84)(100mg、0.0153mmol)、トリエチルアミン(0.107mL、0.763mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(3mL)中溶液に、トリイソプロピルシリルアセチレン(0.102mL、0.458mmol)を加えた。容器を排気し、窒素を充填し戻し、混合物を95℃で0.5時間攪拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、希釈混合物を水で洗浄し、混合物を減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュNH-シリカゲルクロマトグラフィー(0%から40%、メタノール勾配/酢酸エチル)によって精製して、カップリング生成物を得た。
【0271】
カップリング生成物のテトラヒドロフラン(2mL)中溶液に、フッ化テトラブチルアンモニウム(0.229mL、0.229mmol、1Mテトラヒドロフラン中溶液)を加え、混合物を室温で0.5時間攪拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、希釈混合物を水で洗浄し、混合物を減圧下に濃縮した。残留物を逆相HPLC(MeCN/水+0.1%ギ酸)によって精製して、(2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-(2-メチルアゼパン-1-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)(8-エチニル-3-ヒドロキシナフタレン-1-イル)メタノン(実施例126)を得た。ESI-MS m/z [M+H]554.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.2 (s, 1H), 7.89-7.84 (m, 1H), 7.58-7.52 (m, 1H), 7.48-7.39 (m, 1H), 7.31-7.26 (m, 1H), 7.12-7.06 (m, 1H), 5.20-4.80 (m, 2H), 4.61-4.30 (m, 2H), 4.17-3.95 (m, 4H), 3.13-2.75 (m, 1H), 2.25-2.08 (m, 2H), 2.16 (s, 3H), 2.11 (s, 3H), 2.00-0.95 (m, 12H), 0.59-0.48 (m, 2H), 0.39-0.31 (m, 2H).
【0272】
相当するヨウ化物サンプルを用い、実施例126と同様の経路によって、以下の表中の化合物を合成した。
【0273】
表7
【表7】
【0274】
7-(8-ブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレン-1-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-オール(Int-144e-1)及びInt-144e-2異性体(混合物)
【化49】
【0275】
段階A:tert-ブチル2-クロロ-4-((2-ニトロベンジル)オキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシレート(Int-144a)
tert-ブチル2,4-ジクロロ-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシレート(20.0g、65.7mmol)及び(2-ニトロフェニル)メタノール(13.1g、85.5mmol)のトルエン(200mL)中溶液を攪拌しながら、それに炭酸セシウム(42.9g、0.131mmol)を加え、混合物を昇温させて80℃とし、3時間攪拌した。混合物を冷却して室温とし、酢酸エチル(200mL)で希釈した。混合物を水(200mL)で2回洗浄し、有機相を減圧下に濃縮した。MeCN(300mL)及び水(60mL)を残留物に加え、混合物を80℃で1時間懸濁させた。懸濁液を冷却して室温とし、固体を濾過し、真空乾燥して、tert-ブチル2-クロロ-4-((2-ニトロベンジル)オキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシレート(Int-144a)(15.7g)を得た。ESI-MS m/z [M+H]421、423。
【0276】
段階B:tert-ブチル2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-((2-ニトロベンジル)オキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシレート(Int-144b)
tert-ブチル2-クロロ-4-((2-ニトロベンジル)オキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシレート(Int-144a)(1.96g、4.66mmol)、(1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メタノール(1.20g、9.29mmol)及びジクロロ[9,9-ジメチル-4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン]パラジウム(II)(352mg、0.466mmol)のトルエン(20mL)中混合物に、炭酸セシウム(4.55g、14.0mmol)を加え、混合物を昇温させて110℃とし、3時間攪拌した。混合物を冷却して室温とし、濾過し、濾液を減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(0%から25%、MeOH勾配/クロロホルム)によって精製した。得られた残留物をフラッシュNH-シリカゲルクロマトグラフィー(0%から80%、酢酸エチル勾配/ヘキサン)によって精製して、tert-ブチル2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-((2-ニトロベンジル)オキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシレート(Int-144b)(1.90g)を得た。ESI-MS m/z [M+H]514。
【0277】
段階C:N,N-ジメチル-1-(1-(((4-((2-ニトロベンジル)オキシ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロピル)メタンアミン(Int-144c)
tert-ブチル2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-4-((2-ニトロベンジル)オキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシレート(Int-144b)(2.20g、4.28mmol)のジクロロメタン(20mL)中溶液に、トリフルオロ酢酸(10mL)を加え、混合物を室温で1時間攪拌した。トリフルオロ酢酸を減圧下で除去し、残留物をフラッシュNH-シリカゲルクロマトグラフィー(0%から20%、MeOH勾配/酢酸エチル)によって精製して、N,N-ジメチル-1-(1-(((4-((2-ニトロベンジル)オキシ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロピル)メタンアミン(Int-144c)(1.64g)を得た。ESI-MS m/z [M+H]414。
【0278】
段階D:1-(1-(((7-(8-ブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレン-1-イル)-4-((2-ニトロベンジル)オキシ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロピル)-N,N-ジメチルメタンアミン(Int-144d-1)及びInt-144d-2異性体(混合物)
トルエン(16mL)中のN,N-ジメチル-1-(1-(((4-((2-ニトロベンジル)オキシ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロピル)メタンアミン(Int-144c)(1.65g、3.99mmol)、1,8-ジブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレン(Int-W002)(2.76g、7.98mmol)、ジクロロ[9,9-ジメチル-4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン]パラジウム(II)(905mg、1.20mmol)及び炭酸セシウム(3.90g、12.0mmol)を封管に入れた。反応容器の排気及び窒素の充填し戻しを3回行った。混合物を125℃で14時間攪拌し、混合物を冷却して室温とした。混合物を濾過し、濾液を減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(0%から25%、MeOH勾配/クロロホルム)によって精製した。得られた残留物をフラッシュNH-シリカゲルクロマトグラフィー(0%から8%、酢酸エチル勾配/ヘキサン)によって精製して、1-(1-(((7-(8-ブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレン-1-イル)-4-((2-ニトロベンジル)オキシ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロピル)-N,N-ジメチルメタンアミン(Int-144d-1)(400mg)をInt-144d-2異性体の混合物として得た。ESI-MS m/z [M+H]678、680。
【0279】
段階E:7-(8-ブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレン-1-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-オール(Int-144e-1)及び異性体(混合物)(Int-144e-2)
1-(1-(((7-(8-ブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレン-1-イル)-4-((2-ニトロベンジル)オキシ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロピル)-N,N-ジメチルメタンアミン(Int-144d-1)及びInt-144d-2異性体(255mg、0.376mmol)及び鉄(粉末、210mg、3.76mmol)のテトラヒドロフラン(6.0mL)中混合物に、塩酸(0.5M、6.0mL)を加え、混合物を室温で2時間攪拌した。混合物を濾過し、濾液を減圧下に濃縮して乾固させた。残留物をフラッシュNH-シリカゲルクロマトグラフィー(0%から100%、MeOH勾配/酢酸エチル)によって精製して、7-(8-ブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレン-1-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-オール(Int-144e-1)をInt-144e-2異性体の混合物として得た(180mg)。ESI-MS m/z [M+H]543、545。
【0280】
7-(8-ブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレン-1-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-オール(Int-144f-1)及びInt-144f-2異性体(混合物)
【化50】
【0281】
(1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メタノールを用いて7-(8-ブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレン-1-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-オール(Int-144e-1)と同様の経路によって、Int-144f-1及びInt-144f-2異性体の混合物を合成した。ESI-MS m/z [M+H]585、587。
【0282】
実施例144:(R)-1-(7-(8-ブロモ-3-ヒドロキシナフタレン-1-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)ピペリジン-3-オール(実施例144)
【化51】
【0283】
7-(8-ブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレン-1-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-オール(Int-144e-1)(33mg、0.0607mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.031mL、0.182mmol)のジクロロメタン(1mL)中溶液に、p-トルエンスルホニルクロライド(18mg、0.0911mmol)を加え、混合物を室温で3時間攪拌した。(R)-ピペリジン-3-オール(20mg、0.198mmol)を混合物に加え、混合物を60℃で3時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物に塩酸塩(4M 1,4-ジオキサン中溶液、2mL)を加え、混合物を溶媒留去して乾固させた。残留物を逆相HPLC(MeCN/水+0.1%ギ酸)によって精製して、(R)-1-(7-(8-ブロモ-3-ヒドロキシナフタレン-1-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)ピペリジン-3-オール(実施例144)を得た。ESI-MS m/z [M+H]582、584。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.94 (s, 1H), 7.73-7.68 (m, 1H), 7.56-7.25 (m, 1H), 7.23-7.18 (m, 1H), 6.98-6.95 (m, 1H), 6.91-6.87 (m, 1H), 4.65 (s, 0.5H), 4.42 (s, 0.5H), 4.15-4.00 (m, 4H), 3.62-3.05 (m, 4H), 2.63-2.52 (m, 2H), 2.25-2.19 (m, 2H), 2.16 (s, 6H), 1.95-1.40 (m, 5H), 1.28-1.22 (m, 1H), 1.15 (s, 1.5H), 1.07 (s, 1.5H), 0.58-0.55 (m, 2H), 0.38-0.35 (m, 2H).
【0284】
7-(8-ブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレン-1-イル)-2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-オール(Int-144e-1)又は7-(8-ブロモ-3-(メトキシメトキシ)ナフタレン-1-イル)-2-((1-(モルホリノメチル)シクロプロピル)メトキシ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-オール(Int-144f-1)及び相当するアミンを用い、実施例144と同様の経路によって、以下の表中の化合物を合成した。
【0285】
表8
【表8】
【0286】
(3R)-3-メチル-1-(7-(6-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1H-インダゾール-4-イル)-2-(メチルチオ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)ピペリジン-3-オール(Int-149e)
【化52】
【0287】
段階A:tert-ブチル4-ヒドロキシ-2-(メチルチオ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシレート(Int-149a)
1-(tert-ブチル)4-エチル3-オキソピペリジン-1,4-ジカルボキシレート(10.0g、36.9mmol)及びS-メチルイソチオ尿素硫酸塩(20.5g、73.7mmol)のメタノール(200mL)中溶液に、ナトリウムメトキシド(9.96g、184mmol)を加え、混合物を60℃で4時間攪拌した。反応混合物を冷却して室温とし、混合物に塩酸(6M、20.0mL、120mmol)を加えた。メタノールを減圧下で除去し、水(150mL)及び酢酸エチル(150mL)を残留物に加えた。沈澱を濾過し、酢酸エチル(30mL)で洗い、脱水して、tert-ブチル4-ヒドロキシ-2-(メチルチオ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシレート(Int-149a)(4.70g)を得た。ESI-MS m/z [M+H]298。
【0288】
段階B:tert-ブチル2-(メチルチオ)-4-(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシレート(Int-149b)
tert-ブチル4-ヒドロキシ-2-(メチルチオ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシレート(Int-149a)(2.00g、6.73mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(3.43mL、20.2mmol)のジクロロメタン(20mL)中溶液に、0℃で無水トリフルオロメタンスルホン酸(1.10mL、6.73mmol)を加え、混合物を室温で1時間攪拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、希釈混合物を水で洗浄し、混合物を減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(0%から30%、酢酸エチル勾配/ヘキサン)によって精製して、tert-ブチル2-(メチルチオ)-4-(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシレート(Int-149b)(1.50g)を得た。ESI-MS m/z [M+H]430。
【0289】
段階C:tert-ブチル(R)-4-(3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-2-(メチルチオ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシレート(Int-149c)
tert-ブチル2-(メチルチオ)-4-(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシレート(Int-149b)(600mg、1.40mmol)及び(R)-3-メチルピペリジン-3-オール塩酸塩(233mg、1.54mmol)のDMA(10mL)中溶液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(3.43mL、20.2mmol)を加え、混合物を室温で3時間攪拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、希釈混合物を水で洗浄し、混合物を減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(0%から80%、酢酸エチル勾配/ヘキサン)によって精製して、tert-ブチル(R)-4-(3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-2-(メチルチオ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシレート(Int-149c)(570mg)を得た。ESI-MS m/z [M+H]+395。
【0290】
段階D:(R)-3-メチル-1-(2-(メチルチオ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)ピペリジン-3-オール(Int-149d)
tert-ブチル(R)-4-(3-ヒドロキシ-3-メチルピペリジン-1-イル)-2-(メチルチオ)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシレート(Int-149c)(570mg、1.44mmol)のジクロロメタン(5mL)中溶液に、トリフルオロ酢酸(5mL)を加え、混合物を室温で1時間攪拌した。トリフルオロ酢酸を減圧下で除去し、残留物をフラッシュNH-シリカゲルクロマトグラフィー(0%から20%、MeOH勾配/酢酸エチル)によって精製して、(R)-3-メチル-1-(2-(メチルチオ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)ピペリジン-3-オール(Int-149d)(430mg)を得た。ESI-MS m/z [M+H]+295。
【0291】
段階E:(3R)-3-メチル-1-(7-(6-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1H-インダゾール-4-イル)-2-(メチルチオ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)ピペリジン-3-オール(Int-149e)
(R)-3-メチル-1-(2-(メチルチオ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)ピペリジン-3-オール(Int-149d)(150mg、0.509mmol)、4-ブロモ-6-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1H-インダゾール(Int-HHH5)(278mg、0.764mmol)、RuPhosPdG3(42.6mg、0.0509mmol)の1,4-ジオキサン(2.0mL)中混合物に、炭酸セシウム(498mg、1.53mmol)を加え、混合物を昇温させて100℃とし、2時間攪拌した。混合物を冷却して室温とし、濾過し、濾液を減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(10%から70%、酢酸エチル勾配/ヘキサン)によって精製して、(3R)-3-メチル-1-(7-(6-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1H-インダゾール-4-イル)-2-(メチルチオ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)ピペリジン-3-オール(Int-149e)(175mg)を得た。ESI-MS m/z [M+H]577。
【0292】
実施例149:(R)-1-(2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-7-(6-メチル-5-(トリフルオロメチル)-1H-インダゾール-4-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペリジン-3-オールホルメート(実施例149)
【化53】
【0293】
(3R)-3-メチル-1-(7-(6-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-5-(トリフルオロメチル)-1H-インダゾール-4-イル)-2-(メチルチオ)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)ピペリジン-3-オール(Int-149e)(15mg、0.0260mmol)の酢酸エチル(3mL)中溶液に、0℃で3-クロロ過安息香酸(6.4mg、0.0260mmol)を加え、混合物を0℃で0.5時間攪拌した。混合物に水(3mL)を加え、混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液(3mL)で洗浄した。溶媒を減圧下で除去した。粗生成物及び(1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メタノール(10mg、0.078mmol)のテトラヒドロフラン(1mL)中溶液に、0℃でカリウムtert-ブトキシド(1.0M THF中溶液、0.039mL)を加え、混合物を0℃で0.5時間攪拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、希釈混合物を水で洗浄し、混合物を減圧下に濃縮した。トリフルオロ酢酸(0.5mL)を残留物に加え、混合物を室温で1時間攪拌した。トリフルオロ酢酸を減圧下に除去し、残留物を逆相HPLC(MeCN/水+0.1%ギ酸)によって精製して、(R)-1-(2-((1-((ジメチルアミノ)メチル)シクロプロピル)メトキシ)-7-(6-メチル-5-(トリフルオロメチル)-1H-インダゾール-4-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペリジン-3-オールホルメート(実施例149)を得た。ESI-MS m/z [M+H]574。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.4 (s, 1H), 8.32 (s, 1H), 7.36 (s, 1H), 4.60-4.44 (m, 1H), 4.24-4.04 (m, 4H), 3.62-3.20 (m, 9H), 2.90-2.60 (m, 2H), 2.58-2.54 (m, 3H), 2.38-2.10 (m, 4H), 1.90-1.75 (m, 1H), 1.62-1.53 (m, 4H), 1.12 (s, 3H), 0.79-0.37 (m, 4H).
【0294】
相当するアミノアルコールを用い、実施例149と同様の経路によって、以下の表中の化合物を合成した。
【0295】
表9
【表9】
【0296】
アッセイ
SOS触媒ヌクレオチド交換アッセイの手順 組換えKRAS G12C(アミノ酸1~169、配列番号1)、KRAS G12D(アミノ酸1~169、配列番号2)、KRAS G12V(アミノ酸1~169、配列番号3)及びSOS1(アミノ酸564~1049、配列番号4)タンパク質を大腸菌(E.coli)で発現させ、アフィニティクロマトグラフィーによって精製した。各BODIPY FL GDP結合KRAS変異タンパク質を調製するため、50μM KRAS変異タンパク質を、ローディングバッファー(20mM Tris-HCl(pH7.5)、50mM NaCl、1mM DTT及び2.5mM EDTA)中、氷上で1時間にわたり0.5mM BODIPY FL GDP(Invitrogen、G22360)とともにインキュベートした。インキュベーション後、MgClを最終濃度10mMとなるように添加し、室温で30分間インキュベートした。混合物をNAP-5カラムに通過させて遊離ヌクレオチドを除去し、精製したBODIPY FL GDP結合KRAS G12C、G12D及びG12Vタンパク質を化合物の評価に使用した。
【0297】
組換えKRAS変異体のGDP-GTP交換速度に対する化合物の阻害活性を測定するために、各BODIPY FL GDP結合KRAS変異タンパク質(バージョン1:25nM、バージョン2:2.5nM)を、各種濃度の反応緩衝液(20mM Tris-HCl(pH7.5)、100mM NaCl、1mM MgCl、2mM DTT、0.1%Tween20)中の化合物と25℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、組換えSOS1及びGMPPNP(Jena Bioscience GmbH, NU-401)を添加し、室温で30分間インキュベートして、KRAS変異体でのSOS1依存性GDP-GTP交換反応を進行させた。BODIPY FL GDPのグアノシン-5′-[(β,γ)-イミド]三リン酸四リチウム塩(GMPPNP)による置換を、交換反応前後のBODIPY FLの蛍光強度の比を計算することによって測定した。阻害%は、試験化合物を含まない反応(DMSO対照)からの蛍光比、及びSOS1及びGMPPNPを含まない反応からの蛍光比をそれぞれ0%及び100%阻害として設定することによって計算した。4パラメータロジスティックモデルを使用して用量応答曲線を解析して、IC50値を計算した。表Aに結果を示す。
【0298】
表A:
【表10】
【0299】
細胞増殖抑制アッセイの手順
ホモ接合KRAS-G12V活性化変異を含むSW620細胞(ATCC(登録商標)、CCL-227(商標名))及びホモ接合KRAS-G12C活性化変異を含むMIA PaCa-2細胞(Sumitomo Dainippon Pharma Co., Ltd.提供)を、T175フラスコにおいて、増殖培地(10%ウシ胎仔血清(HyClone、SH30910.03)を含むRPMI培地1640(Fujifilm Wako Pure Chemical Corporation、187-02705))中で培養した。トリプシン/EDTA(Nacalai Tesque、32777-44)消化後に細胞を増殖培地で回収し、Prime Surface(登録商標)384ウェルU底マイクロプレート(Sumitomo Bakelite Co., Ltd、MS-9384W)に各密度250細胞/ウェルで播種し、37℃、5%COで終夜インキュベートした。
【0300】
試験化合物をDMSOで希釈して、最終濃度の500倍の濃度とした。得られた試験化合物のDMSO溶液を、細胞を懸濁するのに使用した増殖培地で希釈し、細胞培養プレートの各ウェルに添加して、DMSO最終濃度を0.2%とし、続いて37℃、5%COで3日間インキュベートした。
【0301】
すべての細胞にCellTiter-Glo(登録商標)3D試薬(Promega、G9683)を添加し、10分間混合した。混合の30分後、EnVisionプレートリーダー(PerkinElmer)で発光を測定した。4パラメータロジスティックモデルを使用して用量応答曲線を解析して、IC50値を計算した。表Bに結果を示す。
【0302】
表B:
【表11】
【0303】
配列
配列番号1-Reconbinant KRASG12C
【数1】
配列番号2-Reconbinant KRASG12D
【数2】
配列番号3-Reconbinant KRASG12V
【数3】
配列番号4-SOS1
【数4】
【配列表】
2024521979000001.app
【国際調査報告】