IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リット モーターズ コーポレイションの特許一覧

特表2024-521986二輪セルフバランシング車両用のヨーダンパ
<>
  • 特表-二輪セルフバランシング車両用のヨーダンパ 図1A
  • 特表-二輪セルフバランシング車両用のヨーダンパ 図1B
  • 特表-二輪セルフバランシング車両用のヨーダンパ 図2
  • 特表-二輪セルフバランシング車両用のヨーダンパ 図3
  • 特表-二輪セルフバランシング車両用のヨーダンパ 図4
  • 特表-二輪セルフバランシング車両用のヨーダンパ 図5
  • 特表-二輪セルフバランシング車両用のヨーダンパ 図6
  • 特表-二輪セルフバランシング車両用のヨーダンパ 図7
  • 特表-二輪セルフバランシング車両用のヨーダンパ 図8
  • 特表-二輪セルフバランシング車両用のヨーダンパ 図9
  • 特表-二輪セルフバランシング車両用のヨーダンパ 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-05
(54)【発明の名称】二輪セルフバランシング車両用のヨーダンパ
(51)【国際特許分類】
   B62K 21/00 20060101AFI20240529BHJP
   B62D 6/00 20060101ALN20240529BHJP
【FI】
B62K21/00
B62D6/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566828
(86)(22)【出願日】2022-04-29
(85)【翻訳文提出日】2023-12-21
(86)【国際出願番号】 US2022027145
(87)【国際公開番号】W WO2022232655
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】63/181,795
(32)【優先日】2021-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521542454
【氏名又は名称】リット モーターズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【弁理士】
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】ベイリー デイヴィッド アーサー
(72)【発明者】
【氏名】キム ダニエル キー ヤング
【テーマコード(参考)】
3D013
3D232
【Fターム(参考)】
3D013CA00
3D232CC02
3D232CC14
3D232DA33
3D232DA36
3D232DC11
3D232DD17
3D232EB04
3D232EB16
(57)【要約】
制御経路は、操舵増強及びロールバランスのためのCMG又はリアクションホイールアクチュエータを有する二輪セルフバランシング車両に追加される。これらのアクチュエータは、制御経路上で受信したヨーレート外乱信号に基づいて、ロール外乱を防止しながらヨー外乱を減衰させるために使用される。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二輪セルフバランシング車両(「車両」)を制御する方法であって、
前記車両に取り付けられた1又は2以上のセンサにより、前記車両のヨーレート信号を受信するステップと、
前記1又は2以上のセンサに結合された信号フィルタにより、前記ヨーレート信号からヨーレート外乱信号を取得するステップと、
ドライバー制御の操舵アクチュエータを増強する増強操舵アクチュエータへの制御入力として、前記ヨーレート外乱信号を受信するステップであって、前記ヨーレート外乱信号を使用して、前記車両のロールレート外乱を低減又は相殺する前記車両のロール軸周りのトルク(「ロールトルク」)を生成するようにする、ステップと、
前記増強操舵アクチュエータにより、前記受信したヨーレート外乱信号に応じてロールトルクを発生させ、前記車両の前記ロールレート外乱を低減又は相殺するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記増強操舵アクチュエータが、操舵角及びひいては前記車両のヨーレート及び遠心力を修正し、前記車両の遠心力が前記車両の重心に作用し、前記車両のロールトルクの変化を生じさせる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記車両に取り付けられた前記1又は2以上のセンサにより、前記車両のヨーレート信号を受信するステップは、慣性測定ユニット(IMU)、差分加速度計、前記車両の操舵角のフィードバックセンサ、前記車両の前記増強操舵アクチュエータ上の力測定センサからなるセンサのグループから選択された前記1又は2以上のセンサにより、前記車両のヨーレート信号を受信するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ヨーレート信号は、前記車両のヨー共振の固有振動数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記1又は2以上のセンサに結合された前記信号フィルタにより、前記ヨーレート信号から前記ヨーレート外乱信号を取得するステップが、前記1又は2以上のセンサに結合されて車両ダイナミクスの変動を許容する自己調整フィルタにより、前記ヨーレート信号から前記ヨーレート外乱信号を取得するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ヨーレート外乱信号が、前記車両が走行している道路によって誘起されるヨーインパルスによって引き起こされる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記車両のバランスをとるために前記車両に結合されたコントロールモーメントジャイロスコープ(GMG)への制御入力として、前記ヨーレート外乱信号を受信するステップであって、ヨーレート外乱信号を使用して、前記車両のヨーレート外乱を低減又は相殺する車両のロールトルクを生成するようにする、ステップと、
前記CMGにより、前記受信したヨーレート外乱信号に応じて前記ロールトルクを発生させ、前記車両のヨーレート外乱を低減又は相殺するステップと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
二輪セルフバランシング車両(「車両」)であって、
前記車両にロールトルクを発生させる前記車両の増強操舵アクチュエータと、
前記車両のヨーレート信号を受信するために前記車両に取り付けられた1又は2以上のセンサと、
前記1又は2以上のセンサに結合され、前記ヨーレート信号からヨーレート外乱信号を取得し、前記増強操舵アクチュエータへの制御入力として前記ヨーレート外乱信号を提供する信号フィルタと、
を備え、
前記増強操舵アクチュエータは、前記ヨーレート外乱信号に応答して、前記車両のロールレート外乱を低減又は相殺するロールトルクを生成する、
ことを特徴とする二輪セルフバランシング車両。
【請求項9】
前記増強操舵アクチュエータが、操舵角及びひいては前記車両のヨーレート及び遠心力を修正し、前記車両の遠心力が前記車両の重心に作用し、前記車両のロールトルクの変化を生じさせる、請求項8に記載の車両。
【請求項10】
前記1又は2以上のセンサは、慣性測定ユニット(IMU)、差分加速度計、車両の操舵角のフィードバックセンサ、車両の増強操舵アクチュエータ上の力測定センサからなるセンサのグループから選択される、請求項8に記載の車両。
【請求項11】
前記ヨーレート信号は、前記車両のヨー共振の固有振動数を含む、請求項8に記載の車両。
【請求項12】
前記1又は2以上のセンサに結合され、前記ヨーレート信号からヨーレート外乱信号を取得する前記信号フィルタが、前記1又は2以上のセンサに結合され、前記車両ダイナミクスの変動を許容して、前記ヨーレート信号からヨーレート外乱信号を取得する自己調整フィルタを含む、請求項8に記載の車両。
【請求項13】
前記ヨーレート外乱信号が、前記車両が走行している道路によって誘起されるヨーインパルスによって引き起こされる、請求項8に記載の車両。
【請求項14】
前記車両に結合されて、車両のバランスをとるためにロールトルクを発生させる制御モーメントジャイロスコープ(GMG)を更に備え、前記信号フィルタは、前記ヨーレート外乱信号に応答して前記車両のヨーレート外乱を低減又は相殺するロールトルクを発生させる前記CMGへの制御入力として、前記ヨーレート外乱信号を提供する、請求項8に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
この米国特許出願は、米国仮特許出願第63/181,795号の利益を請求するものであり、当該仮特許出願の開示内容は、引用により全体が本明細書に組み込まれる。本米国特許出願は、2018年9月17日に出願された、名称が「Control of a Two-Wheeled Self-Balancing Vehicle」の米国特許出願第16/085,975号の関連出願であり、その開示内容は、引用により全体が本明細書に組み込まれる。本米国特許出願は、2019年9月30日に出願された、名称が「Augmented Tire Traction System for Two-Wheeled Vehicle」の米国特許出願第16/499,833号の関連出願であり、その開示内容は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。本米国特許出願は、2020年09月08日に出願された、名称が「Integrated Control Method for Balancing a Two-Wheeled Vehicle Using Control Moment Gyroscopes and Drive-by-Wire Steering Systems」の米国特許出願第16/979,094号の関連出願であり、その開示内容は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本発明は、二輪セルフバランシング車両に関する。詳細には、本発明は、二輪セルフバランシング車両におけるヨー外乱の減衰に関する。
【背景技術】
【0003】
二輪セルフバランシング車両は、車両のバランスをとるために使用されるアクチュエータの2つのセットを有する。主アクチュエータは、コントロールモーメントジャイロ(CMG)である。CMGは、ロール軸にトルク(「ロール軸トルク」、又は単に「ロールトルク」)を与え、車両のバランスをとる。第2のアクチュエータは操舵を増強する。ドライバー指令の操舵にトルクを加えるか、又はそこからトルクを差し引くことにより、第2のアクチュエータは、車両の運転範囲を広げる追加のロールトルクを提供する。増強された操舵アクチュエータは、操舵角、及び従って二輪セルフバランシング車両のヨーレート、及びそれに続く遠心力の値を変化させる。遠心力は車両の重心に作用し、ロール軸トルクの変化を生み出す。これら2つのアクチュエータが協働して、二輪セルフバランシング車両のバランスをとる際に所望のロール軸トルクを生み出す。また、車両のヨーレートに影響を与えながら、合計ロールトルクを打ち消すように働くことができる。
【0004】
二輪車両は、ヨー方向に低減衰の振動モードを有することができ、ウォブル及び/又はウィーブと呼ばれることもある。これは、ヨー軸周りの捩れモードを修正できるシャーシダンパーが存在しないことに起因する。主たる減衰は、タイヤの水平ばねダンパ特性に由来する。シャーシのばね定数はまた、ヨー方向の振動に寄与するが、結果として生じる外乱はほとんど減衰しない。通常、車両設計者は、タイヤの水平ばね定数及び減衰性についての選択肢は極めて制限されている。タイヤは、主として、進行方向のロードハンドリング性能に合わせて選択される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
添付図を参照して詳細な説明が記載される。図において、参照番号の最も左の桁は、参照番号が最初に現れる図を特定している。異なる図において同じ参照番号を使用することは、類似又は同一の項目又は特徴を示す。
【0006】
図1A】水平方向の力の大きさとダウンフォースの大きさの比であるMu、μのグラフである。
図1B】ヨー外乱のグラフであり、ヨー外乱に対するタイヤの反力が位相ずれであることを示している。
図2】車両が静止状態から時速30kmまで加速する際に、ヨーレートがゼロから始まり、毎秒1.5度まで上昇することを示すヨーレートのグラフである。
図3】外乱信号を取り込むためにフルヨーレート信号に適用されたバンドパスフィルタのグラフである。
図4】ヨーダンパ制御を適用する前のヨーレート及びフィルタ応答を示すグラフである。
図5】ヨー外乱が二輪セルフバランシング車両のロールレートにほとんど影響しないことを示すグラフである。
図6】本発明の実施形態による、慣性計測ユニット(IMU)から得られる測定されたヨーレートを制御信号として用いるヨーダンパ制御のブロック図である。
図7】本発明の実施形態による、ヨー外乱を低減するため操舵のみへのヨーダンパ制御の適用を示す図である。
図8】CMGを利用せず、従って操舵制御だけの実施形態におけるロール外乱を示すグラフである。
図9】本発明の実施形態によるCMG補償結果を加えた後、ヨー外乱周波数が除去されたロールレートを示すグラフである。
図10】2次制御経路が、バランスを維持するために操舵のみを利用し、車両の特性変化に起因する固有周波数の変動を補償しながらヨー減衰を達成するためのアクティブチューニングを有する、CMGを有しない本発明の実施形態によるブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
上述したように、二輪セルフバランシング車両は、ロールトルクを発生する2つのアクチュエータ:CMG及び安定性増強操舵アクチュエータを有する。これは、本発明の実施形態による、協働して使用されたときに、車両にかかるロールトルクに影響を与えることなく、ヨー減衰性を強化する機構を提供する。
【0008】
(理論)
前輪の操舵角に起因するロール軸周りの定常回転トルクについて、Pは車両のホイールベース、ψは車輪の操舵角である。
【数1】
【0009】
Xは進行方向の車両の位置である。
【数2】
【0010】
Mは車両の質量である。
【数3】
【0011】
遠心力は、タイヤ接地力に反応してトルクを発生する。
【数4】
【0012】
前輪及びψの変化によって発生するトルクは、CMGによって与えられるトルクによって相殺することができる。
【数5】
【0013】
(例示的な実施形態)
二輪セルフバランシング車両のモデルから始めて、時速30kmで旋回率が毎秒1.5度になるようにステアリングホイールをセットする。車両は静止状態からスタートして時速30kmまで加速し、これは2.5秒で始まる。7秒では、ヨー外乱102が存在している。図1Aのグラフ100に示すMu、μは、水平方向の力の大きさとダウンフォースの大きさの比である。Muの最大限界は、それぞれの前タイヤ105及び後タイヤ110と車道との間の摩擦係数によって支配される。この例では、タイヤのMuは、円経路を移動することによってゼロからオフセットされる。これにより、ヨー外乱の影響の視覚化が容易になるが、本発明の実施形態によるヨーダンパ制御は、何れかの経路を仮定してもヨー外乱を減衰させるのに有効である。ヨー外乱102は、図1Bのグラフ100において強調表示されており、ヨー外乱に対するタイヤの反力が位相ずれしていることを示している。
【0014】
図2のグラフ200は、ヨーレート202がゼロから始まり、車両が静止状態から時速30kmまで加速するにつれて毎秒1.5度まで上昇することを描いている。ヨーレート202の値は、204で描かれているように、路面によって誘起されるヨーインパルスによって乱される。ヨー外乱204は、遠心加速度及び操舵輪のキャスターによって発生する操舵トルクの変動に起因して、ステアリングホイールにおいて感じることができる。この例における操舵輪は前輪であるが、実施形態によっては、操舵輪は後輪又は両輪である可能性がある。ほとんどの量産型モーターサイクルは、この現象に起因して、操舵システムのどこかに機械式ダンパを組み込んでいる。本発明の実施形態による、ヨーダンパ制御は、この現象を管理するために、CMG及び操舵アクチュエータを利用して、操舵システム内の機械式ダンパを増強又は完全に置き換える。
【0015】
本発明の実施形態によるヨーダンパ制御は、ヨー共振の固有周波数におけるヨーレート信号を利用する。幾つかの実施形態において、図3のグラフ300に描かれているように、外乱信号304を捕捉するために、バンドパスフィルタ302が完全ヨーレート信号に適用される。図4のグラフ400は、ヨーダンパ制御を適用する前のヨーレート402及びフィルタ応答404を描いている。
【0016】
図5のグラフ500に示されるように、ヨー外乱は、二輪セルフバランシング車両のロールレート502に対して、又はバランス制御が正しく実行される能力に対して、ほとんど影響を及ぼさない。504で描かれたプロットの冒頭は、レートセンサのオン(0.033秒)を示している。これにより、ロールセンサのオフセット較正が開始される。0.75秒にて、ドライバーは、506に描かれているように、4度の角度からランディングギアを離昇するように車両に命令する。2.4秒後、508で描かれているように、車両がスタートし、時速30kmまで加速して、毎秒1.5度のヨーレートを発生させることになる円で走行する。これは、510に描かれているように、旋回率と速度が変化していることで、車両がバランスを維持するようロールしているので、2.8秒~5秒の間でロールレートの傾斜を発生する。7秒では、512で描かれているヨー外乱が導入される。
【0017】
一実施形態では、図6のブロック図600に示されるように、ヨーダンパ制御は、制御信号として、慣性計測ユニット(IMU)602から得られる測定されたヨーレートを使用する。制御ブロック図は、車両バランス制御で最も一般的なセンサ及びアクチュエータを使用して、ヨー共振外乱を低減する二次制御経路を追加した単純なものである。IMUによって測定されたヨーレートは、ノッチフィルタ604に通され、車両の固有ヨー周波数におけるヨー外乱を分離する。他の実施形態では、センサの異なるセットを使用して、車両の前部及び後部の差分加速度計、操舵角のフィードバック、操舵アクチュエータの力測定など、ヨー信号を生成することができることは理解される。固有の位相シフトを有するノッチフィルタ604は、制御に組み込まれる固定条件用に設計することができ、又は、年齢、タイヤ空気圧等による車両ダイナミクスの変動を許容するための自己調整フィルタとすることができる。ゲイン606は、車両速度の逆数として変化し、その結果は、608で出力され、増強操舵アクチュエータ610へのコマンドとなる。操舵によって発生するヨートルクは、速度の2乗として増加するので、ゲインの変化は有用である。同じ信号は、操舵アクチュエータ、CMGジンバルアクチュエータ、及びタイヤダイナミクスの位相遅れの応答の差を補償するために、信号の位相を変更するフィルタ612に通される。操舵によるロールトルクは速度の2乗に比例し、CMGによって生成されるトルクはCMGジンバルレートに比例するため、ゲイン614は速度の2乗で変化する。
【0018】
IMUヨーレート602は、604でフィルタリングされて、ヨー共振周波数を捕捉する。操舵角コマンドとCMGジンバルレートコマンド間の位相シフトは、612のフィルタにおいて達成される。
【0019】
図7のグラフ700に描かれているように、操舵にのみヨーダンパ制御を適用することで、ヨー外乱が低減される。例えば、図4のヨーレート402と図7のヨーレート702を比較し、図4のフィルタ応答404と図7のフィルタ応答704を比較する。CMGを利用しない実施形態では、操舵制御のみを実施することができる。しかしながら、図8のグラフ800に描かれているように、結果として生じるロール外乱がある。ヨー外乱を減衰させるために前タイヤを回転させると、車両ロールレートの外乱が生じることになる。この外乱は、コントロールモーメントジャイロを使用してロールトルクを生成し、操舵ヨー減衰性によって引き起こされるロール外乱を相殺することによって補償することができる。CMG補償を追加すると、図9のグラフ900に描かれているように、ヨー外乱周波数が除去されたロールレートが得られる。この実施形態は、ヨー外乱を減衰させるだけでなく、ドライバーの快適性を向上させる。これは、機械式ダンパだけではできないことである。
【0020】
従って、上述したように、本発明の実施形態は、操舵増強及びロールバランスのためのCMG又はリアクションホイールアクチュエータを有する二輪セルフバランシング車両に二次制御経路を追加することを企図している。これらのアクチュエータは、ロール外乱を防止しながらヨー外乱を減衰させるのに使用される。
【0021】
一実施形態によれば、二次制御経路は、ノッチフィルタ及びゲインを使用して、車両の固有ヨー周波数又は他の何れかの望ましくない振動を適切な位相遅れ及びゲインで分離して、車両の1又は複数の操舵されたホイールを変化させてヨー外乱を減衰させる。この実施形態によれば、二次制御経路は、増強された操舵コマンドを使用して、適切なゲイン及び位相を有するCMGジンバルレート又はリアクションホイール速度レートコマンドを生成し、ヨー減衰操舵コマンドによって生成されたロールトルクを相殺する。
【0022】
一実施形態では、二次制御経路は、ベースライン車両のセルフバランス制御のための既存の制御機械化にソフトウェア経路を追加することによって機械化される。一実施形態では、二次制御経路は、操舵アクチュエータ及び1又は2以上のCMG又は1又は2以上のリアクションホイールロールトルクアクチュエータであるロールトルクアクチュエータに制御信号を加える別個のデジタル又はアナログ制御を含むことができる。
【0023】
上記の実施形態において、二次制御経路は、工場又は整備工場で達成される固定チューニングではなく、車両変化特性に起因する固有振動数の変動を補償しながらヨー減衰を達成するためのアクティブチューニングを有することができる。
【0024】
図10のブロック図1000を参照すると、CMGを有していない実施形態では、二次制御経路は、バランスを維持するために操舵のみを利用し、工場又は整備工場で達成される固定チューニングを採用するのではなく、車両変化特性に起因する固有振動数の変動を補償しながらヨー減衰を達成するためのアクティブチューニングを有する。
【0025】
このように、本発明の実施形態は、操舵増強及びロールバランスのためのCMG又はリアクションホイールアクチュエータを有するセルフバランシングの二輪セルフバランシング車両に二次制御経路を追加する。これらのアクチュエータは、ロール外乱を防止しながらヨー外乱を減衰させるのに使用される。
【0026】
これらの実施形態は、ノッチフィルタ及びゲインを使用して、適切な位相遅延及びゲインで車両の固有ヨー周波数又は他の望ましくない振動を分離し、ヨー外乱を減衰させるために車両の1又は複数の操舵されたホイールを変化させる。
【0027】
実施形態は、増強操舵コマンドを使用して、適切なゲイン及び位相でCMGジンバルレート又はリアクションホイール速度レートコマンドを生成し、ヨー減衰操舵コマンドによって生成されたロールトルクを相殺することができる。
【0028】
実施形態は、ベースライン車両のセルフバランス制御のための既存の制御機械化にソフトウェア経路を追加することによって機械化することができる。
【0029】
実施形態は、別個のデジタル又はアナログ制御を使用して、操舵アクチュエータ及び1又は2以上のCMG又は1又は2以上のリアクションホイールロールトルクアクチュエータであるロールトルクアクチュエータに制御信号を加えることができる。
【0030】
実施形態は、アクティブチューニングを使用して、工場又は整備工場で達成される固定チューニングではなく、車両変化特性に起因する固有振動数の変動を補償しながらヨー減衰を達成することができる。
【0031】
実施形態は、バランスを維持するために操舵のみ(CMGなし)を使用し、またアクティブチューニングを使用して、工場又は整備工場で達成される固定チューニングではなく、車両変化特性に起因する固有振動数の変動を補償しながらヨー減衰を達成することができる。
【0032】
従って、記載されるのは、二輪セルフバランシング車両(「車両」)を制御する方法であって、本方法は、車両に取り付けられた1又は2以上のセンサにより、車両のヨーレート信号を受信するステップと、1又は2以上のセンサに結合された信号フィルタにより、ヨーレート信号からヨーレート外乱信号を取得するステップと、ドライバー制御の操舵アクチュエータを増強する増強操舵アクチュエータへの制御入力として、ヨーレート外乱信号を受信するステップであって、ヨーレート外乱信号を使用して、車両のロールレート外乱を低減又は相殺する車両のロール軸周りのトルク(「ロールトルク」)を生成するようにする、ステップと、増強操舵アクチュエータにより、受信したヨーレート外乱信号に応じてロールトルクを発生させ、車両の前記ロールレート外乱を低減又は相殺するステップと、を含む。
【0033】
実施形態によれば、増強操舵アクチュエータは、操舵角及びひいては車両のヨーレート及び遠心力を修正し、車両の遠心力は、車両の重心に作用し、車両のロールトルクの変化を生じさせる。
【0034】
更なる実施形態によれば、ヨーレート外乱信号は、車両のバランスをとるために車両に結合されたコントロールモーメントジャイロスコープ(GMG)への制御入力として受信され、ヨーレート外乱信号は、車両のヨーレート外乱を低減又は相殺する車両のロールトルクを生成するために使用され、CMGは、受信されたヨーレート外乱信号に応じてロールトルクを生成し、車両のヨーレート外乱を低減又は相殺する。
【符号の説明】
【0035】
602 IMUヨーレート
604 ノッチフィルタ
606 速度の関数としてのゲイン
610 操舵へ出力
612 位相シフト
614 速度の関数としてのゲイン
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】