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特表2024-521999結合負荷に対する負荷電圧を使用した電気的投入時点の決定
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-05
(54)【発明の名称】結合負荷に対する負荷電圧を使用した電気的投入時点の決定
(51)【国際特許分類】
   H01H 9/54 20060101AFI20240529BHJP
   H01H 7/16 20060101ALI20240529BHJP
   H01H 9/56 20060101ALI20240529BHJP
   H01H 33/59 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
H01H9/54 H
H01H9/54 A
H01H7/16
H01H9/56
H01H9/54 F
H01H33/59 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574654
(86)(22)【出願日】2022-05-24
(85)【翻訳文提出日】2024-01-17
(86)【国際出願番号】 EP2022064135
(87)【国際公開番号】W WO2022253653
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】202121025032
(32)【優先日】2021-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523380173
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソナグラ,メフルバーイー・ガンシャイアンバーイー
(72)【発明者】
【氏名】パリーク,ウルミル
(72)【発明者】
【氏名】スタネック,ミヒャエル
【テーマコード(参考)】
5G028
5G034
【Fターム(参考)】
5G028AA24
5G028FB01
5G028FD04
5G034AA20
5G034AC09
5G034AD01
(57)【要約】
結合負荷の電気的投入時点を検出する方法が提供される。スイッチング装置を介した電気機器の通電動作中に、電気機器の1つまたは複数の相のうちの各相について測定された端子電圧が電圧測定装置から取得され、電気機器の相は互いに電気的または磁気的に結合される。さらに、電気機器に関連する回路構成パラメータが取得される。電気機器の測定された端子電圧のうちの1つまたは複数とマッピングテーブルとに基づいて、電気機器の1つまたは複数の相について処理電圧が決定される。マッピングテーブルは、回路構成パラメータと、測定された端子電圧のうちの1つまたは複数に対して実行される計算との間のマッピングを含む。処理電圧に基づいて、電気機器の通電動作を監視するために、1つまたは複数の相のうちの相に関連するスイッチング装置の極の電気的投入時点が決定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング装置を介した電気機器の通電動作中に、前記電気機器の1つまたは複数の相のうちの各相の測定された端子電圧を電圧測定装置から取得することであって、前記電気機器の前記相は互いに電気的または磁気的に結合される、取得することと、
前記電気機器に関連する回路構成パラメータを取得することと、
前記電気機器の前記測定された端子電圧のうちの1つまたは複数とマッピングテーブルとに基づいて、前記電気機器の前記1つまたは複数の相について処理電圧を決定することであって、前記マッピングテーブルは、前記回路構成パラメータと、前記測定された端子電圧のうちの1つまたは複数に対して実行される計算との間のマッピングを含む、決定することと、
前記処理電圧に基づいて、前記電気機器の前記通電動作を監視するために、前記1つまたは複数の相のうちの相に関連する前記スイッチング装置の極の電気的投入時点を決定することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記電気機器の前記通電動作を監視することは、
前記通電動作中の前記スイッチング装置の前記極の前記決定された電気的投入時点に基づいて投入時間を評価することと、
誤差を決定するために、前記投入時間を前記回路構成パラメータに対する期待投入時間と比較することと、
後続の通電動作の性能を改善するために、前記決定された誤差に基づいて、前記スイッチング装置の前記極の閉鎖時間に補正を適用することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電気機器が磁気回路を有する誘導性である場合、前記処理電圧を決定することは、巻線電圧を決定することを含み、前記巻線電圧は、前記電気機器の各相に鎖交する磁束を生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記電気機器がキャパシタバンクである場合、前記処理電圧を決定することは、前記電気機器の各相に対する等価容量の両端の電圧を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記電圧測定装置は、前記スイッチング装置の負荷側に接続される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記処理電圧の上昇勾配が第1の電圧ピークに達するために所定の相ごとの閾値と交差する場合に、前記スイッチング装置の前記極の前記電気的投入時点を、前記上昇勾配の開始に対応する時点として決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記所定の相ごとの閾値は、前記電気機器のノイズ、干渉、またはサブプロパティのうちの1つまたは複数に対応する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記回路構成パラメータは、電圧測定装置の接続構成、前記電圧測定装置の位置、前記電圧測定装置のタイプ、前記電気機器の設計特性、巻線の数およびそれらの接続構成、制御されたスイッチングが実行される巻線構成のタイプ、および前記電気機器のスイッチングシーケンスのうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記1つまたは複数の相のうちの任意の1つの相または前記1つまたは複数の相のうちの任意の2つの相の前記測定された端子電圧は、前記マッピングテーブルに基づいて、前記1つまたは複数の相のうちの任意の他の相に関連する前記スイッチング装置の前記極の前記電気的投入時点を検出するために前記処理電圧を決定するために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記電気機器は、変圧器、デルタ接続もしくは非接地キャパシタバンク、デルタ接続もしくは非接地非磁気結合リアクトル、または磁気結合リアクトルのうちのいずれか1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
スイッチング装置に接続され、プロセッサを備える装置であって、前記プロセッサは、
前記スイッチング装置を介した電気機器の通電動作中に、前記電気機器の1つまたは複数の相のうちの各相の測定された端子電圧を電圧測定装置から取得し、前記電気機器の前記相は互いに電気的または磁気的に結合され、
前記電気機器に関連する回路構成パラメータを取得し、
前記電気機器の前記測定された端子電圧のうちの1つまたは複数とマッピングテーブルとに基づいて、前記電気機器の前記1つまたは複数の相について処理電圧を決定し、前記マッピングテーブルは、前記回路構成パラメータと、前記測定された端子電圧のうちの1つまたは複数に対して実行される計算との間のマッピングを含み、
前記処理電圧に基づいて、前記電気機器の通電動作を監視するために、前記1つまたは複数の相のうちの相に関連する前記スイッチング装置の極の電気的投入時点を決定する
ように構成される、装置。
【請求項12】
前記電気機器の前記通電動作を監視するために、前記プロセッサは、
前記通電動作中の前記スイッチング装置の前記極の前記電気的投入時点に基づいて投入時間を評価し、
誤差を決定するために、前記投入時間を前記回路構成パラメータに対する期待投入時間と比較し、
後続の通電動作の性能を改善するために、前記誤差に基づいて、前記スイッチング装置の前記極の閉鎖時間に補正を適用する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記電気機器が磁気回路を有する誘導性である場合、前記プロセッサは、巻線電圧を決定することによって前記処理電圧を決定し、前記巻線電圧は、前記電気機器の各相に鎖交する磁束を生成し、
前記電気機器がキャパシタバンクである場合、前記プロセッサは、前記電気機器の各相に対する等価容量の両端の電圧を決定することによって前記処理電圧を決定する、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記プロセッサは、
前記処理電圧の上昇勾配が第1の電圧ピークに達するために所定の相ごとの閾値と交差する場合に、前記スイッチング装置の前記極の前記電気的投入時点を、前記上昇勾配の開始に対応する時点として決定し、
前記所定の相ごとの閾値は、前記電気機器のノイズ、干渉、またはサブプロパティのうちの1つまたは複数に対応する、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記回路構成パラメータは、電圧測定装置の接続構成、前記電圧測定装置の位置、前記電圧測定装置のタイプ、前記電気機器の設計特性、巻線の数およびそれらの接続構成、制御されたスイッチングが実行される巻線構成のタイプ、および前記電気機器のスイッチングシーケンスのうちの1つまたは複数を含み、
前記電気機器は、変圧器、デルタ接続もしくは非接地キャパシタバンク、デルタ接続もしくは非接地非磁気結合リアクトル、または磁気結合リアクトルのうちのいずれか1つである、
請求項11に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本主題は、一般に、電気的投入時点の決定に関する。特に、本主題は、結合負荷に対する負荷電圧を使用した電気的投入時点の決定に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
回路遮断器などのスイッチング装置は、変圧器、リアクトルバンク、またはキャパシタバンクなどの電気機器の制御されたスイッチングのための電力システムで一般的に使用される。電力システムの動作中、電気機器は、それに接続された回路遮断器を使用してオンおよびオフに切り替えられ得る。電気機器のスイッチオンおよびスイッチオフは、それぞれ通電および非通電と呼ばれ得る。電気機器の通電および非通電は、負荷変動、故障検出などの様々な要因を考慮して行われる。電気機器の1つの相は、電気機器の他の相に電気的に、磁気的に、またはその両方で結合されてもよい。回路遮断器接点が係合または閉鎖し、電気機器の通電のために電流信号が生成される時点は、回路遮断器の電気的投入時点と呼ばれ得る。被制御スイッチング装置(CSD)は、実際の電気的投入時点を対応する目標電気的投入時点と比較してもよく、比較に基づいて、後続の通電のために回路遮断器の動作時間を最適化する。この適応補正のプロセスは、回路遮断器の動作特性に影響を及ぼし得る経年劣化、接点の損耗、ガス圧の変動などの影響による動作変動などの系統的変化を補償する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
概要
本発明の実施形態は、電気機器の通電のための回路遮断器などのスイッチング装置の電気的投入時点を決定するための方法を提供する。電気機器を通電するための回路遮断器の動作の実際の時点の決定は、電気的投入時点と呼ばれ得る。制御されたスイッチングのためのスイッチング装置の電気的投入時点を決定し、結合負荷の通電動作を監視するための装置が提供され、制御されたスイッチングのためのスイッチング装置の電気的投入時点を決定し、結合負荷の通電動作を監視するための命令を含むコンピュータ可読記憶媒体が提供される。本発明の実施形態の目的は、結合負荷の最適化された制御されたスイッチングおよび通電動作の監視を容易にするために、結合負荷の2つ以上の相の実際の電気的投入時点の正確な評価を含む。本発明の実施形態は、端子電圧測定値に基づいて電気的投入時点を検出するための迅速かつ簡単な手法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様によれば、電気機器の通電動作を監視するためのスイッチング装置の電気的投入時点を決定するための方法が提供される。方法は、スイッチング装置を介した電気機器の通電動作中に、電気機器の1つまたは複数の相のうちの各相の測定された端子電圧を電圧測定装置から取得することを含み、電気機器の相は互いに電気的または磁気的に結合される。さらに、電気機器に関連する回路構成パラメータが取得される。さらに、電気機器の測定された端子電圧のうちの1つまたは複数とマッピングテーブルとに基づいて、電気機器の1つまたは複数の相について処理電圧が決定される。マッピングテーブルは、回路構成パラメータと、処理電圧を決定するために測定された端子電圧のうちの1つまたは複数に対して実行される計算との間のマッピングを含む。処理電圧に基づいて、電気機器の通電動作を監視するために、1つまたは複数の相のうちの相に関連するスイッチング装置の極の電気的投入時点が決定される。
【0005】
第2の態様によれば、スイッチング装置に接続され、プロセッサを備える装置が提供され、プロセッサは、スイッチング装置を介した電気機器の通電動作中に、電気機器の1つまたは複数の相のうちの各相の測定された端子電圧を電圧測定装置から取得するように構成され、電気機器の相は互いに電気的または磁気的に結合される。さらに、電気機器に関連する回路構成パラメータが取得される。さらに、電気機器の測定された端子電圧のうちの1つまたは複数とマッピングテーブルとに基づいて、電気機器の1つまたは複数の相について処理電圧が決定される。マッピングテーブルは、回路構成パラメータと、処理電圧を決定するために測定された端子電圧のうちの1つまたは複数に対して実行される計算との間のマッピングを含む。処理電圧に基づいて、電気機器の通電動作を監視するために、1つまたは複数の相のうちの相に関連するスイッチング装置の極の電気的投入時点が決定される。
【0006】
一実施態様によれば、電気機器の通電動作を監視することは、通電動作中のスイッチング装置の極の決定された電気的投入時点に基づいて投入時間を評価することを含む。さらに、誤差を決定するために、投入時間を回路構成パラメータに対する期待投入時間と比較する。後続の通電動作の性能を改善するために、決定された誤差に基づいて、スイッチング装置の極の閉鎖時間に補正を適用する。
【0007】
一実施態様によれば、電気機器が磁気回路を有する誘導性である場合、処理電圧を決定するステップは、巻線電圧を決定することを含み、巻線電圧は、電気機器の各相に鎖交する磁束を生成する。
【0008】
一実施態様によれば、電気機器がキャパシタバンクである場合、処理電圧を決定するステップは、電気機器の各相に対する等価容量の両端の電圧を決定することを含む。
【0009】
一実施態様によれば、各相に対する測定された端子電圧は、スイッチング装置の負荷側に接続された電圧測定装置から取得される。
【0010】
一実施態様によれば、スイッチング装置の極の電気的投入時点は、処理電圧の上昇勾配が第1の電圧ピークに達するために所定の相ごとの閾値と交差する場合に、上昇勾配の開始に対応する時点として決定される。
【0011】
一実施態様によれば、所定の相ごとの閾値は、電気機器のノイズ、干渉、またはサブプロパティのうちの1つまたは複数に対応する。
【0012】
一実施態様によれば、回路構成パラメータは、電圧測定装置の接続構成、電圧測定装置の位置、電圧測定装置のタイプ、電気機器の設計特性、巻線の数およびそれらの接続構成、制御されたスイッチングが実行される巻線構成のタイプ、および電気機器のスイッチングシーケンスのうちの1つまたは複数を含む。
【0013】
一実施態様によれば、1つまたは複数の相のうちの任意の1つの相または1つまたは複数の相のうちの任意の2つの相の測定された端子電圧は、マッピングテーブルに基づいて、1つまたは複数の相のうちの任意の他の相に関連するスイッチング装置の極の電気的投入時点を検出するために処理電圧を決定するために使用される。
【0014】
一実施態様によれば、電気機器は、変圧器、デルタ接続もしくは非接地キャパシタバンク、デルタ接続もしくは非接地非磁気結合リアクトル、または磁気結合リアクトルのうちのいずれか1つである。
【0015】
図面の簡単な説明
本主題の特徴、態様、および利点は、以下の説明および添付の図面に関してよりよく理解されよう。異なる図における同じ参照番号の使用は、類似または同一の特徴および構成要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本主題の一実施形態による、電気機器の通電動作を監視するためのブロック図を示す。
図2(a)】本主題の一実施形態による、変圧器の通電動作を監視するための第1の構成のブロック図を示す。
図2(b)】本主題の一実施形態による、第1の構成に対して取得された線対接地測定端子電圧を示す。
図2(c)】本主題の一実施形態による、第1の構成に対して決定された処理電圧を示す。
図2(d)】本主題の一実施形態による、第1の構成に対する所定の相ごとの閾値に基づく処理電圧信号の補償を示す。
図3(a)】本主題の一実施形態による、変圧器の通電動作を監視するための第2の構成のブロック図を示す。
図3(b)】本主題の一実施形態による、第2の構成に対して取得された線間測定端子電圧を示す。
図3(c)】本主題の一実施形態による、第2の構成に対して決定された導出された巻線電圧を示す。
図3(d)】本主題の一実施形態による、第2の構成に対して決定された処理電圧を示す。
図4(a)】本主題の一実施形態による、変圧器の通電動作を監視するための第3の構成のブロック図を示す。
図4(b)】本主題の一実施形態による、第3の構成に対して取得された線対接地測定端子電圧を示す。
図4(c)】本主題の一実施形態による、第3の構成に対する導出された巻線電圧を示す。
図4(d)】本主題の一実施形態による、第3の構成に対して決定された処理電圧を示す。
図5(a)】本主題の一実施形態による、デルタ接続キャパシタバンクの通電動作を監視するための第4の構成のブロック図を示す。
図5(b)】本主題の一実施形態による、第4の構成に対して取得された線対接地測定端子電圧を示す。
図5(c)】本主題の一実施形態による、第4の構成に対して導出された相ごとの等価電圧を示す。
図5(d)】本主題の一実施形態による、第4の構成に対して決定された処理電圧を示す。
図6】本主題の一実施形態による、スイッチング装置の電気的投入時点を決定するための方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
本主題は、スイッチング装置の電気的投入時点を決定することに関する。以下では、結合負荷の通電動作を監視するためのスイッチング装置の電気的投入時点を決定することについて説明する。以下、スイッチング装置を回路遮断器とも称している。閉鎖指令に応答した回路遮断器の接点の動作の時点は、回路遮断器の電気的投入時点として定義される。一例では、回路遮断器の各極は、電気機器の相に関連付けられてもよい。説明のために、本明細書で言及される結合負荷は、電気機器であってもよい。電気機器は、磁気的に、電気的に、またはその両方で結合された1つまたは複数の相を有し得る。例えば、デルタ接続または非接地中性接続を有する電気機器は電気的に結合されていると考えられ、3脚コアを有する電気機器は磁気的に結合されていると考えられる。
【0018】
1つの技術では、電流フィードバック信号を使用して、回路遮断器の電気的投入時点を決定する。この技術は、一般に、リアクトルバンクまたはキャパシタバンクなどの電気機器に適用可能である。他の技術では、負荷電圧信号を使用して、回路遮断器の電気的投入時点を決定する。変圧器などの電気機器の場合、または伝送線路用途の場合、負荷電圧信号は、電気的投入時点を決定するために使用される。
【0019】
1つまたは複数の相が電気的または磁気的に結合される電気機器では、電気機器の第1の相に関連する回路遮断器の第1の極が閉じられると、負荷電圧が電気機器に関連する2つ以上の相に現れる。これは、電気機器の各相に対する電気的投入時点を決定することが難題になるため、望ましくない。したがって、電気機器の各相に対する個々の電気的投入時点を区別することは難題であり得る。変圧器などの電気機器の場合、変圧器の各相に対する最適なスイッチング時点は、変圧器コア残留磁束パターンから決定することができる。変圧器の場合、変圧器コア残留磁束パターンを決定するために、変圧器端子電圧の測定および巻線電圧の数学的積分を実行してもよい。直接負荷電圧から取得された残留磁束に基づいて、最適な電気的投入時点を決定してもよい。直接負荷電圧信号から個々の電気的投入時点を検出することは、電気的および/または磁気的に結合された負荷の投入時点の誤検出をもたらし得る。
【0020】
本主題は、測定された端子電圧のうちの1つまたは複数とマッピングテーブルとに基づいて処理電圧を決定することによって、電気機器の2つ以上の相に対する電気的投入時点を決定するための方法および装置を提供する。回路遮断器などのスイッチング装置の電気的投入時点は、電気機器の通電動作を監視するために利用され得る。電気機器は、電気的に、磁気的に、またはその両方で結合されてもよい。本主題の原理は、電気機器としての変圧器に関して主に説明されているが、電気機器の相が互いに結合され得るキャパシタバンク、リアクトルバンクなどの他の電気機器にも同じ原理が適用可能である。
【0021】
動作において、一例では、スイッチング装置を介した電気機器の通電動作中に、電気機器の1つまたは複数の相のうちの各相について測定された端子電圧が電圧測定装置から取得され、電気機器の相は互いに電気的または磁気的に結合される。さらに、電気機器に関連する回路構成パラメータが取得される。電気機器の測定された端子電圧のうちの1つまたは複数とマッピングテーブルとに基づいて、電気機器の1つまたは複数の相について処理電圧が決定される。さらに、処理電圧に基づいて、電気機器の通電動作を監視するために、1つまたは複数の相のうちの相に関連するスイッチング装置の極の電気的投入時点が決定される。
【0022】
したがって、本主題は、処理電圧から電気機器の各相に対する個々の電気的投入時点を区別することによって、結合負荷の迅速かつ最適化された制御されたスイッチングのための電気的投入時点の正確な決定を提供する。本主題は、電気機器の通電動作を監視して後続の通電動作の性能を改善するために、電気機器の個々の相に対する電気的投入時点を高い信頼性で検出するための迅速かつ簡単な手法を提供する。
【0023】
本主題の上記および他の特徴、態様、および利点は、以下の記載および添付の図面に関してよりよく説明されよう。可能な限り、同じまたは類似の部分を指すために、図面および以下の説明において同じ参照番号が使用される。いくつかの例が記載されるが、変更、適合、および他の実装も可能である。
【0024】
図1は、本主題の一実施形態による、電気機器の通電動作を監視するためのブロック図を示す。電気回路網100は、例えば3相電気回路網であってもよい。電気回路網100は、回路網100の3相に電力を供給する電源102を備える。一例では、電源102は、同期発電機、インバータベースの電源、またはバスバー源などの発電機であってもよい。電気機器104は、結合負荷、すなわち、電気機器の1つまたは複数の相が電気的または磁気的に互いに結合された電気機器であってもよい。一例では、電気機器104は、電気および/または磁気結合変圧器、デルタ接続キャパシタバンク、非接地キャパシタバンク、デルタ接続リアクトル、非接地非磁気結合リアクトル、または磁気結合リアクトルであってもよい。電気機器104は、回路遮断器106などのスイッチング装置106の負荷側105に接続され得る。回路遮断器106の各極は、電気機器104の相に関連付けられてもよい。
【0025】
電気回路網100は、回路網に関連付けられ得るが簡潔にするために示されていない様々なパラメータを監視、検知、および制御するための複数の追加の構成要素または装置を含み得ることが理解されよう。例えば、追加の回路遮断器、センサ、変流器、電圧変圧器、伝送線路に接続された負荷、分路リアクトル、インテリジェント電子装置(IED)、保護リレーなどの構成要素が回路網に接続されてもよい。
【0026】
装置108は、電気機器104に関連する電圧測定値を受信し得る。一例では、装置108はIEDであり得る。他の例では、装置108は、IEDから測定値を受信し得るサーバ、デスクトップ装置、ラップトップなどの任意のコンピューティング装置であってもよい。一例では、装置108は、スイッチング装置に接続されてもよい。他の例では、装置108は、スイッチング装置の一部であってもよい。一例では、スイッチング装置をオン(閉じる)またはオフ(開く)にするために、信号がスイッチング装置106に直接印加されてもよい。回路遮断器のオンまたはオフのスイッチングは、電気機器104の制御されたスイッチングに使用され得る。
【0027】
一例では、本主題は、1つまたは複数のモジュールによって実施され得る。モジュールは、1つまたは複数のプロセッサによって実行可能な命令として実装されてもよい。例えば、装置108が結合負荷に対する回路遮断器の電気的投入時点を決定するための方法を実行する例では、モジュールは装置108のプロセッサによって実行される。本方法が部分的に装置108によって実施され、部分的にサーバによって実施される場合、モジュールは(ステップに応じて)、それに応じて装置108とサーバとの間で分散される。
【0028】
一例では、装置108は、変流器、電位変圧器、ロゴスキーコイル、または他の測定センサなど、電気回路網100に接続された様々な測定機器から入力測定信号を受信するように構成されてもよい。一例では、装置108は、電圧測定装置(図示せず)から電気機器104の測定された端子電圧を取得するように構成されてもよい。装置108は、プロセッサ110の助けを借りて、取得された電圧測定値を処理してもよい。プロセッサ110は、専用プロセッサ、共有プロセッサ、または複数の個別プロセッサとして実装されてもよく、そのうちのいくつかは共有されてもよく、そのうちのいくつかは装置108上にあってもよく、その他は他の装置上にあってもよい。装置108は、プロセッサ110に通信可能に接続され得るメモリ112を備え得る。他の機能のうちでもとりわけ、プロセッサ110は、メモリ112に記憶されたコンピュータ可読命令をフェッチして実行し得る。一例では、メモリ112は、代替的にEMIDモジュール114と呼ばれる電気的投入時点検出モジュール114を実装するためにプロセッサ110によって実行され得る命令を記憶し得る。他の例では、EMIDモジュール114を実装するための命令は、外部メモリ内の装置108の外部のメモリに記憶されてもよい。メモリ112は、例えば、RAMなどの揮発性メモリ、またはEPROM、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリを含む任意の非一時的コンピュータ可読媒体を含み得る。
【0029】
一例では、電気機器104の通電動作を監視するための回路遮断器106の電気的投入時点を決定する方法は、EMIDモジュール114を実装することによってプロセッサ110によって実行されてもよい。決定のために、電気機器104の各相について測定された端子電圧が取得されてもよい。一例では、各相に対する測定された端子電圧は、電気機器104の通電動作中に、回路遮断器106の負荷側105に接続された電圧測定装置から取得されてもよく、電気機器104は回路遮断器106を介して通電される。測定された端子電圧を取得すると、装置108は、電気機器104に関連する回路構成パラメータを取得し得る。一例では、回路構成パラメータは、ユーザから取得され得る。他の例では、回路構成パラメータは、外部装置から取得され得る。
【0030】
電源102、回路遮断器106、電気機器104、および測定装置(図示せず)は、回路を備える。回路構成パラメータは、電圧測定装置の接続構成、電圧測定装置の位置、電圧測定装置のタイプ、電気機器の設計特性、巻線の数およびそれらの接続構成、制御されたスイッチングが実行される電気機器のタイプ、および電気機器のスイッチングシーケンスなどのうちの1つまたは複数を含み得る。電圧測定装置の接続構成は、電圧測定装置の巻線がどのように接続されるかを指し得る。例えば、電圧測定装置の接続構成は、電圧測定装置がスター接地またはデルタ接続された電位変圧器であることを示し得る。電圧測定装置の位置とは、電圧測定装置が接続される電気機器の側を指す。例えば、電気機器がスターデルタ変圧器である場合、電圧測定装置の位置は、変圧器のスター側、または変圧器のデルタ側に接続されている電圧測定装置を指し得る。変圧器などの電気機器の設計特性は、変圧器のコア設計、巻線上のデルタ接続がどのように形成されるかなどを含み得る。スイッチングシーケンスとは、電気機器の相に関連する回路遮断器の極が閉じられる順序を指す。制御されたスイッチングが実行される電気機器104の特性は、例えば、変圧器、キャパシタバンク、またはリアクトルバンク、および電気機器のすべての巻線の接続構成であってもよい。
【0031】
測定された端子電圧および回路構成パラメータを取得すると、装置108は、電気機器104の1つまたは複数の相について処理電圧を決定し得る。処理電圧は、測定された端子電圧のいずれか1つであってもよく、または1つまたは複数の測定された端子電圧に基づいて取得されてもよい。
【0032】
一例では、電気機器104が磁気回路を有する誘導性である場合、処理電圧を決定するステップは、巻線電圧を決定することによって実行されてもよく、巻線電圧は、電気機器104の各相に鎖交する磁束を生成する。さらに他の例では、電気機器104がキャパシタバンクである場合、処理電圧を決定するステップは、電気機器104の各相に対する等価容量の両端の電圧を決定することによって実行されてもよい。
【0033】
取得された回路構成パラメータに対する測定された端子電圧から処理電圧を決定するために、マッピングテーブルが使用され得る。マッピングテーブルは、回路構成パラメータと、処理電圧を決定するために測定された端子電圧に対して実行される計算との間のマッピングを含み得る。一例では、マッピングテーブルは、回路解析によって理論的に決定されてもよい。一例では、マッピングテーブルは、メモリ112に記憶されてもよい。他の例では、マッピングテーブルは、装置108によってアクセスされ得る外部メモリに記憶されてもよい。一例では、マッピングテーブルは、装置108で事前構成されてもよい。以下に示す表1は、電気機器が変圧器である例示的な回路構成に対する例示的なマッピングテーブルを表す。マッピングテーブルは、他の回路構成についても同様に入力され得ることが理解されよう。さらに、原理は、電気的結合、磁気的結合、または電気的結合と磁気的結合の両方を有する任意の電気機器に拡張することができる。例えば、原理は、1つまたは複数の相が互いに電気的に結合されているデルタ接続キャパシタバンク、または磁気結合を有する3脚リアクトルに拡張されてもよい。
【0034】
表1は、変圧器スイッチング巻線構成と、処理電圧を決定するために巻線電圧に対して実行される計算との間のマッピングを示す。測定された端子電圧は、変圧器の各相について取得され得る。巻線電圧は、電圧測定の接続タイプ、電圧測定の位置、および電圧測定が行われる電気機器の巻線の接続構成に基づいて、測定された端子電圧から導出されてもよい。巻線電圧は、電圧測定装置の構成に関係なく、測定された端子電圧が取得される側に関係なく、所与の変圧器構成に対して同じままである。
【0035】
【表1】
【0036】
表1は、変圧器スイッチング巻線構成のリストを表す。変圧器スイッチング巻線構成は、変圧器が通電される側の巻線構成を表す。表1は、いくつかの例示的な変圧器スイッチング構成を表し、Ynはスター接地巻線構成を表し、Yはスター非接地巻線構成を表し、D1は各相について変圧器に通電される側の端子の電圧が巻線電圧に対して30度遅れるデルタ構成を表し、D11は各相について変圧器に通電される側の端子の電圧が巻線電圧に対して30度進むデルタ巻線構成を表し、D5は各相について変圧器に通電される側の端子の電圧が巻線電圧に対して150度遅れるデルタ巻線構成を表し、D7は各相について変圧器に通電される側の端子の電圧が巻線電圧に対して150度進むデルタ巻線構成を表し、Zn1は各相について変圧器に通電される側の端子の電圧が巻線電圧に対して30度遅れるジグザグ接地の巻線構成を表し、Zn11は各相について変圧器に通電される側の端子の電圧が巻線電圧に対して30度進むジグザグ接地の巻線構成を表す。
【0037】
また、表1はL1-L3-L2のスイッチングシーケンスを表す。L1-L3-L2のスイッチングシーケンスでは、L1は、第1のスイッチング相L1と呼ばれる変圧器の第1の相に関連する回路遮断器の第1の極に対応してもよく、L3は、第2のスイッチング相L3と呼ばれる変圧器の第3の相に関連する回路遮断器の第3の極に対応してもよく、L2は、第3のスイッチング相L2と呼ばれる変圧器の第2の相に関連する回路遮断器の第2の極に対応してもよい。したがって、スイッチングシーケンスL1-L3-L2は、その相に関連する回路遮断器の極を閉じることによって、電気機器の相を1-3-2の順序で通電することに対応する。
【0038】
処理電圧を決定するために、装置108は、測定された端子電圧および回路構成パラメータを取得し得る。一例では、回路構成パラメータは、変圧器の通電側および従うべき通電のためのスイッチングシーケンスなどの詳細を含む。取得された回路構成パラメータに基づいて、装置108は、マッピングテーブルに基づいて処理電圧を決定し得る(この例については表1を参照)。
【0039】
表1に提供されているマッピング関係に基づいて、第1の行から、スター接地側から通電されている変圧器の場合、従うべきスイッチングシーケンスがL1-L3-L2であるとき、処理電圧は、以下に説明するように、第1のスイッチング相L1および第2のスイッチング相L3に対して決定され得ることが理解され得る。
【0040】
変圧器の第1のスイッチング相L1に対する処理電圧は、以下の式(1)に示すように決定され得る。
【0041】
Vp1=(Vw1-Vw2)/sqrt(3) (1)
ここで、Vp1は変圧器の第1のスイッチング相L1に対する処理電圧であり、Vw1およびVw2はそれぞれ変圧器の第1のスイッチング相および第3のスイッチング相の巻線電圧である。巻線電圧Vw1およびVw2は、マッピングテーブルに基づいて、変圧器の1つまたは複数の相の測定された端子電圧から計算され得る。一例では、巻線電圧は、電圧測定装置の接続構成および測定された端子電圧が取得される変圧器巻線接続のタイプに基づいてもよい。一例では、巻線電圧は、測定された端子電圧と同じであってもよい。他の例では、巻線電圧は、変圧器の任意の1つの相または相の組合せの測定された端子電圧であってもよい。
【0042】
同様に、変圧器の第2のスイッチング相L3に対する処理電圧は、以下の式(2)に示すように決定され得る。
【0043】
Vp3=(Vw2-Vw3)/sqrt(3) (2)
ここで、Vp3は変圧器の第2のスイッチング相L3に対する処理電圧であり、Vw3は第2のスイッチング相L3の巻線電圧である。この例では、第1の時間時点で第1のスイッチング相L1を、第2の時間時点で第2のスイッチング相L3を通電すると、第3の極L2に対する結果として生じる磁束がロックされるため、第3のスイッチング相L2の電気的投入時点を決定することは無関係であり得る。
【0044】
他の例を考慮すると、変圧器がスター非接地側から通電され、従うべき通電のためのスイッチングシーケンスがL1-L3-L2であるなど、回路構成パラメータの詳細については、処理電圧を決定するために表1の第2行が参照され得る。表1は、スター非接地側から通電される変圧器について、L1-L3-L2のスイッチングシーケンスで、処理電圧が第3のスイッチング相L2および第2のスイッチング相L3について決定され得ることを示している。変圧器の第3のスイッチング相L2に対する処理電圧は、以下の式(3)に示すように決定され得る。
【0045】
Vp2=Vw2 (3)
ここで、Vp2は変圧器の第3のスイッチング相L2に対する処理電圧である。同様に、変圧器の第2のスイッチング相L3に対する処理電圧は、以下の式(4)に示すように決定され得る。
【0046】
Vp3=Vw3 (4)
ここで、Vp3は変圧器の第2のスイッチング相L3に対する処理電圧であり、Vw3は変圧器の第2のスイッチング相L2の巻線電圧である。
【0047】
処理電圧は、電気機器104の相に関連するスイッチング装置の極の電気的投入時点を決定するためにさらに使用され得る。一例では、スイッチング装置の極の電気的投入時点は、処理電圧の上昇勾配が第1の電圧ピークに達するために所定の相ごとの閾値と交差する場合に、上昇勾配の開始に対応する時点として決定され得る。一例では、所定の相ごとの閾値は、電気機器のノイズ、干渉、またはサブプロパティのうちの1つまたは複数に対応する。電気機器のサブプロパティは、3脚コア設計変圧器の場合には等しくない磁束経路長、またはリアクトルの場合には等しくない磁束経路長などの電気機器の設計特質を指してもよい。
【0048】
スイッチング装置の極の電気的投入時点は、電気機器104の通電動作を監視するために決定され得る。一例では、装置108は、電気機器104の通電動作を監視することを実行し、通電動作中に評価されたスイッチング装置の極の決定された電気的投入時点に基づく投入時間を評価することを含む。スイッチング装置の極の投入時間は、スイッチング装置が閉鎖指令を受信してから、決定された電気的投入時点を経て回路が電気的に閉鎖されたことが検出されるまでの時間である。誤差を決定するために、評価された投入時間を取得された回路構成パラメータに対する期待投入時間と比較してもよい。誤差に基づいて、スイッチング装置の極の現在の閉鎖時間に補正を適用して、後続の動作のための閉鎖時間を決定し、後続の通電動作のスイッチング性能の改善を達成してもよい。
【0049】
さらに、装置108は、電気的投入時点決定モジュール114から取得された結果を、例えばサーバに通信するための出力インターフェース116を備え得る。出力インターフェース116は、ネットワークエンティティ、ウェブサーバ、データベース、および外部リポジトリなどの他の通信、ストレージ、およびコンピューティング装置、ならびに周辺機器との対話を可能にする様々なコンピュータ可読命令ベースのインターフェースおよびハードウェアインターフェースを含み得る。一例では、電気的投入時点値、通電目標、電圧および電流測定値などは、出力インターフェース116に接続された、または装置108と一体化されたディスプレイ(図示せず)上で見られてもよい。
【0050】
したがって、本主題は、結合負荷の通電動作を監視するための電気的投入時点の正確な決定を容易にする。本主題の教示が適用され得る様々な例示的なシナリオが、図2(a)~図5(d)を参照して説明される。
【0051】
図2(a)は、本主題の一実施形態による、変圧器の通電動作を監視するための第1の構成200のブロック図を示す。第1の構成200は、代替的に変圧器202と呼ばれるスター接地-デルタ(YNd11)3脚コア変圧器202を示す。YNd11変圧器202のYN記号は、変圧器202が第1の側202Aでスター接地されていることを示し、d記号は、変圧器202が第2の側202Bでデルタ接続で接続されていることを示す。YNd11接続は、第2の側202Bから測定された変圧器の相の端子電圧が、第1の側202Aから測定された端子電圧に対して30度進むことを示す。また、変圧器202の第2の側202Bには負荷が接続されていない。変圧器202の3脚コアは磁気結合をもたらし、デルタ接続は変圧器202の電気結合をもたらし、したがって変圧器202は磁気的および電気的に結合される。
【0052】
3相交流(AC)電源204は、変圧器202に電力を供給する。一例では、電源204は、変圧器202の3相に電力を供給し得る。電源204と変圧器202との間には、回路遮断器206が接続される。回路遮断器206の各極は、変圧器202の相に関連付けられる。第1の部分208は回路遮断器206の電源側を表し、第2の部分210は回路遮断器206の負荷側210を表す。変圧器202は、回路遮断器206の負荷側210に接続される。
【0053】
第1の構成200では、変圧器202は、変圧器202のスター接地側である第1の側202Aから通電される。電圧測定装置212は、変圧器202の各相の端子電圧を測定し得る。この構成200では、電圧測定装置212は、変圧器202の通電の同じ側、すなわち変圧器202のスター接地側に接続される。しかしながら、他の例示的な構成では、電圧測定装置は、変圧器202の任意の側に配置されてもよい。
【0054】
第1の構成200の装置214は、回路遮断器206の電源側から測定された基準信号を取得し得る。一例では、測定される基準信号は、3つの相のうちの任意の1つまたは複数であってもよい。基準信号は、線対接地電圧測定値または線間電圧測定値のいずれかであってもよい。基準信号は、回路遮断器206をそれぞれ閉鎖または開放するための閉鎖または開放指令を生成するために、装置214によって取得され得る。さらに、装置214は、回路遮断器206の負荷側210から測定された変圧器202の測定された端子電圧を取得し得る。装置214によって取得された測定された端子電圧は、変圧器202の1つまたは複数の相のうちの相に関連する回路遮断器206の極の電気的投入時点を決定するために使用されてもよく、これはあるいは回路遮断器206の実際の動作時点と呼ばれる。回路遮断器206の電気的投入時点は、変圧器202の通電動作を監視するために決定され得る。
【0055】
電圧測定装置212から各相の測定された端子電圧を受信すると、装置214は回路構成パラメータを取得し得る。一例では、回路構成パラメータは、ユーザによって提供され得る。他の例では、回路構成パラメータは、他の装置から取得され得る。回路構成パラメータは、電圧測定装置の接続構成、電圧測定装置の位置、電圧測定装置のタイプ、電気機器の設計特性、巻線の数およびそれらの接続構成、制御されたスイッチングが実行される巻線構成のタイプ、および電気機器のスイッチングシーケンスなどのうちの1つまたは複数を含み得る。測定された端子電圧および回路構成パラメータを取得すると、装置214は、処理電圧を決定し得る。
【0056】
装置214は、変圧器202の測定された端子電圧のうちの1つまたは複数とマッピングテーブルとに基づいて、変圧器202の1つまたは複数の相について処理電圧を決定し得る。マッピングテーブルは、回路構成パラメータと、測定された端子電圧のうちの1つまたは複数に対して実行される計算との間のマッピングを含み得る。第1の構成200では、測定された端子電圧は、変圧器202が通電されている側と同じ側である変圧器202のスター接地側から取得される。第1の構成200では、変圧器の各相について測定された、測定された端子電圧は、変圧器202の巻線電圧に対応する線対接地電圧である。ゼロシーケンス電流の影響を低減するために、変圧器202を通電するために考慮されるスイッチングシーケンスはL1-L3-L2である。スイッチングシーケンスL1-L3-L2の場合、第1のスイッチング相L1とも呼ばれる、変圧器202の第1の相に関連する極が最初に閉じられる。第2のスイッチング相L3とも呼ばれる第3の相に関連する極は、第1の極の後に閉じられ、続いて第3のスイッチング相L2とも呼ばれる第2の相に関連する極が続く。第1のスイッチング相L1は、無視できる残留磁束を考慮して、電源電圧信号の線対接地電圧ピークにおいて通電される。第2のスイッチング相L3は、第1のスイッチング相L1が通電された後、4分の1周期で通電され、第3のスイッチング相L2は、第2のスイッチング相L3が通電されてから事前規定時間後に通電される。一例では、装置214は、装置108に対応する。
【0057】
図2(b)は、本主題の一実施形態による、第1の構成に対して取得された線対接地測定端子電圧を示す。信号220は、第1のスイッチング相L1の線対接地測定端子電圧を示す。信号230は、第2のスイッチング相L3の線対接地測定端子電圧を示し、信号240は、第3のスイッチング相L2の線対接地測定端子電圧を示す。図2(b)から、時間時点t1で第1のスイッチング相L1を通電すると、すなわちt1で変圧器202の第1の相に関連する回路遮断器206の第1の極を閉じると、負荷電圧信号が他の2つの相にも現れることが観察され得る。負荷電圧信号は、変圧器の電気的および磁気的結合に起因して、変圧器202の3相すべてに現れる。この効果に起因して、第2のスイッチング相L3および第3のスイッチング相L2に対する電気的投入時点を決定することは、難題であり得る。
【0058】
第2のスイッチング相L3および第3のスイッチング相L2の電気的投入時点を個別に決定するために、変圧器202から取得された測定された端子電圧がさらに処理される。一例では、時間t1で第1のスイッチング相L1を、時間時点t2で第2のスイッチング相L3を通電すると、第3の極L2に対する結果として生じる磁束がロックされるため、第3のスイッチング相L2の電気的投入時点を決定することは無関係であり得る。したがって、第3のスイッチング相L2の動作時間は、スイッチング装置のスイッチング性能に影響を与えない可能性があり、この構成の最後のスイッチング相の電気的投入時点を監視することは主な関心事ではない。したがって、この構成では、第2の極または第3のスイッチング相L2の電気的投入は決定されなくてもよい。変圧器202の相に関連する回路遮断器の極の電気的投入時点を決定するために、処理電圧が決定され得る。
【0059】
一例では、第1のスイッチング相L1および第2のスイッチング相L3の処理電圧は、測定された端子電圧およびマッピングテーブルに基づいて導出されてもよい。上述したように、マッピングテーブルは、回路構成パラメータと、測定された端子電圧に対して実行される計算との間のマッピングを含む。マッピングテーブルに基づいて、第1の構成200について、処理電圧は、以下に示すように、式(5)から決定され得る。
【0060】
【数1】
【0061】
ここで、Vp1およびVp3は、それぞれ第1のスイッチング相L1および第2のスイッチング相L3に対して決定された処理電圧である。
【0062】
Vm1、Vm2、およびVm3は、変圧器202のスター接地側からそれぞれ測定された第1のスイッチング相、第3のスイッチング相、および第2のスイッチング相の測定された端子電圧である。一例では、処理電圧は、第2のスイッチング相L3についてのみ決定されてもよい。しかしながら、均一性を維持するために、電圧の計算は、第1のスイッチング相L1および第2のスイッチング相L3の両方に適用されてもよい。
【0063】
図2(c)は、本主題の一実施形態による、第1の構成200に対して決定された処理電圧を示す。信号250は、時間時点t1に通電された第1のスイッチング相L1に対する処理電圧を示す。信号260は、時間時点t2に通電された第2のスイッチング相L3に対する処理電圧を示す。図2(c)から、時間時点t1における第1のスイッチング相L1への通電時に、時間時点t1における第2のスイッチング相L3に小さな大きさの処理電圧が現れることが観察され得る。第1のスイッチング相L1の通電はL1投入としてマークされ、第2のスイッチング相L3の通電はL3投入としてマークされる。時間時点t1に第1のスイッチング相L1を通電した後に第2のスイッチング相L3に現れる処理電圧の大きさが小さいのは、電気/磁気結合、干渉、または外部システムの外乱によるノイズに起因する可能性がある。この電圧信号は、第1の構成200について図2(d)に示すように所定の閾値を提供することによって相殺されてもよい。所定の閾値は、代替的に、各相が特定の所定の閾値を有し得るため、所定の相ごとの閾値と呼ばれてもよい。図2(d)に示すような(第2のスイッチング相L3に対する)所定の相ごとの閾値270は、変圧器202のノイズ、干渉、またはサブプロパティのうちの1つまたは複数に対応し得る。変圧器202のサブプロパティは、3脚設計変圧器202などにおける等しくない磁束経路長に対応し得る。補償は、適切な所定の相ごとの閾値270を提供することによって、電気的投入時点の誤った検出を回避する。回路遮断器の極の電気的投入時点は、処理電圧の上昇勾配が第1の電圧ピーク280に達するために所定の相ごとの閾値270と交差する場合に、上昇勾配の開始に対応する時点に決定される。したがって、装置214は、変圧器の通電動作を監視するための処理電圧に基づいて、変圧器202の1つまたは複数の相のうちの相に関連する回路遮断器206の極の電気的投入時点を決定し得る。
【0064】
図3(a)は、本主題の一実施形態による、変圧器の通電動作を監視するための第2の構成300のブロック図を示す。第2の構成300は、代替的に変圧器302と呼ばれるスター接地-デルタ(YNd11)3脚コア変圧器302を示す。YNd11変圧器302のYN記号は、変圧器302が第1の側302Aでスター接地されていることを示し、d記号は、変圧器302が第2の側302Bでデルタ接続で接続されていることを示す。YNd11接続は、変圧器の第2の側302Bから測定された端子電圧が、変圧器の第1の側302Aから測定された端子電圧に対して30度進むことを示す。変圧器302の3脚コアは磁気結合をもたらし、デルタ接続は変圧器302の電気結合をもたらし、したがって変圧器302は磁気的および電気的に結合される。
【0065】
3相交流(AC)電源304は、変圧器302に電力を供給する。一例では、電源304は、変圧器302の3相に電力を供給し得る。電源304と変圧器302との間には、回路遮断器306が接続される。回路遮断器306の各極は、変圧器302の相に関連付けられる。第1の部分308は回路遮断器306の電源側を表し、第2の部分310は回路遮断器306の負荷側を表す。変圧器302は、回路遮断器306の負荷側310に接続される。
【0066】
第2の構成300では、変圧器302は、変圧器302のスター接地側である第1の側302Aから通電される。電圧測定装置312は、変圧器302の各相の端子電圧を測定し得る。構成300では、電圧測定装置312は、変圧器の第2の側302B、すなわち変圧器302のデルタ接続側に接続される。
【0067】
第2の構成300の装置314は、回路遮断器306の電源側から測定された基準信号を取得し得る。一例では、測定される基準信号は、3つの相のうちの任意の1つまたは複数であってもよい。基準信号は、線対接地電圧測定値または線間電圧測定値のいずれかであってもよい。基準信号は、回路遮断器306をそれぞれ閉鎖または開放するための閉鎖または開放指令を生成するために、装置314によって取得され得る。さらに、装置314は、回路遮断器306の負荷側310から測定された変圧器302の測定された端子電圧を取得し得る。この例では、測定された端子電圧は、変圧器302のデルタ巻線から取得される。装置314によって取得された測定された端子電圧は、変圧器302の1つまたは複数の相のうちの相に関連する回路遮断器306の極の電気的投入時点を決定するために使用されてもよく、これはあるいは回路遮断器306の実際の動作時点と呼ばれる。回路遮断器306の電気的投入時点は、変圧器302の通電動作を監視するために決定され得る。
【0068】
電圧測定装置312から測定された端子電圧を受信すると、装置314は回路構成パラメータを取得し得る。一例では、回路構成パラメータは、ユーザによって提供され得る。他の例では、回路構成パラメータは、他の装置から取得され得る。回路構成パラメータは、電圧測定装置の接続構成、電圧測定装置の位置、電圧測定装置のタイプ、電気機器の設計特性、巻線の数およびそれらの接続構成、制御されたスイッチングが実行される巻線構成のタイプ、および電気機器のスイッチングシーケンスなどのうちの1つまたは複数を含み得る。測定された端子電圧および回路構成パラメータを取得すると、装置314は、処理電圧を決定し得る。
【0069】
装置314は、変圧器302の測定された端子電圧のうちの1つまたは複数とマッピングテーブルとに基づいて、変圧器302の1つまたは複数の相について処理電圧を決定し得る。マッピングテーブルは、回路構成パラメータと、測定された端子電圧のうちの1つまたは複数に対して実行される計算との間のマッピングを含み得る。第2の構成300では、測定された端子電圧は、変圧器302のデルタ巻線側から取得される。変圧器の各相について測定された測定された端子電圧は、変圧器302の巻線電圧に対応しない可能性がある線間電圧であり、巻線電圧は、測定された端子電圧から導出されてもよい。ゼロシーケンス電流の影響を低減するために、変圧器302を通電するために考慮されるスイッチングシーケンスはL1-L3-L2である。スイッチングシーケンスL1-L3-L2の場合、第1のスイッチング相L1とも呼ばれる、変圧器302の第1の相に関連する極が最初に閉じられる。第2のスイッチング相L3とも呼ばれる第3の相に関連する極は、第1の極の後に閉じられ、続いて第3のスイッチング相L2とも呼ばれる第2の相に関連する極が続く。第1のスイッチング相L1は、無視できる残留磁束を考慮して、線対接地電圧ピーク、電源電圧信号において通電される。第2のスイッチング相L3は、第1のスイッチング相L1が通電された後、4分の1周期で通電され、第3のスイッチング相L2は、無視できる残留磁束を考慮して、第2のスイッチング相L3が通電されてから事前規定時間後に通電される。一例では、装置314は、装置108に対応する。
【0070】
図3(b)は、本主題の一実施形態による、第2の構成300に対して取得された線間測定端子電圧を示す。信号320は、第1のスイッチング相L1の線間測定端子電圧を示す。信号330は、第2のスイッチング相L3の線間測定端子電圧を示し、信号340は、第3のスイッチング相L2の線間測定端子電圧を示す。図3(b)から、時間時点t1で第1のスイッチング相L1を通電すると、すなわちt1で変圧器302の第1の相に関連する回路遮断器306の第1の極を閉じると、負荷電圧信号が他の2つの相にも現れることが観察され得る。負荷電圧信号は、変圧器の電気的および磁気的結合に起因して、変圧器302の3相すべてに現れる。この効果に起因して、第2のスイッチング相L3および第3のスイッチング相L2に対して、測定された端子電圧から直接に電気的投入時点を決定することは、難題であり得る。変圧器302の相に関連する回路遮断器の極の電気的投入時点を決定するために、処理電圧が決定され得る。
【0071】
一例では、第1のスイッチング相L1および第2のスイッチング相L3の処理電圧は、測定された端子電圧およびマッピングテーブルに基づいて導出されてもよい。上述したように、マッピングは、回路構成パラメータと、測定された端子電圧に対して実行される計算との間のマッピングを含む。第2の構成300の場合、処理電圧は巻線電圧から決定されてもよい。巻線電圧は、以下に示すマッピングテーブルから導出される式(6)に基づいて導出され得る。
【0072】
【数2】
【0073】
ここで、Vw1、Vw3、およびVw2は、それぞれ第1のスイッチング相L1、第2のスイッチング相L3、および第3のスイッチング相L2について導出された巻線電圧である。
【0074】
Vm1、Vm3、およびVm2は、変圧器302のデルタ巻線側からそれぞれ測定された第1のスイッチング相L1、第2のスイッチングL3、および第3のスイッチング相L2の測定された端子電圧である。
【0075】
一例では、以下の式(7)に示すように、巻線電圧Vw1、Vw2、およびVw3から、第1のスイッチング相L1および第2のスイッチング相L3の電気的投入時点を検出するための処理電圧Vp1およびVp3がそれぞれ決定され得る。
【0076】
【数3】
【0077】
ここで、Vp1およびVp3は、それぞれ第1のスイッチング相L1および第2のスイッチング相L3に対して決定された処理電圧である。
【0078】
他の例では、処理電圧Vp1およびVp3は、以下の式(8)に示すように、測定電圧Vm1、Vm2、およびVm3から直接決定され得る。
【0079】
【数4】
【0080】
ここで、Vp1およびVp3は、それぞれ第1のスイッチング相L1および第2のスイッチング相L3に対して決定された処理電圧であり、Vm1、Vm3、およびVm2は、変圧器302のデルタ巻線側からそれぞれ測定された第1のスイッチング相L1、第2のスイッチングL3、および第3のスイッチング相L2の測定された端子電圧である。
【0081】
一例では、測定された端子電圧から直接処理電圧を決定する第1の方法が実行されてもよく、または巻線電圧から処理電圧を決定する第2の方法が実行されてもよい。一例では、ユーザは、処理電圧を決定する第1の方法または処理電圧を決定する第2の方法のいずれかを選択してもよく、この入力を装置314に提供してもよい。
【0082】
図3(c)は、本主題の一実施形態による、第2の構成300に対して決定された導出された巻線電圧を示す。信号350は、時間時点t1に通電された第1のスイッチング相L1に対する導出された巻線電圧を示す。信号360は、時間時点t2に通電された第2のスイッチング相L3に対する導出された巻線電圧を示す。信号370は、第3のスイッチング相L2に対する導出された巻線電圧を示す。第1のスイッチング相L1および第2のスイッチング相L3の処理電圧は、図3(c)に示すように、導出された巻線電圧から導出される。第2の構成300について決定された処理電圧を図3(d)に示す。信号380は、時間時点t1に通電された第1のスイッチング相L1に対する処理電圧を示す。信号390は、時間時点t2に通電された第2のスイッチング相L3に対する処理電圧を示す。第1のスイッチング相L1への通電時に、時間時点t1と時間時点t2との間における第2のスイッチング相L3に小さな大きさの処理電圧が現れることが観察され得る。それぞれ、第1のスイッチング相L1の通電はL1投入としてマークされ、第2のスイッチング相L3の通電はL3投入としてマークされる。第1のスイッチング相L1を通電した後に第2のスイッチング相L3に現れる処理電圧の大きさが小さいのは、電気/磁気結合、干渉、または外部システムの外乱によるノイズに起因する可能性がある。この電圧信号は、所定の相ごとの閾値(図示せず)を提供することによって相殺されてもよい。したがって、装置314は、変圧器の通電動作を監視するための処理電圧に基づいて、変圧器302の1つまたは複数の相のうちの相に関連する回路遮断器306の極の電気的投入時点を決定し得る。回路遮断器装置の極の電気的投入時点は、処理電圧の上昇勾配が所定の相ごとの閾値と交差する場合に、上昇勾配の開始に対応する時点として決定される。一例では、所定の相ごとの閾値は、変圧器302のノイズ、干渉、またはサブプロパティのうちの1つまたは複数に対応し得る。変圧器302のサブプロパティは、3脚設計変圧器302などにおける等しくない磁束経路長に対応し得る。この補償は、適切な所定の相ごとの閾値を提供することによって、電気的投入時点の誤った検出を回避する。
【0083】
図4(a)は、本主題の一実施形態による、変圧器の通電動作を監視するための第3の構成400のブロック図を示す。第3の構成400は、代替的に変圧器402と呼ばれるスター接地-デルタ(YNd11)3脚コア変圧器402を示す。d記号は、変圧器402が第1の側402Aにデルタ接続で接続されることを示す。YNd11変圧器402のYN記号は、変圧器402が第2の側402Bにおいてスター接地されることを示す。Yd11接続は、第1の側402Aから測定された変圧器402の相の端子電圧が、その相の第2の側402Bから測定された端子電圧に対して30度進むことを示す。変圧器402の3脚コアは磁気結合をもたらし、デルタ接続は変圧器402の電気結合をもたらし、したがって変圧器402は磁気的および電気的に結合される。
【0084】
3相交流(AC)電源404は、変圧器402に電力を供給する。一例では、電源404は、変圧器402の3相に電力を供給し得る。電源404と変圧器402との間には、回路遮断器406が接続される。回路遮断器406の各極は、変圧器402の相に関連付けられる。第1の部分408は回路遮断器406の電源側を表し、第2の部分410は回路遮断器406の負荷側410を表す。変圧器402は、回路遮断器406の負荷側410に接続される。
【0085】
第3の構成400では、変圧器402は、変圧器402のデルタ(d)側である第1の側402Aから通電される。電圧測定装置412は、変圧器402の各相の端子電圧を測定し得る。第3の構成400では、電圧測定装置412は、変圧器402の通電の同じ側、すなわち変圧器402のデルタ(d)側に接続される。
【0086】
第3の構成400の装置414は、回路遮断器406の電源側から測定された基準信号を取得し得る。一例では、測定される基準信号は、3つの相のうちの任意の1つまたは複数であってもよい。基準信号は、線対接地電圧測定値または線間電圧測定値のいずれかであってもよい。基準信号は、回路遮断器406をそれぞれ閉鎖または開放するための閉鎖または開放指令を生成するために、装置414によって取得され得る。さらに、装置414は、回路遮断器406の負荷側410から測定された変圧器402の測定された端子電圧を取得し得る。この例では、測定された端子電圧は、変圧器402のデルタ巻線から取得される。装置414によって取得された測定された端子電圧は、変圧器402の1つまたは複数の相のうちの相に関連する回路遮断器406の極の電気的投入時点を決定するために使用されてもよく、これはあるいは回路遮断器406の実際の動作時点と呼ばれる。回路遮断器406の電気的投入時点は、変圧器402の通電動作を監視するために決定され得る。
【0087】
電圧測定装置412から各相の測定された端子電圧を受信すると、装置414は回路構成パラメータを取得し得る。一例では、回路構成パラメータは、ユーザによって提供され得る。他の例では、回路構成パラメータは、他の装置から取得され得る。回路構成パラメータは、電圧測定装置の接続構成、電圧測定装置の位置、電圧測定装置のタイプ、電気機器の設計特性、巻線の数およびそれらの接続構成、制御されたスイッチングが実行される巻線構成のタイプ、および電気機器のスイッチングシーケンスなどのうちの1つまたは複数を含み得る。測定された端子電圧および回路構成パラメータを取得すると、装置414は、処理電圧を決定し得る。
【0088】
装置414は、変圧器402の測定された端子電圧のうちの1つまたは複数とマッピングテーブルとに基づいて、変圧器402の1つまたは複数の相について処理電圧を決定し得る。マッピングテーブルは、回路構成パラメータと、測定された端子電圧に対して実行される計算との間のマッピングを含み得る。第3の構成400では、測定された端子電圧は、変圧器402のデルタ巻線側から取得される。この例示的な構成400では、変圧器の各相について測定された、測定された端子電圧は、変圧器402の線対接地電圧である。変圧器402を通電するために考慮されるスイッチングシーケンスは、非同時通電ストラテジL1-L2-L3である。スイッチングシーケンスL1-L2-L3では、代替的に第1のスイッチング相L1と呼ばれる変圧器402の第1の相に関連する極は、代替的に第2のスイッチング相L2と呼ばれる第2の相に関連する極と同時に閉じられ、その後、代替的に第3のスイッチング相L3と呼ばれる第3の相に関連する極が続く。第1のスイッチング相L1および第2のスイッチング相L2は、無視できる残留磁束を考慮して、測定された端子電圧信号の線間電圧ピークにおいて通電される。第3のスイッチング相(L3)は、第1、第2のスイッチング相L1、L2を同時に通電した後、4分の1周期(90度)で通電する。しかしながら、第1のスイッチング相L1は、L1-L2-L3の前述のスイッチングシーケンスを維持するために、第2のスイッチング相L2の前に事前規定の持続時間で通電される。一例では、装置414は、装置108に対応する。
【0089】
図4(b)は、本主題の一実施形態による、第3の構成400に対して取得された線対接地測定端子電圧を示す。信号420は、第1のスイッチング相L1の線対接地測定端子電圧を示す。信号430は、第2のスイッチング相L2の線対接地測定端子電圧を示し、信号440は、第3のスイッチング相L3の線対接地測定端子電圧を示す。図4(b)に示されるように、直接電圧測定は、第2のスイッチング相L2および第3のスイッチング相L3の電気的投入時点の検出に使用することができない。図から、時間時点t1で第1のスイッチング相L1を通電すると、すなわち変圧器402の第1の相に関連する回路遮断器406の第1の極を閉じると、負荷電圧信号が他の2つの相にも現れることが観察され得る。理解され得るように、第1のスイッチング相L1を通電すると、デルタ接続に起因して、電圧は3つの相すべてに現れる。しかしながら、第2のスイッチング相L2が通電されるまで電流は流れない。これは、電流の流れを促進するための戻り経路がないためである。したがって、第1のスイッチング相L1に対する電気的投入時点を検出することは、主要な関心事ではない。この効果に起因して、第2のスイッチング相L2および第3のスイッチング相L3に対する電気的投入時点を決定することは、難題であり得る。第2のスイッチング相L2および第3のスイッチング相L3の電気的投入時点を個別に決定するために、処理電圧が決定され得る。
【0090】
一例では、第2のスイッチング相L2および第3のスイッチング相L3の処理電圧は、測定された端子電圧のうちの1つまたは複数とマッピングテーブルとに基づいて導出されてもよい。上述したように、マッピングは、回路構成パラメータと、測定された端子電圧のうちの1つまたは複数に対して実行される計算との間のマッピングを含む。第3の構成400の場合、処理電圧は巻線電圧から決定されてもよい。第3の構成400の巻線電圧は、以下に示すマッピングテーブルに基づいて、式(10)に基づいて導出され得る。
【0091】
【数5】
【0092】
ここで、Vw1、Vw2、およびVw3は、それぞれ第1のスイッチング相L1、第2のスイッチング相L2、および第3のスイッチング相L3について決定された巻線電圧である。
【0093】
Vm1、Vm2、およびVm3は、変圧器402のデルタ巻線側からそれぞれ測定された第1のスイッチング相L1、第2のスイッチングL2、および第3のスイッチング相L3の測定された端子電圧である。第3の構成400について導出された巻線電圧Vw1、Vw2、およびVw3は、図4(c)においてそれぞれ信号460、信号480、および信号470によって表される。
【0094】
一例では、以下の式(11)に示すように、巻線電圧Vw1、Vw2、およびVw3に基づいて、第2のスイッチング相L2および第3のスイッチング相L3に対する電気的投入時点を検出するための処理電圧Vp2およびVp3がそれぞれ決定され得る。
【0095】
【数6】
【0096】
ここで、Vp2およびVp3は、それぞれ第2のスイッチング相L2および第3のスイッチング相L3に対して決定された処理電圧である。
【0097】
図4(d)は、本主題の一実施形態による、第3の構成400に対して決定された処理電圧を示す。信号490は、時間時点t2に通電された第2のスイッチング相L2に対する処理電圧を示す。信号410は、時間時点t3に通電された第3のスイッチング相L3に対する処理電圧を示す。図4(d)は、第3のスイッチング相L3に対する処理電圧を示しており、上述したように、第2のスイッチング相L2のみを閉じると小さな大きさの電圧が現れる。したがって、装置414は、変圧器の通電動作を監視するための処理電圧に基づいて、変圧器402の1つまたは複数の相のうちの相に関連する回路遮断器406の極の電気的投入時点を決定し得る。回路遮断器装置の極の電気的投入時点は、処理電圧の上昇勾配が所定の相ごとの閾値(図示せず)と交差する場合に、上昇勾配の開始に対応する時点に決定される。一例では、所定の相ごとの閾値は、変圧器402のノイズ、干渉、またはサブプロパティのうちの1つまたは複数に対応し得る。変圧器402のサブプロパティは、3脚設計変圧器402などにおける等しくない磁束経路長に対応し得る。適切な所定の相ごとの閾値を提供することによって、第2のスイッチング相のみを通電する際の電圧の小さい大きさを補償することにより、電気的投入時点の誤った検出が回避される。
【0098】
図5(a)は、本主題の一実施形態による、デルタ接続キャパシタバンクの通電動作を監視するための第4の構成500のブロック図を示す。第4の構成500は、代替的にキャパシタバンク502と呼ばれるデルタ接続キャパシタバンク502を示す。キャパシタバンク502は、3相デルタ接続キャパシタバンクとなるように設計される。キャパシタバンク502のデルタ接続は、キャパシタバンクの電気的結合をもたらす。
【0099】
3相交流(AC)電源504は、キャパシタバンク502に電力を供給する。一例では、電源504は、キャパシタバンク502の3相に電力を供給し得る。電源504とキャパシタバンク502との間には、回路遮断器506が接続される。回路遮断器の各極は、キャパシタバンク502の相に関連付けられる。第1の部分508は回路遮断器506の電源側を表し、第2の部分510は回路遮断器506の負荷側510を表す。キャパシタバンク502は、回路遮断器506の負荷側510に接続される。
【0100】
第4の構成500において、電圧測定装置512は、キャパシタバンク502の各相の端子電圧を測定し得る。この第4の構成500では、回路遮断器506の負荷側に電圧測定装置512が接続される。
【0101】
第4の構成500の装置514は、回路遮断器506の電源側から測定された基準信号を取得し得る。一例では、測定される基準信号は、3相のうちの任意の1つまたは複数であってもよい。基準信号は、線対接地電圧測定値または線間電圧測定値のいずれかであってもよい。基準信号は、回路遮断器506をそれぞれ閉鎖または開放するための閉鎖または開放指令を生成するために、装置514によって取得され得る。さらに、装置514は、回路遮断器506の負荷側510から測定されたキャパシタバンク502の測定された端子電圧を取得し得る。装置514によって取得された測定された端子電圧は、キャパシタバンク502の1つまたは複数の相のうちの相に関連する回路遮断器506の極の電気的投入時点を決定するために使用されてもよく、これはあるいは回路遮断器506の実際の動作時点と呼ばれる。回路遮断器506の電気的投入時点は、デルタ接続キャパシタバンク502の通電動作を監視するために決定され得る。
【0102】
電圧測定装置512から測定された端子電圧を受信すると、装置514は回路構成パラメータを取得し得る。一例では、回路構成パラメータは、ユーザによって提供され得る。他の例では、回路構成パラメータは、他の装置から取得され得る。回路構成パラメータは、電圧測定装置の接続構成、電圧測定装置の位置、電圧測定装置のタイプ、電気機器の設計特性、巻線の数およびそれらの接続構成、制御されたスイッチングが実行される巻線構成のタイプ、および電気機器のスイッチングシーケンスなどのうちの1つまたは複数を含み得る。測定された端子電圧および回路構成パラメータを取得すると、装置514は、処理電圧を決定し得る。
【0103】
装置514は、キャパシタバンク502の測定された端子電圧のうちの1つまたは複数とマッピングテーブルとに基づいて、キャパシタバンク502の1つまたは複数の相について処理電圧を決定し得る。マッピングテーブルは、回路構成パラメータと、測定された端子電圧のうちの1つまたは複数に対して実行される計算との間のマッピングを含み得る。第4の構成500では、キャパシタバンク502の各相について測定された、測定された端子電圧は、キャパシタバンク502の線対接地電圧である。完全に放電されたキャパシタバンク502を通電するために考慮されるスイッチングシーケンスは、非同時スイッチングシーケンスL1-L2-L3である。スイッチングシーケンスL1-L2-L3では、代替的に第1のスイッチング相L1と呼ばれるキャパシタバンク502の第1の相に関連する極は、代替的に第2のスイッチング相L2と呼ばれる第2の相に関連する極と同時に閉じられ、その後、代替的に第3のスイッチング相L3と呼ばれる第3の相に関連する極が続く。第1のスイッチング相L1および第2のスイッチング相L2は、放電されるキャパシタバンクを考慮して、測定された端子電圧信号の線間電圧零点において通電される。第3のスイッチング相(L3)は、第1、第2のスイッチング相L1、L2を同時に通電した後、4分の1周期(90度)で通電する。しかしながら、第1のスイッチング相L1相は、L1-L2-L3の前述のスイッチングシーケンスを維持するために、第2のスイッチング相L2の前に事前規定の持続時間で通電される。一例では、装置514は、装置108に対応する。
【0104】
図5(b)は、本主題の一実施形態による、第4の例示的な構成500に対して取得された線対接地測定端子電圧を示す。信号520は、第1のスイッチング相L1の線対接地測定端子電圧を示す。信号530は、第2のスイッチング相L2の線対接地測定端子電圧を示し、信号540は、第3のスイッチング相L3の線対接地測定端子電圧を示す。図5(b)に示されるように、直接電圧測定は、第2のスイッチング相L2および第3のスイッチング相L3の電気的投入時点の検出に使用することができない。図から、時間時点t1で第1のスイッチング相L1を通電すると、すなわちt1でキャパシタバンク502の第1の相に関連する回路遮断器506の第1の極を閉じると、負荷電圧が他の2つの相にも現れることが観察され得る。理解され得るように、第1のスイッチング相L1を通電すると、デルタ接続に起因して、電圧は3つの相すべてに現れる。しかしながら、第2のスイッチング相L2が通電されるまで電流は流れない。これは、電流の流れを促進するための戻り経路がないためである。したがって、第1のスイッチング相L1に対する電気的投入時点を検出することは、主要な関心事ではない。この効果に起因して、第2のスイッチング相L2および第3のスイッチング相L3に対する電気的投入時点を決定することは、難題であり得る。キャパシタバンク502の相に関連する回路遮断器の極の電気的投入時点を決定するために、処理電圧が決定され得る。
【0105】
一例では、第2のスイッチング相L2および第3のスイッチング相L3の処理電圧は、測定された端子電圧およびマッピングテーブルに基づいて導出されてもよい。上述したように、マッピングテーブルは、回路構成パラメータと、測定された端子電圧テーブルに対して実行される計算との間のマッピングを含む。第4の構成500の場合、処理電圧は、相ごとの等価電圧とも呼ばれる各相に対する等価容量の両端の電圧から決定されてもよい。キャパシタバンク502の各相に対する等価容量の両端の電圧は、以下に示すマッピングテーブルに基づいて式(12)に基づいて決定され得る。
【0106】
【数7】
【0107】
ここで、Vm1、Vm2、およびVm3は、キャパシタバンク502からそれぞれ測定された第1のスイッチング相L1、第2のスイッチングL2、および第3のスイッチング相L3の測定された端子電圧であり、
Ve1、Ve2、およびVe3は、それぞれ第1のスイッチング相L1、第2のスイッチング相L2、および第3のスイッチング相L3に対する相ごとの等価電圧である。
【0108】
さらに、導出された相ごとの等価電圧に基づいて、第4の構成500の処理電圧は、以下に示すマッピングテーブルに基づいて式(13)に基づいて導出され得る。
【0109】
【数8】
【0110】
ここで、Vp2およびVp3は、それぞれ第2のスイッチング相L2および第3のスイッチング相L3に対して決定された処理電圧である。
【0111】
図5(c)は、本主題の一実施形態による、第4の構成に対して導出された相ごとの等価電圧を示す。信号550は、第1のスイッチング相L1に対する等価電圧を示す。信号560は、第2のスイッチング相L2に対する等価電圧を示し、信号570は、第3のスイッチング相L3に対する等価電圧を示す。図5(d)に示すような処理電圧は、図5(c)に示すような相ごとの等価電圧から導出される。
【0112】
図5(d)は、本主題の一実施形態による、第4の構成500に対して決定された処理電圧を示す。信号580は、時間時点t2に通電された第2のスイッチング相L2に対する処理電圧を示す。信号590は、時間時点t3に通電された第3のスイッチング相L3に対する処理電圧を示す。したがって、装置514は、キャパシタバンク502の通電動作を監視するための処理電圧に基づいて、キャパシタバンク502の1つまたは複数の相のうちの相に関連する回路遮断器506の極の電気的投入時点を決定し得る。回路遮断器装置の極の電気的投入時点は、処理電圧の上昇勾配が所定の相ごとの閾値(図示せず)と交差する場合に、上昇勾配の開始に対応する時点に決定される。一例では、所定の相ごとの閾値は、デルタ接続キャパシタバンク502のノイズ、干渉、またはサブプロパティのうちの1つまたは複数に対応し得る。適切な所定の相ごとの閾値を提供することによって、第2のスイッチングのみを通電する際の電圧の小さい大きさを補償することにより、電気的投入時点の誤った検出が回避される。同様の手法が、磁気結合リアクトルバンク、非接地非磁気結合リアクトルなどに適用され得る。
【0113】
図6は、本主題の一実施形態による、スイッチング装置の電気的投入時点を決定するための方法を示す。方法600が説明される順序は、限定として解釈されることを意図するものではなく、説明された方法ブロックのいくつかは、方法600または代替方法を実施するために異なる順序で実行されてもよい。さらに、方法600は、任意の適切なハードウェア、コンピュータ可読命令、ファームウェア、またはそれらの組合せで実施することができる。説明のために、方法600は、図1に示す実施態様に関して説明される。
【0114】
方法600において、ブロック602で、スイッチング装置を介した電気機器の通電動作中に、電気機器の1つまたは複数の相のうちの各相について測定された端子電圧が電圧測定装置から取得され、電気機器の相は互いに電気的または磁気的に結合される。一例では、電気機器は、磁気および/または電気結合変圧器、デルタ接続または非接地キャパシタバンク、デルタ接続または非接地非磁気結合リアクトル、または磁気結合リアクトルのうちのいずれか1つであってもよい。一例では、各相の測定された端子電圧は、スイッチング装置の負荷側に接続された電圧測定装置から取得され得る。
【0115】
ブロック604で、電気機器に関連する回路構成パラメータが取得される。一例では、回路構成パラメータは、電圧測定装置の接続構成、電圧測定装置の位置、電圧測定装置のタイプ、電気機器の設計特性、巻線の数およびそれらの接続構成、制御されたスイッチングが実行される巻線構成のタイプ、電気機器のスイッチングシーケンスなどのうちの1つまたは複数を含み得る。電圧測定装置の接続構成は、電圧測定装置の巻線がどのように接続されるかを指し得る。例えば、電圧測定装置がスター接地-デルタ接続電位変圧器である場合、測定装置の接続構成は、スター接地接続された巻線とデルタ接続された他の巻線とを有する電位変圧器を指す。電圧測定装置の位置とは、電圧測定装置が接続される側を指す。例えば、電気機器がスターデルタ変圧器である場合、電圧測定装置の位置は、変圧器のスター側、または変圧器のデルタ側に接続されている電圧測定装置を指し得る。変圧器などの電気機器の設計特性は、変圧器のコア設計、巻線上のデルタ接続がどのように形成されるかなどを含み得る。スイッチングシーケンスとは、電気機器の相に関連する回路遮断器の極が閉じられる順序を指す。制御されたスイッチングが実行される電気機器のタイプは、いくつか例を挙げると、変圧器、キャパシタバンク、またはリアクトルバンクなどの結合負荷であってもよい。
【0116】
ブロック606で、電気機器の1つまたは複数の相について処理電圧が決定される。処理電圧は、電気機器の測定された端子電圧のうちの1つまたは複数とマッピングテーブルとに基づいて決定される。マッピングテーブルは、回路構成パラメータと、測定された端子電圧のうちの1つまたは複数に対して実行される計算との間のマッピングを含む。一例では、マッピングテーブルは、回路解析によって理論的に決定されてもよい。
【0117】
ブロック608で、処理電圧に基づいて、電気機器の通電動作を監視するために、1つまたは複数の相のうちの相に関連するスイッチング装置の極の電気的投入時点が決定される。スイッチング装置の極の電気的投入時点は、処理電圧の上昇勾配が第1の電圧ピークに達するために所定の相ごとの閾値と交差する場合に、上昇勾配の開始に対応する時点に決定される。所定の相ごとの閾値は、ノイズ、干渉、またはサブプロパティのうちの1つまたは複数に対応する。電気機器のサブプロパティは、3脚コア設計変圧器における等しくない磁束経路長、またはリアクトルなどにおける等しくない磁束経路長などの電気機器の設計特質を指してもよい。
【0118】
スイッチング装置の極の電気的投入時点は、電気機器の通電動作を監視するために決定され得る。一例では、電気機器の通電動作を監視することは、通電動作中に評価されたスイッチング装置の極の決定された電気的投入時点に基づく投入時間を評価することを含む。スイッチング装置の極の投入時間は、スイッチング装置が閉鎖指令を受信してから、決定された電気的投入時点を経て回路が電気的に閉鎖されたことが検出されるまでの時間である。誤差を決定するために、評価された投入時間を取得された回路構成パラメータに対する期待投入時間と比較してもよい。後続の通電動作の性能を改善するために、決定された誤差に基づいて、スイッチング装置の極の閉鎖時間に補正が適用され得る。一例では、1つまたは複数の相のうちの任意の1つの相または1つまたは複数の相のうちの任意の2つの相の測定された端子電圧は、マッピングテーブルに基づいて、1つまたは複数の相のうちの任意の他の相に関連する回路遮断器の極の電気的投入時点を検出するために処理電圧を決定するために使用される。他の例では、電気機器が磁気回路を有する誘導性である場合、処理電圧を決定するステップは、巻線電圧を決定することによって実行されてもよく、巻線電圧は、電気機器の各相に鎖交する磁束を生成する。さらに他の例では、電気機器がキャパシタバンクである場合、処理電圧を決定するステップは、電気機器の各相に対する等価容量の両端の電圧を決定することによって実行されてもよい。
【0119】
一態様によれば、実行されると、電気機器の通電動作を監視するためのスイッチング装置の電気的投入時点を決定するための方法600をプロセッサに実行させるプログラム命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体が提供されてもよい。
【0120】
したがって、本主題は、結合負荷の通電動作を監視するために、結合負荷の電気的投入時点を検出するための迅速かつ正確な方法を提供する。
【0121】
本主題を特定の実施形態を参照して説明してきたが、この説明は限定的な意味で解釈されることを意味しない。開示された実施形態の様々な変更、ならびに主題の代替の実施形態は、主題の説明を参照すると当業者には明らかになるであろう。
図1
図2(a)】
図2(b)】
図2(c)】
図2(d)】
図3(a)】
図3(b)】
図3(c)】
図3(d)】
図4(a)】
図4(b)】
図4(c)】
図4(d)】
図5(a)】
図5(b)】
図5(c)】
図5(d)】
図6
【国際調査報告】