(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-05
(54)【発明の名称】ライナにおいて塗り残しを検出するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/12 20200101AFI20240529BHJP
【FI】
G01R31/12 A
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023574857
(86)(22)【出願日】2021-06-02
(85)【翻訳文提出日】2024-01-22
(86)【国際出願番号】 IB2021000399
(87)【国際公開番号】W WO2022254231
(87)【国際公開日】2022-12-08
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523454935
【氏名又は名称】ソルマックス インターナショナル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤングブラッド、ジミー、ゴードン、ジュニア
【テーマコード(参考)】
2G015
【Fターム(参考)】
2G015AA04
2G015AA29
2G015BA03
2G015BA07
2G015CA01
2G015CA08
(57)【要約】
ライナとの2つの接点を有する及び接点のうちの1つの移動する接点に電流をパルスする発生器を有する、ライナ塗り残しを識別するための装置及び方法。複数の検出された電気信号が、塗り残しを示すベースラインを連続して生成するために処理される。塗り残し信号が、生成されたベースラインと比較される時に塗り残しを示す信号が検出される時に作動させられる。複数の電気信号タイプ及びベースライン、たとえば、電流強度及び電圧は、その生成されたベースラインと比較される時に塗り残しを示す信号タイプが検出される時に作動させられる塗り残し信号で個別に検出され得る。移動する接点は、ライナの輪郭に追従するように柔軟でもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライナにおける塗り残しを検出する方法であって、
発生器への第1の接点から離間された第2の接点への前記ライナとの前記第1の接点への前記発生器からの電流のための回路を作成するステップであって、前記第2の接点が前記発生器の電気基準である、前記作成するステップと、
前記第1の接点が前記ライナの上を移動される時に前記ライナの第1の接点への前記発生器からの電流をパルス化するステップと、
前記電気基準から前記パルス電流に関連する、複数の少なくとも1つの電気信号を検出するステップと、
選択された最新の複数の前記検出された電気信号を連続して処理して前記少なくとも1つの電気信号のベースライン値を生成するステップであって、前記ベースラインの1つの側の値を有する検出された電気信号は塗り残しがないことを示すと見なされ、前記ベースラインの別の側の値を有する電気信号は塗り残しを示すと見なされる前記生成するステップと、
前記検出された電気信号のうちの少なくとも1つが、前記ベースラインの前記別の側の値を有する時、塗り残し信号を作動させるステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記第2の接点が、前記ライナの最上部にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の接点が、前記ライナの下の地面にある、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ライナが頂面及び底表面を有し、
前記ライナ底表面が導電性であり、
前記第1の及び第2の接点が前記ライナ頂面と接している、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ライナが地盤工学的用地上のジオメンブレンである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ジオメンブレンが継ぎ目で連結された複数のライナを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの電気信号が、電流強度及び電圧のうちの選択された1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの電気信号が電流強度及び電圧の両方を含み、前記検出される電流強度が、電流強度のベースラインを生成するために連続して処理され、前記検出される電圧が、電圧のベースラインを生成するために連続して処理される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記塗り残し信号が、前記電流強度又は電圧のいずれかがその生成されたベースラインを通過する時に、生成される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
エネルギ平均化、フィルタリング、及びフーリエ・スペクトルのうちの少なくとも1つが、最新の複数の検出された電気信号から前記ベースラインを生成するために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ベースラインが、前記最新の複数の検出された電気信号の選択された平均である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記作動させられる塗り残し信号が、可聴音及び警報光のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記作動させられる塗り残し信号が、前記検出された電気信号が前記ベースラインの前記別の側の値を示す時に前記第1の接点に接触している前記ライナのエリアに対応する位置指示である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記作動させられる塗り残し信号が、前記ライナ上のグリッド座標の信号、オーディオ信号、視覚的信号、及びGPS座標の信号のうちの少なくとも1つである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ライナにおける塗り残しを検出するためのセンサであって、
電気基準を有するパルシング発生器と、
前記発生器が電流を電極にパルスする間に前記発生器電気基準から離間されたライナとの接点上を移動する、及び維持するようになされた前記電極と、
前記パルス電流に関連する少なくとも1つの電気信号を前記発生器電気基準から経時的に検出すること、
選択された期間の間に検出された少なくとも1つの電気信号を前記最新の選択された期間にわたって連続して処理すること、及び
前記少なくとも1つの電気信号のベースラインを生成することであり、前記ベースラインの1つの側の値を示す検出された電気信号が塗り残しがないことを示すと見なされ、前記ベースラインの別の側の値を示す電気信号が塗り残しを示すと見なされる、前記生成すること
を行うようになされたプロセッサと、
任意の検出された電気信号が前記ベースラインの前記別の側の値を有する時に作動させられる塗り残し信号と
を備える、センサ。
【請求項16】
前記電気基準が、前記ライナにおいて位置決め可能である、請求項15に記載のセンサ。
【請求項17】
前記プロセッサが、電流強度及び電圧のうちの選択された1つを検出するようになされた、請求項15に記載のセンサ。
【請求項18】
前記プロセッサが、
電流強度及び電圧の両方を検出し、
電流強度を連続して処理して電流強度のベースラインを生成し、及び
電圧を連続して処理して電圧のベースラインを生成する
ようになされた、請求項15に記載のセンサ。
【請求項19】
前記検出された電流強度又は検出された電圧のいずれかが、それから生成されたベースラインの前記別の側にある時、前記塗り残し信号が作動させられる、請求項18に記載のセンサ。
【請求項20】
前記プロセッサが、エネルギ平均化、フィルタリング、及びフーリエ・スペクトルのうちの少なくとも1つを使用して最新の複数の検出された電気信号から前記ベースラインを生成するようになされた、請求項15に記載のセンサ。
【請求項21】
前記作動させられる塗り残し信号が、可聴音及び警報光のうちの少なくとも1つである、請求項15に記載のセンサ。
【請求項22】
前記塗り残し信号が、検出された電気信号値が前記ベースラインの前記別の側にある時間に電極に接触されている前記ライナのエリアに対応する位置指示である、請求項15に記載のセンサ。
【請求項23】
ライナにおける塗り残しを検出する方法であって、
発生器への第1の接点から離間された第2の接点への前記ライナとの前記第1の接点への前記発生器からの電流のための回路を作成するステップであって、前記第2の接点が前記発生器の電気基準である、前記作成するステップと、
前記第1の接点が前記ライナ上を移動される時に前記発生器から前記ライナの第1の接点に電流を送るステップと、
前記発生器電気基準における電流強度及び電圧を検出するステップと、
ベースライン電流強度を前記発生器電気基準における電流強度と比較するステップと、
前記発生器電気基準における電圧とベースライン電圧を比較するステップと、
前記電流強度又は電圧のいずれかが塗り残しを示すと見なされるそのベースラインの1つの側にある値を有する時に作動させられる塗り残し信号を作動させるステップと
を含む、方法。
【請求項24】
前記ライナが頂面及び底表面を有する、及び
前記ライナ底表面が導電性のある、
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の及び第2の接点が前記ライナ頂面と接している、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ライナが地盤工学的用地上のジオメンブレンである、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記ジオメンブレンが継ぎ目で連結された複数のライナを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記検出された電流強度が、前記電流強度のベースラインを生成するために連続して処理され、前記検出された電圧が、前記電圧のベースラインを生成するために連続して処理される、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記電流強度又は電圧のいずれかが、その生成されたベースラインを通過する時、前記塗り残し信号が生成される、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
エネルギ平均化、フィルタリング、及びフーリエ・スペクトルのうちの少なくとも1つが、最新の複数の検出された電気信号から前記ベースラインを生成するために使用される、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
前記ベースラインが、前記最新の複数の検出された電気信号の選択された平均である、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
前記作動させられる塗り残し信号が、可聴音及び警報光のうちの少なくとも1つである、請求項23に記載の方法。
【請求項33】
前記作動させられる塗り残し信号が、塗り残しを示すと見なされる前記電流強度ベースラインの前記1つの側の値を前記電流強度が示す、又は塗り残しを示すと見なされる前記電圧ベースラインの前記1つの側の値を前記電圧が示す時に、前記第1の接点に接触している前記ライナのエリアに対応する位置の指示である、請求項23に記載の方法。
【請求項34】
ライナにおける塗り残しを検出するためのセンサであって、
前記ライナにおいて位置決め可能な又は前記ライナに隣接する電気基準を有する発生器と、
前記発生器が、電流を前記電極に送る間に前記発生器電気基準から離間されたライナとの接点上を移動する及び維持するようになされた電極と、
前記発生器電気基準の電流強度、及び
前記発生器電気基準の電圧
を検出する検出器と、
前記発生器電気基準の電流強度とベースライン電流強度を比較する、及び
前記発生器電気基準の電圧とベースライン電圧を比較する
ようになされたプロセッサと、
塗り残しを示すと見なされるそのベースライン電流強度の側にある値を前記検出される電流強度が示す時、又は塗り残しを示すと見なされるそのベースライン電圧の側にある値を前記検出された電圧が示す時のいずれかに作動させられる塗り残し信号と
を備える、センサ。
【請求項35】
前記プロセッサが、
電流強度を連続して処理して前記ベースライン電流強度を生成する、及び
電圧を連続して処理して前記ベースライン電圧を生成する
ようになされた、請求項34に記載のセンサ。
【請求項36】
前記プロセッサが、エネルギ平均化、フィルタリング、及びフーリエ・スペクトルのうちの少なくとも1つを使用して、最新の複数の検出された電気信号から前記ベースラインを生成するようになされた、請求項35に記載のセンサ。
【請求項37】
前記検出された電流強度又は検出された電圧のいずれかが、塗り残しを示すと見なされるそれの生成されたベースラインの側にある時、前記塗り残し信号が作動させられる、請求項35に記載のセンサ。
【請求項38】
前記作動させられる塗り残し信号が、可聴音及び警報光のうちの少なくとも1つである、請求項34に記載のセンサ。
【請求項39】
前記検出器が、塗り残しを示すと見なされるそれのベースラインの側にある値を電流強度及び電圧のうちの少なくとも1つが示すことを検出する時、前記塗り残し信号が、前記電極に接触されている前記ライナのエリアに対応する位置指示である、請求項34に記載のセンサ。
【請求項40】
変化する輪郭を有するライナにおける塗り残しを検出するための回路を定義するセンサであって、
電気基準を有する発生器と、
前記発生器から電流を受信する、及び前記発生器が電流を前記接点に送る間に前記発生器電気基準から離間された前記ライナのエリア上を移動するようにされた接点であり、前記ライナ・エリアの変化する輪郭に追従する前記接点と
を備える、センサ。
【請求項41】
前記接点が柔軟な電導性シートである、請求項40に記載のセンサ。
【請求項42】
前記接点が柔軟な鎖帷子である、請求項40に記載のセンサ。
【請求項43】
前記接点が、
案内車上を転がるトロッコと、
前記案内車の間に支えられた柔軟な電導性ケーブルと、
各ローラーが前記ケーブルの周りで回転可能である、前記ケーブルに沿って離間された複数の電導性ローラーと
を備える、請求項40に記載のセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
不適用。
【0002】
連邦支援の研究又は開発
不適用。
【0003】
マイクロフィッシュ/著作権参照
不適用。
【0004】
電気絶縁材において塗り残し(穴)を検出するための方法及びデバイス。
【背景技術】
【0005】
従来の塗り残し又は穴検出は、絶縁層の表面に位置する複数の電極に接続される高電圧源を含むデバイスを用いる。1つの電極が、検査される表面に沿って掃引され、絶縁層における塗り残しに遭遇する時、火花が電極から穴に飛ぶ。検出機構は、任意の火花事象を識別し、通常はオペレータに信号を送る(たとえば、可聴音及び/又は可視指示によって)。するとオペレータは、電極の位置が塗り残しの位置であると気付くことができる。
【0006】
高電圧源は直流(DC)又は交流電流(AC)であったが、通常は、電圧は、各パルスが短い時間間隔の間に最高電圧を達成するようにパルス化された(AC)。高電圧源は、電極がユーザによって引かれる又は押される間に検査エリアが含まれることを確実にするために、通常は十分に速いレートでパルス化された。特にACパルスでは、検出機構は、正常なパルス放電(塗り残しなし)を火花(塗り残し)と確実に区別することができなければならず、そのような区別は、通常は、火花の不在及び存在中に感知される電流又は電圧振幅の変化に基づいてきた。
【0007】
残念ながら、従来の検出機構では、しばしば、確実に塗り残しを検出するのが難しかった。それらの機構は、(時間に対する)パルス発生器からブラシまでケーブルを流れる電流の変化に敏感であり、電荷の変化に敏感でない誘導結合に基づいて動作する。塗り残しは、電極の周りに生じる電流及び電荷に過渡状態を引き起こす。ケーブル内の電流は、ブラシとライナとの間のインピーダンスに比例するので、塗り残しに遭遇する時、インピーダンスは即座に変化し、感知される電流の振幅はその変化を反映する。そのような検出機構は、塗り残しを示す閾値をピーク電流振幅が超えるかどうかを決定し、閾値を超えた時、電極が塗り残しに位置することを示すための可聴音及び/又は可視指示を生成する。
【0008】
しかしながら、類似の電流変化が、火花以外の理由で生じるインピーダンス変化から生じることがあり、そのようなインピーダンス変化は、塗り残しの結果として生じるそれらとは区別がつかない可能性がある。たとえば、電極が絶縁表面を横断して掃引される時、電極に分け与えられる電流又は電圧の瞬間的変動が存在し、それらの正常な変動は、絶縁表面又はライナに火花又は穴がない場合でも、たびたび、塗り残しとしてフラグを付けられてきた。加えて、ライナの下の土壌における大地導電率の変化は、偽陽性(火花/穴の誤った指示)を生み出すように検出機構を誤った方向に導く変動を引き起こす。
【0009】
従来の塗り残し検出器は、偽陽性を最小限に抑えるために、感度のレベル(すなわち、火花を示すために選ばれるピーク電流振幅閾値)をユーザ/オペレータが手動で調整することを可能にした。しかしながら、そのような調整は、偽陽性及び偽陰性に完全に対処しない。すなわち、閾値は、手動で調整され得るが、そのような調整は、エリアにわたる適切な閾値の近似値でしかない。したがって、閾値は、検出器が、塗り残しが存在することが知られている場合にプラス信号を出すのには十分に敏感ではあるが、塗り残しが存在しないことが知られている場所でプラス信号を出すほどには敏感ではないことを確実にするために調整されるかもしれないが、そのような閾値は、異なる条件が存在するライナの他のエリアにおいて適切でないことがある(たとえば、異なる地面検出性、ブラシの接触変化)。要するに、ライナにおける塗り残しを検出する時、ライナのあるエリアにわたって上手く機能する閾値の選択であっても、他のエリアにはあまり適していないことがあり、塗り残しが見落とされる及び/又は塗り残しが存在しない場合に塗り残しが指示される結果をもたらす。
【0010】
本明細書で開示される装置及び方法は、先行技術の前述の不利点を著しく克服する。
【発明の概要】
【0011】
電気絶縁表面における塗り残し検出のための方法及び装置が、本明細書で開示される。装置は、高電圧発生器と、ライナに電荷を届ける少なくとも2つの移動する電極と、電極の運動、変わりやすい土壌抵抗率又はその他による広範囲の変わりやすい環境又は動作条件の下で塗り残しを識別する能力を有する検出機構とを含む、携帯デバイスである。塗り残し検出器は、スマート信号処理を使用して、手動調整の必要なしに、環境変動性を最小限に抑え、塗り残しを正確に知らせる。
【0012】
本開示の1つの態様は、(a)発生器への第1の接点から離間された第2の接点へのライナを有する第1の接点への発生器からの電流のための回路を作成するステップであって、第2の接点は発生器の電気基準であるステップと、(b)第1の接点がライナの上を移動される時に発生器からライナの第1の接点への電流をパルス化するステップと、(c)電気基準からのパルス電流に関連する、複数の少なくとも1つの電気信号を検出するステップと、(d)選択された最新の複数の検出された電気信号を連続して処理して少なくとも1つの電気信号のベースライン値を生成するステップであって、そこで、ベースラインの1つの側の値を有する検出される電気信号は塗り残しがないことを示すと見なされ、ベースラインの別の側の値を有する電気信号は塗り残しを示すと見なされるステップと、(e)検出された電気信号のうちの少なくとも1つがベースラインの別の側の値を有する時に塗り残し信号を作動させるステップとを含む、ライナにおける塗り残しを検出する方法である。
【0013】
本開示のこの態様の1つの形式では、第2の接点はライナの最上部にある。一代替形式では、第2の接点はライナの下の地面にある。
【0014】
本開示のこの態様の1つの形式では、ライナは頂面及び導電性の底表面を有し、第1の及び第2の接点はライナ頂面と接触している。さらなる一形式では、ライナは地盤工学的用地上のジオメンブレンである。またさらなる一形式では、ジオメンブレンは、継ぎ目で連結された複数のライナを含む。
【0015】
本開示のこの態様の別の形式では、少なくとも1つの電気信号は、電流強度及び電圧のうちの選択された1つである。
【0016】
本開示のこの態様のさらに別の形式では、少なくとも1つの電気信号は、電流強度及び電圧の両方を含み、検出される電流強度は、電流強度のベースラインを生成するために連続して処理され、検出される電圧は、電圧のベースラインを生成するために連続して処理される。さらなる一形式では、電流強度又は電圧のいずれかが、それの生成されたベースラインを通過する時、塗り残し信号が生成される。
【0017】
本開示のこの態様のさらに別の形式では、エネルギ平均化、フィルタリング、及びフーリエ・スペクトルのうちの少なくとも1つが、最新の複数の検出された電気信号からベースラインを生成するために使用される。
【0018】
本開示のこの態様の別の形式は、最新の複数の検出された電気信号の平均より大きな選択された値であるベースラインを含む。
【0019】
本開示のこの態様のさらに別の形式は、作動させられた塗り残し信号が可聴音及び警報光のうちの少なくとも1つであることを含む。
【0020】
本開示のこの態様のさらに別の形式は、作動させられる塗り残し信号が、検出された電気信号がベースラインの別の側の値を示す時に第1の接点に接触しているライナのエリアに対応する位置指示であることを含む。さらなる一形式では、作動させられる塗り残し信号は、ライナ上のグリッド座標の信号、オーディオ信号、視覚的信号、及びGPS座標の信号のうちの少なくとも1つである。
【0021】
本開示の別の態様では、ライナにおける塗り残しを検出するためのセンサが、電気基準を有するパルシング発生器、発生器が電流を電極にパルス化する間に発生器電気基準から離間されたライナとの接点上を移動する、及び維持するようになされた電極、プロセッサ、及びベースラインの別の側の値を任意の検出された電気信号が有する時に作動させられる塗り残し信号を含む。プロセッサは、パルス電流に関連する少なくとも1つの電気信号を発生器電気基準から経時的に検出し、選択された期間中に検出された少なくとも1つの電気信号を最新の選択された期間にわたって連続して処理し、及び少なくとも1つの電気信号のベースラインを生成するようになされ、ベースラインの1つの側の値を有する検出される電気信号は塗り残しがないことを示すと見なされ、ベースラインの別の側の値を有する電気信号は塗り残しを示すと見なされる。
【0022】
本開示のこの態様の1つの形式では、電気基準はライナにおいて位置決め可能である。
【0023】
本開示のこの態様の別の形式では、プロセッサは電流強度及び電圧のうちの選択された1つを検出するようになされる。
【0024】
本開示のこの態様の別の形式では、プロセッサは、電流強度及び電圧の両方を検出する、電流強度を連続して処理して電流強度のベースラインを生成し、及び電圧を連続して処理して電圧のベースラインを生成するようになされる。さらなる一形式では、検出される電流強度又は検出される電圧のいずれかが、それから生成されたベースラインの別の側にある時、塗り残し信号は作動させられる。
【0025】
本開示のこの態様のさらに別の形式では、プロセッサは、エネルギ平均化、フィルタリング、及びフーリエ・スペクトルのうちの少なくとも1つを使用して最新の複数の検出された電気信号からベースラインを生成するようになされる。
【0026】
本開示のこの態様のさらに別の形式では、作動させられる塗り残し信号は、可聴音及び警報光のうちの少なくとも1つである。
【0027】
本開示のこの態様のさらに別の形式では、塗り残し信号は、検出された電気信号値がベースラインの別の側にある時間に電極に接触しているライナのエリアに対応する位置指示である。
【0028】
本開示のさらに別の態様では、ライナにおける塗り残しを検出する方法は、(a)発生器への第1の接点から離間された第2の接点へのライナとの第1の接点への発生器からの電流のための回路を作成するステップであって、第2の接点は発生器の電気基準であるステップと、(b)第1の接点がライナ上を移動される時に、発生器からライナの第1の接点に電流を送るステップと、(c)発生器電気基準における電流強度及び電圧を検出するステップと、(d)発生器電気基準における電流強度とベースライン電流強度を比較するステップと、(e)発生器電気基準における電圧とベースライン電圧を比較するステップと、(f)電流強度又は電圧のいずれかが塗り残しを示すと見なされるそのベースラインの1つの側にある値を有する時に作動させられる、塗り残し信号を作動させるステップとを含む。
【0029】
本開示のこの態様の1つの形式では、ライナは、頂面及び導電性の底表面を有し、第1の及び第2の接点はライナ頂面と接触している。さらなる一形式では、ライナは、地質工学的用地上のジオメンブレンである。またさらなる一形式では、ジオメンブレンは、継ぎ目で連結された複数のライナを含む。
【0030】
本開示のこの態様の別の形式では、検出される電流強度は、電流強度のベースラインを生成するために連続して処理され、検出される電圧は、電圧のベースラインを生成するために連続して処理される。さらなる一形式では、電流強度又は電圧のいずれかが、その生成されたベースラインを通過する時、塗り残し信号が生成される。
【0031】
本開示のこの態様のさらに別の形式では、エネルギ平均化、フィルタリング、及びフーリエ・スペクトルのうちの少なくとも1つが、最新の複数の検出された電気信号からベースラインを生成するために使用される。
【0032】
本開示のこの態様のさらに別の形式では、ベースラインは、最新の複数の検出された電気信号の選択された平均である。
【0033】
本開示のこの態様の別の形式は、作動させられた塗り残し信号が可聴音及び警報光のうちの少なくとも1つであることを含む。
【0034】
本開示のこの態様のさらに別の形式は、作動させられた塗り残し信号は、電流強度が塗り残しを示すと見なされる電流強度ベースラインの1つの側に値を有する、又は電圧が塗り残しを示すと見なされる電圧ベースラインの1つの側に値を有する時間に、第1の接点に接触しているライナのエリアに対応する位置指示であることを含む。
【0035】
本発明のさらに別の態様では、ライナにおける塗り残しを検出するためのセンサは、ライナに対して位置決め可能な又は隣接する電気基準を有する発生器と、発生器が電流を電極に送る間に、発生器電気基準から離間された、ライナ上を移動して接触を維持するようにされた電極と、発生器電気基準における電流強度及び電圧を検出する検出器と、(i)発生器電気基準における電流強度とベースライン電流強度を比較する、及び(ii)発生器電気基準における電圧とベースライン電圧を比較するようにされたプロセッサとを含む。検出される電流強度が、塗り残しを示すと見なされるそのベースライン電流強度の側にある値を有する、又は検出された電圧が、塗り残しを示すと見なされるそのベースライン電圧の側にある値を有する時、塗り残し信号は作動させられる。
【0036】
本開示のこの態様の1つの形式では、プロセッサは、電流強度を連続して処理してベースライン電流強度を生成する、及び電圧を連続して処理してベースライン電圧を生成するようにされる。さらなる一形式では、プロセッサは、エネルギ平均化、フィルタリング、及びフーリエ・スペクトルのうちの少なくとも1つを使用して最新の複数の検出された電気信号からベースラインを生成するようにされる。
【0037】
本開示のこの態様の別の形式では、検出される電流強度又は検出される電圧が、塗り残しを示すと見なされるその生成されたベースラインの側にある時、塗り残し信号は作動させられる。
【0038】
本開示のこの態様のさらに別の形式では、作動させられる塗り残し信号は、可聴音及び警報光のうちの少なくとも1つである。
【0039】
本開示のこの態様のさらに別の形式では、塗り残し信号は、検出器が、電流強度及び電圧のうちの少なくとも1つが塗り残しを示すと見なされるそれのベースラインの側にある値を有することを検出する時の、電極に接触しているライナのエリアに対応する位置指示である。
【0040】
本開示の別の態様は、電気基準を有する発生器及び発生器から電流を受信する接点を含む、変化する輪郭を有するライナにおける塗り残しを検出するための回路を定義するセンサである。接点は、発生器が電流を接点に送る間、発生器電気基準から離間されたライナのエリア上を移動するようにされ、接点はライナ・エリアの変化する輪郭に追従する。
【0041】
本開示のこの態様の1つの形式では、接点は柔軟な電導性シートである。
【0042】
本発明のこの態様の別の形式では、接点は柔軟な鎖帷子である。
【0043】
本発明のこの態様のさらに別の形式では、接点は、案内車上を転がるトロッコ、案内車の間に支えられた柔軟な電導性ケーブル、及びケーブルに沿って離間された複数の電導性ローラーを含み、そこで、各ローラーはケーブルの周りを回転可能である。
【0044】
本発明の他の目的、特徴、及び利点は、添付の特許請求の範囲及び図面を含む明細書全体の再読から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】ライナにおける塗り残しを検出するために使用される先行技術のセンサの略図である。
【
図2】
図1にあるような先行技術のセンサと使用される電極ブラシの略図である。
【
図3】
図1に示されるような先行技術のライナ及びセンサで使用される、土壌上に置かれた接地パッド及びライナの横断面の略図である。
【
図4】本明細書で開示される、ライナにおいて塗り残しを検出するために使用される新しいセンサの略図である。
【
図5】ライナ上の塗り残しを検出するために使用される、センサの新しい可動接点の略図である。
【
図6A】ライナ上の塗り残しを検出するために使用される、センサの代替の可動接点である。
【
図6B】ライナ上の塗り残しを検出するために使用される、センサの代替の可動接点である。
【
図7】
図4のセンサと使用され得るような電磁検出器の略図である。
【
図8】塗り残しの存在を決定するために、電流及び電圧の両方が検出され得る、塗り残しセンサの一つの代替実施例の略図である。
【
図9】先行技術のセンサで使用される閾値と、本明細書で開示される新しいセンサによって決定される閾値とを対比して示す、検出された電流のサンプル波形を示す。
【
図10】電流及び電圧振幅の両方を測定し、そのような測定された振幅を使用して、塗り残しの存在をそれぞれ示すための閾値を動的に決定する、本明細書で開示されるような新しいセンサの動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
詳しく後述されるように、発生器を含むライナ塗り残しを識別するための新しい装置及び方法が開示される。発生器は、ライナとの2つの接点を有し、接点のうちの1つの移動する接点へのパルス電流を送る。パルス電流は、塗り残しを示すベースラインを連続して生成するために連続して処理される。加えて、複数の検出された電流強度及び電圧のような電気信号は、塗り残しを示す各信号のベースラインを連続して生成するために、そのように処理されてもよく、塗り残し信号は、その生成されたベースラインと比較されて塗り残しを示す任意の信号が検出された時に作動させられる。移動する接点は、ライナの輪郭に追従するように柔軟であってもよい。
【0047】
本開示へのさらなる背景として、本明細書で
図1~3は、本明細書で開示される装置及び方法が改良する先行技術装置に関するさらなる詳細を提供する。
【0048】
具体的には、
図1は回路を定義する検出装置を示し、高電圧発生器10は、電極又は接地パッド14に接続する第1のケーブル12と、移動可能な電極又は電導性ブラシ20に接続された第2のケーブル16とを有する。使用中、装置接地パッド14(すなわち、電気基準、たとえば、地面)は、検査されているライナ24の最上部に接続され、電極ブラシ20は、ライナ24のエリア上を移動させられる。発生器10は定電流を提供し、又はいくつかのバージョンにおいて高電圧パルスを生成した。
【0049】
接地パッド14は、ライナ24へと電気エネルギを結合するための容量性プレートとして機能する。しかしながら、接地パッド14は、いくつかの適用例では、ライナ24上ではなく地面上に置かれ得る(すなわち、接地パッド14は、ライナ24の境界線の外側の地面又は土地に置かれ得る)、ということを理解されたい。
【0050】
ブラシ20は、通常は、ライナ24上に高電圧を分け与えるための電極を形成する金属製の毛22で作られてあり、そこでは、塗り残しの存在下で火花が生成される。非電導性ハンドル26が、ブラシ20に取り付けられ、ユーザが検査するためにライナ24にわたってブラシ20で掃くことを可能にする。しかしながら、
図2に示すように、ブラシ20の剛毛は、特にライナ輪郭が平坦でない場合、ライナ24に接する際に変動に影響されやすかった。
【0051】
図3に示すように、ジオメンブレンなどのライナ24は、通常は土壌28に横たわり、絶縁最上部層30及び電導性底層32とは不浸透であることが意図されている。装置の回路は、ブラシ20からライナ24を通って接地パッド14に流れることになる。そのような電流フローは、ブラシ20が、塗り残しを有するライナ24のエリアに接する場合に影響を受けることになる。すなわち、絶縁最上部層30に沿って流れることに制限されるのではなく、電流が塗り残しを通り、次いで電導性底層32に沿って流れ得る、ということを理解されたい。
【0052】
そのような先行技術の装置は、電流フローを検出するための回路内の検出器40と、塗り残しを示すと解釈される閾値と信号を比較する比較器42とを含んだ。たとえば、電流強度が閾値を超える値まで急増する場合、塗り残しを示すと解釈されることになる(すなわち、ここで、急増した強度がライナ電導性底層を通るフローを示す)。しかしながら、前述のように、電流フローの急増は塗り残しを示し得るが、それはまた、他の要因、たとえば、電極に分け与えられる電流又は電圧の瞬間的変動、及びライナの下の土壌における大地導電率の変化(たとえば、土壌タイプ及び湿気に依存した)の結果として生じ得る。他の要因は、たとえば、ブラシ20の運動の突然の変化及び/又はブラシ20とライナ24との間の接触の程度の突然の変化を含み得る。
【0053】
比較器42によって使用される閾値は、オペレータ経験に基づいて、或いは塗り残しがないことが知られている及び/又は1つの塗り残しが知られているエリアでの電流強度を最初に検査することによって、手動で設定された。検査が開始した後は、閾値は、検査されるエリア全体について設定されるが、オペレータは、閾値が偽陽性(存在しない塗り残しを示すこと)又は偽陰性(存在する塗り残しを認識しないこと)を不適切に返していると決定される場合、閾値を手動で変更し得る。
【0054】
検出された電気信号が、ブラシ20が塗り残しに位置していることを示す閾値を超える時、可聴警報44はオペレータに警告した。
【0055】
本明細書で開示される改良された装置及び方法は、
図4から始まり示されている。すなわち、
図4に示され、さらに詳しく後述されるように、ライナ124の塗り残しを識別するためのセンサ100は、不均等な輪郭のライナ124との一様な接触を維持する改良された可動な電極又は接点120を含む。さらにまた、図示及びさらに詳しく後述されるように、高電圧発生器110は、偽陽性及び偽陰性を大きく低減するような方式で、センサ100で有利に処理される信号を生成する。
【0056】
具体的には、
図4~5に示すように、可動接点120は、案内車132の間に支えられた柔軟な電導性ケーブル134を有する案内車132で転がるトロッコ130を含む。複数の電導性ローラー136がケーブル134に沿って離間され、各ローラー136はケーブル134を中心に回転可能である。図示するように、ケーブル134に柔軟性があれば、すべてのローラー136は、平坦でなくうねった輪郭を有するエリアにおいてもライナ124に接することになる。
【0057】
可動接点のさらなる他の変形は、柔軟で表面に適合する電導性の材料、たとえば、
図6Aに示す鎖帷子120A、及びライナ124を横断して引きずられることができる、
図6Bに示された柔軟な電導性フィルム120B(たとえば、電導性ネオプレン)を含む。
【0058】
さらに、
図4とここで開示される改良を参照すると、センサ100はまた、高電圧発生器110を含む塗り残し検出器ユニット150を含む。さらに、高電圧発生器は高電圧パルス発生器110A(
図7を参照)であってもよく、それによって、塗り残し検出器ユニット150Aは、さらに詳しく後述されるように動的に塗り残しベースライン測定値を有利に決定し得る。
【0059】
ここで
図8を参照すると、本開示の別の態様における検出器ユニット150は、電磁検出器152(
図7を参照)を有利に含んでもよく、これは高電圧ケーブル116を通して伝わる電流のみならず、高電圧発生器110からのエネルギ(電圧及び電流)もまた感知する。電磁検出器152は、先行技術システムにおいて使用される電流検出器よりも敏感であり、したがって、偽陽性及び偽陰性信号に影響されにくい。
【0060】
さらに、
図8に示されるような電磁検出器152は、高電圧パルス発生器110Aと共に有利に使用され得る。電磁検出器152は、高電圧パルス発生器110Aにおいて起こるエネルギ変動を感知する磁気(誘導的)カプラ154及び電気(容量性)カプラ156の組合せである。電磁検出器152は、高電圧ケーブル116において流れる電流の変化、及び電極(たとえば、
図5、6A、6B)とライナ124との間の電荷の変化に敏感である。プロセッサ160は、塗り残しを示す又は塗り残しではないと見なされる各信号の閾値(たとえば、電流及び電圧)と感知される信号を比較する。
【0061】
(一般に、電流強度に閾値又はベースラインを超えさせる火花などの信号の急増は、塗り残しを示すことになろう。しかしながら、異なる信号については閾値未満に減る信号が塗り残しを示すことになることが可能である、ということを理解すべきである。そのようなわけで、本開示は、一般的に時々、ここでは、塗り残しを検出することを、ベースライン又は閾値を超える又は上回ると言うが、より正確には、そのベースライン又は閾値に対する信号に基づいて塗り残しを示す信号に言及する時、その信号強度が、塗り残しを示すと見なされるそのベースライン又は閾値の側にある[すなわち、上の又は下の]値を有する時に、塗り残しが検出されると言われるべきである。)
【0062】
さらに、電磁検出器152は、誘導カプラ154のワインディング及びトロイド162を介して、及び電気(容量性)カプラ156の電導性プレート164を介して高電圧ケーブル116を結合することによって、電流及び電圧の両方の変化を有利に測定し得る。
図8はセンサ100を示し、そこでは、ワインディング162を有するトロイドを有する誘導カプラ154が高電圧ケーブル116の電流を感知するために使用され、電導性プレート164との電気的結合156が電圧を感知するために使用される。電流(磁界を測定することによって)及び電界の両方の時間に対する変化を検知することによって、センサ100は、先行技術のセンサよりも小さな変動を検出することができ、小さな塗り残しに対してより敏感である。たとえば、複数の信号のそれぞれがそれ自体の別個のベースラインを比較され、塗り残しは、信号のうちの1つだけがそのベースラインを超えた事例において(たとえば、塗り残しが電流においては小さな変化しか引き起こさないかもしれないが電界には有意な及び顕著な変化を引き起こす事例において)検出され得る。
【0063】
したがって、複数の信号(たとえば、電流のみではなくて、電流及び電圧)を測定する開示されるセンサ100は、偽陽性及び偽陽性信号を有利に最小限に抑え得る、ということが認識されるはずである。
【0064】
開示されるセンサ100のさらなる有利な特徴は、プロセッサ160によって連続して計算されることによる、モニタされた信号の閾値の動的決定である。それに関しては、センサ100は高電圧パルス発生器110Aを含み、パルス電流に関連する複数の少なくとも1つの電気信号を、塗り残し検出器ユニット150が経時的に検出する。プロセッサ160は、最新の選択された期間について検出される(たとえば、1秒について毎秒30パルス)複数の各信号タイプ(たとえば、電流又は電圧)を連続して処理し、検出される各信号タイプの動的ベースライン又は閾値を連続して生成及び更新する。そのようなベースラインは、適切な方法、たとえば、エネルギ平均化、フィルタリング、及びフーリエ・スペクトルによって最新の選択された期間の信号を使用して決定されてもよい。
【0065】
図9は、閾値が手動で調整可能あるいは固定された先行技術のセンサと比較して、この機能を示す。図示された例では、先行技術の固定閾値は平坦な線180であるが、動的で自己調整する閾値182は、可動接点120が遭遇する所与の環境の変化(たとえば、可動接点120のエリア及び/又は可動接点120の運動における異なる土壌抵抗率)を変えることになる、ということが分かる。したがって、ピーク186が、塗り残しではなく可動接点120のエリア内の環境要因の結果として生じ得るけれども、先行技術では、先行技術の平坦な線の閾値180を超えるピーク186は、可動接点120の位置で塗り残しを(誤って)示すと解釈されることになる。対照的に、本明細書で開示されるセンサ100では、閾値との信号の比較が、環境要因を考慮に入れて偽陽性信号を回避することになるように、プロセッサ160は、そのような要因を動的に含み、自動修正式の動的閾値182を作成することになる。同様に、環境要因が信号における低減を引き起こすことになる場合、本明細書で開示されるプロセッサ160は、低減された閾値(又は閾値の窪み)をもたらし、偽陰性信号を回避することになる。
【0066】
図10は、複数の異なる信号の動的閾値決定及び検出の両方を有する、本明細書で開示されるセンサ100の動作の方法を示す流れ図である。
【0067】
具体的には、センサ100は先ずオンにされ(ステップ200)、高電圧パルス発生器110Aが帯電される(ステップ202)。高電圧パルスが、可動接点120に高電圧ケーブル116を介して放電され(ステップ204)、塗り残し検出器ユニット150の電磁検出器150Aが、そのパルスの電流及び電圧振幅を獲得し(ステップ206)、プロセッサ160がそれを使用して塗り残しを示す平均信号強度を計算する(ステップ208)。ステップ210において、プロセッサ160は、ステップ208からの計算された信号強度を使用して発生器110の電気基準(たとえば、地面14)に対する検出閾値を計算する。高電圧パルス発生器110Aは再び帯電され(ステップ212)、パルスが、可動接点120に放電され(ステップ214)、塗り残し検出器ユニット150の電磁検出器150Aが、そのパルスの電流及び電圧振幅を獲得する(ステップ216)。電磁検出器150Aが検出し、プロセッサ160が動的閾値を更新するために使用する、高電圧パルスを繰り返し放電するこのプロセスは、決定された量のパルス・データが獲得されるまで何度も繰り返され、別のパルスがデータに追加される時点で、最も古いパルスのデータは、ステップ208において計算される平均から除外される。そして、パルスが現在の計算された検出閾値(たとえば、電流及び/又は電圧振幅)を超えたとプロセッサ160が決定するまで、動作はその方式で継続され、その場合には警報又は位置インジケータ144が送られる。
【0068】
センサ100は、そのようなパルシングが望ましい時に(最初にステップ200で、そして十分なデータが獲得された時には後でステップ212で)適切なトリガ・スイッチを押すことによって、前述のような高電圧パルシングをオペレータが制御することを有利に可能にする。
【0069】
位置インジケータ144は、塗り残しが検出される時に鳴る塗り残し検出器ユニット150に含まれる従来の可聴警報(塗り残しが可動接点120の位置に存在すると、それによってオペレータに警告する音)でもよく、及び/又は、視覚的信号(たとえば、光)若しくはグリッド上の可動接点120(したがって、塗り残し)の位置に印を付けるデジタル信号を含む、任意の適切な信号を含んでもよい。
【0070】
前述の開示を理解すれば、ライナ(たとえば、ジオメンブレン)における塗り残しの検出は、最低限の偽陽性及び/又は偽陰性指示で、有利に、容易に及び確実に完遂され得る、ということが認識されるはずである。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライナにおける塗り残しを検出する方法であって、
発生器への第1の接点から離間された第2の接点への前記ライナとの前記第1の接点への前記発生器からの電流のための回路を作成するステップであって、前記第2の接点が前記発生器の電気基準である、前記作成するステップと、
前記第1の接点が前記ライナの上を移動される時に前記ライナの第1の接点への前記発生器からの電流をパルス化するステップと、
前記電気基準から前記パルス電流に関連する、複数の少なくとも1つの電気信号を検出するステップと、
選択された最新の複数の前記検出された電気信号を連続して処理して前記少なくとも1つの電気信号のベースライン値を生成するステップであって、前記ベースラインの1つの側の値を有する検出された電気信号は塗り残しがないことを示すと見なされ、前記ベースラインの別の側の値を有する電気信号は塗り残しを示すと見なされる前記生成するステップと、
前記検出された電気信号のうちの少なくとも1つが、前記ベースラインの前記別の側の値を有する時、塗り残し信号を作動させるステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記第2の接点が、前記ライナの最上部にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の接点が、前記ライナの下の地面にある、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ライナが頂面及び底表面を有し、
前記ライナ底表面が導電性であり、
前記第1の及び第2の接点が前記ライナ頂面と接している、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ライナが地盤工学的用地上のジオメンブレンである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ジオメンブレンが継ぎ目で連結された複数のライナを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの電気信号が、電流強度及び電圧のうちの選択された1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの電気信号が電流強度及び電圧の両方を含み、前記検出される電流強度が、電流強度のベースラインを生成するために連続して処理され、前記検出される電圧が、電圧のベースラインを生成するために連続して処理される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記塗り残し信号が、前記電流強度又は電圧のいずれかがその生成されたベースラインを通過する時に、生成される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
エネルギ平均化、フィルタリング、及びフーリエ・スペクトルのうちの少なくとも1つが、最新の複数の検出された電気信号から前記ベースラインを生成するために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ベースラインが、前記最新の複数の検出された電気信号の選択された平均である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記作動させられる塗り残し信号が、可聴音及び警報光のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記作動させられる塗り残し信号が、前記検出された電気信号が前記ベースラインの前記別の側の値を示す時に前記第1の接点に接触している前記ライナのエリアに対応する位置指示である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記作動させられる塗り残し信号が、前記ライナ上のグリッド座標の信号、オーディオ信号、視覚的信号、及びGPS座標の信号のうちの少なくとも1つである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ライナにおける塗り残しを検出するためのセンサであって、
電気基準を有するパルシング発生器と、
前記発生器が電流を電極にパルスする間に前記発生器電気基準から離間されたライナとの接点上を移動する、及び維持するようになされた前記電極と、
前記パルス電流に関連する少なくとも1つの電気信号を前記発生器電気基準から経時的に検出すること、
選択された期間の間に検出された少なくとも1つの電気信号を前記最新の選択された期間にわたって連続して処理すること、及び
前記少なくとも1つの電気信号のベースラインを生成することであり、前記ベースラインの1つの側の値を示す検出された電気信号が塗り残しがないことを示すと見なされ、前記ベースラインの別の側の値を示す電気信号が塗り残しを示すと見なされる、前記生成すること
を行うようになされたプロセッサと、
任意の検出された電気信号が前記ベースラインの前記別の側の値を有する時に作動させられる塗り残し信号と
を備える、センサ。
【請求項16】
前記電気基準が、前記ライナにおいて位置決め可能である、請求項15に記載のセンサ。
【請求項17】
前記プロセッサが、電流強度及び電圧のうちの選択された1つを検出するようになされた、請求項15に記載のセンサ。
【請求項18】
前記プロセッサが、
電流強度及び電圧の両方を検出し、
電流強度を連続して処理して電流強度のベースラインを生成し、及び
電圧を連続して処理して電圧のベースラインを生成する
ようになされた、請求項15に記載のセンサ。
【請求項19】
前記検出された電流強度又は検出された電圧のいずれかが、それから生成されたベースラインの前記別の側にある時、前記塗り残し信号が作動させられる、請求項18に記載のセンサ。
【請求項20】
前記プロセッサが、エネルギ平均化、フィルタリング、及びフーリエ・スペクトルのうちの少なくとも1つを使用して最新の複数の検出された電気信号から前記ベースラインを生成するようになされた、請求項15に記載のセンサ。
【請求項21】
前記作動させられる塗り残し信号が、可聴音及び警報光のうちの少なくとも1つである、請求項15に記載のセンサ。
【請求項22】
前記塗り残し信号が、検出された電気信号値が前記ベースラインの前記別の側にある時間に電極に接触されている前記ライナのエリアに対応する位置指示である、請求項15に記載のセンサ。
【請求項23】
ライナにおける塗り残しを検出する方法であって、
発生器への第1の接点から離間された第2の接点への前記ライナとの前記第1の接点への前記発生器からの電流のための回路を作成するステップであって、前記第2の接点が前記発生器の電気基準である、前記作成するステップと、
前記第1の接点が前記ライナ上を移動される時に前記発生器から前記ライナの第1の接点に電流を送るステップと、
前記発生器電気基準における電流強度及び電圧を検出するステップと、
ベースライン電流強度を前記発生器電気基準における電流強度と比較するステップと、
前記発生器電気基準における電圧とベースライン電圧を比較するステップと、
前記電流強度又は電圧のいずれかが塗り残しを示すと見なされるそのベースラインの1つの側にある値を有する時に作動させられる塗り残し信号を作動させるステップと
を含む、方法。
【請求項24】
前記ライナが頂面及び底表面を有する、及び
前記ライナ底表面が導電性のある、
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の及び第2の接点が前記ライナ頂面と接している、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ライナが地盤工学的用地上のジオメンブレンである、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記ジオメンブレンが継ぎ目で連結された複数のライナを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記検出された電流強度が、前記電流強度のベースラインを生成するために連続して処理され、前記検出された電圧が、前記電圧のベースラインを生成するために連続して処理される、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記電流強度又は電圧のいずれかが、その生成されたベースラインを通過する時、前記塗り残し信号が生成される、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
エネルギ平均化、フィルタリング、及びフーリエ・スペクトルのうちの少なくとも1つが、最新の複数の検出された電気信号から前記ベースラインを生成するために使用される、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
前記ベースラインが、前記最新の複数の検出された電気信号の選択された平均である、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
前記作動させられる塗り残し信号が、可聴音及び警報光のうちの少なくとも1つである、請求項23に記載の方法。
【請求項33】
前記作動させられる塗り残し信号が、塗り残しを示すと見なされる前記電流強度ベースラインの前記1つの側の値を前記電流強度が示す、又は塗り残しを示すと見なされる前記電圧ベースラインの前記1つの側の値を前記電圧が示す時に、前記第1の接点に接触している前記ライナのエリアに対応する位置の指示である、請求項23に記載の方法。
【請求項34】
ライナにおける塗り残しを検出するためのセンサであって、
前記ライナにおいて位置決め可能な又は前記ライナに隣接する電気基準を有する発生器と、
前記発生器が、電流を前記電極に送る間に前記発生器電気基準から離間されたライナとの接点上を移動する及び維持するようになされた電極と、
前記発生器電気基準の電流強度、及び
前記発生器電気基準の電圧
を検出する検出器と、
前記発生器電気基準の電流強度とベースライン電流強度を比較する、及び
前記発生器電気基準の電圧とベースライン電圧を比較する
ようになされたプロセッサと、
塗り残しを示すと見なされるそのベースライン電流強度の側にある値を前記検出される電流強度が示す時、又は塗り残しを示すと見なされるそのベースライン電圧の側にある値を前記検出された電圧が示す時のいずれかに作動させられる塗り残し信号と
を備える、センサ。
【請求項35】
前記プロセッサが、
電流強度を連続して処理して前記ベースライン電流強度を生成する、及び
電圧を連続して処理して前記ベースライン電圧を生成する
ようになされた、請求項34に記載のセンサ。
【請求項36】
前記プロセッサが、エネルギ平均化、フィルタリング、及びフーリエ・スペクトルのうちの少なくとも1つを使用して、最新の複数の検出された電気信号から前記ベースラインを生成するようになされた、請求項35に記載のセンサ。
【請求項37】
前記検出された電流強度又は検出された電圧のいずれかが、塗り残しを示すと見なされるそれの生成されたベースラインの側にある時、前記塗り残し信号が作動させられる、請求項35に記載のセンサ。
【請求項38】
前記作動させられる塗り残し信号が、可聴音及び警報光のうちの少なくとも1つである、請求項34に記載のセンサ。
【請求項39】
前記検出器が、塗り残しを示すと見なされるそれのベースラインの側にある値を電流強度及び電圧のうちの少なくとも1つが示すことを検出する時、前記塗り残し信号が、前記電極に接触されている前記ライナのエリアに対応する位置指示である、請求項34に記載のセンサ。
【請求項40】
(削除)
【請求項41】
(削除)
【請求項42】
(削除)
【請求項43】
(削除)
【国際調査報告】