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特表2024-522002溶接・熱圧しやすい高耐食性部材の熱浴成形プロセス
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  • 特表-溶接・熱圧しやすい高耐食性部材の熱浴成形プロセス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-06
(54)【発明の名称】溶接・熱圧しやすい高耐食性部材の熱浴成形プロセス
(51)【国際特許分類】
   B21D 22/20 20060101AFI20240530BHJP
   C21D 1/18 20060101ALI20240530BHJP
   C21D 9/00 20060101ALI20240530BHJP
   C23C 2/28 20060101ALI20240530BHJP
   C23C 2/26 20060101ALI20240530BHJP
   C22C 38/00 20060101ALN20240530BHJP
   C22C 38/38 20060101ALN20240530BHJP
【FI】
B21D22/20 H
B21D22/20 G
C21D1/18 C
C21D9/00 A
C23C2/28
C23C2/26
C22C38/00 301T
C22C38/38
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565621
(86)(22)【出願日】2022-06-09
(85)【翻訳文提出日】2023-10-24
(86)【国際出願番号】 CN2022097757
(87)【国際公開番号】W WO2023040369
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】202111073382.7
(32)【優先日】2021-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523402925
【氏名又は名称】山東鋼鉄集団日照有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】弁理士法人G-chemical
(72)【発明者】
【氏名】劉 培星
(72)【発明者】
【氏名】陳 鋼
(72)【発明者】
【氏名】金 光宇
(72)【発明者】
【氏名】ハオ リァン
(72)【発明者】
【氏名】高 興昌
(72)【発明者】
【氏名】高 鵬
(72)【発明者】
【氏名】侯 暁英
(72)【発明者】
【氏名】湯 化勝
(72)【発明者】
【氏名】孫 衛華
【テーマコード(参考)】
4E137
4K027
4K042
【Fターム(参考)】
4E137AA01
4E137AA11
4E137BA01
4E137BB01
4E137BC06
4E137CA09
4E137DA03
4E137EA25
4K027AA05
4K027AA23
4K027AB02
4K027AB05
4K027AB13
4K027AB28
4K027AB42
4K027AB44
4K027AC73
4K027AC82
4K027AE23
4K042AA25
4K042BA13
4K042BA14
4K042CA02
4K042CA06
4K042CA08
4K042CA09
4K042CA12
4K042CA13
4K042DA06
4K042DD01
(57)【要約】
本発明は溶接・熱圧しやすい高耐食性部材の熱浴成形プロセスを提供し、薄板ホットスタンピング、プレイトメタル部品の製造分野に関する。そのプロセスはS1、GI型亜鉛めっき層、GA型亜鉛めっき層、Zn-Al-Mg合金めっき層のいずれか1種を含むめっき熱成形鋼板材料を加熱炉で加熱し、完全にオーステナイト化状態に加熱するステップと、S2、加熱後のめっき熱成形鋼板材料は沸騰水タンクに移し、沸騰水に浸漬し、酸化層を洗浄するステップと、S3、めっき熱成形鋼板材料は沸騰水と上下金型の共同作用の下で成形、保圧、クエンチングし、部品を得るステップと、S4、部品を取り出してブローまたは乾燥炉で乾燥処理し、部品めっき層中の水分を除去するステップと、を含む。本発明が提供するプロセスは板材を沸騰水に浸漬し、沸騰水と熱板材との間に発生する気泡を用いて鋼板表面酸化層を均一且つ制御可能に除去し、板材の成形温度を均一且つ正確に制御し、同時に沸騰水中で成形とクエンチングを行い、部品の生産品質を高め、金型の使用寿命を高め、生産コストを節約することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接・熱圧しやすい高耐食性部材の熱浴成形プロセスであって、
S1、GI型亜鉛めっき層、GA型亜鉛めっき層、Zn-Al-Mg合金めっき層のいずれか1種を含むめっき熱成形鋼板材料を加熱炉で加熱し、完全にオーステナイト化状態に加熱するステップと、
S2、加熱後のめっき熱成形鋼板材料は沸騰水タンクに移され、沸騰水に浸漬し、酸化層を洗浄するステップと、
S3、めっき熱成形鋼板材料は沸騰水と上下金型の共同作用の下で成形、保圧、クエンチングされ、部品を得るステップと、
S4、部品を取り出してブローまたは乾燥炉で乾燥処理し、部品めっき層中の水分を除去するステップと、を含むことを特徴とする溶接・熱圧しやすい高耐食性部材の熱浴成形プロセス。
【請求項2】
ステップS1において、前記加熱炉中の雰囲気の酸素含有量は5~20%であることを特徴とする請求項1に記載の溶接・熱圧しやすい高耐食性部材の熱浴成形プロセス。
【請求項3】
ステップS1において、前記加熱の温度は850~900℃であり、板材が保温温度に達した後に0.5~4min保温することを特徴とする請求項1に記載の溶接・熱圧しやすい高耐食性部材の熱浴成形プロセス。
【請求項4】
ステップS2において、前記沸騰水温度は80~100℃であり、前記酸化層表面における前記沸騰水の圧力は0~0.1barであることを特徴とする請求項1に記載の溶接・熱圧しやすい高耐食性部材の熱浴成形プロセス。
【請求項5】
前記めっき熱成形鋼板材料の沸騰水中の深さは3~1000mmであることを特徴とする請求項4に記載の溶接・熱圧しやすい高耐食性部材の熱浴成形プロセス。
【請求項6】
前記沸騰水の前記めっき熱成形鋼板材料の酸化層表面の圧力は0~0.1barであることを特徴とする請求項1、4又は5に記載の溶接・熱圧しやすい高耐食性部材の熱浴成形プロセス。
【請求項7】
前記めっき熱成形鋼板材料の沸騰水中の滞留時間が2~20sであることを特徴とする請求項1、4又は5に記載の溶接・熱圧しやすい高耐食性部材の熱浴成形プロセス。
【請求項8】
前記沸騰水中に、NaOHを含む質量分率0~10%の溶解剤も含まれることを特徴とする請求項4に記載の溶接・熱圧しやすい高耐食性部材の熱浴成形プロセス。
【請求項9】
ステップS3において、前記成形の温度は400~650℃であることを特徴とする請求項1に記載の溶接・熱圧しやすい高耐食性部材の熱浴成形プロセス。
【請求項10】
ステップS3において、前記下金型は沸騰水浴中にあり、めっき熱成形鋼板材は下金型の上方に配置されることを特徴とする請求項1に記載の溶接・熱圧しやすい高耐食性部材の熱浴成形プロセス。
【請求項11】
前記プロセスは、部品を取り出してブローまたは乾燥炉で乾燥処理する前に、部品を沸騰タンクから取り出して無酸素室温水に移して超音波洗浄することをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の溶接・熱圧しやすい高耐食性部材の熱浴成形プロセス。
【請求項12】
前記超音波洗浄の時間は0.5~5minであることを特徴とする請求項11に記載の溶接・熱圧しやすい高耐食性部材の熱浴成形プロセス。
【請求項13】
前記めっき熱成形鋼板材料の原料成分は、質量パーセントで、C 0.05~0.35wt%、Si 0.05~0.2wt%、Mn 0.5~2.5wt%、Cr 0~0.3wt%、Mo 0~0.25wt%、Ti 0.02~0.04wt%、Nb 0~0.2wt%、V 0~0.2wt%、B 0.002~0.006wt%、P 0~0.020wt%、S 0~0.003wt%、Al 0.02~0.06wt%、N 0~0.006wt%、残りのFeであることを特徴とする請求項1に記載の溶接・熱圧しやすい高耐食性部材の熱浴成形プロセス。
【請求項14】
前記めっき層の厚みが5~30μmであることを特徴とする請求項1に記載の溶接・熱圧しやすい高耐食性部材の熱浴成形プロセス。
【請求項15】
前記めっき熱成形鋼板材料をレーザ溶接板、パッチ溶接板または不等厚圧延板に置換することを特徴とする請求項1に記載の溶接・熱圧しやすい高耐食性部材の熱浴成形プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薄板ホットスタンピング、プレイトメタル部品の製造分野に関し、具体的には溶接・熱圧しやすい高耐食性部材の熱浴成形プロセスに関する。本願は2021年09月14日に中国特許局、出願番号202111073382.7、発明名称「溶接・熱圧しやすい高耐食性部材の熱浴成形プロセス」の中国特許出願の優先権を要求し、そのすべての内容は援用によって本願に結合された。
【背景技術】
【0002】
ホットスタンピング成形プロセスにおける主な工程は、ブランクの加熱-スタンピング成形且つクエンチング-レーザートリミングーショットピーニングである。ホットスタンピング成形技術は成形力が小さく、部品の反発が小さく、成形後の部品強度が高いなどの利点から、広く応用されている、しかし、裸板とAl-Siめっき板の熱成形部品は陰極保護が不足しているため、部品の就役中に縁切り位置、特に敷居梁などの下車体部品の腐食が繰り上げる。
【0003】
亜鉛めっき層の融点が低い(純Znの融点は400℃程度しかない)ため、基材のオーステナイト化温度が高い(850~900℃)、一方、直接熱成形過程において、めっき層の温度は低いほど良い(650℃以下)、基体の温度は高いほど良い(750℃以上)。従来の22MnB5型基材では、成形温度が低下(650℃以上)するとフェライトが発生し、強度が不足になり、亜鉛めっき層材料の成形温度が高い(例えば、780℃)場合、引張応力変形中にめっき層中の液化相がオーステナイト粒界に侵入して基体が割れ、すなわち液化金属誘導脆性(LMIE)現象を引き起こす。そのため、亜鉛めっき熱成形鋼では、めっき層と基体は矛盾している。現在解決されている方法は主に2種類の工順であり、引張応力変形がなく、成形温度を低下させる。
【0004】
プリフォームプロセスのような引張応力変形がなく、主な工程は、先に部品の冷間スタンピング成形-ゼロ部品加熱によるオーステナイト化-圧力保持クエンチング-ショットピーニングである。このプロセス部品はすでに事前に変形しており、加熱後の部品は金型に移してクエンチングだけし、引張応力変形はない、だから液化金属誘導脆性(LMIE)現象が発生しない、しかし、このプロセスでは、部品は事前に冷間タンピング成形する必要があり、部品は炉内で加熱され、コストが高く、自動化が複雑である。
【0005】
早期冷却のような成形温度を下げ、主な工程、加熱後の板材は先に冷却(媒体ガス、ドライアイスなどを採用)の実行-成形-保圧クエンチングであるが、この方法の自動化制御は難しく、板材の降温過程及び温度制御は難しい、また、部品表面の酸化層を均一に除去するのは難しい。
【0006】
中国特許CN106795578Aは「中間鋼板冷却のための方法」を開示し、本方法では「ドライアイス、ドライ燥雪又はドライアイス粒子を含む気流」を用いて表面に噴射を行い、それによって亜鉛めっき鋼板表面酸化層の洗浄と板材の温度の低下を実現し、鋼板表面酸化層の洗浄力は外力高圧の「噴射」衝撃力に由来する。本方法は表面酸化層を均一に洗浄し、板材の成形温度を均一に制御することが困難であり、自動化制御は困難であり、かつ「ドライアイス、乾燥雪などの粒子」を事前に製造する必要があり、生産コストが高い。
【0007】
中国特許CN101821429Aは「低水圧水噴射による金属帯のリン二次除去方法及び設備」を開示し、この方法では熱間圧延鋼片が圧延過程において、「粗圧延工程」と「仕上げ圧延工程」の間に高圧水で鋼片表面への噴射を用いて、鋼片表面の酸化層を除去することを記載し、この工程の鋼片の厚さは通常80~200mmで、厚さは比較的に大きく、酸化層の厚さは通常100μm~lmmであり、めっき層全体を洗浄しやすいため、lμmほどの超薄の亜鉛めっき酸化層に適用されない、室温水は薄板を室温まで(1.5mm厚の熱鋼板の室温での冷却速度は500~1000℃/s)、板材温度の制御が困難である。
【0008】
中国特許CN107922988Aは「非接触式冷却鋼板の方法及びその方法に用いられる設備」を開示し、この方法ではマトリックス管を用いて空冷を行い、板材の冷却温度が不均一になりやすく、自動化制御が難しく、しかも加熱後の材料表面酸化層を洗浄することができない。
【0009】
中国特許CN10717238Aは「亜鉛系めっき鋼板または鋼帯のホットスタンピング成形方法」を開示し、この方法では熱板材料の縁切り工程によりめっき板材料の成形温度を低下させるが、縁切り工程は材料の温度均一冷却を保証することが難しく、縁切り位置の冷却速度が低く、その他の位置の温度が高い、自動制御は難しい。
【0010】
そのため、低コスト、高耐食性、溶接しやすく、酸化層を均一且つ制御可能に除去し、冷却温度が均一かつ制御可能である熱成形プロセスを開発することは極めて重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は従来技術における不足を克服し、特に極薄表面酸化層に均一且つ制御可能な洗浄が困難であり、予冷温度が制御しにくいなどの問題を克服し、溶接・熱圧しやすい高耐食性部材の熱浴成形プロセスを提供し、めっき層の成形温度と基体の成形温度を平衡させ、板材を沸騰水に浸漬し、沸騰水と熱板材との間に発生する気泡を用いて鋼板表面酸化層を均一且つ制御可能に除去し、板材の成形温度を均一且つ正確に制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、
S1、GI型亜鉛めっき層、GA型亜鉛めっき層、Zn-Al-Mg合金めっき層のいずれか1種を含むめっき熱成形鋼板材料を加熱炉で加熱し、完全にオーステナイト化状態に加熱するステップと、
S2、加熱後のめっき熱成形鋼板材料は沸騰水タンクに移され、沸騰水に浸漬し、酸化層を洗浄するステップと、
S3、めっき熱成形鋼板材料は沸騰水と上下金型の共同作用の下で成形、保圧、クエンチングされ、部品を得るステップと、
S4、部品を取り出してブローまたは乾燥炉で乾燥処理し、部品めっき層中の水分を除去するステップと、を含む溶接・熱圧しやすい高耐食性部材の熱浴成形プロセスを提供する。
【0013】
好ましくは、ステップS1において、前記加熱炉中の雰囲気酸素含有量(体積パーセント)は5~20%である。加熱中にめっき層表面が酸化し、めっき層と基体との間のアルミニウム元素がめっき層表面に拡散してA123緻密層を形成し、ZnO厚さを抑制する。しかし、酸素含有量が低すぎると、表層が酸化層を形成できなくなり、亜鉛の大部分が揮発し、めっき層の熱成形鋼板材料の表面耐食性層が失われ、酸素含有量が高すぎるとZnO層が厚すぎて溶接性能に影響する。
【0014】
加熱されためっき熱成形鋼板材料は、レーザー溶接板、パッチ溶接板及び不等厚圧延板であってもよい、マトリックス材料の十分なオーステナイト化を保証する前提の下で、加熱時間はできるだけ短くして、めっき層とマトリックスの間で過拡散を防止して、めっき層中のZnなどの耐食性元素が低すぎて、陰極保護作用が低下することを招く。加熱温度は、850~900℃で、板材が保温温度に達した後、0.5~4min保温する。
【0015】
好ましくは、ステップS2において、沸騰水温度は80~100℃であり、酸化層表面における沸騰水の圧力は0~0.1barである。
【0016】
好ましくは、前記めっき層熱成形鋼板材料の沸騰水中の深さは3~1000mmである。板材が沸騰水に浸漬すると、その表面に蒸気断熱層が形成され、板材の温度と水の間の伝達速度は極めて低下し、1.5mm厚板材料の垂直状態の冷却速度は30~50℃/sしかない、深さが3~1000mmの場合、断熱層の内圧は鋼板の水の中の位置が受ける静水圧より大きく、気泡を形成し、断熱層が破壊され、気泡形成過程で表面が洗浄され、表層のZnO、Al23、MnOなどの酸化物が除去され、「断熱層気泡」は絶えず形成され、鋼板表面に洗浄効果を形成する。板材の沸騰水中の時間は2~20sであり、沸騰水中の冷却速度は均一かつ制御可能であり、自動化実施が容易であり、板材の沸騰水中の時間、姿勢、位置を制御するだけでよい。
【0017】
さらに、ステップS2において、沸騰水には、NaOHを含む質量分率0~10%の溶解剤も含まれる。板材の沸騰水中の時間、沸騰水温度などのパラメータは酸化層の厚さと部品の成形性能に基づいて確定し、沸騰水に、必要に応じて、NaOHなど酸化層の溶解を早くする溶解液を一定濃度添加してもよく、部品の乾燥処理前にNaOHを洗浄しなければならない。
【0018】
好ましくは、ステップS3において、前記成形の温度は400~650℃である。金型の下金型は沸騰水浴中にあり、材料シートは下金型の上方に配置され、プレスが下りてくると上金型の下りを牽引し、めっき熱成形鋼板材料は沸騰水と上下金型の共同作用下で成形し、保圧し、クエンチングを実現し、成形と保圧の過程で、金型は鋼板表面の断熱層を破壊し、金型と板材が直接接触し、板材と金型の間の急速な熱交換により板材のクエンチングを実現する。
【0019】
好ましくは、板材が加熱段階及び沸騰水浴中の洗浄段階を経た後、めっき層の表面状態が後続の溶接等のプロセスを満たしていない場合、前記方法はさらに、部品を取り出してブローまたは乾燥炉中で乾燥処理する前に、部品を沸騰水箱から取り出して無酸素室温水に移して超音波洗浄することをさらに含む。
【0020】
さらに、超音波洗浄の時間は0.5~5minである。
【0021】
好ましくは、前記めっき層熱成形鋼板材料の原料成分は、質量パーセントで、C 0.05~0.35wt%、Si 0.05~0.2wt%、Mn 0.5~2.5wt%、Cr 0~0.3wt%、Mo 0~0.25wt%、Ti 0.02~0.04wt%、Nb 0~0.2wt%、V 0~0.2wt%、B 0.002~0.006wt%、P 0~0.020wt%、S 0~0.003wt%、Al 0.02~0.06wt%、N 0~0.006wt%、残りのFeである。
【0022】
好ましくは、めっき層の厚さは5~30μmである。
【発明の効果】
【0023】
本発明の技術方案は、以下の利点を有する:
1、本発明が提供するプロセスは酸化層除去プロセスと板材温度冷却プロセスを同時かつ均一に制御することができ、全体の制御過程の自動化制御は容易に実施され、タンク中の沸騰水の流動圧力(流動速度)、鋼板の水中での位置、姿勢、時間を制御すればよい。
【0024】
2、本発明が提供するプロセスにおける鋼板表層の酸化層を除去する力は鋼板と沸騰水の間の熱放出により、鋼板表層の沸騰水が気化して破裂し、気泡を形成して発生する衝撃力に由来し、周辺の水の流れが急速に移動し、酸化物を急速に持ち去り、この洗浄力は弱く、1μm程表面酸化層に非常に適しており、表面圧力が大きすぎるとめっき層全体が除去され、酸化層が不均一に除去され、本発明は「長時間」、「低洗浄力気泡方式」による酸化層の除去を実現することができる。
【0025】
3、本発明が提供するプロセスは実際の生産に便利で、金型を沸騰水中に置き、型締時間を遅らせるだけでよい、かつ量産過程において、板材の温度は絶えず水中に伝達され、連続生産過程における沸騰水浴のエネルギー消費は大幅に低下し、金型は沸騰水中に置き、下金型は冷却水路を開路する必要がなく、金型の加工製造コストを大幅に削減し、且つ金型の温度が一定で、金型の熱疲労を低減し、金型損傷を減少し、且つ成形時にめっき層が凝固して金型にくっつかなくなり、金型の吸収熱が減少し、金型の寿命を高めるのに有利であり、板材の成形前の洗浄、冷却などの機能を実現することができ、金型の保圧過程において、板材のクエンチング冷却速度の低下を実現し、板材の組織性能を改善し、低融点耐食性コーティングの表面酸化層の成形時の割れの問題も効果的に改善することができる。
【0026】
4、本プロセスにおける金型は沸騰水中に金型の錆びを起こさない、沸騰水中の酸素含有量が0であるため、金型材料中のFe元素は酸素と接触できず、金型の錆びを起こさない。
【0027】
5、本プロセスのスタンピングは沸騰水浴中に完成し、板材と酸素との接触を遮断し、板材が転移と成形過程で酸化することを回避する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明の具体的な実施形態または先行技術における技術的態様をより明確に説明するために、以下に、具体的な実施形態または先行技術の説明において使用する必要がある図面を簡単に説明する。明らかに、以下の説明における図面は本発明のいくつかの実施形態であり、当業者にとっては、創造的な労働を払わずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
図1図1は本発明が提供する溶接・熱圧しやすい高耐食性部材の熱浴成形プロセスのフローチャートである。
図2図2は本発明の実施例1における沸騰水中の板材の冷却過程であり、そのうち、A、Bはそれぞれ板材の中心と縁部の板材2点の冷却の実際の曲線であり、冷却過程は非常に均一である。
図3図3は本発明の実施例1における沸騰水浴処理の部品めっき表面様態である。
図4図4は本発明の実施例1における沸騰水浴処理部品のコーナー外側のめっき様態である。
図5】比較例1における従来の空冷部品めっき層の表面形態である。
図6図6は、比較例2における直接ホットスタンピング部品のコーナー外側のめっきクラック様態である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
【実施例
【0030】
実施例1
図1に示すように、溶接・熱圧しやすい高耐食性部材の熱浴成形プロセスであって、
S1、板厚1.5mmの亜鉛めっき熱成形鋼板材料(基体成分はC 0.18~0.21wt%、Si 0.05~0.2wt%、Mn 1.5~2.2wt%、Cr 0~0.3wt%、Mo 0~0.25wt%、Ti 0.02~0.04wt%、Nb 0~0.1wt%、B 0.002~0.006wt%、P 0~0.020wt%、S 0~0.003wt%、Al 0.02~0.06wt%、N 0~0.006wt%、双GI型面亜鉛めっき150g/m2、片側厚さ11μm)を890℃箱式加熱炉に移し、5分間保温し、オーステナイト化を完了し、加熱炉中の雰囲気中の酸素含有量(体積率)は20%であるステップと、
S2、加熱完了後の板材は沸騰水タンクに移し、沸騰水に浸漬して均一に洗浄し、温度を下げ、深さは3~1000mm、沸騰水温度は100℃、沸騰水中の鋼板の滞留時間は6sであるステップと、
S3、金型は沸騰水浴中にあるため、油圧機の型締時間に6s遅延だけを制御し、油圧機の型締(プレスの型締所要時間は3s)で成形し、保圧クエンチングし、ここで、成形前板材は沸騰水中の総時間が9s程度であるため、成形前の板材の温度は520~560℃(図2を参照)、保圧時間は10s、型締保圧は100T(部品の投影面積圧力20MPa)であるステップと、
S4、部品は、水から取り出された後、ブロー乾燥を行い、部品表面の水を除去して、得られるステップとを含む。
【0031】
成形後の部品の力学性能(試験基準:GB/T228.1-2010「金属材料引張試験第1部:室温試験方法」):引張強度1420~1600MPa、破断伸び率5~9%、部品の表面様態は図3に示され、沸騰水浴処理された表面様態は顆粒状で、非常に均一で、ほとんど大面積の連続酸化層がない、最終部品の溶接プロセスの電流窓は1.1~1.4KAで、現在の溶接プロセスの要求を完全に満たしている。また、めっき層に液化割れ現象がない(図4)、成形クエンチング後の亜鉛めっき層中のZn含有量は32~55%であり、比較的に良い陰極保護作用を有する。
【0032】
実施例2
溶接・熱圧しやすい高耐食性部材の熱浴成形プロセスであって、
S1、板厚1.5mmの亜鉛めっき熱成形鋼板材料(基体成分はC 0.05~0.35wt%、Si 0.05~0.2wt%、Mn 0.5~2.5wt%、Cr 0~0.3wt%、Mo 0~0.25wt%、Ti 0.02~0.04wt%、Nb 0~0.2wt%、V 0~0.2wt%、B 0.002~0.006wt%、P 0~0.020wt%、S 0~0.003wt%、Al 0.02~0.06wt%、N 0~0.006wt%、残りのFe、双GA型面亜鉛めっき150g/m2、片側厚さ11μm)を900℃箱式加熱炉に移し、5分間保温し、オーステナイト化を完成し、加熱炉中の雰囲気中の酸素含有量(体積率)は20%であるステップと、
S2、加熱完了後の板材は沸騰水タンクに移し、沸騰水に浸漬して均一に洗浄し、温度を下げ、板材の深さは3~1000mm、沸騰水の温度は80℃、沸騰水中の鋼板の滞留時間は6sであるステップと、
S3、金型は沸騰水浴中にあるため、油圧機の型締時間に6s遅延だけを制御し、油圧機の型締成形し、保圧クエンチングし、ここで、成形前の板材の沸騰水中の総時間は9s程度であるため、成形前の板材の温度は500~600℃、保圧時間は10s、型締保圧は100Tであるステップと、
S4、部品は、水から取り出された後、無酸素室の温水に移して、超音波洗浄を行い、部品表面の酸化層に対して、超音波振動による洗浄を行い、洗浄時間は0.5~5min、取り出してブロー乾燥を行い、部品表面の水を除去し、得られるステップと、を含む。
【0033】
成形後の部品の機械的性能、溶接性能、めっき層の液化割れ効果は実施例1と同様であった。
【0034】
比較例1
伝統的な空冷技術(そのプロセスは具体的にCN107922988Aを参照)を用いて部品を生産し、その表面様態は図5に示すように、表面様態は不均一で、大面積の連続酸化層が存在している。
【0035】
比較例2
直接熱成形技術を用いて、「易赤亮、常智淵、才賀龍、等、ホットスタンピング成形鋼の強度と塑性及び破断ひずみ[J].金属学報、2020、v.56(04):51-65.」を参照して、具体的なプロセス:部品スラブはまず加熱炉で約930℃まで加熱して均一な全オーステナイト組織を形成し、ロボットハンドにより、それをプレスに移し、型締スタンピング時の温度は700~800℃、スタンピング成形時の全オーステナイト状態、引張強度約200MPa、伸び率40%を超える。金型中の冷却水システムは金型表面温度を50~100℃に維持し、プスタンピング成形と同時に金型熱伝導クエンチングによりパーマルテンサイト組織を形成する。最後の部品の組み立てが完了した後、白車体は塗装焼成を行い、150~180℃で10~20min保温し、このプロセスで得られためっき層に、液化亜鉛が基体40μm以上に侵入し、図6に示すように、使用性能、特に疲労を満たすことができなかった。
【0036】
明らかに、上述の実施例は、実施形態を限定するのではなく、示例を明確に説明するためのものである。上記の説明に加えて、所属分野の一般技術者にとって、他の異なる形式の変化や変動を行うこともできる。ここでは、すべての実施形態を窮めることもできない必要もない。それによって引き出された明らかな変化または変動は、本発明の保護範囲にある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-11-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接・熱圧しやすい高耐食性部材の熱浴成形プロセスであって、
S1、GI型亜鉛めっき層、GA型亜鉛めっき層、Zn-Al-Mg合金めっき層のいずれか1種を含むめっき熱成形鋼板材料を加熱炉で加熱し、完全にオーステナイト化状態に加熱するステップと、
S2、加熱後のめっき熱成形鋼板材料は沸騰水タンクに移され、沸騰水に浸漬し、酸化層を洗浄するステップと、
S3、めっき熱成形鋼板材料は沸騰水と上下金型の共同作用の下で成形、保圧、クエンチングされ、部品を得るステップと、を含むことを特徴とする溶接・熱圧しやすい高耐食性部材の熱浴成形プロセス。
【請求項2】
ステップS1において、前記加熱炉中の雰囲気の酸素含有量は5~20%であることを特徴とする請求項1に記載の溶接・熱圧しやすい高耐食性部材の熱浴成形プロセス。
【請求項3】
ステップS1において、前記加熱の温度は850~900℃であり、板材が保温温度に達した後に0.5~4min保温することを特徴とする請求項1に記載の溶接・熱圧しやすい高耐食性部材の熱浴成形プロセス。
【請求項4】
ステップS2において、前記沸騰水温度は80~100℃であり、前記酸化層表面における前記沸騰水の圧力は0~0.1barであることを特徴とする請求項1に記載の溶接・熱圧しやすい高耐食性部材の熱浴成形プロセス。
【請求項5】
前記めっき熱成形鋼板材料の沸騰水中の深さは3~1000mmであることを特徴とする請求項4に記載の溶接・熱圧しやすい高耐食性部材の熱浴成形プロセス。
【請求項6】
前記沸騰水の前記めっき熱成形鋼板材料の酸化層表面の圧力は0~0.1barであることを特徴とする請求項1、4又は5に記載の溶接・熱圧しやすい高耐食性部材の熱浴成形プロセス。
【請求項7】
前記めっき熱成形鋼板材料の沸騰水中の滞留時間が2~20sであることを特徴とする請求項1、4又は5に記載の溶接・熱圧しやすい高耐食性部材の熱浴成形プロセス。
【請求項8】
前記沸騰水中に、NaOHを含む質量分率0~10%の溶解剤も含まれることを特徴とする請求項4に記載の溶接・熱圧しやすい高耐食性部材の熱浴成形プロセス。
【請求項9】
ステップS3において、前記成形の温度は400~650℃であることを特徴とする請求項1に記載の溶接・熱圧しやすい高耐食性部材の熱浴成形プロセス。
【請求項10】
ステップS3において、前記下金型は沸騰水浴中にあり、めっき熱成形鋼板材は下金型の上方に配置されることを特徴とする請求項1に記載の溶接・熱圧しやすい高耐食性部材の熱浴成形プロセス。
【国際調査報告】